2011年05月31日 (火)
おはようございます。
日本糖尿病学会・学会誌「糖尿病」(Vol.54 No.4 Apr.2011)に、杏林大学の石田均先生が「カーボカウントの利点と欠点」というタイトルで解説されています。2011年の4月号です。
その論文の「おわりに」で以下のように述べておられます。
低炭水化物食(糖質制限食)への批判展開ですね。
本当に根拠があるのか検討してみましたが、やはり根拠なしでした。( ̄_ ̄|||)
【「カーボカウントの利点と欠点」について、中立的な立場で述べてみた。
しかしながら本稿の最後に警笛を鳴らしたいことは、この方法の一種の悪用により極端な糖質の制限に走らないように留意すべき点である。
ごく最近の糖尿病症例を対象としたRCTにおいても、極度の低炭水化物食(炭水化物20%、脂質60%)の場合、通常の炭水化物60%+脂質20%の食事と比較すると全身の動脈の硬化度がむしろ悪化しているとの成績が示されており、一見血糖値が下降して糖尿病の病態が改善した様に見えたとしても、大動脈のみならず全身の臓器に張りめぐらされている血管系に対し、高血糖以外の機序により何らかの悪影響を及ぼしている可能性が推測されている。
すなわち従来からの和食の基本となる低脂肪食が長期にわたる心血管の保護に大いに寄与していることが、いま改めて臨床のエビデンスとして明らかとなって来ている。・・・(後略)】
糖尿病学会誌にこういう記事が掲載されたのは、いよいよ糖尿病学会としても「糖質制限食」の流れを、無視できなくなってきたということだと思います。
また、糖質制限食とカロリー制限食の学問的論争が起こることは大いに望ましいことです。論争は熱烈歓迎です。
それで早速、『ごく最近の糖尿病症例を対象としたRCT』として、石田均先生が論文の根拠として引用しておられる、以下の英文の文献を取り寄せて読んでみました。
『Una Bradley1, Michelle Spence2, C. Hamish Courtney1, Michelle C. McKinley2, Cieran N. Ennis1, David R. McCance1, Jane McEneny2, Patrick M. Bell1, Ian S. Young2 and Steven J. Hunter1
Low-Fat Versus Low-Carbohydrate Weight Reduction Diets
Effects on Weight Loss, Insulin Resistance, and Cardiovascular Risk: A Randomized Control Trial
Diabetes 58:2741-2748』
米国糖尿病協会の医学雑誌Diabetesですから、それなりの文献かと思ったのですが、なんと
『SUGAR BUREAU (砂糖局)U.K.』、英国砂糖局がスポンサーの一つで、怪しさがたっぷり漂って来ました。
この論文、肥満者24人を被験者として8週間ですから、期間も短いし人数も少ないので、そもそも信頼度はいまいちです。
結論から言います。
かなりひどい歪曲された論文でした。
このような論文しか引用できなかった、杏林大学の石田均先生に同情したくなるほどです。
言い換えれば、糖質制限食に不利なデータを示す信頼度の高い文献が、現時点で存在しないことの裏返しと言えますね。 (^_^)
【極度の低炭水化物食(炭水化物20%、脂質60%)の場合、通常の炭水化物60%+脂質20%の食事と比較すると全身の動脈の硬化度がむしろ悪化しているとの成績が示されており】
石田均先生は英文の原著の本文を読まれたのでしょうか?
原著の本文を読むと、
Aortic augumentation index(動脈硬化の指標の一つ)は、低炭水化物食では有意な変化をしていません。
つまり、悪化していません。
原著の冒頭の要約の「結果」には、あたかも低炭水化物食でAortic augumentation indexが悪化したかのような記載があるのですが、石田均先生はそれをそのまま引用されたようです。
しかし、繰り返しますが、本文の記載では有意差はなく、低炭水化物食による悪化は認められません。
このように、本文をよく読めば真実が判明しますが、冒頭の「結果」や「結論」だけみると騙されてしまいます。
典型的な歪曲論文の手口です。
英国砂糖局がスポンサーの論文には、同様の歪曲論文が多いので注意が必要です。
さらに英文原著の本文を読むと、低炭水化物食群において中性脂肪値とHbA1cが有意差をもって改善していますが、低脂肪高炭水化物食群では改善なしです。
原著では、低炭水化物食群における中性脂肪値とHbA1cの有意な改善を、意図的に冒頭の「結果」から省いています。
これは、せこいを通り越して、詐欺同然ですね。
インパクトファクター(*)が8.261のDiabetesにして、このようなことがまかり通るのですから
ゆめゆめ油断は禁物ですね。
(*)インパクトファクター(Impact Factor)とは1論文あたりの引用回数の平均値を計算したものです。自然科学・社会科学分野の学術雑誌の影響力を示すとされています。インパクトファクターが高いほど、影響力の高い論文を収録していることになります。
最後に、糖質制限食の効果を証明する、信頼度の高い疫学研究の報告です。
糖質制限食によりHDLコレステロールが増加し、体重も減少しています。上述の英国砂糖局がスポンサーの論文とは、研究期間も人数もけた違いで信頼度が全く違います。
ちなみに、ニューイングランド・ジャーナルのインパクトファクターは50.0(1位)
米国医師会雑誌のインパクトファクターは31.7(2位)
です。
☆☆☆
①<2008年のニューイングランド・ジャーナル、イスラエルの研究報告>
NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241
「低炭水化物食(糖質制限食)が最も体重を減少させ、HDL-Cを増加させた。」
が、長年の食事療法の論争に決着をつけたと思います。
これは、ネットの1個人の意見や仮説ではなく、322人を2年間追跡した権威ある疫学的研究です。
低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。
• イスラエルの322人(男性86%)
• (1)低脂肪法(カロリー制限あり)
• (2)オリーブ油の地中海法(カロリー制限あり)
• (3)低炭水化物法(カロリー制限なしのアトキンス式ダイエット)
• 3グループの食事法を2年間経過観察。
• 低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。
• NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241
体重などを分析した結果、2年後の体重減少幅の平均は
(1)低脂肪法 2.9キロ
(2)地中海法 4.4キロ
(3)低炭水化物法 4.7キロ
となり、
(3)低炭水化物法が最も減少していた。また、善玉コレステロールも増えていた。
②<JAMA(米国医師会雑誌)>
2007年3月,JAMA297:969-977
「the A TO Z Weight Loss Study: a randomized trial.」という論文が発表されました。
アトキンス(Atkins)、ゾーン(Zone)、ラーン(LEARN)、オーニッシュ(Ornish)ダイエットのそれぞれの1年間の体重減少効果をみた研究論文です。
311人の女性を上記4グループに分けて追跡したものです。これら4種のダイエット法は、いずれも米国でポピュラーなものです。
結果は、アトキンスダイエット( 糖質制限食)が、」最も体重を減少させ、HDL-コレステロールを増加、中性脂肪を減少させることが明らかとなりました。 (^O^)
アトキンスダイエットは低糖質食で、私達の糖質制限食と基本的考えは一緒です。1年間で平均4.7kg減少です。
ゾーンダイエットは、タンパク質・炭水化物・脂質の比率を40:30:30にするというものです。平均1.6kg減少です。
ラーンダイエットは、高炭水化物、低脂肪食です。平均2.6kg減少です。
オーニッシュダイエッは、菜食主義風のダイエットです。カロリーの10%を脂肪分から、20%をたんぱく質、70%を炭水化物からという割合の食事です。平均2.2kg減少です。最も高炭水化物で、最も低脂肪です。
このように①ニューイングランド・ジャーナルと②米国医師会雑誌という2つの権威ある医学雑誌に載った論文で、「糖質制限食」が「高糖質低脂質食」より体重減少効果があることが証明されました。
江部康二
日本糖尿病学会・学会誌「糖尿病」(Vol.54 No.4 Apr.2011)に、杏林大学の石田均先生が「カーボカウントの利点と欠点」というタイトルで解説されています。2011年の4月号です。
その論文の「おわりに」で以下のように述べておられます。
低炭水化物食(糖質制限食)への批判展開ですね。
本当に根拠があるのか検討してみましたが、やはり根拠なしでした。( ̄_ ̄|||)
【「カーボカウントの利点と欠点」について、中立的な立場で述べてみた。
しかしながら本稿の最後に警笛を鳴らしたいことは、この方法の一種の悪用により極端な糖質の制限に走らないように留意すべき点である。
ごく最近の糖尿病症例を対象としたRCTにおいても、極度の低炭水化物食(炭水化物20%、脂質60%)の場合、通常の炭水化物60%+脂質20%の食事と比較すると全身の動脈の硬化度がむしろ悪化しているとの成績が示されており、一見血糖値が下降して糖尿病の病態が改善した様に見えたとしても、大動脈のみならず全身の臓器に張りめぐらされている血管系に対し、高血糖以外の機序により何らかの悪影響を及ぼしている可能性が推測されている。
すなわち従来からの和食の基本となる低脂肪食が長期にわたる心血管の保護に大いに寄与していることが、いま改めて臨床のエビデンスとして明らかとなって来ている。・・・(後略)】
糖尿病学会誌にこういう記事が掲載されたのは、いよいよ糖尿病学会としても「糖質制限食」の流れを、無視できなくなってきたということだと思います。
また、糖質制限食とカロリー制限食の学問的論争が起こることは大いに望ましいことです。論争は熱烈歓迎です。
それで早速、『ごく最近の糖尿病症例を対象としたRCT』として、石田均先生が論文の根拠として引用しておられる、以下の英文の文献を取り寄せて読んでみました。
『Una Bradley1, Michelle Spence2, C. Hamish Courtney1, Michelle C. McKinley2, Cieran N. Ennis1, David R. McCance1, Jane McEneny2, Patrick M. Bell1, Ian S. Young2 and Steven J. Hunter1
Low-Fat Versus Low-Carbohydrate Weight Reduction Diets
Effects on Weight Loss, Insulin Resistance, and Cardiovascular Risk: A Randomized Control Trial
Diabetes 58:2741-2748』
米国糖尿病協会の医学雑誌Diabetesですから、それなりの文献かと思ったのですが、なんと
『SUGAR BUREAU (砂糖局)U.K.』、英国砂糖局がスポンサーの一つで、怪しさがたっぷり漂って来ました。
この論文、肥満者24人を被験者として8週間ですから、期間も短いし人数も少ないので、そもそも信頼度はいまいちです。
結論から言います。
かなりひどい歪曲された論文でした。
このような論文しか引用できなかった、杏林大学の石田均先生に同情したくなるほどです。
言い換えれば、糖質制限食に不利なデータを示す信頼度の高い文献が、現時点で存在しないことの裏返しと言えますね。 (^_^)
【極度の低炭水化物食(炭水化物20%、脂質60%)の場合、通常の炭水化物60%+脂質20%の食事と比較すると全身の動脈の硬化度がむしろ悪化しているとの成績が示されており】
石田均先生は英文の原著の本文を読まれたのでしょうか?
原著の本文を読むと、
Aortic augumentation index(動脈硬化の指標の一つ)は、低炭水化物食では有意な変化をしていません。
つまり、悪化していません。
原著の冒頭の要約の「結果」には、あたかも低炭水化物食でAortic augumentation indexが悪化したかのような記載があるのですが、石田均先生はそれをそのまま引用されたようです。
しかし、繰り返しますが、本文の記載では有意差はなく、低炭水化物食による悪化は認められません。
このように、本文をよく読めば真実が判明しますが、冒頭の「結果」や「結論」だけみると騙されてしまいます。
典型的な歪曲論文の手口です。
英国砂糖局がスポンサーの論文には、同様の歪曲論文が多いので注意が必要です。
さらに英文原著の本文を読むと、低炭水化物食群において中性脂肪値とHbA1cが有意差をもって改善していますが、低脂肪高炭水化物食群では改善なしです。
原著では、低炭水化物食群における中性脂肪値とHbA1cの有意な改善を、意図的に冒頭の「結果」から省いています。
これは、せこいを通り越して、詐欺同然ですね。
インパクトファクター(*)が8.261のDiabetesにして、このようなことがまかり通るのですから
ゆめゆめ油断は禁物ですね。
(*)インパクトファクター(Impact Factor)とは1論文あたりの引用回数の平均値を計算したものです。自然科学・社会科学分野の学術雑誌の影響力を示すとされています。インパクトファクターが高いほど、影響力の高い論文を収録していることになります。
最後に、糖質制限食の効果を証明する、信頼度の高い疫学研究の報告です。
糖質制限食によりHDLコレステロールが増加し、体重も減少しています。上述の英国砂糖局がスポンサーの論文とは、研究期間も人数もけた違いで信頼度が全く違います。
ちなみに、ニューイングランド・ジャーナルのインパクトファクターは50.0(1位)
米国医師会雑誌のインパクトファクターは31.7(2位)
です。
☆☆☆
①<2008年のニューイングランド・ジャーナル、イスラエルの研究報告>
NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241
「低炭水化物食(糖質制限食)が最も体重を減少させ、HDL-Cを増加させた。」
が、長年の食事療法の論争に決着をつけたと思います。
これは、ネットの1個人の意見や仮説ではなく、322人を2年間追跡した権威ある疫学的研究です。
低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。
• イスラエルの322人(男性86%)
• (1)低脂肪法(カロリー制限あり)
• (2)オリーブ油の地中海法(カロリー制限あり)
• (3)低炭水化物法(カロリー制限なしのアトキンス式ダイエット)
• 3グループの食事法を2年間経過観察。
• 低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。
• NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241
体重などを分析した結果、2年後の体重減少幅の平均は
(1)低脂肪法 2.9キロ
(2)地中海法 4.4キロ
(3)低炭水化物法 4.7キロ
となり、
(3)低炭水化物法が最も減少していた。また、善玉コレステロールも増えていた。
②<JAMA(米国医師会雑誌)>
2007年3月,JAMA297:969-977
「the A TO Z Weight Loss Study: a randomized trial.」という論文が発表されました。
アトキンス(Atkins)、ゾーン(Zone)、ラーン(LEARN)、オーニッシュ(Ornish)ダイエットのそれぞれの1年間の体重減少効果をみた研究論文です。
311人の女性を上記4グループに分けて追跡したものです。これら4種のダイエット法は、いずれも米国でポピュラーなものです。
結果は、アトキンスダイエット( 糖質制限食)が、」最も体重を減少させ、HDL-コレステロールを増加、中性脂肪を減少させることが明らかとなりました。 (^O^)
アトキンスダイエットは低糖質食で、私達の糖質制限食と基本的考えは一緒です。1年間で平均4.7kg減少です。
ゾーンダイエットは、タンパク質・炭水化物・脂質の比率を40:30:30にするというものです。平均1.6kg減少です。
ラーンダイエットは、高炭水化物、低脂肪食です。平均2.6kg減少です。
オーニッシュダイエッは、菜食主義風のダイエットです。カロリーの10%を脂肪分から、20%をたんぱく質、70%を炭水化物からという割合の食事です。平均2.2kg減少です。最も高炭水化物で、最も低脂肪です。
このように①ニューイングランド・ジャーナルと②米国医師会雑誌という2つの権威ある医学雑誌に載った論文で、「糖質制限食」が「高糖質低脂質食」より体重減少効果があることが証明されました。
江部康二
2011年05月30日 (月)
こんばんは。
今朝は、午前7時胖頃まで風がごうごうと吹き荒れて、結構怖かったです。
さて今回は、テンテンさんから、体重増加と糖尿病発症リスクについて、コメント・質問をいただきました。
【11/05/28 テンテン
20歳時の体重
はじめまして。
先程こちらを知った糖尿病に脅える 身長167㎝・体重63キロの41歳の女です。
20歳時の体重は、確か60キロ位だったと思いますが、16歳の頃から体重が安定しません。16歳の頃、最高体重65キロから夕食を食べないダイエットで2か月位で52キロまで減らし、それから52キロ~65キロまで体重が増えたり減らしたりの繰り返しです。
体重が安定しない場合も20歳時の体重よりも10キロ以上増えた場合は危険でしょうか? (現在が太りすぎなのはわかりますが、何キロ減らせば良いか等の目安に)
それと昨年の今頃、健康診断でHbA1c5.0でしたが、血糖値も計らないと糖尿病は早期発見できないのでしょうか?
ちなみに、昨年の健診よりも3キロ体重が増えてしまって、今、せめて3キロ減らそうとダイエット中です。】
テンテン さん。
身長167㎝。体重63kg。
BMIは22.6で標準です。
しかし、若いときの一番少ない体重が52kgなので、現在10kg以上増えており、文献的には糖尿病発症リスクはあると思います。一方、HbA1c5.0なら、今のところ、糖尿病はまず大丈夫と思います。
糖尿病早期発見のためには、食事開始後1時間の血糖値を測定して180mg/dl以上ないかを確認するか、食事開始後1~2時間尿を我慢して検査して尿糖をチェックしましょう。
食後1時間血糖値が180mgを超えた人は、糖尿病発症リスクが高いです。また食後尿糖陽性なら、食後血糖値がピーク180mgを超えた可能性が高いです。
そして、空腹時血糖値と空腹時インスリンとを調べて見ましょう。
HOMA-RとHOMA-βを計算して、インスリン抵抗性やインスリン過剰分泌の有無を調べましょう。
筋肉細胞レベルでインスリンの効きが悪くなることをインスリン抵抗性といいます。
インスリン抵抗性を簡便に測定できるのが、HOMA-Rです。
homeostasis model assessment insulin resistance → 略して HOMA-R
空腹時血糖値140mg/dlまでなら信頼性が高いです。
<HOMA-R=空腹時血糖値×空腹時インスリン値/405 >
という式で計算します。
HOMA-Rが大きいほど、インスリン抵抗性が強いと考えられます。
1.6以下が正常で、2.5以上は抵抗性があると考えられます。
インスリン抵抗性は、大雑把に筋肉を中心とした末梢組織におけるものと、肝臓におけるものとに分けることができます。
HOMA-βは内因性インスリン分泌機能を簡便に推定する指数です。
homeostatic model assessment beta cell function → 略してHOMA-β
空腹時血糖と空腹時のインスリン値をもとに、計算します。
HOMA-βは空腹時血糖値130mg/dlまでなら、経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と相関しています。
<HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/ml)/(空腹時血糖値(mg/ml)-63)>
という式で計算します。正常値:40-60
インスリン抵抗性やインスリン過剰分泌があれば、将来のメタボや糖尿病発症のリスクとなります。
江部康二
今朝は、午前7時胖頃まで風がごうごうと吹き荒れて、結構怖かったです。
さて今回は、テンテンさんから、体重増加と糖尿病発症リスクについて、コメント・質問をいただきました。
【11/05/28 テンテン
20歳時の体重
はじめまして。
先程こちらを知った糖尿病に脅える 身長167㎝・体重63キロの41歳の女です。
20歳時の体重は、確か60キロ位だったと思いますが、16歳の頃から体重が安定しません。16歳の頃、最高体重65キロから夕食を食べないダイエットで2か月位で52キロまで減らし、それから52キロ~65キロまで体重が増えたり減らしたりの繰り返しです。
体重が安定しない場合も20歳時の体重よりも10キロ以上増えた場合は危険でしょうか? (現在が太りすぎなのはわかりますが、何キロ減らせば良いか等の目安に)
それと昨年の今頃、健康診断でHbA1c5.0でしたが、血糖値も計らないと糖尿病は早期発見できないのでしょうか?
ちなみに、昨年の健診よりも3キロ体重が増えてしまって、今、せめて3キロ減らそうとダイエット中です。】
テンテン さん。
身長167㎝。体重63kg。
BMIは22.6で標準です。
しかし、若いときの一番少ない体重が52kgなので、現在10kg以上増えており、文献的には糖尿病発症リスクはあると思います。一方、HbA1c5.0なら、今のところ、糖尿病はまず大丈夫と思います。
糖尿病早期発見のためには、食事開始後1時間の血糖値を測定して180mg/dl以上ないかを確認するか、食事開始後1~2時間尿を我慢して検査して尿糖をチェックしましょう。
食後1時間血糖値が180mgを超えた人は、糖尿病発症リスクが高いです。また食後尿糖陽性なら、食後血糖値がピーク180mgを超えた可能性が高いです。
そして、空腹時血糖値と空腹時インスリンとを調べて見ましょう。
HOMA-RとHOMA-βを計算して、インスリン抵抗性やインスリン過剰分泌の有無を調べましょう。
筋肉細胞レベルでインスリンの効きが悪くなることをインスリン抵抗性といいます。
インスリン抵抗性を簡便に測定できるのが、HOMA-Rです。
homeostasis model assessment insulin resistance → 略して HOMA-R
空腹時血糖値140mg/dlまでなら信頼性が高いです。
<HOMA-R=空腹時血糖値×空腹時インスリン値/405 >
という式で計算します。
HOMA-Rが大きいほど、インスリン抵抗性が強いと考えられます。
1.6以下が正常で、2.5以上は抵抗性があると考えられます。
インスリン抵抗性は、大雑把に筋肉を中心とした末梢組織におけるものと、肝臓におけるものとに分けることができます。
HOMA-βは内因性インスリン分泌機能を簡便に推定する指数です。
homeostatic model assessment beta cell function → 略してHOMA-β
空腹時血糖と空腹時のインスリン値をもとに、計算します。
HOMA-βは空腹時血糖値130mg/dlまでなら、経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と相関しています。
<HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/ml)/(空腹時血糖値(mg/ml)-63)>
という式で計算します。正常値:40-60
インスリン抵抗性やインスリン過剰分泌があれば、将来のメタボや糖尿病発症のリスクとなります。
江部康二
2011年05月29日 (日)
おはようございます。
アメジストさんから、逆流性食道炎と糖質制限食についてコメント・質問をいただきました。
【11/05/28 アメジスト
胃炎の糖質制限食
はじめまして。
現在、胃炎と逆流性食道炎を患っている41才の女性です。今年の初めから胸焼けと胃の痛みが起こり、3月に内視鏡検査を受けたところ、胃の上部が荒れていて、食道にポリープが見つかりました。
パリエットなどの胃酸を押さえる薬を2ヶ月ほど服用して、良くなったのですが、またここ二週間ほどで症状がぶりかえしてしまいました。
脂っこいものやアルコールは一切口にしなかったし、大食いでもないのに、何故治らないのか、担当医の先生や薬剤師さんも、首を傾げていました。
どうしたものかと悩んでいたところ、偶然こちらのサイトで、胃炎や食道炎には、糖分が関係しているとの知り、心当たりがあると思いました。
(お菓子が好きで深夜やお腹が空いたときに少量ですが、毎日食べていました)
本日からさっそくお菓子断ちをして、糖質制限食トライしています。
ただ、普段から食が細く、糖分で取っていた分のカロリーを日々の食事でどう補うのか、悩んでいます。
現在、身長160センチ体重44キロで、体重を絶対に減らしたくありません。小腹が空いたときに、血糖値の治療の場合、チーズやナッツなどを少量なら食べても可能だと、ありましたが、胃炎の場合も少量ならばナッツ類などは大丈夫ですか?
血糖値の治療とは異なる点、また、注意すべき食物など、教えていただければ幸いです。
また、胃炎でもOKな少量でカロリーのある食品などを教えていただければと思います。
お忙しい中恐れ入りますが、何とぞよろしくお願いいまします。】
アメジストさん。
逆流性食道炎の症状を訴える患者さんのほとんどが、糖質制限食開始の瞬間から改善します。(^-^)v(^-^)v
当初、私自身が信じられなかったのですが、もう30人以上に試してみて、脂っこいものより炭水化物が胸やけを起こす真犯人と確信しました。
ここまでくると、逆流性食道炎は、精製炭水化物の過剰摂取が根本要因である可能性が極めて高いと思います。
400万年の人類の歴史のなかで、精製炭水化物を大量に常食し始めたここ200~300年の特殊な病気の一つが逆流性食道炎です。
一方、胃炎に関しては、糖質摂取との関係はまだ不確定です。 (∵)?
アメジストさん、身長160センチ。体重44キロ。
BMI17.2で確かに痩せ型ですね。
体重を減らしたくない時は、タンパク質や脂質はしっかり摂取して、低カロリーに気をつけてください。
もともと少食の人は、低カロリーになりがちなので、1回に1/3個ていどの果物を、1日に2回デザートや間食で摂ると、胸やけなしで体重が増えると思います。アボカドなら、1個丸ごと食べてもいいですね。
間食でナッツ類を1回に10粒ていど摂取するのも、胃にこたえずに一定のカロリー補給が可能です。6Pチーズを1個とかもいいですね。
嫌いでなければ、カロリーたっぷりのビーフステーキも勿論OKですよ。
オリーブオイルを炒め料理などに使うのも、カロリー補給にいいですね。
αリノレン酸は多く摂取したい油脂ですが、熱に弱いということもあるので、サラダに生でかけて食べるのもいいですね。
太りたい人には、「ナッツ類、果物適量、オリーブオイル」が三種の神器でしょうか。
江部康二
アメジストさんから、逆流性食道炎と糖質制限食についてコメント・質問をいただきました。
【11/05/28 アメジスト
胃炎の糖質制限食
はじめまして。
現在、胃炎と逆流性食道炎を患っている41才の女性です。今年の初めから胸焼けと胃の痛みが起こり、3月に内視鏡検査を受けたところ、胃の上部が荒れていて、食道にポリープが見つかりました。
パリエットなどの胃酸を押さえる薬を2ヶ月ほど服用して、良くなったのですが、またここ二週間ほどで症状がぶりかえしてしまいました。
脂っこいものやアルコールは一切口にしなかったし、大食いでもないのに、何故治らないのか、担当医の先生や薬剤師さんも、首を傾げていました。
どうしたものかと悩んでいたところ、偶然こちらのサイトで、胃炎や食道炎には、糖分が関係しているとの知り、心当たりがあると思いました。
(お菓子が好きで深夜やお腹が空いたときに少量ですが、毎日食べていました)
本日からさっそくお菓子断ちをして、糖質制限食トライしています。
ただ、普段から食が細く、糖分で取っていた分のカロリーを日々の食事でどう補うのか、悩んでいます。
現在、身長160センチ体重44キロで、体重を絶対に減らしたくありません。小腹が空いたときに、血糖値の治療の場合、チーズやナッツなどを少量なら食べても可能だと、ありましたが、胃炎の場合も少量ならばナッツ類などは大丈夫ですか?
血糖値の治療とは異なる点、また、注意すべき食物など、教えていただければ幸いです。
また、胃炎でもOKな少量でカロリーのある食品などを教えていただければと思います。
お忙しい中恐れ入りますが、何とぞよろしくお願いいまします。】
アメジストさん。
逆流性食道炎の症状を訴える患者さんのほとんどが、糖質制限食開始の瞬間から改善します。(^-^)v(^-^)v
当初、私自身が信じられなかったのですが、もう30人以上に試してみて、脂っこいものより炭水化物が胸やけを起こす真犯人と確信しました。
ここまでくると、逆流性食道炎は、精製炭水化物の過剰摂取が根本要因である可能性が極めて高いと思います。
400万年の人類の歴史のなかで、精製炭水化物を大量に常食し始めたここ200~300年の特殊な病気の一つが逆流性食道炎です。
一方、胃炎に関しては、糖質摂取との関係はまだ不確定です。 (∵)?
アメジストさん、身長160センチ。体重44キロ。
BMI17.2で確かに痩せ型ですね。
体重を減らしたくない時は、タンパク質や脂質はしっかり摂取して、低カロリーに気をつけてください。
もともと少食の人は、低カロリーになりがちなので、1回に1/3個ていどの果物を、1日に2回デザートや間食で摂ると、胸やけなしで体重が増えると思います。アボカドなら、1個丸ごと食べてもいいですね。
間食でナッツ類を1回に10粒ていど摂取するのも、胃にこたえずに一定のカロリー補給が可能です。6Pチーズを1個とかもいいですね。
嫌いでなければ、カロリーたっぷりのビーフステーキも勿論OKですよ。
オリーブオイルを炒め料理などに使うのも、カロリー補給にいいですね。
αリノレン酸は多く摂取したい油脂ですが、熱に弱いということもあるので、サラダに生でかけて食べるのもいいですね。
太りたい人には、「ナッツ類、果物適量、オリーブオイル」が三種の神器でしょうか。
江部康二
2011年05月28日 (土)
こんにちは。
宝塚の住人さんから、
嬉しいコメントをいただきました。
【11/05/27 宝塚の住人
こんばんは。はじめまして。
私は、10年来の高血糖で、人間ドックの度に血糖値欄には※表示。
その数値も年々上昇し、直近のドックでは血糖値130、Hba1Cは6程度でした。
昨年末、NHKのためしてガッテンで血糖値測定器の存在を知り、さっそく購入。早朝空腹時血糖値は140程度に上昇しておりました。
そのころ、偶然先生のサイトを知り、本もほとんど購入させていただき、今年の2月12日からは糖質制限生活をスタートさせました。基本的にはスーパー糖質制限食でやってます。
昼食はほとんど外食ですんで、知らず知らず砂糖を摂取している場合もあろうかと思いますけど。トンカツの衣など、やっぱり『完全』は無理ですね。
で、3か月半経過いたしましたが、感想はただただ「やってよかった!」に尽きます。
最近の血糖値は最近は90前後で安定してます。次のドックで血液検査をするのが楽しみです。
体重は糖質制限生活開始前は75kg以上あったのが、今は63kg程度になりました。体調はすこぶる好調です。
50歳を超えて、いろいろ体に不調が生じておりまして、「年だからしょうがない」と思っていたんですが、最近ではほとんど解消してしまいました。
下の話でなんですが、おしっこのキレもよくなりましたし、最近では朝に元気になることもしばしばです(^^;
本当にありがとうございました!
そうそう、一つだけ困ったことがありました。洋服のサイズがすべて合わなくなってしまいました(^^;
うれしい悲鳴ですけどね。
確かに、炭水化物を制限するだけで糖尿病の症状が改善してしまうんですから、既得権益を大事にする医学薬学業界からの抵抗もあろうかと思います。
先生も何かと大変でしょうけど、これからも悩める糖尿病患者のため、糖質制限をより一層、普及促進してくださいませ。】
宝塚の住人さん。
たくさんの本のご購入ありがとうございました。
3ヶ月半のスーパー糖質制限食実践で
空腹時血糖値140mg→90mg前後
体重75kg以上→63kg
素晴らしい改善です。良かったです。
膵臓のβ細胞のダメージがあるていどあると、食後血糖値に比べて空腹時血糖値は下がりにくいこともあるので、
間に合って良かったですね。疲弊していたβ細胞が休養を得て、回復してくれたようです。
【下の話でなんですが、おしっこのキレもよくなりましたし、最近では朝に元気になることもしばしばです(^^; 】
糖尿病で血糖コントロールが良くないと、インポテンスも心配になりますが改善おめでとうございます。
テニスクラブの友人が、「昔ダーリン、今ダラリン」とジョークを言ってましたが、宝塚の住人さん、ダーリン復活ですね。
【そうそう、一つだけ困ったことがありました。
洋服のサイズがすべて合わなくなってしまいました(^^;
うれしい悲鳴ですけどね。】
物持ちのいい場合、10年前の服が着れるようになったと喜んでる人もおられますよ。
そうそう、糖質制限食唯一の弱点は、食費がどうしても割高になることですね。
江部康二
宝塚の住人さんから、
嬉しいコメントをいただきました。
【11/05/27 宝塚の住人
こんばんは。はじめまして。
私は、10年来の高血糖で、人間ドックの度に血糖値欄には※表示。
その数値も年々上昇し、直近のドックでは血糖値130、Hba1Cは6程度でした。
昨年末、NHKのためしてガッテンで血糖値測定器の存在を知り、さっそく購入。早朝空腹時血糖値は140程度に上昇しておりました。
そのころ、偶然先生のサイトを知り、本もほとんど購入させていただき、今年の2月12日からは糖質制限生活をスタートさせました。基本的にはスーパー糖質制限食でやってます。
昼食はほとんど外食ですんで、知らず知らず砂糖を摂取している場合もあろうかと思いますけど。トンカツの衣など、やっぱり『完全』は無理ですね。
で、3か月半経過いたしましたが、感想はただただ「やってよかった!」に尽きます。
最近の血糖値は最近は90前後で安定してます。次のドックで血液検査をするのが楽しみです。
体重は糖質制限生活開始前は75kg以上あったのが、今は63kg程度になりました。体調はすこぶる好調です。
50歳を超えて、いろいろ体に不調が生じておりまして、「年だからしょうがない」と思っていたんですが、最近ではほとんど解消してしまいました。
下の話でなんですが、おしっこのキレもよくなりましたし、最近では朝に元気になることもしばしばです(^^;
本当にありがとうございました!
