2010年06月30日 (水)
おはようございます。
今回は、suguruさんから、「糖尿病が治った?」というコメント・質問をいただきました。
「10/06/22 suguru
ご報告。
こんにちは。
いつも、楽しみに、拝読させていただいております。先生の本を参考に糖質制限をさせていただいております。糖尿病と診断されてかれこれ半年が過ぎました。運良く、発病と共に、当サイトと、先生の本を知ることが出来、投薬経験無しで現在に至ります。
私の場合、当初、HbA1cが8.6空腹時が236でした。1年前の健康診断が5.8 88ですから急に発病したのでしょうか?
糖質制限を実施して2ヶ月でそれぞれ6.1 110まで改善し、担当医も驚いてます。もともと、体重よりも体脂肪率を気にしてましたが、それも23%から16%に落とすことが出来、見た目でも満足してます。そのころ、付き合いなどで通常レストラン等の定食を食べると、1時間後250 2時間後200くらいの血糖値がありました。
現在、半年を過ぎ、たまに炭水化物を取りますが、通常の白米(約150g)付の定食で1時間後140 2時間後120位に安定してきました。空腹時も、80-95くらいで、寝る前に食べた時、100-110の数値になります。明らかに、糖質制限食の成果ではないでしょうか?
うれしいことにγーGTPが以前は200位あり脂肪肝といわれてましたが、現在は、25と大幅改善しました。仕事が水商売なので、お酒を多く飲む生活は、今も、昔も変わっておりません。
今は、平日、糖質制限を引き続き続け、休日の日曜日に、少し羽目を少しはずしといった生活をしています、また、これからも続けていこうと思います。早い時期に、糖質制限を始めたことがよかったのでしょうか?
このようなケースは聞かれたことありますでしょうか?
まずは、感謝とご報告まで。」
suguruさん。
コメントそして本のご購入ありがとうございます。
また、糖質制限食にて血糖値やγ-GTPの劇的改善、おめでとうございます。(^-^)v(^-^)v
「発症初期には定食摂取1時間後250 2時間後200くらいの血糖値」 だったのが
「現在、半年を過ぎ、たまに炭水化物を取りますが、通常の白米(約150g)付の定食で1時間後140 2時間後120位に安定してきました。空腹時も、80-95くらいで、寝る前に食べた時、100-110の数値になります。」
確かに、このデータだと、suguruさんの場合は、一旦確定診断された糖尿病が、糖質制限食実践半年後には、治ったように見えます。
一般には、「一旦糖尿病になったら決して治らない。」というのが定説ですが、本当のところはどうなのでしょう。糖尿病は治るのでしょうか?治らないのでしょうか?
それではまず、どのようにして糖尿病が発症するのかを考えてみます。
日本人の糖尿病発症は、食後高血糖が数年間続いているのを見逃しているうちに、遂に空腹時血糖値が上昇してきて、健康診断で発見されたというパターンが多いです。
即ち、当初は食後高血糖にならないように、膵臓のβ細胞がインスリン追加分泌を頑張って沢山出し続けていくのですが、ある日とうとう疲弊して分泌が追いつかなくなってきて、食後高血糖の段階に至ります。
この段階では、インスリン追加分泌の軽度の不足があり、食後2時間値が140~199mgの境界型レベルになりますが、まだ基礎分泌は保たれていて早朝空腹時血糖値は、110mg/dl未満で正常範囲を保つことがほとんどです。
食後高血糖の段階になると、高血糖そのものが膵臓のβ細胞を障害します。食後高血糖が180mgを超えてくると、β細胞への直接のダメージでインスリン分泌不足を悪化させ、また体細胞のインスリン抵抗性も増してきて、糖毒と呼ばれる悪循環を生じます。
食後高血糖が数年間続くと、膵臓は徐々に疲弊していき、インスリン追加分泌の不足に加えて、インスリン基礎分泌不足となり、とうとう早朝空腹時血糖値が高値となるのです。
空腹時血糖値が126mg/dl以上、随時血糖値が200mg/dl以上で糖尿病型と診断されます。糖毒状態が1日の中でも長時間続くようになれば、急速に糖尿病が悪化していきます。
糖尿病は、インスリン分泌不足とインスリン抵抗性が合わさって発症しますが、日本人は、インスリン分泌不足が主で、欧米人は、インスリン抵抗性が主とされています。インスリン分泌不足とインスリン抵抗性を合わせて、インスリン作用不足と言います。
インスリン分泌不足が主の場合、糖尿病と診断された時点でインスリンを作っている膵臓のランゲルハンス島のβ細胞の1~2割が壊れていて、インスリン作用そのものは本来の半分以下になっていると考えられます。残っているβ細胞も疲弊しているものとまだ健常なものにわかれます。
一般に、糖尿病が治らないと言われるのは、既に壊れてしまったβ細胞は、元に戻らないと言う意味です。
しかし、糖質制限食を実践して、膵臓が充分休養できれば、疲弊していたβ細胞が、正常に回復することが期待できます。
実際、入院時の空腹時血糖値が200mg近かった方が、糖質制限食実践数日で、110mgを切ってくることもあります。
食後高血糖の期間・年数が長いほど、β細胞がダメージを受けている割合が徐々に増えていき、ダメージが大きい細胞は、回復しにくくなっていくということになります。
次にインスリン抵抗性が主の糖尿病を考えてみます。
この場合、インスリン分泌能力は保たれていることが多いのです。日本人でもこのタイプが少し増えてきています。
例えば、肥満や脂肪肝がありインスリン抵抗性が高まれば、インスリンは分泌されていても、糖尿病を発症することがあります。このとき、何らかの方法で肥満や脂肪肝が改善すれば、インスリン抵抗性も減少します。
そうすると、適量のインスリンで筋肉細胞や脂肪細胞内にブドウ糖を取り込むことが可能となり、インスリン分泌不足はそんなにないので血糖値は正常化し、糖尿病が治ることになります。
治るという言い方に語弊があるなら、インスリン作用不足が改善し健常のパターンに戻るということです。
実際、そういう患者さんを数名経験しました。
例えば、空腹時血糖値218mg/dl、HbA1c11.7%、163cm、72kgだった人が、内服薬なしで糖質制限食を1年続けて、60kgと肥満が解消し、HbA1cは5%前後で保ち、糖質を普通に摂取しても食後2時間血糖値が140mg/dl未満となりました。勿論空腹時血糖値も正常範囲です。
血液検査のデータでは、診断基準上は正常人としかいいようがありませんので、糖尿病のレッテルも消えました。ヾ(^▽^)
現段階なら、この患者さんが糖尿病専門医を受診して、いろいろ血液検査をされたとしても「糖尿病ではありません。診断基準からみて正常です。」という診断となるでしょう。
suguruさんも、同様のパターンでしょうかね。
江部康二の場合は、日本人に多いインスリン分泌不足が主でインスリン抵抗性が従の糖尿病でして、スーパー糖質制限食を続けているかぎりは正常人ですが、糖質を普通に摂取すれば、残念ながら食後時間血糖値は200mgを超えて、立派な糖尿病です。
β細胞が既に1~2割壊れていて、決して治らないパターンですね(×_×)
結論です。
「インスリン抵抗性が主の糖尿病なら、抵抗性が改善すれば、糖代謝が正常人のパターンに戻る人もまれにいる。」ということですね。
江部康二
今回は、suguruさんから、「糖尿病が治った?」というコメント・質問をいただきました。
「10/06/22 suguru
ご報告。
こんにちは。
いつも、楽しみに、拝読させていただいております。先生の本を参考に糖質制限をさせていただいております。糖尿病と診断されてかれこれ半年が過ぎました。運良く、発病と共に、当サイトと、先生の本を知ることが出来、投薬経験無しで現在に至ります。
私の場合、当初、HbA1cが8.6空腹時が236でした。1年前の健康診断が5.8 88ですから急に発病したのでしょうか?
糖質制限を実施して2ヶ月でそれぞれ6.1 110まで改善し、担当医も驚いてます。もともと、体重よりも体脂肪率を気にしてましたが、それも23%から16%に落とすことが出来、見た目でも満足してます。そのころ、付き合いなどで通常レストラン等の定食を食べると、1時間後250 2時間後200くらいの血糖値がありました。
現在、半年を過ぎ、たまに炭水化物を取りますが、通常の白米(約150g)付の定食で1時間後140 2時間後120位に安定してきました。空腹時も、80-95くらいで、寝る前に食べた時、100-110の数値になります。明らかに、糖質制限食の成果ではないでしょうか?
うれしいことにγーGTPが以前は200位あり脂肪肝といわれてましたが、現在は、25と大幅改善しました。仕事が水商売なので、お酒を多く飲む生活は、今も、昔も変わっておりません。
今は、平日、糖質制限を引き続き続け、休日の日曜日に、少し羽目を少しはずしといった生活をしています、また、これからも続けていこうと思います。早い時期に、糖質制限を始めたことがよかったのでしょうか?
このようなケースは聞かれたことありますでしょうか?
まずは、感謝とご報告まで。」
suguruさん。
コメントそして本のご購入ありがとうございます。
また、糖質制限食にて血糖値やγ-GTPの劇的改善、おめでとうございます。(^-^)v(^-^)v
「発症初期には定食摂取1時間後250 2時間後200くらいの血糖値」 だったのが
「現在、半年を過ぎ、たまに炭水化物を取りますが、通常の白米(約150g)付の定食で1時間後140 2時間後120位に安定してきました。空腹時も、80-95くらいで、寝る前に食べた時、100-110の数値になります。」
確かに、このデータだと、suguruさんの場合は、一旦確定診断された糖尿病が、糖質制限食実践半年後には、治ったように見えます。
一般には、「一旦糖尿病になったら決して治らない。」というのが定説ですが、本当のところはどうなのでしょう。糖尿病は治るのでしょうか?治らないのでしょうか?
それではまず、どのようにして糖尿病が発症するのかを考えてみます。
日本人の糖尿病発症は、食後高血糖が数年間続いているのを見逃しているうちに、遂に空腹時血糖値が上昇してきて、健康診断で発見されたというパターンが多いです。
即ち、当初は食後高血糖にならないように、膵臓のβ細胞がインスリン追加分泌を頑張って沢山出し続けていくのですが、ある日とうとう疲弊して分泌が追いつかなくなってきて、食後高血糖の段階に至ります。
この段階では、インスリン追加分泌の軽度の不足があり、食後2時間値が140~199mgの境界型レベルになりますが、まだ基礎分泌は保たれていて早朝空腹時血糖値は、110mg/dl未満で正常範囲を保つことがほとんどです。
食後高血糖の段階になると、高血糖そのものが膵臓のβ細胞を障害します。食後高血糖が180mgを超えてくると、β細胞への直接のダメージでインスリン分泌不足を悪化させ、また体細胞のインスリン抵抗性も増してきて、糖毒と呼ばれる悪循環を生じます。
食後高血糖が数年間続くと、膵臓は徐々に疲弊していき、インスリン追加分泌の不足に加えて、インスリン基礎分泌不足となり、とうとう早朝空腹時血糖値が高値となるのです。
空腹時血糖値が126mg/dl以上、随時血糖値が200mg/dl以上で糖尿病型と診断されます。糖毒状態が1日の中でも長時間続くようになれば、急速に糖尿病が悪化していきます。
糖尿病は、インスリン分泌不足とインスリン抵抗性が合わさって発症しますが、日本人は、インスリン分泌不足が主で、欧米人は、インスリン抵抗性が主とされています。インスリン分泌不足とインスリン抵抗性を合わせて、インスリン作用不足と言います。
インスリン分泌不足が主の場合、糖尿病と診断された時点でインスリンを作っている膵臓のランゲルハンス島のβ細胞の1~2割が壊れていて、インスリン作用そのものは本来の半分以下になっていると考えられます。残っているβ細胞も疲弊しているものとまだ健常なものにわかれます。
一般に、糖尿病が治らないと言われるのは、既に壊れてしまったβ細胞は、元に戻らないと言う意味です。
しかし、糖質制限食を実践して、膵臓が充分休養できれば、疲弊していたβ細胞が、正常に回復することが期待できます。
実際、入院時の空腹時血糖値が200mg近かった方が、糖質制限食実践数日で、110mgを切ってくることもあります。
食後高血糖の期間・年数が長いほど、β細胞がダメージを受けている割合が徐々に増えていき、ダメージが大きい細胞は、回復しにくくなっていくということになります。
次にインスリン抵抗性が主の糖尿病を考えてみます。
この場合、インスリン分泌能力は保たれていることが多いのです。日本人でもこのタイプが少し増えてきています。
例えば、肥満や脂肪肝がありインスリン抵抗性が高まれば、インスリンは分泌されていても、糖尿病を発症することがあります。このとき、何らかの方法で肥満や脂肪肝が改善すれば、インスリン抵抗性も減少します。
そうすると、適量のインスリンで筋肉細胞や脂肪細胞内にブドウ糖を取り込むことが可能となり、インスリン分泌不足はそんなにないので血糖値は正常化し、糖尿病が治ることになります。
治るという言い方に語弊があるなら、インスリン作用不足が改善し健常のパターンに戻るということです。
実際、そういう患者さんを数名経験しました。
例えば、空腹時血糖値218mg/dl、HbA1c11.7%、163cm、72kgだった人が、内服薬なしで糖質制限食を1年続けて、60kgと肥満が解消し、HbA1cは5%前後で保ち、糖質を普通に摂取しても食後2時間血糖値が140mg/dl未満となりました。勿論空腹時血糖値も正常範囲です。
血液検査のデータでは、診断基準上は正常人としかいいようがありませんので、糖尿病のレッテルも消えました。ヾ(^▽^)
現段階なら、この患者さんが糖尿病専門医を受診して、いろいろ血液検査をされたとしても「糖尿病ではありません。診断基準からみて正常です。」という診断となるでしょう。
suguruさんも、同様のパターンでしょうかね。
江部康二の場合は、日本人に多いインスリン分泌不足が主でインスリン抵抗性が従の糖尿病でして、スーパー糖質制限食を続けているかぎりは正常人ですが、糖質を普通に摂取すれば、残念ながら食後時間血糖値は200mgを超えて、立派な糖尿病です。
β細胞が既に1~2割壊れていて、決して治らないパターンですね(×_×)
結論です。
「インスリン抵抗性が主の糖尿病なら、抵抗性が改善すれば、糖代謝が正常人のパターンに戻る人もまれにいる。」ということですね。
江部康二
2010年06月29日 (火)
おはようございます。
尿路結石と糖質制限食について、開業医のharuさんから、コメントをいただきました。
「10/06/28 haru
結石について
いつも、日常の診療に参考にさせていただいています、開業医のharuといいます。
確かにシュウ酸摂取が多いと結石が出来やすいと思いますがカルシウムを多くとると結石の出来る確率が低下するというデータはあるようです。
カルシウムとシュウ酸は結合しやすいようで食事でカルシウムを十分にとることで吸収されずに便に排出されます。カルシウム摂取が少ないと結合できなかったシュウ酸が吸収され血中のカルシウムと結合し結石の原因となります。
そう考えるとカルシウムの豊富なアーモンドあたりを食べるのが一番いいのではないでしょうか。」
haruさん。
コメントありがとうございます。参考になります。
私もアーモンドはよく食べてますのでちょっぴり安心しました。
現在、糖質制限食と尿路結石に関して、断定的な結論を出すほどのデータはないのですが、下記のような文献もあります。
☆☆
Nephrolithiasis as a systemic disorder.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18408483
このReviewでは、メタボリックシンドロームは腎結石と関連があり、2型糖尿病、BMIの増加、高血圧、脂質異常症がそれぞれ独立した危険因子として認識されるようになってきているとの事で、私の良きアドバイザーI先生にご教示いただきました。
メタボリックシンドローム、2型糖尿病、BMIの増加、高血圧、脂質異常症は、いずれも糖質制限食で改善が望める病気ですね。
一方、
「戦後食生活が欧米化して高蛋白・高脂質食となり、尿路結石が増えた。従って尿路結石再発予防には蛋白質・脂質を減らすのが良い。」
という従来の説は如何なものでしょう。
この説に関しては、2010年06月22日 (火)のブログ
<尿路結石の増加・糖尿病の増加と脂質・蛋白質摂取の関係は?>
で、疑問を呈しました。
すなわち、日本尿路結石症学会が2005年に行った調査によると、尿路結石の患者数は40年前(1965年)と比べて、増えています。この患者数というのは、痛みの発作を起こした人(罹患者)の数です。
1965年、人口10万人あたり、63.8人。
1975年、人口10万人あたり、75.7人。
1985年、人口10万人あたり、91.6人。
1995年、人口10万人あたり、117.5人。
2005年、人口10万人あたり、192人。
1965年以降徐々に、尿路結石は増えています。
特に1995年~2005年までの10年間の増加は、それ以前の30年間に比べて、とんでもない人数の増加です。
そして、1995年~2005年は、厚生労働省「国民栄養の現状」によれば、蛋白質・脂質の摂取率は、減少傾向にあります。
こうなると、少なくとも1995年~2005年までの10年間の尿路結石患者の激増は、蛋白質・脂質には無関係の可能性が高いといえます。
☆☆☆
医療情報サービス Minds(マインズ)
厚生労働科学研究費補助金により公開中
http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0022/1/0022_G0000058_0021.html
尿路結石の調査報告
ケミファのホームページ
http://www.chemiphar.tv/healthcare/urine/index_02.html
尿路路結石の患者数は40年前に比べて約3倍に増加
結論です。
現段階では、勿論断定はできませんが、尿路結石の増加も精製された糖質の過剰摂取の影響が一因である可能性がありますね。
特に炭水化物の質が、ブドウ糖ミニスパイクを起こしやすいものほど問題と思います。
江部康二
尿路結石と糖質制限食について、開業医のharuさんから、コメントをいただきました。
「10/06/28 haru
結石について
いつも、日常の診療に参考にさせていただいています、開業医のharuといいます。
確かにシュウ酸摂取が多いと結石が出来やすいと思いますがカルシウムを多くとると結石の出来る確率が低下するというデータはあるようです。
カルシウムとシュウ酸は結合しやすいようで食事でカルシウムを十分にとることで吸収されずに便に排出されます。カルシウム摂取が少ないと結合できなかったシュウ酸が吸収され血中のカルシウムと結合し結石の原因となります。
そう考えるとカルシウムの豊富なアーモンドあたりを食べるのが一番いいのではないでしょうか。」
haruさん。
コメントありがとうございます。参考になります。
私もアーモンドはよく食べてますのでちょっぴり安心しました。
現在、糖質制限食と尿路結石に関して、断定的な結論を出すほどのデータはないのですが、下記のような文献もあります。
☆☆
Nephrolithiasis as a systemic disorder.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18408483
このReviewでは、メタボリックシンドロームは腎結石と関連があり、2型糖尿病、BMIの増加、高血圧、脂質異常症がそれぞれ独立した危険因子として認識されるようになってきているとの事で、私の良きアドバイザーI先生にご教示いただきました。
メタボリックシンドローム、2型糖尿病、BMIの増加、高血圧、脂質異常症は、いずれも糖質制限食で改善が望める病気ですね。
一方、
「戦後食生活が欧米化して高蛋白・高脂質食となり、尿路結石が増えた。従って尿路結石再発予防には蛋白質・脂質を減らすのが良い。」
という従来の説は如何なものでしょう。
この説に関しては、2010年06月22日 (火)のブログ
<尿路結石の増加・糖尿病の増加と脂質・蛋白質摂取の関係は?>
で、疑問を呈しました。
すなわち、日本尿路結石症学会が2005年に行った調査によると、尿路結石の患者数は40年前(1965年)と比べて、増えています。この患者数というのは、痛みの発作を起こした人(罹患者)の数です。
1965年、人口10万人あたり、63.8人。
1975年、人口10万人あたり、75.7人。
1985年、人口10万人あたり、91.6人。
1995年、人口10万人あたり、117.5人。
2005年、人口10万人あたり、192人。
1965年以降徐々に、尿路結石は増えています。
特に1995年~2005年までの10年間の増加は、それ以前の30年間に比べて、とんでもない人数の増加です。
そして、1995年~2005年は、厚生労働省「国民栄養の現状」によれば、蛋白質・脂質の摂取率は、減少傾向にあります。
こうなると、少なくとも1995年~2005年までの10年間の尿路結石患者の激増は、蛋白質・脂質には無関係の可能性が高いといえます。
☆☆☆
医療情報サービス Minds(マインズ)
厚生労働科学研究費補助金により公開中
http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0022/1/0022_G0000058_0021.html
尿路結石の調査報告
ケミファのホームページ
http://www.chemiphar.tv/healthcare/urine/index_02.html
尿路路結石の患者数は40年前に比べて約3倍に増加
結論です。
現段階では、勿論断定はできませんが、尿路結石の増加も精製された糖質の過剰摂取の影響が一因である可能性がありますね。
特に炭水化物の質が、ブドウ糖ミニスパイクを起こしやすいものほど問題と思います。
江部康二
2010年06月28日 (月)
おはようございます。
今日は、今から東京にでかけます。
第98回日本美容外科学会が東京ドームホテルで開催されますが、<栄養・代謝・糖尿病と糖質制限食>と題して
13:00~1時間の特別講演をさせて頂くこととなりました。
このように各種学会でも徐々に糖質制限食が広がりをみせており、光栄かつ嬉しい限りです。(^-^)v(^-^)v
さて今回の記事は前日の続きです。
<テーラーメードの食事療法(tailor made diet)>
玄米魚菜食時代、糖質制限食時代を経て、今私は食生活において一人ひとりの年齢・体質・病状・嗜好にあわせたテーラーメードの食事療法(tailor made diet)を提唱しています。
症状改善だけなら、人類皆糖質制限食もありだと思うのですが、地球人口66億人を養うためには穀物は必須です。このことを踏まえて食べ分けが必要と思います。
例えば、小児、青少年、アトピーや喘息の若い人、成人でも糖尿病やメタボリック・シンドロームなどがない人なら、主食を未精製の穀物(例えば玄米)にして「高雄病院食生活十箇条」の実践でよいと思います。
運動選手など日常的に運動をしている青少年は、あるていどの量の未精製穀物を摂取しても、筋肉がどんどん血糖を利用するのでブドウ糖ミニスパイク(後述)も生じにくく大丈夫です。
一方、読書タイプで運動をあんまりしない青少年は、未精製の穀物でもやや少量に控えておく方が無難です。
すでに糖尿病を患っている人や、メタボリック・シンドロ-ムの人は、糖質制限食がベストの選択です。糖質制限食は糖質摂取が少ないので食後の血糖値上昇がほとんどなく、常に脂肪を燃やすエネルギーシステムが活性化しており、肥満解消にもおおいに役立ちます。
このように「テーラーメードの食事療法」の枠組のなかで考えていけば、玄米魚菜食と糖質制限食は適応対象が異なっているわけで矛盾は生じません。
玄米魚菜食、糖質制限食、断食に共通する現象があります。それは食前・食後血糖値の差が少なくて、代謝が安定することです。これが各食事療法の効果という点で決定的に重要といえます。
<ブドウ糖スパイク>
空腹時血糖値と食後血糖値の差が大きいことを「ブドウ糖スパイク」といいます。
糖尿病の人が糖質を摂取すればブドウ糖スパイクは100~200,300mg/dlとなり、リアルタイムに血管内皮に悪影響をあたえ、将来の動脈硬化や心筋梗塞のリスクとなります。
正常の人でも白いパンなど精製された糖質を食べると、60~70mgのブドウ糖ミニスパイクを生じて代謝が乱れます。ミニスパイクの度にインスリンが大量に追加分泌されます。
基礎分泌の10~30倍レベル、インスリンが追加分泌される事態は、救急車の出動に等しいととらえるのが正確と思います。(=_=;)
このブドウ糖ミニスパイクとインスリン追加分泌を30年、40年毎日頻回に繰り返すことが、生活習慣病の根本要因と私は考えています。
玄米なら、正常の人だと20~40mgしか血糖を上昇させず、代謝が安定します。しかし、残念ながら糖尿病になってしまったら、私自身でも明らかなように、玄米でも100~200のブドウ糖スパイクを起こしてしまうので、糖質制限食が必要となるのです。
糖質制限食なら、血糖値の上下動は正常人ではほとんどなくなり、糖尿人でも少なくなります。
<おわりに>
私自身の糖尿病・メタボは上述のように糖質制限食のみで改善しました。
1984年から食事療法の研究を続けてきて今にいたるわけですが、高雄病院の基本的立場は食事療法をしっかり行えば、それだけで充分健康になれる道を目指してきました。
単身赴任のサラリーマンや下宿生活の学生さんで、外食やコンビニで済ますことが多く、食生活がどうしても偏る場合などは、サプリメントが必要なこともあると思います。
またスーパー糖質制限食開始初期に、時にこむら返りが生じることがあり、この場合カルシウム・マグネシウムの補充が有効なことがあります。
このように、サプリメントが一切いらないというのではありませんが、テーラーメードダイエットの枠組みの中で、できるだけ食事療法単独で健康増進を目指したいというのが、高雄病院の基本スタンスです。
もちろん「食事療法+西洋薬+漢方薬」は、必要に応じてありです。
今後もサプリメントや健康補助食品に頼らなくてすむような、テーラーメードダイエットを提唱していきたいと考えています。
江部康二
☆☆☆
『高雄病院食生活十箇条』 -アレルギー疾患の治療や生活習慣病予防に-
一、主食は未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
二、白パン・白砂糖など精製炭水化物の摂取は極力減らす
三、発酵食品(味噌、漬け物、納豆など)をきちんと食べる
四、液体でカロリーを摂らない(飲みものは水、番茶、麦茶、ほうじ茶など)
五、魚貝類はしっかり食べ、肉類は適量を摂る
六、季節の野菜や海草はしっかり食べ、旬の果物も適量摂る
七、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)など身体に良い油脂は積極的に摂る
八、牛乳は極力減らし、チーズやプレーンヨーグルトは適量摂る
九、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ
十、食事は楽しく、ゆっくり、よくかんで
☆☆☆
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。*炭水化物=糖質+食物繊維
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服や、インスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので、必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方薬、を使用してない糖尿人やメタボ人は、低血糖の心配はないので、
<理論>
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」
「やせる食べ方」
(東洋経済新報社)
<レシピ>
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」
「 糖質制限食 春のレシピ」
「 糖質制限食 夏のレシピ」
「糖質制限食 秋のレシピ」
「糖質制限食 冬のレシピ」
「血糖値を上げない! 健康おつまみ109 」
(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)
『dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」
(プレジデント社)
を参考にされ、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
なお、血液検査で血清クレアチニン値が高値で、腎障害がある場合と、活動性の膵炎がある場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。
糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら、中止していただけば幸いです。
今日は、今から東京にでかけます。
第98回日本美容外科学会が東京ドームホテルで開催されますが、<栄養・代謝・糖尿病と糖質制限食>と題して
13:00~1時間の特別講演をさせて頂くこととなりました。
このように各種学会でも徐々に糖質制限食が広がりをみせており、光栄かつ嬉しい限りです。(^-^)v(^-^)v
さて今回の記事は前日の続きです。
<テーラーメードの食事療法(tailor made diet)>
玄米魚菜食時代、糖質制限食時代を経て、今私は食生活において一人ひとりの年齢・体質・病状・嗜好にあわせたテーラーメードの食事療法(tailor made diet)を提唱しています。
症状改善だけなら、人類皆糖質制限食もありだと思うのですが、地球人口66億人を養うためには穀物は必須です。このことを踏まえて食べ分けが必要と思います。
例えば、小児、青少年、アトピーや喘息の若い人、成人でも糖尿病やメタボリック・シンドロームなどがない人なら、主食を未精製の穀物(例えば玄米)にして「高雄病院食生活十箇条」の実践でよいと思います。
運動選手など日常的に運動をしている青少年は、あるていどの量の未精製穀物を摂取しても、筋肉がどんどん血糖を利用するのでブドウ糖ミニスパイク(後述)も生じにくく大丈夫です。
一方、読書タイプで運動をあんまりしない青少年は、未精製の穀物でもやや少量に控えておく方が無難です。
すでに糖尿病を患っている人や、メタボリック・シンドロ-ムの人は、糖質制限食がベストの選択です。糖質制限食は糖質摂取が少ないので食後の血糖値上昇がほとんどなく、常に脂肪を燃やすエネルギーシステムが活性化しており、肥満解消にもおおいに役立ちます。
このように「テーラーメードの食事療法」の枠組のなかで考えていけば、玄米魚菜食と糖質制限食は適応対象が異なっているわけで矛盾は生じません。
玄米魚菜食、糖質制限食、断食に共通する現象があります。それは食前・食後血糖値の差が少なくて、代謝が安定することです。これが各食事療法の効果という点で決定的に重要といえます。
<ブドウ糖スパイク>
空腹時血糖値と食後血糖値の差が大きいことを「ブドウ糖スパイク」といいます。
糖尿病の人が糖質を摂取すればブドウ糖スパイクは100~200,300mg/dlとなり、リアルタイムに血管内皮に悪影響をあたえ、将来の動脈硬化や心筋梗塞のリスクとなります。
正常の人でも白いパンなど精製された糖質を食べると、60~70mgのブドウ糖ミニスパイクを生じて代謝が乱れます。ミニスパイクの度にインスリンが大量に追加分泌されます。
基礎分泌の10~30倍レベル、インスリンが追加分泌される事態は、救急車の出動に等しいととらえるのが正確と思います。(=_=;)
このブドウ糖ミニスパイクとインスリン追加分泌を30年、40年毎日頻回に繰り返すことが、生活習慣病の根本要因と私は考えています。
玄米なら、正常の人だと20~40mgしか血糖を上昇させず、代謝が安定します。しかし、残念ながら糖尿病になってしまったら、私自身でも明らかなように、玄米でも100~200のブドウ糖スパイクを起こしてしまうので、糖質制限食が必要となるのです。
糖質制限食なら、血糖値の上下動は正常人ではほとんどなくなり、糖尿人でも少なくなります。
<おわりに>
私自身の糖尿病・メタボは上述のように糖質制限食のみで改善しました。
1984年から食事療法の研究を続けてきて今にいたるわけですが、高雄病院の基本的立場は食事療法をしっかり行えば、それだけで充分健康になれる道を目指してきました。
単身赴任のサラリーマンや下宿生活の学生さんで、外食やコンビニで済ますことが多く、食生活がどうしても偏る場合などは、サプリメントが必要なこともあると思います。
またスーパー糖質制限食開始初期に、時にこむら返りが生じることがあり、この場合カルシウム・マグネシウムの補充が有効なことがあります。
このように、サプリメントが一切いらないというのではありませんが、テーラーメードダイエットの枠組みの中で、できるだけ食事療法単独で健康増進を目指したいというのが、高雄病院の基本スタンスです。
もちろん「食事療法+西洋薬+漢方薬」は、必要に応じてありです。
今後もサプリメントや健康補助食品に頼らなくてすむような、テーラーメードダイエットを提唱していきたいと考えています。
江部康二
☆☆☆
『高雄病院食生活十箇条』 -アレルギー疾患の治療や生活習慣病予防に-
一、主食は未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
二、白パン・白砂糖など精製炭水化物の摂取は極力減らす
三、発酵食品(味噌、漬け物、納豆など)をきちんと食べる
四、液体でカロリーを摂らない(飲みものは水、番茶、麦茶、ほうじ茶など)
五、魚貝類はしっかり食べ、肉類は適量を摂る
六、季節の野菜や海草はしっかり食べ、旬の果物も適量摂る
七、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)など身体に良い油脂は積極的に摂る
八、牛乳は極力減らし、チーズやプレーンヨーグルトは適量摂る
九、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ
十、食事は楽しく、ゆっくり、よくかんで
☆☆☆
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。*炭水化物=糖質+食物繊維
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服や、インスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので、必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方薬、を使用してない糖尿人やメタボ人は、低血糖の心配はないので、
<理論>
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」
「やせる食べ方」
(東洋経済新報社)
<レシピ>
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」
「 糖質制限食 春のレシピ」
「 糖質制限食 夏のレシピ」
「糖質制限食 秋のレシピ」
「糖質制限食 冬のレシピ」
「血糖値を上げない! 健康おつまみ109 」
(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)
『dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」
(プレジデント社)
を参考にされ、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
なお、血液検査で血清クレアチニン値が高値で、腎障害がある場合と、活動性の膵炎がある場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。
糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら、中止していただけば幸いです。
2010年06月27日 (日)
おはようございます。
高雄病院では、現在入院患者さんに、糖尿人には糖質制限食、アトピーさんには玄米魚菜食・・・といった形で、給食を提供しています。
今回は、ここに到る高雄病院食事療法変遷の歴史的経過を、説明したいと思います。
<玄米魚菜食>
高雄病院に初めて玄米魚菜食を導入したのは1984年のことです。病院給食として玄米を提供したのは高雄病院が日本初だったと思います。
当時、西洋医学を学び漢方医学も学び何とか目の前の患者さんの症状を改善したいという思いとはうらはらに、治療が上手くいかないこともあり臨床的に壁にぶちあたっていた時でした。
いろいろ悩みましたが、西洋医学も漢方治療も薬物療法中心なので、薬物治療の前に食生活そのものを根本的に見直す必要があるのではないかという思いが湧いてきたのです。
患者さんに食べてもらうのなら自らもということで、主食を玄米にし、ジャンクフードや甘い物も一切やめました。 10日間くらい経過して、不思議なことに中学校以来長年の付き合いであったアレルギー性鼻炎が、一旦ぴったりととまってしまいました。
ところが深酒が三日も続いたりたまに甘いものを食べると天罰てきめん、鼻炎が再発し、つくずく食生活の重要さを身をもって思い知らされてしまいました。
自らの体験も踏まえて1984年から当分の間は、アトピーも糖尿病もリウマチも喘息も肥満も・・・、全ての病気に対して玄米魚菜食を推奨していました。
<断食療法>
同時に絶食療法(断食療法)も病気治療の一環として導入しましたが、こちらも病院としては、日本初だったと思います。患者さんに断食して貰うなら自らもということで、早速試してみました。
最初の二日間は、午前中立ち眩み・脱力感がありましたが、三日目はそこそこの健康状態でした。それでも血糖値は35mg/dlと、ビックリするような数値が記録されました。普通なら意識不明で昏睡のレベルですが、断食中は血中ケトン体(脂肪の代謝産物)が高値となり、脳の主エネルギー源となるので、大丈夫なのです。脳はケトン体を利用するという事実を34才当時、既に自らの人体実験で証明していたみたいです。
その後しばらくはほぼ毎年1回断食をしたので計12~13回したことになります。鼻炎は断食後基本的にはコントロール良好です。しかし忘年会シーズン(深酒)や中国旅行(砂糖+酒)のおりはそれなりに再発して漢方薬を服用していました。
<糖尿病発症と糖質制限食>
ここ10数年は断食していませんが、第1回断食後は朝食抜きの1日2食でプチ断食を継続していて食生活にはそれなりに気をつけていたつもりでした。
しかし、2002年の病院の健康診断(52歳時)で遂にHbA1Cが6.3%と糖尿病の域に達しており、慌てて食後2時間の血糖値を測定してみると260mg/dlもあり愕然としました。血糖値を上昇させにくい玄米で実験してみても食後血糖値は240前後でほんの少し減少しただけでした。
ずっと玄米は食べているし魚中心で肉や油は控えめで、週に1.2回はテニスはしているし、普通のおじさんに比べればはるかに健康的なライフスタイルのはずでしたが、何故?
