2011年01月31日 (月)
こんばんは。
『糖質制限食・医療関係者・研究者向けセミナー2011年2月27日(日)東京・中野』
のご案内です。
医療関係者向けセミナーとしていましたが、食品企業などの研究者で糖質制限食に興味がある方も歓迎です。
鍼灸師や検査技師の方々も歓迎です。
内容が専門的なものもあり、一般の人には少し難しいと思います。
糖質制限食の広がりは、最近とみに加速しています。
ここのところ、岐阜、堺、大阪、滋賀、札幌、熊本・・・
医師の皆さんからの講演依頼が各地からぞくぞくと舞い込んでいて、嬉しい限りです。
東京での医療関係者向けセミナーは、1年ぶりですので、ブログ読者の皆さん、是非奮ってご参加下さいね。ヾ(^▽^)
また、知り合いの医療関係者(医師・薬剤師・栄養師・看護師・・・)や研究者の方々に、お声をおかけ頂けば幸いです。m(_ _)mVV
江部康二
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
2011年2月27日(日)
特別企画 医療関係者向けセミナー
<糖尿病治療における糖質制限食の有効性>
ー糖尿病・メタボリックシンドローム・肥満・生活習慣病と糖質制限食ー
豊富な症例をもとにした理論と実践
栄養指導ガイド
<1部>講師・江部康二が、高雄病院の豊富な症例をもとにした理論と実践を徹底的に解説。一般向け講演に比べて糖質制限食の理論をとくに詳細に展開します。
<2部>新しい試みとして、糖質制限食の臨床経験豊富な管理栄養士の講師・大柳珠美が、ドクターを対称とした患者さんへの栄養指導のポイントを解説。日々の臨床現場で役立つ資料をご用意しています。
<日時>2011年2月27日(日)
タイムスケジュール(予定):
13時00分開場
13時30分~基調講演 江部康二(1時間30分)
15時00分~休憩(10分)
15時10分~栄養指導ガイド 大柳珠美(1時間)
16時10分~休憩(10分)
16時20分~質疑応答(30分)
16時50分終了
<会場>中野サンプラザ研修室1
住所 東京都中野区中野4-1-1
電話 03-3388-1174
<道順> JR中央線・総武線、地下鉄東西線中野駅北口下車1分
<会費>一般8000円 リボーン会員6000円 学生4000円
(資料付き)
<定員>90名まで
<申し込み>
Eメール:reborn@big.or.jp
03-3388-5428 (電話、ファックス同じ)
☆事務局:曽我部ゆかり
☆事前に郵便振替でご送金ください。当日受付は致しません。
申込〆切 2011年2月20日
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
郵便振替 口座番号 00110-9-393366
口座名称 リボーン
<主催>NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
『糖質制限食・医療関係者・研究者向けセミナー2011年2月27日(日)東京・中野』
のご案内です。
医療関係者向けセミナーとしていましたが、食品企業などの研究者で糖質制限食に興味がある方も歓迎です。
鍼灸師や検査技師の方々も歓迎です。
内容が専門的なものもあり、一般の人には少し難しいと思います。
糖質制限食の広がりは、最近とみに加速しています。
ここのところ、岐阜、堺、大阪、滋賀、札幌、熊本・・・
医師の皆さんからの講演依頼が各地からぞくぞくと舞い込んでいて、嬉しい限りです。
東京での医療関係者向けセミナーは、1年ぶりですので、ブログ読者の皆さん、是非奮ってご参加下さいね。ヾ(^▽^)
また、知り合いの医療関係者(医師・薬剤師・栄養師・看護師・・・)や研究者の方々に、お声をおかけ頂けば幸いです。m(_ _)mVV
江部康二
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
2011年2月27日(日)
特別企画 医療関係者向けセミナー
<糖尿病治療における糖質制限食の有効性>
ー糖尿病・メタボリックシンドローム・肥満・生活習慣病と糖質制限食ー
豊富な症例をもとにした理論と実践
栄養指導ガイド
<1部>講師・江部康二が、高雄病院の豊富な症例をもとにした理論と実践を徹底的に解説。一般向け講演に比べて糖質制限食の理論をとくに詳細に展開します。
<2部>新しい試みとして、糖質制限食の臨床経験豊富な管理栄養士の講師・大柳珠美が、ドクターを対称とした患者さんへの栄養指導のポイントを解説。日々の臨床現場で役立つ資料をご用意しています。
<日時>2011年2月27日(日)
タイムスケジュール(予定):
13時00分開場
13時30分~基調講演 江部康二(1時間30分)
15時00分~休憩(10分)
15時10分~栄養指導ガイド 大柳珠美(1時間)
16時10分~休憩(10分)
16時20分~質疑応答(30分)
16時50分終了
<会場>中野サンプラザ研修室1
住所 東京都中野区中野4-1-1
電話 03-3388-1174
<道順> JR中央線・総武線、地下鉄東西線中野駅北口下車1分
<会費>一般8000円 リボーン会員6000円 学生4000円
(資料付き)
<定員>90名まで
<申し込み>
Eメール:reborn@big.or.jp
03-3388-5428 (電話、ファックス同じ)
☆事務局:曽我部ゆかり
☆事前に郵便振替でご送金ください。当日受付は致しません。
申込〆切 2011年2月20日
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
郵便振替 口座番号 00110-9-393366
口座名称 リボーン
<主催>NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
2011年01月31日 (月)
こんにちは。
今朝、車の温度計はマイナス2度をさしていました。
相変わらず寒さ厳しき京都です。
さて、今回は内科大学院生さんから、タンパク質と1型糖尿病と血糖値について貴重なコメントをいただきましたので検討してみます。
【11/01/28 内科大学院生
蛋白質の影響
江部先生
こんにちは。内科大学院生です。
焼肉の翌日に血糖値を上昇させているのは、蛋白質が原因だと思います。2004年からADAから 『蛋白質の50%は血糖に変わる。脂質はその10%が血糖に変わる』 という記載が消えているのは確かですが、蛋白質や脂質が食後4時間以降の血糖上昇に影響しているのは間違いないと思います。
そして蛋白質と脂質の摂取量が基礎インスリン量に関与していることも明らかです。これはカーボカウントの第一人者、川村先生もおっしゃっていました。
1型糖尿病の患者さん10人に協力してもらい、チーズ50g(糖質1g以下)を寝る前に食べてもらったところ、食べない時より翌朝の血糖値がかなり高くなりました。インスリン量は変えず、2日間全く同じ食事を食べて貰いました。
チーズを食べない時の空腹時の血糖値の平均 120mg/dl
チーズを食べた時の空腹時の血糖値の平均 161mg/dl
本当に見事なくらい全員が血糖値が高くなりました。
バーンスタイン先生のおっしゃる通り、蛋白質1gは1型糖尿病患者において、約0.93mg/dl以上、血糖を上昇させるのでしょうね。
蛋白質は食後高血糖は起こしませんが、血糖上昇作用をもたらすことは間違いありません。】
内科大学院生 さん。
貴重なデータをありがとうございます。
<バーンスタイン医師の糖尿病の解決・第2版>214ページによれば
「全くインスリンを産生しない1型糖尿病患者では、インスリン1単位は通常64kgの成人で血糖値を40mg/dl下げることをわれわれは知っている。またわれわれは1gの炭水化物が血糖値を5mg/dl上げることを知っている。したがって1単位のレギュラーインスリンは8gの炭水化物をカバーする。われわれは、また1単位のレギュラーインスリンがタンパク質(タンパク質食品)約1.5オンス(43g)をカバーすることを知っている。」
→インスリン抵抗性や内因性インスリンのこともあり1型でも個人差あり。
バーンスタイン医師によれば、肉などのタンパク質食品に含まれるタンパク質は、1オンス(28.4g)中に約6gで、残りは脂肪、水分、炭水化物だそうです。
上述の記載に基づいて計算すると、
「1gのタンパク質食品が1型糖尿人の血糖値を0.93896mg上昇させる」
ということになりますが、これはレギュラーインスリンがカバーするということなので、1型においては、食後血糖値を上昇させるという意味と思います。
米国の栄養学の教科書(クラウスの食品・栄養・食事療法 第11版。訳本805ページ)によれば、 コントロールが悪い1型糖尿病では、タンパク質からブドウ糖への変換が急速におこるそうです。
コントロールが悪い2型では、タンパク質摂取で肝臓の糖新生が加速されるそうです。
残念ながら、どういう経路でそうなるかが書いてありません。 タンパク質が分解されたアミノ酸から糖新生なのか、別の経路なのか良くわかりません。
2型の場合も、肝臓で糖新生するとして、食べたタンパク質由来のアミノ酸からなのか、もともと体内にあるるアミノ酸からの糖新生なのかグリセロールや乳酸も関わるのかも、記載がないので良くわかりません。
一方、コントロール良好な2型も1型も、摂取したタンパク質は、血漿血糖値を上昇させなかったそうです。
こうなると2型に関しては、コントロール良好か否かで、摂取したタンパク質が食後血糖値を上昇させるか否かが違ってくることとなります。
また、2型でコントロール良好でも、午後9時以降の、タンパク質食品(肉、魚など)の摂取が、夜間の肝臓の糖新生に何らかの影響を与えて、翌朝の血糖値が若干上昇する可能性もあります。
何だか、まだまだわからないことだらけですね。
さて次に内科大学院生さんの1型のデータです。
【1型糖尿病の患者さん10人に協力してもらい、チーズ50g(糖質1g以下)を寝る前に食べてもらったところ、食べない時より翌朝の血糖値がかなり高くなりました。インスリン量は変えず、2日間全く同じ食事を食べて貰いました。
チーズを食べない時の空腹時の血糖値の平均 120mg/dl
チーズを食べた時の空腹時の血糖値の平均 161mg/dl 】
見事に翌朝の空腹時血糖値が上昇しています。
例えばカマンベールチーズ50gなら、タンパク質は9.55gで糖質0.45gなので、糖質の影響は考えられないですね。
少なくとも、1型においては、眠前のタンパク質摂取が、翌朝の早朝空腹時血糖値を上昇させることは間違いないようです。
江部康二
今朝、車の温度計はマイナス2度をさしていました。
相変わらず寒さ厳しき京都です。
さて、今回は内科大学院生さんから、タンパク質と1型糖尿病と血糖値について貴重なコメントをいただきましたので検討してみます。
【11/01/28 内科大学院生
蛋白質の影響
江部先生
こんにちは。内科大学院生です。
焼肉の翌日に血糖値を上昇させているのは、蛋白質が原因だと思います。2004年からADAから 『蛋白質の50%は血糖に変わる。脂質はその10%が血糖に変わる』 という記載が消えているのは確かですが、蛋白質や脂質が食後4時間以降の血糖上昇に影響しているのは間違いないと思います。
そして蛋白質と脂質の摂取量が基礎インスリン量に関与していることも明らかです。これはカーボカウントの第一人者、川村先生もおっしゃっていました。
1型糖尿病の患者さん10人に協力してもらい、チーズ50g(糖質1g以下)を寝る前に食べてもらったところ、食べない時より翌朝の血糖値がかなり高くなりました。インスリン量は変えず、2日間全く同じ食事を食べて貰いました。
チーズを食べない時の空腹時の血糖値の平均 120mg/dl
チーズを食べた時の空腹時の血糖値の平均 161mg/dl
本当に見事なくらい全員が血糖値が高くなりました。
バーンスタイン先生のおっしゃる通り、蛋白質1gは1型糖尿病患者において、約0.93mg/dl以上、血糖を上昇させるのでしょうね。
蛋白質は食後高血糖は起こしませんが、血糖上昇作用をもたらすことは間違いありません。】
内科大学院生 さん。
貴重なデータをありがとうございます。
<バーンスタイン医師の糖尿病の解決・第2版>214ページによれば
「全くインスリンを産生しない1型糖尿病患者では、インスリン1単位は通常64kgの成人で血糖値を40mg/dl下げることをわれわれは知っている。またわれわれは1gの炭水化物が血糖値を5mg/dl上げることを知っている。したがって1単位のレギュラーインスリンは8gの炭水化物をカバーする。われわれは、また1単位のレギュラーインスリンがタンパク質(タンパク質食品)約1.5オンス(43g)をカバーすることを知っている。」
→インスリン抵抗性や内因性インスリンのこともあり1型でも個人差あり。
バーンスタイン医師によれば、肉などのタンパク質食品に含まれるタンパク質は、1オンス(28.4g)中に約6gで、残りは脂肪、水分、炭水化物だそうです。
上述の記載に基づいて計算すると、
「1gのタンパク質食品が1型糖尿人の血糖値を0.93896mg上昇させる」
ということになりますが、これはレギュラーインスリンがカバーするということなので、1型においては、食後血糖値を上昇させるという意味と思います。
米国の栄養学の教科書(クラウスの食品・栄養・食事療法 第11版。訳本805ページ)によれば、 コントロールが悪い1型糖尿病では、タンパク質からブドウ糖への変換が急速におこるそうです。
コントロールが悪い2型では、タンパク質摂取で肝臓の糖新生が加速されるそうです。
残念ながら、どういう経路でそうなるかが書いてありません。 タンパク質が分解されたアミノ酸から糖新生なのか、別の経路なのか良くわかりません。
2型の場合も、肝臓で糖新生するとして、食べたタンパク質由来のアミノ酸からなのか、もともと体内にあるるアミノ酸からの糖新生なのかグリセロールや乳酸も関わるのかも、記載がないので良くわかりません。
一方、コントロール良好な2型も1型も、摂取したタンパク質は、血漿血糖値を上昇させなかったそうです。
こうなると2型に関しては、コントロール良好か否かで、摂取したタンパク質が食後血糖値を上昇させるか否かが違ってくることとなります。
また、2型でコントロール良好でも、午後9時以降の、タンパク質食品(肉、魚など)の摂取が、夜間の肝臓の糖新生に何らかの影響を与えて、翌朝の血糖値が若干上昇する可能性もあります。
何だか、まだまだわからないことだらけですね。
さて次に内科大学院生さんの1型のデータです。
【1型糖尿病の患者さん10人に協力してもらい、チーズ50g(糖質1g以下)を寝る前に食べてもらったところ、食べない時より翌朝の血糖値がかなり高くなりました。インスリン量は変えず、2日間全く同じ食事を食べて貰いました。
チーズを食べない時の空腹時の血糖値の平均 120mg/dl
チーズを食べた時の空腹時の血糖値の平均 161mg/dl 】
見事に翌朝の空腹時血糖値が上昇しています。
例えばカマンベールチーズ50gなら、タンパク質は9.55gで糖質0.45gなので、糖質の影響は考えられないですね。
少なくとも、1型においては、眠前のタンパク質摂取が、翌朝の早朝空腹時血糖値を上昇させることは間違いないようです。
江部康二
2011年01月30日 (日)
こんばんは。
先ほど、テニスから帰ってきました。
相変わらず寒い京都ですが、室内コートなので助かります。
さて、朝日カルチャーセンター・京都で、半年ぶりに講演です。
拙著『やせる食べ方』(東洋経済新報社)をお読み頂いての講演以来です。
2010年11月に朝日カルチャーセンター・芦屋でも、『やせる食べ方』と題して糖質制限食の講演をしました。
京都在住の方々、是非ご参加下さいね。
江部康二
以下、朝日カルチャーセンター・京都の案内です。
☆☆☆☆☆
京都の名医が教える やせる食べ方!
- 自然な食事で健康・老化予防
講師名 高雄病院理事長 江部 康二
講座内容
あなたは、何のためにやせたいと思われますか。肥満や太り気味の状態は、健康を損ね、老化を促すことにもつながってしまいます。老化はまず血管から始まると言われ、血管の老化はさまざまな病気を引き起こす要因にも。著書『やせる食べ方』(東洋経済新報社)から、老化予防と健康・美容に効果のある糖質制限食をご紹介。「美食で満腹ダイエット」とも呼ばれ、面倒なカロリー計算は一切不要。体の血流がよくなるので、肌や髪は自然な状態に戻り、自然治癒力も増します。健康のもとは食事です。老化予防と、真の健康体づくりにお役立てください。
日時 2/15
火曜
10:30-12:00
2011年 2/15
受講料
会員 2,940円
一般 3,465円
朝日カルチャーセンター・京都
電話:075-231-9693
http://www.asahiculture.com/kyoto/
先ほど、テニスから帰ってきました。
相変わらず寒い京都ですが、室内コートなので助かります。
さて、朝日カルチャーセンター・京都で、半年ぶりに講演です。
拙著『やせる食べ方』(東洋経済新報社)をお読み頂いての講演以来です。
2010年11月に朝日カルチャーセンター・芦屋でも、『やせる食べ方』と題して糖質制限食の講演をしました。
京都在住の方々、是非ご参加下さいね。
江部康二
以下、朝日カルチャーセンター・京都の案内です。
☆☆☆☆☆
京都の名医が教える やせる食べ方!
- 自然な食事で健康・老化予防
講師名 高雄病院理事長 江部 康二
講座内容
あなたは、何のためにやせたいと思われますか。肥満や太り気味の状態は、健康を損ね、老化を促すことにもつながってしまいます。老化はまず血管から始まると言われ、血管の老化はさまざまな病気を引き起こす要因にも。著書『やせる食べ方』(東洋経済新報社)から、老化予防と健康・美容に効果のある糖質制限食をご紹介。「美食で満腹ダイエット」とも呼ばれ、面倒なカロリー計算は一切不要。体の血流がよくなるので、肌や髪は自然な状態に戻り、自然治癒力も増します。健康のもとは食事です。老化予防と、真の健康体づくりにお役立てください。
日時 2/15
火曜
10:30-12:00
2011年 2/15
受講料
会員 2,940円
一般 3,465円
朝日カルチャーセンター・京都
電話:075-231-9693
http://www.asahiculture.com/kyoto/
2011年01月30日 (日)
こんにちは。
アトピー性皮膚炎と湿潤療法について考えてみました。
例えば、通常はアトピー性皮膚炎でステロイド剤を内服することはありませんが、仮に外用剤を一切使用せずに、あえてステロイド剤を内服したら、基本的にほとんどのアトピー性皮膚炎が改善します。
このステロイド剤内服で改善した皮膚は、アレルギー性炎症があった証拠と言えます。
皮膚にアレルギー性炎症が存在するならば、ワセリンによる湿潤療法だけで改善する可能性は少ないです。
皮膚のアレルギー性炎症を改善するには、ステロイド外用剤やプロトピック軟膏が必要です。
アレルギー性炎症が改善すれば、掻爬による悪循環も断ち切れて皮膚炎をコントロールできるようになります。
<乾燥肌による皮膚バリア機能障害>+<アレルギー性炎症>+<掻爬+掻爬による傷と炎症>
アトピー性皮膚炎の発症構造は、およそ大雑把に上記です。
<乾燥肌による皮膚バリア機能障害>と<掻爬+掻爬による傷と炎症> が、アトピー性皮膚炎の悪化の悪循環の大きな要因です。
これらは湿潤療法で、改善が期待できます。
従いまして、アトピー性皮膚炎に湿潤療法を行えば、一定の効果があると思います。
主婦の手荒れなどが、典型的なワセリンのみ外用(湿潤療法)の適応ですね。
この場合アレルギー性炎症はありませんから、湿潤療法のみで速やかに改善すると思います。
結論です。
①アトピー性皮膚炎のアレルギー性炎症には、ステロイド外用剤やプロトピック軟膏が必要である。
②乾燥肌による皮膚バリア機能傷害や掻爬による傷には湿潤療法が適応となる。
江部康二
アトピー性皮膚炎と湿潤療法について考えてみました。
例えば、通常はアトピー性皮膚炎でステロイド剤を内服することはありませんが、仮に外用剤を一切使用せずに、あえてステロイド剤を内服したら、基本的にほとんどのアトピー性皮膚炎が改善します。
このステロイド剤内服で改善した皮膚は、アレルギー性炎症があった証拠と言えます。
皮膚にアレルギー性炎症が存在するならば、ワセリンによる湿潤療法だけで改善する可能性は少ないです。
皮膚のアレルギー性炎症を改善するには、ステロイド外用剤やプロトピック軟膏が必要です。
アレルギー性炎症が改善すれば、掻爬による悪循環も断ち切れて皮膚炎をコントロールできるようになります。
<乾燥肌による皮膚バリア機能障害>+<アレルギー性炎症>+<掻爬+掻爬による傷と炎症>
アトピー性皮膚炎の発症構造は、およそ大雑把に上記です。
<乾燥肌による皮膚バリア機能障害>と<掻爬+掻爬による傷と炎症> が、アトピー性皮膚炎の悪化の悪循環の大きな要因です。
これらは湿潤療法で、改善が期待できます。
従いまして、アトピー性皮膚炎に湿潤療法を行えば、一定の効果があると思います。
主婦の手荒れなどが、典型的なワセリンのみ外用(湿潤療法)の適応ですね。
この場合アレルギー性炎症はありませんから、湿潤療法のみで速やかに改善すると思います。
結論です。
①アトピー性皮膚炎のアレルギー性炎症には、ステロイド外用剤やプロトピック軟膏が必要である。
②乾燥肌による皮膚バリア機能傷害や掻爬による傷には湿潤療法が適応となる。
江部康二
2011年01月29日 (土)
【糖質制限食 質問、記事、本に関するお知らせ・お願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。
一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。
診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。
私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。
また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。
従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、 自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。
質問が増えてきましたので、糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、 何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、 ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。 質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、質問がかなり増えてきていますので、 なかなか即、お答えすることが困難となってきています。 糖質制限食に関わりのある全ての質問に、 本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、 できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、 コメント欄にお答えするか、 一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、 よろしくお願い申し上げます。
【糖質制限食とは】
米国糖尿病協会(ADA)によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
これらは、含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
1997年版のLife With Diabetes(ADA)では、「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」という記載がありましたが、2004年版では変更されています。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち、糖質だけが血糖値を上昇させます。従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。 脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。 タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が 大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
そして食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても 糖質含有量は1gもないので、食後高血糖はほとんど生じないのです。
なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。 簡単に言えば主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など 糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、 カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、 一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということが、おわかりいただけたと思います。
なお、糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。
一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服や インスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので、必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はほとんどないので、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」2005
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009
「やせる食べ方」2010
「うちの母は糖尿人」2010
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006
「 糖質制限食 春のレシピ」2007
「 糖質制限食 夏のレシピ」2007
「糖質制限食 秋のレシピ」2008
「糖質制限食 冬のレシピ」2008
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」 2010
「やせる食べ方」レシピ集 2010
(以上東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010
(ナツメ社)
「糖質オフ」ごちそうごはん 2009
(アスペクト)
dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」2009
dancyu プレジデントムック 「酒飲みダイエット 」 2010
(プレジデント社)
などを参考にされ、 自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
肝硬変では糖新生能力が低下しているため適応となりません。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、 糖新生能力が低下していることがあり、まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。
糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。
【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内・保険適応】
お問い合わせは高雄病院
http://www.takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
【糖質制限食外来治療のご案内・予約制・保険適応】
高雄病院 電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院京都駅前診療所 電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
http://www.takao-hospital.net/
江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。
一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。
診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。
私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。
また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。
従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、 自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。
質問が増えてきましたので、糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、 何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、 ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。 質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、質問がかなり増えてきていますので、 なかなか即、お答えすることが困難となってきています。 糖質制限食に関わりのある全ての質問に、 本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、 できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、 コメント欄にお答えするか、 一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、 よろしくお願い申し上げます。
【糖質制限食とは】
米国糖尿病協会(ADA)によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
これらは、含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
1997年版のLife With Diabetes(ADA)では、「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」という記載がありましたが、2004年版では変更されています。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち、糖質だけが血糖値を上昇させます。従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。 脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。 タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が 大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
そして食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても 糖質含有量は1gもないので、食後高血糖はほとんど生じないのです。
なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。 簡単に言えば主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など 糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、 カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、 一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということが、おわかりいただけたと思います。
なお、糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。
一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服や インスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので、必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はほとんどないので、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」2005
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009
「やせる食べ方」2010
「うちの母は糖尿人」2010
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006
「 糖質制限食 春のレシピ」2007
「 糖質制限食 夏のレシピ」2007
「糖質制限食 秋のレシピ」2008
「糖質制限食 冬のレシピ」2008
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」 2010
「やせる食べ方」レシピ集 2010
(以上東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010
(ナツメ社)
「糖質オフ」ごちそうごはん 2009
(アスペクト)
dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」2009
dancyu プレジデントムック 「酒飲みダイエット 」 2010
(プレジデント社)
などを参考にされ、 自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
肝硬変では糖新生能力が低下しているため適応となりません。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、 糖新生能力が低下していることがあり、まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。
糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。
【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内・保険適応】
お問い合わせは高雄病院
http://www.takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
【糖質制限食外来治療のご案内・予約制・保険適応】
高雄病院 電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院京都駅前診療所 電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
http://www.takao-hospital.net/
江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
2011年01月28日 (金)
こんばんは。
今回はゆみさんから、食事時間についてコメント・質問をいただきました。
【11/01/28 ゆみ
素朴な疑問ですみません
いつもブログ拝見してます!かなりご無沙汰なゆみです
相変わらず江部先生の本を愛読し日々スーパー糖質制限で順調な生活を送ってます!
二年前の緊急入院時は血糖値500でHbA1c16%だった私が今や真面目に(笑)糖質制限した月はHbA1c4.9%まで下がりました
平均血糖値も90前後です
さて素朴な疑問は
食事時間についてです
糖質計算した手作りのタレで、よく焼肉をするんですが、どうしても焼肉だと焼きながら食べるので食事時間が長くなります。普段の食事は大体30分から1時間なんですが、焼肉の時は下手すると1時間以上かかってしまいます。そういう場合は血糖値にも影響するのでしょうか?野菜の量も計り焼肉の日も一食糖質10g以内にしているのですが…次の日の朝少し高い気がします
長文失礼しました】
ゆみさん。
お久しぶりです。
拙著のご愛読、ありがとうございます。
「二年前の緊急入院時は血糖値500mg/dl。HbA1c16%」
↓
「今は平均血糖値も90mg/dl前後。HbA1c4.9%」
素晴らしい改善ですね。(^-^)v(^-^)v
主治医殿もさぞかしびっくりされていることでしょう。♪(・∀・)
インスリンを4回注射しても、カロリー制限食なら、ここまで改善することはまずありえませんので・・・。
「1gの糖質が体重64kgの2型糖尿人の血糖値を、ピークで3mg上昇させる。」
というのが、基本です。
1回の食事の糖質が、いろんなおかずを合計して10gあるとして、10分くらいで食べ終えてしまえば、個人差があるので、30~60~90分でピーク30mg血糖値が上昇して、その後は下がるパターンでしょう。
60分~90分かけて、ゆっくり食べれば、ピークが30mgは上がらないと思います。
焼き肉であれば、100g中糖質は0.3gくらいですので、一切れ、二切れと、10回~20回食べるとしても、血糖値は90分間ほとんど上昇しないのではないでしょうか。
最後に、私の体験に過ぎませんが、午後9時以降に食事すると例えスーパー糖質制限食でも、翌朝の早朝空腹時血糖値がやや高くなるような気がします。ブログ読者の方にも、以前同様のご報告をいただいたことがあります。
江部康二
今回はゆみさんから、食事時間についてコメント・質問をいただきました。
【11/01/28 ゆみ
素朴な疑問ですみません
いつもブログ拝見してます!かなりご無沙汰なゆみです
相変わらず江部先生の本を愛読し日々スーパー糖質制限で順調な生活を送ってます!