そうそう、一つだけ困ったことがありました。洋服のサイズがすべて合わなくなってしまいました(^^;
うれしい悲鳴ですけどね。
確かに、炭水化物を制限するだけで糖尿病の症状が改善してしまうんですから、既得権益を大事にする医学薬学業界からの抵抗もあろうかと思います。
先生も何かと大変でしょうけど、これからも悩める糖尿病患者のため、糖質制限をより一層、普及促進してくださいませ。】
宝塚の住人さん。
たくさんの本のご購入ありがとうございました。
3ヶ月半のスーパー糖質制限食実践で
空腹時血糖値140mg→90mg前後
体重75kg以上→63kg
素晴らしい改善です。良かったです。
膵臓のβ細胞のダメージがあるていどあると、食後血糖値に比べて空腹時血糖値は下がりにくいこともあるので、
間に合って良かったですね。疲弊していたβ細胞が休養を得て、回復してくれたようです。
【下の話でなんですが、おしっこのキレもよくなりましたし、最近では朝に元気になることもしばしばです(^^; 】
糖尿病で血糖コントロールが良くないと、インポテンスも心配になりますが改善おめでとうございます。
テニスクラブの友人が、「昔ダーリン、今ダラリン」とジョークを言ってましたが、宝塚の住人さん、ダーリン復活ですね。
【そうそう、一つだけ困ったことがありました。
洋服のサイズがすべて合わなくなってしまいました(^^;
うれしい悲鳴ですけどね。】
物持ちのいい場合、10年前の服が着れるようになったと喜んでる人もおられますよ。
そうそう、糖質制限食唯一の弱点は、食費がどうしても割高になることですね。
江部康二
2011年05月28日 (土)
おはようございます。
今回はポコロコさんから、「脂肪分解と糖新生と糖質制限食」について、コメント・質問をいただきました。
【11/05/26 ポコロコ
代謝は難しい
江部 先生
今日は、初めまして。
最近このHPを知り、楽しく感心しながら読ませて頂いています。
さて、糖質制限ダイエット、というか糖質制限療法というか、
とにかく「糖質制限をする事は、人間(人類)の本来の食事生活に近い食生活をすることであるので、健康に良いのでは無いか?」
という事ですよね。
素晴らしい。そしてエビデンスも揃っている。
そもそも簡単に「糖質」が手に入らなかった時代に、その貴重な栄養を秋の収穫時に身体に漏らさず蓄え、それを冬の厳しさに対抗する「足し」にしていたという事か・・・
その貴重さとおいしさの為に次の秋が待ちどうしかったでしょうね。
そして普段は動物や魚、保存の利く木の実をなるべく丸ごと食べ、経験によって身体に良いと思われる草や樹皮等を、「薬(そう思っていたかどうか分かりませんが)」として摂取して長い長い時代を生き抜いてきた。
農業を始めて、糖質を手に入れやすくした為に、まるで貴重品を持った人がさらに欲しがるように糖質の「甘さ」の質を高め、それが人々にさらに求められ、中世のフランスのようにケーキの無駄食いによる、虫歯がステイタスにまでなったのでしょう。
そして、糖質の発展(ケーキなど更に甘くて美味しいもの)が、本来主食ではない、エクストラとして摂取していた穀物、特に精製された炭水化物が砂糖そのものと同等のカロリーを持ち、本来身体にとって余分なもの、たまに貰えるお年玉ではなく、毎月当たり前のように貰えるお小遣いと錯覚してしまったのでしょう。糖尿病は、そのバチが当たった、というところでしょうか。
すいません、前置きが長くなりすぎました(^^;
一つだけ教えて欲しいのですが、糖質(炭水化物)を制限すると、脂肪をブドウ糖に変えてエネルギーとする事は以前から承知していましたが、極端な(程度の定義が曖昧ですが)それを実行すると「筋肉を構成するたんぱく質を分解して、ブドウ糖を作るので、ダイエット中も炭水化物は適量摂るべきだ」という事を聞いたことがあります。
個人的には「ちょっと極端な感じがするな~」とも思ったことを覚えていますが、「折角ある筋肉を、少しでもダイエットをする為に消耗してしまうのは何だか大変もったいないぞ」とも思い、低インシュリンダイエットやその他炭水化物ダイエットに踏み切れませんでした。
(言い訳がましいのですが・・・^^;)
その辺をお手すきの時に教えて頂けると迷い無く、家内にも堂々とダイエット生活に入れるのですが・・・・。
よろしくご回答お願い致します。
ちなみに私、176センチ、83キロ、46歳。時々受ける健康診断では何故か血液検査は閾値ど真ん中で、家内(看護師)を不思議がらせています。ついでながらとても先生にお話できるような食生活ではないのですが、どうして異常が出ないのでしょうか??あわせて教えて頂けると長年の疑問が晴れるのですが(^^) 】
ポコロコさん。
コメントありがとうございます。
前置き?・・・仰有る通りだと思います。
【一つだけ教えて欲しいのですが、糖質(炭水化物)を制限すると、脂肪をブドウ糖に変えてエネルギーとする事は以前から承知していましたが、極端な(程度の定義が曖昧ですが)それを実行すると「筋肉を構成するたんぱく質を分解して、ブドウ糖を作るので、ダイエット中も炭水化物は適量摂るべきだ」という事を聞いたことがあります。】
糖質を制限すると、脂肪は常に分解されていて、肝臓では常に糖新生(新たにブドウ糖をつくること)をしています。
つまり、ビーフステーキを食べている最中にも、脂肪が分解されてますし、糖新生も行われています。
中性脂肪が分解すると脂肪酸とグリセロールになります。脂肪酸はそのまま、心筋や骨格筋など体細胞のエネルギー源となります。
また脂肪酸は肝細胞内で日常的に代謝されてアセチルCoAになり、アセチルCoAからケトン体が生じます。
ケトン体は脳細胞をはじめ、肝細胞と赤血球以外の全ての細胞のエネルギー源となります。
糖質制限食実践中や絶食中は、肝臓でのケトン体産生が高まります。
肝臓の糖新生は、空腹時には誰でも日常的に行われています。糖質制限食なら、食事中にも糖新生が行われています。
糖新生の原材料は、アミノ酸、乳酸、グリセロールなどです。これらから新たにブドウ糖をつくることを糖新生といいます。
それから各組織の細胞では、筋肉や爪などになる新しいタンパク質が、アミノ酸からつくられ、一方で古いタンパク質が分解されて、アミノ酸として静脈血中に放出され、大静脈から心臓を経て肝動脈から肝臓に入ります。
筋肉の分解などで血中に供給されたアミノ酸は、肝臓でアミノ酸プールに入り、糖新生やタンパク合成などに利用されます。
『体内のアミノ酸は、消化吸収によるものと、体タンパク質の分解によるものがあります。
体タンパク質の分解で生じたアミノ酸のうち、約70%はそこでそのまま再利用され、残り30%は血液中に排泄されます。
再利用分以外にタンパク合成に必要なアミノ酸は、あらたに血液中から取込まれます。
組織では、常に日常的に、このような体タンパク質の代謝回転が行われています。
代謝回転の結果生じたアミノ酸は、消化吸収によるアミノ酸同様、肝臓で代謝されます。
生体内では肝臓及び血液を中心に、アミノ酸がプールされています。』
(医学映像教育センターのサイトのサンプルから引用
http://www.igakueizou.co.jp/rights/page/biochemistry/1-3/detail/1-3-4/1-3-4-2.html)
いずれにせよ、体のタンパク質は、24時間分解と合成を繰り返して代謝回転しているわけです。
糖質制限したときだけ、筋肉が分解されるというのは、完全な誤解です。
【ちなみに私、176センチ、83キロ、46歳。
時々受ける健康診断では何故か血液検査は閾値ど真ん中で、家内(看護師)を不思議がらせています。
ついでながらとても先生にお話できるような食生活ではないのですが、どうして異常が出ないのでしょうか??
あわせて教えて頂けると長年の疑問が晴れるのですが 】
176センチ、83キロ、BMI26.8
2011-05-25のブログの如く、20才の時の体重から10kg以上増加したことがある人は、糖尿病発症のリスクが跳ね上がります。
精製炭水化物を摂取してグルコースミニスパイクを繰り返していれば、その内、内臓脂肪肥満が生じてインスリン抵抗性が増大し、インスリンがさらに過剰分泌され、高血圧やメタボとなっていきます。
悪い意味でも「ローマは一日にしてならず・・・」
20才のころからの積み重ねが、中年になって生活習慣病を生み出します。
ポコロコさん、空腹時血糖値と空腹時インスリンとを調べて見ましょう。
HOMA-RとHOMA-βを計算して、インスリン抵抗性やインスリン過剰分泌があれば、もう充分危ないですよ。
私は52才、糖尿病発覚時
167cm、66kg、BMI23.7 20才時より10kg以上増加。
20才
167cm、54kg、BMI19.4
ポコロコさんと同様、健康診断の血液・尿検査ではずっと正常でしたが、52才時にたまたま食後血糖値を測定して、200mg以上あり糖尿病が確定しました。
私も急に太り始めた40才過ぎに、空腹時インスリンを測定していれば、HOMA-RとHOMA-βを計算して、インスリン抵抗性とインスリン過剰分泌が診断できたと思いますが、後の祭りです。
ポコロコさん、ゆめゆめ油断めされませんように。
江部康二
今回はポコロコさんから、「脂肪分解と糖新生と糖質制限食」について、コメント・質問をいただきました。
【11/05/26 ポコロコ
代謝は難しい
江部 先生
今日は、初めまして。
最近このHPを知り、楽しく感心しながら読ませて頂いています。
さて、糖質制限ダイエット、というか糖質制限療法というか、
とにかく「糖質制限をする事は、人間(人類)の本来の食事生活に近い食生活をすることであるので、健康に良いのでは無いか?」
という事ですよね。
素晴らしい。そしてエビデンスも揃っている。
そもそも簡単に「糖質」が手に入らなかった時代に、その貴重な栄養を秋の収穫時に身体に漏らさず蓄え、それを冬の厳しさに対抗する「足し」にしていたという事か・・・
その貴重さとおいしさの為に次の秋が待ちどうしかったでしょうね。
そして普段は動物や魚、保存の利く木の実をなるべく丸ごと食べ、経験によって身体に良いと思われる草や樹皮等を、「薬(そう思っていたかどうか分かりませんが)」として摂取して長い長い時代を生き抜いてきた。
農業を始めて、糖質を手に入れやすくした為に、まるで貴重品を持った人がさらに欲しがるように糖質の「甘さ」の質を高め、それが人々にさらに求められ、中世のフランスのようにケーキの無駄食いによる、虫歯がステイタスにまでなったのでしょう。
そして、糖質の発展(ケーキなど更に甘くて美味しいもの)が、本来主食ではない、エクストラとして摂取していた穀物、特に精製された炭水化物が砂糖そのものと同等のカロリーを持ち、本来身体にとって余分なもの、たまに貰えるお年玉ではなく、毎月当たり前のように貰えるお小遣いと錯覚してしまったのでしょう。糖尿病は、そのバチが当たった、というところでしょうか。
すいません、前置きが長くなりすぎました(^^;
一つだけ教えて欲しいのですが、糖質(炭水化物)を制限すると、脂肪をブドウ糖に変えてエネルギーとする事は以前から承知していましたが、極端な(程度の定義が曖昧ですが)それを実行すると「筋肉を構成するたんぱく質を分解して、ブドウ糖を作るので、ダイエット中も炭水化物は適量摂るべきだ」という事を聞いたことがあります。
個人的には「ちょっと極端な感じがするな~」とも思ったことを覚えていますが、「折角ある筋肉を、少しでもダイエットをする為に消耗してしまうのは何だか大変もったいないぞ」とも思い、低インシュリンダイエットやその他炭水化物ダイエットに踏み切れませんでした。
(言い訳がましいのですが・・・^^;)
その辺をお手すきの時に教えて頂けると迷い無く、家内にも堂々とダイエット生活に入れるのですが・・・・。
よろしくご回答お願い致します。
ちなみに私、176センチ、83キロ、46歳。時々受ける健康診断では何故か血液検査は閾値ど真ん中で、家内(看護師)を不思議がらせています。ついでながらとても先生にお話できるような食生活ではないのですが、どうして異常が出ないのでしょうか??あわせて教えて頂けると長年の疑問が晴れるのですが(^^) 】
ポコロコさん。
コメントありがとうございます。
前置き?・・・仰有る通りだと思います。
【一つだけ教えて欲しいのですが、糖質(炭水化物)を制限すると、脂肪をブドウ糖に変えてエネルギーとする事は以前から承知していましたが、極端な(程度の定義が曖昧ですが)それを実行すると「筋肉を構成するたんぱく質を分解して、ブドウ糖を作るので、ダイエット中も炭水化物は適量摂るべきだ」という事を聞いたことがあります。】
糖質を制限すると、脂肪は常に分解されていて、肝臓では常に糖新生(新たにブドウ糖をつくること)をしています。
つまり、ビーフステーキを食べている最中にも、脂肪が分解されてますし、糖新生も行われています。
中性脂肪が分解すると脂肪酸とグリセロールになります。脂肪酸はそのまま、心筋や骨格筋など体細胞のエネルギー源となります。
また脂肪酸は肝細胞内で日常的に代謝されてアセチルCoAになり、アセチルCoAからケトン体が生じます。
ケトン体は脳細胞をはじめ、肝細胞と赤血球以外の全ての細胞のエネルギー源となります。
糖質制限食実践中や絶食中は、肝臓でのケトン体産生が高まります。
肝臓の糖新生は、空腹時には誰でも日常的に行われています。糖質制限食なら、食事中にも糖新生が行われています。
糖新生の原材料は、アミノ酸、乳酸、グリセロールなどです。これらから新たにブドウ糖をつくることを糖新生といいます。
それから各組織の細胞では、筋肉や爪などになる新しいタンパク質が、アミノ酸からつくられ、一方で古いタンパク質が分解されて、アミノ酸として静脈血中に放出され、大静脈から心臓を経て肝動脈から肝臓に入ります。
筋肉の分解などで血中に供給されたアミノ酸は、肝臓でアミノ酸プールに入り、糖新生やタンパク合成などに利用されます。
『体内のアミノ酸は、消化吸収によるものと、体タンパク質の分解によるものがあります。
体タンパク質の分解で生じたアミノ酸のうち、約70%はそこでそのまま再利用され、残り30%は血液中に排泄されます。
再利用分以外にタンパク合成に必要なアミノ酸は、あらたに血液中から取込まれます。
組織では、常に日常的に、このような体タンパク質の代謝回転が行われています。
代謝回転の結果生じたアミノ酸は、消化吸収によるアミノ酸同様、肝臓で代謝されます。
生体内では肝臓及び血液を中心に、アミノ酸がプールされています。』
(医学映像教育センターのサイトのサンプルから引用
http://www.igakueizou.co.jp/rights/page/biochemistry/1-3/detail/1-3-4/1-3-4-2.html)
いずれにせよ、体のタンパク質は、24時間分解と合成を繰り返して代謝回転しているわけです。
糖質制限したときだけ、筋肉が分解されるというのは、完全な誤解です。
【ちなみに私、176センチ、83キロ、46歳。
時々受ける健康診断では何故か血液検査は閾値ど真ん中で、家内(看護師)を不思議がらせています。
ついでながらとても先生にお話できるような食生活ではないのですが、どうして異常が出ないのでしょうか??
あわせて教えて頂けると長年の疑問が晴れるのですが 】
176センチ、83キロ、BMI26.8
2011-05-25のブログの如く、20才の時の体重から10kg以上増加したことがある人は、糖尿病発症のリスクが跳ね上がります。
精製炭水化物を摂取してグルコースミニスパイクを繰り返していれば、その内、内臓脂肪肥満が生じてインスリン抵抗性が増大し、インスリンがさらに過剰分泌され、高血圧やメタボとなっていきます。
悪い意味でも「ローマは一日にしてならず・・・」
20才のころからの積み重ねが、中年になって生活習慣病を生み出します。
ポコロコさん、空腹時血糖値と空腹時インスリンとを調べて見ましょう。
HOMA-RとHOMA-βを計算して、インスリン抵抗性やインスリン過剰分泌があれば、もう充分危ないですよ。
私は52才、糖尿病発覚時
167cm、66kg、BMI23.7 20才時より10kg以上増加。
20才
167cm、54kg、BMI19.4
ポコロコさんと同様、健康診断の血液・尿検査ではずっと正常でしたが、52才時にたまたま食後血糖値を測定して、200mg以上あり糖尿病が確定しました。
私も急に太り始めた40才過ぎに、空腹時インスリンを測定していれば、HOMA-RとHOMA-βを計算して、インスリン抵抗性とインスリン過剰分泌が診断できたと思いますが、後の祭りです。
ポコロコさん、ゆめゆめ油断めされませんように。
江部康二
2011年05月27日 (金)
おはようございます。
福島第一原子力発電所事故の処理は、まだまだ予断を許さない状況です。
そんな中、地震発生リスクが高い浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)に関して、菅直人首相が、5月6日、中部電力に対して全面停止を要請したことは、英断だったと思います。
経済界の一部では、電力不足で中部の製造業への影響が懸念されるというような声も聞かれますが、これは優先順位をはき違えているとしか言いようがありません。
東海大地震は「今そこにある危機」であり、発生すれば浜岡原子力発電所を直撃します。
他の原子力発電所が安全という保証はありませんし、今後充分な情報公開と詳細な検討が必要なことは言うまでもありませんが、浜岡原子力発電所の危機管理は何といっても優先順位の1番なのです。
その意味で今回の菅直人首相の決断を評価するものです。
私は、母親が広島で原爆にあっており、被爆二世です。
そのこともあり、ずっと原発には反対でしたが、今回の福島原発事故まで、恥ずかしながら
「使用済み核燃料を冷やすのに、プールで冷却水を循環させて3年もかかる。」
「原発が1日稼働したら、その燃料の分量のウランで原爆が6個・・・一年で2190個製造できる。」
「高レベル放射性廃棄物(使用済み燃料)の危険性がなくなるのに10万年かかる」
「高レベル廃棄物を処理し無害化する技術は現在ない」
といった基本的なことを全く知りませんでした。反省しきりです。
このような大事なことを、福島第一原子力発電所事故が起こるまで、私を含めて日本国民のほとんどは知らなかったと思います。
国民の過半数がこのことを知っていれば、地震大国日本で69基も原発が作られることはなかったと思います。
原発がコストが安いという定説も、もともと怪しいものですが、今回の福島第一原子力発電所事故の処理費用や補償費用をカウントすれば、大変なコストです。
原発がCO2を出さないのでクリーンという言い方も変です。
使用済み核燃料は、処理といっても埋めておくだけで、本当にゼロにはなりません。
高レベル廃棄物の危険性がなくなるのに10万年かかるそうですから、未来に処理を先送りしているだけです。
使用済み核燃料を埋めている地域が地震などで被災すれば、今、福島第一原子力発電所事故でおきていることと同様のリスクがあります。
処理不能の使用済み核燃料を出し続ける原発は、これ以上ないダーティーエネルギーと言えます。
原発の安全神話は、今回の福島第一原子力発電所事故でもろくも崩れ去りました。
それでもなお原発推進派が安全性を強調するなら、使用済み核燃料の処理技術が伴わないと話しになりません。
今後は、最低でも使用済み核燃料の処理技術が完成してから原発を稼働させてくれ、と言いたいです。
この機会に水力、火力、風力、太陽、地熱、波力、藻によるバイオエネルギー・・・などを、日本全体で考慮すると共に、電気を使いすぎないライフスタイルも目指す必要があるように思います。
江部康二
福島第一原子力発電所事故の処理は、まだまだ予断を許さない状況です。
そんな中、地震発生リスクが高い浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)に関して、菅直人首相が、5月6日、中部電力に対して全面停止を要請したことは、英断だったと思います。
経済界の一部では、電力不足で中部の製造業への影響が懸念されるというような声も聞かれますが、これは優先順位をはき違えているとしか言いようがありません。
東海大地震は「今そこにある危機」であり、発生すれば浜岡原子力発電所を直撃します。
他の原子力発電所が安全という保証はありませんし、今後充分な情報公開と詳細な検討が必要なことは言うまでもありませんが、浜岡原子力発電所の危機管理は何といっても優先順位の1番なのです。
その意味で今回の菅直人首相の決断を評価するものです。
私は、母親が広島で原爆にあっており、被爆二世です。
そのこともあり、ずっと原発には反対でしたが、今回の福島原発事故まで、恥ずかしながら
「使用済み核燃料を冷やすのに、プールで冷却水を循環させて3年もかかる。」
「原発が1日稼働したら、その燃料の分量のウランで原爆が6個・・・一年で2190個製造できる。」
「高レベル放射性廃棄物(使用済み燃料)の危険性がなくなるのに10万年かかる」
「高レベル廃棄物を処理し無害化する技術は現在ない」
といった基本的なことを全く知りませんでした。反省しきりです。
このような大事なことを、福島第一原子力発電所事故が起こるまで、私を含めて日本国民のほとんどは知らなかったと思います。
国民の過半数がこのことを知っていれば、地震大国日本で69基も原発が作られることはなかったと思います。
原発がコストが安いという定説も、もともと怪しいものですが、今回の福島第一原子力発電所事故の処理費用や補償費用をカウントすれば、大変なコストです。
原発がCO2を出さないのでクリーンという言い方も変です。
使用済み核燃料は、処理といっても埋めておくだけで、本当にゼロにはなりません。
高レベル廃棄物の危険性がなくなるのに10万年かかるそうですから、未来に処理を先送りしているだけです。
使用済み核燃料を埋めている地域が地震などで被災すれば、今、福島第一原子力発電所事故でおきていることと同様のリスクがあります。
処理不能の使用済み核燃料を出し続ける原発は、これ以上ないダーティーエネルギーと言えます。
原発の安全神話は、今回の福島第一原子力発電所事故でもろくも崩れ去りました。
それでもなお原発推進派が安全性を強調するなら、使用済み核燃料の処理技術が伴わないと話しになりません。
今後は、最低でも使用済み核燃料の処理技術が完成してから原発を稼働させてくれ、と言いたいです。
この機会に水力、火力、風力、太陽、地熱、波力、藻によるバイオエネルギー・・・などを、日本全体で考慮すると共に、電気を使いすぎないライフスタイルも目指す必要があるように思います。
江部康二
2011年05月26日 (木)
こんばんは。
糖質制限食賛同の医師、「ち」さんからコメントをいただきました。
【11/05/25 ち
友人からのメール
江部先生
下記は私の友人で糖尿病でコントロールが不良となり苦しんでいた人から送られたメールです。
・・・・・・・・・・以下友人からのメールを紹介します・・・・・・・・・・・・・
久しぶりです。
昨日は定期診察でしたので結果を報告します。
A1cがなんと先月6.5が5.5、空腹時血糖値が140から92と健常者の数値になり,気分がいい。
なんか目標達成という感じ。
また体重が73kgから67kgになり6kg弱減したおかげで持久力がついた感じです(毎朝散歩を1時間程度しているが体が軽く、疲れにくくなった。)
ウエストが6cm小さくなったのでGパンを買い換えた(ユニクロでやっと買えた ここは最大サイズが91cmで94cmの私は買えなかった。
心配していた尿酸値も9.5が7.1と減少していた
脂肪が燃えてやせた時のかすの影響ではないかと担当医師は言っていた。
貴君と3月に再会した喜びとその上悩んでいた糖尿病の改善の方法を指導してもらって非常に感謝しています。
ただ担当医師は自分の患者がこれだけ改善しているのにあまり喜んでくれていない感じです。
食事はバランスが肝心ですとしか言わないので患者は糖質制限食が正しいとか今までの糖尿病食が正しいとかは関係ない、病気が治癒できればいいのだから患者側に立って今後もちゃんと見てほしい話をした。
貴君のメールをみて、既成の考えを変えることの大変さは私も会社勤務の時にありましたので実感としてわかります。現実を認めると今までの自分の立場、面子が損なわれるとしか考えない人達がいるのはどこの世界でも一緒です。
上手にしつこく、その人達のことも考えて、おだてながら味方につけていくしかないと思っているが、メールをみて貴君は本当に世渡りがへたやな~ ○○らしいなあ~ 学生の時と同じでシャイなところは変わっていないと感じています。
貴君らしく正面突破で頑張ってください。 応援しています
ただ最大の味方は患者です。私のデーターを添付しますので参考に。
在職中は数値は悪かったが糖質制限食のことを知っていればと思う。
在職中の私の周りは糖尿病の人間ばかりだったが酒好きで焼酎ばかり飲んでいるのが健康で不思議だったが今考えるとそいつはご飯を食べていなかった。おかずだけで糖質制限食そのものだった。
・・・・・・・・・・・・以上・・・・・・・・・・・
私は病院の産業健診センターで医師として仕事をしてます。糖質制限をもちこんだのですが、受け入れは最悪です。同僚の医師と昼食した際に私に無理やり大盛りご飯を食べさせられ具合が悪くなりました。喧嘩をふっかけてきたので受けないかんところでしたが、耐え忍びました。再びチャンスを狙ってます。
糖質制限は病院ではまずは受け入れてはくれませんので、私は糖尿病で困ってる人や知人友人などに限って情報を提供してる状況です。成果は着実に上げてます。
江部先生があちこちで講演してくださりこちらに情報が流れてくるのを待ってるところです。よろしくお願いします。】
「ち」さん、コメントありがとうございます。
【HbA1c、先月6.5→5.5%、
空腹時血糖値、140→92mg/dl、
体重、73kg→67kg、
ウエスト、6cm減少。
毎朝散歩を1時間程度しているが体が軽く、疲れにくくなった。】
ご友人、1ヶ月間の糖質制限食で素晴らしい改善ですね。
良かったです。
【ただ担当医師は自分の患者がこれだけ改善しているのにあまり喜んでくれていない感じです。
食事はバランスが肝心ですとしか言わないので患者は糖質制限食が正しいとか今までの糖尿病食が正しいとかは関係ない、病気が治癒できればいいのだから患者側に立って今後もちゃんと見てほしい話をした。】
一般的な医師の対応は、こんなものなのでしょうね。常識の壁に囚われているのでしょう。
私は、ちゃんとできているかどうかは別として、基本的に患者さんの気持ちを考慮する医師でありたいと思っています。
【私は病院の産業健診センターで医師として仕事をしてます。糖質制限をもちこんだのですが、受け入れは最悪です。】
「ち」さんをはじめ、糖質制限食に賛同する立場の医師は確実に増加しています。しかしまだまだ、マイナーと言うことなのでしょう。
糖尿病学会が、「血糖値を上げるのは糖質のみで、カロリーは無関係」と認めた一方で、糖尿病学会サイドの糖質制限食批判の論文が、散見されるようになりました。
糖質制限食に関して、ほとんど無視していたのが、糖尿病学会にとっていよいよ、目の上のたんこぶくらいの存在になってきたと言うことでしょうね。
私達糖質制限食推進の立場の医師にとって、論争は望むところですので、おおいに批判論文をだして欲しいものです。
今のところ、根拠を明確に示している糖質制限食批判論文はゼロです。
全て根拠があいまいなまま、「脂質過剰になれば将来何らかの悪影響が懸念される」といったものばかりです。
当然といえば当然なのですが、「糖質制限食で動脈硬化のリスクが悪化する」という明確なデータを示す信頼すべき研究報告は、私の知る限りはありません。
逆に糖質制限食で、代謝症候群の全ての基準が改善するという報告はあります。
【糖質制限は病院ではまずは受け入れてはくれませんので、私は糖尿病で困ってる人や知人友人などに限って情報を提供してる状況です。成果は着実に上げてます。】
「ち」さん、今後とも地道な糖質制限食普及活動、ご協力よろしくお願い申し上げます。
江部康二
糖質制限食賛同の医師、「ち」さんからコメントをいただきました。
【11/05/25 ち
友人からのメール
江部先生
下記は私の友人で糖尿病でコントロールが不良となり苦しんでいた人から送られたメールです。
・・・・・・・・・・以下友人からのメールを紹介します・・・・・・・・・・・・・
久しぶりです。
昨日は定期診察でしたので結果を報告します。
A1cがなんと先月6.5が5.5、空腹時血糖値が140から92と健常者の数値になり,気分がいい。
なんか目標達成という感じ。
また体重が73kgから67kgになり6kg弱減したおかげで持久力がついた感じです(毎朝散歩を1時間程度しているが体が軽く、疲れにくくなった。)
ウエストが6cm小さくなったのでGパンを買い換えた(ユニクロでやっと買えた ここは最大サイズが91cmで94cmの私は買えなかった。
心配していた尿酸値も9.5が7.1と減少していた
脂肪が燃えてやせた時のかすの影響ではないかと担当医師は言っていた。
貴君と3月に再会した喜びとその上悩んでいた糖尿病の改善の方法を指導してもらって非常に感謝しています。
ただ担当医師は自分の患者がこれだけ改善しているのにあまり喜んでくれていない感じです。
食事はバランスが肝心ですとしか言わないので患者は糖質制限食が正しいとか今までの糖尿病食が正しいとかは関係ない、病気が治癒できればいいのだから患者側に立って今後もちゃんと見てほしい話をした。
貴君のメールをみて、既成の考えを変えることの大変さは私も会社勤務の時にありましたので実感としてわかります。現実を認めると今までの自分の立場、面子が損なわれるとしか考えない人達がいるのはどこの世界でも一緒です。
上手にしつこく、その人達のことも考えて、おだてながら味方につけていくしかないと思っているが、メールをみて貴君は本当に世渡りがへたやな~ ○○らしいなあ~ 学生の時と同じでシャイなところは変わっていないと感じています。
貴君らしく正面突破で頑張ってください。 応援しています
ただ最大の味方は患者です。私のデーターを添付しますので参考に。
在職中は数値は悪かったが糖質制限食のことを知っていればと思う。
在職中の私の周りは糖尿病の人間ばかりだったが酒好きで焼酎ばかり飲んでいるのが健康で不思議だったが今考えるとそいつはご飯を食べていなかった。おかずだけで糖質制限食そのものだった。
・・・・・・・・・・・・以上・・・・・・・・・・・
私は病院の産業健診センターで医師として仕事をしてます。糖質制限をもちこんだのですが、受け入れは最悪です。同僚の医師と昼食した際に私に無理やり大盛りご飯を食べさせられ具合が悪くなりました。喧嘩をふっかけてきたので受けないかんところでしたが、耐え忍びました。再びチャンスを狙ってます。
糖質制限は病院ではまずは受け入れてはくれませんので、私は糖尿病で困ってる人や知人友人などに限って情報を提供してる状況です。成果は着実に上げてます。
江部先生があちこちで講演してくださりこちらに情報が流れてくるのを待ってるところです。よろしくお願いします。】
「ち」さん、コメントありがとうございます。
【HbA1c、先月6.5→5.5%、
空腹時血糖値、140→92mg/dl、
体重、73kg→67kg、
ウエスト、6cm減少。
毎朝散歩を1時間程度しているが体が軽く、疲れにくくなった。】
ご友人、1ヶ月間の糖質制限食で素晴らしい改善ですね。
良かったです。
【ただ担当医師は自分の患者がこれだけ改善しているのにあまり喜んでくれていない感じです。
食事はバランスが肝心ですとしか言わないので患者は糖質制限食が正しいとか今までの糖尿病食が正しいとかは関係ない、病気が治癒できればいいのだから患者側に立って今後もちゃんと見てほしい話をした。】
一般的な医師の対応は、こんなものなのでしょうね。常識の壁に囚われているのでしょう。
私は、ちゃんとできているかどうかは別として、基本的に患者さんの気持ちを考慮する医師でありたいと思っています。
【私は病院の産業健診センターで医師として仕事をしてます。糖質制限をもちこんだのですが、受け入れは最悪です。】
「ち」さんをはじめ、糖質制限食に賛同する立場の医師は確実に増加しています。しかしまだまだ、マイナーと言うことなのでしょう。
糖尿病学会が、「血糖値を上げるのは糖質のみで、カロリーは無関係」と認めた一方で、糖尿病学会サイドの糖質制限食批判の論文が、散見されるようになりました。
糖質制限食に関して、ほとんど無視していたのが、糖尿病学会にとっていよいよ、目の上のたんこぶくらいの存在になってきたと言うことでしょうね。
私達糖質制限食推進の立場の医師にとって、論争は望むところですので、おおいに批判論文をだして欲しいものです。
今のところ、根拠を明確に示している糖質制限食批判論文はゼロです。
全て根拠があいまいなまま、「脂質過剰になれば将来何らかの悪影響が懸念される」といったものばかりです。
当然といえば当然なのですが、「糖質制限食で動脈硬化のリスクが悪化する」という明確なデータを示す信頼すべき研究報告は、私の知る限りはありません。
逆に糖質制限食で、代謝症候群の全ての基準が改善するという報告はあります。
【糖質制限は病院ではまずは受け入れてはくれませんので、私は糖尿病で困ってる人や知人友人などに限って情報を提供してる状況です。成果は着実に上げてます。】
「ち」さん、今後とも地道な糖質制限食普及活動、ご協力よろしくお願い申し上げます。
江部康二
2011年05月25日 (水)
おはようございます。
2011年5月19日、札幌で開催されている日本糖尿病学会で発表された研究報告の一つが『日経メディカル オンライン』に掲載されました。
体重の変化と糖尿病発症リスクに関する研究で、筑波大学の斎藤あき氏らの発表です。
20才時から10kg以上の体重増加は、糖尿病のリスクを大幅に上昇させるとのことです。
対象は、東京の虎の門病院の人間ドックを受診した男性1万7304人で平均年齢は50.9才です。
20才時点の体重と最大体重との差が5kg増加するごとに、糖尿病発症は39%、糖尿病前症は25%有意に上昇することが分かりました。
また、現時点のBMIでやせ型の人と肥満者に層別化して解析したところ、20歳の時から最大体重までの体重増加歴が10kgを超えた場合は、やせ型の人で72%、肥満者では97%、糖尿病発症を上昇させることが明らかになりました。
中年太りやメタボになると糖尿病になりやすいということは、一般に言われてきましたが、BMIで痩せ型でも油断は禁物ということですね。
BMI25以上が肥満で、痩せ型がBMI18未満です。
平均年齢が50.9才の現時点で、20才より10kg以上体重が増えて肥満の人が、糖尿病発症リスクが大きいのはわかります。
しかし、現時点で痩せ型でも、10kg以上体重が増えた期間がある人は、糖尿病発症リスクが大きいということは興味深いです。
一旦10kg以上体重が増えてしまうとそのあと減量して痩せ型になっても、耐糖能低下が残ってしまうのでしょうか。
私自身は、52才糖尿病発覚時、身長167cm、体重66kg、BMIは23.7で標準型でした。
20才時点が54kgくらいでしたから、10kg以上増加してます。
24才、医学部卒業頃は、55~56kgでした。
52才で糖尿病発覚後、スーパー糖質制限食実践半年で、10kg減量で56kg、BMIは20.1となり、現在(61才)にいたります。
斉藤氏らの結論は
「最大体重や20歳の時の体重などの体重歴は、現在の未診断糖尿病や糖尿病前症を反映する有用な指標である」
とのことです。
私も、自分の体験も含めて同感です。
江部康二
☆☆☆☆☆
以下『日経メディカル オンライン』の記事です。
【20歳の時から10kg以上も体重が増えたことのある人は、未診断糖尿病のリスクが大幅に上昇することが分かった。人間ドックを受診した男性1万7000人余を対象に検討した結果、明らかになったもので、筑波大学の斎藤あき氏(写真)らが5月19日、札幌で開催されている日本糖尿病学会(JDS2011)で発表した。
斎藤氏らは、20歳時の体重や生涯最大体重などの体重歴が、未診断糖尿病または糖尿病前症患者を発見する指標となる可能性を大規模横断調査により検討した。
