2010年02月27日 (土)
おはようございます。
今回は、東京・飯田橋での糖質制限食講演会のお知らせです。
講演会主催の小池弘人先生は、群馬大学医学部の学生時代から高雄病院に何度も来られて、漢方の勉強に熱心に取り組んでおられました。
時は流れて、今や統合医療の先駆者として幅広い立場から診療に取り組まれ活躍しておられます。
糖質制限食にも造詣が深く、患者さんにも指導され、ご自身も実践されて減量に成功されています。
今回、旧友の小池先生から私に声をかけていただき、ジョイント講演会が実現しました。私としても楽しみで嬉しい限りです。 (^_^)
関東、東京方面の糖尿人・メタボ人・生活習慣病の方々・・・。
是非奮って講演会にご参加のほどお願い申しあげます。
江部康二
以下は事務局からの広報です。
☆☆☆
講演会「主食を抜けば糖尿病はよくなる」
現代病を治す糖質制限食
【日時】
3/13(土) pm 6:00~8:30
【プログラム】
pm6:00~7:00 「統合医療における糖質制限食の可能性」 小池弘人先生
現代医療と代替医療をあわせた統合医療への関心が高まっています。
そうした統合医療を紹介しながら、そこでの糖質制限食の様々な可能性を考えていきたいと思います。
pm7:00~8:30 「主食を抜けば糖尿病はよくなる」江部康二先生
糖尿病治療において、近年、大変注目されている糖質制限食ですが、実際にはどのように行えばよいのでしょうか。また、主食を抜いて体には安全なのでしょうか。様々な糖質制限食に関する疑問を、第一人者である江部康二先生に分かりやすく解説して頂きます。
【講師プロフィール】
小池弘人
1995年群馬大学医学部医学科卒業。2001年 群馬大学大学院医学研究科内科学系卒業(医学博士)。
2002~2004年、アリゾナ大学統合医療プログラムのアソシエイトフェローとして選出、統合医療の実践を研鑽。
2005年より東京女子医科大学附属青山女性・自然医療研究所クリニック医師として統合医療外来を担当。
2007年1月13日より小池統合医療クリニックを開設し現在に至る。
江部康二
高雄病院理事長。1950年 京都府生まれ。1974年 京都大学医学部卒業。
2002年に自らが糖尿病であることに気づいて以来、糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服する。
その後、高雄病院での数多くの臨床活動を通じて、糖尿病・肥満・メタボリック症候群などに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明。糖質制限食を始めて紹介した
『主食を抜けば糖尿病はよくなる!』はベストセラーとなり、全国で大反響を巻き起こした。
参加費:5000円(資料込)
会場:ベルサール飯田橋
http://www.f-academy.jp/upimage/bellesalleiidabashi.html
当日連絡先:0120-104-749(ファイナンシャルアカデミー コールセンター)
JR総武線 「飯田橋」駅 東口徒歩2分
有楽町線・南北線・都営大江戸線 「飯田橋」駅 A2出口徒歩2分
東西線 「飯田橋」駅 A5出口徒歩1分
お申し込み、お問い合わせ
小池統合医療クリニック 03-3357-0105 まで
http://www.koikeclinic.com/nr/
☆☆☆
【糖質制限食とは】
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わります。タンパク質・脂質は血糖に変わりません。 また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。これらは、含有エネルギーとは無関係な、三大栄養素の生理学的特質です。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。タンパク質は、ごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。そして食後高血糖を起こすのは三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても糖質含有量は1gもないので食後高血糖はほとんど生じないのです。 なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、
食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは、理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、
一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。なお、糖質制限食はカロリー無制限ということではありません。
一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
【『糖質制限食』の3パターン】
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。
*炭水化物=糖質+食物繊維
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」
「 糖質制限食 春のレシピ」
「 糖質制限食 夏のレシピ」
「糖質制限食 秋のレシピ」
「糖質制限食 冬のレシピ」
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」
(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)
『dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」
おいしい「糖質オフ」料理で楽しくやせる本 』(プレジデント社)
を参考にされ、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。なお、血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と活動性の膵炎がある場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は、相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
今回は、東京・飯田橋での糖質制限食講演会のお知らせです。
講演会主催の小池弘人先生は、群馬大学医学部の学生時代から高雄病院に何度も来られて、漢方の勉強に熱心に取り組んでおられました。
時は流れて、今や統合医療の先駆者として幅広い立場から診療に取り組まれ活躍しておられます。
糖質制限食にも造詣が深く、患者さんにも指導され、ご自身も実践されて減量に成功されています。
今回、旧友の小池先生から私に声をかけていただき、ジョイント講演会が実現しました。私としても楽しみで嬉しい限りです。 (^_^)
関東、東京方面の糖尿人・メタボ人・生活習慣病の方々・・・。
是非奮って講演会にご参加のほどお願い申しあげます。
江部康二
以下は事務局からの広報です。
☆☆☆
講演会「主食を抜けば糖尿病はよくなる」
現代病を治す糖質制限食
【日時】
3/13(土) pm 6:00~8:30
【プログラム】
pm6:00~7:00 「統合医療における糖質制限食の可能性」 小池弘人先生
現代医療と代替医療をあわせた統合医療への関心が高まっています。
そうした統合医療を紹介しながら、そこでの糖質制限食の様々な可能性を考えていきたいと思います。
pm7:00~8:30 「主食を抜けば糖尿病はよくなる」江部康二先生
糖尿病治療において、近年、大変注目されている糖質制限食ですが、実際にはどのように行えばよいのでしょうか。また、主食を抜いて体には安全なのでしょうか。様々な糖質制限食に関する疑問を、第一人者である江部康二先生に分かりやすく解説して頂きます。
【講師プロフィール】
小池弘人
1995年群馬大学医学部医学科卒業。2001年 群馬大学大学院医学研究科内科学系卒業(医学博士)。
2002~2004年、アリゾナ大学統合医療プログラムのアソシエイトフェローとして選出、統合医療の実践を研鑽。
2005年より東京女子医科大学附属青山女性・自然医療研究所クリニック医師として統合医療外来を担当。
2007年1月13日より小池統合医療クリニックを開設し現在に至る。
江部康二
高雄病院理事長。1950年 京都府生まれ。1974年 京都大学医学部卒業。
2002年に自らが糖尿病であることに気づいて以来、糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服する。
その後、高雄病院での数多くの臨床活動を通じて、糖尿病・肥満・メタボリック症候群などに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明。糖質制限食を始めて紹介した
『主食を抜けば糖尿病はよくなる!』はベストセラーとなり、全国で大反響を巻き起こした。
参加費:5000円(資料込)
会場:ベルサール飯田橋
http://www.f-academy.jp/upimage/bellesalleiidabashi.html
当日連絡先:0120-104-749(ファイナンシャルアカデミー コールセンター)
JR総武線 「飯田橋」駅 東口徒歩2分
有楽町線・南北線・都営大江戸線 「飯田橋」駅 A2出口徒歩2分
東西線 「飯田橋」駅 A5出口徒歩1分
お申し込み、お問い合わせ
小池統合医療クリニック 03-3357-0105 まで
http://www.koikeclinic.com/nr/
☆☆☆
【糖質制限食とは】
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わります。タンパク質・脂質は血糖に変わりません。 また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。これらは、含有エネルギーとは無関係な、三大栄養素の生理学的特質です。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。タンパク質は、ごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。そして食後高血糖を起こすのは三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても糖質含有量は1gもないので食後高血糖はほとんど生じないのです。 なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、
食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは、理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、
一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。なお、糖質制限食はカロリー無制限ということではありません。
一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
【『糖質制限食』の3パターン】
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。
*炭水化物=糖質+食物繊維
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」
「 糖質制限食 春のレシピ」
「 糖質制限食 夏のレシピ」
「糖質制限食 秋のレシピ」
「糖質制限食 冬のレシピ」
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」
(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)
『dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」
おいしい「糖質オフ」料理で楽しくやせる本 』(プレジデント社)
を参考にされ、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。なお、血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と活動性の膵炎がある場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は、相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
2010年02月26日 (金)
こんにちは。
朝から雨が降り続いています。暖かくてコートを着ていると汗ばむほどです。
今日は祇園で同級生の集まりがあるので、雨の中これからでかけます。
さて今回は、野菜分の糖質について、Kotarohさんからコメント・質問をいただきました。
「10/02/26 Kotaroh
断糖食について
はじめまして、Kotarohと申します。
ここ数年、人間ドックで空腹時血糖値が高い(120-130)と言われておりましたが、昨年、6月の職場検診で尿糖+、その後の9月の人間ドックの再検査で空腹時血糖が151、HbA1cが6,7、10月の精密検査で食後2時間の血糖値が236、でした。かかりつけの医院で糖尿病型だと言われ、毎朝食前にボグリボースODフィルム0.2を服用するよう処方されました。
その後、ネットで先生の糖質制限食に出会い、ご本も読ませていただきて、10月下旬からスーパー糖質制限食を実行し始めました。我流では不安なため、1月28日に貴高雄病院の京都駅前診療所を受診、その際の検査では、随時血糖が106、HbA1cが5.2で、糖質制限食の効果に本当に驚きました。ちなみに、体重も、10月に83キログラムあったものが、現在71キログラムまで減少しています(身長は174センチです)。ほんとうにありがとうございました。
これから、定期的に京都駅前診療所に通院させていただき、健康管理に努めるつもりです。よろしくお願いいたします。
ところで、昨日、書店で、断糖食という本を見つけ、立ち読みしたのですが、そこには、野菜に含まれる糖質もよくないと書かれていました。
現在私は、先生ご指摘のように、イモ類やレンコンなどは避け、キャベツや、大根、白菜などを比較的多く摂っています。これらの野菜に含まれる糖質についても、あまりよくないのでしょうか。
それと、かかりつけの医院で処方されているボグリボースという薬を、毎朝食前に服用する必要があるのかどうか悩んでいます(なお、かかりつけ医は、かなり年配で、糖質制限食のことを話しても判ってもらえそうにないので、話していません)。」
Kotaroh さん。
コメント、本のご購入ありがとうございます。
「9月の人間ドックの再検査で空腹時血糖が151、HbA1cが6,7、10月の精密検査で食後2時間の血糖値が236」
「10月下旬からスーパー糖質制限食を実行し始めました。我流では不安なため、1月28日に貴高雄病院の京都駅前診療所を受診、その際の検査では、随時血糖が106、HbA1cが5.2」
3ヶ月の糖質制限食で、劇的な改善です。
良かったですね。ヾ(^▽^)
これだけ良くなっていれば、もうボグリボースは必要ないと思います。高雄病院京都駅前診療所の主治医とも相談されて、中止されてもいいと思いますよ。
ご質問の野菜ですが、高雄病院の糖質制限食は、人類400万年の進化の過程で摂取してきたものを基本としています。従って適切な野菜、適量のナッツ類や果物は許容できると思います。
ここら辺は、釜池先生の「糖質ゼロ食」や、荒木先生の「断糖食」と高雄病院の糖質制限食は、少しスタンスが違うと思います。
400万年の進化の過程で狩猟・採集を生業として突然変異を繰り返しながら、生理・栄養・代謝のシステムを人類は完成させてきました。
この間、主食は肉や魚介類や骨髄だったと思うのですが、野菜は食べていると思いますし、実りの秋には果物やナッツも食べていたと思います。
そう考えると、その程度の適量の野菜・果物・ナッツを処理することは、人体にとってそれほどの負担ではないと思います。
例えば葉野菜の白菜1枚が100gで、糖質含有量が1.9gで、低糖質食材です。 ただし白菜、半玉なら、1kgくらいあります。 大食タイプの人が、鍋で煮て半玉食べたら、糖質19gですね。野菜でも大食には要注意です。
スーパー糖質制限食を8年間実践している江部康二の血中ケトン体は800~1200μM/L(26~122)ですが、尿中ケトン体は陰性です。
スーパー糖質制限食開始後、3ヶ月~6ヶ月間は尿中ケトン体陽性で、その後陰性化します。ケトン体の体細胞での利用効率や腎臓の再吸収が高まったためと考えられます。 一般的な基準値は超えていますが、糖質制限食中なら生理的で正常値です。おそらく農耕以前の狩猟・採集だったころの正常値と考えられます。
一方、小児難治性てんかん治療で効果を上げている「ケトン食」は糖質ゼロレベルで、脂質80%の食事療法です。
こちらだと、おそらく血中ケトン体レベルは3000~4000くらいあると思われ、尿中ケトン体も2年後も常に陽性です。腎臓の再吸収レベルを超える血中濃度であるためと考えられます。
即ち、ここまで厳しい糖質ゼロは、人類の進化の過程でも経験したことがないため、さすがに全てのケトン体を再吸収するほどのシステムがないと思われます。
このように考察してくると、高雄病院方式のスーパー糖質制限食(脂質56%、タンパク質32%、脂質12%)くらいが、人類の生理・栄養・代謝に一番自然な割合のような気がします。
清く正しくより美味しく楽しく糖質制限食ですね。(^-^)v(^-^)v
江部康二
朝から雨が降り続いています。暖かくてコートを着ていると汗ばむほどです。
今日は祇園で同級生の集まりがあるので、雨の中これからでかけます。
さて今回は、野菜分の糖質について、Kotarohさんからコメント・質問をいただきました。
「10/02/26 Kotaroh
断糖食について
はじめまして、Kotarohと申します。
ここ数年、人間ドックで空腹時血糖値が高い(120-130)と言われておりましたが、昨年、6月の職場検診で尿糖+、その後の9月の人間ドックの再検査で空腹時血糖が151、HbA1cが6,7、10月の精密検査で食後2時間の血糖値が236、でした。かかりつけの医院で糖尿病型だと言われ、毎朝食前にボグリボースODフィルム0.2を服用するよう処方されました。
その後、ネットで先生の糖質制限食に出会い、ご本も読ませていただきて、10月下旬からスーパー糖質制限食を実行し始めました。我流では不安なため、1月28日に貴高雄病院の京都駅前診療所を受診、その際の検査では、随時血糖が106、HbA1cが5.2で、糖質制限食の効果に本当に驚きました。ちなみに、体重も、10月に83キログラムあったものが、現在71キログラムまで減少しています(身長は174センチです)。ほんとうにありがとうございました。
これから、定期的に京都駅前診療所に通院させていただき、健康管理に努めるつもりです。よろしくお願いいたします。
ところで、昨日、書店で、断糖食という本を見つけ、立ち読みしたのですが、そこには、野菜に含まれる糖質もよくないと書かれていました。
現在私は、先生ご指摘のように、イモ類やレンコンなどは避け、キャベツや、大根、白菜などを比較的多く摂っています。これらの野菜に含まれる糖質についても、あまりよくないのでしょうか。
それと、かかりつけの医院で処方されているボグリボースという薬を、毎朝食前に服用する必要があるのかどうか悩んでいます(なお、かかりつけ医は、かなり年配で、糖質制限食のことを話しても判ってもらえそうにないので、話していません)。」
Kotaroh さん。
コメント、本のご購入ありがとうございます。
「9月の人間ドックの再検査で空腹時血糖が151、HbA1cが6,7、10月の精密検査で食後2時間の血糖値が236」
「10月下旬からスーパー糖質制限食を実行し始めました。我流では不安なため、1月28日に貴高雄病院の京都駅前診療所を受診、その際の検査では、随時血糖が106、HbA1cが5.2」
3ヶ月の糖質制限食で、劇的な改善です。
良かったですね。ヾ(^▽^)
これだけ良くなっていれば、もうボグリボースは必要ないと思います。高雄病院京都駅前診療所の主治医とも相談されて、中止されてもいいと思いますよ。
ご質問の野菜ですが、高雄病院の糖質制限食は、人類400万年の進化の過程で摂取してきたものを基本としています。従って適切な野菜、適量のナッツ類や果物は許容できると思います。
ここら辺は、釜池先生の「糖質ゼロ食」や、荒木先生の「断糖食」と高雄病院の糖質制限食は、少しスタンスが違うと思います。
400万年の進化の過程で狩猟・採集を生業として突然変異を繰り返しながら、生理・栄養・代謝のシステムを人類は完成させてきました。
この間、主食は肉や魚介類や骨髄だったと思うのですが、野菜は食べていると思いますし、実りの秋には果物やナッツも食べていたと思います。
そう考えると、その程度の適量の野菜・果物・ナッツを処理することは、人体にとってそれほどの負担ではないと思います。
例えば葉野菜の白菜1枚が100gで、糖質含有量が1.9gで、低糖質食材です。 ただし白菜、半玉なら、1kgくらいあります。 大食タイプの人が、鍋で煮て半玉食べたら、糖質19gですね。野菜でも大食には要注意です。
スーパー糖質制限食を8年間実践している江部康二の血中ケトン体は800~1200μM/L(26~122)ですが、尿中ケトン体は陰性です。
スーパー糖質制限食開始後、3ヶ月~6ヶ月間は尿中ケトン体陽性で、その後陰性化します。ケトン体の体細胞での利用効率や腎臓の再吸収が高まったためと考えられます。 一般的な基準値は超えていますが、糖質制限食中なら生理的で正常値です。おそらく農耕以前の狩猟・採集だったころの正常値と考えられます。
一方、小児難治性てんかん治療で効果を上げている「ケトン食」は糖質ゼロレベルで、脂質80%の食事療法です。
こちらだと、おそらく血中ケトン体レベルは3000~4000くらいあると思われ、尿中ケトン体も2年後も常に陽性です。腎臓の再吸収レベルを超える血中濃度であるためと考えられます。
即ち、ここまで厳しい糖質ゼロは、人類の進化の過程でも経験したことがないため、さすがに全てのケトン体を再吸収するほどのシステムがないと思われます。
このように考察してくると、高雄病院方式のスーパー糖質制限食(脂質56%、タンパク質32%、脂質12%)くらいが、人類の生理・栄養・代謝に一番自然な割合のような気がします。
清く正しくより美味しく楽しく糖質制限食ですね。(^-^)v(^-^)v
江部康二
2010年02月25日 (木)
こんばんは。
今回はかんこさんから、焼酎についてコメント・質問を頂きました。
「10/02/25 かんこ
焼酎について
こんにちは。
急に暖かくなりなりましたが、寒の戻りが心配です。
糖質制限食頑張っていますが、元々、野菜大好きだったので、冬場は白菜や大根など糖質の多い野菜を摂りすぎてしまって・・・ちょっと凹んでいます。
先生と同じで私もお酒が大好きですが、日本酒、ビール、マッコリはきっぱりやめて焼酎にしています。焼酎には甲類と乙類がありますが、甲類の成分を見ると糖蜜と書かれてあるものがあります。これは、どうなんでしょうか?見たときはびっくりしてしまいました。
乙類を飲めばよいのでしょうが、甲類の方が安価なので嬉しいのです。」
かんこ さん。
焼酎は、乙類がいいです。
いわゆる本格焼酎で風味が良くて、原材料が、黒糖でも芋でも麦でも米でも、蒸留酒なので糖質制限OK食品です。
焼酎は、理論的にも経験的にも最も二日酔いが少ないお酒ですね。 (^_^)
ウィキペディアによれば、乙類焼酎は単式蒸留器で蒸留して作る焼酎です。
基本的に1回のみの蒸留のため、原料本来の風味や旨み成分が生きていることが特徴です。
甲類焼酎は、糖蜜等を原料とした発酵液をもとに、連続蒸留器で蒸留して高純度エチルアルコールを生成し、これに加水したものです。
ですから、減量が糖蜜でも蒸留した結果、エチルアルコールそのものなので、血糖値上昇はありません。ホワイトリカーが典型的甲類焼酎です。
しかし、チューハイ、リキュール、カクテル、梅酒などのベースにも甲類焼酎が使われていることが多いですが、これらは勿論砂糖などが入っていてNG食品ですね。
江部康二
今回はかんこさんから、焼酎についてコメント・質問を頂きました。
「10/02/25 かんこ
焼酎について
こんにちは。
急に暖かくなりなりましたが、寒の戻りが心配です。
糖質制限食頑張っていますが、元々、野菜大好きだったので、冬場は白菜や大根など糖質の多い野菜を摂りすぎてしまって・・・ちょっと凹んでいます。
先生と同じで私もお酒が大好きですが、日本酒、ビール、マッコリはきっぱりやめて焼酎にしています。焼酎には甲類と乙類がありますが、甲類の成分を見ると糖蜜と書かれてあるものがあります。これは、どうなんでしょうか?見たときはびっくりしてしまいました。
乙類を飲めばよいのでしょうが、甲類の方が安価なので嬉しいのです。」
かんこ さん。
焼酎は、乙類がいいです。
いわゆる本格焼酎で風味が良くて、原材料が、黒糖でも芋でも麦でも米でも、蒸留酒なので糖質制限OK食品です。
焼酎は、理論的にも経験的にも最も二日酔いが少ないお酒ですね。 (^_^)
ウィキペディアによれば、乙類焼酎は単式蒸留器で蒸留して作る焼酎です。
基本的に1回のみの蒸留のため、原料本来の風味や旨み成分が生きていることが特徴です。
甲類焼酎は、糖蜜等を原料とした発酵液をもとに、連続蒸留器で蒸留して高純度エチルアルコールを生成し、これに加水したものです。
ですから、減量が糖蜜でも蒸留した結果、エチルアルコールそのものなので、血糖値上昇はありません。ホワイトリカーが典型的甲類焼酎です。
しかし、チューハイ、リキュール、カクテル、梅酒などのベースにも甲類焼酎が使われていることが多いですが、これらは勿論砂糖などが入っていてNG食品ですね。
江部康二
2010年02月25日 (木)
寒い日々が続いていて、昨日・今日とやや暖かい京都です。
ブログ読者の皆さん、風邪は大丈夫ですか?
風邪ひいて食欲がない時は、脂質やタンパク質豊富な食品はこってりして食べにくいですよね。 (*_*)
ほんとは、お粥やうどんが食べたいけれど、糖尿人には食後高血糖の元・・・(=_=;)
それで、糖質制限OK食品の中で、あっさり系をピックアップしてみました。
京都は、お豆腐が美味しいですから私もよく食べます。
冷や奴でもいいんですが、風邪ひいて寒気でもあるときはやはり湯豆腐がお奨めですね。
温かい食品として、茶碗蒸し、卵スープ、野菜スープ、すまし汁、味噌汁、豚汁などもいいですね。いけそうだったら、おでんの大根とか豆腐とかひろうすなどは如何でしょう。
鍋もお奨めですね。
白身魚や豆腐、野菜、がんもどき・・・風邪のときでも美味しそうです。 (^_^)
豆腐を水きりしてつぶし、小さく刻んだ野菜などを混ぜ込んで丸め、油で揚げたものを 関東ではがんもどき、関西ではひろうすと呼ぶことが多いようです。ちなみに我が家ではがんもどきです。
冷たいさっぱりしたものとしては、少量の季節の旬の果物もいいです。
上述の如く水分の多い食品が中心になっています。風邪で食欲不振のときは、脱水になりやすいので糖尿人は特に注意が必要です。上記の料理など糖質制限食OK食材で、水分・電解質(*)補給も心掛けてくださいね。
なおごま豆腐は、主成分が葛粉で、デンプンたっぷりですので、豆腐と名前が付いてますが、糖質制限食NG食品ですので、お忘れなく。
(*)
電解質は体の細胞が正常に機能するために必要です。
体は多量のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、塩化物、リン酸塩を必要とします。
江部康二
ブログ読者の皆さん、風邪は大丈夫ですか?