二年前の緊急入院時は血糖値500でHbA1c16%だった私が今や真面目に(笑)糖質制限した月はHbA1c4.9%まで下がりました
平均血糖値も90前後です
さて素朴な疑問は
食事時間についてです
糖質計算した手作りのタレで、よく焼肉をするんですが、どうしても焼肉だと焼きながら食べるので食事時間が長くなります。普段の食事は大体30分から1時間なんですが、焼肉の時は下手すると1時間以上かかってしまいます。そういう場合は血糖値にも影響するのでしょうか?野菜の量も計り焼肉の日も一食糖質10g以内にしているのですが…次の日の朝少し高い気がします
長文失礼しました】
ゆみさん。
お久しぶりです。
拙著のご愛読、ありがとうございます。
「二年前の緊急入院時は血糖値500mg/dl。HbA1c16%」
↓
「今は平均血糖値も90mg/dl前後。HbA1c4.9%」
素晴らしい改善ですね。(^-^)v(^-^)v
主治医殿もさぞかしびっくりされていることでしょう。♪(・∀・)
インスリンを4回注射しても、カロリー制限食なら、ここまで改善することはまずありえませんので・・・。
「1gの糖質が体重64kgの2型糖尿人の血糖値を、ピークで3mg上昇させる。」
というのが、基本です。
1回の食事の糖質が、いろんなおかずを合計して10gあるとして、10分くらいで食べ終えてしまえば、個人差があるので、30~60~90分でピーク30mg血糖値が上昇して、その後は下がるパターンでしょう。
60分~90分かけて、ゆっくり食べれば、ピークが30mgは上がらないと思います。
焼き肉であれば、100g中糖質は0.3gくらいですので、一切れ、二切れと、10回~20回食べるとしても、血糖値は90分間ほとんど上昇しないのではないでしょうか。
最後に、私の体験に過ぎませんが、午後9時以降に食事すると例えスーパー糖質制限食でも、翌朝の早朝空腹時血糖値がやや高くなるような気がします。ブログ読者の方にも、以前同様のご報告をいただいたことがあります。
江部康二
2011年01月27日 (木)
こんにちは。
2011年1月14日(金)高雄病院に、石岡第一病院・傷の治療センター長・夏井睦先生をお招きして、新しい創傷治療・湿潤療法について、ご講演いただきました。
詳細は、夏井先生のホームページ
http://www.wound-treatment.jp/
を見て頂くとして、
簡単にいえば、傷に対して
消毒は一切せず
水道水で洗って
ワセリンをぬって
被覆材(ラップ)で保護するだけ。
という、革命的な治療法です。
これで、ほとんどの傷は、痛みを伴うことなく速やかに治ります。
豊富な症例の写真も提示されて、とてもわかりやすい素晴らしい講演でした。
高雄病院でも、夏井先生のご著書を拝見して、見よう見まねでここ数年、湿潤療法をして、それなりの成果をあげていたのですが、やはり元祖にお話しいただいて得るものが大変多かったです。
創傷治療とはまた別のことで興味深かったことがあります。
夏井先生の最新刊
「傷はぜったい消毒するな」 生態系としての皮膚の科学 (光文社新書)
に、シャンプーをやめてお湯洗いするだけで、抜け毛やふけがほとんどなくなると書いてあります。
ご自身も2年間、一切シャンプーや石けんを使用されてないそうです。
髪の毛がぬけるという方々に、界面活性剤であるシャンプーや石けんが、皮脂を取り去り過ぎて頭皮にダメージを与えている可能性を考慮されて、中止してみたところほとんどの人で抜け毛がなくなったそうです。
私も、講演前の2011年1月3日に「傷はぜったい消毒するな」を読みなおして、以来一切、シャンプー・石けんを頭皮に用いることを止めました。
そうすると、ものの見事に抜け毛とふけが激減してほとんど無くなりました。
1月27日現在も勿論継続していて、毎日一回お湯洗いとマッサージだけです。整髪料代わりにほんの少しの椿油は、30才頃からずっと使っていますが・・・。
極端な油汚れとかでなければ、ほとんどの汚れはお湯洗いで充分きれいになります。
アトピー性皮膚炎で頭皮が乾燥して痒いという人に、今までは
「シャンプーを毎日するのはやめて、1/2~3日にして間の日はお湯洗いでいい」
と指導してきて、それなりの成果は得ていたのですが、これからは、すっきり「お湯洗いだけ」と言うことにします。
ブログ読者の皆さん、抜け毛やふけが気になるかたは是非お試しあれ。
「傷はぜったい消毒するな」 (光文社新書)
も名著です。
是非ご一読のほど。
江部康二
☆☆☆
夏井 睦(なつい まこと) 先生のプロフィール
1957年,秋田県生まれ。
1984年,東北大学医学部卒業。日本形成外科学会認定医。
2001年10月1日,インターネット・サイト「新しい創傷治療」を開設。
2003年4月,特定医療法人慈泉会 相澤病院 傷の治療センター長として赴任。
2007年7月,石岡第一病院 傷の治療センター長に赴任。
著 作:
【これからの創傷治療】(医学書院):2003年7月
【創傷治療の常識非常識】(三輪書店):2003年12月
【さらば消毒とガーゼ <うるおい治療>が傷を治す】(春秋社):2004年12月
【創傷治療の常識非常識2 -熱傷と創感染-】(三輪書店):2006年1月
『ドクター夏井の外傷治療「裏」マニュアル すぐに役立つHints & Tips』(三輪書店,ISBN978-4-89590-276-2 C3047, \2,600 ):2007年5月
『痛くない!早く治る!キズ・ヤケドは消毒してはいけない―「うるおい治療」のすすめ』(主婦の友,2008年1月)
『傷はぜったい消毒するな』(光文社新書,2009年6月)
2011年1月14日(金)高雄病院に、石岡第一病院・傷の治療センター長・夏井睦先生をお招きして、新しい創傷治療・湿潤療法について、ご講演いただきました。
詳細は、夏井先生のホームページ
http://www.wound-treatment.jp/
を見て頂くとして、
簡単にいえば、傷に対して
消毒は一切せず
水道水で洗って
ワセリンをぬって
被覆材(ラップ)で保護するだけ。
という、革命的な治療法です。
これで、ほとんどの傷は、痛みを伴うことなく速やかに治ります。
豊富な症例の写真も提示されて、とてもわかりやすい素晴らしい講演でした。
高雄病院でも、夏井先生のご著書を拝見して、見よう見まねでここ数年、湿潤療法をして、それなりの成果をあげていたのですが、やはり元祖にお話しいただいて得るものが大変多かったです。
創傷治療とはまた別のことで興味深かったことがあります。
夏井先生の最新刊
「傷はぜったい消毒するな」 生態系としての皮膚の科学 (光文社新書)
に、シャンプーをやめてお湯洗いするだけで、抜け毛やふけがほとんどなくなると書いてあります。
ご自身も2年間、一切シャンプーや石けんを使用されてないそうです。
髪の毛がぬけるという方々に、界面活性剤であるシャンプーや石けんが、皮脂を取り去り過ぎて頭皮にダメージを与えている可能性を考慮されて、中止してみたところほとんどの人で抜け毛がなくなったそうです。
私も、講演前の2011年1月3日に「傷はぜったい消毒するな」を読みなおして、以来一切、シャンプー・石けんを頭皮に用いることを止めました。
そうすると、ものの見事に抜け毛とふけが激減してほとんど無くなりました。
1月27日現在も勿論継続していて、毎日一回お湯洗いとマッサージだけです。整髪料代わりにほんの少しの椿油は、30才頃からずっと使っていますが・・・。
極端な油汚れとかでなければ、ほとんどの汚れはお湯洗いで充分きれいになります。
アトピー性皮膚炎で頭皮が乾燥して痒いという人に、今までは
「シャンプーを毎日するのはやめて、1/2~3日にして間の日はお湯洗いでいい」
と指導してきて、それなりの成果は得ていたのですが、これからは、すっきり「お湯洗いだけ」と言うことにします。
ブログ読者の皆さん、抜け毛やふけが気になるかたは是非お試しあれ。
「傷はぜったい消毒するな」 (光文社新書)
も名著です。
是非ご一読のほど。
江部康二
☆☆☆
夏井 睦(なつい まこと) 先生のプロフィール
1957年,秋田県生まれ。
1984年,東北大学医学部卒業。日本形成外科学会認定医。
2001年10月1日,インターネット・サイト「新しい創傷治療」を開設。
2003年4月,特定医療法人慈泉会 相澤病院 傷の治療センター長として赴任。
2007年7月,石岡第一病院 傷の治療センター長に赴任。
著 作:
【これからの創傷治療】(医学書院):2003年7月
【創傷治療の常識非常識】(三輪書店):2003年12月
【さらば消毒とガーゼ <うるおい治療>が傷を治す】(春秋社):2004年12月
【創傷治療の常識非常識2 -熱傷と創感染-】(三輪書店):2006年1月
『ドクター夏井の外傷治療「裏」マニュアル すぐに役立つHints & Tips』(三輪書店,ISBN978-4-89590-276-2 C3047, \2,600 ):2007年5月
『痛くない!早く治る!キズ・ヤケドは消毒してはいけない―「うるおい治療」のすすめ』(主婦の友,2008年1月)
『傷はぜったい消毒するな』(光文社新書,2009年6月)
2011年01月26日 (水)
おはようございます。
けいさんから、嬉しいコメント・報告をいただきました。
【11/01/25 けい
うれしいご報告
先生いつも有難うございます。
昨日検査に行ってきました。
約2ヶ月前からスーパーに切り替えての結果でA1c4.5 早朝血糖値85でした!
この1年で最高の結果です!!
β細胞復活したみたいです!
また続いていた尿潜血も-になり、尿中アルブミンもTIA法1.3、クレアチニン補正5.0、尿沈査も全て1未満となり、腎臓も問題ないようです。
また上がっていた尿素窒素も16、HDLは88でした。
もちろんその他の数値も基準値です。
本当にうれしいです、先生の本、そしてサイトに出会う事が出来
糖質管理実践で滑り込みセーフだったようです・・・
感謝の気持ちでいっぱいです、本当に有難うございます。
人によって違うでしょうが、糖質制限食によりA1c11オーバー、腎症3期Aからでも私のように1年で糖質制限食により復活することが出来る可能性があることをたくさんの方に知って頂き実行してもらえればと思います。
何を言われても私は先生を信じ糖質制限食すっと実践していきます!
また次回の検査結果ご報告させて頂きます!】
けいさん。
貴重なご報告ありがとうございます。ブログ読者の皆さんの参考に又励みになると思います。
【約2ヶ月前からスーパーに切り替えての結果でA1c4.5 早朝血糖値85でした!】
これは、もう正常としかいいようがないですね。仰有る通り、膵臓のβ細胞が復活したのでしょう。
【また続いていた尿潜血も-になり、尿中アルブミンもTIA法1.3、クレアチニン補正5.0、尿沈査も全て1未満となり、腎臓も問題ないようです。
また上がっていた尿素窒素も16、HDLは88でした。
もちろんその他の数値も基準値です。】
腎機能正常化!おめでとうございます。
【人によって違うでしょうが、糖質制限食によりA1c11オーバー、腎症3期Aからでも私のように1年で糖質制限食により復活することが出来る可能性があることをたくさんの方に知って頂き実行してもらえればと思います。】
けいさん、良かったですね。
ブログ読者の皆さんにおおいに役立つ情報をありがとうございます。
糖尿病腎症第3期Aまでは、糖質制限食実践で、血糖コントロールを良好に保てば、第1期(腎症前期)まで回復することが期待できます。1型のバーンスイタイン医師もそうですね。
今まで他の読者にも、腎症第3期Aや腎症第2期からの改善を、複数ご報告いただいてます。
他にも改善体験がおありの方は、コメントいただけば幸いです。
☆☆☆
<糖尿病腎症と尿中微量アルブミン>
糖尿病のこわい合併症の一つに腎症があります。
現在、年間13000人以上の人が、糖尿病腎症から人工透析になっています。
糖尿病腎症の早期診断には、蛋白尿検査では不十分です。
高血糖による腎細血管障害により糸球体毛細血管に変化が生じ、初期の段階で微量アルブミン尿が出現します。
微量アルブミン尿検査により、蛋白尿検査よりかなり早期の段階で糖尿病腎症が診断可能です。
従いまして、糖尿人は、1/3~6ヶ月、尿中微量アルブミンの検査をすることが望ましいのです。
尿中微量アルブミン陽性なら、第2期(早期腎症期)です。
*糖尿病腎症病期
第1期(腎症前期)
第2期(早期腎症期):微量アルブミン尿陽性
第3期A(顕性腎症前期):蛋白尿。1g/日未満。
第3期B(顕性腎症後期):蛋白尿。1g/日以上。
第4期(腎不全期):高尿素血症。蛋白尿。
第5期(透析療法期)
尿中微量アルブミンは、随時尿で測定する場合、運動や日内変動や日差変動が大きいので、同時にクレアチニン値を測定して補正値を行い、尿中アルブミン指数(mg/g・クレアチニン)として表します。できれば、測定は早朝尿のほうが好ましいです。
異なる日に3回検査して2回陽性なら、糖尿病早期腎症と診断するということですが、健康保険上は、1回/3ヶ月しか測定できません。
微量アルブミン尿とは、
アルブミン指数で30mg/g・クレアチニン以上300mg/g・クレアチニン未満
と定義されています。
アルブミン指数で300mg/g・クレアチニン以上は顕性腎症です。
アルブミン指数で30mg/g・クレアチニン未満が正常です。
単位時間あたりのアルブミン排泄率はμg/分で表され、蓄尿が必要となりますが、随時尿より正確に病態を示します。昼間の尿は運動の影響を受けるので、夜間尿または24時間蓄尿を用います。
微量アルブミンが出現する早期腎症の時期ならば、血糖コントロールや降圧剤(ARBなど)による血圧コントロールで改善が期待できます。勿論、糖質制限食による血糖コントロールは、もっとも有力な選択肢です。
**参考
「改定第4版 糖尿病専門医研修ガイドブック」日本糖尿病学会編 2009年
診断と治療社
江部康二
けいさんから、嬉しいコメント・報告をいただきました。
【11/01/25 けい
うれしいご報告
先生いつも有難うございます。
昨日検査に行ってきました。
約2ヶ月前からスーパーに切り替えての結果でA1c4.5 早朝血糖値85でした!
この1年で最高の結果です!!
β細胞復活したみたいです!
また続いていた尿潜血も-になり、尿中アルブミンもTIA法1.3、クレアチニン補正5.0、尿沈査も全て1未満となり、腎臓も問題ないようです。
また上がっていた尿素窒素も16、HDLは88でした。
もちろんその他の数値も基準値です。
本当にうれしいです、先生の本、そしてサイトに出会う事が出来
糖質管理実践で滑り込みセーフだったようです・・・
感謝の気持ちでいっぱいです、本当に有難うございます。
人によって違うでしょうが、糖質制限食によりA1c11オーバー、腎症3期Aからでも私のように1年で糖質制限食により復活することが出来る可能性があることをたくさんの方に知って頂き実行してもらえればと思います。
何を言われても私は先生を信じ糖質制限食すっと実践していきます!
また次回の検査結果ご報告させて頂きます!】
けいさん。
貴重なご報告ありがとうございます。ブログ読者の皆さんの参考に又励みになると思います。
【約2ヶ月前からスーパーに切り替えての結果でA1c4.5 早朝血糖値85でした!】
これは、もう正常としかいいようがないですね。仰有る通り、膵臓のβ細胞が復活したのでしょう。
【また続いていた尿潜血も-になり、尿中アルブミンもTIA法1.3、クレアチニン補正5.0、尿沈査も全て1未満となり、腎臓も問題ないようです。
また上がっていた尿素窒素も16、HDLは88でした。
もちろんその他の数値も基準値です。】
腎機能正常化!おめでとうございます。
【人によって違うでしょうが、糖質制限食によりA1c11オーバー、腎症3期Aからでも私のように1年で糖質制限食により復活することが出来る可能性があることをたくさんの方に知って頂き実行してもらえればと思います。】
けいさん、良かったですね。
ブログ読者の皆さんにおおいに役立つ情報をありがとうございます。
糖尿病腎症第3期Aまでは、糖質制限食実践で、血糖コントロールを良好に保てば、第1期(腎症前期)まで回復することが期待できます。1型のバーンスイタイン医師もそうですね。
今まで他の読者にも、腎症第3期Aや腎症第2期からの改善を、複数ご報告いただいてます。
他にも改善体験がおありの方は、コメントいただけば幸いです。
☆☆☆
<糖尿病腎症と尿中微量アルブミン>
糖尿病のこわい合併症の一つに腎症があります。
現在、年間13000人以上の人が、糖尿病腎症から人工透析になっています。
糖尿病腎症の早期診断には、蛋白尿検査では不十分です。
高血糖による腎細血管障害により糸球体毛細血管に変化が生じ、初期の段階で微量アルブミン尿が出現します。
微量アルブミン尿検査により、蛋白尿検査よりかなり早期の段階で糖尿病腎症が診断可能です。
従いまして、糖尿人は、1/3~6ヶ月、尿中微量アルブミンの検査をすることが望ましいのです。
尿中微量アルブミン陽性なら、第2期(早期腎症期)です。
*糖尿病腎症病期
第1期(腎症前期)
第2期(早期腎症期):微量アルブミン尿陽性
第3期A(顕性腎症前期):蛋白尿。1g/日未満。
第3期B(顕性腎症後期):蛋白尿。1g/日以上。
第4期(腎不全期):高尿素血症。蛋白尿。
第5期(透析療法期)
尿中微量アルブミンは、随時尿で測定する場合、運動や日内変動や日差変動が大きいので、同時にクレアチニン値を測定して補正値を行い、尿中アルブミン指数(mg/g・クレアチニン)として表します。できれば、測定は早朝尿のほうが好ましいです。
異なる日に3回検査して2回陽性なら、糖尿病早期腎症と診断するということですが、健康保険上は、1回/3ヶ月しか測定できません。
微量アルブミン尿とは、
アルブミン指数で30mg/g・クレアチニン以上300mg/g・クレアチニン未満
と定義されています。
アルブミン指数で300mg/g・クレアチニン以上は顕性腎症です。
アルブミン指数で30mg/g・クレアチニン未満が正常です。
単位時間あたりのアルブミン排泄率はμg/分で表され、蓄尿が必要となりますが、随時尿より正確に病態を示します。昼間の尿は運動の影響を受けるので、夜間尿または24時間蓄尿を用います。
微量アルブミンが出現する早期腎症の時期ならば、血糖コントロールや降圧剤(ARBなど)による血圧コントロールで改善が期待できます。勿論、糖質制限食による血糖コントロールは、もっとも有力な選択肢です。
**参考
「改定第4版 糖尿病専門医研修ガイドブック」日本糖尿病学会編 2009年
診断と治療社
江部康二
2011年01月25日 (火)
こんにちは。
A さんから糖質制限食と糖尿病学会について、心配とのコメントをいただきました。
【11/01/25 A
ただ一言、ものすごくショックです。
あらてつさんが危惧していたことが現実になりつつあります、そう遠くない未来薬を購入しないと何も売って貰えなくなるのでしょうか?試験紙でさえ・・・対抗するにはやはり糖質制限学会のようなものが必要ですよね、しかし学会設立はスポンサーがいないと金銭的に無理なんでしょうか、気になる案件です。糖尿病学会ももう黙ってない強行するとこまできたんですね。】
Aさん。
糖質制限食は、糖尿人はもちろんのこと、医師の間にも確実に浸透しつつあります。
生理学的事実、臨床データ、疫学に裏付けられた糖質制限食ですので、糖尿病学会といえども、もう勢いは止められないと思います。
逆に言えば、糖尿病学会として無視できないほど、糖質制限食が広がってきたということですので、私は全く心配していません。 (^^)
糖尿病学会が、脂質代謝異常が懸念されるということで、本気で糖質制限食を止めさせたいなら、「糖質制限食」VS「カロリー制限食」で比較試験を行い、その仮説を証明することが必要です。これは科学者としては当然のことです。
もし比較試験が行われたなら、中性脂肪とHDLコレステロールに関しては、1ヶ月の短期でも半年~1年の長期でも、糖質制限食の圧勝です。
私達は、すでにカロリー制限を糖質制限に切り替えて、脂質が改善したデータを多数持っていますが、カロリー制限派(高糖質食)の糖尿病専門医の方々も、比較試験を実際に実施されたらぐうの音も出ないと思います。
LDLコレステロールだけは、あるていどばらつくと思います。しかし、半年から2年間のデータをとれば、有意差はでないか、糖質制限食が有利と思います。これは是非比較試験をして欲しいですね。
カロリー制限派の先生方は、比較試験をすれば従来の常識が根底から覆るので、大きな衝撃を受けられることと思います。
以下は、2008年12月の本ブログ記事ですが、糖尿病専門医を含む多くの医師が、すでにその当時から
糖質制限食に好意的な見解を示しておられます。
それからさらに2年以上が経過して、医学界における糖質制限食の認知はどんどん広がっています。この大きな流れは誰にも止められないと思います。
☆☆☆☆☆
2008-12-17のブログ記事
「糖質制限食とメディカル朝日」
おはようございます。今日は、ちょっと嬉しい記事です。
メディカル朝日 という医師・医療関係者対象の月刊誌を、朝日新聞社が発行しています。
私も時々みていますが、メディカル朝日 2008年 12月号 52-55ページに
「連載・誰も教えてくれなかった糖尿病診療 SDMメーリングリストから 糖質制限食は本当に有効か?」
というとても興味深い記事が載りました。
東京都済生会中央病院 糖尿病・内分泌内科副医長の目黒 周先生がまとめを、東京都済生会中央病院顧問の松岡健平先生がコメントを述べておられます。拙著「主食を抜けば糖尿病は良くなる」もちょっぴり登場します。
糖質制限食が、一般の医学雑誌に初めて本格的に取り上げられたので、私としては快挙と思っています。メーリングリストのまとめですから、いろんな医師が発言しておられますが、概ね好意的あるいはニュートラルな内容でした。以下はその要約です。
<低糖質食は本当に有効か>
Q
東京都開業医
「日本糖尿病学会の食品交換表では、エネルギー比で糖質が約60%になっているが、何か実証はあるのでしょうか?」
A1
愛媛県専門医
「糖尿病の食事療法は変遷しています。1920年頃の炭水化物は20%、・・・80年代に糖質60%となりました。しかし最近は炭水化物の過剰摂取が中性脂肪を増やすこともあり、むしろ炭水化物を抑えて脂質を増やしたほうが長期的にみて血糖コントロールがよくなるとの報告もあります。」
A2
福井県開業医
「低脂肪・高糖質一辺倒の糖尿病食には疑問を感じます。食事療法も糖質制限食など多様性を論じる時期にきているのではないでしょうか。」
A3
還暦前の開業医
「私自身が59歳の糖尿病歴15年の患者ですが、糖質制限食実践により、内服薬が中止できて血糖コントロールも良好となりました。体重も15ヶ月で9kg減量して20歳のころに戻りました。」
A4
福井開業医
「貴重な体験談をありがとうございました。高齢の糖尿病の方では脂肪を取りすぎていることは少なく、『脂肪制限』の効果は望めません。果物や甘い物の摂取を注意すると改善することをよく経験します。『果物の良い点は野菜がすべて持っている』を口癖にしています。」
A5
東京都専門医
「糖質制限食を試してみるとすると、糖尿病の状態、合併症の有無などを考慮し、専門家の指導を受けるべきです。低糖質食の極端な例では総エネルギー摂取量の20%を糖質にするというのですから・・・身体活動量が増加すると、体蛋白の分解をおさえることはできません。・・・」
コメント 松岡世話人
「ニューヨークのバーンスタイン医師やメルボルンのラブ医師(国際糖尿病連盟西太平洋地区・前副会長)とは旧知です。2人とも1型糖尿病で糖質制限食を強力に勧めておられます。
1型糖尿病で糖質を減らすと血糖値は劇的に下がります。若い1型糖尿病患者で血糖値の乱高下を抑え、糖尿病合併症の発症を予防するには低糖質食インスリンが有利な一時期があることは否定できません。戦前の欧米の糖尿病食が糖質エネルギー比20~30%であったのは、2型例における動脈硬化症合併の疫学的データが整っていなかったからだと思います。」
以上がメーリンリストの応答と、コメントです。
糖尿病に関わる第一線の医師に、思った以上に糖質制限食が認知されていることがわかり、興味深いですね。
東京都専門医さんは辛口ですが、専門家っていったい誰をさすのでしょうね?
また、赤血球以外の体細胞は、脳を含め全てエネルギー源として脂肪酸・ケトン体が利用できるということ、そして心筋・骨格筋などは、日常生活ではエネルギー減として、約7.8割をブドウ糖ではなく脂肪酸・ケトン体を利用しているという生理学的事実をご存じないようですね。
コメントを述べられた松岡世話人が、バーンスタイン医師の知り合いとはびっくりしました。
松岡世話人は、1型に関しては、糖質制限食の有用性を部分的ではありますがはっきり認めておられます。一方、2型に関しては「脂質をとりすぎると動脈硬化になる」という少し前の定説を持ち出しておられます。
しかし、最近の米国のデータでは、本ブログでも記事にしましたように、「低脂質食に体重減少効果はないし、心血管疾患の予防効果もない」というメタ解析研究とか、5万人の閉経女性を2グループにわけて8年間追跡した研究で、「低脂質食に心血管疾患の予防効果がなかった」ことが報告されています。
また、ハーバート大学の看護師約8万人を20年間追跡調査して、「高脂質食の人の心血管疾患リスクは低脂質食の人と有意差なし」と結論づけた研究も報告されました。
すなわち、長年続いた「脂肪悪玉説」という常識が、ここ数年の米国を中心とした大きな研究で、根底から否定されつつあるのが現状ですね。
続く
明日はメーリングリストの後半、<低糖質食は長続きするか>です。
江部康二
☆☆☆☆☆
2008-12-18のブログ記事
「糖質制限食とメディカル朝日 続き」
こんにちは。今回は、昨日の続きです。
メディカル朝日 2008年 12月号 52-55ページ
「連載・誰も教えてくれなかった糖尿病診療 SDMメーリングリストから 糖質制限食は本当に有効か 低糖質食は長続きするか」
<低糖質食は長続きするか>
Q
東京都港区開業医
「最近患者さんの中に糖質制限食を勧めている本を読んで実行している人がいます。この食事療法を始めて脂質異常症になった例をみました。あるアメリカ人がアトキンスダイエット(低炭水化物ダイエット)を行って減量に成功したと自慢していましたが、2年後には元通り肥満していました。低糖質食は長続きするのでしょうか」
A1
還暦前の開業医
「私自身、糖質制限食で血糖コントロールが良くなった経験を持っています。私自身の食事法とクリニックでの経験をお話しします。私は糖質制限食を食後高血糖を改善するダイエットととらえています。糖質はいろんな食材に含まれているので頑張って制限してもカロリー比で20%程度までではないでしょうか。極端なダイエットはそれほど長続きしません。」
A2
東京都専門医
「PubMed(米国国立生物工学情報センターが公開する医学文献データベース)で”低炭水化物ダイエット”と”糖尿病”で検索すると、『低炭水化物ダイエットは体重を減少させ、中性脂肪を減少させる、一方でケトーシスを含め有意なリスク上昇は認められなかった』という報告が多いようです。
今後『肥満を伴う2型糖尿病では糖質制限を勧めるべき』という方向性で議論が進む可能性はあると思います。」
<解説> 目黒副医長
「糖尿病の食事療法において糖質を制限するべきか、脂質を制限するべきかは、非常に古くからのテーマです。
現時点での日本糖尿病学会のガイドラインでは低脂肪・高糖質食が主流ですが、最近体重減少や食後高血糖改善に関して糖質制限食が優れているとの報告も散見されます。
コクランライブラリーでは質の高い臨床研究に乏しいため『現時点では結論が出せない』
と結論づけています。
しかしメーリングリストでの議論にもあったように、糖質制限食が著効する人がいることも事実であり、そういった多様性を認め、それぞれの患者に合った食事指導をいかに構築するか検討するほうが建設的であるように思います。
ただし糖質制限食と従来の糖尿病食のどちらが上手く実行できるかというと、同等か糖質制限食のほうがやや劣ることが多いようです。」
<コメント>
松岡世話人
「京都の江部康二氏が『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』を出版されて以来、外来で恰幅のいい社長、重役さんたちから多くの質問を受けました。うまくいった人はそれなりの注意と努力を払っておられますし、京都まで出かけて直接指導を受けてこられた方は、自分への健康投資が一段と動機付けの向上をもたらしたようです。
2型糖尿病に糖質制限食を適応する目的は食後高血糖の改善を含む血糖コントロールや減量です。今後いろいろな工夫がなされるでしょうが、食事療法は長く続かなくてはなりません。
患者の生活を知り、本人の嗜好や治療へのスタンスなどを見ながら糖質制限食を実施し、合併症を含めて検査成績を評価して続けるか否かを指示してください」
以上が、メーリングリスト後半の質問と答え、解説とコメントの要約です。
東京都港区開業医さんの発言で、脂質異常症となった例があるとのことでした。糖質制限食実践で血糖値・中性脂肪・HDL-コレステロールは速やかに改善しますので、LDL-コレステロールが高値となった例があるのでしょうね。
糖質制限食実践でLDL-コレステロールは下がる人、上がる人、不変の人があります。私の場合は、少し下がりました。いったん上昇した人も、あるていど長期になると下がってくることが多いです。
東京都専門医さんの今回の発言は、ニュートラルにPubMedの文献情報を伝えていただいており、肥満を伴う2型糖尿病と限定的ではありますが、糖質制限食の有用性を示唆されています。
解説の目黒先生はニュートラルな発言ですが、糖質制限食の有効性をはっきり認めておられます。その上で、画一的な従来のカロリー制限食(低脂質・高糖質食)だけでなく個々の患者に応じて食事療法の多様性を認めて、検討することを勧めておられます。
コメントの松岡先生は、私の本を紹介していただいて、とりあえず感謝です。目黒先生と同様、糖質制限食の有効性を認めていただいたうえで、長続きすることの大切さや、評価をきっちりしながら行うことを提唱しておられます。
辛口の発言も一部ありましたが、総じて、2005年に初めて本を出版した頃のような糖質制限食に対する、医師の拒否反応は全くありません。
どちらかというと、好意的な先生方の方が多い印象を受けました。糖尿病のメーリングリストですから、糖尿病に関わる臨床医の忌憚のない意見と考えられ、糖質制限食の認知度は、確実に上がっているようです。
また、解説、コメントの目黒先生、松岡先生のように、とてもニュートラルな立場で今後、糖尿病食事療法の多様性を認めて、検討していこうというご意見は、小生としてもうれしい限りです。
過去本部ブログで、糖質制限食夜明け前、夜明け間近と述べてきましたが、ここまでくると夜明けが始まっているのかもしれませんね。 (^_^)
江部康二
A さんから糖質制限食と糖尿病学会について、心配とのコメントをいただきました。
【11/01/25 A
ただ一言、ものすごくショックです。
あらてつさんが危惧していたことが現実になりつつあります、そう遠くない未来薬を購入しないと何も売って貰えなくなるのでしょうか?試験紙でさえ・・・対抗するにはやはり糖質制限学会のようなものが必要ですよね、しかし学会設立はスポンサーがいないと金銭的に無理なんでしょうか、気になる案件です。糖尿病学会ももう黙ってない強行するとこまできたんですね。】
Aさん。
糖質制限食は、糖尿人はもちろんのこと、医師の間にも確実に浸透しつつあります。
生理学的事実、臨床データ、疫学に裏付けられた糖質制限食ですので、糖尿病学会といえども、もう勢いは止められないと思います。
逆に言えば、糖尿病学会として無視できないほど、糖質制限食が広がってきたということですので、私は全く心配していません。 (^^)
糖尿病学会が、脂質代謝異常が懸念されるということで、本気で糖質制限食を止めさせたいなら、「糖質制限食」VS「カロリー制限食」で比較試験を行い、その仮説を証明することが必要です。これは科学者としては当然のことです。
もし比較試験が行われたなら、中性脂肪とHDLコレステロールに関しては、1ヶ月の短期でも半年~1年の長期でも、糖質制限食の圧勝です。
私達は、すでにカロリー制限を糖質制限に切り替えて、脂質が改善したデータを多数持っていますが、カロリー制限派(高糖質食)の糖尿病専門医の方々も、比較試験を実際に実施されたらぐうの音も出ないと思います。
LDLコレステロールだけは、あるていどばらつくと思います。しかし、半年から2年間のデータをとれば、有意差はでないか、糖質制限食が有利と思います。これは是非比較試験をして欲しいですね。
カロリー制限派の先生方は、比較試験をすれば従来の常識が根底から覆るので、大きな衝撃を受けられることと思います。
以下は、2008年12月の本ブログ記事ですが、糖尿病専門医を含む多くの医師が、すでにその当時から
糖質制限食に好意的な見解を示しておられます。
それからさらに2年以上が経過して、医学界における糖質制限食の認知はどんどん広がっています。この大きな流れは誰にも止められないと思います。
☆☆☆☆☆
2008-12-17のブログ記事
「糖質制限食とメディカル朝日」
おはようございます。今日は、ちょっと嬉しい記事です。
メディカル朝日 という医師・医療関係者対象の月刊誌を、朝日新聞社が発行しています。
私も時々みていますが、メディカル朝日 2008年 12月号 52-55ページに
「連載・誰も教えてくれなかった糖尿病診療 SDMメーリングリストから 糖質制限食は本当に有効か?」
というとても興味深い記事が載りました。
東京都済生会中央病院 糖尿病・内分泌内科副医長の目黒 周先生がまとめを、東京都済生会中央病院顧問の松岡健平先生がコメントを述べておられます。拙著「主食を抜けば糖尿病は良くなる」もちょっぴり登場します。
糖質制限食が、一般の医学雑誌に初めて本格的に取り上げられたので、私としては快挙と思っています。メーリングリストのまとめですから、いろんな医師が発言しておられますが、概ね好意的あるいはニュートラルな内容でした。以下はその要約です。
<低糖質食は本当に有効か>
Q
東京都開業医
「日本糖尿病学会の食品交換表では、エネルギー比で糖質が約60%になっているが、何か実証はあるのでしょうか?」
A1
愛媛県専門医
「糖尿病の食事療法は変遷しています。1920年頃の炭水化物は20%、・・・80年代に糖質60%となりました。しかし最近は炭水化物の過剰摂取が中性脂肪を増やすこともあり、むしろ炭水化物を抑えて脂質を増やしたほうが長期的にみて血糖コントロールがよくなるとの報告もあります。」
A2
福井県開業医
「低脂肪・高糖質一辺倒の糖尿病食には疑問を感じます。食事療法も糖質制限食など多様性を論じる時期にきているのではないでしょうか。」
A3
還暦前の開業医
「私自身が59歳の糖尿病歴15年の患者ですが、糖質制限食実践により、内服薬が中止できて血糖コントロールも良好となりました。体重も15ヶ月で9kg減量して20歳のころに戻りました。」
A4
福井開業医
「貴重な体験談をありがとうございました。高齢の糖尿病の方では脂肪を取りすぎていることは少なく、『脂肪制限』の効果は望めません。果物や甘い物の摂取を注意すると改善することをよく経験します。『果物の良い点は野菜がすべて持っている』を口癖にしています。」
A5
東京都専門医
「糖質制限食を試してみるとすると、糖尿病の状態、合併症の有無などを考慮し、専門家の指導を受けるべきです。低糖質食の極端な例では総エネルギー摂取量の20%を糖質にするというのですから・・・身体活動量が増加すると、体蛋白の分解をおさえることはできません。・・・」
コメント 松岡世話人
「ニューヨークのバーンスタイン医師やメルボルンのラブ医師(国際糖尿病連盟西太平洋地区・前副会長)とは旧知です。2人とも1型糖尿病で糖質制限食を強力に勧めておられます。
1型糖尿病で糖質を減らすと血糖値は劇的に下がります。若い1型糖尿病患者で血糖値の乱高下を抑え、糖尿病合併症の発症を予防するには低糖質食インスリンが有利な一時期があることは否定できません。戦前の欧米の糖尿病食が糖質エネルギー比20~30%であったのは、2型例における動脈硬化症合併の疫学的データが整っていなかったからだと思います。」
以上がメーリンリストの応答と、コメントです。
糖尿病に関わる第一線の医師に、思った以上に糖質制限食が認知されていることがわかり、興味深いですね。
東京都専門医さんは辛口ですが、専門家っていったい誰をさすのでしょうね?
また、赤血球以外の体細胞は、脳を含め全てエネルギー源として脂肪酸・ケトン体が利用できるということ、そして心筋・骨格筋などは、日常生活ではエネルギー減として、約7.8割をブドウ糖ではなく脂肪酸・ケトン体を利用しているという生理学的事実をご存じないようですね。
コメントを述べられた松岡世話人が、バーンスタイン医師の知り合いとはびっくりしました。
松岡世話人は、1型に関しては、糖質制限食の有用性を部分的ではありますがはっきり認めておられます。一方、2型に関しては「脂質をとりすぎると動脈硬化になる」という少し前の定説を持ち出しておられます。
しかし、最近の米国のデータでは、本ブログでも記事にしましたように、「低脂質食に体重減少効果はないし、心血管疾患の予防効果もない」というメタ解析研究とか、5万人の閉経女性を2グループにわけて8年間追跡した研究で、「低脂質食に心血管疾患の予防効果がなかった」ことが報告されています。
また、ハーバート大学の看護師約8万人を20年間追跡調査して、「高脂質食の人の心血管疾患リスクは低脂質食の人と有意差なし」と結論づけた研究も報告されました。
すなわち、長年続いた「脂肪悪玉説」という常識が、ここ数年の米国を中心とした大きな研究で、根底から否定されつつあるのが現状ですね。
続く
明日はメーリングリストの後半、<低糖質食は長続きするか>です。
江部康二
☆☆☆☆☆
2008-12-18のブログ記事
「糖質制限食とメディカル朝日 続き」
こんにちは。今回は、昨日の続きです。
メディカル朝日 2008年 12月号 52-55ページ
「連載・誰も教えてくれなかった糖尿病診療 SDMメーリングリストから 糖質制限食は本当に有効か 低糖質食は長続きするか」
<低糖質食は長続きするか>
Q
東京都港区開業医
「最近患者さんの中に糖質制限食を勧めている本を読んで実行している人がいます。この食事療法を始めて脂質異常症になった例をみました。あるアメリカ人がアトキンスダイエット(低炭水化物ダイエット)を行って減量に成功したと自慢していましたが、2年後には元通り肥満していました。低糖質食は長続きするのでしょうか」
A1
還暦前の開業医
「私自身、糖質制限食で血糖コントロールが良くなった経験を持っています。私自身の食事法とクリニックでの経験をお話しします。私は糖質制限食を食後高血糖を改善するダイエットととらえています。糖質はいろんな食材に含まれているので頑張って制限してもカロリー比で20%程度までではないでしょうか。極端なダイエットはそれほど長続きしません。」
A2
東京都専門医
「PubMed(米国国立生物工学情報センターが公開する医学文献データベース)で”低炭水化物ダイエット”と”糖尿病”で検索すると、『低炭水化物ダイエットは体重を減少させ、中性脂肪を減少させる、一方でケトーシスを含め有意なリスク上昇は認められなかった』という報告が多いようです。
今後『肥満を伴う2型糖尿病では糖質制限を勧めるべき』という方向性で議論が進む可能性はあると思います。」
<解説> 目黒副医長
「糖尿病の食事療法において糖質を制限するべきか、脂質を制限するべきかは、非常に古くからのテーマです。
現時点での日本糖尿病学会のガイドラインでは低脂肪・高糖質食が主流ですが、最近体重減少や食後高血糖改善に関して糖質制限食が優れているとの報告も散見されます。
コクランライブラリーでは質の高い臨床研究に乏しいため『現時点では結論が出せない』
と結論づけています。
しかしメーリングリストでの議論にもあったように、糖質制限食が著効する人がいることも事実であり、そういった多様性を認め、それぞれの患者に合った食事指導をいかに構築するか検討するほうが建設的であるように思います。
ただし糖質制限食と従来の糖尿病食のどちらが上手く実行できるかというと、同等か糖質制限食のほうがやや劣ることが多いようです。」
<コメント>
松岡世話人
「京都の江部康二氏が『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』を出版されて以来、外来で恰幅のいい社長、重役さんたちから多くの質問を受けました。うまくいった人はそれなりの注意と努力を払っておられますし、京都まで出かけて直接指導を受けてこられた方は、自分への健康投資が一段と動機付けの向上をもたらしたようです。
2型糖尿病に糖質制限食を適応する目的は食後高血糖の改善を含む血糖コントロールや減量です。今後いろいろな工夫がなされるでしょうが、食事療法は長く続かなくてはなりません。
患者の生活を知り、本人の嗜好や治療へのスタンスなどを見ながら糖質制限食を実施し、合併症を含めて検査成績を評価して続けるか否かを指示してください」
以上が、メーリングリスト後半の質問と答え、解説とコメントの要約です。
東京都港区開業医さんの発言で、脂質異常症となった例があるとのことでした。糖質制限食実践で血糖値・中性脂肪・HDL-コレステロールは速やかに改善しますので、LDL-コレステロールが高値となった例があるのでしょうね。
糖質制限食実践でLDL-コレステロールは下がる人、上がる人、不変の人があります。私の場合は、少し下がりました。いったん上昇した人も、あるていど長期になると下がってくることが多いです。
東京都専門医さんの今回の発言は、ニュートラルにPubMedの文献情報を伝えていただいており、肥満を伴う2型糖尿病と限定的ではありますが、糖質制限食の有用性を示唆されています。
解説の目黒先生はニュートラルな発言ですが、糖質制限食の有効性をはっきり認めておられます。その上で、画一的な従来のカロリー制限食(低脂質・高糖質食)だけでなく個々の患者に応じて食事療法の多様性を認めて、検討することを勧めておられます。
コメントの松岡先生は、私の本を紹介していただいて、とりあえず感謝です。目黒先生と同様、糖質制限食の有効性を認めていただいたうえで、長続きすることの大切さや、評価をきっちりしながら行うことを提唱しておられます。
辛口の発言も一部ありましたが、総じて、2005年に初めて本を出版した頃のような糖質制限食に対する、医師の拒否反応は全くありません。
どちらかというと、好意的な先生方の方が多い印象を受けました。糖尿病のメーリングリストですから、糖尿病に関わる臨床医の忌憚のない意見と考えられ、糖質制限食の認知度は、確実に上がっているようです。
また、解説、コメントの目黒先生、松岡先生のように、とてもニュートラルな立場で今後、糖尿病食事療法の多様性を認めて、検討していこうというご意見は、小生としてもうれしい限りです。
過去本部ブログで、糖質制限食夜明け前、夜明け間近と述べてきましたが、ここまでくると夜明けが始まっているのかもしれませんね。 (^_^)
江部康二
2011年01月25日 (火)
おはようございます。
今朝も雪がちらついてとても寒い京都です。
さて今回はT.F さんから、「低炭水化物食は脂質代謝改善で好結果」というAHA研究報告のコメントをいただきました。
【11/01/25 T.F
脂質代謝異常とおっしゃいますが
すでに
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/276591.html
という結果が出ていると思うのですが
もちろんこう言った実験はなんども行われてしかるべきですが、川村さんはすでにある論文を無視する、あるいは調べることすらなさっていないのでしょうかね。】
T.F さん。
貴重な情報そして応援をありがとうございます。
American Heart Association(AHA)・米国心臓協会は、心臓病の権威ある団体です。
American Diabetes Association(ADA)・米国糖尿病協会が糖尿病の権威ある団体であるのと同じ位置づけです。
T.F さんに教えて頂いた論文は、2003年の米国心臓協会学術集会で発表されたものと思われます。
私の単なる印象に過ぎませんが、米国心臓協会に発表される論文は、米国糖尿病協会に発表される論文に比べて、低炭水化物食や低GIに関するものが多いような気がします。しかも、概ね低炭水化物食に良い評価の論文が多いと思います。
この論文によると、中性脂肪値は低炭水化物食のほうが、既存のカロリー制限食より、1年後有意差をもって改善しています。
HDLコレステロール値も低炭水化物食のほうは、1年後不変で、既存のカロリー制限食では、減少していて有意差が出ています。
体重は2、4、6カ月の時点では通常低カロリー食群に比べて、低炭水化物食群で有意に体重が減少しています。
しかし6カ月目以降は低炭水化物食群でやや体重が増加しており、1年後には低カロリー群と有意差が出ていません。
これは
「低炭水化物食群で6カ月目以降に体重などの指標の悪化が見られるのは、制限を守りきれなかった可能性がありそうだ。」
と記事の解説にありますが、炭水化物を少し摂取した可能性が高いです。
このことは、HDLコレステロール値が不変であった理由でもあると思います。
低炭水化物食を持続していれば、HDLコレステロールは、増加していた可能性が高いですし、体重減少も維持できたと思います。
☆☆☆<2003.11.14 日経メディカル・オンラインの記事>
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/276591.html
【AHA2003速報】
『低炭水化物食は脂質代謝改善で好結果、肥満者に対する無作為比較試験で判明
低炭水化物食(ローカーボダイエット)は、高度肥満者の脂質代謝改善に好結果をもたらすようだ。132人と比較的大きなサンプル数の無作為介入試験で既存のカロリー制限食と低炭水化物食による1年間の介入を実施した結果、トリグリセリド(TG)とHDLコレステロール(HDL-C)について、低炭水化物食の方がより好ましい結果が得られることが分かった。Pennsylvania大学のFrederick F. Samaha氏が11月12日のポスターセッション「Diet and Cardiovascular Risk」で発表した。
Samaha氏らの研究グループは、BMIが35以上の132人を無作為に2分し、低炭水化物食群と、脂肪と摂取エネルギー量を制限した一般的な低カロリー食群のいずれかに組み入れた。低炭水化物食群は、炭水化物を1日30g以下に制限した。通常の低カロリー食群には、1日当たり500kcalの摂取エネルギー量低減と、脂肪からのエネルギー摂取を30%未満にするように指示した。1次エンドポイントとして体重減少を、2次エンドポイントとしては、動脈硬化要因となる代謝リスク要因を設定した。
1年間の介入の結果、体重減少は、低炭水化物食群では平均5.1kg、通常低カロリー食群では平均3.1kgだったが有意差はなかった(p=0.16)。ただし、低炭水化物食群では最初の2カ月間で急速に体重が減少し、6カ月目以降はやや体重が増加した。2、4、6カ月の時点では通常低カロリー食群に比べて有意に体重が減少している。
一方、TGとHDLコレステロールでは、両群に違いが見られた。通常低カロリー食群では、開始時に平均176mg/dlだったのに対して、介入1年後には179mg/dlと変化が見られなかったが、低炭水化物食群では、開始時が188mg/dlだったのに対して、1年後には147mg/dlと減少し、両群で有意差が見られた(p=0.014)。またHDLコレステロールは、通常低カロリー食では開始時の41mg/dlから1年後には37mg/dlとわずかに減少したのに対し、低炭水化物食では、開始時に41 mg/dl、1年後には40 mg/dlと変化がなく、両群には有意な差が見られた(p=0.028)。他の脂質やインスリン感受性などには有意差が見られなかった。
これらの結果からSamaha氏は、低炭水化物食を「少なくとも炭水化物の過剰摂取による肥満者にとっては、より好ましいダイエット方法」としている。1日の炭水化物摂取量を30g以下に抑えるという制限食はかなり厳しいものであり、低炭水化物食群で6カ月目以降に体重などの指標の悪化が見られるのは、制限を守りきれなかった可能性がありそうだ。(中沢真也)』
また、2008年、Accurso1らはcarbohydrate restriction(炭水化物質制限食)が血糖コントロールを改善し、インスリン追加分泌を減少させ、metabolic syndorome(代謝症候群)の全ての指標(腹囲、TG、HDLコレステロール)を改善することを報告しています。
*Accurso1 A, Bernstein RK,et all:Dietary carbohydrate restriction in type 2 diabetes mellitus and metabolic syndrome: time for a critical appraisal.Nutrition & metabolism.5(9)2008
今回の2つの論文は、LDLコレステロールへの言及はありません。
脂質代謝において、少なくともTGとHDLコレステロールに関しては、糖質制限食が従来のカロリー制限食より改善効果が高いと言えそうです。
江部康二
今朝も雪がちらついてとても寒い京都です。
さて今回はT.F さんから、「低炭水化物食は脂質代謝改善で好結果」というAHA研究報告のコメントをいただきました。
【11/01/25 T.F
脂質代謝異常とおっしゃいますが
すでに
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/276591.html
という結果が出ていると思うのですが
もちろんこう言った実験はなんども行われてしかるべきですが、川村さんはすでにある論文を無視する、あるいは調べることすらなさっていないのでしょうかね。】
T.F さん。
貴重な情報そして応援をありがとうございます。
American Heart Association(AHA)・米国心臓協会は、心臓病の権威ある団体です。
American Diabetes Association(ADA)・米国糖尿病協会が糖尿病の権威ある団体であるのと同じ位置づけです。
T.F さんに教えて頂いた論文は、2003年の米国心臓協会学術集会で発表されたものと思われます。
私の単なる印象に過ぎませんが、米国心臓協会に発表される論文は、米国糖尿病協会に発表される論文に比べて、低炭水化物食や低GIに関するものが多いような気がします。しかも、概ね低炭水化物食に良い評価の論文が多いと思います。
この論文によると、中性脂肪値は低炭水化物食のほうが、既存のカロリー制限食より、1年後有意差をもって改善しています。
HDLコレステロール値も低炭水化物食のほうは、1年後不変で、既存のカロリー制限食では、減少していて有意差が出ています。
体重は2、4、6カ月の時点では通常低カロリー食群に比べて、低炭水化物食群で有意に体重が減少しています。
しかし6カ月目以降は低炭水化物食群でやや体重が増加しており、1年後には低カロリー群と有意差が出ていません。
これは
「低炭水化物食群で6カ月目以降に体重などの指標の悪化が見られるのは、制限を守りきれなかった可能性がありそうだ。」
と記事の解説にありますが、炭水化物を少し摂取した可能性が高いです。
このことは、HDLコレステロール値が不変であった理由でもあると思います。
低炭水化物食を持続していれば、HDLコレステロールは、増加していた可能性が高いですし、体重減少も維持できたと思います。
☆☆☆<2003.11.14 日経メディカル・オンラインの記事>
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/276591.html
【AHA2003速報】
『低炭水化物食は脂質代謝改善で好結果、肥満者に対する無作為比較試験で判明
低炭水化物食(ローカーボダイエット)は、高度肥満者の脂質代謝改善に好結果をもたらすようだ。132人と比較的大きなサンプル数の無作為介入試験で既存のカロリー制限食と低炭水化物食による1年間の介入を実施した結果、トリグリセリド(TG)とHDLコレステロール(HDL-C)について、低炭水化物食の方がより好ましい結果が得られることが分かった。Pennsylvania大学のFrederick F. Samaha氏が11月12日のポスターセッション「Diet and Cardiovascular Risk」で発表した。
Samaha氏らの研究グループは、BMIが35以上の132人を無作為に2分し、低炭水化物食群と、脂肪と摂取エネルギー量を制限した一般的な低カロリー食群のいずれかに組み入れた。低炭水化物食群は、炭水化物を1日30g以下に制限した。通常の低カロリー食群には、1日当たり500kcalの摂取エネルギー量低減と、脂肪からのエネルギー摂取を30%未満にするように指示した。1次エンドポイントとして体重減少を、2次エンドポイントとしては、動脈硬化要因となる代謝リスク要因を設定した。
1年間の介入の結果、体重減少は、低炭水化物食群では平均5.1kg、通常低カロリー食群では平均3.1kgだったが有意差はなかった(p=0.16)。ただし、低炭水化物食群では最初の2カ月間で急速に体重が減少し、6カ月目以降はやや体重が増加した。2、4、6カ月の時点では通常低カロリー食群に比べて有意に体重が減少している。
一方、TGとHDLコレステロールでは、両群に違いが見られた。通常低カロリー食群では、開始時に平均176mg/dlだったのに対して、介入1年後には179mg/dlと変化が見られなかったが、低炭水化物食群では、開始時が188mg/dlだったのに対して、1年後には147mg/dlと減少し、両群で有意差が見られた(p=0.014)。またHDLコレステロールは、通常低カロリー食では開始時の41mg/dlから1年後には37mg/dlとわずかに減少したのに対し、低炭水化物食では、開始時に41 mg/dl、1年後には40 mg/dlと変化がなく、両群には有意な差が見られた(p=0.028)。他の脂質やインスリン感受性などには有意差が見られなかった。
これらの結果からSamaha氏は、低炭水化物食を「少なくとも炭水化物の過剰摂取による肥満者にとっては、より好ましいダイエット方法」としている。1日の炭水化物摂取量を30g以下に抑えるという制限食はかなり厳しいものであり、低炭水化物食群で6カ月目以降に体重などの指標の悪化が見られるのは、制限を守りきれなかった可能性がありそうだ。(中沢真也)』
また、2008年、Accurso1らはcarbohydrate restriction(炭水化物質制限食)が血糖コントロールを改善し、インスリン追加分泌を減少させ、metabolic syndorome(代謝症候群)の全ての指標(腹囲、TG、HDLコレステロール)を改善することを報告しています。
*Accurso1 A, Bernstein RK,et all:Dietary carbohydrate restriction in type 2 diabetes mellitus and metabolic syndrome: time for a critical appraisal.Nutrition & metabolism.5(9)2008
今回の2つの論文は、LDLコレステロールへの言及はありません。
脂質代謝において、少なくともTGとHDLコレステロールに関しては、糖質制限食が従来のカロリー制限食より改善効果が高いと言えそうです。
江部康二
2011年01月24日 (月)
こんばんは。
内科大学院生さんから、次回の食品交換表についてコメントをいただきました。
【11/01/24 内科大学院生
次回の食品交換表
江部 先生
大変ご無沙汰しております。内科大学院生です。
コメントは久し振りですが、毎日ブログは拝見させていただいておりました。
実は先日、カーボカウントで著名な川村先生(大阪市立病院小児科)の講演を聞きました。その際に食品交換表について質問したところ、糖質量のモニタリングの重要性は糖尿病学会でも注目されていて、次回の交換表の改訂からは1単位(80kcal)あたりの糖質量を記載する方向で動いているということでした。これは凄く喜ばしいことだと思います。
しかし残念ながら、川村先生は
「現在、巷では低炭水化物ダイエットが流行っていて、糖尿病学会としてはこれを何とか中止させる方向で動いている。私もこれは中止すべきだと思う。摂取総カロリーの55-60%は炭水化物から摂取するということを推奨するのは変わりない。糖質制限すると脂質代謝異常を引き起こす可能性が高い。」
と話していました。
食後の血糖値を急激に上昇させるのは糖質のみであり、そのモニタリングは重要というADAの勧告と同じ方向なのですが、その摂取を減らすという方向には動いていないようです。糖質制限でHDLはほぼ全例改善しますが、脂質(LDL)が改善する人と、むしろ悪化する人がいるのは事実ですし・・・(今回は高コレステロール血症が体にいいか悪いかの議論は抜きにさせてください)。
江部先生、正直、私はいまだに糖質制限が一般的に受け入れられていないということを実感しています(勿論循環器の先生で、その効果に注目し、実践している先生方もおりますが)。
このままでは糖質制限はアトキンスダイエットのように単なる流行になってしまう恐れがあります。私が所属している大学病院が旧帝大であり、アンチ糖質制限の先生ばかりで本当に困っています。
何もお役に立てなくて、本当に申し訳ありませんが、今後是非論文をたくさん出して、糖質制限の有効性を証明していってください。
今は基礎研究がメインとなっていますが、いつか私も糖質制限の臨床研究を行いたいと考えております。
心より応援しています。頑張ってください。】
内科大学院生さん。
お久しぶりです。
貴重な情報そして応援をありがとうございます。
カーボカウントで著名な川村先生(大阪市立病院小児科)のご回答
「糖質量のモニタリングの重要性は糖尿病学会でも注目されていて、次回の交換表の改訂からは1単位(80kcal)あたりの糖質量を記載する方向で動いている。」
「現在、巷では低炭水化物ダイエットが流行っていて、糖尿病学会としてはこれを何とか中止させる方向で動いている。私もこれは中止すべきだと思う。摂取総カロリーの55-60%は炭水化物から摂取するということを推奨するのは変わりない。糖質制限すると脂質代謝異常を引き起こす可能性が高い。」
2008年の米国糖尿病協会(ADA)の栄養勧告で
『糖質のモニタリングは血糖管理の鍵となる』
とgradeAで推奨されたことを受けて、日本糖尿病学会が約3年遅れての検討ですね。
糖質量を記載することは、私もとてもいいことと思います。 (^_^)
一方、
「巷では低炭水化物ダイエットが流行っていて、糖尿病学会としてはこれを何とか中止させる方向で動いている」
というご発言は、何だか変ですね。
低炭水化物ダイエットが流行っているという認識がおありなら、中止するという結論にいきなり飛躍しないで、糖尿病学会としてしっかりデータをとって検証するのが科学的態度ですよね。
『減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食、もしくは低炭水化物食によるダイエットが推奨される』
という糖質制限食を一定支持するADAの2008年の見解は、結局残念ながら、食品交換表の次回の改訂でも無視なのですね。( ̄_ ̄|||)
「糖質制限すると脂質代謝異常を引き起こす可能性が高い」
という川村先生のご発言は、従来の定説に従った憶測で、実際にご自分が、糖質制限食の臨床試験をして調べておられないということでしょうね。
もし調べておられてデータをお持ちなら「糖質制限すると脂質代謝異常を引き起こす。」と発言されると思いますので・・・。
もっとも、しっかり検証していただけば、糖質制限食がカロリー制限食(高糖質食)に比べて、脂質代謝を改善させることが、おわかりになったと思いますが・・・。
スーパー糖質制限食実践で、ほとんどの症例において、中性脂肪は1ヶ月以内に著明に改善し、基準値内におさまります。
家族制の高中性脂肪血症(遺伝性)だけは、スーパー糖質制限食でもなかなか基準値内にはおさまりません。
HDL-Cは、2011.1.18のブログ「糖質制限食とコレステロール値の経過」にも書きましたように、ほとんどの症例で増加します。増加率は10%~50%~60%と個人差があります。まれに、増加しない人もいますが、これが何故なのかはよくわかりません。
LDL-Cは、短期間だと、内科大学院生さんの仰有るとおり、低下・不変・増加と3パターンにわかれます。灰本らの報告では、6ヶ月間の糖質制限食で、LDL-Cの平均値は減少(改善)しています。(*)
高雄病院の症例では、LDL-Cがいったん増加した人たちも、半年・1年・2年の経過でずっと追っていくと、ほとんんどが基準値内におさまっていきます。
例えばゆっくりの人では
糖質制限食前:140mg/dl
糖質制限食半年後:220mg/dl
糖質制限食1年後:180mg/dl
糖質制限食2年後:130mg/dl
といったパターンです。
これは、糖質制限食は高脂質(高コレステロール)食となりますが、結局肝臓が、コレステロール産生を調整するからと考えられます。
<米国医師会雑誌2006年2月8日号>と総コレステロール値(**)
米国の大規模介入試験において「脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群(脂質摂取比率30数%)に比較して心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げない。総コレステロール値に関しても、両群に優位差はない。」ことが米国医師会雑誌2006年2月8日号で報告されました。
この研究は、5万人弱の閉経女性を対象に対照群を置き、平均8年間にわたって追跡した大がかりなもので、EBM(科学的根拠に基づいた医療)的には、トップランクに位置する権威あるものです。
これにより、低脂質(低コレステロール)食は、総コレステロール値に影響を与えないことが判明しました。
食事から得られるコレステロールの量がかなり、違っていても長期間に及べば肝臓で調整するので、結局差がなくなると考えられます。
(*)
Haimoto H, et all:Effects of a low-carbohydrate diet on glycemic control in outpatients with severe type 2 diabetes.Nutrition & metabolism.6(21)2009.
重症DM(HbA1c>9.0%)33名への低糖質食治療で、インスリンを使用することなく半年後にHbA1c10.9から7.2%へ下がり、LDL-Cは低下、HDL-Cは上昇することを報告。
(**)
JAMA ,295(6):629-642. 643-654. 655-666.
江部康二
内科大学院生さんから、次回の食品交換表についてコメントをいただきました。
【11/01/24 内科大学院生
次回の食品交換表
江部 先生
大変ご無沙汰しております。内科大学院生です。
コメントは久し振りですが、毎日ブログは拝見させていただいておりました。
実は先日、カーボカウントで著名な川村先生(大阪市立病院小児科)の講演を聞きました。その際に食品交換表について質問したところ、糖質量のモニタリングの重要性は糖尿病学会でも注目されていて、次回の交換表の改訂からは1単位(80kcal)あたりの糖質量を記載する方向で動いているということでした。これは凄く喜ばしいことだと思います。
しかし残念ながら、川村先生は
「現在、巷では低炭水化物ダイエットが流行っていて、糖尿病学会としてはこれを何とか中止させる方向で動いている。私もこれは中止すべきだと思う。摂取総カロリーの55-60%は炭水化物から摂取するということを推奨するのは変わりない。糖質制限すると脂質代謝異常を引き起こす可能性が高い。」
と話していました。
食後の血糖値を急激に上昇させるのは糖質のみであり、そのモニタリングは重要というADAの勧告と同じ方向なのですが、その摂取を減らすという方向には動いていないようです。糖質制限でHDLはほぼ全例改善しますが、脂質(LDL)が改善する人と、むしろ悪化する人がいるのは事実ですし・・・(今回は高コレステロール血症が体にいいか悪いかの議論は抜きにさせてください)。
江部先生、正直、私はいまだに糖質制限が一般的に受け入れられていないということを実感しています(勿論循環器の先生で、その効果に注目し、実践している先生方もおりますが)。
このままでは糖質制限はアトキンスダイエットのように単なる流行になってしまう恐れがあります。私が所属している大学病院が旧帝大であり、アンチ糖質制限の先生ばかりで本当に困っています。
何もお役に立てなくて、本当に申し訳ありませんが、今後是非論文をたくさん出して、糖質制限の有効性を証明していってください。
今は基礎研究がメインとなっていますが、いつか私も糖質制限の臨床研究を行いたいと考えております。
心より応援しています。頑張ってください。】
内科大学院生さん。
お久しぶりです。
貴重な情報そして応援をありがとうございます。
カーボカウントで著名な川村先生(大阪市立病院小児科)のご回答
「糖質量のモニタリングの重要性は糖尿病学会でも注目されていて、次回の交換表の改訂からは1単位(80kcal)あたりの糖質量を記載する方向で動いている。」
「現在、巷では低炭水化物ダイエットが流行っていて、糖尿病学会としてはこれを何とか中止させる方向で動いている。私もこれは中止すべきだと思う。摂取総カロリーの55-60%は炭水化物から摂取するということを推奨するのは変わりない。糖質制限すると脂質代謝異常を引き起こす可能性が高い。」
2008年の米国糖尿病協会(ADA)の栄養勧告で
『糖質のモニタリングは血糖管理の鍵となる』
とgradeAで推奨されたことを受けて、日本糖尿病学会が約3年遅れての検討ですね。
糖質量を記載することは、私もとてもいいことと思います。 (^_^)
一方、
「巷では低炭水化物ダイエットが流行っていて、糖尿病学会としてはこれを何とか中止させる方向で動いている」
というご発言は、何だか変ですね。
低炭水化物ダイエットが流行っているという認識がおありなら、中止するという結論にいきなり飛躍しないで、糖尿病学会としてしっかりデータをとって検証するのが科学的態度ですよね。
『減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食、もしくは低炭水化物食によるダイエットが推奨される』
という糖質制限食を一定支持するADAの2008年の見解は、結局残念ながら、食品交換表の次回の改訂でも無視なのですね。( ̄_ ̄|||)
「糖質制限すると脂質代謝異常を引き起こす可能性が高い」
という川村先生のご発言は、従来の定説に従った憶測で、実際にご自分が、糖質制限食の臨床試験をして調べておられないということでしょうね。
もし調べておられてデータをお持ちなら「糖質制限すると脂質代謝異常を引き起こす。」と発言されると思いますので・・・。
もっとも、しっかり検証していただけば、糖質制限食がカロリー制限食(高糖質食)に比べて、脂質代謝を改善させることが、おわかりになったと思いますが・・・。
スーパー糖質制限食実践で、ほとんどの症例において、中性脂肪は1ヶ月以内に著明に改善し、基準値内におさまります。
家族制の高中性脂肪血症(遺伝性)だけは、スーパー糖質制限食でもなかなか基準値内にはおさまりません。
HDL-Cは、2011.1.18のブログ「糖質制限食とコレステロール値の経過」にも書きましたように、ほとんどの症例で増加します。増加率は10%~50%~60%と個人差があります。まれに、増加しない人もいますが、これが何故なのかはよくわかりません。
LDL-Cは、短期間だと、内科大学院生さんの仰有るとおり、低下・不変・増加と3パターンにわかれます。灰本らの報告では、6ヶ月間の糖質制限食で、LDL-Cの平均値は減少(改善)しています。(*)
高雄病院の症例では、LDL-Cがいったん増加した人たちも、半年・1年・2年の経過でずっと追っていくと、ほとんんどが基準値内におさまっていきます。
例えばゆっくりの人では
糖質制限食前:140mg/dl
糖質制限食半年後:220mg/dl
糖質制限食1年後:180mg/dl
糖質制限食2年後:130mg/dl
といったパターンです。
これは、糖質制限食は高脂質(高コレステロール)食となりますが、結局肝臓が、コレステロール産生を調整するからと考えられます。
<米国医師会雑誌2006年2月8日号>と総コレステロール値(**)
米国の大規模介入試験において「脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群(脂質摂取比率30数%)に比較して心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げない。総コレステロール値に関しても、両群に優位差はない。」ことが米国医師会雑誌2006年2月8日号で報告されました。
この研究は、5万人弱の閉経女性を対象に対照群を置き、平均8年間にわたって追跡した大がかりなもので、EBM(科学的根拠に基づいた医療)的には、トップランクに位置する権威あるものです。
これにより、低脂質(低コレステロール)食は、総コレステロール値に影響を与えないことが判明しました。
食事から得られるコレステロールの量がかなり、違っていても長期間に及べば肝臓で調整するので、結局差がなくなると考えられます。
(*)
Haimoto H, et all:Effects of a low-carbohydrate diet on glycemic control in outpatients with severe type 2 diabetes.Nutrition & metabolism.6(21)2009.
重症DM(HbA1c>9.0%)33名への低糖質食治療で、インスリンを使用することなく半年後にHbA1c10.9から7.2%へ下がり、LDL-Cは低下、HDL-Cは上昇することを報告。
(**)
JAMA ,295(6):629-642. 643-654. 655-666.
