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たとえ減量できなくても、身体活動を高めれば血糖値を改善できる
こんばんは。

日経メディカル オンラインの記事(2010年9月28日)を見ました。

「運動を継続的に行うことで、たとえ減量できなくても、空腹時血糖値や食後2時間血糖値が改善する可能性がある。」

と、英レスター大学の心臓血管科学のT. Yates氏が、2010年9月20日から24日まで、スウェーデンのストックホルムで開催された第46回欧州糖尿病学会で報告したそうです。

2006年10月~2007年4月にかけて、英レスター大学で募集した体重過多または肥満でIGT(境界型食後高血糖)がある98人。

かれらを、

①アドバイスが記載された小冊子を受け取るだけの群(対照群、34人)
②身体活動を高める運動を推奨、3時間の教育プログラムをグループ単位で行う群、31人。
③1日の活動目標と万歩計使用による歩行運動を含んだ3時間の教育プログラムを個別に行う群、33人。
の3グループに分けて、研究が行われました。

教育プログラムによる介入を行った②③群には3カ月後と6カ月後にカウンセリングを行い、すべての群で3カ月後、6カ月後、12カ月後にフォローアップを実施しました。その上で、24カ月後に血糖状態を評価する追加検査を行い、空腹時血糖値と食後2時間血糖値、WHO基準による2型糖尿病への進行の評価、体重などを調べました。

結果は③群のみが、空腹時血糖値と食後2時間血糖値で有意な改善が認められました。

また、IGT(境界型食後高血糖)から糖尿病への移行も③群が一番少ないという結果でした。
①②③群とも、24ヶ月後の体重に差はありませんでした。

体重に差がなかったので、継続的な運動そのものに、空腹時血糖値と食後2時間血糖値改善効果と糖尿病発症予防効果があったことになります。

欧米人の糖尿病発症時の主たる要因は、インスリン抵抗性で、その時点ではインスリン分泌能力は、正常に残っていることがほとんどです。

上記の結果から、導き出される仮説は、

「英国人で肥満のIGTでは、継続的な運動そのものに、インスリン抵抗性を改善させる効果がある。」

ということになるでしょうか。

日本人の場合は、インスリン分泌能力低下が糖尿病発症の主たる要因なので、この点は欧米人とは全く異なっています。

従って、BMIが正常な日本人のIGTには、上記の仮説を単純にあてはめることはできないかもしれません。

一方、日本人でも肥満のIGTには、そのままあてはまる可能性がありますね。

また、肥満でない日本人の糖尿病においても、長期にわたる継続的な運動は軽度のものであっても、身体のインスリン感受性を改善させるとされていますので、やはり運動はできたらしたほうがいいのでしょうね。


江部康二


☆☆☆☆☆以下は日経メディカル オンラインの記事(2010年9月28日)です。

たとえ減量できなくても、身体活動を高めれば血糖値を改善できる

『減量できなくても、身体活動そのものを高めることで、2時間後血糖値や空腹時血糖は改善する可能性があることが示された。PREPAREプログラム研究で明らかになったもので、英レスター大学の心臓血管科学のT. Yates氏が、9月20日から24日までスウェーデンのストックホルムで開催された第46回欧州糖尿病学会(EASD2010)で報告した。』


 PREPAREプログラム研究は、糖尿病前症の患者に対し糖尿病についての体系的な教育を行い、万歩計を使って積極的に歩行運動を行うよう勧め、糖尿病の発症予防効果や患者の健康状態の変化などを調べたもの。これまでの検討で、耐糖能異常(IGT)の患者において12カ月後の血糖の調整機能が改善することが確認されている。Yates氏らは、今回の研究でPREPAREプログラムの効果が24カ月後も維持されているかを調べた。

 プログラムの参加者は、2006年10月~2007年4月にかけて、英レスター大学で募集した体重過多または肥満でIGTがある98人。これらを、アドバイスが記載された小冊子を受け取るだけの群(対照群、34人)、身体活動を高める運動を推奨し3時間の教育プログラムをグループ単位で行う群(E群、31人)、1日の活動目標と万歩計使用による歩行運動を含んだ3時間の教育プログラムを個別に行う群(EP群、33人)にランダムに割り付けた。群間でベースライン時の患者背景や生化学的測定値に差はなかった。

 教育プログラムによる介入を行った2つの群(E群、EP群)には3カ月後と6カ月後にカウンセリングを行い、すべての群で3カ月後、6カ月後、12カ月後にフォローアップを実施した。その上で、今回の調査では、参加者には24カ月後に血糖状態を評価する追加検査を行い、空腹時血糖値と食後2時間血糖値、WHO基準による2型糖尿病への進行の評価、体重などを調べた。ベースラインからの変化に見られる差は、共分散分析(ANCOVA;Analysis of covariance)で分析した。

 結果、74人の参加者(76%、女性38%、南アジア系20%)において、24カ月後のフォローアップデータを得た。

 解析の結果、2時間後血糖値は、EP群のみが有意な減少を維持した。具体的には、ベースラインで8.7±2.3 mmol/Lだったものが、24カ月後は7.3±2.2mmol/Lに減少した。ベースライン値で調整した対照群と比較した変化は、-1.5 mmol/L(95%信頼区間:-2.8~-0.3、p=0.012)だった。

 空腹時血糖についても、EP群のみで有意な減少傾向が見られた。ベースラインで5.6±0.6mmol/Lだったものが、24カ月後 には5.4±0.7mmol/Lと減少した。ベースライン値で調整した対照群と比較した変化は、-0.3mmol/L(95%信頼区間:-0.7~0.0、p=0.073)だった。

 追跡期間中に診断された24カ月間の2型糖尿病累積発生率は、対照群で18%、E群で16%、EP群で6%となり、EP群でもっとも少ないという結果だった。一方、いずれの群も、24カ月後の体重に差はなかった。

 Yates氏は、「糖尿病に関する教育と運動の推奨を個別に指導することで、体重が減少しなくても、血糖状態が改善することが分かった。患者指導においては、減量が治療の目標になるのではなく、身体活動の向上が重要になるのではないか」と述べた。

(日経メディカル別冊編集)
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食と糖尿病改善と尿酸2010
おはようございます。

めっきり涼しくなりました。

秋は、一番好きな季節です。

さて今回は、初心者エイジさんから、糖質制限食糖尿病改善と尿酸について、コメント・質問をいただきました。


『10/09/28 初心者エイジ
楽しくお酒を飲んでもこの数値!
江部先生。ご無沙汰しています。
以前にご報告とご相談をさせていただいた初心者エイジです。

糖質制限食に出会えた御陰で

5/28糖尿病宣告時
体重 73kg HbA1c 8.2%

7/17検査
体重 63kg HbA1c 5.7%

と大幅に改善。この時先生から
「糖質ゼロの発泡酒などを再開しては」はとの うれしいご助言をいただいたことに気を良くし(単純です) 糖質ゼロの発泡酒も再開、 娘が大好きなホルモン焼きのお店にも頻繁に通い、 焼酎やウィスキーを楽しんでいます。
(炭酸割りは糖質制限に引っかかりますか?)
もちろん糖質制限食も続行しているので 日々の血糖コントロールに過敏になる必要もなく生活しています。

そして、お酒も肴も堪能している毎日にも関わらず

8/9検査
体重 61kg HbA1c 5.1%

9/27検査
体重 59kg HbA1c 4.7%!!!

(肝臓、尿アルブミン、コレステなどの数値もすべて正常でもちろん網膜症の発症もありませんでした)
という好成績(夢の4%台)を納め、主治医の先生からも

「薬も必要ないし通院やめる? もうアドバイスすることないなぁ~アハハ」

というお褒めの言葉もいただきました。

糖尿病先刻時に、厳しい食事制限を思いお先真っ暗だった気持がうそのように充実しております。
先生本当にありがとうございました!
これからも糖尿病、そして糖質制限食と仲良くつきあっていきたいと思います。

ただ、ちょっと気になるのは、やはり尿酸値のアップですが薬を処方していただき経過を観察中です。
また、それほどひどくはないのですが 「手足のしびれと痛み」が出てしまっていることです。
主治医の先生は、「劇的に血糖値が改善するとしばらくこのような症状が出てしまうことがあり、壊疽などに繋がる血管障害とは別ものなので心配いらない」
とのことなので運動も続行してしまっていますが、やはり少し気になります。他にもこのような例はあるのでしょうか?
良くなったのに悪くなるところもあるというちょっと複雑な気持です。
また、急激な体重減のため、筋肉も落ちてしまったようなので糖質制限食を続けながら、筋肉量も増やすような
いい方法はないでしょうか?
結局、色々と質問になってしまい申し分けありません。
お手透きのときにでもご回答いただけましたら幸いです。』


初心者エイジさん。
糖尿病の劇的な改善、良かったですね。 (^_^)

尿酸値に関しては、糖質制限食で減少する人、不変の人、増加する人と個人差が大きいです。結局持って生まれた体質が一番関係するのだと思います。

ただ、低カロリーすぎると、どんな内容の食事でも、尿酸値が上昇することがあるので注意が必要です。例えば断食をすると、尿酸値は急激に上昇します。

初心者エイジさんも、かなり急速に体重が減ってますので、低カロリー過ぎないように注意してくださいね。

糖質制限食を実践すれば、相対的に高タンパク・高脂質食となります。

高タンパク食だと尿酸値が上昇するとされていますが、ことはそれほど単純ではありません。

例えば、江部康二は、2002年以来、足かけ8年間、スーパー糖質制限食実践で130g~150g/日のタンパク質を摂取していて、かなりの高タンパク食ですが、尿酸値は2.4~2.8mg/dlていどと低いです。
兄も糖質制限食ですが、尿酸値は、私と同じていどです。

通常、糖質制限食でいったん尿酸値が上昇した人も、数ヶ月~1年で元の値に戻ることが多いので経過をみることが多いです。

ただ、過去痛風発作を起こしたことがある人は、内服も考慮する必要があります。

尿酸値は、従来、肉の摂りすぎや、ビールの飲み過ぎで高値となるということが常識だったのですが、食事由来の尿酸は約100mgで、一日に生産される総量約700mgに比し、かなり少ないということが判明しました。

自らが痛風患者であり、痛風専門医でもある、鹿児島大学病院内科教授、納(おさめ)光弘先生によれば、食事よりストレスや肥満のほうが、尿酸値への影響が多いことがわかってきました。

尿酸を確実に上昇させるのは、重要なものから順番に

1、ストレス
2、肥満
3、大量の飲酒
4、激しい運動
5、プリン体の摂りすぎ

だそうです。

納先生の指摘されているストレスは、精神的なもののようです。

例えば、納先生が学会の会頭をされたときに、尿酸値が一番上昇して、学会が終了したら、下がったそうです。

これらに特殊例として「断食や極端な低カロリーのとき尿酸値上昇」というのが、一番上にくる感じですね。
断食は、強力な肉体的ストレスと考えることもできます。


「手足のしびれと痛み」は糖尿病神経障害ということでしょうか。

少なくともHbA1c6.5%以上、通常は7%以上の血糖コントロール不良が、数年間以上継続して初めて細小血管の障害が顕在化して、神経障害になります。まれに2年間くらいで神経障害が生じることもあります。

初心者エイジさんは2010年5月に糖尿病の診断を受けておられますが、それ以前に、食後高血糖が数年間続いていた可能性がありますね。

急速に血糖値が改善したときに出現する神経障害は、主治医の仰有るように、しばらくしたら治ることがほとんどですので心配ないと思います。

なお糖質制限食で筋肉量が減ることはないと思います。トレーニング併用で筋力アップの人もおられますよ。

一方、低カロリー過ぎると筋肉量も減ることがあるので注意が必要です。脂質・タンパク質はしっかり摂取してくださいね。

筋肉量に関しては「2008年02月25日 (月) のブログ、

「運動とエネルギー源⑨ 糖質制限食と筋力トレーニング」

もご参照いただけば幸いです。



**参考
「痛風はビールを飲みながらでも治る」(小学館文庫)
鹿児島大学病院内科教授、納(おさめ)光弘先生 著



江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
血糖値を上げない! 健康おつまみ109 (糖質制限食シリーズ)
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こんにちは。

いよいよ秋たけなわです。お酒が美味しい季節ですね。

昨夜は大雨の中、いきつけの割烹

「さいせんたん」(JR花園駅北バス停西の小道を北へ10m。075-465-2421)

で「赤霧島」の水割りをチビチビやりながら、秋の糖質制限な味覚を満喫しました。(⌒o⌒)v

超久しぶりに「久保田」の吟醸酒もお猪口、1杯だけ飲みました。( ̄_ ̄|||)

さいせんたん、とても美味しいお店ですよ。
京都の人も観光で来た人も是非どーぞ。

9月27日(月)は、「おはよう朝日です」にビデオ出演して、「酒飲みダイエット」(プレジデント社)のお話し、糖質制限食のお話しをしました。

お酒は、糖質制限食では、とても重要なツールです。

主食がなく、おかずばっかり食べる、という食べ方は、お酒を飲まない人にはちょっとつらいかもしれませんね。

でも酒飲みは、もともと、おかずを食べながらお酒を飲むので、糖質制限食実践は、全く楽です。

お酒の原料は、基本的に穀物で糖質のカタマリです。芋、米、麦、ぶどう、とうもろこし、黒糖などなど、糖質のかたまりが、蒸留という過程を経て、ピュアなうまみある糖質ゼロの液体に変わるのは、まさに神の恵みですね。

偶然できたのか、人間が意図的に作り出したのかはわかりませんが、蒸留酒は、糖質制限食の最高傑作かもしれません。

お酒と糖質制限食という意味では、この一冊もお忘れなく。

「血糖値を上げない! 健康おつまみ109 」(東洋経済新報社)

糖質制限食シリーズ最多の109レシピ収載です。

こちらは、江部康二監修で、大柳珠美管理栄養士著です。

写真、装丁がとてもきれいで見やすいですし、紙の材質もとてもいいです。

レシピですが、3つくらいの手順で作れる簡単なものが多いのも重宝です。一応、おつまみレシピなのですが、普通におかずとしても充分OKです。

コロッケ、ポテトサラダ、たこ焼きなど、本来糖質制限食では禁止だったものも、大柳さんの工夫により糖質制限OK食品に変身していますよ。

高雄病院や江部診療所の看護師さんの評判も上々です。

是非、ご一読のほどよろしくお願い申し上げます。

以下は、「血糖値を上げない! 健康おつまみ109 」の「はじめに」と「おわりに」です。


☆☆☆☆☆
はじめに  

いよいよ待望のおつまみレシピの出版にこぎつけました。お酒好きの私としては嬉しい限りです。「美味しく楽しく糖質制限食」がモットーですから、下戸の方には申し訳ないのですが、上戸にとっては食事とお酒はきってもきれない必需品です。

糖質制限食を希望して高雄病院を受診される糖尿人、今まで通院されていた病院ではたいていお酒は禁止されています。高雄病院初診時に、「糖質制限食では糖尿人でもお酒は飲んでも構わないんですよ。」と私が説明すると、思わずおじさん(おばさま)の目が輝きます。診察が終わって退出されるときも、「本当にお酒飲んでもいいんですね。嘘ついたら泣きますよ、怒りますよ。」などとしっかり確認して帰られます。

このようにほとんどの病院では糖尿人にお酒は禁止されているのが日本の現状ですが、実はエチルアルコールそのものは全く血糖値を上昇させません。ですから蒸留酒(焼酎・ウィスキー・ブランデーなど)は全く血糖値をあげません。焼酎の原料が芋でも黒糖でも麦でも米でも、製造工程の仕上げで蒸留したときに糖質はゼロとなるからです。

