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糖質制限食とダイエット・タンパク質
こんばんは。今日は、美味しい焼き肉を食べにいきます。

タンパク質も脂肪もたっぷり食べてきます o(^^o)(o^^)o

焼き肉は、糖尿病にもダイエットにもいいですね。

さて今回は、豆しばさんから、糖質制限食とダイエット・タンパク質などについてコメント・質問をいただきました。

「09/11/17 豆しば
いろいろ教えてください。
江部先生はじめまして。
豆しばと申します。

ダイエットに励んでいるもののあまり、効果が出ず、最近糖質制限ダイエットを実行しようかと検討しているのですが、糖質制限などについて少し心配していることが有り、質問させて頂きます。

○糖質を制限さえすればカロリーは無視してもダイエット効果はあるのでしょうか?
以下3点については、本や記事で読んだものですが、
○タンパク質は1日で消化吸収できる量が制限されている。と書かれてましたが、そのような事は有るのでしょうか?
○また、タンパク質は摂りすぎると、肝臓に負担がかかるという事はありますか?
果糖血糖値は上がりにくいが、直接肝臓で糖分として取得することになるので、脂肪肝や中性脂肪の上昇に影響するということはありますか?

以上です。
宜しくお願い致します。」


豆しばさん。
コメントありがとうございます。

○「糖質を制限さえすればカロリーは無視してもダイエット効果はあるのでしょうか? 」

カロリー計算なしで、お腹いっぱい食べても糖質制限食なら、ほとんどの人において減量効果があります。

一方、数%の人が、倹約遺伝子の持ち主です。倹約遺伝子は、かつては少食で生きていける利点があり、進化の過程で飢餓の時代を生き延びてきたものです。現在、食料豊富な時代では、倹約遺伝子は肥満遺伝子となってしまいました。(=_=)

倹約遺伝子の持ち主は、基礎代謝が低く、「糖質制限食+カロリー制限食」ではじめて痩せます。


○「タンパク質は1日で消化吸収できる量が制限されている。と書かれてましたが、そのような事は有るのでしょうか? 」

○「また、タンパク質は摂りすぎると、肝臓に負担がかかるという事はありますか?」


成人の身体の約15%がタンパク質で、毎日、約2%が分解されています。分解されたタンパク質はアミノ酸になり、食事由来のアミノ酸と一緒に、アミノ酸プ-ルをつくります。そのアミノ酸からタンパク質を合成します。

このように、身体は毎日タンパク質の分解と合成を行っています。そして栄養状態や環境に合わせて、酵素等の体タンパク質を迅速に代謝回転(合成・分解)させて生理機能を維持しています。

代謝回転の過程で失われるアミノ酸を補給するためには、食事からタンパク質を摂取しなければなりません。

成人のタンパク質必要量は1.08 (g/Kg/day)とされています。

私は167cm 56kgなので、必要量は60gですが、120~140g/日くらいはタンパク質を摂取しています。

必要とされている量の倍以上ですが、検査データなど含めて、肝臓・腎臓など全て何の問題もありません。

人類の進化の過程で、農耕前の狩猟・採集だった399万年間は、かなりの量のタンパク質を摂取していたと思います。

4000年間、生肉・生魚が主食だったイヌイットのタンパク質摂取量は、総摂取カロリーの約40%だったと考えられますが肝臓や腎臓に問題はありませんでしたね。

○「果糖血糖値は上がりにくいが、直接肝臓で糖分として取得することになるので、脂肪肝や中性脂肪の上昇に影響するということはありますか?」

果糖は、ブドウ糖とは代謝経路が全く異なっています。そして、果糖のGI(血糖上昇指数)は20くらいと低いです。

果糖の代謝経路は特殊で、10%がブドウ糖に変換され吸収されますが、残りの90%は、果糖のまま吸収され、肝臓でそのまま直接代謝されます。

ですから、果糖は血糖値をほとんど上昇させず、インスリンの分泌もほとんど促しません。

つまり、果糖のGI値が低いのは、果糖が「ブドウ糖として」利用されるのはごく一部であるからであり、果糖の吸収速度が遅いからGI値が低いというわけではありません。

消化吸収されて肝門脈に流れ込んだ果糖は、肝臓でブドウ糖より速く解糖作用をうけます。

これは、ブドウ糖が解糖系に入って代謝されていく時には、ホスホフルクトキナーゼという酵素が必要なのですが、果糖はこの段階をバイパスして、速やかに解糖系に入って代謝されるからです。

肝臓に取り込まれたブドウ糖、果糖は解糖系、TCAサイクルを経てATP産生に消費され、余分なものは、グリコーゲン、中性脂肪に変換されます。

肝臓のグリコーゲン蓄積には限りがあるので、ブドウ糖より速やかに代謝された果糖の代謝産物により、脂肪酸合成が促進され、中性脂肪の合成が亢進し、高中性脂肪血症となります。

血糖値の上昇をみるGI値では「ブドウ糖>砂糖>果糖」ですが、中性脂肪値の上昇速度は、「果糖>砂糖>ブドウ糖」となります。

ですから、果糖は、ブドウ糖に比べれば血糖値はほとんど上昇させませんが、中性脂肪合成を促進させ、太りやすい性質をもっています。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
中野ゼロ・糖質制限食講演会・ご報告
こんばんは。

さきほど東京から帰ってきました。

心配だった雨も降らずにおかげさまで、中野ゼロ・糖質制限食講演会、大盛況でした。これもブログ読者の皆さんの声援のたまものと感謝しております。ありがとうございました。m(_ _)m

今回は、質疑応答の時間をいつもより長めにとったので、よい交流ができたように思います。

講演会のあとは、東京ミッドタウン・ボタニカで、久しぶりに至福の時を過ごさせて頂きました。

糖質制限OKの、きりっと冷えて引き締まった白ワインからはじめて、メインの熟成された肉の時は、赤ワイン・・・。

いやはや、昼間からすいません。(-_-;)

本日のメニューは、

海の幸のマリネ 蕪の冷たいスープ
低糖質手打ちタリオリーニ サルシッチャとポルチーニ茸 ローズマリーの香り
熟成和牛炭火焼き
低糖質ショートケーキ(クリスマスバージョン)
コーヒー
パン
総糖質量20.72g

例によってボリュームたっぷり、満足度120%の極楽浄土を味わいました。(⌒o⌒)v

新井田シェフ、星野支配人、スタッフの皆さん。
ありがとうございました。m(_ _)mVV

またまた次回もよろしくお願いしますね。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
「オーストラリア研究・低糖質食で精神不安定?」への反論③
おはようございます。

今日は、江部診療所の外来が終わったら、東京にでかけます。

おかげさまで、11月29日(日)中野ゼロ講演会のほうも満員御礼となりました。
ありがとうございました。m(_ _)mV

さて今回のブログ、オーストラリアの研究への批判、第三弾です。気分の改善について、考察してみます。

<オーストラリアの論文の概要>
「BMI平均33.7の肥満者106人に対して、超低糖質食、高炭水化物/低脂質食を実施。
8, 24, 40,52週後に気分を評価。
超低糖質食は、炭水化物4% 蛋白質35%  脂肪61% (20%飽和脂肪酸)
最初の8週間は炭水化物は1日20 g/d 以下、
オプションとして残りの期間は、1日40 g以下。

高炭水化物/低脂質食は、炭水化物46% 蛋白質24%  脂肪30% (8%以下の飽和脂肪酸)
カロリーは、おおよそ女性で1433 kcal、男性で 1672 kcal。

その結果ですが、8週目で、どちらの食事も気分は改善。しかし、1年後には、低脂肪食の方が気分の改善は良好。体重減少には差はない。」

本文を見ると
anger-hostility (C),
depression-dejection (D)
confusion-bewilderment (H),
and total mood disturbance score (I)
の4つ指標で有意差がありました。
この4つは、いづれも気分の評価をする指標です。

いずれのグラフを見ても、8週目では、超低炭水化物食、高炭水化物・低脂質食ともに改善していています。

高炭水化物・低脂質食では、それが持続する傾向であるのに対して、超低炭水化物食では、研究開始時に戻っています。

ここで注意しないといけないのは、超低炭水化物食の場合、研究開始時に戻っただけであって、開始時以上に悪化したわけではないということです。しかも8週目には、一時的にせよ改善しています。

また昨日のブログでも述べたように、この研究で高炭水化物・低脂質食と主張している食事内容は、
<炭水化物46%、脂質30%>です。

これは、それこそ従来のヘルシー食派や、日本糖尿病学会推奨食を尊ぶ方々からみれば、まさに、高脂肪・低炭水化物にほかなりません。

炭水化物が肥満を最も誘発する可能性が高いことは、昨日のブログで述べた、ニューイングランド・ジャーナルやJAMA(米国医師会雑誌)の研究で明らかです。

BMI平均33.7の肥満者が対象の今回のオーストラリアの研究、さぞかしたっぷりと炭水化物(ジャンクフードなど)を摂取した方々の集団の可能性が高いです。

すなわち、炭水化物を日常的に60%、70%摂取して肥満したような人々が炭水化物46%なら、相対的には低炭水化物食になります。

これが体重減少及び気分に対しても良い影響を与えた可能性があります。

この研究に資金を提供している
The National Health and Medical Research Council (NHMRC)
http://www.nhmrc.gov.au/index.htm
という組織があります。

その中に「Dietary Guidelines for Australian Adults」という食事に関するガイドラインがあり、
十分な量のパン、ご飯、パスタ、麺を摂る事、動物性脂肪と総脂肪摂取を減らす事を推奨しています。このガイドラインを補強するように、研究が行われた可能性があります。

超低炭水化物食群が、8週目でいったん気分が改善したのに、また元に戻った理由はよくわかりません。

ただ、高雄病院1200名以上の糖質制限所実践者の経験では、ほとんどの人において心身の改善がみられます。またブログ読者の皆さんも、心身の改善がある方が多いです。

なお以下の研究では、低炭水化物食のグループが、低脂質のグループよりMOOD(気分)にも飢餓感にも他の自覚症状にもよい影響を与えたという結論でした。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17228046
Obesity (Silver Spring). 2007 Jan;15(1):182-7.

The effects of a low-carbohydrate ketogenic diet and a low-fat diet on mood, hunger, and other self-reported symptoms.
McClernon FJ, Yancy WS Jr, Eberstein JA, Atkins RC, Westman EC.

Department of Psychiatry and Behavioral Sciences, Duke University Medical Center, Suite 210-B Wing, 2200 West Main Street, Durham, NC 27705, USA.

OBJECTIVE: To investigate the effects of weight loss diets on mood, food cravings, and other self-reported symptoms. RESEARCH METHODS AND PROCEDURES: Mood and other symptoms were evaluated by participant self-report using the Atkins Health Indicator Test (AHIT) in individuals undergoing weight loss following either a low-carbohydrate, ketogenic diet (LCKD) or a low-fat diet (LFD). Participants were 119 overweight community volunteers randomized to an LCKD or an LFD. An additional 51 participants who had completed an earlier trial contributed data for the psychometric analyses but were not included in the prospective analyses. Self-reported symptom levels on seven scales factor-analytically derived from the AHIT (negative affect, fatigue, somatic symptoms, physical effects of hunger, insomnia, hunger, and stomach problems) were acquired during 12 visits. RESULTS: After adjusting for the change in BMI over the course of the trial, participants experienced significant improvements in most symptoms regardless of diet. Diet group x visit interactions were observed for negative affect [F(9,803) = 2.30, p = 0.015] and hunger [F(9,803) = 3.62, p < 0.0002]. Examination of means indicated that the LCKD group reported less negative affect and hunger, compared with the LFD group. DISCUSSION: Regardless of diet, participants experienced significant improvement in a broad range of symptoms. Symptoms of negative affect and hunger improved to a greater degree in patients following an LCKD compared with those following an LFD. Whether these symptom changes explain the greater short-term weight loss generally experienced by LCKD followers deserves further research.

PMID: 17228046 [PubMed - indexed for MEDLINE]



江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
「オーストラリア研究・低糖質食で精神不安定?」への反論②
こんばんは。

気分の前に、まずは体重減少が一緒だった謎に挑戦です。

オーストラリアの研究、

「低炭水化物組と高炭水化物組と両グループとも1年後の体重減少は平均13・7キロで変わりなかった」

この結果は不可解です。

体重減少に関しては、2008年のニューイングランド・ジャーナル、イスラエルの研究報告(NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241)

「低炭水化物食(糖質制限食)が最も体重を減少させ、HDL-Cを増加させた。」

が、長年の食事療法の論争に決着をつけたと思います。

これは、ネットの1個人の意見や仮説ではなく、322人を2年間追跡した権威ある疫学的研究です。

<低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。>
<低脂肪法(高炭水化物)が最も体重減少は少ない。HDL-C増加も最も少ない>
• イスラエルの322人(男性86%)
• (1)低脂肪法(カロリー制限あり)
• (2)オリーブ油の地中海法(カロリー制限あり)
• (3)低炭水化物法(カロリー制限なしのアトキンス式ダイエット)
• 3グループの食事法を2年間経過観察。
• 低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。
• NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241

また2007年3月のJAMA(米国医師会雑誌)に発表された
「the A TO Z Weight Loss Study: a randomized trial.」という論文は、
アトキンス(Atkins)、
ゾーン(Zone)、
ラーン(LEARN)、
オーニッシュ(Ornish)
ダイエットのそれぞれの1年間の体重減少効果をみた研究です。
311人の女性を上記4グループに分けて追跡したものです。

アトキンス・ダイエットは、低糖質食で私達の糖質制限食と基本的考えは一緒です。1年間で平均4.7kg減少です。

ゾーン・ダイエットはタンパク質・炭水化物・脂質の比率を40:30:30にするというものです。平均1.6kg減少です。

ラーン・ダイエットは、高炭水化物、低脂肪食です。平均2.6kg減少です。

オーニッシュ・ダイエットは、菜食主義風のダイエットです。カロリーの10%を脂肪分から、20%をたんぱく質、70%を炭水化物からという割合の食事です。平均2.2kg減症です。最も高炭水化物で、最も低脂肪です。

結果は、アトキンス ダイエット( 糖質制限食)が、最も体重を減少させ、HDL-コレステロールを増加、中性脂肪を減少させることが明らかとなりました。

ニューイングランド・ジャーナルや米国医師会雑誌は、オーストラリアの論文が載ったArch Intern Medより、インパクト・ファクターは高いと思います。

では何故、オーストラリアの論文では差が出なかったのでしょう?