江部康二
2011年01月21日 (金)
こんにちは。
2010年12月28日の本ブログで、日本糖尿病協会発行の「さかえ」2011年1月号に載った記事を紹介しました。
<食品交換表の温故知新>という特別企画記事で、京都大学大学院、人間・環境学研究科、教授、津田謹輔先生が、現行の食品交換表について
「・・・診療の場で最も大切な血糖コントロールと血糖値に大きな影響を与える糖質について特別の記載がありません。血糖コントロールが合併症予防に重要であり、食後血糖値に影響するのは、エネルギーではなく糖質であることを明記してよいのではないかと思います。」
と述べておられる記事で、糖質制限食にとっては、大きな追い風でした。
その<食品交換表の温故知新>に、日本における、食品交換表の歴史が解説してありました。
以下は、津田謹輔先生のご記載を参考にして、まとめてみました。
食品交換表初版は1965年に発行されました。それまでは、各医療機関が独自に食事療法を指導していて、共通テキストはありませんでした。
それで全国から医師が集まって、東京で何日も討議を重ねて、全国共通食品交換表が誕生しました。
初版は「医師・栄養士・患者にすぐ役だつ糖尿病治療のための食品交換表」という名称でした。
解説には、食事療法の原則として
①適正なカロリー
②糖質量の制限
③糖質、たんぱく質、脂質のバランス
④ビタミンおよびミネラルの適正な補給
と記載されています。
なんと、2番目には驚くべきことに
「糖質量の制限」
と明記してあるではありませんか。ヾ(゜▽゜)
これが、1969年の第2版になると
①適正なカロリー(カロリーの制限)
②糖質、たんぱく質、脂質のバランス
③ビタミンおよびミネラルの適正な補給
と変更されて、「糖質量の制限」が削除されています。
糖尿病食事療法の原則から、「糖質制限」が消えて、「エネルギー制限」が登場したのが2版です。
ただし2版の解説文には、
「糖質の量は一般に普通の人に比べるとかなりの制限になりますが、これは適正なカロリーの範囲内において、たんぱく質、糖質、脂質の適正な補給を行う結果です。糖質を特別に制限する学者もありますが一日100g以上の糖質をとることは必要です」
と記載されています。「糖質制限」の文言は消えたけれど、まだ香りは残っていますね。
当時の糖尿病学会の記録に、
「糖尿病の食事療法として最も厳格に指示されるのは、一日の総エネルギー量だけである。たんぱく質、糖質、脂質などの各栄養素は、いずれも最少必要量が指示されるのみ。・・・」
とあります。
この頃、糖質制限派とエネルギー制限派の論争があって、エネルギー制限派が完全勝利したようです。( ̄_ ̄|||)
総摂取エネルギーを制限しておけば、糖質制限は必要ないという立場ですね。
これ以降の食品交換表は
1973年、第3版
1980年、第4版
1983年、第4版補
1993年、第5版
2002年、第6版
と、エネルギー制限食がどんどん強化されていったようです。
現在の糖質60%、脂質20%、たんぱく質20%という総摂取エネルギーに対する比率は、おそらく米国の1986年のガイドラインの影響もあると思われます。
そろそろ、食品交換表の第7版がでてもおかしくないのですが、
「・・・診療の場で最も大切な血糖コントロールと血糖値に大きな影響を与える糖質について特別の記載がありません。血糖コントロールが合併症予防に重要であり、食後血糖値に影響するのは、エネルギーではなく糖質であることを明記してよいのではないかと思います。」
という、津田謹輔先生の提言を是非取り入れてほしいものですね。
江部康二
2010年12月28日の本ブログで、日本糖尿病協会発行の「さかえ」2011年1月号に載った記事を紹介しました。
<食品交換表の温故知新>という特別企画記事で、京都大学大学院、人間・環境学研究科、教授、津田謹輔先生が、現行の食品交換表について
「・・・診療の場で最も大切な血糖コントロールと血糖値に大きな影響を与える糖質について特別の記載がありません。血糖コントロールが合併症予防に重要であり、食後血糖値に影響するのは、エネルギーではなく糖質であることを明記してよいのではないかと思います。」
と述べておられる記事で、糖質制限食にとっては、大きな追い風でした。
その<食品交換表の温故知新>に、日本における、食品交換表の歴史が解説してありました。
以下は、津田謹輔先生のご記載を参考にして、まとめてみました。
食品交換表初版は1965年に発行されました。それまでは、各医療機関が独自に食事療法を指導していて、共通テキストはありませんでした。
それで全国から医師が集まって、東京で何日も討議を重ねて、全国共通食品交換表が誕生しました。
初版は「医師・栄養士・患者にすぐ役だつ糖尿病治療のための食品交換表」という名称でした。
解説には、食事療法の原則として
①適正なカロリー
②糖質量の制限
③糖質、たんぱく質、脂質のバランス
④ビタミンおよびミネラルの適正な補給
と記載されています。
なんと、2番目には驚くべきことに
「糖質量の制限」
と明記してあるではありませんか。ヾ(゜▽゜)
これが、1969年の第2版になると
①適正なカロリー(カロリーの制限)
②糖質、たんぱく質、脂質のバランス
③ビタミンおよびミネラルの適正な補給
と変更されて、「糖質量の制限」が削除されています。
糖尿病食事療法の原則から、「糖質制限」が消えて、「エネルギー制限」が登場したのが2版です。
ただし2版の解説文には、
「糖質の量は一般に普通の人に比べるとかなりの制限になりますが、これは適正なカロリーの範囲内において、たんぱく質、糖質、脂質の適正な補給を行う結果です。糖質を特別に制限する学者もありますが一日100g以上の糖質をとることは必要です」
と記載されています。「糖質制限」の文言は消えたけれど、まだ香りは残っていますね。
当時の糖尿病学会の記録に、
「糖尿病の食事療法として最も厳格に指示されるのは、一日の総エネルギー量だけである。たんぱく質、糖質、脂質などの各栄養素は、いずれも最少必要量が指示されるのみ。・・・」
とあります。
この頃、糖質制限派とエネルギー制限派の論争があって、エネルギー制限派が完全勝利したようです。( ̄_ ̄|||)
総摂取エネルギーを制限しておけば、糖質制限は必要ないという立場ですね。
これ以降の食品交換表は
1973年、第3版
1980年、第4版
1983年、第4版補
1993年、第5版
2002年、第6版
と、エネルギー制限食がどんどん強化されていったようです。
現在の糖質60%、脂質20%、たんぱく質20%という総摂取エネルギーに対する比率は、おそらく米国の1986年のガイドラインの影響もあると思われます。
そろそろ、食品交換表の第7版がでてもおかしくないのですが、
「・・・診療の場で最も大切な血糖コントロールと血糖値に大きな影響を与える糖質について特別の記載がありません。血糖コントロールが合併症予防に重要であり、食後血糖値に影響するのは、エネルギーではなく糖質であることを明記してよいのではないかと思います。」
という、津田謹輔先生の提言を是非取り入れてほしいものですね。
江部康二
2011年01月20日 (木)
こんばんは。
今回は復習を兼ねて米国における糖尿病食事療法の変遷を概観してみました。
1900年代初期までは米国では糖尿病食としては、糖質制限食が主流でした。
この頃すでに、食後血糖値を上昇させるのは、3大栄養素のなかで主として糖質であるということが、認識されていたからです。(☆)
例えば、糖尿病学の父と呼ばれるジョスリン博士が執筆された「ジョスリン糖尿病学」の初版は1916年出版ですが、炭水化物は総摂取カロリーの20%が標準と記載してあります。
1921年にカナダの整形外科医フレデリック・バンティングと医学生チャールズ・ベストがインスリンの抽出に初めて成功しました。
1922年に当時14才の1型糖尿病患者に初めて注射し、血糖コントロールに成功しました。
1型糖尿病はインスリンの登場までは、診断後平均余命6ヶ月の致命的な病気でしたが、インスリンにより生命を保つことが可能となりました。
その後、インスリンを注射しておけば糖質を摂取しても血糖値が上昇しないことが、徐々に周知されるようになりました。
その結果、正常人なみに糖質を食べても、インスリンさえ打っておけばいいという流れとなっていき、米国糖尿人の糖質摂取量は徐々に増えていきました。
ADA(米国糖尿病協会)ガイドラインが初めて制定されたのが1950年です。
上述の流れを受けて、第一回目のガイドライン制定時には、ADAは総摂取カロリーに対して、炭水化物の摂取量を以前より増やしました。
1950年のガイドラインでは炭水化物40%を推奨。
1971年のガイドラインでは炭水化物45%に増えました。
1986年のガイドラインでさらに炭水化物60%と増加。
1994年のガイドラインでは、総摂取カロリーに対してタンパク質10~20%という規定がありますが、炭水化物・脂質の規定はなくなりました。
1994年のガイドラインの時、オリーブオイルたっぷりの地中海食も選択肢に加わわりました。
*1994年以降、ガイドラインでは炭水化物と脂肪のカロリー比を固定しなくなりました。
2004年米国糖尿病協会の患者用テキストブックは
「血糖値を上昇させるのは、糖質だけで、タンパク質・脂質は上昇させない」という記載に1997年版から変更しました。(☆☆)
2005年、ボストンのジョスリン糖尿病センターは、炭水化物の推奨量を40%に下げました。
(Joslin Diabetes Mellitus 第14版、2005年、616ページ)
ジョスリン糖尿病センターは、全米で最も評価の高い糖尿病治療センターの一つです。
さらにADA(米国糖尿病協会)栄養勧告2008には
「糖質のモニタリングは血糖管理の鍵となる」
とgradeAで推奨され、
「減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食、もしくは低炭水化物食によるダイエットが推奨される」
(☆☆☆)
と低糖質食を一定支持する見解が初めてだされました。
2007年以前の栄養勧告では、全て低糖質食に否定的な見解でした。
現在米国では
①従来のカロリー制限食(糖質60%)→日本糖尿病学会推奨の糖尿病食と同じ
②糖質管理食(糖質の摂取量を計算し、インスリンの量を決めるなどに役立つ)
③地中海食(オリーブオイルたっぷりで脂質が多い)
④低糖質食(糖質制限食)
の4つの選択肢があります。
④は、バーンスタイン医師の推奨する、糖質摂取を「朝6g、昼12g、夕12g」という厳しいパターン(糖質が総摂取カロリーの10%以下)と総摂取カロリーの40%ていどが糖質という緩いパターンまで幅があります。
おもしろいことに、米国でも糖尿病専門医はまだ①を推奨する人が多いようですが、一般の医師は④推奨(緩い糖質制限食)が増えつつあるようです。また、全米最大の患者会は④推奨(緩い糖質制限食)のようです。
なお1型糖尿病は、米国では糖尿病専門医も一般の医師も②が標準治療食です。
日本糖尿病学会の2010年のガイドラインでは、相変わらず糖質制限食はおろか、糖質管理食でさえも一言も触れておらず、ADA2008年度実施臨床勧告との相違が目立ちます。
次回は、日本の糖尿病食の変遷について考察してみます。
(☆)この頃はおそらく「糖質は100%、タンパク質が50%、脂質が10%未満血糖に変わる」という米国糖尿病協会1997年版の患者用テキストブックと近い認識だったと思われます。
(☆☆)米国糖尿病協会2004年版のテキストブック
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlinesby the Michigan Diabetes Research and Training Center,ADA,3rd Ed,2004
(☆☆☆)Nutrition Recommendations and Interventions for Diabetes.A position statement of ADA. Diabetes Care,31:S61-S78,2008
江部康二
今回は復習を兼ねて米国における糖尿病食事療法の変遷を概観してみました。
1900年代初期までは米国では糖尿病食としては、糖質制限食が主流でした。
この頃すでに、食後血糖値を上昇させるのは、3大栄養素のなかで主として糖質であるということが、認識されていたからです。(☆)
例えば、糖尿病学の父と呼ばれるジョスリン博士が執筆された「ジョスリン糖尿病学」の初版は1916年出版ですが、炭水化物は総摂取カロリーの20%が標準と記載してあります。
1921年にカナダの整形外科医フレデリック・バンティングと医学生チャールズ・ベストがインスリンの抽出に初めて成功しました。
1922年に当時14才の1型糖尿病患者に初めて注射し、血糖コントロールに成功しました。
1型糖尿病はインスリンの登場までは、診断後平均余命6ヶ月の致命的な病気でしたが、インスリンにより生命を保つことが可能となりました。
その後、インスリンを注射しておけば糖質を摂取しても血糖値が上昇しないことが、徐々に周知されるようになりました。
その結果、正常人なみに糖質を食べても、インスリンさえ打っておけばいいという流れとなっていき、米国糖尿人の糖質摂取量は徐々に増えていきました。
ADA(米国糖尿病協会)ガイドラインが初めて制定されたのが1950年です。
上述の流れを受けて、第一回目のガイドライン制定時には、ADAは総摂取カロリーに対して、炭水化物の摂取量を以前より増やしました。
1950年のガイドラインでは炭水化物40%を推奨。
1971年のガイドラインでは炭水化物45%に増えました。
1986年のガイドラインでさらに炭水化物60%と増加。
1994年のガイドラインでは、総摂取カロリーに対してタンパク質10~20%という規定がありますが、炭水化物・脂質の規定はなくなりました。
1994年のガイドラインの時、オリーブオイルたっぷりの地中海食も選択肢に加わわりました。
*1994年以降、ガイドラインでは炭水化物と脂肪のカロリー比を固定しなくなりました。
2004年米国糖尿病協会の患者用テキストブックは
「血糖値を上昇させるのは、糖質だけで、タンパク質・脂質は上昇させない」という記載に1997年版から変更しました。(☆☆)
2005年、ボストンのジョスリン糖尿病センターは、炭水化物の推奨量を40%に下げました。
(Joslin Diabetes Mellitus 第14版、2005年、616ページ)
ジョスリン糖尿病センターは、全米で最も評価の高い糖尿病治療センターの一つです。
さらにADA(米国糖尿病協会)栄養勧告2008には
「糖質のモニタリングは血糖管理の鍵となる」
とgradeAで推奨され、
「減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食、もしくは低炭水化物食によるダイエットが推奨される」
(☆☆☆)
と低糖質食を一定支持する見解が初めてだされました。
2007年以前の栄養勧告では、全て低糖質食に否定的な見解でした。
現在米国では
①従来のカロリー制限食(糖質60%)→日本糖尿病学会推奨の糖尿病食と同じ
②糖質管理食(糖質の摂取量を計算し、インスリンの量を決めるなどに役立つ)
③地中海食(オリーブオイルたっぷりで脂質が多い)
④低糖質食(糖質制限食)
の4つの選択肢があります。
④は、バーンスタイン医師の推奨する、糖質摂取を「朝6g、昼12g、夕12g」という厳しいパターン(糖質が総摂取カロリーの10%以下)と総摂取カロリーの40%ていどが糖質という緩いパターンまで幅があります。
おもしろいことに、米国でも糖尿病専門医はまだ①を推奨する人が多いようですが、一般の医師は④推奨(緩い糖質制限食)が増えつつあるようです。また、全米最大の患者会は④推奨(緩い糖質制限食)のようです。
なお1型糖尿病は、米国では糖尿病専門医も一般の医師も②が標準治療食です。
日本糖尿病学会の2010年のガイドラインでは、相変わらず糖質制限食はおろか、糖質管理食でさえも一言も触れておらず、ADA2008年度実施臨床勧告との相違が目立ちます。
次回は、日本の糖尿病食の変遷について考察してみます。
(☆)この頃はおそらく「糖質は100%、タンパク質が50%、脂質が10%未満血糖に変わる」という米国糖尿病協会1997年版の患者用テキストブックと近い認識だったと思われます。
(☆☆)米国糖尿病協会2004年版のテキストブック
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlinesby the Michigan Diabetes Research and Training Center,ADA,3rd Ed,2004
(☆☆☆)Nutrition Recommendations and Interventions for Diabetes.A position statement of ADA. Diabetes Care,31:S61-S78,2008
江部康二
2011年01月19日 (水)
おはようございます。
まだ雪が残っている高雄病院です。
さて、今回は、すすむさんから、乾燥大豆について、コメント・質問をいただきました。
【11/01/18 すすむ
大豆での質問
江部先生の本を購入し、昨日より糖質制限に入りました。
無礼と思いますが、質問をさせて頂きます。
きなこがNGと言う事は記載有りましたが、乾燥大豆(節分用)
をそのままポリポリ大量に食べても大丈夫でしょうか?
宜しくお願いします。】
すすむさん。
本のご購入ありがとうございました。
五訂日本食品標準成分表によれば
乾燥大豆 100g中 糖質11.1
きなこ 100g中 糖質14.1g
ゆでた大豆 100g中 糖質2.7g
木綿豆腐 100g中 糖質1.2g
きな粉は熱が加わって粉にしている分、水分が減少して100gあたりの糖質量が増えているので、一応NGですが、使い方によっては△で、少量ならOKです。
朝・昼・夕の食事で、1回に摂取する合計糖質量を、10~20g以下にするのが、スーパー糖質制限食の目標です。
それ以外の間食なら、1回の糖質量は、5g以下におさえたいですね。
乾燥大豆を、1回45gまでなら、糖質は5g程度です。
大量は困りますが、40~45gくらいまでならOKですよ。
江部康二
まだ雪が残っている高雄病院です。
さて、今回は、すすむさんから、乾燥大豆について、コメント・質問をいただきました。
【11/01/18 すすむ
大豆での質問
江部先生の本を購入し、昨日より糖質制限に入りました。
無礼と思いますが、質問をさせて頂きます。
きなこがNGと言う事は記載有りましたが、乾燥大豆(節分用)
をそのままポリポリ大量に食べても大丈夫でしょうか?
宜しくお願いします。】
すすむさん。
本のご購入ありがとうございました。
五訂日本食品標準成分表によれば
乾燥大豆 100g中 糖質11.1
きなこ 100g中 糖質14.1g
ゆでた大豆 100g中 糖質2.7g
木綿豆腐 100g中 糖質1.2g
きな粉は熱が加わって粉にしている分、水分が減少して100gあたりの糖質量が増えているので、一応NGですが、使い方によっては△で、少量ならOKです。
朝・昼・夕の食事で、1回に摂取する合計糖質量を、10~20g以下にするのが、スーパー糖質制限食の目標です。
それ以外の間食なら、1回の糖質量は、5g以下におさえたいですね。
乾燥大豆を、1回45gまでなら、糖質は5g程度です。
大量は困りますが、40~45gくらいまでならOKですよ。
江部康二
2011年01月18日 (火)
おはようございます。
今朝も雪がちらついている京都です。
昨朝は道路が凍結していたので、車はあきらめて最寄りの駅まで15分歩いて、JRで高雄病院京都駅前診療所に通勤しました。
初めての出来事でした。
さて今回は、大酒豪で漫画好きの神経内科・リハビリテーション科の医師ヘルミさんから、スーパー糖質制限食実践後の、HDLコレステロール、LDLコレステロール、総コレステロール値、中性脂肪の経過についてご報告いただきました。
【11/01/17 ヘルミ
糖質制限8ヶ月目のデータです。
江部先生こんにちは。
ギネス級の高HDL血症のリハ医、ヘルミです。
糖質制限8ヶ月目のデータが出ました。
HDL 163 LDL 87 T-Cho 270 TG 100 (ちなみにγ-GTP 15)
これまでの経過をまとめますと、
前値: HDL 105 LDL 71 T-Cho 189 TG 65
1ヶ月:HDL 140 LDL 81 T-Cho 234 TG 65
3ヶ月:HDL 143 LDL 77 T-Cho 243 TG 114
4ヶ月:HDL 165 LDL 95 T-Cho 276 TG 80
5ヶ月:HDL 191 LDL 97 T-Cho 296 TG 39
6ヶ月:HDL 137 LDL 68 T-Cho 233 TG 141
7ヶ月:HDL 149 LDL 109 T-Cho 275 TG 86
8ヶ月:HDL 163 LDL 87 T-Cho 270 TG 100
となりました。
尿中ケトン体は7ヶ月以降(±)、体重はここ3ヶ月くらい変わっていません。
「人為的にHDLを上昇させる方法があるぞ」と同僚に自慢したら、
「お前の飲み方をまねしたら、普通は肝臓がイカレルわ!」と言われましたが・・・
12ヶ月まではデータ採取を続けるつもりです。
寒い日が続いていますが、お風邪など召しませんように。】
ヘルミさん。
詳細なご報告ありがとうございます。
とても参考になります。
「HDLコレステロール値が高い人では心疾患リスクが1/2~1/3になるだけでなく、発ガンのリスクも大幅に低くなる」
「LDL-C値と総コレステロール(TC)値が低いほどがんの発症率が高くなる。」
(2010-10-07の本ブログ記事、Journal of the American College of Cardiology[2010; 55: 2846-2854])
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-1382.html
という論文もありますので、ヘルミさんのHDLコレステロール、LDLコレステロール、総コレステロール値は、一番好ましい状態と思いますよ。(^-^)v(^-^)v
スタチン剤などでHDLコレステロールが増加するという報告もありますが、せいぜい10%くらいと思います。
ヘルミさんと糖質制限食の場合は、ピーク82%も増加して、8ヶ月後で55%増加です。
どんな薬物も運動も他の食事療法も、糖質制限食ほどHDLコレステロールを増加させる方法はこの世にありませんね。
東京医科歯科大学生命倫理研究センターの吉田雅幸氏らの報告
http://www.yakuji.co.jp/entry5674.html
では、LDL-C/HDL-C比が2.5を超えると、プラーク(*)占拠率が上昇し、2.0以下ではプラークの退縮が認められるとのことです。
ヘルミさんのLDL-C/HDL-C比は、糖質制限食実践8ヶ月めで0.53ですので、こちらも絶好調ですね。
私のHDLコレステロール、LDLコレステロール、総コレステロール値、中性脂肪値は
1999年、糖質制限前: HDL 69 LDL 123 T-Cho 210 TG85
2004年、糖質制限2年:HDL 99 LDL 97 T-Cho 231 TG 75
2010年、糖質制限8年:HDL 105 LDL110 T-Cho 223 TG37
私のHDLコレステロール値も40%以上増えていますね。
2010年のLDL-C/HDL-C比は1.05でOKです。
糖質制限食実践で、ヘルミさんのデータのように、1ヶ月でHDLコレステロールが著明に増加することもあります。
一方、個人差がありますので、増え方が少ない人、増え方がゆっくりな人もいます。
ともあれ、ほとんどの人で、HDLコレステロールは増加し、LDLコレステロールも正常化し、中性脂肪も正常化します。
8年間の長期にわたる、私のデータも上記のように、極めて良好です。 (^_^)
この私のデータが、おそらく20万年前のご先祖様(ホモ・サピエンス)のデータと同様なのだと思います。
(*)動脈の内膜の粥状(アテローム性)の隆起をプラークといいます。
動脈硬化が進行するとプラークも大きくなります。
江部康二
今朝も雪がちらついている京都です。
昨朝は道路が凍結していたので、車はあきらめて最寄りの駅まで15分歩いて、JRで高雄病院京都駅前診療所に通勤しました。
初めての出来事でした。
さて今回は、大酒豪で漫画好きの神経内科・リハビリテーション科の医師ヘルミさんから、スーパー糖質制限食実践後の、HDLコレステロール、LDLコレステロール、総コレステロール値、中性脂肪の経過についてご報告いただきました。
【11/01/17 ヘルミ
糖質制限8ヶ月目のデータです。
江部先生こんにちは。
ギネス級の高HDL血症のリハ医、ヘルミです。
糖質制限8ヶ月目のデータが出ました。
HDL 163 LDL 87 T-Cho 270 TG 100 (ちなみにγ-GTP 15)
これまでの経過をまとめますと、
前値: HDL 105 LDL 71 T-Cho 189 TG 65
1ヶ月:HDL 140 LDL 81 T-Cho 234 TG 65
3ヶ月:HDL 143 LDL 77 T-Cho 243 TG 114
4ヶ月:HDL 165 LDL 95 T-Cho 276 TG 80
5ヶ月:HDL 191 LDL 97 T-Cho 296 TG 39
6ヶ月:HDL 137 LDL 68 T-Cho 233 TG 141
7ヶ月:HDL 149 LDL 109 T-Cho 275 TG 86
8ヶ月:HDL 163 LDL 87 T-Cho 270 TG 100
となりました。
尿中ケトン体は7ヶ月以降(±)、体重はここ3ヶ月くらい変わっていません。
「人為的にHDLを上昇させる方法があるぞ」と同僚に自慢したら、
「お前の飲み方をまねしたら、普通は肝臓がイカレルわ!」と言われましたが・・・
12ヶ月まではデータ採取を続けるつもりです。
寒い日が続いていますが、お風邪など召しませんように。】
ヘルミさん。
詳細なご報告ありがとうございます。
とても参考になります。
「HDLコレステロール値が高い人では心疾患リスクが1/2~1/3になるだけでなく、発ガンのリスクも大幅に低くなる」
「LDL-C値と総コレステロール(TC)値が低いほどがんの発症率が高くなる。」
(2010-10-07の本ブログ記事、Journal of the American College of Cardiology[2010; 55: 2846-2854])
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-1382.html
という論文もありますので、ヘルミさんのHDLコレステロール、LDLコレステロール、総コレステロール値は、一番好ましい状態と思いますよ。(^-^)v(^-^)v
スタチン剤などでHDLコレステロールが増加するという報告もありますが、せいぜい10%くらいと思います。
ヘルミさんと糖質制限食の場合は、ピーク82%も増加して、8ヶ月後で55%増加です。
どんな薬物も運動も他の食事療法も、糖質制限食ほどHDLコレステロールを増加させる方法はこの世にありませんね。
東京医科歯科大学生命倫理研究センターの吉田雅幸氏らの報告
http://www.yakuji.co.jp/entry5674.html
では、LDL-C/HDL-C比が2.5を超えると、プラーク(*)占拠率が上昇し、2.0以下ではプラークの退縮が認められるとのことです。
ヘルミさんのLDL-C/HDL-C比は、糖質制限食実践8ヶ月めで0.53ですので、こちらも絶好調ですね。
私のHDLコレステロール、LDLコレステロール、総コレステロール値、中性脂肪値は
1999年、糖質制限前: HDL 69 LDL 123 T-Cho 210 TG85
2004年、糖質制限2年:HDL 99 LDL 97 T-Cho 231 TG 75
2010年、糖質制限8年:HDL 105 LDL110 T-Cho 223 TG37
私のHDLコレステロール値も40%以上増えていますね。
2010年のLDL-C/HDL-C比は1.05でOKです。
糖質制限食実践で、ヘルミさんのデータのように、1ヶ月でHDLコレステロールが著明に増加することもあります。
一方、個人差がありますので、増え方が少ない人、増え方がゆっくりな人もいます。
ともあれ、ほとんどの人で、HDLコレステロールは増加し、LDLコレステロールも正常化し、中性脂肪も正常化します。
8年間の長期にわたる、私のデータも上記のように、極めて良好です。 (^_^)
この私のデータが、おそらく20万年前のご先祖様(ホモ・サピエンス)のデータと同様なのだと思います。
(*)動脈の内膜の粥状(アテローム性)の隆起をプラークといいます。
動脈硬化が進行するとプラークも大きくなります。
江部康二
2011年01月17日 (月)
おはようございます。
今朝も雪が積もって、道は凍り付いている京都です。
さて高雄病院は、生薬を用いた漢方治療を行っていて、使用量は長年日本一です。
また、糖質制限食による糖尿病入院・外来治療を行っている日本でたった一つの病院です。
入院して糖質制限食を体験される糖尿人は、年間150人くらいです。
アトピー性皮膚炎の治療でも、日本全国から患者さんがこられます。
入院してアトピー学校で症状をコントロールし、自己管理の技を修得して退院される患者さんは、年間150人くらいです。
漢方医療で37年、アトピー治療32年、糖尿病・糖質制限食治療で12年の実績があります。漢方・アレルギー・糖質制限食に特化したユニークな病院です。
入院・入所に関してですが、高雄病院の3階は療養型病床で、地域のお年寄りが約55名くらい入所しておられます。
2階は障害者病棟で、約45名くらいの障害者の方が入院しておられます。2階の残りの10ベットで、日本全国から入院してこられる、糖尿病やアトピーや漢方の患者さんを、診察しています。
高雄病院では、漢方、糖質制限食、アトピー・アレルギーに興味のある看護師さんを募集しています。
また療養型や障害者病棟に興味のある看護師さんも募集しています。
高雄病院看護師さんの給与は、京都市病院協会の中で、中の中です。
勤務時間は午前8:45~午后4:30です。
基本的に勤務が長引くことはまれで、定時で終了ですので、他の一般的な病院に比べたら、労働条件はかなり良いと思います。ヾ(^▽^)
看護師さんはよくご存知と思いますが、今どき、定時に帰宅できる病院は極めてまれですので・・・。
看護師寮があり、¥5000/月が家賃です。
年齢も50才以上の方も歓迎です。
しばらく現場から離れていた看護師さんの、復帰をサポートしています。
実際、10年・20年現場を離れていた看護師さんが、今は2階病棟で元気に勤務しておられます。
ブログ読者の皆さん、ご本人が看護師さんなら大歓迎です。
また知り合いに看護師さんがおられましたら、情報をお伝え頂けたら助かります。
よろしくお願い申し上げます。 m(_ _)m
江部康二
☆☆☆
募集要項
随時面接選考いたします。
詳細は下記までお問い合せ下さい。
〒616-8265
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
財団法人 高雄病院
事務長 橋本守弘
TEL 075-872-0027
FAX 075-871-6865
E-mail hasimoto@takao-hospital.jp
今朝も雪が積もって、道は凍り付いている京都です。
さて高雄病院は、生薬を用いた漢方治療を行っていて、使用量は長年日本一です。
また、糖質制限食による糖尿病入院・外来治療を行っている日本でたった一つの病院です。
入院して糖質制限食を体験される糖尿人は、年間150人くらいです。
アトピー性皮膚炎の治療でも、日本全国から患者さんがこられます。
入院してアトピー学校で症状をコントロールし、自己管理の技を修得して退院される患者さんは、年間150人くらいです。
漢方医療で37年、アトピー治療32年、糖尿病・糖質制限食治療で12年の実績があります。漢方・アレルギー・糖質制限食に特化したユニークな病院です。
入院・入所に関してですが、高雄病院の3階は療養型病床で、地域のお年寄りが約55名くらい入所しておられます。
2階は障害者病棟で、約45名くらいの障害者の方が入院しておられます。2階の残りの10ベットで、日本全国から入院してこられる、糖尿病やアトピーや漢方の患者さんを、診察しています。
高雄病院では、漢方、糖質制限食、アトピー・アレルギーに興味のある看護師さんを募集しています。
また療養型や障害者病棟に興味のある看護師さんも募集しています。
高雄病院看護師さんの給与は、京都市病院協会の中で、中の中です。
勤務時間は午前8:45~午后4:30です。
基本的に勤務が長引くことはまれで、定時で終了ですので、他の一般的な病院に比べたら、労働条件はかなり良いと思います。ヾ(^▽^)
看護師さんはよくご存知と思いますが、今どき、定時に帰宅できる病院は極めてまれですので・・・。
看護師寮があり、¥5000/月が家賃です。
年齢も50才以上の方も歓迎です。
しばらく現場から離れていた看護師さんの、復帰をサポートしています。
実際、10年・20年現場を離れていた看護師さんが、今は2階病棟で元気に勤務しておられます。
ブログ読者の皆さん、ご本人が看護師さんなら大歓迎です。
また知り合いに看護師さんがおられましたら、情報をお伝え頂けたら助かります。
よろしくお願い申し上げます。 m(_ _)m
江部康二
☆☆☆
募集要項
随時面接選考いたします。
詳細は下記までお問い合せ下さい。
〒616-8265
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
財団法人 高雄病院
事務長 橋本守弘
TEL 075-872-0027
FAX 075-871-6865
E-mail hasimoto@takao-hospital.jp
2011年01月16日 (日)
おはようございます。
朝から雪が降り続けて、積もっている京都です。
昼から、テニスに行けるかどうか微妙です。
さて今回は、金藏さんから、高インスリン血症について,
コメント・質問をいただきました。
【11/01/15 金蔵
高インスリン血漿の値
検診で、予備群という事もありブドウ糖負荷試験をしてきました。
結果
空腹時:血糖95、インスリン値:11
1時間値:血糖110 、インスリン値103
2時間:血糖110、インスリン値60
でした。検査を受けた医院の先生は「これなら心配いらない。」とおしゃっていましたがインスリン値が高い様に思います。
どこを探してもインスリン値の「正常値」が見つからないのですがこれは「高インスリン血症」という状態の様に思います。
インスリン値については数値で高い低いは言えないのでしょうか?