一方、醸造酒は糖質を含んでいて血糖値を上昇させるので、糖質制限食的に注意が必要です。例えば缶ビール350mlには12~14gの糖質が含まれています。醸造酒の中でもビールが特に良くないのは、量を飲んでしまうからです。

日本酒にも糖質は含まれていますが100ml中に5gくらいですのでお猪口でちょこちょこ嗜む程度なら大丈夫です。しかし2合も飲んだら糖質18gです。ワインはものにより差はありますが、赤で100ml中に1.5gの糖質で、白は2gです。レストランでグラスに注いでくれるワインが調度100mlくらいですので、こちらも嗜む程度ならOKです。

最近は糖質ゼロの発泡酒や糖質ゼロの日本酒も発売されているので重宝です。糖質制限食は血糖値の改善やダイエットに効果抜群なのですが、残念ながら2~3割ぐらいの人が脱落してしまいます。脱落者のほとんどが下戸で甘党の方です。

これに対して上戸の糖質制限食成功率は9割以上と思います。お酒が飲めるというアドバンデージが他のもろもろのことを遙かに上回るということです。

清く正しくより美味しく楽しく糖質制限食です。従来のカロリー制限食のひもじくて味気なくてお酒もだめで我慢に我慢を一生続けるパターンに比べたら、脂ののったとろや、バターこってりのステーキも食べ放題で、お酒も飲める糖質制限食は極楽のようなものです。糖尿人・メタボ人の皆さん、是非糖質制限食ライフをお始め下さい。



おわりに 

本書は私の朋友でお酒大好き人間の管理栄養士・大柳珠美さんが長年?温めてきたおつまみレシピの集大成です。大柳さんご自身が、食べながら飲みながらしっかり何度も味わって、おつまみの美味しさとお酒の相性を確認して精選した極上の一品が勢揃いしています。

私は2005年以降、10冊の糖質制限食の本を、出版あるいは監修してきました。大柳さんとの共著本も2冊あります。2009年5月のNPO法人糖質制限食ネット・リボーン主催の東京講演会の前夜祭で、糖質制限食をつまみながら焼酎や赤ワインを飲みながら、「そろそろまた二人で本でもだそうか。」と盛り上がっていき、テーマは何にしようかとなり、今まで出してないものということで、すんなりおつまみレシピに決まりました。

大柳さん、私が知る限り女性では3指に入る酒豪です。そのお酒とおつまみにかける情熱は半端ではありません。本書には、とてもきれいで大きな写真とわかりやすいレシピが満載です。まさに適材適所、書くべき人がしかるべき時を得て渾身の力を注ぎ込んだ珠玉の本を全国の上戸の皆さんに捧げます。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖尿病の青年男性、死亡するリスクは健康男性の3倍、スウェーデンの報告
こんばんは。
夕方から雨が降り始めた京都です。

さて今回は、mmx233さんから、貴重な情報をいただきました。
mmx233さん、ありがとうございます。

糖尿病の青年男性は、糖尿病発症後15年以内に死亡するリスクが健康男性の3倍」

という何ともこわい、スウェーデンの報告です。

「1992~1993年にかけて、診断時に15~34歳の患者を国内登録研究であるスウェーデン糖尿病発生率調査(Diabetes Incidence Study in Sweden)に登録した(n=879)。対照者は、患者が糖尿病と診断された時に、生年月日と性別が一致する健康な人を患者ごとに選んで設定した(n=837)。」

ということなので、かなり若い人が対象の研究ですね。

「15年間の追跡期間中、患者群の3.3%(879人中29人。男性24人、女性5人)と、対照群の1.1%(837人中9人。男性7人、女性2人)が死亡した。糖尿病患者が死亡するリスクは、糖尿病でない患者のほぼ3倍であった。」

死亡原因は何であれ、総死亡率が糖尿病患者さんの方が、約3倍多かったということです。


「患者群では糖尿病が第1の死因で、34%(10人)で死亡原因と特定された。さらに糖尿病が死亡の一因と考えられるケースが5件あった。患者群で2番目に多かった死因は、循環器疾患の17%(5人)だった。」

これは、やや不思議ですが、若い人だからでしょうね。

糖尿病で直接亡くなるというのは、低血糖とか糖尿病性ケトアシドーシスとか特殊なものと考えられます。

患者群では、過半数の55%(16人)が自宅で死亡しているので、突然死に近い上記のようなことが起こったようです。

もっと高齢だと、糖尿病によって頻度が高くなるガンや心疾患、脳血管疾患などの死亡が、糖尿病による直接死亡より、はるかに多くなります。

日本の糖尿病糖尿病患者の死因で多いのは、虚血性心疾患(心筋梗塞など)、脳血管障害(脳卒中)などや糖尿病腎症で、これらを合わせると約4割です。

第2位はガンで約3割、第3位は感染症によるもので約1割です。

これらの血管障害、ガン、感染症を合わせると、糖尿病による死因の約8割を占めています。

今回のスエーデンの報告は、若年者対象なので、日本の一般的な糖尿人の事情とは異なっています。

ともあれ、糖質制限食で食前・食後の血糖値を良好に保てば、低血糖も高血糖も起こしませんし、将来的な動脈硬化の予防もできます。

糖尿人の平均寿命は男性が66.5歳、女性が68.4歳で、日本人全体の平均寿命より、男女とも10歳ほど短命であるという報告もあります。

糖尿人は、できるだけ早く、美味しく楽しく糖質制限食で、身を守ることが必要ですね。


江部康二



☆☆☆☆☆
以下は日経メディカル オンライン
2010. 9. 24に載った記事です。

『学会ダイジェスト
糖尿病の成人男性、糖尿病発症後15年以内に死亡するリスクは健康男性の3倍

スウェーデン・マルメ市のC.Törn氏

糖尿病と診断された人を平均15年間追跡したコホート研究で、糖尿病の成人男性は、糖尿病発症後15年以内に死亡するリスクが健康な男性の3倍に上ることが示された。スウェーデン・マルメ市のC.Törn氏(写真)らが、9月20日から24日までスウェーデンのストックホルムで開催されている第46回欧州糖尿病学会(EASD2010)で発表した。

これまでのいくつかの研究で、糖尿病患者は早期の死亡リスクが高いことが指摘されている。Törn氏らは、こうした事実がスウェーデンでも確認されるかどうか調べるために、スウェーデンの糖尿病患者を診断時から15年間追跡して、全ての死因および死因ごと死亡率、死亡した場所、死亡した日付を調べ、健康な対照者と比較した。

1992~1993年にかけて、診断時に15~34歳の患者を国内登録研究であるスウェーデン糖尿病発生率調査(Diabetes Incidence Study in Sweden)に登録した(n=879)。対照者は、患者が糖尿病と診断された時に、生年月日と性別が一致する健康な人を患者ごとに選んで設定した(n=837)。

追跡においては、記録をスウェーデン死因登録と照合して、2009年3月2日まで患者群(n=879)と対照群(n=837)両方の生存状態を確認した。追跡期間は中央値15.9年(範囲1~17年)、合計2万7173患者年であった。

15年間の追跡期間中、患者群の3.3%(879人中29人。男性24人、女性5人)と、対照群の1.1%(837人中9人。男性7人、女性2人)が死亡した。糖尿病患者が死亡するリスクは、糖尿病でない患者のほぼ3倍であった(ハザード比2.9、95%信頼区間:1.4-6.2)。この傾向は特に男性で著しかった(ハザード比2.8、95%信頼区間:1.2-6.5)。

死亡時の年齢は、患者群(29人)では、平均年齢が37歳(18~48歳)、対照群(9人)では、平均年齢が38歳(20~49歳)だった。

患者群では糖尿病が第1の死因で、34%(10人)で死亡原因と特定された。さらに糖尿病が死亡の一因と考えられるケースが5件あった。患者群で2番目に多かった死因は、循環器疾患の17%(5人)だった。

患者群では、過半数の55%(16人)が自宅で死亡し、残りは医療機関で28%(8人)またはその他の場所で17%(5人)が死亡した。これに対し、対照群では33%(3人)が自宅、33%(3人)が医療機関、そして33%(3人)がその他の場所で死亡した。

なお、死亡証明書に死亡日が明記されていたのは、対照群で100%だったのに対し、患者群では45%にとどまっていた。

これらの結果をもとにTörnは、「特に糖尿病の成人男性は、糖尿病発病後15年以内に死亡するリスクが糖尿病でない健康な男性の3倍であった。また、大半が自宅で死亡し、そのうち約半数は、死亡日が特定されないようなかたちで死亡していた」と指摘。「糖尿病の成人男性は、若年での死亡リスクが高い可能性がある。若年、中年の糖尿病患者をケアする際には、このような事実があることを認識し、自宅での生活に留意すべきだろう」と話した。(日経メディカル別冊編集)』




テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
リボーン・シンポ・とことん語る糖質制限食、~糖尿病・メタボ・アトピー~、東京
おはようございます。

リボーン・シンポジウムのご案内です。

リボーン・シンポジウム特別企画
とことん語る糖質制限食
~食事で治す糖尿病・メタボ・アトピー~

2010年10月31日(日)に東京、なかのサンプラザで開催です。

以下は、事務局の曽我部ゆかりさんからのメッセージです。


☆☆☆☆☆
ドクター江部のブログ読者の皆様へ

リボーン・曽我部ゆかりよりお知らせです。

ようやく秋らしい風が吹き始めました。
いかがお過ごしでしょうか? リボーン・シンポジウムのご案内です。まだまだ席に余裕はありますが、限りがありますので、お早めにお申し込みください。

もはや医学界だけでなく、グルメ界においても旬な風となった「糖質制限食」。糖尿病やメタボ、肥満、アトピーの方だけでなく、ダイエット目的の方も、楽しくおいしい食事療法で、症状改善を目指しましょう。当会理事長の江部康二による基調講演の後は、『dancyu』編集長・町田成一氏をゲストにお迎えし、当会副理事長の大柳珠美をまじえ、居酒屋鼎談風にとことん糖質制限食の魅力を語り尽くします。糖質制限ドットコムと恵比寿屋西陣(他)による出店も予定しています。おいしいシンポジウムに乞うご期待。皆様の参加をお待ちしております。


リボーン・シンポジウム特別企画
とことん語る糖質制限食
~食事で治す糖尿病・メタボ・アトピー~

講師    江部康二(内科医 高雄病院理事長 リボーン理事長)
      大柳珠美(管理栄養士 リボーン理事)

ゲスト講師 町田成一(『dancyu(ダンチュウ)』編集長)



■開催日時 2010年10月31日(日)
■プログラム 13時開場
      13時30分~14時00分 基調講演 江部康二
      14時00分~14時15分 休憩

      14時15分~16時00分 鼎談
        ゲスト 町田成一 パネリスト 大柳珠美 司会 江部康二

      16時00分~16時10分 休憩

      16時10分~16時30分 質疑応答&交流会


■参加費    

リボーン会員 2800円 リボーン会員ペア 4400円
一 般    3500円 一般ペア 5600円

■定員 105名

■申込 事前に郵便振替でご送金ください。当日受付は致しません。
    入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
    郵便振替 口座番号 00110-9-393366
         口座名称 リボーン

■申込〆切 10月21日
   
■会場 なかのサンプラザ研修室10(7階)
■アクセス JP中野駅北口下車1分。サンプラザ正面エントランスから入り左手のエレベータで7階へ
■住所 東京都中野区中野4-1-1 電話 03-3388-1174
※シンポジウムの内容に関するお問い合わせはサンプラザでなはく、リボーン事務局迄お願いします。


講師プロフィール
町田成一(まちだせいいち)『dancyu(ダンチュウ)』編集長。もちろんおいしいもの好きの酒飲み。健康診断でメタボ傾向であることを自覚。一念発起、糖質制限を実施したところ、みるみるズボンがぶかぶかに。あごから首のラインもすっきり。男前をあげている。

江部康二(えべこうじ)内科医、高雄病院理事長、リボーン理事長。おいしいもの好きの呑んべえの糖尿病患者でもある。糖質制限食を自ら実施し、見事に糖尿病をクリア。地球誕生にまで遡る「人の食」の理論はスケールが大きく、魅力に溢れている。

大柳珠美(おおやなぎたまみ)管理栄養士。リボーン理事。おいしいもの好きでお酒好きな人間。家族に糖尿病患者を持つため、自作の料理で血糖値のコントロールとレシピ開発に余念がない。自らも糖質制限食を実践しその効果を実感。糖質制限食の指導を極めた唯一の管理栄養士として活躍中。

■主催 NPO法人糖質制限食ネット・リボーン 
■問い合わせ リボーン事務局 曽我部ゆかり 
 電話 03-3388-5428
 e-mail  reborn@big.or.jp
 住所 中野区新井4-4-2-4B


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
日本初の糖質制限食コミック「うちの母は糖尿人」東洋経済新報社
うちの母


こんばんは。

日本初の糖質制限食コミック

「うちの母は糖尿人」東洋経済新報社
監修 江部康二
著 伊藤きのと

が、2010年9月発売となりました。

そこそこ売れていますが、もう一頑張りです。

漫画好きの私としては是非ブレークして欲しい本です。

9月、3回目の記事です。漫画好きの糖尿人の皆さん、是非ご一読のほど。

読みやすくて、わかりやすくて、コミックならではの傑作です。

活字が苦手の方でもOKな、お奨めの作品です。ご一読頂けば幸いです。

著者 伊藤きのと さんの
ホームページが 「そらのした」
ブログが 「そらのしたBLOG」
です。

本ブログにリンクしてありますので、読者の皆さん、是非覗いてみてくださいね。

以下は、「うちの母は糖尿人」に書いた、漫画大好きな私の「あとがき」です。


<あとがき>

伊藤きのとさんから初めて手紙をいただいたときは、見知らぬ若い女性から何故?と疑問に思ったものです。その後連絡を取り合っているうちに、江部診療所に長年通院しておられる女性患者さんのお孫さんだということがわかりました。つまり、私の患者さんの娘さん(伊藤きのとさんのお母さん)が糖尿人となられ、そこからこの物語が始まったわけです。

きのとさんのあとがきにもでてきますが、「糖尿人」という言葉は私の造語です。糖尿病の患者とか糖尿病の人とか、何だか堅苦しくて楽しくないです。英語で糖尿病患者のことを、「People with Diabetes」といいます。「糖尿病と共にある人」ではますます面白くないので、ユーモア感覚で「糖尿人」と造語してみました。世の中は正常人、境界人、糖尿人で構成されてます。作家宮本輝先生との対談本「我ら糖尿人、元気なのには理由がある」でも使わせていただきました。糖尿人、宮本輝先生にも気に入っていただけたようです。きのとさんもご指摘のように、我ら糖尿人は糖質さえ食べなければ健常であり病人ではないのです。

さて、きのとさんの手紙には「スーパー糖質制限食で糖尿病をコントロールした母親の体験記をコミックで描きたい」という企画が提案してありました。かくいう江部康二、根っからの漫画好きでして、小学校のころから毎週、毎月欠かさず何冊も読んでいて、週刊少年サンデー、週刊少年マガジン、週刊少年ジャンプなどは創刊号から今にいたるまで愛読書です。一時は少女漫画にまで手を出していました。 

そういう私ですので、きのとさんの企画、まさに渡りに船というのりで、東洋経済新報社さんに相談したところ、こころよく承諾いただきました。編集部の佐藤未来さんありがとうございました。おかげさまで、日本初の糖質制限食コミックが誕生することとなりました。本コミックには、糖質制限食実践の苦労話がいろいろ盛り込んであり、楽しく読んでいくなかでノウハウやコツがわかりやすくつかめる仕組みになっています。

きのとファミリーみんなで、糖尿人のお母さんをサポートしている雰囲気が漫画やストーリーからほのぼのと感じられて、温かいです。糖尿人も孤独には弱いです。支えてくれる家族の絆はとても大切です。

糖尿病の治療というと、厳格なカロリー制限の食事療法、お酒は飲んではだめ、運動療法、内服薬、インスリン注射・・・。複雑で時間がかかり、我慢と苦痛を伴う治療を長期間続けなくてはならないのですから、糖尿人は結構大変です。しかもカロリー制限の食事療法を続けている限りは、HbA1c6.5%未満のコントロール良好な糖尿人は、インスリンを打っても薬を飲んでも、統計的には30%未満しかいないのです。

つまり、現状では、大多数の糖尿人はコントロール不良で、医師や栄養士から無言の非難を浴びてる感じだし、自分でも言われたとおりにちゃんと食事も運動もしているのに「なぜだー!」という心境でしょう。こうなると投げやりになったり、うつっぽくなっても不思議ではありません。きのとさんのお母さんもいっときは、うつっぽくなって暗かったようです。実際、糖尿病とうつ病ですが、米国の医学雑誌に『糖尿病患者はうつ病になるリスクが2倍も高い』という論文がのったことがあります。つまり、糖尿人はうつになりやすいようですし、また厄介なことに、うつがあると糖尿病も悪化しやすいという側面もあります。

糖尿人にとってややつらいお話でしたが、救いはあります。糖質制限食だと、カロリー計算は要らないし、お酒も飲めるし、お肉もお魚も食べ放題・・・運動も別にしなくてもOK・・・。カロリー制限の糖尿病食に比べれば、面倒くささや制約が、ほとんどありません。

唯一、糖質さえ制限すれば、あとは自由ですので、長期に渡って実践でき、苦痛は少なく、心理的にはずいぶん楽ですね。きのとさんのお母さんも糖質制限食と出会ってからは、心理的にもめきめき元気を取り戻しておられます。
 
本書を手にとっていただいた糖尿人の皆さん、糖質制限食で元気に健康ライフをお過ごし下さい。
 

江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食とLDLコレステロール2010
おはようございます。

honamiさんから、コレステロールと糖質制限食についてコメント・質問をいただきました。


「10/09/25 honami
LDLコレステロール値
こんにちは。はじめまして。honami(42歳)と申します。
炭水化物、甘いもの依存気味の食生活と、低血糖症と思われる症状(検査はしていません)の改善のため、いろいろ情報収集した結果、先生のブログに辿り着きました。
今年の6月からスーパー糖質制限食を続けています。

さて、血液検査で気になる点がありコメントさせていただきました。
スーパー糖質制限食を始めてから、顕著にLDLコレステロールが上がってしまい、このままこの食生活を続けてよいものか悩んでおります。しばらく半年~1年位は様子をみたほうがよろしいでしょうか?
先生のご意見を聞かせて頂ければ幸いです。
よろしくお願いいたします。

検査 02/22 6/25 8/31
LDLコレステロール  103 184 203
HDLコレステロール  67 92 81
中性脂肪 77 69 76
血糖(空腹時)  82 77 84
HbA1c 4.8 4.8 -
※8/31の検査では脂質異常と出ており、他は特に異常なしでした。」


honami さん。

コレステロールは、細胞膜や男性ホルモン、女性ホルモンなどの原料であり、人体に必要不可欠な大切な物質です。通常肝臓でコレステロールを7~8割合成しており、食事由来のコレステロールは2~3割程です。

糖質制限食実践で、コレステロール摂取量が増えるので、初期にLDLコレステロール値が上昇することがあります。この場合も肝臓が調整するので、半年~1年で元に戻ります。

人によっては、糖質制限食実践で、LDLコレステロールが高値から正常になることもあります。

私の友人、春日井市の灰本元医師は、2009年には重症DM(HbA1c>9.0%)33名への低糖質食治療で、インスリンを使用することなく半年後にHbA1c10.9から7.2%へ下がり、LDL-Cは低下、HDL-Cは上昇することを報告しています。(*)

糖質制限食実践による検査データの変化ですが、はっきり一定の傾向がでるものとでないものがあります。

糖質制限食実践で

1 血糖値はリアルタイムに改善します。
2 スーパー糖質制限食なら、HbA1cは月に、1~2%改善します。
3 中性脂肪も速やかに改善します。
4 HDL-コレステロールは増加します。増加しますが、増加の程度と速度に個人差があります。
5 LDL-コレステロールは低下・不変・上昇と個人差があります。
  上昇した人も、半年~1年くらいで落ち着くことが多いですが、個人差があります。
6 総コレステロールは、低下・不変・上昇と個人差があります。
  上昇した人も半年~1年くらいで落ち着くことが多いですが個人差があります。
7 尿酸も低下・不変・上昇と個人差があります。
  上昇した人も、半年~1年くらいで落ち着くことが多いですが、個人差があります。
8 尿素窒素はやや増加傾向になる人が多いですが、そのうち落ちつくことが多いです。
9 クレアチニンは不変です。
10 カリウムも不変のことが多いです。
11 血中ケトン体は現行の基準値より高値となりますが、生理的なものです。
12 尿中ケトン体は当初3ヶ月~半年は陽性になりますが、その後陰性化します。
13 脂肪肝に付随する、GPTやγGTP高値も改善します。

LDL-コレステロールに関して「低下・不変・上昇」と個人差があるのですが、なぜそうなるのかはよくわかりません。

私自身は、HDL-コレステロールはかなり増加し、LDL-コレステロールは少し低下しました。


江部康二


(*)
Haimoto H, et all:Effects of a low-carbohydrate diet on glycemic control in outpatients with severe type 2 diabetes.Nutrition & metabolism.6(21)2009.
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
アルコールと糖質制限食
おはようございます。

今回は、のばやんさんから、アルコールと糖質制限食についてコメント・質問をいただきました。


「10/09/25 のばやん
アルコールについて質問です。
昨日、調子に乗って飲み過ぎてしまいました、酒好きの、のばやんです。

以前、どなたかのコメントにもありましたが、お酒は気が大きくなって、つい飲み過ぎたり、食べ過ぎたりしてしまい、後悔しますが、まず適量を、守ることが第一でしょうね。
ただ、今朝、寝起きの血糖値は111でしたので、少しほっとしました。

しかし、お酒は適量?であっても、脈拍は上がりますし、飲んだ後、血圧を測るとかなり低くなります。

私の場合、現在プロブレスとサイモチンを飲んでいますが、普段の血圧は120/70ぐらい。でも飲んで寝る前の血圧は、95/56ということもあります。 脈拍も一週間ほど飲まなければ、寝る前は、60以下ですが、4,5日連続で飲むと、70ぐらいまであがります。 

先生のおっしゃるホメオスターシスを考えるとこれは良くないのでは?  とくに合併症に対する影響を考えるとどうでしょう。

お忙しいところ恐縮ですが、一般論でお答えできる範囲で、回答頂ければ幸せです。

どうぞ、よろしくお願いします。」


のばやん様。

アルコールそのものは、体内に蓄積されませんので体重に影響を与えないし、血糖値も上昇させません。

一方、飲酒後肝臓で解毒できていない分のアルコールが、循環して体内に存在する間は、各組織への影響はあるでしょう。

アルコールは、末梢血管拡張作用があるので、血圧を一時的に下げることもありますが、長い間、飲み続けると、血圧を上げ、高血圧症の原因になると考えられています。

多くの研究で、日々の飲酒量が多いほど血圧の平均値が上がって、高血圧症になるリスクも高まることがはっきりしてきました。

アルコールで血圧が上がる理由については、血管の収縮反応が高まるほか、心臓の拍動を速める交感神経の活動、腎臓からマグネシウムやカルシウムが失われるため、などと考えられています。

糖質制限食ではアルコール(蒸留酒や糖質ゼロ発泡酒や辛口赤ワイン)の摂取は禁止しませんが、やはり飲みすぎには気をつけましょう。

米国糖尿病協会では、コントロール良好の糖尿人においては、アルコール24g(30ml)/日を食事と共にとるていどなら適量としています。ビール350ml缶を2本、ワイン150ml×2杯、ウイスキー45ml×2杯です。

しかし、米国糖尿病協会にも禁酒の指針があります。

糖尿病患者で、アルコール依存症の前歴がある人と、妊婦は禁酒です。膵炎、中性脂肪の高い脂質異常症、神経障害のある人達も原則禁酒です。


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
イヌイットと壊血病と高チロシン血症と低ビタミンC血症
こんばんは。

1975年発表の、カナダの論文を読んでみました(*)。

やはりイヌイットのビタミンC摂取量は、カナダ白人と比較して、かなり少なかったです。

妊婦のビタミンCが不足していると、新生児高チロシン血症(**)になります。

イヌイットの高チロシン血症は、先天的なものではなく、ビタミンC不足によるものなので、ビタミンC投与で改善したと報告されています。

イヌイットの妊娠中の女性の平均ビタミンC摂取量は、28mg/日で、血中ビタミンC濃度は、0.25mg/dl。

イヌイットの同年齢の非妊娠女性名の、平均ビタミンC摂取量は26mg/日で、血中ビタミンC濃度は0.17mg/dl。

カナダの白人妊婦の、平均ビタミンC摂取量は、133mg/日で、血中ビタミンC濃度は0.97mg/dl。

イヌイットの妊婦のビタミンC血中濃度は低くて、新生児高チロシン血症(**)の頻度が、カナダアングロサクソン人が0.5%に対して14.8%もありました。

イヌイットの血中ビタミンC濃度は、壊血病危険ラインの0.2mg/dl未満の場合も多く、歯肉出血が高率に見られたそうです。

イヌイットの場合は、血中ビタミンC濃度が低値であることは、壊血病と新生児高チロシン血症のリスクを高めていました。

一方、マサイ族は、イヌイットと同レベルの壊血病危険ライン0.2mg/dlの場合も多いのに、壊血病がみられないのは、不思議です。

またマサイ族と新生児高チロシン血症の文献は、英文でも発見できませんでした。

人類とビタミンC、謎は深まるばかりですね。


江部康二



(*)
Neonatal hypertyrosinemia and evidence of deficiency of ascorbic acid
in Arctic and subarctic peoples
624-626 CMA JOURNAL/OCTOBER 4,1975/VOL.113
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1956727/pdf/canmedaj01544-0034.pdf


(**)メルクマニュアルより抜粋
チロシン血症

チロシン血症の子供では、アミノ酸のチロシンを完全に代謝することができません。このアミノ酸の代謝産物が蓄積するため、さまざまな症状が現れます。米国の一部の州では、新生児のスクリーニング検査でこの病気を調べています。

先天性チロシン血症にはI型とII型の2つのタイプがあります。I型チロシン血症が最も多くみられるのは、フランス系カナダ人やスカンジナビア系の子供です。普通、生後1年以内に肝臓や腎臓の機能障害、神経障害が起こります。そのため過敏性やくる病が現れたり、肝不全を起こして死亡することがあります。チロシン制限食はほとんど役に立ちません。治験段階の薬剤の中には毒性の代謝産物の生成を防ぐものがあり、I型チロシン血症の子供に効果があります。I型チロシン血症の子供の多くは、肝臓移植が必要になります。

II型チロシン血症はI型よりもまれな病気です。この病気の子供は精神遅滞を起こすことがあり、眼や皮膚にたびたび潰瘍が発生します。I型チロシン血症と異なり、チロシン制限食で病気の進行を防ぐことができます。



(***)チロシン
必須アミノ酸ではありませんが重要なアミノ酸であるチロシンは、フェニルアラニンという必須アミノ酸から作られます。
チロシンは脳や神経が正常に働くために必要不可欠なアミノ酸で、神経伝達物質であるドーパミン やノルアドレナリンの前駆体となり、脳機能を活性化させる働きがあります。
チロシンは感情や精神機能、性的衝動を脳内でつかさどる重要な神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリン の前駆体です。納豆やチーズ、みそなどの表面に白く析出してくる結晶や、若いタケノコの切り口に見られる白いアクがチロシン で水には溶けにくい性質があります。

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
イヌイットとビタミンC考2010
こんばんは。

今回は、マサイ族の次に、イヌイットとビタミンCについて考えて見ました。

4000年前、すでにカナダ極北やアラスカに、人類(モンゴロイド)が移住し居住していました。

現在のイヌイット文化と同様の生活様式をしていたとは、必ずしもいえませんが、セイウチ猟などを中心に生業としていたようです。

現在のイヌイットの生活様式の原型ですが、まず10世紀頃、アラスカイヌイットでホッキョククジラが主食の時代がありました。

その後200~300年で他の極北周囲地域、西はチュコト半島、東はグリーンランドまでホッキョククジラ猟が広まりました。この文化は、チューレ文化と呼ばれています。

12世紀から17世紀にかけて極北地域に寒冷化が起こり、それまで豊富だったクジラが少なくなりました。

そのため、クジラ以外のものを主食とせざるを得なくなり、各地域でチューレ文化は多様化して、独自の文化が形成されていきました。

イヌイットといえば、誰でもイメージするような、アザラシ猟をして雪の家に住むという文化は、15世紀頃に形成されました。

その後、ホッキョクイワナ、アザラシ、シロイルカ、カリブーといった食材がイヌイットの主食となっていきました。

この伝統的な食生活のころは、海生動物の生肉・内臓、生魚肉・内臓が主食で、穀物や野菜もなしで、果物もほとんどなしです。

海生動物や魚の内臓には、あるていどのビタミンCが含まれていると思いますが、野菜や果物ほどではありません。

イヌイットの好物であるマクタック(シロイルカの生皮)にビタミンCが含まれているとのことですが、量的には野菜や果物には到底及ばないと思われます。

キビヤックというイヌイット独特の発酵食品があります。海鳥(ウミスズメ類)をアザラシの中に詰めこみ、地中に長期間埋めて作るそうです。

大変臭いそうですが、ビタミンCが豊富という説もあります。しかし通常、発酵食品にはビタミンCは含まれていないと思います。

結局ビタミンCが豊富なのは、新鮮な野菜と果物、そしてサツマ芋とジャガ芋です。内臓には含まれてますが、量的には野菜や果物には及びません。

こうなると、イヌイットが伝統的な食生活を続けていたころは、ビタミンCの補充はどうしていたのかという疑問が生じます。

イヌイットの伝統的食生活では、マサイ族と同様にビタミンC摂取量は少ない可能性が高いですし、ビタミンC血中濃度も低い可能性が高いです。そして、ビタミンC不足による病気はどうなのでしょう?

この疑問、仕方ないので、今夜は苦手の英文の論文を検索して、調べてみようと思います。(∵)?

続く

江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
マサイ族の食生活とビタミンC考
こんにちは。

①Low ascorbate status in the Masai of Kenya
The American Journal of Clinical Nutrition 27: MARCH 1974, pp. 3 10-314.
http://www.ajcn.org/cgi/reprint/27/3/310.pdf

②京大名誉教授の家守先生の調査 http://www.zennyuren.or.jp/milk_no_yakata/jimu/hitori/hitori_03.htm

③サファリガイド加藤直邦さんのブログ、
僕は見習いナチュラリスト
http://naturanger.blog25.fc2.com/blog-entry-111.html

①②③を参考にして、アフリカのマサイ族の食生活を、再検討してみました。

マサイ族は、牛乳及びヨーグルトを2~3リットル/日摂取します。

毎日、何キロも歩いて牛の放牧をし、腰に牛乳を入れた『キブユ』という瓢箪(ひょうたん)をぶら下げて歩くので、数日間で自然醗酵され、ヨーグルトになります。このように、マサイ族の主食は、牛乳とヨーグルトです。

放牧しながら飲むとすれば、どちらかというと、2~3日経過した牛乳や発酵してヨーグルトになったものの方が、新鮮な牛乳よりも主となります。

これらだけの食料で不足する鉄分は、牛の生き血で補っています。牛の生き血は、週に数回、牛乳に混ぜて飲んでいます。トウモロコシの粉『ウガリ』も牛乳に混ぜて飲みます。

マサイ族は、野菜や果物は一切食べないそうですので、ビタミンCをどうやって摂取しているのか、不思議です。ビタミンCは、ヒトは体内で合成できないので、必ず食物から摂取することが必要です。

牛は財産ということで、殺したりしませんので、牛肉も食べません。山羊や羊も飼っていて、こちらは、お祝い事や家族に病人が出て、栄養をつけたいときに食べるそうです。

この時、山羊の生レバや生小腸も食べるそうです。

牛生レバのビタミンCは100g中に30mg
牛小腸のビタミンCは100g中に15mg

です。

山羊の生レバや生小腸は、五訂日本食品標準表に載っていないのですが、牛に準する程度と思います。

したがって、山羊の生レバや生小腸はビタミンCが豊富と思われますが、日常的に摂取しているわけではありません。

家守先生は、牛の生き血からビタミンCを摂取していると述べておられます。

牛の血漿中のビタミンC濃度は、1.4~3.6mg/dLであり、
人の血漿中ビタミンC濃度0.6–1.4mg/dLより高値です。

しかし、それでも、牛の血を1リットル飲んでもせいぜい30mgですから、やはり、牛の血でビタミンCが充分量摂取できるとは言えません。

①によれば

マサイの牛の新鮮な牛乳の中には、ビタミンC2.2mg/dl含まれています。瓢箪(ひょうたん)に入れて、数日間発酵させてから飲むとすれば、ビタミンCの含有量は減少します。例えば、瓢箪の中で4日間経過した牛乳は、ビタミンC0.4mg/dlに減ります。

そうなると、牛乳、ヨーグルト、生き血から得られる日々のビタミンC摂取量は、せいぜい30mg/日ていどでしかありません。厚生労働省の推奨量が、100mg/日として、全然足りません。


①によれば

伝統的な食事をしているマサイ族の血清アスコルビン酸濃度は、0.16mg/dlとかなり低くなっています。

ちなみに、厚生労働省の第6次改定「日本人の栄養所要量」によると、血漿中ビタミンC濃度基準値を0.7mg/100ml以上に設定しています。

バンツー族は、0.56mg/100mlでやや低値ですが、マサイ族よりは、かなり高値です。白血球の中の、ビタミンC濃度も、マサイ族はバンツー族の半分以下と低値です。

ビタミンB12は、マサイ族は1188pg/mlでバンツー族は404pg/mlで、マサイ族の方が高値でした。

赤血球中の葉酸はマサイ族は低値でした。血清総タンパクはマサイ族がバンツー族よりやや高値でした。
マサイ族が21名、バンツー族が24名の平均値です。

バンツー族は、ケニアやタンザニアの同じ地域に住んでいて、食生活はマサイ族とは異なり、穀物・野菜など何でも食べています。

他に、赤血球数、ヘモグロビン、白血球数、血小板数、血清鉄も検査されていますが、マサイ族、バンツー族ともに、異常はありませんでした。

結論として、マサイ族の血中ビタミンC濃度が低いのは、単純に食物から摂取するビタミンCが低いからと考えられます。

血漿ビタミンC濃度がこれほど低値なのに、壊血病や貧血は見られず、さらなる研究が必要と締めくくられています。

①は、1974年の論文ですが、その後の研究はどうなのでしょうか。

日本の厚生労働省は、100mg/日のビタミンC摂取を推奨し、血漿中ビタミンC濃度基準値を0.7mg/dl以上に設定しています。マサイ族の0.16mg/dlは兎も角として、本当の必須量はどうなのでしょう?

人類の本来の主食が何かを、考察するのに、人体で合成できないビタミンCの必須量が気になりますがよくわかりません。


江部康二



テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
リボーン・シンポ・とことん語る糖質制限食、~糖尿病・メタボ・アトピー~、東京
おはようございます。
リボーン・シンポジウムのご案内です。

リボーン・シンポジウム特別企画
とことん語る糖質制限食
~食事で治す糖尿病・メタボ・アトピー~

2010年10月31日(日)に東京、なかのサンプラザで開催です。

以下は事務局の曽我部ゆかりさんんからのメッセージです。

江部康二


☆☆☆☆☆
ドクター江部のブログ読者の皆様へ

リボーン・曽我部ゆかりよりお知らせです。

ようやく秋らしい風が吹き始めました。
いかがお過ごしでしょうか? リボーン・シンポジウムのご案内です。まだまだ席に余裕はありますが、限りがありますので、お早めにお申し込みください。

もはや医学界だけでなく、グルメ界においても旬な風となった「糖質制限食」。糖尿病やメタボ、肥満、アトピーの方だけでなく、ダイエット目的の方も、楽しくおいしい食事療法で、症状改善を目指しましょう。当会理事長の江部康二による基調講演の後は、『dancyu』編集長・町田成一氏をゲストにお迎えし、当会副理事長の大柳珠美をまじえ、居酒屋鼎談風にとことん糖質制限食の魅力を語り尽くします。糖質制限ドットコムと恵比寿屋西陣(他)による出店も予定しています。おいしいシンポジウムに乞うご期待。皆様の参加をお待ちしております。

リボーン・シンポジウム特別企画
とことん語る糖質制限食
~食事で治す糖尿病・メタボ・アトピー~

講師    江部康二(内科医 高雄病院理事長 リボーン理事長)
      大柳珠美(管理栄養士 リボーン理事)

ゲスト講師 町田成一(『dancyu(ダンチュウ)』編集長)



■開催日時 2010年10月31日(日)
■プログラム 13時開場
      13時30分~14時00分 基調講演 江部康二
      14時00分~14時15分 休憩

      14時15分~16時00分 鼎談
        ゲスト 町田成一 パネリスト 大柳珠美 司会 江部康二

      16時00分~16時10分 休憩

      16時10分~16時30分 質疑応答&交流会


■参加費    

リボーン会員 2800円 リボーン会員ペア 4400円
一 般    3500円 一般ペア 5600円

■定員 105名

■申込 事前に郵便振替でご送金ください。当日受付は致しません。
    入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
    郵便振替 口座番号 00110-9-393366
         口座名称 リボーン

■申込〆切 10月21日
   
■会場 なかのサンプラザ研修室10(7階)
■アクセス JP中野駅北口下車1分。サンプラザ正面エントランスから入り左手のエレベータで7階へ
■住所 東京都中野区中野4-1-1 電話 03-3388-1174
※シンポジウムの内容に関するお問い合わせはサンプラザでなはく、リボーン事務局迄お願いします。


講師プロフィール
町田成一(まちだせいいち)『dancyu(ダンチュウ)』編集長。もちろんおいしいもの好きの酒飲み。健康診断でメタボ傾向であることを自覚。一念発起、糖質制限を実施したところ、みるみるズボンがぶかぶかに。あごから首のラインもすっきり。男前をあげている。

江部康二(えべこうじ)内科医、高雄病院理事長、リボーン理事長。おいしいもの好きの呑んべえの糖尿病患者でもある。糖質制限食を自ら実施し、見事に糖尿病をクリア。地球誕生にまで遡る「人の食」の理論はスケールが大きく、魅力に溢れている。

大柳珠美(おおやなぎたまみ)管理栄養士。リボーン理事。おいしいもの好きでお酒好きな人間。家族に糖尿病患者を持つため、自作の料理で血糖値のコントロールとレシピ開発に余念がない。自らも糖質制限食を実践しその効果を実感。糖質制限食の指導を極めた唯一の管理栄養士として活躍中。

■主催 NPO法人糖質制限食ネット・リボーン 
■問い合わせ リボーン事務局 曽我部 電話03-3388-5428
       e-mail reborn@big.or.jp
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
日本初の糖質制限食コミック「うちの母は糖尿人」
うちの母


こんにちは。

日本初の糖質制限食コミック

「うちの母は糖尿人」東洋経済新報社
監修 江部康二
著 伊藤きのと

が、2010年9月発売となりました。

読みやすくて、わかりやすくて、コミックならではの傑作です。活字が苦手の方でもOKな、お奨めの作品です。
ご一読頂けば幸いです。

著者 伊藤きのと さんの
ホームページが 「そらのした」
ブログが 「そらのしたBLOG」
です。

本ブログにリンクしてありますので、読者の皆さん、是非覗いてみてくださいね。

以下は、「うちの母は糖尿人」に書いた、漫画大好きな私の「あとがき」です。

<あとがき>
伊藤きのとさんから初めて手紙をいただいたときは、見知らぬ若い女性から何故?と疑問に思ったものです。その後連絡を取り合っているうちに、江部診療所に長年通院しておられる女性患者さんのお孫さんだということがわかりました。つまり、私の患者さんの娘さん(伊藤きのとさんのお母さん)が糖尿人となられ、そこからこの物語が始まったわけです。

きのとさんのあとがきにもでてきますが、「糖尿人」という言葉は私の造語です。糖尿病の患者とか糖尿病の人とか、何だか堅苦しくて楽しくないです。英語で糖尿病患者のことを、「People with Diabetes」といいます。「糖尿病と共にある人」ではますます面白くないので、ユーモア感覚で「糖尿人」と造語してみました。

世の中は正常人、境界人、糖尿人で構成されてます。作家宮本輝先生との対談本「我ら糖尿人、元気なのには理由がある」でも使わせていただきました。糖尿人、宮本輝先生にも気に入っていただけたようです。きのとさんもご指摘のように、我ら糖尿人は糖質さえ食べなければ健常であり病人ではないのです。

さて、きのとさんの手紙には「スーパー糖質制限食で糖尿病をコントロールした母親の体験記をコミックで描きたい」という企画が提案してありました。かくいう江部康二、根っからの漫画好きでして、小学校のころから毎週、毎月欠かさず何冊も読んでいて、週刊少年サンデー、週刊少年マガジン、週刊少年ジャンプなどは創刊号から今にいたるまで愛読書です。一時は少女漫画にまで手を出していました。
 
そういう私ですので、きのとさんの企画、まさに渡りに船というのりで、東洋経済新報社さんに相談したところ、こころよく承諾いただきました。編集部の佐藤未来さんありがとうございました。おかげさまで、日本初の糖質制限食コミックが誕生することとなりました。本コミックには、糖質制限食実践の苦労話がいろいろ盛り込んであり、楽しく読んでいくなかでノウハウやコツがわかりやすくつかめる仕組みになっています。

きのとファミリーみんなで、糖尿人のお母さんをサポートしている雰囲気が漫画やストーリーからほのぼのと感じられて、温かいです。糖尿人も孤独には弱いです。支えてくれる家族の絆はとても大切です。

糖尿病の治療というと、厳格なカロリー制限の食事療法、お酒は飲んではだめ、運動療法、内服薬、インスリン注射・・・。複雑で時間がかかり、我慢と苦痛を伴う治療を長期間続けなくてはならないのですから、糖尿人は結構大変です。しかもカロリー制限の食事療法を続けている限りは、HbA1c6.5%未満のコントロール良好な糖尿人は、インスリンを打っても薬を飲んでも、統計的には30%未満しかいないのです。

つまり、現状では、大多数の糖尿人はコントロール不良で、医師や栄養士から無言の非難を浴びてる感じだし、自分でも言われたとおりにちゃんと食事も運動もしているのに「なぜだー!」という心境でしょう。こうなると投げやりになったり、うつっぽくなっても不思議ではありません。きのとさんのお母さんもいっときは、うつっぽくなって暗かったようです。

実際、糖尿病とうつ病ですが、米国の医学雑誌に『糖尿病患者はうつ病になるリスクが2倍も高い』という論文がのったことがあります。つまり、糖尿人はうつになりやすいようですし、また厄介なことに、うつがあると糖尿病も悪化しやすいという側面もあります。

糖尿人にとってややつらいお話でしたが、救いはあります。糖質制限食だと、カロリー計算は要らないし、お酒も飲めるし、お肉もお魚も食べ放題・・・運動も別にしなくてもOK・・・。カロリー制限の糖尿病食に比べれば、面倒くささや制約が、ほとんどありません。

唯一、糖質さえ制限すれば、あとは自由ですので、長期に渡って実践でき、苦痛は少なく、心理的にはずいぶん楽ですね。きのとさんのお母さんも糖質制限食と出会ってからは、心理的にもめきめき元気を取り戻しておられます。
 
本書を手にとっていただいた糖尿人の皆さん、糖質制限食で元気に健康ライフをお過ごし下さい。
 

江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
スペイン産エクストラバージンオリーブオイル
スペイン産エクストラバージンオリーブオイル

お早うございます。

昨晩、NHKの 地球イチバン「地球イチバンのオリーブ天国~スペイン~」という番組で、スペイン産のオリーブオイルのお話をしていました。

スペインのオリーブオイル生産量は、世界のおよそ40%を締めるであるとか、、バージンオイルとエクストラ・バージンの違いについてなど解説していました。

これまで何度か紹介した、あらてつさんの糖質制限ドットコムで販売している、スペイン直輸入のモリドルエクストラバージンオリーブオイル、大変好評で昨年入荷分は早々に売り切れたとのことです。

そのモリドルから、今の時期限定の 初搾りエクストラバージンオリーブオイル が入荷したとのこと。

初摘・初搾りのオリーブオイルは、一年を通して、今だけしか出てこない貴重なオリーブオイルだそうです。

番組でもありましたが、オリーブオイル業界、聞くところによるといろいろと複雑で、「エクストラヴァージンオリーブオイル」といいながら、そうでないものがかなりの割合で流通しているそうです。

ですがこのモリドルオリーブオイルは、あらてつさんが直接工場まで行って「冷温圧搾・無濾過・無添加・混ざりっけ無しのエクストラヴァージンオリーブオイル」であることを確認してきました。

あらてつさん、知っている人は知っている「かなりうるさい男」ですので、工場を隅から隅まで調べて現地の人たちにおもいっきり嫌がられてきたことは、想像に難くありません。

スペインでも「うるさいぶり」を遺憾なく発揮してきたあらてつさん太鼓判のモリドルオリーブオイル、私もこのブログをご覧の糖尿人、メタボ人、ダイエッターの皆さんにお勧め致します。

以下、あらてつさんからのご案内です。

そうそう、最後にご紹介しているオリーブオイル試食会、キャンセルが出たとのことで、若干名空きができました。

私も参加するので皆さん、是非どうぞ。


江部康二





Primera extracción en frío(初搾りエクストラバージンオリーブオイル)発売開始!

オリーブオイル百年の伝統のあるシウラナ地方(スペイン北東部、カタルーニャ地方)から、初摘、初搾りのオリーブオイルが入荷しました。

年に一回、この時期だけしか販売されない大変貴重なオリーブオイルです。

Primera extracción en frío オリーブオイルは、収穫したてのオリーブを風味が損なわれないように冷温圧搾し、濾過せずそのまま瓶詰します。

なので一般的なオリーブオイルよりも色合いが濃く、オリーブ本来の香りや味わいをストレートにお楽しみいただけます。

一年を通して、今だけしか出てこない貴重なオリーブオイルです。

通常のオリーブオイルにない濃厚な味と香りをお楽しみ頂けます。

モリドル社のパトリシアさんからのメッセージを紹介します。



モリ・ドルのエクストラバージン・オリーブオイル


モリ・ドルは、私たちの地域の人々や農作業員が、黄金の液体とも呼ばれるエクストラバージン・オリーブオイルを抽出するために、一年を通じてその大地に施してきた入念な作業と手入れの結晶です。

オイル百年の伝統のあるシウラナ地方(スペイン北東部、カタルーニャ地方)では、最高のシェフや料理批評家から最も高い評価を受けている、アルベキナ種と言うオリーブオイル生産用の品種のみを使用しています。

モリ・ドルのオリーブは、木から直接採取し、フライス(オリーブを碾く作業)は、果実の自然な特性を保持するため、冷温で行われます。その優れた特性と官能特性をそのまま維持するために、モリ・ドルは、フィルタリングされていないエクストラバージン・オリーブオイルとなっています。

この製法によって密度、香り、ボディが保たれている、という、極めて例外的ともいえる評価を受けています。瓶の底に堆積物が沈降することがありますが、健康上全く無害であり、自然由来のものであることの証拠でもあります。

つまり、これは100%純粋な天然オリーブ果汁なのです。

オリーブオイルには、多くの種類と品種があります。しかしその中でも、酸性度を1°未満に保持したものだけが、エクストラバージンと呼ばれる最高ランクのカテゴリとして(EEC規則1513/2001による)最も高い評価を得ることができます。私たちは、モリ·ドルが酸性度を0.3°に抑えてこのカテゴリに入っていることを、誇りに思っています。

オリーブそのものの持つ天然成分によって、このオイルが、抗酸化成分やポリフェノール性化合物を豊富に含んでいるため、酸化を抑えたり、体の諸器官に非常に有益な効果をもたらしたりするということも、忘れてはいけません。

その複雑な香りと味わいは、料理のうま味を引き立たせることができます。フルーティーかつ丸みのある味わいがあり、収斂性が低く、バナナ、イチゴ、リンゴ、クルミ、アーモンドやアーティチョークの熟したような非常にバランスのとれた香りがします。トマトを思わせる懐かしい趣を鼻腔に感じます。そして、非常に表現力のある、すっきりとしたナッツのような後味がします。

料理に使えば、味に力を与え、個性を引き立たせます。生鮮食品(パン、サラダ、野菜など)に使用すれば、より一層の官能特性を感じることができます。オイルを加熱して使用する際も、食品がカリっとした状態で形よく保持し、オイルに含まれている脂肪酸と抗酸化物質が食品に回って安定し、ボリュームが増すことから、高温にもよく対応すると言えます。

これらすべての特性のおかげで、モリ・ドルは、最高レベルのエクストラバージン・オリーブオイルであると同時に、健康的でよく知られている地中海料理を作る際に欠かせない食品の一つとして、認められるようになりました。


パトリシアさん_convert_20130222094359


数量・期間限定のモリドル初搾りエクストラバージンオリーブオイル

是非皆さんもお試しください。

詳細・ご購入はこちらから
↓ ↓ ↓
モリドル 初摘み・初搾りオリーブオイル
http://www.toushitsuseigen.com/shop/etc_oliveoil.html



糖質制限食・ダイエット食の通信販売|糖質制限ドットコム

糖質制限ドットコムは、糖質制限食の第一人者、高雄病院、江部康二先生監修による糖質オフな食材を販売、糖質制限食に取り組む皆様をサポートします。

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
京都漢方学術シンポジウムと糖質制限食指導可能な医師
こんにちは。

9月19日(日)、20日(月)と高雄病院で、第25回京都漢学術シンポジウムが開催されました。

北海道から九州まで、日本全国から漢方医、薬剤師の方々が70名参加されました。

漢方の会なのですが、私は2002年から、糖質制限食のお話しを続けています。

今年も、糖質制限食の最新の基礎理論と疫学のお話しをしました。

この会のおかげで、日本全国に糖質制限食の指導可能な医師が、少しずつ広がっています。

皆さん、漢方医ですので、アトピーやリウマチや腎不全など様々な病気の治療もされますし、糖質制限食の指導もされます。

以下、京都漢方学術シンポジウムに参加された医師の紹介です。


☆☆☆
諸岡透先生
〒060-0808 札幌市北区北8条西4丁目1-1 パストラルビルN8 1F
諸岡内科クリニック  011-700-1122

鳴海康方先生
康安外科医院 〒036-8336 青森県弘前市栄町1-2-6
TEL 0172-33-6262

渡辺善一郎先生
富士ニコニコクリニック
0555-72-3370
〒401-0301
山梨県南都留郡富士河口湖町船津1287

諸橋弘子先生
〒950-0912
新潟市中央区南笹口1丁目1番30号
ラサ内科皮膚科クリニック 025-247-3811
http://www.lhasaclinic.com/

長坂和彦先生
〒391-8503 長野県茅野市玉川4300 
諏訪中央病院 TEL:0266-72-1000

灰本元先生
〒486-0838   春日井市弥生町1-80  
灰本クリニック
0568-85-0567

安井広迪先生
〒510-0091 三重県四日市市北浜町7-8
安井医院 059-353-3181

宮川貴弘先生
宮川漢方クリニック
高知市南はりまや町2丁目12番21号
電話:088-882-9770

三宅和久先生
三宅漢方医院
092-716-9039
〒810-0041
福岡市中央区大名パークビル2F


☆☆☆
小池 弘人先生
小池統合医療クリニック
〒160-0004
東京都新宿区四谷2-8 新一ビル602
03-3357-0105

小池統合医療クリニックは自由診療です。
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
高雄病院アトピー学校
こんにちは。

くさりさんから、嬉しいコメントをいただきました。

入院されて、高雄病院アトピー学校で、アトピー改善。退院後に始められたサークルで、出会いがあり結婚。(⌒o⌒)v


「10/09/20 くさり
Re: 妊娠糖尿病の体験報告

江部先生、 お忙しい中、早速のご回答有難うございました。

高雄病院にアトピー入院したのは、もう20年!!も前のことです。大学1年生の夏でした。残念ながら、主治医は江部先生ではなかったのですが・・・。

華の女子大生になったのに、アトピーだらけで、暗い日々を過ごしていました。
入院でアトピーを改善して頂いたおかげで、明るい気持ちになり、2学期からサークルにも入り、楽しい学生生活になりました。

生死に関わる病気でもないのに京都まで行って入院なんて・・・と思いましたが、アトピー友達もできて、アトピーでも、それぞれに生活を楽しんでいることを知り、とても励まされました。入院効果は絶大でした。

また、京都っていうところが、東京人には、心くすぐられます。仁和寺までの散歩が、楽しかったです。

主人とは、入院後に始めたサークルで出会い結婚しましたので、今の私の生活があるのも、高雄病院のおかげと言っても過言ではありません(#^.^#)。

アトピー→糖尿病、私の身体は江部先生のご研究対象の後を追っているようです。

先生、どうぞ癌の研究などなさらないでくださいね(笑)。

心よりの御礼まで。」


くさりさん。
コメントありがとうございます。

私もナースも職員一同、励みになります。

アトピー・アレルギー、糖尿病、漢方治療。

これからも高雄病院の特色を生かして、いろんな患者さんの生活改善のお役に立てればと思っています。


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食に関するお知らせ・お願いなど
糖質制限食 質問、記事、本に関するお知らせ・お願い】

ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。

糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。

一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。

診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。

また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。

従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m

そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。

質問が増えてきましたので、糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m

普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)

掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。

一方、質問がかなり増えてきていますので、なかなか即、お答えすることが困難となってきています。

糖質制限食に関わりのある全ての質問に、本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m

それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関してはコメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。


【糖質制限食とは】

米国糖尿病協会(ADA)によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
 
また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。

これらは、含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
  
1997年版のLife With Diabetes(ADA)では、「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」という記載がありましたが、2004年版では削除されています。

このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。

現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が、大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として、確立されたからです。
そして、食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。

1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を、約3mg上昇させます。

炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。

一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後高血糖はほとんど生じないのです。
 
なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。

糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。

簡単に言えば主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
 
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。

一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。

従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。

糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということが、おわかりいただけたと思います。

なお、糖質制限食はカロリー無制限ということではありません。

一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。


【糖質制限食を実践される時のご注意】

本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服や、インスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので、必ず主治医と相談して頂きたいと思います。

一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はほとんどないので、

「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」
「やせる食べ方」
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」
「 糖質制限食 春のレシピ」
「 糖質制限食 夏のレシピ」
「糖質制限食 秋のレシピ」
「糖質制限食 冬のレシピ」
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」
(以上東洋経済新報社)

「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)

dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」
dancyu プレジデントムック  「酒飲みダイエット 」
(プレジデント社)

などを参考にされ、自力で糖質制限食を実践して、糖尿病改善を目指していただけば幸いです。

血液検査で、血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合は、
糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。

糖質制限食は、相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
肝硬変では糖新生能力が低下しているため適応となりません。

なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。

また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。

糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。


【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内・保険適応】
お問い合わせは高雄病院
http://www.takao-hospital.jp/

住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3 
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。

【糖質制限食外来治療のご案内・予約制・保険適応】
高雄病院  電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3

高雄病院京都駅前診療所  電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
http://www.takao-hospital.net/

江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
高雄病院アトピー学校
こんにちは。

アトピーで高雄病院に入院された森さんから、嬉しいコメントをいただきました。高雄病院アトピー学校卒業生ですね。

「2010/09/15 森
陶芸教室の作成物 届いたのですが・・・
残暑凌ぎ難き今年ですが・・・
いつも先生のブログ勉強にさせていただいております。
今年6月にアトピー入院させていただきました、 森といいます。
実は、 陶芸教室の作成物が昨日、届きまして お礼が言いたかったのですが、どこにしたらいいか
ちょっと困っていたのですが・・・・
ここに書き込んでいいか、失礼か・・

川野英樹先生から 丁寧な添手紙までありまして 入院の思い出物としても・・・
なんとかお礼が言いたくて言いたくて・・・
目下、歓喜に沸いているところなんですです。

川野先生ほんとうにありがとうございます!!!

江部先生に入院をさせていただいた、おかげさまで、 入院後、生活改善にて元気にやっております。

代々先生方が築いた病院なのでしょうか・・ ちょっとした出会いの楽しみと 洗練されたレクレーションとの空間が、 ひときわ癒しの思い出に積み重なる いい環境でした・・・ きっと多くの退院者がそう思っている病院なのですよね・・・・

先生方ありがとうございます。
江部先生多忙な中こんなコメントごめんなさい。
コミックの出版すばらしいですね。
地方でも先生の本は人気ですがまた 売れ行きに拍車がかかりますね。」


森さん。
コメント、ありがとうございます。

陶芸教室の川野英樹先生には、森さんのコメントをお伝えします。

アトピーの症状も好調で良かったです。

皮膚を良い状態に保つことで、4週間に1つ新しい細胞が内から外に上がり、一番表層が垢で落ちてサイクルしています。そのような細胞が8層積み重なって、表面の角質層を作っています。

森さん、このまま8ヶ月間、掻爬行為なしで、コントロール良好を保てば、アトピーの根本的治癒も夢ではありませんので・・・ (^_^)


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
妊娠糖尿病の体験報告
こんにちは。

今回はくさりさんから、ご自身の妊娠糖尿病の体験をコメントいただきました。

【10/09/17 くさり
妊娠糖尿病
はじめまして。東京在住の38歳女性、くさりと申します。

妊娠糖尿病と言われ、糖尿病について必死に調べ、こちらのサイトに出会いました。
偶然にも、アトピーで高雄病院にはお世話になったことがあります。

妊娠の話題が出ましたので、(一方的な)妊娠糖尿病報告および先生への質問をさせていただきたく、コメントさせていただきます。不躾な質問で、誠に申し訳ございません。

妊娠糖尿病の出産情報がネット上に少なく、妊娠中に不安な日々を過ごしました。
みちゃさんや後人の為に、何らかの参考になればと、先生のブログに、誠に勝手ながら投稿させていただきます。

■(1)妊娠前(2007年)
36歳時点の人間ドックでは、空腹時血糖98、HbA1c5.4。
結果表には、「B判定:軽度の異常はありますが心配ありません」と表示されており、受診もせず。
糖尿病と妊娠の関係についても無知。

■(2)妊娠(2009年10月)
38歳で待望の妊娠。
妊娠8週の随時血糖値は68(たまたま朝食抜きで受診)。
妊娠25週の随時血糖値で140、大病院送りとなり、75g糖負荷検査。空腹時84、1時間値197、2時間値238、HbA1c5.6。

■(3)入院(2010年3月)
1週間の教育入院でインスリン療法開始。インスリン単位数は、以下のとおり。
妊娠28週頃: 朝6 昼6 夜11
妊娠36週頃: 朝20 昼15 夜11

*インスリン注射自体は苦ではなかったのですが、20単位!という量の多さに不安でいっぱいでした。

*低血糖の不安が、大きなストレスでした。頻回に血糖値を測定し、低血糖の予防に努めましたが、週2~3回は低血糖をおこしていました。自己血糖測定すると49~55ということもあり、お腹の子への影響がわからず、不安な日々でした。低血糖後には、「生きてる?生きてる?」とお腹に問いかけていました。血糖値測定チップ代として、50,000円ほど出費(涙)。

*インスリンは「ノボラピッド」を使用。私の場合、効果持続時間は6時間。
注射後3~6時間で、低血糖がおきやすく、夕食後も6時間は寝ないようにしていました。
これが苦痛で、夕食に糖質とらなければいいのでは?と思い、こっそり、夕食のみインスリン注射も止めたみたことが、私の糖質制限のスタートとなりました。

■(4)出産
妊娠37週で、2660gの男児を自然分娩にて出産。陣痛促進剤なども一切使用せず、分娩時間も5時間でスーパー安産。
子供も健康で、低血糖も無し。産後の回復も通常。ありがたいことです(^。^)

■(5)出産後の検査(2010年9月)
出産から3ヶ月が経ったので、先日、75gブドウ糖負荷検査を受けました。
出産後は、投薬なしで、一般的な食事をとっていました。検査の1週間前くらいから、糖質制限を始めました。

空腹時 GL 72(60)、 IR 3
30分後 GL 184(166)、 IR 17
1時間後 GL 266(257)、 IR 25
2時間後 GL 313(263)、 IR 30

*()内の数値は、簡易血糖測定器による自己測定数値。機種は三和化学のグルテストNeoスーパー。300以上の高値では、誤差が大きいですね。

*HOMA-R 0.53 ,HOMA-β 120

*HbA1c 5.6%, グリコアルブミン14.8%,

*LDLコレステロール 78,HDLコレステロール 76,中性脂肪 24,クレアチニン0.69

*年齢38歳,身長156cm,体重48g,BMI 19,痩せ型で筋肉少な目。


■(6)先生への質問
1、OGTTの検査結果が、妊娠中より極度に悪化し、落ち込んでいます。妊娠で、β細胞が疲弊したのでしょうか。

2、この検査結果を受けて、本格的にスーパー糖質制限を開始しようと思います。
私の場合、基礎分泌は残っているが、第1相がほとんど無いという理解でよろしいでしょうか?
先生のご経験からの推測していただいた場合、私のβ細胞の回復の余地はあると思われますでしょうか。お奨めの回復方法はありますでしょうか?
月に1~2回くらいは、正常人と同じくらい炭水化物を摂取できるようになるのが目標です。


■(7)つぶやき・・・その1
妊娠後期には、インスリン抵抗性が増して、通常の5倍(250uU/ml)以上のインスリン分泌が必要
という資料を読みました↓。
http://www.igaku.co.jp/pdf/tonyo1005-4.pdf
これは、僅かな糖質を、最大限、胎児に糖分を送る為のメカニズムかと。逆に考えると、糖質は大量に摂取しなくても、胎児には十分いきわたるのでは?・・・と、思いました、完全に素人考えですが、、、。

■(8)つぶやき・・その2
担当医師は、糖質制限に理解がありませんでした。理解がないのか、経験がないのか、時間がないのかは不明。
治療方針は、半年後からの投薬開始を提案されました(現在は授乳中のため投薬なし)。
私が糖質削減を提案すると、「それじゃー、食事が単調になるでしょ」と一笑。
いやいや、患者の方がやりたいって、言ってるんですけれど。。。(笑)】



くさりさん。

とても参考になります。
ありがとうございました。

それにしても、アトピーで高雄病院に通院しておられたことがあるとは、何かのご縁ですね。

妊娠糖尿病をカロリー制限食(高糖質食)で治療すれば、インスリン注射が必要となります。

なおかつ、せめてカーボカウント(糖質管理)をしなければ、血糖値の乱高下や低血糖を生じる可能性があります。

くさりさんの場合も、低血糖を起こしておられますが、カーボカウントしていれば防げた可能性が高いです。

さらに糖質制限食実践なら、インスリン注射なしで、妊娠糖尿病のコントロールが可能となりますので、当然低血糖の心配はなくなります。

糖質制限食でなおかつインスリン注射が必要な場合でも、ごく少量ですみますので低血糖の確率は減ります。


『■(6)先生への質問
1、OGTTの検査結果が、妊娠中より極度に悪化し、落ち込んでいます。妊娠で、β細胞が疲弊したのでしょうか。

2、この検査結果を受けて、本格的にスーパー糖質制限を開始しようと思います。
私の場合、基礎分泌は残っているが、第1相がほとんど無いという理解でよろしいでしょうか?
先生のご経験からの推測していただいた場合、私のβ細胞の回復の余地はあると思われますでしょうか。お奨めの回復方法はありますでしょうか?
月に1~2回くらいは、正常人と同じくらい炭水化物を摂取できるようになるのが目標です。』


OGTTでは、現時点で糖尿病型です。

最近の報告では、妊娠糖尿病の人は産後早期の3~6ヶ月の検査でも、5.4%が糖尿病、全体で25%に何らかの耐糖能異常が見られると報告されています。

くさりさんは、インスリン基礎分泌は残っていますね。インスリン追加分泌、第1相、第2相ともやや低下しています。

糖質制限食で疲弊していたβ細胞は回復する可能性がありますがやせ型の2型糖尿病では、β細胞がすでに何割か壊れている可能性もあります。個人差がありますが、その分は戻りません。


『■(7)つぶやき・・・その1
妊娠後期には、インスリン抵抗性が増して、通常の5倍(250uU/ml)以上のインスリン分泌が必要という資料を読みました↓。
http://www.igaku.co.jp/pdf/tonyo1005-4.pdf
これは、僅かな糖質を、最大限、胎児に糖分を送る為のメカニズムかと。逆に考えると、糖質は大量に摂取しなくても、胎児には十分いきわたるのでは?・・・と、思いました、完全に素人考えですが、、、。』


農耕が始まる前の人類においては、糖質制限食で妊娠・出産ですので、食後血糖値の上昇は、ほとんんどないか極めて軽度です。その意味でくさりさんの仮説はありえますが、勿論断定はできません。

妊娠糖尿病そのものが、農耕以後の糖質大量摂取による病気と考えることもできます。すなわち農耕前の人類には、妊娠糖尿病はなかったかもしれませんね。


『■(8)つぶやき・・その2
担当医師は、糖質制限に理解がありませんでした。理解がないのか、経験がないのか、時間がないのかは不明。
治療方針は、半年後からの投薬開始を提案されました(現在は授乳中のため投薬なし)。
私が糖質削減を提案すると、「それじゃー、食事が単調になるでしょ」と一笑。
いやいや、患者の方がやりたいって、言ってるんですけれど。。。(笑) 』


おそらく担当医は、糖質制限食のことはご存じないと思いますよ。



江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
境界型?糖尿病と妊娠
おはようございます。

めっきり涼しくなりました。やっと秋の気配到来で、クーラーともおさらばです。

さて今回は、みちゃさんから、境界型?糖尿病と妊娠について、コメント・質問をいただきました。


「10/09/14 みちゃ
現在境界型?の妊娠について
はじめまして。
初めてコメント欄に記載をさせていただきますみちゃと申します。
どこのコメント欄に記載したらよいかわからなかったので直近の記事にコメントしてしまいました。
場違いでしたら大変申し訳ございません。

さて、私は約1年前の健康診断にてHbA1cの値が5.3%となり指摘を受け(空腹時血糖値96、過去3年間の値は5.0%)、初めて糖尿病について学び、改善をはやくにしたいと思っている者です。

27歳女、身長163センチ、体重49キロ(昨年は53キロ)、体脂肪は25~26%で、親族に糖尿病を患っている者はおりません。

指摘を受けたのが今年の6月くらい(遅い!)なのですが、その後不安で不安でたまらなくなり、近所の糖尿病専門医のところでブドウ糖負荷検査を受けてまいりました。

その結果、 
<血糖値>
前 86  (ウォーキングをするようになったのでやや低め?)
30分後  186
60分後  163
120分後 105


前       5.5
30分後   57.0
60分後   99.2
120分後  48.6

インスリン抵抗性 1.2
IRI/BS比      0.52

という結果でした。
担当医はあまり丁寧な説明もしてくれず「う~ん、高インスリン血症かなぁ。まぁとりあえずは野菜いっぱい食べてね。」の言葉のみで終わってしまいました。
勉強不足で質問できなかった私も悪いのですが・・・・
ただやっぱり30分後、60分後の高値が気になりましたし、すぐにでも妊娠したいという希望がありますので、簡易自己血糖測定器を購入し、今後これ以上悪くならないようにしていこうと決心した次第であります。

そこで糖尿病についてインターネットで勉強をしているうちに江部先生の『糖質制限食』を知りました。

まだ本は購入していないのですが、今後の料理の参考等にしたいのでぜひ購入を考えております。

そこで私が知りたい件ですが、
①上記血液検査の結果における江部先生の見解および糖質制限による今後の改善見込み(あくまで参考です)

②すぐにでも妊娠したいと考えていることについての意見(ちなみに毎朝自己測定すると空腹時血糖値は85~98くらいです)

糖質制限食で改善を図りたいと考えているのですが、平日仕事をしているため(営業なので昼食はお客さんと外食が多い)、なかなか厳格な糖質制限食ができません。緩めの糖質制限を平日行い、土日でスーパー糖質制限を行うことについては効果が期待できますでしょうか。

④もし妊娠した際、炭水化物抜きの生活をしていても赤ちゃんには影響がないのでしょうか。

以上の点です。もちろん先生のご意見は参考とし、自己責任で今後改善につとめてまいりたいと思っておりますので、ぜひともアドバイスをいただけるとありがたいです。

なお、最近はなるべく低糖質を心がけ、楽しく改善に向けた生活をしていたのですが、今日は仕事のストレス(言い訳)で暴飲暴食を丸1日してしまいました・・・
その結果、夕食を食べた30分後は血糖値150を超し、まずいと思ってウォーキング7.5キロ、1時間15分をしたにも関わらず食後2時間、3時間は130くらいとなっております・・・

先生はたまにはストレスを感じて低糖質から全くはずれた暴飲暴食をなされたことはありますか?ブログを一通りよまさせてはいただいておりますが、まだ載せていない失敗談等ありましたらお聞きしてみたいです。

お忙しい中申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。」


みちゃさん。
本のご購入予定、ありがとうございます。
是非、よろしくお願い申し上げます。 m(_ _)m


<血糖値>
前 86  (ウォーキングをするようになったのでやや低め?)
30分後  186
60分後  163
120分後 105


前       5.5
30分後   57.0
60分後   99.2
120分後  48.6

インスリン抵抗性(HOMA-R) 1.2 (1.6以下は正常、2.5以上は抵抗性あり)
インスリン分泌指数:0.52(0.4未満が糖尿病型)


みちゃさんの場合、

①ブドウ糖負荷試験のデータは、空腹時、食後2時間値も正常型。
 1時間値も180mg/dl未満で将来糖尿病になるリスクは少ない。
②インスリン抵抗性:正常。
③インスリン分泌指数:追加分泌のうち初期分泌は正常。

①②③からみて、正常型と考えられます。

「①上記血液検査の結果における江部先生の見解および糖質制限による今後の改善見込み(あくまで参考です)」

診断基準上は正常型ですが、確かに30分値は186mgなので、やや高値ですね。

ただ75g経口ブドウ糖試験というのは、血糖値上昇に関して、日常の食生活ではあり得ないような過酷な条件を課しています。

逆に言えば、普通に食事している場合は、液体の75gのブドウ糖を一気に飲む様なことはあり得ません。

みちゃさんの場合も、普通の食生活なら、30分後でも180mg未満と思います。

「②すぐにでも妊娠したいと考えていることについての意見(ちなみに毎朝自己測定すると空腹時血糖値は85~98くらいです)」

妊娠許可の条件として基準は、

HbA1c:4.3~5.8%。7%未満は許容。

血糖値の目安としては、

妊娠前
食前血糖値:100mg/dL 未満、食後2時間血糖値:120mg/dL 未満、

ですので、 みちゃ さんの場合、OKです。

「③糖質制限食で改善を図りたいと考えているのですが、平日仕事をしているため(営業なので昼食はお客さんと外食が多い)、なかなか厳格な糖質制限食ができません。緩めの糖質制限を平日行い、土日でスーパー糖質制限を行うことについては効果が期待できますでしょうか。」

それで充分と思います。

みちゃさんの、耐糖能はOGTTという過酷な条件でさえも正常型です75gの液体のブドウ糖を一気に飲むような、極端な食事をしないかぎり、血糖値は許容範囲を満たすと思います。緩い糖質制限食でもOKです。

「④もし妊娠した際、炭水化物抜きの生活をしていても赤ちゃんには影響がないのでしょうか」

人類は、400万年の進化の過程で、農耕が始まる前の399万年間は、糖質制限食で妊娠・出産しています。イヌイットもかつてそうでした。まったく問題ありません。

2009年12月24日 (木)のブログ<妊娠糖尿病と糖質制限食>もご参照いただけば幸いです。


「先生はたまにはストレスを感じて低糖質から全くはずれた暴飲暴食をなされたことはありますか?ブログを一通りよまさせてはいただいておりますが、まだ載せていない失敗談等ありましたらお聞きしてみたいです。」

糖質制限食開始初期のころは、家人の証言によれば、酔っぱらって帰宅した時にテーブルの上にあるものは、ケーキでもチョコレートでも、何でも食べていたそうです。

本人は、記憶にありませんが・・・( ̄_ ̄|||)

2002年~スーパー糖質制限食ですが、約半年くらいで、慣れたというか、家人の証言によれば、酔っぱらって帰宅したときも、そういうことはなくなったそうです。

みちゃさん。美味しく楽しく糖質制限食で、元気な赤ちゃんを出産していただいて、日本国の将来を助けてくださいね。 (^_^)

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
マサイ族とビタミンC・その3
こんばんは。

良きアドバイザー、I先生から、とても貴重な情報をいただきました。

Low ascorbate status in the Masai of Kenya
The American Journal of Clinical Nutrition 27: MARCH 1974, pp. 3 10-314.
http://www.ajcn.org/cgi/reprint/27/3/310.pdf

マサイの牛のFreshなmilkの中には、100ml中アスコルビン酸2.2mg、3リットルで66mgとのことなのですが、ひょうたんに入れて数日発酵させてから飲むので、ビタミンCの摂取量は少ないとのことです。

伝統的な食事をしているマサイ族の血清アスコルビン酸濃度は、0.16mg/100mlとかなり低くなっています。

ちなみに、厚生労働省の第6次改定「日本人の栄養所要量」によると、血漿中ビタミンC濃度基準値を0.7mg/100ml以上に設定しています。

同じアフリカのバンツー族は、0.56mg/100mlでやや低値ですが、マサイ族よりは、かなり高値です。

血漿ビタミンC濃度がこれほど低値なのに、壊血病や貧血は見られず、さらなる研究が必要と締めくくられています。

ビタミンCの必須濃度は???
ですね。


江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
マサイ族とビタミンC・追加
こんにちは。

本日ネットで調べたところ、牛の血漿中のビタミンC濃度は、1.4~3.6mg/dLであり、人の血漿中ビタミンC濃度0.6–1.4mg/dLより高値です。

しかし、それでも、牛の血を1リットル飲んでも30mgですから、やはり、牛の血でビタミンCが充分量摂取できるとは言えませんね。

厚生労働省の推奨量が、100mg/日として、本当の必須量がどれくらいなのか、検討が必要なようです。


江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
マサイ族とビタミンC
おはようございます。

私の糖質制限食の良きアドバイザーのI先生から、興味深い情報をいただきました。

サファリガイド加藤直邦さんのブログ、

僕は見習いナチュラリスト
http://naturanger.blog25.fc2.com/blog-entry-111.html

に載っていた情報です。

マサイ族は、野菜や果物は一切食べないそうです。牛は財産ということで、殺したりしませんので、牛肉も食べません。

結局、毎日2~3リットルの牛乳、ヨーグルト、トウモロコシの粉『ウガリ』が主食で、週に数回、牛の血を牛乳に混ぜて飲むのが日常の食生活です。

山羊や羊も飼っていて、こちらは、お祝い事や家族に病人が出て、栄養をつけたいときに食べるそうです。

この時、山羊の生レバや生小腸も食べるそうです。

牛生レバのビタミンCは100g中に30mg、牛小腸のビタミンcは100g中に15mg、です。

山羊の生レバや生小腸は、五訂日本食品標準表に載っていないのですが、牛に準する程度と思います。

したがって、山羊の生レバや生小腸はビタミンCが豊富と思われますが、日常的に摂取しているわけではありません。1日に100mgのビタミンCには、まだまだです。

やはり、マサイ族とビタミンC、謎はまだとけません。


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
イヌイットの平均寿命は何故短い?、ミニスパイク、玄米魚菜食
こんにちは。

神経内科医のnaoki さんから、イヌイットの平均寿命が短い理由などについて、コメント・質問をいただきました。


「10/09/06 naoki
質問3つ
はじめまして。 大変興味深く拝見しております。
先生に質問させていただくのはこのブログのコメントを使うのでよいのですか?
私は糖尿病は専門外の医師(神経内科)です。
抗加齢医学→溝口徹先生のオーソモレキュラー→糖質制限の話題→江部先生というルートでこのブログにたどり着きました。
ご著書の「主食を抜けば....」の2冊を先に拝読し、現在このブログの過去ログを読み進めております。

9/1からの記事を一気に拝見しました。
いくつかたまってきた疑問を列挙させて下さい。とても素人っぽい質問です(^_^;)。
すでに出た話題でしたら申し訳ありません。

その1:
今年2月15日の記事で最後に紹介されていた柴田博先生のホームページ「食肉の栄養知識」http://kumamoto.lin.gr.jp/shokuniku/eiyochisiki/nihon_ichi/index.html
内の■栄養素摂取の日米比較 で、イヌイット(いつ頃の年代のかは不明)が短命であること、その影響は魚油の摂りすぎ(??)というような記載がありました。
正しいご意見と思われますか? 

確かに人類の歴史において、食生活は長らく糖質制限状態だったわけですが、精製糖質過剰状態になった現代の方が、平均寿命は長いですよね。ご先祖様達が短命だったのは、もちろん飢餓(総カロリーの不足)や苛烈な生活環境、衛生状態などが影響しているのでしょうが。しかし、食生活が糖質制限状態で、かつ清潔・快適な環境で長期間過ごした集団が本当に最高に長い平均寿命(健康寿命)を達成できるかどうかの実証はこれからか.....
あ、これは質問というよりつぶやきです。

その2:
糖尿病がない人でも精製された糖質を摂取して生じる「ミニスパイク」。
具体的にはピークでどれくらいの血糖値、あるいは血糖上昇度を考えておられますか?
蛋白質もある程度は血糖値が(遅れて)上がるようですが、多量に食べても(普通に一回に摂取できる量なら)ミニスパイクというほどの上昇はない、と考えてよろしいですか?

その3:
高雄病院でアレルギー疾患の治療のために出されている給食(玄米魚菜食)の、糖質量、一日摂取カロリーの中の割合はどれくらいですか?
もし糖質20~30%なら、アレルギー疾患用の食事も、糖質制限食をベースとした一つのバリエーションということですね。
もし糖質50%以上なら....アレルギーの人だって糖尿病になる可能性があるから...どうでしょう?
肉食を禁じるのは実は健康上問題があるんですよね?そこをあえて禁じるほど玄米魚菜食というのはアレルギー疾患に本当に効果(か、効果があるというエビデンス)があるんでしょうか?(このへんはまったく不勉強です。お許し下さい。)
糖質制限だけでアレルギー疾患にも効果があれば面白いですね。


以上、まとまりがなくて申し訳ありません。
お時間に十分余裕があるときで結構ですのでよろしくお願いします。

患者さんで、DMの診断基準は満たさないけどお腹が出ていたり中性脂肪だけ高かったりする方、いっぱいおられます。食事のアドバイスが従来とがらっと変わることになりますので、最近この勉強にはまっています。自分でも実践中。検査値異常なし、標準体型、BMI20ですがこの3週間で2kgやせました。どこで下げ止まるか、体調不良が出ないか、実験です。
今後ともよろしくお願い申し上げます。長文ご容赦ください。」


naoki さん。
本のご購入ありがとうございます。

その1:
『今年2月15日の記事で最後に紹介されていた柴田博先生のホームページ「食肉の栄養知識」http://kumamoto.lin.gr.jp/shokuniku/eiyochisiki/nihon_ichi/index.html
内の■栄養素摂取の日米比較 で、イヌイット(いつ頃の年代のかは不明)が短命であること、その影響は魚油の摂りすぎ(??)というような記載がありました。 正しいご意見と思われますか?』


柴田博先生のご意見、イヌイット関連以外のかなりの部分に賛成なのですが、魚油の摂りすぎでイヌイットが短命というのは違うと思います。

柴田博先生のホームページ「食肉の栄養知識」http://kumamoto.lin.gr.jp/shokuniku/eiyochisiki/nihon_ichi/index.htm
『イヌイット(エスキモーと呼ばれたことがある)は、魚や海獣をもっぱら食べています。海獣も魚を常食としていますので、体の脂肪酸構成は魚のそれと近似しています。このイヌイットは、世界で最も短命な部族の一つなのです。脳出血や肺動脱出血で死ぬ人が多いのは血液が固まりにくくなっているためです。老化の早いこともよく知られています。最近わが国には、魚油は多く摂るほど体に良いと考えている人もいます。しかし、これはきわめて危険なことです。総脂肪には適正な量と適正な脂肪酸の割合があります。アメリカの目標、あるいは日本の現状を大きく逸脱した摂取は有害なのです。』

イヌイットの平均寿命が短いのは、脳出血や肺動脈出血?のせいではありません。脳出血の頻度は、当時のヨーロッパ人と差はありませんが、多くはありません。脳梗塞は、当時のヨーロッパ人と比べて、はっきり少なかったと報告されています。

イヌイットは、1900年代初頭までは生肉・生魚が主食で、まさに糖質制限食を実践していました。結果、心筋梗塞・糖尿病・癌などが極めて少なかったことが報告されています。しかし、平均寿命は短かったのです。理由は、乳幼児期の死亡が多いことが一番大きいと思います。

何故かといいますと、出産時の死亡、出産前後の死亡、幼児期の自然環境での事故死が非常に多かったのです。感染症での死亡もあります。

また、若者が猟での事故で死亡することも、たびたびありました。なにしろ、当時の死亡順位の一位は、事故死でした。

乳幼児や若者の死亡率が高いので、必然的に平均寿命は短くなります。

人類の進化の歴史で、農耕が始まる前の399万年間は、naokiさんのご指摘通り、イヌイットと同じような状況、さらに飢餓も日常的であり、当然、平均寿命は短かったと考えられます。

「食生活が糖質制限状態で、かつ清潔・快適な環境で長期間過ごした集団が本当に最高に長い平均寿命(健康寿命)を達成できるかどうかの実証はこれからか.....」

糖質制限食実践により、血液検査における動脈硬化のリスク要因、全てが改善します。全身の代謝と血流が改善します。

また、アジア型のガン(胃ガン、肝ガン、子宮頸ガンなど感染症)は兎も角として、世界ガン研究基金がしめす肥満と関係のあるガン(西欧型のガン)に関しては、予防効果が期待できます。大腸・食道・膵臓・腎臓・子宮体・乳腺のガンと胆のうガンです。

これらは、スーパー糖質制限食時代のイヌイットには、極めて少なかったガンです。動脈硬化とガンがあるていど予防できれば、寿命にはおおいに貢献しそうですが、これはまだまだ、あくまで仮説ですね。

その2:
糖尿病がない人でも精製された糖質を摂取して生じる「ミニスパイク」。
具体的にはピークでどれくらいの血糖値、あるいは血糖上昇度を考えておられますか?
蛋白質もある程度は血糖値が(遅れて)上がるようですが、多量に食べても(普通に一回に摂取できる量なら)ミニスパイクというほどの上昇はない、と考えてよろしいですか? 」


血糖値を急峻に上昇させるのは、糖質だけである。*
②タンパク質・脂質は血糖値を上昇させない。*
③追加分泌インスリンが大量に必要なのは、糖質だけである。
④タンパク質を摂取すると、少量の追加分泌インスリンがでる。
⑤脂質を摂取しても、追加分泌インスリンは、分泌されない。
糖質制限食で高血糖は改善するが、肝臓の糖新生などにより、低血糖にはならない。

*1997年版のLife With Diabetes(ADA)では、「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」という記載がありますが、2004年版では削除されています。
1) Life With Diabetes:A Siries of Teaching Outlines by the Michigan Diabetes Research and Training Center,American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004

糖質だけが血糖値を上昇させ、タンパク質、脂質は血糖値を上昇させないというのが、現時点でのADAの見解です。

体重64kgとして
①1gの糖質が、正常人の血糖値を約0.6~0.9mg上昇させます。
②1gの糖質が、2型糖尿人の血糖値を3mg上昇させます。
③1gの糖質が、1型糖尿人の血糖値を5mg上昇させます。

①に関しては、50gくらいまでの糖質ならだいたい、言えますが、200gの糖質を食べたら180mg上昇ということはでは、ありません。

また、20才くらいまでの、耐糖能が完全正常な人は、糖質100g食べても200g食べても、食後血糖値が140mgを超えることはまずありません。

しかし、30代、40代の正常人は、精製炭水化物だと、1gの糖質が、0.9mg血糖値を上昇させます。そうすると食後血糖値が160~170mgとなりえます。

私見ですが、140mgを超えるとグルコースミニスパイクですね。

その3:
「高雄病院でアレルギー疾患の治療のために出されている給食(玄米魚菜食)の、糖質量、一日摂取カロリーの中の割合はどれくらいですか?
もし糖質20~30%なら、アレルギー疾患用の食事も、糖質制限食をベースとした一つのバリエーションということですね。
もし糖質50%以上なら....アレルギーの人だって糖尿病になる可能性があるから...どうでしょう?
肉食を禁じるのは実は健康上問題があるんですよね?そこをあえて禁じるほど玄米魚菜食というのはアレルギー疾患に本当に効果(か、効果があるというエビデンス)があるんでしょうか?(このへんはまったく不勉強です。お許し下さい。)」


高雄病院の玄米魚菜食は、1200~1800キロカロリー/日です。男女差や身長で、適宜摂取カロリーを調整します。 玄米や野菜分の糖質が、50~60%になると思います。

病院給食の限界で、なかなか、糖質30~40%の玄米魚菜食とかは困難です。

まあ、未精製の穀物と野菜の糖質なので、GIは低いです。GIが低い分、ミニスパイクを起こしにくいと思います。

糖尿人ではGIはあまり役に立ちませんが、正常人では一定の意味があります。主食を未精製穀物にすることや運動で、将来の糖尿病発症予防にはなると思います。運動量に応じて、主食の量を加減する必要があると思います。

ここらあたりのことは、2007年10月06日 (土)のブログ「食育3・テーラーメードダイエット」をご参照いただけば幸いです。

玄米魚菜食でも、肉は適宜食べてもらっています。ただ牛肉は高価なので、鶏や豚がおおいです。個人的には、肉を禁じる必要はないと思っています。

優先順位の第一番に大切なのは、グルコースミニスパイクを生じないような食生活と考えています。



江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
日本初の糖質制限食コミック・うちの母は糖尿人
うちの母


こんにちは。

日本初の糖質制限食コミック

「うちの母は糖尿人」東洋経済新報社
監修 江部康二
著 伊藤きのと

が、2010年9月発売となりました。

読みやすくて、わかりやすくて、コミックならではの傑作です。活字が苦手の方でもOKな、お奨めの作品です。
ご一読頂けば幸いです。

著者 伊藤きのと さんの
ホームページが 「そらのした」
ブログが 「そらのしたBLOG」
です。

本ブログにリンクしてありますので、読者の皆さん、是非覗いてみてくださいね。

以下は、「うちの母は糖尿人」に書いた、漫画大好きな私の「あとがき」です。

<あとがき>
伊藤きのとさんから初めて手紙をいただいたときは、見知らぬ若い女性から何故?と疑問に思ったものです。その後連絡を取り合っているうちに、江部診療所に長年通院しておられる女性患者さんのお孫さんだということがわかりました。つまり、私の患者さんの娘さん(伊藤きのとさんのお母さん)が糖尿人となられ、そこからこの物語が始まったわけです。

きのとさんのあとがきにもでてきますが、「糖尿人」という言葉は私の造語です。糖尿病の患者とか糖尿病の人とか、何だか堅苦しくて楽しくないです。英語で糖尿病患者のことを、「People with Diabetes」といいます。「糖尿病と共にある人」ではますます面白くないので、ユーモア感覚で「糖尿人」と造語してみました。

世の中は正常人、境界人、糖尿人で構成されてます。作家宮本輝先生との対談本「我ら糖尿人、元気なのには理由がある」でも使わせていただきました。糖尿人、宮本輝先生にも気に入っていただけたようです。きのとさんもご指摘のように、我ら糖尿人は糖質さえ食べなければ健常であり病人ではないのです。

さて、きのとさんの手紙には「スーパー糖質制限食で糖尿病をコントロールした母親の体験記をコミックで描きたい」という企画が提案してありました。かくいう江部康二、根っからの漫画好きでして、小学校のころから毎週、毎月欠かさず何冊も読んでいて、週刊少年サンデー、週刊少年マガジン、週刊少年ジャンプなどは創刊号から今にいたるまで愛読書です。一時は少女漫画にまで手を出していました。
 
そういう私ですので、きのとさんの企画、まさに渡りに船というのりで、東洋経済新報社さんに相談したところ、こころよく承諾いただきました。編集部の佐藤未来さんありがとうございました。おかげさまで、日本初の糖質制限食コミックが誕生することとなりました。本コミックには、糖質制限食実践の苦労話がいろいろ盛り込んであり、楽しく読んでいくなかでノウハウやコツがわかりやすくつかめる仕組みになっています。

きのとファミリーみんなで、糖尿人のお母さんをサポートしている雰囲気が漫画やストーリーからほのぼのと感じられて、温かいです。糖尿人も孤独には弱いです。支えてくれる家族の絆はとても大切です。

糖尿病の治療というと、厳格なカロリー制限の食事療法、お酒は飲んではだめ、運動療法、内服薬、インスリン注射・・・。複雑で時間がかかり、我慢と苦痛を伴う治療を長期間続けなくてはならないのですから、糖尿人は結構大変です。しかもカロリー制限の食事療法を続けている限りは、HbA1c6.5%未満のコントロール良好な糖尿人は、インスリンを打っても薬を飲んでも、統計的には30%未満しかいないのです。

つまり、現状では、大多数の糖尿人はコントロール不良で、医師や栄養士から無言の非難を浴びてる感じだし、自分でも言われたとおりにちゃんと食事も運動もしているのに「なぜだー!」という心境でしょう。こうなると投げやりになったり、うつっぽくなっても不思議ではありません。きのとさんのお母さんもいっときは、うつっぽくなって暗かったようです。

実際、糖尿病とうつ病ですが、米国の医学雑誌に『糖尿病患者はうつ病になるリスクが2倍も高い』という論文がのったことがあります。つまり、糖尿人はうつになりやすいようですし、また厄介なことに、うつがあると糖尿病も悪化しやすいという側面もあります。

糖尿人にとってややつらいお話でしたが、救いはあります。糖質制限食だと、カロリー計算は要らないし、お酒も飲めるし、お肉もお魚も食べ放題・・・運動も別にしなくてもOK・・・。カロリー制限の糖尿病食に比べれば、面倒くささや制約が、ほとんどありません。

唯一、糖質さえ制限すれば、あとは自由ですので、長期に渡って実践でき、苦痛は少なく、心理的にはずいぶん楽ですね。きのとさんのお母さんも糖質制限食と出会ってからは、心理的にもめきめき元気を取り戻しておられます。
 
本書を手にとっていただいた糖尿人の皆さん、糖質制限食で元気に健康ライフをお過ごし下さい。
 

江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
血糖値の差と糖尿病網膜症
こんにちは。

もっちさんから、血糖値の差と糖尿病網膜症についてコメント・質問を頂きました。

「10/09/13 もっち
タイトルなし
江部先生
いつもブログは意見させて頂いております。
糖質制限食を実践して空腹時血糖値126→平均して100以下に回復致しました。
江部先生のおかげといつも感謝しております。
糖尿病と診断された時に、栄養士の先生から食事指導を受けました。
内容はカロリーを1400kcalに押さえるというもので白米を毎食110g取りましょうと言われました。
従いまして、食後高血糖になっていたと思われます。今考えると大変こわいです。
私は週に一度、早朝空腹時の血糖値を即手するようにしています。
先日測定したところ、空腹時血糖値が57でした。
確かに前日は食欲が無くほとんど何も食べなかったのですが、さすがに驚きました。

糖尿病の合併症の一つである、糖尿病性網膜症についてですが 、血糖値が高くなくても、例えば110→57とか差が激しいと発祥するのでしょうか?
現在スーパー糖質制限食を実践していますが、少し糖質摂取料が少なすぎるのでしょうか?
お忙しい中申し訳ございませんが、お時間ある時にご回答頂けると幸いです。」


糖質制限食血糖値改善、良かったです。

毎食白米110gで、1400キロカロリーだと、ひもじくてつらいにも関わらず、食後高血糖だけは確実に生じていたでしょうね。

まあ、毎食180gの白米という指導よりは、ましとは言えますが・・・。

糖尿病網膜症ですが、200mgとか300mgレベルの高血糖が、インスリン注射やSU剤の内服で、1~2ヶ月で急速に正常レベルに改善したときに悪化することがあります。

このあたりは、2009年07月06日 (月) のブログ「急激なHbA1cの改善と糖尿病網膜症」をご参照ください。

「110mg→57mg」という正常値内における変動では、糖尿病網膜症は悪化しません。

基準値では、60mg/dl未満は低血糖ということになっていますが、断食状態で翌朝の空腹時血糖値が57mgですから、症状がなければ特に心配はいりません。しいて言えば、肝臓の糖新生がもうほんの少し頑張ってくれればというところです。

1回の糖質摂取量は、スーパー糖質制限食では、野菜分を中心に10~20gですが、トラッキーさんのようなパターンもありと思います。


江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
少量の主食の摂取は?
こんにちは。

今回は、トラッキーさんから、一回の少量の主食の摂取について、コメント・質問をいただきました。

「10/09/13 トラッキー
もう一つの方法
江部先生

初めて書かせていただきます。いつもBLOG拝見させていただいています。63歳男性です。これまで空腹時血糖値130-140、HbA1c値6.7-7.2、身長163Cm,体重52Kgでした。

一ヶ月ほど前に「われら糖尿人、元気なのにはわけがある」を読み、大変納得でき、ものは試しと糖質制限食をはじめたところ空腹時血糖値105、HbA1c値6.2 と改善され、喜んでいます。ウォーキングも続けており今後も改善したいと思っています。

いくつか疑問があり、ご教示いただければ幸いです。

(1) 私スーパーでもなくスタンダードでもない、例えばご飯を一回につき30-50g、パンなら1/3-1/2枚をいつも食べています。この方がスタンダードよりも一回の上昇値が緩やかだと思うのですが、一回は気にせず食べて、他の2回を完全に抜く方がよいでしょうか?あえてこの方法の記述がないので気になりました。この場合スタンダードに準じるなら糖質一回何gを目処にすればよいでしょうか?

ほんとを言うと、各食事での主食の魅力が捨てがたいのです。ご仏前のような30g(笑い)を大事に大事に食べてます。でもこの量にも慣れて来ました。アルコールOKは素晴らしいです。糖質0の発泡酒までありますものね。一日のアルコールは25gくらいです。しかし甘いものもすきで(^^);、まだこちらは慣れていません。

(2)  体重が長らく52Kgだったのが一ヶ月で48Kgまで落ちました。すごい効果ですが、やせ気味なのでダイエットは希望していません。BMIは18.3です。また時々風呂上りのようにふらっとするのですが。どんなことに注意すればよいでしょうか?炭水化物以外をもっともっと食べることでしょうか?

お答えには自己責任で対応しますので、お忙しい中、もしご教示いただければ幸いです。よろしくお願いします。」



トラッキーさん。
本のご購入ありがとうございます。

空腹時血糖値105、HbA1c値6.2、コントロール良好となられて、良かったです。


(1)「私スーパーでもなくスタンダードでもない、例えばご飯を一回につき30-50g、パンなら1/3-1/2枚をいつも食べています。この方がスタンダードよりも一回の上昇値が緩やかだと思うのですが、一回は気にせず食べて、他の2回を完全に抜く方がよいでしょうか?あえてこの方法の記述がないので気になりました。この場合スタンダードに準じるなら糖質一回何gを目処にすればよいでしょうか?」

炊いたご飯30-50gなら、含まれる糖質は11-18gです。
六切りの食パン1/3-/12枚なら、含まれる糖質は8.9-13.3gです。

一番お奨めのスーパー糖質制限食では、野菜分の糖質も含めて、1回の食事の糖質摂取量を20gくらいまでにしたいところです。

従いまして、トラッキーさんの方法は、スーパー糖質制限食に準ずるものと考えることができるので、良いと思いますよ。

スタンダード糖質制限食は、一般的なサラリーマン諸氏が昼食にスーパー糖質制限食を実践するのは結構困難なことも多いので、やむを得ない方便として提唱しています。

この場合も、弁当や定食のご飯は半分残すとか、食直前にグルコバイやグルファストを内服して、食後高血糖を防ぐように指導しています。

糖尿人にはあくまでもお奨めはスーパー糖質制限食です。

(2)「体重が長らく52Kgだったのが一ヶ月で48Kgまで落ちました。すごい効果ですが、やせ気味なのでダイエットは希望していません。BMIは18.3です。また時々風呂上りのようにふらっとするのですが。どんなことに注意すればよいでしょうか?炭水化物以外をもっともっと食べることでしょうか?」

BMI:18.3 は正常の下限です。

ふらっとするのは、低カロリー過ぎる可能性があります。これ以上は、痩せない方がいいです。

糖質制限食ですから、脂質・タンパク質はしっかり摂取していただいて、低カロリーになり過ぎないように注意され、体重52kgくらいにもどることを目指してくださいね。


江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
日本初の糖質制限食コミック・うちの母は糖尿人
うちの母


こんにちは。

日本初の糖質制限食コミック

「うちの母は糖尿人」東洋経済新報社
監修 江部康二
著 伊藤きのと

が、2010年9月発売となりました。

読みやすくて、わかりやすくて、コミックならではの傑作です。

活字が苦手の方でもOKな、お奨めの作品です。ご一読頂けば幸いです。

著者 伊藤きのと さんの
ホームページが 「そらのした」
ブログが 「そらのしたBLOG」
です。

本ブログにリンクしてありますので、読者の皆さん、是非覗いてみてくださいね。


以下は、「うちの母は糖尿人」に書いた、漫画大好きな私の「あとがき」です。


<あとがき>

伊藤きのとさんから初めて手紙をいただいたときは、見知らぬ若い女性から何故?と疑問に思ったものです。その後連絡を取り合っているうちに、江部診療所に長年通院しておられる女性患者さんのお孫さんだということがわかりました。つまり、私の患者さんの娘さん(伊藤きのとさんのお母さん)が糖尿人となられ、そこからこの物語が始まったわけです。

きのとさんのあとがきにもでてきますが、「糖尿人」という言葉は私の造語です。糖尿病の患者とか糖尿病の人とか、何だか堅苦しくて楽しくないです。英語で糖尿病患者のことを、「People with Diabetes」といいます。「糖尿病と共にある人」ではますます面白くないので、ユーモア感覚で「糖尿人」と造語してみました。世の中は正常人、境界人、糖尿人で構成されてます。作家宮本輝先生との対談本「我ら糖尿人、元気なのには理由がある」でも使わせていただきました。糖尿人、宮本輝先生にも気に入っていただけたようです。きのとさんもご指摘のように、我ら糖尿人は糖質さえ食べなければ健常であり病人ではないのです。

さて、きのとさんの手紙には「スーパー糖質制限食で糖尿病をコントロールした母親の体験記をコミックで描きたい」という企画が提案してありました。かくいう江部康二、根っからの漫画好きでして、小学校のころから毎週、毎月欠かさず何冊も読んでいて、週刊少年サンデー、週刊少年マガジン、週刊少年ジャンプなどは創刊号から今にいたるまで愛読書です。一時は少女漫画にまで手を出していました。 

そういう私ですので、きのとさんの企画、まさに渡りに船というのりで、東洋経済新報社さんに相談したところ、こころよく承諾いただきました。編集部の佐藤未来さんありがとうございました。おかげさまで、日本初の糖質制限食コミックが誕生することとなりました。本コミックには、糖質制限食実践の苦労話がいろいろ盛り込んであり、楽しく読んでいくなかでノウハウやコツがわかりやすくつかめる仕組みになっています。

きのとファミリーみんなで、糖尿人のお母さんをサポートしている雰囲気が漫画やストーリーからほのぼのと感じられて、温かいです。糖尿人も孤独には弱いです。支えてくれる家族の絆はとても大切です。

糖尿病の治療というと、厳格なカロリー制限の食事療法、お酒は飲んではだめ、運動療法、内服薬、インスリン注射・・・。複雑で時間がかかり、我慢と苦痛を伴う治療を長期間続けなくてはならないのですから、糖尿人は結構大変です。しかもカロリー制限の食事療法を続けている限りは、HbA1c6.5%未満のコントロール良好な糖尿人は、インスリンを打っても薬を飲んでも、統計的には30%未満しかいないのです。

つまり、現状では、大多数の糖尿人はコントロール不良で、医師や栄養士から無言の非難を浴びてる感じだし、自分でも言われたとおりにちゃんと食事も運動もしているのに「なぜだー!」という心境でしょう。こうなると投げやりになったり、うつっぽくなっても不思議ではありません。きのとさんのお母さんもいっときは、うつっぽくなって暗かったようです。実際、糖尿病とうつ病ですが、米国の医学雑誌に『糖尿病患者はうつ病になるリスクが2倍も高い』という論文がのったことがあります。つまり、糖尿人はうつになりやすいようですし、また厄介なことに、うつがあると糖尿病も悪化しやすいという側面もあります。

糖尿人にとってややつらいお話でしたが、救いはあります。糖質制限食だと、カロリー計算は要らないし、お酒も飲めるし、お肉もお魚も食べ放題・・・運動も別にしなくてもOK・・・。カロリー制限の糖尿病食に比べれば、面倒くささや制約が、ほとんどありません。

唯一、糖質さえ制限すれば、あとは自由ですので、長期に渡って実践でき、苦痛は少なく、心理的にはずいぶん楽ですね。きのとさんのお母さんも糖質制限食と出会ってからは、心理的にもめきめき元気を取り戻しておられます。
 
本書を手にとっていただいた糖尿人の皆さん、糖質制限食で元気に健康ライフをお過ごし下さい。
 

江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
とことん語る糖質制限食〜『満腹ダイエット』で今日から健常人
こんばんは。

糖尿人、メタボ人よ、来たれ!!

2010年10月31日(日)リボーン・シンポジウム特別企画

『とことん語る糖質制限食〜『満腹ダイエット』で今日から健常人』

のご案内です。

dancyu(ダンチュウ)』編集長、町田成一さんをゲストに迎えて、おおいに美味しく楽しく語り合おうと思っています。

糖尿人、メタボ人、ダイエットしたい人・・・

是非、皆さんのご参加をお待ちしております。


江部康二


以下は、NPO法人糖質制限食ネット・リボーンの事務局、曽我部ゆかりさんからのお知らせです。


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ドクター江部のブログ読者の皆様へ

前略 暦の上では秋を迎えましたが、衰えることのない猛暑が続いております。いかがお過ごしでしょうか。

リボーン・シンポジウム特別企画のお知らせです。

今回は、ゲストに『dancyu(ダンチュウ)』編集長の町田成一氏を迎え、楽しくワイワイ居酒屋での会話風に、糖質制限食を語りあう企画となります。

もちろん楽しいだけではありません。今日からできる満腹ダイエットの醍醐味を知り、症状改善に役立ててくださいね。
  
今回は、特別企画のため、参加費の事前振込をしていただくことにしました。詳細をご覧ください。ご協力よろしくお願いいたします。リボーン曽我部ゆかり



リボーン・シンポジウム特別企画
とことん語る糖質制限食〜『満腹ダイエット』で今日から健常人   
■開催日時 2010年10月31日(日)
 ゲスト講師 町田成一(『dancyu(ダンチュウ)』編集長)
  パネリスト 江部康二(内科医 高雄病院理事長 リボーン理事長)
        大柳珠美(管理栄養士 リボーン理事)

昨年末に発売され話題となった『dancyu』特別編集『満腹ダイエット』。この7月に発売となった第2弾『dancyu』特別編集『酒呑みダイエット』も話題を呼んでいます。監修は、リボーン理事長の江部康二と同じく理事の大柳珠美の二人。誌面で公開された編集長の町田成一氏との居酒屋対談が話題となりました。それを受けて、リボーンでは、町田編集長をゲストにお招きし、居酒屋鼎談風のシンポジウムを企画しました。医学界だけでなく、グルメ界においても旬な風となった「糖質制限食」。糖尿病の方も、ダイエットや美容目的の方も、楽しくおいしいダイエットを目指しましょう。皆様のご参加をお待ちしております。(『dancyu』は、おいしい食べ歩き、料理づくり、素材探しなど、食を楽しみたい人のための月刊誌です)

■会場 なかのサンプラザ研修室10(7階)
■アクセス JP中野駅北口下車1分。
       サンプラザ正面エントランスから入り左手のエレベータで7階へ

■プログラム 13時開場
13時30分〜14時00分 基調講演 江部康二
14時00分〜14時15分 休憩
14時15分〜16時00分 鼎談 ゲスト 町田成一 
                 パネリスト 大柳珠美 司会 江部康二
16時00分〜16時10分 休憩
16時10分〜16時30分 質疑応答&試食会

■参加費    リボーン会員 2800円 リボーン会員ペア 4400円

一 般    3500円 一般ペア  5600円
      ※ペア券は、ご家族に限り適用とさせていただきますのでご了承ください。
■定員 105名(リボーン会員優先となります)

■申込 事前に郵便振替でご送金ください。当日受付は致しません。
     申込〆切 10月21日
    入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
    郵便振替 口座番号 00110−9−393366
         口座名称 リボーン

■主催 NPO法人糖質制限食ネット・リボーン 
■問い合わせ リボーン事務局 電話03−3388−5428 e-mail reborn@big.or.jp


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 曽我部  ゆかり
 reborn@big.or.jp


 NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
 事務局 中野区新井4−4−2−4B
 03−3388−5428


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テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
大豆もやしは糖質ゼロ、超優良糖質制限OK食品
こんばんは。

先ほどテニスから帰ってきました。

今日は、サーブが好調で全勝でした。 (^^)

さて。

しわさんから、大豆もやしについてコメント・質問をいただきました。


「10/09/12 しわ
いつも楽しくみています。
ここ1週間なぜか食欲が増しまして、お肉ばかりを食べているとカロリーオーバーになってしまいます。
野菜の中で大豆もやし100gあたり糖質0ですが、これなら200gでも300gでも食べて良いのですか?
お時間あるときに教えてください。
よろしくお願いします。
ちなみに私はダイエット目的でスーパーを実行中です。3ヶ月で8kg痩せました。先生のおかげです!」


しわさん。
減量成功おめでとうございます。

五訂日本食品標準成分表によれば、

大豆もやし100g中に

エネルギー(kcal) 37.0
水分(g) 92.0
たんぱく質(g) 3.7
脂質(g) 1.5
炭水化物(g) 2.3 ※食物繊維(g) 2.3

炭水化物全てが食物繊維ということは、確かに糖質ゼロですね。

私も迂闊にして、もやしが糖質ゼロとは知りませんでした。

大豆もやし、糖質ゼロにつき、200gでも300gでも、摂取OKですね。

大食漢タイプの糖尿人・ダイエッターに強い味方の登場ですね。 ヾ(^▽^)

発芽によって合成され増加する栄養素に、ビタミンと遊離アミノ酸があります。

ビタミンC・アスパラギン・アスパラギン酸・γ―アミノ酪酸(GABA)は、大豆そのものには、わずかな量しか含まれていないのに、もやしになると一気に増加します。

もやしには、カリウムや食物繊維も多いですね。

ビタミンB1,B2も含まれていて、なかなかどうして立派なヘルシーフードです。

私も、今後しっかり大豆もやし、食べようと思います。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット