2010年07月31日 (土)
【糖質制限食とは】
米国糖尿病協会によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
これらは、含有エネルギーとは無関係な、三大栄養素の生理学的特質です。
このように、糖質、脂質、タンパク質のうち、糖質だけが血糖値を上昇させます。
従って、糖質を摂取した時には、インスリンが大量に追加分泌されます。
脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。タンパク質は、ごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が、大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として、確立されたからです。
そして、食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後高血糖はほとんど生じないのです。
なお、1gの糖質が、体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは、理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。
なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため、既に経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服や、インスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので、必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はほとんどないので、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」
「やせる食べ方」
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」
「 糖質制限食 春のレシピ」
「 糖質制限食 夏のレシピ」
「糖質制限食 秋のレシピ」
「糖質制限食 冬のレシピ」
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」
(以上東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)
dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」
dancyu プレジデントムック 「酒飲みダイエット 」
(プレジデント社)
などを参考にされ、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は、相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
肝硬変では、糖新生能力が低下しているため、適応となりません。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。
【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内・保険適応】
お問い合わせは高雄病院
http://www.takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
【糖質制限食外来治療のご案内・予約制・保険適応】
高雄病院 電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院京都駅前診療所 電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
http://www.takao-hospital.net/
江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
【糖質制限食 質問、記事、本に関するお知らせ・お願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。
一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。
診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。
私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。
また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。
従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即、お答えすることが困難となってきています。
できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
江部康二
米国糖尿病協会によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
これらは、含有エネルギーとは無関係な、三大栄養素の生理学的特質です。
このように、糖質、脂質、タンパク質のうち、糖質だけが血糖値を上昇させます。
従って、糖質を摂取した時には、インスリンが大量に追加分泌されます。
脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。タンパク質は、ごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が、大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として、確立されたからです。
そして、食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後高血糖はほとんど生じないのです。
なお、1gの糖質が、体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
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簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは、理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。
なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため、既に経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服や、インスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので、必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はほとんどないので、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」
「やせる食べ方」
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」
「 糖質制限食 春のレシピ」
「 糖質制限食 夏のレシピ」
「糖質制限食 秋のレシピ」
「糖質制限食 冬のレシピ」
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」
(以上東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)
dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」
dancyu プレジデントムック 「酒飲みダイエット 」
(プレジデント社)
などを参考にされ、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は、相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
肝硬変では、糖新生能力が低下しているため、適応となりません。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。
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お問い合わせは高雄病院
http://www.takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
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高雄病院 電話:075-871-0245
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江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
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糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。
一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。
診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。
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従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即、お答えすることが困難となってきています。
できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
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江部康二
2010年07月30日 (金)
こんばんは。
今回も糖質制限食にとって嬉しい話題です。
糖尿病学〈2010〉という、最新の糖尿病の教科書を手に入れました。
お二人の糖尿病の専門家が書かれた、権威ある本と思います。
その118~123ページに
「2型糖尿病食事療法における糖・脂質比が糖・脂質代謝に与える影響」
と題して、筑波大学大学院水戸地域医療教育センター内分泌代謝・糖尿病内科の児玉暁先生、曽根博仁先生が執筆された章がありました。
2007年までに発表された世界中の糖尿病の食事療法関係の文献を調べておられます。
主にインターネットで検索して、2203文献を検討したところ、
「2型糖尿病食事療法における糖・脂質比が糖・脂質代謝に与える影響」
にあう条件を満たした文献が19あったそうです。
それらのデータををまとめて、再解析(メタ解析という手法)した結論を述べておられます。
以下、おわりにからの抜粋です。
『2型糖尿病患者への食事介入において、総エネルギー量一定の条件下では、糖・脂質比の低い食事は、高い食事と比較して、空腹時インスイリン値や空腹時中性脂肪値、HDL-コレステロール値に示される糖・脂質代謝指標の改善に有効であることが示された。
この結果は、糖尿病食事療法において、エネルギー摂取量のコントロールが最重要であるものの、食事中の糖・脂質比も重要であることを示している。』
つまり、日本の糖尿病の教科書レベルの本で初めて、糖・脂質比の低い食事(糖質制限食)が糖・脂質代謝指標の改善に有効と記載してあります。
まだエネルギー摂取量のコントロールにも拘ってはおられますが、糖質制限食に明確にポジティブな意見であり、
日本では、画期的な出来事と思います。 (^_^)
このように、糖質制限食が日本の医学界でも一歩一歩広がってくれればいいですね。
なお、7月31日(土)~8月3日(火)まで富士見高原にテニス合宿にでかけます。
ブログもしばらくお休みですのであしからず。
***
【糖尿病学〈2010〉
岡 芳知 (著), 谷澤 幸生 (著)
価格: ¥ 9,975
診断と治療社
著者略歴
岡 芳知
東北大学大学院医学系研究科分子代謝病態学(糖尿病代謝科)教授
谷澤 幸生
山口大学大学院医学系研究科病態制御内科学教授】
江部康二
今回も糖質制限食にとって嬉しい話題です。
糖尿病学〈2010〉という、最新の糖尿病の教科書を手に入れました。
お二人の糖尿病の専門家が書かれた、権威ある本と思います。
その118~123ページに
「2型糖尿病食事療法における糖・脂質比が糖・脂質代謝に与える影響」
と題して、筑波大学大学院水戸地域医療教育センター内分泌代謝・糖尿病内科の児玉暁先生、曽根博仁先生が執筆された章がありました。
2007年までに発表された世界中の糖尿病の食事療法関係の文献を調べておられます。
主にインターネットで検索して、2203文献を検討したところ、
「2型糖尿病食事療法における糖・脂質比が糖・脂質代謝に与える影響」
にあう条件を満たした文献が19あったそうです。
それらのデータををまとめて、再解析(メタ解析という手法)した結論を述べておられます。
以下、おわりにからの抜粋です。
『2型糖尿病患者への食事介入において、総エネルギー量一定の条件下では、糖・脂質比の低い食事は、高い食事と比較して、空腹時インスイリン値や空腹時中性脂肪値、HDL-コレステロール値に示される糖・脂質代謝指標の改善に有効であることが示された。
この結果は、糖尿病食事療法において、エネルギー摂取量のコントロールが最重要であるものの、食事中の糖・脂質比も重要であることを示している。』
つまり、日本の糖尿病の教科書レベルの本で初めて、糖・脂質比の低い食事(糖質制限食)が糖・脂質代謝指標の改善に有効と記載してあります。
まだエネルギー摂取量のコントロールにも拘ってはおられますが、糖質制限食に明確にポジティブな意見であり、
日本では、画期的な出来事と思います。 (^_^)
このように、糖質制限食が日本の医学界でも一歩一歩広がってくれればいいですね。
なお、7月31日(土)~8月3日(火)まで富士見高原にテニス合宿にでかけます。
ブログもしばらくお休みですのであしからず。
***
【糖尿病学〈2010〉
岡 芳知 (著), 谷澤 幸生 (著)
価格: ¥ 9,975
診断と治療社
著者略歴
岡 芳知
東北大学大学院医学系研究科分子代謝病態学(糖尿病代謝科)教授
谷澤 幸生
山口大学大学院医学系研究科病態制御内科学教授】
江部康二
2010年07月29日 (木)
こんにちは。
今回は、アルツハイマー病と糖尿病について、ゆうこさんからコメント・質問をいただきました。
【10/07/29 ゆうこ
古い記事ですが
先生
古い記事なのですが、たまたまネットで、
“糖尿病患者の場合、アルツハイマー病の発症率は2~4倍以上”という記事に行き当たりました。
「血糖値を下げるインスリンは、記憶力などの認知機能に重要な役割を果たしているとされるが、合併(アルツハイマーと糖尿病)マウスでは脳内のインスリン量が減少していた。糖尿病のみのマウスに比べ、合併マウスでは糖尿病が重症化することも分かった。」
http://www.jiji.com/jc/v2?id=20100511health_08
という記事を見つけました。
糖質制限をして、インスリン分泌をあまりさせていないと、記憶力が悪くなる、のでしょうか・・・?
アルツハイマーになりやすい??
他の合併症であれば、高血糖を起こさなければ心配ないというのはわかりますが、インスリンを分泌が少ないとアルツハイマーになりやすいというのはちょっと気になります。】
ゆうこさん。
脳内のインスリン量と、血中のインスリン濃度は、また別の事柄です。
インスリンの分泌が少ないとアルツハイマー病になるとは、上記サイトにも記載はありません。
インスリン分泌が多い方が、はっきりアルツハイマー病の危険因子です。
7月28日(水)のブログ
<人類の主食は穀物ではない・ヒューマン・ニュートリションより>
にも書いた通り、
「血漿インスリン値の定期的な上昇が、糖尿病、冠状動脈疾患、がん、老化等、多くの点で健康に有害であることが強く指摘されている。」
「精製炭水化物摂取によるグルコースミニスパイクとインスリンの頻回・過剰分泌が生活習慣病の元凶である。」
というのが、ヒューマン・ニュートリション及び私の意見です。
また、インスリンの過剰分泌・高インスリン血症が、メタボリック・シンドロームに認められるのは、世界の医学者の共通認識です。
そして、ヒトにおいては、外部からのインスリン注射がアルツハイマー病のハイリスクということと②、高インスリン血症がアルツハイマー病のリスクということが確認されています。
高インスリン血症では、脳内へのインスリン移行が低下するため、脳内のインスリンの作用が低下し、神経保護作用が減弱するそうです⑤。
糖尿病があるとアルツハイマー病になりやすいことは、過去の研究で確認されています。
以下、今までの主な文献を参考に考察してみます。
①九州大学の清原裕教授(環境医学)らによる久山町研究
「1985年時点で、神経疾患などを研究する米国立衛生研究所の研究機関の基準で認知症ではないと判断した65歳以上の826人を15年間にわたって追跡調査。その結果糖尿病やその予備群の人は、アルツハイマー病を発症するリスクが4.6倍高いことを報告」
②Rotterdam研究(Neurology1999:53:1937-1942)
「高齢者糖尿病における、脳血管性痴呆(VD)の相対危険度は2.0倍。
アルツハイマー型痴呆(AD)の相対危険度は1.9倍。
インスリン使用者の相対危険度は4.3倍」
③Janson J等 Diabetes2004:53:474-481
「アルツハイマー病の約80%に2型糖尿病あるいは耐糖能低下がみられる」
④神戸新聞 2008年11月8日
「糖尿病の通院患者の半数以上に、「海馬傍回(かいばぼうかい)」と呼ばれる脳の部位が萎縮(いしゅく)するアルツハイマー病の初期症状がみられることが、加古川市内の病院に勤務する医師らの臨床研究で分かった。十五日から米国・ワシントンDCで開かれる北米神経科学会で発表される。」
⑤高齢者糖尿病の臨床 横野浩一 日老医誌 2007:44:572-574
「肝臓などのインスリン分解酵素が末梢血液中のベータアミロイドを分解する。
インスリンはベータアミロイドの遊離を促進させ細胞内への蓄積を防ぐことが動物実験では報告されている。
高インスリン血症では脳内へのインスリン移行が、低下するため、脳内のインスリンの作用が低下して神経保護作用が減弱する。
高インスリン状態ではインスリン分解酵素がベータアミロイドを分解するのとインスリンを分解するのと競合するので、ベータアミロイドが血液中に残存しやすい。」
①の久山町研究によれば、糖尿病およびその予備軍はアルツハイマー病を発症する確率が4.6倍です。
②のRotterdam研究で興味深いのは高齢糖尿病患者で、脳血管性痴呆(VD)とアルツハイマー型痴呆(AD)の相対危険度は約2倍でほぼ一緒なのに、インスリン使用者だけが4.3倍と非常な高値を示していることです。
①②③④にて糖尿病があるとアルツハイマー病になりやすいことは間違いないようです。
②と⑤を合わせて考えると、外部からの注射であろうと内因性であろうと、高インスリン血症がインスリン分解酵素を消費して、ベータアミロイドを分解するのを邪魔するため、アルツハイマー病になりやすいというパターン仮説が一つあることは間違いないようです。
それでは、インスリン分泌能が既に低下している時期の糖尿人は、どうなるのでしょう。
清原教授は、
「脳にたまってアルツハイマー病を引き起こすとされる物質(ベータアミロイド)は、インスリン分解酵素によって分解される。耐糖能異常の人はインスリンが少ない場合が多く、分解酵素も減るので、アルツハイマー病の危険性が高まる。」
と仮説を述べておられます。
こちらは単純にインスリン分解酵素が少ないので、ベータアミロイドが血液中に残存しやすいということですね。
「インスリン、インスリン分解酵素、ベータアミロイド」の3つのキーワードでここまで考察してきましたが、高血糖そのものによる代謝異常と認知症の関係はどうなのでしょう。
この問題に関しては、②のRotterdam研究が一定の参考になります。
糖尿病がない高齢者に比べたら、脳血管性痴呆(VD)とアルツハイマー型痴呆(AD)の相対危険度は約2倍ですので、糖尿病で高血糖があると、両タイプの認知症に同等になりやすいと言えます。
一方、ことアルツハイマー型痴呆に関しては、インスリン使用者の相対危険度は4.3倍ですから、インスリンおよびインスリン分解酵素が大きく関与しているようです。
一方、コントロール良好の糖尿病でどうなのかは、疫学的調査がないので、よくわかりません。
しかし、他の合併症と同様糖尿病のコントロールが良好なら、アルツハイマー病にもなりにくいと予想されます。
また、糖質制限食なら人体の代謝全てが改善しますので、当然脳細胞の代謝もよくなりアルツハイマー病予防にも有効と思います。 (^_^)
*アルツハイマー病の病理
病理学的には脳組織の萎縮、大脳皮質の老人斑の出現がみられる。
老人斑はベータアミロイドの沈着であることが明らかになっている。(ウィキペディア)
江部康二
今回は、アルツハイマー病と糖尿病について、ゆうこさんからコメント・質問をいただきました。
【10/07/29 ゆうこ
古い記事ですが
先生
古い記事なのですが、たまたまネットで、
“糖尿病患者の場合、アルツハイマー病の発症率は2~4倍以上”という記事に行き当たりました。
「血糖値を下げるインスリンは、記憶力などの認知機能に重要な役割を果たしているとされるが、合併(アルツハイマーと糖尿病)マウスでは脳内のインスリン量が減少していた。糖尿病のみのマウスに比べ、合併マウスでは糖尿病が重症化することも分かった。」
http://www.jiji.com/jc/v2?id=20100511health_08
という記事を見つけました。
糖質制限をして、インスリン分泌をあまりさせていないと、記憶力が悪くなる、のでしょうか・・・?
アルツハイマーになりやすい??
他の合併症であれば、高血糖を起こさなければ心配ないというのはわかりますが、インスリンを分泌が少ないとアルツハイマーになりやすいというのはちょっと気になります。】
ゆうこさん。
脳内のインスリン量と、血中のインスリン濃度は、また別の事柄です。
インスリンの分泌が少ないとアルツハイマー病になるとは、上記サイトにも記載はありません。
インスリン分泌が多い方が、はっきりアルツハイマー病の危険因子です。
7月28日(水)のブログ
<人類の主食は穀物ではない・ヒューマン・ニュートリションより>
にも書いた通り、
「血漿インスリン値の定期的な上昇が、糖尿病、冠状動脈疾患、がん、老化等、多くの点で健康に有害であることが強く指摘されている。」
「精製炭水化物摂取によるグルコースミニスパイクとインスリンの頻回・過剰分泌が生活習慣病の元凶である。」
というのが、ヒューマン・ニュートリション及び私の意見です。
また、インスリンの過剰分泌・高インスリン血症が、メタボリック・シンドロームに認められるのは、世界の医学者の共通認識です。
そして、ヒトにおいては、外部からのインスリン注射がアルツハイマー病のハイリスクということと②、高インスリン血症がアルツハイマー病のリスクということが確認されています。
高インスリン血症では、脳内へのインスリン移行が低下するため、脳内のインスリンの作用が低下し、神経保護作用が減弱するそうです⑤。
糖尿病があるとアルツハイマー病になりやすいことは、過去の研究で確認されています。
以下、今までの主な文献を参考に考察してみます。
①九州大学の清原裕教授(環境医学)らによる久山町研究
「1985年時点で、神経疾患などを研究する米国立衛生研究所の研究機関の基準で認知症ではないと判断した65歳以上の826人を15年間にわたって追跡調査。その結果糖尿病やその予備群の人は、アルツハイマー病を発症するリスクが4.6倍高いことを報告」
②Rotterdam研究(Neurology1999:53:1937-1942)
「高齢者糖尿病における、脳血管性痴呆(VD)の相対危険度は2.0倍。
アルツハイマー型痴呆(AD)の相対危険度は1.9倍。
インスリン使用者の相対危険度は4.3倍」
③Janson J等 Diabetes2004:53:474-481
「アルツハイマー病の約80%に2型糖尿病あるいは耐糖能低下がみられる」
④神戸新聞 2008年11月8日
「糖尿病の通院患者の半数以上に、「海馬傍回(かいばぼうかい)」と呼ばれる脳の部位が萎縮(いしゅく)するアルツハイマー病の初期症状がみられることが、加古川市内の病院に勤務する医師らの臨床研究で分かった。十五日から米国・ワシントンDCで開かれる北米神経科学会で発表される。」
⑤高齢者糖尿病の臨床 横野浩一 日老医誌 2007:44:572-574
「肝臓などのインスリン分解酵素が末梢血液中のベータアミロイドを分解する。
インスリンはベータアミロイドの遊離を促進させ細胞内への蓄積を防ぐことが動物実験では報告されている。
高インスリン血症では脳内へのインスリン移行が、低下するため、脳内のインスリンの作用が低下して神経保護作用が減弱する。
高インスリン状態ではインスリン分解酵素がベータアミロイドを分解するのとインスリンを分解するのと競合するので、ベータアミロイドが血液中に残存しやすい。」
①の久山町研究によれば、糖尿病およびその予備軍はアルツハイマー病を発症する確率が4.6倍です。
②のRotterdam研究で興味深いのは高齢糖尿病患者で、脳血管性痴呆(VD)とアルツハイマー型痴呆(AD)の相対危険度は約2倍でほぼ一緒なのに、インスリン使用者だけが4.3倍と非常な高値を示していることです。
①②③④にて糖尿病があるとアルツハイマー病になりやすいことは間違いないようです。
②と⑤を合わせて考えると、外部からの注射であろうと内因性であろうと、高インスリン血症がインスリン分解酵素を消費して、ベータアミロイドを分解するのを邪魔するため、アルツハイマー病になりやすいというパターン仮説が一つあることは間違いないようです。
それでは、インスリン分泌能が既に低下している時期の糖尿人は、どうなるのでしょう。
清原教授は、
「脳にたまってアルツハイマー病を引き起こすとされる物質(ベータアミロイド)は、インスリン分解酵素によって分解される。耐糖能異常の人はインスリンが少ない場合が多く、分解酵素も減るので、アルツハイマー病の危険性が高まる。」
と仮説を述べておられます。
こちらは単純にインスリン分解酵素が少ないので、ベータアミロイドが血液中に残存しやすいということですね。
「インスリン、インスリン分解酵素、ベータアミロイド」の3つのキーワードでここまで考察してきましたが、高血糖そのものによる代謝異常と認知症の関係はどうなのでしょう。
この問題に関しては、②のRotterdam研究が一定の参考になります。
糖尿病がない高齢者に比べたら、脳血管性痴呆(VD)とアルツハイマー型痴呆(AD)の相対危険度は約2倍ですので、糖尿病で高血糖があると、両タイプの認知症に同等になりやすいと言えます。
一方、ことアルツハイマー型痴呆に関しては、インスリン使用者の相対危険度は4.3倍ですから、インスリンおよびインスリン分解酵素が大きく関与しているようです。
一方、コントロール良好の糖尿病でどうなのかは、疫学的調査がないので、よくわかりません。
しかし、他の合併症と同様糖尿病のコントロールが良好なら、アルツハイマー病にもなりにくいと予想されます。
また、糖質制限食なら人体の代謝全てが改善しますので、当然脳細胞の代謝もよくなりアルツハイマー病予防にも有効と思います。 (^_^)
*アルツハイマー病の病理
病理学的には脳組織の萎縮、大脳皮質の老人斑の出現がみられる。
老人斑はベータアミロイドの沈着であることが明らかになっている。(ウィキペディア)
江部康二
2010年07月28日 (水)
こんにちは。
今回は、小豆好きさんから、
「主食(炭水化物・穀物)を食べないと、代謝が乱れて糖尿病のリスクになる」
という意見に対して、質問をいただきました。
結論としては、人類の主食は穀物ではないし、糖質制限食を実践すれば糖尿病発症の予防になりますが、リスクにはなりません。
「10/07/27 小豆好き
タイトルなし
初めまして、江部先生の本を拝見させていただきました。
とても勉強になります。
私自身は糖尿ではないのですが、甘いもの、炭水化物の食べ過ぎのせいで、食後だるかったり、空腹になるとイライラしていました(血糖値の急変によるものだと病院で言われました)
先生の本を読み、現在、できる範囲で炭水化物を抑えています。
前のようにあんこ1袋食いなんて恐ろしいことはしていません。
お陰でイライラすることが減りました。
炭水化物の摂取を制限することについて、
以下のような記事をみつけ、先生の御意見を伺えたらと思いコメントいたします。
>コロラド州立大学研究所より
「主食を十分に摂取しないと、人間の正常な新陳代謝に影響を与え、脂肪が分解したときに血液中の遊離脂肪酸が増え、糖尿病のリスクが高まると考えられています。よって、研究グループでは、1日100グラムは最低でも主食を摂取しなさいと結論づけています」 (ブログ:我が愛しの上海へ・2より)
炭水化物を制限しすぎるとDMのリスクになるというような内容ですが、これはなぜでしょうか?
初歩的な質問で失礼いたします。」
小豆好きさん。
コメント・質問ありがとうございます。
炭水化物を制限しても、糖尿病のリスクにはなりません。
むしろ、炭水化物を普通に摂取することが、糖尿病のリスクになります。
コロラド州立大学の説は、単なる一仮説に過ぎません。そして、出発点で根本的な間違いを犯しています。
つまり農耕が始まる前の人類の主食は、決して穀物ではありません。
ヒューマン・ニュートリション 基礎・食事・臨床 第10版
JS Garrow
WPT james
A Ralph 編
日本語版監修 細谷憲政
上記は、英国の最も権威ある栄養学の本で、920ぺージに及ぶ大著です。
2万円くらいしましたが、奮発して買いました。
この本の75ページに
『現代の食事では、・・・・・デンプンや遊離糖に由来する「利用されやすいグルコース」を大量に摂取するようになっている。このような食事内容は血漿グルコースおよびインスリン値の定期的な上昇をもたらし、糖尿病、冠状動脈疾患、がん、老化等、多くの点で健康に有害であることが強く指摘されている。
農業の発明以来、ヒトは穀物をベースとした食物を摂取するようになったが、進化に要する時間の尺度は長く、ヒトの消化管はまだ穀物ベースの食物に適応していない。ましてや高度に加工された現代の食物に対して、到底適応しきれてないのである。』
常日頃、糖質制限食の立場から
「人類の主食は穀物ではない。」
と、私が主張していることがそのまま記載してあったので、びっくりするやら嬉しいやらでした。(^-^)v(^-^)v
ヒューマン・ニュートリションでは、穀物の過剰摂取の害、特に精製炭水化物による「血漿グルコースおよびインスリン値の定期的な上昇」が多くの点で健康に有害と強調しています。
これも私が日頃主張している
「精製炭水化物摂取によるグルコースミニスパイクとインスリンの頻回・過剰分泌が生活習慣病の元凶である。」
という説と、全く同じといっていいと思います。ヾ(^▽^)
ヒューマン・ニュートリションの記載とコロラド州立大学の仮説、どちらが説得力があるか言うまでもありませんね。
江部康二
今回は、小豆好きさんから、
「主食(炭水化物・穀物)を食べないと、代謝が乱れて糖尿病のリスクになる」
という意見に対して、質問をいただきました。
結論としては、人類の主食は穀物ではないし、糖質制限食を実践すれば糖尿病発症の予防になりますが、リスクにはなりません。
「10/07/27 小豆好き
タイトルなし
初めまして、江部先生の本を拝見させていただきました。
とても勉強になります。
私自身は糖尿ではないのですが、甘いもの、炭水化物の食べ過ぎのせいで、食後だるかったり、空腹になるとイライラしていました(血糖値の急変によるものだと病院で言われました)
先生の本を読み、現在、できる範囲で炭水化物を抑えています。
前のようにあんこ1袋食いなんて恐ろしいことはしていません。
お陰でイライラすることが減りました。
炭水化物の摂取を制限することについて、
以下のような記事をみつけ、先生の御意見を伺えたらと思いコメントいたします。
>コロラド州立大学研究所より
「主食を十分に摂取しないと、人間の正常な新陳代謝に影響を与え、脂肪が分解したときに血液中の遊離脂肪酸が増え、糖尿病のリスクが高まると考えられています。よって、研究グループでは、1日100グラムは最低でも主食を摂取しなさいと結論づけています」 (ブログ:我が愛しの上海へ・2より)
炭水化物を制限しすぎるとDMのリスクになるというような内容ですが、これはなぜでしょうか?
初歩的な質問で失礼いたします。」
小豆好きさん。
コメント・質問ありがとうございます。
炭水化物を制限しても、糖尿病のリスクにはなりません。
むしろ、炭水化物を普通に摂取することが、糖尿病のリスクになります。
コロラド州立大学の説は、単なる一仮説に過ぎません。そして、出発点で根本的な間違いを犯しています。
つまり農耕が始まる前の人類の主食は、決して穀物ではありません。
ヒューマン・ニュートリション 基礎・食事・臨床 第10版
JS Garrow
WPT james
A Ralph 編
日本語版監修 細谷憲政
上記は、英国の最も権威ある栄養学の本で、920ぺージに及ぶ大著です。
2万円くらいしましたが、奮発して買いました。
この本の75ページに
『現代の食事では、・・・・・デンプンや遊離糖に由来する「利用されやすいグルコース」を大量に摂取するようになっている。このような食事内容は血漿グルコースおよびインスリン値の定期的な上昇をもたらし、糖尿病、冠状動脈疾患、がん、老化等、多くの点で健康に有害であることが強く指摘されている。
農業の発明以来、ヒトは穀物をベースとした食物を摂取するようになったが、進化に要する時間の尺度は長く、ヒトの消化管はまだ穀物ベースの食物に適応していない。ましてや高度に加工された現代の食物に対して、到底適応しきれてないのである。』
常日頃、糖質制限食の立場から
「人類の主食は穀物ではない。」
と、私が主張していることがそのまま記載してあったので、びっくりするやら嬉しいやらでした。(^-^)v(^-^)v
ヒューマン・ニュートリションでは、穀物の過剰摂取の害、特に精製炭水化物による「血漿グルコースおよびインスリン値の定期的な上昇」が多くの点で健康に有害と強調しています。
これも私が日頃主張している
「精製炭水化物摂取によるグルコースミニスパイクとインスリンの頻回・過剰分泌が生活習慣病の元凶である。」
という説と、全く同じといっていいと思います。ヾ(^▽^)
ヒューマン・ニュートリションの記載とコロラド州立大学の仮説、どちらが説得力があるか言うまでもありませんね。
江部康二
2010年07月27日 (火)
おはようございます。
今回は、初心者エイジさんから、とても嬉しいコメントをいただきました。
「10/07/26 初心者エイジ
人為的に食後の血糖値上昇は確認するべきでしょうか?
