2011年03月31日 (木)
こんばんは。
下記のユーチューブへのリンクをクリックしていただくと、とても嬉しいです。
よろしくお願い申し上げます。江部康二。 m(_ _)m
さて、イーサン様から、河盛隆造先生と中性脂肪と炭水化物について、コメントをいただきました。
【11/03/30 イーサン
河盛先生
「糖尿病ネットワーク」のサイトで河盛 隆造 先生が「糖尿病性血管障害のより確実な抑止のために-トリグリセライドコントロールの重要性」の題で解説をされています。一部を以下に引用します。
『これも前回お話ししたことですが、トリグリセライドの日本語の名称「中性脂肪」には「脂肪」とついているものの、脂肪分の摂り過ぎだけでトリグリセライド値が高くなるのではありません。むしろ炭水化物の摂り過ぎが原因です。 炭水化物は体内で最終的にブドウ糖になり、それがエネルギーの源として使われ、余った糖分が「中性脂肪(トリグリセライド)」になります。トリグリセライドを上げないためには、余分なブドウ糖を増やさないようにすること、つまり、炭水化物や糖分を必要以上に摂らないことです。』
河盛先生は中性脂肪に関しては炭水化物を減らしなさいと言っていますが、残念ながら肝心の血糖値に関してはそのような説明をされていません。
まだ食事で炭水化物が必須との思いが拭えないのでしょうか。】
イーサン様。
興味深い情報をありがとうございます。
糖尿病ネットワーク http://www.dm-net.co.jp/tg/tg03-11.htm
第3回トリグリセライドコントロールの方法
にある記載(河盛隆造先生監修)のことですね。
【3.食事と運動によるトリグリセライドコントロール
a.トリグリセライドコントロールのための食事療法
いよいよ本題です。まずは食事療法によるトリグリセライドコントロールについてみていきましょう。
前にお話ししたとおり、血糖コントロールはトリグリセライドを下げる方向へ働くので、食事療法の進め方も糖尿病の食事療法と基本的には同じです。ここでは特に重要なポイントをピックアップしてまとめておきます。
・炭水化物・糖分を摂り過ぎない
これも前回お話ししたことですが、トリグリセライドの日本語の名称「中性脂肪」には「脂肪」とついているものの、脂肪分の摂り過ぎだけでトリグリセライド値が高くなるのではありません。むしろ炭水化物の摂り過ぎが原因です。
炭水化物は体内で最終的にブドウ糖になり、それがエネルギーの源として使われ、余った糖分が「中性脂肪(トリグリセライド)」になります。トリグリセライドを上げないためには、余分なブドウ糖を増やさないようにすること、つまり、炭水化物や糖分を必要以上に摂らないことです。】
河盛隆造先生は、日本糖尿病学会の重鎮中の重鎮と言える存在で、以前、日本糖尿病学会の会長もつとめておられます。
その河盛先生が、中性脂肪の高値は、
「脂肪の摂りすぎよりも、むしろ炭水化物(糖質)の取りすぎが原因」
と言い切っておられるのは、実に興味深いです。
実際、スーパー糖質制限食では、脂質56%、糖質12%と、高脂肪低糖質食ですが、中性脂肪は極めて速やかに正常値或いは正常低値に改善します。
つまり、河盛先生のご指摘は、全く持って正しいですし、さらに進めれば、高脂肪食は高中性脂肪のリスクにはならないのです。
河盛先生、一方では、糖尿病治療食として日本糖尿病学会のカロリー制限食(高糖質低脂肪食)を当然推奨しておられます。
糖尿病患者さんは、高血糖と高中性脂肪を合併している人が多いです。糖質制限食なら、高血糖も高中性脂肪も速やかに改善します。
河盛先生は、糖尿病治療にはカロリー制限食(高糖質食)を推奨されて、高中性脂肪血症には、炭水化物を控える食事(低糖質食)を推奨ということになるのですが、この矛盾に関して、実際の食事指導をどのようにされているのか、これまた実に興味深いですね。
江部康二
下記のユーチューブへのリンクをクリックしていただくと、とても嬉しいです。
よろしくお願い申し上げます。江部康二。 m(_ _)m
画期的な糖尿病治療食「糖質制限食を語る」|DVD、絶賛発売中!
糖質制限食の第一人者、高雄病院理事長、江部康二医師の講演が臨場感溢れるDVDに。二つの講演会を収録し、この一枚に糖質制限食のエッセンスを凝縮!お求めはこちらから http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.phpさて、イーサン様から、河盛隆造先生と中性脂肪と炭水化物について、コメントをいただきました。
【11/03/30 イーサン
河盛先生
「糖尿病ネットワーク」のサイトで河盛 隆造 先生が「糖尿病性血管障害のより確実な抑止のために-トリグリセライドコントロールの重要性」の題で解説をされています。一部を以下に引用します。
『これも前回お話ししたことですが、トリグリセライドの日本語の名称「中性脂肪」には「脂肪」とついているものの、脂肪分の摂り過ぎだけでトリグリセライド値が高くなるのではありません。むしろ炭水化物の摂り過ぎが原因です。 炭水化物は体内で最終的にブドウ糖になり、それがエネルギーの源として使われ、余った糖分が「中性脂肪(トリグリセライド)」になります。トリグリセライドを上げないためには、余分なブドウ糖を増やさないようにすること、つまり、炭水化物や糖分を必要以上に摂らないことです。』
河盛先生は中性脂肪に関しては炭水化物を減らしなさいと言っていますが、残念ながら肝心の血糖値に関してはそのような説明をされていません。
まだ食事で炭水化物が必須との思いが拭えないのでしょうか。】
イーサン様。
興味深い情報をありがとうございます。
糖尿病ネットワーク http://www.dm-net.co.jp/tg/tg03-11.htm
第3回トリグリセライドコントロールの方法
にある記載(河盛隆造先生監修)のことですね。
【3.食事と運動によるトリグリセライドコントロール
a.トリグリセライドコントロールのための食事療法
いよいよ本題です。まずは食事療法によるトリグリセライドコントロールについてみていきましょう。
前にお話ししたとおり、血糖コントロールはトリグリセライドを下げる方向へ働くので、食事療法の進め方も糖尿病の食事療法と基本的には同じです。ここでは特に重要なポイントをピックアップしてまとめておきます。
・炭水化物・糖分を摂り過ぎない
これも前回お話ししたことですが、トリグリセライドの日本語の名称「中性脂肪」には「脂肪」とついているものの、脂肪分の摂り過ぎだけでトリグリセライド値が高くなるのではありません。むしろ炭水化物の摂り過ぎが原因です。
炭水化物は体内で最終的にブドウ糖になり、それがエネルギーの源として使われ、余った糖分が「中性脂肪(トリグリセライド)」になります。トリグリセライドを上げないためには、余分なブドウ糖を増やさないようにすること、つまり、炭水化物や糖分を必要以上に摂らないことです。】
河盛隆造先生は、日本糖尿病学会の重鎮中の重鎮と言える存在で、以前、日本糖尿病学会の会長もつとめておられます。
その河盛先生が、中性脂肪の高値は、
「脂肪の摂りすぎよりも、むしろ炭水化物(糖質)の取りすぎが原因」
と言い切っておられるのは、実に興味深いです。
実際、スーパー糖質制限食では、脂質56%、糖質12%と、高脂肪低糖質食ですが、中性脂肪は極めて速やかに正常値或いは正常低値に改善します。
つまり、河盛先生のご指摘は、全く持って正しいですし、さらに進めれば、高脂肪食は高中性脂肪のリスクにはならないのです。
河盛先生、一方では、糖尿病治療食として日本糖尿病学会のカロリー制限食(高糖質低脂肪食)を当然推奨しておられます。
糖尿病患者さんは、高血糖と高中性脂肪を合併している人が多いです。糖質制限食なら、高血糖も高中性脂肪も速やかに改善します。
河盛先生は、糖尿病治療にはカロリー制限食(高糖質食)を推奨されて、高中性脂肪血症には、炭水化物を控える食事(低糖質食)を推奨ということになるのですが、この矛盾に関して、実際の食事指導をどのようにされているのか、これまた実に興味深いですね。
江部康二
2011年03月30日 (水)
こんにちは。
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よろしくお願い申し上げます。江部康二。 m(_ _)m
2型糖尿病は、
「インスリン分泌不足+インスリン抵抗性」
が合わさって、発症します。
日本人はインスリン分泌不足が主で、インスリン抵抗性は従です。
糖尿病発症時の平均BMIは24で、正常範囲です。
一方、欧米人はインスリン抵抗性が主で、インスリン分泌不足は従です。
糖尿病発症時の平均BMIは32で、肥満です。
インスリンは、血糖値を下げる唯一のホルモンで、基礎分泌インスリンは、24時間少量持続分泌されています。
これに対して追加分泌インスリンは、糖質摂取時数倍~30倍分泌、脂質摂取時分泌なし、タンパク質摂取時ごく少量分泌です。
インスリンは肥満ホルモンであり、このことはUKPDSやACCORDといった大規模臨床試験でも確認されています。
欧米人のインスリン分泌能力は、アジア人の倍以上と言われています。
まず、糖質の頻回過剰摂取による追加インスリン分泌で、肥満が生じます。
肥満が生じるとインスリン抵抗性が生じます。
インスリン抵抗性が生じると、基礎分泌インスリンも過剰に出るようになり、ますます肥満します。
この「インスリン過剰→肥満→インスリン更に過剰→肥満→・・・・・・」の悪循環で、肥満は巨大になっていきます。
それでもインスリン分泌能力があるので、さらに過剰に分泌して、20年、30年、40年に及べば、150kgや200kg超の体重は珍しくありません。
従って、インスリン分泌能力はまだ残っているけれど、巨大肥満によるインスリン抵抗性増強によって糖尿病を発症します。
日本人の場合は、インスリン頻回過剰分泌が10年、20年レベル続くと、膵臓のβ細胞が疲弊して、分泌能力が低下して、糖尿病を発症します。従って肥満していない糖尿病が普通なのです。
このように、同じ2型糖尿病でも、欧米人とアジア人は発症要因が基本的に異なっていて、ほとんど別の病気といってもいいくらいです。
極端に言えば、欧米には肥満していない2型糖尿病は、ほぼ存在しないということです。
例えば、私は身長167cm、体重57kgで2型糖尿病です。
しかし、私の体型で糖尿病であると言えば、欧米の医師は血液検査もせずに、1型糖尿病と断定するでしょう。
このことは、ロサンゼルス、パリ、ジュネーブの正常体型の女性糖尿人から、ブログにコメントいただいて確認しています。
ブログ読者の皆さんの参考まで。。。
江部康二
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よろしくお願い申し上げます。江部康二。 m(_ _)m
画期的な糖尿病治療食「糖質制限食を語る」|DVD、絶賛発売中!
糖質制限食の第一人者、高雄病院理事長、江部康二医師の講演が臨場感溢れるDVDに。二つの講演会を収録し、この一枚に糖質制限食のエッセンスを凝縮!お求めはこちらから http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php2型糖尿病は、
「インスリン分泌不足+インスリン抵抗性」
が合わさって、発症します。
日本人はインスリン分泌不足が主で、インスリン抵抗性は従です。
糖尿病発症時の平均BMIは24で、正常範囲です。
一方、欧米人はインスリン抵抗性が主で、インスリン分泌不足は従です。
糖尿病発症時の平均BMIは32で、肥満です。
インスリンは、血糖値を下げる唯一のホルモンで、基礎分泌インスリンは、24時間少量持続分泌されています。
これに対して追加分泌インスリンは、糖質摂取時数倍~30倍分泌、脂質摂取時分泌なし、タンパク質摂取時ごく少量分泌です。
インスリンは肥満ホルモンであり、このことはUKPDSやACCORDといった大規模臨床試験でも確認されています。
欧米人のインスリン分泌能力は、アジア人の倍以上と言われています。
まず、糖質の頻回過剰摂取による追加インスリン分泌で、肥満が生じます。
肥満が生じるとインスリン抵抗性が生じます。
インスリン抵抗性が生じると、基礎分泌インスリンも過剰に出るようになり、ますます肥満します。
この「インスリン過剰→肥満→インスリン更に過剰→肥満→・・・・・・」の悪循環で、肥満は巨大になっていきます。
それでもインスリン分泌能力があるので、さらに過剰に分泌して、20年、30年、40年に及べば、150kgや200kg超の体重は珍しくありません。
従って、インスリン分泌能力はまだ残っているけれど、巨大肥満によるインスリン抵抗性増強によって糖尿病を発症します。
日本人の場合は、インスリン頻回過剰分泌が10年、20年レベル続くと、膵臓のβ細胞が疲弊して、分泌能力が低下して、糖尿病を発症します。従って肥満していない糖尿病が普通なのです。
このように、同じ2型糖尿病でも、欧米人とアジア人は発症要因が基本的に異なっていて、ほとんど別の病気といってもいいくらいです。
極端に言えば、欧米には肥満していない2型糖尿病は、ほぼ存在しないということです。
例えば、私は身長167cm、体重57kgで2型糖尿病です。
しかし、私の体型で糖尿病であると言えば、欧米の医師は血液検査もせずに、1型糖尿病と断定するでしょう。
このことは、ロサンゼルス、パリ、ジュネーブの正常体型の女性糖尿人から、ブログにコメントいただいて確認しています。
ブログ読者の皆さんの参考まで。。。
江部康二
2011年03月29日 (火)
おはようございます。
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よろしくお願い申し上げます。江部康二。 m(_ _)m
さて今回は、急激な血糖値・HbA1cの改善と糖尿病網膜症の関係について、復習を兼ねて考えて見ます。
「急速な血糖値の改善により網膜症の一時的な悪化や眼底出血を起こすことがある」
という従来からの定説があります。
確かに、インスリン注射やSU剤などにより急速に血糖値が改善した場合、改善速度が速いほど、網膜症の悪化率が高かったという論文報告がありますし、日常臨床上、糖尿病専門医の方々においては経験があることと思われます。
一時的な悪化はあったとしても、長期的には血糖コントロールが良い方が、網膜症にも良いということも報告されていますが、やはり心配ですよね。
それでは、インスリンやSU剤なしで、糖質制限食によって血糖値が急速に改善した場合はどうなのでしょう?
網膜症の悪化や眼底出血の心配はないのでしょうか?
実は当初、私達も糖質制限食でインスリン注射以上に速やかに血糖コントロールが良くなるので、このことを懸念していました。
1999年以来の高雄病院の経験で、糖質制限食による改善では、基本的に網膜症の悪化はありませんでした。
それで今は全く心配はしていないのですが、疑問は残りました。
何故?(・・?)
つまり、急速な血糖値の改善が、インスリン注射やSU剤により生じた時は、網膜症の悪化や眼底出血が起こりえるのに、糖質制限食だともっと急速に血糖値が改善するのになぜ大丈夫なのか???
まず、最初にお断りしておきますが、インスリン注射やSU剤により急速に血糖値が改善した場合に、何故網膜症が悪化することがあるのか、医学的な原因は現在まで実は解明されていません。( ̄_ ̄|||)
それで、ここから先は、あくまでも江部康二の仮説としてお読み頂けば幸いです。
即ち、まだ証明されているわけではありませんので・・・。
例えば、インスリン注射により、血糖値だけは急速に改善しますが、中性脂肪や酸化LDL、レムナントリポ蛋白といった脂質代謝やアミノ酸代謝は、基本的に改善されません。また、高インスリン血症そのものが、メタボリック・シンドロームの元凶とも言われています。
つまり、部分的に血糖値だけ下げて辻褄を合わせても、体の代謝全体は改善されていません。細小血管内や毛細血管内の血液中の成分内容も血糖以外は改善されていません。
血糖値が高値というのは勿論好ましくありませんが、人体はとりあえずその状態でそれなりの恒常性を保とうとしています。この時、血糖という部分だけ急速に下げたら全体の恒常性にかえって破綻が生じて、網膜症の悪化につながる可能性があると思います。SU剤も部分的改善で全体を見ていないことは同様です。
この点、糖質制限食ならば、血糖値、中性脂肪、酸化コレステロール、レムナントリポ蛋白など脂質代謝やアミノ酸代謝も全てが改善し、部分だけではなく代謝全体が改善しますから人体の恒常性は保たれます。そのため、急速な血糖値改善にもかかわらず、網膜症の悪化がないと考えられます。
またこちらもあくまでも仮説ですが、既にインスリン注射やSU剤を内服していて、ある時に糖質制限食を開始して、血糖値・HbA1cが急速に改善していく場合は、インスリン注射やSU剤の量は基本的に減量されていくし、代謝全般も改善されていくので、糖尿病網膜症は起こりにくいと思います。
普通に糖質を摂取して、インスリンやSU剤の効能だけに依存して血糖値を下げる従来の糖尿病網膜症誘発パターンとはひと味違いますので・・・。
なお、過去の高血糖のため、すでに糖尿病網膜症が存在している時は、糖質制限食で血糖コントロール良好を維持していれば糖尿病網膜症の進行は、徐々に止まると思います。そして時間をかけて、あるていど改善する可能性はあります。
しかし、糖質制限食で血糖コントロール良好となっても、糖尿病網膜症が、メキメキ治るわけではありませんので、念のため。
江部康二
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画期的な糖尿病治療食「糖質制限食を語る」|DVD、絶賛発売中!
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「急速な血糖値の改善により網膜症の一時的な悪化や眼底出血を起こすことがある」
という従来からの定説があります。
確かに、インスリン注射やSU剤などにより急速に血糖値が改善した場合、改善速度が速いほど、網膜症の悪化率が高かったという論文報告がありますし、日常臨床上、糖尿病専門医の方々においては経験があることと思われます。
一時的な悪化はあったとしても、長期的には血糖コントロールが良い方が、網膜症にも良いということも報告されていますが、やはり心配ですよね。
それでは、インスリンやSU剤なしで、糖質制限食によって血糖値が急速に改善した場合はどうなのでしょう?
網膜症の悪化や眼底出血の心配はないのでしょうか?
実は当初、私達も糖質制限食でインスリン注射以上に速やかに血糖コントロールが良くなるので、このことを懸念していました。
1999年以来の高雄病院の経験で、糖質制限食による改善では、基本的に網膜症の悪化はありませんでした。
それで今は全く心配はしていないのですが、疑問は残りました。
何故?(・・?)
つまり、急速な血糖値の改善が、インスリン注射やSU剤により生じた時は、網膜症の悪化や眼底出血が起こりえるのに、糖質制限食だともっと急速に血糖値が改善するのになぜ大丈夫なのか???
まず、最初にお断りしておきますが、インスリン注射やSU剤により急速に血糖値が改善した場合に、何故網膜症が悪化することがあるのか、医学的な原因は現在まで実は解明されていません。( ̄_ ̄|||)
それで、ここから先は、あくまでも江部康二の仮説としてお読み頂けば幸いです。
即ち、まだ証明されているわけではありませんので・・・。
例えば、インスリン注射により、血糖値だけは急速に改善しますが、中性脂肪や酸化LDL、レムナントリポ蛋白といった脂質代謝やアミノ酸代謝は、基本的に改善されません。また、高インスリン血症そのものが、メタボリック・シンドロームの元凶とも言われています。
つまり、部分的に血糖値だけ下げて辻褄を合わせても、体の代謝全体は改善されていません。細小血管内や毛細血管内の血液中の成分内容も血糖以外は改善されていません。
血糖値が高値というのは勿論好ましくありませんが、人体はとりあえずその状態でそれなりの恒常性を保とうとしています。この時、血糖という部分だけ急速に下げたら全体の恒常性にかえって破綻が生じて、網膜症の悪化につながる可能性があると思います。SU剤も部分的改善で全体を見ていないことは同様です。
この点、糖質制限食ならば、血糖値、中性脂肪、酸化コレステロール、レムナントリポ蛋白など脂質代謝やアミノ酸代謝も全てが改善し、部分だけではなく代謝全体が改善しますから人体の恒常性は保たれます。そのため、急速な血糖値改善にもかかわらず、網膜症の悪化がないと考えられます。
またこちらもあくまでも仮説ですが、既にインスリン注射やSU剤を内服していて、ある時に糖質制限食を開始して、血糖値・HbA1cが急速に改善していく場合は、インスリン注射やSU剤の量は基本的に減量されていくし、代謝全般も改善されていくので、糖尿病網膜症は起こりにくいと思います。
普通に糖質を摂取して、インスリンやSU剤の効能だけに依存して血糖値を下げる従来の糖尿病網膜症誘発パターンとはひと味違いますので・・・。
なお、過去の高血糖のため、すでに糖尿病網膜症が存在している時は、糖質制限食で血糖コントロール良好を維持していれば糖尿病網膜症の進行は、徐々に止まると思います。そして時間をかけて、あるていど改善する可能性はあります。
しかし、糖質制限食で血糖コントロール良好となっても、糖尿病網膜症が、メキメキ治るわけではありませんので、念のため。
江部康二
2011年03月28日 (月)
こんばんは。
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よろしくお願い申し上げます。江部康二。 m(_ _)m
高雄病院の糖質制限食コントロール・教育入院について、Tsunさんから、コメント・質問をいただきました。
【11/03/28 Tsun
教育入院について
江部先生、初めまして。
いつもブログを拝見させて頂いております。
そして江部先生の書物を3冊ほどですが購読しております。
早速ですが質問させて下さい。
高雄病院の糖質制限食コントロール・教育入院に興味があるのですが
私は千葉在住で、退院後の地元の医師にフォローという点が気になっています。
と言うのも、私なりに探してみたのですが東京・千葉辺りで糖質制限食を推奨
もしくは理解して下さる医師を、見つける事が出来なかったからです。
現在、診て頂いている医師には内緒で糖質制限食を実行しています。
何だか言いづらい雰囲気で言えずにいます。
出来れば教育入院するのであれば、退院後の病院を決めてからが安心だと思っております。
江部先生が東京・千葉辺りで糖質制限食に理解のある病院を
ご存知でしたらお教え頂けないでしょうか。
お忙しい所恐れ入りますが、宜しくお願い致します。】
Tsunさん。
拙著のご購入ありがとうございます。
まず糖質制限食に理解のある医療機関ですが、千葉県には宗田マタニティクリニックがあります。
宗田マタニティクリニック
千葉県市原市根田320-7
電話:0436-24-4103
http://www.muneta.org/
宗田先生は婦人科ですが、糖尿病も診察していただけると思います。
一応念のため、電話でご確認下さい。
対外受精などで男性の診療もしておられるので大丈夫と思いますが・・・。(∵)?
Tsunさんには、直接関係ないかもしれませんが、糖尿病の妊娠、妊娠糖尿病の方も多く診察しておられます。
東京なら以下の先生方と適宜ご相談ください。
小松川クリニック 櫻本薫・美輪子先生
東京都江戸川区東小松川1-12-11
03-5607-7051
ひめのともみクリニック 西澤真生(まなみ)先生
東京都品川区東五反田1-17-1昭和第二ビル3階
03-3445-0766
北里研究所病院糖尿病センター
センター長 山田悟先生
東京都港区白金5丁目9-1
03-3444-6161
東京トータルライフクリニック
http://www.tlc.or.jp/tokyo/clinicinfo.htm
所在地 〒111-0034
東京都台東区雷門2-6-3 ユニカ雷門ビル2F
連絡先 TEL 03-5806-9871
診療科目 内科、消化器内科、呼吸器内科、麻酔科(ペインクリニック)、禁煙外来、在宅医療
高雄病院の糖質制限食コントロール・教育入院
075-871-0245
に電話して担当職員とご相談いただけば幸いです。
江部康二
☆☆☆☆☆
<高雄病院、糖質制限食コントロール・教育入院、2011年>
高雄病院には、現在月に平均12名の糖尿人が、全国から糖質制限食治療を希望して入院されます。
遠方の方は、入院して糖質制限食で糖尿病自己管理の体験をし知識を会得してもらい、退院されたら地元の医師にフォローしていただきます。
京都や近くの糖尿人でも、外来で、なかなか血糖値が下がりきらない時などは、入院すると改善する人がほとんどですので、『コントロール・教育入院』がお奨めです。
14日間あれば、コントロール・教育入院が可能です。勿論健康保険が効きます。
最初の数日間のスーパー糖質制限食で内服薬中止して、コントロール良好となることがほとんどなので、次の7日間は、グルコバイ(100)1錠を、食前30秒に内服して、あえて炊いたご飯2/3膳(約100g)など摂取して、食後血糖値がどのくらい上昇するかを試してみます。
食後2時間で180mg/dl未満ならまあまあで、140mg/dl未満なら合格です。
グルコバイだけで力が及ばない時は、「グルコバイ+グルファスト」食前30秒に内服で試します。
期間的に余裕があれば、パンやうどんなども試します。
これは、退院後どうしても、或いはやむを得ず糖質摂取せざるを得ないときのための
シミュレーションです。(^^)
インスリン注射をされている時は、3~4週間あったほうが確実に減量できます。インスリンの量は1/3以下になります。
上手くいけば2割くらいの方が、インスリン離脱もできます。
2型だけでなく、1型の糖尿人でも、インスリンの量は1/3以下になります。
入院して一日7~8回、毎食前・食後の血糖値を測定することで、
「通常のカロリー制限の糖尿病食」と「糖質制限食」の効果の大きな差が
リアルタイムに確認できます。
血糖値を上げるのは糖質だけで、タンパク質・脂質はあげないということを、
身をもって体験することで、糖質制限食へのモチベーションが高まります。
この検査を血糖値の日内変動といいます。
入院2日目に「カロリー制限食(高糖質)」、4日目に「糖質制限食」で
同一カロリーにして日内変動を行います。
入院して糖質制限食を摂取しての血糖値日内変動検査を実施しているのは、
日本中で高雄病院以外はほとんどありません。
同一カロリーでも、糖質を摂取すれば、
インスリン注射や経口血糖降下剤を内服していても、
食後血糖値は200mg/dlを超えることが多いですが、
スーパー糖質制限食なら、薬・注射なしで
食後血糖値は140mg/dlのことがほとんどです。
勿論、個人差はあります。
入院中はその他、内臓脂肪CTや頸動脈エコーなど、
糖尿病に関連するいろいろな検査もあります。
一日の尿をためて、尿糖測定やインスリン分泌量測定(尿中Cペプチド測定)も行います。
一日尿のCペプチド測定で、トータルなインスリンの分泌量がチェックできます。
早朝空腹時の血中IRI(インスリン)かCペプチド(インスリン注射をしている人はこちらを測定)を調べることで、基礎分泌のインスリンがどのくらいでているかわかります。
インスリン抵抗性の検査やインスリン追加分泌能の検査もあります。
管理栄養士による具体的な栄養指導もあります。
糖質制限食を体験し学ばれて、退院後は地元の病院で通院され、
6ヶ月に一回くらい京都観光を兼ねて高雄病院あるいは高雄病院京都駅前診療所に来て頂いている方もおられます。
遠方の場合、年に一回、糖質制限食入院をされる方もおられます。
入院・外来治療の実績があれば、高雄病院への電話やメールでの質問もOKです。
高雄病院では現実に、関東、北海道、九州、東海、中部、中国地方など、様々な遠方地域の糖尿人の入院も多いです。北海道から九州まで万遍なくこられます。
全国の糖尿人の方々も、糖質制限食入院治療ご希望の場合は、
高雄病院 075-871-0245
まで、電話され、入院担当職員とご相談いただけば幸いです。 (^_^)
下記のユーチューブへのリンクをクリックしていただくと、とても嬉しいです。
よろしくお願い申し上げます。江部康二。 m(_ _)m
画期的な糖尿病治療食「糖質制限食を語る」|DVD、絶賛発売中!
糖質制限食の第一人者、高雄病院理事長、江部康二医師の講演が臨場感溢れるDVDに。二つの講演会を収録し、この一枚に糖質制限食のエッセンスを凝縮!お求めはこちらから http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php高雄病院の糖質制限食コントロール・教育入院について、Tsunさんから、コメント・質問をいただきました。
【11/03/28 Tsun
教育入院について
江部先生、初めまして。
いつもブログを拝見させて頂いております。
そして江部先生の書物を3冊ほどですが購読しております。
早速ですが質問させて下さい。
高雄病院の糖質制限食コントロール・教育入院に興味があるのですが
私は千葉在住で、退院後の地元の医師にフォローという点が気になっています。
と言うのも、私なりに探してみたのですが東京・千葉辺りで糖質制限食を推奨
もしくは理解して下さる医師を、見つける事が出来なかったからです。
現在、診て頂いている医師には内緒で糖質制限食を実行しています。
何だか言いづらい雰囲気で言えずにいます。
出来れば教育入院するのであれば、退院後の病院を決めてからが安心だと思っております。
江部先生が東京・千葉辺りで糖質制限食に理解のある病院を
ご存知でしたらお教え頂けないでしょうか。
お忙しい所恐れ入りますが、宜しくお願い致します。】
Tsunさん。
拙著のご購入ありがとうございます。
まず糖質制限食に理解のある医療機関ですが、千葉県には宗田マタニティクリニックがあります。
宗田マタニティクリニック
千葉県市原市根田320-7
電話:0436-24-4103
http://www.muneta.org/
宗田先生は婦人科ですが、糖尿病も診察していただけると思います。
一応念のため、電話でご確認下さい。
対外受精などで男性の診療もしておられるので大丈夫と思いますが・・・。(∵)?
Tsunさんには、直接関係ないかもしれませんが、糖尿病の妊娠、妊娠糖尿病の方も多く診察しておられます。
東京なら以下の先生方と適宜ご相談ください。
小松川クリニック 櫻本薫・美輪子先生
東京都江戸川区東小松川1-12-11
03-5607-7051
ひめのともみクリニック 西澤真生(まなみ)先生
東京都品川区東五反田1-17-1昭和第二ビル3階
03-3445-0766
北里研究所病院糖尿病センター
センター長 山田悟先生
東京都港区白金5丁目9-1
03-3444-6161
東京トータルライフクリニック
http://www.tlc.or.jp/tokyo/clinicinfo.htm
所在地 〒111-0034
東京都台東区雷門2-6-3 ユニカ雷門ビル2F
連絡先 TEL 03-5806-9871
診療科目 内科、消化器内科、呼吸器内科、麻酔科(ペインクリニック)、禁煙外来、在宅医療
高雄病院の糖質制限食コントロール・教育入院
075-871-0245
に電話して担当職員とご相談いただけば幸いです。
江部康二
☆☆☆☆☆
<高雄病院、糖質制限食コントロール・教育入院、2011年>
高雄病院には、現在月に平均12名の糖尿人が、全国から糖質制限食治療を希望して入院されます。
遠方の方は、入院して糖質制限食で糖尿病自己管理の体験をし知識を会得してもらい、退院されたら地元の医師にフォローしていただきます。
京都や近くの糖尿人でも、外来で、なかなか血糖値が下がりきらない時などは、入院すると改善する人がほとんどですので、『コントロール・教育入院』がお奨めです。
14日間あれば、コントロール・教育入院が可能です。勿論健康保険が効きます。
最初の数日間のスーパー糖質制限食で内服薬中止して、コントロール良好となることがほとんどなので、次の7日間は、グルコバイ(100)1錠を、食前30秒に内服して、あえて炊いたご飯2/3膳(約100g)など摂取して、食後血糖値がどのくらい上昇するかを試してみます。
食後2時間で180mg/dl未満ならまあまあで、140mg/dl未満なら合格です。
グルコバイだけで力が及ばない時は、「グルコバイ+グルファスト」食前30秒に内服で試します。
期間的に余裕があれば、パンやうどんなども試します。
これは、退院後どうしても、或いはやむを得ず糖質摂取せざるを得ないときのための
シミュレーションです。(^^)
インスリン注射をされている時は、3~4週間あったほうが確実に減量できます。インスリンの量は1/3以下になります。
上手くいけば2割くらいの方が、インスリン離脱もできます。
2型だけでなく、1型の糖尿人でも、インスリンの量は1/3以下になります。
入院して一日7~8回、毎食前・食後の血糖値を測定することで、
「通常のカロリー制限の糖尿病食」と「糖質制限食」の効果の大きな差が
リアルタイムに確認できます。
血糖値を上げるのは糖質だけで、タンパク質・脂質はあげないということを、
身をもって体験することで、糖質制限食へのモチベーションが高まります。
この検査を血糖値の日内変動といいます。
入院2日目に「カロリー制限食(高糖質)」、4日目に「糖質制限食」で
同一カロリーにして日内変動を行います。
入院して糖質制限食を摂取しての血糖値日内変動検査を実施しているのは、
日本中で高雄病院以外はほとんどありません。
同一カロリーでも、糖質を摂取すれば、
インスリン注射や経口血糖降下剤を内服していても、
食後血糖値は200mg/dlを超えることが多いですが、
スーパー糖質制限食なら、薬・注射なしで
食後血糖値は140mg/dlのことがほとんどです。
勿論、個人差はあります。
入院中はその他、内臓脂肪CTや頸動脈エコーなど、
糖尿病に関連するいろいろな検査もあります。
一日の尿をためて、尿糖測定やインスリン分泌量測定(尿中Cペプチド測定)も行います。
一日尿のCペプチド測定で、トータルなインスリンの分泌量がチェックできます。
早朝空腹時の血中IRI(インスリン)かCペプチド(インスリン注射をしている人はこちらを測定)を調べることで、基礎分泌のインスリンがどのくらいでているかわかります。
インスリン抵抗性の検査やインスリン追加分泌能の検査もあります。
管理栄養士による具体的な栄養指導もあります。
糖質制限食を体験し学ばれて、退院後は地元の病院で通院され、
6ヶ月に一回くらい京都観光を兼ねて高雄病院あるいは高雄病院京都駅前診療所に来て頂いている方もおられます。
遠方の場合、年に一回、糖質制限食入院をされる方もおられます。
入院・外来治療の実績があれば、高雄病院への電話やメールでの質問もOKです。
高雄病院では現実に、関東、北海道、九州、東海、中部、中国地方など、様々な遠方地域の糖尿人の入院も多いです。北海道から九州まで万遍なくこられます。
全国の糖尿人の方々も、糖質制限食入院治療ご希望の場合は、
高雄病院 075-871-0245
まで、電話され、入院担当職員とご相談いただけば幸いです。 (^_^)
2011年03月27日 (日)
こんばんは。
下記のユーチューブへのリンクをクリックしていただくと、とても嬉しいです。
よろしくお願い申し上げます。江部康二。 m(_ _)m
さて、信州は飯田市において、初の糖質制限食講演会を行います。
主催は信州つばさネット・HUMAN LIFE NET ''翼'' の皆さんです。
2009年10月に信州松川町で糖質制限食を行ったときは、300人という大勢の方にご参加いただき感激しました。
糖質制限食は、最近マスコミでも糖尿病治療やダイエットの話題として取り上げることが多くなっています。
本講演は、糖質制限食の最新理論と症例などを、わかりやすくお話しします。
いつも早口で内容が多すぎるとのご意見もいただきましたので、ゆっくりとお話しするように心がけます。
今回の公開講座は、佐橋紀子先生(元飯田女史短大教授)とのジョイントです。
佐橋先生は、とても経験豊富な糖尿人です。インスリン注射も打っておられます。
高雄病院に入院して糖質制限食を実践され、インスリンの量は1/3に減量できました。
入院中のこと、退院後のこと、成功談、失敗談含めていろんな体験談を語っていただけると思います。
信州・長野県民の皆さん、是非、足をお運び下さいね。
☆☆☆☆☆
<糖尿病よ、成人病よ、さようなら!> ~糖質制限食のすすめ~ 講演会
日時 2011年4月17日(日)
開場 午後1:00
開演 午後1:30~4:00
会場 飯田女子短期大学 講堂
飯田市松尾代田610番地
演題 <糖尿病よ、成人病よ、さようなら!> ~糖質制限食のすすめ~
講師 江部康二 京都・高雄病院理事長
講師 佐橋紀子先生 HUMAN LIFE NET ''翼''代表 元飯田女子短大教授
患者の立場から
参加費 前売り券 大人1000円 学生700円
当日券 大人1200円 学生900円
主催 信州つばさネット・HUMAN LIFE NET ''翼''
後援 飯田市/飯田市社会福祉協議会/飯田女子短期大学/介護のかふね
NPO法人飯田ボランティア協会/信州毎日新聞社/中日新聞社/信州日報
申し込み先
平澤文子/0265-34-7330(介護のかふね)
大澤み江/0265-36-3154
山上恵美子/0265-36-2453
江部康二
以下は
HUMAN LIFE NET ''翼''代表
佐橋紀子先生からのメッセージです。
☆☆☆☆☆
江部康二先生のブログ愛読者のみなさま
私は名古屋の学習グループ”HUMAN LIFE INFO NET 翼”の代表・佐橋紀子です。
実は私、30年越しの糖尿病患者です。毎月病院に通いながら、これまで病状はどんどん悪くなっていきました。
これ以上進むと合併症でいずれ失明するか、脳梗塞で倒れ、その後遺症で半身不随になり、不自由な生活を強いられるか。はたまた人工透析のお世話になるか、常にそうした恐怖を抱えておりました。患者としてはそれなりに食事や運動に努力してきたのに、病状は悪化するばかり…。ところが大きな転機が訪れました。
2008年8月、江部先生に出会い、高雄病院に『教育入院』させていただきました。朝の空腹時血糖は206あったのに、たった2週間の入院で103に半減。インスリン注射も一日46単位が22単位にまで下がり、まるで目からウロコの毎日でした。あんなにガンコだった血糖値が下がったのです。そして江部先生から高血糖の要因は、炭水化物の摂取にあることを学んだのです。今では努力すれば病状の進行をコントロールでき、合併症から身を守ることができる、という明るい見通しを持てるようになりました。こんなに嬉しいことはありません!
江部先生に出会ったことにどんなに感謝しているか、その気持ちが講演会開催のバネになっているのです。同時に、こんな画期的治療法をなぜ今まで知らされていなかったのか、そのことに大変悔しい思いを抱きました。かくなるうえは患者さんたちに一人でも多く、糖質制限の治療法を知らせてあげたい!それが命を救っていただいた人間の責務ではないか、とさえ思うようになりました。自分さえ良くなればよい、というものではないのです。それで翼会員の人たちの協力を得て、糖質制限食の講演会に取り組んでいるのです。今回の飯田開催で、4回目の講演会になります。会場は500人収容できます。
私たちの講演会の特徴は、江部先生の糖質制限の理論をお聴きし、患者の立場から糖尿病治療のあり方への期待を述べ、驚くほどの減量や糖尿病の改善を経験した人たちの体験報告をするところです。ぜひお誘い合わせの上、春爛漫の信州の会場にお越ください。
”翼”代表 佐橋紀子
下記のユーチューブへのリンクをクリックしていただくと、とても嬉しいです。
よろしくお願い申し上げます。江部康二。 m(_ _)m
画期的な糖尿病治療食「糖質制限食を語る」|DVD、絶賛発売中!
糖質制限食の第一人者、高雄病院理事長、江部康二医師の講演が臨場感溢れるDVDに。二つの講演会を収録し、この一枚に糖質制限食のエッセンスを凝縮!お求めはこちらから http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.phpさて、信州は飯田市において、初の糖質制限食講演会を行います。
主催は信州つばさネット・HUMAN LIFE NET ''翼'' の皆さんです。
2009年10月に信州松川町で糖質制限食を行ったときは、300人という大勢の方にご参加いただき感激しました。
糖質制限食は、最近マスコミでも糖尿病治療やダイエットの話題として取り上げることが多くなっています。
本講演は、糖質制限食の最新理論と症例などを、わかりやすくお話しします。
いつも早口で内容が多すぎるとのご意見もいただきましたので、ゆっくりとお話しするように心がけます。
今回の公開講座は、佐橋紀子先生(元飯田女史短大教授)とのジョイントです。
佐橋先生は、とても経験豊富な糖尿人です。インスリン注射も打っておられます。
高雄病院に入院して糖質制限食を実践され、インスリンの量は1/3に減量できました。
入院中のこと、退院後のこと、成功談、失敗談含めていろんな体験談を語っていただけると思います。
信州・長野県民の皆さん、是非、足をお運び下さいね。
☆☆☆☆☆
<糖尿病よ、成人病よ、さようなら!> ~糖質制限食のすすめ~ 講演会
日時 2011年4月17日(日)
開場 午後1:00
開演 午後1:30~4:00
会場 飯田女子短期大学 講堂
飯田市松尾代田610番地
演題 <糖尿病よ、成人病よ、さようなら!> ~糖質制限食のすすめ~
講師 江部康二 京都・高雄病院理事長
講師 佐橋紀子先生 HUMAN LIFE NET ''翼''代表 元飯田女子短大教授
患者の立場から
参加費 前売り券 大人1000円 学生700円
当日券 大人1200円 学生900円
主催 信州つばさネット・HUMAN LIFE NET ''翼''
後援 飯田市/飯田市社会福祉協議会/飯田女子短期大学/介護のかふね
NPO法人飯田ボランティア協会/信州毎日新聞社/中日新聞社/信州日報
申し込み先
平澤文子/0265-34-7330(介護のかふね)
大澤み江/0265-36-3154
山上恵美子/0265-36-2453
江部康二
以下は
HUMAN LIFE NET ''翼''代表
佐橋紀子先生からのメッセージです。
☆☆☆☆☆
江部康二先生のブログ愛読者のみなさま
私は名古屋の学習グループ”HUMAN LIFE INFO NET 翼”の代表・佐橋紀子です。
実は私、30年越しの糖尿病患者です。毎月病院に通いながら、これまで病状はどんどん悪くなっていきました。
これ以上進むと合併症でいずれ失明するか、脳梗塞で倒れ、その後遺症で半身不随になり、不自由な生活を強いられるか。はたまた人工透析のお世話になるか、常にそうした恐怖を抱えておりました。患者としてはそれなりに食事や運動に努力してきたのに、病状は悪化するばかり…。ところが大きな転機が訪れました。
2008年8月、江部先生に出会い、高雄病院に『教育入院』させていただきました。朝の空腹時血糖は206あったのに、たった2週間の入院で103に半減。インスリン注射も一日46単位が22単位にまで下がり、まるで目からウロコの毎日でした。あんなにガンコだった血糖値が下がったのです。そして江部先生から高血糖の要因は、炭水化物の摂取にあることを学んだのです。今では努力すれば病状の進行をコントロールでき、合併症から身を守ることができる、という明るい見通しを持てるようになりました。こんなに嬉しいことはありません!
江部先生に出会ったことにどんなに感謝しているか、その気持ちが講演会開催のバネになっているのです。同時に、こんな画期的治療法をなぜ今まで知らされていなかったのか、そのことに大変悔しい思いを抱きました。かくなるうえは患者さんたちに一人でも多く、糖質制限の治療法を知らせてあげたい!それが命を救っていただいた人間の責務ではないか、とさえ思うようになりました。自分さえ良くなればよい、というものではないのです。それで翼会員の人たちの協力を得て、糖質制限食の講演会に取り組んでいるのです。今回の飯田開催で、4回目の講演会になります。会場は500人収容できます。
私たちの講演会の特徴は、江部先生の糖質制限の理論をお聴きし、患者の立場から糖尿病治療のあり方への期待を述べ、驚くほどの減量や糖尿病の改善を経験した人たちの体験報告をするところです。ぜひお誘い合わせの上、春爛漫の信州の会場にお越ください。
”翼”代表 佐橋紀子
2011年03月27日 (日)
こんにちは。
下記のユーチューブへのリンクをクリックしていただくと、とても嬉しいです。
よろしくお願い申し上げます。江部康二。 m(_ _)m
さて、今回は、ちばさんから、糖質制限食で脂肪肝改善という嬉しいコメントをいただきました。
【11/03/26 ちば
脂肪肝完治に一歩前進
はじめてコメントいたします。
この度、約1ヶ月の糖質制限食の実践にて、 肝機能の数値および中性脂肪など、 かなりの改善がありましたので、御礼の意味もこめまして、 コメントさせて頂きます。
さかのぼる事、約2年前。
血液検査にて
中性脂肪 130
GOT 88
GPT 205
γ-GTP 176
内科医に脂肪肝を指摘されました。
身長は181cmあるのですが、 当時は体重が120キロ以上もありました。
そこで、カロリー制限を主とする減量を行い、 今年に入り体重は約100キロ前後にまで落ちました。
しかし、先月、2月25日の血液検査の結果は
(体重 102kg)
中性脂肪 288
GOT 87
GPT 146
γ-GTP 140
という高い数値。
中性脂肪に至っては288と異常なほど高くなっていました(泣)
担当の内科医からは具体的なアドバイスが無く、 不安をもち始め、市内の別のクリニックを受診しました。
そして偶然、そこの院長先生に「糖質制限」を教えて頂きました。
その院長先生も自ら糖質制限を実践されている方で、 いろいろなアドバイスをして頂き、目から鱗の事ばかりでした。
江部先生の著書を紹介してもらい、 家に帰り、このブログ拝見し、著書も購入させて頂き、 さっそく一番効果のあると書かれていた 「スーパー糖質制限」を約1ヶ月行いました。
すると
2月25日 3月22日
体重 102kg → 96㎏
中性脂肪 288 → 94
GOT 87 → 50
GPT 146 → 122
γ-GTP 140 → 64
驚くほど数値が改善していました。
未だにGOTとGPTは高い値を示していますが、 既に中性脂肪とγ-GTPは正常値になりました。
ここ1ヵ月、牛肉・鶏肉・豚肉と、思いきり肉食中心の生活でした。
油っこいステーキとかもバンバン食べていました(笑)
家族は「本当に大丈夫なの?」と心配していましたが、 あれだけ油まみれ(?)の食事をしていたのに、 中性脂肪が激減するとは・・・本当に驚きです。
今回、数字として結果が出せてとてもホッとしています。
ただ完治してはいませんので、 脂肪肝の完治まで”スーパー”で取り組んでいきたいと思います。
でも元々ラーメン大好きな人間なので、 正直、たまに炭水化物を食べたくなります(笑)】
ちばさん。
拙著ご購入、貴重なデータ報告ありがとうございます。
とてもブログ読者の皆さんの参考になると思います。
当初、カロリー制限でかなりつらい思いをして、一定の減量に成功されていますが、中性脂肪は130→288mg/dlと上昇ですね。
これはカロリー制限しても、糖質を摂取しているとありがちなパターンです。
実は、脂肪肝そのものが、糖質の頻回・過剰摂取によるインスリンの頻回・過剰分泌により生成される可能性が高いと私は考えています。
脂肪肝はかつては、放置してもさしたることはないと言われていましたが、近年、「NASH」が認識されるようになり、様相が一変しました。
非アルコール性脂肪性肝炎(Non-alcoholic steatohepatitis)を略してNASHです。
NASHは、肝炎から肝硬変や肝臓癌に進展することもあり、結構こわいのです。
肝臓に脂肪が蓄積→脂肪肝→非アルコール性脂肪性肝炎→肝硬変→肝癌
B型ウィルスやC型ウィルス以外に、NASHからも肝癌になり得るので、ゆめゆめ油断は禁物なのです。
脂肪肝も内臓脂肪肥満もメタボリック・シンドロームも、糖質の頻回・過剰摂取によるインスリンの頻回・過剰分泌が根本要因と思います。
内臓脂肪肥満やメタボになれば、インスリン抵抗性も出現してきて、血糖値を正常に保つために基礎分泌インスリンの量も増加します。
このようにして、インスリン追加分泌も基礎分泌も過剰になり、ますます、脂肪肝や内臓脂肪肥満やメタボリック・シンドロームは進行して悪循環に陥ります。ちなみにインスリンは肥満ホルモンと言われています。
ちばさんは、スーパー糖質制限食を実践されてからは、インスリンの追加分泌はほんの少量しか必要でなくなり、インスリン過剰分泌による悪循環が断ち切られたのだと考えられます。それで、中性脂肪も肝機能も改善してきています。「糖質制限」を教えていただいたお医者さんに巡り会えて良かったですね。
このままステーキも食べて美味しく楽しくスーパー糖質制限食を続けていかれたら、脂肪肝も正常にもどると思いますよ。
江部康二
下記のユーチューブへのリンクをクリックしていただくと、とても嬉しいです。
よろしくお願い申し上げます。江部康二。 m(_ _)m
画期的な糖尿病治療食「糖質制限食を語る」|DVD、絶賛発売中!
糖質制限食の第一人者、高雄病院理事長、江部康二医師の講演が臨場感溢れるDVDに。二つの講演会を収録し、この一枚に糖質制限食のエッセンスを凝縮!お求めはこちらから http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.phpさて、今回は、ちばさんから、糖質制限食で脂肪肝改善という嬉しいコメントをいただきました。
【11/03/26 ちば
脂肪肝完治に一歩前進
はじめてコメントいたします。
この度、約1ヶ月の糖質制限食の実践にて、 肝機能の数値および中性脂肪など、 かなりの改善がありましたので、御礼の意味もこめまして、 コメントさせて頂きます。
さかのぼる事、約2年前。
血液検査にて
中性脂肪 130
GOT 88
GPT 205
γ-GTP 176
内科医に脂肪肝を指摘されました。
身長は181cmあるのですが、 当時は体重が120キロ以上もありました。
そこで、カロリー制限を主とする減量を行い、 今年に入り体重は約100キロ前後にまで落ちました。
しかし、先月、2月25日の血液検査の結果は
(体重 102kg)
中性脂肪 288
GOT 87
GPT 146
γ-GTP 140
という高い数値。
中性脂肪に至っては288と異常なほど高くなっていました(泣)
担当の内科医からは具体的なアドバイスが無く、 不安をもち始め、市内の別のクリニックを受診しました。
そして偶然、そこの院長先生に「糖質制限」を教えて頂きました。
その院長先生も自ら糖質制限を実践されている方で、 いろいろなアドバイスをして頂き、目から鱗の事ばかりでした。
江部先生の著書を紹介してもらい、 家に帰り、このブログ拝見し、著書も購入させて頂き、 さっそく一番効果のあると書かれていた 「スーパー糖質制限」を約1ヶ月行いました。
すると
2月25日 3月22日
体重 102kg → 96㎏
中性脂肪 288 → 94
GOT 87 → 50
GPT 146 → 122
γ-GTP 140 → 64
驚くほど数値が改善していました。
未だにGOTとGPTは高い値を示していますが、 既に中性脂肪とγ-GTPは正常値になりました。
ここ1ヵ月、牛肉・鶏肉・豚肉と、思いきり肉食中心の生活でした。
油っこいステーキとかもバンバン食べていました(笑)
家族は「本当に大丈夫なの?」と心配していましたが、 あれだけ油まみれ(?)の食事をしていたのに、 中性脂肪が激減するとは・・・本当に驚きです。
今回、数字として結果が出せてとてもホッとしています。
ただ完治してはいませんので、 脂肪肝の完治まで”スーパー”で取り組んでいきたいと思います。
でも元々ラーメン大好きな人間なので、 正直、たまに炭水化物を食べたくなります(笑)】
ちばさん。
拙著ご購入、貴重なデータ報告ありがとうございます。
とてもブログ読者の皆さんの参考になると思います。
当初、カロリー制限でかなりつらい思いをして、一定の減量に成功されていますが、中性脂肪は130→288mg/dlと上昇ですね。
これはカロリー制限しても、糖質を摂取しているとありがちなパターンです。
実は、脂肪肝そのものが、糖質の頻回・過剰摂取によるインスリンの頻回・過剰分泌により生成される可能性が高いと私は考えています。
脂肪肝はかつては、放置してもさしたることはないと言われていましたが、近年、「NASH」が認識されるようになり、様相が一変しました。
非アルコール性脂肪性肝炎(Non-alcoholic steatohepatitis)を略してNASHです。
NASHは、肝炎から肝硬変や肝臓癌に進展することもあり、結構こわいのです。
肝臓に脂肪が蓄積→脂肪肝→非アルコール性脂肪性肝炎→肝硬変→肝癌
B型ウィルスやC型ウィルス以外に、NASHからも肝癌になり得るので、ゆめゆめ油断は禁物なのです。
脂肪肝も内臓脂肪肥満もメタボリック・シンドロームも、糖質の頻回・過剰摂取によるインスリンの頻回・過剰分泌が根本要因と思います。
内臓脂肪肥満やメタボになれば、インスリン抵抗性も出現してきて、血糖値を正常に保つために基礎分泌インスリンの量も増加します。
このようにして、インスリン追加分泌も基礎分泌も過剰になり、ますます、脂肪肝や内臓脂肪肥満やメタボリック・シンドロームは進行して悪循環に陥ります。ちなみにインスリンは肥満ホルモンと言われています。
ちばさんは、スーパー糖質制限食を実践されてからは、インスリンの追加分泌はほんの少量しか必要でなくなり、インスリン過剰分泌による悪循環が断ち切られたのだと考えられます。それで、中性脂肪も肝機能も改善してきています。「糖質制限」を教えていただいたお医者さんに巡り会えて良かったですね。
このままステーキも食べて美味しく楽しくスーパー糖質制限食を続けていかれたら、脂肪肝も正常にもどると思いますよ。
江部康二
2011年03月26日 (土)
こんばんは。
下記のユーチューブへのリンクをクリックしていただくと、とても嬉しいです。
よろしくお願い申し上げます。江部康二。 m(_ _)m
さて。
2011年3月24日(木)18:20~札幌市で開催されたクリニカルサイエンス談話会にて
「人類の食生活 糖尿病・肥満の解決」
-テーラーメードダイエットと糖質制限食-
と題して講演してきました。
約30名の医師・栄養士が参加されてました。
私は、後半の1時間が担当で、
前半の40分は
「循環器疾患治療における運動と薬物療法の接点」
と題して、
北翔大学障害スポーツ学部スポーツ教育学科 教授 沖田孝一先生
が基調講演をされました。
明確な疫学的データに基づく運動療法の効果、目から鱗で大変参考になりました。
1)心筋梗塞を起こした人
運動リハビリをしたグループは、経年的生存率は一般人と変わらないが運動リハビリをしなかった
グループは、経年的生存率は有意に低下する。
2)狭心症を起こした人
ステントによる治療を実施したグループよりも、運動療法を実施したグループの方が長期的な予後が
良かった。
ステントは、部分的狭窄には当然有効であるが、他の部位の狭窄があれば将来またそこで狭心症を
発症する。運動療法は全身療法なので、血管全体の動脈硬化を改善する。
*ステント:網目状の筒状の金属医療機器
3)慢性心不全
運動療法により生存率が改善する。
週3回、エアロバイク40分、最大心拍数の60%ていどが目安。
4)全死亡率
運動療法は心臓死だけでなく、全死亡率を改善する。
2000kcal/週の運動で、総死亡率が半減する。
5)下肢筋力と生存率
下肢筋力が高いと生存率が上昇する。
特に大腿四頭筋が重要。
などなど、とても貴重なデータをご教示いただき、感銘を受けました。
なお、総じて体重減少を伴わないと、運動療法の効果が発現しにくいことを強調しておられました。
そうすると、「運動療法+糖質制限食」は、体重減少確実であり、運動療法のポジティブな効果を得る上での最強のコンビといえますね。(^-^)v(^-^)v
講演会の後は、意見交換会があり、栄養士の先生や糖尿病専門医の先生と、糖質制限食についてしっかりお話しできて大変有意義でした。
そのあと、さらに別室で、沖田孝一先生をはじめ世話人の先生方と懇親会でした。
糖質制限食と運動療法でいろいろ話題は盛り上がり、午后11時を大分過ぎて、とうとうボーイさんに急かされての解散となりました。(=_=;)
クリニカルサイエンス談話会の世話人
沖田先生、陰山先生、横井先生
大変お世話になり、ありがとうございました。m(_ _)mVV
江部康二
下記のユーチューブへのリンクをクリックしていただくと、とても嬉しいです。
よろしくお願い申し上げます。江部康二。 m(_ _)m
画期的な糖尿病治療食「糖質制限食を語る」|DVD、絶賛発売中!
糖質制限食の第一人者、高雄病院理事長、江部康二医師の講演が臨場感溢れるDVDに。二つの講演会を収録し、この一枚に糖質制限食のエッセンスを凝縮!お求めはこちらから http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.phpさて。
2011年3月24日(木)18:20~札幌市で開催されたクリニカルサイエンス談話会にて
「人類の食生活 糖尿病・肥満の解決」
-テーラーメードダイエットと糖質制限食-
と題して講演してきました。
約30名の医師・栄養士が参加されてました。
私は、後半の1時間が担当で、
前半の40分は
「循環器疾患治療における運動と薬物療法の接点」
と題して、
北翔大学障害スポーツ学部スポーツ教育学科 教授 沖田孝一先生
が基調講演をされました。
明確な疫学的データに基づく運動療法の効果、目から鱗で大変参考になりました。
1)心筋梗塞を起こした人
運動リハビリをしたグループは、経年的生存率は一般人と変わらないが運動リハビリをしなかった
グループは、経年的生存率は有意に低下する。
2)狭心症を起こした人
ステントによる治療を実施したグループよりも、運動療法を実施したグループの方が長期的な予後が
良かった。
ステントは、部分的狭窄には当然有効であるが、他の部位の狭窄があれば将来またそこで狭心症を
発症する。運動療法は全身療法なので、血管全体の動脈硬化を改善する。
*ステント:網目状の筒状の金属医療機器
3)慢性心不全
運動療法により生存率が改善する。
週3回、エアロバイク40分、最大心拍数の60%ていどが目安。
4)全死亡率
運動療法は心臓死だけでなく、全死亡率を改善する。
2000kcal/週の運動で、総死亡率が半減する。
5)下肢筋力と生存率
下肢筋力が高いと生存率が上昇する。
特に大腿四頭筋が重要。
などなど、とても貴重なデータをご教示いただき、感銘を受けました。
なお、総じて体重減少を伴わないと、運動療法の効果が発現しにくいことを強調しておられました。
そうすると、「運動療法+糖質制限食」は、体重減少確実であり、運動療法のポジティブな効果を得る上での最強のコンビといえますね。(^-^)v(^-^)v
講演会の後は、意見交換会があり、栄養士の先生や糖尿病専門医の先生と、糖質制限食についてしっかりお話しできて大変有意義でした。
そのあと、さらに別室で、沖田孝一先生をはじめ世話人の先生方と懇親会でした。
糖質制限食と運動療法でいろいろ話題は盛り上がり、午后11時を大分過ぎて、とうとうボーイさんに急かされての解散となりました。(=_=;)
クリニカルサイエンス談話会の世話人
沖田先生、陰山先生、横井先生
大変お世話になり、ありがとうございました。m(_ _)mVV
江部康二
2011年03月26日 (土)
こんばんは。
のりこさんから、血糖値を上昇させない糖質についてコメント・質問をいただきました。
復習を兼ねて考えて見ましょう。
【11/03/25 高槻市ののりこ
質問です。
こんにちは。いつも楽しみに拝見しております。
やせる食べ方を参考に、ダイエットのために糖質制限を開始しました。
そこで、教えていただきたいことがあります。コンビニでも、つい糖質の分量を気にするようになったこの頃、
ふと思ったのですが、糖質の値の大小だけで、食べるものを選べて簡単なのですが、
ラカントのようなラッキー食材って
ほかにはないのでしょうか?
スイーツ大好きの私としては、ラカントのように糖質の値が大きいのに血糖値にえいきょうしないものが
ほかにも存在するのでは!
と期待しているとどうじに、唯一ラカントだけしか存在しないというのも変かな~っておもっています。
まだ見つかっていないだけですか?】
のりこさん。
「やせる食べ方」のご購入、ありがとうございます。
1)糖質だけが血糖値を上昇させる。
2)タンパク質・脂質は血糖値を上昇させない。
米国糖尿病協会2004年版、患者教育用テキストブックに1)2)が明記されています。
その糖質に分類される甘味料の中で、例外として血糖値を上昇させないものがあります。
それは、エリスリトールと合成甘味料です。
糖アルコールは糖質ですが、その中で、エリスリトールだけはゼロカロリーで血糖値も上昇させません。
キシリトールやマルチトールやソルビトールなどの糖アルコールは、砂糖の半分くらい血糖値を上昇させます。
エリスリトールは、ラカントS(サラヤ)やパルスイートRカロリーゼロ(味の素KK)の主成分です。
すなわち、ラカントSやパルスイートは糖質制限OK食材です。 (^^)
合成甘味料も糖質ですが、FDA(米国食料医薬品庁)と厚生労働省の認めているアスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、ネオテームの5種類は、ゼロカロリーで血糖値も上昇させません。
エリスリトールの安全性は、EUでもFDAでも認められていて、総量規制も特にありません。
まあ大量摂取すれば、まれに下痢することはありえるとは思います。
人工甘味料のほうも、FDAにおいて安全性は認められていますが総量規制があります。
日本の、カロリーゼロのダイエットコーラ350mlを1日2本くらいまでは、許容範囲と思います。
結論です。
糖質のほとんどが血糖値を上昇させます。
しかし、糖質の中でエリスリトールと合成甘味料は、血糖値を上昇させません。
なお、羅漢果(中国広西チワン族自治区を原産地とするウリ科ラカンカ属の多年生つる植物)の果実の甘味成分は、小腸で吸収されることなく大腸まで達するため、食物繊維の一つに分類されます。
ステビアの甘味成分も同様で人体に吸収されないので、食物繊維に分類されるのかなと思います。
糖質+食物繊維=炭水化物です。
食物繊維は人体に消化吸収されないので、血糖値は上昇させないとされています。
☆☆☆
健康増進法における栄養表示基準では栄養成分表示を行う場合、基本表示は
<エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム>
の5成分表示とされています。
「炭水化物、糖質、糖類」を整理すると下記の如くにまとめることができます。
栄養表示基準上はたんぱく質や脂質、灰分(ミネラル分)のいずれにも分類されないものは炭水化物に計算。
①炭水化物=糖質+食物繊維
②糖質=糖類+糖アルコール+三糖類以上+合成甘味料
③糖類=単糖類+二糖類
*三糖類以上=オリゴ糖、多糖類(でんぷん、デキストリンなど)
*二糖類=ショ糖、麦芽糖、乳糖など
*単糖類=ブドウ糖、果糖、ガラクトースなど
*糖アルコール=エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトールなど
*合成甘味料=アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、ネオテーム
江部康二
のりこさんから、血糖値を上昇させない糖質についてコメント・質問をいただきました。
復習を兼ねて考えて見ましょう。
【11/03/25 高槻市ののりこ
質問です。
こんにちは。いつも楽しみに拝見しております。
やせる食べ方を参考に、ダイエットのために糖質制限を開始しました。
そこで、教えていただきたいことがあります。コンビニでも、つい糖質の分量を気にするようになったこの頃、
ふと思ったのですが、糖質の値の大小だけで、食べるものを選べて簡単なのですが、
ラカントのようなラッキー食材って
ほかにはないのでしょうか?
スイーツ大好きの私としては、ラカントのように糖質の値が大きいのに血糖値にえいきょうしないものが
ほかにも存在するのでは!
と期待しているとどうじに、唯一ラカントだけしか存在しないというのも変かな~っておもっています。
まだ見つかっていないだけですか?】
のりこさん。
「やせる食べ方」のご購入、ありがとうございます。
1)糖質だけが血糖値を上昇させる。
2)タンパク質・脂質は血糖値を上昇させない。
米国糖尿病協会2004年版、患者教育用テキストブックに1)2)が明記されています。
その糖質に分類される甘味料の中で、例外として血糖値を上昇させないものがあります。
それは、エリスリトールと合成甘味料です。
糖アルコールは糖質ですが、その中で、エリスリトールだけはゼロカロリーで血糖値も上昇させません。
キシリトールやマルチトールやソルビトールなどの糖アルコールは、砂糖の半分くらい血糖値を上昇させます。
エリスリトールは、ラカントS(サラヤ)やパルスイートRカロリーゼロ(味の素KK)の主成分です。
すなわち、ラカントSやパルスイートは糖質制限OK食材です。 (^^)
合成甘味料も糖質ですが、FDA(米国食料医薬品庁)と厚生労働省の認めているアスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、ネオテームの5種類は、ゼロカロリーで血糖値も上昇させません。
エリスリトールの安全性は、EUでもFDAでも認められていて、総量規制も特にありません。
まあ大量摂取すれば、まれに下痢することはありえるとは思います。
人工甘味料のほうも、FDAにおいて安全性は認められていますが総量規制があります。
日本の、カロリーゼロのダイエットコーラ350mlを1日2本くらいまでは、許容範囲と思います。
結論です。
糖質のほとんどが血糖値を上昇させます。
しかし、糖質の中でエリスリトールと合成甘味料は、血糖値を上昇させません。
なお、羅漢果(中国広西チワン族自治区を原産地とするウリ科ラカンカ属の多年生つる植物)の果実の甘味成分は、小腸で吸収されることなく大腸まで達するため、食物繊維の一つに分類されます。
ステビアの甘味成分も同様で人体に吸収されないので、食物繊維に分類されるのかなと思います。
糖質+食物繊維=炭水化物です。
食物繊維は人体に消化吸収されないので、血糖値は上昇させないとされています。
☆☆☆
健康増進法における栄養表示基準では栄養成分表示を行う場合、基本表示は
<エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム>
の5成分表示とされています。
「炭水化物、糖質、糖類」を整理すると下記の如くにまとめることができます。
栄養表示基準上はたんぱく質や脂質、灰分(ミネラル分)のいずれにも分類されないものは炭水化物に計算。
①炭水化物=糖質+食物繊維
②糖質=糖類+糖アルコール+三糖類以上+合成甘味料
③糖類=単糖類+二糖類
*三糖類以上=オリゴ糖、多糖類(でんぷん、デキストリンなど)
*二糖類=ショ糖、麦芽糖、乳糖など
*単糖類=ブドウ糖、果糖、ガラクトースなど
*糖アルコール=エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトールなど
*合成甘味料=アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、ネオテーム
江部康二
2011年03月26日 (土)
こんにちは。
3月24日(木)ブログで
「1gの糖質が体重64kgの1型糖尿人の血糖値を約5mg上昇させます。炊いた白ご飯茶碗1杯150g(約250キロカロリー)には55.3gの糖質が含まれており、血糖値をピーク176mg上昇させます。体重32kgの1型糖尿病の小児なら約10mg上昇という計算になります。」
1型のお話しですので
176mg→276mg
に訂正です。
「1gの糖質が体重64kgの1型糖尿人の血糖値を約5mg上昇させます。炊いた白ご飯茶碗1杯150g(約250キロカロリー)には55.3gの糖質が含まれており、血糖値をピーク276mg上昇させます。体重32kgの1型糖尿病の小児なら約10mg上昇という計算になります。」
3月24日(木)ブログで
「1gの糖質が体重64kgの1型糖尿人の血糖値を約5mg上昇させます。炊いた白ご飯茶碗1杯150g(約250キロカロリー)には55.3gの糖質が含まれており、血糖値をピーク176mg上昇させます。体重32kgの1型糖尿病の小児なら約10mg上昇という計算になります。」
1型のお話しですので
176mg→276mg
に訂正です。
「1gの糖質が体重64kgの1型糖尿人の血糖値を約5mg上昇させます。炊いた白ご飯茶碗1杯150g(約250キロカロリー)には55.3gの糖質が含まれており、血糖値をピーク276mg上昇させます。体重32kgの1型糖尿病の小児なら約10mg上昇という計算になります。」
2011年03月24日 (木)
おはようございます。
今日は、これから札幌に出かけます。
医師20名が参加されているクリニカルサイエンス談話会で、糖質制限食のお話しをさせていただきます。
帰京したらまた報告いたします。
さて今回は、1型糖尿病の仙台のきょんさんから、「糖質制限食で血糖値の乱高下が改善」という嬉しいメールをいただきました。
【11/03/23 仙台のきょん
悲しきSPIDDM
初めてコメントさせて頂きます。仙台在住の者ですが 仕事で関東にたまたま出ており私はこうして無事に過ごしております。お陰様で 両親 親族も無事で 皆様のあったかい支援のお陰で 元の生活に戻りつつあるそうです。ホントにありがとうございます。そして今日 江部先生に診察して頂きました!まずまず合格点(笑)だったので 安心しました。わたしは44歳で 発症し すぐインスリン導入を開始でしたが、同時に痩せ形もあるのか、たった一単位でもBSのジェットコースターが始まり 毎日ぐるぐる眩暈。 体重はどんどん減り 食べる時も船酔い状態で 吐き気との闘い!でも その時の代謝科のDrはインスリンを沢山うって 沢山ご飯をたべろ!と言われ 私の体より データ重視で 腑に落ちない事だらけでした。体重が減る事は代謝異常だからじゃないのか?と聞いても 精神的なものとしてかたずけられ、 がっかりでした。毎日死ぬ思いで仕事に行き ぐったり帰り 真面目に こんな体ならいらないと思いました。そんな時 江部先生の本に出逢い 同時に東北では ただ お一人だと思いますが 糖質制限を薦めて下さった先生との 奇跡(笑)の出逢いが 重なり私は生きていく道を与えて頂きました。今では 体重もぐんぐん増え ひどい眩暈もなくなり 体力も少しずつついてきています。私のお年頃は女性ホンルモン的にも 微妙で プレ更年期の方もいらっしゃると思います。それが 重なると沢山の症状を抱え うつになってるとも 聞きます。私も もしあのまま スパイク症状を 抱えていたら 今 こうしてはいられなかったでしょう。悩みを抱えていらっしゃる ミドル シニア世代の皆様に 是非 私の体験をお伝えし 江部先生にご相談する勇気を持って頂きたいです!必ず 納得のいく答えが待っていると思います。 特に 女性に多いそうなので 漢方と併用すると良い感じがします。
今 高雄病院で買ってきた 大豆クッキー食べてます(^^) おいしいです(^^)v】
仙台のきょん さん。
コメントありがとうございます。京都の高雄病院への来院、お疲れ様でした。
東日本大地震の未曾有の災害の中、ご両親・ご親族ご無事で良かったです。
犠牲者の方々へのお悔やみ、負傷者及び被災者の方々へのお見舞いを申しあげますと共に、現地の復興・復旧が少しでも軌道に乗ればと願っています。
きょんさんは、「緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)」で、経過から見て既に内因性のインスリンが一定ていど減少している状態と思います。長時間作用型と毎食前の超速効型(或いは速効型)のインスリン注射で、強化療法を実践しておられます。
糖質制限食実践で、現在は体重も回復され、体力もついてきて、コントロール良好レベルなので一安心です。
糖質制限食に理解のある医師との出会い、とてもラッキーであり嬉しいことでしたね。
インスリン注射は1型糖尿病患者さんに必要不可欠なものですが、注射量は少なくてすむほど人体の代謝には優しいです。
また、インスリンの注射量が少なくてすむと、低血糖になりにくいのも利点です。
「1型糖尿病は、血糖値の乱高下があり、コントロールが困難である。」というのが、日本の常識なのですが、これはカロリー計算をして、糖質の摂取量の計算をしないことからくる弊害です。
1gの糖質が体重64kgの1型糖尿人の血糖値を約5mg上昇させます。炊いた白ご飯茶碗1杯150g(約250キロカロリー)には55.3gの糖質が含まれており、血糖値をピーク276mg上昇させます。体重32kgの1型糖尿病の小児なら約10mg上昇という計算になります。
一方、サーロインステーキ200g(約1000キロカロリー)には、糖質含有量は1gもありません。タンパク質は約46g含まれています。
2型糖尿人の場合、タンパク質は計算しなくていいのですが、バーンスタイン医師によれば1型糖尿人の場合、1gのタンパク質が血糖値を0.93mg上昇させます。
従って、サーロインステーキ200g(約1000キロカロリー)を1型糖尿人が食べたら、糖質分の上昇はほとんどありませんが、タンパク質分が約43mg血糖値を上昇させる計算です。
1型糖尿人は、余裕があるときは、タンパク質の計算もするとより正確に食後血糖値上昇の予測ができます。でも面倒くさいときは、糖質の計算だけでいいです。糖質の計算だけでも血糖値の乱高下は、ほぼ防ぐことができます。
なお、タンパク質が1型糖尿病の血糖値をどのていど上昇させるかは、今後の検討の余地があるところで、確定ではありませんので・・・。
一方、上述のご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算では食後血糖値の上昇は全く予測不能です。
そのため、従来の糖尿病食(カロリー制限が主)を摂取してインスリン注射をしている場合、低血糖と高血糖の繰り返しでジェットコースターのようになってしまいます。
きょんさんも、かつてカロリー計算主体でインスリン注射をしていた時は、血糖値の乱高下が生じて、めまい・嘔気・体重減少などが出現し生活の質が低下していたのだと思います。
ADA(米国糖尿病協会)の2008年度実施臨床勧告で「糖質のモニタリングは血糖管理の鍵となる」とgradeAで推奨し、「減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食、もしくは低炭水化物食によるダイエットが推奨される」と低糖質食(糖質制限食)を支持する見解が初めてだされました。
1型糖尿病患者さんに最適なのは糖質制限食ですが、それが困難な状況ならせめて糖質管理食を行えば、少なくとも血糖値の乱高下はなくなると思います。
ちなみに米国では、1型糖尿病患者さんには、糖質管理食はごく一般的に推奨されています。日本では、残念ながら糖尿病学会のガイドライン(2010)において、糖質管理食でさえも見事に無視されています。
ただここ、数年一部の糖尿病専門医は、1型糖尿病に糖質管理食を積極的に導入されており、とても好ましいことと思います。成人と異なり、小児の1型糖尿病では、糖質管理食を取り入れている医療機関は結構多いと思います。
江部康二
☆☆☆参考
<糖質管理食と糖質制限食>
三大栄養素である、糖質・脂質・タンパク質のうち、血糖値を急峻に上昇させるのは糖質だけです。これは、カロリーとは無関係の、各栄養素の生理学的特質です。
このことに注目して、糖質摂取を制限して血糖コントロールするのが、高雄病院で推奨する「糖質制限食(carbohydrate restriction)」です。
一方、糖質だけが血糖値を上昇させることを前提に、一回の食事の糖質摂取量を計算して、血糖コントロールをめざすのが糖質管理食(carbohydrate counting)で、欧米では定着している食事療法です。
これには、1993年に発表された米国の1型糖尿病研究・DCCTにおいて、糖質管理食が成功を収めたことが、大きく関係しています。
また、1999年度ミス・アメリカのニコール・ジョンソンさん(1型糖尿病)の食事療法が糖質管理食であり、本も書かれたことも欧米での普及に役立ちました。
日本では、欧米では一般的な糖質管理食もそれほど普及していないのが現状です。しかし、2005年の日本糖尿病学会総会で、米国から糖質管理食の専門医が招聘されてシンポジウムが開催された後、徐々に糖質管理食を導入する糖尿病専門医療機関が増えてきています。
また、2006年3月に「かんたんカーボカウント」(医薬ジャーナル)という糖質管理食の本が、大阪市大の小児科グループにより出版されました。
2008年1月の米国糖尿病協会(ADA)の栄養勧告では、「炭水化物をモニタリングすることは、炭水化物計算にしろ、炭水化物交換にしろ、経験に基づく評価にしろ、血糖コントロールを達成するための鍵となる戦略である。」と、炭水化物(糖質)を日常的に継続的に点検することを、強く推奨しています。この中の、炭水化物を計算する方法が、糖質管理食です。
糖質管理食は、基本的に3食とも主食(糖質)を摂取することを前提に、その糖質の一回の摂取量を計算します。血糖値を上昇させるのはほとんど糖質だけなので、例えば血糖コントロールに必要なインスリンの量を決めるのにはとても役に立ちます。
糖尿病というと、甘いもの(砂糖)がよくないと誰でも思いがちですが、実は、特に砂糖だけが、血糖コントロールに悪影響を与えるという事実はありません。
「ご飯もパンもせんべいもうどんもラーメンもケーキも砂糖も、その中に含まれている糖質の量に比例して、血糖値を上昇させる」ということが生理学的事実です。
糖質管理食は、糖質だけをグラム計算するシンプルな方法です。従来のカロリー制限優先の糖尿病食に比し、カロリー計算や食品交換表は不要なので、楽に実践できると思います。
いつも述べてますように、1gの糖質が2型糖尿病の人の血糖値を約3mg、1型糖尿病の人の血糖値を約5g上昇させます。
「糖質→血糖値上昇」というシンプルな事柄に着目した糖尿病の食事療法という意味では、欧米の「糖質管理食」と高雄病院の「糖質制限食」は親戚筋といえます。
「糖質管理食」という考え方をさらに発展させ、3食とも主食を摂取しなくても良いと徹底したのが、高雄病院の「糖質制限食」という見方もできます。
1型糖尿病、2型糖尿病でもインスリン注射をしている糖尿人は、主治医とよく相談されて、糖質制限食が無理なら、せめて糖質管理食を実践されると、血糖値の乱高下がなくなり、コントロールしやすくなりますよ。
今日は、これから札幌に出かけます。
医師20名が参加されているクリニカルサイエンス談話会で、糖質制限食のお話しをさせていただきます。
帰京したらまた報告いたします。
さて今回は、1型糖尿病の仙台のきょんさんから、「糖質制限食で血糖値の乱高下が改善」という嬉しいメールをいただきました。
【11/03/23 仙台のきょん
悲しきSPIDDM
初めてコメントさせて頂きます。仙台在住の者ですが 仕事で関東にたまたま出ており私はこうして無事に過ごしております。お陰様で 両親 親族も無事で 皆様のあったかい支援のお陰で 元の生活に戻りつつあるそうです。ホントにありがとうございます。そして今日 江部先生に診察して頂きました!まずまず合格点(笑)だったので 安心しました。わたしは44歳で 発症し すぐインスリン導入を開始でしたが、同時に痩せ形もあるのか、たった一単位でもBSのジェットコースターが始まり 毎日ぐるぐる眩暈。 体重はどんどん減り 食べる時も船酔い状態で 吐き気との闘い!でも その時の代謝科のDrはインスリンを沢山うって 沢山ご飯をたべろ!と言われ 私の体より データ重視で 腑に落ちない事だらけでした。体重が減る事は代謝異常だからじゃないのか?と聞いても 精神的なものとしてかたずけられ、 がっかりでした。毎日死ぬ思いで仕事に行き ぐったり帰り 真面目に こんな体ならいらないと思いました。そんな時 江部先生の本に出逢い 同時に東北では ただ お一人だと思いますが 糖質制限を薦めて下さった先生との 奇跡(笑)の出逢いが 重なり私は生きていく道を与えて頂きました。今では 体重もぐんぐん増え ひどい眩暈もなくなり 体力も少しずつついてきています。私のお年頃は女性ホンルモン的にも 微妙で プレ更年期の方もいらっしゃると思います。それが 重なると沢山の症状を抱え うつになってるとも 聞きます。私も もしあのまま スパイク症状を 抱えていたら 今 こうしてはいられなかったでしょう。悩みを抱えていらっしゃる ミドル シニア世代の皆様に 是非 私の体験をお伝えし 江部先生にご相談する勇気を持って頂きたいです!必ず 納得のいく答えが待っていると思います。 特に 女性に多いそうなので 漢方と併用すると良い感じがします。
今 高雄病院で買ってきた 大豆クッキー食べてます(^^) おいしいです(^^)v】
仙台のきょん さん。
コメントありがとうございます。京都の高雄病院への来院、お疲れ様でした。
東日本大地震の未曾有の災害の中、ご両親・ご親族ご無事で良かったです。
犠牲者の方々へのお悔やみ、負傷者及び被災者の方々へのお見舞いを申しあげますと共に、現地の復興・復旧が少しでも軌道に乗ればと願っています。
きょんさんは、「緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)」で、経過から見て既に内因性のインスリンが一定ていど減少している状態と思います。長時間作用型と毎食前の超速効型(或いは速効型)のインスリン注射で、強化療法を実践しておられます。
糖質制限食実践で、現在は体重も回復され、体力もついてきて、コントロール良好レベルなので一安心です。
糖質制限食に理解のある医師との出会い、とてもラッキーであり嬉しいことでしたね。
インスリン注射は1型糖尿病患者さんに必要不可欠なものですが、注射量は少なくてすむほど人体の代謝には優しいです。
また、インスリンの注射量が少なくてすむと、低血糖になりにくいのも利点です。
「1型糖尿病は、血糖値の乱高下があり、コントロールが困難である。」というのが、日本の常識なのですが、これはカロリー計算をして、糖質の摂取量の計算をしないことからくる弊害です。
1gの糖質が体重64kgの1型糖尿人の血糖値を約5mg上昇させます。炊いた白ご飯茶碗1杯150g(約250キロカロリー)には55.3gの糖質が含まれており、血糖値をピーク276mg上昇させます。体重32kgの1型糖尿病の小児なら約10mg上昇という計算になります。
一方、サーロインステーキ200g(約1000キロカロリー)には、糖質含有量は1gもありません。タンパク質は約46g含まれています。
2型糖尿人の場合、タンパク質は計算しなくていいのですが、バーンスタイン医師によれば1型糖尿人の場合、1gのタンパク質が血糖値を0.93mg上昇させます。
従って、サーロインステーキ200g(約1000キロカロリー)を1型糖尿人が食べたら、糖質分の上昇はほとんどありませんが、タンパク質分が約43mg血糖値を上昇させる計算です。
1型糖尿人は、余裕があるときは、タンパク質の計算もするとより正確に食後血糖値上昇の予測ができます。でも面倒くさいときは、糖質の計算だけでいいです。糖質の計算だけでも血糖値の乱高下は、ほぼ防ぐことができます。
なお、タンパク質が1型糖尿病の血糖値をどのていど上昇させるかは、今後の検討の余地があるところで、確定ではありませんので・・・。
一方、上述のご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算では食後血糖値の上昇は全く予測不能です。
そのため、従来の糖尿病食(カロリー制限が主)を摂取してインスリン注射をしている場合、低血糖と高血糖の繰り返しでジェットコースターのようになってしまいます。
きょんさんも、かつてカロリー計算主体でインスリン注射をしていた時は、血糖値の乱高下が生じて、めまい・嘔気・体重減少などが出現し生活の質が低下していたのだと思います。
ADA(米国糖尿病協会)の2008年度実施臨床勧告で「糖質のモニタリングは血糖管理の鍵となる」とgradeAで推奨し、「減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食、もしくは低炭水化物食によるダイエットが推奨される」と低糖質食(糖質制限食)を支持する見解が初めてだされました。
1型糖尿病患者さんに最適なのは糖質制限食ですが、それが困難な状況ならせめて糖質管理食を行えば、少なくとも血糖値の乱高下はなくなると思います。
ちなみに米国では、1型糖尿病患者さんには、糖質管理食はごく一般的に推奨されています。日本では、残念ながら糖尿病学会のガイドライン(2010)において、糖質管理食でさえも見事に無視されています。
ただここ、数年一部の糖尿病専門医は、1型糖尿病に糖質管理食を積極的に導入されており、とても好ましいことと思います。成人と異なり、小児の1型糖尿病では、糖質管理食を取り入れている医療機関は結構多いと思います。
江部康二
☆☆☆参考
<糖質管理食と糖質制限食>
三大栄養素である、糖質・脂質・タンパク質のうち、血糖値を急峻に上昇させるのは糖質だけです。これは、カロリーとは無関係の、各栄養素の生理学的特質です。
このことに注目して、糖質摂取を制限して血糖コントロールするのが、高雄病院で推奨する「糖質制限食(carbohydrate restriction)」です。
一方、糖質だけが血糖値を上昇させることを前提に、一回の食事の糖質摂取量を計算して、血糖コントロールをめざすのが糖質管理食(carbohydrate counting)で、欧米では定着している食事療法です。
これには、1993年に発表された米国の1型糖尿病研究・DCCTにおいて、糖質管理食が成功を収めたことが、大きく関係しています。
また、1999年度ミス・アメリカのニコール・ジョンソンさん(1型糖尿病)の食事療法が糖質管理食であり、本も書かれたことも欧米での普及に役立ちました。
日本では、欧米では一般的な糖質管理食もそれほど普及していないのが現状です。しかし、2005年の日本糖尿病学会総会で、米国から糖質管理食の専門医が招聘されてシンポジウムが開催された後、徐々に糖質管理食を導入する糖尿病専門医療機関が増えてきています。
また、2006年3月に「かんたんカーボカウント」(医薬ジャーナル)という糖質管理食の本が、大阪市大の小児科グループにより出版されました。
2008年1月の米国糖尿病協会(ADA)の栄養勧告では、「炭水化物をモニタリングすることは、炭水化物計算にしろ、炭水化物交換にしろ、経験に基づく評価にしろ、血糖コントロールを達成するための鍵となる戦略である。」と、炭水化物(糖質)を日常的に継続的に点検することを、強く推奨しています。この中の、炭水化物を計算する方法が、糖質管理食です。
糖質管理食は、基本的に3食とも主食(糖質)を摂取することを前提に、その糖質の一回の摂取量を計算します。血糖値を上昇させるのはほとんど糖質だけなので、例えば血糖コントロールに必要なインスリンの量を決めるのにはとても役に立ちます。
糖尿病というと、甘いもの(砂糖)がよくないと誰でも思いがちですが、実は、特に砂糖だけが、血糖コントロールに悪影響を与えるという事実はありません。
「ご飯もパンもせんべいもうどんもラーメンもケーキも砂糖も、その中に含まれている糖質の量に比例して、血糖値を上昇させる」ということが生理学的事実です。
糖質管理食は、糖質だけをグラム計算するシンプルな方法です。従来のカロリー制限優先の糖尿病食に比し、カロリー計算や食品交換表は不要なので、楽に実践できると思います。
いつも述べてますように、1gの糖質が2型糖尿病の人の血糖値を約3mg、1型糖尿病の人の血糖値を約5g上昇させます。
「糖質→血糖値上昇」というシンプルな事柄に着目した糖尿病の食事療法という意味では、欧米の「糖質管理食」と高雄病院の「糖質制限食」は親戚筋といえます。
「糖質管理食」という考え方をさらに発展させ、3食とも主食を摂取しなくても良いと徹底したのが、高雄病院の「糖質制限食」という見方もできます。
1型糖尿病、2型糖尿病でもインスリン注射をしている糖尿人は、主治医とよく相談されて、糖質制限食が無理なら、せめて糖質管理食を実践されると、血糖値の乱高下がなくなり、コントロールしやすくなりますよ。
2011年03月23日 (水)
こんにちは。
下記のユーチューブへのリンクをクリックしていただくと、とても嬉しいです。
よろしくお願い申し上げます。江部康二。 m(_ _)m
さて。
1型糖尿病や2型糖尿病、また妊娠糖尿病など、皆さん言葉は聞いたことはあるでしょうが、その実態はというと、案外誤解されていることも多いので、復習を兼ねて整理整頓してみます。
糖尿病の分類ですが、最近は従来の
インスリン依存型糖尿病(IDDM)、
インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)
という言い方はしなくなりました。
糖尿病を病因による分類と、現在の状態を表す分類に整理した方が、すっきりするからです。
■病因による分類
1)1型糖尿病(従来のIDDMとほぼ一致)
1型糖尿病は、膵β細胞の破壊によりインスリン分泌が枯渇し発症します。小児期に起こることが多いため、小児糖尿病とも呼ばれます。近年、1型糖尿病の多くは、自己免疫機序(免疫の誤作動)により数ヶ月~数年にわたってβ細胞が破壊され、発症することが明らかになってきました(自己免疫性1型糖尿病)。
従って、1型糖尿病は、生活習慣病でも先天性の病気でもありません。過去の何らかのウイルス感染が、免疫の誤作動のきっかけになっている場合が多いのですが、ウイルス感染は、とっくに治った後の出来事ですから、1型糖尿病が感染することはありません。
2型糖尿病ほど色濃い遺伝は関与しませんが、何らかのウィルスに感染しやすい、あるいは、感染後に免疫の誤作動を起こしやすい遺伝的体質はあるようです。欧米のデータでは、1型糖尿病と診断された小児の10~12%のみに、1型糖尿病の一親等の血縁者がいるとされており、一卵性双生児の1型糖尿病同時発生率は、50%以下です。
1型糖尿病の頻度は、日本人では、欧米の白人に比べて明らかに低く、10~20分の一と言われています。例えば日本の小児の1型糖尿病は、ノルウェーの20分の1、米国の約15分の1です。
1型糖尿病は、一般的にはインスリンが出ていないことと、1型糖尿病に特徴的な自己抗体(抗GAD抗体など)を血液検査で確認して診断を行います。
1型糖尿病は、一般にはインスリンを分泌する膵臓のβ細胞が壊れてしまうので、インスリン注射をしなければ生きていけない病態です。
しかし、抗GAD抗体が陽性で1型糖尿病と診断されても、インスリン分泌能力が残っている場合があります。
今後数年以内にインスリン分泌能が低下し、インスリン依存状態に移行する可能性が高いのですが、このタイプを「緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)」と呼びます。
なお、自己免疫異常の明らかでない1型糖尿病も存在します(特発性1型糖尿病)。
*
糖質制限食は、1型糖尿病に効果があります。
1型糖尿病では、例えば超速効型インスリンの量を1/3以下に減らすことが可能になります。
2)2型糖尿病(従来のNIDDMとほぼ一致)
インスリン分泌低下とインスリン抵抗性の二つの要因により、結果としてインスリン作用不足となり、発症する糖尿病です。
インスリン抵抗性とは、肥満などの要因によりインスリンの効きが悪くなることです。例えば、今までは5μU/ml ていどの量のインスリンで筋肉細胞が血糖値を取り込めていたのが、抵抗性があると、10とか20μU/mlの量がないと取り込めなくなるのです。
欧米では、インスリン抵抗性が高い状態の方が主たる原因として多いのですが、日本では、膵臓のインスリン分泌能低下の方が重要な原因となります。これは、インスリン分泌能力が、日本人やアジア人は、欧米白人より弱いことによります。
遺伝的因子と生活習慣が、からみあって発症する生活習慣病です。日本の糖尿病の95%以上は、2型糖尿病です。
欧米人に比べ、日本人は肥満者も少ないのに 2型糖尿病が多いのは、日本人が、民族的に2型糖尿病になりやすい体質(遺伝的素因)を 持っているためと考えられます。
遺伝的素因が日本人と同じ日系2世米国人で、 日本人よりも2~3倍、米国の白人と比べると数倍以上の差で糖尿病が多いといわれています。
親や肉親が糖尿病だと、糖尿病の家族歴がない人に比べて 糖尿病になりやすいことは間違いありません。しかし、遺伝するのは糖尿病そのものではなく、「糖尿病になりやすい体質」です。 この体質を持った人に、食べ過ぎ、運動不足、肥満、加齢、ストレス、など様々な環境因子が加わってはじめて2型糖尿病が発症すると考えられています。
私、江部康二のように、、両親が2型糖尿病だったら40~50%の確率で2型糖尿病を発症します。
*上記は医学界の共通認識ですが、食べ過ぎに関しては、私は特に精製された炭水化物の頻回・過剰摂取が問題と考えています。
「ヒューマン・ニュートリション 基礎・食事・臨床 2004 第10版」 日本語版監修 細谷憲政 医歯薬出版(英国の栄養学の権威ある教科書)にも同様の見解が述べてあります。(75ページ)
なお江部康二は、糖質を摂取すれば糖尿人、も糖質制限食を実践する限りは正常人です。
**
糖質制限食は、2型糖尿病に効果があります。2型糖尿病ではインスリン・経口薬の減量、場合により離脱が可能です。
3)その他の特定機序、疾患によるもの
ホルモン関連の病気、肝臓病、感染症、ステロイド薬内服・・・
膵β細胞機能にかかわる遺伝子異常、
インスリン作用の伝達機構にかかわる遺伝子異常
*この範疇の糖尿病は原疾患の治療や薬物の減量・離脱などが、根本的治療に繋がることが多いのですが、高血糖に関しては、糖質制限食が有効です。
4)妊娠糖尿病 (GDM)
妊娠糖尿病の新診断基準が、日本糖尿病学会から、2010年7月1日発効で、発表されました。この基準は、国際的にも同様です。
75gOGTTにおいて次の基準の1点以上を満たした場合に診断する。
1.空腹時血糖値 ≧92mg/dl (5.1mmol/l)
2.1時間値 ≧180mg/dl (10.0mmol/l)
3.2時間値 ≧153mg/dl (8.5mmol/l)
日本の血糖値の単位は、mg/dlです。欧米はmmol/lです。
mmol/lのデータに18をかけると、mg/dlのデータになります。
<日本糖尿病学会の妊娠中の血糖値コントロール目標>
空腹時血糖値100mg/dl未満、(5.56mmol/l未満)
食後1時間値140mg/dl未満、(7.78mmol/l未満)
食後2時間血糖値120mg/dl未満、(6.67mmol/l未満)
HbA1c5.8%未満、JDS値、(NGSP値の欧米では6.2%未満)
*妊娠糖尿病にも糖質制限食が有効です。
■糖尿病の状態の表現
1)インスリン依存状態
2)インスリン非依存状態
普通は、1型糖尿病はインスリン依存状態で、2型糖尿病はインスリン非依存状態かなと、誰でも思いますよね。
でも、事はそれほどシンプルではありません。
例えば1型糖尿病でも、数年かけてゆっくり膵臓のβ細胞が破壊されるタイプであれば、発症後数年は、インスリン非依存状態でコントロールできることもあるわけです。まあ、さすがに10年以上、非依存状態というのはやや困難とは思いますが・・・。
一方、2型糖尿病でも、糖毒状態で悪循環していれば、徐々に膵臓のβ細胞が壊れていくわけですから、10年・20年・30年レベルの年期の入った糖尿病だったら、自前のインスリン分泌がほとんどない患者さんもでてきます。こうなると2型糖尿病でも、インスリン依存状態となるわけです。
また、2型糖尿病の人が感染症、外科的処置などによりインスリン需要が増大する場合も、インスリン注射を必要としますので、一時的なインスリン依存状態といえます。
江部康二
下記のユーチューブへのリンクをクリックしていただくと、とても嬉しいです。
よろしくお願い申し上げます。江部康二。 m(_ _)m
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糖質制限食の第一人者、高雄病院理事長、江部康二医師の講演が臨場感溢れるDVDに。二つの講演会を収録し、この一枚に糖質制限食のエッセンスを凝縮!お求めはこちらから http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.phpさて。
1型糖尿病や2型糖尿病、また妊娠糖尿病など、皆さん言葉は聞いたことはあるでしょうが、その実態はというと、案外誤解されていることも多いので、復習を兼ねて整理整頓してみます。
糖尿病の分類ですが、最近は従来の
インスリン依存型糖尿病(IDDM)、
インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)
という言い方はしなくなりました。
糖尿病を病因による分類と、現在の状態を表す分類に整理した方が、すっきりするからです。
■病因による分類
1)1型糖尿病(従来のIDDMとほぼ一致)
1型糖尿病は、膵β細胞の破壊によりインスリン分泌が枯渇し発症します。小児期に起こることが多いため、小児糖尿病とも呼ばれます。近年、1型糖尿病の多くは、自己免疫機序(免疫の誤作動)により数ヶ月~数年にわたってβ細胞が破壊され、発症することが明らかになってきました(自己免疫性1型糖尿病)。
従って、1型糖尿病は、生活習慣病でも先天性の病気でもありません。過去の何らかのウイルス感染が、免疫の誤作動のきっかけになっている場合が多いのですが、ウイルス感染は、とっくに治った後の出来事ですから、1型糖尿病が感染することはありません。
2型糖尿病ほど色濃い遺伝は関与しませんが、何らかのウィルスに感染しやすい、あるいは、感染後に免疫の誤作動を起こしやすい遺伝的体質はあるようです。欧米のデータでは、1型糖尿病と診断された小児の10~12%のみに、1型糖尿病の一親等の血縁者がいるとされており、一卵性双生児の1型糖尿病同時発生率は、50%以下です。
1型糖尿病の頻度は、日本人では、欧米の白人に比べて明らかに低く、10~20分の一と言われています。例えば日本の小児の1型糖尿病は、ノルウェーの20分の1、米国の約15分の1です。
1型糖尿病は、一般的にはインスリンが出ていないことと、1型糖尿病に特徴的な自己抗体(抗GAD抗体など)を血液検査で確認して診断を行います。
1型糖尿病は、一般にはインスリンを分泌する膵臓のβ細胞が壊れてしまうので、インスリン注射をしなければ生きていけない病態です。
しかし、抗GAD抗体が陽性で1型糖尿病と診断されても、インスリン分泌能力が残っている場合があります。
今後数年以内にインスリン分泌能が低下し、インスリン依存状態に移行する可能性が高いのですが、このタイプを「緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)」と呼びます。
なお、自己免疫異常の明らかでない1型糖尿病も存在します(特発性1型糖尿病)。
*
糖質制限食は、1型糖尿病に効果があります。
1型糖尿病では、例えば超速効型インスリンの量を1/3以下に減らすことが可能になります。
2)2型糖尿病(従来のNIDDMとほぼ一致)
インスリン分泌低下とインスリン抵抗性の二つの要因により、結果としてインスリン作用不足となり、発症する糖尿病です。
インスリン抵抗性とは、肥満などの要因によりインスリンの効きが悪くなることです。例えば、今までは5μU/ml ていどの量のインスリンで筋肉細胞が血糖値を取り込めていたのが、抵抗性があると、10とか20μU/mlの量がないと取り込めなくなるのです。
欧米では、インスリン抵抗性が高い状態の方が主たる原因として多いのですが、日本では、膵臓のインスリン分泌能低下の方が重要な原因となります。これは、インスリン分泌能力が、日本人やアジア人は、欧米白人より弱いことによります。
遺伝的因子と生活習慣が、からみあって発症する生活習慣病です。日本の糖尿病の95%以上は、2型糖尿病です。
欧米人に比べ、日本人は肥満者も少ないのに 2型糖尿病が多いのは、日本人が、民族的に2型糖尿病になりやすい体質(遺伝的素因)を 持っているためと考えられます。
遺伝的素因が日本人と同じ日系2世米国人で、 日本人よりも2~3倍、米国の白人と比べると数倍以上の差で糖尿病が多いといわれています。
親や肉親が糖尿病だと、糖尿病の家族歴がない人に比べて 糖尿病になりやすいことは間違いありません。しかし、遺伝するのは糖尿病そのものではなく、「糖尿病になりやすい体質」です。 この体質を持った人に、食べ過ぎ、運動不足、肥満、加齢、ストレス、など様々な環境因子が加わってはじめて2型糖尿病が発症すると考えられています。
私、江部康二のように、、両親が2型糖尿病だったら40~50%の確率で2型糖尿病を発症します。
*上記は医学界の共通認識ですが、食べ過ぎに関しては、私は特に精製された炭水化物の頻回・過剰摂取が問題と考えています。
「ヒューマン・ニュートリション 基礎・食事・臨床 2004 第10版」 日本語版監修 細谷憲政 医歯薬出版(英国の栄養学の権威ある教科書)にも同様の見解が述べてあります。(75ページ)
なお江部康二は、糖質を摂取すれば糖尿人、も糖質制限食を実践する限りは正常人です。
**
糖質制限食は、2型糖尿病に効果があります。2型糖尿病ではインスリン・経口薬の減量、場合により離脱が可能です。
3)その他の特定機序、疾患によるもの
ホルモン関連の病気、肝臓病、感染症、ステロイド薬内服・・・
膵β細胞機能にかかわる遺伝子異常、
インスリン作用の伝達機構にかかわる遺伝子異常
*この範疇の糖尿病は原疾患の治療や薬物の減量・離脱などが、根本的治療に繋がることが多いのですが、高血糖に関しては、糖質制限食が有効です。
4)妊娠糖尿病 (GDM)
妊娠糖尿病の新診断基準が、日本糖尿病学会から、2010年7月1日発効で、発表されました。この基準は、国際的にも同様です。
75gOGTTにおいて次の基準の1点以上を満たした場合に診断する。
1.空腹時血糖値 ≧92mg/dl (5.1mmol/l)
2.1時間値 ≧180mg/dl (10.0mmol/l)
3.2時間値 ≧153mg/dl (8.5mmol/l)
日本の血糖値の単位は、mg/dlです。欧米はmmol/lです。
mmol/lのデータに18をかけると、mg/dlのデータになります。
<日本糖尿病学会の妊娠中の血糖値コントロール目標>
空腹時血糖値100mg/dl未満、(5.56mmol/l未満)
食後1時間値140mg/dl未満、(7.78mmol/l未満)
食後2時間血糖値120mg/dl未満、(6.67mmol/l未満)
HbA1c5.8%未満、JDS値、(NGSP値の欧米では6.2%未満)
*妊娠糖尿病にも糖質制限食が有効です。
■糖尿病の状態の表現
1)インスリン依存状態
2)インスリン非依存状態
普通は、1型糖尿病はインスリン依存状態で、2型糖尿病はインスリン非依存状態かなと、誰でも思いますよね。
でも、事はそれほどシンプルではありません。
例えば1型糖尿病でも、数年かけてゆっくり膵臓のβ細胞が破壊されるタイプであれば、発症後数年は、インスリン非依存状態でコントロールできることもあるわけです。まあ、さすがに10年以上、非依存状態というのはやや困難とは思いますが・・・。
一方、2型糖尿病でも、糖毒状態で悪循環していれば、徐々に膵臓のβ細胞が壊れていくわけですから、10年・20年・30年レベルの年期の入った糖尿病だったら、自前のインスリン分泌がほとんどない患者さんもでてきます。こうなると2型糖尿病でも、インスリン依存状態となるわけです。
また、2型糖尿病の人が感染症、外科的処置などによりインスリン需要が増大する場合も、インスリン注射を必要としますので、一時的なインスリン依存状態といえます。
江部康二
2011年03月22日 (火)
おはようございます。
旧友の小池弘人先生が、
ふくらはぎ「もみ押し」健康法 (静山社文庫)
を出版されました。
小池弘人先生は、群馬大学医学部の学生時代から高雄病院に何度も来られて、漢方の勉強に熱心に取り組んでおられました。
時は流れて、今や統合医療の先駆者として、幅広い立場から診療に取り組まれ活躍しておられます。
糖質制限食にも造詣が深く、患者さんにも指導され、ご自身も実践されて減量に成功されています。
2010年3月13日(土)には、東京・飯田橋で、
「主食を抜けば糖尿病はよくなる」現代病を治す糖質制限食
と題して、小池先生と江部康二のジョイント講演会も行いました。
ふくらはぎ「もみ押し」健康法 (静山社文庫) は、統合医療というとても幅広い立場から、自宅で日常的に継続可能な健康法について簡単にわかりやすく書いてあります。
統合医療や漢方、鍼灸に興味があるかたは是非ご一読下さいね。
小池統合医療クリニック
http://www.koikeclinic.com/
統合医療という範疇なので健康保険が効かないのが唯一の難点なのですが、小池先生、良心的でとても温かい性格の持ち主です。統合医療に興味がある方は、是非どーぞ。
江部康二
☆☆☆
小池 弘人先生
東京生まれ。
1995年群馬大学医学部医学科卒業。東京女子医大病院内科ローテート研修後、
2001年 群馬大学大学院医学研究科内科学系卒業(医学博士)。
群馬大学医学部文部科学教官助手、同医学部内講師として、統合医療並びに臨床生理学の教育・研究に従事しつつ、
2001年、統合医療の世界的指導者アンドリュー・ワイル博士率いる、米国アリゾナ大学統合医療プログラムへ短期留学。
2002年~2004年、同大学統合医療プログラムのアソシエイトフェローとして選出、統合医療の実践を研鑽。
2005年より東京女子医科大学附属青山女性・自然医療研究所クリニック医師として統合医療外来を担当。
2007年1月13日より小池統合医療クリニックを開設し現在に至る。
2006年4月より群馬大学医学部非常勤講師として、群馬大学医学部にて統合医療として初めての独立科目である「統合保健医療論」を担当、学生教育にも従事。
ほか医療雑誌の連載などを通じ、幅広く統合医療についての啓蒙を行っている。
旧友の小池弘人先生が、
ふくらはぎ「もみ押し」健康法 (静山社文庫)
を出版されました。
小池弘人先生は、群馬大学医学部の学生時代から高雄病院に何度も来られて、漢方の勉強に熱心に取り組んでおられました。
時は流れて、今や統合医療の先駆者として、幅広い立場から診療に取り組まれ活躍しておられます。
糖質制限食にも造詣が深く、患者さんにも指導され、ご自身も実践されて減量に成功されています。
2010年3月13日(土)には、東京・飯田橋で、
「主食を抜けば糖尿病はよくなる」現代病を治す糖質制限食
と題して、小池先生と江部康二のジョイント講演会も行いました。
ふくらはぎ「もみ押し」健康法 (静山社文庫) は、統合医療というとても幅広い立場から、自宅で日常的に継続可能な健康法について簡単にわかりやすく書いてあります。
統合医療や漢方、鍼灸に興味があるかたは是非ご一読下さいね。
小池統合医療クリニック
http://www.koikeclinic.com/
統合医療という範疇なので健康保険が効かないのが唯一の難点なのですが、小池先生、良心的でとても温かい性格の持ち主です。統合医療に興味がある方は、是非どーぞ。
江部康二
☆☆☆
小池 弘人先生
東京生まれ。
1995年群馬大学医学部医学科卒業。東京女子医大病院内科ローテート研修後、
2001年 群馬大学大学院医学研究科内科学系卒業(医学博士)。
群馬大学医学部文部科学教官助手、同医学部内講師として、統合医療並びに臨床生理学の教育・研究に従事しつつ、
2001年、統合医療の世界的指導者アンドリュー・ワイル博士率いる、米国アリゾナ大学統合医療プログラムへ短期留学。
2002年~2004年、同大学統合医療プログラムのアソシエイトフェローとして選出、統合医療の実践を研鑽。
2005年より東京女子医科大学附属青山女性・自然医療研究所クリニック医師として統合医療外来を担当。
2007年1月13日より小池統合医療クリニックを開設し現在に至る。
2006年4月より群馬大学医学部非常勤講師として、群馬大学医学部にて統合医療として初めての独立科目である「統合保健医療論」を担当、学生教育にも従事。
ほか医療雑誌の連載などを通じ、幅広く統合医療についての啓蒙を行っている。
2011年03月21日 (月)
こんばんは。
1型のみいこさんから、ランタスやビクトーザのことと眼科検診について、コメント・質問をいただきました。
【11/03/21 みいこ
網膜症のチェックについて
とても有意義な一歩になったようで何よりですね。
何回かコメントにて質問させていただいております、みいこです。
11月下旬から糖質制限を始めて、ジャヌビアだけでHbA1c9.2から6.6まで下がり体調もよく喜んでおります。
今回お聞きしたいのは、 網膜症の検診のタイミングについてです。
前回は去年の12月中旬に眼科で検査をし、異常なしでした。
当時のHbA1cは8.5で、 今年1月は6.5,2月も6.5,今月は6.6%でした。
ただ、1型のためか暁現象が頻発しており、 生理の前から最中の約2週間程は早朝空腹時血糖が200を越える事が多く、ランタスもしくはインクレチンの自己注射を検討中です(なるべく注射はしたくないのですが)
体調や気分はいいのですが、数値が高いので血管が傷ついているだろうと心配です。
前回の網膜症の検査から3ヶ月過ぎましたので、そろそろ検査した方が良いかなと思っていますが、半年に1度位でも大丈夫かなとも思うのですが、先生のご意見を伺えればと思います。
お手すきの時で結構ですのでよろしくお願いいたします。
ちなみに現在身長154cm
体重44kg 42才 女です。】
みいこさん。
「11月下旬から糖質制限を始めて、ジャヌビアだけでHbA1c9.2から6.6まで下がり体調もよく喜んでおります。」
HbA1cの改善、良かったですね。
1型でも、糖質制限食とジャヌビアだけで(インスリン注射なしで)「HbA1c9.2%→6.6%」に改善しておられますので、ご自身の内因性のインスリンはまだ残っていますね。いわゆる緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)だと考えられます。
1型糖尿病は、一般にはインスリンを分泌する膵臓のβ細胞が、免疫の誤作動で壊れてしまうので、インスリン注射をしなければ生きていけない病態です。
しかし、抗GAD抗体が陽性で1型糖尿病と診断されても、しばらくインスリン分泌能力が残っている場合があります。
今後数年以内にインスリン分泌能が低下し、インスリン依存状態に移行する可能性が高いのですが、このタイプを「緩徐進行1型糖尿病」と呼びます。
みいこさん、1型ということなら、ジャヌビア内服よりは、ランタス注射が好ましいと思います。
確かにゆっくりタイプの1型では、スーパー糖質制限食で、たまにインスリンなしで血糖コントロール良好な人もおられます。
ただ、
「生理の前から最中の約2週間程は早朝空腹時血糖が200を越える」
ということであれば、膵臓β細胞の保護、高血糖による動脈硬化予防のために、ランタスで、早朝空腹時血糖値「90~125mg」を保つのが安全と思います。
緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)の段階で、ランタス注射などにより血糖コントロール良好を維持すると、膵臓のβ細胞の破壊が進行しにくいことがわかっています。
必要なら、ヒューマログやノボラピッドなどの超速効型インスリン併用も考慮します。
いずれにせよ、SPIDDMの段階なら、インスリンの量が少なくてすみます。
さらに糖質制限食を実践なら、インスリンの量は極小でOKとなります。
自前の内因性インスリンが残っているのと、完全にゼロになるのでは、生体への影響は大きく異なりますので、インスリンの早期介入もおおいにありなのです。
なお、ビクトーザ(インクレチン注射薬)は、1型は使用適応にならないと思います。
インクレチンは血糖が高いときに、膵β細胞を刺激して、インスリンをださせる消化管のホルモンです。
従って、膵臓のβ細胞が破壊されるタイプの1型糖尿病には、効果は期待できませんし、あくまでも2型糖尿病が対象で、1型には保険適応もないと思います。
最後になりましたが、眼科検診が前回正常ならば、1/半年の健診で充分です。何かあれば眼科の先生が、3ヶ月後とか1ヶ月後の受診を奨められると思いますよ。
江部康二
1型のみいこさんから、ランタスやビクトーザのことと眼科検診について、コメント・質問をいただきました。
【11/03/21 みいこ
網膜症のチェックについて
とても有意義な一歩になったようで何よりですね。
何回かコメントにて質問させていただいております、みいこです。
11月下旬から糖質制限を始めて、ジャヌビアだけでHbA1c9.2から6.6まで下がり体調もよく喜んでおります。
今回お聞きしたいのは、 網膜症の検診のタイミングについてです。
前回は去年の12月中旬に眼科で検査をし、異常なしでした。
当時のHbA1cは8.5で、 今年1月は6.5,2月も6.5,今月は6.6%でした。
ただ、1型のためか暁現象が頻発しており、 生理の前から最中の約2週間程は早朝空腹時血糖が200を越える事が多く、ランタスもしくはインクレチンの自己注射を検討中です(なるべく注射はしたくないのですが)
体調や気分はいいのですが、数値が高いので血管が傷ついているだろうと心配です。
前回の網膜症の検査から3ヶ月過ぎましたので、そろそろ検査した方が良いかなと思っていますが、半年に1度位でも大丈夫かなとも思うのですが、先生のご意見を伺えればと思います。
お手すきの時で結構ですのでよろしくお願いいたします。
ちなみに現在身長154cm
体重44kg 42才 女です。】
みいこさん。
「11月下旬から糖質制限を始めて、ジャヌビアだけでHbA1c9.2から6.6まで下がり体調もよく喜んでおります。」
HbA1cの改善、良かったですね。
1型でも、糖質制限食とジャヌビアだけで(インスリン注射なしで)「HbA1c9.2%→6.6%」に改善しておられますので、ご自身の内因性のインスリンはまだ残っていますね。いわゆる緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)だと考えられます。
1型糖尿病は、一般にはインスリンを分泌する膵臓のβ細胞が、免疫の誤作動で壊れてしまうので、インスリン注射をしなければ生きていけない病態です。
しかし、抗GAD抗体が陽性で1型糖尿病と診断されても、しばらくインスリン分泌能力が残っている場合があります。
今後数年以内にインスリン分泌能が低下し、インスリン依存状態に移行する可能性が高いのですが、このタイプを「緩徐進行1型糖尿病」と呼びます。
みいこさん、1型ということなら、ジャヌビア内服よりは、ランタス注射が好ましいと思います。
確かにゆっくりタイプの1型では、スーパー糖質制限食で、たまにインスリンなしで血糖コントロール良好な人もおられます。
ただ、
「生理の前から最中の約2週間程は早朝空腹時血糖が200を越える」
ということであれば、膵臓β細胞の保護、高血糖による動脈硬化予防のために、ランタスで、早朝空腹時血糖値「90~125mg」を保つのが安全と思います。
緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)の段階で、ランタス注射などにより血糖コントロール良好を維持すると、膵臓のβ細胞の破壊が進行しにくいことがわかっています。
必要なら、ヒューマログやノボラピッドなどの超速効型インスリン併用も考慮します。
いずれにせよ、SPIDDMの段階なら、インスリンの量が少なくてすみます。
さらに糖質制限食を実践なら、インスリンの量は極小でOKとなります。
自前の内因性インスリンが残っているのと、完全にゼロになるのでは、生体への影響は大きく異なりますので、インスリンの早期介入もおおいにありなのです。
なお、ビクトーザ(インクレチン注射薬)は、1型は使用適応にならないと思います。
インクレチンは血糖が高いときに、膵β細胞を刺激して、インスリンをださせる消化管のホルモンです。
従って、膵臓のβ細胞が破壊されるタイプの1型糖尿病には、効果は期待できませんし、あくまでも2型糖尿病が対象で、1型には保険適応もないと思います。
最後になりましたが、眼科検診が前回正常ならば、1/半年の健診で充分です。何かあれば眼科の先生が、3ヶ月後とか1ヶ月後の受診を奨められると思いますよ。
江部康二
2011年03月20日 (日)
☆☆☆☆☆
第29回大阪病院機能向上研究会
http://www.good-hospital.org/jikai.html
テーマ
「糖質制限食を考える」
日時 平成23年3月19日(土)午後2時より午後6時
場所 毎日新聞オーバルホール
プログラム
・講演1
「糖質制限食による生活習慣病の治療」
京都 高雄病院 江部康二
・講演2
「糖質制限食の実際」
京都 高雄病院管理栄養士 橋本眞由美
・講演3
「糖質制限食は生活習慣病予防に有効か(仮題)」
東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻社会予防疫学分野 佐々木敏 先生
こんばんは。
2011年3月19日(土)午后、第29回大阪病院機能向上研究会にて講演を行ってきました。
医師、栄養士、看護師・・・100人を超える参加者で盛況でした。
私は、最新の糖質制限食基礎理論と疫学研究、症例報告などを80分間お話ししました。
そのあと橋本眞由美管理栄養士が、高雄病院で実際に供給されている糖質制限食の写真や入院患者さんの栄養指導、外来患者さんの栄養指導など具体的な内容でお話ししました。
第3部のニュートラルな立場からの佐々木敏 先生のご講演には、深い感銘を受けました。
欧米の論文に関して、質の良い研究を認識できる力をもつこと、そして研究結果だけに拘るのではなく、どういうプロセスを経て、研究が実施されたのかまで把握することの大切さを、まず指摘されました。
興味深かったのは、2000年までの論文では、脂肪制限食が体重減少に有効との報告が多かったそうですが、
2006年以降の論文では脂肪制限より炭水化物制限のほうが有効という流れに変わってきている(まだ断定はできないが・・・)とのことでした。
これは、全米健康調査が2000年に行われて、
脂肪摂取比率が
1971年:36.9%→2000年:32.8%
と減少して、脂肪摂取比率減少政策は成功したにもかかわらず、
肥満率は
1971年:14.5%→2000年:30.9%
と倍増したことも関係しているのかもしれません。
それにしても、良質の研究においても、結果が正反対になること自体が理解不能で不思議です。
疫学研究とは、げに難しいものですね。
また、2009年のDiabetes care に掲載された「総脂質摂取比率と糖尿病発症には関連がない」という疫学研究(メタアナリシス)も紹介され、糖質制限食的には嬉しい限りでした。
講演後、数分間、お話ししたのですが印象的だったのは、日本には、人間栄養学という学問が存在していないそうです。 確かに、医学部の教育においても、栄養学の単位はないに等しいと思います。
例えば、欧米の栄養学のガイドラインには、「未精製の穀物を摂取すること」と明記してあるそうです。
また、
「血糖値をあげるのは糖質だけで、タンパク質・脂質は上昇させない。」
「脳はブドウ糖しか利用できないというのは間違いでケトン体を利用する。」
など、生理学的なごく基本的な知識を日本の医師・栄養士のほとんどが持っていないのは、極めて大きな問題です。
欧米の医師・栄養士に比較してみると、日本はスタート地点にさえ立っておらず、人間栄養学的にはまさにガラパゴス状態です。
今後、医療において、人間栄養学は、極めて重要な位置を占めていくと思います。
せめて、欧米なみの人間栄養学の知識を、栄養士や医師が身につけていくことが、大切な第一歩と感じました。
江部康二
第29回大阪病院機能向上研究会
http://www.good-hospital.org/jikai.html
テーマ
「糖質制限食を考える」
日時 平成23年3月19日(土)午後2時より午後6時
場所 毎日新聞オーバルホール
プログラム
・講演1
「糖質制限食による生活習慣病の治療」
京都 高雄病院 江部康二
・講演2
「糖質制限食の実際」
京都 高雄病院管理栄養士 橋本眞由美
・講演3
「糖質制限食は生活習慣病予防に有効か(仮題)」
東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻社会予防疫学分野 佐々木敏 先生
こんばんは。
2011年3月19日(土)午后、第29回大阪病院機能向上研究会にて講演を行ってきました。
医師、栄養士、看護師・・・100人を超える参加者で盛況でした。
私は、最新の糖質制限食基礎理論と疫学研究、症例報告などを80分間お話ししました。
そのあと橋本眞由美管理栄養士が、高雄病院で実際に供給されている糖質制限食の写真や入院患者さんの栄養指導、外来患者さんの栄養指導など具体的な内容でお話ししました。
第3部のニュートラルな立場からの佐々木敏 先生のご講演には、深い感銘を受けました。
欧米の論文に関して、質の良い研究を認識できる力をもつこと、そして研究結果だけに拘るのではなく、どういうプロセスを経て、研究が実施されたのかまで把握することの大切さを、まず指摘されました。
興味深かったのは、2000年までの論文では、脂肪制限食が体重減少に有効との報告が多かったそうですが、
2006年以降の論文では脂肪制限より炭水化物制限のほうが有効という流れに変わってきている(まだ断定はできないが・・・)とのことでした。
これは、全米健康調査が2000年に行われて、
脂肪摂取比率が
1971年:36.9%→2000年:32.8%
と減少して、脂肪摂取比率減少政策は成功したにもかかわらず、
肥満率は
1971年:14.5%→2000年:30.9%
と倍増したことも関係しているのかもしれません。
それにしても、良質の研究においても、結果が正反対になること自体が理解不能で不思議です。
疫学研究とは、げに難しいものですね。
また、2009年のDiabetes care に掲載された「総脂質摂取比率と糖尿病発症には関連がない」という疫学研究(メタアナリシス)も紹介され、糖質制限食的には嬉しい限りでした。
講演後、数分間、お話ししたのですが印象的だったのは、日本には、人間栄養学という学問が存在していないそうです。 確かに、医学部の教育においても、栄養学の単位はないに等しいと思います。
例えば、欧米の栄養学のガイドラインには、「未精製の穀物を摂取すること」と明記してあるそうです。
また、
「血糖値をあげるのは糖質だけで、タンパク質・脂質は上昇させない。」
「脳はブドウ糖しか利用できないというのは間違いでケトン体を利用する。」
など、生理学的なごく基本的な知識を日本の医師・栄養士のほとんどが持っていないのは、極めて大きな問題です。
欧米の医師・栄養士に比較してみると、日本はスタート地点にさえ立っておらず、人間栄養学的にはまさにガラパゴス状態です。
今後、医療において、人間栄養学は、極めて重要な位置を占めていくと思います。
せめて、欧米なみの人間栄養学の知識を、栄養士や医師が身につけていくことが、大切な第一歩と感じました。
江部康二
2011年03月20日 (日)
おはようございます。
ポンちゃんから、インスリン入手に関して貴重なコメントをいただきました。
【11/03/20 ポンちゃん
インスリンの相談先
参考までに、もう少し詳しく載っていましたので、ご紹介します。
◆日本糖尿病学会
東北地方太平洋沖地震の被害に遭われたインスリンを必要とする糖尿病患者の皆様へ
インスリン入手のための相談連絡先について
http://www.jds.or.jp/
◆日本糖尿病協会
インスリン入手可能医療機関
http://www.nittokyo.or.jp/#insulin 】
ポンちゃん。
情報ありがとうございます。
☆☆☆☆☆
以下日本糖尿病協会のサイトからの転載です。
◆日本糖尿病協会
http://www.nittokyo.or.jp/#insulin
平成23年3月14日
(社)日本糖尿病協会
理事長 清野 裕
今般、東日本で発生したマグニチュード9.0の巨大地震では、東北地方を中心に甚大な被害が発生しています。被災されたすべての皆様に対し、心よりお見舞い申し上げるとともに、一人でも多くの方々が一日も早く救助されることを切に願っております。
報道によりますと、現地では食料や医薬品が不足するものの、救援物資を被災地まで届ける手段がなく、被災者の皆さんは、避難所での厳しい生活を余儀なくされているということです。日本糖尿病協会では、被災地の糖尿病の患者さんの生命の安全を守るために、持てる力の全てを結集して支援活動を展開して参ります。
特に、インスリンや血糖自己測定機材の供給につきましては、日本糖尿病協会企業委員会に災害対策支援チームを設置し、皆さんがインスリン製剤などに支障なくアクセスできるよう対策を講じています。また、日本糖尿病学会とも協力して、厚生労働省はじめ、自治体関係部署に対し、インスリンが必要な糖尿病患者さんにおけるインスリン製剤の重要性を周知するなど、関係機関に対しても、既に手段を講じております。
インスリン供給や医療に関する現地情報は、随時日本糖尿病協会ホームページなどでお伝えするほか、専用のフリーダイヤルを設けますので、ご利用ください。
日本糖尿病協会災害対策支援チーム
フリーダイヤル : 0120-151-721
なお、ご相談いただけるのは原則として患者様ご本人とさせていただきますが、様々な事情によりやむを得ず関係者の方がご相談いただく場合には、相談前に以下の情報を(可能な限り)ご準備いただきますようお願い申し上げます。
1)糖尿病の病型(1型,2型など)
2)使用しているインスリン製剤の名称(ノボリンR,ヒューマログ,ランタスなど)と
注射なさっている単位数
被災地の皆様におかれましては、今後、生活を立て直すにあたって、多くの困難に直面されることと思われます。どうか、気持ちを強く持たれ、この難局を乗り越えていただきますよう心よりお願い申し上げます。なお、緊急のご相談は、日本糖尿病協会災害対策支援チームフリーダイヤル、および日本糖尿病学会東日本大震災対策本部が公開している下記の各地の専門医までお願いいたします。
インスリン入手可能医療機関 ※お電話でご確認の上受診してください。
地域 医療機関 電話番号 住所
岩手県 岩手医科大学病院 019-651-5111 盛岡市内丸19-1
もりおかこども病院 019-662-5656 盛岡市上田字松屋敷11-14
盛岡市立病院 019-635-0101 盛岡市本宮五丁目15番1号
盛岡赤十字病院 019-637-3111 盛岡市三本柳6地割1番地1
奥州市総合水沢病院 0197-25-3833 奥州市水沢区大手町3丁目1番
宮城県 仙台循環器病センタ- 022-372-1111 仙台市泉区本田町21-1
仙台厚生病院 022-222-6181 仙台市青葉区広瀬町4-15
仙台逓信病院 022-268-3150 仙台市青葉区中央4-5-1
東北労災病院 022-275-1111 仙台市青葉区台原4-3-21
西多賀病院 022-243-2530 仙台市太白区鉤取本町2-11-11
仙台赤十字病院 022-243-1111 仙台市太白区八木山本町2-43-3
仙台オ-プン病院 022-252-1111 仙台市宮城野区鶴ヶ谷5-22-1
東北厚生年金病院 022-259-1221 仙台市宮城野区福室1-12-1
自衛隊仙台病院 022-231-1111 仙台市宮城野区南目館1-1
塩釜市立病院 022-364-5521 塩釜市香津町7-1
公立刈田総合病院 0224-25-2145 白石市福岡蔵本字下原沖36番地
坂総合病院 022-365-5175 塩釜市錦町16-5
松島病院 022-354-5811 宮城郡松島町高城字浜1-26
市立栗原病院 0228-21-5330 栗原市築館宮野中央3-1-1
福島県 太田西ノ内病院 024-925-1188 郡山市西ノ内2-5-20
福島赤十字病院 024-534-6101 福島市入江町11番31号
大原総合病院 024-526-0300 福島市大町6番11号
竹田総合病院 0242-27-5511 会津若松市山鹿町3番27号
茨城県 那珂記念クリニック 029-353-2800 那珂市中台745-5
茨城県立こども病院 029-254-1151 水戸市双葉台3-3-1
東京医大茨城医療センター 029-887-1161 稲敷郡阿見町中央3-20-1
筑波大学医学部付属病院 029-853-3900 つくば市天久保2丁目1番地1
土浦協同総合病院 029-823-3111 土浦市真鍋新町11-7
糖尿病患者さん用 被災地での問合せ先医療機関一覧
地域 医療機関 連絡先 電話番号
岩手県 被害の大きい岩手県内で限られた電話回線への集中による混乱を懸念するご指摘があり、いったん情報掲載を見合わせております。誠に申し訳ありませんが、どうかご理解のほどお願い申し上げます。
宮城県 仙台市 東北大学病院
糖尿病代謝科 片桐秀樹先生
石垣 泰先生 022-717-7611
(9時~17時)
※東北大学連絡先は相談のみで
外来診療はありません
東北労災病院 赤井 裕輝先生 TEL:022-275-1111
(月~金,
9時~12時)
(緊急の場合は
午後も可)
福島県 福島市 福島県立医科大学 佐藤博亮先生
渡辺 毅先生 024-547-1206
福島赤十字病院 佐藤 義憲先生 TEL:024-534-6101
(月~金,
8時30分~17時)
会津
若松市 福島県立
会津総合病院
(福島県立
医科大学
会津医療センター
準備室) 塚本和久先生 0242-27-2151
いわき市 総合磐城
共立病院 小野利夫先生 0246-26-3151
茨城県 水戸市 那珂記念
クリニック 遅野井 健先生
(オソノイ タケシ) TEL:029-353-2800
(月~土,9時~17時)
(ただし水曜午後・
土曜午後を除く)
西山堂病院 荷見 澄子先生
(ハスミ スミコ) TEL:0294-72-5121
(月・水・金,
14時~18時)
日立市 日立総合病院 荻原健英先生
岡 裕爾先生 0294-23-1111
※日立総合病院連絡先は相談のみで
外来診療はありません
(とくに断りのない限り,上記連絡先電話番号での対応は日中のみとなります)
日本糖尿病学会東日本大震災対策本部ホームページより
ポンちゃんから、インスリン入手に関して貴重なコメントをいただきました。
【11/03/20 ポンちゃん
インスリンの相談先
参考までに、もう少し詳しく載っていましたので、ご紹介します。
◆日本糖尿病学会
東北地方太平洋沖地震の被害に遭われたインスリンを必要とする糖尿病患者の皆様へ
インスリン入手のための相談連絡先について
http://www.jds.or.jp/
◆日本糖尿病協会
インスリン入手可能医療機関
http://www.nittokyo.or.jp/#insulin 】
ポンちゃん。
情報ありがとうございます。
☆☆☆☆☆
以下日本糖尿病協会のサイトからの転載です。
◆日本糖尿病協会
http://www.nittokyo.or.jp/#insulin
平成23年3月14日
(社)日本糖尿病協会
理事長 清野 裕
今般、東日本で発生したマグニチュード9.0の巨大地震では、東北地方を中心に甚大な被害が発生しています。被災されたすべての皆様に対し、心よりお見舞い申し上げるとともに、一人でも多くの方々が一日も早く救助されることを切に願っております。
報道によりますと、現地では食料や医薬品が不足するものの、救援物資を被災地まで届ける手段がなく、被災者の皆さんは、避難所での厳しい生活を余儀なくされているということです。日本糖尿病協会では、被災地の糖尿病の患者さんの生命の安全を守るために、持てる力の全てを結集して支援活動を展開して参ります。
特に、インスリンや血糖自己測定機材の供給につきましては、日本糖尿病協会企業委員会に災害対策支援チームを設置し、皆さんがインスリン製剤などに支障なくアクセスできるよう対策を講じています。また、日本糖尿病学会とも協力して、厚生労働省はじめ、自治体関係部署に対し、インスリンが必要な糖尿病患者さんにおけるインスリン製剤の重要性を周知するなど、関係機関に対しても、既に手段を講じております。
インスリン供給や医療に関する現地情報は、随時日本糖尿病協会ホームページなどでお伝えするほか、専用のフリーダイヤルを設けますので、ご利用ください。
日本糖尿病協会災害対策支援チーム
フリーダイヤル : 0120-151-721
なお、ご相談いただけるのは原則として患者様ご本人とさせていただきますが、様々な事情によりやむを得ず関係者の方がご相談いただく場合には、相談前に以下の情報を(可能な限り)ご準備いただきますようお願い申し上げます。
1)糖尿病の病型(1型,2型など)
2)使用しているインスリン製剤の名称(ノボリンR,ヒューマログ,ランタスなど)と
注射なさっている単位数
被災地の皆様におかれましては、今後、生活を立て直すにあたって、多くの困難に直面されることと思われます。どうか、気持ちを強く持たれ、この難局を乗り越えていただきますよう心よりお願い申し上げます。なお、緊急のご相談は、日本糖尿病協会災害対策支援チームフリーダイヤル、および日本糖尿病学会東日本大震災対策本部が公開している下記の各地の専門医までお願いいたします。
インスリン入手可能医療機関 ※お電話でご確認の上受診してください。
地域 医療機関 電話番号 住所
岩手県 岩手医科大学病院 019-651-5111 盛岡市内丸19-1
もりおかこども病院 019-662-5656 盛岡市上田字松屋敷11-14
盛岡市立病院 019-635-0101 盛岡市本宮五丁目15番1号
盛岡赤十字病院 019-637-3111 盛岡市三本柳6地割1番地1
奥州市総合水沢病院 0197-25-3833 奥州市水沢区大手町3丁目1番
宮城県 仙台循環器病センタ- 022-372-1111 仙台市泉区本田町21-1
仙台厚生病院 022-222-6181 仙台市青葉区広瀬町4-15
仙台逓信病院 022-268-3150 仙台市青葉区中央4-5-1
東北労災病院 022-275-1111 仙台市青葉区台原4-3-21
西多賀病院 022-243-2530 仙台市太白区鉤取本町2-11-11
仙台赤十字病院 022-243-1111 仙台市太白区八木山本町2-43-3
仙台オ-プン病院 022-252-1111 仙台市宮城野区鶴ヶ谷5-22-1
東北厚生年金病院 022-259-1221 仙台市宮城野区福室1-12-1
自衛隊仙台病院 022-231-1111 仙台市宮城野区南目館1-1
塩釜市立病院 022-364-5521 塩釜市香津町7-1
公立刈田総合病院 0224-25-2145 白石市福岡蔵本字下原沖36番地
坂総合病院 022-365-5175 塩釜市錦町16-5
松島病院 022-354-5811 宮城郡松島町高城字浜1-26
市立栗原病院 0228-21-5330 栗原市築館宮野中央3-1-1
福島県 太田西ノ内病院 024-925-1188 郡山市西ノ内2-5-20
福島赤十字病院 024-534-6101 福島市入江町11番31号
大原総合病院 024-526-0300 福島市大町6番11号
竹田総合病院 0242-27-5511 会津若松市山鹿町3番27号
茨城県 那珂記念クリニック 029-353-2800 那珂市中台745-5
茨城県立こども病院 029-254-1151 水戸市双葉台3-3-1
東京医大茨城医療センター 029-887-1161 稲敷郡阿見町中央3-20-1
筑波大学医学部付属病院 029-853-3900 つくば市天久保2丁目1番地1
土浦協同総合病院 029-823-3111 土浦市真鍋新町11-7
糖尿病患者さん用 被災地での問合せ先医療機関一覧
地域 医療機関 連絡先 電話番号
岩手県 被害の大きい岩手県内で限られた電話回線への集中による混乱を懸念するご指摘があり、いったん情報掲載を見合わせております。誠に申し訳ありませんが、どうかご理解のほどお願い申し上げます。
宮城県 仙台市 東北大学病院
糖尿病代謝科 片桐秀樹先生
石垣 泰先生 022-717-7611
(9時~17時)
※東北大学連絡先は相談のみで
外来診療はありません
東北労災病院 赤井 裕輝先生 TEL:022-275-1111
(月~金,
9時~12時)
(緊急の場合は
午後も可)
福島県 福島市 福島県立医科大学 佐藤博亮先生
渡辺 毅先生 024-547-1206
福島赤十字病院 佐藤 義憲先生 TEL:024-534-6101
(月~金,
8時30分~17時)
会津
若松市 福島県立
会津総合病院
(福島県立
医科大学
会津医療センター
準備室) 塚本和久先生 0242-27-2151
いわき市 総合磐城
共立病院 小野利夫先生 0246-26-3151
茨城県 水戸市 那珂記念
クリニック 遅野井 健先生
(オソノイ タケシ) TEL:029-353-2800
(月~土,9時~17時)
(ただし水曜午後・
土曜午後を除く)
西山堂病院 荷見 澄子先生
(ハスミ スミコ) TEL:0294-72-5121
(月・水・金,
14時~18時)
日立市 日立総合病院 荻原健英先生
岡 裕爾先生 0294-23-1111
※日立総合病院連絡先は相談のみで
外来診療はありません
(とくに断りのない限り,上記連絡先電話番号での対応は日中のみとなります)
日本糖尿病学会東日本大震災対策本部ホームページより
2011年03月19日 (土)
こんばんは。
LAETA さんから、被災地の糖尿病患者さんが相談できる病院の情報をいただきました。
LAETA さん、ありがとうございます。
江部康二
岩手県は岩手医科大学病院(外来診療可、電話019-651-5111)
宮城県は東北大学病院
(電話022-717-7611、夜間 電話022-717-7856)
福島県は福島県立医科大学病院 (外来診療可、電話024-547-1111)、
福島県立会津総合病院 (同、電話0242-27-2151)、
総合磐城共立病院 (同、電話0246-263151)、
たねだ内科クリニック (同、電話0246-45-3303)
茨城県は日立総合病院 (電話0294-231111)
「11/03/15 LAETA
糖尿病患者の相談先
至急、困っている方へ先生お願いします。
日本糖尿病学会は14日、東日本巨大地震で被災した糖尿病患者が外来や電話で相談できる病院を発表した。外来診療も可能な病院ではインスリンの提供も行う。
岩手県は岩手医科大学病院(外来診療可、電話019-651-5111)
宮城県は東北大学病院 (電話022-717-7611、夜間 電話022-717-7856)
福島県は福島県立医科大学病院 (外来診療可、電話024-547-1111)、福島県立会津総合病院 (同、電話0242-27-2151)、 総合磐城共立病院 (同、電話0246-263151)、 たねだ内科クリニック (同、電話0246-45-3303)
茨城県は日立総合病院 (電話0294-231111)
避難所では炭水化物以外入手困難な状況と思われます。またコンビニ等で買うのも難しいかと。
このような状況下において、先生よろしくお願いします。
辛く苛酷な方々に心よりお見舞い申し上げます。
心を寄せて、祈っています。」
LAETA さんから、被災地の糖尿病患者さんが相談できる病院の情報をいただきました。
LAETA さん、ありがとうございます。
江部康二
岩手県は岩手医科大学病院(外来診療可、電話019-651-5111)
宮城県は東北大学病院
(電話022-717-7611、夜間 電話022-717-7856)
福島県は福島県立医科大学病院 (外来診療可、電話024-547-1111)、
福島県立会津総合病院 (同、電話0242-27-2151)、
総合磐城共立病院 (同、電話0246-263151)、
たねだ内科クリニック (同、電話0246-45-3303)
茨城県は日立総合病院 (電話0294-231111)
「11/03/15 LAETA
糖尿病患者の相談先
至急、困っている方へ先生お願いします。
日本糖尿病学会は14日、東日本巨大地震で被災した糖尿病患者が外来や電話で相談できる病院を発表した。外来診療も可能な病院ではインスリンの提供も行う。
岩手県は岩手医科大学病院(外来診療可、電話019-651-5111)
宮城県は東北大学病院 (電話022-717-7611、夜間 電話022-717-7856)
福島県は福島県立医科大学病院 (外来診療可、電話024-547-1111)、福島県立会津総合病院 (同、電話0242-27-2151)、 総合磐城共立病院 (同、電話0246-263151)、 たねだ内科クリニック (同、電話0246-45-3303)
茨城県は日立総合病院 (電話0294-231111)
避難所では炭水化物以外入手困難な状況と思われます。またコンビニ等で買うのも難しいかと。
このような状況下において、先生よろしくお願いします。
辛く苛酷な方々に心よりお見舞い申し上げます。
心を寄せて、祈っています。」
2011年03月19日 (土)
こんばんは。
papydasさんから、貴重な体験をコメントいただきました。
【11/03/19 papydas
糖質制限食は最強でした
初めまして、私は昨年暮れの血液検査結果で本年1月末に糖尿病と診断されました糖尿病になったばかりの59歳の男です。血液検査の結果数値は空腹時血糖値146HbA1c7,9でした。2月9日の血液検査結果も同様でした。担当医の指導でカロリー制限食を実施していましたが、頭がボーとしたり、体がだるかったりして一向に改善しませんでした。同月23日再診察を受けた際、血糖値を下げる薬を処方され、食事直前の薬を一錠飲んで3時間後から貧血のような状態から体が震えるような低血糖症状になったため薬を中止し、近くの書店で当女房に関する書籍を探して、江部先生執筆の「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」を購入しました。さらに、血糖値検査器も購入して、通院を止めました。
今月1日から早速糖質制限食を開始しましたところ、3日目から空腹時血糖値100という驚きの数値が出始め、食後血糖値最高値178を最後に3月5日以降、空腹時血糖値81、食後2時間の血糖値最高119を一週間記録して糖質制限食で体も快調になりました。そんな矢先に、
この度の東北関東大震災で仙台の知人を救援しなければならなくなり、15日から、缶詰(さば水煮、うづら水煮、シーチキン、魚肉ソーセージ、糖質なしの野菜ジュース、緑茶)を5日分持って、行きました。
想像以上に現地はひどく、隣接の山形は既に食料も無く、自動販売機、スーパーマーケットも閉店した状態でした。私の糖質制限食どころかパンひとつない中に飛び込んでしまった状態でしたが、これまで糖質制限食で体が出来てきていたせいで、空腹を感じることもなく、ソーセージ1本、うづら缶1個野菜ジュース1本で一日を過ごすことが出来、17日午後伊丹空港に無事帰着しました。勿論、二泊三日の間、血糖値計測は怠りませんでしたが、数値は90~110の間を維持していました。
体調、精神面とも以前の正常時と変わらなかったのに驚きと、生活に自信が着きました。悲惨な被災地と極寒の状況の中で、薬に頼らず、少量の食料でも過ごせることが証明できたことを、いち早く先生へご報告したかった事と、感謝の気持ちでお礼をお伝えしたく投稿させていただきました。
被災された方々の中にも糖尿病の方が沢山おられると思います。一分でも早く先生の糖質制限食に気づかれることを祈っております。
私の友人はインスリンを持ち歩いている状態でしたが、私が先生の本があることを教えたら、早速購入して実行しています。食後2時間の血糖値が460位だったそうですが、2日後から160に下がったと聞いております。
蛇足ですが、2月20日で103kgあった体重が3月18日現在で89kgになっています。いくらダイエットしても下がらなかった体重が、好きなものを食べて下がるとは思いませんでした。
専門的知識も持たないで、投稿しましたことをお詫び申し上げます。】
papydasさん。
コメントありがとうございます。
糖質制限食で血糖値改善、減量成功、体調良好・・・良かったです。
仙台のご友人の救援活動、ご苦労様・お疲れ様でした。
缶詰持参は結構重たかったでしょうが、賢明な作戦だったと思います。
糖質制限食実践で、人体の脂肪が燃えるシステムが活性化していますので、少食でも充分活動できると思います。
papydasさんはもともと103kgで糖質制限食で89kgに減量されていますが、まだまだ備蓄はたっぷりですので、低カロリーでも普通に活動できたのだと思います。
糖質制限食が結果として、被災地の救援活動に貢献できたのならとても嬉しいことです。
またBMIが正常で肥満がない人、例えば身長160cm、体重50kgで体脂肪率20%くらいでも、脂肪は10kgの備蓄で、9万キロカロリーとたっぷりあります。
従いまして、papydasさんと同様、「さば水煮、うづら水煮、シーチキン、魚肉ソーセージ、糖質なしの野菜ジュース、緑茶」などを摂取して糖質制限食実践が可能な場合は、たとえ少食でも自前の脂肪がしっかり燃焼してくれるので、ほとんどしんどくならないと思います。
江部康二
papydasさんから、貴重な体験をコメントいただきました。
【11/03/19 papydas
糖質制限食は最強でした
初めまして、私は昨年暮れの血液検査結果で本年1月末に糖尿病と診断されました糖尿病になったばかりの59歳の男です。血液検査の結果数値は空腹時血糖値146HbA1c7,9でした。2月9日の血液検査結果も同様でした。担当医の指導でカロリー制限食を実施していましたが、頭がボーとしたり、体がだるかったりして一向に改善しませんでした。同月23日再診察を受けた際、血糖値を下げる薬を処方され、食事直前の薬を一錠飲んで3時間後から貧血のような状態から体が震えるような低血糖症状になったため薬を中止し、近くの書店で当女房に関する書籍を探して、江部先生執筆の「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」を購入しました。さらに、血糖値検査器も購入して、通院を止めました。
今月1日から早速糖質制限食を開始しましたところ、3日目から空腹時血糖値100という驚きの数値が出始め、食後血糖値最高値178を最後に3月5日以降、空腹時血糖値81、食後2時間の血糖値最高119を一週間記録して糖質制限食で体も快調になりました。そんな矢先に、
この度の東北関東大震災で仙台の知人を救援しなければならなくなり、15日から、缶詰(さば水煮、うづら水煮、シーチキン、魚肉ソーセージ、糖質なしの野菜ジュース、緑茶)を5日分持って、行きました。
想像以上に現地はひどく、隣接の山形は既に食料も無く、自動販売機、スーパーマーケットも閉店した状態でした。私の糖質制限食どころかパンひとつない中に飛び込んでしまった状態でしたが、これまで糖質制限食で体が出来てきていたせいで、空腹を感じることもなく、ソーセージ1本、うづら缶1個野菜ジュース1本で一日を過ごすことが出来、17日午後伊丹空港に無事帰着しました。勿論、二泊三日の間、血糖値計測は怠りませんでしたが、数値は90~110の間を維持していました。
体調、精神面とも以前の正常時と変わらなかったのに驚きと、生活に自信が着きました。悲惨な被災地と極寒の状況の中で、薬に頼らず、少量の食料でも過ごせることが証明できたことを、いち早く先生へご報告したかった事と、感謝の気持ちでお礼をお伝えしたく投稿させていただきました。
被災された方々の中にも糖尿病の方が沢山おられると思います。一分でも早く先生の糖質制限食に気づかれることを祈っております。
私の友人はインスリンを持ち歩いている状態でしたが、私が先生の本があることを教えたら、早速購入して実行しています。食後2時間の血糖値が460位だったそうですが、2日後から160に下がったと聞いております。
蛇足ですが、2月20日で103kgあった体重が3月18日現在で89kgになっています。いくらダイエットしても下がらなかった体重が、好きなものを食べて下がるとは思いませんでした。
専門的知識も持たないで、投稿しましたことをお詫び申し上げます。】
papydasさん。
コメントありがとうございます。
糖質制限食で血糖値改善、減量成功、体調良好・・・良かったです。
仙台のご友人の救援活動、ご苦労様・お疲れ様でした。
缶詰持参は結構重たかったでしょうが、賢明な作戦だったと思います。
糖質制限食実践で、人体の脂肪が燃えるシステムが活性化していますので、少食でも充分活動できると思います。
papydasさんはもともと103kgで糖質制限食で89kgに減量されていますが、まだまだ備蓄はたっぷりですので、低カロリーでも普通に活動できたのだと思います。
糖質制限食が結果として、被災地の救援活動に貢献できたのならとても嬉しいことです。
またBMIが正常で肥満がない人、例えば身長160cm、体重50kgで体脂肪率20%くらいでも、脂肪は10kgの備蓄で、9万キロカロリーとたっぷりあります。
従いまして、papydasさんと同様、「さば水煮、うづら水煮、シーチキン、魚肉ソーセージ、糖質なしの野菜ジュース、緑茶」などを摂取して糖質制限食実践が可能な場合は、たとえ少食でも自前の脂肪がしっかり燃焼してくれるので、ほとんどしんどくならないと思います。
江部康二
2011年03月19日 (土)
こんばんは。
ゆうゆさんから、アルコールと糖新生について、コメント・質問をいただきました。
【11/03/18 ゆうゆ
糖新生
江部先生
いつもブログ拝見させて頂いております。
さて、糖新生について質問させていただきたいのですが 夜アルコールを飲むと糖新生が抑えられ、翌朝の早朝空腹時血糖値が下がると 以前のブログで拝見したのですが、そのためにはどの程度のアルコールを摂取すれば 良いのでしょうか?
他の疾患への影響を省いて考えるとした場合、アルコールの量は多ければ多いほど 糖新生は少なくなるのでしょうか?すなわち、空腹時血糖値は低くなるのでしょうか?
私はスーパー糖質制限食で早朝空腹時血糖値は140→90くらいまで回復しました。
アルコールは毎日飲んでおります。
ただ、数ヶ月前に怪我をした関係で1週間程度アルコールを飲んでいなかった時がありました
その時もスーパー糖質制限食は続けていたのですが、ある朝空腹時血糖値を図ってみると
126くらいあったのです。これはやはりアルコールを飲まなかったのげ原因だと思いました。
ただ、出来れば休肝日も設けたいし、アルコールの量もなるべく控えたいと思ってます。
ですので、糖新生を抑えるにはアルコールをどの程度飲めば良いのかを是非教えて頂きたいのです。
お忙しい中大変恐縮ですが、何卒宜しくお願い致します。】
ゆうゆさん。
ご指摘通り、アルコールには、血糖低下作用があります。
ただ個人差が大きいので、
(A)gのアルコールが血糖値を(B)mg、低下させるというように一律にはいきません。
2008年1月、アメリカ糖尿病協会サイトの研究報告を、カステーラさんがご自身のブログに掲載されてました。
それによると、
「109人の2型糖尿病患者を2つのグループに分け、片方のグループには夕食の際に150mlのワインを、もう片方のグループにはノンアルコールのビールを飲んでもらいました。
3ヶ月の実験の結果、ワインのグループは平均の空腹時血糖値が139.6mg/dlから118.0mg/dlにまで下がったのに比べて、ノンアルコールビールのグループは、136.7mg/dlから138.6 mg/dlと、ほとんど変化は見られませんでした。特に、ヘモグロビンA1cの高い人ほど空腹時血糖値の低下は著しく、元々A1cの低かった人にはそれほど効果はありませんでした。また、食後の血糖値には影響を与えませんでした。
研究者は注意すべき点として、アルコールはあくまで適量であるということ、また、ワインの分として食事から100kcalを差し引くことを挙げています。」
とのことでした。
適量の目安の一つは、150mlの赤ワインですかね?
因みに米国糖尿病協会では、アルコール24g(30ml)/日を食事と共に摂る程度なら、適量としています。
ビール350ml缶を2本、ワイン150ml×2杯、ウイスキー45ml×2杯です。
アルコールそのものは、1gが約7キロカロリーの燃焼エネルギーをもっていますが、摂取時の利用効率は約70%です。
エネルギー源としては、
<アルコール→糖質→脂質→タンパク質>
の順で利用されます。
またアルコールは、糖質や脂質と違って摂取しても体重増加作用がありませんし、血糖値も上昇させませんし、
ビタミンやミネラルにも乏しいので、「empty calory 」と言われています。
焼酎・ウィスキーなどの蒸留酒には、糖質は含まれていないので、血糖は全く上昇しません。
一方、アルコールを摂取すると、人体に対する毒物とみなされて優先的に肝臓で分解されますので、その間、同じ補酵素を使う糖新生がブロックされてしまいます。
従って、アルコールを摂取すると結果として、肝臓の糖新生を抑制することとなります。このことがアルコールの血糖降下作用の本質です。
血中アルコール濃度が上昇している間は、糖新生はブロックされるので、個人差が大きいと思いますが、酒を飲んでいる最中は、血糖値が下がる人もいると思います。
また、一定量以上のアルコールを摂取すれば、血中にアルコールが残存し、肝臓の夜間糖新生はブロックされ、翌朝の早朝空腹時血糖値は、下がる可能性が高いです。
なお空腹時にアルコールを飲んだりすれば、糖新生が抑制される分、インスリン注射やスルフォニル尿素剤を内服している人は、低血糖を起しやすくなるので、充分な注意が必要です。
江部康二
ゆうゆさんから、アルコールと糖新生について、コメント・質問をいただきました。
【11/03/18 ゆうゆ
糖新生
江部先生
いつもブログ拝見させて頂いております。
さて、糖新生について質問させていただきたいのですが 夜アルコールを飲むと糖新生が抑えられ、翌朝の早朝空腹時血糖値が下がると 以前のブログで拝見したのですが、そのためにはどの程度のアルコールを摂取すれば 良いのでしょうか?
他の疾患への影響を省いて考えるとした場合、アルコールの量は多ければ多いほど 糖新生は少なくなるのでしょうか?すなわち、空腹時血糖値は低くなるのでしょうか?
私はスーパー糖質制限食で早朝空腹時血糖値は140→90くらいまで回復しました。
アルコールは毎日飲んでおります。
ただ、数ヶ月前に怪我をした関係で1週間程度アルコールを飲んでいなかった時がありました
その時もスーパー糖質制限食は続けていたのですが、ある朝空腹時血糖値を図ってみると
126くらいあったのです。これはやはりアルコールを飲まなかったのげ原因だと思いました。
ただ、出来れば休肝日も設けたいし、アルコールの量もなるべく控えたいと思ってます。
ですので、糖新生を抑えるにはアルコールをどの程度飲めば良いのかを是非教えて頂きたいのです。
お忙しい中大変恐縮ですが、何卒宜しくお願い致します。】
ゆうゆさん。
ご指摘通り、アルコールには、血糖低下作用があります。
ただ個人差が大きいので、
(A)gのアルコールが血糖値を(B)mg、低下させるというように一律にはいきません。
2008年1月、アメリカ糖尿病協会サイトの研究報告を、カステーラさんがご自身のブログに掲載されてました。
それによると、
「109人の2型糖尿病患者を2つのグループに分け、片方のグループには夕食の際に150mlのワインを、もう片方のグループにはノンアルコールのビールを飲んでもらいました。
3ヶ月の実験の結果、ワインのグループは平均の空腹時血糖値が139.6mg/dlから118.0mg/dlにまで下がったのに比べて、ノンアルコールビールのグループは、136.7mg/dlから138.6 mg/dlと、ほとんど変化は見られませんでした。特に、ヘモグロビンA1cの高い人ほど空腹時血糖値の低下は著しく、元々A1cの低かった人にはそれほど効果はありませんでした。また、食後の血糖値には影響を与えませんでした。
研究者は注意すべき点として、アルコールはあくまで適量であるということ、また、ワインの分として食事から100kcalを差し引くことを挙げています。」
とのことでした。
適量の目安の一つは、150mlの赤ワインですかね?
因みに米国糖尿病協会では、アルコール24g(30ml)/日を食事と共に摂る程度なら、適量としています。
ビール350ml缶を2本、ワイン150ml×2杯、ウイスキー45ml×2杯です。
アルコールそのものは、1gが約7キロカロリーの燃焼エネルギーをもっていますが、摂取時の利用効率は約70%です。
エネルギー源としては、
<アルコール→糖質→脂質→タンパク質>
の順で利用されます。
またアルコールは、糖質や脂質と違って摂取しても体重増加作用がありませんし、血糖値も上昇させませんし、
ビタミンやミネラルにも乏しいので、「empty calory 」と言われています。
焼酎・ウィスキーなどの蒸留酒には、糖質は含まれていないので、血糖は全く上昇しません。
一方、アルコールを摂取すると、人体に対する毒物とみなされて優先的に肝臓で分解されますので、その間、同じ補酵素を使う糖新生がブロックされてしまいます。
従って、アルコールを摂取すると結果として、肝臓の糖新生を抑制することとなります。このことがアルコールの血糖降下作用の本質です。
血中アルコール濃度が上昇している間は、糖新生はブロックされるので、個人差が大きいと思いますが、酒を飲んでいる最中は、血糖値が下がる人もいると思います。
また、一定量以上のアルコールを摂取すれば、血中にアルコールが残存し、肝臓の夜間糖新生はブロックされ、翌朝の早朝空腹時血糖値は、下がる可能性が高いです。
なお空腹時にアルコールを飲んだりすれば、糖新生が抑制される分、インスリン注射やスルフォニル尿素剤を内服している人は、低血糖を起しやすくなるので、充分な注意が必要です。
江部康二
2011年03月19日 (土)
こんばんは。
小福さんから、糖質制限な手作りスナックのコメントをいただきました。
【11/03/18 小福
糖質制限な手作りスナック
先生いつもブログでお世話になっております。
小福です。
糖質制限で育った次男はスクスク育ち1600gの未熟児だったとはわからない程にプクプクに成長しました。食料が思うままに食べれない昔の人は、母乳を出すためにもちを食べるように言っていたみたいですが、糖質制限しながらでも立派に子供が育つ母乳を出せるということがわかりました。
母子ともに健康でいられるのも先生のおかげです。ありがとうございました。今後もご指導の程よろしくお願いいたします。
さて、糖質制限中の美味しいおやつをご紹介したいと思います。
耐熱皿にクッキングシートをひいて、その上にとろけないタイプのスライスチーズを1~2cm角に切って間をあけてのせます。
1000wレンジで1分30秒チンすると・・・カリカリのスナックになります。600wの場合、3分くらいです。(どちらも1分を過ぎたら30秒ずつで様子を見てください。)
私は、旅行の時や友人がスナック菓子を食べそうな時に食べてます。糖質制限の食品でカリカリの食感のおやつってなかなかないのでいかがでしょうか?】
小福さん。
コメントありがとうございます。
次男さんは、糖質制限食をしながら妊娠・出産・育児されたのですね。
すくすく成長されて、とても良かったです。
糖質制限カリカリスナックチーズ、私も早速挑戦してみます。
これなら私のような面倒くさがりでも簡単にできそうです。
江部康二
小福さんから、糖質制限な手作りスナックのコメントをいただきました。
【11/03/18 小福
糖質制限な手作りスナック
先生いつもブログでお世話になっております。
小福です。
糖質制限で育った次男はスクスク育ち1600gの未熟児だったとはわからない程にプクプクに成長しました。食料が思うままに食べれない昔の人は、母乳を出すためにもちを食べるように言っていたみたいですが、糖質制限しながらでも立派に子供が育つ母乳を出せるということがわかりました。
母子ともに健康でいられるのも先生のおかげです。ありがとうございました。今後もご指導の程よろしくお願いいたします。
さて、糖質制限中の美味しいおやつをご紹介したいと思います。
耐熱皿にクッキングシートをひいて、その上にとろけないタイプのスライスチーズを1~2cm角に切って間をあけてのせます。
1000wレンジで1分30秒チンすると・・・カリカリのスナックになります。600wの場合、3分くらいです。(どちらも1分を過ぎたら30秒ずつで様子を見てください。)
私は、旅行の時や友人がスナック菓子を食べそうな時に食べてます。糖質制限の食品でカリカリの食感のおやつってなかなかないのでいかがでしょうか?】
小福さん。
コメントありがとうございます。
次男さんは、糖質制限食をしながら妊娠・出産・育児されたのですね。
すくすく成長されて、とても良かったです。
糖質制限カリカリスナックチーズ、私も早速挑戦してみます。
これなら私のような面倒くさがりでも簡単にできそうです。
江部康二
2011年03月18日 (金)
おはようございます。
今回は、コメント・質問もありましたので、血糖調節システムについて検討してみます。
復習と一部追加です。
人体の血糖調節は、なかなか精妙で複雑なシステムにより維持されています。
血糖値は、
「食事」「肝臓によるグリコーゲン分解・糖新生と糖の取り込み」「運動」「ストレス」「インスリン・グルカゴンなどホルモン」「女性の生理」・・・
などなど、いろいろな要素が合わさって調節されています。
1) 空腹時
食物吸収が終了した直後には、肝臓のグリコーゲン分解が、循環血液中に入るブドウ糖の主要な供給源です。
食後数時間が経過し、絶食状態が持続すると、血糖値維持のために、筋肉など多くの組織のエネルギー源は、ブドウ糖から脂肪酸やケトン体に変わります。
そして、ブドウ糖の供給源は、肝のグリコーゲン分解から糖新生(*)に切り替わります。
なお、筋肉には「グルコース6リン酸→グルコース」 とする回路がないので筋肉中のグリコーゲンからはグルコース(ブドウ糖)は作れません。
2) 主食摂食時(糖質あり)
血糖値を上昇させるのは、糖質・脂質・タンパク質のうち、糖質だけです。
糖質摂食時には、消化管から吸収されたブドウ糖は、門脈血からまず肝臓に約50%取り込まれ、それ以外が血液の大循環に回ります。
肝細胞でのブドウ糖取り込み自体は、糖輸送体Glut2(**)を介して行われ、インスリン追加分泌とは関係ありません。
しかし、肝に取り込まれたブドウ糖は、インスリンによりグリコーゲンとして蓄えられます。
糖尿人では、<肝臓のグリコーゲン分解と糖新生>が摂食時にも抑制されにくいので、食後高血糖となります。
また糖尿人は、門脈血からの肝臓のブドウ糖取り込みも低下しているので、この面でも食後高血糖を起こしやすいのです。
糖質を摂取して血糖値が上昇すれば、正常人では速やかにインスリンが追加分泌されます。この場合、追加分泌は基礎分泌の数倍~30倍レベルの大量となります。例えば基礎分泌が5μU/mlなら追加分泌は、30~150μU/mlとかです。
肝臓に取り込まれなかったブドウ糖は、肝静脈から血中に入り、動脈血中に入ったブドウ糖は、インスリン追加分泌により細胞表面に移動した糖輸送体GLUT4により、骨格筋や脂肪細胞に取り込まれます。骨格筋が、約70%の血糖を取り込みます。これにより血糖値も速やかに下がります。
筋肉中に取り込まれた血糖は、エネルギー源として使われ、残りはグリコーゲンとして蓄えられます。
取り込まれず余った血糖は、インスリンにより脂肪組織か肝臓に取り込まれ、中性脂肪に変換され蓄えられます。
インスリン濃度が高いと、血液中の中性脂肪の脂肪細胞への取り込みも促進されます。インスリンが肥満ホルモンたる所以です。
しかし、糖尿人の場合は、血液中のブドウ糖(食後高血糖)は、<インスリン分泌不足>と<筋肉や脂肪細胞におけるインスリン抵抗性>により、処理されにくいので、食後高血糖が遷延します。
また、インスリン作用不足による脂質代謝異常、アミノ酸代謝異常、高血糖そのものによるインスリン作用低下、インスリン拮抗ホルモン優位など、様々な因子が重なり合って、高血糖が持続します。
さらに、糖尿人の一部においては、胃不全麻痺(***)による内容物の排出遅延があり、吸収も遅延して通常よりかなり遅れて血糖値が上昇することがあります。
3) 糖質制限食を摂取時(糖質がごく少量)
糖質摂取が野菜分のごく少量なので、食後血糖値はほとんど上昇しません。追加分泌インスリンもごく少量で、基礎分泌の2倍くらいです。正常人で基礎分泌が5μU/mlなら追加分泌は、10μU/mlとかです。
糖質制限食を摂取時は、食事している最中にも脂質が常に燃えています。また食事中にも、肝臓でアミノ酸などから糖新生も行われています。このため糖質摂取がごく少量でも低血糖にはならないのです。
糖尿人が糖質制限食を実践すれば、食後高血糖が改善しますが、糖新生により低血糖にはなりません。
正常人が糖質制限食を実践すれば、食後血糖値は正常値の範囲で低めとなります。
例えば食後1時間でピークの血糖値は、
糖質ありでは、130~160mg
糖質制限ならせいぜい110~120mg/dl
です。
勿論、肝臓で糖新生しますので、低血糖にはなりません。
4) 運動時
安静時には、インスリンの基礎分泌はありますが少量なので、糖輸送体(Glut4)は細胞表面にでてこれず、筋肉細胞・脂肪細胞は血糖をほとんど取り込まめません。
運動時(筋収縮時)には筋肉細胞の糖輸送体(Glut4)がインスリン追加分泌がなくても細胞表面に移動して、血糖を取り込むことが可能となり、血糖値が下がります。
筋肉細胞が血糖を取り込んでエネルギー源とした後、筋肉中のグリコーゲンが満杯になれば、取り込みはストップします。
脂肪細胞は、運動には無関係です。ジョギングや歩行ていどの軽い運動が適切とされています。
糖尿人でインスリンの基礎分泌があるていど以上不足していると、運動によりかえって血糖値が上昇することがあるので注意が必要です。
バーンスタイン医師によれば、個人差はありますが、空腹時血糖値170mg/dlを超えているような場合は、そのような可能性があるとのことです。
また、強度の強い運動だと、アドレナリンや副腎皮質ホルモンなどのインスリン拮抗ホルモンが分泌されますので、血糖値が上昇することがあります。
4) ストレス
急性のストレスがあると、アドレナリン、グルカゴン、副腎皮質ステロイドホルモンなど血糖値を上げるホルモンが分泌されますので血糖値が上昇します。
血糖値は、1)・2)・3)・4)などの因子が複雑に絡み合ったシステムにより調節されています。
たかが血糖値されど血糖値、なかなか一筋縄ではいきませんね。
(*)糖新生
①脂肪組織→グリセロール(中性脂肪の分解物)→肝臓→糖新生→脂肪組織・筋肉
②筋肉→アミノ酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織
③ブドウ糖代謝→乳酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織
①②③はごく日常的に誰でも行っており、肝臓、筋肉、脂肪組織の間で行ったり来たり、日々糖新生の調節が行われているわけです。
糖新生の調整は、インスリンが行っています。
インスリンは、強力な糖新生抑制因子です。インスリン不足だと肝臓がブドウ糖をつくり過ぎることになります。
(**)糖輸送体(Glut:glucose transporter)
ブドウ糖が細胞膜を通過して細胞内に取り込まれるためには、グルコーストランスポーター(糖輸送体)と呼ばれる膜蛋白が必要です。
Glut1~Glut14が報告されています。
Glut1(脳、赤血球、網膜などの糖輸送体)はインスリン非依存性です。
Glut2(肝臓、膵臓のβ細胞などの糖輸送体)はインスリン非依存性です。
Glut4(筋肉細胞、脂肪細胞の糖輸送体)はインスリン依存性です。
(***)胃不全麻痺
バーンスタイン医師(米国の1型糖尿病の医師で糖質制限食実践中)の本にも記載されている<胃排泄遅延・胃不全麻痺>が年期の入った糖尿人ではありえます。欧米人には、胃不全麻痺が結構多いようですが日本人でも当然ありえます。
胃不全麻痺のある糖尿人は、夕食を午後6時頃食べても、胃からの排泄が遅延して吸収が遅くなり、通常よりかなり遅れて血糖値が上昇することがあります。そのため翌朝の空腹時血糖値が高値となることがあります。
江部康二
今回は、コメント・質問もありましたので、血糖調節システムについて検討してみます。
復習と一部追加です。
人体の血糖調節は、なかなか精妙で複雑なシステムにより維持されています。
血糖値は、
「食事」「肝臓によるグリコーゲン分解・糖新生と糖の取り込み」「運動」「ストレス」「インスリン・グルカゴンなどホルモン」「女性の生理」・・・
などなど、いろいろな要素が合わさって調節されています。
1) 空腹時
食物吸収が終了した直後には、肝臓のグリコーゲン分解が、循環血液中に入るブドウ糖の主要な供給源です。
食後数時間が経過し、絶食状態が持続すると、血糖値維持のために、筋肉など多くの組織のエネルギー源は、ブドウ糖から脂肪酸やケトン体に変わります。
そして、ブドウ糖の供給源は、肝のグリコーゲン分解から糖新生(*)に切り替わります。
なお、筋肉には「グルコース6リン酸→グルコース」 とする回路がないので筋肉中のグリコーゲンからはグルコース(ブドウ糖)は作れません。
2) 主食摂食時(糖質あり)
血糖値を上昇させるのは、糖質・脂質・タンパク質のうち、糖質だけです。
糖質摂食時には、消化管から吸収されたブドウ糖は、門脈血からまず肝臓に約50%取り込まれ、それ以外が血液の大循環に回ります。
肝細胞でのブドウ糖取り込み自体は、糖輸送体Glut2(**)を介して行われ、インスリン追加分泌とは関係ありません。
しかし、肝に取り込まれたブドウ糖は、インスリンによりグリコーゲンとして蓄えられます。
糖尿人では、<肝臓のグリコーゲン分解と糖新生>が摂食時にも抑制されにくいので、食後高血糖となります。
また糖尿人は、門脈血からの肝臓のブドウ糖取り込みも低下しているので、この面でも食後高血糖を起こしやすいのです。
糖質を摂取して血糖値が上昇すれば、正常人では速やかにインスリンが追加分泌されます。この場合、追加分泌は基礎分泌の数倍~30倍レベルの大量となります。例えば基礎分泌が5μU/mlなら追加分泌は、30~150μU/mlとかです。
肝臓に取り込まれなかったブドウ糖は、肝静脈から血中に入り、動脈血中に入ったブドウ糖は、インスリン追加分泌により細胞表面に移動した糖輸送体GLUT4により、骨格筋や脂肪細胞に取り込まれます。骨格筋が、約70%の血糖を取り込みます。これにより血糖値も速やかに下がります。
筋肉中に取り込まれた血糖は、エネルギー源として使われ、残りはグリコーゲンとして蓄えられます。
取り込まれず余った血糖は、インスリンにより脂肪組織か肝臓に取り込まれ、中性脂肪に変換され蓄えられます。
インスリン濃度が高いと、血液中の中性脂肪の脂肪細胞への取り込みも促進されます。インスリンが肥満ホルモンたる所以です。
しかし、糖尿人の場合は、血液中のブドウ糖(食後高血糖)は、<インスリン分泌不足>と<筋肉や脂肪細胞におけるインスリン抵抗性>により、処理されにくいので、食後高血糖が遷延します。
また、インスリン作用不足による脂質代謝異常、アミノ酸代謝異常、高血糖そのものによるインスリン作用低下、インスリン拮抗ホルモン優位など、様々な因子が重なり合って、高血糖が持続します。
さらに、糖尿人の一部においては、胃不全麻痺(***)による内容物の排出遅延があり、吸収も遅延して通常よりかなり遅れて血糖値が上昇することがあります。
3) 糖質制限食を摂取時(糖質がごく少量)
糖質摂取が野菜分のごく少量なので、食後血糖値はほとんど上昇しません。追加分泌インスリンもごく少量で、基礎分泌の2倍くらいです。正常人で基礎分泌が5μU/mlなら追加分泌は、10μU/mlとかです。
糖質制限食を摂取時は、食事している最中にも脂質が常に燃えています。また食事中にも、肝臓でアミノ酸などから糖新生も行われています。このため糖質摂取がごく少量でも低血糖にはならないのです。
糖尿人が糖質制限食を実践すれば、食後高血糖が改善しますが、糖新生により低血糖にはなりません。
正常人が糖質制限食を実践すれば、食後血糖値は正常値の範囲で低めとなります。
例えば食後1時間でピークの血糖値は、
糖質ありでは、130~160mg
糖質制限ならせいぜい110~120mg/dl
です。
勿論、肝臓で糖新生しますので、低血糖にはなりません。
4) 運動時
安静時には、インスリンの基礎分泌はありますが少量なので、糖輸送体(Glut4)は細胞表面にでてこれず、筋肉細胞・脂肪細胞は血糖をほとんど取り込まめません。
運動時(筋収縮時)には筋肉細胞の糖輸送体(Glut4)がインスリン追加分泌がなくても細胞表面に移動して、血糖を取り込むことが可能となり、血糖値が下がります。
筋肉細胞が血糖を取り込んでエネルギー源とした後、筋肉中のグリコーゲンが満杯になれば、取り込みはストップします。
脂肪細胞は、運動には無関係です。ジョギングや歩行ていどの軽い運動が適切とされています。
糖尿人でインスリンの基礎分泌があるていど以上不足していると、運動によりかえって血糖値が上昇することがあるので注意が必要です。
バーンスタイン医師によれば、個人差はありますが、空腹時血糖値170mg/dlを超えているような場合は、そのような可能性があるとのことです。
また、強度の強い運動だと、アドレナリンや副腎皮質ホルモンなどのインスリン拮抗ホルモンが分泌されますので、血糖値が上昇することがあります。
4) ストレス
急性のストレスがあると、アドレナリン、グルカゴン、副腎皮質ステロイドホルモンなど血糖値を上げるホルモンが分泌されますので血糖値が上昇します。
血糖値は、1)・2)・3)・4)などの因子が複雑に絡み合ったシステムにより調節されています。
たかが血糖値されど血糖値、なかなか一筋縄ではいきませんね。
(*)糖新生
①脂肪組織→グリセロール(中性脂肪の分解物)→肝臓→糖新生→脂肪組織・筋肉
②筋肉→アミノ酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織
③ブドウ糖代謝→乳酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織
①②③はごく日常的に誰でも行っており、肝臓、筋肉、脂肪組織の間で行ったり来たり、日々糖新生の調節が行われているわけです。
糖新生の調整は、インスリンが行っています。
インスリンは、強力な糖新生抑制因子です。インスリン不足だと肝臓がブドウ糖をつくり過ぎることになります。
(**)糖輸送体(Glut:glucose transporter)
ブドウ糖が細胞膜を通過して細胞内に取り込まれるためには、グルコーストランスポーター(糖輸送体)と呼ばれる膜蛋白が必要です。
Glut1~Glut14が報告されています。
Glut1(脳、赤血球、網膜などの糖輸送体)はインスリン非依存性です。
Glut2(肝臓、膵臓のβ細胞などの糖輸送体)はインスリン非依存性です。
Glut4(筋肉細胞、脂肪細胞の糖輸送体)はインスリン依存性です。
(***)胃不全麻痺
バーンスタイン医師(米国の1型糖尿病の医師で糖質制限食実践中)の本にも記載されている<胃排泄遅延・胃不全麻痺>が年期の入った糖尿人ではありえます。欧米人には、胃不全麻痺が結構多いようですが日本人でも当然ありえます。
胃不全麻痺のある糖尿人は、夕食を午後6時頃食べても、胃からの排泄が遅延して吸収が遅くなり、通常よりかなり遅れて血糖値が上昇することがあります。そのため翌朝の空腹時血糖値が高値となることがあります。
江部康二
2011年03月17日 (木)
おはようございます。
今朝もうっすらとですが、雪が積もっている京都です。
こんなに頻回に雪が降った冬・春は、18才で京都にきてから初めてかもしれません。
さて。
本ブログには、妊娠糖尿病や糖尿病妊娠の女性から、コメント・質問がよくあります。
今回は、糖質制限食を指導しておられる、分娩もOKの産婦人科のご紹介です。
宗田先生、永井先生とも、糖質制限食の講演会でお会いし、お話しさせていただきました。
妊娠糖尿病や糖尿病妊娠が、糖質制限食でコントロール良好となるケースがほとんどであることや、妊娠中の体重コントロールも、極めて良好に経過することをご教示いただきました。
他にも糖質制限食を実践しておられる産婦人科があるかもしれませんが、私がはっきり把握しているのは宗田先生、永井先生のお二人です。
江部康二
☆☆☆
宗田マタニティクリニック(産婦人科)
http://www.muneta.org/
〒290-0024 千葉県市原市根田320-7
TEL : 0436-24-4103
FAX : 0436-24-4112
E-mail : mmc@mbr.nifty.com
休診日 : 木曜日 日曜日
診察時間 : 9:30~12:00/15:00~16:30
(土曜日 16:00迄)
●お車 : 東京~京葉道路市原インターまで50分 インターより10分
●電車 : JR内房線 東京駅から43分(特急)五井駅下車
……五井駅からのバス……
【東口】 3番(朝・夕のみ) 国分寺台・山倉こどもの国行 「宗田マタニティクリニック前」下車
【西口】 1番(9~17時) 国分寺台・山倉こどもの国行 「宗田マタニティクリニック前」下車
●高速バス : 羽田空港~五井駅まで 45分1300円/横浜駅~五井駅まで 65分1600円
☆☆☆
永井クリニック
http://www.nagai-cl.com/index.asp
〒341-0004
埼玉県三郷市上彦名607-1
TEL 048-959-1311(代)
FAX 048-959-1125
【電車】 ● JR新三郷駅下車 徒歩15分
【バス】 ● JR新三郷駅
東武バス ③乗場~南循環(南03)
「テラ・ウエスト北」バス停下車すぐ
● JR三郷駅
東武バス ⑤乗場~三郷団地行
「三郷団地三街区」バス停下車すぐ
【 車 】 ● 首都高速三郷線から
● 東京外環自動車道から
● 流山方面から
今朝もうっすらとですが、雪が積もっている京都です。
こんなに頻回に雪が降った冬・春は、18才で京都にきてから初めてかもしれません。
さて。
本ブログには、妊娠糖尿病や糖尿病妊娠の女性から、コメント・質問がよくあります。
今回は、糖質制限食を指導しておられる、分娩もOKの産婦人科のご紹介です。
宗田先生、永井先生とも、糖質制限食の講演会でお会いし、お話しさせていただきました。
妊娠糖尿病や糖尿病妊娠が、糖質制限食でコントロール良好となるケースがほとんどであることや、妊娠中の体重コントロールも、極めて良好に経過することをご教示いただきました。
他にも糖質制限食を実践しておられる産婦人科があるかもしれませんが、私がはっきり把握しているのは宗田先生、永井先生のお二人です。
江部康二
☆☆☆
宗田マタニティクリニック(産婦人科)
http://www.muneta.org/
〒290-0024 千葉県市原市根田320-7
TEL : 0436-24-4103
FAX : 0436-24-4112
E-mail : mmc@mbr.nifty.com
休診日 : 木曜日 日曜日
診察時間 : 9:30~12:00/15:00~16:30
(土曜日 16:00迄)
●お車 : 東京~京葉道路市原インターまで50分 インターより10分
●電車 : JR内房線 東京駅から43分(特急)五井駅下車
……五井駅からのバス……
【東口】 3番(朝・夕のみ) 国分寺台・山倉こどもの国行 「宗田マタニティクリニック前」下車
【西口】 1番(9~17時) 国分寺台・山倉こどもの国行 「宗田マタニティクリニック前」下車
●高速バス : 羽田空港~五井駅まで 45分1300円/横浜駅~五井駅まで 65分1600円
☆☆☆
永井クリニック
http://www.nagai-cl.com/index.asp
〒341-0004
埼玉県三郷市上彦名607-1
TEL 048-959-1311(代)
FAX 048-959-1125
【電車】 ● JR新三郷駅下車 徒歩15分
【バス】 ● JR新三郷駅
東武バス ③乗場~南循環(南03)
「テラ・ウエスト北」バス停下車すぐ
● JR三郷駅
東武バス ⑤乗場~三郷団地行
「三郷団地三街区」バス停下車すぐ
【 車 】 ● 首都高速三郷線から
● 東京外環自動車道から
● 流山方面から
2011年03月16日 (水)
おはようございます。
信州は飯田市において、初の糖質制限食講演会を行います。
主催は信州つばさネット・HUMAN LIFE NET ''翼'' の皆さんです。
2009年10月に信州松川町で糖質制限食を行ったときは、300人という大勢の方にご参加いただき感激しました。
糖質制限食は、最近マスコミでも糖尿病治療やダイエットの話題として取り上げることが多くなっています。
本講演は、糖質制限食の最新理論と症例などを、わかりやすくお話しします。
いつも早口で内容が多すぎるとのご意見もいただきましたので、ゆっくりとお話しするように心がけます。
今回の公開講座は、佐橋紀子先生(元飯田女史短大教授)とのジョイントです。
佐橋先生は、とても経験豊富な糖尿人です。インスリン注射も打っておられます。高雄病院に入院して糖質制限食を実践され、インスリンの量は1/3に減量できました。
入院中のこと、退院後のこと、成功談、失敗談含めていろんな体験談を語っていただけると思います。
信州・長野県民の皆さん、是非、足をお運び下さいね。
☆☆☆☆☆
<糖尿病よ、成人病よ、さようなら!> ~糖質制限食のすすめ~ 講演会
日時 2011年4月17日(日)
開場 午後1:00
開演 午後1:30~4:00
会場 飯田女子短期大学 講堂
飯田市松尾代田610番地
演題 <糖尿病よ、成人病よ、さようなら!> ~糖質制限食のすすめ~
講師 江部康二 京都・高雄病院理事長
講師 佐橋紀子先生 HUMAN LIFE NET ''翼''代表 元飯田女子短大教授
患者の立場から
参加費 前売り券 大人1000円 学生700円
当日券 大人1200円 学生900円
主催 信州つばさネット・HUMAN LIFE NET ''翼''
後援 飯田市/飯田市社会福祉協議会/飯田女子短期大学/介護のかふね
NPO法人飯田ボランティア協会/信州毎日新聞社/中日新聞社/信州日報
申し込み先
平澤文子/0265-34-7330(介護のかふね)
大澤み江/0265-36-3154
山上恵美子/0265-36-2453
江部康二
以下は
HUMAN LIFE NET ''翼''代表
佐橋紀子先生からのメッセージです。
☆☆☆☆☆
江部康二先生のブログ愛読者のみなさま
私は名古屋の学習グループ”HUMAN LIFE INFO NET 翼”の代表・佐橋紀子です。
実は私、30年越しの糖尿病患者です。毎月病院に通いながら、これまで病状はどんどん悪くなっていきました。
これ以上進むと合併症でいずれ失明するか、脳梗塞で倒れ、その後遺症で半身不随になり、不自由な生活を強いられるか。はたまた人工透析のお世話になるか、常にそうした恐怖を抱えておりました。患者としてはそれなりに食事や運動に努力してきたのに、病状は悪化するばかり…。ところが大きな転機が訪れました。
2008年8月、江部先生に出会い、高雄病院に『教育入院』させていただきました。朝の空腹時血糖は206あったのに、たった2週間の入院で103に半減。インスリン注射も一日46単位が22単位にまで下がり、まるで目からウロコの毎日でした。あんなにガンコだった血糖値が下がったのです。そして江部先生から高血糖の要因は、炭水化物の摂取にあることを学んだのです。今では努力すれば病状の進行をコントロールでき、合併症から身を守ることができる、という明るい見通しを持てるようになりました。こんなに嬉しいことはありません!
江部先生に出会ったことにどんなに感謝しているか、その気持ちが講演会開催のバネになっているのです。同時に、こんな画期的治療法をなぜ今まで知らされていなかったのか、そのことに大変悔しい思いを抱きました。かくなるうえは患者さんたちに一人でも多く、糖質制限の治療法を知らせてあげたい!それが命を救っていただいた人間の責務ではないか、とさえ思うようになりました。自分さえ良くなればよい、というものではないのです。それで翼会員の人たちの協力を得て、糖質制限食の講演会に取り組んでいるのです。今回の飯田開催で、4回目の講演会になります。会場は500人収容できます。
私たちの講演会の特徴は、江部先生の糖質制限の理論をお聴きし、患者の立場から糖尿病治療のあり方への期待を述べ、驚くほどの減量や糖尿病の改善を経験した人たちの体験報告をするところです。ぜひお誘い合わせの上、春爛漫の信州の会場にお越ください。
”翼”代表 佐橋紀子
信州は飯田市において、初の糖質制限食講演会を行います。
主催は信州つばさネット・HUMAN LIFE NET ''翼'' の皆さんです。
2009年10月に信州松川町で糖質制限食を行ったときは、300人という大勢の方にご参加いただき感激しました。
糖質制限食は、最近マスコミでも糖尿病治療やダイエットの話題として取り上げることが多くなっています。
本講演は、糖質制限食の最新理論と症例などを、わかりやすくお話しします。
いつも早口で内容が多すぎるとのご意見もいただきましたので、ゆっくりとお話しするように心がけます。
今回の公開講座は、佐橋紀子先生(元飯田女史短大教授)とのジョイントです。
佐橋先生は、とても経験豊富な糖尿人です。インスリン注射も打っておられます。高雄病院に入院して糖質制限食を実践され、インスリンの量は1/3に減量できました。
入院中のこと、退院後のこと、成功談、失敗談含めていろんな体験談を語っていただけると思います。
信州・長野県民の皆さん、是非、足をお運び下さいね。
☆☆☆☆☆
<糖尿病よ、成人病よ、さようなら!> ~糖質制限食のすすめ~ 講演会
日時 2011年4月17日(日)
開場 午後1:00
開演 午後1:30~4:00
会場 飯田女子短期大学 講堂
飯田市松尾代田610番地
演題 <糖尿病よ、成人病よ、さようなら!> ~糖質制限食のすすめ~
講師 江部康二 京都・高雄病院理事長
講師 佐橋紀子先生 HUMAN LIFE NET ''翼''代表 元飯田女子短大教授
患者の立場から
参加費 前売り券 大人1000円 学生700円
当日券 大人1200円 学生900円
主催 信州つばさネット・HUMAN LIFE NET ''翼''
後援 飯田市/飯田市社会福祉協議会/飯田女子短期大学/介護のかふね
NPO法人飯田ボランティア協会/信州毎日新聞社/中日新聞社/信州日報
申し込み先
平澤文子/0265-34-7330(介護のかふね)
大澤み江/0265-36-3154
山上恵美子/0265-36-2453
江部康二
以下は
HUMAN LIFE NET ''翼''代表
佐橋紀子先生からのメッセージです。
☆☆☆☆☆
江部康二先生のブログ愛読者のみなさま
私は名古屋の学習グループ”HUMAN LIFE INFO NET 翼”の代表・佐橋紀子です。
実は私、30年越しの糖尿病患者です。毎月病院に通いながら、これまで病状はどんどん悪くなっていきました。
これ以上進むと合併症でいずれ失明するか、脳梗塞で倒れ、その後遺症で半身不随になり、不自由な生活を強いられるか。はたまた人工透析のお世話になるか、常にそうした恐怖を抱えておりました。患者としてはそれなりに食事や運動に努力してきたのに、病状は悪化するばかり…。ところが大きな転機が訪れました。
2008年8月、江部先生に出会い、高雄病院に『教育入院』させていただきました。朝の空腹時血糖は206あったのに、たった2週間の入院で103に半減。インスリン注射も一日46単位が22単位にまで下がり、まるで目からウロコの毎日でした。あんなにガンコだった血糖値が下がったのです。そして江部先生から高血糖の要因は、炭水化物の摂取にあることを学んだのです。今では努力すれば病状の進行をコントロールでき、合併症から身を守ることができる、という明るい見通しを持てるようになりました。こんなに嬉しいことはありません!
江部先生に出会ったことにどんなに感謝しているか、その気持ちが講演会開催のバネになっているのです。同時に、こんな画期的治療法をなぜ今まで知らされていなかったのか、そのことに大変悔しい思いを抱きました。かくなるうえは患者さんたちに一人でも多く、糖質制限の治療法を知らせてあげたい!それが命を救っていただいた人間の責務ではないか、とさえ思うようになりました。自分さえ良くなればよい、というものではないのです。それで翼会員の人たちの協力を得て、糖質制限食の講演会に取り組んでいるのです。今回の飯田開催で、4回目の講演会になります。会場は500人収容できます。
私たちの講演会の特徴は、江部先生の糖質制限の理論をお聴きし、患者の立場から糖尿病治療のあり方への期待を述べ、驚くほどの減量や糖尿病の改善を経験した人たちの体験報告をするところです。ぜひお誘い合わせの上、春爛漫の信州の会場にお越ください。
”翼”代表 佐橋紀子
2011年03月15日 (火)
おはようございます。
LAETA さんから、被災地の糖尿病患者さんが相談できる病院の情報をいただきました。
LAETA さん、ありがとうございます。
江部康二
岩手県は岩手医科大学病院(外来診療可、電話019-651-5111)
宮城県は東北大学病院
(電話022-717-7611、夜間 電話022-717-7856)
福島県は福島県立医科大学病院 (外来診療可、電話024-547-1111)、
福島県立会津総合病院 (同、電話0242-27-2151)、
総合磐城共立病院 (同、電話0246-263151)、
たねだ内科クリニック (同、電話0246-45-3303)
茨城県は日立総合病院 (電話0294-231111)
「11/03/15 LAETA
糖尿病患者の相談先
至急、困っている方へ先生お願いします。
日本糖尿病学会は14日、東日本巨大地震で被災した糖尿病患者が外来や電話で相談できる病院を発表した。外来診療も可能な病院ではインスリンの提供も行う。
岩手県は岩手医科大学病院(外来診療可、電話019-651-5111)
宮城県は東北大学病院 (電話022-717-7611、夜間 電話022-717-7856)
福島県は福島県立医科大学病院 (外来診療可、電話024-547-1111)、福島県立会津総合病院 (同、電話0242-27-2151)、 総合磐城共立病院 (同、電話0246-263151)、 たねだ内科クリニック (同、電話0246-45-3303)
茨城県は日立総合病院 (電話0294-231111)
避難所では炭水化物以外入手困難な状況と思われます。またコンビニ等で買うのも難しいかと。
このような状況下において、先生よろしくお願いします。
辛く苛酷な方々に心よりお見舞い申し上げます。
心を寄せて、祈っています。」
LAETA さんから、被災地の糖尿病患者さんが相談できる病院の情報をいただきました。
LAETA さん、ありがとうございます。
江部康二
岩手県は岩手医科大学病院(外来診療可、電話019-651-5111)
宮城県は東北大学病院
(電話022-717-7611、夜間 電話022-717-7856)
福島県は福島県立医科大学病院 (外来診療可、電話024-547-1111)、
福島県立会津総合病院 (同、電話0242-27-2151)、
総合磐城共立病院 (同、電話0246-263151)、
たねだ内科クリニック (同、電話0246-45-3303)
茨城県は日立総合病院 (電話0294-231111)
「11/03/15 LAETA
糖尿病患者の相談先
至急、困っている方へ先生お願いします。
日本糖尿病学会は14日、東日本巨大地震で被災した糖尿病患者が外来や電話で相談できる病院を発表した。外来診療も可能な病院ではインスリンの提供も行う。
岩手県は岩手医科大学病院(外来診療可、電話019-651-5111)
宮城県は東北大学病院 (電話022-717-7611、夜間 電話022-717-7856)
福島県は福島県立医科大学病院 (外来診療可、電話024-547-1111)、福島県立会津総合病院 (同、電話0242-27-2151)、 総合磐城共立病院 (同、電話0246-263151)、 たねだ内科クリニック (同、電話0246-45-3303)
茨城県は日立総合病院 (電話0294-231111)
避難所では炭水化物以外入手困難な状況と思われます。またコンビニ等で買うのも難しいかと。
このような状況下において、先生よろしくお願いします。
辛く苛酷な方々に心よりお見舞い申し上げます。
心を寄せて、祈っています。」
2011年03月14日 (月)
こんにちは。
ジミーさんから、インスリン不足と糖質制限食について、コメントいただきました。
「11/03/14 ジミー
緊急事態です。
初期のころから先生のブロブを見ているジミーです。
地震でインシュリンが不足している地域に警告をしてください。
このページを見ている皆さんもお願いします。
糖質を摂取しなければ糖尿患者でも問題ないことを!
お願いします。」
ジミーさん。
コメントありがとうございます。
被災地の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
東日本大地震で被災された糖尿人で、インスリン注射をしておられた場合、 現在インスリンが手に入りにくい状況もあると思います。
血糖値を上昇させるのは、糖質・タンパク質・脂質のうち糖質(炭水化物)だけです。
2型糖尿病なら、インスリン注射を打たなくても、タンパク質・脂質を中心に摂取して、糖質(炭水化物)を極力制限すれば、血糖値はほとんど上昇しません。
タンパク質・脂質が主の食品、例えば、
スーパーやコンビニのナッツ類やチーズやビーフジャーキー、サラミ・・・
糖質制限食OKのコンビーフ、ツナ、マグロ、カツオ、カキ、ホタテ、豚肉、アスパラ・・・などの缶詰、
ハム、ソーセージ、ベーコン、卵製品・・・野菜・・・
などが手に入るかもしれません。
牛乳やプレーンヨーグルトも100g中に5gの糖質を含有ですので、大量でなければ血糖値の上昇も大きくはありません。1gの糖質がピーク3mg血糖値を上昇させます。
被災地では炭水化物以外の食品が手に入りにくい状況とは思いますが、もし上記のような食品が手に入れば、インスリン注射なしでも、血糖値の上昇は少なくてすむと思います。
江部康二
ジミーさんから、インスリン不足と糖質制限食について、コメントいただきました。
「11/03/14 ジミー
緊急事態です。
初期のころから先生のブロブを見ているジミーです。
地震でインシュリンが不足している地域に警告をしてください。
このページを見ている皆さんもお願いします。
糖質を摂取しなければ糖尿患者でも問題ないことを!
お願いします。」
ジミーさん。
コメントありがとうございます。
被災地の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
東日本大地震で被災された糖尿人で、インスリン注射をしておられた場合、 現在インスリンが手に入りにくい状況もあると思います。
血糖値を上昇させるのは、糖質・タンパク質・脂質のうち糖質(炭水化物)だけです。
2型糖尿病なら、インスリン注射を打たなくても、タンパク質・脂質を中心に摂取して、糖質(炭水化物)を極力制限すれば、血糖値はほとんど上昇しません。
タンパク質・脂質が主の食品、例えば、
スーパーやコンビニのナッツ類やチーズやビーフジャーキー、サラミ・・・
糖質制限食OKのコンビーフ、ツナ、マグロ、カツオ、カキ、ホタテ、豚肉、アスパラ・・・などの缶詰、
ハム、ソーセージ、ベーコン、卵製品・・・野菜・・・
などが手に入るかもしれません。
牛乳やプレーンヨーグルトも100g中に5gの糖質を含有ですので、大量でなければ血糖値の上昇も大きくはありません。1gの糖質がピーク3mg血糖値を上昇させます。
被災地では炭水化物以外の食品が手に入りにくい状況とは思いますが、もし上記のような食品が手に入れば、インスリン注射なしでも、血糖値の上昇は少なくてすむと思います。
江部康二
2011年03月13日 (日)
こんばんは。
第29回大阪病院機能向上研究会のご案内です。
医師、栄養士、看護師を中心とした会です。各学生も参加OKです。
今回は、糖質制限食を推進する立場から私と高雄病院栄養科長・橋本眞由美管理栄養士がお話しします。
そして糖質制限食に対してニュートラルな立場から、
東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻社会予防疫学分野 佐々木敏 先生
が講演されます。
このような企画は、本邦初となりますので、私もおおいに楽しみにしています。
糖質制限食に興味を持っておられる医療関係の方々や学生さん、是非お気軽にご参加いただけば幸いです。
☆☆☆☆☆
第29回大阪病院機能向上研究会
http://www.good-hospital.org/jikai.html
テーマ
「糖質制限食を考える」
日時 平成23年3月19日(土)午後2時より午後6時
場所 毎日新聞オーバルホール >>周辺地図
大阪市北区梅田3-4-5毎日新聞ビルB1 西梅田ホテルリッツカールトン北西側
TEL 06-6346-8351
参加費用 500円 (学生は無料となりますので、受付に学生証をご呈示下さい。)
当番世話人 市立吹田市民病院 内科部長 井上信之
共催 小野薬品株式会社
プログラム
・情報提供 (14:00~)
小野薬品株式会社
・講演1
「糖質制限食による生活習慣病の治療」
京都 高雄病院 江部康二 先生
・講演2
「糖質制限食の実際」
京都 高雄病院管理栄養士 橋本眞由美 先生
・講演3
「糖質制限食は生活習慣病予防に有効か(仮題)」
東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻社会予防疫学分野 佐々木敏 先生
* また大阪府医師会の生涯研修の認定(3単位)を受けています。
参加申し込み:当日参加も可能ですが、会場準備の都合上できるだけ事前にメールで参加申し込みをお願いしています。下記のアドレスです。
(参加登録用) attend@good-hospital.org
メール使用環境にない方は、従来どおりFAXによる参加申し込みが可能です。
(参加登録用) FAX 06-6222-5640
第29回大阪病院機能向上研究会のご案内です。
医師、栄養士、看護師を中心とした会です。各学生も参加OKです。
今回は、糖質制限食を推進する立場から私と高雄病院栄養科長・橋本眞由美管理栄養士がお話しします。
そして糖質制限食に対してニュートラルな立場から、
東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻社会予防疫学分野 佐々木敏 先生
が講演されます。
このような企画は、本邦初となりますので、私もおおいに楽しみにしています。
糖質制限食に興味を持っておられる医療関係の方々や学生さん、是非お気軽にご参加いただけば幸いです。
☆☆☆☆☆
第29回大阪病院機能向上研究会
http://www.good-hospital.org/jikai.html
テーマ
「糖質制限食を考える」
日時 平成23年3月19日(土)午後2時より午後6時
場所 毎日新聞オーバルホール >>周辺地図
大阪市北区梅田3-4-5毎日新聞ビルB1 西梅田ホテルリッツカールトン北西側
TEL 06-6346-8351
参加費用 500円 (学生は無料となりますので、受付に学生証をご呈示下さい。)
当番世話人 市立吹田市民病院 内科部長 井上信之
共催 小野薬品株式会社
プログラム
・情報提供 (14:00~)
小野薬品株式会社
・講演1
「糖質制限食による生活習慣病の治療」
京都 高雄病院 江部康二 先生
・講演2
「糖質制限食の実際」
京都 高雄病院管理栄養士 橋本眞由美 先生
・講演3
「糖質制限食は生活習慣病予防に有効か(仮題)」
東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻社会予防疫学分野 佐々木敏 先生
* また大阪府医師会の生涯研修の認定(3単位)を受けています。
参加申し込み:当日参加も可能ですが、会場準備の都合上できるだけ事前にメールで参加申し込みをお願いしています。下記のアドレスです。
(参加登録用) attend@good-hospital.org
メール使用環境にない方は、従来どおりFAXによる参加申し込みが可能です。
(参加登録用) FAX 06-6222-5640
2011年03月13日 (日)
2011年3月11日の東北沖大地震は、未曾有の災害を引き起こしました。
ただただ、驚愕と心配の気持ちでいっぱいです。
犠牲者の方々へのお悔やみ、負傷者及び被災者の方々へのお見舞いを申しあげます。
糖質制限食実践中で被災されたわかなさんからコメント・質問をいただきました。
【11/03/13 わかな
短期間なら食後高血糖も実害は少ない・・・
いつまでこの状況が続くのか分かりません。
今は病院に行けるような状況ではないので、薬の処方なんてできないです・・・。
二日間絶食してますが、もうご飯を食べちゃったほうが良いのか困ります。
身の回りにあるのは炭水化物ばかり。
水分はあるので水分だけ摂取しておけば大丈夫でしょうか?】
わかなさん。
大変つらい状況、お察し致します。
数日間の食後高血糖が、いきなり動脈硬化を進行させることはありませんので、今のようなやむを得ない状況では、炭水化物を食べることは構わないと思います。
もう少し落ち着けば、コンビニのナッツ類や糖質制限食OKのコンビーフ、ツナ、マグロ、カツオ、カキ、ホタテ、豚肉、アスパラ・・・などの缶詰が手に入るかもしれません。それまでは、炭水化物の摂取もOKとしていただけばと思います。
個人差はありますが、少量の炭水化物を3~4時間おきに食べる方が、食後高血糖はおこりにくいと思います。
例えば食パン六切リ1枚なら、糖質は26gくらいです。
1gの糖質が2型糖尿人においてピーク3mgくらい血糖値を上昇させます。
食パン六切リ1枚なら78mgの上昇で、個人差はありますが1~2時間で下がってくることが多いです。
江部康二
ただただ、驚愕と心配の気持ちでいっぱいです。
犠牲者の方々へのお悔やみ、負傷者及び被災者の方々へのお見舞いを申しあげます。
糖質制限食実践中で被災されたわかなさんからコメント・質問をいただきました。
【11/03/13 わかな
短期間なら食後高血糖も実害は少ない・・・
いつまでこの状況が続くのか分かりません。
今は病院に行けるような状況ではないので、薬の処方なんてできないです・・・。
二日間絶食してますが、もうご飯を食べちゃったほうが良いのか困ります。
身の回りにあるのは炭水化物ばかり。
水分はあるので水分だけ摂取しておけば大丈夫でしょうか?】
わかなさん。
大変つらい状況、お察し致します。
数日間の食後高血糖が、いきなり動脈硬化を進行させることはありませんので、今のようなやむを得ない状況では、炭水化物を食べることは構わないと思います。
もう少し落ち着けば、コンビニのナッツ類や糖質制限食OKのコンビーフ、ツナ、マグロ、カツオ、カキ、ホタテ、豚肉、アスパラ・・・などの缶詰が手に入るかもしれません。それまでは、炭水化物の摂取もOKとしていただけばと思います。
個人差はありますが、少量の炭水化物を3~4時間おきに食べる方が、食後高血糖はおこりにくいと思います。
例えば食パン六切リ1枚なら、糖質は26gくらいです。
1gの糖質が2型糖尿人においてピーク3mgくらい血糖値を上昇させます。
食パン六切リ1枚なら78mgの上昇で、個人差はありますが1~2時間で下がってくることが多いです。
江部康二
2011年03月11日 (金)
こんにちは。
下記のユーチューブへのリンクをクリックしていただくと、とても嬉しいです。
よろしくお願い申し上げます。江部康二。 m(_ _)m
さて、いよいよ花粉症の季節到来です。
今年は、例年に比べ10倍のスギ花粉が飛来するという前口上のわりに、実際は大した事無いなと思ってました。
ところが、とうとう先週3月初旬くらいから、もろに症状のでる患者さんが相次ぎました。
今回は、のばやんから、糖質制限食でHbA1c改善、花粉症改善という嬉しいコメントをいただきました。
【11/03/10 のばやん
本日、5ヶ月ぶりに先生の診察を受けましたが、丁寧に診ていただき、有難うございました。
スーパー糖質制限を始めて8ヶ月がたちましたが、おかげ様でその間のHBa1Cの平均値が4.83と絶好調でした。今後も、アルコールは適量をまもり、美味しく楽しく糖質制限を続けていきたいと思います。
それから、今日言い忘れたましたが、私は30年来の杉花粉症持ちで、毎年この季節には、激しい目の痒みや、くしゃみなどに悩まされておりました。
しかし、今年は内服薬はまったく使用していないにもかかわらず、今のところ、症状はほとんど出ていません。
まだ、油断は出来ないと思っていますが、次回の診察には良いご報告が出来そうです。 スーパー糖質制限、本当に素晴らしいですね。】
のばやんさん。
高雄病院まで、診察に来て頂いていたのですね。ありがとうございました。
HbA1c:4.8%とはグレートな改善です。
これからも美味しく楽しく永く糖質制限食をお続け下さいね。
さて、30年来のスギ花粉症が、ほとんど出ていないとはすごいです。
3月10日なら、私の外来の花粉症の患者さん、くしゃみ・鼻水・鼻つまり・目痒・・・全開の方がほとんどでしたので、のばやんさんは、きっともう大丈夫と思いますよ。
他にも、糖質制限食で花粉症が改善された方は、たくさんおられます。のばやんさんと同様に、ほとんど出ない人、半減した人など様々です。中には不変の人もおられますが、過半数の人が良くなっておられます。
糖質制限食実践により、代謝全てが安定し(ブドウ糖スパイクがない)、動脈硬化のリスク要因全てが改善し、血流も毛細血管に到るまでさらさらとなります。
これにより、人体の自然治癒力が高まるので、糖尿病・メタボは勿論のこと、ほとんどの生活習慣病の改善が期待できます。
例えば、アトピー性皮膚炎などでも、皮膚がしっとりしてくることが多いです。また数人の人からは、毛髪が太くしっかりして抜けにくくなったと報告を受けました。花粉症に関しても、ブログ読者の皆さんのコメントでも、かなり確率で改善するようです。
お馴染み、糖質制限ドットコムのあらてつさん、小学生からのスギ花粉症で、年々症状がきつくなっていったそうです。
2004年の花粉症シーズン、耳鼻科医のお薦め通り、1ヶ月前から抗アレルギー剤を内服し、点眼薬、点鼻薬も開始して準備万端整えていたそうです。
しかしあに図らんや、例年にも増してくしゃみ・鼻水・鼻詰まりのフルコースで、息も絶え絶えで、仕事も手につかない状態でした。(+_+)
自称、1000の病を持つ男「あらてつ」、この頃までは漢方薬など全く信じておらず、ひたすら十数年間耳鼻科へ通い続けていた訳ですが、一向に良くならないどころか年々悪化していく事態に、藁をもすがる思いで高雄病院江部洋一郎院長(当時、私の兄です)に診察して貰いました。
その頃はあらてつさん、数年来高雄病院職員でしたが、
まあ、
「漢方なんてせいぜい藁?」
くらいのサムい認識だったのでしょうね。
ところがどっこい、西洋薬を一切中止して煎じ薬を飲んだその日から、くしゃみ・鼻水・鼻づまりがぴったりとまって、奇蹟のように改善したのです。ヾ(゜▽゜)
煎じ薬、はっきり言ってメチャまずいです。σ(=_=;)ヾ
それでも男あらてつ、まずさに耐えて、それからシーズン中はずっと飲み続けました。
そしてその年の冬からは、花粉症予防薬の漢方エキスを飲んで、翌シーズン中は煎じ薬に切り替えて、2005年、2006年はほとんど花粉症が出ずに済みました。
この頃からスーパー糖質制限食も開始して、2007年、2008年、2009年、2010年も、まったく西洋薬なしで、花粉症予防の漢方エキスだけで、花粉症ほぼフリー状態、999の病を持つ男となりました。
耳鼻科の先生、売り上げを減らして申し訳ありません・・・。m(_ _)m
そして2011年も1月から、アレルギー予防の漢方薬を内服して、勿論スーパー糖質制限食も継続で、3月11日現在、ほとんど花粉症の症状はでていません。
江部康二
下記のユーチューブへのリンクをクリックしていただくと、とても嬉しいです。
よろしくお願い申し上げます。江部康二。 m(_ _)m
画期的な糖尿病治療食「糖質制限食を語る」|DVD、絶賛発売中!
糖質制限食の第一人者、高雄病院理事長、江部康二医師の講演が臨場感溢れるDVDに。二つの講演会を収録し、この一枚に糖質制限食のエッセンスを凝縮!お求めはこちらから http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.phpさて、いよいよ花粉症の季節到来です。
今年は、例年に比べ10倍のスギ花粉が飛来するという前口上のわりに、実際は大した事無いなと思ってました。
ところが、とうとう先週3月初旬くらいから、もろに症状のでる患者さんが相次ぎました。
今回は、のばやんから、糖質制限食でHbA1c改善、花粉症改善という嬉しいコメントをいただきました。
【11/03/10 のばやん
本日、5ヶ月ぶりに先生の診察を受けましたが、丁寧に診ていただき、有難うございました。
スーパー糖質制限を始めて8ヶ月がたちましたが、おかげ様でその間のHBa1Cの平均値が4.83と絶好調でした。今後も、アルコールは適量をまもり、美味しく楽しく糖質制限を続けていきたいと思います。
それから、今日言い忘れたましたが、私は30年来の杉花粉症持ちで、毎年この季節には、激しい目の痒みや、くしゃみなどに悩まされておりました。
しかし、今年は内服薬はまったく使用していないにもかかわらず、今のところ、症状はほとんど出ていません。
まだ、油断は出来ないと思っていますが、次回の診察には良いご報告が出来そうです。 スーパー糖質制限、本当に素晴らしいですね。】
のばやんさん。
高雄病院まで、診察に来て頂いていたのですね。ありがとうございました。
HbA1c:4.8%とはグレートな改善です。
これからも美味しく楽しく永く糖質制限食をお続け下さいね。
さて、30年来のスギ花粉症が、ほとんど出ていないとはすごいです。
3月10日なら、私の外来の花粉症の患者さん、くしゃみ・鼻水・鼻つまり・目痒・・・全開の方がほとんどでしたので、のばやんさんは、きっともう大丈夫と思いますよ。
他にも、糖質制限食で花粉症が改善された方は、たくさんおられます。のばやんさんと同様に、ほとんど出ない人、半減した人など様々です。中には不変の人もおられますが、過半数の人が良くなっておられます。
糖質制限食実践により、代謝全てが安定し(ブドウ糖スパイクがない)、動脈硬化のリスク要因全てが改善し、血流も毛細血管に到るまでさらさらとなります。
これにより、人体の自然治癒力が高まるので、糖尿病・メタボは勿論のこと、ほとんどの生活習慣病の改善が期待できます。
例えば、アトピー性皮膚炎などでも、皮膚がしっとりしてくることが多いです。また数人の人からは、毛髪が太くしっかりして抜けにくくなったと報告を受けました。花粉症に関しても、ブログ読者の皆さんのコメントでも、かなり確率で改善するようです。
お馴染み、糖質制限ドットコムのあらてつさん、小学生からのスギ花粉症で、年々症状がきつくなっていったそうです。
2004年の花粉症シーズン、耳鼻科医のお薦め通り、1ヶ月前から抗アレルギー剤を内服し、点眼薬、点鼻薬も開始して準備万端整えていたそうです。
しかしあに図らんや、例年にも増してくしゃみ・鼻水・鼻詰まりのフルコースで、息も絶え絶えで、仕事も手につかない状態でした。(+_+)
自称、1000の病を持つ男「あらてつ」、この頃までは漢方薬など全く信じておらず、ひたすら十数年間耳鼻科へ通い続けていた訳ですが、一向に良くならないどころか年々悪化していく事態に、藁をもすがる思いで高雄病院江部洋一郎院長(当時、私の兄です)に診察して貰いました。
その頃はあらてつさん、数年来高雄病院職員でしたが、
まあ、
「漢方なんてせいぜい藁?」
くらいのサムい認識だったのでしょうね。
ところがどっこい、西洋薬を一切中止して煎じ薬を飲んだその日から、くしゃみ・鼻水・鼻づまりがぴったりとまって、奇蹟のように改善したのです。ヾ(゜▽゜)
煎じ薬、はっきり言ってメチャまずいです。σ(=_=;)ヾ
それでも男あらてつ、まずさに耐えて、それからシーズン中はずっと飲み続けました。
そしてその年の冬からは、花粉症予防薬の漢方エキスを飲んで、翌シーズン中は煎じ薬に切り替えて、2005年、2006年はほとんど花粉症が出ずに済みました。
この頃からスーパー糖質制限食も開始して、2007年、2008年、2009年、2010年も、まったく西洋薬なしで、花粉症予防の漢方エキスだけで、花粉症ほぼフリー状態、999の病を持つ男となりました。
耳鼻科の先生、売り上げを減らして申し訳ありません・・・。m(_ _)m
そして2011年も1月から、アレルギー予防の漢方薬を内服して、勿論スーパー糖質制限食も継続で、3月11日現在、ほとんど花粉症の症状はでていません。
江部康二
2011年03月10日 (木)
こんばんは。
下記のユーチューブへのリンクをクリックしていただくと、とても嬉しいです。
よろしくお願い申し上げます。江部康二。 m(_ _)m
さて、ジュンさんから、インスリンの作用と糖輸送体と基礎分泌・追加分泌などについて、コメント・質問をいただきました。
【11/03/10 ジュン
No title
江部先生 おはようございます。
理解不足ですみません、教えていただけると幸いです。
・ブドウ糖を肝臓にグリコーゲンとして蓄える時はインシュリンは必要なのでしょうか?
・筋肉の運動時や脳などはインシュリンがなくても体内にブドウ糖を取り込めるものなのでしょうか?
・健康な人は、β細胞にインシュリンが一定量蓄えられているものなのでしょうか? だとすると、食事の追加分泌でその一定量を使ってしまうと、一回の食事でも、あまりだらだらと時間をかけてたくさん食べていると、健康な人でも溜ったインシュリンを使いはたしてしまうと、血糖値が上がってしまうものなのでしょうか?
・インシュリンを作って蓄えるのにどの程度の時間がかかるものなのでしょうか?】
ジュンさん。
復習も兼ねて質問の回答を考えてみましょう。
「ブドウ糖を肝臓にグリコーゲンとして蓄える時はインシュリンは必要なのでしょうか?」
インスリンは、肝臓における糖新生を抑制し、グリコーゲンの合成を促進します。
結果として、肝静脈へのブドウ糖放出を抑制します。インスリンは必要ですね。
「筋肉の運動時や脳などはインシュリンがなくても体内にブドウ糖を取り込めるものなのでしょうか? 」
筋肉が収縮したときは、筋肉細胞内のGlut4という糖輸送体が、細胞内から細胞表面に移動するので、インスリンに関係なく血糖を取り込めます。
脳の糖輸送体は、Glut1であり、常に細胞表面に存在しているので、血流さえあればいつでも血糖を取り込めます。
ちなみに赤血球や網膜もGlut1を持っているので、インスリンに関係なく血糖を取り込めます。
なお、糖質を食べて血糖値が上昇したときは、インスリンが大量に追加分泌されて、筋肉細胞のGlut4が細胞表面に移動するので血糖を取り込めます。Glut4が筋肉細胞内にあるときは、血糖をほとんど取り込めません。
「健康な人は、β細胞にインシュリンが一定量蓄えられているものなのでしょうか? だとすると、食事の追加分泌でその一定量を使ってしまうと、一回の食事でも、あまりだらだらと時間をかけてたくさん食べていると、健康な人でも溜ったインシュリンを使いはたしてしまうと、血糖値が上がってしまうものなのでしょうか? インシュリンを作って蓄えるのにどの程度の時間がかかるものなのでしょうか?」
インスリンには、24時間ずっとベースに少量分泌されている基礎分泌のインスリンと、食後に血糖値が上昇した時に出る、追加分泌のインスリンがあります。
追加分泌のインスリンには、即分泌される第1相と少し遅れて出る第2相があります。
正常の人は、血糖値が上昇し始めたら、即インスリンが追加分泌されます。
これは第1相反応と呼ばれ、もともとプールされていたインスリンが5~10分間分泌されて、糖質摂取時の急激な食後高血糖を防いでいます。
その後、膵臓のベータ細胞は、第2相反応と呼ばれるやや少なめの、持続するインスリン分泌を行います。これは、食事における糖質の残りをカバーしています。
即ち、糖質を摂取している間は、第2相のインスリン分泌が持続します。
食事が終わってしばらくしたら、また第1相のインスリンがプールされると思います。
江部康二
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【11/03/10 ジュン
No title
江部先生 おはようございます。
理解不足ですみません、教えていただけると幸いです。
・ブドウ糖を肝臓にグリコーゲンとして蓄える時はインシュリンは必要なのでしょうか?
・筋肉の運動時や脳などはインシュリンがなくても体内にブドウ糖を取り込めるものなのでしょうか?
・健康な人は、β細胞にインシュリンが一定量蓄えられているものなのでしょうか? だとすると、食事の追加分泌でその一定量を使ってしまうと、一回の食事でも、あまりだらだらと時間をかけてたくさん食べていると、健康な人でも溜ったインシュリンを使いはたしてしまうと、血糖値が上がってしまうものなのでしょうか?
・インシュリンを作って蓄えるのにどの程度の時間がかかるものなのでしょうか?】
ジュンさん。
復習も兼ねて質問の回答を考えてみましょう。
「ブドウ糖を肝臓にグリコーゲンとして蓄える時はインシュリンは必要なのでしょうか?」
インスリンは、肝臓における糖新生を抑制し、グリコーゲンの合成を促進します。
結果として、肝静脈へのブドウ糖放出を抑制します。インスリンは必要ですね。
「筋肉の運動時や脳などはインシュリンがなくても体内にブドウ糖を取り込めるものなのでしょうか? 」
筋肉が収縮したときは、筋肉細胞内のGlut4という糖輸送体が、細胞内から細胞表面に移動するので、インスリンに関係なく血糖を取り込めます。
脳の糖輸送体は、Glut1であり、常に細胞表面に存在しているので、血流さえあればいつでも血糖を取り込めます。
ちなみに赤血球や網膜もGlut1を持っているので、インスリンに関係なく血糖を取り込めます。
なお、糖質を食べて血糖値が上昇したときは、インスリンが大量に追加分泌されて、筋肉細胞のGlut4が細胞表面に移動するので血糖を取り込めます。Glut4が筋肉細胞内にあるときは、血糖をほとんど取り込めません。
「健康な人は、β細胞にインシュリンが一定量蓄えられているものなのでしょうか? だとすると、食事の追加分泌でその一定量を使ってしまうと、一回の食事でも、あまりだらだらと時間をかけてたくさん食べていると、健康な人でも溜ったインシュリンを使いはたしてしまうと、血糖値が上がってしまうものなのでしょうか? インシュリンを作って蓄えるのにどの程度の時間がかかるものなのでしょうか?」
インスリンには、24時間ずっとベースに少量分泌されている基礎分泌のインスリンと、食後に血糖値が上昇した時に出る、追加分泌のインスリンがあります。
追加分泌のインスリンには、即分泌される第1相と少し遅れて出る第2相があります。
正常の人は、血糖値が上昇し始めたら、即インスリンが追加分泌されます。
これは第1相反応と呼ばれ、もともとプールされていたインスリンが5~10分間分泌されて、糖質摂取時の急激な食後高血糖を防いでいます。
その後、膵臓のベータ細胞は、第2相反応と呼ばれるやや少なめの、持続するインスリン分泌を行います。これは、食事における糖質の残りをカバーしています。
即ち、糖質を摂取している間は、第2相のインスリン分泌が持続します。
食事が終わってしばらくしたら、また第1相のインスリンがプールされると思います。
江部康二
2011年03月09日 (水)
こんにちは。
下記のユーチューブへのリンクをクリックしていただくと、とても嬉しいです。
よろしくお願い申し上げます。江部康二。 m(_ _)m
さて、グルカゴンと糖尿病について、そらまめさんからコメント・質問をいただきました。
【11/03/09 そらまめ
糖質制限とグルカゴン
初めまして。
先生のブログ・著書を拝見させていただき、1月末よりスーパー糖質制限食をしています(糖尿病発覚直後よりです)。
途中一時期、玄米を毎食60~100g程摂取した時期が1週間ほどあり
その時に行った食事前後の測定でグルカゴンが200前後と高かったです。
糖質制限していると、グルカゴンは高くなりますか?
(検査をした時期は、上記のとおり、玄米を60~100g程度摂取していましたが・・・)
またストレスの影響もあるのでしょうか。
血糖が120~180もあるのに、グルカゴンが分泌過剰な原因として考えられるのは、どのようなものが考えられるのでしょうか?
もしよろしければ、お教え頂ければ嬉しく思います。】
そらまめさん。
拙著のご購入ありがとうございます。
グルカゴンですが、日常臨床で検査することはほとんどありません。
グルカゴンは、インスリンの拮抗物質で、膵ランゲルハンス島A細胞で合成・分泌される他、消化管での存在も報告されています。
グルカゴンの主な作用としては、肝臓でのグリコーゲン分解・糖新生による血糖上昇およびケトン体産生の促進、脂肪細胞での中性脂肪分解などがあります
北里大学のウェブ版によれば
http://bme.ahs.kitasato-u.ac.jp:8080/docs/qrs/imd/imd00327.html
『Kitasato Univ. Electronic Textbook: imd00327.html
日常臨床上、グルカゴン値の測定が必要となるのは以下のような場合である。
a. グルカゴノーマの診断。
b.低血糖の鑑別診断におけるグルカゴン分泌不全の証明( グルカゴン欠損症・不安定型糖尿病など)。
c.糖代謝異常に膵疾患の関与が考えられる場合。』
となっています。
グルカゴンの基準値は、早朝空腹時で 「IRG基礎値:40~180pm/ml 」です。
高値を示す疾患は、グルカゴノーマ 、クッシング症候群、先端肥大症 、糖尿病、ストレス 、腎不全、肝硬変、急性膵炎などです。
低値を示す疾患は、下垂体機能低下症、糖尿病の母親から生まれた新生児、膵全摘などです。
健常者では、グルカゴン値は血糖値と逆相関します。
一方、糖尿人では、グルカゴン値は血糖値に比し高値となることが多いです。
基準値内でも、グルカゴン値は正常人に比べたら相対的に高値になります。
特に経口ブドウ糖負荷試験では、正常人と糖尿人の差が顕著にでます。
正常人では、血糖値の上昇に伴いグルカゴンは低下しますが、糖尿人では低下せず、時に上昇することもあります。
そらまめさんの「グルカゴン200前後」は、糖尿病のためと考えられます。
またストレスでもグルカゴンが高値となることがあるようです。
スーパー糖質制限食で血糖コントロール良好となれば、グルカゴンも基準値に戻るかもしれませんね。
江部康二
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画期的な糖尿病治療食「糖質制限食を語る」|DVD、絶賛発売中!
糖質制限食の第一人者、高雄病院理事長、江部康二医師の講演が臨場感溢れるDVDに。二つの講演会を収録し、この一枚に糖質制限食のエッセンスを凝縮!お求めはこちらから http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.phpさて、グルカゴンと糖尿病について、そらまめさんからコメント・質問をいただきました。
【11/03/09 そらまめ
糖質制限とグルカゴン
初めまして。
先生のブログ・著書を拝見させていただき、1月末よりスーパー糖質制限食をしています(糖尿病発覚直後よりです)。
途中一時期、玄米を毎食60~100g程摂取した時期が1週間ほどあり
その時に行った食事前後の測定でグルカゴンが200前後と高かったです。
糖質制限していると、グルカゴンは高くなりますか?
(検査をした時期は、上記のとおり、玄米を60~100g程度摂取していましたが・・・)
またストレスの影響もあるのでしょうか。
血糖が120~180もあるのに、グルカゴンが分泌過剰な原因として考えられるのは、どのようなものが考えられるのでしょうか?
もしよろしければ、お教え頂ければ嬉しく思います。】
そらまめさん。
拙著のご購入ありがとうございます。
グルカゴンですが、日常臨床で検査することはほとんどありません。
グルカゴンは、インスリンの拮抗物質で、膵ランゲルハンス島A細胞で合成・分泌される他、消化管での存在も報告されています。
グルカゴンの主な作用としては、肝臓でのグリコーゲン分解・糖新生による血糖上昇およびケトン体産生の促進、脂肪細胞での中性脂肪分解などがあります
北里大学のウェブ版によれば
http://bme.ahs.kitasato-u.ac.jp:8080/docs/qrs/imd/imd00327.html
『Kitasato Univ. Electronic Textbook: imd00327.html
日常臨床上、グルカゴン値の測定が必要となるのは以下のような場合である。
a. グルカゴノーマの診断。
b.低血糖の鑑別診断におけるグルカゴン分泌不全の証明( グルカゴン欠損症・不安定型糖尿病など)。
c.糖代謝異常に膵疾患の関与が考えられる場合。』
となっています。
グルカゴンの基準値は、早朝空腹時で 「IRG基礎値:40~180pm/ml 」です。
高値を示す疾患は、グルカゴノーマ 、クッシング症候群、先端肥大症 、糖尿病、ストレス 、腎不全、肝硬変、急性膵炎などです。
低値を示す疾患は、下垂体機能低下症、糖尿病の母親から生まれた新生児、膵全摘などです。
健常者では、グルカゴン値は血糖値と逆相関します。
一方、糖尿人では、グルカゴン値は血糖値に比し高値となることが多いです。
基準値内でも、グルカゴン値は正常人に比べたら相対的に高値になります。
特に経口ブドウ糖負荷試験では、正常人と糖尿人の差が顕著にでます。
正常人では、血糖値の上昇に伴いグルカゴンは低下しますが、糖尿人では低下せず、時に上昇することもあります。
そらまめさんの「グルカゴン200前後」は、糖尿病のためと考えられます。
またストレスでもグルカゴンが高値となることがあるようです。
スーパー糖質制限食で血糖コントロール良好となれば、グルカゴンも基準値に戻るかもしれませんね。
江部康二
2011年03月08日 (火)
こんにちは
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よろしくお願い申し上げます。江部康二。 m(_ _)m
さて、2011年3月2日のヤフー・ニュース・医療介護CBニュースに、興味深い記事が載りました。
その記事をまず要約してみます。
【肥満があると、筋肉細胞内にインスリンが届きにくくなり、筋肉細胞の血糖取り込みに障害が生じる。
研究した東大グループの門脇教授は「世界が驚くような画期的な発見。全く新しい標的の治療薬の開発につながる」とコメント。
肥満→筋肉細胞の毛細血管が十分に拡張しない→血流が悪いため血液中のインスリンが細胞内に届きにくくなる→結果としてインスリン抵抗性の出現というパターンである。
そのメカニズムであるが、血管内皮細胞の「インスリン受容体基質2(IRS2)」を欠損させたマウスでは、食後にインスリンが分泌されても、血管を拡張する酵素(eNOS)が活性化されず、正常なマウスの半分ほどしかインスリンが筋肉に届かないため、糖の取り込みに障害が生じる。
慢性閉塞性動脈硬化症などの治療に用いられる「プロスタグランジンI2アナログ(ベラプロストナトリウム)」をIRS2欠損マウスに投与したところ、eNOSを増やして血管を拡張する作用があり、、糖の取り込みが改善された。
高脂肪食を与えて肥満させたマウスは、慢性的な高インスリン血症により、血管内皮細胞のIRS2が半分程度に減少し、欠損マウスと同じように、eNOSの活性化と毛細血管の拡張、インスリンの移行量がそれぞれ低下し、筋肉の糖取り込みに障害が生じることが確認され、それがベラプロストナトリウムの投与で改善されることが明らかとなった。】
どうやら、毛細血管内皮細胞のインスリン受容体基質2(IRS2)がキーワードです。
肥満させたマウスはIRS2が半分程度に減少し血管を拡張する酵素(eNOS)が活性化されず、毛細血管が拡張できず、インスリンの移行量が低下し、筋肉細胞のブドウ糖取り込みに障害が生じるということです。
「インスリン受容体基質2(IRS2)」とか血管を拡張する酵素(eNOS)とか、はっきりいって私もよく知らない医学用語ですね。 (∵)?
文脈上、載せてますが、これらの難解医学用語の意味は、わからなくてもいいと思います。
ともあれ、確かに肥満マウスの筋肉において、<インスリン抵抗性>が生じる機序を一部説明できる理論ですね。
肥満したヒトにおいても、同様のメカニズムでインスリン抵抗性の一部が出現している可能性があります。
ここで、プロスタグランジンI2アナログ(ベラプロストナトリウム)が、インスリン抵抗性を改善するということですが、ヒトへの実用化はまだまだ先でしょう。
また、肥満状態のままで、薬に頼ってインスリン抵抗性の改善をはかるというのは、本質の改善ではないのでイマイチです。
薬に頼るよりも、肥満が改善すれば筋肉の毛細血管内皮細胞のインスリン受容体基質2(IRS2)も正常に回復し、
血管を拡張する酵素(eNOS)が活性化され、毛細血管が拡張してインスリンがスムースに移行し、筋肉細胞のブドウ糖とりこみも上手くいくということです。
当然、肥満した状態のままで、薬で一部のインスリン抵抗性を改善させたとしても、インスリン抵抗性の全体像が改善されるかどうかは疑問です。
結論です。
ヒトで肥満のためにインスリン抵抗性が出現しているなら、抵抗性の一部の改善を薬に頼るよりは、スーパー糖質制限食で、肥満そのものを改善させる方が、リーズナブルですね。
江部康二
以下は、ヤフー・ニュース・医療介護CBニュースの記事全文です。
☆☆☆☆☆
【ヤフー・ニュース
2型糖尿病、筋肉の糖取り込み障害を解明-新たな治療法に可能性・東大グループ
医療介護CBニュース 3月2日(水)2時45分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110302-00000000-cbn-soci
肥満になると、血管内皮細胞のインスリン作用が低下し、筋肉の毛細血管が十分に拡張しなくなるため、インスリンが届きにくく、筋肉での糖の取り込みに障害が生じることを、東大大学院の門脇孝教授らの研究グループが解明した。最大の「糖の消費臓器」である筋肉のインスリン抵抗性を克服することは、2型糖尿病の治療にとって重要なカギ。研究では、このインスリン作用を正常化し、血管の拡張を促すことで、糖の取り込みが改善されることも明らかにしており、門脇教授は「世界が驚くような画期的な発見。全く新しい標的の治療薬の開発につながる」としている。
肥満などによって引き起こされるインスリン抵抗性は、最初に筋肉で現われる。しかし、血液中のインスリンが毛細血管の血管内皮細胞を通り、筋肉へと移行するメカニズムは、これまで詳しく分かっていなかった。
研究グループは、血管内皮細胞でインスリン作用を伝達する「インスリン受容体基質2(IRS2)」に着目。IRS2を欠損させたマウスでは、食後にインスリンが分泌されても、血管を拡張する酵素(eNOS)が活性化されず、正常なマウスの半分ほどしかインスリンが筋肉に届かないため、糖の取り込みに障害が生じることが分かった。
また、この治療法として、慢性閉塞性動脈硬化症などの治療に用いられる「プロスタグランジンI2アナログ(ベラプロストナトリウム)」に注目。この薬剤は、eNOSを増やして血管を拡張する作用があり、IRS2欠損マウスに投与したところ、糖の取り込みが改善された。
一方、高脂肪食を与えて肥満させたマウスは、慢性的な高インスリン血症により、血管内皮細胞のIRS2が半分程度に減少することを確認。欠損マウスと同じように、eNOSの活性化と毛細血管の拡張、インスリンの移行量がそれぞれ低下し、筋肉の糖取り込みに障害が生じることや、ベラプロストナトリウムの投与で改善されることを明らかにした。
門脇教授は、「インスリン抵抗性を改善する従来の薬剤で十分な効果が得られなかったのは、治療ターゲットから血管内皮細胞が抜け落ちていたためとも考えられる」とし、血管内皮細胞のIRS2の増加やeNOS活性化を促すなど、新たな糖尿病薬の開発に向けた可能性を指摘している。研究は米科学誌Cell Metabolism3月2日号で発表した。】
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よろしくお願い申し上げます。江部康二。 m(_ _)m
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その記事をまず要約してみます。
【肥満があると、筋肉細胞内にインスリンが届きにくくなり、筋肉細胞の血糖取り込みに障害が生じる。
研究した東大グループの門脇教授は「世界が驚くような画期的な発見。全く新しい標的の治療薬の開発につながる」とコメント。
肥満→筋肉細胞の毛細血管が十分に拡張しない→血流が悪いため血液中のインスリンが細胞内に届きにくくなる→結果としてインスリン抵抗性の出現というパターンである。
そのメカニズムであるが、血管内皮細胞の「インスリン受容体基質2(IRS2)」を欠損させたマウスでは、食後にインスリンが分泌されても、血管を拡張する酵素(eNOS)が活性化されず、正常なマウスの半分ほどしかインスリンが筋肉に届かないため、糖の取り込みに障害が生じる。
慢性閉塞性動脈硬化症などの治療に用いられる「プロスタグランジンI2アナログ(ベラプロストナトリウム)」をIRS2欠損マウスに投与したところ、eNOSを増やして血管を拡張する作用があり、、糖の取り込みが改善された。
高脂肪食を与えて肥満させたマウスは、慢性的な高インスリン血症により、血管内皮細胞のIRS2が半分程度に減少し、欠損マウスと同じように、eNOSの活性化と毛細血管の拡張、インスリンの移行量がそれぞれ低下し、筋肉の糖取り込みに障害が生じることが確認され、それがベラプロストナトリウムの投与で改善されることが明らかとなった。】
どうやら、毛細血管内皮細胞のインスリン受容体基質2(IRS2)がキーワードです。
肥満させたマウスはIRS2が半分程度に減少し血管を拡張する酵素(eNOS)が活性化されず、毛細血管が拡張できず、インスリンの移行量が低下し、筋肉細胞のブドウ糖取り込みに障害が生じるということです。
「インスリン受容体基質2(IRS2)」とか血管を拡張する酵素(eNOS)とか、はっきりいって私もよく知らない医学用語ですね。 (∵)?
文脈上、載せてますが、これらの難解医学用語の意味は、わからなくてもいいと思います。
ともあれ、確かに肥満マウスの筋肉において、<インスリン抵抗性>が生じる機序を一部説明できる理論ですね。
肥満したヒトにおいても、同様のメカニズムでインスリン抵抗性の一部が出現している可能性があります。
ここで、プロスタグランジンI2アナログ(ベラプロストナトリウム)が、インスリン抵抗性を改善するということですが、ヒトへの実用化はまだまだ先でしょう。
また、肥満状態のままで、薬に頼ってインスリン抵抗性の改善をはかるというのは、本質の改善ではないのでイマイチです。
薬に頼るよりも、肥満が改善すれば筋肉の毛細血管内皮細胞のインスリン受容体基質2(IRS2)も正常に回復し、
血管を拡張する酵素(eNOS)が活性化され、毛細血管が拡張してインスリンがスムースに移行し、筋肉細胞のブドウ糖とりこみも上手くいくということです。
当然、肥満した状態のままで、薬で一部のインスリン抵抗性を改善させたとしても、インスリン抵抗性の全体像が改善されるかどうかは疑問です。
結論です。
ヒトで肥満のためにインスリン抵抗性が出現しているなら、抵抗性の一部の改善を薬に頼るよりは、スーパー糖質制限食で、肥満そのものを改善させる方が、リーズナブルですね。
江部康二
以下は、ヤフー・ニュース・医療介護CBニュースの記事全文です。
☆☆☆☆☆
【ヤフー・ニュース
2型糖尿病、筋肉の糖取り込み障害を解明-新たな治療法に可能性・東大グループ
医療介護CBニュース 3月2日(水)2時45分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110302-00000000-cbn-soci
肥満になると、血管内皮細胞のインスリン作用が低下し、筋肉の毛細血管が十分に拡張しなくなるため、インスリンが届きにくく、筋肉での糖の取り込みに障害が生じることを、東大大学院の門脇孝教授らの研究グループが解明した。最大の「糖の消費臓器」である筋肉のインスリン抵抗性を克服することは、2型糖尿病の治療にとって重要なカギ。研究では、このインスリン作用を正常化し、血管の拡張を促すことで、糖の取り込みが改善されることも明らかにしており、門脇教授は「世界が驚くような画期的な発見。全く新しい標的の治療薬の開発につながる」としている。
肥満などによって引き起こされるインスリン抵抗性は、最初に筋肉で現われる。しかし、血液中のインスリンが毛細血管の血管内皮細胞を通り、筋肉へと移行するメカニズムは、これまで詳しく分かっていなかった。
研究グループは、血管内皮細胞でインスリン作用を伝達する「インスリン受容体基質2(IRS2)」に着目。IRS2を欠損させたマウスでは、食後にインスリンが分泌されても、血管を拡張する酵素(eNOS)が活性化されず、正常なマウスの半分ほどしかインスリンが筋肉に届かないため、糖の取り込みに障害が生じることが分かった。
また、この治療法として、慢性閉塞性動脈硬化症などの治療に用いられる「プロスタグランジンI2アナログ(ベラプロストナトリウム)」に注目。この薬剤は、eNOSを増やして血管を拡張する作用があり、IRS2欠損マウスに投与したところ、糖の取り込みが改善された。
一方、高脂肪食を与えて肥満させたマウスは、慢性的な高インスリン血症により、血管内皮細胞のIRS2が半分程度に減少することを確認。欠損マウスと同じように、eNOSの活性化と毛細血管の拡張、インスリンの移行量がそれぞれ低下し、筋肉の糖取り込みに障害が生じることや、ベラプロストナトリウムの投与で改善されることを明らかにした。
門脇教授は、「インスリン抵抗性を改善する従来の薬剤で十分な効果が得られなかったのは、治療ターゲットから血管内皮細胞が抜け落ちていたためとも考えられる」とし、血管内皮細胞のIRS2の増加やeNOS活性化を促すなど、新たな糖尿病薬の開発に向けた可能性を指摘している。研究は米科学誌Cell Metabolism3月2日号で発表した。】