対象は、東京の虎の門病院の人間ドックを受診した男性1万7304人で平均年齢は50.9±10.1歳だった。問診票により20歳時体重と生涯体重を調査し、現在と20歳時点、さらに最大BMIなどの肥満度、20歳時点から現在までの体重増加量や20歳時点から最高体重までの体重増加量などの体重変化について調査を行った。また、未診断糖尿病と糖尿病前症については、どちらも糖尿病の既往歴がないことを前提とし、米国糖尿病学会ガイドライン2010に沿って判定した。これにより、未診断糖尿病は、空腹時血糖値が126mg/dL以上またはHbA1c(国際標準値、以下同)が6.5%以上とした。糖尿病前症は、空腹時血糖値が100-125mg/dLまたはHbA1c5.7-6.4%とした。
その結果、受診時点のBMIは23.4kg/m2(中央値)、20歳時BMIは21.0kg/m2(中央値)、生涯最大BMIは24.9kg/m2(中央値)だった。受診時点で未診断糖尿病は767人(4.4%)、糖尿病前症だった人は7560人だった。
体重変化と糖尿病前症、未診断糖尿病のオッズ比(体重増加5kg当たりの年齢調整オッズ比)を求めたところ、20歳時から最大体重まででは、糖尿病前症が25%(p<0.001)、未診断糖尿病が39%(p<0.001)となった。20歳時から現在まででは、それぞれ27%(p<0.001)、29%(p<0.001)となった。体重増加5kg当たりの年齢・現在BMI調整オッズ比を求めたところ、20歳時から最大体重まででは、糖尿病前症が8%(p<0.001)、未診断糖尿病が19%(p<0.001)となった。20歳時から現在まででは、糖尿病前症が11%(p<0.001)、未診断糖尿病は5%(有意差なし)となった。
これにより、20歳時点の体重と最大体重との差が5kg増加するごとに、未診断糖尿病は39%、糖尿病前症は25%有意に上昇することが分かった。また、現時点のBMIでやせ型の人と肥満者に層別化して解析したところ、20歳の時から最大体重までの体重増加歴が10kgを超えた場合は、未診断糖尿病をやせ型の人で72%、肥満者では97%も上昇させることも明らかになった。
これらの結果から演者らは、「最大体重や20歳の時の体重などの体重歴は、現在の未診断糖尿病や糖尿病前症を反映する有用な指標である」と結論した。】
2011年5月19日、札幌で開催されている日本糖尿病学会で発表された研究報告の一つが『日経メディカル オンライン』に掲載されました。
体重の変化と糖尿病発症リスクに関する研究で、筑波大学の斎藤あき氏らの発表です。
20才時から10kg以上の体重増加は、糖尿病のリスクを大幅に上昇させるとのことです。
対象は、東京の虎の門病院の人間ドックを受診した男性1万7304人で平均年齢は50.9才です。
20才時点の体重と最大体重との差が5kg増加するごとに、糖尿病発症は39%、糖尿病前症は25%有意に上昇することが分かりました。
また、現時点のBMIでやせ型の人と肥満者に層別化して解析したところ、20歳の時から最大体重までの体重増加歴が10kgを超えた場合は、やせ型の人で72%、肥満者では97%、糖尿病発症を上昇させることが明らかになりました。
中年太りやメタボになると糖尿病になりやすいということは、一般に言われてきましたが、BMIで痩せ型でも油断は禁物ということですね。
BMI25以上が肥満で、痩せ型がBMI18未満です。
平均年齢が50.9才の現時点で、20才より10kg以上体重が増えて肥満の人が、糖尿病発症リスクが大きいのはわかります。
しかし、現時点で痩せ型でも、10kg以上体重が増えた期間がある人は、糖尿病発症リスクが大きいということは興味深いです。
一旦10kg以上体重が増えてしまうとそのあと減量して痩せ型になっても、耐糖能低下が残ってしまうのでしょうか。
私自身は、52才糖尿病発覚時、身長167cm、体重66kg、BMIは23.7で標準型でした。
20才時点が54kgくらいでしたから、10kg以上増加してます。
24才、医学部卒業頃は、55~56kgでした。
52才で糖尿病発覚後、スーパー糖質制限食実践半年で、10kg減量で56kg、BMIは20.1となり、現在(61才)にいたります。
斉藤氏らの結論は
「最大体重や20歳の時の体重などの体重歴は、現在の未診断糖尿病や糖尿病前症を反映する有用な指標である」
とのことです。
私も、自分の体験も含めて同感です。
江部康二
☆☆☆☆☆
以下『日経メディカル オンライン』の記事です。
【20歳の時から10kg以上も体重が増えたことのある人は、未診断糖尿病のリスクが大幅に上昇することが分かった。人間ドックを受診した男性1万7000人余を対象に検討した結果、明らかになったもので、筑波大学の斎藤あき氏(写真)らが5月19日、札幌で開催されている日本糖尿病学会(JDS2011)で発表した。
斎藤氏らは、20歳時の体重や生涯最大体重などの体重歴が、未診断糖尿病または糖尿病前症患者を発見する指標となる可能性を大規模横断調査により検討した。
対象は、東京の虎の門病院の人間ドックを受診した男性1万7304人で平均年齢は50.9±10.1歳だった。問診票により20歳時体重と生涯体重を調査し、現在と20歳時点、さらに最大BMIなどの肥満度、20歳時点から現在までの体重増加量や20歳時点から最高体重までの体重増加量などの体重変化について調査を行った。また、未診断糖尿病と糖尿病前症については、どちらも糖尿病の既往歴がないことを前提とし、米国糖尿病学会ガイドライン2010に沿って判定した。これにより、未診断糖尿病は、空腹時血糖値が126mg/dL以上またはHbA1c(国際標準値、以下同)が6.5%以上とした。糖尿病前症は、空腹時血糖値が100-125mg/dLまたはHbA1c5.7-6.4%とした。
その結果、受診時点のBMIは23.4kg/m2(中央値)、20歳時BMIは21.0kg/m2(中央値)、生涯最大BMIは24.9kg/m2(中央値)だった。受診時点で未診断糖尿病は767人(4.4%)、糖尿病前症だった人は7560人だった。
体重変化と糖尿病前症、未診断糖尿病のオッズ比(体重増加5kg当たりの年齢調整オッズ比)を求めたところ、20歳時から最大体重まででは、糖尿病前症が25%(p<0.001)、未診断糖尿病が39%(p<0.001)となった。20歳時から現在まででは、それぞれ27%(p<0.001)、29%(p<0.001)となった。体重増加5kg当たりの年齢・現在BMI調整オッズ比を求めたところ、20歳時から最大体重まででは、糖尿病前症が8%(p<0.001)、未診断糖尿病が19%(p<0.001)となった。20歳時から現在まででは、糖尿病前症が11%(p<0.001)、未診断糖尿病は5%(有意差なし)となった。
これにより、20歳時点の体重と最大体重との差が5kg増加するごとに、未診断糖尿病は39%、糖尿病前症は25%有意に上昇することが分かった。また、現時点のBMIでやせ型の人と肥満者に層別化して解析したところ、20歳の時から最大体重までの体重増加歴が10kgを超えた場合は、未診断糖尿病をやせ型の人で72%、肥満者では97%も上昇させることも明らかになった。
これらの結果から演者らは、「最大体重や20歳の時の体重などの体重歴は、現在の未診断糖尿病や糖尿病前症を反映する有用な指標である」と結論した。】
2011年05月24日 (火)
【糖質制限食 質問、記事、本に関するお知らせ・お願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。
一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。
診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。
また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。
従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、
ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。
質問が増えてきましたので、糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。
質問によっては、コメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、質問がかなり増えてきていますので、なかなか即、お答えすることが困難となってきています。
糖質制限食に関わりのある全ての質問に、本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、
できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、
一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
【糖質制限食とは】
米国糖尿病協会(ADA)によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、
タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
これらは、含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
1997年版のLife With Diabetes(ADA)では、
「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載がありましたが、2004年版では変更されています。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。
従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。
脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。タンパク質は、ごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在、糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
そして食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後血糖上昇は3mg未満です。
なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。
抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく、
速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。
なお、糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。
一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので、必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はほとんどないので、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」2005
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009
「やせる食べ方」2010
「うちの母は糖尿人」2010
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006
「 糖質制限食 春のレシピ」2007
「 糖質制限食 夏のレシピ」2007
「糖質制限食 秋のレシピ」2008
「糖質制限食 冬のレシピ」2008
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」 2010
「やせる食べ方」レシピ集 2010
(以上東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010
(ナツメ社)
「糖質オフ」ごちそうごはん 2009
(アスペクト)
dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」2009
dancyu プレジデントムック 「酒飲みダイエット 」 2010
(プレジデント社)
2011年「糖質制限ダイエット」(講談社)
2011年「糖質オフダイエット」(レタスクラブ)
DVD「糖質制限食を語る」http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php
などを参考にされ、自力で糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は、相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、低血糖症を生じますので注意が必要です。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。
江部康二
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。
一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。
診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。
また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。
従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、
ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。
質問が増えてきましたので、糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。
質問によっては、コメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、質問がかなり増えてきていますので、なかなか即、お答えすることが困難となってきています。
糖質制限食に関わりのある全ての質問に、本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、
できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、
一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
【糖質制限食とは】
米国糖尿病協会(ADA)によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、
タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
これらは、含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
1997年版のLife With Diabetes(ADA)では、
「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載がありましたが、2004年版では変更されています。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。
従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。
脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。タンパク質は、ごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在、糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
そして食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後血糖上昇は3mg未満です。
なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。
抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく、
速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。
なお、糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。
一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので、必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はほとんどないので、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」2005
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009
「やせる食べ方」2010
「うちの母は糖尿人」2010
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006
「 糖質制限食 春のレシピ」2007
「 糖質制限食 夏のレシピ」2007
「糖質制限食 秋のレシピ」2008
「糖質制限食 冬のレシピ」2008
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」 2010
「やせる食べ方」レシピ集 2010
(以上東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010
(ナツメ社)
「糖質オフ」ごちそうごはん 2009
(アスペクト)
dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」2009
dancyu プレジデントムック 「酒飲みダイエット 」 2010
(プレジデント社)
2011年「糖質制限ダイエット」(講談社)
2011年「糖質オフダイエット」(レタスクラブ)
DVD「糖質制限食を語る」http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php
などを参考にされ、自力で糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は、相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、低血糖症を生じますので注意が必要です。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。
江部康二
2011年05月24日 (火)
おはようございます。
こおさんから、糖質制限食とLDLコレステロール、体重減少効果について、コメント・質問をいただきました。
【11/05/23 こお
マヨネーズとLDL
江部先生、初めまして。
気になることがあり、書かせていただいております。
当方42才になる男サラリーマンです。
今年の2月に糖尿病であることが発覚し、3月から先生の本を読んで糖質制限を実践しました。
2/20の糖尿発覚時のデータ
・体重93kg(BMIは28.3)
・ヘモグロビンA1C - 9.1
・食後血糖値 - 228
から、5/20の再検査では、
・体重78.5kg(BMIは24.0)
・ヘモグロビンA1C - 4.1
・食後血糖値 - 93
となり、主治医には「しかしここまで劇的に良くなるものか」と驚かれました。そして「もう少し炭水化物をとった方がよい」とも言われました。
結果、投薬の必要もなくなり、健常者扱いとなりました。
私自身、この3か月間の結果には満足しているのですが、他に気になる点が2つあります。
それは、減らなくなった体重とLDLのことです。
体重に関しては、スーパー制限食を続けているにも関わらず、ここ一カ月以上全く減っていません。
怪我をした関係で、ランニング等の運動ができなくなっていることを加味しても、ちょっと減らなさすぎかと思われます。
一日の平均糖質摂取量は15g前後で、少ない時は10gを切っていると思います。
BMIが22近くになるまではスルスルと減ると思いましたが、はやり運動がないと厳しいものなのでしょうか?
血糖値自体は低血糖気味になってしまいましたので、これ以上厳しい糖質制限をしてもいいものなのか悩んでいます。
糖質制限が正しくできていたとすると、運動を追加する以外に減量の道はないのでしょうか?
怪我が良くなれば運動を再開したいのですが、、、
そして今回の検査でLDLが増加していることを主治医に指摘されました。
野菜や魚、豆腐も食べてはいますが、たんぱく質や脂質(特にマヨネーズや鶏皮)を積極的に取り入れているので、そのコレステロールのせいなのか、先生が以前に書かれていたように一過性のものなのかがわからなくて心配しています。
中性脂肪やγ-gtpその他の値は、非常に良い値です。
まだ糖質制限を始めてから3か月ですので焦ってもしかたないのですが、以上心配な点に関しまして、先生のアドバイス等ご教授いただけましたら幸いです。
こお】
こおさん。
コメントそして本のご購入ありがとうございます。
2/20の糖尿発覚時のデータ
・体重93kg(BMIは28.3) 身長181.3cm
・ヘモグロビンA1C - 9.1
・食後血糖値 - 228
5/20の再検査では、
・体重78.5kg(BMIは24.0)
・ヘモグロビンA1C - 4.1
・食後血糖値 - 93
主治医もびっくりの、劇的な改善ですね。
投薬もなくなり、医療費削減で良かったです。
体重ですが、現在BMI24.0で標準体重となっておられます。実は肥満している人は、筋肉量もそれなりに多いというデータがあります。普通に生活していて、肥満分は毎日筋トレになっているからでしょうか?
ともあれ、BMI20以上~25未満が最も全死亡率が低いので、現在もう調度と思います。
BMI25未満であれば、西欧型ガンのリスクも回避できています。
適正体重は個人差があります。BMI22である必要はありません。
スーパー糖質制限食で、その人における一番よい適正体重になっていきます。太った人は減量で、痩せ過ぎた人は増量で、標準になります。BMI20以上~25未満の間で、一人一人の適正体重ということですね。
LDLコレステロールに関してはこのまま、マヨネーズ摂取も含めて、スーパー糖質制限食で経過をみられていいと思います。
コレステロールは、細胞膜や男性ホルモン、女性ホルモンなどの原料であり、人体に必要不可欠な大切な物質です。
通常肝臓でコレステロールを7~8割合成しており、食事由来のコレステロールは2~3割程です。
糖質制限食実践で、コレステロール摂取量が増えるので、初期にLDLコレステロール値が上昇することがあります。この場合も肝臓が調整するので、半年~1年で元に戻ります。
人によっては、糖質制限食実践で、LDLコレステロールが高値から正常になることもあります。
私の友人、春日井市の灰本元医師は、2009年には重症糖尿病(HbA1c>9.0%)33名への低糖質食治療で、
インスリンを使用することなく半年後にHbA1c10.9から7.2%へ下がり、LDL-Cは低下、HDL-Cは上昇することを報告しています。
糖質制限食実践による検査データの変化ですが、はっきり一定の傾向がでるものとでないものがあります。
糖質制限食実践で
1 血糖値はリアルタイムに改善します。
2 スーパー糖質制限食なら、HbA1cは月に、1~2%改善します。
3 中性脂肪も速やかに改善します。
4 HDL-コレステロールは増加します。
増加しますが、増加の程度と速度に個人差があります。
5 LDL-コレステロールは低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も、半年~1年くらいで落ち着くことが多いですが、個人差があります。
6 総コレステロールは、低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も半年~1年くらいで落ち着くことが多いですが個人差があります。
7 尿酸も低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も、半年~1年くらいで落ち着くことが多いですが、個人差があります。
8 尿素窒素はやや増加傾向になる人が多いですが、そのうち落ちつくことが多いです。
9 クレアチニンは不変です。
10 カリウムも不変のことが多いです。
11 血中ケトン体は現行の基準値より高値となりますが、生理的なものです。
12 尿中ケトン体は当初3ヶ月~半年は陽性になりますが、その後陰性化します。
13 脂肪肝に付随する、GPTやγGTP高値も改善します。
LDL-コレステロールに関して「低下・不変・上昇」と個人差があるのですが、なぜそうなるのかはよくわかりません。
私自身は、HDL-コレステロールはかなり増加し、LDL-コレステロールは少し低下しました。
江部康二
こおさんから、糖質制限食とLDLコレステロール、体重減少効果について、コメント・質問をいただきました。
【11/05/23 こお
マヨネーズとLDL
江部先生、初めまして。
気になることがあり、書かせていただいております。
当方42才になる男サラリーマンです。
今年の2月に糖尿病であることが発覚し、3月から先生の本を読んで糖質制限を実践しました。
2/20の糖尿発覚時のデータ
・体重93kg(BMIは28.3)
・ヘモグロビンA1C - 9.1
・食後血糖値 - 228
から、5/20の再検査では、
・体重78.5kg(BMIは24.0)
・ヘモグロビンA1C - 4.1
・食後血糖値 - 93
となり、主治医には「しかしここまで劇的に良くなるものか」と驚かれました。そして「もう少し炭水化物をとった方がよい」とも言われました。
結果、投薬の必要もなくなり、健常者扱いとなりました。
私自身、この3か月間の結果には満足しているのですが、他に気になる点が2つあります。
それは、減らなくなった体重とLDLのことです。
体重に関しては、スーパー制限食を続けているにも関わらず、ここ一カ月以上全く減っていません。
怪我をした関係で、ランニング等の運動ができなくなっていることを加味しても、ちょっと減らなさすぎかと思われます。
一日の平均糖質摂取量は15g前後で、少ない時は10gを切っていると思います。
BMIが22近くになるまではスルスルと減ると思いましたが、はやり運動がないと厳しいものなのでしょうか?
血糖値自体は低血糖気味になってしまいましたので、これ以上厳しい糖質制限をしてもいいものなのか悩んでいます。
糖質制限が正しくできていたとすると、運動を追加する以外に減量の道はないのでしょうか?
怪我が良くなれば運動を再開したいのですが、、、
そして今回の検査でLDLが増加していることを主治医に指摘されました。
野菜や魚、豆腐も食べてはいますが、たんぱく質や脂質(特にマヨネーズや鶏皮)を積極的に取り入れているので、そのコレステロールのせいなのか、先生が以前に書かれていたように一過性のものなのかがわからなくて心配しています。
中性脂肪やγ-gtpその他の値は、非常に良い値です。
まだ糖質制限を始めてから3か月ですので焦ってもしかたないのですが、以上心配な点に関しまして、先生のアドバイス等ご教授いただけましたら幸いです。
こお】
こおさん。
コメントそして本のご購入ありがとうございます。
2/20の糖尿発覚時のデータ
・体重93kg(BMIは28.3) 身長181.3cm
・ヘモグロビンA1C - 9.1
・食後血糖値 - 228
5/20の再検査では、
・体重78.5kg(BMIは24.0)
・ヘモグロビンA1C - 4.1
・食後血糖値 - 93
主治医もびっくりの、劇的な改善ですね。
投薬もなくなり、医療費削減で良かったです。
体重ですが、現在BMI24.0で標準体重となっておられます。実は肥満している人は、筋肉量もそれなりに多いというデータがあります。普通に生活していて、肥満分は毎日筋トレになっているからでしょうか?
ともあれ、BMI20以上~25未満が最も全死亡率が低いので、現在もう調度と思います。
BMI25未満であれば、西欧型ガンのリスクも回避できています。
適正体重は個人差があります。BMI22である必要はありません。
スーパー糖質制限食で、その人における一番よい適正体重になっていきます。太った人は減量で、痩せ過ぎた人は増量で、標準になります。BMI20以上~25未満の間で、一人一人の適正体重ということですね。
LDLコレステロールに関してはこのまま、マヨネーズ摂取も含めて、スーパー糖質制限食で経過をみられていいと思います。
コレステロールは、細胞膜や男性ホルモン、女性ホルモンなどの原料であり、人体に必要不可欠な大切な物質です。
通常肝臓でコレステロールを7~8割合成しており、食事由来のコレステロールは2~3割程です。
糖質制限食実践で、コレステロール摂取量が増えるので、初期にLDLコレステロール値が上昇することがあります。この場合も肝臓が調整するので、半年~1年で元に戻ります。
人によっては、糖質制限食実践で、LDLコレステロールが高値から正常になることもあります。
私の友人、春日井市の灰本元医師は、2009年には重症糖尿病(HbA1c>9.0%)33名への低糖質食治療で、
インスリンを使用することなく半年後にHbA1c10.9から7.2%へ下がり、LDL-Cは低下、HDL-Cは上昇することを報告しています。
糖質制限食実践による検査データの変化ですが、はっきり一定の傾向がでるものとでないものがあります。
糖質制限食実践で
1 血糖値はリアルタイムに改善します。
2 スーパー糖質制限食なら、HbA1cは月に、1~2%改善します。
3 中性脂肪も速やかに改善します。
4 HDL-コレステロールは増加します。
増加しますが、増加の程度と速度に個人差があります。
5 LDL-コレステロールは低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も、半年~1年くらいで落ち着くことが多いですが、個人差があります。
6 総コレステロールは、低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も半年~1年くらいで落ち着くことが多いですが個人差があります。
7 尿酸も低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も、半年~1年くらいで落ち着くことが多いですが、個人差があります。
8 尿素窒素はやや増加傾向になる人が多いですが、そのうち落ちつくことが多いです。
9 クレアチニンは不変です。
10 カリウムも不変のことが多いです。
11 血中ケトン体は現行の基準値より高値となりますが、生理的なものです。
12 尿中ケトン体は当初3ヶ月~半年は陽性になりますが、その後陰性化します。
13 脂肪肝に付随する、GPTやγGTP高値も改善します。
LDL-コレステロールに関して「低下・不変・上昇」と個人差があるのですが、なぜそうなるのかはよくわかりません。
私自身は、HDL-コレステロールはかなり増加し、LDL-コレステロールは少し低下しました。
江部康二
2011年05月24日 (火)
おはようございます。
amesui さんから、ゴーヤ、菊芋の実験、そして1年間の糖質制限食の経過報告をコメントいただきました。
【11/05/23 amesui
糖質制限一年経過・・・
ゴーヤは、わたし、以前実験?しました。
データは失念しましたが、効果は見られました。
ただ、当時も申しましたか?基本的に好みの食材では有りません。
よって、その後、恒常的に食することはありません(^^
他にも、他所にて、キクイモ(成分失念)サラシアに効果をみたという情報から実験しましたが、それらは、わたしには目に見えた効果はありませんでした。
やはり個体差といいますか、その病態によるといいますか、詳しくはわかりませんが、万人に共通の効果をもたらすものではなさそうですね。
ちなみに、わたし、糖質制限一年を迎えました。
一年前はHbA1c9.2でした。
今月は4.9です(^^v
もちろん、スーパー糖質制限のみ無投薬です。
この値なら、スタンダードくらいにしてもいいかなと頭をよぎりますが、不思議と一年も続けていると、さほど炭水化物に執着が湧きません。
なにより、お酒が飲み放題なのをいいことに、毎晩、フリースタイルから始まって、焼酎、ワイン、ウィスキーといただいております。
もちろん、肝機能値と相談で、検査値が危険水域に近づいた折には、制限、禁酒することはいとわない覚悟もあります・・・。
お酒を飲めて、まったく空腹とは無縁で、難しいこと考えることもなく、美味しい物食べ放題、血糖値正常化、、、
糖質制限食に出会ったこと、今更ながらにラッキーで感謝の念にたえません。
ちなみに、中性脂肪と尿酸値が高めですが、
投薬するほどではないと言われています(^^ 】
amesui さん。
コメントありがとうございます。
一年前はHbA1c9.2→今月は4.9%、薬なしで素晴らしい改善で、良かったです。(^-^)v(^-^)v
お酒はそれなりに適量でお願いします。(^^)
中性脂肪と尿酸値もこのままスーパー糖質制限食実践で、基準値に入ると思いますよ。
2011-05-19の本ブログの如くGUMIさん、amesui さんは、ゴーヤで血糖が下がってます。一方私は全く下がらず、個人差があるということでしょうね。
次に菊芋ですが、amesui さんの実験では、血糖降下作用は見られなかったのですね。
私も菊芋には血糖を下げる作用は期待できないと思います。
五訂日本食品標準成分表によると
菊芋100g:35kcal
タンパク質 :1.9g
脂質:0.2g
糖質:13.1 ほとんどがイヌリン
食物繊維:2.0
水分:81.2g
菊芋は名前はイモと付きますが、キク科の多年草で、根はショウガの形に似たイモ状です。糖質はありますが、ジャガイモやサツマイモのようにデンプンは含まれていません。
フジ日本精糖は世界で初めて、砂糖からイヌリンを作ることに成功した会社です。
そのホームページによれば
『イヌリンは水に非常に良く溶ける食物繊維です。 普段よく食べているタマネギ、ゴボウなどといった多くの植物に存在します。キクイモやチコリには 特に多く含まれています。 血糖値の上昇を抑制するなど多くの生理作用が期待されるため、欧米では古くから糖尿病患者用の食事に利用されています。
食材 イヌリン含量
キクイモ 15~20%
チコリ 15~20%
ニンニク 9~16%
ニラ 3~10%
タマネギ 2~6%
イヌリンはヒトの胃や腸などの消化管では消化・吸収されにくい難消化性の糖質(食物繊維)です。消化・吸収される消化性糖質のでん粉やオリゴ糖とは異なり、胃や小腸ではまったく分解されません。大腸ではじめて腸内の善玉菌であるビフィズス菌などの餌として利用されます。イヌリンのカロリー値は、消化性糖質の約半分にあたる2kcal/gと推定されています。』
フジ日本精糖のホームページには、イヌリンが血糖値の上昇を抑制することが期待されると記載されていますが、私は無理と思います。
通常の糖質は4kcal/gですから、イヌリンは糖アルコールのマルチトール・ソルビトール・キシリトールなどと同じ程度のカロリーです。
カロリーがあるということは、その分体内に吸収されていることになります。
血糖値に関しては、やはり糖アルコールと同様に、通常の半分くらい上昇させると考えた方がいいと思います。
菊芋100g中に13.1gのイヌリンですので、通常の糖質に換算したら6.5gということになります。
1gの糖質が3mg血糖値を上昇させます。
菊芋は、大量に食べなければ食後血糖値が180mgを超えないと思います。
しかし、300gも食べると食後血糖値180mgを超える可能性がありますので注意が必要です。
