2月28日(日)四谷・リボーン・糖質制限食講演会
●リボーン講演会

おはようございます。

2010年2月28日(日)四谷・リボーン・糖質制限食講演会のご案内です。

以下はリボーン事務局の曽我部ゆかりさんからのメッセージです。


☆☆☆☆☆

ドクター江部のブログ読者の皆様。

春も近づいてきましたね。いかがお過ごしでしょうか。
リボーン新春企画です。今回は、四谷の旧学校の教室に場所を変えました。時間もゆったりとれるので、楽しいお茶のひと時も皆さんで楽しみましょう。ご参加をお待ちしております。リボーン 曽我部ゆかり

●リボーン講演会
<新企画>スキルアップを目指す
     第1回 糖質制限食マスター講座 基礎編

糖質制限食は、血糖値を上げないための唯一の食生活改善法です。

 日々の食事に、あるいは臨床に、糖質制限食をどう活用していくか。
 患者さんはもちろんのこと、医療従事者の方々にも、必聴の糖質制限食マスター講座を開講します。講師である医師と管理栄養士の二人が、それぞれの立場から糖質制限食の実践にアプローチします。貴重なデータに基づいた説得力のある理論を修得し、いますぐ日々の食事や臨床に応用してください。
 秋には、応用編を開講する予定です。

■日時 2010年2月28日(日)

■講師 江部康二(内科医/高雄病院理事長/リボーン理事長)
    大柳珠美(管理栄養士/リボーン理事)

■定員 限定54名(完全予約制)

■プログラム
12時開場受付
1部 12時30分~14時00分 

    ドクター江部の「現代病を治す糖質制限食」

     講師 江部康二 


2部 14時10分~15時10分
    管理栄養士大柳の「糖質制限食実践講座」
     講師 大柳珠美 

    

   (休憩約20分)

3部  15時30分~16時30

    ティータイム(質疑応答&交流会)

     お茶&おやつ(糖質制限食試食 大豆クッキー&ふすまパンなど)

     
■参加費    

リボーン会員    2400円
リボーン会員ペア  3800円
一般        3000円
一般ペア      4800円

■会場 四谷ひろば B館 地域ひろば コミュニティ4
     地下鉄丸ノ内線 四谷三丁目駅下車 徒歩5分
   
■四谷広場へのアクセス http://yotsuya-hiroba.jp
    四谷消防署/消防博物館の出口を出て、新宿通を新宿方面へ。
    JALシティホテルを越して、ラーメン屋の角を右折し直進。
    右手の東京おもちゃ美術館(旧区立四谷第四小学校)のB館。

住所 東京都新宿区四谷4-20(旧区立四谷第四小学校)

 
■主催 NPO法人糖質制限食ネット・リボーン 

■申込 reborn@big.or.jp
    03-3388-5428 
   (担当 曽我部)
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
インフルエンザ
こんばんは。

2010年1月18日から24日まで、全国約5000カ所の医療機関から報告されたインフルエンザ患者は、1カ所当たり9.03人で、前週の8.13人より増加したことが、国立感染症研究所の定点調査で分かりました。

2009年12月以降、減り続けていましたが、8週ぶりに増加しました。1週間の推計患者数は約48万人で、昨夏以降の累積は推計約1971万人だそうです。

基本的に新型インフルエンザで、季節性インフルエンザは、全くといっていいほど、発生していません。季節性インフルエンザ新型インフルエンザに淘汰されたと考えられます。

再び、流行するのか、終熄していくのか気になるところですね。

調査では、若者での不顕性感染(感染しても発症しない)は、約3割とされています。そうすると日本全国で最低でも約2500万人以上の人が、若者を中心に、既に新型インフルエンザ感染した計算になります。

研究報告によれば、感染・発症の成立のしやすさは、60才以上は20~30才代と比べて5分の1以下になるということです。

実際に発症した人の年齢は、20才未満が約66%を占めています。20~30才代が、約24%くらいです。40代以上は残りの12%です。

このように考察してみると、あくまでも私見ですが、今後若者ではない年齢の人が新型インフルエンザに感染しても、
発症しないことがほとんどであり、流行が再燃する可能性はほとんどないと言えます。

また、40才以上の方々は既に新型インフルエンザに感染していたけれど、不顕性感染で、けろっとしていたというケースも結構あったと思います。

例えば、子供が罹ったけれど、両親や祖父母はどうもなかったとか、児童が多数発症して学級閉鎖になったけど、40才以上の先生はどうもなかったとか・・・

結論です。

基礎疾患がある人だけは注意が必要ですが、そうでない人は、今年は今後のインフルエンザ発症の心配は、例年に比べればかなり少なくてすむと思います。

江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
脂肪摂取量が多いほど寿命が延びる
こんばんは。

糖質制限食だと相対的に高脂肪・高タンパク食になります。

過去の常識では、高脂肪食は良くないとされてきましたが、私はこのブログで、これまで幾度となく

「従来の脂肪悪玉説は間違いである」

ことを検証してきました。

最近、柴田博先生(桜美林大学大学院老年学教授)の

「ここがおかしい!?日本人の栄養の常識」技術評論社 2007

を読む機会がありました。

その本に「脂肪摂取量が多いほど寿命が延びる」という記載があり、Sinettらの、世界137ヵ国の脂肪消費量と平均寿命の関係をみたデータが載っていました。

それによると、一人一日あたりの脂肪消費量が125gまでは、消費量が多くなるにつれて寿命が延びるという正の関係があります。

125gを超えると少し寿命が縮み始めますが、140gの国々でも55g以下の国々に比べれば、はるかに高い平均寿命となっています。

柴田先生は「脂肪の摂取不足が平均寿命を低くしている決定的要因である」と結論されています。

次にハワイの日系人のデータを提示されて、脂肪摂取量が40g/日未満になると、脳卒中死亡率と総死亡率が極めて高くなることを指摘されています。

さらに日本のデータでも、昭和30年代までは脳卒中が死亡原因の第一位でしたが、昭和40年(1965)頃から米の摂取量が減少し始め、肉や牛乳・乳製品が急速に増えていき脂肪摂取が増え、脳卒中による死亡が減り始めています。

脂肪の充分な摂取が少なくとも脳卒中を減らし、総死亡率を減らすことは間違いないようですね。

江部康二


テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
世界ガン研究基金の2007年の報告
おはようございます。

世界ガン研究基金の2007年の報告、いろんな日本語のサイトで要約は載っているのですが、肥満とガンに関して、内容が微妙に食い違っていて、どう解釈したものか悩んでましたがやっと英文の本家のサイトにたどり着きました。

World cancer reserch fund
http://www.wcrf-uk.org/preventing_cancer/recommendations.php

このサイトで、必要な確認だけして、内容を検討してみました。


まずは、ウィキペディアの解説です。よくまとまっているので、以下に引用しました。

【食生活指針
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A3%9F%E7%94%9F%E6%B4%BB%E6%8C%87%E9%87%9D

世界がん研究基金によるがん予防の勧告
1997年に4500以上の研究を研究を元に、「食べもの、栄養とがん予防」 (Food, Nutrition, and the Prevention of Cancer: A Global Perspective) が報告された。日本では、がん予防14か条、タバコの制限を加えてがん予防15か条として紹介された。

2007年11月1日、世界がん研究基金とアメリカがん研究協会によって7000以上の研究を根拠に「食べもの、栄養、運動とがん予防[15]」が報告されている。

①肥満 ゴール:BMIは21-23の範囲に。 推薦:標準体重の維持、BMI25未満。

②運動 推薦:毎日少なくとも30分の運動。

③体重を増やす飲食物 推薦:高エネルギーの食べものや砂糖入り飲料やフルーツジュース、ファーストフードの摂取を制限する。飲料として水や茶や無糖コーヒーが推奨される。

④植物性食品 ゴール:毎日少なくとも600gの野菜や果物と、少なくとも25グラムの食物繊維を摂取するための精白されていない穀物である全粒穀物と豆を食べる。 推奨:毎日400g以上の野菜や果物と、全粒穀物と豆を食べる。精白された穀物などを制限する。
トランス脂肪酸は心臓病のリスクとなるが、がんへの関与は知られていない。

⑤動物性食品 赤肉(牛・豚・羊)を制限し、加工肉(ハム、ベーコン、サラミ、燻製肉、熟成肉、塩蔵肉)は避ける。赤肉より、鶏肉や魚が推奨される。 ゴール:赤肉は週300g以下に。 推奨:赤肉は週500g以下に。乳製品は議論があるため推奨していない。

⑥アルコール 男性は1日2杯、女性は1日1杯まで。

⑦保存、調理 ゴール:塩分摂取量を1日に5g以下に。 推奨:塩辛い食べものを避ける。
塩分摂取量を1日に6g以下に。カビのある穀物や豆を避ける。

⑧サプリメント ゴール:サプリメントなしで栄養が満たせる。 推奨:がん予防のためにサプリメントに頼らない。

⑨母乳哺育 6か月、母乳哺育をする。これは母親を主に乳がんから、子供を肥満や病気から守る。

⑩がん治療後 がん治療を行ったなら、栄養、体重、運動について専門家の指導を受ける。

***
タバコの煙もがんの主因であると強調している。また、タバコとアルコールは相乗作用で発癌物質となる。】


肥満に関しては、大腸・食道・膵臓・腎臓・子宮内膜(子宮)・乳房のガンになるリスクが高まるとしています。
これら6つのガンに関しては、はっきり肥満がリスクになるということです。また、胆嚢に関しては、肥満がおそらく発ガンのリスクを高めるとしています。糖質制限食が肥満にはもっとも有効な治療法です。 (^_^)

②運動③体重を増やす飲食物
は①とも関連してますね。私も賛成です。

④植物性食品では、食物繊維の摂取を推奨ですね。また精製炭水化物の制限を推奨です。
賛成です。

⑤動物性食品
赤肉(牛・豚・羊)は週500g以下にという目標は、日本人にはそんなに難しくはないように思いますが、米国人にはとんでもなく厳しい数値目標ですね。

最近は、動物性脂肪の害はないという文献も出てきているので個人的には、もう少し赤肉を食べてもいいように思うのですが・・・(∵)?

⑥アルコール
「男性は1日2杯まで」
これは仰有る通りかもしれませんが、残念ながら私には守れそうもありませんし、守っていませんね。(-_-;)

⑦保存、調理
塩分6g以下ですか。結構厳しいですね。σ(=_=;)ヾ

⑧⑨⑩は賛成です。

タバコの害も言うまでもないですね。



江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖尿病の増加と栄養摂取量の推移
栄養摂取量の推移 厚生労働省「国民栄養の現状」
http://sugar.lin.go.jp/japan/data/jd4_01.htm

     エネルギー たん白質 脂質 炭水化物    摂取熱量比率(% )
     (kcal)       (g)     (g)    (g)    たん白質 脂質 炭水化物
昭和30年  2104  69.7   20.3    411      12.7   7.5    79.8
35       2096    69.7   24.7   399       13.3   10.6   76.1
40       2184   71.3   36.0   384      13.1   14.8     72.1
45      2210  77.6  46.5   368         14.0   18.9   67.1 
50      2226     81.0   55.2  335       14.6    22.3   63.1  
55       2119   78.7   55.6   309        14.9    23.6 61.5   
60      2088  79.0   56.9    298        15.1   24.5   60.4  
平成2年  2026  78.7   56.9   287         15.5   25.3   59.2
5    2034   79.5   58.1   285          15.6   25.7 58.7   
6     2023   79.7   58.0   282          15.8   25.8    58.4  
7     2042   81.5   59.9   280          16.0   26.4    57.6
8     2002   80.1   58.9   274          16.0   26.5   57.5
9     2007   80.5   59.3   273         16.0   26.6   57.4  
10    1979   79.2   57.9   271          16.0   26.3    57.7   
11     1967   78.9   57.9  269         16.0  26.5    57.5  
12     1948   77.7   57.4   266         15.9  26.5    57.5  
13     1954   73.4  55.3   274          15.1   25.2    59.7  
14     1930  72.2   54.4   271
       

おはようございます。

「戦後、炭水化物摂取が減り続け、脂質摂取が増え続けて糖尿病や肥満が激増した。」

というのが、医師や栄養士の常識・定説として、過去、信じられてきました。

私はスーパー糖質制限食を実践してますが、コンビニやスーパーや生協やデパ地下にいって食材をいろいろみるのですが、基本的にほとんどの食品に糖質が含まれていて、糖質制限食OK食品を探すのは一苦労です。 (*_*)

まわりの人々を見ても、老若男女全て炭水化物を大量摂取しています。

ポテトチップ、菓子パン、ハンバーガー、クッキー、チョコレート、お菓子、煎餅、あられ、ケーキ、プリン、ラーメン、たこ焼き、お好み焼き、焼きそば、ピザ、おにぎり、パスタ、うどん、牛丼、清涼飲料水・・・。

こんな状況ですので、印象としては日本国民の、炭水化物(糖質)摂取量や摂取率が減り続けているとは信じがたいものがありました。

それで、調べて検証してみました。

厚生労働省「国民栄養の現状」(上記の表)によれば、

昭和50年(1975年)から平成13年(2001年)まで
糖質:63~57% 
脂質:22~26% 
蛋白質:15~16%

と摂取熱量比率はほとんど不変です。

日本糖尿病学会推奨のカロリー制限糖尿食は、「糖質55~60%、脂質20~25%、タンパク質20%」ですので、タンパク質がやや不足気味以外は、26年間、糖質・脂質は目標達成です。それでも、この間糖尿病や肥満は増え続けています。

また、平成7年(1995年)の59.9gをピークに、脂質摂取量は減り始めています。

平成9年(1997年)の26.6%をピークに、脂質摂取比率も減り始めています。

そして脂質摂取量・摂取比率が減り始めているのにもかかわらず、この後も糖尿病、肥満は増え続けています。

日本と同様に脂肪悪玉説が一世を風靡していた米国の調査でも、1971年から2000年まで脂質摂取率は減り続けて糖質摂取率が増え続けましたが、結果は肥満率が倍増です。

米国の糖尿病患者の数はは1995年が800万人、2005年は2080万人と僅か10年で2.5倍増です。日本もこの米国とほとんど同じ道を歩んでいますね。

「肥満・糖尿病の増加は糖質の過剰摂取が原因であり、脂肪摂取の影響ではない」という真実に気がつかないと、米国と同じ過ちを繰り返すことになります。

さらに、食品摂取量の推移というページをみてみました。

http://sugar.lin.go.jp/japan/data/jd4_03.htm 資料:厚生労働省「国民栄養の現状」

すると驚くべきことに、

『平成12年の穀類256.8g→平成13年の穀類464.1g/日』

という、とんでもない数字がありました。

分類の変更でおにぎりが加わったからということらしいのですが、そうすると、おにぎりはいったいそれまでは何処に分類されていたのでしょう??? (∵)?

ともあれおにぎりは当然穀物であるし、糖質ですから、本来の分類に戻ったといえます。

ということは、昭和30年に糖質が411gで以降、平成12年まで減り続けているのは見かけ上で、おにぎりをカウントしていたら、ほとんど減っていなかった可能性があります。

『平成12年の嗜好飲料182.3g→平成13年の嗜好飲料592.8g/日』

これもあんまりのことなので、おそらく統計の分類が変わったと考えられます。

しかし、もともと嗜好飲料が激増していたことは間違いありません。嗜好飲料の激増も糖尿病・肥満の増加に一役買っていると思います。

嗜好飲料100g中に約10gの糖質ですから、平成13年(2001年)の嗜好飲料分の糖質は60gです。

穀類464.1gの内、糖質が約75%とすれば348gの糖質です。

両者を足せば、408gの糖質ですから、昭和30年の411gとほとんど変わってないということになります。

結論です。

「戦後、炭水化物摂取が減り続け、脂質摂取が増え続けて糖尿病や肥満が激増した。」

という常識・定説は、誤った神話でした。

厚生労働省「国民栄養の現状」によれば、昭和50年(1975年)以降は糖質・脂質・タンパク質の摂取熱量比率はほとんど不変です。

そして平成7年からは脂質の摂取量は減少し、平成9年からは脂質の摂取比率も減少しています。そしてこの間、現在に至るまで糖尿病・肥満は増え続けています。

昭和50年から糖質の摂取比率は不変として、その質が嗜好飲料や精製炭水化物、ジャンクフードなどGIが高値な食品が増加したことが糖尿病・肥満の増加に関係していると思います。



江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
血糖調節システム 2010年1月
こんにちは。

さて今回は、血糖のお話しです。

人体の血糖調節は、なかなか精妙で複雑なシステムにより維持されています。

血糖値は「食事」、「肝臓によるグリコーゲン分解・糖新生と糖の取り込み」、「運動」、「ストレス」、「インスリン・グルカゴンなどホルモン」「女性の生理」・・・などなど、いろいろな要素が合わさって調節されています。

① 空腹時

食物吸収が終了した直後には、肝臓のグリコーゲン分解が、循環血液中に入るブドウ糖の主要な供給源です。

食後数時間が経過し、絶食状態が持続すると、ブドウ糖の供給源は、肝のグリコーゲン分解から糖新生(*)に切り替わります。

なお、筋肉には「グルコース6リン酸→グルコース」 とする回路がないので筋肉中のグリコーゲンからはグルコース(ブドウ糖)は作れません。

② 主食摂食時(糖質あり)

血糖値を上昇させるのは、糖質・脂質・タンパク質のうち、糖質だけです。
糖質摂食時には、消化管から吸収されたブドウ糖は、門脈血からまず肝臓に約50%取り込まれ、それ以外が血液の大循環に回ります。

肝細胞でのブドウ糖取り込み自体は、糖輸送体Glut2(**)を介して行われ、インスリン追加分泌とは関係ありません。しかし、肝に取り込まれたブドウ糖は、インスリンによりグリコーゲンとして蓄えられます。

糖尿人では、<肝臓のグリコーゲン分解と糖新生>が摂食時にも抑制されにくいので、食後高血糖となります。また糖尿人は、門脈血からの肝臓のブドウ糖取り込みも低下しているので、この面でも食後高血糖を起こしやすいのです。

糖質摂食して血糖値が上昇すれば、正常人では速やかにインスリンが追加分泌されます。

肝臓に取り込まれなかったブドウ糖は、肝静脈から血中に入り、動脈血中に入ったブドウ糖は、インスリン追加分泌により細胞表面に移動した糖輸送体GLUT4により、骨格筋や脂肪細胞に取り込まれます。骨格筋が、約70%の血糖を取り込みます。これにより血糖値も速やかに下がります。

筋肉中に取り込まれた血糖は、エネルギー源として使われ、残りはグリコーゲンとして蓄えられます。取り込まれず余った血糖は、インスリンにより中性脂肪に変換され、脂肪組織か肝臓に蓄えられます。

しかし、糖尿人の場合は、血液中のブドウ糖(食後高血糖)は<インスリン分泌不足>と<筋肉や脂肪細胞におけるインスリン抵抗性>により処理されにくいので、食後高血糖が遷延します。

また、インスリン作用不足による脂質代謝異常、アミノ酸代謝異常、高血糖そのものによるインスリン作用低下、インスリン拮抗ホルモン優位など、様々な因子が重なり合って、高血糖が持続します。

さらに糖尿人の一部においては、胃不全麻痺(***)による内容物の排出遅延があり、吸収も遅延して通常よりかなり遅れて血糖値が上昇することがあります。

③ 糖質制限食を摂食時(糖質がごく少量)

糖質摂取がごく少量なので、食後血糖値はほとんど上昇しません。追加分泌インスリンもごく少量です。糖質制限食を摂取時は、食事中にも脂質が常に燃えています。

また食事中にも、肝臓でアミノ酸などから糖新生も行われています。このため糖質摂取がごく少量でも低血糖にはならないのです。

④ 運動時

安静時には、インスリンの基礎分泌はありますが少量なので、糖輸送体(Glut4)は細胞表面にでてこれず、筋肉細胞・脂肪細胞は血糖をほとんど取り込まめません。

運動時(筋収縮時)には筋肉細胞の糖輸送体(Glut4)がインスリン追加分泌がなくても細胞表面に移動して、血糖を取り込むことが可能となり、血糖値が下がります。

筋肉細胞が血糖を取り込んでエネルギー源とした後、筋肉中のグリコーゲンが満杯になれば、取り込みはストップします。

脂肪細胞は、運動には無関係です。ジョギングや歩行ていどの軽い運動が適切とされています。

糖尿人でインスリンの基礎分泌があるていど以上不足していると、運動によりかえって血糖値が上昇することがあるので注意が必要です。

バーンスタイン医師によれば、個人差はありますが、空腹時血糖値170mg/dlを超えているような場合は、そのような可能性があるとのことです。

また、強度の強い運動だと、アドレナリンや副腎皮質ホルモンなどのインスリン拮抗ホルモンが分泌されますので、血糖値が上昇することがあります。

④ ストレス

急性のストレスがあると、アドレナリン、グルカゴン、副腎皮質ステロイドホルモンなど血糖値を上げるホルモンが分泌されますので血糖値が上昇します。

血糖値は、①.②.③.④などの因子が複雑に絡み合ったシステムにより調節されています。たかが血糖値されど血糖値、なかなか一筋縄ではいきませんね。


糖新生
①脂肪組織→グリセロール(脂肪酸の分解物)や脂肪酸→肝臓→糖新生→脂肪組織・筋肉
②筋肉→アミノ酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織
③ブドウ糖代謝→乳酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織

①②③はごく日常的に誰でも行っており、肝臓、筋肉、脂肪組織の間で行ったり来たり、日々糖新生の調節が行われているわけです。

糖新生の調整は、インスリンが行っています。インスリン不足だと肝臓がブドウ糖をつくり過ぎることになります。

**糖輸送体(Glut:glucose transporter)
ブドウ糖が細胞膜を通過して細胞内に取り込まれるためには、グルコーストランスポーター(糖輸送体)と呼ばれる膜蛋白が必要です。

Glut1~Glut14が報告されています。
Glut1(脳、赤血球、網膜などの糖輸送体)はインスリン非依存性です。
Glut2(肝臓、膵臓のβ細胞などの糖輸送体)はインスリン非依存性です。
Glut4(筋肉細胞、脂肪細胞の糖輸送体)はインスリン依存性です。


***胃不全麻痺
バーンスタイン医師(米国の1型糖尿病の医師で糖質制限食実践中)の本にも記載されている<胃排泄遅延・胃不全麻痺>が年期の入った糖尿人ではありえます。欧米人には、胃不全麻痺が結構多いようですが日本人でも当然ありえます。

胃不全麻痺のある糖尿人は、夕食を午後6時頃食べても、胃からの排泄が遅延して吸収が遅くなり、通常よりかなり遅れて血糖値が上昇することがあります。そのため翌朝の空腹時血糖値が高値となることがあります。



江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
2010年2月28日(日)四谷・リボーン・糖質制限食講演会
おはようございます。

2010年2月28日(日)四谷・リボーン・糖質制限食講演会のご案内です。

以下はリボーン事務局の曽我部ゆかりさんからのメッセージです。


☆☆☆☆☆

ドクター江部のブログ読者の皆様。

春も近づいてきましたね。いかがお過ごしでしょうか。
リボーン新春企画です。今回は、四谷の旧学校の教室に場所を変えました。時間もゆったりとれるので、楽しいお茶のひと時も皆さんで楽しみましょう。ご参加をお待ちしております。リボーン 曽我部ゆかり

●リボーン講演会
<新企画>スキルアップを目指す
     第1回 糖質制限食マスター講座 基礎編

糖質制限食は、血糖値を上げないための唯一の食生活改善法です。

 日々の食事に、あるいは臨床に、糖質制限食をどう活用していくか。
 患者さんはもちろんのこと、医療従事者の方々にも、必聴の糖質制限食マスター講座を開講します。講師である医師と管理栄養士の二人が、それぞれの立場から糖質制限食の実践にアプローチします。貴重なデータに基づいた説得力のある理論を修得し、いますぐ日々の食事や臨床に応用してください。
 秋には、応用編を開講する予定です。

■日時 2010年2月28日(日)

■講師 江部康二(内科医/高雄病院理事長/リボーン理事長)
    大柳珠美(管理栄養士/リボーン理事)

■定員 限定54名(完全予約制)

■プログラム
12時開場受付
1部 12時30分~14時00分 

    ドクター江部の「現代病を治す糖質制限食」

     講師 江部康二 


2部 14時10分~15時10分
    管理栄養士大柳の「糖質制限食実践講座」
     講師 大柳珠美 

    

   (休憩約20分)

3部  15時30分~16時30

    ティータイム(質疑応答&交流会)

     お茶&おやつ(糖質制限食試食 大豆クッキー&ふすまパンなど)

     
■参加費    

リボーン会員    2400円
リボーン会員ペア  3800円
一般        3000円
一般ペア      4800円

■会場 四谷ひろば B館 地域ひろば コミュニティ4
     地下鉄丸ノ内線 四谷三丁目駅下車 徒歩5分
   
■四谷広場へのアクセス http://yotsuya-hiroba.jp
    四谷消防署/消防博物館の出口を出て、新宿通を新宿方面へ。
    JALシティホテルを越して、ラーメン屋の角を右折し直進。
    右手の東京おもちゃ美術館(旧区立四谷第四小学校)のB館。

住所 東京都新宿区四谷4-20(旧区立四谷第四小学校)

 
■主催 NPO法人糖質制限食ネット・リボーン 

■申込 reborn@big.or.jp 03-3388-5428 (担当 曽我部)

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食と糖新生・肝臓・筋肉・脂肪、アンモニア
こんばんは。

今回で、内科大学院生さんからの質問の回答、最後です。

『⑥糖質を数時間以上摂取していない状態の時は、糖新生が行われますが、同時に筋肉の分解も促進されるのでしょうか? 』

肝臓の糖新生は、人体においてごく日常的に行われています。糖質制限食を実践中は、食事中でも肝臓で糖新生が行われています。

糖質を摂取している人においても、夜間睡眠中とか、食後数時間経過したら、誰でも肝臓で糖新生を行っています。

食物吸収が終了した直後には、肝臓のグリコーゲン分解が、循環血液中に入るブドウ糖の主要な供給源です。

食後数時間が経過し、絶食状態が持続すると、ブドウ糖の供給源は、肝のグリコーゲン分解から糖新生に切り替わります。

ですから、人類の400万年の歴史において、ごく普通に肝臓の糖新生は行われてきたわけで、珍しいことでも何でもありません。

①脂肪組織→グリセロール(脂肪酸の分解物)や脂肪酸→肝臓→糖新生→脂肪組織・筋肉
②筋肉→アミノ酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織
③ブドウ糖代謝→乳酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織

①②③はごく日常的に誰でも行っており、肝臓、筋肉、脂肪組織の間で行ったり来たり、日々糖新生の調節が行われているわけです。このように、筋肉も睡眠中などに、一定量の分解と再生を毎日繰り返しています。

『⑦糖質制限中に肝臓からのアミノ酸分解が亢進した際に、アンモニア生成亢進にはつながらないのでしょうか?』

アミノ酸は、アミノ基があるために酸化的分解を受けにくいので、アミノ酸を分解するには、まずアミノ基をはずすことが必要です。

①アミノ基転移:アミノ酸分解の過程で、αケト酸とグルタミン酸ができます。

②酸化的脱アミノ:グルタミン酸はミトコンドリアの中でαケトグルタル酸とアンモニアになります。
α-ケトグルタル酸はTCA回路の一員です。

③アンモニアの処理:生じたアンモニアは生体に有害であるため、肝臓の尿素回路によって無毒な尿素に変換され、腎臓から排泄されます。

脱アミノ化されて生じるα-ケト酸は、「ブドウ糖の合成」や「ケトン体や脂肪酸の合成」に利用されます。

アンモニアですが、検査会社のSRLのページによると、

「アンモニア(NH3)はタンパク質の代謝過程でアミノ酸から脱アミノされて生じ、肝で尿素合成に利用されるが、血中NH3の大部分は消化管(小腸粘膜と大腸内細菌)由来とされる。NH3の解毒は肝細胞での尿素回路に依存し、尿素は腎より尿中に排泄される。

したがって、肝臓機能の低下による尿素サイクル活性の低下、腸内におけるNH3産生の増加および門脈副血行枝による門脈血の大循環系への流入などの場合には血中NH3濃度が高値となる。」

人体の小腸や大腸で、酵素や腸内細菌の働きで、食物中のタンパク質や消化管への分泌液に含まれる尿素が分解され、アミノ酸が脱アミノされてアンモニアが生じます。血中アンモニアの大部分は、腸壁から血管内に吸収された消化管由来のものです。

糖質制限食だと高タンパク食になるので、腸管においてやや多めにアミノ酸からアンモニアが産生されます。

また、肝臓でのアミノ酸から糖新生の過程でも、一定のアンモニアができます。ミトコンドリア内でアンモニア産生なので、赤血球以外の細胞では人体どこでもアンモニアができる理屈ですね。

いずれにせよ、消化管由来のものも、体内のミトコンドリア内で生じたものも、アンモニアは肝臓の尿素回路で尿素に変換され、腎臓から尿中に排泄されます。

糖質制限食で少々アンモニアが多めに生じても、肝臓で処理して尿素にして腎臓から排泄するので問題はありません。
尿素がたくさん産生されたときには、尿素窒素(BUN)が生理的に今の基準値より高値となることがありますが、 クレアチニンは正常で腎機能の悪化ではありません。

なお、筋肉運動でもアンモニア産生は増加します。

☆☆☆
アミノ酸の分解に関しては
「アミノ酸の分解」代謝マップ 
http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/amino_met.htm
のサイトの記述を参考にさせていただきました。
謝謝。m(_ _)mV


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食と脂質-
こんばんは。

今回も、内科大学院生さんからの質問の続きです。

『④糖質制限の際の脂質の摂取ですが、飽和脂肪酸でも不飽和(必須)脂肪酸でも構わないのでしょうか?また、必須脂肪酸には一価や多価がありますが、推奨している順番などがあればご教示ください。』

厳密な必須脂肪酸は、リノール酸α-リノレン酸だけですね。この2つは、人体で作れないので、食事から摂取することが必須です。

<リノール酸→γリノレン酸→アラキドン酸>(体内で合成)
α-リノレン酸→EPA→DHA>(体内で微量は合成)

このようにアラキドン酸、EPA・DHAは体内で合成されますが、ゆるい基準では、アラキドン酸、EPA・DHAも必須脂肪酸にいれることがあります。

現在の日本人の食生活では、「リノール酸の過剰摂取→アラキドン酸の過剰」となっています。
従って、リノール酸の摂取は控えた方がいいです。

一方、α-リノレン酸は摂取不足気味ですので、体内で作られるEPA・DHAも不足気味です。EPA・DHAはマグロ・ハマチ・サバ・タイ・サンマ・イワシ・・・、などお魚にたくさん含まれています。しっかり魚を食べてEPA・DHAを補給しましょう。

α-リノレン酸は、紫蘇油やエゴマ油、緑の濃い野菜に含まれています。

人体内で「α-リノレン酸→EPA→DHA」というルートはありますが、生産能力はぼちぼちなので、直接、魚からEPA・DHAを摂取する方が、はるかに効率がいいです。

EPA・DHAに共通する働きとして中性脂肪の低下と血小板凝集の抑制があります。
EPAには血液サラサラ作用があり、DHAには脳代謝の賦活作用などがあるようです。

天然の食用油は、

多価不飽和脂肪酸」P
一価不飽和脂肪酸」M
飽和脂肪酸」S

の3種から成っています。

飽和脂肪酸にはステアリン酸、パルミチン酸などがあり、獣肉油脂、牛乳、卵など動物性脂肪に多く含まれています。植物性脂肪にも含まれています。

厚生労働省は、P:M:Sの比率を3:4:3とすることを推奨しています。

積極的に摂った方がよい油脂はオリーブオイルに含まれるオレイン酸など一価不飽和脂肪酸α-リノレン酸、EPA、DHA など多価不飽和脂肪酸ですね。


『⑤糖質制限を行っている最中は、インスリンが過剰に作用しない状態になっている訳ですが、糖尿病のインスリン作用不足の際に起こるように、脂肪組織からの遊離脂肪酸の放出は増えるのでしょうか? もし増えるなら、FFAが増えた際のデメリットが心配です。』

糖質制限食実践中は、脂肪酸の代謝産物のケトン体や遊離脂肪酸も血中に増加します。増加といっても、今の基準値に比べれば増加ということで、農耕以前に人類が糖質制限食だったころの基準値になるだけです。これはインスリン作用は確保されていて生理的なものなので、何の問題もありません。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食とLDL-コレステロール、腎症
おはようございます。

今回も、内科大学院生さんからの質問の続きです。

『②血中の中性脂肪を増やすのは糖質ですが、糖質制限食後にLDLが上昇するケースが多いのはどうしてでしょうか?勿論、中性脂肪が減っているので、HDLは少し増えたり、small dense LDLは減っているのでしょうが、やはりガイドラインなどではLDLの数値のみで評価しますし、LDLの性質を調べられる施設は限られています。食事由来のコレステロールは本来2-3割程度なのに、かなりLDLの値が上昇するのが、理解できずにいます。』

糖質制限食実践で

1 血糖値はリアルタイムに改善します。
2 スーパー糖質制限食なら、HbA1cは月に、1~2%改善します。
3 中性脂肪も速やかに改善します。
4 HDL-コレステロールは増加します。増加しますが、増加の
程度と速度に個人差があります。
5 LDL-コレステロールは低下・不変・上昇と個人差があります。
  上昇した人も、半年~1年くらいで落ち着くことが多いですが、
  個人差があります。
6 総コレステロールは、低下・不変・上昇と個人差があります。
  上昇した人も半年~1年くらいで落ち着くことが多いですが個人
  差があります。
7 尿酸も低下・不変・上昇と個人差があります。
  上昇した人も、半年~1年くらいで落ち着くことが多いですが、
  個人差があります。
8 尿素窒素はやや増加傾向になる人が多いですが、そのうち落ちつく
  ことが多いです。
9 クレアチニンは不変です。
10 カリウムも不変のことが多いです。
11 血中ケトン体は現行の基準値より高値となりますが、生理的なものです。
12 尿中ケトン体は当初3ヶ月~半年は陽性になりますが、その後陰性化します。
13 脂肪肝に付随する、GPTやγGTP高値も改善します。

LDL-コレステロールに関して「低下・不変・上昇」と個人差があるのですが、なぜそうなるのかはよくわかりません。

私自身は、HDL-コレステロールはかなり増加し、LDL-コレステロールは少し低下しました。

灰本元先生らは、2009年に「33名の重症DM(HbA1c>9.0%)への糖質制限食治療で、インスリンを使用することなく半年後にHbA1c10.9から7.2%へ下がり、LDL-Cは低下、HDL-Cは上昇すること」を英文医学雑誌Nutrition & metabolismに報告しています。
**Haimoto H, et all:Effects of a low-carbohydrate diet on glycemic control in outpatients with severe type 2 diabetes.Nutrition & metabolism.6(21)2009.

このように、LDL-コレステロールは、統計を取ると低下しています。いったん上昇した場合でも、半年~1年で低下するようです。

『③Creの値が上昇していない糖尿病腎症3期A/Bの患者さんでも、糖質制限(高蛋白)でも問題ないのでしょうか? 』

糖尿病腎症生活指導基準では、糖尿病腎症3期A/Bは、タンパク質摂取量は0.8~1.0g/kg/日と、低タンパク食になっていますので、教科書的には、高タンパク・高脂質食である糖質制限食は、適応となりませんね。

一方、ご自身が1型糖尿病の米国のバーンスタイン医師は、30代に糖尿病腎症3期A(顕性腎症前期)で、蛋白尿陽性の段階で、糖質30g/日の糖質制限食(高タンパク食)を開始されて、蛋白尿陰性となり、74才の現在、合併症なしで元気に過ごしておられます。

個々の判断が必要と思います。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
スペイン産エクストラバージンオリーブオイル
お早うございます。

昨晩、NHKの 地球イチバン「地球イチバンのオリーブ天国~スペイン~」という番組で、スペイン産のオリーブオイルのお話をしていました。

スペインのオリーブオイル生産量は、世界のおよそ40%を締めるであるとか、、バージンオイルとエクストラ・バージンの違いについてなど解説していました。

これまで何度か紹介した、あらてつさんの糖質制限ドットコムで販売している、スペイン直輸入のモリドルエクストラバージンオリーブオイル、大変好評で昨年入荷分は早々に売り切れたとのことです。

そのモリドルから、今の時期限定の 初搾りエクストラバージンオリーブオイル が入荷したとのこと。

初摘・初搾りのオリーブオイルは、一年を通して、今だけしか出てこない貴重なオリーブオイルだそうです。

番組でもありましたが、オリーブオイル業界、聞くところによるといろいろと複雑で、「エクストラヴァージンオリーブオイル」といいながら、そうでないものがかなりの割合で流通しているそうです。

ですがこのモリドルオリーブオイルは、あらてつさんが直接工場まで行って「冷温圧搾・無濾過・無添加・混ざりっけ無しのエクストラヴァージンオリーブオイル」であることを確認してきました。

あらてつさん、知っている人は知っている「かなりうるさい男」ですので、工場を隅から隅まで調べて現地の人たちにおもいっきり嫌がられてきたことは、想像に難くありません。

スペインでも「うるさいぶり」を遺憾なく発揮してきたあらてつさん太鼓判のモリドルオリーブオイル、私もこのブログをご覧の糖尿人、メタボ人、ダイエッターの皆さんにお勧め致します。

以下、あらてつさんからのご案内です。

そうそう、最後にご紹介しているオリーブオイル試食会、キャンセルが出たとのことで、若干名空きができました。

私も参加するので皆さん、是非どうぞ。


江部康二





Primera extracción en frío(初搾りエクストラバージンオリーブオイル)発売開始!

オリーブオイル百年の伝統のあるシウラナ地方(スペイン北東部、カタルーニャ地方)から、初摘、初搾りのオリーブオイルが入荷しました。

年に一回、この時期だけしか販売されない大変貴重なオリーブオイルです。

Primera extracción en frío オリーブオイルは、収穫したてのオリーブを風味が損なわれないように冷温圧搾し、濾過せずそのまま瓶詰します。

なので一般的なオリーブオイルよりも色合いが濃く、オリーブ本来の香りや味わいをストレートにお楽しみいただけます。

一年を通して、今だけしか出てこない貴重なオリーブオイルです。

通常のオリーブオイルにない濃厚な味と香りをお楽しみ頂けます。

モリドル社のパトリシアさんからのメッセージを紹介します。



モリ・ドルのエクストラバージン・オリーブオイル


モリ・ドルは、私たちの地域の人々や農作業員が、黄金の液体とも呼ばれるエクストラバージン・オリーブオイルを抽出するために、一年を通じてその大地に施してきた入念な作業と手入れの結晶です。

オイル百年の伝統のあるシウラナ地方(スペイン北東部、カタルーニャ地方)では、最高のシェフや料理批評家から最も高い評価を受けている、アルベキナ種と言うオリーブオイル生産用の品種のみを使用しています。

モリ・ドルのオリーブは、木から直接採取し、フライス(オリーブを碾く作業)は、果実の自然な特性を保持するため、冷温で行われます。その優れた特性と官能特性をそのまま維持するために、モリ・ドルは、フィルタリングされていないエクストラバージン・オリーブオイルとなっています。

この製法によって密度、香り、ボディが保たれている、という、極めて例外的ともいえる評価を受けています。瓶の底に堆積物が沈降することがありますが、健康上全く無害であり、自然由来のものであることの証拠でもあります。

つまり、これは100%純粋な天然オリーブ果汁なのです。

オリーブオイルには、多くの種類と品種があります。しかしその中でも、酸性度を1°未満に保持したものだけが、エクストラバージンと呼ばれる最高ランクのカテゴリとして(EEC規則1513/2001による)最も高い評価を得ることができます。私たちは、モリ·ドルが酸性度を0.3°に抑えてこのカテゴリに入っていることを、誇りに思っています。

オリーブそのものの持つ天然成分によって、このオイルが、抗酸化成分やポリフェノール性化合物を豊富に含んでいるため、酸化を抑えたり、体の諸器官に非常に有益な効果をもたらしたりするということも、忘れてはいけません。

その複雑な香りと味わいは、料理のうま味を引き立たせることができます。フルーティーかつ丸みのある味わいがあり、収斂性が低く、バナナ、イチゴ、リンゴ、クルミ、アーモンドやアーティチョークの熟したような非常にバランスのとれた香りがします。トマトを思わせる懐かしい趣を鼻腔に感じます。そして、非常に表現力のある、すっきりとしたナッツのような後味がします。

料理に使えば、味に力を与え、個性を引き立たせます。生鮮食品(パン、サラダ、野菜など)に使用すれば、より一層の官能特性を感じることができます。オイルを加熱して使用する際も、食品がカリっとした状態で形よく保持し、オイルに含まれている脂肪酸と抗酸化物質が食品に回って安定し、ボリュームが増すことから、高温にもよく対応すると言えます。

これらすべての特性のおかげで、モリ・ドルは、最高レベルのエクストラバージン・オリーブオイルであると同時に、健康的でよく知られている地中海料理を作る際に欠かせない食品の一つとして、認められるようになりました。


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数量・期間限定のモリドル初搾りエクストラバージンオリーブオイル

是非皆さんもお試しください。

詳細・ご購入はこちらから
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モリドル 初摘み・初搾りオリーブオイル
http://www.toushitsuseigen.com/shop/etc_oliveoil.html



糖質制限食・ダイエット食の通信販売|糖質制限ドットコム

糖質制限ドットコムは、糖質制限食の第一人者、高雄病院、江部康二先生監修による糖質オフな食材を販売、糖質制限食に取り組む皆様をサポートします。


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
運動時のエネルギーシステム
おはようございます。
今回は内科大学院生さんから、いろいろコメント・質問をいただきました。


『10/01/18 内科大学院生
質問です
江部 先生

はじめまして。内科大学院生と申します。いつも先生のブログを拝見させて頂いています。
先生の説明は、理論的でいつも感心といいますか、感動すら覚えています。内科医の鏡です。
実はいくつか質問がありまして、メールさせて頂きました。

①空腹時や安静時の心筋や骨格筋のエネルギーシステムは脂肪酸ケトン体なのは理解していますが、運動時はどうなっているのでしょうか?糖質制限食中に有酸素運動や筋トレを行った場合、エネルギー確保のために筋肉がより分解されるということはないのでしょうか?

②血中の中性脂肪を増やすのは糖質ですが、糖質制限食後にLDLが上昇するケースが多いのはどうしてでしょうか?勿論、中性脂肪が減っているので、HDLは少し増えたり、small dense LDLは減っているのでしょうが、やはりガイドラインなどではLDLの数値のみで評価しますし、LDLの性質を調べられる施設は限られています。食事由来のコレステロールは本来2-3割程度なのに、かなりLDLの値が上昇するのが、理解できずにいます。

③Creの値が上昇していない糖尿病腎症3期A/Bの患者さんでも、糖質制限(高蛋白)でも問題ないのでしょうか?

④糖質制限の際の脂質の摂取ですが、飽和脂肪酸でも不飽和(必須)脂肪酸でも構わないのでしょうか?また、必須脂肪酸には一価や多価がありますが、推奨している順番などがあればご教示ください。

⑤糖質制限を行っている最中は、インスリンが過剰に作用しない状態になっている訳ですが、糖尿病のインスリン作用不足の際に起こるように、脂肪組織からの遊離脂肪酸の放出は増えるのでしょうか?
もし増えるなら、FFAが増えた際のデメリットが心配です。

⑥糖質を数時間以上摂取していない状態の時は、糖新生が行われますが、同時に筋肉の分解も促進されるのでしょうか?

⑦糖質制限中に肝臓からのアミノ酸分解が亢進した際に、アンモニア生成亢進にはつながらないのでしょうか?』


内科大学院生さん。
お誉めのコメントありがとうございます。

まずは質問①について考えてみましょう。

『①空腹時や安静時の心筋や骨格筋のエネルギーシステムは脂肪酸ケトン体なのは理解していますが、運動時はどうなっているのでしょうか?糖質制限食中に有酸素運動や筋トレを行った場合、エネルギー確保のために筋肉がより分解されるということはないのでしょうか? 』

最高強度の運動の時は、即エネルギ-源が必要なので、筋肉細胞はまず自前で貯蔵していたATPやクレアチニンリン酸の生み出すATPを使います。そのあとは、グリコーゲン分解と解糖からのATP供給が5秒で最大となり、20秒くらい持続します。これらは、ほとんど全て嫌気的エネルギーで、無酸素運動で供給速度が速いです。

100m全力疾走とか、高負荷の筋力トレーニングであれば、最高強度の運動であり、脂肪酸はエネルギー源としてほとんど使われないので、筋肉中のグリコーゲン消費量は多くなり、数回繰り返せば一旦枯渇するくらいまで減少すると考えられます。

これに対して、低負荷のトレーニングの場合は、脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム(好気的システム)も結構利用されるので、筋肉中のグリコーゲン消費量は少ないと考えられます。勿論低負荷のトレーニングでもグリコーゲンブドウ糖システム(好気的システム)もあるていど利用されると思います。

長時間の運動のごく初期の1.2分は、嫌気的代謝も利用されます。即ち、高強度の運動時と同様、筋肉細胞はまず自前で貯蔵していたATPを使います。直後にクレアチンリン酸を利用してADPからATPを再合成します。

その後、グリコーゲン分解と解糖からのATP供給が始まり、20秒くらい持続します。これらは全て嫌気的エネルギーで、供給速度が速いです。

この間、徐々に脂肪と糖質の酸化的リン酸化による、好気的エネルギー供給に代わります。
1.2分を過ぎてくると大部分が好気的代謝になっていきます。

嫌気的代謝と好気的代謝のどちらが主となるかは運動強度で違い、下記の如くです。

<運動強度と嫌気的代謝・好気的代謝>
100m競争だと、嫌気的代謝が90%で好気的代謝が10%
400m競争だと、嫌気的代謝が70%で好気的代謝が30%、
800m競争だと、嫌気的代謝が40%で好気的代謝が60%、
1500mは、それぞれ20%と80%
10000mは、それぞれ3%と97%
42.195km(マラソン)は、それぞれ1%と99%

好気的代謝には「脂肪酸-ケトン体システム」と「グリコーゲンブドウ糖システム」があります。

そして、長時間の運動(30~180分間は維持できる運動強度)であれば、筋肉は脂肪酸-ケトン体のシステムを中心に利用します。一流スポーツアスリートは、筋肉細胞中の脂肪滴は多く、また血液中の脂肪酸の利用能力も高まっています。

勿論、筋肉中のグリコーゲン-ブドウ糖のシステムを全く利用しないということではありませんし、血液中のブドウ糖も利用します。

あくまでも、脂肪とブドウ糖のどちらが主エネルギー源か、比率の問題です。

一般には、強度の高い運動ほど、エネルギー供給速度の速いグリコーゲン-ブドウ糖システムの利用比率が増します。

この時、鍛えられたアスリートほど、ある程度の強度の運動でも、脂肪酸-ケトン体システムを上手に使いこなしますので、筋肉中のグリコーゲンを最後まで節約できます。

そして、ラストスパートで高強度の運動の時に、一気にグリコーゲン-ブドウ糖システムを全開していきます。

運動時には、このようなエネルギーシステムで人体は稼働してますので、糖質制限食実践中でも、筋肉のタンパク質がより分解されるということはないと思います。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
季節性インフルエンザどこへ? 流行期もウイルス検出なし
こんばんは。

先日「季節性インフルどこへ? 流行期もウイルス検出なし」という共同通信社の記事を見ました。

以下一部を引用です。

【2010年1月12日 提供:共同通信社
新型インフルエンザの大流行が続く中で、例年流行していたAソ連型、A香港型の季節性インフルエンザウイルスがほとんど検出されていない。新たなインフルエンザのパンデミック(世界的流行)が起きると、それまで流行していたA型ウイルスが新しいウイルスに置き換わる現象が過去にも起きているが、従来の季節性インフルエンザはもう流行しないのだろうか? 今後の状況次第では、来シーズンのワクチン製造にも影響が出てくる。

▽世界的に同じ
毎年、インフルエンザが流行期に入る12月。2008年にはAソ連型、A香港型を合わせて1カ月で919件、07年は1026件、流行開始が遅かった06年でも27件のウイルス検出があった。

ところが今シーズン、12月のウイルス検出はAソ連型、A香港型ともにゼロ。10月終わりごろに1件報告されて以降、現在まで出ていない。

「世界的にも日本と同じような状況だ」。国立感染症研究所感染症情報センターの谷口清州(たにぐち・きよす)室長はこう指摘する。

人で流行するインフルエンザウイルスは、構造の違うA型とB型に分けられる。A型では、昨シーズンまでAソ連型とA香港型の2種類が毎年流行していた。そこに、同じA型の新型インフルエンザが発生した。

▽仕組みは不明

新たなウイルスの出現により、それまでのウイルスが淘汰(とうた)されてしまうことは過去に何度も繰り返されてきた。1918年のスペイン風邪以降、長年流行を続けていたウイルスは、57年のアジア風邪流行で新しいウイルスに置き換わった。だが、このウイルスも68年の香港風邪以降はA香港型に置き換わり、77年以降はAソ連型が加わった。】


確かに、2010年になっても季節性のインフルエンザほとんど見かけませんし、新型インフルエンザも、流行は終焉に向かいつつあるようです。

新型インフルエンザに罹患して症状が出た人が1000万人を軽く超えました。不顕性感染といって、感染しても発症しなかった人も、500万人はいるでしょう。2010年1月7日新型インフルエンザ感染者の死亡は147例とのことでした。

季節性インフルエンザに罹患して1000万人発症すれば、お年寄りを中心に約10000人が亡くなられます。
実際例年は、高齢者の肺炎を中心にインフルエンザ関連で、10000~15000人が亡くなっておられます。

このことを思うと、新型インフルエンザは客観的には、季節性インフルエンザに比べて、致死率は約1/100です。

さらに、2009/10/26、東京都内で開かれた日本ウイルス学会学術集会で、新型インフルエンザに対し、成人の多くが基礎的な免疫を持っている可能性が高いことが報告されています。

また、以下の2010年1月12日/日経産業新聞の記事でも60才以上の人は新型インフルには感染しにくいようです。

【60歳以上の新型インフル感染、20―30代の5分の1以下
豚インフルエンザから変異した新型インフルエンザウイルス(H1N1型)感染者と接触した場合の感染の成立しやすさは、60歳以上は20~30歳代と比べて5分の1以下になるという数理モデルによる分析結果をオランダなどの国際研究チームがまとめた。過去に季節性のH1N1型ウイルスに感染したときに得た免疫が影響していると考えられる。  オランダ・ユトレヒト大学の西浦博研究員(科学技術振興機構研究員)と米アリゾナ州立大学などの成果。英国発行の国際学術誌「バイオメッド・セントラル」関連2誌に論文を発表した。
 2009年5月29日~7月14日の日本国内の流行状況などをもとに感染の成立しやすさを年齢別に調べた。】

実際、高雄病院や江部診療所の患者さんで、小学校で学級閉鎖が相次いだ時期に、20代の教員はそこそこ新型インフルに罹っておられます。30代でパラパラで、40代以上はかなり少ないです。

また、季節性インフルエンザでは、例年、子供からうつって一家全員高熱で倒れたとかよくありましたが、新型インフルでは同居の子供さんが罹患しても、両親やおじいちゃん、おばあちゃんにうつった、という話もほとんど聞きませんでした。

私も、丁度60才、新型に罹る確率はかなり低いようです。

うまくすれば今年は季節性インフルエンザはほとんど流行しない可能性がありますね。


江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食・ダイエットの本・成功例募集
糖質制限食・ダイエットの本・成功例募集】

2009年12月初め発売の江部康二監修及び、NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事、管理栄養士大柳珠美さん監修

『dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」おいしい「糖質オフ」料理で楽しくやせる本 』(プレジデント社)

おかげさまで結構売れ行き好調です。
2010年1月、重版が決定しました。

これに味をしめたわけではないのですが、今度は、20代の女性向けに江部康二が執筆して、糖質制限食のいろんなノウハウの詰まったダイエット本をだそうと考えています。

dancyuも含めて、今までは、おじさんがメインでおばさまも少しというのが読者層だったのですが、新企画ということです。

つきましては、ブログ読者の皆様へのお願いなのですが、糖質制限食でダイエットに成功された20代の女性の方を数例募集しています。

勿論、匿名でダイエット成功例として本に掲載させて頂きたいと思っています。採用された方には、その本を2冊謹呈致します。

ご協力いただける方は、

高雄病院のホームページの高雄病院連絡先
takao-info@ac.auone-net.jp

に、

年齢、生年、(もしよろしければ月日)
性別、
身長、
ダイエット前の体重、○月○日。
ダイエット後の体重、○月○日。
連絡先、

をメールしていただければ幸いです。
よろしくお願い申しあげます。

江部康二

【コメント・質問に関するお知らせ・お願い】

ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。

読者の皆さんからもご意見いただきましたが、確かに普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、主治医にご相談頂けば助かります。m(_ _)m

普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)

掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。

一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m

それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。

また、各地の糖質制限食による糖尿病治療が可能な医院の情報は、ブログにリンクしてある「糖質制限食SNS 糖質制限ひろば」で公表してますので、そちらをご覧ください。

【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。

 一方薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、

「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」
糖尿病が良くなるごちそうレシピ」
「 糖質制限食 春のレシピ」
「 糖質制限食 夏のレシピ」
「糖質制限食 秋のレシピ」
「糖質制限食 冬のレシピ」
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」
(東洋経済新報社)

「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)

を参考にされ、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。

なお、血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と、活動性の膵炎がある場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。糖質制限食は相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全活動性膵炎には適応とならないのです。

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食に理解のある先生
こんにちは

にまるさんから、またまた嬉しいコメントをいただきましたので、記事にアップしました。

「10/01/16 にまる
吉政先生
江部先生、はじめまして。

糖質制限食に理解のある先生を偶然ネットで見つけたので念のためにお知らせいたします。
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/pamph74.html#anchor-1

こういう先生が増えてくれると良いですね。」


にまるさん。
コメントありがとうございます。

国立循環器病センターのホームページの中に、循環器病情報サービスというコーナーがあって

国立循環器病センター 動脈硬化・代謝内科部長 吉政 康直先生が

[74]糖尿病の食
-“テーラーメード食事療法”のすすめ-

と題して、糖質制限食のことを、肯定的に紹介しておられます。ありがたいことです。(^_^)

吉政先生は、スタンダード糖質制限食を紹介して下さってます。(*)

頼もしい味方が増えました。
吉政先生ありがとうございます。m(_ _)mV

徐々に糖質制限食を理解していただける医師が増えていますね。
嬉しい限りです。(o^-^)o


江部康二


(*)
糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。*炭水化物=糖質+食物繊維
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
大分県立図書館と「糖質制限食 春のレシピ」
こんにちは

とても嬉しいコメントをさわさんからいただきましたので記事にアップしました。

10/01/16 さわ
こんばんは。
江部先生、こんばんは。ご無沙汰しております。

今日はちょっと驚いたことがあったので、ご報告を。

「我ら糖尿人、元気なのには理由がある」は皆さんのおっしゃるように、近所の本屋で平積みされていますが、今日は図書館に行って、それよりも凄い光景を目撃しました。

大分県立図書館(貸し出し率が全国第1位らしいです。江部先生の著書に出会ったのもこの図書館です。)の健康コーナーで1000冊以上はあると思われる本の中でたった4冊だけが書棚の上に立てかけられていたのですが、その中に、江部先生の著書がありました。

糖質制限食 春のレシピ」です。
立春にはまだ2週間以上ありますが、図書館の書士というのはファッションの世界とおなじで、「季節を先取りするんだな。」
「医療も先取りしてる???」
と思いました。

写真も撮ってきました。
http://blog-imgs-36.fc2.com/s/u/n/sunap21/tosyo.jpg


さわさん。
お久しぶりです。

コメントありがとうございます。

糖質制限食 春のレシピ」
1000冊中の4冊に選ばれたなんて光栄ですね。(^-^)v(^-^)v

早速写真みました。
大分県立図書館の司書さん、きっと先見の明がおありなのでしょう。

2009年12月発売の
『dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」
おいしい「糖質オフ」料理で楽しくやせる本 』(プレジデント社)

も売り切れで、再版となりました。

糖質制限食好調です。ヾ(^▽^)


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
血糖調節システム・2010
こんにちは。

今日も寒いです。寒いですが、雨も雪も降らなくて良かったです。

定例の第三金曜ライブ、寒さにめげずお客さん来てくれるかな。

さて今回は、血糖のお話しです。

人体の血糖調節は、なかなか精妙で複雑なシステムにより維持されています。

血糖値は、「食事」、「肝臓によるグリコーゲン分解・糖新生と糖の取り込み」、「運動」、「ストレス」、「インスリン・グルカゴンなどホルモン」「女性の生理」・・・など、いろいろな要素が合わさって調節されています。

① 空腹時
食物吸収が終了した直後には、肝臓のグリコーゲン分解が、循環血液中に入るブドウ糖の主要な供給源です。食後数時間が経過し、絶食状態が持続すると、ブドウ糖の供給源は、肝のグリコーゲン分解から糖新生に切り替わります。


② 主食摂食時(糖質あり)
摂食時には消化管から吸収されたブドウ糖は、門脈血からまず肝臓に約50%取り込まれて、それ以外が血液の大循環に回ります。

肝細胞でのブドウ糖取り込み自体は、糖輸送体Glut2*を介して行われ、インスリン追加分泌とは関係ありません。
しかし、肝に取り込まれたブドウ糖は、インスリンによりグリコーゲンとして蓄えられます。

糖尿人では<肝臓のグリコーゲン分解と糖新生>が摂食時にも抑制されにくいので、食後高血糖となります。

また糖尿人は、門脈血からの肝臓のブドウ糖取り込みも低下しているので、この面でも食後高血糖を起こしやすいのです。

糖質摂食して血糖値が上昇すれば、正常人では速やかにインスリンが追加分泌されます。

肝臓に取り込まれなかったブドウ糖は、肝静脈から血中に入り、動脈血中に入ったブドウ糖は、インスリン追加分泌により細胞表面に移動した糖輸送体GLUT4により、骨格筋や脂肪細胞に取り込まれます。骨格筋が、約70%の血糖を取り込みます。これにより血糖値も速やかに下がります。

筋肉中に取り込まれた血糖はエネルギー源として使われ、残りはグリコーゲンとして蓄えられます。取り込まれず余った血糖は、インスリンにより中性脂肪に変換され、脂肪組織か肝臓に蓄えられます。

しかし、糖尿人の場合は、血液中のブドウ糖(食後高血糖)は<インスリン分泌不足>と<筋肉や脂肪細胞におけるインスリン抵抗性>により処理されにくいので、食後高血糖が遷延します。

また、インスリン作用不足による脂質代謝異常、アミノ酸代謝異常、高血糖そのものによるインスリン作用低下、インスリン拮抗ホルモン優位、など様々な因子が重なり合って、高血糖が持続します。

さらに糖尿人の一部においては、胃不全麻痺**による内容物の排出遅延があり、吸収も遅延して通常よりかなり遅れて血糖値が上昇することがあります。

③ 糖質制限食を摂食時(糖質がごく少量)
糖質摂取がごく少量なので、食後血糖値はほとんど上昇しません。追加分泌インスリンもごく少量です。糖質制限食を摂取時は、食事中にも脂質が常に燃えています。

また食事中にも、肝臓でアミノ酸などから糖新生も行われています。このため糖質摂取がごく少量でも低血糖にはならないのです。

④ 運動時
安静時には、インスリンの基礎分泌はありますが少量なので、糖輸送体(Glut4)は細胞表面にでてこれず、
筋肉細胞・脂肪細胞は血糖をほとんど取り込まめません。

運動時(筋収縮時)には筋肉細胞の糖輸送体(Glut4)がインスリン追加分泌がなくても細胞表面に移動して、
血糖を取り込むことが可能となり、血糖値が下がります。

筋肉細胞が血糖を取り込んでエネルギー源とした後、筋肉中のグリコーゲンが満杯になれば、取り込みはストップします。

脂肪細胞は、運動には無関係です。ジョギングや歩行ていどの軽い運動が適切とされています。

糖尿人でインスリンの基礎分泌があるていど以上不足していると、運動によりかえって血糖値が上昇することがあるので注意が必要です。

バーンスタイン医師によれば、個人差はありますが、空腹時血糖値170mg/dlを超えているような場合は、そのような可能性があるとのことです。

また、強度の強い運動だと、アドレナリンや副腎皮質ホルモンなどのインスリン拮抗ホルモンが分泌されますので、血糖値が上昇することがあります。

④ ストレス
急性のストレスがあると、アドレナリン、グルカゴン、副腎皮質ステロイドホルモンなど血糖値を上げるホルモンが分泌されますので血糖値が上昇します。

血糖値は、①.②.③.④などの因子が複雑に絡み合ったシステムにより調節されています。
たかが血糖値されど血糖値、なかなか一筋縄ではいきませんね。


☆☆☆
*糖輸送体(Glut:glucose transporter)
ブドウ糖が細胞膜を通過して細胞内に取り込まれるためには、グルコーストランスポーター(糖輸送体)と呼ばれる膜蛋白が必要です。

Glut1~Glut14が報告されています。
Glut1(脳、赤血球、網膜などの糖輸送体)はインスリン非依存性です。
Glut2(肝臓、膵臓のβ細胞などの糖輸送体)はインスリン非依存性です。
Glut4(筋肉細胞、脂肪細胞の糖輸送体)はインスリン依存性です。


**胃不全麻痺
バーンスタイン医師(米国の1型糖尿病の医師で糖質制限食実践中)の本にも記載されている<胃排泄遅延・胃不全麻痺>が年期の入った糖尿人ではありえます。
欧米人には胃不全麻痺が結構多いようですが日本人でも当然ありえます。

胃不全麻痺のある糖尿人は、夕食を午後6時頃食べても、胃からの排泄が遅延して吸収が遅くなり、通常よりかなり遅れて血糖値が上昇することがあります。
そのため翌朝の空腹時血糖値が高値となることがあります。



江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食と外食
こんばんは。

今日も寒いです。パッチを2枚はきたいくらいですね。

明日は第三金曜ライブ、今スタジオでリハーサルをして帰宅したところです。

さて今回は、しばぞうさんから、外食時の糖質量判別法について、コメント・質問をいただきました。

「10/01/13 しばぞう
外食時の糖質量判別法について
江部先生こんばんは。
先日はコカコーラゼロの件でコメントをいただきましてありがとうございました。
12/14より、経口薬3種をやめ糖質制限食を始めてから、初めての診察に行ってきました。
数値は以下のとおりです。
食前血糖値128
HbA1C 6.5
LDL-C 155
HDL-C 47
中性脂肪 118
でした。
これも先生の本と出合えたおかげだと思います。本当にありがとうございます。
主治医にお褒めの言葉をいただいた後、薬をやめ、糖質制限食始めたことを話すとぶち切れされました。(当たり前ですね)
そこでこの療法に理解をされている病院に移りたいと考えているのですがお勧めのところがありましたらご紹介くださいませんでしょうか?(埼玉県在住・東南部です。)

さて、朝食は納豆2パックとか、ゆで卵と粗引きウィンなー5本とか温奴などを自宅で摂ります。
問題は外食となる昼食です。
コンビニやスーパーで食品成分表示を見ても、
炭水化物量や熱量は記載があるけれど、糖質量について表示されているものは想像以上に少なく、砂糖・水あめ・でんぷん、などと書かれ、炭水化物量の多いものは避けて食べているという状況です。
単純に炭水化物量で判断してよいものなのでしょうか?それとも炭水化物量は少なくても砂糖はたくさん入っているということはあるのでしょうか?
その逆に炭水化物量は多くても、成分表示に糖類の使用が記載されてなければ大丈夫なのでしょうか?
食材や調味料を手にじっと眺めながら日々店頭で悩んでいます。

最後に昼食時に使いやすいお店として 大戸屋を挙げておきます。
焼き魚メニューやお一人様なべなどが豊富で、単品で納豆や、豆腐が頼め、おかずのみでオーダーできるからです。少し高いですけど。。。

毎晩いろいろなウィスキーを舐めながら幸せな暮らしを送っています。これからも制限食がんばっていきます。だらだらと長文失礼いたしました。 」


経口薬3種をやめ糖質制限食を始めて、約1ヶ月で劇的改善ですね。良かったです。 (^_^)

「主治医にお褒めの言葉をいただいた後、薬をやめ、糖質制限食始めたことを話すとぶち切れされました。」

残念ですが、まだまだそういう医師が多いのでしょうね。

「単純に炭水化物量で判断してよいものなのでしょうか?それとも炭水化物量は少なくても砂糖はたくさん入っているということはあるのでしょうか?
その逆に炭水化物量は多くても、成分表示に糖類の使用が記載されてなければ大丈夫なのでしょうか?」


外食時の、糖質の計算ですが、炭水化物の表示しかないこともありますのでややこしいですね。

<炭水化物=糖質+食物繊維>です。

食物繊維は、血糖値を上昇させないので、糖質だけを計算すればいいことになります。

原則として炭水化物の量が多ければ、糖質も多いです。蒟蒻とか特殊なものを除いたら、炭水化物と表示してあるグラム数のほとんどが糖質と考えてよいです。

次に、

<糖類=単糖類と二糖類>です。

つまり、砂糖やブドウ糖などの二糖類、単糖類が含まれていなければ、合成甘味料や糖アルコールが含まれていても、糖類ゼロや無糖と表示できます。

エリスリトール以外の糖アルコール(マルチトーール、ソルビトール、キシリトールなど)は血糖値を砂糖の半分くらい上昇させます。

また糖類ゼロでも、デンプン(多糖類)が入っていることもありえます。

結論としては、糖質制限食実践において糖質のグラム数の確認が最善ですが、それができないときは、炭水化物の量の計算で代用でよいと思います。

「最後に昼食時に使いやすいお店として 大戸屋を挙げておきます。
焼き魚メニューやお一人様なべなどが豊富で、単品で納豆や、豆腐が頼め、おかずのみでオーダーできるからです。少し高いですけど。。。」


大戸屋というのは、関東のチェーン店ですか?
関西にはないように思いますが・・・ (・・?)

最後に東京で糖質制限食に理解のある医療機関です。


江部康二

ひめのともみクリニック
〒141-0022 品川区東五反田1-17-1 第二昭和ビル3階
℡03-3445-0766 Fax03-3445-0838

小松川クリニック 
院長 櫻本薫先生 副院長 櫻本美輪子先生
〒132-0033
東京都江戸川区東小松川1-12-11
電話:03-5607-7051

練馬駅西口眼科クリニック 
院長 新井晶勇己先生
〒176-0001 東京都練馬区練馬1-8-4 コンフォート練馬1階
TEL 03-3948-1119
FAX 03-3948-1116

北里研究所病院糖尿病センター
東京都港区白金5-9-1 [時間内:大代表] 03-3444-6161
山田悟先生
予約センター(新規):03-5791-6135(直通)


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
脂質摂取と糖尿病・ヒムスワースの誤解
おはようございます。

本ブログでもよく質問がありますが、

「高糖質食が糖尿病に良い。糖質制限食は糖尿尿に良くない。」

と主張されている山梨医科大学名誉教授の佐藤彰夫先生のホームページがあります。

その佐藤先生が、根拠としてよく引用されているロンドンのヒムスワースの報告について、東北大学名誉教授後藤由夫先生が、興味深い見解を述べておられます。

後藤先生は日本の糖尿病医療をずっとリードされてきた医師で、ヒムスワース(Himsworth)の誤解を明快に指摘しておられます。

すなわち、

「脂肪の摂取量の多い国ほど糖尿病死亡率が高く、また炭水化物ではこれと対照的に摂取量の多い国ほど糖尿病が少ないという傾向がみられる」

というヒムスワースの報告は、はっきり、間違いだったわけです。

さらに、後藤先生は「動物実験で大量の脂肪を与えて糖尿病が現れたという報告はない」と明言しておられます。

ヒトにおいても動物においても「脂肪摂取量が糖尿病発症に関係する」という説は否定されたわけです。

以下は「糖尿病メディカルネット」に記載されている後藤先生の文章からの引用です。

<後藤由夫 私の糖尿病50年 -糖尿病医療の歩み->
43. 糖尿病の増減
http://dm-medical.net/14/000242.php

2. 脂肪摂取と糖尿病
 ロンドンのHimsworth(1935、1949年)は各国の糖尿病の死亡率と国民の栄養素摂取量との関係が図2のように、脂肪の摂取量の多い国ほど糖尿病死亡率が高く、また炭水化物ではこれと対照的に摂取量の多い国ほど糖尿病が少ないという傾向がみられると報告した。この成績をもとにHimsworthは脂肪摂取が糖尿病の増加と関係すると結論した。筆者はこれに興味を抱き、追試して同様な成績を得たが、次に粗死亡率ではなく訂正死亡率について関係を求めた。その結果は図3のように相関関係は認められなかった。このことから、Himsworthがみていたのは脂肪摂取量の多い国は豊かで糖尿病罹病年齢まで生存するのに対し、経済的に遅れている国では脂肪摂取量が少なく、安価な炭水化物をエネルギー源として、しかも糖尿病罹病年齢まで生存する者は少なく、若年期に死亡する者が多いことをみているにすぎない、と理解された。このことから脂肪摂取が糖尿病の発症と関係するという説は否定された。動物に大量の脂肪を与える実験も行われたが、これによって糖尿病が現れたという報告もなかった。

☆☆☆
後藤由夫先生プロフィール 糖尿病メディカルネットより引用

日本人の生活環境が戦後から高度成長期を経て現在までに激変したのと同じように、糖尿病の医療にも大きな変化があった。このコーナーは、この間の糖尿病医療の進歩の跡を、永らくこの分野をリードされてきた後藤由夫先生に、その体験をもとに語っていただき、今後の糖尿病医療を担う方々の参考に資するために企画されたものである。

後藤 由夫
1925年10月3日生まれ
県立酒田中学、第二高等学校理乙を経て
東北大学医学部 1948年9月卒業
1年間のインターン後、東北大学内科学第3講座にて研究
ペンシルベニア大学内科客員科学者(1958年-60年)
弘前大学教授(1970年-76年)
東北大学教授(1976年-88年)
東北大学名誉教授(1988年-)
東北厚生年金病院院長(1988年-94年)
東北厚生年金病院名誉院長(1994年-)
日本糖尿病協会理事長(1992年-2000年)
日本臨床内科医会会長(1999年-)

糖尿病の成因、合併症、治療法を研究し、糖尿病モデル動物GKラットの開発に成功。
日本内科学会会頭をはじめ糖尿病学会、老年医学会、動脈硬化学会、臨床栄養学会、膵臓病研究会、体質学会、自律神経学会、過酸化脂質学会、肥満学会、東洋医学会、人間ドック学会、発汗研究会、末梢神経研究会などの会長・会頭をはじめ、糖尿病関係の5つの国際シンポジウムの会長を担当。現在約18,000人の内科医が加入する日本臨床内科医会会長。

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
米国のローカーボ事情は様々
おはようござます。

糖尿東京人さんとusaさんから、米国のローカーボ事情について興味深いコメントをいただきました。
米国でも、州によりローカーボ食品の事情が異なるようですね。

「10/01/09 糖尿東京人
タイトルなし
江部先生、こんにちは
ロサンゼルスの紀伊国屋書店に「主食を抜けば 糖尿病は良くなる」がJapanese Low Carbと紹介されて並んでいました($24,99)

昼食の話題が上がったので米国に出張や旅行される 方のためにローカーボ対応の外食チェーン情報を書かせていただきます。

ファストフード系列
McDonald's、Wendy's、Burger King
ほぼ全てのバーガー類がバンレス注文可能
レタスを敷いた皿に注文バーガーのパン以外がドンと乗っています

Carl's Jr.、Hardee's バンレス注文可能なほか、 朝食時にはLowCarb Bowlといってcarb 3gのふすまトルティアに卵、ソーセージ、トマト

Taco Bell タコス、ブリトー類のトルティアなしをオーダー出来ますがサラダメニューとほとんど変わりません

Subway 日本同様にサラダ注文可能、かなり巨大です
KFC、Pizza Hutはローカーボ対応なし

コーヒーショップ系列
Dunkin Donuts ローカーボベーグルあり
Krispy Kreme シュガーフリードーナツあり
Starbucks, Coffee Bean, 意外にもローカーボ対応なし
独立系ベーグルショップはほとんどローカーボがありますがダイエット用にオートミール粉で低GIにしているものも多く Low carb wheat branを選んだほうが無難かもしれません

テーブルレストラン系列
Denny's 全米最大手、日本のメニューとは全く違います
都市部店舗ではCarb-Watchというローカーボメニューあり、その他でも肉類の付け合わせを10数種類から選ぶので
自身でローカーボディッシュを組み立てられます *朝食時はハイカーボメニューだらけなので注意

COCO's カリフォルニア発祥のベーカリーレストラン
日本でいえば神戸屋、fat 15g未満とcarb 15g未満のメニューには印が付いていて、パンにもローカーボやシュガーフリーが各種あります

Cracker Barrel 南部発祥のチェーンにもLow Carb Choice というメニューが数種できましたがcarb 30g~50gと多め

I-HOP  かつて日本にあったパンケーキチェーン
ローカーボ対応なし

ステーキチェーンは元来ローカーボなので省略、TGI Friday's、Tony Roma's、Chilli's、Cheesecake Factory等
Denny'sよりもやや高めなチェーンはウェイターがAtkinsダイエット対応のメニューを熟知しています。
とくにCheesecake FactoryのLowcarb チーズケーキは健常者にも好評です

独立系レストランのローカーボ対応、 西海岸の都市部とミネアポリス、ラスベガス、マンハッタンでは ほとんど個別に付け合わせや調理法を工夫してもらえますがパンやパスタまでローカーボな店舗は高級店に限られます

アメリカでは炭水化物はデンプン類、糖類、繊維類の3グループ分けが一般的で、健康のため糖類だけ控える人と、糖尿や減量でデンプンも控える人がいるので独立店の対応はまちまちだと思います。」



「10/01/10 usa
アメリカのローカーボ事情
コメントで、アメリカの各レストランなどでのローカーボ情報が載っていました。
とてもよく調べられていると思いますが、「アメリカでは、、」とか、「米国では」という表現は誤解が生じると思いますよ。
カリフォルニア州とNY州の一部なのではないでしょうか? ネバダもですか?
私の住んでいる州では Cheescake Factory 以外ではローカーボという字をメニューに見た事がありません。(かなりレストランには通っていました)
先日、これまた違う州ですが、Wendey'sの肉しか食べていないのに数値が跳ね上がりました。
つなぎに何か糖質を使っていたのだと思われます。小麦粉とか、コーンスターチとか、、。
外食ではサラダとステーキ、刺身以外は食べられないのが現状です。野菜スープにも大量の糖質が入っていますし。かといって外食をゼロにもできないし、家での食事作りは正直精神的に限界があるし、同じ米国でもこのような外食生活しか出来ない州、または糖質制限に理解のない州もあるのです。というかほとんどです。」


「10/01/12 糖尿東京人
usaさん、心配性さん
米国の事情について、不快な思いをさせてしまったようで申し訳ありません。
 
自分は人生の半分以上が米国ですが、ニューヨークとカリフォルニアにしか住んでいないのでまさにご指摘どおりでした。

ローカーボ不浸透な州に住んでおられるようなので逆に伺いたいのですが、メニューに明記されていないにしても、
大手ハンバーガーチェーンでのバンレス対応や、個人経営のレストランでウェイターに「ローカーボダイエット中」
だと伝えても対応してもらえない感じなのですか?
それなりの金額をとる個人店くらいは対応してもらいたいものです。

ダイエット、健康維持、糖尿のいずれかでしょうが カリフォルニア、とくにLAではローカーボがかなり浸透しているので、中~高級店では対応しない店のほうが 少ないです。 仕事柄いろいろな店に行く機会があれど、東京のBotanicaのようにローカーボを感じさせないほど自然で美味しい料理に巡り会う確率は低いですが。

糖質制限食で糖尿とは共生できても、美味しく食べることは難しいんですね。

最後に、江部先生還暦おめでとうございます。
先生の長生きは自分たちに希望を与えてくれます。」


糖尿東京人さんとusaさん、コメントありがとうございます。
米国事情、いろいろ異なっており、参考になります。

【ロサンゼルスの紀伊国屋書店に「主食を抜けば糖尿病は良くなる」がJapanese Low Carbと紹介されて並んでいました($24,99)】

1ドルが92~93円ですから、¥2300円で、日本の¥1500円より高いですね。
それでも嬉しい情報です。 (^^)

糖尿東京人さん、米国暮らしが人生の半分以上とは、糖尿米国人でもありますね。

糖尿東京人さんの住んでおられるカリフォルニア州とかニューヨーク州では、ローカーボ食品、ローカーボレストランが、かなり一般的なのですね。

糖尿東京人さんご紹介の
ファーストフードのMcDonald's、Wendy's、Burger King 、
テーブルレストラン系列、Denny's 全米最大手、
TGI Friday's、Tony Roma's、Chilli's、Cheesecake Factory等やや高めなチェーン、

などは、全米に展開しているはずなのに、州によってはusaさんご指摘の如く、ローカーボメニューがないこともあるのでしょうね。( ̄_ ̄|||)

そういえば、米国在住の糖尿人の日本人患者さんがたまたま日本に帰国して、高雄病院の外来に2007年7月に来られました。

有名な病院の糖尿病専門外来に受診されたのですが、ドクターは忙しくてあまり説明はなく、ナースがいろいろアドバイスしてくれたそうです。

ナースはとくに炭水化物を減らせとは指導しませんでしたが、その時、糖尿病患者会に入会するよう言われて、米国で一番大きな患者会に入会したそうです。その糖尿病患者会では、食事療法として炭水化物を減らすことを奨められたそうです。

その意味では、カリフォルニア以外にもいろんな州でスーパーとかで、探せばローカーボ食品とかあるのかもしれませんね。


usaさんも、米国の糖尿病患者会をネットなどで調べて加入されたら、ローカーボ食品やローカーボレストランの情報が手に入るかもしれませんよ。一度調べてみられたら如何でしょう。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食 【コメント・質問に関するお知らせ・お願い】 など
【コメント・質問に関するお知らせ・お願い】

ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。

読者の皆さんからもご意見をいただきましたが、確かに普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、主治医にご相談頂けば助かります。m(_ _)m

普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)

掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。

一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m

それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。

また、各地の糖質制限食による糖尿病治療が可能な医院の情報は、ブログにリンクしてある「糖質制限食SNS 糖質制限ひろば」で公表してますので、そちらをご覧ください。


糖質制限食を実践される時のご注意】

本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので
必ず主治医と相談して頂きたいと思います。

一方薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、

「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」
糖質制限食 春のレシピ」
「 糖質制限食 夏のレシピ」
「糖質制限食 秋のレシピ」
「糖質制限食 冬のレシピ」
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」
(東洋経済新報社)

「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)

を参考にされ、
自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。

なお、血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と、活動性の膵炎がある場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。

糖質制限食は相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。

【糖質制限食とは】

食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わります。タンパク質・脂質は血糖に変わりません。 また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。これらは、含有エネルギーとは無関係な、三大栄養素の生理学的特質です。 

このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。タンパク質は、ごく少量のインスリンを追加分泌させます。

現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。そして食後高血糖を起こすのは三大栄養素のなかで糖質だけなのです。

1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。

炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。

一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても糖質含有量は1gもないので食後高血糖はほとんど生じないのです。 なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。

糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、
食後高血糖を防ぐというものです。

簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
 
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。

一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは、理論的に不可能です。

従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、
一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。

糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。なお、糖質制限食はカロリー無制限ということではありません。

一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。


【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内・保険適応】

お問い合わせは高雄病院
http://www.takao-hospital.jp/

住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3 
電話:075-871-0245

ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。


【糖質制限食外来治療のご案内・予約制・保険適応】

高雄病院  電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3

高雄病院京都駅前診療所  電話:075-352-5050
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江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食と食事回数
おはようございます。

今回は、ぴーぽんさんから、食事回数に関して、コメント・質問をいただきました。

「10/01/08 ひーぽん
糖質制限食感謝!
初めまして、スーパー糖質制限食を初めて約2ヶ月経ちます。
コーラー大好き人間だったわたしはたまたま
足の怪我で血液検査をして糖尿病が発見され、病院から帰ってきてすぐに、インターネットで糖質制限食を知りその日から実践させてもらいました。先生の本2冊発注し読ませていただいております。
11/10HbA1C9.6、血糖値430中性脂肪388
1/7HbA1C6.2血糖値100中性脂肪109と改善しました。
ただ、病院の先生に糖質制限食完全否定されました。
先生に質問なんですが、私の場合長年1日1食
をして来ましたので、1日1食で問題ないでしょうか。BUNの値が15から24に上がっていました 。」


ぴーぽんさん。HbA1c、血糖値、中性脂肪の劇的な改善、素晴らしいですね。(^-^)v(^-^)v 

主治医に糖質制限食を否定されたのは、残念ですが、徐々に医学界にも、糖質制限食は浸透しつつありますよ。

一般向けの本は2005年「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」~2009年「我ら糖尿人、元気なのには理由がある」まで9冊出版しました。

医師向けとしては 、「医学雑誌・治療、2009年4月号」、「医学雑誌・内科、2010年1月号」、に糖質制限食の小論文を執筆しました。

「治療」「内科」といった医学雑誌は、過半数の医師が読んでいるものなので、それなりの影響力はあると思います。

2005年に初めて本を出したときは、「いつか医学雑誌に書ける日が来たらいいな」と思っていたので、その夢は実現しました。 (^_^)

さて、食事回数ですが、1日1回でも問題ないと思います。例えば私の先輩、釜池豊秋先生は、糖質ゼロ食を提唱しておられ、1日1食です。

「人類は本来、一日三食か二食かはたまた、一食か?」興味ある問題ですね。

かく言う私は、1984年の第一回目の断食以降は、朝食抜きの一日二食で、間食は摂る日もあれば、摂らない日もあります。一日一食で三ヶ月くらいやったことがありますが、やっぱり食欲に負けましたね。

糖質制限食だと腹が減って動けないというような強烈な空腹感はありません。糖質を食べていると、この強い空腹感が生じるのですが・・・。

それで一日一食ペース、腹減って挫折したのではなくて、「何か食べたいという欲望」です。これに負けました。

一生一日一食だと、何といっても食事回数が減ります。特に団体旅行に行った時など、周囲の人々とのコミュニケーションとか間が持ちません…。

とかいろいろ言い訳してますが、まあ、<肉、魚、貝、蟹、海老、ナッツ類、豆腐、納豆、野菜、果実・・・> 何でもいろいろ食べたいという欲望がすべてなのです。

それで、キャッチコピーとしては、「美味しく楽しく 糖質制限食」ということで「清く正しく」とはおさらばして、我慢することなく長続きすることを目指しているのです。ということで、私の場合は一日二食に戻しました。

日本でも、江戸時代初期までは一日二食で、中期から三食になったようです。平安時代まで遡って、清少納言は「枕草子」のなかで「大工のものくうこそいとあやしけれ」と、大工が昼食をとること(多食)を揶揄しています。

平安時代や鎌倉時代の一日二食は、朝食が午の刻(正午)で、夕食が申の刻(午後4時)だったそうです。

イギリスやフランスなどヨーロッパの国々でも、18世紀に二食から三食になったので三食の歴史は意外に浅いのです。

英語の朝食はbreakfastですが、一日の最初の食事(断食を破る)を意味していたのが転じて朝食になりました。当初のbreakfastは、一仕事終えたあと、正午頃食べていたのかもしれませんね。

世界的に見ても、伝統的なライフスタイルを保っている部族は、一日二食のことが多いようです。特に朝起きて何の活動もしていないのに、すぐ食事を摂るという現代人のような「変な?習慣」はありません。

**
今回のブログは、小山内博先生の「明日から朝食をやめなさい」(21世紀ブックス)を参考にし、一部引用させていただきました。謝謝。


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食と昼食
こんばんは。

とうとう、還暦になりました。( ̄_ ̄|||)

今日は江部診療所で午前中外来でしたが、昼まっから、一人だけ堂々ステーキを食べました。赤いダウン・靴下、お花、赤ワインなどもらいましたよ。ブログを書き終えたら早速飲みます。 (^_^)

さて今回はくみまるさんから、嬉しいコメントをいただきました。

「10/01/08 くみまる
感激です!
今日、定期検査に行ってきました。正直、ものすごく緊張して結果を待ち、なんとHbA1Cが、前回(確か2ヶ月前)の7・1から6・1へと良くなっていました。スーパー糖質制限をしていたのですが、途中からお昼だけ主食を入れたりしたので、大丈夫かなと不安でした。これも先生のブログに出会えたからだと、本当に感謝しております。ありがとうございます。まだ、病院からの薬を辞める勇気がないので、続けていますが、徐々に減らせたらと思います。そこでまた、初歩的な質問なのですが、これまでの様に、お昼はたまに主食を取り入れても大丈夫でしょうか。それとも、スーパーでやって、もっと結果が良くなってからの方がいいのでしょうか。ご指導よろしくお願いします。」


くみまるさん。
HbA1cの改善良かったですね。

この調子なら、経口血糖降下剤は、主治医とよく相談されて中止できると思いますよ。(^-^)v(^-^)v
糖質制限食でリアルタイムに血糖値が改善するので、低血糖にご注意くださいね。

ご質問ですが、糖尿病と一旦診断された人は、基本的には「スーパー糖質制限食」が一番よいです。

昼に主食を少量摂取する「スタンダード糖質制限食」は、あくまでも日本のサラリーマン諸氏の昼食に配慮してのものです。

オフィス街などでは、昼食は定食・弁当・うどん・ラーメン・牛丼・・・といったものが中心で、糖質制限はなかなか困難です。

それで、やむを得ず、昼食に主食少量は仕方ないかという意味です。でも、昼食に糖質を摂取すれば、1日1回は食後高血糖が生じることになります。

高雄病院では、2週間の糖尿病教育入院で、最初の1週間はしっかりいろんな検査をします。

例えば、入院1.2日目は、従来の糖尿病食で血糖値日内変動検査を行い、3日目からは、スーパー糖質制限食開始で日内変動検査を実施し、糖質ありとなしで血糖値がいかに違うかを実体験してもらいます。

入院後半の1週間は、食直前にグルコバイグルファストを内服して、あえて少量の主食(糖質)を摂取して、2時間後血糖値を測定するなど、実験を行います。グルコバイグルファストそれぞれ単独のこともあれば「グルコバイグルファスト」のこともあります。

個人差があるのですが、とりあえず食後2時間血糖値が180mg未満達成を目指します。

例えば食パン2枚だと「グルコバイグルファスト」内服しても200mgアップの糖尿人が1枚だと150mgくらいですんだりします。ご飯やうどんなどの実験もします。

こうしてやむを得ず、主食を摂取する場合、どのていどの量なら大丈夫かを確認して退院してもらいます。

くみまるさんも、主治医と相談されて、お昼に主食を摂るときだけ、上記の方法もありと思いますよ。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
人体のエネルギー源と糖質制限食
こんばんは。

今日も2度でした。寒さが続く京都です。

こちらは小雪が舞い散るていどでしたが、滋賀県は大雪で交通に障害がでてるそうです。

さて今回は、エネルギー源のお話しです。

細胞が生きていくには、エネルギー源が必要です。今日のお話しも基本的に論争の余地のない、生理学的事実が中心です。

少し面倒くさいですが、この人体のエネルギーシステムのことがあるていどわかったら、糖質制限食のことも含めて、常識の壁を越えるきっかけとなると思います。


人体にはエネルギー源として、

1)「脂肪酸ケトン体のシステム」

と、

2)「ブドウ糖-グリコーゲンのシステム」

があります。

<人体のエネルギー源Ⅰ:脂肪酸ケトン体システム>

①脳はケトン体(脂肪酸の代謝産物)をいつでも利用できる。
②心筋・骨格筋など多くの体細胞は日常生活では脂肪酸ケトン体が主エネルギー源であり、
 人体を自動車に例えるならガソリンの代わりは脂質である。
③赤血球を除く全ての細胞はミトコンドリアを持っているので、脂肪酸ケトン体エネルギーシステムを利用できる。
糖質制限食実践中や絶食中の血中ケトン体上昇は、インスリン作用が保たれており生理的なもので病的ではない。
 農耕開始前の人類は皆そうであった。
⑤備蓄の体脂肪は大量にあるエネルギー源で、体重50kg、体脂肪率20%の成人なら
 10kgで90000キロカロリーあり、水だけで2ヶ月生存できる。

<人体のエネルギー源Ⅱ:ブドウ糖グリコーゲンシステム

①人体で赤血球だけはミトコンドリアがないのでブドウ糖しか利用できない。
②日常生活でブドウ糖を主エネルギー源として利用しているのは赤血球・脳・網膜など。
ブドウ糖-グリコーゲンエネルギーシステムの本質は
 「常に赤血球の、唯一のエネルギー源」
 「筋肉が収縮したときのエネルギー源」→緊急時のターボエンジン
 「血糖値が上昇しインスリンが追加分泌された時、筋肉・脂肪細胞のエネルギー源」
 「日常生活では脳・網膜生殖腺胚上皮などの主エネルギー源」
④備蓄グリコーゲンは極めて少量で、成人で約250gていどである。
 約1000キロカロリーしかなく、強度の高い運動なら1~2時間で枯渇してしまう。

ここで大切なことは、日常生活では、骨格筋・心筋を始めほとんどの体細胞は、主エネルギー源として、備蓄がたっぷりある「脂肪酸-ケトン体システム」を利用しているということです。

即ち、人体を自動車に例えれば、ガソリンの代わりは脂肪酸-ケトン体であり、決してブドウ糖-グリコーゲンではありません。

例えば、心筋がブドウ糖を主たるエネルギー源として利用したりしたら、グリコーゲンの備蓄は約250gしかなく、いつ枯渇して止まるかもしれませんね。

日常生活で、ブドウ糖をエネルギー源としているのは、「脳・網膜・生殖腺胚上皮」といった特殊な細胞だけです。

糖質制限食実践中は脂肪酸-ケトン体を主たるエネルギー源として、しっかり利用しているので、エネルギー不足には決してなりません。人類400万年の歴史の内、399万年間は、糖質制限食だったことをお忘れなく。

肝臓の糖新生は、ブドウ糖しか利用できない「赤血球」などのために、最低限の血糖値を確保するために日常的に行われています。

糖質を摂取したときは、血糖値が上昇し追加分泌のインスリンが出て、筋肉でブドウ糖を利用させます。

食物吸収が終了した直後には、肝臓のグリコーゲン分解が、循環血液中に入るブドウ糖の主要な供給源です。食後数時間が経過し、絶食状態が持続すると、ブドウ糖の供給源は、肝のグリコーゲン分解から糖新生に切り替わります。

ですから、人類の400万年の歴史において、ごく普通に日常的に毎日、肝臓の糖新生は行われてきたわけで、珍しいことでも何でもありません。

肝臓の糖新生は、脂肪酸の代謝産物のグリセロール、筋肉から供給されるアミノ酸(アラニン、グルタニン)、ブドウ糖代謝の産物の乳酸などから行われます。

肝臓は筋肉由来のアミノ酸から日常的に糖新生を行っていますが、筋肉ではタンパク質の分解と合成が毎日行われています。

①脂肪組織→グリセロール(脂肪酸の分解物)や脂肪酸→肝臓→糖新生→脂肪組織・筋肉
②筋肉→アミノ酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織
③ブドウ糖代謝→乳酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織

①②③はごく日常的に誰でも行っており、肝臓、筋肉、脂肪組織の間で行ったり来たり、日々糖新生の調節が行われているわけです

400万年間の人類の歴史の中で399万年間は、糖質制限食を摂取しているか、空腹や絶食や飢餓が日常的でしたので、肝臓は毎日、今以上に糖新生を行い、よく働いてきたしそれだけのキャパシティーを持っているということですね。

糖質制限食実践中は、脂肪酸-ケトン体エネルギー源がたっぷり利用できますので、決してエネルギー不足にはなりません。糖質制限食の場合は、食事中でもある程度、肝臓の糖新生は行われています。

なお肝臓の糖新生は、人体全体のエネルギー源を確保しているのではありません。

ブドウ糖しか利用できない「赤血球」という特殊な細胞と、日常的にブドウ糖を利用している脳や網膜などのために、最低限の血糖値を確保しているのです。

次に三大栄養素のうちタンパク質は、エネルギー源として使われることはありえますが、基本的に少ないです。タンパク質は、主として人体の組織の材料として使われています。

適切なエネルギー源が確保されていれば、食事から摂取したタンパク質(アミノ酸)は、人体に吸収されて組織のタンパク質合成に使われます。

タンパク質を主たるエネルギー源として使われざるを得ないときは、例えば「飢餓→絶食」が続いたときなどです。
体内の糖質、脂質をエネルギー源として使い果たした後は、やむを得ず筋肉細胞のタンパク質を主たるエネルギー源として使いますが、これは死の一歩手前です。


江部康二


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
境界型、糖尿病発症予防、新診断基準
こんにちは。

今日もとても良い天気ですが、寒い日が続いてます。

例によって家の中でもユニクロのコートを着ている江部康二です。

さて今回は、taichiさんから、境界型と糖尿病発症予防についてコメント・質問をいただきました。

「10/01/06 taichi
糖尿病予防
taichiと申します。
糖質制限食に出会ってから、そろそろ2年になります。3年前に受けたOGTTで、1時間値が191であったため、糖質制限に踏み切ったのですが、現在自分の耐糖能がどの程度のものか知りたく、先日OGTTを受けてきました。
その結果、
 負荷前 86
 30分値 191
 60分値 183
120分値 108
という結果で、やはり、境界型との診断を受けました。
このような状態で、これからも糖質制限食を続けていけば、糖尿病にはならないものでしょうか?
(現在はスーパー糖質制限をしているのですが、スタンダードやプチでも糖尿病の予防は可能でしょうか?)
また、SMBGでは、いわゆる主食を取らす、野菜などから50g程度の糖質をとっても60分値で140以下、120分値で100以下に収まっていますので、主食は取らずに1日150g程度の糖質を摂っても私の場合は糖尿病の予防は可能でしょうか?」


taichiさん。
コメントありがとうございます。

このデータなら、OGTT2時間血糖値が108mg/dlなので、診断基準では境界型ではなく、正常型ですね。

2年間のスーパー糖質制限食で、進行がなかったことは確実ですね。
1時間値は、191mg→183mgと改善傾向がありました。

OGTT1時間値が180mg/dlを超えている場合は、OGTT2時間値が140mg/dl未満で正常型でも、将来糖尿病になりやすいことがわかっています。従ってtaichiさんも油断は禁物ですね。

「このような状態で、これからも糖質制限食を続けていけば、糖尿病にはならないものでしょうか? (現在はスーパー糖質制限をしているのですが、スタンダードやプチでも糖尿病の予防は可能でしょうか?)」

糖尿病の予防は充分可能です。

当然ながら、2010年1月5日のブログに書きました理由により、スーパー>スタンダード>プチ>カロリー制限食(糖質あり)の順に予防効果はあります。

「また、SMBGでは、いわゆる主食を取らず、野菜などから50g程度の糖質をとっても60分値で140以下、120分値で100以下に収まっていますので、主食は取らずに1日150g程度の糖質を摂っても私の場合は糖尿病の予防は可能でしょうか?」

野菜などから1回に糖質50gを摂取しても、60分値で140以下、120分値で100以下に収まっているのなら、全く心配無いと思います。

日本糖尿病学会は、2009年11月1日(日)、東京で開催されたシンポジウムで、糖尿病の新しい診断基準案を発表しました。 1999年以来、10年ぶりの改訂案です。

診断基準案ですから、まだ決定ではありません。2010年2月頃に、正式に新診断基準を発表する予定だそうです。

新診断基準案では、

①HbA 1c ≧ 6.1 %

が新たに加わります。ただし、HbA 1c に一本化するのではなく、従来通り

空腹時血糖値:126mg/dl以上、
③75g 経口ブドウ糖負荷試験2時間値:200mg/dl以上、
④随時血糖値:200mg/dl以上、

も残ります。

①②③④のどれか1つがあれば、糖尿病型となります。
異なる日に採血して、もう一回①②③④のどれか1つがあれば糖尿病と診断します。

ただし、2度の血液検査ともHbA1cだけで診断することは認めず、1度は血糖値を確認することが必要です。



☆☆☆<現在の糖尿病診断基準>

75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)及び、空腹時血糖値による判定基準と、随時血糖値による判定基準があります。まとめると以下のようになります。


75g経口ブドウ糖負荷試験および、空腹時血糖値による判定基準(日本糖尿病学会)

A)正常型
空腹時血糖値が110mg/dl未満かつ120分後血糖値が140mg/dl未満」
を満たせば正常型

B)境界型
正常型にも糖尿病型にも属さない場合をいう。

C)糖尿病型
空腹時血糖値が126mg/dl以上または120分後血糖値が200mg/dl以上」
を満たせば糖尿病型。


随時血糖値200mg/dl以上は糖尿病型

Ⅲ 糖尿病の診断
  Ⅰ、Ⅱの糖尿病型を異なる日に2回以上確認できたら糖尿病と診断。

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
薬を飲んでコントロールと糖質制限食のみでコントロールの差は?
おはようございます。

「糖質を摂取して薬を飲んで血糖コントロールする」

のと

糖質制限食で薬なしで血糖コントロールする」

のと人体にとってどのくらいの差があるのでしょうか?

今回はりかさんから、コメント・質問をいただきました。

「10/01/03 りか
β細胞の疲弊について
先生 元気になる情報をどうぞよろしくお願いいたします。

先生のコメント中で、
『SU剤を、内服し続けた場合、徐々に膵臓のβ細胞が疲弊していき、インスリン分泌能が低下し、薬が効かなくなること』を、
<二次無効>といい、過去臨床現場で懸念されてきました。

この二次無効に関しては、糖尿病学会の最新の説では
『SU剤の直接の影響ではなく血糖コントロールが悪いことでβ細胞が傷害されていくためである』というように変化しています。

という事ですが、私は、病気発覚時ひどかったものの、糖質制限食で、6ヶ月かかりましたが、糖尿人の目標をすべてクリアできるようになりました。

ちょっと糖質オーバーになりそうな時はベイスン、
外食したい時や、どうしても主食が食べたい時などは、グルファストとベイスンダブルで服用することで、ご飯をおかわりしても、おもちを三つ食べても、食後一時間値は170を超えないのですが、グルファストとはいえ、一日に二度、数日続けてインスリンを分泌させてしまったら、β細胞が疲弊してしまうかしら・・・と不安だったのですが、上記の記事からしますと、食後高血糖にならないのなら、速効性のグルファストであれば、問題ない、という事なのでしょうか?

それからもうひとつ疑問があるのですが、
ベイスンは糖質を消化させずになかったものにするのではなく、ちょっと遅れて吸収させる事によって時間差を作り高血糖を起こしにくくする、という理解をしているのですが、高血糖さえおこさなければ、糖を吸収してしまうこと自体はそれほど問題ないのでしょうか?

ベイスンのみで食後高血糖を避けられるのは私の場合、一食分45g分の糖質までなので、しかも時間差での処理ならば、インスリンもそうたくさんは分泌させられないので、問題ない、ということでしょうか。」

糖質制限食で目標をクリアした後、ベイスン&グルファストを一日二回服用して、ごく普通の食事を続けていく事と、薬を服用せずに糖質制限食を続けていく事の違い・メリット・デメリットは何でしょうか?

もちろん、薬を毎日飲む事の、胃や肝臓への負担や、β細胞疲弊の心配は無いとはいえ、インスリンをグルファストで分泌させることにより中性脂肪やコレステロールが増えたり、という心配はあるとは思いますが、若干わからなくなってきてしまいました。」

「10/01/05 りか
追伸
先生 何度も申し訳ありません。
メリット・デメリットの追伸ですが、
薬を飲みながら糖質を摂取していくと、速攻型でもインスリンが分泌させられれば、体重・体脂肪増加には繋がってしまいます、よね?」


りかさん。

糖質制限食実践で糖尿人の目標を全てクリア、まずは良かったですね。 (^_^)

さて、

通常の日本糖尿病学会推奨のカロリー制限食(高糖質食)を摂取した場合、糖質が60%ですから、例えば女性で500キロカロリー×3回/日で合計1500キロカロリー/日なら、1回の糖質の摂取量は約75gで一日合計225gです。

1gの糖質が約3g、2型糖尿人の血糖値を上昇させます。ベイスンやグルファストの効果はありますが、限定的で個人差もあります。

従ってベイスンやグルファストを食直前に内服していても、ほとんどの2型糖尿人において、従来の糖尿病食を摂取する限りは、確実に180mg/dlを超える食後高血糖が生じます。

そして、この食後高血糖のために、年余にわたりβ細胞が傷害されていくのです。今までの糖尿病治療は、この点において根本的に間違っていたと言えます。

一方、個人差があるなかで、りかさんの場合は、<ベイスン+グルファスト>食直前内服で「ご飯をおかわりしても、おもちを三つ食べても、食後一時間値は170を超えない」のなら、薬が良く効くタイプといえます。
2型糖尿人のほとんどにおいて薬はこんなには効きませんので・・・。

またベイスンを内服して、1回45gまでの糖質摂取で食後高血糖を起こさないのならば、膵臓への負担は少ないと思います。

グルファストは膵臓のβ細胞を2~3時間だけ働かせますが、グルコバイはデンプンの分解をゆっくりさせて食後高血糖を防いでいますので膵臓への直接の作用はありません。


【『SU剤を、内服し続けた場合、徐々に膵臓のβ細胞が疲弊していき、インスリン分泌能が低下し、薬が効かなくなること』を、 <二次無効>といい、過去臨床現場で懸念されてきました。

この二次無効に関しては、糖尿病学会の最新の説では
『SU剤の直接の影響ではなく血糖コントロールが悪いことでβ細胞が傷害されていくためである』
というように変化しています。】

これは糖尿病学会の見解ですが、私も高血糖がβ細胞を傷害する最も大きな要因と考えており、この点では一致しています。

しかし、糖質を摂取して、頻回に追加分泌インスリンを大量に出すこと自体が、やはり膵臓への負担となると私は考えています。

また、肥満ホルモンであるインスリンが頻回・過剰に分泌されることは、肥満をはじめとして、人体の代謝に様々な悪影響を及ぼします。
このことは、人類の食生活の歴史を振り返ってみればわかりやすいと思います。

人類の食生活は「農耕が始まる前」「農耕以後」「精製炭水化物以後」の3つに分けることができます。この3段階の変化が、人体の代謝において極めて重要な意味をもっています。その鍵となるのが血糖値の変化です。

人類の歴史が400万年として、農耕が始まる前の399万年間は、食生活の中心は狩猟や採集であり、人類皆糖質制限食です。従って血糖値の上下動がほとんどありません。

例えば、空腹時血糖値が100mg/dl程度と仮定して、食後の血糖値はせいぜい110~120mg/dlくらいで、
血糖値上昇の幅は10~20mgていどの少なさです。

これならインスリンの追加分泌はほとんど必要ありません。つまりこの頃は、膵臓のβ細胞は基礎分泌以外は、働くことはまれだったわけです。

農耕が始まったのが約1万年前で、世界に定着したのが約4000年前です。穀物(糖質)を摂取すれば、空腹時血糖値が100mgとして、食後血糖値は140mgていどまで上昇し、インスリンが大量に追加分泌されます。血糖値上昇の幅は40mgもあります。

農耕以後の4000年間は、膵臓のβ細胞は毎日、懸命に働き続けることとなりました。

さらに18世紀に穀物の精製技術が開発され、ここ200年世界中で精製された炭水化物が日常的に摂取されるようになりました。

精製された炭水化物は未精製のものに比して、さらに急峻に血糖値を上昇させますが、私はこれを「グルコースミニスパイク」と呼び警鐘を鳴らしています。

即ち空腹時血糖値が100mgとして、食後血糖値は160~170mgまで上昇し、その幅は60~70mgもあり、追加分泌インスリンをさらに大量に出さざるをえません。

これほど急激に血糖値を上昇させる食品は人類史上類のないものです。

生体の健康を維持するには、恒常性を保つことが重要な意味を持っています。

人類の血糖値の恒常性は399万年間保たれていましたが、その変動幅は、農耕開始後3800年間2倍程度となり、精製炭水化物摂取が始まったここ200年はその幅は3倍となり、インスリンを大量・頻回に分泌せざるを得なくなりました。

30年、40年と年余に及びインスリンを過剰に分泌し続けて、膵臓が遂に疲弊して分泌能力が低下すれば糖尿病発症となります。

糖尿病になると、普通に糖質を摂取すれば、食後血糖値は200mgを超えてきます。私は糖尿病以外にもほとんんどの生活習慣病の元凶は、精製炭水化物によるグルコースミニスパイクとインスリン過剰分泌と考えています。

このように人類の食生活の歴史から考えると、内服薬なしの糖質制限食だけで血糖コントロールするのが、一番体にはよいと言えます。

グルコバイは膵臓への直接作用はありませんが、糖質を摂取して血糖値が上昇すれば糖尿人の目標を達成していても、ミニスパイクを生じ一定のβ細胞への負担となります。

グルファストは時間は短いですが、直接β細胞への負担となりますし、糖質を摂取すればやはりミニスパイクを生じます。

毎日、薬を定期的に飲んで糖質を摂取するのは、やはり一定のリスクとなります。ハレの日に時々、薬を飲んで糖質摂取ていどがお奨めですね。


【糖尿人の目標】
糖尿病合併症予防のために

① 空腹時血糖値140mg/dl未満→126mg/dl未満→さらには110mg/dl未満
② 食後2時間血糖値180mg/dlmg/dl未満→さらには140mg/dl未満
③ 理想的には食後1時間血糖値180mg/dl未満
④ HbA1c6.5%未満→さらには5.8%未満

を達成していれば、高血糖による動脈硬化などの合併症予防になります。

一方、正常人が糖尿病になるのを、予防するにはグルコースミニスパイクを防ぐことが大切です。

既に糖尿病を発症している人においても、血糖値の恒常性が保たれるほど、膵臓にも身体にも優しいですね。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
ステロイド糖尿病
こんにちは

今回はWOOさんから、ステロイド糖尿病についてコメント・質問をいただきました。

「10/01/04 WOO
ステロイド糖尿病
再度ご相談させていただきます。
プレドニンが10㎎/日から5㎎/日になりましたがステロイド糖尿病が改善されません。
ステロイド投与は、かれこれ1年になります。
インスリンが無しでの昼・夕食後の血糖値が200前後だったりします。
食後運動をするようにしたので、血糖値は160くらいまで下げられるようには
なりましたが、食後運動をするのは仕事の都合もあり困ってます。
プレドニンがゼロになって永続の可能性はありますでしょうか?
お忙しいところ恐縮ですが再度コメントいたけますと幸いです。よろしくお願いいたします。」


WOOさん。
ステロイド糖尿病について、まず簡単に整理してみましょう。

副腎皮質ホルモンを一定以上の量、長期にわたり投与することにより、糖尿病・耐糖能異常をきたすことがあります。
文献によると、副腎皮質ホルモンの長期投与で糖尿病状態となる頻度は約8%です。

副腎皮質ホルモンの分泌過剰症であるクッシング症候群という病気がありますが、約80%に軽い耐糖能異常が認められます。

ステロイド(糖質コルチコイド)の作用として

①肝臓の糖新生亢進作用、
②骨格筋などのインスリン抵抗性の亢進
③高グルカゴン血症
④食欲増進作用

があります。

これらの作用により耐糖能が低下すると考えられます。

例えば、コルチゾールという副腎皮質ホルモン投与後、2~3時間で血糖値が上昇し始め、約5~8時間でピークとなります。

ステロイド投与により糖尿病を発症する場合ですが、現実にはもともと糖尿病の素因があった人が発症することが多いです。

まあ、この場合は、ステロイド糖尿病というよりは、2型糖尿病の発症にステロイド投与が他の環境因子などと共に一つのきっかけとなったということですね。

厳密な意味でのステロイド糖尿病は、外部からのステロイド投与がなくなれば、糖尿病が消失することが定義となります。

従いまして、W00さんの家族歴に糖尿病が全くなくて、肥満などの要因もない場合は、純粋なステロイド糖尿病で、プレドニンが休薬となれば、治る可能性が高いと言えます。

一方、家族歴に糖尿病があれば、2型糖尿病の可能性もありえると思います。

いずれにせよ、スーパー糖質制限食でコントロール可能と思いますが・・・


江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
新年のご挨拶と糖尿人の目標
明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願い申しあげます。ヾ(^▽^)

2010年1月1日、2日と朝、小雪がちらついてました。
寒さ厳しき折、皆さん風邪・インフルエンザなどにお気をつけ下さい。
手洗い、うがい、マスクが予防の基本ですね。

さて、2010年1月1日、MEDUSAⅦさんから、お正月に相応しいとても嬉しいコメントをいただきました。

「10/01/01
糖質制限食を始めました
江部先生
初めまして、MEDUSAⅦ(愛艇の名前)と申します。失礼ながら始めてメールさせて頂きます。先生の著書を数冊読ませて頂きました。目から鱗が落ちるとは正にこのことです。長年の疑問が解決し清々しい気分になりました。
 私は72歳です。滋賀県で生まれ(今は宮崎在住)、京都で薬学部を卒業し(s36年)、塩野義製薬に入社、MRをしておりました。当時、降圧利尿剤、SU血糖降下剤を発売しており、当時としては高血圧、糖尿病についてかなり勉強しておりました。ところが30歳の頃自分が糖尿病の初期であることに気付きました。以後定年までの30年間全く自己流ですが薬に頼らず、自己管理をし、A1Cは一時10ありましたが、6.8~7を維持できました。また目立った合併症もなく60歳の定年を迎えました。
 定年を機に医師の診察を受け本格的に治療をと考え、受診しました。初診当日からベイスンの処方でした。A1Cは相変わらず6.8~7でした。数年後に8から下がらず、処方はスタースーシス1mg3錠から3mg3錠、AICは相変わらず8前後、その後アクトスが加わりましたがA1Cは9%を維持、昨年6月スターシスがアマリールに変薬、A1Cは8以下には下がることがありません。長くなりますのでこれまでの経過は省略します。
兎に角結論をお聞きください。

1 これまでの治療(現在行われている糖尿病治 療)は根本的に間違っているところがあるように 思い始めました。薬物療法 には限界があり続けた場合β細胞が疲 弊し回復不可能な状態になるのではないか。等々疑問を持ち、資料を集めまし た。

2 いろいろ試したが、満足が得られませでした。 12月11日から内服薬を抜き、糖質制限食を始めました。翌日から満足すべき素晴らしい結果でした。始めるに当たり血糖測定センサーを 300枚準備しました。そして実施3日前から起床時、 食後1時間 2時間(毎食時)就寝前 と11回測定し、実施後3日間も同様に測定しました。その後今日に至るまで私に必要と思われる時刻に測定(5~6回)していす。

3 実施翌日から起床時FBS100、また終日200 を超えることがありません。

糖質制限食の目標)
1 A1C 6.5以下(3ヶ月後)     
2 起床時FBS 100以下
3 毎食前BS  120前後
4 毎食後2hBS 170以下
1 ベッドタイム時BS 140前後

 (参考 糖質制限食実施前)
1 食後1h2hBS200以上
2 A1C8~9
3 ベッドタイムBS180前後
4 玄米飯140g1h2h後共260
5 玄米飯100g1h2h後共240 

江部先生 有り難うございました。今後の経過等につきまして後日報告させて頂きますのでアドバイス頂きますよう宜しくお願いいたします。
ただ残念なことに、パソコンのディスクが壊れたため、12月2日から14日までのデーターがなくなりました。最も大切なデーターですが残念です。以後は用心してノートに記しております。
長くなりまして申し訳ありませんでした。」



MEDUSAⅦさん。
コメントありがとうございます。

ベイスン、アクトス、アマリールを中止したにもかかわらず血糖値、素晴らしい改善ですね。(^-^)v(^-^)v
良かったです。

糖質制限食開始翌日から早朝空腹時血糖値が100mgと改善しておられますので、インスリン基礎分泌能力はある程度以上保たれていると考えられます。

また、毎食後2時間血糖値も170mg以下なので、追加分泌インスリン能力も一定程度保たれていて、野菜分の糖質に対応できていますよ。 (^_^)

「1 これまでの治療(現在行われている糖尿病治療)は根本的に間違っているところがあるように 思い始めました。薬物療法 には限界があり続けた場合β細胞が疲 弊し回復不可能な状態になるのではないか。等々疑問を持ち、資料を集めまし た。」

SU剤を、内服し続けた場合、徐々に膵臓のβ細胞が疲弊していき、インスリン分泌能が低下し、薬が効かなくなること』を、<二次無効>といい、過去臨床現場で懸念されてきました。

この二次無効に関しては、糖尿病学会の最新の説では、

SU剤の直接の影響ではなく血糖コントロールが悪いことでβ細胞が傷害されていくためである』

というように変化しています。

私もこの説は、一定正しいと思います。

しかし、糖尿病学会推奨のカロリー制限食(高糖質食)を実践する限りは、内服薬を飲んでいても100%食後高血糖が生じます。

そして、この食後高血糖のために、年余にわたりβ細胞が傷害されていくのです。今までの糖尿病治療は、この点において根本的に間違っていたと思います。

『どのような治療を行っても、2型糖尿病は進行性の膵β細胞障害があり、不治の病である。』

という恐るべき結論が、UKPDSという英国の2型糖尿病の過去最大の大規模疫学研究で示されました。
この結論は、食後高血糖をコントロールしない限り、正しいと言えます。

糖質制限食の実践により食後高血糖を防ぐことができて、それにより2型糖尿病はコントロール可能な疾患なものとなり、不治の病ではなくなると思います。

MEDUSAⅦさん、糖尿病歴42年のベテランですが、幸いデータ的には、インスリン基礎分泌・インスリン追加分泌も保たれています。

今後も美味しく楽しく糖質制限食を続けられて、β細胞を守ってくださいね。 (^^)

☆☆☆
【糖尿人の目標】
糖尿病合併症予防のために
① 空腹時血糖値140mg/dl未満→126mg/dl未満→さらには110mg/dl未満
② 食後2時間血糖値180mg/dlmg/dl未満→さらには140mg/dl未満
③ 理想的には食後1時間血糖値180mg/dl未満
④ HbA1c6.5%未満→さらには5.8%未満


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット