2011年04月30日 (土)
おはようございます。
タンパク質代謝、いやはや難しいです。
ともかく、生理学の本を読んで、ネットでいろいろ調べて、かなり無理矢理ですが、以下まとめてみました。
タンパク質は、核酸、多糖類とともに、細胞、組織の主要な構成分子です。
タンパク質は、人体の乾燥重量の3/4を占め、すべての生物学的プロセスに重要な役割を果たしています。
タンパク質は、20種類のアミノ酸が数十~数千つながってできたものです。
体内のタンパク質は、身体を構成する成分になる
「構造タンパク質」
と、体の中で様々に働く
「機能タンパク質」
とに大別されます。
あと
「素材としてのタンパク質」もあります。
1)構造タンパク質
細胞や組織の構築・支持、構造タンパク質。
コラーゲン、エラスチン、膜タンパク質など。
2)機能タンパク質
酵素、酵素阻害剤、ホルモン、輸送タンパク質、防御タンパク質など。
消化酵素、マクログロブリン、インスリン、ヘモグロビン、免疫グロブリンなど。
3)素材としてのタンパク質
アミノ酸としての再利用→新しいタンパク質の合成
窒素源・炭素源としての利用→窒素化合物の合成、エネルギー源
食物中のタンパク質は、消化管でアミノ酸に分解され吸収されます。
アミノ酸は、吸収されて門脈から肝臓に入り、アミノ酸プールを形成し、上述の代謝を営みます。
食事由来のアミノ酸は、肝臓から肝静脈を経て大静脈に入り、心臓を経て各組織へ送られます。
各組織の細胞では、筋肉や爪などになる新しいタンパク質が、アミノ酸からつくられ、一方で古いタンパク質が分解されて、アミノ酸として静脈血中に放出され、大静脈から心臓を経て肝動脈から肝臓に入ります。
筋肉の分解などで血中に供給されたアミノ酸は、肝臓でアミノ酸プールに入り、糖新生やタンパク合成などに利用されます。
『体内のアミノ酸は、消化吸収によるものと、体タンパク質の分解によるものがあります。
体タンパク質の分解で生じたアミノ酸のうち、約70%はそこでそのまま再利用され、残り30%は血液中に排泄されます。
再利用分以外にタンパク合成に必要なアミノ酸は、あらたに血液中から取込まれます。
組織では、常に日常的に、このような体タンパク質の代謝回転が行われています。
代謝回転の結果生じたアミノ酸は、消化吸収によるアミノ酸同様、肝臓で代謝されます。生体内では肝臓及び血液を中心に、アミノ酸がプールされています。』
(医学映像教育センターのサイトのサンプルから引用)
『体重70kgの男性では、10~11kgの体タンパクがあり、タンパク質代謝の異化と同化の過程で、そのうち約250~300gのタンパクが毎日入れ替わります。(約3%)。
その内、外因性(食事性)タンパクは100gとされ、腸管内の消化液、剥離脱落した腸細胞、漏出した血漿タンパクなどの内因性タンパクの吸収と合わせ160gが消化管から吸収されます。
アミノ酸は門脈を通って肝臓に入り、必要量の血清タンパクなどの合成に使われ、ほかはアミノ酸プールに入ります。
アミノ酸プールも一定量を越えると過剰分は分解されエネルギーとして使われたり、肝臓で脂質やグリコーゲンとして貯蔵されます。
遊離アミノ酸は、新しいタンパク質の合成(70~80%)やエネルギー基質として用いられ(20~30%)ます。
また、尿素・アンモニア・ケトン体・グルコース・二酸化炭素に代謝されます。
肝臓では、アルブミン、フィブリノーゲン、ガンマグロブリンのような主要血漿タンパク質20gを合成します。
白血球代謝に20g、ヘモグロビンに8gを合成します。
また、非タンパク質性誘導体として、ポルフィリン、プリン、ピリミジン、神経伝達物質、ホルモン、複合脂質、アミノ糖の合成にも使用されます。』
(キーワードでわかる臨床栄養のサイトより一部引用)
タンパク質代謝、あるていど理解するまでに、苦手分野だけに大変苦労しました。
参考・引用させていただいたサイトのおかげで、やっとなんとかまとまりました。
「キーワードでわかる臨床栄養」さん、「医学映像教育センター」 さん、ありがとうございました。
***参考と引用
キーワードでわかる臨床栄養
http://www.nutri.co.jp/dic/ch3-3/
医学映像教育センター
http://www.igakueizou.co.jp/rights/page/biochemistry/1-3/detail/1-3-4/1-3-4-2.html
江部康二
タンパク質代謝、いやはや難しいです。
ともかく、生理学の本を読んで、ネットでいろいろ調べて、かなり無理矢理ですが、以下まとめてみました。
タンパク質は、核酸、多糖類とともに、細胞、組織の主要な構成分子です。
タンパク質は、人体の乾燥重量の3/4を占め、すべての生物学的プロセスに重要な役割を果たしています。
タンパク質は、20種類のアミノ酸が数十~数千つながってできたものです。
体内のタンパク質は、身体を構成する成分になる
「構造タンパク質」
と、体の中で様々に働く
「機能タンパク質」
とに大別されます。
あと
「素材としてのタンパク質」もあります。
1)構造タンパク質
細胞や組織の構築・支持、構造タンパク質。
コラーゲン、エラスチン、膜タンパク質など。
2)機能タンパク質
酵素、酵素阻害剤、ホルモン、輸送タンパク質、防御タンパク質など。
消化酵素、マクログロブリン、インスリン、ヘモグロビン、免疫グロブリンなど。
3)素材としてのタンパク質
アミノ酸としての再利用→新しいタンパク質の合成
窒素源・炭素源としての利用→窒素化合物の合成、エネルギー源
食物中のタンパク質は、消化管でアミノ酸に分解され吸収されます。
アミノ酸は、吸収されて門脈から肝臓に入り、アミノ酸プールを形成し、上述の代謝を営みます。
食事由来のアミノ酸は、肝臓から肝静脈を経て大静脈に入り、心臓を経て各組織へ送られます。
各組織の細胞では、筋肉や爪などになる新しいタンパク質が、アミノ酸からつくられ、一方で古いタンパク質が分解されて、アミノ酸として静脈血中に放出され、大静脈から心臓を経て肝動脈から肝臓に入ります。
筋肉の分解などで血中に供給されたアミノ酸は、肝臓でアミノ酸プールに入り、糖新生やタンパク合成などに利用されます。
『体内のアミノ酸は、消化吸収によるものと、体タンパク質の分解によるものがあります。
体タンパク質の分解で生じたアミノ酸のうち、約70%はそこでそのまま再利用され、残り30%は血液中に排泄されます。
再利用分以外にタンパク合成に必要なアミノ酸は、あらたに血液中から取込まれます。
組織では、常に日常的に、このような体タンパク質の代謝回転が行われています。
代謝回転の結果生じたアミノ酸は、消化吸収によるアミノ酸同様、肝臓で代謝されます。生体内では肝臓及び血液を中心に、アミノ酸がプールされています。』
(医学映像教育センターのサイトのサンプルから引用)
『体重70kgの男性では、10~11kgの体タンパクがあり、タンパク質代謝の異化と同化の過程で、そのうち約250~300gのタンパクが毎日入れ替わります。(約3%)。
その内、外因性(食事性)タンパクは100gとされ、腸管内の消化液、剥離脱落した腸細胞、漏出した血漿タンパクなどの内因性タンパクの吸収と合わせ160gが消化管から吸収されます。
アミノ酸は門脈を通って肝臓に入り、必要量の血清タンパクなどの合成に使われ、ほかはアミノ酸プールに入ります。
アミノ酸プールも一定量を越えると過剰分は分解されエネルギーとして使われたり、肝臓で脂質やグリコーゲンとして貯蔵されます。
遊離アミノ酸は、新しいタンパク質の合成(70~80%)やエネルギー基質として用いられ(20~30%)ます。
また、尿素・アンモニア・ケトン体・グルコース・二酸化炭素に代謝されます。
肝臓では、アルブミン、フィブリノーゲン、ガンマグロブリンのような主要血漿タンパク質20gを合成します。
白血球代謝に20g、ヘモグロビンに8gを合成します。
また、非タンパク質性誘導体として、ポルフィリン、プリン、ピリミジン、神経伝達物質、ホルモン、複合脂質、アミノ糖の合成にも使用されます。』
(キーワードでわかる臨床栄養のサイトより一部引用)
タンパク質代謝、あるていど理解するまでに、苦手分野だけに大変苦労しました。
参考・引用させていただいたサイトのおかげで、やっとなんとかまとまりました。
「キーワードでわかる臨床栄養」さん、「医学映像教育センター」 さん、ありがとうございました。
***参考と引用
キーワードでわかる臨床栄養
http://www.nutri.co.jp/dic/ch3-3/
医学映像教育センター
http://www.igakueizou.co.jp/rights/page/biochemistry/1-3/detail/1-3-4/1-3-4-2.html
江部康二
2011年04月29日 (金)
おはようございます。
生化学・生理学など本当はかなり苦手分野なのですが、何とかいろいろ調べて、脂質代謝について考えてみました。
食物中の脂質(ほとんどが中性脂肪)は、グリセロールと脂肪酸に分解されて小腸上皮から吸収されますが、そのなかで中性脂肪に再合成され集合します。
この集合体は、キロミクロンと呼ばれ、リンパ液に瞬時に入り、リンパ管に拡散します。キロミクロンは、胸管を上行し鎖骨下静脈内に移行します。
鎖骨下静脈に入ったキロミクロン(中性脂肪が積み荷)のほとんどは、肝臓、あるいは脂肪組織・筋肉組織などの毛細血管を通る間に、毛細血管壁にあるリポ蛋白リパーゼにより、脂肪酸とグリセロールに分解され、中性脂肪は血液中から取り除かれます。
脂肪酸は、筋肉細胞などでエネルギー源として利用されます。脂肪細胞の脂肪酸は、血中に入り循環し筋肉細胞などで利用されます。血中に残った脂肪酸は、肝臓と脂肪組織の中に拡散します。
そしてエネルギー源として利用されなかった肝臓や脂肪組織に取り込まれた脂肪酸は、再び中性脂肪に合成され脂肪細胞内に蓄えられます。
中性脂肪は、1つのグリセロール(グリセリン)に3分子の脂肪酸が結合して構成されています。
このように、食事で脂肪を摂取した場合、血中に入った中性脂肪は、脂肪組織・筋肉組織などの毛細血管のリポ蛋白リパーゼにより分解されて、脂肪酸とグリセロールになります。
その脂肪酸を筋肉がしっかり利用してくれれば、余った脂肪酸を再合成して中性脂肪をつくり、脂肪細胞に蓄積する比率は少なくなります。
つまり、肥満しないためには、いかに筋肉が食事由来の脂肪酸を、たくさんエネルギー源として利用してくれるかがポイントですね。
なお糖質を摂取してインスリンが分泌されてしまうと、筋肉細胞毛細血管のリポ蛋白リパーゼが抑制されて、中性脂肪を脂肪酸に分解できず、エネルギー源として使えなくなるので、余剰となり脂肪細胞に蓄積されやすくなります。
インスリンには、タンパク質合成の促進、グリコーゲンの合成促進・分解抑制、脂肪の合成促進・分解抑制など、全体として異化を抑制して各種貯蔵物質の新生・同化を促進する作用があります。
また、脂肪酸はケトン体と共に心臓が優先的に使用するエネルギー源であり、長時間の運動の際には骨格筋の重要なエネルギー源ともなります。
空腹時には、身体のエネルギーの大半が脂質代謝から供給されています。
脂質をエネルギー源として利用するには、中性脂肪を異化し遊離脂肪酸やグリセロールにする必要があります。
遊離脂肪酸は、肝臓および筋肉など末梢組織において、β酸化により代謝されアセチルCoAとなりエネルギー源となります。
グリセロールは、肝臓において中性脂肪合成または糖新生に利用されます。
江部康二
生化学・生理学など本当はかなり苦手分野なのですが、何とかいろいろ調べて、脂質代謝について考えてみました。
食物中の脂質(ほとんどが中性脂肪)は、グリセロールと脂肪酸に分解されて小腸上皮から吸収されますが、そのなかで中性脂肪に再合成され集合します。
この集合体は、キロミクロンと呼ばれ、リンパ液に瞬時に入り、リンパ管に拡散します。キロミクロンは、胸管を上行し鎖骨下静脈内に移行します。
鎖骨下静脈に入ったキロミクロン(中性脂肪が積み荷)のほとんどは、肝臓、あるいは脂肪組織・筋肉組織などの毛細血管を通る間に、毛細血管壁にあるリポ蛋白リパーゼにより、脂肪酸とグリセロールに分解され、中性脂肪は血液中から取り除かれます。
脂肪酸は、筋肉細胞などでエネルギー源として利用されます。脂肪細胞の脂肪酸は、血中に入り循環し筋肉細胞などで利用されます。血中に残った脂肪酸は、肝臓と脂肪組織の中に拡散します。
そしてエネルギー源として利用されなかった肝臓や脂肪組織に取り込まれた脂肪酸は、再び中性脂肪に合成され脂肪細胞内に蓄えられます。
中性脂肪は、1つのグリセロール(グリセリン)に3分子の脂肪酸が結合して構成されています。
このように、食事で脂肪を摂取した場合、血中に入った中性脂肪は、脂肪組織・筋肉組織などの毛細血管のリポ蛋白リパーゼにより分解されて、脂肪酸とグリセロールになります。
その脂肪酸を筋肉がしっかり利用してくれれば、余った脂肪酸を再合成して中性脂肪をつくり、脂肪細胞に蓄積する比率は少なくなります。
つまり、肥満しないためには、いかに筋肉が食事由来の脂肪酸を、たくさんエネルギー源として利用してくれるかがポイントですね。
なお糖質を摂取してインスリンが分泌されてしまうと、筋肉細胞毛細血管のリポ蛋白リパーゼが抑制されて、中性脂肪を脂肪酸に分解できず、エネルギー源として使えなくなるので、余剰となり脂肪細胞に蓄積されやすくなります。
インスリンには、タンパク質合成の促進、グリコーゲンの合成促進・分解抑制、脂肪の合成促進・分解抑制など、全体として異化を抑制して各種貯蔵物質の新生・同化を促進する作用があります。
また、脂肪酸はケトン体と共に心臓が優先的に使用するエネルギー源であり、長時間の運動の際には骨格筋の重要なエネルギー源ともなります。
空腹時には、身体のエネルギーの大半が脂質代謝から供給されています。
脂質をエネルギー源として利用するには、中性脂肪を異化し遊離脂肪酸やグリセロールにする必要があります。
遊離脂肪酸は、肝臓および筋肉など末梢組織において、β酸化により代謝されアセチルCoAとなりエネルギー源となります。
グリセロールは、肝臓において中性脂肪合成または糖新生に利用されます。
江部康二
2011年04月28日 (木)
こんばんは。
夕方から急に冷え込んでとても寒い京都です。
さてアケミさんから、糖質制限食実践で肝臓の負担にならないか、というコメント・質問をいただきました。
【11/04/28 アケミ
ありがとうございます
ただ、なんだか、ますます疑問がわいてきました。
1。糖質制限食において肝臓がよく働くっていうことは、言い換えると、肝臓に負担がかかっている、ということでしょうか。実際に肝臓に障害が起きるかどうかはともかく、必要以上に肝臓に負担がかかるのは、いいこととは思えないのですが。
2。できれば、タンパク質と脂肪と、それぞれが体内で代謝する過程を知りたいです。脂肪をとった場合、リパーゼが出るところまでは知っていますが、その後、どうなるのか。その場で燃やすエネルギーと蓄積するエネルギーはどうやって区別されるのか。また、タンパク質の場合、からだの修復にまず使われると思うのですが、そうなる分と、熱量になる分とは、どう仕分けされているのか。
以上、ご説明いただけると、安心できます。】
アケミさん。
他の皆さんにも共通の疑問かもしれませんね。
【1。糖質制限食において肝臓がよく働くっていうことは、言い換えると、肝臓に負担がかかっている、ということでしょうか。実際に肝臓に障害が起きるかどうかはともかく、必要以上に肝臓に負担がかかるのは、いいこととは思えないのですが。】
糖質制限食実践により、肝臓は、農耕前の400万年の進化における、ごく日常的な役割を果たしているだけです。負担どころか、適切に働くことで、本来の機能を維持することができるでしょう。
筋肉も適切に使用しなければ、衰えます。脳もしっかり活動させないと、機能は低下します。五臓六腑や筋肉・・・全て適切に役割を果たすことで、機能を維持できるのです。
負担といえば、膵臓のβ細胞は、農耕前の400万年に比較すると、農耕後は10数倍、精製炭水化物以後は30倍レベルインスリンを分泌せざるを得ないわけで、多大な負担がかかっていると思います。
多大なβ細胞への負担が40~50年続けば、β細胞はとうとう疲弊してインスリン分泌能力が低下して、糖尿病を発症します。
【2。できれば、タンパク質と脂肪と、それぞれが体内で代謝する過程を知りたいです。脂肪をとった場合、リパーゼが出るところまでは知っていますが、その後、どうなるのか。その場で燃やすエネルギーと蓄積するエネルギーはどうやって区別されるのか。また、タンパク質の場合、からだの修復にまず使われると思うのですが、そうなる分と、熱量になる分とは、どう仕分けされているのか。】
この回答は次回に。
江部康二
夕方から急に冷え込んでとても寒い京都です。
さてアケミさんから、糖質制限食実践で肝臓の負担にならないか、というコメント・質問をいただきました。
【11/04/28 アケミ
ありがとうございます
ただ、なんだか、ますます疑問がわいてきました。
1。糖質制限食において肝臓がよく働くっていうことは、言い換えると、肝臓に負担がかかっている、ということでしょうか。実際に肝臓に障害が起きるかどうかはともかく、必要以上に肝臓に負担がかかるのは、いいこととは思えないのですが。
2。できれば、タンパク質と脂肪と、それぞれが体内で代謝する過程を知りたいです。脂肪をとった場合、リパーゼが出るところまでは知っていますが、その後、どうなるのか。その場で燃やすエネルギーと蓄積するエネルギーはどうやって区別されるのか。また、タンパク質の場合、からだの修復にまず使われると思うのですが、そうなる分と、熱量になる分とは、どう仕分けされているのか。
以上、ご説明いただけると、安心できます。】
アケミさん。
他の皆さんにも共通の疑問かもしれませんね。
【1。糖質制限食において肝臓がよく働くっていうことは、言い換えると、肝臓に負担がかかっている、ということでしょうか。実際に肝臓に障害が起きるかどうかはともかく、必要以上に肝臓に負担がかかるのは、いいこととは思えないのですが。】
糖質制限食実践により、肝臓は、農耕前の400万年の進化における、ごく日常的な役割を果たしているだけです。負担どころか、適切に働くことで、本来の機能を維持することができるでしょう。
筋肉も適切に使用しなければ、衰えます。脳もしっかり活動させないと、機能は低下します。五臓六腑や筋肉・・・全て適切に役割を果たすことで、機能を維持できるのです。
負担といえば、膵臓のβ細胞は、農耕前の400万年に比較すると、農耕後は10数倍、精製炭水化物以後は30倍レベルインスリンを分泌せざるを得ないわけで、多大な負担がかかっていると思います。
多大なβ細胞への負担が40~50年続けば、β細胞はとうとう疲弊してインスリン分泌能力が低下して、糖尿病を発症します。
【2。できれば、タンパク質と脂肪と、それぞれが体内で代謝する過程を知りたいです。脂肪をとった場合、リパーゼが出るところまでは知っていますが、その後、どうなるのか。その場で燃やすエネルギーと蓄積するエネルギーはどうやって区別されるのか。また、タンパク質の場合、からだの修復にまず使われると思うのですが、そうなる分と、熱量になる分とは、どう仕分けされているのか。】
この回答は次回に。
江部康二
2011年04月27日 (水)
こんにちは。
今回は、脂質やタンパク質の摂取で肥満しにくい理由について、アケミさんから、コメント・質問をいただきました。
【11/04/26 アケミ
こまめに以前の記事を読んで、インスリン(の過剰分泌)が肥満をおこすこと、よって糖質が肥満の原因であることは、わかりました。
では、脂肪やタンパク質は、どんなふうに代謝されるのでしょうか。カロリー的にどんなに大量にとっても、脂肪やタンパク質なら、インスリンが出ないから、太らないのでしょうか。
このへん、もうひとつよくわからないので、教えていただければ幸いです。】
アケミ さん。
さすがに
「脂質やタンパク質はカロリー的にどんなに大量にとっても太らない。」
ということはありません。
<消費エネルギー>=<基礎代謝+運動エネルギー+食事誘発熱産生> です。
脂質やタンパク質も大量に食べて、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回れば、当然太ります。
一方、少なくとも同一摂取カロリーなら、糖質制限食のほうが脂質制限食よりは体重減少効果があります。
糖質制限食の場合、ビーフステーキ(高脂肪・高タンパク食)を食べている最中にも、心筋や骨格筋など多くの体細胞は、脂肪酸やケトン体をエネルギー源として利用しています。
このため体脂肪細胞内の中性脂肪は、どんどん脂肪酸とグリセロールに分解されて、血中に放出されています。
また、ビーフステーキを食べている最中にも、肝臓ではアミノ酸などからブドウ糖を新生していて、それにエネルギーを消費しています。
そして肝臓では、ビーフステーキを食べている最中にも、ケトン体を産生しており(脂肪酸→β酸化→アセチルCoA→ケトン体)脂肪酸を分解してえたエネルギーを消費しています。
肝臓でつくられたケトン体は、肝臓では使われずに血中に入り、他の組織のエネルギー源となります。
これらのエネルギー消費はおそらく、基礎代謝の増加につながっていると思います。
基礎代謝に関して一番信頼できそうなデータです。
<人における諸組織・器官のエネルギー代謝>
肝臓27%、脳19%、心臓7%、腎臓10%、筋肉18%、その他19%
(「 FAO/WHO/UNU合同特別専門委員会報告」1989)
一般に筋肉が基礎代謝の約40%と言われていて、私も検証せずにそう思っていたのですが、肝臓27%、筋肉18%というのは意外でした(=_=;)
ともあれ、糖質制限食(高脂質・高タンパク食)においては、人体最大の基礎代謝率を占める肝臓が活性化されるので、糖質制限食で基礎代謝が増加するという仮説はなかなか説得力があると自画自賛しています。(^^)
通常は、筋肉量の増加が基礎代謝の増加なのですが、例えば甲状腺機能亢進症でも、基礎代謝の増加のために体重減少が生じますね。
さてインスリンですね。
人体の代謝へのインスリンの効果には①②③があります。
①炭水化物代謝:エネルギーの貯蔵(肝、筋、脂肪組織)
-グリコーゲン合成の増加(肝、筋)
-血中からのグルコース取り込みの増加(筋、脂肪組織)
-糖新生とグリコーゲン分解の抑制(肝)
②脂質代謝
-トリアシルグリセロール(TAG)分解の減少
-TAG生成の増加
③タンパク質合成の増加
①②③とも、とにかく蓄えて貯蔵する役割です。
人類の400万年の進化の歴史を考えれば、インスリンがエネルギーを蓄える作用を持っていることは、大変重要な意味を持っていたと思います。
同一カロリーの摂取でも、糖質を摂取してインスリンが分泌されると、脂肪分解から脂肪合成に、流れが180度変わります。
インスリン注射やSU剤(インスリン分泌促進剤)が肥満を悪化させることは、UKPDSやACCORDをはじめ多くの研究で報告されています。
このように、高脂質・高タンパク食で体重が増加しにくい理由の一つは、インスリンの分泌がほとんどないことが関係していることは間違いないと思います。
江部康二
今回は、脂質やタンパク質の摂取で肥満しにくい理由について、アケミさんから、コメント・質問をいただきました。
【11/04/26 アケミ
こまめに以前の記事を読んで、インスリン(の過剰分泌)が肥満をおこすこと、よって糖質が肥満の原因であることは、わかりました。
では、脂肪やタンパク質は、どんなふうに代謝されるのでしょうか。カロリー的にどんなに大量にとっても、脂肪やタンパク質なら、インスリンが出ないから、太らないのでしょうか。
このへん、もうひとつよくわからないので、教えていただければ幸いです。】
アケミ さん。
さすがに
「脂質やタンパク質はカロリー的にどんなに大量にとっても太らない。」
ということはありません。
<消費エネルギー>=<基礎代謝+運動エネルギー+食事誘発熱産生> です。
脂質やタンパク質も大量に食べて、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回れば、当然太ります。
一方、少なくとも同一摂取カロリーなら、糖質制限食のほうが脂質制限食よりは体重減少効果があります。
糖質制限食の場合、ビーフステーキ(高脂肪・高タンパク食)を食べている最中にも、心筋や骨格筋など多くの体細胞は、脂肪酸やケトン体をエネルギー源として利用しています。
このため体脂肪細胞内の中性脂肪は、どんどん脂肪酸とグリセロールに分解されて、血中に放出されています。
また、ビーフステーキを食べている最中にも、肝臓ではアミノ酸などからブドウ糖を新生していて、それにエネルギーを消費しています。
そして肝臓では、ビーフステーキを食べている最中にも、ケトン体を産生しており(脂肪酸→β酸化→アセチルCoA→ケトン体)脂肪酸を分解してえたエネルギーを消費しています。
肝臓でつくられたケトン体は、肝臓では使われずに血中に入り、他の組織のエネルギー源となります。
これらのエネルギー消費はおそらく、基礎代謝の増加につながっていると思います。
基礎代謝に関して一番信頼できそうなデータです。
<人における諸組織・器官のエネルギー代謝>
肝臓27%、脳19%、心臓7%、腎臓10%、筋肉18%、その他19%
(「 FAO/WHO/UNU合同特別専門委員会報告」1989)
一般に筋肉が基礎代謝の約40%と言われていて、私も検証せずにそう思っていたのですが、肝臓27%、筋肉18%というのは意外でした(=_=;)
ともあれ、糖質制限食(高脂質・高タンパク食)においては、人体最大の基礎代謝率を占める肝臓が活性化されるので、糖質制限食で基礎代謝が増加するという仮説はなかなか説得力があると自画自賛しています。(^^)
通常は、筋肉量の増加が基礎代謝の増加なのですが、例えば甲状腺機能亢進症でも、基礎代謝の増加のために体重減少が生じますね。
さてインスリンですね。
人体の代謝へのインスリンの効果には①②③があります。
①炭水化物代謝:エネルギーの貯蔵(肝、筋、脂肪組織)
-グリコーゲン合成の増加(肝、筋)
-血中からのグルコース取り込みの増加(筋、脂肪組織)
-糖新生とグリコーゲン分解の抑制(肝)
②脂質代謝
-トリアシルグリセロール(TAG)分解の減少
-TAG生成の増加
③タンパク質合成の増加
①②③とも、とにかく蓄えて貯蔵する役割です。
人類の400万年の進化の歴史を考えれば、インスリンがエネルギーを蓄える作用を持っていることは、大変重要な意味を持っていたと思います。
同一カロリーの摂取でも、糖質を摂取してインスリンが分泌されると、脂肪分解から脂肪合成に、流れが180度変わります。
インスリン注射やSU剤(インスリン分泌促進剤)が肥満を悪化させることは、UKPDSやACCORDをはじめ多くの研究で報告されています。
このように、高脂質・高タンパク食で体重が増加しにくい理由の一つは、インスリンの分泌がほとんどないことが関係していることは間違いないと思います。
江部康二
2011年04月26日 (火)
こんにちは。
今回は、低血糖とブドウ糖について、でぃあべーちゃ さんから、コメント・質問をいただきました。
【11/04/25 でぃあべーちゃ
おひさしぶりです。最近は気が緩んでときどき炭水化物を大量にたべてしまうことがありますが、なんとかやっております。
さて、質問があります。
2型でインスリン分泌能の低い人が、低血糖で倒れたとき、 ジュースなどを飲ませても、間に合わないのではないでしょうか。
病院では緊急時点滴でブドウ糖をいれたりすると聞きますが、そもそも細胞内に取り込むことが大変しづらくなっているはずなのに、 そんなんで間に合うのでしょうか。
糖分をとり高血糖になってもエネルギー転換できない状態は そうそう変わらないはずだとおもうのですが。なにかスイッチがあって 別の機構が働くとかあるんでしょうか。。。
昨日相方と考えておりましたが、 どうも素人の知らない変数がありそうだ、と一旦考えるのやめました。】
でぃあべーちゃさん。
お久しぶりです。
インスリン作用が不足して糖尿病が発症します。
『インスリン分泌不足+インスリン抵抗性(インスリンの効きが悪い)』
が合わさって、インスリン作用不足です。
インスリン作用があるていど以上不足すると、高血糖になってしまいます。
空腹時なら126mg/dl以上、食後なら200mg以上となります。
つまり、インスリン作用不足のために、正常血糖値では筋肉・脂肪細胞内に血糖(ブドウ糖)を取り込めないので、高血糖にして辻褄を合わせているわけですね。
そういうインスリン作用が不足している糖尿人が、何らかの理由で70mg/dl未満の低血糖になったとして、
ブドウ糖を10gくらい飲んで30mg上昇しても、血糖値は100mgくらいにしかなりませんから、でぃあべーちゃさんの危惧されるように、細胞はブドウ糖を取り込めないのではないかという不安もでてきますね。
低血糖症状には、交感神経症状と中枢神経症状があります。
血糖値が下がると、血糖を上昇させるホルモン(インスリン拮抗ホルモンのグルカゴン・カテコールアミン・成長ホルモンなど)の分泌が増えて血糖値を上げるように調節します。この交感神経系のホルモン(カテコールアミン)により現れるのが動悸・冷汗・震えなどの症状です。
これ以上血糖が下がると中枢神経の機能が低下して危険だという警告症状でもあります。
日常のエネルギー源がブドウ糖である脳にとって、血糖が50~60~70mg/dl未満になると、脳の機能が低下してきます。
あくび、空腹感、無気力、倦怠感、計算力減退・・・さらに進んで、血糖値が30mg/dl以下になると異常行動、意識喪失、けいれん、昏睡などが生じ、生命の危険があります。
さて、人体で赤血球だけはミトコンドリアがないので、唯一ブドウ糖しかエネルギー源にできません。
脳や網膜は、日常的にはブドウ糖をエネルギー源にしていますが、ケトン体や脂肪酸もエネルギー源にできます。
脳は血液脳関門のため、脂肪酸の大きさでは利用できないのですが、ケトン体を利用します。
断食などで数日間をかけて徐々に血糖値が下がった時は、ケトン体の血中濃度が充分上昇しているので、肝臓の糖新生が上手くカバーできずに血糖値が下がっても、いわゆる低血糖発作にはなりません。
例えば、私が30代に初めて本断食(水だけでゼロカロリー)をしたとき、血糖値は35mg/dlまで下がりました。
当時は炭水化物を日常的によく食べていたので、肝臓の糖新生能力が万全ではなかったのでしょう。
従来の考えでは、当然意識不明のはずですが、その時普通に外来診察も行っていました。
私のケースを考察してみると、血糖値35mgのとき、脳はケトン体を主エネルギー源として活動していたとしか考えられません。
本断食中の初期の血中ケトン体は2000~3000レベルで、基準値(26~122)に比べてはるかに高値です。このケトン体レベルは、小児難治性てんかんの治療食であるケトン食と同等です。
このレベルの血中ケトン体濃度があれば、血糖35mgでも、脳は充分活動できるということになりますね。
少し脱線しましたが、本題に戻ります。
低血糖になったとき、ブドウ糖を10g飲めば、とりあえず70mg/dl以上には上昇しますので、交感神経症状は回復します。
細胞が血糖を取り込むためには、糖輸送体(GLUT)が必要です。そして肝心の脳ですが、脳細胞の糖輸送体はGLUT1です。GLUT1はインスリンに無関係で常に細胞表面にありますので、血流さえあればいつでも血糖値を取り込めます。
すなわち、ブドウ糖内服で血糖値が70mg/dl以上になれば、血流が確保されている限り、脳細胞は簡単にブドウ糖を取り込めるのです。糖尿人におけるインスリンの作用不足は、一切関係ありません。こうしてブドウ糖10gの内服で中枢神経症状も改善します。
またインスリン作用が欠落しているレベルは、さすがに重症過ぎて困るのですが、最低限の基礎分泌のインスリンが確保されていれば、筋肉や体細胞はケトン体や脂肪酸を、もともと日常的にエネルギー源として利用してますので少々インスリン作用が不足していても特に問題はないのです。
筋肉や脂肪細胞以外の体細胞も糖の取り込みに関して、インスリンに依存しているわけではありません。
ブドウ糖の細胞内への取り込みに関して、インスリン作用に依存しているのは、GLUT1~14のうち筋肉細胞と脂肪細胞に特異的なGLUT4だけです。
江部康二
今回は、低血糖とブドウ糖について、でぃあべーちゃ さんから、コメント・質問をいただきました。
【11/04/25 でぃあべーちゃ
おひさしぶりです。最近は気が緩んでときどき炭水化物を大量にたべてしまうことがありますが、なんとかやっております。
さて、質問があります。
2型でインスリン分泌能の低い人が、低血糖で倒れたとき、 ジュースなどを飲ませても、間に合わないのではないでしょうか。
病院では緊急時点滴でブドウ糖をいれたりすると聞きますが、そもそも細胞内に取り込むことが大変しづらくなっているはずなのに、 そんなんで間に合うのでしょうか。
糖分をとり高血糖になってもエネルギー転換できない状態は そうそう変わらないはずだとおもうのですが。なにかスイッチがあって 別の機構が働くとかあるんでしょうか。。。
昨日相方と考えておりましたが、 どうも素人の知らない変数がありそうだ、と一旦考えるのやめました。】
でぃあべーちゃさん。
お久しぶりです。
インスリン作用が不足して糖尿病が発症します。
『インスリン分泌不足+インスリン抵抗性(インスリンの効きが悪い)』
が合わさって、インスリン作用不足です。
インスリン作用があるていど以上不足すると、高血糖になってしまいます。
空腹時なら126mg/dl以上、食後なら200mg以上となります。
つまり、インスリン作用不足のために、正常血糖値では筋肉・脂肪細胞内に血糖(ブドウ糖)を取り込めないので、高血糖にして辻褄を合わせているわけですね。
そういうインスリン作用が不足している糖尿人が、何らかの理由で70mg/dl未満の低血糖になったとして、
ブドウ糖を10gくらい飲んで30mg上昇しても、血糖値は100mgくらいにしかなりませんから、でぃあべーちゃさんの危惧されるように、細胞はブドウ糖を取り込めないのではないかという不安もでてきますね。
低血糖症状には、交感神経症状と中枢神経症状があります。
血糖値が下がると、血糖を上昇させるホルモン(インスリン拮抗ホルモンのグルカゴン・カテコールアミン・成長ホルモンなど)の分泌が増えて血糖値を上げるように調節します。この交感神経系のホルモン(カテコールアミン)により現れるのが動悸・冷汗・震えなどの症状です。
これ以上血糖が下がると中枢神経の機能が低下して危険だという警告症状でもあります。
日常のエネルギー源がブドウ糖である脳にとって、血糖が50~60~70mg/dl未満になると、脳の機能が低下してきます。
あくび、空腹感、無気力、倦怠感、計算力減退・・・さらに進んで、血糖値が30mg/dl以下になると異常行動、意識喪失、けいれん、昏睡などが生じ、生命の危険があります。
さて、人体で赤血球だけはミトコンドリアがないので、唯一ブドウ糖しかエネルギー源にできません。
脳や網膜は、日常的にはブドウ糖をエネルギー源にしていますが、ケトン体や脂肪酸もエネルギー源にできます。
脳は血液脳関門のため、脂肪酸の大きさでは利用できないのですが、ケトン体を利用します。
断食などで数日間をかけて徐々に血糖値が下がった時は、ケトン体の血中濃度が充分上昇しているので、肝臓の糖新生が上手くカバーできずに血糖値が下がっても、いわゆる低血糖発作にはなりません。
例えば、私が30代に初めて本断食(水だけでゼロカロリー)をしたとき、血糖値は35mg/dlまで下がりました。
当時は炭水化物を日常的によく食べていたので、肝臓の糖新生能力が万全ではなかったのでしょう。
従来の考えでは、当然意識不明のはずですが、その時普通に外来診察も行っていました。
私のケースを考察してみると、血糖値35mgのとき、脳はケトン体を主エネルギー源として活動していたとしか考えられません。
本断食中の初期の血中ケトン体は2000~3000レベルで、基準値(26~122)に比べてはるかに高値です。このケトン体レベルは、小児難治性てんかんの治療食であるケトン食と同等です。
このレベルの血中ケトン体濃度があれば、血糖35mgでも、脳は充分活動できるということになりますね。
少し脱線しましたが、本題に戻ります。
低血糖になったとき、ブドウ糖を10g飲めば、とりあえず70mg/dl以上には上昇しますので、交感神経症状は回復します。
細胞が血糖を取り込むためには、糖輸送体(GLUT)が必要です。そして肝心の脳ですが、脳細胞の糖輸送体はGLUT1です。GLUT1はインスリンに無関係で常に細胞表面にありますので、血流さえあればいつでも血糖値を取り込めます。
すなわち、ブドウ糖内服で血糖値が70mg/dl以上になれば、血流が確保されている限り、脳細胞は簡単にブドウ糖を取り込めるのです。糖尿人におけるインスリンの作用不足は、一切関係ありません。こうしてブドウ糖10gの内服で中枢神経症状も改善します。
またインスリン作用が欠落しているレベルは、さすがに重症過ぎて困るのですが、最低限の基礎分泌のインスリンが確保されていれば、筋肉や体細胞はケトン体や脂肪酸を、もともと日常的にエネルギー源として利用してますので少々インスリン作用が不足していても特に問題はないのです。
筋肉や脂肪細胞以外の体細胞も糖の取り込みに関して、インスリンに依存しているわけではありません。
ブドウ糖の細胞内への取り込みに関して、インスリン作用に依存しているのは、GLUT1~14のうち筋肉細胞と脂肪細胞に特異的なGLUT4だけです。
江部康二
2011年04月25日 (月)
こんばんは。
「炭水化物(糖質)の存在意義および価値は?ひらたく言うと、糖質は何のためにあるのでしょうか?」
こんな質問を、新聞記者さんからいただきましたので考えてみました。
必須アミノ酸、必須脂肪酸は、厳然と存在します。
人体で生産することができないアミノ酸と脂肪酸は、必ず食物から摂取する必要があります。
また、ビタミンも体内で合成できないものがほとんどで、食物から摂取する必要があります。
これに対して、必須糖質は存在しません。
体内で必要なブドウ糖は、肝臓で糖新生してまかなうので、食物から摂取する必要はないのです。
人体内で絶対に必要なブドウ糖は、赤血球のためです。
赤血球は、ミトコンドリアというエネルギー生産装置を持っていないので、ブドウ糖しか利用できません。
脳は、脂肪酸の分解物のケトン体をいくらでもエネルギー源としますし、ブドウ糖も利用します。
他の心筋、骨格筋、体細胞は日常的には脂肪酸・ケトン体を主エネルギー源として、時々ブドウ糖も利用します。
人類の進化の歴史において、農耕が始まる前の狩猟・採集時代における糖質の役割は、中性脂肪蓄積が第一義であったと考えられます。
初期の人類において、中性脂肪を体脂肪として蓄えておくことは、日常的に襲ってくる飢餓への、唯一のセーフティーネットであったと考えられます。
狩猟・採集時代に時々手に入った糖質は、野生の果物、ナッツ類、山芋などです。
運良くこれらを得たとき、少量のインスリンが追加分泌されて、脂肪細胞のGLUT4が細胞表面に上がりブドウ糖を取り込んで中性脂肪に変えていたのです。
また果物の果糖は、ブドウ糖にはほとんど変わりませんが吸収されて肝臓にいたり、ブドウ糖より速やかに中性脂肪になり蓄積されます。果物の糖質には、ブドウ糖、ショ糖、果糖などがあります。
このように、人類の進化の過程では、糖質は時々しか手に入らない貴重な中性脂肪蓄積のもとだったと考えられます。
本来、中性脂肪蓄積が第一義であった糖質を、農耕が定着して以降は、日常的に摂取するようになりました。
さらにこの200年は、精製炭水化物を常食するようになったので、大量の追加分泌インスリンがでて、大変中性脂肪が蓄積されやすい状況となり、肥満が発症しやすくなったのです。
江部康二
「炭水化物(糖質)の存在意義および価値は?ひらたく言うと、糖質は何のためにあるのでしょうか?」
こんな質問を、新聞記者さんからいただきましたので考えてみました。
必須アミノ酸、必須脂肪酸は、厳然と存在します。
人体で生産することができないアミノ酸と脂肪酸は、必ず食物から摂取する必要があります。
また、ビタミンも体内で合成できないものがほとんどで、食物から摂取する必要があります。
これに対して、必須糖質は存在しません。
体内で必要なブドウ糖は、肝臓で糖新生してまかなうので、食物から摂取する必要はないのです。
人体内で絶対に必要なブドウ糖は、赤血球のためです。
赤血球は、ミトコンドリアというエネルギー生産装置を持っていないので、ブドウ糖しか利用できません。
脳は、脂肪酸の分解物のケトン体をいくらでもエネルギー源としますし、ブドウ糖も利用します。
他の心筋、骨格筋、体細胞は日常的には脂肪酸・ケトン体を主エネルギー源として、時々ブドウ糖も利用します。
人類の進化の歴史において、農耕が始まる前の狩猟・採集時代における糖質の役割は、中性脂肪蓄積が第一義であったと考えられます。
初期の人類において、中性脂肪を体脂肪として蓄えておくことは、日常的に襲ってくる飢餓への、唯一のセーフティーネットであったと考えられます。
狩猟・採集時代に時々手に入った糖質は、野生の果物、ナッツ類、山芋などです。
運良くこれらを得たとき、少量のインスリンが追加分泌されて、脂肪細胞のGLUT4が細胞表面に上がりブドウ糖を取り込んで中性脂肪に変えていたのです。
また果物の果糖は、ブドウ糖にはほとんど変わりませんが吸収されて肝臓にいたり、ブドウ糖より速やかに中性脂肪になり蓄積されます。果物の糖質には、ブドウ糖、ショ糖、果糖などがあります。
このように、人類の進化の過程では、糖質は時々しか手に入らない貴重な中性脂肪蓄積のもとだったと考えられます。
本来、中性脂肪蓄積が第一義であった糖質を、農耕が定着して以降は、日常的に摂取するようになりました。
さらにこの200年は、精製炭水化物を常食するようになったので、大量の追加分泌インスリンがでて、大変中性脂肪が蓄積されやすい状況となり、肥満が発症しやすくなったのです。
江部康二
2011年04月24日 (日)
こんばんは。
「糖質制限食を語る」DVD販売のお知らせです。
こちらは、視聴用のYou Tube の映像です。
☆☆☆☆☆
京都高雄病院理事長、江部康二医師
画期的な糖尿病治療食
「糖質制限食を語る」
は、こちらのサイトで販売致します。
↓ ↓ ↓
http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php
DVDをご購入いただいた、らこさん、スーパー糖質制限で健康人さんから、温かい感想をいただきました。
ありがとうございます。
【 11/02/13 らこ
DVD最高っす!!!
注文していたDVDが届き、この連休にじっくり2度見ました。
以前東京四谷での講演会で教えて頂いた時と全く同じ方針の講義でブレが無いことにまず感動!
1つ1つの話題の間に「テーマ」が挿入されているのは、「ナマの講義以上」に受講者の意識に訴えかけて来ました。
日本で大半を占める「食後高血糖タイプ2型糖尿病患者」が1人でも多く、このDVDを1日でも早く見て、「緩解」することを祈るばかりです。
2つの講演会が詰め込まれていて、時間もたっぷり。画質も音質も良好そのもの。
江部先生の髪の毛、黒過ぎ!!!
この内容の濃さで2160円は安い!
安過ぎます>< 】
らこさん、過分なるお誉めの言葉、感激です。
【1つ1つの話題の間に「テーマ」が挿入されているのは、「ナマの講義以上」に受講者の意識に訴えかけて来ました。 】
DVDを制作してくれたバンド仲間の吉田さんが、自分にもわかりやすいように、つまり視聴者にわかりやすいように編集してくれました。らこさんの高評価、吉田さんとても喜ぶと思います。
ちなみにキーボード担当の吉田さんは、本業が釣りビデオ制作なのです。
私の髪の毛は、大分白髪が増えて、生え際のそり込みが若い頃に比べればそこそ出てきてますが、まあ何とか1本1本の太さは糖質制限食で回復しました。
【11/02/14 スーパー糖質制限で健康人
逆流性食道炎と糖質制限食
「糖質制限食を語る」DVD拝見させて頂きました。
5年前から、こちらのブログや先生の出版物で糖質制限食を勉強させて頂いている50代男です。スーパー糖質制限食だけの実施で5年前HbA1c8.0、尿蛋白(+)→現在HbA1c5.2、尿蛋白(―)となり嬉しい限りです。現在、糖尿病や糖質制限食を全て分かったつもりでおりましたが、DVD拝見し新たな発見が沢山ありました。そのなかで「逆流性食道炎」にも糖質制限食による効果があるとお話しされておりましたが、DVDでは、「逆流性食道炎」と糖質制限食との関係の説明が無かったかと思います。このあたりをご教示いただけないでしょうか。
追伸、江部先生が京都弁(?)をお使いになるのも発見のひとつでした。ブログや出版物は標準語ですから。】
スーパー糖質制限で健康人さん。
DVDのご購入ありがとうございます。
【スーパー糖質制限食だけの実施で
5年前HbA1c8.0、尿蛋白(+)
→現在HbA1c5.2、尿蛋白(-) 】
すばらしい改善です。
おめでとうございます。
糖尿病腎症第3期(顕性腎症期)から第1期(腎症前期)への回復も見事ですね。
健康人さんと同様に、糖尿病腎症、第3期Aまでは、スーパー糖質制限食実践で高タンパク食になるにも関わらず、タンパク尿が改善する例がほとんどです。
【現在、糖尿病や糖質制限食を全て分かったつもりでおりましたが、DVD拝見し新たな発見が沢山ありました。】
ありがとうございます。そう言っていただけると、DVDを作成した努力が報われる思いです。
「逆流性食道炎」と糖質制限食との関係ですが、糖質の過剰摂取に対する胃の反応こそが、
「逆流性食道炎」の本態と思われます。
10年来、20年来の逆流性食道炎が、スーパー糖質制限食実践のその日から改善しますので・・・。
その意味で、よく問診すると、
「カレーライスが一番胸やけがする」
とか、多くの人がよく仰有います。
カレーライスは、<炊いたご飯+カレーのルウの小麦>で糖質のダブルパンチですものね。
恐らく、逆流性食道炎は、精製炭水化物を摂取し始めたこの200~300年に、人類史上初めて登場した病気の一つかもしれませんね。
ちなみに、私の話す言葉は、広島弁と関西弁と標準語が混ざったもののように思います。京都生まれの広島育ちですが、18才からはずっと京都です。でも京都弁は私には似合いませんし、そもそも無理ですね。
話はDVDに戻ります。
これまでに、講演会を映像化して欲しいとの声を多々頂いておりましたが、なかなか形になりませんでした。
今回、私のバンド仲間の吉田さんが、映像プロダクションをされていることもあり、DVD化の運びとなりました。
DVDなら、何度でもご自宅で見て頂けますし、メモを取るのに必死で話を聴き逃した!などといったこともないので、けっこうオススメです。
本を読むのが苦手とか面倒くさい方にもDVDならOKですね。ご高齢の方、あるいは糖尿病のご両親へのプレゼントにもいいですよ。
糖尿病と糖質制限食について、講演会のスライドも適宜挿入しながら、江部康二がわかりやすく語っています。
本DVD、これまで遠方で来れなかった方はもちろん、一度来たけど家の玄関くぐったら9割忘れてしまった方(笑)も、是非ごらん頂ければうれしいです。
江部康二
「糖質制限食を語る」DVD販売のお知らせです。
こちらは、視聴用のYou Tube の映像です。
☆☆☆☆☆
京都高雄病院理事長、江部康二医師
画期的な糖尿病治療食
「糖質制限食を語る」
は、こちらのサイトで販売致します。
↓ ↓ ↓
http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php
DVDをご購入いただいた、らこさん、スーパー糖質制限で健康人さんから、温かい感想をいただきました。
ありがとうございます。
【 11/02/13 らこ
DVD最高っす!!!
注文していたDVDが届き、この連休にじっくり2度見ました。
以前東京四谷での講演会で教えて頂いた時と全く同じ方針の講義でブレが無いことにまず感動!
1つ1つの話題の間に「テーマ」が挿入されているのは、「ナマの講義以上」に受講者の意識に訴えかけて来ました。
日本で大半を占める「食後高血糖タイプ2型糖尿病患者」が1人でも多く、このDVDを1日でも早く見て、「緩解」することを祈るばかりです。
2つの講演会が詰め込まれていて、時間もたっぷり。画質も音質も良好そのもの。
江部先生の髪の毛、黒過ぎ!!!
この内容の濃さで2160円は安い!
安過ぎます>< 】
らこさん、過分なるお誉めの言葉、感激です。
【1つ1つの話題の間に「テーマ」が挿入されているのは、「ナマの講義以上」に受講者の意識に訴えかけて来ました。 】
DVDを制作してくれたバンド仲間の吉田さんが、自分にもわかりやすいように、つまり視聴者にわかりやすいように編集してくれました。らこさんの高評価、吉田さんとても喜ぶと思います。
ちなみにキーボード担当の吉田さんは、本業が釣りビデオ制作なのです。
私の髪の毛は、大分白髪が増えて、生え際のそり込みが若い頃に比べればそこそ出てきてますが、まあ何とか1本1本の太さは糖質制限食で回復しました。
【11/02/14 スーパー糖質制限で健康人
逆流性食道炎と糖質制限食
「糖質制限食を語る」DVD拝見させて頂きました。
5年前から、こちらのブログや先生の出版物で糖質制限食を勉強させて頂いている50代男です。スーパー糖質制限食だけの実施で5年前HbA1c8.0、尿蛋白(+)→現在HbA1c5.2、尿蛋白(―)となり嬉しい限りです。現在、糖尿病や糖質制限食を全て分かったつもりでおりましたが、DVD拝見し新たな発見が沢山ありました。そのなかで「逆流性食道炎」にも糖質制限食による効果があるとお話しされておりましたが、DVDでは、「逆流性食道炎」と糖質制限食との関係の説明が無かったかと思います。このあたりをご教示いただけないでしょうか。
追伸、江部先生が京都弁(?)をお使いになるのも発見のひとつでした。ブログや出版物は標準語ですから。】
スーパー糖質制限で健康人さん。
DVDのご購入ありがとうございます。
【スーパー糖質制限食だけの実施で
5年前HbA1c8.0、尿蛋白(+)
→現在HbA1c5.2、尿蛋白(-) 】
すばらしい改善です。
おめでとうございます。
糖尿病腎症第3期(顕性腎症期)から第1期(腎症前期)への回復も見事ですね。
健康人さんと同様に、糖尿病腎症、第3期Aまでは、スーパー糖質制限食実践で高タンパク食になるにも関わらず、タンパク尿が改善する例がほとんどです。
【現在、糖尿病や糖質制限食を全て分かったつもりでおりましたが、DVD拝見し新たな発見が沢山ありました。】
ありがとうございます。そう言っていただけると、DVDを作成した努力が報われる思いです。
「逆流性食道炎」と糖質制限食との関係ですが、糖質の過剰摂取に対する胃の反応こそが、
「逆流性食道炎」の本態と思われます。
10年来、20年来の逆流性食道炎が、スーパー糖質制限食実践のその日から改善しますので・・・。
その意味で、よく問診すると、
「カレーライスが一番胸やけがする」
とか、多くの人がよく仰有います。
カレーライスは、<炊いたご飯+カレーのルウの小麦>で糖質のダブルパンチですものね。
恐らく、逆流性食道炎は、精製炭水化物を摂取し始めたこの200~300年に、人類史上初めて登場した病気の一つかもしれませんね。
ちなみに、私の話す言葉は、広島弁と関西弁と標準語が混ざったもののように思います。京都生まれの広島育ちですが、18才からはずっと京都です。でも京都弁は私には似合いませんし、そもそも無理ですね。
話はDVDに戻ります。
これまでに、講演会を映像化して欲しいとの声を多々頂いておりましたが、なかなか形になりませんでした。
今回、私のバンド仲間の吉田さんが、映像プロダクションをされていることもあり、DVD化の運びとなりました。
DVDなら、何度でもご自宅で見て頂けますし、メモを取るのに必死で話を聴き逃した!などといったこともないので、けっこうオススメです。
本を読むのが苦手とか面倒くさい方にもDVDならOKですね。ご高齢の方、あるいは糖尿病のご両親へのプレゼントにもいいですよ。
糖尿病と糖質制限食について、講演会のスライドも適宜挿入しながら、江部康二がわかりやすく語っています。
本DVD、これまで遠方で来れなかった方はもちろん、一度来たけど家の玄関くぐったら9割忘れてしまった方(笑)も、是非ごらん頂ければうれしいです。
江部康二
2011年04月23日 (土)
おはようございます。
今回は、昨日の記事の続きで、果糖と中性脂肪について考えてみます。
果物に含まれる糖質の主成分の果糖ですが、実におもしろい性質を持っています。
果糖が脂肪合成を誘導しやすい糖質であることは、以前から知られています。
ヒトにおいて、高果糖食が肝臓での脂肪合成を促進し、血中の中性脂肪濃度を上昇させ、インスリン抵抗性を生じることが報告されています。
果物中の果糖は、GLUT5によって吸収されますが、血糖にはほとんど変わらずに肝臓まで運ばれ、ブドウ糖代謝系に入ります。このとき果糖は、ブドウ糖より急速に代謝されるという特徴があります。
果糖は、肝臓での脂肪合成酵素群の発現を促進させる作用も持っており、急速に代謝されることと合わせて、とても中性脂肪に変わり易いのです。
このように、現代では、は中性脂肪をためやすく肥満しやすい性質をもっており、要注意食材といえます。
さて、それでは再び、狩猟・採集時代の人類の食生活を考えてみましょう。
果物には果糖、ブドウ糖、ショ糖などの糖質が含まれています。10万年や20万年前に、アフリカの人類のご先祖が、運良く果物にありついたとき、
A)『ブドウ糖やショ糖→血糖値少し上昇→インスリン追加分泌少量→GLUT4が脂肪細胞表面に移動して血糖を取り込んで中性脂肪に変えて蓄積』
B)『果糖→インスリンとは無関係にGLUT5により吸収されて肝臓に運ばれて速やかに中性脂肪合成』
これらA)B)の2つのシステムが稼働したはずです。
A)B)の2つのシステムは、農耕以前の人類の食生活と生存競争において、極めて重要な意味を持っていたと考えられます。
即ち、体に中性脂肪を蓄えることは、ご先祖にとって、飢餓に備えるための唯一無二のセーフティーネットであったからです。
果糖がインスリンに依存せずに、肝臓でブドウ糖より速く代謝され中性脂肪に変わるのも、農耕以前の人類においてはとても大きな利点であったと考えられます。
体脂肪をあるていど蓄えることができるのが、現世人類の大きな特徴です。特に現世人類の女性の乳房とお尻は、脂肪の蓄積装置としてはとても優れたものであり、現世人類が6属21種の人類の中で唯一生き残った大きな理由の一つと言えます。
現世人類のごく普通の体型の女性なら、その体脂肪により、水さえあれば母子ともに2ヶ月くらいは生存可能という大きなアドバンテージがあるのです。
江部康二
☆☆☆☆
昨日(2011.4.22)のブログ記事を再掲します。
こんばんは。
ここ3回、肥満や中性脂肪やインスリンやGLUT4について考えてきました。
今回は、さらに突っ込んで、インスリンやGLUT4の役割を、農耕が始まる前の狩猟・採集時代にまで遡って考察してみました。
大変興味深い大胆な仮説を思いつきましたので、是非読んでくださいね。 (^^)
そもそも、GLUT4は、今でこそ(農耕開始以後)獅子奮迅の大活躍なのですが、農耕前は、ほとんど活動することはなかったと考えられます。
つまり、農耕後、日常的に穀物を摂取して、食後血糖値が上昇するようになってからは
『食後血糖値上昇→インスリン追加分泌→GLUT4が筋肉細胞・脂肪細胞表面にトランスロケーション』
というシステムが、毎日食事のたびに稼働するようになりました。
しかし、狩猟・採集時代には、穀物はありませんので、たまの少量の糖質摂取(果物やナッツ類)で、ごく軽度血糖値上昇があり、インスリン少量追加分泌のときだけGLUT4の出番があったに過ぎません。年間を通して、時々運良く、果物やナッツ類が採集できた場合のみですね。
この頃は、血糖値は慌てて下げなくてはいけないほど上昇していないので、GLUT4の役割は、筋肉細胞で血糖値を下げるというよりは、脂肪細胞で中性脂肪を作らせて冬に備える役割のほうが、はるかに大きな意味を持っていたと思います。
すなわち、農耕以前は「インスリン+GLUT4」のコンビは、たまに運良く糖質(野生の果物やナッツ類)を摂取して時だけ、もっぱら中性脂肪生産システムとして活躍していたものと考えられます。
そして農耕以前の糖質を摂取しない日常の食生活においては、「インスリン+GLUT4」のコンビは、ほとんど働く必然性はなかったわけです。
同じ糖輸送体でも、GLUT1(脳・赤血球・網膜の糖輸送体)のほうは、インスリンには無関係に常に細胞表面にあって、農耕前も農耕以後も24時間常に活動しているわけで、GLUT4とは大きな違いがあります。
また、糖質を摂取すれば血糖値が上昇し、インスリンには無関係に、肝臓に取り込まれてグリコーゲンを蓄積しますが、余った血糖が中性脂肪に変えられます。
この中性脂肪蓄積システムも、農耕後には日常的に稼働していますが、狩猟・採集時代には、食後血糖値の上昇はほとんどないので、肝臓に取り込まれるブドウ糖もごく少量であり、中性脂肪に蓄積されるほどはなかったと思います。
<続く >
次回は、果糖と中性脂肪の考察です。
江部康二
今回は、昨日の記事の続きで、果糖と中性脂肪について考えてみます。
果物に含まれる糖質の主成分の果糖ですが、実におもしろい性質を持っています。
果糖が脂肪合成を誘導しやすい糖質であることは、以前から知られています。
ヒトにおいて、高果糖食が肝臓での脂肪合成を促進し、血中の中性脂肪濃度を上昇させ、インスリン抵抗性を生じることが報告されています。
果物中の果糖は、GLUT5によって吸収されますが、血糖にはほとんど変わらずに肝臓まで運ばれ、ブドウ糖代謝系に入ります。このとき果糖は、ブドウ糖より急速に代謝されるという特徴があります。
果糖は、肝臓での脂肪合成酵素群の発現を促進させる作用も持っており、急速に代謝されることと合わせて、とても中性脂肪に変わり易いのです。
このように、現代では、は中性脂肪をためやすく肥満しやすい性質をもっており、要注意食材といえます。
さて、それでは再び、狩猟・採集時代の人類の食生活を考えてみましょう。
果物には果糖、ブドウ糖、ショ糖などの糖質が含まれています。10万年や20万年前に、アフリカの人類のご先祖が、運良く果物にありついたとき、
A)『ブドウ糖やショ糖→血糖値少し上昇→インスリン追加分泌少量→GLUT4が脂肪細胞表面に移動して血糖を取り込んで中性脂肪に変えて蓄積』
B)『果糖→インスリンとは無関係にGLUT5により吸収されて肝臓に運ばれて速やかに中性脂肪合成』
これらA)B)の2つのシステムが稼働したはずです。
A)B)の2つのシステムは、農耕以前の人類の食生活と生存競争において、極めて重要な意味を持っていたと考えられます。
即ち、体に中性脂肪を蓄えることは、ご先祖にとって、飢餓に備えるための唯一無二のセーフティーネットであったからです。
果糖がインスリンに依存せずに、肝臓でブドウ糖より速く代謝され中性脂肪に変わるのも、農耕以前の人類においてはとても大きな利点であったと考えられます。
体脂肪をあるていど蓄えることができるのが、現世人類の大きな特徴です。特に現世人類の女性の乳房とお尻は、脂肪の蓄積装置としてはとても優れたものであり、現世人類が6属21種の人類の中で唯一生き残った大きな理由の一つと言えます。
現世人類のごく普通の体型の女性なら、その体脂肪により、水さえあれば母子ともに2ヶ月くらいは生存可能という大きなアドバンテージがあるのです。
江部康二
☆☆☆☆
昨日(2011.4.22)のブログ記事を再掲します。
こんばんは。
ここ3回、肥満や中性脂肪やインスリンやGLUT4について考えてきました。
今回は、さらに突っ込んで、インスリンやGLUT4の役割を、農耕が始まる前の狩猟・採集時代にまで遡って考察してみました。
大変興味深い大胆な仮説を思いつきましたので、是非読んでくださいね。 (^^)
そもそも、GLUT4は、今でこそ(農耕開始以後)獅子奮迅の大活躍なのですが、農耕前は、ほとんど活動することはなかったと考えられます。
つまり、農耕後、日常的に穀物を摂取して、食後血糖値が上昇するようになってからは
『食後血糖値上昇→インスリン追加分泌→GLUT4が筋肉細胞・脂肪細胞表面にトランスロケーション』
というシステムが、毎日食事のたびに稼働するようになりました。
しかし、狩猟・採集時代には、穀物はありませんので、たまの少量の糖質摂取(果物やナッツ類)で、ごく軽度血糖値上昇があり、インスリン少量追加分泌のときだけGLUT4の出番があったに過ぎません。年間を通して、時々運良く、果物やナッツ類が採集できた場合のみですね。
この頃は、血糖値は慌てて下げなくてはいけないほど上昇していないので、GLUT4の役割は、筋肉細胞で血糖値を下げるというよりは、脂肪細胞で中性脂肪を作らせて冬に備える役割のほうが、はるかに大きな意味を持っていたと思います。
すなわち、農耕以前は「インスリン+GLUT4」のコンビは、たまに運良く糖質(野生の果物やナッツ類)を摂取して時だけ、もっぱら中性脂肪生産システムとして活躍していたものと考えられます。
そして農耕以前の糖質を摂取しない日常の食生活においては、「インスリン+GLUT4」のコンビは、ほとんど働く必然性はなかったわけです。
同じ糖輸送体でも、GLUT1(脳・赤血球・網膜の糖輸送体)のほうは、インスリンには無関係に常に細胞表面にあって、農耕前も農耕以後も24時間常に活動しているわけで、GLUT4とは大きな違いがあります。
また、糖質を摂取すれば血糖値が上昇し、インスリンには無関係に、肝臓に取り込まれてグリコーゲンを蓄積しますが、余った血糖が中性脂肪に変えられます。
この中性脂肪蓄積システムも、農耕後には日常的に稼働していますが、狩猟・採集時代には、食後血糖値の上昇はほとんどないので、肝臓に取り込まれるブドウ糖もごく少量であり、中性脂肪に蓄積されるほどはなかったと思います。
<続く >
次回は、果糖と中性脂肪の考察です。
江部康二
2011年04月22日 (金)
こんばんは。
ここ3回、肥満や中性脂肪やインスリンやGLUT4について考えてきました。
今回は、さらに突っ込んで、インスリンやGLUT4の役割を、農耕が始まる前の狩猟・採集時代にまで遡って考察してみました。
大変興味深い大胆な仮説を思いつきましたので、是非読んでくださいね。 (^^)
そもそも、GLUT4は、今でこそ(農耕開始以後)獅子奮迅の大活躍なのですが、農耕前は、ほとんど活動することはなかったと考えられます。
つまり、農耕後、日常的に穀物を摂取して、食後血糖値が上昇するようになってからは
『食後血糖値上昇→インスリン追加分泌→GLUT4が筋肉細胞・脂肪細胞表面にトランスロケーション』
というシステムが、毎日食事のたびに稼働するようになりました。
しかし、狩猟・採集時代には、穀物はありませんので、たまの少量の糖質摂取(果物やナッツ類)で、ごく軽度血糖値上昇があり、インスリン少量追加分泌のときだけGLUT4の出番があったに過ぎません。年間を通して、時々運良く、果物やナッツ類が採集できた場合のみですね。
この頃は、血糖値は慌てて下げなくてはいけないほど上昇していないので、GLUT4の役割は、筋肉細胞で血糖値を下げるというよりは、脂肪細胞で中性脂肪を作らせて冬に備える役割のほうが、はるかに大きな意味を持っていたと思います。
すなわち、農耕以前は「インスリン+GLUT4」のコンビは、たまに運良く糖質(野生の果物やナッツ類)を摂取して時だけ、もっぱら中性脂肪生産システムとして活躍していたものと考えられます。
そして農耕以前の糖質を摂取しない日常の食生活においては、「インスリン+GLUT4」のコンビは、ほとんど働く必然性はなかったわけです。
同じ糖輸送体でも、GLUT1(脳・赤血球・網膜の糖輸送体)のほうは、インスリンには無関係に常に細胞表面にあって、農耕前も農耕以後も24時間常に活動しているわけで、GLUT4とは大きな違いがあります。
また、糖質を摂取すれば血糖値が上昇し、インスリンには無関係に、肝臓に取り込まれてグリコーゲンを蓄積しますが、余った血糖が中性脂肪に変えられます。
この中性脂肪蓄積システムも、農耕後には日常的に稼働していますが、狩猟・採集時代には、食後血糖値の上昇はほとんどないので、肝臓に取り込まれるブドウ糖もごく少量であり、中性脂肪に蓄積されるほどはなかったと思います。
<続く >
次回は、果糖と中性脂肪の考察です。
江部康二
ここ3回、肥満や中性脂肪やインスリンやGLUT4について考えてきました。
今回は、さらに突っ込んで、インスリンやGLUT4の役割を、農耕が始まる前の狩猟・採集時代にまで遡って考察してみました。
大変興味深い大胆な仮説を思いつきましたので、是非読んでくださいね。 (^^)
そもそも、GLUT4は、今でこそ(農耕開始以後)獅子奮迅の大活躍なのですが、農耕前は、ほとんど活動することはなかったと考えられます。
つまり、農耕後、日常的に穀物を摂取して、食後血糖値が上昇するようになってからは
『食後血糖値上昇→インスリン追加分泌→GLUT4が筋肉細胞・脂肪細胞表面にトランスロケーション』
というシステムが、毎日食事のたびに稼働するようになりました。
しかし、狩猟・採集時代には、穀物はありませんので、たまの少量の糖質摂取(果物やナッツ類)で、ごく軽度血糖値上昇があり、インスリン少量追加分泌のときだけGLUT4の出番があったに過ぎません。年間を通して、時々運良く、果物やナッツ類が採集できた場合のみですね。
この頃は、血糖値は慌てて下げなくてはいけないほど上昇していないので、GLUT4の役割は、筋肉細胞で血糖値を下げるというよりは、脂肪細胞で中性脂肪を作らせて冬に備える役割のほうが、はるかに大きな意味を持っていたと思います。
すなわち、農耕以前は「インスリン+GLUT4」のコンビは、たまに運良く糖質(野生の果物やナッツ類)を摂取して時だけ、もっぱら中性脂肪生産システムとして活躍していたものと考えられます。
そして農耕以前の糖質を摂取しない日常の食生活においては、「インスリン+GLUT4」のコンビは、ほとんど働く必然性はなかったわけです。
同じ糖輸送体でも、GLUT1(脳・赤血球・網膜の糖輸送体)のほうは、インスリンには無関係に常に細胞表面にあって、農耕前も農耕以後も24時間常に活動しているわけで、GLUT4とは大きな違いがあります。
また、糖質を摂取すれば血糖値が上昇し、インスリンには無関係に、肝臓に取り込まれてグリコーゲンを蓄積しますが、余った血糖が中性脂肪に変えられます。
この中性脂肪蓄積システムも、農耕後には日常的に稼働していますが、狩猟・採集時代には、食後血糖値の上昇はほとんどないので、肝臓に取り込まれるブドウ糖もごく少量であり、中性脂肪に蓄積されるほどはなかったと思います。
<続く >
次回は、果糖と中性脂肪の考察です。
江部康二
2011年04月21日 (木)
こんにちは。
A)『糖質摂取で血糖値上昇→インスリン追加分泌→脂肪細胞表面にGLUT4発現→血糖を取り込んで中性脂肪に合成して脂肪細胞内に蓄積』
B)『糖質摂取で血糖値上昇→肝臓が約50%を取り込んで中性脂肪合成→中性脂肪はVLDLとして血中に放出→余剰の中性脂肪は脂肪細胞に取り込まれて蓄積』
普通に糖質を摂取しているときは、A)B)のプロセスで中性脂肪が脂肪細胞に蓄積され、体脂肪が増えていきます。
それでも、筋肉量がしっかりあって基礎代謝が多い人は、『食事で蓄えられた中性脂肪』と、『空腹時や睡眠時に消費される中性脂肪』のバランスがとれていて、肥満(脂肪蓄積)は生じずにすみます。
中年で筋肉量が減り、基礎代謝も減少すれば
『食事で蓄えられた中性脂肪』 > 『空腹時や睡眠時に消費される中性脂肪』
となり、肥満が始まります。
インスリンが追加分泌されればその量に応じて、GLUT4が脂肪細胞や筋肉細胞表面に発現してくるわけです。インスリンの量が多ければ、細胞表面に発現するGLUT4の数が増えます。
糖輸送体(GLUT)は1~14まで報告されています。GLUT4は筋肉細胞と脂肪細胞に特異的で、インスリンにより細胞表面にトランスロケーションするという、他の13種の糖輸送体にはない特徴を持っています。
スーパー糖質制限食なら、血糖値はほとんど上昇しないし、食後の追加分泌インスリンはせいぜい2倍くらいです。
これくらいのインスリン量なら、脂肪細胞や筋肉細胞の表面に発現するGLUT4の数はごくわずかです。
従って、脂肪細胞が血糖値を取り込んで、中性脂肪に変えて備蓄することもほとんどありません。
それどころか、ステーキを食べている最中にも、脂肪は分解されて脂肪酸やケトン体となり、筋肉や体の組織で利用されているのです。
即ち、スーパー糖質制限食で高タンパク・高脂質で高カロリーの食事をしても、インスリンはほとんど分泌されないので、脂肪細胞表面に発現するGLUT4の数は極少なく、ブドウ糖を中性脂肪に変える回路はほとんど働きません。
また糖質を摂取して上昇した血糖は、インスリンとは無関係に肝臓で約50%が取り込まれ、残りは大循環に回ります。
肝臓に取り込まれたブドウ糖は、グリコーゲンとして蓄えられますが、余剰のブドウ糖は中性脂肪に変換されます。
スーパー糖質制限食なら、食後血糖値はほとんど上昇しないので、肝臓に取り込まれるブドウ糖もほとんどありません。従って肝臓で合成する中性脂肪もほとんどありません。
A)『糖質摂取で血糖値上昇→インスリン追加分泌→脂肪細胞表面にGLUT4発現→血糖を取り込んで中性脂肪に合成して脂肪細胞内に蓄積』
B)『糖質摂取で血糖値上昇→肝臓が約50%を取り込んで中性脂肪合成→中性脂肪はVLDLとして血中に放出→余剰の中性脂肪は脂肪細胞に取り込まれて蓄積』
糖質を摂取したときに認められるA)B)のパターンが、スーパー糖質制限食実践ならほとんどないので、中性脂肪が脂肪細胞に蓄積されにくいのです。
糖質摂取とインスリン分泌で太りやすい理由、糖質制限食でやせやすい理由、お分りいただけたでしょうか。
江部康二
A)『糖質摂取で血糖値上昇→インスリン追加分泌→脂肪細胞表面にGLUT4発現→血糖を取り込んで中性脂肪に合成して脂肪細胞内に蓄積』
B)『糖質摂取で血糖値上昇→肝臓が約50%を取り込んで中性脂肪合成→中性脂肪はVLDLとして血中に放出→余剰の中性脂肪は脂肪細胞に取り込まれて蓄積』
普通に糖質を摂取しているときは、A)B)のプロセスで中性脂肪が脂肪細胞に蓄積され、体脂肪が増えていきます。
それでも、筋肉量がしっかりあって基礎代謝が多い人は、『食事で蓄えられた中性脂肪』と、『空腹時や睡眠時に消費される中性脂肪』のバランスがとれていて、肥満(脂肪蓄積)は生じずにすみます。
中年で筋肉量が減り、基礎代謝も減少すれば
『食事で蓄えられた中性脂肪』 > 『空腹時や睡眠時に消費される中性脂肪』
となり、肥満が始まります。
インスリンが追加分泌されればその量に応じて、GLUT4が脂肪細胞や筋肉細胞表面に発現してくるわけです。インスリンの量が多ければ、細胞表面に発現するGLUT4の数が増えます。
糖輸送体(GLUT)は1~14まで報告されています。GLUT4は筋肉細胞と脂肪細胞に特異的で、インスリンにより細胞表面にトランスロケーションするという、他の13種の糖輸送体にはない特徴を持っています。
スーパー糖質制限食なら、血糖値はほとんど上昇しないし、食後の追加分泌インスリンはせいぜい2倍くらいです。
これくらいのインスリン量なら、脂肪細胞や筋肉細胞の表面に発現するGLUT4の数はごくわずかです。
従って、脂肪細胞が血糖値を取り込んで、中性脂肪に変えて備蓄することもほとんどありません。
それどころか、ステーキを食べている最中にも、脂肪は分解されて脂肪酸やケトン体となり、筋肉や体の組織で利用されているのです。
即ち、スーパー糖質制限食で高タンパク・高脂質で高カロリーの食事をしても、インスリンはほとんど分泌されないので、脂肪細胞表面に発現するGLUT4の数は極少なく、ブドウ糖を中性脂肪に変える回路はほとんど働きません。
また糖質を摂取して上昇した血糖は、インスリンとは無関係に肝臓で約50%が取り込まれ、残りは大循環に回ります。
肝臓に取り込まれたブドウ糖は、グリコーゲンとして蓄えられますが、余剰のブドウ糖は中性脂肪に変換されます。
スーパー糖質制限食なら、食後血糖値はほとんど上昇しないので、肝臓に取り込まれるブドウ糖もほとんどありません。従って肝臓で合成する中性脂肪もほとんどありません。
A)『糖質摂取で血糖値上昇→インスリン追加分泌→脂肪細胞表面にGLUT4発現→血糖を取り込んで中性脂肪に合成して脂肪細胞内に蓄積』
B)『糖質摂取で血糖値上昇→肝臓が約50%を取り込んで中性脂肪合成→中性脂肪はVLDLとして血中に放出→余剰の中性脂肪は脂肪細胞に取り込まれて蓄積』
糖質を摂取したときに認められるA)B)のパターンが、スーパー糖質制限食実践ならほとんどないので、中性脂肪が脂肪細胞に蓄積されにくいのです。
糖質摂取とインスリン分泌で太りやすい理由、糖質制限食でやせやすい理由、お分りいただけたでしょうか。
江部康二
2011年04月20日 (水)
こんにちは。
今回は、私が中年太りに至ったプロセスと、解決したプロセスのお話しです。
私の飲酒歴は学生時代からで、タバコは一切なしです。
京大医学部入学が、1968年です。
学生時代はお金がないですから、札幌ジャイアンツ(当時の巨大な瓶ビール)や一升瓶の料理用ワイン、安物の日本酒の三倍醸造酒の一升瓶などが中心でした。
学生時代は、身長167cm、55~56kgくらいで、いくら食べても飲んでも決して太りませんでした。
三倍醸造酒で二日酔いになると最悪で、三日酔いくらいになるので、日本酒は大嫌いになりました。( ̄_ ̄|||)
それで1974年、社会人になってからは、ブランデーやウィスキーをもっぱら飲んでいました。
その頃の私は、結構な大食いのほうで、割り勘負けはまずありませんでしたが、炭水化物も含めていくら食べても飲んでも決して太りませんでした。
医学生時代は野球部で6年間練習や試合をしていたので、その分の筋肉の貯金があって、社会人になってからもしばらくは基礎代謝が盛んだったのでしょう。
とある時、尾瀬あきら作の漫画「夏子の酒」を読んで感動し、40歳過ぎからからは、純米酒に目覚めました。
三倍醸造酒は最悪ですが、純米酒は最高に美味しかったです。(⌒o⌒)v
「酒をやるなら純米大吟醸、ビール飲むなら恵比寿ビール、愛読書並びに推薦書は夏子の酒・・・」
てなキャッチコピーで、それまでのウィスキーやブランデーから純米酒と恵比寿ビールに切り替えて、当時浴びるように飲んでいました。
主食は、病院では玄米で、家では胚芽米でした。当時は「粗食のすすめ」で有名な幕内秀夫先生の推進する
「学校給食と子供の健康を考える会」にも関係していて「学校給食を完全米飯に」という運動をしていたこともあり、外食、講演や旅行などの食事や、新幹線の駅弁では、おかずよりは兎に角米飯をしっかり食べるようにしていました。忙しい時は、おにぎりだけでお腹いっぱいとかも多かったです。
肉や脂の食材は、できるだけ控えて魚介中心にして、調理油は極力使わずカロリー制限も一定していました。運動は、30才から始めた週2回のテニスです。
運動量は、社会人に成り立ての頃より、テニスの分は少し多いくらいで、食事は肉・油脂を控えてカロリー制限でそれなりに気をつけていたのですが、40才過ぎから徐々にお腹が出てきて、体重も増え始めました。年齢とともに筋肉量が減少して、基礎代謝が低下してきたのでしょう。
『食事で蓄えられた中性脂肪』と『空腹時や睡眠時に消費される中性脂肪』のバランスが崩れ始めた時期だったと思います。
兎に角、米飯を中心に炭水化物の摂取は多かったです。毎日食事の度に、大量のインスリン追加分泌を繰り返し、だめ押しに毎晩毎晩、雨の日も風の日も雪の日も晴れの日も曇りの日も、律儀に純米酒と恵比寿ビールで飲酒後もインスリン追加分泌を生じていたのでしょう。
当時は、テニスの帰りにスポーツジムにもよって、自転車こぎや腹筋・背筋運動もやってました。
30代よりは運動量も増やして食事にも気を使っていたのに、なぜか体重はさらに増加し、腹回りも順調に育っていきました。
所詮この程度の運動では、日々の大量の炭水化物摂取に拮抗できるはずもなく、インスリン過剰分泌でますます肥満していったのだ思います。
肥満すればインスリン抵抗性が増して効きが悪くなるので、益々過剰のインスリンを分泌せざるを得ません。肥満ホルモンであるインスリン分泌の悪循環ですね。
52歳、糖尿病発覚時には、とうとう体重67kgになって、学生時代より約10kg増えてしまいました。
血圧は160/100、腹囲は86cmと、メタボリック・シンドロームの診断基準を見事に満たしていました。
ここに至り、一念発起して、2002年6月から糖質制限食を開始しました。肉・魚・野菜・豆腐などおかずは食べ放題で、主食(糖質)だけはなしです。
酒は日本酒、ビールなどの糖質を含んでいる醸造酒は中止し、もっぱら焼酎(蒸留酒)としました。
辛口赤ワインだけは、醸造酒の中でも血糖値をほとんど上昇させないので、適宜飲んでいました。
純米大吟醸・恵比寿ビール時代を知る友人達からは、非難囂々、ブーイング続出でしたが、糖尿病・メタボとおさらばするために、背に腹は代えられません。
この間、スポーツジムはやめてしまい、テニスも2回/週から、1回/週に減ったので、運動量は40代に比し確実に減りました。
また、肉や炒め物や揚げ物など脂質をたっぷり摂取したので、40代の油脂は極力控えていた時代に比し、総摂取カロリーは増えていたと思います。お酒の量は、全く不変でした。
運動量は減って、総摂取エネルギーは増加したにも関わらず、6ヶ月間の糖質制限食で、体重は約10kg減って57kgにおち、血圧も120/70、HbA1Cも4.9%と改善しました。メタボリック・シンドロームも解消しました。
このように、私の肥満(中年太り)には総摂取エネルギーよりも総糖質摂取量のほうが、色濃く関係していたことは間違いありません。
『糖質摂取で血糖値上昇→インスリン追加分泌→脂肪細胞表面にGLUT4発現→血糖を取り込んで中性脂肪に合成して脂肪細胞内に蓄積』
『糖質摂取で血糖値上昇→肝臓が取り込んで中性脂肪合成→中性脂肪はVLDLとして血中に放出→余剰の中性脂肪は脂肪細胞に取り込まれて蓄積』
という悪循環が、糖質制限食で断ち切れたのだと思います。
その後は、2011年現在に至るまで、身長、体重は167cm、56~57kgとほぼ一定で、血圧も120~130/70~80ていど、HbA1cは5.1~5.4%ていどです。
今は、主食(糖質)を食べなければ正常人、主食(糖質)を食べれば糖尿人です。厳しく4%台を目指すのは、美味しく楽しく糖質制限食が困難となるので、今ぐらいで折り合いをつけときます。 (^^)
江部康二
今回は、私が中年太りに至ったプロセスと、解決したプロセスのお話しです。
私の飲酒歴は学生時代からで、タバコは一切なしです。
京大医学部入学が、1968年です。
学生時代はお金がないですから、札幌ジャイアンツ(当時の巨大な瓶ビール)や一升瓶の料理用ワイン、安物の日本酒の三倍醸造酒の一升瓶などが中心でした。
学生時代は、身長167cm、55~56kgくらいで、いくら食べても飲んでも決して太りませんでした。
三倍醸造酒で二日酔いになると最悪で、三日酔いくらいになるので、日本酒は大嫌いになりました。( ̄_ ̄|||)
それで1974年、社会人になってからは、ブランデーやウィスキーをもっぱら飲んでいました。
その頃の私は、結構な大食いのほうで、割り勘負けはまずありませんでしたが、炭水化物も含めていくら食べても飲んでも決して太りませんでした。
医学生時代は野球部で6年間練習や試合をしていたので、その分の筋肉の貯金があって、社会人になってからもしばらくは基礎代謝が盛んだったのでしょう。
とある時、尾瀬あきら作の漫画「夏子の酒」を読んで感動し、40歳過ぎからからは、純米酒に目覚めました。
三倍醸造酒は最悪ですが、純米酒は最高に美味しかったです。(⌒o⌒)v
「酒をやるなら純米大吟醸、ビール飲むなら恵比寿ビール、愛読書並びに推薦書は夏子の酒・・・」
てなキャッチコピーで、それまでのウィスキーやブランデーから純米酒と恵比寿ビールに切り替えて、当時浴びるように飲んでいました。
主食は、病院では玄米で、家では胚芽米でした。当時は「粗食のすすめ」で有名な幕内秀夫先生の推進する
「学校給食と子供の健康を考える会」にも関係していて「学校給食を完全米飯に」という運動をしていたこともあり、外食、講演や旅行などの食事や、新幹線の駅弁では、おかずよりは兎に角米飯をしっかり食べるようにしていました。忙しい時は、おにぎりだけでお腹いっぱいとかも多かったです。
肉や脂の食材は、できるだけ控えて魚介中心にして、調理油は極力使わずカロリー制限も一定していました。運動は、30才から始めた週2回のテニスです。
運動量は、社会人に成り立ての頃より、テニスの分は少し多いくらいで、食事は肉・油脂を控えてカロリー制限でそれなりに気をつけていたのですが、40才過ぎから徐々にお腹が出てきて、体重も増え始めました。年齢とともに筋肉量が減少して、基礎代謝が低下してきたのでしょう。
『食事で蓄えられた中性脂肪』と『空腹時や睡眠時に消費される中性脂肪』のバランスが崩れ始めた時期だったと思います。
兎に角、米飯を中心に炭水化物の摂取は多かったです。毎日食事の度に、大量のインスリン追加分泌を繰り返し、だめ押しに毎晩毎晩、雨の日も風の日も雪の日も晴れの日も曇りの日も、律儀に純米酒と恵比寿ビールで飲酒後もインスリン追加分泌を生じていたのでしょう。
当時は、テニスの帰りにスポーツジムにもよって、自転車こぎや腹筋・背筋運動もやってました。
30代よりは運動量も増やして食事にも気を使っていたのに、なぜか体重はさらに増加し、腹回りも順調に育っていきました。
所詮この程度の運動では、日々の大量の炭水化物摂取に拮抗できるはずもなく、インスリン過剰分泌でますます肥満していったのだ思います。
肥満すればインスリン抵抗性が増して効きが悪くなるので、益々過剰のインスリンを分泌せざるを得ません。肥満ホルモンであるインスリン分泌の悪循環ですね。
52歳、糖尿病発覚時には、とうとう体重67kgになって、学生時代より約10kg増えてしまいました。
血圧は160/100、腹囲は86cmと、メタボリック・シンドロームの診断基準を見事に満たしていました。
ここに至り、一念発起して、2002年6月から糖質制限食を開始しました。肉・魚・野菜・豆腐などおかずは食べ放題で、主食(糖質)だけはなしです。
酒は日本酒、ビールなどの糖質を含んでいる醸造酒は中止し、もっぱら焼酎(蒸留酒)としました。
辛口赤ワインだけは、醸造酒の中でも血糖値をほとんど上昇させないので、適宜飲んでいました。
純米大吟醸・恵比寿ビール時代を知る友人達からは、非難囂々、ブーイング続出でしたが、糖尿病・メタボとおさらばするために、背に腹は代えられません。
この間、スポーツジムはやめてしまい、テニスも2回/週から、1回/週に減ったので、運動量は40代に比し確実に減りました。
また、肉や炒め物や揚げ物など脂質をたっぷり摂取したので、40代の油脂は極力控えていた時代に比し、総摂取カロリーは増えていたと思います。お酒の量は、全く不変でした。
運動量は減って、総摂取エネルギーは増加したにも関わらず、6ヶ月間の糖質制限食で、体重は約10kg減って57kgにおち、血圧も120/70、HbA1Cも4.9%と改善しました。メタボリック・シンドロームも解消しました。
このように、私の肥満(中年太り)には総摂取エネルギーよりも総糖質摂取量のほうが、色濃く関係していたことは間違いありません。
『糖質摂取で血糖値上昇→インスリン追加分泌→脂肪細胞表面にGLUT4発現→血糖を取り込んで中性脂肪に合成して脂肪細胞内に蓄積』
『糖質摂取で血糖値上昇→肝臓が取り込んで中性脂肪合成→中性脂肪はVLDLとして血中に放出→余剰の中性脂肪は脂肪細胞に取り込まれて蓄積』
という悪循環が、糖質制限食で断ち切れたのだと思います。
その後は、2011年現在に至るまで、身長、体重は167cm、56~57kgとほぼ一定で、血圧も120~130/70~80ていど、HbA1cは5.1~5.4%ていどです。
今は、主食(糖質)を食べなければ正常人、主食(糖質)を食べれば糖尿人です。厳しく4%台を目指すのは、美味しく楽しく糖質制限食が困難となるので、今ぐらいで折り合いをつけときます。 (^^)
江部康二
2011年04月19日 (火)
こんにちは。
「20代、30代と体重はほとん変わらずに保っていたのに、40才の声を聞いたころから急に体重が増え始める・・・。」
簡単に言えばこれが中年太りです。
運動量も変わらず、食事摂取量も変わない、それなのに何故体重が増えるのでしょう?
<摂取エネルギーと消費エネルギー>
「消費エネルギー=基礎代謝+運動エネルギー+食事誘発熱産生」
単純には、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回れば太り、下回れば痩せます。
中年太りでは、摂取エネルギーは不変です。
体重が増加するということは、必然的に
「摂取エネルギー>消費エネルギー」
となっているはずです。
消費エネルギーの中で、運動エネルギーと食事誘発熱産生は不変です。
そうすると、中年太りの原因は、基礎代謝の低下以外には考えられません。
体重が変わらないとしても、定期的に運動をしてない人は、経年的に徐々に筋肉量は減少していき、一方体脂肪量は増えていきます。
つまり、見かけ上の体重は変わらないとしても、中年になると筋肉が減り脂肪が増えているわけで、基礎代謝は低下していきます。
普通に糖質のある食事をすれば、正常人でもミニスパイク程度の食後血糖値の上昇があります。
130~140~160mg/dlくらいまで正常人でも血糖値は上昇します。
この時インスリンの追加分泌が、数倍~30倍くらい出ます。
筋肉細胞と脂肪細胞の糖輸送体はGLUT4で、いずれもインスリン追加分泌により細胞表面に上がってきて、血糖を取り込みます。
体重のうち筋肉の占める割合が筋肉率で、標準的には男性で31.0~34.9%です。
体脂肪率が、標準的には男性で19.9%以下で、平均15%くらいです。
女性では平均体脂肪率は、25%くらいです。
血糖値が上昇しインスリンが追加分泌されれば、GLUT4が細胞表面に上がり、筋肉細胞でも脂肪細胞でも血糖を取り込みます。
この場合、量的には筋肉細胞が脂肪細胞よりかなり多いので、脂肪細胞より沢山血糖を取り込みます。
そして、まず筋肉細胞のエネルギー源としてブドウ糖を利用し、そのあとグリコーゲンとして蓄えます。
しかし、筋肉細胞のグリコーゲン備蓄が満杯になれば、余った血糖は、あとは脂肪細胞に取り込まれます。脂肪細胞に取り込まれたブドウ糖は、中性脂肪として蓄えられます。
なお、インスリンとは無関係に、過剰に摂取したブドウ糖は肝臓で中性脂肪に合成され、VLDLとして肝静脈中に分泌されます。この肝臓で作った中性脂肪も、脂肪細胞に蓄積されます。
食後数時間以上絶食が続けば、脂肪が分解されて筋肉などで利用されます。
つまり食事によって脂肪細胞に蓄えられた中性脂肪は、空腹時や夜間睡眠時には分解されて筋肉などで使われて消費されるわけです。
この『食事で蓄えられた中性脂肪』と、『空腹時や睡眠時に消費される中性脂肪』のバランスがとれていれば肥満(脂肪蓄積)は生じずにすみます。
しかし、中年になって筋肉量が減り基礎代謝も減少すれば、必然的に空腹時や睡眠時に消費される中性脂肪は減少していきますので、体脂肪量は増えていきます。
つまり、体重は不変でも筋肉率は減少し、体脂肪率は上昇している段階です。筋肉量・筋肉率が減少すれば食後に取り込める血糖も減少し、その分脂肪細胞に取り込まれる血糖が増えます。
いったん、『食事で蓄えられた中性脂肪』と『空腹時や睡眠時に消費される中性脂肪』のバランスが崩れてしまうと、あとは転がるように悪循環して肥満が進行するでしょう。
江部康二
「20代、30代と体重はほとん変わらずに保っていたのに、40才の声を聞いたころから急に体重が増え始める・・・。」
簡単に言えばこれが中年太りです。
運動量も変わらず、食事摂取量も変わない、それなのに何故体重が増えるのでしょう?
<摂取エネルギーと消費エネルギー>
「消費エネルギー=基礎代謝+運動エネルギー+食事誘発熱産生」
単純には、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回れば太り、下回れば痩せます。
中年太りでは、摂取エネルギーは不変です。
体重が増加するということは、必然的に
「摂取エネルギー>消費エネルギー」
となっているはずです。
消費エネルギーの中で、運動エネルギーと食事誘発熱産生は不変です。
そうすると、中年太りの原因は、基礎代謝の低下以外には考えられません。
体重が変わらないとしても、定期的に運動をしてない人は、経年的に徐々に筋肉量は減少していき、一方体脂肪量は増えていきます。
つまり、見かけ上の体重は変わらないとしても、中年になると筋肉が減り脂肪が増えているわけで、基礎代謝は低下していきます。
普通に糖質のある食事をすれば、正常人でもミニスパイク程度の食後血糖値の上昇があります。
130~140~160mg/dlくらいまで正常人でも血糖値は上昇します。
この時インスリンの追加分泌が、数倍~30倍くらい出ます。
筋肉細胞と脂肪細胞の糖輸送体はGLUT4で、いずれもインスリン追加分泌により細胞表面に上がってきて、血糖を取り込みます。
体重のうち筋肉の占める割合が筋肉率で、標準的には男性で31.0~34.9%です。
体脂肪率が、標準的には男性で19.9%以下で、平均15%くらいです。
女性では平均体脂肪率は、25%くらいです。
血糖値が上昇しインスリンが追加分泌されれば、GLUT4が細胞表面に上がり、筋肉細胞でも脂肪細胞でも血糖を取り込みます。
この場合、量的には筋肉細胞が脂肪細胞よりかなり多いので、脂肪細胞より沢山血糖を取り込みます。
そして、まず筋肉細胞のエネルギー源としてブドウ糖を利用し、そのあとグリコーゲンとして蓄えます。
しかし、筋肉細胞のグリコーゲン備蓄が満杯になれば、余った血糖は、あとは脂肪細胞に取り込まれます。脂肪細胞に取り込まれたブドウ糖は、中性脂肪として蓄えられます。
なお、インスリンとは無関係に、過剰に摂取したブドウ糖は肝臓で中性脂肪に合成され、VLDLとして肝静脈中に分泌されます。この肝臓で作った中性脂肪も、脂肪細胞に蓄積されます。
食後数時間以上絶食が続けば、脂肪が分解されて筋肉などで利用されます。
つまり食事によって脂肪細胞に蓄えられた中性脂肪は、空腹時や夜間睡眠時には分解されて筋肉などで使われて消費されるわけです。
この『食事で蓄えられた中性脂肪』と、『空腹時や睡眠時に消費される中性脂肪』のバランスがとれていれば肥満(脂肪蓄積)は生じずにすみます。
しかし、中年になって筋肉量が減り基礎代謝も減少すれば、必然的に空腹時や睡眠時に消費される中性脂肪は減少していきますので、体脂肪量は増えていきます。
つまり、体重は不変でも筋肉率は減少し、体脂肪率は上昇している段階です。筋肉量・筋肉率が減少すれば食後に取り込める血糖も減少し、その分脂肪細胞に取り込まれる血糖が増えます。
いったん、『食事で蓄えられた中性脂肪』と『空腹時や睡眠時に消費される中性脂肪』のバランスが崩れてしまうと、あとは転がるように悪循環して肥満が進行するでしょう。
江部康二
2011年04月19日 (火)
おはようございます。
アメリカ在住の夏風さんから、糖質制限食と体重減少について、コメント・質問をいただきました。
【11/04/19 夏風
私も取り組んでます。でも...。
江部先生こんにちは、
私も4月1日よりスーパー糖質制限はじめました。
なんのご飯、麺類、甘いもの大好きですが、このままではだめだと思い、意を決してはじめました。
現在アメリカに住んでいます、ここアメリカでは日本では想像をできないような医療費の高さ。こんなところでは絶対に大病にはかかれません。
スーパー糖質制限食を始めて4、5日は順調に体重が減少しました。しかしここ10日ほどまったく変動がありません。江部先生の著書をすぐにでも読みたいのですが、なかなかすぐには入手できず、インターネットで検索しながらやっています。
ある日の食事内容ですが。
朝 ハムエッグ(卵2個、ターキーハム2枚)
前日夕食の残りのローストビーフ4枚、
無調整豆乳
スナック コーヒー、ミックスナッツ(アーモン ド、カシューナッツ、マカデミア)
昼 サーロインステーキ(160g)
レタス、きゅうりサラダ
スナック ストリングチーズ
夜 海老、アボガド、ゆでブロッコリーのサラダ
(マヨネーズ)、ミートボール、味噌汁
こんな感じです。これに時々夕食に赤ワインが入ります。一応調味料、飲み物にも気をつけています。
カロリーのとりすぎでしょうか?
2週間ほどの実践で2.5キロほど落ちました。
みなさん、最初の1ヶでに5,6キロほど減量した方が多数いらっしゃるので少しあせりを感じてます。
でも今回どうしても大幅に減量したいです。
ちなみに身長161センチ、体重70キロ。アメリカに移住して10キロ増えました。
どうぞアドバイスお願いします。】
夏風さん。
ご指摘通り、アメリカの医療費の自己負担は莫大です。スーパー糖質制限食で健康を保つことは、大きな意味がありますね。
161cm、72.5kgだと、BMIは27.99です。
現在は70kgですから、BMI27です。
アメリカでは肥満の診断基準は、BMI30からなのでまあOKなのですが、日本の基準ではBMI25以上が肥満です。
世界ガン研究基金の2007年の報告によれば、肥満に関しては、大腸・食道・膵臓・腎臓・子宮内膜(子宮)・乳房のガンになるリスクが高まるとしています。
これら6つのガンに関しては、はっきり肥満がリスクになるということです。
また、胆嚢に関しては、肥満がおそらく発ガンのリスクを高めるとしています。リスク軽減のためにはBMI25未満を目指すことを推薦しています。そして糖質制限食が、肥満にはもっとも有効な治療法です。 (^_^)
糖質制限食実践で、ほとんどの人はカロリー制限なしで減量成功するのですが、
「糖質制限食を実践してもなかなか痩せない」
そういう人が確かに数%おられます。
どうやら世の中には、痩せやすい人と痩せにくい人がいることは間違いないようですが、その大きな要因として基礎代謝があります。
吉田俊秀先生(京都府立医大臨床教授・肥満外来)によれば、日本女性の平均基礎代謝量は約1200キロカロリー/日ですが、個別には600~2400キロカロリー/日と、かなりのばらつきがあるそうです。
基礎代謝が800キロカロリー/日しかない人ならば、1200キロカロリー/日という低カロリーでもなかなか痩せないことは理解できますよね。基礎代謝が低い人は「倹約遺伝子」の持ち主が多いようです。
もし倹約遺伝子の持ち主であれば、女性で1200キロカロリーの 糖質制限食でも痩せにくいことがあり、
『糖質制限食+カロリー制限食(1000キロカロリー)』が必要となります。
この倹約遺伝子の持ち主が、日本人の数%おられると思います。
女性なら1000~1200キロカロリー
男性なら1400~1600キロカロリー
が一つの目安ですね。
さらに、数%ほど大食タイプの人がおられます。
無糖ヨーグルト500g入り1個を1回で食べてなおかつ1日2~3個でも平気とか、ステーキ400gなんて楽勝とか、タマネギ中玉(200g)2個くらいなら炒めたら簡単とか・・・。
こういう強者(大食漢)の方々には、カロリー制限までしなくても、普通のカロリーですね。
女性なら1200~1600キロカロリー
男性なら1600~2000キロカロリー
が一つの目安と説明しています。
夏風さん、2週間で2.5kg減量ですので、まあまあと思います。
基礎代謝の差もあるので、女性は男性よりは痩せにくいです。
また個人差もありますし、直線的に減量ということはなくて階段状になることが多いです。
まずは美味しく楽しく糖質制限食で、64.5kg(BMI24.88)くらいをめざしましょう。
江部康二
アメリカ在住の夏風さんから、糖質制限食と体重減少について、コメント・質問をいただきました。
【11/04/19 夏風
私も取り組んでます。でも...。
江部先生こんにちは、
私も4月1日よりスーパー糖質制限はじめました。
なんのご飯、麺類、甘いもの大好きですが、このままではだめだと思い、意を決してはじめました。
現在アメリカに住んでいます、ここアメリカでは日本では想像をできないような医療費の高さ。こんなところでは絶対に大病にはかかれません。
スーパー糖質制限食を始めて4、5日は順調に体重が減少しました。しかしここ10日ほどまったく変動がありません。江部先生の著書をすぐにでも読みたいのですが、なかなかすぐには入手できず、インターネットで検索しながらやっています。
ある日の食事内容ですが。
朝 ハムエッグ(卵2個、ターキーハム2枚)
前日夕食の残りのローストビーフ4枚、
無調整豆乳
スナック コーヒー、ミックスナッツ(アーモン ド、カシューナッツ、マカデミア)
昼 サーロインステーキ(160g)
レタス、きゅうりサラダ
スナック ストリングチーズ
夜 海老、アボガド、ゆでブロッコリーのサラダ
(マヨネーズ)、ミートボール、味噌汁
こんな感じです。これに時々夕食に赤ワインが入ります。一応調味料、飲み物にも気をつけています。
カロリーのとりすぎでしょうか?
2週間ほどの実践で2.5キロほど落ちました。
みなさん、最初の1ヶでに5,6キロほど減量した方が多数いらっしゃるので少しあせりを感じてます。
でも今回どうしても大幅に減量したいです。
ちなみに身長161センチ、体重70キロ。アメリカに移住して10キロ増えました。
どうぞアドバイスお願いします。】
夏風さん。
ご指摘通り、アメリカの医療費の自己負担は莫大です。スーパー糖質制限食で健康を保つことは、大きな意味がありますね。
161cm、72.5kgだと、BMIは27.99です。
現在は70kgですから、BMI27です。
アメリカでは肥満の診断基準は、BMI30からなのでまあOKなのですが、日本の基準ではBMI25以上が肥満です。
世界ガン研究基金の2007年の報告によれば、肥満に関しては、大腸・食道・膵臓・腎臓・子宮内膜(子宮)・乳房のガンになるリスクが高まるとしています。
これら6つのガンに関しては、はっきり肥満がリスクになるということです。
また、胆嚢に関しては、肥満がおそらく発ガンのリスクを高めるとしています。リスク軽減のためにはBMI25未満を目指すことを推薦しています。そして糖質制限食が、肥満にはもっとも有効な治療法です。 (^_^)
糖質制限食実践で、ほとんどの人はカロリー制限なしで減量成功するのですが、
「糖質制限食を実践してもなかなか痩せない」
そういう人が確かに数%おられます。
どうやら世の中には、痩せやすい人と痩せにくい人がいることは間違いないようですが、その大きな要因として基礎代謝があります。
吉田俊秀先生(京都府立医大臨床教授・肥満外来)によれば、日本女性の平均基礎代謝量は約1200キロカロリー/日ですが、個別には600~2400キロカロリー/日と、かなりのばらつきがあるそうです。
基礎代謝が800キロカロリー/日しかない人ならば、1200キロカロリー/日という低カロリーでもなかなか痩せないことは理解できますよね。基礎代謝が低い人は「倹約遺伝子」の持ち主が多いようです。
もし倹約遺伝子の持ち主であれば、女性で1200キロカロリーの 糖質制限食でも痩せにくいことがあり、
『糖質制限食+カロリー制限食(1000キロカロリー)』が必要となります。
この倹約遺伝子の持ち主が、日本人の数%おられると思います。
女性なら1000~1200キロカロリー
男性なら1400~1600キロカロリー
が一つの目安ですね。
さらに、数%ほど大食タイプの人がおられます。
無糖ヨーグルト500g入り1個を1回で食べてなおかつ1日2~3個でも平気とか、ステーキ400gなんて楽勝とか、タマネギ中玉(200g)2個くらいなら炒めたら簡単とか・・・。
こういう強者(大食漢)の方々には、カロリー制限までしなくても、普通のカロリーですね。
女性なら1200~1600キロカロリー
男性なら1600~2000キロカロリー
が一つの目安と説明しています。
夏風さん、2週間で2.5kg減量ですので、まあまあと思います。
基礎代謝の差もあるので、女性は男性よりは痩せにくいです。
また個人差もありますし、直線的に減量ということはなくて階段状になることが多いです。
まずは美味しく楽しく糖質制限食で、64.5kg(BMI24.88)くらいをめざしましょう。
江部康二
2011年04月18日 (月)
こんにちは。
4月17日(日) 信州・飯田で開催された糖質制限食講演会のご報告です。
朝から良い天気となり、講演会参加者は220名となりました。
佐橋紀子先生と私のお話しのあと、信州つばさネット会員の平澤文子さんと倉田志げ美さんが、糖質制限食の体験報告を発表してくださいました。
平澤さんは、17kg減量に成功です。肥満していた時は自分で足の爪をきることもできなくて苦労していたそうです。糖質制限食実践半年くらい経過してある日、楽々と足の爪を切ることができていたく感激したのだそうです。(^^)
倉田さんは、14kgの減量と糖尿病からの脱却に成功されました。
「昔の自分を見せます。」ということで、糖質制限食実践前にはいていたジーパンを持参されました。
壇上で服の上から、昔のジーパンをはいてみられてなおかつブカブカで、握り拳が2つくらい入る余裕がありました。(⌒o⌒)v
講演会終了後は、本のサイン会も実施したのですが、糖尿病改善や減量成功の体験談をいろんな人から報告して頂きました。
本もDVDもたくさんご購入頂きました。
信州の皆さんありがとうございました。m(_ _)m
前の日から飯田市に泊まり込んだのですが、夜は結構寒くて、何故か旅館の暖房が効かなくて、浴衣だけでは寒くて眠れませんでした。仕方なく丹前も着込んでやっと眠れました。
講演の日の朝は、信州つばさネット会員の高橋さんに案内していただき、『ポニー牧場』で飯田市の全景と南アルプスを眺望しながら、美味しいコーヒーを頂きました。飯田市で一番の絶景スポットだと思います。
講演前の昼食は、佐橋先生御用達の飯田女子短大の近くの『八幡館』でいただきました。一品、一品が素材のよさを生かし、砂糖は一切使用していない見事な調理でした。
お魚、かしわに加えて季節の旬のキノコや山菜の自然な甘みやほろっとした苦みで彩りをそえていただき、美味しく楽しく糖質制限食を堪能いたしました。
読者の皆さん、もし飯田市に旅されることがあれば、『ポニー牧場』と『八幡館』は 是非お尋ね下さいね。
最後に、大澤さん、平澤さんをはじめ
信州つばさネット・HUMAN LIFE NET ''翼''
の皆さん、
お疲れさま、ご苦労様そしてありがとうございました。
江部康二
4月17日(日) 信州・飯田で開催された糖質制限食講演会のご報告です。
朝から良い天気となり、講演会参加者は220名となりました。
佐橋紀子先生と私のお話しのあと、信州つばさネット会員の平澤文子さんと倉田志げ美さんが、糖質制限食の体験報告を発表してくださいました。
平澤さんは、17kg減量に成功です。肥満していた時は自分で足の爪をきることもできなくて苦労していたそうです。糖質制限食実践半年くらい経過してある日、楽々と足の爪を切ることができていたく感激したのだそうです。(^^)
倉田さんは、14kgの減量と糖尿病からの脱却に成功されました。
「昔の自分を見せます。」ということで、糖質制限食実践前にはいていたジーパンを持参されました。
壇上で服の上から、昔のジーパンをはいてみられてなおかつブカブカで、握り拳が2つくらい入る余裕がありました。(⌒o⌒)v
講演会終了後は、本のサイン会も実施したのですが、糖尿病改善や減量成功の体験談をいろんな人から報告して頂きました。
本もDVDもたくさんご購入頂きました。
信州の皆さんありがとうございました。m(_ _)m
前の日から飯田市に泊まり込んだのですが、夜は結構寒くて、何故か旅館の暖房が効かなくて、浴衣だけでは寒くて眠れませんでした。仕方なく丹前も着込んでやっと眠れました。
講演の日の朝は、信州つばさネット会員の高橋さんに案内していただき、『ポニー牧場』で飯田市の全景と南アルプスを眺望しながら、美味しいコーヒーを頂きました。飯田市で一番の絶景スポットだと思います。
講演前の昼食は、佐橋先生御用達の飯田女子短大の近くの『八幡館』でいただきました。一品、一品が素材のよさを生かし、砂糖は一切使用していない見事な調理でした。
お魚、かしわに加えて季節の旬のキノコや山菜の自然な甘みやほろっとした苦みで彩りをそえていただき、美味しく楽しく糖質制限食を堪能いたしました。
読者の皆さん、もし飯田市に旅されることがあれば、『ポニー牧場』と『八幡館』は 是非お尋ね下さいね。
最後に、大澤さん、平澤さんをはじめ
信州つばさネット・HUMAN LIFE NET ''翼''
の皆さん、
お疲れさま、ご苦労様そしてありがとうございました。
江部康二
2011年04月17日 (日)
【糖質制限食 質問、記事、本に関するお知らせ・お願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。
一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。
診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。
私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。
また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。
従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。
質問が増えてきましたので、糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。
質問によっては、コメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、質問がかなり増えてきていますので、なかなか即、お答えすることが困難となってきています。
糖質制限食に関わりのある全ての質問に、本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
【糖質制限食とは】
米国糖尿病協会(ADA)によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
これらは、含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
1997年版のLife With Diabetes(ADA)では、「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」という記載がありましたが、2004年版では変更されています。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。
従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。タンパク質は、ごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在、糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
そして食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後高血糖はほとんど生じないのです。
なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。
抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく、速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。
なお、糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。
一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので
必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はほとんどないので、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」2005
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009
「やせる食べ方」2010
「うちの母は糖尿人」2010
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006
「 糖質制限食 春のレシピ」2007
「 糖質制限食 夏のレシピ」2007
「糖質制限食 秋のレシピ」2008
「糖質制限食 冬のレシピ」2008
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」 2010
「やせる食べ方」レシピ集 2010
(以上東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010
(ナツメ社)
「糖質オフ」ごちそうごはん 2009
(アスペクト)
dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」2009
dancyu プレジデントムック 「酒飲みダイエット 」 2010
(プレジデント社)
2011年「糖質制限ダイエット」(講談社)
2011年「糖質オフダイエット」(レタスクラブ)
DVD「糖質制限食を語る」http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php
などを参考にされ、自力で糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は、相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、
低血糖症を生じますので注意が必要です。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。
一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。
診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。
私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。
また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。
従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。
質問が増えてきましたので、糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。
質問によっては、コメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、質問がかなり増えてきていますので、なかなか即、お答えすることが困難となってきています。
糖質制限食に関わりのある全ての質問に、本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
【糖質制限食とは】
米国糖尿病協会(ADA)によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
これらは、含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
1997年版のLife With Diabetes(ADA)では、「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」という記載がありましたが、2004年版では変更されています。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。
従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。タンパク質は、ごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在、糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
そして食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後高血糖はほとんど生じないのです。
なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。
抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく、速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。
なお、糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。
一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので
必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はほとんどないので、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」2005
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009
「やせる食べ方」2010
「うちの母は糖尿人」2010
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006
「 糖質制限食 春のレシピ」2007
「 糖質制限食 夏のレシピ」2007
「糖質制限食 秋のレシピ」2008
「糖質制限食 冬のレシピ」2008
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」 2010
「やせる食べ方」レシピ集 2010
(以上東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010
(ナツメ社)
「糖質オフ」ごちそうごはん 2009
(アスペクト)
dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」2009
dancyu プレジデントムック 「酒飲みダイエット 」 2010
(プレジデント社)
2011年「糖質制限ダイエット」(講談社)
2011年「糖質オフダイエット」(レタスクラブ)
DVD「糖質制限食を語る」http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php
などを参考にされ、自力で糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は、相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、
低血糖症を生じますので注意が必要です。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。
2011年04月16日 (土)

おはようございます。
今日は、江部診療所の外来終了後、4月17日(日)の糖質制限食講演会に備えて、信州は飯田市に向けて旅立ちます。
講演会<糖尿病よ、成人病よ、さようなら!> ~糖質制限食のすすめ~
日時 2011年4月17日(日)
開場 午後1:00
開演 午後1:30~4:00
会場 飯田女子短期大学 講堂
信州の皆さん、是非ご参加くださいね。
さて、2010年12月刊行の「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」(ナツメ社)
おかげさまで、第3刷となっております。
この本は、レシピ集ではなく、理論篇に属する最新の本ですが、こう@電車おやじさんから、とても嬉しいコメントをいただきました。
【 11/01/12 こう@電車おやじ
感謝です。
場違いな場所にコメントご容赦ください。
9月に糖尿病と診断され、空腹時血糖値229という有様でした。
そのときに先生のブログを検索で知り、その瞬間から糖質制限食を続けています。
おかげさまで薬も不要、データもすべて正常値になりました。
改めて先生の書籍を購入し、系統だてた形で糖質制限食のことを知ることができました。
居ても立っても居られず、レビューをアマゾンにも投稿しました。
今後とも、世間の風に負けず、がんばってください。
ありがとうございました。
http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4816349960/ref=dp_db_cm_cr_acr_txt?ie=UTF8&showViewpoints=1 】
こう@電車おやじ さん。
糖質制限食実践により、薬なしで、データ全てが正常値、良かったです。
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」ナツメ社
のご購入そしてコメントと、アマゾンのレビューありがとうございます。
早速アマゾンも覗いてきました。
レビューを書いていただけるのは著者として嬉しい限りです。(⌒o⌒)v
糖質制限食実践により、薬なしで、データ全てが正常値、良かったです。
こうさんのご指摘通り、系統的に糖質制限食を学ぶには、やはり本がいいと思います。
本ブログも糖尿人の皆さんのお役に立つ情報が満載ですが、あまりに情報量が増えて、私自身が過去記事を検索するのに結構苦労してます。(-_-;)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」は、糖質制限食や糖尿病関連の最新情報が満載ですので、ブログ読者の皆さんも、是非ご一読くださいね。
最新糖質制限食理論、症例、図表、食材のカラー写真・・・、糖尿病・妊娠糖尿病の最新の診断基準、糖尿病の基礎知識・・・Q&Aなど、わかりやすくて豊富な内容となったと自負しています。 (^^)
楽天のレビューでも、
8人の方に星5個(☆☆☆☆☆)
3人の方に星4個(☆☆☆☆)つけて頂いてます。
http://review.rakuten.co.jp/rd/2_213310_14198947_0/
高雄病院の同僚の医師や購入して頂いた患者さんも異口同音に、わかりやすくて豊富な内容と、誉めていただきました。
ブログ読者の糖尿人の皆さん、是非ご一読頂けば幸いです。
以下は「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」(ナツメ社)の、「はじめに」です。
☆☆☆
はじめに
2005年1月に日本初の糖質制限食の本「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)を出版してから、5年の歳月が経過しました。幸い16刷と版を重ねており、糖質制限食が日本に広がるきっかけになったと嬉しく思っています。糖質制限食関連の私の本も著書・共著・監修含めて合計14冊に達しましたが、本書が15冊目です。当初はほぼ孤立無援の戦いでしたが、この間糖質制限食に理解を示す医師や栄養士も明らかに増えています。医学雑誌「治療」に2009年4月、「内科」に2010年1月、糖質制限食関連の小論文を執筆させていただいたのもその現れとありがたく思っています。2007年2月から、ブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」を開始したことも、それなりの効果があったと思います。本書の内容にはブログ記事からの引用もあり、ブログ読者の皆さんにはこの場を借りて御礼申し上げます。2010年10月現在で、1日に5000~7000件のアクセスがある人気ブログとなっていて、これも嬉しい限りです。ほぼ毎日ブログ更新していますので、祇園あたりに飲みにいく機会が激減して、健康にも財布にも非常に良い副次効果が出ています。さて糖質制限食の理論面において、2009年に一つ大きな変化がありました。正確には2004年に米国であった変化に、私が気がついたのが2009年ということです。すなわち、米国糖尿病協会によれば食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わり、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。糖質は摂取直後から急峻に血糖値を上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方蛋白質・脂質は血糖値に影響をあたえません。1997年版の米国糖尿病協会の見解では「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」という記載がありましたが、2004年版では削除されています。これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質であり、現在動脈硬化の元凶として問題とされているグルコーススパイク(食後高血糖)を引き起こすのは3大栄養素の中で糖質だけです。従って糖質を摂取しなければ食後高血糖は生じず、血糖値はリアルタイムに改善します。一方カロリー制限をしても糖質を摂取すれば必ず食後高血糖を生じます。このような重要な生理学的知識ですが、欧米では医師も看護師も栄養士も糖尿病患者さんも皆知っています。日本では医師でさえも、ほとんどの人が知らないのが現状ですので、まさにガラパゴス状態でおおいに問題です。また英国の栄養学の大著、ヒューマン・ニュートリションにも『現代の食事では、中略、デンプンや遊離糖に由来する「利用されやすいグルコース」を大量に摂取するようになっている。このような食事内容は血漿グルコースおよびインスリン値の定期的な上昇をもたらし、糖尿病、冠状動脈疾患、がん、老化等、多くの点で健康に有害であることが強く指摘されている。農業の発明以来、ヒトは穀物をベースとした食物を摂取するようになったが、進化に要する時間の尺度は長く、ヒトの消化管はまだ穀物ベースの食物に適応していない。ましてや高度に加工された現代の食物に対して、到底適応しきれてないのである。』と記載されていて、私の提唱しているグルコースミニスパイク論に根拠を与えるものであり、心強い限りです。さらに、戦後日本で糖質摂取が減り続け、脂質摂取が増え続けたという定説も間違いであり、単なる神話に過ぎなかったことも本書であきらかにしています。本書には2010年現在の糖質制限食の最新知識が網羅されています。是非ご一読いただけば幸いです。
参考
*Life With Diabetes:A Siries of Teaching Outlines by the Michigan Diabetes Research and Training Center,American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004
*ヒューマン・ニュートリション基礎・食事・臨床(第10版):75、JS Garrow 、WPT james、A Ralph 編、日本語版監修、細谷憲政.2004
江部康二
2011年04月15日 (金)
こんばんは。
ひこさんから、大塚食品・マンナンヒカリについて
コメント・質問をいただきました。
【11/04/15 ひこ
お返事頂きありがとうございます。
主人が どうしてもご飯を止めたくないと言って困っています
マンナンヒカリというこんにゃくご飯の代替えを半分混ぜて、朝と昼を130グラム食べました
夜は糖質0の缶酎ハイにおかずの予定です
マンナンヒカリは一合当たりの糖質含有量が44.4グラムと高い気がします
カロリーは低くなりますが糖質制限食だと、この糖質含有量では、ご飯を食べるのと変わらないように感じますが、どうなるのでしょうか?】
ひこさん。
パンに関しては糖質制限OK食品が結構発売されていて、今や味も普通の小麦のパンと遜色ないと言って、過言ではありません。いい時代になったものです。 (^^)
しかし、炊いたご飯と同じ見た目・食感の代替食品は、はっきりいってありません。 ( ̄_ ̄|||)
ご質問の、大塚食品マンナンヒカリ
http://www.otsukafoods.co.jp/product/mannan_hikari/
マンナンヒカリ(炊飯前)の栄養成分(1本75g当たり)
エネルギー:187kcal たんぱく質:0.2g 脂質:0.3g
糖質:44.4g 食物繊維:20.6g
炊飯前マンナンヒカリ100gあたりの糖質量は、59.2gです。
炊飯前精白米100gあたりの糖質量は、76.6gです。
マンナンヒカリが少しは少ないですが、そんなに大きな差はなくて残念ながら糖質制限NG食品です。
マンナンヒカリ炊飯後150g(一食分)あたり、糖質は41.25gです。
ひこさんの場合、マンナンヒカリと普通のお米を混ぜて炊いておられるので130gとはいえ、同じくらいの糖質量でしょうね。
さて次にサラヤの、スマイル低GIおいしいご飯を検討してみます。
http://shizenha.saraya.com/teigi/seihin.html
炊いたスマイル低GIおいしいご飯、一食150gあたり、糖質が35.3gです。
マンナンヒカリ炊飯後150g(一食分)あたり、糖質は41.25gです。
普通の炊いた白米、一食150gあたり、糖質が55.2gです。
低GIとはいえ、所詮は糖質制限△~×レベルなのですが、まだしもサラヤの、スマイル低GIおいしいご飯が一番糖質が少ないですね。
サラヤの炊いたスマイル低GIおいしいご飯を100gなら、糖質は23.5gです。
これを食べて、あとは糖質制限なおかずでお腹を満たすくらいがギリギリの線でしょうか?
江部康二
ひこさんから、大塚食品・マンナンヒカリについて
コメント・質問をいただきました。
【11/04/15 ひこ
お返事頂きありがとうございます。
主人が どうしてもご飯を止めたくないと言って困っています
マンナンヒカリというこんにゃくご飯の代替えを半分混ぜて、朝と昼を130グラム食べました
夜は糖質0の缶酎ハイにおかずの予定です
マンナンヒカリは一合当たりの糖質含有量が44.4グラムと高い気がします
カロリーは低くなりますが糖質制限食だと、この糖質含有量では、ご飯を食べるのと変わらないように感じますが、どうなるのでしょうか?】
ひこさん。
パンに関しては糖質制限OK食品が結構発売されていて、今や味も普通の小麦のパンと遜色ないと言って、過言ではありません。いい時代になったものです。 (^^)
しかし、炊いたご飯と同じ見た目・食感の代替食品は、はっきりいってありません。 ( ̄_ ̄|||)
ご質問の、大塚食品マンナンヒカリ
http://www.otsukafoods.co.jp/product/mannan_hikari/
マンナンヒカリ(炊飯前)の栄養成分(1本75g当たり)
エネルギー:187kcal たんぱく質:0.2g 脂質:0.3g
糖質:44.4g 食物繊維:20.6g
炊飯前マンナンヒカリ100gあたりの糖質量は、59.2gです。
炊飯前精白米100gあたりの糖質量は、76.6gです。
マンナンヒカリが少しは少ないですが、そんなに大きな差はなくて残念ながら糖質制限NG食品です。
マンナンヒカリ炊飯後150g(一食分)あたり、糖質は41.25gです。
ひこさんの場合、マンナンヒカリと普通のお米を混ぜて炊いておられるので130gとはいえ、同じくらいの糖質量でしょうね。
さて次にサラヤの、スマイル低GIおいしいご飯を検討してみます。
http://shizenha.saraya.com/teigi/seihin.html
炊いたスマイル低GIおいしいご飯、一食150gあたり、糖質が35.3gです。
マンナンヒカリ炊飯後150g(一食分)あたり、糖質は41.25gです。
普通の炊いた白米、一食150gあたり、糖質が55.2gです。
低GIとはいえ、所詮は糖質制限△~×レベルなのですが、まだしもサラヤの、スマイル低GIおいしいご飯が一番糖質が少ないですね。
サラヤの炊いたスマイル低GIおいしいご飯を100gなら、糖質は23.5gです。
これを食べて、あとは糖質制限なおかずでお腹を満たすくらいがギリギリの線でしょうか?
江部康二
2011年04月14日 (木)
こんばんは。
みかんさんから、「糖質制限食では野菜摂取が必要か?」という質問をいただきました。
それについて、まず高雄病院・糖質制限食の基本スタンスを説明したいと思います。
【11/04/12 みかん
野菜摂取について
江部先生、こんにちは。
糖質制限再開、2日です。怖くてまだ体重は計れていません。
もう少し、服に余裕が出たら計ってみようと思っています。
前回のときから、少し疑問に思っていたことがあり、再開に当たって質問しておこうと思っています。
糖質制限は、基本、たんぱく質摂取と葉物野菜がベストだと思うんですが、野菜摂取って必要ですか?
前回はすべてを満遍なく食べるダイエットから糖質制限にしたので、せめて野菜は食べとかないとビタミン等に支障が出るのかな? と勝手に思い摂取していたのですが、たんぱく質摂取だけでも無理に野菜を摂取しなくてもいいんでしょうか?
基本中の基本なのかも知れないんですが、どの本にも葉物野菜は摂取しても良いですよと書いてあるだけなので・・・
すみません(^^;) 時間のあるときで良いのでまた教えてください。】
みかんさん。
高雄病院・糖質制限食の基本スタンスは、
「人類本来の食生活を目指す。」
ということです。
人類の歴史は約400万年です。
農耕が始まるまでの約400万年は、狩猟・採集が生業であり、魚貝類・小動物・動物の肉・内臓・骨髄・野草・野菜・キノコ・海藻・昆虫などが日常的な食料です。時々食べることができたのは、木の実・ナッツ・果物・山芋などでしょうか。
スーパー糖質制限食における総摂取カロリーに対する割合は<脂質56%、タンパク質32%、糖質12%>です。
すなわち、高脂質・高タンパク食であり、制限するのは糖質だけで、これが「人類本来の食生活」に近い比率だと思います。
摂取する糖質のほとんどが野菜分の糖質です。400万年の進化の歴史において、野菜は日常的に摂取していたと思います。このことは、人類がビタミンCを体内で合成できないことからも、推察できます。動物性食品だけの摂取では、ビタミンCが必ず不足します。
従いまして、スーパー糖質制限食で野菜を摂取することは、ビタミンC確保の意味からも重要な意味を持っています。つまり、適量の野菜(最低ビタミンC必要量)は、必ず摂取しなければなりません。
ただ大量の野菜は、糖質量が増えるので要注意です。
次に果物やナッツ類は、秋を中心に季節ごとに少量は手に入るので、ご先祖も、当然摂取していたと思います。
但し、当時の果物やナッツは野生種ですから、現在流通しているものに比べたら、はるかに小さくてショボくて糖質含有量も少なかったと思います。
そして、じゃがいもやさつまいもを人類が食べ始めたのは、農耕開始と同じ頃かそれ以降です。
一方、山芋は、世界中にいろんな種類が山のなかに自生してたと思われ、たま~に運良く採集できたら、ご先祖も食べていたと思います。
このように考えてくると、糖尿人のスーパー糖質制限食においても、
適量の野菜
少量のナッツ類
少量の果物
程度の少なめの糖質量は、人類の進化の過程で時々摂取していたものであり、人体の消化吸収・栄養代謝システムのおいても許容できる範囲と思います。
山芋は、さすがに糖質含有量が多いので、糖尿人はやめておくほうが無難です。
正常人が、健康のためにスーパー糖質制限食を実践する場合は、糖尿人より多めの野菜、適量のナッツ類、適量の果物、適量の山芋、くらいまでの糖質量は許容範囲と思います。
以上が高雄病院・糖質制限食の基本スタンスです。
江部康二
みかんさんから、「糖質制限食では野菜摂取が必要か?」という質問をいただきました。
それについて、まず高雄病院・糖質制限食の基本スタンスを説明したいと思います。
【11/04/12 みかん
野菜摂取について
江部先生、こんにちは。
糖質制限再開、2日です。怖くてまだ体重は計れていません。
もう少し、服に余裕が出たら計ってみようと思っています。
前回のときから、少し疑問に思っていたことがあり、再開に当たって質問しておこうと思っています。
糖質制限は、基本、たんぱく質摂取と葉物野菜がベストだと思うんですが、野菜摂取って必要ですか?
前回はすべてを満遍なく食べるダイエットから糖質制限にしたので、せめて野菜は食べとかないとビタミン等に支障が出るのかな? と勝手に思い摂取していたのですが、たんぱく質摂取だけでも無理に野菜を摂取しなくてもいいんでしょうか?
基本中の基本なのかも知れないんですが、どの本にも葉物野菜は摂取しても良いですよと書いてあるだけなので・・・
すみません(^^;) 時間のあるときで良いのでまた教えてください。】
みかんさん。
高雄病院・糖質制限食の基本スタンスは、
「人類本来の食生活を目指す。」
ということです。
人類の歴史は約400万年です。
農耕が始まるまでの約400万年は、狩猟・採集が生業であり、魚貝類・小動物・動物の肉・内臓・骨髄・野草・野菜・キノコ・海藻・昆虫などが日常的な食料です。時々食べることができたのは、木の実・ナッツ・果物・山芋などでしょうか。
スーパー糖質制限食における総摂取カロリーに対する割合は<脂質56%、タンパク質32%、糖質12%>です。
すなわち、高脂質・高タンパク食であり、制限するのは糖質だけで、これが「人類本来の食生活」に近い比率だと思います。
摂取する糖質のほとんどが野菜分の糖質です。400万年の進化の歴史において、野菜は日常的に摂取していたと思います。このことは、人類がビタミンCを体内で合成できないことからも、推察できます。動物性食品だけの摂取では、ビタミンCが必ず不足します。
従いまして、スーパー糖質制限食で野菜を摂取することは、ビタミンC確保の意味からも重要な意味を持っています。つまり、適量の野菜(最低ビタミンC必要量)は、必ず摂取しなければなりません。
ただ大量の野菜は、糖質量が増えるので要注意です。
次に果物やナッツ類は、秋を中心に季節ごとに少量は手に入るので、ご先祖も、当然摂取していたと思います。
但し、当時の果物やナッツは野生種ですから、現在流通しているものに比べたら、はるかに小さくてショボくて糖質含有量も少なかったと思います。
そして、じゃがいもやさつまいもを人類が食べ始めたのは、農耕開始と同じ頃かそれ以降です。
一方、山芋は、世界中にいろんな種類が山のなかに自生してたと思われ、たま~に運良く採集できたら、ご先祖も食べていたと思います。
このように考えてくると、糖尿人のスーパー糖質制限食においても、
適量の野菜
少量のナッツ類
少量の果物
程度の少なめの糖質量は、人類の進化の過程で時々摂取していたものであり、人体の消化吸収・栄養代謝システムのおいても許容できる範囲と思います。
山芋は、さすがに糖質含有量が多いので、糖尿人はやめておくほうが無難です。
正常人が、健康のためにスーパー糖質制限食を実践する場合は、糖尿人より多めの野菜、適量のナッツ類、適量の果物、適量の山芋、くらいまでの糖質量は許容範囲と思います。
以上が高雄病院・糖質制限食の基本スタンスです。
江部康二
2011年04月13日 (水)
おはようございます。
今回はリンダさんから、糖質制限食で炭水化物依存症からの脱却と肥満改善という嬉しいコメントをいただきました。
【11/04/12 リンダ
間違いなく私は依存症でした
江部先生 はじめまして!!
ほんの三ヶ月前まで私は間違いなく炭水化物依存症でした!!
しかもかなり重度の。。。。。
当時の私は一日三回しっかりとごはん粒を食べないと気が済まないのです
例えば、お昼にサイドイッチを食べたとしてもおにぎりなどのご飯物を食べないと食べた気がしない
麺類のお供に白いごはんは当たり前で、ひどい時にはお正月のお雑煮の中にお餅がいくつも入っているにもかかわらず、その横にはごはんを置いて食べておりました。。。。
今考えるととても恐ろしい限りです。。。。
もちろん体型も超肥満体で高血圧症で薬も服用してましたし、血糖値も高く境界線型でそれ以外の数値もほとんどが基準値外でした
それでも『ごはん』が止められなかったのです
でもある事をきっかけに江部先生の糖質制限食を知り、本も何冊か読ませて頂き<、これなら出来るかも!?と軽い気持ちで始めました
この軽い気持ちではじめられたのが逆に良かったと思います
今だに朝食だけは白滝でかさまししたごはんを100gだけ食べておりますが以前の私に比べたら糖質の摂取量は10分の1位です
その結果、三ヶ月でなんと体重が20キロ減!
血圧は降圧剤が3分の1まで減りました
血糖値もHbA1cが4.9になり殆どの数値が基準値内になりました!!
私の主治医も『本当に素晴らしい成果ですね!』と褒めてくれましてこれから先も気長に糖質制限を続けていくつもりです
本当に江部先生に出会えて良かったです!有難うございます!!
長文失礼致しました。。。。】
リンダさん。
本のご購入ありがとうございました。
「糖質制限食で、三ヶ月で20kgの減量、HbA1c4.9%、他の検査データも全て基準値内。」
良かったですね。
仰有るとおり、「軽い気持ちで」とういのが成功につながったのかもしれませんね。
主治医殿も、反対されることが結構多い中、糖質制限食を認めていただいてありがたいです。
リンダさん、運も良かったですよ。こんな理解のあるお医者さんが増えてほしいものです。
「今だに朝食だけは白滝でかさまししたごはんを100gだけ食べて おりますが以前の私に比べたら糖質の摂取量は10分の1位です。」
糖質の摂取量が1/10になったら、インスリンの分泌量も激減です。
インスリンは、人体に絶対に必要なものですが、その量は少なければ少なくてすむほど、健康にいいです。
<精製炭水化物の頻回・過剰摂取→内臓脂肪肥満→高インスリン血症→メタボ>
炭水化物依存症の人は、このパターンでメタボリックシンドロームや生活習慣病になるリスクが高いです。
リンダざん、美味しく楽しく緩やかな糖質制限食でいいので、このまま炭水化物依存症からの脱却を保ってくださいね。
江部康二
今回はリンダさんから、糖質制限食で炭水化物依存症からの脱却と肥満改善という嬉しいコメントをいただきました。
【11/04/12 リンダ
間違いなく私は依存症でした
江部先生 はじめまして!!
ほんの三ヶ月前まで私は間違いなく炭水化物依存症でした!!
しかもかなり重度の。。。。。
当時の私は一日三回しっかりとごはん粒を食べないと気が済まないのです
例えば、お昼にサイドイッチを食べたとしてもおにぎりなどのご飯物を食べないと食べた気がしない
麺類のお供に白いごはんは当たり前で、ひどい時にはお正月のお雑煮の中にお餅がいくつも入っているにもかかわらず、その横にはごはんを置いて食べておりました。。。。
今考えるととても恐ろしい限りです。。。。
もちろん体型も超肥満体で高血圧症で薬も服用してましたし、血糖値も高く境界線型でそれ以外の数値もほとんどが基準値外でした
それでも『ごはん』が止められなかったのです
でもある事をきっかけに江部先生の糖質制限食を知り、本も何冊か読ませて頂き<、これなら出来るかも!?と軽い気持ちで始めました
この軽い気持ちではじめられたのが逆に良かったと思います
今だに朝食だけは白滝でかさまししたごはんを100gだけ食べておりますが以前の私に比べたら糖質の摂取量は10分の1位です
その結果、三ヶ月でなんと体重が20キロ減!
血圧は降圧剤が3分の1まで減りました
血糖値もHbA1cが4.9になり殆どの数値が基準値内になりました!!
私の主治医も『本当に素晴らしい成果ですね!』と褒めてくれましてこれから先も気長に糖質制限を続けていくつもりです
本当に江部先生に出会えて良かったです!有難うございます!!
長文失礼致しました。。。。】
リンダさん。
本のご購入ありがとうございました。
「糖質制限食で、三ヶ月で20kgの減量、HbA1c4.9%、他の検査データも全て基準値内。」
良かったですね。
仰有るとおり、「軽い気持ちで」とういのが成功につながったのかもしれませんね。
主治医殿も、反対されることが結構多い中、糖質制限食を認めていただいてありがたいです。
リンダさん、運も良かったですよ。こんな理解のあるお医者さんが増えてほしいものです。
「今だに朝食だけは白滝でかさまししたごはんを100gだけ食べて おりますが以前の私に比べたら糖質の摂取量は10分の1位です。」
糖質の摂取量が1/10になったら、インスリンの分泌量も激減です。
インスリンは、人体に絶対に必要なものですが、その量は少なければ少なくてすむほど、健康にいいです。
<精製炭水化物の頻回・過剰摂取→内臓脂肪肥満→高インスリン血症→メタボ>
炭水化物依存症の人は、このパターンでメタボリックシンドロームや生活習慣病になるリスクが高いです。
リンダざん、美味しく楽しく緩やかな糖質制限食でいいので、このまま炭水化物依存症からの脱却を保ってくださいね。
江部康二
2011年04月12日 (火)
こんにちは。
今日は、満腹感と満足感は違うのかを、考えてみます。
今日の記事は、あくまでも私の私見であり、仮説です。
スーパー糖質制限食で、例えば
牛サーロインステーキ300g(約1500kcal)、
カツオのたたき200g(約227kcal)、
ゆで卵2個(100g、約152kcal)
野菜サラダ240g(約42kcal)+マヨネーズ15g(105kcal)
を食べたとします。
合計855gで、約2026kcalです。すごい量です。
仮に1食でこれだけ食べたら、普通の人はお腹いっぱいで満腹感はあるし、満足感も得られると思います。
当然、一回に、これだけの量を食べることはできない人もおられるでしょう。
一方、炭水化物依存症の人においては、上記のメニューには糖質はほとんんど含まれていないので、お腹いっぱいで満腹感はあるはずなのに、満足感は得られない可能性があります。
炭水化物依存症では、兎に角なにか糖質を摂取しない限り、いくら大量に食べても満足感が得られないのです。(炭水化物=糖質+食物繊維)
炭水化物依存症は、ニコチン依存症と同じような側面があるので、なかなか一筋縄ではいきません。
今まで、糖質(炭水化物)を頻回・大量に食べていた人は、程度の差はありますが、炭水化物依存症の可能性があります。
スーパー糖質制限食を始めてから、いらいらしたり、食べても満足感がなかったり、精神的に不安定になる人は、まれにおられます。そのほとんどが、いわゆる<炭水化物依存症>の人です。
炭水化物依存症というのは日本では聞き慣れない言葉ですが、米国では定着しています。
炭水化物依存症の人は、起きているときは、三度の食事と間食で、頻回に外部から糖質が摂取されて血中に入り血糖に変わるので、肝臓が糖新生をするのは、夜中寝ているときくらいです。
寝る前に夜食のラーメンとか食べたら、夜中に寝ている時も血糖値が上がり、肝臓の糖新生は明け方くらいしか働きませんので、24時間のうち、肝臓の糖新生はわずか2~3時間だけです。
これでは、肝臓の糖新生能力が衰えてしまいます。
1日3食で間食がない人は、24時間中12時間くらいは肝臓で糖新生をしています。
この炭水化物依存症で、衰えてしまった肝臓の糖新生能力が、本来の力を取り戻すまでの期間に、個人差があるわけです。
数日の人、1ヶ月の人、まれにはは2~3ヶ月かかる人・・・。
肝臓の糖新生能力が極度に衰えている人が、いきなりスーパー糖質制限食を行えば、低血糖になる可能性もありえますので注意が必要ですが、このようなケースはさすがに極めてまれと思います。
中等度までの炭水化物依存症なら、低血糖を生じることはまずないので、徐々に依存から脱却することを目指します。
極度の炭水化物依存症の場合も、最終的には慣れるしかないのですが、まずは、プチ或いはスタンダード糖質制限食くらいから始める選択肢もあります。
つまり、1日2回(例えば朝昼食)は、少量の主食を摂取して、夕食は糖質制限食。
あるいは1日1回(例えば昼食)は、少量の主食を摂取して、朝・夕は糖質制限食。
あるいはさらにゆるく、主食を3食とも1/3くらいにする方法もあります。
1~2ヶ月で慣れることが多いです。
一方、炭水化物依存症は、ニコチン依存症とよく似ているので、脱却にはそれなりの覚悟がいるかもしれませんね。
江部康二
今日は、満腹感と満足感は違うのかを、考えてみます。
今日の記事は、あくまでも私の私見であり、仮説です。
スーパー糖質制限食で、例えば
牛サーロインステーキ300g(約1500kcal)、
カツオのたたき200g(約227kcal)、
ゆで卵2個(100g、約152kcal)
野菜サラダ240g(約42kcal)+マヨネーズ15g(105kcal)
を食べたとします。
合計855gで、約2026kcalです。すごい量です。
仮に1食でこれだけ食べたら、普通の人はお腹いっぱいで満腹感はあるし、満足感も得られると思います。
当然、一回に、これだけの量を食べることはできない人もおられるでしょう。
一方、炭水化物依存症の人においては、上記のメニューには糖質はほとんんど含まれていないので、お腹いっぱいで満腹感はあるはずなのに、満足感は得られない可能性があります。
炭水化物依存症では、兎に角なにか糖質を摂取しない限り、いくら大量に食べても満足感が得られないのです。(炭水化物=糖質+食物繊維)
炭水化物依存症は、ニコチン依存症と同じような側面があるので、なかなか一筋縄ではいきません。
今まで、糖質(炭水化物)を頻回・大量に食べていた人は、程度の差はありますが、炭水化物依存症の可能性があります。
スーパー糖質制限食を始めてから、いらいらしたり、食べても満足感がなかったり、精神的に不安定になる人は、まれにおられます。そのほとんどが、いわゆる<炭水化物依存症>の人です。
炭水化物依存症というのは日本では聞き慣れない言葉ですが、米国では定着しています。
炭水化物依存症の人は、起きているときは、三度の食事と間食で、頻回に外部から糖質が摂取されて血中に入り血糖に変わるので、肝臓が糖新生をするのは、夜中寝ているときくらいです。
寝る前に夜食のラーメンとか食べたら、夜中に寝ている時も血糖値が上がり、肝臓の糖新生は明け方くらいしか働きませんので、24時間のうち、肝臓の糖新生はわずか2~3時間だけです。
これでは、肝臓の糖新生能力が衰えてしまいます。
1日3食で間食がない人は、24時間中12時間くらいは肝臓で糖新生をしています。
この炭水化物依存症で、衰えてしまった肝臓の糖新生能力が、本来の力を取り戻すまでの期間に、個人差があるわけです。
数日の人、1ヶ月の人、まれにはは2~3ヶ月かかる人・・・。
肝臓の糖新生能力が極度に衰えている人が、いきなりスーパー糖質制限食を行えば、低血糖になる可能性もありえますので注意が必要ですが、このようなケースはさすがに極めてまれと思います。
中等度までの炭水化物依存症なら、低血糖を生じることはまずないので、徐々に依存から脱却することを目指します。
極度の炭水化物依存症の場合も、最終的には慣れるしかないのですが、まずは、プチ或いはスタンダード糖質制限食くらいから始める選択肢もあります。
つまり、1日2回(例えば朝昼食)は、少量の主食を摂取して、夕食は糖質制限食。
あるいは1日1回(例えば昼食)は、少量の主食を摂取して、朝・夕は糖質制限食。
あるいはさらにゆるく、主食を3食とも1/3くらいにする方法もあります。
1~2ヶ月で慣れることが多いです。
一方、炭水化物依存症は、ニコチン依存症とよく似ているので、脱却にはそれなりの覚悟がいるかもしれませんね。
江部康二
2011年04月11日 (月)
こんにちは。
今日も春らしい一日の京都です。
今回は、復習を兼ねて満腹感と空腹感について考えて見ます。
高雄病院では、1984年から、絶食療法(断食療法)を病気治療の一環として導入していますが、こちらも玄米魚菜食と共に病院としては、珍しい取り組みでした。患者さんに断食してもらうなら自らもということで、早速試してみました。
最初の二日間は、午前中立ち眩み・脱力感がありましたが、三日目はそこそこの健康状態でした。
それでも血糖値は35mg/dlと、ビックリするような数値が記録されました。
普通なら意識不明で昏睡のレベルですが、断食中は血中ケトン体(脂肪の代謝産物)が高値となり、脳の主エネルギー源となるので、大丈夫なのです。
脳はケトン体を利用するという事実を、34才当時、既に自らの人体実験で証明していたみたいです。
記念すべき第1回目の断食は、水だけは飲むけれど、摂取カロリーはゼロカロリーで、塩分もなしという厳しい本断食でした。
断食中悟ったことは「空腹感と食欲とはどうやら別物ではないか」ということでした。
三日目ともなると空腹感は全くないのですが、頭の中にはいろんな食物が自然に浮かんできて、ふと気付くとよだれが出ていたりするのには閉口しました。
テレビコマーシャルの実に半分以上が、食品の宣伝であるのもこの時認識しました。
またゼロカロリーは勿論つらいものですが、塩分なしというのも脱力感やボーっとした感じにかなり影響します。
まずは、私の体験なのですが、空腹感はなくても、食べたいという欲求はしっかりあるということです。
さて、今回のブログ「満腹感と空腹感」は、
東京都神経科学総合研究所のホームページを参考にさせていただきました。
http://www.tmin.ac.jp/medical/12/feeding1.html
東京都神経科学総合研究所のホームページによると、古典的な説では、
①血糖値の上昇
②胃壁の拡張による迷走神経刺激
①②が視床下部の満腹中枢に伝わって満腹感が生じるとされてきました。
最近はこれに加えて、
「脂肪細胞の分泌するレプチンや摂取したアミノ酸も満腹中枢に影響をあたえる。」
とか
「視床下部に摂食に関連する神経ペプチドが多種存在する。」
とか、いろいろ複雑になってきているそうです。
要するに案外、満腹感に関して、きっちり理論的に説明できているわけではないようです。
人間はともかくとして、ライオンなどの肉食獣は、血糖値が上昇しなくても満腹になりますよね。また、牛や馬といった草食獣も、血糖値が上昇することはありませんが、満腹になります。
人類も農耕前の399万年間は、血糖値の上昇はほとんどなくて満腹しています。伝統的食生活だったころのイヌイットも4000年間、血糖値の上昇はなくても満腹しています。
そうすると、あくまでも仮説ですが、糖質制限食実践中の人、農耕前の人類、イヌイットにおいては、
「胃壁の拡張による迷走神経刺激」と「脂肪細胞の分泌するレプチンや摂取したアミノ酸」「視床下部に摂食に関連する神経ペプチド」
などが、満腹中枢に影響を与えていたと考えられます。
「血糖値の上昇」による満腹中枢の刺激というのは、人類においては農耕以後の比較的新しいシステムと考えられます。
糖質制限食実践中の人は、農耕前の399万年間のシステムにより、満腹感を得ていると考えられます。
空腹感の発生
満腹感に比べると、空腹感が生じる仕組みは、さらにわかっていないようです。
「血糖値が上昇していない」「胃壁が弛緩している」状態は、満腹感の裏返しなのですが、それだけでは空腹感が生じるには、不十分です。
確かに機能性低血糖症では血糖値が60mg/dl以下に下がって、異常な空腹感が生じることはあると思います。
しかし、正常人では、食後しばらくすると肝臓で糖新生をして、血糖値を一定レベルに保つので血糖値が60mg/dl以下に下がることはありません。
つまり、正常人では、血糖値が90mg/dlとかあっても、通常の空腹感を生じるわけです。
東京都神経科学総合研究所のホームページによれば、
「胃壁の弛緩も空腹感を生み出す直接的な刺激にもなっていないようです。実際に、食事の後ずいぶん時間が経って胃が空になっているはずなのに、遊びや仕事に熱中していると空腹を忘れるのはよく経験することです。血糖値が上昇せず、胃壁が弛緩している状態は空腹感を生み出すために必要ですがそれだけでは十分でないようです。しかし、それまで空腹だと感じていなくても、おいしそうな匂いを嗅いだり、他人が何かを食べるのを目撃したり、さらには食べ物の話をしたり、想像しただけで突然、猛烈な食欲に襲われることがあります。したがって、食欲は空腹時に、なんらかの食物に関連した刺激が加わることによって誘導されると考えた方が正しいかもしれません。つまり、視覚、聴覚、嗅覚などを介した食物刺激や食物に関する想いが脳を刺激し、食欲を生み出すと考えられるのです。ただし、満腹の時には、このような刺激に反応しないどころか時に嫌悪感を抱くことさえあります。」
「摂食に関連する機能には脳の様々な領域が関係します。一番最初に述べた食欲(空腹感)の発現には大脳新皮質の扁桃体(好き嫌いの決定)や前頭前野(意欲の発現)が関係すると言われています。また食物刺激の受容には視床や大脳新皮質の味覚野、視覚野、聴覚野などが関わります。また摂食の際の咀嚼・嚥下には下位脳幹の運動ニューロンが関係しますし、延髄から伸びる迷走神経は胃腸の蠕動運動や消化活動を調節します。このように摂食促進作用には単に視床下部だけでなく広範囲の脳の領域が関係します。」
結局、空腹感というのはまだ仮説のようですが、ベースに「血糖値が上昇していない」「胃壁が弛緩している」という状態があって、視覚・聴覚・嗅覚などを介した様々な食物刺激や食物に対する想いが、単に視床下部だけでなく広範囲な脳の領域に影響を与えて、生じるということになりますね。
まあ、私の断食体験では、刺身やステーキを食べたいという個別の食品に対する欲求は、断食中にも湧いて来るのですが、いわゆる「腹、減ったー!何でもいいから食べたい。」といった空腹感は、断食中にはなくなるのですが・・・。
江部康二
今日も春らしい一日の京都です。
今回は、復習を兼ねて満腹感と空腹感について考えて見ます。
高雄病院では、1984年から、絶食療法(断食療法)を病気治療の一環として導入していますが、こちらも玄米魚菜食と共に病院としては、珍しい取り組みでした。患者さんに断食してもらうなら自らもということで、早速試してみました。
最初の二日間は、午前中立ち眩み・脱力感がありましたが、三日目はそこそこの健康状態でした。
それでも血糖値は35mg/dlと、ビックリするような数値が記録されました。
普通なら意識不明で昏睡のレベルですが、断食中は血中ケトン体(脂肪の代謝産物)が高値となり、脳の主エネルギー源となるので、大丈夫なのです。
脳はケトン体を利用するという事実を、34才当時、既に自らの人体実験で証明していたみたいです。
記念すべき第1回目の断食は、水だけは飲むけれど、摂取カロリーはゼロカロリーで、塩分もなしという厳しい本断食でした。
断食中悟ったことは「空腹感と食欲とはどうやら別物ではないか」ということでした。
三日目ともなると空腹感は全くないのですが、頭の中にはいろんな食物が自然に浮かんできて、ふと気付くとよだれが出ていたりするのには閉口しました。
テレビコマーシャルの実に半分以上が、食品の宣伝であるのもこの時認識しました。
またゼロカロリーは勿論つらいものですが、塩分なしというのも脱力感やボーっとした感じにかなり影響します。
まずは、私の体験なのですが、空腹感はなくても、食べたいという欲求はしっかりあるということです。
さて、今回のブログ「満腹感と空腹感」は、
東京都神経科学総合研究所のホームページを参考にさせていただきました。
http://www.tmin.ac.jp/medical/12/feeding1.html
東京都神経科学総合研究所のホームページによると、古典的な説では、
①血糖値の上昇
②胃壁の拡張による迷走神経刺激
①②が視床下部の満腹中枢に伝わって満腹感が生じるとされてきました。
最近はこれに加えて、
「脂肪細胞の分泌するレプチンや摂取したアミノ酸も満腹中枢に影響をあたえる。」
とか
「視床下部に摂食に関連する神経ペプチドが多種存在する。」
とか、いろいろ複雑になってきているそうです。
要するに案外、満腹感に関して、きっちり理論的に説明できているわけではないようです。
人間はともかくとして、ライオンなどの肉食獣は、血糖値が上昇しなくても満腹になりますよね。また、牛や馬といった草食獣も、血糖値が上昇することはありませんが、満腹になります。
人類も農耕前の399万年間は、血糖値の上昇はほとんどなくて満腹しています。伝統的食生活だったころのイヌイットも4000年間、血糖値の上昇はなくても満腹しています。
そうすると、あくまでも仮説ですが、糖質制限食実践中の人、農耕前の人類、イヌイットにおいては、
「胃壁の拡張による迷走神経刺激」と「脂肪細胞の分泌するレプチンや摂取したアミノ酸」「視床下部に摂食に関連する神経ペプチド」
などが、満腹中枢に影響を与えていたと考えられます。
「血糖値の上昇」による満腹中枢の刺激というのは、人類においては農耕以後の比較的新しいシステムと考えられます。
糖質制限食実践中の人は、農耕前の399万年間のシステムにより、満腹感を得ていると考えられます。
空腹感の発生
満腹感に比べると、空腹感が生じる仕組みは、さらにわかっていないようです。
「血糖値が上昇していない」「胃壁が弛緩している」状態は、満腹感の裏返しなのですが、それだけでは空腹感が生じるには、不十分です。
確かに機能性低血糖症では血糖値が60mg/dl以下に下がって、異常な空腹感が生じることはあると思います。
しかし、正常人では、食後しばらくすると肝臓で糖新生をして、血糖値を一定レベルに保つので血糖値が60mg/dl以下に下がることはありません。
つまり、正常人では、血糖値が90mg/dlとかあっても、通常の空腹感を生じるわけです。
東京都神経科学総合研究所のホームページによれば、
「胃壁の弛緩も空腹感を生み出す直接的な刺激にもなっていないようです。実際に、食事の後ずいぶん時間が経って胃が空になっているはずなのに、遊びや仕事に熱中していると空腹を忘れるのはよく経験することです。血糖値が上昇せず、胃壁が弛緩している状態は空腹感を生み出すために必要ですがそれだけでは十分でないようです。しかし、それまで空腹だと感じていなくても、おいしそうな匂いを嗅いだり、他人が何かを食べるのを目撃したり、さらには食べ物の話をしたり、想像しただけで突然、猛烈な食欲に襲われることがあります。したがって、食欲は空腹時に、なんらかの食物に関連した刺激が加わることによって誘導されると考えた方が正しいかもしれません。つまり、視覚、聴覚、嗅覚などを介した食物刺激や食物に関する想いが脳を刺激し、食欲を生み出すと考えられるのです。ただし、満腹の時には、このような刺激に反応しないどころか時に嫌悪感を抱くことさえあります。」
「摂食に関連する機能には脳の様々な領域が関係します。一番最初に述べた食欲(空腹感)の発現には大脳新皮質の扁桃体(好き嫌いの決定)や前頭前野(意欲の発現)が関係すると言われています。また食物刺激の受容には視床や大脳新皮質の味覚野、視覚野、聴覚野などが関わります。また摂食の際の咀嚼・嚥下には下位脳幹の運動ニューロンが関係しますし、延髄から伸びる迷走神経は胃腸の蠕動運動や消化活動を調節します。このように摂食促進作用には単に視床下部だけでなく広範囲の脳の領域が関係します。」
結局、空腹感というのはまだ仮説のようですが、ベースに「血糖値が上昇していない」「胃壁が弛緩している」という状態があって、視覚・聴覚・嗅覚などを介した様々な食物刺激や食物に対する想いが、単に視床下部だけでなく広範囲な脳の領域に影響を与えて、生じるということになりますね。
まあ、私の断食体験では、刺身やステーキを食べたいという個別の食品に対する欲求は、断食中にも湧いて来るのですが、いわゆる「腹、減ったー!何でもいいから食べたい。」といった空腹感は、断食中にはなくなるのですが・・・。
江部康二
2011年04月10日 (日)
こんばんは。
本日はとても暖かく、春らしい一日でした。桜も満開です。
東日本大地震の被災者の方々も、大変なことは沢山沢山あるけれど、寒さから解放されたら、ほっと一息つけるかなと思います。
高雄病院からも医師が一人、東日本大震災支援プロジェクトに参加することとなりました。
ささやかではありますが、現地の医療活動の支援ができればと思っています。
私達、西日本に住むものには、日常の業務をしっかりこなして、医療活動・経済活動を維持して、東日本の後方支援にあたる役割があるのだと思います。
さて、信州飯田市において、初の糖質制限食講演会を行います。
主催は信州つばさネット・HUMAN LIFE NET ''翼'' の皆さんです。
2009年10月に信州松川町で糖質制限食を行ったときは、300人という大勢の方にご参加いただき感激しました。
糖質制限食は、最近マスコミでも糖尿病治療やダイエットの話題として取り上げることが多くなっています。
本講演は、糖質制限食の最新理論と症例などを、わかりやすくお話しします。 いつも早口で内容が多すぎるとのご意見もいただきましたので、ゆっくりとお話しように心がけます。
今回の公開講座は、佐橋紀子先生(元飯田女史短大教授)とのジョイントです。
佐橋先生は、とても経験豊富な糖尿人です。インスリン注射も打っておられます。高雄病院に入院して糖質制限食を実践され、インスリンの量は1/3に減量できました。
入院中のこと、退院後のこと、成功談、失敗談含めていろんな体験談を語っていただけると思います。
信州・長野県民の皆さん、是非、足をお運び下さいね。
☆☆☆☆☆
<糖尿病よ、成人病よ、さようなら!> ~糖質制限食のすすめ~ 講演会
日時 2011年4月17日(日)
開場 午後1:00
開演 午後1:30~4:00
会場 飯田女子短期大学 講堂
飯田市松尾代田610番地
演題 <糖尿病よ、成人病よ、さようなら!> ~糖質制限食のすすめ~
講師 江部康二 京都・高雄病院理事長
講師 佐橋紀子先生 HUMAN LIFE NET ''翼''代表 元飯田女子短大教授
患者の立場から
参加費 前売り券 大人1000円 学生700円
当日券 大人1200円 学生900円
主催 信州つばさネット・HUMAN LIFE NET ''翼''
後援 飯田市/飯田市社会福祉協議会/飯田女子短期大学/介護のかふね
NPO法人飯田ボランティア協会/信州毎日新聞社/中日新聞社/信州日報
申し込み先
平澤文子/0265-34-7330(介護のかふね)
大澤み江/0265-36-3154
山上恵美子/0265-36-2453
江部康二
以下は
HUMAN LIFE NET ''翼''代表
佐橋紀子先生からのメッセージです。
☆☆☆☆☆
江部康二先生のブログ愛読者のみなさま
私は名古屋の学習グループ”HUMAN LIFE INFO NET 翼”の代表・佐橋紀子です。
実は私、30年越しの糖尿病患者です。毎月病院に通いながら、これまで病状はどんどん悪くなっていきました。
これ以上進むと合併症でいずれ失明するか、脳梗塞で倒れ、その後遺症で半身不随になり、不自由な生活を強いられるか。はたまた人工透析のお世話になるか、常にそうした恐怖を抱えておりました。患者としてはそれなりに食事や運動に努力してきたのに、病状は悪化するばかり…。ところが大きな転機が訪れました。
2008年8月、江部先生に出会い、高雄病院に『教育入院』させていただきました。朝の空腹時血糖は206あったのに、たった2週間の入院で103に半減。インスリン注射も一日46単位が22単位にまで下がり、まるで目からウロコの毎日でした。あんなにガンコだった血糖値が下がったのです。そして江部先生から高血糖の要因は、炭水化物の摂取にあることを学んだのです。今では努力すれば病状の進行をコントロールでき、合併症から身を守ることができる、という明るい見通しを持てるようになりました。こんなに嬉しいことはありません!
江部先生に出会ったことにどんなに感謝しているか、その気持ちが講演会開催のバネになっているのです。同時に、こんな画期的治療法をなぜ今まで知らされていなかったのか、そのことに大変悔しい思いを抱きました。かくなるうえは患者さんたちに一人でも多く、糖質制限の治療法を知らせてあげたい!それが命を救っていただいた人間の責務ではないか、とさえ思うようになりました。自分さえ良くなればよい、というものではないのです。それで翼会員の人たちの協力を得て、糖質制限食の講演会に取り組んでいるのです。今回の飯田開催で、4回目の講演会になります。会場は500人収容できます。
私たちの講演会の特徴は、江部先生の糖質制限の理論をお聴きし、患者の立場から糖尿病治療のあり方への期待を述べ、驚くほどの減量や糖尿病の改善を経験した人たちの体験報告をするところです。ぜひお誘い合わせの上、春爛漫の信州の会場にお越ください。
”翼”代表 佐橋紀子
本日はとても暖かく、春らしい一日でした。桜も満開です。
東日本大地震の被災者の方々も、大変なことは沢山沢山あるけれど、寒さから解放されたら、ほっと一息つけるかなと思います。
高雄病院からも医師が一人、東日本大震災支援プロジェクトに参加することとなりました。
ささやかではありますが、現地の医療活動の支援ができればと思っています。
私達、西日本に住むものには、日常の業務をしっかりこなして、医療活動・経済活動を維持して、東日本の後方支援にあたる役割があるのだと思います。
さて、信州飯田市において、初の糖質制限食講演会を行います。
主催は信州つばさネット・HUMAN LIFE NET ''翼'' の皆さんです。
2009年10月に信州松川町で糖質制限食を行ったときは、300人という大勢の方にご参加いただき感激しました。
糖質制限食は、最近マスコミでも糖尿病治療やダイエットの話題として取り上げることが多くなっています。
本講演は、糖質制限食の最新理論と症例などを、わかりやすくお話しします。 いつも早口で内容が多すぎるとのご意見もいただきましたので、ゆっくりとお話しように心がけます。
今回の公開講座は、佐橋紀子先生(元飯田女史短大教授)とのジョイントです。
佐橋先生は、とても経験豊富な糖尿人です。インスリン注射も打っておられます。高雄病院に入院して糖質制限食を実践され、インスリンの量は1/3に減量できました。
入院中のこと、退院後のこと、成功談、失敗談含めていろんな体験談を語っていただけると思います。
信州・長野県民の皆さん、是非、足をお運び下さいね。
☆☆☆☆☆
<糖尿病よ、成人病よ、さようなら!> ~糖質制限食のすすめ~ 講演会
日時 2011年4月17日(日)
開場 午後1:00
開演 午後1:30~4:00
会場 飯田女子短期大学 講堂
飯田市松尾代田610番地
演題 <糖尿病よ、成人病よ、さようなら!> ~糖質制限食のすすめ~
講師 江部康二 京都・高雄病院理事長
講師 佐橋紀子先生 HUMAN LIFE NET ''翼''代表 元飯田女子短大教授
患者の立場から
参加費 前売り券 大人1000円 学生700円
当日券 大人1200円 学生900円
主催 信州つばさネット・HUMAN LIFE NET ''翼''
後援 飯田市/飯田市社会福祉協議会/飯田女子短期大学/介護のかふね
NPO法人飯田ボランティア協会/信州毎日新聞社/中日新聞社/信州日報
申し込み先
平澤文子/0265-34-7330(介護のかふね)
大澤み江/0265-36-3154
山上恵美子/0265-36-2453
江部康二
以下は
HUMAN LIFE NET ''翼''代表
佐橋紀子先生からのメッセージです。
☆☆☆☆☆
江部康二先生のブログ愛読者のみなさま
私は名古屋の学習グループ”HUMAN LIFE INFO NET 翼”の代表・佐橋紀子です。
実は私、30年越しの糖尿病患者です。毎月病院に通いながら、これまで病状はどんどん悪くなっていきました。
これ以上進むと合併症でいずれ失明するか、脳梗塞で倒れ、その後遺症で半身不随になり、不自由な生活を強いられるか。はたまた人工透析のお世話になるか、常にそうした恐怖を抱えておりました。患者としてはそれなりに食事や運動に努力してきたのに、病状は悪化するばかり…。ところが大きな転機が訪れました。
2008年8月、江部先生に出会い、高雄病院に『教育入院』させていただきました。朝の空腹時血糖は206あったのに、たった2週間の入院で103に半減。インスリン注射も一日46単位が22単位にまで下がり、まるで目からウロコの毎日でした。あんなにガンコだった血糖値が下がったのです。そして江部先生から高血糖の要因は、炭水化物の摂取にあることを学んだのです。今では努力すれば病状の進行をコントロールでき、合併症から身を守ることができる、という明るい見通しを持てるようになりました。こんなに嬉しいことはありません!
江部先生に出会ったことにどんなに感謝しているか、その気持ちが講演会開催のバネになっているのです。同時に、こんな画期的治療法をなぜ今まで知らされていなかったのか、そのことに大変悔しい思いを抱きました。かくなるうえは患者さんたちに一人でも多く、糖質制限の治療法を知らせてあげたい!それが命を救っていただいた人間の責務ではないか、とさえ思うようになりました。自分さえ良くなればよい、というものではないのです。それで翼会員の人たちの協力を得て、糖質制限食の講演会に取り組んでいるのです。今回の飯田開催で、4回目の講演会になります。会場は500人収容できます。
私たちの講演会の特徴は、江部先生の糖質制限の理論をお聴きし、患者の立場から糖尿病治療のあり方への期待を述べ、驚くほどの減量や糖尿病の改善を経験した人たちの体験報告をするところです。ぜひお誘い合わせの上、春爛漫の信州の会場にお越ください。
”翼”代表 佐橋紀子
2011年04月09日 (土)
こんばんは。
糖質制限食の再開と減量・適正体重について、みかんさんから、コメント・質問をいただきました。
【11/04/09 みかん
糖質制限食 再開
お久しぶりです。以前、糖質制限を知ってダイエットのためはじめ、最初から調子よく体重が落ち、
あれよあれよと言う間に10キロ今日体重が落ち、成功と思った矢先、食事の量初め、食べているものも
全く体重が落ちたときと同じ物を食べていたんですが、じわりじわりと元に戻り、半分戻ったくらい
のときに先生に相談し、食べ過ぎているかもと言われ量を減らしても体重は増える一方。これしかないと
思っていた方法だったので途方にくれ、また、ネットでダイエットを調べたら、炭水化物を減らして
痩せるのは、男性で女性は一度痩せてもリバウンドする人が多いと言うのを何箇所か見つけ、また
いろんな方法おにぎりダイエット(頭では糖質だからやせるはずはないと思いながら)やってみたりで、
結局もとの木阿弥(それ以上かもしれません。怖くて体重が量れなくなりました。)
やってはいけないと分りながら食べたものを戻したりすることもありました。(罪悪感バリバリ)
しばらく、江部先生のブログも覗かずにいました。
でも、頭にはずっと糖質制限しかないって分っているのに、もう1回始めて痩せなかったら
どうしよう・・・これ以上に太ったらどうしよう・・・と言うことが頭によぎり、なかなか踏み
出せないでいました。
でもやっぱり痩せたいです。痩せれたときはすごく幸せで、毎日が楽しかった。今は毎日が苦痛です。
もう一度始める際の注意点や、最初は体重が落ちたほうがモチベーションアップになると思うので、
そうなりやすいきっかけみたいなものをアドバイスしてもらえたら嬉しいと思い、思い切って江部先生の
元に舞い戻ってきました。
大阪に住んでいるので、大阪で糖質制限に理解のある病院か先生の病院の診察を受けてみたいとも思っています。
糖尿病ではないのですが、薬等は使っていませんが、ガンの治療中(今は経過観察中)なので、ちゃんと
指導してもらったほうが良いんではないかと考えています。
長々とすみません。出来ればアドバイスお願いします。
P,S.身長は146cm 以前は50キロから40キロになり喜んでいました。
多分今は50キロを超え55キロ位あると思います。(泣)】
みかん さん。
お久しぶりです。
本ブログ、出戻り歓迎ですので、再度美味しく楽しく糖質制限食に取り組んでいただけば嬉しいです。
糖質制限食実践で、その人における一番いい体重に落ち着きます。闇雲にただ体重が減るわけではありません。
肥満の人は減量ですし、痩せすぎの人は標準近くに増加します。
標準といってもBMI22である必要はなくて、その人における一番体調のよい時の体重ですね。
BMIは、18以上25未満の標準内で、20でも24でもいいと思います。
私の場合は、
「167cm。66kg。BMI23.7。」
からスーパー糖質制限食半年で
「56kg。BMI20.1」
と医学生時代の体型に戻りました。
BMI23.7の時も、標準内ではあったのですが、明らかに腹だけが出て、CTで内臓脂肪も127平方センチメートルあって、自分のイメージ的には「これはあかんやろ!」だったのです。
糖質制限食実践者は、私と同様、学生時代の体重に復帰される方が多いですね。
【糖質制限を知ってダイエットのためはじめ、最初から調子よく体重が落ち、 あれよあれよと言う間に10キロ今日体重が落ち、成功と思った矢先、食事の量初め、食べているものも 全く体重が落ちたときと同じ物を食べていたんですが、じわりじわりと元に戻り、半分戻った】
みかんさんは糖質制限食実践で、50kg→40kg→45kg
一旦40kgになったのが、同じ糖質制限食維持で45kgに増加。
146cm、45kgでBMI21.1ですので、調度よい体重と思います。
おそらくみかんさんにおいては、40kgはやや痩せすぎで、45kgくらいが適正体重なのだと思いますよ。
【ネットでダイエットを調べたら、炭水化物を減らして痩せるのは、男性で女性は一度痩せてもリバウンドする人が多いと言うのを何箇所か見つけ・・・】
2011年3月6日(日)朝、読売テレビ10:55~放送された「所さんの目がテン!14日間低炭水化物ダイエット合宿」の情報でしょうかね。
あの番組は、たまたま見ていました。
あのとき出演していた女性医師が
「女性には低炭水化物ダイエットは向きません」
とコメントしておられました。
しかし、体重の減り方が男性グループよりやや少なめということはありましたが、現実には女性グループも全員ダイエットに成功していました。
この番組で明確に確認できたことは、
「少なくとも同一カロリーで同一運動量なら、炭水化物制限をした方が、男性でも女性でも、炭水化物を摂取するより減量効果があった。」
という事実です。(*)
高雄病院の経験においても、糖質制限食で女性でも肥満の人は、その人における適正体重になる方が多いです。その後も糖質制限食を続ける限りは、維持する人がほとんどです。糖質を再摂取すれば、てきめん体重は増加します。とてもシンプルなお話しなのです。
表紙、向かって右側の、月別アーカイブにある2010-11-30のブログ
「糖質制限食でなぜやせる?2010年11月30日」
も参照いただけば幸いです。
江部康二
(*)参考
☆☆☆☆☆2011年3月6日(日)の本ブログ
<所さんの目がテン!2011年3月6日(日)低炭水化物ダイエット>
2011年3月6日(日)朝、読売テレビ10:55~「所さんの目がテン!」
を見ました。
低炭水化物ダイエット合宿14日間の企画でした。
男性3名、女性3名が参加です。
低炭水化物ダイエットが本当に有効か否かを確認するという意図です。
14日間泊まり込みで合宿ですので、供給された食事の信頼度は高いです。
今まで(合宿前)炭水化物ありで摂取していたエネルギー/日と同一のエネルギーを低炭水化物食で、栄養士が計算して供給です。
また運動量も合宿前の歩行数とかを、合宿後も同一にしています。
つまり、1日の摂取カロリーと運動量を、合宿前後で、同一に保ち、実験の精度を高めています。
途中5日目くらいに、一人の女性が心理的に「炭水化物が欲しい」とヘロヘロになり、それに合わせて他の5人も「しんどい・・・。」とのこと。(∵)?
ここで登場した、女性栄養士が
「炭水化物を制限したのでブドウ糖が不足して脳がまともに働かなくなったのでしんどくなった。脳はブドウ糖しか利用できないので・・・。」
と、例によって例の如く、大間違いのコメントを述べました。 (*- -)(*_ _)
本当に低血糖ならその時点で倫理的にも実験中止すべきでしょう!? (*`Д´)ノ
まあともあれ、そのまま低炭水化物ダイエット、6人とも14日間貫徹で、翌15日目にいよいよ体重測定です。
15日目は、映像では、6人とも充分、元気そうでしたね。
男性は3人とも6~9kgくらいの減量成功です。
女性も3人とも2~3kgくらいの減量成功です。
男性に比べて女性の体重の減り方は少ないのですが、テレビの映像では、全員ウェストがしっかりくびれを取り戻してましたね。つまり、女性も全員ダイエット成功してます。
ここでまた、先ほどの女性栄養士が、男性は兎も角、
「女性には低炭水化物ダイエットは向きません」
と断定的なコメントを発言しておられました。
女性は、皮下脂肪が内臓脂肪より多いので、体重が減りにくいとの説明でした。
一般に皮下脂肪は、内臓脂肪より燃えにくいとされているのですが、本当のところは定かではありません。
普通に考えて、女性の方が基礎代謝が低いので、単純にやせにくいのだと思います。
さて、ここからが肝腎です。
この低炭水化物ダイエット合宿プログラムは、男性も女性も、1日の総摂取カロリーと運動量を、合宿前後で同一に保ち、炭水化物を制限したか、制限していないかだけの違いをみている、よくデザインされたそれなりに精度の高い実験です。
そして、この企画で明確に確認できたことは、少なくとも同一カロリーなら、炭水化物制限をした方が、男性でも女性でも、炭水化物を摂取するより減量効果があるという事実です。 (^^)
「摂取カロリーが同一なら、糖質・脂質・タンパク質の何を食べても体重への影響も同一である。」
という従来の定説<カロリー神話>は、見事に崩壊ですね。
所さん、低炭水化物ダイエットの正しさ・本質を、一定証明していただいてありがとうございました。
江部康二
☆☆☆☆☆2011年3月7日(日)の本ブログ
所さんの目がテン!2011年3月6日(日)低炭水化物ダイエット、続き
こんにちは。
さて。
「所さんの目がテン!」2011年3月6日(日)で
「脳はブドウ糖しか使えない」
と間違った解説をしていたのは、栄養士さんではなくて女医さんのようです。
失礼しました。m(_ _)m
いずれにせよ「脳はケトン体をなんぼでも利用する」というのが生理学的事実ですので、医師も栄養士も、もう少し勉強して頂ければと思います。
また、肝臓で糖新生するので、糖質制限食で高血糖は改善しても低血糖にはならないことも、追加しておきます。
うろ覚えだった体重減少ですが、コメントで情報をいただきまして確認できました。
男性
1)73.8→67.8kg 6kg減少
2)90.8→85.3kg 5.5kg減少
3)111.0→103.1kg 7.9kg減少
女性
1)74.8→71.4kg 3.4kg減少
2)69.7→67.0kg 2.7kg減少
3)54.9→53.3kg 1.6kg減少
14日間の低炭水化物ダイエットプログラムで、男女とも見事なダイエット成功です。
普通こんなにきれいなデータは、なかなかでませんので、参加されたメンバー立派と思います。
仮に「当初内臓脂肪が燃えやすくて、次に皮下脂肪が燃え始める」という定説が正しいとしても、その内当然皮下脂肪も燃えるわけですので、女性に、低炭水化物ダイエット(糖質制限ダイエット)が向かないという理由にはなりません。
私の解釈では、女性で14日間で、これだけ体重減少したら喜んでもいいし、明確にダイエット成功と思います。
少なくとも倹約遺伝子タイプ(基礎代謝が低いタイプ)など、女性は男性より単純にやせにくい人が多いですので・・・
江部康二
糖質制限食の再開と減量・適正体重について、みかんさんから、コメント・質問をいただきました。
【11/04/09 みかん
糖質制限食 再開
お久しぶりです。以前、糖質制限を知ってダイエットのためはじめ、最初から調子よく体重が落ち、
あれよあれよと言う間に10キロ今日体重が落ち、成功と思った矢先、食事の量初め、食べているものも
全く体重が落ちたときと同じ物を食べていたんですが、じわりじわりと元に戻り、半分戻ったくらい
のときに先生に相談し、食べ過ぎているかもと言われ量を減らしても体重は増える一方。これしかないと
思っていた方法だったので途方にくれ、また、ネットでダイエットを調べたら、炭水化物を減らして
痩せるのは、男性で女性は一度痩せてもリバウンドする人が多いと言うのを何箇所か見つけ、また
いろんな方法おにぎりダイエット(頭では糖質だからやせるはずはないと思いながら)やってみたりで、
結局もとの木阿弥(それ以上かもしれません。怖くて体重が量れなくなりました。)
やってはいけないと分りながら食べたものを戻したりすることもありました。(罪悪感バリバリ)
しばらく、江部先生のブログも覗かずにいました。
でも、頭にはずっと糖質制限しかないって分っているのに、もう1回始めて痩せなかったら
どうしよう・・・これ以上に太ったらどうしよう・・・と言うことが頭によぎり、なかなか踏み
出せないでいました。
でもやっぱり痩せたいです。痩せれたときはすごく幸せで、毎日が楽しかった。今は毎日が苦痛です。
もう一度始める際の注意点や、最初は体重が落ちたほうがモチベーションアップになると思うので、
そうなりやすいきっかけみたいなものをアドバイスしてもらえたら嬉しいと思い、思い切って江部先生の
元に舞い戻ってきました。
大阪に住んでいるので、大阪で糖質制限に理解のある病院か先生の病院の診察を受けてみたいとも思っています。
糖尿病ではないのですが、薬等は使っていませんが、ガンの治療中(今は経過観察中)なので、ちゃんと
指導してもらったほうが良いんではないかと考えています。
長々とすみません。出来ればアドバイスお願いします。
P,S.身長は146cm 以前は50キロから40キロになり喜んでいました。
多分今は50キロを超え55キロ位あると思います。(泣)】
みかん さん。
お久しぶりです。
本ブログ、出戻り歓迎ですので、再度美味しく楽しく糖質制限食に取り組んでいただけば嬉しいです。
糖質制限食実践で、その人における一番いい体重に落ち着きます。闇雲にただ体重が減るわけではありません。
肥満の人は減量ですし、痩せすぎの人は標準近くに増加します。
標準といってもBMI22である必要はなくて、その人における一番体調のよい時の体重ですね。
BMIは、18以上25未満の標準内で、20でも24でもいいと思います。
私の場合は、
「167cm。66kg。BMI23.7。」
からスーパー糖質制限食半年で
「56kg。BMI20.1」
と医学生時代の体型に戻りました。
BMI23.7の時も、標準内ではあったのですが、明らかに腹だけが出て、CTで内臓脂肪も127平方センチメートルあって、自分のイメージ的には「これはあかんやろ!」だったのです。
糖質制限食実践者は、私と同様、学生時代の体重に復帰される方が多いですね。
【糖質制限を知ってダイエットのためはじめ、最初から調子よく体重が落ち、 あれよあれよと言う間に10キロ今日体重が落ち、成功と思った矢先、食事の量初め、食べているものも 全く体重が落ちたときと同じ物を食べていたんですが、じわりじわりと元に戻り、半分戻った】
みかんさんは糖質制限食実践で、50kg→40kg→45kg
一旦40kgになったのが、同じ糖質制限食維持で45kgに増加。
146cm、45kgでBMI21.1ですので、調度よい体重と思います。
おそらくみかんさんにおいては、40kgはやや痩せすぎで、45kgくらいが適正体重なのだと思いますよ。
【ネットでダイエットを調べたら、炭水化物を減らして痩せるのは、男性で女性は一度痩せてもリバウンドする人が多いと言うのを何箇所か見つけ・・・】
2011年3月6日(日)朝、読売テレビ10:55~放送された「所さんの目がテン!14日間低炭水化物ダイエット合宿」の情報でしょうかね。
あの番組は、たまたま見ていました。
あのとき出演していた女性医師が
「女性には低炭水化物ダイエットは向きません」
とコメントしておられました。
しかし、体重の減り方が男性グループよりやや少なめということはありましたが、現実には女性グループも全員ダイエットに成功していました。
この番組で明確に確認できたことは、
「少なくとも同一カロリーで同一運動量なら、炭水化物制限をした方が、男性でも女性でも、炭水化物を摂取するより減量効果があった。」
という事実です。(*)
高雄病院の経験においても、糖質制限食で女性でも肥満の人は、その人における適正体重になる方が多いです。その後も糖質制限食を続ける限りは、維持する人がほとんどです。糖質を再摂取すれば、てきめん体重は増加します。とてもシンプルなお話しなのです。
表紙、向かって右側の、月別アーカイブにある2010-11-30のブログ
「糖質制限食でなぜやせる?2010年11月30日」
も参照いただけば幸いです。
江部康二
(*)参考
☆☆☆☆☆2011年3月6日(日)の本ブログ
<所さんの目がテン!2011年3月6日(日)低炭水化物ダイエット>
2011年3月6日(日)朝、読売テレビ10:55~「所さんの目がテン!」
を見ました。
低炭水化物ダイエット合宿14日間の企画でした。
男性3名、女性3名が参加です。
低炭水化物ダイエットが本当に有効か否かを確認するという意図です。
14日間泊まり込みで合宿ですので、供給された食事の信頼度は高いです。
今まで(合宿前)炭水化物ありで摂取していたエネルギー/日と同一のエネルギーを低炭水化物食で、栄養士が計算して供給です。
また運動量も合宿前の歩行数とかを、合宿後も同一にしています。
つまり、1日の摂取カロリーと運動量を、合宿前後で、同一に保ち、実験の精度を高めています。
途中5日目くらいに、一人の女性が心理的に「炭水化物が欲しい」とヘロヘロになり、それに合わせて他の5人も「しんどい・・・。」とのこと。(∵)?
ここで登場した、女性栄養士が
「炭水化物を制限したのでブドウ糖が不足して脳がまともに働かなくなったのでしんどくなった。脳はブドウ糖しか利用できないので・・・。」
と、例によって例の如く、大間違いのコメントを述べました。 (*- -)(*_ _)
本当に低血糖ならその時点で倫理的にも実験中止すべきでしょう!? (*`Д´)ノ
まあともあれ、そのまま低炭水化物ダイエット、6人とも14日間貫徹で、翌15日目にいよいよ体重測定です。
15日目は、映像では、6人とも充分、元気そうでしたね。
男性は3人とも6~9kgくらいの減量成功です。
女性も3人とも2~3kgくらいの減量成功です。
男性に比べて女性の体重の減り方は少ないのですが、テレビの映像では、全員ウェストがしっかりくびれを取り戻してましたね。つまり、女性も全員ダイエット成功してます。
ここでまた、先ほどの女性栄養士が、男性は兎も角、
「女性には低炭水化物ダイエットは向きません」
と断定的なコメントを発言しておられました。
女性は、皮下脂肪が内臓脂肪より多いので、体重が減りにくいとの説明でした。
一般に皮下脂肪は、内臓脂肪より燃えにくいとされているのですが、本当のところは定かではありません。
普通に考えて、女性の方が基礎代謝が低いので、単純にやせにくいのだと思います。
さて、ここからが肝腎です。
この低炭水化物ダイエット合宿プログラムは、男性も女性も、1日の総摂取カロリーと運動量を、合宿前後で同一に保ち、炭水化物を制限したか、制限していないかだけの違いをみている、よくデザインされたそれなりに精度の高い実験です。
そして、この企画で明確に確認できたことは、少なくとも同一カロリーなら、炭水化物制限をした方が、男性でも女性でも、炭水化物を摂取するより減量効果があるという事実です。 (^^)
「摂取カロリーが同一なら、糖質・脂質・タンパク質の何を食べても体重への影響も同一である。」
という従来の定説<カロリー神話>は、見事に崩壊ですね。
所さん、低炭水化物ダイエットの正しさ・本質を、一定証明していただいてありがとうございました。
江部康二
☆☆☆☆☆2011年3月7日(日)の本ブログ
所さんの目がテン!2011年3月6日(日)低炭水化物ダイエット、続き
こんにちは。
さて。
「所さんの目がテン!」2011年3月6日(日)で
「脳はブドウ糖しか使えない」
と間違った解説をしていたのは、栄養士さんではなくて女医さんのようです。
失礼しました。m(_ _)m
いずれにせよ「脳はケトン体をなんぼでも利用する」というのが生理学的事実ですので、医師も栄養士も、もう少し勉強して頂ければと思います。
また、肝臓で糖新生するので、糖質制限食で高血糖は改善しても低血糖にはならないことも、追加しておきます。
うろ覚えだった体重減少ですが、コメントで情報をいただきまして確認できました。
男性
1)73.8→67.8kg 6kg減少
2)90.8→85.3kg 5.5kg減少
3)111.0→103.1kg 7.9kg減少
女性
1)74.8→71.4kg 3.4kg減少
2)69.7→67.0kg 2.7kg減少
3)54.9→53.3kg 1.6kg減少
14日間の低炭水化物ダイエットプログラムで、男女とも見事なダイエット成功です。
普通こんなにきれいなデータは、なかなかでませんので、参加されたメンバー立派と思います。
仮に「当初内臓脂肪が燃えやすくて、次に皮下脂肪が燃え始める」という定説が正しいとしても、その内当然皮下脂肪も燃えるわけですので、女性に、低炭水化物ダイエット(糖質制限ダイエット)が向かないという理由にはなりません。
私の解釈では、女性で14日間で、これだけ体重減少したら喜んでもいいし、明確にダイエット成功と思います。
少なくとも倹約遺伝子タイプ(基礎代謝が低いタイプ)など、女性は男性より単純にやせにくい人が多いですので・・・
江部康二
2011年04月08日 (金)
こんにちは。
ここのところ、機能性低血糖に関わるコメントが続いてますので、復習を兼ねて、整理してみます。
機能性低血糖症は、1924年アメリカのSeale Harrisによって指摘された疾患で、血糖値の低下に伴ない、精神的・身体的症状を来たす疾患です。
易疲労感、気力低下、眠気、集中力低下、物忘れ、不安、いらいら、頭痛、めまい、発汗、震え、心悸亢進、筋肉痛、甘いものに対する異常な欲求、異常な空腹感・・・ などの症状がみられます。
ほとんどの機能性低血糖の背景には、インスリンの過剰分泌及び遷延分泌があります。やせ型でインスリン抵抗性がなくても、機能性低血糖を生じる人はおられます。
機能性低血糖症は、糖質を摂取して血糖値が上昇して、追加分泌インスリンが基礎分泌インスリンの10倍、20倍、30倍レベル出たときに、早ければ食後2時間、通常は4時間から5時間くらいで発症することが多いです。
家族歴に2型糖尿病があって、現在は正常型で糖尿病を発症していない人は、インスリン追加分泌が遷延することがあり、機能性低血糖が特に起こりやすいです。
境界型および糖尿病でも、軽症の段階だと、インスリン分泌能力はまだ残っています。
そして、インスリン追加分泌が出遅れて遷延するのが、2型糖尿病の特徴なので、「機能性低血糖+境界型」あるいは「機能性低血糖+糖尿病型」というパターンは、結構あると思います。
一方、家族歴に2型糖尿病がなくて、現在糖尿病的には全く正常でも、インスリンが過剰に分泌されるタイプの「機能性低血糖+正常型」もあります。
こちらは若い人に多く、それこそ小学生や中学生でもありえると思います。当然、高校生や大学生は言うまでもありません。
いずれにせよ
<糖質摂取による血糖値上昇→インスリン過剰分泌・分泌遷延→機能性低血糖>
というパターンです。
従って、精製炭水化物が、最も機能性低血糖を起こしやすいです。未精製の炭水化物はややましですが、やはり起こす可能性があります。
糖質制限食なら、食後高血糖がほとんどなくて、インスリン追加分泌もごく少量なので機能性低血糖をほとんど生じません。
スーパー糖質制限食なら、インスリン追加分泌は、野菜分のせいぜい2~3倍くらいまでです。
糖質制限食実践中は、肝臓でアミノ酸などから糖新生が行われるので、通常は基本的に適正血糖値が保たれます。
ちなみに脂質は、インスリンを分泌させません。タンパク質は、ごく少量インスリンを分泌させます。
この機能性低血糖症、日本ではあまり認知されていませんが、きっちり問診してみると、若い人でも結構おられますので注意が必要ですね。
診断は、75g経口ブドウ糖負荷試験で行います。
通常、糖尿病の診断のためには空腹時に開始して、ブドウ糖を服用後2時間までの血糖値を測定します。機能性低血糖症の場合は、ブドウ糖服用後5時間まで血糖値を検査します。
機能性低血糖症の場合、負荷後30分で120~140mg程度に上昇した血糖値が、60分で60mgになったりします。これだと眠気も来そうですね。さらに4時間後とかに40mgとかまで下がることもあります。
血糖値が40mgなら明らかな低血糖ですが、60mg以上あって正常範囲でも、血糖値が1時間で50mg以上下がると眠気などの症状も出やすいようです。
また、空腹時の検査開始時血糖値より20%以上、負荷後血糖値が下がる時点があることが多いようです。
例えば負荷前空腹時血糖値が90mgくらいで、ブドウ糖負荷後4時間で60mgとかになります。これで33%下がってますね。
本来血糖値が正常になれば、インスリン追加分泌も即中止になるはずなのですが、出過ぎた場合と遷延した場合には必要以上に血糖値が下がります。
ともあれ5時間の「75gブドウ糖経口負荷試験」って、患者さんもスタッフもちょっと大変なので、高雄病院では実施していません。だいたいは問診で見当がつきますし・・・。
大多数の機能性低血糖症が、糖質制限食で改善する可能性が高いと思います。
江部康二
ここのところ、機能性低血糖に関わるコメントが続いてますので、復習を兼ねて、整理してみます。
機能性低血糖症は、1924年アメリカのSeale Harrisによって指摘された疾患で、血糖値の低下に伴ない、精神的・身体的症状を来たす疾患です。
易疲労感、気力低下、眠気、集中力低下、物忘れ、不安、いらいら、頭痛、めまい、発汗、震え、心悸亢進、筋肉痛、甘いものに対する異常な欲求、異常な空腹感・・・ などの症状がみられます。
ほとんどの機能性低血糖の背景には、インスリンの過剰分泌及び遷延分泌があります。やせ型でインスリン抵抗性がなくても、機能性低血糖を生じる人はおられます。
機能性低血糖症は、糖質を摂取して血糖値が上昇して、追加分泌インスリンが基礎分泌インスリンの10倍、20倍、30倍レベル出たときに、早ければ食後2時間、通常は4時間から5時間くらいで発症することが多いです。
家族歴に2型糖尿病があって、現在は正常型で糖尿病を発症していない人は、インスリン追加分泌が遷延することがあり、機能性低血糖が特に起こりやすいです。
境界型および糖尿病でも、軽症の段階だと、インスリン分泌能力はまだ残っています。
そして、インスリン追加分泌が出遅れて遷延するのが、2型糖尿病の特徴なので、「機能性低血糖+境界型」あるいは「機能性低血糖+糖尿病型」というパターンは、結構あると思います。
一方、家族歴に2型糖尿病がなくて、現在糖尿病的には全く正常でも、インスリンが過剰に分泌されるタイプの「機能性低血糖+正常型」もあります。
こちらは若い人に多く、それこそ小学生や中学生でもありえると思います。当然、高校生や大学生は言うまでもありません。
いずれにせよ
<糖質摂取による血糖値上昇→インスリン過剰分泌・分泌遷延→機能性低血糖>
というパターンです。
従って、精製炭水化物が、最も機能性低血糖を起こしやすいです。未精製の炭水化物はややましですが、やはり起こす可能性があります。
糖質制限食なら、食後高血糖がほとんどなくて、インスリン追加分泌もごく少量なので機能性低血糖をほとんど生じません。
スーパー糖質制限食なら、インスリン追加分泌は、野菜分のせいぜい2~3倍くらいまでです。
糖質制限食実践中は、肝臓でアミノ酸などから糖新生が行われるので、通常は基本的に適正血糖値が保たれます。
ちなみに脂質は、インスリンを分泌させません。タンパク質は、ごく少量インスリンを分泌させます。
この機能性低血糖症、日本ではあまり認知されていませんが、きっちり問診してみると、若い人でも結構おられますので注意が必要ですね。
診断は、75g経口ブドウ糖負荷試験で行います。
通常、糖尿病の診断のためには空腹時に開始して、ブドウ糖を服用後2時間までの血糖値を測定します。機能性低血糖症の場合は、ブドウ糖服用後5時間まで血糖値を検査します。
機能性低血糖症の場合、負荷後30分で120~140mg程度に上昇した血糖値が、60分で60mgになったりします。これだと眠気も来そうですね。さらに4時間後とかに40mgとかまで下がることもあります。
血糖値が40mgなら明らかな低血糖ですが、60mg以上あって正常範囲でも、血糖値が1時間で50mg以上下がると眠気などの症状も出やすいようです。
また、空腹時の検査開始時血糖値より20%以上、負荷後血糖値が下がる時点があることが多いようです。
例えば負荷前空腹時血糖値が90mgくらいで、ブドウ糖負荷後4時間で60mgとかになります。これで33%下がってますね。
本来血糖値が正常になれば、インスリン追加分泌も即中止になるはずなのですが、出過ぎた場合と遷延した場合には必要以上に血糖値が下がります。
ともあれ5時間の「75gブドウ糖経口負荷試験」って、患者さんもスタッフもちょっと大変なので、高雄病院では実施していません。だいたいは問診で見当がつきますし・・・。
大多数の機能性低血糖症が、糖質制限食で改善する可能性が高いと思います。
江部康二
2011年04月07日 (木)
こんばんは。
今回は、糖質制限食とケトン体について、たかあきさんから、コメント・質問をいただきました。
【11/04/05 たかあき
ケトン体ますます上昇
江部先生、こんにちは。
やっと春らしくなって参りましたね。
さて、今日定期検診に行って参りました。
体重と体脂肪の減少が停滞しておりますが、おかげさまで肝臓、腎臓、コレステロールの値は
全部正常範囲内に入りました。
ありがとうございます。
ところで、ケトン体ですが、スーパー糖質制限開始から丸1年の今年の二月に
初めて+になったのですが、今回は3+になっていました。
先生の著作では、初期にこうしたことが起こると記述されていたと思います。
先月、今月のデータが示しているのは、私の体はこれから本当の意味で糖質制限の効果がでてくるということなのでしょうか?
それともなにかほかのことを意味しているのでしょうか?
また、私以外にも同様の現象が起きている人はいらっしゃいますでしょうか?
先生は以前にもまして大車輪のご活躍で、超ご多忙と存じております。
機会がございましたらご教示いただければ幸せです。】
たかあきさん。
糖質制限食実践で、
『肝臓、腎臓、コレステロールの値は全部正常範囲内に入りました。』
よかったですね。
スーパー糖質制限食の場合、総摂取エネルギーに対する比率は
<脂質56%、蛋白質、32%、糖質12%>
くらいです。
スーパー糖質制限食を実践すれば、初期の段階では、血中ケトン体は、2000~3000μM/L(26~122)くらいに上昇し尿中ケトン体が陽性となります。
その後、3ヶ月から6ヶ月くらいで、血中ケトン体は数百~1200μM/Lくらいに落ち着き、尿中ケトン体は陰性となります。
心筋や骨格筋が、活発に効率よくケトン体を利用するようになり、腎臓のケトン体再吸収も増加するからと考えられます。
血中ケトン体が数百~1200μM/Lくらいで、尿中ケトン体は陰性というのが、農耕が始まる以前、即ち人類皆糖質制限食だった頃の人類の基準値と思われます。
時々糖質制限食3年目くらいの患者さんでも、たかあきさんと同様に尿中ケトン体が陽性のことがあります。
このような方の血中ケトン体を測定したら、2000~3000μM/Lくらいありました。
野菜も少量にして、非常に厳格な糖質制限食(総摂取エネルギーに対する比率が数%以下)を実践していると、1年、2年、3年目でも、血中ケトン体は2000~3000μM/Lとなります。
この場合は、さすがに心筋や骨格筋や体細胞で、全てのケトン体を利用しきれないので、尿中に排泄されると考えられます。
難治性小児てんかんの治療食として、ケトン食があります。
総摂取エネルギーの75~80%が脂質であり、究極の糖質制限食と言えます。
ケトン食実践の小児においては、1年目、2年目、3年目でも尿中ケトン体は陽性のようです。
おそらく血中ケトン体は、2000~3000μM/Lレベル以上と思われます。
人類の本来の食生活が糖質制限食です。
しかし当然、野菜や少量の果物・ナッツ類は、ご先祖も摂取していたと思います。
従って、人類は総摂取エネルギーの約12~15%くらいが糖質で、残りは脂質・蛋白質を摂取しながら、400万年進化してきたと考えられます。
そして血中ケトン体が数百~1200μM/Lレベルなら、しっかり利用し再吸収してきたものと考えられます。
しかし、ケトン食や超厳格な糖質制限食で、血中ケトン体が2000~3000μM/Lレベルの場合は、
さすがに利用しきれず、再吸収もしきれないと考えられます。
人類の長い進化の歴史においても、ケトン食レベルの究極の糖質制限食は、経験していなかったものと考えられます。
江部康二
今回は、糖質制限食とケトン体について、たかあきさんから、コメント・質問をいただきました。
【11/04/05 たかあき
ケトン体ますます上昇
江部先生、こんにちは。
やっと春らしくなって参りましたね。
さて、今日定期検診に行って参りました。
体重と体脂肪の減少が停滞しておりますが、おかげさまで肝臓、腎臓、コレステロールの値は
全部正常範囲内に入りました。
ありがとうございます。
ところで、ケトン体ですが、スーパー糖質制限開始から丸1年の今年の二月に
初めて+になったのですが、今回は3+になっていました。
先生の著作では、初期にこうしたことが起こると記述されていたと思います。
先月、今月のデータが示しているのは、私の体はこれから本当の意味で糖質制限の効果がでてくるということなのでしょうか?
それともなにかほかのことを意味しているのでしょうか?
また、私以外にも同様の現象が起きている人はいらっしゃいますでしょうか?
先生は以前にもまして大車輪のご活躍で、超ご多忙と存じております。
機会がございましたらご教示いただければ幸せです。】
たかあきさん。
糖質制限食実践で、
『肝臓、腎臓、コレステロールの値は全部正常範囲内に入りました。』
よかったですね。
スーパー糖質制限食の場合、総摂取エネルギーに対する比率は
<脂質56%、蛋白質、32%、糖質12%>
くらいです。
スーパー糖質制限食を実践すれば、初期の段階では、血中ケトン体は、2000~3000μM/L(26~122)くらいに上昇し尿中ケトン体が陽性となります。
その後、3ヶ月から6ヶ月くらいで、血中ケトン体は数百~1200μM/Lくらいに落ち着き、尿中ケトン体は陰性となります。
心筋や骨格筋が、活発に効率よくケトン体を利用するようになり、腎臓のケトン体再吸収も増加するからと考えられます。
血中ケトン体が数百~1200μM/Lくらいで、尿中ケトン体は陰性というのが、農耕が始まる以前、即ち人類皆糖質制限食だった頃の人類の基準値と思われます。
時々糖質制限食3年目くらいの患者さんでも、たかあきさんと同様に尿中ケトン体が陽性のことがあります。
このような方の血中ケトン体を測定したら、2000~3000μM/Lくらいありました。
野菜も少量にして、非常に厳格な糖質制限食(総摂取エネルギーに対する比率が数%以下)を実践していると、1年、2年、3年目でも、血中ケトン体は2000~3000μM/Lとなります。
この場合は、さすがに心筋や骨格筋や体細胞で、全てのケトン体を利用しきれないので、尿中に排泄されると考えられます。
難治性小児てんかんの治療食として、ケトン食があります。
総摂取エネルギーの75~80%が脂質であり、究極の糖質制限食と言えます。
ケトン食実践の小児においては、1年目、2年目、3年目でも尿中ケトン体は陽性のようです。
おそらく血中ケトン体は、2000~3000μM/Lレベル以上と思われます。
人類の本来の食生活が糖質制限食です。
しかし当然、野菜や少量の果物・ナッツ類は、ご先祖も摂取していたと思います。
従って、人類は総摂取エネルギーの約12~15%くらいが糖質で、残りは脂質・蛋白質を摂取しながら、400万年進化してきたと考えられます。
そして血中ケトン体が数百~1200μM/Lレベルなら、しっかり利用し再吸収してきたものと考えられます。
しかし、ケトン食や超厳格な糖質制限食で、血中ケトン体が2000~3000μM/Lレベルの場合は、
さすがに利用しきれず、再吸収もしきれないと考えられます。
人類の長い進化の歴史においても、ケトン食レベルの究極の糖質制限食は、経験していなかったものと考えられます。
江部康二
2011年04月06日 (水)
おはようございます。
今朝、広沢の池の角を右折して高雄病院に向かいました。
桜守・佐野藤右衛門さんの邸宅のお庭の桜、ほぼ満開になっていました。
開き始めたら一気ですね。しばらくは、行き帰りに花見ができます。 (^^)
さて今回は、茶々丸さんから、ご主人が糖質制限食で血糖値・HbA1c・γGTP・TG改善、そして尿酸値は?
というコメント・質問をいただきました。
【11/04/05 茶々丸
下げ止まってます。
はじめまして。
茶々丸ママです。
先生の本は全て熟読、ブログも毎日読んでいますが、私は正常血糖値。
56歳の夫が昨年秋に、糖尿人へ・・・
血糖値 227 HbA1c(~5.8) 9.2 尿糖3+ 体重は58キロ
太ってはいないのです。
病院から戻った夫はネットで糖尿病を調べ上げ、「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」をすぐに購入し、私に宣言!!
「糖質制限のスーパーで行くから、とにかく本を読んで、やってほしい」と。
毎晩接待、晩酌、好物はカレーうどんやラーメンにおせんべいやチョコレート。遺伝もあるとはいえ、自業自得と突き放すわけにも行かず、診断されたその日からスーパー糖質制限。太ってはいないのでダイエットの必要はなし。
実験のように多種多様な糖質制限食に挑戦。
秋に行われた中野での先生の講演会も伺いました。
血糖値 HbA1c LDL HDL コレステロール 中性脂肪 尿酸 γ-GTP
2010.10 227 9.2 58 48 ? 730 ? 205
2010.11 134 7.4 164 68 267 135 7.7 88
2010.12 127 6.8 156 64 252 140 7.0 67
2011.01 122 5.7 141 70 228 89 7.6 43
2011.02 131 5.7 137 66 241 120 8.0 52
2011.03 129 5.9 182 68 288 141 8.3 51
病院へは一度行きましたが、ケンカしそうになったそうです。炭水化物摂取で・・・
毎月会社の診療室で検査。
γ-GTPと中性脂肪には驚きです。
現在の夫の食生活は、平日は
朝食は、青汁の入った野菜ジュース(無糖)
昼食は、社食・・・どうしても揚げ物が多い様子。衣ごと完食。
夕食は、10月以降接待を極力減らし、家で。
10月以降、見事にご飯、麺類等を止めているのは見事。
休みの日は、糖質制限食サイトで購入しているパン類と野菜スープが朝昼食。
ここで質問です。
☆病院で定期的に全身を見てもらう必要があるのではないか。都内在住なので病院は限られますが、糖質制限の所じゃなければ行かないと頑固に言ってます。
☆尿検査を最初にやったきりやっていないのが気になてっています。
☆自分で血糖値を測って、食生活を管理した方が良いのではないか。
☆かなり頑張って作っているのですが、血糖値が下げ止まり。昼食の揚げ物かなぁとは思うのですが、もう一息。。。問題は何か。。。
☆晩酌は糖質制限のビール350ml2本に焼酎の水割り3杯程度。おつまみはアーモンド、鯖缶、チーズ。これも飲み過ぎではという心配と、アーモンドは100グラムぺろりと。これも、食べ過ぎではないかと主治医ならぬ主治妻としては気になっていますが、本人は今の数値とγ-GTPにご満悦。
☆尿酸値の高さは、外での揚げ物とビールでしょうか。
☆LDLが下がるのは、もう少し時間がかかるのでしょうか・・・
みりんが使えず、私的には味にしまりがなく悲しいですが、にんにく醤油作ったり、野菜ペーストの作り置きで、カレーやシチューのとろみを出したりと、実験三昧です。
でも。。。。。最近少々疲れ気味。結果が伴えばこそのがんばりですよね。
この下げ止まりを打破すべく先生のお知恵拝借と、糖質制限に感謝したくメール致しました。
夫の食事管理をしている、奥様方のご苦労と、生活のヒントはいかに!!!
2月の結婚記念日はボタニカへ。
デザートは夫の糖質制限のの方が美味しそうでした。
1年、頑張ったらお寿司を少し食べにいこうというのが合い言葉(私は食べてますが・・・)
診療室では、毎月検査に来る夫に
「こんなに安定しているのだから、次は7月くらいでも・・・」と。
数値がいくつになっているか、楽しみで毎月はかっていました(笑)
これからも、先生のご活躍と、糖質制限の浸透をお祈りしています。】
茶々丸 さん。
たくさんの拙著のご購入ありがとうございます。
また、ご主人の血糖値、HbA1cの改善、よかったです。
『2011.03 FBS129 HbA1c5.9 LDL182 HDL68 TC288 TG141 尿酸8.3 γGTP51』
『☆病院で定期的に全身を見てもらう必要があるのではないか。都内在住なので病院は限られますが、糖質制限の所じゃなければ行かないと頑固に言ってます。』
今の検査データなら、年に一回会社で健康診断されていれば大丈夫でしょう。HDL-Cも大分増えていて、好ましいです。
ですが、念のために眼科検診はしておきましょう。
『☆尿検査を最初にやったきりやっていないのが気になてっています。』
尿糖は正常と思います。
『☆自分で血糖値を測って、食生活を管理した方が良いのではないか。』
可能ならば、血糖自己測定器を購入されて、血糖値の自己管理を目指すのは、とてもよいことと思います。現在は定価より大分安価になっています。
2010-04-05ノブログ「 血糖自己測定(SMBG)と簡易血糖自己測定器2010」をご参照ください。
私が自分で使っているのは、ニプロフリースタイルフリーダムです。
『☆かなり頑張って作っているのですが、血糖値が下げ止まり。昼食の揚げ物かなぁとは思うのですが、もう一息。。。問題は何か。。。
☆晩酌は糖質制限のビール350ml2本に焼酎の水割り3杯程度。おつまみはアーモンド、鯖缶、チーズ。これも飲み過ぎではという心配と、アーモンドは100グラムぺろりと。これも、食べ過ぎではないかと主治医ならぬ主治妻としては気になっていますが、本人は今の数値とγ-GTPにご満悦。』
昼食の衣が要注意なのと、晩酌のおつまみのアーモンド100gは、さすがに多いです。
100gのアーモンドには9.3gの糖質が含まれています。空腹時血糖値が110mg未満にならないのはその影響かもしれません。せめて30g(20粒)くらいにしておけば糖質量は2.8gですね。
ゆで卵とか燻製卵とか温泉卵も、コンビニおつまみOK食品です。生ハムやサラミソーセージもOK食品です。かみ応えがあるところで、鮭とばや天日干しのスルメや貝柱もいいですね。タン塩やミミガーやツブ貝もあります。ししゃも、桜エビの干物、畳いわし。。。
私は近所のスーパーで、日本ハムの「新鮮生活ZERO糖質ゼロスティックソーセージ」を買いだめして冷蔵庫にストックしています。
飲酒に関しては、米国糖尿病協会では、コントロール良好の糖尿人においては、アルコール24g(30ml)/日を食事と共にとるていどなら適量としています。ビール350ml缶を2本、ワイン150ml×2杯、ウイスキー45ml×2杯です。
飲酒に関しては、私も米国糖尿病協会推奨量よりは多く飲んでいるので、あまり大きなことは言えませんが、適量をほどほどということでしょうね。
『☆尿酸値の高さは、外での揚げ物とビールでしょうか。』
『☆LDLが下がるのは、もう少し時間がかかるのでしょうか・・・ 』
尿酸やLDL-Cは経過をみていいと思います。
LDL-Cについては、2011-04-05のブログ「糖質制限食とHbA1c・脂肪肝改善、そしてコレステロール値」
をご参照ください。
尿酸値に関しては、糖質制限食実践で、減少する人、不変の人、増加する人と個人差が大きいです。
結局、持って生まれた体質が、一番関係するのだと思います。
ただ、低カロリーすぎると、どんな内容の食事でも、尿酸値が上昇することがあるので注意が必要です。例えば断食をすると、尿酸値は急激に上昇します。
糖質制限食を実践すれば、相対的に高タンパク・高脂質食となります。高タンパク食だと尿酸値が上昇するとされていますが、ことはそれほど単純ではありません。
例えば、江部康二は、2002年以来8年間、スーパー糖質制限食実践で130g~150g/日のタンパク質を摂取していて、かなりの高タンパク食ですが、尿酸値は2.4~2.8mg/dlていどと低いです。
兄も糖質制限食ですが、尿酸値は、私と同じていどです。
通常、糖質制限食でいったん尿酸値が上昇した人も、数ヶ月~1年で元の値に戻ることが多いので経過をみることが多いです。
ただ、過去痛風発作を起こしたことがある人は、内服も考慮する必要があります。
尿酸値は、従来、肉の摂りすぎや、ビールの飲み過ぎで高値となるということが常識だったのですが、食事由来の尿酸は約100mgで、一日に生産される総量約700mgに比し、かなり少ないということが判明しました。
自らが痛風患者であり、痛風専門医でもある、鹿児島大学病院内科教授、納(おさめ)光弘先生によれば、食事よりストレスや肥満のほうが、尿酸値への影響が多いことがわかってきました。
尿酸を確実に上昇させるのは、重要なものから順番に
1、ストレス
2、肥満
3、大量の飲酒
4、激しい運動
5、プリン体の摂りすぎ
だそうです。
納先生の指摘されているストレスは、精神的なもののようです。
例えば、納先生が学会の会頭をされたときに、尿酸値が一番上昇して、学会が終了したら下がったそうです。
これらに特殊例として「断食や極端な低カロリーのとき尿酸値上昇」というのが、一番上にくる感じですね。
断食は、強力な肉体的ストレスと考えることもできます。
**参考
「痛風はビールを飲みながらでも治る」(小学館文庫)
鹿児島大学病院内科教授、納(おさめ)光弘先生 著
江部康二
今朝、広沢の池の角を右折して高雄病院に向かいました。
桜守・佐野藤右衛門さんの邸宅のお庭の桜、ほぼ満開になっていました。
開き始めたら一気ですね。しばらくは、行き帰りに花見ができます。 (^^)
さて今回は、茶々丸さんから、ご主人が糖質制限食で血糖値・HbA1c・γGTP・TG改善、そして尿酸値は?
というコメント・質問をいただきました。
【11/04/05 茶々丸
下げ止まってます。
はじめまして。
茶々丸ママです。
先生の本は全て熟読、ブログも毎日読んでいますが、私は正常血糖値。
56歳の夫が昨年秋に、糖尿人へ・・・
血糖値 227 HbA1c(~5.8) 9.2 尿糖3+ 体重は58キロ
太ってはいないのです。
病院から戻った夫はネットで糖尿病を調べ上げ、「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」をすぐに購入し、私に宣言!!
「糖質制限のスーパーで行くから、とにかく本を読んで、やってほしい」と。
毎晩接待、晩酌、好物はカレーうどんやラーメンにおせんべいやチョコレート。遺伝もあるとはいえ、自業自得と突き放すわけにも行かず、診断されたその日からスーパー糖質制限。太ってはいないのでダイエットの必要はなし。
実験のように多種多様な糖質制限食に挑戦。
秋に行われた中野での先生の講演会も伺いました。
血糖値 HbA1c LDL HDL コレステロール 中性脂肪 尿酸 γ-GTP
2010.10 227 9.2 58 48 ? 730 ? 205
2010.11 134 7.4 164 68 267 135 7.7 88
2010.12 127 6.8 156 64 252 140 7.0 67
2011.01 122 5.7 141 70 228 89 7.6 43
2011.02 131 5.7 137 66 241 120 8.0 52
2011.03 129 5.9 182 68 288 141 8.3 51
病院へは一度行きましたが、ケンカしそうになったそうです。炭水化物摂取で・・・
毎月会社の診療室で検査。
γ-GTPと中性脂肪には驚きです。
現在の夫の食生活は、平日は
朝食は、青汁の入った野菜ジュース(無糖)
昼食は、社食・・・どうしても揚げ物が多い様子。衣ごと完食。
夕食は、10月以降接待を極力減らし、家で。
10月以降、見事にご飯、麺類等を止めているのは見事。
休みの日は、糖質制限食サイトで購入しているパン類と野菜スープが朝昼食。
ここで質問です。
☆病院で定期的に全身を見てもらう必要があるのではないか。都内在住なので病院は限られますが、糖質制限の所じゃなければ行かないと頑固に言ってます。
☆尿検査を最初にやったきりやっていないのが気になてっています。
☆自分で血糖値を測って、食生活を管理した方が良いのではないか。
☆かなり頑張って作っているのですが、血糖値が下げ止まり。昼食の揚げ物かなぁとは思うのですが、もう一息。。。問題は何か。。。
☆晩酌は糖質制限のビール350ml2本に焼酎の水割り3杯程度。おつまみはアーモンド、鯖缶、チーズ。これも飲み過ぎではという心配と、アーモンドは100グラムぺろりと。これも、食べ過ぎではないかと主治医ならぬ主治妻としては気になっていますが、本人は今の数値とγ-GTPにご満悦。
☆尿酸値の高さは、外での揚げ物とビールでしょうか。
☆LDLが下がるのは、もう少し時間がかかるのでしょうか・・・
みりんが使えず、私的には味にしまりがなく悲しいですが、にんにく醤油作ったり、野菜ペーストの作り置きで、カレーやシチューのとろみを出したりと、実験三昧です。
でも。。。。。最近少々疲れ気味。結果が伴えばこそのがんばりですよね。
この下げ止まりを打破すべく先生のお知恵拝借と、糖質制限に感謝したくメール致しました。
夫の食事管理をしている、奥様方のご苦労と、生活のヒントはいかに!!!
2月の結婚記念日はボタニカへ。
デザートは夫の糖質制限のの方が美味しそうでした。
1年、頑張ったらお寿司を少し食べにいこうというのが合い言葉(私は食べてますが・・・)
診療室では、毎月検査に来る夫に
「こんなに安定しているのだから、次は7月くらいでも・・・」と。
数値がいくつになっているか、楽しみで毎月はかっていました(笑)
これからも、先生のご活躍と、糖質制限の浸透をお祈りしています。】
茶々丸 さん。
たくさんの拙著のご購入ありがとうございます。
また、ご主人の血糖値、HbA1cの改善、よかったです。
『2011.03 FBS129 HbA1c5.9 LDL182 HDL68 TC288 TG141 尿酸8.3 γGTP51』
『☆病院で定期的に全身を見てもらう必要があるのではないか。都内在住なので病院は限られますが、糖質制限の所じゃなければ行かないと頑固に言ってます。』
今の検査データなら、年に一回会社で健康診断されていれば大丈夫でしょう。HDL-Cも大分増えていて、好ましいです。
ですが、念のために眼科検診はしておきましょう。
『☆尿検査を最初にやったきりやっていないのが気になてっています。』
尿糖は正常と思います。
『☆自分で血糖値を測って、食生活を管理した方が良いのではないか。』
可能ならば、血糖自己測定器を購入されて、血糖値の自己管理を目指すのは、とてもよいことと思います。現在は定価より大分安価になっています。
2010-04-05ノブログ「 血糖自己測定(SMBG)と簡易血糖自己測定器2010」をご参照ください。
私が自分で使っているのは、ニプロフリースタイルフリーダムです。
『☆かなり頑張って作っているのですが、血糖値が下げ止まり。昼食の揚げ物かなぁとは思うのですが、もう一息。。。問題は何か。。。
☆晩酌は糖質制限のビール350ml2本に焼酎の水割り3杯程度。おつまみはアーモンド、鯖缶、チーズ。これも飲み過ぎではという心配と、アーモンドは100グラムぺろりと。これも、食べ過ぎではないかと主治医ならぬ主治妻としては気になっていますが、本人は今の数値とγ-GTPにご満悦。』
昼食の衣が要注意なのと、晩酌のおつまみのアーモンド100gは、さすがに多いです。
100gのアーモンドには9.3gの糖質が含まれています。空腹時血糖値が110mg未満にならないのはその影響かもしれません。せめて30g(20粒)くらいにしておけば糖質量は2.8gですね。
ゆで卵とか燻製卵とか温泉卵も、コンビニおつまみOK食品です。生ハムやサラミソーセージもOK食品です。かみ応えがあるところで、鮭とばや天日干しのスルメや貝柱もいいですね。タン塩やミミガーやツブ貝もあります。ししゃも、桜エビの干物、畳いわし。。。
私は近所のスーパーで、日本ハムの「新鮮生活ZERO糖質ゼロスティックソーセージ」を買いだめして冷蔵庫にストックしています。
飲酒に関しては、米国糖尿病協会では、コントロール良好の糖尿人においては、アルコール24g(30ml)/日を食事と共にとるていどなら適量としています。ビール350ml缶を2本、ワイン150ml×2杯、ウイスキー45ml×2杯です。
飲酒に関しては、私も米国糖尿病協会推奨量よりは多く飲んでいるので、あまり大きなことは言えませんが、適量をほどほどということでしょうね。
『☆尿酸値の高さは、外での揚げ物とビールでしょうか。』
『☆LDLが下がるのは、もう少し時間がかかるのでしょうか・・・ 』
尿酸やLDL-Cは経過をみていいと思います。
LDL-Cについては、2011-04-05のブログ「糖質制限食とHbA1c・脂肪肝改善、そしてコレステロール値」
をご参照ください。
尿酸値に関しては、糖質制限食実践で、減少する人、不変の人、増加する人と個人差が大きいです。
結局、持って生まれた体質が、一番関係するのだと思います。
ただ、低カロリーすぎると、どんな内容の食事でも、尿酸値が上昇することがあるので注意が必要です。例えば断食をすると、尿酸値は急激に上昇します。
糖質制限食を実践すれば、相対的に高タンパク・高脂質食となります。高タンパク食だと尿酸値が上昇するとされていますが、ことはそれほど単純ではありません。
例えば、江部康二は、2002年以来8年間、スーパー糖質制限食実践で130g~150g/日のタンパク質を摂取していて、かなりの高タンパク食ですが、尿酸値は2.4~2.8mg/dlていどと低いです。
兄も糖質制限食ですが、尿酸値は、私と同じていどです。
通常、糖質制限食でいったん尿酸値が上昇した人も、数ヶ月~1年で元の値に戻ることが多いので経過をみることが多いです。
ただ、過去痛風発作を起こしたことがある人は、内服も考慮する必要があります。
尿酸値は、従来、肉の摂りすぎや、ビールの飲み過ぎで高値となるということが常識だったのですが、食事由来の尿酸は約100mgで、一日に生産される総量約700mgに比し、かなり少ないということが判明しました。
自らが痛風患者であり、痛風専門医でもある、鹿児島大学病院内科教授、納(おさめ)光弘先生によれば、食事よりストレスや肥満のほうが、尿酸値への影響が多いことがわかってきました。
尿酸を確実に上昇させるのは、重要なものから順番に
1、ストレス
2、肥満
3、大量の飲酒
4、激しい運動
5、プリン体の摂りすぎ
だそうです。
納先生の指摘されているストレスは、精神的なもののようです。
例えば、納先生が学会の会頭をされたときに、尿酸値が一番上昇して、学会が終了したら下がったそうです。
これらに特殊例として「断食や極端な低カロリーのとき尿酸値上昇」というのが、一番上にくる感じですね。
断食は、強力な肉体的ストレスと考えることもできます。
**参考
「痛風はビールを飲みながらでも治る」(小学館文庫)
鹿児島大学病院内科教授、納(おさめ)光弘先生 著
江部康二
2011年04月05日 (火)
こんにちは。
下記のユーチューブへのリンクをクリックしていただくと、とても嬉しいです。
よろしくお願い申し上げます。江部康二。 m(_ _)m
ご購入はこちらから http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php
さて今回は、ゆうさんから、糖質制限食とHbA1c、脂肪肝改善、そしてコレステロール値について、コメント・質問をいただきました。
【11/04/02 ゆう
はじめまして。
初めてコメントします。
いつも先生のブログ、本を参考に糖質制限に取り組んでおります。
今日は、LDL-C TCについてご質問があります。
初めての質問なので、今までの経過を先に説明させていただきます。
長くなりますが、よろしくお願いいたします。
昨年、10月に糖尿が発覚。HbA1c:9.8 空腹時血糖値300超え 肝機能も悪く、毎週のように検査が続く日々。 最悪なら、入院もと言われていました。
最初の1ヶ月は、カロリー制限。
12月には、HbA1c:7.6 空腹時血糖値140 体重も、89キロから87キロになりました。
そんな時に、先生のブログを知り「糖質制限食」を知りました。
本も読ませていただき、「糖質OFF」を参考に献立をたて スーパー糖質制限食に、取り組むことにしました。
もともと、野菜や魚が多く、肉はほとんど食べません。
ただ、炭水化物は大好きで・・・パスタ2~3人前も大丈夫。
そんな、食生活からの糖質制限食でしたから・・・
最初は、炭水化物が取れないことが苦痛でした。
でも、おかげ様で1月の検査ではHbA1c:5.9 空腹時血糖値119
肝機能も、ALT:226→52 AST132→27 ALP535→362
体重も、82キロ 高めの血圧も下がり・・・ と、全体的に数値が下がり、担当医にも驚かれました。
数値が良いので2ヶ月に1度、家の近くの総合病院に検査に行くことになりました。
糖質制限にしてからは、総摂取カロリーが最低でも1200前後を維持するため
肉も食べるように、動物性たんぱく質植物性たんぱく質と半々になるようにしていました。
3月の検査で、HbA1c:4.8 空腹時血糖値114
肝機能 AST:19 ALT:29 ALP :300
体重は、72キロまで下がりました。
しかし、TCが220 LDL-C171 HDL-C42 と HDL-Cは、若干(以前は33)上がったものの TCやLDL-Cは、高いままで、逆に前より高いです。
担当医は、すぐにでも薬を処方したいくらいだが糖質制限をしている事も知っていますのでしばらく様子を見ようとおっしゃっています。
ただ、TC200超えはすでに処方するレベルだともおっしゃいました。
今日の記事が、ちょうどタイムリーでしたので質問させていただこうと思った次第です。
LDL-C/HDL-C比が2.5を超えると、プラーク(*)占拠率が上昇し、2.0以下ではプラークの退縮が認められるとのこと
私の場合、4.07と2.5を超える数値になりますよね。
これは、治療が必要なレベルでしょうか? それとも、まだ様子を見ても大丈夫でしょうか?
それと、眼瞼黄種が出来ています。おととしくらいからでしょうか。
糖尿になって初めて、糖尿病の合併症で出ると聞きましたがそうなのでしょうか?消えることはないのでしょうか?
今は、食事でなるべくコレステロールを下げる食材とスーパー糖質制限食を合わせてやっています。
一日の糖質量は、おおよそ10~18g 総カロリー1000キロカロリーくらいです。
お忙しいとは思いますが、ぜひ教えていただけますようよろしくお願いします。】
ゆうさん。本のご購入ありがとうございます。
薬はなしで、スーパー糖質制限食だけで、HbA1c・脂肪肝・肥満の改善、良かったですね。
『2010年12月、HbA1c:7.6% 空腹時血糖値140mg 87kg』
『2011年 3月、HbA1c:4.8% 空腹時血糖値114mg 72kg』
素晴らしいの一言です。(^-^)v(^-^)v
『TCが220 LDL-C171 HDL-C42 とHDL-Cは、若干(以前は33)改善』
コレステロールは、細胞膜や男性ホルモン、女性ホルモンなどの原料であり、人体に必要不可欠な大切な物質です。
通常肝臓でコレステロールを7~8割合成しており、食事由来のコレステロールは2~3割程です。
糖質制限食実践で、コレステロール摂取量が増えるので、初期にLDLコレステロール値が上昇することがあります。
この場合も肝臓が調整するので、半年~1年~(2年)で元に戻ります。ゆうさんも、このまま薬なしで経過をみられていいと思います。
また総コレステロール値は、現在はガイドラインの基準値から除外されているので、気にしなくていいと思います。
人によっては、糖質制限食実践で、LDLコレステロールが高値から正常値になることもあります。
私の友人、春日井市の灰本元医師は、2009年に重症DM(HbA1c>9.0%)33名への低糖質食治療で、インスリンを使用することなく半年後に、HbA1cの平均値が10.9から7.2%へ下がり、LDL-Cの平均値は低下、HDL-Cの平均値は上昇することを報告しています。
糖質制限食実践で、HDL-コレステロールは増加します。増加しますが、増加の程度と速度に個人差があります。
LDL-コレステロールに関して「低下・不変・上昇」と個人差があるのですが、なぜそうなるのかはよくわかりません。
私自身は、HDL-コレステロールはかなり増加し、LDL-コレステロールは少し低下しました。
私のHDLコレステロール、LDLコレステロール、総コレステロール値、中性脂肪値は
1999年、糖質制限前: HDL 69 LDL 123 T-Cho 210 TG85
2004年、糖質制限2年:HDL 99 LDL 97 T-Cho 231 TG 75
2010年、糖質制限8年:HDL 105 LDL110 T-Cho 223 TG37
私のHDLコレステロール値は、10年で40%以上増えています。
2010年のLDL-C/HDL-C比は1.05でOKです。
日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」において、従来の基準が変更されました。
新ガイドライン2007年版での主要な変更点は以下の2つです。
* 従来の「高脂血症」という病名を「脂質異常症」に変更。
* 総コレステロール値を予防や診療の基準にするのを除外。
「脂質異常症の診断基準」(空腹時採血) 2007年4月
・LDLコレステロール値が140mg/dL以上
・HDLコレステロール値が40mg/dL未満
・トリグリセライド(中性脂肪)値が150mg/dL以上
となりました。
そしてガイドラインでは<高血圧、糖尿病、喫煙、心筋梗塞家族歴、加齢(*)、HDL-C低値>の
LDLコレステロール以外の6項目の危険因子が、
ゼロ(低リスク群)
危険因子1~2(中リスク群)
危険因子3以上(高リスク群)
そして心筋梗塞や狭心症の既往歴のある群の4群が設定されています。
糖尿病があれば、高リスク群に分類されます。
低リスク群は、LDLコレステロール160mg/dl未満、
中リスク群は、140mg/dl未満、
高リスク群は、120mg/dl未満
冠動脈疾患の既往がある群は、100mg/dl未満
が目標とされています。
糖尿病があると、それだけで高リスク群に入れられます。
これは、糖尿病の人が通常のカロリー制限食(高糖質食)を摂取していると、必ず食後高血糖が生じ、大血管の動脈硬化が進行し、将来の心筋梗塞のリスクとなる現実(過去の研究報告結果)があったからと思われます。
しかし、糖質制限食なら、糖尿人でも食後高血糖は生じません。
従って、糖尿人でも糖質制限食を実践していて、糖尿人の目標
① 空腹時血糖値126mg/dl未満→さらには110mg/dl未満
② 食後2時間血糖値140mg/dl未満
③ 食後1時間血糖値180mg/dl未満
④ HbA1c5.8%未満
を達成していれば、糖尿病のために心筋梗塞のリスクが増すことはないので、ガイドラインの分類を単純にあてはめる必要はないと思います。
また糖質制限食実践により、HDL-Cが上昇し、TGが低下・改善するので、真の悪玉の小粒子LDL-Cや酸化LDL-Cは低下・改善します。
従って、スーパー糖質制限食を実践にして、血糖コントロール良好を保っている糖尿人は<高血圧、喫煙、心筋梗塞家族歴、加齢(*)、HDL-C低値>のリスクがなければ、LDL-C:160mg/dl未満までは心配ないと思います。
それより高値でも、経時的には基準値に下がってくることが多いので、経過をみてもいいと思います。
なお、眼瞼黄色種は、血液中の脂肪分が皮膚にたまり黄色いしこりとなったものです。血液検査で中性脂肪が高値のことが多いです。糖質制限食で中性脂肪は正常化するので、眼瞼黄色腫も改善する可能性があります。中性脂肪が正常化しても眼瞼黄色腫が改善しなければ、レーザー治療で良くなることが多いです。
(*)加齢:男性45才以上、女性55才以上
江部康二
☆☆☆ <コレステロールについて> 江部康二
コレステロールは、とかく悪者にされがちですが、実は、細胞膜や男性ホルモン、女性ホルモンなどの原料として人体に必要不可欠な大切な物質です。
一般にLDLコレステロールは悪玉でHDLコレステロールは善玉という言い方をしますが、これも正確ではありません。
正常サイズのLDLは、中に約40%のコレステロールを含んでおり、それを末梢組織に運ぶ真っ当な役割を果たしています。
HDLは末梢組織の細胞で余ったコレステロールを回収して肝臓に運んでいます。 即ち、LDLもHDLも人体に必要なものであり、日々良い仕事をしており逆に少なすぎたら困るわけです。(**)
実際、2005年に日本動脈硬化学会で報告された、青森県立保健大の嵯峨井勝教授の調査や日本循環器学会で報告された北海道大学の佐久間一郎氏の分析では、「総コレステロール高値と心筋梗塞は無関係」という結果がでています。
これらの成果により、2007年4月の日本動脈硬化学会のガイドラインで、総コレステロールは遂に「脂質異常症」の診断基準から外れました。
コレステロールに関して、動脈硬化のリスク要因として問題となるのは、HDLコレステロールが低値の人とLDLコレステロールが高値の人です。
そしてLDLコレステロールの中で、本当に問題となるのは小粒子LDLコレステロール(小さくて高密度のLDL)と酸化LDLコレステロールです。
小粒子LDLは、真の悪玉である酸化LDLに変化しやすく危険な存在です。酸化LDLは、血液中で異物と見なされて大食細胞という免疫系の細胞に取り込まれていき、血管内皮細胞内でコレステロールを蓄積させ、動脈硬化を起こし心筋梗塞のリスクとなります。
酸化していない普通のLDLは、異物ではないので血管内皮に障害を起こしません。
中性脂肪が多くて、HDLコレステロールが少ない人は小粒子LDLがたくさんある可能性が高いので要注意です。 (*_*)
HDLコレステロールが多くて、中性脂肪が少ない人は小粒子LDLコレステロールと酸化LDLコレステロールは少ないので安全です。
糖質制限食実践中の人は、HDLコレステロールが多くて、中性脂肪が少ないですね。 (^_^)
(**)
LDLとかHDLはリポタンパク質と呼ばれています。コレステロールや中性脂肪は、脂質で水に溶けません。それで、脂質の周りをタンパク質で覆って、血液中に溶け込みやすいようにします。このタンパク質のことをアポタンパクといいます。アポタンパクで覆われた脂質がリポタンパク質です。リポタンパク質は、脂質を載せて血液中を移動する乗り物といえます。
下記のユーチューブへのリンクをクリックしていただくと、とても嬉しいです。
よろしくお願い申し上げます。江部康二。 m(_ _)m
画期的な糖尿病治療食「糖質制限食を語る」|DVD、絶賛発売中!
糖質制限食の第一人者、高雄病院理事長、江部康二医師の講演が臨場感溢れるDVDに。二つの講演会を収録し、この一枚に糖質制限食のエッセンスを凝縮!ご購入はこちらから http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php
さて今回は、ゆうさんから、糖質制限食とHbA1c、脂肪肝改善、そしてコレステロール値について、コメント・質問をいただきました。
【11/04/02 ゆう
はじめまして。
初めてコメントします。
いつも先生のブログ、本を参考に糖質制限に取り組んでおります。
今日は、LDL-C TCについてご質問があります。
初めての質問なので、今までの経過を先に説明させていただきます。
長くなりますが、よろしくお願いいたします。
昨年、10月に糖尿が発覚。HbA1c:9.8 空腹時血糖値300超え 肝機能も悪く、毎週のように検査が続く日々。 最悪なら、入院もと言われていました。
最初の1ヶ月は、カロリー制限。
12月には、HbA1c:7.6 空腹時血糖値140 体重も、89キロから87キロになりました。
そんな時に、先生のブログを知り「糖質制限食」を知りました。
本も読ませていただき、「糖質OFF」を参考に献立をたて スーパー糖質制限食に、取り組むことにしました。
もともと、野菜や魚が多く、肉はほとんど食べません。
ただ、炭水化物は大好きで・・・パスタ2~3人前も大丈夫。
そんな、食生活からの糖質制限食でしたから・・・
最初は、炭水化物が取れないことが苦痛でした。
でも、おかげ様で1月の検査ではHbA1c:5.9 空腹時血糖値119
肝機能も、ALT:226→52 AST132→27 ALP535→362
体重も、82キロ 高めの血圧も下がり・・・ と、全体的に数値が下がり、担当医にも驚かれました。
数値が良いので2ヶ月に1度、家の近くの総合病院に検査に行くことになりました。
糖質制限にしてからは、総摂取カロリーが最低でも1200前後を維持するため
肉も食べるように、動物性たんぱく質植物性たんぱく質と半々になるようにしていました。
3月の検査で、HbA1c:4.8 空腹時血糖値114
肝機能 AST:19 ALT:29 ALP :300
体重は、72キロまで下がりました。
しかし、TCが220 LDL-C171 HDL-C42 と HDL-Cは、若干(以前は33)上がったものの TCやLDL-Cは、高いままで、逆に前より高いです。
担当医は、すぐにでも薬を処方したいくらいだが糖質制限をしている事も知っていますのでしばらく様子を見ようとおっしゃっています。
ただ、TC200超えはすでに処方するレベルだともおっしゃいました。
今日の記事が、ちょうどタイムリーでしたので質問させていただこうと思った次第です。
LDL-C/HDL-C比が2.5を超えると、プラーク(*)占拠率が上昇し、2.0以下ではプラークの退縮が認められるとのこと
私の場合、4.07と2.5を超える数値になりますよね。
これは、治療が必要なレベルでしょうか? それとも、まだ様子を見ても大丈夫でしょうか?
それと、眼瞼黄種が出来ています。おととしくらいからでしょうか。
糖尿になって初めて、糖尿病の合併症で出ると聞きましたがそうなのでしょうか?消えることはないのでしょうか?
今は、食事でなるべくコレステロールを下げる食材とスーパー糖質制限食を合わせてやっています。
一日の糖質量は、おおよそ10~18g 総カロリー1000キロカロリーくらいです。
お忙しいとは思いますが、ぜひ教えていただけますようよろしくお願いします。】
ゆうさん。本のご購入ありがとうございます。
薬はなしで、スーパー糖質制限食だけで、HbA1c・脂肪肝・肥満の改善、良かったですね。
『2010年12月、HbA1c:7.6% 空腹時血糖値140mg 87kg』
『2011年 3月、HbA1c:4.8% 空腹時血糖値114mg 72kg』
素晴らしいの一言です。(^-^)v(^-^)v
『TCが220 LDL-C171 HDL-C42 とHDL-Cは、若干(以前は33)改善』
コレステロールは、細胞膜や男性ホルモン、女性ホルモンなどの原料であり、人体に必要不可欠な大切な物質です。
通常肝臓でコレステロールを7~8割合成しており、食事由来のコレステロールは2~3割程です。
糖質制限食実践で、コレステロール摂取量が増えるので、初期にLDLコレステロール値が上昇することがあります。
この場合も肝臓が調整するので、半年~1年~(2年)で元に戻ります。ゆうさんも、このまま薬なしで経過をみられていいと思います。
また総コレステロール値は、現在はガイドラインの基準値から除外されているので、気にしなくていいと思います。
人によっては、糖質制限食実践で、LDLコレステロールが高値から正常値になることもあります。
私の友人、春日井市の灰本元医師は、2009年に重症DM(HbA1c>9.0%)33名への低糖質食治療で、インスリンを使用することなく半年後に、HbA1cの平均値が10.9から7.2%へ下がり、LDL-Cの平均値は低下、HDL-Cの平均値は上昇することを報告しています。
糖質制限食実践で、HDL-コレステロールは増加します。増加しますが、増加の程度と速度に個人差があります。
LDL-コレステロールに関して「低下・不変・上昇」と個人差があるのですが、なぜそうなるのかはよくわかりません。
私自身は、HDL-コレステロールはかなり増加し、LDL-コレステロールは少し低下しました。
私のHDLコレステロール、LDLコレステロール、総コレステロール値、中性脂肪値は
1999年、糖質制限前: HDL 69 LDL 123 T-Cho 210 TG85
2004年、糖質制限2年:HDL 99 LDL 97 T-Cho 231 TG 75
2010年、糖質制限8年:HDL 105 LDL110 T-Cho 223 TG37
私のHDLコレステロール値は、10年で40%以上増えています。
2010年のLDL-C/HDL-C比は1.05でOKです。
日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」において、従来の基準が変更されました。
新ガイドライン2007年版での主要な変更点は以下の2つです。
* 従来の「高脂血症」という病名を「脂質異常症」に変更。
* 総コレステロール値を予防や診療の基準にするのを除外。
「脂質異常症の診断基準」(空腹時採血) 2007年4月
・LDLコレステロール値が140mg/dL以上
・HDLコレステロール値が40mg/dL未満
・トリグリセライド(中性脂肪)値が150mg/dL以上
となりました。
そしてガイドラインでは<高血圧、糖尿病、喫煙、心筋梗塞家族歴、加齢(*)、HDL-C低値>の
LDLコレステロール以外の6項目の危険因子が、
ゼロ(低リスク群)
危険因子1~2(中リスク群)
危険因子3以上(高リスク群)
そして心筋梗塞や狭心症の既往歴のある群の4群が設定されています。
糖尿病があれば、高リスク群に分類されます。
低リスク群は、LDLコレステロール160mg/dl未満、
中リスク群は、140mg/dl未満、
高リスク群は、120mg/dl未満
冠動脈疾患の既往がある群は、100mg/dl未満
が目標とされています。
糖尿病があると、それだけで高リスク群に入れられます。
これは、糖尿病の人が通常のカロリー制限食(高糖質食)を摂取していると、必ず食後高血糖が生じ、大血管の動脈硬化が進行し、将来の心筋梗塞のリスクとなる現実(過去の研究報告結果)があったからと思われます。
しかし、糖質制限食なら、糖尿人でも食後高血糖は生じません。
従って、糖尿人でも糖質制限食を実践していて、糖尿人の目標
① 空腹時血糖値126mg/dl未満→さらには110mg/dl未満
② 食後2時間血糖値140mg/dl未満
③ 食後1時間血糖値180mg/dl未満
④ HbA1c5.8%未満
を達成していれば、糖尿病のために心筋梗塞のリスクが増すことはないので、ガイドラインの分類を単純にあてはめる必要はないと思います。
また糖質制限食実践により、HDL-Cが上昇し、TGが低下・改善するので、真の悪玉の小粒子LDL-Cや酸化LDL-Cは低下・改善します。
従って、スーパー糖質制限食を実践にして、血糖コントロール良好を保っている糖尿人は<高血圧、喫煙、心筋梗塞家族歴、加齢(*)、HDL-C低値>のリスクがなければ、LDL-C:160mg/dl未満までは心配ないと思います。
それより高値でも、経時的には基準値に下がってくることが多いので、経過をみてもいいと思います。
なお、眼瞼黄色種は、血液中の脂肪分が皮膚にたまり黄色いしこりとなったものです。血液検査で中性脂肪が高値のことが多いです。糖質制限食で中性脂肪は正常化するので、眼瞼黄色腫も改善する可能性があります。中性脂肪が正常化しても眼瞼黄色腫が改善しなければ、レーザー治療で良くなることが多いです。
(*)加齢:男性45才以上、女性55才以上
江部康二
☆☆☆ <コレステロールについて> 江部康二
コレステロールは、とかく悪者にされがちですが、実は、細胞膜や男性ホルモン、女性ホルモンなどの原料として人体に必要不可欠な大切な物質です。
一般にLDLコレステロールは悪玉でHDLコレステロールは善玉という言い方をしますが、これも正確ではありません。
正常サイズのLDLは、中に約40%のコレステロールを含んでおり、それを末梢組織に運ぶ真っ当な役割を果たしています。
HDLは末梢組織の細胞で余ったコレステロールを回収して肝臓に運んでいます。 即ち、LDLもHDLも人体に必要なものであり、日々良い仕事をしており逆に少なすぎたら困るわけです。(**)
実際、2005年に日本動脈硬化学会で報告された、青森県立保健大の嵯峨井勝教授の調査や日本循環器学会で報告された北海道大学の佐久間一郎氏の分析では、「総コレステロール高値と心筋梗塞は無関係」という結果がでています。
これらの成果により、2007年4月の日本動脈硬化学会のガイドラインで、総コレステロールは遂に「脂質異常症」の診断基準から外れました。
コレステロールに関して、動脈硬化のリスク要因として問題となるのは、HDLコレステロールが低値の人とLDLコレステロールが高値の人です。
そしてLDLコレステロールの中で、本当に問題となるのは小粒子LDLコレステロール(小さくて高密度のLDL)と酸化LDLコレステロールです。
小粒子LDLは、真の悪玉である酸化LDLに変化しやすく危険な存在です。酸化LDLは、血液中で異物と見なされて大食細胞という免疫系の細胞に取り込まれていき、血管内皮細胞内でコレステロールを蓄積させ、動脈硬化を起こし心筋梗塞のリスクとなります。
酸化していない普通のLDLは、異物ではないので血管内皮に障害を起こしません。
中性脂肪が多くて、HDLコレステロールが少ない人は小粒子LDLがたくさんある可能性が高いので要注意です。 (*_*)
HDLコレステロールが多くて、中性脂肪が少ない人は小粒子LDLコレステロールと酸化LDLコレステロールは少ないので安全です。
糖質制限食実践中の人は、HDLコレステロールが多くて、中性脂肪が少ないですね。 (^_^)
(**)
LDLとかHDLはリポタンパク質と呼ばれています。コレステロールや中性脂肪は、脂質で水に溶けません。それで、脂質の周りをタンパク質で覆って、血液中に溶け込みやすいようにします。このタンパク質のことをアポタンパクといいます。アポタンパクで覆われた脂質がリポタンパク質です。リポタンパク質は、脂質を載せて血液中を移動する乗り物といえます。
2011年04月04日 (月)
おはようございます。
今回はotoki さんから、糖質制限食で脂肪肝・HbA1c・HDLコレステロール改善という嬉しいコメントをいただきました。
【11/04/02 otoki
江部先生 こんばんは!
昨年8月に糖質制限食にて肝機能の改善がみられ、久しぶりに再度血液検査をしました。
22,08,16 23,03,19
r-GT 36 32
AST 18 26
ALT 15 18
HDL 76.8 100.6
LDL 83.0 87.4
中性脂肪 81 57
HbA1c 5.4 5.4
食後90分 159 130
LDL・・HDLの比がなんと0.87でした。
朝食と昼食には軽く炭水化物を摂っています。
毎日焼酎を300mL~飲んでいます。
ちなみに21,10,23の検査値は r-GT 116で、HbA1c 8.7 でした。
耐糖能性とは復活するものなのでしょうか?
さすがに体重は7Kgほど減りましたが・・笑
糖質を控えるだけで改善でき、信じられません!】
otoki さん。
素晴らしいデータ改善ですね。
『平成21年10月23日、r-GTP:116、HbA1c :8.7%』
『平成22年8月16日、r-GTP:36、HbA1c :5.4%、HDL:76.8、LDL:83.0』
『平成23年3月13日、r-GTP:32、HbA1c :5.4%、HDL:100.6、LDL:87.4』
糖質制限食を実践されて、平成22年8月16日の検査では、γ-GTPとHbA1cが正常値まで改善しています。
毎日焼酎を300mL~飲んでおられますので、γ-GTPの改善は脂肪肝の改善と考えられます。
さらにその後の7ヶ月で、HDL-Cが76.8→100.6 と31%も増加していて、大変好ましい変化です。
「HDLコレステロール値が高い人では心疾患リスクが1/2~1/3になるだけでなく、発ガンのリスクも大幅に低くなる」(*)との研究報告がありますので、otoki さん、とてもいいですよ。
現在まで、HDL-Cを増加させる作用が確認された薬剤は、ほとんどないと思います。スタチン系の薬剤で、HDL-C値が増えるという報告もありますが、はっきりしません。
以下は、NM online 2011.1.12 日経BP社の記事からの抜粋です。
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/hotnews/etc/201101/518047.html
【スタチンはLDLコレステロール(LDL-c)値を下げ、心筋梗塞リスクを低下させるが、スタチンを使用している患者にも心血管イベントは発生する。米Tufts大学のHaseeb Jafri氏らは、大規模な無作為化試験を対象にメタ分析を行い、スタチン使用はHDLコレステロール(HDL-c)値と心血管イベントリスクの関係には影響を与えないこと、スタチン使用中であってもHDL-c低値の患者の心血管イベント発生率はスタチン非使用者と同様であることを明らかにした。論文は、Ann Intern Med誌2010年12月20日号に掲載された。】
どうやらスタチンは、LDLコレステロール値は下げるけれど、HDLコレステロール値には影響をあたえないようです。
こうなると、糖質制限食だけが、HDL-Cを増加させる作用を有す治療法と思います。
『耐糖能性とは復活するものなのでしょうか? さすがに体重は7Kgほど減りましたが・・笑 』
まず糖質制限食実践により、食後高血糖が改善されて、糖毒(高血糖)による膵臓のβ細胞障害がなくなります。
また同様に糖毒(高血糖)によるインスリン抵抗性も改善されます。
さらに、糖質制限食により膵臓のβ細胞は休養できるので、疲弊していたのが元気を回復します。既に壊れたβ細胞は勿論回復不能ですが・・・。
また、体重が7kg減量できていますので、肥満によるインスリン抵抗性も改善していると思います。
まとめると、膵臓のβ細胞が、どのていど壊れているかによりますが、糖質制限食により、耐糖能改善ということはありえます。
その人本来のβ細胞機能の9/10までの回復なのか、5/10の回復なのか、3/10の回復なのかは、β細胞がどのていど壊れているかによる個人差ということとなります。
江部康二
☆☆☆☆☆
(*)2010-10-07の本ブログ記事
<HDL-C値が高いと発ガンリスク減少、LDL-Cが低いと発ガンリスク上昇>
メディカル トリビューン 2010年9月30日号に載った記事によると、またまた、大変興味深い研究報告がありました。(**)
タフツ大学(ボストン)分子心臓学研究所のRichard H. Karas理事らが、
「HDLコレステロール値が高い人では心疾患リスクが1/2~1/3になるだけでなく、発ガンのリスクも大幅に低くなる」
との研究結果を、Journal of the American College of Cardiology(2010; 55: 2846-2854)に発表しました。
Karas理事は「HDL-Cの血中濃度と発がんリスクとの間には重要な関連がある。このことは体内でHDL-Cが果たしうる別の重要な役割を裏づけるものだ。以前の研究からはLDL-C値と総コレステロール(TC)値が低いほどがんの発症率が高くなることが示されており、今回の結果は重要である」と述べています。
今回の研究は、スタチン系薬の試験におけるHDL-C値と発がんリスクとの関連を、総合的に解析した初の研究です。
2004年の法律改正後の製薬企業と、直接利害関係のない研究者らによる研究かどうか、微妙な時期なのですが、
「LDL-C値と総コレステロール(TC)値が低いほどがんの発症率が高くなる。」
というスタチン系製薬会社にとっては、誠に都合の悪い結論をはっきり言い切ってますので、少なくともKaras理事は、ニュートラルな立場の人と推察されます。
総症例数が14万5,743例の大規模試験で、追跡期間の中央値は5年で、発がんの報告件数は8,185例です。
研究の結果、
「HDL-C値が10mg/dL高くなるごとに発がんリスクが36%低くなる。これはベースラインのLDLコレステロール(LDL-C)値や年齢,BMI,糖尿病,性,喫煙状況を含む他の危険因子とは独立したものであった。」
とのことでした。
これは、スタチン系薬剤で、HDL-C値が上昇すれば発ガンリスクが減少するという、製薬会社にも有利なお話しではあります。
一方、糖質制限食を実践すれば、スタチン製剤の比ではなく、ほとんどの人において、HDL-C値が上昇します。
このことは、薬に頼ることなく、糖質制限食で心筋梗塞とガンが予防できるということであり、大きなアドバンテージですね。
(**)http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtnews/2010/M43390072/
[2010年9月30日(VOL.43 NO.39) p.07] メディカル トリビューン
江部康二
今回はotoki さんから、糖質制限食で脂肪肝・HbA1c・HDLコレステロール改善という嬉しいコメントをいただきました。
【11/04/02 otoki
江部先生 こんばんは!
昨年8月に糖質制限食にて肝機能の改善がみられ、久しぶりに再度血液検査をしました。
22,08,16 23,03,19
r-GT 36 32
AST 18 26
ALT 15 18
HDL 76.8 100.6
LDL 83.0 87.4
中性脂肪 81 57
HbA1c 5.4 5.4
食後90分 159 130
LDL・・HDLの比がなんと0.87でした。
朝食と昼食には軽く炭水化物を摂っています。
毎日焼酎を300mL~飲んでいます。
ちなみに21,10,23の検査値は r-GT 116で、HbA1c 8.7 でした。
耐糖能性とは復活するものなのでしょうか?
さすがに体重は7Kgほど減りましたが・・笑
糖質を控えるだけで改善でき、信じられません!】
otoki さん。
素晴らしいデータ改善ですね。
『平成21年10月23日、r-GTP:116、HbA1c :8.7%』
『平成22年8月16日、r-GTP:36、HbA1c :5.4%、HDL:76.8、LDL:83.0』
『平成23年3月13日、r-GTP:32、HbA1c :5.4%、HDL:100.6、LDL:87.4』
糖質制限食を実践されて、平成22年8月16日の検査では、γ-GTPとHbA1cが正常値まで改善しています。
毎日焼酎を300mL~飲んでおられますので、γ-GTPの改善は脂肪肝の改善と考えられます。
さらにその後の7ヶ月で、HDL-Cが76.8→100.6 と31%も増加していて、大変好ましい変化です。
「HDLコレステロール値が高い人では心疾患リスクが1/2~1/3になるだけでなく、発ガンのリスクも大幅に低くなる」(*)との研究報告がありますので、otoki さん、とてもいいですよ。
現在まで、HDL-Cを増加させる作用が確認された薬剤は、ほとんどないと思います。スタチン系の薬剤で、HDL-C値が増えるという報告もありますが、はっきりしません。
以下は、NM online 2011.1.12 日経BP社の記事からの抜粋です。
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/hotnews/etc/201101/518047.html
【スタチンはLDLコレステロール(LDL-c)値を下げ、心筋梗塞リスクを低下させるが、スタチンを使用している患者にも心血管イベントは発生する。米Tufts大学のHaseeb Jafri氏らは、大規模な無作為化試験を対象にメタ分析を行い、スタチン使用はHDLコレステロール(HDL-c)値と心血管イベントリスクの関係には影響を与えないこと、スタチン使用中であってもHDL-c低値の患者の心血管イベント発生率はスタチン非使用者と同様であることを明らかにした。論文は、Ann Intern Med誌2010年12月20日号に掲載された。】
どうやらスタチンは、LDLコレステロール値は下げるけれど、HDLコレステロール値には影響をあたえないようです。
こうなると、糖質制限食だけが、HDL-Cを増加させる作用を有す治療法と思います。
『耐糖能性とは復活するものなのでしょうか? さすがに体重は7Kgほど減りましたが・・笑 』
まず糖質制限食実践により、食後高血糖が改善されて、糖毒(高血糖)による膵臓のβ細胞障害がなくなります。
また同様に糖毒(高血糖)によるインスリン抵抗性も改善されます。
さらに、糖質制限食により膵臓のβ細胞は休養できるので、疲弊していたのが元気を回復します。既に壊れたβ細胞は勿論回復不能ですが・・・。
また、体重が7kg減量できていますので、肥満によるインスリン抵抗性も改善していると思います。
まとめると、膵臓のβ細胞が、どのていど壊れているかによりますが、糖質制限食により、耐糖能改善ということはありえます。
その人本来のβ細胞機能の9/10までの回復なのか、5/10の回復なのか、3/10の回復なのかは、β細胞がどのていど壊れているかによる個人差ということとなります。
江部康二
☆☆☆☆☆
(*)2010-10-07の本ブログ記事
<HDL-C値が高いと発ガンリスク減少、LDL-Cが低いと発ガンリスク上昇>
メディカル トリビューン 2010年9月30日号に載った記事によると、またまた、大変興味深い研究報告がありました。(**)
タフツ大学(ボストン)分子心臓学研究所のRichard H. Karas理事らが、
「HDLコレステロール値が高い人では心疾患リスクが1/2~1/3になるだけでなく、発ガンのリスクも大幅に低くなる」
との研究結果を、Journal of the American College of Cardiology(2010; 55: 2846-2854)に発表しました。
Karas理事は「HDL-Cの血中濃度と発がんリスクとの間には重要な関連がある。このことは体内でHDL-Cが果たしうる別の重要な役割を裏づけるものだ。以前の研究からはLDL-C値と総コレステロール(TC)値が低いほどがんの発症率が高くなることが示されており、今回の結果は重要である」と述べています。
今回の研究は、スタチン系薬の試験におけるHDL-C値と発がんリスクとの関連を、総合的に解析した初の研究です。
2004年の法律改正後の製薬企業と、直接利害関係のない研究者らによる研究かどうか、微妙な時期なのですが、
「LDL-C値と総コレステロール(TC)値が低いほどがんの発症率が高くなる。」
というスタチン系製薬会社にとっては、誠に都合の悪い結論をはっきり言い切ってますので、少なくともKaras理事は、ニュートラルな立場の人と推察されます。
総症例数が14万5,743例の大規模試験で、追跡期間の中央値は5年で、発がんの報告件数は8,185例です。
研究の結果、
「HDL-C値が10mg/dL高くなるごとに発がんリスクが36%低くなる。これはベースラインのLDLコレステロール(LDL-C)値や年齢,BMI,糖尿病,性,喫煙状況を含む他の危険因子とは独立したものであった。」
とのことでした。
これは、スタチン系薬剤で、HDL-C値が上昇すれば発ガンリスクが減少するという、製薬会社にも有利なお話しではあります。
一方、糖質制限食を実践すれば、スタチン製剤の比ではなく、ほとんどの人において、HDL-C値が上昇します。
このことは、薬に頼ることなく、糖質制限食で心筋梗塞とガンが予防できるということであり、大きなアドバンテージですね。
(**)http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtnews/2010/M43390072/
[2010年9月30日(VOL.43 NO.39) p.07] メディカル トリビューン
江部康二
2011年04月03日 (日)
こんにちは。
poco さんから、糖質制限食で肥満改善・HbA1c改善という嬉しいコメントをいただきました。
【11/04/03 poco.
糖質オフって凄い!
江部先生、お疲れ様です^^
一か月前、先生の本「糖質オフダイエット」を購入し、食生活の改善に努めてまいりました。
スーパー糖質制限食に切り替えてから、去年末230もあったFBSが一月は140・HbA1c6.9となり、今月の検査ではFBS100・HbA1c6.0まで激減しました^^
凝りだすと徹底的にやるタイプの私なので、お砂糖もエリスリムに変えて、主食以外の糖質(ワンタンの皮や片栗粉など)も全てカットし、先生の本を参考にしながら毎日楽しく料理&食事することが出来ました。
今では、おからケーキを作って職場の仲間にも振る舞ったりしております。
お陰様で、血液データだけでなく体重も20kg近く減らすことに成功いたしました。
こうなると制限食が楽しくなり、明日はどんなメニューを考えて美味しく食べようかな?とアイディアを膨らませております。
糖質オフなのに、お肉もお魚も食べられるこの制限食は、我慢が嫌いな私にはとてもマッチしており、先生に巡り会えて本当に良かったなぁ~と日々感謝の気持ちでいっぱいです。
今年の夏は、今まで避けていたミニスカートやワンピースにもトライしてみようと思いながら、明日も制限食頑張りたいと思います。
あまりに嬉しくて、この場をお借りして先生に御礼を申し上げます。
ありがとうございました^^ 】
poco さん。
「糖質オフダイエット」のご購入、ありがとうございます。
『2010年12月、FBS(空腹時血糖値)230mg→2011年4月FBS100mg、HbA1c6.0%』
劇的な改善、素晴らしい成果ですね。
さらに、20kg近い減量もおめでとうございます。(⌒o⌒)v
カロリー制限のつらいダイエットに比べたら、糖質制限食は本当に楽にできますよね。
poco さんご愛用のエリスリムは(株)浅田飴の製品です。
全国の薬局・薬店で取り扱っているようです。
「エリスリム」は主成分にエリスリトールを使用し、これにスクラロースを加え砂糖の約3倍の甘さに調整した、カロリーゼロ、糖類ゼロの顆粒状甘味料です。
エリスリトールはブドウ糖を発酵して得られ、自然界では果実類、キノコ類、ワインなどに含まれています。栄養、吸収、代謝、排泄の試験結果、ならびに腸内細菌の利用性などからエネルギーにならないことが証明されています。
スクラロースは、砂糖から作られていますが、カロリーゼロの人工甘味料です。苦みや渋みが少なく、砂糖に近い甘味質が特長です。
カロリーゼロで、血糖値上昇もゼロですので、糖質制限OK食品ですね。使用量は砂糖の1/3ですみ、高温で加熱する料理でも甘さは変わらないそうです。
poco さん、エリスリムのおからケーキ、美味しそうですね。
これからも美味しく楽しく糖質制限食をお続け下さい。
江部康二
poco さんから、糖質制限食で肥満改善・HbA1c改善という嬉しいコメントをいただきました。
【11/04/03 poco.
糖質オフって凄い!
江部先生、お疲れ様です^^
一か月前、先生の本「糖質オフダイエット」を購入し、食生活の改善に努めてまいりました。
スーパー糖質制限食に切り替えてから、去年末230もあったFBSが一月は140・HbA1c6.9となり、今月の検査ではFBS100・HbA1c6.0まで激減しました^^
凝りだすと徹底的にやるタイプの私なので、お砂糖もエリスリムに変えて、主食以外の糖質(ワンタンの皮や片栗粉など)も全てカットし、先生の本を参考にしながら毎日楽しく料理&食事することが出来ました。
今では、おからケーキを作って職場の仲間にも振る舞ったりしております。
お陰様で、血液データだけでなく体重も20kg近く減らすことに成功いたしました。
こうなると制限食が楽しくなり、明日はどんなメニューを考えて美味しく食べようかな?とアイディアを膨らませております。
糖質オフなのに、お肉もお魚も食べられるこの制限食は、我慢が嫌いな私にはとてもマッチしており、先生に巡り会えて本当に良かったなぁ~と日々感謝の気持ちでいっぱいです。
今年の夏は、今まで避けていたミニスカートやワンピースにもトライしてみようと思いながら、明日も制限食頑張りたいと思います。
あまりに嬉しくて、この場をお借りして先生に御礼を申し上げます。
ありがとうございました^^ 】
poco さん。
「糖質オフダイエット」のご購入、ありがとうございます。
『2010年12月、FBS(空腹時血糖値)230mg→2011年4月FBS100mg、HbA1c6.0%』
劇的な改善、素晴らしい成果ですね。
さらに、20kg近い減量もおめでとうございます。(⌒o⌒)v
カロリー制限のつらいダイエットに比べたら、糖質制限食は本当に楽にできますよね。
poco さんご愛用のエリスリムは(株)浅田飴の製品です。
全国の薬局・薬店で取り扱っているようです。
「エリスリム」は主成分にエリスリトールを使用し、これにスクラロースを加え砂糖の約3倍の甘さに調整した、カロリーゼロ、糖類ゼロの顆粒状甘味料です。
エリスリトールはブドウ糖を発酵して得られ、自然界では果実類、キノコ類、ワインなどに含まれています。栄養、吸収、代謝、排泄の試験結果、ならびに腸内細菌の利用性などからエネルギーにならないことが証明されています。
スクラロースは、砂糖から作られていますが、カロリーゼロの人工甘味料です。苦みや渋みが少なく、砂糖に近い甘味質が特長です。
カロリーゼロで、血糖値上昇もゼロですので、糖質制限OK食品ですね。使用量は砂糖の1/3ですみ、高温で加熱する料理でも甘さは変わらないそうです。
poco さん、エリスリムのおからケーキ、美味しそうですね。
これからも美味しく楽しく糖質制限食をお続け下さい。
江部康二
2011年04月03日 (日)
おはようございます。
広沢の池の東にある、桜守・佐野藤右衛門さんの邸宅のお庭の桜、ライトアップが始まっています。
高雄病院の通勤の行き帰りに車の中から一瞬ですが眺めを楽しんでいます。
昨日(4月2日)で6分~7分咲くらいになっています。もう満開間近です。
さて。
スーパー糖質制限食で、糖尿病腎症3期Aから回復された、けいさんから、その後の経過報告をコメントいただきました。
けいさんは、HbA1cが11%オーバー、顕性タンパク尿陽性の状態から、糖質制限食実践1年間で見事に改善されました。
糖質制限食開始1年後の2011年1月24日のデータで、HbA1c4.5%、早朝血糖値85mg、尿中微量アルブミンもクレアチニン補正値5.0。
この1年で最高の結果とのことです。
今回は、その後のデータ(2011年4月1日)です。
【11/04/01 けい
定期健診結果です
先生いつも有難うございます。
今日定期健診の結果が出ましたのでご報告させて頂きます。
A1cは4.6・・・0.1上がりました。
尿中アルブミンは補正後5.8でした。
もう腎症は治ったようですね!
尿潜血は相変わらず+-でしたが尿沈査は全て正常でしたのでよしとのことでした。
異常でないと言われるのになぜ+-なのでしょうか???不思議です。
最近はお米等はまったく食べませんが、野菜はたっぷりでてんぷらや、とんかつなどは毎日食べています。
照り焼きのソースなどは食べてしまいますがこのA1cですので糖質制限を1年以上続けたおかげですね!
最近気づいたのですが、朝食を食べずに昼食を食べると血糖値は上がりやすいのですが、朝食に野菜炒めなどを食べておくと朝食抜きに比べて上がりにくいです。
朝食を食べて少しの糖質を入れておくとインスリンが少し出ているためなのでしょうか?
良く分かりませんが私の体での実験結果です。
また次回の結果報告させて頂きます。
糖尿の皆様糖質制限食は素晴らしいですよ!】
けいさん。
HbA1c4.6%は、コントロール優ですし、全く問題ありません。
糖尿病腎症も、尿中微量アルブミン5.8なら、絶好調で全く問題なしですね。
いつもブログ読者の皆さんに役立つ情報をありがとうございます。
「尿潜血は相変わらず+-でしたが尿沈査は全て正常でしたのでよしとのことでした。 異常でないと言われるのになぜ+-なのでしょうか???」
尿潜血は、尿に試験紙をつけて、色の付き具合を、人間の目で見てアバウトに、(±)(+)(2+)(3+)とか判断します。
これに対して、尿沈査は、遠心分離器にかけた尿の成分を、顕微鏡で見て確認します。
1視野に赤血球が何個、白血球が何個・・・などをカウントします。従って、尿潜血に比べればはるかに精度の高い検査です。
実際、尿潜血が(±)で、尿沈査は顕微鏡で見て、1視野に赤血球が1~2個で正常、というようなことは良くあります。
ということで、けいさん、ご安心下さい。
けいさんのように、糖尿病腎症第3期Aまでは、糖質制限食実践で、血糖コントロールを良好に保てば、第1期(腎症前期)まで回復することが期待できます。1型のバーンスイタイン医師もそうですね。
今まで他の読者の方にも、腎症第3期Aや腎症第2期からの改善を、複数ご報告いただいてます。
「朝食を食べずに昼食を食べると血糖値は上がりやすいのですが、朝食に野菜炒めなどを食べておくと朝食抜きに比べて上がりにくいです。」
これは良くわかりませんが、75g経口ブドウ糖負荷試験は、10時間以上の絶食後に実施されます。
75g経口ブドウ糖負荷試験は、糖尿病の有無をチェックするための試験です。
一般的には、長い絶食後の最初の食事のほうが、血糖は上昇しやすいのかもしれません。
江部康二
☆☆☆
<糖尿病腎症と尿中微量アルブミン>
糖尿病のこわい合併症の一つに、腎症があります。
現在、年間13000人以上の人が、糖尿病腎症から人工透析になっています。
糖尿病腎症の早期診断には、蛋白尿検査では不十分です。
高血糖による腎細血管障害により糸球体毛細血管に変化が生じ、一番初期の段階で微量アルブミン尿が出現します。
微量アルブミン尿検査により、蛋白尿検査よりかなり早期の段階で糖尿病腎症が診断可能です。
従いまして、糖尿人は、1/3~6ヶ月、尿中微量アルブミンの検査をすることが望ましいのです。
尿中微量アルブミン陽性なら、第2期(早期腎症期)です。
*糖尿病腎症病期
第1期(腎症前期)
第2期(早期腎症期):微量アルブミン尿陽性
第3期A(顕性腎症前期):蛋白尿。1g/日未満。
第3期B(顕性腎症後期):蛋白尿。1g/日以上。
第4期(腎不全期):高尿素血症。蛋白尿。
第5期(透析療法期)
尿中微量アルブミンは、随時尿で測定する場合、運動や日内変動や日差変動が大きいので、同時にクレアチニン値を測定して補正値を行い、尿中アルブミン指数(mg/g・クレアチニン)として表します。
できれば、測定は早朝尿のほうが好ましいですが、補正しているので随時尿でも価値はあります。
異なる日に3回検査して2回陽性なら、糖尿病早期腎症と診断するということですが、健康保険上は、1回/3ヶ月しか測定できません。
微量アルブミン尿とは、「アルブミン指数で30mg/g・クレアチニン以上で300mg/g・クレアチニン未満」と定義されています。
アルブミン指数で300mg/g・クレアチニン以上は顕性腎症です。
アルブミン指数で30mg/g・クレアチニン未満が正常です。
単位時間あたりのアルブミン排泄率はμg/分で表され、蓄尿が必要となりますが、随時尿より正確に病態を示します。
昼間の尿は運動の影響を受けるので、夜間尿または24時間蓄尿を用います。現実には、随時尿で尿中アルブミン指数(mg/g・クレアチニン)を測定することが多いです。
微量アルブミンが出現する早期腎症の時期ならば、血糖コントロールや降圧剤(ARBなど)による血圧コントロールで改善が期待できます。勿論、糖質制限食による血糖コントロールは、もっとも有力な選択肢です。
**参考
「改定第4版 糖尿病専門医研修ガイドブック」日本糖尿病学会編 2009年
診断と治療社
広沢の池の東にある、桜守・佐野藤右衛門さんの邸宅のお庭の桜、ライトアップが始まっています。
高雄病院の通勤の行き帰りに車の中から一瞬ですが眺めを楽しんでいます。
昨日(4月2日)で6分~7分咲くらいになっています。もう満開間近です。
さて。
スーパー糖質制限食で、糖尿病腎症3期Aから回復された、けいさんから、その後の経過報告をコメントいただきました。
けいさんは、HbA1cが11%オーバー、顕性タンパク尿陽性の状態から、糖質制限食実践1年間で見事に改善されました。
糖質制限食開始1年後の2011年1月24日のデータで、HbA1c4.5%、早朝血糖値85mg、尿中微量アルブミンもクレアチニン補正値5.0。
この1年で最高の結果とのことです。
今回は、その後のデータ(2011年4月1日)です。
【11/04/01 けい
定期健診結果です
先生いつも有難うございます。
今日定期健診の結果が出ましたのでご報告させて頂きます。
A1cは4.6・・・0.1上がりました。
尿中アルブミンは補正後5.8でした。
もう腎症は治ったようですね!
尿潜血は相変わらず+-でしたが尿沈査は全て正常でしたのでよしとのことでした。
異常でないと言われるのになぜ+-なのでしょうか???不思議です。
最近はお米等はまったく食べませんが、野菜はたっぷりでてんぷらや、とんかつなどは毎日食べています。
照り焼きのソースなどは食べてしまいますがこのA1cですので糖質制限を1年以上続けたおかげですね!
最近気づいたのですが、朝食を食べずに昼食を食べると血糖値は上がりやすいのですが、朝食に野菜炒めなどを食べておくと朝食抜きに比べて上がりにくいです。
朝食を食べて少しの糖質を入れておくとインスリンが少し出ているためなのでしょうか?
良く分かりませんが私の体での実験結果です。
また次回の結果報告させて頂きます。
糖尿の皆様糖質制限食は素晴らしいですよ!】
けいさん。
HbA1c4.6%は、コントロール優ですし、全く問題ありません。
糖尿病腎症も、尿中微量アルブミン5.8なら、絶好調で全く問題なしですね。
いつもブログ読者の皆さんに役立つ情報をありがとうございます。
「尿潜血は相変わらず+-でしたが尿沈査は全て正常でしたのでよしとのことでした。 異常でないと言われるのになぜ+-なのでしょうか???」
尿潜血は、尿に試験紙をつけて、色の付き具合を、人間の目で見てアバウトに、(±)(+)(2+)(3+)とか判断します。
これに対して、尿沈査は、遠心分離器にかけた尿の成分を、顕微鏡で見て確認します。
1視野に赤血球が何個、白血球が何個・・・などをカウントします。従って、尿潜血に比べればはるかに精度の高い検査です。
実際、尿潜血が(±)で、尿沈査は顕微鏡で見て、1視野に赤血球が1~2個で正常、というようなことは良くあります。
ということで、けいさん、ご安心下さい。
けいさんのように、糖尿病腎症第3期Aまでは、糖質制限食実践で、血糖コントロールを良好に保てば、第1期(腎症前期)まで回復することが期待できます。1型のバーンスイタイン医師もそうですね。
今まで他の読者の方にも、腎症第3期Aや腎症第2期からの改善を、複数ご報告いただいてます。
「朝食を食べずに昼食を食べると血糖値は上がりやすいのですが、朝食に野菜炒めなどを食べておくと朝食抜きに比べて上がりにくいです。」
これは良くわかりませんが、75g経口ブドウ糖負荷試験は、10時間以上の絶食後に実施されます。
75g経口ブドウ糖負荷試験は、糖尿病の有無をチェックするための試験です。
一般的には、長い絶食後の最初の食事のほうが、血糖は上昇しやすいのかもしれません。
江部康二
☆☆☆
<糖尿病腎症と尿中微量アルブミン>
糖尿病のこわい合併症の一つに、腎症があります。
現在、年間13000人以上の人が、糖尿病腎症から人工透析になっています。
糖尿病腎症の早期診断には、蛋白尿検査では不十分です。
高血糖による腎細血管障害により糸球体毛細血管に変化が生じ、一番初期の段階で微量アルブミン尿が出現します。
微量アルブミン尿検査により、蛋白尿検査よりかなり早期の段階で糖尿病腎症が診断可能です。
従いまして、糖尿人は、1/3~6ヶ月、尿中微量アルブミンの検査をすることが望ましいのです。
尿中微量アルブミン陽性なら、第2期(早期腎症期)です。
*糖尿病腎症病期
第1期(腎症前期)
第2期(早期腎症期):微量アルブミン尿陽性
第3期A(顕性腎症前期):蛋白尿。1g/日未満。
第3期B(顕性腎症後期):蛋白尿。1g/日以上。
第4期(腎不全期):高尿素血症。蛋白尿。
第5期(透析療法期)
尿中微量アルブミンは、随時尿で測定する場合、運動や日内変動や日差変動が大きいので、同時にクレアチニン値を測定して補正値を行い、尿中アルブミン指数(mg/g・クレアチニン)として表します。
できれば、測定は早朝尿のほうが好ましいですが、補正しているので随時尿でも価値はあります。
異なる日に3回検査して2回陽性なら、糖尿病早期腎症と診断するということですが、健康保険上は、1回/3ヶ月しか測定できません。
微量アルブミン尿とは、「アルブミン指数で30mg/g・クレアチニン以上で300mg/g・クレアチニン未満」と定義されています。
アルブミン指数で300mg/g・クレアチニン以上は顕性腎症です。
アルブミン指数で30mg/g・クレアチニン未満が正常です。
単位時間あたりのアルブミン排泄率はμg/分で表され、蓄尿が必要となりますが、随時尿より正確に病態を示します。
昼間の尿は運動の影響を受けるので、夜間尿または24時間蓄尿を用います。現実には、随時尿で尿中アルブミン指数(mg/g・クレアチニン)を測定することが多いです。
微量アルブミンが出現する早期腎症の時期ならば、血糖コントロールや降圧剤(ARBなど)による血圧コントロールで改善が期待できます。勿論、糖質制限食による血糖コントロールは、もっとも有力な選択肢です。
**参考
「改定第4版 糖尿病専門医研修ガイドブック」日本糖尿病学会編 2009年
診断と治療社