高インスリン血症とは、どの位の事をいうのでしょうか?
インスリン値について教えて下さい。
よろしくお願いします。】
金蔵さん。
早朝空腹時の血中インスリン値は、検査会社により基準値に差があります。
多くの会社が< 2~10 μIU/mL>くらいですが、SRLという大手の検査会社の基準値は<1.84~12.2(μIU/mL)> です。
早朝空腹時の血中インスリン値が15μU/mL以上を示す場合は、明らかなインスリン抵抗性の存在が考えられます。
インスリン抵抗性があるので、インスリンを過剰に分泌して代償している状態です。
金蔵さんは、空腹時IRI:11 μIU/mLですので、正常上限かやや高値です。
インスリン分泌能を簡単に調べる計算式がHOMA-βです。
<HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/ml)÷(空腹時血糖値mg/ml-63)>
という式で計算します。
正常値:40-60 です。空腹時血糖値130mg/dlまでは、信頼度が高いです。
金蔵さんの場合、HOMA-βが123.8ですので、確かに分泌能が高いです。
インスリン抵抗性の指標が、HOMA-Rです。
インスリン抵抗性というのは、インスリンの効きが悪くなることです。
<HOMA-R=空腹時血糖値×空腹時インスリン濃度÷405>
HOMA-Rが大きいほど、インスリン抵抗性が強いと考えられます。
1.6以下が正常で、2.5以上は抵抗性があると考えられます。空腹時血糖値140mg/dlまでは、信頼度が高いです。
金蔵さんのHOMA-Rは、2.58ですので、インスリン抵抗性があると考えられます。
従いまして、仰有る通りインスリン抵抗性がベースにあって、インスリンの過剰分泌がある状態と考えられます。
血糖値そのものは、負荷試験でもまったく正常ですので、インスリン抵抗性に対して、インスリンを過剰に分泌して、代償している状態です。
もしBMI(肥満指数)25以上なら、肥満解消を目指せば、インスリン抵抗性が改善され、インスリンの過剰分泌もなくなると思いますよ。
江部康二
朝から雪が降り続けて、積もっている京都です。
昼から、テニスに行けるかどうか微妙です。
さて今回は、金藏さんから、高インスリン血症について,
コメント・質問をいただきました。
【11/01/15 金蔵
高インスリン血漿の値
検診で、予備群という事もありブドウ糖負荷試験をしてきました。
結果
空腹時:血糖95、インスリン値:11
1時間値:血糖110 、インスリン値103
2時間:血糖110、インスリン値60
でした。検査を受けた医院の先生は「これなら心配いらない。」とおしゃっていましたがインスリン値が高い様に思います。
どこを探してもインスリン値の「正常値」が見つからないのですがこれは「高インスリン血症」という状態の様に思います。
インスリン値については数値で高い低いは言えないのでしょうか?
高インスリン血症とは、どの位の事をいうのでしょうか?
インスリン値について教えて下さい。
よろしくお願いします。】
金蔵さん。
早朝空腹時の血中インスリン値は、検査会社により基準値に差があります。
多くの会社が< 2~10 μIU/mL>くらいですが、SRLという大手の検査会社の基準値は<1.84~12.2(μIU/mL)> です。
早朝空腹時の血中インスリン値が15μU/mL以上を示す場合は、明らかなインスリン抵抗性の存在が考えられます。
インスリン抵抗性があるので、インスリンを過剰に分泌して代償している状態です。
金蔵さんは、空腹時IRI:11 μIU/mLですので、正常上限かやや高値です。
インスリン分泌能を簡単に調べる計算式がHOMA-βです。
<HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/ml)÷(空腹時血糖値mg/ml-63)>
という式で計算します。
正常値:40-60 です。空腹時血糖値130mg/dlまでは、信頼度が高いです。
金蔵さんの場合、HOMA-βが123.8ですので、確かに分泌能が高いです。
インスリン抵抗性の指標が、HOMA-Rです。
インスリン抵抗性というのは、インスリンの効きが悪くなることです。
<HOMA-R=空腹時血糖値×空腹時インスリン濃度÷405>
HOMA-Rが大きいほど、インスリン抵抗性が強いと考えられます。
1.6以下が正常で、2.5以上は抵抗性があると考えられます。空腹時血糖値140mg/dlまでは、信頼度が高いです。
金蔵さんのHOMA-Rは、2.58ですので、インスリン抵抗性があると考えられます。
従いまして、仰有る通りインスリン抵抗性がベースにあって、インスリンの過剰分泌がある状態と考えられます。
血糖値そのものは、負荷試験でもまったく正常ですので、インスリン抵抗性に対して、インスリンを過剰に分泌して、代償している状態です。
もしBMI(肥満指数)25以上なら、肥満解消を目指せば、インスリン抵抗性が改善され、インスリンの過剰分泌もなくなると思いますよ。
江部康二
2011年01月15日 (土)
こんばんは。
もんたろさんから、運動やストレスと血糖値について
興味深いコメントをいただきました。
【 1/01/13 もんたろ
私の弱点
江部先生、皆様、こんばんは!
小血管三大合併症持ちのもんたろ(♀48歳)です(^∀^)ノ
私の弱点‥といいますか、どんな時に血糖値が上がるかをナイショで(笑)教えちゃいます。ムフフ
食後のウォーキングというか、あくび出来る位の散歩は下がるケド‥大股で歩いて手を元気良く振って「ふっふっ、はっはっ」を20分もやれば、せっかくスーパー糖質制限食なのに、血糖値は220に!(ToT)
それから、油断していた玉ねぎは、中玉をレンジでチンしてバターのせて食べたら1時間後には195!
そして、大好きなアーティストのLIVE(ロック)の出かける前は空腹で血糖値180!(ドキドキワクワク)
さらに、夫婦ゲンカではキレまくって、終わって30分で190!
怖いわf^_^;
それでも自家製インスリンがもったいなくて?ジャヌビアさえ飲まない私です(去年4月A1c12.6→11月5.3)
個人個人の体質や体格や、ストレスに強かったり弱かったり、年齢でも血糖値の変化は様々だと思います!だからこそ、自分の経験をご報告したり皆様のコメントを参考にしたりして、かつ自分なりの上手な糖質制限食生活をしましょうよ!
(うまく表現出来なくてごめんなさい)
本当は江部先生のモルモットになりたい!じゃなくて、京都に引っ越して高雄病院でデータをとって頂いて、死ぬまで実験台になりたいもんたろでしたm(_ _)m 】
もんたろさん。
貴重な実験報告ありがとうございます。
おおいに参考になります。
【 あくび出来る位の散歩は下がるケド‥大股で歩いて手を元気良く振って「ふっふっ、はっはっ」を20分もやれば、せっかくスーパー糖質制限食なのに、血糖値は220に!(ToT) 】
軽い運動は血糖値を下げるけれど、あるていどの強度の運動だと血糖値が上昇するのですね。それにしても220mgとは上がりましたね。
個人差があると思いますが、私も空腹時のテニス(男子ダブルス2試合)で160mgくらいに血糖値が上昇して
休んで30分くらいで120mgくらいになりました。
アドレナリンやグルカゴンが分泌される強度の運動だと理論的には血糖値が上昇します。
【 油断していた玉ねぎは、中玉をレンジでチンしてバターのせて食べたら1時間後には195! ) 】
玉ねぎの中玉は1個200gくらいで、14.4gの糖質を含んでいます。結構血糖値を上昇させますね。
【 大好きなアーティストのLIVE(ロック)の、出かける前は空腹で血糖値180!(ドキドキワクワク)さらに、夫婦ゲンカではキレまくって、終わって30分で190! 】
喜びもストレス、喧嘩もストレスでアドレナリン出まくりでしょうね。
【去年4月A1c12.6→11月5.3 】
素晴らしい改善ですね。
良かったです。
もんたろさんの仰有るように、軽い運動の血糖低下作用、強い運動の血糖上昇作用、ストレスによる血糖上昇作用、シックデイの血糖上昇作用・・・
個人差や年齢などいろんな要素が関係すると思います。
軽い運動の血糖低下作用は、自分のパターンを把握しておけば、いざというときに便利ですね。
江部康二
もんたろさんから、運動やストレスと血糖値について
興味深いコメントをいただきました。
【 1/01/13 もんたろ
私の弱点
江部先生、皆様、こんばんは!
小血管三大合併症持ちのもんたろ(♀48歳)です(^∀^)ノ
私の弱点‥といいますか、どんな時に血糖値が上がるかをナイショで(笑)教えちゃいます。ムフフ
食後のウォーキングというか、あくび出来る位の散歩は下がるケド‥大股で歩いて手を元気良く振って「ふっふっ、はっはっ」を20分もやれば、せっかくスーパー糖質制限食なのに、血糖値は220に!(ToT)
それから、油断していた玉ねぎは、中玉をレンジでチンしてバターのせて食べたら1時間後には195!
そして、大好きなアーティストのLIVE(ロック)の出かける前は空腹で血糖値180!(ドキドキワクワク)
さらに、夫婦ゲンカではキレまくって、終わって30分で190!
怖いわf^_^;
それでも自家製インスリンがもったいなくて?ジャヌビアさえ飲まない私です(去年4月A1c12.6→11月5.3)
個人個人の体質や体格や、ストレスに強かったり弱かったり、年齢でも血糖値の変化は様々だと思います!だからこそ、自分の経験をご報告したり皆様のコメントを参考にしたりして、かつ自分なりの上手な糖質制限食生活をしましょうよ!
(うまく表現出来なくてごめんなさい)
本当は江部先生のモルモットになりたい!じゃなくて、京都に引っ越して高雄病院でデータをとって頂いて、死ぬまで実験台になりたいもんたろでしたm(_ _)m 】
もんたろさん。
貴重な実験報告ありがとうございます。
おおいに参考になります。
【 あくび出来る位の散歩は下がるケド‥大股で歩いて手を元気良く振って「ふっふっ、はっはっ」を20分もやれば、せっかくスーパー糖質制限食なのに、血糖値は220に!(ToT) 】
軽い運動は血糖値を下げるけれど、あるていどの強度の運動だと血糖値が上昇するのですね。それにしても220mgとは上がりましたね。
個人差があると思いますが、私も空腹時のテニス(男子ダブルス2試合)で160mgくらいに血糖値が上昇して
休んで30分くらいで120mgくらいになりました。
アドレナリンやグルカゴンが分泌される強度の運動だと理論的には血糖値が上昇します。
【 油断していた玉ねぎは、中玉をレンジでチンしてバターのせて食べたら1時間後には195! ) 】
玉ねぎの中玉は1個200gくらいで、14.4gの糖質を含んでいます。結構血糖値を上昇させますね。
【 大好きなアーティストのLIVE(ロック)の、出かける前は空腹で血糖値180!(ドキドキワクワク)さらに、夫婦ゲンカではキレまくって、終わって30分で190! 】
喜びもストレス、喧嘩もストレスでアドレナリン出まくりでしょうね。
【去年4月A1c12.6→11月5.3 】
素晴らしい改善ですね。
良かったです。
もんたろさんの仰有るように、軽い運動の血糖低下作用、強い運動の血糖上昇作用、ストレスによる血糖上昇作用、シックデイの血糖上昇作用・・・
個人差や年齢などいろんな要素が関係すると思います。
軽い運動の血糖低下作用は、自分のパターンを把握しておけば、いざというときに便利ですね。
江部康二
2011年01月14日 (金)
おはようございます。
『糖質制限食・医療関係者・研究者向けセミナー
2011年2月27日(日)東京・中野』
のご案内です。
医療関係者向けセミナーとしていましたが、食品企業などの研究者で糖質制限食に興味がある方も歓迎です。
内容が専門的なものもあり、一般の人には少し難しいと思います。
糖質制限食の広がりは、最近とみに加速しています。
例えば、2011年、1/15(土)~16(日)に横浜で開催される、第14回日本病態栄養学会年次学術集会のランチョンセミナーで、北里研究所病院糖尿病センター長の山田悟先生が、
「糖尿病治療の最新の話題~変動の少ない血圧管理・低糖質食治療について~」
というタイトルでお話されます。
病態栄養学会といえば、糖尿病学会の重鎮・関西電力病院の清野裕先生が理事長です。糖質制限食、かなりの追い風が吹きはじめている感じですね。
私は、2010年12月に最新刊
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」(ナツメ社)
を刊行しました。
2011年にも、2月~4月に2冊、糖質制限食ダイエットの本を、別の出版社から上梓します。
夜明け前→日の出→ホップ→・・・ステップ・・・→・・・の段階です。ヾ(^▽^)
ジャンプまであと3歩くらいでしょうか?
2005年に初めて「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」を出版したころとは、隔世の感があります。
岐阜、堺、大阪、滋賀、札幌、熊本・・・
医師の皆さんからの講演依頼が各地からぞくぞくと舞い込んでいて、嬉しい限りです。
東京での医療関係者セミナーは、1年ぶりですので、ブログ読者の皆さん、是非奮ってご参加下さいね。ヾ(^▽^)
また、知り合いの医療関係者(医師・薬剤師・栄養師・看護師・・・)や研究者の方々に、お声をおかけ頂けば幸いです。m(_ _)mVV
以下は、NPO法人糖質制限食ネット・リボーン事務局の曽我部ゆかりさんからのメッセージです。
☆☆☆☆☆
ドクター江部のブログ読者の皆様へ
新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申しあげます。
さて糖質制限食の普及を目的としリボーンの取り組みとして、医療関係者限定のセミナーを企画いたしました。徹底的な理論の解説と実践マニュアルを臨床の現場に生かしていただけるような内容です。受付を開始しています。皆様、お誘い合わせの上、ご参加ください。お待ちしております。
リボーン 曽我部 ゆかり
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
2011年2月27日(日)
特別企画 医療関係者限定セミナー
<糖尿病治療における糖質制限食の有効性>
ー糖尿病・メタボリックシンドローム・肥満・生活習慣病と糖質制限食ー
豊富な症例をもとにした理論と実践
栄養指導ガイド
<1部>講師・江部康二が、高雄病院の豊富な症例をもとにした理論と実践を徹底的に解説。一般向け講演に比べて糖質制限食の理論をとくに詳細に展開します。
<2部>新しい試みとして、糖質制限食の臨床経験豊富な管理栄養士の講師・大柳珠美が、ドクターを対称とした患者さんへの栄養指導のポイントを解説。日々の臨床現場で役立つ資料をご用意しています。
<日時>2011年2月27日(日)
タイムスケジュール(予定):
13時00分開場
13時30分~基調講演 江部康二(1時間30分)
15時00分~休憩(10分)
15時10分~栄養指導ガイド 大柳珠美(1時間)
16時10分~休憩(10分)
16時20分~質疑応答(30分)
16時50分終了
<会場>中野サンプラザ研修室1
住所 東京都中野区中野4-1-1
電話 03-3388-1174
<道順> JR中央線・総武線、地下鉄東西線中野駅北口下車1分
<会費>一般8000円 リボーン会員6000円 学生4000円
(資料付き)
<定員>90名まで
<申し込み>reborn@big.or.jp
03-3388-5428 (電話、ファックス同じ)
☆事前に郵便振替でご送金ください。当日受付は致しません。
申込〆切 2011年2月20日
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
郵便振替 口座番号 00110-9-393366
口座名称 リボーン
<主催>NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
<講師プロフィール>
江部康二(えべこうじ)
内科医、漢方医、(財)高雄病院理事長、NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事長。1950年生まれ。京都大学医学部卒業。2002年に自ら糖尿病であると気づいて以来、糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服。高雄病院でに数多くの臨床活動を通じて、糖尿病・肥満・メタボリック症候群などに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明。テーラーメイドダイエットとの2本立てでアトピーなど生活習慣病全般への効果も確立している。著書『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』(シリーズ展開中/東洋経済新報社刊)はベストセラーに。『我ら糖尿人、元気なのにはわけがある』『京都の名医に聞く。やせる食べ方』が話題に。ブログ『ドクター江部の糖尿病徒然日記』(http://koujiebe.blog95.fc2.com/)は日に3000件を超えるアクセスがあり糖尿病患者さんの間で絶大な支持を得ている。
大柳珠美(おおやなぎたまみ)
管理栄養士、(有)コンコルディア代表、NPO法人糖質制限食ネット・リボーン副理事長。1968年、熊本県生まれ。二葉栄養専門学校(栄養士科)卒業。明星大学(人文学部・心理教育専攻)卒業。2006年から糖質制限理論の実践、栄養カウンセリングに取り組み、現在は都内クリニック(ひめのともみクリニック(東京・五反田)、練馬駅西口眼科クリニック(東京・練馬))、小松川クリニック(東京・小松川)にて個人指導を担当している。テレビ出演、雑誌の執筆など、各方面でも活躍中。ブログ『管理栄養士のローカーボキッチン』(http://web.mac.com/concordia1/)が話題をよんでいる。
『糖尿病のための「糖質オフごちそうごはん」』(アスペクト)『血糖値を上げない!健康おつまみ109』(東洋経済社)『血糖値が高い人と家族のための大満足レシピ』(日本文芸社)などの著書の他、『満腹ダイエット』『酒飲みダイエット』(プレジデント社)の監修をつとめる。
☆☆☆☆☆
<NPO法人糖質制限食ネット・リボーン入会のご案内>
~薬に頼らない医療の実現を目指し「食」の根底を見直す~
NPO法人糖質制限食ネット・リボーン誕生
リボーンは、『食事で治す』をキーワードに、糖尿病やアトピーなど生活習慣病全般の改善のために有効な糖質制限食とテーラーメイドダイエットの理論と実践法を、広く一般社会に普及してくため活動を開始いたしました(NPO法人として2009年1月7日に創立)。
主な活動内容は、糖質制限食の『講演会・セミナー・交流会の開催』『人材育成』『医療機関と他団体とのネットワーク構築』『食と生活習慣病に関する相談窓口開設』『情報集と情報提供』『研究・普及啓発』などになります。
私たちの活動はより多くの市民の方々の参加によって成り立ち発展していきます。
薬に頼らない医療の実現を願い、私たちとともに、「食」の根底を見直していきませんか。
多くの方々のご参加を心よりお待ちしております。
●お申し込み●
NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
担当 曽我部 ゆかり
reborn@big.or.jp
〒165-0026 東京都中野区新井4-4-2-4B
TEL,FAX 03-3388-5428
『糖質制限食・医療関係者・研究者向けセミナー
2011年2月27日(日)東京・中野』
のご案内です。
医療関係者向けセミナーとしていましたが、食品企業などの研究者で糖質制限食に興味がある方も歓迎です。
内容が専門的なものもあり、一般の人には少し難しいと思います。
糖質制限食の広がりは、最近とみに加速しています。
例えば、2011年、1/15(土)~16(日)に横浜で開催される、第14回日本病態栄養学会年次学術集会のランチョンセミナーで、北里研究所病院糖尿病センター長の山田悟先生が、
「糖尿病治療の最新の話題~変動の少ない血圧管理・低糖質食治療について~」
というタイトルでお話されます。
病態栄養学会といえば、糖尿病学会の重鎮・関西電力病院の清野裕先生が理事長です。糖質制限食、かなりの追い風が吹きはじめている感じですね。
私は、2010年12月に最新刊
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」(ナツメ社)
を刊行しました。
2011年にも、2月~4月に2冊、糖質制限食ダイエットの本を、別の出版社から上梓します。
夜明け前→日の出→ホップ→・・・ステップ・・・→・・・の段階です。ヾ(^▽^)
ジャンプまであと3歩くらいでしょうか?
2005年に初めて「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」を出版したころとは、隔世の感があります。
岐阜、堺、大阪、滋賀、札幌、熊本・・・
医師の皆さんからの講演依頼が各地からぞくぞくと舞い込んでいて、嬉しい限りです。
東京での医療関係者セミナーは、1年ぶりですので、ブログ読者の皆さん、是非奮ってご参加下さいね。ヾ(^▽^)
また、知り合いの医療関係者(医師・薬剤師・栄養師・看護師・・・)や研究者の方々に、お声をおかけ頂けば幸いです。m(_ _)mVV
以下は、NPO法人糖質制限食ネット・リボーン事務局の曽我部ゆかりさんからのメッセージです。
☆☆☆☆☆
ドクター江部のブログ読者の皆様へ
新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申しあげます。
さて糖質制限食の普及を目的としリボーンの取り組みとして、医療関係者限定のセミナーを企画いたしました。徹底的な理論の解説と実践マニュアルを臨床の現場に生かしていただけるような内容です。受付を開始しています。皆様、お誘い合わせの上、ご参加ください。お待ちしております。
リボーン 曽我部 ゆかり
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
2011年2月27日(日)
特別企画 医療関係者限定セミナー
<糖尿病治療における糖質制限食の有効性>
ー糖尿病・メタボリックシンドローム・肥満・生活習慣病と糖質制限食ー
豊富な症例をもとにした理論と実践
栄養指導ガイド
<1部>講師・江部康二が、高雄病院の豊富な症例をもとにした理論と実践を徹底的に解説。一般向け講演に比べて糖質制限食の理論をとくに詳細に展開します。
<2部>新しい試みとして、糖質制限食の臨床経験豊富な管理栄養士の講師・大柳珠美が、ドクターを対称とした患者さんへの栄養指導のポイントを解説。日々の臨床現場で役立つ資料をご用意しています。
<日時>2011年2月27日(日)
タイムスケジュール(予定):
13時00分開場
13時30分~基調講演 江部康二(1時間30分)
15時00分~休憩(10分)
15時10分~栄養指導ガイド 大柳珠美(1時間)
16時10分~休憩(10分)
16時20分~質疑応答(30分)
16時50分終了
<会場>中野サンプラザ研修室1
住所 東京都中野区中野4-1-1
電話 03-3388-1174
<道順> JR中央線・総武線、地下鉄東西線中野駅北口下車1分
<会費>一般8000円 リボーン会員6000円 学生4000円
(資料付き)
<定員>90名まで
<申し込み>reborn@big.or.jp
03-3388-5428 (電話、ファックス同じ)
☆事前に郵便振替でご送金ください。当日受付は致しません。
申込〆切 2011年2月20日
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
郵便振替 口座番号 00110-9-393366
口座名称 リボーン
<主催>NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
<講師プロフィール>
江部康二(えべこうじ)
内科医、漢方医、(財)高雄病院理事長、NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事長。1950年生まれ。京都大学医学部卒業。2002年に自ら糖尿病であると気づいて以来、糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服。高雄病院でに数多くの臨床活動を通じて、糖尿病・肥満・メタボリック症候群などに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明。テーラーメイドダイエットとの2本立てでアトピーなど生活習慣病全般への効果も確立している。著書『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』(シリーズ展開中/東洋経済新報社刊)はベストセラーに。『我ら糖尿人、元気なのにはわけがある』『京都の名医に聞く。やせる食べ方』が話題に。ブログ『ドクター江部の糖尿病徒然日記』(http://koujiebe.blog95.fc2.com/)は日に3000件を超えるアクセスがあり糖尿病患者さんの間で絶大な支持を得ている。
大柳珠美(おおやなぎたまみ)
管理栄養士、(有)コンコルディア代表、NPO法人糖質制限食ネット・リボーン副理事長。1968年、熊本県生まれ。二葉栄養専門学校(栄養士科)卒業。明星大学(人文学部・心理教育専攻)卒業。2006年から糖質制限理論の実践、栄養カウンセリングに取り組み、現在は都内クリニック(ひめのともみクリニック(東京・五反田)、練馬駅西口眼科クリニック(東京・練馬))、小松川クリニック(東京・小松川)にて個人指導を担当している。テレビ出演、雑誌の執筆など、各方面でも活躍中。ブログ『管理栄養士のローカーボキッチン』(http://web.mac.com/concordia1/)が話題をよんでいる。
『糖尿病のための「糖質オフごちそうごはん」』(アスペクト)『血糖値を上げない!健康おつまみ109』(東洋経済社)『血糖値が高い人と家族のための大満足レシピ』(日本文芸社)などの著書の他、『満腹ダイエット』『酒飲みダイエット』(プレジデント社)の監修をつとめる。
☆☆☆☆☆
<NPO法人糖質制限食ネット・リボーン入会のご案内>
~薬に頼らない医療の実現を目指し「食」の根底を見直す~
NPO法人糖質制限食ネット・リボーン誕生
リボーンは、『食事で治す』をキーワードに、糖尿病やアトピーなど生活習慣病全般の改善のために有効な糖質制限食とテーラーメイドダイエットの理論と実践法を、広く一般社会に普及してくため活動を開始いたしました(NPO法人として2009年1月7日に創立)。
主な活動内容は、糖質制限食の『講演会・セミナー・交流会の開催』『人材育成』『医療機関と他団体とのネットワーク構築』『食と生活習慣病に関する相談窓口開設』『情報集と情報提供』『研究・普及啓発』などになります。
私たちの活動はより多くの市民の方々の参加によって成り立ち発展していきます。
薬に頼らない医療の実現を願い、私たちとともに、「食」の根底を見直していきませんか。
多くの方々のご参加を心よりお待ちしております。
●お申し込み●
NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
担当 曽我部 ゆかり
reborn@big.or.jp
〒165-0026 東京都中野区新井4-4-2-4B
TEL,FAX 03-3388-5428
2011年01月13日 (木)
こんばんは。
5年目の糖尿人さんから、DPP-4阻害薬についてコメント・質問をいただきました。
【11/01/12 5年目の糖尿人
DPP-4阻害薬
5年前に75gブドウ糖負荷試験で空腹時血糖93、30分215、60分300、120分300、180分115、インスリン空腹時2、30分29、60分58、120分115、180分13となりインスリン分泌が遅れ、さらに分泌量も少ない2型タイプの糖尿病と診断された50代のおやじです。そのとき江部先生のブログを知り「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」を購入、薬なしでスーパー糖質制限食だけ実践してきました。現在では体重80Kg→60Kg、尿糖(±)→(-)、HbA1c7.0→4.9、その他の血液検査も全て正常値になり感謝しております。お付き合いなどでどうしても炭水化物を取らなければならないときはαグルコシダーゼ阻害薬(ベイスン)を食直前に飲んでいますが、気休め程度の効果しかないようです。
ところで、DPP-4阻害薬(薬品名ジャヌビア錠など)が2011年1月から長期投与が可能になったようですが、
①普段は薬なしのスーパー糖質制限食で、どうしても炭水化物を取らなければならないときだけDPP-4阻害薬を服用した場合でも、食後高血糖を下げる効果は期待できるのでしょうか?
②インスリン分泌が遅れ、さらに分泌量も少ない2型タイプの糖尿病ではDPP-4阻害薬は適用になるのでしょうか?
(主治医に質問したところ、将来、膵臓のインスリン分泌力がもっと落ちてきたら使いましょうと言われました。)】
5年目の糖尿人さん。
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」のご購入、ありがとうございます。
【薬なしでスーパー糖質制限食だけ実践してきました。現在では体重80Kg→60Kg、尿糖(±)→(-)、HbA1c7.0→4.9、その他の血液検査も全て正常値】
素晴らしい改善ですね。
良かったです。
【①普段は薬なしのスーパー糖質制限食で、どうしても炭水化物を取らなければならないときだけDPP-4阻害薬を服用した場合でも、食後高血糖を下げる効果は期待できるのでしょうか?】
このパターンは、食後高血糖を下げる効果は少しだけです。それほど多くは期待できません。
主食摂取前30秒に
「グルコバイ或いはグルファスト」
または
「グルコバイ+グルファスト」
のほうが、もう少し確実に食後血糖値を下げると思います。
それでも主食一人前食べれば、食後血糖値は180mgを超えるので、1/2~2/3人前くらいが好ましいです。
【②インスリン分泌が遅れ、さらに分泌量も少ない2型タイプの糖尿病ではDPP-4阻害薬は適用になるのでしょうか?】
DPP-4阻害薬は、インスリン分泌能がたくさん残っているほど、効果もでやすいので、軽症から使用する第一選択肢の薬剤の一つです。
もっとも、5年目の糖尿人さんは、スーパー糖質制限食でHbA1c4.9%なので、内服薬は必要ないと思います。
スーパー糖質制限食が辛くなければ、このまま続けられて内服薬なしで自分自身のインスリン分泌能が低下することはないと思います。
江部康二
5年目の糖尿人さんから、DPP-4阻害薬についてコメント・質問をいただきました。
【11/01/12 5年目の糖尿人
DPP-4阻害薬
5年前に75gブドウ糖負荷試験で空腹時血糖93、30分215、60分300、120分300、180分115、インスリン空腹時2、30分29、60分58、120分115、180分13となりインスリン分泌が遅れ、さらに分泌量も少ない2型タイプの糖尿病と診断された50代のおやじです。そのとき江部先生のブログを知り「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」を購入、薬なしでスーパー糖質制限食だけ実践してきました。現在では体重80Kg→60Kg、尿糖(±)→(-)、HbA1c7.0→4.9、その他の血液検査も全て正常値になり感謝しております。お付き合いなどでどうしても炭水化物を取らなければならないときはαグルコシダーゼ阻害薬(ベイスン)を食直前に飲んでいますが、気休め程度の効果しかないようです。
ところで、DPP-4阻害薬(薬品名ジャヌビア錠など)が2011年1月から長期投与が可能になったようですが、
①普段は薬なしのスーパー糖質制限食で、どうしても炭水化物を取らなければならないときだけDPP-4阻害薬を服用した場合でも、食後高血糖を下げる効果は期待できるのでしょうか?
②インスリン分泌が遅れ、さらに分泌量も少ない2型タイプの糖尿病ではDPP-4阻害薬は適用になるのでしょうか?
(主治医に質問したところ、将来、膵臓のインスリン分泌力がもっと落ちてきたら使いましょうと言われました。)】
5年目の糖尿人さん。
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」のご購入、ありがとうございます。
【薬なしでスーパー糖質制限食だけ実践してきました。現在では体重80Kg→60Kg、尿糖(±)→(-)、HbA1c7.0→4.9、その他の血液検査も全て正常値】
素晴らしい改善ですね。
良かったです。
【①普段は薬なしのスーパー糖質制限食で、どうしても炭水化物を取らなければならないときだけDPP-4阻害薬を服用した場合でも、食後高血糖を下げる効果は期待できるのでしょうか?】
このパターンは、食後高血糖を下げる効果は少しだけです。それほど多くは期待できません。
主食摂取前30秒に
「グルコバイ或いはグルファスト」
または
「グルコバイ+グルファスト」
のほうが、もう少し確実に食後血糖値を下げると思います。
それでも主食一人前食べれば、食後血糖値は180mgを超えるので、1/2~2/3人前くらいが好ましいです。
【②インスリン分泌が遅れ、さらに分泌量も少ない2型タイプの糖尿病ではDPP-4阻害薬は適用になるのでしょうか?】
DPP-4阻害薬は、インスリン分泌能がたくさん残っているほど、効果もでやすいので、軽症から使用する第一選択肢の薬剤の一つです。
もっとも、5年目の糖尿人さんは、スーパー糖質制限食でHbA1c4.9%なので、内服薬は必要ないと思います。
スーパー糖質制限食が辛くなければ、このまま続けられて内服薬なしで自分自身のインスリン分泌能が低下することはないと思います。
江部康二
2011年01月12日 (水)

こんにちは。
今朝も出勤の時、車の温度計は零度をさしてました。
寒さ厳しい京都です。
さて、こう@電車おやじさんから、とても嬉しいコメントをいただきました。
【 11/01/12 こう@電車おやじ
感謝です。
場違いな場所にコメントご容赦ください。
9月に糖尿病と診断され、空腹時血糖値229という有様でした。
そのときに先生のブログを検索で知り、その瞬間から糖質制限食を続けています。
おかげさまで薬も不要、データもすべて正常値になりました。
改めて先生の書籍を購入し、系統だてた形で糖質制限食のことを知ることができました。
居ても立っても居られず、レビューをアマゾンにも投稿しました。
今後とも、世間の風に負けず、がんばってください。
ありがとうございました。
http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4816349960/ref=dp_top_cm_cr_acr_txt?ie=UTF8&showViewpoints=1 】
こう@電車おやじ さん。
糖質制限食実践により、薬なしで、データ全てが正常値、良かったです。
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」ナツメ社
のご購入そしてコメントと、アマゾンのレビューありがとうございます。
早速アマゾンも覗いてきました。
レビューを書いていただけるのは著者として嬉しい限りです。(⌒o⌒)v
糖質制限食実践により、薬なしで、データ全てが正常値、良かったです。
こうさんのご指摘通り、系統的に糖質制限食を学ぶには、やはり本がいいと思います。
本ブログも糖尿人の皆さんのお役に立つ情報が満載ですが、あまりに情報量が増えて、私自身が過去記事を検索するのに結構苦労してます。(-_-;)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」は、糖質制限食や糖尿病関連の最新情報が満載ですので、ブログ読者の皆さんも、是非ご一読くださいね。
最新糖質制限食理論、症例、図表、食材のカラー写真・・・、糖尿病・妊娠糖尿病の最新の診断基準、糖尿病の基礎知識・・・Q&Aなど、わかりやすくて豊富な内容となったと自負しています。 (^^)
楽天のレビューでも、5人の方に星5個(☆☆☆☆☆)つけて頂いてます。
http://search.books.rakuten.co.jp/bksearch/nm?g=001&sitem=%C5%FC%C7%A2%C9%C2&x=30&y=11
高雄病院の同僚の医師や購入して頂いた患者さんも異口同音に、わかりやすくて豊富な内容と、誉めていただきました。
ブログ読者の糖尿人の皆さん、是非ご一読頂けば幸いです。
江部康二
2011年01月11日 (火)
こんにちは。
2011年1月7日のasahi.com(朝日新聞)に、
「2500g未満で生まれた女性は妊娠糖尿病のリスクが6倍」
という記事が載っていました。
http://www.asahi.com/health/news/TKY201101070117.html
以下朝日新聞(asahi.com)の記事です。
【体重が2500グラム未満で生まれた女性は、大人になって妊娠糖尿病になりやすいとの調査結果を、厚生労働省研究班がまとめた。この病気は、栄養管理をしないと子どもも将来、肥満や糖尿病になりやすくなる。近年、小さい赤ちゃんを産もうとダイエットをする女性も増えており、専門医は「過剰な減量は控え、バランス良い食事と運動を心がけて欲しい」と話している。
研究班の国立成育医療研究センター母性医療診療部の荒田尚子医長らが2006~09年、センターを受診した363人を対象に妊娠糖尿病の有無と生まれた時の体重を調べた。この結果、生まれた時に2500グラム未満の女性は、2500~4千グラム未満の女性より、妊娠糖尿病に約6倍なりやすかった。遺伝による体質のほか、胎児のころの栄養不足で血糖値を調整するインスリンを作る力が弱くなったことが原因とみられるという。
お母さんが妊娠糖尿病だと、子どもは4千グラム以上で生まれやすく、将来、糖尿病や肥満になる可能性が高くなるという。
もともと妊娠すると、胎盤から出るホルモンの影響で、血糖値を下げる効果のあるインスリンが効きにくくなり、血糖値が上がりやすい。この値が上がりすぎると、妊娠糖尿病になってしまう。
経済協力開発機構(OECD)の09年の報告書などによると、2500グラム未満の赤ちゃんの割合は日本が9.7%。31カ国で2番目に高かった。平均体重も80年ごろから下がり続けている。
荒田医長は「この病気は予防できるし、適切な栄養管理と運動をすれば子どもへの影響もないので、医師に相談して欲しい」と話している。(杉本崇)
◇
〈妊娠糖尿病〉 35歳以上、肥満、糖尿病の家族がいる人がなりやすい。日本糖尿病・妊娠学会などは昨年、ほかの先進国並みに基準を厳しくしたため、妊婦の8%が対象になるとみられる。血糖値が高いと、妊娠高血圧症候群にもなりやすくなり、流産や早産の危険も高くなる。出産後も糖尿病になりやすくなる。】
「小さく産んで大きく育てる」とか日本では昔から言われてきましたが、限度があることが、はっきりしたようです。
「生まれたときの体重が2500g未満の女性は、2500~4000g未満の女性よりも、約6倍妊娠糖尿病になりすい」とすれば、妊娠中の女性は、適正体重を保って、太り過ぎにも痩せすぎにもならないように 、コントロールすることが大切ですね。
もし仮に妊娠糖尿病でも糖尿病妊娠でも、糖質制限食実践で、血糖コントロールと体重コントロールが容易となります。
また、正常妊婦が糖質制限食をしても、何の問題もありあません。
私の長女は糖尿人でも妊娠糖尿病でもありませんでしたが、緩めの糖質制限食で適正体重を楽にキープして、元気な3095gの赤ちゃんを無事出産しました。
なお2500g未満で生まれた女性は、糖尿病でなくても、妊娠前から緩やかでいいので糖質制限食を心がけていれば、妊娠後も妊娠糖尿病が予防できると思います。
糖質制限食なら、食後血糖値はほとんど上昇しません。緩やかな糖質制限食でも食後血糖値の上昇は軽度ですみます。
一方、カロリー制限食を実践しても、糖質を摂取してしまえば、必ず食後血糖値が上昇するので、妊娠糖尿病のリスクを減らすことは難しいと思います。
江部康二
2011年1月7日のasahi.com(朝日新聞)に、
「2500g未満で生まれた女性は妊娠糖尿病のリスクが6倍」
という記事が載っていました。
http://www.asahi.com/health/news/TKY201101070117.html
以下朝日新聞(asahi.com)の記事です。
【体重が2500グラム未満で生まれた女性は、大人になって妊娠糖尿病になりやすいとの調査結果を、厚生労働省研究班がまとめた。この病気は、栄養管理をしないと子どもも将来、肥満や糖尿病になりやすくなる。近年、小さい赤ちゃんを産もうとダイエットをする女性も増えており、専門医は「過剰な減量は控え、バランス良い食事と運動を心がけて欲しい」と話している。
研究班の国立成育医療研究センター母性医療診療部の荒田尚子医長らが2006~09年、センターを受診した363人を対象に妊娠糖尿病の有無と生まれた時の体重を調べた。この結果、生まれた時に2500グラム未満の女性は、2500~4千グラム未満の女性より、妊娠糖尿病に約6倍なりやすかった。遺伝による体質のほか、胎児のころの栄養不足で血糖値を調整するインスリンを作る力が弱くなったことが原因とみられるという。
お母さんが妊娠糖尿病だと、子どもは4千グラム以上で生まれやすく、将来、糖尿病や肥満になる可能性が高くなるという。
もともと妊娠すると、胎盤から出るホルモンの影響で、血糖値を下げる効果のあるインスリンが効きにくくなり、血糖値が上がりやすい。この値が上がりすぎると、妊娠糖尿病になってしまう。
経済協力開発機構(OECD)の09年の報告書などによると、2500グラム未満の赤ちゃんの割合は日本が9.7%。31カ国で2番目に高かった。平均体重も80年ごろから下がり続けている。
荒田医長は「この病気は予防できるし、適切な栄養管理と運動をすれば子どもへの影響もないので、医師に相談して欲しい」と話している。(杉本崇)
◇
〈妊娠糖尿病〉 35歳以上、肥満、糖尿病の家族がいる人がなりやすい。日本糖尿病・妊娠学会などは昨年、ほかの先進国並みに基準を厳しくしたため、妊婦の8%が対象になるとみられる。血糖値が高いと、妊娠高血圧症候群にもなりやすくなり、流産や早産の危険も高くなる。出産後も糖尿病になりやすくなる。】
「小さく産んで大きく育てる」とか日本では昔から言われてきましたが、限度があることが、はっきりしたようです。
「生まれたときの体重が2500g未満の女性は、2500~4000g未満の女性よりも、約6倍妊娠糖尿病になりすい」とすれば、妊娠中の女性は、適正体重を保って、太り過ぎにも痩せすぎにもならないように 、コントロールすることが大切ですね。
もし仮に妊娠糖尿病でも糖尿病妊娠でも、糖質制限食実践で、血糖コントロールと体重コントロールが容易となります。
また、正常妊婦が糖質制限食をしても、何の問題もありあません。
私の長女は糖尿人でも妊娠糖尿病でもありませんでしたが、緩めの糖質制限食で適正体重を楽にキープして、元気な3095gの赤ちゃんを無事出産しました。
なお2500g未満で生まれた女性は、糖尿病でなくても、妊娠前から緩やかでいいので糖質制限食を心がけていれば、妊娠後も妊娠糖尿病が予防できると思います。
糖質制限食なら、食後血糖値はほとんど上昇しません。緩やかな糖質制限食でも食後血糖値の上昇は軽度ですみます。
一方、カロリー制限食を実践しても、糖質を摂取してしまえば、必ず食後血糖値が上昇するので、妊娠糖尿病のリスクを減らすことは難しいと思います。
江部康二
2011年01月10日 (月)
こんばんは。
今日も朝から雪がちらついている京都です。
さて今回は、らこさんから、「空腹時血糖値が正常で食後高血糖タイプ」を早期発見するにはどうしたらいいかとのコメント・質問をいただきました。
【11/01/09 らこ
随時血糖値200mg/dL以上
rikkoさんがかいておられる「随時血糖値200mg/dL以上」について私らこも疑問を感じております。
食後高血糖タイプ2型の場合、
1.空腹時血糖値は正常値範囲で低い。
2.検査時血糖値も食後1時間値が突出して2時間値が低い人は
「ブドウ糖負荷検査」でも2時間値は正常範囲
3.HbA1cも概ね低めに出る(2時間後は正常値の範囲なので)
となります。食事や飲酒で75g以上の糖質を摂取することは簡単です。
私らこは「甘口発泡ワイン」「菓子」で摂取していた計算になります。
発泡ワインを毎晩1本(750ml)呑んで、
時々2本呑んでいたからこれだけでアウトです><
正月の餅食いも「糖尿家族のロシアン・ルーレット」でした><
自分自身の不摂生が原因で糖尿病になったことは仕方ないのですが、
「随時血糖値200mg/dL以上2回 → 糖尿病認定」が食後高血糖タイプ2型の場合、
自分で血糖値測定器を持っていないとほとんど見つけられないことが
大問題だと思うのです。
インシュリン注射打っていないと健保が利かない、のも変な考え方と感じます。
「薬を死ぬまで飲み続けて、血糖値は測定するな」
と同じ意味を持つからです。
食後1時間で診察に行っても、診療の混み具合で採血が何分後かは違いますから、
患者側では裁量の余地が皆無です><
数多くの合併症を抱えていましたが、「重篤な合併症」ありません。しかし
1.自分自身も扁桃腺肥大で死にかかった
2.姉は扁桃腺肥大で死んだ
ですから
「重篤でない合併症」でも運が悪い人は死ぬこともある
が我が家で実際に起こっています。
餅を子供でも3枚雑煮にして食う習慣があったので、
これは75gブドウ糖負荷テストよりも重いです。
食後高血糖タイプ2型が「きちんと簡単に判定される」ようにするには、どうすれば最善なのでしょうか?】
らこさん。
コメントありがとうございます。
仰有る通り、現行の健康診断では、ほとんどの企業で空腹時血糖値しか測定しないので、食後高血糖タイプを見逃してしまう確率が高いです。
糖尿病学会内部でも、糖尿病の早期発見には、健康診断で食後の血糖値を測定するほうが良いという意見もあります。
しかし、1回の健康診断で、腹部エコーや胃の検査などを一緒にするとなると、どうしても空腹時採血となってしまいます。
食後高血糖が数年から10年続いて、初めて空腹時血糖値が110mg/dlを超えてくることが多いのです。
こうなると、健康診断に頼っているだけでは、一番大切な、予備軍や早期糖尿病の段階で発見するのは困難ということになります。
まあそれで、2008年4月からのメタボ健診では、特定保健指導レベルの基準値が
HbA1c:5.2% 以上
空腹時血糖値:100mg/dl 以上
とされました。
空腹時血糖値100mg/dL~110mg/dL未満の場合は<正常高値>とすることになりました。
つまり、正常範囲だけれども、HbA1c5.2%以上の人や空腹時血糖値が正常高値の人は、空腹時血糖値100mg未満やHbA1c5.1%以下の人に比べると、糖尿病や予備軍が隠れている確率が高いということで、より詳しい糖尿病検査(例えば75g経口ブドウ糖負荷試験)が推奨されるという糖尿病学会の見解です。
糖尿病の早期発見に役立つのはいいとして、この基準では40才以上の男性の6割近く、女性でも4割強が異常値とされてしまいます。
これら数百万人に75g経口ブドウ糖負荷試験を実施するとしたら、その手間暇と医療費は莫大なものとなりますので、とても現実的とは言えません。。
そんな医療費をかけるよりは、ドラッグストアで尿糖検査紙を購入して、食後1~2時間の尿糖を調べれば、食後高血糖を拾い上げることができます。この場合の食事は、普通に一人前の主食(糖質)を摂取します。
勿論、個人差はあるのですが食後血糖値が、180mg/dlを超えると尿糖が陽性になります。
つまり、尿糖陽性が確認できた人は、食後高血糖がある可能性が高いので、病院にいってきっちり糖尿病の検査をすることが推奨されます。
食後血糖値が180mg/dlを超えた場合、現在既に予備軍であるか、そうでなくても、将来糖尿病になる確率は高いとされていますので・・・。
これなら、病院にいかなくていいし、
血糖自己測定器も買わなくていいし、
血液採取もいらないし、
全く無痛だし、
簡便だし、
安価だし・・・
ということで、現在糖尿人でないとされている方々は、時々、尿糖をチェックすることがお奨めです。
そうすれば糖尿病予備軍か、ごく早期の段階で拾い上げることができますので・・・
江部康二
今日も朝から雪がちらついている京都です。
さて今回は、らこさんから、「空腹時血糖値が正常で食後高血糖タイプ」を早期発見するにはどうしたらいいかとのコメント・質問をいただきました。
【11/01/09 らこ
随時血糖値200mg/dL以上
rikkoさんがかいておられる「随時血糖値200mg/dL以上」について私らこも疑問を感じております。
食後高血糖タイプ2型の場合、
1.空腹時血糖値は正常値範囲で低い。
2.検査時血糖値も食後1時間値が突出して2時間値が低い人は
「ブドウ糖負荷検査」でも2時間値は正常範囲
3.HbA1cも概ね低めに出る(2時間後は正常値の範囲なので)
となります。食事や飲酒で75g以上の糖質を摂取することは簡単です。
私らこは「甘口発泡ワイン」「菓子」で摂取していた計算になります。
発泡ワインを毎晩1本(750ml)呑んで、
時々2本呑んでいたからこれだけでアウトです><
正月の餅食いも「糖尿家族のロシアン・ルーレット」でした><
自分自身の不摂生が原因で糖尿病になったことは仕方ないのですが、
「随時血糖値200mg/dL以上2回 → 糖尿病認定」が食後高血糖タイプ2型の場合、
自分で血糖値測定器を持っていないとほとんど見つけられないことが
大問題だと思うのです。
インシュリン注射打っていないと健保が利かない、のも変な考え方と感じます。
「薬を死ぬまで飲み続けて、血糖値は測定するな」
と同じ意味を持つからです。
食後1時間で診察に行っても、診療の混み具合で採血が何分後かは違いますから、
患者側では裁量の余地が皆無です><
数多くの合併症を抱えていましたが、「重篤な合併症」ありません。しかし
1.自分自身も扁桃腺肥大で死にかかった
2.姉は扁桃腺肥大で死んだ
ですから
「重篤でない合併症」でも運が悪い人は死ぬこともある
が我が家で実際に起こっています。
餅を子供でも3枚雑煮にして食う習慣があったので、
これは75gブドウ糖負荷テストよりも重いです。
食後高血糖タイプ2型が「きちんと簡単に判定される」ようにするには、どうすれば最善なのでしょうか?】
らこさん。
コメントありがとうございます。
仰有る通り、現行の健康診断では、ほとんどの企業で空腹時血糖値しか測定しないので、食後高血糖タイプを見逃してしまう確率が高いです。
糖尿病学会内部でも、糖尿病の早期発見には、健康診断で食後の血糖値を測定するほうが良いという意見もあります。
しかし、1回の健康診断で、腹部エコーや胃の検査などを一緒にするとなると、どうしても空腹時採血となってしまいます。
食後高血糖が数年から10年続いて、初めて空腹時血糖値が110mg/dlを超えてくることが多いのです。
こうなると、健康診断に頼っているだけでは、一番大切な、予備軍や早期糖尿病の段階で発見するのは困難ということになります。
まあそれで、2008年4月からのメタボ健診では、特定保健指導レベルの基準値が
HbA1c:5.2% 以上
空腹時血糖値:100mg/dl 以上
とされました。
空腹時血糖値100mg/dL~110mg/dL未満の場合は<正常高値>とすることになりました。
つまり、正常範囲だけれども、HbA1c5.2%以上の人や空腹時血糖値が正常高値の人は、空腹時血糖値100mg未満やHbA1c5.1%以下の人に比べると、糖尿病や予備軍が隠れている確率が高いということで、より詳しい糖尿病検査(例えば75g経口ブドウ糖負荷試験)が推奨されるという糖尿病学会の見解です。
糖尿病の早期発見に役立つのはいいとして、この基準では40才以上の男性の6割近く、女性でも4割強が異常値とされてしまいます。
これら数百万人に75g経口ブドウ糖負荷試験を実施するとしたら、その手間暇と医療費は莫大なものとなりますので、とても現実的とは言えません。。
そんな医療費をかけるよりは、ドラッグストアで尿糖検査紙を購入して、食後1~2時間の尿糖を調べれば、食後高血糖を拾い上げることができます。この場合の食事は、普通に一人前の主食(糖質)を摂取します。
勿論、個人差はあるのですが食後血糖値が、180mg/dlを超えると尿糖が陽性になります。
つまり、尿糖陽性が確認できた人は、食後高血糖がある可能性が高いので、病院にいってきっちり糖尿病の検査をすることが推奨されます。
食後血糖値が180mg/dlを超えた場合、現在既に予備軍であるか、そうでなくても、将来糖尿病になる確率は高いとされていますので・・・。
これなら、病院にいかなくていいし、
血糖自己測定器も買わなくていいし、
血液採取もいらないし、
全く無痛だし、
簡便だし、
安価だし・・・
ということで、現在糖尿人でないとされている方々は、時々、尿糖をチェックすることがお奨めです。
そうすれば糖尿病予備軍か、ごく早期の段階で拾い上げることができますので・・・
江部康二
2011年01月09日 (日)
こんにちは。
今回は糖質制限食とテーラーメード・ダイエット③です。
糖尿病の人が糖質を一人前摂取すると、未精製の穀物でさえも、食後血糖値は軽く200mgを超えてきます。この急峻な食後高血糖のことを「グルコーススパイク」とよび、糖尿病の人で動脈硬化が生じる元凶となります。
精製炭水化物を摂取した時に、耐糖能が正常の人でも生じる食後血糖値が160mg、170mgという状態を、私は「グルコースミニスパイク」と名付けました。
このグルコースミニスパイクが、生体の恒常性をかく乱し、アレルギー疾患を悪化させたり、将来の生活習慣病のもととなると思います。
過去、世界中にいろんな食事療法がありましたが、経験的に有効とされているものは、玄米菜食、ゲルソン療法、甲田療法など、基本的にグルコースミニスパイクが少ないという一点で一致しています。
私は現在、世界の文明国に氾濫する生活習慣病の元凶は、精製炭水化物やジャンクフードや清涼飲料水による、グルコースミニスパイクとインスリンの頻回・過剰追加分泌と考えています。
繰り返しますが、グルコースミニスパイクの考えは、
「耐糖能が正常な人でも高GI食品を摂取すると食前血糖値が100mgくらいから食後160~170mgくらいまで上昇し、インスリンの頻回・過剰追加分泌を生じる。」
ということです。
しかし、低GI食品なら、耐糖能が正常な人は、食前100mgくらいから食後140mgくらいまでの上昇ですみ、インスリンの追加分泌も高GI食品にくらべれば少なくてすみます。
つまり、グルコースミニスパイクは、糖尿人ではなく正常人におけるお話しです。
そして、食前と食後の血糖値の差が少ないほど、代謝の恒常性(ホメオスターシス)が保たれて身体に優しいということです。
糖尿病を発症していない段階の人においては、グルコースミニスパイクを防ぐことが、生活習慣病の予防に重要です。
糖尿病以外の慢性疾患の患者さんにおいても、グルコースミニスパイクを防ぎ代謝を安定させて自然治癒力を高めることが大切です。
グルコースミニスパイクを防ぐには、糖質制限食、低GI食品そして運動という選択肢があります。とくに糖質制限食なら、食後の血糖値はほとんど上昇しません。
一方、糖尿人においては、低GI食品でも普通に糖質を一人前摂取すれば、食後血糖値は200mg/dlを超えてきます。
すなわち、正常人では意味のあったGIが、糖尿人ではほとんど無意味となります。
糖尿人においては、糖質制限食以外の食事療法は、必ず食後高血糖を生じて動脈硬化のリスクを背負うこととなり、危険です。従って、糖尿人には糖質制限食が唯一の安全で有効な食事療法です。
☆高雄病院食生活十箇条
アトピー性皮膚炎などアレルギー疾患の患者さんや糖尿病・肥満以外の患者さんに、
そして生活習慣病予防に、「食生活十箇条」を提案しました。
『高雄病院食生活十箇条』
一、主食は未精製の穀物(玄米、全粒粉のパンなど)。運動量により量を調整。
二、白パン・白砂糖など精製炭水化物の摂取は極力減らす
三、発酵食品(味噌、漬け物、納豆など)をきちんと食べる
四、液体でカロリーを摂らない(飲みものは水、番茶、麦茶、ほうじ茶など)
五、魚貝類はしっかり食べ、肉類は適量を摂る
六、季節の野菜や海草はしっかり食べ、旬の果物も適量摂る
七、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)など身体に良い油脂は積極的に摂る
八、牛乳は極力減らし、チーズやプレーンヨーグルトは適量摂る
九、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ
十、食事は楽しく、ゆっくり、よくかんで
☆☆
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、やむを得ず主食を摂るときは未精製の穀物(玄米、全粒粉のパンなど低GI食品)。
四、液体でエネルギーを摂取しない。水や茶はOK。成分未調整豆乳は適量OK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。
*炭水化物=糖質+食物繊維
江部康二
今回は糖質制限食とテーラーメード・ダイエット③です。
糖尿病の人が糖質を一人前摂取すると、未精製の穀物でさえも、食後血糖値は軽く200mgを超えてきます。この急峻な食後高血糖のことを「グルコーススパイク」とよび、糖尿病の人で動脈硬化が生じる元凶となります。
精製炭水化物を摂取した時に、耐糖能が正常の人でも生じる食後血糖値が160mg、170mgという状態を、私は「グルコースミニスパイク」と名付けました。
このグルコースミニスパイクが、生体の恒常性をかく乱し、アレルギー疾患を悪化させたり、将来の生活習慣病のもととなると思います。
過去、世界中にいろんな食事療法がありましたが、経験的に有効とされているものは、玄米菜食、ゲルソン療法、甲田療法など、基本的にグルコースミニスパイクが少ないという一点で一致しています。
私は現在、世界の文明国に氾濫する生活習慣病の元凶は、精製炭水化物やジャンクフードや清涼飲料水による、グルコースミニスパイクとインスリンの頻回・過剰追加分泌と考えています。
繰り返しますが、グルコースミニスパイクの考えは、
「耐糖能が正常な人でも高GI食品を摂取すると食前血糖値が100mgくらいから食後160~170mgくらいまで上昇し、インスリンの頻回・過剰追加分泌を生じる。」
ということです。
しかし、低GI食品なら、耐糖能が正常な人は、食前100mgくらいから食後140mgくらいまでの上昇ですみ、インスリンの追加分泌も高GI食品にくらべれば少なくてすみます。
つまり、グルコースミニスパイクは、糖尿人ではなく正常人におけるお話しです。
そして、食前と食後の血糖値の差が少ないほど、代謝の恒常性(ホメオスターシス)が保たれて身体に優しいということです。
糖尿病を発症していない段階の人においては、グルコースミニスパイクを防ぐことが、生活習慣病の予防に重要です。
糖尿病以外の慢性疾患の患者さんにおいても、グルコースミニスパイクを防ぎ代謝を安定させて自然治癒力を高めることが大切です。
グルコースミニスパイクを防ぐには、糖質制限食、低GI食品そして運動という選択肢があります。とくに糖質制限食なら、食後の血糖値はほとんど上昇しません。
一方、糖尿人においては、低GI食品でも普通に糖質を一人前摂取すれば、食後血糖値は200mg/dlを超えてきます。
すなわち、正常人では意味のあったGIが、糖尿人ではほとんど無意味となります。
糖尿人においては、糖質制限食以外の食事療法は、必ず食後高血糖を生じて動脈硬化のリスクを背負うこととなり、危険です。従って、糖尿人には糖質制限食が唯一の安全で有効な食事療法です。
☆高雄病院食生活十箇条
アトピー性皮膚炎などアレルギー疾患の患者さんや糖尿病・肥満以外の患者さんに、
そして生活習慣病予防に、「食生活十箇条」を提案しました。
『高雄病院食生活十箇条』
一、主食は未精製の穀物(玄米、全粒粉のパンなど)。運動量により量を調整。
二、白パン・白砂糖など精製炭水化物の摂取は極力減らす
三、発酵食品(味噌、漬け物、納豆など)をきちんと食べる
四、液体でカロリーを摂らない(飲みものは水、番茶、麦茶、ほうじ茶など)
五、魚貝類はしっかり食べ、肉類は適量を摂る
六、季節の野菜や海草はしっかり食べ、旬の果物も適量摂る
七、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)など身体に良い油脂は積極的に摂る
八、牛乳は極力減らし、チーズやプレーンヨーグルトは適量摂る
九、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ
十、食事は楽しく、ゆっくり、よくかんで
☆☆
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、やむを得ず主食を摂るときは未精製の穀物(玄米、全粒粉のパンなど低GI食品)。
四、液体でエネルギーを摂取しない。水や茶はOK。成分未調整豆乳は適量OK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。
*炭水化物=糖質+食物繊維
江部康二
2011年01月07日 (金)
こんばんは。
今日も朝は零度の京都です。
さて今回は、ゆかちんさんから、インフルエンザ感染予防とマスク、うがいの効果についてコメント・質問をいただきました。
「11/01/07 ゆかちん
マスクやうがいの効果
明けましておめでとうございます。先生のブログが大好きでいつも勉強させていただいてます。インフルエンザワクチンのお話も大変勉強になりました。ありがとうございます。ところで、うがいの効果について質問したく思います。各メディアで風邪やインフルエンザ予防にマスクやうがいが効果的であると啓蒙する一方、効果がほとんどないという記事も見かけます。私はマスクもうがいもこまめにしますが、周りには効果がないのに神経質だとか言う人もいて、また、そう言う人は人前で口や鼻を覆わずに平気でくしゃみや咳をするのでがっかりします。彼らに理解を得るために先生の理論的なご意見が聞けると嬉しいです。」
ゆかちんさん。
コメントありがとうございます。
インフルエンザウィルスは、口や鼻の粘膜から侵入します。理論的には眼の粘膜からも感染しえるという理屈ですが、さすがにまれと思います。
患者の咳やくしゃみによる分泌物の直接飛沫感染や、分泌物が付着した器物に触れた手で、自分の鼻や口にさわって感染します。
ウィルスが口腔や鼻咽頭の粘膜表面にとりついて、防御を突破して粘膜細胞内に侵入するのに要する時間は、20~30分くらいと言われています。
ウイルスが粘膜内にいったん侵入してしまうと、猛スピードで増殖し、16時間後には1万個に、24時間後には100万個に増えて、粘膜細胞を破壊し始めます。
そして、上気道や下気道に広がり、肺内にも感染します。鼻咽頭や口腔粘膜細胞内で増殖したインフルエンザウィルスは、飲み込まれて消化管粘膜にも感染します。
さて、マスクの効果ですが、飛沫感染をかなり防ぐことができます。
うがいは、目の前で咳をされたら20~30分以内にすれば、侵入される前に洗い流せるので、確実に効果が期待できます。
手洗いは、器物に触って手についたインフルエンザウィルスを含む分泌物を、洗い流すのに有効です。
ということで、マスク、手洗い、うがいはインフルエンザウィルス感染予防におおいに有効と考えられます。
<感染防御の心得>
①医療関係者は、インフルエンザ患者を診察するときはマスクをする。
診察が終わったら必ず手洗いをし、使い捨て紙タオルでふく。
マスクをはずしたときはうがいをする。
②急性の咳や熱がでている当事者はエチケットとして、マスクをする。
③満員電車の中など避けようがない密閉された場所にいくときはマスクをして乗る。
④人混みにでたあとは、手洗い・うがいを励行する。
⑤家族が一人インフルエンザに罹患したら、家の中でも当事者はマスクをする。
その一人は、違う部屋で寝る。
⑥咳で飛沫が飛ぶのは約1mであるので当事者から距離を取る。
⑦鼻水や痰を封じ込めるためにティッシュを使用し、使用後のティッシュは
できればノンタッチごみ箱に廃棄すること
江部康二
今日も朝は零度の京都です。
さて今回は、ゆかちんさんから、インフルエンザ感染予防とマスク、うがいの効果についてコメント・質問をいただきました。
「11/01/07 ゆかちん
マスクやうがいの効果
明けましておめでとうございます。先生のブログが大好きでいつも勉強させていただいてます。インフルエンザワクチンのお話も大変勉強になりました。ありがとうございます。ところで、うがいの効果について質問したく思います。各メディアで風邪やインフルエンザ予防にマスクやうがいが効果的であると啓蒙する一方、効果がほとんどないという記事も見かけます。私はマスクもうがいもこまめにしますが、周りには効果がないのに神経質だとか言う人もいて、また、そう言う人は人前で口や鼻を覆わずに平気でくしゃみや咳をするのでがっかりします。彼らに理解を得るために先生の理論的なご意見が聞けると嬉しいです。」
ゆかちんさん。
コメントありがとうございます。
インフルエンザウィルスは、口や鼻の粘膜から侵入します。理論的には眼の粘膜からも感染しえるという理屈ですが、さすがにまれと思います。
患者の咳やくしゃみによる分泌物の直接飛沫感染や、分泌物が付着した器物に触れた手で、自分の鼻や口にさわって感染します。
ウィルスが口腔や鼻咽頭の粘膜表面にとりついて、防御を突破して粘膜細胞内に侵入するのに要する時間は、20~30分くらいと言われています。
ウイルスが粘膜内にいったん侵入してしまうと、猛スピードで増殖し、16時間後には1万個に、24時間後には100万個に増えて、粘膜細胞を破壊し始めます。
そして、上気道や下気道に広がり、肺内にも感染します。鼻咽頭や口腔粘膜細胞内で増殖したインフルエンザウィルスは、飲み込まれて消化管粘膜にも感染します。
さて、マスクの効果ですが、飛沫感染をかなり防ぐことができます。
うがいは、目の前で咳をされたら20~30分以内にすれば、侵入される前に洗い流せるので、確実に効果が期待できます。
手洗いは、器物に触って手についたインフルエンザウィルスを含む分泌物を、洗い流すのに有効です。
ということで、マスク、手洗い、うがいはインフルエンザウィルス感染予防におおいに有効と考えられます。
<感染防御の心得>
①医療関係者は、インフルエンザ患者を診察するときはマスクをする。
診察が終わったら必ず手洗いをし、使い捨て紙タオルでふく。
マスクをはずしたときはうがいをする。
②急性の咳や熱がでている当事者はエチケットとして、マスクをする。
③満員電車の中など避けようがない密閉された場所にいくときはマスクをして乗る。
④人混みにでたあとは、手洗い・うがいを励行する。
⑤家族が一人インフルエンザに罹患したら、家の中でも当事者はマスクをする。
その一人は、違う部屋で寝る。
⑥咳で飛沫が飛ぶのは約1mであるので当事者から距離を取る。
⑦鼻水や痰を封じ込めるためにティッシュを使用し、使用後のティッシュは
できればノンタッチごみ箱に廃棄すること
江部康二
2011年01月06日 (木)
こんばんは。
今日も夕方から、冷え込みが厳しい京都です。
今夜は、バンド・ターニング・ポイントの新年会です。(^^)
呑みすぎに注意ですね。
さて今回は
『糖質制限食・医療関係者限定セミナー・2011年2月27日(日)東京・中野』
のご案内です。
糖質制限食の広がりは、最近とみに加速しています。
2010年12月に最新刊
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」(ナツメ社)
を刊行しました。
2011年にも、2月~4月に2冊、糖質制限食ダイエットの本を、別の出版社から上梓します。
夜明け前→日の出→ホップ→・・・ステップ・・・→・・・の段階です。ヾ(^▽^)
ジャンプまであと3歩くらいでしょうか?
2005年に初めて「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」を出版したころとは、隔世の感があります。
岐阜、堺、大阪、滋賀、札幌、熊本・・・
医師の皆さんからの講演依頼が各地からぞくぞくと舞い込んでいます。嬉しい限りです。
東京での医療関係者限定セミナーは、1年ぶりですので、ブログ読者の皆さん、是非奮ってご参加下さいね。ヾ(^▽^)
また、知り合いの医療関係者(医師・薬剤師・栄養師・看護師・・・)の方々に、お声をおかけ頂けば幸いです。m(_ _)mVV
以下は、NPO法人糖質制限食ネット・リボーン事務局の曽我部ゆかりさんからのメッセージです。
☆☆☆☆☆
ドクター江部のブログ読者の皆様へ
新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申しあげます。
さて糖質制限食の普及を目的としリボーンの取り組みとして、医療関係者限定のセミナーを企画いたしました。徹底的な理論の解説と実践マニュアルを臨床の現場に生かしていただけるような内容です。受付を開始しています。皆様、お誘い合わせの上、ご参加ください。お待ちしております。
リボーン 曽我部 ゆかり
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
2011年2月27日(日)
特別企画 医療関係者限定セミナー
<糖尿病治療における糖質制限食の有効性>
ー糖尿病・メタボリックシンドローム・肥満・生活習慣病と糖質制限食ー
豊富な症例をもとにした理論と実践
栄養指導ガイド
<1部>講師・江部康二が、高雄病院の豊富な症例をもとにした理論と実践を徹底的に解説。一般向け講演に比べて糖質制限食の理論をとくに詳細に展開します。
<2部>新しい試みとして、糖質制限食の臨床経験豊富な管理栄養士の講師・大柳珠美が、ドクターを対称とした患者さんへの栄養指導のポイントを解説。日々の臨床現場で役立つ資料をご用意しています。
<日時>2011年2月27日(日)
タイムスケジュール(予定):
13時00分開場
13時30分~基調講演 江部康二(1時間30分)
15時00分~休憩(10分)
15時10分~栄養指導ガイド 大柳珠美(1時間)
16時10分~休憩(10分)
16時20分~質疑応答(30分)
16時50分終了
<会場>中野サンプラザ研修室1
住所 東京都中野区中野4-1-1
電話 03-3388-1174
<道順> JR中央線・総武線、地下鉄東西線中野駅北口下車1分
<会費>一般8000円 リボーン会員6000円 学生4000円
(資料付き)
<定員>90名まで
<申し込み>reborn@big.or.jp
03-3388-5428 (電話、ファックス同じ)
☆事前に郵便振替でご送金ください。当日受付は致しません。
申込〆切 2011年2月20日
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
郵便振替 口座番号 00110-9-393366
口座名称 リボーン
<主催>NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
<講師プロフィール>
江部康二(えべこうじ)
内科医、漢方医、(財)高雄病院理事長、NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事長。1950年生まれ。京都大学医学部卒業。2002年に自ら糖尿病であると気づいて以来、糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服。高雄病院でに数多くの臨床活動を通じて、糖尿病・肥満・メタボリック症候群などに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明。テーラーメイドダイエットとの2本立てでアトピーなど生活習慣病全般への効果も確立している。著書『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』(シリーズ展開中/東洋経済新報社刊)はベストセラーに。『我ら糖尿人、元気なのにはわけがある』『京都の名医に聞く。やせる食べ方』が話題に。ブログ『ドクター江部の糖尿病徒然日記』(http://koujiebe.blog95.fc2.com/)は日に3000件を超えるアクセスがあり糖尿病患者さんの間で絶大な支持を得ている。
大柳珠美(おおやなぎたまみ)
管理栄養士、(有)コンコルディア代表、NPO法人糖質制限食ネット・リボーン副理事長。1968年、熊本県生まれ。二葉栄養専門学校(栄養士科)卒業。明星大学(人文学部・心理教育専攻)卒業。2006年から糖質制限理論の実践、栄養カウンセリングに取り組み、現在は都内クリニック(ひめのともみクリニック(東京・五反田)、練馬駅西口眼科クリニック(東京・練馬))、小松川クリニック(東京・小松川)にて個人指導を担当している。テレビ出演、雑誌の執筆など、各方面でも活躍中。ブログ『管理栄養士のローカーボキッチン』(http://web.mac.com/concordia1/)が話題をよんでいる。
『糖尿病のための「糖質オフごちそうごはん」』(アスペクト)『血糖値を上げない!健康おつまみ109』(東洋経済社)『血糖値が高い人と家族のための大満足レシピ』(日本文芸社)などの著書の他、『満腹ダイエット』『酒飲みダイエット』(プレジデント社)の監修をつとめる。
☆☆☆☆☆
<NPO法人糖質制限食ネット・リボーン入会のご案内>
~薬に頼らない医療の実現を目指し「食」の根底を見直す~
NPO法人糖質制限食ネット・リボーン誕生
リボーンは、『食事で治す』をキーワードに、糖尿病やアトピーなど生活習慣病全般の改善のために有効な糖質制限食とテーラーメイドダイエットの理論と実践法を、広く一般社会に普及してくため活動を開始いたしました(NPO法人として2009年1月7日に創立)。
主な活動内容は、糖質制限食の『講演会・セミナー・交流会の開催』『人材育成』『医療機関と他団体とのネットワーク構築』『食と生活習慣病に関する相談窓口開設』『情報集と情報提供』『研究・普及啓発』などになります。
私たちの活動はより多くの市民の方々の参加によって成り立ち発展していきます。
薬に頼らない医療の実現を願い、私たちとともに、「食」の根底を見直していきませんか。
多くの方々のご参加を心よりお待ちしております。
●お申し込み●
NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
担当 曽我部 ゆかり
reborn@big.or.jp
〒165-0026 東京都中野区新井4-4-2-4B
TEL,FAX 03-3388-5428
今日も夕方から、冷え込みが厳しい京都です。
今夜は、バンド・ターニング・ポイントの新年会です。(^^)
呑みすぎに注意ですね。
さて今回は
『糖質制限食・医療関係者限定セミナー・2011年2月27日(日)東京・中野』
のご案内です。
糖質制限食の広がりは、最近とみに加速しています。
2010年12月に最新刊
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」(ナツメ社)
を刊行しました。
2011年にも、2月~4月に2冊、糖質制限食ダイエットの本を、別の出版社から上梓します。
夜明け前→日の出→ホップ→・・・ステップ・・・→・・・の段階です。ヾ(^▽^)
ジャンプまであと3歩くらいでしょうか?
2005年に初めて「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」を出版したころとは、隔世の感があります。
岐阜、堺、大阪、滋賀、札幌、熊本・・・
医師の皆さんからの講演依頼が各地からぞくぞくと舞い込んでいます。嬉しい限りです。
東京での医療関係者限定セミナーは、1年ぶりですので、ブログ読者の皆さん、是非奮ってご参加下さいね。ヾ(^▽^)
また、知り合いの医療関係者(医師・薬剤師・栄養師・看護師・・・)の方々に、お声をおかけ頂けば幸いです。m(_ _)mVV
以下は、NPO法人糖質制限食ネット・リボーン事務局の曽我部ゆかりさんからのメッセージです。
☆☆☆☆☆
ドクター江部のブログ読者の皆様へ
新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申しあげます。
さて糖質制限食の普及を目的としリボーンの取り組みとして、医療関係者限定のセミナーを企画いたしました。徹底的な理論の解説と実践マニュアルを臨床の現場に生かしていただけるような内容です。受付を開始しています。皆様、お誘い合わせの上、ご参加ください。お待ちしております。
リボーン 曽我部 ゆかり
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
2011年2月27日(日)
特別企画 医療関係者限定セミナー
<糖尿病治療における糖質制限食の有効性>
ー糖尿病・メタボリックシンドローム・肥満・生活習慣病と糖質制限食ー
豊富な症例をもとにした理論と実践
栄養指導ガイド
<1部>講師・江部康二が、高雄病院の豊富な症例をもとにした理論と実践を徹底的に解説。一般向け講演に比べて糖質制限食の理論をとくに詳細に展開します。
<2部>新しい試みとして、糖質制限食の臨床経験豊富な管理栄養士の講師・大柳珠美が、ドクターを対称とした患者さんへの栄養指導のポイントを解説。日々の臨床現場で役立つ資料をご用意しています。
<日時>2011年2月27日(日)
タイムスケジュール(予定):
13時00分開場
13時30分~基調講演 江部康二(1時間30分)
15時00分~休憩(10分)
15時10分~栄養指導ガイド 大柳珠美(1時間)
16時10分~休憩(10分)
16時20分~質疑応答(30分)
16時50分終了
<会場>中野サンプラザ研修室1
住所 東京都中野区中野4-1-1
電話 03-3388-1174
<道順> JR中央線・総武線、地下鉄東西線中野駅北口下車1分
<会費>一般8000円 リボーン会員6000円 学生4000円
(資料付き)
<定員>90名まで
<申し込み>reborn@big.or.jp
03-3388-5428 (電話、ファックス同じ)
☆事前に郵便振替でご送金ください。当日受付は致しません。
申込〆切 2011年2月20日
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
郵便振替 口座番号 00110-9-393366
口座名称 リボーン
<主催>NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
<講師プロフィール>
江部康二(えべこうじ)
内科医、漢方医、(財)高雄病院理事長、NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事長。1950年生まれ。京都大学医学部卒業。2002年に自ら糖尿病であると気づいて以来、糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服。高雄病院でに数多くの臨床活動を通じて、糖尿病・肥満・メタボリック症候群などに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明。テーラーメイドダイエットとの2本立てでアトピーなど生活習慣病全般への効果も確立している。著書『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』(シリーズ展開中/東洋経済新報社刊)はベストセラーに。『我ら糖尿人、元気なのにはわけがある』『京都の名医に聞く。やせる食べ方』が話題に。ブログ『ドクター江部の糖尿病徒然日記』(http://koujiebe.blog95.fc2.com/)は日に3000件を超えるアクセスがあり糖尿病患者さんの間で絶大な支持を得ている。
大柳珠美(おおやなぎたまみ)
管理栄養士、(有)コンコルディア代表、NPO法人糖質制限食ネット・リボーン副理事長。1968年、熊本県生まれ。二葉栄養専門学校(栄養士科)卒業。明星大学(人文学部・心理教育専攻)卒業。2006年から糖質制限理論の実践、栄養カウンセリングに取り組み、現在は都内クリニック(ひめのともみクリニック(東京・五反田)、練馬駅西口眼科クリニック(東京・練馬))、小松川クリニック(東京・小松川)にて個人指導を担当している。テレビ出演、雑誌の執筆など、各方面でも活躍中。ブログ『管理栄養士のローカーボキッチン』(http://web.mac.com/concordia1/)が話題をよんでいる。
『糖尿病のための「糖質オフごちそうごはん」』(アスペクト)『血糖値を上げない!健康おつまみ109』(東洋経済社)『血糖値が高い人と家族のための大満足レシピ』(日本文芸社)などの著書の他、『満腹ダイエット』『酒飲みダイエット』(プレジデント社)の監修をつとめる。
☆☆☆☆☆
<NPO法人糖質制限食ネット・リボーン入会のご案内>
~薬に頼らない医療の実現を目指し「食」の根底を見直す~
NPO法人糖質制限食ネット・リボーン誕生
リボーンは、『食事で治す』をキーワードに、糖尿病やアトピーなど生活習慣病全般の改善のために有効な糖質制限食とテーラーメイドダイエットの理論と実践法を、広く一般社会に普及してくため活動を開始いたしました(NPO法人として2009年1月7日に創立)。
主な活動内容は、糖質制限食の『講演会・セミナー・交流会の開催』『人材育成』『医療機関と他団体とのネットワーク構築』『食と生活習慣病に関する相談窓口開設』『情報集と情報提供』『研究・普及啓発』などになります。
私たちの活動はより多くの市民の方々の参加によって成り立ち発展していきます。
薬に頼らない医療の実現を願い、私たちとともに、「食」の根底を見直していきませんか。
多くの方々のご参加を心よりお待ちしております。
●お申し込み●
NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
担当 曽我部 ゆかり
reborn@big.or.jp
〒165-0026 東京都中野区新井4-4-2-4B
TEL,FAX 03-3388-5428
2011年01月05日 (水)
おはようございます。
今朝も車の温度計は零度で、フロントガラスには氷が貼ってました。
さて今回は、糖質制限食とテーラーメード・ダイエット②2011年1月版です。
「雨ニモマケズ」 宮沢賢治
【雨にも負けず
風にも負けず
雪にも夏の暑さにも負けぬ
丈夫なからだをもち
慾はなく
決して怒らず
いつも静かに笑っている
一日に玄米四合と
味噌と少しの野菜を食べ
あらゆることを
自分を勘定に入れずに
よく見聞きし分かり
そして忘れず
野原の松の林の陰の
小さな萱ぶきの小屋にいて
東に病気の子供あれば
行って看病してやり
西に疲れた母あれば
行ってその稲の束を負い
南に死にそうな人あれば
行ってこわがらなくてもいいといい
北に喧嘩や訴訟があれば
つまらないからやめろといい
日照りの時は涙を流し
寒さの夏はおろおろ歩き
みんなにでくのぼーと呼ばれ
褒められもせず
苦にもされず
そういうものに
わたしは
なりたい】
宮沢賢治は玄米4合ですが、今の我々からみると、超大量のご飯ですね。
一般の人は、玄米ではなく白米をしっかり食べていたと思います。
それでも糖尿病にはならなかった。決定的な差はやはり運動量が大きいと思います。
明治のように、電気もガスも水道も自動車も自転車もない時代は、日常生活や家事そのものが結構な運動であったと考えられます。
水くみ、拭き掃除、掃き掃除、庭仕事、薪つくり、隣町までお使い・・・
現代人に比べれば10倍くらいの桁違いの運動量でしょう。
これならば、白米を食べて血糖値が上昇しかけても、インスリンに依存することなく即効、筋肉細胞がブドウ糖を取り込んでくれるので、膵臓のβ細胞への負担も少なくてすみます。
日本において、自動車の保有台数と糖尿病罹患者数のグラフが、右肩上がりの平行線というデータもあります。
さらに徳島県は、30年間にわたり日本一人口あたりの糖尿病患者数が、一番多い(2~3年前に一度だけ2位になったが翌年即1位に返り咲き)ので有名です。
そして、公共道路交通網が最も未発達な県としても有名です。近くにも自動車でいき、運動不足となる生活習慣となります。ついでにお米の一人あたりの消費量も日本一だそうですが・・・。
糖尿病に既に罹患している人は、糖質を一人前摂取すれば、必ず食後2時間血糖値は200mg/dlを超えてきます。
また、肥満した人が糖質を摂取すれば、体重減少させるのは極めて困難です。これらの方には、糖質制限食しかありません。
逆に言えば、糖尿病・肥満のない人は、自分の日常の運動量に応じて、糖質を摂取することが可能と言えます。
そのようにして食べ分けていくこと(テーラーメード・ダイエット)が、人類68億人を養っていくには、不可欠といえます。
例えば、野球部やサッカー部で毎日たっぷり運動している子供達は、例え白米を丼で2~3杯食べたとしても、筋肉がどんどん血糖を取り込むので、インスリン追加分泌など膵臓への負担もごく少なくてすむと思います。
一方、本が好きで運動をほとんどしない子供であれば、糖質摂取量は、あるていど減らしたほうが無難です。
また正常人が糖質を摂取する場合は、グルコースミニスパイクに関して、GIが一定の意味をもつと思いますので、未精製の穀物などGIの低いものを運動量に応じて主食にするのがよいと思います。
江部康二
今朝も車の温度計は零度で、フロントガラスには氷が貼ってました。
さて今回は、糖質制限食とテーラーメード・ダイエット②2011年1月版です。
「雨ニモマケズ」 宮沢賢治
【雨にも負けず
風にも負けず
雪にも夏の暑さにも負けぬ
丈夫なからだをもち
慾はなく
決して怒らず
いつも静かに笑っている
一日に玄米四合と
味噌と少しの野菜を食べ
あらゆることを
自分を勘定に入れずに
よく見聞きし分かり
そして忘れず
野原の松の林の陰の
小さな萱ぶきの小屋にいて
東に病気の子供あれば
行って看病してやり
西に疲れた母あれば
行ってその稲の束を負い
南に死にそうな人あれば
行ってこわがらなくてもいいといい
北に喧嘩や訴訟があれば
つまらないからやめろといい
日照りの時は涙を流し
寒さの夏はおろおろ歩き
みんなにでくのぼーと呼ばれ
褒められもせず
苦にもされず
そういうものに
わたしは
なりたい】
宮沢賢治は玄米4合ですが、今の我々からみると、超大量のご飯ですね。
一般の人は、玄米ではなく白米をしっかり食べていたと思います。
それでも糖尿病にはならなかった。決定的な差はやはり運動量が大きいと思います。
明治のように、電気もガスも水道も自動車も自転車もない時代は、日常生活や家事そのものが結構な運動であったと考えられます。
水くみ、拭き掃除、掃き掃除、庭仕事、薪つくり、隣町までお使い・・・
現代人に比べれば10倍くらいの桁違いの運動量でしょう。
これならば、白米を食べて血糖値が上昇しかけても、インスリンに依存することなく即効、筋肉細胞がブドウ糖を取り込んでくれるので、膵臓のβ細胞への負担も少なくてすみます。
日本において、自動車の保有台数と糖尿病罹患者数のグラフが、右肩上がりの平行線というデータもあります。
さらに徳島県は、30年間にわたり日本一人口あたりの糖尿病患者数が、一番多い(2~3年前に一度だけ2位になったが翌年即1位に返り咲き)ので有名です。
そして、公共道路交通網が最も未発達な県としても有名です。近くにも自動車でいき、運動不足となる生活習慣となります。ついでにお米の一人あたりの消費量も日本一だそうですが・・・。
糖尿病に既に罹患している人は、糖質を一人前摂取すれば、必ず食後2時間血糖値は200mg/dlを超えてきます。
また、肥満した人が糖質を摂取すれば、体重減少させるのは極めて困難です。これらの方には、糖質制限食しかありません。
逆に言えば、糖尿病・肥満のない人は、自分の日常の運動量に応じて、糖質を摂取することが可能と言えます。
そのようにして食べ分けていくこと(テーラーメード・ダイエット)が、人類68億人を養っていくには、不可欠といえます。
例えば、野球部やサッカー部で毎日たっぷり運動している子供達は、例え白米を丼で2~3杯食べたとしても、筋肉がどんどん血糖を取り込むので、インスリン追加分泌など膵臓への負担もごく少なくてすむと思います。
一方、本が好きで運動をほとんどしない子供であれば、糖質摂取量は、あるていど減らしたほうが無難です。
また正常人が糖質を摂取する場合は、グルコースミニスパイクに関して、GIが一定の意味をもつと思いますので、未精製の穀物などGIの低いものを運動量に応じて主食にするのがよいと思います。
江部康二
2011年01月04日 (火)
おはようございます。
2010年の時点で地球上の人口は68億人だそうです。
人類の進化の歴史から考えて、農耕が始まる前の狩猟・採集時代は、穀物が主食ということはありえません。
人類がゴリラやチンパンジーと分かれて400~500万年です。その後、アウストラロピテクス属、パラントロプス属、ヒト属などの6属・21種の人類が栄枯盛衰を繰り返し、結局、約20万年前に東アフリカで誕生したホモ・サピエンス(現世人類)だけが現存しているわけです。
ここで大切なこと、そして本質的なことは、6属・21種の人類は、全て狩猟・採集が生業だったということです。
つまり、農耕が始まる前の約400万年間は、人類皆糖質制限食であり、ヒトは進化に要した時間の大部分で、狩猟・採集生活をしていたということです。
従って、現世人類の行動や生理・代謝を決める遺伝子セット(DNA)は、突然変異を繰り返しながら、狩猟・採集の生活条件に適応するようにプログラムされていると考えるのが自然です。必然的に人類の食生活は本来、糖質制限食であったと考えられます。
大雑把ですが、人類の歴史が約400万年とすれば、農耕が始まって10000年、定着して4000年なので、穀物が主食である期間はわずか1/1000となります。
すなわち、999/1000の期間は人類の食生活は、糖質制限食でした。
繰り返しますが、400万年の人類の進化の過程では、
<狩猟・採集期間>:<農耕期間>=1000対1で、
圧倒的に狩猟・採集期間のほうが長いのです。
このように人体においては、糖質制限食のほうが本来の食事であり、穀物に総摂取カロリーの60%も依存するような食事を摂取するようになったのは、ごく短期間に過ぎないのです。
即ち、人体は、本来穀物に依存して生きるような遺伝的システムは、持っていないということになります。
しかし、人口増加を支えるため、やむを得ず穀物摂取が主食となっていったものと考えられます。
例えば、
<ヒューマン・ニュートリション 基礎・食事・臨床 第10版 2004年
JS Garrow WPT james A Ralph 編 日本語版監修 細谷憲政(医歯薬出版)>
という英国の栄養学の大著の75ページに
【『現代の食事では、・・・・・デンプンや遊離糖に由来する「利用されやすいグルコース」を大量に摂取するようになっている。このような食事内容は血漿グルコースおよびインスリン値の定期的な上昇をもたらし、糖尿病、冠状動脈疾患、がん、老化等、多くの点で健康に有害であることが強く指摘されている。
農業の発明以来、ヒトは穀物をベースとした食物を摂取するようになったが、進化に要する時間の尺度は長く、ヒトの消化管はまだ穀物ベースの食物に適応していない。ましてや高度に加工された現代の食物に対して、到底適応しきれてないのである。』】
と記載されています。
日本で糖質制限食を推進する立場の私達にとって、英国にも同様の視点・考え方の栄養学者がおられることは、誠に心強い限りです。
私が警鐘を鳴らしている「グルコースミニスパイク」に関しても、また然りです。
さて農耕が始まって一番大きな変化は、単位面積あたり約60倍の人口を養えるようになったことです。
従って、人類の本来の食生活が糖質制限食であり、健康に最も適した食事だとしても、現時点で人類皆糖質制限食というわけにはいきません。
人類が皆糖質制限食に切り替えれば、60億以上の人類が飢え死にしかねませんので・・・。
そこでテーラーメード・ダイエットの考えが必要となってきます。穀物を食べることができる人とそうでない人を、はっきりわけようという提案です。
まず穀物を食べるということに関して、明治・大正・戦前の昭和の日本人は、総摂取カロリーの70~80%が米を中心とした糖質でした。
しかし、糖尿病や肥満の人は、極めて少なかったことは明らかです。この頃のような日常生活での運動量があれば、穀物をしっかり食べても、少なくとも糖尿病・肥満に関しては問題はなかったのです。
続く。
江部康二
2010年の時点で地球上の人口は68億人だそうです。
人類の進化の歴史から考えて、農耕が始まる前の狩猟・採集時代は、穀物が主食ということはありえません。
人類がゴリラやチンパンジーと分かれて400~500万年です。その後、アウストラロピテクス属、パラントロプス属、ヒト属などの6属・21種の人類が栄枯盛衰を繰り返し、結局、約20万年前に東アフリカで誕生したホモ・サピエンス(現世人類)だけが現存しているわけです。
ここで大切なこと、そして本質的なことは、6属・21種の人類は、全て狩猟・採集が生業だったということです。
つまり、農耕が始まる前の約400万年間は、人類皆糖質制限食であり、ヒトは進化に要した時間の大部分で、狩猟・採集生活をしていたということです。
従って、現世人類の行動や生理・代謝を決める遺伝子セット(DNA)は、突然変異を繰り返しながら、狩猟・採集の生活条件に適応するようにプログラムされていると考えるのが自然です。必然的に人類の食生活は本来、糖質制限食であったと考えられます。
大雑把ですが、人類の歴史が約400万年とすれば、農耕が始まって10000年、定着して4000年なので、穀物が主食である期間はわずか1/1000となります。
すなわち、999/1000の期間は人類の食生活は、糖質制限食でした。
繰り返しますが、400万年の人類の進化の過程では、
<狩猟・採集期間>:<農耕期間>=1000対1で、
圧倒的に狩猟・採集期間のほうが長いのです。
このように人体においては、糖質制限食のほうが本来の食事であり、穀物に総摂取カロリーの60%も依存するような食事を摂取するようになったのは、ごく短期間に過ぎないのです。
即ち、人体は、本来穀物に依存して生きるような遺伝的システムは、持っていないということになります。
しかし、人口増加を支えるため、やむを得ず穀物摂取が主食となっていったものと考えられます。
例えば、
<ヒューマン・ニュートリション 基礎・食事・臨床 第10版 2004年
JS Garrow WPT james A Ralph 編 日本語版監修 細谷憲政(医歯薬出版)>
という英国の栄養学の大著の75ページに
【『現代の食事では、・・・・・デンプンや遊離糖に由来する「利用されやすいグルコース」を大量に摂取するようになっている。このような食事内容は血漿グルコースおよびインスリン値の定期的な上昇をもたらし、糖尿病、冠状動脈疾患、がん、老化等、多くの点で健康に有害であることが強く指摘されている。
農業の発明以来、ヒトは穀物をベースとした食物を摂取するようになったが、進化に要する時間の尺度は長く、ヒトの消化管はまだ穀物ベースの食物に適応していない。ましてや高度に加工された現代の食物に対して、到底適応しきれてないのである。』】
と記載されています。
日本で糖質制限食を推進する立場の私達にとって、英国にも同様の視点・考え方の栄養学者がおられることは、誠に心強い限りです。
私が警鐘を鳴らしている「グルコースミニスパイク」に関しても、また然りです。
さて農耕が始まって一番大きな変化は、単位面積あたり約60倍の人口を養えるようになったことです。
従って、人類の本来の食生活が糖質制限食であり、健康に最も適した食事だとしても、現時点で人類皆糖質制限食というわけにはいきません。
人類が皆糖質制限食に切り替えれば、60億以上の人類が飢え死にしかねませんので・・・。
そこでテーラーメード・ダイエットの考えが必要となってきます。穀物を食べることができる人とそうでない人を、はっきりわけようという提案です。
まず穀物を食べるということに関して、明治・大正・戦前の昭和の日本人は、総摂取カロリーの70~80%が米を中心とした糖質でした。
しかし、糖尿病や肥満の人は、極めて少なかったことは明らかです。この頃のような日常生活での運動量があれば、穀物をしっかり食べても、少なくとも糖尿病・肥満に関しては問題はなかったのです。
続く。
江部康二
2011年01月03日 (月)
おはようございます。
今回は、カナダ在住のかえでさんから、妊娠糖尿病について、コメント・質問をいただきました。
【11/01/03 かえで
妊娠糖尿病
こんにちは。
初めまして。「かえで」と申します。
現在、カナダに住んでいます。BMIは標準です。
今、2子目の妊娠29週目で、27週目に受けた75gグルコース2時間テストの結果が、
空腹時 5.2mmol/l
1時間後 11.0mmol/l
2時間後 9.5mmol/l
となり、妊娠糖尿病になりました。
1子目時は、同じ内容の3時間テストを受け、結果1時間後のみ11.2mmol/lと範囲以外で、その他4項目は、正常値でした。その際は、境界型で、食事療法と食後のウォーキングのみで、何の問題も無く出産も終了しました。食事療法は、糖分(炭水化物、牛乳、果物)を控えると言った江部先生と同じ考えです。
今回も同じように血糖値を食前、食後1時間後、測り始めました。空腹時の規定値は5.0mmol/l以下なのですが。
朝の数値がどうも良くありません。
1週目は、食前の血糖値が、5.1mmol/l - 5.7mmol/lの間で、運動後は9.1mmol/l-10.0mmol/lでした。
もし、このままであれば、朝にインシュリンを摂取するように言われていました。
2週目は、食前の血糖値は5.1mmol/l - 5.7mmol/lの間で、運動後は1度のみ7.8mmol/lで、他の日は5.7-6.1mmol/l(基準値が7.2mmol/l以下の設定)と、改善されました。
さて、質問なのですが、数値は朝、夜共に改善されて来ています。(昼はもともと問題ないようです)それでも、まだ朝にインシュリンが必要と思われますでしょうか?
朝起き立ての血糖値は5.7mmol/lで、30分後には、5.9mmol/l、 1時間後に5.3mmol/lに下がったりと、一定していません。
これは、普通の現象なのでしょうか?5.3mmol/lを基準に考えていいものなのでしょうか?
夜寝る前に必ず、何か食べるように薦められていて、なぜか全粒のパン1枚は必須と言われました。
他にお勧めの食べ物はありますでしょうか?
こちらの、妊娠糖尿病専門の内科医と栄養士に診てもらっていますが、特に何の説明も無く、「問題は、インシュリン摂取か否かではなく、数値、体重と胎児だ」と言われました。こちらの先生は1患者に10分しか診ないので、納得いくような説明が受けられません。
江部先生のウェブサイトの説明の方が、極めて詳しく分かりやすいので、助かっています。
お手数ですがお返事宜しくお願いいたします。】
かえでさん。
カテゴリーの妊娠糖尿病の項目に24の記事がありますので、こちらも参考にしていただけば幸いです。
「食事療法は、糖分(炭水化物、牛乳、果物)を控えると言った江部先生と同じ考えです。」
かえでさんの担当の妊娠糖尿病専門の内科医と栄養士さん、糖質制限食推奨ですか。良かったですね。
米国と同様に、カナダの医師・栄養士が皆、妊娠糖尿病には糖質制限食という立場ではないと思いますので、かえでさんラッキーでした。(^^)
妊娠糖尿病の新診断基準が、日本糖尿病学会から、2010年7月1日発効で、発表されました。
この基準は、国際的にも同様です。
<妊娠糖尿病 (GDM)>
75gOGTTにおいて次の基準の1点以上を満たした場合に診断する。
1.空腹時血糖値 ≧92mg/dl (5.1mmol/l)
2.1時間値 ≧180mg/dl (10.0mmol/l)
3.2時間値 ≧153mg/dl (8.5mmol/l)
日本の血糖値の単位は、mg/dlです。欧米はmmol/lです。
mmol/lのデータに18をかけると、mg/dlのデータになります。
<日本糖尿病学会の妊娠中の血糖値コントロール目標>
空腹時血糖値100mg/dl未満、(5.56mmol/l未満)
食後1時間値140mg/dl未満、(7.78mmol/l未満)
食後2時間血糖値120mg/dl未満、(6.67mmol/l未満)
HbA1c5.8%未満、JDS値、(カナダでは6.4%未満、NGSP値)
このコントロール目標の範囲に入っていれば、インスリンはいらないと思います。
かえでさんの血糖値は、目標値の上限ぎりぎり、くらいですね。きっちりスーパー糖質制限食を実践すれば、目標クリアできると思いますよ。
「朝起き立ての血糖値は5.7mmol/lで、30分後には、5.9mmol/l、 1時間後に5.3mmol/lに下がったりと、一定していません。
これは、普通の現象なのでしょうか?5.3mmol/lを基準に考えていいものなのでしょうか? 」
暁現象か、血糖自己測定器の誤差範囲と思われます。
インスリン基礎分泌が不足してくると、夜間の肝の糖新生を制御できずに、早朝空腹時血糖値が高値となります。
そのため、就寝時より起床時の血糖値の方が、高値となることがります。就寝後8~10時間で、血糖値が上昇する暁現象です。
肝臓が早朝には、他の時間帯以上に、血液中に循環しているインスリンを不活化させるため肝臓の糖新生が高まり、起床時に就寝時より血糖値が高くなります。
「夜寝る前に必ず、何か食べるように薦められていて、なぜか全粒のパン1枚は必須と言われました。他にお勧めの食べ物はありますでしょうか?」
担当のカナダの医師・栄養士は糖質制限食を推奨しておられるのですが、一方で、米国糖尿病協会の提唱する最低限度の糖質は必要という立場なのでしょう。
勿論、全粒粉のパンは糖質なので、やめましょう。インスリンも打ってないのですから、寝る前に食べる必要もありません。
この二つを実行するだけで、早朝空腹時血糖値は目標達成と思います。
三食しっかり、スーパー糖質制限食を実践されたら、1時間値、2時間値、HbA1cも、目標達成できると思いますし、おなかも満足いくと思います。それでも小腹がすいたら、間食はナッツ類がいいでしょう。
ナッツ類100g中の糖質量
くるみ(炒り) 4.2g
カシューナッツ(フライ) 20.0
マカダミアナッツ(炒り) 11.7
アーモンド(乾) 9.3
ピスタチオ(炒り) 11.7
バターピーナッツ() 14.4
くるみ1個が6gで糖質量が0.3gですので、10個食べても3gの糖質ですね。
カシューナッツ20個が30gで、糖質は6g
マカダミアナッツ25個で50gで、糖質は3.0g
アーモンドが35個が50gで、糖質は5.2g
ピスタチオは8個 で40gで、糖質は4.7g
バターピーナッツが40個で40gで、糖質は4.5g
です。
ナッツ類の間食なら1回の糖質量を、5gくらいまでにおさえたいですね。
1gの糖質が体重64kgの糖尿人の血糖値を約3mg上昇させますので・・・。
それでは、元気な赤ちゃんのご誕生をお祈りしております。ヾ(^▽^)
江部康二
☆☆☆☆☆
<妊娠糖尿病の新診断基準決定とその過程2010>
日本糖尿病・妊娠学会では、2009年末から日本産科婦人科学会、日本糖尿病学会とも協議し、妊娠糖尿病の新診断基準を決定しました。新診断基準は、2010年7月1日から施行されました。
今回、新診断基準に移行する過程の全容がほぼ把握できましたので、報告いたします。
従来、妊娠糖尿病の診断基準は、各国ばらばらで、世界共通の診断基準は存在していませんでした。そのため、世界統一基準が求められていました。
今回、国際糖尿病・妊娠学会
[International Association of Diabetes and Pregnancy Study Groups(IADPSG)]
が提唱した世界統一基準は、2009年に報告されたHAPO studyの結果に基づいています。
HAPO studyは、米国立衛生研究所(NIH)のイニシアティブのもとで、7年間にわたり9カ国15医療センターで、非糖尿病妊婦23316人に対して、妊娠24~32週に75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を行い、胎児の成長や分娩、産後のデータを前向き調査したものです。この研究には、香港とアジア系米国人も含まれています。
この結果、母親の血糖値の軽度の上昇でも、児のインスリン分泌や脂肪蓄積に影響を与えることが明らかとなりました。そのため、従来より広く妊娠糖尿病を拾い上げる新診断基準の必要性が生じたのです。
このようにして、2度の国際会議を経て、日本でも診断基準検討委員会が中心となり、国際糖尿病・妊娠学会(IADPSG)の新診断基準に基づく、新たな妊娠糖尿病診断基準の導入が決定されたわけです。
<妊娠糖尿病・新診断基準> 2010年7月1日 施行
定義:
妊娠糖尿病gestational diabetes mellitus (GDM):妊娠中にはじめて発見または発症した糖尿病にいたっていない糖代謝異常である。妊娠時に診断された明らかな糖尿病(overt diabetes in pregnancy)は含めない。
診断基準:
妊娠中に発見される耐糖能異常hyperglycemic disorders in pregnancyには、
1) 妊娠糖尿病gestational diabetes mellitus (GDM)、
2) 妊娠時に診断された明らかな糖尿病overt diabetes in pregnancy
の2つがあり次の診断基準により診断する
1)妊娠糖尿病 (GDM)
75gOGTTにおいて次の基準の1点以上を満たした場合に診断する。
1.空腹時血糖値 ≧92mg/dl (5.1mmol/l)
2.1時間値 ≧180mg/dl (10.0mmol/l)
3.2時間値 ≧153mg/dl (8.5mmol/l)
2)妊娠時に診断された明らかな糖尿病 overt diabetes in pregnancy
以下のいずれかを満たした場合に診断する。
1.空腹時血糖値≧126mg/dl
2.HbA1C ≧6.5%(HbA1C (JDS) ≧6.1%)註1
3.確実な糖尿病網膜症が存在する場合
4.随時血糖値≧200mg/dlあるいは75gOGTTで2時間値≧200mg/dlの場合*
*いずれの場合も空腹時血糖かHbA1Cで確認
註1.国際標準化を重視する立場から、新しいHbA1C値(%)は、従来わが国で使用していたJapan Diabetes Society (JDS)値に0.4%を加えたNational Glycohemoglobin Standardization Program(NGSP)値を使用するものとする。
註2.HbA1C< 6.5%未満(HbA1C(JDS)<6.1%未満)で75gOGTT 2時間値≧200mg/dlの場合は、妊娠時に診断された明らかな糖尿病とは判定し難いので、High risk GDMとし、妊娠中は糖尿病に準じた管理を行い、出産後は糖尿病に移行する可能性が高いので厳重なフォローアップが必要である。
「日本糖尿病・妊娠学会」と「日本糖尿病学会」の両方が合意した基準ということになります。
註2についてですが、妊娠時には、インスリン抵抗性が非常に高まるので、糖代謝に大きな変化が起きてきます。
従って75gOGTT 2時間値が200mg/dl以上の場合でも、必ずしも糖尿病と断定できません。
このため、糖尿病と診断するためには、HbA1Cか空腹時血糖値で再チェックすることが必要なのです。
ただし、註2のパターンは糖尿病とは断定できませんが、高リスク妊娠糖尿病として、厳重な管理とフォローが必要となります。
従来の基準から、新診断基準に移行することにより、妊娠糖尿病の頻度は2.92%だったのが、4倍程度に増えると予想されます。
妊娠中は、通常より軽度の耐糖能異常でも検出できる特殊な状態です。妊娠糖尿病を従来より広く網をかけて、高リスク予備群を早く発見し、母子共に将来の糖尿病人口の増加をくい止めることが今回の改訂の狙いといえます。
今回は、カナダ在住のかえでさんから、妊娠糖尿病について、コメント・質問をいただきました。
【11/01/03 かえで
妊娠糖尿病
こんにちは。
初めまして。「かえで」と申します。
現在、カナダに住んでいます。BMIは標準です。
今、2子目の妊娠29週目で、27週目に受けた75gグルコース2時間テストの結果が、
空腹時 5.2mmol/l
1時間後 11.0mmol/l
2時間後 9.5mmol/l
となり、妊娠糖尿病になりました。
1子目時は、同じ内容の3時間テストを受け、結果1時間後のみ11.2mmol/lと範囲以外で、その他4項目は、正常値でした。その際は、境界型で、食事療法と食後のウォーキングのみで、何の問題も無く出産も終了しました。食事療法は、糖分(炭水化物、牛乳、果物)を控えると言った江部先生と同じ考えです。
今回も同じように血糖値を食前、食後1時間後、測り始めました。空腹時の規定値は5.0mmol/l以下なのですが。
朝の数値がどうも良くありません。
1週目は、食前の血糖値が、5.1mmol/l - 5.7mmol/lの間で、運動後は9.1mmol/l-10.0mmol/lでした。
もし、このままであれば、朝にインシュリンを摂取するように言われていました。
2週目は、食前の血糖値は5.1mmol/l - 5.7mmol/lの間で、運動後は1度のみ7.8mmol/lで、他の日は5.7-6.1mmol/l(基準値が7.2mmol/l以下の設定)と、改善されました。
さて、質問なのですが、数値は朝、夜共に改善されて来ています。(昼はもともと問題ないようです)それでも、まだ朝にインシュリンが必要と思われますでしょうか?
朝起き立ての血糖値は5.7mmol/lで、30分後には、5.9mmol/l、 1時間後に5.3mmol/lに下がったりと、一定していません。
これは、普通の現象なのでしょうか?5.3mmol/lを基準に考えていいものなのでしょうか?
夜寝る前に必ず、何か食べるように薦められていて、なぜか全粒のパン1枚は必須と言われました。
他にお勧めの食べ物はありますでしょうか?
こちらの、妊娠糖尿病専門の内科医と栄養士に診てもらっていますが、特に何の説明も無く、「問題は、インシュリン摂取か否かではなく、数値、体重と胎児だ」と言われました。こちらの先生は1患者に10分しか診ないので、納得いくような説明が受けられません。
江部先生のウェブサイトの説明の方が、極めて詳しく分かりやすいので、助かっています。
お手数ですがお返事宜しくお願いいたします。】
かえでさん。
カテゴリーの妊娠糖尿病の項目に24の記事がありますので、こちらも参考にしていただけば幸いです。
「食事療法は、糖分(炭水化物、牛乳、果物)を控えると言った江部先生と同じ考えです。」
かえでさんの担当の妊娠糖尿病専門の内科医と栄養士さん、糖質制限食推奨ですか。良かったですね。
米国と同様に、カナダの医師・栄養士が皆、妊娠糖尿病には糖質制限食という立場ではないと思いますので、かえでさんラッキーでした。(^^)
妊娠糖尿病の新診断基準が、日本糖尿病学会から、2010年7月1日発効で、発表されました。
この基準は、国際的にも同様です。
<妊娠糖尿病 (GDM)>
75gOGTTにおいて次の基準の1点以上を満たした場合に診断する。
1.空腹時血糖値 ≧92mg/dl (5.1mmol/l)
2.1時間値 ≧180mg/dl (10.0mmol/l)
3.2時間値 ≧153mg/dl (8.5mmol/l)
日本の血糖値の単位は、mg/dlです。欧米はmmol/lです。
mmol/lのデータに18をかけると、mg/dlのデータになります。
<日本糖尿病学会の妊娠中の血糖値コントロール目標>
空腹時血糖値100mg/dl未満、(5.56mmol/l未満)
食後1時間値140mg/dl未満、(7.78mmol/l未満)
食後2時間血糖値120mg/dl未満、(6.67mmol/l未満)
HbA1c5.8%未満、JDS値、(カナダでは6.4%未満、NGSP値)
このコントロール目標の範囲に入っていれば、インスリンはいらないと思います。
かえでさんの血糖値は、目標値の上限ぎりぎり、くらいですね。きっちりスーパー糖質制限食を実践すれば、目標クリアできると思いますよ。
「朝起き立ての血糖値は5.7mmol/lで、30分後には、5.9mmol/l、 1時間後に5.3mmol/lに下がったりと、一定していません。
これは、普通の現象なのでしょうか?5.3mmol/lを基準に考えていいものなのでしょうか? 」
暁現象か、血糖自己測定器の誤差範囲と思われます。
インスリン基礎分泌が不足してくると、夜間の肝の糖新生を制御できずに、早朝空腹時血糖値が高値となります。
そのため、就寝時より起床時の血糖値の方が、高値となることがります。就寝後8~10時間で、血糖値が上昇する暁現象です。
肝臓が早朝には、他の時間帯以上に、血液中に循環しているインスリンを不活化させるため肝臓の糖新生が高まり、起床時に就寝時より血糖値が高くなります。
「夜寝る前に必ず、何か食べるように薦められていて、なぜか全粒のパン1枚は必須と言われました。他にお勧めの食べ物はありますでしょうか?」
担当のカナダの医師・栄養士は糖質制限食を推奨しておられるのですが、一方で、米国糖尿病協会の提唱する最低限度の糖質は必要という立場なのでしょう。
勿論、全粒粉のパンは糖質なので、やめましょう。インスリンも打ってないのですから、寝る前に食べる必要もありません。
この二つを実行するだけで、早朝空腹時血糖値は目標達成と思います。
三食しっかり、スーパー糖質制限食を実践されたら、1時間値、2時間値、HbA1cも、目標達成できると思いますし、おなかも満足いくと思います。それでも小腹がすいたら、間食はナッツ類がいいでしょう。
ナッツ類100g中の糖質量
くるみ(炒り) 4.2g
カシューナッツ(フライ) 20.0
マカダミアナッツ(炒り) 11.7
アーモンド(乾) 9.3
ピスタチオ(炒り) 11.7
バターピーナッツ() 14.4
くるみ1個が6gで糖質量が0.3gですので、10個食べても3gの糖質ですね。
カシューナッツ20個が30gで、糖質は6g
マカダミアナッツ25個で50gで、糖質は3.0g
アーモンドが35個が50gで、糖質は5.2g
ピスタチオは8個 で40gで、糖質は4.7g
バターピーナッツが40個で40gで、糖質は4.5g
です。
ナッツ類の間食なら1回の糖質量を、5gくらいまでにおさえたいですね。
1gの糖質が体重64kgの糖尿人の血糖値を約3mg上昇させますので・・・。
それでは、元気な赤ちゃんのご誕生をお祈りしております。ヾ(^▽^)
江部康二
☆☆☆☆☆
<妊娠糖尿病の新診断基準決定とその過程2010>
日本糖尿病・妊娠学会では、2009年末から日本産科婦人科学会、日本糖尿病学会とも協議し、妊娠糖尿病の新診断基準を決定しました。新診断基準は、2010年7月1日から施行されました。
今回、新診断基準に移行する過程の全容がほぼ把握できましたので、報告いたします。
従来、妊娠糖尿病の診断基準は、各国ばらばらで、世界共通の診断基準は存在していませんでした。そのため、世界統一基準が求められていました。
今回、国際糖尿病・妊娠学会
[International Association of Diabetes and Pregnancy Study Groups(IADPSG)]
が提唱した世界統一基準は、2009年に報告されたHAPO studyの結果に基づいています。
HAPO studyは、米国立衛生研究所(NIH)のイニシアティブのもとで、7年間にわたり9カ国15医療センターで、非糖尿病妊婦23316人に対して、妊娠24~32週に75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を行い、胎児の成長や分娩、産後のデータを前向き調査したものです。この研究には、香港とアジア系米国人も含まれています。
この結果、母親の血糖値の軽度の上昇でも、児のインスリン分泌や脂肪蓄積に影響を与えることが明らかとなりました。そのため、従来より広く妊娠糖尿病を拾い上げる新診断基準の必要性が生じたのです。
このようにして、2度の国際会議を経て、日本でも診断基準検討委員会が中心となり、国際糖尿病・妊娠学会(IADPSG)の新診断基準に基づく、新たな妊娠糖尿病診断基準の導入が決定されたわけです。
<妊娠糖尿病・新診断基準> 2010年7月1日 施行
定義:
妊娠糖尿病gestational diabetes mellitus (GDM):妊娠中にはじめて発見または発症した糖尿病にいたっていない糖代謝異常である。妊娠時に診断された明らかな糖尿病(overt diabetes in pregnancy)は含めない。
診断基準:
妊娠中に発見される耐糖能異常hyperglycemic disorders in pregnancyには、
1) 妊娠糖尿病gestational diabetes mellitus (GDM)、
2) 妊娠時に診断された明らかな糖尿病overt diabetes in pregnancy
の2つがあり次の診断基準により診断する
1)妊娠糖尿病 (GDM)
75gOGTTにおいて次の基準の1点以上を満たした場合に診断する。
1.空腹時血糖値 ≧92mg/dl (5.1mmol/l)
2.1時間値 ≧180mg/dl (10.0mmol/l)
3.2時間値 ≧153mg/dl (8.5mmol/l)
2)妊娠時に診断された明らかな糖尿病 overt diabetes in pregnancy
以下のいずれかを満たした場合に診断する。
1.空腹時血糖値≧126mg/dl
2.HbA1C ≧6.5%(HbA1C (JDS) ≧6.1%)註1
3.確実な糖尿病網膜症が存在する場合
4.随時血糖値≧200mg/dlあるいは75gOGTTで2時間値≧200mg/dlの場合*
*いずれの場合も空腹時血糖かHbA1Cで確認
註1.国際標準化を重視する立場から、新しいHbA1C値(%)は、従来わが国で使用していたJapan Diabetes Society (JDS)値に0.4%を加えたNational Glycohemoglobin Standardization Program(NGSP)値を使用するものとする。
註2.HbA1C< 6.5%未満(HbA1C(JDS)<6.1%未満)で75gOGTT 2時間値≧200mg/dlの場合は、妊娠時に診断された明らかな糖尿病とは判定し難いので、High risk GDMとし、妊娠中は糖尿病に準じた管理を行い、出産後は糖尿病に移行する可能性が高いので厳重なフォローアップが必要である。
「日本糖尿病・妊娠学会」と「日本糖尿病学会」の両方が合意した基準ということになります。
註2についてですが、妊娠時には、インスリン抵抗性が非常に高まるので、糖代謝に大きな変化が起きてきます。
従って75gOGTT 2時間値が200mg/dl以上の場合でも、必ずしも糖尿病と断定できません。
このため、糖尿病と診断するためには、HbA1Cか空腹時血糖値で再チェックすることが必要なのです。
ただし、註2のパターンは糖尿病とは断定できませんが、高リスク妊娠糖尿病として、厳重な管理とフォローが必要となります。
従来の基準から、新診断基準に移行することにより、妊娠糖尿病の頻度は2.92%だったのが、4倍程度に増えると予想されます。
妊娠中は、通常より軽度の耐糖能異常でも検出できる特殊な状態です。妊娠糖尿病を従来より広く網をかけて、高リスク予備群を早く発見し、母子共に将来の糖尿病人口の増加をくい止めることが今回の改訂の狙いといえます。
2011年01月02日 (日)
おはようございます。
インフルエンザがそろそろ流行っていますが、インフルエンザワクチンは万能ではありません。
感染防御力は基本的になくて、重症化を防ぐことが期待されるていどの効能です。
ワクチンを打っている人も打っていない人も、手洗い、うがい、マスクがインフルエンザ予防の基本ですね。
当初、2010年11月頃は季節性のA香港型が流行の中心でしたが、最近は新型となっています。
毎日新聞 2010年12月31日 東京朝刊
【国立感染症研究所(感染研)によると、今シーズン国内各地で検出されたウイルスはA香港型が7割近く、新型が3割弱、残りがB型。だが、流行入りした最新の1週間(12月13~19日)に新型はA香港型の約3倍と逆転し、12月6~26日の3週間の速報値(28日現在)では新型が182件でA香港型の71件を大幅に超えた。】
以下、復習を兼ねて、インフルエンザワクチンについて、考えて見ます。
<インフルエンザワクチンの有効性>
2010年度冬から接種している今回のインフルエンザワクチンは、季節性にも新型にも対応しています。しかし以前からわかっていたことですが、実は現行のインフルエンザワクチンには、水際で感染をシャットアウトするような効果はありません。
感染した後、重症化を防ぐ効果が期待されるという程度なので過信するのは禁物です。
理論的に考えても、ワクチンを注射することにより、IgG抗体が血液・体液中に産生されますが、粘膜面を防御しているIgA抗体は全くできません。
従って、インフルエンザウィルスが、咽や鼻の粘膜を突破して細胞内に侵入した後(感染が成立した後)、はじめてIgG抗体がかけつけて戦うことになります。
下記は国立感染研究所のホームページからの抜粋です。
http://www.nih.go.jp/niid/topics/influenza01.html
【7.インフルエンザワクチンの問題点
(2)「現行ワクチンの感染防御効果や発症阻止効果は完全ではありませんので、ワクチン接種を受けてもインフルエンザに罹患する場合があり、この場合には患者はウイルスを外部に排泄し、感染源となります。従って、集団接種を行っても社会全体のインフルエンザ流行を完全に阻止することは難しいと考えられます。」
(6)「現行のインフルエンザワクチンは皮下接種されています。しかし、不活化ワクチンの皮下接種では、インフルエンザウイルスの感染防御に中心的役割を果たすと考えられる気道の粘膜免疫や、回復過程に重要であると考えられる細胞性免疫がほとんど誘導されません。これは、インフルエンザウイルスの感染そのものを防御すると言う面では大きな短所であると考えられています。しかし、この様な欠点を持ちながらも、先に述べたように、ハイリスク群に対する現行インフルエンザワクチンの効果は明らかに認められています。また、ワクチンの皮下接種でも血中の抗体産生は十分に刺激できるので、インフルエンザに続発する肺炎などの合併症や最近問題となっているインフルエンザ脳炎・脳症の発生を抑えることには期待出来ると考えられています。」】
<院内感染>
2009年1月18日(日)新聞に、東京都の某病院(内科と認知症主体の精神科)で1月17日までに、入院患者77人と職員24人の職員が相次いでインフルエンザを発症し、女性患者3人が死亡したという痛ましい記事が載りました。ちなみに院長も感染したそうです。1月3日に20代の女性職員がインフルエンザに感染し、6日以降入院患者に広がりました。
亡くなった3人は、いずれも高齢の認知症で寝たきりの患者で、2人はワクチンを接種していました。
インフルエンザに罹患した77人の入院患者のうち、68人はワクチンを接種しており、罹患した24人の職員のうち、21人が接種を受けていました。
インフルエンザワクチン「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」ということが効能です。奇しくも上述の記事で、感染防御には実際にまったく無力だったことが明らかとなりました。
院内感染を防ぐためには、「手洗い、うがい、マスク」が必須です。
<誤解>
ところが、相変わらず多くの患者さんや医師が、水際で感染防御できると誤解しておられるのです。
私は、過去十年間以上、友人の医師などに、感染防御はできないと口を酸っぱくして言い続けてきたのですが、皆なかなか信じてもらえませんでした。どこかで誤った情報が流され続けていたのでしょうね。
ここ2~3年、新聞などでもやっと、「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」という真実が報道されるようになりました。
逆に言えば、過去10年以上、あたかも感染防御できるような内容の報道に終始していたわけで、そのことに関して自己批判もなくてなんだか興ざめです。
インフルエンザワクチン注射を希望する患者さんがこられたら、私はこのことを説明して、「手洗いやうがい、人混みを避けるなど、基本的なことが感染防御には大事なので、ワクチンを接種したからといって油断しないでくださいね。」と付け加えます。
<必要性>
別に私は、ワクチンが無意味といっているのではありません。
65歳以上の高齢者、呼吸器系や循環器系に慢性疾患を持つ患者、糖尿病、腎臓病などの慢性疾患の患者、免疫低下状態の患者などでは、インフルエンザに罹患し重症化すれば、肺炎などの重篤な合併症になり、生命に危険が及ぶこともありますから必要だと思います。若い人でも、受験生などは重症化したら困りますから、接種する意味はありますね。
<感染防御>
①医療関係者は、インフルエンザ患者を診察するときはマスクをする。
診察が終わったら必ず手洗いをし、使い捨て紙タオルでふく。
マスクをはずしたときはうがいをする。
②急性の咳や熱がでている当事者はエチケットとして、マスクをする。
③満員電車の中など避けようがない密閉された場所にいくときはマスクを
して乗る。
④人混みにでたあとは、手洗い・うがいを励行する。
⑤家族が一人インフルエンザに罹患したら、家の中でも当事者はマスクを
する。その一人は、違う部屋で寝る。
⑥咳で飛沫が飛ぶのは約1mであるので当事者から距離を取る。
⑦鼻水や痰を封じ込めるためにティッシュを使用し、使用後のティッシュは、
できればノンタッチごみ箱に廃棄すること
ブログ読者の皆さん、インフルエンザワクチンを接種している人も、感染防御効果はないことをしっかり認識して、上記①~⑦を励行してくださいね。これが実行されていれば、上述のような院内感染が猛威をふるうことはなかったでしょう。
<終わりに>
インフルエンザワクチンに、賛成の人も反対の人もあると思います。ブログ読者の皆さんには、インフルエンザワクチンの真実を知ってもらいたくて今回記事にしました。
江部康二
インフルエンザがそろそろ流行っていますが、インフルエンザワクチンは万能ではありません。
感染防御力は基本的になくて、重症化を防ぐことが期待されるていどの効能です。
ワクチンを打っている人も打っていない人も、手洗い、うがい、マスクがインフルエンザ予防の基本ですね。
当初、2010年11月頃は季節性のA香港型が流行の中心でしたが、最近は新型となっています。
毎日新聞 2010年12月31日 東京朝刊
【国立感染症研究所(感染研)によると、今シーズン国内各地で検出されたウイルスはA香港型が7割近く、新型が3割弱、残りがB型。だが、流行入りした最新の1週間(12月13~19日)に新型はA香港型の約3倍と逆転し、12月6~26日の3週間の速報値(28日現在)では新型が182件でA香港型の71件を大幅に超えた。】
以下、復習を兼ねて、インフルエンザワクチンについて、考えて見ます。
<インフルエンザワクチンの有効性>
2010年度冬から接種している今回のインフルエンザワクチンは、季節性にも新型にも対応しています。しかし以前からわかっていたことですが、実は現行のインフルエンザワクチンには、水際で感染をシャットアウトするような効果はありません。
感染した後、重症化を防ぐ効果が期待されるという程度なので過信するのは禁物です。
理論的に考えても、ワクチンを注射することにより、IgG抗体が血液・体液中に産生されますが、粘膜面を防御しているIgA抗体は全くできません。
従って、インフルエンザウィルスが、咽や鼻の粘膜を突破して細胞内に侵入した後(感染が成立した後)、はじめてIgG抗体がかけつけて戦うことになります。
下記は国立感染研究所のホームページからの抜粋です。
http://www.nih.go.jp/niid/topics/influenza01.html
【7.インフルエンザワクチンの問題点
(2)「現行ワクチンの感染防御効果や発症阻止効果は完全ではありませんので、ワクチン接種を受けてもインフルエンザに罹患する場合があり、この場合には患者はウイルスを外部に排泄し、感染源となります。従って、集団接種を行っても社会全体のインフルエンザ流行を完全に阻止することは難しいと考えられます。」
(6)「現行のインフルエンザワクチンは皮下接種されています。しかし、不活化ワクチンの皮下接種では、インフルエンザウイルスの感染防御に中心的役割を果たすと考えられる気道の粘膜免疫や、回復過程に重要であると考えられる細胞性免疫がほとんど誘導されません。これは、インフルエンザウイルスの感染そのものを防御すると言う面では大きな短所であると考えられています。しかし、この様な欠点を持ちながらも、先に述べたように、ハイリスク群に対する現行インフルエンザワクチンの効果は明らかに認められています。また、ワクチンの皮下接種でも血中の抗体産生は十分に刺激できるので、インフルエンザに続発する肺炎などの合併症や最近問題となっているインフルエンザ脳炎・脳症の発生を抑えることには期待出来ると考えられています。」】
<院内感染>
2009年1月18日(日)新聞に、東京都の某病院(内科と認知症主体の精神科)で1月17日までに、入院患者77人と職員24人の職員が相次いでインフルエンザを発症し、女性患者3人が死亡したという痛ましい記事が載りました。ちなみに院長も感染したそうです。1月3日に20代の女性職員がインフルエンザに感染し、6日以降入院患者に広がりました。
亡くなった3人は、いずれも高齢の認知症で寝たきりの患者で、2人はワクチンを接種していました。
インフルエンザに罹患した77人の入院患者のうち、68人はワクチンを接種しており、罹患した24人の職員のうち、21人が接種を受けていました。
インフルエンザワクチン「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」ということが効能です。奇しくも上述の記事で、感染防御には実際にまったく無力だったことが明らかとなりました。
院内感染を防ぐためには、「手洗い、うがい、マスク」が必須です。
<誤解>
ところが、相変わらず多くの患者さんや医師が、水際で感染防御できると誤解しておられるのです。
私は、過去十年間以上、友人の医師などに、感染防御はできないと口を酸っぱくして言い続けてきたのですが、皆なかなか信じてもらえませんでした。どこかで誤った情報が流され続けていたのでしょうね。
ここ2~3年、新聞などでもやっと、「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」という真実が報道されるようになりました。
逆に言えば、過去10年以上、あたかも感染防御できるような内容の報道に終始していたわけで、そのことに関して自己批判もなくてなんだか興ざめです。
インフルエンザワクチン注射を希望する患者さんがこられたら、私はこのことを説明して、「手洗いやうがい、人混みを避けるなど、基本的なことが感染防御には大事なので、ワクチンを接種したからといって油断しないでくださいね。」と付け加えます。
<必要性>
別に私は、ワクチンが無意味といっているのではありません。
65歳以上の高齢者、呼吸器系や循環器系に慢性疾患を持つ患者、糖尿病、腎臓病などの慢性疾患の患者、免疫低下状態の患者などでは、インフルエンザに罹患し重症化すれば、肺炎などの重篤な合併症になり、生命に危険が及ぶこともありますから必要だと思います。若い人でも、受験生などは重症化したら困りますから、接種する意味はありますね。
<感染防御>
①医療関係者は、インフルエンザ患者を診察するときはマスクをする。
診察が終わったら必ず手洗いをし、使い捨て紙タオルでふく。
マスクをはずしたときはうがいをする。
②急性の咳や熱がでている当事者はエチケットとして、マスクをする。
③満員電車の中など避けようがない密閉された場所にいくときはマスクを
して乗る。
④人混みにでたあとは、手洗い・うがいを励行する。
⑤家族が一人インフルエンザに罹患したら、家の中でも当事者はマスクを
する。その一人は、違う部屋で寝る。
⑥咳で飛沫が飛ぶのは約1mであるので当事者から距離を取る。
⑦鼻水や痰を封じ込めるためにティッシュを使用し、使用後のティッシュは、
できればノンタッチごみ箱に廃棄すること
ブログ読者の皆さん、インフルエンザワクチンを接種している人も、感染防御効果はないことをしっかり認識して、上記①~⑦を励行してくださいね。これが実行されていれば、上述のような院内感染が猛威をふるうことはなかったでしょう。
<終わりに>
インフルエンザワクチンに、賛成の人も反対の人もあると思います。ブログ読者の皆さんには、インフルエンザワクチンの真実を知ってもらいたくて今回記事にしました。
江部康二