2009年10月31日 (土)
本ブログは糖尿人に、
糖質制限食(糖質12%、脂質56%、タンパク質32%)
を推進する立場ですが、世の中は相変わらず、
糖質たっぷりのカロリー制限食(糖質60%、脂質20%、タンパク質20%)
を推奨する病院が圧倒的に多いです。
いろんな意見があり論争することは、医学の発展において健全なことと思います。しかし、論争の前に人体の生理・代謝などの基本的なところを理解することも重要です。
今回は<糖質・脂質・タンパク質の摂取>と<血糖値上昇・インスリン分泌>に関して人体の生理・代謝における事実を説明します。
しつこいようですが、以下に述べることは、論争の余地のない事実ですので<糖質たっぷりのカロリー制限食推奨派>の方々にも、是非ご理解いただきたいと思います。
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。
糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
一方、タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。
これらは、カロリーとは無関係な、3大栄養素の生理学的特質です。
インスリンには24時間、少量常に分泌されている基礎分泌と、血糖値が上昇したときに大量に出る追加分泌があります。
糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を急峻に上昇させます。従って、糖質を摂取した時には、インスリンが大量に追加分泌されます。
しかし、脂質やタンパク質は血糖値をほとんど上昇させません。インスリンの追加分泌は、脂質ではほとんどなく、タンパク質では極少量分泌されます。
つまり、人(糖尿人も正常人も)において、インスリンの追加分泌が多量に必要となるのは、糖質を摂取した時だけです。
これらは、すべて論争の余地のない、生理学的事実です。
以下は、2型糖尿病Aさんのデータです。
通常食は糖質ありです。
通常食 350kcal、糖質60%で約52.5g、脂質20%、タンパク質20%
糖質制限食 350kcal、糖質10%で約8.75g、脂質60%、タンパク質30%
通常食と糖質制限食は、いずれも350kcalで、勿論、同一人のデータです。
糖質制限食だと血糖値の上昇は極めて少なく、インスリンの追加分泌もごく少量ですね。
食前 30分後 60分後 90分後 120分後
通常食血糖値 121 206 304 250 198
通常食IRI 2.2 6.2 19.1 23.1 21.6
糖質制限食血糖値 124 140 142 129 135
糖質制限食IRI 3.5 4.6 6.7 6.9 5.2
同様に元2型糖尿人Bさんのデータです。2年前初診時糖尿病でしたが現在正常人です。
食前 30分後 60分後 90分後 120分後
通常食血糖値 108 148 189 142 126
通常食IRI 3.8 35.2 58.5 55.1 24.9
糖質制限食血糖値 113 115 116 108 107
糖質制限食IRI 4.1 10.1 11.7 10.6 13.5
Bさんの場合、2年間の糖質制限食で、糖質を負荷しても血糖値は正常パターンに回復しています。
このとき基礎分泌3.8→追加分泌ピーク58.8まで多量のインスリンが出ています。
実に基礎分泌の15倍強のインスリンが追加分泌されています。ヾ(゜▽゜)
糖質制限食でも、約8.75gほど野菜分の糖質が含まれているので、一応基礎分泌の2~3倍のインスリン追加分泌がありますが、通常食に比べれば微々たるものですね。
正常人が通常の食事をすれば、おおむねBさんのデータのようなインスリンの大量追加分泌が一日に最低3回、間食をすれば5回以上起こっているわけです。
このようなインスリンの大量追加分泌が40年、50年と続けば遂には膵臓が疲弊して、分泌能力が低下して糖尿病を発症するのは想像に難くないですね。
結論です。
カロリーをいくら制限しても、糖質を摂取してしまえば、食後高血糖と多量のインスリン追加分泌を生じます。
食後高血糖は動脈硬化のリスクとなり、膵β細胞を傷害します。食後高血糖をコンとロールしない限りは、2型糖尿病は進行性の不治の病です。
糖質制限食なら食後高血糖は生じず、インスリン追加分泌もごく少量ですみます。糖質制限食なら食後高血糖がないので、β細胞の障害もなく糖尿病は進行しません。
江部康二
糖質制限食(糖質12%、脂質56%、タンパク質32%)
を推進する立場ですが、世の中は相変わらず、
糖質たっぷりのカロリー制限食(糖質60%、脂質20%、タンパク質20%)
を推奨する病院が圧倒的に多いです。
いろんな意見があり論争することは、医学の発展において健全なことと思います。しかし、論争の前に人体の生理・代謝などの基本的なところを理解することも重要です。
今回は<糖質・脂質・タンパク質の摂取>と<血糖値上昇・インスリン分泌>に関して人体の生理・代謝における事実を説明します。
しつこいようですが、以下に述べることは、論争の余地のない事実ですので<糖質たっぷりのカロリー制限食推奨派>の方々にも、是非ご理解いただきたいと思います。
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。
糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
一方、タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。
これらは、カロリーとは無関係な、3大栄養素の生理学的特質です。
インスリンには24時間、少量常に分泌されている基礎分泌と、血糖値が上昇したときに大量に出る追加分泌があります。
糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を急峻に上昇させます。従って、糖質を摂取した時には、インスリンが大量に追加分泌されます。
しかし、脂質やタンパク質は血糖値をほとんど上昇させません。インスリンの追加分泌は、脂質ではほとんどなく、タンパク質では極少量分泌されます。
つまり、人(糖尿人も正常人も)において、インスリンの追加分泌が多量に必要となるのは、糖質を摂取した時だけです。
これらは、すべて論争の余地のない、生理学的事実です。
以下は、2型糖尿病Aさんのデータです。
通常食は糖質ありです。
通常食 350kcal、糖質60%で約52.5g、脂質20%、タンパク質20%
糖質制限食 350kcal、糖質10%で約8.75g、脂質60%、タンパク質30%
通常食と糖質制限食は、いずれも350kcalで、勿論、同一人のデータです。
糖質制限食だと血糖値の上昇は極めて少なく、インスリンの追加分泌もごく少量ですね。
食前 30分後 60分後 90分後 120分後
通常食血糖値 121 206 304 250 198
通常食IRI 2.2 6.2 19.1 23.1 21.6
糖質制限食血糖値 124 140 142 129 135
糖質制限食IRI 3.5 4.6 6.7 6.9 5.2
同様に元2型糖尿人Bさんのデータです。2年前初診時糖尿病でしたが現在正常人です。
食前 30分後 60分後 90分後 120分後
通常食血糖値 108 148 189 142 126
通常食IRI 3.8 35.2 58.5 55.1 24.9
糖質制限食血糖値 113 115 116 108 107
糖質制限食IRI 4.1 10.1 11.7 10.6 13.5
Bさんの場合、2年間の糖質制限食で、糖質を負荷しても血糖値は正常パターンに回復しています。
このとき基礎分泌3.8→追加分泌ピーク58.8まで多量のインスリンが出ています。
実に基礎分泌の15倍強のインスリンが追加分泌されています。ヾ(゜▽゜)
糖質制限食でも、約8.75gほど野菜分の糖質が含まれているので、一応基礎分泌の2~3倍のインスリン追加分泌がありますが、通常食に比べれば微々たるものですね。
正常人が通常の食事をすれば、おおむねBさんのデータのようなインスリンの大量追加分泌が一日に最低3回、間食をすれば5回以上起こっているわけです。
このようなインスリンの大量追加分泌が40年、50年と続けば遂には膵臓が疲弊して、分泌能力が低下して糖尿病を発症するのは想像に難くないですね。
結論です。
カロリーをいくら制限しても、糖質を摂取してしまえば、食後高血糖と多量のインスリン追加分泌を生じます。
食後高血糖は動脈硬化のリスクとなり、膵β細胞を傷害します。食後高血糖をコンとロールしない限りは、2型糖尿病は進行性の不治の病です。
糖質制限食なら食後高血糖は生じず、インスリン追加分泌もごく少量ですみます。糖質制限食なら食後高血糖がないので、β細胞の障害もなく糖尿病は進行しません。
江部康二
2009年10月30日 (金)
こんばんは。
朝日カルチャー芦屋センターの講演、広島や京都から参加していただいた糖尿人もおられました。
皆さん、熱心で質問が相次ぎ、高雄病院に辿り着いたのは午後4:30でした。
午後4:30~2時間、読売新聞さんの取材があり、先ほど帰宅しました。
さて今回は、糖尿病診断基準のお話しです。
10年ぶりに、日本の糖尿病診断基準の改定作業が進められています。HbA1cを現行の基準にどう取り入れるかが、もっぱら議論されています。
また、日本独自のJDS法によるHbA1cの表記(JDS値)を、国際標準値(NGSP値)に対してどう位置づけるか、も注目されます。
日本では今までも、HbA1cを血糖コントロールの指標として取り入れてきました。
コントロール良好の基準がHbA1c6.5%未満、
コントロール優の基準がHbA1c5.8%未満、
です。
しかし、この6.5%という数字は、日本独自の算出法による表記(JDS値)で、米国などが採用している国際的な表記(NGSP値)だと約6.9%に相当します。
つまり、同一の血液を測定してもNGSP値だとJDS値より約0.4%ほど高値となるので、このことを認識しておく必要があります。
11月1日に開催される「糖尿病の診断基準とHbA1cの国際標準化に関するシンポジウム」で最終調整が行われる予定です。今回の改定、欧米の診断基準の改定の動きも影響していると思います。
MTpro という医師向けのサイトに、
「米国糖尿病学会(ADA)などが糖尿病の新診断基準を発表・・・」
という記事が2009年6月8日掲載されました。
以下MTpro 記事からの抜粋です。
「HbA1C 6.5%以上を糖尿病に,6~6.5%は高リスク群 ADAなどが新診断基準を発表
米国糖尿病学会(ADA),国際糖尿病連合(IDF),欧州糖尿病学会(EASD)による国際専門家委員会は,HbA1Cに基づいた新しい糖尿病診断基準を米ニューオリンズで開催中の第69回米国糖尿病学会(ADA2009)で発表し,糖尿病と診断するカットオフ値は6.5%,6%以上6.5%未満を高リスク群とした。新診断基準の詳細は Diabetes Care(2009; 32: 7: 1-8)に掲載されている。」
「何や、何を今更・・・」と仰有る方もおられそうですが、実はHbA1Cは今まで、主として糖尿病コントロールの評価の基準として用いられてきて、診断基準としては採用されていなかったのです。
糖尿病診断の基準としては、過去空腹時血糖値または75g経口ブドウ糖負荷試験の2時間後血糖値が採用されてきました。
今回の発表は、空腹時血糖値や75g経口ブドウ糖負荷試験よりも、HbA1C の方が診断基準として優れているので、切り替えようということです。
この背景には、
1、血糖検査の精度がこれまで考えられていたほど高くないということ
2、HbA1Cは検査時の誤差が血糖検査に比べて少ないこと
3、HbA1C検査法の国際標準化が最近達成されてきたこと
4,HbA1cなら、空腹時でも食後でも関係なく検査できるので便利
があります。
以下もMTpro 記事からの抜粋です。
同委員会の委員長を務めたハーバード大学教授のDavid M. Nathan氏は、
「HbA1C値は空腹時血糖値よりも測定値の変動が少なく,HbA1C検査は血糖検査よりも技術的に優れている。HbA1C検査は容易であり、空腹時血糖値またはOGTT検査を受ける必要がなくなる」
と述べたそうです。
米国糖尿病学会(ADA)は、この発表を受けて、糖尿病診断に原則HbA1C検査を適用するとしました。
日本の場合、75gOGTTや、空腹時血糖値の基準は基本的に残ると思いますが、10年ぶりの日本の糖尿病診断基準の改定作業がどう決着するのか注目ですね。
江部康二
朝日カルチャー芦屋センターの講演、広島や京都から参加していただいた糖尿人もおられました。
皆さん、熱心で質問が相次ぎ、高雄病院に辿り着いたのは午後4:30でした。
午後4:30~2時間、読売新聞さんの取材があり、先ほど帰宅しました。
さて今回は、糖尿病診断基準のお話しです。
10年ぶりに、日本の糖尿病診断基準の改定作業が進められています。HbA1cを現行の基準にどう取り入れるかが、もっぱら議論されています。
また、日本独自のJDS法によるHbA1cの表記(JDS値)を、国際標準値(NGSP値)に対してどう位置づけるか、も注目されます。
日本では今までも、HbA1cを血糖コントロールの指標として取り入れてきました。
コントロール良好の基準がHbA1c6.5%未満、
コントロール優の基準がHbA1c5.8%未満、
です。
しかし、この6.5%という数字は、日本独自の算出法による表記(JDS値)で、米国などが採用している国際的な表記(NGSP値)だと約6.9%に相当します。
つまり、同一の血液を測定してもNGSP値だとJDS値より約0.4%ほど高値となるので、このことを認識しておく必要があります。
11月1日に開催される「糖尿病の診断基準とHbA1cの国際標準化に関するシンポジウム」で最終調整が行われる予定です。今回の改定、欧米の診断基準の改定の動きも影響していると思います。
MTpro という医師向けのサイトに、
「米国糖尿病学会(ADA)などが糖尿病の新診断基準を発表・・・」
という記事が2009年6月8日掲載されました。
以下MTpro 記事からの抜粋です。
「HbA1C 6.5%以上を糖尿病に,6~6.5%は高リスク群 ADAなどが新診断基準を発表
米国糖尿病学会(ADA),国際糖尿病連合(IDF),欧州糖尿病学会(EASD)による国際専門家委員会は,HbA1Cに基づいた新しい糖尿病診断基準を米ニューオリンズで開催中の第69回米国糖尿病学会(ADA2009)で発表し,糖尿病と診断するカットオフ値は6.5%,6%以上6.5%未満を高リスク群とした。新診断基準の詳細は Diabetes Care(2009; 32: 7: 1-8)に掲載されている。」
「何や、何を今更・・・」と仰有る方もおられそうですが、実はHbA1Cは今まで、主として糖尿病コントロールの評価の基準として用いられてきて、診断基準としては採用されていなかったのです。
糖尿病診断の基準としては、過去空腹時血糖値または75g経口ブドウ糖負荷試験の2時間後血糖値が採用されてきました。
今回の発表は、空腹時血糖値や75g経口ブドウ糖負荷試験よりも、HbA1C の方が診断基準として優れているので、切り替えようということです。
この背景には、
1、血糖検査の精度がこれまで考えられていたほど高くないということ
2、HbA1Cは検査時の誤差が血糖検査に比べて少ないこと
3、HbA1C検査法の国際標準化が最近達成されてきたこと
4,HbA1cなら、空腹時でも食後でも関係なく検査できるので便利
があります。
以下もMTpro 記事からの抜粋です。
同委員会の委員長を務めたハーバード大学教授のDavid M. Nathan氏は、
「HbA1C値は空腹時血糖値よりも測定値の変動が少なく,HbA1C検査は血糖検査よりも技術的に優れている。HbA1C検査は容易であり、空腹時血糖値またはOGTT検査を受ける必要がなくなる」
と述べたそうです。
米国糖尿病学会(ADA)は、この発表を受けて、糖尿病診断に原則HbA1C検査を適用するとしました。
日本の場合、75gOGTTや、空腹時血糖値の基準は基本的に残ると思いますが、10年ぶりの日本の糖尿病診断基準の改定作業がどう決着するのか注目ですね。
江部康二
2009年10月29日 (木)
こんばんは。
今回は疲弊したβ細胞について、kei5 さんから、コメント・質問をいただきました。
「09/10/29 kei5
疲弊したβ細胞について
初めてコメントさせていただきます。
10月に健診で空腹時120mg、A1c8%だった為、近くの内科医において、グルコバイ、アクトスの処方を頂きましたが、3日で服用中止し、糖質制限を開始、10日後に、空腹時80mgの前後、
食後1時間値で、140mgを超えない食事を続けています。疲弊したβ細胞は、メカニズム的にあるいは生理的にどのような状態にあるとお考えでしょうか?つまり正常に分泌能を持つ細胞と可逆的な分泌能の低下に陥ってる細胞を分けるものはどこら辺にあるのでしょうか?
お忙しい中、ご教示いただけたら幸いです。」
kei5 さん。
コメントありがとうございます。
膵β細胞からのインスリン分泌と糖尿病の病態進展との関係は、過去いろいろ研究されてきました。
それでつい最近までは、「糖尿病を発症した時点で、膵臓のβ細胞機能は50%くらい低下している。」というのが定説でした。
しかし最新の研究で、IGT(食後高血糖境界型・予備軍)の段階で、耐糖能正常の状態に対して、実に80%の機能低下があることが報告されました。(*)
つまり、糖尿病発症前の段階から、インスリン分泌の低下がすでに認められたわけです。
また他の多くの研究から、
「血糖値上昇と膵β細胞の機能低下が相関すること」
「2型糖尿病の発症以降は、インスリン感受性が維持されていても膵β細胞機能は徐々に低下すること」
が報告されています。
要するに、膵β細胞機能は糖尿病発症前の段階から低下していて、疾患進行とともにさらに悪化すると考えられています。つまり進行性の不治の病です。(;ー;)
これでは、糖尿人の未来は、まるでお先真っ暗ではないですか。(;△;)
でもこれは、従来の薬物療法(SU剤やインスリン注射など)と従来のカロリー制限食(高糖質食)を実践した場合のお話しですね。
結局、従来の治療法では「食後高血糖」が防げないので、膵β細胞機能が進行性に徐々に低下していったものと考えられます。(180mg/dl以上の食後高血糖→膵β細胞障害)
それならば、糖質制限食実践で食後高血糖を正常にコントロールすれば、膵β細胞の進行性の障害は予防できると考えられます。ヾ(^▽^)
IGT(食後高血糖境界型・予備軍)の段階で、正常に比し80%の機能低下があると、述べました。糖尿病発症の段階ならもっと機能低下があります。
ただ、これはβ細胞の80%が既に壊れているということではありません。「壊れている細胞」、「疲弊している細胞」、「元気な細胞」の3種類のβ細胞があると思います。
壊れている細胞はもう元には戻りませんが、疲弊しているβ細胞は糖質制限食で、追加分泌インスリンの必要がほとんどなければ休養できて回復します。
実際、高雄病院入院時には空腹時血糖値200mg以上レベルと基礎分泌の不足が明らかだったのですが、スーパー糖質制限食実践で徐々に改善し2週間後退院時には100mg以下になった糖尿人が数人はおられます。
「疲弊したβ細胞は、メカニズム的にあるいは生理的にどのような状態にあるとお考えでしょうか?つまり正常に分泌能を持つ細胞と可逆的な分泌能の低下に陥ってる細胞を分けるものはどこら辺にあるのでしょうか? 」
この質問は難しいので私ごとき未熟者には答えがたいのですが、わかるところだけ説明します。
2型糖尿病で認められる膵β細胞の異常には質的異常と量的異常があります。
<質的異常>
①インスリン分泌のリズムが異常
②不活性型のプロインスリンの上昇(2型糖尿病の特徴)
③第1相追加分泌インスリン反応の欠落~不全
④第2相追加分泌インスリン反応の遅延
<量的異常>
膵β細胞のアポトーシスの亢進による膵β細胞量の進行性の減少。
ともあれ、kei5 さんは空腹時血糖値120mg/dlと境界型だったのが糖質制限食開始10日後に、空腹時80mg前後に改善しておられます。
これは当初インスリン作用の不足が認められましたが、10日後には少なくとも基礎分泌インスリン作用が正常に回復したことを示しています。
これは膵β細胞分泌機能が100%正常に戻ったという意味ではなくて、あるていど回復したことによりインスリン作用としてはトータルにみて正常範囲ということです。
「空腹時80mgの前後、食後1時間値で、140mgを超えない食事」
これなら、HbA1cも1~2ヶ月で6%台、3ヶ月で5%台に舏ると思いますよ。 (^_^)
(*)
2008年第68回米国糖尿病学会 DeFronzo RA
江部康二
今回は疲弊したβ細胞について、kei5 さんから、コメント・質問をいただきました。
「09/10/29 kei5
疲弊したβ細胞について
初めてコメントさせていただきます。
10月に健診で空腹時120mg、A1c8%だった為、近くの内科医において、グルコバイ、アクトスの処方を頂きましたが、3日で服用中止し、糖質制限を開始、10日後に、空腹時80mgの前後、
食後1時間値で、140mgを超えない食事を続けています。疲弊したβ細胞は、メカニズム的にあるいは生理的にどのような状態にあるとお考えでしょうか?つまり正常に分泌能を持つ細胞と可逆的な分泌能の低下に陥ってる細胞を分けるものはどこら辺にあるのでしょうか?