風邪ひいて食欲がない時は、脂質やタンパク質豊富な食品はこってりして食べにくいですよね。 (*_*)
ほんとは、お粥やうどんが食べたいけれど、糖尿人には食後高血糖の元・・・(=_=;)
それで、糖質制限OK食品の中で、あっさり系をピックアップしてみました。
京都は、お豆腐が美味しいですから私もよく食べます。
冷や奴でもいいんですが、風邪ひいて寒気でもあるときはやはり湯豆腐がお奨めですね。
温かい食品として、茶碗蒸し、卵スープ、野菜スープ、すまし汁、味噌汁、豚汁などもいいですね。いけそうだったら、おでんの大根とか豆腐とかひろうすなどは如何でしょう。
鍋もお奨めですね。
白身魚や豆腐、野菜、がんもどき・・・風邪のときでも美味しそうです。 (^_^)
豆腐を水きりしてつぶし、小さく刻んだ野菜などを混ぜ込んで丸め、油で揚げたものを 関東ではがんもどき、関西ではひろうすと呼ぶことが多いようです。ちなみに我が家ではがんもどきです。
冷たいさっぱりしたものとしては、少量の季節の旬の果物もいいです。
上述の如く水分の多い食品が中心になっています。風邪で食欲不振のときは、脱水になりやすいので糖尿人は特に注意が必要です。上記の料理など糖質制限食OK食材で、水分・電解質(*)補給も心掛けてくださいね。
なおごま豆腐は、主成分が葛粉で、デンプンたっぷりですので、豆腐と名前が付いてますが、糖質制限食NG食品ですので、お忘れなく。
(*)
電解質は体の細胞が正常に機能するために必要です。
体は多量のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、塩化物、リン酸塩を必要とします。
江部康二
2010年02月24日 (水)
おはようございます。
今回は、糖質制限食実践中のToshi さんから、コメント・質問をいただきました。
「10/02/12 Toshi
いくつかのご質問
はじめまして。
自分は昨年10月中旬原因不明の吐き気に襲われ、胃潰瘍を疑い病院に行ったところ糖尿病と診断され、2週間ほど入院しました。
現在の経過は
入院当初:HbAc1が11.1 血糖値が486
10月末 血糖値が108
11月頭:HbAc1が8.5 血糖値が100
12月頭:HbAc1が5.7 血糖値が132
1月頭:HbAc1が5.0 血糖値が111
2月頭:HbAc1が4.8 血糖値が127
となっています。
12月にはランタス12単位から8に、1月にはインシュリン注射なしに、今月からはグルファスト無しとなりました。
退院当初は病院の指示通りカロリー制限の食事を取っていましたが、忘年会でカロリー過多になったにもかかわらず食後血糖値があまり上がらなかったため、これはなぜ?と思い色々調べて先生のブログにたどり着きました。
すぐに先生の著書を取り寄せ、ナルホドと納得し、今年から朝20以下、昼60以下、夜40以下を目標に糖質制限食を実施しております。
そこで何点かご質問があります。
1.自分は食後2時間の血糖値と朝の空腹時の血糖値にあまり差がありません。(空腹時100~130、夕食2時間後110~140)空腹時の血糖値がすこし高い気がしますが、何かご意見頂ければと思います。
2.昼の糖質摂取量が多くなってしまうのですが、多くなる事が分かっている場合グルファストを服用したいと思います。服用する、しないの糖質量の目安がありましたら教えて頂けないでしょうか。
3.最近「糖質0」の清涼飲料水が色々出ていますが焼酎などの割り材としては使えますか?使っても200~300ml程度なのですが・・・
4.低糖質食を始めてからお通じの調子が良くありません。出ないときは2~3日、出るときは1日5回以上出ます。何か影響があるのでしょうか。
お忙しいとは思いますが、ご回答して頂けると助かります。」
Toshi さん。
コメント、本のご購入ありがとうございます。
「入院当初2009年10月:HbAc1が11.1 血糖値が486 2010年2月頭:HbAc1が4.8 血糖値が127 」
最初が結構すごいデータだったにも関わらず、1月にインスリン注射を中止、2月にはグルファスト内服も中止で、糖質制限食だけで素晴らしい改善ですね。良かったです。(^-^)v(^-^)v
「1.自分は食後2時間の血糖値と朝の空腹時の血糖値にあまり差がありません。(空腹時100~130、夕食2時間後110~140)空腹時の血糖値がすこし高い気がしますが、何かご意見頂ければと思います。」
血糖値を上昇させるのは糖質だけで、インスリンを大量に分泌させるのも糖質だけです。蛋白質・脂質は血糖値を上昇させませんので、糖質制限食の場合、食後血糖値がほとんど上昇しません。脂質はインスリンを分泌させませんが、蛋白質は少しインスリンを分泌させます。
糖質制限食の場合、人によっては食後のほうが下がることもあります。空腹時血糖値が127,130mgとかやや高値の時がありますね。100mgの時もありますが、インスリン基礎分泌がやや低下気味と考えられます。
スパー糖質制限食で、きっちり膵臓に休養を与えてやると基礎分泌が回復することもあります。
スーパー糖質制限食なら、1回の食事の糖質量は10~20gです。ほとんどが野菜分です。
「2.昼の糖質摂取量が多くなってしまうのですが、多くなる事が分かっている場合グルファストを服用したいと思います。服用する、しないの糖質量の目安がありましたら教えて頂けないでしょうか。」
1gの糖質が64kgの2型糖尿人の血糖値を約3mg上昇させます。
グルファストの効果には個人差がありますが、20~50mgくらい下げます。25~30g以上の糖質量を摂取するときはグルファスト内服したほうがいいですね。
「3.最近「糖質0」の清涼飲料水が色々出ていますが焼酎などの割り材としては使えますか?使っても200~300ml程度なのですが・・・ 」
糖質ゼロとカロリーゼロの表示は糖質制限食OK食品です。糖類ゼロは、マルチトールなどを含むことが多いのでNGです。
「4.低糖質食を始めてからお通じの調子が良くありません。出ないときは2~3日、出るときは1日5回以上出ます。何か影響があるのでしょうか。」
糖質ありから糖質制限食に切り替えて、ごろっと変わるので、腸内細菌がそれに慣れて落ち着くまで便秘したり、下痢したりすることがあります。通常1~3ヶ月で慣れて便通も良くなります。煮た葉野菜などしっかり食べて食物繊維も補給して下さいね。
江部康二
今回は、糖質制限食実践中のToshi さんから、コメント・質問をいただきました。
「10/02/12 Toshi
いくつかのご質問
はじめまして。
自分は昨年10月中旬原因不明の吐き気に襲われ、胃潰瘍を疑い病院に行ったところ糖尿病と診断され、2週間ほど入院しました。
現在の経過は
入院当初:HbAc1が11.1 血糖値が486
10月末 血糖値が108
11月頭:HbAc1が8.5 血糖値が100
12月頭:HbAc1が5.7 血糖値が132
1月頭:HbAc1が5.0 血糖値が111
2月頭:HbAc1が4.8 血糖値が127
となっています。
12月にはランタス12単位から8に、1月にはインシュリン注射なしに、今月からはグルファスト無しとなりました。
退院当初は病院の指示通りカロリー制限の食事を取っていましたが、忘年会でカロリー過多になったにもかかわらず食後血糖値があまり上がらなかったため、これはなぜ?と思い色々調べて先生のブログにたどり着きました。
すぐに先生の著書を取り寄せ、ナルホドと納得し、今年から朝20以下、昼60以下、夜40以下を目標に糖質制限食を実施しております。
そこで何点かご質問があります。
1.自分は食後2時間の血糖値と朝の空腹時の血糖値にあまり差がありません。(空腹時100~130、夕食2時間後110~140)空腹時の血糖値がすこし高い気がしますが、何かご意見頂ければと思います。
2.昼の糖質摂取量が多くなってしまうのですが、多くなる事が分かっている場合グルファストを服用したいと思います。服用する、しないの糖質量の目安がありましたら教えて頂けないでしょうか。
3.最近「糖質0」の清涼飲料水が色々出ていますが焼酎などの割り材としては使えますか?使っても200~300ml程度なのですが・・・
4.低糖質食を始めてからお通じの調子が良くありません。出ないときは2~3日、出るときは1日5回以上出ます。何か影響があるのでしょうか。
お忙しいとは思いますが、ご回答して頂けると助かります。」
Toshi さん。
コメント、本のご購入ありがとうございます。
「入院当初2009年10月:HbAc1が11.1 血糖値が486 2010年2月頭:HbAc1が4.8 血糖値が127 」
最初が結構すごいデータだったにも関わらず、1月にインスリン注射を中止、2月にはグルファスト内服も中止で、糖質制限食だけで素晴らしい改善ですね。良かったです。(^-^)v(^-^)v
「1.自分は食後2時間の血糖値と朝の空腹時の血糖値にあまり差がありません。(空腹時100~130、夕食2時間後110~140)空腹時の血糖値がすこし高い気がしますが、何かご意見頂ければと思います。」
血糖値を上昇させるのは糖質だけで、インスリンを大量に分泌させるのも糖質だけです。蛋白質・脂質は血糖値を上昇させませんので、糖質制限食の場合、食後血糖値がほとんど上昇しません。脂質はインスリンを分泌させませんが、蛋白質は少しインスリンを分泌させます。
糖質制限食の場合、人によっては食後のほうが下がることもあります。空腹時血糖値が127,130mgとかやや高値の時がありますね。100mgの時もありますが、インスリン基礎分泌がやや低下気味と考えられます。
スパー糖質制限食で、きっちり膵臓に休養を与えてやると基礎分泌が回復することもあります。
スーパー糖質制限食なら、1回の食事の糖質量は10~20gです。ほとんどが野菜分です。
「2.昼の糖質摂取量が多くなってしまうのですが、多くなる事が分かっている場合グルファストを服用したいと思います。服用する、しないの糖質量の目安がありましたら教えて頂けないでしょうか。」
1gの糖質が64kgの2型糖尿人の血糖値を約3mg上昇させます。
グルファストの効果には個人差がありますが、20~50mgくらい下げます。25~30g以上の糖質量を摂取するときはグルファスト内服したほうがいいですね。
「3.最近「糖質0」の清涼飲料水が色々出ていますが焼酎などの割り材としては使えますか?使っても200~300ml程度なのですが・・・ 」
糖質ゼロとカロリーゼロの表示は糖質制限食OK食品です。糖類ゼロは、マルチトールなどを含むことが多いのでNGです。
「4.低糖質食を始めてからお通じの調子が良くありません。出ないときは2~3日、出るときは1日5回以上出ます。何か影響があるのでしょうか。」
糖質ありから糖質制限食に切り替えて、ごろっと変わるので、腸内細菌がそれに慣れて落ち着くまで便秘したり、下痢したりすることがあります。通常1~3ヶ月で慣れて便通も良くなります。煮た葉野菜などしっかり食べて食物繊維も補給して下さいね。
江部康二
2010年02月23日 (火)
こんにちは。
今朝のLancetの報告に関連して、ACCORD試験の記事を再掲します。
江部康二
☆☆☆再掲
2型糖尿病の厳格な血糖管理・大規模試験ACCORDの衝撃的な結果
2008年の米国糖尿病学会学術集会で、ACCORD、ADVANCEという、2つの大規模臨床試験の結果が報告されました。共にハイリスクな糖尿病患者を対象に、HbA1cの目標値を従来より低く設定して厳格な血糖管理を行い、大血管合併症予防効果を検討した試験でした。大血管合併症とは、心・脳血管の障害で心筋梗塞や脳卒中のことです。
その結果は、予想を大きく覆し、有意な大血管障害予防効果は、証明できませんでした。しかも、ACCORD試験にいたっては、「厳格血糖管理群」の死亡率が、「通常血糖管理群」を上回るという、衝撃的な結果となりました。ヾ(゜▽゜)
ACCORDは、米国とカナダの77施設から10251例が、ADVANCEは、アジア・オセアニア・欧州・北米20カ国215施設から11140例が登録されました。
厳格血糖管理群の目標HbA1cは、ACCORDが6.0%未満、ADVANCEが6.5%未満で、予定追跡期間はいずれも5年間でした。
しかしながら、2008年2月、ACCORDの厳格血糖管理群における総死亡率および、心血管死亡率が通常血糖管理群を有意に上回ることが確認され、同試験は期間満了を待たずに平均追跡期間3.4年で中止となりました。中止時の平均HbA1cは厳格血糖管理群6.4%、通常血糖管理群7.5%でした。
総死亡のリスク比は、厳格血糖管理群が通常血糖管理群の1.22倍、心血管死は1.35倍で、いずれも統計的に有意の差がありました。
一方、ADVANCE試験は、5年間の追跡期間を完遂しています。到達平均HbA1cは厳格血糖管理群6.4%、通常血糖管理群7.0%でした。こちらも大血管障害予防効果に有意差は認められませんでした。
いずれにせよ、驚きの結果なのですが、特にACCORD試験のほうは、短絡的に考えたら「厳格な血糖管理をしたらかえって死亡率が上昇する」というとんでもない結論になります。これではさすがに困るので、糖尿病専門医諸氏が共通のコメントを述べています。すなわち、「血糖を下げるプロセスに問題があった」ということです。
ACCORD試験の厳格血糖管理群では、最初の4ヶ月でHbA1c値が平均して1.4%も低下していて、相当強力な薬物介入がなされたと考えられます。
事実、厳格血糖管理群では、77%の患者にインスリン注射が使用され、経口血糖降下薬も3~4剤が併用されていて、3.4年間で平均3.5kgも体重が増加していました。
日本の糖尿病専門医による、ACCORD試験失敗への意見をまとめると、以下の3つに集約されます。
1
食事療法や運動療法がきっちり行われず、薬物療法のみで無理矢理急速に血糖値だけ低下させたことで、生体になんらかのひずみが生じ、総死亡率が上昇した可能性がある。
2
インスリンやアクトス(チアゾリジン誘導体)といった、体重増加作用のある薬物を多用したことによる体重の増加も心血管障害リスク要因として無視できない。
3
ACCORD試験の厳格血糖管理群では、重症低血糖の発生頻度が16.2%もあり、これが心血管障害のリスクとなった。
これら、3つの問題点は糖質制限食だと
①血糖値、HbA1c値は急速に改善するが、脂質をはじめ代謝全てがよくなるので生体内にひずみは生じない。
②薬物は使用しないか使用してもごく少量なので薬物による体重増加はない。また糖質制限食の効果により体重減少が期待できる。
③薬物は使わないかごく少量なので、低血糖の危険性もきわめて少ない。
ということで、大きなアドバンテージとなります。(^-^)v(^-^)v
薬物療法のみに頼って、食事療法や運動療法を無視すれば、例え血糖コントロールが良くなっても、総死亡率は変わらないか、かえって増加することもあるという、極めて示唆にとんだ大規模臨床試験「ACCORD、ADVANCE」の結果でした。
さらに言えば、カロリー制限が主体の従来の糖尿病食(高糖質食)では、糖尿病学会推奨の運動療法(1回15~30分間の歩行を1日2回、できれば毎日、少なくとも1週間に3日以上)をしても、食後高血糖は決して防げません。
HbA1c値を低く保つためには、必ずやインスリンをはじめ、大量の薬物療法が必要となります。これらの諸問題を全て解決するのは、糖質制限食だけです。
食後高血糖が、大血管障害に強く関与していることは、複数の研究で明らかになっています。
糖質・脂質・タンパク質の中で食後高血糖を起こすのは、糖質だけです。
糖質制限食VSカロリー制限食(高糖質食)
糖尿人の皆さんよくよくお考えくださいね。
江部康二
今朝のLancetの報告に関連して、ACCORD試験の記事を再掲します。
江部康二
☆☆☆再掲
2型糖尿病の厳格な血糖管理・大規模試験ACCORDの衝撃的な結果
2008年の米国糖尿病学会学術集会で、ACCORD、ADVANCEという、2つの大規模臨床試験の結果が報告されました。共にハイリスクな糖尿病患者を対象に、HbA1cの目標値を従来より低く設定して厳格な血糖管理を行い、大血管合併症予防効果を検討した試験でした。大血管合併症とは、心・脳血管の障害で心筋梗塞や脳卒中のことです。
その結果は、予想を大きく覆し、有意な大血管障害予防効果は、証明できませんでした。しかも、ACCORD試験にいたっては、「厳格血糖管理群」の死亡率が、「通常血糖管理群」を上回るという、衝撃的な結果となりました。ヾ(゜▽゜)
ACCORDは、米国とカナダの77施設から10251例が、ADVANCEは、アジア・オセアニア・欧州・北米20カ国215施設から11140例が登録されました。
厳格血糖管理群の目標HbA1cは、ACCORDが6.0%未満、ADVANCEが6.5%未満で、予定追跡期間はいずれも5年間でした。
しかしながら、2008年2月、ACCORDの厳格血糖管理群における総死亡率および、心血管死亡率が通常血糖管理群を有意に上回ることが確認され、同試験は期間満了を待たずに平均追跡期間3.4年で中止となりました。中止時の平均HbA1cは厳格血糖管理群6.4%、通常血糖管理群7.5%でした。
総死亡のリスク比は、厳格血糖管理群が通常血糖管理群の1.22倍、心血管死は1.35倍で、いずれも統計的に有意の差がありました。
一方、ADVANCE試験は、5年間の追跡期間を完遂しています。到達平均HbA1cは厳格血糖管理群6.4%、通常血糖管理群7.0%でした。こちらも大血管障害予防効果に有意差は認められませんでした。
いずれにせよ、驚きの結果なのですが、特にACCORD試験のほうは、短絡的に考えたら「厳格な血糖管理をしたらかえって死亡率が上昇する」というとんでもない結論になります。これではさすがに困るので、糖尿病専門医諸氏が共通のコメントを述べています。すなわち、「血糖を下げるプロセスに問題があった」ということです。
ACCORD試験の厳格血糖管理群では、最初の4ヶ月でHbA1c値が平均して1.4%も低下していて、相当強力な薬物介入がなされたと考えられます。
事実、厳格血糖管理群では、77%の患者にインスリン注射が使用され、経口血糖降下薬も3~4剤が併用されていて、3.4年間で平均3.5kgも体重が増加していました。
日本の糖尿病専門医による、ACCORD試験失敗への意見をまとめると、以下の3つに集約されます。
1
食事療法や運動療法がきっちり行われず、薬物療法のみで無理矢理急速に血糖値だけ低下させたことで、生体になんらかのひずみが生じ、総死亡率が上昇した可能性がある。
2
インスリンやアクトス(チアゾリジン誘導体)といった、体重増加作用のある薬物を多用したことによる体重の増加も心血管障害リスク要因として無視できない。
3
ACCORD試験の厳格血糖管理群では、重症低血糖の発生頻度が16.2%もあり、これが心血管障害のリスクとなった。
これら、3つの問題点は糖質制限食だと
①血糖値、HbA1c値は急速に改善するが、脂質をはじめ代謝全てがよくなるので生体内にひずみは生じない。
②薬物は使用しないか使用してもごく少量なので薬物による体重増加はない。また糖質制限食の効果により体重減少が期待できる。
③薬物は使わないかごく少量なので、低血糖の危険性もきわめて少ない。
ということで、大きなアドバンテージとなります。(^-^)v(^-^)v
薬物療法のみに頼って、食事療法や運動療法を無視すれば、例え血糖コントロールが良くなっても、総死亡率は変わらないか、かえって増加することもあるという、極めて示唆にとんだ大規模臨床試験「ACCORD、ADVANCE」の結果でした。
さらに言えば、カロリー制限が主体の従来の糖尿病食(高糖質食)では、糖尿病学会推奨の運動療法(1回15~30分間の歩行を1日2回、できれば毎日、少なくとも1週間に3日以上)をしても、食後高血糖は決して防げません。
HbA1c値を低く保つためには、必ずやインスリンをはじめ、大量の薬物療法が必要となります。これらの諸問題を全て解決するのは、糖質制限食だけです。
食後高血糖が、大血管障害に強く関与していることは、複数の研究で明らかになっています。
糖質・脂質・タンパク質の中で食後高血糖を起こすのは、糖質だけです。
糖質制限食VSカロリー制限食(高糖質食)
糖尿人の皆さんよくよくお考えくださいね。
江部康二
2010年02月23日 (火)
おはようございます。
「2型糖尿病患者の死亡率はHbA1c7.5%前後が最も低い」
という衝撃的な研究報告が、ランセットという英国の権威ある雑誌に発表されました。
以下抜粋です。
『治療中の2型糖尿病患者の全死因死亡や大血管イベントのリスクは、HbA1c値が7.5%前後のグループで最も低い―。そんな後ろ向きコホート研究の結果を、英Cardiff大学のCraig J Currie氏らがLancet誌2010年2月6日号に報告した。
2型糖尿病患者の血糖管理を向上させれば、様々な合併症のリスクが低下すると考えられている。しかし、ACCORD試験(関連記事1、関連記事2)以来、厳格な血糖降下療法の安全性に対する懸念が高まり、2型患者が目標とすべき血糖値に関する議論が続いている。
そこで著者らは、2型糖尿病患者のHbA1cと全死因死亡の関係を明らかにすべく、後ろ向きのコホート研究を行った。』
「2型糖尿病患者の死亡率はHbA1c7.5%前後が最も低い」
という結果を単純に受け入れたならば、著者らの言う如く
「今後の研究で今回得られた知見が確認されれば、糖尿病治療ガイドラインを見直してHbA1cを特定の値より下げすぎないよう指示する必要が出てくるだろう。」
ということになりますが、この短絡的な結論は如何なものでしょう?
HbA1cが6.4%以下のグループを検討したときに
A)
① 空腹時血糖値110mg/dl未満
② 食後2時間血糖値140mg/dl未満
③ 理想的には食後1時間血糖値180mg/dl未満
を達成していたら、その人々は当然、死亡率は正常人と大差ないはずです。
B)
一方、食後血糖値は1日3回以上200mgを超えているけれど、空腹時には血糖値が60mg未満の低血糖気味であり、平均値としてのHbA1cが6.4%以下である場合は、食後高血糖のリスクは防げていないし、血糖値の乱高下のリスク、低血糖のリスクも高まります。当然、死亡率は高まります。
HbA1cが9.0%、10.0%といったコントロール不良の糖尿人をインスリン注射やSU剤で強力に治療した今回の研究の場合、食事療法が糖質を摂取している限りは、ほとんどの人が基本的に上述のB)群にならざるを得ません。
今回の研究では、A)群は基本的にほとんど存在しないと考えられます。糖質を摂取する限りは、食後高血糖を防ぐことは極めて困難だからです。
最近の糖尿病関係の話題として、空腹時血糖と食後高血糖の差(グルコーススパイク)が大きいほど、大血管の内皮が傷害されて動脈硬化になりやすく、将来心筋梗塞の危険性が高まるという説が有力となっています。
この説は、糖尿病を発症しやすいラット(GKラット)の実験ではすでに実証されています。
驚くべきことに、ずっと好き放題に食べさせて、血糖値二八〇~三〇〇mg/dl前後で一日中持続したラット(高血糖であるがグルコーススパイクがほとんどない)より、一日二回だけの食事として、一日二回グルコーススパイク(空腹時100mg/dl程度で食後200mg/dl程度)を人工的に作ったラットの方が、動脈硬化の進行は速かったのです。
糖尿病の人は、糖質を摂取するたびに、大きなグルコーススパイクを生じているわけです。
このように、糖質を摂取して、HbA1cを正常に近く保とうと思えば、必然的にインスリンやSU剤の過剰投与となり、低血糖も生じやすくなります。
糖質を摂取する限りは、どのような薬物を使用しても食後高血糖(グルコーススパイク)のリスク、血糖値の乱高下のリスク、低血糖のリスクは防げません。 (*_*)
またACCORD試験で問題となったような、急速な治療による生体のひずみなども関わっているかもしれません。
ACCORD試験や今回のランセットの報告を考慮すると、糖質を摂取する限りは
「糖尿病治療ガイドラインを見直してHbA1cを特定の値より下げすぎないよう指示する必要が出てくるだろう。」
ということになりかねませんね。
一方、糖質制限食を実践してHbA1cが正常な場合は、食後高血糖(グルコーススパイク)も生じず低血糖にもならないし、血糖値の乱高下もありません。正常人と同じリスクと考えられます。 (^_^)
江部康二
以下は、日経メディカルオンラインに載った記事の全文転載です。
結構小難しいので、とばし読みでいいと思います。
☆☆☆
日経メディカルオンライン
海外論文ピックアップ
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/lancet/201002/514118.html
2010. 2. 12
Lancet誌から
2型糖尿病患者の死亡率はHbA1c7.5%前後が最も低い
英国で行われた後ろ向きコホート研究の結果
大西 淳子=医学ジャーナリスト
関連ジャンル: 糖尿病
治療中の2型糖尿病患者の全死因死亡や大血管イベントのリスクは、HbA1c値が7.5%前後のグループで最も低い―。そんな後ろ向きコホート研究の結果を、英Cardiff大学のCraig J Currie氏らがLancet誌2010年2月6日号に報告した。
2型糖尿病患者の血糖管理を向上させれば、様々な合併症のリスクが低下すると考えられている。しかし、ACCORD試験(関連記事1、関連記事2)以来、厳格な血糖降下療法の安全性に対する懸念が高まり、2型患者が目標とすべき血糖値に関する議論が続いている。そこで著者らは、2型糖尿病患者のHbA1cと全死因死亡の関係を明らかにすべく、後ろ向きのコホート研究を行った。
英国のプライマリケアの診療記録を集めた一般開業医研究データベース(GPRD)に1986年11月から2008年11月に登録された患者の中から、50歳以上の2型糖尿病患者を選出、2つのコホートを作成した。
コホート1は、経口血糖降下薬の単剤投与を受けた後に、スルホニルウレアとメトホルミンの併用に切り替えられた患者2万7965人。コホート2は、経口糖尿病薬からインスリンの単剤投与またはインスリンを他の経口薬と併用するレジメンに変更された患者2万5人からなる。
主要アウトカム評価指標は全死因死亡に設定。2次評価指標は、心血管イベント歴のない患者の初発大血管イベント(心筋梗塞、脳卒中、冠動脈血行再建術、頸動脈血行再建術、末梢動脈血行再建術、狭心症)に設定し、レジメン変更からこれらイベントが発生するまでのHbA1cの平均との関係を調べた。交絡因子として、年齢、性別、喫煙歴、コレステロール値、心血管危険因子、全般的健康状態で調整し、Cox比例ハザードモデルを用いてリスクを評価した。
レジメンを変更する前のHbA1c値の平均は、コホート1が9.0%、コホート2が10.0%だった。
追跡期間の中央値は、コホート1が3.9年(12万5968人-年)、コホート2は4.4年(10万4106人-年)。
コホート1の全死因死亡は2035人、コホート2は2834人。コホート1と比較したコホート2の全死因死亡のハザード比は1.49(95%信頼区間1.39-1.59)で、インスリンを含むレジメンを適用されている患者の方が死亡リスクは高かった。
1000人-年当たりの未調整死亡率は、コホート1が16.2、コホート2が27.2。
レジメン変更後のHbA1c値に基づいて各コホートを十分位群に分け、最も死亡率が低かった第4十分位群(HbA1c中央値が7.5%、IQR 7.5-7.6%)を参照群として、各十分位群の全死因死亡のハザード比を求めた。
各十分位群のHbA1c中央値は、最低十分位群が6.4%、第2十分位群は6.9%、第3十分位群は7.3%、第5十分位群は7.8%、第6十分位群は8.1%、第7十分位群は8.4%、第8十分位群は8.9%、第9十分位群は9.4%、最高十分位群は10.5%となった。
全死因死亡のハザード比が有意な値を示したのは、コホート1では最低十分位群(HbA1c中央値6.4%)と最高十分位群(HbA1c中央値10.5%)のみ。コホート2では、それらに加えて第2、第3、第9十分位群にも有意差が見られた。いずれのコホートでも、横軸にHbA1c値、縦軸にハザード比を取ったグラフは、HbA1c 7.5%を最低とするU字型になった。
2つのコホートを合わせて分析したところ、全死因死亡の調整ハザード比は、HbA1c最低十分位群が1.52(95%信頼区間1.32-1.76)、最高十分位群は1.79(1.56-2.06)だった。
糖尿病の大血管合併症の進行とHbA1cとの関係を分析する目的で、二次評価指標に設定した初発大血管イベントの発生率は、コホート1が8.2%(大血管イベント歴のない2万817人中1707人)、コホート2は11.9%(1万3475人中1608人)だった。1000人-年当たりの未調整イベント発生率は、コホート1が18.8、コホート2は24.1。初発大血管イベントのリスクも、全死因死亡の場合と同様に、コホート1よりコホート2で有意に高かった(調整ハザード比1.31、1.22-1.42)。
2つのコホートを合わせて調整ハザード比を求めたところ、HbA1c値との間にやはりU字型の関係が見られた。第4十分位群を参照群とすると、最低十分位群のハザード比は1.54(1.28-1.84)、最高十分位群は1.36(1.14-1.61)。
得られた結果は、治療中の2型糖尿病患者の全死因死亡と大血管イベントのリスクは、HbA1c値が7.5%前後のグループで最低になることを示唆した。HbA1c値がそれより高い場合も低い場合も、これらのリスクは上昇した。
2つのコホートの両方でU字型のグラフが描かれたことは、治療レジメンにかかわらずこうした関係が存在することを意味する。
なお、経口治療薬を投与されたグループに比べ、インスリンを含むレジメンを適用された患者群で死亡と大血管イベントのリスクが有意に高かったことについては、その理由を今後明らかにしていく必要がある、と著者らは述べている。さらに著者らは、今後の研究で今回得られた知見が確認されれば、糖尿病治療ガイドラインを見直してHbA1cを特定の値より下げすぎないよう指示する必要が出てくるだろう、との考えを表明している。
この試験のスポンサーであるEli Lilly社は、試験設計、データ収集、データ分析、データ解釈、論文執筆、投稿に関する判断のすべてに関与した。
原題は「Survival as a function of HbA1c in people with type 2 diabetes: a retrospective cohort study」、概要は、こちらで閲覧できる。
「2型糖尿病患者の死亡率はHbA1c7.5%前後が最も低い」
という衝撃的な研究報告が、ランセットという英国の権威ある雑誌に発表されました。
以下抜粋です。
『治療中の2型糖尿病患者の全死因死亡や大血管イベントのリスクは、HbA1c値が7.5%前後のグループで最も低い―。そんな後ろ向きコホート研究の結果を、英Cardiff大学のCraig J Currie氏らがLancet誌2010年2月6日号に報告した。
2型糖尿病患者の血糖管理を向上させれば、様々な合併症のリスクが低下すると考えられている。しかし、ACCORD試験(関連記事1、関連記事2)以来、厳格な血糖降下療法の安全性に対する懸念が高まり、2型患者が目標とすべき血糖値に関する議論が続いている。
そこで著者らは、2型糖尿病患者のHbA1cと全死因死亡の関係を明らかにすべく、後ろ向きのコホート研究を行った。』
「2型糖尿病患者の死亡率はHbA1c7.5%前後が最も低い」
という結果を単純に受け入れたならば、著者らの言う如く
「今後の研究で今回得られた知見が確認されれば、糖尿病治療ガイドラインを見直してHbA1cを特定の値より下げすぎないよう指示する必要が出てくるだろう。」
ということになりますが、この短絡的な結論は如何なものでしょう?
HbA1cが6.4%以下のグループを検討したときに
A)
① 空腹時血糖値110mg/dl未満
② 食後2時間血糖値140mg/dl未満
③ 理想的には食後1時間血糖値180mg/dl未満
を達成していたら、その人々は当然、死亡率は正常人と大差ないはずです。
B)
一方、食後血糖値は1日3回以上200mgを超えているけれど、空腹時には血糖値が60mg未満の低血糖気味であり、平均値としてのHbA1cが6.4%以下である場合は、食後高血糖のリスクは防げていないし、血糖値の乱高下のリスク、低血糖のリスクも高まります。当然、死亡率は高まります。
HbA1cが9.0%、10.0%といったコントロール不良の糖尿人をインスリン注射やSU剤で強力に治療した今回の研究の場合、食事療法が糖質を摂取している限りは、ほとんどの人が基本的に上述のB)群にならざるを得ません。
今回の研究では、A)群は基本的にほとんど存在しないと考えられます。糖質を摂取する限りは、食後高血糖を防ぐことは極めて困難だからです。
最近の糖尿病関係の話題として、空腹時血糖と食後高血糖の差(グルコーススパイク)が大きいほど、大血管の内皮が傷害されて動脈硬化になりやすく、将来心筋梗塞の危険性が高まるという説が有力となっています。
この説は、糖尿病を発症しやすいラット(GKラット)の実験ではすでに実証されています。
驚くべきことに、ずっと好き放題に食べさせて、血糖値二八〇~三〇〇mg/dl前後で一日中持続したラット(高血糖であるがグルコーススパイクがほとんどない)より、一日二回だけの食事として、一日二回グルコーススパイク(空腹時100mg/dl程度で食後200mg/dl程度)を人工的に作ったラットの方が、動脈硬化の進行は速かったのです。
糖尿病の人は、糖質を摂取するたびに、大きなグルコーススパイクを生じているわけです。
このように、糖質を摂取して、HbA1cを正常に近く保とうと思えば、必然的にインスリンやSU剤の過剰投与となり、低血糖も生じやすくなります。
糖質を摂取する限りは、どのような薬物を使用しても食後高血糖(グルコーススパイク)のリスク、血糖値の乱高下のリスク、低血糖のリスクは防げません。 (*_*)
またACCORD試験で問題となったような、急速な治療による生体のひずみなども関わっているかもしれません。
ACCORD試験や今回のランセットの報告を考慮すると、糖質を摂取する限りは
「糖尿病治療ガイドラインを見直してHbA1cを特定の値より下げすぎないよう指示する必要が出てくるだろう。」
ということになりかねませんね。
一方、糖質制限食を実践してHbA1cが正常な場合は、食後高血糖(グルコーススパイク)も生じず低血糖にもならないし、血糖値の乱高下もありません。正常人と同じリスクと考えられます。 (^_^)
江部康二
以下は、日経メディカルオンラインに載った記事の全文転載です。
結構小難しいので、とばし読みでいいと思います。
☆☆☆
日経メディカルオンライン
海外論文ピックアップ
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/lancet/201002/514118.html
2010. 2. 12
Lancet誌から
2型糖尿病患者の死亡率はHbA1c7.5%前後が最も低い
英国で行われた後ろ向きコホート研究の結果
大西 淳子=医学ジャーナリスト
関連ジャンル: 糖尿病
治療中の2型糖尿病患者の全死因死亡や大血管イベントのリスクは、HbA1c値が7.5%前後のグループで最も低い―。そんな後ろ向きコホート研究の結果を、英Cardiff大学のCraig J Currie氏らがLancet誌2010年2月6日号に報告した。
2型糖尿病患者の血糖管理を向上させれば、様々な合併症のリスクが低下すると考えられている。しかし、ACCORD試験(関連記事1、関連記事2)以来、厳格な血糖降下療法の安全性に対する懸念が高まり、2型患者が目標とすべき血糖値に関する議論が続いている。そこで著者らは、2型糖尿病患者のHbA1cと全死因死亡の関係を明らかにすべく、後ろ向きのコホート研究を行った。
英国のプライマリケアの診療記録を集めた一般開業医研究データベース(GPRD)に1986年11月から2008年11月に登録された患者の中から、50歳以上の2型糖尿病患者を選出、2つのコホートを作成した。
コホート1は、経口血糖降下薬の単剤投与を受けた後に、スルホニルウレアとメトホルミンの併用に切り替えられた患者2万7965人。コホート2は、経口糖尿病薬からインスリンの単剤投与またはインスリンを他の経口薬と併用するレジメンに変更された患者2万5人からなる。
主要アウトカム評価指標は全死因死亡に設定。2次評価指標は、心血管イベント歴のない患者の初発大血管イベント(心筋梗塞、脳卒中、冠動脈血行再建術、頸動脈血行再建術、末梢動脈血行再建術、狭心症)に設定し、レジメン変更からこれらイベントが発生するまでのHbA1cの平均との関係を調べた。交絡因子として、年齢、性別、喫煙歴、コレステロール値、心血管危険因子、全般的健康状態で調整し、Cox比例ハザードモデルを用いてリスクを評価した。
レジメンを変更する前のHbA1c値の平均は、コホート1が9.0%、コホート2が10.0%だった。
追跡期間の中央値は、コホート1が3.9年(12万5968人-年)、コホート2は4.4年(10万4106人-年)。
コホート1の全死因死亡は2035人、コホート2は2834人。コホート1と比較したコホート2の全死因死亡のハザード比は1.49(95%信頼区間1.39-1.59)で、インスリンを含むレジメンを適用されている患者の方が死亡リスクは高かった。
1000人-年当たりの未調整死亡率は、コホート1が16.2、コホート2が27.2。
レジメン変更後のHbA1c値に基づいて各コホートを十分位群に分け、最も死亡率が低かった第4十分位群(HbA1c中央値が7.5%、IQR 7.5-7.6%)を参照群として、各十分位群の全死因死亡のハザード比を求めた。
各十分位群のHbA1c中央値は、最低十分位群が6.4%、第2十分位群は6.9%、第3十分位群は7.3%、第5十分位群は7.8%、第6十分位群は8.1%、第7十分位群は8.4%、第8十分位群は8.9%、第9十分位群は9.4%、最高十分位群は10.5%となった。
全死因死亡のハザード比が有意な値を示したのは、コホート1では最低十分位群(HbA1c中央値6.4%)と最高十分位群(HbA1c中央値10.5%)のみ。コホート2では、それらに加えて第2、第3、第9十分位群にも有意差が見られた。いずれのコホートでも、横軸にHbA1c値、縦軸にハザード比を取ったグラフは、HbA1c 7.5%を最低とするU字型になった。
2つのコホートを合わせて分析したところ、全死因死亡の調整ハザード比は、HbA1c最低十分位群が1.52(95%信頼区間1.32-1.76)、最高十分位群は1.79(1.56-2.06)だった。
糖尿病の大血管合併症の進行とHbA1cとの関係を分析する目的で、二次評価指標に設定した初発大血管イベントの発生率は、コホート1が8.2%(大血管イベント歴のない2万817人中1707人)、コホート2は11.9%(1万3475人中1608人)だった。1000人-年当たりの未調整イベント発生率は、コホート1が18.8、コホート2は24.1。初発大血管イベントのリスクも、全死因死亡の場合と同様に、コホート1よりコホート2で有意に高かった(調整ハザード比1.31、1.22-1.42)。
2つのコホートを合わせて調整ハザード比を求めたところ、HbA1c値との間にやはりU字型の関係が見られた。第4十分位群を参照群とすると、最低十分位群のハザード比は1.54(1.28-1.84)、最高十分位群は1.36(1.14-1.61)。
得られた結果は、治療中の2型糖尿病患者の全死因死亡と大血管イベントのリスクは、HbA1c値が7.5%前後のグループで最低になることを示唆した。HbA1c値がそれより高い場合も低い場合も、これらのリスクは上昇した。
2つのコホートの両方でU字型のグラフが描かれたことは、治療レジメンにかかわらずこうした関係が存在することを意味する。
なお、経口治療薬を投与されたグループに比べ、インスリンを含むレジメンを適用された患者群で死亡と大血管イベントのリスクが有意に高かったことについては、その理由を今後明らかにしていく必要がある、と著者らは述べている。さらに著者らは、今後の研究で今回得られた知見が確認されれば、糖尿病治療ガイドラインを見直してHbA1cを特定の値より下げすぎないよう指示する必要が出てくるだろう、との考えを表明している。
この試験のスポンサーであるEli Lilly社は、試験設計、データ収集、データ分析、データ解釈、論文執筆、投稿に関する判断のすべてに関与した。
原題は「Survival as a function of HbA1c in people with type 2 diabetes: a retrospective cohort study」、概要は、こちらで閲覧できる。
2010年02月22日 (月)
こんにちは。
糖質制限食と1型糖尿病とインスリンについてあこさんから、コメント・質問をいただきました。
「10/02/22 あこ
タイトルなし
お忙しい日々をお過ごしのようですね。
講演にはなかなかお伺いできないのが残念ですが、いつも先生のブログに励まされ、糖質制限に精を出しています。
昨年5月に1型を発症し、約9ヶ月が経ちます。今回の検診でHbA1c、5.1まで下がりました。採血も次回から2ヶ月に1度で良いとのこと、1型には有り得ない回復ぶりに、主治医も喜んで下さいました。
そして勇気を出して、主治医に糖質制限の話を切り出したところ、意外にも賛同してもらい、詳しく知りたいとの事、来月の検診の時に、先生が出版されている本を持って行く約束をしました!
主治医は若い女性で糖尿病専門の先生なので、糖質制限がこれからの若い先生に受け入れられていく希望ができました。
私の方は、ハネムーン期はとうに終わり、ランタスが徐々に増え続けています。4単位から始まり、今は6単位ですが、ノボラピットはごく少量で4~6単位の間です。
ランタスはこのまま増え続ける一方なのでしょうか?糖質制限でHbA1cを良好に保つためにランタスが増えて行くのは仕方ない事なんでしょうか?
複雑な気持ちで終えた検診でした。
私の住む埼玉も毎日風が強くて寒いです。先生も風邪などひかず、お元気にお過ごし下さい。」
あこさん。
コメントありがとうございます。
「昨年5月に1型を発症し、約9ヶ月が経ちます。今回の検診でHbA1c、5.1まで下がりました。」
1型でコントロール優は素晴らしいですね。(^-^)v(^-^)v
上手に糖質制限食をされているのだと思います。
主治医の若い女性の先生、糖質制限食に賛同していただいたとは、嬉しい限りです。
本をもっていくついでに、以下の情報も是非知らせてあげてください。
☆☆☆糖質制限食・過去の学会発表
1)山門一平,江部康二,金大成,大櫛陽一:2型糖尿病における低炭水化物食の有用性とテーラーメード運動処方,第52回日本糖尿病学会年次学術集会.2009年
2)山田悟:主食抜き指導にて血糖コントロールが改善した一例,日本糖尿病学会関東甲信越地方会.2010年1月30日
☆☆☆糖質制限食・過去の医学雑誌掲載
1)江部康二他:糖尿病食事療法として糖質制限食を実施した3症例,
京都医学会雑誌51(1):125-130、2004
2)坂東浩,中村巧:カーボカウントと糖質制限食, 治療,90(12):3105-3111,2008
3) 江部康二:主食を抜けば(糖質を制限すれば)糖尿病は良くなる!,
治療,91(4):682-683,2009
4)中村巧,坂東浩:昨日の常識・食事療法ではカロリー制限すべきである
今日の常識・食事療法では糖質制限すべきである 治療,91(12):2858-2859,2009
5)江部康二:低糖質食(糖質制限食carbohydrate restriction)の意義,
内科,105(1):100-103,2010
「私の方は、ハネムーン期はとうに終わり、ランタスが徐々に増え続けています。4単位から始まり、今は6単位ですが、ノボラピットはごく少量で4~6単位の間です。
ランタスはこのまま増え続ける一方なのでしょうか?糖質制限でHbA1cを良好に保つためにランタスが増えて行くのは仕方ない事なんでしょうか?」
ランタス、ノボラピッドともにもうそんなに増えることはないと思います。ランタス6単位も少量ですので心配要りません。
米国のバーンスタイン医師(バーンスタイン医師の糖尿病の解決の著者)は、ご自身が1型糖尿病です。小児期12才に1型糖尿病を発症され、以後インスリンを打ち続けておられます。
35才、糖尿病腎症の初期となった頃、SMBGで血糖自己測定をしながら食事療法を研究し、徹底した糖質制限食を開始。蛋白尿が出現する段階の顕性腎症前期から、糖質制限食で回復しタンパク尿消失。
45才で医学部に入学、49才で医師になり、糖尿病を徹底的に研究。以後、多数の糖尿病患者を診察。75才現在、糖尿病合併症もなく、現役医師としてお元気にお過ごしです。
バーンスタイン医師ご自身は、内因性インスリン分泌はゼロです。バーンスタイン医師によれば、1型の人でも1回の注射量は7単位までを目指すとしておられます。1回に3~5単位ですむ1型糖尿人もおられます。糖質制限食でそれは可能と考えられます。
1gの糖質が、体重64kgの1型糖尿人の血糖値を約5mg上昇させます。1gのタンパク質が体重64kgの1型糖尿人の血糖値を約0.93mg上昇させます。タンパク質は2型糖尿人の血糖値を上昇させませんが、1型は上昇させる可能性が高いです。
内因性インスリンゼロの体重64kgの1型糖尿人で、バーンスタイン医師によればノボラピッド1単位が約40mg血糖値を下げます。
これは個人差がありますので、あこさんにおいてノボラピッド1単位がどのていど、血糖値を下げるか計算してしっておけば、今後役に立つと思います。
<バーンスタイン医師の糖尿病の解決―正常血糖値を得るための完全ガイド>
(2009/12)太田 喜義訳 金芳堂
難しいところは飛ばして読んでもいいので
1型糖尿人には、一押しの本です。
江部康二
糖質制限食と1型糖尿病とインスリンについてあこさんから、コメント・質問をいただきました。
「10/02/22 あこ
タイトルなし
お忙しい日々をお過ごしのようですね。
講演にはなかなかお伺いできないのが残念ですが、いつも先生のブログに励まされ、糖質制限に精を出しています。
昨年5月に1型を発症し、約9ヶ月が経ちます。今回の検診でHbA1c、5.1まで下がりました。採血も次回から2ヶ月に1度で良いとのこと、1型には有り得ない回復ぶりに、主治医も喜んで下さいました。
そして勇気を出して、主治医に糖質制限の話を切り出したところ、意外にも賛同してもらい、詳しく知りたいとの事、来月の検診の時に、先生が出版されている本を持って行く約束をしました!
主治医は若い女性で糖尿病専門の先生なので、糖質制限がこれからの若い先生に受け入れられていく希望ができました。
私の方は、ハネムーン期はとうに終わり、ランタスが徐々に増え続けています。4単位から始まり、今は6単位ですが、ノボラピットはごく少量で4~6単位の間です。
ランタスはこのまま増え続ける一方なのでしょうか?糖質制限でHbA1cを良好に保つためにランタスが増えて行くのは仕方ない事なんでしょうか?
複雑な気持ちで終えた検診でした。
私の住む埼玉も毎日風が強くて寒いです。先生も風邪などひかず、お元気にお過ごし下さい。」
あこさん。
コメントありがとうございます。
「昨年5月に1型を発症し、約9ヶ月が経ちます。今回の検診でHbA1c、5.1まで下がりました。」
1型でコントロール優は素晴らしいですね。(^-^)v(^-^)v
上手に糖質制限食をされているのだと思います。
主治医の若い女性の先生、糖質制限食に賛同していただいたとは、嬉しい限りです。
本をもっていくついでに、以下の情報も是非知らせてあげてください。
☆☆☆糖質制限食・過去の学会発表
1)山門一平,江部康二,金大成,大櫛陽一:2型糖尿病における低炭水化物食の有用性とテーラーメード運動処方,第52回日本糖尿病学会年次学術集会.2009年
2)山田悟:主食抜き指導にて血糖コントロールが改善した一例,日本糖尿病学会関東甲信越地方会.2010年1月30日
☆☆☆糖質制限食・過去の医学雑誌掲載
1)江部康二他:糖尿病食事療法として糖質制限食を実施した3症例,
京都医学会雑誌51(1):125-130、2004
2)坂東浩,中村巧:カーボカウントと糖質制限食, 治療,90(12):3105-3111,2008
3) 江部康二:主食を抜けば(糖質を制限すれば)糖尿病は良くなる!,
治療,91(4):682-683,2009
4)中村巧,坂東浩:昨日の常識・食事療法ではカロリー制限すべきである
今日の常識・食事療法では糖質制限すべきである 治療,91(12):2858-2859,2009
5)江部康二:低糖質食(糖質制限食carbohydrate restriction)の意義,
内科,105(1):100-103,2010
「私の方は、ハネムーン期はとうに終わり、ランタスが徐々に増え続けています。4単位から始まり、今は6単位ですが、ノボラピットはごく少量で4~6単位の間です。
ランタスはこのまま増え続ける一方なのでしょうか?糖質制限でHbA1cを良好に保つためにランタスが増えて行くのは仕方ない事なんでしょうか?」
ランタス、ノボラピッドともにもうそんなに増えることはないと思います。ランタス6単位も少量ですので心配要りません。
米国のバーンスタイン医師(バーンスタイン医師の糖尿病の解決の著者)は、ご自身が1型糖尿病です。小児期12才に1型糖尿病を発症され、以後インスリンを打ち続けておられます。
35才、糖尿病腎症の初期となった頃、SMBGで血糖自己測定をしながら食事療法を研究し、徹底した糖質制限食を開始。蛋白尿が出現する段階の顕性腎症前期から、糖質制限食で回復しタンパク尿消失。
45才で医学部に入学、49才で医師になり、糖尿病を徹底的に研究。以後、多数の糖尿病患者を診察。75才現在、糖尿病合併症もなく、現役医師としてお元気にお過ごしです。
バーンスタイン医師ご自身は、内因性インスリン分泌はゼロです。バーンスタイン医師によれば、1型の人でも1回の注射量は7単位までを目指すとしておられます。1回に3~5単位ですむ1型糖尿人もおられます。糖質制限食でそれは可能と考えられます。
1gの糖質が、体重64kgの1型糖尿人の血糖値を約5mg上昇させます。1gのタンパク質が体重64kgの1型糖尿人の血糖値を約0.93mg上昇させます。タンパク質は2型糖尿人の血糖値を上昇させませんが、1型は上昇させる可能性が高いです。
内因性インスリンゼロの体重64kgの1型糖尿人で、バーンスタイン医師によればノボラピッド1単位が約40mg血糖値を下げます。
これは個人差がありますので、あこさんにおいてノボラピッド1単位がどのていど、血糖値を下げるか計算してしっておけば、今後役に立つと思います。
<バーンスタイン医師の糖尿病の解決―正常血糖値を得るための完全ガイド>
(2009/12)太田 喜義訳 金芳堂
難しいところは飛ばして読んでもいいので
1型糖尿人には、一押しの本です。
江部康二
2010年02月21日 (日)
こんばんは。
さきほど、2週間ぶりのテニスから帰ってきました。
実はここ2回ほど、テニスが絶不調で負けてばかりでした。( ̄_ ̄|||)
新調したラケットを元に戻したら、今日はほぼ全勝でした。
口の悪いテニス仲間からは
「ラケットというより腕の問題!!」
とか陰口じゃなくて面と向かって言われてましたが、これでラケットのせいということが証明できて嬉しい限りです。ヾ(^▽^)
さて、四谷の講演会は満員御礼となりました。
今回は、東京・飯田橋での糖質制限食講演会のお知らせです。
講演会主催の小池弘人先生は、群馬大学医学部の学生時代から高雄病院に何度も来られて、漢方の勉強に熱心に取り組んでおられました。
時は流れて、今や統合医療の先駆者として幅広い立場から診療に取り組まれ活躍しておられます。
糖質制限食にも造詣が深く、患者さんにも指導され、ご自身も実践されて減量に成功されています。
今回、旧友の小池先生から私に声をかけていただき、ジョイント講演会が実現しました。私としても楽しみで嬉しい限りです。 (^_^)
関東、東京方面の糖尿人・メタボ人・生活習慣病の方々・・・。
是非奮って講演会にご参加のほどお願い申しあげます。
江部康二
以下は事務局からの広報です。
☆☆☆
講演会「主食を抜けば糖尿病はよくなる」
現代病を治す糖質制限食
【日時】
3/13(土) pm 6:00~8:30
【プログラム】
pm6:00~7:00 「統合医療における糖質制限食の可能性」 小池弘人先生
現代医療と代替医療をあわせた統合医療への関心が高まっています。
そうした統合医療を紹介しながら、そこでの糖質制限食の様々な可能性を考えていきたいと思います。
pm7:00~8:30 「主食を抜けば糖尿病はよくなる」江部康二先生
糖尿病治療において、近年、大変注目されている糖質制限食ですが、実際にはどのように行えばよいのでしょうか。また、主食を抜いて体には安全なのでしょうか。様々な糖質制限食に関する疑問を、第一人者である江部康二先生に分かりやすく解説して頂きます。
【講師プロフィール】
小池弘人
1995年群馬大学医学部医学科卒業。2001年 群馬大学大学院医学研究科内科学系卒業(医学博士)。
2002~2004年、アリゾナ大学統合医療プログラムのアソシエイトフェローとして選出、統合医療の実践を研鑽。
2005年より東京女子医科大学附属青山女性・自然医療研究所クリニック医師として統合医療外来を担当。
2007年1月13日より小池統合医療クリニックを開設し現在に至る。
江部康二
高雄病院理事長。1950年 京都府生まれ。1974年 京都大学医学部卒業。
2002年に自らが糖尿病であることに気づいて以来、糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服する。
その後、高雄病院での数多くの臨床活動を通じて、糖尿病・肥満・メタボリック症候群などに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明。糖質制限食を始めて紹介した
『主食を抜けば糖尿病はよくなる!』はベストセラーとなり、全国で大反響を巻き起こした。
参加費:5000円(資料込)
会場:ベルサール飯田橋
http://www.f-academy.jp/upimage/bellesalleiidabashi.html
当日連絡先:0120-104-749(ファイナンシャルアカデミー コールセンター)
JR総武線 「飯田橋」駅 東口徒歩2分
有楽町線・南北線・都営大江戸線 「飯田橋」駅 A2出口徒歩2分
東西線 「飯田橋」駅 A5出口徒歩1分
お申し込み、お問い合わせ
小池統合医療クリニック 03-3357-0105 まで
http://www.koikeclinic.com/nr/
☆☆☆
【糖質制限食とは】
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わります。タンパク質・脂質は血糖に変わりません。 また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。これらは、含有エネルギーとは無関係な、三大栄養素の生理学的特質です。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。タンパク質は、ごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。そして食後高血糖を起こすのは三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても糖質含有量は1gもないので食後高血糖はほとんど生じないのです。 なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、
食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは、理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、
一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。なお、糖質制限食はカロリー無制限ということではありません。
一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
【『糖質制限食』の3パターン】
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。
*炭水化物=糖質+食物繊維
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」
「 糖質制限食 春のレシピ」
「 糖質制限食 夏のレシピ」
「糖質制限食 秋のレシピ」
「糖質制限食 冬のレシピ」
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」
(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)
『dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」
おいしい「糖質オフ」料理で楽しくやせる本 』(プレジデント社)
を参考にされ、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。なお、血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と活動性の膵炎がある場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は、相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
さきほど、2週間ぶりのテニスから帰ってきました。
実はここ2回ほど、テニスが絶不調で負けてばかりでした。( ̄_ ̄|||)
新調したラケットを元に戻したら、今日はほぼ全勝でした。
口の悪いテニス仲間からは
「ラケットというより腕の問題!!」
とか陰口じゃなくて面と向かって言われてましたが、これでラケットのせいということが証明できて嬉しい限りです。ヾ(^▽^)
さて、四谷の講演会は満員御礼となりました。
今回は、東京・飯田橋での糖質制限食講演会のお知らせです。
講演会主催の小池弘人先生は、群馬大学医学部の学生時代から高雄病院に何度も来られて、漢方の勉強に熱心に取り組んでおられました。
時は流れて、今や統合医療の先駆者として幅広い立場から診療に取り組まれ活躍しておられます。
糖質制限食にも造詣が深く、患者さんにも指導され、ご自身も実践されて減量に成功されています。
今回、旧友の小池先生から私に声をかけていただき、ジョイント講演会が実現しました。私としても楽しみで嬉しい限りです。 (^_^)
関東、東京方面の糖尿人・メタボ人・生活習慣病の方々・・・。
是非奮って講演会にご参加のほどお願い申しあげます。
江部康二
以下は事務局からの広報です。
☆☆☆
講演会「主食を抜けば糖尿病はよくなる」
現代病を治す糖質制限食
【日時】
3/13(土) pm 6:00~8:30
【プログラム】
pm6:00~7:00 「統合医療における糖質制限食の可能性」 小池弘人先生
現代医療と代替医療をあわせた統合医療への関心が高まっています。
そうした統合医療を紹介しながら、そこでの糖質制限食の様々な可能性を考えていきたいと思います。
pm7:00~8:30 「主食を抜けば糖尿病はよくなる」江部康二先生
糖尿病治療において、近年、大変注目されている糖質制限食ですが、実際にはどのように行えばよいのでしょうか。また、主食を抜いて体には安全なのでしょうか。様々な糖質制限食に関する疑問を、第一人者である江部康二先生に分かりやすく解説して頂きます。
【講師プロフィール】
小池弘人
1995年群馬大学医学部医学科卒業。2001年 群馬大学大学院医学研究科内科学系卒業(医学博士)。
2002~2004年、アリゾナ大学統合医療プログラムのアソシエイトフェローとして選出、統合医療の実践を研鑽。
2005年より東京女子医科大学附属青山女性・自然医療研究所クリニック医師として統合医療外来を担当。
2007年1月13日より小池統合医療クリニックを開設し現在に至る。
江部康二
高雄病院理事長。1950年 京都府生まれ。1974年 京都大学医学部卒業。
2002年に自らが糖尿病であることに気づいて以来、糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服する。
その後、高雄病院での数多くの臨床活動を通じて、糖尿病・肥満・メタボリック症候群などに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明。糖質制限食を始めて紹介した
『主食を抜けば糖尿病はよくなる!』はベストセラーとなり、全国で大反響を巻き起こした。
参加費:5000円(資料込)
会場:ベルサール飯田橋
http://www.f-academy.jp/upimage/bellesalleiidabashi.html
当日連絡先:0120-104-749(ファイナンシャルアカデミー コールセンター)
JR総武線 「飯田橋」駅 東口徒歩2分
有楽町線・南北線・都営大江戸線 「飯田橋」駅 A2出口徒歩2分
東西線 「飯田橋」駅 A5出口徒歩1分
お申し込み、お問い合わせ
小池統合医療クリニック 03-3357-0105 まで
http://www.koikeclinic.com/nr/
☆☆☆
【糖質制限食とは】
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わります。タンパク質・脂質は血糖に変わりません。 また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。これらは、含有エネルギーとは無関係な、三大栄養素の生理学的特質です。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。タンパク質は、ごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。そして食後高血糖を起こすのは三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても糖質含有量は1gもないので食後高血糖はほとんど生じないのです。 なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、
食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは、理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、
一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。なお、糖質制限食はカロリー無制限ということではありません。
一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
【『糖質制限食』の3パターン】
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。
*炭水化物=糖質+食物繊維
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」
「 糖質制限食 春のレシピ」
「 糖質制限食 夏のレシピ」
「糖質制限食 秋のレシピ」
「糖質制限食 冬のレシピ」
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」
(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)
『dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」
おいしい「糖質オフ」料理で楽しくやせる本 』(プレジデント社)
を参考にされ、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。なお、血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と活動性の膵炎がある場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は、相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
2010年02月19日 (金)
おはようございます。
今回の記事は昨日の続きで、内科大学院生さんの質問、糖質制限食とAGEについてです。
【こんにちは。内科大学院生です。
先日はたくさんの質問に対し、大変丁寧でわかりやすいご説明を頂き、誠にありがとうございました。
今日は2つ質問させて下さい。
②糖質制限食を実践すると、塩分過剰&血中のAGE増加には繋がらないでしょうか?
醤油や味噌、米酢、コーヒー、コーラや魚の焦げ、加工品のハムやベーコンには、AGEが多く含まれていますよね。先生が執筆&監修されている本は、すべて購入させて頂いているのですが、調味料に醤油を使っている料理も多いと思います。勿論、ビタミンEやカテキンの摂取量なども関係するのでしょうが、食品由来のAGE量を気にしなくても大丈夫なのでしょうか?
ちなみに私は、出来る限り 塩 で味付けをするようにしています。】
内科大学院性さん。
コメントそして全ての本のご購入、ありがとうございます。
「②糖質制限食を実践すると、塩分過剰&血中のAGE増加には繋がらないでしょうか?」
さて、ご質問のAGE*のことですが、まだ評価について、断定的な結論が出るほどの文献や研究が存在しない段階です。
この間、同級生や知人の糖尿病専門医に複数尋ねて、AGEに対する見解をご教示いただきました。それでやっと、現時点での結論らしきものに辿り着きました。
A)AGEについてある程度コンセンサスが得られていること
①体内で高血糖により産生されたAGEsが、細小血管合併症に関わることは、以前から指摘されていました。細小血管合併症とは、糖尿病網膜症や糖尿病腎症です。
②さらに近年「高血糖の記憶**」という概念で、
米国の大規模臨床研究・DCCTのフォローアップ試験であるEDIC-DCCTの報告、UKPDSの20年後の解析で、大血管合併症にもAGEが関わっているのではないかという説が浮上しています。大血管合併症とは、心筋梗塞や脳梗塞などです。
B)AGEについてまだコンセンサスが得られていないこと
食品に含有されるAGEが人体に有害か否かは、現在論争中です。
米国の文献では、食品中のAGEも人体に有害という論文もあります。
しかし、日本の糖尿病専門医のほとんどが、食品に含有されるAGEは、人体に有害という立場はとっていません。
その間接的証拠といいますか、日本では血中や尿中AGE濃度の検査は、全くといっていいほど実施されていません。
C)AGE値の検査
様々な AGEがあるので、一つの検査法でAGEsの総量を測定することは困難です。一方、近年各種AGEsの化学構造が解明されたことや抗体作成技術の進歩によって、CML、ピラリン、ペントシジン、クロスリンなど、個別AGEの測定法が確立されました。
2006年1月にはELISA法による血中ペントシジン測定が腎機能検査項目において保険収載(実施料130点)され、臨床検査として測定されるようになりました。
しかし、まだ一般的でなく、研究機関によって測定方法も異なっているなど課題が多い段階です。現在、日本最大の検査会社であるSRLにおいても、AGE値の検査はほとんど行われていません。
結論です。
1)高血糖により体内で産生された、AGEsは糖尿病の血管合併症の原因となる。
2)一方、食材から摂取されたAGEsが、人体に有害か否かは、結論は出ていない。
3)日本では、AGE値の検査自体が、ほとんど実施されていない。
江部康二
*AGE
タンパク質と糖が結びついた物質で、Advanced Glycation End-productの頭文字をとってAGEと呼ばれます。日本語では終末糖化産物と訳されています。
過剰な血糖は、糖化反応により血管壁のコラーゲンなど様々なタンパク質に付着します。付着した糖は一部変性してアマドリ化合物(変性ブドウ糖)となります。このアマドリ化合物と糖が結合しAGEができます。
AGEは、糖尿病合併症を引き起こす、重大な原因の1つです。AGEには多種の物質があります。それらを総称してAGEsといわれます。日常よく検査されるグリコヘモグロビンやグリコアルブミンは、糖化反応の前期生成物であるアマドリ転位生成物です。
**高血糖の記憶
糖尿病血管合併症のメカニズムを特徴的に説明する、高血糖の記憶(hyperglycemic memory)と呼ばれる概念があります。
「高血糖の記憶」とは、過去の高血糖レベルとその曝露期間が生体に記憶され、その後の血管合併症の進展を左右するという考え方です。
ヒトの糖尿病において、この「高血糖の記憶」の存在を示すエビデンス(証拠)として、米国の1型糖尿病患者の大規模臨床研究・DCCTのフォローアップ試験であるEDIC-DCCTの報告があります。
DCCTでは、1型糖尿病患者を従来の通常療法群と、より厳格に血糖管理を行う強化療法群に分け、平均6.5年間追跡しました。
その結果、通常療法群に比べ強化療法群で平均HbA1c値が1.9%低下し、強化療法群で血管合併症の進展リスクが大幅に減少しました。(☆)
同研究終了後に行われたEDIC-DCCTでは、通常療法群にも強化療法を実施し、両群をさらに平均11年間追跡しました。
つまり「継続的な強化療法群」と「通常療法→強化療法群」の2つのグループの比較が、DCCT終了後11年間行われたことになりますね。
その結果、開始から3~4年で両群の平均HbA1c値がほぼ同等となったにも関わらず、11年間の心筋梗塞、脳卒中、心血管死のリスクは「継続的な強化療法群」の方がやはり低かった(相対リスク57%低下)ことが報告されたのです。(☆☆)
すなわち、糖尿人において一定期間血糖コントロールが不良であれば、高血糖の記憶が「借金」のように生体内に残り、その後良好なコントロールが得られても、血管合併症リスクの差は縮まらないことが示されたわけです。
この借金の正体が、組織沈着AGEではないかと言われています。
まだ仮説ではありますが、組織に沈着したAGEが血管を傷害し続け、動脈硬化の元凶となり「高血糖の記憶」を最もよく説明するとされています。
高血糖の記憶・借金を残さないためには、糖尿病発症の初期の段階から血糖コントロールを保つことが大切です。当然、早ければ早いほどいいわけです。
糖尿人の皆さん、カロリー制限食(高糖質食)では必ず、食後高血糖が生じ将来に借金を残します。
是非、糖質制限食で速やかな血糖コントロールを目指して下さいね。
(☆)N Engl J Med 1993; 329: 977-986
(☆☆)N Engl J Med 2005; 353: 2643-2653
今回の記事は昨日の続きで、内科大学院生さんの質問、糖質制限食とAGEについてです。
【こんにちは。内科大学院生です。
先日はたくさんの質問に対し、大変丁寧でわかりやすいご説明を頂き、誠にありがとうございました。
今日は2つ質問させて下さい。
②糖質制限食を実践すると、塩分過剰&血中のAGE増加には繋がらないでしょうか?
醤油や味噌、米酢、コーヒー、コーラや魚の焦げ、加工品のハムやベーコンには、AGEが多く含まれていますよね。先生が執筆&監修されている本は、すべて購入させて頂いているのですが、調味料に醤油を使っている料理も多いと思います。勿論、ビタミンEやカテキンの摂取量なども関係するのでしょうが、食品由来のAGE量を気にしなくても大丈夫なのでしょうか?
ちなみに私は、出来る限り 塩 で味付けをするようにしています。】
内科大学院性さん。
コメントそして全ての本のご購入、ありがとうございます。
「②糖質制限食を実践すると、塩分過剰&血中のAGE増加には繋がらないでしょうか?」
さて、ご質問のAGE*のことですが、まだ評価について、断定的な結論が出るほどの文献や研究が存在しない段階です。
この間、同級生や知人の糖尿病専門医に複数尋ねて、AGEに対する見解をご教示いただきました。それでやっと、現時点での結論らしきものに辿り着きました。
A)AGEについてある程度コンセンサスが得られていること
①体内で高血糖により産生されたAGEsが、細小血管合併症に関わることは、以前から指摘されていました。細小血管合併症とは、糖尿病網膜症や糖尿病腎症です。
②さらに近年「高血糖の記憶**」という概念で、
米国の大規模臨床研究・DCCTのフォローアップ試験であるEDIC-DCCTの報告、UKPDSの20年後の解析で、大血管合併症にもAGEが関わっているのではないかという説が浮上しています。大血管合併症とは、心筋梗塞や脳梗塞などです。
B)AGEについてまだコンセンサスが得られていないこと
食品に含有されるAGEが人体に有害か否かは、現在論争中です。
米国の文献では、食品中のAGEも人体に有害という論文もあります。
しかし、日本の糖尿病専門医のほとんどが、食品に含有されるAGEは、人体に有害という立場はとっていません。
その間接的証拠といいますか、日本では血中や尿中AGE濃度の検査は、全くといっていいほど実施されていません。
C)AGE値の検査
様々な AGEがあるので、一つの検査法でAGEsの総量を測定することは困難です。一方、近年各種AGEsの化学構造が解明されたことや抗体作成技術の進歩によって、CML、ピラリン、ペントシジン、クロスリンなど、個別AGEの測定法が確立されました。
2006年1月にはELISA法による血中ペントシジン測定が腎機能検査項目において保険収載(実施料130点)され、臨床検査として測定されるようになりました。
しかし、まだ一般的でなく、研究機関によって測定方法も異なっているなど課題が多い段階です。現在、日本最大の検査会社であるSRLにおいても、AGE値の検査はほとんど行われていません。
結論です。
1)高血糖により体内で産生された、AGEsは糖尿病の血管合併症の原因となる。
2)一方、食材から摂取されたAGEsが、人体に有害か否かは、結論は出ていない。
3)日本では、AGE値の検査自体が、ほとんど実施されていない。
江部康二
*AGE
タンパク質と糖が結びついた物質で、Advanced Glycation End-productの頭文字をとってAGEと呼ばれます。日本語では終末糖化産物と訳されています。
過剰な血糖は、糖化反応により血管壁のコラーゲンなど様々なタンパク質に付着します。付着した糖は一部変性してアマドリ化合物(変性ブドウ糖)となります。このアマドリ化合物と糖が結合しAGEができます。
AGEは、糖尿病合併症を引き起こす、重大な原因の1つです。AGEには多種の物質があります。それらを総称してAGEsといわれます。日常よく検査されるグリコヘモグロビンやグリコアルブミンは、糖化反応の前期生成物であるアマドリ転位生成物です。
**高血糖の記憶
糖尿病血管合併症のメカニズムを特徴的に説明する、高血糖の記憶(hyperglycemic memory)と呼ばれる概念があります。
「高血糖の記憶」とは、過去の高血糖レベルとその曝露期間が生体に記憶され、その後の血管合併症の進展を左右するという考え方です。
ヒトの糖尿病において、この「高血糖の記憶」の存在を示すエビデンス(証拠)として、米国の1型糖尿病患者の大規模臨床研究・DCCTのフォローアップ試験であるEDIC-DCCTの報告があります。
DCCTでは、1型糖尿病患者を従来の通常療法群と、より厳格に血糖管理を行う強化療法群に分け、平均6.5年間追跡しました。
その結果、通常療法群に比べ強化療法群で平均HbA1c値が1.9%低下し、強化療法群で血管合併症の進展リスクが大幅に減少しました。(☆)
同研究終了後に行われたEDIC-DCCTでは、通常療法群にも強化療法を実施し、両群をさらに平均11年間追跡しました。
つまり「継続的な強化療法群」と「通常療法→強化療法群」の2つのグループの比較が、DCCT終了後11年間行われたことになりますね。
その結果、開始から3~4年で両群の平均HbA1c値がほぼ同等となったにも関わらず、11年間の心筋梗塞、脳卒中、心血管死のリスクは「継続的な強化療法群」の方がやはり低かった(相対リスク57%低下)ことが報告されたのです。(☆☆)
すなわち、糖尿人において一定期間血糖コントロールが不良であれば、高血糖の記憶が「借金」のように生体内に残り、その後良好なコントロールが得られても、血管合併症リスクの差は縮まらないことが示されたわけです。
この借金の正体が、組織沈着AGEではないかと言われています。
まだ仮説ではありますが、組織に沈着したAGEが血管を傷害し続け、動脈硬化の元凶となり「高血糖の記憶」を最もよく説明するとされています。
高血糖の記憶・借金を残さないためには、糖尿病発症の初期の段階から血糖コントロールを保つことが大切です。当然、早ければ早いほどいいわけです。
糖尿人の皆さん、カロリー制限食(高糖質食)では必ず、食後高血糖が生じ将来に借金を残します。
是非、糖質制限食で速やかな血糖コントロールを目指して下さいね。
(☆)N Engl J Med 1993; 329: 977-986
(☆☆)N Engl J Med 2005; 353: 2643-2653
2010年02月18日 (木)
こんばんは。
糖質制限食と摂取カロリーについて内科大学院生さんから、コメント・質問をいただきました。
「10/02/06 内科大学院生
カロリーと塩分につきまして
江部先生
こんにちは。内科大学院生です。
先日はたくさんの質問に対し、大変丁寧でわかりやすいご説明を頂き、誠にありがとうございました。
今日は2つ質問させて下さい。
①糖質制限食実践中には、カロリーを全く気にしなくてなくてよいのでしょうか?それとも何か基準があるのでしょうか?
実は先日、東京に行った際に順天堂大学の弘瀬雅教准教授の講演で次のようなお話を聞きました。
『食品交換表で食事療法を覚えた患者が、いくらカロリー計算の食事をしても痩せない。よくよく話を聞いてみると、その患者は毎日1個アボカドを食べていた。アボカドを果物として考えていて、カロリーも他の果物と同じくらいで計算していたために、脂質&カロリー過剰になり、痩せなかった。その患者はアボカドをやめただけで、見る見る痩せて行った。食品交換表では、その食べ物がどこに属するのか(アボカドは表5)をきちんと確認しなければなりません』
アボカドは確かにカロリーや脂質量は多いですが、決してGI値(GL値)は高くないと思います。この話が事実だとすると、やはりカロリーもかなり大切ということなのでしょうか?それとも糖質制限していない患者にとっては、 肥満=カロリー過剰 というのがあてはまるということなのでしょうか?
自分や家族でスーパー糖質制限(カロリー制限なし)を試していますが、江部先生ご自身がご経験されたのと同様に、適当な体重まで落ちて、そこからは大きく太る事も痩せる事もありませんでした。
患者さんに糖質制限の話をすると、よくカロリーについて質問されます。
糖質制限(脂質摂取励行)は、満腹感を得られやすく、結局低カロリーになるのではないかという先生も少なくないと思います。山田悟先生にもそのような質問があったようですが、どうかカロリーについてアドバイスを頂けますでしょうか?
例えば糖質制限中なら何kcalまで食べてもOKとか、たとえ5000kcalでも糖質制限食なら太らないなど、具体的に教えて頂ければ、大変助かります。
高雄病院では、何kcalまで増やした糖質制限食を実践しているのかも併せて教えて頂ければ幸いです。
②糖質制限食を実践すると、塩分過剰&血中のAGE増加には繋がらないでしょうか?
醤油や味噌、米酢、コーヒー、コーラや魚の焦げ、加工品のハムやベーコンには、AGEが多く含まれていますよね。先生が執筆&監修されている本は、すべて購入させて頂いているのですが、調味料に醤油を使っている料理も多いと思います。勿論、ビタミンEやカテキンの摂取量なども関係するのでしょうが、食品由来のAGE量を気にしなくても大丈夫なのでしょうか?
ちなみに私は、出来る限り 塩 で味付けをするようにしています。」
内科大学院性さん。
コメントありがとうございます。
「①糖質制限食実践中には、カロリーを全く気にしなくてなくてよいのでしょうか?それとも何か基準があるのでしょうか?」
『食品交換表で食事療法を覚えた患者が、いくらカロリー計算の食事をしても痩せない。よくよく話を聞いてみると、その患者は毎日1個アボカドを食べていた。アボカドを果物として考えていて、カロリーも他の果物と同じくらいで計算していたために、脂質&カロリー過剰になり、痩せなかった。その患者はアボカドをやめただけで、見る見る痩せて行った。食品交換表では、その食べ物がどこに属するのか(アボカドは表5)をきちんと確認しなければなりません』
この順天堂大学の弘瀬雅教准教授のお話しは、
「3食とも糖質をしっかり摂取したうえで更に上乗せのカロリーが入った。」
とういうことでしょうね。
糖質制限食ベースでのアボガド摂取なら、体重減少間違いなしです。
糖質制限食VSカロリー制限食(高糖質食)
どちらがダイエット効果が高いかは、明確に勝負がついていて、理論的にも疫学的にも糖質制限食の圧勝です。(^o^)v
詳細については、2009年12月06日 (日) のブログ
体重減少効果:「糖質制限食」VS「高糖質低脂質食」
をご参照ください。
さてここからが本題ですが、糖質制限食実践者において
A)カロリー制限全く不要の群(普通群)
B)「糖質制限+カロリー制限」が必要な群(大食群)
C)しっかりカロリー補給が必要な群(少食群)
の3タイプにわかれます。
A)群は、基本的に普通にお腹いっぱい食べて、血糖値も体重もコントロール良好となります。8~9割の人が含まれます。
例えば私は、1日2食で、昼が病院で500kcal、夜は家あるいは外食でお腹いっぱい食べて、1200~1500kcalです。これに糖質ゼロ発泡酒や焼酎の水割りが加わります。
B)群は、数%おられます。生来大食のグループです。
例えば、ヨーグルトなら500g1パックを1回に丸ごと食べる、ピーナッツも100gを一袋、1回に丸ごと食べる、日常的に業務用の大きな缶で、ナッツ類を購入している、煮た野菜も丼に2~3杯は普通に食べる・・・・・・ヾ(゜▽゜)
このような方々には、一応の目安として、糖質制限食に加えて日本糖尿病学会推奨の
男性なら1600~2000kcal、
女性なら1200~1600kcal、
といったカロリー摂取量の説明をします。
C)群も数%おられます。生来少食のグループです。
こちらは、「糖質制限食で血糖値は速やかに改善したけれど、体重が減りすぎて、身体に力が入らない・・・。」などと、仰有る方々です。
ご高齢でもともと少食の人は、高雄病院の1回が500kcalの糖質制限食を食べきれないことがあります。
こういう少食タイプには、間食として、果物の1/3個を1日に2~3回とかナッツ類を1回に30粒を1日に2~3回とか奨めます。
このように、大きく3群にわけて糖質制限食を指導しています。
質問②については次回に。
江部康二
糖質制限食と摂取カロリーについて内科大学院生さんから、コメント・質問をいただきました。
「10/02/06 内科大学院生
カロリーと塩分につきまして
江部先生
こんにちは。内科大学院生です。
先日はたくさんの質問に対し、大変丁寧でわかりやすいご説明を頂き、誠にありがとうございました。
今日は2つ質問させて下さい。
①糖質制限食実践中には、カロリーを全く気にしなくてなくてよいのでしょうか?それとも何か基準があるのでしょうか?
実は先日、東京に行った際に順天堂大学の弘瀬雅教准教授の講演で次のようなお話を聞きました。
『食品交換表で食事療法を覚えた患者が、いくらカロリー計算の食事をしても痩せない。よくよく話を聞いてみると、その患者は毎日1個アボカドを食べていた。アボカドを果物として考えていて、カロリーも他の果物と同じくらいで計算していたために、脂質&カロリー過剰になり、痩せなかった。その患者はアボカドをやめただけで、見る見る痩せて行った。食品交換表では、その食べ物がどこに属するのか(アボカドは表5)をきちんと確認しなければなりません』
アボカドは確かにカロリーや脂質量は多いですが、決してGI値(GL値)は高くないと思います。この話が事実だとすると、やはりカロリーもかなり大切ということなのでしょうか?それとも糖質制限していない患者にとっては、 肥満=カロリー過剰 というのがあてはまるということなのでしょうか?
自分や家族でスーパー糖質制限(カロリー制限なし)を試していますが、江部先生ご自身がご経験されたのと同様に、適当な体重まで落ちて、そこからは大きく太る事も痩せる事もありませんでした。
患者さんに糖質制限の話をすると、よくカロリーについて質問されます。
糖質制限(脂質摂取励行)は、満腹感を得られやすく、結局低カロリーになるのではないかという先生も少なくないと思います。山田悟先生にもそのような質問があったようですが、どうかカロリーについてアドバイスを頂けますでしょうか?
例えば糖質制限中なら何kcalまで食べてもOKとか、たとえ5000kcalでも糖質制限食なら太らないなど、具体的に教えて頂ければ、大変助かります。
高雄病院では、何kcalまで増やした糖質制限食を実践しているのかも併せて教えて頂ければ幸いです。
②糖質制限食を実践すると、塩分過剰&血中のAGE増加には繋がらないでしょうか?
醤油や味噌、米酢、コーヒー、コーラや魚の焦げ、加工品のハムやベーコンには、AGEが多く含まれていますよね。先生が執筆&監修されている本は、すべて購入させて頂いているのですが、調味料に醤油を使っている料理も多いと思います。勿論、ビタミンEやカテキンの摂取量なども関係するのでしょうが、食品由来のAGE量を気にしなくても大丈夫なのでしょうか?
ちなみに私は、出来る限り 塩 で味付けをするようにしています。」
内科大学院性さん。
コメントありがとうございます。
「①糖質制限食実践中には、カロリーを全く気にしなくてなくてよいのでしょうか?それとも何か基準があるのでしょうか?」
『食品交換表で食事療法を覚えた患者が、いくらカロリー計算の食事をしても痩せない。よくよく話を聞いてみると、その患者は毎日1個アボカドを食べていた。アボカドを果物として考えていて、カロリーも他の果物と同じくらいで計算していたために、脂質&カロリー過剰になり、痩せなかった。その患者はアボカドをやめただけで、見る見る痩せて行った。食品交換表では、その食べ物がどこに属するのか(アボカドは表5)をきちんと確認しなければなりません』
この順天堂大学の弘瀬雅教准教授のお話しは、
「3食とも糖質をしっかり摂取したうえで更に上乗せのカロリーが入った。」
とういうことでしょうね。
糖質制限食ベースでのアボガド摂取なら、体重減少間違いなしです。
糖質制限食VSカロリー制限食(高糖質食)
どちらがダイエット効果が高いかは、明確に勝負がついていて、理論的にも疫学的にも糖質制限食の圧勝です。(^o^)v
詳細については、2009年12月06日 (日) のブログ
体重減少効果:「糖質制限食」VS「高糖質低脂質食」
をご参照ください。
さてここからが本題ですが、糖質制限食実践者において
A)カロリー制限全く不要の群(普通群)
B)「糖質制限+カロリー制限」が必要な群(大食群)
C)しっかりカロリー補給が必要な群(少食群)
の3タイプにわかれます。
A)群は、基本的に普通にお腹いっぱい食べて、血糖値も体重もコントロール良好となります。8~9割の人が含まれます。
例えば私は、1日2食で、昼が病院で500kcal、夜は家あるいは外食でお腹いっぱい食べて、1200~1500kcalです。これに糖質ゼロ発泡酒や焼酎の水割りが加わります。
B)群は、数%おられます。生来大食のグループです。
例えば、ヨーグルトなら500g1パックを1回に丸ごと食べる、ピーナッツも100gを一袋、1回に丸ごと食べる、日常的に業務用の大きな缶で、ナッツ類を購入している、煮た野菜も丼に2~3杯は普通に食べる・・・・・・ヾ(゜▽゜)
このような方々には、一応の目安として、糖質制限食に加えて日本糖尿病学会推奨の
男性なら1600~2000kcal、
女性なら1200~1600kcal、
といったカロリー摂取量の説明をします。
C)群も数%おられます。生来少食のグループです。
こちらは、「糖質制限食で血糖値は速やかに改善したけれど、体重が減りすぎて、身体に力が入らない・・・。」などと、仰有る方々です。
ご高齢でもともと少食の人は、高雄病院の1回が500kcalの糖質制限食を食べきれないことがあります。
こういう少食タイプには、間食として、果物の1/3個を1日に2~3回とかナッツ類を1回に30粒を1日に2~3回とか奨めます。
このように、大きく3群にわけて糖質制限食を指導しています。
質問②については次回に。
江部康二
2010年02月17日 (水)
おはようございます。
おかげさまで、
2月28日(日)NPO糖質制限食ネット・リボーン主催の『四谷ひろば糖質制限食講演会』
が満員御礼となりました。
ありがとうございました。m(_ _)mV
満員御礼となりましたところで、東京・飯田橋での糖質制限食講演会のお知らせです。
講演会主催の小池弘人先生は、群馬大学医学部の学生時代から高雄病院に何度も来られて、漢方の勉強に熱心に取り組んでおられました。
時は流れて、今や統合医療の先駆者として幅広い立場から診療に取り組まれ活躍しておられます。
糖質制限食にも造詣が深く、患者さんにも指導され、ご自身も実践されて減量に成功されています。
今回、旧友の小池先生から私に声をかけていただき、ジョイント講演会が実現しました。私としても楽しみで嬉しい限りです。 (^_^)
関東、東京方面の糖尿人・メタボ人・生活習慣病の方々・・・。
是非奮って講演会にご参加のほどお願い申しあげます。ヾ(^▽^)
江部康二
以下は事務局からの広報です。
☆☆☆☆☆
講演会「主食を抜けば糖尿病はよくなる」
現代病を治す糖質制限食
【日時】
3/13(土) pm 6:00~8:30
【プログラム】
pm6:00~7:00 「統合医療における糖質制限食の可能性」 小池弘人先生
現代医療と代替医療をあわせた統合医療への関心が高まっています。
そうした統合医療を紹介しながら、そこでの糖質制限食の様々な可能性を考えていきたいと思います。
pm7:00~8:30 「主食を抜けば糖尿病はよくなる」江部康二先生
糖尿病治療において、近年、大変注目されている糖質制限食ですが、実際にはどのように行えばよいのでしょうか。また、主食を抜いて体には安全なのでしょうか。様々な糖質制限食に関する疑問を、第一人者である江部康二先生に分かりやすく解説して頂きます。
【講師プロフィール】
小池弘人
1995年群馬大学医学部医学科卒業。2001年 群馬大学大学院医学研究科内科学系卒業(医学博士)。
2002~2004年、アリゾナ大学統合医療プログラムのアソシエイトフェローとして選出、統合医療の実践を研鑽。
2005年より東京女子医科大学附属青山女性・自然医療研究所クリニック医師として統合医療外来を担当。
2007年1月13日より小池統合医療クリニックを開設し現在に至る。
江部康二
高雄病院理事長。1950年 京都府生まれ。1974年 京都大学医学部卒業。
2002年に自らが糖尿病であることに気づいて以来、糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服する。
その後、高雄病院での数多くの臨床活動を通じて、糖尿病・肥満・メタボリック症候群などに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明。糖質制限食を始めて紹介した
『主食を抜けば糖尿病はよくなる!』はベストセラーとなり、全国で大反響を巻き起こした。
参加費:5000円(資料込)
会場:ベルサール飯田橋
http://www.f-academy.jp/upimage/bellesalleiidabashi.html
当日連絡先:0120-104-749(ファイナンシャルアカデミー コールセンター)
JR総武線 「飯田橋」駅 東口徒歩2分
有楽町線・南北線・都営大江戸線 「飯田橋」駅 A2出口徒歩2分
東西線 「飯田橋」駅 A5出口徒歩1分
お申し込み、お問い合わせ
小池統合医療クリニック 03-3357-0105 まで
http://www.koikeclinic.com/nr/
おかげさまで、
2月28日(日)NPO糖質制限食ネット・リボーン主催の『四谷ひろば糖質制限食講演会』
が満員御礼となりました。
ありがとうございました。m(_ _)mV
満員御礼となりましたところで、東京・飯田橋での糖質制限食講演会のお知らせです。
講演会主催の小池弘人先生は、群馬大学医学部の学生時代から高雄病院に何度も来られて、漢方の勉強に熱心に取り組んでおられました。
時は流れて、今や統合医療の先駆者として幅広い立場から診療に取り組まれ活躍しておられます。
糖質制限食にも造詣が深く、患者さんにも指導され、ご自身も実践されて減量に成功されています。
今回、旧友の小池先生から私に声をかけていただき、ジョイント講演会が実現しました。私としても楽しみで嬉しい限りです。 (^_^)
関東、東京方面の糖尿人・メタボ人・生活習慣病の方々・・・。
是非奮って講演会にご参加のほどお願い申しあげます。ヾ(^▽^)
江部康二
以下は事務局からの広報です。
☆☆☆☆☆
講演会「主食を抜けば糖尿病はよくなる」
現代病を治す糖質制限食
【日時】
3/13(土) pm 6:00~8:30
【プログラム】
pm6:00~7:00 「統合医療における糖質制限食の可能性」 小池弘人先生
現代医療と代替医療をあわせた統合医療への関心が高まっています。
そうした統合医療を紹介しながら、そこでの糖質制限食の様々な可能性を考えていきたいと思います。
pm7:00~8:30 「主食を抜けば糖尿病はよくなる」江部康二先生
糖尿病治療において、近年、大変注目されている糖質制限食ですが、実際にはどのように行えばよいのでしょうか。また、主食を抜いて体には安全なのでしょうか。様々な糖質制限食に関する疑問を、第一人者である江部康二先生に分かりやすく解説して頂きます。
【講師プロフィール】
小池弘人
1995年群馬大学医学部医学科卒業。2001年 群馬大学大学院医学研究科内科学系卒業(医学博士)。
2002~2004年、アリゾナ大学統合医療プログラムのアソシエイトフェローとして選出、統合医療の実践を研鑽。
2005年より東京女子医科大学附属青山女性・自然医療研究所クリニック医師として統合医療外来を担当。
2007年1月13日より小池統合医療クリニックを開設し現在に至る。
江部康二
高雄病院理事長。1950年 京都府生まれ。1974年 京都大学医学部卒業。
2002年に自らが糖尿病であることに気づいて以来、糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服する。
その後、高雄病院での数多くの臨床活動を通じて、糖尿病・肥満・メタボリック症候群などに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明。糖質制限食を始めて紹介した
『主食を抜けば糖尿病はよくなる!』はベストセラーとなり、全国で大反響を巻き起こした。
参加費:5000円(資料込)
会場:ベルサール飯田橋
http://www.f-academy.jp/upimage/bellesalleiidabashi.html
当日連絡先:0120-104-749(ファイナンシャルアカデミー コールセンター)
JR総武線 「飯田橋」駅 東口徒歩2分
有楽町線・南北線・都営大江戸線 「飯田橋」駅 A2出口徒歩2分
東西線 「飯田橋」駅 A5出口徒歩1分
お申し込み、お問い合わせ
小池統合医療クリニック 03-3357-0105 まで
http://www.koikeclinic.com/nr/
2010年02月17日 (水)
おはようございます。
低血糖と高血糖のリスクについて通り人さんから、コメント・質問をいただきました。
「10/02/16 通りびと
低血糖と糖質制限
こんばんは
グルコーススパイクに関連し低血糖問題について質問させて下さい。
薬物服用およびインスリン注射の方には低血糖に注意すべく指導がありますが、高血糖200と低血糖40では、どちらがより危険で血管へのダメージが大きいしょうか。
私は後者かと考えるのです。
理由として、先生の著書からも人体システムは圧倒的に血糖上昇システムが多い。
低血糖では速攻的に危険になることがあるが、高血糖障害は遅効性。
健常人が血糖値50以下になることはほぼ無い。
そう考えると、僅かな膵臓への負担を差し引いても、やはり可能な限り糖質制限によってコントロールするのがいいのでしょうか。」
通りびとさん。
コメントありがとうございます。
仰有るとおり、一般的に低血糖のほうが危険です。短期的に死亡にいたるリスクが高まります。低血糖を繰り返すことで中長期的にも死亡のリスクが高まります。
薬物服用およびインスリン注射をしている糖尿人は、低血糖になりやすいです。薬物、インスリン注射がなければ、空腹時に長時間の運動とかしなければ、低血糖にはまずなりません。
高糖質食に比し、糖質制限食では膵臓β細胞への負担はぐんと減って膵臓は休養できます。
活動性の膵炎がなければ、糖質制限食は何の問題もありません。
薬物療法なしの糖質制限食であれば、低血糖の恐れもありませんし、食後高血糖もコントロールできます。
なお、糖尿病性ケトアシドーシスとか、高血糖で生命に危険が及ぶ病態もありますが、インスリンを勝手に中止とか感染とか清涼飲料水がぶ飲みとか特殊要因がからむことがほとんどで、発生はまれです。
低血糖の方は、薬物療法中の糖尿人では結構よくあるので、注意が必要です。
江部康二
低血糖と高血糖のリスクについて通り人さんから、コメント・質問をいただきました。
「10/02/16 通りびと
低血糖と糖質制限
こんばんは
グルコーススパイクに関連し低血糖問題について質問させて下さい。
薬物服用およびインスリン注射の方には低血糖に注意すべく指導がありますが、高血糖200と低血糖40では、どちらがより危険で血管へのダメージが大きいしょうか。
私は後者かと考えるのです。
理由として、先生の著書からも人体システムは圧倒的に血糖上昇システムが多い。
低血糖では速攻的に危険になることがあるが、高血糖障害は遅効性。
健常人が血糖値50以下になることはほぼ無い。
そう考えると、僅かな膵臓への負担を差し引いても、やはり可能な限り糖質制限によってコントロールするのがいいのでしょうか。」
通りびとさん。
コメントありがとうございます。
仰有るとおり、一般的に低血糖のほうが危険です。短期的に死亡にいたるリスクが高まります。低血糖を繰り返すことで中長期的にも死亡のリスクが高まります。
薬物服用およびインスリン注射をしている糖尿人は、低血糖になりやすいです。薬物、インスリン注射がなければ、空腹時に長時間の運動とかしなければ、低血糖にはまずなりません。
高糖質食に比し、糖質制限食では膵臓β細胞への負担はぐんと減って膵臓は休養できます。
活動性の膵炎がなければ、糖質制限食は何の問題もありません。
薬物療法なしの糖質制限食であれば、低血糖の恐れもありませんし、食後高血糖もコントロールできます。
なお、糖尿病性ケトアシドーシスとか、高血糖で生命に危険が及ぶ病態もありますが、インスリンを勝手に中止とか感染とか清涼飲料水がぶ飲みとか特殊要因がからむことがほとんどで、発生はまれです。
低血糖の方は、薬物療法中の糖尿人では結構よくあるので、注意が必要です。
江部康二
2010年02月16日 (火)
おはようございます。
2010年2月28日(日)四谷ひろばでのリボーン糖質制限食講演会、補助席も満員となりました。
ありがとうございました。
以下はNPO法人糖質制限食ネット・リボーン事務局
曽我部ゆかりさんからのメッセージです。
☆☆☆☆☆
ドクター江部のブログ読者の皆様へ
リボーン曽我部ゆかりよりご案内
暦の上では春を迎えたとはいえ寒い日が続きます。
いかがお過ごしでしょうか。
さて、2月28日(日)に東京四谷で開催予定の『糖質制限食マスター講座』ですが、定員54名のお申し込みがいっぱいになったため、急遽72名までお席を増やすことにしましたが、それでももうお申し込みがオーバーし、現在キャンセル待ちで受付をお願いしている状況でございます。
そこで、また、講師の先生方のご都合もうかがい、数ヶ月以内に同じような形式で開催できたらと思っております。
また、リボーンの活動も細々ではありますが、江部先生や大柳先生の著書の反響も大きく、リボーンへの入会のお問い合わせも増えて参りました。
リボーンは、正式名称を『NPO法人糖質制限食ネット・リボーン』といい、糖質制限食の普及活動を目的とした団体です。昨年1月にNPO法人として認可を受けたばかりのホヤホヤの団体です。
おもに、講演会や勉強会、交流会などの開催と機関誌『Reborn』とニュースレターの発行などを行っております。皆様にご入会いただき、様々な活動を展開して行きたいと考えております。
今後も、年に何回かは、講演会や勉強会、交流会などを開催してまいります。
リボーン会員の方には、優先的にお知らせをしておりますし、参加費も会員割引が適用となりますので、よろしければご入会をご検討いただければと思います。以下に、詳細をおつけしますが、メールでお問い合わせいただけましたら、会の活動の詳細と入会の方法をメールにてお知らせいたしますので、気楽にお問い合わせください。
まだまだ寒い日が続くようです.お体を大切にお過ごしください。
2010年月2月16日
NPO法人糖質制限食ネット・リボーン 曽我部ゆかり
reborn@big.or.jp
NPO法人糖質制限食ネット・リボーン 入会のご案内
~薬に頼らない医療の実現を目指し「食」の根底を見直す~
リボーンは、『食事で治す』をキーワードに、糖尿病やアトピーなど生活習慣病全般の改善のために有効な糖質制限食とテーラーメイドダイエットの理論と実践法を、広く一般社会に普及してくため活動を開始いたしました(NPO法人として2009年1月7日に創立)。
薬に頼らない医療の実現を願い、私たちとともに、「食vの根底を見直していきませんか。多くの方々のご参加を心よりお待ちしております。
★理事長江部康二よりみなさまへ
「糖質制限食」の効果は、身体の代謝機能全般を改善するもので、糖尿病だけでなく、メタボリックシンドローム系の他の病気(肥満・高血圧・高コレステロール症・動脈硬化)、アレルギー疾患全般にも、効果があります。
一方、世界人口の食料事情を考慮すれば穀物も必要です。すでに糖尿病やメタボリックシンドロームになっている人は糖質制限食を、それ以外の人は未精製の穀物を主食とするなど、テーラーメードダイエットを提唱していきます。
趣旨にご賛同いただける方は是非、NPO法人糖質制限食ネット・リボーンにご参加ください。(漢方医、内科医、高雄病院理事長)
☆提携医療機関募集中!
糖質制限食にご理解のある医師、栄養士の方をはじめ、医療関係者との連携をお願いします。
椏チ典◇
●糖質制限食ネット・リボーンに入会された皆様には、以下のような特典をご用意しました。
(1)機関誌『Reborn』
糖質制限食の情報を満載した機関誌『Reborn』を年2~4回お届けします。
(2)ニュースレター
電子メールまたはダイレクトメールにて随時、講演会やセミナーのお
知らせを優先的にいたします。
(3)講演会
医師による一般の方向け講演会(年3回開催予定)の優先予約と割引
が受けられます。
(4)セミナー
医師によるより専門性を高めたセミナー(年2回開催予定)の優先予
約と割引が受けられます。
(5)勉強会
栄養士による勉強会の優先予約と割引が受けられまキ。
(6)料理教室
栄養士による勉強会の優先予約と割引が受けられます。
(6)交流会
会員どうしの交流会の優先予約と割引が受けられます。
(7)メール相談室
糖質制限食とテーラーメイドダイエットの相談をお受けします。
★入会の手続きに関するご案内
○個人・正会員 年会費5,000円
・賛助会員 年会費3,000円
(一般の方には賛助会員での入会をおすすめしています)
○団体・賛助会員 一口3万円以上
○寄付金は大歓迎です。
注:正会員は議決権があり、賛助会員はありませんが、特典は同じです。
一般の患者様には賛助会員をおすすめしております。
○郵便振替口座名称 リボーン 口座番号 00110-9-393366
郵便振替の通信欄に、お名前、生年月日、住所、電話、メールアドレスをご記入ください。☆会のプライバシーポリシーに基づき、個人情報は厳守いたします。☆機関誌『Reborn』の発送をもちまして、ご入会の手続きとさせていただきます。
特定非営利活動法人糖質制限食ネット・リボーン
事務局担当 曽我部 ゆかり
reborn@big.or.jp http://reborn.prj.cc/
2010年2月28日(日)四谷ひろばでのリボーン糖質制限食講演会、補助席も満員となりました。
ありがとうございました。
以下はNPO法人糖質制限食ネット・リボーン事務局
曽我部ゆかりさんからのメッセージです。
☆☆☆☆☆
ドクター江部のブログ読者の皆様へ
リボーン曽我部ゆかりよりご案内
暦の上では春を迎えたとはいえ寒い日が続きます。
いかがお過ごしでしょうか。
さて、2月28日(日)に東京四谷で開催予定の『糖質制限食マスター講座』ですが、定員54名のお申し込みがいっぱいになったため、急遽72名までお席を増やすことにしましたが、それでももうお申し込みがオーバーし、現在キャンセル待ちで受付をお願いしている状況でございます。
そこで、また、講師の先生方のご都合もうかがい、数ヶ月以内に同じような形式で開催できたらと思っております。
また、リボーンの活動も細々ではありますが、江部先生や大柳先生の著書の反響も大きく、リボーンへの入会のお問い合わせも増えて参りました。
リボーンは、正式名称を『NPO法人糖質制限食ネット・リボーン』といい、糖質制限食の普及活動を目的とした団体です。昨年1月にNPO法人として認可を受けたばかりのホヤホヤの団体です。
おもに、講演会や勉強会、交流会などの開催と機関誌『Reborn』とニュースレターの発行などを行っております。皆様にご入会いただき、様々な活動を展開して行きたいと考えております。
今後も、年に何回かは、講演会や勉強会、交流会などを開催してまいります。
リボーン会員の方には、優先的にお知らせをしておりますし、参加費も会員割引が適用となりますので、よろしければご入会をご検討いただければと思います。以下に、詳細をおつけしますが、メールでお問い合わせいただけましたら、会の活動の詳細と入会の方法をメールにてお知らせいたしますので、気楽にお問い合わせください。
まだまだ寒い日が続くようです.お体を大切にお過ごしください。
2010年月2月16日
NPO法人糖質制限食ネット・リボーン 曽我部ゆかり
reborn@big.or.jp
NPO法人糖質制限食ネット・リボーン 入会のご案内
~薬に頼らない医療の実現を目指し「食」の根底を見直す~
リボーンは、『食事で治す』をキーワードに、糖尿病やアトピーなど生活習慣病全般の改善のために有効な糖質制限食とテーラーメイドダイエットの理論と実践法を、広く一般社会に普及してくため活動を開始いたしました(NPO法人として2009年1月7日に創立)。
薬に頼らない医療の実現を願い、私たちとともに、「食vの根底を見直していきませんか。多くの方々のご参加を心よりお待ちしております。
★理事長江部康二よりみなさまへ
「糖質制限食」の効果は、身体の代謝機能全般を改善するもので、糖尿病だけでなく、メタボリックシンドローム系の他の病気(肥満・高血圧・高コレステロール症・動脈硬化)、アレルギー疾患全般にも、効果があります。
一方、世界人口の食料事情を考慮すれば穀物も必要です。すでに糖尿病やメタボリックシンドロームになっている人は糖質制限食を、それ以外の人は未精製の穀物を主食とするなど、テーラーメードダイエットを提唱していきます。
趣旨にご賛同いただける方は是非、NPO法人糖質制限食ネット・リボーンにご参加ください。(漢方医、内科医、高雄病院理事長)
☆提携医療機関募集中!
糖質制限食にご理解のある医師、栄養士の方をはじめ、医療関係者との連携をお願いします。
椏チ典◇
●糖質制限食ネット・リボーンに入会された皆様には、以下のような特典をご用意しました。
(1)機関誌『Reborn』
糖質制限食の情報を満載した機関誌『Reborn』を年2~4回お届けします。
(2)ニュースレター
電子メールまたはダイレクトメールにて随時、講演会やセミナーのお
知らせを優先的にいたします。
(3)講演会
医師による一般の方向け講演会(年3回開催予定)の優先予約と割引
が受けられます。
(4)セミナー
医師によるより専門性を高めたセミナー(年2回開催予定)の優先予
約と割引が受けられます。
(5)勉強会
栄養士による勉強会の優先予約と割引が受けられまキ。
(6)料理教室
栄養士による勉強会の優先予約と割引が受けられます。
(6)交流会
会員どうしの交流会の優先予約と割引が受けられます。
(7)メール相談室
糖質制限食とテーラーメイドダイエットの相談をお受けします。
★入会の手続きに関するご案内
○個人・正会員 年会費5,000円
・賛助会員 年会費3,000円
(一般の方には賛助会員での入会をおすすめしています)
○団体・賛助会員 一口3万円以上
○寄付金は大歓迎です。
注:正会員は議決権があり、賛助会員はありませんが、特典は同じです。
一般の患者様には賛助会員をおすすめしております。
○郵便振替口座名称 リボーン 口座番号 00110-9-393366
郵便振替の通信欄に、お名前、生年月日、住所、電話、メールアドレスをご記入ください。☆会のプライバシーポリシーに基づき、個人情報は厳守いたします。☆機関誌『Reborn』の発送をもちまして、ご入会の手続きとさせていただきます。
特定非営利活動法人糖質制限食ネット・リボーン
事務局担当 曽我部 ゆかり
reborn@big.or.jp http://reborn.prj.cc/
2010年02月16日 (火)
おはようございます。
さて今回は、グルコーススパイクと動脈硬化の関係について、みやしたさんから、コメント・質問をいただきました。
【10/02/09 みやした
質問
先生はじめまして。
最近になって先生の本を読ませていただいた者です。宮本先生のファンだったのが幸いしました。親子2代の糖尿病患者です。私は42歳になります。
さて、先生の本を読んで、糖質制限することの重要性を再確認することができました。ただ、その中で一点気になったことがありました。
「高血糖は血管を傷つける」とありますが、実際には血管の中でどのような現象がおこっているのでしょうか?
例えば動脈硬化の場合に「血液がどろどろになる」「血管が硬くなる」という表現がありますが、これは「傷つける」という表現とは違うイメージです。
ネットでも調べてみたところ、コンペイトウのような形をしたブドウ糖が血管を傷つける絵が載っているところもありましたが、実際にブドウ糖が尖った形をしていて物理的に血管を傷つけるという解釈でよろしいのでしょうか?
「グルコーススパイク」という言葉のインパクトが非常に強かったので、そこで起こっている現象を詳しく知りたいと思った次第です。
素人の質問ですが、お手数でしたらしかるべき文献やホームページ等でも教えていただければ幸いです。厚かましいお願いですが、何卒、お願いいたします。
(もし、本に書いてあったことを私が読み落としている場合は申し訳ありません)】
みやしたさん。
コメントありがとうございます。
空腹時血糖値と食後高血糖値の差、急激な血糖値の上昇をグルコーススパイクといい、大きいほど血管内皮に悪影響を与えます
食後高血糖(グルコーススパイク)が、心血管疾患の強力な危険因子であることは、多くの疫学的研究や動物実験で明らかにされています。
それでは、なぜ高血糖が、血管を傷害するのでしょう?
高血糖により、細胞傷害が生じる機序の中心は、酸化ストレス(*)の亢進です。
血管内皮機能にはいろんな因子が関わっていて、弛緩と収縮のバランスをとっています。高血糖があると、酸化ストレスが増大し、血管内皮機能の弛緩に関係する因子の働きが悪くなり、動脈硬化のリスクとなります。
また高血糖があると、糖と蛋白質の非酵素的な反応により、AGE(終末糖化産物)が形成されます。AGE(**)の蓄積は、血管内皮細胞障害を引き起こします。
さらに、高血糖により体に必要な蛋白質が変性し、活性酸素が産生されます。また、糖化により、活性酸素を除去するSODという酵素も変性してしまいます。
次いで興味深い話題ですが、間欠的な高血糖は、抗酸化システムの増強を妨げるとされ、血糖の上昇・下降を繰り返す血糖変動では、慢性的な高血糖より細胞傷害機序が強く働く可能性が指摘されています。特に急激な食後血糖値の上昇(グルコーススパイク)が最も危険と言われています。
このように、食後高血糖が、「酸化ストレスの増大、血管内皮機能障害、血液凝固線溶系や脂質代謝の障害、インスリン抵抗性増大、膵β細胞の機能低下」を生じ、これらの悪循環の結果として、動脈硬化の進展とプラーク(***)脆弱性を招くことが判明しつつあります。
そして、食後高血糖を生じるのは「糖質・脂質・タンパク質」のうち糖質だけなのです。
カロリー制限が主の現行の糖尿病食では、グルコーススパイクは決して防げません。糖尿人の皆さん、是非糖質制限食で身を守ってくださいね。
*酸化ストレス
酸化ストレスとは、「生体の酸化反応と抗酸化反応のバランスが崩れ、酸化反応が亢進した状態」のことで、当然生体にとって好ましくない現象です。
高血糖、喫煙、活性酸素などが、酸化ストレスを増加させると考えられます。
酸化ストレスは、細胞のDNA、細胞膜上のリン酸脂質、蛋白質、糖質を傷害し、血管傷害を進行させます。
**AGE
タンパク質と糖が結びついた物質で、Advanced Glycation End-productの頭文字をとってAGEと呼ばれます。日本語では終末糖化産物と訳されています。
過剰な血糖は、糖化反応により血管壁のコラーゲンなど様々なタンパク質に付着します。付着した糖は一部変性してアマドリ化合物(変性ブドウ糖)となります。
このアマドリ化合物と糖が結合しAGEができます。
AGEは、糖尿病合併症を引き起こす、重大な原因の1つです。
***プラーク
動脈硬化症の中で、最も頻度が高く重要な疾患が粥状硬化症です。
粥状硬化症の初期病変は限局性の内膜肥厚を示しますが、この肥厚性斑状病巣をプラークと呼びます。
加齢や病変の進行とともに動脈のプラークの数は増加し、さらにプラーク同士の融合も見られるようになります。
プラークの成分により
①線維性プラーク
②脂質に富むプラーク
③両者の中間型(中間型プラーク)
の3群に大別されます。
脂質に富み、且つ、破裂しやすいプラークは「不安定プラーク」と呼ばれています。
破裂の結果、不安定狭心症、急性心筋梗塞、虚血性突然死などの急性冠動脈症候群を発症するので「危険なプラーク」とされています。
江部康二
さて今回は、グルコーススパイクと動脈硬化の関係について、みやしたさんから、コメント・質問をいただきました。
【10/02/09 みやした
質問
先生はじめまして。
最近になって先生の本を読ませていただいた者です。宮本先生のファンだったのが幸いしました。親子2代の糖尿病患者です。私は42歳になります。
さて、先生の本を読んで、糖質制限することの重要性を再確認することができました。ただ、その中で一点気になったことがありました。
「高血糖は血管を傷つける」とありますが、実際には血管の中でどのような現象がおこっているのでしょうか?
例えば動脈硬化の場合に「血液がどろどろになる」「血管が硬くなる」という表現がありますが、これは「傷つける」という表現とは違うイメージです。
ネットでも調べてみたところ、コンペイトウのような形をしたブドウ糖が血管を傷つける絵が載っているところもありましたが、実際にブドウ糖が尖った形をしていて物理的に血管を傷つけるという解釈でよろしいのでしょうか?
「グルコーススパイク」という言葉のインパクトが非常に強かったので、そこで起こっている現象を詳しく知りたいと思った次第です。
素人の質問ですが、お手数でしたらしかるべき文献やホームページ等でも教えていただければ幸いです。厚かましいお願いですが、何卒、お願いいたします。
(もし、本に書いてあったことを私が読み落としている場合は申し訳ありません)】
みやしたさん。
コメントありがとうございます。
空腹時血糖値と食後高血糖値の差、急激な血糖値の上昇をグルコーススパイクといい、大きいほど血管内皮に悪影響を与えます
食後高血糖(グルコーススパイク)が、心血管疾患の強力な危険因子であることは、多くの疫学的研究や動物実験で明らかにされています。
それでは、なぜ高血糖が、血管を傷害するのでしょう?
高血糖により、細胞傷害が生じる機序の中心は、酸化ストレス(*)の亢進です。
血管内皮機能にはいろんな因子が関わっていて、弛緩と収縮のバランスをとっています。高血糖があると、酸化ストレスが増大し、血管内皮機能の弛緩に関係する因子の働きが悪くなり、動脈硬化のリスクとなります。
また高血糖があると、糖と蛋白質の非酵素的な反応により、AGE(終末糖化産物)が形成されます。AGE(**)の蓄積は、血管内皮細胞障害を引き起こします。
さらに、高血糖により体に必要な蛋白質が変性し、活性酸素が産生されます。また、糖化により、活性酸素を除去するSODという酵素も変性してしまいます。
次いで興味深い話題ですが、間欠的な高血糖は、抗酸化システムの増強を妨げるとされ、血糖の上昇・下降を繰り返す血糖変動では、慢性的な高血糖より細胞傷害機序が強く働く可能性が指摘されています。特に急激な食後血糖値の上昇(グルコーススパイク)が最も危険と言われています。
このように、食後高血糖が、「酸化ストレスの増大、血管内皮機能障害、血液凝固線溶系や脂質代謝の障害、インスリン抵抗性増大、膵β細胞の機能低下」を生じ、これらの悪循環の結果として、動脈硬化の進展とプラーク(***)脆弱性を招くことが判明しつつあります。
そして、食後高血糖を生じるのは「糖質・脂質・タンパク質」のうち糖質だけなのです。
カロリー制限が主の現行の糖尿病食では、グルコーススパイクは決して防げません。糖尿人の皆さん、是非糖質制限食で身を守ってくださいね。
*酸化ストレス
酸化ストレスとは、「生体の酸化反応と抗酸化反応のバランスが崩れ、酸化反応が亢進した状態」のことで、当然生体にとって好ましくない現象です。
高血糖、喫煙、活性酸素などが、酸化ストレスを増加させると考えられます。
酸化ストレスは、細胞のDNA、細胞膜上のリン酸脂質、蛋白質、糖質を傷害し、血管傷害を進行させます。
**AGE
タンパク質と糖が結びついた物質で、Advanced Glycation End-productの頭文字をとってAGEと呼ばれます。日本語では終末糖化産物と訳されています。
過剰な血糖は、糖化反応により血管壁のコラーゲンなど様々なタンパク質に付着します。付着した糖は一部変性してアマドリ化合物(変性ブドウ糖)となります。
このアマドリ化合物と糖が結合しAGEができます。
AGEは、糖尿病合併症を引き起こす、重大な原因の1つです。
***プラーク
動脈硬化症の中で、最も頻度が高く重要な疾患が粥状硬化症です。
粥状硬化症の初期病変は限局性の内膜肥厚を示しますが、この肥厚性斑状病巣をプラークと呼びます。
加齢や病変の進行とともに動脈のプラークの数は増加し、さらにプラーク同士の融合も見られるようになります。
プラークの成分により
①線維性プラーク
②脂質に富むプラーク
③両者の中間型(中間型プラーク)
の3群に大別されます。
脂質に富み、且つ、破裂しやすいプラークは「不安定プラーク」と呼ばれています。
破裂の結果、不安定狭心症、急性心筋梗塞、虚血性突然死などの急性冠動脈症候群を発症するので「危険なプラーク」とされています。
江部康二
2010年02月15日 (月)
こんばんは。
2010年02月12日 (金) のブログ
「糖質制限食と脂質の摂取量・続き」
に関して、一部訂正です。すいません。<(_ _)>
(**)最後の文章
「ともあれ、糖質制限食的には脂質摂取量125g/日までは全く問題ないというか推奨必要量ですね。 (^_^)
そして脂肪摂取が少なすぎるよりは、125gを超えたとしても平均寿命に関しては、はるかにましのようです。」
↓
<訂正>
柴田先生の資料では、脂肪供給量(消費量)125gまでは消費量が多くなるにつれて寿命が延びるという正の関係がありました。しかし、脂肪供給量(消費量)と実際の摂取量とは当然のことながら、異なっていました。
例えば日本の、脂肪供給量は2003年の国連食料農業機関(FAO)の報告では86.2g/日ですが、この年の日本の国民栄養調査では、54.0g/日です。つまり、豊かになった国では食料を廃棄する分が結構あるということですね。
ということは125gの供給量はあっても、摂取量はその6~8割くらいの可能性があります。国連食料農業機関(FAO)の資料には、摂取量のデータはありませんので推測するしかありません。
従いまして上述の文章を以下の如く訂正させていただきます。
訂正
「ともあれ、糖質制限食的には脂質摂取量80~100g/日くらいまではOKと思います。そして脂肪摂取が少なすぎるよりは、100gを超えたとしても平均寿命に関しては、はるかにましのようです。」
江部康二
☆☆☆
<2010年02月12日 (金) のブログ>
2月10日のブログで、糖質制限食は相対的に高脂質・高タンパク食になるけれど、従来の「脂質悪玉説」は否定されたので心配ないと述べました。
それでは、いったいどのくらいの脂質摂取が適量と言えるのでしょうか?
この問題、断定は当然なかなか難しいのですが、柴田博先生(*)の「ここがおかしい日本人の栄養の常識」(技術評論社 2007年)を読んでいて、いいヒントが見つかりました。
82・83ページに「脂肪摂取量が多いほど寿命が延びる」という記載があり、Sinettらの、世界137ヵ国の男性の脂肪消費量と平均寿命の関係をみたグラフ(**)が載っていました。1983年発表のデータです。
それによると、一人一日あたりの脂肪消費量が125gまでは、消費量が多くなるにつれて寿命が延びるという正の関係があります。
125gを超えるとほんの少し寿命が縮み始めますが、140gや180gの国々でも、55g以下の国々に比べれば、はるかに高い平均寿命となっています。
55g以下の国々の平均寿命は、55才を下回ることがほとんどです。
125gの国が75才でピークですが、180gの国の平均寿命は72才くらいあります。
柴田先生は、「脂肪の摂取不足が平均寿命を低くしている決定的要因である」と結論されています。
次にハワイの日系人のデータを提示されて、脂肪摂取量が40g/日未満になると、脳卒中死亡率と総死亡率が極めて高くなることを指摘されています。
さらに日本のデータでも、昭和30年代までは脳卒中が死亡原因の第一位でしたが、昭和40年(1965)頃から米の摂取量が減少し始め、肉や牛乳・乳製品が急速に増えていき脂肪摂取が増え、脳卒中による死亡が減り始めています。
脂肪の充分な摂取が脳卒中を減らし、総死亡率を減らすことは間違いないようです。
また、本ブログでもよく質問がありますが、
「高糖質食が糖尿病に良い。糖質制限食(高脂肪食)は糖尿病に良くない。」
と主張されている山梨医科大学名誉教授の佐藤彰夫先生のホームページがあります。
その佐藤先生が、根拠としてよく引用されているロンドンのヒムスワースの報告について、東北大学名誉教授、後藤由夫先生が、興味深い見解を述べておられます。
以下は「糖尿病メディカルネット」に記載されている後藤先生の文章からの引用です。
<後藤由夫 私の糖尿病50年 -糖尿病医療の歩み->
【43. 糖尿病の増減 http://dm-medical.net/14/000242.php 2. 脂肪摂取と糖尿病
ロンドンのHimsworth(1935、1949年)は各国の糖尿病の死亡率と国民の栄養素摂取量との関係が図2のように、脂肪の摂取量の多い国ほど糖尿病死亡率が高く、また炭水化物ではこれと対照的に摂取量の多い国ほど糖尿病が少ないという傾向がみられると報告した。この成績をもとにHimsworthは脂肪摂取が糖尿病の増加と関係すると結論した。筆者はこれに興味を抱き、追試して同様な成績を得たが、次に粗死亡率ではなく訂正死亡率について関係を求めた。その結果は図3のように相関関係は認められなかった。このことから、Himsworthがみていたのは脂肪摂取量の多い国は豊かで糖尿病罹病年齢まで生存するのに対し、経済的に遅れている国では脂肪摂取量が少なく、安価な炭水化物をエネルギー源として、しかも糖尿病罹病年齢まで生存する者は少なく、若年期に死亡する者が多いことをみているにすぎない、と理解された。このことから脂肪摂取が糖尿病の発症と関係するという説は否定された。動物に大量の脂肪を与える実験も行われたが、これによって糖尿病が現れたという報告もなかった。】
後藤先生は日本の糖尿病医療をずっとリードされてきた医師ですが、上述の如くヒムスワース(Himsworth)の誤解を明快に指摘しておられます。
すなわち、
「Himsworthがみていたのは脂肪摂取量の多い国は豊かで糖尿病罹病年齢まで生存するのに対し、経済的に遅れている国では脂肪摂取量が少なく、安価な炭水化物をエネルギー源として、しかも糖尿病罹病年齢まで生存する者は少なく、若年期に死亡する者が多いことをみているにすぎない。」
と明言され、脂肪摂取量が多い国のほうが長生きであることを指摘しておられます。
そして、
「脂肪の摂取量の多い国ほど糖尿病死亡率が高く、また炭水化物ではこれと対照的に摂取量の多い国ほど糖尿病が少ないという傾向がみられる」
というヒムスワースの報告を完全に否定しておられます。
ヒムスワースのような著明な医学者でも、誤解して後生に多大な悪影響を与えてしまったわけですから、疫学的研究の解釈は結構難しいですね。 (*_*)
(**)
ともあれ、糖質制限食的には脂質摂取量125g/日までは全く問題ないというか推奨必要量ですね。 (^_^)
そして脂肪摂取が少なすぎるよりは、125gを超えたとしても平均寿命に関しては、はるかにましのようです。
まあ身長や年齢で、あるていど差はあるかもしれませんが・・・
江部康二
(*)
柴田博(しばた・ひろし)先生
1937年北海道出身。北海道大学医学部卒業。医学博士。東京大学医学部第四内科、東京都老人医療センター、東京都老人総合研究所副所長を経て、2000年より桜美林大学大学院老年学教授。高齢者の寿命と高い生活水準、社会貢献を促すために、東京都、文部科学省、厚生労働省などの研究プロジェクトのリーダーを務めてきた。著書『8割以上の老人は自立している』(ビジネス社)、『肉食のすすめ』(経済界)、『元気に長生き元気に死のう』(保健同人社)など多数
(**)
下記は柴田先生のホームページのアドレスです。グラフをみることができます。
http://kumamoto.lin.gr.jp/shokuniku/eiyochisiki/nihon_ichi/index.html
2010年02月12日 (金) のブログ
「糖質制限食と脂質の摂取量・続き」
に関して、一部訂正です。すいません。<(_ _)>
(**)最後の文章
「ともあれ、糖質制限食的には脂質摂取量125g/日までは全く問題ないというか推奨必要量ですね。 (^_^)
そして脂肪摂取が少なすぎるよりは、125gを超えたとしても平均寿命に関しては、はるかにましのようです。」
↓
<訂正>
柴田先生の資料では、脂肪供給量(消費量)125gまでは消費量が多くなるにつれて寿命が延びるという正の関係がありました。しかし、脂肪供給量(消費量)と実際の摂取量とは当然のことながら、異なっていました。
例えば日本の、脂肪供給量は2003年の国連食料農業機関(FAO)の報告では86.2g/日ですが、この年の日本の国民栄養調査では、54.0g/日です。つまり、豊かになった国では食料を廃棄する分が結構あるということですね。
ということは125gの供給量はあっても、摂取量はその6~8割くらいの可能性があります。国連食料農業機関(FAO)の資料には、摂取量のデータはありませんので推測するしかありません。
従いまして上述の文章を以下の如く訂正させていただきます。
訂正
「ともあれ、糖質制限食的には脂質摂取量80~100g/日くらいまではOKと思います。そして脂肪摂取が少なすぎるよりは、100gを超えたとしても平均寿命に関しては、はるかにましのようです。」
江部康二
☆☆☆
<2010年02月12日 (金) のブログ>
2月10日のブログで、糖質制限食は相対的に高脂質・高タンパク食になるけれど、従来の「脂質悪玉説」は否定されたので心配ないと述べました。
それでは、いったいどのくらいの脂質摂取が適量と言えるのでしょうか?
この問題、断定は当然なかなか難しいのですが、柴田博先生(*)の「ここがおかしい日本人の栄養の常識」(技術評論社 2007年)を読んでいて、いいヒントが見つかりました。
82・83ページに「脂肪摂取量が多いほど寿命が延びる」という記載があり、Sinettらの、世界137ヵ国の男性の脂肪消費量と平均寿命の関係をみたグラフ(**)が載っていました。1983年発表のデータです。
それによると、一人一日あたりの脂肪消費量が125gまでは、消費量が多くなるにつれて寿命が延びるという正の関係があります。
125gを超えるとほんの少し寿命が縮み始めますが、140gや180gの国々でも、55g以下の国々に比べれば、はるかに高い平均寿命となっています。
55g以下の国々の平均寿命は、55才を下回ることがほとんどです。
125gの国が75才でピークですが、180gの国の平均寿命は72才くらいあります。
柴田先生は、「脂肪の摂取不足が平均寿命を低くしている決定的要因である」と結論されています。
次にハワイの日系人のデータを提示されて、脂肪摂取量が40g/日未満になると、脳卒中死亡率と総死亡率が極めて高くなることを指摘されています。
さらに日本のデータでも、昭和30年代までは脳卒中が死亡原因の第一位でしたが、昭和40年(1965)頃から米の摂取量が減少し始め、肉や牛乳・乳製品が急速に増えていき脂肪摂取が増え、脳卒中による死亡が減り始めています。
脂肪の充分な摂取が脳卒中を減らし、総死亡率を減らすことは間違いないようです。
また、本ブログでもよく質問がありますが、
「高糖質食が糖尿病に良い。糖質制限食(高脂肪食)は糖尿病に良くない。」
と主張されている山梨医科大学名誉教授の佐藤彰夫先生のホームページがあります。
その佐藤先生が、根拠としてよく引用されているロンドンのヒムスワースの報告について、東北大学名誉教授、後藤由夫先生が、興味深い見解を述べておられます。
以下は「糖尿病メディカルネット」に記載されている後藤先生の文章からの引用です。
<後藤由夫 私の糖尿病50年 -糖尿病医療の歩み->
【43. 糖尿病の増減 http://dm-medical.net/14/000242.php 2. 脂肪摂取と糖尿病
ロンドンのHimsworth(1935、1949年)は各国の糖尿病の死亡率と国民の栄養素摂取量との関係が図2のように、脂肪の摂取量の多い国ほど糖尿病死亡率が高く、また炭水化物ではこれと対照的に摂取量の多い国ほど糖尿病が少ないという傾向がみられると報告した。この成績をもとにHimsworthは脂肪摂取が糖尿病の増加と関係すると結論した。筆者はこれに興味を抱き、追試して同様な成績を得たが、次に粗死亡率ではなく訂正死亡率について関係を求めた。その結果は図3のように相関関係は認められなかった。このことから、Himsworthがみていたのは脂肪摂取量の多い国は豊かで糖尿病罹病年齢まで生存するのに対し、経済的に遅れている国では脂肪摂取量が少なく、安価な炭水化物をエネルギー源として、しかも糖尿病罹病年齢まで生存する者は少なく、若年期に死亡する者が多いことをみているにすぎない、と理解された。このことから脂肪摂取が糖尿病の発症と関係するという説は否定された。動物に大量の脂肪を与える実験も行われたが、これによって糖尿病が現れたという報告もなかった。】
後藤先生は日本の糖尿病医療をずっとリードされてきた医師ですが、上述の如くヒムスワース(Himsworth)の誤解を明快に指摘しておられます。
すなわち、
「Himsworthがみていたのは脂肪摂取量の多い国は豊かで糖尿病罹病年齢まで生存するのに対し、経済的に遅れている国では脂肪摂取量が少なく、安価な炭水化物をエネルギー源として、しかも糖尿病罹病年齢まで生存する者は少なく、若年期に死亡する者が多いことをみているにすぎない。」
と明言され、脂肪摂取量が多い国のほうが長生きであることを指摘しておられます。
そして、
「脂肪の摂取量の多い国ほど糖尿病死亡率が高く、また炭水化物ではこれと対照的に摂取量の多い国ほど糖尿病が少ないという傾向がみられる」
というヒムスワースの報告を完全に否定しておられます。
ヒムスワースのような著明な医学者でも、誤解して後生に多大な悪影響を与えてしまったわけですから、疫学的研究の解釈は結構難しいですね。 (*_*)
(**)
ともあれ、糖質制限食的には脂質摂取量125g/日までは全く問題ないというか推奨必要量ですね。 (^_^)
そして脂肪摂取が少なすぎるよりは、125gを超えたとしても平均寿命に関しては、はるかにましのようです。
まあ身長や年齢で、あるていど差はあるかもしれませんが・・・
江部康二
(*)
柴田博(しばた・ひろし)先生
1937年北海道出身。北海道大学医学部卒業。医学博士。東京大学医学部第四内科、東京都老人医療センター、東京都老人総合研究所副所長を経て、2000年より桜美林大学大学院老年学教授。高齢者の寿命と高い生活水準、社会貢献を促すために、東京都、文部科学省、厚生労働省などの研究プロジェクトのリーダーを務めてきた。著書『8割以上の老人は自立している』(ビジネス社)、『肉食のすすめ』(経済界)、『元気に長生き元気に死のう』(保健同人社)など多数
(**)
下記は柴田先生のホームページのアドレスです。グラフをみることができます。
http://kumamoto.lin.gr.jp/shokuniku/eiyochisiki/nihon_ichi/index.html
2010年02月15日 (月)
こんばんは。
通りすがりのSB&Wユーザさんから、また貴重な情報をコメントいただきました。
「通りすがりのSB&Wユーザー
ダイエット中でも安心なファストフードの食べ方 - 管理栄養士に聞く
http://journal.mycom.co.jp/news/2010/02/12/004/index.html」
マイコミジャーナルに、私の朋友でNPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事、管理栄養士の大柳珠美さんの、記事が載りました。通りすがりのSB&Wユーザさん、ありがとうございます。
友人といえどもいちいち見てチェックしているわけではないので大変助かります。
大柳さんは、糖質制限食スペシャリストの日本有数の管理栄養士です。
毎日、東京で糖尿人、メタボ人、機能性低血糖の患者さん・・・、多岐にわたる患者さんの糖質制限食指導をしておられます。
今回は糖質制限食でダイエットしている方々への貴重なアドバイスです。
以下マイコミジャーナルからの転載です。
☆☆☆
「ダイエットをしているときに、ファストフードを食べるなんて考えられない」と誰もが思うはず。だが、それも食べ方次第だという。どのようにすれば、安心してファストフードを楽しめるのか。管理栄養士の大柳珠美氏に聞いた。
1.「具」はがっつり食べてもOK
ファストフードでは、具はしっかり食べても問題はない。ホットドッグのソーセージはもちろん、ハンバーガーならダブルのビーフパテでもOKだ。ただ、レタスやトマト、チーズなどと一緒に具を味わうのはいいが、できればパンは残すべき。糖質が多いものを摂ると、肥満ホルモン・インスリンが出て、体脂肪の燃焼スイッチがクローズされてしまうからだ。また、砂糖やみりんたっぷりの照り焼きや、コロッケバーガーなどのフライものも避けた方が無難。
2.チキンをチョイスする
ダイエット中にファストフードを食べるときは、フライドチキンがおすすめ。とは言っても、小麦粉でつくられた衣は肥満ホルモン・インスリンを出し、体脂肪の燃焼を妨げるため、できるだけ衣を避けて食べるようにしたい。チキンナゲットは衣がはずしにくいが、せめて甘いバーベキューソースではなく、マスタードソースを選ぼう。もちろん、ソースをつけなければより安心だ。
3.サイドメニューの選び方
フライドポテトやタマネギのフライなどは糖質が多く、ダイエット中は避けたいサイドメニューの代表格。コーンサラダも糖質がたっぷりなので避けよう。サラダは、キャベツとマヨネーズのサラダ、コールスローやフレッシュな葉もののサラダがベスト。温泉卵や魚介のマリネなど、たんぱく質系の具が入ったものなら満足度もアップする。
4.ドリンク、スープは?
飲み物は、炭酸飲料や果物ジュース、カフェラテやシェイクなど、甘味料がたっぷり入ったものはNG。ブラックコーヒー、ストレートの紅茶、ウーロン茶など、糖類やエネルギーのないものを選ぼう。最近は、糖質もエネルギーもゼロの甘味料が販売されているので、スティックタイプのものをバッグに入れておけば安心して甘味をつけられる。糖質ゼロのコーラなどもおすすめ。スープは、コーンスープやクリームスープよりミネストローネの方が、糖質が比較的少なく無難だ。
5.自宅で食事の調整を
出先のちょっとした時間に利用するのに便利なファストフードだが、どんなに糖質の少ないものを選んでも、油やエネルギーを多めに摂ってしまいがちになるのも事実。そのため、前後の自宅での食事で調整するように気を配りたい。主食は徹底して抜く、魚メニューや大豆製品などのメニューを増やす、加工食品を減らすなどして、全体のバランスを調整していこう。
PROFILE : 大柳珠美(おおやなぎたまみ)
管理栄養士。NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事。明星大学人文学部卒業。二葉栄養専門学校卒業。都内の3つのクリニックで、糖尿病、機能性低血糖症、脂質代謝異常、肥満等、生活習慣病の治療、予防のための食事指導を担当。講演会、レシピ提案、監修等を通し、広く情報を発信。著書に『糖尿病のための糖質オフごちそうごはん』(アスペクト社)をはじめ、『糖質オフのおいしいお菓子とパン』(アスペクト社)、『満腹ダイエット』(プレジデント社)の監修等がある。
通りすがりのSB&Wユーザさんから、また貴重な情報をコメントいただきました。
「通りすがりのSB&Wユーザー
ダイエット中でも安心なファストフードの食べ方 - 管理栄養士に聞く
http://journal.mycom.co.jp/news/2010/02/12/004/index.html」
マイコミジャーナルに、私の朋友でNPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事、管理栄養士の大柳珠美さんの、記事が載りました。通りすがりのSB&Wユーザさん、ありがとうございます。
友人といえどもいちいち見てチェックしているわけではないので大変助かります。
大柳さんは、糖質制限食スペシャリストの日本有数の管理栄養士です。
毎日、東京で糖尿人、メタボ人、機能性低血糖の患者さん・・・、多岐にわたる患者さんの糖質制限食指導をしておられます。
今回は糖質制限食でダイエットしている方々への貴重なアドバイスです。
以下マイコミジャーナルからの転載です。
☆☆☆
「ダイエットをしているときに、ファストフードを食べるなんて考えられない」と誰もが思うはず。だが、それも食べ方次第だという。どのようにすれば、安心してファストフードを楽しめるのか。管理栄養士の大柳珠美氏に聞いた。
1.「具」はがっつり食べてもOK
ファストフードでは、具はしっかり食べても問題はない。ホットドッグのソーセージはもちろん、ハンバーガーならダブルのビーフパテでもOKだ。ただ、レタスやトマト、チーズなどと一緒に具を味わうのはいいが、できればパンは残すべき。糖質が多いものを摂ると、肥満ホルモン・インスリンが出て、体脂肪の燃焼スイッチがクローズされてしまうからだ。また、砂糖やみりんたっぷりの照り焼きや、コロッケバーガーなどのフライものも避けた方が無難。
2.チキンをチョイスする
ダイエット中にファストフードを食べるときは、フライドチキンがおすすめ。とは言っても、小麦粉でつくられた衣は肥満ホルモン・インスリンを出し、体脂肪の燃焼を妨げるため、できるだけ衣を避けて食べるようにしたい。チキンナゲットは衣がはずしにくいが、せめて甘いバーベキューソースではなく、マスタードソースを選ぼう。もちろん、ソースをつけなければより安心だ。
3.サイドメニューの選び方
フライドポテトやタマネギのフライなどは糖質が多く、ダイエット中は避けたいサイドメニューの代表格。コーンサラダも糖質がたっぷりなので避けよう。サラダは、キャベツとマヨネーズのサラダ、コールスローやフレッシュな葉もののサラダがベスト。温泉卵や魚介のマリネなど、たんぱく質系の具が入ったものなら満足度もアップする。
4.ドリンク、スープは?
飲み物は、炭酸飲料や果物ジュース、カフェラテやシェイクなど、甘味料がたっぷり入ったものはNG。ブラックコーヒー、ストレートの紅茶、ウーロン茶など、糖類やエネルギーのないものを選ぼう。最近は、糖質もエネルギーもゼロの甘味料が販売されているので、スティックタイプのものをバッグに入れておけば安心して甘味をつけられる。糖質ゼロのコーラなどもおすすめ。スープは、コーンスープやクリームスープよりミネストローネの方が、糖質が比較的少なく無難だ。
5.自宅で食事の調整を
出先のちょっとした時間に利用するのに便利なファストフードだが、どんなに糖質の少ないものを選んでも、油やエネルギーを多めに摂ってしまいがちになるのも事実。そのため、前後の自宅での食事で調整するように気を配りたい。主食は徹底して抜く、魚メニューや大豆製品などのメニューを増やす、加工食品を減らすなどして、全体のバランスを調整していこう。
PROFILE : 大柳珠美(おおやなぎたまみ)
管理栄養士。NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事。明星大学人文学部卒業。二葉栄養専門学校卒業。都内の3つのクリニックで、糖尿病、機能性低血糖症、脂質代謝異常、肥満等、生活習慣病の治療、予防のための食事指導を担当。講演会、レシピ提案、監修等を通し、広く情報を発信。著書に『糖尿病のための糖質オフごちそうごはん』(アスペクト社)をはじめ、『糖質オフのおいしいお菓子とパン』(アスペクト社)、『満腹ダイエット』(プレジデント社)の監修等がある。
2010年02月15日 (月)
こんにちは。
今回は、ココさんから「明治プロビオヨーグルトLG21砂糖 0 (ゼロ)」についてコメント・質問をいただきました。
「10/02/14 ココ
糖質制限食OK?でしょうか?
江部先生
こんばんわ。いつも貴重なお話しありがとうございます。糖質制限食約1年半のココです。
Ha1Cは5.2→4.7
空腹時血糖値は126→110位まで下がりました。
早朝空腹時血糖値が少々高めなのはすい臓がかなり疲労しているのでしょうか?
ただ、糖質制限食を続けていればインシュリンの基礎分泌は回復すると思っていて大丈夫でしょうか?
本題ですが、明治が発売していヨーグルトのLG21砂糖ゼロという商品ですが、糖質制限食的にはOKなのでしょうか?
成分は「生乳、乳製品、エリスリトール、ポリデキストロース、甘味料(スクラロース)」とのことです。
エネルギー 56kcal
たんぱく質 4.0g
脂質 1.6g
糖質 10.6g
食物繊維 0.9g
ナトリウム 56mg
カルシウム 135mg
ショ糖 0
となっております。
最近では日本酒・ビール・梅酒にいたるまで
糖質ゼロのものが発売されていて、本当に助かってます。」
ココさん。
コメント・情報ありがとうございます。
「空腹時血糖値は126→110mg」
現在境界型ですが、もうほんの一歩で、109mg/dlと正常範囲に入りますね。
糖質制限食を続けて、膵臓のβ細胞を休養させつつ、可能ならよく歩いて有酸素運動をしながら、筋肉を増やすと空腹時血糖値も低下しやすいですよ。
「明治プロビオヨーグルトLG21砂糖 0 (ゼロ)」
内容量 112g
種類別名称 はっ酵乳
無脂乳固形分 9.5%
乳脂肪分 1.4%
原材料名 生乳、乳製品、エリスリトール、ポリデキストロース、甘味料(スクラロース)
保存方法 10℃以下で保存ください
1個(112g)あたり
エネルギー 56kcal
たんぱく質 4.0g
脂質 1.6g
糖質 10.6g
食物繊維 0.9g
ナトリウム 56mg
カルシウム 135mg
ショ糖 0
問題となる糖質ですが、エネルギーを有して血糖値を上昇させるものが10.6g中に何gあるかを計算してみましょう。
糖質・タンパク質1g=4キロカロリー
脂質1g=9キロカロリー
1個(112g)あたりエネルギー 56kcal
タンパク質:4.0g×4キロカロリー=16キロカロリー
脂質:1.6g×9キロカロリー=14.4キロカロリー
合わせて30.4キロカロリー
56キロカロリー-30.4キロカロリー=15.6キロカロリー
15.6÷4=3.9g
3.9gが生乳にもともと含まれていた糖質で、血糖値を上昇させます。
1個(112g)食べて、3.9g×3mg=11.7mg血糖値を上昇させます。
10.6g-3.9g=6.7g
6.7gがエリスリトールとスクラロースの合計です。
これらは糖質に分類されますが、カロリーゼロで血糖値も上昇させません。
食物繊維0.9gはポリデキストロースの分で、カロリーゼロで血糖値も上げません。
結論です。
「明治プロビオヨーグルトLG21砂糖 0 (ゼロ)」は、 1個(112g)に、3.9gの血糖値を上昇させる性質の糖質が含まれています。100gあたりだと3.48gです。
厚生労働省の100gあたり5g以下という低糖質食材の基準を満たしています。1回に 1個(112g)食べても糖質制限食OK食品ですね。(^o^)v
江部康二
今回は、ココさんから「明治プロビオヨーグルトLG21砂糖 0 (ゼロ)」についてコメント・質問をいただきました。
「10/02/14 ココ
糖質制限食OK?でしょうか?
江部先生
こんばんわ。いつも貴重なお話しありがとうございます。糖質制限食約1年半のココです。
Ha1Cは5.2→4.7
空腹時血糖値は126→110位まで下がりました。
早朝空腹時血糖値が少々高めなのはすい臓がかなり疲労しているのでしょうか?
ただ、糖質制限食を続けていればインシュリンの基礎分泌は回復すると思っていて大丈夫でしょうか?
本題ですが、明治が発売していヨーグルトのLG21砂糖ゼロという商品ですが、糖質制限食的にはOKなのでしょうか?
成分は「生乳、乳製品、エリスリトール、ポリデキストロース、甘味料(スクラロース)」とのことです。
エネルギー 56kcal
たんぱく質 4.0g
脂質 1.6g
糖質 10.6g
食物繊維 0.9g
ナトリウム 56mg
カルシウム 135mg
ショ糖 0
となっております。
最近では日本酒・ビール・梅酒にいたるまで
糖質ゼロのものが発売されていて、本当に助かってます。」
ココさん。
コメント・情報ありがとうございます。
「空腹時血糖値は126→110mg」
現在境界型ですが、もうほんの一歩で、109mg/dlと正常範囲に入りますね。
糖質制限食を続けて、膵臓のβ細胞を休養させつつ、可能ならよく歩いて有酸素運動をしながら、筋肉を増やすと空腹時血糖値も低下しやすいですよ。
「明治プロビオヨーグルトLG21砂糖 0 (ゼロ)」
内容量 112g
種類別名称 はっ酵乳
無脂乳固形分 9.5%
乳脂肪分 1.4%
原材料名 生乳、乳製品、エリスリトール、ポリデキストロース、甘味料(スクラロース)
保存方法 10℃以下で保存ください
1個(112g)あたり
エネルギー 56kcal
たんぱく質 4.0g
脂質 1.6g
糖質 10.6g
食物繊維 0.9g
ナトリウム 56mg
カルシウム 135mg
ショ糖 0
問題となる糖質ですが、エネルギーを有して血糖値を上昇させるものが10.6g中に何gあるかを計算してみましょう。
糖質・タンパク質1g=4キロカロリー
脂質1g=9キロカロリー
1個(112g)あたりエネルギー 56kcal
タンパク質:4.0g×4キロカロリー=16キロカロリー
脂質:1.6g×9キロカロリー=14.4キロカロリー
合わせて30.4キロカロリー
56キロカロリー-30.4キロカロリー=15.6キロカロリー
15.6÷4=3.9g
3.9gが生乳にもともと含まれていた糖質で、血糖値を上昇させます。
1個(112g)食べて、3.9g×3mg=11.7mg血糖値を上昇させます。
10.6g-3.9g=6.7g
6.7gがエリスリトールとスクラロースの合計です。
これらは糖質に分類されますが、カロリーゼロで血糖値も上昇させません。
食物繊維0.9gはポリデキストロースの分で、カロリーゼロで血糖値も上げません。
結論です。
「明治プロビオヨーグルトLG21砂糖 0 (ゼロ)」は、 1個(112g)に、3.9gの血糖値を上昇させる性質の糖質が含まれています。100gあたりだと3.48gです。
厚生労働省の100gあたり5g以下という低糖質食材の基準を満たしています。1回に 1個(112g)食べても糖質制限食OK食品ですね。(^o^)v
江部康二
2010年02月14日 (日)
こんばんは。
さきほど、山形出張から帰京しました。
一面銀世界の蔵王温泉、氷点下7度の露天風呂、なかなかおつなものでしたよ。
さて、今回はゆうこさんから、DPP-4阻害剤について、コメント・質問をいただきました。
「10/02/06 ゆうこ
DPP-4阻害剤
先生、お世話になっております。
DPP-4阻害剤、興味があります。
現在、糖質を摂取するときだけ量に応じてベイスンのみかグルファストとベイスン併用で、普通の食事を普通の日と以上に摂取しても、食後1時間値が180を超えないですんでいます。(以前、そんなに薬が効く糖尿人は珍しい、と先生にコメント頂きましたが・・・)
このまま、この方法で続けるのと、DPP-4阻害剤 にトライしてみるのを迷うのですが、そこで質問です。
・現在、外食の際、ベイスン&グルファストを忘れそうになったり、そっと飲むタイミングが難しかったり、という事もあるので、例えば、“今日は夜外食をします!”という日だけ、DPP-4阻害剤を1回飲めば済み、同様の効果も期待できるのなら、そっちの方が楽な気がするのですが、そういう選択もアリなのでしょうか?
それとも、「DPP-4阻害剤は毎日服用しなければ効果がない」ものなのでしょうか?
・膵β細胞保護作用 というのは、この薬を飲まずにベイスン&グルファスト というよりもこの薬を飲むほうが β細胞にとって良いのでしょうか?
・DPP-4阻害剤は、必要な時に糖質の量に応じてインスリンを分泌させてくれる、つまり「一般人のメカニズムで」という理解でよいのかと思いますが、毎日DPP-4阻害剤を飲みさえすれば、糖尿人でも、普通の糖質ありの食事で問題ない、という事なのでしょうか?
・検索してみると、DPP-4阻害剤は「体重増加の心配がない」とありましたが、これは、「SU剤と違って、必要の無いときにインスリンを出させない」という事かと思うのですが、いくらDPP-4阻害剤を飲んでも、糖質をたくさん摂れば、インスリンが分泌されるので、やはり脂肪が蓄積しやすくなり、結局は動脈硬化などに繋がるのでは?という気がしますが・・・?
インスリン抵抗性が大きく、体重コントロールが必要な私のような場合、やはりインスリンの分泌は最小限がベストかと思うので、糖質制限食ベースにはなると思うのですが、その場合、従来のベイスン&グルファストなのか、DPP-4阻害剤なのか、迷うところです。
疑問だらけで申し訳ありません。
ちなみに、糖質制限食のおかげで、A1Cは3ヶ月で7.3→4.7に改善されましたが、空腹時は105から130の間で日によって変動があります。」
ゆうこさん。
コメントありがとうございます。HbA1cの改善、素晴らしいですね。(^-^)v(^-^)v
【・現在、外食の際、ベイスン&グルファストを忘れそうになったり、そっと飲むタイミングが難しかったり、という事もあるので、例えば、“今日は夜外食をします!”という日だけ、DPP-4阻害剤を1回飲めば済み、同様の効果も期待できるのなら、そっちの方が楽な気がするのですが、そういう選択もアリなのでしょうか? それとも、「DPP-4阻害剤は毎日服用しなければ効果がない」ものなのでしょうか?】
通常のカロリー制限食(高糖質食)なら、当然毎日内服が必要です。
しかし、糖質制限食なら、ゆうこさんの提案のように主食を食べざるを得ない日のみDPP-4阻害剤内服もありと思います。実際、それで実験してうまくいった糖尿人がすでにおられますよ。
【・膵β細胞保護作用 というのは、この薬を飲まずにベイスン&グルファスト というよりもこの薬を飲むほうが β細胞にとって良いのでしょうか? 】
膵β細胞保護作用は、マウスでは確認されていますが人間ではまだです。でも人間でも可能性はあると思います。
しかしこういう事情ですので、この質問への結論はでませんね。(∵)?
【・DPP-4阻害剤は、必要な時に糖質の量に応じてインスリンを分泌させてくれる、つまり「一般人のメカニズムで」という理解でよいのかと思いますが、毎日DPP-4阻害剤を飲みさえすれば、糖尿人でも、普通の糖質ありの食事で問題ない、という事なのでしょうか?】
それほどの力はありません。HbA1cを平均、約1%ていど改善させるていどの効能です。DPP-4阻害剤を飲んでいても、普通の糖質ありの食事では、簡単に食後180mg以上の高血糖を起こすと思います。
【・検索してみると、DPP-4阻害剤は「体重増加の心配がない」とありましたが、これは、「SU剤と違って、必要の無いときにインスリンを出させない」という事かと思うのですが、いくらDPP-4阻害剤を飲んでも、糖質をたくさん摂れば、インスリンが分泌されるので、やはり脂肪が蓄積しやすくなり、結局は動脈硬化などに繋がるのでは?という気がしますが・・・?】
その通りと私も思います。
【インスリン抵抗性が大きく、体重コントロールが必要な私のような場合、やはりインスリンの分泌は最小限がベストかと思うので、糖質制限食ベースにはなると思うのですが、その場合、従来のベイスン&グルファストなのか、DPP-4阻害剤なのか、迷うところです。】
現時点では、この問題には誰も結論はだせません。
ご自分のライフスタイルに合った方法を選択するというのもありますね。
江部康二
さきほど、山形出張から帰京しました。
一面銀世界の蔵王温泉、氷点下7度の露天風呂、なかなかおつなものでしたよ。
さて、今回はゆうこさんから、DPP-4阻害剤について、コメント・質問をいただきました。
「10/02/06 ゆうこ
DPP-4阻害剤
先生、お世話になっております。
DPP-4阻害剤、興味があります。
現在、糖質を摂取するときだけ量に応じてベイスンのみかグルファストとベイスン併用で、普通の食事を普通の日と以上に摂取しても、食後1時間値が180を超えないですんでいます。(以前、そんなに薬が効く糖尿人は珍しい、と先生にコメント頂きましたが・・・)
このまま、この方法で続けるのと、DPP-4阻害剤 にトライしてみるのを迷うのですが、そこで質問です。
・現在、外食の際、ベイスン&グルファストを忘れそうになったり、そっと飲むタイミングが難しかったり、という事もあるので、例えば、“今日は夜外食をします!”という日だけ、DPP-4阻害剤を1回飲めば済み、同様の効果も期待できるのなら、そっちの方が楽な気がするのですが、そういう選択もアリなのでしょうか?
それとも、「DPP-4阻害剤は毎日服用しなければ効果がない」ものなのでしょうか?
・膵β細胞保護作用 というのは、この薬を飲まずにベイスン&グルファスト というよりもこの薬を飲むほうが β細胞にとって良いのでしょうか?
・DPP-4阻害剤は、必要な時に糖質の量に応じてインスリンを分泌させてくれる、つまり「一般人のメカニズムで」という理解でよいのかと思いますが、毎日DPP-4阻害剤を飲みさえすれば、糖尿人でも、普通の糖質ありの食事で問題ない、という事なのでしょうか?
・検索してみると、DPP-4阻害剤は「体重増加の心配がない」とありましたが、これは、「SU剤と違って、必要の無いときにインスリンを出させない」という事かと思うのですが、いくらDPP-4阻害剤を飲んでも、糖質をたくさん摂れば、インスリンが分泌されるので、やはり脂肪が蓄積しやすくなり、結局は動脈硬化などに繋がるのでは?という気がしますが・・・?
インスリン抵抗性が大きく、体重コントロールが必要な私のような場合、やはりインスリンの分泌は最小限がベストかと思うので、糖質制限食ベースにはなると思うのですが、その場合、従来のベイスン&グルファストなのか、DPP-4阻害剤なのか、迷うところです。
疑問だらけで申し訳ありません。
ちなみに、糖質制限食のおかげで、A1Cは3ヶ月で7.3→4.7に改善されましたが、空腹時は105から130の間で日によって変動があります。」
ゆうこさん。
コメントありがとうございます。HbA1cの改善、素晴らしいですね。(^-^)v(^-^)v
【・現在、外食の際、ベイスン&グルファストを忘れそうになったり、そっと飲むタイミングが難しかったり、という事もあるので、例えば、“今日は夜外食をします!”という日だけ、DPP-4阻害剤を1回飲めば済み、同様の効果も期待できるのなら、そっちの方が楽な気がするのですが、そういう選択もアリなのでしょうか? それとも、「DPP-4阻害剤は毎日服用しなければ効果がない」ものなのでしょうか?】
通常のカロリー制限食(高糖質食)なら、当然毎日内服が必要です。
しかし、糖質制限食なら、ゆうこさんの提案のように主食を食べざるを得ない日のみDPP-4阻害剤内服もありと思います。実際、それで実験してうまくいった糖尿人がすでにおられますよ。
【・膵β細胞保護作用 というのは、この薬を飲まずにベイスン&グルファスト というよりもこの薬を飲むほうが β細胞にとって良いのでしょうか? 】
膵β細胞保護作用は、マウスでは確認されていますが人間ではまだです。でも人間でも可能性はあると思います。
しかしこういう事情ですので、この質問への結論はでませんね。(∵)?
【・DPP-4阻害剤は、必要な時に糖質の量に応じてインスリンを分泌させてくれる、つまり「一般人のメカニズムで」という理解でよいのかと思いますが、毎日DPP-4阻害剤を飲みさえすれば、糖尿人でも、普通の糖質ありの食事で問題ない、という事なのでしょうか?】
それほどの力はありません。HbA1cを平均、約1%ていど改善させるていどの効能です。DPP-4阻害剤を飲んでいても、普通の糖質ありの食事では、簡単に食後180mg以上の高血糖を起こすと思います。
【・検索してみると、DPP-4阻害剤は「体重増加の心配がない」とありましたが、これは、「SU剤と違って、必要の無いときにインスリンを出させない」という事かと思うのですが、いくらDPP-4阻害剤を飲んでも、糖質をたくさん摂れば、インスリンが分泌されるので、やはり脂肪が蓄積しやすくなり、結局は動脈硬化などに繋がるのでは?という気がしますが・・・?】
その通りと私も思います。
【インスリン抵抗性が大きく、体重コントロールが必要な私のような場合、やはりインスリンの分泌は最小限がベストかと思うので、糖質制限食ベースにはなると思うのですが、その場合、従来のベイスン&グルファストなのか、DPP-4阻害剤なのか、迷うところです。】
現時点では、この問題には誰も結論はだせません。
ご自分のライフスタイルに合った方法を選択するというのもありますね。
江部康二
2010年02月13日 (土)
おはようございます。
通りすがりのSB&Wユーザーさんから「MSN産経ニュース」の情報をいただきました。
ありがとうございます。
2010.2.11 09:21 MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/lifestyle/100211/sty1002110923002-n1.htm
「“鉄の女”が成功 卵ダイエット “糖質制限食”のお手本」
早速、覗いて見ました。
イギリスの首相時代の、サッチャーさんが、卵ダイエットで減量に成功したという記事です。
私の朋友、NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事、管理栄養士の大柳珠美さんがこの記事にコメントを述べておられます。
大柳さんによれば、サッチャー元首相の実践した卵ダイエットは、現在、高雄病院で推奨している「糖質制限食」の理論通りの方法で誠に理に適った減量法だったそうです。なるほど、大成功するわけですね。(⌒o⌒)v
江部康二
以下MSN産経ニュースからの転載です。
☆☆☆
2010.2.11 09:21 MSN産経ニュース
卵ダイエットに成功した1979(昭和54)年、サミット(主要国首脳会議)で、英国初の女性首相として来日したサッチャー元首相。腰や首がすっきりして見えるのは“卵ダイエット”の成果のようだ(左は大平正芳元首相) 英国のサッチャー元首相(84)が1979年の総選挙前、“鉄の意志”で9キロの減量に成功した2週間限定の卵ダイエット。そもそも卵はコレステロールが高く、大量摂取は健康に悪い印象を受けるが健全な減量に卵は有効なのか? 公表されたサッチャー元首相のダイエットメニューを専門家に検証してもらった。(小川真由美)
◆ステーキもOK
サッチャー財団が先月、ダイエットメニューを公表した。多い日は1日6個の卵を食べ、肉も週4日登場。減量中とは思えないメニューだが、管理栄養士の大柳珠美さんは「非常に理にかなったメニュー。“糖質制限食”の見本」と感心する。
血糖値が上がりインスリンが分泌されると脂肪より糖質を優先的にエネルギーとして消費するため、脂肪は落ちない。体内の脂肪を燃焼させるには、糖質をなるべくゼロにする。糖質を摂取しないと肝臓が自然にアミノ酸などからブドウ糖を作り出すが、このときも脂肪がエネルギーとして消費される。糖質をいかに抑えるかが減量の鍵というわけだ。
メニューを見ると、パンやパスタなど糖質を多く含む主食が極端に少ない。さらに間食禁止のため、クッキーやケーキなど菓子類もなし。卵や野菜にも糖質は含まれるが、このメニューではインスリンが分泌される量ではないという。
このため、高タンパクの卵と週4日の肉類は1日に必要なエネルギーを補充するために不可欠。糖質を制限しているため、ステーキを食べている間も体は脂肪を燃焼させているという。
さらに特徴的なのが食べ合わせだ。ホウレンソウなど青菜は糖質が低め。大根や白菜、キャベツなど白野菜は加熱すると食べすぎて糖質を多く摂取してしまう。ダイエット時は青菜をたっぷり、根菜類や白野菜はサラダなど生で食べる。
卵ダイエットに成功した1979(昭和54)年、サミット(主要国首脳会議)で、英国初の女性首相として来日したサッチャー元首相。腰や首がすっきりして見えるのは“卵ダイエット”の成果のようだ(左は大平正芳元首相) 果物は血糖値を上げずにすぐエネルギーになる。中でもグレープフルーツは糖分が少なくビタミンCが豊富なのでおすすめ。少し前にブームになったバナナはデンプンが多く、主食代わりになるので控えた方がよいという。アルコールはウイスキーや焼酎など血糖値を上げない蒸留酒。今なら糖質ゼロの発泡酒でも代用可能だ。
◆30年前の実践に脱帽
一方、卵は高コレステロールで食べ過ぎは体に良くない印象だ。だが、コレステロール自体、何も食べなくても肝臓で毎日つくられ、卵以外の脂肪や炭水化物の多い食品も体内でコレステロールに転換される。逆に、卵黄のレシチンには悪玉コレステロールを減らす働きもあり、脂質体質異常(高脂血症)の人など一部を除き、健康な人であれば多めに食べても問題ないという。焼いてもオムレツでもゆで卵でも調理方法は何でもよい。しかし、バターなどは使わないようにする。
大柳さんは「主食と甘いものを控えて糖質を抑え、おかずを楽しむ食生活が減量には最も効果的。30年も前に実践していたサッチャーさんはさすが」と感心していた。
通りすがりのSB&Wユーザーさんから「MSN産経ニュース」の情報をいただきました。
ありがとうございます。
2010.2.11 09:21 MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/lifestyle/100211/sty1002110923002-n1.htm
「“鉄の女”が成功 卵ダイエット “糖質制限食”のお手本」
早速、覗いて見ました。
イギリスの首相時代の、サッチャーさんが、卵ダイエットで減量に成功したという記事です。
私の朋友、NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事、管理栄養士の大柳珠美さんがこの記事にコメントを述べておられます。
大柳さんによれば、サッチャー元首相の実践した卵ダイエットは、現在、高雄病院で推奨している「糖質制限食」の理論通りの方法で誠に理に適った減量法だったそうです。なるほど、大成功するわけですね。(⌒o⌒)v
江部康二
以下MSN産経ニュースからの転載です。
☆☆☆
2010.2.11 09:21 MSN産経ニュース
卵ダイエットに成功した1979(昭和54)年、サミット(主要国首脳会議)で、英国初の女性首相として来日したサッチャー元首相。腰や首がすっきりして見えるのは“卵ダイエット”の成果のようだ(左は大平正芳元首相) 英国のサッチャー元首相(84)が1979年の総選挙前、“鉄の意志”で9キロの減量に成功した2週間限定の卵ダイエット。そもそも卵はコレステロールが高く、大量摂取は健康に悪い印象を受けるが健全な減量に卵は有効なのか? 公表されたサッチャー元首相のダイエットメニューを専門家に検証してもらった。(小川真由美)
◆ステーキもOK
サッチャー財団が先月、ダイエットメニューを公表した。多い日は1日6個の卵を食べ、肉も週4日登場。減量中とは思えないメニューだが、管理栄養士の大柳珠美さんは「非常に理にかなったメニュー。“糖質制限食”の見本」と感心する。
血糖値が上がりインスリンが分泌されると脂肪より糖質を優先的にエネルギーとして消費するため、脂肪は落ちない。体内の脂肪を燃焼させるには、糖質をなるべくゼロにする。糖質を摂取しないと肝臓が自然にアミノ酸などからブドウ糖を作り出すが、このときも脂肪がエネルギーとして消費される。糖質をいかに抑えるかが減量の鍵というわけだ。
メニューを見ると、パンやパスタなど糖質を多く含む主食が極端に少ない。さらに間食禁止のため、クッキーやケーキなど菓子類もなし。卵や野菜にも糖質は含まれるが、このメニューではインスリンが分泌される量ではないという。
このため、高タンパクの卵と週4日の肉類は1日に必要なエネルギーを補充するために不可欠。糖質を制限しているため、ステーキを食べている間も体は脂肪を燃焼させているという。
さらに特徴的なのが食べ合わせだ。ホウレンソウなど青菜は糖質が低め。大根や白菜、キャベツなど白野菜は加熱すると食べすぎて糖質を多く摂取してしまう。ダイエット時は青菜をたっぷり、根菜類や白野菜はサラダなど生で食べる。
卵ダイエットに成功した1979(昭和54)年、サミット(主要国首脳会議)で、英国初の女性首相として来日したサッチャー元首相。腰や首がすっきりして見えるのは“卵ダイエット”の成果のようだ(左は大平正芳元首相) 果物は血糖値を上げずにすぐエネルギーになる。中でもグレープフルーツは糖分が少なくビタミンCが豊富なのでおすすめ。少し前にブームになったバナナはデンプンが多く、主食代わりになるので控えた方がよいという。アルコールはウイスキーや焼酎など血糖値を上げない蒸留酒。今なら糖質ゼロの発泡酒でも代用可能だ。
◆30年前の実践に脱帽
一方、卵は高コレステロールで食べ過ぎは体に良くない印象だ。だが、コレステロール自体、何も食べなくても肝臓で毎日つくられ、卵以外の脂肪や炭水化物の多い食品も体内でコレステロールに転換される。逆に、卵黄のレシチンには悪玉コレステロールを減らす働きもあり、脂質体質異常(高脂血症)の人など一部を除き、健康な人であれば多めに食べても問題ないという。焼いてもオムレツでもゆで卵でも調理方法は何でもよい。しかし、バターなどは使わないようにする。
大柳さんは「主食と甘いものを控えて糖質を抑え、おかずを楽しむ食生活が減量には最も効果的。30年も前に実践していたサッチャーさんはさすが」と感心していた。
2010年02月12日 (金)
今度は東京・飯田橋での糖質制限食講演会のお知らせです。
以下は事務局からの広報です。
講演会「主食を抜けば糖尿病はよくなる」
現代病を治す糖質制限食
【日時】
3/13(土) pm 6:00~8:30
【プログラム】
pm6:00~7:00 「統合医療における糖質制限食の可能性」 小池弘人先生
現代医療と代替医療をあわせた統合医療への関心が高まっています。
そうした統合医療を紹介しながら、そこでの糖質制限食の様々な可能性を考えていきたいと思います。
pm7:00~8:30 「主食を抜けば糖尿病はよくなる」江部康二先生
糖尿病治療において、近年、大変注目されている糖質制限食ですが、実際にはどのように行えばよいのでしょうか。また、主食を抜いて体には安全なのでしょうか。様々な糖質制限食に関する疑問を、第一人者である江部康二先生に分かりやすく解説して頂きます。
【講師プロフィール】
小池弘人
1995年群馬大学医学部医学科卒業。2001年 群馬大学大学院医学研究科内科学系卒業(医学博士)。
2002~2004年、アリゾナ大学統合医療プログラムのアソシエイトフェローとして選出、統合医療の実践を研鑽。
2005年より東京女子医科大学附属青山女性・自然医療研究所クリニック医師として統合医療外来を担当。
2007年1月13日より小池統合医療クリニックを開設し現在に至る。
江部康二
高雄病院理事長。1950年 京都府生まれ。1974年 京都大学医学部卒業。
2002年に自らが糖尿病であることに気づいて以来、糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服する。
その後、高雄病院での数多くの臨床活動を通じて、糖尿病・肥満・メタボリック症候群などに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明。糖質制限食を始めて紹介した
『主食を抜けば糖尿病はよくなる!』はベストセラーとなり、全国で大反響を巻き起こした。
参加費:5000円(資料込)
会場:ベルサール飯田橋
http://www.f-academy.jp/upimage/bellesalleiidabashi.html
当日連絡先:0120-104-749(ファイナンシャルアカデミー コールセンター)
JR総武線 「飯田橋」駅 東口徒歩2分
有楽町線・南北線・都営大江戸線 「飯田橋」駅 A2出口徒歩2分
東西線 「飯田橋」駅 A5出口徒歩1分
お申し込み、お問い合わせ
小池統合医療クリニック 03-3357-0105 まで
http://www.koikeclinic.com/nr/
以下は事務局からの広報です。
講演会「主食を抜けば糖尿病はよくなる」
現代病を治す糖質制限食
【日時】
3/13(土) pm 6:00~8:30
【プログラム】
pm6:00~7:00 「統合医療における糖質制限食の可能性」 小池弘人先生
現代医療と代替医療をあわせた統合医療への関心が高まっています。
そうした統合医療を紹介しながら、そこでの糖質制限食の様々な可能性を考えていきたいと思います。
pm7:00~8:30 「主食を抜けば糖尿病はよくなる」江部康二先生
糖尿病治療において、近年、大変注目されている糖質制限食ですが、実際にはどのように行えばよいのでしょうか。また、主食を抜いて体には安全なのでしょうか。様々な糖質制限食に関する疑問を、第一人者である江部康二先生に分かりやすく解説して頂きます。
【講師プロフィール】
小池弘人
1995年群馬大学医学部医学科卒業。2001年 群馬大学大学院医学研究科内科学系卒業(医学博士)。
2002~2004年、アリゾナ大学統合医療プログラムのアソシエイトフェローとして選出、統合医療の実践を研鑽。
2005年より東京女子医科大学附属青山女性・自然医療研究所クリニック医師として統合医療外来を担当。
2007年1月13日より小池統合医療クリニックを開設し現在に至る。
江部康二
高雄病院理事長。1950年 京都府生まれ。1974年 京都大学医学部卒業。
2002年に自らが糖尿病であることに気づいて以来、糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服する。
その後、高雄病院での数多くの臨床活動を通じて、糖尿病・肥満・メタボリック症候群などに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明。糖質制限食を始めて紹介した
『主食を抜けば糖尿病はよくなる!』はベストセラーとなり、全国で大反響を巻き起こした。
参加費:5000円(資料込)
会場:ベルサール飯田橋
http://www.f-academy.jp/upimage/bellesalleiidabashi.html
当日連絡先:0120-104-749(ファイナンシャルアカデミー コールセンター)
JR総武線 「飯田橋」駅 東口徒歩2分
有楽町線・南北線・都営大江戸線 「飯田橋」駅 A2出口徒歩2分
東西線 「飯田橋」駅 A5出口徒歩1分
お申し込み、お問い合わせ
小池統合医療クリニック 03-3357-0105 まで
http://www.koikeclinic.com/nr/
2010年02月12日 (金)
こんにちは。
高糖質食と糖尿病について、小少佐さんから、コメント・質問をいただきました。
【10/02/12 小少佐
高糖質食と糖尿病
こんにちは
常々疑問に思っていることをお尋ねします(というか確認したいのです)。
佐藤先生の支持説「糖尿病には高糖質食」についてですが
その主旨は
・高糖質食であるから膵臓の働きがよくなり、糖尿が改善される。
・糖質(炭水化物)の少ない食事では、膵臓のはたらきが悪くなり、糖尿へ向かってしまう。
この2点であると理解しています。
そこで、江部先生にお尋ね確認したいことは
1 これまで高雄病院の糖尿患者さんの中で「明らかに低糖質(炭水化物)食事が原因」であった糖尿患者さんが存在したか
2 同じく、糖尿患者さんの中で、「明らかに高糖質食事によって糖尿改善がみられた(≒HbA1cの改善)」糖尿患者さんは存在したか
3 現代(これまで)の医学において、糖尿患者の糖質代謝を抜本的に治癒する(完治する)術は存在するか
以上3点についてです。よろしくお願いします。】
小少佐 さん。
【1 これまで高雄病院の糖尿患者さんの中で「明らかに低糖質(炭水化物)食事が原因」であった糖尿患者さんが存在したか】
おられません。
【2 同じく、糖尿患者さんの中で、「明らかに高糖質食事によって糖尿改善がみられた(≒HbA1cの改善)」糖尿患者さんは存在したか 】
高雄病院が玄米魚菜食一押しだったころは糖尿病食も高糖質食(玄米魚菜食)でした。それで当時、運動、カロリー制限の高糖質食でHbA1cが改善する人はおられました。
しかし、食後高血糖は、高糖質食では決して防げません。このことは、糖尿病の入院患者さん400人以上で確認済みです。
高糖質食による糖尿病治療に関しては、
『どのような治療(食事療法、SU剤、インスリン・・・)を行っても、2型糖尿病は進行性の膵β細胞障害があり、不治の病である。』
という恐るべき結論が、UKPDSという英国の2型糖尿病における過去世界最大の大規模疫学研究で1998年に示されました。
この結論は、食後高血糖をコントロールしない限り、正しいと言えます。このことは、世界中の糖尿病専門医や内科医師において、周知の事実です。UKPDSの報告以降、いかに食後高血糖を防ぐかに、医学界は腐心しています。
そして、食後高血糖を生じるのは糖質だけで、タンパク質・脂質は血糖値を上昇させません。
【3 現代(これまで)の医学において、糖尿患者の糖質代謝を抜本的に治癒する(完治する)術は存在するか】
存在しません。一時期待された膵頭移植も、5年後の定着率は、かなり悪いです。
しかし、2型糖尿人でも一定のインスリン分泌能力が残っているなら、糖質制限食を実践する限りは正常人です。一方、糖質を摂取すれば食後高血糖を生じる糖尿人です。
例えば、2型糖尿人である、江部康二は炊いた玄米や胚芽米を普通に一人前150g食べれば、食後血糖値は軽く200mgを超えます。
しかし、糖質の極めて少ないステーキ200gなど糖質制限食なら、食後血糖値が140mgを超えることはなく正常人です。
江部康二
高糖質食と糖尿病について、小少佐さんから、コメント・質問をいただきました。
【10/02/12 小少佐
高糖質食と糖尿病
こんにちは
常々疑問に思っていることをお尋ねします(というか確認したいのです)。
佐藤先生の支持説「糖尿病には高糖質食」についてですが
その主旨は
・高糖質食であるから膵臓の働きがよくなり、糖尿が改善される。
・糖質(炭水化物)の少ない食事では、膵臓のはたらきが悪くなり、糖尿へ向かってしまう。
この2点であると理解しています。
そこで、江部先生にお尋ね確認したいことは
1 これまで高雄病院の糖尿患者さんの中で「明らかに低糖質(炭水化物)食事が原因」であった糖尿患者さんが存在したか
2 同じく、糖尿患者さんの中で、「明らかに高糖質食事によって糖尿改善がみられた(≒HbA1cの改善)」糖尿患者さんは存在したか
3 現代(これまで)の医学において、糖尿患者の糖質代謝を抜本的に治癒する(完治する)術は存在するか
以上3点についてです。よろしくお願いします。】
小少佐 さん。
【1 これまで高雄病院の糖尿患者さんの中で「明らかに低糖質(炭水化物)食事が原因」であった糖尿患者さんが存在したか】
おられません。
【2 同じく、糖尿患者さんの中で、「明らかに高糖質食事によって糖尿改善がみられた(≒HbA1cの改善)」糖尿患者さんは存在したか 】
高雄病院が玄米魚菜食一押しだったころは糖尿病食も高糖質食(玄米魚菜食)でした。それで当時、運動、カロリー制限の高糖質食でHbA1cが改善する人はおられました。
しかし、食後高血糖は、高糖質食では決して防げません。このことは、糖尿病の入院患者さん400人以上で確認済みです。
高糖質食による糖尿病治療に関しては、
『どのような治療(食事療法、SU剤、インスリン・・・)を行っても、2型糖尿病は進行性の膵β細胞障害があり、不治の病である。』
という恐るべき結論が、UKPDSという英国の2型糖尿病における過去世界最大の大規模疫学研究で1998年に示されました。
この結論は、食後高血糖をコントロールしない限り、正しいと言えます。このことは、世界中の糖尿病専門医や内科医師において、周知の事実です。UKPDSの報告以降、いかに食後高血糖を防ぐかに、医学界は腐心しています。
そして、食後高血糖を生じるのは糖質だけで、タンパク質・脂質は血糖値を上昇させません。
【3 現代(これまで)の医学において、糖尿患者の糖質代謝を抜本的に治癒する(完治する)術は存在するか】
存在しません。一時期待された膵頭移植も、5年後の定着率は、かなり悪いです。
しかし、2型糖尿人でも一定のインスリン分泌能力が残っているなら、糖質制限食を実践する限りは正常人です。一方、糖質を摂取すれば食後高血糖を生じる糖尿人です。
例えば、2型糖尿人である、江部康二は炊いた玄米や胚芽米を普通に一人前150g食べれば、食後血糖値は軽く200mgを超えます。
しかし、糖質の極めて少ないステーキ200gなど糖質制限食なら、食後血糖値が140mgを超えることはなく正常人です。
江部康二
2010年02月12日 (金)
こんにちは。
今回は、なおタロー さんから、スタンダード糖質制限食などについてコメント・質問をいただきました。
「10/02/11 なおタロー
タイトルなし
はじめまして江部先生。先生の本を読み長年疑問だった血糖値とカロリーの事についてよく分かりました。有難うございます。早速ですが質問があります。私は31歳ですが食後2時間血糖が130台(数回はかり)と高く先生の本を読みスタンダード糖質制限食を始め2週間経ちますが逆に2時間後血糖が150台と上がってしましました。体重は3キロほどやせすでに痩せ型です。父が糖尿病ということもあり自分もなるのではと思い早い段階ですい臓に負担をかけない食事をと思い始めたのですが効果がイマイチです。期間が短いせいなのか、炭水化物で負担をかけていた時のほうが食後血糖が低いので納得できません。長い期間を考えた場合、先生の提唱するスーパー糖制限食がすい臓に負担を掛けないのか、それとも追加分泌の回数を減らす事により機能自体の低下が起こっているのか、それとも期間が短いため体がこのサイクルについてこれていないのかと疑問が出てきます。あとお酒は好きなので焼酎のお湯割りを良く飲みますが、すい臓の働きとお酒の関係はどうでしょうか?よく飲みすぎると急性膵炎になると聞いたもので。お忙しいと思いますがよろしくお願いします。」
なおタローさん。
血糖値を上昇させるのは糖質だけで、タンパク質・脂質は上昇させません。スタンダード糖質制限食なら、朝と夕は血糖値の上昇はほとんどないと思います。昼は主食(糖質)を摂取するので、当然食後血糖値は上昇します。
次に膵臓への負担ですが、人類400万年の歴史で、農耕前399万年間は狩猟・採集生活すなわち糖質制限食でした。農耕開始後、糖質を摂取して1日に何回も追加分泌インスリンが大量にでることは、膵臓にかつてない負担をかけています。
最後に糖質制限食では、アルコールは血糖値を上げないので蒸留酒OKです。ただ膵炎のほとんどは大酒のせいです。お酒の量は、自己管理でほどほどでお願いします。
江部康二
☆☆☆
【糖質制限食とは】
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わります。タンパク質・脂質は血糖に変わりません。 また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。これらは、含有エネルギーとは無関係な、三大栄養素の生理学的特質です。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。タンパク質は、ごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。そして食後高血糖を起こすのは三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても糖質含有量は1gもないので食後高血糖はほとんど生じないのです。 なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、
食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは、理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、
一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。なお、糖質制限食はカロリー無制限ということではありません。
一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
【『糖質制限食』の3パターン】
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。
*炭水化物=糖質+食物繊維
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」
「 糖質制限食 春のレシピ」
「 糖質制限食 夏のレシピ」
「糖質制限食 秋のレシピ」
「糖質制限食 冬のレシピ」
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」
(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)
『dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」
おいしい「糖質オフ」料理で楽しくやせる本 』(プレジデント社)
を参考にされ、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。なお、血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と活動性の膵炎がある場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は、相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
今回は、なおタロー さんから、スタンダード糖質制限食などについてコメント・質問をいただきました。
「10/02/11 なおタロー
タイトルなし
はじめまして江部先生。先生の本を読み長年疑問だった血糖値とカロリーの事についてよく分かりました。有難うございます。早速ですが質問があります。私は31歳ですが食後2時間血糖が130台(数回はかり)と高く先生の本を読みスタンダード糖質制限食を始め2週間経ちますが逆に2時間後血糖が150台と上がってしましました。体重は3キロほどやせすでに痩せ型です。父が糖尿病ということもあり自分もなるのではと思い早い段階ですい臓に負担をかけない食事をと思い始めたのですが効果がイマイチです。期間が短いせいなのか、炭水化物で負担をかけていた時のほうが食後血糖が低いので納得できません。長い期間を考えた場合、先生の提唱するスーパー糖制限食がすい臓に負担を掛けないのか、それとも追加分泌の回数を減らす事により機能自体の低下が起こっているのか、それとも期間が短いため体がこのサイクルについてこれていないのかと疑問が出てきます。あとお酒は好きなので焼酎のお湯割りを良く飲みますが、すい臓の働きとお酒の関係はどうでしょうか?よく飲みすぎると急性膵炎になると聞いたもので。お忙しいと思いますがよろしくお願いします。」
なおタローさん。
血糖値を上昇させるのは糖質だけで、タンパク質・脂質は上昇させません。スタンダード糖質制限食なら、朝と夕は血糖値の上昇はほとんどないと思います。昼は主食(糖質)を摂取するので、当然食後血糖値は上昇します。
次に膵臓への負担ですが、人類400万年の歴史で、農耕前399万年間は狩猟・採集生活すなわち糖質制限食でした。農耕開始後、糖質を摂取して1日に何回も追加分泌インスリンが大量にでることは、膵臓にかつてない負担をかけています。
最後に糖質制限食では、アルコールは血糖値を上げないので蒸留酒OKです。ただ膵炎のほとんどは大酒のせいです。お酒の量は、自己管理でほどほどでお願いします。
江部康二
☆☆☆
【糖質制限食とは】
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わります。タンパク質・脂質は血糖に変わりません。 また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。これらは、含有エネルギーとは無関係な、三大栄養素の生理学的特質です。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。タンパク質は、ごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。そして食後高血糖を起こすのは三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても糖質含有量は1gもないので食後高血糖はほとんど生じないのです。 なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、
食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは、理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、
一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。なお、糖質制限食はカロリー無制限ということではありません。
一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
【『糖質制限食』の3パターン】
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。
*炭水化物=糖質+食物繊維
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」
「 糖質制限食 春のレシピ」
「 糖質制限食 夏のレシピ」
「糖質制限食 秋のレシピ」
「糖質制限食 冬のレシピ」
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」
(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)
『dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」
おいしい「糖質オフ」料理で楽しくやせる本 』(プレジデント社)
を参考にされ、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。なお、血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と活動性の膵炎がある場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は、相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
2010年02月12日 (金)
おはようございます。
2月10日のブログで、糖質制限食は相対的に高脂質・高タンパク食になるけれど、従来の「脂質悪玉説」は否定されたので心配ないと述べました。
それでは、いったいどのくらいの脂質摂取が適量と言えるのでしょうか?
この問題、断定は当然なかなか難しいのですが、柴田博先生(*)の「ここがおかしい日本人の栄養の常識」(技術評論社 2007年)を読んでいて、いいヒントが見つかりました。
82・83ページに「脂肪摂取量が多いほど寿命が延びる」という記載があり、Sinettらの、世界137ヵ国の男性の脂肪消費量と平均寿命の関係をみたグラフ(**)が載っていました。1983年発表のデータです。
それによると、一人一日あたりの脂肪消費量が125gまでは、消費量が多くなるにつれて寿命が延びるという正の関係があります。
125gを超えるとほんの少し寿命が縮み始めますが、140gや180gの国々でも、55g以下の国々に比べれば、はるかに高い平均寿命となっています。
55g以下の国々の平均寿命は、55才を下回ることがほとんどです。
125gの国が75才でピークですが、180gの国の平均寿命は72才くらいあります。
柴田先生は、「脂肪の摂取不足が平均寿命を低くしている決定的要因である」と結論されています。
次にハワイの日系人のデータを提示されて、脂肪摂取量が40g/日未満になると、脳卒中死亡率と総死亡率が極めて高くなることを指摘されています。
さらに日本のデータでも、昭和30年代までは脳卒中が死亡原因の第一位でしたが、昭和40年(1965)頃から米の摂取量が減少し始め、肉や牛乳・乳製品が急速に増えていき脂肪摂取が増え、脳卒中による死亡が減り始めています。
脂肪の充分な摂取が脳卒中を減らし、総死亡率を減らすことは間違いないようです。
また、本ブログでもよく質問がありますが、
「高糖質食が糖尿病に良い。糖質制限食(高脂肪食)は糖尿病に良くない。」
と主張されている山梨医科大学名誉教授の佐藤彰夫先生のホームページがあります。
その佐藤先生が、根拠としてよく引用されているロンドンのヒムスワースの報告について、東北大学名誉教授、後藤由夫先生が、興味深い見解を述べておられます。
以下は「糖尿病メディカルネット」に記載されている後藤先生の文章からの引用です。
<後藤由夫 私の糖尿病50年 -糖尿病医療の歩み->
【43. 糖尿病の増減 http://dm-medical.net/14/000242.php 2. 脂肪摂取と糖尿病
ロンドンのHimsworth(1935、1949年)は各国の糖尿病の死亡率と国民の栄養素摂取量との関係が図2のように、脂肪の摂取量の多い国ほど糖尿病死亡率が高く、また炭水化物ではこれと対照的に摂取量の多い国ほど糖尿病が少ないという傾向がみられると報告した。この成績をもとにHimsworthは脂肪摂取が糖尿病の増加と関係すると結論した。筆者はこれに興味を抱き、追試して同様な成績を得たが、次に粗死亡率ではなく訂正死亡率について関係を求めた。その結果は図3のように相関関係は認められなかった。このことから、Himsworthがみていたのは脂肪摂取量の多い国は豊かで糖尿病罹病年齢まで生存するのに対し、経済的に遅れている国では脂肪摂取量が少なく、安価な炭水化物をエネルギー源として、しかも糖尿病罹病年齢まで生存する者は少なく、若年期に死亡する者が多いことをみているにすぎない、と理解された。このことから脂肪摂取が糖尿病の発症と関係するという説は否定された。動物に大量の脂肪を与える実験も行われたが、これによって糖尿病が現れたという報告もなかった。】
後藤先生は日本の糖尿病医療をずっとリードされてきた医師ですが、上述の如くヒムスワース(Himsworth)の誤解を明快に指摘しておられます。
すなわち、
「Himsworthがみていたのは脂肪摂取量の多い国は豊かで糖尿病罹病年齢まで生存するのに対し、経済的に遅れている国では脂肪摂取量が少なく、安価な炭水化物をエネルギー源として、しかも糖尿病罹病年齢まで生存する者は少なく、若年期に死亡する者が多いことをみているにすぎない。」
と明言され、脂肪摂取量が多い国のほうが長生きであることを指摘しておられます。
そして、
「脂肪の摂取量の多い国ほど糖尿病死亡率が高く、また炭水化物ではこれと対照的に摂取量の多い国ほど糖尿病が少ないという傾向がみられる」
というヒムスワースの報告を完全に否定しておられます。
ヒムスワースのような著明な医学者でも、誤解して後生に多大な悪影響を与えてしまったわけですから、疫学的研究の解釈は結構難しいですね。 (*_*)
ともあれ、糖質制限食的には脂質摂取量125g/日までは全く問題ないというか推奨必要量ですね。 (^_^)
そして脂肪摂取が少なすぎるよりは、125gを超えたとしても平均寿命に関しては、はるかにましのようです。
まあ身長や年齢で、あるていど差はあるかもしれませんが・・・
江部康二
(*)
柴田博(しばた・ひろし)先生
1937年北海道出身。北海道大学医学部卒業。医学博士。東京大学医学部第四内科、東京都老人医療センター、東京都老人総合研究所副所長を経て、2000年より桜美林大学大学院老年学教授。高齢者の寿命と高い生活水準、社会貢献を促すために、東京都、文部科学省、厚生労働省などの研究プロジェクトのリーダーを務めてきた。著書『8割以上の老人は自立している』(ビジネス社)、『肉食のすすめ』(経済界)、『元気に長生き元気に死のう』(保健同人社)など多数
(**)
下記は柴田先生のホームページのアドレスです。グラフをみることができます。
http://kumamoto.lin.gr.jp/shokuniku/eiyochisiki/nihon_ichi/index.html
2月10日のブログで、糖質制限食は相対的に高脂質・高タンパク食になるけれど、従来の「脂質悪玉説」は否定されたので心配ないと述べました。
それでは、いったいどのくらいの脂質摂取が適量と言えるのでしょうか?
この問題、断定は当然なかなか難しいのですが、柴田博先生(*)の「ここがおかしい日本人の栄養の常識」(技術評論社 2007年)を読んでいて、いいヒントが見つかりました。
82・83ページに「脂肪摂取量が多いほど寿命が延びる」という記載があり、Sinettらの、世界137ヵ国の男性の脂肪消費量と平均寿命の関係をみたグラフ(**)が載っていました。1983年発表のデータです。
それによると、一人一日あたりの脂肪消費量が125gまでは、消費量が多くなるにつれて寿命が延びるという正の関係があります。
125gを超えるとほんの少し寿命が縮み始めますが、140gや180gの国々でも、55g以下の国々に比べれば、はるかに高い平均寿命となっています。
55g以下の国々の平均寿命は、55才を下回ることがほとんどです。
125gの国が75才でピークですが、180gの国の平均寿命は72才くらいあります。
柴田先生は、「脂肪の摂取不足が平均寿命を低くしている決定的要因である」と結論されています。
次にハワイの日系人のデータを提示されて、脂肪摂取量が40g/日未満になると、脳卒中死亡率と総死亡率が極めて高くなることを指摘されています。
さらに日本のデータでも、昭和30年代までは脳卒中が死亡原因の第一位でしたが、昭和40年(1965)頃から米の摂取量が減少し始め、肉や牛乳・乳製品が急速に増えていき脂肪摂取が増え、脳卒中による死亡が減り始めています。
脂肪の充分な摂取が脳卒中を減らし、総死亡率を減らすことは間違いないようです。
また、本ブログでもよく質問がありますが、
「高糖質食が糖尿病に良い。糖質制限食(高脂肪食)は糖尿病に良くない。」
と主張されている山梨医科大学名誉教授の佐藤彰夫先生のホームページがあります。
その佐藤先生が、根拠としてよく引用されているロンドンのヒムスワースの報告について、東北大学名誉教授、後藤由夫先生が、興味深い見解を述べておられます。
以下は「糖尿病メディカルネット」に記載されている後藤先生の文章からの引用です。
<後藤由夫 私の糖尿病50年 -糖尿病医療の歩み->
【43. 糖尿病の増減 http://dm-medical.net/14/000242.php 2. 脂肪摂取と糖尿病
ロンドンのHimsworth(1935、1949年)は各国の糖尿病の死亡率と国民の栄養素摂取量との関係が図2のように、脂肪の摂取量の多い国ほど糖尿病死亡率が高く、また炭水化物ではこれと対照的に摂取量の多い国ほど糖尿病が少ないという傾向がみられると報告した。この成績をもとにHimsworthは脂肪摂取が糖尿病の増加と関係すると結論した。筆者はこれに興味を抱き、追試して同様な成績を得たが、次に粗死亡率ではなく訂正死亡率について関係を求めた。その結果は図3のように相関関係は認められなかった。このことから、Himsworthがみていたのは脂肪摂取量の多い国は豊かで糖尿病罹病年齢まで生存するのに対し、経済的に遅れている国では脂肪摂取量が少なく、安価な炭水化物をエネルギー源として、しかも糖尿病罹病年齢まで生存する者は少なく、若年期に死亡する者が多いことをみているにすぎない、と理解された。このことから脂肪摂取が糖尿病の発症と関係するという説は否定された。動物に大量の脂肪を与える実験も行われたが、これによって糖尿病が現れたという報告もなかった。】
後藤先生は日本の糖尿病医療をずっとリードされてきた医師ですが、上述の如くヒムスワース(Himsworth)の誤解を明快に指摘しておられます。
すなわち、
「Himsworthがみていたのは脂肪摂取量の多い国は豊かで糖尿病罹病年齢まで生存するのに対し、経済的に遅れている国では脂肪摂取量が少なく、安価な炭水化物をエネルギー源として、しかも糖尿病罹病年齢まで生存する者は少なく、若年期に死亡する者が多いことをみているにすぎない。」
と明言され、脂肪摂取量が多い国のほうが長生きであることを指摘しておられます。
そして、
「脂肪の摂取量の多い国ほど糖尿病死亡率が高く、また炭水化物ではこれと対照的に摂取量の多い国ほど糖尿病が少ないという傾向がみられる」
というヒムスワースの報告を完全に否定しておられます。
ヒムスワースのような著明な医学者でも、誤解して後生に多大な悪影響を与えてしまったわけですから、疫学的研究の解釈は結構難しいですね。 (*_*)
ともあれ、糖質制限食的には脂質摂取量125g/日までは全く問題ないというか推奨必要量ですね。 (^_^)
そして脂肪摂取が少なすぎるよりは、125gを超えたとしても平均寿命に関しては、はるかにましのようです。
まあ身長や年齢で、あるていど差はあるかもしれませんが・・・
江部康二
(*)
柴田博(しばた・ひろし)先生
1937年北海道出身。北海道大学医学部卒業。医学博士。東京大学医学部第四内科、東京都老人医療センター、東京都老人総合研究所副所長を経て、2000年より桜美林大学大学院老年学教授。高齢者の寿命と高い生活水準、社会貢献を促すために、東京都、文部科学省、厚生労働省などの研究プロジェクトのリーダーを務めてきた。著書『8割以上の老人は自立している』(ビジネス社)、『肉食のすすめ』(経済界)、『元気に長生き元気に死のう』(保健同人社)など多数
(**)
下記は柴田先生のホームページのアドレスです。グラフをみることができます。
http://kumamoto.lin.gr.jp/shokuniku/eiyochisiki/nihon_ichi/index.html
2010年02月11日 (木)
【コメント・質問に関するお知らせ・お願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、主治医にご相談頂けば助かります。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
また、各地の糖質制限食による糖尿病治療が可能な医院の情報は、ブログにリンクしてある「糖質制限食SNS 糖質制限ひろば」で公表してますので、そちらをご覧ください。
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」
「糖質制限食 春のレシピ」
「糖質制限食 夏のレシピ」
「糖質制限食 秋のレシピ」
「糖質制限食 冬のレシピ」
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」
(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)
『dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」
おいしい「糖質オフ」料理で楽しくやせる本 』(プレジデント社)
を参考にされ、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
なお、血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と活動性の膵炎がある場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
江部康二
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、主治医にご相談頂けば助かります。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
また、各地の糖質制限食による糖尿病治療が可能な医院の情報は、ブログにリンクしてある「糖質制限食SNS 糖質制限ひろば」で公表してますので、そちらをご覧ください。
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」
「糖質制限食 春のレシピ」
「糖質制限食 夏のレシピ」
「糖質制限食 秋のレシピ」
「糖質制限食 冬のレシピ」
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」
(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)
『dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」
おいしい「糖質オフ」料理で楽しくやせる本 』(プレジデント社)
を参考にされ、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
なお、血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と活動性の膵炎がある場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
江部康二
2010年02月10日 (水)
こんにちは。
糖質制限食を実践すれば、相対的に高脂質・高タンパク食になります。
例えば、スーパー糖質制限食なら総摂取カロリーに対する比率は、
「糖質12% 脂質56% タンパク質32% 」
です。
日本糖尿病学会推奨の従来の糖尿病食(高糖質食)は
「糖質60% 脂質20% タンパク質20%」
です。
仮に、男性糖尿人が、スーパー糖質制限食で1800キロカロリー/日摂取したら、112g/日の脂質摂取量となります。
同様に、糖尿病食(高糖質食)で1800キロカロリー/日、なら40g/日の脂質摂取量です。
スーパー糖質制限食は従来の糖尿病食に比べて、約3倍近い脂肪摂取量です。
「脂質を減らすのがヘルシー食で、心筋梗塞や大腸ガンや乳ガンも脂質の過剰摂取が主たる要因である。」という脂質悪玉説が長らく、欧米や日本で信じられてきました。
この説が正しければ、糖質制限食を実践すれば、脂質摂取過剰で、心筋梗塞や大腸ガンや乳ガンを発症するリスクが増えることになります。
しかし、私たちにとって幸いなことに、脂質悪玉説は米国の大きな疫学的研究により否定されました。(^_^)v
その根拠となる権威ある研究を2つ、ご紹介します。
<米国医師会雑誌2006年2月8日号>
米国の大規模介入試験において脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して意外なことに心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げないことが米国医師会雑誌2006年2月8日号で報告されました。
総コレステロール値に関しても、両群に優位な差はありませんでした。
この研究は、5万人弱の閉経女性を対象に対照群を置き、平均8年間にわたって追跡した大がかりなもので、所謂EBM(科学的根拠に基づいた医療)的にはトップランクに位置する権威あるものです。
権威ある研究により、従来の常識(脂肪悪玉説)が根底から覆ったわけですね。
<New England Journal of Medicine、2006年11月9日>
『米国の女性看護師82,802人を20年間追跡したところ、炭水化物が少なく脂肪とたんぱく質が多い食事でも、冠動脈疾患のリスクは上昇しなかった』
このような内容の研究が、New England Journal of Medicine、
2006年11月9日号にハーバード大学のグループにより報告されました。
今まで、 糖質制限食(即ち高脂肪・高タンパク食)の長期的な予後に関する本格的な研究がなかったのですが、とうとう出たという感じですね。
論文を要約すると
『1980年、米国の女性看護師82,802人に対して、質問票を使った食事調査を行い、研究を開始した。
1980年から1998年までのあいだに、2~4年間隔で食事調査を6回実施し、一人一人の低炭水化物食の度合を得点化。
2000年まで20年間の追跡調査を行ったところ、1994人が心筋梗塞などの冠動脈疾患に罹患した。
解析の結果、「低炭水化物食得点」が上位10%のグループの冠動脈疾患の発生率は、下位10%のグループの0.94倍で有意差なし。
つまり、脂肪とたんぱく質が多く炭水化物が少ない食事をしているグループでも、心臓病のリスクは上昇しなかった。
**Halton TL, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women. New England Journal of Medicine 2006;355:1991-2002.』
低炭水化物食(糖質制限食)を長期に続けた場合、心臓病リスクの上昇などの害が生じるのではないかという批判が、従来の医学界おいてありました。
今回の研究は、低炭水化物食の長期的な安全性を調べる目的で、20年間、82,802人の女性の分析が行われました。
その結果、少なくとも心臓病に関しては、高タンパク・高脂肪食の長期的安全性があるていど保証されたということになります。
上述の二つの論文により、「脂質悪玉説」は否定されて、糖質制限食が、長期的にも安全である可能性が高まりました。(^o^)v
さてそれではいったい、どのぐらいの脂質摂取が好ましいのでしょう。
続く。
江部康二
糖質制限食を実践すれば、相対的に高脂質・高タンパク食になります。
例えば、スーパー糖質制限食なら総摂取カロリーに対する比率は、
「糖質12% 脂質56% タンパク質32% 」
です。
日本糖尿病学会推奨の従来の糖尿病食(高糖質食)は
「糖質60% 脂質20% タンパク質20%」
です。
仮に、男性糖尿人が、スーパー糖質制限食で1800キロカロリー/日摂取したら、112g/日の脂質摂取量となります。
同様に、糖尿病食(高糖質食)で1800キロカロリー/日、なら40g/日の脂質摂取量です。
スーパー糖質制限食は従来の糖尿病食に比べて、約3倍近い脂肪摂取量です。
「脂質を減らすのがヘルシー食で、心筋梗塞や大腸ガンや乳ガンも脂質の過剰摂取が主たる要因である。」という脂質悪玉説が長らく、欧米や日本で信じられてきました。
この説が正しければ、糖質制限食を実践すれば、脂質摂取過剰で、心筋梗塞や大腸ガンや乳ガンを発症するリスクが増えることになります。
しかし、私たちにとって幸いなことに、脂質悪玉説は米国の大きな疫学的研究により否定されました。(^_^)v
その根拠となる権威ある研究を2つ、ご紹介します。
<米国医師会雑誌2006年2月8日号>
米国の大規模介入試験において脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して意外なことに心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げないことが米国医師会雑誌2006年2月8日号で報告されました。
総コレステロール値に関しても、両群に優位な差はありませんでした。
この研究は、5万人弱の閉経女性を対象に対照群を置き、平均8年間にわたって追跡した大がかりなもので、所謂EBM(科学的根拠に基づいた医療)的にはトップランクに位置する権威あるものです。
権威ある研究により、従来の常識(脂肪悪玉説)が根底から覆ったわけですね。
<New England Journal of Medicine、2006年11月9日>
『米国の女性看護師82,802人を20年間追跡したところ、炭水化物が少なく脂肪とたんぱく質が多い食事でも、冠動脈疾患のリスクは上昇しなかった』
このような内容の研究が、New England Journal of Medicine、
2006年11月9日号にハーバード大学のグループにより報告されました。
今まで、 糖質制限食(即ち高脂肪・高タンパク食)の長期的な予後に関する本格的な研究がなかったのですが、とうとう出たという感じですね。
論文を要約すると
『1980年、米国の女性看護師82,802人に対して、質問票を使った食事調査を行い、研究を開始した。
1980年から1998年までのあいだに、2~4年間隔で食事調査を6回実施し、一人一人の低炭水化物食の度合を得点化。
2000年まで20年間の追跡調査を行ったところ、1994人が心筋梗塞などの冠動脈疾患に罹患した。
解析の結果、「低炭水化物食得点」が上位10%のグループの冠動脈疾患の発生率は、下位10%のグループの0.94倍で有意差なし。
つまり、脂肪とたんぱく質が多く炭水化物が少ない食事をしているグループでも、心臓病のリスクは上昇しなかった。
**Halton TL, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women. New England Journal of Medicine 2006;355:1991-2002.』
低炭水化物食(糖質制限食)を長期に続けた場合、心臓病リスクの上昇などの害が生じるのではないかという批判が、従来の医学界おいてありました。
今回の研究は、低炭水化物食の長期的な安全性を調べる目的で、20年間、82,802人の女性の分析が行われました。
その結果、少なくとも心臓病に関しては、高タンパク・高脂肪食の長期的安全性があるていど保証されたということになります。
上述の二つの論文により、「脂質悪玉説」は否定されて、糖質制限食が、長期的にも安全である可能性が高まりました。(^o^)v
さてそれではいったい、どのぐらいの脂質摂取が好ましいのでしょう。
続く。
江部康二
2010年02月09日 (火)
おはようございます。
今日は比較的暖かいです。ほっと一息ですね。
さて今回は、
「アトキンス式ダイエット(低インスリンダイエット)と糖質制限食は同じなのか、違うのか?」
という質問をよく受けますので説明したいと思います。
「低炭水化物ダイエット」「ローカーボダイエット」という言葉も、アトキンス式ダイエット(低インスリンダイエット)と同じ意味で使用されています。
まずは言葉の定義からですが、「炭水化物=糖質+食物繊維」です。
食物繊維は、人体に吸収されず血糖値も上げません。即ち、血糖値を上昇させるのは糖質ですので、本ブログではもっぱら糖質を使用します。
糖質を摂取すると、消化管から吸収されたブドウ糖は、門脈血からまず肝臓に約50%取り込まれて、それ以外が血液の大循環に回ります。
また、糖質を摂食して血糖値が上昇すれば、正常人では速やかにインスリンが大量に追加分泌されます。肝臓に取り込まれなかったブドウ糖は、肝静脈から血中に入り、動脈血中に入ったブドウ糖は、インスリン追加分泌により骨格筋や脂肪細胞に取り込まれます。
肝に取り込まれたブドウ糖は、インスリンによりグリコーゲンとして蓄えられます。筋肉細胞などに取り込まれたブドウ糖は、エネルギー源として利用されたあとグリコーゲンとして蓄えられます。
しかし、余った血糖は中性脂肪に変えられ、脂肪組織(皮下脂肪と内臓脂肪)に貯蔵され肥満につながりますので、インスリンは、肥満ホルモンと呼ばれるわけです。
ここで大切なのは、血糖値を上昇させるのは、糖質・タンパク質・脂質の3大栄養素のうち、糖質だけという生理学的事実です。
糖質を摂取しなければ、血糖値は上昇せず、インスリンの分泌もごく少量ですむので、肥満もしません。ちなみに脂質はインスリンを分泌させません。タンパク質はごく少量のインスリを分泌させます。
この基本的な考えは、アトキンス式ダイエット(低インスリンダイエット)と高雄病院の糖質制限食の理論は同一であり、両者共に、糖尿病治療にもダイエットにも、著明な効果があります。
違う点で言うと、糖質制限食は、糖尿病治療のために考え出されたものです。現在まで高雄病院で450人以上の入院患者さん、1200人以上の外来患者さんのデータを検証し積み重ね、学術的な立場で糖質制限食の治療効果を確立させました。
従って、糖尿病患者さんと糖質制限食という観点においては、高雄病院には世界で最も多くのデータが揃っていると思います。
アトキンス式低炭水化物ダイエットは、文字通りダイエットを目的に考え出されたもので、外来通院患者さんのデータや、肥満改善のデータは豊富にありますが、高雄病院のように、糖尿病入院患者さんの詳細な学術的データはありません。
1999年に私の兄、江部洋一郎が高雄病院で初めて糖質制限食を開始した時は、「シュガーバスター」「砂糖病―甘い麻薬の正体」といった本や、探検家の植村直己さんのイヌイットの村での食生活体験記、愛媛の同級生釜池豊秋先生との会談・・・、などを参考にして出発したようです。
その後しばらくして、私が「アトキンス博士のローカーボダイエット」同朋舎 (2000/10)のことを知り、2002年頃に手に入れて読んでみました。
その結果、サプリメントや病原性イースト菌の話など、一部内容は、高雄病院の糖質制限食とは乖離していますが、基本線は同じであると思いましたし、参考にもなりました。米国で「Dr. Atkins Diet Revolution」の原本が出版されたのは1970年代初頭です。
さらに「バーンスタイン医師の糖尿病の解決」メディカル・トリビューン(2005/12)が出版され、こちらは著者が1型糖尿病ということもあり、糖尿病治療食としての糖質制限食という意味で、非常に参考になりました。
バーンスタイン医師は、1972年頃から糖質制限食を始められて、1999年に米国で原本を出版されています。
アトキンス医師とバーンスタイン医師は、米国の近年の糖質制限食(低糖質食)の先駆者といえます。
糖質制限食を実践していく中で、糖尿病のみならず、肥満、メタボリックシンドローム、脂質異常症、アレルギー疾患など、生活習慣病全般に効果があることがわかりました。
私自身、2002年の糖尿病発覚時には、メタボリック・シンドロームの基準をしっかり満たしていましたが、半年で10kg減量して、全ての検査データが正常となりました。それ以後2010年2月現在まで、スーパー糖質制限食を実践しています。
糖質制限食により、代謝全てが改善するので、人体の自然治癒力が高まると考えられます。また血糖値、脂質がコントロール良好となるので、血流が毛細血管にいたるまで改善すると考えられます。
江部康二
今日は比較的暖かいです。ほっと一息ですね。
さて今回は、
「アトキンス式ダイエット(低インスリンダイエット)と糖質制限食は同じなのか、違うのか?」
という質問をよく受けますので説明したいと思います。
「低炭水化物ダイエット」「ローカーボダイエット」という言葉も、アトキンス式ダイエット(低インスリンダイエット)と同じ意味で使用されています。
まずは言葉の定義からですが、「炭水化物=糖質+食物繊維」です。
食物繊維は、人体に吸収されず血糖値も上げません。即ち、血糖値を上昇させるのは糖質ですので、本ブログではもっぱら糖質を使用します。
糖質を摂取すると、消化管から吸収されたブドウ糖は、門脈血からまず肝臓に約50%取り込まれて、それ以外が血液の大循環に回ります。
また、糖質を摂食して血糖値が上昇すれば、正常人では速やかにインスリンが大量に追加分泌されます。肝臓に取り込まれなかったブドウ糖は、肝静脈から血中に入り、動脈血中に入ったブドウ糖は、インスリン追加分泌により骨格筋や脂肪細胞に取り込まれます。
肝に取り込まれたブドウ糖は、インスリンによりグリコーゲンとして蓄えられます。筋肉細胞などに取り込まれたブドウ糖は、エネルギー源として利用されたあとグリコーゲンとして蓄えられます。
しかし、余った血糖は中性脂肪に変えられ、脂肪組織(皮下脂肪と内臓脂肪)に貯蔵され肥満につながりますので、インスリンは、肥満ホルモンと呼ばれるわけです。
ここで大切なのは、血糖値を上昇させるのは、糖質・タンパク質・脂質の3大栄養素のうち、糖質だけという生理学的事実です。
糖質を摂取しなければ、血糖値は上昇せず、インスリンの分泌もごく少量ですむので、肥満もしません。ちなみに脂質はインスリンを分泌させません。タンパク質はごく少量のインスリを分泌させます。
この基本的な考えは、アトキンス式ダイエット(低インスリンダイエット)と高雄病院の糖質制限食の理論は同一であり、両者共に、糖尿病治療にもダイエットにも、著明な効果があります。
違う点で言うと、糖質制限食は、糖尿病治療のために考え出されたものです。現在まで高雄病院で450人以上の入院患者さん、1200人以上の外来患者さんのデータを検証し積み重ね、学術的な立場で糖質制限食の治療効果を確立させました。
従って、糖尿病患者さんと糖質制限食という観点においては、高雄病院には世界で最も多くのデータが揃っていると思います。
アトキンス式低炭水化物ダイエットは、文字通りダイエットを目的に考え出されたもので、外来通院患者さんのデータや、肥満改善のデータは豊富にありますが、高雄病院のように、糖尿病入院患者さんの詳細な学術的データはありません。
1999年に私の兄、江部洋一郎が高雄病院で初めて糖質制限食を開始した時は、「シュガーバスター」「砂糖病―甘い麻薬の正体」といった本や、探検家の植村直己さんのイヌイットの村での食生活体験記、愛媛の同級生釜池豊秋先生との会談・・・、などを参考にして出発したようです。
その後しばらくして、私が「アトキンス博士のローカーボダイエット」同朋舎 (2000/10)のことを知り、2002年頃に手に入れて読んでみました。
その結果、サプリメントや病原性イースト菌の話など、一部内容は、高雄病院の糖質制限食とは乖離していますが、基本線は同じであると思いましたし、参考にもなりました。米国で「Dr. Atkins Diet Revolution」の原本が出版されたのは1970年代初頭です。
さらに「バーンスタイン医師の糖尿病の解決」メディカル・トリビューン(2005/12)が出版され、こちらは著者が1型糖尿病ということもあり、糖尿病治療食としての糖質制限食という意味で、非常に参考になりました。
バーンスタイン医師は、1972年頃から糖質制限食を始められて、1999年に米国で原本を出版されています。
アトキンス医師とバーンスタイン医師は、米国の近年の糖質制限食(低糖質食)の先駆者といえます。
糖質制限食を実践していく中で、糖尿病のみならず、肥満、メタボリックシンドローム、脂質異常症、アレルギー疾患など、生活習慣病全般に効果があることがわかりました。
私自身、2002年の糖尿病発覚時には、メタボリック・シンドロームの基準をしっかり満たしていましたが、半年で10kg減量して、全ての検査データが正常となりました。それ以後2010年2月現在まで、スーパー糖質制限食を実践しています。
糖質制限食により、代謝全てが改善するので、人体の自然治癒力が高まると考えられます。また血糖値、脂質がコントロール良好となるので、血流が毛細血管にいたるまで改善すると考えられます。
江部康二
2010年02月08日 (月)
こんにちは。
今回は Gabiさんから、羅漢果とラカントSなどについて、コメント・質問を頂きました。
「10/02/04 Gabi
感謝方々
先の私の質問にもお答えいただいており、ありがとうございます!
さらに先生の宮本輝さんとの対談も購入してすぐ読みました。これで先生のすべての著作を拝読しました。実際に先生の著作を参考させていただいて、体質が一変(体重も20キロ削減)しましたので、自分の体でご説明を納得させていただいております。またぞろ質問は、本当に悪癖のみにて!
①先生と同じく糖質カットを主張される医師の著作で、羅漢果を絶対に使ってはいけない、と強く書かれておられる方が周知のようにおられますが、これはどうご評価されますか。実際に羅漢果エキスとかラカントSは炭水化物成分が多いので、もし摂取OKで体内に吸収されないなら、どんなメカニズムなのでしょう。先生の昔のブログを拝読させていただいてもよく理解できませんでした。特に釜池先生は黒酢など絶対ダメ(すぐ処分しなさい)と繰り返されておられます。これも疑問に思います。
②脂質摂取にはやはり限界があるとは思うのですが、その指標は何でしょうか。
③いわゆる低インシュリンダイエットと糖質カット療法の基本的差異はございますでしょうか。低インシュリン食の著作には胡椒を厳禁・タブーにしている本が多いですが、これは単純に胡椒が糖質が多いからでしょうか?
④おまけですが、台湾の仙草ゼリーは100グラム2グラムの糖質、ココナッツミルクも低糖質で、数字だけならとても抵糖質で美味しいスイーツになりますよ。いつも先生に大感謝です!」
Gabi さん。
コメント、そして全ての本をご購入いただきありがとうございます。
また20kgの体重減少も良かったですね。
「①先生と同じく糖質カットを主張される医師の著作で、羅漢果を絶対に使ってはいけない、と強く書かれておられる方が周知のようにおられますが、これはどうご評価されますか。実際に羅漢果エキスとかラカントSは炭水化物成分が多いので、もし摂取OKで体内に吸収されないなら、どんなメカニズムなのでしょう。先生の昔のブログを拝読させていただいてもよく理解できませんでした。特に釜池先生は黒酢など絶対ダメ(すぐ処分しなさい)と繰り返されておられます。これも疑問に思います。」
羅漢果は、中国広東省、広西チアン族自治区の高冷地に栽培されるウリ科の多年生草本です。中国の一部の地域でしか生育していない貴重な植物で、その果実は、砂糖の約300倍の甘さがあります。甘味が強いので、中国では古くから乾燥させて料理の調味料、甘味飲料の原料として使っていました。
近年の研究で、羅漢果の甘味成分はMongroside Vなどのククルビタン型トリテルペン配糖体であることがわかりました。トリテルペン配糖体は、小腸で吸収されることなく大腸まで達するため、食物繊維の一つに分類されます。
従って炭水化物ですが、血糖値を上昇させませんし、吸収されるカロリーはほぼゼロと考えてよいようです。
羅漢果の甘味成分には、トリテルペン配糖体以外にもほんの少量の果糖が加わっているそうです。果糖分のカロリーは、吸収されますがごく少量ですし、果糖は10%しかブドウ糖に変わらないので、血糖値はほとんど上昇させません。
通常販売している「羅漢果顆粒」は、顆粒状にして使い勝手を良くするために、甜菜糖が約2%含まれています。甜菜糖は、勿論吸収されて血糖値を上昇させます。
まあ、白菜や菜っぱにも天然のショ糖が少量は含まれていますので、羅漢果顆粒を甘味料として少量使う程度は、血糖値上昇に関しては許容範囲と思います。
釜池先生は、糖質ゼロを目指しておられますので、おそらく「羅漢果顆粒」に含まれる甜菜糖がNGなのだと思います。
ラカントSは、99%がエリスリトールで、1%が羅漢果顆粒です。エリスリトールは糖アルコールの一種で炭水化物であり、体内に吸収されますが全く利用されずにそのまま出て行きます。ラカントSはゼロカロリーで血糖値上昇もゼロで、糖尿病、メタボリックシンドローム、肥満症の方に適した特別用途食品の認定を受けています。
酢については、100g中に7gくらいの糖質なので、味付け程度に10gくらいなら、大丈夫です。
「②脂質摂取にはやはり限界があるとは思うのですが、その指標は何でしょうか。」
これは大きな問題なので、その内記事にします。
「③いわゆる低インシュリンダイエットと糖質カット療法の基本的差異はございますでしょうか。低インシュリン食の著作には胡椒を厳禁・タブーにしている本が多いですが、これは単純に胡椒が糖質が多いからでしょうか?」
低インスリンダイエットやアトキンスダイエットとの違いも、以前記事にしましたが、もう一度整理して記事にします。
胡椒は100g中に66.6gの糖質ですね。そのためでしょうね。
「④おまけですが、台湾の仙草ゼリーは100グラム2グラムの糖質、ココナッツミルクも低糖質で、数字だけならとても低糖質で美味しいスイーツになりますよ。」
ココナッツミルクは100g中5gの糖質で、牛乳やヨーグルトと一緒です。100gくらいならいけます。試してみたいですね。仙草ゼリー、お奨めのサイトはありますか?
江部康二
今回は Gabiさんから、羅漢果とラカントSなどについて、コメント・質問を頂きました。
「10/02/04 Gabi
感謝方々
先の私の質問にもお答えいただいており、ありがとうございます!
さらに先生の宮本輝さんとの対談も購入してすぐ読みました。これで先生のすべての著作を拝読しました。実際に先生の著作を参考させていただいて、体質が一変(体重も20キロ削減)しましたので、自分の体でご説明を納得させていただいております。またぞろ質問は、本当に悪癖のみにて!
①先生と同じく糖質カットを主張される医師の著作で、羅漢果を絶対に使ってはいけない、と強く書かれておられる方が周知のようにおられますが、これはどうご評価されますか。実際に羅漢果エキスとかラカントSは炭水化物成分が多いので、もし摂取OKで体内に吸収されないなら、どんなメカニズムなのでしょう。先生の昔のブログを拝読させていただいてもよく理解できませんでした。特に釜池先生は黒酢など絶対ダメ(すぐ処分しなさい)と繰り返されておられます。これも疑問に思います。
②脂質摂取にはやはり限界があるとは思うのですが、その指標は何でしょうか。
③いわゆる低インシュリンダイエットと糖質カット療法の基本的差異はございますでしょうか。低インシュリン食の著作には胡椒を厳禁・タブーにしている本が多いですが、これは単純に胡椒が糖質が多いからでしょうか?
④おまけですが、台湾の仙草ゼリーは100グラム2グラムの糖質、ココナッツミルクも低糖質で、数字だけならとても抵糖質で美味しいスイーツになりますよ。いつも先生に大感謝です!」
Gabi さん。
コメント、そして全ての本をご購入いただきありがとうございます。
また20kgの体重減少も良かったですね。
「①先生と同じく糖質カットを主張される医師の著作で、羅漢果を絶対に使ってはいけない、と強く書かれておられる方が周知のようにおられますが、これはどうご評価されますか。実際に羅漢果エキスとかラカントSは炭水化物成分が多いので、もし摂取OKで体内に吸収されないなら、どんなメカニズムなのでしょう。先生の昔のブログを拝読させていただいてもよく理解できませんでした。特に釜池先生は黒酢など絶対ダメ(すぐ処分しなさい)と繰り返されておられます。これも疑問に思います。」
羅漢果は、中国広東省、広西チアン族自治区の高冷地に栽培されるウリ科の多年生草本です。中国の一部の地域でしか生育していない貴重な植物で、その果実は、砂糖の約300倍の甘さがあります。甘味が強いので、中国では古くから乾燥させて料理の調味料、甘味飲料の原料として使っていました。
近年の研究で、羅漢果の甘味成分はMongroside Vなどのククルビタン型トリテルペン配糖体であることがわかりました。トリテルペン配糖体は、小腸で吸収されることなく大腸まで達するため、食物繊維の一つに分類されます。
従って炭水化物ですが、血糖値を上昇させませんし、吸収されるカロリーはほぼゼロと考えてよいようです。
羅漢果の甘味成分には、トリテルペン配糖体以外にもほんの少量の果糖が加わっているそうです。果糖分のカロリーは、吸収されますがごく少量ですし、果糖は10%しかブドウ糖に変わらないので、血糖値はほとんど上昇させません。
通常販売している「羅漢果顆粒」は、顆粒状にして使い勝手を良くするために、甜菜糖が約2%含まれています。甜菜糖は、勿論吸収されて血糖値を上昇させます。
まあ、白菜や菜っぱにも天然のショ糖が少量は含まれていますので、羅漢果顆粒を甘味料として少量使う程度は、血糖値上昇に関しては許容範囲と思います。
釜池先生は、糖質ゼロを目指しておられますので、おそらく「羅漢果顆粒」に含まれる甜菜糖がNGなのだと思います。
ラカントSは、99%がエリスリトールで、1%が羅漢果顆粒です。エリスリトールは糖アルコールの一種で炭水化物であり、体内に吸収されますが全く利用されずにそのまま出て行きます。ラカントSはゼロカロリーで血糖値上昇もゼロで、糖尿病、メタボリックシンドローム、肥満症の方に適した特別用途食品の認定を受けています。
酢については、100g中に7gくらいの糖質なので、味付け程度に10gくらいなら、大丈夫です。
「②脂質摂取にはやはり限界があるとは思うのですが、その指標は何でしょうか。」
これは大きな問題なので、その内記事にします。
「③いわゆる低インシュリンダイエットと糖質カット療法の基本的差異はございますでしょうか。低インシュリン食の著作には胡椒を厳禁・タブーにしている本が多いですが、これは単純に胡椒が糖質が多いからでしょうか?」
低インスリンダイエットやアトキンスダイエットとの違いも、以前記事にしましたが、もう一度整理して記事にします。
胡椒は100g中に66.6gの糖質ですね。そのためでしょうね。
「④おまけですが、台湾の仙草ゼリーは100グラム2グラムの糖質、ココナッツミルクも低糖質で、数字だけならとても低糖質で美味しいスイーツになりますよ。」
ココナッツミルクは100g中5gの糖質で、牛乳やヨーグルトと一緒です。100gくらいならいけます。試してみたいですね。仙草ゼリー、お奨めのサイトはありますか?
江部康二
2010年02月07日 (日)
●リボーン講演会
おはようございます。
昨日は朝から断続的に雪が降り続き、夜には道にも積もる状態になりました。今朝は、一面の銀世界で、京都市では今冬初でした。
さて、2010年2月28日(日)四谷・リボーン・糖質制限食講演会のご案内です。既に定員を超える申し込みがあったので、少しだけ定員を増やしたいと思います。
以下はリボーン事務局の曽我部ゆかりさんからのメッセージです。
☆☆☆☆☆
ドクター江部のブログ読者の皆様。
春も近づいてきましたね。いかがお過ごしでしょうか。
リボーン新春企画です。今回は、四谷の旧学校の教室に場所を変えました。時間もゆったりとれるので、楽しいお茶のひと時も皆さんで楽しみましょう。ご参加をお待ちしております。リボーン 曽我部ゆかり
●リボーン講演会
<新企画>スキルアップを目指す
第1回 糖質制限食マスター講座 基礎編
糖質制限食は、血糖値を上げないための唯一の食生活改善法です。
日々の食事に、あるいは臨床に、糖質制限食をどう活用していくか。
患者さんはもちろんのこと、医療従事者の方々にも、必聴の糖質制限食マスター講座を開講します。講師である医師と管理栄養士の二人が、それぞれの立場から糖質制限食の実践にアプローチします。貴重なデータに基づいた説得力のある理論を修得し、いますぐ日々の食事や臨床に応用してください。
秋には、応用編を開講する予定です。
■日時 2010年2月28日(日)
■講師 江部康二(内科医/高雄病院理事長/リボーン理事長)
大柳珠美(管理栄養士/リボーン理事)
■定員 限定54名(完全予約制)
■プログラム
12時開場受付
1部 12時30分~14時00分
ドクター江部の「現代病を治す糖質制限食」
講師 江部康二
2部 14時10分~15時10分
管理栄養士大柳の「糖質制限食実践講座」
講師 大柳珠美
(休憩約20分)
3部 15時30分~16時30
ティータイム(質疑応答&交流会)
お茶&おやつ(糖質制限食試食 大豆クッキー&ふすまパンなど)
■参加費
リボーン会員 2400円
リボーン会員ペア 3800円
一般 3000円
一般ペア 4800円
■会場 四谷ひろば B館 地域ひろば コミュニティ4
地下鉄丸ノ内線 四谷三丁目駅下車 徒歩5分
■四谷広場へのアクセス http://yotsuya-hiroba.jp
四谷消防署/消防博物館の出口を出て、新宿通を新宿方面へ。
JALシティホテルを越して、ラーメン屋の角を右折し直進。
右手の東京おもちゃ美術館(旧区立四谷第四小学校)のB館。
住所 東京都新宿区四谷4-20(旧区立四谷第四小学校)
■主催 NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
■申込
reborn@big.or.jp
03-3388-5428
(担当 曽我部ゆかり)
おはようございます。
昨日は朝から断続的に雪が降り続き、夜には道にも積もる状態になりました。今朝は、一面の銀世界で、京都市では今冬初でした。
さて、2010年2月28日(日)四谷・リボーン・糖質制限食講演会のご案内です。既に定員を超える申し込みがあったので、少しだけ定員を増やしたいと思います。
以下はリボーン事務局の曽我部ゆかりさんからのメッセージです。
☆☆☆☆☆
ドクター江部のブログ読者の皆様。
春も近づいてきましたね。いかがお過ごしでしょうか。
リボーン新春企画です。今回は、四谷の旧学校の教室に場所を変えました。時間もゆったりとれるので、楽しいお茶のひと時も皆さんで楽しみましょう。ご参加をお待ちしております。リボーン 曽我部ゆかり
●リボーン講演会
<新企画>スキルアップを目指す
第1回 糖質制限食マスター講座 基礎編
糖質制限食は、血糖値を上げないための唯一の食生活改善法です。
日々の食事に、あるいは臨床に、糖質制限食をどう活用していくか。
患者さんはもちろんのこと、医療従事者の方々にも、必聴の糖質制限食マスター講座を開講します。講師である医師と管理栄養士の二人が、それぞれの立場から糖質制限食の実践にアプローチします。貴重なデータに基づいた説得力のある理論を修得し、いますぐ日々の食事や臨床に応用してください。
秋には、応用編を開講する予定です。
■日時 2010年2月28日(日)
■講師 江部康二(内科医/高雄病院理事長/リボーン理事長)
大柳珠美(管理栄養士/リボーン理事)
■定員 限定54名(完全予約制)
■プログラム
12時開場受付
1部 12時30分~14時00分
ドクター江部の「現代病を治す糖質制限食」
講師 江部康二
2部 14時10分~15時10分
管理栄養士大柳の「糖質制限食実践講座」
講師 大柳珠美
(休憩約20分)
3部 15時30分~16時30
ティータイム(質疑応答&交流会)
お茶&おやつ(糖質制限食試食 大豆クッキー&ふすまパンなど)
■参加費
リボーン会員 2400円
リボーン会員ペア 3800円
一般 3000円
一般ペア 4800円
■会場 四谷ひろば B館 地域ひろば コミュニティ4
地下鉄丸ノ内線 四谷三丁目駅下車 徒歩5分
■四谷広場へのアクセス http://yotsuya-hiroba.jp
四谷消防署/消防博物館の出口を出て、新宿通を新宿方面へ。
JALシティホテルを越して、ラーメン屋の角を右折し直進。
右手の東京おもちゃ美術館(旧区立四谷第四小学校)のB館。
住所 東京都新宿区四谷4-20(旧区立四谷第四小学校)
■主催 NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
■申込
reborn@big.or.jp
03-3388-5428
(担当 曽我部ゆかり)
2010年02月05日 (金)
こんばんは。
今日もしっかり寒いです。
さて今回は、もかさんから、尿糖と血糖値、血糖値の変動に関してコメント質問をいただきました。
「10/02/04 もか
こんばんは
こんばんは
先生のブログ、あたたかいお返事が励みになっています。
お忙しいなか本当にありがとうございます。
また質問させて下さい。
一つ目は…
一回糖尿になると血糖値を低くおさえても
尿でしか糖を排出出来なくなってしまうのでしょうか?
二つ目は…
夕飯に水炊き(野菜・豆腐・蟹・鶏肉)を
お腹いっぱい食べました…
血糖値を測ってみたところ
食前 79
食後1時間 104
食後1時間半 108
30分エアロバイク
食後2時間 107
食後2時間半 100
全然血糖値が下がりません…
糖尿じゃない人は速やかに血糖が下がると聞きました…
これは糖尿型の血糖の変動なのでしょうか?
お時間のあるときに回答して頂ければ嬉しいです。
いつも本当に本当にありがとうございます。」
もかさん。
<一つ目>
個人差がありますが、血糖値が180mg/dlを超えると尿糖がでます。
糖尿人でも、血糖値が180mg未満なら尿糖は陰性となります。
例えば糖尿病で高雄病院に入院されて、
【入院時】
血糖値200~260mg/dl
尿糖20~30g/日
といった方でも、一日通して食前・食後血糖値が180mg/dlを超えなくなると、数日で尿糖陰性となります。一日蓄尿しても尿糖陰性となります。
<二つ目>
食前 79
食後1時間 104
食後1時間半 108
30分エアロバイク
食後2時間 107
食後2時間半 100
夕飯に水炊き(野菜・豆腐・蟹・鶏肉)。
スーパー糖質制限食なので、食後血糖値が少ししか上昇していません。そうすると追加分泌インスリンも少量なので、血糖値の変動が少ないのだと思います。また、全て正常範囲の血糖値です。
食後でなくて、空腹時換算でも正常範囲ですので心配要らないと思います。スーパー糖質制限食実践中の血糖値の変動はこのようにとても少なくなり、代謝の恒常性が保たれて好ましいわけです。
下記は29才糖尿人のカロリー制限糖尿病食(高糖質食)とスーパー糖質制限食の食前・食後の血糖値日内変動の比較です。
糖質を摂取すると巨大な血糖値の上昇(グルコーススパイク)が生じて、血糖値の恒常性がおおいに乱れていますが、スーパー糖質制限食だと、同じ1400kcalでも、もかさんの場合と同様に、血糖値の変動が極めて少なくて、恒常性が保たれているのがわかりますね。
入院2日目
<カロリー制限糖尿病食1400kcal >
朝食前 88mg/dl
朝食後2時間 321
昼食前 212
昼食後2時間 178
夕食前 88
夕食後2時間 261
午後10時 222
入院4日目
<スーパー糖質制限食1400kcal>
朝食前 64 mg/dl
朝食後2時間 87
昼食前 77
昼食後2時間 100
夕食前 80
夕食後2時間 106
午後10時 82
江部康二
今日もしっかり寒いです。
さて今回は、もかさんから、尿糖と血糖値、血糖値の変動に関してコメント質問をいただきました。
「10/02/04 もか
こんばんは
こんばんは
先生のブログ、あたたかいお返事が励みになっています。
お忙しいなか本当にありがとうございます。
また質問させて下さい。
一つ目は…
一回糖尿になると血糖値を低くおさえても
尿でしか糖を排出出来なくなってしまうのでしょうか?
二つ目は…
夕飯に水炊き(野菜・豆腐・蟹・鶏肉)を
お腹いっぱい食べました…
血糖値を測ってみたところ
食前 79
食後1時間 104
食後1時間半 108
30分エアロバイク
食後2時間 107
食後2時間半 100
全然血糖値が下がりません…
糖尿じゃない人は速やかに血糖が下がると聞きました…
これは糖尿型の血糖の変動なのでしょうか?
お時間のあるときに回答して頂ければ嬉しいです。
いつも本当に本当にありがとうございます。」
もかさん。
<一つ目>
個人差がありますが、血糖値が180mg/dlを超えると尿糖がでます。
糖尿人でも、血糖値が180mg未満なら尿糖は陰性となります。
例えば糖尿病で高雄病院に入院されて、
【入院時】
血糖値200~260mg/dl
尿糖20~30g/日
といった方でも、一日通して食前・食後血糖値が180mg/dlを超えなくなると、数日で尿糖陰性となります。一日蓄尿しても尿糖陰性となります。
<二つ目>
食前 79
食後1時間 104
食後1時間半 108
30分エアロバイク
食後2時間 107
食後2時間半 100
夕飯に水炊き(野菜・豆腐・蟹・鶏肉)。
スーパー糖質制限食なので、食後血糖値が少ししか上昇していません。そうすると追加分泌インスリンも少量なので、血糖値の変動が少ないのだと思います。また、全て正常範囲の血糖値です。
食後でなくて、空腹時換算でも正常範囲ですので心配要らないと思います。スーパー糖質制限食実践中の血糖値の変動はこのようにとても少なくなり、代謝の恒常性が保たれて好ましいわけです。
下記は29才糖尿人のカロリー制限糖尿病食(高糖質食)とスーパー糖質制限食の食前・食後の血糖値日内変動の比較です。
糖質を摂取すると巨大な血糖値の上昇(グルコーススパイク)が生じて、血糖値の恒常性がおおいに乱れていますが、スーパー糖質制限食だと、同じ1400kcalでも、もかさんの場合と同様に、血糖値の変動が極めて少なくて、恒常性が保たれているのがわかりますね。
入院2日目
<カロリー制限糖尿病食1400kcal >
朝食前 88mg/dl
朝食後2時間 321
昼食前 212
昼食後2時間 178
夕食前 88
夕食後2時間 261
午後10時 222
入院4日目
<スーパー糖質制限食1400kcal>
朝食前 64 mg/dl
朝食後2時間 87
昼食前 77
昼食後2時間 100
夕食前 80
夕食後2時間 106
午後10時 82
江部康二