江部康二
amesui さんから、ゴーヤ、菊芋の実験、そして1年間の糖質制限食の経過報告をコメントいただきました。
【11/05/23 amesui
糖質制限一年経過・・・
ゴーヤは、わたし、以前実験?しました。
データは失念しましたが、効果は見られました。
ただ、当時も申しましたか?基本的に好みの食材では有りません。
よって、その後、恒常的に食することはありません(^^
他にも、他所にて、キクイモ(成分失念)サラシアに効果をみたという情報から実験しましたが、それらは、わたしには目に見えた効果はありませんでした。
やはり個体差といいますか、その病態によるといいますか、詳しくはわかりませんが、万人に共通の効果をもたらすものではなさそうですね。
ちなみに、わたし、糖質制限一年を迎えました。
一年前はHbA1c9.2でした。
今月は4.9です(^^v
もちろん、スーパー糖質制限のみ無投薬です。
この値なら、スタンダードくらいにしてもいいかなと頭をよぎりますが、不思議と一年も続けていると、さほど炭水化物に執着が湧きません。
なにより、お酒が飲み放題なのをいいことに、毎晩、フリースタイルから始まって、焼酎、ワイン、ウィスキーといただいております。
もちろん、肝機能値と相談で、検査値が危険水域に近づいた折には、制限、禁酒することはいとわない覚悟もあります・・・。
お酒を飲めて、まったく空腹とは無縁で、難しいこと考えることもなく、美味しい物食べ放題、血糖値正常化、、、
糖質制限食に出会ったこと、今更ながらにラッキーで感謝の念にたえません。
ちなみに、中性脂肪と尿酸値が高めですが、
投薬するほどではないと言われています(^^ 】
amesui さん。
コメントありがとうございます。
一年前はHbA1c9.2→今月は4.9%、薬なしで素晴らしい改善で、良かったです。(^-^)v(^-^)v
お酒はそれなりに適量でお願いします。(^^)
中性脂肪と尿酸値もこのままスーパー糖質制限食実践で、基準値に入ると思いますよ。
2011-05-19の本ブログの如くGUMIさん、amesui さんは、ゴーヤで血糖が下がってます。一方私は全く下がらず、個人差があるということでしょうね。
次に菊芋ですが、amesui さんの実験では、血糖降下作用は見られなかったのですね。
私も菊芋には血糖を下げる作用は期待できないと思います。
五訂日本食品標準成分表によると
菊芋100g:35kcal
タンパク質 :1.9g
脂質:0.2g
糖質:13.1 ほとんどがイヌリン
食物繊維:2.0
水分:81.2g
菊芋は名前はイモと付きますが、キク科の多年草で、根はショウガの形に似たイモ状です。糖質はありますが、ジャガイモやサツマイモのようにデンプンは含まれていません。
フジ日本精糖は世界で初めて、砂糖からイヌリンを作ることに成功した会社です。
そのホームページによれば
『イヌリンは水に非常に良く溶ける食物繊維です。 普段よく食べているタマネギ、ゴボウなどといった多くの植物に存在します。キクイモやチコリには 特に多く含まれています。 血糖値の上昇を抑制するなど多くの生理作用が期待されるため、欧米では古くから糖尿病患者用の食事に利用されています。
食材 イヌリン含量
キクイモ 15~20%
チコリ 15~20%
ニンニク 9~16%
ニラ 3~10%
タマネギ 2~6%
イヌリンはヒトの胃や腸などの消化管では消化・吸収されにくい難消化性の糖質(食物繊維)です。消化・吸収される消化性糖質のでん粉やオリゴ糖とは異なり、胃や小腸ではまったく分解されません。大腸ではじめて腸内の善玉菌であるビフィズス菌などの餌として利用されます。イヌリンのカロリー値は、消化性糖質の約半分にあたる2kcal/gと推定されています。』
フジ日本精糖のホームページには、イヌリンが血糖値の上昇を抑制することが期待されると記載されていますが、私は無理と思います。
通常の糖質は4kcal/gですから、イヌリンは糖アルコールのマルチトール・ソルビトール・キシリトールなどと同じ程度のカロリーです。
カロリーがあるということは、その分体内に吸収されていることになります。
血糖値に関しては、やはり糖アルコールと同様に、通常の半分くらい上昇させると考えた方がいいと思います。
菊芋100g中に13.1gのイヌリンですので、通常の糖質に換算したら6.5gということになります。
1gの糖質が3mg血糖値を上昇させます。
菊芋は、大量に食べなければ食後血糖値が180mgを超えないと思います。
しかし、300gも食べると食後血糖値180mgを超える可能性がありますので注意が必要です。
江部康二
2011年05月23日 (月)
おはようございます。
コーヒーに含まれているカフェイン、血糖値を上昇させるとか、いろんな情報が錯綜しています。
復習を兼ねて整理してみましょう。
五訂日本食品標準成分表によると
「コーヒー・浸出液100g中に
エネルギー(kcal) 4.0
たんぱく質(g) 0.2
脂質(g) 0.0
炭水化物(g) 0.7
※食物繊維(g) 0.0
カフェイン40mg 」
が含まれています。
食物繊維はゼロなので、炭水化物0.7gは全て糖質です。
しかし100g中に0.7gの糖質なら、通常の量のコーヒーなら心配いりません。
とは言っても、1日に2リットルのコーヒーを飲む強者がいたら、14gの糖質ですね・・・これはさすがに困りますが・・・ (*_*)
私もよくブラックコーヒー、あるいは生クリームを入れて飲みます。
コーヒーが好きで、毎日、4~5杯は飲んでいるので、いろいろ調べてみました。
たかがコーヒーされどコーヒー、いやはや調べてみると結構沢山、コーヒーと糖尿病の研究があるんですね。
成分表からみると、コーヒー1杯が約150gとして、1回の糖質量はしれていますので、通常の量なら糖質そのものによる血糖値への影響は少ないです。
一方、コーヒーにはカフェインが入っています。
「カフェインが血糖値を上げる」という報告が、医学雑誌「Diabetes Care」2008年2月号に掲載されました。
糖尿病患者10例を対象にした小規模な研究です。
対象者に1日4杯分のコーヒーに相当するカフェインを錠剤で摂取させたところ、血糖値が8%上昇したとのことです。
この研究は、24時間の短期間の血糖値をみたもので、長期間ではありません。
また、カフェインは錠剤で、コーヒーそのものとは違います。
さらに、極めて少人数なので、研究としての価値はボチボチです。
コーヒーと糖尿病に関する大規模研究は、オランダから発表されたものが最初だと思います。
男女1万7000人を7年間追跡した研究で、1日7杯以上コーヒーを飲む人は、1日2杯以下の人よりも糖尿病の発症率が5割少ないことが、2002年のLancet誌に掲載されました。
また「Annals of Internal Medicine誌1月6日号、2004年」に米国の大規模コホート研究結果が掲載されました。
『男性4万人、女性8万人を最長18年間追跡し、コーヒーを1日6杯以上飲む人では、2型糖尿病の発症率がコーヒーを飲まない人より大幅に低い。
一方、カフェイン抜きコーヒーを飲む人では、2型糖尿病の発症率が飲まない人より低いものの“予防効果”は通常のコーヒーほどではない。』
2型糖尿病の予防には、カフェインが有効な可能性が高いと、研究グループはみているそうです。
米医師会雑誌Journal of American Medical Association(JAMA)2004年3月10日号に載ったスウェーデンのUppsala大学公衆衛生・介護学部のJohan Arnlov氏らの研究グループの前向きコホート研究
「Uppsala Longitudinal Study of Adult Men(ULSAM)」に、
コーヒーの飲用に関する記述があり、2型糖尿病患者でない936人のデータを分析対象としています。
その結果、コーヒー摂取とインスリン分泌量には、関連性が見られませんでした。
上述の如く、オランダと米国の大規模研究では、コーヒーおよびカフェインが、糖尿病発症予防に役立つ可能性が高いことを示していますので、コーヒー党の私としては一安心です。ヾ(^▽^)
研究としては<10人で24時間の研究>に対し、二つの大規模研究のほうがはるかに価値が高いのです。
結論です。
カフェインは、ごく短期的に血糖値上昇作用が少しある可能性は否定できません。
しかし、カフェインを含む食品の代表であるコーヒーは、日常的な長期的な摂取により、2型糖尿病発症のリスクを低減させることが、複数の疫学的調査で確認されているので、安心して、コーヒーや緑茶などを飲んでよいと思います。(⌒o⌒)v
なおカフェインを1日200~300mg以上摂取した場合は 個人差はありますが、不眠・動悸・いらいら・頭痛・振戦・神経過敏などのカフェイン過剰症状がでることがありますので、飲みすぎには注意ですね。( ̄_ ̄|||)
カフェインを含む飲料には、コーヒー以外にお茶があります。
健茶王のカフェイン含有量は、番茶についで低いですね。
それに比べ、玉露のカフェイン含有量、半端じゃないですね。ヾ(゜▽゜)
**飲料別カフェイン含有量(福岡県薬剤師会調べ)
コーヒー 40mg/100ml
紅茶 50mg/100ml
せん茶 20mg/100ml
玉露 160mg/100ml
番茶 10mg/100ml
ウーロン茶 20mg/100ml
健茶王 13mg/100ml
江部康二
コーヒーに含まれているカフェイン、血糖値を上昇させるとか、いろんな情報が錯綜しています。
復習を兼ねて整理してみましょう。
五訂日本食品標準成分表によると
「コーヒー・浸出液100g中に
エネルギー(kcal) 4.0
たんぱく質(g) 0.2
脂質(g) 0.0
炭水化物(g) 0.7
※食物繊維(g) 0.0
カフェイン40mg 」
が含まれています。
食物繊維はゼロなので、炭水化物0.7gは全て糖質です。
しかし100g中に0.7gの糖質なら、通常の量のコーヒーなら心配いりません。
とは言っても、1日に2リットルのコーヒーを飲む強者がいたら、14gの糖質ですね・・・これはさすがに困りますが・・・ (*_*)
私もよくブラックコーヒー、あるいは生クリームを入れて飲みます。
コーヒーが好きで、毎日、4~5杯は飲んでいるので、いろいろ調べてみました。
たかがコーヒーされどコーヒー、いやはや調べてみると結構沢山、コーヒーと糖尿病の研究があるんですね。
成分表からみると、コーヒー1杯が約150gとして、1回の糖質量はしれていますので、通常の量なら糖質そのものによる血糖値への影響は少ないです。
一方、コーヒーにはカフェインが入っています。
「カフェインが血糖値を上げる」という報告が、医学雑誌「Diabetes Care」2008年2月号に掲載されました。
糖尿病患者10例を対象にした小規模な研究です。
対象者に1日4杯分のコーヒーに相当するカフェインを錠剤で摂取させたところ、血糖値が8%上昇したとのことです。
この研究は、24時間の短期間の血糖値をみたもので、長期間ではありません。
また、カフェインは錠剤で、コーヒーそのものとは違います。
さらに、極めて少人数なので、研究としての価値はボチボチです。
コーヒーと糖尿病に関する大規模研究は、オランダから発表されたものが最初だと思います。
男女1万7000人を7年間追跡した研究で、1日7杯以上コーヒーを飲む人は、1日2杯以下の人よりも糖尿病の発症率が5割少ないことが、2002年のLancet誌に掲載されました。
また「Annals of Internal Medicine誌1月6日号、2004年」に米国の大規模コホート研究結果が掲載されました。
『男性4万人、女性8万人を最長18年間追跡し、コーヒーを1日6杯以上飲む人では、2型糖尿病の発症率がコーヒーを飲まない人より大幅に低い。
一方、カフェイン抜きコーヒーを飲む人では、2型糖尿病の発症率が飲まない人より低いものの“予防効果”は通常のコーヒーほどではない。』
2型糖尿病の予防には、カフェインが有効な可能性が高いと、研究グループはみているそうです。
米医師会雑誌Journal of American Medical Association(JAMA)2004年3月10日号に載ったスウェーデンのUppsala大学公衆衛生・介護学部のJohan Arnlov氏らの研究グループの前向きコホート研究
「Uppsala Longitudinal Study of Adult Men(ULSAM)」に、
コーヒーの飲用に関する記述があり、2型糖尿病患者でない936人のデータを分析対象としています。
その結果、コーヒー摂取とインスリン分泌量には、関連性が見られませんでした。
上述の如く、オランダと米国の大規模研究では、コーヒーおよびカフェインが、糖尿病発症予防に役立つ可能性が高いことを示していますので、コーヒー党の私としては一安心です。ヾ(^▽^)
研究としては<10人で24時間の研究>に対し、二つの大規模研究のほうがはるかに価値が高いのです。
結論です。
カフェインは、ごく短期的に血糖値上昇作用が少しある可能性は否定できません。
しかし、カフェインを含む食品の代表であるコーヒーは、日常的な長期的な摂取により、2型糖尿病発症のリスクを低減させることが、複数の疫学的調査で確認されているので、安心して、コーヒーや緑茶などを飲んでよいと思います。(⌒o⌒)v
なおカフェインを1日200~300mg以上摂取した場合は 個人差はありますが、不眠・動悸・いらいら・頭痛・振戦・神経過敏などのカフェイン過剰症状がでることがありますので、飲みすぎには注意ですね。( ̄_ ̄|||)
カフェインを含む飲料には、コーヒー以外にお茶があります。
健茶王のカフェイン含有量は、番茶についで低いですね。
それに比べ、玉露のカフェイン含有量、半端じゃないですね。ヾ(゜▽゜)
**飲料別カフェイン含有量(福岡県薬剤師会調べ)
コーヒー 40mg/100ml
紅茶 50mg/100ml
せん茶 20mg/100ml
玉露 160mg/100ml
番茶 10mg/100ml
ウーロン茶 20mg/100ml
健茶王 13mg/100ml
江部康二
2011年05月22日 (日)
おはようございます。
今朝ゴーヤで実験してみましたが、轟沈してしまいました。 (*- -)(*_ _)
少なくとも、私に関しては、GUMIさん、amesui さんとは異なり、ゴーヤの血糖降下作用はゼロと考えられます。
ゴーヤには植物インスリンといわれるコロソリン酸が含まれているのですが、血糖降下作用は個人差があるのでしょうか?
ゴーヤ好きですし、ビタミンCも豊富ですしこれからも食べますが、ちょっぴり残念です。( ̄_ ̄|||)
生ゴーヤスライスと鰹節と醤油、結構美味しかったです。
ドミニカさん、ご教示ありがとうございました。
<実験1>
2010年12月5日
午后5:23
空腹時血糖値:125mg
ゴーヤ乾燥粉末5mlさじに3杯+炊いたご飯54g(糖質20g)
午后6:23
食後1時間血糖値:189mg
64mg上昇。
午后7:23
食後2時間血糖値:147mg
<実験2>
2011年5月22日
空腹時血糖値:107mg
午前9:00 生ゴーヤスライス1/2個+鰹節+醤油 炊いたご飯54g(20g糖質)
午前10:00 食後1時間血糖値:186mg 79mg上昇
午前11:00 食後2時間血糖値:162mg
江部康二
今朝ゴーヤで実験してみましたが、轟沈してしまいました。 (*- -)(*_ _)
少なくとも、私に関しては、GUMIさん、amesui さんとは異なり、ゴーヤの血糖降下作用はゼロと考えられます。
ゴーヤには植物インスリンといわれるコロソリン酸が含まれているのですが、血糖降下作用は個人差があるのでしょうか?
ゴーヤ好きですし、ビタミンCも豊富ですしこれからも食べますが、ちょっぴり残念です。( ̄_ ̄|||)
生ゴーヤスライスと鰹節と醤油、結構美味しかったです。
ドミニカさん、ご教示ありがとうございました。
<実験1>
2010年12月5日
午后5:23
空腹時血糖値:125mg
ゴーヤ乾燥粉末5mlさじに3杯+炊いたご飯54g(糖質20g)
午后6:23
食後1時間血糖値:189mg
64mg上昇。
午后7:23
食後2時間血糖値:147mg
<実験2>
2011年5月22日
空腹時血糖値:107mg
午前9:00 生ゴーヤスライス1/2個+鰹節+醤油 炊いたご飯54g(20g糖質)
午前10:00 食後1時間血糖値:186mg 79mg上昇
午前11:00 食後2時間血糖値:162mg
江部康二
2011年05月21日 (土)
こんにちは。
今回は、なおさんから、マヨネーズについて、コメント・質問をいただきました。
【11/05/21 なお
マヨネーズですが、、
はじめまして、江部先生さま、皆さま。
4月に糖尿病と診断されまして、たまたま入った小さな本屋さんで雑誌「わかさ6月号」と出会いまして江部先生の 糖質制限食を知り早速始めました。
効果はてきめんで一週間ほどで血糖値の数値が激減し 主治医も驚いていました。(ちなみに先生にも本をプレゼントしました。理解して欲しいですから、、)
野菜(主にセロリ)中心に食生活を改善し、血もサラサラと言われたのですが、ひとつだけ数値があがっていました。
中性脂肪です。
恐らくですが毎食セロリを一本食べますので、それが原因と思いますが、セロリを美味しく生で食べるにはマヨネーズしかないのでしょうか?
あと先生の本では、マヨネーズ(無糖)とありますがスーパーでなかなか無糖か糖分入りか解り辛いのですが具体的な商品名とか解りますでしょうか?
初めての書き込みで色々お聞きして申し訳ありません。
宜しくお願いします。】
なおさん。
血糖値改善良かったです。
主治医が、糖質制限食に賛成してくれたら、さらにいいですね。
中性脂肪は、遺伝性の高中性脂肪血症でない限り、スーパー糖質制限食で、必ず改善しますので、このまま経過を見ていただけばいいです。
調味料の中で、マヨネーズは糖質制限食OK食品です。私も家でも外食でもよく使います。
サラダを注文したときなど、レストランの砂糖たっぷりの甘いドレッシングは断って、マヨネーズを持ってきてもらいます。
マヨネーズは、日本食品標準成分表で見ると、卵黄型だと100g中1.7g、全卵型で4.5gの糖質含有量です。
当然卵黄型がいいですね。
例えば、キューピーマヨネーズは、通常のものは砂糖ゼロで、糖質は100g中に0.7gていどで、脂質は100gあたり74.7gで、タンパク質が2.7gと、さらに好ましいです。
キューピーマヨネーズの脂肪酸組成は、約53パーセントがオレイン酸、約27パーセントがリノール酸、α-リノレン酸が約7.64パーセント程度で、「リノール酸型食品」ではなく、「オレイン酸型食品」でお奨め食品です。
マヨネーズの歴史を紐解いて、ルーツをたどってみると、興味深いです。
以下は、キューピーマヨネーズのホームページからの引用ですが、私もほぼ同意見です。
【<キューピー マヨネーズワールド>
『18世紀半ば、メノルカ島(スペイン)での出来事です。当時イギリス領だったこの島にフランス軍が攻撃をしかけました。その指揮をとっていたのがリシュリュー公爵。戦火の中、公爵は港町マオンで料理屋に入り、お肉に添えられたあるソースに出会いました。
そのソースを気に入った公爵は、後にパリでそのソースを「マオンのソース」として紹介しました。それが「Mahonnaise(マオンネーズ)」と呼ばれ、その後「Mayonnaise(マヨネーズ)」となりました。これがマヨネーズの最も有力な起源説といわれています。』
<未だに冤罪に泣くコレステロール>
『マヨネーズは血中コレステロール値を上げるのではないか、という誤解が未だにあります。たくさんコレステロールを摂取したからといって血中コレステロール値が上がるとは限らない、むしろ上がらない人のほうが多いことは、現在では証明済みです。コレステロールは食事から摂取する数倍の量が体内(主に肝臓)で合成されており、食事由来のコレステロールが増えれば、肝臓はその分合成を控え、血中コレステロール値を一定に保とうとするからです。
「コレステロールを多く摂取すると動脈硬化になる」という大前提が崩れてしまえば、「卵を食べると動脈硬化になる」「卵を原料とするマヨネーズもやはり動脈硬化を引き起こす」という論理も破綻します。食事の栄養バランスを考えれば、普通の人は一日に卵を2個ぐらい食べたほうがいいというのが現在の常識です。マヨネーズの場合は、含まれるコレステロールの量も微々たるもので、マヨネーズには血中コレステロール値を下げる作用を持つ、卵黄レシチンや植物油が含まれています。』】
私は、別にキューピーマヨネーズの回し者ではではありませんが、コレステロールに対する見解には賛成です。
マヨネーズの主原料である卵は、コレステロールを含む食品です。
でも、マヨネーズを1日15gずつ、12週間食べてもらったところ、血中のコレステロール値は健康な人では正常に保たれ、また高脂血症患者では低下した、という実験結果もあります。
これはマヨネーズにたっぷり含まれるオレイン酸の効果だろうと報告されています(東儀宣哲・上嶋稔子「新薬と臨床」第48巻第3号から)。
我が家ではキューピーマヨネーズをもっぱら使用していますが、単純に糖質含有量が少ないし砂糖も含まれていないからです。
ああ、それにやっぱり一番美味しいですね(o^。^o)
さらに追い風として、<ワイル博士の医食同源、アンドルー・ワイル、角川書店>の135ページに、
「1976年から長期におこなわれているハーバード大学看護部の研究で、マヨネーズと油ベースのサラダドレッシングをよく使う女性は、それらをめったに使用しない女性に比べて冠動脈疾患のリスクがいちじるしく低いことが判明した」
との記載があります。
糖質制限食は、相対的に高脂肪・高タンパク食となります。その中でマヨネーズは、高脂肪食の王様のようなものです。
一時若者の間で、何でもかんでもマヨネーズをかけて食べることが流行し、「マヨラー」と呼ばれて、有識者の顰蹙を買っていたようですが、今や私もマヨラーの端くれですね。
「オレイン酸型食品」の雄、マヨネーズは 糖質制限食の優等生です。
ブログ読者の皆さんも今日からマヨラー?目指して下さいね。
江部康二
今回は、なおさんから、マヨネーズについて、コメント・質問をいただきました。
【11/05/21 なお
マヨネーズですが、、
はじめまして、江部先生さま、皆さま。
4月に糖尿病と診断されまして、たまたま入った小さな本屋さんで雑誌「わかさ6月号」と出会いまして江部先生の 糖質制限食を知り早速始めました。
効果はてきめんで一週間ほどで血糖値の数値が激減し 主治医も驚いていました。(ちなみに先生にも本をプレゼントしました。理解して欲しいですから、、)
野菜(主にセロリ)中心に食生活を改善し、血もサラサラと言われたのですが、ひとつだけ数値があがっていました。
中性脂肪です。
恐らくですが毎食セロリを一本食べますので、それが原因と思いますが、セロリを美味しく生で食べるにはマヨネーズしかないのでしょうか?
あと先生の本では、マヨネーズ(無糖)とありますがスーパーでなかなか無糖か糖分入りか解り辛いのですが具体的な商品名とか解りますでしょうか?
初めての書き込みで色々お聞きして申し訳ありません。
宜しくお願いします。】
なおさん。
血糖値改善良かったです。
主治医が、糖質制限食に賛成してくれたら、さらにいいですね。
中性脂肪は、遺伝性の高中性脂肪血症でない限り、スーパー糖質制限食で、必ず改善しますので、このまま経過を見ていただけばいいです。
調味料の中で、マヨネーズは糖質制限食OK食品です。私も家でも外食でもよく使います。
サラダを注文したときなど、レストランの砂糖たっぷりの甘いドレッシングは断って、マヨネーズを持ってきてもらいます。
マヨネーズは、日本食品標準成分表で見ると、卵黄型だと100g中1.7g、全卵型で4.5gの糖質含有量です。
当然卵黄型がいいですね。
例えば、キューピーマヨネーズは、通常のものは砂糖ゼロで、糖質は100g中に0.7gていどで、脂質は100gあたり74.7gで、タンパク質が2.7gと、さらに好ましいです。
キューピーマヨネーズの脂肪酸組成は、約53パーセントがオレイン酸、約27パーセントがリノール酸、α-リノレン酸が約7.64パーセント程度で、「リノール酸型食品」ではなく、「オレイン酸型食品」でお奨め食品です。
マヨネーズの歴史を紐解いて、ルーツをたどってみると、興味深いです。
以下は、キューピーマヨネーズのホームページからの引用ですが、私もほぼ同意見です。
【<キューピー マヨネーズワールド>
『18世紀半ば、メノルカ島(スペイン)での出来事です。当時イギリス領だったこの島にフランス軍が攻撃をしかけました。その指揮をとっていたのがリシュリュー公爵。戦火の中、公爵は港町マオンで料理屋に入り、お肉に添えられたあるソースに出会いました。
そのソースを気に入った公爵は、後にパリでそのソースを「マオンのソース」として紹介しました。それが「Mahonnaise(マオンネーズ)」と呼ばれ、その後「Mayonnaise(マヨネーズ)」となりました。これがマヨネーズの最も有力な起源説といわれています。』
<未だに冤罪に泣くコレステロール>
『マヨネーズは血中コレステロール値を上げるのではないか、という誤解が未だにあります。たくさんコレステロールを摂取したからといって血中コレステロール値が上がるとは限らない、むしろ上がらない人のほうが多いことは、現在では証明済みです。コレステロールは食事から摂取する数倍の量が体内(主に肝臓)で合成されており、食事由来のコレステロールが増えれば、肝臓はその分合成を控え、血中コレステロール値を一定に保とうとするからです。
「コレステロールを多く摂取すると動脈硬化になる」という大前提が崩れてしまえば、「卵を食べると動脈硬化になる」「卵を原料とするマヨネーズもやはり動脈硬化を引き起こす」という論理も破綻します。食事の栄養バランスを考えれば、普通の人は一日に卵を2個ぐらい食べたほうがいいというのが現在の常識です。マヨネーズの場合は、含まれるコレステロールの量も微々たるもので、マヨネーズには血中コレステロール値を下げる作用を持つ、卵黄レシチンや植物油が含まれています。』】
私は、別にキューピーマヨネーズの回し者ではではありませんが、コレステロールに対する見解には賛成です。
マヨネーズの主原料である卵は、コレステロールを含む食品です。
でも、マヨネーズを1日15gずつ、12週間食べてもらったところ、血中のコレステロール値は健康な人では正常に保たれ、また高脂血症患者では低下した、という実験結果もあります。
これはマヨネーズにたっぷり含まれるオレイン酸の効果だろうと報告されています(東儀宣哲・上嶋稔子「新薬と臨床」第48巻第3号から)。
我が家ではキューピーマヨネーズをもっぱら使用していますが、単純に糖質含有量が少ないし砂糖も含まれていないからです。
ああ、それにやっぱり一番美味しいですね(o^。^o)
さらに追い風として、<ワイル博士の医食同源、アンドルー・ワイル、角川書店>の135ページに、
「1976年から長期におこなわれているハーバード大学看護部の研究で、マヨネーズと油ベースのサラダドレッシングをよく使う女性は、それらをめったに使用しない女性に比べて冠動脈疾患のリスクがいちじるしく低いことが判明した」
との記載があります。
糖質制限食は、相対的に高脂肪・高タンパク食となります。その中でマヨネーズは、高脂肪食の王様のようなものです。
一時若者の間で、何でもかんでもマヨネーズをかけて食べることが流行し、「マヨラー」と呼ばれて、有識者の顰蹙を買っていたようですが、今や私もマヨラーの端くれですね。
「オレイン酸型食品」の雄、マヨネーズは 糖質制限食の優等生です。
ブログ読者の皆さんも今日からマヨラー?目指して下さいね。
江部康二
2011年05月20日 (金)
おはようございます。
2011年5月4日(水)先斗町の歌舞練場に、鴨川踊りを見物に行ったとき、売店に漬け物がおいてありました。
そして、この漬け物、砂糖もブドウ糖も果糖も一切添加してないのです。
2002年から糖質制限食実践中の私は、ずっと砂糖なしの漬け物を探し続けていたのですが、なかなか見つかりませんでした。 (*_*)
しかし灯台もと暗し・・・何と地元京都にあったのです。(^-^)v(^-^)v
加藤順漬物店、昔ながらの伝統的な手法に拘って、一切砂糖などなしで、漬け物を生産されています。
志ば漬、すぐき、京壬生菜、大根、紅大根・・・
全て砂糖なしです。
味は、砂糖なしなのでスッキリとして後味もよく、とても上品で美味しいです。
季節限定ですが筍の漬け物はなかなかの逸品でした。
唯一、奈良漬けだけは、味の面を考慮して少量の砂糖を使用しているそうです。
加藤順漬物店 滅多にない糖質制限OK漬物店です。
是非一度お試しあれ。
加藤順漬物店 TEL:075-761-5827
http://www.katojun.co.jp/shop/frontpage.php
江部康二
2011年5月4日(水)先斗町の歌舞練場に、鴨川踊りを見物に行ったとき、売店に漬け物がおいてありました。
そして、この漬け物、砂糖もブドウ糖も果糖も一切添加してないのです。
2002年から糖質制限食実践中の私は、ずっと砂糖なしの漬け物を探し続けていたのですが、なかなか見つかりませんでした。 (*_*)
しかし灯台もと暗し・・・何と地元京都にあったのです。(^-^)v(^-^)v
加藤順漬物店、昔ながらの伝統的な手法に拘って、一切砂糖などなしで、漬け物を生産されています。
志ば漬、すぐき、京壬生菜、大根、紅大根・・・
全て砂糖なしです。
味は、砂糖なしなのでスッキリとして後味もよく、とても上品で美味しいです。
季節限定ですが筍の漬け物はなかなかの逸品でした。
唯一、奈良漬けだけは、味の面を考慮して少量の砂糖を使用しているそうです。
加藤順漬物店 滅多にない糖質制限OK漬物店です。
是非一度お試しあれ。
加藤順漬物店 TEL:075-761-5827
http://www.katojun.co.jp/shop/frontpage.php
江部康二
2011年05月19日 (木)
こんばんは。
今回は、こうさんからゴーヤーについてコメント・質問をいただきました。
【11/05/18 こう
こんにちは
私の住む地域でも医師不足が進み、午前は近くの大学病院から助っ人医師が来ていますが、午後は総合診療と称し、外科の医師が複数科の患者を診療しています。
一応総合病院なのに、外科の医師一人で運営してます。なので、数字をみて、薬を出すだけです。
話は変わりますが、お教えください。
最近、糖尿にゴーヤーが良いと聞きよく食べています。
ゴーヤーには植物インスリンという成分が豊富に含まれているとの事。
植物インスリンに対する先生のご考察をお聞かせいただければ幸いです。
よろしくおねがいします。】
こうさん。
以前、 GUMIさん、amesui さんから、ゴーヤーを食べた時の食後血糖値について、コメントをいただきました。
GUMIさん、amesui さんの実験では、見事に食後血糖値の上昇を防いでいます。
私自身は、ゴーヤーの乾燥粉末で不味いのを我慢して、2010年12月5日に実験したのですが、
午后5:23
空腹時血糖値:125mg
ゴーヤ乾燥粉末5mlさじに3杯+炊いたご飯54g(糖質20g)
午后6:23
食後1時間血糖値:189mg
64mg上昇。
午后7:23
食後2時間血糖値:147mg
と全く無効でした。
ゴーヤーは、生か炒めるかの方が効果がありそうですね。
ゴーヤーは独特の苦味が特徴ですが、その苦味成分はモモルデシンとチャランチンといい、インターネット的には血糖値を下げる効果がありそうですが確定とはいえません。
一方、ゴーヤにはコロソリン酸も含まれています。コロソリン酸は、別名植物インスリンと言われています。この成分は、インスリンに似たタンパク質です。通常のインスリン注射では、時に低血糖が生じることがありますが、ゴーヤーに含まれる植物インスリンの場合は、血糖値を安定させますが低血糖は起こさないようです。
コロソリン酸に関しては、
①広島大学医学部総合薬学科活性構造学講座の山崎和男名誉教授が、インスリンと同じようにグルコースを細胞内に速やかに吸収させること、即ちグルコーストランスポーター(糖輸送体)を活性化させることを見出しました。
②鈴鹿医療科学大学医療栄養学科の三浦俊宏講師は、コロソリン酸を用いた動物実験の結果を第46回日本糖尿病学会年次学術集会で発表し、「コロソリン酸投与後4時間に血糖低下作用を示し、インスリン値の低下も見られた。また、筋肉GLUT4タンパク発現の増加が見られた。」と報告しました。
③京都大学医学部糖尿病・栄養内科学の福島光夫助手は日本糖尿病学会近畿地方大会で、コロソリン酸が経口糖負荷時の血糖値を低下させることを報告しました。
①②③を考慮すれば、かなりの信憑性をもって、血糖値を下げる効果があるようです。
江部康二
☆☆☆
参考 2010/12/03ブログ「ゴーヤーの血糖値を下げる効果は?」
こんばんは。
今回はamesui さんから、ゴーヤーの血糖値を下げる効果についてコメント・質問をいただきました。
「10/12/03 amesui
ゴーヤパワーは本物?
以前、このコメ欄でゴーヤの血糖値下降効果について書いてあったのを思い出し食してみました。
(食直前)124→(1時間値)127→(2時間値)133
ステーキ500g、さつま揚げ5枚、ふすまパン1枚、大豆煮100粒、ポテト風おからサラダ。もやし一袋(ゴーヤ半本混合)。
(食直前)120→(1時間値)103→(2時間値)109
大豆麺ラーメン(チャーシュー15枚)チキンソテー300g、大豆煮100粒、がんもどき1枚、小松菜(ゴーヤ半本混合)。
(食前値)116→(1時間値)94(2時間値)計測せず(^^;;
ふすまパンハンバーガー2個、タマゴサンド1個、サーモンマリネ400g、大豆煮100粒、もやし1袋(ゴーヤ半本混合)
過去に一度だけスターシス30mg、グルコバイ100を服用したデータがあります。
(食直前)124→(1時間値)99→(2時間値)142
かき揚げ、海老、イカの天ぷら、大豆トースト、カツオ300g。
通常、食直前から2時間値にかけて放物線を描く血糖値がフツーかと思います(わたしの場合)それが、一番高いはずの1時間値が低いという、いわゆるバズタブ曲線を描くように推移します。
ゴーヤって、スターシス(グルファスト)等と同じような効力があるのでしょうかね?
もちろん、個人差、測定器のファジーさ、チップの精度等考慮する必要もあるのでしょうが。
ただ、おいしくはない・・・(^^;;
続けて食べるかどうかは微妙です。。。
サプリ・・・という手?
うーーん、それならグルコバイでも飲んでたほうがよろしいかと・・・?」
amesui さん。
ゴーヤーパワー実験報告ありがとうございます。
【(食直前)124→(1時間値)127→(2時間値)133
ステーキ500g、さつま揚げ5枚、ふすまパン1枚、大豆煮100粒、ポテト風おからサラダ。もやし一袋(ゴーヤ半本混合)。】
ステーキ500gって、すごいですね。 エェッ!?(゜∇゜;)
それは兎も角、さつまあげやふすまパンや大豆煮やおからにも、少量の糖質が含まれていますので、あるていど食後血糖値は上昇するはずです。この上昇の少なさは、ゴーヤーの効果の可能性が高いですね。
【(食直前)120→(1時間値)103→(2時間値)109
大豆麺ラーメン(チャーシュー15枚)チキンソテー300g、大豆煮100粒、がんもどき1枚、小松菜(ゴーヤ半本混合)。】
チャーシュー15枚、チキンソテー300gも半端じゃないですね。♪(・∀・)
エンゲル係数ご同情申し上げます。
それは兎も角、大豆麺ラーメン、大豆煮100粒、がんもどき1枚、小松菜にも少量の糖質は含まれているので、食後血糖値は少しは上昇するはずです。
しかし、食前血糖値より、食後血糖値のほうが低いですので、これはゴーヤーの効果としか考えれれませんね。
スターシス30mg、グルコバイ100を服用したデータより、ゴーヤーを食べたときのデータのほうが、食後2時間血糖値は効果的ですね。
手元にゴーヤーの粉があるので、不味いかもしれませんが、私も人体実験をしてみます。
江部康二
☆☆☆
参考2008-03-03のブログ「糖尿病とゴーヤーマジック?」
こんばんは。
今日はGUMIさんから、ゴーヤーと血糖値に関するとても興味深いコメント・質問をいただきました。
『ゴーヤーマジック?