<オーストラリアの論文の概要>
「BMI平均33.7の肥満者106人に対して、超低糖質食、高炭水化物/低脂質食を実施。
8, 24, 40,52週後に気分を評価。
超低糖質食は、炭水化物4% 蛋白質35%  脂肪61% (20%飽和脂肪酸)
最初の8週間は炭水化物は1日20 g/d 以下、
オプションとして残りの期間は、1日40 g以下。

高炭水化物/低脂質食は、炭水化物46% 蛋白質24%  脂肪30% (8%以下の飽和脂肪酸)
カロリーは、おおよそ女性で1433 kcal、男性で 1672 kcal。

その結果ですが、8週目で、どちらの食事も気分は改善。しかし、1年後には、低脂肪食の方が気分の改善は良好。体重減少には差はない。」

上述のNEJM誌の低脂肪・高炭水化物食は、炭水化物60%、脂質20%です。一般に、従来の低脂肪・高炭水化物ヘルシー(?)食で研究するときは、この比率です。

しかし、オーストラリアの論文では、高炭水化物・低脂質食といいながら、炭水化物46%、脂質30%です。

これは、あかんやろ!! (`-´)゛

炭水化物46%といったら、研究によったら低炭水化物食のカテゴリーに入れることもあります。

例えば、もともと60%くらい炭水化物を摂取していた人が46%に減らしたら、それなりの糖質制限食ですので、減量できてもおかしくありません。

また、脂質30%というのも驚きです。通常低脂質食という時は、基本的に脂質20%以下が不文律のようなものです。

これもあかんやろ! ( `_´ )

問題なのは、低炭水化物食、高炭水化物食の定義がないことと、このような研究で最も大事なPFCバランスが、要約に記載されず、本文を見なければわからなくなっていることです。意図的にそうしているとしたら、実にアンフェアですね。

それはあかんやろ!! ヽ(*`Д´)ノ

今回のブログ、まずは、オーストラリアの研究、「低炭水化物組」と「高炭水化物組」と両グループとも1年後の体重減少は平均13・7キロで変わりなかった」

に対する批判を述べました。

また長くなりました。
気分の改善?に関しては、次回といたしましょう。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食で心身共に好調
こんにちは。
今日も「糖質制限食で心身共に好調」という嬉しいコメントを、お二人からいただきました。

てつさん。
まるこさん。
ありがとうございました。

「09/11/26 てつ
糖質制限食
自分も糖質制限食にしてから、毎日の生活が楽しくなりました。体調がよくなり、生き生きしているような気がします。
また、運動も前はやろう!という気が起きませんでしたが、今は進んでやるようになりました。
このブログで見た、運動前にナッツ類を食べると、運動も楽しくできますね!」


「09/11/27 まる子
赤ら顔
いつも先生のブログ 楽しみにして拝見しています。先生の更新の素晴らしさ関心してしまいます。私も糖質制限1年になりますが、体調は良いですし鬱などないし 一番は肌が前は少しの温度変化で赤ら顔になっていたのが ならなくなりました。しばらくぶりに会った友達からも肌が奇麗になったと必ず言われます。自分でも自覚できます。それと前は蚊に刺されるとずーと跡が残り色が変わったりして汚くなっていたのが ふと 気がつくと今まで跡が残ってたのが薄くなって 治ってきています。こういう事は今までに無かった事です。今のところ私にとって糖質制限は良い事ばかりです。体重が減らなくなったのが…もう少し減らしたいんですが・・・たまーに 少しご飯口にしたりしたら あっという間に糖がおりて、ああ まだまだ 口にしたらいかんのだって 反省しています。私もお肉は凄く食べます。朝からバンバン食べますが 今のところ中性脂肪 コレステロールなども 全て平均値に下がり あれだけお肉食べてても 以前よりずっと 数値が良いです。これからも 努力していきます。先生のブログにどれだけ助けられ 励まされてきた事か~ありがとうございます 感謝!」



テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
「オーストラリア研究・低糖質食で精神不安定?」への反論
こんにちは。

今回は、まーさんから、
「低糖質食で気分の落ち込みや不安が出る」というオーストラリアの研究について、コメント・質問をいただきました。

1999年からの高雄病院の1200名以上の糖質制限食実践者では、そんな経験はありませんので、不可解な研究です。ともあれ、検討してみます。

「09/11/13 まー
タイトルなし
拝啓 江部先生

毎日のブログ更新有難うございます。
さて、本日共同通信の配信記事だと思いますが、以下のような記事が載っておりました。
まぁ、糖質制限食を1年以上実践している私には、記事のような兆候は何もないのですが・・・。

ただ、私は以前から脳内「セロトニン」に興味があって、東邦大学の有田秀穂教授の著書「セロトニン欠乏脳」等を何冊か読みました。人間の日常的な不安や怒りなどを鎮めるには適当量のセロトニンが必要で、セロトニンの維持、活性化にはリズム運動と、食事は炭水化物が必要だと述べられています。

その関係では、今回の記事も(素人ながら)無関係ではなさそうな気もしておりますが、江部先生はいかがお考えでしょうか。

(以下、産経ニュースから)

「パンなど炭水化物を減らす「低炭水化物ダイエット」を続けると、気分が憂うつになったり、怒りっぽくなったりする-。

 オーストラリアの研究チームがこのほど、米医学誌「アーカイブズ・オブ・インターナル・メディシン」にこんな研究結果を発表した。

 研究は、24~64歳の肥満の人106人を対象に、(1)肉、乳製品などタンパク質や脂質を中心にし、パンなど炭水化物を抑える「低炭水化物」組(2)炭水化物を多く取る「高炭水化物」組-の二つの減量グループに分け、体重や精神状態を1年間調べた。カロリー摂取量は同じにした。

 両グループとも1年後の体重減少は平均13・7キロで変わりなかったが、精神状態では「高」組にダイエット前と比べ改善がみられたのに対し、「低」組は気分の落ち込みや不安を示すようになった。(共同)」


http://sankei.jp.msn.com/life/body/091113/bdy0911130846005-n1.htm

まーさん。
コメントありがとうございます。

まずは、人類は399万年間、糖質制限食と共に進化してきたことをお忘れなく・・・。

従って炭水化物を摂取しなくても、セロトニンを含めて脳の代謝に何の問題もないと思います。

また、糖質制限食(低炭水化物食)を実践すればグルコースミニスパイクがなくなり、代謝のミニ嵐がなくなります。

血糖値が急峻に上昇したり下がりすぎたりすることは、インスリン及びそれに拮抗するアドレナリンなどのホルモンが分泌され、心理面的に不安定になりやすいです。

かつて「切れる子供」とかで、砂糖の害が強調されたことがありますが、砂糖だけでなく、精製炭水化物は、全てグルコースミニスパイクを誘発して心理的に不安定となります。

単純に「腹が減ってイライラする」というような体験は、皆さんお持ちだと思います。

私自身も、糖質を摂取していた頃は結構気が短いと言われていて、家庭内でもよく喧嘩していました。

ところが、糖質制限食実践中の今は、見かけ通り??の穏やかな性格となりました・・・。

いや、ホントですよ。

連れ合いや子供、高雄病院や江部診療所のスタッフに
聞いてもらっても大丈夫です!!
たぶん、大丈夫と思います・・・!
きっと大丈夫なはずです・・・ (* ̄▽ ̄*)

私の秘書的な仕事もしてもらっている、糖質制限ドットコムのあらてつさん(元高雄病院職員です)は、高雄病院勤務のころは、知らぬ者はいない「ぷっつんの新井」として、病院中に勇名をはせていました。

糖質制限食実践中の今は、「仏の新井」として穏やかな人生を、30数年ぶりに歩んでおられますよ。

一流スポーツ選手である、お二人の医師とお話しする機会があり、食事をどうされているかお尋ねしました。そうすると結果としてお二人とも糖質制限食に辿り着いたということでした。

グリコーゲンローディングなどいろいろ試したけれど、糖質を摂取すると心理的に不安定になって競技にならない」と強調されていたのが印象に残っています。

ブログ読者の皆さんも、ほとんどの方が、心理的に安定したとコメントを寄せて頂いてます。

以下、ポンちゃんとケイさんのコメントです。

「低」でむしろ元気!
私も豪の研究結果記事には、驚きました。見事に私とは反対だったからです^^)v

甲状腺機能低下症と和食党ながら米菓子・チョコ・ケーキ大好きの食生活で、横綱も真っ青な体型に。定期健診でA1cが6を越えたことから、あわてて玄米・雑穀中心の食生活に変えました。

横綱当時は機能低下症のためもあると思いますが、手足は冷え、肌はかさかさ、なんとなくボーっとしていつも気分が優れず、疲れやすく、物忘れもはげしくなり、毛も抜けやすく、片側の足に神経痛のような軽い痺れ…むくんでパンパンでした。
(どれが甲状腺ホルモンの影響で、どれが糖の影響でしょうか?医者からは甲状腺ホルモンをきちんと飲んで補充しているので問題ないはずだ、更年期では?と言われたのですが。10年早い更年期かと思いました。)

少しは玄米食等で体重が減りましたが、食事療法を探して糖尿病を悪化させない(診断は受けていませんが)ため、このブログで糖質制限を知り実行。
節約遺伝子のせいか、食べすぎだからか、今は標準まではほど遠く小結程度ですが、かなり軽くなりました(体も気分も)。

糖質制限(いい加減ですが)にしてから、なんとなくすぐれず具合が悪いこともなくなり、開いていた毛穴と肌のかさかさも少しは良くなり、気分も安定し、意欲が増し、まだ冷え性ですが、前よりはマシ、むしろ快活で元気になって5歳くらい若返ったと感じています。

なので、私の場合、低炭水化物で糖毒から解放→体調が良くなり、気分も安定→気力が充実してきて意欲がでる→運動をしたいと思うなど活動的になる、です。

豪の結果は、まるで禁煙中でまだ成功していないニコチン中毒の人みたいですね。1年も低炭水化物なら、炭水化物中毒から離れられて、いらいらしたりしなくなると思うのですけど。

以下、記録です。

H19.5会社の健康診断 体重86.2kg 血糖値98
  (血糖が高めに出ると知ってたので、昼食を抜いて血液検査を受けました…)
H19.8頃、甲状腺で定期通院している医院で血液検査の結果、A1cが6を越えたと連絡あり。
H19.12頃から玄米・雑穀中心に。
H20.1定期健診 体重82~4Kg位 血糖155 A1c5.7
  (もし負荷試験をすると、間違いなく境界型になるだろうと言われました…
   このころからいい加減ながら糖質制限をはじめています。)
H20.5定期健診 体重78kg位 血糖94 A1c5.4
  (昼食もきちんと食べて、食後2時間くらいの血糖値です)
H20.7会社の健康診断 体重77.5kg A1c5.6
H20.10定期健診 体重76kg位 血糖105 A1c5.2
H20.12定期健診 体重78kg位 血糖96 A1c5.5
  その後、体重は78kgくらいでそのまま安定。

血糖値も良くA1cが5.5前後のままであることから、以後血液検査で血糖値は対象から外れました。
H21.6から、運動(登山)をはじめました。筋力もまるでなく、ディスクワークの仕事なので、普通の人よりは、まだ体力がないです。でも有酸素運動をしているせいか、体重がまた減り始めました。おかげで運動も楽しくなります。
H21.7会社の健康診断で、体重74kg、A1c5.4に、そして現在は体重72~71kgをうろうろです。

糖質制限をはじめて迎えた夏のH20の会社の健康診断では、A1c5.6とコレステロール高く再検査でしたが、今年の健康診断ではひとつも引っかかりませんでした。(BMIは相変わらず高いですが><)

長文でゴメンナサイ!
2009/11/13(Fri) 20:24 | URL | ポンちゃん」


「09/11/24 ケイ
精神力
いつも拝見しています。ケイです。
昔からアガリ症で、人前で話すのが苦手でしたが、糖質制限食を始めてから、性格が穏やかになり、めったに緊張することがなくなりました。ストレスに強くなり、精神的にいつもフラットな状態です。血糖値と精神状態は関係あるのでしょうか?糖質制限食を始めてから社交的になり、仕事がうまくいっています。

では。」


ポンちゃん、ケイさん
嬉しいコメントありがとうございます。
とても参考になります。

さて長くなりました。
オーストラリアの研究への直接の批判は次回に・・・。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
講演会とセミナーのお知らせ
こんばんは。

11月29日(日)の講演会は、まだほんの少し席がありますので、是非奮ってご参加くださいね。

12月13日(日)のセミナーはおかげさまで、満員御礼となりました。ありがとうございました。


●リボーン講演会
ドクター江部の「現代病を治す糖質制限食」
−テーラメイドダイエット−

作家の宮本輝氏との対談集『我ら糖尿人、元気なのには理由がある』の刊行で世間の糖質制限食への認識が深まってきています。今回は時間をたっぷりとって、基礎理論と疫学、症例などを柱に、グルコース・スパイク、グルコース・ミニスパイクの意味、テーラーメードダイエットの意義…などを細かく解説していきます。さらに、糖尿病、メタボ・肥満のみならず、アトピー、アレルギー、花粉症、機能性低血糖症、高血圧、尋常性乾癬…欧米型のガン予防…など、糖尿病・メタボ以外の疾患にも糖質制限食の効果がどう働くのか。すでに効果が確認できている疾患、理論的に効果が期待できる疾患…についても展開していきます。

●質疑応答の時間をいつもよりたっぷりご用意しました。

講 師 江部康二
    (高雄病院理事長/NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事長)

日 時  2009年11月29日(日)
      9時20分開場
      9時30分 江部康二講演開始
     11時10分 質疑応答開始
     11時50分 終了

場 所  なかのゼロ視聴覚ホール (JR中野駅南口下車6分)
      東京都中野区中野2丁目9番7号
      03−5340−5000

定 員  100名

会 費  一般 1600円 
     ペア券一般 3200円のところ2800円  
     リボーン会員 1000円
     ペア券会員  2000円のところ1600円
     ※ペア券はご家族に限られていただきます。


●リボーン・セミナー
管理栄養士・大柳珠美の糖質制限食実践講座
 よりわかりやすく簡単に。
 今日から我が家も糖質制限食。

糖質制限食はちょっとした調理のコツをつかめば、複雑な理論抜きで、誰でもその日から実践できる…。今回のセミナーでは、糖質制限食を実践して行く上での具体的な提案を管理栄養士の大柳珠美が解説。リボーン初の試みになります。毎日の食卓の工夫に加え、外食時のレストランでの工夫や、コンビニ、スーパー、生協などの活用法に加え、主食の代わりとなる代替食品の調理法のワンポイントレッスンなど。これさえ抑えればというコツを伝授。無理なく長く糖質制限食を続ける秘訣が詰まっています。ゆったりとしたサロンのような雰囲気で、時間もかけて、糖質制限食を学ぶ一時、ぜひ、この機会をお見逃しなく。実演と試食の時間もお楽しみに。

講 師 大柳珠美(管理栄養士/NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事)

日 時 2009年12月13日(日)
時 間 14時00分〜15時30分 講義
    15時40分〜16時40分 実演と試食
    
定 員 30名限定(最低敢行人数15名)
参加費 一般 3000円
    リボーン会員 2000円

会 場(株)ガルフネット 本社
住 所 東京都江東区亀戸1−8−5 小林ビル
電 話 03−5858−1153
道 順 総武線亀戸駅下車7分 錦糸町方向に京葉道路沿い。
   会場迄の詳しい道順は申込時にご説明します。


※講演会、セミナーともに事前予約が必要となります。
 お申し込み・お問い合わせは。
 リボーン 曽我部  
 03−3388−5428  e-mail reborn@big.or.jp
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
カリフォルニア州立大(UCSF)の糖尿病教育日帰りプログラム・追加
こんにちは。

東京糖尿人さんから、カリフォルニア州立UCSFの糖尿病教育日帰りプログラムについて追加コメントをいただきました。

「 09/11/25 糖尿東京人
タイトルなし
江部先生
コメントを取りあげていただき光栄です
私が行ったのはカリフォルニア州立のUCSFで、州内では
生活習慣病に力を入れていると言われている大学です
プログラムの費用ですが、合併症を防ぐための指導と栄養指導で
$1,100強、それ以外に希望する検査項目を追加するシステムです

患者としての見聞ですので誤解があればお許しください
地域により食事の趣向に差があるので糖尿の食事指導も
それをふまえて個々の病院、医師により幅があるようです
UCSFではカロリー上限を設定したカーボカウントで
カロリー制限というより、肥満解消目的でカロリーに上限を設け
血糖値を上げない目的でカーボカウントだと解釈しています

細かい食事方法は、少量の糖質を毎日摂取する以外
「主食を抜けば糖尿病は良くなる」と同じ方向性でした

あまり上手に文章化できず申し訳ありません」


東京糖尿人さん。
再び貴重な情報をありがとうございます。

UCSF(University of California San Francisco)って、日本での知名度はいまいちですが、医学では米国で有数の有名大学ですね。

「プログラムの費用ですが、合併症を防ぐための指導と栄養指導で
$1,100強、それ以外に希望する検査項目を追加するシステムです」


今は円高で1ドルが88円50銭くらいとして、日帰りで、約10万円・・・それに加えて検査代ですね。
検査代も米国は日本よりかなり高いです。

日本で、初診の糖尿病患者さんを丁寧に診察して栄養指導して「診察代2730円+栄養指導1300円」で4030円、健康保険が効いて3割負担で、1210円です。別個に検査代はいります。

まあ、半日かける教育プログラムとは単純に比較はできませんが、日本の病院の糖尿病教室は、ほぼ無料で、冊子代だけ実費というところがほとんどと思います。

それにつけても日本の医療費は安いです。安すぎる医療費設定が、現在の医療崩壊に繋がったのですが・・・(+_+)

民主党さん、是非頑張ってこれ以上の医療崩壊をくい止めてください。

「UCSFではカロリー上限を設定したカーボカウントで
カロリー制限というより、肥満解消目的でカロリーに上限を設け
血糖値を上げない目的でカーボカウントだと解釈しています」


やはり、ADAの2008年度実施栄養勧告に基づいた指導ですね。日本の糖尿病専門医諸氏もせめてUCSF方式の食事指導くらい選択肢に入れていただけば、食後高血糖があるていど改善して、2型糖尿病が進行性の不治の病であるというような認識はなくなると思うのですが・・・


江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
米国の日帰り糖尿病教育プログラム
こんばんは。

高雄病院で夜診の最中に雨が降ってきました。

今日の夜診は久しぶりに早く終了しました。

さて今回は、東京糖尿人さんから、米国の日帰り糖尿病教育プログラムについて、興味深いコメント・質問ををいただきました。

「江部先生こんにちは
以前に米国のホームドクターについてコメントさせていただいた者です。
今回は州立大学病院のダイアベティック・プログラムに行きました。
日本の教育入院のような内容の日帰り治療で、インスリン未導入患者向けです。
主な内容は合併症予防と栄養指導で、糖質カウントについての指導が
あったので報告させていただきました。

糖質を取らなければ血糖値は上がらないとハッキリ前置きがあり
投薬をやめられるメリットと食事の取り方が難しくなるデメリットを
3つのチャプターに分けて指導されました

1糖質割合を下げながら、必要カロリーと栄養バランスを保つ方法
一食当たりの糖質量は1オンス(約30g)を目標、上限を2オンスにし
糖質を減らす分、脂質タンパク質が自然と増えるので足りないカロリーは補える
インスリン分泌の少ない人は更に糖質を減らすか薬を併用するか選択

血糖値を上げないように必要糖質量をとる方法
繊維の多いものやGI値の低い食品を選ぶ、油を含む食べ方にする、
小分けに時間差で食べるようにする
この大学病院に合併症で入院している患者にはおかずは通常食のまま、
パンの代わりに茹でたブロッコリや人参を出すそうです
これにより血糖値急上昇を抑えられ糖尿薬が必要なくなるケースが多い
(米国ではインスリン分泌のある患者が多いからこの点は日本とは違いますね)

3一般的な栄養バランスと違う食事になるデメリットを解消する方法
脂質で太るイメージがあるが肥満はカロリーと糖質過多が原因、
脂質とタンパク質摂取では太らない、元々肥満な場合は別
長期的に脂質過多は動脈硬化、タンパク質過多は腎臓負担の可能性を
指摘されるが、すでに患っている糖尿を悪化させないことを第一義とするか
いま患っていない別の病気を予防するかのバランスは本人の選択
一般的に、糖質を減らすと塩分過多になりやすいのと食費が高くなる

上記のような内容でしたが、ある程度の糖質摂取を推奨している点と
脂質タンパク質過多で他の病気にならないかという点が気になりました
江部先生自身の食生活でタンパク過多が腎臓を痛めないことを
証明しているように感じられますがどうでしょうか
プログラムの医師曰く、糖質カウント方針になってからタンパク過多で腎臓を痛める
リスクよりも、糖尿自体の悪化が抑えられる結果、腎不全に移行する患者は確実に
減っているが、脂質過多による糖尿患者の動脈硬化についてはデータがなく不明だそうです

今回、糖質制限が一番原始的かつ効果的な糖尿治療だと改めて思いました
米国都市部では糖尿に限らず一般人にも広くローカーボが
ライフスタイル化して肥満と糖尿に効果を上げています
それでも医療保険が自動車保険のように予算と保障内容を照らして
加入するため、手厚い保険でないと教育的治療は受けられず、
眼底出血をして始めて自分が糖尿だと知る人も依然多いようです
日本では誰でも同じ医療を受けられるのだから医療機関側が
糖質についての意識を変えてくれるといいんですが。
2009/11/23(Mon) 18:54 | URL | 糖尿東京人」


東京糖尿人さん。
いつも貴重な情報をありがとうございます。

「糖質を取らなければ血糖値は上がらないとハッキリ前置きがあり・・・」

これはフェアです。

日本の糖尿病専門医諸氏もこのくらいのことは言って欲しいですね。

<州立大学病院のダイアベティック・プログラム>

以前、米国在住の糖尿人に聞いたことがあるのですが、日帰りでも、1000ドルくらいの費用がかかるのでしょうか?あと差し支えなければ、どこの州でしたでしょうか?

というのは、例えばペンシルバニア州立大学では糖尿病専門医は基本的にカロリー制限食を勧めるそうです。

また、私の聞いた範囲では、糖質制限食を積極的にすすめる医師は、米国でも少なくて各州に1~2人で、バーンスタイン先生もその一人です。

今回、東京糖尿人さんが参加された、糖尿病教育プログラムは、ローカーボというより、糖質管理(カーボカウント)が中心ということですね。ADAの2008年度実施栄養勧告で糖質のモニタリングは、グレードAで推奨されたので、それに基づいた指導ということでしょうか。

「1 糖質割合を下げながら、必要カロリーと栄養バランスを保つ方法
一食当たりの糖質量は1オンス(約30g)を目標、上限を2オンスにし
糖質を減らす分、脂質タンパク質が自然と増えるので足りないカロリーは補える
インスリン分泌の少ない人は更に糖質を減らすか薬を併用するか選択」


この考えを、推し進めれば、糖質制限食にもなりそうですが・・・。

一食あたり、20gくらいに制限すれば、食後血糖値が180mgを超えることは、ほとんど無いと思います。

「2 血糖値を上げないように必要糖質量をとる方法
繊維の多いものやGI値の低い食品を選ぶ、油を含む食べ方にする、
小分けに時間差で食べるようにする
この大学病院に合併症で入院している患者にはおかずは通常食のまま、
パンの代わりに茹でたブロッコリや人参を出すそうです
これにより血糖値急上昇を抑えられ糖尿薬が必要なくなるケースが多い
(米国ではインスリン分泌のある患者が多いからこの点は日本とは違いますね)」


パンの代わりに茹でたブロッコリや人参を出すのは、GIも低いですが、糖質量そのものも少量となり、糖質制限食に近いですね。

また、デンプンに関しては、GI値は糖尿人ではあてにならないということを、認識してもらう必要があります。

例えば、2型糖尿人の江部康二が、

炊いた白米を150g(糖質36.8g)食べたら、食後血糖値のピークは220mgくらい、
炊いた玄米を160g(糖質36.8g)食べたら、食後血糖値のピークは200~210mgくらい

の差です。

正常人ではデンプンGIが一定の意味がありますが、糖尿人ではほとんど無意味です。

「3 一般的な栄養バランスと違う食事になるデメリットを解消する方法
脂質で太るイメージがあるが肥満はカロリーと糖質過多が原因、
脂質とタンパク質摂取では太らない、元々肥満な場合は別
長期的に脂質過多は動脈硬化、タンパク質過多は腎臓負担の可能性を
指摘されるが、すでに患っている糖尿を悪化させないことを第一義とするか
いま患っていない別の病気を予防するかのバランスは本人の選択
一般的に、糖質を減らすと塩分過多になりやすいのと食費が高くなる」


<肥満はカロリーと糖質過多が原因、脂質とタンパク質摂取では太らない>
これはその通りですし、とても嬉しい米国医師の発言です。

長期的脂質過多については、例えば、米国の大規模介入試験において脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して意外なことに心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げないことが米国医師会雑誌2006年2月8日号で報告されました。

総コレステロール値に関しても、両群に優位な差はありませんでした。この研究は、5万人弱の閉経女性を対象に対照群を置き、平均8年間にわたって追跡した大がかりなもので、所謂EBM(科学的根拠に基づいた医療)的にはトップランクに位置する権威あるものです。

権威ある研究により、従来の常識(脂肪悪玉説)が根底から覆ったわけですね。

タンパク質過多は腎臓負担の可能性というのも、既に血液検査で腎機能障害がある人は、低タンパク食が推奨されるということです。

腎機能検査が正常の人が高タンパク食を摂取して、腎機能障害になったという報告は今までないと思います。

1型糖尿病のバーンスタイン先生は、糖尿病腎症の第3期Aの段階(タンパク尿2+)から糖質制限食を開始されて、数年で腎機能正常に戻っておられます。

「米国都市部では糖尿に限らず一般人にも広くローカーボがライフスタイル化して肥満と糖尿に効果を上げています 」

糖尿病専門医は米国でも、2型糖尿病には相変わらずカロリー制限食を勧め、1型には糖質管理食を指導することが多いようです。

東京糖尿人さんの行かれた州立大学は、専門医の中では比較的糖質制限よりの糖質管理食という立場でしょうか。

米国では、医師はおいておいて、一般の人にはローカーボがかなり浸透しているようですね。


江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
講演会とセミナーのお知らせ
こんばんは。

東京方面の皆さん、
11月29日(日)の講演会
12月13日(日)のセミナー
いずれも、あと少しだけ席が残っています。是非奮ってご参加下さいね。

●リボーン講演会
ドクター江部の「現代病を治す糖質制限食」
−テーラメイドダイエット−

作家の宮本輝氏との対談集『我ら糖尿人、元気なのには理由がある』の刊行で世間の糖質制限食への認識が深まってきています。今回は時間をたっぷりとって、基礎理論と疫学、症例などを柱に、グルコース・スパイク、グルコース・ミニスパイクの意味、テーラーメードダイエットの意義…などを細かく解説していきます。さらに、糖尿病、メタボ・肥満のみならず、アトピー、アレルギー、花粉症、機能性低血糖症、高血圧、尋常性乾癬…欧米型のガン予防…など、糖尿病・メタボ以外の疾患にも糖質制限食の効果がどう働くのか。すでに効果が確認できている疾患、理論的に効果が期待できる疾患…についても展開していきます。

●質疑応答の時間をいつもよりたっぷりご用意しました。

講 師 江部康二
    (高雄病院理事長/NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事長)

日 時  2009年11月29日(日)
      9時20分開場
      9時30分 江部康二講演開始
     11時10分 質疑応答開始
     11時50分 終了

場 所  なかのゼロ視聴覚ホール (JR中野駅南口下車6分)
      東京都中野区中野2丁目9番7号
      03−5340−5000

定 員  100名

会 費  一般 1600円 
     ペア券一般 3200円のところ2800円  
     リボーン会員 1000円
     ペア券会員  2000円のところ1600円
     ※ペア券はご家族に限られていただきます。


●リボーン・セミナー
管理栄養士・大柳珠美の糖質制限食実践講座
 よりわかりやすく簡単に。
 今日から我が家も糖質制限食。

糖質制限食はちょっとした調理のコツをつかめば、複雑な理論抜きで、誰でもその日から実践できる…。今回のセミナーでは、糖質制限食を実践して行く上での具体的な提案を管理栄養士の大柳珠美が解説。リボーン初の試みになります。毎日の食卓の工夫に加え、外食時のレストランでの工夫や、コンビニ、スーパー、生協などの活用法に加え、主食の代わりとなる代替食品の調理法のワンポイントレッスンなど。これさえ抑えればというコツを伝授。無理なく長く糖質制限食を続ける秘訣が詰まっています。ゆったりとしたサロンのような雰囲気で、時間もかけて、糖質制限食を学ぶ一時、ぜひ、この機会をお見逃しなく。実演と試食の時間もお楽しみに。

講 師 大柳珠美(管理栄養士/NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事)

日 時 2009年12月13日(日)
時 間 14時00分〜15時30分 講義
    15時40分〜16時40分 実演と試食
    
定 員 30名限定(最低敢行人数15名)
参加費 一般 3000円
    リボーン会員 2000円

会 場(株)ガルフネット 本社
住 所 東京都江東区亀戸1−8−5 小林ビル
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   会場迄の詳しい道順は申込時にご説明します。


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 リボーン 曽我部  
 03−3388−5428  e-mail reborn@big.or.jp
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
インスリンとリポタンパクリパーゼと中性脂肪
こんにちは。

今回は、「インスリンリポタンパクリパーゼ中性脂肪」のお話しです。

インスリンは、

①筋肉中のリポタンパクリパーゼ(LPL)を抑制します。
②脂肪細胞中の リポタンパクリパーゼ(LPL)を活性化します。

筋肉細胞や脂肪細胞の毛細血管の壁には、リポタンパクリパーゼ(LPL)があります。

リポタンパクリパーゼ(LPL)が、キロミクロンやV-LDLの積み荷の中性脂肪を、脂肪酸とグリセロールに分解して、筋肉細胞や脂肪細胞に取り込ませてエネルギー源として利用させ、余ったら中性脂肪に再合成して蓄えるのです。

健康でスリムな体型で内臓脂肪も正常範囲の人が、主食で糖質を摂取して、あと普通に脂質も摂取したと仮定します。

糖質摂取で血糖値が上昇して、追加分泌インスリンがでます。脂質摂取でキロミクロンも出現します。

筋肉細胞では、インスリンによりリポタンパクリパーゼ(LPL)が抑制されるので、脂肪酸・ケトン体をエネルギーとして使えなくなるので、もっぱらブドウ糖を利用します。それで血糖値は下がります。

一方、脂肪細胞のリポタンパクリパーゼ(LPL)は、インスリンにより活性化されるので、中性脂肪をどんどん分解し、脂肪酸とグリセロールにしてエネルギー源として利用しますが、余剰のものは中性脂肪に再合成して脂肪細胞に蓄えます。

このようにして、血液中の中性脂肪は基準値に下がります。

健康でスリムな体型で内臓脂肪も正常範囲の人は、このように、少々何を食べても血糖値も中性脂肪値も基準値内にすぐ戻ります。

一方、肥満などでインスリン抵抗性がある人が、主食で糖質を摂取して、あと普通に脂質も摂取したと仮定します。

インスリン抵抗性の本質は、「生理的なインスリン濃度では、本来の作用が発揮できないこと」とされています。

インスリン本来の作用とは、「筋肉・肝臓・脂肪におけるエネルギーの蓄積」です。

インスリン抵抗性があると、生理的なインスリン濃度では、脂肪細胞のリポタンパクリパーゼ(LPL)が充分に活性化されず、脂肪細胞内にそれ以上エネルギー蓄積をできない状態となっています。それでキロミクロンの積み荷の中性脂肪は減りません。

そして、脂肪細胞が脂肪酸を細胞内に蓄えることができなくなると、肝臓に過剰に供給します。肝臓でもインスリン抵抗性があり、過剰な遊離脂肪酸は中性脂肪の合成を促進して、VLDLとして血中に放出されますので食後高中性脂肪血症となります。

肝臓でのVLDL合成は、通常はインスリン濃度が増えれば抑制されますが、インスリン抵抗性があるため、抑制がきかず合成されるのです。

一方、筋肉細胞もインスリン抵抗性はあり、血糖値をやや取り込みにくくなっていますが、追加分泌インスリンにより筋肉中のリポタンパクリパーゼ(LPL)はある程度抑制されます。

糖尿病になっていない段階なら、筋肉細胞は脂肪酸を取り込めない代わりに、ブドウ糖を取り込んで血糖値は下がりますが、中性脂肪は分解されず血中に残ります。

このようにインスリン抵抗性がある人が、<糖質+脂質>を摂取すれば、食事由来のキロミクロンと肝臓由来のVLDLの両方で血中の中性脂肪が高値となります。この場合、食後高中性脂肪血症は遷延して、空腹時中性脂肪値も高値となることが多いです。

インスリン抵抗性がある人が、スーパー糖質制限食を摂取した時は、追加分泌インスリンは極少量しか出ません。従いまして、筋肉中のリポタンパクリパーゼは、食中・食後もよく働いてキロミクロンの中性脂肪を分解して筋肉細胞に取り込みます。そして血中の中性脂肪値は減少するわけです。 (^^)


いやはや食後脂質代謝は、なかなか複雑で難しいです。おぼろげに解ったことを説明してみましたが、まだ不十分と思います。(・・?)


江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食と食後の中性脂肪値
こんばんは。

京都は雨です。雨の中、室内コートでテニスをして、先ほど帰宅しました。

テニスの調子は、腰が重かったわりには、まあまあでした。

さて今回のブログ、懸案の糖質制限食摂取後の中性脂肪値がどうなるのかを検討してみました。

まず、中性脂肪を中心とした代謝を整理してみます。

「外因性代謝」
食物摂取(中性脂肪)→小腸→キロミクロン→筋・脂肪組織→レムナント→肝

「内因性代謝」
肝で合成→VLDL→筋・脂肪組織→LDL→肝

キロミクロンは、小腸で作られます。キロミクロンの積み荷は、外部から摂取した食物由来の中性脂肪です。

キロミクロンは、食後2~3時間以降血中に出現し血清乳びを示しますが、通常5~6時間で清明となります。キロミクロンは食後にのみ、出現します。

血液検査で測定されている中性脂肪値は、食事由来のキロミクロンの積み荷の中性脂肪と、肝臓で作っているVLDLの積み荷の中性脂肪を合計したものです。

筋肉細胞や脂肪細胞の毛細血管の壁には、リポタンパクリパーゼ(LPL)があります。リポタンパクリパーゼ(LPL)が、リポタンパク質の積み荷の中性脂肪を、脂肪酸とグリセロールに分解して、筋肉細胞や脂肪細胞に取り込ませて利用させ、余ったら中性脂肪に再合成して蓄えるのです。

リポタンパクリパーゼが正常に働いていれば、中性脂肪値は食後5~6時間で基準値内にもどるはずです。

しかし、食後2~3時間から4~5時間ぐらいは、食事中の脂肪が血中に乳び状態であるので、個人差はあると思いますが、高中性脂肪値となります。

スーパー糖質制限食実践中で、脂質・タンパク質を中心の食生活なら、食後2時間~5時間くらいは食事由来のキロミクロンで高中性脂肪血になる理屈です。

この間リポタンパクリパーゼ(LPL)がせっせと働いて、食後5~6時間経過すれば中性脂肪値を基準値内に下げてくれると思います。

従ってスーパー糖質制限食なら、空腹時の中性脂肪値は100mgを切ることがほとんどです。

例えば、私の場合は空腹時中性脂肪値は、40~60mg程度です。検査を依頼している会社の中性脂肪の基準値は50~148mgです。

糖質制限食で、食後5~6時間以降と空腹時の中性脂肪値は当然基準値内におさまりますが、糖質を摂取してインスリンが分泌されると事情が変わります。

ここでもまた、インスリンがくせ者です。

インスリンがリポタンパクリパーゼ(LPL)に与える影響については次回に・・・


江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
講演会とセミナーのお知らせ
おはようございます。

今日も充分寒いです。

夜は、恒例の第三金曜ライブですが、この寒さでお客さんの入りが心配です。

お客さんの入りと言えば東京方面の皆さん、
11月29日の講演会
12月13日のセミナー
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●リボーン講演会
ドクター江部の「現代病を治す糖質制限食
−テーラメイドダイエット−

作家の宮本輝氏との対談集『我ら糖尿人、元気なのには理由がある』の刊行で世間の糖質制限食への認識が深まってきています。今回は時間をたっぷりとって、基礎理論と疫学、症例などを柱に、グルコース・スパイク、グルコース・ミニスパイクの意味、テーラーメードダイエットの意義…などを細かく解説していきます。さらに、糖尿病、メタボ・肥満のみならず、アトピー、アレルギー、花粉症、機能性低血糖症、高血圧、尋常性乾癬…欧米型のガン予防…など、糖尿病・メタボ以外の疾患にも糖質制限食の効果がどう働くのか。すでに効果が確認できている疾患、理論的に効果が期待できる疾患…についても展開していきます。

●質疑応答の時間をいつもよりたっぷりご用意しました。

講 師 江部康二
    (高雄病院理事長/NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事長)

日 時  2009年11月29日(日)
      9時20分開場
      9時30分 江部康二講演開始
     11時10分 質疑応答開始
     11時50分 終了

場 所  なかのゼロ視聴覚ホール (JR中野駅南口下車6分)
      東京都中野区中野2丁目9番7号
      03−5340−5000

定 員  100名

会 費  一般 1600円 
     ペア券一般 3200円のところ2800円  
     リボーン会員 1000円
     ペア券会員  2000円のところ1600円
     ※ペア券はご家族に限られていただきます。


●リボーン・セミナー
管理栄養士・大柳珠美の糖質制限食実践講座
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日 時 2009年12月13日(日)
時 間 14時00分〜15時30分 講義
    15時40分〜16時40分 実演と試食
    
定 員 30名限定(最低敢行人数15名)
参加費 一般 3000円
    リボーン会員 2000円

会 場(株)ガルフネット 本社
住 所 東京都江東区亀戸1−8−5 小林ビル
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「脂質+糖質」→血糖値は?
おはようございます。

今朝起きたら、寝室は12度でした。寒いです。

とうとう今冬初のパッチ登場とあいなりました。(-_-;)

さて今回はりんりんさんから、「糖質と脂質を一緒にとると血糖値があがらない?」というコメント・質問をいただきました。

「09/11/17 りんりん
脂質を一緒にとると血糖値があがらない?
こんにちは。いつも勉強になります。
アレルギーのコントロールのためですが、私も糖質制限しながら、毎日青魚をたくさんとって、サラダオイルなどのリノール酸オイルは摂取しない生活で、体調がよくなりました。たま~に食べる天ぷらも贅沢にオリーブオイルです♪

最近、オリーブオイルはオレイン酸だからとよくたべていたらうっかり太ってしまい、オリーブオイルを控えてダイエットしていたところ、「食べ合わせダイエット」なるもので、ピザにオリーブオイルをかけるとカーボの吸収が抑えられてダイエットになる、とかいう説をききました。
もしも本当だとすると脂質は糖質制限の味方になるのでしょうか?」


りんりんさん。
コメントありがとうございます。

確かに、例えば普通に炊いた白米とバターライスでは、血糖値の上昇は、バターライスのほうが緩やかです。このことは一般的に言えます。まあ、GIが低くなるということですね。一般には、GIが低い食材のほうが痩せやすいとされています。

しかしGIというものは、信頼度の高いメンドーサおじさんのサイト

http://www.mendosa.com/gilists.htm

でも、焼いたり煮たりの調理法の差はありますが、基本的に単品の数値ですので、現実の食生活とはかけ離れていることになります。つまり実際の食事におけるGIというのは、判定困難なことが多いわけです。

まあ、正常人が、主食として玄米を食べるのは、白米や白パンを食べるよりGIがましなのは確かですが・・・

なので、生活習慣病の予防などで、正常人がGIの低い食材を中心に摂取するのは、意味があると思います。

それから、「糖質+脂質」は血糖値の急激な上昇はやや緩やかになりますが、追加分泌インスリンは勿論それなりに出ます。

そうすると、脂質やタンパク質摂取のときは、常に脂肪が燃えていて、体重減少に向かう方向性が、「糖質+脂質」だと中性脂肪を蓄える方に向かうので、太りやすくなります。また、脂肪細胞に蓄えきれなくなれば、血中の中性脂肪が上昇します。

結論です。

「ピザにオリーブオイルをかけるとカーボの吸収が抑えられてダイエットになる。」

というのは、カロリーアップも含めて、
かえって太る可能性が高いですね。( ̄_ ̄|||)


江部康二


**
GI

正常人においてはGI(血糖上昇指数)が確かに有意義です。
例えば、正常人ではブドウ糖や白いパンが血糖値を上昇させる指数を100とすれば、玄米や十割蕎麦は、半分の50くらいで、大豆は15くらいです。(GI値は研究者により、まだまだばらつきがありますので参考値です。)

GIというのは、糖質50gを含む食品を摂取した後の血糖値の上昇カーブを2時間追って、 基準となる食品(ブドウ糖50g)を摂取した後の血糖値の上昇カーブの面積と比較し、パーセントで表した数値のことです。 )

GIの算出方法
      糖質50gを含有する食品摂取後
      2時間までの血糖曲線下面積
GI=─────────────────────── ×100
    糖質50gを含有する基準食(ブドウ糖)
    摂取後2時間までの血糖曲線下面積

何やら小難しいですが、要するに同じ量の糖質でも、血糖を上げやすい食品と上げにくい食品があるわけです。GI値が高いほど、血糖値を急峻に上昇させます。

精製された炭水化物は、全て高GI食品です。精製された炭水化物は、血糖値を急峻に上昇させる唯一の食材で、代謝を乱す元凶です。

血糖値が上昇すれば、インスリンが追加分泌されて、筋肉細胞や脂肪細胞にブドウ糖を取り込ませますが、余ったブドウ糖は、中性脂肪となり蓄えられます。このためインスリンは、肥満ホルモンと呼ばれます。

急峻に血糖値が上昇すれば、追加分泌のインスリンも大量に出ます。従ってGIの高い精製炭水化物を摂らないことは、将来の生活習慣病の予防になります。

つまり、正常人が主食に玄米や全粒粉のパンなどGIの低い未精製の穀物を食べることは、とても有意義なのです。

ちなみに、空腹時血糖値が100mg/dlの正常人がいると仮定して、個人差はありますが、炊いた白米を一人前150g食べたら、食後60分血糖値は140~170mg程度に上昇しますが、炊いた玄米150gでしたら、60分後のピークも140mgまでですみます。

しかし、糖尿人においては、事情が全く違います。

糖尿人が、炊いた白米150gを食べたあとの血糖値のピークが280mgとしたら炊いた玄米150gなら260mgといった程度の差で、所詮は、軽く200mgを超えてきます。

つまり糖尿人が常用量の1人前の主食(糖質)を摂取すれば、GIなど全く無関係に血糖値は200mgを超えて上昇するとうことです。

従って糖尿人においては、GIは意味をなさない考えた方がいいのです。

糖尿人では、

「体重64kgの人で1gの糖質が、2型で3mg、1型で5mg血糖値を上昇させる」

という公式を覚えておくことのほうが有用です。

例えば、牛乳を水代わりに500ml飲めば、糖質は25gも摂取することとなります。そうすると血糖値は2型の糖尿人で75mgも上昇することになります。逆に言えば、100mlていどの牛乳を飲むとか、紅茶に牛乳を少々入れるとか、料理に牛乳をちょっと使うとかは問題はありませんね。

結論です。

GIは正常人では参考になりますが、糖尿人では、ほとんど参考になりません。糖尿人では、GIよりも食品に含まれる糖質のグラム数が大事です。


江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
脂質とコレステロールと糖質制限食
こんにちは。

糖質、脂質、タンパク質、人体と関わると、なかなか解っているようで解っていないことが多くて奥が深いですね。

さて今回は、よよさんから、脂質とコレステロールと糖質制限食について、コメント・質問をいただきました。

「09/11/09 よよ
脂質とコレステロールについて
少し気になることがあります。プチ糖質制限中の境界型人間です。
もともと牛肉や豚肉は苦手で、魚中心の食事をしてきました。というのも、半分は動脈硬化や、コレステロールが気になってということもありました。

糖質制限食の脂肪56パーセントというのは、主食を減らす分どうしても摂らなくてはならないものなのでしょうjか。

トンカツを食べる時も脂身はどうしても抵抗があって、残してしまいます。コレステロールが即上がりそうで・・・・
植物油はオリーブ油をメインによく利用します。
動物性脂肪を積極的に摂るほうがいいのか悩んでいます。お時間がありましたらお教えください」


よよさん。コメントありがとうございます。

糖質制限食ですから、一回の食事の糖質量を10~20gていどに抑えます。一日で30~60gですが、高雄病院の給食で計算すると平均して総摂取カロリーの約12%くらいが糖質になります。それ以外の、88%が<脂質+タンパク質>です。

これも高雄病院の給食メニューの1週間とかの平均を取ると脂質が約56%、タンパク質が約32%です。あくまでも平均ですから、1回1回のバラツキはありますよ。

私の場合は、脂質が50%前後、タンパク質38%前後くらいかもしれません。給食の場合材料費が絡むので、一番高価なタンパク質は、やや少なめなのかと思います。

糖質制限食だと相対的に、高脂質・高コレステロール食になりますが、大規模な疫学的研究によれば、長期的には問題ないようです。

過去言われてきた、<高コレステロール食材の摂取→高コレステロール血症>というパターンの報告は、1週間~1ヶ月程度の短期間のものが多く、長期にわたる報告になるととほとんど体内で補正され、コレステロール値は元にもどります。

例えば、米国の大規模介入試験において脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して意外なことに心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げないことが米国医師会雑誌2006年2月8日号で報告されました。

総コレステロール値に関しても、両群に優位な差はありませんでした。この研究は、5万人弱の閉経女性を対象に対照群を置き、平均8年間にわたって追跡した大がかりなもので、所謂EBM(科学的根拠に基づいた医療)的にはトップランクに位置する権威あるものです。

権威ある研究により、従来の常識(脂肪悪玉説)が根底から覆ったわけですね。

金城学院大学薬学部教授の奥山治美先生によれば
①減らした方がいい油はリノール酸です。
②増やした方がいい油はα-リノレン酸、EPA・DHAです。

「植物油が身体に良くて、動物油が良くない」というのは、ほぼ否定されたと考えてよいと思います。

リノール酸は、ほとんどの植物油の主成分で、人体にとって必須ですが現代人は過剰摂取しているためその弊害として、心臓・脳血管系疾患、欧米型癌、アレルギー性疾患、その他炎症性疾患の増加が問題となっています。

動物性脂肪の主成分である飽和脂肪酸オレイン酸は、リノール酸の過剰に比べれば安全といえます。糖質制限食の範囲内での動物性脂肪摂取は、問題ないと思います。

また、α-リノレン酸も必須脂肪酸です。α-リノレン酸が多く含まれているのは紫蘇(えごま)油です。日本人の現代の食生活で不足しがちなので是非積極的に摂って欲しいです。

EPA・DHAは魚油にたくさん含まれているので、よよさん、お魚をしっかり食べておられるのは好ましいですね。

今回のブログは

奥山治美・國枝英子・市川祐子著
「油の正しい選び方・摂り方~最新・油脂と健康の科学~」農文協

を参考にさせて頂きました。
ありがとうございました。


江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
インクレチンとDPP-4阻害剤。
大変失礼しました。

インクレミン(シロップ)は子供用の鉄剤ですよね。
インクレチンの間違いです。
すいませんでした。
TGさん。ご指摘ありがとうございました。

江部康二



こんばんは。

国内初のDPP-4阻害剤(ジャヌビア、グラクティブ)が承認され、12月くらいには販売開始される予定です。コメント欄にも複数の読者から質問があり、関心の高さが伺われます。

それでは、DPP-4阻害剤とはいったいどんな薬なのでしょう?

それに答えるには、まずインクレチンの説明が必要です。

インクレチンとは、小腸から分泌されるホルモンであり、GIPとGlp-1があります。これらは高血糖時には、SU剤とは異なる機序でインスリン分泌を促進させます。またインスリン生合成を促進させます。
さらに動物モデルでは、膵β細胞の保護作用が確認されています。

血糖値が低いときにはインスリン分泌をほとんど促進させず、食後高血糖の時にインスリン分泌を促進させるので、低血糖も起こしにくいです。

まことに都合のいいホルモンなのですが、DPP-4という酵素によって速やかに分解され、血中の半減期は約2分と短いのです。

このDPP-4という酵素の働きを阻害してやれば、インクレチンは血中に当分存在して、血糖降下作用を発揮してくれることになります。

そこで登場したのが、DPP-4阻害剤です。

この薬は内服薬であり、1日1回投与でよいので、使い勝手がいいです。まったく同じ成分(一般名シタグリプチン)の、ジャヌビア(万有製薬)とグラクティブ(小野製薬)が同時に発売されます。

勿論健康保険収載で、SU剤、インスリン抵抗性改善剤(アクトス)、メトホルミンなどビグアナイド剤との併用もOKですし、単独使用もOKです。

理論的にはグルコバイなどαグルコシダーゼ阻害薬グルファストなどとも併用できそうな気がしますが、保険収載されていません。

膵β細胞保護作用など、糖質制限食的にも好ましいところがあるので、コントロールがあと一歩の糖尿人には、使ってみたいお薬ですね。

なお、インクレチンがDPP-4という酵素によって速やかに分解され、血中の半減期は約2分と短いのは、399万年の人類の進化の過程では、食後高血糖がほとんどなかったせいと考えられます。

農耕が始まり、食後高血糖が日常的に生じるようになった後は、インクレチンにおおいに活躍して欲しいところですが、如何せん399万年間の進化の重みは大きくて、DPP-4が律儀にすぐ分解してしまう癖がついているのですね。

今この時代にDPP-4阻害剤の登場、なんだか歴史の皮肉を感じます。


江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
講演会とセミナーのお知らせ
こんばんは。

東京方面の皆さん、講演会とセミナーのお知らせです。

●リボーン講演会
ドクター江部の「現代病を治す糖質制限食
−テーラメイドダイエット−

作家の宮本輝氏との対談集『我ら糖尿人、元気なのには理由がある』の刊行で世間の糖質制限食への認識が深まってきています。今回は時間をたっぷりとって、基礎理論と疫学、症例などを柱に、グルコース・スパイク、グルコース・ミニスパイクの意味、テーラーメードダイエットの意義…などを細かく解説していきます。さらに、糖尿病、メタボ・肥満のみならず、アトピー、アレルギー、花粉症、機能性低血糖症、高血圧、尋常性乾癬…欧米型のガン予防…など、糖尿病・メタボ以外の疾患にも糖質制限食の効果がどう働くのか。すでに効果が確認できている疾患、理論的に効果が期待できる疾患…についても展開していきます。

●質疑応答の時間をいつもよりたっぷりご用意しました。

講 師 江部康二
    (高雄病院理事長/NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事長)

日 時  2009年11月29日(日)
      9時20分開場
      9時30分 江部康二講演開始
     11時10分 質疑応答開始
     11時50分 終了

場 所  なかのゼロ視聴覚ホール (JR中野駅南口下車6分)
      東京都中野区中野2丁目9番7号
      03−5340−5000

定 員  100名

会 費  一般 1600円 
     ペア券一般 3200円のところ2800円  
     リボーン会員 1000円
     ペア券会員  2000円のところ1600円
     ※ペア券はご家族に限られていただきます。

●リボーン・セミナー
管理栄養士・大柳珠美の糖質制限食実践講座
 よりわかりやすく簡単に。
 今日から我が家も糖質制限食

糖質制限食はちょっとした調理のコツをつかめば、複雑な理論抜きで、誰でもその日から実践できる…。今回のセミナーでは、糖質制限食を実践して行く上での具体的な提案を管理栄養士の大柳珠美が解説。リボーン初の試みになります。毎日の食卓の工夫に加え、外食時のレストランでの工夫や、コンビニ、スーパー、生協などの活用法に加え、主食の代わりとなる代替食品の調理法のワンポイントレッスンなど。これさえ抑えればというコツを伝授。無理なく長く糖質制限食を続ける秘訣が詰まっています。ゆったりとしたサロンのような雰囲気で、時間もかけて、糖質制限食を学ぶ一時、ぜひ、この機会をお見逃しなく。実演と試食の時間もお楽しみに。

講 師 大柳珠美(管理栄養士/NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事)

日 時 2009年12月13日(日)
時 間 14時00分〜15時30分 講義
    15時40分〜16時40分 実演と試食
    
定 員 30名限定(最低敢行人数15名)
参加費 一般 3000円
    リボーン会員 2000円

会 場(株)ガルフネット 本社
住 所 東京都江東区亀戸1−8−5 小林ビル
電 話 03−5858−1143
道 順 総武線亀戸駅下車7分 錦糸町方向に京葉道路沿い。
   会場迄の詳しい道順は申込時にご説明します。


※講演会、セミナーともに事前予約が必要となります。
 お申し込み・お問い合わせは。
 リボーン 曽我部  
 03−3388−5428  e-mail reborn@big.or.jp2009年11月01日 (日)

【糖質制限食とは】
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わります。タンパク質・脂質は血糖に変わりません。 

また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。

これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。 

このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。

現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が、大きな問題として注目されています。食後高血糖が心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。そして食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。

1gの糖質が体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。

一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても糖質含有量は1gもないので、食後高血糖はほとんど生じないのです。 

なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。

糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。

簡単に言えば主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
 
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。

一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように
カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って
現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、
一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。

糖尿病の改善にはカロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。

なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。

一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。

☆☆☆
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-

一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。

『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。*炭水化物=糖質+食物繊維

【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、

「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」
「 糖質制限食 春のレシピ」
「 糖質制限食 夏のレシピ」
「糖質制限食 秋のレシピ」
「糖質制限食 冬のレシピ」
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」
(東洋経済新報社)

「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)

を参考にされ、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。

なお、血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。糖質制限食は、相対的に高タンパク食になるので腎不全には適応とならないのです。

【コメント・質問に関するお知らせ・お願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。

読者の皆さんからご意見いただきましたが、確かに普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、主治医にご相談頂けば助かります。m(_ _)m

普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)

掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。

一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m

それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。


【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内・保険適応】
お問い合わせは高雄病院
http://www.takao-hospital.jp/

住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3 
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。


【糖質制限食外来治療のご案内・予約制・保険適応】
高雄病院  電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3

高雄病院京都駅前診療所  電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
http://www.takao-hospital.net/

江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
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食後高脂血症と糖質制限食
こんばんは。

先ほど、テニスから帰ってきました。先週の最後の試合は、コーチ相手のダブルスで絶好調でしたが今週はボチボチでした。

さて今回はたかたろうさんから食後高脂血症について、コメント・質問をいただきました。

「09/11/07 たかたろう
食後高脂血症
江部先生 こんにちは、

最近、食後高血糖だけでなく食後高脂血症も話題になっていることを知りました。 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jcs2007/200703/502776.html によると、明確な定義は決まっていないものの、「食後に血清脂肪が異常な増加を示し、この増加が遷延することと、空腹時には正脂血症を示すが食後に高脂血症を呈する潜在性高脂血症」だそうで、動脈硬化のリスクとなるそうです。 http://www.jaog.or.jp/JAPANESE/MEMBERS/TANPA/H9/971013http://tomochans.exblog.jp/3342717/ 等をみると、食事に含まれる脂肪が動脈硬化リスクとなるので脂質の摂取は控えた方がよいようにも見えますが、一方で、糖質制限食により空腹時TG値が低下することが江部先生の知見により明らかにされていますので、糖質制限食が食後TG値も低下させることが期待されます。糖質制限食が食後TG値やRLP-C値も改善することが明らかになれば、糖質制限食の優位性はさらに高まると思いますが、この辺に関する知見を示していただけないでしょうか?
余談ですが、「医師が食事指導を行っても、診療報酬の保険点数には反映されない。」という事実を初めて知りました。うがちすぎかもしれませんが、食事指導がおざなりにされているのは、こんなところにも理由があるのかもしれませんね。」


たかたたろうさん。コメントありがとうございます。

食後高脂血症、しばらく頭の中で熟成させてましたので回答が遅くなりすいませんでした。

糖尿病と共にインスリン抵抗性症候群(メタボリックシンドローム)が動脈硬化の重要な危険因子ということが解ってきました。

インスリン抵抗性症候群における脂質代謝異常の特徴としては、高中性脂肪血症(空腹時)、低HDL-C血症、小粒子LDLの出現と食後高脂血症です。

インスリン抵抗性症候群の本質は、「生理的なインスリン濃度では、本来の作用が発揮できないこと」とされています。

インスリン本来の作用とは、「筋肉・肝臓・脂肪におけるエネルギーの蓄積」です。

筋肉や肝臓のグリコーゲンの蓄積は200~300gと、脂肪に比べれば、ごく僅かです。食後(糖質摂取後)血糖値が上昇すると、追加分泌インスリンが大量にでて、まずは筋肉や肝臓がブドウ糖を取り込みエネルギーとして利用して、次いでグリコーゲンとして蓄積します。それ以上の余剰のブドウ糖は全て中性脂肪として脂肪細胞に蓄えられます。

また食事由来の脂質なども、余剰のものは全て脂肪細胞に蓄えられます。食物中の脂質(ほとんどが中性脂肪)は、グリセロールと脂肪酸に分解されて小腸上皮から吸収されますが、そのなかで中性脂肪に再合成され集合します。

この集合体は、キロミクロンと呼ばれ、リンパ液に瞬時に入り、リンパ管に拡散します。キロミクロンは胸管を上行し静脈に移行します。

静脈に入ったキロミクロンのほとんどは、肝臓、あるいは脂肪組織・筋肉組織などの毛細血管を通る間に、毛細血管壁にあるリポ蛋白リパーゼにより、脂肪酸とグリセロールに分解され、血液中から取り除かれて、筋肉細胞などでエネルギー源として利用され、残ったものは、肝臓と脂肪組織の中に拡散します。肝臓や脂肪組織の脂肪酸は、再び中性脂肪に合成され細胞内に蓄えられます。

インスリン抵抗性症候群では、生理的なインスリン濃度では脂肪細胞がそれ以上エネルギー蓄積をできない状態となっています。

そして脂肪細胞が脂肪酸を細胞内に蓄えることができなくなると、肝臓に過剰に供給します。肝臓でもインスリン抵抗性があり、過剰な遊離脂肪酸は中性脂肪の合成を促進して、VLDLとして血中に放出されますので食後高中性脂肪血症となります。

肝臓でのVLDL合成は、通常はインスリン濃度が増えれば抑制されますが、インスリン抵抗性があるため、抑制がきかず合成されるのです。

食後高脂血症はこのようにインスリン抵抗性症候群(メタボリックシンドローム)が密接に関わっています。インスリン抵抗性が改善すれば、食後の肝臓由来のVLDLの放出は減少します。

食後高脂血症に関しては、食後脂質代謝が複雑なことと、今まで標準的な評価法が確立していなかったので、研究報告も少なくこれからの検討が必要な段階ですが、あるていど解ってきたこともあります。

即ち、近年、食後高脂血症が動脈硬化の独立した危険因子とされています。食後4時間TG(中性脂肪値)が200mg/dl以上の群は頸動脈の肥厚が有意に多かったという報告があります。

2008年に行われた東海大学と高雄病院の共同研究で、8人の糖尿病患者さんのデータを取らしていただきました。

食前、食後30分、60分、90分、120分で採血して血糖、インスリン、中性脂肪(TG)、遊離脂肪酸、ケトン体を調べました。

高糖質食(350キロカロリー、糖質60%、52.5g)と低糖質食(350キロカロリー、糖質10%、8.75g)とを比較しました。

今回のテーマの中性脂肪ですが、空腹時の中性脂肪が正常値だった6名は、高糖質食でも低糖質食でも、食後30分、60分、90分、120分すべて正常値で、変化もあまりありませんでした。

空腹時中性脂肪値が200mgを超えていたAさんは、

高糖質食だと「346、330、324、311、289mg」と高値が持続しました。

一方、低糖質食だと「293、267、250、238,229mg」と少しましな印象もありますが

やはりやや高値が持続しています。

次にBさんです。

高糖質食で「270、206、206、178、167mg」

低糖質食で「153、159、155、159、155mg」

でした。

AさんとBさんは、インスリン抵抗性症候群(メタボリックシンドローム)でした。食後4時間まで追っていないので、はっきりとしたことは言えないのですが、インスリン抵抗性そのものが糖質制限食で改善することは明白なので、食後高脂血症も改善する可能性が高いと思います。

結論です。

糖質制限食により空腹時中性脂肪値は、速やかに減少し正常となる。
②糖質制限食により食後高脂血症も改善すると思われる。
<糖質制限食実践→内臓脂肪減少→インスリン抵抗性改善→食後高脂血症改善>

**
今回の記事は
食後高脂血症
北海道医療大学 医療科学センター 辻昌宏先生の
PDFファイルhttp://www.gik.gr.jp/~CLRG/Dr-Tuji.pdf
を参考にさせて頂きました。
ありがとうございました。


江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
必須脂肪酸
こんばんは。

アラキドン酸、必須脂肪酸について飯山忍さんから、わかりやすいコメントをいただきました。

「09/11/12 飯山忍
あらきどん
りんりんさん>

はじめまして。ちょっと誤解されているようなので訂正させてください。

アラキドン酸は「必須脂肪酸」のひとつです。厳密に言えばリノール酸からの代謝で作れるので、完全な必須ではありませんが、皮膚をきれいに維持したり細胞を健康に保つために、なくてはならない栄養素です。

ただ、その代謝経路(アラキドン酸カスケードと言います)の中でプロスタグランジンE2と言う物質になり、こいつが『多すぎる』と炎症を起こしたりするので、控えましょうって言うことです。

先生もお書きのように、日本人には植物性油脂信仰が強いので、アラキドン酸やリノール酸は決して不足はしないと思います。

ちなみに、牛脂にはアラキドン酸に変化するリノール酸は3.7%含まれており、アラキドン酸そのものはゼロです。

ラードはリノール酸が9.8%アラキドン酸は0.1%ですね。

ちなみに植物性油の代表格、大豆油やコーン油にはリノール酸が50%以上含まれていて、これはその代謝経路の中でアラキドン酸に変化します。

また、牛脂やラードにはオレイン酸が45%程度、大豆油やコーン油には25~30%含まれています。

アラキドン酸は、いわゆるn-6系多価不飽和脂肪酸で、動物性油脂に含まれるステアリン酸などの飽和脂肪酸からは合成されません。

合成と言うか代謝でアラキドン酸が生成されるのは同じn-6系多価不飽和脂肪酸で、植物性油脂に多く含まれるリノール酸からなんですよ。

くれぐれも動物性油脂悪者説というか、植物性信仰の罠にはまらないでくださいね。」


飯山忍さん。
適切なコメントありがとうございます。

ご指摘通り、厳密な必須脂肪酸はリノール酸とα-リノレン酸だけですね。この2つは、人体で作れないので、食事から摂取することが必須です。

<リノール酸→γリノレン酸→アラキドン酸>(体内で合成)
α-リノレン酸→EPA→DHA>(体内で微量は合成)

このようにアラキドン酸、EPADHAは体内で合成されますが、ゆるい基準では、アラキドン酸、EPADHA必須脂肪酸にいれることがあります。

現在の日本人の食生活では、「リノール酸の過剰摂取→アラキドン酸の過剰」となっています。
従って、摂取は控えた方がいいです。

一方、α-リノレン酸は摂取不足気味ですので、体内で作られるEPADHAも不足気味です。EPADHAはマグロ・ハマチ・サバ・タイ・サンマ・イワシ・・・、などお魚にたくさん含まれています。しっかり魚を食べてEPADHAを補給しましょう。

α-リノレン酸は紫蘇油やエゴマ油、緑の濃い野菜に含まれています。
α-リノレン酸→EPA→DHA
 
というルートはありますが、生産能力はぼちぼちなので、直接、魚からEPADHAを摂取する方が、はるかに効率がいいです。

EPA・DHAに共通する働きとして中性脂肪の低下と血小板凝集の抑制があります。EPAには血液サラサラ作用があり、DHAには脳代謝の賦活作用などがあるようです。

結論です。

リノール酸摂取を減らしてオリーブオイル(オレイン酸)、α-リノレン酸、EPA・DHAをしっかり摂取しましょう。

江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
ローカーボ・クリスマスケーキのご案内です。
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こんばんは。

皆さん、今年も残すところ2ヵ月を切りました。スーパーなどでは、お歳暮やクリスマスケーキの案内などを目にします。

昨年、あらてつさんところの糖質制限ドットコムで、京都西院にあるスイーツの名店、「菓子職人」の稲井社長さんが開発されたローカーボクリスマスケーキを、期間限定で販売しておりました。

私も購入しましたが、糖質制限ながらしっかり甘く、数年ぶりにケーキを食べながらメリーなクリスマスになりました。

今年も、クリスマスケーキの限定販売をするとのことですが、昨年、当初予定した数がすぐに予約いっぱいになり、急遽、予約数を倍にしたことを受けて、今年の販売は、「菓子職人」の稲井社長さんが、三種類もケーキを準備してくださったそうです。

さっそく私も予約しました。ブログ読者の皆さんも、いかがでしょうか。

以下、

<あらてつさんからのご案内>

です。

皆さん、江部康二先生のブログをジャックした、あらてつです(笑)

今回、恐れ多くも江部康二先生のブログ紙面で、クリスマスケーキのご予約案内をさせて頂きますので、是非ともお読み頂いてご注文くださいませ。

では、まず、クリスマス・ダブルチーズから

大人気のローカーボチーズケーキピュアのベイクドタイプとレアチーズケーキを二層に重ね、純白の
生クリームを贅沢にデコレーション!なめらかなレアチーズケーキとしっとりとした口どけのベイクドチーズが、今年の聖夜を最高のクリスマスに演出してくれます。

お次は、クリスマス・ショコラ

カカオたっぷりのチョコレートクリームを、ココアをたっぷり使ったチョコレートのスポンジ生地で、美味しくサンド。さらに贅沢にもたっぷりのチョコレートクリームでデコレーションしました。山盛りてんこ盛りのチョコレートが甘~い幸せを届ける、クリスマス限定チョコレートケーキです。

そして、あらてつイチオシのクリスマス・ブリュレ

濃厚なクリームが女性に大人気のクレームブリュレが、クリスマスケーキに。しっとりとした生地でクレームブリュレの命である濃厚カスタードクリームをはさみ、さらにさらに生クリームで仕上げた逸品です。カスタードとスポンジ生地の組み合わせがなんとも絶妙なクリスマスケーキの決定版。写真がないのでわかりませんが、ケーキの上に、焦がしたカラメルをイメージしたクリームがのってるのがご愛敬♪

これまで、糖質制限食やダイエットで、せっかくのクリスマスなのに、ひとりケーキをあきらめていたそこのアナタ!もう、今年のクリスマスも、そんなガマンは忘却の彼方へ吹き飛ばしてください!

徹底して美味しさとローカーボにこだわった、「菓子職人」の稲井オーナーシェフの自信作。これを食わずしてハッピーメリーなクリスマスはありえません。

今年も、ご家族、ご友達と皆さんで、ジングルベルを聞きながら甘く幸せなクリスマスをお楽しみくださいね。

詳細は、以下のページをご覧くださいね♪

糖質制限ドットコム クリスマスケーキご予約ページ
↓  ↓  ↓
http://www.toushitsuseigen.com/shop/sweets_xmascake.htm


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
リノール酸・アラキドン酸過剰の弊害と血糖値
おはようございます。

昨夕から、雨がしとしと降り続けている京都です。

今回は、飯山忍さんとtomoさんから、興味深いコメントをいただきました。


「09/11/10 飯山忍
糖質制限半年
先生こんにちは。m(_ _)m

二ヶ月ぶりに検査に行ってきました。結果はこちらです。
http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/55/0000889755/29/img05620bb1zik6zj.jpeg

糖質制限を開始して半年、HbA1Cは10.2%から6.0%に改善しました。

これまで10年以上にもわたって経口薬とカロリー制限でジリ貧だった私の糖尿病も、たった半年の糖質制限で、ほとんど正常人に近い値になりました。うれしい限りです。

これも先生のおかげです。決して高雄と洛北には足を向けて寝ないようにします。(笑)

ところで、今回興味深い経験をしましたのでご報告いたします。

実はクラス会で久しぶりに顔を合わせたかつての同級生との会話の中で、物忘れや体力の低下が話題になりました。

その際、サントリーの健康食品ARA(アラキドン酸製品)と言うのをもらったので、早速物忘れ防止に服用したところ、一週間ほどで空腹時、特に起床時の血糖値が非常に悪くなり、150mg/dlを超えることが普通になってしまいました。

調べたところ、アラキドン酸リノール酸からも代謝によって導かれる脂肪酸で、さらにはその代謝経路の後半にはPGE2と言う物質があることを知りました。

こいつはインスリンの分泌を抑制する働きがあるとか何とか・・・

で、すぐに摂取を止めたところ、一週間ほどで早朝の空腹時血糖値は130mg/dlくらいのいつものペースに戻ったのです。それでも、相変わらず暁現象を思わせる、夕刻より朝のほうが血糖値が高い状況は続いていました。

ふと思いついて、久しぶりに日本食品標準成分表を開きました。大好きでよく使っているごま油を調べたんです。

オレイン酸は40%、しかし一方でリノール酸は44%。こいつは落とし穴でした。

大豆やコーン、綿実、それにハイオレックじゃない普通の紅花やひまわりは高リノールだと警戒していたんですが、ごま油も実はミッドオレインタイプの油程度にはリノール酸が多かったんですね。

そこで、ごま油の使用は中止して、植物性の食用油は全部オリーブオイルにしました。動物性については、ラードやヘットの脂肪酸組成の中で一番多いのは意外なことにオレイン酸で、イベリコ豚じゃなくても45%くらいを占めています。

ま、それ以外は飽和脂肪酸が多いので控えてはいますが、過剰な警戒はしないようにしています。

その結果、二週間ほどで早朝の血糖値は100~120mg/dlくらいに下がり、そして今回の検査結果につながりました。

誰にでも当てはまるとは決して思いませんが、油というか脂肪酸で血糖値に影響が出たのが面白かったのでご報告します。」


「09/11/11 tomo
アラキドン酸サプリの危険性
飯山忍さんへ。(横レス失礼します)

アラキドン酸サプリの危険性については、奥山治美教授のグループがすでに警告しています。以前にも引用した次の文献に詳しく述べられていますのでご参照下さい。

これは油脂科学入門の基本文献だと思いますので興味のある方はぜひご覧下さい。(「目から鱗」の情報が多く大変面白いです。)

なお、私もゴマ油は香り付け程度(少量)にして、植物油はオリーブ油とエゴマ油(シソ油)を中心に使うようにしています。

文献:
1.インターネットURL http://www.kinjo-u.ac.jp/orc/research/topic.html
の「Ⅷ章 危険なサプリ」にあるPDFファイルtopic8.pdf
2. 奥山治美・國枝英子・市川祐子著「油の正しい選び方・摂り方~最新・油脂と健康の科学~」農文協の第7章2節 (なお花王のエコナの問題点もこの章の第1節で指摘されています。) 」


飯山忍さんとtomoさん、貴重な情報提供ありがとうございます。

「糖質制限を開始して半年、HbA1Cは10.2%から6.0%に改善しました。 これまで10年以上にもわたって経口薬とカロリー制限でジリ貧だった私の糖尿病も、たった半年の糖質制限で、ほとんど正常人に近い値になりました。」

飯山さん、まずは糖尿病改善よかったですね。
おめでとうございます。(^-^)v(^-^)v

戦後長らく、栄養士や保健所の指導で「植物油が身体に良くて、動物脂が悪い」と言われ続けたので、日本人はリノール酸を過剰に摂取するようになっています。リノール酸の摂りすぎに関しては、日本脂質栄養学会が提言を出しています。

【日本脂質栄養学会の提言 2002年9月】http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsln/teigenHamazaki02.htm
からの抜粋

『本学会は 1992年以来、必須脂肪酸である リノール酸の摂取過剰と健康の問題について討論した。
その結果、日本人のリノール酸摂りすぎを是正する方向に栄養指導を改めることが急務との結論に達した。
リノール酸摂りすぎの害(心臓・脳血管系疾患、欧米型癌、アレルギー性疾患、その他炎症性疾患)については、動物実験のみならず臨床的にも明らかにされてきた。』

飯山さんが、アラキドン酸とリノール酸の摂取を減らされたら、早朝空腹時血糖値

『150mg→130mg→100~120mg』

と改善したのは、大変興味深いですね。

糖尿病歴10年以上の飯山さんの、データですから、1例報告でも充分価値がありますよ。

結論としてはtomoさんの油脂使用法

『ゴマ油は香り付け程度(少量)にして、植物油はオリーブ油とエゴマ油(シソ油)を中心に使うようにしています。』

が、いいと思います。

エゴマ油(シソ油)の主成分、αリノレン酸は熱に弱いので、生で使うのがいいですね。オリーブ油以外に、オレイン酸が多い製品には、高オレイン酸タイプの紅花油がありますね。


江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
甘味料と糖質制限食
おはようございます。
今回は初心者さんから、甘味料についてコメント・質問をいただきました。

「09/11/09 初心者
甘味料について
初めまして。一昨日から低糖質食に励んでいる者です。
早々質問をしてもいいですか?
エリスリムとパルスイートカロリー0ではどちらのほうが血糖値を上昇させますか?
先生の本をすべて読み尽くし、釜池先生や他の先生の本も読んでみたらもう何がなんだかわからずパニックです。。
このブログでもっと勉強させてください!」


初心者さん。

「エリスリム」は主成分にエリスリトールを使用し、これにスクラロースを加え砂糖の約3倍の甘さに調整した、カロリー0(ゼロ)の粉末甘味料です。株式会社・浅田飴が販売しています。

エリスリトール、スクラロース共に、カロリーゼロで糖質ゼロの甘味料です。勿論血糖値は上げません。

「パルスイートカロリーゼロ」の成分は、エリスリトール、甘味料(アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物、アセスルファムK)、香料です。

これらは全て、カロリーゼロで糖質ゼロです。勿論血糖値は上げません。味の素株式会社や大正製薬が販売しています。

結論です。

カロリーゼロ、糖質ゼロという表記があるものは、糖質制限OK食材です。エリスリム、パルスイートカロリーゼロ共に血糖値を上昇させません。他に、ラカントSも血糖値を上昇させない甘味料です。

なお糖類ゼロという表示は、キシリトール・ソルビトールなどの糖アルコールが含まれていて、血糖値を少し上昇させる可能性があります。


江部康二

☆☆☆☆☆
以下は参考までに
2009年06月25日 (木)のブログ記事です。

*2002年FDAが、5番目の人工甘味料としてネオテームを承認しています。
 日本でも2007年にネオテームが承認されています。
 血糖値は上昇させず、カロリーもゼロです。

<カロリーゼロ、糖質ゼロ、糖類ゼロ、甘味料>

おはようございます。

前回の記事にコメントたくさんいただきましたので、「カロリーゼロ、糖質ゼロ、糖類ゼロ、甘味料」について整理しておきましょう。

カロリーゼロと表示してあるということは、100mlあたり5kcal未満なので血糖値もほとんど上昇させません。

また糖質ゼロ表示なら、栄養表示基準に基づき「100ml中糖質0.5g未満を、糖質0(ゼロ)で表示してOK」です。

例えば、糖質ゼロ発泡酒は、カロリーはありますが、糖質は100ml中0.5g未満です。Asahiスタイルフリーなら糖質ゼロで、カロリーは350mlで24kcalです。

もし、100ml中に、0.4g糖質が含まれていても糖質ゼロ表示OKですから、その場合は1リットル飲んだら、4gの糖質摂取になりますね。

次に糖類ゼロ表示は、二糖類、単糖類が含まれていないということです。つまり、砂糖やブドウ糖などの二糖類、単糖類が含まれていなければ、合成甘味料や糖アルコールが含まれていても、糖類ゼロや無糖と表示できるのです。

甘味料には、大きく分けて『天然甘味料』と『人工甘味料』があります。天然甘味料には、ショ糖、蜂蜜、メープルシロップ、果糖、麦芽糖、などがあります。天然の植物や食品中に含まれている甘み成分を取り出し精製、濃縮した甘味料のことです。

人工甘味料は、合成甘味料と糖アルコールに分類されます。 合成甘味料は、人工甘味料の一種で、人為的に化学合成された甘みのある物質(甘味料)です。砂糖より低カロリー、低価格、などの特徴があります。狭義の意味の人工甘味料は、合成甘味料と同義で使われることがあります。

FDA(米国食料医薬品庁)が食品への使用を許可している合成甘味料は、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースの4種です。

これらの合成甘味料は、「フリーフード」と呼ばれ、米国心臓病協会や米国糖尿病協会も肯定的ではあります。摂取総量規制はありますが、ゼロカロリーで血糖値は上昇させません。

それから糖アルコールですが、エリスリトール以外の糖アルコール(マルチトール、キシリトール、ソルビトールなど)は血糖値を砂糖の半分くらい上昇させます。

ロッテゼロ<マイルド>というチョコレートも、砂糖と乳糖は使用していませんが、甘味料としてキシリトールが含まれています。キシリトールは難消化性ですが、一部分解消化され血糖値を上昇させます。(=_=;) 

低カロリーアイスは、カロリーもありますし、糖質も含まれているので血糖値が上昇すると思います。
低カロリーという表現は、栄養表示基準の規制外なので、かなりいいかげんといえます。σ(=_=;)ヾ

糖質ゼロ、カロリーゼロ、低糖、カロリー控えめもそれぞれ基準が違います。やや、面倒くさいですが、ラベルをよく確認してくださいね。

健康増進法に基づく基準は下記のごとしです。


☆☆☆栄養表示基準 (飲料100mlあたり)

   ◎ 飲料100mlあたりのカロリーが5kcal未満なら、
    ⇒「ノンカロリー」「カロリーゼロ」

   ◎ 飲料100mlあたり20kcal以下なら、
    ⇒「カロリー控えめ」「カロリーオフ」と表示できます。

   ◎ 100ml中糖質0.5g未満を、
    ⇒糖質0(ゼロ)で表示できます。

   ◎ 飲料100mlあたりの糖類(単糖類+二糖類)が0.5g未満なら、
    ⇒「無糖」「ノンシュガー」「シュガーレス」「糖分ダイエット」

   ◎ 飲料100mlあたりの糖類が2.5g以下なら、
    ⇒「低糖」「糖分控えめ」と表示できます。
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
山梨医科大学名誉教授、佐藤章夫先生のホームページを拝見して
こんばんは。

山梨医科大学名誉教授、佐藤章夫先生のホームページ拝見しました。ご高説の中で、牛乳の項とかは基本的に賛成です。

私自身、1984年から高雄病院給食に玄米魚菜食を導入しています。玄米の給食、病院としては日本で初だったかもしれません。

1999年に、兄の江部洋一郎院長が、高雄病院に糖質制限食を導入するまでは、佐藤先生の主張しておられるような食生活を、アトピーや喘息などアレルギー疾患、慢性関節リウマチなど膠原病、腎疾患、消化器疾患、高血圧・・・そして糖尿病、多くの患者さんに、玄米魚菜食を奨めていました。

当時は「粗食のすすめ」の幕内先生と一緒に「学校給食と子どもの健康を考える会」で米飯給食をすすめる運動をしており、米ばっかり食べてました。

まあ、私自身、

「玄米を主食として、おかずはお魚中心に野菜たっぷりで、肉や脂は控えめにして週2回はテニスをする→糖質が総摂取カロリーの60%」

普通のおじさんに比べれば、はるかにヘルシー?なライフスタイルを実践していたにもかかわらず、
40才過ぎから徐々にメタボになり、2002年には糖尿病が発覚しました。

つまり、私が推奨していた、そして佐藤先生の推奨されている「玄米魚菜食(糖質たっぷり食)で脂質は控える食生活」では、自分自身のメタボリック・シンドロームや糖尿病を防ぐことができなかったのは、皮肉なことでした。( ̄_ ̄|||)

玄米魚菜食時代には、メタボや糖尿病になった理由がわからなかったのですが、糖質制限食を研究してから、はっきり理解できました。

そして現在、糖質摂取と糖尿病に関しては江部康二と佐藤先生と基本的に正反対ですね。

<佐藤章夫先生のホームページから抜粋>
『健康なひとがグルコース負荷試験の前日に糖質の少ない食事を摂ると、耐糖能が著しく悪化する。この現象は著者らの研究で観察されたものである。特記すべきは、糖負荷試験の前日の朝食と昼食には普通の食事(たんぱく質15%;脂肪25%;糖質60%)を摂り、夕食だけ糖質の少ない食事(たんぱく質30%;脂肪60%;糖質10%)を与えたところ、全例において耐糖能が悪化したことである。被験者12名中4名が「耐糖能異常」と判定されてしまった(図2)(1,2)。夕食に糖質の多い食事を摂ったときには被験者の耐糖能は正常であったから、検査の15-16時間前の糖質摂取量が耐糖能に大きな影響をもたらすのである。』

<佐藤章夫先生のホームページから抜粋>
『このことはわたくし達の新しい発見ではない。検査前の低糖質食が耐糖能を悪化することは古くから知られていた。今から60年も前にロンドン大学病院のヒムスワース(Himsworth)が正常(糖尿病ではない)の健康人に糖質の少ない食事を1週間与えて糖負荷試験を行った(3)。高糖質食を与えたときには耐糖能は正常であったのに、低糖質食によって糖尿病と判定されるほどに耐糖能が悪化した。しかも、糖質と脂肪の比率を一定に保ちながら総エネルギーを増減させたり、総エネルギーを一定にして糖質と脂肪の比率を変えたりして、耐糖能が検査前の糖質摂取量によって変動することを確認した。この報告を契機にして、糖負荷試験の前少なくとも3日間は1日300グラム以上の糖質摂取が必要であるといわれるようになった(4)。
 しかし、1960年、ウィルカーソン(Wilkerson)らが受刑者を被験者として低糖質食が耐糖能に与える影響を再検討して、糖質の摂取量を1日50グラムに制限しても耐糖能には大きな影響を及ぼさないという報告を行った(5)。この報告がNew England Journal of Medicineという影響力の大きな医学誌に掲載されたために、米国糖尿病協会は1日300 gという糖質はアメリカ人には多すぎるとし、1日150グラムの糖質で十分であるという判断を下した。WHOもこれにならい、糖負荷試験の前には1日150グラム以上の糖質を摂ることを被験者に指示することを勧告して、現在にいたっている。』


ウィルカーソン氏の実験では、低糖質食にしても耐糖能に影響なかったようですね。追試した結果がNew England Journal of Medicineに載ったわけですから、EBM的にはやはりヒムスワースの論文よりこちらのほうが説得力ありますね。

私達の症例でも、糖尿病の人が糖質制限食を続けて、一ヶ月、三ヶ月、半年経過していくと、糖質を食べても食後高血糖の改善が見られることがほとんどです。

即ち中・長期的には膵臓のβ細胞の機能が休養により回復し耐糖能の改善がみられます。

例えば2009年11月07日 (土) のブログ「スーパー糖質制限食で糖尿病が治った!?」の蝶々さんも、明らかに耐糖能が改善して正常化しています。

結論としては、直前の低糖質食がGTTにおける耐糖能を低下させるか否かは、異なる結論の二つの文献があり、はっきり断定できません。

しかし、極めて重要な事実は、糖質だけが血糖を上昇させるということです。タンパク質・脂質は血糖値を上昇させません。(*)これは普遍的な生理学的事実です。


佐藤先生はホームペ-ジで

『糖質(澱粉)をたくさん摂るとインスリンの分泌が少なくて済む』

と断定しておられますが、これは生理学的な事実と反しています。

糖質だけが血糖値を上昇させますので、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。しかし、脂質を摂取してもインスリン追加分泌はありません。タンパク質を摂取したときはごく少量のインスリンの追加分泌があります。

つまり人(糖尿人も正常人も)において、インスリンの追加分泌が大量に必要となるのは、糖質を摂取した時だけです。これも論争の余地など全くない生理学的事実です。
 
現代の日本人の食生活は、精製糖質の過剰摂取と運動不足により、毎日3~5回以上ブドウ糖ミニスパイク(**)が生じ、その度にインスリンが大量に追加分泌され、10年、20年、30年と働き続けた膵臓が疲弊し、とうとう40代、50代で糖尿病を発症するわけです。これが日本の糖尿病激増の実態です。

なお今日の記事のテーマに関して、

2009年6月11日のブログ<糖質制限食>VS<高糖質食>①②③

もご参照いただけば幸いです。


江部康二

(*)
ADA(米国糖尿病協会)2004年版の
Life With Diabetes
A Series of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center

(**)グルコーススパイクとミニスパイク

グルコーススパイクブドウ糖スパイク)のお話です。
近年の糖尿病関係の話題として、『空腹時血糖値と食後高血糖値の差(ブドウ糖スパイク)が大きいほど、リアルタイムに大血管の内皮が傷害されて動脈硬化になりやすく、将来心筋梗塞の危険性が高まる』という説が有力となっています。

糖尿病の人は、当然、ブドウ糖スパイクが大きいわけです。例えば、空腹時血糖値が100~120mgとかでも、糖質摂取後の血糖値は200、300mgとなってしまいます。(脂質やタンパク質を食べても、ブドウ糖スパイクは起こりませんので、念のため。)

一方、糖尿病がない人でも、精製された糖質(高GI食品)を食べれば、糖尿病の人に比べれば小さいとはいえ、ブドウ糖スパイクが生じますから、代謝全般に乱れが生じてアレルギー疾患や高脂血症・肥満など様々な生活習慣病にも悪影響がでる可能性があります。私は、この小さなブドウ糖スパイクを、『ミニスパイク』と呼んでいます。

精製された糖質は、特に血糖を上昇させやすい食品です。中でも白パン、ケーキなどの精製小麦粉製品は血糖上昇指数(GI)が100もあります。ちなみに白米は70、玄米は50です。

糖尿病が無ければ、玄米などGIの低いものを主食としていれば、ミニスパイクもほとんど起こらず、血管内皮の障害のリスクも無くなりますし代謝も安定します。

過去経験的に、「玄米魚菜食がいろんな病気の改善に良い」と言われ、高雄病院でも1984年から玄米魚菜食を給食で提供してきました。

なぜ良いのか、理論的根拠に長年悩んでいましたが、「ブドウ糖スパイク理論」でやっと説明がつきました。

世界中に、今まで様々な食事療法があり、それぞれ治療効果を謳っていますが、やはり「ブドウ糖スパイクが少ない」という一点で共通していることが多いようです。

なお、糖質制限食ならミニスパイクも全く起こらず、血糖値は勿論、代謝全てが安定します。

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
講演会とセミナーのお知らせ
こんばんは。

東京方面の皆さん、講演会とセミナーのお知らせです。

●リボーン講演会
ドクター江部の「現代病を治す糖質制限食
−テーラメイドダイエット−

作家の宮本輝氏との対談集『我ら糖尿人、元気なのには理由がある』の刊行で世間の糖質制限食への認識が深まってきています。今回は時間をたっぷりとって、基礎理論と疫学、症例などを柱に、グルコース・スパイク、グルコース・ミニスパイクの意味、テーラーメードダイエットの意義…などを細かく解説していきます。さらに、糖尿病、メタボ・肥満のみならず、アトピー、アレルギー、花粉症、機能性低血糖症、高血圧、尋常性乾癬…欧米型のガン予防…など、糖尿病・メタボ以外の疾患にも糖質制限食の効果がどう働くのか。すでに効果が確認できている疾患、理論的に効果が期待できる疾患…についても展開していきます。

●質疑応答の時間をいつもよりたっぷりご用意しました。

講 師 江部康二
    (高雄病院理事長/NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事長)

日 時  2009年11月29日(日)
      9時20分開場
      9時30分 江部康二講演開始
     11時10分 質疑応答開始
     11時50分 終了

場 所  なかのゼロ視聴覚ホール (JR中野駅南口下車6分)
      東京都中野区中野2丁目9番7号
      03−5340−5000

定 員  100名

会 費  一般 1600円 
     ペア券一般 3200円のところ2800円  
     リボーン会員 1000円
     ペア券会員  2000円のところ1600円
     ※ペア券はご家族に限られていただきます。


●リボーン・セミナー
管理栄養士・大柳珠美の糖質制限食実践講座
 よりわかりやすく簡単に。
 今日から我が家も糖質制限食

糖質制限食はちょっとした調理のコツをつかめば、複雑な理論抜きで、誰でもその日から実践できる…。今回のセミナーでは、糖質制限食を実践して行く上での具体的な提案を管理栄養士の大柳珠美が解説。リボーン初の試みになります。毎日の食卓の工夫に加え、外食時のレストランでの工夫や、コンビニ、スーパー、生協などの活用法に加え、主食の代わりとなる代替食品の調理法のワンポイントレッスンなど。これさえ抑えればというコツを伝授。無理なく長く糖質制限食を続ける秘訣が詰まっています。ゆったりとしたサロンのような雰囲気で、時間もかけて、糖質制限食を学ぶ一時、ぜひ、この機会をお見逃しなく。実演と試食の時間もお楽しみに。

講 師 大柳珠美(管理栄養士/NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事)

日 時 2009年12月13日(日)
時 間 14時00分〜15時30分 講義
    15時40分〜16時40分 実演と試食
    
定 員 30名限定(最低敢行人数15名)
参加費 一般 3000円
    リボーン会員 2000円

会 場(株)ガルフネット 本社
住 所 東京都江東区亀戸1−8−5 小林ビル
電 話 03−5858−1143
道 順 総武線亀戸駅下車7分 錦糸町方向に京葉道路沿い。
   会場迄の詳しい道順は申込時にご説明します。


※講演会、セミナーともに事前予約が必要となります。
 お申し込み・お問い合わせは。
 リボーン 曽我部  
 03−3388−5428  e-mail reborn@big.or.jp2009年11月01日 (日)


【糖質制限食とは】
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わります。タンパク質・脂質は血糖に変わりません。 

また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。

これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。 

このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。

現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が、大きな問題として注目されています。食後高血糖が心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。そして食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。

1gの糖質が体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。

一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても糖質含有量は1gもないので、食後高血糖はほとんど生じないのです。 

なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。

糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。

簡単に言えば主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
 
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。

一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように
カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って
現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、
一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。

糖尿病の改善にはカロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。

なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。

一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。

☆☆☆
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-

一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。

『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。*炭水化物=糖質+食物繊維

【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、

「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」
「 糖質制限食 春のレシピ」
「 糖質制限食 夏のレシピ」
「糖質制限食 秋のレシピ」
「糖質制限食 冬のレシピ」
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」
(東洋経済新報社)

「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)

を参考にされ、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。

なお、血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。糖質制限食は、相対的に高タンパク食になるので腎不全には適応とならないのです。

【コメント・質問に関するお知らせ・お願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。

読者の皆さんからご意見いただきましたが、確かに普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、主治医にご相談頂けば助かります。m(_ _)m

普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)

掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。

一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m

それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。


【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内・保険適応】
お問い合わせは高雄病院
http://www.takao-hospital.jp/

住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3 
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。


【糖質制限食外来治療のご案内・予約制・保険適応】
高雄病院  電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3

高雄病院京都駅前診療所  電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
http://www.takao-hospital.net/

江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
焼き芋(さつまいも)のGIは高値
おはようございます。

焼き芋のGIについてりんりんさんが、

メンドーサおじさんのサイトhttp://www.mendosa.com/gilists.htm

を詳しく検索して情報をコメントしていただきました。

「09/11/07 りんりん
焼き芋のGIは94!?
長らくの疑問にご回答いただき、感謝いたします。
早速教えて頂いたマニアックなサイトを大変興味深く拝見しました。
GI値は私の持っている本の記述とかなり差があるようです。

「Sweet potato, cooked」カテゴリに 皮を剥いたジャマイカ産のサツマイモを8分ゆでた場合と 油で揚げた場合、45分じっくり焼いた場合のGI値が記載してありました。

こちらのサイトが信用できるなら、 30分ゆでたGI値が46±5、油で揚げると76±7、炭で焼くと82±5、 そして、45分焼いたGI値は、な、なんと、 白米やパンよりも高い94±8です!!!

GI値94±8の食べ物は、非糖尿人でも血糖値が急激に上下しそうで 安心して食べられるものではないですよね・・・

焼き芋は、アルコール(ほぼ飲めませんが)や タバコ(吸いませんが)のような嗜好品としてつきあっていきたいと思います。 ありがとうございました。

主食抜き生活は一生続けるつもりですので、 また、ぜひお邪魔させてください。」


りんりんさん。
貴重な情報をありがとうございます。

めんどーさおじさんのサイトは、膨大な情報量なので探すのが一苦労でしたでしょう。このサイト、マニアックだけに信用できると思いますよ。

というか下記のことも含めて「よくぞここまで調べたものだ!!」とまあ一種、感動ものですよね。Σ( ̄□ ̄;)Σ

「30分ゆでたGI値が46±5、油で揚げると76±7、炭で焼くと82±5、 そして、45分焼いたGI値は、な、なんと、 白米やパンよりも高い94±8です!!! 」

サツマイモの場合は、ジャガイモとは異なり、ゆでるより、焼くほうが、GI値が高くなるのですね。

りんりんさんのコメントにあったように、焼き芋は、じっくり低温で加熱することで、 デンプンが麦芽糖に変わるから甘くなるし、GI値も上昇するのでしょうかね。


***
英語ではポテト(Potato)がじゃがいもで、
スイートポテト(Sweet potato)がさつまいもです。
メンドーサおじさんのサイトによれば
Potato, boiled 78±4
Baked potato 2375 Ontario, white, baked in skin (Canada) 60

ジャガイモのGIは、ゆでたら78で、焼いたら60です。


江部康二


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
スーパー糖質制限食で糖尿病が治った!?
こんばんは。

今回は、蝶々さんから、糖尿病が治った・・・?

という嬉しいコメント・質問をいただきました。


「09/11/06 蝶々
新米糖尿人です^^;
江部先生こんばんわ。お初にかかります。新米糖尿人です。
私は、今年の9月末にのどの渇き、頻尿が続き、「どうもおかしいな?」と思って、受診したところ、ペットボトル症候群による2型糖尿病と言い渡されました。

受診時の数値は、
2時間後血糖値340、Hba1c10.4でした。
その後、アマリール3mg、メルビン250で食事療法を開始しましたが、食後高血糖を招く既存のカロリーでの食事療法に疑問を抱き、いろいろ調べていくうちに、江部先生の糖質制限食に出会い、スーパー糖質制限食を開始しました。10月中旬ごろにアマリールの処方はなくなり、現在はメルビンのみになりました。

血糖値の推移は、受診から1か月の現在数値で
空腹時血糖値230→85~100
2時間後血糖値340→100~125
Hba1c10.4→8.7です。
運動により脂肪肝やや改善、体重115→100kg

ここで江部先生に質問なのですが、先日、どのくらい血糖値が上がるのかな?と、押し麦と白米を半々で混ぜたご飯110gほどに、卵焼き大を2つ、その他魚料理と減塩みそ汁で、推定糖質50~60gほど?を食べたのですが、1時間後162、2時間後125という結果でした。開始時血糖値は95でした。2型糖尿病では1gの糖質で血糖値3の上昇と先生の記述にもあるのですが、自分の数値にあわなくて、なぜなのだろう・・・と不思議に思って先生にお聞きしたいと思った次第です。これは耐糖能が少しはよくなってきてるということでしょうか?それとも一時的に下がっているということなのでしょうか?
新米なものですが、よろしければ先生教えてください^^;
追記になりますが、食後運動などは今回は行わず測定してみました。あと、先生の著書「主食を抜けば糖尿病は良くなる! 実践編」購入&熟読させていただいてます^^」


蝶々さん。
本のご購入ありがとうございます。

スーパー糖質制限食実践にて、1ヶ月で

「空腹時血糖値230→85~100
 2時間後血糖値340→100~125
 Hba1c10.4→8.7
 体重115→100kg」


素晴らしい改善ですね。

おめでとうございます。(^-^)v(^-^)v 

「先日、どのくらい血糖値が上がるのかな?と、押し麦と白米を半々で混ぜたご飯110gほどに、卵焼き大を2つ、その他魚料理と減塩みそ汁で、推定糖質50~60gほど?を食べたのですが、1時間後162、2時間後125という結果でした。開始時血糖値は95でした。」

推定糖質50gとしても、2型糖尿病なら食後血糖値ピークは、150mg上昇して245mgくらいになるはずですから、162mgというのは確かに不思議ですね。

おそらく糖尿病の罹病期間が、比較的短くて、自前のインスリン分泌能力が疲弊はしていたものの、かなり残存していたと考えられます。

2型糖尿病は、インスリンの作用不足で発症します。

<インスリン分泌低下+インスリン抵抗性> →インスリン作用不足

というパターンです。

インスリン抵抗性というのは、インスリンの効きが悪くなることです。

いったん糖尿病になると

高血糖→インスリン抵抗性増強、インスリン分泌低下→高血糖  
 糖毒と呼ばれる悪循環が起こります。
②肥満→インスリン抵抗性増強
 また肥満があると糖毒とは別にインスリン抵抗性が増強します。

蝶々さん、糖尿病診断時点では、空腹時血糖値230mg、食後血糖値340mgですから、充分「糖毒」状態です。また体重115kgありましたから、インスリン抵抗性も結構あります。血糖値が180mg/dl未満になると、「糖毒」が解除されます。

蝶々さんも、スーパー糖質制限食高血糖が改善して糖毒が解除され、疲弊していた膵臓のβ細胞が休養できて、インスリン分泌能力がかなり回復したと考えられます。そして糖毒解除でインスリン抵抗性もかなり改善したと考えられます。また、体重が115kgから100kgに減少したことも、インスリン抵抗性改善につながります。

まとめると蝶々さん、さらに体重減少に成功すれば、糖尿病がほとんど治ったという状態までいくことが可能と思います。

インスリン分泌能力が本来100あるとして、90以上くらいまで回復すれば、トータルには血糖コントロールは正常と同等です。インスリン抵抗性も減量に成功すれば、正常に戻ります。

このまま美味しく楽しく糖質制限食を続けられてほぼ正常人復帰を目指して下さいね。ヾ(^▽^)

江部康二


***糖毒

糖尿病を発症し、一旦、高血糖になってしまうと、高血糖そのものがベータ細胞にダメージを与えてインスリン分泌低下になり、また高血糖そのものが筋肉細胞などのインスリン抵抗性を高めてしまいます。

<高血糖→インスリン分泌抑制とインスリン抵抗性増大→高血糖>

この悪循環パターンを、臨床的には「糖毒」 と呼びます。

なぜ、高血糖自体がインスリン分泌を低下させるのか、インスリン抵抗性を増大させるのか、最先端の研究で調べられてはいるのですが、はっきり言ってまだよくわからないのが現状です。

糖質制限食を実践することで食後高血糖を防ぐことができるので、糖毒の悪循環を断ち切ることが可能です。

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
サツマイモ、ジャガイモのGI値、焼き芋と蒸し芋
こんばんは。

今回は、りんりんさんから、サツマイモのGI値について質問・コメントをいただきました。

「09/11/06 りんりん
記事とずれたコメントでごめんなさい
こんにちは。いつも閲覧専門でおじゃましています。

糖尿病ではないのですが、アレルギーなど肌のトラブルのため、 米や小麦粉を食べないローカーボ生活をして2年です。

ほんとは甘いものが好きなので、 年に何度かはケーキやピザを食べるし、 つきあいでビールを飲むこともあります。

炭水化物が多くてもGI値が低い レンコンやカボチャは控えめに食べてますが、 焼き芋が大好物なので、これは冬場にかなり食べてしまいます。

サツマイモのGI値は55くらいのようですが、 焼き芋は、じっくり低温で加熱することで、 デンプンが麦芽糖に変わるから甘い、とききます。

麦芽糖のGIはたしか105だったと主増す。 ということは、焼き芋のGIは55ではなく、 もっと100に近いのでしょうか?

だとすると、レンコンやカボチャ感覚ではなく ケーキやビール感覚でセーブしなければ、 と思います。

お時間があるときにでも、ご見解をおきかせくださいましたらうれしいです。」


りんりん さん。
コメントありがとうございます。

GI値はまだ研究者によりばらつき、信用できないサイトも多いですが、
http://www.mendosa.com/gilists.htm
メンドーサというマニアックなおじさんの信頼できる英文サイトがあります。
ここが一番参考になると思います。

英語ではポテト(Potato)がじゃがいもで、スイートポテト(Sweet potato)がさつまいもです。

Potato, boiled 78±4
Sweet potato, boiled 63±

ボイルしたジャガイモとサツマイモのGI値を比較するとサツマイモが少しましですね。

Baked potato
Ontario, white, baked in skin (Canada) 60

ジャガイモだとボイルしたものより、焼いたものがGI値はは低いようですね。

メンドーサおじさんのサイトでうまく、サツマイモの焼き芋を発見できませんでしたが、サツマイモもおそらくジャガイモ同様に、焼いた方がボイルよりGI値は低いと思いますよ。

りんりんさんは糖尿人ではないので、焼き芋、まあまあいいんじゃないでしょうか?

***
いも類文化学ノートhttp://www.tiu.ac.jp/~bduell/sp/usasp/
『アメリカ、サツマイモ事情』
著者:ベーリ・ドゥエル
によりますと、

「日本で食べられているイモ類は米国より種類が多い。日米の両国で食べられているのは、まず、ジャガイモ、次がサツマイモである。里芋類や山芋類などは、米国の限られている所でしか見かけられず、その地方の少数民族向けの食料品となっている。一般米国人は、potato とsweet potato のどちらかのイモ類しか知らないし、それ以外のイモ類は食べない。potato が主で、sweet potato のほうが消費される量が少なく、potato(ポテト)に対して、sweet potato(甘いポテト)があるというにすぎない。」

だそうです。


江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」 訂正
こんばんは。

「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」現代病を治す糖質制限食 (東洋経済新報社)
宮本輝 江部康二

おかげざまで、現在、4刷・35000部となっています。これもブログ読者の皆さんの応援のたまものです。ありがとうございました。

4刷は訂正してありますが、3刷までは下記の誤りがあります。

☆☆☆
お詫びと訂正

「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」(東洋経済新報社)
をご購入いただいた皆様、ありがとうございました。 

一部、記載に誤りがありましたのでお詫び申し上げ、訂正させていただきます。

99ページ、7行目

「なお、赤血球・網膜・角膜・水晶体だけはブドウ糖しか利用できません。」
            ↓
「なお、赤血球だけはブドウ糖しか利用できません。」

に訂正します。

同様に

99ページ、8行目、10行目、13行目、100ページ6行目、

「赤血球・網膜・角膜・水晶体」
  ↓
「赤血球」

に訂正します。

詳しく検討し直したところ、網膜・角膜・水晶体は、ミトコンドリアを有すことが判明しました。誤った記載をして、申し訳ありませんでした。  m(_ _)m

結局、赤血球以外の全ての細胞が、ミトコンドリアを有するということです。赤血球だけはミトコンドリアを持っていないので、ブドウ糖しか利用できません。

一方、脳を含め赤血球以外の細胞は、全てミトコンドリアを持っているので、脂肪酸-ケトン体をエネルギー源として利用します。

江部康二


◇◇◇
<脳とブドウ糖・ケトン体・エネルギー源>

脳は、ブドウ糖だけでなく、脂肪酸の代謝産物のケトン体を利用します。

日常生活では、心筋・骨格筋など多くの体細胞は、脂肪酸・ケトン体を主エネルギー源としているのに対し、脳・網膜・生殖腺胚上皮などは、ブドウ糖を利用しています。また赤血球は、ブドウ糖だけが唯一のエネルギー源です。

しかし、脳を含めてそれ以外の細胞は、全て内部にミトコンドリアを有すので、脂肪酸・ケトン体をエネルギー源にできます。

赤血球、脳などの糖輸送体はGlut1で、これは常に細胞表面にあり、血液があれば常に血糖を取り込めます。

一方、心筋・骨格筋、脂肪などの糖輸送体はGlut4であり、常は細胞内に沈んでいて血糖をほとんど取り込めません。

運動時あるいは糖質を摂取して血糖値が上昇し、インスリンが大量に追加分泌されたとき、Glut4は細胞表面にトランスロケーションして血糖を取り込みます。

糖質制限食を実践すれば、血中ケトン体は従来の基準値より上昇しますが、インスリン作用は保たれており生理的です。

例えば、2型糖尿病スーパー糖質制限食を7年間実践中である筆者の2009年9月のデータでは、

血中ケトン体値:530μM/L(26~122)
尿中ケトン体:陰性
HbA1c:5.3%
空腹時血糖値:100mg/dl
IRI:3.6μU/ml(3~15)

でした。

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
タンパク質・脂質は血糖に影響を与えない!ADA2004
こんにちは。

今日は、いい方の意味で衝撃の報告です。ヾ(゜▽゜)

今まで、ADA(米国糖尿病協会)1997年版の
Life With Diabetes
A Series of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center

にある記載をもとに

『食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。
糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方、タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。』


と繰り返し説明してきました。

ところが、

ADA(米国糖尿病協会)2004年版の
Life With Diabetes
A Series of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center

では

『3大栄養素のうち糖質だけが血糖値を上昇させる。3大栄養素のうちタンパク質・脂質は食後血糖値を上昇させない。食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わるが、タンパク質・脂質は血糖に変わらない。糖質は摂取直後から急峻に血糖値を上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収される。一方蛋白質・脂質は血糖値に影響をあたえない。』

と変更されています。

1997年版の『タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる』という記載が、2004年版では完全に削除されています。

つまり、ADA(米国糖尿病協会)の公式見解として、

「血糖値を上昇させるのは、糖質だけでタンパク質・脂質は血糖値に影響を与えない」

と断定したわけですから、私達、糖質制限食を推奨する立場の人間にとっては、とても好都合であり、いい意味でのサプライズでした。ヾ(^▽^)

日本糖尿病学会のお偉方も<Life With Diabetes2004>を、是非、しっかり読んでほしいものですね。

もっとも、 バーンスタイン医師によれば、少なくとも1型糖尿病では、1gのタンパク質が0.93g血糖値を上昇させます。

また高雄病院の経験でも、ブログ読者においても1型はタンパク質でもあるていど血糖値を上昇させると思います。

<Life With Diabetes2004>の記載は、正常人及び2型糖尿人限定なのでしょうか?
今後の検討が必要ではあります。 (∵)?

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
講演会とセミナーのお知らせ
こんばんは。

東京方面の皆さん、講演会とセミナーのお知らせです。

前回のお知らせで、セミナーの曜日を間違えて記載していました。訂正しましたが、再掲します。


●リボーン講演会
ドクター江部の「現代病を治す糖質制限食
−テーラメイドダイエット−

作家の宮本輝氏との対談集『我ら糖尿人、元気なのには理由がある』の刊行で世間の糖質制限食への認識が深まってきています。今回は時間をたっぷりとって、基礎理論と疫学、症例などを柱に、グルコース・スパイク、グルコース・ミニスパイクの意味、テーラーメードダイエットの意義…などを細かく解説していきます。さらに、糖尿病、メタボ・肥満のみならず、アトピー、アレルギー、花粉症、機能性低血糖症、高血圧、尋常性乾癬…欧米型のガン予防…など、糖尿病・メタボ以外の疾患にも糖質制限食の効果がどう働くのか。すでに効果が確認できている疾患、理論的に効果が期待できる疾患…についても展開していきます。

●質疑応答の時間をいつもよりたっぷりご用意しました。

講 師 江部康二
    (高雄病院理事長/NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事長)

日 時  2009年11月29日(日)
      9時20分開場
      9時30分 江部康二講演開始
     11時10分 質疑応答開始
     11時50分 終了

場 所  なかのゼロ視聴覚ホール (JR中野駅南口下車6分)
      東京都中野区中野2丁目9番7号
      03−5340−5000

定 員  100名

会 費  一般 1600円 
     ペア券一般 3200円のところ2800円  
     リボーン会員 1000円
     ペア券会員  2000円のところ1600円
     ※ペア券はご家族に限られていただきます。


●リボーン・セミナー
管理栄養士・大柳珠美の糖質制限食実践講座
 よりわかりやすく簡単に。
 今日から我が家も糖質制限食

糖質制限食はちょっとした調理のコツをつかめば、複雑な理論抜きで、誰でもその日から実践できる…。今回のセミナーでは、糖質制限食を実践して行く上での具体的な提案を管理栄養士の大柳珠美が解説。リボーン初の試みになります。毎日の食卓の工夫に加え、外食時のレストランでの工夫や、コンビニ、スーパー、生協などの活用法に加え、主食の代わりとなる代替食品の調理法のワンポイントレッスンなど。これさえ抑えればというコツを伝授。無理なく長く糖質制限食を続ける秘訣が詰まっています。ゆったりとしたサロンのような雰囲気で、時間もかけて、糖質制限食を学ぶ一時、ぜひ、この機会をお見逃しなく。実演と試食の時間もお楽しみに。

講 師 大柳珠美(管理栄養士/NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事)

日 時 2009年12月13日(日)
時 間 14時00分〜15時30分 講義
    15時40分〜16時40分 実演と試食
    
定 員 30名限定(最低敢行人数15名)
参加費 一般 3000円
    リボーン会員 2000円

会 場(株)ガルフネット 本社
住 所 東京都江東区亀戸1−8−5 小林ビル
電 話 03-5858-1153
道 順 総武線亀戸駅下車7分 錦糸町方向に京葉道路沿い。
   会場迄の詳しい道順は申込時にご説明します。


※講演会、セミナーともに事前予約が必要となります。
 お申し込み・お問い合わせは。
 リボーン 曽我部  
 03−3388−5428  e-mail reborn@big.or.jp2009年11月01日 (日)
こんばんは。

東京方面の皆さん、講演会とセミナーのお知らせです。

●リボーン講演会
ドクター江部の「現代病を治す糖質制限食」
−テーラメイドダイエット−

作家の宮本輝氏との対談集『我ら糖尿人、元気なのには理由がある』の刊行で世間の糖質制限食への認識が深まってきています。今回は時間をたっぷりとって、基礎理論と疫学、症例などを柱に、グルコース・スパイク、グルコース・ミニスパイクの意味、テーラーメードダイエットの意義…などを細かく解説していきます。さらに、糖尿病、メタボ・肥満のみならず、アトピー、アレルギー、花粉症、機能性低血糖症、高血圧、尋常性乾癬…欧米型のガン予防…など、糖尿病・メタボ以外の疾患にも糖質制限食の効果がどう働くのか。すでに効果が確認できている疾患、理論的に効果が期待できる疾患…についても展開していきます。
●質疑応答の時間をいつもよりたっぷりご用意しました。
講 師 江部康二
    (高雄病院理事長/NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事長)

日 時  2009年11月29日(日)
      9時20分開場
      9時30分 江部康二講演開始
     11時10分 質疑応答開始
     11時50分 終了

場 所  なかのゼロ視聴覚ホール (JR中野駅南口下車6分)
      東京都中野区中野2丁目9番7号
      03−5340−5000

定 員  100名

会 費  一般 1600円 
     ペア券一般 3200円のところ2800円  
     リボーン会員 1000円
     ペア券会員  2000円のところ1600円
     ※ペア券はご家族に限られていただきます。


●リボーン・セミナー
管理栄養士・大柳珠美の糖質制限食実践講座
 よりわかりやすく簡単に。
 今日から我が家も糖質制限食。

糖質制限食はちょっとした調理のコツをつかめば、複雑な理論抜きで、誰でもその日から実践できる…。今回のセミナーでは、糖質制限食を実践して行く上での具体的な提案を管理栄養士の大柳珠美が解説。リボーン初の試みになります。毎日の食卓の工夫に加え、外食時のレストランでの工夫や、コンビニ、スーパー、生協などの活用法に加え、主食の代わりとなる代替食品の調理法のワンポイントレッスンなど。これさえ抑えればというコツを伝授。無理なく長く糖質制限食を続ける秘訣が詰まっています。ゆったりとしたサロンのような雰囲気で、時間もかけて、糖質制限食を学ぶ一時、ぜひ、この機会をお見逃しなく。実演と試食の時間もお楽しみに。

講 師 大柳珠美(管理栄養士/NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事)

日 時 2009年12月13日(日)
時 間 14時00分〜15時30分 講義
    15時40分〜16時40分 実演と試食
    
定 員 30名限定(最低敢行人数15名)
参加費 一般 3000円
    リボーン会員 2000円

会 場(株)ガルフネット 本社
住 所 東京都江東区亀戸1−8−5 小林ビル
電 話 03−5858−1143
道 順 総武線亀戸駅下車7分 錦糸町方向に京葉道路沿い。
   会場迄の詳しい道順は申込時にご説明します。


※講演会、セミナーともに事前予約が必要となります。
 お申し込み・お問い合わせは。
 リボーン 曽我部  
 03−3388−5428  e-mail reborn@big.or.jp
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット