2011年02月28日 (月)
こんにちは。
『糖質制限食・医療関係者・研究者向けセミナー2011年2月27日(日)東京・中野』
のご報告です。
90名定員でしたが、80数名の参加者で満員となりました。
ぎっしり満席だったことも含め、熱気に溢れるセミナーで私も熱が入り、珍しく汗をしっかりかきました。
佐賀県、熊本県、秋田県などの遠方から参加された方もおられ嬉しい限りでした。
医師が過半数でしたが、看護師、栄養士、鍼灸師、研究者と幅広い層の方々にご参集頂きました。
90分間、私の講演、60分間大柳管理栄養士の講演でした。
私は、UKPDS、ACCORD、ランッセットなどの大規模臨床試験の考察・・・
生理的ケトン体と病理的ケトン体と小児ケトン食、ケトン体の安全性・・・
症例報告、食事によるインスリンの分泌量の差、Glutの話・・・
かなり突っ込んだお話もしました。
大柳管理栄養士は、栄養指導の実例に基づいて、具体的な実践に役立つノウハウを展開されました。
30分間質疑応答の時間もたっぷり取ってあったのですが、質問が相次ぎ時間がやや足りませんでした。
参加者の皆さん、すみませんでした。m(_ _)m
次回は、さらに質疑応答の時間を増やすようにします。
質問の内容も臨床に即したものがほとんどで、活発な討議を行うことができて、大変有意義なセミナーでした。
DVD「糖質制限食を語る」も好調な売れ行きでした。
参加者の皆さん、ありがとうございました。ヾ(^▽^)
江部康二
『糖質制限食・医療関係者・研究者向けセミナー2011年2月27日(日)東京・中野』
のご報告です。
90名定員でしたが、80数名の参加者で満員となりました。
ぎっしり満席だったことも含め、熱気に溢れるセミナーで私も熱が入り、珍しく汗をしっかりかきました。
佐賀県、熊本県、秋田県などの遠方から参加された方もおられ嬉しい限りでした。
医師が過半数でしたが、看護師、栄養士、鍼灸師、研究者と幅広い層の方々にご参集頂きました。
90分間、私の講演、60分間大柳管理栄養士の講演でした。
私は、UKPDS、ACCORD、ランッセットなどの大規模臨床試験の考察・・・
生理的ケトン体と病理的ケトン体と小児ケトン食、ケトン体の安全性・・・
症例報告、食事によるインスリンの分泌量の差、Glutの話・・・
かなり突っ込んだお話もしました。
大柳管理栄養士は、栄養指導の実例に基づいて、具体的な実践に役立つノウハウを展開されました。
30分間質疑応答の時間もたっぷり取ってあったのですが、質問が相次ぎ時間がやや足りませんでした。
参加者の皆さん、すみませんでした。m(_ _)m
次回は、さらに質疑応答の時間を増やすようにします。
質問の内容も臨床に即したものがほとんどで、活発な討議を行うことができて、大変有意義なセミナーでした。
DVD「糖質制限食を語る」も好調な売れ行きでした。
参加者の皆さん、ありがとうございました。ヾ(^▽^)
江部康二
画期的な糖尿病治療食「糖質制限食を語る」|DVD、絶賛発売中!
糖質制限食の第一人者、高雄病院理事長、江部康二医師の講演が臨場感溢れるDVDに。二つの講演会を収録し、この一枚に糖質制限食のエッセンスを凝縮!お求めはこちらから http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php
2011年02月28日 (月)
【糖質制限食 質問、記事、本に関するお知らせ・お願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。
一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。
診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。
私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。
また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。
従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。
質問が増えてきましたので、糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。
質問によっては、コメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、質問がかなり増えてきていますので、なかなか即、お答えすることが困難となってきています。
糖質制限食に関わりのある全ての質問に、本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
【糖質制限食とは】
米国糖尿病協会(ADA)によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
1997年版のLife With Diabetes(ADA)では、「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」という記載がありましたが、2004年版では変更されています。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。従って、糖質を摂取した時には、インスリンが大量に追加分泌されます。脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が、大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
そして、食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても糖質含有量は1gもないので、食後高血糖はほとんど生じないのです。
なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など、糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということが、おわかりいただけたと思います。
なお、糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。
一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食により、リアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はほとんどないので、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」2005
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009
「やせる食べ方」2010
「うちの母は糖尿人」2010
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006
「 糖質制限食 春のレシピ」2007
「 糖質制限食 夏のレシピ」2007
「糖質制限食 秋のレシピ」2008
「糖質制限食 冬のレシピ」2008
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」 2010
「やせる食べ方」レシピ集 2010
(以上東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010
(ナツメ社)
「糖質オフ」ごちそうごはん 2009
(アスペクト)
dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」2009
dancyu プレジデントムック 「酒飲みダイエット 」 2010
(プレジデント社)
2011年「糖質制限ダイエット」(講談社)
2011年「糖質オフダイエット」(レタスクラブ)
などを参考にされ、自力で糖質制限食を実践して、糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は、相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。
糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。
一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。
診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。
私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。
また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。
従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。
質問が増えてきましたので、糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。
質問によっては、コメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、質問がかなり増えてきていますので、なかなか即、お答えすることが困難となってきています。
糖質制限食に関わりのある全ての質問に、本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
【糖質制限食とは】
米国糖尿病協会(ADA)によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
1997年版のLife With Diabetes(ADA)では、「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」という記載がありましたが、2004年版では変更されています。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。従って、糖質を摂取した時には、インスリンが大量に追加分泌されます。脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が、大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
そして、食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても糖質含有量は1gもないので、食後高血糖はほとんど生じないのです。
なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など、糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということが、おわかりいただけたと思います。
なお、糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。
一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食により、リアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はほとんどないので、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」2005
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009
「やせる食べ方」2010
「うちの母は糖尿人」2010
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006
「 糖質制限食 春のレシピ」2007
「 糖質制限食 夏のレシピ」2007
「糖質制限食 秋のレシピ」2008
「糖質制限食 冬のレシピ」2008
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」 2010
「やせる食べ方」レシピ集 2010
(以上東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010
(ナツメ社)
「糖質オフ」ごちそうごはん 2009
(アスペクト)
dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」2009
dancyu プレジデントムック 「酒飲みダイエット 」 2010
(プレジデント社)
2011年「糖質制限ダイエット」(講談社)
2011年「糖質オフダイエット」(レタスクラブ)
などを参考にされ、自力で糖質制限食を実践して、糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は、相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。
糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。
2011年02月25日 (金)

こんにちは。
ここのところ、本の出版が相次いでいます。
2010年12月に「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」(ナツメ社)
2011年2月に「糖質オフダイエット」(レタスクラブ)
2011年2月に「糖質制限ダイエット」(講談社)
前2者の紹介記事は既に書きました。
今回は、講談社のお料理BOOK
誰もがストレスなくやせられる!
糖質制限ダイエット
の紹介です。
料理を担当していただいた大庭英子先生は、ご自身が糖質制限ダイエットを実践されて、半年で7kgのダイエットに成功されました。
美味しくて綺麗な料理の写真とレシピがたっぷり載っています。
7kg減量成功の説得力に富むレシピ集です。
巻頭になぜやせるかという、最小限の糖質制限食理論が2ページ。
最後に糖質制限食理論補足3ぺージと、糖質制限ダイエットQ&Aをわかりやすく解説。
巻末には、食品糖質量の表と、食べてよい食品・控えめにしたい食品・避けたい食品の表。
とても使い勝手のよい、仕上がりとなっています。
ブログ読者の皆さん、是非ご一読いただけばさいわいです。
江部康二
画期的な糖尿病治療食「糖質制限食を語る」|DVD、絶賛発売中!
糖質制限食の第一人者、高雄病院理事長、江部康二医師の講演が臨場感溢れるDVDに。二つの講演会を収録し、この一枚に糖質制限食のエッセンスを凝縮!お求めはこちらから http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php
2011年02月24日 (木)
おはようございます。
キャラメルさんから、肥満とインスリンと糖質制限食について、コメント・質問をいただきました。
【11/02/22 キャラメル
糖質制限と減量
いつも参考にさせていただいております。先生の本も購入し、何度も読み返している30代です。糖質制限で主食を抜けば血糖値が改善する事はわかります。ですが、減量という事になると、やはりカロリーも気にしないといけないのでしょうか?肉・ナッツ・チーズは大好きなのですが高カロリーです。私は160cm・82kgと減量が必要です。糖質制限で大好きな主食を我慢しているわりに「減量」の効果が出ません。やはり食べる量や摂取カロリーが多いからでしょうか?また、私は血液検査でのインスリン値が38.8μU/mlと高いのですが、食前に飲むスターシスという薬が処方され続けています。インスリンが出過ぎなのに、さらに分泌させる必要があるのでしょうか?インスリンの効きが悪く、食後高血糖を防ぐ必要があるという事で分泌させないといけないのでしょうか?ご指導いただけると助かります。】
キャラメルさん。
本のご購入ありがとうございます。
キャラメルさん、おそらく、大食タイプでしょうか?
身長160cmですと、男性なら1600kcal/日、女性なら1400kcal/日くらいのスーパー糖質制限食がいいですね。
血液検査でのインスリン値が38.8μU/ml・・・これは空腹時でしょうか?
空腹時ならかなり過剰ですが、食後のデータなのでしょうね。。
空腹時インスリン基準値は「2~10 μU/mL」ていどです。
食後ならそれほど高値ではないのですが・・・
ともあれインスリン過剰分泌タイプなら、インスリン分泌促進剤は更なる肥満の元ですね。
食後高血糖を防ぐには、グルコバイなどのほうが好ましいです。
グルコバイなら、デンプンの分解を遅らせて食後高血糖を防ぐタイプの薬ですので、インスリン分泌を促進させません。
外から注射しても、内部で産生しても、インスリンは兎に角肥満ホルモンです。
このことはUKPDSやACCORDなど幾多の研究ではっきりしています。
アマリールやグリミクロンなどのSU剤も、インスリンを分泌させますので、体重増加作用があります。
最近のジャヌビア・エクアなどのDPP-4阻害剤は、体重増加作用がないのも売りですね。
さて、糖質制限食実践で、ほとんどの人はカロリー制限なしで減量成功するのですが、
「糖質制限食を実践してもなかなか痩せない」
そういう人が確かに数%おられます。
高雄病院の入院患者さんで、150cm、90kgの女性がおられました。
1200キロカロリーの 糖質制限食でもごくゆっくりの減量効果しかなくて、1000キロカロリーの糖質制限食で、やっと順調に体重が減り始めました。
どうやら世の中には、痩せやすい人と痩せにくい人がいることは間違いないようですが、その大きな要因として基礎代謝があります。
吉田俊秀先生(京都府立医大臨床教授・肥満外来)によれば、日本女性の平均基礎代謝量は約1200キロカロリー/日ですが、個別には600~2400キロカロリー/日と、かなりのばらつきがあるそうです。
基礎代謝が800キロカロリー/日しかない人ならば、1200キロカロリー/日という低カロリーでもなかなか痩せないことは理解できますよね。
さて、1995年、米国アリゾナ州に居住するネイティブアメリカンの「ピマ族」に、「β3アドレナリン受容体」という物質をつかさどる遺伝子に変異が発見され、これを持つ人は糖尿病や肥満になりやすいことが報告されました。
ピマ族や日本人に比較的多く見られるこの遺伝子変異は「倹約遺伝子」とも言うべきもので、脂肪をためやすく燃えにくいようにするものです。
即ち、摂取エネルギーを最大限に吸収し、消費エネルギーを最小限に抑えるという、私達の祖先がかつて食料不足で飢えに苦しめられていたころには、大いに有利に働いていたものと考えられます。
かつては「倹約遺伝子」として有利に働いていたものが、飽食の現代では「肥満遺伝子」と変貌してしまったわけです。( ̄_ ̄|||)
もし倹約遺伝子の持ち主であれば、女性で1200キロカロリーの 糖質制限食でも痩せにくいことがあり、『糖質制限食+カロリー制限食(1000キロカロリー)』が必要となります。この倹約遺伝子の持ち主が数%おられると思います。
女性なら1000~1200キロカロリー
男性なら1400~1600キロカロリー
が一つの目安ですね。
さらに、数%ほど大食タイプの人がおられます。
無糖ヨーグルト500g入り1個を1回で食べてなおかつ1日2~3個でも平気とか、ステーキ400gなんて楽勝とか、タマネギ中玉(200g)2個くらいなら炒めたら簡単とか・・・。
こういう強者(大食漢)の方々には、カロリー制限までしなくても、普通のカロリーですね。
女性なら1200~1600キロカロリー
男性なら1600~2000キロカロリー
が一つの目安と説明しています。
☆☆☆
最後に疫学研究の報告です。
①<2008年のニューイングランド・ジャーナル、イスラエルの研究報告>
NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241
「低炭水化物食(糖質制限食)が最も体重を減少させ、HDL-Cを増加させた。」
が、長年の食事療法の論争に決着をつけたと思います。
これは、ネットの1個人の意見や仮説ではなく、
322人を2年間追跡した権威ある疫学的研究です。
低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。
• イスラエルの322人(男性86%)
• (1)低脂肪法(カロリー制限あり)
• (2)オリーブ油の地中海法(カロリー制限あり)
• (3)低炭水化物法(カロリー制限なしのアトキンス式ダイエット)
• 3グループの食事法を2年間経過観察。
• 低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。
• NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241
体重などを分析した結果、2年後の体重減少幅の平均は
(1)低脂肪法 2.9キロ
(2)地中海法 4.4キロ
(3)低炭水化物法 4.7キロ
となり、
(3)低炭水化物法が最も減少していた。また、善玉コレステロールも増えていた。
②<JAMA(米国医師会雑誌)>
2007年3月,JAMA297:969-977
「the A TO Z Weight Loss Study: a randomized trial.」という論文が発表されました。
アトキンス(Atkins)、ゾーン(Zone)、ラーン(LEARN)、オーニッシュ(Ornish)ダイエットのそれぞれの1年間の体重減少効果をみた研究論文です。
311人の女性を上記4グループに分けて追跡したものです。これら4種のダイエット法は、いずれも米国でポピュラーなものです。
結果は、アトキンスダイエット( 糖質制限食)が、」最も体重を減少させ、HDL-コレステロールを増加、中性脂肪を減少させることが明らかとなりました。 (^O^)
アトキンスダイエットは低糖質食で、私達の糖質制限食と基本的考えは一緒です。1年間で平均4.7kg減少です。
ゾーンダイエットは、タンパク質・炭水化物・脂質の比率を40:30:30にするというものです。平均1.6kg減少です。
ラーンダイエットは、高炭水化物、低脂肪食です。平均2.6kg減少です。
オーニッシュダイエッは、菜食主義風のダイエットです。カロリーの10%を脂肪分から、20%をたんぱく質、70%を炭水化物からという割合の食事です。平均2.2kg減少です。最も高炭水化物で、最も低脂肪です。
このように①ニューイングランド・ジャーナルと②米国医師会雑誌という2つの権威ある医学雑誌に載った論文で、「糖質制限食」が「高糖質低脂質食」より体重減少効果があることが証明されました。
江部康二
キャラメルさんから、肥満とインスリンと糖質制限食について、コメント・質問をいただきました。
【11/02/22 キャラメル
糖質制限と減量
いつも参考にさせていただいております。先生の本も購入し、何度も読み返している30代です。糖質制限で主食を抜けば血糖値が改善する事はわかります。ですが、減量という事になると、やはりカロリーも気にしないといけないのでしょうか?肉・ナッツ・チーズは大好きなのですが高カロリーです。私は160cm・82kgと減量が必要です。糖質制限で大好きな主食を我慢しているわりに「減量」の効果が出ません。やはり食べる量や摂取カロリーが多いからでしょうか?また、私は血液検査でのインスリン値が38.8μU/mlと高いのですが、食前に飲むスターシスという薬が処方され続けています。インスリンが出過ぎなのに、さらに分泌させる必要があるのでしょうか?インスリンの効きが悪く、食後高血糖を防ぐ必要があるという事で分泌させないといけないのでしょうか?ご指導いただけると助かります。】
キャラメルさん。
本のご購入ありがとうございます。
キャラメルさん、おそらく、大食タイプでしょうか?
身長160cmですと、男性なら1600kcal/日、女性なら1400kcal/日くらいのスーパー糖質制限食がいいですね。
血液検査でのインスリン値が38.8μU/ml・・・これは空腹時でしょうか?
空腹時ならかなり過剰ですが、食後のデータなのでしょうね。。
空腹時インスリン基準値は「2~10 μU/mL」ていどです。
食後ならそれほど高値ではないのですが・・・
ともあれインスリン過剰分泌タイプなら、インスリン分泌促進剤は更なる肥満の元ですね。
食後高血糖を防ぐには、グルコバイなどのほうが好ましいです。
グルコバイなら、デンプンの分解を遅らせて食後高血糖を防ぐタイプの薬ですので、インスリン分泌を促進させません。
外から注射しても、内部で産生しても、インスリンは兎に角肥満ホルモンです。
このことはUKPDSやACCORDなど幾多の研究ではっきりしています。
アマリールやグリミクロンなどのSU剤も、インスリンを分泌させますので、体重増加作用があります。
最近のジャヌビア・エクアなどのDPP-4阻害剤は、体重増加作用がないのも売りですね。
さて、糖質制限食実践で、ほとんどの人はカロリー制限なしで減量成功するのですが、
「糖質制限食を実践してもなかなか痩せない」
そういう人が確かに数%おられます。
高雄病院の入院患者さんで、150cm、90kgの女性がおられました。
1200キロカロリーの 糖質制限食でもごくゆっくりの減量効果しかなくて、1000キロカロリーの糖質制限食で、やっと順調に体重が減り始めました。
どうやら世の中には、痩せやすい人と痩せにくい人がいることは間違いないようですが、その大きな要因として基礎代謝があります。
吉田俊秀先生(京都府立医大臨床教授・肥満外来)によれば、日本女性の平均基礎代謝量は約1200キロカロリー/日ですが、個別には600~2400キロカロリー/日と、かなりのばらつきがあるそうです。
基礎代謝が800キロカロリー/日しかない人ならば、1200キロカロリー/日という低カロリーでもなかなか痩せないことは理解できますよね。
さて、1995年、米国アリゾナ州に居住するネイティブアメリカンの「ピマ族」に、「β3アドレナリン受容体」という物質をつかさどる遺伝子に変異が発見され、これを持つ人は糖尿病や肥満になりやすいことが報告されました。
ピマ族や日本人に比較的多く見られるこの遺伝子変異は「倹約遺伝子」とも言うべきもので、脂肪をためやすく燃えにくいようにするものです。
即ち、摂取エネルギーを最大限に吸収し、消費エネルギーを最小限に抑えるという、私達の祖先がかつて食料不足で飢えに苦しめられていたころには、大いに有利に働いていたものと考えられます。
かつては「倹約遺伝子」として有利に働いていたものが、飽食の現代では「肥満遺伝子」と変貌してしまったわけです。( ̄_ ̄|||)
もし倹約遺伝子の持ち主であれば、女性で1200キロカロリーの 糖質制限食でも痩せにくいことがあり、『糖質制限食+カロリー制限食(1000キロカロリー)』が必要となります。この倹約遺伝子の持ち主が数%おられると思います。
女性なら1000~1200キロカロリー
男性なら1400~1600キロカロリー
が一つの目安ですね。
さらに、数%ほど大食タイプの人がおられます。
無糖ヨーグルト500g入り1個を1回で食べてなおかつ1日2~3個でも平気とか、ステーキ400gなんて楽勝とか、タマネギ中玉(200g)2個くらいなら炒めたら簡単とか・・・。
こういう強者(大食漢)の方々には、カロリー制限までしなくても、普通のカロリーですね。
女性なら1200~1600キロカロリー
男性なら1600~2000キロカロリー
が一つの目安と説明しています。
☆☆☆
最後に疫学研究の報告です。
①<2008年のニューイングランド・ジャーナル、イスラエルの研究報告>
NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241
「低炭水化物食(糖質制限食)が最も体重を減少させ、HDL-Cを増加させた。」
が、長年の食事療法の論争に決着をつけたと思います。
これは、ネットの1個人の意見や仮説ではなく、
322人を2年間追跡した権威ある疫学的研究です。
低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。
• イスラエルの322人(男性86%)
• (1)低脂肪法(カロリー制限あり)
• (2)オリーブ油の地中海法(カロリー制限あり)
• (3)低炭水化物法(カロリー制限なしのアトキンス式ダイエット)
• 3グループの食事法を2年間経過観察。
• 低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。
• NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241
体重などを分析した結果、2年後の体重減少幅の平均は
(1)低脂肪法 2.9キロ
(2)地中海法 4.4キロ
(3)低炭水化物法 4.7キロ
となり、
(3)低炭水化物法が最も減少していた。また、善玉コレステロールも増えていた。
②<JAMA(米国医師会雑誌)>
2007年3月,JAMA297:969-977
「the A TO Z Weight Loss Study: a randomized trial.」という論文が発表されました。
アトキンス(Atkins)、ゾーン(Zone)、ラーン(LEARN)、オーニッシュ(Ornish)ダイエットのそれぞれの1年間の体重減少効果をみた研究論文です。
311人の女性を上記4グループに分けて追跡したものです。これら4種のダイエット法は、いずれも米国でポピュラーなものです。
結果は、アトキンスダイエット( 糖質制限食)が、」最も体重を減少させ、HDL-コレステロールを増加、中性脂肪を減少させることが明らかとなりました。 (^O^)
アトキンスダイエットは低糖質食で、私達の糖質制限食と基本的考えは一緒です。1年間で平均4.7kg減少です。
ゾーンダイエットは、タンパク質・炭水化物・脂質の比率を40:30:30にするというものです。平均1.6kg減少です。
ラーンダイエットは、高炭水化物、低脂肪食です。平均2.6kg減少です。
オーニッシュダイエッは、菜食主義風のダイエットです。カロリーの10%を脂肪分から、20%をたんぱく質、70%を炭水化物からという割合の食事です。平均2.2kg減少です。最も高炭水化物で、最も低脂肪です。
このように①ニューイングランド・ジャーナルと②米国医師会雑誌という2つの権威ある医学雑誌に載った論文で、「糖質制限食」が「高糖質低脂質食」より体重減少効果があることが証明されました。
江部康二
画期的な糖尿病治療食「糖質制限食を語る」|DVD、絶賛発売中!
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2011年02月23日 (水)

おはようございます。
このたび、レタスクラブから
ドクターズレシピ「糖質オフダイエット」 江部康二著
が出版されました。
重信初江先生に調理を担当していただき、美味しそうな料理写真がいっぱいの、とても見やすい綺麗な仕上がりとなっています。
巻頭に理論編とQ&Aが、わかりやすくシンプルにまとめてあり、活字が苦手の人にも喜んでもらえると思います。
巻末には、「糖質量チェック表」と「食品糖質表」が記載してあり、使い勝手が良いように工夫してあります。
主要書店では平積みにしてくれているようで、嬉しい限りです。
ブログ読者の皆さん、是非ご一読下さいね。
江部康二
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2011年02月22日 (火)
こんにちは。
高雄病院には、現在月に平均12名の糖尿人が、全国から糖質制限食治療を希望して入院されます。
遠方の方は、入院して糖質制限食で糖尿病自己管理の体験をし知識を会得してもらい、退院されたら地元の医師にフォローしていただきます。
京都や近くの糖尿人でも、外来で、なかなか血糖値が下がりきらない時などは、入院すると改善する人がほとんどですので、『コントロール・教育入院』がお奨めです。
14日間あれば、コントロール・教育入院が可能です。勿論健康保険が効きます。
最初の数日間のスーパー糖質制限食で内服薬中止して、コントロール良好となることがほとんどなので、次の7日間は、グルコバイ(100)1錠を、食前30秒に内服して、あえて炊いたご飯2/3膳(約100g)など摂取して、食後血糖値がどのくらい上昇するかを試してみます。
食後2時間で180mg/dl未満ならまあまあで、140mg/dl未満なら合格です。
グルコバイだけで力が及ばない時は、「グルコバイ+グルファスト」食前30秒に内服で試します。
期間的に余裕があれば、パンやうどんなども試します。
これは、退院後どうしても、或いはやむを得ず糖質摂取せざるを得ないときのためのシミュレーションです。(^^)
インスリン注射をされている時は、3~4週間あったほうが確実に減量できます。インスリンの量は1/3以下になります。
上手くいけば2割くらいの方が、インスリン離脱もできます。
2型だけでなく、1型の糖尿人でも、インスリンの量は1/3以下になります。
入院して一日7~8回、毎食前・食後の血糖値を測定することで、
「通常のカロリー制限の糖尿病食」と「糖質制限食」の効果の大きな差が
リアルタイムに確認できます。
血糖値を上げるのは糖質だけで、タンパク質・脂質はあげないということを、
身をもって体験することで、糖質制限食へのモチベーションが高まります。
この検査を血糖値の日内変動といいます。
入院2日目に「カロリー制限食(高糖質)」、4日目に「糖質制限食」で
同一カロリーにして日内変動を行います。
入院して糖質制限食を摂取しての血糖値日内変動検査を実施しているのは、
日本中で高雄病院以外はほとんどありません。
同一カロリーでも、糖質を摂取すれば、
インスリン注射や経口血糖降下剤を内服していても、
食後血糖値は200mg/dlを超えることが多いですが、
スーパー糖質制限食なら、薬・注射なしで
食後血糖値は140mg/dlのことがほとんどです。
勿論、個人差はあります。
入院中はその他、内臓脂肪CTや頸動脈エコーなど、
糖尿病に関連するいろいろな検査もあります。
一日の尿をためて、尿糖測定やインスリン分泌量測定(尿中Cペプチド測定)も行います。
一日尿のCペプチド測定で、トータルなインスリンの分泌量がチェックできます。
早朝空腹時の血中IRI(インスリン)かCペプチド(インスリン注射をしている人はこちらを測定)を調べることで、基礎分泌のインスリンがどのくらいでているかわかります。
インスリン抵抗性の検査やインスリン追加分泌能の検査もあります。
管理栄養士による具体的な栄養指導もあります。
糖質制限食を体験し学ばれて、退院後は地元の病院で通院され、
6ヶ月に一回くらい京都観光を兼ねて高雄病院あるいは高雄病院京都駅前診療所に来て頂いている方もおられます。
遠方の場合、年に一回、糖質制限食入院をされる方もおられます。
入院・外来治療の実績があれば、高雄病院への電話やメールでの質問もOKです。
高雄病院では現実に、関東、北海道、九州、東海、中部、中国地方など、様々な遠方地域の糖尿人の入院も多いです。北海道から九州まで万遍なくこられます。
全国の糖尿人の方々も、糖質制限食入院治療ご希望の場合は、
高雄病院 075-871-0245
まで、電話され、入院担当職員とご相談いただけば幸いです。 (^_^)
江部康二
高雄病院には、現在月に平均12名の糖尿人が、全国から糖質制限食治療を希望して入院されます。
遠方の方は、入院して糖質制限食で糖尿病自己管理の体験をし知識を会得してもらい、退院されたら地元の医師にフォローしていただきます。
京都や近くの糖尿人でも、外来で、なかなか血糖値が下がりきらない時などは、入院すると改善する人がほとんどですので、『コントロール・教育入院』がお奨めです。
14日間あれば、コントロール・教育入院が可能です。勿論健康保険が効きます。
最初の数日間のスーパー糖質制限食で内服薬中止して、コントロール良好となることがほとんどなので、次の7日間は、グルコバイ(100)1錠を、食前30秒に内服して、あえて炊いたご飯2/3膳(約100g)など摂取して、食後血糖値がどのくらい上昇するかを試してみます。
食後2時間で180mg/dl未満ならまあまあで、140mg/dl未満なら合格です。
グルコバイだけで力が及ばない時は、「グルコバイ+グルファスト」食前30秒に内服で試します。
期間的に余裕があれば、パンやうどんなども試します。
これは、退院後どうしても、或いはやむを得ず糖質摂取せざるを得ないときのためのシミュレーションです。(^^)
インスリン注射をされている時は、3~4週間あったほうが確実に減量できます。インスリンの量は1/3以下になります。
上手くいけば2割くらいの方が、インスリン離脱もできます。
2型だけでなく、1型の糖尿人でも、インスリンの量は1/3以下になります。
入院して一日7~8回、毎食前・食後の血糖値を測定することで、
「通常のカロリー制限の糖尿病食」と「糖質制限食」の効果の大きな差が
リアルタイムに確認できます。
血糖値を上げるのは糖質だけで、タンパク質・脂質はあげないということを、
身をもって体験することで、糖質制限食へのモチベーションが高まります。
この検査を血糖値の日内変動といいます。
入院2日目に「カロリー制限食(高糖質)」、4日目に「糖質制限食」で
同一カロリーにして日内変動を行います。
入院して糖質制限食を摂取しての血糖値日内変動検査を実施しているのは、
日本中で高雄病院以外はほとんどありません。
同一カロリーでも、糖質を摂取すれば、
インスリン注射や経口血糖降下剤を内服していても、
食後血糖値は200mg/dlを超えることが多いですが、
スーパー糖質制限食なら、薬・注射なしで
食後血糖値は140mg/dlのことがほとんどです。
勿論、個人差はあります。
入院中はその他、内臓脂肪CTや頸動脈エコーなど、
糖尿病に関連するいろいろな検査もあります。
一日の尿をためて、尿糖測定やインスリン分泌量測定(尿中Cペプチド測定)も行います。
一日尿のCペプチド測定で、トータルなインスリンの分泌量がチェックできます。
早朝空腹時の血中IRI(インスリン)かCペプチド(インスリン注射をしている人はこちらを測定)を調べることで、基礎分泌のインスリンがどのくらいでているかわかります。
インスリン抵抗性の検査やインスリン追加分泌能の検査もあります。
管理栄養士による具体的な栄養指導もあります。
糖質制限食を体験し学ばれて、退院後は地元の病院で通院され、
6ヶ月に一回くらい京都観光を兼ねて高雄病院あるいは高雄病院京都駅前診療所に来て頂いている方もおられます。
遠方の場合、年に一回、糖質制限食入院をされる方もおられます。
入院・外来治療の実績があれば、高雄病院への電話やメールでの質問もOKです。
高雄病院では現実に、関東、北海道、九州、東海、中部、中国地方など、様々な遠方地域の糖尿人の入院も多いです。北海道から九州まで万遍なくこられます。
全国の糖尿人の方々も、糖質制限食入院治療ご希望の場合は、
高雄病院 075-871-0245
まで、電話され、入院担当職員とご相談いただけば幸いです。 (^_^)
江部康二
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2011年02月21日 (月)
こんばんは。
常々、
「脳はケトン体をいつでも利用するし、ブドウ糖も利用する。」
と説明してきました。
ケトン体は肝細胞内で、
「脂肪酸→β酸化→アセチルCoA→ケトン体」
という順番で誰においても日常的に生成されていて肝臓では使用されずに、他の臓器、脳や筋肉のエネルギー源として供給されます。
脂肪酸は、血液脳関門を通過できませんが、ケトン体は通過できます。
従って、脳は脂肪酸を利用できませんが、ケトン体は利用します。
脳以外の身体の細胞は、全て脂肪酸とケトン体とブドウ糖を利用できます。
唯一赤血球だけは、ブドウ糖しか利用できません。
日常生活を営んでいるときは、心筋や骨格筋など多くの体細胞の主たるエネルギー源は脂肪酸・ケトン体であり、ブドウ糖ではありません。
赤血球・脳・網膜など特殊な細胞だけは、日常生活において、主たるエネルギー源としてブドウ糖を利用しています。これは、糖輸送体1(Glut1)を持っているからです。
Glut1は、常に細胞の表面に存在していて、血流さえあれば即血糖を取り込めます。
このことが誤解されて「脳はブドウ糖しか利用できない」という迷信が生まれたのだと思います。
心筋や骨格筋や脂肪組織の細胞の糖輸送体はGlut4であり、常は細胞内に沈んでいるので、血流があってもほとんど血糖を取り込めません。
インスリンが追加分泌されるか筋肉が収縮したとき、細胞の表面にGlut4が移動して、はじめて血糖を取り込みます。
赤血球だけがブドウ糖しか利用できないのは、ミトコンドリアを持っていないからです。
細胞内にミトコンドリアがあれば、必ず脂肪酸やケトン体を利用することができます。
太古の昔に、α-プロトバクテリアというグループの細菌が古細菌の中に取り込まれ、真核生物が誕生しました。
α-プロトバクテリアは、真核生物の細胞の中のミトコンドリアになったとされています。
このミトコンドリア、その生い立ちだけでなく、働きも大変興味深いものです。
地球上の生命体は、細菌、古細菌、真核生物の3種に分類されます。人類はもちろん真核生物です。
ミトコンドリアや細菌、古細菌、真核生物のことなども、わかる範囲でぼちぼちブログ記事にしたいと思っています。
江部康二
常々、
「脳はケトン体をいつでも利用するし、ブドウ糖も利用する。」
と説明してきました。
ケトン体は肝細胞内で、
「脂肪酸→β酸化→アセチルCoA→ケトン体」
という順番で誰においても日常的に生成されていて肝臓では使用されずに、他の臓器、脳や筋肉のエネルギー源として供給されます。
脂肪酸は、血液脳関門を通過できませんが、ケトン体は通過できます。
従って、脳は脂肪酸を利用できませんが、ケトン体は利用します。
脳以外の身体の細胞は、全て脂肪酸とケトン体とブドウ糖を利用できます。
唯一赤血球だけは、ブドウ糖しか利用できません。
日常生活を営んでいるときは、心筋や骨格筋など多くの体細胞の主たるエネルギー源は脂肪酸・ケトン体であり、ブドウ糖ではありません。
赤血球・脳・網膜など特殊な細胞だけは、日常生活において、主たるエネルギー源としてブドウ糖を利用しています。これは、糖輸送体1(Glut1)を持っているからです。
Glut1は、常に細胞の表面に存在していて、血流さえあれば即血糖を取り込めます。
このことが誤解されて「脳はブドウ糖しか利用できない」という迷信が生まれたのだと思います。
心筋や骨格筋や脂肪組織の細胞の糖輸送体はGlut4であり、常は細胞内に沈んでいるので、血流があってもほとんど血糖を取り込めません。
インスリンが追加分泌されるか筋肉が収縮したとき、細胞の表面にGlut4が移動して、はじめて血糖を取り込みます。
赤血球だけがブドウ糖しか利用できないのは、ミトコンドリアを持っていないからです。
細胞内にミトコンドリアがあれば、必ず脂肪酸やケトン体を利用することができます。
太古の昔に、α-プロトバクテリアというグループの細菌が古細菌の中に取り込まれ、真核生物が誕生しました。
α-プロトバクテリアは、真核生物の細胞の中のミトコンドリアになったとされています。
このミトコンドリア、その生い立ちだけでなく、働きも大変興味深いものです。
地球上の生命体は、細菌、古細菌、真核生物の3種に分類されます。人類はもちろん真核生物です。
ミトコンドリアや細菌、古細菌、真核生物のことなども、わかる範囲でぼちぼちブログ記事にしたいと思っています。
江部康二
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2011年02月20日 (日)
画期的な糖尿病治療食「糖質制限食を語る」|DVD、絶賛発売中!
糖質制限食の第一人者、高雄病院理事長、江部康二医師の講演が臨場感溢れるDVDに。二つの講演会を収録し、この一枚に糖質制限食のエッセンスを凝縮!お求めはこちらから http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.phpこんばんは。
今テニスから帰ってきました。
今日は、調子はいまいちでした。(-_-;)
さて
『糖質制限食・医療関係者・研究者向けセミナー2011年2月27日(日)東京・中野』
のご案内です。
医療関係者向けセミナーとしていましたが、食品企業などの研究者で糖質制限食に興味がある方も歓迎です。鍼灸師や検査技師の方々も歓迎です。
内容が専門的なものもあり、かなり豊富でその分参加費もいつもより高いです。
一般の人には少し難しいと思います。
糖質制限食の広がりは、最近とみに加速しています。
ここのところ、岐阜、堺、大阪、滋賀、札幌、熊本・・・
医師の皆さんからの講演依頼が各地からぞくぞくと舞い込んでいて、嬉しい限りです。
東京での医療関係者向けセミナーは、1年ぶりですので、ブログ読者の皆さん、是非奮ってご参加下さいね。ヾ(^▽^)
また、知り合いの医療関係者(医師・薬剤師・栄養師・看護師・・・)や研究者の方々に、お声をおかけ頂けば幸いです。m(_ _)mVV
江部康二
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
2011年2月27日(日)
特別企画 医療関係者向けセミナー
<糖尿病治療における糖質制限食の有効性>
ー糖尿病・メタボリックシンドローム・肥満・生活習慣病と糖質制限食ー
豊富な症例をもとにした理論と実践
栄養指導ガイド
<1部>講師・江部康二が、高雄病院の豊富な症例をもとにした理論と実践を徹底的に解説。一般向け講演に比べて糖質制限食の理論をとくに詳細に展開します。
<2部>新しい試みとして、糖質制限食の臨床経験豊富な管理栄養士の講師・大柳珠美が、ドクターを対称とした患者さんへの栄養指導のポイントを解説。日々の臨床現場で役立つ資料をご用意しています。
<日時>2011年2月27日(日)
タイムスケジュール(予定):
13時00分開場
13時30分~基調講演 江部康二(1時間30分)
15時00分~休憩(10分)
15時10分~栄養指導ガイド 大柳珠美(1時間)
16時10分~休憩(10分)
16時20分~質疑応答(30分)
16時50分終了
<会場>中野サンプラザ研修室1
住所 東京都中野区中野4-1-1
電話 03-3388-1174
<道順> JR中央線・総武線、地下鉄東西線中野駅北口下車1分
<会費>一般8000円 リボーン会員6000円 学生4000円
(資料付き)
<定員>90名まで
<申し込み>
Eメール:reborn@big.or.jp
03-3388-5428 (電話、ファックス同じ)
☆事務局:曽我部ゆかり
☆事前に郵便振替でご送金ください。当日受付は致しません。
申込〆切 2011年2月20日
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
郵便振替 口座番号 00110-9-393366
口座名称 リボーン
<主催>NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
2011年02月20日 (日)
こんにちは。
tubumi さんから、「成長ホルモン抑制が、ガン・糖尿病予防の鍵?」という興味深い情報をコメントいただきました。
【11/02/20 tubumi
江部先生
いつもブロク読んで参考にさせていただいております。
世俗的なNewsが多い、「GIGAZINE」でこんかい興味深いNewsが配信されていました。ごぞんじでしたらすみません。
2/20配信
成長ホルモン抑制が予防の鍵か、小人症の人々は糖尿病と癌の発生率が極端に低い
http://gigazine.net/news/20110220_growth_hormone/
抜粋 平均的な身長の血縁者と比べ、糖尿病と癌(がん)の発生率が極端に低いことが明らかに
成長モルモンがアンチエイジングとか老化防止とか夢のホルモンの
ように思っていていましたが、目からウロコでした。
色々な研究が各地でされているのですね。】
tubumi さん。
情報ありがとうございます。
「GIGAZINE」確かに、過去記事では世俗的なNewsが多いようですが、今回の
「成長ホルモン抑制が予防の鍵か、小人症の人々は糖尿病と癌の発生率が極端に低い」
という記事はきらりと光っていますね。
「ラロン型低身長症(成長ホルモン不応症)」の人は、成長ホルモンにより分泌が促されるインスリン様成長因子1(IGF-1)が欠乏するとのことです。そのために低身長となります。
ウィキペディアによれば
『インスリン様成長因子1(IGF-1)は主に肝臓で成長ホルモン(GH)による刺激の結果分泌される。人体の殆どの細胞、特に筋肉、骨、肝臓、腎臓、神経、皮膚及び肺の細胞はIGF-1の影響を受ける。インスリン様効果に加え、IGF-1は細胞成長(特に神経細胞)と発達そして同様に細胞DNA合成を調節する。』
とのことです。
『小人症の人々の多くは貧しい食生活を送っていて5人に1人が肥満なのですが、小人症でない血縁者と比べインスリン感受性が高く、空腹時血糖値は1/3ほどであることが明らかになっています。』
インスリンの感受性が高いということは、基礎分泌のインスリンそのものが少量ですむし、追加分泌のインスリンも当然「ラロン型低身長症」でない人に比べれば少なくてすみます。
これまで多くの研究で、高インスリン血症による腫瘍増殖・発ガン促進作用が示されています。
世界がん研究基金(ロンドン)は、太り過ぎると、7種類のがんになる危険性が高まるという報告を纏め2007年に報告しました。
同基金は、1960年以降に世界各地で書かれた50万件の研究報告から7000件を選び出し、がんと体重、食事との関係を分析した結果、
『BMI値(体重を身長の2乗で割った数値)を20~25に保つのが望ましく、肥満によって乳がんや膵臓がんのほか、直腸、食道、子宮内膜、腎臓、胆嚢のがんになり易い』
と結論づけています。
この報告も「肥満→インスリン抵抗性→高インスリン血症→発ガン」という今までの研究報告に一致するものです。
一般人では、肥満があれば、上記のパターンで高インスリン血症になり、ガンのリスクとなりますが、「ラロン型低身長症」の場合は、肥満があっても、インスリン感受性がよく高インスリン血症にならないので、ガンになりにくいのでしょう。
インスリンは、人体に絶対に必要不可欠なホルモンですが、分泌量や必要量が少なくてすめば、それにこしたことはないようです。
癌の発症要因には様々なものがあるのですが、一般人における
「高インスリン血症、インスリン抵抗性、肥満」
という明白なリスクは、糖質制限食で予防できるといえます。
なお、糖尿病と癌の発生率は圧倒的に低いのですが、「ラロン型低身長症」の人々には事故や薬物乱用による死亡が多くて、結局総死亡率は、小人症でない血縁者のグループと変わらなかったそうです。これには、小人ということで被る社会的差別が影響している可能性があります。
【成長モルモンがアンチエイジングとか老化防止とか夢のホルモンのように思っていていましたが、目からウロコでした。】
『・・・シワのない若々しい肌や脂肪が少なく筋肉質な体形を求めて、違法に成長ホルモンの投与を受ける人々もいますが、これらの人々は若々しさを得る一方で、糖尿病や腫瘍のリスクを高めているかもしれないのです』とSalvatori博士語る・・・。
やはり不自然なことには、一定のリスクがあるのでしょうかね。
江部康二
☆☆☆☆☆
以下は「GIGAZINE」からの引用です。
「GIGAZINE」さんありがとうございます。m(_ _)mV
2011年02月20日
成長ホルモン抑制が予防の鍵か、小人症の人々は糖尿病と癌の発生率が極端に低い
成長ホルモン受容体の異常による遺伝性の小人症(こびとしょう)の一種「ラロン型低身長症(成長ホルモン不応症)」の家系を対象とした22年間にわたる調査により、成長ホルモンが機能せず背が伸びなかった低身長の人々では、平均的な身長の血縁者と比べ、糖尿病と癌(がん)の発生率が極端に低いことが明らかになりました。
将来的には薬物や食事法により成長ホルモンを抑制することで癌と糖尿病を予防できるようになるのでは、と期待されています。
詳細は以下から。
Dwarfism Gene Linked to Protection From Cancer and Diabetes - USC News
Severely short Ecuadorians resistant to diabetes, cancer, study says - CNN.com
アンデス山脈中腹、エクアドル・ロハ県のある村に住む人々は、スペインから南米へ渡りキリスト教に改宗したセファルディム(スペイン系ユダヤ人)の子孫が多く、ラロン型低身長症の家系が集中していることが知られています。
ラロン型低身長症患者では成長ホルモンは正常に分泌されるものの、成長ホルモン受容体遺伝子の変異により受容体が機能を果たさず、成長ホルモンにより分泌が促されるインスリン様成長因子1(IGF-1)が欠乏するため、身長が4フィート(120cm)程度にまでにしか伸びず、7歳児くらいの身長で一生を過ごすことになります。
成長ホルモン(左)を分泌する側の異常ではなく、成長ホルモンと結合する受容体(右)の側の異常により、成長ホルモンが分泌されたことに気付くことができず、「増えろ、伸びろ」という指令を受け取ることができないのです。
ラロン型低身長症は常染色体劣性遺伝であるため、両親ともに小人症であれば小人症の子どもしか生まれず、両親ともに普通の身長であっても2人とも「キャリア」(1対の遺伝子の片方にのみ異常がある)の場合は、子どもは4人に1人の確率で小人症となります。
南カリフォルニア大学の細胞生物学者Valter Longo博士と、キト在住のエクアドル人の内分泌学者Jaime Guevara-Aguirre博士らは、このアンデスの村のラロン型低身長症患者99名と、その血縁者で普通の身長の1600名(キャリア含む)を対象とした22年間にわたる調査で、低身長症患者では糖尿病や癌になる人が劇的に少ないことを発見しました。論文はScience Translational Medicine誌に発表されています。
Jaime Guevara-Aguirre博士と調査対象となったラロン型低身長症の人々。
同じ村に暮らし似たような生活習慣を送り、遺伝的条件も近いはずの血縁者のグループですが、小人症でない1600名では22年間の調査期間中に17%が癌と診断されたのに対し、小人症の99名のうち22年間で発癌したのは1名のみでした。この女性は2008年に卵巣癌の治療を受けたのちは再発せず予後は良好とのこと。
糖尿病については小人症でない1600名ではエクアドルの人口全体での発症率と同じ5%程度だったのですが、小人症の99名では22年間で1人も糖尿病にはならなかったそうです。小人症の人々の多くは貧しい食生活を送っていて5人に1人が肥満なのですが、小人症でない血縁者と比べインスリン感受性が高く、空腹時血糖値は1/3ほどであることが明らかになっています。
また、調査協力者の99人とは別に、小人症の人々53名の詳細な死因の記録を調査した結果、癌と糖尿病に結びつけられる死は1件もなかったそうです。99名の協力者のうち調査期間中に亡くなったのは9名で、この合計62名の死因を総合すると、普通の身長の血縁者と比べ、事故や飲酒関連の死因、けいれん性疾患が多かったそうです。小人症の人々は糖尿病と癌に加え、脳卒中の頻度も血縁者より低かったのですが、脳卒中については母数が少ないので有意な差であるかはわからないとのこと。
アメリカ国立老化研究所と共同で行われた実験では、ラロン型低身長症の被験者の血清に触れさせたヒト乳房上皮細胞ではDNA鎖の切断が減少しアポトーシス(細胞自然死)が増えることがわかっています。つまり、DNAが酸化的ダメージから守られるとともに、すでにダメージを受けてボロボロのDNAは進んで自殺するようになるのです。この機序は判明していないのですが、「細胞が大きくなったり分裂したりしないかわりに、その分のエネルギーを防御的なメカニズムのために使っている、と説明できるかもしれません」とLongo博士は語っています。
成長ホルモンと癌を結びつける研究結果は、これが初めてではありません。動物実験ではこれまでに、南イリノイ大学とオハイオ大学の科学者たちによって1996年と2000年に行われた2つの研究で、成長因子を欠損させたマウスでは40%寿命が延びることが確認され、成長因子欠損と腫瘍リスクの低下が結びつけられています。
今回の研究にはかかわっていないジョンズ・ホプキンス大学医学部の内分泌学の准教授Roberto Salvatori博士は、以前ブラジルでラロン型低身長症とは別のタイプの小人症の患者65名を対象に同様の研究(2010年にThe Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism誌に発表)を行ったのですが、そのときは癌による死亡者は65名中1名だったとのこと。
「現在、成人の成長ホルモン分泌障害の患者に対し成長ホルモンを投与する治療が行われていますが、今回のエクアドルのもののような研究結果は、この治療法に疑問を投げかけるものかもしれません。シワのない若々しい肌や脂肪が少なく筋肉質な体形を求めて、違法に成長ホルモンの投与を受ける人々もいますが、これらの人々は若々しさを得る一方で、糖尿病や腫瘍のリスクを高めているかもしれないのです」とSalvatori博士は語っています。
ただし、成長ホルモン分泌障害にはさまざまな度合いがあるなかでも、生まれたときから成長ホルモンが機能していないラロン型低身長症の人々のケースは極端な例で、人類一般について「成長ホルモンが少ないと癌にならない」と言えるとは限らないそうです。
なお、糖尿病と癌の発生率の圧倒的な差にもかかわらず、小人症の人々に多い事故や薬物乱用などの死因により相殺され、総合的に見ると小人症の人々の寿命は小人症でない血縁者のグループと変わらなかったそうです。研究では心理学的アセスメントは行われていないのですが、Longo博士は「我々が会った成長ホルモン障害の人々は比較的『幸福』な『普通』の人々のようで、認知機能も正常であったのですが、なぜか奇妙な死因、特にアルコール関連の死因が多かったのです」と語っています。
「都市部に住む小人症患者の多くは、差別に直面しています」とGuevara-Aguirre博士は語っています。「今回の発見は、調査に協力してくれた人々のおかげで、その献身的な科学への貢献は、大いに称賛されるべきです。22年間にわたって調査に協力してきた患者たちがいることを、世界中の人に知ってもらいたい。彼らの尽力、彼らの血、彼らの血清、彼らの細胞が、癌や糖尿病を理解するための手助けとなっているのです」
「もし、コレステロールが心疾患のリスクファクターであるのと同様に、成長因子が癌のリスクファクターとなれば、成長因子を抑制する薬は、第2のスタチン(80年代に登場しコレステロール低下作用により救世主的な扱いを受けた薬)となるかもしれません」とLongo博士は語っています。
将来的には成長ホルモン抑制剤が「癌予防薬」として使われる可能性もあるわけですが、予防的な投与は始めは癌と糖尿病の発生率が特に高い家系に限るべきだとLongo博士は述べ、成長ホルモンの量は加齢とともに減少するので、もともと成長ホルモンがほとんど分泌されない高齢者では予防効果は得られないとも指摘しています。
なお、癌や糖尿病に対する予防的な成長ホルモン抑制はあくまで「予防」であるため、すでに発症している病気の「治療」のための薬と比べ、副作用に対する評価はずっとシビアなものになるとのこと。予防的な成長ホルモン抑制は、成長ホルモン活性が高い成人を平均的なレベルにまで下げる範囲にとどめるべきで、平均的なレベルから小人症患者並に下げることは行われるべきではないともLongo博士は付け加えています。
現在、成長ホルモンの過剰分泌による先端巨大症の治療に使われるPegvisomant(成長ホルモン受容体と結合して成長ホルモンをブロックする拮抗剤)など複数の成長ホルモン抑制剤が、すでにアメリカ食品医薬品局により認可されていて、先端巨大症患者に関して言えば副作用は許容できる範囲であることがわかっています。
成長ホルモン分泌障害のマウスやヒトの細胞は、化学損傷を受けにくいことがすでに研究により明らかになっているため、Longo博士らはまずは、化学療法を受けている患者に対するこれらの薬の防御的投与の臨床試験の承認を得たいと考えているそうです。
成長ホルモンを抑制する手段は薬物だけではありません。カロリー制限や、タンパク質など特定の栄養の摂取を抑えることにより、ホルモン拮抗剤と同様の効果が得られることがわかっています。しかし、長期間にわたる食事制限には摂食障害や血圧の低下、免疫抑制などさまざまな危険がつきまとい、特定の遺伝子変異のある人々にとっては短期間の食事制限でも命にかかわる場合があるため、予防医療としての成長ホルモン抑制のための食事制限の実施にはさらなる研究が必要で、必ず医師の監督のもと慎重に行う必要があるともLongo博士は強調しています。
不老長寿の霊薬は人類の永久のテーマ。50年で死ぬよりは80年生きたい、80年のうち最後の30年間を病に苦しみながら生きるよりは、80年間大病なく過ごし、ぎりぎりまで苦しまずにポックリ死にたい、と思うのが人間というものです。薬物による成長ホルモン抑制に少々の副作用があると判明した場合でも、糖尿病や癌に長期間苦しまずに済むことと引き替えなら、社会や政府の大部分は進んでその代償を払うのではないかと予想されています。
成長ホルモン抑制により今日明日にでも人類全体の発癌リスクを大幅にカットできる、という夢のような話ではないのですが、癌や糖尿病が多い家系でかつ大学生になっても身長が伸び続けていたというような人々は、成長ホルモン抑制による予防医療が確立されればその利益を享受できることになりそうです。
tubumi さんから、「成長ホルモン抑制が、ガン・糖尿病予防の鍵?」という興味深い情報をコメントいただきました。
【11/02/20 tubumi
江部先生
いつもブロク読んで参考にさせていただいております。
世俗的なNewsが多い、「GIGAZINE」でこんかい興味深いNewsが配信されていました。ごぞんじでしたらすみません。
2/20配信
成長ホルモン抑制が予防の鍵か、小人症の人々は糖尿病と癌の発生率が極端に低い
http://gigazine.net/news/20110220_growth_hormone/
抜粋 平均的な身長の血縁者と比べ、糖尿病と癌(がん)の発生率が極端に低いことが明らかに
成長モルモンがアンチエイジングとか老化防止とか夢のホルモンの
ように思っていていましたが、目からウロコでした。
色々な研究が各地でされているのですね。】
tubumi さん。
情報ありがとうございます。
「GIGAZINE」確かに、過去記事では世俗的なNewsが多いようですが、今回の
「成長ホルモン抑制が予防の鍵か、小人症の人々は糖尿病と癌の発生率が極端に低い」
という記事はきらりと光っていますね。
「ラロン型低身長症(成長ホルモン不応症)」の人は、成長ホルモンにより分泌が促されるインスリン様成長因子1(IGF-1)が欠乏するとのことです。そのために低身長となります。
ウィキペディアによれば
『インスリン様成長因子1(IGF-1)は主に肝臓で成長ホルモン(GH)による刺激の結果分泌される。人体の殆どの細胞、特に筋肉、骨、肝臓、腎臓、神経、皮膚及び肺の細胞はIGF-1の影響を受ける。インスリン様効果に加え、IGF-1は細胞成長(特に神経細胞)と発達そして同様に細胞DNA合成を調節する。』
とのことです。
『小人症の人々の多くは貧しい食生活を送っていて5人に1人が肥満なのですが、小人症でない血縁者と比べインスリン感受性が高く、空腹時血糖値は1/3ほどであることが明らかになっています。』
インスリンの感受性が高いということは、基礎分泌のインスリンそのものが少量ですむし、追加分泌のインスリンも当然「ラロン型低身長症」でない人に比べれば少なくてすみます。
これまで多くの研究で、高インスリン血症による腫瘍増殖・発ガン促進作用が示されています。
世界がん研究基金(ロンドン)は、太り過ぎると、7種類のがんになる危険性が高まるという報告を纏め2007年に報告しました。
同基金は、1960年以降に世界各地で書かれた50万件の研究報告から7000件を選び出し、がんと体重、食事との関係を分析した結果、
『BMI値(体重を身長の2乗で割った数値)を20~25に保つのが望ましく、肥満によって乳がんや膵臓がんのほか、直腸、食道、子宮内膜、腎臓、胆嚢のがんになり易い』
と結論づけています。
この報告も「肥満→インスリン抵抗性→高インスリン血症→発ガン」という今までの研究報告に一致するものです。
一般人では、肥満があれば、上記のパターンで高インスリン血症になり、ガンのリスクとなりますが、「ラロン型低身長症」の場合は、肥満があっても、インスリン感受性がよく高インスリン血症にならないので、ガンになりにくいのでしょう。
インスリンは、人体に絶対に必要不可欠なホルモンですが、分泌量や必要量が少なくてすめば、それにこしたことはないようです。
癌の発症要因には様々なものがあるのですが、一般人における
「高インスリン血症、インスリン抵抗性、肥満」
という明白なリスクは、糖質制限食で予防できるといえます。
なお、糖尿病と癌の発生率は圧倒的に低いのですが、「ラロン型低身長症」の人々には事故や薬物乱用による死亡が多くて、結局総死亡率は、小人症でない血縁者のグループと変わらなかったそうです。これには、小人ということで被る社会的差別が影響している可能性があります。
【成長モルモンがアンチエイジングとか老化防止とか夢のホルモンのように思っていていましたが、目からウロコでした。】
『・・・シワのない若々しい肌や脂肪が少なく筋肉質な体形を求めて、違法に成長ホルモンの投与を受ける人々もいますが、これらの人々は若々しさを得る一方で、糖尿病や腫瘍のリスクを高めているかもしれないのです』とSalvatori博士語る・・・。
やはり不自然なことには、一定のリスクがあるのでしょうかね。
江部康二
☆☆☆☆☆
以下は「GIGAZINE」からの引用です。
「GIGAZINE」さんありがとうございます。m(_ _)mV
2011年02月20日
成長ホルモン抑制が予防の鍵か、小人症の人々は糖尿病と癌の発生率が極端に低い
成長ホルモン受容体の異常による遺伝性の小人症(こびとしょう)の一種「ラロン型低身長症(成長ホルモン不応症)」の家系を対象とした22年間にわたる調査により、成長ホルモンが機能せず背が伸びなかった低身長の人々では、平均的な身長の血縁者と比べ、糖尿病と癌(がん)の発生率が極端に低いことが明らかになりました。
将来的には薬物や食事法により成長ホルモンを抑制することで癌と糖尿病を予防できるようになるのでは、と期待されています。
詳細は以下から。
Dwarfism Gene Linked to Protection From Cancer and Diabetes - USC News
Severely short Ecuadorians resistant to diabetes, cancer, study says - CNN.com
アンデス山脈中腹、エクアドル・ロハ県のある村に住む人々は、スペインから南米へ渡りキリスト教に改宗したセファルディム(スペイン系ユダヤ人)の子孫が多く、ラロン型低身長症の家系が集中していることが知られています。
ラロン型低身長症患者では成長ホルモンは正常に分泌されるものの、成長ホルモン受容体遺伝子の変異により受容体が機能を果たさず、成長ホルモンにより分泌が促されるインスリン様成長因子1(IGF-1)が欠乏するため、身長が4フィート(120cm)程度にまでにしか伸びず、7歳児くらいの身長で一生を過ごすことになります。
成長ホルモン(左)を分泌する側の異常ではなく、成長ホルモンと結合する受容体(右)の側の異常により、成長ホルモンが分泌されたことに気付くことができず、「増えろ、伸びろ」という指令を受け取ることができないのです。
ラロン型低身長症は常染色体劣性遺伝であるため、両親ともに小人症であれば小人症の子どもしか生まれず、両親ともに普通の身長であっても2人とも「キャリア」(1対の遺伝子の片方にのみ異常がある)の場合は、子どもは4人に1人の確率で小人症となります。
南カリフォルニア大学の細胞生物学者Valter Longo博士と、キト在住のエクアドル人の内分泌学者Jaime Guevara-Aguirre博士らは、このアンデスの村のラロン型低身長症患者99名と、その血縁者で普通の身長の1600名(キャリア含む)を対象とした22年間にわたる調査で、低身長症患者では糖尿病や癌になる人が劇的に少ないことを発見しました。論文はScience Translational Medicine誌に発表されています。
Jaime Guevara-Aguirre博士と調査対象となったラロン型低身長症の人々。
同じ村に暮らし似たような生活習慣を送り、遺伝的条件も近いはずの血縁者のグループですが、小人症でない1600名では22年間の調査期間中に17%が癌と診断されたのに対し、小人症の99名のうち22年間で発癌したのは1名のみでした。この女性は2008年に卵巣癌の治療を受けたのちは再発せず予後は良好とのこと。
糖尿病については小人症でない1600名ではエクアドルの人口全体での発症率と同じ5%程度だったのですが、小人症の99名では22年間で1人も糖尿病にはならなかったそうです。小人症の人々の多くは貧しい食生活を送っていて5人に1人が肥満なのですが、小人症でない血縁者と比べインスリン感受性が高く、空腹時血糖値は1/3ほどであることが明らかになっています。
また、調査協力者の99人とは別に、小人症の人々53名の詳細な死因の記録を調査した結果、癌と糖尿病に結びつけられる死は1件もなかったそうです。99名の協力者のうち調査期間中に亡くなったのは9名で、この合計62名の死因を総合すると、普通の身長の血縁者と比べ、事故や飲酒関連の死因、けいれん性疾患が多かったそうです。小人症の人々は糖尿病と癌に加え、脳卒中の頻度も血縁者より低かったのですが、脳卒中については母数が少ないので有意な差であるかはわからないとのこと。
アメリカ国立老化研究所と共同で行われた実験では、ラロン型低身長症の被験者の血清に触れさせたヒト乳房上皮細胞ではDNA鎖の切断が減少しアポトーシス(細胞自然死)が増えることがわかっています。つまり、DNAが酸化的ダメージから守られるとともに、すでにダメージを受けてボロボロのDNAは進んで自殺するようになるのです。この機序は判明していないのですが、「細胞が大きくなったり分裂したりしないかわりに、その分のエネルギーを防御的なメカニズムのために使っている、と説明できるかもしれません」とLongo博士は語っています。
成長ホルモンと癌を結びつける研究結果は、これが初めてではありません。動物実験ではこれまでに、南イリノイ大学とオハイオ大学の科学者たちによって1996年と2000年に行われた2つの研究で、成長因子を欠損させたマウスでは40%寿命が延びることが確認され、成長因子欠損と腫瘍リスクの低下が結びつけられています。
今回の研究にはかかわっていないジョンズ・ホプキンス大学医学部の内分泌学の准教授Roberto Salvatori博士は、以前ブラジルでラロン型低身長症とは別のタイプの小人症の患者65名を対象に同様の研究(2010年にThe Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism誌に発表)を行ったのですが、そのときは癌による死亡者は65名中1名だったとのこと。
「現在、成人の成長ホルモン分泌障害の患者に対し成長ホルモンを投与する治療が行われていますが、今回のエクアドルのもののような研究結果は、この治療法に疑問を投げかけるものかもしれません。シワのない若々しい肌や脂肪が少なく筋肉質な体形を求めて、違法に成長ホルモンの投与を受ける人々もいますが、これらの人々は若々しさを得る一方で、糖尿病や腫瘍のリスクを高めているかもしれないのです」とSalvatori博士は語っています。
ただし、成長ホルモン分泌障害にはさまざまな度合いがあるなかでも、生まれたときから成長ホルモンが機能していないラロン型低身長症の人々のケースは極端な例で、人類一般について「成長ホルモンが少ないと癌にならない」と言えるとは限らないそうです。
なお、糖尿病と癌の発生率の圧倒的な差にもかかわらず、小人症の人々に多い事故や薬物乱用などの死因により相殺され、総合的に見ると小人症の人々の寿命は小人症でない血縁者のグループと変わらなかったそうです。研究では心理学的アセスメントは行われていないのですが、Longo博士は「我々が会った成長ホルモン障害の人々は比較的『幸福』な『普通』の人々のようで、認知機能も正常であったのですが、なぜか奇妙な死因、特にアルコール関連の死因が多かったのです」と語っています。
「都市部に住む小人症患者の多くは、差別に直面しています」とGuevara-Aguirre博士は語っています。「今回の発見は、調査に協力してくれた人々のおかげで、その献身的な科学への貢献は、大いに称賛されるべきです。22年間にわたって調査に協力してきた患者たちがいることを、世界中の人に知ってもらいたい。彼らの尽力、彼らの血、彼らの血清、彼らの細胞が、癌や糖尿病を理解するための手助けとなっているのです」
「もし、コレステロールが心疾患のリスクファクターであるのと同様に、成長因子が癌のリスクファクターとなれば、成長因子を抑制する薬は、第2のスタチン(80年代に登場しコレステロール低下作用により救世主的な扱いを受けた薬)となるかもしれません」とLongo博士は語っています。
将来的には成長ホルモン抑制剤が「癌予防薬」として使われる可能性もあるわけですが、予防的な投与は始めは癌と糖尿病の発生率が特に高い家系に限るべきだとLongo博士は述べ、成長ホルモンの量は加齢とともに減少するので、もともと成長ホルモンがほとんど分泌されない高齢者では予防効果は得られないとも指摘しています。
なお、癌や糖尿病に対する予防的な成長ホルモン抑制はあくまで「予防」であるため、すでに発症している病気の「治療」のための薬と比べ、副作用に対する評価はずっとシビアなものになるとのこと。予防的な成長ホルモン抑制は、成長ホルモン活性が高い成人を平均的なレベルにまで下げる範囲にとどめるべきで、平均的なレベルから小人症患者並に下げることは行われるべきではないともLongo博士は付け加えています。
現在、成長ホルモンの過剰分泌による先端巨大症の治療に使われるPegvisomant(成長ホルモン受容体と結合して成長ホルモンをブロックする拮抗剤)など複数の成長ホルモン抑制剤が、すでにアメリカ食品医薬品局により認可されていて、先端巨大症患者に関して言えば副作用は許容できる範囲であることがわかっています。
成長ホルモン分泌障害のマウスやヒトの細胞は、化学損傷を受けにくいことがすでに研究により明らかになっているため、Longo博士らはまずは、化学療法を受けている患者に対するこれらの薬の防御的投与の臨床試験の承認を得たいと考えているそうです。
成長ホルモンを抑制する手段は薬物だけではありません。カロリー制限や、タンパク質など特定の栄養の摂取を抑えることにより、ホルモン拮抗剤と同様の効果が得られることがわかっています。しかし、長期間にわたる食事制限には摂食障害や血圧の低下、免疫抑制などさまざまな危険がつきまとい、特定の遺伝子変異のある人々にとっては短期間の食事制限でも命にかかわる場合があるため、予防医療としての成長ホルモン抑制のための食事制限の実施にはさらなる研究が必要で、必ず医師の監督のもと慎重に行う必要があるともLongo博士は強調しています。
不老長寿の霊薬は人類の永久のテーマ。50年で死ぬよりは80年生きたい、80年のうち最後の30年間を病に苦しみながら生きるよりは、80年間大病なく過ごし、ぎりぎりまで苦しまずにポックリ死にたい、と思うのが人間というものです。薬物による成長ホルモン抑制に少々の副作用があると判明した場合でも、糖尿病や癌に長期間苦しまずに済むことと引き替えなら、社会や政府の大部分は進んでその代償を払うのではないかと予想されています。
成長ホルモン抑制により今日明日にでも人類全体の発癌リスクを大幅にカットできる、という夢のような話ではないのですが、癌や糖尿病が多い家系でかつ大学生になっても身長が伸び続けていたというような人々は、成長ホルモン抑制による予防医療が確立されればその利益を享受できることになりそうです。
2011年02月19日 (土)
こんばんは。
ヘルミさんから、糖質制限食9ヶ月目の脂質検査データをコメントいただきました。
【11/02/18 ヘルミ
今月の脂質データです。
江部先生こんばんは。
大酒のみのリハ医のヘルミです。
糖質制限9ヶ月目のデータが出ました。
T-Cho 307 TG 122 HDL 171 LDL 112
今回はTGが高かったためか、初のT-Cho 300越えでした。
あと、ずっと続いていたFe欠乏性貧血(糖質制限前 Hb 10.4 Fe 16 TIBC 385)が改善し、Hbが13.3(Fe 43 TIBC 487)となっていました。
私は鉄剤もレバーも受け付けない体質のため、これらは摂取しておりません。
もっとも、昨年10月にたまたま測定したVit.B1が18.8(21.3~81.9)と基準値以下で、「いかん、ウェルニッケになってしまう!」とあわてて総合ビタミン剤を服用したことも関係するかもしれません。
Vit B12は基準値以内、葉酸は基準値以上でしたのに。
しかし、あれだけ肉を多く食べていたのにVit.B1が基準値以下だったなんて・・・さすが大酒のみ(笑)
総合ビタミン剤服用後は基準値内になりました。
Wikipediaによりますと、日本人ではVit.B1の半分を穀類から摂っているとのことで、糖質制限中の大酒のみで心当たりのある方は、サプリメント等が必要かもしれませんね。
長くなりましたが、ご参考までに。
(先生のDVDを、今度研究費で購入して研究室のみんなでみる予定です。みんなの反応が楽しみです。)】
ヘルミさん。
恐れ多くも畏くも、「研究費」で糖質制限食DVDのご購入ですかヾ(゜▽゜)
いやはや、大変ありがとうございます m(_ _)m
医局の皆さんの反応また教えて下さいね。
糖質制限食前後の経過、毎月検査ありがとうございます。
とても参考になります。
前値: HDL 105 LDL 71 T-Cho 189 TG 65
1ヶ月:HDL 140 LDL 81 T-Cho 234 TG 65
3ヶ月:HDL 143 LDL 77 T-Cho 243 TG 114
4ヶ月:HDL 165 LDL 95 T-Cho 276 TG 80
5ヶ月:HDL 191 LDL 97 T-Cho 296 TG 39
6ヶ月:HDL 137 LDL 68 T-Cho 233 TG 141
7ヶ月:HDL 149 LDL 109 T-Cho 275 TG 86
8ヶ月:HDL 163 LDL 87 T-Cho 270 TG 100
9ヶ月:HDL 171 LDL 112 T-Cho 307 TG 122
総コレステロールは、2007年の動脈硬化学会のガイドラインからは外れていますので、気にしないでください。
基本線、少なくとも女性では、HDL-Cは高いほど長生きですし、LDL-Cも基準値内ですし、最近はやりのLDL-C/HDL-C比も「1.5未満」がいいそうですが、ヘルミさんは、何と0.65ですから、まあはっきり言って絶好調ですね。糖質制限食、万歳です。
貧血改善もおめでとうございます。アルコールによる大球性貧血ではなかったのですね。
私の患者さんで大酒呑みで、赤血球の大きさが標準より大きくなる大球性貧血の方がおられますので・・・。
↑
私ではありませんよ。
ところでビタミンB1の多い食べ物
豚ヒレ肉、ソーセージ、ハム、ベーコン
豚もも肉、 鶏肝臓、豚ロース、豚肝臓
豚かた肉、フォアグラ、
豚かたロース、ウインナー
豚ばら肉、 牛肝臓
ひまわりの種、くるみ、カシューナッツ、ぎんなん、ごま、 落花生、ピスタチオ、マカダミアンナッツ
うなぎの蒲焼、しまあじ、たらこ 、しらこ、かつお節、ずわいがに、こい、ぶり、イクラ、 魚肉ハム、 魚肉ソーセージ ・・・・・・・・・・
ビタミンB1を多く含む食材、糖質制限食OKのおつまみ食品満載ですね。
こうなると糖質制限食を実践して、ビタミンB1を不足させるのは至難の技とも思えるのですが・・・ (∵)?
ヘルミさん、恐るべし。。。
アルコール、恐るべし。。。
ヘルミさん、ほんとに余程たくさんお酒を呑んでおられるのですね。( °◇°)
それにしてもアルコールは、ビタミンB1を大量に消費させるのですね。
私もヘルミさんには及ばないけど、結構呑むので以後気をつけます。
江部康二
ヘルミさんから、糖質制限食9ヶ月目の脂質検査データをコメントいただきました。
【11/02/18 ヘルミ
今月の脂質データです。
江部先生こんばんは。
大酒のみのリハ医のヘルミです。
糖質制限9ヶ月目のデータが出ました。
T-Cho 307 TG 122 HDL 171 LDL 112
今回はTGが高かったためか、初のT-Cho 300越えでした。
あと、ずっと続いていたFe欠乏性貧血(糖質制限前 Hb 10.4 Fe 16 TIBC 385)が改善し、Hbが13.3(Fe 43 TIBC 487)となっていました。
私は鉄剤もレバーも受け付けない体質のため、これらは摂取しておりません。
もっとも、昨年10月にたまたま測定したVit.B1が18.8(21.3~81.9)と基準値以下で、「いかん、ウェルニッケになってしまう!」とあわてて総合ビタミン剤を服用したことも関係するかもしれません。
Vit B12は基準値以内、葉酸は基準値以上でしたのに。
しかし、あれだけ肉を多く食べていたのにVit.B1が基準値以下だったなんて・・・さすが大酒のみ(笑)
総合ビタミン剤服用後は基準値内になりました。
Wikipediaによりますと、日本人ではVit.B1の半分を穀類から摂っているとのことで、糖質制限中の大酒のみで心当たりのある方は、サプリメント等が必要かもしれませんね。
長くなりましたが、ご参考までに。
(先生のDVDを、今度研究費で購入して研究室のみんなでみる予定です。みんなの反応が楽しみです。)】
ヘルミさん。
恐れ多くも畏くも、「研究費」で糖質制限食DVDのご購入ですかヾ(゜▽゜)
いやはや、大変ありがとうございます m(_ _)m
医局の皆さんの反応また教えて下さいね。
糖質制限食前後の経過、毎月検査ありがとうございます。
とても参考になります。
前値: HDL 105 LDL 71 T-Cho 189 TG 65
1ヶ月:HDL 140 LDL 81 T-Cho 234 TG 65
3ヶ月:HDL 143 LDL 77 T-Cho 243 TG 114
4ヶ月:HDL 165 LDL 95 T-Cho 276 TG 80
5ヶ月:HDL 191 LDL 97 T-Cho 296 TG 39
6ヶ月:HDL 137 LDL 68 T-Cho 233 TG 141
7ヶ月:HDL 149 LDL 109 T-Cho 275 TG 86
8ヶ月:HDL 163 LDL 87 T-Cho 270 TG 100
9ヶ月:HDL 171 LDL 112 T-Cho 307 TG 122
総コレステロールは、2007年の動脈硬化学会のガイドラインからは外れていますので、気にしないでください。
基本線、少なくとも女性では、HDL-Cは高いほど長生きですし、LDL-Cも基準値内ですし、最近はやりのLDL-C/HDL-C比も「1.5未満」がいいそうですが、ヘルミさんは、何と0.65ですから、まあはっきり言って絶好調ですね。糖質制限食、万歳です。
貧血改善もおめでとうございます。アルコールによる大球性貧血ではなかったのですね。
私の患者さんで大酒呑みで、赤血球の大きさが標準より大きくなる大球性貧血の方がおられますので・・・。
↑
私ではありませんよ。
ところでビタミンB1の多い食べ物
豚ヒレ肉、ソーセージ、ハム、ベーコン
豚もも肉、 鶏肝臓、豚ロース、豚肝臓
豚かた肉、フォアグラ、
豚かたロース、ウインナー
豚ばら肉、 牛肝臓
ひまわりの種、くるみ、カシューナッツ、ぎんなん、ごま、 落花生、ピスタチオ、マカダミアンナッツ
うなぎの蒲焼、しまあじ、たらこ 、しらこ、かつお節、ずわいがに、こい、ぶり、イクラ、 魚肉ハム、 魚肉ソーセージ ・・・・・・・・・・
ビタミンB1を多く含む食材、糖質制限食OKのおつまみ食品満載ですね。
こうなると糖質制限食を実践して、ビタミンB1を不足させるのは至難の技とも思えるのですが・・・ (∵)?
ヘルミさん、恐るべし。。。
アルコール、恐るべし。。。
ヘルミさん、ほんとに余程たくさんお酒を呑んでおられるのですね。( °◇°)
それにしてもアルコールは、ビタミンB1を大量に消費させるのですね。
私もヘルミさんには及ばないけど、結構呑むので以後気をつけます。
江部康二
2011年02月18日 (金)
こんにちは。
今回はジュンさんから、グルコースミニスパイクと機能性低血糖について
コメント・質問をいただきました。
【11/02/17 ジュン
ビリルビン
おはようございます。
初めてメールを差し上げます。
会社の定期検診で、空腹時血糖117、Hba1c5.6、「薬は必要ありませんが、運動と食事に・・・」と言われました。
父はすでに他界していますが、糖尿病だったので、私もいづれは・・・と心配になり、血糖値検査キットを買って自分で毎朝測定するようにしています。
食後の時間変化などを測定していると、その振る舞いは不思議な事ばかりで、そのメカニズムを理解したく、いろいろと自分で勉強しているうちに、江部先生のブログにたどりつき、先日、「糖質制限食」の本を買い、読ませて頂きました。
本当に、目から鱗というかなんというか、疑問に思っていたことが、色々と理解できるようになり、「タンパク質と脂質は血糖値を上げない」、「糖新生」などは、本当に参考になりました。ありがとうございます。
血糖値の時間変化を調べていると、「グルコーススパイク」と呼ばれるような高血糖になる時があり、その時は、4~5時間たつと、血糖値が50台になったリします。その後、少し経つと80台に戻るのですが、この状態は、「糖新生」プロセスなのでしょうか?
測定結果とその時の気分や健康状態を観察していると、グルコーススパイクをなくし、体の状態を早く糖新生?プロセスにもっていくことが重要なのではないかと感じています。
この状態にならないうちに食事をすると、さらに血糖値が上がり、だんだんと空腹時の血糖が下がらなくなるという悪循環に陥るような気がしています。
また、私の場合は、昼食後にグルコーススパイクが起きることが多いことが分かっていますので、とりあえず、お昼の炭水化物を20g以下に抑えた「プチ」を試みてみようかと考えています。
それと、会社の健康診断で「総ビリルビン値」がいつも~2.0と高めで、精密検査をしても特に異常がなく、「体質的なものでしょう」の一言で済まされてしまっています。このビリルビンはは、、耐糖能と何か関係があるのでしょうか。?
ダラダラと書いてしまいましたが、何か参考になるようなことがありましたら、ご指導よろしくお願いいたします。】
ジュン さん。
拙著のご購入ありがとうございました。
【会社の定期検診で、空腹時血糖117、Hba1c5.6%】
このデータなら、診断基準では、境界型ですね。
糖尿病ではなくて、予備軍と呼ばれる段階です。
【血糖値の時間変化を調べていると、「グルコーススパイク」と呼ばれるような高血糖になる時があり、その時は、4~5時間たつと、血糖値が50台になったリします。その後、少し経つと80台に戻るのですが、この状態は、「糖新生」プロセスなのでしょうか? 】
糖質を一人前摂取すると、正常型の人でも食後血糖値が急激に上昇し140~170mgになることがあります。
境界型なら180~199mgに上昇することもあります。
このとき、正常型は勿論のこと、境界型や軽症の糖尿病でも、インスリン分泌能力はまだかなり残っていることがあります。
境界型や糖尿病型の人では、追加分泌インスリンが出遅れて、その分遷延して正常下限の血糖値に下がっても出続けることがあります。
正常型の人も、食後高血糖に対して、基礎分泌の30倍とか大量の追加分泌インスリンが出ることがあります
。このような場合は、食事摂取4~5時間後に低血糖になりえます。これを機能性低血糖といいます。
日本ではまだあまり知られていない概念ですが、欧米では定着した病気です。日本人でも、思ったより多くの機能性低血糖症患者があると思います。
ジュン さんの検査データも、おそらく機能性低血糖と考えられます。
一旦低血糖になったのが、50mg台→80mg台に回復したのは、肝臓であわてて糖新生したのだと思います。
糖質を摂取しなければ、食後の高血糖は生じずインスリンが過剰にでたりすることはないので、機能性低血糖もおこりません。即ち、機能性低血糖の最良の治療法が糖質制限食です。
ジュンさんのご指摘通り、食後高血糖(グルコーススパイク、グルコースミニスパイク)を起こさないことが、生体の恒常性を保つにはとても大切です。
食後高血糖の状態が数年間続くと、早朝空腹時血糖値が境界型に上昇してきますし、さらに放置すれば、糖尿病型に進行します。
ジュンさんは、今から1回20g以下の糖質制限食を実践されれば、食後高血糖は生じず、膵臓のβ細胞も休養できて、早朝空腹時血糖値も正常に戻る可能性があります。
【会社の健康診断で「総ビリルビン値」がいつも~2.0と高めで、精密検査をしても特に異常がなく、「体質的なものでしょう」の一言で済まされてしまっています。このビリルビンはは、、耐糖能と何か関係があるのでしょうか。? 】
ビリルビンと耐糖能には関連はありません。
「総ビリルビン値」がいつも~2.0と高めなのは、ジルベール症候群(ギルバート症候群)と思われます。
人口の4~5%くらいの頻度で存在し、特に治療の必要もなく病気とはいえません。心配ないと思います。
それではジュンさん、美味しく楽しく糖質制限食をお続け下さいね。
江部康二
今回はジュンさんから、グルコースミニスパイクと機能性低血糖について
コメント・質問をいただきました。
【11/02/17 ジュン
ビリルビン
おはようございます。
初めてメールを差し上げます。
会社の定期検診で、空腹時血糖117、Hba1c5.6、「薬は必要ありませんが、運動と食事に・・・」と言われました。
父はすでに他界していますが、糖尿病だったので、私もいづれは・・・と心配になり、血糖値検査キットを買って自分で毎朝測定するようにしています。
食後の時間変化などを測定していると、その振る舞いは不思議な事ばかりで、そのメカニズムを理解したく、いろいろと自分で勉強しているうちに、江部先生のブログにたどりつき、先日、「糖質制限食」の本を買い、読ませて頂きました。
本当に、目から鱗というかなんというか、疑問に思っていたことが、色々と理解できるようになり、「タンパク質と脂質は血糖値を上げない」、「糖新生」などは、本当に参考になりました。ありがとうございます。
血糖値の時間変化を調べていると、「グルコーススパイク」と呼ばれるような高血糖になる時があり、その時は、4~5時間たつと、血糖値が50台になったリします。その後、少し経つと80台に戻るのですが、この状態は、「糖新生」プロセスなのでしょうか?
測定結果とその時の気分や健康状態を観察していると、グルコーススパイクをなくし、体の状態を早く糖新生?プロセスにもっていくことが重要なのではないかと感じています。
この状態にならないうちに食事をすると、さらに血糖値が上がり、だんだんと空腹時の血糖が下がらなくなるという悪循環に陥るような気がしています。
また、私の場合は、昼食後にグルコーススパイクが起きることが多いことが分かっていますので、とりあえず、お昼の炭水化物を20g以下に抑えた「プチ」を試みてみようかと考えています。
それと、会社の健康診断で「総ビリルビン値」がいつも~2.0と高めで、精密検査をしても特に異常がなく、「体質的なものでしょう」の一言で済まされてしまっています。このビリルビンはは、、耐糖能と何か関係があるのでしょうか。?
ダラダラと書いてしまいましたが、何か参考になるようなことがありましたら、ご指導よろしくお願いいたします。】
ジュン さん。
拙著のご購入ありがとうございました。
【会社の定期検診で、空腹時血糖117、Hba1c5.6%】
このデータなら、診断基準では、境界型ですね。
糖尿病ではなくて、予備軍と呼ばれる段階です。
【血糖値の時間変化を調べていると、「グルコーススパイク」と呼ばれるような高血糖になる時があり、その時は、4~5時間たつと、血糖値が50台になったリします。その後、少し経つと80台に戻るのですが、この状態は、「糖新生」プロセスなのでしょうか? 】
糖質を一人前摂取すると、正常型の人でも食後血糖値が急激に上昇し140~170mgになることがあります。
境界型なら180~199mgに上昇することもあります。
このとき、正常型は勿論のこと、境界型や軽症の糖尿病でも、インスリン分泌能力はまだかなり残っていることがあります。
境界型や糖尿病型の人では、追加分泌インスリンが出遅れて、その分遷延して正常下限の血糖値に下がっても出続けることがあります。
正常型の人も、食後高血糖に対して、基礎分泌の30倍とか大量の追加分泌インスリンが出ることがあります
。このような場合は、食事摂取4~5時間後に低血糖になりえます。これを機能性低血糖といいます。
日本ではまだあまり知られていない概念ですが、欧米では定着した病気です。日本人でも、思ったより多くの機能性低血糖症患者があると思います。
ジュン さんの検査データも、おそらく機能性低血糖と考えられます。
一旦低血糖になったのが、50mg台→80mg台に回復したのは、肝臓であわてて糖新生したのだと思います。
糖質を摂取しなければ、食後の高血糖は生じずインスリンが過剰にでたりすることはないので、機能性低血糖もおこりません。即ち、機能性低血糖の最良の治療法が糖質制限食です。
ジュンさんのご指摘通り、食後高血糖(グルコーススパイク、グルコースミニスパイク)を起こさないことが、生体の恒常性を保つにはとても大切です。
食後高血糖の状態が数年間続くと、早朝空腹時血糖値が境界型に上昇してきますし、さらに放置すれば、糖尿病型に進行します。
ジュンさんは、今から1回20g以下の糖質制限食を実践されれば、食後高血糖は生じず、膵臓のβ細胞も休養できて、早朝空腹時血糖値も正常に戻る可能性があります。
【会社の健康診断で「総ビリルビン値」がいつも~2.0と高めで、精密検査をしても特に異常がなく、「体質的なものでしょう」の一言で済まされてしまっています。このビリルビンはは、、耐糖能と何か関係があるのでしょうか。? 】
ビリルビンと耐糖能には関連はありません。
「総ビリルビン値」がいつも~2.0と高めなのは、ジルベール症候群(ギルバート症候群)と思われます。
人口の4~5%くらいの頻度で存在し、特に治療の必要もなく病気とはいえません。心配ないと思います。
それではジュンさん、美味しく楽しく糖質制限食をお続け下さいね。
江部康二
2011年02月17日 (木)
こんばんは。
明日は、第三金曜ライブです。
雨の中、今リハーサルから帰ってきました。
明日の雨が心配です。
さて今回は、インスリン抵抗性・インスリン分泌能について、千咲さんからコメント・質問をいただきました。
【11/02/16 千咲
インスリン抵抗性について
江部先生 いつもお世話になっております。
先日以前ご紹介いただいた蛭間先生を訪ね、受診してきました。
話もとても丁寧に親身になって聞いてくださり、江部先生のお話も出たりして、有意義な時間となりました。
糖質制限を始めて一年ほどになりますが、スタート時5.4だったA1Cが半年後は5.4と全く変わらずちょっと中ダルミしそうだったのですが、今回の結果は4.9と自分でもちょっとびっくりのうれしい結果が出ました。
蛭間先生も「上手に糖質制限頑張っていますね」と言ってくださいました。
今回は採血をしてほかにも色々と調べてもらったのですが、 空腹時血糖値が114と高めなことと、インスリン抵抗性が2.6と高いことがわかりました。
よく糖質制限を続けているとインスリンの分泌能が改善され、空腹時血糖も改善されるとの記事は目にしますが、インスリン抵抗性の改善はみこめるのでしょうか?
糖質制限により肥満の解消→インスリン抵抗性の改善→血糖コントロールの安定という図式は理解できますが、私は現在BMIが20前後ですので、肥満の解消というのはできないので、定期的な有酸素運動以外でインスリンの抵抗性を改善する方法というのはあるのでしょうか?
アクトスの処方はなしという前提での話です。】
千咲 さん、もともとコントロール優なので、糖質制限食でも大きな変化はなかったようですね。
でも今回の4.9%はすごい改善です。
細胞レベルでインスリンの効きが悪くなることをインスリン抵抗性といいます。
インスリン抵抗性を簡便に測定できるのが、HOMA-Rです。
空腹時血糖値140mg/dlまでなら信頼性が高いです。
HOMA-R=空腹時血糖値×空腹時インスリン値/405
という式で計算します。
homeostasis model assessment insulin resistance → 略して HOMA-R
HOMA-Rが大きいほど、インスリン抵抗性が強いと考えられます。 1.6以下が正常で、2.5以上は抵抗性があると考えられます。
千咲さんのHOMA-Rは2.6 なので、ほんの少し高いですね。
BMI20なので、仰有る通り肥満によるインスリン抵抗性ではないです。
高血糖があると高血糖そのものがインスリン抵抗性を増加させますが、HbA1c4.9%なら、平均血糖値96mg/dlですからそれもないですね。(*)
インスリン抵抗性は、大雑把に筋肉を中心とした末梢組織におけるものと、肝臓におけるものとに分けることができます。
空腹時血糖値が114mgと少し高めなので、肝臓の糖新生がやや多いと考えられます。
従って肝臓におけるインスリン抵抗性タイプということになるでしょうか?
ともあれ、このままスーパー糖質制限食を続けられたら、インスリン抵抗性も改善する可能性が高いと思いますよ。
なおHOMA-βは内因性インスリン分泌機能を簡便に推定する指数です。
空腹時血糖と空腹時のインスリン値をもとに、計算します。
HOMA-βは空腹時血糖値130mg/dlまでなら、経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と相関しています。
homeostatic model assessment beta cell function → 略してHOMA-β
HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/ml)/空腹時血糖値(mg/ml)-63
という式で計算します。
正常値:40-60
(*)
<HbA1c-1.7>×30=平均血糖値
江部康二
明日は、第三金曜ライブです。
雨の中、今リハーサルから帰ってきました。
明日の雨が心配です。
さて今回は、インスリン抵抗性・インスリン分泌能について、千咲さんからコメント・質問をいただきました。
【11/02/16 千咲
インスリン抵抗性について
江部先生 いつもお世話になっております。
先日以前ご紹介いただいた蛭間先生を訪ね、受診してきました。
話もとても丁寧に親身になって聞いてくださり、江部先生のお話も出たりして、有意義な時間となりました。
糖質制限を始めて一年ほどになりますが、スタート時5.4だったA1Cが半年後は5.4と全く変わらずちょっと中ダルミしそうだったのですが、今回の結果は4.9と自分でもちょっとびっくりのうれしい結果が出ました。
蛭間先生も「上手に糖質制限頑張っていますね」と言ってくださいました。
今回は採血をしてほかにも色々と調べてもらったのですが、 空腹時血糖値が114と高めなことと、インスリン抵抗性が2.6と高いことがわかりました。
よく糖質制限を続けているとインスリンの分泌能が改善され、空腹時血糖も改善されるとの記事は目にしますが、インスリン抵抗性の改善はみこめるのでしょうか?
糖質制限により肥満の解消→インスリン抵抗性の改善→血糖コントロールの安定という図式は理解できますが、私は現在BMIが20前後ですので、肥満の解消というのはできないので、定期的な有酸素運動以外でインスリンの抵抗性を改善する方法というのはあるのでしょうか?
アクトスの処方はなしという前提での話です。】
千咲 さん、もともとコントロール優なので、糖質制限食でも大きな変化はなかったようですね。
でも今回の4.9%はすごい改善です。
細胞レベルでインスリンの効きが悪くなることをインスリン抵抗性といいます。
インスリン抵抗性を簡便に測定できるのが、HOMA-Rです。
空腹時血糖値140mg/dlまでなら信頼性が高いです。
HOMA-R=空腹時血糖値×空腹時インスリン値/405
という式で計算します。
homeostasis model assessment insulin resistance → 略して HOMA-R
HOMA-Rが大きいほど、インスリン抵抗性が強いと考えられます。 1.6以下が正常で、2.5以上は抵抗性があると考えられます。
千咲さんのHOMA-Rは2.6 なので、ほんの少し高いですね。
BMI20なので、仰有る通り肥満によるインスリン抵抗性ではないです。
高血糖があると高血糖そのものがインスリン抵抗性を増加させますが、HbA1c4.9%なら、平均血糖値96mg/dlですからそれもないですね。(*)
インスリン抵抗性は、大雑把に筋肉を中心とした末梢組織におけるものと、肝臓におけるものとに分けることができます。
空腹時血糖値が114mgと少し高めなので、肝臓の糖新生がやや多いと考えられます。
従って肝臓におけるインスリン抵抗性タイプということになるでしょうか?
ともあれ、このままスーパー糖質制限食を続けられたら、インスリン抵抗性も改善する可能性が高いと思いますよ。
なおHOMA-βは内因性インスリン分泌機能を簡便に推定する指数です。
空腹時血糖と空腹時のインスリン値をもとに、計算します。
HOMA-βは空腹時血糖値130mg/dlまでなら、経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と相関しています。
homeostatic model assessment beta cell function → 略してHOMA-β
HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/ml)/空腹時血糖値(mg/ml)-63
という式で計算します。
正常値:40-60
(*)
<HbA1c-1.7>×30=平均血糖値
江部康二
2011年02月17日 (木)
おはようございます。
『糖質制限食・医療関係者・研究者向けセミナー2011年2月27日(日)東京・中野』
のご案内です。
医療関係者向けセミナーとしていましたが、食品企業などの研究者で糖質制限食に興味がある方も歓迎です。
鍼灸師や検査技師の方々も歓迎です。
内容が専門的なものもありかなり豊富でその分参加費もいつもより高いです。
一般の人には少し難しいと思います。
糖質制限食の広がりは、最近とみに加速しています。
ここのところ、岐阜、堺、大阪、滋賀、札幌、熊本・・・
医師の皆さんからの講演依頼が、各地からぞくぞくと舞い込んでいて、嬉しい限りです。
東京での医療関係者向けセミナーは1年ぶりですので、ブログ読者の皆さん、是非奮ってご参加下さいね。ヾ(^▽^)
また、知り合いの医療関係者(医師・薬剤師・栄養師・看護師・・・)や研究者の方々に、お声をおかけ頂けば幸いです。m(_ _)mVV
江部康二
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
2011年2月27日(日)
特別企画 医療関係者向けセミナー
<糖尿病治療における糖質制限食の有効性>
ー糖尿病・メタボリックシンドローム・肥満・生活習慣病と糖質制限食ー
豊富な症例をもとにした理論と実践
栄養指導ガイド
<1部>講師・江部康二が、高雄病院の豊富な症例をもとにした理論と実践を徹底的に解説。一般向け講演に比べて糖質制限食の理論をとくに詳細に展開します。
<2部>新しい試みとして、糖質制限食の臨床経験豊富な管理栄養士の講師・大柳珠美が、ドクターを対称とした患者さんへの栄養指導のポイントを解説。日々の臨床現場で役立つ資料をご用意しています。
<日時>2011年2月27日(日)
タイムスケジュール(予定):
13時00分開場
13時30分~基調講演 江部康二(1時間30分)
15時00分~休憩(10分)
15時10分~栄養指導ガイド 大柳珠美(1時間)
16時10分~休憩(10分)
16時20分~質疑応答(30分)
16時50分終了
<会場>中野サンプラザ研修室1
住所 東京都中野区中野4-1-1
電話 03-3388-1174
<道順> JR中央線・総武線、地下鉄東西線中野駅北口下車1分
<会費>一般8000円 リボーン会員6000円 学生4000円
(資料付き)
<定員>90名まで
<申し込み>
Eメール:reborn@big.or.jp
03-3388-5428 (電話、ファックス同じ)
☆事務局:曽我部ゆかり
☆事前に郵便振替でご送金ください。当日受付は致しません。
申込〆切 2011年2月20日
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
郵便振替 口座番号 00110-9-393366
口座名称 リボーン
<主催>NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
『糖質制限食・医療関係者・研究者向けセミナー2011年2月27日(日)東京・中野』
のご案内です。
医療関係者向けセミナーとしていましたが、食品企業などの研究者で糖質制限食に興味がある方も歓迎です。
鍼灸師や検査技師の方々も歓迎です。
内容が専門的なものもありかなり豊富でその分参加費もいつもより高いです。
一般の人には少し難しいと思います。
糖質制限食の広がりは、最近とみに加速しています。
ここのところ、岐阜、堺、大阪、滋賀、札幌、熊本・・・
医師の皆さんからの講演依頼が、各地からぞくぞくと舞い込んでいて、嬉しい限りです。
東京での医療関係者向けセミナーは1年ぶりですので、ブログ読者の皆さん、是非奮ってご参加下さいね。ヾ(^▽^)
また、知り合いの医療関係者(医師・薬剤師・栄養師・看護師・・・)や研究者の方々に、お声をおかけ頂けば幸いです。m(_ _)mVV
江部康二
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
2011年2月27日(日)
特別企画 医療関係者向けセミナー
<糖尿病治療における糖質制限食の有効性>
ー糖尿病・メタボリックシンドローム・肥満・生活習慣病と糖質制限食ー
豊富な症例をもとにした理論と実践
栄養指導ガイド
<1部>講師・江部康二が、高雄病院の豊富な症例をもとにした理論と実践を徹底的に解説。一般向け講演に比べて糖質制限食の理論をとくに詳細に展開します。
<2部>新しい試みとして、糖質制限食の臨床経験豊富な管理栄養士の講師・大柳珠美が、ドクターを対称とした患者さんへの栄養指導のポイントを解説。日々の臨床現場で役立つ資料をご用意しています。
<日時>2011年2月27日(日)
タイムスケジュール(予定):
13時00分開場
13時30分~基調講演 江部康二(1時間30分)
15時00分~休憩(10分)
15時10分~栄養指導ガイド 大柳珠美(1時間)
16時10分~休憩(10分)
16時20分~質疑応答(30分)
16時50分終了
<会場>中野サンプラザ研修室1
住所 東京都中野区中野4-1-1
電話 03-3388-1174
<道順> JR中央線・総武線、地下鉄東西線中野駅北口下車1分
<会費>一般8000円 リボーン会員6000円 学生4000円
(資料付き)
<定員>90名まで
<申し込み>
Eメール:reborn@big.or.jp
03-3388-5428 (電話、ファックス同じ)
☆事務局:曽我部ゆかり
☆事前に郵便振替でご送金ください。当日受付は致しません。
申込〆切 2011年2月20日
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
郵便振替 口座番号 00110-9-393366
口座名称 リボーン
<主催>NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
2011年02月16日 (水)
こんにちは。
ダイエットコーラについて
MAX さんからコメント・質問をいただきました。
【11/02/15 MAX
ダイエットコーラをすごく飲みます。
江部先生
はじめまして。群馬県在住のMAXといいます。本日DVDを注文させていただきました。今から到着が楽しみです。
私は身長183cm、体重115kgの巨漢で、学生時代スポーツをしてきました。20歳のとき100kg越えをし、それ以来3桁体重とは無縁です。
同級生が糖尿病と診断され、私も母が糖尿病を患い(すでに他界)他人事ではないと感じております。
さっそく今日、近くの糖尿病専門医のいる個人医院にいき、明後日糖負荷試験の予約をしてきました。
(本日は尿検査のみ実施され、糖は検出されませんでした。)
2つ質問があります。
1)私は以前よりダイエットコーラが大好きで、カロリーゼロ、糖質ゼロということでがぶ飲みしています。
具体的には1日1,5リットルのペットボトルを飲むことはざらで、夏などは2本くらい(計3リットル)飲む日もあります。
これってさすがに健康に良くないでしょうか?
でも糖質ゼロであれば、糖尿病にはならないとは思うのです。
(他の病気になるかもしれませんが・・・)
幸い、普通の糖たっぷりの飲み物は一切のみません。
2)私は現在体脂肪が30%ぐらいです。(115kgの30%は34.5kg)
こんな私もBMI25(身長1.83mでは85kg程度)まで痩せるのでしょうか?
単純に現在の体重115kg-34.5kg=80.5kgとなります。
BMIという基準は、巨漢の私には不適切な計測方法に感じられます。
いかがなものでしょうか?
お時間あるときにご回答いただけると助かります。】
MAXさん。
「糖質制限食を語る」DVDご購入ありがとうございます。
【1)私は以前よりダイエットコーラが大好きで、カロリーゼロ、糖質ゼロということでがぶ飲みしています。
具体的には1日1,5リットルのペットボトルを飲むことはざらで、夏などは2本くらい(計3リットル)飲む日もあります。 これってさすがに健康に良くないでしょうか?】
ダイエットコーラなど、カロリーゼロ、糖質ゼロのものは、人工甘味料が使ってあり、確かに血糖値は上昇させません。しかし、さすがに、1.5~3リットルは多すぎると思います。カロリーなしのお茶やお水のほうが安心です。
EUでも米国のFDAでも、人工甘味料の総量規制があります。米国FDA(食品医薬品局)が認定している人工甘味料は、「アスパルテーム、サッカリン、スクラロース、アセスルファムカリウム、ネオテーム」の5種類です。
ヘルスデージャパンさんのウェブサイト
http://www.healthdayjapan.com/index.php?option=com_content&task=view&id=2163&Itemid=5
に以下の記事が載っていました。
【高塩分食、人工甘味料使用炭酸飲料が腎障害に関連(2009.11.12掲載)
塩分の高い食事や人工甘味料を使用した飲料を摂取すると、腎機能低下のリスクが増大することが2つの研究で示された。「現在、腎疾患における食事の役割については限られたデータしかない。さらに研究を重ねる必要はあるが、われわれの研究から、ナトリウムの多い食事や人工甘味料の入った炭酸飲料の摂取が腎機能低下の原因となることが示された」と、両研究を行った米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(ボストン)のJulie Lin博士は述べている。
第1の研究では、米国看護師健康研究(Nurses' Health Study)に参加した3,000人強の女性の食事と腎機能低下について検討した。その結果、正常な腎機能を維持していた女性の中では、食事の塩分の高い人ほど腎機能の低下が大きく、ナトリウム摂取が腎疾患の進行を促進するとの動物実験データと一致する結果であった。
第2の研究では、同じ女性を対象に砂糖および人工甘味料の入った飲料と腎機能低下について検討。その結果、1日2サービング以上の人工甘味料入り炭酸飲料を摂取すると、腎機能低下が加速するリスクが2倍になることが判明。砂糖入り炭酸飲料と腎機能低下との関連は認められなかった。人工甘味料入り飲料と腎機能低下との関連は、年齢、肥満、高血圧、糖尿病、喫煙、運動、カロリー摂取量および心血管疾患などの因子を考慮してもなお認められた。人工甘味料がどのように腎機能低下に影響するのかついては、さらに研究を重ねる必要があると研究グループは述べている。
両研究は、米サンディエゴで開催された米国腎臓学会(ASN)年次集会(腎臓週間2009)で発表された。(HealthDay News 11月2日)】
この研究によると、塩分の摂取量が多いことと、人工甘味料入り炭酸飲料2本/日以上の人が、腎機能低下のリスクが増大するということです。
腎機能に関しては、逆に言えば、1本/日までは大丈夫ということですね。
炭酸飲料の1サービングというと、350mlくらいなのでしょうか?米国の1サービングはもっと多いのでしょうか?
この研究は論文になって医学雑誌に掲載されたわけではないので、即、エビデンスということにはなりません。
しかし、人工甘味料を摂取することが、腎機能低下のリスクとなる可能性はありえますので、少なくとも大量摂取は止めるにこしたことはありません。
甘味料で安全性が高いのは、糖アルコールです。その中で、血糖値を上昇させないのは、エリスリトールです。
ラカントSなら、「エリスリトール+羅漢果」で、人工甘味料は一切使っていないので、大丈夫ですよ。
【2)私は現在体脂肪が30%ぐらいです。(115kgの30%は34.5kg)
こんな私もBMI25(身長1.83mでは85kg程度)まで痩せるのでしょうか?
単純に現在の体重115kg-34.5kg=80.5kgとなります。
BMIという基準は、巨漢の私には不適切な計測方法に感じられます。
いかがなものでしょうか?】
筋肉量も多いと思いますので、BMI25に拘る必要はないと思います。
30才以上なら、体脂肪率23%くらいまでは許容範囲ですので、まずは、脂肪重量を8kgくらい減らして、体重107kgくらいを目指しては如何でしょう。その後、BMI30未満の100kgくらいを目標としましょう。
江部康二
ダイエットコーラについて
MAX さんからコメント・質問をいただきました。
【11/02/15 MAX
ダイエットコーラをすごく飲みます。
江部先生
はじめまして。群馬県在住のMAXといいます。本日DVDを注文させていただきました。今から到着が楽しみです。
私は身長183cm、体重115kgの巨漢で、学生時代スポーツをしてきました。20歳のとき100kg越えをし、それ以来3桁体重とは無縁です。
同級生が糖尿病と診断され、私も母が糖尿病を患い(すでに他界)他人事ではないと感じております。
さっそく今日、近くの糖尿病専門医のいる個人医院にいき、明後日糖負荷試験の予約をしてきました。
(本日は尿検査のみ実施され、糖は検出されませんでした。)
2つ質問があります。
1)私は以前よりダイエットコーラが大好きで、カロリーゼロ、糖質ゼロということでがぶ飲みしています。
具体的には1日1,5リットルのペットボトルを飲むことはざらで、夏などは2本くらい(計3リットル)飲む日もあります。
これってさすがに健康に良くないでしょうか?
でも糖質ゼロであれば、糖尿病にはならないとは思うのです。
(他の病気になるかもしれませんが・・・)
幸い、普通の糖たっぷりの飲み物は一切のみません。
2)私は現在体脂肪が30%ぐらいです。(115kgの30%は34.5kg)
こんな私もBMI25(身長1.83mでは85kg程度)まで痩せるのでしょうか?
単純に現在の体重115kg-34.5kg=80.5kgとなります。
BMIという基準は、巨漢の私には不適切な計測方法に感じられます。
いかがなものでしょうか?
お時間あるときにご回答いただけると助かります。】
MAXさん。
「糖質制限食を語る」DVDご購入ありがとうございます。
【1)私は以前よりダイエットコーラが大好きで、カロリーゼロ、糖質ゼロということでがぶ飲みしています。
具体的には1日1,5リットルのペットボトルを飲むことはざらで、夏などは2本くらい(計3リットル)飲む日もあります。 これってさすがに健康に良くないでしょうか?】
ダイエットコーラなど、カロリーゼロ、糖質ゼロのものは、人工甘味料が使ってあり、確かに血糖値は上昇させません。しかし、さすがに、1.5~3リットルは多すぎると思います。カロリーなしのお茶やお水のほうが安心です。
EUでも米国のFDAでも、人工甘味料の総量規制があります。米国FDA(食品医薬品局)が認定している人工甘味料は、「アスパルテーム、サッカリン、スクラロース、アセスルファムカリウム、ネオテーム」の5種類です。
ヘルスデージャパンさんのウェブサイト
http://www.healthdayjapan.com/index.php?option=com_content&task=view&id=2163&Itemid=5
に以下の記事が載っていました。
【高塩分食、人工甘味料使用炭酸飲料が腎障害に関連(2009.11.12掲載)
塩分の高い食事や人工甘味料を使用した飲料を摂取すると、腎機能低下のリスクが増大することが2つの研究で示された。「現在、腎疾患における食事の役割については限られたデータしかない。さらに研究を重ねる必要はあるが、われわれの研究から、ナトリウムの多い食事や人工甘味料の入った炭酸飲料の摂取が腎機能低下の原因となることが示された」と、両研究を行った米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(ボストン)のJulie Lin博士は述べている。
第1の研究では、米国看護師健康研究(Nurses' Health Study)に参加した3,000人強の女性の食事と腎機能低下について検討した。その結果、正常な腎機能を維持していた女性の中では、食事の塩分の高い人ほど腎機能の低下が大きく、ナトリウム摂取が腎疾患の進行を促進するとの動物実験データと一致する結果であった。
第2の研究では、同じ女性を対象に砂糖および人工甘味料の入った飲料と腎機能低下について検討。その結果、1日2サービング以上の人工甘味料入り炭酸飲料を摂取すると、腎機能低下が加速するリスクが2倍になることが判明。砂糖入り炭酸飲料と腎機能低下との関連は認められなかった。人工甘味料入り飲料と腎機能低下との関連は、年齢、肥満、高血圧、糖尿病、喫煙、運動、カロリー摂取量および心血管疾患などの因子を考慮してもなお認められた。人工甘味料がどのように腎機能低下に影響するのかついては、さらに研究を重ねる必要があると研究グループは述べている。
両研究は、米サンディエゴで開催された米国腎臓学会(ASN)年次集会(腎臓週間2009)で発表された。(HealthDay News 11月2日)】
この研究によると、塩分の摂取量が多いことと、人工甘味料入り炭酸飲料2本/日以上の人が、腎機能低下のリスクが増大するということです。
腎機能に関しては、逆に言えば、1本/日までは大丈夫ということですね。
炭酸飲料の1サービングというと、350mlくらいなのでしょうか?米国の1サービングはもっと多いのでしょうか?
この研究は論文になって医学雑誌に掲載されたわけではないので、即、エビデンスということにはなりません。
しかし、人工甘味料を摂取することが、腎機能低下のリスクとなる可能性はありえますので、少なくとも大量摂取は止めるにこしたことはありません。
甘味料で安全性が高いのは、糖アルコールです。その中で、血糖値を上昇させないのは、エリスリトールです。
ラカントSなら、「エリスリトール+羅漢果」で、人工甘味料は一切使っていないので、大丈夫ですよ。
【2)私は現在体脂肪が30%ぐらいです。(115kgの30%は34.5kg)
こんな私もBMI25(身長1.83mでは85kg程度)まで痩せるのでしょうか?
単純に現在の体重115kg-34.5kg=80.5kgとなります。
BMIという基準は、巨漢の私には不適切な計測方法に感じられます。
いかがなものでしょうか?】
筋肉量も多いと思いますので、BMI25に拘る必要はないと思います。
30才以上なら、体脂肪率23%くらいまでは許容範囲ですので、まずは、脂肪重量を8kgくらい減らして、体重107kgくらいを目指しては如何でしょう。その後、BMI30未満の100kgくらいを目標としましょう。
江部康二
2011年02月15日 (火)
こんばんは。
少し古いネタですが、毎日新聞に
<先進国の肥満深刻化 OECDが初の報告書>
という記事が掲載されました。(2010年11月05日)
2011-02-01の本ブログ記事
「ニューヨークのソーダ論争と糖尿病・肥満」
と重なる趣旨(貧困層と肥満増加)です。
肥満は、過去にはぜいたく病ととらえられてきましたが、最近は貧困層に多いという事実がはっきりしてきました。これは米国だけでなく、世界中で共通のことと考えられます。
結局、先進国でも貧困層が簡単に手に入れることができる食料は、糖質が原料のパンや麺やご飯、そして砂糖たっぷりの清涼飲料水などです。
さらに安価な菓子パンやクッキーやケーキ・・・・
肉や魚は、これらに比べたら高級な食材であり、貧困層には手に入りにいのです。
BMI30以上の肥満大国No1は勿論米国です。
男性の32%、女性の36%が肥満です。米国では肥満に関係する病気の医療費が5~10%にもあるそうです。
日本は、OECD加盟33カ国中、肥満率は男女とも3%で最少ですが、日本人は、肥満がなくても糖尿病になりやすい国民なので油断は禁物ですね。
江部康二
以下毎日新聞の記事です。
【毎日新聞 2010年11月05日
先進国の肥満深刻化 OECDが初の報告書
3割超す国も・貧困層で増加・啓発充実など各国に求め
肥満:先進国で深刻化 3割超す国も/貧困層で増加/啓発充実など各国に求め
OECDが初の報告書
先進国の肥満の現状と予防策の費用対効果について、経済協力開発機構(OECD)が9月、初の報告書を発表した。貧困層での肥満増加が目立ち、米国や英国など10年以内に国民の3分の2以上が太りすぎや肥満になると予測される国もあるという。OECDは各国政府に健康教育の充実などの対策強化を求めている。【大場あい】
報告書は、各国の公衆衛生の専門家らが3年がかりでまとめた。世界保健機関の基準に基づき、肥満を「体格指数(BMI)30以上」と定義。BMIは「体重<キロ>÷(身長<メートル>の2乗)」で示され、例えば身長1・7メートル、体重が86・7キロで「BMI30」となる。日本人は極端に太らなくても高血糖などを伴う人が多いので、国内では日本肥満学会の診断基準に基づいて「BMI25以上」を肥満としている。
加盟33カ国の成人人口に占める肥満の割合は、男性16%、女性17%。国別では、日本が男女とも3%で最少。最多は米国で、男性32%、女性36%を占める。多くの国では、肥満に関係する病気の医療費が全体の1~3%、米国では5~10%に上るという。
日本肥満学会の松沢佑次理事長によると、内臓脂肪がたまると、脂肪細胞から血圧を上げる物質が多く分泌され高血圧になりやすくなるなど、肥満と生活習慣病の関係が解明されつつある。松沢理事長は「日本人は生活習慣を変えると改善する人が多いが、欧米に多い極度の肥満では胃を小さくするなどの治療が必要なケースもある」と話す。
◇ ◇
肥満はぜいたく病ととらえられがちだが、最近は貧困層に多い。安く高カロリーな加工食品が増えたこと、健康に関する知識が普及していないことなどが背景にある。
日本を除く9カ国を対象にした分析では、女性は米国、韓国など6カ国で所得や社会的地位が最も低い層で肥満のリスクが最も高かった。男性も、オーストリアやフランスでは所得などが低くなるほど肥満が増えた。豪州、カナダ、英国、韓国では、女性は教育を受けた年数が長いほど肥満率が低い傾向があった。
米国では女性全体の失業率約30%に対し、深刻な肥満の白人女性の失業率は40%超。スウェーデンの研究では、肥満の人の所得は正常な体重の人より18%少なかった。報告書は、企業に「肥満の人は生産性が低い」という思い込みがあって肥満でない人を採用する傾向にあり、所得格差の一因になっていると見ている。
◇ ◇
報告書作成に参加した水嶋春朔(しゅんさく)・横浜市立大教授(公衆衛生学)によると、OECDは脂質などの摂取量や運動の頻度、肥満の程度、血圧、血糖などを基に、肥満に関連する一部がんや脳卒中、虚血性心疾患といった慢性疾患の死亡リスクを分析。学校での健康教育▽食品へのカロリー表示▽医師と栄養士による個別指導――など九つの対策による効果を試算した。
日本の場合、医師と栄養士の指導により年8万5000人の死亡を減らすことができると試算。学校教育で約1万2000人、食品表示の改善で約2万人の減少となった。
対策が定着すればコストも下がる。全対策導入20年後の年間費用は1人当たり平均19ドル。脳卒中などの死亡を年15万5000人(09年の全死亡者数は114万4000人)減らすことが可能と分析した。肥満の少ない日本でこれほどの効果が予測されるのは、人口が多い上に他の先進国に比べても高齢化が進んでいるため、同じ対策で加齢に伴う生活習慣病予防につながるからだという。一方報告書では、健康寿命が延びることは期待できるが、高齢化によって医療費は増加するため、肥満対策の医療費削減効果はわずかだと指摘する。
水嶋教授は「日本人の場合は、BMI25未満でも糖尿病を発症する人が多い。一方、脳卒中対策として減塩指導などを長年実施しており、日本の生活習慣病対策を考える上では、喫煙など肥満に関係しない側面も考慮する必要がある」としている。】
少し古いネタですが、毎日新聞に
<先進国の肥満深刻化 OECDが初の報告書>
という記事が掲載されました。(2010年11月05日)
2011-02-01の本ブログ記事
「ニューヨークのソーダ論争と糖尿病・肥満」
と重なる趣旨(貧困層と肥満増加)です。
肥満は、過去にはぜいたく病ととらえられてきましたが、最近は貧困層に多いという事実がはっきりしてきました。これは米国だけでなく、世界中で共通のことと考えられます。
結局、先進国でも貧困層が簡単に手に入れることができる食料は、糖質が原料のパンや麺やご飯、そして砂糖たっぷりの清涼飲料水などです。
さらに安価な菓子パンやクッキーやケーキ・・・・
肉や魚は、これらに比べたら高級な食材であり、貧困層には手に入りにいのです。
BMI30以上の肥満大国No1は勿論米国です。
男性の32%、女性の36%が肥満です。米国では肥満に関係する病気の医療費が5~10%にもあるそうです。
日本は、OECD加盟33カ国中、肥満率は男女とも3%で最少ですが、日本人は、肥満がなくても糖尿病になりやすい国民なので油断は禁物ですね。
江部康二
以下毎日新聞の記事です。
【毎日新聞 2010年11月05日
先進国の肥満深刻化 OECDが初の報告書
3割超す国も・貧困層で増加・啓発充実など各国に求め
肥満:先進国で深刻化 3割超す国も/貧困層で増加/啓発充実など各国に求め
OECDが初の報告書
先進国の肥満の現状と予防策の費用対効果について、経済協力開発機構(OECD)が9月、初の報告書を発表した。貧困層での肥満増加が目立ち、米国や英国など10年以内に国民の3分の2以上が太りすぎや肥満になると予測される国もあるという。OECDは各国政府に健康教育の充実などの対策強化を求めている。【大場あい】
報告書は、各国の公衆衛生の専門家らが3年がかりでまとめた。世界保健機関の基準に基づき、肥満を「体格指数(BMI)30以上」と定義。BMIは「体重<キロ>÷(身長<メートル>の2乗)」で示され、例えば身長1・7メートル、体重が86・7キロで「BMI30」となる。日本人は極端に太らなくても高血糖などを伴う人が多いので、国内では日本肥満学会の診断基準に基づいて「BMI25以上」を肥満としている。
加盟33カ国の成人人口に占める肥満の割合は、男性16%、女性17%。国別では、日本が男女とも3%で最少。最多は米国で、男性32%、女性36%を占める。多くの国では、肥満に関係する病気の医療費が全体の1~3%、米国では5~10%に上るという。
日本肥満学会の松沢佑次理事長によると、内臓脂肪がたまると、脂肪細胞から血圧を上げる物質が多く分泌され高血圧になりやすくなるなど、肥満と生活習慣病の関係が解明されつつある。松沢理事長は「日本人は生活習慣を変えると改善する人が多いが、欧米に多い極度の肥満では胃を小さくするなどの治療が必要なケースもある」と話す。
◇ ◇
肥満はぜいたく病ととらえられがちだが、最近は貧困層に多い。安く高カロリーな加工食品が増えたこと、健康に関する知識が普及していないことなどが背景にある。
日本を除く9カ国を対象にした分析では、女性は米国、韓国など6カ国で所得や社会的地位が最も低い層で肥満のリスクが最も高かった。男性も、オーストリアやフランスでは所得などが低くなるほど肥満が増えた。豪州、カナダ、英国、韓国では、女性は教育を受けた年数が長いほど肥満率が低い傾向があった。
米国では女性全体の失業率約30%に対し、深刻な肥満の白人女性の失業率は40%超。スウェーデンの研究では、肥満の人の所得は正常な体重の人より18%少なかった。報告書は、企業に「肥満の人は生産性が低い」という思い込みがあって肥満でない人を採用する傾向にあり、所得格差の一因になっていると見ている。
◇ ◇
報告書作成に参加した水嶋春朔(しゅんさく)・横浜市立大教授(公衆衛生学)によると、OECDは脂質などの摂取量や運動の頻度、肥満の程度、血圧、血糖などを基に、肥満に関連する一部がんや脳卒中、虚血性心疾患といった慢性疾患の死亡リスクを分析。学校での健康教育▽食品へのカロリー表示▽医師と栄養士による個別指導――など九つの対策による効果を試算した。
日本の場合、医師と栄養士の指導により年8万5000人の死亡を減らすことができると試算。学校教育で約1万2000人、食品表示の改善で約2万人の減少となった。
対策が定着すればコストも下がる。全対策導入20年後の年間費用は1人当たり平均19ドル。脳卒中などの死亡を年15万5000人(09年の全死亡者数は114万4000人)減らすことが可能と分析した。肥満の少ない日本でこれほどの効果が予測されるのは、人口が多い上に他の先進国に比べても高齢化が進んでいるため、同じ対策で加齢に伴う生活習慣病予防につながるからだという。一方報告書では、健康寿命が延びることは期待できるが、高齢化によって医療費は増加するため、肥満対策の医療費削減効果はわずかだと指摘する。
水嶋教授は「日本人の場合は、BMI25未満でも糖尿病を発症する人が多い。一方、脳卒中対策として減塩指導などを長年実施しており、日本の生活習慣病対策を考える上では、喫煙など肥満に関係しない側面も考慮する必要がある」としている。】
2011年02月14日 (月)
こんにちは。
「糖質制限食を語る」DVD販売のお知らせです。
2011-02-05のブログ記事にアップしてから、おかげさまで順調に売れています。
こちらは、視聴用のYou Tube の映像です。
☆☆☆☆☆
京都高雄病院理事長、江部康二医師
画期的な糖尿病治療食
「糖質制限食を語る」
は、こちらのサイトで販売致します。
↓ ↓ ↓
http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php
DVDをご購入いただいた、らこさん、スーパー糖質制限で健康人さんから、温かい感想をいただきました。
ありがとうございます。
【 11/02/13 らこ
DVD最高っす!!!
注文していたDVDが届き、この連休にじっくり2度見ました。
以前東京四谷での講演会で教えて頂いた時と全く同じ方針の講義でブレが無いことにまず感動!
1つ1つの話題の間に「テーマ」が挿入されているのは、「ナマの講義以上」に受講者の意識に訴えかけて来ました。
日本で大半を占める「食後高血糖タイプ2型糖尿病患者」が1人でも多く、このDVDを1日でも早く見て、「緩解」することを祈るばかりです。
2つの講演会が詰め込まれていて、時間もたっぷり。画質も音質も良好そのもの。
江部先生の髪の毛、黒過ぎ!!!
この内容の濃さで2160円は安い!
安過ぎます>< 】
らこさん、過分なるお誉めの言葉、感激です。
【1つ1つの話題の間に「テーマ」が挿入されているのは、「ナマの講義以上」に受講者の意識に訴えかけて来ました。 】
DVDを制作してくれたバンド仲間の吉田さんが、自分にもわかりやすいように、つまり視聴者にわかりやすいように編集してくれました。らこさんの高評価、吉田さんとても喜ぶと思います。
ちなみにキーボード担当の吉田さんは、本業が釣りビデオ制作なのです。
私の髪の毛は、大分白髪が増えて、生え際のそり込みが若い頃に比べればそこそ出てきてますが、まあ何とか1本1本の太さは糖質制限食で回復しました。
【11/02/14 スーパー糖質制限で健康人
逆流性食道炎と糖質制限食
「糖質制限食を語る」DVD拝見させて頂きました。
5年前から、こちらのブログや先生の出版物で糖質制限食を勉強させて頂いている50代男です。スーパー糖質制限食だけの実施で5年前HbA1c8.0、尿蛋白(+)→現在HbA1c5.2、尿蛋白(―)となり嬉しい限りです。現在、糖尿病や糖質制限食を全て分かったつもりでおりましたが、DVD拝見し新たな発見が沢山ありました。そのなかで「逆流性食道炎」にも糖質制限食による効果があるとお話しされておりましたが、DVDでは、「逆流性食道炎」と糖質制限食との関係の説明が無かったかと思います。このあたりをご教示いただけないでしょうか。
追伸、江部先生が京都弁(?)をお使いになるのも発見のひとつでした。ブログや出版物は標準語ですから。】
スーパー糖質制限で健康人さん。
DVDのご購入ありがとうございます。
【スーパー糖質制限食だけの実施で
5年前HbA1c8.0、尿蛋白(+)
→現在HbA1c5.2、尿蛋白(-) 】
すばらしい改善です。
おめでとうございます。
糖尿病腎症第3期(顕性腎症期)から第1期(腎症前期)への回復も見事ですね。
健康人さんと同様に、糖尿病腎症、第3期Aまでは、スーパー糖質制限食実践で高タンパク食になるにも関わらず、タンパク尿が改善する例がほとんどです。
【現在、糖尿病や糖質制限食を全て分かったつもりでおりましたが、DVD拝見し新たな発見が沢山ありました。】
ありがとうございます。そう言っていただけると、DVDを作成した努力が報われる思いです。
「逆流性食道炎」と糖質制限食との関係ですが、糖質の過剰摂取に対する胃の反応こそが、「逆流性食道炎」の本態と思われます。
10年来、20年来の逆流性食道炎が、スーパー糖質制限食実践のその日から改善しますので・・・。
その意味で、よく問診すると、
「カレーライスが一番胸やけがする」
とか、多くの人がよく仰有います。
カレーライスは、<炊いたご飯+カレーのルウの小麦>で糖質のダブルパンチですものね。
恐らく、逆流性食道炎は、精製炭水化物を摂取し始めたこの200~300年に、人類史上初めて登場した病気の一つかもしれませんね。
ちなみに、私の話す言葉は、広島弁と関西弁と標準語が混ざったもののように思います。京都生まれの広島育ちですが、18才からはずっと京都です。でも京都弁は私には似合いませんし、そもそも無理ですね。
話はDVDに戻ります。
これまでに、講演会を映像化して欲しいとの声を多々頂いておりましたが、なかなか形になりませんでした。
今回、私のバンド仲間の吉田さんが、映像プロダクションをされていることもあり、DVD化の運びとなりました。
DVDなら、何度でもご自宅で見て頂けますし、メモを取るのに必死で話を聴き逃した!などといったこともないので、けっこうオススメです。
本を読むのが苦手とか面倒くさい方にもDVDならOKですね。ご高齢の方、あるいは糖尿病のご両親へのプレゼントにもいいですよ。
糖尿病と糖質制限食について、講演会のスライドも適宜挿入しながら、江部康二がわかりやすく語っています。
本DVD、これまで遠方で来れなかった方はもちろん、一度来たけど家の玄関くぐったら9割忘れてしまった方(笑)も、是非ごらん頂ければうれしいです。
江部康二
「糖質制限食を語る」DVD販売のお知らせです。
2011-02-05のブログ記事にアップしてから、おかげさまで順調に売れています。
こちらは、視聴用のYou Tube の映像です。
☆☆☆☆☆
京都高雄病院理事長、江部康二医師
画期的な糖尿病治療食
「糖質制限食を語る」
は、こちらのサイトで販売致します。
↓ ↓ ↓
http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php
DVDをご購入いただいた、らこさん、スーパー糖質制限で健康人さんから、温かい感想をいただきました。
ありがとうございます。
【 11/02/13 らこ
DVD最高っす!!!
注文していたDVDが届き、この連休にじっくり2度見ました。
以前東京四谷での講演会で教えて頂いた時と全く同じ方針の講義でブレが無いことにまず感動!
1つ1つの話題の間に「テーマ」が挿入されているのは、「ナマの講義以上」に受講者の意識に訴えかけて来ました。
日本で大半を占める「食後高血糖タイプ2型糖尿病患者」が1人でも多く、このDVDを1日でも早く見て、「緩解」することを祈るばかりです。
2つの講演会が詰め込まれていて、時間もたっぷり。画質も音質も良好そのもの。
江部先生の髪の毛、黒過ぎ!!!
この内容の濃さで2160円は安い!
安過ぎます>< 】
らこさん、過分なるお誉めの言葉、感激です。
【1つ1つの話題の間に「テーマ」が挿入されているのは、「ナマの講義以上」に受講者の意識に訴えかけて来ました。 】
DVDを制作してくれたバンド仲間の吉田さんが、自分にもわかりやすいように、つまり視聴者にわかりやすいように編集してくれました。らこさんの高評価、吉田さんとても喜ぶと思います。
ちなみにキーボード担当の吉田さんは、本業が釣りビデオ制作なのです。
私の髪の毛は、大分白髪が増えて、生え際のそり込みが若い頃に比べればそこそ出てきてますが、まあ何とか1本1本の太さは糖質制限食で回復しました。
【11/02/14 スーパー糖質制限で健康人
逆流性食道炎と糖質制限食
「糖質制限食を語る」DVD拝見させて頂きました。
5年前から、こちらのブログや先生の出版物で糖質制限食を勉強させて頂いている50代男です。スーパー糖質制限食だけの実施で5年前HbA1c8.0、尿蛋白(+)→現在HbA1c5.2、尿蛋白(―)となり嬉しい限りです。現在、糖尿病や糖質制限食を全て分かったつもりでおりましたが、DVD拝見し新たな発見が沢山ありました。そのなかで「逆流性食道炎」にも糖質制限食による効果があるとお話しされておりましたが、DVDでは、「逆流性食道炎」と糖質制限食との関係の説明が無かったかと思います。このあたりをご教示いただけないでしょうか。
追伸、江部先生が京都弁(?)をお使いになるのも発見のひとつでした。ブログや出版物は標準語ですから。】
スーパー糖質制限で健康人さん。
DVDのご購入ありがとうございます。
【スーパー糖質制限食だけの実施で
5年前HbA1c8.0、尿蛋白(+)
→現在HbA1c5.2、尿蛋白(-) 】
すばらしい改善です。
おめでとうございます。
糖尿病腎症第3期(顕性腎症期)から第1期(腎症前期)への回復も見事ですね。
健康人さんと同様に、糖尿病腎症、第3期Aまでは、スーパー糖質制限食実践で高タンパク食になるにも関わらず、タンパク尿が改善する例がほとんどです。
【現在、糖尿病や糖質制限食を全て分かったつもりでおりましたが、DVD拝見し新たな発見が沢山ありました。】
ありがとうございます。そう言っていただけると、DVDを作成した努力が報われる思いです。
「逆流性食道炎」と糖質制限食との関係ですが、糖質の過剰摂取に対する胃の反応こそが、「逆流性食道炎」の本態と思われます。
10年来、20年来の逆流性食道炎が、スーパー糖質制限食実践のその日から改善しますので・・・。
その意味で、よく問診すると、
「カレーライスが一番胸やけがする」
とか、多くの人がよく仰有います。
カレーライスは、<炊いたご飯+カレーのルウの小麦>で糖質のダブルパンチですものね。
恐らく、逆流性食道炎は、精製炭水化物を摂取し始めたこの200~300年に、人類史上初めて登場した病気の一つかもしれませんね。
ちなみに、私の話す言葉は、広島弁と関西弁と標準語が混ざったもののように思います。京都生まれの広島育ちですが、18才からはずっと京都です。でも京都弁は私には似合いませんし、そもそも無理ですね。
話はDVDに戻ります。
これまでに、講演会を映像化して欲しいとの声を多々頂いておりましたが、なかなか形になりませんでした。
今回、私のバンド仲間の吉田さんが、映像プロダクションをされていることもあり、DVD化の運びとなりました。
DVDなら、何度でもご自宅で見て頂けますし、メモを取るのに必死で話を聴き逃した!などといったこともないので、けっこうオススメです。
本を読むのが苦手とか面倒くさい方にもDVDならOKですね。ご高齢の方、あるいは糖尿病のご両親へのプレゼントにもいいですよ。
糖尿病と糖質制限食について、講演会のスライドも適宜挿入しながら、江部康二がわかりやすく語っています。
本DVD、これまで遠方で来れなかった方はもちろん、一度来たけど家の玄関くぐったら9割忘れてしまった方(笑)も、是非ごらん頂ければうれしいです。
江部康二
2011年02月13日 (日)
こんばんは。
2011年2月11日(金)祝日、神戸の三宮で糖質制限食の講演会を行いました。
悠々クラブとグーテ・デ・ロウが共催されました。
悠々クラブは、神戸の長田高校のOBの方が中心の会で、長年に渡り、定期的に勉強会をされて来られた団体です。
いろんなジャンルのテーマで会を運営されてこられましたが、今回は糖質制限食ということでお招きいただきました。
グーテ・デ・ロウとは、王様のおやつという意味です。
(gouter :フランス語でおやつ roi:フランス語で王)
王様のように豊かな食事会と勉強会を定期的にしているグループです。
グーテ・デ・ロウでは、何と糖質制限食を実践しておられます。
糖質制限食の食事会と勉強会を定期的に実践しておられる会で、私としては嬉しい限りです。
110名を軽く超える参加者があり、熱気に溢れる会となりました。医師も数名参加しておられました。
100分の講演と柔道整復師・川本正己先生との30分の質疑応答があり、長時間に及ぶ講演となりましたが、睡眠学習の方はゼロで、これも嬉しい限りでした。 (^_^)
私の本も
「我ら糖尿人元気なのには理由がある」
「やせる食べ方」
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」
それぞれ10冊ずつ、合計30冊があっという間に完売でこれまた嬉しい限りでした。 (^^)
グーテ・デ・ロウの代表は松田裕美子さんです。
松田さんは、慢性関節リウマチでいろんな食事療法、例えばナチュラルハイジーン、生菜食、断食・・・などを試してこられましたが、リウマチは改善せず、とうとう車椅子生活となってしまわれたそうです。
その松田さんが、糖質制限食を実践されたところ、リウマチはめきめき改善して、本当に元気になられ、車椅子も不要となりました。
ご自身のリウマチが、糖質制限食で劇的に改善したことをきっかけに、グーテ・デ・ロウを設立されたとのことでした。
リウマチ以外にも原因不明の関節炎による腫脹が、糖質制限食実践1~3週間ていどで劇的に改善した人が複数おられるそうです。
糖質制限食実践で全身の代謝・血流が改善され自然治癒力が高まるので、様々な病気に効果が期待できると考えられますが、今回の講演で、慢性関節リウマチや原因不明の関節炎にも、糖質制限食が有効であることを教えて頂きました。
早速、高雄病院や江部診療所のリウマチ患者さんに、糖質制限食を奨めてみようと思います。
悠々クラブ代表の今村隆さん、
グーテ・デ・ロウ代表の松田裕美子さん、
京都まで来て、講演依頼して頂いた川本治療所の柔道整復師・川本正己先生、
この度は、お招きいただいてありがとうございました。 m(_ _)mVV
私自身も学ぶことの多い、とても有意義な講演会でした。
江部康二
2011年2月11日(金)祝日、神戸の三宮で糖質制限食の講演会を行いました。
悠々クラブとグーテ・デ・ロウが共催されました。
悠々クラブは、神戸の長田高校のOBの方が中心の会で、長年に渡り、定期的に勉強会をされて来られた団体です。
いろんなジャンルのテーマで会を運営されてこられましたが、今回は糖質制限食ということでお招きいただきました。
グーテ・デ・ロウとは、王様のおやつという意味です。
(gouter :フランス語でおやつ roi:フランス語で王)
王様のように豊かな食事会と勉強会を定期的にしているグループです。
グーテ・デ・ロウでは、何と糖質制限食を実践しておられます。
糖質制限食の食事会と勉強会を定期的に実践しておられる会で、私としては嬉しい限りです。
110名を軽く超える参加者があり、熱気に溢れる会となりました。医師も数名参加しておられました。
100分の講演と柔道整復師・川本正己先生との30分の質疑応答があり、長時間に及ぶ講演となりましたが、睡眠学習の方はゼロで、これも嬉しい限りでした。 (^_^)
私の本も
「我ら糖尿人元気なのには理由がある」
「やせる食べ方」
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」
それぞれ10冊ずつ、合計30冊があっという間に完売でこれまた嬉しい限りでした。 (^^)
グーテ・デ・ロウの代表は松田裕美子さんです。
松田さんは、慢性関節リウマチでいろんな食事療法、例えばナチュラルハイジーン、生菜食、断食・・・などを試してこられましたが、リウマチは改善せず、とうとう車椅子生活となってしまわれたそうです。
その松田さんが、糖質制限食を実践されたところ、リウマチはめきめき改善して、本当に元気になられ、車椅子も不要となりました。
ご自身のリウマチが、糖質制限食で劇的に改善したことをきっかけに、グーテ・デ・ロウを設立されたとのことでした。
リウマチ以外にも原因不明の関節炎による腫脹が、糖質制限食実践1~3週間ていどで劇的に改善した人が複数おられるそうです。
糖質制限食実践で全身の代謝・血流が改善され自然治癒力が高まるので、様々な病気に効果が期待できると考えられますが、今回の講演で、慢性関節リウマチや原因不明の関節炎にも、糖質制限食が有効であることを教えて頂きました。
早速、高雄病院や江部診療所のリウマチ患者さんに、糖質制限食を奨めてみようと思います。
悠々クラブ代表の今村隆さん、
グーテ・デ・ロウ代表の松田裕美子さん、
京都まで来て、講演依頼して頂いた川本治療所の柔道整復師・川本正己先生、
この度は、お招きいただいてありがとうございました。 m(_ _)mVV
私自身も学ぶことの多い、とても有意義な講演会でした。
江部康二
2011年02月12日 (土)
こんばんは。
akira さんとモン吉 さんから、糖質制限食で耐糖能改善という、嬉しいコメントをいただきました。
【11/02/10 akira
糖負荷試験
糖質制限食前後での糖負荷試験(75gOGTT)
江部先生、毎日のブログ更新ご苦労様です。健康機器メーカーで計測機器を開発している者です。長期間の糖質制限食をした前後での糖負荷試験(75gOGTT)結果が話題になっておりましたので、若干古いデータにはなりますが私のデータを提供します。なお、糖負荷試験の前日(夜食)に糖分を摂らないと血糖が高くなる現象を理由として、糖質を摂らないと耐能が悪くなるという主張はあまりにもナンセンスですので、まじめに議論する必要はありません。研究レベルで糖負荷試験に与える食事の影響を調査するのであれば血糖だけではなく、インスリンの動態も同時測定して個々人の糖代謝の確認が最低限必要です。臨床現場での食事負荷試験の繰り返し再現性は決して良いものではなく、前日の食事のコントロール、負荷試験中3時間の身体活動の制限をきちんとコントロールしないと正確なデータは得られません。以下、2004年と2005年のデータです。
2004年1月 54歳男性 体重63.9kg 体脂肪率21.0% BMI 26.5
HbA1C 5.1 インスリン分泌指数0.77 HOMA-IR 3.2 ∑IRI(2時間)519
(実データ)
時間 0 30 60 90 120 180 (分)
血糖 95 162 207 200 165 67
インスリン 14 65 104 156 180 14
尿糖 3 247 446 8
データからは典型的なIGT(耐糖能異常)で、インスリン分泌低下型ではなくインスリン抵抗性による境界型です。しかし空腹時血糖とHbA1Cは正常ですから通常検査では耐糖能異常は検出されませんでした。食後尿糖検査で異常が見つかりましたので、1年間自己流の糖質制限食(朝食はオレンジジュース→牛乳、クロワッサン2個→果物少々)(昼食・夜食は主食の量のみ半減)(間食、清涼飲料水→お茶、お菓子類は禁忌)(アルコールはなし)をしました。残念ながら、この時点では江部先生の糖質制限食を存じ上げませんでした。
2005年3月 55歳男性 体重60.3kg 体脂肪率16.3% BMI 25.1
HbA1C 4.8 インスリン分泌指数0.85 HOMA-IR 2.1 ∑IRI(2時間)273
(実データ)
時間 0 30 60 90 120 180 (分)
血糖 95 128 181 162 102 99
インスリン 9 37 88 87 51 26
尿糖 5 68 404 10
結果、体重3.6kg減、体脂肪率5.7%減、血糖値の判定では正常型、HOMA-IRはやや高値、∑IRIも正常範囲ではあるもののやや高値、尿糖は高値ということでインスリン抵抗性は残っていますので無罪放免ではありませんが確実に改善はされています。ただ、体重は2ヶ月間で減量した後はほぼ横ばいでした。
前日夕食時の糖質制限が影響していたとしても、2004年に比べれば明らかに改善されているのですから、ネガティブデータにはなり得ませんね。
私の場合は、インスリン抵抗性が原因の耐糖能異常ですから減量によるインスリン抵抗性の改善が血糖にもインスリンにも表れています。特に2004年には2時間後でもインスリンの過剰分泌があり、3時間後の低血糖を引き起こしていましたが、2005年では血糖とインスリンの変化は同期しており3時間後の低血糖も認められません。糖質制限食の効果と思います。
一方、インスリン分泌低下型の方でも、糖質制限食によって耐糖能が悪化する理由は無いと思いますが、減量に対する効果はインスリン抵抗性の方とはやや異なるかもしれません。
インスリン抵抗性の方は、食後のインスリン分泌量が多いために体脂肪が蓄積しやすく、糖質制限によってインスリン分泌量が低下することでの減量効果が期待できます。しかしインスリン分泌低下型の方は、食後のインスリン分泌が不足していますので体脂肪の蓄積も起こりません。糖質を制限しても、血糖値の上昇は防げますが減量の効果はあまり期待できないと思われます。また、インクレチンが本当にすい臓の機能を回復してくれるのであればインスリン分泌低下型の方には正に夢の薬になりますが、インスリン抵抗性の方には何よりも糖質制限食が第一選択でしょう。
糖負荷試験では血糖とインスリンの同時測定が望まれますが、インスリン検査はオプションですので一般臨床ではまず費用面から不可能でしょう。便宜的には、糖尿病初期で痩せ型の患者さんは遺伝(インスリン分泌低下)、肥満型の患者さんはインスリン抵抗性と考えて良いのではないかと思いますが、エビデンスはありませんのでここだけの話です。
長々と失礼しました。
先生の一層のご活躍のほど祈念しております。】
akiraさん。
コメントありがとうざいます。
糖負荷試験の前日(夜食)に糖分を摂らないと血糖が高くなる現象を理由として、糖質を摂らないと耐糖能が悪化するとの議論もありましたが、1食だけ糖質を摂らない(食事を抜く)だけで耐糖能が悪くなるという主張はあまりにもナンセンスですので、まじめに議論する必要はありません。」
私もそう思います。
「臨床現場での食事負荷試験の繰り返し再現性は決して良いものではなく、前日の食事のコントロール、負荷試験中3時間の身体活動の制限をきちんとコントロールしないと正確なデータは得られません。」
その通りですね。
従いまして、1回のブドウ糖負荷試験が前回より血糖値が上昇していたとしても、いろんなバイアスがありますので、それをもって単純に耐糖能悪化とは言えないですね。
2004年1月のOGTTは、2時間値が165mg/dlで追加分泌インスリンは180も分泌されているので、
かなりのインスリン抵抗性ですね。診断基準では、境界型の食後高血糖タイプです。
糖質制限食後の2005年3月のOGTTは、2時間値が102mg/dlで追加分泌インスリンは51と改善です。
インスリン抵抗性も随分改善です。診断基準では正常型に改善しています。→糖質制限食で耐糖能改善です。
1年2ヶ月糖質制限食を続けてのOGTTの改善は、意味があると思います。
【11/02/10 モン吉
耐糖能について
江部先生こんばんは
昨日のブログに耐糖能について書かれいましたが 私は糖質制限食を始めてもうすぐ4年になりますが とても良くなっています。この4年間をふり返ってみました。
平成19年3月7日 食後1時間血糖値:389 HbA1c:10.7
すぐに先生の糖質制限食を知りスーパーを始める。
平成19年10月12日 HbA1c:5.9
6.0をきったので、少しゆるめの糖質制限で3食ともご飯を お茶碗に1/4(40g)食べるようになりました。
毎食納豆を食べるのでやはりご飯はかかせません。 これ位だと食後1時間の血糖値は170位でした。
その後A1cは横ばいか少しずつ下がる。
平成20年10月24日 この日は試しにご飯をお茶碗一杯食べて 検査に臨みました。
食後1時間血糖値:227 HbA1c:5.5
やはりご飯一杯を食べると200越えになるんだと実感しました。
でも毎食ご飯40gは続けていました。
その後の毎月のA1cは5.4~5.5でずっと安定。
毎月検査の食後1時間血糖値も150位で前より低くなる。
平成21年11月6日 この日はご飯をお茶碗半分位食べました。
食後1時間血糖値:162 HbA1c:5.4
平成22年9月3日 この日は試しにご飯をお茶碗一杯食べました。
食後1時間血糖値:151 HbA1c:5.0
以前はお茶碗一杯食べると200越えだったので驚きました。
その後は、ご飯40g食べると以前150位だった食後血糖値が
110~120位になる。
平成23年1月7日 ご飯半分(80g)、納豆1パック、味噌汁 卵焼き、ハム2枚、青汁+オリーブオイルさじ1杯食べての検査 食後1時間血糖値:115 HbA1c:5.1
肝臓やその他の数値も正常。
尿中アルブミン(クレアチニン補正値)も8.2ですからじん臓も正常。
少し緩めの糖質制限ですが、4年間糖質制限を続けてきて 私の場合はすい臓のβ細胞がとても回復したのを実感し、長く続けて耐糖能が低下という事は有りません。ちなみに体重は13キロ減です。
セレブ病(糖尿病)の状態は10人10色で、皆さんそれぞれ すい臓の状態も疲弊しているのか、又細胞が減少している場合 その程度によっても状況は変りますので、色々試してみて ご自身に一番合った方法やペースを見つけ出すしかないと 感じます。】
モン吉さん。
コメントありがとうございます。
「平成19年3月7日 食後1時間血糖値:389 HbA1c:10.7
すぐに先生の糖質制限食を知りスーパーを始める。
平成19年10月12日 HbA1c:5.9
平成20年10月24日
この日は試しにご飯をお茶碗一杯食べて検査に臨みました。
食後1時間血糖値:227 HbA1c:5.5 」
糖質制限食実践1年半で、HbA1cは10.7→5.5%と劇的改善をキープですが、ご飯を1膳普通に食べたら、1時間後227mgですか。。。
炊いたご飯1膳に50gくらいの糖質が含まれています。2時間値はもっと低いかもしれませんが、この時点では
1gの糖質がキッチリ、ピークは3mg近く血糖値を上げているのでしょうね。
「平成22年9月3日 この日は試しにご飯をお茶碗一杯食べました。 食後1時間血糖値:151 HbA1c:5.0 」
糖質制限食実践2年半で、ご飯を1膳普通に食べても、1時間後血糖値が151mgですか。。。
これは明らかに良くなってます。1gの糖質が、1mgくらいしか血糖値を上昇させていませんね。
結局、2年半の糖質制限食実践で、耐糖能の著明な改善が得られています。
通常「糖尿病は治らない。」と言われていますが、このデータなら、糖尿病型→正常型になったわけで、治ったというのは言い過ぎとしてもそれに近い状態です。
糖質制限食で血糖コントロール良好となり、糖毒が解除され、なおかつ膵臓のβ細胞はしっかり休養できて正常に近く回復したということですね。
モン吉さん、おめでとうございます。
akiraさん、モン吉さん、
お二人とも、これからも美味しく楽しく末長く糖質制限食をお続け下さいね。
江部康二
akira さんとモン吉 さんから、糖質制限食で耐糖能改善という、嬉しいコメントをいただきました。
【11/02/10 akira
糖負荷試験
糖質制限食前後での糖負荷試験(75gOGTT)
江部先生、毎日のブログ更新ご苦労様です。健康機器メーカーで計測機器を開発している者です。長期間の糖質制限食をした前後での糖負荷試験(75gOGTT)結果が話題になっておりましたので、若干古いデータにはなりますが私のデータを提供します。なお、糖負荷試験の前日(夜食)に糖分を摂らないと血糖が高くなる現象を理由として、糖質を摂らないと耐能が悪くなるという主張はあまりにもナンセンスですので、まじめに議論する必要はありません。研究レベルで糖負荷試験に与える食事の影響を調査するのであれば血糖だけではなく、インスリンの動態も同時測定して個々人の糖代謝の確認が最低限必要です。臨床現場での食事負荷試験の繰り返し再現性は決して良いものではなく、前日の食事のコントロール、負荷試験中3時間の身体活動の制限をきちんとコントロールしないと正確なデータは得られません。以下、2004年と2005年のデータです。
2004年1月 54歳男性 体重63.9kg 体脂肪率21.0% BMI 26.5
HbA1C 5.1 インスリン分泌指数0.77 HOMA-IR 3.2 ∑IRI(2時間)519
(実データ)
時間 0 30 60 90 120 180 (分)
血糖 95 162 207 200 165 67
インスリン 14 65 104 156 180 14
尿糖 3 247 446 8
データからは典型的なIGT(耐糖能異常)で、インスリン分泌低下型ではなくインスリン抵抗性による境界型です。しかし空腹時血糖とHbA1Cは正常ですから通常検査では耐糖能異常は検出されませんでした。食後尿糖検査で異常が見つかりましたので、1年間自己流の糖質制限食(朝食はオレンジジュース→牛乳、クロワッサン2個→果物少々)(昼食・夜食は主食の量のみ半減)(間食、清涼飲料水→お茶、お菓子類は禁忌)(アルコールはなし)をしました。残念ながら、この時点では江部先生の糖質制限食を存じ上げませんでした。
2005年3月 55歳男性 体重60.3kg 体脂肪率16.3% BMI 25.1
HbA1C 4.8 インスリン分泌指数0.85 HOMA-IR 2.1 ∑IRI(2時間)273
(実データ)
時間 0 30 60 90 120 180 (分)
血糖 95 128 181 162 102 99
インスリン 9 37 88 87 51 26
尿糖 5 68 404 10
結果、体重3.6kg減、体脂肪率5.7%減、血糖値の判定では正常型、HOMA-IRはやや高値、∑IRIも正常範囲ではあるもののやや高値、尿糖は高値ということでインスリン抵抗性は残っていますので無罪放免ではありませんが確実に改善はされています。ただ、体重は2ヶ月間で減量した後はほぼ横ばいでした。
前日夕食時の糖質制限が影響していたとしても、2004年に比べれば明らかに改善されているのですから、ネガティブデータにはなり得ませんね。
私の場合は、インスリン抵抗性が原因の耐糖能異常ですから減量によるインスリン抵抗性の改善が血糖にもインスリンにも表れています。特に2004年には2時間後でもインスリンの過剰分泌があり、3時間後の低血糖を引き起こしていましたが、2005年では血糖とインスリンの変化は同期しており3時間後の低血糖も認められません。糖質制限食の効果と思います。
一方、インスリン分泌低下型の方でも、糖質制限食によって耐糖能が悪化する理由は無いと思いますが、減量に対する効果はインスリン抵抗性の方とはやや異なるかもしれません。
インスリン抵抗性の方は、食後のインスリン分泌量が多いために体脂肪が蓄積しやすく、糖質制限によってインスリン分泌量が低下することでの減量効果が期待できます。しかしインスリン分泌低下型の方は、食後のインスリン分泌が不足していますので体脂肪の蓄積も起こりません。糖質を制限しても、血糖値の上昇は防げますが減量の効果はあまり期待できないと思われます。また、インクレチンが本当にすい臓の機能を回復してくれるのであればインスリン分泌低下型の方には正に夢の薬になりますが、インスリン抵抗性の方には何よりも糖質制限食が第一選択でしょう。
糖負荷試験では血糖とインスリンの同時測定が望まれますが、インスリン検査はオプションですので一般臨床ではまず費用面から不可能でしょう。便宜的には、糖尿病初期で痩せ型の患者さんは遺伝(インスリン分泌低下)、肥満型の患者さんはインスリン抵抗性と考えて良いのではないかと思いますが、エビデンスはありませんのでここだけの話です。
長々と失礼しました。
先生の一層のご活躍のほど祈念しております。】
akiraさん。
コメントありがとうざいます。
糖負荷試験の前日(夜食)に糖分を摂らないと血糖が高くなる現象を理由として、糖質を摂らないと耐糖能が悪化するとの議論もありましたが、1食だけ糖質を摂らない(食事を抜く)だけで耐糖能が悪くなるという主張はあまりにもナンセンスですので、まじめに議論する必要はありません。」
私もそう思います。
「臨床現場での食事負荷試験の繰り返し再現性は決して良いものではなく、前日の食事のコントロール、負荷試験中3時間の身体活動の制限をきちんとコントロールしないと正確なデータは得られません。」
その通りですね。
従いまして、1回のブドウ糖負荷試験が前回より血糖値が上昇していたとしても、いろんなバイアスがありますので、それをもって単純に耐糖能悪化とは言えないですね。
2004年1月のOGTTは、2時間値が165mg/dlで追加分泌インスリンは180も分泌されているので、
かなりのインスリン抵抗性ですね。診断基準では、境界型の食後高血糖タイプです。
糖質制限食後の2005年3月のOGTTは、2時間値が102mg/dlで追加分泌インスリンは51と改善です。
インスリン抵抗性も随分改善です。診断基準では正常型に改善しています。→糖質制限食で耐糖能改善です。
1年2ヶ月糖質制限食を続けてのOGTTの改善は、意味があると思います。
【11/02/10 モン吉
耐糖能について
江部先生こんばんは
昨日のブログに耐糖能について書かれいましたが 私は糖質制限食を始めてもうすぐ4年になりますが とても良くなっています。この4年間をふり返ってみました。
平成19年3月7日 食後1時間血糖値:389 HbA1c:10.7
すぐに先生の糖質制限食を知りスーパーを始める。
平成19年10月12日 HbA1c:5.9
6.0をきったので、少しゆるめの糖質制限で3食ともご飯を お茶碗に1/4(40g)食べるようになりました。
毎食納豆を食べるのでやはりご飯はかかせません。 これ位だと食後1時間の血糖値は170位でした。
その後A1cは横ばいか少しずつ下がる。
平成20年10月24日 この日は試しにご飯をお茶碗一杯食べて 検査に臨みました。
食後1時間血糖値:227 HbA1c:5.5
やはりご飯一杯を食べると200越えになるんだと実感しました。
でも毎食ご飯40gは続けていました。
その後の毎月のA1cは5.4~5.5でずっと安定。
毎月検査の食後1時間血糖値も150位で前より低くなる。
平成21年11月6日 この日はご飯をお茶碗半分位食べました。
食後1時間血糖値:162 HbA1c:5.4
平成22年9月3日 この日は試しにご飯をお茶碗一杯食べました。
食後1時間血糖値:151 HbA1c:5.0
以前はお茶碗一杯食べると200越えだったので驚きました。
その後は、ご飯40g食べると以前150位だった食後血糖値が
110~120位になる。
平成23年1月7日 ご飯半分(80g)、納豆1パック、味噌汁 卵焼き、ハム2枚、青汁+オリーブオイルさじ1杯食べての検査 食後1時間血糖値:115 HbA1c:5.1
肝臓やその他の数値も正常。
尿中アルブミン(クレアチニン補正値)も8.2ですからじん臓も正常。
少し緩めの糖質制限ですが、4年間糖質制限を続けてきて 私の場合はすい臓のβ細胞がとても回復したのを実感し、長く続けて耐糖能が低下という事は有りません。ちなみに体重は13キロ減です。
セレブ病(糖尿病)の状態は10人10色で、皆さんそれぞれ すい臓の状態も疲弊しているのか、又細胞が減少している場合 その程度によっても状況は変りますので、色々試してみて ご自身に一番合った方法やペースを見つけ出すしかないと 感じます。】
モン吉さん。
コメントありがとうございます。
「平成19年3月7日 食後1時間血糖値:389 HbA1c:10.7
すぐに先生の糖質制限食を知りスーパーを始める。
平成19年10月12日 HbA1c:5.9
平成20年10月24日
この日は試しにご飯をお茶碗一杯食べて検査に臨みました。
食後1時間血糖値:227 HbA1c:5.5 」
糖質制限食実践1年半で、HbA1cは10.7→5.5%と劇的改善をキープですが、ご飯を1膳普通に食べたら、1時間後227mgですか。。。
炊いたご飯1膳に50gくらいの糖質が含まれています。2時間値はもっと低いかもしれませんが、この時点では
1gの糖質がキッチリ、ピークは3mg近く血糖値を上げているのでしょうね。
「平成22年9月3日 この日は試しにご飯をお茶碗一杯食べました。 食後1時間血糖値:151 HbA1c:5.0 」
糖質制限食実践2年半で、ご飯を1膳普通に食べても、1時間後血糖値が151mgですか。。。
これは明らかに良くなってます。1gの糖質が、1mgくらいしか血糖値を上昇させていませんね。
結局、2年半の糖質制限食実践で、耐糖能の著明な改善が得られています。
通常「糖尿病は治らない。」と言われていますが、このデータなら、糖尿病型→正常型になったわけで、治ったというのは言い過ぎとしてもそれに近い状態です。
糖質制限食で血糖コントロール良好となり、糖毒が解除され、なおかつ膵臓のβ細胞はしっかり休養できて正常に近く回復したということですね。
モン吉さん、おめでとうございます。
akiraさん、モン吉さん、
お二人とも、これからも美味しく楽しく末長く糖質制限食をお続け下さいね。
江部康二
2011年02月10日 (木)
こんばんは。
めきめき寒くなって雪がちらついている京都です。
11日朝は、今冬三度目の積雪になりそうです。
さて今回は atsuhiro-sato さんから、
「高脂肪・高カロリーのものが、インスリンの分泌に負荷をかけたのでは・・・」
というコメント・質問をいただきました。
【11/02/10 atsuhiro-sato
糖尿病食について質問
炭水化物(ご飯)が血糖値を上げることは理解しますが、「炭水化物以外のタンパク質(肉などの動物性)、脂質は何を食べても良い」というのは間違っていませんか。本来、糖尿病を含め生活習慣病の原因は「食の欧米化」にあり、特に高脂肪、高カロリーのものがインスリンの分泌に負荷をかけてきたのではないでしょうか。もっと代謝酵素考慮に入れたトータルな見解が必要ではないでしょうか。】
atsuhiro-sato さん。
血糖値を上昇させるのは、糖質のみであり、タンパク質・脂質は血糖値を上昇させません。
このことは、論争の余地のない生理学的事実です。
血糖値の上昇とカロリーは、何の関係もありません。
食後血糖値は、単純に糖質摂取量とのみ相関します。
次に、インスリンを大量に追加分泌させるのは、糖質のみです。
タンパク質は、ごく少量インスリンを追加分泌させます。
脂質は高カロリーですが、インスリン追加分泌は全く生じません。
これらも論争の余地のない生理学的事実です。
上記のような、生理学的に極めて重要な事柄を、ほとんどの医師・栄養士がご存知ありません。それは大学で一切教育しないからであり、誠に遺憾に思います。
糖質制限食理論は、人体の代謝全体を考えた上で構築されています。もし反論があれば、いつでも受けて立つだけの用意があります。
基本的には、既存の医学界が従来の常識の壁に囚われて、人体の生理・代謝システムの本質を冷静に検討できていないのが現状です。
例えば
#1脂肪悪玉説
#2カロリー神話
#3脳はブドウ糖しか利用できない
#1、#2、#3は全て、単なる神話であり、何のエビデンスも無かったことがすでに検証されています。
#1 脂肪悪玉説の崩壊
<米国医師会雑誌2006年2月8日号>
米国の大規模介入試験において脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して意外なことに心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げないことが米国医師会雑誌2006年2月8日号で報告されました。
総コレステロール値に関しても、両群に優位な差はありませんでした。
この研究は、5万人弱の閉経女性を対象に対照群を置き、平均8年間にわたって追跡した大がかりなもので、所謂EBM(科学的根拠に基づいた医療)的には、トップランクに位置する権威あるものです。権威ある研究により、従来の常識(脂肪悪玉説)が根底から覆ったわけです。
つまり糖質制限食では相対的に高脂肪食となりますが、脂肪をたくさん摂取したグループにおいても、心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクが増えることはなく、その安全性が保証されたことになります。
<全米健康調査>
1971年の脂質摂取比率36.9% → 2000年の脂質摂取比率 32.8%
1971年の肥満率 14.5% → 2000年の肥満率 30.9%
全米をあげて脂肪摂取比率を減らし続けたにも関わらず、30年で肥満倍増です。
糖尿病に至っては、1995年に800万人、2005年には2080万人に増加です。
この間糖質の摂取比率は、「42.4% →49.0%」と増加しています。
このように、全米あげての脂肪摂取率減少作戦は、肥満においても糖尿病においても見事に失敗したのが、歴史的事実です。
#2 カロリー神話の崩壊
<2008年のニューイングランド・ジャーナル、イスラエルの研究報告>
NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241
カロリー制限なしのハンディにも関わらず
「低炭水化物食(糖質制限食)が最も体重を減少させ、HDL-Cを増加させた。」
が、長年の食事療法の論争に決着をつけたと思います。
これは、ネットの1個人の意見や仮説ではなく、322人を2年間追跡した権威ある疫学的研究です。
低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。
• イスラエルの322人(男性86%)
• (1)低脂肪法(カロリー制限あり)
• (2)オリーブ油の地中海法(カロリー制限あり)
• (3)低炭水化物法(カロリー制限なしのアトキンス式ダイエット)
• 3グループの食事法を2年間経過観察。
• 低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。
• NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241
体重などを分析した結果、2年後の体重減少幅の平均は
(1)低脂肪法 2.9キロ
(2)地中海法 4.4キロ
(3)低炭水化物法 4.7キロ
となり、
(3)低炭水化物法が最も減少していた。また、善玉コレステロールも増えていた。
#3 脳はブドウ糖しか利用できない→脳はケトン体をいくらでも利用する
これも論争の余地のない生理学的事実です。
江部康二
めきめき寒くなって雪がちらついている京都です。
11日朝は、今冬三度目の積雪になりそうです。
さて今回は atsuhiro-sato さんから、
「高脂肪・高カロリーのものが、インスリンの分泌に負荷をかけたのでは・・・」
というコメント・質問をいただきました。
【11/02/10 atsuhiro-sato
糖尿病食について質問
炭水化物(ご飯)が血糖値を上げることは理解しますが、「炭水化物以外のタンパク質(肉などの動物性)、脂質は何を食べても良い」というのは間違っていませんか。本来、糖尿病を含め生活習慣病の原因は「食の欧米化」にあり、特に高脂肪、高カロリーのものがインスリンの分泌に負荷をかけてきたのではないでしょうか。もっと代謝酵素考慮に入れたトータルな見解が必要ではないでしょうか。】
atsuhiro-sato さん。
血糖値を上昇させるのは、糖質のみであり、タンパク質・脂質は血糖値を上昇させません。
このことは、論争の余地のない生理学的事実です。
血糖値の上昇とカロリーは、何の関係もありません。
食後血糖値は、単純に糖質摂取量とのみ相関します。
次に、インスリンを大量に追加分泌させるのは、糖質のみです。
タンパク質は、ごく少量インスリンを追加分泌させます。
脂質は高カロリーですが、インスリン追加分泌は全く生じません。
これらも論争の余地のない生理学的事実です。
上記のような、生理学的に極めて重要な事柄を、ほとんどの医師・栄養士がご存知ありません。それは大学で一切教育しないからであり、誠に遺憾に思います。
糖質制限食理論は、人体の代謝全体を考えた上で構築されています。もし反論があれば、いつでも受けて立つだけの用意があります。
基本的には、既存の医学界が従来の常識の壁に囚われて、人体の生理・代謝システムの本質を冷静に検討できていないのが現状です。
例えば
#1脂肪悪玉説
#2カロリー神話
#3脳はブドウ糖しか利用できない
#1、#2、#3は全て、単なる神話であり、何のエビデンスも無かったことがすでに検証されています。
#1 脂肪悪玉説の崩壊
<米国医師会雑誌2006年2月8日号>
米国の大規模介入試験において脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して意外なことに心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げないことが米国医師会雑誌2006年2月8日号で報告されました。
総コレステロール値に関しても、両群に優位な差はありませんでした。
この研究は、5万人弱の閉経女性を対象に対照群を置き、平均8年間にわたって追跡した大がかりなもので、所謂EBM(科学的根拠に基づいた医療)的には、トップランクに位置する権威あるものです。権威ある研究により、従来の常識(脂肪悪玉説)が根底から覆ったわけです。
つまり糖質制限食では相対的に高脂肪食となりますが、脂肪をたくさん摂取したグループにおいても、心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクが増えることはなく、その安全性が保証されたことになります。
<全米健康調査>
1971年の脂質摂取比率36.9% → 2000年の脂質摂取比率 32.8%
1971年の肥満率 14.5% → 2000年の肥満率 30.9%
全米をあげて脂肪摂取比率を減らし続けたにも関わらず、30年で肥満倍増です。
糖尿病に至っては、1995年に800万人、2005年には2080万人に増加です。
この間糖質の摂取比率は、「42.4% →49.0%」と増加しています。
このように、全米あげての脂肪摂取率減少作戦は、肥満においても糖尿病においても見事に失敗したのが、歴史的事実です。
#2 カロリー神話の崩壊
<2008年のニューイングランド・ジャーナル、イスラエルの研究報告>
NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241
カロリー制限なしのハンディにも関わらず
「低炭水化物食(糖質制限食)が最も体重を減少させ、HDL-Cを増加させた。」
が、長年の食事療法の論争に決着をつけたと思います。
これは、ネットの1個人の意見や仮説ではなく、322人を2年間追跡した権威ある疫学的研究です。
低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。
• イスラエルの322人(男性86%)
• (1)低脂肪法(カロリー制限あり)
• (2)オリーブ油の地中海法(カロリー制限あり)
• (3)低炭水化物法(カロリー制限なしのアトキンス式ダイエット)
• 3グループの食事法を2年間経過観察。
• 低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。
• NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241
体重などを分析した結果、2年後の体重減少幅の平均は
(1)低脂肪法 2.9キロ
(2)地中海法 4.4キロ
(3)低炭水化物法 4.7キロ
となり、
(3)低炭水化物法が最も減少していた。また、善玉コレステロールも増えていた。
#3 脳はブドウ糖しか利用できない→脳はケトン体をいくらでも利用する
これも論争の余地のない生理学的事実です。
江部康二
2011年02月09日 (水)
こんにちは。
昨日の本ブログのアクセス数が、初めて10000件を超えました。
自分でもびっくりです。
さて今回は、chika さんから、糖質制限食で耐糖能低下?というコメント・質問をいただきました。
結論からいうと、糖質制限食を実践して耐糖能が低下することはないと思います。
【11/02/06 chika
No title
先日http://www.diabetes-cafe.com/largetable/modules/popnupblog/index.php?postid=351のような記事を読みました。
実際知り合いが糖質制限を続けてその後ブドウ糖負荷試験を受けた際前回よりも数値が悪化してびっくりしたそうです。その方はいま現在も境界型です。
半信半疑でまわりに聞いてみると糖質制限を開始後にブドウ糖負荷試験を受けたひとはいないです。(すでに糖尿病と診断されている人が多いせいか)なのでいまひとつわかりません。
このように境界型のひとが次のブドウ糖負荷に挑むとき、糖質制限をしているとこのような結果がでることってあるのでしょうか。
炭水化物に対する感受性が強くなってこのようなことが引き起こされるのでしょうか。
不思議に思って投稿させていただきました。】
chika さん。
「糖質制限食を行うと耐糖能が低下する」という説を最初に唱えたのは、ヒムスワースです。
「健康人に糖質の少ない食事を1週間与えて糖負荷試験を行った。高糖質食を与えたときには耐糖能は正常であったのに、低糖質食によって糖尿病と判定されるほどに耐糖能が悪化した。」
というのが、ヒムスワースが1935年に発表した論文の結論です。(*)
一方、 1960年、ウィルカーソン(Wilkerson)らが、複数の受刑者を被験者として低糖質食が耐糖能に与える影響を再検討して、糖質の摂取量を1日50グラムに制限しても、耐糖能には大きな影響を及ぼさないという報告を行いました。
この報告がNew England Journal of Medicineという影響力の大きな医学誌に掲載されました。(**)
New England Journal of Medicineのような、権威ある医学雑誌においては、まず論文が受理されるまでに、担当編集委員による厳しい審査があります。この第一関門だけでも大変な狭き門です。
また、受理されたとしても、論文として掲載されるまでには、さらに厳密な審査が行われます。
複数の専門家(レフリー)によって、論文の内容に間違いがないか、研究方法に問題はないかなどが徹底的に審査されます。
いったん受理されても、レフリーにより掲載不可になることもあるし、大改訂後掲載可というような判定もあります。
この非常に厳しい第二関門を通過して、初めて医学雑誌に論文として掲載されるわけです。
つまり、一流の医学雑誌に掲載された論文には、当該の一流の複数の専門家のお墨付き・保証があるわけです。
(従って製薬メーカーなどの利権が絡まない論文は、信用していいと思います。)
ですから、単なる学会報告で論文になってない研究と、一流医学雑誌に論文が掲載された研究では、信頼度にかなりの差があるわけです。
このように学問的には、ウィルカーソンらによる「糖質制限しても耐糖能は低下しない。」という一定のエビデンスがあるといえます。
「実際知り合いが糖質制限を続けてその後ブドウ糖負荷試験を受けた際前回よりも数値が悪化してびっくりしたそうです。その方はいま現在も境界型です。」
75gブドウ糖負荷試験を行うとして、同一人物でも体調やストレスなどにより、数値には変化があってもおかしくありません。
つまり、糖質制限食に関係なく、OGTTの数値が多少上がったり下がったりすることは不思議ではありません。
そのため、研究では1人のデータではなく、20人とか30人とかの数を集めて精度を高めるようにデザインすることが必要となります。
一方、2型糖尿病の診断基準をしっかり満たした人が、1年間のスーパー糖質制限食実践で血糖値もHbA1cも正常値となり、試しに白ご飯を一人前摂取しても、血糖は140mg/dlを超えなくなった例もあります。
これは、スーパー糖質制限食で膵臓が休養できて、β細胞が回復して耐糖能も改善したと考えられます。
また本ブログの読者の方々で、糖質制限食で耐糖能改善されたかたは多数おられます。
2008-10-29のブログ「糖質制限食と耐糖能改善」などもご参照いただけば幸いです。
http://www.diabetes-cafe.com/largetable/modules/popnupblog/index.php?postid=351
のサイトの管理者はお医者さんと思います。ニュートラルなよいサイトですね。
今回は糖質制限食に批判的なご意見のようですが、2011年2月7日と8日の本ブログ
「週間東洋経済が糖尿病特集・糖質制限食には批判的?」
「週間東洋経済が糖尿病特集・糖質制限食には批判的? 続き」
を見ていただけば、糖質制限食をより深くご理解いただけると思います。
江部康二
(*)
Himsworth HP. The dietetic factor determining the glucose tolerance and sensitivity to insulin of healthy men. Clin Sci 2, 67-94, 1935.
(**)
Wilkerson HLC, Hyman C, Kaufman M, McCuistion AC, Francis JO. Diagnostic evaluation of oral glucose tolerance tests in nondiabetic subjects after various levels of carbohydrate intake. N Engl J Med 262, 1047-1053, 1960.
昨日の本ブログのアクセス数が、初めて10000件を超えました。
自分でもびっくりです。
さて今回は、chika さんから、糖質制限食で耐糖能低下?というコメント・質問をいただきました。
結論からいうと、糖質制限食を実践して耐糖能が低下することはないと思います。
【11/02/06 chika
No title
先日http://www.diabetes-cafe.com/largetable/modules/popnupblog/index.php?postid=351のような記事を読みました。
実際知り合いが糖質制限を続けてその後ブドウ糖負荷試験を受けた際前回よりも数値が悪化してびっくりしたそうです。その方はいま現在も境界型です。
半信半疑でまわりに聞いてみると糖質制限を開始後にブドウ糖負荷試験を受けたひとはいないです。(すでに糖尿病と診断されている人が多いせいか)なのでいまひとつわかりません。
このように境界型のひとが次のブドウ糖負荷に挑むとき、糖質制限をしているとこのような結果がでることってあるのでしょうか。
炭水化物に対する感受性が強くなってこのようなことが引き起こされるのでしょうか。
不思議に思って投稿させていただきました。】
chika さん。
「糖質制限食を行うと耐糖能が低下する」という説を最初に唱えたのは、ヒムスワースです。
「健康人に糖質の少ない食事を1週間与えて糖負荷試験を行った。高糖質食を与えたときには耐糖能は正常であったのに、低糖質食によって糖尿病と判定されるほどに耐糖能が悪化した。」
というのが、ヒムスワースが1935年に発表した論文の結論です。(*)
一方、 1960年、ウィルカーソン(Wilkerson)らが、複数の受刑者を被験者として低糖質食が耐糖能に与える影響を再検討して、糖質の摂取量を1日50グラムに制限しても、耐糖能には大きな影響を及ぼさないという報告を行いました。
この報告がNew England Journal of Medicineという影響力の大きな医学誌に掲載されました。(**)
New England Journal of Medicineのような、権威ある医学雑誌においては、まず論文が受理されるまでに、担当編集委員による厳しい審査があります。この第一関門だけでも大変な狭き門です。
また、受理されたとしても、論文として掲載されるまでには、さらに厳密な審査が行われます。
複数の専門家(レフリー)によって、論文の内容に間違いがないか、研究方法に問題はないかなどが徹底的に審査されます。
いったん受理されても、レフリーにより掲載不可になることもあるし、大改訂後掲載可というような判定もあります。
この非常に厳しい第二関門を通過して、初めて医学雑誌に論文として掲載されるわけです。
つまり、一流の医学雑誌に掲載された論文には、当該の一流の複数の専門家のお墨付き・保証があるわけです。
(従って製薬メーカーなどの利権が絡まない論文は、信用していいと思います。)
ですから、単なる学会報告で論文になってない研究と、一流医学雑誌に論文が掲載された研究では、信頼度にかなりの差があるわけです。
このように学問的には、ウィルカーソンらによる「糖質制限しても耐糖能は低下しない。」という一定のエビデンスがあるといえます。
「実際知り合いが糖質制限を続けてその後ブドウ糖負荷試験を受けた際前回よりも数値が悪化してびっくりしたそうです。その方はいま現在も境界型です。」
75gブドウ糖負荷試験を行うとして、同一人物でも体調やストレスなどにより、数値には変化があってもおかしくありません。
つまり、糖質制限食に関係なく、OGTTの数値が多少上がったり下がったりすることは不思議ではありません。
そのため、研究では1人のデータではなく、20人とか30人とかの数を集めて精度を高めるようにデザインすることが必要となります。
一方、2型糖尿病の診断基準をしっかり満たした人が、1年間のスーパー糖質制限食実践で血糖値もHbA1cも正常値となり、試しに白ご飯を一人前摂取しても、血糖は140mg/dlを超えなくなった例もあります。
これは、スーパー糖質制限食で膵臓が休養できて、β細胞が回復して耐糖能も改善したと考えられます。
また本ブログの読者の方々で、糖質制限食で耐糖能改善されたかたは多数おられます。
2008-10-29のブログ「糖質制限食と耐糖能改善」などもご参照いただけば幸いです。
http://www.diabetes-cafe.com/largetable/modules/popnupblog/index.php?postid=351
のサイトの管理者はお医者さんと思います。ニュートラルなよいサイトですね。
今回は糖質制限食に批判的なご意見のようですが、2011年2月7日と8日の本ブログ
「週間東洋経済が糖尿病特集・糖質制限食には批判的?」
「週間東洋経済が糖尿病特集・糖質制限食には批判的? 続き」
を見ていただけば、糖質制限食をより深くご理解いただけると思います。
江部康二
(*)
Himsworth HP. The dietetic factor determining the glucose tolerance and sensitivity to insulin of healthy men. Clin Sci 2, 67-94, 1935.
(**)
Wilkerson HLC, Hyman C, Kaufman M, McCuistion AC, Francis JO. Diagnostic evaluation of oral glucose tolerance tests in nondiabetic subjects after various levels of carbohydrate intake. N Engl J Med 262, 1047-1053, 1960.
2011年02月08日 (火)
こんにちは。
『糖質制限食・医療関係者・研究者向けセミナー2011年2月27日(日)東京・中野』
のご案内です。
医療関係者向けセミナーとしていましたが、食品企業などの研究者で糖質制限食に興味がある方も歓迎です。
鍼灸師や検査技師の方々も歓迎です。
内容が専門的なものもあり、一般の人には少し難しいと思います。
糖質制限食の広がりは、最近とみに加速しています。
ここのところ、岐阜、堺、大阪、滋賀、札幌、熊本・・・
医師の皆さんからの講演依頼が各地からぞくぞくと舞い込んでいて、嬉しい限りです。
東京での医療関係者向けセミナーは、1年ぶりですので、ブログ読者の皆さん、是非奮ってご参加下さいね。ヾ(^▽^)
また、知り合いの医療関係者(医師・薬剤師・栄養師・看護師・鍼灸師・・・)や研究者の方々に、お声をおかけ頂けば幸いです。m(_ _)mVV
江部康二
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
2011年2月27日(日)
特別企画 医療関係者向けセミナー
<糖尿病治療における糖質制限食の有効性>
ー糖尿病・メタボリックシンドローム・肥満・生活習慣病と糖質制限食ー
豊富な症例をもとにした理論と実践
栄養指導ガイド
<1部>講師・江部康二が、高雄病院の豊富な症例をもとにした理論と実践を徹底的に解説。一般向け講演に比べて糖質制限食の理論をとくに詳細に展開します。
<2部>新しい試みとして、糖質制限食の臨床経験豊富な管理栄養士の講師・大柳珠美が、ドクターを対称とした患者さんへの栄養指導のポイントを解説。日々の臨床現場で役立つ資料をご用意しています。
<日時>2011年2月27日(日)
タイムスケジュール(予定):
13時00分開場
13時30分~基調講演 江部康二(1時間30分)
15時00分~休憩(10分)
15時10分~栄養指導ガイド 大柳珠美(1時間)
16時10分~休憩(10分)
16時20分~質疑応答(30分)
16時50分終了
<会場>中野サンプラザ研修室1
住所 東京都中野区中野4-1-1
電話 03-3388-1174
<道順> JR中央線・総武線、地下鉄東西線中野駅北口下車1分
<会費>一般8000円 リボーン会員6000円 学生4000円
(資料付き)
<定員>90名まで
<申し込み>
Eメール:reborn@big.or.jp
03-3388-5428 (電話、ファックス同じ)
☆事務局:曽我部ゆかり
☆事前に郵便振替でご送金ください。当日受付は致しません。
申込〆切 2011年2月20日
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
郵便振替 口座番号 00110-9-393366
口座名称 リボーン
<主催>NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
『糖質制限食・医療関係者・研究者向けセミナー2011年2月27日(日)東京・中野』
のご案内です。
医療関係者向けセミナーとしていましたが、食品企業などの研究者で糖質制限食に興味がある方も歓迎です。
鍼灸師や検査技師の方々も歓迎です。
内容が専門的なものもあり、一般の人には少し難しいと思います。
糖質制限食の広がりは、最近とみに加速しています。
ここのところ、岐阜、堺、大阪、滋賀、札幌、熊本・・・
医師の皆さんからの講演依頼が各地からぞくぞくと舞い込んでいて、嬉しい限りです。
東京での医療関係者向けセミナーは、1年ぶりですので、ブログ読者の皆さん、是非奮ってご参加下さいね。ヾ(^▽^)
また、知り合いの医療関係者(医師・薬剤師・栄養師・看護師・鍼灸師・・・)や研究者の方々に、お声をおかけ頂けば幸いです。m(_ _)mVV
江部康二
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
2011年2月27日(日)
特別企画 医療関係者向けセミナー
<糖尿病治療における糖質制限食の有効性>
ー糖尿病・メタボリックシンドローム・肥満・生活習慣病と糖質制限食ー
豊富な症例をもとにした理論と実践
栄養指導ガイド
<1部>講師・江部康二が、高雄病院の豊富な症例をもとにした理論と実践を徹底的に解説。一般向け講演に比べて糖質制限食の理論をとくに詳細に展開します。
<2部>新しい試みとして、糖質制限食の臨床経験豊富な管理栄養士の講師・大柳珠美が、ドクターを対称とした患者さんへの栄養指導のポイントを解説。日々の臨床現場で役立つ資料をご用意しています。
<日時>2011年2月27日(日)
タイムスケジュール(予定):
13時00分開場
13時30分~基調講演 江部康二(1時間30分)
15時00分~休憩(10分)
15時10分~栄養指導ガイド 大柳珠美(1時間)
16時10分~休憩(10分)
16時20分~質疑応答(30分)
16時50分終了
<会場>中野サンプラザ研修室1
住所 東京都中野区中野4-1-1
電話 03-3388-1174
<道順> JR中央線・総武線、地下鉄東西線中野駅北口下車1分
<会費>一般8000円 リボーン会員6000円 学生4000円
(資料付き)
<定員>90名まで
<申し込み>
Eメール:reborn@big.or.jp
03-3388-5428 (電話、ファックス同じ)
☆事務局:曽我部ゆかり
☆事前に郵便振替でご送金ください。当日受付は致しません。
申込〆切 2011年2月20日
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
郵便振替 口座番号 00110-9-393366
口座名称 リボーン
<主催>NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
2011年02月08日 (火)
こんにちは。
今日も前日に続き、週刊東洋経済の糖質制限食に対する批判記事への批判です。
週刊東洋経済60ページ
【欧米で行われている糖質制限食の研究では、1年くらいの間に脱落してしまう人が多いという。糖質は食後の満腹感に重要な働きをしているので、満腹感が得にくい糖質制限食を長く続けるのは難しいと思われる。
また糖質を制限する分、脂肪やタンパク質を多くとることになるが、「タンパク質」をとリ過ぎると、腎臓への負担になる」(津田教授)。更に「極度の糖質制限は食物繊維の制限になる」(同)とも。低炭水化物・高タンパク質にすると動脈硬化が進みやすいという動物実験も報告されている。
津田教授は「三大栄養素は脂肪25%、タンパク質10-20%、糖質50%の比率が望ましい」とする。アメリカの糖尿学会が推奨する食事療法でも一日最低130gの糖質が必要とされるており、一定程度米や麺などの糖質をとることは欠かせないようだ。】
『欧米で行われている糖質制限食の研究では、1年くらいの間に脱落してしまう人が多いという。糖質は食後の満腹感に重要な働きをしているので、満腹感が得にくい糖質制限食を長く続けるのは難しいと思われる。』
欧米でそのような研究が1つくらいあったのかもしれませんが、バーンスタイン医師が指導している米国の糖尿病患者さんは、糖質10%程度の厳しい糖質制限食を長く続けているでしょうね。
また、全米最大の糖尿病患者会は、糖質40%程度の緩やかな糖質制限食を推奨しています。
さらに、米国糖尿病治療の権威であるジョスリン糖尿病センターの推奨する糖尿病食は、糖質40%の緩やかな糖質制限食です。
満腹感・満足感が得にくい寂しい食事は、カロリー制限食の方です。
カロリー制限食で、牛サーロインステーキ200g(1000キロカロリー)など、夢の又夢でしょうが、糖質制限食では日常的にOKです。
肉や魚貝や豆腐や野菜・・・、糖質以外の美味しい物は食べ放題で、アルコールも蒸留酒や赤ワインや糖質ゼロ発泡酒ならOKなのが糖質制限食ですから、満腹感・満足感は充分に得られます。まさに美味しく楽しく末長く糖質制限食です。
カロリー制限のため、侘びしいひもじい食生活でアルコールも禁止という、禁欲生活の従来の糖尿病食とは比べものにならない、豪華な食事が糖質制限食です。
どちらが長く続けられるか、言うまでもないですね。
『また糖質を制限する分、脂肪やタンパク質を多くとることになるが、「タンパク質」をとリ過ぎると、腎臓への負担になる」(津田教授)。』
「タンパク質を摂りすぎたために腎障害になった。」というエビデンスは未だかつて見たことがありません。
もし存在するなら、是非根拠を示して欲しいですね。
伝統的食生活を守っていたころのイヌイットに腎障害が多かったという話しもありません。
「既に血液検査で腎不全が存在する人は、高タンパク食は好ましくない」という報告と混同されているのではないでしょうか?
『更に「極度の糖質制限は食物繊維の制限になる」とも。』
南瓜や人参など糖質含有量が多い野菜は△としても、その他の野菜や葉野菜や海草などはたっぷり食べるので、食物繊維は糖質制限食では豊富に摂取します。
『低炭水化物・高タンパク質にすると動脈硬化が進みやすいという動物実験も報告されている。』
これも医学界の常識の壁の一つなのですが、どんな研究でも手軽なので、マウスやラットが実験動物としてよく使わます。
しかし、マウスで高タンパク・高脂肪食の実験をすること自体が、根本的なカテゴリー・エラーなのです。
なぜなら、マウスなどネズミ類は、本来の主食は草の種子(即ち今の穀物)です。
草原が地球上の有力な植生として現れる鮮新世(510万年前)以降、ネズミ科の動物が出現して爆発的に繁栄します。
510万年間、草原の草の種子(穀物)を食べ続けてきたネズミに、高タンパク・高脂肪食を与えれば、代謝が破綻するのは当たり前です。
これは単純に、マウスの代謝に合わない(主食でない)高タンパク・高脂肪食を与えて病気を作るという実験です。全ての代謝が狂って病気だらけになるのもいわずもがなです。
つまり、マウスに高タンパク・高脂質食を食べさせた実験結果をヒトに当てはめることは、根本的な間違いなのです。
例えば、ゴリラの主食は「棘の多い大きな蔓や大きな草」です。ゴリラに高タンパク・高脂肪食を食べさせたら、代謝はガタガタになり、マウスと同様、たちどころに様々な病気になるでしょう。
『津田教授は「三大栄養素は脂肪25%、タンパク質10-20%、糖質50%の比率が望ましい」とする。アメリカの糖尿学会が推奨する食事療法でも一日最低130gの糖質が必要とされるており、一定程度米や麺などの糖質をとることは欠かせないようだ。』
「三大栄養素は脂肪25%、タンパク質10-20%、糖質50%の比率が望ましい」とするエビデンスはありません。
米国糖尿病協会のガイドラインでも、1994年からは、炭水化物と脂肪のカロリー比を固定しなくなりました。
「アメリカの糖尿学会が推奨する食事療法でも一日最低130gの糖質が必要」
推奨はしていますが、これもエビデンスがあるわけではありません。
江部康二
今日も前日に続き、週刊東洋経済の糖質制限食に対する批判記事への批判です。
週刊東洋経済60ページ
【欧米で行われている糖質制限食の研究では、1年くらいの間に脱落してしまう人が多いという。糖質は食後の満腹感に重要な働きをしているので、満腹感が得にくい糖質制限食を長く続けるのは難しいと思われる。
また糖質を制限する分、脂肪やタンパク質を多くとることになるが、「タンパク質」をとリ過ぎると、腎臓への負担になる」(津田教授)。更に「極度の糖質制限は食物繊維の制限になる」(同)とも。低炭水化物・高タンパク質にすると動脈硬化が進みやすいという動物実験も報告されている。
津田教授は「三大栄養素は脂肪25%、タンパク質10-20%、糖質50%の比率が望ましい」とする。アメリカの糖尿学会が推奨する食事療法でも一日最低130gの糖質が必要とされるており、一定程度米や麺などの糖質をとることは欠かせないようだ。】
『欧米で行われている糖質制限食の研究では、1年くらいの間に脱落してしまう人が多いという。糖質は食後の満腹感に重要な働きをしているので、満腹感が得にくい糖質制限食を長く続けるのは難しいと思われる。』
欧米でそのような研究が1つくらいあったのかもしれませんが、バーンスタイン医師が指導している米国の糖尿病患者さんは、糖質10%程度の厳しい糖質制限食を長く続けているでしょうね。
また、全米最大の糖尿病患者会は、糖質40%程度の緩やかな糖質制限食を推奨しています。
さらに、米国糖尿病治療の権威であるジョスリン糖尿病センターの推奨する糖尿病食は、糖質40%の緩やかな糖質制限食です。
満腹感・満足感が得にくい寂しい食事は、カロリー制限食の方です。
カロリー制限食で、牛サーロインステーキ200g(1000キロカロリー)など、夢の又夢でしょうが、糖質制限食では日常的にOKです。
肉や魚貝や豆腐や野菜・・・、糖質以外の美味しい物は食べ放題で、アルコールも蒸留酒や赤ワインや糖質ゼロ発泡酒ならOKなのが糖質制限食ですから、満腹感・満足感は充分に得られます。まさに美味しく楽しく末長く糖質制限食です。
カロリー制限のため、侘びしいひもじい食生活でアルコールも禁止という、禁欲生活の従来の糖尿病食とは比べものにならない、豪華な食事が糖質制限食です。
どちらが長く続けられるか、言うまでもないですね。
『また糖質を制限する分、脂肪やタンパク質を多くとることになるが、「タンパク質」をとリ過ぎると、腎臓への負担になる」(津田教授)。』
「タンパク質を摂りすぎたために腎障害になった。」というエビデンスは未だかつて見たことがありません。
もし存在するなら、是非根拠を示して欲しいですね。
伝統的食生活を守っていたころのイヌイットに腎障害が多かったという話しもありません。
「既に血液検査で腎不全が存在する人は、高タンパク食は好ましくない」という報告と混同されているのではないでしょうか?
『更に「極度の糖質制限は食物繊維の制限になる」とも。』
南瓜や人参など糖質含有量が多い野菜は△としても、その他の野菜や葉野菜や海草などはたっぷり食べるので、食物繊維は糖質制限食では豊富に摂取します。
『低炭水化物・高タンパク質にすると動脈硬化が進みやすいという動物実験も報告されている。』
これも医学界の常識の壁の一つなのですが、どんな研究でも手軽なので、マウスやラットが実験動物としてよく使わます。
しかし、マウスで高タンパク・高脂肪食の実験をすること自体が、根本的なカテゴリー・エラーなのです。
なぜなら、マウスなどネズミ類は、本来の主食は草の種子(即ち今の穀物)です。
草原が地球上の有力な植生として現れる鮮新世(510万年前)以降、ネズミ科の動物が出現して爆発的に繁栄します。
510万年間、草原の草の種子(穀物)を食べ続けてきたネズミに、高タンパク・高脂肪食を与えれば、代謝が破綻するのは当たり前です。
これは単純に、マウスの代謝に合わない(主食でない)高タンパク・高脂肪食を与えて病気を作るという実験です。全ての代謝が狂って病気だらけになるのもいわずもがなです。
つまり、マウスに高タンパク・高脂質食を食べさせた実験結果をヒトに当てはめることは、根本的な間違いなのです。
例えば、ゴリラの主食は「棘の多い大きな蔓や大きな草」です。ゴリラに高タンパク・高脂肪食を食べさせたら、代謝はガタガタになり、マウスと同様、たちどころに様々な病気になるでしょう。
『津田教授は「三大栄養素は脂肪25%、タンパク質10-20%、糖質50%の比率が望ましい」とする。アメリカの糖尿学会が推奨する食事療法でも一日最低130gの糖質が必要とされるており、一定程度米や麺などの糖質をとることは欠かせないようだ。』
「三大栄養素は脂肪25%、タンパク質10-20%、糖質50%の比率が望ましい」とするエビデンスはありません。
米国糖尿病協会のガイドラインでも、1994年からは、炭水化物と脂肪のカロリー比を固定しなくなりました。
「アメリカの糖尿学会が推奨する食事療法でも一日最低130gの糖質が必要」
推奨はしていますが、これもエビデンスがあるわけではありません。
江部康二
2011年02月07日 (月)
こんばんは。
週間東洋経済が糖尿病特集ということで発売されました。
その中で糖質制限食に批判的な内容がありました。
私は東洋経済新報社から、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」~「やせる食べ方」
までたくさん本を出してきましたので、意外といえば意外なのですが、まあ編集局により、立場が違うということですね。
私の方は、東洋経済新報社の別の編集局で今まで通り、糖質制限食関係の本を出版していきますので問題はありません。
さて、その週刊東洋経済2011年2月5日号を購入してきました。
59ページに津田先生の糖質制限食に否定的なコメントなどが載っていました。
【食事療法で昨今注目を浴びているのが、糖質制限食。白米やパン、麺類などの炭水化物は極力控える一方、肉やチーズといった脂質やタンパク質が主成分の食品はしっかりたべてよいというもいのだ。
しかし糖質制限食について、京都大学人間環境学研究科の津田謙輔教授は「血糖値をあげる糖質を制限する短期的な効果はあるかも知れないが、血糖値にだけ目を奪われており、長く続ける食事の方法としてはふさわしくないのではないか」という考えを示す。】
このコメントに関しては不思議であり、理解不能です。 (∵)?
というのが、UKPDSという英国の2型糖尿病の世界最大の研究において
「どのような治療をしようとも、2型糖尿病は徐々に進行する。」
ということが報告されているからです。
つまり、糖質をたっぷり摂取する、現行のカロリー制限が主体の食事療法を行う限り、2型糖尿病といえども、慢性進行性膵不全ともいうべき不治の病であることが、UKPDSで証明されたわけです。
実際、インスリン注射や経口血糖降下剤を内服して、カロリー制限食で一生懸命頑張っていても、残念ながらほとんどの糖尿病患者さんが、じり貧で悪化していきます。
UKPDSは、25-65才の4209例の新規の2型糖尿病患者について、英国で実施された平均10年間にわたる過去最大規模の疫学調査です。UKPDSは、1970年代から準備され1977年に開始、1998年に結果が報告されました。
4209例の10年間の統計をとると、どんな治療法をしていても、HbA1cは徐々に悪化し続けています。
これは恐らくは、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が、徐々に減少していくためと考えられます。
つまり、糖尿病患者が医師や栄養士の現行の指導をきっちり守って最善の努力をしても、結果は、慢性の進行性の膵不全とも言うべき病態が2型糖尿病なのです。 (*_*)
実は糖質を摂取する限りは、どんな薬物治療をしていても、食後高血糖が生じる可能性が極めて高いのです。
この180mg/dlを超える食後高血糖が、膵臓のβ細胞を傷つけます。高血糖により傷つき死滅し、β細胞は徐々に減少していくわけです。
また、ACCORD研究(2008年)やランセットの報告(2010年)で、
「(糖質たっぷりのカロリー制限食を実践するかぎり)厳格に血糖コントロールするとかえって総死亡率が増加する。」
というエビデンスもでています。
つまり、「糖質たっぷりのカロリー制限食を続ける限り、糖尿人の長期予後は不良」というエビデンスがすでに存在するわけです。
このように、長く続ける食事療法としてふさわしくないエビデンスが明確に存在するのは、現行のカロリー制限食です。
糖質制限食の方には、ヒトにおける否定的なエビデンスは、少なくとも現時点ではありません。
津田謙輔教授はこれらのエビデンスを、どのように総括されているのでしょうね?
疑問に思います。
それでは「2型糖尿病は不治の病で、もうどうしようもないのか!?」というと、そんなことはありません。
180mg/dlを超える食後高血糖さえ起こさなければ、β細胞が障害されることもなく、今現在生き残っている数を保つことができるのです。そこでいよいよ糖質制限食の出番です。
糖質制限食なら、薬に頼ることなく食後高血糖を防ぐことができます。食後高血糖がなければ、β細胞も障害されることなく元気に生き続けてくれます。
従って少なくとも理論的には、糖質制限食の実践によりUKPDSの恐るべき結論(慢性進行性膵不全)を、覆すことができると思います。 (^_^)
江部康二
週間東洋経済が糖尿病特集ということで発売されました。
その中で糖質制限食に批判的な内容がありました。
私は東洋経済新報社から、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」~「やせる食べ方」
までたくさん本を出してきましたので、意外といえば意外なのですが、まあ編集局により、立場が違うということですね。
私の方は、東洋経済新報社の別の編集局で今まで通り、糖質制限食関係の本を出版していきますので問題はありません。
さて、その週刊東洋経済2011年2月5日号を購入してきました。
59ページに津田先生の糖質制限食に否定的なコメントなどが載っていました。
【食事療法で昨今注目を浴びているのが、糖質制限食。白米やパン、麺類などの炭水化物は極力控える一方、肉やチーズといった脂質やタンパク質が主成分の食品はしっかりたべてよいというもいのだ。
しかし糖質制限食について、京都大学人間環境学研究科の津田謙輔教授は「血糖値をあげる糖質を制限する短期的な効果はあるかも知れないが、血糖値にだけ目を奪われており、長く続ける食事の方法としてはふさわしくないのではないか」という考えを示す。】
このコメントに関しては不思議であり、理解不能です。 (∵)?
というのが、UKPDSという英国の2型糖尿病の世界最大の研究において
「どのような治療をしようとも、2型糖尿病は徐々に進行する。」
ということが報告されているからです。
つまり、糖質をたっぷり摂取する、現行のカロリー制限が主体の食事療法を行う限り、2型糖尿病といえども、慢性進行性膵不全ともいうべき不治の病であることが、UKPDSで証明されたわけです。
実際、インスリン注射や経口血糖降下剤を内服して、カロリー制限食で一生懸命頑張っていても、残念ながらほとんどの糖尿病患者さんが、じり貧で悪化していきます。
UKPDSは、25-65才の4209例の新規の2型糖尿病患者について、英国で実施された平均10年間にわたる過去最大規模の疫学調査です。UKPDSは、1970年代から準備され1977年に開始、1998年に結果が報告されました。
4209例の10年間の統計をとると、どんな治療法をしていても、HbA1cは徐々に悪化し続けています。
これは恐らくは、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が、徐々に減少していくためと考えられます。
つまり、糖尿病患者が医師や栄養士の現行の指導をきっちり守って最善の努力をしても、結果は、慢性の進行性の膵不全とも言うべき病態が2型糖尿病なのです。 (*_*)
実は糖質を摂取する限りは、どんな薬物治療をしていても、食後高血糖が生じる可能性が極めて高いのです。
この180mg/dlを超える食後高血糖が、膵臓のβ細胞を傷つけます。高血糖により傷つき死滅し、β細胞は徐々に減少していくわけです。
また、ACCORD研究(2008年)やランセットの報告(2010年)で、
「(糖質たっぷりのカロリー制限食を実践するかぎり)厳格に血糖コントロールするとかえって総死亡率が増加する。」
というエビデンスもでています。
つまり、「糖質たっぷりのカロリー制限食を続ける限り、糖尿人の長期予後は不良」というエビデンスがすでに存在するわけです。
このように、長く続ける食事療法としてふさわしくないエビデンスが明確に存在するのは、現行のカロリー制限食です。
糖質制限食の方には、ヒトにおける否定的なエビデンスは、少なくとも現時点ではありません。
津田謙輔教授はこれらのエビデンスを、どのように総括されているのでしょうね?
疑問に思います。
それでは「2型糖尿病は不治の病で、もうどうしようもないのか!?」というと、そんなことはありません。
180mg/dlを超える食後高血糖さえ起こさなければ、β細胞が障害されることもなく、今現在生き残っている数を保つことができるのです。そこでいよいよ糖質制限食の出番です。
糖質制限食なら、薬に頼ることなく食後高血糖を防ぐことができます。食後高血糖がなければ、β細胞も障害されることなく元気に生き続けてくれます。
従って少なくとも理論的には、糖質制限食の実践によりUKPDSの恐るべき結論(慢性進行性膵不全)を、覆すことができると思います。 (^_^)
江部康二
2011年02月05日 (土)
どうも自分の映像が流れるというのも恥ずかしいものがありますが、この度、不詳私江部康二の、講演会DVDを販売することになりました。
こちらは、視聴用の映像です。
これまでに、講演会を映像化して欲しいとの声を多々頂いておりましたが、なかなか形になりませんでした。
今回、私のバンド仲間の吉田さんが、映像プロダクションをされていることもあり、DVD化の運びとなりました。
これですと、何度でもご自宅で見て頂けますし、メモを取るのに必死で話を聴き逃した!などといったこともないので、けっこうオススメです。
本を読むのが苦手とか面倒くさい方にもDVDならOKですね。
ご高齢の方、あるいは糖尿病のご両親へのプレゼントにもいいですよ。
糖尿病と糖質制限食について、講演会のスライドも適宜挿入しながら
江部康二がわかりやすく語っています。
☆☆☆☆☆
京都高雄病院理事長、江部康二医師
画期的な糖尿病治療食
「糖質制限食を語る」
は、こちらのサイトで販売致します。
↓ ↓ ↓
http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php
これまで遠方で来れなかった方はもちろん、一度来たけど家の玄関くぐったら9割忘れてしまった方(笑)も、是非ごらん頂ければうれしいです。
江部康二
こちらは、視聴用の映像です。
これまでに、講演会を映像化して欲しいとの声を多々頂いておりましたが、なかなか形になりませんでした。
今回、私のバンド仲間の吉田さんが、映像プロダクションをされていることもあり、DVD化の運びとなりました。
これですと、何度でもご自宅で見て頂けますし、メモを取るのに必死で話を聴き逃した!などといったこともないので、けっこうオススメです。
本を読むのが苦手とか面倒くさい方にもDVDならOKですね。
ご高齢の方、あるいは糖尿病のご両親へのプレゼントにもいいですよ。
糖尿病と糖質制限食について、講演会のスライドも適宜挿入しながら
江部康二がわかりやすく語っています。
☆☆☆☆☆
京都高雄病院理事長、江部康二医師
画期的な糖尿病治療食
「糖質制限食を語る」
は、こちらのサイトで販売致します。
↓ ↓ ↓
http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php
これまで遠方で来れなかった方はもちろん、一度来たけど家の玄関くぐったら9割忘れてしまった方(笑)も、是非ごらん頂ければうれしいです。
江部康二
2011年02月05日 (土)
おはようございます。
りんこ3 さんから、糖質制限食OKグリコの「カロリーコントロールカレー」について、コメントいただきました。
【11/02/04 りんこ3
江部先生、いつもありがとうございます。
糖質制限OKな保存用食材ってことですけど
こんな記事を見つけました。
江崎グリコ、80kcalの低カロリーなレトルトカレー「カロリーコントロールカレー」を発売
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=272737&lindID=4
こちらのサイトの下の
製品概要をみたら、
甘口・中辛・辛口とも糖質4.2g
これも、糖質制限OKな保存用食材ですよね~。】
りんこ3 さん。
情報ありがとうございます。
江崎グリコ、80kcalの低カロリーなレトルトカレー
「カロリーコントロールカレー」
甘口・中辛・辛口とも1袋あたり糖質4.2g
糖質制限OK食材です。
保存にもいいですね。
名称は「カロリーコントロールカレー」ですが、実質は超優秀な低糖質食材です。
厚生労働省の100gあたり5g以下の糖質という低糖質食材の基準も軽くクリアしています。
グリコの担当の方、きっとカロリー制限だけでなく糖質制限もしっかり意識してカレーをつくって頂いたのでしょう。糖質制限食を推進している、私達にとって嬉しい限りで強い味方の登場ですね。
2011年2月15日全国発売です。
2月3日に正式に報道各社に発売情報がリリースされました。
以下、報道各社の記事です。
↓
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0204&f=column_0204_001.shtml
http://www.garbagenews.net/archives/1671185.html
http://whatsnews.jp/products/detail.php?product_id=4852&PHPSESSID=kyaechbkuq
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=272737&lindID=4
江部康二
りんこ3 さんから、糖質制限食OKグリコの「カロリーコントロールカレー」について、コメントいただきました。
【11/02/04 りんこ3
江部先生、いつもありがとうございます。
糖質制限OKな保存用食材ってことですけど
こんな記事を見つけました。
江崎グリコ、80kcalの低カロリーなレトルトカレー「カロリーコントロールカレー」を発売
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=272737&lindID=4
こちらのサイトの下の
製品概要をみたら、
甘口・中辛・辛口とも糖質4.2g
これも、糖質制限OKな保存用食材ですよね~。】
りんこ3 さん。
情報ありがとうございます。
江崎グリコ、80kcalの低カロリーなレトルトカレー
「カロリーコントロールカレー」
甘口・中辛・辛口とも1袋あたり糖質4.2g
糖質制限OK食材です。
保存にもいいですね。
名称は「カロリーコントロールカレー」ですが、実質は超優秀な低糖質食材です。
厚生労働省の100gあたり5g以下の糖質という低糖質食材の基準も軽くクリアしています。
グリコの担当の方、きっとカロリー制限だけでなく糖質制限もしっかり意識してカレーをつくって頂いたのでしょう。糖質制限食を推進している、私達にとって嬉しい限りで強い味方の登場ですね。
2011年2月15日全国発売です。
2月3日に正式に報道各社に発売情報がリリースされました。
以下、報道各社の記事です。
↓
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0204&f=column_0204_001.shtml
http://www.garbagenews.net/archives/1671185.html
http://whatsnews.jp/products/detail.php?product_id=4852&PHPSESSID=kyaechbkuq
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=272737&lindID=4
江部康二
2011年02月03日 (木)
こんにちは
tubumi さんから、糖質制限OKな保存用食材について
コメントいただきました。
【11/02/03 tubumi
10ヶ月保存の豆腐 他
10ヶ月保存の豆腐は市販で手に入ります。
なんと、森永乳業が作ってます~
http://item.rakuten.co.jp/5959milk/c/0000000114
ハウス食品からは「ほんとうふ」がでてますので、
https://www.shop-house.com/tofu/index.html
これならおいしい豆腐が、いつでも好きな時に作れますww
これらは海外在住の日本人の方が愛用していた歴史もあります。
どうぞご参考に~ 】
tubumi さん。
情報ありがとうございます。
糖質制限OKな保存用食材って、ナッツのパックや缶、肉や魚や野菜の缶詰・・・、そんなに思いつかないのですが、なんと10ヶ月保存OKの豆腐ですね。
早速http://item.rakuten.co.jp/5959milk/c/0000000114のサイトをみたら、
「牛乳を紙パックに無菌充填する殺菌技術と包装技術を
応用した完全無菌パックで、10ヶ月の長期保存を可能にしました。
原料は厳選した遺伝子組換えではない大豆を使用。
大豆本来の甘味が生きる、香りゆたかなおいしいお豆腐です。」
と記載してありました。
つまり殺菌剤や保存料なしなのですね。森永乳業さん、なかなかやるではないですか。見事な糖質制限OKの保存食です。ヾ(^▽^)
一方、ハウス食品さんの「ほんとうふ」
1箱分(85g)の栄養成分
エネルギー 358kcal
糖質 28.0g
たん白質 29.2g
食物繊維 7.8g
脂質 14.2g
これに水を加えて、豆腐にするのですが、かなり糖質が多いです。
こちらは糖質制限食的には問題がありますね、残念。( ̄_ ̄|||)
江部康二
tubumi さんから、糖質制限OKな保存用食材について
コメントいただきました。
【11/02/03 tubumi
10ヶ月保存の豆腐 他
10ヶ月保存の豆腐は市販で手に入ります。
なんと、森永乳業が作ってます~
http://item.rakuten.co.jp/5959milk/c/0000000114
ハウス食品からは「ほんとうふ」がでてますので、
https://www.shop-house.com/tofu/index.html
これならおいしい豆腐が、いつでも好きな時に作れますww
これらは海外在住の日本人の方が愛用していた歴史もあります。
どうぞご参考に~ 】
tubumi さん。
情報ありがとうございます。
糖質制限OKな保存用食材って、ナッツのパックや缶、肉や魚や野菜の缶詰・・・、そんなに思いつかないのですが、なんと10ヶ月保存OKの豆腐ですね。
早速http://item.rakuten.co.jp/5959milk/c/0000000114のサイトをみたら、
「牛乳を紙パックに無菌充填する殺菌技術と包装技術を
応用した完全無菌パックで、10ヶ月の長期保存を可能にしました。
原料は厳選した遺伝子組換えではない大豆を使用。
大豆本来の甘味が生きる、香りゆたかなおいしいお豆腐です。」
と記載してありました。
つまり殺菌剤や保存料なしなのですね。森永乳業さん、なかなかやるではないですか。見事な糖質制限OKの保存食です。ヾ(^▽^)
一方、ハウス食品さんの「ほんとうふ」
1箱分(85g)の栄養成分
エネルギー 358kcal
糖質 28.0g
たん白質 29.2g
食物繊維 7.8g
脂質 14.2g
これに水を加えて、豆腐にするのですが、かなり糖質が多いです。
こちらは糖質制限食的には問題がありますね、残念。( ̄_ ̄|||)
江部康二
2011年02月02日 (水)
おはようございます。
Barbie さんから、寝込んだ時の対処法について、コメント・質問いただきました。
【11/02/01 Barbie
寝込んだ時の対処法について
江部先生、こんばんは。Bareieです。
今日は風邪やインフルエンザで寝込んだ時の食事について質問させて下さい。
なにしろ独り暮らしなので、寝込んでしまった時の食事は毎回困っています。
今までなら買い置きしてあったレトルトのお粥やうどんでしのいでいました。あとはビタミン補給ということで果物とか…
でも糖質制限食では、このメニューじゃ全然ダメですよね?多分、ポトフとか具沢山のスープとかが良いのでしょうが、具合が悪い時は、とてもじゃないけど料理なんて出来ないし…
参考までに先生は寝込んだ時は、どんなものを召し上がってますか?
最近、周囲でも風邪やインフルエンザが流行っているので、予防には努めているのですが、本当に寝込むような事があったらどうしよう?とちょっと心配になっています。
今日のブログの米国の例にもあるように、安価で手軽に食べられるものって本当に炭水化物ばかりですね。
お手すきの時に教えて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。】
Barbie さん。
実は私は、ここ数年寝込んだことがありません。
また医師になって以来、風邪などで外来を休んだことは一度もありません。
ともあれ、風邪をひいたり寝込んだりしたときなどの糖質制限食ですね。
このような食欲がないときのために、糖質制限OK食品の中で、あっさり系を選んでみました。
京都は、お豆腐が美味しいですから私もよく食べます。冷や奴でもいいんですが、風邪ひいて寒気でもあるときは湯豆腐がお奨めですね。
温かい食品として、茶碗蒸し、卵スープ、野菜スープ、すまし汁、味噌汁、豚汁などもいいですね。
いけそうだったら、おでんの大根とか豆腐とかひろうすなどは如何でしょう。
今の季節なら、鍋もお奨めですね。
白身魚や豆腐、野菜、がんもどき・・・風邪のときでも美味しそうです。 (^^)
豆腐を水きりしてつぶし、小さく刻んだ野菜などを混ぜ込んで丸め、油で揚げたものを 関東ではがんもどき、
関西ではひろうすと呼ぶことが多いようです。ちなみに我が家では何故か、がんもどきです。
さっぱりしたものとしては、季節の旬の果物もいいですね。果物の糖質は果糖が主なので、穀物の糖質の半分くらいしか血糖値を上げませんので、食欲がないときはまあいいと思います。
一人暮らしで料理の手間が面倒くさいようなときは、前もって冷凍茶碗蒸しとか常備しとくといいですね
風邪で食欲不振のときは、脱水になりやすいので糖尿人は特に注意が必要です。上記の料理など糖質制限食OK食材で、水分・電解質(*)補給も心掛けてくださいね。
なおごま豆腐は、主成分が葛粉で、デンプンたっぷりですので、豆腐と名前が付いてますが、糖質制限食NG食品ですので、お忘れなく。
(*)
電解質は、体の細胞が正常に機能するために必要です。体は多量のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、塩化物、リン酸塩を必要とします。
江部康二
Barbie さんから、寝込んだ時の対処法について、コメント・質問いただきました。
【11/02/01 Barbie
寝込んだ時の対処法について
江部先生、こんばんは。Bareieです。
今日は風邪やインフルエンザで寝込んだ時の食事について質問させて下さい。
なにしろ独り暮らしなので、寝込んでしまった時の食事は毎回困っています。
今までなら買い置きしてあったレトルトのお粥やうどんでしのいでいました。あとはビタミン補給ということで果物とか…
でも糖質制限食では、このメニューじゃ全然ダメですよね?多分、ポトフとか具沢山のスープとかが良いのでしょうが、具合が悪い時は、とてもじゃないけど料理なんて出来ないし…
参考までに先生は寝込んだ時は、どんなものを召し上がってますか?
最近、周囲でも風邪やインフルエンザが流行っているので、予防には努めているのですが、本当に寝込むような事があったらどうしよう?とちょっと心配になっています。
今日のブログの米国の例にもあるように、安価で手軽に食べられるものって本当に炭水化物ばかりですね。
お手すきの時に教えて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。】
Barbie さん。
実は私は、ここ数年寝込んだことがありません。
また医師になって以来、風邪などで外来を休んだことは一度もありません。
ともあれ、風邪をひいたり寝込んだりしたときなどの糖質制限食ですね。
このような食欲がないときのために、糖質制限OK食品の中で、あっさり系を選んでみました。
京都は、お豆腐が美味しいですから私もよく食べます。冷や奴でもいいんですが、風邪ひいて寒気でもあるときは湯豆腐がお奨めですね。
温かい食品として、茶碗蒸し、卵スープ、野菜スープ、すまし汁、味噌汁、豚汁などもいいですね。
いけそうだったら、おでんの大根とか豆腐とかひろうすなどは如何でしょう。
今の季節なら、鍋もお奨めですね。
白身魚や豆腐、野菜、がんもどき・・・風邪のときでも美味しそうです。 (^^)
豆腐を水きりしてつぶし、小さく刻んだ野菜などを混ぜ込んで丸め、油で揚げたものを 関東ではがんもどき、
関西ではひろうすと呼ぶことが多いようです。ちなみに我が家では何故か、がんもどきです。
さっぱりしたものとしては、季節の旬の果物もいいですね。果物の糖質は果糖が主なので、穀物の糖質の半分くらいしか血糖値を上げませんので、食欲がないときはまあいいと思います。
一人暮らしで料理の手間が面倒くさいようなときは、前もって冷凍茶碗蒸しとか常備しとくといいですね
風邪で食欲不振のときは、脱水になりやすいので糖尿人は特に注意が必要です。上記の料理など糖質制限食OK食材で、水分・電解質(*)補給も心掛けてくださいね。
なおごま豆腐は、主成分が葛粉で、デンプンたっぷりですので、豆腐と名前が付いてますが、糖質制限食NG食品ですので、お忘れなく。
(*)
電解質は、体の細胞が正常に機能するために必要です。体は多量のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、塩化物、リン酸塩を必要とします。
江部康二
2011年02月01日 (火)
こんにちは。
2010年12月28日(水)の朝日新聞夕刊に、面白い記事が載りました。
以下、朝日新聞の記事です。
【ニューヨーク=田中光】 NYソーダ論争
『肥満の原因とされる砂糖入り炭酸飲料などの消費量を抑えて、医療費を抑制しよう――。ニューヨークのブルームバーグ市長が、そんな試みを打ち出した。一方、飲料業界は「無用な干渉でしかない」と猛反発し、「ソーダ戦争」の様相を呈している。市の提案は、月当たりの世帯収入が2400ドル未満の低所得者層に配られる米政府の食糧クーポン券で、炭酸飲料などの砂糖入り清涼飲料水を買えなくするというもの。市によると、人口当たりの糖尿病患者は、低所得者が住む地域では、高所得者層地域の4倍。1日に1回以上炭酸飲料を飲む人が38%以上いる地域は、クーポン券利用者が多い地域と重なり、肥満率が30%以上に達するという。このため市長は、クーポン券で炭酸飲料を買えなくすれば、より栄養価が高い食料品にお金がまわるようになり、肥満や糖尿病を抑えられると訴えている。これに対し、米国飲料協会は「砂糖入り飲料水のカロリーだけが特別なわけではない」として、狙い撃ちに反発するコメントを発表。「恵まれない人たちにとって不公平な措置だ」と主張し、一歩も引かない考えだ。バーなどの屋内施設からたばこを追放し、ファストフード店にカロリー表示を義務づけるなど、次々と健康政策を打ち出してきたブルームバーグ市長にとって、肥満対策は負けられない戦いだ。しかし、飲料業界は大きな政治力を持っており、今後、市の提案が米政府に認められるかどうかは、不透明だ。買い物客の8割前後が、クーポン券利用者だというブルックリン区のスーパーで働くスタンリー・パンフィールさんは「市長の考えは面白いかもしれないけど、どっちにせよ、みんなソーダを買うよ」と効果に懐疑的だ。』
ニューヨークだけでなく、米国の貧困層に肥満と糖尿病が多いのは、事実だと思います。
貧困層に手に入りやすい安価な食料は、基本的に炭水化物です。
具体的には、ソーダだけではなく、パンやポテトチップや甘いお菓子・・・、米国のソーダとは、コーラなど砂糖がたくさん入った清涼飲料水全般を含みます。
2009年、米国飲料協会(ABA)が、公立小中学校でのエネルギー量(糖質)の多い清涼飲料水の発売を、全面停止したのは、記憶に新しいところです。
普通にパンを食べて飲み物を、水やお茶にするのか、砂糖たっぷりの清涼飲料水にするのか、大きな差があると思います。
結局炭水化物の頻回・過剰摂取が肥満や糖尿病の元凶と考えられます。貧困層は、肉や魚などタンパク質や脂質の多い食材は高価なので、手に入りにくいのです。
米国南部は肥満者の割合が高い州が多く、肥満と関連する糖尿病と高血圧症の罹患率も高いことが2004年、報告されています。
1862年リンカーン大統領の「奴隷解放宣言」や1865年の南北戦争集結を経て、南部の州で奴隷の扱いを受けていた黒人は解放されました。
しかし、この歴史的背景から、南部諸州では貧しい黒人の人口比率が高いのです。
2005年8月、ハリケーン・カトリーナがルイジアナ州やミッシシッピ州を襲い、多大な被害をだしました。
ルイジアナ州最大の都市ニューオリンズは、その8割、黒人街のほとんどが水没しました。ニューオリンズの住民の75%が黒人です。この時の米国連符政府の救助活動のあまりの遅れに、黒人差別であると暴動が起きたのは、いたましい記憶です。
肥満がもっとも深刻なのはミシシッピ州で、成人人口の29.5%が肥満と推計されました。肥満率のワースト2位と3位はアラバマ州(28.7%)とウェストバージニア州(28.6%)です。
世界的にみて、糖尿病罹患数が最も多いのは、中国とインドです。
中国の多数を占める貧しい農民や、インドのスードラ階級の人々は、基本的に安価な炭水化物以外は食材として手に入りにくいです。
世界最貧国の一つ、バングラデシュでも糖尿病が激増しています。バングラデシュにサイクロンによる水害が発生したら、先進国からの食料援助は、菓子パンやクッキーなど安価で保存のよい炭水化物です。
これからは、炭水化物しか摂取しにくい、貧しい国々でも糖尿病が増えていく可能性があります。
江部康二
2010年12月28日(水)の朝日新聞夕刊に、面白い記事が載りました。
以下、朝日新聞の記事です。
【ニューヨーク=田中光】 NYソーダ論争
『肥満の原因とされる砂糖入り炭酸飲料などの消費量を抑えて、医療費を抑制しよう――。ニューヨークのブルームバーグ市長が、そんな試みを打ち出した。一方、飲料業界は「無用な干渉でしかない」と猛反発し、「ソーダ戦争」の様相を呈している。市の提案は、月当たりの世帯収入が2400ドル未満の低所得者層に配られる米政府の食糧クーポン券で、炭酸飲料などの砂糖入り清涼飲料水を買えなくするというもの。市によると、人口当たりの糖尿病患者は、低所得者が住む地域では、高所得者層地域の4倍。1日に1回以上炭酸飲料を飲む人が38%以上いる地域は、クーポン券利用者が多い地域と重なり、肥満率が30%以上に達するという。このため市長は、クーポン券で炭酸飲料を買えなくすれば、より栄養価が高い食料品にお金がまわるようになり、肥満や糖尿病を抑えられると訴えている。これに対し、米国飲料協会は「砂糖入り飲料水のカロリーだけが特別なわけではない」として、狙い撃ちに反発するコメントを発表。「恵まれない人たちにとって不公平な措置だ」と主張し、一歩も引かない考えだ。バーなどの屋内施設からたばこを追放し、ファストフード店にカロリー表示を義務づけるなど、次々と健康政策を打ち出してきたブルームバーグ市長にとって、肥満対策は負けられない戦いだ。しかし、飲料業界は大きな政治力を持っており、今後、市の提案が米政府に認められるかどうかは、不透明だ。買い物客の8割前後が、クーポン券利用者だというブルックリン区のスーパーで働くスタンリー・パンフィールさんは「市長の考えは面白いかもしれないけど、どっちにせよ、みんなソーダを買うよ」と効果に懐疑的だ。』
ニューヨークだけでなく、米国の貧困層に肥満と糖尿病が多いのは、事実だと思います。
貧困層に手に入りやすい安価な食料は、基本的に炭水化物です。
具体的には、ソーダだけではなく、パンやポテトチップや甘いお菓子・・・、米国のソーダとは、コーラなど砂糖がたくさん入った清涼飲料水全般を含みます。
2009年、米国飲料協会(ABA)が、公立小中学校でのエネルギー量(糖質)の多い清涼飲料水の発売を、全面停止したのは、記憶に新しいところです。
普通にパンを食べて飲み物を、水やお茶にするのか、砂糖たっぷりの清涼飲料水にするのか、大きな差があると思います。
結局炭水化物の頻回・過剰摂取が肥満や糖尿病の元凶と考えられます。貧困層は、肉や魚などタンパク質や脂質の多い食材は高価なので、手に入りにくいのです。
米国南部は肥満者の割合が高い州が多く、肥満と関連する糖尿病と高血圧症の罹患率も高いことが2004年、報告されています。
1862年リンカーン大統領の「奴隷解放宣言」や1865年の南北戦争集結を経て、南部の州で奴隷の扱いを受けていた黒人は解放されました。
しかし、この歴史的背景から、南部諸州では貧しい黒人の人口比率が高いのです。
2005年8月、ハリケーン・カトリーナがルイジアナ州やミッシシッピ州を襲い、多大な被害をだしました。
ルイジアナ州最大の都市ニューオリンズは、その8割、黒人街のほとんどが水没しました。ニューオリンズの住民の75%が黒人です。この時の米国連符政府の救助活動のあまりの遅れに、黒人差別であると暴動が起きたのは、いたましい記憶です。
肥満がもっとも深刻なのはミシシッピ州で、成人人口の29.5%が肥満と推計されました。肥満率のワースト2位と3位はアラバマ州(28.7%)とウェストバージニア州(28.6%)です。
世界的にみて、糖尿病罹患数が最も多いのは、中国とインドです。
中国の多数を占める貧しい農民や、インドのスードラ階級の人々は、基本的に安価な炭水化物以外は食材として手に入りにくいです。
世界最貧国の一つ、バングラデシュでも糖尿病が激増しています。バングラデシュにサイクロンによる水害が発生したら、先進国からの食料援助は、菓子パンやクッキーなど安価で保存のよい炭水化物です。
これからは、炭水化物しか摂取しにくい、貧しい国々でも糖尿病が増えていく可能性があります。
江部康二
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