お忙しい中、ご教示いただけたら幸いです。」
kei5 さん。
コメントありがとうございます。
膵β細胞からのインスリン分泌と糖尿病の病態進展との関係は、過去いろいろ研究されてきました。
それでつい最近までは、「糖尿病を発症した時点で、膵臓のβ細胞機能は50%くらい低下している。」というのが定説でした。
しかし最新の研究で、IGT(食後高血糖境界型・予備軍)の段階で、耐糖能正常の状態に対して、実に80%の機能低下があることが報告されました。(*)
つまり、糖尿病発症前の段階から、インスリン分泌の低下がすでに認められたわけです。
また他の多くの研究から、
「血糖値上昇と膵β細胞の機能低下が相関すること」
「2型糖尿病の発症以降は、インスリン感受性が維持されていても膵β細胞機能は徐々に低下すること」
が報告されています。
要するに、膵β細胞機能は糖尿病発症前の段階から低下していて、疾患進行とともにさらに悪化すると考えられています。つまり進行性の不治の病です。(;ー;)
これでは、糖尿人の未来は、まるでお先真っ暗ではないですか。(;△;)
でもこれは、従来の薬物療法(SU剤やインスリン注射など)と従来のカロリー制限食(高糖質食)を実践した場合のお話しですね。
結局、従来の治療法では「食後高血糖」が防げないので、膵β細胞機能が進行性に徐々に低下していったものと考えられます。(180mg/dl以上の食後高血糖→膵β細胞障害)
それならば、糖質制限食実践で食後高血糖を正常にコントロールすれば、膵β細胞の進行性の障害は予防できると考えられます。ヾ(^▽^)
IGT(食後高血糖境界型・予備軍)の段階で、正常に比し80%の機能低下があると、述べました。糖尿病発症の段階ならもっと機能低下があります。
ただ、これはβ細胞の80%が既に壊れているということではありません。「壊れている細胞」、「疲弊している細胞」、「元気な細胞」の3種類のβ細胞があると思います。
壊れている細胞はもう元には戻りませんが、疲弊しているβ細胞は糖質制限食で、追加分泌インスリンの必要がほとんどなければ休養できて回復します。
実際、高雄病院入院時には空腹時血糖値200mg以上レベルと基礎分泌の不足が明らかだったのですが、スーパー糖質制限食実践で徐々に改善し2週間後退院時には100mg以下になった糖尿人が数人はおられます。
「疲弊したβ細胞は、メカニズム的にあるいは生理的にどのような状態にあるとお考えでしょうか?つまり正常に分泌能を持つ細胞と可逆的な分泌能の低下に陥ってる細胞を分けるものはどこら辺にあるのでしょうか? 」
この質問は難しいので私ごとき未熟者には答えがたいのですが、わかるところだけ説明します。
2型糖尿病で認められる膵β細胞の異常には質的異常と量的異常があります。
<質的異常>
①インスリン分泌のリズムが異常
②不活性型のプロインスリンの上昇(2型糖尿病の特徴)
③第1相追加分泌インスリン反応の欠落~不全
④第2相追加分泌インスリン反応の遅延
<量的異常>
膵β細胞のアポトーシスの亢進による膵β細胞量の進行性の減少。
ともあれ、kei5 さんは空腹時血糖値120mg/dlと境界型だったのが糖質制限食開始10日後に、空腹時80mg前後に改善しておられます。
これは当初インスリン作用の不足が認められましたが、10日後には少なくとも基礎分泌インスリン作用が正常に回復したことを示しています。
これは膵β細胞分泌機能が100%正常に戻ったという意味ではなくて、あるていど回復したことによりインスリン作用としてはトータルにみて正常範囲ということです。
「空腹時80mgの前後、食後1時間値で、140mgを超えない食事」
これなら、HbA1cも1~2ヶ月で6%台、3ヶ月で5%台に舏ると思いますよ。 (^_^)
(*)
2008年第68回米国糖尿病学会 DeFronzo RA
江部康二
2009年10月28日 (水)
こんばんは
今年になって、
糖質制限食論文の医学雑誌への掲載(2009年4月号、治療、江部康二)、
日本糖尿病学会年次学術集会での糖質制限食の有効性の報告(山門一平,江部康二,金大成,大櫛陽一)、
など医学界でも徐々に認められつつある糖質制限食ですが、
作家の宮本輝先生との対談集
『我ら糖尿人、元気なのには理由がある』 現代病を治す糖質制限食
の刊行で、今までとは違う読者層の広がりがあり、かなり世の中に浸透してきました。
今回の朝日カルチャーセンター講演は、基礎理論と疫学、症例などと共に、グルコース・スパイク、グルコース・ミニスパイクの意味、テーラーメードダイエットの意義…などを解説していきます。
さらに、糖尿病、メタボ・肥満のみならず、アトピー、アレルギー、花粉症、機能性低血糖症、高血圧、尋常性乾癬、欧米型のガン予防…など、糖尿病・メタボ以外の疾患にも糖質制限食が有効か否かを検証していきます。
すでに効果が確認できている疾患、理論的に効果が期待できる疾患…についても展開していきます。
対談をきっかけに大きく広がり始めた「現代病を治す糖質制限食」、芦屋、神戸、西宮・・・兵庫県の皆さんのご参加をお待ちしております。
江部康二
☆☆☆
講座「食事で治すアトピー・糖尿病・メタボ」
-テーラーメードダイエットと糖質制限食-
会場 朝日カルチャーセンター芦屋
http://www.asahi-culture.co.jp/www/ashiya-i.html
TEL 0797-38-2666
日時 2009年10月30日 金曜日 13:00~14:30
参加費 会員2,415 一般2,835
今年になって、
糖質制限食論文の医学雑誌への掲載(2009年4月号、治療、江部康二)、
日本糖尿病学会年次学術集会での糖質制限食の有効性の報告(山門一平,江部康二,金大成,大櫛陽一)、
など医学界でも徐々に認められつつある糖質制限食ですが、
作家の宮本輝先生との対談集
『我ら糖尿人、元気なのには理由がある』 現代病を治す糖質制限食
の刊行で、今までとは違う読者層の広がりがあり、かなり世の中に浸透してきました。
今回の朝日カルチャーセンター講演は、基礎理論と疫学、症例などと共に、グルコース・スパイク、グルコース・ミニスパイクの意味、テーラーメードダイエットの意義…などを解説していきます。
さらに、糖尿病、メタボ・肥満のみならず、アトピー、アレルギー、花粉症、機能性低血糖症、高血圧、尋常性乾癬、欧米型のガン予防…など、糖尿病・メタボ以外の疾患にも糖質制限食が有効か否かを検証していきます。
すでに効果が確認できている疾患、理論的に効果が期待できる疾患…についても展開していきます。
対談をきっかけに大きく広がり始めた「現代病を治す糖質制限食」、芦屋、神戸、西宮・・・兵庫県の皆さんのご参加をお待ちしております。
江部康二
☆☆☆
講座「食事で治すアトピー・糖尿病・メタボ」
-テーラーメードダイエットと糖質制限食-
会場 朝日カルチャーセンター芦屋
http://www.asahi-culture.co.jp/www/ashiya-i.html
TEL 0797-38-2666
日時 2009年10月30日 金曜日 13:00~14:30
参加費 会員2,415 一般2,835
2009年10月28日 (水)
こんにちは。
強毒性インスルエンザウィルスと弱毒性インフルエンザウィルス、この言葉を何げなく使っていますが、本態はどこが違うのでしょう?
まず、インフルエンザウィルスが直接、毒を作って人体にばらまいているわけではありません。
インフルエンザの「毒性」というのは、限られた細胞内の増殖に止まっているのか?はたまた全身の細胞で増殖するのか?で決められます。
人型インフルエンザウィルスと豚型インフルエンザウィルスは、現在までのところ弱毒性です。
今流行っている新型インフルエンザは豚型なので、やはり弱毒性です。
弱毒性の場合、ウィルスは鼻・咽頭・肺などの気道粘膜細胞と、消化管の粘膜細胞からしか体内に侵入できません。即ち、血中には侵入できないのです。従ってウイルスの増殖も、基本的に呼吸器か消化管以外ではありません。
一方、強毒性になると、呼吸器と消化管だけでなく、血中に侵入できるのです。血中に侵入されたら、血管・血液を介して脳をはじめ心臓や腎臓など、全身の臓器に速やかに感染し増殖します。そうなると重症化し、脳炎や多臓器不全で死亡する率が高くなります。
「新型鳥インフルエンザ」が、非常に恐れられているのは、今までの人型や豚型と異なり、強毒性で血中に侵入する能力を獲得しているからです。
強毒性の新型鳥インフルエンザが、ヒトに感染すると血中に侵入し全身組織で増殖するので、弱毒性に比べて極めて危険なのです。
さて、現在流行中の新型インフルエンザは豚型で、ほとんどの人は軽症ですむようです。
10月現在、国内推定患者は300万人以上ですが、死亡者は30人です。従来の季節性インフルエンザの致死率は「0・1%未満」ですので、新型はこれをを大きく下回る「0.001%」くらいです。
ただし、従来の季節性インフルエンザとは異なる特徴があります。
例えば、当初、重症化リスクが高いのは、基礎疾患(持病)を持つ人とみられていましたが、実際は国内の入院患者の半数以上に持病がありませんでした。
さらに、5~14歳の重症肺炎や、脳症による入院が多いのも注意すべき点で、高齢者がほとんどの季節性とはパターンが全く違っています。
また、重症肺炎は理解できるのですが、
「弱毒性ウィルスは血中に侵入できないはずなのに、なぜ脳症になるのか?」
も原因不明です。
なお、インフルエンザに罹患したときに使用できる解熱剤は「アセトアミノフェン」のみであり、それ以外の解熱剤は、脳症誘発の危険性があるため禁忌です。
江部康二
強毒性インスルエンザウィルスと弱毒性インフルエンザウィルス、この言葉を何げなく使っていますが、本態はどこが違うのでしょう?
まず、インフルエンザウィルスが直接、毒を作って人体にばらまいているわけではありません。
インフルエンザの「毒性」というのは、限られた細胞内の増殖に止まっているのか?はたまた全身の細胞で増殖するのか?で決められます。
人型インフルエンザウィルスと豚型インフルエンザウィルスは、現在までのところ弱毒性です。
今流行っている新型インフルエンザは豚型なので、やはり弱毒性です。
弱毒性の場合、ウィルスは鼻・咽頭・肺などの気道粘膜細胞と、消化管の粘膜細胞からしか体内に侵入できません。即ち、血中には侵入できないのです。従ってウイルスの増殖も、基本的に呼吸器か消化管以外ではありません。
一方、強毒性になると、呼吸器と消化管だけでなく、血中に侵入できるのです。血中に侵入されたら、血管・血液を介して脳をはじめ心臓や腎臓など、全身の臓器に速やかに感染し増殖します。そうなると重症化し、脳炎や多臓器不全で死亡する率が高くなります。
「新型鳥インフルエンザ」が、非常に恐れられているのは、今までの人型や豚型と異なり、強毒性で血中に侵入する能力を獲得しているからです。
強毒性の新型鳥インフルエンザが、ヒトに感染すると血中に侵入し全身組織で増殖するので、弱毒性に比べて極めて危険なのです。
さて、現在流行中の新型インフルエンザは豚型で、ほとんどの人は軽症ですむようです。
10月現在、国内推定患者は300万人以上ですが、死亡者は30人です。従来の季節性インフルエンザの致死率は「0・1%未満」ですので、新型はこれをを大きく下回る「0.001%」くらいです。
ただし、従来の季節性インフルエンザとは異なる特徴があります。
例えば、当初、重症化リスクが高いのは、基礎疾患(持病)を持つ人とみられていましたが、実際は国内の入院患者の半数以上に持病がありませんでした。
さらに、5~14歳の重症肺炎や、脳症による入院が多いのも注意すべき点で、高齢者がほとんどの季節性とはパターンが全く違っています。
また、重症肺炎は理解できるのですが、
「弱毒性ウィルスは血中に侵入できないはずなのに、なぜ脳症になるのか?」
も原因不明です。
なお、インフルエンザに罹患したときに使用できる解熱剤は「アセトアミノフェン」のみであり、それ以外の解熱剤は、脳症誘発の危険性があるため禁忌です。
江部康二
2009年10月27日 (火)
こんにちは
新型インフルエンザが猛威を振るっていますが、ワクチンが圧倒的に不足しています。
昨日は、新型インフルエンザに関して、おじさん、おばさん、高齢者は、どうやら一定の免疫が既にある人が多く、比較的感染しにくいし重症化もしにくいという記事を書きました。
<インフルエンザワクチンの有効性>
言い換えれば、若い人達には免疫がないので、ワクチンを接種したい方は多いと思います。
しかしながら、以前からわかっていたことですが、実は現行のインフルエンザワクチンには、季節性も新型も含めて、水際で感染をシャットアウトするような効果はありません。
感染した後、重症化を防ぐ効果が期待されるという程度なので過信するのは禁物です。
理論的に考えても、ワクチンを注射することにより、IgG抗体が血液・体液中に産生されますが、粘膜面を防御しているIgA抗体は全くできません。
従って、インフルエンザウィルスが、咽や鼻の粘膜を突破して細胞内に侵入した後(感染が成立した後)、はじめてIgG抗体がかけつけて戦うことになります。
下記は国立感染研究所のホームページからの抜粋です。
http://www.nih.go.jp/niid/topics/influenza01.html
「現行ワクチンの感染防御効果や発症阻止効果は完全ではありませんので、ワクチン接種を受けてもインフルエンザに罹患する場合があり、この場合には患者はウイルスを外部に排泄し、感染源となります。従って、集団接種を行っても社会全体のインフルエンザ流行を完全に阻止することは難しいと考えられます。」
「現行のインフルエンザワクチンは皮下接種されています。しかし、不活化ワクチンの皮下接種では、インフルエンザウイルスの感染防御に中心的役割を果たすと考えられる気道の粘膜免疫や、回復過程に重要であると考えられる細胞性免疫がほとんど誘導されません。これは、インフルエンザウイルスの感染そのものを防御すると言う面では大きな短所であると考えられています。」
<院内感染>
2009年1月18日(日)京都新聞に、東京都の某病院(内科と認知症主体の精神科)で1月17日までに、入院患者77人と職員24人の職員が相次いでインフルエンザを発症し、女性患者3人が死亡したという痛ましい記事が載りました。ちなみに院長も感染したそうです。1月3日に20代の女性職員がインフルエンザに感染し、6日以降入院患者に広がりました。
亡くなった3人は、いずれも高齢の認知症で寝たきりの患者で、2人はワクチンを接種していました。
インフルエンザに罹患した77人の入院患者のうち、68人はワクチンを接種しており、罹患した24人の職員のうち、21人が接種を受けていました。
インフルエンザワクチン「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」ということが効能です。奇しくも上述の記事で、感染防御には実際にまったく無力だったことが明らかとなりました。
<誤解>
ところが、相変わらず多くの患者さんや医師が、感染防御できると誤解しておられるのです。
私は、過去十年間以上、友人の医師などに、感染防御はできないと口を酸っぱくして言い続けてきたのですが、皆なかなか信じてもらえませんでしたね。どこかで誤った情報が流され続けていたのでしょうね。 (*_*)
ここ2年、新聞などでもやっと、「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」という真実が報道されるようになりました。逆に言えば、過去10年以上、あたかも感染防御できるような内容の報道に終始していたわけで、そのことに関して自己批判もなくてなんだか興ざめです。(*- -)(*_ _)
インフルエンザワクチン注射を希望する患者さんがこられたら、私はこのことを説明して
「手洗いやうがい、人混みを避けるなど、基本的なことが感染防御には大事なので、ワクチンを接種したからといって油断しないでくださいね。」と付け加えます。
<必要性>
別に私は、ワクチンが無意味といっているのではありません。65歳以上の高齢者、呼吸器系や循環器系に慢性疾患を持つ患者、糖尿病、腎臓病などの慢性疾患の患者、免疫低下状態の患者などでは、インフルエンザに罹患し重症化すれば、肺炎などの重篤な合併症になり、生命に危険が及ぶこともありますから必要だと思います。若い人でも、受験生などは重症化したら困りますから、接種する意味はありますね。
<感染防御>
①医療関係者は、インフルエンザ患者を診察するときはマスクをする。
診察が終わったら必ず手洗いをし、使い捨て紙タオルでふく。
マスクをはずしたときはうがいをする。
②急性の咳や熱がでている当事者はエチケットとして、マスクをする。
③満員電車の中など避けようがない密閉された場所にいくときはマスクを
して乗る。
④人混みにでたあとは、手洗い・うがいを励行する。
⑤家族が一人インフルエンザに罹患したら、家の中でも当事者はマスクを
する。その一人は、違う部屋で寝る。
⑥咳で飛沫が飛ぶのは約1mであるので当事者から距離を取る。
⑦鼻水や痰を封じ込めるためにティッシュを使用し、使用後のティッシュは、
できればノンタッチごみ箱に廃棄すること
ブログ読者の皆さん、インフルエンザワクチンを接種している人も、感染防御効果はないことをしっかり認識して、上記①~⑦を励行してくださいね。これが実行されていれば、上述のような院内感染が猛威をふるうことはなかったでしょう。
<終わりに>
インフルエンザワクチンに、賛成の人も反対の人もあると思います。ブログ読者の皆さんには、インフルエンザワクチンの真実を知ってもらいたくて今回記事にしました。
江部康二
新型インフルエンザが猛威を振るっていますが、ワクチンが圧倒的に不足しています。
昨日は、新型インフルエンザに関して、おじさん、おばさん、高齢者は、どうやら一定の免疫が既にある人が多く、比較的感染しにくいし重症化もしにくいという記事を書きました。
<インフルエンザワクチンの有効性>
言い換えれば、若い人達には免疫がないので、ワクチンを接種したい方は多いと思います。
しかしながら、以前からわかっていたことですが、実は現行のインフルエンザワクチンには、季節性も新型も含めて、水際で感染をシャットアウトするような効果はありません。
感染した後、重症化を防ぐ効果が期待されるという程度なので過信するのは禁物です。
理論的に考えても、ワクチンを注射することにより、IgG抗体が血液・体液中に産生されますが、粘膜面を防御しているIgA抗体は全くできません。
従って、インフルエンザウィルスが、咽や鼻の粘膜を突破して細胞内に侵入した後(感染が成立した後)、はじめてIgG抗体がかけつけて戦うことになります。
下記は国立感染研究所のホームページからの抜粋です。
http://www.nih.go.jp/niid/topics/influenza01.html
「現行ワクチンの感染防御効果や発症阻止効果は完全ではありませんので、ワクチン接種を受けてもインフルエンザに罹患する場合があり、この場合には患者はウイルスを外部に排泄し、感染源となります。従って、集団接種を行っても社会全体のインフルエンザ流行を完全に阻止することは難しいと考えられます。」
「現行のインフルエンザワクチンは皮下接種されています。しかし、不活化ワクチンの皮下接種では、インフルエンザウイルスの感染防御に中心的役割を果たすと考えられる気道の粘膜免疫や、回復過程に重要であると考えられる細胞性免疫がほとんど誘導されません。これは、インフルエンザウイルスの感染そのものを防御すると言う面では大きな短所であると考えられています。」
<院内感染>
2009年1月18日(日)京都新聞に、東京都の某病院(内科と認知症主体の精神科)で1月17日までに、入院患者77人と職員24人の職員が相次いでインフルエンザを発症し、女性患者3人が死亡したという痛ましい記事が載りました。ちなみに院長も感染したそうです。1月3日に20代の女性職員がインフルエンザに感染し、6日以降入院患者に広がりました。
亡くなった3人は、いずれも高齢の認知症で寝たきりの患者で、2人はワクチンを接種していました。
インフルエンザに罹患した77人の入院患者のうち、68人はワクチンを接種しており、罹患した24人の職員のうち、21人が接種を受けていました。
インフルエンザワクチン「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」ということが効能です。奇しくも上述の記事で、感染防御には実際にまったく無力だったことが明らかとなりました。
<誤解>
ところが、相変わらず多くの患者さんや医師が、感染防御できると誤解しておられるのです。
私は、過去十年間以上、友人の医師などに、感染防御はできないと口を酸っぱくして言い続けてきたのですが、皆なかなか信じてもらえませんでしたね。どこかで誤った情報が流され続けていたのでしょうね。 (*_*)
ここ2年、新聞などでもやっと、「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」という真実が報道されるようになりました。逆に言えば、過去10年以上、あたかも感染防御できるような内容の報道に終始していたわけで、そのことに関して自己批判もなくてなんだか興ざめです。(*- -)(*_ _)
インフルエンザワクチン注射を希望する患者さんがこられたら、私はこのことを説明して
「手洗いやうがい、人混みを避けるなど、基本的なことが感染防御には大事なので、ワクチンを接種したからといって油断しないでくださいね。」と付け加えます。
<必要性>
別に私は、ワクチンが無意味といっているのではありません。65歳以上の高齢者、呼吸器系や循環器系に慢性疾患を持つ患者、糖尿病、腎臓病などの慢性疾患の患者、免疫低下状態の患者などでは、インフルエンザに罹患し重症化すれば、肺炎などの重篤な合併症になり、生命に危険が及ぶこともありますから必要だと思います。若い人でも、受験生などは重症化したら困りますから、接種する意味はありますね。
<感染防御>
①医療関係者は、インフルエンザ患者を診察するときはマスクをする。
診察が終わったら必ず手洗いをし、使い捨て紙タオルでふく。
マスクをはずしたときはうがいをする。
②急性の咳や熱がでている当事者はエチケットとして、マスクをする。
③満員電車の中など避けようがない密閉された場所にいくときはマスクを
して乗る。
④人混みにでたあとは、手洗い・うがいを励行する。
⑤家族が一人インフルエンザに罹患したら、家の中でも当事者はマスクを
する。その一人は、違う部屋で寝る。
⑥咳で飛沫が飛ぶのは約1mであるので当事者から距離を取る。
⑦鼻水や痰を封じ込めるためにティッシュを使用し、使用後のティッシュは、
できればノンタッチごみ箱に廃棄すること
ブログ読者の皆さん、インフルエンザワクチンを接種している人も、感染防御効果はないことをしっかり認識して、上記①~⑦を励行してくださいね。これが実行されていれば、上述のような院内感染が猛威をふるうことはなかったでしょう。
<終わりに>
インフルエンザワクチンに、賛成の人も反対の人もあると思います。ブログ読者の皆さんには、インフルエンザワクチンの真実を知ってもらいたくて今回記事にしました。
江部康二
2009年10月26日 (月)
こんばんは。
新型インフルエンザが流行っています。罹患者をみると、季節性インフルエンザとはかなり異なるパターンです。
年齢層別では10-14歳が最も多く、未成年が85%を占めています。最新のデータでは新規患者の90%が未成年でした。
京都市医師会のメールでも、小学生や中学生が新型インフルエンザに感染しても父親や母親が罹ることはまれとのことです。
確かに、今までの季節性インフルエンザだと、これだけ小学校、中学校、高校などで流行してくると、お年寄りも感染して、肺炎などが重症化したり亡くなられる方も多かったと思います。また、家族内感染も結構多かったと記憶しています。
こうなると、新型インフルエンザに対して、成人の多くはある程度の免疫を持っている可能性が高いようです。
実際、新型インフルエンザワクチンの臨床試験で、1回の接種で成人の大半が十分な免疫を獲得できたことから、「過去の季節性インフルエンザの免疫が、新型にもある程度働いている」という解釈で、ワクチンに関する専門家の意見が一致したそうです。
また、全米27州の新型インフルに関する報告の集計でも、25歳未満の入院患者は全体の53%で、65歳以上は7%に過ぎず、季節性インフルエンザの場合、入院患者の約60%が65歳以上の高齢者となっているそうです。
勿論個人差はあり油断は禁物ですが、統計的には新型インフルエンザに関して、おじさん、おばさん、高齢者は比較的感染しにくいし重症化もしにくいようです。一方、小児は免疫はないし、妊婦は重症化しやすいので注意が必要です。
以下は読売新聞の記事と、共同通信の記事です。
江部康二
☆☆☆
「新型インフル、成人に免疫?…過去の季節性感染で
2009年10月22日 提供:読売新聞
新型インフルエンザに対して、成人の多くはある程度の免疫を持つ可能性があることが分かってきた。
データを分析すると、患者が増えているのは圧倒的に未成年。さらに新型用のワクチンの臨床試験では、1回の接種で成人の大半が十分な免疫を獲得できたことから、過去の季節性インフルエンザの免疫が、新型にもある程度働くという解釈で、厚生労働省のワクチンに関する専門家の意見交換会の見解がほぼ一致した。「ほとんどの人に免疫がない」とされてきた新型対策の見直しにつながる可能性がある。
全国約5000の定点医療機関から報告されたインフルエンザ患者数は、ほとんどが新型になった6月末以降、10月11日までで計20万人余り。年齢層別では10-14歳が最も多く、未成年が85%。最新のデータでは新規患者の90%が未成年だった。大阪大の岸本忠三・元学長(免疫学)は、「子どもと大人の発症率の差は行動の違いだけで説明がつかない。過去に類似したウイルスに感染したことが影響している可能性が高い」と指摘する。
20-50歳代の200人に行われた国産の新型用ワクチンの臨床試験では、1回の接種で78%が十分な免疫を獲得した。国立感染症研究所の田代真人・インフルエンザウイルス研究センター長は「1回の接種で効果が出るのは、過去の免疫が呼び覚まされたから。今回の新型は、過去に流行した季節性の『いとこ』か『はとこ』なのだろう」と話す。
だからと言って、成人が新型に感染しないというわけではない。米国でも当初、10歳代で新型が流行したが、その後ほかの世代に感染は拡大し、最終的に入院患者の半数が18歳以上となった。
感染研の安井良則主任研究官は「今は、集団生活を送っている子供が感染の中心だが、時間をかけて成人に感染が広がっていく。成人の方が感染すれば重症化する危険性が高く、十分な注意が必要」と強調している。」
☆☆☆
「入院患者の半数以上は若年層、高齢者はわずか 新型インフルで米CDC
2009年10月22日 提供:共同通信社
[ワシントン・ロイター=共同]米疾病対策センター(CDC)当局者は20日、記者会見し、新型インフルエンザで入院した患者の半数以上は25歳未満の若年層で占められ、季節性のインフルエンザと際立った違いがあることを明らかにした。
CDCが全米27州の新型インフルに関する報告を集計したところ、25歳未満の入院患者は全体の53%で、65歳以上は7%に過ぎなかった。季節性インフルエンザの場合、入院患者の約60%が65歳以上の高齢者となっている。
また米国では新型インフルでこれまでに292人が死亡したが、23・6%は25歳未満で、65歳以上は12%に過ぎないことも判明した。季節性インフルエンザの場合、死者の90%は65歳以上が占めている。
CDC当局者によると、咳やのどの痛み、発熱などインフルエンザのような症状が出て診察を受けた人がインフルエンザと診断されたのは約30%で、その後の検査で、そのほとんどが新型インフルに感染していることが明らかになった。ただ、最初の診断で新型インフルの感染者を見落とすケースがよくあり、新型インフル感染の割合はもっと高い可能性があるという。」
新型インフルエンザが流行っています。罹患者をみると、季節性インフルエンザとはかなり異なるパターンです。
年齢層別では10-14歳が最も多く、未成年が85%を占めています。最新のデータでは新規患者の90%が未成年でした。
京都市医師会のメールでも、小学生や中学生が新型インフルエンザに感染しても父親や母親が罹ることはまれとのことです。
確かに、今までの季節性インフルエンザだと、これだけ小学校、中学校、高校などで流行してくると、お年寄りも感染して、肺炎などが重症化したり亡くなられる方も多かったと思います。また、家族内感染も結構多かったと記憶しています。
こうなると、新型インフルエンザに対して、成人の多くはある程度の免疫を持っている可能性が高いようです。
実際、新型インフルエンザワクチンの臨床試験で、1回の接種で成人の大半が十分な免疫を獲得できたことから、「過去の季節性インフルエンザの免疫が、新型にもある程度働いている」という解釈で、ワクチンに関する専門家の意見が一致したそうです。
また、全米27州の新型インフルに関する報告の集計でも、25歳未満の入院患者は全体の53%で、65歳以上は7%に過ぎず、季節性インフルエンザの場合、入院患者の約60%が65歳以上の高齢者となっているそうです。
勿論個人差はあり油断は禁物ですが、統計的には新型インフルエンザに関して、おじさん、おばさん、高齢者は比較的感染しにくいし重症化もしにくいようです。一方、小児は免疫はないし、妊婦は重症化しやすいので注意が必要です。
以下は読売新聞の記事と、共同通信の記事です。
江部康二
☆☆☆
「新型インフル、成人に免疫?…過去の季節性感染で
2009年10月22日 提供:読売新聞
新型インフルエンザに対して、成人の多くはある程度の免疫を持つ可能性があることが分かってきた。
データを分析すると、患者が増えているのは圧倒的に未成年。さらに新型用のワクチンの臨床試験では、1回の接種で成人の大半が十分な免疫を獲得できたことから、過去の季節性インフルエンザの免疫が、新型にもある程度働くという解釈で、厚生労働省のワクチンに関する専門家の意見交換会の見解がほぼ一致した。「ほとんどの人に免疫がない」とされてきた新型対策の見直しにつながる可能性がある。
全国約5000の定点医療機関から報告されたインフルエンザ患者数は、ほとんどが新型になった6月末以降、10月11日までで計20万人余り。年齢層別では10-14歳が最も多く、未成年が85%。最新のデータでは新規患者の90%が未成年だった。大阪大の岸本忠三・元学長(免疫学)は、「子どもと大人の発症率の差は行動の違いだけで説明がつかない。過去に類似したウイルスに感染したことが影響している可能性が高い」と指摘する。
20-50歳代の200人に行われた国産の新型用ワクチンの臨床試験では、1回の接種で78%が十分な免疫を獲得した。国立感染症研究所の田代真人・インフルエンザウイルス研究センター長は「1回の接種で効果が出るのは、過去の免疫が呼び覚まされたから。今回の新型は、過去に流行した季節性の『いとこ』か『はとこ』なのだろう」と話す。
だからと言って、成人が新型に感染しないというわけではない。米国でも当初、10歳代で新型が流行したが、その後ほかの世代に感染は拡大し、最終的に入院患者の半数が18歳以上となった。
感染研の安井良則主任研究官は「今は、集団生活を送っている子供が感染の中心だが、時間をかけて成人に感染が広がっていく。成人の方が感染すれば重症化する危険性が高く、十分な注意が必要」と強調している。」
☆☆☆
「入院患者の半数以上は若年層、高齢者はわずか 新型インフルで米CDC
2009年10月22日 提供:共同通信社
[ワシントン・ロイター=共同]米疾病対策センター(CDC)当局者は20日、記者会見し、新型インフルエンザで入院した患者の半数以上は25歳未満の若年層で占められ、季節性のインフルエンザと際立った違いがあることを明らかにした。
CDCが全米27州の新型インフルに関する報告を集計したところ、25歳未満の入院患者は全体の53%で、65歳以上は7%に過ぎなかった。季節性インフルエンザの場合、入院患者の約60%が65歳以上の高齢者となっている。
また米国では新型インフルでこれまでに292人が死亡したが、23・6%は25歳未満で、65歳以上は12%に過ぎないことも判明した。季節性インフルエンザの場合、死者の90%は65歳以上が占めている。
CDC当局者によると、咳やのどの痛み、発熱などインフルエンザのような症状が出て診察を受けた人がインフルエンザと診断されたのは約30%で、その後の検査で、そのほとんどが新型インフルに感染していることが明らかになった。ただ、最初の診断で新型インフルの感染者を見落とすケースがよくあり、新型インフル感染の割合はもっと高い可能性があるという。」
2009年10月25日 (日)
おはようございます。
東京方面の皆さん、講演会のお知らせです。
ドクター江部の「現代病を治す糖質制限食」 -テーラメイドダイエット-
と題して、今回は私の単独講演です。
講演後、質疑応答の時間もたっぷりとってあります。ここでは大柳珠美管理栄養士と共に質問にお答えします。
以下、NPO法人糖質制限食ネット・リボーン事務局、曽我部ゆかりさんからのメッセージです。
江部康二
※※※
リボーン曽我部ゆかりより☆ドクター江部のブログ読者の皆様へ。
こんにちは。いつもお世話になっております。
再び講演会開催のお知らせです。
今回は、できるだけ質疑応答の時間をゆったりとりたいと考え、江部康二先生単独の講演会を企画しました。
実践編で好評の大柳珠美先生のお話は、12月にセミナー形式で、これまたゆっくり時間をとってプログラムを練っています。おいしく楽しいプラン、追ってお知らせできるかと思いますが、日も迫ってまいりましたので、江部康二先生の講演会のお知らせです。皆様、ふるってご参加ください。
当日リボーンへのご入会をしていただきますと、会費の割引を適用させていただきます。皆様あわせてリボーンへのご入会もご検討くださいね。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
●リボーン講演会のお知らせ
ドクター江部の「現代病を治す糖質制限食」
-テーラメイドダイエット-
講 師 江部康二
(高雄病院理事長/NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事長)
日 時 2009年11月29日(日)
9時20分開場
9時30分 江部康二講演開始
11時10分 質疑応答開始
11時50分 終了
場 所 なかのゼロ視聴覚ホール (JR中野駅南口下車6分)
東京都中野区中野2丁目9番7号
03−5340−5000
定 員 100名
会 費 一般 1600円
ペア券一般 3200円のところ2800円
リボーン会員 1000円
ペア券会員 2000円のところ1600円
※ペア券はご家族に限られていただきます。
※NPO法人糖質制限食ネット・リボーンへ当日ご入会いただいた方には、その場にて会員割引を適応させていただきますので、受付にて申請してください。
【主催者メッセージ】
「糖質制限食」の有効性が糖尿病学会でも徐々に認められつつある昨今ですが、作家の宮本輝氏との対談集『我ら糖尿人、元気なのには理由がある』の刊行で世間にもより一層の理解が得られるような状況になりました。今回は時間をたっぷりとって、講師の江部康二先生が、基礎理論と疫学、症例などを柱に、グルコース・スパイク、グルコース・ミニスパイクの意味、テーラーメードダイエットの意義…などを細かく解説していきます。さらに、糖尿病、メタボ・肥満のみならず、アトピー、アレルギー、花粉症、機能性低血糖症、高血圧、尋常性乾癬…欧米型のガン予防…など、糖尿病・メタボ以外の疾患にも糖質制限食の効果がどう働くのか。すでに効果が確認できている疾患、理論的に効果が期待できる疾患…についても展開していきます。今年最後の「食事で治すシリーズ」で、究極の糖質制限食との出会いをお楽しみください。
●質疑応答の時間もいつもよりたっぷりご用意しています。
主 催 NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
申し込み・問い合わせ リボーン 曽我部
03−3388−5428 e-mail reborn@big.or.jp
【講師プロフィール】
江部康二(えべこうじ)
内科医、漢方医、(財)高雄病院理事長、NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事長。1950年生まれ。京都大学医学部卒業。2002年に自ら糖尿病であると気づいて以来、糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服。高雄病院でに数多くの臨床活動を通じて、糖尿病・肥満・メタボリック症候群などに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明。テーラーメイドダイエットとの2本立てでアトピーなど生活習慣病全般への効果も確立している。著書『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』(シリーズ展開中/東洋経済新報社刊)はベストセラーに。ブログ『ドクター江部の糖尿病徒然日記』(http://koujiebe.blog95.fc2.com/)は日に3000件を超えるアクセスがあり糖尿病患者さんの間で絶大な支持を得ている。
☆☆☆
〜薬に頼らない医療の実現を目指し「食」の根底を見直す〜
NPO法人糖質制限食ネット・リボーン誕生
リボーンは、『食事で治す』をキーワードに、糖尿病やアトピーなど生活習慣病全般の改善のために有効な糖質制限食とテーラーメイドダイエットの理論と実践法を、広く一般社会に普及してくため活動を開始いたしました(NPO法人として1月7日に創立)。
主な活動内容は、糖質制限食の『講演会・セミナー・交流会の開催』『人材育成』『医療機関と他団体とのネットワーク構築』『食と生活習慣病に関する相談窓口開設』『情報集と情報提供』『研究・普及啓発』などになります。
私たちの活動はより多くの市民の方々の参加によって成り立ち発展していきます。
薬に頼らない医療の実現を願い、私たちとともに、「食」の根底を見直していきませんか。
多くの方々のご参加を心よりお待ちしております。
●お申し込み●
NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
担当 曽我部 ゆかり
==========================================
SNS『糖質制限ひろば』にご参加ください。
ソーシャルネットワークサービス『糖質制限ひろば』を立ち上げました。ぜひ、活発
な意見交換に参加してくださいね。お待ちしております。
●糖質制限ひろば URL: http://tousei.prj.cc/ お問い合わせ : tousei@prj.cc
==========================================
NPO法人糖質制限食ネット・リボーン の URL が変わりました。
新URL http://reborn.prj.cc/
==========================================
東京方面の皆さん、講演会のお知らせです。
ドクター江部の「現代病を治す糖質制限食」 -テーラメイドダイエット-
と題して、今回は私の単独講演です。
講演後、質疑応答の時間もたっぷりとってあります。ここでは大柳珠美管理栄養士と共に質問にお答えします。
以下、NPO法人糖質制限食ネット・リボーン事務局、曽我部ゆかりさんからのメッセージです。
江部康二
※※※
リボーン曽我部ゆかりより☆ドクター江部のブログ読者の皆様へ。
こんにちは。いつもお世話になっております。
再び講演会開催のお知らせです。
今回は、できるだけ質疑応答の時間をゆったりとりたいと考え、江部康二先生単独の講演会を企画しました。
実践編で好評の大柳珠美先生のお話は、12月にセミナー形式で、これまたゆっくり時間をとってプログラムを練っています。おいしく楽しいプラン、追ってお知らせできるかと思いますが、日も迫ってまいりましたので、江部康二先生の講演会のお知らせです。皆様、ふるってご参加ください。
当日リボーンへのご入会をしていただきますと、会費の割引を適用させていただきます。皆様あわせてリボーンへのご入会もご検討くださいね。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
●リボーン講演会のお知らせ
ドクター江部の「現代病を治す糖質制限食」
-テーラメイドダイエット-
講 師 江部康二
(高雄病院理事長/NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事長)
日 時 2009年11月29日(日)
9時20分開場
9時30分 江部康二講演開始
11時10分 質疑応答開始
11時50分 終了
場 所 なかのゼロ視聴覚ホール (JR中野駅南口下車6分)
東京都中野区中野2丁目9番7号
03−5340−5000
定 員 100名
会 費 一般 1600円
ペア券一般 3200円のところ2800円
リボーン会員 1000円
ペア券会員 2000円のところ1600円
※ペア券はご家族に限られていただきます。
※NPO法人糖質制限食ネット・リボーンへ当日ご入会いただいた方には、その場にて会員割引を適応させていただきますので、受付にて申請してください。
【主催者メッセージ】
「糖質制限食」の有効性が糖尿病学会でも徐々に認められつつある昨今ですが、作家の宮本輝氏との対談集『我ら糖尿人、元気なのには理由がある』の刊行で世間にもより一層の理解が得られるような状況になりました。今回は時間をたっぷりとって、講師の江部康二先生が、基礎理論と疫学、症例などを柱に、グルコース・スパイク、グルコース・ミニスパイクの意味、テーラーメードダイエットの意義…などを細かく解説していきます。さらに、糖尿病、メタボ・肥満のみならず、アトピー、アレルギー、花粉症、機能性低血糖症、高血圧、尋常性乾癬…欧米型のガン予防…など、糖尿病・メタボ以外の疾患にも糖質制限食の効果がどう働くのか。すでに効果が確認できている疾患、理論的に効果が期待できる疾患…についても展開していきます。今年最後の「食事で治すシリーズ」で、究極の糖質制限食との出会いをお楽しみください。
●質疑応答の時間もいつもよりたっぷりご用意しています。
主 催 NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
申し込み・問い合わせ リボーン 曽我部
03−3388−5428 e-mail reborn@big.or.jp
【講師プロフィール】
江部康二(えべこうじ)
内科医、漢方医、(財)高雄病院理事長、NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事長。1950年生まれ。京都大学医学部卒業。2002年に自ら糖尿病であると気づいて以来、糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服。高雄病院でに数多くの臨床活動を通じて、糖尿病・肥満・メタボリック症候群などに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明。テーラーメイドダイエットとの2本立てでアトピーなど生活習慣病全般への効果も確立している。著書『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』(シリーズ展開中/東洋経済新報社刊)はベストセラーに。ブログ『ドクター江部の糖尿病徒然日記』(http://koujiebe.blog95.fc2.com/)は日に3000件を超えるアクセスがあり糖尿病患者さんの間で絶大な支持を得ている。
☆☆☆
〜薬に頼らない医療の実現を目指し「食」の根底を見直す〜
NPO法人糖質制限食ネット・リボーン誕生
リボーンは、『食事で治す』をキーワードに、糖尿病やアトピーなど生活習慣病全般の改善のために有効な糖質制限食とテーラーメイドダイエットの理論と実践法を、広く一般社会に普及してくため活動を開始いたしました(NPO法人として1月7日に創立)。
主な活動内容は、糖質制限食の『講演会・セミナー・交流会の開催』『人材育成』『医療機関と他団体とのネットワーク構築』『食と生活習慣病に関する相談窓口開設』『情報集と情報提供』『研究・普及啓発』などになります。
私たちの活動はより多くの市民の方々の参加によって成り立ち発展していきます。
薬に頼らない医療の実現を願い、私たちとともに、「食」の根底を見直していきませんか。
多くの方々のご参加を心よりお待ちしております。
●お申し込み●
NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
担当 曽我部 ゆかり
==========================================
SNS『糖質制限ひろば』にご参加ください。
ソーシャルネットワークサービス『糖質制限ひろば』を立ち上げました。ぜひ、活発
な意見交換に参加してくださいね。お待ちしております。
●糖質制限ひろば URL: http://tousei.prj.cc/ お問い合わせ : tousei@prj.cc
==========================================
NPO法人糖質制限食ネット・リボーン の URL が変わりました。
新URL http://reborn.prj.cc/
==========================================
2009年10月23日 (金)
こんばんは。秋がだんだん深まっていきます。
当初豊作だと予想されていた松茸が、何だか近来まれにみる不作になりそうです。( ̄_ ̄|||)
丹波松茸は、ここ10年で最悪の不作だそうです。
今年も、中国・北朝鮮・カナダ・スウェーデン・・・と仲良くすることとしましょう。
さて。
今回は、さわさんから、尋常性乾癬と糖尿病に関するコメントをいただきました。
「こんばんは^^
江部先生こんばんは、ご無沙汰しています。
毎日のお仕事&ブログ更新ご苦労さまです。
m(_ _)m
昨年10月に健康診断で糖尿病が発覚して依頼、1年ぶりの健康診断を受け、結果が届きましたので、見て頂きたくてコメントいたします。
発覚当初から1月まではインスリン、投薬なしで頑張り、1月からはボグリボース0.2mgを10ヶ月で120錠ほど使用しました。(1ヶ月に10錠ほど頓服的に使用する程度でした。)
アクトスは後ろ頭の血管が痛むようで体に合わず、2週間で服用を中止しました。
主食は昨年11月から抜いていたものの、おかずの糖質制限が非常に甘く、本格的に糖質制限に取り組むことができたのは今年の6月くらいからだと思います。
今、数値を書き出してみて、過去にコメントされた他の方の数値の推移によく似ていると思ったのですが、何か問題はありますでしょうか?
もうちょっと体重を増やしたいとは思っているのですが・・・
<上昇した項目>
尿酸値上昇3.1→6.5(2~7)
尿素窒素上昇10→17(5~22)
HDL上昇46→60(40~)
総コレステロール上昇150→164(120~219)
--------------------
<減少した項目>
体重52.0→49.9(60.8)身長167cm
BMI18.9→18.1(18.5~24.9)
中性脂肪大幅に減少90→28(50~149)
LDL減少97→92(70~119)
アルフォス減少308→231(100~340)
GPT減少14→9(~30)
尿たんぱく定性安定(+)→(-)
尿糖減少(3+)→(-)
血圧低下(112-62)→(105-59)(~84、~129)
血糖減少242→130(前日21:00にカレーのルーのみ3杯食べる。糖質25g程度)
HbA1c減少10.9→6.1
※検査したことはないのですが、自分の場合は、食後2時間値が下がりにくい傾向にあり、基礎分泌&追加分泌ともかなり少ないような気がします。
--------------------
<不変の項目>
GOT不変16→17(~30)
γーGPT不変16→16(~50)
クレアチニン不変0.6→0.6(~1.1)
赤血球不変494→448(427~570)
白血球不変7.7→7.7(4~8)
ヘモグロビン不変15.8→14.7(13.5~17.6)
ヘマトクリット不変45.8→44.4(39.8~51.8)
--------------------
<体感としては>
※持久力アップ
※眠気がなくなる
※朝の目覚めが良くなる
(ただし、80以下の低血糖時と150以上の高血糖時の目覚めは非常に悪いです)
※150~180以上の高血糖時はめまいを感じます。
(ウォーキングにより血糖値が下がるとめまいは即座に改善されます)
--------------------
尋常性乾癬は糖質制限で大大大幅に改善、特に牛肉全般、豚脂を控え始めてからは、今や体から完全に消滅してしまいそうな勢いです(嬉♪)もちろん新たな患部もこの1年出てきたりしていません。
もし何かお気づきの点がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
m(_ _)m
2009/10/22(Thu) 20:42 | URL | さわ」
さわさん。
お久しぶりです。コメントありがとうございます。
「HbA1c10.9→6.1%」
見事な改善ですね。(⌒o⌒)v
「体重52.0→49.9(60.8)身長167cm
BMI18.9→18.1(18.5~24.9)
中性脂肪大幅に減少90→28(50~149)」
やや痩せ気味になりましたので、低カロリーになりすぎないように注意してください。牛肉と豚脂以外の脂質、タンパク質は充分量摂取してくださいね。
他のデータも問題ありませんよ。今の食事に加えて、果物を血糖値に影響がない量、例えばりんご1/3×2回/日とか摂取すると、体重が増えやすいですね。
「※持久力アップ
※眠気がなくなる
※朝の目覚めが良くなる
(ただし、80以下の低血糖時と150以上の高血糖時の目覚めは非常に悪いです)
※150~180以上の高血糖時はめまいを感じます。
(ウォーキングにより血糖値が下がるとめまいは即座に改善されます)」
持久力は高まりますね。ほとんどの皆さんがそのようです。
低血糖と高血糖に敏感になったのですね。高雄病院の患者さんでも、いつも200~300mgの時は慣れていて無症状だったのが、糖質制限食で血糖が正常化したあと、たまに菓子パンなど食べて血糖が200mgを超えると、頭がボーッとするとか仰有ることがありますよ。
尋常性乾癬ほぼ、完治に近いですね。素晴らしいです。(^-^)v(^-^)v
2009年8月27日のブログで、尋常性乾癬の高雄病院の患者さんのことを書きました。あれからもう一名、全身の発赤・落屑・肥厚・・・という今まで診たなかでも最重症の患者さんが来院され、兎に角1ヶ月、スーパー糖質制限食を実践してもらいました。
1ヶ月後、驚くべきことに
発赤10→2
落屑10→0~1
肥厚10→1
と劇的に改善していて、ご本人も私もナースもびっくりでした。ヾ(゜▽゜)
もしかしたら、
「精製炭水化物の過剰摂取が尋常性乾癬のもっとも大きな要因で牛肉と豚脂が少し関わっている」
というのが尋常性乾癬の本質だったのかもしれませんね。エスキモーは、伝統的食生活を守っている間は尋常性乾癬は極めてまれでした。
皮膚科のお医者さんが、本ブログをご覧になっておられたら、是非追試をしていただけば幸いです。 m(_ _)m
以下にさわさんのコメントと私のブログを参考のために再掲します。
江部康二
☆☆☆☆☆
尋常性乾癬と糖質制限食
「こんばんは。
2009/02/27(金)のブログ<尋常性乾癬の改善と糖質制限食>で、ご自身の20年来の尋常性乾癬が、糖質制限食を開始して約2ヶ月で劇的に改善された、さわさんのコメントを紹介しました。
その後、江部診療所と高雄病院で、数年来漢方治療をしているけれど、難治性で上手くいっていない尋常性乾癬の患者さん3名に、さわさんのコメントをプリントアウトして説明して、糖質制限食を実践していただきました。 (^_^)
比較的経過良好の2~3人の患者さんからは、残念ながら
「糖質抜きなんて到底無理です!!」と拒否されました。( ̄_ ̄|||)
やはりモチベーションの問題があるようです。
糖質制限食を実践していただいた、4人の患者さんは、1ヶ月経過した時点で全員、皮疹の面積が、10→5以下になりました。自分で想像していた以上の効果で嬉しいビックリでした。ヽ(*`▽´)ノ
まだまだ症例が少ないので、確定的なことは言えませんが、少なくとも通常の治療で、コントロール困難な尋常性乾癬に関しては糖質制限食を試みる価値は充分あると思います。
「騙されたと思って、兎に角1ヶ月、糖質制限食やってみて下さい。」
私はまあこんな具合で説得しました。
なおイヌイットと尋常性乾癬に関して、興味深い報告があります。
1950年~1974年までのグリーンランド・ウパナヴィック病院の記録をまとめて、Kromannらが1980年に報告しています。
それによると、まず動脈硬化性心疾患で死亡したグリーンランド・エスキモーはわずか3名で、ほぼ同年齢層のデンマーク人の死亡予想値40人に比べて極めて低かったのです。これは有名な報告なので、ご存じの方も多いと思います。
そして、尋常性乾癬の患者はわずか2名で、デンマーク人の予想値40人に比べて心筋梗塞以上に少なかったのです。
当時のグリーンランド・エスキモーの主食は、アザラシ・トド・魚肉などであり、まさにスーパー糖質制限食でした。
それでは日本で初めて、糖質制限食で尋常性乾癬が改善した、さわさんからその後の経過と貴重なアドバイスをコメントいただきましたので、以下抜粋を記載します。
【さわ
『糖質制限と尋常性乾癬』
江部先生、毎日のお仕事、ブログの更新ご苦労さまです。
先日は、私の質問に対して、ピーマンの糖質量まで調べて頂き、ありがとうございました。
おかげさまで、これからも安心してピーマンを食べることができそうです。
さて、今日はちょっとした報告があります。
自分は、ちょうど20年前の1月に尋常性乾癬を発症して今年で20年目になります。
尋常性乾癬とは不治の皮膚病で絶対治らないものだとあきらめていましたし、今まで20年近く我慢できたのだから、まぁ一生付き合っていけるだろうと考えていました。
ここ4~5年は春夏は症状がほぼ治まるのですが、12月~3月の4ヶ月間は膝から下がほぼ乾癬で埋め尽くされ、所々ひび割れて、痛さのあまり歩くこともままならず、一日の中でお風呂に入っている時だけが唯一ほっとできる、そんな日々を過ごしていました。
ところが、昨年の10月に糖尿病が発症し、糖質制限食は始めて以来、乾癬が全く出なくなりました。(現在左足に1cm、右足に5mm程度のものだけ)
こんなことはこの20年で初めてのことですし、どういうことなのだろう?と思っていたのですが、先生の2009/01/06(火)のブログを読んで、目から鱗でした。
ここの部分です。
『このブドウ糖ミニスパイクが、生体の恒常性をかく乱してアレルギー疾患を悪化させたり、将来の生活習慣病のもととなります。
過去世界中にいろんな食事療法がありましたが、経験的に有効とされているものは、玄米菜食、ゲルソン療法、甲田療法など基本的にブドウ糖ミニスパイクが少ないという一点で一致しています。
私は現在、世界に氾濫する生活習慣病の元凶は、精製炭水化物やジャンクフードによるグルコースミニスパイクとインスリン過剰分泌と考えています。』
今までの自分をを振り返ってみると、ラーメンは週に3度は食べるし、カレーライスは大好きでおかわりをするし、うどんや蕎麦、スパゲティは大好きだしで、炭水化物まみれの食生活だったので、乾癬も治らなかったのだな。と今年になってやっと気が付きました。
以前は、焼肉屋に行くと翌日には即座に乾癬が悪化していたので、脂質は避けて生活していたのですが、今では糖質制限をしている限り、焼肉屋に行っても全く乾癬は悪化しないようになりました。
ここ数年の歩けなかった辛さを考えると、糖尿病にはなったものの、乾癬がほぼ治った今現在のほうが凄く幸せだな。と毎日思っている次第です。
2009/02/25(水) 】
【さわ
乾癬がほぼ治って、何が嬉しいかというと、普通に歩けるようになったことがもちろん一番ですが、頭皮、手の甲も100%治り、人目を全く気にしなくて良くなったこと。ガンコな爪の変形もほぼ治ってきていること。温泉に行けるようになったこと等たくさんあります。
飲み薬、塗り薬は昨年の4月から一度も使用していないのにです。
本当に江部先生のブログに出会えて良かったと思っています。
2009/02/26(木) 09:32:21 】
【09/08/16 さわ
江部先生、こんにちは
今回シューアイス、シュークリーム残念でしたね。
でも、そのチャレンジ精神にはかなり勇気付けられました。
ありがとうございました。
>3人に糖質制限食を試して、全例成功しました。
これは凄いですね。
乾癬患者は症状が多彩なので1種類の治療法では治癒が難しいと思っていたので本当に驚きです。
自分のその後ですが、乾癬については、糖質制限でグルコーススパイクを抑えることと脂身の多い牛肉(できれば豚肉の脂身も)を控えることで上手くコントロールできるようです。
糖尿病については、6月に血糖自己測定器を購入し、毎食糖質5g~15g程度の摂取で測定していたところ
早朝空腹時160~170
夕食前130~140
夕食後2時間140~160
と言う数値が2週間近く改善されなかった為、重い腰を上げて苦手なウォーキングを2日に1回30分~50分するようにしました。
ウォーキングの時間帯は早朝、夕食前、深夜のいずれかです。
効果は初日からすぐに表れ
早朝空腹時95~125
夕食前95~125
夕食後2時間125~150
このようになりました。
最大の悩みであった早朝空腹時血糖値が前日の夕食後2時間値より高くなるという問題も解消されました。
またこれからも先生のブログや本でいろいろと勉強させて頂きたいと思っていますのでよろしくお願いします。 】
当初豊作だと予想されていた松茸が、何だか近来まれにみる不作になりそうです。( ̄_ ̄|||)
丹波松茸は、ここ10年で最悪の不作だそうです。
今年も、中国・北朝鮮・カナダ・スウェーデン・・・と仲良くすることとしましょう。
さて。
今回は、さわさんから、尋常性乾癬と糖尿病に関するコメントをいただきました。
「こんばんは^^
江部先生こんばんは、ご無沙汰しています。
毎日のお仕事&ブログ更新ご苦労さまです。
m(_ _)m
昨年10月に健康診断で糖尿病が発覚して依頼、1年ぶりの健康診断を受け、結果が届きましたので、見て頂きたくてコメントいたします。
発覚当初から1月まではインスリン、投薬なしで頑張り、1月からはボグリボース0.2mgを10ヶ月で120錠ほど使用しました。(1ヶ月に10錠ほど頓服的に使用する程度でした。)
アクトスは後ろ頭の血管が痛むようで体に合わず、2週間で服用を中止しました。
主食は昨年11月から抜いていたものの、おかずの糖質制限が非常に甘く、本格的に糖質制限に取り組むことができたのは今年の6月くらいからだと思います。
今、数値を書き出してみて、過去にコメントされた他の方の数値の推移によく似ていると思ったのですが、何か問題はありますでしょうか?
もうちょっと体重を増やしたいとは思っているのですが・・・
<上昇した項目>
尿酸値上昇3.1→6.5(2~7)
尿素窒素上昇10→17(5~22)
HDL上昇46→60(40~)
総コレステロール上昇150→164(120~219)
--------------------
<減少した項目>
体重52.0→49.9(60.8)身長167cm
BMI18.9→18.1(18.5~24.9)
中性脂肪大幅に減少90→28(50~149)
LDL減少97→92(70~119)
アルフォス減少308→231(100~340)
GPT減少14→9(~30)
尿たんぱく定性安定(+)→(-)
尿糖減少(3+)→(-)
血圧低下(112-62)→(105-59)(~84、~129)
血糖減少242→130(前日21:00にカレーのルーのみ3杯食べる。糖質25g程度)
HbA1c減少10.9→6.1
※検査したことはないのですが、自分の場合は、食後2時間値が下がりにくい傾向にあり、基礎分泌&追加分泌ともかなり少ないような気がします。
--------------------
<不変の項目>
GOT不変16→17(~30)
γーGPT不変16→16(~50)
クレアチニン不変0.6→0.6(~1.1)
赤血球不変494→448(427~570)
白血球不変7.7→7.7(4~8)
ヘモグロビン不変15.8→14.7(13.5~17.6)
ヘマトクリット不変45.8→44.4(39.8~51.8)
--------------------
<体感としては>
※持久力アップ
※眠気がなくなる
※朝の目覚めが良くなる
(ただし、80以下の低血糖時と150以上の高血糖時の目覚めは非常に悪いです)
※150~180以上の高血糖時はめまいを感じます。
(ウォーキングにより血糖値が下がるとめまいは即座に改善されます)
--------------------
尋常性乾癬は糖質制限で大大大幅に改善、特に牛肉全般、豚脂を控え始めてからは、今や体から完全に消滅してしまいそうな勢いです(嬉♪)もちろん新たな患部もこの1年出てきたりしていません。
もし何かお気づきの点がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
m(_ _)m
2009/10/22(Thu) 20:42 | URL | さわ」
さわさん。
お久しぶりです。コメントありがとうございます。
「HbA1c10.9→6.1%」
見事な改善ですね。(⌒o⌒)v
「体重52.0→49.9(60.8)身長167cm
BMI18.9→18.1(18.5~24.9)
中性脂肪大幅に減少90→28(50~149)」
やや痩せ気味になりましたので、低カロリーになりすぎないように注意してください。牛肉と豚脂以外の脂質、タンパク質は充分量摂取してくださいね。
他のデータも問題ありませんよ。今の食事に加えて、果物を血糖値に影響がない量、例えばりんご1/3×2回/日とか摂取すると、体重が増えやすいですね。
「※持久力アップ
※眠気がなくなる
※朝の目覚めが良くなる
(ただし、80以下の低血糖時と150以上の高血糖時の目覚めは非常に悪いです)
※150~180以上の高血糖時はめまいを感じます。
(ウォーキングにより血糖値が下がるとめまいは即座に改善されます)」
持久力は高まりますね。ほとんどの皆さんがそのようです。
低血糖と高血糖に敏感になったのですね。高雄病院の患者さんでも、いつも200~300mgの時は慣れていて無症状だったのが、糖質制限食で血糖が正常化したあと、たまに菓子パンなど食べて血糖が200mgを超えると、頭がボーッとするとか仰有ることがありますよ。
尋常性乾癬ほぼ、完治に近いですね。素晴らしいです。(^-^)v(^-^)v
2009年8月27日のブログで、尋常性乾癬の高雄病院の患者さんのことを書きました。あれからもう一名、全身の発赤・落屑・肥厚・・・という今まで診たなかでも最重症の患者さんが来院され、兎に角1ヶ月、スーパー糖質制限食を実践してもらいました。
1ヶ月後、驚くべきことに
発赤10→2
落屑10→0~1
肥厚10→1
と劇的に改善していて、ご本人も私もナースもびっくりでした。ヾ(゜▽゜)
もしかしたら、
「精製炭水化物の過剰摂取が尋常性乾癬のもっとも大きな要因で牛肉と豚脂が少し関わっている」
というのが尋常性乾癬の本質だったのかもしれませんね。エスキモーは、伝統的食生活を守っている間は尋常性乾癬は極めてまれでした。
皮膚科のお医者さんが、本ブログをご覧になっておられたら、是非追試をしていただけば幸いです。 m(_ _)m
以下にさわさんのコメントと私のブログを参考のために再掲します。
江部康二
☆☆☆☆☆
尋常性乾癬と糖質制限食
「こんばんは。
2009/02/27(金)のブログ<尋常性乾癬の改善と糖質制限食>で、ご自身の20年来の尋常性乾癬が、糖質制限食を開始して約2ヶ月で劇的に改善された、さわさんのコメントを紹介しました。
その後、江部診療所と高雄病院で、数年来漢方治療をしているけれど、難治性で上手くいっていない尋常性乾癬の患者さん3名に、さわさんのコメントをプリントアウトして説明して、糖質制限食を実践していただきました。 (^_^)
比較的経過良好の2~3人の患者さんからは、残念ながら
「糖質抜きなんて到底無理です!!」と拒否されました。( ̄_ ̄|||)
やはりモチベーションの問題があるようです。
糖質制限食を実践していただいた、4人の患者さんは、1ヶ月経過した時点で全員、皮疹の面積が、10→5以下になりました。自分で想像していた以上の効果で嬉しいビックリでした。ヽ(*`▽´)ノ
まだまだ症例が少ないので、確定的なことは言えませんが、少なくとも通常の治療で、コントロール困難な尋常性乾癬に関しては糖質制限食を試みる価値は充分あると思います。
「騙されたと思って、兎に角1ヶ月、糖質制限食やってみて下さい。」
私はまあこんな具合で説得しました。
なおイヌイットと尋常性乾癬に関して、興味深い報告があります。
1950年~1974年までのグリーンランド・ウパナヴィック病院の記録をまとめて、Kromannらが1980年に報告しています。
それによると、まず動脈硬化性心疾患で死亡したグリーンランド・エスキモーはわずか3名で、ほぼ同年齢層のデンマーク人の死亡予想値40人に比べて極めて低かったのです。これは有名な報告なので、ご存じの方も多いと思います。
そして、尋常性乾癬の患者はわずか2名で、デンマーク人の予想値40人に比べて心筋梗塞以上に少なかったのです。
当時のグリーンランド・エスキモーの主食は、アザラシ・トド・魚肉などであり、まさにスーパー糖質制限食でした。
それでは日本で初めて、糖質制限食で尋常性乾癬が改善した、さわさんからその後の経過と貴重なアドバイスをコメントいただきましたので、以下抜粋を記載します。
【さわ
『糖質制限と尋常性乾癬』
江部先生、毎日のお仕事、ブログの更新ご苦労さまです。
先日は、私の質問に対して、ピーマンの糖質量まで調べて頂き、ありがとうございました。
おかげさまで、これからも安心してピーマンを食べることができそうです。
さて、今日はちょっとした報告があります。
自分は、ちょうど20年前の1月に尋常性乾癬を発症して今年で20年目になります。
尋常性乾癬とは不治の皮膚病で絶対治らないものだとあきらめていましたし、今まで20年近く我慢できたのだから、まぁ一生付き合っていけるだろうと考えていました。
ここ4~5年は春夏は症状がほぼ治まるのですが、12月~3月の4ヶ月間は膝から下がほぼ乾癬で埋め尽くされ、所々ひび割れて、痛さのあまり歩くこともままならず、一日の中でお風呂に入っている時だけが唯一ほっとできる、そんな日々を過ごしていました。
ところが、昨年の10月に糖尿病が発症し、糖質制限食は始めて以来、乾癬が全く出なくなりました。(現在左足に1cm、右足に5mm程度のものだけ)
こんなことはこの20年で初めてのことですし、どういうことなのだろう?と思っていたのですが、先生の2009/01/06(火)のブログを読んで、目から鱗でした。
ここの部分です。
『このブドウ糖ミニスパイクが、生体の恒常性をかく乱してアレルギー疾患を悪化させたり、将来の生活習慣病のもととなります。
過去世界中にいろんな食事療法がありましたが、経験的に有効とされているものは、玄米菜食、ゲルソン療法、甲田療法など基本的にブドウ糖ミニスパイクが少ないという一点で一致しています。
私は現在、世界に氾濫する生活習慣病の元凶は、精製炭水化物やジャンクフードによるグルコースミニスパイクとインスリン過剰分泌と考えています。』
今までの自分をを振り返ってみると、ラーメンは週に3度は食べるし、カレーライスは大好きでおかわりをするし、うどんや蕎麦、スパゲティは大好きだしで、炭水化物まみれの食生活だったので、乾癬も治らなかったのだな。と今年になってやっと気が付きました。
以前は、焼肉屋に行くと翌日には即座に乾癬が悪化していたので、脂質は避けて生活していたのですが、今では糖質制限をしている限り、焼肉屋に行っても全く乾癬は悪化しないようになりました。
ここ数年の歩けなかった辛さを考えると、糖尿病にはなったものの、乾癬がほぼ治った今現在のほうが凄く幸せだな。と毎日思っている次第です。
2009/02/25(水) 】
【さわ
乾癬がほぼ治って、何が嬉しいかというと、普通に歩けるようになったことがもちろん一番ですが、頭皮、手の甲も100%治り、人目を全く気にしなくて良くなったこと。ガンコな爪の変形もほぼ治ってきていること。温泉に行けるようになったこと等たくさんあります。
飲み薬、塗り薬は昨年の4月から一度も使用していないのにです。
本当に江部先生のブログに出会えて良かったと思っています。
2009/02/26(木) 09:32:21 】
【09/08/16 さわ
江部先生、こんにちは
今回シューアイス、シュークリーム残念でしたね。
でも、そのチャレンジ精神にはかなり勇気付けられました。
ありがとうございました。
>3人に糖質制限食を試して、全例成功しました。
これは凄いですね。
乾癬患者は症状が多彩なので1種類の治療法では治癒が難しいと思っていたので本当に驚きです。
自分のその後ですが、乾癬については、糖質制限でグルコーススパイクを抑えることと脂身の多い牛肉(できれば豚肉の脂身も)を控えることで上手くコントロールできるようです。
糖尿病については、6月に血糖自己測定器を購入し、毎食糖質5g~15g程度の摂取で測定していたところ
早朝空腹時160~170
夕食前130~140
夕食後2時間140~160
と言う数値が2週間近く改善されなかった為、重い腰を上げて苦手なウォーキングを2日に1回30分~50分するようにしました。
ウォーキングの時間帯は早朝、夕食前、深夜のいずれかです。
効果は初日からすぐに表れ
早朝空腹時95~125
夕食前95~125
夕食後2時間125~150
このようになりました。
最大の悩みであった早朝空腹時血糖値が前日の夕食後2時間値より高くなるという問題も解消されました。
またこれからも先生のブログや本でいろいろと勉強させて頂きたいと思っていますのでよろしくお願いします。 】
2009年10月22日 (木)
講座「食事で治すアトピー・糖尿病・メタボ」
-テーラーメードダイエットと糖質制限食-
会場 朝日カルチャーセンター芦屋
http://www.asahi-culture.co.jp/www/ashiya-i.html
TEL 0797-38-2666
日時 2009年10月30日 金曜日 13:00~14:30
参加費 会員2,415 一般2,835
こんばんは
今年になって、
糖質制限食論文の医学雑誌への掲載(2009年4月号、治療、江部康二)、
日本糖尿病学会年次学術集会での糖質制限食の有効性の報告(山門一平,江部康二,金大成,大櫛陽一)、
など医学界でも徐々に認められつつある糖質制限食ですが、
作家の宮本輝先生との対談集
『我ら糖尿人、元気なのには理由がある』 現代病を治す糖質制限食
の刊行で、今までとは違う読者層の広がりがあり、かなり世の中に浸透してきました。
今回の朝日カルチャーセンター講演は、基礎理論と疫学、症例などと共に、グルコース・スパイク、グルコース・ミニスパイクの意味、テーラーメードダイエットの意義…などを解説していきます。
さらに、糖尿病、メタボ・肥満のみならず、アトピー、アレルギー、花粉症、機能性低血糖症、高血圧、尋常性乾癬、欧米型のガン予防…など、糖尿病・メタボ以外の疾患にも糖質制限食が有効か否かを検証していきます。
すでに効果が確認できている疾患、理論的に効果が期待できる疾患…についても展開していきます。
対談をきっかけに大きく広がり始めた「現代病を治す糖質制限食」、芦屋、神戸、西宮・・・兵庫県の皆さんのご参加をお待ちしております。
江部康二
-テーラーメードダイエットと糖質制限食-
会場 朝日カルチャーセンター芦屋
http://www.asahi-culture.co.jp/www/ashiya-i.html
TEL 0797-38-2666
日時 2009年10月30日 金曜日 13:00~14:30
参加費 会員2,415 一般2,835
こんばんは
今年になって、
糖質制限食論文の医学雑誌への掲載(2009年4月号、治療、江部康二)、
日本糖尿病学会年次学術集会での糖質制限食の有効性の報告(山門一平,江部康二,金大成,大櫛陽一)、
など医学界でも徐々に認められつつある糖質制限食ですが、
作家の宮本輝先生との対談集
『我ら糖尿人、元気なのには理由がある』 現代病を治す糖質制限食
の刊行で、今までとは違う読者層の広がりがあり、かなり世の中に浸透してきました。
今回の朝日カルチャーセンター講演は、基礎理論と疫学、症例などと共に、グルコース・スパイク、グルコース・ミニスパイクの意味、テーラーメードダイエットの意義…などを解説していきます。
さらに、糖尿病、メタボ・肥満のみならず、アトピー、アレルギー、花粉症、機能性低血糖症、高血圧、尋常性乾癬、欧米型のガン予防…など、糖尿病・メタボ以外の疾患にも糖質制限食が有効か否かを検証していきます。
すでに効果が確認できている疾患、理論的に効果が期待できる疾患…についても展開していきます。
対談をきっかけに大きく広がり始めた「現代病を治す糖質制限食」、芦屋、神戸、西宮・・・兵庫県の皆さんのご参加をお待ちしております。
江部康二
2009年10月22日 (木)
おはようございます。
今日もひんやり爽やかな秋の朝です。
さて今回は糖質制限食とLDL-コレステロールについてすぎなっこさんから、嬉しいコメントをいただきました。
「09/10/20 すぎなっこ
LDLが落ちてきましたっ!
江部先生、おはようございます。
10月の検査結果を報告します。
8/17 9/15 10/16
LDL 266 215 166
HDL 97 102 89
中性脂肪 107 82 52
HbA1c 5.4 5.4 5.8
LDLは先生の言われたとおり、8月の266をピークとしそのあと落ちてきました。
ほっとしています。ありがとうございました。
それと質問なんですが、大豆粉でクッキーやパンを作っていますが、大豆粉を加熱しても重量が同じなら糖質も同じなのでしょうか。
100gの大豆粉を使ったとして、加熱したあとも同じ糖質量と考えてよいのでしょうか。」
すぎなっこさん。
LDL-コレステロールの改善よかったですね。 (^_^)
糖質制限食実践で、LDL-コレステロールは当初一定しないのですが、いったん上昇した人も半年~1年続けているうちに、改善してくることが多いです。
私の友人、春日井市の灰本元先生は、重症糖尿病患者(HbA1c>9.0%)33人にに糖質制限食治療を実施し、インスリンを使用することなく半年後にHbA1c(が)10.9%から7.2%へ低下し、LDL-Cは低下、HDL-Cは上昇することを英文雑誌に報告しました。(*)
糖質制限食実践で
1 血糖値はリアルタイムに改善します。
2 スーパー糖質制限食なら、HbA1cは月に、1~2%改善します。
3 中性脂肪も速やかに改善します。
4 HDL-コレステロールは増加します。
増加しますが、増加の程度と速度に個人差があります。
5 LDL-コレステロールは低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も半年くらいで落ち着くことが多いですが個人差があります。
6 総コレステロールは低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も半年くらいで落ち着くことが多いですが個人差があります。
7 尿酸も低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も半年くらいで落ち着くことが多いですが個人差があります。
8 尿素窒素はやや増加傾向になる人が多いですが、そのうち落ちつくことがおおいです。
9 クレアチニンは不変です。
10 カリウムも不変のことが多いです。
ご質問ですが、
「大豆粉でクッキーやパンを作っていますが、大豆粉を加熱しても重量が同じなら糖質も同じなのでしょうか。 100gの大豆粉を使ったとして、加熱したあとも同じ糖質量と考えてよいのでしょうか。」
加熱しても糖質量は同じと考えてよいです。
(*)
Haimoto H, et all:Effects of a low-carbohydrate diet on glycemic control in outpatients with severe type 2 diabetes.Nutrition & metabolism.6(21)2009.
江部康二
今日もひんやり爽やかな秋の朝です。
さて今回は糖質制限食とLDL-コレステロールについてすぎなっこさんから、嬉しいコメントをいただきました。
「09/10/20 すぎなっこ
LDLが落ちてきましたっ!
江部先生、おはようございます。
10月の検査結果を報告します。
8/17 9/15 10/16
LDL 266 215 166
HDL 97 102 89
中性脂肪 107 82 52
HbA1c 5.4 5.4 5.8
LDLは先生の言われたとおり、8月の266をピークとしそのあと落ちてきました。
ほっとしています。ありがとうございました。
それと質問なんですが、大豆粉でクッキーやパンを作っていますが、大豆粉を加熱しても重量が同じなら糖質も同じなのでしょうか。
100gの大豆粉を使ったとして、加熱したあとも同じ糖質量と考えてよいのでしょうか。」
すぎなっこさん。
LDL-コレステロールの改善よかったですね。 (^_^)
糖質制限食実践で、LDL-コレステロールは当初一定しないのですが、いったん上昇した人も半年~1年続けているうちに、改善してくることが多いです。
私の友人、春日井市の灰本元先生は、重症糖尿病患者(HbA1c>9.0%)33人にに糖質制限食治療を実施し、インスリンを使用することなく半年後にHbA1c(が)10.9%から7.2%へ低下し、LDL-Cは低下、HDL-Cは上昇することを英文雑誌に報告しました。(*)
糖質制限食実践で
1 血糖値はリアルタイムに改善します。
2 スーパー糖質制限食なら、HbA1cは月に、1~2%改善します。
3 中性脂肪も速やかに改善します。
4 HDL-コレステロールは増加します。
増加しますが、増加の程度と速度に個人差があります。
5 LDL-コレステロールは低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も半年くらいで落ち着くことが多いですが個人差があります。
6 総コレステロールは低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も半年くらいで落ち着くことが多いですが個人差があります。
7 尿酸も低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も半年くらいで落ち着くことが多いですが個人差があります。
8 尿素窒素はやや増加傾向になる人が多いですが、そのうち落ちつくことがおおいです。
9 クレアチニンは不変です。
10 カリウムも不変のことが多いです。
ご質問ですが、
「大豆粉でクッキーやパンを作っていますが、大豆粉を加熱しても重量が同じなら糖質も同じなのでしょうか。 100gの大豆粉を使ったとして、加熱したあとも同じ糖質量と考えてよいのでしょうか。」
加熱しても糖質量は同じと考えてよいです。
(*)
Haimoto H, et all:Effects of a low-carbohydrate diet on glycemic control in outpatients with severe type 2 diabetes.Nutrition & metabolism.6(21)2009.
江部康二
2009年10月21日 (水)
おはようございます。
今回はひまわりさんから、体重減少と高血圧改善について嬉しいコメントいただきました。
読者の皆さんの参考になると思いましたので記事にしました。
「09/10/19 ひまわり
タイトルなし
江部先生 毎日お疲れ様です。
昨年 自宅の尿糖試験紙で糖が出て以来 毎日ブログ拝見させていただいてます。
近くの病院で負荷試の結果 境界型と言われながら 江部先生にブログで(正常です)と言われその言葉を励みにして 糖質制限食とウォーキングをやってきました。
今回は、健診結果をご報告させて頂きます。
42歳女性 H20/11/9 H21/9/12
体 重 58.7 45.5
腹 囲 85.2 75.8
BMI 26.9 20.9
空腹時血糖 94 87
空腹時尿糖 (-) (-)
血 圧 130/76 114/74
中性脂肪 124 37
HDL 64 77
LDL 124 103
GOT 20 18
GPT 18 14
γGTP 15 8
高血圧治療をしていましたが 今年の5月から必要ないと言われ 今は、薬を飲んでいません。
病院にも通院する必要ないと言われました。
全く辛さを感じないまま あっという間の体重減少でした。
周りの方々も 健康的な痩せ方にビックリしています。
10㎏は、4ヶ月で落ちました。あとは、ゆっくりと 徐々に落ちました。
先生のブログと書籍に出会えて 本当に良かったと 感謝しています。
糖質制限ドットコムにも かなりお世話になっていますが これからも 現状維持出来る様に管理して行きます。
これからも 先生のブログや書籍を楽しみにしています。 ありがとうございました。」
ひまわりさん。
本のご購入、コメント、ありがとうございます。
「42歳女性 H20/11/9 H21/9/12
体 重 58.7 45.5
腹 囲 85.2 75.8
BMI 26.9 20.9 」
素晴らしい改善ですね。
降圧剤の離脱もおめでとうございます。通院の必要なしなんて、医療費削減どころか無料ですね。(o^。^o)
「糖質制限食→体重減少→高血圧改善」というパターンはよくあります。
かくいう私も、52才の糖尿病発覚時で、
167cm、66kg。血圧は140~180/90~100。
特に夜診終了時などは180/110とかで、
ナースがびっくりしてました。ヾ(゜▽゜)
糖質制限食半年で、体重が10kg減って高血圧が改善して、120~130/70~80程度になりました。体重は56kgで、その後はずっと保っています。
ああ、一度だけ2008年の秋にいろんな果物をたくさんいただいて、結果食べ過ぎて1kg太りましたがまたすぐに戻りました。
「167cm。56kg。」
これは私の学生時代の体型と同じです。 (^^)
糖質制限食、まったくつらさを感じずに健康的にやせるというのがいいですね。ひまわりさん、これからも美味しく楽しく糖質制限食お続け下さいね。
江部康二
今回はひまわりさんから、体重減少と高血圧改善について嬉しいコメントいただきました。
読者の皆さんの参考になると思いましたので記事にしました。
「09/10/19 ひまわり
タイトルなし
江部先生 毎日お疲れ様です。
昨年 自宅の尿糖試験紙で糖が出て以来 毎日ブログ拝見させていただいてます。
近くの病院で負荷試の結果 境界型と言われながら 江部先生にブログで(正常です)と言われその言葉を励みにして 糖質制限食とウォーキングをやってきました。
今回は、健診結果をご報告させて頂きます。
42歳女性 H20/11/9 H21/9/12
体 重 58.7 45.5
腹 囲 85.2 75.8
BMI 26.9 20.9
空腹時血糖 94 87
空腹時尿糖 (-) (-)
血 圧 130/76 114/74
中性脂肪 124 37
HDL 64 77
LDL 124 103
GOT 20 18
GPT 18 14
γGTP 15 8
高血圧治療をしていましたが 今年の5月から必要ないと言われ 今は、薬を飲んでいません。
病院にも通院する必要ないと言われました。
全く辛さを感じないまま あっという間の体重減少でした。
周りの方々も 健康的な痩せ方にビックリしています。
10㎏は、4ヶ月で落ちました。あとは、ゆっくりと 徐々に落ちました。
先生のブログと書籍に出会えて 本当に良かったと 感謝しています。
糖質制限ドットコムにも かなりお世話になっていますが これからも 現状維持出来る様に管理して行きます。
これからも 先生のブログや書籍を楽しみにしています。 ありがとうございました。」
ひまわりさん。
本のご購入、コメント、ありがとうございます。
「42歳女性 H20/11/9 H21/9/12
体 重 58.7 45.5
腹 囲 85.2 75.8
BMI 26.9 20.9 」
素晴らしい改善ですね。
降圧剤の離脱もおめでとうございます。通院の必要なしなんて、医療費削減どころか無料ですね。(o^。^o)
「糖質制限食→体重減少→高血圧改善」というパターンはよくあります。
かくいう私も、52才の糖尿病発覚時で、
167cm、66kg。血圧は140~180/90~100。
特に夜診終了時などは180/110とかで、
ナースがびっくりしてました。ヾ(゜▽゜)
糖質制限食半年で、体重が10kg減って高血圧が改善して、120~130/70~80程度になりました。体重は56kgで、その後はずっと保っています。
ああ、一度だけ2008年の秋にいろんな果物をたくさんいただいて、結果食べ過ぎて1kg太りましたがまたすぐに戻りました。
「167cm。56kg。」
これは私の学生時代の体型と同じです。 (^^)
糖質制限食、まったくつらさを感じずに健康的にやせるというのがいいですね。ひまわりさん、これからも美味しく楽しく糖質制限食お続け下さいね。
江部康二
2009年10月20日 (火)
こんにちは。
今日は薄曇りの京都です。
さて今回はしょうぞうさんから、糖質制限食とメンタルの安定についてコメント・質問をいただきました。
「09/10/15 しょうぞう
はじめまして
先日、先生のご本をはじめて読み、糖質制限食をはじめてみた41歳の男です。糖尿病ではないのですが、ご本の中で血糖値の安定によるメンタルの安定という点に興味をひかれはじめました。なぜなら私は長年、気分にムラがあり、また疲労感がいつもあり、仕事への集中力が欠ける点がありました。またお米がとても好きで食べすぎる傾向がありました。ご本を読んで、もしかすると糖質のとりすぎが原因だったのかもかと思いつきました。そこで一週間ほど前からはじめてみると劇的な変化があらわれました。それは朝の目覚めが異様によいことです。いつもいくら寝ても寝たりない感じがあり、しかも朝から疲れているようだったのが、目がさめた瞬間に頭が立ち上がるような感じで、しかも4時や5時に目ざめるのです。目の奥に感じていた何かつまっている感じもなくなりました。日中の気分の軽さもかつてないほどです。糖質を消化するのにこれほど体に負担があったのかと恐ろしくなるほどです。糖尿病対策、ダイエット対策として以外に現在の日本人の漠然とした疲労感、陰鬱感軽減対策として、先生の理論と実践は救世主となるのではないかと思いました。こういった観点での症例がありましたら、教えていただければと思います。」
しょうぞうさん。
コメント、本のご購入そして貴重な体験報告ありがとうございます。
また、長年の「気分のムラ、疲労感、仕事への集中力が欠ける」といった症状が糖質制限食により改善し、目覚めもよく日中の気分も軽いとのこと、良かったです。
「気分のムラ、疲労感、仕事への集中力が欠ける」といった症状は、グルコースミニスパイクが原因の可能性があります。(*)
現代人に日常的に生じているグルコースミニスパイクが、糖質制限食を実践すれば起こりません。このことがメンタルの安定にかなり関与していると思います。
もっとも解りやすい例は、機能性低血糖症です。
機能性低血糖症は、1924年アメリカのSeale Harrisによって指摘された疾患で、血糖値の低下に伴ない、精神的・身体的症状を来たす疾患です。
易疲労感、気力低下、眠気、集中力低下、物忘れ、不安、いらいら、頭痛、めまい、発汗、震え、心悸亢進、筋肉痛、甘いものに対する異常な欲求・・・ などの症状がみられます。
診断は、75g経口ブドウ糖負荷試験で行います。通常糖尿病の診断のためには空腹時に開始して、ブドウ糖を服用後2時間までの血糖値を測定します。機能性低血糖症の場合は、ブドウ糖服用後5時間まで血糖値を検査します。
機能性低血糖症の場合、負荷後30分で120~140mg程度に上昇した血糖値が60分で60mgになったりします。これだと眠気も来そうですね。さらに4時間後とかに40mgとかまで下がることもあります。
血糖値が40mgなら明らかな低血糖ですが、60mg以上あっても、血糖値が1時間で50mg以上下がると眠気などの症状も出やすいようです。
また、空腹時の検査開始時血糖値より20%以上、負荷後血糖値が下がる時点があることが多いようです。
糖質・タンパク質・脂質のうち、血糖値を急峻に上昇させるのは糖質だけですので、機能性低血糖症は基本的には精製された炭水化物を摂取したときに、インスリンが過剰分泌されて発症することが一番多いと思います。「炭水化物=糖質+食物繊維」です。
玄米は、白いパンや白米に比べれば、血糖値の上昇は少ないのですが、タンパク質や脂質に比べれば当然かなり上昇させます。
機能性低血糖症の確定診断はつかなくても、その予備軍のような人は結構おられると思います。
そのような方が精製炭水化物や清涼飲料水を常食すれば「気分のムラ、疲労感、仕事への集中力が欠ける」などの症状が起こるのでしょう。
糖質を摂取しなければ、眠気などの低血糖症状は起こらないので、しょうぞうさん、基本線は今の 糖質制限食を続けていかれたらよいと思いますよ。
(*)
糖尿病の人が糖質を摂取すると、未精製の穀物でさえも、食後血糖値は軽く200mgを超えてきます。この急峻な食後高血糖のことを「グルコーススパイク」とよび、糖尿病の人で動脈硬化が生じる元凶となります。
精製炭水化物を摂取した時に正常の人でも生じる食後血糖値が160mg、170mgという状態を、私は「グルコースミニスパイク」と名付けました。
このグルコースミニスパイクが、生体の恒常性をかく乱してアレルギー疾患を悪化させたり、将来の生活習慣病のもととなります。
過去世界中にいろんな食事療法がありましたが、経験的に有効とされているものは、玄米菜食、ゲルソン療法、甲田療法など基本的にグルコースミニスパイクが少ないという一点で一致しています。
私は現在、世界の文明国に氾濫する生活習慣病の元凶は、精製炭水化物やジャンクフードや清涼飲料水によるグルコースミニスパイクとインスリン過剰分泌と考えています。
江部康二
今日は薄曇りの京都です。
さて今回はしょうぞうさんから、糖質制限食とメンタルの安定についてコメント・質問をいただきました。
「09/10/15 しょうぞう
はじめまして
先日、先生のご本をはじめて読み、糖質制限食をはじめてみた41歳の男です。糖尿病ではないのですが、ご本の中で血糖値の安定によるメンタルの安定という点に興味をひかれはじめました。なぜなら私は長年、気分にムラがあり、また疲労感がいつもあり、仕事への集中力が欠ける点がありました。またお米がとても好きで食べすぎる傾向がありました。ご本を読んで、もしかすると糖質のとりすぎが原因だったのかもかと思いつきました。そこで一週間ほど前からはじめてみると劇的な変化があらわれました。それは朝の目覚めが異様によいことです。いつもいくら寝ても寝たりない感じがあり、しかも朝から疲れているようだったのが、目がさめた瞬間に頭が立ち上がるような感じで、しかも4時や5時に目ざめるのです。目の奥に感じていた何かつまっている感じもなくなりました。日中の気分の軽さもかつてないほどです。糖質を消化するのにこれほど体に負担があったのかと恐ろしくなるほどです。糖尿病対策、ダイエット対策として以外に現在の日本人の漠然とした疲労感、陰鬱感軽減対策として、先生の理論と実践は救世主となるのではないかと思いました。こういった観点での症例がありましたら、教えていただければと思います。」
しょうぞうさん。
コメント、本のご購入そして貴重な体験報告ありがとうございます。
また、長年の「気分のムラ、疲労感、仕事への集中力が欠ける」といった症状が糖質制限食により改善し、目覚めもよく日中の気分も軽いとのこと、良かったです。
「気分のムラ、疲労感、仕事への集中力が欠ける」といった症状は、グルコースミニスパイクが原因の可能性があります。(*)
現代人に日常的に生じているグルコースミニスパイクが、糖質制限食を実践すれば起こりません。このことがメンタルの安定にかなり関与していると思います。
もっとも解りやすい例は、機能性低血糖症です。
機能性低血糖症は、1924年アメリカのSeale Harrisによって指摘された疾患で、血糖値の低下に伴ない、精神的・身体的症状を来たす疾患です。
易疲労感、気力低下、眠気、集中力低下、物忘れ、不安、いらいら、頭痛、めまい、発汗、震え、心悸亢進、筋肉痛、甘いものに対する異常な欲求・・・ などの症状がみられます。
診断は、75g経口ブドウ糖負荷試験で行います。通常糖尿病の診断のためには空腹時に開始して、ブドウ糖を服用後2時間までの血糖値を測定します。機能性低血糖症の場合は、ブドウ糖服用後5時間まで血糖値を検査します。
機能性低血糖症の場合、負荷後30分で120~140mg程度に上昇した血糖値が60分で60mgになったりします。これだと眠気も来そうですね。さらに4時間後とかに40mgとかまで下がることもあります。
血糖値が40mgなら明らかな低血糖ですが、60mg以上あっても、血糖値が1時間で50mg以上下がると眠気などの症状も出やすいようです。
また、空腹時の検査開始時血糖値より20%以上、負荷後血糖値が下がる時点があることが多いようです。
糖質・タンパク質・脂質のうち、血糖値を急峻に上昇させるのは糖質だけですので、機能性低血糖症は基本的には精製された炭水化物を摂取したときに、インスリンが過剰分泌されて発症することが一番多いと思います。「炭水化物=糖質+食物繊維」です。
玄米は、白いパンや白米に比べれば、血糖値の上昇は少ないのですが、タンパク質や脂質に比べれば当然かなり上昇させます。
機能性低血糖症の確定診断はつかなくても、その予備軍のような人は結構おられると思います。
そのような方が精製炭水化物や清涼飲料水を常食すれば「気分のムラ、疲労感、仕事への集中力が欠ける」などの症状が起こるのでしょう。
糖質を摂取しなければ、眠気などの低血糖症状は起こらないので、しょうぞうさん、基本線は今の 糖質制限食を続けていかれたらよいと思いますよ。
(*)
糖尿病の人が糖質を摂取すると、未精製の穀物でさえも、食後血糖値は軽く200mgを超えてきます。この急峻な食後高血糖のことを「グルコーススパイク」とよび、糖尿病の人で動脈硬化が生じる元凶となります。
精製炭水化物を摂取した時に正常の人でも生じる食後血糖値が160mg、170mgという状態を、私は「グルコースミニスパイク」と名付けました。
このグルコースミニスパイクが、生体の恒常性をかく乱してアレルギー疾患を悪化させたり、将来の生活習慣病のもととなります。
過去世界中にいろんな食事療法がありましたが、経験的に有効とされているものは、玄米菜食、ゲルソン療法、甲田療法など基本的にグルコースミニスパイクが少ないという一点で一致しています。
私は現在、世界の文明国に氾濫する生活習慣病の元凶は、精製炭水化物やジャンクフードや清涼飲料水によるグルコースミニスパイクとインスリン過剰分泌と考えています。
江部康二
2009年10月19日 (月)
こんにちは。
今日も爽やかな秋晴れです。
高雄病院京都駅前診療所の外来診察を終えて、隣のホテルのバイキングをお腹いっぱい食べて、先ほど本院に帰ってきました。
さて今回は大阪のシンドバットさんから、血糖自己測定(SMBG)と簡易血糖自己測定器についてコメント・質問をいただきました。
「09/10/14 大阪のシンドバッド
簡易血糖測定器
みなさんこんにちは。
江部Dr いつもありがとうございます。
最近、毛細血管と静脈血管の血糖値の話が ありましたので私も読ませていただきました。
以下は、私個人が色々と測定した感想です。
私はニプロフリーダムを使用しています。
まず、結構数値にばらつきが有ると思います。
+-20位は平気でばらつきます。
同じタイミングで左右の指でも20位違う場合もあります。また同じ場所で同時に2回測定しても
5~10位ばらつきが有ることが多いです。
一度ニプロに問い合わせしたら、こんな物ですと 言われました。
グルコース試験薬を購入してゼロ調整をもくろみましたが、試験薬にも許容差が40位あったと思います。
また、簡易測定がいつも低めの値だと思って 安心していると、病院の検査と同じ時も多々有りました。
要は、あまり神経質にならないで血糖の動向を 見るためと割り切り、極端に変な数値が出たら 病院で検査するようにしています。
糖質制限を4月から始めましたが、血糖の変動は少なくなり、ニプロを使う回数も極端に減りました。定期的に病院で測定するA1cで十分かな?と思えるようになりました。
最後に質問なのですが 簡易測定器と病院での検査で 何か感知する成分に違いが有れば教えてください。たとえばこんな物を食べると簡易検査では高く出るよ。とか。」
大阪のシンドバッドさん。
コメント・情報ありがとうございます。
私も2008年に旧型のアセンシア・ブリーズから、ニプロフリースタイルフリーダムに変更しました。
“self-monitoring of blood glucose”血糖自己測定、頭文字をとってSMBGといいます。
食事療法、運動療法、薬物療法につぐ糖尿病治療の第四の柱といわれる血糖自己測定ですが、どんどん進歩して、5秒程度の時間で、以前より少量の血液(0.3μL~0.6μL)で測定でき、かなり便利になりました。以前は採血量が3μL必要で、測定結果も30秒必要でした。
「SMBGをすると、それ以前に比べてHbA1cが0.5%下がった」という米国の報告もあるようですので糖尿人必須のアイテムかもしれませんね。 (^^)
血糖値は、
「動脈血>毛細血管血>静脈血 」
の順に高くなります。
動脈から静脈に流れるにしたがって、筋組織などにブドウ糖を供給していくので、消費されて血糖値は少しずつ低くなっていきます。通常、特に食後においては、動脈血は静脈血より10~20mg血糖値が高いとされています。
病院の器械による血糖測定は、静脈の血液の血漿成分の血糖値です。一方、SMBGでは、指先の穿刺による毛細血管全血でです。
即ち、指頭のSMBG(毛細血管血)のほうが、10~20mg、病院の静脈血より高値となります。
また、病院や検査機関の検査機器に比べると、簡易血糖自己測定器の誤差はかなり大きいです。
センサーのロット誤差、個別誤差、機器の精度などいろいろあるので、メーカーの言う20%程度の誤差は、仕方ないと考えた方がいいですね。( ̄_ ̄|||)
例えば、江部康二の10月16日の、午前8:30の、空腹時手掌血糖値(毛細血管血)がSMBGで143mg/dl もあって、びっくりしました。
それで丁度いい機会なので、午前9時過ぎに江部診療所で空腹時採血して、微生物研究所に検査を依頼しました。その結果は100mg/dlでした。毛細血管血>静脈血ということを割り引いても、約20%の誤差ですね。
また、高雄病院に入院された糖尿人がSMBGを持っておられたら、病院のデータと比較することがあります。誤差は10~20mgていどまでのことも多いですが、やはり食後の血糖値では、40~60mgの差があることがあります。
高雄病院の経験による私見ですが、早朝空腹時血糖値は、メーカーのいうとおり誤差は10mgていどですむ可能性が高いですが、食後血糖値は、10~60mgの誤差が現実に生じるケースがあります。
次にSMBGの機種による差ですが、グルテストエース、グルテストNEO 、グルコカードα、デキスターZは、他の機種に比べて低値を示すようです。これらの機種は、指頭血(毛細血管血)を静脈血換算して表示しているので、低めにでるということです。
ご質問ですが、
「簡易測定器と病院での検査で 何か感知する成分に違いが有れば教えてください。たとえばこんな物を食べると簡易検査では高く出るよ。とか。」
通常の検査では、食べ物による差異はありません。血糖自己測定器の測定原理によって、輸液や透析液の影響を受けることがありますが、糖尿人が自分で自宅でSMBGをしている分にはまずそういうことはありませんね。
さて、ブログ読者の皆さんからSMBGについてたくさんのコメントをいただきました。まとめると、痛くなくて早くてエラーがなく、使いやすいのは
ニプロフリースタイルフリーダム
アキュチェックアビバ
グルテストNEO
あたりかなと思います。
1 痛くない
採血量が以前の機種が3μL必要なのに対して、
ニプロフリースタイルフリーダムは0.3μL
アキュチェックアビバ、グルテストNEOは0.6μL
と少ないです。これくらいの量だと、針で刺した皮膚の穴も小さくてすむので、痛くないのです。
また、ほとんどの機種が指先からの採血なのですが、ニプロフリースタイルフリーダムは、指先以外に、手掌、前腕、上腕、太股、ふくらはぎでもOKです。指先を使う仕事の人にはアドバンテージですね。
アキュチェックアビバ、ワンタッチウルトラも、指頭だけでなく手掌でも測定できます。その分、採血時の痛みはほとんど無いです。
私自身の経験では、指先はやはり敏感な部位ですので、たまに痛いことがあります。とくに3μL必要な旧型アセンシア・ブリーズではやや痛かったです。
最も簡単なのは手掌で、穿刺器具の針の深さは1(1~5まであります)と一番浅くして、外套を軽く押し込んで穿刺し、もう一回外套を軽く押して血液をしぼります。ニプロフリースタイルフリーダムはこれで大丈夫です。
2 早い
ニプロフリースタイルフリーダムとアキュチェックアビバは測定時間5秒と、おそらく全機種中最短です。グルテストNEOも5.5秒で、ほとんど遜色なしですね。
3 エラーがない
やはり、採血量が少ないほどエラーも出ないと思います。私もアセンシア・ブリーズのときは3μL必要なので、検体量が足らない時にエラーがでました。その意味では、ニプロフリースタイルフリーダムは0.3μLで最小の検体量ですね。
4 穿刺針の廃棄
アキュチェックアビバは、穿刺針がドラム式になっていて6回打てます。針先に触れずに捨てられるので、小さいお子さんがいても安心です。
アセンシアブリーズ 18000
アセンシアブリオ 11,600
ニプロフリースタイルフリーダム 14,700
ニプロフリースタイルフラッシュ 15,750
プレシジョンエクシード 12,600
メディセーフミニ 16,065
アキュチェックアビバ 16,222
アキュチェックコンパクトプラス 16,779
ワンタッチウルトラ 14,175
グルテストNEO 16,590
グルテストエースR 15,540
グルコカード ダイアメーターα 19,425
Gチェッカー 10000
といろいろありますが、お奨めは
ニプロフリースタイルフリーダム
アキュチェックアビバ
グルテストNEO
などです。
上述の特徴を参考にしていただいて、適宜選んでいただけば幸いです。
江部康二
今日も爽やかな秋晴れです。
高雄病院京都駅前診療所の外来診察を終えて、隣のホテルのバイキングをお腹いっぱい食べて、先ほど本院に帰ってきました。
さて今回は大阪のシンドバットさんから、血糖自己測定(SMBG)と簡易血糖自己測定器についてコメント・質問をいただきました。
「09/10/14 大阪のシンドバッド
簡易血糖測定器
みなさんこんにちは。
江部Dr いつもありがとうございます。
最近、毛細血管と静脈血管の血糖値の話が ありましたので私も読ませていただきました。
以下は、私個人が色々と測定した感想です。
私はニプロフリーダムを使用しています。
まず、結構数値にばらつきが有ると思います。
+-20位は平気でばらつきます。
同じタイミングで左右の指でも20位違う場合もあります。また同じ場所で同時に2回測定しても
5~10位ばらつきが有ることが多いです。
一度ニプロに問い合わせしたら、こんな物ですと 言われました。
グルコース試験薬を購入してゼロ調整をもくろみましたが、試験薬にも許容差が40位あったと思います。
また、簡易測定がいつも低めの値だと思って 安心していると、病院の検査と同じ時も多々有りました。
要は、あまり神経質にならないで血糖の動向を 見るためと割り切り、極端に変な数値が出たら 病院で検査するようにしています。
糖質制限を4月から始めましたが、血糖の変動は少なくなり、ニプロを使う回数も極端に減りました。定期的に病院で測定するA1cで十分かな?と思えるようになりました。
最後に質問なのですが 簡易測定器と病院での検査で 何か感知する成分に違いが有れば教えてください。たとえばこんな物を食べると簡易検査では高く出るよ。とか。」
大阪のシンドバッドさん。
コメント・情報ありがとうございます。
私も2008年に旧型のアセンシア・ブリーズから、ニプロフリースタイルフリーダムに変更しました。
“self-monitoring of blood glucose”血糖自己測定、頭文字をとってSMBGといいます。
食事療法、運動療法、薬物療法につぐ糖尿病治療の第四の柱といわれる血糖自己測定ですが、どんどん進歩して、5秒程度の時間で、以前より少量の血液(0.3μL~0.6μL)で測定でき、かなり便利になりました。以前は採血量が3μL必要で、測定結果も30秒必要でした。
「SMBGをすると、それ以前に比べてHbA1cが0.5%下がった」という米国の報告もあるようですので糖尿人必須のアイテムかもしれませんね。 (^^)
血糖値は、
「動脈血>毛細血管血>静脈血 」
の順に高くなります。
動脈から静脈に流れるにしたがって、筋組織などにブドウ糖を供給していくので、消費されて血糖値は少しずつ低くなっていきます。通常、特に食後においては、動脈血は静脈血より10~20mg血糖値が高いとされています。
病院の器械による血糖測定は、静脈の血液の血漿成分の血糖値です。一方、SMBGでは、指先の穿刺による毛細血管全血でです。
即ち、指頭のSMBG(毛細血管血)のほうが、10~20mg、病院の静脈血より高値となります。
また、病院や検査機関の検査機器に比べると、簡易血糖自己測定器の誤差はかなり大きいです。
センサーのロット誤差、個別誤差、機器の精度などいろいろあるので、メーカーの言う20%程度の誤差は、仕方ないと考えた方がいいですね。( ̄_ ̄|||)
例えば、江部康二の10月16日の、午前8:30の、空腹時手掌血糖値(毛細血管血)がSMBGで143mg/dl もあって、びっくりしました。
それで丁度いい機会なので、午前9時過ぎに江部診療所で空腹時採血して、微生物研究所に検査を依頼しました。その結果は100mg/dlでした。毛細血管血>静脈血ということを割り引いても、約20%の誤差ですね。
また、高雄病院に入院された糖尿人がSMBGを持っておられたら、病院のデータと比較することがあります。誤差は10~20mgていどまでのことも多いですが、やはり食後の血糖値では、40~60mgの差があることがあります。
高雄病院の経験による私見ですが、早朝空腹時血糖値は、メーカーのいうとおり誤差は10mgていどですむ可能性が高いですが、食後血糖値は、10~60mgの誤差が現実に生じるケースがあります。
次にSMBGの機種による差ですが、グルテストエース、グルテストNEO 、グルコカードα、デキスターZは、他の機種に比べて低値を示すようです。これらの機種は、指頭血(毛細血管血)を静脈血換算して表示しているので、低めにでるということです。
ご質問ですが、
「簡易測定器と病院での検査で 何か感知する成分に違いが有れば教えてください。たとえばこんな物を食べると簡易検査では高く出るよ。とか。」
通常の検査では、食べ物による差異はありません。血糖自己測定器の測定原理によって、輸液や透析液の影響を受けることがありますが、糖尿人が自分で自宅でSMBGをしている分にはまずそういうことはありませんね。
さて、ブログ読者の皆さんからSMBGについてたくさんのコメントをいただきました。まとめると、痛くなくて早くてエラーがなく、使いやすいのは
ニプロフリースタイルフリーダム
アキュチェックアビバ
グルテストNEO
あたりかなと思います。
1 痛くない
採血量が以前の機種が3μL必要なのに対して、
ニプロフリースタイルフリーダムは0.3μL
アキュチェックアビバ、グルテストNEOは0.6μL
と少ないです。これくらいの量だと、針で刺した皮膚の穴も小さくてすむので、痛くないのです。
また、ほとんどの機種が指先からの採血なのですが、ニプロフリースタイルフリーダムは、指先以外に、手掌、前腕、上腕、太股、ふくらはぎでもOKです。指先を使う仕事の人にはアドバンテージですね。
アキュチェックアビバ、ワンタッチウルトラも、指頭だけでなく手掌でも測定できます。その分、採血時の痛みはほとんど無いです。
私自身の経験では、指先はやはり敏感な部位ですので、たまに痛いことがあります。とくに3μL必要な旧型アセンシア・ブリーズではやや痛かったです。
最も簡単なのは手掌で、穿刺器具の針の深さは1(1~5まであります)と一番浅くして、外套を軽く押し込んで穿刺し、もう一回外套を軽く押して血液をしぼります。ニプロフリースタイルフリーダムはこれで大丈夫です。
2 早い
ニプロフリースタイルフリーダムとアキュチェックアビバは測定時間5秒と、おそらく全機種中最短です。グルテストNEOも5.5秒で、ほとんど遜色なしですね。
3 エラーがない
やはり、採血量が少ないほどエラーも出ないと思います。私もアセンシア・ブリーズのときは3μL必要なので、検体量が足らない時にエラーがでました。その意味では、ニプロフリースタイルフリーダムは0.3μLで最小の検体量ですね。
4 穿刺針の廃棄
アキュチェックアビバは、穿刺針がドラム式になっていて6回打てます。針先に触れずに捨てられるので、小さいお子さんがいても安心です。
アセンシアブリーズ 18000
アセンシアブリオ 11,600
ニプロフリースタイルフリーダム 14,700
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グルコカード ダイアメーターα 19,425
Gチェッカー 10000
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などです。
上述の特徴を参考にしていただいて、適宜選んでいただけば幸いです。
江部康二
2009年10月18日 (日)
【講演会のお知らせ】
☆☆☆
講座「食事で治すアトピー・糖尿病・メタボ」
-テーラーメードダイエットと糖質制限食-
会場 朝日カルチャーセンター芦屋
http://www.asahi-culture.co.jp/www/ashiya-i.html
TEL 0797-38-2666
日時 2009年10月30日 金曜日 13:00~14:30
参加費 会員2,415 一般2,835
【高雄病院、医師・看護師募集】
募集要項
随時面接選考いたします。
詳細は、下記までお問い合せ下さい。
〒616-8265
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
財団法人 高雄病院
事務長 岡本 敏雄
TEL 075-872-0027
FAX 075-871-6865
E-mail okamoto@takao-hospital.jp
【コメント・質問に関するお知らせ・お願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
読者の皆さんからご意見いただきましたが、確かに普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、主治医にご相談頂けば助かります。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内・保険適応】
お問い合わせは高雄病院
http://www.takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
【糖質制限食外来治療のご案内・予約制・保険適応】
高雄病院 電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院京都駅前診療所 電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
http://www.takao-hospital.net/
江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
【糖質制限食とは】
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。
また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
一方、タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。これらは、含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を急峻に上昇させます。従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。
脂質は血糖値をほとんど上昇させないので、インスリンの追加分泌は、ほとんどありません。タンパク質はごく少量のインスリンを分泌させます。
現在糖尿病において食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
そして食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても糖質含有量は1gもないので食後高血糖はほとんど生じないのです。 なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなようにカロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。
なお糖質制限食はカロリー無制限ということではありません。一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
☆☆☆
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。*炭水化物=糖質+食物繊維
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。 一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」
「 糖質制限食 春のレシピ」
「 糖質制限食 夏のレシピ」
「糖質制限食 秋のレシピ」
「糖質制限食 冬のレシピ」
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」
(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)
を参考にされ、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
なお、血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。糖質制限食は、相対的に高タンパク食になるので腎不全には適応とならないのです。
☆☆☆
講座「食事で治すアトピー・糖尿病・メタボ」
-テーラーメードダイエットと糖質制限食-
会場 朝日カルチャーセンター芦屋
http://www.asahi-culture.co.jp/www/ashiya-i.html
TEL 0797-38-2666
日時 2009年10月30日 金曜日 13:00~14:30
参加費 会員2,415 一般2,835
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募集要項
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詳細は、下記までお問い合せ下さい。
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TEL 075-872-0027
FAX 075-871-6865
E-mail okamoto@takao-hospital.jp
【コメント・質問に関するお知らせ・お願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
読者の皆さんからご意見いただきましたが、確かに普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、主治医にご相談頂けば助かります。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
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お問い合わせは高雄病院
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住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
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京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院京都駅前診療所 電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
http://www.takao-hospital.net/
江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
【糖質制限食とは】
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。
また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
一方、タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。これらは、含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を急峻に上昇させます。従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。
脂質は血糖値をほとんど上昇させないので、インスリンの追加分泌は、ほとんどありません。タンパク質はごく少量のインスリンを分泌させます。
現在糖尿病において食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
そして食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても糖質含有量は1gもないので食後高血糖はほとんど生じないのです。 なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなようにカロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。
なお糖質制限食はカロリー無制限ということではありません。一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
☆☆☆
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。*炭水化物=糖質+食物繊維
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。 一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」
「 糖質制限食 春のレシピ」
「 糖質制限食 夏のレシピ」
「糖質制限食 秋のレシピ」
「糖質制限食 冬のレシピ」
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」
(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)
を参考にされ、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
なお、血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。糖質制限食は、相対的に高タンパク食になるので腎不全には適応とならないのです。
2009年10月16日 (金)
おはようございます。
今日も爽やかな秋晴れです。凛とした涼しさを感じます。
食い気は抜きにしても、秋は一番好きな季節です。(^^)
さて今回は、1型糖尿病のゆかさんから、「1型糖尿病と糖質制限食と暁現象」について、コメント・質問をいただきました。
「09/10/15 ゆか
一型糖尿病と糖質制限食と暁現象…
おはようございます!
いつもありがとうございます!
おかげさまで、MAX7.0あったHba1cも5.8まで下がりました!
インスリンも食前にヒューマログ2単位ですんでおり、主治医からも一型でこの状態は良好だよと言っていただいてます!
ただ早朝の血糖値は130~高いと140を超えることもあります…
(先月より就寝前にヒューマカートを4単位うっています)
毎食後は糖質制限をしてるので、正常値内でおさまるのですが、やはり暁現象を落ち着かせるのは、薬しかないでしょうか?糖質制限食で暁現象をおさえるのは難しいでしょうか?」
ゆかさん。
コメントありがとうございます。
主治医殿の仰有るとおり、1型糖尿病で
HbA1c7.0%→5.8%
というのはなかなか素晴らしい数字です。
平均血糖値=(HbA1c-1.7)×30
ですので、
ゆかさんは123mg/dlです。
また、
眠前にヒューマカート4単位、
毎食前にヒューマログ2単位、
というのも、非常に少ない量のインスリンでコントロールできていて、代謝にも優しく好ましいですね。 (^_^)
早朝空腹時血糖値ですが、やはり暁現象(*)の影響もあると思います。
一方、ヒューマカートNは中間型インスリンなので、
作用発現が1~3時間、
作用時間のピークが8~10時間で、
持続時間が18~24時間です。
持続時間は、現実には18時間ていどと思われます。作用時間にピークがある分、夜中の低血糖もやや心配です。
一方、ランタスソロスター300は、
発現時間が1~2時間、
作用時間のピークなし、
持続時間は約22時間~24時間、
なので、基礎分泌の代わりとして、一番生理的な状態に近くてしかも夜中の低血糖も起こしにくいという利点があります。
まとめとして
①1型糖尿病は、1日4回注射が基本である。
②基礎分泌インスリンの役割は、ランタスソロスター300が一番好ましい。
注射は原則として1日1回。時に1日2回に分ける方がコントロール良好。
③追加分泌インスリンの役割は、超速効型インスリンを毎食前10分に注射。
ノボラッピド、ヒューマログ、アピドラの3種類があります。
ゆかさん。
主治医殿とよく相談されて、ランタスソロスター300で早朝空腹時血糖値を90~125mg/dlくらいに保つことを目指しては如何でしょう。これなら低血糖にもならず、HbA1cはさらに改善すると思いますよ。ヾ(^▽^)
(*)暁現象と早朝空腹時血糖値
インスリン基礎分泌が不足してくると、夜間の肝の糖新生を制御できずに、早朝空腹時血糖値が高値となる。
また、就寝時より起床時の血糖値の方が、高値となることがある。就寝後8~10時間で、血糖値が上昇する暁現象である。
肝臓が早朝には、他の時間帯以上に、血液中に循環しているインスリンを不活化させるため肝臓の糖新生が高まり、起床時に就寝時より血糖値が高くなる。
1型では暁現象がはっきりしていることが多い。2型でも暁現象を示すことはある。
今日も爽やかな秋晴れです。凛とした涼しさを感じます。
食い気は抜きにしても、秋は一番好きな季節です。(^^)
さて今回は、1型糖尿病のゆかさんから、「1型糖尿病と糖質制限食と暁現象」について、コメント・質問をいただきました。
「09/10/15 ゆか
一型糖尿病と糖質制限食と暁現象…
おはようございます!
いつもありがとうございます!
おかげさまで、MAX7.0あったHba1cも5.8まで下がりました!
インスリンも食前にヒューマログ2単位ですんでおり、主治医からも一型でこの状態は良好だよと言っていただいてます!
ただ早朝の血糖値は130~高いと140を超えることもあります…
(先月より就寝前にヒューマカートを4単位うっています)
毎食後は糖質制限をしてるので、正常値内でおさまるのですが、やはり暁現象を落ち着かせるのは、薬しかないでしょうか?糖質制限食で暁現象をおさえるのは難しいでしょうか?」
ゆかさん。
コメントありがとうございます。
主治医殿の仰有るとおり、1型糖尿病で
HbA1c7.0%→5.8%
というのはなかなか素晴らしい数字です。
平均血糖値=(HbA1c-1.7)×30
ですので、
ゆかさんは123mg/dlです。
また、
眠前にヒューマカート4単位、
毎食前にヒューマログ2単位、
というのも、非常に少ない量のインスリンでコントロールできていて、代謝にも優しく好ましいですね。 (^_^)
早朝空腹時血糖値ですが、やはり暁現象(*)の影響もあると思います。
一方、ヒューマカートNは中間型インスリンなので、
作用発現が1~3時間、
作用時間のピークが8~10時間で、
持続時間が18~24時間です。
持続時間は、現実には18時間ていどと思われます。作用時間にピークがある分、夜中の低血糖もやや心配です。
一方、ランタスソロスター300は、
発現時間が1~2時間、
作用時間のピークなし、
持続時間は約22時間~24時間、
なので、基礎分泌の代わりとして、一番生理的な状態に近くてしかも夜中の低血糖も起こしにくいという利点があります。
まとめとして
①1型糖尿病は、1日4回注射が基本である。
②基礎分泌インスリンの役割は、ランタスソロスター300が一番好ましい。
注射は原則として1日1回。時に1日2回に分ける方がコントロール良好。
③追加分泌インスリンの役割は、超速効型インスリンを毎食前10分に注射。
ノボラッピド、ヒューマログ、アピドラの3種類があります。
ゆかさん。
主治医殿とよく相談されて、ランタスソロスター300で早朝空腹時血糖値を90~125mg/dlくらいに保つことを目指しては如何でしょう。これなら低血糖にもならず、HbA1cはさらに改善すると思いますよ。ヾ(^▽^)
(*)暁現象と早朝空腹時血糖値
インスリン基礎分泌が不足してくると、夜間の肝の糖新生を制御できずに、早朝空腹時血糖値が高値となる。
また、就寝時より起床時の血糖値の方が、高値となることがある。就寝後8~10時間で、血糖値が上昇する暁現象である。
肝臓が早朝には、他の時間帯以上に、血液中に循環しているインスリンを不活化させるため肝臓の糖新生が高まり、起床時に就寝時より血糖値が高くなる。
1型では暁現象がはっきりしていることが多い。2型でも暁現象を示すことはある。
2009年10月15日 (木)
おはようございます。
今回は甘いみかんさんから「太った人の方が痩せた人より長生き?」というコメント・質問をいただきました。
それでネットで調べて「2009年6月10日 読売新聞」の記事に辿り着きました。
「09/10/12 甘いみかん
お久しぶりです
今日のニュースで、太った人と痩せた人では太っている方が六年寿命が長いという統計が出たと言ってましたが・・・
糖質制限食とは一線をかくしたデーターと見なしていいのでしょうか?
メタボは肯定されてしまいます (>_<) 」
『太り気味、やせ形より7年長生き…厚労省5万人調査
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/kyousei_news/20090610-OYT8T00634.htm
40歳時点の体格によってその後の余命に大きな差があり、太り気味の人が最も長命であることが、厚生労働省の研究班(研究代表者=辻一郎東北大教授)の大規模調査で分かった。
最も短命なのはやせた人で、太り気味の人より6~7歳早く死ぬという、衝撃的な結果になった。「メタボ」対策が世の中を席巻する中、行きすぎたダイエットにも警鐘を鳴らすものといえそうだ。
研究では、宮城県内の40歳以上の住民約5万人を対象に12年間、健康状態などを調査した。過去の体格も調べ、体の太さの指標となるBMI(ボディー・マス・インデックス)ごとに40歳時点の平均余命を分析した結果、普通体重(BMIが18・5以上25未満)が男性39・94年、女性47・97年なのに対し、太り気味(同25以上30未満)は男性が41・64年、女性が48・05年と長命だった。しかし、さらに太って「肥満」(同30以上)に分類された人は男性が39・41年、女性が46・02年だった。
一方、やせた人(同18・5未満)は男性34・54年、女性41・79年にとどまった。病気でやせている例などを統計から排除しても傾向は変わらなかった。やせた人に喫煙者が多いほか、やせていると感染症にかかりやすいという説もあり、様々な原因が考えられるという。
体格と寿命の因果関係は、はっきり分かっていない。このため、太り気味の人が長命という今回の結果について、研究を担当した東北大の栗山進一准教授は「無理に太れば寿命が延びるというものではない」とくぎを刺す。
同じ研究で、医療費の負担は太っているほど重くなることも分かった。肥満の人が40歳以降にかかる医療費の総額は男性が平均1521万円、女性が同1860万円。どちらもやせた人の1・3倍かかっていたという。太っていると、生活習慣病などで治療が長期にわたる例が多く、高額な医療費がかかる脳卒中などを発症する頻度も高い可能性があるという。
(2009年6月10日 読売新聞)』
甘いみかんさん。
お久しぶりです。コメントありがとうございます。
「太り気味、やせ形より7年長生き」というこの研究も含めて過去の疫学研究は全て、3食糖質を摂取している人のものです。
糖質、脂質、蛋白質のうち、糖質が最も太りやすい栄養素です。健康な成人が、現代のように運動不足で糖質中心の食生活をおくっていれば、基礎代謝が低下してくる中年あたりから小太りになると思われます。
例えば神奈川県伊勢原市の住民(男性9494人、女性13605人)を平均7年間追跡した結果でも、
BMI25.0~26.9の人の死亡率が一番低いです。*
さして運動もしてなくて、糖質中心に摂取していても痩せている中高年の人は、病気とは言えない程度の何らかの吸収障害があるか、隠れた慢性基礎疾患がある可能性があります。
また記事の如く喫煙者も痩せています。或いは生来食の細い人、風邪をひきやすい人、いわゆる虚弱体質の人です。
痩せていても健康度の高い中高年は、糖質制限食をしている人、スポーツを継続的に一定量・回数こなしている人などです。
痩せていて健康度の高い人は、血中アルブミン値が正常~正常高値で、HDLコレステロール値も正常~あるていど正常高値で、LDL-コレステロロール値も100以上はある人です。この条件が満たされていれば、肺炎など感染症にもかかりにくいです。
例えば江部康二は、痩せ形で結構忙しくしていますが、1974年に医師になって以来、ひどい風邪やインフルエンザなどで外来を休んだことは1度もありません。
また2002年に糖質制限食を始めてからは、風邪もほとんどひきません。せいぜい0~1回/年です。
甘いみかんさんもやせ形でも、血中アルブミン、HDL-C、LDL-Cが上記条件を満たしていれば、健康で免疫力も高いと思いますよ。
☆☆☆
江部康二検査データ:2009.6.12
身長167cm 体重56kg BMI20.1
空腹時採血血糖値93mg
HbA1c:5.3%
ケトン体:945μM/L(26~122) 糖質制限食中は生理的で正常値
尿酸:3.6(3.4~7.0)
TC:238
TG:55
HDL-C:113.5
LDL-C:113
アルブミン:4.9(3.8-5.3)
BUN:18.7(8~20)
クレアチニン:0.64(0.6~1.1)
シスタチンC:0.57(0.53~0.95)
IRI:2.2(3~15μU/ml)
NT-ProBNP:15pg/ml(125以下)
γGTP:39
尿中アルブミン:18.6mg/g・c(30.0未満)
尿蛋白:陰性
尿糖:陰性
尿中アセトン体:陰性
*大櫛陽一 「ちょいメタ」でも大丈夫 PHP 2008年
江部康二
今回は甘いみかんさんから「太った人の方が痩せた人より長生き?」というコメント・質問をいただきました。
それでネットで調べて「2009年6月10日 読売新聞」の記事に辿り着きました。
「09/10/12 甘いみかん
お久しぶりです
今日のニュースで、太った人と痩せた人では太っている方が六年寿命が長いという統計が出たと言ってましたが・・・
糖質制限食とは一線をかくしたデーターと見なしていいのでしょうか?
