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糖質制限食と第53回日本糖尿病学会年次学術集会
こんばんは。

5月27日(木)から29日(土)まで岡山で、第53回日本糖尿病学会年次学術集会が開催されました。

私は、残念ながら参加できなかったのですが、参加した知り合いのドクターから、興味深い情報を頂きましたので報告したいと思います。

まず、慈恵医大第三病院から、胃瘻のある患者さんへの流動食で、血糖値の比較をした研究が発表されました。

流動栄養食を

糖質制限食
②低GI食
③一般食

の3つのグループにわけて、食後血糖値の変動を比較検討したものです。

当然といえば当然なのですが、糖質制限食が一番血糖値の上昇がなかったとのことでした。

予想通りで目新しくないといえばそうなのですが、糖尿病学会の年次学術集会において、糖質制限食に対してポジティブな研究が、大学レベルで発表されるくらいの流れになってきているのは、私としても嬉しい限りです。

浅学にして、流動栄養食に糖質制限食があることを知らなかったので、早速高雄病院にも導入することとしました。

アボット・ジャパンのグルセルナ-EXが糖質30%ていどで、一番低糖質です。

医療機関や介護療養型施設においてもとても有用で、インスリン注射やSU剤の量を減らせると思います。

その他にも、糖質制限食に関する発表がかなりの数あったようです。

確実に糖尿病学会レベルでも糖質制限食が広がっています。 (^_^)

糖質制限食に対して反発・拒絶の時代から、受容の時代に向かっていくものと期待しています。ヾ(^▽^)


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
高雄病院の糖質制限食、インスリンとカフェインなど
こんにちは。

今回はみほさんから、インスリンなどについて
コメント・質問をいただきました。


【10/05/31 みほ
混乱しています
楽しく読ませていただいています。糖尿病ではありませんがダイエットのためにまた、健康のために糖質を制限しています。ところで、糖質制限食についてはいろいろな流派(?)があるようで、少し混乱しています。質問をさせていただいてもよろしいでしょうか? 
以下のようなことは正しいのでしょうか?

① 甘いものを見るだけでインスリンが分泌される。
② アドレナリンなどによるバックアップシステムで血糖値を上昇させた場合、それでもインスリンが分泌されて体脂肪蓄積になる
③ 空腹時の運動は体脂肪を使われなくて、筋肉を消費させる。
④ カフェインによる血糖値の上昇はインスリンを分泌させて体脂肪の蓄積となる】



糖質制限食に関して、高雄病院及び江部康二の基本的立場は、農耕開始前の400~500万年間の狩猟・採集時代に人類が食べていたものはOKというものです。

狩猟・採集時代は、当然人類皆糖質制限食ですが、季節の果物やナッツ類や自然薯や野草や野菜などを、少量は摂取していたと考えられますので、糖質が全くゼロということはありません。

もっとも、果物も現在のような大きな果実ではなく、もっともっとショボイものだったと思います。野イチゴと現在スーパーで売っているイチゴくらいの差があったことでしょう。

それで、1回の糖質摂取量が10~20gくらいが目安となります。

もう一つの基本的立場は、糖質制限食を長く続けるということを優先順位の一位においているので、「清く正しく」より「美味しく楽しく」を目指しています。

それで、

①スーパー糖質制限食
②スタンダード糖質制限食
③プチ糖質制限食

の3パターンが設定してあり、症状・嗜好・目的などに合わせて適宜選べるようになっています。

さてご質問ですね。

「① 甘いものを見るだけでインスリンが分泌される。」

 これはありえません。そんなことがあれば、低血糖になります。

「② アドレナリンなどによるバックアップシステムで血糖値を上昇させた場合、それでもインスリンが分泌されて体脂肪蓄積になる 。」

これも間違いです。低血糖などで、血中アドレナリン濃度が上昇すると、インスリン分泌は抑制されます。

「③ 空腹時の運動は体脂肪を使われなくて、筋肉を消費させる。」

朝ご飯を午前7時に食べて、空腹時の午前10時頃から運動しても、心筋や骨格筋の主エネルギー源は脂肪酸・ケトン体です。激しい運動時には、筋肉中のグリコーゲンが利用されます。

筋肉中のタンパク質・アミノ酸は毎日(特に就寝中)肝臓の糖新生の原料として使われていますし、その分食事中のアミノ酸から再生されています。

絶食が何日か続く特殊な状況に置いて、体脂肪が減少してくると、筋肉中のタンパク質・アミノ酸を原料とする糖新生が多くなって、筋力低下などを生じます。

「④ カフェインによる血糖値の上昇はインスリンを分泌させて体脂肪の蓄積となる」

米医師会雑誌Journal of American Medical Association(JAMA)2004年3月10日号に載ったスウェーデンのUppsala大学公衆衛生・介護学部のJohan Arnlov氏らの研究グループの前向きコホート研究「Uppsala Longitudinal Study of Adult Men(ULSAM)」に、コーヒーの飲用に関する記述があり、2型糖尿病患者でない936人のデータを分析対象としています。

その結果、コーヒー摂取とインスリン分泌量には、関連性が見られませんでした。カフェイン(コーヒー)で血糖値が少し上昇するというデータはあるようですが、インスリンが増えることはないようですね。


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
「やせる食べ方」(東洋経済新報社)と減量とGI
こんにちは。

「やせる食べ方」(東洋経済新報社)の内容に関して、皆川孝志さんからGIについてコメント・質問をいただきました。

「10/05/31 皆川孝志
GIについて
 家内が減量に取り組んでいますが、なかなか成果が得られませんでした。そこにタイミングよく先生の著書「やせる食べ方」が出版され、読ませていただき勇気づけられました。
 ところで、先生の著書にあります「避けるべき食品」の中にGIの低い食品がありますが、どのように解釈したらよろしいのでしょうか、ご教示いただけたら幸いです。」



皆川孝志さん。
本のご購入、コメントありがとうございます。

GIは、もともと穀物や豆や野菜や果物など、糖質を多く含む食品において、摂取時の血糖値を上昇させる速度をみたものです。*

GI値は、糖質50gを含む食品を摂取して基準となる食品と比較して決定します。

例えば、糖質50gを含む豚肉というと、5kg以上はあります。従いまして、牛肉や鶏肉や豚肉や魚など低糖質食品のGIは、基本的に存在しません。

食事療法の減量効果という面から考えて見ると、肥満ホルモンであるインスリン分泌が少ないほどいいわけです。

そうすると、GIが高い食品より低い食品のほうが追加分泌インスリンの量が相対的に少なくてすむので太りにくいこととなります。

GI70以上は高値、56~69が中等度、55以下は低値です。

上記の理論の応用が低インスリンダイエットで、低GI食品摂取により減量にそれなりの効果があると思います。

一方、GIが低いとはいえ、糖質を摂取するわけですから、ある程度血糖値は上昇します。そうすると、ある程度のインスリンが追加分泌されてブドウ糖を筋肉で利用させますが、結局余った血糖は中性脂肪に変わります。

これに対して糖質制限食は、糖質そのものをほとんど摂取しませんので、血糖値はほとんど上昇せず、インスリン追加分泌もごく少量ですみます。

つまり糖質制限食のほうが、低インスリンダイエット(低GI食品摂取)よりは、インスリン追加分泌もごく少なく減量効果もはるかにあるわけです。

このように、糖質制限食では、低GI食品でも、果物や大豆以外の豆やスパゲッティなど、糖質含有量が多いものは、
NGとなるのです。とくに果物は、低GIでも最も太りやすい食品ですので、痩せたい人には要注意です。

糖質制限食では、食品に含まれる糖質量をカウントして、1回の食事の糖質量を10~20gていどにおさえるようにして減量効果をあげています。

糖質量に関しては「やせる食べ方」の巻末の表をご参照いただけば幸いです。

結局、減量にはGI値よりも糖質量のほうが参考になりますね。


江部康二

*<血糖指数:グリセミック・インデックス:Glycemic Index: GI>

GIは血糖上昇反応度とも言われる。糖質50gを含む食品を摂取した後の血糖値の上昇を
基準となる食品(ブドウ糖50g)を摂取した後の血糖値の上昇と比較し、パーセントで表した数字である。
GIが高い食品ほど食後の血糖が急激に上昇し、インスリンを急激に分泌する必要がある。

GIの算出方法
「糖質50gを含有する食品摂取後2時間までの血糖曲線下面積」÷
「糖質50gを含有する基準食(ブドウ糖50g)摂取後2時間までの血糖曲線下面積」×100=GI

**
http://www.mendosa.com/gilists.htm

このサイトは、David Mendosaという、「ミスターGI」とも呼べるマニアックなおじさんが運営していて、およそGIのことならなんでも載っています。
英文ですが、GIに興味がある方はお暇なときに覗いてみてください。

以下はメンドーサおじさんのサイト、いろんなGI研究の平均値です。
White wheat bread* 75±2 白いパン
Whole wheat/whole meal bread 74±2 全粒粉のパン
Speciality grain bread 53±2 ?
White rice, boiled* 73±4 炊いた白米
Brown rice, boiled 68±4 炊いた玄米
Udon noodles 55±7 うどん
Spaghetti, white 49±2 スパゲッティ
Potato, boiled 78±4 ゆでたジャガイモ
Potato, instant mashed 87±3 マッシュポテト

Sugars
Fructose 15±4 果糖
Sucrose 65±4 ショ糖
Glucose 103±3 ブドウ糖
Honey 61±3 蜂蜜

パンは全粒粉のものも、結構GI高値で、白いパンと変わりませんね。

テーマ:糖質制限食
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