江部先生こんにちは。
今月初めに、ご相談させていただいた「初心者エイジ」です。
あの後も自己判断でスーパー糖質制限食を約1ヶ月続行し
先日やっと検査結果が出たのでご報告とご質問です。
5/28検査(糖尿宣告時の再検査結果)
体重 73kg
HbA1c 8.2
ほぼ空腹時血糖 157(1ヶ月前の検診は180)
中性脂肪 355
HDLコレ 41
LDLコレ 157
ケトン体 1+
尿酸値 7.3
血圧137-110
7/17検査(7/24検査結果のヒアリングを受けました)
体重 63kg
HbA1c 5.7
(先生のご返事でも、7程度には改善してるのでは?とのことでした)
空腹時血糖 94
中性脂肪 91
HDLコレ 44
LDLコレ 114
ケトン体 3+(1週間後に1+)
尿酸値 10.3(1週間後に9.3)(なぜかとてもにアップしてしまいました)
血圧110-80
前回の検査は5/28ですが、その後先生の本を知り勝手にスーパー糖質制限食を開始したのが6/16ですから実質1ヶ月で体重ほぼ10キロ減でHbA1cも8.2から5.7という結果でした!
スーパー糖質制限食の威力はもの凄いです!!驚いています。!!!
しかも7/5には、自己判断で薬の服用もストップしていました。
(もちろん7/17の検査時に主治医にも申告済み)
7/24の結果が大変劇的だったのもあり、主治医の先生も「このまま薬の服用なしで行ってみなさい。」と言ってくれました。 尿酸値は高くなってしまったので水分を充分に取り要注意ですが・・・
ありがとうございます。これからも糖質制限食で頑張ります!!
そこで質問なのですが、最近自分で血糖値測定機も購入し 現在は、空腹時も食後血糖値も80~95程度をキープしているのですが 先生やみなさんのコメントにもあるように やはり人為的に「白米を茶碗一杯食べてみる」とか
「餃子を1人前食べてみる」とか「ビールを飲んでみる」とか(現在禁酒中)自分の身体で人体実験的に人為的なスパイクを起こしその数値を把握しておいたほうがいいのでしょうか?
せっかく改善した数値を、台無しにしてしまうような気がしてやはり恐怖心からスーパー糖質制限食を頑なに厳守しています。 数値の確認の為に糖質を取ってみることは大切でしょうか?
良好なコントロールを台無しにするようなことにはならないでしょうか?
お時間がありましたらアドバイスお願いいたします。
初心者エイジ」
初心者エイジさん。
貴重な体験のコメントありがとうございます。
5/28検査(糖尿宣告時) 7/17検査
体重 73kg 体重 63kg
HbA1c 8.2 HbA1c 5.7
ほぼ空腹時血糖 157 空腹時血糖 94
中性脂肪 355 中性脂肪 91
HDLコレ 41 HDLコレ 44
LDLコレ 157 LDLコレ 114
ケトン体 1+ ケトン体 3+(1週間後に1+)
尿酸値 7.3 尿酸値10.3(1週間後に9.3)
血圧137-110 血圧110-80
1ヶ月半のスーパー糖質制限食にて、驚異的なデータ改善ですね。
おめでとうございます。(^-^)v(^-^)v
薬は勿論必要ないと思いますし、主治医先生もご理解いただいて良かったですね。
尿酸の上昇ですが、体重減少の早さも考慮してやや低カロリーだった可能性があります。例えば断食では、尿酸値が急激に上昇します。いずれ、もとの7mg/dlていどまで落ち着くと思いますが、低カロリーにご注意くださいね。1週間後に10.3→9.3なので痛風発作の心配は少ないと思いますが・・・
アルコールそのものは血糖値を上昇させませんので、例えば糖質ゼロ発泡酒など再開されてもいいと思いますよ。
何せ、美味しく楽しく糖質制限食で長く続けることがとても大切ですので・・・(⌒o⌒)v
「血糖値測定機も購入し現在は、空腹時も食後血糖値も80~95程度をキープ」
スーパー糖質制限食なら、正常人であることが確認できましたね。 (^_^)
「数値の確認の為に糖質を取ってみることは大切でしょうか?」
現在絶好調なので、その必要はないと思います。
一方、糖尿病診断時は、肥満もあるし、平均血糖値195mgで糖毒状態でした。現在は体重が10kg減少してますし、糖毒状態が解除されていますので、インスリン分泌能力もある程度回復し、インスリン抵抗性がかなり改善していると思います。
トータルに耐糖能が改善しているので、少々の糖質を摂取しても、正常型~境界型くらいしか血糖値の上昇がないかもしれませんね。興味があるなら、試されてもいいですよ。
それくらいのお試しで、良好な血糖コントロールを台無しにするようなことにはなりませんので、ご安心下さい。
江部康二
今回は、初心者エイジさんから、とても嬉しいコメントをいただきました。
「10/07/26 初心者エイジ
人為的に食後の血糖値上昇は確認するべきでしょうか?
江部先生こんにちは。
今月初めに、ご相談させていただいた「初心者エイジ」です。
あの後も自己判断でスーパー糖質制限食を約1ヶ月続行し
先日やっと検査結果が出たのでご報告とご質問です。
5/28検査(糖尿宣告時の再検査結果)
体重 73kg
HbA1c 8.2
ほぼ空腹時血糖 157(1ヶ月前の検診は180)
中性脂肪 355
HDLコレ 41
LDLコレ 157
ケトン体 1+
尿酸値 7.3
血圧137-110
7/17検査(7/24検査結果のヒアリングを受けました)
体重 63kg
HbA1c 5.7
(先生のご返事でも、7程度には改善してるのでは?とのことでした)
空腹時血糖 94
中性脂肪 91
HDLコレ 44
LDLコレ 114
ケトン体 3+(1週間後に1+)
尿酸値 10.3(1週間後に9.3)(なぜかとてもにアップしてしまいました)
血圧110-80
前回の検査は5/28ですが、その後先生の本を知り勝手にスーパー糖質制限食を開始したのが6/16ですから実質1ヶ月で体重ほぼ10キロ減でHbA1cも8.2から5.7という結果でした!
スーパー糖質制限食の威力はもの凄いです!!驚いています。!!!
しかも7/5には、自己判断で薬の服用もストップしていました。
(もちろん7/17の検査時に主治医にも申告済み)
7/24の結果が大変劇的だったのもあり、主治医の先生も「このまま薬の服用なしで行ってみなさい。」と言ってくれました。 尿酸値は高くなってしまったので水分を充分に取り要注意ですが・・・
ありがとうございます。これからも糖質制限食で頑張ります!!
そこで質問なのですが、最近自分で血糖値測定機も購入し 現在は、空腹時も食後血糖値も80~95程度をキープしているのですが 先生やみなさんのコメントにもあるように やはり人為的に「白米を茶碗一杯食べてみる」とか
「餃子を1人前食べてみる」とか「ビールを飲んでみる」とか(現在禁酒中)自分の身体で人体実験的に人為的なスパイクを起こしその数値を把握しておいたほうがいいのでしょうか?
せっかく改善した数値を、台無しにしてしまうような気がしてやはり恐怖心からスーパー糖質制限食を頑なに厳守しています。 数値の確認の為に糖質を取ってみることは大切でしょうか?
良好なコントロールを台無しにするようなことにはならないでしょうか?
お時間がありましたらアドバイスお願いいたします。
初心者エイジ」
初心者エイジさん。
貴重な体験のコメントありがとうございます。
5/28検査(糖尿宣告時) 7/17検査
体重 73kg 体重 63kg
HbA1c 8.2 HbA1c 5.7
ほぼ空腹時血糖 157 空腹時血糖 94
中性脂肪 355 中性脂肪 91
HDLコレ 41 HDLコレ 44
LDLコレ 157 LDLコレ 114
ケトン体 1+ ケトン体 3+(1週間後に1+)
尿酸値 7.3 尿酸値10.3(1週間後に9.3)
血圧137-110 血圧110-80
1ヶ月半のスーパー糖質制限食にて、驚異的なデータ改善ですね。
おめでとうございます。(^-^)v(^-^)v
薬は勿論必要ないと思いますし、主治医先生もご理解いただいて良かったですね。
尿酸の上昇ですが、体重減少の早さも考慮してやや低カロリーだった可能性があります。例えば断食では、尿酸値が急激に上昇します。いずれ、もとの7mg/dlていどまで落ち着くと思いますが、低カロリーにご注意くださいね。1週間後に10.3→9.3なので痛風発作の心配は少ないと思いますが・・・
アルコールそのものは血糖値を上昇させませんので、例えば糖質ゼロ発泡酒など再開されてもいいと思いますよ。
何せ、美味しく楽しく糖質制限食で長く続けることがとても大切ですので・・・(⌒o⌒)v
「血糖値測定機も購入し現在は、空腹時も食後血糖値も80~95程度をキープ」
スーパー糖質制限食なら、正常人であることが確認できましたね。 (^_^)
「数値の確認の為に糖質を取ってみることは大切でしょうか?」
現在絶好調なので、その必要はないと思います。
一方、糖尿病診断時は、肥満もあるし、平均血糖値195mgで糖毒状態でした。現在は体重が10kg減少してますし、糖毒状態が解除されていますので、インスリン分泌能力もある程度回復し、インスリン抵抗性がかなり改善していると思います。
トータルに耐糖能が改善しているので、少々の糖質を摂取しても、正常型~境界型くらいしか血糖値の上昇がないかもしれませんね。興味があるなら、試されてもいいですよ。
それくらいのお試しで、良好な血糖コントロールを台無しにするようなことにはなりませんので、ご安心下さい。
江部康二
2010年07月27日 (火)
おはようございます。
2010年07月22日 (木)のブログ記事で書きました、クラシエフーズのゼロスタイルミントガム
誠に残念ながら、2009年で販売中止になっていました。
もう少し早く、その存在に気がつけば良かったのに
惜しいことをしました。
江部康二
2010年07月22日 (木)のブログ記事で書きました、クラシエフーズのゼロスタイルミントガム
誠に残念ながら、2009年で販売中止になっていました。
もう少し早く、その存在に気がつけば良かったのに
惜しいことをしました。
江部康二
2010年07月26日 (月)
こんばんは。
うーたんさんから、血糖自己測定器についてコメント・質問をいただきました。
「10/07/26 うーたん
ありがとうございました。
江部先生。
ご解答ありがとうございました。
自分は、病院で働いており毎日糖尿病の患者さんたちと接しておりますので、そのせいもあって尿のにおいに敏感になっているときがあります。
自分なりに尿のにおいの改善策をいろいろ探しているのですが、何かよい方法はないでしょうか。
また、もうひとつ質問させていただきたいことがあります。
血糖値を図るときに僕は指から採血します。
指によって数値が全く違います。
これはなぜなのでしょうか。
一人でいろいろとお尋ねするのは、少し欲張り課も知れませんが、どうしても気になることなのでよろしければご意見をお聞かせいただけないでしょうか。
よろしくお願いします。」
うーたんさん。
尿中ケトン体に関しては、3ヶ月から半年で陰性になるので、時が解決してくれると思います。
それまで匂いが気になるなら、しっかり水を飲んで下さい。
さて次は、血糖自己測定器の問題です。
自己血糖測定器の指先の採血は、毛細血管血の値です。病院で採血する血糖値は、静脈の血です。
動脈血>毛細血管血>静脈血
の順番で血糖値は少し高値となります。
動脈から静脈に流れるにしたがって、筋組織などにブドウ糖を供給していくので、消費されて血糖値は少しずつ低くなっていきます。
通常、特に食後においては、動脈血は静脈血より10~20mg血糖値が高いとされています。
病院の器械による血糖測定は、静脈の血液の血漿成分の血糖値です。一方、SMBGでは、指先の穿刺による毛細血管全血でです。
即ち、指頭のSMBG(毛細血管血)のほうが、10~20mg、病院の静脈血より高値となります。
また、病院や検査機関の検査機器に比べると、簡易血糖自己測定器の誤差は、かなり大きいです。
センサーのロット誤差、個別誤差、機器の精度などいろいろあるので、メーカーの言う20%程度の誤差は、仕方ないと考えた方がいいですね。( ̄_ ̄|||)
例えば、江部康二の2009年10月16日の午前8:30の、空腹時手掌血糖値(毛細血管血)がSMBGで143mg/dl もあって、びっくりしました。
それで丁度いい機会なので、30分後の午前9時過ぎに江部診療所で空腹時採血して、微生物研究所に検査を依頼しました。
その結果は100mg/dlでした。毛細血管血>静脈血ということを割り引いても、約20%の誤差ですね。
また、高雄病院に入院された糖尿人がSMBGを持っておられたら、病院のデータと比較することがあります。
誤差は10~20mgていどまでのことも多いですが、やはり食後の血糖値では、40~60mgの差があることがあります。
結論です。
指によって血糖値がばらつくというよりは、血糖自己測定器の精度の問題と考えられます。
江部康二
うーたんさんから、血糖自己測定器についてコメント・質問をいただきました。
「10/07/26 うーたん
ありがとうございました。
江部先生。
ご解答ありがとうございました。
自分は、病院で働いており毎日糖尿病の患者さんたちと接しておりますので、そのせいもあって尿のにおいに敏感になっているときがあります。
自分なりに尿のにおいの改善策をいろいろ探しているのですが、何かよい方法はないでしょうか。
また、もうひとつ質問させていただきたいことがあります。
血糖値を図るときに僕は指から採血します。
指によって数値が全く違います。
これはなぜなのでしょうか。
一人でいろいろとお尋ねするのは、少し欲張り課も知れませんが、どうしても気になることなのでよろしければご意見をお聞かせいただけないでしょうか。
よろしくお願いします。」
うーたんさん。
尿中ケトン体に関しては、3ヶ月から半年で陰性になるので、時が解決してくれると思います。
それまで匂いが気になるなら、しっかり水を飲んで下さい。
さて次は、血糖自己測定器の問題です。
自己血糖測定器の指先の採血は、毛細血管血の値です。病院で採血する血糖値は、静脈の血です。
動脈血>毛細血管血>静脈血
の順番で血糖値は少し高値となります。
動脈から静脈に流れるにしたがって、筋組織などにブドウ糖を供給していくので、消費されて血糖値は少しずつ低くなっていきます。
通常、特に食後においては、動脈血は静脈血より10~20mg血糖値が高いとされています。
病院の器械による血糖測定は、静脈の血液の血漿成分の血糖値です。一方、SMBGでは、指先の穿刺による毛細血管全血でです。
即ち、指頭のSMBG(毛細血管血)のほうが、10~20mg、病院の静脈血より高値となります。
また、病院や検査機関の検査機器に比べると、簡易血糖自己測定器の誤差は、かなり大きいです。
センサーのロット誤差、個別誤差、機器の精度などいろいろあるので、メーカーの言う20%程度の誤差は、仕方ないと考えた方がいいですね。( ̄_ ̄|||)
例えば、江部康二の2009年10月16日の午前8:30の、空腹時手掌血糖値(毛細血管血)がSMBGで143mg/dl もあって、びっくりしました。
それで丁度いい機会なので、30分後の午前9時過ぎに江部診療所で空腹時採血して、微生物研究所に検査を依頼しました。
その結果は100mg/dlでした。毛細血管血>静脈血ということを割り引いても、約20%の誤差ですね。
また、高雄病院に入院された糖尿人がSMBGを持っておられたら、病院のデータと比較することがあります。
誤差は10~20mgていどまでのことも多いですが、やはり食後の血糖値では、40~60mgの差があることがあります。
結論です。
指によって血糖値がばらつくというよりは、血糖自己測定器の精度の問題と考えられます。
江部康二
2010年07月26日 (月)
こんにちは。
今日もうだるように暑い京都です。
さて今回は、糖質制限食と低血糖について、あべ餅さんから、コメント・質問をいただきました。
「10/07/26 あべ餅
こんにちは。低血糖持ちです。
最近また糖質をとりすぎ傾向にあったので、今日から糖質控えめにしようと思っていました。
朝食はいつも軽くなので、桃半分と豆乳(この組み合わせで血糖値は正常範囲内までしか上がらないことは確認済みです)を食べました。11AMくらいに空腹になってきたのですが、子供が帰ってきて一緒に食べる時間までまだ少しあったので、補食として乾海苔大判2枚とツナ缶を食べて、しのいでおきました。そのままちょっとウトウトしてしまったのですが、12時くらいに急激なめまい(おそらく低血糖)で目覚め、動悸がし、慌ててお米を一口だけ食べました。
先生は、低血糖症は糖質制限食では起こり得ないという考え方をされているようですが、低血糖の人は、極端な話し、何も食べていなくても血糖値が低くてフラフラしたりするものではないでしょうか?したがって、糖質をきちんと継続的に摂って多少血糖値を上げておかないといけないのではないかと思っています。低血糖で糖質制限をすることに危険を感じているのですが、いかがなものでしょうか?よろしくお願いします。」
あべ餅さん。
コメントありがとうございます。
経口血糖降下薬やインスリン注射をしていない限り、通常は糖質制限食で低血糖になることはありません。
しかし、肝臓の糖新生能力が低下している人は、糖質制限食実践で低血糖になり得ますので注意が必要です。
まれですが、そういう方がおられます。
炭水化物を毎日、頻回に摂取していると、糖新生能力が低下しやすいです。
それから空腹時の低血糖ですが、ヒトは本来、絶食中でも肝臓の糖新生により、血糖値を保ちます。農耕以前のご先祖様は、獲物や採集物がなければ、日常的に断食でしたよね。
ただ、肝臓の糖新生能力が低下している人は、空腹時に低血糖になる可能性があります。
このような方は、3食とも少量の糖質を摂取して、緩い糖質制限食として、じっくり肝臓の糖新生能力が回復するのを待つのが無難と思います。
江部康二
今日もうだるように暑い京都です。
さて今回は、糖質制限食と低血糖について、あべ餅さんから、コメント・質問をいただきました。
「10/07/26 あべ餅
こんにちは。低血糖持ちです。
最近また糖質をとりすぎ傾向にあったので、今日から糖質控えめにしようと思っていました。
朝食はいつも軽くなので、桃半分と豆乳(この組み合わせで血糖値は正常範囲内までしか上がらないことは確認済みです)を食べました。11AMくらいに空腹になってきたのですが、子供が帰ってきて一緒に食べる時間までまだ少しあったので、補食として乾海苔大判2枚とツナ缶を食べて、しのいでおきました。そのままちょっとウトウトしてしまったのですが、12時くらいに急激なめまい(おそらく低血糖)で目覚め、動悸がし、慌ててお米を一口だけ食べました。
先生は、低血糖症は糖質制限食では起こり得ないという考え方をされているようですが、低血糖の人は、極端な話し、何も食べていなくても血糖値が低くてフラフラしたりするものではないでしょうか?したがって、糖質をきちんと継続的に摂って多少血糖値を上げておかないといけないのではないかと思っています。低血糖で糖質制限をすることに危険を感じているのですが、いかがなものでしょうか?よろしくお願いします。」
あべ餅さん。
コメントありがとうございます。
経口血糖降下薬やインスリン注射をしていない限り、通常は糖質制限食で低血糖になることはありません。
しかし、肝臓の糖新生能力が低下している人は、糖質制限食実践で低血糖になり得ますので注意が必要です。
まれですが、そういう方がおられます。
炭水化物を毎日、頻回に摂取していると、糖新生能力が低下しやすいです。
それから空腹時の低血糖ですが、ヒトは本来、絶食中でも肝臓の糖新生により、血糖値を保ちます。農耕以前のご先祖様は、獲物や採集物がなければ、日常的に断食でしたよね。
ただ、肝臓の糖新生能力が低下している人は、空腹時に低血糖になる可能性があります。
このような方は、3食とも少量の糖質を摂取して、緩い糖質制限食として、じっくり肝臓の糖新生能力が回復するのを待つのが無難と思います。
江部康二
2010年07月26日 (月)
糖質制限食OKの甘味料。
こんにちは。
ラカントS(サラヤ)やパルスイート(味の素)は、大手メーカー品で、普通にスーパーなどで手に入れることができる糖質制限食OKの甘味料です。
kenm さんからコメントいただきましたが、ラカンカットもエリスリトールが主成分で糖質制限食OK食材です。
エリスリトールそのものの販売は、小売りはしていないと思います。
米国からの個人輸入はできるようですが・・・。
これらは、ラカントSやパルスイートに比し、手に入りにくいかもしれませんが、糖質制限食OK食材です。
メーカー品より安いです。
またステビアも同様に糖質制限食OK食材です。
江部康二
こんにちは。
ラカントS(サラヤ)やパルスイート(味の素)は、大手メーカー品で、普通にスーパーなどで手に入れることができる糖質制限食OKの甘味料です。
kenm さんからコメントいただきましたが、ラカンカットもエリスリトールが主成分で糖質制限食OK食材です。
エリスリトールそのものの販売は、小売りはしていないと思います。
米国からの個人輸入はできるようですが・・・。
これらは、ラカントSやパルスイートに比し、手に入りにくいかもしれませんが、糖質制限食OK食材です。
メーカー品より安いです。
またステビアも同様に糖質制限食OK食材です。
江部康二
2010年07月25日 (日)
①糖質だけが血糖値を上昇させる。
②タンパク質・脂質は血糖値を上昇させない。
米国糖尿病協会2004年版、患者教育用テキストブックに
①②が明記されています。
その糖質に分類される甘味料の中で、例外として血糖値を上昇させないものがあります。
それは、エリスリトールと合成甘味料です。
糖アルコールは糖質ですが、その中で、エリスリトールだけはゼロカロリーで血糖値も上昇させません。
エリスリトールは、ラカントSやパルスイートの主成分です。すなわち、ラカントSやパルスイートは糖質制限OK食材です。 (^_^)
合成甘味料も糖質ですが、FDA(米国食料医薬品庁)と厚生労働省の認めているアスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、ネオテームの5種類は、ゼロカロリーで血糖値も上昇させません。
エリスリトールの安全性は、EUでもFDAでも認められていて、総量規制も特にありません。
まあ大量摂取すれば、まれに下痢することはありえるとは思います。
人工甘味料のほうも、FDAにおいて安全性は認められていますが総量規制があります。
日本の、カロリーゼロのダイエットコーラ350mlを1日2本くらいまでは、許容範囲と思います。
糖質と血糖値の上昇に関して、言葉不十分なので正確を期すようにとブログ読者さんからもご指摘を受けました。
ありがとうございました。
結論です。
糖質のほとんどが血糖値を上昇させます。
しかし糖質の中でエリスリトールと合成甘味料は血糖値を上昇させません。
なお、羅漢果の甘味成分は、小腸で吸収されることなく大腸まで達するため、食物繊維の一つに分類されます。
ステビアの甘味成分も同様で人体に吸収されないので、食物繊維に分類されるのかなと思います。
☆☆☆
健康増進法における栄養表示基準では栄養成分表示を行う場合、基本表示は
<エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム>
の5成分表示とされています。
「炭水化物、糖質、糖類」を整理すると下記の如くにまとめることができます。
栄養表示基準上はたんぱく質や脂質、灰分(ミネラル分)のいずれにも分類されないものは炭水化物に計算。
①炭水化物=糖質+食物繊維
②糖質=糖類+糖アルコール+三糖類以上+合成甘味料
③糖類=単糖類+二糖類
*三糖類以上=でんぷん、オリゴ糖、デキストリン
*二糖類=ショ糖、麦芽糖、乳糖
*単糖類=ブドウ糖、果糖、ガラクトース
*糖アルコール=エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトールなど
*合成甘味料=アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、ネオテーム
江部康二
②タンパク質・脂質は血糖値を上昇させない。
米国糖尿病協会2004年版、患者教育用テキストブックに
①②が明記されています。
その糖質に分類される甘味料の中で、例外として血糖値を上昇させないものがあります。
それは、エリスリトールと合成甘味料です。
糖アルコールは糖質ですが、その中で、エリスリトールだけはゼロカロリーで血糖値も上昇させません。
エリスリトールは、ラカントSやパルスイートの主成分です。すなわち、ラカントSやパルスイートは糖質制限OK食材です。 (^_^)
合成甘味料も糖質ですが、FDA(米国食料医薬品庁)と厚生労働省の認めているアスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、ネオテームの5種類は、ゼロカロリーで血糖値も上昇させません。
エリスリトールの安全性は、EUでもFDAでも認められていて、総量規制も特にありません。
まあ大量摂取すれば、まれに下痢することはありえるとは思います。
人工甘味料のほうも、FDAにおいて安全性は認められていますが総量規制があります。
日本の、カロリーゼロのダイエットコーラ350mlを1日2本くらいまでは、許容範囲と思います。
糖質と血糖値の上昇に関して、言葉不十分なので正確を期すようにとブログ読者さんからもご指摘を受けました。
ありがとうございました。
結論です。
糖質のほとんどが血糖値を上昇させます。
しかし糖質の中でエリスリトールと合成甘味料は血糖値を上昇させません。
なお、羅漢果の甘味成分は、小腸で吸収されることなく大腸まで達するため、食物繊維の一つに分類されます。
ステビアの甘味成分も同様で人体に吸収されないので、食物繊維に分類されるのかなと思います。
☆☆☆
健康増進法における栄養表示基準では栄養成分表示を行う場合、基本表示は
<エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム>
の5成分表示とされています。
「炭水化物、糖質、糖類」を整理すると下記の如くにまとめることができます。
栄養表示基準上はたんぱく質や脂質、灰分(ミネラル分)のいずれにも分類されないものは炭水化物に計算。
①炭水化物=糖質+食物繊維
②糖質=糖類+糖アルコール+三糖類以上+合成甘味料
③糖類=単糖類+二糖類
*三糖類以上=でんぷん、オリゴ糖、デキストリン
*二糖類=ショ糖、麦芽糖、乳糖
*単糖類=ブドウ糖、果糖、ガラクトース
*糖アルコール=エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトールなど
*合成甘味料=アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、ネオテーム
江部康二
2010年07月24日 (土)
こんにちは。
京都、暑いです。
信号待ちの日差しで、全身こんがり焼け焦げそうになりました。
車の窓硝子越しの日差しでも、腕がひりひりしました。
来週末からでかける富士見高原の涼しさが羨ましいです。
待ち遠しいです。
さて今回は、ともたくさんから、アルコールと血糖値について、コメント・質問をいただきました。
復習を兼ねて、考えて見ましょう。
「10/07/22 ともたく
アルコールの効果
発覚から間もなく1年になる糖尿人です。今の所、このブログを参考に一喜一憂しながら、日々格闘しています。アルコールが血糖値に与える影響について質問です。お時間ある時にお教え頂ければ嬉しいです。
以前は350の缶ビール一本でべろべろでしたが、糖質制限してからは二本は楽に飲めるようになりました。お酒を飲んだ後、ラーメンを食べたくなるのは血糖値が低下するため糖質を摂取したくなるから!と聞いたことがあります。
この1年ラーメンは食べていませんが、アルコールが血糖値を抑制する効果はあるのでしょうか? 飲酒した場合としなかった場合、同じ食事をした際、血糖値の変動に違いはありますか?お酒は当然、糖質0です。」
ともたくさん。
コメントありがとうございます。
アルコールには、血糖低下作用があります。
ただ個人差が大きいので、
(A)gのアルコールが血糖値を(B)mg、低下させるというように一律にはいきません。
アルコールそのものは、1gが約7キロカロリーの燃焼エネルギーをもっていますが、摂取時の利用効率は約70%です。
エネルギー源としては、
<アルコール→糖質→脂質→タンパク質>
の順で利用されます。
またアルコールは、糖質や脂質と違って摂取しても体重増加作用がありませんし、血糖値も上昇させませんし、ビタミンやミネラルにも乏しいので、「empty calory 」と言われています。
焼酎・ウィスキーなどの蒸留酒には、糖質は含まれていないので、血糖は全く上昇しません。
一方、アルコールを摂取すると、人体に対する毒物とみなされて優先的に肝臓で分解されますので、その間、同じ補酵素を使う糖新生がブロックされてしまいます。
従って、アルコールを摂取すると結果として、肝臓の糖新生を抑制することとなります。このことがアルコールの血糖降下作用の本質です。
血中アルコール濃度が上昇している間は、糖新生はブロックされるので、個人差が大きいと思いますが、酒を飲んでいる最中は、血糖値が下がる人もいると思います。
また、一定量以上のアルコールを摂取すれば、血中にアルコールが残存し、肝臓の夜間糖新生はブロックされ、翌朝の早朝空腹時血糖値は、下がる可能性が高いです。
なお空腹時にアルコールを飲んだりすれば、糖新生が抑制される分、インスリン注射やスルフォニル尿素剤を内服している人は、低血糖を起しやすくなるので、充分な注意が必要です。
江部康二
京都、暑いです。
信号待ちの日差しで、全身こんがり焼け焦げそうになりました。
車の窓硝子越しの日差しでも、腕がひりひりしました。
来週末からでかける富士見高原の涼しさが羨ましいです。
待ち遠しいです。
さて今回は、ともたくさんから、アルコールと血糖値について、コメント・質問をいただきました。
復習を兼ねて、考えて見ましょう。
「10/07/22 ともたく
アルコールの効果
発覚から間もなく1年になる糖尿人です。今の所、このブログを参考に一喜一憂しながら、日々格闘しています。アルコールが血糖値に与える影響について質問です。お時間ある時にお教え頂ければ嬉しいです。
以前は350の缶ビール一本でべろべろでしたが、糖質制限してからは二本は楽に飲めるようになりました。お酒を飲んだ後、ラーメンを食べたくなるのは血糖値が低下するため糖質を摂取したくなるから!と聞いたことがあります。
この1年ラーメンは食べていませんが、アルコールが血糖値を抑制する効果はあるのでしょうか? 飲酒した場合としなかった場合、同じ食事をした際、血糖値の変動に違いはありますか?お酒は当然、糖質0です。」
ともたくさん。
コメントありがとうございます。
アルコールには、血糖低下作用があります。
ただ個人差が大きいので、
(A)gのアルコールが血糖値を(B)mg、低下させるというように一律にはいきません。
アルコールそのものは、1gが約7キロカロリーの燃焼エネルギーをもっていますが、摂取時の利用効率は約70%です。
エネルギー源としては、
<アルコール→糖質→脂質→タンパク質>
の順で利用されます。
またアルコールは、糖質や脂質と違って摂取しても体重増加作用がありませんし、血糖値も上昇させませんし、ビタミンやミネラルにも乏しいので、「empty calory 」と言われています。
焼酎・ウィスキーなどの蒸留酒には、糖質は含まれていないので、血糖は全く上昇しません。
一方、アルコールを摂取すると、人体に対する毒物とみなされて優先的に肝臓で分解されますので、その間、同じ補酵素を使う糖新生がブロックされてしまいます。
従って、アルコールを摂取すると結果として、肝臓の糖新生を抑制することとなります。このことがアルコールの血糖降下作用の本質です。
血中アルコール濃度が上昇している間は、糖新生はブロックされるので、個人差が大きいと思いますが、酒を飲んでいる最中は、血糖値が下がる人もいると思います。
また、一定量以上のアルコールを摂取すれば、血中にアルコールが残存し、肝臓の夜間糖新生はブロックされ、翌朝の早朝空腹時血糖値は、下がる可能性が高いです。
なお空腹時にアルコールを飲んだりすれば、糖新生が抑制される分、インスリン注射やスルフォニル尿素剤を内服している人は、低血糖を起しやすくなるので、充分な注意が必要です。
江部康二
2010年07月23日 (金)
おはようございます。
猛暑が続きます。蝉の声もうるさいぐらいとなってきました。
皆さん、脱水や熱中症に気をつけてくださいね。
さて今回は、
リボーン・シンポジウム特別企画・2010年10月31日(日)
「とことん語る糖質制限食~『満腹ダイエット』で今日から健常人」
のご案内です。
以下は事務局、曽我部ゆかりさんからのメッセージです。
江部康二
☆ ☆ ☆
ドクター江部のブログ読者の皆様へ
梅雨が明け夏本番を迎えました。皆様、いかがお過ごしでしょうか。
リボーン・シンポジウム特別企画のお知らせです。
今回は、ゲストに『dancyu(ダンチュウ)』編集長の町田成一氏を迎え、楽しくワイワイ居酒屋での会話風に、糖質制限食を語りあう企画となります。
もちろん楽しいだけではありません。今日からできる満腹ダイエットの醍醐味を知り、症状改善に役立ててくださいね。
今回は、特別企画のため、参加費の事前振込をしていただくことにしました。詳細をご覧ください。ご協力よろしくお願いいたします。
リボーン曽我部ゆかり
リボーン・シンポジウム特別企画
とことん語る糖質制限食~『満腹ダイエット』で今日から健常人
■開催日時 2010年10月31日(日)
ゲスト講師 町田成一(『dancyu(ダンチュウ)』編集長)
パネリスト 江部康二(内科医 高雄病院理事長 リボーン理事長)
大柳珠美(管理栄養士 リボーン理事)
昨年末に発売され話題となった『dancyu』特別編集『満腹ダイエット』。監修は、リボーン理事長の江部康二と同じく理事の大柳珠美の二人。誌面で公開された編集長の町田成一氏との居酒屋対談が話題となりました。それを受けて、リボーンでは、町田編集長をゲストにお招きし、居酒屋鼎談風のシンポジウムを企画しました。医学界だけでなく、グルメ界においても旬な風となった「糖質制限食」。糖尿病の方も、ダイエットや美容目的の方も、楽しくおいしいダイエットを目指しましょう。皆様のご参加をお待ちしております。(7月2日に第2弾『dancyu』特別編集『酒呑みダイエット』が発売されました。『dancyu』は、おいしい食べ歩き、料理づくり、素材探しなど、食を楽しみたい人のための月刊誌です。)
■会場 なかのサンプラザ研修室10(7階)■アクセス JP中野駅北口下車1分。
サンプラザ正面エントランスから入り左手のエレベータで7階へ
■プログラム 13時開場
13時30分~14時00分 基調講演 江部康二
14時00分~14時15分 休憩
14時15分~16時00分 鼎談 ゲスト 町田成一
パネリスト 大柳珠美 司会 江部康二
16時00分~16時10分 休憩
16時10分~16時30分 質疑応答&試食会
■参加費 リボーン会員 2800円 リボーン会員ペア 4400円
一 般 3500円 一般ペア 5600円
■定員 105名(リボーン会員優先となります)
■申込 事前に郵便振替でご送金ください。当日受付は致しません。申込〆切 10月21日
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
郵便振替 口座番号 00110-9-393366
口座名称 リボーン
■主催 NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
■問い合わせ リボーン事務局 電話03-3388-5428 e-mail reborn@big.or.jp
講師プロフィール
町田成一(まちだせいいち)
『dancyu(ダンチュウ)』編集長。もちろんおいしいもの好きの酒飲み。健康診断でメタボ傾向であることを自覚。一念発起、糖質制限を実施したところ、みるみるズボンがぶかぶかに。あごから首のラインもすっきり。男前をあげている。
江部康二(えべこうじ)
内科医、高雄病院理事長、リボーン理事長。おいしいもの好きの呑んべえの糖尿病患者でもある。糖質制限食を自ら実施し、見事に糖尿病をクリア。地球誕生にまで遡る「人の食」の理論はスケールが大きく、魅力に溢れている。
大柳珠美(おおやなぎたまみ)
管理栄養士。リボーン理事。おいしいもの好きでお酒好きな人間。家族に糖尿病患者を持つため、自作の料理で血糖値のコントロールとレシピ開発に余念がない。自らも糖質制限食を実践しその効果を実感。糖質制限食の指導を極めた唯一の管理栄養士として活躍中。
猛暑が続きます。蝉の声もうるさいぐらいとなってきました。
皆さん、脱水や熱中症に気をつけてくださいね。
さて今回は、
リボーン・シンポジウム特別企画・2010年10月31日(日)
「とことん語る糖質制限食~『満腹ダイエット』で今日から健常人」
のご案内です。
以下は事務局、曽我部ゆかりさんからのメッセージです。
江部康二
☆ ☆ ☆
ドクター江部のブログ読者の皆様へ
梅雨が明け夏本番を迎えました。皆様、いかがお過ごしでしょうか。
リボーン・シンポジウム特別企画のお知らせです。
今回は、ゲストに『dancyu(ダンチュウ)』編集長の町田成一氏を迎え、楽しくワイワイ居酒屋での会話風に、糖質制限食を語りあう企画となります。
もちろん楽しいだけではありません。今日からできる満腹ダイエットの醍醐味を知り、症状改善に役立ててくださいね。
今回は、特別企画のため、参加費の事前振込をしていただくことにしました。詳細をご覧ください。ご協力よろしくお願いいたします。
リボーン曽我部ゆかり
リボーン・シンポジウム特別企画
とことん語る糖質制限食~『満腹ダイエット』で今日から健常人
■開催日時 2010年10月31日(日)
ゲスト講師 町田成一(『dancyu(ダンチュウ)』編集長)
パネリスト 江部康二(内科医 高雄病院理事長 リボーン理事長)
大柳珠美(管理栄養士 リボーン理事)
昨年末に発売され話題となった『dancyu』特別編集『満腹ダイエット』。監修は、リボーン理事長の江部康二と同じく理事の大柳珠美の二人。誌面で公開された編集長の町田成一氏との居酒屋対談が話題となりました。それを受けて、リボーンでは、町田編集長をゲストにお招きし、居酒屋鼎談風のシンポジウムを企画しました。医学界だけでなく、グルメ界においても旬な風となった「糖質制限食」。糖尿病の方も、ダイエットや美容目的の方も、楽しくおいしいダイエットを目指しましょう。皆様のご参加をお待ちしております。(7月2日に第2弾『dancyu』特別編集『酒呑みダイエット』が発売されました。『dancyu』は、おいしい食べ歩き、料理づくり、素材探しなど、食を楽しみたい人のための月刊誌です。)
■会場 なかのサンプラザ研修室10(7階)■アクセス JP中野駅北口下車1分。
サンプラザ正面エントランスから入り左手のエレベータで7階へ
■プログラム 13時開場
13時30分~14時00分 基調講演 江部康二
14時00分~14時15分 休憩
14時15分~16時00分 鼎談 ゲスト 町田成一
パネリスト 大柳珠美 司会 江部康二
16時00分~16時10分 休憩
16時10分~16時30分 質疑応答&試食会
■参加費 リボーン会員 2800円 リボーン会員ペア 4400円
一 般 3500円 一般ペア 5600円
■定員 105名(リボーン会員優先となります)
■申込 事前に郵便振替でご送金ください。当日受付は致しません。申込〆切 10月21日
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
郵便振替 口座番号 00110-9-393366
口座名称 リボーン
■主催 NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
■問い合わせ リボーン事務局 電話03-3388-5428 e-mail reborn@big.or.jp
講師プロフィール
町田成一(まちだせいいち)
『dancyu(ダンチュウ)』編集長。もちろんおいしいもの好きの酒飲み。健康診断でメタボ傾向であることを自覚。一念発起、糖質制限を実施したところ、みるみるズボンがぶかぶかに。あごから首のラインもすっきり。男前をあげている。
江部康二(えべこうじ)
内科医、高雄病院理事長、リボーン理事長。おいしいもの好きの呑んべえの糖尿病患者でもある。糖質制限食を自ら実施し、見事に糖尿病をクリア。地球誕生にまで遡る「人の食」の理論はスケールが大きく、魅力に溢れている。
大柳珠美(おおやなぎたまみ)
管理栄養士。リボーン理事。おいしいもの好きでお酒好きな人間。家族に糖尿病患者を持つため、自作の料理で血糖値のコントロールとレシピ開発に余念がない。自らも糖質制限食を実践しその効果を実感。糖質制限食の指導を極めた唯一の管理栄養士として活躍中。
2010年07月22日 (木)
こんばんは。
ガム好きの糖尿人に朗報です。
『クラシエフーズ、毎日続けるオーラルケアガム「ゼロスタイルミントガム」を発売
2008年02月09日
クラシエフーズは、消費者の健康指向が強まるなかで、とくにカロリー摂取に対する意識の高まりに着目し、ゼロカロリーでオーラルケアにも使われている糖質「エリスリトール」を使用した、“カロリーゼロ”のエチケットガム「ゼロスタイルミントガム」を2月18日から全国のスーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストア、駅売店で発売する。』
私はまだ、食べていませんが、糖質制限OKガムの登場に快哉です。血糖値上昇ゼロです。
2008年発売ですが、まだ販売中なのでしょうね。
江部康二
ガム好きの糖尿人に朗報です。
『クラシエフーズ、毎日続けるオーラルケアガム「ゼロスタイルミントガム」を発売
2008年02月09日
クラシエフーズは、消費者の健康指向が強まるなかで、とくにカロリー摂取に対する意識の高まりに着目し、ゼロカロリーでオーラルケアにも使われている糖質「エリスリトール」を使用した、“カロリーゼロ”のエチケットガム「ゼロスタイルミントガム」を2月18日から全国のスーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストア、駅売店で発売する。』
私はまだ、食べていませんが、糖質制限OKガムの登場に快哉です。血糖値上昇ゼロです。
2008年発売ですが、まだ販売中なのでしょうね。
江部康二
2010年07月22日 (木)
こんばんは。
今回は遊山人 さんから、「糖質制限食で逆流性食道炎の改善、耐糖能の改善」という嬉しいコメントをいただきました。
「10/07/06 遊山人
元気でました
さっそくの、ご回答大変ありがとうございました。
先日やむを得ず、タマネギと人参たっぷりの野菜炒め、衣の厚いチキンのから揚げ、あんかけの料理などを食べてしまい、もう、身体が汚れてしまったような気分で、血糖測定やってみたのですが、食後2時間の結果は112と、これも信じられない数値でした。
ほんとに、先生のこのブログに出会えてなかったら、今頃、どれほど悩んでいたか、と思うと、感謝してもしきれない思いでいっぱいです。
ありがとうございました。」
「10/07/20 遊山人
あれほど、長年悩まされてきた胸焼け。胃薬は絶対手放せないもので、種類も数種類を常備していました。
糖質制限を始めた、2ヵ月半前から、その胸焼けが嘘のようになくなってしまいました。日本で購入し持参した薬も、まだ開封さえしておりません。
それと、以前、薄毛の治療にアメリカ製の発毛剤を使用してきましたが、さほどの効果もなく、止めてしまっておりましたが、糖質制限を始めた途端に、油肌がなくなり、頭髪も太く硬くなってまいりました。
当然、血糖値も劇的改善です。あれほど食べて、体重は10kgの減、体の動きも軽やかで、精神的にも軽くなりました。
まあ、自分でも信じられない変化だけに、ただただ、唖然とするばかりです。しかし、自分なりにここまでやってこれたのも、理論的に説明されておられる先生のブログのおかげです。
欲を言えば、たまには、ある程度糖質のある食物も食べられるようになればとも思い、DPP-4阻害薬には希望をもっておるとこでございます。」
遊山人さん。
コメントありがとうございます。
「タマネギと人参たっぷりの野菜炒め、衣の厚いチキンのから揚げ、あんかけの料理などを食べてしまい、血糖測定やってみたのですが、食後2時間の結果は112 」
これは、糖質制限食で膵臓が休養できて、インスリン分泌能力がかなり回復したものと考えられます。
糖質制限食実践で耐糖能改善です。良かったですね。髪の毛の復活もおめでとうございます。
「長年悩まされてきた胸焼け。胃薬は絶対手放せないもので、種類も数種類を常備していました。糖質制限を始めた、2ヵ月半前から、その胸焼けが嘘のようになくなってしまいました。」
こちらも良かったですね。
2010年03月05日 (金)のブログで逆流性食道炎の記事を書きました。ブログ読者の皆さんにアンケートして、10名中9名の方に、糖質制限食で逆流性食道炎の改善が見られました。
遊山人さんの症状も、おそらく逆流性食道炎によるものだったのでしょう。その後も、何人かの患者さんに試していただいたのですが、ほとんどの人で胸やけが消失しています。
一番印象的だったのは、中学校の頃から、毎日昼食後1時間と夕食後1時間に、必ず胸やけがあった30代の患者さんです。糖尿人ではありません。
カレーライスの日は特に最悪で、夕食後1時間に加えて、夜中の1時にも胸やけがあって苦しんだそうです。
ブログでの成功経験があったので、
「騙されたと思って兎に角スーパー糖質制限食を試してごらん?」
と奨めてみました。
2週間後の外来診察で、糖質制限食開始当日から、20年来の胸やけが一切消失したという驚きの報告をしていただきました。
カレーライスというのは、<ご飯+カレールーの小麦粉>で二重の糖質なので、寿司と共に最も血糖値を上げやすい食材です。
正常人でも、グルコースミニスパイクを生じた時に代謝の乱れがあり、何らかの機転で逆流性食道炎の症状を引き起こすのでしょう。
これまでブログ読者さんふくめて、15名の逆流性食道炎の患者さんに、スーパー糖質制限食を試していただきましたが、14名の人に著明な改善がみられました。
ここまでくると、逆流性食道炎は、精製炭水化物の過剰摂取が根本要因である可能性が高くなったような気がします。
江部康二
今回は遊山人 さんから、「糖質制限食で逆流性食道炎の改善、耐糖能の改善」という嬉しいコメントをいただきました。
「10/07/06 遊山人
元気でました
さっそくの、ご回答大変ありがとうございました。
先日やむを得ず、タマネギと人参たっぷりの野菜炒め、衣の厚いチキンのから揚げ、あんかけの料理などを食べてしまい、もう、身体が汚れてしまったような気分で、血糖測定やってみたのですが、食後2時間の結果は112と、これも信じられない数値でした。
ほんとに、先生のこのブログに出会えてなかったら、今頃、どれほど悩んでいたか、と思うと、感謝してもしきれない思いでいっぱいです。
ありがとうございました。」
「10/07/20 遊山人
あれほど、長年悩まされてきた胸焼け。胃薬は絶対手放せないもので、種類も数種類を常備していました。
糖質制限を始めた、2ヵ月半前から、その胸焼けが嘘のようになくなってしまいました。日本で購入し持参した薬も、まだ開封さえしておりません。
それと、以前、薄毛の治療にアメリカ製の発毛剤を使用してきましたが、さほどの効果もなく、止めてしまっておりましたが、糖質制限を始めた途端に、油肌がなくなり、頭髪も太く硬くなってまいりました。
当然、血糖値も劇的改善です。あれほど食べて、体重は10kgの減、体の動きも軽やかで、精神的にも軽くなりました。
まあ、自分でも信じられない変化だけに、ただただ、唖然とするばかりです。しかし、自分なりにここまでやってこれたのも、理論的に説明されておられる先生のブログのおかげです。
欲を言えば、たまには、ある程度糖質のある食物も食べられるようになればとも思い、DPP-4阻害薬には希望をもっておるとこでございます。」
遊山人さん。
コメントありがとうございます。
「タマネギと人参たっぷりの野菜炒め、衣の厚いチキンのから揚げ、あんかけの料理などを食べてしまい、血糖測定やってみたのですが、食後2時間の結果は112 」
これは、糖質制限食で膵臓が休養できて、インスリン分泌能力がかなり回復したものと考えられます。
糖質制限食実践で耐糖能改善です。良かったですね。髪の毛の復活もおめでとうございます。
「長年悩まされてきた胸焼け。胃薬は絶対手放せないもので、種類も数種類を常備していました。糖質制限を始めた、2ヵ月半前から、その胸焼けが嘘のようになくなってしまいました。」
こちらも良かったですね。
2010年03月05日 (金)のブログで逆流性食道炎の記事を書きました。ブログ読者の皆さんにアンケートして、10名中9名の方に、糖質制限食で逆流性食道炎の改善が見られました。
遊山人さんの症状も、おそらく逆流性食道炎によるものだったのでしょう。その後も、何人かの患者さんに試していただいたのですが、ほとんどの人で胸やけが消失しています。
一番印象的だったのは、中学校の頃から、毎日昼食後1時間と夕食後1時間に、必ず胸やけがあった30代の患者さんです。糖尿人ではありません。
カレーライスの日は特に最悪で、夕食後1時間に加えて、夜中の1時にも胸やけがあって苦しんだそうです。
ブログでの成功経験があったので、
「騙されたと思って兎に角スーパー糖質制限食を試してごらん?」
と奨めてみました。
2週間後の外来診察で、糖質制限食開始当日から、20年来の胸やけが一切消失したという驚きの報告をしていただきました。
カレーライスというのは、<ご飯+カレールーの小麦粉>で二重の糖質なので、寿司と共に最も血糖値を上げやすい食材です。
正常人でも、グルコースミニスパイクを生じた時に代謝の乱れがあり、何らかの機転で逆流性食道炎の症状を引き起こすのでしょう。
これまでブログ読者さんふくめて、15名の逆流性食道炎の患者さんに、スーパー糖質制限食を試していただきましたが、14名の人に著明な改善がみられました。
ここまでくると、逆流性食道炎は、精製炭水化物の過剰摂取が根本要因である可能性が高くなったような気がします。
江部康二
2010年07月21日 (水)
おはようございます。
今朝は、蝉の声がたっぷり聞こえます。
夏らしくなってきました。
さて、7月10日に料理研究家さんから、「お粥は血糖値をあげやすい?」という質問をいただきました。
その後、momo さんとseki さんから、雑炊での血糖値上昇体験をコメントいただきました。
もういちど検討してみます。
「10/07/10 料理研究家
お粥は血糖値をあげやすい?
・・・香港人の友人と食事をしていたときに、ちらりと糖質を控えていることを話して、中でも一番糖質量が少なそうな中華粥を食べたところ、現地のTVでは白いご飯よりもおかゆやチャーハンのような再度火を通したもののほうが化学的変化で血糖値が上がる・・・というようなことを紹介していたそうです。
私は他に加える調味料や食材をのぞき、糖質の量そのものが少ないほうが少しでも糖質量が少ないかと思い、おかゆを少量食べたのですが。
調理法、加熱方法によって糖質量が増えるということはあるのでしょうか?消化がいいので吸収がいいのかな?とも思いましたが。 ・・・」
「10/07/14 momo
私の場合ですが
私はほぼ通常人と一緒で糖質1に対して血糖値1上がります。
ただし、上限を知らず最高250近くまで上がりました。
糖質を摂った分だけ確実に上がるということです。
そんな中、ぞうすいは量が増えていいなと思い炊いたご飯75gでみそ雑炊を作りました。
みそと具は合わせても糖質5g程度です。
その他目玉焼き、エリンギバター焼きも食べました。
食前は測っていませんが通常100前後です。
30分値 193
1時間値 167
2時間値 114
通常なら最高140くらいでおさまるはずでしたのでショックでした。
その後数回試しましたが、やはり高い値が出て私には消化のよいもの(雑炊等)は危険物だと悟って食べなくなりました。
あと、雑炊以外の場合はだいたい1時間値が一番高くなりますが、雑炊の場合は30分値がいきなりどーんと高くなりました。
参考になれば幸いです。」
「10/07/14 seki
雑炊について
ちょっと反応が遅いのですが、私も雑炊で異常に血糖値が上がった経験があります。momoさんほど綿密はデータではないのですが。
それはファミレスで雑炊を取った時です。カロリー280位で、大きめに切ったブロッコリーや青梗菜、エリンギなどがごろごろ入っているので繊維質もあるし、何より米の量が少ないので大丈夫と思いました。そしてその日は、も糖質制限食を取れない非常時のために持っているアマリール1ミリグラムまで食後に服用したのです。
それが帰宅後に計った血糖値が久しぶりに見る200越え!こんなことならもっと体に悪いものを食べちゃえば良かった。雑炊で血糖値あげるなんてトホホな気持ちでした。
雑炊にすると消化が良くなりすぎ、薬が効く前に糖質がすばやく吸収されたせいで血糖値が上がったのかなあと思っていました。でも糖質少な目の野菜も一緒に食べていたんですが…。謎です。」
momoさん。 seki さん。
貴重な体験データをご教示いただき、ありがとうございます。
料理研究家さん。
2010年07月12日 (月) のブログ記事で
『・・・米のデンプンは、加熱によって糊化(アルファ化)し、消化・吸収しやすい形になります。従って、生の状態の米を食べても消化効率は悪いです。
例えば、故甲田先生の生菜食療法(生の玄米と生野菜だけ摂取)だと、正常人においては血糖値の上昇は、炊いた米に比べてかなり低いです。
しかし、生の玄米の粉でも所詮はデンプン(糖質)なので、糖尿人が常用量摂取すれば、血糖値はやはり200mgになります。
まあ炊いた白米と、おかゆでは、いずれもすでにアルファ化しているので、そんなに差はないと思います。・・・』
と書きましたが、
momoさんのデータをみると、正常型に近い人では、雑炊のほうが炊いたご飯より、血糖値を急峻に上昇させるようですね。
すなわち、香港の友人の仰有るように、GI値は、雑炊>炊いたご飯、となるようです。
炊いたご飯75gの糖質は約28g、みそと具は合わせても糖質5g程度、エリンギが1本0.6gの糖質なら、
1回に摂取した糖質量は合計、30数グラムですね。
「私はほぼ通常人と一緒で糖質1gに対して血糖値1mg上がります。」
そうすると、普通に炊いたご飯なら、食後血糖値のピークはせいぜい140mgまでにおさまるはずですから、雑炊恐るべしですね。
seki さんの場合も、通常は200アップはまずないのに、僅か280カロリー位の雑炊で久しぶりに200越えですから、ますます雑炊恐るべしですね。
少なくともmomoさん、sekiさんの場合は、白米をお粥や雑炊にすると、所謂GI値はかなり高くなるようです。
他の人も同様の可能性はあります。
一方、糖尿人においては、低GIの食品でも、普通に一人前食べれば、食後血糖値は200mgアップなります。
例えば糖尿人の私の場合、炊いた白米1膳で食後血糖値260mg、炊いた玄米で240mgくらいの差です。
お粥は実験していないのですが、白米と同等以上には上がるでしょうね。
いずれにせよ、所詮は200mgアップなので、臨床的には意味のある差はないと言えます。結局糖尿人ではGIよりも、糖質量のほうが重要となります。
江部康二
今朝は、蝉の声がたっぷり聞こえます。
夏らしくなってきました。
さて、7月10日に料理研究家さんから、「お粥は血糖値をあげやすい?」という質問をいただきました。
その後、momo さんとseki さんから、雑炊での血糖値上昇体験をコメントいただきました。
もういちど検討してみます。
「10/07/10 料理研究家
お粥は血糖値をあげやすい?
・・・香港人の友人と食事をしていたときに、ちらりと糖質を控えていることを話して、中でも一番糖質量が少なそうな中華粥を食べたところ、現地のTVでは白いご飯よりもおかゆやチャーハンのような再度火を通したもののほうが化学的変化で血糖値が上がる・・・というようなことを紹介していたそうです。
私は他に加える調味料や食材をのぞき、糖質の量そのものが少ないほうが少しでも糖質量が少ないかと思い、おかゆを少量食べたのですが。
調理法、加熱方法によって糖質量が増えるということはあるのでしょうか?消化がいいので吸収がいいのかな?とも思いましたが。 ・・・」
「10/07/14 momo
私の場合ですが
私はほぼ通常人と一緒で糖質1に対して血糖値1上がります。
ただし、上限を知らず最高250近くまで上がりました。
糖質を摂った分だけ確実に上がるということです。
そんな中、ぞうすいは量が増えていいなと思い炊いたご飯75gでみそ雑炊を作りました。
みそと具は合わせても糖質5g程度です。
その他目玉焼き、エリンギバター焼きも食べました。
食前は測っていませんが通常100前後です。
30分値 193
1時間値 167
2時間値 114
通常なら最高140くらいでおさまるはずでしたのでショックでした。
その後数回試しましたが、やはり高い値が出て私には消化のよいもの(雑炊等)は危険物だと悟って食べなくなりました。
あと、雑炊以外の場合はだいたい1時間値が一番高くなりますが、雑炊の場合は30分値がいきなりどーんと高くなりました。
参考になれば幸いです。」
「10/07/14 seki
雑炊について
ちょっと反応が遅いのですが、私も雑炊で異常に血糖値が上がった経験があります。momoさんほど綿密はデータではないのですが。
それはファミレスで雑炊を取った時です。カロリー280位で、大きめに切ったブロッコリーや青梗菜、エリンギなどがごろごろ入っているので繊維質もあるし、何より米の量が少ないので大丈夫と思いました。そしてその日は、も糖質制限食を取れない非常時のために持っているアマリール1ミリグラムまで食後に服用したのです。
それが帰宅後に計った血糖値が久しぶりに見る200越え!こんなことならもっと体に悪いものを食べちゃえば良かった。雑炊で血糖値あげるなんてトホホな気持ちでした。
雑炊にすると消化が良くなりすぎ、薬が効く前に糖質がすばやく吸収されたせいで血糖値が上がったのかなあと思っていました。でも糖質少な目の野菜も一緒に食べていたんですが…。謎です。」
momoさん。 seki さん。
貴重な体験データをご教示いただき、ありがとうございます。
料理研究家さん。
2010年07月12日 (月) のブログ記事で
『・・・米のデンプンは、加熱によって糊化(アルファ化)し、消化・吸収しやすい形になります。従って、生の状態の米を食べても消化効率は悪いです。
例えば、故甲田先生の生菜食療法(生の玄米と生野菜だけ摂取)だと、正常人においては血糖値の上昇は、炊いた米に比べてかなり低いです。
しかし、生の玄米の粉でも所詮はデンプン(糖質)なので、糖尿人が常用量摂取すれば、血糖値はやはり200mgになります。
まあ炊いた白米と、おかゆでは、いずれもすでにアルファ化しているので、そんなに差はないと思います。・・・』
と書きましたが、
momoさんのデータをみると、正常型に近い人では、雑炊のほうが炊いたご飯より、血糖値を急峻に上昇させるようですね。
すなわち、香港の友人の仰有るように、GI値は、雑炊>炊いたご飯、となるようです。
炊いたご飯75gの糖質は約28g、みそと具は合わせても糖質5g程度、エリンギが1本0.6gの糖質なら、
1回に摂取した糖質量は合計、30数グラムですね。
「私はほぼ通常人と一緒で糖質1gに対して血糖値1mg上がります。」
そうすると、普通に炊いたご飯なら、食後血糖値のピークはせいぜい140mgまでにおさまるはずですから、雑炊恐るべしですね。
seki さんの場合も、通常は200アップはまずないのに、僅か280カロリー位の雑炊で久しぶりに200越えですから、ますます雑炊恐るべしですね。
少なくともmomoさん、sekiさんの場合は、白米をお粥や雑炊にすると、所謂GI値はかなり高くなるようです。
他の人も同様の可能性はあります。
一方、糖尿人においては、低GIの食品でも、普通に一人前食べれば、食後血糖値は200mgアップなります。
例えば糖尿人の私の場合、炊いた白米1膳で食後血糖値260mg、炊いた玄米で240mgくらいの差です。
お粥は実験していないのですが、白米と同等以上には上がるでしょうね。
いずれにせよ、所詮は200mgアップなので、臨床的には意味のある差はないと言えます。結局糖尿人ではGIよりも、糖質量のほうが重要となります。
江部康二
2010年07月20日 (火)
おはようございます。
豪雨の梅雨があけてほっと一息ですが、今度はやたら暑いです。
梅雨がきつかったせいか、今年はまだ蝉の鳴き声がほとんど聞こえません。定番の夏の風物詩がないと何だかさみしいですね。
さて今日は、けいさんから嬉しいコメントをいただきました。
「10/07/18 けい
1時間値
いつも有難うございます。
いろんな話が出ても私は糖質制限のおかげでここまで良くなったと思っておりますので支持していきます!!
ミニスパイクについて質問があるのですが、過去のブログでも、先生の本にも食後一時間値170位でミニスパイクとなっておりますが、先生のお考えになるミニスパイクに当てはまらない1時間値はどの位なのでしょうか?
私は150~160位までに収まるようにしているのですが、これでは代謝の乱れになってしまうのでしょうか?
お時間のございます時にアドバイス頂ければと思います。
最後に、前回(約2ヶ月前)尿蛋白がマイナスになったとご報告させて頂きましたが、その後3回ほど尿検査をしましたが、全てマイナスとなっています!
今度尿中アルブミン検査を再度行う予定です。
ありがとうございました。」
けい さん。
コメントありがとうございます。
「前回(約2ヶ月前)尿蛋白がマイナスになったとご報告させて頂きましたが、その後3回ほど尿検査をしましたが、全てマイナスとなっています!」
まずは糖尿病腎症第3期A(顕性腎症前期)から早期腎症期へ改善ですね。
良かったです。(^-^)v(^-^)v
尿中アルブミンも正常化すれば、腎症前期まで改善です。うまくいけばいいですね。
グルコースミニスパイクの考えは、
「正常人でも高GI食品を摂取すると食前血糖値が100mgくらいから食後160~170mgくらいまで上昇するけれど、低GI食品なら、食前100mgくらいから食後140mgくらいまでの上昇ですむ」
というものです。
つまり、グルコースミニスパイクは、糖尿人ではなく正常人におけるお話しです。どこで線をひくというより、食前と食後の血糖値の差が少ないほど、代謝の恒常性(ホメオスターシス)が保たれるということですね。
一方、糖尿人においては、低GI食品でも普通に糖質を一人前摂取すれば食後血糖値は200mg/dlを超えてきます。すなわち、正常人では意味のあったGIが、糖尿人ではほとんど無意味となります。
糖尿病合併症予防の観点から、
まずは、食後2時間血糖値値180mg未満、理想的には140mg/dl未満
をめざすことになります。
さらには、食後1時間血糖値180mg/dl未満
も目標です。
空腹時血糖値も
まずは、126mg/dl未満
理想的には、110mg/dl未満
をめざします。
江部康二
豪雨の梅雨があけてほっと一息ですが、今度はやたら暑いです。
梅雨がきつかったせいか、今年はまだ蝉の鳴き声がほとんど聞こえません。定番の夏の風物詩がないと何だかさみしいですね。
さて今日は、けいさんから嬉しいコメントをいただきました。
「10/07/18 けい
1時間値
いつも有難うございます。
いろんな話が出ても私は糖質制限のおかげでここまで良くなったと思っておりますので支持していきます!!
ミニスパイクについて質問があるのですが、過去のブログでも、先生の本にも食後一時間値170位でミニスパイクとなっておりますが、先生のお考えになるミニスパイクに当てはまらない1時間値はどの位なのでしょうか?
私は150~160位までに収まるようにしているのですが、これでは代謝の乱れになってしまうのでしょうか?
お時間のございます時にアドバイス頂ければと思います。
最後に、前回(約2ヶ月前)尿蛋白がマイナスになったとご報告させて頂きましたが、その後3回ほど尿検査をしましたが、全てマイナスとなっています!
今度尿中アルブミン検査を再度行う予定です。
ありがとうございました。」
けい さん。
コメントありがとうございます。
「前回(約2ヶ月前)尿蛋白がマイナスになったとご報告させて頂きましたが、その後3回ほど尿検査をしましたが、全てマイナスとなっています!」
まずは糖尿病腎症第3期A(顕性腎症前期)から早期腎症期へ改善ですね。
良かったです。(^-^)v(^-^)v
尿中アルブミンも正常化すれば、腎症前期まで改善です。うまくいけばいいですね。
グルコースミニスパイクの考えは、
「正常人でも高GI食品を摂取すると食前血糖値が100mgくらいから食後160~170mgくらいまで上昇するけれど、低GI食品なら、食前100mgくらいから食後140mgくらいまでの上昇ですむ」
というものです。
つまり、グルコースミニスパイクは、糖尿人ではなく正常人におけるお話しです。どこで線をひくというより、食前と食後の血糖値の差が少ないほど、代謝の恒常性(ホメオスターシス)が保たれるということですね。
一方、糖尿人においては、低GI食品でも普通に糖質を一人前摂取すれば食後血糖値は200mg/dlを超えてきます。すなわち、正常人では意味のあったGIが、糖尿人ではほとんど無意味となります。
糖尿病合併症予防の観点から、
まずは、食後2時間血糖値値180mg未満、理想的には140mg/dl未満
をめざすことになります。
さらには、食後1時間血糖値180mg/dl未満
も目標です。
空腹時血糖値も
まずは、126mg/dl未満
理想的には、110mg/dl未満
をめざします。
江部康二
2010年07月19日 (月)
おはようございます。
肝硬変と糖質制限食について、内科大学院生さんからコメント・質問をいただきました。
「10/07/18 内科大学院生
肝硬変と糖質制限食について
江部先生
こんにちは。高炭水化物食について、大変わかりやすい記事をご提供いただき、
ありがとうございました。
ご飯を推奨する先生が多くて本当に困っているので(糖尿病学会の重鎮達も含め)、
助かります。
さて、江部先生は糖質制限食を勧めない患者として、
腎不全と急性膵炎をあげていますよね。
肝硬変(非代償期)の患者さんについてはどのようにお考えでしょうか?
肝硬変の非代償期になると、消化器科の先生は 蛋白制限と脂質制限を指示し、夜間の低血糖予防に分岐鎖アミノ酸製剤(リーバクト)を処方されることが多いと思います。
正直、患者さんが肝硬変になり、この指示が出ると食後高血糖と食前低血糖が頻発で、血糖コントロールに非常に難儀します。
仕方ない部分があるのは承知しているですが、江部先生のご見解をお聞かせ下さい。
ブログの皆様は、腎臓の合併症(尿蛋白量やcre値)についてはとても興味があると思いますが、脂肪肝→肝炎→肝硬変となっても、糖尿病は大変だということをご理解いただきたいです。」
内科大学院生さん。
お久しぶりです。
肝硬変に関しては記事にしようとして忘れていたので、タイミングよくご質問いただき助かりました。
2010年7月4日(日)東京慈恵会医科大学・大学1号館3階講堂で開催された、第9回日本GI研究会において、肝硬変の食事療法をずっと研究しておられる、徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部・臨床栄養学分野の栄養士さんのお話しを聞く機会がありました。
その中で、肝硬変の非代償期になると、肝臓はグリコーゲンの蓄積がほとんどできなくなり、また糖新生も障害されるので、夜間や早朝の低血糖が生じやすいとのお話しがありました。
そうすると糖新生が障害されるレベルの非代償期の肝硬変で、糖質制限食を実践すると理論的に低血糖を生じるおそれがあります。
「分岐鎖アミノ酸製剤+一定量の糖質」を含む食材を、late evening snack(LES)・・・夜食として摂取することで、夜間・早朝の低血糖を防ぐことができたとその栄養士さんは、発表されました。
結論です。
肝硬変の非代償期で、糖新生能力が低下している場合は、糖質制限食実践で低血糖になる恐れがありますので、
適応とならないと思います。
腎不全、活動性膵炎、非代償期の肝硬変は、糖質制限食の適応とならないこととなります。
江部康二
肝硬変と糖質制限食について、内科大学院生さんからコメント・質問をいただきました。
「10/07/18 内科大学院生
肝硬変と糖質制限食について
江部先生
こんにちは。高炭水化物食について、大変わかりやすい記事をご提供いただき、
ありがとうございました。
ご飯を推奨する先生が多くて本当に困っているので(糖尿病学会の重鎮達も含め)、
助かります。
さて、江部先生は糖質制限食を勧めない患者として、
腎不全と急性膵炎をあげていますよね。
肝硬変(非代償期)の患者さんについてはどのようにお考えでしょうか?
肝硬変の非代償期になると、消化器科の先生は 蛋白制限と脂質制限を指示し、夜間の低血糖予防に分岐鎖アミノ酸製剤(リーバクト)を処方されることが多いと思います。
正直、患者さんが肝硬変になり、この指示が出ると食後高血糖と食前低血糖が頻発で、血糖コントロールに非常に難儀します。
仕方ない部分があるのは承知しているですが、江部先生のご見解をお聞かせ下さい。
ブログの皆様は、腎臓の合併症(尿蛋白量やcre値)についてはとても興味があると思いますが、脂肪肝→肝炎→肝硬変となっても、糖尿病は大変だということをご理解いただきたいです。」
内科大学院生さん。
お久しぶりです。
肝硬変に関しては記事にしようとして忘れていたので、タイミングよくご質問いただき助かりました。
2010年7月4日(日)東京慈恵会医科大学・大学1号館3階講堂で開催された、第9回日本GI研究会において、肝硬変の食事療法をずっと研究しておられる、徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部・臨床栄養学分野の栄養士さんのお話しを聞く機会がありました。
その中で、肝硬変の非代償期になると、肝臓はグリコーゲンの蓄積がほとんどできなくなり、また糖新生も障害されるので、夜間や早朝の低血糖が生じやすいとのお話しがありました。
そうすると糖新生が障害されるレベルの非代償期の肝硬変で、糖質制限食を実践すると理論的に低血糖を生じるおそれがあります。
「分岐鎖アミノ酸製剤+一定量の糖質」を含む食材を、late evening snack(LES)・・・夜食として摂取することで、夜間・早朝の低血糖を防ぐことができたとその栄養士さんは、発表されました。
結論です。
肝硬変の非代償期で、糖新生能力が低下している場合は、糖質制限食実践で低血糖になる恐れがありますので、
適応とならないと思います。
腎不全、活動性膵炎、非代償期の肝硬変は、糖質制限食の適応とならないこととなります。
江部康二
2010年07月18日 (日)
おはようございます。
Nombreさんから、佐藤彰夫先生が、本を出版されたという情報をいただきました。
佐藤彰夫先生は、高炭水化物食を推奨しておられるので、糖質制限食とは正反対のお立場です。
糖質制限食を実践しておられる方、本ブログ読者や拙著の購読者の皆さんも興味がある話題と思いますので、記事にしました。
本はまだ拝読しておりません。従って、本の内容とほとんど重なっていると思われる佐藤彰夫先生のホームページの記載内容への反論を今回の記事といたします。
「10/07/17 Nombre
「米と糖尿病」
糖質制限食OKレストラン、朗報ですね!
ところで、
http://www.komichi.co.jp/bd/4-7705-0205-2.html
既出かもしれませんが、江部先生とは理論が正反対の佐藤先生、とうとう著書が出ましたね。」
Nombreさん。
コメント・情報、ありがとうございます。
既に私の二つの過去ブログ記事で、佐藤先生の「高炭水化物食説」に反論しています。
2010年01月13日 (水) の記事、「脂質摂取と糖尿病・ヒムスワースの誤解」は、日本の糖尿病医療の草分けであり永らくこの分野をリードされてきた後藤由夫先生のお話しを「糖尿病メディカルネット」から引用させていただきました。
後藤由夫先生は、糖尿病専門医指導医で、日本糖尿病学会の重鎮中の重鎮です。
後藤先生は、しっかり根拠をあげて
「脂肪摂取が糖尿病の発症と関係するという説は否定された。」
と明快に述べておられます。
また佐藤章夫先生が、根拠としてよく引用されている「ロンドンのヒムスワースの報告」の間違いも、根拠をあげて明確に指摘しておられます。
2009年11月09日 (月)の記事
「山梨医科大学名誉教授、佐藤章夫先生のホームページを拝見して」
は、私自身の糖尿病発症体験と生理学・疫学的見地からの反論です。
私自身、1984年から
「玄米を主食として、おかずはお魚中心に野菜たっぷりで、肉や脂は控えめにして週2回はテニスをし、糖質が総摂取カロリーの60%」
の食生活を実践していました。所謂、従来のヘルシー食です。
高雄病院に初めて玄米魚菜食を導入したのが1984年のことで、病院給食として日本初だったと思います。
まさに佐藤彰夫先生の推奨される食生活を、当時の私も信じて実践していたのに、2002年、糖尿病が発覚しました。
あとからデータを見直せば1993年時点で、すでに食後高血糖があった可能性が高いのです。結局、私自身が、高糖質食実践で見事に糖尿病を発症したわけです。
今から思えば、玄米中心とはいえ、総摂取カロリーの60%を糖質から摂っていて、それに見合うだけの日常的な運動量が、決定的に不足していたのでしょう。
一方、私は今も玄米魚菜食を否定しているのではなく、推奨もしています。しかし、糖尿病に玄米魚菜食は、必ず食後高血糖を生じるので危険です。
血糖値を上昇させるのは糖質だけで、タンパク質・脂質は上昇させません。これはADA(米国糖尿病協会)*の患者用テキストブックに明記してある、厳然たる生理学的事実です。
また、糖質を摂取すれば、大量のインスリンが分泌され、タンパク質を摂取するとごく少量のインスリンが分泌されます。
脂質はカロリーはたっぷりですが、摂取してもインスリンは分泌されません。これも議論の余地など無い生理学的事実です。
現在、高雄病院では、テーラーメードダイエットの枠組みの中で、年齢・疾病・嗜好・運動量などにより、糖質制限食と玄米魚菜食(玄米など未精製穀物の摂取量は運動量に合わせて調整)を適宜使い分けています。
*
Life With Diabetes:A Siries of Teaching Outlines by the Michigan Diabetes Research and Training Center,American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004
江部康二
☆☆☆☆☆
『脂質摂取と糖尿病・ヒムスワースの誤解』2010年01月13日 (水)
おはようございます。
本ブログでもよく質問がありますが、
「高糖質食が糖尿病に良い。糖質制限食は糖尿尿に良くない。」
と主張されている山梨医科大学名誉教授の佐藤彰夫先生のホームページがあります。
その佐藤先生が、根拠としてよく引用されているロンドンのヒムスワースの報告について、
東北大学名誉教授後藤由夫先生が、興味深い見解を述べておられます。
後藤先生は日本の糖尿病医療をずっとリードされてきた医師で、
ヒムスワース(Himsworth)の誤解を明快に指摘しておられます。
すなわち、
「脂肪の摂取量の多い国ほど糖尿病死亡率が高く、また炭水化物ではこれと対照的に摂取量の多い国ほど糖尿病が少ないという傾向がみられる」
というヒムスワースの報告は、はっきり、間違いだったわけです。
さらに、後藤先生は「動物実験で大量の脂肪を与えて糖尿病が現れたという報告はない」と明言しておられます。
ヒトにおいても動物においても「脂肪摂取量が糖尿病発症に関係する」という説は否定されたわけです。
以下は「糖尿病メディカルネット」に記載されている後藤先生の文章からの引用です。
<後藤由夫 私の糖尿病50年 -糖尿病医療の歩み->
43. 糖尿病の増減
http://dm-medical.net/14/000242.php
2. 脂肪摂取と糖尿病
ロンドンのHimsworth(1935、1949年)は各国の糖尿病の死亡率と国民の栄養素摂取量との関係が図2のように、脂肪の摂取量の多い国ほど糖尿病死亡率が高く、また炭水化物ではこれと対照的に摂取量の多い国ほど糖尿病が少ないという傾向がみられると報告した。この成績をもとにHimsworthは脂肪摂取が糖尿病の増加と関係すると結論した。筆者はこれに興味を抱き、追試して同様な成績を得たが、次に粗死亡率ではなく訂正死亡率について関係を求めた。その結果は図3のように相関関係は認められなかった。このことから、Himsworthがみていたのは脂肪摂取量の多い国は豊かで糖尿病罹病年齢まで生存するのに対し、経済的に遅れている国では脂肪摂取量が少なく、安価な炭水化物をエネルギー源として、しかも糖尿病罹病年齢まで生存する者は少なく、若年期に死亡する者が多いことをみているにすぎない、と理解された。このことから脂肪摂取が糖尿病の発症と関係するという説は否定された。動物に大量の脂肪を与える実験も行われたが、これによって糖尿病が現れたという報告もなかった。
***
後藤由夫先生プロフィール 糖尿病メディカルネットより引用
日本人の生活環境が戦後から高度成長期を経て現在までに激変したのと同じように、糖尿病の医療にも大きな変化があった。このコーナーは、この間の糖尿病医療の進歩の跡を、永らくこの分野をリードされてきた後藤由夫先生に、その体験をもとに語っていただき、今後の糖尿病医療を担う方々の参考に資するために企画されたものである。
後藤 由夫
1925年10月3日生まれ
県立酒田中学、第二高等学校理乙を経て
東北大学医学部 1948年9月卒業
1年間のインターン後、東北大学内科学第3講座にて研究
ペンシルベニア大学内科客員科学者(1958年-60年)
弘前大学教授(1970年-76年)
東北大学教授(1976年-88年)
東北大学名誉教授(1988年-)
東北厚生年金病院院長(1988年-94年)
東北厚生年金病院名誉院長(1994年-)
日本糖尿病協会理事長(1992年-2000年)
日本臨床内科医会会長(1999年-)
糖尿病の成因、合併症、治療法を研究し、糖尿病モデル動物GKラットの開発に成功。
日本内科学会会頭をはじめ糖尿病学会、老年医学会、動脈硬化学会、臨床栄養学会、膵臓病研究会、体質学会、自律神経学会、過酸化脂質学会、肥満学会、東洋医学会、人間ドック学会、発汗研究会、末梢神経研究会などの会長・会頭をはじめ、糖尿病関係の5つの国際シンポジウムの会長を担当。現在約18,000人の内科医が加入する日本臨床内科医会会長。
☆☆☆☆☆
『山梨医科大学名誉教授、佐藤章夫先生のホームページを拝見して』2009年11月09日 (月)
こんばんは。
山梨医科大学名誉教授、佐藤章夫先生のホームページ拝見しました。
ご高説の中で、牛乳の項とかは基本的に賛成です。
私自身、1984年から高雄病院給食に玄米魚菜食を導入しています。
玄米の給食、病院としては日本で初だったかもしれません。
1999年に、兄の江部洋一郎院長が、高雄病院に糖質制限食を導入するまでは、佐藤先生の主張しておられるような食生活を、アトピーや喘息などアレルギー疾患、慢性関節リウマチなど膠原病、腎疾患、消化器疾患、高血圧・・・そして糖尿病、多くの患者さんに、玄米魚菜食を奨めていました。
当時は「粗食のすすめ」の幕内先生と一緒に「学校給食と子どもの健康を考える会」で米飯給食をすすめる運動をしており、米ばっかり食べてました。
まあ、私自身、
「玄米を主食として、おかずはお魚中心に野菜たっぷりで、肉や脂は控えめにして週2回はテニスをする→糖質が総摂取カロリーの60%」
普通のおじさんに比べれば、はるかにヘルシー?なライフスタイルを実践していたにもかかわらず、
40才過ぎから徐々にメタボになり、2002年には糖尿病が発覚しました。
つまり、私が推奨していた、そして佐藤先生の推奨されている「玄米魚菜食(糖質たっぷり食)で脂質は控える食生活」では、自分自身のメタボリック・シンドロームや糖尿病を防ぐことができなかったのは、皮肉なことでした。( ̄_ ̄|||)
玄米魚菜食時代には、メタボや糖尿病になった理由がわからなかったのですが、糖質制限食を研究してから、はっきり理解できました。
そして現在、糖質摂取と糖尿病に関しては江部康二と佐藤先生と基本的に正反対ですね。
<佐藤章夫先生のホームページから抜粋>
『健康なひとがグルコース負荷試験の前日に糖質の少ない食事を摂ると、耐糖能が著しく悪化する。この現象は著者らの研究で観察されたものである。特記すべきは、糖負荷試験の前日の朝食と昼食には普通の食事(たんぱく質15%;脂肪25%;糖質60%)を摂り、夕食だけ糖質の少ない食事(たんぱく質30%;脂肪60%;糖質10%)を与えたところ、全例において耐糖能が悪化したことである。被験者12名中4名が「耐糖能異常」と判定されてしまった(図2)(1,2)。夕食に糖質の多い食事を摂ったときには被験者の耐糖能は正常であったから、検査の15-16時間前の糖質摂取量が耐糖能に大きな影響をもたらすのである。』
<佐藤章夫先生のホームページから抜粋>
『このことはわたくし達の新しい発見ではない。検査前の低糖質食が耐糖能を悪化することは古くから知られていた。今から60年も前にロンドン大学病院のヒムスワース(Himsworth)が正常(糖尿病ではない)の健康人に糖質の少ない食事を1週間与えて糖負荷試験を行った(3)。高糖質食を与えたときには耐糖能は正常であったのに、低糖質食によって糖尿病と判定されるほどに耐糖能が悪化した。しかも、糖質と脂肪の比率を一定に保ちながら総エネルギーを増減させたり、総エネルギーを一定にして糖質と脂肪の比率を変えたりして、耐糖能が検査前の糖質摂取量によって変動することを確認した。この報告を契機にして、糖負荷試験の前少なくとも3日間は1日300グラム以上の糖質摂取が必要であるといわれるようになった(4)。
しかし、1960年、ウィルカーソン(Wilkerson)らが受刑者を被験者として低糖質食が耐糖能に与える影響を再検討して、糖質の摂取量を1日50グラムに制限しても耐糖能には大きな影響を及ぼさないという報告を行った(5)。この報告がNew England Journal of Medicineという影響力の大きな医学誌に掲載されたために、米国糖尿病協会は1日300 gという糖質はアメリカ人には多すぎるとし、1日150グラムの糖質で十分であるという判断を下した。WHOもこれにならい、糖負荷試験の前には1日150グラム以上の糖質を摂ることを被験者に指示することを勧告して、現在にいたっている。』
ウィルカーソン氏の実験では、低糖質食にしても耐糖能に影響なかったようですね。追試した結果がNew England Journal of Medicineに載ったわけですから、EBM的にはやはりヒムスワースの論文よりこちらのほうが説得力ありますね。
私達の症例でも、糖尿病の人が糖質制限食を続けて、一ヶ月、三ヶ月、半年経過していくと、糖質を食べても食後高血糖の改善が見られることがほとんどです。
即ち中・長期的には膵臓のβ細胞の機能が休養により回復し耐糖能の改善がみられます。
例えば2009年11月07日 (土) のブログ「スーパー糖質制限食で糖尿病が治った!?」の蝶々さんも、明らかに耐糖能が改善して正常化しています。
結論としては、直前の低糖質食がGTTにおける耐糖能を低下させるか否かは、
異なる結論の二つの文献があり、はっきり断定できません。
しかし、極めて重要な事実は、糖質だけが血糖を上昇させるということです。
タンパク質・脂質は血糖値を上昇させません。(*)これは普遍的な生理学的事実です。
佐藤先生はホームペ-ジで
『糖質(澱粉)をたくさん摂るとインスリンの分泌が少なくて済む』
と断定しておられますが、これは生理学的な事実と反しています。
糖質だけが血糖値を上昇させますので、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。
しかし、脂質を摂取してもインスリン追加分泌はありません。
タンパク質を摂取したときはごく少量のインスリンの追加分泌があります。
つまり人(糖尿人も正常人も)において、インスリンの追加分泌が大量に必要となるのは、
糖質を摂取した時だけです。
これも論争の余地など全くない生理学的事実です。
現代の日本人の食生活は、精製糖質の過剰摂取と運動不足により、
毎日3~5回以上ブドウ糖ミニスパイク(**)が生じ、
その度にインスリンが大量に追加分泌され、10年、20年、30年と働き続けた膵臓が疲弊し、
とうとう40代、50代で糖尿病を発症するわけです。
これが日本の糖尿病激増の実態です。
なお今日の記事のテーマに関して、
2009年6月11日のブログ<糖質制限食>VS<高糖質食>①②③
もご参照いただけば幸いです。
江部康二
(*)
ADA(米国糖尿病協会)2004年版の
Life With Diabetes
A Series of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center
(**)グルコーススパイクとミニスパイク
グルコーススパイク(ブドウ糖スパイク)のお話です。
近年の糖尿病関係の話題として、『空腹時血糖値と食後高血糖値の差(ブドウ糖スパイク)が大きいほど、リアルタイムに大血管の内皮が傷害されて動脈硬化になりやすく、将来心筋梗塞の危険性が高まる』という説が有力となっています。
糖尿病の人は、当然、ブドウ糖スパイクが大きいわけです。例えば、空腹時血糖値が100~120mgとかでも、糖質摂取後の血糖値は200、300mgとなってしまいます。(脂質やタンパク質を食べても、ブドウ糖スパイクは起こりませんので、念のため。)
一方、糖尿病がない人でも、精製された糖質(高GI食品)を食べれば、糖尿病の人に比べれば小さいとはいえ、ブドウ糖スパイクが生じますから、代謝全般に乱れが生じてアレルギー疾患や高脂血症・肥満など様々な生活習慣病にも悪影響がでる可能性があります。私は、この小さなブドウ糖スパイクを、『ミニスパイク』と呼んでいます。
精製された糖質は、特に血糖を上昇させやすい食品です。中でも白パン、ケーキなどの精製小麦粉製品は血糖上昇指数(GI)が75あります。ちなみに白米は73、玄米は68です。
糖尿病が無ければ、玄米などGIの低いものを主食としていれば、ミニスパイクもほとんど起こらず、血管内皮の障害のリスクも無くなりますし代謝も安定します。
過去経験的に、「玄米魚菜食がいろんな病気の改善に良い」と言われ、高雄病院でも1984年から玄米魚菜食を給食で提供してきました。
なぜ良いのか、理論的根拠に長年悩んでいましたが、「ブドウ糖スパイク理論」でやっと説明がつきました。
世界中に、今まで様々な食事療法があり、それぞれ治療効果を謳っていますが、やはり「ブドウ糖スパイクが少ない」という一点で共通していることが多いようです。
なお、糖質制限食ならミニスパイクも全く起こらず、血糖値は勿論、代謝全てが安定します。
Nombreさんから、佐藤彰夫先生が、本を出版されたという情報をいただきました。
佐藤彰夫先生は、高炭水化物食を推奨しておられるので、糖質制限食とは正反対のお立場です。
糖質制限食を実践しておられる方、本ブログ読者や拙著の購読者の皆さんも興味がある話題と思いますので、記事にしました。
本はまだ拝読しておりません。従って、本の内容とほとんど重なっていると思われる佐藤彰夫先生のホームページの記載内容への反論を今回の記事といたします。
「10/07/17 Nombre
「米と糖尿病」
糖質制限食OKレストラン、朗報ですね!
ところで、
http://www.komichi.co.jp/bd/4-7705-0205-2.html
既出かもしれませんが、江部先生とは理論が正反対の佐藤先生、とうとう著書が出ましたね。」
Nombreさん。
コメント・情報、ありがとうございます。
既に私の二つの過去ブログ記事で、佐藤先生の「高炭水化物食説」に反論しています。
2010年01月13日 (水) の記事、「脂質摂取と糖尿病・ヒムスワースの誤解」は、日本の糖尿病医療の草分けであり永らくこの分野をリードされてきた後藤由夫先生のお話しを「糖尿病メディカルネット」から引用させていただきました。
後藤由夫先生は、糖尿病専門医指導医で、日本糖尿病学会の重鎮中の重鎮です。
後藤先生は、しっかり根拠をあげて
「脂肪摂取が糖尿病の発症と関係するという説は否定された。」
と明快に述べておられます。
また佐藤章夫先生が、根拠としてよく引用されている「ロンドンのヒムスワースの報告」の間違いも、根拠をあげて明確に指摘しておられます。
2009年11月09日 (月)の記事
「山梨医科大学名誉教授、佐藤章夫先生のホームページを拝見して」
は、私自身の糖尿病発症体験と生理学・疫学的見地からの反論です。
私自身、1984年から
「玄米を主食として、おかずはお魚中心に野菜たっぷりで、肉や脂は控えめにして週2回はテニスをし、糖質が総摂取カロリーの60%」
の食生活を実践していました。所謂、従来のヘルシー食です。
高雄病院に初めて玄米魚菜食を導入したのが1984年のことで、病院給食として日本初だったと思います。
まさに佐藤彰夫先生の推奨される食生活を、当時の私も信じて実践していたのに、2002年、糖尿病が発覚しました。
あとからデータを見直せば1993年時点で、すでに食後高血糖があった可能性が高いのです。結局、私自身が、高糖質食実践で見事に糖尿病を発症したわけです。
今から思えば、玄米中心とはいえ、総摂取カロリーの60%を糖質から摂っていて、それに見合うだけの日常的な運動量が、決定的に不足していたのでしょう。
一方、私は今も玄米魚菜食を否定しているのではなく、推奨もしています。しかし、糖尿病に玄米魚菜食は、必ず食後高血糖を生じるので危険です。
血糖値を上昇させるのは糖質だけで、タンパク質・脂質は上昇させません。これはADA(米国糖尿病協会)*の患者用テキストブックに明記してある、厳然たる生理学的事実です。
また、糖質を摂取すれば、大量のインスリンが分泌され、タンパク質を摂取するとごく少量のインスリンが分泌されます。
脂質はカロリーはたっぷりですが、摂取してもインスリンは分泌されません。これも議論の余地など無い生理学的事実です。
現在、高雄病院では、テーラーメードダイエットの枠組みの中で、年齢・疾病・嗜好・運動量などにより、糖質制限食と玄米魚菜食(玄米など未精製穀物の摂取量は運動量に合わせて調整)を適宜使い分けています。
*
Life With Diabetes:A Siries of Teaching Outlines by the Michigan Diabetes Research and Training Center,American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004
江部康二
☆☆☆☆☆
『脂質摂取と糖尿病・ヒムスワースの誤解』2010年01月13日 (水)
おはようございます。
本ブログでもよく質問がありますが、
「高糖質食が糖尿病に良い。糖質制限食は糖尿尿に良くない。」
と主張されている山梨医科大学名誉教授の佐藤彰夫先生のホームページがあります。
その佐藤先生が、根拠としてよく引用されているロンドンのヒムスワースの報告について、
東北大学名誉教授後藤由夫先生が、興味深い見解を述べておられます。
後藤先生は日本の糖尿病医療をずっとリードされてきた医師で、
ヒムスワース(Himsworth)の誤解を明快に指摘しておられます。
すなわち、
「脂肪の摂取量の多い国ほど糖尿病死亡率が高く、また炭水化物ではこれと対照的に摂取量の多い国ほど糖尿病が少ないという傾向がみられる」
というヒムスワースの報告は、はっきり、間違いだったわけです。
さらに、後藤先生は「動物実験で大量の脂肪を与えて糖尿病が現れたという報告はない」と明言しておられます。
ヒトにおいても動物においても「脂肪摂取量が糖尿病発症に関係する」という説は否定されたわけです。
以下は「糖尿病メディカルネット」に記載されている後藤先生の文章からの引用です。
<後藤由夫 私の糖尿病50年 -糖尿病医療の歩み->
43. 糖尿病の増減
http://dm-medical.net/14/000242.php
2. 脂肪摂取と糖尿病
ロンドンのHimsworth(1935、1949年)は各国の糖尿病の死亡率と国民の栄養素摂取量との関係が図2のように、脂肪の摂取量の多い国ほど糖尿病死亡率が高く、また炭水化物ではこれと対照的に摂取量の多い国ほど糖尿病が少ないという傾向がみられると報告した。この成績をもとにHimsworthは脂肪摂取が糖尿病の増加と関係すると結論した。筆者はこれに興味を抱き、追試して同様な成績を得たが、次に粗死亡率ではなく訂正死亡率について関係を求めた。その結果は図3のように相関関係は認められなかった。このことから、Himsworthがみていたのは脂肪摂取量の多い国は豊かで糖尿病罹病年齢まで生存するのに対し、経済的に遅れている国では脂肪摂取量が少なく、安価な炭水化物をエネルギー源として、しかも糖尿病罹病年齢まで生存する者は少なく、若年期に死亡する者が多いことをみているにすぎない、と理解された。このことから脂肪摂取が糖尿病の発症と関係するという説は否定された。動物に大量の脂肪を与える実験も行われたが、これによって糖尿病が現れたという報告もなかった。
***
後藤由夫先生プロフィール 糖尿病メディカルネットより引用
日本人の生活環境が戦後から高度成長期を経て現在までに激変したのと同じように、糖尿病の医療にも大きな変化があった。このコーナーは、この間の糖尿病医療の進歩の跡を、永らくこの分野をリードされてきた後藤由夫先生に、その体験をもとに語っていただき、今後の糖尿病医療を担う方々の参考に資するために企画されたものである。
後藤 由夫
1925年10月3日生まれ
県立酒田中学、第二高等学校理乙を経て
東北大学医学部 1948年9月卒業
1年間のインターン後、東北大学内科学第3講座にて研究
ペンシルベニア大学内科客員科学者(1958年-60年)
弘前大学教授(1970年-76年)
東北大学教授(1976年-88年)
東北大学名誉教授(1988年-)
東北厚生年金病院院長(1988年-94年)
東北厚生年金病院名誉院長(1994年-)
日本糖尿病協会理事長(1992年-2000年)
日本臨床内科医会会長(1999年-)
糖尿病の成因、合併症、治療法を研究し、糖尿病モデル動物GKラットの開発に成功。
日本内科学会会頭をはじめ糖尿病学会、老年医学会、動脈硬化学会、臨床栄養学会、膵臓病研究会、体質学会、自律神経学会、過酸化脂質学会、肥満学会、東洋医学会、人間ドック学会、発汗研究会、末梢神経研究会などの会長・会頭をはじめ、糖尿病関係の5つの国際シンポジウムの会長を担当。現在約18,000人の内科医が加入する日本臨床内科医会会長。
☆☆☆☆☆
『山梨医科大学名誉教授、佐藤章夫先生のホームページを拝見して』2009年11月09日 (月)
こんばんは。
山梨医科大学名誉教授、佐藤章夫先生のホームページ拝見しました。
ご高説の中で、牛乳の項とかは基本的に賛成です。
私自身、1984年から高雄病院給食に玄米魚菜食を導入しています。
玄米の給食、病院としては日本で初だったかもしれません。
1999年に、兄の江部洋一郎院長が、高雄病院に糖質制限食を導入するまでは、佐藤先生の主張しておられるような食生活を、アトピーや喘息などアレルギー疾患、慢性関節リウマチなど膠原病、腎疾患、消化器疾患、高血圧・・・そして糖尿病、多くの患者さんに、玄米魚菜食を奨めていました。
当時は「粗食のすすめ」の幕内先生と一緒に「学校給食と子どもの健康を考える会」で米飯給食をすすめる運動をしており、米ばっかり食べてました。
まあ、私自身、
「玄米を主食として、おかずはお魚中心に野菜たっぷりで、肉や脂は控えめにして週2回はテニスをする→糖質が総摂取カロリーの60%」
普通のおじさんに比べれば、はるかにヘルシー?なライフスタイルを実践していたにもかかわらず、
40才過ぎから徐々にメタボになり、2002年には糖尿病が発覚しました。
つまり、私が推奨していた、そして佐藤先生の推奨されている「玄米魚菜食(糖質たっぷり食)で脂質は控える食生活」では、自分自身のメタボリック・シンドロームや糖尿病を防ぐことができなかったのは、皮肉なことでした。( ̄_ ̄|||)
玄米魚菜食時代には、メタボや糖尿病になった理由がわからなかったのですが、糖質制限食を研究してから、はっきり理解できました。
そして現在、糖質摂取と糖尿病に関しては江部康二と佐藤先生と基本的に正反対ですね。
<佐藤章夫先生のホームページから抜粋>
『健康なひとがグルコース負荷試験の前日に糖質の少ない食事を摂ると、耐糖能が著しく悪化する。この現象は著者らの研究で観察されたものである。特記すべきは、糖負荷試験の前日の朝食と昼食には普通の食事(たんぱく質15%;脂肪25%;糖質60%)を摂り、夕食だけ糖質の少ない食事(たんぱく質30%;脂肪60%;糖質10%)を与えたところ、全例において耐糖能が悪化したことである。被験者12名中4名が「耐糖能異常」と判定されてしまった(図2)(1,2)。夕食に糖質の多い食事を摂ったときには被験者の耐糖能は正常であったから、検査の15-16時間前の糖質摂取量が耐糖能に大きな影響をもたらすのである。』
<佐藤章夫先生のホームページから抜粋>
『このことはわたくし達の新しい発見ではない。検査前の低糖質食が耐糖能を悪化することは古くから知られていた。今から60年も前にロンドン大学病院のヒムスワース(Himsworth)が正常(糖尿病ではない)の健康人に糖質の少ない食事を1週間与えて糖負荷試験を行った(3)。高糖質食を与えたときには耐糖能は正常であったのに、低糖質食によって糖尿病と判定されるほどに耐糖能が悪化した。しかも、糖質と脂肪の比率を一定に保ちながら総エネルギーを増減させたり、総エネルギーを一定にして糖質と脂肪の比率を変えたりして、耐糖能が検査前の糖質摂取量によって変動することを確認した。この報告を契機にして、糖負荷試験の前少なくとも3日間は1日300グラム以上の糖質摂取が必要であるといわれるようになった(4)。
しかし、1960年、ウィルカーソン(Wilkerson)らが受刑者を被験者として低糖質食が耐糖能に与える影響を再検討して、糖質の摂取量を1日50グラムに制限しても耐糖能には大きな影響を及ぼさないという報告を行った(5)。この報告がNew England Journal of Medicineという影響力の大きな医学誌に掲載されたために、米国糖尿病協会は1日300 gという糖質はアメリカ人には多すぎるとし、1日150グラムの糖質で十分であるという判断を下した。WHOもこれにならい、糖負荷試験の前には1日150グラム以上の糖質を摂ることを被験者に指示することを勧告して、現在にいたっている。』
ウィルカーソン氏の実験では、低糖質食にしても耐糖能に影響なかったようですね。追試した結果がNew England Journal of Medicineに載ったわけですから、EBM的にはやはりヒムスワースの論文よりこちらのほうが説得力ありますね。
私達の症例でも、糖尿病の人が糖質制限食を続けて、一ヶ月、三ヶ月、半年経過していくと、糖質を食べても食後高血糖の改善が見られることがほとんどです。
即ち中・長期的には膵臓のβ細胞の機能が休養により回復し耐糖能の改善がみられます。
例えば2009年11月07日 (土) のブログ「スーパー糖質制限食で糖尿病が治った!?」の蝶々さんも、明らかに耐糖能が改善して正常化しています。
結論としては、直前の低糖質食がGTTにおける耐糖能を低下させるか否かは、
異なる結論の二つの文献があり、はっきり断定できません。
しかし、極めて重要な事実は、糖質だけが血糖を上昇させるということです。
タンパク質・脂質は血糖値を上昇させません。(*)これは普遍的な生理学的事実です。
佐藤先生はホームペ-ジで
『糖質(澱粉)をたくさん摂るとインスリンの分泌が少なくて済む』
と断定しておられますが、これは生理学的な事実と反しています。
糖質だけが血糖値を上昇させますので、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。
しかし、脂質を摂取してもインスリン追加分泌はありません。
タンパク質を摂取したときはごく少量のインスリンの追加分泌があります。
つまり人(糖尿人も正常人も)において、インスリンの追加分泌が大量に必要となるのは、
糖質を摂取した時だけです。
これも論争の余地など全くない生理学的事実です。
現代の日本人の食生活は、精製糖質の過剰摂取と運動不足により、
毎日3~5回以上ブドウ糖ミニスパイク(**)が生じ、
その度にインスリンが大量に追加分泌され、10年、20年、30年と働き続けた膵臓が疲弊し、
とうとう40代、50代で糖尿病を発症するわけです。
これが日本の糖尿病激増の実態です。
なお今日の記事のテーマに関して、
2009年6月11日のブログ<糖質制限食>VS<高糖質食>①②③
もご参照いただけば幸いです。
江部康二
(*)
ADA(米国糖尿病協会)2004年版の
Life With Diabetes
A Series of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center
(**)グルコーススパイクとミニスパイク
グルコーススパイク(ブドウ糖スパイク)のお話です。
近年の糖尿病関係の話題として、『空腹時血糖値と食後高血糖値の差(ブドウ糖スパイク)が大きいほど、リアルタイムに大血管の内皮が傷害されて動脈硬化になりやすく、将来心筋梗塞の危険性が高まる』という説が有力となっています。
糖尿病の人は、当然、ブドウ糖スパイクが大きいわけです。例えば、空腹時血糖値が100~120mgとかでも、糖質摂取後の血糖値は200、300mgとなってしまいます。(脂質やタンパク質を食べても、ブドウ糖スパイクは起こりませんので、念のため。)
一方、糖尿病がない人でも、精製された糖質(高GI食品)を食べれば、糖尿病の人に比べれば小さいとはいえ、ブドウ糖スパイクが生じますから、代謝全般に乱れが生じてアレルギー疾患や高脂血症・肥満など様々な生活習慣病にも悪影響がでる可能性があります。私は、この小さなブドウ糖スパイクを、『ミニスパイク』と呼んでいます。
精製された糖質は、特に血糖を上昇させやすい食品です。中でも白パン、ケーキなどの精製小麦粉製品は血糖上昇指数(GI)が75あります。ちなみに白米は73、玄米は68です。
糖尿病が無ければ、玄米などGIの低いものを主食としていれば、ミニスパイクもほとんど起こらず、血管内皮の障害のリスクも無くなりますし代謝も安定します。
過去経験的に、「玄米魚菜食がいろんな病気の改善に良い」と言われ、高雄病院でも1984年から玄米魚菜食を給食で提供してきました。
なぜ良いのか、理論的根拠に長年悩んでいましたが、「ブドウ糖スパイク理論」でやっと説明がつきました。
世界中に、今まで様々な食事療法があり、それぞれ治療効果を謳っていますが、やはり「ブドウ糖スパイクが少ない」という一点で共通していることが多いようです。
なお、糖質制限食ならミニスパイクも全く起こらず、血糖値は勿論、代謝全てが安定します。
2010年07月17日 (土)
こんばんは。
糖尿病の新しい診断基準と実施時期について、kokoroさんから、コメント・質問をいただきました。
「10/07/17 kokoro
お久しぶりです
糖尿人になって3年目に入りました
倦怠期とでも申しましょうか
何となく最近は自分に甘い自分がいまして…
その結末が今回の検診結果です
前回(5月)A1c6.2 今回(7月)A1c6.6
なのですが主治医殿が何か変な事を申されるのです
日本の測定で行けば6.6は6.9だよって
基準が変わったからねって
世界統一でもしたんですか?
何か江部先生のブログを拝読させていただいた時に
先生が書いていらっしゃったような
記憶もあるんですが過去ブログの中から探せませんでした
ご多忙とは存じますが 急ぎませんのでよろしくお願いします。」
こころさん。
お久しぶりです。
過去記事の検索、結構大変ですよね。
以下に「糖尿病の新しい診断基準と実施時期」についての、3回の記事をまとめて貼り付けておきます。
江部康二
『糖尿病の新しい診断基準と実施時期』2010年06月25日 (金)
おはようございます。
2010年7月1日に、11年ぶりとなる糖尿病の新しい診断基準が施行されます。
新基準では、「糖尿病型」の判定に、従来の基準には無かった、HbA1が採用されました。
これにより、1回の採血で血糖値とHbA1cの測定結果が両方とも糖尿病型であれば、それだけで糖尿病と診断できることとなりました。
従来の基準では、必ず異なる日に2回の採血が必要でしたので、簡略化できたと言えます。
HbA1cの表記法もJDS値に0.4を足したNGSP相当値に変更される予定です。7月1日からは、英文誌の原著論文や国際学会での発表時には、当然国際基準であるNGSP値相当値が使用されます。
一方、日常診療現場においては、当面は今まで通りのJDS値によるHbA1cで表記し、1年後をめどにNGSP相当値に移行する予定だそうです。
江部康二
☆☆☆参考
『新診断基準施行と血糖コントロール指標と評価とHbA1c』2010年06月20日 (日)
2010年7月1日から、糖尿病新診断基準施行で、今後HbA1cはNGSP値に相当する値が基準でJDS値は併記となります。(日常診療現場においては、当面は今まで通りのJDS値によるHbA1cで表記し、1年後をめどにNGSP相当値に移行する予定)
日本糖尿病学会から新診断基準は発表されたのですが、「血糖コントロール指標と評価基準」はまだ発表されていません。
臨床現場ではHbA1c測定方法はこれまでと同様のJDS値なのですが、単純に0.4を足した値をNGSP値として示すことになります。
ここまではいいのですが、さて「血糖コントロール指標と評価基準」はどうなるのでしょう?
今まで、JDS値での「血糖コントロール指標と評価基準」は、
優:5.8%未満
良:6.5%未満
不十分:6.5~7.0%未満
不良:7.0~8.0未満
不可:8.0%以上
でした。
そうすると、JDS値では6.4%でコントロール良だった糖尿人が、NGSP値ではいきなり6.9%になるので、コントロール不十分になってしまうのは、何だか釈然としないですよね。 (*_*)
それでもまあ、糖尿人のご同輩、一応ご安心下さい。 (^_^)
新「血糖コントロール指標と評価基準」において、NGSP値を採用するなら、単純に0.4を足して
優:6.2%未満
良:6.9%未満
不十分:6.9~7.4%未満
不良:7.4~8.4未満
不可:8.4%以上
ということで決着しそうです。
☆☆☆参考
『糖尿病の新診断基準、7月1日に施行』2010年05月31日 (月)
第53回日本糖尿病学会年次学術集会において、開催初日の2010年5月27日に、糖尿病の新しい診断基準の概要と、2010年7月1日に新基準を施行することが発表されました。
今回新しくなる診断基準は、前回の基準から11年ぶりに改訂されます。改訂の目玉は、診断基準に「HbA1c 6.5%以上」(6.1%[JDS値])が追加されたことです。
HbA1c値については、日本独自の測定法によって得られるJDS値と、欧米を中心に使われている測定法によって得られるNGSP値があり、両者のデータにはずれがありました。
換算するとJDS値に0.4を加えた値が、NGSP値となります。当然国際基準としては、NGSP値が優先されます。
新診断基準のHbA1c:6.5%は、NGSP値相当であり、現行の日本の測定法によるJDS値では、6.1%となります。
今後HbA1cはNGSP値に相当する値を基準としますが、HbA1c測定方法はこれまでと同様のJDS値なので、単純に0.4を足した値をNGSP値として示すことになります。
国際標準化作業が行われて、JDS値に0.4を足せばNGSP値と同じになることが確認されました。
従来の診断基準では、
①空腹時血糖値126mg/dL以上なら糖尿病型
② 75g糖負荷試験で2時間値200mg/dL以上なら糖尿病型
③随時血糖値200mg/dL以上なら糖尿病型
①②③の糖尿病型いずれかが別の日に2回以上、確認された場合に糖尿病と診断しており、HbA1c値は補助的な位置付けで、診断基準には入っていませんでした。
近年HbA1cは、糖尿病の診断基準として国際的評価が高く、米国糖尿病学会(ADA)は、2009年、糖尿病診断に原則HbA1C検査を適用することとしました。
これを受けて日本でも、今回の改訂で、「補助的な項目」から格上げで診断基準の1つとして取りあげられることとなりました。
診断基準項目の1つとなったHbA1c値は、6.5%以上(6.1%以上[JDS値])とされました。
これは、日本のデータを用いて、網膜症の出現頻度や血糖値とHbA1c値との関係を解析した結果から、決定したそうです。
新診断基準にはHbA1c値が加わりましたが、糖尿病の診断は
<血糖値>
①空腹時血糖値126mg/dL以上なら糖尿病型
② 75g糖負荷試験で2時間値200mg/dL以上なら糖尿病型
③随時血糖値200mg/dL以上なら糖尿病型
のうちいずれか(従来の基準と同じです)と
<HbA1c>
6.5%以上(JDS値で6.1%以上)なら糖尿病型
の両方で評価するよう決められていますが、血糖値データは必ず必要です。
すなわち患者さんが「HbA1c:6.5%以上(JDS値で6.1%以上)」のみを満たすだけでは糖尿病と診断できません。
HbA1cと同時あるいは再検査で血糖値を測定し、血糖値も診断基準を超えて糖尿病型であった場合に初めて糖尿病と診断されます。
1回目の検査でHbA1c値が「HbA1c:6.5%以上(JDS値で6.1%以上)」で糖尿病型と診断され、再検査でHbA1c値再度糖尿病型と診断されても、血糖値が糖尿病型でなければあくまで「糖尿病疑い」にとどまるとされました。
また、血糖値のみ糖尿病型の場合、糖尿病の典型的症状が確認されたり、眼底検査で糖尿病網膜症が認められれば、糖尿病と診断されます。
**6月20日追加
従来の診断基準
①空腹時血糖値126mg/dL以上なら糖尿病型
② 75g糖負荷試験で2時間値200mg/dL以上なら糖尿病型
③随時血糖値200mg/dL以上なら糖尿病型
のいずれかが別の日に2回以上、確認された場合に糖尿病と診断というのは新診断基準でも同様です。
すなわち、HbA1cが正常型でも、血糖値データだけで診断できるわけですね。
糖尿病の新しい診断基準と実施時期について、kokoroさんから、コメント・質問をいただきました。
「10/07/17 kokoro
お久しぶりです
糖尿人になって3年目に入りました
倦怠期とでも申しましょうか
何となく最近は自分に甘い自分がいまして…
その結末が今回の検診結果です
前回(5月)A1c6.2 今回(7月)A1c6.6
なのですが主治医殿が何か変な事を申されるのです
日本の測定で行けば6.6は6.9だよって
基準が変わったからねって
世界統一でもしたんですか?
何か江部先生のブログを拝読させていただいた時に
先生が書いていらっしゃったような
記憶もあるんですが過去ブログの中から探せませんでした
ご多忙とは存じますが 急ぎませんのでよろしくお願いします。」
こころさん。
お久しぶりです。
過去記事の検索、結構大変ですよね。
以下に「糖尿病の新しい診断基準と実施時期」についての、3回の記事をまとめて貼り付けておきます。
江部康二
『糖尿病の新しい診断基準と実施時期』2010年06月25日 (金)
おはようございます。
2010年7月1日に、11年ぶりとなる糖尿病の新しい診断基準が施行されます。
新基準では、「糖尿病型」の判定に、従来の基準には無かった、HbA1が採用されました。
これにより、1回の採血で血糖値とHbA1cの測定結果が両方とも糖尿病型であれば、それだけで糖尿病と診断できることとなりました。
従来の基準では、必ず異なる日に2回の採血が必要でしたので、簡略化できたと言えます。
HbA1cの表記法もJDS値に0.4を足したNGSP相当値に変更される予定です。7月1日からは、英文誌の原著論文や国際学会での発表時には、当然国際基準であるNGSP値相当値が使用されます。
一方、日常診療現場においては、当面は今まで通りのJDS値によるHbA1cで表記し、1年後をめどにNGSP相当値に移行する予定だそうです。
江部康二
☆☆☆参考
『新診断基準施行と血糖コントロール指標と評価とHbA1c』2010年06月20日 (日)
2010年7月1日から、糖尿病新診断基準施行で、今後HbA1cはNGSP値に相当する値が基準でJDS値は併記となります。(日常診療現場においては、当面は今まで通りのJDS値によるHbA1cで表記し、1年後をめどにNGSP相当値に移行する予定)
日本糖尿病学会から新診断基準は発表されたのですが、「血糖コントロール指標と評価基準」はまだ発表されていません。
臨床現場ではHbA1c測定方法はこれまでと同様のJDS値なのですが、単純に0.4を足した値をNGSP値として示すことになります。
ここまではいいのですが、さて「血糖コントロール指標と評価基準」はどうなるのでしょう?
今まで、JDS値での「血糖コントロール指標と評価基準」は、
優:5.8%未満
良:6.5%未満
不十分:6.5~7.0%未満
不良:7.0~8.0未満
不可:8.0%以上
でした。
そうすると、JDS値では6.4%でコントロール良だった糖尿人が、NGSP値ではいきなり6.9%になるので、コントロール不十分になってしまうのは、何だか釈然としないですよね。 (*_*)
それでもまあ、糖尿人のご同輩、一応ご安心下さい。 (^_^)
新「血糖コントロール指標と評価基準」において、NGSP値を採用するなら、単純に0.4を足して
優:6.2%未満
良:6.9%未満
不十分:6.9~7.4%未満
不良:7.4~8.4未満
不可:8.4%以上
ということで決着しそうです。
☆☆☆参考
『糖尿病の新診断基準、7月1日に施行』2010年05月31日 (月)
第53回日本糖尿病学会年次学術集会において、開催初日の2010年5月27日に、糖尿病の新しい診断基準の概要と、2010年7月1日に新基準を施行することが発表されました。
今回新しくなる診断基準は、前回の基準から11年ぶりに改訂されます。改訂の目玉は、診断基準に「HbA1c 6.5%以上」(6.1%[JDS値])が追加されたことです。
HbA1c値については、日本独自の測定法によって得られるJDS値と、欧米を中心に使われている測定法によって得られるNGSP値があり、両者のデータにはずれがありました。
換算するとJDS値に0.4を加えた値が、NGSP値となります。当然国際基準としては、NGSP値が優先されます。
新診断基準のHbA1c:6.5%は、NGSP値相当であり、現行の日本の測定法によるJDS値では、6.1%となります。
今後HbA1cはNGSP値に相当する値を基準としますが、HbA1c測定方法はこれまでと同様のJDS値なので、単純に0.4を足した値をNGSP値として示すことになります。
国際標準化作業が行われて、JDS値に0.4を足せばNGSP値と同じになることが確認されました。
従来の診断基準では、
①空腹時血糖値126mg/dL以上なら糖尿病型
② 75g糖負荷試験で2時間値200mg/dL以上なら糖尿病型
③随時血糖値200mg/dL以上なら糖尿病型
①②③の糖尿病型いずれかが別の日に2回以上、確認された場合に糖尿病と診断しており、HbA1c値は補助的な位置付けで、診断基準には入っていませんでした。
近年HbA1cは、糖尿病の診断基準として国際的評価が高く、米国糖尿病学会(ADA)は、2009年、糖尿病診断に原則HbA1C検査を適用することとしました。
これを受けて日本でも、今回の改訂で、「補助的な項目」から格上げで診断基準の1つとして取りあげられることとなりました。
診断基準項目の1つとなったHbA1c値は、6.5%以上(6.1%以上[JDS値])とされました。
これは、日本のデータを用いて、網膜症の出現頻度や血糖値とHbA1c値との関係を解析した結果から、決定したそうです。
新診断基準にはHbA1c値が加わりましたが、糖尿病の診断は
<血糖値>
①空腹時血糖値126mg/dL以上なら糖尿病型
② 75g糖負荷試験で2時間値200mg/dL以上なら糖尿病型
③随時血糖値200mg/dL以上なら糖尿病型
のうちいずれか(従来の基準と同じです)と
<HbA1c>
6.5%以上(JDS値で6.1%以上)なら糖尿病型
の両方で評価するよう決められていますが、血糖値データは必ず必要です。
すなわち患者さんが「HbA1c:6.5%以上(JDS値で6.1%以上)」のみを満たすだけでは糖尿病と診断できません。
HbA1cと同時あるいは再検査で血糖値を測定し、血糖値も診断基準を超えて糖尿病型であった場合に初めて糖尿病と診断されます。
1回目の検査でHbA1c値が「HbA1c:6.5%以上(JDS値で6.1%以上)」で糖尿病型と診断され、再検査でHbA1c値再度糖尿病型と診断されても、血糖値が糖尿病型でなければあくまで「糖尿病疑い」にとどまるとされました。
また、血糖値のみ糖尿病型の場合、糖尿病の典型的症状が確認されたり、眼底検査で糖尿病網膜症が認められれば、糖尿病と診断されます。
**6月20日追加
従来の診断基準
①空腹時血糖値126mg/dL以上なら糖尿病型
② 75g糖負荷試験で2時間値200mg/dL以上なら糖尿病型
③随時血糖値200mg/dL以上なら糖尿病型
のいずれかが別の日に2回以上、確認された場合に糖尿病と診断というのは新診断基準でも同様です。
すなわち、HbA1cが正常型でも、血糖値データだけで診断できるわけですね。
2010年07月16日 (金)
おはようございます。
今朝は、梅雨の晴れ間で、太陽が輝いてます。
そして今回のブログは、晴れ間に相応しい嬉しい話題です。
皆さん待望の、京都初の糖質制限食OKレストランの誕生です。
そのお店は、京都でも有名な老舗のフレンチレストラン
Eventail(エヴァンタイユ)さんです。
そのエヴァンタユさんが、東京以外で初の、しかも江部康二認定の「糖質制限食をフルコースで食べさせてくれるお店」第一号となって下さいました。
大徳寺真珠庵の和尚さんに高雄病院の理事を引き受けていただいているのですが、エヴァンタイユ、その和尚さん一押しのフレンチのお店だそうで、そのご縁で今回のお話の運びとなりました。
前菜からデザートまで、正真正銘、糖質制限OK食材のフルコースです。糖質制限ドットコムのあらてつさん達と試食させていただき、美味しさを堪能し至福の時をすごさせていただきました。
これはその時の写真です。

オーナーシェフの森谷シェフと、ワインを2本あけてご機嫌な私です。
森谷オーナーシェフ、素材の味にとことんこだわった料理を、頑固なまでに貫いておられます。
京野菜マイスターの認定も京都府から受けておられ、その料理にかける情熱は、並々ならぬものだと、感じ入りました。
ご予約の際は、必ず、「糖質制限食のコースで」とお伝え下さい。
予算とか料理の内容とか、お電話して問い合わせてもらえれば、いろいろ相談に乗って頂けます。
ワインも各種取り揃えてらっしゃいますので、こちらもご予算を伝えて頂ければ、手ごろなものからちょっと贅沢なものまで、料理に合わせて選んで下さいます。
交通は、地下鉄烏丸線 国際会館駅3番出口から西へ徒歩5分です。
京都駅からのアクセスもいいので、京都在住の方は勿論、京都観光の方々にもお奨めです。
ブログ読者の皆さん、京都初の糖質制限なディナーを安心してご堪能ください。
江部康二
フレンチレストラン Eventail(エヴァンタイユ)
〒606-0006 京都市左京区岩倉西五田町1-2
TEL:075-712-0750 FAX:075-712-0784
http://www.eventail.jp/
今朝は、梅雨の晴れ間で、太陽が輝いてます。
そして今回のブログは、晴れ間に相応しい嬉しい話題です。
皆さん待望の、京都初の糖質制限食OKレストランの誕生です。
そのお店は、京都でも有名な老舗のフレンチレストラン
Eventail(エヴァンタイユ)さんです。
そのエヴァンタユさんが、東京以外で初の、しかも江部康二認定の「糖質制限食をフルコースで食べさせてくれるお店」第一号となって下さいました。
大徳寺真珠庵の和尚さんに高雄病院の理事を引き受けていただいているのですが、エヴァンタイユ、その和尚さん一押しのフレンチのお店だそうで、そのご縁で今回のお話の運びとなりました。
前菜からデザートまで、正真正銘、糖質制限OK食材のフルコースです。糖質制限ドットコムのあらてつさん達と試食させていただき、美味しさを堪能し至福の時をすごさせていただきました。
これはその時の写真です。

オーナーシェフの森谷シェフと、ワインを2本あけてご機嫌な私です。
森谷オーナーシェフ、素材の味にとことんこだわった料理を、頑固なまでに貫いておられます。
京野菜マイスターの認定も京都府から受けておられ、その料理にかける情熱は、並々ならぬものだと、感じ入りました。
ご予約の際は、必ず、「糖質制限食のコースで」とお伝え下さい。
予算とか料理の内容とか、お電話して問い合わせてもらえれば、いろいろ相談に乗って頂けます。
ワインも各種取り揃えてらっしゃいますので、こちらもご予算を伝えて頂ければ、手ごろなものからちょっと贅沢なものまで、料理に合わせて選んで下さいます。
交通は、地下鉄烏丸線 国際会館駅3番出口から西へ徒歩5分です。
京都駅からのアクセスもいいので、京都在住の方は勿論、京都観光の方々にもお奨めです。
ブログ読者の皆さん、京都初の糖質制限なディナーを安心してご堪能ください。
江部康二
フレンチレストラン Eventail(エヴァンタイユ)
〒606-0006 京都市左京区岩倉西五田町1-2
TEL:075-712-0750 FAX:075-712-0784
http://www.eventail.jp/
2010年07月15日 (木)
こんにちは
さしもの大雨も、午前中から昼過ぎまであがっていたのですが、夕方からまた降り始めました。今雷が鳴ってます。高雄病院の奥の国道162号線も通行止めのままです。
さて今回は、糖質制限食と体臭について、たなさんからコメント・質問を頂きました。
「10/07/12 たな
低糖質食と体臭について
低糖質食続けるとダイエット臭がするという記事をネットで読んだのですが本当でしょうか?」
たなさん。
糖質制限食実践の初期の段階では、血中ケトン体濃度が高まるにつれて、尿中や呼気中にアセトンが排泄されます。アセトンには特有の臭気があります。これにより、呼気が甘酸っぱい臭いになることがあります。
3ヶ月から半年たつと、血中のケトン体が基準値より高値でも尿中や呼気中に排泄されなくなります。心筋や骨格筋など体細胞ののケトン体利用効率がよくなり、腎臓のケトン体再吸収も向上するからです。農耕以前のご先祖様と同じ状態になるといえます。
この頃になると甘酸っぱい臭い(アセトン臭)もなくなります。
ところでケトン体、アセトン・・・耳慣れない用語ですよね。(∵)?
アセトン、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸のことをまとめてケトン体といいます。ケトン体は、脂肪酸の分解により肝臓で作られ、血液中に出されます。
ケトン体は心筋、骨格筋、腎臓などさまざまな臓器で日常的にエネルギー源として利用されており、脂肪酸の合成にも再利用されます。人体に日常的に存在しているものなので、毒性はありません。 (^_^)
実際、意外かもしれませんが、基礎代謝の大部分を占める骨格筋や心筋は、エネルギー源の大部分が脂肪酸-ケトン体です。
つまり、私達は、ごく日常的に毎日24時間、「脂肪酸-ケトン体」エネルギーシステムを利用して生きているのです。
ケトン体の基準値は26~122μM/lですが、これはあくまでも、現代人が日常的に三食以上糖質を摂取している条件下の基準値です。
断食中や 糖質制限食の初期の段階だと、「脂肪酸-ケトン体」エネルギーシステムが活性化するので、血中ケトン体は2000~4000μM/lていどに上昇するのが普通です。
江部康二のように8年間、スーパー糖質制限食を続けている場合、ケトン体は、300~1400μM/lていどで、当然とっくに尿中ケトン体は陰性化しています。これは、糖質制限食を実践している場合の正常値、そして農耕以前の人類の正常値と考えられます。
要するに「脂肪酸-ケトン体」システムが活発化すれば、単純に血中のケトン体値は高値となりますが、インスリン作用が確保されていて、血糖値が正常なら全く何の問題もありませんし、これは生理的な現象なのです。
糖尿病のコントロールが悪くて、血糖値600mgとか、インスリン作用が欠落している時の病理的ケトン体上昇とは、はっきり区別する必要があります。
医学の教科書
「ハーパー・生化学」(原著27版)の訳本、155ぺージ・図16-9の説明に、
「心臓のような肝外組織では代謝エネルギー源は次の順に好まれて酸化される。
(1)ケトン体.(2)脂肪酸.(3)グルコース」
との記載があります。
また157ページ左側27行には、
「遊離脂肪酸は肝臓、心臓、骨格筋において好まれて利用される代謝エネルギー源であり、グルコースの消費を節約することができる。」
とあり、
157ページ、左側38行には、
「ケトン体は、骨格筋と心筋の主要な代謝エネルギー源であり、脳のエネルギーの必要性を部分的に満たす。」
とあります。
江部康二
さしもの大雨も、午前中から昼過ぎまであがっていたのですが、夕方からまた降り始めました。今雷が鳴ってます。高雄病院の奥の国道162号線も通行止めのままです。
さて今回は、糖質制限食と体臭について、たなさんからコメント・質問を頂きました。
「10/07/12 たな
低糖質食と体臭について
低糖質食続けるとダイエット臭がするという記事をネットで読んだのですが本当でしょうか?」
たなさん。
糖質制限食実践の初期の段階では、血中ケトン体濃度が高まるにつれて、尿中や呼気中にアセトンが排泄されます。アセトンには特有の臭気があります。これにより、呼気が甘酸っぱい臭いになることがあります。
3ヶ月から半年たつと、血中のケトン体が基準値より高値でも尿中や呼気中に排泄されなくなります。心筋や骨格筋など体細胞ののケトン体利用効率がよくなり、腎臓のケトン体再吸収も向上するからです。農耕以前のご先祖様と同じ状態になるといえます。
この頃になると甘酸っぱい臭い(アセトン臭)もなくなります。
ところでケトン体、アセトン・・・耳慣れない用語ですよね。(∵)?
アセトン、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸のことをまとめてケトン体といいます。ケトン体は、脂肪酸の分解により肝臓で作られ、血液中に出されます。
ケトン体は心筋、骨格筋、腎臓などさまざまな臓器で日常的にエネルギー源として利用されており、脂肪酸の合成にも再利用されます。人体に日常的に存在しているものなので、毒性はありません。 (^_^)
実際、意外かもしれませんが、基礎代謝の大部分を占める骨格筋や心筋は、エネルギー源の大部分が脂肪酸-ケトン体です。
つまり、私達は、ごく日常的に毎日24時間、「脂肪酸-ケトン体」エネルギーシステムを利用して生きているのです。
ケトン体の基準値は26~122μM/lですが、これはあくまでも、現代人が日常的に三食以上糖質を摂取している条件下の基準値です。
断食中や 糖質制限食の初期の段階だと、「脂肪酸-ケトン体」エネルギーシステムが活性化するので、血中ケトン体は2000~4000μM/lていどに上昇するのが普通です。
江部康二のように8年間、スーパー糖質制限食を続けている場合、ケトン体は、300~1400μM/lていどで、当然とっくに尿中ケトン体は陰性化しています。これは、糖質制限食を実践している場合の正常値、そして農耕以前の人類の正常値と考えられます。
要するに「脂肪酸-ケトン体」システムが活発化すれば、単純に血中のケトン体値は高値となりますが、インスリン作用が確保されていて、血糖値が正常なら全く何の問題もありませんし、これは生理的な現象なのです。
糖尿病のコントロールが悪くて、血糖値600mgとか、インスリン作用が欠落している時の病理的ケトン体上昇とは、はっきり区別する必要があります。
医学の教科書
「ハーパー・生化学」(原著27版)の訳本、155ぺージ・図16-9の説明に、
「心臓のような肝外組織では代謝エネルギー源は次の順に好まれて酸化される。
(1)ケトン体.(2)脂肪酸.(3)グルコース」
との記載があります。
また157ページ左側27行には、
「遊離脂肪酸は肝臓、心臓、骨格筋において好まれて利用される代謝エネルギー源であり、グルコースの消費を節約することができる。」
とあり、
157ページ、左側38行には、
「ケトン体は、骨格筋と心筋の主要な代謝エネルギー源であり、脳のエネルギーの必要性を部分的に満たす。」
とあります。
江部康二
2010年07月14日 (水)
おはようございます。
朝から土砂降りです。
高雄病院の更に奥の、国道162号線、一部土砂崩れで通行止めとなってしまいました。
さて今回は、痩せタイプ糖尿病と糖質制限食について、Yukio さんから、コメント・質問をいただきました。
「10/07/11 Yukio
やせすぎが心配
5月1日にヘモグロビンA1Cが8.2となり、2ヶ月の糖質制限で5.7まで回復しました。しかし、体重が52kgから47kgまで落ちてしまい心配です。病院の食事指導ではもっとご飯を食べなさいと言われますが、お茶碗1/3でも食後血糖値が200前後になってしまうので困ります。体重をもう少し上げる方法はありますか。」
糖質制限食でHbA1cが著明改善、良かったですね。 (^_^)
糖質制限食を実践すれば、8~9割の人は、カロリー計算無用で、その人の一番体調がいいときの体重に落ち着きます。
例えば、肥満傾向の人であれば、若い頃の体重に減量できます。
私の場合167cmで66kgだったのが学生時代の56kgにもどりました。66kgはBMIでは正常範囲でしたが、子持ちししゃも体型でお腹だけでてて、かなり見苦しいものがありちょっと困ってました。(=_=;)
数%の人が、Yukioさんと同様に
「糖質制限食で血糖値はみるみる改善したが痩せ過ぎて困る。」
と訴えてこられます。
少食タイプの人は、糖質制限食でおかずばっかり食べると結構お腹いっぱいになり、結果として量的に不足し低カロリーになることがあります。
高雄病院入院中の糖尿人でも、500キロカロリーの1回のスーパー糖質制限食を、食べきれずに残す方がおられます。
従って、もともと少食のタイプでは、カロリー不足対策が必要です。このような場合は間食の出番です。糖質制限食OKな食材なら、間食もOKなのです。
具体的には、間食としてナッツ類(アーモンド、カシューナッツ、ピーナッツ・・・)を20~30粒程度なら糖質が約3~5gですので、一日に2~3回は大丈夫です。
1gの糖質が約3mg、2型糖尿人の血糖値を上昇させますが、ナッツ類を1回に20~30粒なら許容範囲ですね。(^^)
それと、糖質制限食でやせ過ぎて困るという人には、通常糖尿人には奨めないのですが、敢えて果物がお奨めです。
アボカドは、100g(1個)あたりの糖質含有量が0.9gと圧倒的に少ないので、糖尿人にもOKで、とてもいいですね。
その他、100gあたり糖質10g以下の果物は、いちご、りんご、パパイア、グレープフルーツ、夏みかん、はっさく、メロン、もも・・などです。
それぞれ
いちご 7粒、
りんご 1/4個、
パパイア 1/2個、
グレープフルーツ 1/4個、
夏みかん 1/4個、
はっさく 1/3個、
メロン 1/8個、
もも中くらい 2/3個
くらいなら、1回の摂取量での糖質は10g以下です。
果物に含まれる糖質は、「果糖・ショ糖・ブドウ糖・ソルビトール・・・」などです。
このうちメインの果糖は、血糖値をほとんど上昇させず、上記ていどの量なら食後高血糖にはなりにくいですが、カロリーはありブドウ糖より中性脂肪に変わりやすいので体重は増えます。
あとオリーブオイルを調理に積極的に使ってカロリーを稼ぐ手もあります。
やせてる糖尿人には、「ナッツ類、果物適量、オリーブオイル」が三種の神器でしょうか。
江部康二
朝から土砂降りです。
高雄病院の更に奥の、国道162号線、一部土砂崩れで通行止めとなってしまいました。
さて今回は、痩せタイプ糖尿病と糖質制限食について、Yukio さんから、コメント・質問をいただきました。
「10/07/11 Yukio
やせすぎが心配
5月1日にヘモグロビンA1Cが8.2となり、2ヶ月の糖質制限で5.7まで回復しました。しかし、体重が52kgから47kgまで落ちてしまい心配です。病院の食事指導ではもっとご飯を食べなさいと言われますが、お茶碗1/3でも食後血糖値が200前後になってしまうので困ります。体重をもう少し上げる方法はありますか。」
糖質制限食でHbA1cが著明改善、良かったですね。 (^_^)
糖質制限食を実践すれば、8~9割の人は、カロリー計算無用で、その人の一番体調がいいときの体重に落ち着きます。
例えば、肥満傾向の人であれば、若い頃の体重に減量できます。
私の場合167cmで66kgだったのが学生時代の56kgにもどりました。66kgはBMIでは正常範囲でしたが、子持ちししゃも体型でお腹だけでてて、かなり見苦しいものがありちょっと困ってました。(=_=;)
数%の人が、Yukioさんと同様に
「糖質制限食で血糖値はみるみる改善したが痩せ過ぎて困る。」
と訴えてこられます。
少食タイプの人は、糖質制限食でおかずばっかり食べると結構お腹いっぱいになり、結果として量的に不足し低カロリーになることがあります。
高雄病院入院中の糖尿人でも、500キロカロリーの1回のスーパー糖質制限食を、食べきれずに残す方がおられます。
従って、もともと少食のタイプでは、カロリー不足対策が必要です。このような場合は間食の出番です。糖質制限食OKな食材なら、間食もOKなのです。
具体的には、間食としてナッツ類(アーモンド、カシューナッツ、ピーナッツ・・・)を20~30粒程度なら糖質が約3~5gですので、一日に2~3回は大丈夫です。
1gの糖質が約3mg、2型糖尿人の血糖値を上昇させますが、ナッツ類を1回に20~30粒なら許容範囲ですね。(^^)
それと、糖質制限食でやせ過ぎて困るという人には、通常糖尿人には奨めないのですが、敢えて果物がお奨めです。
アボカドは、100g(1個)あたりの糖質含有量が0.9gと圧倒的に少ないので、糖尿人にもOKで、とてもいいですね。
その他、100gあたり糖質10g以下の果物は、いちご、りんご、パパイア、グレープフルーツ、夏みかん、はっさく、メロン、もも・・などです。
それぞれ
いちご 7粒、
りんご 1/4個、
パパイア 1/2個、
グレープフルーツ 1/4個、
夏みかん 1/4個、
はっさく 1/3個、
メロン 1/8個、
もも中くらい 2/3個
くらいなら、1回の摂取量での糖質は10g以下です。
果物に含まれる糖質は、「果糖・ショ糖・ブドウ糖・ソルビトール・・・」などです。
このうちメインの果糖は、血糖値をほとんど上昇させず、上記ていどの量なら食後高血糖にはなりにくいですが、カロリーはありブドウ糖より中性脂肪に変わりやすいので体重は増えます。
あとオリーブオイルを調理に積極的に使ってカロリーを稼ぐ手もあります。
やせてる糖尿人には、「ナッツ類、果物適量、オリーブオイル」が三種の神器でしょうか。
江部康二
2010年07月13日 (火)
こんばんは。
今回は、セインさんから、「糖質制限食実践でインスリンが減量できてA1cも著明改善」という嬉しいコメントをいただきました。
「10/07/11 セイン
満腹ダイエット買いました。
はじめまして、セインといいます。
2月に糖質制限を知り、スタンダードを始めました。
インシュリン歴20年近くの不良糖尿人でした。仕事の忙しさにかまかけていましたが、ひょんな事から糖質制限をはじめました。
2月の値は、インシュリン44単位打ちながら、A1c7,9% 食後2時間値血糖302 中性脂肪2078 LDLコレステロール138 体重76kgでした。
3月には中性脂肪が104に激減したのでこれはいいと思い主治医には内緒でしたがスーパーに切り替えました。
その結果6月4日にはインシュリン12単位 A1c5.0% 空腹時血糖107 中性脂肪86 LDL97 体重56kgになりました。
一時的かもしれないと思い1ヶ月待ちましたが、インシュリン8単位A1cは引き続き5.0%でした。
糖質制限のおかげだと思ってます。
ありがとうございました。
糖質制限をよく知っているお医者さんに見てもらいたいと思い、明日、高雄病院に診察予約の電話を入れようと思っています。
縁があったらよろしくお願いします。」
セインさん。
本のご購入ありがとうございます。
「2月の値は、インシュリン44単位打ちながら、A1c7,9% 食後2時間値血糖302 中性脂肪2078 LDLコレステロール138 体重76kg」
糖質制限食実践にて
「6月4日にはインシュリン12単位 A1c5.0% 空腹時血糖107 中性脂肪86 LDL97 体重56kgになりました。 1ヶ月後、インシュリン8単位A1cは引き続き5.0%」
素晴らしい改善です。良かったです。
インスリンは絶対に必要ですが、量は少ないほど好ましいです。
44単位→8単位
インスリンが一桁になるとぐんと弊害が減り安全圏ですね。
これまで多くの研究で、インスリン抵抗性・高インスリン血症による腫瘍増殖・発ガン促進作用が示されています。
さらに有力な報告が2つ発表されました。
①2005年の第65回米国糖尿病学会でカナダのSamantha博士等が、10309名の糖尿病患者の研究成果を報告しました。
「メトフォルミン(インスリン分泌を促進させない薬)を使用しているグループに比べて、インスリンを注射しているグループは、癌死亡率が1.9倍高まる。SU剤(インスリン分泌促進剤)内服しているグループは癌死亡率が1.3倍高まる。」
この研究は高インスリン血症の発ガン促進作用を検証した研究です。
Samantha博士等は内因性であれ、外因性であれ、
「循環しているインスリンレベルが増加すると腫瘍の進展や死亡率が高まる。」
との考えを示しました。
インスリンは、人体に絶対に必要不可欠なホルモンですが、分泌量や必要量が少なくてすめば、それにこしたことはないようです。
②世界がん研究基金(ロンドン)は、太り過ぎると、7種類のがんになる危険性が高まるという報告を纏め2007年に報告しました。
同基金は、1960年以降に世界各地で書かれた50万件の研究報告から7000件を選び出し、がんと体重、食事との関係を分析した結果、
「BMI値(体重を身長の2乗で割った数値)を20~25に保つのが望ましく、肥満によって乳がんや膵臓がんのほか、直腸、食道、子宮内膜、腎臓、胆嚢のがんになり易い」
と結論づけています。
この報告も「肥満→インスリン抵抗性→高インスリン血症→発ガン」という今までの研究報告に一致するものです。
従いまして、癌の発症要因には様々なものがあるのですが、①②を考慮すれば、「高インスリン血症、インスリン抵抗性、肥満」という明白なリスクは、糖質制限食で予防できるといえます。
江部康二
今回は、セインさんから、「糖質制限食実践でインスリンが減量できてA1cも著明改善」という嬉しいコメントをいただきました。
「10/07/11 セイン
満腹ダイエット買いました。
はじめまして、セインといいます。
2月に糖質制限を知り、スタンダードを始めました。
インシュリン歴20年近くの不良糖尿人でした。仕事の忙しさにかまかけていましたが、ひょんな事から糖質制限をはじめました。
2月の値は、インシュリン44単位打ちながら、A1c7,9% 食後2時間値血糖302 中性脂肪2078 LDLコレステロール138 体重76kgでした。
3月には中性脂肪が104に激減したのでこれはいいと思い主治医には内緒でしたがスーパーに切り替えました。
その結果6月4日にはインシュリン12単位 A1c5.0% 空腹時血糖107 中性脂肪86 LDL97 体重56kgになりました。
一時的かもしれないと思い1ヶ月待ちましたが、インシュリン8単位A1cは引き続き5.0%でした。
糖質制限のおかげだと思ってます。
ありがとうございました。
糖質制限をよく知っているお医者さんに見てもらいたいと思い、明日、高雄病院に診察予約の電話を入れようと思っています。
縁があったらよろしくお願いします。」
セインさん。
本のご購入ありがとうございます。
「2月の値は、インシュリン44単位打ちながら、A1c7,9% 食後2時間値血糖302 中性脂肪2078 LDLコレステロール138 体重76kg」
糖質制限食実践にて
「6月4日にはインシュリン12単位 A1c5.0% 空腹時血糖107 中性脂肪86 LDL97 体重56kgになりました。 1ヶ月後、インシュリン8単位A1cは引き続き5.0%」
素晴らしい改善です。良かったです。
インスリンは絶対に必要ですが、量は少ないほど好ましいです。
44単位→8単位
インスリンが一桁になるとぐんと弊害が減り安全圏ですね。
これまで多くの研究で、インスリン抵抗性・高インスリン血症による腫瘍増殖・発ガン促進作用が示されています。
さらに有力な報告が2つ発表されました。
①2005年の第65回米国糖尿病学会でカナダのSamantha博士等が、10309名の糖尿病患者の研究成果を報告しました。
「メトフォルミン(インスリン分泌を促進させない薬)を使用しているグループに比べて、インスリンを注射しているグループは、癌死亡率が1.9倍高まる。SU剤(インスリン分泌促進剤)内服しているグループは癌死亡率が1.3倍高まる。」
この研究は高インスリン血症の発ガン促進作用を検証した研究です。
Samantha博士等は内因性であれ、外因性であれ、
「循環しているインスリンレベルが増加すると腫瘍の進展や死亡率が高まる。」
との考えを示しました。
インスリンは、人体に絶対に必要不可欠なホルモンですが、分泌量や必要量が少なくてすめば、それにこしたことはないようです。
②世界がん研究基金(ロンドン)は、太り過ぎると、7種類のがんになる危険性が高まるという報告を纏め2007年に報告しました。
同基金は、1960年以降に世界各地で書かれた50万件の研究報告から7000件を選び出し、がんと体重、食事との関係を分析した結果、
「BMI値(体重を身長の2乗で割った数値)を20~25に保つのが望ましく、肥満によって乳がんや膵臓がんのほか、直腸、食道、子宮内膜、腎臓、胆嚢のがんになり易い」
と結論づけています。
この報告も「肥満→インスリン抵抗性→高インスリン血症→発ガン」という今までの研究報告に一致するものです。
従いまして、癌の発症要因には様々なものがあるのですが、①②を考慮すれば、「高インスリン血症、インスリン抵抗性、肥満」という明白なリスクは、糖質制限食で予防できるといえます。
江部康二
2010年07月12日 (月)
こんにちは。
今回は、料理研究家さんから、お粥と血糖値、風邪と糖質制限食についてコメント・質問をいただきました。
「10/07/10 料理研究家
お粥は血糖値をあげやすい?
初めまして!
糖尿病ではないのですが、主人が空腹時血糖値高めだったこともあり、”満腹ダイエット”を手にしたことをきっかけに、夫婦で糖質制限食を始めて4ヶ月ほどたちます。職業柄外食や試作の機会も多く完全には無理ですが、それ以外の食事はスーパー糖質制限を目指し、夫婦ともに7~8kg減量できました。先生の著書もたくさん購入し、ブログも毎日参考に自己流ですががんばっています。本当にどうもありがとうございます!
現在、香港に旅行中なのですが・・・
香港人の友人と食事をしていたときに、ちらりと糖質を控えていることを話して、中でも一番糖質量が少なそうな中華粥を食べたところ、現地のTVでは白いご飯よりもおかゆやチャーハンのような再度火を通したもののほうが化学的変化で血糖値が上がる・・・というようなことを紹介していたそうです。
私は他に加える調味料や食材をのぞき、糖質の量そのものが少ないほうが少しでも糖質量が少ないかと思い、おかゆを少量食べたのですが。
調理法、加熱方法によって糖質量が増えるということはあるのでしょうか?消化がいいので吸収がいいのかな?とも思いましたが。
中国は甘めの味付け、麺・飯類が豊富で、とろみのあるものも多く、デザートの誘惑もあり、とても危険な場所です(^^;
リバウンドしない程度にせっかくの旅行、楽しみたいと思っています。
また、出発前に風邪をひいてしまい、今までなら白粥+梅干や、柔らかく煮込んだうどんなど、消化のいいものを食べていたのですが、こういう食欲がなく少し熱があるようなときには何を食べればいいのでしょうか?食欲がないので食べずに寝ていたのですが、空腹時に風邪薬を飲むと胃が荒れて・・・買い物にもいけず結局白粥を少量食べてしまいました。
少しよくなってからは湯豆腐などにしましたが。
江部先生はこういうときにはどんなものを召し上がっていらっしゃいますか?
お忙しいところ恐縮ですが、お時間があるときに教えていただけると嬉しいです。」
料理研究家さん。
本のご購入ありがとうございます。
そしてご夫婦で減量成功、おめでとうございます。
米のデンプンは、加熱によって糊化(アルファ化)し、消化・吸収しやすい形になります。従って、生の状態の米を食べても消化効率は悪いです。
例えば、故甲田先生の生菜食療法(生の玄米と生野菜だけ摂取)だと、正常人においては血糖値の上昇は、炊いた米に比べてかなり低いです。
しかし、生の玄米の粉でも所詮はデンプン(糖質)なので、糖尿人が常用量摂取すれば、血糖値はやはり200mgになります。
まあ炊いた白米と、おかゆでは、いずれもすでにアルファ化しているので、そんなに差はないと思います。
さて次に、風邪をひいたときの糖質制限食ですね。
食欲がないときのために、糖質制限OK食品の中で、あっさり系をピックアップしてみました。
京都は、お豆腐が美味しいですから私もよく食べます。冷や奴でもいいんですが、風邪ひいて寒気でもあるときは湯豆腐がお奨めですね。
温かい食品として、茶碗蒸し、卵スープ、野菜スープ、すまし汁、味噌汁、豚汁などもいいですね。いけそうだったら、おでんの大根とか豆腐とかひろうすなどは如何でしょう。
今の季節なら、冷やし茶碗蒸しも美味しそうですね。
寒い時期なら鍋もお奨めですね。
白身魚や豆腐、野菜、がんもどき・・・風邪のときでも美味しそうです。 (^_^)
豆腐を水きりしてつぶし、小さく刻んだ野菜などを混ぜ込んで丸め、油で揚げたものを 関東ではがんもどき、関西ではひろうすと呼ぶことが多いようです。ちなみに我が家ではがんもどきです。
冷たいさっぱりしたものとしては、少量の季節の旬の果物もいいです。
上述の如く水分の多い食品が中心になっています。
風邪で食欲不振のときは、脱水になりやすいので糖尿人は特に注意が必要です。上記の料理など糖質制限食OK食材で、水分・電解質(*)補給も心掛けてくださいね。
なおごま豆腐は、主成分が葛粉で、デンプンたっぷりですので、豆腐と名前が付いてますが、糖質制限食NG食品ですので、お忘れなく。
(*)
電解質は、体の細胞が正常に機能するために必要です。体は多量のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、塩化物、リン酸塩を必要とします。
江部康二
今回は、料理研究家さんから、お粥と血糖値、風邪と糖質制限食についてコメント・質問をいただきました。
「10/07/10 料理研究家
お粥は血糖値をあげやすい?
初めまして!
糖尿病ではないのですが、主人が空腹時血糖値高めだったこともあり、”満腹ダイエット”を手にしたことをきっかけに、夫婦で糖質制限食を始めて4ヶ月ほどたちます。職業柄外食や試作の機会も多く完全には無理ですが、それ以外の食事はスーパー糖質制限を目指し、夫婦ともに7~8kg減量できました。先生の著書もたくさん購入し、ブログも毎日参考に自己流ですががんばっています。本当にどうもありがとうございます!
現在、香港に旅行中なのですが・・・
香港人の友人と食事をしていたときに、ちらりと糖質を控えていることを話して、中でも一番糖質量が少なそうな中華粥を食べたところ、現地のTVでは白いご飯よりもおかゆやチャーハンのような再度火を通したもののほうが化学的変化で血糖値が上がる・・・というようなことを紹介していたそうです。
私は他に加える調味料や食材をのぞき、糖質の量そのものが少ないほうが少しでも糖質量が少ないかと思い、おかゆを少量食べたのですが。
調理法、加熱方法によって糖質量が増えるということはあるのでしょうか?消化がいいので吸収がいいのかな?とも思いましたが。
中国は甘めの味付け、麺・飯類が豊富で、とろみのあるものも多く、デザートの誘惑もあり、とても危険な場所です(^^;
リバウンドしない程度にせっかくの旅行、楽しみたいと思っています。
また、出発前に風邪をひいてしまい、今までなら白粥+梅干や、柔らかく煮込んだうどんなど、消化のいいものを食べていたのですが、こういう食欲がなく少し熱があるようなときには何を食べればいいのでしょうか?食欲がないので食べずに寝ていたのですが、空腹時に風邪薬を飲むと胃が荒れて・・・買い物にもいけず結局白粥を少量食べてしまいました。
少しよくなってからは湯豆腐などにしましたが。
江部先生はこういうときにはどんなものを召し上がっていらっしゃいますか?
お忙しいところ恐縮ですが、お時間があるときに教えていただけると嬉しいです。」
料理研究家さん。
本のご購入ありがとうございます。
そしてご夫婦で減量成功、おめでとうございます。
米のデンプンは、加熱によって糊化(アルファ化)し、消化・吸収しやすい形になります。従って、生の状態の米を食べても消化効率は悪いです。
例えば、故甲田先生の生菜食療法(生の玄米と生野菜だけ摂取)だと、正常人においては血糖値の上昇は、炊いた米に比べてかなり低いです。
しかし、生の玄米の粉でも所詮はデンプン(糖質)なので、糖尿人が常用量摂取すれば、血糖値はやはり200mgになります。
まあ炊いた白米と、おかゆでは、いずれもすでにアルファ化しているので、そんなに差はないと思います。
さて次に、風邪をひいたときの糖質制限食ですね。
食欲がないときのために、糖質制限OK食品の中で、あっさり系をピックアップしてみました。
京都は、お豆腐が美味しいですから私もよく食べます。冷や奴でもいいんですが、風邪ひいて寒気でもあるときは湯豆腐がお奨めですね。
温かい食品として、茶碗蒸し、卵スープ、野菜スープ、すまし汁、味噌汁、豚汁などもいいですね。いけそうだったら、おでんの大根とか豆腐とかひろうすなどは如何でしょう。
今の季節なら、冷やし茶碗蒸しも美味しそうですね。
寒い時期なら鍋もお奨めですね。
白身魚や豆腐、野菜、がんもどき・・・風邪のときでも美味しそうです。 (^_^)
豆腐を水きりしてつぶし、小さく刻んだ野菜などを混ぜ込んで丸め、油で揚げたものを 関東ではがんもどき、関西ではひろうすと呼ぶことが多いようです。ちなみに我が家ではがんもどきです。
冷たいさっぱりしたものとしては、少量の季節の旬の果物もいいです。
上述の如く水分の多い食品が中心になっています。
風邪で食欲不振のときは、脱水になりやすいので糖尿人は特に注意が必要です。上記の料理など糖質制限食OK食材で、水分・電解質(*)補給も心掛けてくださいね。
なおごま豆腐は、主成分が葛粉で、デンプンたっぷりですので、豆腐と名前が付いてますが、糖質制限食NG食品ですので、お忘れなく。
(*)
電解質は、体の細胞が正常に機能するために必要です。体は多量のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、塩化物、リン酸塩を必要とします。
江部康二
2010年07月11日 (日)
上戸の皆さん、こんばんは。
2010年7月、dancyu特別編集 満腹ダイエットの第二弾、
「酒飲みダイエット」(プレジデント社)
が出版されました。
私とNPO糖質制限食ネットリボーン理事・大柳珠美管理栄養士の共同監修です。
家族の評判はいまいちなのですが、恥ずかしながら、江部康二のほろ酔い~酔っぱらい写真も載ってます。
dancyu編集長の町田さんは糖質制限食実践3週間で、体重5kg減という実績の持ち主です。
もちろん、その間、毎日、お酒は飲んでおられます。
町田さんと大柳珠美さんの対談も載ってますので、是非ご一読頂けば幸いです。。
お酒は、糖質制限食では、とても重要なツールです。
主食がなく、おかずばっかり食べる、という食べ方に違和感のある方も多いのですが、酒飲みは、もともと、おかずを食べながらお酒を飲むので、その違和感がありません。
お酒が、うまいこと食事のバランスをとってくれているわけですね。
そして面白いことに、お酒の原料は、たいてい糖質のカタマリです。
芋、米、麦、ぶどう、とうもろこしなどなど、これら糖質のかたまりが、蒸留という過程を経て、ピュアなうまみある糖質ゼロの液体に変わるというのも、とても興味深いです。
偶然できたのか、人間が意図的に作り出したのかはわかりませんが、蒸留酒は、糖質制限食の最高傑作かもしれませんね。
お酒と糖質制限食という意味では、この一冊もお忘れなく。
「血糖値を上げない! 健康おつまみ109 」(東洋経済新報社)
糖質制限食シリーズ最多の109レシピ収載です。
こちらは、江部康二監修で、大柳珠美管理栄養士著です。
以下は、「血糖値を上げない! 健康おつまみ109 」の「はじめに」と「おわりに」です。
はじめに
いよいよ待望のおつまみレシピの出版にこぎつけました。お酒好きの私としては嬉しい限りです。「美味しく楽しく糖質制限食」がモットーですから、下戸の方には申し訳ないのですが、上戸にとっては食事とお酒はきってもきれない必需品です。
糖質制限食を希望して高雄病院を受診される糖尿人、今まで通院されていた病院ではたいていお酒は禁止されています。高雄病院初診時に、「糖質制限食では糖尿人でもお酒は飲んでも構わないんですよ。」と私が説明すると、思わずおじさん(おばさま)の目が輝きます。診察が終わって退出されるときも、「本当にお酒飲んでもいいんですね。嘘ついたら泣きますよ、怒りますよ。」などとしっかり確認して帰られます。
このようにほとんどの病院では糖尿人にお酒は禁止されているのが日本の現状ですが、実はエチルアルコールそのものは全く血糖値を上昇させません。ですから蒸留酒(焼酎・ウィスキー・ブランデーなど)は全く血糖値をあげません。焼酎の原料が芋でも黒糖でも麦でも米でも、製造工程の仕上げで蒸留したときに糖質はゼロとなるからです。
一方、醸造酒は糖質を含んでいて血糖値を上昇させるので、糖質制限食的に注意が必要です。例えば缶ビール350mlには12~14gの糖質が含まれています。醸造酒の中でもビールが特に良くないのは、量を飲んでしまうからです。
日本酒にも糖質は含まれていますが100ml中に5gくらいですのでお猪口でちょこちょこ嗜む程度なら大丈夫です。しかし2合も飲んだら糖質18gです。ワインはものにより差はありますが、赤で100ml中に1.5gの糖質で、白は2gです。レストランでグラスに注いでくれるワインが調度100mlくらいですので、こちらも嗜む程度ならOKです。
最近は糖質ゼロの発泡酒や糖質ゼロの日本酒も発売されているので重宝です。糖質制限食は血糖値の改善やダイエットに効果抜群なのですが、残念ながら2~3割ぐらいの人が脱落してしまいます。脱落者のほとんどが下戸で甘党の方です。
これに対して上戸の糖質制限食成功率は9割以上と思います。お酒が飲めるというアドバンデージが他のもろもろのことを遙かに上回るということです。
清く正しくより美味しく楽しく糖質制限食です。従来のカロリー制限食のひもじくて味気なくてお酒もだめで我慢に我慢を一生続けるパターンに比べたら、脂ののったとろや、バターこってりのステーキも食べ放題で、お酒も飲める糖質制限食は極楽のようなものです。糖尿人・メタボ人の皆さん、是非糖質制限食ライフをお始め下さい。
おわりに
本書は私の朋友でお酒大好き人間の管理栄養士・大柳珠美さんが長年?温めてきたおつまみレシピの集大成です。大柳さんご自身が、食べながら飲みながらしっかり何度も味わって、おつまみの美味しさとお酒の相性を確認して精選した極上の一品が勢揃いしています。
私は2005年以降、10冊の糖質制限食の本を、出版あるいは監修してきました。大柳さんとの共著本も2冊あります。2009年5月のNPO法人糖質制限食ネット・リボーン主催の東京講演会の前夜祭で、糖質制限食をつまみながら焼酎や赤ワインを飲みながら、「そろそろまた二人で本でもだそうか。」と盛り上がっていき、テーマは何にしようかとなり、今まで出してないものということで、すんなりおつまみレシピに決まりました。
大柳さん、私が知る限り女性では3指に入る酒豪です。そのお酒とおつまみにかける情熱は半端ではありません。本書には、とてもきれいで大きな写真とわかりやすいレシピが満載です。まさに適材適所、書くべき人がしかるべき時を得て渾身の力を注ぎ込んだ珠玉の本を全国の上戸の皆さんに捧げます。
江部康二
2010年7月、dancyu特別編集 満腹ダイエットの第二弾、
「酒飲みダイエット」(プレジデント社)
が出版されました。
私とNPO糖質制限食ネットリボーン理事・大柳珠美管理栄養士の共同監修です。
家族の評判はいまいちなのですが、恥ずかしながら、江部康二のほろ酔い~酔っぱらい写真も載ってます。
dancyu編集長の町田さんは糖質制限食実践3週間で、体重5kg減という実績の持ち主です。
もちろん、その間、毎日、お酒は飲んでおられます。
町田さんと大柳珠美さんの対談も載ってますので、是非ご一読頂けば幸いです。。
お酒は、糖質制限食では、とても重要なツールです。
主食がなく、おかずばっかり食べる、という食べ方に違和感のある方も多いのですが、酒飲みは、もともと、おかずを食べながらお酒を飲むので、その違和感がありません。
お酒が、うまいこと食事のバランスをとってくれているわけですね。
そして面白いことに、お酒の原料は、たいてい糖質のカタマリです。
芋、米、麦、ぶどう、とうもろこしなどなど、これら糖質のかたまりが、蒸留という過程を経て、ピュアなうまみある糖質ゼロの液体に変わるというのも、とても興味深いです。
偶然できたのか、人間が意図的に作り出したのかはわかりませんが、蒸留酒は、糖質制限食の最高傑作かもしれませんね。
お酒と糖質制限食という意味では、この一冊もお忘れなく。
「血糖値を上げない! 健康おつまみ109 」(東洋経済新報社)
糖質制限食シリーズ最多の109レシピ収載です。
こちらは、江部康二監修で、大柳珠美管理栄養士著です。
以下は、「血糖値を上げない! 健康おつまみ109 」の「はじめに」と「おわりに」です。
はじめに
いよいよ待望のおつまみレシピの出版にこぎつけました。お酒好きの私としては嬉しい限りです。「美味しく楽しく糖質制限食」がモットーですから、下戸の方には申し訳ないのですが、上戸にとっては食事とお酒はきってもきれない必需品です。
糖質制限食を希望して高雄病院を受診される糖尿人、今まで通院されていた病院ではたいていお酒は禁止されています。高雄病院初診時に、「糖質制限食では糖尿人でもお酒は飲んでも構わないんですよ。」と私が説明すると、思わずおじさん(おばさま)の目が輝きます。診察が終わって退出されるときも、「本当にお酒飲んでもいいんですね。嘘ついたら泣きますよ、怒りますよ。」などとしっかり確認して帰られます。
このようにほとんどの病院では糖尿人にお酒は禁止されているのが日本の現状ですが、実はエチルアルコールそのものは全く血糖値を上昇させません。ですから蒸留酒(焼酎・ウィスキー・ブランデーなど)は全く血糖値をあげません。焼酎の原料が芋でも黒糖でも麦でも米でも、製造工程の仕上げで蒸留したときに糖質はゼロとなるからです。
一方、醸造酒は糖質を含んでいて血糖値を上昇させるので、糖質制限食的に注意が必要です。例えば缶ビール350mlには12~14gの糖質が含まれています。醸造酒の中でもビールが特に良くないのは、量を飲んでしまうからです。
日本酒にも糖質は含まれていますが100ml中に5gくらいですのでお猪口でちょこちょこ嗜む程度なら大丈夫です。しかし2合も飲んだら糖質18gです。ワインはものにより差はありますが、赤で100ml中に1.5gの糖質で、白は2gです。レストランでグラスに注いでくれるワインが調度100mlくらいですので、こちらも嗜む程度ならOKです。
最近は糖質ゼロの発泡酒や糖質ゼロの日本酒も発売されているので重宝です。糖質制限食は血糖値の改善やダイエットに効果抜群なのですが、残念ながら2~3割ぐらいの人が脱落してしまいます。脱落者のほとんどが下戸で甘党の方です。
これに対して上戸の糖質制限食成功率は9割以上と思います。お酒が飲めるというアドバンデージが他のもろもろのことを遙かに上回るということです。
清く正しくより美味しく楽しく糖質制限食です。従来のカロリー制限食のひもじくて味気なくてお酒もだめで我慢に我慢を一生続けるパターンに比べたら、脂ののったとろや、バターこってりのステーキも食べ放題で、お酒も飲める糖質制限食は極楽のようなものです。糖尿人・メタボ人の皆さん、是非糖質制限食ライフをお始め下さい。
おわりに
本書は私の朋友でお酒大好き人間の管理栄養士・大柳珠美さんが長年?温めてきたおつまみレシピの集大成です。大柳さんご自身が、食べながら飲みながらしっかり何度も味わって、おつまみの美味しさとお酒の相性を確認して精選した極上の一品が勢揃いしています。
私は2005年以降、10冊の糖質制限食の本を、出版あるいは監修してきました。大柳さんとの共著本も2冊あります。2009年5月のNPO法人糖質制限食ネット・リボーン主催の東京講演会の前夜祭で、糖質制限食をつまみながら焼酎や赤ワインを飲みながら、「そろそろまた二人で本でもだそうか。」と盛り上がっていき、テーマは何にしようかとなり、今まで出してないものということで、すんなりおつまみレシピに決まりました。
大柳さん、私が知る限り女性では3指に入る酒豪です。そのお酒とおつまみにかける情熱は半端ではありません。本書には、とてもきれいで大きな写真とわかりやすいレシピが満載です。まさに適材適所、書くべき人がしかるべき時を得て渾身の力を注ぎ込んだ珠玉の本を全国の上戸の皆さんに捧げます。
江部康二
2010年07月10日 (土)
こんにちは。
今回は、とんとんさんから、胡椒と糖質制限食について、コメント・質問をいただきました。
「10/07/10 とんとん
はじめましてとんとんです。質問させてください。最近になって江部先生のことと糖質制限食のことを知りました。それがきっかけでインターネットで食品に含まれている糖質について調べていたら胡椒のことでわからないことがありました。あるサイトには胡椒はGI値が高いから糖質制限をしている人は避けるべきと書いてあり、それとは別のサイトには胡椒は確かにGI値が高いがとろうと思ってもたくさんとれるものではないので気にする必要はないと書いてあり、さらに胡椒は代謝を良くして血糖値を下げる効果があるので糖質制限をしている人こそ胡椒を食べた方がいいと書いてあるサイトもあります。どれが正しい情報なのでしょうか?三つとも間違った情報なんでしょうか?教えて頂けるとうれしいです。」
とんとんさん。
胡椒の常用量は約0.1gです。
胡椒ドバドバかけても、まあ0.1gくらいのものでしょう。
100gあたりの糖質含有量は68.3gと多いのですが、常用量の胡椒0.1gあたりの糖質含有量は約0.07gです。
まずは常用量の胡椒は、糖質制限食でもOK食材ですね。
私も家でステーキや焼き肉のときは、塩・胡椒で味付けして、とばやの味付けポン酢と大根おろしで食べています。
それから胡椒のGI値そのものが、ありえません。
GI値は、糖質50gを含む食品を摂取して、基準となる食品(ブドウ糖)と比較して決定します。
糖質50gを含む胡椒というと、73gの胡椒を単味で摂取するという驚異的な舌と胃袋が必要です。ヾ(゜▽゜)
いったいどうやって食べて計算したのでしょうね。
なお、胡椒が血糖値を下げるという文献は、私は見たことがありません。
江部康二
今回は、とんとんさんから、胡椒と糖質制限食について、コメント・質問をいただきました。
「10/07/10 とんとん
はじめましてとんとんです。質問させてください。最近になって江部先生のことと糖質制限食のことを知りました。それがきっかけでインターネットで食品に含まれている糖質について調べていたら胡椒のことでわからないことがありました。あるサイトには胡椒はGI値が高いから糖質制限をしている人は避けるべきと書いてあり、それとは別のサイトには胡椒は確かにGI値が高いがとろうと思ってもたくさんとれるものではないので気にする必要はないと書いてあり、さらに胡椒は代謝を良くして血糖値を下げる効果があるので糖質制限をしている人こそ胡椒を食べた方がいいと書いてあるサイトもあります。どれが正しい情報なのでしょうか?三つとも間違った情報なんでしょうか?教えて頂けるとうれしいです。」
とんとんさん。
胡椒の常用量は約0.1gです。
胡椒ドバドバかけても、まあ0.1gくらいのものでしょう。
100gあたりの糖質含有量は68.3gと多いのですが、常用量の胡椒0.1gあたりの糖質含有量は約0.07gです。
まずは常用量の胡椒は、糖質制限食でもOK食材ですね。
私も家でステーキや焼き肉のときは、塩・胡椒で味付けして、とばやの味付けポン酢と大根おろしで食べています。
それから胡椒のGI値そのものが、ありえません。
GI値は、糖質50gを含む食品を摂取して、基準となる食品(ブドウ糖)と比較して決定します。
糖質50gを含む胡椒というと、73gの胡椒を単味で摂取するという驚異的な舌と胃袋が必要です。ヾ(゜▽゜)
いったいどうやって食べて計算したのでしょうね。
なお、胡椒が血糖値を下げるという文献は、私は見たことがありません。
江部康二
2010年07月09日 (金)
こんんちは。
私の朋友、糖質制限食ネット・リボーン理事、管理栄養士の大柳珠美さんが、
2010年7月、新しいレシピ本
「血糖値が高い人と家族のための大満足レシピ」(日本文芸社)
いつも我慢じゃ、正直しんどい。
みんなの悩みに、糖質制限食が応えます。
を上梓致されました。
これまで、
「糖質オフのごちそうごはん」(アスペクト)
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」(東洋経済新報社)
と2冊のレシピ本を、江部康二とのコンビで出版してきましたが、今回は大柳珠美さん、初の単独本です。
「血糖値が高い人と家族のための大満足レシピ」の特徴は、実際に糖質制限食を実践している方に取材して、糖質制限食を続けていく中で困っていることや悩みを聞いて、その悩みを解決するレシピが掲載されていることです。
例えば、
「糖質制限をしていても、やはり主食は食べたい!」に応えるレシピ。
「痩せてしまうのでカロリーを摂りたい!」に応えるレシピ。
「手早く簡単にできるスピードおかずが知りたい!」に応えるレシピ。
「家族の糖質食と別々に糖質制限食を作るのは面倒!」に応えるレシピ。
「糖質制限食は食費がかかって大変!」に応えるレシピなどなど、
悩みが章仕立てになっていて、それに応える糖質制限なレシピが掲載されています。
さらに
「糖質制限食に役立つお店ガイド」や「糖質制限に役立つ市販品ベスト24」
などの情報も充実しています。
そして、糖質制限食を実践しておられる皆さんに取材した、おすすめ糖質制限レシピも掲載されています。
美味しく楽しい糖質制限食の実践に、本書が必ず役立つことと思います。是非、ご一読のほどを!
江部康二
私の朋友、糖質制限食ネット・リボーン理事、管理栄養士の大柳珠美さんが、
2010年7月、新しいレシピ本
「血糖値が高い人と家族のための大満足レシピ」(日本文芸社)
いつも我慢じゃ、正直しんどい。
みんなの悩みに、糖質制限食が応えます。
を上梓致されました。
これまで、
「糖質オフのごちそうごはん」(アスペクト)
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」(東洋経済新報社)
と2冊のレシピ本を、江部康二とのコンビで出版してきましたが、今回は大柳珠美さん、初の単独本です。
「血糖値が高い人と家族のための大満足レシピ」の特徴は、実際に糖質制限食を実践している方に取材して、糖質制限食を続けていく中で困っていることや悩みを聞いて、その悩みを解決するレシピが掲載されていることです。
例えば、
「糖質制限をしていても、やはり主食は食べたい!」に応えるレシピ。
「痩せてしまうのでカロリーを摂りたい!」に応えるレシピ。
「手早く簡単にできるスピードおかずが知りたい!」に応えるレシピ。
「家族の糖質食と別々に糖質制限食を作るのは面倒!」に応えるレシピ。
「糖質制限食は食費がかかって大変!」に応えるレシピなどなど、
悩みが章仕立てになっていて、それに応える糖質制限なレシピが掲載されています。
さらに
「糖質制限食に役立つお店ガイド」や「糖質制限に役立つ市販品ベスト24」
などの情報も充実しています。
そして、糖質制限食を実践しておられる皆さんに取材した、おすすめ糖質制限レシピも掲載されています。
美味しく楽しい糖質制限食の実践に、本書が必ず役立つことと思います。是非、ご一読のほどを!
江部康二
2010年07月08日 (木)
こんばんは。
登山と糖質制限食について、wakaさんとまつださんから、コメントをいただきました。
日頃スーパー糖質制限食を実践していると、ほとんど行動食もいらないようですね。
お二人とも山登りを日常的にしておられるので、お話しに説得力があります。
wakaさんとまつださん、貴重なアドバイスありがとうございます。
私などは、1~2週間に1回、日曜日にテニスするぐらいで山も登りませんので、実体験がありません。
まあ、wakaさんとまつださんはかなり鍛えられているタイプなので、ごくたまに山登りする一般の人は、行動食として「スーパー糖質制限食+ナッツ類」が無難かもしれませんね。
江部康二
「10/07/08 waka
登山での行動食
江部先生、コメントはご無沙汰ですが、ブログは毎日見させていただいています。
私はほぼ毎週山に登っていますが、行動食は持って行きません。6時間から8時間程度の行動で空腹感や疲れは出ません。
水出しほうじ茶を、夏場は2L、冬は1L持って行きます。非常用と塩分補給用でマヨネーズを1本ザックに入れてあります。普通の人の非常食はチョコレートなどが多いですが。
普段も朝晩の2食のみで、スーパー糖質制限食です。糖質制限も1年半を過ぎか体が脂肪代謝にしっかりなっています。」
「10/07/08 まつだ
登山での行動食について
>りんりんさん
「糖質制限食で持久力向上」、「運動とエネルギー源⑦ 朝食を摂らずにハーフマラソン」を紹介していただいた、松田と申します。
記事ではマラソンについて書いていますが、山岳会に所属し登山愛好家でもあります。ただし普通の登山というより、走りをとりいれた山岳ランニングという範疇ですが。
もっぱらのトレーニングでは京都の愛宕山標高約900m(往復2時間強ていど)に、ほぼ毎週登っていますが、朝食は食べず、行動中の補給もしていません。体が慣れているのでこのようなことが可能となります。
ただし、ここで注意すべき点として、強度をあげないということです。よほどレース前で追い込まない限り、息が荒れるほど強度をあげません。心拍計を用いて厳密に強度管理をしています。普通の登山でここまでするのは大変なので、特に登りでは基本はニコニコおしゃべりができるペース、ややゆっくりと感じるぐらい、普段駅の階段を上る半分ぐらいのスピードがよいでしょう。
登山の経験者ほどゆっくり登ります。習慣化すると、低い強度でも、速く登れるようになってきます。無理して速く登るのと、無理をしなくても自然に速いペースで登れるのとでは意味合いが違います。
また、強度を上げてしまうと解糖系が働くので、糖質にたよってしまうことになるのです。
2hまでなら補給なしといいましたが、たとえば行動時間が10時間などになってくると、どんなに強度管理をしてもお腹は空いてきます。
その場合、レースなど時間的制約がある場合、ゼリーなどの吸収性のよい糖質を利用しますが、ゆっくり登山であるならば、江部先生のおっしゃるように、ナッツ等で十分かと思います。
小難しくかいて分かりにくいのですが、こちらの記事もご参考ください。
http://kyoto-trailrun.lolipop.jp/main/2008/08/post_347.html」
登山と糖質制限食について、wakaさんとまつださんから、コメントをいただきました。
日頃スーパー糖質制限食を実践していると、ほとんど行動食もいらないようですね。
お二人とも山登りを日常的にしておられるので、お話しに説得力があります。
wakaさんとまつださん、貴重なアドバイスありがとうございます。
私などは、1~2週間に1回、日曜日にテニスするぐらいで山も登りませんので、実体験がありません。
まあ、wakaさんとまつださんはかなり鍛えられているタイプなので、ごくたまに山登りする一般の人は、行動食として「スーパー糖質制限食+ナッツ類」が無難かもしれませんね。
江部康二
「10/07/08 waka
登山での行動食
江部先生、コメントはご無沙汰ですが、ブログは毎日見させていただいています。
私はほぼ毎週山に登っていますが、行動食は持って行きません。6時間から8時間程度の行動で空腹感や疲れは出ません。
水出しほうじ茶を、夏場は2L、冬は1L持って行きます。非常用と塩分補給用でマヨネーズを1本ザックに入れてあります。普通の人の非常食はチョコレートなどが多いですが。
普段も朝晩の2食のみで、スーパー糖質制限食です。糖質制限も1年半を過ぎか体が脂肪代謝にしっかりなっています。」
「10/07/08 まつだ
登山での行動食について
>りんりんさん
「糖質制限食で持久力向上」、「運動とエネルギー源⑦ 朝食を摂らずにハーフマラソン」を紹介していただいた、松田と申します。
記事ではマラソンについて書いていますが、山岳会に所属し登山愛好家でもあります。ただし普通の登山というより、走りをとりいれた山岳ランニングという範疇ですが。
もっぱらのトレーニングでは京都の愛宕山標高約900m(往復2時間強ていど)に、ほぼ毎週登っていますが、朝食は食べず、行動中の補給もしていません。体が慣れているのでこのようなことが可能となります。
ただし、ここで注意すべき点として、強度をあげないということです。よほどレース前で追い込まない限り、息が荒れるほど強度をあげません。心拍計を用いて厳密に強度管理をしています。普通の登山でここまでするのは大変なので、特に登りでは基本はニコニコおしゃべりができるペース、ややゆっくりと感じるぐらい、普段駅の階段を上る半分ぐらいのスピードがよいでしょう。
登山の経験者ほどゆっくり登ります。習慣化すると、低い強度でも、速く登れるようになってきます。無理して速く登るのと、無理をしなくても自然に速いペースで登れるのとでは意味合いが違います。
また、強度を上げてしまうと解糖系が働くので、糖質にたよってしまうことになるのです。
2hまでなら補給なしといいましたが、たとえば行動時間が10時間などになってくると、どんなに強度管理をしてもお腹は空いてきます。
その場合、レースなど時間的制約がある場合、ゼリーなどの吸収性のよい糖質を利用しますが、ゆっくり登山であるならば、江部先生のおっしゃるように、ナッツ等で十分かと思います。
小難しくかいて分かりにくいのですが、こちらの記事もご参考ください。
http://kyoto-trailrun.lolipop.jp/main/2008/08/post_347.html」
2010年07月07日 (水)
こんにちは。
今回は、登山とスーパー糖質制限食についてりんりんさんからコメント・質問をいただきました。
「10/07/07 りんりん
登山のシャリバテって?
野菜を先に食べると血糖値が上がりにくい、っていうのは本当だったんですね。
興味深いです。
わたしは先生の本をよんで、基本的にスーパー糖質制限食なのですが、こんど山登りに挑戦することになりました。
そうすると、『炭水化物をとらないとシャリバテするから』と、おにぎりやパン、飴、チョコレート、クッキーなど、普段食べない食べ物をしっかりとるように注意をうけました。
休憩時間にちょこっと食べて、すぐ動くことになるので、血中の糖を消費して血糖値は上がりにくいと思います。
でも、わたしは炭水化物中毒&アレルギー気味なので、食欲がとまらなくなったらどうしよう、アレルギーがでたらどうしよう、でもでも、シャリバテしてまわりに迷惑かけるのもわるいし・・・
と悩み中です。
普段から糖質制限食で糖新生になれていると、炭水化物をとらなくても登山ができるでしょうか?」
りんりんさん。
普通に健康だったご先祖様なら、100万年前には、1ヶ月くらい水だけで野山を駆けめぐり、狩りをしていたでしょうね。
脂肪酸-ケトン体を主エネルギー源にすれば、備蓄たっぷりなので、水だけでも1ヶ月OKなのです。
赤血球のために絶対に必要なブドウ糖は、肝臓が糖新生で造ってくれます。
3食糖質を摂取している今の文明人は、なかなかそうはいきませんよね。
一方、他のブログ読者からもコメントいただきましたが、糖質制限食で明らかに持久力が向上します。
(2007年12月04日のブログ「 糖質制限食で持久力向上」、2008年02月15日のブログ「運動とエネルギー源⑦ 朝食を摂らずにハーフマラソン」もご参照くださいね。)
登山や長距離を走ったり泳いだりとか、持久力が必要なスポーツは、脂肪酸をエネルギー源として上手に使わなければ1~2時間で、筋肉中のグリコーゲンが枯渇して足が棒のようになり、動けなくなります。グリコーゲンはブドウ糖の集合体です。
筋肉中に蓄えられているグリコーゲンは、体重60kg、体脂肪率20%の標準的な男性で、約300g、1200キロカロリーしかありませんから、これをメインに利用してしまえば1~2時間しかもたないわけです。
心筋や骨格筋は、安静時や歩行時は、主として脂肪酸-ケトン体を主エネルギー源として利用していて、ブドウ糖はあまり利用していません。
しかし、一般人は、あるていど心拍数が上昇するような運動になると、筋肉中のグリコーゲンを、手っ取り早くブドウ糖に変えてエネルギー源にしてしまい、脂肪酸をあまり利用しなくなりますから、すぐに上述のようなエネルギー切れになってしまい、スタミナが続かないわけです。
一方、鍛えてある一流スポーツ選手は、少々心拍数が上昇しても脂肪酸をエネルギー源として利用し続けることができますから、筋肉中のグリコーゲンを節約できて、最後のラストスパートでしっかり利用できるわけです。ラストスパートのような、全力疾走とか瞬発力が必要な時は、筋肉はブドウ糖を利用します。
スポーツ選手は、一般人に比べれば、体脂肪率は低いですが、筋肉中の脂肪は増えています。筋肉中の脂肪は、総体脂肪量に対する割合はごく小さいですが、これがどうやら持久力の向上にあるていど関係しているようです。
持久運動の後には、筋肉内の脂肪蓄積は、減少していることが示されています。
筋肉細胞では、脂肪はミトコンドリア近くに局在する小さな脂肪滴中に、トリグリセリドとして蓄積されているそうです。
一流スポーツ選手ほどは鍛えてなくても、スーパー糖質制限食を実践していると、脂肪酸-ケトン体のシステムを日常的に利用するようになるので、運動中にも効率よく脂肪をエネルギー源として利用できます。これにより、筋肉中のグリコーゲンを節約できて、持久力増強につながると考えられます。
りんりんさんの山登りですが、スーパー糖質制限食で持続的スタミナは増しているはずですから、今までより楽に歩けると思いますよ。(^◇^)
おにぎりやパン、飴、チョコレート、クッキーなどの精製炭水化物を摂取すると、
「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」
から
「ブドウ糖-グリコーゲンエネルギーシステム」
に切り替わってしまうので、瞬間元気でも持久力は低下し、すぐに空腹になり、また食べてという繰り返しで疲れやすくなります。
登山中は、ミックスナッツをちょこちょこ食べて、脂質、タンパク質、少量の糖質、少量の塩分を補充し、お茶などで水分補給します。
これなら食後高血糖がほとんど生じないので、「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」も維持されつつ、適宜エネルギーも補給できます。
また、炭水化物依存&アレルギー気味なのもだいじょうぶです。
りんりんさん、このような作戦で、山頂を目指してくださいね。
江部康二
今回は、登山とスーパー糖質制限食についてりんりんさんからコメント・質問をいただきました。
「10/07/07 りんりん
登山のシャリバテって?
野菜を先に食べると血糖値が上がりにくい、っていうのは本当だったんですね。
興味深いです。
わたしは先生の本をよんで、基本的にスーパー糖質制限食なのですが、こんど山登りに挑戦することになりました。
そうすると、『炭水化物をとらないとシャリバテするから』と、おにぎりやパン、飴、チョコレート、クッキーなど、普段食べない食べ物をしっかりとるように注意をうけました。
休憩時間にちょこっと食べて、すぐ動くことになるので、血中の糖を消費して血糖値は上がりにくいと思います。
でも、わたしは炭水化物中毒&アレルギー気味なので、食欲がとまらなくなったらどうしよう、アレルギーがでたらどうしよう、でもでも、シャリバテしてまわりに迷惑かけるのもわるいし・・・
と悩み中です。
普段から糖質制限食で糖新生になれていると、炭水化物をとらなくても登山ができるでしょうか?」
りんりんさん。
普通に健康だったご先祖様なら、100万年前には、1ヶ月くらい水だけで野山を駆けめぐり、狩りをしていたでしょうね。
脂肪酸-ケトン体を主エネルギー源にすれば、備蓄たっぷりなので、水だけでも1ヶ月OKなのです。
赤血球のために絶対に必要なブドウ糖は、肝臓が糖新生で造ってくれます。
3食糖質を摂取している今の文明人は、なかなかそうはいきませんよね。
一方、他のブログ読者からもコメントいただきましたが、糖質制限食で明らかに持久力が向上します。
(2007年12月04日のブログ「 糖質制限食で持久力向上」、2008年02月15日のブログ「運動とエネルギー源⑦ 朝食を摂らずにハーフマラソン」もご参照くださいね。)
登山や長距離を走ったり泳いだりとか、持久力が必要なスポーツは、脂肪酸をエネルギー源として上手に使わなければ1~2時間で、筋肉中のグリコーゲンが枯渇して足が棒のようになり、動けなくなります。グリコーゲンはブドウ糖の集合体です。
筋肉中に蓄えられているグリコーゲンは、体重60kg、体脂肪率20%の標準的な男性で、約300g、1200キロカロリーしかありませんから、これをメインに利用してしまえば1~2時間しかもたないわけです。
心筋や骨格筋は、安静時や歩行時は、主として脂肪酸-ケトン体を主エネルギー源として利用していて、ブドウ糖はあまり利用していません。
しかし、一般人は、あるていど心拍数が上昇するような運動になると、筋肉中のグリコーゲンを、手っ取り早くブドウ糖に変えてエネルギー源にしてしまい、脂肪酸をあまり利用しなくなりますから、すぐに上述のようなエネルギー切れになってしまい、スタミナが続かないわけです。
一方、鍛えてある一流スポーツ選手は、少々心拍数が上昇しても脂肪酸をエネルギー源として利用し続けることができますから、筋肉中のグリコーゲンを節約できて、最後のラストスパートでしっかり利用できるわけです。ラストスパートのような、全力疾走とか瞬発力が必要な時は、筋肉はブドウ糖を利用します。
スポーツ選手は、一般人に比べれば、体脂肪率は低いですが、筋肉中の脂肪は増えています。筋肉中の脂肪は、総体脂肪量に対する割合はごく小さいですが、これがどうやら持久力の向上にあるていど関係しているようです。
持久運動の後には、筋肉内の脂肪蓄積は、減少していることが示されています。
筋肉細胞では、脂肪はミトコンドリア近くに局在する小さな脂肪滴中に、トリグリセリドとして蓄積されているそうです。
一流スポーツ選手ほどは鍛えてなくても、スーパー糖質制限食を実践していると、脂肪酸-ケトン体のシステムを日常的に利用するようになるので、運動中にも効率よく脂肪をエネルギー源として利用できます。これにより、筋肉中のグリコーゲンを節約できて、持久力増強につながると考えられます。
りんりんさんの山登りですが、スーパー糖質制限食で持続的スタミナは増しているはずですから、今までより楽に歩けると思いますよ。(^◇^)
おにぎりやパン、飴、チョコレート、クッキーなどの精製炭水化物を摂取すると、
「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」
から
「ブドウ糖-グリコーゲンエネルギーシステム」
に切り替わってしまうので、瞬間元気でも持久力は低下し、すぐに空腹になり、また食べてという繰り返しで疲れやすくなります。
登山中は、ミックスナッツをちょこちょこ食べて、脂質、タンパク質、少量の糖質、少量の塩分を補充し、お茶などで水分補給します。
これなら食後高血糖がほとんど生じないので、「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」も維持されつつ、適宜エネルギーも補給できます。
また、炭水化物依存&アレルギー気味なのもだいじょうぶです。
りんりんさん、このような作戦で、山頂を目指してくださいね。
江部康二
2010年07月06日 (火)
おはようございます。
2010年7月4日(日)、『第9回日本GI研究会』が東京慈恵医大 大学1号館3階講堂で開催されました。
医師、栄養士を中心に240数名の参加があり大盛況でした。
私も16:40~17:50まで、
特別講演「糖質制限食基礎理論の展開と糖尿病治療」
と題してお話しさせていただき、活発な質疑応答もありました。
たくさんの医師や栄養士の方々に、糖質制限食のお話しをする機会を与えていただき、嬉しい限りでした。
少しずつでもいいので、医師や栄養士に糖質制限食に対する理解が広がっていくことを望んでやみません。
この場を借りて、日本GI(Glycemic Index)研究会世話人代表の田中照二先生に御礼申し上げます。
今後、テーラーメド・ダイエットの枠組みの中で、糖質制限食と低GI食とをうまく使い分けていくことが、日本あるいは、世界の食事療法の王道と考えています。
「オリーブオイルたっぷりの野菜サラダを10分かけてゆっくり食べて、その後白いご飯を摂取すると、血糖値上昇のピークが2割くらい下がる。白米をさきに食べて後で野菜サラダだと、白米単独のときと血糖値上昇のピークは不変である。」
という報告など、正常人のデータですが興味深かったです。複数の食材を食べる時は、順序により血糖値上昇のピークが違ってくるのですね。
「肝硬変の重症の場合は肝臓のグリコーゲンの備蓄がほとんどなくて、糖新生もうまくいかないので、早朝空腹時に低血糖になりやすい」
という報告もありました。
そうすると、肝硬変の場合には、糖質制限食を実践すれば低血糖の恐れがあります。
肝硬変の場合は、糖質制限食は禁忌ということになります。
ラカントSのサラヤさんも、来ておられ、「糖尿人でも血糖値が上昇しにくい米を開発中」とのことでした。
早速送ってもらって、江部康二で人体実験をしてブログで報告したいとお思います。
江部康二
2010年7月4日(日)、『第9回日本GI研究会』が東京慈恵医大 大学1号館3階講堂で開催されました。
医師、栄養士を中心に240数名の参加があり大盛況でした。
私も16:40~17:50まで、
特別講演「糖質制限食基礎理論の展開と糖尿病治療」
と題してお話しさせていただき、活発な質疑応答もありました。
たくさんの医師や栄養士の方々に、糖質制限食のお話しをする機会を与えていただき、嬉しい限りでした。
少しずつでもいいので、医師や栄養士に糖質制限食に対する理解が広がっていくことを望んでやみません。
この場を借りて、日本GI(Glycemic Index)研究会世話人代表の田中照二先生に御礼申し上げます。
今後、テーラーメド・ダイエットの枠組みの中で、糖質制限食と低GI食とをうまく使い分けていくことが、日本あるいは、世界の食事療法の王道と考えています。
「オリーブオイルたっぷりの野菜サラダを10分かけてゆっくり食べて、その後白いご飯を摂取すると、血糖値上昇のピークが2割くらい下がる。白米をさきに食べて後で野菜サラダだと、白米単独のときと血糖値上昇のピークは不変である。」
という報告など、正常人のデータですが興味深かったです。複数の食材を食べる時は、順序により血糖値上昇のピークが違ってくるのですね。
「肝硬変の重症の場合は肝臓のグリコーゲンの備蓄がほとんどなくて、糖新生もうまくいかないので、早朝空腹時に低血糖になりやすい」
という報告もありました。
そうすると、肝硬変の場合には、糖質制限食を実践すれば低血糖の恐れがあります。
肝硬変の場合は、糖質制限食は禁忌ということになります。
ラカントSのサラヤさんも、来ておられ、「糖尿人でも血糖値が上昇しにくい米を開発中」とのことでした。
早速送ってもらって、江部康二で人体実験をしてブログで報告したいとお思います。
江部康二