40歳過ぎからそれまでのウィスキーやブランデーから純米酒と恵比寿ビールに切り替えて当時浴びるように飲んでいたのが今から思えば敗因の一つでした。
また、毎日運動しているわけでもないのに、毎日食事の度に結構大量の糖質を摂取して食後高血糖を繰り返し、だめ押しに、毎晩純米酒と恵比寿ビールで、飲酒後高血糖を生じていたのでしょう。
この頃は、テニスの帰りにスポーツジムにもよって自転車こぎや腹筋・背筋運動もやってましたが、なぜか体重は徐々に増加し腹回りも順調に育っていきました。しっかり摘めるお肉なので筋肉増強ではなく脂肪増強に間違いありません。
旅行や講演や学会のときも、油ものはできるだけ控えて、ひたすらおにぎりやご飯を中心に食べてました。外食のときは当然玄米は無理で白米ですが、当時はそれがヘルシーと信じていたのでしっかり腹一杯食べていました。
結局、玄米・白米などを含めて摂取していた大量の糖質に対して、運動量が全くマッチしていなかったのですね。
52歳糖尿病発覚時には体重67kg(身長167cm)になって、血圧は160/100、腹囲は86cmと、最近流行のメタボリック・シンドロームの診断基準を見事に満たしていました。
ここにいたり、一念発起して、2002年6月から糖質制限食を開始しました。
高雄病院では、1999年から江部洋一郎院長(当時)が糖尿病治療に糖質制限食を導入し画期的な成果をあげていました。当初、半信半疑だった私も2001年に糖尿病の患者さんに初めて実施し劇的改善を得ていてたので、うまくいく確信はありました。
肉・魚・野菜・豆腐などおかずは食べ放題で主食(糖質)だけはなしです。酒は日本酒、ビールなどの糖質を含んでいる醸造酒は中止し、もっぱら焼酎としました。
その結果半年間の糖質制限食で、体重は56kgにおち、血圧も120/70、HbA1Cも正常になり、メタボリック・シンドロームも解消し、学生時代の体型にぴったり戻り、2010年現在も保っています。
続く
江部康二
高雄病院では、現在入院患者さんに、糖尿人には糖質制限食、アトピーさんには玄米魚菜食・・・といった形で、給食を提供しています。
今回は、ここに到る高雄病院食事療法変遷の歴史的経過を、説明したいと思います。
<玄米魚菜食>
高雄病院に初めて玄米魚菜食を導入したのは1984年のことです。病院給食として玄米を提供したのは高雄病院が日本初だったと思います。
当時、西洋医学を学び漢方医学も学び何とか目の前の患者さんの症状を改善したいという思いとはうらはらに、治療が上手くいかないこともあり臨床的に壁にぶちあたっていた時でした。
いろいろ悩みましたが、西洋医学も漢方治療も薬物療法中心なので、薬物治療の前に食生活そのものを根本的に見直す必要があるのではないかという思いが湧いてきたのです。
患者さんに食べてもらうのなら自らもということで、主食を玄米にし、ジャンクフードや甘い物も一切やめました。 10日間くらい経過して、不思議なことに中学校以来長年の付き合いであったアレルギー性鼻炎が、一旦ぴったりととまってしまいました。
ところが深酒が三日も続いたりたまに甘いものを食べると天罰てきめん、鼻炎が再発し、つくずく食生活の重要さを身をもって思い知らされてしまいました。
自らの体験も踏まえて1984年から当分の間は、アトピーも糖尿病もリウマチも喘息も肥満も・・・、全ての病気に対して玄米魚菜食を推奨していました。
<断食療法>
同時に絶食療法(断食療法)も病気治療の一環として導入しましたが、こちらも病院としては、日本初だったと思います。患者さんに断食して貰うなら自らもということで、早速試してみました。
最初の二日間は、午前中立ち眩み・脱力感がありましたが、三日目はそこそこの健康状態でした。それでも血糖値は35mg/dlと、ビックリするような数値が記録されました。普通なら意識不明で昏睡のレベルですが、断食中は血中ケトン体(脂肪の代謝産物)が高値となり、脳の主エネルギー源となるので、大丈夫なのです。脳はケトン体を利用するという事実を34才当時、既に自らの人体実験で証明していたみたいです。
その後しばらくはほぼ毎年1回断食をしたので計12~13回したことになります。鼻炎は断食後基本的にはコントロール良好です。しかし忘年会シーズン(深酒)や中国旅行(砂糖+酒)のおりはそれなりに再発して漢方薬を服用していました。
<糖尿病発症と糖質制限食>
ここ10数年は断食していませんが、第1回断食後は朝食抜きの1日2食でプチ断食を継続していて食生活にはそれなりに気をつけていたつもりでした。
しかし、2002年の病院の健康診断(52歳時)で遂にHbA1Cが6.3%と糖尿病の域に達しており、慌てて食後2時間の血糖値を測定してみると260mg/dlもあり愕然としました。血糖値を上昇させにくい玄米で実験してみても食後血糖値は240前後でほんの少し減少しただけでした。
ずっと玄米は食べているし魚中心で肉や油は控えめで、週に1.2回はテニスはしているし、普通のおじさんに比べればはるかに健康的なライフスタイルのはずでしたが、何故?
40歳過ぎからそれまでのウィスキーやブランデーから純米酒と恵比寿ビールに切り替えて当時浴びるように飲んでいたのが今から思えば敗因の一つでした。
また、毎日運動しているわけでもないのに、毎日食事の度に結構大量の糖質を摂取して食後高血糖を繰り返し、だめ押しに、毎晩純米酒と恵比寿ビールで、飲酒後高血糖を生じていたのでしょう。
この頃は、テニスの帰りにスポーツジムにもよって自転車こぎや腹筋・背筋運動もやってましたが、なぜか体重は徐々に増加し腹回りも順調に育っていきました。しっかり摘めるお肉なので筋肉増強ではなく脂肪増強に間違いありません。
旅行や講演や学会のときも、油ものはできるだけ控えて、ひたすらおにぎりやご飯を中心に食べてました。外食のときは当然玄米は無理で白米ですが、当時はそれがヘルシーと信じていたのでしっかり腹一杯食べていました。
結局、玄米・白米などを含めて摂取していた大量の糖質に対して、運動量が全くマッチしていなかったのですね。
52歳糖尿病発覚時には体重67kg(身長167cm)になって、血圧は160/100、腹囲は86cmと、最近流行のメタボリック・シンドロームの診断基準を見事に満たしていました。
ここにいたり、一念発起して、2002年6月から糖質制限食を開始しました。
高雄病院では、1999年から江部洋一郎院長(当時)が糖尿病治療に糖質制限食を導入し画期的な成果をあげていました。当初、半信半疑だった私も2001年に糖尿病の患者さんに初めて実施し劇的改善を得ていてたので、うまくいく確信はありました。
肉・魚・野菜・豆腐などおかずは食べ放題で主食(糖質)だけはなしです。酒は日本酒、ビールなどの糖質を含んでいる醸造酒は中止し、もっぱら焼酎としました。
その結果半年間の糖質制限食で、体重は56kgにおち、血圧も120/70、HbA1Cも正常になり、メタボリック・シンドロームも解消し、学生時代の体型にぴったり戻り、2010年現在も保っています。
続く
江部康二
2010年06月26日 (土)
おはようございます。
renさんから、クルミの情報をいただきました。
「10/06/26 ren
ナッツ
横から失礼いたします。
ナッツは私糖質制限食のカロリー不足を補う為によく食べます。特にクルミは中でも低糖質なので毎日とっていますが、メーカーによって糖質量にバラつきがありますのでパッケージをみて召し上がった方が良いと思います。
色んなメーカーのものを食べていますが炒りクルミで糖質5g以下のものはありませんでした。
特に有機栽培のものは10g近くあるものも多く要注意ですね。
上記、炒りクルミ糖質5g、とは100g中の糖質量のことです。」
renさん。
コメントありがとうございます。
炒りクルミの糖質含有量が、メーカーによりそんなにばらつくとは、知りませんでした。
私自身は、もっぱらミックスナッツ(アーモンド、カシューナッツ、クルミ)を食べています。
100gで651kcal、糖質が14.3g、食物繊維が6.2g、脂質57.0g、タンパク質17.2gです。
今手元にあるのは、共立食品株式会社の製品で1袋が105gです。勿論、他社の製品も食べます。
もっぱら近所のコンビニで購入しています。
1回に約1/3袋(約30g)くらいまでなら、糖質4gくらいなので、その見当でアバウトに計算して間食にしています。
江部康二
renさんから、クルミの情報をいただきました。
「10/06/26 ren
ナッツ
横から失礼いたします。
ナッツは私糖質制限食のカロリー不足を補う為によく食べます。特にクルミは中でも低糖質なので毎日とっていますが、メーカーによって糖質量にバラつきがありますのでパッケージをみて召し上がった方が良いと思います。
色んなメーカーのものを食べていますが炒りクルミで糖質5g以下のものはありませんでした。
特に有機栽培のものは10g近くあるものも多く要注意ですね。
上記、炒りクルミ糖質5g、とは100g中の糖質量のことです。」
renさん。
コメントありがとうございます。
炒りクルミの糖質含有量が、メーカーによりそんなにばらつくとは、知りませんでした。
私自身は、もっぱらミックスナッツ(アーモンド、カシューナッツ、クルミ)を食べています。
100gで651kcal、糖質が14.3g、食物繊維が6.2g、脂質57.0g、タンパク質17.2gです。
今手元にあるのは、共立食品株式会社の製品で1袋が105gです。勿論、他社の製品も食べます。
もっぱら近所のコンビニで購入しています。
1回に約1/3袋(約30g)くらいまでなら、糖質4gくらいなので、その見当でアバウトに計算して間食にしています。
江部康二
2010年06月25日 (金)
こんにちは。
みかんさんから、ナッツについて質問をいただきました。
「10/06/24 みかん
今更ですが
ナッツの質問はよろしいですか?
どのナッツを頂くのがよいか教えていただきたいです
カシューナッツやマカダミアナッツ、ピーカンナッツ、アーモンド、ピスタチオ、くるみは駄目ですか?もしもいいのなら幾つくらいですか?生の物で!どのナッツならどれくらいか教えていただけたら とてもうれしいです。」
みかんさん。
食品成分表には、実際に食べる状態のナッツが中心に記載されています。生はあまり記載がありません。乾燥か炒ったものが主です。
100g中の糖質量
くるみ(炒り) 4.2g
カシューナッツ(フライ) 20.0
マカダミアナッツ(炒り) 11.7
アーモンド(乾) 9.3
ピスタチオ(炒り) 11.7
バターピーナッツ() 14.4
くるみ1個が6gで糖質量が0.3gですので、10個食べても3gの糖質ですね。
カシューナッツ20個が30gで、糖質は6g
マカダミアナッツ25個で50gで、糖質は3.0g
アーモンドが35個が50gで、糖質は5.2g
ピスタチオは8個 で40gで、糖質は4.7g
バターピーナッツが40個で40gで、糖質は4.5g
です。
ナッツの間食なら1回の糖質量を、5gくらいまでにおさえたいですね。
詳しくは、レシピ本の巻末の表をご参照いただけば幸いです。
江部康二
みかんさんから、ナッツについて質問をいただきました。
「10/06/24 みかん
今更ですが
ナッツの質問はよろしいですか?
どのナッツを頂くのがよいか教えていただきたいです
カシューナッツやマカダミアナッツ、ピーカンナッツ、アーモンド、ピスタチオ、くるみは駄目ですか?もしもいいのなら幾つくらいですか?生の物で!どのナッツならどれくらいか教えていただけたら とてもうれしいです。」
みかんさん。
食品成分表には、実際に食べる状態のナッツが中心に記載されています。生はあまり記載がありません。乾燥か炒ったものが主です。
100g中の糖質量
くるみ(炒り) 4.2g
カシューナッツ(フライ) 20.0
マカダミアナッツ(炒り) 11.7
アーモンド(乾) 9.3
ピスタチオ(炒り) 11.7
バターピーナッツ() 14.4
くるみ1個が6gで糖質量が0.3gですので、10個食べても3gの糖質ですね。
カシューナッツ20個が30gで、糖質は6g
マカダミアナッツ25個で50gで、糖質は3.0g
アーモンドが35個が50gで、糖質は5.2g
ピスタチオは8個 で40gで、糖質は4.7g
バターピーナッツが40個で40gで、糖質は4.5g
です。
ナッツの間食なら1回の糖質量を、5gくらいまでにおさえたいですね。
詳しくは、レシピ本の巻末の表をご参照いただけば幸いです。
江部康二
2010年06月25日 (金)
おはようございます。
2010年7月1日に、11年ぶりとなる糖尿病の新しい診断基準が施行されます。
新基準では、「糖尿病型」の判定に、従来の基準には無かった、HbA1が採用されました。
これにより、1回の採血で血糖値とHbA1cの測定結果が両方とも糖尿病型であれば、それだけで糖尿病と診断できることとなりました。
従来の基準では、必ず異なる日に2回の採血が必要でしたので、簡略化できたと言えます。
HbA1cの表記法もJDS値に0.4を足したNGSP相当値に変更される予定です。7月1日からは、英文誌の原著論文や国際学会での発表時には、当然国際基準であるNGSP値相当値が使用されます。
一方、日常診療現場においては、当面は今まで通りのJDS値によるHbA1cで表記し、1年後をめどにNGSP相当値に移行する予定だそうです。
江部康二
☆☆☆参考
新診断基準施行と血糖コントロール指標と評価とHbA1c
2010年06月20日 (日)
2010年7月1日から、糖尿病新診断基準施行で、今後HbA1cはNGSP値に相当する値が基準でJDS値は併記となります。(日常診療現場においては、当面は今まで通りのJDS値によるHbA1cで表記し、1年後をめどにNGSP相当値に移行する予定)
日本糖尿病学会から新診断基準は発表されたのですが、「血糖コントロール指標と評価基準」はまだ発表されていません。
臨床現場ではHbA1c測定方法はこれまでと同様のJDS値なのですが、単純に0.4を足した値をNGSP値として示すことになります。
ここまではいいのですが、さて「血糖コントロール指標と評価基準」はどうなるのでしょう?
今まで、JDS値での「血糖コントロール指標と評価基準」は、
優:5.8%未満
良:6.5%未満
不十分:6.5~7.0%未満
不良:7.0~8.0未満
不可:8.0%以上
でした。
そうすると、JDS値では6.4%でコントロール良だった糖尿人が、NGSP値ではいきなり6.9%になるので、コントロール不十分になってしまうのは、何だか釈然としないですよね。 (*_*)
それでもまあ、糖尿人のご同輩、一応ご安心下さい。 (^_^)
新「血糖コントロール指標と評価基準」において、NGSP値を採用するなら、単純に0.4を足して
優:6.2%未満
良:6.9%未満
不十分:6.9~7.4%未満
不良:7.4~8.4未満
不可:8.4%以上
ということで決着しそうです。
☆☆☆参考
2010年05月31日 (月) のブログです。
糖尿病の新診断基準、7月1日に施行
第53回日本糖尿病学会年次学術集会において、開催初日の2010年5月27日に、糖尿病の新しい診断基準の概要と、2010年7月1日に新基準を施行することが発表されました。
今回新しくなる診断基準は、前回の基準から11年ぶりに改訂されます。改訂の目玉は、診断基準に「HbA1c 6.5%以上」(6.1%[JDS値])が追加されたことです。
HbA1c値については、日本独自の測定法によって得られるJDS値と、欧米を中心に使われている測定法によって得られるNGSP値があり、両者のデータにはずれがありました。
換算するとJDS値に0.4を加えた値が、NGSP値となります。当然国際基準としては、NGSP値が優先されます。
新診断基準のHbA1c:6.5%は、NGSP値相当であり、現行の日本の測定法によるJDS値では、6.1%となります。
今後HbA1cはNGSP値に相当する値を基準としますが、HbA1c測定方法はこれまでと同様のJDS値なので、単純に0.4を足した値をNGSP値として示すことになります。
国際標準化作業が行われて、JDS値に0.4を足せばNGSP値と同じになることが確認されました。
従来の診断基準では、
①空腹時血糖値126mg/dL以上なら糖尿病型
② 75g糖負荷試験で2時間値200mg/dL以上なら糖尿病型
③随時血糖値200mg/dL以上なら糖尿病型
①②③の糖尿病型いずれかが別の日に2回以上、確認された場合に糖尿病と診断しており、HbA1c値は補助的な位置付けで、診断基準には入っていませんでした。
近年HbA1cは、糖尿病の診断基準として国際的評価が高く、米国糖尿病学会(ADA)は、2009年、糖尿病診断に原則HbA1C検査を適用することとしました。
これを受けて日本でも、今回の改訂で、「補助的な項目」から格上げで診断基準の1つとして取りあげられることとなりました。
診断基準項目の1つとなったHbA1c値は、6.5%以上(6.1%以上[JDS値])とされました。
これは、日本のデータを用いて、網膜症の出現頻度や血糖値とHbA1c値との関係を解析した結果から、決定したそうです。
新診断基準にはHbA1c値が加わりましたが、糖尿病の診断は
<血糖値>
①空腹時血糖値126mg/dL以上なら糖尿病型
② 75g糖負荷試験で2時間値200mg/dL以上なら糖尿病型
③随時血糖値200mg/dL以上なら糖尿病型
のうちいずれか(従来の基準と同じです)と
<HbA1c>
6.5%以上(JDS値で6.1%以上)なら糖尿病型
の両方で評価するよう決められていますが、血糖値データは必ず必要です。
すなわち患者さんが「HbA1c:6.5%以上(JDS値で6.1%以上)」のみを満たすだけでは糖尿病と診断できません。
HbA1cと同時あるいは再検査で血糖値を測定し、血糖値も診断基準を超えて糖尿病型であった場合に初めて糖尿病と診断されます。
1回目の検査でHbA1c値が「HbA1c:6.5%以上(JDS値で6.1%以上)」で糖尿病型と診断され、再検査でHbA1c値再度糖尿病型と診断されても、血糖値が糖尿病型でなければあくまで「糖尿病疑い」にとどまるとされました。
また、血糖値のみ糖尿病型の場合、糖尿病の典型的症状が確認されたり、眼底検査で糖尿病網膜症が認められれば、糖尿病と診断されます。
**6月20日追加
従来の診断基準
①空腹時血糖値126mg/dL以上なら糖尿病型
② 75g糖負荷試験で2時間値200mg/dL以上なら糖尿病型
③随時血糖値200mg/dL以上なら糖尿病型
のいずれかが別の日に2回以上、確認された場合に糖尿病と診断というのは新診断基準でも同様です。
すなわち、HbA1cが正常型でも、血糖値データだけで診断できるわけですね。
2010年7月1日に、11年ぶりとなる糖尿病の新しい診断基準が施行されます。
新基準では、「糖尿病型」の判定に、従来の基準には無かった、HbA1が採用されました。
これにより、1回の採血で血糖値とHbA1cの測定結果が両方とも糖尿病型であれば、それだけで糖尿病と診断できることとなりました。
従来の基準では、必ず異なる日に2回の採血が必要でしたので、簡略化できたと言えます。
HbA1cの表記法もJDS値に0.4を足したNGSP相当値に変更される予定です。7月1日からは、英文誌の原著論文や国際学会での発表時には、当然国際基準であるNGSP値相当値が使用されます。
一方、日常診療現場においては、当面は今まで通りのJDS値によるHbA1cで表記し、1年後をめどにNGSP相当値に移行する予定だそうです。
江部康二
☆☆☆参考
新診断基準施行と血糖コントロール指標と評価とHbA1c
2010年06月20日 (日)
2010年7月1日から、糖尿病新診断基準施行で、今後HbA1cはNGSP値に相当する値が基準でJDS値は併記となります。(日常診療現場においては、当面は今まで通りのJDS値によるHbA1cで表記し、1年後をめどにNGSP相当値に移行する予定)
日本糖尿病学会から新診断基準は発表されたのですが、「血糖コントロール指標と評価基準」はまだ発表されていません。
臨床現場ではHbA1c測定方法はこれまでと同様のJDS値なのですが、単純に0.4を足した値をNGSP値として示すことになります。
ここまではいいのですが、さて「血糖コントロール指標と評価基準」はどうなるのでしょう?
今まで、JDS値での「血糖コントロール指標と評価基準」は、
優:5.8%未満
良:6.5%未満
不十分:6.5~7.0%未満
不良:7.0~8.0未満
不可:8.0%以上
でした。
そうすると、JDS値では6.4%でコントロール良だった糖尿人が、NGSP値ではいきなり6.9%になるので、コントロール不十分になってしまうのは、何だか釈然としないですよね。 (*_*)
それでもまあ、糖尿人のご同輩、一応ご安心下さい。 (^_^)
新「血糖コントロール指標と評価基準」において、NGSP値を採用するなら、単純に0.4を足して
優:6.2%未満
良:6.9%未満
不十分:6.9~7.4%未満
不良:7.4~8.4未満
不可:8.4%以上
ということで決着しそうです。
☆☆☆参考
2010年05月31日 (月) のブログです。
糖尿病の新診断基準、7月1日に施行
第53回日本糖尿病学会年次学術集会において、開催初日の2010年5月27日に、糖尿病の新しい診断基準の概要と、2010年7月1日に新基準を施行することが発表されました。
今回新しくなる診断基準は、前回の基準から11年ぶりに改訂されます。改訂の目玉は、診断基準に「HbA1c 6.5%以上」(6.1%[JDS値])が追加されたことです。
HbA1c値については、日本独自の測定法によって得られるJDS値と、欧米を中心に使われている測定法によって得られるNGSP値があり、両者のデータにはずれがありました。
換算するとJDS値に0.4を加えた値が、NGSP値となります。当然国際基準としては、NGSP値が優先されます。
新診断基準のHbA1c:6.5%は、NGSP値相当であり、現行の日本の測定法によるJDS値では、6.1%となります。
今後HbA1cはNGSP値に相当する値を基準としますが、HbA1c測定方法はこれまでと同様のJDS値なので、単純に0.4を足した値をNGSP値として示すことになります。
国際標準化作業が行われて、JDS値に0.4を足せばNGSP値と同じになることが確認されました。
従来の診断基準では、
①空腹時血糖値126mg/dL以上なら糖尿病型
② 75g糖負荷試験で2時間値200mg/dL以上なら糖尿病型
③随時血糖値200mg/dL以上なら糖尿病型
①②③の糖尿病型いずれかが別の日に2回以上、確認された場合に糖尿病と診断しており、HbA1c値は補助的な位置付けで、診断基準には入っていませんでした。
近年HbA1cは、糖尿病の診断基準として国際的評価が高く、米国糖尿病学会(ADA)は、2009年、糖尿病診断に原則HbA1C検査を適用することとしました。
これを受けて日本でも、今回の改訂で、「補助的な項目」から格上げで診断基準の1つとして取りあげられることとなりました。
診断基準項目の1つとなったHbA1c値は、6.5%以上(6.1%以上[JDS値])とされました。
これは、日本のデータを用いて、網膜症の出現頻度や血糖値とHbA1c値との関係を解析した結果から、決定したそうです。
新診断基準にはHbA1c値が加わりましたが、糖尿病の診断は
<血糖値>
①空腹時血糖値126mg/dL以上なら糖尿病型
② 75g糖負荷試験で2時間値200mg/dL以上なら糖尿病型
③随時血糖値200mg/dL以上なら糖尿病型
のうちいずれか(従来の基準と同じです)と
<HbA1c>
6.5%以上(JDS値で6.1%以上)なら糖尿病型
の両方で評価するよう決められていますが、血糖値データは必ず必要です。
すなわち患者さんが「HbA1c:6.5%以上(JDS値で6.1%以上)」のみを満たすだけでは糖尿病と診断できません。
HbA1cと同時あるいは再検査で血糖値を測定し、血糖値も診断基準を超えて糖尿病型であった場合に初めて糖尿病と診断されます。
1回目の検査でHbA1c値が「HbA1c:6.5%以上(JDS値で6.1%以上)」で糖尿病型と診断され、再検査でHbA1c値再度糖尿病型と診断されても、血糖値が糖尿病型でなければあくまで「糖尿病疑い」にとどまるとされました。
また、血糖値のみ糖尿病型の場合、糖尿病の典型的症状が確認されたり、眼底検査で糖尿病網膜症が認められれば、糖尿病と診断されます。
**6月20日追加
従来の診断基準
①空腹時血糖値126mg/dL以上なら糖尿病型
② 75g糖負荷試験で2時間値200mg/dL以上なら糖尿病型
③随時血糖値200mg/dL以上なら糖尿病型
のいずれかが別の日に2回以上、確認された場合に糖尿病と診断というのは新診断基準でも同様です。
すなわち、HbA1cが正常型でも、血糖値データだけで診断できるわけですね。
2010年06月24日 (木)
おはようございます。
今朝は、久しぶりのいい天気です。
梅雨の晴れ間で、湿気が気持ち少ないとほっとしますね。
さて今回は、機能性低血糖症と炭水化物依存症と糖質制限食のお話しです。
今まで、糖質(炭水化物)を頻回・大量に食べていた人は、程度の差はありますが、炭水化物依存症の可能性があります。
スーパー糖質制限食を始めてから、いらいらしたり、異常な空腹感がでたり、精神的に不安定になる人は、時におられます。そのほとんどが、いわゆる<炭水化物依存症>の人です。炭水化物依存症の人に機能性低血糖症がダブっていると結構厄介です。
炭水化物依存症というのは日本では聞き慣れない言葉ですが、米国では定着していて本まで出版されています。
リチャード・ヘラー&レイチェル・ヘラー著の「低炭水化物ダイエット」(ネコ・パブリッシング)によれば、米国の炭水化物依存症の人には
①食べることばかり考える。
②食事で満足感が得られない。食後2~3時間でまた何か食べたくなる。
③疲労感が常にある。
④原因不明の不安や怒りを覚えることがある。
⑤感情が高ぶりやすい。
⑥肥満がある。
上記①~⑥がよくみられ、高インスリン血症を伴うことが多いそうです。
摂取した糖質に対して、必要量以上のインスリンが出てしまう、インスリン過剰分泌がベースにあるので、血液検査では高インスリン血症になりますし、肥満しやすいです。
インスリン過剰分泌があるなら、機能性低血糖症も合併しやすい可能性がありますね。
ヘラーによれば
「正常人では、糖質を摂取して血糖値が上昇し、適切な量のインスリンが分泌され筋肉が血糖値をとりこんで血糖値が下がればインスリン量はすぐに下がり、セロトニンが分泌され満腹感がえられる。炭水化物依存症の人はインスリンが過剰に出ているので、なかなか血中のインスリン量が下がらず、満腹感が得られない。」
そうです。
これはあくまでも仮説ですし、米国人と日本人と少し違うかもしれませんが、このような人は、起きているときは、常に外部から糖質が摂取されて血中に入り血糖に変わるので、肝臓が糖新生をするのは、夜中寝ているときくらいです。
寝る前に夜食のラーメンとか食べたら、夜中に寝ている時も血糖値が上がり、肝臓の糖新生は明け方くらいしか働きませんので、24時間のうち、肝臓の糖新生はわずか3~4時間だけです。これでは、肝臓の糖新生能力が衰えてしまいます。
この炭水化物依存症で衰えてしまった肝臓の糖新生能力が、本来の力を取り戻すまでの期間に個人差があるわけです。数日の人、1ヶ月の人、まれにはは2~3ヶ月かかる人・・・。
肝臓の糖新生能力が、極度に衰えている人がいきなり、スーパー糖質制限食を行えば、低血糖になる可能性もありえますので注意が必要ですが、このようなケースはさすがにまれと思います。
中等度までの炭水化物依存症なら、低血糖を生じることはまずないので、機能性低血糖の症状を糖質制限食でコントロールしつつ、徐々に依存から脱却することを目指します。
極度の炭水化物依存症の場合も、最終的には慣れるしかないのですが、まずは、プチ或いはスタンダード糖質制限食くらいから始める選択肢もあります。
つまり、1日2回(例えば朝昼食)は、少量の主食を摂取して、夕食は糖質制限食。
あるいは1日1回(例えば昼食)は、少量の主食を摂取して、朝・夕は糖質制限食。
あるいはさらにゆるく、主食を3食とも1/3くらいにする方法もあります。
1~2ヶ月で慣れることが多いです。一方、炭水化物依存症は、ニコチン中毒とよく似ているという説もありますので、それなりの覚悟はいるかもしれませんね。
江部康二
今朝は、久しぶりのいい天気です。
梅雨の晴れ間で、湿気が気持ち少ないとほっとしますね。
さて今回は、機能性低血糖症と炭水化物依存症と糖質制限食のお話しです。
今まで、糖質(炭水化物)を頻回・大量に食べていた人は、程度の差はありますが、炭水化物依存症の可能性があります。
スーパー糖質制限食を始めてから、いらいらしたり、異常な空腹感がでたり、精神的に不安定になる人は、時におられます。そのほとんどが、いわゆる<炭水化物依存症>の人です。炭水化物依存症の人に機能性低血糖症がダブっていると結構厄介です。
炭水化物依存症というのは日本では聞き慣れない言葉ですが、米国では定着していて本まで出版されています。
リチャード・ヘラー&レイチェル・ヘラー著の「低炭水化物ダイエット」(ネコ・パブリッシング)によれば、米国の炭水化物依存症の人には
①食べることばかり考える。
②食事で満足感が得られない。食後2~3時間でまた何か食べたくなる。
③疲労感が常にある。
④原因不明の不安や怒りを覚えることがある。
⑤感情が高ぶりやすい。
⑥肥満がある。
上記①~⑥がよくみられ、高インスリン血症を伴うことが多いそうです。
摂取した糖質に対して、必要量以上のインスリンが出てしまう、インスリン過剰分泌がベースにあるので、血液検査では高インスリン血症になりますし、肥満しやすいです。
インスリン過剰分泌があるなら、機能性低血糖症も合併しやすい可能性がありますね。
ヘラーによれば
「正常人では、糖質を摂取して血糖値が上昇し、適切な量のインスリンが分泌され筋肉が血糖値をとりこんで血糖値が下がればインスリン量はすぐに下がり、セロトニンが分泌され満腹感がえられる。炭水化物依存症の人はインスリンが過剰に出ているので、なかなか血中のインスリン量が下がらず、満腹感が得られない。」
そうです。
これはあくまでも仮説ですし、米国人と日本人と少し違うかもしれませんが、このような人は、起きているときは、常に外部から糖質が摂取されて血中に入り血糖に変わるので、肝臓が糖新生をするのは、夜中寝ているときくらいです。
寝る前に夜食のラーメンとか食べたら、夜中に寝ている時も血糖値が上がり、肝臓の糖新生は明け方くらいしか働きませんので、24時間のうち、肝臓の糖新生はわずか3~4時間だけです。これでは、肝臓の糖新生能力が衰えてしまいます。
この炭水化物依存症で衰えてしまった肝臓の糖新生能力が、本来の力を取り戻すまでの期間に個人差があるわけです。数日の人、1ヶ月の人、まれにはは2~3ヶ月かかる人・・・。
肝臓の糖新生能力が、極度に衰えている人がいきなり、スーパー糖質制限食を行えば、低血糖になる可能性もありえますので注意が必要ですが、このようなケースはさすがにまれと思います。
中等度までの炭水化物依存症なら、低血糖を生じることはまずないので、機能性低血糖の症状を糖質制限食でコントロールしつつ、徐々に依存から脱却することを目指します。
極度の炭水化物依存症の場合も、最終的には慣れるしかないのですが、まずは、プチ或いはスタンダード糖質制限食くらいから始める選択肢もあります。
つまり、1日2回(例えば朝昼食)は、少量の主食を摂取して、夕食は糖質制限食。
あるいは1日1回(例えば昼食)は、少量の主食を摂取して、朝・夕は糖質制限食。
あるいはさらにゆるく、主食を3食とも1/3くらいにする方法もあります。
1~2ヶ月で慣れることが多いです。一方、炭水化物依存症は、ニコチン中毒とよく似ているという説もありますので、それなりの覚悟はいるかもしれませんね。
江部康二
2010年06月23日 (水)
おはようございます。
今回は、あかさんから、機能性低血糖症についてコメント・質問をいただきました。
「10/06/22 あかさん
機能性低血糖症について
江部先生こんにちは。
先日の大阪講演会とターニングポイントのライブに参加させていただきました。どちらも大変楽しく、有意義な時間を過ごすことができ、ありがとうございました。またぜひ参加させていただきます。
さて、2月に糖質制限食と出会うまで、昼食を11時半から12時にとると、16時にものすごい空腹感を感じて、糖分補給をしていました。
糖質制限を始めてこの低血糖がなくなったため自分なりに分析してみました。
肥満によるインスリン抵抗性の発現→食後の高血糖→インスリンの過剰分泌による低血糖の発現ではないかと。
講演会で海外では機能性低血糖症という病名があるとのことを初めて知りました。
そこで質問ですが、この機能性低血糖症はベースに糖尿病もしくは境界型の糖尿病があると考えるべきなのですか。もしそうなら、負荷試験などの精査を一度受けておいたほうがよいのでしょうか。よろしくお願い致します。」
あかさん。
講演会、ライブへのご参加、ありがとうございました。
楽しんでいただけて良かったです。
また是非どうぞ。(^-^)v(^-^)v
「2月に糖質制限食と出会うまで、昼食を11時半から12時にとると、16時にものすごい空腹感を感じて、糖分補給をしていました。
糖質制限を始めてこの低血糖がなくなったため自分なりに分析してみました。
肥満によるインスリン抵抗性の発現→食後の高血糖→インスリンの過剰分泌による低血糖の発現ではないかと。」
あかさんの分析通り、機能性低血糖によるものすごい空腹感だったと考えられます。
機能性低血糖の背景には、インスリンの過剰分泌及び遷延分泌があります。やせ型でインスリン抵抗性がなくても、機能性低血糖を生じる人はおられます。
機能性低血糖症は、糖質を摂取して血糖値が上昇して、追加分泌インスリンが基礎分泌インスリンの10倍、20倍、30倍レベル出たときに、早ければ食後2時間、通常は4時間から5時間くらいで発症することが多いです。
インスリン追加分泌が遷延する場合は特に起こりやすいです。
<血糖値上昇→インスリン過剰分泌・分泌遷延→機能性低血糖>
というパターンです。
従って、精製炭水化物が、最も機能性低血糖を起こしやすいです。未精製の炭水化物はややましですが、やはり起こす可能性があります。
糖質制限食なら、食後高血糖がほとんどなくて、インスリン追加分泌もごく少量なので機能性低血糖をほとんど生じません。
糖質制限食実践中は、肝臓でアミノ酸などから糖新生が行われるので、基本的に適正血糖値が保たれます。
ちなみに脂質は、インスリンを分泌させません。タンパク質は、ごく少量インスリンを分泌させます。
この機能性低血糖症、日本ではあまり認知されていませんが、きっちり問診してみると結構おられますので注意が必要ですね。
「機能性低血糖症はベースに糖尿病もしくは境界型の糖尿病があると考えるべきなのですか。もしそうなら、負荷試験などの精査を一度受けておいたほうがよいのでしょうか。」
境界型および糖尿病でも軽症の段階だと、インスリン分泌能力はまだ残っています。そして、インスリン追加分泌が出遅れて遷延するのが、2型糖尿病の特徴なので、「機能性低血糖+境界型」あるいは「機能性低血糖+糖尿病型」というパターンは、結構あると思います。
一方、糖尿病は全くなくて、インスリンが過剰に分泌されるタイプの「機能性低血糖+正常型」もあります。
こちらは若い人に多く、それこそ小学生や中学生でもありえると思います。当然、高校生や大学生は言うまでもありません。
機能性低血糖症は、1924年アメリカのSeale Harrisによって指摘された疾患で、血糖値の低下に伴ない、精神的・身体的症状を来たす疾患です。
易疲労感、気力低下、眠気、集中力低下、物忘れ、不安、いらいら、頭痛、めまい、発汗、震え、心悸亢進、筋肉痛、甘いものに対する異常な欲求、異常な空腹感・・・ などの症状がみられます。
日本ではまだあまり知られてないようで、私も詳しくありませんが、アメリカではそこそこの認知度のようです。
診断は、75g経口ブドウ糖負荷試験で行います。
通常、糖尿病の診断のためには空腹時に開始して、ブドウ糖を服用後2時間までの血糖値を測定します。機能性低血糖症の場合は、ブドウ糖服用後5時間まで血糖値を検査します。
機能性低血糖症の場合、負荷後30分で120~140mg程度に上昇した血糖値が、60分で60mgになったりします。これだと眠気も来そうですね。さらに4時間後とかに40mgとかまで下がることもあります。
血糖値が40mgなら明らかな低血糖ですが、60mg以上あっても、血糖値が1時間で50mg以上下がると眠気などの症状も出やすいようです。
また、空腹時の検査開始時血糖値より20%以上、負荷後血糖値が下がる時点があることが多いようです。
例えば負荷前空腹時血糖値が90mgくらいで、ブドウ糖負荷後4時間で60mgとかになります。これで33%下がってますね。
本来血糖値が正常になれば、インスリン追加分泌も即中止になるはずなのですが、出過ぎた場合と遷延した場合には必要以上に血糖値が下がります。
ともあれ5時間の「75gブドウ糖経口負荷試験」って、患者さんもスタッフもちょっと大変なので、高雄病院では実施していません。だいたいは問診で見当がつきますし・・・。
また、あかさんの場合糖質制限食で症状が改善しておられるので、「治療による診断」がすでにあるていど確かめられていると思います。
このように大多数の機能性低血糖症が、糖質制限食で改善する可能性が高いと思います。 (^_^)
一方、炭水化物依存症レベルの人の機能性低血糖症は、そう簡単にはいかないことがあります。(*- -)(*_ _) →続く
江部康二
今回は、あかさんから、機能性低血糖症についてコメント・質問をいただきました。
「10/06/22 あかさん
機能性低血糖症について
江部先生こんにちは。
先日の大阪講演会とターニングポイントのライブに参加させていただきました。どちらも大変楽しく、有意義な時間を過ごすことができ、ありがとうございました。またぜひ参加させていただきます。
さて、2月に糖質制限食と出会うまで、昼食を11時半から12時にとると、16時にものすごい空腹感を感じて、糖分補給をしていました。
糖質制限を始めてこの低血糖がなくなったため自分なりに分析してみました。
肥満によるインスリン抵抗性の発現→食後の高血糖→インスリンの過剰分泌による低血糖の発現ではないかと。
講演会で海外では機能性低血糖症という病名があるとのことを初めて知りました。
そこで質問ですが、この機能性低血糖症はベースに糖尿病もしくは境界型の糖尿病があると考えるべきなのですか。もしそうなら、負荷試験などの精査を一度受けておいたほうがよいのでしょうか。よろしくお願い致します。」
あかさん。
講演会、ライブへのご参加、ありがとうございました。
楽しんでいただけて良かったです。
また是非どうぞ。(^-^)v(^-^)v
「2月に糖質制限食と出会うまで、昼食を11時半から12時にとると、16時にものすごい空腹感を感じて、糖分補給をしていました。
糖質制限を始めてこの低血糖がなくなったため自分なりに分析してみました。
肥満によるインスリン抵抗性の発現→食後の高血糖→インスリンの過剰分泌による低血糖の発現ではないかと。」
あかさんの分析通り、機能性低血糖によるものすごい空腹感だったと考えられます。
機能性低血糖の背景には、インスリンの過剰分泌及び遷延分泌があります。やせ型でインスリン抵抗性がなくても、機能性低血糖を生じる人はおられます。
機能性低血糖症は、糖質を摂取して血糖値が上昇して、追加分泌インスリンが基礎分泌インスリンの10倍、20倍、30倍レベル出たときに、早ければ食後2時間、通常は4時間から5時間くらいで発症することが多いです。
インスリン追加分泌が遷延する場合は特に起こりやすいです。
<血糖値上昇→インスリン過剰分泌・分泌遷延→機能性低血糖>
というパターンです。
従って、精製炭水化物が、最も機能性低血糖を起こしやすいです。未精製の炭水化物はややましですが、やはり起こす可能性があります。
糖質制限食なら、食後高血糖がほとんどなくて、インスリン追加分泌もごく少量なので機能性低血糖をほとんど生じません。
糖質制限食実践中は、肝臓でアミノ酸などから糖新生が行われるので、基本的に適正血糖値が保たれます。
ちなみに脂質は、インスリンを分泌させません。タンパク質は、ごく少量インスリンを分泌させます。
この機能性低血糖症、日本ではあまり認知されていませんが、きっちり問診してみると結構おられますので注意が必要ですね。
「機能性低血糖症はベースに糖尿病もしくは境界型の糖尿病があると考えるべきなのですか。もしそうなら、負荷試験などの精査を一度受けておいたほうがよいのでしょうか。」
境界型および糖尿病でも軽症の段階だと、インスリン分泌能力はまだ残っています。そして、インスリン追加分泌が出遅れて遷延するのが、2型糖尿病の特徴なので、「機能性低血糖+境界型」あるいは「機能性低血糖+糖尿病型」というパターンは、結構あると思います。
一方、糖尿病は全くなくて、インスリンが過剰に分泌されるタイプの「機能性低血糖+正常型」もあります。
こちらは若い人に多く、それこそ小学生や中学生でもありえると思います。当然、高校生や大学生は言うまでもありません。
機能性低血糖症は、1924年アメリカのSeale Harrisによって指摘された疾患で、血糖値の低下に伴ない、精神的・身体的症状を来たす疾患です。
易疲労感、気力低下、眠気、集中力低下、物忘れ、不安、いらいら、頭痛、めまい、発汗、震え、心悸亢進、筋肉痛、甘いものに対する異常な欲求、異常な空腹感・・・ などの症状がみられます。
日本ではまだあまり知られてないようで、私も詳しくありませんが、アメリカではそこそこの認知度のようです。
診断は、75g経口ブドウ糖負荷試験で行います。
通常、糖尿病の診断のためには空腹時に開始して、ブドウ糖を服用後2時間までの血糖値を測定します。機能性低血糖症の場合は、ブドウ糖服用後5時間まで血糖値を検査します。
機能性低血糖症の場合、負荷後30分で120~140mg程度に上昇した血糖値が、60分で60mgになったりします。これだと眠気も来そうですね。さらに4時間後とかに40mgとかまで下がることもあります。
血糖値が40mgなら明らかな低血糖ですが、60mg以上あっても、血糖値が1時間で50mg以上下がると眠気などの症状も出やすいようです。
また、空腹時の検査開始時血糖値より20%以上、負荷後血糖値が下がる時点があることが多いようです。
例えば負荷前空腹時血糖値が90mgくらいで、ブドウ糖負荷後4時間で60mgとかになります。これで33%下がってますね。
本来血糖値が正常になれば、インスリン追加分泌も即中止になるはずなのですが、出過ぎた場合と遷延した場合には必要以上に血糖値が下がります。
ともあれ5時間の「75gブドウ糖経口負荷試験」って、患者さんもスタッフもちょっと大変なので、高雄病院では実施していません。だいたいは問診で見当がつきますし・・・。
また、あかさんの場合糖質制限食で症状が改善しておられるので、「治療による診断」がすでにあるていど確かめられていると思います。
このように大多数の機能性低血糖症が、糖質制限食で改善する可能性が高いと思います。 (^_^)
一方、炭水化物依存症レベルの人の機能性低血糖症は、そう簡単にはいかないことがあります。(*- -)(*_ _) →続く
江部康二
2010年06月22日 (火)
こんにちは。
尿路結石と糖質制限食について、Oliverさんからコメント・質問をいただきました。
「結石
尿路結石を2度ほど経験しているのですが、病院からもらう指針によると、高蛋白・高脂質の食事が良くないそうです。高蛋白・高脂質と言えば、まさに糖質制限食だと思うのですが、大丈夫なのでしょうか?よろしくお願いします。
2010/06/21(Mon) 17:46 | URL | Oliver
Oliverさん。
コメントありがとうございます。
仰有る通り、
①「戦後食生活が欧米化して高蛋白・高脂質食となり、尿路結石が増えた。従って尿路結石再発予防には蛋白質・脂質を減らすのが良い。」
というのが従来の説ですね。
これって、どっかで聞いた台詞ですね。
すなわち
②「戦後食生活が欧米化して高蛋白・高脂質食となり、糖尿病・肥満が増えた。」
①②の定説を検証する前に、日本の終戦後の歴史を振り返ってみます。
1945年(昭和20年)終戦後、日本は貧しい時代で飢餓もあった。
1950年(昭和25年)~1953年(昭和28年)朝鮮戦争。
米軍への軍需物資提供で、日本経済は浮上し始める。
1955年(昭和30年)から1957年にかけて神武景気。
1959年(昭和34年)から1961年(昭和36年)にかけて岩戸景気。
1960年(昭和35年)南ベトナム解放民族戦線結成。
以後あしかけ16年(1960~1975)にわたる長期の抗戦状態に突入。
このベトナム戦争に伴い、経済が大幅に活性化。
1962年(昭和37年)から1970年(昭和45年)まで高度経済成長時代。
結局、朝鮮戦争とベトナム戦争という二つの戦争により、第二次大戦で疲弊しきっていた日本経済は、奇蹟の復興を遂げたわけです。特に、ベトナム戦争に伴う高度経済成長は、一気に日本をお金持ちの国に押し上げました。
厚生労働省「国民栄養の現状」によれば、
総摂取カロリー 摂取熱量比率(% )
たん白質 脂質 炭水化物
1955年(昭和30年) 2104 12.7 7.5 79.8%
1960年(昭和35年) 2096 13.3 10.6 76.1%
1965年(昭和40年) 2184 13.1 14.8 72.1%
1970年(昭和45年) 2210 14.0 18.9 67.1%
1975年(昭和50年) 2226 14.6 22.3 63.1%
1980年(昭和55年) 2119 14.9 23.6 61.5%
1985年(昭和60年) 2088 15.1 24.5 60.4%
1990年(平成2年) 2026 15.5 25.3 59.2%
1995年(平成7年) 2042 16.0 26.4 57.6%
1997年(平成9年) 2007 16.0 26.6 57.4%
2000年(平成12年) 1948 15.9 26.5 57.5%
2001年(平成13年) 1954 15.1 25.2 59.7%
2004年(平成16年) 1902 15.0 25.3 59.7%
2005年(平成17年)1904 15.0 25.3 59.7%
2007年(平成19年) 1898 14.9 25.5 59.6%
2008年(平成20年) 1867 14.7 24.9 60.4%
1965年(昭和40年)から、鮮明に炭水化物が減少し脂質が増加し始めています。
1955年(昭和30年)に比べるとその差は顕著で、脂質は倍増し、その分7%炭水化物が減少しています。
高度経済成長が始まって3年目くらいで、裕福になって肉や乳製品など、高価な食材を摂取できるようになってこの変化が始まったのでしょう。
一方、炭水化物が減少し、脂質が増加するという傾向は、約15年間続いてストップしています。
すなわち、1980年(昭和55年)から2008年(平成20年)までの28年間は
炭水化物:57~62%
脂質:23~26%
蛋白質:15~16%
と摂取熱量比率はほとんど不変です。
その中で1997年(平成9年)の26.6%をピークに、脂質摂取比率は減少傾向にあります。
蛋白質の摂取比率も、1980年(昭和55年)14.9%ころからほとんど変化がないのですが、1997年(平成9年)16.0%以降は減少傾向です。
一方、糖質の摂取比率は 1997年(平成9年) 57.4%を底として、上昇傾向に転じています。
また、総摂取カロリーが1975年(昭和50年) 2226キロカロリーをピークに減少しています。
特に2000年(平成12年)1948キロカロリー以降は、2000キロカロリーを割り込んで減少し続けています。
これは、高齢化社会を反映しているものと思われます。高齢の人は、そんなに量を食べないですしね。
少食の高齢の人口が増加しているので、総摂取カロリーも減少しているのでしょう。
日本糖尿病学会推奨のカロリー制限糖尿食は、
「糖質55~60%、脂質20~25%、タンパク質20%」
ですので、タンパク質がやや不足気味以外は、28年間以上、糖質・脂質は、ほぼ目標達成です。
それでも、この間糖尿病や肥満は増え続けています。
そして1997年(平成9年)の26.6%をピークに、脂質摂取比率も減少傾向にあるにもかかわらず、この後も糖尿病、肥満は増え続けています。
このように
②「戦後食生活が欧米化して高蛋白・高脂質食となり、糖尿病・肥満が増えた。」
という定説は、間違いであることが、厚生労働省「国民栄養の現状」の年次的変化を分析することで、証明できたと思います。
①「戦後食生活が欧米化して高蛋白・高脂質食となり、尿路結石が増えた。従って尿路結石再発予防には蛋白質・脂質を減らすのが良い。」
こちらの定説も、「食生活が欧米化して高蛋白・高脂質食となり」というのは、1965年(昭和40年)から、1980年(昭和55年)までの15年間の出来事にすぎないので、尿路結石が増えたのがそのせいかどうかかなり疑問です。
まして、1980年以降は、脂質・蛋白質の摂取率にほとんど差はありませんので、この間尿路結石が増え続けているなら、脂質・蛋白質が犯人という説はおかしいですね。
日本尿路結石症学会が2005年に行った調査によると、尿路結石の患者数は40年前(1965年)と比べて約3倍と、急激に増えています。
1965年、人口10万人あたり、63.8人。
1975年、人口10万人あたり、75.7人。
1985年、人口10万人あたり、91.6人。
1995年、人口10万人あたり、117.5人。
2005年、人口10万人あたり、192人。
同調査では男性は7人に1人、女性は15人に1人の割合で、一生に一度は尿路結石症にかかるとされています。
1965年以降確かに、尿路結石は増え続けていますね。特に1995年~2005年までの10年間の増加は、それ以前の30年間に比べて、とんでもない人数の増加です。
そして、1995年~2005年は、厚生労働省「国民栄養の現状」によれば、蛋白質・脂質の摂取率は減少傾向にあります。
こうなると1995年~2005年までの10年間の尿路結石患者の激増は、蛋白質・脂質には無関係の可能性が極めて高いです。
なお、メタボリック症候群の人はそうでない人に比べたら、尿路結石再発率が1.3倍という報告もあります。
またBMI25以上の人は、そうでない人に比べて、尿路結石発症リスクが2割増えるという報告もあります。
そしてメタボの根本要因は、精製炭水化物の頻回・過剰摂取によるグルコースミニスパイクとインスリンの頻回・過剰分泌でしたね・・・。
江部康二
尿路結石と糖質制限食について、Oliverさんからコメント・質問をいただきました。
「結石
尿路結石を2度ほど経験しているのですが、病院からもらう指針によると、高蛋白・高脂質の食事が良くないそうです。高蛋白・高脂質と言えば、まさに糖質制限食だと思うのですが、大丈夫なのでしょうか?よろしくお願いします。
2010/06/21(Mon) 17:46 | URL | Oliver
Oliverさん。
コメントありがとうございます。
仰有る通り、
①「戦後食生活が欧米化して高蛋白・高脂質食となり、尿路結石が増えた。従って尿路結石再発予防には蛋白質・脂質を減らすのが良い。」
というのが従来の説ですね。
これって、どっかで聞いた台詞ですね。
すなわち
②「戦後食生活が欧米化して高蛋白・高脂質食となり、糖尿病・肥満が増えた。」
①②の定説を検証する前に、日本の終戦後の歴史を振り返ってみます。
1945年(昭和20年)終戦後、日本は貧しい時代で飢餓もあった。
1950年(昭和25年)~1953年(昭和28年)朝鮮戦争。
米軍への軍需物資提供で、日本経済は浮上し始める。
1955年(昭和30年)から1957年にかけて神武景気。
1959年(昭和34年)から1961年(昭和36年)にかけて岩戸景気。
1960年(昭和35年)南ベトナム解放民族戦線結成。
以後あしかけ16年(1960~1975)にわたる長期の抗戦状態に突入。
このベトナム戦争に伴い、経済が大幅に活性化。
1962年(昭和37年)から1970年(昭和45年)まで高度経済成長時代。
結局、朝鮮戦争とベトナム戦争という二つの戦争により、第二次大戦で疲弊しきっていた日本経済は、奇蹟の復興を遂げたわけです。特に、ベトナム戦争に伴う高度経済成長は、一気に日本をお金持ちの国に押し上げました。
厚生労働省「国民栄養の現状」によれば、
総摂取カロリー 摂取熱量比率(% )
たん白質 脂質 炭水化物
1955年(昭和30年) 2104 12.7 7.5 79.8%
1960年(昭和35年) 2096 13.3 10.6 76.1%
1965年(昭和40年) 2184 13.1 14.8 72.1%
1970年(昭和45年) 2210 14.0 18.9 67.1%
1975年(昭和50年) 2226 14.6 22.3 63.1%
1980年(昭和55年) 2119 14.9 23.6 61.5%
1985年(昭和60年) 2088 15.1 24.5 60.4%
1990年(平成2年) 2026 15.5 25.3 59.2%
1995年(平成7年) 2042 16.0 26.4 57.6%
1997年(平成9年) 2007 16.0 26.6 57.4%
2000年(平成12年) 1948 15.9 26.5 57.5%
2001年(平成13年) 1954 15.1 25.2 59.7%
2004年(平成16年) 1902 15.0 25.3 59.7%
2005年(平成17年)1904 15.0 25.3 59.7%
2007年(平成19年) 1898 14.9 25.5 59.6%
2008年(平成20年) 1867 14.7 24.9 60.4%
1965年(昭和40年)から、鮮明に炭水化物が減少し脂質が増加し始めています。
1955年(昭和30年)に比べるとその差は顕著で、脂質は倍増し、その分7%炭水化物が減少しています。
高度経済成長が始まって3年目くらいで、裕福になって肉や乳製品など、高価な食材を摂取できるようになってこの変化が始まったのでしょう。
一方、炭水化物が減少し、脂質が増加するという傾向は、約15年間続いてストップしています。
すなわち、1980年(昭和55年)から2008年(平成20年)までの28年間は
炭水化物:57~62%
脂質:23~26%
蛋白質:15~16%
と摂取熱量比率はほとんど不変です。
その中で1997年(平成9年)の26.6%をピークに、脂質摂取比率は減少傾向にあります。
蛋白質の摂取比率も、1980年(昭和55年)14.9%ころからほとんど変化がないのですが、1997年(平成9年)16.0%以降は減少傾向です。
一方、糖質の摂取比率は 1997年(平成9年) 57.4%を底として、上昇傾向に転じています。
また、総摂取カロリーが1975年(昭和50年) 2226キロカロリーをピークに減少しています。
特に2000年(平成12年)1948キロカロリー以降は、2000キロカロリーを割り込んで減少し続けています。
これは、高齢化社会を反映しているものと思われます。高齢の人は、そんなに量を食べないですしね。
少食の高齢の人口が増加しているので、総摂取カロリーも減少しているのでしょう。
日本糖尿病学会推奨のカロリー制限糖尿食は、
「糖質55~60%、脂質20~25%、タンパク質20%」
ですので、タンパク質がやや不足気味以外は、28年間以上、糖質・脂質は、ほぼ目標達成です。
それでも、この間糖尿病や肥満は増え続けています。
そして1997年(平成9年)の26.6%をピークに、脂質摂取比率も減少傾向にあるにもかかわらず、この後も糖尿病、肥満は増え続けています。
このように
②「戦後食生活が欧米化して高蛋白・高脂質食となり、糖尿病・肥満が増えた。」
という定説は、間違いであることが、厚生労働省「国民栄養の現状」の年次的変化を分析することで、証明できたと思います。
①「戦後食生活が欧米化して高蛋白・高脂質食となり、尿路結石が増えた。従って尿路結石再発予防には蛋白質・脂質を減らすのが良い。」
こちらの定説も、「食生活が欧米化して高蛋白・高脂質食となり」というのは、1965年(昭和40年)から、1980年(昭和55年)までの15年間の出来事にすぎないので、尿路結石が増えたのがそのせいかどうかかなり疑問です。
まして、1980年以降は、脂質・蛋白質の摂取率にほとんど差はありませんので、この間尿路結石が増え続けているなら、脂質・蛋白質が犯人という説はおかしいですね。
日本尿路結石症学会が2005年に行った調査によると、尿路結石の患者数は40年前(1965年)と比べて約3倍と、急激に増えています。
1965年、人口10万人あたり、63.8人。
1975年、人口10万人あたり、75.7人。
1985年、人口10万人あたり、91.6人。
1995年、人口10万人あたり、117.5人。
2005年、人口10万人あたり、192人。
同調査では男性は7人に1人、女性は15人に1人の割合で、一生に一度は尿路結石症にかかるとされています。
1965年以降確かに、尿路結石は増え続けていますね。特に1995年~2005年までの10年間の増加は、それ以前の30年間に比べて、とんでもない人数の増加です。
そして、1995年~2005年は、厚生労働省「国民栄養の現状」によれば、蛋白質・脂質の摂取率は減少傾向にあります。
こうなると1995年~2005年までの10年間の尿路結石患者の激増は、蛋白質・脂質には無関係の可能性が極めて高いです。
なお、メタボリック症候群の人はそうでない人に比べたら、尿路結石再発率が1.3倍という報告もあります。
またBMI25以上の人は、そうでない人に比べて、尿路結石発症リスクが2割増えるという報告もあります。
そしてメタボの根本要因は、精製炭水化物の頻回・過剰摂取によるグルコースミニスパイクとインスリンの頻回・過剰分泌でしたね・・・。
江部康二
2010年06月21日 (月)
こんばんは。
ことこさんから、妊娠糖尿病と出産後について、コメント・質問をいただきました。
「10/06/20 ことこ
先生おひさしぶりです。
妊娠糖尿病で先生にいろいろとコメントをいただいた 、ことこです。
その後無事に出産し子供も問題なくすくすくと育っています。
産後8週目に妊娠糖尿病の再検査を受け、その後の結果を先日聞きに行ってきました。
結果からすると
『境界型』にいま属しているそうです。妊娠中の75g負荷試験で2時間値が160だったのに、出産後の今回はなんと「190」でした。がっかりです。
正直産後も糖質制限を守り(ときにはみんなと主食も食べました)頑張って来たのになぜ産後あがってしまったのか。
主治医は『産後のメタボリズムなのでよくあること。僕は心配していないよ。』と説明してくれたのですが不安です。空腹時は90、一時間値は忘れましたが正常域だったそうですが、この1時間値は関係ないって聞いたこともあります。
空腹時血糖はちなみに90でした。検査の前日に人と集まり大量のピザを食べてしまったのですが中性脂肪とちがうのでこの食事が血糖にいきなり影響したとは考えにくいですし、もう自分は本当は2型に属してしまったのではないかと思います。
そこで先生に質問なのですが
①本当に主治医のいうように今後の検査で(半年後です)産後ホルモンが完全に落ち着きいまの結果よりも良くなっている可能性が高い。のか。
②主治医いわく食後2時間後の血糖値が120-140以内をキープ出来れば炭水化物を少量とってもかまわない。わたしはビスケット1枚なんかを計算しながらチーズと食べたりしています。
③A1Cは5.2だったのですが、網膜症の検査を受けなくていいのか?一時期尿に泡のようで泡ではないのですが、沈殿物のようなものが浮かんでおり、糖尿の兆候ではと思いました。いまのところ尿検査でひっかかったことはありません。
母乳と粉ミルクの混合ですが、とにかくお腹が空いてしかたがありません。糖質制限をいまでも続けていますが体重は産後も1,5kg妊娠前より増えたまま、減りもしなければ増えもしないというとこです。
糖質制限開始からすでに4ヶ月以上がたっているので体重の減少も落ち着いてきたということでしょうか。。。。。。
一方でうれしいこともありました。
ほかの血液検査では中性脂肪が基準値でもかなり低かったこと。HDLコレステロールが非常に高くドクターに驚かれたこと、これはほめられました。
ただLDLが基準値より高かった(妊娠前は基準値以内)のと、コレステロールが基準値ギリギリの高値であったことは言われましたが、主治医はそれでもHDLの値からすると心配はないと言っていました。
以上長々と申し訳がありません。妊娠糖尿病は日本ではめずらしいとされていますが、海外ではそうではないようです。よってどのサイトをみてもあまり情報が得られません。
どうぞ、よろしくおねがいします。」
ことこさん。
赤ちゃん誕生、おめでとうございます。 (^-^)v(^-^)v
「①本当に主治医のいうように今後の検査で(半年後です)産後ホルモンが完全に落ち着きいまの結果よりも良くなっている可能性が高い。のか。」
そのように思いますが、個人差があるようです。
下記の記載をご参照下さい。
「②主治医いわく食後2時間後の血糖値が120-140以内をキープ出来れば炭水化物を少量とってもかまわない。わたしはビスケット1枚なんかを計算しながらチーズと食べたりしています。」
OKです。
「③A1Cは5.2だったのですが、網膜症の検査を受けなくていいのか?一時期尿に泡のようで泡ではないのですが、沈殿物のようなものが浮かんでおり、糖尿の兆候ではと思いました。いまのところ尿検査でひっかかったことはありません。」
血糖負荷試験で境界型ですが、日頃は糖質制限食なので食後高血糖はないと思います。平均血糖値もA1Cが5.2なら、105mg/dlです。網膜症の検査はまず必要ないと思います。
LDLコレステロールも、中性脂肪とHDLコレステロールが絶好調なので、も主治医殿の仰有るとおり、心配ないと思います。
<妊娠糖尿病>
今まで糖尿病でなかったのに、妊娠した後初めて糖尿病になる場合があります。これが「妊娠糖尿病」で、妊婦の約3%くらいにみられます。
妊娠糖尿病の診断基準は、国により異なっています。
妊娠糖尿病のスクリーニング検査として、グルコースチャレンジテストがあります。随時に50gブドウ糖経口負荷後1時間の血糖値が140mg/dl以上を陽性とします。
それで陽性の場合、日本では、妊娠中に75gぶどう糖負荷試験を行い、糖負荷前値100mg/dL以上、1時間値180mg/dL以上、2時間値150mg/dL以上の3つの基準のうち、2つ以上を満たす場合に妊娠糖尿病と診断します。
従って、非妊娠時の糖尿病の判定基準とは異なっています。
妊娠糖尿病と診断された場合には、分娩後に改めて75gブドウ糖負荷試験を行って病型を分類するとしています。
肥満、糖尿病の家族歴、高齢、などが妊娠糖尿病のリスクとなります。
もともとの糖尿病患者が妊娠することを「糖尿病合併妊娠」といい、二つはわけて分類されています。
妊娠すると、胎盤が形成され「母体・胎盤・胎児」がひとつのユニットとなります。
この時、健常な胎児を発育・成長させるために胎盤や母体が、ヒト胎盤性ラクトーゲン(hPL)、成長ホルモン、グルカゴン、カテコラミン、糖質コルチコイドなどのホルモンを分泌し、それらによりインスリン抵抗性(インスリンの効きが悪くなること)がでてきます。
これらのホルモンは、妊娠の進行とともに増加しますから、特に妊娠中期以後にインスリン抵抗性が増加して、血糖値が上昇しやすくなります。
正常の妊婦は、インスリン抵抗性が増強する時期には、インスリンを多く分泌して血糖値が上昇しないように対処します。しかし、必要なだけのインスリンを分泌することができない体質の妊婦は、血糖値が上昇し、妊娠糖尿病を発症します。
妊娠糖尿病は、通常は妊娠期間が終わったら、糖尿病の症状は消失します。しかし、出産後も糖尿病が続く人もいます。
現在では妊娠糖尿病は「妊娠中に発症もしくは初めて発見された耐糖能低下をいう」と定義されています。
このため、お産が終わって、6~12週間後に経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を行って、正常型、境界型、糖尿病型に分類します。
なお日本では、若い女性の2型糖尿病が少し増えています。従って、可能性として、「糖尿病が既にあったのに検査していなくて見過ごされていて、たまたま妊娠して検査したら糖尿病が発見された。」というパターンがあり得ます。
この場合は、「妊娠糖尿病」ではなくて「糖尿病合併妊娠」の見逃しになります。高血糖に由来する奇形の発生は、妊娠7週までに規定されることが明らかになっていますので、妊娠機会のある女性は、糖尿病や境界型の有無を調べておくのがお奨めですね。
なお妊娠許可の条件として、
HbA1c6%以下が設定されています。
妊娠中は
HbA1c5.8%以下が目標です。
血糖値の目安としては、
妊娠前
食前血糖100mg/dL 未満、食後2時間血糖120mg/dL 未満、
妊娠中
食前血糖100mg/dL 未満、食後1時間糖値140mg/dL未満、食後2時間血糖120mg/dL 未満、
となっています。
産後の検査ですが
日本糖尿病・妊娠学会http://www.dm-net.co.jp/jsdp/qa/e/q02/
のサイトが参考になります。
以下は引用です。
「妊娠糖尿病の人はお産後も定期的な健診が必要といわれましたが必要なのですか?」
最近の報告では、妊娠糖尿病の人は産後早期の3~6ヶ月の検査でも、5.4%が糖尿病、全体で25%に何らかの耐糖能異常が見られると報告されています。その他の報告を集計すると、産後1年以内では糖尿病になる頻度は2.6~38%、産後5~16年追求すると糖尿病は17~63%の頻度で発症すると報告されています。
また、妊娠糖尿病の人を定期的に11年間追求した研究では、産後11年経った平均年齢40.6歳時にはメタボリックシンドロームの発症率は27.2%であり正常妊婦さんの8.2%に比較して明らかに高頻度に発症することが報告されています。
したがって、産後も定期的に耐糖能異常があるかどうかスクリーニングをうけることが大切であり、同時に食事や運動に気をつけていく必要があります。
(岡山大学 平松祐司)2007年11月
江部康二
ことこさんから、妊娠糖尿病と出産後について、コメント・質問をいただきました。
「10/06/20 ことこ
先生おひさしぶりです。
妊娠糖尿病で先生にいろいろとコメントをいただいた 、ことこです。
その後無事に出産し子供も問題なくすくすくと育っています。
産後8週目に妊娠糖尿病の再検査を受け、その後の結果を先日聞きに行ってきました。
結果からすると
『境界型』にいま属しているそうです。妊娠中の75g負荷試験で2時間値が160だったのに、出産後の今回はなんと「190」でした。がっかりです。
正直産後も糖質制限を守り(ときにはみんなと主食も食べました)頑張って来たのになぜ産後あがってしまったのか。
主治医は『産後のメタボリズムなのでよくあること。僕は心配していないよ。』と説明してくれたのですが不安です。空腹時は90、一時間値は忘れましたが正常域だったそうですが、この1時間値は関係ないって聞いたこともあります。
空腹時血糖はちなみに90でした。検査の前日に人と集まり大量のピザを食べてしまったのですが中性脂肪とちがうのでこの食事が血糖にいきなり影響したとは考えにくいですし、もう自分は本当は2型に属してしまったのではないかと思います。
そこで先生に質問なのですが
①本当に主治医のいうように今後の検査で(半年後です)産後ホルモンが完全に落ち着きいまの結果よりも良くなっている可能性が高い。のか。
②主治医いわく食後2時間後の血糖値が120-140以内をキープ出来れば炭水化物を少量とってもかまわない。わたしはビスケット1枚なんかを計算しながらチーズと食べたりしています。
③A1Cは5.2だったのですが、網膜症の検査を受けなくていいのか?一時期尿に泡のようで泡ではないのですが、沈殿物のようなものが浮かんでおり、糖尿の兆候ではと思いました。いまのところ尿検査でひっかかったことはありません。
母乳と粉ミルクの混合ですが、とにかくお腹が空いてしかたがありません。糖質制限をいまでも続けていますが体重は産後も1,5kg妊娠前より増えたまま、減りもしなければ増えもしないというとこです。
糖質制限開始からすでに4ヶ月以上がたっているので体重の減少も落ち着いてきたということでしょうか。。。。。。
一方でうれしいこともありました。
ほかの血液検査では中性脂肪が基準値でもかなり低かったこと。HDLコレステロールが非常に高くドクターに驚かれたこと、これはほめられました。
ただLDLが基準値より高かった(妊娠前は基準値以内)のと、コレステロールが基準値ギリギリの高値であったことは言われましたが、主治医はそれでもHDLの値からすると心配はないと言っていました。
以上長々と申し訳がありません。妊娠糖尿病は日本ではめずらしいとされていますが、海外ではそうではないようです。よってどのサイトをみてもあまり情報が得られません。
どうぞ、よろしくおねがいします。」
ことこさん。
赤ちゃん誕生、おめでとうございます。 (^-^)v(^-^)v
「①本当に主治医のいうように今後の検査で(半年後です)産後ホルモンが完全に落ち着きいまの結果よりも良くなっている可能性が高い。のか。」
そのように思いますが、個人差があるようです。
下記の記載をご参照下さい。
「②主治医いわく食後2時間後の血糖値が120-140以内をキープ出来れば炭水化物を少量とってもかまわない。わたしはビスケット1枚なんかを計算しながらチーズと食べたりしています。」
OKです。
「③A1Cは5.2だったのですが、網膜症の検査を受けなくていいのか?一時期尿に泡のようで泡ではないのですが、沈殿物のようなものが浮かんでおり、糖尿の兆候ではと思いました。いまのところ尿検査でひっかかったことはありません。」
血糖負荷試験で境界型ですが、日頃は糖質制限食なので食後高血糖はないと思います。平均血糖値もA1Cが5.2なら、105mg/dlです。網膜症の検査はまず必要ないと思います。
LDLコレステロールも、中性脂肪とHDLコレステロールが絶好調なので、も主治医殿の仰有るとおり、心配ないと思います。
<妊娠糖尿病>
今まで糖尿病でなかったのに、妊娠した後初めて糖尿病になる場合があります。これが「妊娠糖尿病」で、妊婦の約3%くらいにみられます。
妊娠糖尿病の診断基準は、国により異なっています。
妊娠糖尿病のスクリーニング検査として、グルコースチャレンジテストがあります。随時に50gブドウ糖経口負荷後1時間の血糖値が140mg/dl以上を陽性とします。
それで陽性の場合、日本では、妊娠中に75gぶどう糖負荷試験を行い、糖負荷前値100mg/dL以上、1時間値180mg/dL以上、2時間値150mg/dL以上の3つの基準のうち、2つ以上を満たす場合に妊娠糖尿病と診断します。
従って、非妊娠時の糖尿病の判定基準とは異なっています。
妊娠糖尿病と診断された場合には、分娩後に改めて75gブドウ糖負荷試験を行って病型を分類するとしています。
肥満、糖尿病の家族歴、高齢、などが妊娠糖尿病のリスクとなります。
もともとの糖尿病患者が妊娠することを「糖尿病合併妊娠」といい、二つはわけて分類されています。
妊娠すると、胎盤が形成され「母体・胎盤・胎児」がひとつのユニットとなります。
この時、健常な胎児を発育・成長させるために胎盤や母体が、ヒト胎盤性ラクトーゲン(hPL)、成長ホルモン、グルカゴン、カテコラミン、糖質コルチコイドなどのホルモンを分泌し、それらによりインスリン抵抗性(インスリンの効きが悪くなること)がでてきます。
これらのホルモンは、妊娠の進行とともに増加しますから、特に妊娠中期以後にインスリン抵抗性が増加して、血糖値が上昇しやすくなります。
正常の妊婦は、インスリン抵抗性が増強する時期には、インスリンを多く分泌して血糖値が上昇しないように対処します。しかし、必要なだけのインスリンを分泌することができない体質の妊婦は、血糖値が上昇し、妊娠糖尿病を発症します。
妊娠糖尿病は、通常は妊娠期間が終わったら、糖尿病の症状は消失します。しかし、出産後も糖尿病が続く人もいます。
現在では妊娠糖尿病は「妊娠中に発症もしくは初めて発見された耐糖能低下をいう」と定義されています。
このため、お産が終わって、6~12週間後に経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を行って、正常型、境界型、糖尿病型に分類します。
なお日本では、若い女性の2型糖尿病が少し増えています。従って、可能性として、「糖尿病が既にあったのに検査していなくて見過ごされていて、たまたま妊娠して検査したら糖尿病が発見された。」というパターンがあり得ます。
この場合は、「妊娠糖尿病」ではなくて「糖尿病合併妊娠」の見逃しになります。高血糖に由来する奇形の発生は、妊娠7週までに規定されることが明らかになっていますので、妊娠機会のある女性は、糖尿病や境界型の有無を調べておくのがお奨めですね。
なお妊娠許可の条件として、
HbA1c6%以下が設定されています。
妊娠中は
HbA1c5.8%以下が目標です。
血糖値の目安としては、
妊娠前
食前血糖100mg/dL 未満、食後2時間血糖120mg/dL 未満、
妊娠中
食前血糖100mg/dL 未満、食後1時間糖値140mg/dL未満、食後2時間血糖120mg/dL 未満、
となっています。
産後の検査ですが
日本糖尿病・妊娠学会http://www.dm-net.co.jp/jsdp/qa/e/q02/
のサイトが参考になります。
以下は引用です。
「妊娠糖尿病の人はお産後も定期的な健診が必要といわれましたが必要なのですか?」
最近の報告では、妊娠糖尿病の人は産後早期の3~6ヶ月の検査でも、5.4%が糖尿病、全体で25%に何らかの耐糖能異常が見られると報告されています。その他の報告を集計すると、産後1年以内では糖尿病になる頻度は2.6~38%、産後5~16年追求すると糖尿病は17~63%の頻度で発症すると報告されています。
また、妊娠糖尿病の人を定期的に11年間追求した研究では、産後11年経った平均年齢40.6歳時にはメタボリックシンドロームの発症率は27.2%であり正常妊婦さんの8.2%に比較して明らかに高頻度に発症することが報告されています。
したがって、産後も定期的に耐糖能異常があるかどうかスクリーニングをうけることが大切であり、同時に食事や運動に気をつけていく必要があります。
(岡山大学 平松祐司)2007年11月
江部康二
2010年06月21日 (月)
こんばんは。
今回は、クワポンさんから、「HbA1cが劇的に改善したのに早朝空腹時血糖値の改善が伴わない」とのコメント・質問をいただきました。
「10/06/21 クワポン
タイトルなし
今日健康診断の結果が出ました。
主治医に相談すべきですが社屋建て直しで診療がままならない状態ですのでここで質問させてください。
四谷の講演で先生は「アクトスは処方しない。心不全が、、、。」
私はアクトス30を毎朝食前に1錠飲んでいましたが、動悸がひどく目が覚めるようになり独断で中止しました。
今日の結果は中止する前の結果です。
血圧140 86→103 81
γーGT 92→50
HDLC59→104
HbA1c6.1→4.8
血糖156→132
気になるのは血糖で、9時間絶食してるのになぜ?コントロールが出来てるのにこの数字だとアクトスを続けるほうが良いのでしょうか?
何故こんな数字になるのか教えてください。」
クワポンさん。
HbA1cとHDL-Cの改善は素晴らしいですね。ヾ(^▽^)
私は、心不全や浮腫や体重増加・・・などのため、アクトスは積極的には処方しませんが、すでに内服されていて
副作用もない人には、継続してもらうこともあります。
クワポンさんは、動悸が出たのならやめて正解と思います。
早朝空腹時血糖値がやや高めなのは、暁現象と考えられます。☆☆☆
このまま糖質制限食でコントロール良好を保てば、疲弊していた膵臓のβ細胞が休養できて基礎分泌が回復し、早朝空腹時血糖値も正常化する可能性があります。
HbA1c6.1→4.8 と劇的改善ですので、
平均血糖値は
(6.1-1.7)×30=132mg/dl
(4.8-1.7)×30=93mg/dl
まで改善しています。
おそらく次回の検査では、空腹時血糖値も正常化する可能性が高いと思います。
どうしても早朝空腹時血糖値が回復しなければ、DPP-4阻害剤内服も、選択肢の一つですね。
江部康二
☆☆☆暁現象と早朝空腹時血糖値
空腹時には、肝臓のグリコーゲン分解と糖新生が、血糖の供給源となります。
グリコーゲン分解に関しては、糖尿人と正常人との間に差はないとされています。一方、糖新生は、糖尿人においては、増加することが多いです。
正常人においては、血液中のインスリンが5μU/ml以上あれば、糖新生は急激に低下します。しかし、2型糖尿病においては、正常人の2倍以上のインスリンが必要とされることが多いのです。
インスリン基礎分泌が不足してくると、夜間の肝の糖新生を制御できずに、早朝空腹時血糖値が高値となります。また、就寝時より起床時の血糖値の方が、高値となることがあります。
バーンスタイン医師によれば、糖尿人においては、就寝後8~10時間に血糖値が上昇することがあり、暁現象というそうです。
この場合、就寝時より起床時の血糖値が高値となります。
朝に血糖値が上昇するまでの時間と増加量には、個人差があります。
1型糖尿人のバーンスタイン医師は、充分量の持続型インスリン3単位を就寝前に注射しているにもかかわらず、起床時の血糖値が10~100mg/dlほど就寝時より高値となるそうです。
暁現象の機序は、完全に解明されているわけではありませんが、肝臓が早朝には、他の時間帯以上に、血液中に循環しているインスリンを不活化させるとういう説があります。そのため、肝臓の糖新生が高まります。インスリンが、外部から注射したものであれ、内部でつくったものであれ同様です。
早朝空腹時ですからインスリンを打っていない人では、基礎分泌のインスリンが循環している時間帯ですね。
正常人はこのとき、インスリンを産生して調整しますが、糖尿人はそれが不足するので暁現象が発生します。
今回は、クワポンさんから、「HbA1cが劇的に改善したのに早朝空腹時血糖値の改善が伴わない」とのコメント・質問をいただきました。
「10/06/21 クワポン
タイトルなし
今日健康診断の結果が出ました。
主治医に相談すべきですが社屋建て直しで診療がままならない状態ですのでここで質問させてください。
四谷の講演で先生は「アクトスは処方しない。心不全が、、、。」
私はアクトス30を毎朝食前に1錠飲んでいましたが、動悸がひどく目が覚めるようになり独断で中止しました。
今日の結果は中止する前の結果です。
血圧140 86→103 81
γーGT 92→50
HDLC59→104
HbA1c6.1→4.8
血糖156→132
気になるのは血糖で、9時間絶食してるのになぜ?コントロールが出来てるのにこの数字だとアクトスを続けるほうが良いのでしょうか?
何故こんな数字になるのか教えてください。」
クワポンさん。
HbA1cとHDL-Cの改善は素晴らしいですね。ヾ(^▽^)
私は、心不全や浮腫や体重増加・・・などのため、アクトスは積極的には処方しませんが、すでに内服されていて
副作用もない人には、継続してもらうこともあります。
クワポンさんは、動悸が出たのならやめて正解と思います。
早朝空腹時血糖値がやや高めなのは、暁現象と考えられます。☆☆☆
このまま糖質制限食でコントロール良好を保てば、疲弊していた膵臓のβ細胞が休養できて基礎分泌が回復し、早朝空腹時血糖値も正常化する可能性があります。
HbA1c6.1→4.8 と劇的改善ですので、
平均血糖値は
(6.1-1.7)×30=132mg/dl
(4.8-1.7)×30=93mg/dl
まで改善しています。
おそらく次回の検査では、空腹時血糖値も正常化する可能性が高いと思います。
どうしても早朝空腹時血糖値が回復しなければ、DPP-4阻害剤内服も、選択肢の一つですね。
江部康二
☆☆☆暁現象と早朝空腹時血糖値
空腹時には、肝臓のグリコーゲン分解と糖新生が、血糖の供給源となります。
グリコーゲン分解に関しては、糖尿人と正常人との間に差はないとされています。一方、糖新生は、糖尿人においては、増加することが多いです。
正常人においては、血液中のインスリンが5μU/ml以上あれば、糖新生は急激に低下します。しかし、2型糖尿病においては、正常人の2倍以上のインスリンが必要とされることが多いのです。
インスリン基礎分泌が不足してくると、夜間の肝の糖新生を制御できずに、早朝空腹時血糖値が高値となります。また、就寝時より起床時の血糖値の方が、高値となることがあります。
バーンスタイン医師によれば、糖尿人においては、就寝後8~10時間に血糖値が上昇することがあり、暁現象というそうです。
この場合、就寝時より起床時の血糖値が高値となります。
朝に血糖値が上昇するまでの時間と増加量には、個人差があります。
1型糖尿人のバーンスタイン医師は、充分量の持続型インスリン3単位を就寝前に注射しているにもかかわらず、起床時の血糖値が10~100mg/dlほど就寝時より高値となるそうです。
暁現象の機序は、完全に解明されているわけではありませんが、肝臓が早朝には、他の時間帯以上に、血液中に循環しているインスリンを不活化させるとういう説があります。そのため、肝臓の糖新生が高まります。インスリンが、外部から注射したものであれ、内部でつくったものであれ同様です。
早朝空腹時ですからインスリンを打っていない人では、基礎分泌のインスリンが循環している時間帯ですね。
正常人はこのとき、インスリンを産生して調整しますが、糖尿人はそれが不足するので暁現象が発生します。
2010年06月20日 (日)
2010年7月1日から、糖尿病新診断基準施行で、今後HbA1cはNGSP値に相当する値が基準でJDS値は併記となります。☆☆☆
日本糖尿病学会から新診断基準は発表されたのですが、「血糖コントロール指標と評価基準」はまだ発表されていません。
臨床現場ではHbA1c測定方法はこれまでと同様のJDS値なのですが、単純に0.4を足した値をNGSP値として示すことになります。
ここまではいいのですが、さて「血糖コントロール指標と評価基準」はどうなるのでしょう?
今まで、JDS値での「血糖コントロール指標と評価基準」は、
優:5.8%未満
良:6.5%未満
不十分:6.5~7.0%未満
不良:7.0~8.0未満
不可:8.0%以上
でした。
そうすると、JDS値では6.4%でコントロール良だった糖尿人が、NGSP値ではいきなり6.9%になるので、コントロール不十分になってしまうのは、何だか釈然としないですよね。 (*_*)
それでもまあ、糖尿人のご同輩、一応ご安心下さい。 (^_^)
新「血糖コントロール指標と評価基準」において、NGSP値を採用するなら、単純に0.4を足して
優:6.2%未満
良:6.9%未満
不十分:6.9~7.4%未満
不良:7.4~8.4未満
不可:8.4%以上
ということで決着しそうです。
江部康二
☆☆☆参考
2010年05月31日 (月) のブログです。
糖尿病の新診断基準、7月1日に施行
第53回日本糖尿病学会年次学術集会において、開催初日の2010年5月27日に、糖尿病の新しい診断基準の概要と、2010年7月1日に新基準を施行することが発表されました。
今回新しくなる診断基準は、前回の基準から11年ぶりに改訂されます。改訂の目玉は、診断基準に「HbA1c 6.5%以上」(6.1%[JDS値])が追加されたことです。
HbA1c値については、日本独自の測定法によって得られるJDS値と、欧米を中心に使われている測定法によって得られるNGSP値があり、両者のデータにはずれがありました。
換算するとJDS値に0.4を加えた値が、NGSP値となります。当然国際基準としては、NGSP値が優先されます。
新診断基準のHbA1c:6.5%は、NGSP値相当であり、現行の日本の測定法によるJDS値では、6.1%となります。
今後HbA1cはNGSP値に相当する値を基準としますが、HbA1c測定方法はこれまでと同様のJDS値なので、単純に0.4を足した値をNGSP値として示すことになります。
国際標準化作業が行われて、JDS値に0.4を足せばNGSP値と同じになることが確認されました。
従来の診断基準では、
①空腹時血糖値126mg/dL以上なら糖尿病型
② 75g糖負荷試験で2時間値200mg/dL以上なら糖尿病型
③随時血糖値200mg/dL以上なら糖尿病型
①②③の糖尿病型いずれかが別の日に2回以上、確認された場合に糖尿病と診断しており、HbA1c値は補助的な位置付けで、診断基準には入っていませんでした。
近年HbA1cは、糖尿病の診断基準として国際的評価が高く、米国糖尿病学会(ADA)は、2009年、糖尿病診断に原則HbA1C検査を適用することとしました。
これを受けて日本でも、今回の改訂で、「補助的な項目」から格上げで診断基準の1つとして取りあげられることとなりました。
診断基準項目の1つとなったHbA1c値は、6.5%以上(6.1%以上[JDS値])とされました。
これは、日本のデータを用いて、網膜症の出現頻度や血糖値とHbA1c値との関係を解析した結果から、決定したそうです。
新診断基準にはHbA1c値が加わりましたが、糖尿病の診断は
<血糖値>
①空腹時血糖値126mg/dL以上なら糖尿病型
② 75g糖負荷試験で2時間値200mg/dL以上なら糖尿病型
③随時血糖値200mg/dL以上なら糖尿病型
のうちいずれか(従来の基準と同じです)と
<HbA1c>
6.5%以上(JDS値で6.1%以上)なら糖尿病型
の両方で評価するよう決められていますが、血糖値データは必ず必要です。
すなわち患者さんが「HbA1c:6.5%以上(JDS値で6.1%以上)」のみを満たすだけでは糖尿病と診断できません。
HbA1cと同時あるいは再検査で血糖値を測定し、血糖値も診断基準を超えて糖尿病型であった場合に初めて糖尿病と診断されます。
1回目の検査でHbA1c値が「HbA1c:6.5%以上(JDS値で6.1%以上)」で糖尿病型と診断され、再検査でHbA1c値再度糖尿病型と診断されても、血糖値が糖尿病型でなければあくまで「糖尿病疑い」にとどまるとされました。
また、血糖値のみ糖尿病型の場合、糖尿病の典型的症状が確認されたり、眼底検査で糖尿病網膜症が認められれば、糖尿病と診断されます。
**6月20日追加
従来の診断基準
①空腹時血糖値126mg/dL以上なら糖尿病型
② 75g糖負荷試験で2時間値200mg/dL以上なら糖尿病型
③随時血糖値200mg/dL以上なら糖尿病型
のいずれかが別の日に2回以上、確認された場合に糖尿病と診断というのは新診断基準でも同様です。
すなわち、HbA1cが正常型でも、血糖値データだけで診断できるわけですね。
江部康二
日本糖尿病学会から新診断基準は発表されたのですが、「血糖コントロール指標と評価基準」はまだ発表されていません。
臨床現場ではHbA1c測定方法はこれまでと同様のJDS値なのですが、単純に0.4を足した値をNGSP値として示すことになります。
ここまではいいのですが、さて「血糖コントロール指標と評価基準」はどうなるのでしょう?
今まで、JDS値での「血糖コントロール指標と評価基準」は、
優:5.8%未満
良:6.5%未満
不十分:6.5~7.0%未満
不良:7.0~8.0未満
不可:8.0%以上
でした。
そうすると、JDS値では6.4%でコントロール良だった糖尿人が、NGSP値ではいきなり6.9%になるので、コントロール不十分になってしまうのは、何だか釈然としないですよね。 (*_*)
それでもまあ、糖尿人のご同輩、一応ご安心下さい。 (^_^)
新「血糖コントロール指標と評価基準」において、NGSP値を採用するなら、単純に0.4を足して
優:6.2%未満
良:6.9%未満
不十分:6.9~7.4%未満
不良:7.4~8.4未満
不可:8.4%以上
ということで決着しそうです。
江部康二
☆☆☆参考
2010年05月31日 (月) のブログです。
糖尿病の新診断基準、7月1日に施行
第53回日本糖尿病学会年次学術集会において、開催初日の2010年5月27日に、糖尿病の新しい診断基準の概要と、2010年7月1日に新基準を施行することが発表されました。
今回新しくなる診断基準は、前回の基準から11年ぶりに改訂されます。改訂の目玉は、診断基準に「HbA1c 6.5%以上」(6.1%[JDS値])が追加されたことです。
HbA1c値については、日本独自の測定法によって得られるJDS値と、欧米を中心に使われている測定法によって得られるNGSP値があり、両者のデータにはずれがありました。
換算するとJDS値に0.4を加えた値が、NGSP値となります。当然国際基準としては、NGSP値が優先されます。
新診断基準のHbA1c:6.5%は、NGSP値相当であり、現行の日本の測定法によるJDS値では、6.1%となります。
今後HbA1cはNGSP値に相当する値を基準としますが、HbA1c測定方法はこれまでと同様のJDS値なので、単純に0.4を足した値をNGSP値として示すことになります。
国際標準化作業が行われて、JDS値に0.4を足せばNGSP値と同じになることが確認されました。
従来の診断基準では、
①空腹時血糖値126mg/dL以上なら糖尿病型
② 75g糖負荷試験で2時間値200mg/dL以上なら糖尿病型
③随時血糖値200mg/dL以上なら糖尿病型
①②③の糖尿病型いずれかが別の日に2回以上、確認された場合に糖尿病と診断しており、HbA1c値は補助的な位置付けで、診断基準には入っていませんでした。
近年HbA1cは、糖尿病の診断基準として国際的評価が高く、米国糖尿病学会(ADA)は、2009年、糖尿病診断に原則HbA1C検査を適用することとしました。
これを受けて日本でも、今回の改訂で、「補助的な項目」から格上げで診断基準の1つとして取りあげられることとなりました。
診断基準項目の1つとなったHbA1c値は、6.5%以上(6.1%以上[JDS値])とされました。
これは、日本のデータを用いて、網膜症の出現頻度や血糖値とHbA1c値との関係を解析した結果から、決定したそうです。
新診断基準にはHbA1c値が加わりましたが、糖尿病の診断は
<血糖値>
①空腹時血糖値126mg/dL以上なら糖尿病型
② 75g糖負荷試験で2時間値200mg/dL以上なら糖尿病型
③随時血糖値200mg/dL以上なら糖尿病型
のうちいずれか(従来の基準と同じです)と
<HbA1c>
6.5%以上(JDS値で6.1%以上)なら糖尿病型
の両方で評価するよう決められていますが、血糖値データは必ず必要です。
すなわち患者さんが「HbA1c:6.5%以上(JDS値で6.1%以上)」のみを満たすだけでは糖尿病と診断できません。
HbA1cと同時あるいは再検査で血糖値を測定し、血糖値も診断基準を超えて糖尿病型であった場合に初めて糖尿病と診断されます。
1回目の検査でHbA1c値が「HbA1c:6.5%以上(JDS値で6.1%以上)」で糖尿病型と診断され、再検査でHbA1c値再度糖尿病型と診断されても、血糖値が糖尿病型でなければあくまで「糖尿病疑い」にとどまるとされました。
また、血糖値のみ糖尿病型の場合、糖尿病の典型的症状が確認されたり、眼底検査で糖尿病網膜症が認められれば、糖尿病と診断されます。
**6月20日追加
従来の診断基準
①空腹時血糖値126mg/dL以上なら糖尿病型
② 75g糖負荷試験で2時間値200mg/dL以上なら糖尿病型
③随時血糖値200mg/dL以上なら糖尿病型
のいずれかが別の日に2回以上、確認された場合に糖尿病と診断というのは新診断基準でも同様です。
すなわち、HbA1cが正常型でも、血糖値データだけで診断できるわけですね。
江部康二
2010年06月20日 (日)
おはようございます。
今回は、後肥さんから、アトピー改善という嬉しいコメントをいただきました。
「10/06/19 後肥
先生ありがとうございました。
昨日までアトピー入院でお世話になっていました。
おかげで仕事もできるようになり、 趣味のギターも弾けるようになり 嬉しくてしょうがありません・・・
近所の病院に再三通ったのに治せなくて、 抑えられたのも、よかったです。
先生にとってアトピー治療は朝飯前だったかもしれませんが、 どうしても治せなくて悩んでいました。
非常に感謝しております。
先生ありがとうございました。」
後肥さん。
アトピーの改善良かったですね。(^^)
趣味のギター、いいですね。
また第三金曜ライブにも是非どうぞ。☆☆☆
高雄病院アトピー学校では、まずは入院していただき、漢方生薬を内服して、殺菌電解水で皮膚を安全に消毒し、ステロイド外用薬やプロトピック軟膏を塗布して、症状のコントロールをします。
そのあとは、退院したあともコントロール良好が保てるように、食生活、外用薬の上手なぬりかた・やめかた、漢方薬の役割など・・・、アトピーの自己管理に必要な知識や技を入院中に学んでもらい、また体験していただきます。
高雄病院アトピー学校で、アトピーを治すというよりも、アトピーの根本的な治し方を学んでいただくということですね。
入院してアトピーの皮膚症状が良くなるのは、ある意味当たり前なのですが、退院後もその良い状態を保つことは結構難しいことなのです。
他の病院と高雄病院の入院治療における一番大きな違いは、退院後の自己管理のための教育システムがあるかないかです。この入院システムを学校と呼んでいるのは、教育の意味が大きいからなのです。
また、食生活(高雄病院食生活十箇条)の提供・勉強や漢方薬の投与も、他の病院とはひと味違う特徴です。
ともあれ、皮膚のコントロール良好の状態を保ち続けることで、新しい細胞が内側から外側へ1層あがり、一番表面の細胞は垢で落ちてサイクルを繰り替えしています。そのような細胞が8層積み重なって、表面の角質を形成しています。
従って8ヶ月間、コントロール良好を保ち続ければ、角質層の細胞は総入れ替えとなって、滑らかなしっとり肌となり
バリア機能を回復します。
一般にアトピーは治りにくいと言われていますが、バリア機能回復まで持って行ければ、その部位の皮膚に関しては、根本的治癒も夢ではありません。
漢方生薬やエキス治療も、皮膚が赤く熱をもって腫れている炎症が主の時は、熱をとり腫れを退かせる対症療法が中心です。
症状がコントロールできたあとは、細胞が早く入れ替わるように、気の巡り、血の巡りをよくするような生薬に、シフトさせていきます。
食生活や漢方薬で身体の中から、良い細胞に早く入れ替わるようサポートし、プロトピック軟膏を中心に時々ステロイド軟膏も使用し、掻爬行為を予防して、アトピーの根本的治癒を目指すのが、高雄病院方式のアトピー治療です。
なお、食生活に関してですが、糖質制限食でも勿論アトピーは良くなることが多いですが、糖尿病ではありませんので、未精製穀物を主食として適量摂取する高雄病院食生活十箇条でもいいと思います。
後肥さん、このままいい状態を半年・一年、キープし続けて、アトピーの根本的治癒を目指して下さいね。 (^_^)
江部康二
☆☆☆第三金曜ライブ
不肖江部康二、1994年からバンド<TURNING POINT> を率いて、毎月1回第三金曜日夜に、ライブ活動を続けています。
ライブハウス 憧夢 http://www.106215.jp/
電話:075-861-2040
地下鉄東西線 「太秦天神側駅」 下車 北へ 徒歩 1分
入場料:¥1000- ワンドリンクつき
ジャンルはビートルズ、イーグルス、CCR、カーペンターズ、サム・クック、オーティス・レディング、スティービー・ワンダー、キャロル・キング、ベット・ミドラー、クラプトン、ポリス、エルトン・ジョン・・・・そしてサザン・オールスターズ、坂本九、柳ジョージ・・・
要するに何でもありのバンドなので飽きが来なくて長続きしてるようです。 (^_^)
私はボーカル担当です。
つまり楽器が弾けないということですが・・・(-д-;)。
女性ボーカルが二人、ドラム、ギター、ベース、キーボード、アルトサックスの、8人編成のグループです。
最近は、本ブログをご覧になってライブに来られるお客さんも時々おられ、嬉しい限りです。
今回は、後肥さんから、アトピー改善という嬉しいコメントをいただきました。
「10/06/19 後肥
先生ありがとうございました。
昨日までアトピー入院でお世話になっていました。
おかげで仕事もできるようになり、 趣味のギターも弾けるようになり 嬉しくてしょうがありません・・・
近所の病院に再三通ったのに治せなくて、 抑えられたのも、よかったです。
先生にとってアトピー治療は朝飯前だったかもしれませんが、 どうしても治せなくて悩んでいました。
非常に感謝しております。
先生ありがとうございました。」
後肥さん。
アトピーの改善良かったですね。(^^)
趣味のギター、いいですね。
また第三金曜ライブにも是非どうぞ。☆☆☆
高雄病院アトピー学校では、まずは入院していただき、漢方生薬を内服して、殺菌電解水で皮膚を安全に消毒し、ステロイド外用薬やプロトピック軟膏を塗布して、症状のコントロールをします。
そのあとは、退院したあともコントロール良好が保てるように、食生活、外用薬の上手なぬりかた・やめかた、漢方薬の役割など・・・、アトピーの自己管理に必要な知識や技を入院中に学んでもらい、また体験していただきます。
高雄病院アトピー学校で、アトピーを治すというよりも、アトピーの根本的な治し方を学んでいただくということですね。
入院してアトピーの皮膚症状が良くなるのは、ある意味当たり前なのですが、退院後もその良い状態を保つことは結構難しいことなのです。
他の病院と高雄病院の入院治療における一番大きな違いは、退院後の自己管理のための教育システムがあるかないかです。この入院システムを学校と呼んでいるのは、教育の意味が大きいからなのです。
また、食生活(高雄病院食生活十箇条)の提供・勉強や漢方薬の投与も、他の病院とはひと味違う特徴です。
ともあれ、皮膚のコントロール良好の状態を保ち続けることで、新しい細胞が内側から外側へ1層あがり、一番表面の細胞は垢で落ちてサイクルを繰り替えしています。そのような細胞が8層積み重なって、表面の角質を形成しています。
従って8ヶ月間、コントロール良好を保ち続ければ、角質層の細胞は総入れ替えとなって、滑らかなしっとり肌となり
バリア機能を回復します。
一般にアトピーは治りにくいと言われていますが、バリア機能回復まで持って行ければ、その部位の皮膚に関しては、根本的治癒も夢ではありません。
漢方生薬やエキス治療も、皮膚が赤く熱をもって腫れている炎症が主の時は、熱をとり腫れを退かせる対症療法が中心です。
症状がコントロールできたあとは、細胞が早く入れ替わるように、気の巡り、血の巡りをよくするような生薬に、シフトさせていきます。
食生活や漢方薬で身体の中から、良い細胞に早く入れ替わるようサポートし、プロトピック軟膏を中心に時々ステロイド軟膏も使用し、掻爬行為を予防して、アトピーの根本的治癒を目指すのが、高雄病院方式のアトピー治療です。
なお、食生活に関してですが、糖質制限食でも勿論アトピーは良くなることが多いですが、糖尿病ではありませんので、未精製穀物を主食として適量摂取する高雄病院食生活十箇条でもいいと思います。
後肥さん、このままいい状態を半年・一年、キープし続けて、アトピーの根本的治癒を目指して下さいね。 (^_^)
江部康二
☆☆☆第三金曜ライブ
不肖江部康二、1994年からバンド<TURNING POINT> を率いて、毎月1回第三金曜日夜に、ライブ活動を続けています。
ライブハウス 憧夢 http://www.106215.jp/
電話:075-861-2040
地下鉄東西線 「太秦天神側駅」 下車 北へ 徒歩 1分
入場料:¥1000- ワンドリンクつき
ジャンルはビートルズ、イーグルス、CCR、カーペンターズ、サム・クック、オーティス・レディング、スティービー・ワンダー、キャロル・キング、ベット・ミドラー、クラプトン、ポリス、エルトン・ジョン・・・・そしてサザン・オールスターズ、坂本九、柳ジョージ・・・
要するに何でもありのバンドなので飽きが来なくて長続きしてるようです。 (^_^)
私はボーカル担当です。
つまり楽器が弾けないということですが・・・(-д-;)。
女性ボーカルが二人、ドラム、ギター、ベース、キーボード、アルトサックスの、8人編成のグループです。
最近は、本ブログをご覧になってライブに来られるお客さんも時々おられ、嬉しい限りです。
2010年06月18日 (金)
こんにちは。
今回は、カロリーゼロという表示の意味について、ひなのさんから、コメント・質問を頂きました。
【10/06/18 ひなの
カロリーゼロの午後の紅茶
江部先生
いつもブログ拝見させて頂いております。
キリンより「キリン 午後の紅茶 微糖マンゴー&ゴールデンパインティー」が発売されております。
パッケージにはカロリーゼロと表示されております。
しかし、栄養成分をよくよく見てみると「砂糖」が含まれており、カロリー表示も0~2となっています。
成分に砂糖が入っているということはゼロカロリーは不可能なのでは、と思うのです。
このような商品でもパッケージにゼロカロリーと
記載OKなのでしょうか?
また、よくカロリーが0~2gとか糖質100ml当たりが0~1gとか
曖昧な表示がたまにあります。
糖質0と1では、例えば500mlの飲料を飲むだ場合、最高で5gの糖質を摂取するという事になってしまいますよね、
ゼロカロリー飲料で、成分に「砂糖」と入っているのは
私の今までの経験上では「午後の紅茶」だけだったと記憶しています。
ゼロカロリーにもいろいろとあるのでしょうか?
とはいえ、ゼロカロリーとなっているものは全て安心して飲食しても大丈夫なのでしょうか?】
ひなのさん。
コメントありがとうございます。
仰有るとおり砂糖が含まれていて、0~2キロカロリーなら、厳密にはカロリーゼロではないですよね。
ただ厚生労働省の定める栄養表示基準の規定によれば
◎ 飲料100mlあたりのカロリーが5kcal未満なら、
⇒「ノンカロリー」「カロリーゼロ」
と表示してもよいことになっています。
例えば「キリン 午後の紅茶 微糖マンゴー&ゴールデンパインティー」の成分は
紅茶、果汁(マンゴー、パインアップル)、
砂糖、香料、酸味料、甘味料(アセスルファムK、ステビア、スクラロース)
100mlあたり
カロリー:0~2キロカロリー
タンパク質:0
脂質:0
炭水化物0~0.5
糖類0~0.5g
です。
カロリーは、0~2キロカロリーですので、表示は規定を満たしています。
おそらく、砂糖や果汁が0~0.5gほど含まれていると思われます。
もし0.5gの砂糖やブドウ糖や果糖があれば、500ml飲んだら2.5g、1000ml飲んだら5gの糖質ですね。従って、大量に飲まなければ許容範囲と思います。
同様に、糖質ゼロも厳密にゼロでなくても、表示OKなのです。
◎ 100ml中糖質0.5g未満を、
⇒糖質0(ゼロ)
と表示できます。
糖質ゼロ表示なら、栄養表示基準に基づき
「100ml中糖質0.5g未満を、糖質0(ゼロ)で表示してOK」です。
例えば、糖質ゼロ発泡酒は、カロリーはありますが、糖質は100ml中0.5g未満です。
Asahiスタイルフリーなら糖質ゼロで、カロリーは350mlで24kcalです。
もし、100ml中に、0.4g糖質が含まれていても糖質ゼロ表示OKですから、その場合は1リットル飲んだら、スタイルフリーでも4gの糖質摂取になりますね。
まあこちらも、よほど大量に飲まなければ許容範囲と思います。
ついでに復習を兼ねて
「糖類ゼロ、甘味料」について整理しておきましょう。
糖類ゼロ表示は、二糖類、単糖類が含まれていないということです。つまり、砂糖やブドウ糖などの二糖類、単糖類が含まれていなければ、合成甘味料や糖アルコールが含まれていても、糖類ゼロや無糖と表示できるのです。
甘味料には、大きく分けて『天然甘味料』と『人工甘味料』があります。
天然甘味料には、ショ糖、蜂蜜、メープルシロップ、果糖、麦芽糖、などがあります。
天然の植物や食品中に含まれている甘み成分を取り出し精製、濃縮した甘味料のことです。
人工甘味料は、合成甘味料と糖アルコールに分類されます。
合成甘味料は、人工甘味料の一種で、人為的に化学合成された甘みのある物質(甘味料)です。砂糖より低カロリー、低価格、などの特徴があります。狭義の意味の人工甘味料は、合成甘味料と同義で使われることがあります。
FDA(米国食料医薬品庁)が食品への使用を許可している合成甘味料は、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ネオテームの5種です。
これらの合成甘味料は、「フリーフード」と呼ばれ、米国心臓病協会や米国糖尿病協会も肯定的ではあります。
摂取総量規制はありますが、ゼロカロリーで血糖値は上昇させません。
それから糖アルコールですが、エリスリトール以外の糖アルコール(マルチトール、キシリトール、ソルビトールなど)は血糖値を砂糖の半分くらい上昇させます。
ロッテゼロ<マイルド>というチョコレートも、砂糖と乳糖は使用していませんが、甘味料としてキシリトールが含まれています。キシリトールは難消化性ですが、一部分解消化され血糖値を上昇させます。
低カロリーアイスは、カロリーもありますし、糖質も含まれているので血糖値が上昇すると思います。低カロリーという表現は、栄養表示基準の規制外なので、かなりいいかげんといえます。( ̄_ ̄|||)
糖質ゼロ、カロリーゼロ、低糖、カロリー控えめもそれぞれ基準が違います。やや、面倒くさいですが、ラベルをよく確認してくださいね。
健康増進法に基づく基準は下記のごとしです。
☆☆☆栄養表示基準 (飲料100mlあたり)
◎ 飲料100mlあたりのカロリーが5kcal未満なら、
⇒「ノンカロリー」「カロリーゼロ」
◎ 飲料100mlあたり20kcal以下なら、
⇒「カロリー控えめ」「カロリーオフ」
◎ 100ml中糖質0.5g未満を、
⇒糖質0(ゼロ)
◎ 飲料100mlあたりの糖類(単糖類+二糖類)が0.5g未満なら、
⇒「無糖」「糖類ゼロ」「ノンシュガー」「シュガーレス」「糖分ダイエット」
◎ 飲料100mlあたりの糖類が2.5g以下なら、
⇒「低糖」「糖分控えめ」
とそれぞれ表示できます。
江部康二
今回は、カロリーゼロという表示の意味について、ひなのさんから、コメント・質問を頂きました。
【10/06/18 ひなの
カロリーゼロの午後の紅茶
江部先生
いつもブログ拝見させて頂いております。
キリンより「キリン 午後の紅茶 微糖マンゴー&ゴールデンパインティー」が発売されております。
パッケージにはカロリーゼロと表示されております。
しかし、栄養成分をよくよく見てみると「砂糖」が含まれており、カロリー表示も0~2となっています。
成分に砂糖が入っているということはゼロカロリーは不可能なのでは、と思うのです。
このような商品でもパッケージにゼロカロリーと
記載OKなのでしょうか?
また、よくカロリーが0~2gとか糖質100ml当たりが0~1gとか
曖昧な表示がたまにあります。
糖質0と1では、例えば500mlの飲料を飲むだ場合、最高で5gの糖質を摂取するという事になってしまいますよね、
ゼロカロリー飲料で、成分に「砂糖」と入っているのは
私の今までの経験上では「午後の紅茶」だけだったと記憶しています。
ゼロカロリーにもいろいろとあるのでしょうか?
とはいえ、ゼロカロリーとなっているものは全て安心して飲食しても大丈夫なのでしょうか?】
ひなのさん。
コメントありがとうございます。
仰有るとおり砂糖が含まれていて、0~2キロカロリーなら、厳密にはカロリーゼロではないですよね。
ただ厚生労働省の定める栄養表示基準の規定によれば
◎ 飲料100mlあたりのカロリーが5kcal未満なら、
⇒「ノンカロリー」「カロリーゼロ」
と表示してもよいことになっています。
例えば「キリン 午後の紅茶 微糖マンゴー&ゴールデンパインティー」の成分は
紅茶、果汁(マンゴー、パインアップル)、
砂糖、香料、酸味料、甘味料(アセスルファムK、ステビア、スクラロース)
100mlあたり
カロリー:0~2キロカロリー
タンパク質:0
脂質:0
炭水化物0~0.5
糖類0~0.5g
です。
カロリーは、0~2キロカロリーですので、表示は規定を満たしています。
おそらく、砂糖や果汁が0~0.5gほど含まれていると思われます。
もし0.5gの砂糖やブドウ糖や果糖があれば、500ml飲んだら2.5g、1000ml飲んだら5gの糖質ですね。従って、大量に飲まなければ許容範囲と思います。
同様に、糖質ゼロも厳密にゼロでなくても、表示OKなのです。
◎ 100ml中糖質0.5g未満を、
⇒糖質0(ゼロ)
と表示できます。
糖質ゼロ表示なら、栄養表示基準に基づき
「100ml中糖質0.5g未満を、糖質0(ゼロ)で表示してOK」です。
例えば、糖質ゼロ発泡酒は、カロリーはありますが、糖質は100ml中0.5g未満です。
Asahiスタイルフリーなら糖質ゼロで、カロリーは350mlで24kcalです。
もし、100ml中に、0.4g糖質が含まれていても糖質ゼロ表示OKですから、その場合は1リットル飲んだら、スタイルフリーでも4gの糖質摂取になりますね。
まあこちらも、よほど大量に飲まなければ許容範囲と思います。
ついでに復習を兼ねて
「糖類ゼロ、甘味料」について整理しておきましょう。
糖類ゼロ表示は、二糖類、単糖類が含まれていないということです。つまり、砂糖やブドウ糖などの二糖類、単糖類が含まれていなければ、合成甘味料や糖アルコールが含まれていても、糖類ゼロや無糖と表示できるのです。
甘味料には、大きく分けて『天然甘味料』と『人工甘味料』があります。
天然甘味料には、ショ糖、蜂蜜、メープルシロップ、果糖、麦芽糖、などがあります。
天然の植物や食品中に含まれている甘み成分を取り出し精製、濃縮した甘味料のことです。
人工甘味料は、合成甘味料と糖アルコールに分類されます。
合成甘味料は、人工甘味料の一種で、人為的に化学合成された甘みのある物質(甘味料)です。砂糖より低カロリー、低価格、などの特徴があります。狭義の意味の人工甘味料は、合成甘味料と同義で使われることがあります。
FDA(米国食料医薬品庁)が食品への使用を許可している合成甘味料は、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ネオテームの5種です。
これらの合成甘味料は、「フリーフード」と呼ばれ、米国心臓病協会や米国糖尿病協会も肯定的ではあります。
摂取総量規制はありますが、ゼロカロリーで血糖値は上昇させません。
それから糖アルコールですが、エリスリトール以外の糖アルコール(マルチトール、キシリトール、ソルビトールなど)は血糖値を砂糖の半分くらい上昇させます。
ロッテゼロ<マイルド>というチョコレートも、砂糖と乳糖は使用していませんが、甘味料としてキシリトールが含まれています。キシリトールは難消化性ですが、一部分解消化され血糖値を上昇させます。
低カロリーアイスは、カロリーもありますし、糖質も含まれているので血糖値が上昇すると思います。低カロリーという表現は、栄養表示基準の規制外なので、かなりいいかげんといえます。( ̄_ ̄|||)
糖質ゼロ、カロリーゼロ、低糖、カロリー控えめもそれぞれ基準が違います。やや、面倒くさいですが、ラベルをよく確認してくださいね。
健康増進法に基づく基準は下記のごとしです。
☆☆☆栄養表示基準 (飲料100mlあたり)
◎ 飲料100mlあたりのカロリーが5kcal未満なら、
⇒「ノンカロリー」「カロリーゼロ」
◎ 飲料100mlあたり20kcal以下なら、
⇒「カロリー控えめ」「カロリーオフ」
◎ 100ml中糖質0.5g未満を、
⇒糖質0(ゼロ)
◎ 飲料100mlあたりの糖類(単糖類+二糖類)が0.5g未満なら、
⇒「無糖」「糖類ゼロ」「ノンシュガー」「シュガーレス」「糖分ダイエット」
◎ 飲料100mlあたりの糖類が2.5g以下なら、
⇒「低糖」「糖分控えめ」
とそれぞれ表示できます。
江部康二
2010年06月17日 (木)
こんばんは。
今回は、しわよさんからカロリーゼロと糖質制限食について、コメント・質問をいただきました。
「10/06/16 しわよ
タイトルなし
こんにちは。はじめまして。
私は糖尿病ではないのですが、少し太り気味でして先生のブログや本を全て読み、2週間前からスーパー糖質制限をしています。
私は料理が好きなので、味噌や梅干し、漬け物なども作っていて、なるべく糖質抜きで作るようにしています。
1ヶ月前から加圧トレーニングもしているのが良いのか、2週間で6キロ落ちました。子供のときから酷かったアトピーも少しずつ良くなっています。
先生にはとても感謝しています。
唐突に一つ質問なんですが、私は糖質制限ドットコムの0カロリー水羊羹や、たらみゼロカロリーゼリー、ゼリーdeゼロなどをよくおやつにしています。
水羊羹はエリスリトールの量が記載されていますが、ゼリーdeゼロは記載されていません。こちらは290gありナタデココやこんにゃくボールも入っているものもあり、すこし不安になってきたのです。
やはり食べないほうがいいのでしょうか。
前のブログにゼロカロリーなら平気というものがあったように思いますが、たとえゼロカロリーでも糖質が含まれているものがあったりするのでしょうか??
お忙しい中申し訳ありませんが、解説をお願いします。」
しわよさん。
体重減少、アトピー改善、よかったですね。
糖質制限ドットコム http://www.toushitsuseigen.com/
の商品は全て、江部康二が人体実験をしており、勿論、糖質制限OK食品です。
市販の商品をみると、糖質ゼロとかカロリーゼロとか糖類ゼロとか、結構ややこしいですね。
まず、糖質ゼロ表示は大丈夫で、血糖値を上昇させません。
血糖値を上昇させるのは糖質だけで、脂質・蛋白質はあげません。従って、たとえカロリーがあっても糖質ゼロなら、血糖値は上昇しません。
そしてカロリーゼロも血糖値を上昇させません。
カロリーがゼロということは、脂質も蛋白質もアルコールも含まれていないし、血糖値を上昇させる糖質も入っていないということです。
血糖値を上げないカロリーゼロの糖質は、糖アルコールのエリスリトールと合成甘味料(アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクロース、サッカリン、ネオテーム)などです。
カロリーゼロのスイーツには、たいてい、エリスリトールか合成甘味料が使用されていますが、血糖値は上昇させないので糖質制限OK食品です。安心してお召し上がりください。
糖アルコールでも、マルチトール、ソルビトール、キシリトールなどは、ショ糖の半分くらい血糖値を上げますが、糖類ゼロという表示ができます。
糖類とは、ブドウ糖やショ糖などの単糖類と、二糖類のことをいいます。
結論です。
カロリーゼロ、糖質ゼロは○。
糖類ゼロは△~×。
です。
できればスーパー糖質制限食で、標準体重をめざしてくださいね。
江部康二
☆☆☆☆☆「炭水化物、糖質、糖類」
日頃何気なく使っている言葉、
「炭水化物、糖質、糖類」これらの違いはどうなっているのでしょう。
健康増進法における栄養表示基準というのがあって、各メーカーさんはこれに従っています。
栄養表示基準では栄養成分表示を行う場合、
基本表示は<エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム>の5成分表示とされています。
「炭水化物、糖質、糖類」を整理すると下記の如くにまとめることができます。
①栄養表示基準上はたんぱく質や脂質、灰分(ミネラル分)のいずれにも分類されないものは炭水化物に計算。
②炭水化物=糖質+食物繊維
③糖質=糖類+糖アルコール+三糖類以上+合成甘味料
④糖類=単糖類+二糖類
*三糖類以上=でんぷん、オリゴ糖、デキストリンなど
*二糖類=砂糖、麦芽糖、乳糖など
*単糖類=ブドウ糖、果糖、ガラクトースなど
*糖アルコール=エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトールなど
*合成甘味料=アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、ネオテームなど
**食物繊維
一、水溶性食物繊維
a)ポリデキストロース
海藻、こんにゃくの他、野菜、果汁類にも含まれる水溶性の食物繊維
です。ぶどう糖などから作られます。
b)難消化性デキストリン
とうもろこしなどに含まれる水溶性の食物繊維です。とうもろこしでんぷん
などを分解して作られます。糖質の吸収を穏やかにする作用があり、
血糖値が高めの方向けの特定保健用食品の機能素材となっています。
二、不溶性食物繊維 セルロース
物の細胞壁の構成成分です。不溶性の食物繊維です。食品には粘性を
与えたりするために利用されています。
食品100g中の炭水化物を表示するとき、基準に則れば、
炭水化物=100g-<水分+タンパク質+脂質+灰分>
となります。
つまり、栄養表示上は、たんぱく質、脂質、灰分のいずれにも分類されないものは、炭水化物に計算されます。
合成甘味料が糖質に分類されるのは、何だか変ですが、炭水化物・糖質の栄養表示基準の定義に従えばそうなるようです。
このあたりのことは、
アサヒ飲料のホームページ
http://www.asahiinryo.co.jp/customer/dictionary/ing_carbohydrates.html
にわかりやすく図解してあるので、是非覗いてみて下さいね。
なお、栄養表示基準に則り、糖類ゼロなら、無糖と表示できます。
つまり砂糖やブドウ糖などの二糖類、単糖類がなければ、合成甘味料や糖アルコールが含まれていても無糖と表示できるのです。
従って、無糖表示でマルチトールやキシリトールが含まれていても法律上はOKだけど、血糖値は上昇することになりますので、糖尿人の皆さんはご用心ご用心。
最後に追加ですが、「糖分」という単語は、かなり曖昧に使用されています。糖質あるいは糖類と同じ意味で、一般用語として使用されていて、ますます混乱の元となっています。栄養表示基準には「糖分」という言葉は記載無しです。
今回は、しわよさんからカロリーゼロと糖質制限食について、コメント・質問をいただきました。
「10/06/16 しわよ
タイトルなし
こんにちは。はじめまして。
私は糖尿病ではないのですが、少し太り気味でして先生のブログや本を全て読み、2週間前からスーパー糖質制限をしています。
私は料理が好きなので、味噌や梅干し、漬け物なども作っていて、なるべく糖質抜きで作るようにしています。
1ヶ月前から加圧トレーニングもしているのが良いのか、2週間で6キロ落ちました。子供のときから酷かったアトピーも少しずつ良くなっています。
先生にはとても感謝しています。
唐突に一つ質問なんですが、私は糖質制限ドットコムの0カロリー水羊羹や、たらみゼロカロリーゼリー、ゼリーdeゼロなどをよくおやつにしています。
水羊羹はエリスリトールの量が記載されていますが、ゼリーdeゼロは記載されていません。こちらは290gありナタデココやこんにゃくボールも入っているものもあり、すこし不安になってきたのです。
やはり食べないほうがいいのでしょうか。
前のブログにゼロカロリーなら平気というものがあったように思いますが、たとえゼロカロリーでも糖質が含まれているものがあったりするのでしょうか??
お忙しい中申し訳ありませんが、解説をお願いします。」
しわよさん。
体重減少、アトピー改善、よかったですね。
糖質制限ドットコム http://www.toushitsuseigen.com/
の商品は全て、江部康二が人体実験をしており、勿論、糖質制限OK食品です。
市販の商品をみると、糖質ゼロとかカロリーゼロとか糖類ゼロとか、結構ややこしいですね。
まず、糖質ゼロ表示は大丈夫で、血糖値を上昇させません。
血糖値を上昇させるのは糖質だけで、脂質・蛋白質はあげません。従って、たとえカロリーがあっても糖質ゼロなら、血糖値は上昇しません。
そしてカロリーゼロも血糖値を上昇させません。
カロリーがゼロということは、脂質も蛋白質もアルコールも含まれていないし、血糖値を上昇させる糖質も入っていないということです。
血糖値を上げないカロリーゼロの糖質は、糖アルコールのエリスリトールと合成甘味料(アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクロース、サッカリン、ネオテーム)などです。
カロリーゼロのスイーツには、たいてい、エリスリトールか合成甘味料が使用されていますが、血糖値は上昇させないので糖質制限OK食品です。安心してお召し上がりください。
糖アルコールでも、マルチトール、ソルビトール、キシリトールなどは、ショ糖の半分くらい血糖値を上げますが、糖類ゼロという表示ができます。
糖類とは、ブドウ糖やショ糖などの単糖類と、二糖類のことをいいます。
結論です。
カロリーゼロ、糖質ゼロは○。
糖類ゼロは△~×。
です。
できればスーパー糖質制限食で、標準体重をめざしてくださいね。
江部康二
☆☆☆☆☆「炭水化物、糖質、糖類」
日頃何気なく使っている言葉、
「炭水化物、糖質、糖類」これらの違いはどうなっているのでしょう。
健康増進法における栄養表示基準というのがあって、各メーカーさんはこれに従っています。
栄養表示基準では栄養成分表示を行う場合、
基本表示は<エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム>の5成分表示とされています。
「炭水化物、糖質、糖類」を整理すると下記の如くにまとめることができます。
①栄養表示基準上はたんぱく質や脂質、灰分(ミネラル分)のいずれにも分類されないものは炭水化物に計算。
②炭水化物=糖質+食物繊維
③糖質=糖類+糖アルコール+三糖類以上+合成甘味料
④糖類=単糖類+二糖類
*三糖類以上=でんぷん、オリゴ糖、デキストリンなど
*二糖類=砂糖、麦芽糖、乳糖など
*単糖類=ブドウ糖、果糖、ガラクトースなど
*糖アルコール=エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトールなど
*合成甘味料=アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、ネオテームなど
**食物繊維
一、水溶性食物繊維
a)ポリデキストロース
海藻、こんにゃくの他、野菜、果汁類にも含まれる水溶性の食物繊維
です。ぶどう糖などから作られます。
b)難消化性デキストリン
とうもろこしなどに含まれる水溶性の食物繊維です。とうもろこしでんぷん
などを分解して作られます。糖質の吸収を穏やかにする作用があり、
血糖値が高めの方向けの特定保健用食品の機能素材となっています。
二、不溶性食物繊維 セルロース
物の細胞壁の構成成分です。不溶性の食物繊維です。食品には粘性を
与えたりするために利用されています。
食品100g中の炭水化物を表示するとき、基準に則れば、
炭水化物=100g-<水分+タンパク質+脂質+灰分>
となります。
つまり、栄養表示上は、たんぱく質、脂質、灰分のいずれにも分類されないものは、炭水化物に計算されます。
合成甘味料が糖質に分類されるのは、何だか変ですが、炭水化物・糖質の栄養表示基準の定義に従えばそうなるようです。
このあたりのことは、
アサヒ飲料のホームページ
http://www.asahiinryo.co.jp/customer/dictionary/ing_carbohydrates.html
にわかりやすく図解してあるので、是非覗いてみて下さいね。
なお、栄養表示基準に則り、糖類ゼロなら、無糖と表示できます。
つまり砂糖やブドウ糖などの二糖類、単糖類がなければ、合成甘味料や糖アルコールが含まれていても無糖と表示できるのです。
従って、無糖表示でマルチトールやキシリトールが含まれていても法律上はOKだけど、血糖値は上昇することになりますので、糖尿人の皆さんはご用心ご用心。
最後に追加ですが、「糖分」という単語は、かなり曖昧に使用されています。糖質あるいは糖類と同じ意味で、一般用語として使用されていて、ますます混乱の元となっています。栄養表示基準には「糖分」という言葉は記載無しです。
2010年06月16日 (水)
こんにちは。
今回は、MIKE 大井さんから、点滴と糖質制限食について、コメント・質問をいただきました。
「10/06/11 MIKE 大井
胆のう抽出腹腔鏡手術について
はじめまして。福岡に在住のマイクと申します。6年前に2型糖尿病に入りつつあると医者に言われ、まだ間に合うとのことから、医者の指導のもと、既存の食事療法、運動療法をきっちりやっておりました。医者も感心するほどまじめにです。ところが3年前に血液検査をしましたところ、昼食後1時間ですが、HA1Cが6.3、血糖値213の値が出まして、医者が薬に移行しましょうと言われました。こんなにやっても悪化するならこれは処法自体が間違っていると確信しまして、すぐに江部先生の本を数冊購入しまして、即実行してもう3年がたちます。快調です!さて私はいわゆるサイレントストーンといわれる胆石を抱えておりまして、近くに非常に優秀な腹腔鏡手術で胆のうを取り出される先生がおられまして、この8月に受けようと思うのですが、その時に点滴等にブドウ糖を打たれるのではと心配しております。そこで江部先生にご教授いただきたいのですが、手術をされます先生に、この点をどのように御話したらよいのでしょうか?他にこれに代わる点滴薬剤等ございますか?ご教授のほどよろしくお願いいたします。尚江部先生のブログは毎日読んでおりまして、同級生のドクターに糖質制限食の話をしましたら、初回は懐疑的でしたが、先生のHPを無理やり彼に何度となくメールしましたところ、今年の同窓会で糖質制限食のことをみんなに進めておりました。少し嬉しかったです。」
MIKE 大井さん。
コメント、本のご購入、ありがとうございます。
血糖コントロールも好調で良かったです。
腹腔鏡手術、随分進歩してきましたね。開腹手術に比べて、体の負担が全然楽で、手術日数も大幅に短縮されました。私の患者さんも何人か、腹腔鏡による胆石の手術を受けられて、皆さん経過良好でした。
術後の点滴ですが、糖尿病であることを前もって医師に説明しておけば、ベースをブドウ糖ではなくて生理的食塩水にしていただけると思いますよ。
また入院中の食事ですが、私も声帯ポリープ手術で入院したとき、めんどくさいので一々説明はせずに、おかずだけ食べて、主食は残して、足りない分は家からおかずを持ってきてもらったり、売店で玉子やソーセージやサラダなど買って補充しました。糖質制限ドットコムのクッキーや、ほくほく大豆なども持ち込みました。
「同級生のドクターに糖質制限食の話をしましたら、初回は懐疑的でしたが、先生のHPを無理やり彼に何度となくメールしましたところ、今年の同窓会で糖質制限食のことをみんなに進めておりました。少し嬉しかったです。」
ありがとうございます。これは嬉しい限りですね。
ブログや本もしっかり読んでいただけば、医師や栄養士にもご理解いただけると思っています。
私も4年前神戸で行われた、京大医学部の同窓会で糖質制限食の話をしたときは、ごく一部を除いてほとんど無視されたような状況でしたが、2年前大阪での同窓会では、数人が糖質制限食を実践して、メタボが改善したと報告してくれました。
これからも糖質制限食、どんどん広がればいいですね。
江部康二
今回は、MIKE 大井さんから、点滴と糖質制限食について、コメント・質問をいただきました。
「10/06/11 MIKE 大井
胆のう抽出腹腔鏡手術について
はじめまして。福岡に在住のマイクと申します。6年前に2型糖尿病に入りつつあると医者に言われ、まだ間に合うとのことから、医者の指導のもと、既存の食事療法、運動療法をきっちりやっておりました。医者も感心するほどまじめにです。ところが3年前に血液検査をしましたところ、昼食後1時間ですが、HA1Cが6.3、血糖値213の値が出まして、医者が薬に移行しましょうと言われました。こんなにやっても悪化するならこれは処法自体が間違っていると確信しまして、すぐに江部先生の本を数冊購入しまして、即実行してもう3年がたちます。快調です!さて私はいわゆるサイレントストーンといわれる胆石を抱えておりまして、近くに非常に優秀な腹腔鏡手術で胆のうを取り出される先生がおられまして、この8月に受けようと思うのですが、その時に点滴等にブドウ糖を打たれるのではと心配しております。そこで江部先生にご教授いただきたいのですが、手術をされます先生に、この点をどのように御話したらよいのでしょうか?他にこれに代わる点滴薬剤等ございますか?ご教授のほどよろしくお願いいたします。尚江部先生のブログは毎日読んでおりまして、同級生のドクターに糖質制限食の話をしましたら、初回は懐疑的でしたが、先生のHPを無理やり彼に何度となくメールしましたところ、今年の同窓会で糖質制限食のことをみんなに進めておりました。少し嬉しかったです。」
MIKE 大井さん。
コメント、本のご購入、ありがとうございます。
血糖コントロールも好調で良かったです。
腹腔鏡手術、随分進歩してきましたね。開腹手術に比べて、体の負担が全然楽で、手術日数も大幅に短縮されました。私の患者さんも何人か、腹腔鏡による胆石の手術を受けられて、皆さん経過良好でした。
術後の点滴ですが、糖尿病であることを前もって医師に説明しておけば、ベースをブドウ糖ではなくて生理的食塩水にしていただけると思いますよ。
また入院中の食事ですが、私も声帯ポリープ手術で入院したとき、めんどくさいので一々説明はせずに、おかずだけ食べて、主食は残して、足りない分は家からおかずを持ってきてもらったり、売店で玉子やソーセージやサラダなど買って補充しました。糖質制限ドットコムのクッキーや、ほくほく大豆なども持ち込みました。
「同級生のドクターに糖質制限食の話をしましたら、初回は懐疑的でしたが、先生のHPを無理やり彼に何度となくメールしましたところ、今年の同窓会で糖質制限食のことをみんなに進めておりました。少し嬉しかったです。」
ありがとうございます。これは嬉しい限りですね。
ブログや本もしっかり読んでいただけば、医師や栄養士にもご理解いただけると思っています。
私も4年前神戸で行われた、京大医学部の同窓会で糖質制限食の話をしたときは、ごく一部を除いてほとんど無視されたような状況でしたが、2年前大阪での同窓会では、数人が糖質制限食を実践して、メタボが改善したと報告してくれました。
これからも糖質制限食、どんどん広がればいいですね。
江部康二
2010年06月15日 (火)
おはようございます。
1型糖尿人あこさんから、糖質制限食と髪の毛について、嬉しいコメントをいただきました。
「10/06/15 あこ
お久しぶりです!
昨年5月の1型発症以来、たまには誘惑に負けて甘いものは食べてしまうけど、日々糖質制限のおかげで、私のヘモさんは5.0から5.4あたりを推移する、大変に好ましい状況を維持しております!
ランタスもあれから増えることなく6単位、ノボはカーボカウントを併用しながら毎食ごとに違いますが、低血糖もなく、コントロール良好です。糖質制限様々ですよ。
一時期、インスリン治療を始めて2.3ヶ月、髪が異様に抜けて、絶望的状況に陥りましたが、今はもうつやつや黒髪ロングが自慢になるくらい、しっかりした髪を維持しております。
肌荒れもないし!
糖質制限で代謝が代わるタイミングで抜け毛が増えたのか、インスリン治療のせいなのかは分かりませんが、一時抜け毛は大変な悩みでした。
しかしながら今は、体調悪い場所を探す方が難しいくらい良好です!
主治医も糖質制限には賛同してくれており、糖質摂取時の血糖値の上がり方とか、私の体を使って実験!(笑)センサーを少しだけ多めに託されて、たまの甘いものを食べた時は、血糖値を細かく計り、データを見つつそんなことをしています。
毎回検診ごとに、糖質制限についてあつく語っている女2人。主治医も若い女医さんなので、非常によく勉強されていて、たまーに先生の本の話や、バーンスタイン医師の話で盛り上がります。
誘惑に負けることはありますが、美味しく楽しく糖質制限を続けていますよ!」
あこさん。
お久しぶりです。
HbA1c5.0から5.4%なら、コントロール優ですね。
1型でも糖質制限食を実践すれば、血糖値の乱高下がなくなり、勿論グルコーススパイクもなくなります。当然、合併症の心配もないですね。
また、インスリンの量が少量で済むのも、糖質制限食の大きな利点ですね。
インスリンの量が多いと、発癌やアルツハイマー病のリスクとなるので、少量のインスリンで血糖コントロールが可能な糖質制限食は、糖尿人への福音です。
「一時期、インスリン治療を始めて2.3ヶ月、髪が異様に抜けて、絶望的状況に陥りましたが、今はもうつやつや黒髪ロングが自慢になるくらい、しっかりした髪を維持しております。肌荒れもないし!糖質制限で代謝が代わるタイミングで抜け毛が増えたのか、インスリン治療のせいなのかは分かりませんが、一時抜け毛は大変な悩みでした。」
1型糖尿病を発症されて、しばらくの間は、高血糖の時期があったと思います。
当然毛細血管などの血流も悪くなり、頭皮の毛根の細胞も元気がなくなり、毛髪も徐々に抜けやすくなります。
インスリン注射と糖質制限食で血糖コントロール良好となり、毛根の毛母細胞や毛乳頭細胞が回復して元気を取り戻すのに2.3ヶ月かかったのでしょうかね。
ともあれ今は、つやつや黒髪ロング、体調良好、良かったですね。
主治医が糖質制限食に賛同というのも嬉しい限りです。 (^_^)
多くの糖尿人が、主治医の無理解で悩んでおられるのが現状ですので・・・。
是非、若い女医さんによろしくお伝え下さいね。
江部康二
1型糖尿人あこさんから、糖質制限食と髪の毛について、嬉しいコメントをいただきました。
「10/06/15 あこ
お久しぶりです!
昨年5月の1型発症以来、たまには誘惑に負けて甘いものは食べてしまうけど、日々糖質制限のおかげで、私のヘモさんは5.0から5.4あたりを推移する、大変に好ましい状況を維持しております!
ランタスもあれから増えることなく6単位、ノボはカーボカウントを併用しながら毎食ごとに違いますが、低血糖もなく、コントロール良好です。糖質制限様々ですよ。
一時期、インスリン治療を始めて2.3ヶ月、髪が異様に抜けて、絶望的状況に陥りましたが、今はもうつやつや黒髪ロングが自慢になるくらい、しっかりした髪を維持しております。
肌荒れもないし!
糖質制限で代謝が代わるタイミングで抜け毛が増えたのか、インスリン治療のせいなのかは分かりませんが、一時抜け毛は大変な悩みでした。
しかしながら今は、体調悪い場所を探す方が難しいくらい良好です!
主治医も糖質制限には賛同してくれており、糖質摂取時の血糖値の上がり方とか、私の体を使って実験!(笑)センサーを少しだけ多めに託されて、たまの甘いものを食べた時は、血糖値を細かく計り、データを見つつそんなことをしています。
毎回検診ごとに、糖質制限についてあつく語っている女2人。主治医も若い女医さんなので、非常によく勉強されていて、たまーに先生の本の話や、バーンスタイン医師の話で盛り上がります。
誘惑に負けることはありますが、美味しく楽しく糖質制限を続けていますよ!」
あこさん。
お久しぶりです。
HbA1c5.0から5.4%なら、コントロール優ですね。
1型でも糖質制限食を実践すれば、血糖値の乱高下がなくなり、勿論グルコーススパイクもなくなります。当然、合併症の心配もないですね。
また、インスリンの量が少量で済むのも、糖質制限食の大きな利点ですね。
インスリンの量が多いと、発癌やアルツハイマー病のリスクとなるので、少量のインスリンで血糖コントロールが可能な糖質制限食は、糖尿人への福音です。
「一時期、インスリン治療を始めて2.3ヶ月、髪が異様に抜けて、絶望的状況に陥りましたが、今はもうつやつや黒髪ロングが自慢になるくらい、しっかりした髪を維持しております。肌荒れもないし!糖質制限で代謝が代わるタイミングで抜け毛が増えたのか、インスリン治療のせいなのかは分かりませんが、一時抜け毛は大変な悩みでした。」
1型糖尿病を発症されて、しばらくの間は、高血糖の時期があったと思います。
当然毛細血管などの血流も悪くなり、頭皮の毛根の細胞も元気がなくなり、毛髪も徐々に抜けやすくなります。
インスリン注射と糖質制限食で血糖コントロール良好となり、毛根の毛母細胞や毛乳頭細胞が回復して元気を取り戻すのに2.3ヶ月かかったのでしょうかね。
ともあれ今は、つやつや黒髪ロング、体調良好、良かったですね。
主治医が糖質制限食に賛同というのも嬉しい限りです。 (^_^)
多くの糖尿人が、主治医の無理解で悩んでおられるのが現状ですので・・・。
是非、若い女医さんによろしくお伝え下さいね。
江部康二
2010年06月14日 (月)
こんにちは。
糖質制限食と髪の毛の復活について、ケイさんから、コメント・質問をいただきました。
「10/06/13 ケイ
髪の毛
糖尿病発覚時は抜け毛が酷くて頭頂部がスカスカ状態でしたが、1年経ち見事復活しました。一時はプロペシアを飲もうと考えましたが、見事な復活に正直驚いています。今は安物の育毛剤だけでOKです。よく脂物をとると禿げるといいますが、糖質が原因なんですかね。」
ケイさん。
何はともあれ、髪の毛復活、おめでとうございます。(⌒o⌒)v
糖質制限食実践により、けいさん同様、抜け毛が減る、髪の毛が復活する、乾燥肌が治まる、肌がしっとりしてツヤがでるなどの報告をブログ読者の皆さんから多数頂いてます。
私自身も52才糖尿病発症のころは、年のせいか、髪の毛が痩せて細くなって、ボリューム感が減って何となく透けて見える、かなりの危機的状況でした。 (→ο←)
それが、糖質制限食を始めてから、髪の毛1本1本が太くなって、整髪しにくくなり、ボリューム感が復活しました。
そして、洗髪時の抜け毛が激減しましたし、首筋によくできていたニキビみたいなのも、全く出なくなりました。
まあ、私の場合、残念ながら分け目の剃り込みは、復活しませんでしたが・・・。
さらに、糖質制限ドットコムのあらてつさん。
深く静かに進行していたM字ハゲ(剃り込みハゲ)がストップし、10代から20代の頃のワイヤーブラシのような剛毛が見事に復活し、行きつけの散髪屋さんに羨ましがられている今日この頃だそうです。
この散髪屋さんは、あらてつさんより4才年下なのですが、頭髪がやや寂しくなりつつある状況なのです。
髪の毛が伸びるスピードも速くなって、以前は、2~3ヶ月に一回の散髪で十分間に合ってたのが、最近は、3週間に一回は行かないと、それこそ膨らんだタワシのようになってエライことになるんだそうです。
それから、金曜ライブによくきていただく某製薬会社のMRさんは、自他共に許す見事なハゲだったのですが、糖質制限食を続けてるうちに、しっかりと髪が生えてきて、今や全くハゲではないです。
糖質制限食を実践すると全身の代謝・血流がよくなるので、毛髪を造る細胞も元気になり髪の毛の栄養状態が改善し復活すると考えられます。
肌がツヤツヤになったり、乾燥肌が良くなるのも、この血流の改善が原因だと思います。
糖質を摂取すると、正常人でもブドウ糖ミニスパイクを生じて、血流が悪くなるので、ご指摘のように毛髪にも悪い影響があると思います。
ただし、何事もそうですが、改善の度合いには個人差がありますし、皆がみんなハゲが改善するわけじゃありませんので、で念のため。
江部康二
糖質制限食と髪の毛の復活について、ケイさんから、コメント・質問をいただきました。
「10/06/13 ケイ
髪の毛
糖尿病発覚時は抜け毛が酷くて頭頂部がスカスカ状態でしたが、1年経ち見事復活しました。一時はプロペシアを飲もうと考えましたが、見事な復活に正直驚いています。今は安物の育毛剤だけでOKです。よく脂物をとると禿げるといいますが、糖質が原因なんですかね。」
ケイさん。
何はともあれ、髪の毛復活、おめでとうございます。(⌒o⌒)v
糖質制限食実践により、けいさん同様、抜け毛が減る、髪の毛が復活する、乾燥肌が治まる、肌がしっとりしてツヤがでるなどの報告をブログ読者の皆さんから多数頂いてます。
私自身も52才糖尿病発症のころは、年のせいか、髪の毛が痩せて細くなって、ボリューム感が減って何となく透けて見える、かなりの危機的状況でした。 (→ο←)
それが、糖質制限食を始めてから、髪の毛1本1本が太くなって、整髪しにくくなり、ボリューム感が復活しました。
そして、洗髪時の抜け毛が激減しましたし、首筋によくできていたニキビみたいなのも、全く出なくなりました。
まあ、私の場合、残念ながら分け目の剃り込みは、復活しませんでしたが・・・。
さらに、糖質制限ドットコムのあらてつさん。
深く静かに進行していたM字ハゲ(剃り込みハゲ)がストップし、10代から20代の頃のワイヤーブラシのような剛毛が見事に復活し、行きつけの散髪屋さんに羨ましがられている今日この頃だそうです。
この散髪屋さんは、あらてつさんより4才年下なのですが、頭髪がやや寂しくなりつつある状況なのです。
髪の毛が伸びるスピードも速くなって、以前は、2~3ヶ月に一回の散髪で十分間に合ってたのが、最近は、3週間に一回は行かないと、それこそ膨らんだタワシのようになってエライことになるんだそうです。
それから、金曜ライブによくきていただく某製薬会社のMRさんは、自他共に許す見事なハゲだったのですが、糖質制限食を続けてるうちに、しっかりと髪が生えてきて、今や全くハゲではないです。
糖質制限食を実践すると全身の代謝・血流がよくなるので、毛髪を造る細胞も元気になり髪の毛の栄養状態が改善し復活すると考えられます。
肌がツヤツヤになったり、乾燥肌が良くなるのも、この血流の改善が原因だと思います。
糖質を摂取すると、正常人でもブドウ糖ミニスパイクを生じて、血流が悪くなるので、ご指摘のように毛髪にも悪い影響があると思います。
ただし、何事もそうですが、改善の度合いには個人差がありますし、皆がみんなハゲが改善するわけじゃありませんので、で念のため。
江部康二
2010年06月13日 (日)
おはようございます。
今日は、昼から大阪リバーサイドホテルで、糖質制限食の講演会です。
協賛の大塚化学さん提供の、糖質制限OKカレーの試食も楽しみです。
さて今回は、しょうこたんから、糖質制限食のデータなどについて、コメント・質問をいただきました。
「10/06/09 しょうこたん
糖質制限の臨床研究は?
東京都に住む理系学部四年生です。いつも先生のブログを楽しく拝見させていただいております。
さて、質問なのですが、ブログの内容を見る限り、これだけ成果を上げておられる「糖質制限」が日本の医学界ではまだ第一選択とみなされていないのは、単に臨床的に正確なデータが出てないからではないでしょうか。意図的に糖尿病状態のノックアウトマウス等を用いて糖質制限におけるデータ収集等は行われていないのでしょうか。糖尿病の救世主であると思われる療法のため、大変疑問に思います。」
しょうこたん。
コメントありがとうございます。
臨床的なデータは、日本でも糖尿病学会などで発表されるようになってきました。
また、医学雑誌にも、私も含めて論文が掲載されるようになってきました。
また欧米の、ニューイングンランド・ジャーナルやJAMA(米国医師会雑誌)といった権威ある医学雑誌に、糖質制限食に肯定的な結論の論文が、ここ数年よくのります。
それでも常識の壁は厚いものです。医学界のような専門家集団ほど、保守的になる傾向があります。かなり糖質制限食に理解を示す医師が増えてましたが、それでもまだまだマイナーの段階です。
米国でも、糖尿病専門医は、従来のカロリー制限食(糖質60%食)を推奨することがほとんどですが、全米最大の糖尿病患者会は、糖質40%程度ですが糖質制限食を推奨しています。このように、米国でも医師と患者会の間にギャップがあります。
☆☆☆日本の糖質制限食・学会発表
1)山門一平,江部康二,金大成,大櫛陽一.東海大学医学部,高雄病院:2型糖尿病における低炭水化物食の有用性とテーラーメード運動処方,第52回日本糖尿病学会年次学術集会.2009年
2)田中てる美,丸岡文雄,平田英一他.丸岡内科小児科クリニック,九州大学:糖質制限食による糖尿病及び肥満症導入・維持のための栄養指導上の工夫,第52回日本糖尿病学会年次学術集会.2009年
3)山田悟.北里研究所病院糖尿病センター:主食抜き指導にて血糖コントロールが改善した一例,日本糖尿病学会関東甲信越地方会.2010年1月30日
☆☆☆日本の糖質制限食・医学雑誌掲載
1)江部康二他:糖尿病食事療法として糖質制限食を実施した3症例,
京都医学会雑誌51(1):125-130、2004
2)坂東浩,中村巧:カーボカウントと糖質制限食, 治療,90(12):3105-3111,2008
3) 江部康二:主食を抜けば(糖質を制限すれば)糖尿病は良くなる!,
治療,91(4):682-683,2009
4)中村巧,坂東浩:昨日の常識・食事療法ではカロリー制限すべきである
今日の常識・食事療法では糖質制限すべきである 治療,91(12):2858-2859,2009
5)江部康二:低糖質食(糖質制限食carbohydrate restriction)の意義,
内科,105(1):100-103,2010
2010年5月、岡山で開催された第53回日本糖尿病学会年次学術集会では、慈恵医大第三病院から、胃瘻のある患者さんへの流動食で、血糖値の比較をした研究が発表されました。
流動栄養食を
①糖質制限食②低GI食③一般食
の3つのグループにわけて、食後血糖値の変動を比較検討し、糖質制限食が一番血糖値の上昇がなかったとのことでした。
その他にも、糖質制限食に関する発表が、かなりの数あったようです。
確実に糖尿病学会レベルでも、糖質制限食が広がっています。糖質制限食に対して反発・拒絶の時代から、受容の時代に向かっていくものと期待しています。
☆☆☆糖質制限食に肯定的な欧米の疫学論文・・・他にもたくさん報告されています。
<米国医師会雑誌2006年2月8日号>
米国の大規模介入試験において脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して意外なことに心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げないことが米国医師会雑誌2006年2月8日号で報告されました。総コレステロール値に関しても、両群に優位な差はありませんでした。
この研究は、5万人弱の閉経女性を対象に対照群を置き、平均8年間にわたって追跡した大がかりなもので、所謂EBM(科学的根拠に基づいた医療)的には、トップランクに位置する権威あるものです。権威ある研究により、従来の常識(脂肪悪玉説)が根底から覆ったわけです。
つまり糖質制限食では相対的に高脂肪食となりますが、脂肪をたくさん摂取したグループにおいても、心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクが増えることはなく、その安全性が保証されたことになります。
<New England Journal of Medicine、2006年11月9日>
『米国の女性看護師82,802人を20年間追跡したところ、炭水化物が少なく脂肪とたんぱく質が多い食事でも、冠動脈疾患のリスクは上昇しなかった』
このような内容の研究が、New England Journal of Medicine、
2006年11月9日号にハーバード大学のグループにより報告されました。
今まで、 糖質制限食(即ち高脂肪・高タンパク食)の長期的な予後に関する本格的な研究がなかったのですが、とうとう出たという感じです。
論文を要約すると
『1980年、米国の女性看護師82,802人に対して、質問票を使った食事調査を行い、研究を開始した。
1980年から1998年までのあいだに、2~4年間隔で食事調査を6回実施し、一人一人の低炭水化物食の度合を得点化。
2000年まで20年間の追跡調査を行ったところ、1994人が心筋梗塞などの冠動脈疾患に罹患した。
解析の結果、「低炭水化物食得点」が上位10%のグループの冠動脈疾患の発生率は、下位10%のグループの0.94倍で有意差なし。
つまり、脂肪とたんぱく質が多く炭水化物が少ない食事をしているグループでも、心臓病のリスクは上昇しなかった。
**Halton TL, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women. New England Journal of Medicine 2006;355:1991-2002.』
低炭水化物食を長期に続けた場合、心臓病リスクの上昇などの害が生じるのではないかという批判が、従来の医学界おいてありました。
今回の研究は、低炭水化物食の長期的な安全性を調べる目的で、20年間、82,802人の女性の分析が行われました。
その結果、少なくとも心臓病に関しては、高タンパク・高脂肪食の長期的安全性があるていど保証されたということになります。
<2008年のニューイングランド・ジャーナル、イスラエルの研究報告>
NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241
「低炭水化物食(糖質制限食)が最も体重を減少させ、HDL-Cを増加させた。」
が、長年の食事療法の論争に決着をつけたと思います。
これは、ネットの1個人の意見や仮説ではなく、322人を2年間追跡した権威ある疫学的研究です。
低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。
• イスラエルの322人(男性86%)
• (1)低脂肪法(カロリー制限あり)
• (2)オリーブ油の地中海法(カロリー制限あり)
• (3)低炭水化物法(カロリー制限なしのアトキンス式ダイエット)
• 3グループの食事法を2年間経過観察。
• 低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。
• NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241
体重などを分析した結果、2年後の体重減少幅の平均は
(1)低脂肪法 2.9キロ
(2)地中海法 4.4キロ
(3)低炭水化物法 4.7キロ
となり、
(3)低炭水化物法が最も減少していた。また、善玉コレステロールも増えていた。
***
さて一方、動物実験で食事の研究をするのは、大きなカテゴリー・エラーです。それは、主食がヒトとは異なっているからです。
例えば、マウスなどネズミ類は、本来の主食は草の種子(即ち今の穀物)です。草原が地球上の有力な植生として現れる鮮新世(510万年前)以降、ネズミ科の動物が出現して爆発的に繁栄します。
510万年間、草原の草の種子(穀物・高糖質食)を食べ続けてきたネズミに、高脂肪食を与えれば、代謝が破綻するのは当たり前です。
これは単純に、代謝に合わない(主食でない)高脂肪食を与えて、マウスに病気を作るという実験です。インスリン抵抗性を始めとして、全ての代謝が狂って病気だらけになるのもいわずもがなです。
また、ゴリラの主食は「棘の多い大きな蔓や大きな草」です。ゴリラに高脂肪食を食べさせたら、代謝はガタガタになり、マウスと同様、たちどころに様々な病気になるでしょう。
人類の主食が島泰三氏の説(親指はなぜ太いのか・中公新書)の如く「骨、骨髄」であったかは兎も角 、穀物で無かったことは確実です。そして歴史的事実として、農耕の前は人類皆、糖質制限食でした。
またヒトの進化の過程で脳が急速に大きくなり、シナプシスが張り巡らされるためには、EPAとDHAの摂取が不可欠です。EPAとDHAは、地上の植物性食品には含まれていません。
従って少なくとも、肉・骨髄・昆虫・地虫・魚貝・・・などの高蛋白・高脂肪食を、脳が急速に発達した20万年前頃、主食として食べてたことは、間違いないでしょう。
結論です。
農耕前の400万年間、人類の主食は穀物ではありませんでした。マウスで薬物の毒性試験のような安全性の確認をするのはいいでしょう。
しかし、主食が穀物のマウスに高脂肪食をあたえるような実験をして、その結果をヒトに当てはめて考察するのは、根幹が間違っています。
江部康二
今日は、昼から大阪リバーサイドホテルで、糖質制限食の講演会です。
協賛の大塚化学さん提供の、糖質制限OKカレーの試食も楽しみです。
さて今回は、しょうこたんから、糖質制限食のデータなどについて、コメント・質問をいただきました。
「10/06/09 しょうこたん
糖質制限の臨床研究は?
東京都に住む理系学部四年生です。いつも先生のブログを楽しく拝見させていただいております。
さて、質問なのですが、ブログの内容を見る限り、これだけ成果を上げておられる「糖質制限」が日本の医学界ではまだ第一選択とみなされていないのは、単に臨床的に正確なデータが出てないからではないでしょうか。意図的に糖尿病状態のノックアウトマウス等を用いて糖質制限におけるデータ収集等は行われていないのでしょうか。糖尿病の救世主であると思われる療法のため、大変疑問に思います。」
しょうこたん。
コメントありがとうございます。
臨床的なデータは、日本でも糖尿病学会などで発表されるようになってきました。
また、医学雑誌にも、私も含めて論文が掲載されるようになってきました。
また欧米の、ニューイングンランド・ジャーナルやJAMA(米国医師会雑誌)といった権威ある医学雑誌に、糖質制限食に肯定的な結論の論文が、ここ数年よくのります。
それでも常識の壁は厚いものです。医学界のような専門家集団ほど、保守的になる傾向があります。かなり糖質制限食に理解を示す医師が増えてましたが、それでもまだまだマイナーの段階です。
米国でも、糖尿病専門医は、従来のカロリー制限食(糖質60%食)を推奨することがほとんどですが、全米最大の糖尿病患者会は、糖質40%程度ですが糖質制限食を推奨しています。このように、米国でも医師と患者会の間にギャップがあります。
☆☆☆日本の糖質制限食・学会発表
1)山門一平,江部康二,金大成,大櫛陽一.東海大学医学部,高雄病院:2型糖尿病における低炭水化物食の有用性とテーラーメード運動処方,第52回日本糖尿病学会年次学術集会.2009年
2)田中てる美,丸岡文雄,平田英一他.丸岡内科小児科クリニック,九州大学:糖質制限食による糖尿病及び肥満症導入・維持のための栄養指導上の工夫,第52回日本糖尿病学会年次学術集会.2009年
3)山田悟.北里研究所病院糖尿病センター:主食抜き指導にて血糖コントロールが改善した一例,日本糖尿病学会関東甲信越地方会.2010年1月30日
☆☆☆日本の糖質制限食・医学雑誌掲載
1)江部康二他:糖尿病食事療法として糖質制限食を実施した3症例,
京都医学会雑誌51(1):125-130、2004
2)坂東浩,中村巧:カーボカウントと糖質制限食, 治療,90(12):3105-3111,2008
3) 江部康二:主食を抜けば(糖質を制限すれば)糖尿病は良くなる!,
治療,91(4):682-683,2009
4)中村巧,坂東浩:昨日の常識・食事療法ではカロリー制限すべきである
今日の常識・食事療法では糖質制限すべきである 治療,91(12):2858-2859,2009
5)江部康二:低糖質食(糖質制限食carbohydrate restriction)の意義,
内科,105(1):100-103,2010
2010年5月、岡山で開催された第53回日本糖尿病学会年次学術集会では、慈恵医大第三病院から、胃瘻のある患者さんへの流動食で、血糖値の比較をした研究が発表されました。
流動栄養食を
①糖質制限食②低GI食③一般食
の3つのグループにわけて、食後血糖値の変動を比較検討し、糖質制限食が一番血糖値の上昇がなかったとのことでした。
その他にも、糖質制限食に関する発表が、かなりの数あったようです。
確実に糖尿病学会レベルでも、糖質制限食が広がっています。糖質制限食に対して反発・拒絶の時代から、受容の時代に向かっていくものと期待しています。
☆☆☆糖質制限食に肯定的な欧米の疫学論文・・・他にもたくさん報告されています。
<米国医師会雑誌2006年2月8日号>
米国の大規模介入試験において脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して意外なことに心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げないことが米国医師会雑誌2006年2月8日号で報告されました。総コレステロール値に関しても、両群に優位な差はありませんでした。
この研究は、5万人弱の閉経女性を対象に対照群を置き、平均8年間にわたって追跡した大がかりなもので、所謂EBM(科学的根拠に基づいた医療)的には、トップランクに位置する権威あるものです。権威ある研究により、従来の常識(脂肪悪玉説)が根底から覆ったわけです。
つまり糖質制限食では相対的に高脂肪食となりますが、脂肪をたくさん摂取したグループにおいても、心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクが増えることはなく、その安全性が保証されたことになります。
<New England Journal of Medicine、2006年11月9日>
『米国の女性看護師82,802人を20年間追跡したところ、炭水化物が少なく脂肪とたんぱく質が多い食事でも、冠動脈疾患のリスクは上昇しなかった』
このような内容の研究が、New England Journal of Medicine、
2006年11月9日号にハーバード大学のグループにより報告されました。
今まで、 糖質制限食(即ち高脂肪・高タンパク食)の長期的な予後に関する本格的な研究がなかったのですが、とうとう出たという感じです。
論文を要約すると
『1980年、米国の女性看護師82,802人に対して、質問票を使った食事調査を行い、研究を開始した。
1980年から1998年までのあいだに、2~4年間隔で食事調査を6回実施し、一人一人の低炭水化物食の度合を得点化。
2000年まで20年間の追跡調査を行ったところ、1994人が心筋梗塞などの冠動脈疾患に罹患した。
解析の結果、「低炭水化物食得点」が上位10%のグループの冠動脈疾患の発生率は、下位10%のグループの0.94倍で有意差なし。
つまり、脂肪とたんぱく質が多く炭水化物が少ない食事をしているグループでも、心臓病のリスクは上昇しなかった。
**Halton TL, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women. New England Journal of Medicine 2006;355:1991-2002.』
低炭水化物食を長期に続けた場合、心臓病リスクの上昇などの害が生じるのではないかという批判が、従来の医学界おいてありました。
今回の研究は、低炭水化物食の長期的な安全性を調べる目的で、20年間、82,802人の女性の分析が行われました。
その結果、少なくとも心臓病に関しては、高タンパク・高脂肪食の長期的安全性があるていど保証されたということになります。
<2008年のニューイングランド・ジャーナル、イスラエルの研究報告>
NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241
「低炭水化物食(糖質制限食)が最も体重を減少させ、HDL-Cを増加させた。」
が、長年の食事療法の論争に決着をつけたと思います。
これは、ネットの1個人の意見や仮説ではなく、322人を2年間追跡した権威ある疫学的研究です。
低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。
• イスラエルの322人(男性86%)
• (1)低脂肪法(カロリー制限あり)
• (2)オリーブ油の地中海法(カロリー制限あり)
• (3)低炭水化物法(カロリー制限なしのアトキンス式ダイエット)
• 3グループの食事法を2年間経過観察。
• 低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。
• NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241
体重などを分析した結果、2年後の体重減少幅の平均は
(1)低脂肪法 2.9キロ
(2)地中海法 4.4キロ
(3)低炭水化物法 4.7キロ
となり、
(3)低炭水化物法が最も減少していた。また、善玉コレステロールも増えていた。
***
さて一方、動物実験で食事の研究をするのは、大きなカテゴリー・エラーです。それは、主食がヒトとは異なっているからです。
例えば、マウスなどネズミ類は、本来の主食は草の種子(即ち今の穀物)です。草原が地球上の有力な植生として現れる鮮新世(510万年前)以降、ネズミ科の動物が出現して爆発的に繁栄します。
510万年間、草原の草の種子(穀物・高糖質食)を食べ続けてきたネズミに、高脂肪食を与えれば、代謝が破綻するのは当たり前です。
これは単純に、代謝に合わない(主食でない)高脂肪食を与えて、マウスに病気を作るという実験です。インスリン抵抗性を始めとして、全ての代謝が狂って病気だらけになるのもいわずもがなです。
また、ゴリラの主食は「棘の多い大きな蔓や大きな草」です。ゴリラに高脂肪食を食べさせたら、代謝はガタガタになり、マウスと同様、たちどころに様々な病気になるでしょう。
人類の主食が島泰三氏の説(親指はなぜ太いのか・中公新書)の如く「骨、骨髄」であったかは兎も角 、穀物で無かったことは確実です。そして歴史的事実として、農耕の前は人類皆、糖質制限食でした。
またヒトの進化の過程で脳が急速に大きくなり、シナプシスが張り巡らされるためには、EPAとDHAの摂取が不可欠です。EPAとDHAは、地上の植物性食品には含まれていません。
従って少なくとも、肉・骨髄・昆虫・地虫・魚貝・・・などの高蛋白・高脂肪食を、脳が急速に発達した20万年前頃、主食として食べてたことは、間違いないでしょう。
結論です。
農耕前の400万年間、人類の主食は穀物ではありませんでした。マウスで薬物の毒性試験のような安全性の確認をするのはいいでしょう。
しかし、主食が穀物のマウスに高脂肪食をあたえるような実験をして、その結果をヒトに当てはめて考察するのは、根幹が間違っています。
江部康二
2010年06月13日 (日)
スペイン産エクストラバージンオリーブオイル
お早うございます。
昨晩、NHKの 地球イチバン「地球イチバンのオリーブ天国~スペイン~」という番組で、スペイン産のオリーブオイルのお話をしていました。
スペインのオリーブオイル生産量は、世界のおよそ40%を締めるであるとか、、バージンオイルとエクストラ・バージンの違いについてなど解説していました。
これまで何度か紹介した、あらてつさんの糖質制限ドットコムで販売している、スペイン直輸入のモリドルエクストラバージンオリーブオイル、大変好評で昨年入荷分は早々に売り切れたとのことです。
そのモリドルから、今の時期限定の 初搾りエクストラバージンオリーブオイル が入荷したとのこと。
初摘・初搾りのオリーブオイルは、一年を通して、今だけしか出てこない貴重なオリーブオイルだそうです。
番組でもありましたが、オリーブオイル業界、聞くところによるといろいろと複雑で、「エクストラヴァージンオリーブオイル」といいながら、そうでないものがかなりの割合で流通しているそうです。
ですがこのモリドルオリーブオイルは、あらてつさんが直接工場まで行って「冷温圧搾・無濾過・無添加・混ざりっけ無しのエクストラヴァージンオリーブオイル」であることを確認してきました。
あらてつさん、知っている人は知っている「かなりうるさい男」ですので、工場を隅から隅まで調べて現地の人たちにおもいっきり嫌がられてきたことは、想像に難くありません。
スペインでも「うるさいぶり」を遺憾なく発揮してきたあらてつさん太鼓判のモリドルオリーブオイル、私もこのブログをご覧の糖尿人、メタボ人、ダイエッターの皆さんにお勧め致します。
以下、あらてつさんからのご案内です。
そうそう、最後にご紹介しているオリーブオイル試食会、キャンセルが出たとのことで、若干名空きができました。
私も参加するので皆さん、是非どうぞ。
江部康二
Primera extracción en frío(初搾りエクストラバージンオリーブオイル)発売開始!
オリーブオイル百年の伝統のあるシウラナ地方(スペイン北東部、カタルーニャ地方)から、初摘、初搾りのオリーブオイルが入荷しました。
年に一回、この時期だけしか販売されない大変貴重なオリーブオイルです。
Primera extracción en frío オリーブオイルは、収穫したてのオリーブを風味が損なわれないように冷温圧搾し、濾過せずそのまま瓶詰します。
なので一般的なオリーブオイルよりも色合いが濃く、オリーブ本来の香りや味わいをストレートにお楽しみいただけます。
一年を通して、今だけしか出てこない貴重なオリーブオイルです。
通常のオリーブオイルにない濃厚な味と香りをお楽しみ頂けます。
モリドル社のパトリシアさんからのメッセージを紹介します。
モリ・ドルのエクストラバージン・オリーブオイル
モリ・ドルは、私たちの地域の人々や農作業員が、黄金の液体とも呼ばれるエクストラバージン・オリーブオイルを抽出するために、一年を通じてその大地に施してきた入念な作業と手入れの結晶です。
オイル百年の伝統のあるシウラナ地方(スペイン北東部、カタルーニャ地方)では、最高のシェフや料理批評家から最も高い評価を受けている、アルベキナ種と言うオリーブオイル生産用の品種のみを使用しています。
モリ・ドルのオリーブは、木から直接採取し、フライス(オリーブを碾く作業)は、果実の自然な特性を保持するため、冷温で行われます。その優れた特性と官能特性をそのまま維持するために、モリ・ドルは、フィルタリングされていないエクストラバージン・オリーブオイルとなっています。
この製法によって密度、香り、ボディが保たれている、という、極めて例外的ともいえる評価を受けています。瓶の底に堆積物が沈降することがありますが、健康上全く無害であり、自然由来のものであることの証拠でもあります。
つまり、これは100%純粋な天然オリーブ果汁なのです。
オリーブオイルには、多くの種類と品種があります。しかしその中でも、酸性度を1°未満に保持したものだけが、エクストラバージンと呼ばれる最高ランクのカテゴリとして(EEC規則1513/2001による)最も高い評価を得ることができます。私たちは、モリ·ドルが酸性度を0.3°に抑えてこのカテゴリに入っていることを、誇りに思っています。
オリーブそのものの持つ天然成分によって、このオイルが、抗酸化成分やポリフェノール性化合物を豊富に含んでいるため、酸化を抑えたり、体の諸器官に非常に有益な効果をもたらしたりするということも、忘れてはいけません。
その複雑な香りと味わいは、料理のうま味を引き立たせることができます。フルーティーかつ丸みのある味わいがあり、収斂性が低く、バナナ、イチゴ、リンゴ、クルミ、アーモンドやアーティチョークの熟したような非常にバランスのとれた香りがします。トマトを思わせる懐かしい趣を鼻腔に感じます。そして、非常に表現力のある、すっきりとしたナッツのような後味がします。
料理に使えば、味に力を与え、個性を引き立たせます。生鮮食品(パン、サラダ、野菜など)に使用すれば、より一層の官能特性を感じることができます。オイルを加熱して使用する際も、食品がカリっとした状態で形よく保持し、オイルに含まれている脂肪酸と抗酸化物質が食品に回って安定し、ボリュームが増すことから、高温にもよく対応すると言えます。
これらすべての特性のおかげで、モリ・ドルは、最高レベルのエクストラバージン・オリーブオイルであると同時に、健康的でよく知られている地中海料理を作る際に欠かせない食品の一つとして、認められるようになりました。

数量・期間限定のモリドル初搾りエクストラバージンオリーブオイル
是非皆さんもお試しください。
詳細・ご購入はこちらから
↓ ↓ ↓
モリドル 初摘み・初搾りオリーブオイル
http://www.toushitsuseigen.com/shop/etc_oliveoil.html
お早うございます。
昨晩、NHKの 地球イチバン「地球イチバンのオリーブ天国~スペイン~」という番組で、スペイン産のオリーブオイルのお話をしていました。
スペインのオリーブオイル生産量は、世界のおよそ40%を締めるであるとか、、バージンオイルとエクストラ・バージンの違いについてなど解説していました。
これまで何度か紹介した、あらてつさんの糖質制限ドットコムで販売している、スペイン直輸入のモリドルエクストラバージンオリーブオイル、大変好評で昨年入荷分は早々に売り切れたとのことです。
そのモリドルから、今の時期限定の 初搾りエクストラバージンオリーブオイル が入荷したとのこと。
初摘・初搾りのオリーブオイルは、一年を通して、今だけしか出てこない貴重なオリーブオイルだそうです。
番組でもありましたが、オリーブオイル業界、聞くところによるといろいろと複雑で、「エクストラヴァージンオリーブオイル」といいながら、そうでないものがかなりの割合で流通しているそうです。
ですがこのモリドルオリーブオイルは、あらてつさんが直接工場まで行って「冷温圧搾・無濾過・無添加・混ざりっけ無しのエクストラヴァージンオリーブオイル」であることを確認してきました。
あらてつさん、知っている人は知っている「かなりうるさい男」ですので、工場を隅から隅まで調べて現地の人たちにおもいっきり嫌がられてきたことは、想像に難くありません。
スペインでも「うるさいぶり」を遺憾なく発揮してきたあらてつさん太鼓判のモリドルオリーブオイル、私もこのブログをご覧の糖尿人、メタボ人、ダイエッターの皆さんにお勧め致します。
以下、あらてつさんからのご案内です。
そうそう、最後にご紹介しているオリーブオイル試食会、キャンセルが出たとのことで、若干名空きができました。
私も参加するので皆さん、是非どうぞ。
江部康二
Primera extracción en frío(初搾りエクストラバージンオリーブオイル)発売開始!
オリーブオイル百年の伝統のあるシウラナ地方(スペイン北東部、カタルーニャ地方)から、初摘、初搾りのオリーブオイルが入荷しました。
年に一回、この時期だけしか販売されない大変貴重なオリーブオイルです。
Primera extracción en frío オリーブオイルは、収穫したてのオリーブを風味が損なわれないように冷温圧搾し、濾過せずそのまま瓶詰します。
なので一般的なオリーブオイルよりも色合いが濃く、オリーブ本来の香りや味わいをストレートにお楽しみいただけます。
一年を通して、今だけしか出てこない貴重なオリーブオイルです。
通常のオリーブオイルにない濃厚な味と香りをお楽しみ頂けます。
モリドル社のパトリシアさんからのメッセージを紹介します。
モリ・ドルのエクストラバージン・オリーブオイル
モリ・ドルは、私たちの地域の人々や農作業員が、黄金の液体とも呼ばれるエクストラバージン・オリーブオイルを抽出するために、一年を通じてその大地に施してきた入念な作業と手入れの結晶です。
オイル百年の伝統のあるシウラナ地方(スペイン北東部、カタルーニャ地方)では、最高のシェフや料理批評家から最も高い評価を受けている、アルベキナ種と言うオリーブオイル生産用の品種のみを使用しています。
モリ・ドルのオリーブは、木から直接採取し、フライス(オリーブを碾く作業)は、果実の自然な特性を保持するため、冷温で行われます。その優れた特性と官能特性をそのまま維持するために、モリ・ドルは、フィルタリングされていないエクストラバージン・オリーブオイルとなっています。
この製法によって密度、香り、ボディが保たれている、という、極めて例外的ともいえる評価を受けています。瓶の底に堆積物が沈降することがありますが、健康上全く無害であり、自然由来のものであることの証拠でもあります。
つまり、これは100%純粋な天然オリーブ果汁なのです。
オリーブオイルには、多くの種類と品種があります。しかしその中でも、酸性度を1°未満に保持したものだけが、エクストラバージンと呼ばれる最高ランクのカテゴリとして(EEC規則1513/2001による)最も高い評価を得ることができます。私たちは、モリ·ドルが酸性度を0.3°に抑えてこのカテゴリに入っていることを、誇りに思っています。
オリーブそのものの持つ天然成分によって、このオイルが、抗酸化成分やポリフェノール性化合物を豊富に含んでいるため、酸化を抑えたり、体の諸器官に非常に有益な効果をもたらしたりするということも、忘れてはいけません。
その複雑な香りと味わいは、料理のうま味を引き立たせることができます。フルーティーかつ丸みのある味わいがあり、収斂性が低く、バナナ、イチゴ、リンゴ、クルミ、アーモンドやアーティチョークの熟したような非常にバランスのとれた香りがします。トマトを思わせる懐かしい趣を鼻腔に感じます。そして、非常に表現力のある、すっきりとしたナッツのような後味がします。
料理に使えば、味に力を与え、個性を引き立たせます。生鮮食品(パン、サラダ、野菜など)に使用すれば、より一層の官能特性を感じることができます。オイルを加熱して使用する際も、食品がカリっとした状態で形よく保持し、オイルに含まれている脂肪酸と抗酸化物質が食品に回って安定し、ボリュームが増すことから、高温にもよく対応すると言えます。
これらすべての特性のおかげで、モリ・ドルは、最高レベルのエクストラバージン・オリーブオイルであると同時に、健康的でよく知られている地中海料理を作る際に欠かせない食品の一つとして、認められるようになりました。

数量・期間限定のモリドル初搾りエクストラバージンオリーブオイル
是非皆さんもお試しください。
詳細・ご購入はこちらから
↓ ↓ ↓
モリドル 初摘み・初搾りオリーブオイル
http://www.toushitsuseigen.com/shop/etc_oliveoil.html
糖質制限食・ダイエット食の通信販売|糖質制限ドットコム
糖質制限ドットコムは、糖質制限食の第一人者、高雄病院、江部康二先生監修による糖質オフな食材を販売、糖質制限食に取り組む皆様をサポートします。
2010年06月11日 (金)
今度の日曜日の大阪講演会、多数のお申込みを頂き、ありがとうございます。
さて、会場までなのですが、JRで来られる方は、環状線の桜の宮駅を降りられましたら、西口から出てください。
西口の改札を出てぐるっと右を向いて頂きますと、会場の「大阪リバーサイドホテル」がすぐに見えます。
歩いて5分かかりませんので。
江部康二
さて、会場までなのですが、JRで来られる方は、環状線の桜の宮駅を降りられましたら、西口から出てください。
西口の改札を出てぐるっと右を向いて頂きますと、会場の「大阪リバーサイドホテル」がすぐに見えます。
歩いて5分かかりませんので。
江部康二
2010年06月11日 (金)
おはようございます。
低血糖が起こりにくいはずのDPP-4阻害薬(ジャヌビア、グラクティブ)で、重篤低血糖が続発しています。
正確には「DPP-4阻害薬+SU剤」併用で生じています。
4月8日に日本糖尿病協会の公式サイトに医療従事者向けに緊急情報が掲示されました。
DPP-4阻害薬(ジャヌビア、グラクティブ)は高血糖の時は作用し、血糖値が108mg/dlくらいになると作用しなくなるので、単独使用では、理論的に低血糖はほとんど生じないはずです。
しかし、SU剤の作用が持続している状態でDPP-4阻害薬を併用すると、血糖値が108mg/dl以下に下がってきても、DPP-4阻害薬の作用が持続するのです。このため「DPP-4阻害薬+SU剤」併用で低血糖が続発したと考えられます。
低血糖発作を起こしたほとんどの症例において、SU剤が高容量内服されていました。
一部の医師が「DPP-4阻害薬は低血糖を生じにくい」と単純に信じて、高容量のSU剤を内服していた糖尿人にDPP-4阻害薬を追加処方したことが、低血糖発作続発の原因と考えられます。
日本糖尿病協会の勧告では、DPP-4阻害薬と併用するときは、
「グリメピリド(アマリール) 2mg/日以下に
グリベンクラミド(オイグルコンまたはダオニール) 2.5mg/日以下に」
と記載されています。
高容量というのは、上記を上回る量ということですね。
実際、高雄病院、高雄病院京都駅前診療所、江部診療所で10名以上の糖尿人において、「DPP-4阻害薬+SU剤」併用投与していますが、低血糖は一人も生じていません。**
私は、アマリール以外のSU剤は使用しません。
オイグルコン(ダオニール)は、心筋への悪影響が報告されているので、私は使いません。アマリールも1mg/日か0.5mg/日です。2010年6月からアマリール0.5mgの錠剤ができたので使いやすくなりました。
糖尿人の皆さん、SU剤とDPP-4阻害薬を併用するときは、SU剤の量は少量にすることをこころがけて下さいね。
江部康二
**
スーパー糖質制限食なら、2型糖尿人の大多数は、経口血糖降下剤は不必要となります。
かくいう私も薬なしで、コントロール優レベル(HbA1c5.8%未満)で、HbA1c:5.1~5.4%くらいです。
たまに宴会などで、付き合いで主食を食べざるを得ないときだけ、グルコバイなどαグルコシダーゼ阻害剤やグルファストなど超速効型インスリン分泌促進剤を直前に飲めば、あるていど食後高血糖を抑えることができるので、そのような使用法もあります。
この方法で、たいていの場合はコントロール良好レベル(HbA1c6.5%未満)を保てます。
一方で、糖質制限食をしているはずなのに、なかなかHbA1cが6.5%未満にならない糖尿人・・・。
どうしてもちょこちょこ糖質を食べておられるのでしょうね( ̄_ ̄|||)
こういった方には、私もたまにSU剤を処方することがあります。
低血糖が起こりにくいはずのDPP-4阻害薬(ジャヌビア、グラクティブ)で、重篤低血糖が続発しています。
正確には「DPP-4阻害薬+SU剤」併用で生じています。
4月8日に日本糖尿病協会の公式サイトに医療従事者向けに緊急情報が掲示されました。
DPP-4阻害薬(ジャヌビア、グラクティブ)は高血糖の時は作用し、血糖値が108mg/dlくらいになると作用しなくなるので、単独使用では、理論的に低血糖はほとんど生じないはずです。
しかし、SU剤の作用が持続している状態でDPP-4阻害薬を併用すると、血糖値が108mg/dl以下に下がってきても、DPP-4阻害薬の作用が持続するのです。このため「DPP-4阻害薬+SU剤」併用で低血糖が続発したと考えられます。
低血糖発作を起こしたほとんどの症例において、SU剤が高容量内服されていました。
一部の医師が「DPP-4阻害薬は低血糖を生じにくい」と単純に信じて、高容量のSU剤を内服していた糖尿人にDPP-4阻害薬を追加処方したことが、低血糖発作続発の原因と考えられます。
日本糖尿病協会の勧告では、DPP-4阻害薬と併用するときは、
「グリメピリド(アマリール) 2mg/日以下に
グリベンクラミド(オイグルコンまたはダオニール) 2.5mg/日以下に」
と記載されています。
高容量というのは、上記を上回る量ということですね。
実際、高雄病院、高雄病院京都駅前診療所、江部診療所で10名以上の糖尿人において、「DPP-4阻害薬+SU剤」併用投与していますが、低血糖は一人も生じていません。**
私は、アマリール以外のSU剤は使用しません。
オイグルコン(ダオニール)は、心筋への悪影響が報告されているので、私は使いません。アマリールも1mg/日か0.5mg/日です。2010年6月からアマリール0.5mgの錠剤ができたので使いやすくなりました。
糖尿人の皆さん、SU剤とDPP-4阻害薬を併用するときは、SU剤の量は少量にすることをこころがけて下さいね。
江部康二
**
スーパー糖質制限食なら、2型糖尿人の大多数は、経口血糖降下剤は不必要となります。
かくいう私も薬なしで、コントロール優レベル(HbA1c5.8%未満)で、HbA1c:5.1~5.4%くらいです。
たまに宴会などで、付き合いで主食を食べざるを得ないときだけ、グルコバイなどαグルコシダーゼ阻害剤やグルファストなど超速効型インスリン分泌促進剤を直前に飲めば、あるていど食後高血糖を抑えることができるので、そのような使用法もあります。
この方法で、たいていの場合はコントロール良好レベル(HbA1c6.5%未満)を保てます。
一方で、糖質制限食をしているはずなのに、なかなかHbA1cが6.5%未満にならない糖尿人・・・。
どうしてもちょこちょこ糖質を食べておられるのでしょうね( ̄_ ̄|||)
こういった方には、私もたまにSU剤を処方することがあります。
2010年06月10日 (木)
おはようございます。
6月9日は、名古屋の中部経済倶楽部で糖質制限食の講演のあと、帰京して江部診療所の夜診でした。
今日は、第二木曜日で夕方から高雄病院内の漢方勉強会です。
新しく来られた医師がおられるので、勉強会のあとは歓迎会です。
新加入されたのは、妙齢の魅力的な女性医師なので、幹事がはりきって祇園にくりだすこととなりました(^^)
いつもは、丸太町界隈でささやかな飲み会なのです。
医局の机とか一生懸命掃除して、いつになく綺麗な部屋となり、医局員一同健気に頑張っているようです。
6月11日(金)も夕方から糖質制限食講演会の打ち合わせと宴会です。
しばらく、記事やコメントの返事が困難かも知れませんので、
あしからず・・・ m(_ _)m
江部康二
6月9日は、名古屋の中部経済倶楽部で糖質制限食の講演のあと、帰京して江部診療所の夜診でした。
今日は、第二木曜日で夕方から高雄病院内の漢方勉強会です。
新しく来られた医師がおられるので、勉強会のあとは歓迎会です。
新加入されたのは、妙齢の魅力的な女性医師なので、幹事がはりきって祇園にくりだすこととなりました(^^)
いつもは、丸太町界隈でささやかな飲み会なのです。
医局の机とか一生懸命掃除して、いつになく綺麗な部屋となり、医局員一同健気に頑張っているようです。
6月11日(金)も夕方から糖質制限食講演会の打ち合わせと宴会です。
しばらく、記事やコメントの返事が困難かも知れませんので、
あしからず・・・ m(_ _)m
江部康二
2010年06月09日 (水)
おはようございます。
糖尿病腎症と微量アルブミンと糖質制限食について、てぃむさん、けいさんから,
コメントをいただきました。
「10/06/08 てぃむ
タイトルなし
お久しぶりです。糖質制限食を続けはや2年になろうとしています。A1Cは常に4.8~5.2の間で非常に良好で、かかりつけの医者からも糖尿に関してはもう心配がないと言われるほどで江部先生のおかげと深く感謝しております。
ただ、以前も申し上げた通り、改善してくるかと期待していた尿中微量アルブは毎回つねに30とか60とか80(単位は不明ですが随時尿で)で、+-とか+とかいわれ、腎臓に負担がかかるから長い目で見ると糖質をとりはじめたほうがいいですよ、と毎回言われ続けております。クレ値は0,65~0,73の間くらいで腎機能に問題がないので頑として糖質制限をやめることはしていませんが、ある意味でお医者さんとの話に根負けしそうです。本当に10年20年と大丈夫なのだろうか、と。
ちなみにシスタチンCは0,51で全く腎炎の状態ではないと別の病院の精密検査でいわれました。
よって、微妙に漏れつづけている原因が何かは現時点で特定できません。
お医者さんの推測では以前にどこかの時点でなった腎炎が治りきらなかったのでしょう、ということでした。一度正常でなくなった腎臓の状態は、まず10中8,9は元の状態にはならないそうです。
よしんば腎臓に負担がかかり粒子の大きな蛋白が漏れるようになってくるとして(信じたくはないですが)どの程度の蛋白尿レベルになってきたら糖質制限NGかどうか、具体的にお教え願えませんでしょうか?お手すきの時でもよろしくお願いいたします。」
「10/06/08 けい
タイトルなし
ていむさん
私も30代で糖尿、腎症2期です。
糖質制限も実施しています。
カロリーはオリーブオイルやマヨネーズで稼いで
蛋白は80程度にしていて5ヶ月で+-又は+だった尿蛋白が始めて-になりました。
尿潜血は+ですけど・・・
偶然の一回だけかもしれませんが、こんな方法でやっています。
お互いがんばりましょうね!」
てぃむさん、けいさん。
コメントありがとうございます。
まず尿中微量アルブミンですが、糖尿病腎症が原因ならば、糖質制限食で血糖コントロールを良好に保てば、正常に回復する可能性が高いと思います。
現実に、糖質制限食による血糖コントロールの改善で、薬物なしで微量アルブミンが正常化した人は、私の患者さんでも何人かおられます。
また、本ブログでも数人の方から、微量アルブミンさらには蛋白尿陽性レベルが改善したとのコメントをいただいています。
てぃむさんのデータ、30までが正常として60とか80のレベルで、A1Cが常に4.8~5.2の間なら、糖尿病腎症第2期(早期腎症期)であれば半年から1年で正常に回復するのが普通です。
一方、尿中微量アルブミンの原因が慢性腎炎とか、糖尿病以外のものであれば、血糖コントロールが正常レベルなっても、微量アルブミンは改善しません。なぜなら、慢性腎炎が糖質制限食単独で治るわけではないからです。
ごく軽症の慢性腎炎は、血液検査はシスタチンCもクレアチニンも全くの正常で、微量アルブミンのみ陽性の段階があります。
この場合、黄耆を主薬とした漢方薬で、約7割程度の改善が期待できますので選択肢の一つですね。
「糖尿病腎症+慢性腎炎」の両方があるときは、血液検査でシスタチンCもクレアチニンも正常の段階なら、糖質制限食でしっかり血糖コントロールをして糖尿病腎症を改善させ、漢方薬で慢性腎炎の治療を併用というのがお奨めです。
江部康二
☆☆☆参考
糖尿病腎症と糖質制限食2010
2010年05月12日 (水)
おはようございます。
糖尿病腎症が始まれば、基本的には、じり貧で進行するのが、現在の西洋医学の常識的認識だと思います。
まあ、ACE阻害薬、または、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の投与により、微量アルブミン尿が改善したという報告はありますが・・・。
糖質制限食による血糖コントロールの改善で、薬物なしで微量アルブミンが正常化した人は、私の患者さんでも何人かおられます。
腎症第3期Aまでは、糖質制限食が可能と過去のブログで述べたのは、所謂EBMに基づくものではありません。
ただ、ご自身が1型糖尿病の米国のバーンスタイン医師は、小児期12才に1型糖尿病を発症され、以後インスリンを打ち続けておられます。「バーンスタイン医師の糖尿病の解決」(メディカルトリビューン)の著者です。
35才、顕性腎症前期(第3期A)となった頃、SMBGで血糖自己測定をしながら食事療法を研究し、徹底した糖質制限食を開始。
尿中微量アルブミンの増加する「早期腎症期」より進行した蛋白尿が出現する段階の「顕性腎症前期」から、糖質制限食で回復しタンパク尿消失。
45才で医学部に入学、49才で医師になり、糖尿病を徹底的に研究。以後、多数の糖尿病患者を診察。
2010年、76才現在、糖尿病合併症もなく、現役医師としてお元気にお過ごしです。
バーンスタイン医師の場合、HbA1c5%くらいでキープしておられると思います。
個人差も当然あるし、糖質制限食のコントロール・スタディなどありません。
従って、糖質制限食で尿中微量アルブミンや顕性腎症前期(第3期A)までなら、必ず改善すると断定したり保証することは当然できません。
ただ、糖質制限食でHbA1c:5.8%未満くらいまでコントロールすれば、バーンスタイン先生のような経過をたどる可能性もありえると思います。
ACCORD研究(2008年)と2010年2月のランセットの研究報告で糖質を摂取して、HbA1cをきっちりコントロールすれば、総死亡率がかえって上昇することが示唆されました。
糖質を摂取することによる食後高血糖、そして過剰な薬物治療による低血糖、これらの繰り返しによる血糖値の乱高下が、死亡率上昇の主たる要因と思います。
同様の理由で、糖質を摂取しながらインスリンなどでHbA1cをコントロールしても、食後高血糖を防ぐことは困難で、糖尿病腎症の進行は防ぎがたいと思います。
このように考察してみると、糖質制限食だけが食後高血糖を生じないし、薬物の使用がないので低血糖も生じないので、糖尿病腎症の進行を防ぎ、また総死亡率も減らす可能性をもっていることがわかります。
患者さんへの説明は、結構難しいですが、
①「血糖コントロールが悪ければ、糖尿病腎症は転がるように進行する。」
微量アルブミン尿→第3期A→第3期B→腎不全→透析
ということをまず説明します。
そして、
②「糖質制限食で血糖コントロールが良くなれば、100%とは言えないが進行が防げる可能性がある。」と説明します。
第3期A(タンパク尿1g/日未満)の段階までは、
<高タンパク食による蛋白尿へのリスク>と<食後高血糖による蛋白尿へのリスク>
を天秤にかけるという言い方もできます。
このような臨床試験はないので、結論は出ませんが・・・。
ただ、第3期A(タンパク尿1g/日未満)の段階までは兎も角として、第3期Bの段階(タンパク尿1g/日以上)の段階になると、糖質制限食も含めて治療に難渋します。
ともあれ、できるだけ早い段階で糖尿病腎症を発見し、糖質制限食実践で血糖コントロールを良好に保つことが、現時点で最善の道と考えられます。
糖尿人は、3ヶ月~半年に1回、尿中微量アルブミンを検査して、早期発見に努めて下さいね。
江部康二
糖尿病腎症と微量アルブミンと糖質制限食について、てぃむさん、けいさんから,
コメントをいただきました。
「10/06/08 てぃむ
タイトルなし
お久しぶりです。糖質制限食を続けはや2年になろうとしています。A1Cは常に4.8~5.2の間で非常に良好で、かかりつけの医者からも糖尿に関してはもう心配がないと言われるほどで江部先生のおかげと深く感謝しております。
ただ、以前も申し上げた通り、改善してくるかと期待していた尿中微量アルブは毎回つねに30とか60とか80(単位は不明ですが随時尿で)で、+-とか+とかいわれ、腎臓に負担がかかるから長い目で見ると糖質をとりはじめたほうがいいですよ、と毎回言われ続けております。クレ値は0,65~0,73の間くらいで腎機能に問題がないので頑として糖質制限をやめることはしていませんが、ある意味でお医者さんとの話に根負けしそうです。本当に10年20年と大丈夫なのだろうか、と。
ちなみにシスタチンCは0,51で全く腎炎の状態ではないと別の病院の精密検査でいわれました。
よって、微妙に漏れつづけている原因が何かは現時点で特定できません。
お医者さんの推測では以前にどこかの時点でなった腎炎が治りきらなかったのでしょう、ということでした。一度正常でなくなった腎臓の状態は、まず10中8,9は元の状態にはならないそうです。
よしんば腎臓に負担がかかり粒子の大きな蛋白が漏れるようになってくるとして(信じたくはないですが)どの程度の蛋白尿レベルになってきたら糖質制限NGかどうか、具体的にお教え願えませんでしょうか?お手すきの時でもよろしくお願いいたします。」
「10/06/08 けい
タイトルなし
ていむさん
私も30代で糖尿、腎症2期です。
糖質制限も実施しています。
カロリーはオリーブオイルやマヨネーズで稼いで
蛋白は80程度にしていて5ヶ月で+-又は+だった尿蛋白が始めて-になりました。
尿潜血は+ですけど・・・
偶然の一回だけかもしれませんが、こんな方法でやっています。
お互いがんばりましょうね!」
てぃむさん、けいさん。
コメントありがとうございます。
まず尿中微量アルブミンですが、糖尿病腎症が原因ならば、糖質制限食で血糖コントロールを良好に保てば、正常に回復する可能性が高いと思います。
現実に、糖質制限食による血糖コントロールの改善で、薬物なしで微量アルブミンが正常化した人は、私の患者さんでも何人かおられます。
また、本ブログでも数人の方から、微量アルブミンさらには蛋白尿陽性レベルが改善したとのコメントをいただいています。
てぃむさんのデータ、30までが正常として60とか80のレベルで、A1Cが常に4.8~5.2の間なら、糖尿病腎症第2期(早期腎症期)であれば半年から1年で正常に回復するのが普通です。
一方、尿中微量アルブミンの原因が慢性腎炎とか、糖尿病以外のものであれば、血糖コントロールが正常レベルなっても、微量アルブミンは改善しません。なぜなら、慢性腎炎が糖質制限食単独で治るわけではないからです。
ごく軽症の慢性腎炎は、血液検査はシスタチンCもクレアチニンも全くの正常で、微量アルブミンのみ陽性の段階があります。
この場合、黄耆を主薬とした漢方薬で、約7割程度の改善が期待できますので選択肢の一つですね。
「糖尿病腎症+慢性腎炎」の両方があるときは、血液検査でシスタチンCもクレアチニンも正常の段階なら、糖質制限食でしっかり血糖コントロールをして糖尿病腎症を改善させ、漢方薬で慢性腎炎の治療を併用というのがお奨めです。
江部康二
☆☆☆参考
糖尿病腎症と糖質制限食2010
2010年05月12日 (水)
おはようございます。
糖尿病腎症が始まれば、基本的には、じり貧で進行するのが、現在の西洋医学の常識的認識だと思います。
まあ、ACE阻害薬、または、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の投与により、微量アルブミン尿が改善したという報告はありますが・・・。
糖質制限食による血糖コントロールの改善で、薬物なしで微量アルブミンが正常化した人は、私の患者さんでも何人かおられます。
腎症第3期Aまでは、糖質制限食が可能と過去のブログで述べたのは、所謂EBMに基づくものではありません。
ただ、ご自身が1型糖尿病の米国のバーンスタイン医師は、小児期12才に1型糖尿病を発症され、以後インスリンを打ち続けておられます。「バーンスタイン医師の糖尿病の解決」(メディカルトリビューン)の著者です。
35才、顕性腎症前期(第3期A)となった頃、SMBGで血糖自己測定をしながら食事療法を研究し、徹底した糖質制限食を開始。
尿中微量アルブミンの増加する「早期腎症期」より進行した蛋白尿が出現する段階の「顕性腎症前期」から、糖質制限食で回復しタンパク尿消失。
45才で医学部に入学、49才で医師になり、糖尿病を徹底的に研究。以後、多数の糖尿病患者を診察。
2010年、76才現在、糖尿病合併症もなく、現役医師としてお元気にお過ごしです。
バーンスタイン医師の場合、HbA1c5%くらいでキープしておられると思います。
個人差も当然あるし、糖質制限食のコントロール・スタディなどありません。
従って、糖質制限食で尿中微量アルブミンや顕性腎症前期(第3期A)までなら、必ず改善すると断定したり保証することは当然できません。
ただ、糖質制限食でHbA1c:5.8%未満くらいまでコントロールすれば、バーンスタイン先生のような経過をたどる可能性もありえると思います。
ACCORD研究(2008年)と2010年2月のランセットの研究報告で糖質を摂取して、HbA1cをきっちりコントロールすれば、総死亡率がかえって上昇することが示唆されました。
糖質を摂取することによる食後高血糖、そして過剰な薬物治療による低血糖、これらの繰り返しによる血糖値の乱高下が、死亡率上昇の主たる要因と思います。
同様の理由で、糖質を摂取しながらインスリンなどでHbA1cをコントロールしても、食後高血糖を防ぐことは困難で、糖尿病腎症の進行は防ぎがたいと思います。
このように考察してみると、糖質制限食だけが食後高血糖を生じないし、薬物の使用がないので低血糖も生じないので、糖尿病腎症の進行を防ぎ、また総死亡率も減らす可能性をもっていることがわかります。
患者さんへの説明は、結構難しいですが、
①「血糖コントロールが悪ければ、糖尿病腎症は転がるように進行する。」
微量アルブミン尿→第3期A→第3期B→腎不全→透析
ということをまず説明します。
そして、
②「糖質制限食で血糖コントロールが良くなれば、100%とは言えないが進行が防げる可能性がある。」と説明します。
第3期A(タンパク尿1g/日未満)の段階までは、
<高タンパク食による蛋白尿へのリスク>と<食後高血糖による蛋白尿へのリスク>
を天秤にかけるという言い方もできます。
このような臨床試験はないので、結論は出ませんが・・・。
ただ、第3期A(タンパク尿1g/日未満)の段階までは兎も角として、第3期Bの段階(タンパク尿1g/日以上)の段階になると、糖質制限食も含めて治療に難渋します。
ともあれ、できるだけ早い段階で糖尿病腎症を発見し、糖質制限食実践で血糖コントロールを良好に保つことが、現時点で最善の道と考えられます。
糖尿人は、3ヶ月~半年に1回、尿中微量アルブミンを検査して、早期発見に努めて下さいね。
江部康二
2010年06月08日 (火)
こんにちは。
今回は長尾さんから、糖質制限食と便通・尿意などについて、コメント・質問をいただきました。
「0/06/07 長尾
滞留便と子供の食事と尿意
はじめまして。長尾と申します。
「やせる食べ方」を購入し、実践中、只今16日目です。
スーパーを実践し、(とはいえ、ほんとにスーパーになっているのか、非常にアバウトなのですが)
開始3日目までにスルスルと2kgが減りました!
どこまで減るのかとワクワクしていましたが、その後の2週間は、開始より1~2kg減の状態で停滞。
停滞とはいえ、 空腹感なく、おいしく食べていますので、ストレスはそれほど感じません。
停滞の2週間の後、生理がきましたので、体重が減らなかったのは そのせいかなとも思いました。
(が、どうなのでしょうか?)
そして、この2週間が過ぎたタイミングで 深緑色の粘った便が毎日少しずつ出ています。
(それまでは、あまりすっきりした便が出ない状態でした。)
ほうれん草や小松菜を精出してたべてるから緑色なのかと最初はおもいましたが、異常な粘りなので、色々ネットで調べてみて、滞留便かなと。
これは、そのうち改善されるものなのでしょうか。 (先生のブログをざっとみる限りでは、解消されるようですが)
それと、もう一点。
小学5年の息子と二人暮らしで、 別メニューで食事をしています。
子供が「ごはんがなかったらいやや!」と言うので、しかたありません。
が、あらためて子供の食べているものを見ていると(つまり、今まで自分も食べていたものです)、ほんとに糖質の多い食事だな・・・と心配になります。
結構、野菜も肉もバランスよくいれてるつもりでしたが、ご飯やパスタなど、普通の食事には糖質がいっぱいで。
朝食などは、ヨーグルト、食パン、カフェオレ・・・悲惨ですよね。朝から野菜を食べさせると、遅刻してしまいます。(嫌々食べるので遅い!)
子供は今のままの食事でも、大丈夫なのでしょうか。
なにせ、糖質制限食で自分の体調がいいもので、子供の食事が不安になりました。
長文ですみません。疑問点がもうひとつありました。
糖質制限食を始めて1週間目くらいから、 早朝に、尿意を感じ目覚めてしまいます。
我慢できないほどの尿意なんです。
目覚めるタイミングは決して不快なものでなく、 そのまま起きれそうな感じでスッキリしているのですが、何せ朝4:30とかなので・・・
この原因も糖質制限食にあるのでしょうか。
いつでもよいので、ご回答いただけると、励みになります。
先生、この本は、 私が初めてダイエットを続けられている唯一の本です。
ありがとうございました。がんばります。」
長尾 さん。
「やせる食べ方」 ご購入ありがとうございます。
①糖質制限食実践中は、常に脂肪が燃えている。
②糖質制限食実践中は、インスリン(肥満ホルモン)が基礎分泌以外ほとんど出ない。
③糖質制限食実践中は、ケトン体が尿中や呼気中に排泄され、体重減少に効果。
④糖質制限食実践中は、肝臓でアミノ酸などから糖新生が行われ、大量のエネルギーを消費。
糖質制限食を実践すれば、これら①②③④4つの利点があるので、体重減少効果があります。
また当初3日間で体重が急速に2kg減少したのは、水分の排出によるものが大きいです。脂肪の燃焼は、よりゆっくり体重が減ります。
③は初期から約3ヶ月、6ヶ月続いて、その後は尿中ケトン体は陰性となります。
そして体重減少は①②④により続きますが、やや緩やかとなります。また、直線的に体重が減るのではなく、階段状に減ることが多いです。
仰有るとおり、生理前は浮腫みやすいし、体重が減りにくいことはあると思います。
便通は個人差があります。
変わりなく出る人、便秘になる人、下痢する人・・・、腸内細菌叢が糖質制限食に慣れて落ち着くまで、便の色も含めて、いろいろ変化があると思います。いずれにせよ、3ヶ月くらいで安定することがほとんどです。
早朝の尿意に関しては、あまり報告がなくてよくわかりません。しかし、糖質制限食実践により、全身の代謝・血流が改善しますのでその過渡期の出来事と思います。こちらもその内もとに戻ると思います。
それから子供さんの食生活ですが、給食もありますし、糖質制限食はさすがに困難と思います。
そこで、できれば、主食は未精製の炭水化物にして、ブドウ糖ミニスパイクがおこりにくい食生活を目指しましょう。
そうすれば、将来の生活習慣病の予防になりますよ。
『高雄病院食生活十箇条』 -アレルギー疾患の治療や生活習慣病予防に-
一、主食は未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
二、白パン・白砂糖など精製炭水化物の摂取は極力減らす
三、発酵食品(味噌、漬け物、納豆など)をきちんと食べる
四、液体でカロリーを摂らない(飲みものは水、番茶、麦茶、ほうじ茶など)
五、魚貝類はしっかり食べ、肉類は適量を摂る
六、季節の野菜や海草はしっかり食べ、旬の果物も適量摂る
七、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)など身体に良い油脂は積極的に摂る
八、牛乳は極力減らし、チーズやプレーンヨーグルトは適量摂る
九、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ
十、食事は楽しく、ゆっくり、よくかんで
精製炭水化物を摂取した時に、正常の人でも生じる、食後血糖値が160mg、170mgという状態を、私は「ブドウ糖ミニスパイク」と名付けました。未精製の炭水化物なら、正常人の食後血糖値は140mgまでにおさまります。
このブドウ糖ミニスパイクが、生体の恒常性をかく乱してアレルギー疾患を悪化させたり、将来の生活習慣病のもととなります。
過去世界中にいろんな食事療法がありましたが、経験的に有効とされているものは、玄米菜食、ゲルソン療法、甲田療法など、基本的にブドウ糖ミニスパイクが少ないという一点で一致しています。
私は、現在、世界に氾濫する生活習慣病の元凶は、精製炭水化物やジャンクフードや嗜好飲料による、ブドウ糖ミニスパイクとインスリンの頻回・過剰分泌と考えています。
江部康二
今回は長尾さんから、糖質制限食と便通・尿意などについて、コメント・質問をいただきました。
「0/06/07 長尾
滞留便と子供の食事と尿意
はじめまして。長尾と申します。
「やせる食べ方」を購入し、実践中、只今16日目です。
スーパーを実践し、(とはいえ、ほんとにスーパーになっているのか、非常にアバウトなのですが)
開始3日目までにスルスルと2kgが減りました!
どこまで減るのかとワクワクしていましたが、その後の2週間は、開始より1~2kg減の状態で停滞。
停滞とはいえ、 空腹感なく、おいしく食べていますので、ストレスはそれほど感じません。
停滞の2週間の後、生理がきましたので、体重が減らなかったのは そのせいかなとも思いました。
(が、どうなのでしょうか?)
そして、この2週間が過ぎたタイミングで 深緑色の粘った便が毎日少しずつ出ています。
(それまでは、あまりすっきりした便が出ない状態でした。)
ほうれん草や小松菜を精出してたべてるから緑色なのかと最初はおもいましたが、異常な粘りなので、色々ネットで調べてみて、滞留便かなと。
これは、そのうち改善されるものなのでしょうか。 (先生のブログをざっとみる限りでは、解消されるようですが)
それと、もう一点。
小学5年の息子と二人暮らしで、 別メニューで食事をしています。
子供が「ごはんがなかったらいやや!」と言うので、しかたありません。
が、あらためて子供の食べているものを見ていると(つまり、今まで自分も食べていたものです)、ほんとに糖質の多い食事だな・・・と心配になります。
結構、野菜も肉もバランスよくいれてるつもりでしたが、ご飯やパスタなど、普通の食事には糖質がいっぱいで。
朝食などは、ヨーグルト、食パン、カフェオレ・・・悲惨ですよね。朝から野菜を食べさせると、遅刻してしまいます。(嫌々食べるので遅い!)
子供は今のままの食事でも、大丈夫なのでしょうか。
なにせ、糖質制限食で自分の体調がいいもので、子供の食事が不安になりました。
長文ですみません。疑問点がもうひとつありました。
糖質制限食を始めて1週間目くらいから、 早朝に、尿意を感じ目覚めてしまいます。
我慢できないほどの尿意なんです。
目覚めるタイミングは決して不快なものでなく、 そのまま起きれそうな感じでスッキリしているのですが、何せ朝4:30とかなので・・・
この原因も糖質制限食にあるのでしょうか。
いつでもよいので、ご回答いただけると、励みになります。
先生、この本は、 私が初めてダイエットを続けられている唯一の本です。
ありがとうございました。がんばります。」
長尾 さん。
「やせる食べ方」 ご購入ありがとうございます。
①糖質制限食実践中は、常に脂肪が燃えている。
②糖質制限食実践中は、インスリン(肥満ホルモン)が基礎分泌以外ほとんど出ない。
③糖質制限食実践中は、ケトン体が尿中や呼気中に排泄され、体重減少に効果。
④糖質制限食実践中は、肝臓でアミノ酸などから糖新生が行われ、大量のエネルギーを消費。
糖質制限食を実践すれば、これら①②③④4つの利点があるので、体重減少効果があります。
また当初3日間で体重が急速に2kg減少したのは、水分の排出によるものが大きいです。脂肪の燃焼は、よりゆっくり体重が減ります。
③は初期から約3ヶ月、6ヶ月続いて、その後は尿中ケトン体は陰性となります。
そして体重減少は①②④により続きますが、やや緩やかとなります。また、直線的に体重が減るのではなく、階段状に減ることが多いです。
仰有るとおり、生理前は浮腫みやすいし、体重が減りにくいことはあると思います。
便通は個人差があります。
変わりなく出る人、便秘になる人、下痢する人・・・、腸内細菌叢が糖質制限食に慣れて落ち着くまで、便の色も含めて、いろいろ変化があると思います。いずれにせよ、3ヶ月くらいで安定することがほとんどです。
早朝の尿意に関しては、あまり報告がなくてよくわかりません。しかし、糖質制限食実践により、全身の代謝・血流が改善しますのでその過渡期の出来事と思います。こちらもその内もとに戻ると思います。
それから子供さんの食生活ですが、給食もありますし、糖質制限食はさすがに困難と思います。
そこで、できれば、主食は未精製の炭水化物にして、ブドウ糖ミニスパイクがおこりにくい食生活を目指しましょう。
そうすれば、将来の生活習慣病の予防になりますよ。
『高雄病院食生活十箇条』 -アレルギー疾患の治療や生活習慣病予防に-
一、主食は未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
二、白パン・白砂糖など精製炭水化物の摂取は極力減らす
三、発酵食品(味噌、漬け物、納豆など)をきちんと食べる
四、液体でカロリーを摂らない(飲みものは水、番茶、麦茶、ほうじ茶など)
五、魚貝類はしっかり食べ、肉類は適量を摂る
六、季節の野菜や海草はしっかり食べ、旬の果物も適量摂る
七、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)など身体に良い油脂は積極的に摂る
八、牛乳は極力減らし、チーズやプレーンヨーグルトは適量摂る
九、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ
十、食事は楽しく、ゆっくり、よくかんで
精製炭水化物を摂取した時に、正常の人でも生じる、食後血糖値が160mg、170mgという状態を、私は「ブドウ糖ミニスパイク」と名付けました。未精製の炭水化物なら、正常人の食後血糖値は140mgまでにおさまります。
このブドウ糖ミニスパイクが、生体の恒常性をかく乱してアレルギー疾患を悪化させたり、将来の生活習慣病のもととなります。
過去世界中にいろんな食事療法がありましたが、経験的に有効とされているものは、玄米菜食、ゲルソン療法、甲田療法など、基本的にブドウ糖ミニスパイクが少ないという一点で一致しています。
私は、現在、世界に氾濫する生活習慣病の元凶は、精製炭水化物やジャンクフードや嗜好飲料による、ブドウ糖ミニスパイクとインスリンの頻回・過剰分泌と考えています。
江部康二
2010年06月07日 (月)
こんにちは。
今回は rei さんから、ドクダミ茶について、コメント・質問をいただきました。
「10/06/07 rei
タイトルなし
わたしも糖質制限をして体重を落としました。ひとつ質問なのですが、ドクダミ茶というのは糖尿病の患者が飲んで良い物でしょうか。
甘さもなく普通のお茶と同じでむしろ健康に良いとすすめられて毎日コップに1-2杯程度飲んでいます。いまのところ効果はわかりませんが。。。。。
普通のお茶と同じように考えて良いでしょうか。
どなたか飲んでいる方がいたらと思うのですがまわりにいないので質問させていただきました。」
rei さん。
糖質制限食で体重減少、良かったですね。
ドクダミは、漢方では、清熱解毒作用や利尿作用があるとされている生薬です。十薬とか魚腥草とも呼ばれます。
清熱というのは、漢方用語で体内の不必要な熱を冷ますということです。一定の抗菌作用もあり、ニキビやおできにもいいです。アトピー性皮膚炎や蓄膿にも使いますね。十種の効能があるから、十薬・・・
独特の匂いがあるので毒でも入っている?
→毒溜め→ドクダメ→ドクダミ
という語源だそうです。
民間療法で単味でよく使いますが、私も各種生薬と組み合わせて、にきびやアトピーに日常的に使う生薬の一つです。
例えば、ニキビには、
ドクダミ、ハトムギ、連翹、芍薬、枳実、白朮、金銀花、忍冬、菊花・・・
などの生薬を組み合わせて処方し、結構な有効率です。
体の熱を冷ます作用があるので、冷え性がきつい人には向きません。
それ以外には、糖尿人でも問題ないと思います。
特に暑がりでニキビや化膿疹ができやすい人は、お茶にしてのんで効果があるかもしれませんね。
ただしドクダミ茶で高血糖が改善するわけではありませんので、念のため。
江部康二
今回は rei さんから、ドクダミ茶について、コメント・質問をいただきました。
「10/06/07 rei
タイトルなし
わたしも糖質制限をして体重を落としました。ひとつ質問なのですが、ドクダミ茶というのは糖尿病の患者が飲んで良い物でしょうか。
甘さもなく普通のお茶と同じでむしろ健康に良いとすすめられて毎日コップに1-2杯程度飲んでいます。いまのところ効果はわかりませんが。。。。。
普通のお茶と同じように考えて良いでしょうか。
どなたか飲んでいる方がいたらと思うのですがまわりにいないので質問させていただきました。」
rei さん。
糖質制限食で体重減少、良かったですね。
ドクダミは、漢方では、清熱解毒作用や利尿作用があるとされている生薬です。十薬とか魚腥草とも呼ばれます。
清熱というのは、漢方用語で体内の不必要な熱を冷ますということです。一定の抗菌作用もあり、ニキビやおできにもいいです。アトピー性皮膚炎や蓄膿にも使いますね。十種の効能があるから、十薬・・・
独特の匂いがあるので毒でも入っている?
→毒溜め→ドクダメ→ドクダミ
という語源だそうです。
民間療法で単味でよく使いますが、私も各種生薬と組み合わせて、にきびやアトピーに日常的に使う生薬の一つです。
例えば、ニキビには、
ドクダミ、ハトムギ、連翹、芍薬、枳実、白朮、金銀花、忍冬、菊花・・・
などの生薬を組み合わせて処方し、結構な有効率です。
体の熱を冷ます作用があるので、冷え性がきつい人には向きません。
それ以外には、糖尿人でも問題ないと思います。
特に暑がりでニキビや化膿疹ができやすい人は、お茶にしてのんで効果があるかもしれませんね。
ただしドクダミ茶で高血糖が改善するわけではありませんので、念のため。
江部康二
2010年06月06日 (日)
こんばんは。
昨日は、名古屋で日本東洋医学界総会が開かれており、江部診療所終了後、遅ればせに参加しました。
「垣根を越えた伝統医学フォーラム2010」では、質疑応答を含めて2時間くらい糖質制限食のお話しをさせて頂きました。
医師や薬剤師の先生方に、糖質制限食を広める機会を与えていただき、会長の仙頭先生、ありがとうございました。 m(_ _)m
本日も朝一番で、「漢方専門医指導医講習会」に参加しました。
その後適宜帰京して、テニスクラブに直行しました。
が、
テニスの調子はイマイチでした。(-_-;)
さきほどクラブから帰宅してシャワーを浴び、アサヒスタイルフリーを飲みながら枝豆を食べて、今ブログを書いています。
さて今回は、 鑑 餅子 さんから、コメント・質問をいただきました。
本ブロク、今まで糖尿病関係の記事が多かったのですが、「やせる食べ方」(東洋経済新報社)出版以来、ダイエットに興味がある読者のコメントが増えています。
脳とブドウ糖とエネルギー源・・・。
復習も兼ねて考えてみましょう。
「10/06/06 鑑 餅子
タイトルなし
初めまして
アラフォーの女性です。
書店で、偶然、先生の「やせる食べ方」を手にして、スーパー糖質制限に挑戦し、1か月で、4.5キロの減量に成功しました。
今まで、ありとあらゆるダイエットを試してきましたが、どれも長続きせず、途中で挫折することがほとんどでしたが、おかげさまで、何とか、ここまでこられました。本当にありがとうございました。
ところで、ひとつ質問なのですが、
炭水化物を控えていると、脳に栄養が行かず、自立神経の活動が低下して、満腹感を得ることが出来なくなるということが、ある雑誌に書いてありましたが、実際はどうなのでしょうか?
御忙しいところ、申訳ありません。
お時間がある時で、構いませんんので、よろしくお願い致します。
もう、先生に足を向けて寝られません。
もう少し、しぼりたいので、このままスーパーを続けるつもりです。
本当にありがとうございました。」
鑑 餅子さん。
「やせる食べ方」のご購入ありがとうございます。
また、4.5kgの減量成功、おめでとうございます。(⌒o⌒)v
さて、
「炭水化物を控えていると、脳に栄養が行かず、自立神経の活動が低下して、満腹感を得ることが出来なくなるということが、ある雑誌に書いてありましたが、実際はどうなのでしょうか?」
結論からいえばそんなことはありません。
作家の宮本輝先生は、スーパー糖質制限食開始後、血糖値やHbA1cは正常値となられ、執筆活動も、書き下ろし、雑誌連載、新聞連載・・・。
今まで以上に仕事を増やしておられます。まさに脳細胞フル回転で、お元気に仕事をこなしておられます。
かくいう江部康二も本年還暦を迎えましたが、高雄病院や駅前診療所や江部診療所で月・火・水・木・金・土と外来、
高雄病院で入院患者さんも担当、本の出版、雑誌やマスコミの取材、学会への参加、ほぼ毎日のブログ更新、結構な数の講演会・・・と、人生で一番忙しく働いて脳細胞はやはりフル回転ですが、すこぶる元気です。
鑑 餅子さんのご覧になった雑誌、あるいはNHKの「ためしてガッテン」を初めとして、いろんなマスコミでご質問にあるような誤った情報が発信されてますので、困りものですね。(-_-メ)
それでは、検証してみましょう。
まず、「炭水化物=糖質+食物繊維」です。
食物繊維は吸収されないので、ゼロカロリーで勿論血糖値も上げません。
本ブログ記事では糖質という語句で、お話しをすすめます。
<脳とエネルギー源、ブドウ糖とケトン体、糖新生>
まず、糖質制限食で高血糖は改善しますが、別に低血糖になるわけではありません。糖質制限食実践で、高血糖がある人が正常の血糖値になるだけです。正常血糖値の人は、糖質制限食を実践しても正常のままです。
糖質制限食を実践して糖質の摂取量が減少しても、肝臓でアミノ酸・乳酸・グリセロールなどからブドウ糖をつくるからです。このことを、「糖新生」といいます。
肝臓の糖新生は、人体においてごく日常的に行われています。糖質を摂取している人においても、夜間睡眠中とか、食後数時間経過したら、誰でも肝臓で糖新生を行っています。
食物吸収が終了した直後には、肝臓のグリコーゲン分解が、循環血液中に入るブドウ糖の主要な供給源です。
食後数時間が経過し、絶食状態が持続すると、ブドウ糖の供給源は、肝のグリコーゲン分解から糖新生に切り替わります。
ですから、人類の400万年の歴史において、ごく普通に肝臓の糖新生は行われてきたわけで、珍しいことでも何でもありません。
①脂肪組織→グリセロール(脂肪の分解物)や脂肪酸→肝臓→糖新生→脂肪組織・筋肉
②筋肉→アミノ酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織
③ブドウ糖代謝→乳酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織
①②③はごく日常的に誰でも行っており、肝臓、筋肉、脂肪組織の間で行ったり来たり、日々糖新生の調節が行われているわけです。
次に、脳は、ブドウ糖だけでなく、脂肪酸の代謝産物のケトン体をいくらでも利用します。
ですから「脳がエネルギー源としてブドウ糖しか利用できない」というのは、明確に間違いです。
日常生活では、心筋・骨格筋など多くの体細胞は、脂肪酸・ケトン体を主エネルギー源としているのに対し、脳・赤血球・網膜などの特殊な細胞は、ブドウ糖を利用しています。
そして赤血球は、ミトコンドリアを持っていないので、ブドウ糖だけが唯一のエネルギー源です。
しかし、脳を含めて赤血球以外の細胞は、全て内部にミトコンドリアを有すので、脂肪酸・ケトン体をエネルギー源にできます。
確かに生理学的には、脳は骨格筋や心筋と違って、安静時にもブドウ糖を利用していることは間違いありません。このことが誤解されて「脳はブドウ糖しか利用できない」という誤った情報が一人歩きしたのでしょう。しかし、脳はケトン体という脂肪の分解産物もいつでも利用できるのです。
例えばガイトン臨床生理学(有名な医師用の生理学の教科書です)によれば、
「イヌイットは時々完全脂肪食を摂取するが、通常ブドウ糖しかエネルギー源として利用しない脳細胞も、この時は50~75%のエネルギ-を脂質(ケトン体)から得られるようになる」
そうです。
<満腹感>
東京都神経科学総合研究所のホームページによると、古典的な説では、
①血糖値の上昇
②胃壁の拡張による迷走神経刺激
①②が視床下部の満腹中枢に伝わって満腹感が生じるとされてきました。
最近はこれに加えて、
「脂肪細胞の分泌するレプチンや摂取したアミノ酸も満腹中枢に影響をあたえる。」
とか
「視床下部に摂食に関連する神経ペプチドが多種存在する。」
とか、いろいろ複雑になってきているそうです。
要するに案外、満腹感に関して、きっちり理論的に説明できているわけではないようです。
人間はともかくとして、ライオンなどの肉食獣は、血糖値が上昇しなくても満腹になりますよね。
また、牛や馬といった草食獣も、血糖値が上昇することはありませんが、満腹になります。
人類も農耕前の399万年間は、血糖値の上昇はほとんどなくて満腹しています。伝統的食生活だったころのイヌイットも4000年間、血糖値の上昇はなくても満腹しています。
そうすると、あくまでも、仮説ですが、糖質制限食実践中の人、農耕前の人類、イヌイットにおいては、
「胃壁の拡張による迷走神経刺激」と「脂肪細胞の分泌するレプチンや摂取したアミノ酸」
「視床下部に摂食に関連する神経ペプチド」などが、満腹中枢に影響を与えていたと考えられます。
「血糖値の上昇」による満腹中枢の刺激というのは、人類においては農耕以後の比較的新しいシステムと考えられます。
糖質制限食実践中の人は、農耕前の399万年間のシステムにより、満腹感を得ていると考えられます。
鑑 餅子さん、安心してスーパー糖質制限食を続けられて
標準体重を目指してくださいね。
江部康二
昨日は、名古屋で日本東洋医学界総会が開かれており、江部診療所終了後、遅ればせに参加しました。
「垣根を越えた伝統医学フォーラム2010」では、質疑応答を含めて2時間くらい糖質制限食のお話しをさせて頂きました。
医師や薬剤師の先生方に、糖質制限食を広める機会を与えていただき、会長の仙頭先生、ありがとうございました。 m(_ _)m
本日も朝一番で、「漢方専門医指導医講習会」に参加しました。
その後適宜帰京して、テニスクラブに直行しました。
が、
テニスの調子はイマイチでした。(-_-;)
さきほどクラブから帰宅してシャワーを浴び、アサヒスタイルフリーを飲みながら枝豆を食べて、今ブログを書いています。
さて今回は、 鑑 餅子 さんから、コメント・質問をいただきました。
本ブロク、今まで糖尿病関係の記事が多かったのですが、「やせる食べ方」(東洋経済新報社)出版以来、ダイエットに興味がある読者のコメントが増えています。
脳とブドウ糖とエネルギー源・・・。
復習も兼ねて考えてみましょう。
「10/06/06 鑑 餅子
タイトルなし
初めまして
アラフォーの女性です。
書店で、偶然、先生の「やせる食べ方」を手にして、スーパー糖質制限に挑戦し、1か月で、4.5キロの減量に成功しました。
今まで、ありとあらゆるダイエットを試してきましたが、どれも長続きせず、途中で挫折することがほとんどでしたが、おかげさまで、何とか、ここまでこられました。本当にありがとうございました。
ところで、ひとつ質問なのですが、
炭水化物を控えていると、脳に栄養が行かず、自立神経の活動が低下して、満腹感を得ることが出来なくなるということが、ある雑誌に書いてありましたが、実際はどうなのでしょうか?
御忙しいところ、申訳ありません。
お時間がある時で、構いませんんので、よろしくお願い致します。
もう、先生に足を向けて寝られません。
もう少し、しぼりたいので、このままスーパーを続けるつもりです。
本当にありがとうございました。」
鑑 餅子さん。
「やせる食べ方」のご購入ありがとうございます。
また、4.5kgの減量成功、おめでとうございます。(⌒o⌒)v
さて、
「炭水化物を控えていると、脳に栄養が行かず、自立神経の活動が低下して、満腹感を得ることが出来なくなるということが、ある雑誌に書いてありましたが、実際はどうなのでしょうか?」
結論からいえばそんなことはありません。
作家の宮本輝先生は、スーパー糖質制限食開始後、血糖値やHbA1cは正常値となられ、執筆活動も、書き下ろし、雑誌連載、新聞連載・・・。
今まで以上に仕事を増やしておられます。まさに脳細胞フル回転で、お元気に仕事をこなしておられます。
かくいう江部康二も本年還暦を迎えましたが、高雄病院や駅前診療所や江部診療所で月・火・水・木・金・土と外来、
高雄病院で入院患者さんも担当、本の出版、雑誌やマスコミの取材、学会への参加、ほぼ毎日のブログ更新、結構な数の講演会・・・と、人生で一番忙しく働いて脳細胞はやはりフル回転ですが、すこぶる元気です。
鑑 餅子さんのご覧になった雑誌、あるいはNHKの「ためしてガッテン」を初めとして、いろんなマスコミでご質問にあるような誤った情報が発信されてますので、困りものですね。(-_-メ)
それでは、検証してみましょう。
まず、「炭水化物=糖質+食物繊維」です。
食物繊維は吸収されないので、ゼロカロリーで勿論血糖値も上げません。
本ブログ記事では糖質という語句で、お話しをすすめます。
<脳とエネルギー源、ブドウ糖とケトン体、糖新生>
まず、糖質制限食で高血糖は改善しますが、別に低血糖になるわけではありません。糖質制限食実践で、高血糖がある人が正常の血糖値になるだけです。正常血糖値の人は、糖質制限食を実践しても正常のままです。
糖質制限食を実践して糖質の摂取量が減少しても、肝臓でアミノ酸・乳酸・グリセロールなどからブドウ糖をつくるからです。このことを、「糖新生」といいます。
肝臓の糖新生は、人体においてごく日常的に行われています。糖質を摂取している人においても、夜間睡眠中とか、食後数時間経過したら、誰でも肝臓で糖新生を行っています。
食物吸収が終了した直後には、肝臓のグリコーゲン分解が、循環血液中に入るブドウ糖の主要な供給源です。
食後数時間が経過し、絶食状態が持続すると、ブドウ糖の供給源は、肝のグリコーゲン分解から糖新生に切り替わります。
ですから、人類の400万年の歴史において、ごく普通に肝臓の糖新生は行われてきたわけで、珍しいことでも何でもありません。
①脂肪組織→グリセロール(脂肪の分解物)や脂肪酸→肝臓→糖新生→脂肪組織・筋肉
②筋肉→アミノ酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織
③ブドウ糖代謝→乳酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織
①②③はごく日常的に誰でも行っており、肝臓、筋肉、脂肪組織の間で行ったり来たり、日々糖新生の調節が行われているわけです。
次に、脳は、ブドウ糖だけでなく、脂肪酸の代謝産物のケトン体をいくらでも利用します。
ですから「脳がエネルギー源としてブドウ糖しか利用できない」というのは、明確に間違いです。
日常生活では、心筋・骨格筋など多くの体細胞は、脂肪酸・ケトン体を主エネルギー源としているのに対し、脳・赤血球・網膜などの特殊な細胞は、ブドウ糖を利用しています。
そして赤血球は、ミトコンドリアを持っていないので、ブドウ糖だけが唯一のエネルギー源です。
しかし、脳を含めて赤血球以外の細胞は、全て内部にミトコンドリアを有すので、脂肪酸・ケトン体をエネルギー源にできます。
確かに生理学的には、脳は骨格筋や心筋と違って、安静時にもブドウ糖を利用していることは間違いありません。このことが誤解されて「脳はブドウ糖しか利用できない」という誤った情報が一人歩きしたのでしょう。しかし、脳はケトン体という脂肪の分解産物もいつでも利用できるのです。
例えばガイトン臨床生理学(有名な医師用の生理学の教科書です)によれば、
「イヌイットは時々完全脂肪食を摂取するが、通常ブドウ糖しかエネルギー源として利用しない脳細胞も、この時は50~75%のエネルギ-を脂質(ケトン体)から得られるようになる」
そうです。
<満腹感>
東京都神経科学総合研究所のホームページによると、古典的な説では、
①血糖値の上昇
②胃壁の拡張による迷走神経刺激
①②が視床下部の満腹中枢に伝わって満腹感が生じるとされてきました。
最近はこれに加えて、
「脂肪細胞の分泌するレプチンや摂取したアミノ酸も満腹中枢に影響をあたえる。」
とか
「視床下部に摂食に関連する神経ペプチドが多種存在する。」
とか、いろいろ複雑になってきているそうです。
要するに案外、満腹感に関して、きっちり理論的に説明できているわけではないようです。
人間はともかくとして、ライオンなどの肉食獣は、血糖値が上昇しなくても満腹になりますよね。
また、牛や馬といった草食獣も、血糖値が上昇することはありませんが、満腹になります。
人類も農耕前の399万年間は、血糖値の上昇はほとんどなくて満腹しています。伝統的食生活だったころのイヌイットも4000年間、血糖値の上昇はなくても満腹しています。
そうすると、あくまでも、仮説ですが、糖質制限食実践中の人、農耕前の人類、イヌイットにおいては、
「胃壁の拡張による迷走神経刺激」と「脂肪細胞の分泌するレプチンや摂取したアミノ酸」
「視床下部に摂食に関連する神経ペプチド」などが、満腹中枢に影響を与えていたと考えられます。
「血糖値の上昇」による満腹中枢の刺激というのは、人類においては農耕以後の比較的新しいシステムと考えられます。
糖質制限食実践中の人は、農耕前の399万年間のシステムにより、満腹感を得ていると考えられます。
鑑 餅子さん、安心してスーパー糖質制限食を続けられて
標準体重を目指してくださいね。
江部康二
2010年06月05日 (土)
おはようございます。
アルさんから、嬉しいコメントをいただきました。
糖質制限食でいったん上昇した尿酸が、正常に戻ったそうです。
アルさん、貴重な情報ありがとうございました。
「10/06/04 アル
お世話になっております
いつもブログで勉強させていただいているアルと申します。夫のDM発覚ですぐにスーパー糖質制限をはじめ、昨年9月の発覚時A1C10.1から今は4.8を維持しております。
ただ、夫も尿酸値が制限始めて2ヶ月後に10という高値に。発作等は出ませんでしたが。その折り、講演会で江部先生に様子見をアドバイスしていただき、処方されたザイロリックを飲まずに経過観察していましたところ、2009 11月 10.8→2009 12月 9.0→2010 3月 7.5と毎回減り続け。今回5月の検診では尿酸値 6.7と基準内になりました。
先生のブログにも書いてくださっているように当初は糖質制限するうちに知らない間に低カロリーになっていたため急に上がったものだと認識しておりますが、こうして下がってきたことで安心しております。
私自身も当初食欲がなくなり、殆ど絶食状態の時に尿酸値が7?まで上がりました(女性では珍しいと言われ^^;)が、水分を毎日摂るように心がけ、精神的に落ち着いての1ヵ月後だったか4,1と元の数値になり、体質もあるのでしょうがやはりストレスや絶食はかなり影響するんだなあと。
今回尿酸値に関する記事でしたので、我が家の場合を投稿させていただきました。
これからも糖質制限続けていきます。
感謝を込めて。」
アルさんから、嬉しいコメントをいただきました。
糖質制限食でいったん上昇した尿酸が、正常に戻ったそうです。
アルさん、貴重な情報ありがとうございました。
「10/06/04 アル
お世話になっております
いつもブログで勉強させていただいているアルと申します。夫のDM発覚ですぐにスーパー糖質制限をはじめ、昨年9月の発覚時A1C10.1から今は4.8を維持しております。
ただ、夫も尿酸値が制限始めて2ヶ月後に10という高値に。発作等は出ませんでしたが。その折り、講演会で江部先生に様子見をアドバイスしていただき、処方されたザイロリックを飲まずに経過観察していましたところ、2009 11月 10.8→2009 12月 9.0→2010 3月 7.5と毎回減り続け。今回5月の検診では尿酸値 6.7と基準内になりました。
先生のブログにも書いてくださっているように当初は糖質制限するうちに知らない間に低カロリーになっていたため急に上がったものだと認識しておりますが、こうして下がってきたことで安心しております。
私自身も当初食欲がなくなり、殆ど絶食状態の時に尿酸値が7?まで上がりました(女性では珍しいと言われ^^;)が、水分を毎日摂るように心がけ、精神的に落ち着いての1ヵ月後だったか4,1と元の数値になり、体質もあるのでしょうがやはりストレスや絶食はかなり影響するんだなあと。
今回尿酸値に関する記事でしたので、我が家の場合を投稿させていただきました。
これからも糖質制限続けていきます。
感謝を込めて。」
2010年06月04日 (金)
おはようございます。
今回は、退屈夢想庵さんとてつさんから、糖質制限食と尿酸値について、コメント・質問をいただきました。
「10/06/02 退屈夢想庵
通風の人いませんか
糖質制限食2年になります。慎重169センチ。体重55kg(糖質制限食で10kgやせました)58歳の定年間近のオヤジです。毎週1回10kmのランニングと月一のゴルフが趣味です。江部先生の本にめぐり合ったおかげで、血糖値はHba1c4.9から5.1できわめて順調に来ております。我が家は焼酎、ブランデー、ウイスキー、赤ワインは選り取り見取り、ちょっとしたスナック並みに種類を取り揃えて楽しんでいます。でもやっぱり炭水化物を取ると確実に血糖値が危険水域になりますね。ところで、私は十数年前から通風で、発作も2回ほど経験しています。ザイロリック100mgを毎朝飲んで、ずっと尿酸は5~6ぐらいで落着いていましたが、過去のデータを見てみますと、糖質制限食を始めて半年後ぐらいから、尿酸値の上昇がみられ、ここのところ1年ほどはザイロリックを飲んでいても7以上が続いています。先日の検査でも7.1でした。自分では肉食が多くなったからかなとも考えていますが、理由はよく分かりません。どなたかこのブログを読まれている方で、私のような悩みの方はいらっしゃらないでしょうか。いい方法や注意することがあれば教えていただければありがたいと思います。」
「10/06/03 てつ
通風
江部先生おしさしぶりです、ブログ毎日読ましてもらっています。
糖質制限食のおかげでA1cの方はココ半年ほど5.0以下に納まってとってもいい調子です、本当にありがとうございます。
さて、自分はまだ通風にはなっていませんが、毎月の血液検査で尿酸値が8前後あります。
糖質制限食を始める前は10.6もあったので下がったのですが、なかなか基準値の7以下にはいりません。病院の先生からは薬を飲んだほうが良いと言われましたが、今はもう少し様子を見ます、といいました。
糖質制限中でも尿酸値を下げる薬を飲んだほうがいいのでしょうか? 今は糖質制限食を始めてちょうど一年くらいです。」
退屈夢想庵さん、てつさん。
コメントありがとうございます。
お二人ともHbA1cは絶好調ですね。良かったです。
退屈夢想庵さんの尿酸値7.1mg/dlは、心配いらないと思います。
正常値が7くらいまでですが、このていどのデータで痛風発作になることは、まずありません。
てつさんも、10.6が8前後に下がってますので、このまま経過をみてもいいと思います。
しかし、過去痛風発作を起こしたことがあるならば、内服も考慮です。
尿酸値に関しては、糖質制限食で減少する人、不変の人、増加する人と個人差が大きいです。結局持って生まれた体質が一番関係するのだと思います。
ただ、低カロリーすぎると、どんな内容の食事でも、尿酸値が上昇することがあるので注意が必要です。
糖質制限食を実践すれば、相対的に高タンパク・高脂質食となります。高タンパク食だと尿酸値が上昇するとされていますが、それほど単純ではありません。
例えば、江部康二は、スーパー糖質制限食実践で130g~150g/日のタンパク質を摂取していて、かなりの高タンパク食ですが、尿酸値は2.4~2.8mg/dlていどと低いです。兄も糖質制限食ですが、尿酸値は、私と同じていどです。
通常、糖質制限食でいったん尿酸値が上昇した人も、数ヶ月~1年で元の値に戻ることが多いです。退屈夢想庵さんも、やや経過が長いのですが、このまま様子をみていただいて良いと思います。
尿酸値は、従来、肉の摂りすぎや、ビールの飲み過ぎということが常識だったのですが、食事由来の尿酸は約100mgで、一日に生産される総量約700mgに比し、かなり少ないということが判明しました。
自らが痛風患者であり、痛風専門医でもある、鹿児島大学病院内科教授、納(おさめ)光弘先生によれば、食事よりストレスや肥満のほうが、尿酸値への影響が多いことがわかってきました。
尿酸を確実に上昇させるのは、重要なものから順番に
1、ストレス
2、肥満
3、大量の飲酒
4、激しい運動
5、プリン体の摂りすぎ
だそうです。
これに特殊例として、「断食や極端な低カロリーのとき尿酸値上昇」というのが、一番上にくる感じですね。
**参考
「痛風はビールを飲みながらでも治る」(小学館文庫)
鹿児島大学病院内科教授、納(おさめ)光弘先生 著
江部康二
今回は、退屈夢想庵さんとてつさんから、糖質制限食と尿酸値について、コメント・質問をいただきました。
「10/06/02 退屈夢想庵
通風の人いませんか
糖質制限食2年になります。慎重169センチ。体重55kg(糖質制限食で10kgやせました)58歳の定年間近のオヤジです。毎週1回10kmのランニングと月一のゴルフが趣味です。江部先生の本にめぐり合ったおかげで、血糖値はHba1c4.9から5.1できわめて順調に来ております。我が家は焼酎、ブランデー、ウイスキー、赤ワインは選り取り見取り、ちょっとしたスナック並みに種類を取り揃えて楽しんでいます。でもやっぱり炭水化物を取ると確実に血糖値が危険水域になりますね。ところで、私は十数年前から通風で、発作も2回ほど経験しています。ザイロリック100mgを毎朝飲んで、ずっと尿酸は5~6ぐらいで落着いていましたが、過去のデータを見てみますと、糖質制限食を始めて半年後ぐらいから、尿酸値の上昇がみられ、ここのところ1年ほどはザイロリックを飲んでいても7以上が続いています。先日の検査でも7.1でした。自分では肉食が多くなったからかなとも考えていますが、理由はよく分かりません。どなたかこのブログを読まれている方で、私のような悩みの方はいらっしゃらないでしょうか。いい方法や注意することがあれば教えていただければありがたいと思います。」
「10/06/03 てつ
通風
江部先生おしさしぶりです、ブログ毎日読ましてもらっています。
糖質制限食のおかげでA1cの方はココ半年ほど5.0以下に納まってとってもいい調子です、本当にありがとうございます。
さて、自分はまだ通風にはなっていませんが、毎月の血液検査で尿酸値が8前後あります。
糖質制限食を始める前は10.6もあったので下がったのですが、なかなか基準値の7以下にはいりません。病院の先生からは薬を飲んだほうが良いと言われましたが、今はもう少し様子を見ます、といいました。
糖質制限中でも尿酸値を下げる薬を飲んだほうがいいのでしょうか? 今は糖質制限食を始めてちょうど一年くらいです。」
退屈夢想庵さん、てつさん。
コメントありがとうございます。
お二人ともHbA1cは絶好調ですね。良かったです。
退屈夢想庵さんの尿酸値7.1mg/dlは、心配いらないと思います。
正常値が7くらいまでですが、このていどのデータで痛風発作になることは、まずありません。
てつさんも、10.6が8前後に下がってますので、このまま経過をみてもいいと思います。
しかし、過去痛風発作を起こしたことがあるならば、内服も考慮です。
尿酸値に関しては、糖質制限食で減少する人、不変の人、増加する人と個人差が大きいです。結局持って生まれた体質が一番関係するのだと思います。
ただ、低カロリーすぎると、どんな内容の食事でも、尿酸値が上昇することがあるので注意が必要です。
糖質制限食を実践すれば、相対的に高タンパク・高脂質食となります。高タンパク食だと尿酸値が上昇するとされていますが、それほど単純ではありません。
例えば、江部康二は、スーパー糖質制限食実践で130g~150g/日のタンパク質を摂取していて、かなりの高タンパク食ですが、尿酸値は2.4~2.8mg/dlていどと低いです。兄も糖質制限食ですが、尿酸値は、私と同じていどです。
通常、糖質制限食でいったん尿酸値が上昇した人も、数ヶ月~1年で元の値に戻ることが多いです。退屈夢想庵さんも、やや経過が長いのですが、このまま様子をみていただいて良いと思います。
尿酸値は、従来、肉の摂りすぎや、ビールの飲み過ぎということが常識だったのですが、食事由来の尿酸は約100mgで、一日に生産される総量約700mgに比し、かなり少ないということが判明しました。
自らが痛風患者であり、痛風専門医でもある、鹿児島大学病院内科教授、納(おさめ)光弘先生によれば、食事よりストレスや肥満のほうが、尿酸値への影響が多いことがわかってきました。
尿酸を確実に上昇させるのは、重要なものから順番に
1、ストレス
2、肥満
3、大量の飲酒
4、激しい運動
5、プリン体の摂りすぎ
だそうです。
これに特殊例として、「断食や極端な低カロリーのとき尿酸値上昇」というのが、一番上にくる感じですね。
**参考
「痛風はビールを飲みながらでも治る」(小学館文庫)
鹿児島大学病院内科教授、納(おさめ)光弘先生 著
江部康二