江部先生はじめまして。
昨年末に主人の糖尿病発症が発覚してからというもの、勉強の末に糖質制限食に巡りあい実行して1ヶ月になります。本も全部、購入させていただいてます。(^^)v
糖質制限食で血糖値は安定し、赤ワインの効果で早朝高血糖も改善されてきて、夫婦で喜んでいます。
昨日、先生のレシピ本にあったゴーヤ炒めを作って食べたところ、食前血糖値118→食後1時間116→食後2時間115と、すごい数値をたたきだしました。
その後も試してみたところ、ゴーヤを食べた後の血糖値は食前よりも低い場合がほとんどでした。
ゴーヤと血糖値の関係についてネット検索してみたところ、「ゴーヤに含まれる植物インスリンが血糖値を下げる」「ベータ細胞を刺激してインスリンの分泌を促進する」などの記述が見つかりました。
ゴーヤがすっかりお気に入りになった主人ですが、「インスリン注射と同じ効果ならいいけど、膵臓にむち打つ薬と同じならイヤだなあ」と言います。
ゴーヤの効果はインスリン注射なのか、それともSU剤なのかとても気になるのですが、明らかになっていたらお教えいただけませんか?
膵臓をいじめないなら、毎食ちょっとずつテーブルにのせたいのですが・・・
2008/02/29(金) 00:07:00 | URL | GUMI』
GUMIさん、コメント・質問、そして本全部ご購入、とてもありがとうございます。m(μ_μ)m
糖質制限食で血糖値が安定し、赤ワイン適量?で早朝空腹時血糖値も改善、良かったですね(^o^)v
「レシピ本にあったゴーヤ炒めを作って食べたところ、食前血糖値118→食後1時間116→食後2時間115と、すごい数値をたたきだしました。」
これは、確かに驚愕のデータですね。ゴーヤ以外の食材の糖質含有量はどのくらいだったのでしょう?どうやらゴーヤーは本当に血糖値をあるていど下げる効果を持っているようです。
私も知らなかったので、早速インターネットで調べてみました。そうすると、他にも人体実験をした人がいました。
知識の宝庫!目がテン!ライブラリー 日本テレビ(2001/09/23放送)
「4人の人にまずは、ブドウ糖溶液を100グラム飲んでもらいました。すると通常の状態での血糖値は平均約94だったのが、ブトウ糖溶液を飲むと、30分後の血糖値は200を超えました。次にゴーヤージュースとブドウ糖溶液を飲んで血糖値を測定してみると、30分後血糖値は約145とかなり低い値になりました。」
今時のテレビでどこまで信用できるかわかりませんが、何やら期待できそうです。
ゴーヤーは独特の苦味が特徴ですが、その苦味成分はモモルデシンとチャランチンといい、インターネット的には血糖値を下げる効果がありそうですが確定とはいえません。
一方、ゴーヤにはコロソリン酸も含まれています。コロソリン酸は、別名植物インスリンと言われています。この成分は、インスリンに似たタンパク質です。通常のインスリン注射では、時に低血糖が生じることがありますが、ゴーヤーに含まれる植物インスリンの場合は、血糖値を安定させますが低血糖は起こさないようです。
コロソリン酸に関しては、
①広島大学医学部総合薬学科活性構造学講座の山崎和男名誉教授が、インスリンと同じようにグルコースを細胞内に速やかに吸収させること、即ちグルコーストランスポーター(糖輸送体)を活性化させることを見出しました。
②鈴鹿医療科学大学医療栄養学科の三浦俊宏講師は、コロソリン酸を用いた動物実験の結果を第46回日本糖尿病学会年次学術集会で発表し、「コロソリン酸投与後4時間に血糖低下作用を示し、インスリン値の低下も見られた。また、筋肉GLUT4タンパク発現の増加が見られた。」と報告しました。
③京都大学医学部糖尿病・栄養内科学の福島光夫助手は日本糖尿病学会近畿地方大会で、コロソリン酸が経口糖負荷時の血糖値を低下させることを報告しました。
①②③を考慮すれば、かなりの信憑性をもって、血糖値を下げる効果があるようです。
GUMIさん、その後の結果も是非教えてくださいね。
ゴーヤーと糖質のセットでどの程度血糖値が上昇するのかしないのか?
ゴーヤーなしの糖質だけだと、どのくらい血糖値が上昇するのか?
結論は確定ではありませんが、ゴーヤーかなり期待がもてそうですね。
江部康二
今回は、こうさんからゴーヤーについてコメント・質問をいただきました。
【11/05/18 こう
こんにちは
私の住む地域でも医師不足が進み、午前は近くの大学病院から助っ人医師が来ていますが、午後は総合診療と称し、外科の医師が複数科の患者を診療しています。
一応総合病院なのに、外科の医師一人で運営してます。なので、数字をみて、薬を出すだけです。
話は変わりますが、お教えください。
最近、糖尿にゴーヤーが良いと聞きよく食べています。
ゴーヤーには植物インスリンという成分が豊富に含まれているとの事。
植物インスリンに対する先生のご考察をお聞かせいただければ幸いです。
よろしくおねがいします。】
こうさん。
以前、 GUMIさん、amesui さんから、ゴーヤーを食べた時の食後血糖値について、コメントをいただきました。
GUMIさん、amesui さんの実験では、見事に食後血糖値の上昇を防いでいます。
私自身は、ゴーヤーの乾燥粉末で不味いのを我慢して、2010年12月5日に実験したのですが、
午后5:23
空腹時血糖値:125mg
ゴーヤ乾燥粉末5mlさじに3杯+炊いたご飯54g(糖質20g)
午后6:23
食後1時間血糖値:189mg
64mg上昇。
午后7:23
食後2時間血糖値:147mg
と全く無効でした。
ゴーヤーは、生か炒めるかの方が効果がありそうですね。
ゴーヤーは独特の苦味が特徴ですが、その苦味成分はモモルデシンとチャランチンといい、インターネット的には血糖値を下げる効果がありそうですが確定とはいえません。
一方、ゴーヤにはコロソリン酸も含まれています。コロソリン酸は、別名植物インスリンと言われています。この成分は、インスリンに似たタンパク質です。通常のインスリン注射では、時に低血糖が生じることがありますが、ゴーヤーに含まれる植物インスリンの場合は、血糖値を安定させますが低血糖は起こさないようです。
コロソリン酸に関しては、
①広島大学医学部総合薬学科活性構造学講座の山崎和男名誉教授が、インスリンと同じようにグルコースを細胞内に速やかに吸収させること、即ちグルコーストランスポーター(糖輸送体)を活性化させることを見出しました。
②鈴鹿医療科学大学医療栄養学科の三浦俊宏講師は、コロソリン酸を用いた動物実験の結果を第46回日本糖尿病学会年次学術集会で発表し、「コロソリン酸投与後4時間に血糖低下作用を示し、インスリン値の低下も見られた。また、筋肉GLUT4タンパク発現の増加が見られた。」と報告しました。
③京都大学医学部糖尿病・栄養内科学の福島光夫助手は日本糖尿病学会近畿地方大会で、コロソリン酸が経口糖負荷時の血糖値を低下させることを報告しました。
①②③を考慮すれば、かなりの信憑性をもって、血糖値を下げる効果があるようです。
江部康二
☆☆☆
参考 2010/12/03ブログ「ゴーヤーの血糖値を下げる効果は?」
こんばんは。
今回はamesui さんから、ゴーヤーの血糖値を下げる効果についてコメント・質問をいただきました。
「10/12/03 amesui
ゴーヤパワーは本物?
以前、このコメ欄でゴーヤの血糖値下降効果について書いてあったのを思い出し食してみました。
(食直前)124→(1時間値)127→(2時間値)133
ステーキ500g、さつま揚げ5枚、ふすまパン1枚、大豆煮100粒、ポテト風おからサラダ。もやし一袋(ゴーヤ半本混合)。
(食直前)120→(1時間値)103→(2時間値)109
大豆麺ラーメン(チャーシュー15枚)チキンソテー300g、大豆煮100粒、がんもどき1枚、小松菜(ゴーヤ半本混合)。
(食前値)116→(1時間値)94(2時間値)計測せず(^^;;
ふすまパンハンバーガー2個、タマゴサンド1個、サーモンマリネ400g、大豆煮100粒、もやし1袋(ゴーヤ半本混合)
過去に一度だけスターシス30mg、グルコバイ100を服用したデータがあります。
(食直前)124→(1時間値)99→(2時間値)142
かき揚げ、海老、イカの天ぷら、大豆トースト、カツオ300g。
通常、食直前から2時間値にかけて放物線を描く血糖値がフツーかと思います(わたしの場合)それが、一番高いはずの1時間値が低いという、いわゆるバズタブ曲線を描くように推移します。
ゴーヤって、スターシス(グルファスト)等と同じような効力があるのでしょうかね?
もちろん、個人差、測定器のファジーさ、チップの精度等考慮する必要もあるのでしょうが。
ただ、おいしくはない・・・(^^;;
続けて食べるかどうかは微妙です。。。
サプリ・・・という手?
うーーん、それならグルコバイでも飲んでたほうがよろしいかと・・・?」
amesui さん。
ゴーヤーパワー実験報告ありがとうございます。
【(食直前)124→(1時間値)127→(2時間値)133
ステーキ500g、さつま揚げ5枚、ふすまパン1枚、大豆煮100粒、ポテト風おからサラダ。もやし一袋(ゴーヤ半本混合)。】
ステーキ500gって、すごいですね。 エェッ!?(゜∇゜;)
それは兎も角、さつまあげやふすまパンや大豆煮やおからにも、少量の糖質が含まれていますので、あるていど食後血糖値は上昇するはずです。この上昇の少なさは、ゴーヤーの効果の可能性が高いですね。
【(食直前)120→(1時間値)103→(2時間値)109
大豆麺ラーメン(チャーシュー15枚)チキンソテー300g、大豆煮100粒、がんもどき1枚、小松菜(ゴーヤ半本混合)。】
チャーシュー15枚、チキンソテー300gも半端じゃないですね。♪(・∀・)
エンゲル係数ご同情申し上げます。
それは兎も角、大豆麺ラーメン、大豆煮100粒、がんもどき1枚、小松菜にも少量の糖質は含まれているので、食後血糖値は少しは上昇するはずです。
しかし、食前血糖値より、食後血糖値のほうが低いですので、これはゴーヤーの効果としか考えれれませんね。
スターシス30mg、グルコバイ100を服用したデータより、ゴーヤーを食べたときのデータのほうが、食後2時間血糖値は効果的ですね。
手元にゴーヤーの粉があるので、不味いかもしれませんが、私も人体実験をしてみます。
江部康二
☆☆☆
参考2008-03-03のブログ「糖尿病とゴーヤーマジック?」
こんばんは。
今日はGUMIさんから、ゴーヤーと血糖値に関するとても興味深いコメント・質問をいただきました。
『ゴーヤーマジック?
江部先生はじめまして。
昨年末に主人の糖尿病発症が発覚してからというもの、勉強の末に糖質制限食に巡りあい実行して1ヶ月になります。本も全部、購入させていただいてます。(^^)v
糖質制限食で血糖値は安定し、赤ワインの効果で早朝高血糖も改善されてきて、夫婦で喜んでいます。
昨日、先生のレシピ本にあったゴーヤ炒めを作って食べたところ、食前血糖値118→食後1時間116→食後2時間115と、すごい数値をたたきだしました。
その後も試してみたところ、ゴーヤを食べた後の血糖値は食前よりも低い場合がほとんどでした。
ゴーヤと血糖値の関係についてネット検索してみたところ、「ゴーヤに含まれる植物インスリンが血糖値を下げる」「ベータ細胞を刺激してインスリンの分泌を促進する」などの記述が見つかりました。
ゴーヤがすっかりお気に入りになった主人ですが、「インスリン注射と同じ効果ならいいけど、膵臓にむち打つ薬と同じならイヤだなあ」と言います。
ゴーヤの効果はインスリン注射なのか、それともSU剤なのかとても気になるのですが、明らかになっていたらお教えいただけませんか?
膵臓をいじめないなら、毎食ちょっとずつテーブルにのせたいのですが・・・
2008/02/29(金) 00:07:00 | URL | GUMI』
GUMIさん、コメント・質問、そして本全部ご購入、とてもありがとうございます。m(μ_μ)m
糖質制限食で血糖値が安定し、赤ワイン適量?で早朝空腹時血糖値も改善、良かったですね(^o^)v
「レシピ本にあったゴーヤ炒めを作って食べたところ、食前血糖値118→食後1時間116→食後2時間115と、すごい数値をたたきだしました。」
これは、確かに驚愕のデータですね。ゴーヤ以外の食材の糖質含有量はどのくらいだったのでしょう?どうやらゴーヤーは本当に血糖値をあるていど下げる効果を持っているようです。
私も知らなかったので、早速インターネットで調べてみました。そうすると、他にも人体実験をした人がいました。
知識の宝庫!目がテン!ライブラリー 日本テレビ(2001/09/23放送)
「4人の人にまずは、ブドウ糖溶液を100グラム飲んでもらいました。すると通常の状態での血糖値は平均約94だったのが、ブトウ糖溶液を飲むと、30分後の血糖値は200を超えました。次にゴーヤージュースとブドウ糖溶液を飲んで血糖値を測定してみると、30分後血糖値は約145とかなり低い値になりました。」
今時のテレビでどこまで信用できるかわかりませんが、何やら期待できそうです。
ゴーヤーは独特の苦味が特徴ですが、その苦味成分はモモルデシンとチャランチンといい、インターネット的には血糖値を下げる効果がありそうですが確定とはいえません。
一方、ゴーヤにはコロソリン酸も含まれています。コロソリン酸は、別名植物インスリンと言われています。この成分は、インスリンに似たタンパク質です。通常のインスリン注射では、時に低血糖が生じることがありますが、ゴーヤーに含まれる植物インスリンの場合は、血糖値を安定させますが低血糖は起こさないようです。
コロソリン酸に関しては、
①広島大学医学部総合薬学科活性構造学講座の山崎和男名誉教授が、インスリンと同じようにグルコースを細胞内に速やかに吸収させること、即ちグルコーストランスポーター(糖輸送体)を活性化させることを見出しました。
②鈴鹿医療科学大学医療栄養学科の三浦俊宏講師は、コロソリン酸を用いた動物実験の結果を第46回日本糖尿病学会年次学術集会で発表し、「コロソリン酸投与後4時間に血糖低下作用を示し、インスリン値の低下も見られた。また、筋肉GLUT4タンパク発現の増加が見られた。」と報告しました。
③京都大学医学部糖尿病・栄養内科学の福島光夫助手は日本糖尿病学会近畿地方大会で、コロソリン酸が経口糖負荷時の血糖値を低下させることを報告しました。
①②③を考慮すれば、かなりの信憑性をもって、血糖値を下げる効果があるようです。
GUMIさん、その後の結果も是非教えてくださいね。
ゴーヤーと糖質のセットでどの程度血糖値が上昇するのかしないのか?
ゴーヤーなしの糖質だけだと、どのくらい血糖値が上昇するのか?
結論は確定ではありませんが、ゴーヤーかなり期待がもてそうですね。
江部康二
2011年05月18日 (水)
こんにちは。
スーパー糖質制限食で、糖尿病腎症3期Aから回復された、けいさんから、その後の経過報告をコメントいただきました。
【11/05/17 けい
マンスリーの結果報告です
先生いつも有難うございます。
昨日マンスリーの検査に行って参りました。
相変わらず尿潜血は+-ですが、赤血球、白血球、扁平上皮は全て1個未満でしたので大丈夫そうです。
前にも精密検査がOKなら大丈夫と先生に言って頂けたのですが、正常のひとは常に+-にはならないと思うのですが、やはりなにか少しは問題があるのでしょうか?
タンパク質を多く摂っているのでもし問題があるなら心配です。
クレアチニンはいつも通りで0.66、A1cは4.8でした。
もうひとつご質問なのですが、糖質制限食をはじめる前は5400だった白血球数が糖質制限食の為か、とても痩せた為か理由は分からないのですが、2800までさがり、1年ほどあがっても3200程度で心配していました。
それが今回4400まで上がっていました。
素人のかってな考えなのですが、私が糖質制限食をはじめた時は腎臓が悪かったので油を200gにしてたんぱく質は60g程度にしていました。
ところがここ3ヶ月ぐらいは腎臓が良くなったので油150g程度、タンパク質を100~150位にしているので私の体にはタンパク質が必要だったのでは?なんて考えています。
先生の患者様などでタンパク質を減らして白血球が下がった方はいらっしゃいますか?
なにか関係があれば面白いですね。
最後に、前回昼食前に軽く糖質を摂っておくと昼食時の食後血糖値が低いとご報告しましたが、やはり私の場合間違いないです。
昼食は12:00に摂るのですが、10:00頃に牛乳40ccのコーヒーとチョコ20gで約糖質12gその後昼食で糖質20g摂取して1時間血糖値は150位になる予定ですが、118でした。同じメニューで10:00のミルクを摂取しないと141でした。
体は不思議ですね。
また実験のご報告させて頂きますね!】
けいさん。
コメントありがとうございます。
また、経過良好で良かったです。
【相変わらず尿潜血は+-ですが、赤血球、白血球、扁平上皮は全て1個未満でしたので大丈夫そうです。
前にも精密検査がOKなら大丈夫と先生に言って頂けたのですが、正常のひとは常に+-にはならないと思うのですが、やはりなにか少しは問題があるのでしょうか?】
尿の潜血検査は、眼で検査紙の色を見て+とか-とかを決める、かなりアバウトな検査です。
一方、尿沈査は、顕微鏡でみて、一視野に赤血球が何個あるかとかを見る検査です。
こちらは、正確に赤血球が10個とか白血球が30個とか数を数えます。
従って、尿潜血が+-でも、尿沈査で赤血球が1視野に1個未満なら完全に正常です。
問題はまったくありません。
【もうひとつご質問なのですが、糖質制限食をはじめる前は5400だった白血球数が糖質制限食の為か、とても痩せた為か理由は分からないのですが、2800までさがり、1年ほどあがっても3200程度で心配していました。
それが今回4400まで上がっていました。
素人のかってな考えなのですが、私が糖質制限食をはじめた時は腎臓が悪かったので油を200gにしてたんぱく質は60g程度にしていました。
ところがここ3ヶ月ぐらいは腎臓が良くなったので油150g程度、タンパク質を100~150位にしているので私の体にはタンパク質が必要だったのでは?なんて考えています】
糖質制限食自体と白血球数は関係ないと思います。
ただ仰有るように、タンパク質不足あるいは相対的に低カロリー過ぎると、白血球減少はありえると思います。
現在の総摂取カロリーとスーパー糖質制限食と脂質・タンパク質の摂取量が丁度いい折り合いとなって、
2800→3200→4400と回復したのでしょう。
【最後に、前回昼食前に軽く糖質を摂っておくと昼食時の食後血糖値が低いとご報告しましたが、やはり私の場合間違いないです。
昼食は12:00に摂るのですが、10:00頃に牛乳40ccのコーヒーとチョコ20gで約糖質12gその後昼食で糖質20g摂取して1時間血糖値は150位になる予定ですが、118でした。同じメニューで10:00のミルクを摂取しないと141でした。
体は不思議ですね。】
午前10:00の牛乳とチョコで糖質12g、このとき即、追加分泌インスリン第1相が出ます。
その後、追加分泌インスリン第2相が出ます。12:00昼食で、2時間後なので、第2相がまだ少し出ていると思います。
第2相追加分泌インスリンが少量残っている段階で、再充填されていた、追加分泌第1相のインスリンが12:00昼食摂取直後に出ます。
そのため、重なったインスリン量により、血糖値上昇が少なくてすむのだと思います。
江部康二
☆☆☆☆☆参考
<2011-04-03のブログ>
糖質制限食で糖尿病腎症3期Aから回復・2011年4月
おはようございます。
広沢の池の東にある、桜守・佐野藤右衛門さんの邸宅のお庭の桜、ライトアップが始まっています。
高雄病院の通勤の行き帰りに車の中から一瞬ですが眺めを楽しんでいます。
昨日(4月2日)で6分~7分咲くらいになっています。もう満開間近です。
さて。
スーパー糖質制限食で、糖尿病腎症3期Aから回復された、けいさんから、その後の経過報告をコメントいただきました。
けいさんは、HbA1cが11%オーバー、顕性タンパク尿陽性の状態から、糖質制限食実践1年間で見事に改善されました。
糖質制限食開始1年後の2011年1月24日のデータで、HbA1c4.5%、早朝血糖値85mg、尿中微量アルブミンもクレアチニン補正値5.0。
この1年で最高の結果とのことです。
今回は、その後のデータ(2011年4月1日)です。
【11/04/01 けい
定期健診結果です
先生いつも有難うございます。
今日定期健診の結果が出ましたのでご報告させて頂きます。
A1cは4.6・・・0.1上がりました。
尿中アルブミンは補正後5.8でした。
もう腎症は治ったようですね!
尿潜血は相変わらず+-でしたが尿沈査は全て正常でしたのでよしとのことでした。
異常でないと言われるのになぜ+-なのでしょうか???不思議です。
最近はお米等はまったく食べませんが、野菜はたっぷりでてんぷらや、とんかつなどは毎日食べています。
照り焼きのソースなどは食べてしまいますがこのA1cですので糖質制限を1年以上続けたおかげですね!
最近気づいたのですが、朝食を食べずに昼食を食べると血糖値は上がりやすいのですが、朝食に野菜炒めなどを食べておくと朝食抜きに比べて上がりにくいです。
朝食を食べて少しの糖質を入れておくとインスリンが少し出ているためなのでしょうか?
良く分かりませんが私の体での実験結果です。
また次回の結果報告させて頂きます。
糖尿の皆様糖質制限食は素晴らしいですよ!】
けいさん。
HbA1c4.6%は、コントロール優ですし、全く問題ありません。
糖尿病腎症も、尿中微量アルブミン5.8なら、絶好調で全く問題なしですね。
いつもブログ読者の皆さんに役立つ情報をありがとうございます。
「尿潜血は相変わらず+-でしたが尿沈査は全て正常でしたのでよしとのことでした。 異常でないと言われるのになぜ+-なのでしょうか???」
尿潜血は、尿に試験紙をつけて、色の付き具合を、人間の目で見てアバウトに、(±)(+)(2+)(3+)とか判断します。
これに対して、尿沈査は、遠心分離器にかけた尿の成分を、顕微鏡で見て確認します。
1視野に赤血球が何個、白血球が何個・・・などをカウントします。従って、尿潜血に比べればはるかに精度の高い検査です。
実際、尿潜血が(±)で、尿沈査は顕微鏡で見て、1視野に赤血球が1~2個で正常、というようなことは良くあります。
ということで、けいさん、ご安心下さい。
けいさんのように、糖尿病腎症第3期Aまでは、糖質制限食実践で、血糖コントロールを良好に保てば、第1期(腎症前期)まで回復することが期待できます。1型のバーンスイタイン医師もそうですね。
今まで他の読者の方にも、腎症第3期Aや腎症第2期からの改善を、複数ご報告いただいてます。
「朝食を食べずに昼食を食べると血糖値は上がりやすいのですが、朝食に野菜炒めなどを食べておくと朝食抜きに比べて上がりにくいです。」
これは良くわかりませんが、75g経口ブドウ糖負荷試験は、10時間以上の絶食後に実施されます。
75g経口ブドウ糖負荷試験は、糖尿病の有無をチェックするための試験です。
一般的には、長い絶食後の最初の食事のほうが、血糖は上昇しやすいのかもしれません。
江部康二
☆☆☆
<糖尿病腎症と尿中微量アルブミン>
糖尿病のこわい合併症の一つに、腎症があります。
現在、年間13000人以上の人が、糖尿病腎症から人工透析になっています。
糖尿病腎症の早期診断には、蛋白尿検査では不十分です。
高血糖による腎細血管障害により糸球体毛細血管に変化が生じ、一番初期の段階で微量アルブミン尿が出現します。
微量アルブミン尿検査により、蛋白尿検査よりかなり早期の段階で糖尿病腎症が診断可能です。
従いまして、糖尿人は、1/3~6ヶ月、尿中微量アルブミンの検査をすることが望ましいのです。
尿中微量アルブミン陽性なら、第2期(早期腎症期)です。
*糖尿病腎症病期
第1期(腎症前期)
第2期(早期腎症期):微量アルブミン尿陽性
第3期A(顕性腎症前期):蛋白尿。1g/日未満。
第3期B(顕性腎症後期):蛋白尿。1g/日以上。
第4期(腎不全期):高尿素血症。蛋白尿。
第5期(透析療法期)
尿中微量アルブミンは、随時尿で測定する場合、運動や日内変動や日差変動が大きいので、同時にクレアチニン値を測定して補正値を行い、尿中アルブミン指数(mg/g・クレアチニン)として表します。
できれば、測定は早朝尿のほうが好ましいですが、補正しているので随時尿でも価値はあります。
異なる日に3回検査して2回陽性なら、糖尿病早期腎症と診断するということですが、健康保険上は、1回/3ヶ月しか測定できません。
微量アルブミン尿とは、「アルブミン指数で30mg/g・クレアチニン以上で300mg/g・クレアチニン未満」と定義されています。
アルブミン指数で300mg/g・クレアチニン以上は顕性腎症です。
アルブミン指数で30mg/g・クレアチニン未満が正常です。
単位時間あたりのアルブミン排泄率はμg/分で表され、蓄尿が必要となりますが、随時尿より正確に病態を示します。
昼間の尿は運動の影響を受けるので、夜間尿または24時間蓄尿を用います。現実には、随時尿で尿中アルブミン指数(mg/g・クレアチニン)を測定することが多いです。
微量アルブミンが出現する早期腎症の時期ならば、血糖コントロールや降圧剤(ARBなど)による血圧コントロールで改善が期待できます。勿論、糖質制限食による血糖コントロールは、もっとも有力な選択肢です。
**参考
「改定第4版 糖尿病専門医研修ガイドブック」日本糖尿病学会編 2009年
診断と治療社
スーパー糖質制限食で、糖尿病腎症3期Aから回復された、けいさんから、その後の経過報告をコメントいただきました。
【11/05/17 けい
マンスリーの結果報告です
先生いつも有難うございます。
昨日マンスリーの検査に行って参りました。
相変わらず尿潜血は+-ですが、赤血球、白血球、扁平上皮は全て1個未満でしたので大丈夫そうです。
前にも精密検査がOKなら大丈夫と先生に言って頂けたのですが、正常のひとは常に+-にはならないと思うのですが、やはりなにか少しは問題があるのでしょうか?
タンパク質を多く摂っているのでもし問題があるなら心配です。
クレアチニンはいつも通りで0.66、A1cは4.8でした。
もうひとつご質問なのですが、糖質制限食をはじめる前は5400だった白血球数が糖質制限食の為か、とても痩せた為か理由は分からないのですが、2800までさがり、1年ほどあがっても3200程度で心配していました。
それが今回4400まで上がっていました。
素人のかってな考えなのですが、私が糖質制限食をはじめた時は腎臓が悪かったので油を200gにしてたんぱく質は60g程度にしていました。
ところがここ3ヶ月ぐらいは腎臓が良くなったので油150g程度、タンパク質を100~150位にしているので私の体にはタンパク質が必要だったのでは?なんて考えています。
先生の患者様などでタンパク質を減らして白血球が下がった方はいらっしゃいますか?
なにか関係があれば面白いですね。
最後に、前回昼食前に軽く糖質を摂っておくと昼食時の食後血糖値が低いとご報告しましたが、やはり私の場合間違いないです。
昼食は12:00に摂るのですが、10:00頃に牛乳40ccのコーヒーとチョコ20gで約糖質12gその後昼食で糖質20g摂取して1時間血糖値は150位になる予定ですが、118でした。同じメニューで10:00のミルクを摂取しないと141でした。
体は不思議ですね。
また実験のご報告させて頂きますね!】
けいさん。
コメントありがとうございます。
また、経過良好で良かったです。
【相変わらず尿潜血は+-ですが、赤血球、白血球、扁平上皮は全て1個未満でしたので大丈夫そうです。
前にも精密検査がOKなら大丈夫と先生に言って頂けたのですが、正常のひとは常に+-にはならないと思うのですが、やはりなにか少しは問題があるのでしょうか?】
尿の潜血検査は、眼で検査紙の色を見て+とか-とかを決める、かなりアバウトな検査です。
一方、尿沈査は、顕微鏡でみて、一視野に赤血球が何個あるかとかを見る検査です。
こちらは、正確に赤血球が10個とか白血球が30個とか数を数えます。
従って、尿潜血が+-でも、尿沈査で赤血球が1視野に1個未満なら完全に正常です。
問題はまったくありません。
【もうひとつご質問なのですが、糖質制限食をはじめる前は5400だった白血球数が糖質制限食の為か、とても痩せた為か理由は分からないのですが、2800までさがり、1年ほどあがっても3200程度で心配していました。
それが今回4400まで上がっていました。
素人のかってな考えなのですが、私が糖質制限食をはじめた時は腎臓が悪かったので油を200gにしてたんぱく質は60g程度にしていました。
ところがここ3ヶ月ぐらいは腎臓が良くなったので油150g程度、タンパク質を100~150位にしているので私の体にはタンパク質が必要だったのでは?なんて考えています】
糖質制限食自体と白血球数は関係ないと思います。
ただ仰有るように、タンパク質不足あるいは相対的に低カロリー過ぎると、白血球減少はありえると思います。
現在の総摂取カロリーとスーパー糖質制限食と脂質・タンパク質の摂取量が丁度いい折り合いとなって、
2800→3200→4400と回復したのでしょう。
【最後に、前回昼食前に軽く糖質を摂っておくと昼食時の食後血糖値が低いとご報告しましたが、やはり私の場合間違いないです。
昼食は12:00に摂るのですが、10:00頃に牛乳40ccのコーヒーとチョコ20gで約糖質12gその後昼食で糖質20g摂取して1時間血糖値は150位になる予定ですが、118でした。同じメニューで10:00のミルクを摂取しないと141でした。
体は不思議ですね。】
午前10:00の牛乳とチョコで糖質12g、このとき即、追加分泌インスリン第1相が出ます。
その後、追加分泌インスリン第2相が出ます。12:00昼食で、2時間後なので、第2相がまだ少し出ていると思います。
第2相追加分泌インスリンが少量残っている段階で、再充填されていた、追加分泌第1相のインスリンが12:00昼食摂取直後に出ます。
そのため、重なったインスリン量により、血糖値上昇が少なくてすむのだと思います。
江部康二
☆☆☆☆☆参考
<2011-04-03のブログ>
糖質制限食で糖尿病腎症3期Aから回復・2011年4月
おはようございます。
広沢の池の東にある、桜守・佐野藤右衛門さんの邸宅のお庭の桜、ライトアップが始まっています。
高雄病院の通勤の行き帰りに車の中から一瞬ですが眺めを楽しんでいます。
昨日(4月2日)で6分~7分咲くらいになっています。もう満開間近です。
さて。
スーパー糖質制限食で、糖尿病腎症3期Aから回復された、けいさんから、その後の経過報告をコメントいただきました。
けいさんは、HbA1cが11%オーバー、顕性タンパク尿陽性の状態から、糖質制限食実践1年間で見事に改善されました。
糖質制限食開始1年後の2011年1月24日のデータで、HbA1c4.5%、早朝血糖値85mg、尿中微量アルブミンもクレアチニン補正値5.0。
この1年で最高の結果とのことです。
今回は、その後のデータ(2011年4月1日)です。
【11/04/01 けい
定期健診結果です
先生いつも有難うございます。
今日定期健診の結果が出ましたのでご報告させて頂きます。
A1cは4.6・・・0.1上がりました。
尿中アルブミンは補正後5.8でした。
もう腎症は治ったようですね!
尿潜血は相変わらず+-でしたが尿沈査は全て正常でしたのでよしとのことでした。
異常でないと言われるのになぜ+-なのでしょうか???不思議です。
最近はお米等はまったく食べませんが、野菜はたっぷりでてんぷらや、とんかつなどは毎日食べています。
照り焼きのソースなどは食べてしまいますがこのA1cですので糖質制限を1年以上続けたおかげですね!
最近気づいたのですが、朝食を食べずに昼食を食べると血糖値は上がりやすいのですが、朝食に野菜炒めなどを食べておくと朝食抜きに比べて上がりにくいです。
朝食を食べて少しの糖質を入れておくとインスリンが少し出ているためなのでしょうか?
良く分かりませんが私の体での実験結果です。
また次回の結果報告させて頂きます。
糖尿の皆様糖質制限食は素晴らしいですよ!】
けいさん。
HbA1c4.6%は、コントロール優ですし、全く問題ありません。
糖尿病腎症も、尿中微量アルブミン5.8なら、絶好調で全く問題なしですね。
いつもブログ読者の皆さんに役立つ情報をありがとうございます。
「尿潜血は相変わらず+-でしたが尿沈査は全て正常でしたのでよしとのことでした。 異常でないと言われるのになぜ+-なのでしょうか???」
尿潜血は、尿に試験紙をつけて、色の付き具合を、人間の目で見てアバウトに、(±)(+)(2+)(3+)とか判断します。
これに対して、尿沈査は、遠心分離器にかけた尿の成分を、顕微鏡で見て確認します。
1視野に赤血球が何個、白血球が何個・・・などをカウントします。従って、尿潜血に比べればはるかに精度の高い検査です。
実際、尿潜血が(±)で、尿沈査は顕微鏡で見て、1視野に赤血球が1~2個で正常、というようなことは良くあります。
ということで、けいさん、ご安心下さい。
けいさんのように、糖尿病腎症第3期Aまでは、糖質制限食実践で、血糖コントロールを良好に保てば、第1期(腎症前期)まで回復することが期待できます。1型のバーンスイタイン医師もそうですね。
今まで他の読者の方にも、腎症第3期Aや腎症第2期からの改善を、複数ご報告いただいてます。
「朝食を食べずに昼食を食べると血糖値は上がりやすいのですが、朝食に野菜炒めなどを食べておくと朝食抜きに比べて上がりにくいです。」
これは良くわかりませんが、75g経口ブドウ糖負荷試験は、10時間以上の絶食後に実施されます。
75g経口ブドウ糖負荷試験は、糖尿病の有無をチェックするための試験です。
一般的には、長い絶食後の最初の食事のほうが、血糖は上昇しやすいのかもしれません。
江部康二
☆☆☆
<糖尿病腎症と尿中微量アルブミン>
糖尿病のこわい合併症の一つに、腎症があります。
現在、年間13000人以上の人が、糖尿病腎症から人工透析になっています。
糖尿病腎症の早期診断には、蛋白尿検査では不十分です。
高血糖による腎細血管障害により糸球体毛細血管に変化が生じ、一番初期の段階で微量アルブミン尿が出現します。
微量アルブミン尿検査により、蛋白尿検査よりかなり早期の段階で糖尿病腎症が診断可能です。
従いまして、糖尿人は、1/3~6ヶ月、尿中微量アルブミンの検査をすることが望ましいのです。
尿中微量アルブミン陽性なら、第2期(早期腎症期)です。
*糖尿病腎症病期
第1期(腎症前期)
第2期(早期腎症期):微量アルブミン尿陽性
第3期A(顕性腎症前期):蛋白尿。1g/日未満。
第3期B(顕性腎症後期):蛋白尿。1g/日以上。
第4期(腎不全期):高尿素血症。蛋白尿。
第5期(透析療法期)
尿中微量アルブミンは、随時尿で測定する場合、運動や日内変動や日差変動が大きいので、同時にクレアチニン値を測定して補正値を行い、尿中アルブミン指数(mg/g・クレアチニン)として表します。
できれば、測定は早朝尿のほうが好ましいですが、補正しているので随時尿でも価値はあります。
異なる日に3回検査して2回陽性なら、糖尿病早期腎症と診断するということですが、健康保険上は、1回/3ヶ月しか測定できません。
微量アルブミン尿とは、「アルブミン指数で30mg/g・クレアチニン以上で300mg/g・クレアチニン未満」と定義されています。
アルブミン指数で300mg/g・クレアチニン以上は顕性腎症です。
アルブミン指数で30mg/g・クレアチニン未満が正常です。
単位時間あたりのアルブミン排泄率はμg/分で表され、蓄尿が必要となりますが、随時尿より正確に病態を示します。
昼間の尿は運動の影響を受けるので、夜間尿または24時間蓄尿を用います。現実には、随時尿で尿中アルブミン指数(mg/g・クレアチニン)を測定することが多いです。
微量アルブミンが出現する早期腎症の時期ならば、血糖コントロールや降圧剤(ARBなど)による血圧コントロールで改善が期待できます。勿論、糖質制限食による血糖コントロールは、もっとも有力な選択肢です。
**参考
「改定第4版 糖尿病専門医研修ガイドブック」日本糖尿病学会編 2009年
診断と治療社
2011年05月17日 (火)
こんにちは。
厚生労働省によると、日本の医師数は2008年現在で、28万6699人です。
OECD調査によれば、臨床医数は国民1000人あたり、2.15人で先進7ヶ国中最低です。
1983年に、当時の厚生省保険局長が「医療費亡国論」を唱えて以後、日本では、一貫して国を挙げて、医療費抑制政策が実施されてきました。
単純に医師数の増加を抑えれば、医療費は抑制されるだろうという厚生労働省の長年にわたる政策により、上述の先進国中最低の医師数という結果となってしまいました。
しかし、2008年の閣議決定で「医師不足の原因は絶対数不足」ということが、送ればせながら確認され、医学部の定員を増やす方針にやっと転換しました。
厚生労働省が、「医師不足の原因は都会への偏在で、絶対数不足ではない」と長年強弁してきましたが、やっと真実を認めるに至ったのです。
この方針は、2009年8月の自民党から民主党への政権交代でも引き継がれ、2010年度の医学部定員は過去最高の8846人、2011年度はさらに増えて8923人となりました。
OECD加盟国の国民1000人あたり平均医師数3.1人と同等になるためには、日本の総医師数は、12万人不足しています。
しかし、2010年に厚生労働省は戦後初めてとされる本格的な実態調査を行い、「2万4000人の医師不足」と発表しています。
世界標準から12万人不足する医師数が、たったの2万4000人とは・・・。
「国民を騙すのもええ加減にせい!!!」と怒りが沸々と湧いてきます。(`□´)
なおかつ、日本では、出産後数年間勤務していない女医さんや、100才で、家で寝たきり状態のお医者さんでも、医師免許証を国家に返上しない限り、医師数にカウントされているのが現状であり、ひどいものです。(┰_┰)
諸外国ではもちろん、実際に勤務している医師だけのカウントです。
日本の人口あたりの救急専従医数は米国の1/10しかいないにもかかわらず、厚生労働省の発表では、必要数は現状のたった1.28倍だそうです。
医師のサービス残業は当たり前、当直した外科医が睡眠不足でそのまま翌日手術・・・
先進国ではありえない常軌を逸した日本の医療は、医師の過剰労働でギリギリ成り立ってきました。
厚生労働省の試算は、医師の過剰労働を前提として、過労死を推奨しているとしか思えません。
何度でも、強調したいです。
日本の医療は、医師不足、看護師不足を中心に、産科や小児科、救急医療などすでに崩壊しつつあります。もう間に合ってないけれど、それだけに今すぐに対処しなくてはなりません。
医学部の定員が増えたのは、とても良いことですが、入学して医師として戦力となるには最低でも8~10年かかります。
私達、団塊の世代の医者が定年過ぎて普通に引退したら、日本の医療はそのまま即崩壊です。
定年過ぎてもわれわれが働いている間に(せいぜい数年ですぞ!)、日本国民は、医師不足、看護師不足、医療崩壊問題の正しい情報を見極め、未曾有の高齢化社会を前に、自分たち自身で今どのような手を打てばいいのか、しっかり判断する必要があります。
OECDが発表している「Health Data 2008」に、2006年度のデータで、OECD加盟国の総医療費の対GDPに対する割合が報告されています。
それによると、日本は8.2%です。
これは米国の約半分にすぎません(米国は15.3%)
米国、フランス、ドイツ、カナダ、イタリア、イギリス、日本の先進7カ国の総医療費の対GDPに対する割合の平均は10.4%です。
それで日本は、イギリスにも抜かれてとうとう最下位となりました。(;ー;)
医師を増やし、看護師を増やし、医療や福祉に積極的に投資して医療費も増やし、経済の活性化を目指せば、これ以上の医療崩壊は防げます。
現実にEU諸国では、医療に積極的に投資して、経済の活性化に成功しています。
国の事情がいろいろ異なるとはいえ、成功モデルは目の前にあるのです。日本がEU諸国から見習うことはたくさんありそうです。
江部康二
厚生労働省によると、日本の医師数は2008年現在で、28万6699人です。
OECD調査によれば、臨床医数は国民1000人あたり、2.15人で先進7ヶ国中最低です。
1983年に、当時の厚生省保険局長が「医療費亡国論」を唱えて以後、日本では、一貫して国を挙げて、医療費抑制政策が実施されてきました。
単純に医師数の増加を抑えれば、医療費は抑制されるだろうという厚生労働省の長年にわたる政策により、上述の先進国中最低の医師数という結果となってしまいました。
しかし、2008年の閣議決定で「医師不足の原因は絶対数不足」ということが、送ればせながら確認され、医学部の定員を増やす方針にやっと転換しました。
厚生労働省が、「医師不足の原因は都会への偏在で、絶対数不足ではない」と長年強弁してきましたが、やっと真実を認めるに至ったのです。
この方針は、2009年8月の自民党から民主党への政権交代でも引き継がれ、2010年度の医学部定員は過去最高の8846人、2011年度はさらに増えて8923人となりました。
OECD加盟国の国民1000人あたり平均医師数3.1人と同等になるためには、日本の総医師数は、12万人不足しています。
しかし、2010年に厚生労働省は戦後初めてとされる本格的な実態調査を行い、「2万4000人の医師不足」と発表しています。
世界標準から12万人不足する医師数が、たったの2万4000人とは・・・。
「国民を騙すのもええ加減にせい!!!」と怒りが沸々と湧いてきます。(`□´)
なおかつ、日本では、出産後数年間勤務していない女医さんや、100才で、家で寝たきり状態のお医者さんでも、医師免許証を国家に返上しない限り、医師数にカウントされているのが現状であり、ひどいものです。(┰_┰)
諸外国ではもちろん、実際に勤務している医師だけのカウントです。
日本の人口あたりの救急専従医数は米国の1/10しかいないにもかかわらず、厚生労働省の発表では、必要数は現状のたった1.28倍だそうです。
医師のサービス残業は当たり前、当直した外科医が睡眠不足でそのまま翌日手術・・・
先進国ではありえない常軌を逸した日本の医療は、医師の過剰労働でギリギリ成り立ってきました。
厚生労働省の試算は、医師の過剰労働を前提として、過労死を推奨しているとしか思えません。
何度でも、強調したいです。
日本の医療は、医師不足、看護師不足を中心に、産科や小児科、救急医療などすでに崩壊しつつあります。もう間に合ってないけれど、それだけに今すぐに対処しなくてはなりません。
医学部の定員が増えたのは、とても良いことですが、入学して医師として戦力となるには最低でも8~10年かかります。
私達、団塊の世代の医者が定年過ぎて普通に引退したら、日本の医療はそのまま即崩壊です。
定年過ぎてもわれわれが働いている間に(せいぜい数年ですぞ!)、日本国民は、医師不足、看護師不足、医療崩壊問題の正しい情報を見極め、未曾有の高齢化社会を前に、自分たち自身で今どのような手を打てばいいのか、しっかり判断する必要があります。
OECDが発表している「Health Data 2008」に、2006年度のデータで、OECD加盟国の総医療費の対GDPに対する割合が報告されています。
それによると、日本は8.2%です。
これは米国の約半分にすぎません(米国は15.3%)
米国、フランス、ドイツ、カナダ、イタリア、イギリス、日本の先進7カ国の総医療費の対GDPに対する割合の平均は10.4%です。
それで日本は、イギリスにも抜かれてとうとう最下位となりました。(;ー;)
医師を増やし、看護師を増やし、医療や福祉に積極的に投資して医療費も増やし、経済の活性化を目指せば、これ以上の医療崩壊は防げます。
現実にEU諸国では、医療に積極的に投資して、経済の活性化に成功しています。
国の事情がいろいろ異なるとはいえ、成功モデルは目の前にあるのです。日本がEU諸国から見習うことはたくさんありそうです。
江部康二
2011年05月16日 (月)
こんばんは。
『メディイカル トリビューン 2011年2月27日、Vol.44,No7』
に、とても興味深い記事が載っていました。
大事にファイルにしまい込んで忘れてましたが、昨日資料を整理していて、出てきました。
肥満と死亡リスク上昇の関連は、いままでいろいろ研究報告がありましたが、結果はバラバラで、一定の結論はでていませんでした。
米疾病管理センター(CDC)と世界保健機関(WHO)のガイドラインでは、BMIが
18.5~24.9を標準
25.0~29.9を過体重
30.0以上を肥満
35.0以上を重度肥満
と定義しています。
特に、BMIが25.0~29.9の過体重グループに関しては、18.5~24.9の標準よりも、かえって死亡リスクが少ないという報告もありました。
今回のニューイングランド・ジャーナルの報告は、白人成人146万人が対象で大規模な研究です。
結論からいうと、
「健康で喫煙歴がない白人成人では、BMI 20以上25未満で全死亡率最も低い」
ということです。
喫煙歴や既往歴がない健康な成人を選んだ研究ですので、シンプルにBMIと死亡リスクの関係を分析できたということです。私も信頼度は高いと思います。
世界ガン研究基金の2007年の報告でも「BMIは21~23の範囲が一番よくて、BMI25未満が推薦」ですので、 一応明確な目安ができたと言えます。
一方、人種や民族で異なる可能性があるということです。
しかし、日本人の場合は、BMI25や26程度の過体重でも、白人に比べて内臓脂肪がつきやすいとされているので、やはり「BMI 20以上25未満」を目指すのが無難と思われます。
江部康二
☆☆☆☆☆
『メディイカル トリビューン 2011年2月27日、Vol.44,No7』
【過体重と肥満は全死亡率上昇に関連
BMI 20以上25未満で全死亡率最も低い
米国立衛生研究所(NIH)のAmy Berrington de Gonzalez博士らが,前向き研究19件のデータを分析し,白人成人におけるBMIと全死亡率との関連を検討した。
その結果,健康で喫煙歴のない成人では,BMIが20以上25未満であると全死亡率が最も低いことが分かった。
詳細は,New England Journal of Medicine(2010; 363: 2211-2219)に発表された。
白人成人146万人が対象
米疾病管理センター(CDC)と世界保健機関(WHO)のガイドラインでは,BMIが18.5~24.9を標準,25.0~29.9を過体重,30.0以上を肥満,35.0以上を重度肥満と定義している。
過体重と死亡リスク上昇の関連を検討したこれまでの研究では「リスクがやや上昇する」,「リスクが低減する」との相反する結果が示されており,結論が出ていない。
また,肥満の程度別に検討した死亡リスクの差も明らかになっていない。
そこでGonzalez博士らは,19~84歳の白人成人146万人を対象とした19件の長期前向き研究のデータから,BMIと全死亡率との関連を検討した。
各研究の追跡期間は5~28年である。
検討の結果,健康で喫煙歴のない成人では,BMIが20以上25未満であると全死亡率が最も低いことが分かった。
健康で喫煙歴がない場合,過体重の女性では,追跡期間中の死亡リスクが,BMI 22.5~24.9の女性に比べて13%高いことが分かった。
肥満(重度を含む)の女性では,死亡リスクが著しく高かった。
BMIが30.0~34.9の女性では,22.5~24.9の女性に比べて死亡リスクが44%高く,35.0~39.9の女性では88%高かった。
BMI 40.0~49.9の女性の死亡リスクは2.5倍だった。
男性においても,ほぼ同様の傾向が示された。
男女を総合すると,BMIが5単位上昇するごとに,死亡リスクは31%上昇した。
同博士は「今回の研究では,広域なBMIと,肥満と死亡リスクとの関連に影響を及ぼす可能性のある他の因子を評価することができた。喫煙と既往歴は,死亡リスクや肥満と強い関連が示されている。今回はそうした因子を有する者を除外することで,これらの因子による影響を最小限にし,BMIと死亡リスクの関連を正確に分析できた」と述べている。
人種や民族で異なる可能性も示唆
飲酒量や身体活動度,教育レベルなどを調整した後も,同様の傾向が示された。
すべての年齢層においてBMI 25以上では死亡リスクの上昇が認められたが,50歳未満の過体重または肥満の層で,その傾向がより顕著だった。
Gonzalez博士らは,BMIと死亡率の関係は,人種や民族によって異なる可能性があると指摘している。
人種や民族別のBMIと死亡率の関係は,現在,検証中だ。 】
『メディイカル トリビューン 2011年2月27日、Vol.44,No7』
に、とても興味深い記事が載っていました。
大事にファイルにしまい込んで忘れてましたが、昨日資料を整理していて、出てきました。
肥満と死亡リスク上昇の関連は、いままでいろいろ研究報告がありましたが、結果はバラバラで、一定の結論はでていませんでした。
米疾病管理センター(CDC)と世界保健機関(WHO)のガイドラインでは、BMIが
18.5~24.9を標準
25.0~29.9を過体重
30.0以上を肥満
35.0以上を重度肥満
と定義しています。
特に、BMIが25.0~29.9の過体重グループに関しては、18.5~24.9の標準よりも、かえって死亡リスクが少ないという報告もありました。
今回のニューイングランド・ジャーナルの報告は、白人成人146万人が対象で大規模な研究です。
結論からいうと、
「健康で喫煙歴がない白人成人では、BMI 20以上25未満で全死亡率最も低い」
ということです。
喫煙歴や既往歴がない健康な成人を選んだ研究ですので、シンプルにBMIと死亡リスクの関係を分析できたということです。私も信頼度は高いと思います。
世界ガン研究基金の2007年の報告でも「BMIは21~23の範囲が一番よくて、BMI25未満が推薦」ですので、 一応明確な目安ができたと言えます。
一方、人種や民族で異なる可能性があるということです。
しかし、日本人の場合は、BMI25や26程度の過体重でも、白人に比べて内臓脂肪がつきやすいとされているので、やはり「BMI 20以上25未満」を目指すのが無難と思われます。
江部康二
☆☆☆☆☆
『メディイカル トリビューン 2011年2月27日、Vol.44,No7』
【過体重と肥満は全死亡率上昇に関連
BMI 20以上25未満で全死亡率最も低い
米国立衛生研究所(NIH)のAmy Berrington de Gonzalez博士らが,前向き研究19件のデータを分析し,白人成人におけるBMIと全死亡率との関連を検討した。
その結果,健康で喫煙歴のない成人では,BMIが20以上25未満であると全死亡率が最も低いことが分かった。
詳細は,New England Journal of Medicine(2010; 363: 2211-2219)に発表された。
白人成人146万人が対象
米疾病管理センター(CDC)と世界保健機関(WHO)のガイドラインでは,BMIが18.5~24.9を標準,25.0~29.9を過体重,30.0以上を肥満,35.0以上を重度肥満と定義している。
過体重と死亡リスク上昇の関連を検討したこれまでの研究では「リスクがやや上昇する」,「リスクが低減する」との相反する結果が示されており,結論が出ていない。
また,肥満の程度別に検討した死亡リスクの差も明らかになっていない。
そこでGonzalez博士らは,19~84歳の白人成人146万人を対象とした19件の長期前向き研究のデータから,BMIと全死亡率との関連を検討した。
各研究の追跡期間は5~28年である。
検討の結果,健康で喫煙歴のない成人では,BMIが20以上25未満であると全死亡率が最も低いことが分かった。
健康で喫煙歴がない場合,過体重の女性では,追跡期間中の死亡リスクが,BMI 22.5~24.9の女性に比べて13%高いことが分かった。
肥満(重度を含む)の女性では,死亡リスクが著しく高かった。
BMIが30.0~34.9の女性では,22.5~24.9の女性に比べて死亡リスクが44%高く,35.0~39.9の女性では88%高かった。
BMI 40.0~49.9の女性の死亡リスクは2.5倍だった。
男性においても,ほぼ同様の傾向が示された。
男女を総合すると,BMIが5単位上昇するごとに,死亡リスクは31%上昇した。
同博士は「今回の研究では,広域なBMIと,肥満と死亡リスクとの関連に影響を及ぼす可能性のある他の因子を評価することができた。喫煙と既往歴は,死亡リスクや肥満と強い関連が示されている。今回はそうした因子を有する者を除外することで,これらの因子による影響を最小限にし,BMIと死亡リスクの関連を正確に分析できた」と述べている。
人種や民族で異なる可能性も示唆
飲酒量や身体活動度,教育レベルなどを調整した後も,同様の傾向が示された。
すべての年齢層においてBMI 25以上では死亡リスクの上昇が認められたが,50歳未満の過体重または肥満の層で,その傾向がより顕著だった。
Gonzalez博士らは,BMIと死亡率の関係は,人種や民族によって異なる可能性があると指摘している。
人種や民族別のBMIと死亡率の関係は,現在,検証中だ。 】
2011年05月15日 (日)
こんばんは。
「糖質制限食を語る」DVD販売のお知らせです。
こちらは、視聴用のYou Tube の映像です。
☆☆☆☆☆
京都高雄病院理事長、江部康二医師
画期的な糖尿病治療食
「糖質制限食を語る」
は、こちらのサイトで販売致します。
↓ ↓ ↓
http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php
これまでに、講演会を映像化して欲しいとの声を多々頂いておりましたが、なかなか形になりませんでした。
今回、私のバンド仲間の吉田さんが、映像プロダクションをされていることもあり、DVD化の運びとなりました。
DVDなら、何度でもご自宅で見て頂けますし、メモを取るのに必死で話を聴き逃した!などといったこともないので、けっこうオススメです。
本を読むのが苦手とか面倒くさい方にもDVDならOKですね。ご高齢の方、あるいは糖尿病のご両親へのプレゼントにもいいですよ。
糖尿病と糖質制限食について、講演会のスライドも適宜挿入しながら、江部康二がわかりやすく語っています。
このDVD、これまで遠方で来れなかった方はもちろん、一度講演聞いたけど家の玄関くぐったら9割忘れてしまった方(笑)も、是非ごらん頂ければうれしいです。
「糖質制限食をかたる」DVD
見ていただいた方々には『わかりやすい』と好評で、私としても嬉しく思っています。
しかしながら、ビデオ屋にもアマゾンにも販売ルートがありませんので、ほぼ本ブログでの広報だけが頼りです。
ブログ読者の皆さんとその口コミが「糖質制限食をかたる」DVD販売の生命線です。
何卒よろしくお願い申しあげます。
江部康二
「糖質制限食を語る」DVD販売のお知らせです。
こちらは、視聴用のYou Tube の映像です。
☆☆☆☆☆
京都高雄病院理事長、江部康二医師
画期的な糖尿病治療食
「糖質制限食を語る」
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↓ ↓ ↓
http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php
これまでに、講演会を映像化して欲しいとの声を多々頂いておりましたが、なかなか形になりませんでした。
今回、私のバンド仲間の吉田さんが、映像プロダクションをされていることもあり、DVD化の運びとなりました。
DVDなら、何度でもご自宅で見て頂けますし、メモを取るのに必死で話を聴き逃した!などといったこともないので、けっこうオススメです。
本を読むのが苦手とか面倒くさい方にもDVDならOKですね。ご高齢の方、あるいは糖尿病のご両親へのプレゼントにもいいですよ。
糖尿病と糖質制限食について、講演会のスライドも適宜挿入しながら、江部康二がわかりやすく語っています。
このDVD、これまで遠方で来れなかった方はもちろん、一度講演聞いたけど家の玄関くぐったら9割忘れてしまった方(笑)も、是非ごらん頂ければうれしいです。
「糖質制限食をかたる」DVD
見ていただいた方々には『わかりやすい』と好評で、私としても嬉しく思っています。
しかしながら、ビデオ屋にもアマゾンにも販売ルートがありませんので、ほぼ本ブログでの広報だけが頼りです。
ブログ読者の皆さんとその口コミが「糖質制限食をかたる」DVD販売の生命線です。
何卒よろしくお願い申しあげます。
江部康二
2011年05月15日 (日)
おはようございます。
今朝の京都新聞に『常識超える糖質制限食』と題して、私の原稿が掲載されました。
毎週日曜朝刊1面の「ソフィア」というコラムで、2005年から続いています。
過去いろんな人が登場し、文化発信という範疇で、様々な提言や主張を展開されています。
第一面の写真入りのコラムなので、やや照れくさいです。(=_=;)
登場の機会を与えていただいた京都新聞社の吉澤建吉さん、岡本早苗さんに、この場を借りて、感謝の意を表したいと思います。
江部康二
以下は2011年5月15日(日)京都新聞朝刊のコラム「ソフィア」です。
☆☆☆☆☆
【私は糖尿病を患っており、2002年から糖質制限食を実践中である。
血糖値を上昇させるのは糖質だけで脂質や蛋白質は上昇させない。
糖質制限食とは、脂質や蛋白質はしっかり摂取して、血糖値を上昇させる糖質だけは極力減らす食事療法である。
従来の常識とは真っ向から対立する内容なので、多くの人が驚かれることと思う。
しかし「脂肪悪玉説」、「カロリー至上主義」、「脳のエネルギー源はブドウ糖だけ」といった従来の常識は現在根底から覆っている。
例えば米国医師会雑誌2006年の論文で、脂肪を総摂取カロリー比20%に制限しても心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクは全く減少しないことが確認された。
さらにニューイングランド・ジャーナルの2008年の論文で、カロリー制限ありの脂肪制限食とカロリー制限なしの糖質制限食の効果を比較検討した結果、糖質制限食が体重を減少させ、善玉コレステロールを増加させたことが明らかとなった。
また医学の教科書「ハーパー生化学」には、脳が脂肪酸の代謝産物のケトン体をエネルギー源とすることが明記してある。
常識の壁とは恐ろしいもので、これらの明確な証拠があっても、100人中99人以上の医師.栄養士が「脂肪悪玉説」、「カロリー至上主義」、「脳のエネルギー源はブドウ糖だけ」という無根拠な神話をいまだに信じているのが現状である。
ところで、糖質制限食というと変わった食事というイメージであるが、実は人類本来の自然な食事である。
人類が誕生したのが約400万年前で、その後6属21種の人類が栄枯盛衰、進化を繰り返し、現在残っているのは、現世人類だけである。
この間農耕が始まるまでは、生業は狩猟・採集で、全ての人類が糖質制限食であった。
このように人類の栄養・代謝・生理すべて糖質制限食に適応するように進化してきているし、妊娠・出産・子育て・日常生活も糖質制限食の中で行われてきた。農耕が始まり定着して最近の約4000年間だけが、主食が穀物(糖質)へと変化した。
即ち糖質を主食としたのは、人類の歴史の中でわずか1000分の1の期間に過ぎない。糖質制限食と高糖質食、どちらが人類にとって自然な食事なのかはいうまでもない。
糖質制限食という人類の本来の食事を実践することで、肥満や糖尿病といった様々な生活習慣病が改善するのも、当たり前と言えば当たり前なのである。
高雄病院理事長
江部康二
略歴
1950年生まれ。京都大医学部卒。2001年、糖質制限食を導入。
主な著書に宮本輝氏との対談本「我ら糖尿人、元気なのには理由がある」など】
今朝の京都新聞に『常識超える糖質制限食』と題して、私の原稿が掲載されました。
毎週日曜朝刊1面の「ソフィア」というコラムで、2005年から続いています。
過去いろんな人が登場し、文化発信という範疇で、様々な提言や主張を展開されています。
第一面の写真入りのコラムなので、やや照れくさいです。(=_=;)
登場の機会を与えていただいた京都新聞社の吉澤建吉さん、岡本早苗さんに、この場を借りて、感謝の意を表したいと思います。
江部康二
以下は2011年5月15日(日)京都新聞朝刊のコラム「ソフィア」です。
☆☆☆☆☆
【私は糖尿病を患っており、2002年から糖質制限食を実践中である。
血糖値を上昇させるのは糖質だけで脂質や蛋白質は上昇させない。
糖質制限食とは、脂質や蛋白質はしっかり摂取して、血糖値を上昇させる糖質だけは極力減らす食事療法である。
従来の常識とは真っ向から対立する内容なので、多くの人が驚かれることと思う。
しかし「脂肪悪玉説」、「カロリー至上主義」、「脳のエネルギー源はブドウ糖だけ」といった従来の常識は現在根底から覆っている。
例えば米国医師会雑誌2006年の論文で、脂肪を総摂取カロリー比20%に制限しても心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクは全く減少しないことが確認された。
さらにニューイングランド・ジャーナルの2008年の論文で、カロリー制限ありの脂肪制限食とカロリー制限なしの糖質制限食の効果を比較検討した結果、糖質制限食が体重を減少させ、善玉コレステロールを増加させたことが明らかとなった。
また医学の教科書「ハーパー生化学」には、脳が脂肪酸の代謝産物のケトン体をエネルギー源とすることが明記してある。
常識の壁とは恐ろしいもので、これらの明確な証拠があっても、100人中99人以上の医師.栄養士が「脂肪悪玉説」、「カロリー至上主義」、「脳のエネルギー源はブドウ糖だけ」という無根拠な神話をいまだに信じているのが現状である。
ところで、糖質制限食というと変わった食事というイメージであるが、実は人類本来の自然な食事である。
人類が誕生したのが約400万年前で、その後6属21種の人類が栄枯盛衰、進化を繰り返し、現在残っているのは、現世人類だけである。
この間農耕が始まるまでは、生業は狩猟・採集で、全ての人類が糖質制限食であった。
このように人類の栄養・代謝・生理すべて糖質制限食に適応するように進化してきているし、妊娠・出産・子育て・日常生活も糖質制限食の中で行われてきた。農耕が始まり定着して最近の約4000年間だけが、主食が穀物(糖質)へと変化した。
即ち糖質を主食としたのは、人類の歴史の中でわずか1000分の1の期間に過ぎない。糖質制限食と高糖質食、どちらが人類にとって自然な食事なのかはいうまでもない。
糖質制限食という人類の本来の食事を実践することで、肥満や糖尿病といった様々な生活習慣病が改善するのも、当たり前と言えば当たり前なのである。
高雄病院理事長
江部康二
略歴
1950年生まれ。京都大医学部卒。2001年、糖質制限食を導入。
主な著書に宮本輝氏との対談本「我ら糖尿人、元気なのには理由がある」など】
2011年05月14日 (土)
こんにちは。
血糖自己測定器、なかなか便利で重宝です。
しかし、インスリン注射を打っていない糖尿人は、血糖自己測定器やセンサー、ランセットなど私費になりますので結構高くつきます。
特にセンサーは、1枚¥110-くらいして使い捨てなので、一番問題です。
そうなると、血糖自己測定を毎日何回もしたら、経費が堪らないので、いつするかが気になるところです。
糖尿病合併症予防のためには
1) 空腹時血糖値140mg/dl未満→126mg/dl未満→さらには110mg/dl未満
2) 食後2時間血糖値180mg/dlmg/dl未満→さらには140mg/dl未満
3) 理想的には食後1時間血糖値180mg/dl未満
4) HbA1c6.5%未満→さらには5.8%未満
1)2)3)4)の糖尿人の目標達成を目指します。
まずは、早朝空腹時血糖値を測定します。
このデータが126mg/dl未満なら、2日に1回で充分と思います。
110mg/dl未満なら、3~4日に1回で充分と思います。126mg/dl以上なら、毎日測定です。
次に朝食後1時間血糖値と朝食後2時間血糖値を測定します。
まずは、同一の日、例えば日曜日に食前、食後1時間・2時間を測定して、自分は1時間値と2時間値とどちらがピークのタイプかを知っておきましょう。
当初食後血糖値を測定するときは、1回の食事で糖質20gくらいと、あえて少し多めの糖質を摂取して測定するほうが結果がわかりやすいです。
体重64kgの2型糖尿人で、1gの糖質が3mg血糖値を上昇、1型糖尿人で5mg上昇させます。
それから、朝食後と昼食後と夕食後の血糖血の上昇が異なる人がいます。
昼食前と食後1時間或いは2時間のピーク時を測定します。そして、夕食前と食後1時間或いは2時間のピーク時を測定します。後は寝る前(例えば午后10時とか11時とか)の血糖値を測定します。
これら、
早朝空腹時、朝食後1時間、食後2時間
昼前、昼食後1時間或いは2時間
夕前、夕食後1時間或いは2時間
眠前
の血糖値測定を、1日でこなして、日内変動をみるのもわかりやすいです。1回日内変動を測定して、しっかりデータをとっておけばいいです。
1日に8回も測定が嫌な人は、朝セット、昼セット、夕セットの、日にちをずらして、記録しておけばいいです。
こうして、とりあえず、一日の朝・昼・夕・眠前のデータがとれたら、あとは、糖質の多いものを食べた時に測定して実験します。
スーパー糖質制限食のときはそんなに血糖上昇はないので、大多数の人は頻回の測定は必要ありません。
趣味的に果物を1/3個、あえて1/2個で食後血糖値測定、バナナ、リンゴ、苺、梨・・・
あるいは、グルコバイやグルファストを食直前30秒に内服して
炊いたご飯を100gで測定・・・
食パン六切り、1枚で測定・・・
自分の場合、どの程度のグラム数の糖質までなら、
2) 食後2時間血糖値180mg/dlmg/dl未満→さらには140mg/dl未満
3) 理想的には食後1時間血糖値180mg/dl未満
の目標が達成できるかを、実験します。
最初に、一定しっかり、上記をこなして記録しておけば、あとは早朝空腹時血糖値を適宜、食後1時間あるいは2時間ピーク時血糖値を食物により、適宜測定でOKです。
江部康二
血糖自己測定器、なかなか便利で重宝です。
しかし、インスリン注射を打っていない糖尿人は、血糖自己測定器やセンサー、ランセットなど私費になりますので結構高くつきます。
特にセンサーは、1枚¥110-くらいして使い捨てなので、一番問題です。
そうなると、血糖自己測定を毎日何回もしたら、経費が堪らないので、いつするかが気になるところです。
糖尿病合併症予防のためには
1) 空腹時血糖値140mg/dl未満→126mg/dl未満→さらには110mg/dl未満
2) 食後2時間血糖値180mg/dlmg/dl未満→さらには140mg/dl未満
3) 理想的には食後1時間血糖値180mg/dl未満
4) HbA1c6.5%未満→さらには5.8%未満
1)2)3)4)の糖尿人の目標達成を目指します。
まずは、早朝空腹時血糖値を測定します。
このデータが126mg/dl未満なら、2日に1回で充分と思います。
110mg/dl未満なら、3~4日に1回で充分と思います。126mg/dl以上なら、毎日測定です。
次に朝食後1時間血糖値と朝食後2時間血糖値を測定します。
まずは、同一の日、例えば日曜日に食前、食後1時間・2時間を測定して、自分は1時間値と2時間値とどちらがピークのタイプかを知っておきましょう。
当初食後血糖値を測定するときは、1回の食事で糖質20gくらいと、あえて少し多めの糖質を摂取して測定するほうが結果がわかりやすいです。
体重64kgの2型糖尿人で、1gの糖質が3mg血糖値を上昇、1型糖尿人で5mg上昇させます。
それから、朝食後と昼食後と夕食後の血糖血の上昇が異なる人がいます。
昼食前と食後1時間或いは2時間のピーク時を測定します。そして、夕食前と食後1時間或いは2時間のピーク時を測定します。後は寝る前(例えば午后10時とか11時とか)の血糖値を測定します。
これら、
早朝空腹時、朝食後1時間、食後2時間
昼前、昼食後1時間或いは2時間
夕前、夕食後1時間或いは2時間
眠前
の血糖値測定を、1日でこなして、日内変動をみるのもわかりやすいです。1回日内変動を測定して、しっかりデータをとっておけばいいです。
1日に8回も測定が嫌な人は、朝セット、昼セット、夕セットの、日にちをずらして、記録しておけばいいです。
こうして、とりあえず、一日の朝・昼・夕・眠前のデータがとれたら、あとは、糖質の多いものを食べた時に測定して実験します。
スーパー糖質制限食のときはそんなに血糖上昇はないので、大多数の人は頻回の測定は必要ありません。
趣味的に果物を1/3個、あえて1/2個で食後血糖値測定、バナナ、リンゴ、苺、梨・・・
あるいは、グルコバイやグルファストを食直前30秒に内服して
炊いたご飯を100gで測定・・・
食パン六切り、1枚で測定・・・
自分の場合、どの程度のグラム数の糖質までなら、
2) 食後2時間血糖値180mg/dlmg/dl未満→さらには140mg/dl未満
3) 理想的には食後1時間血糖値180mg/dl未満
の目標が達成できるかを、実験します。
最初に、一定しっかり、上記をこなして記録しておけば、あとは早朝空腹時血糖値を適宜、食後1時間あるいは2時間ピーク時血糖値を食物により、適宜測定でOKです。
江部康二
2011年05月13日 (金)
こんにちは。
今日は、3日間降り続いた雨がからっと上がって、とても良い天気の京都です。
しかし、雨の代わりに黄砂が満開で、東山三十六峰すべて霞がかかっていました。
ヒノキ花粉症が終わって、ほっとしたのも束の間で、黄砂にやられて、のど痛、鼻水、眼痒・・・の人もおられます。
黄砂、恐るべしです。
さて今回は、an さんから、
「糖尿病を患ってから15年間、この10年近くは薬物治療を続けていたのが、糖質制限食で脱却できた。」
という嬉しいコメントをいただきました。
【11/05/12 an
初めまして
江部先生 毎日拝読しております。
いつも興味深い記事をありがとうございます。
生イカ 気をつけます!
さて、私は15年程前から糖尿人で、先生の著書を3冊読んで糖質制限を始めて4週間経ちました。
先生の記事と皆さんのコメントが、大きな力、支えです。
私の症例も何かの参考になればと、恥ずかしながら書かせていただきます。
私は50代女性です。 40歳代はじめに糖尿病と診断され、最初の数年はカロリー制限で「良」そのうち「可」になりベイスンを処方され、それがグルファストに代わり、加えてアクトス、ベスタミオンと毎日3種の薬を服用するに至りました。
最近のHbA1cは 7.37でした。
実は薬の副作用「放屁」「下痢」が私の悩みでした。
私は人前に立つ仕事です。仕事に入ったら逃げ場はありません。
「止まらない放屁」や「急な下痢」は深刻で、主治医に何度訴えても、「そのうち慣れる、しょうがない」と取り合ってもらえず、仕方なく、人前に立つ時間が長い日は、薬をやめてその場をしのぎ、検診前になるとカロリー制限をして薬を飲んで血糖値を下げるという、悪循環を繰り返していました。
そうしながらも毎月ちゃんと病院に通っているのだから、なんとかなるだろうと、甘く考えてもいました。
2ヶ月ほど前 仕事が続いて、薬を飲まないで10日間過ごし、パーティも重なって、計った空腹時血糖値が295で、主治医から、「失明したいんですか???足を切りたいんですか?」と、改めて薬の服用の徹底を厳命されました。
私が糖尿病と診断された時点から15年、栄養指導は最初の一回きりで「1400カロリー内であれば何を食べてもOK、主食はしっかり取りなさい」 診察は、月に一度、靴下の上からむくみを調べ、血圧を測り、検査結果を見て「薬を出しておきます」というだけのものでしたので、急に出た失明や足を切るという言葉に愕然としました。
そこで、真剣に効果的な糖尿病改善法を探していて江部先生の著書とこのブログに出会った次第です。
すぐスーパー糖質制限をはじめ 血糖値測定器も購入しました。
4週間で薬なしで、空腹時血糖が120mgより上がることは少なくなりました。
何よりも嬉しいのが、おなかの調子、おならを気にしなくても済むことです。笑顔で人前に立つことができ、生き返ったような気がしています。
心から感謝しています。
長く無謀な糖尿生活を送ったので、今後、合併症が出てくるのは避けられないのかな?と不安ですが、今後は、江部先生の病院か、糖質制限に理解のある病院での治療を続けるつもりです。
私の経験が何かのお役に立つといいのですが・・・
糖質制限食の普及を心から願って、先生の本を周りに配っています。
先生 どうぞ、お元気でご活躍ください。
長々と失礼しました。】
anさん。
本のご購入ありがとうございます。コメントもありがとうございます。おおいに読者の皆さんの参考になると思います。
ベスタミオンは、ベイスンのジェネリックです。
一番困っておられた「放屁」「下痢」は、ベスタミオンの副作用と考えられます。
病気の治療において「生活の質を保つ」はとても大切なことですので、私は、ベイスンやグルコバイなど、αGI阻害薬で、放屁などの副作用がある程度以上出現したら、中止することを原則としています。
【40歳代はじめに糖尿病と診断され、最初の数年はカロリー制限で「良」そのうち「可」になりベイスンを処方され、それがグルファストに代わり、加えてアクトス、ベスタミオンと毎日3種の薬を服用するに至りました。】
日本糖尿病学会推奨のカロリー制限食は、総摂取カロリーの60%が糖質という高糖質食です。
このような高糖質食を実践すれば、いくらカロリー制限しようが、糖尿病学会推奨の週3日以上の運動(1日に15~30分の運動を2回)をしようが、結局、糖尿病は徐々に確実に進行していきます。
1)<高糖質食摂取→食後高血糖→膵β細胞の障害>
2)<高糖質食摂取→食後高血糖→インスリン抵抗性増大>
3)<高糖質食摂取→食後高血糖→インスリン大量追加分泌→β細胞疲弊>
1)2)3)が悪循環すれば、徐々にインスリン分泌能も低下し、インスリン抵抗性も増していき、インスリン作用は低下し糖尿病は進行・悪化していきます。
このことは、英国の2型糖尿病世界最大の研究であるUKPDSにおいて
「どのような治療をしようとも2型糖尿病は慢性に進行するβ細胞の障害を呈する」
と1998年にすでに報告されています。
すなわち、運動をしようが、薬物療法をしようが、従来のカロリー制限食(高糖質食)を実践する限りは、2型糖尿病は、慢性進行性の膵β細胞不全となっていくのです。
ですから、anさんが、医師や栄養士の指導をしっかり守って、糖尿病治療に努力したとしても、結局徐々に悪化して、「食事療法+運動療法」単独の段階に薬物療法が加わり、さらに薬物の種類も増えていくというパターンとなったのも、しかたのないことなのです。
これはanさんに限らず、ほとんどの患者さんのナチュナルコースです。
私自身の担当していた糖尿病患者さんも、過半数の人で糖質制限食導入前は、遺憾ながら同様の経過で徐々に悪化していました。
このように患者さんがいくら努力しても、「カロリー制限食(高糖質食)」を摂取する限りは、確実に糖尿病は悪化していくわけですから、ひどい話です。 (*_*)
食後高血糖を防いで、この悪循環を断ち切ることができるのは、唯一「糖質制限食」だけです。
【スーパー糖質制限をはじめ 血糖値測定器も購入しました。
4週間で薬なしで、空腹時血糖が120mgより上がることは少なくなりました。
何よりも嬉しいのが、おなかの調子、おならを気にしなくても済むことです。笑顔で人前に立つことができ、生き返ったような気がしています。】
薬を3種類中止されたにもかかわらず、素晴らしい改善です。
副作用がないので生活の質も良好に保たれとても良かったです。
今後も美味しく楽しく糖質制限食をお続け下さいね。 (^_^)
なお合併症に関して、眼科検診や頸動脈エコーは、念のためしておいたほうがいいと思います
江部康二
今日は、3日間降り続いた雨がからっと上がって、とても良い天気の京都です。
しかし、雨の代わりに黄砂が満開で、東山三十六峰すべて霞がかかっていました。
ヒノキ花粉症が終わって、ほっとしたのも束の間で、黄砂にやられて、のど痛、鼻水、眼痒・・・の人もおられます。
黄砂、恐るべしです。
さて今回は、an さんから、
「糖尿病を患ってから15年間、この10年近くは薬物治療を続けていたのが、糖質制限食で脱却できた。」
という嬉しいコメントをいただきました。
【11/05/12 an
初めまして
江部先生 毎日拝読しております。
いつも興味深い記事をありがとうございます。
生イカ 気をつけます!
さて、私は15年程前から糖尿人で、先生の著書を3冊読んで糖質制限を始めて4週間経ちました。
先生の記事と皆さんのコメントが、大きな力、支えです。
私の症例も何かの参考になればと、恥ずかしながら書かせていただきます。
私は50代女性です。 40歳代はじめに糖尿病と診断され、最初の数年はカロリー制限で「良」そのうち「可」になりベイスンを処方され、それがグルファストに代わり、加えてアクトス、ベスタミオンと毎日3種の薬を服用するに至りました。
最近のHbA1cは 7.37でした。
実は薬の副作用「放屁」「下痢」が私の悩みでした。
私は人前に立つ仕事です。仕事に入ったら逃げ場はありません。
「止まらない放屁」や「急な下痢」は深刻で、主治医に何度訴えても、「そのうち慣れる、しょうがない」と取り合ってもらえず、仕方なく、人前に立つ時間が長い日は、薬をやめてその場をしのぎ、検診前になるとカロリー制限をして薬を飲んで血糖値を下げるという、悪循環を繰り返していました。
そうしながらも毎月ちゃんと病院に通っているのだから、なんとかなるだろうと、甘く考えてもいました。
2ヶ月ほど前 仕事が続いて、薬を飲まないで10日間過ごし、パーティも重なって、計った空腹時血糖値が295で、主治医から、「失明したいんですか???足を切りたいんですか?」と、改めて薬の服用の徹底を厳命されました。
私が糖尿病と診断された時点から15年、栄養指導は最初の一回きりで「1400カロリー内であれば何を食べてもOK、主食はしっかり取りなさい」 診察は、月に一度、靴下の上からむくみを調べ、血圧を測り、検査結果を見て「薬を出しておきます」というだけのものでしたので、急に出た失明や足を切るという言葉に愕然としました。
そこで、真剣に効果的な糖尿病改善法を探していて江部先生の著書とこのブログに出会った次第です。
すぐスーパー糖質制限をはじめ 血糖値測定器も購入しました。
4週間で薬なしで、空腹時血糖が120mgより上がることは少なくなりました。
何よりも嬉しいのが、おなかの調子、おならを気にしなくても済むことです。笑顔で人前に立つことができ、生き返ったような気がしています。
心から感謝しています。
長く無謀な糖尿生活を送ったので、今後、合併症が出てくるのは避けられないのかな?と不安ですが、今後は、江部先生の病院か、糖質制限に理解のある病院での治療を続けるつもりです。
私の経験が何かのお役に立つといいのですが・・・
糖質制限食の普及を心から願って、先生の本を周りに配っています。
先生 どうぞ、お元気でご活躍ください。
長々と失礼しました。】
anさん。
本のご購入ありがとうございます。コメントもありがとうございます。おおいに読者の皆さんの参考になると思います。
ベスタミオンは、ベイスンのジェネリックです。
一番困っておられた「放屁」「下痢」は、ベスタミオンの副作用と考えられます。
病気の治療において「生活の質を保つ」はとても大切なことですので、私は、ベイスンやグルコバイなど、αGI阻害薬で、放屁などの副作用がある程度以上出現したら、中止することを原則としています。
【40歳代はじめに糖尿病と診断され、最初の数年はカロリー制限で「良」そのうち「可」になりベイスンを処方され、それがグルファストに代わり、加えてアクトス、ベスタミオンと毎日3種の薬を服用するに至りました。】
日本糖尿病学会推奨のカロリー制限食は、総摂取カロリーの60%が糖質という高糖質食です。
このような高糖質食を実践すれば、いくらカロリー制限しようが、糖尿病学会推奨の週3日以上の運動(1日に15~30分の運動を2回)をしようが、結局、糖尿病は徐々に確実に進行していきます。
1)<高糖質食摂取→食後高血糖→膵β細胞の障害>
2)<高糖質食摂取→食後高血糖→インスリン抵抗性増大>
3)<高糖質食摂取→食後高血糖→インスリン大量追加分泌→β細胞疲弊>
1)2)3)が悪循環すれば、徐々にインスリン分泌能も低下し、インスリン抵抗性も増していき、インスリン作用は低下し糖尿病は進行・悪化していきます。
このことは、英国の2型糖尿病世界最大の研究であるUKPDSにおいて
「どのような治療をしようとも2型糖尿病は慢性に進行するβ細胞の障害を呈する」
と1998年にすでに報告されています。
すなわち、運動をしようが、薬物療法をしようが、従来のカロリー制限食(高糖質食)を実践する限りは、2型糖尿病は、慢性進行性の膵β細胞不全となっていくのです。
ですから、anさんが、医師や栄養士の指導をしっかり守って、糖尿病治療に努力したとしても、結局徐々に悪化して、「食事療法+運動療法」単独の段階に薬物療法が加わり、さらに薬物の種類も増えていくというパターンとなったのも、しかたのないことなのです。
これはanさんに限らず、ほとんどの患者さんのナチュナルコースです。
私自身の担当していた糖尿病患者さんも、過半数の人で糖質制限食導入前は、遺憾ながら同様の経過で徐々に悪化していました。
このように患者さんがいくら努力しても、「カロリー制限食(高糖質食)」を摂取する限りは、確実に糖尿病は悪化していくわけですから、ひどい話です。 (*_*)
食後高血糖を防いで、この悪循環を断ち切ることができるのは、唯一「糖質制限食」だけです。
【スーパー糖質制限をはじめ 血糖値測定器も購入しました。
4週間で薬なしで、空腹時血糖が120mgより上がることは少なくなりました。
何よりも嬉しいのが、おなかの調子、おならを気にしなくても済むことです。笑顔で人前に立つことができ、生き返ったような気がしています。】
薬を3種類中止されたにもかかわらず、素晴らしい改善です。
副作用がないので生活の質も良好に保たれとても良かったです。
今後も美味しく楽しく糖質制限食をお続け下さいね。 (^_^)
なお合併症に関して、眼科検診や頸動脈エコーは、念のためしておいたほうがいいと思います
江部康二
2011年05月12日 (木)
おはようございます。
昨日、イカの寄生虫の話しを記事にしました。
ホタルイカの生が特に寄生虫に感染しやすいのは、丸ごと食べるので、内部に旋尾線虫Type X(せんびせんちゅう・タイプ・テン)が寄生していても、目では全く見えないので、知らずに食べてしまいます。危険率はとても高いと思います。
埼玉県ホームページ 食品と寄生虫
http://www.pref.saitama.lg.jp/page/spirurina1.html
からの抜粋です。
『生ホタルイカをどうしても生で食べたい方は・・・・・
厚生省は平成12年6月21日付けで生食用のホタルイカの取り扱いと販売に関して、都道府県並びに政令市の衛生主管部長あてに、以下の内容の通達を出しています。
1.生食を行う場合には、-30℃で4日間以上、もしくは-35 ℃(中心温度)で15時間以上、または-40 ℃で
40分以上で凍結する。
2.内臓を除去すること、又は、製品にその旨表示を行うこと。
3.生食用以外の場合は、加熱処理(沸騰水に投入後30秒保持、もしくは中心温度で60℃以上の加熱)を行う
こと。
まとめ
1.旋尾線虫Type Xの幼虫は、皮膚爬行症、腸閉塞などを起こします。
2.市販の生ホタルイカの内臓には、旋尾線虫Type Xの幼虫が生きた状態で寄生しています。
3.生食する場合は内臓を取り除くか、前述の条件で凍結することによって感染は予防できます。』
ホタルイカに比べて、普通のイカの刺身は、実は私も日常的に良く食べています。
しかし、いまだかってアニサキスにやられたことはありません。
これはイカや白身魚に寄生しているアニサキスの幼虫は、体長1~2~3cmあるので、洗ったり刺身にする段階で、基本的にほとんどチェックされる可能性が高いからと思われます。
たら、鯖、いか、あじ・・・内臓を取り去れば、絶対安全かというと、それ以外にも寄生しているので完全とは言えません。
厚生労働省の資料によると、日本におけるアニサキス症の発生数は、1年間に少なくとも2,000~3,000名以上とのことです。
まあ、注意するにこしたことはありませんが、私個人としては、イカやあじの刺身は大好きでこれからも食べます。ホタルイカの生は食べません。
江部康二
昨日、イカの寄生虫の話しを記事にしました。
ホタルイカの生が特に寄生虫に感染しやすいのは、丸ごと食べるので、内部に旋尾線虫Type X(せんびせんちゅう・タイプ・テン)が寄生していても、目では全く見えないので、知らずに食べてしまいます。危険率はとても高いと思います。
埼玉県ホームページ 食品と寄生虫
http://www.pref.saitama.lg.jp/page/spirurina1.html
からの抜粋です。
『生ホタルイカをどうしても生で食べたい方は・・・・・
厚生省は平成12年6月21日付けで生食用のホタルイカの取り扱いと販売に関して、都道府県並びに政令市の衛生主管部長あてに、以下の内容の通達を出しています。
1.生食を行う場合には、-30℃で4日間以上、もしくは-35 ℃(中心温度)で15時間以上、または-40 ℃で
40分以上で凍結する。
2.内臓を除去すること、又は、製品にその旨表示を行うこと。
3.生食用以外の場合は、加熱処理(沸騰水に投入後30秒保持、もしくは中心温度で60℃以上の加熱)を行う
こと。
まとめ
1.旋尾線虫Type Xの幼虫は、皮膚爬行症、腸閉塞などを起こします。
2.市販の生ホタルイカの内臓には、旋尾線虫Type Xの幼虫が生きた状態で寄生しています。
3.生食する場合は内臓を取り除くか、前述の条件で凍結することによって感染は予防できます。』
ホタルイカに比べて、普通のイカの刺身は、実は私も日常的に良く食べています。
しかし、いまだかってアニサキスにやられたことはありません。
これはイカや白身魚に寄生しているアニサキスの幼虫は、体長1~2~3cmあるので、洗ったり刺身にする段階で、基本的にほとんどチェックされる可能性が高いからと思われます。
たら、鯖、いか、あじ・・・内臓を取り去れば、絶対安全かというと、それ以外にも寄生しているので完全とは言えません。
厚生労働省の資料によると、日本におけるアニサキス症の発生数は、1年間に少なくとも2,000~3,000名以上とのことです。
まあ、注意するにこしたことはありませんが、私個人としては、イカやあじの刺身は大好きでこれからも食べます。ホタルイカの生は食べません。
江部康二
2011年05月11日 (水)
おはようございます。
「生肉として流通実績があるのは馬肉だけある。牛肉と鶏肉は生食用は存在しない。」
ということを、ブログ記事で書きました。
牛肉と鶏肉は、生食用は存在しないので、基本的に生食はありえないということですね。
今回は、生肉ではないのですが、イカの寄生虫のお話しです。
先日、小料理屋さんで、富山産の生のホタルイカが出てきました。
お店には悪いと思ったのですが、ボイルして出し直してもらいました。
実は、取れたての生のホタルイカには、旋尾線虫Type X(せんびせんちゅう・タイプ・テン)という寄生虫が、結構な確率で寄生しているのです。
富山県民は、決して取れたての生のホタルイカは食べないと言います。
このホタルイカの寄生虫については、
埼玉県ホームページ 食品と寄生虫
http://www.pref.saitama.lg.jp/page/spirurina1.html
に詳しいので、読者の皆さんも一度ご覧頂ければと思います。
ホタルイカ以外にも、イカにつく寄生虫があります。
ご存じの方も多いかと思いますが、アニサキスという寄生虫です。
アニサキスは、くじら、いるかの腸内では、成虫が共生しています。
人に感染するときは幼虫なので体長2~3cmで
くじらの排泄物→オキアミ→たら.鯖.いか.あじ→ヒト
のルートで感染します。
アニサキスが胃壁にもぐり込もうとすると、激しい胃痛を生じます。小腸の壁にもぐろうとしたら、腸閉塞と間違われるほどの腹痛を起こします。
腹痛・胃痛などの症状は、アニサキスの虫体に対するアレルギー反応のこともあります。
ほっておけば2~3日で死んでしまい(もちろん虫のほうですよ!)症状も治ります。
胃の場合は、内視鏡で引っぱり出すこともできます。
だいぶ前になりますが、俳優の森繁久弥氏が腸閉塞の診断のもとに手術したら、小腸にアニサキスが発見されたことがありましたね。
アニサキスの幼虫は、摂氏60度以上で数分間加熱すれば死滅し、厚生労働省医薬食品局食品安全部によれば冷凍でも-20度以下24時間以上冷凍すると死滅するとされています。
業務用の冷凍庫は-50度ていどなので大丈夫ですが、家庭用の冷蔵庫での冷凍では、安全圏とは言い難いです。
ブログ読者の皆さん、イカを生で食べるときは、
「-20度以下24時間以上冷凍」
で処理済みかどうかだけは確認してくださいね。
江部康二
「生肉として流通実績があるのは馬肉だけある。牛肉と鶏肉は生食用は存在しない。」
ということを、ブログ記事で書きました。
牛肉と鶏肉は、生食用は存在しないので、基本的に生食はありえないということですね。
今回は、生肉ではないのですが、イカの寄生虫のお話しです。
先日、小料理屋さんで、富山産の生のホタルイカが出てきました。
お店には悪いと思ったのですが、ボイルして出し直してもらいました。
実は、取れたての生のホタルイカには、旋尾線虫Type X(せんびせんちゅう・タイプ・テン)という寄生虫が、結構な確率で寄生しているのです。
富山県民は、決して取れたての生のホタルイカは食べないと言います。
このホタルイカの寄生虫については、
埼玉県ホームページ 食品と寄生虫
http://www.pref.saitama.lg.jp/page/spirurina1.html
に詳しいので、読者の皆さんも一度ご覧頂ければと思います。
ホタルイカ以外にも、イカにつく寄生虫があります。
ご存じの方も多いかと思いますが、アニサキスという寄生虫です。
アニサキスは、くじら、いるかの腸内では、成虫が共生しています。
人に感染するときは幼虫なので体長2~3cmで
くじらの排泄物→オキアミ→たら.鯖.いか.あじ→ヒト
のルートで感染します。
アニサキスが胃壁にもぐり込もうとすると、激しい胃痛を生じます。小腸の壁にもぐろうとしたら、腸閉塞と間違われるほどの腹痛を起こします。
腹痛・胃痛などの症状は、アニサキスの虫体に対するアレルギー反応のこともあります。
ほっておけば2~3日で死んでしまい(もちろん虫のほうですよ!)症状も治ります。
胃の場合は、内視鏡で引っぱり出すこともできます。
だいぶ前になりますが、俳優の森繁久弥氏が腸閉塞の診断のもとに手術したら、小腸にアニサキスが発見されたことがありましたね。
アニサキスの幼虫は、摂氏60度以上で数分間加熱すれば死滅し、厚生労働省医薬食品局食品安全部によれば冷凍でも-20度以下24時間以上冷凍すると死滅するとされています。
業務用の冷凍庫は-50度ていどなので大丈夫ですが、家庭用の冷蔵庫での冷凍では、安全圏とは言い難いです。
ブログ読者の皆さん、イカを生で食べるときは、
「-20度以下24時間以上冷凍」
で処理済みかどうかだけは確認してくださいね。
江部康二
2011年05月10日 (火)
こんにちは
日本人は欧米人に比べ、基礎分泌も食後の追加分泌も、共にインスリン分泌能が低いとされてきました。
しかし、広島大学が昭和45年から継続中の疫学研究
「ハワイ・ロサンゼルス・広島医学調査」
によると、生活習慣や環境が変われば、インスリン分泌能も上昇することがわかりました。
1998年、医学雑誌・糖尿病に載った論文によれば、広島県在住の日本人7,334例とハワイ在住の日系米国人3,367例の75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)におけるインスリン分泌量を比較したところ、同じ遺伝的背景因子を持ちながら、ハワイ在住の日系米国人の空腹時および食後30分、60分、2時間におけるインスリン分泌量は、広島県在住の日本人よりも、基礎分泌、追加分泌とも倍くらいあり、欧米人並みの量ありました。
これは、おそらく肥満などによるインスリン抵抗性を代償するための、インスリン過剰分泌であり、決して好ましいものではありません。
事実、ハワイ在住の日系米国人は、広島在住の日本人より、糖尿病罹患率も多いです。
これは、インスリン抵抗性が主たる原因の欧米型の糖尿病と思われ、インスリン分泌能はまだ残っており、従来のインスリン分泌能が低下する日本型糖尿病とは違うと考えられます。
肥満も日系米国人が多く、インスリン抵抗性増大の原因となっています。
インスリン抵抗性があればインスリン分泌量は増加し、肥満ホルモンであるインスリンが増加するとますます肥満して悪循環します。
小児期から肥満があれば、インスリン抵抗性がでてくるので、それに対抗してインスリン分泌能が増加していった可能性があります。
インスリンは必要最低限あればよく、大量に分泌されれば様々な生活習慣病のもととなるので、日系米国人は高インスリン血症というリスクを背負っていることとなります。
炭水化物の摂取比率は、米国日系二世の2002年の報告で49.9%です。
全米の男性の総摂取カロリーに対する比率は
1971年→2000年
炭水化物 42.4 →49.0%
脂質 36.9 →32.8%
ですから、ハワイの日系二世の炭水化物摂取比率も、全米平均とほとんど同じです。
この間、米国民の肥満と糖尿病は、この30年で激増ですが、欧米人に比しアジア人の方が糖尿病になりやすいことも指摘されています。
2009年1月、大阪で開かれた「食事・栄養と糖尿病、口腔保健推進セミナー」(主催・サンスター歯科保健振興財団、ハーバード大学医学部附属ジョスリン糖尿病センター)において、ジョスリン糖尿病センターのウィリアム・C・シュー氏が講演しました。
以下は同セミナーの資料から抜粋しました。
【米国でのアジア系米人の2型糖尿病の発症率の高さに触れ、
「軽度のβ細胞機能不全でも、インスリン抵抗性が進展してしまう日系、アジア人の遺伝的素因が、肥満などを呈する環境の変化によって顕在化してくる」
と説明した。
また、シアトルの日系2世調査では、糖尿病が16~20%の発症率を示し、3世ではさらに増加。
中心性肥満、腹部肥満といった指標の方がBMI(体格指数、体重÷身長の2乗)よりもインスリン抵抗性糖尿病の発症を予測できることを明らかにした。】
日本人やアジア人は、肥満によるインスリン抵抗性が欧米人より進展しやすく、その分糖尿病を発症しやすいようです。
米国では1971年から2000年にかけての30年間で、
脂質摂取比率は、36.9%から32.8%に減少
炭水化物摂取比率は、42.4%から49.0%に増加
肥満率は、14.5%から30.9%に倍増以上です。
米国のデータからは、肥満のもとは、精製炭水化物の頻回・過剰摂取摂取であることは明らかです。
肥満の改善・予防には糖質制限食ですね。
江部康二
日本人は欧米人に比べ、基礎分泌も食後の追加分泌も、共にインスリン分泌能が低いとされてきました。
しかし、広島大学が昭和45年から継続中の疫学研究
「ハワイ・ロサンゼルス・広島医学調査」
によると、生活習慣や環境が変われば、インスリン分泌能も上昇することがわかりました。
1998年、医学雑誌・糖尿病に載った論文によれば、広島県在住の日本人7,334例とハワイ在住の日系米国人3,367例の75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)におけるインスリン分泌量を比較したところ、同じ遺伝的背景因子を持ちながら、ハワイ在住の日系米国人の空腹時および食後30分、60分、2時間におけるインスリン分泌量は、広島県在住の日本人よりも、基礎分泌、追加分泌とも倍くらいあり、欧米人並みの量ありました。
これは、おそらく肥満などによるインスリン抵抗性を代償するための、インスリン過剰分泌であり、決して好ましいものではありません。
事実、ハワイ在住の日系米国人は、広島在住の日本人より、糖尿病罹患率も多いです。
これは、インスリン抵抗性が主たる原因の欧米型の糖尿病と思われ、インスリン分泌能はまだ残っており、従来のインスリン分泌能が低下する日本型糖尿病とは違うと考えられます。
肥満も日系米国人が多く、インスリン抵抗性増大の原因となっています。
インスリン抵抗性があればインスリン分泌量は増加し、肥満ホルモンであるインスリンが増加するとますます肥満して悪循環します。
小児期から肥満があれば、インスリン抵抗性がでてくるので、それに対抗してインスリン分泌能が増加していった可能性があります。
インスリンは必要最低限あればよく、大量に分泌されれば様々な生活習慣病のもととなるので、日系米国人は高インスリン血症というリスクを背負っていることとなります。
炭水化物の摂取比率は、米国日系二世の2002年の報告で49.9%です。
全米の男性の総摂取カロリーに対する比率は
1971年→2000年
炭水化物 42.4 →49.0%
脂質 36.9 →32.8%
ですから、ハワイの日系二世の炭水化物摂取比率も、全米平均とほとんど同じです。
この間、米国民の肥満と糖尿病は、この30年で激増ですが、欧米人に比しアジア人の方が糖尿病になりやすいことも指摘されています。
2009年1月、大阪で開かれた「食事・栄養と糖尿病、口腔保健推進セミナー」(主催・サンスター歯科保健振興財団、ハーバード大学医学部附属ジョスリン糖尿病センター)において、ジョスリン糖尿病センターのウィリアム・C・シュー氏が講演しました。
以下は同セミナーの資料から抜粋しました。
【米国でのアジア系米人の2型糖尿病の発症率の高さに触れ、
「軽度のβ細胞機能不全でも、インスリン抵抗性が進展してしまう日系、アジア人の遺伝的素因が、肥満などを呈する環境の変化によって顕在化してくる」
と説明した。
また、シアトルの日系2世調査では、糖尿病が16~20%の発症率を示し、3世ではさらに増加。
中心性肥満、腹部肥満といった指標の方がBMI(体格指数、体重÷身長の2乗)よりもインスリン抵抗性糖尿病の発症を予測できることを明らかにした。】
日本人やアジア人は、肥満によるインスリン抵抗性が欧米人より進展しやすく、その分糖尿病を発症しやすいようです。
米国では1971年から2000年にかけての30年間で、
脂質摂取比率は、36.9%から32.8%に減少
炭水化物摂取比率は、42.4%から49.0%に増加
肥満率は、14.5%から30.9%に倍増以上です。
米国のデータからは、肥満のもとは、精製炭水化物の頻回・過剰摂取摂取であることは明らかです。
肥満の改善・予防には糖質制限食ですね。
江部康二
2011年05月09日 (月)
こんばんは。
今回はゆかぶぅさんから、ブドウ糖負荷後の血糖値の変化についてコメント・質問をいただきました。
【11/05/09 ゆかぶぅ
いつもブログ拝見してます。
以前、糖質制限食での糖質の摂取量について質問させて頂いた、ゆかぶぅと申します。
糖質制限を初めて9ヶ月経ちました。相変わらず甘い物への執着が絶ちきれず、先生のアドバイス通り、食事の糖質量を減らして食後に一口サイズのチョコ等を食べてしのいでます。
先日、友人からブドウ糖を頂いたので、自宅で75gを摂取し、血糖値の推移を見てみました。
1gの糖質が、自分の場合どれ位血糖値を上げるのかを知りたかったのです。
10時間以上の絶食後、午前10時から始めました。
空腹時 81
負荷後30分 162
負荷後1時間 184
負荷後1時間30分 145
負荷後2時間 128
だんだん下がって来たなぁと思っていたのですが
負荷後3時間 140
と、再び上昇
この後、更に測定しようと思っていたもののウトウトしてしまい、目が覚めた午後2時30分に再び測定
負荷後4時間30分 59
という結果でした。
病院での正式な検査ではないので正確性に欠ける点もあるのと、自己測定器での測定には誤差があるという事も理解した上で、府に落ちない点があるので質問させて下さい。
糖質制限を始める前に、カレーライスを食べて血糖値の推移を見た時も、同じような数値で推移し、3時間値が2時間値よりも高くなった記憶があります。
これはどのような現象なんでしょうか?
もうひとつは、4時間30分後の値が59と低いのは、機能性低血糖という事でしょうか?
更に疑問なのは、59という低さにも関わらず、特に低血糖らしき症状もなく元気だった事です。
3時間値を測定したあとにウトウトと眠ってしまっているので、もしかしたらこの時点で59よりも低値だった為に眠気に襲われた可能性もありますが。
それにしても59というのは低いと感じるのですが、これぐらいなら皆さんあまり症状は出ないものなんでしょうか?
以前このブログで先生が「断食中に血糖値が35まで低下しても普通に診察していた。脳がケトン体を利用していた為ではないか。」と書いておられた記憶があるので、私もそうなのかな?と勝手に思ったりしてますが。
職業柄、外食をする機会はあまりないのですが、それでも時々断れずに糖質を摂取してしまう事はあります。
今回は無症状でしたが、外出先で低血糖症状が出てしまうのは怖いです。だからと言って糖質制限をしている身で、低血糖だからと糖質を摂取してしまうのもいけない気がします。
低血糖の症状が出た場合、糖質制限的にはどの様な対処をするのが適切なのでしょうか?
いくつも質問してしまい、申し訳ありません。アドバイス頂けたら嬉しいです。】
ゆかぶぅさん。
75gブドウ糖負荷後1時間血糖値が184mg/dlと180mgを超えていますので、将来糖尿病になりやすいタイプです。今から、緩くてもいいので糖質制限食で予防されるのが賢明ですね。
空腹時 81
負荷後30分 162
負荷後1時間 184
負荷後1時間30分 145
負荷後2時間 128
負荷後3時間 140
負荷後4時間30分 59
負荷後2時間で一旦、128mgまで低下したのに、負荷後3時間で140mgに再上昇したのは、インスリン追加分泌第2相の、血糖値とのマッチングが良くないのでしょうね。
つまり、負荷後2時間128mgの時のインスリンの量が少し不足気味であり、負荷後3時間でまた140mgに上昇したのだと思います。
そして、負荷後3時間140mgのときに、今度はインスリンが過剰に分泌されて、負荷後4時間30分59mgまで低下したものと思われます。
【3時間値を測定したあとにウトウトと眠ってしまっているので、もしかしたらこの時点で59よりも低値だった為に眠気に襲われた可能性もありますが。】
仰有る通り、59mg以下の低血糖であった可能性もあります。
または、このとき急速に血糖値が下がった可能性があります。
1時間で50mg以上下がると、60mg/dl以上あって低血糖でなくても、眠気がくることがあります。
【59mgというのは低いと感じるのですが、これぐらいなら皆さんあまり症状は出ないものなんでしょうか?】
確かに、通常は60mg/dl以下であると、低血糖と診断されます。
しかし、ゆかぶぅさんと同様、50~60mg/dlくらいでも、全く元気な人もおられます。
低血糖症状がでるかでないかは、個人差が大きいですね。
過半数の人は、日、血糖が50~60~70mg/dl未満になると、脳の機能が低下してきます。
あくび、空腹感、無気力、倦怠感、計算力減退・・・さらに進んで、血糖値が30mg/dl以下になると異常行動、意識喪失、けいれん、昏睡などが生じ、生命の危険があります。
【低血糖の症状が出た場合糖質制限的にはどの様な対処をするのが適切なのでしょうか 】
糖質制限食を実践していれば、食後高血糖はほとんどないので、インスリン追加分泌もほとんどなく、低血糖になることはありません。
今回のゆかぶぅさんの場合も、75gのブドウ糖という大量の糖質を摂取したから、起きた出来事です。外食でも大量の糖質を摂取しなければ大丈夫です。
万一、本当に低血糖が生じたならば、その時はブドウ糖内服、またはブドウ糖・砂糖入り飲料などを飲むことはかまいません。
なお、ケトン体に関しては、75gのブドウ糖を摂取すれば、血中ケトン体は急速に低下して基準値内の低値になります。
私が断食中に脳が、ケトン体(基準値の20倍程度の血中濃度)利用していた場合とは異なります。
江部康二
今回はゆかぶぅさんから、ブドウ糖負荷後の血糖値の変化についてコメント・質問をいただきました。
【11/05/09 ゆかぶぅ
いつもブログ拝見してます。
以前、糖質制限食での糖質の摂取量について質問させて頂いた、ゆかぶぅと申します。
糖質制限を初めて9ヶ月経ちました。相変わらず甘い物への執着が絶ちきれず、先生のアドバイス通り、食事の糖質量を減らして食後に一口サイズのチョコ等を食べてしのいでます。
先日、友人からブドウ糖を頂いたので、自宅で75gを摂取し、血糖値の推移を見てみました。
1gの糖質が、自分の場合どれ位血糖値を上げるのかを知りたかったのです。
10時間以上の絶食後、午前10時から始めました。
空腹時 81
負荷後30分 162
負荷後1時間 184
負荷後1時間30分 145
負荷後2時間 128
だんだん下がって来たなぁと思っていたのですが
負荷後3時間 140
と、再び上昇
この後、更に測定しようと思っていたもののウトウトしてしまい、目が覚めた午後2時30分に再び測定
負荷後4時間30分 59
という結果でした。
病院での正式な検査ではないので正確性に欠ける点もあるのと、自己測定器での測定には誤差があるという事も理解した上で、府に落ちない点があるので質問させて下さい。
糖質制限を始める前に、カレーライスを食べて血糖値の推移を見た時も、同じような数値で推移し、3時間値が2時間値よりも高くなった記憶があります。
これはどのような現象なんでしょうか?
もうひとつは、4時間30分後の値が59と低いのは、機能性低血糖という事でしょうか?
更に疑問なのは、59という低さにも関わらず、特に低血糖らしき症状もなく元気だった事です。
3時間値を測定したあとにウトウトと眠ってしまっているので、もしかしたらこの時点で59よりも低値だった為に眠気に襲われた可能性もありますが。
それにしても59というのは低いと感じるのですが、これぐらいなら皆さんあまり症状は出ないものなんでしょうか?
以前このブログで先生が「断食中に血糖値が35まで低下しても普通に診察していた。脳がケトン体を利用していた為ではないか。」と書いておられた記憶があるので、私もそうなのかな?と勝手に思ったりしてますが。
職業柄、外食をする機会はあまりないのですが、それでも時々断れずに糖質を摂取してしまう事はあります。
今回は無症状でしたが、外出先で低血糖症状が出てしまうのは怖いです。だからと言って糖質制限をしている身で、低血糖だからと糖質を摂取してしまうのもいけない気がします。
低血糖の症状が出た場合、糖質制限的にはどの様な対処をするのが適切なのでしょうか?
いくつも質問してしまい、申し訳ありません。アドバイス頂けたら嬉しいです。】
ゆかぶぅさん。
75gブドウ糖負荷後1時間血糖値が184mg/dlと180mgを超えていますので、将来糖尿病になりやすいタイプです。今から、緩くてもいいので糖質制限食で予防されるのが賢明ですね。
空腹時 81
負荷後30分 162
負荷後1時間 184
負荷後1時間30分 145
負荷後2時間 128
負荷後3時間 140
負荷後4時間30分 59
負荷後2時間で一旦、128mgまで低下したのに、負荷後3時間で140mgに再上昇したのは、インスリン追加分泌第2相の、血糖値とのマッチングが良くないのでしょうね。
つまり、負荷後2時間128mgの時のインスリンの量が少し不足気味であり、負荷後3時間でまた140mgに上昇したのだと思います。
そして、負荷後3時間140mgのときに、今度はインスリンが過剰に分泌されて、負荷後4時間30分59mgまで低下したものと思われます。
【3時間値を測定したあとにウトウトと眠ってしまっているので、もしかしたらこの時点で59よりも低値だった為に眠気に襲われた可能性もありますが。】
仰有る通り、59mg以下の低血糖であった可能性もあります。
または、このとき急速に血糖値が下がった可能性があります。
1時間で50mg以上下がると、60mg/dl以上あって低血糖でなくても、眠気がくることがあります。
【59mgというのは低いと感じるのですが、これぐらいなら皆さんあまり症状は出ないものなんでしょうか?】
確かに、通常は60mg/dl以下であると、低血糖と診断されます。
しかし、ゆかぶぅさんと同様、50~60mg/dlくらいでも、全く元気な人もおられます。
低血糖症状がでるかでないかは、個人差が大きいですね。
過半数の人は、日、血糖が50~60~70mg/dl未満になると、脳の機能が低下してきます。
あくび、空腹感、無気力、倦怠感、計算力減退・・・さらに進んで、血糖値が30mg/dl以下になると異常行動、意識喪失、けいれん、昏睡などが生じ、生命の危険があります。
【低血糖の症状が出た場合糖質制限的にはどの様な対処をするのが適切なのでしょうか 】
糖質制限食を実践していれば、食後高血糖はほとんどないので、インスリン追加分泌もほとんどなく、低血糖になることはありません。
今回のゆかぶぅさんの場合も、75gのブドウ糖という大量の糖質を摂取したから、起きた出来事です。外食でも大量の糖質を摂取しなければ大丈夫です。
万一、本当に低血糖が生じたならば、その時はブドウ糖内服、またはブドウ糖・砂糖入り飲料などを飲むことはかまいません。
なお、ケトン体に関しては、75gのブドウ糖を摂取すれば、血中ケトン体は急速に低下して基準値内の低値になります。
私が断食中に脳が、ケトン体(基準値の20倍程度の血中濃度)利用していた場合とは異なります。
江部康二
2011年05月08日 (日)

こんにちは。
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」(ナツメ社)
最新刊として2010年12月出版しました。
今回はレシピ集ではなく、理論篇に属する最新の本です。
おかげさまで、第4刷となりました。
アマゾンのレビュー
http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4816349960/ref=dp_db_cm_cr_acr_txt?ie=UTF8&showViewpoints=1
楽天のレビュー
http://review.rakuten.co.jp/rd/2_213310_14198947_0/
でも好評です。
糖質制限食や糖尿病関連の最新情報が満載ですので、是非ご一読くださいね。
最新糖質制限食理論、症例、図表、食材のカラー写真・・・、糖尿病・妊娠糖尿病の最新の診断基準・・・Q&Aなど、わかりやすくて豊富な内容となったと自負しています。
特徴として、巻頭に、ブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」の記事にさせていただいたコメントと私の回答を、個人情報が特定できないように一部加工して、10症例報告しています。
コメントいただいた皆さんにはこの場を借りて、御礼申し上げます。m(_ _)mVV
以下は「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」(ナツメ社)の、「はじめに」です。
☆☆☆
はじめに
2005年1月に日本初の糖質制限食の本「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)を出版してから、5年の歳月が経過しました。幸い16刷と版を重ねており、糖質制限食が日本に広がるきっかけになったと嬉しく思っています。糖質制限食関連の私の本も著書・共著・監修含めて合計14冊に達しましたが、本書が15冊目です。当初はほぼ孤立無援の戦いでしたが、この間糖質制限食に理解を示す医師や栄養士も明らかに増えています。医学雑誌「治療」に2009年4月、「内科」に2010年1月、糖質制限食関連の小論文を執筆させていただいたのもその現れとありがたく思っています。2007年2月から、ブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」を開始したことも、それなりの効果があったと思います。本書の内容にはブログ記事からの引用もあり、ブログ読者の皆さんにはこの場を借りて御礼申し上げます。2010年10月現在で、1日に5000~7000件のアクセスがある人気ブログとなっていて、これも嬉しい限りです。ほぼ毎日ブログ更新していますので、祇園あたりに飲みにいく機会が激減して、健康にも財布にも非常に良い副次効果が出ています。さて糖質制限食の理論面において、2009年に一つ大きな変化がありました。正確には2004年に米国であった変化に、私が気がついたのが2009年ということです。すなわち、米国糖尿病協会によれば食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わり、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。糖質は摂取直後から急峻に血糖値を上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方蛋白質・脂質は血糖値に影響をあたえません。1997年版の米国糖尿病協会の見解では「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」という記載がありましたが、2004年版では削除されています。これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質であり、現在動脈硬化の元凶として問題とされているグルコーススパイク(食後高血糖)を引き起こすのは3大栄養素の中で糖質だけです。従って糖質を摂取しなければ食後高血糖は生じず、血糖値はリアルタイムに改善します。一方カロリー制限をしても糖質を摂取すれば必ず食後高血糖を生じます。このような重要な生理学的知識ですが、欧米では医師も看護師も栄養士も糖尿病患者さんも皆知っています。日本では医師でさえも、ほとんどの人が知らないのが現状ですので、まさにガラパゴス状態でおおいに問題です。また英国の栄養学の大著、ヒューマン・ニュートリションにも『現代の食事では、中略、デンプンや遊離糖に由来する「利用されやすいグルコース」を大量に摂取するようになっている。このような食事内容は血漿グルコースおよびインスリン値の定期的な上昇をもたらし、糖尿病、冠状動脈疾患、がん、老化等、多くの点で健康に有害であることが強く指摘されている。農業の発明以来、ヒトは穀物をベースとした食物を摂取するようになったが、進化に要する時間の尺度は長く、ヒトの消化管はまだ穀物ベースの食物に適応していない。ましてや高度に加工された現代の食物に対して、到底適応しきれてないのである。』と記載されていて、私の提唱しているグルコースミニスパイク論に根拠を与えるものであり、心強い限りです。さらに、戦後日本で糖質摂取が減り続け、脂質摂取が増え続けたという定説も間違いであり、単なる神話に過ぎなかったことも本書であきらかにしています。本書には2010年現在の糖質制限食の最新知識が網羅されています。是非ご一読いただけば幸いです。
*Life With Diabetes:A Siries of Teaching Outlines by the Michigan Diabetes Research and Training Center,American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004
*ヒューマン・ニュートリション基礎・食事・臨床(第10版):75、JS Garrow 、WPT james、A Ralph 編、日本語版監修、細谷憲政.2004
江部康二
2011年05月07日 (土)
こんにちは。
今回は、ジロリアンさんから、ラーメン実験と機能性低血糖という興味深いコメントを頂きました。
【11/05/07 ジロリアン
江部先生お久しぶりです。
コメントさせて頂くのは昨年の3月3日ぶりです。
先生と出会い、スーパー糖質制限食によって 血糖コントロールが良好となり、体も絶好調で お酒を大量に飲んでも、翌日は二日酔いがありません。
まぁ、大量に飲んではいけないのでしょうが、 体が調子が良いからか量が飲めてしまうのです。
でも、気をつけないといけませんよね。
さて今回、スーパー糖質制限食1年4ヶ月になり、 久々に自分の体で人体実験をしてみました。
大好きだったラーメンを食べて血糖値を測定してみたのです。
麺が約300gのものを食べました。
食前血糖値 98mg
食後30分 143mg
食後1時間 241mg
食後2時間 249mg
食後3時間 60mg
食後4時間 174mg
食後7時間 223mg
食後3時間で急激に血糖値が下がっています。
この時、急に体が怠くなり、脂汗が出て震えも来ました。
両足の膝から下に痺れのような感覚もありました。
血糖値がこれ以上下がったら危ないと思い、 効果の程は分かりませんが、 飴を一つ食べてから、フラつくので寝ていました。
しばらくして体が楽になったので血糖値を計ると174mgでした。
ラーメンを食べてからは何も食べていないのに 食後7時間でも200mgオーバーとは 精製炭水化物恐るべしです。
実は、糖質制限食を始めてから ラーメンを食べるのは今回が3回目なのですが、 今まで、低血糖の症状はありませんでした。 ですので今回の低血糖症状は少し驚きで 糖質は危険であると再認識した次第です。】
ジロリアン さん。
お久しぶりです。
スーパー糖質制限食で血糖コントロールが良好、良かったです。
本日は貴重な実験報告、ありがとうございました。
ゆでた麺が約300gなら、糖質含有量は83.6gです。
食前血糖値 98mg
食後30分 143mg
食後1時間 241mg
食後2時間 249mg
食後3時間 60mg
食後4時間 174mg
食後7時間 223mg
1gの糖質が約3mg血糖値を上昇させるとして、83.6gなら250mg上昇で、<98+250=348>
ピークの食後血糖値は348mgになってもおかしくないので、それなりに内因性のインスリン追加分泌が出ているようです。
食後30分143mgなので、追加分泌インスリンの第1相は、血糖値上昇を45mgに抑える程度には出ています。
一方、追加分泌インスリンの第2相は出遅れて、食後1時間241mg、食後2時間 249mgと、それぞれ143mg、151mgの上昇です。
出遅れた追加分泌インスリンが、その分遷延して出続けるので、食後3時間60mgと一気に下降しています。そのため機能性低血糖の症状が生じています。
2型糖尿人における、典型的な機能性低血糖パターンです。
ただ、インスリン分泌能が、もっと衰えてしまった2型糖尿病なら、低血糖が生じるほどインスリンを分泌できませんので、ジロリアンさんは、まあまあ糖尿人としては軽くて良かったと言えますね。
「食後4時間174mg、食後7時間223mg」
飴1個にしては、血糖値が上がりすぎですね。
また糖質そのものの吸収は、数分から2時間で終了ですので、ゆでた麺が約300g(糖質含有量83.6g)が、7時間後まで影響を及ぼすことはないと思います。
食後4時間と7時間の血糖値の上昇は、低血糖に対して生体が一生懸命反応して、血糖上昇作用のあるグルカゴン、アドレナリン、副腎皮質ホルモンが結構大量に分泌されて、肝臓の糖新生も亢進したのでしょうね。
ともあれ、これだけのことを起こすわけですから
「精製炭水化物恐るべし」
ですね。
江部康二
☆☆☆インスリン
インスリンは人体で唯一血糖値を下げるホルモンで、膵臓のランゲルハンス島のβ細胞でつくられ分泌されます。
24時間少量持続的にでている基礎分泌のインスリンと、食後血糖値が上昇したときにその10~20倍の量が出る追加分泌のインスリンがあります。
基礎分泌のインスリンの量では、筋肉・脂肪細胞などの糖輸送体*Glut4は、細胞内部に沈んでいるのでほとんど血糖を取り込むことができません。
糖質を摂取し血糖値が急上昇しインスリンが大量に追加分泌されると、Glut4が細胞表面に移動し、筋肉・脂肪細胞が血糖を取り込みます。
このとき余った血糖が中性脂肪に変わるので、インスリンは別名肥満ホルモンと呼ばれています。
追加分泌のインスリンには、即分泌される第1相と少し遅れて出る第2相があります。正常人は、血糖値が上昇し始めたら即インスリンが追加分泌されます。
この第1相反応は、もともとプールされていたインスリンが5~10分間分泌されて、糖質摂取時の急激な食後高血糖を防いでいます。
その後、膵臓のベータ細胞は、第2相反応と呼ばれるやや少なめの持続するインスリン分泌を行います。
これは、食事における糖質の残りをカバーしています。即ち、糖質を摂取している間は、第2相のインスリン分泌が持続します。
2型糖尿病患者は、通常、第1相反応が低下或いはなくなっていることが多いようです。従って、糖質摂取時に血糖値の急激な上昇(グルコーススパイク)が起きてしまいます。
また、第二相も低下していることが多いので、糖質を摂取する限り、一旦上昇した血糖値はなかなか下がってきません。
糖質制限食ならば、食後高血糖はほとんど生じません。従って、追加分泌インスリンは、ごく少量ですみます。
(*)
糖輸送体(Glut:glucose transporter)
ブドウ糖が細胞膜を通過して細胞内に取り込まれるためには、グルコーストランスポーター(糖輸送体)と呼ばれる膜蛋白が必要です。
Glut1~Glut14まで報告されています。
Glut1(脳、赤血球、網膜などの糖輸送体)はインスリン非依存性で、常に細胞の表面にあり、血流さえあればすぐに血糖を取り込めます。
Glut2(肝臓、膵臓のβ細胞などの糖輸送体)はインスリン非依存性です。
Glut4(筋肉細胞、脂肪細胞の糖輸送体)はインスリン依存性です。
今回は、ジロリアンさんから、ラーメン実験と機能性低血糖という興味深いコメントを頂きました。
【11/05/07 ジロリアン
江部先生お久しぶりです。
コメントさせて頂くのは昨年の3月3日ぶりです。
先生と出会い、スーパー糖質制限食によって 血糖コントロールが良好となり、体も絶好調で お酒を大量に飲んでも、翌日は二日酔いがありません。
まぁ、大量に飲んではいけないのでしょうが、 体が調子が良いからか量が飲めてしまうのです。
でも、気をつけないといけませんよね。
さて今回、スーパー糖質制限食1年4ヶ月になり、 久々に自分の体で人体実験をしてみました。
大好きだったラーメンを食べて血糖値を測定してみたのです。
麺が約300gのものを食べました。
食前血糖値 98mg
食後30分 143mg
食後1時間 241mg
食後2時間 249mg
食後3時間 60mg
食後4時間 174mg
食後7時間 223mg
食後3時間で急激に血糖値が下がっています。
この時、急に体が怠くなり、脂汗が出て震えも来ました。
両足の膝から下に痺れのような感覚もありました。
血糖値がこれ以上下がったら危ないと思い、 効果の程は分かりませんが、 飴を一つ食べてから、フラつくので寝ていました。
しばらくして体が楽になったので血糖値を計ると174mgでした。
ラーメンを食べてからは何も食べていないのに 食後7時間でも200mgオーバーとは 精製炭水化物恐るべしです。
実は、糖質制限食を始めてから ラーメンを食べるのは今回が3回目なのですが、 今まで、低血糖の症状はありませんでした。 ですので今回の低血糖症状は少し驚きで 糖質は危険であると再認識した次第です。】
ジロリアン さん。
お久しぶりです。
スーパー糖質制限食で血糖コントロールが良好、良かったです。
本日は貴重な実験報告、ありがとうございました。
ゆでた麺が約300gなら、糖質含有量は83.6gです。
食前血糖値 98mg
食後30分 143mg
食後1時間 241mg
食後2時間 249mg
食後3時間 60mg
食後4時間 174mg
食後7時間 223mg
1gの糖質が約3mg血糖値を上昇させるとして、83.6gなら250mg上昇で、<98+250=348>
ピークの食後血糖値は348mgになってもおかしくないので、それなりに内因性のインスリン追加分泌が出ているようです。
食後30分143mgなので、追加分泌インスリンの第1相は、血糖値上昇を45mgに抑える程度には出ています。
一方、追加分泌インスリンの第2相は出遅れて、食後1時間241mg、食後2時間 249mgと、それぞれ143mg、151mgの上昇です。
出遅れた追加分泌インスリンが、その分遷延して出続けるので、食後3時間60mgと一気に下降しています。そのため機能性低血糖の症状が生じています。
2型糖尿人における、典型的な機能性低血糖パターンです。
ただ、インスリン分泌能が、もっと衰えてしまった2型糖尿病なら、低血糖が生じるほどインスリンを分泌できませんので、ジロリアンさんは、まあまあ糖尿人としては軽くて良かったと言えますね。
「食後4時間174mg、食後7時間223mg」
飴1個にしては、血糖値が上がりすぎですね。
また糖質そのものの吸収は、数分から2時間で終了ですので、ゆでた麺が約300g(糖質含有量83.6g)が、7時間後まで影響を及ぼすことはないと思います。
食後4時間と7時間の血糖値の上昇は、低血糖に対して生体が一生懸命反応して、血糖上昇作用のあるグルカゴン、アドレナリン、副腎皮質ホルモンが結構大量に分泌されて、肝臓の糖新生も亢進したのでしょうね。
ともあれ、これだけのことを起こすわけですから
「精製炭水化物恐るべし」
ですね。
江部康二
☆☆☆インスリン
インスリンは人体で唯一血糖値を下げるホルモンで、膵臓のランゲルハンス島のβ細胞でつくられ分泌されます。
24時間少量持続的にでている基礎分泌のインスリンと、食後血糖値が上昇したときにその10~20倍の量が出る追加分泌のインスリンがあります。
基礎分泌のインスリンの量では、筋肉・脂肪細胞などの糖輸送体*Glut4は、細胞内部に沈んでいるのでほとんど血糖を取り込むことができません。
糖質を摂取し血糖値が急上昇しインスリンが大量に追加分泌されると、Glut4が細胞表面に移動し、筋肉・脂肪細胞が血糖を取り込みます。
このとき余った血糖が中性脂肪に変わるので、インスリンは別名肥満ホルモンと呼ばれています。
追加分泌のインスリンには、即分泌される第1相と少し遅れて出る第2相があります。正常人は、血糖値が上昇し始めたら即インスリンが追加分泌されます。
この第1相反応は、もともとプールされていたインスリンが5~10分間分泌されて、糖質摂取時の急激な食後高血糖を防いでいます。
その後、膵臓のベータ細胞は、第2相反応と呼ばれるやや少なめの持続するインスリン分泌を行います。
これは、食事における糖質の残りをカバーしています。即ち、糖質を摂取している間は、第2相のインスリン分泌が持続します。
2型糖尿病患者は、通常、第1相反応が低下或いはなくなっていることが多いようです。従って、糖質摂取時に血糖値の急激な上昇(グルコーススパイク)が起きてしまいます。
また、第二相も低下していることが多いので、糖質を摂取する限り、一旦上昇した血糖値はなかなか下がってきません。
糖質制限食ならば、食後高血糖はほとんど生じません。従って、追加分泌インスリンは、ごく少量ですみます。
(*)
糖輸送体(Glut:glucose transporter)
ブドウ糖が細胞膜を通過して細胞内に取り込まれるためには、グルコーストランスポーター(糖輸送体)と呼ばれる膜蛋白が必要です。
Glut1~Glut14まで報告されています。
Glut1(脳、赤血球、網膜などの糖輸送体)はインスリン非依存性で、常に細胞の表面にあり、血流さえあればすぐに血糖を取り込めます。
Glut2(肝臓、膵臓のβ細胞などの糖輸送体)はインスリン非依存性です。
Glut4(筋肉細胞、脂肪細胞の糖輸送体)はインスリン依存性です。
2011年05月06日 (金)
こんばんは。
大分以前に本ブログで、徳島県は糖尿病を原因とする死亡率が日本一という記事を書きました。
厚生労働省の人口動態調査によると、1993年から2006年までずっと、14年連続で47都道府県の死亡率トップを走り続けているのが徳島県でした。
県の調査でも、40歳以上の県民のうち4人に1人が糖尿病かその疑いがあるといいます。
人口10万人あたりの死亡者数は徳島が19.5人とワースト1で、最も低い愛知県の7.5人に比べれば、なんと2.6倍もあります。
県によれば「原因は運動不足と食べ過ぎ」だそうで、県民平均の1日の歩数は6200歩と、全国平均より1000歩も少なく、肥満の割合も男性37%(全国28%)、女性26%(同22%)と高いようです。
公共交通機関が少なくて、マイカーを利用する県民が多いことが運動不足に繋がっているようです。
国土交通省四国地方整備局の2000年度の調査によると、主な交通手段に乗用車を挙げる人は、京阪神32・9%に対し徳島県60・3%と倍近くです。
また徳島県は、特産のサツマイモ「鳴門金時」や「阿波和三盆(わさんぼん)糖」など、甘い食べ物が有名です。
料理も濃い味が好まれ、すし飯にもたっぷりと砂糖を使います。
米と芋の消費量が多く、甘い物好きということで、誠に遺憾ながらこれ以上ない『アンチ 糖質制限食』の食生活です。
何とかしなくてはと、2005年に発令された徳島県と医師会の「糖尿病緊急事態宣言」では「毎日30分歩き、腹7分目に」という目標を掲げました。
明快でわかりやすいのですが、これは結局『運動療法とカロリー制限の食事療法』で、当然糖質たっぷりです。
<血糖値を上昇させるのは糖質→糖尿病改善・予防にはカロリー制限より糖質制限>
という大切な知識が欠落していますから、はっきり言って目標達成は困難だなと思いました。
その後、徳島県のことが気になっていたので、最近調べてみました。
そうすると、案の定といっては誠に失礼なのですが、2007年に1回6位となったのも束の間、翌年厚生労働省が公表した「2008年人口動態統計月報年計」で、再び徳島県が糖尿病死亡率ワーストワンとなってしまいました。
このままでは、久山町研究と同様の悲劇(1988→2002年、運動療法とカロリー制限の食事療法で糖尿病激増)が待っているとしか言いようがありません。
徳島県が、大英断で、糖尿病食指導に糖質制限の考え方を導入していただけば、全てが解決するのですが・・・
江部康二
大分以前に本ブログで、徳島県は糖尿病を原因とする死亡率が日本一という記事を書きました。
厚生労働省の人口動態調査によると、1993年から2006年までずっと、14年連続で47都道府県の死亡率トップを走り続けているのが徳島県でした。
県の調査でも、40歳以上の県民のうち4人に1人が糖尿病かその疑いがあるといいます。
人口10万人あたりの死亡者数は徳島が19.5人とワースト1で、最も低い愛知県の7.5人に比べれば、なんと2.6倍もあります。
県によれば「原因は運動不足と食べ過ぎ」だそうで、県民平均の1日の歩数は6200歩と、全国平均より1000歩も少なく、肥満の割合も男性37%(全国28%)、女性26%(同22%)と高いようです。
公共交通機関が少なくて、マイカーを利用する県民が多いことが運動不足に繋がっているようです。
国土交通省四国地方整備局の2000年度の調査によると、主な交通手段に乗用車を挙げる人は、京阪神32・9%に対し徳島県60・3%と倍近くです。
また徳島県は、特産のサツマイモ「鳴門金時」や「阿波和三盆(わさんぼん)糖」など、甘い食べ物が有名です。
料理も濃い味が好まれ、すし飯にもたっぷりと砂糖を使います。
米と芋の消費量が多く、甘い物好きということで、誠に遺憾ながらこれ以上ない『アンチ 糖質制限食』の食生活です。
何とかしなくてはと、2005年に発令された徳島県と医師会の「糖尿病緊急事態宣言」では「毎日30分歩き、腹7分目に」という目標を掲げました。
明快でわかりやすいのですが、これは結局『運動療法とカロリー制限の食事療法』で、当然糖質たっぷりです。
<血糖値を上昇させるのは糖質→糖尿病改善・予防にはカロリー制限より糖質制限>
という大切な知識が欠落していますから、はっきり言って目標達成は困難だなと思いました。
その後、徳島県のことが気になっていたので、最近調べてみました。
そうすると、案の定といっては誠に失礼なのですが、2007年に1回6位となったのも束の間、翌年厚生労働省が公表した「2008年人口動態統計月報年計」で、再び徳島県が糖尿病死亡率ワーストワンとなってしまいました。
このままでは、久山町研究と同様の悲劇(1988→2002年、運動療法とカロリー制限の食事療法で糖尿病激増)が待っているとしか言いようがありません。
徳島県が、大英断で、糖尿病食指導に糖質制限の考え方を導入していただけば、全てが解決するのですが・・・
江部康二