メタボは肯定されてしまいます (>_<) 」
『太り気味、やせ形より7年長生き…厚労省5万人調査
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/kyousei_news/20090610-OYT8T00634.htm
40歳時点の体格によってその後の余命に大きな差があり、太り気味の人が最も長命であることが、厚生労働省の研究班(研究代表者=辻一郎東北大教授)の大規模調査で分かった。
最も短命なのはやせた人で、太り気味の人より6~7歳早く死ぬという、衝撃的な結果になった。「メタボ」対策が世の中を席巻する中、行きすぎたダイエットにも警鐘を鳴らすものといえそうだ。
研究では、宮城県内の40歳以上の住民約5万人を対象に12年間、健康状態などを調査した。過去の体格も調べ、体の太さの指標となるBMI(ボディー・マス・インデックス)ごとに40歳時点の平均余命を分析した結果、普通体重(BMIが18・5以上25未満)が男性39・94年、女性47・97年なのに対し、太り気味(同25以上30未満)は男性が41・64年、女性が48・05年と長命だった。しかし、さらに太って「肥満」(同30以上)に分類された人は男性が39・41年、女性が46・02年だった。
一方、やせた人(同18・5未満)は男性34・54年、女性41・79年にとどまった。病気でやせている例などを統計から排除しても傾向は変わらなかった。やせた人に喫煙者が多いほか、やせていると感染症にかかりやすいという説もあり、様々な原因が考えられるという。
体格と寿命の因果関係は、はっきり分かっていない。このため、太り気味の人が長命という今回の結果について、研究を担当した東北大の栗山進一准教授は「無理に太れば寿命が延びるというものではない」とくぎを刺す。
同じ研究で、医療費の負担は太っているほど重くなることも分かった。肥満の人が40歳以降にかかる医療費の総額は男性が平均1521万円、女性が同1860万円。どちらもやせた人の1・3倍かかっていたという。太っていると、生活習慣病などで治療が長期にわたる例が多く、高額な医療費がかかる脳卒中などを発症する頻度も高い可能性があるという。
(2009年6月10日 読売新聞)』
甘いみかんさん。
お久しぶりです。コメントありがとうございます。
「太り気味、やせ形より7年長生き」というこの研究も含めて過去の疫学研究は全て、3食糖質を摂取している人のものです。
糖質、脂質、蛋白質のうち、糖質が最も太りやすい栄養素です。健康な成人が、現代のように運動不足で糖質中心の食生活をおくっていれば、基礎代謝が低下してくる中年あたりから小太りになると思われます。
例えば神奈川県伊勢原市の住民(男性9494人、女性13605人)を平均7年間追跡した結果でも、
BMI25.0~26.9の人の死亡率が一番低いです。*
さして運動もしてなくて、糖質中心に摂取していても痩せている中高年の人は、病気とは言えない程度の何らかの吸収障害があるか、隠れた慢性基礎疾患がある可能性があります。
また記事の如く喫煙者も痩せています。或いは生来食の細い人、風邪をひきやすい人、いわゆる虚弱体質の人です。
痩せていても健康度の高い中高年は、糖質制限食をしている人、スポーツを継続的に一定量・回数こなしている人などです。
痩せていて健康度の高い人は、血中アルブミン値が正常~正常高値で、HDLコレステロール値も正常~あるていど正常高値で、LDL-コレステロロール値も100以上はある人です。この条件が満たされていれば、肺炎など感染症にもかかりにくいです。
例えば江部康二は、痩せ形で結構忙しくしていますが、1974年に医師になって以来、ひどい風邪やインフルエンザなどで外来を休んだことは1度もありません。
また2002年に糖質制限食を始めてからは、風邪もほとんどひきません。せいぜい0~1回/年です。
甘いみかんさんもやせ形でも、血中アルブミン、HDL-C、LDL-Cが上記条件を満たしていれば、健康で免疫力も高いと思いますよ。
☆☆☆
江部康二検査データ:2009.6.12
身長167cm 体重56kg BMI20.1
空腹時採血血糖値93mg
HbA1c:5.3%
ケトン体:945μM/L(26~122) 糖質制限食中は生理的で正常値
尿酸:3.6(3.4~7.0)
TC:238
TG:55
HDL-C:113.5
LDL-C:113
アルブミン:4.9(3.8-5.3)
BUN:18.7(8~20)
クレアチニン:0.64(0.6~1.1)
シスタチンC:0.57(0.53~0.95)
IRI:2.2(3~15μU/ml)
NT-ProBNP:15pg/ml(125以下)
γGTP:39
尿中アルブミン:18.6mg/g・c(30.0未満)
尿蛋白:陰性
尿糖:陰性
尿中アセトン体:陰性
*大櫛陽一 「ちょいメタ」でも大丈夫 PHP 2008年
江部康二
2009年10月14日 (水)
糖質制限食の臨床実践は、1999年から釜池豊秋先生が宇和島で開始し、同時に高雄病院でも私の兄江部洋一郎院長が開始し有効例を重ねていきました。
釜池先生は肥満・メタボリックシンドローム・糖尿病などに応用し、高雄病院では当初糖尿病に特化して症例を積み重ねました。
特に2001年に私自身の糖尿病症例、第1例目を経験してからは、病院をあげて精力的に糖質制限食の研究を行いました。
その経験を踏まえ2005年に私が「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」糖質制限食のすすめ(東洋経済新報社)を出版しました。
その後、荒木裕先生が2006年「断糖宣言!」(エディットハウス)を出版され、釜池豊秋先生が2007年に「糖質ゼロの食事術」(実業之日本社)を出版されました。
私は、
2008年「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」(東洋経済新報社)
2009年「我ら糖尿人、元気なのには理由がある」(東洋経済新報社)
を出版し、糖質制限食理論の充実をめざしました。
医学文献では、2004年6月号の京都医学界雑誌に、私が糖質制限食が糖尿病に有効だった3症例の報告を行いました。(1)
医学文献としては、この報告が本邦初だと思います。
灰本元先生は2008年に、2年間の介入研究で糖質制限食は高糖質食と摂取カロリーは同一でも有意に2年後のHbA1cとBMIが改善することを英文雑誌に報告しました。(2)
2009年には、重症糖尿病(HbA1c>9.0%)への糖質制限食治療で、インスリンを使用することなく半年後にHbA1c10.9から7.2%へ下がり、LDL-Cは低下、HDL-Cは上昇することを英文雑誌に報告しました。(3)
春日井市の灰本元先生は京都漢方シンポジウムで糖質制限食のことを学ばれ、早速ご自分のクリニックで実践されて、貴重な論文報告をされました。
坂東浩先生、中村巧先生は約1000人を肥満外来で治療し糖質制限食の有効性を2008年に報告されました。(4)
2009年、医学雑誌・治療に私が糖質制限食の小論文を発表しました。(5)
学会発表としては、東海大学の山門一平先生、大櫛陽一先生、金大成先生と一緒に、2009年糖尿病学会年次学術集会で、糖質制限食の有効性を初めて報告しました。(6)
福岡の丸岡先生もこの学会で糖質制限食の発表をされました。
日本における糖質制限食の歩みを概観してみましたが、一歩一歩確実に、医学界にも浸透しているのがよくわかります。糖質制限食の未来は明るいと確信しています。 (^_^)
江部康二
(1)江部康二他:糖尿病食事療法として糖質制限食を実施した3症例,
京都医学会雑誌51(1):125-130、2004
(2)Haimoto H, et all:Long-term effects of a diet loosely restricting carbohydrates on HbA1c levels, BMI and tapering of sulfonylureas in type 2 diabetes: a 2-year follow-up study.Diabetes Research and Clinical Practice, 79, (2), 350-356,2008.
(3)Haimoto H, et all:Effects of a low-carbohydrate diet on glycemic control in outpatients with severe type 2 diabetes.Nutrition & metabolism.6(21)2009.
(4)坂東浩,中村巧:カーボカウントと糖質制限食, 治療,90(12):3105-3111,2008
(5)江部康二:主食を抜けば(糖質を制限すれば)糖尿病は良くなる!,
治療,91(4):682-683,2009
(6)山門一平,江部康二,金大成,大櫛陽一:2型糖尿病における低炭水化物食の有用性とテーラーメード運動処方,第52回日本糖尿病学会年次学術集会
釜池先生は肥満・メタボリックシンドローム・糖尿病などに応用し、高雄病院では当初糖尿病に特化して症例を積み重ねました。
特に2001年に私自身の糖尿病症例、第1例目を経験してからは、病院をあげて精力的に糖質制限食の研究を行いました。
その経験を踏まえ2005年に私が「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」糖質制限食のすすめ(東洋経済新報社)を出版しました。
その後、荒木裕先生が2006年「断糖宣言!」(エディットハウス)を出版され、釜池豊秋先生が2007年に「糖質ゼロの食事術」(実業之日本社)を出版されました。
私は、
2008年「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」(東洋経済新報社)
2009年「我ら糖尿人、元気なのには理由がある」(東洋経済新報社)
を出版し、糖質制限食理論の充実をめざしました。
医学文献では、2004年6月号の京都医学界雑誌に、私が糖質制限食が糖尿病に有効だった3症例の報告を行いました。(1)
医学文献としては、この報告が本邦初だと思います。
灰本元先生は2008年に、2年間の介入研究で糖質制限食は高糖質食と摂取カロリーは同一でも有意に2年後のHbA1cとBMIが改善することを英文雑誌に報告しました。(2)
2009年には、重症糖尿病(HbA1c>9.0%)への糖質制限食治療で、インスリンを使用することなく半年後にHbA1c10.9から7.2%へ下がり、LDL-Cは低下、HDL-Cは上昇することを英文雑誌に報告しました。(3)
春日井市の灰本元先生は京都漢方シンポジウムで糖質制限食のことを学ばれ、早速ご自分のクリニックで実践されて、貴重な論文報告をされました。
坂東浩先生、中村巧先生は約1000人を肥満外来で治療し糖質制限食の有効性を2008年に報告されました。(4)
2009年、医学雑誌・治療に私が糖質制限食の小論文を発表しました。(5)
学会発表としては、東海大学の山門一平先生、大櫛陽一先生、金大成先生と一緒に、2009年糖尿病学会年次学術集会で、糖質制限食の有効性を初めて報告しました。(6)
福岡の丸岡先生もこの学会で糖質制限食の発表をされました。
日本における糖質制限食の歩みを概観してみましたが、一歩一歩確実に、医学界にも浸透しているのがよくわかります。糖質制限食の未来は明るいと確信しています。 (^_^)
江部康二
(1)江部康二他:糖尿病食事療法として糖質制限食を実施した3症例,
京都医学会雑誌51(1):125-130、2004
(2)Haimoto H, et all:Long-term effects of a diet loosely restricting carbohydrates on HbA1c levels, BMI and tapering of sulfonylureas in type 2 diabetes: a 2-year follow-up study.Diabetes Research and Clinical Practice, 79, (2), 350-356,2008.
(3)Haimoto H, et all:Effects of a low-carbohydrate diet on glycemic control in outpatients with severe type 2 diabetes.Nutrition & metabolism.6(21)2009.
(4)坂東浩,中村巧:カーボカウントと糖質制限食, 治療,90(12):3105-3111,2008
(5)江部康二:主食を抜けば(糖質を制限すれば)糖尿病は良くなる!,
治療,91(4):682-683,2009
(6)山門一平,江部康二,金大成,大櫛陽一:2型糖尿病における低炭水化物食の有用性とテーラーメード運動処方,第52回日本糖尿病学会年次学術集会
2009年10月13日 (火)
こんにちは。
10月11日(日)、12日(月)と高雄病院で京都漢方シンポジウムが開催されました。
日本全国から、日頃漢方臨床実践をしておられる医師・薬剤師が約50名集まって活発な討論がなされました。糖質制限食の話も2題でました。
高知からは宮川貴弘先生が参加されてました。
まだ開業して間もないそうですが、気管支喘息・アトピーなどアレルギー疾患、膠原病、消化器疾患など、漢方医ですので幅広く診療されてます。
糖質制限食にも精通しておられるので高知の糖尿人は受診されては如何でしょう。
宮川漢方クリニック
高知市南はりまや町2丁目12番21号
電話:088-882-9770
さて今回は、糖尿病と合併症についてH-D欲しいさんから、コメント・質問をいただきました。
「09/10/08 H-D欲しい
タイトルなし
ご無沙汰しております、7月に質問にご回答いただきました旧・H-D大好き、現・H-D欲しいです。実は9月に10年も付き合ったHarley-Davidsonを盗まれてしまい、このように改名せざるを得なくなってしまいました(T_T)
しかしながら、不幸なことがあっても自虐ネタとして笑い飛ばせるくらいのポジティブさを取り戻せたのは先生のブログとの出会いのおかげと、いくら感謝しても感謝しきれない気持ちです。
その後もA1cは緩やかに下がり続け、8月に5.1%となりました。体重も90キロ->70キロとなり、BMIも27->21弱と大幅に改善いたしました。しかも3日に1回は中華のバイキングで動けなくなる寸前まで食べ、ほぼ毎日アイス(カロリーコントロールアイスですが)を楽しんでいての数字です。QOL(と言うか、ただの食欲満足度かもしれませんが)を落とさずに良好な血糖コントロールを得られるからこそポジティブにもなれる、と思っております。
さて、ご報告とご質問よろしいでしょうか。
まずは報告の方ですが、私の口渇の正体が分かりかけてまいりました。
糖尿病になると、口腔内をはじめ、あらゆる粘膜がドライ状態になるので口臭に注意が必要だ、と読みかじったことがあります。無知な私は仕事柄、それはあってはならないとばかりに毎食後にブラシの届く限り10分以上かけて歯茎、舌を含めて丹念に(のつもりで力まかせに)ゴシゴシとブラッシングしておりました。ところが昨日、気が抜けたか毎日の習慣であったところの過剰ブラッシングを朝・昼と連続でスコーンと忘れ、それを思い出した夕方頃、いつもより口の中が潤っていることに気付いたのです(^-^;)
「...これだったのか...」
といったカンジでした(笑)まず歯本体以外へのブラッシングを今までより控え、様子を見ることにいたします。
質問の方も読みかじりに起因した杞憂かもしれませんが、どうも左の足の裏にだけ何かガムテープのようなものが貼りついたままのような感覚が少しあります。糖尿病神経障害の初期症状に、そのようなことがあると聞き及んだような気がします。ただ、もし神経障害の初期症状ならば、必ず両方の手や足の同じ部位に生じる、とも聞き及んだ気がします。また左の肩だけ異様に凝ります。以前から凝りはありましたが、比べてみれば左の方が少しひどいかな、程度の差でした。
ここで質問なのですが、
?足の裏の感覚も肩の凝りも左右差が著しいのですが、初期ならば神経障害が片方にだけ生じることもあり得ますか?
?去年の6月にA1cが5.7%だったことから、食後高血糖はあったかもしれなくとも糖尿病の確定段階ではなかったと思います(思いたいです)。一年未満でも神経障害にまで至る可能性はありますか?
?段階によるかもしれませんが、神経障害は可逆性なのでしょうか?また良好な血糖コントロールによって進行を食い止めることは可能でしょうか?
の3点です。
またまた長文な上に、いくつも質問してしまい恐縮ですが、ご回答いただければ幸いですm(_ _)m
東京も寒くなってまいりましたが、先生もどうか体調を崩されないよう、ご自愛下さい。
では。」
H-D欲しいさん。
コメントありがとうございます。
「A1cは緩やかに下がり続け、8月に5.1%となりました。体重も90キロ->70キロとなり、BMIも27->21弱と大幅に改善いたしました。」
素晴らしい改善ですね。お見事です。あっぱれあっぱれ。(^-^)v(^-^)v
「3日に1回は中華のバイキングで動けなくなる寸前まで食べ、ほぼ毎日アイス(カロリーコントロールアイスですが)を楽しんでいての数字です。QOL(と言うか、ただの食欲満足度かもしれませんが)を落とさずに良好な血糖コントロールを得られるからこそポジティブにもなれる、と思っております。」
美味しく楽しく糖質制限食ですから、食生活の満足度は、QOLにおいてとても大事だと思います。
先日ある糖尿人の患者さんが「美味しく楽しく豊かに糖質制限食実践してます。」と仰有ってました。
だんだん、キャッチコピーの字数が増えていきます。
「美味しく楽しく豊かに末長く糖質制限食」ですね。(⌒o⌒)v
口渇は、ブラッシングのし過ぎだった可能性が高いのですね。糖質制限食の場合、ミュータンス菌のえさが少ないので歯垢が激減します。従って虫歯にも歯周症にも効果がありますよ。
私は、歯磨きは超音波歯ブラシで1~2分で、歯磨き粉は使いません。その後歯間ブラシです。虫歯は、20代に奥歯に1個できて、治療してその後は何もありません。歯周症もなく歯は丈夫です。糖質制限食にしてから歯垢はほとんどなくなりました。
さてご質問の件ですね。
?「足の裏の感覚も肩の凝りも左右差が著しいのですが、初期ならば神経障害が片方にだけ生じることもあり得ますか?」
下肢の糖尿病神経障害は、基本的に両側性です。なぜなら高血糖という全身性の代謝異常がベースにある細小血管の傷害ですから、基本的には全身の血管障害があるはずです。
左足が痺れたり痛んだりするほどの細小血管障害を有しているなら、右足の細小血管だけが無事である可能性は極めて低いです。
?「去年の6月にA1cが5.7%だったことから、食後高血糖はあったかもしれなくとも糖尿病の確定段階ではなかったと思います(思いたいです)。一年未満でも神経障害にまで至る可能性はありますか?」
糖尿病歴が1年未満であり、2008年6月のHbA1c5.7%とコントロール良好ですので、糖尿病神経障害の合併は考えにくいです。
少なくともHbA1c6.5%以上、通常は7%以上の血糖コントロール不良が、数年間以上継続して初めて細小血管の障害が顕在化して、神経障害になります。
?「段階によるかもしれませんが、神経障害は可逆性なのでしょうか?また良好な血糖コントロールによって進行を食い止めることは可能でしょうか?」
血流の改善によりあるていど、回復する可能性はあります。また血糖コントロール良好なら進行は止まります。
なお、糖尿病慢性合併症ですが、長期間血糖コントロールの悪い状態が持続して、細小血管や大血管に傷害が生じて初めて発生します。
細小血管合併症には糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害など大血管合併症には心筋梗塞、脳卒中、糖尿病足病変などがあります。
長期間というのは、通常は糖尿病発症後、少なくとも数年間以上の単位だと思います。まあ、当然個人差がありますから、2~3年間以内だったら慢性合併症は、絶対に出ないというような保証はできないのですが・・・
江部康二
10月11日(日)、12日(月)と高雄病院で京都漢方シンポジウムが開催されました。
日本全国から、日頃漢方臨床実践をしておられる医師・薬剤師が約50名集まって活発な討論がなされました。糖質制限食の話も2題でました。
高知からは宮川貴弘先生が参加されてました。
まだ開業して間もないそうですが、気管支喘息・アトピーなどアレルギー疾患、膠原病、消化器疾患など、漢方医ですので幅広く診療されてます。
糖質制限食にも精通しておられるので高知の糖尿人は受診されては如何でしょう。
宮川漢方クリニック
高知市南はりまや町2丁目12番21号
電話:088-882-9770
さて今回は、糖尿病と合併症についてH-D欲しいさんから、コメント・質問をいただきました。
「09/10/08 H-D欲しい
タイトルなし
ご無沙汰しております、7月に質問にご回答いただきました旧・H-D大好き、現・H-D欲しいです。実は9月に10年も付き合ったHarley-Davidsonを盗まれてしまい、このように改名せざるを得なくなってしまいました(T_T)
しかしながら、不幸なことがあっても自虐ネタとして笑い飛ばせるくらいのポジティブさを取り戻せたのは先生のブログとの出会いのおかげと、いくら感謝しても感謝しきれない気持ちです。
その後もA1cは緩やかに下がり続け、8月に5.1%となりました。体重も90キロ->70キロとなり、BMIも27->21弱と大幅に改善いたしました。しかも3日に1回は中華のバイキングで動けなくなる寸前まで食べ、ほぼ毎日アイス(カロリーコントロールアイスですが)を楽しんでいての数字です。QOL(と言うか、ただの食欲満足度かもしれませんが)を落とさずに良好な血糖コントロールを得られるからこそポジティブにもなれる、と思っております。
さて、ご報告とご質問よろしいでしょうか。
まずは報告の方ですが、私の口渇の正体が分かりかけてまいりました。
糖尿病になると、口腔内をはじめ、あらゆる粘膜がドライ状態になるので口臭に注意が必要だ、と読みかじったことがあります。無知な私は仕事柄、それはあってはならないとばかりに毎食後にブラシの届く限り10分以上かけて歯茎、舌を含めて丹念に(のつもりで力まかせに)ゴシゴシとブラッシングしておりました。ところが昨日、気が抜けたか毎日の習慣であったところの過剰ブラッシングを朝・昼と連続でスコーンと忘れ、それを思い出した夕方頃、いつもより口の中が潤っていることに気付いたのです(^-^;)
「...これだったのか...」
といったカンジでした(笑)まず歯本体以外へのブラッシングを今までより控え、様子を見ることにいたします。
質問の方も読みかじりに起因した杞憂かもしれませんが、どうも左の足の裏にだけ何かガムテープのようなものが貼りついたままのような感覚が少しあります。糖尿病神経障害の初期症状に、そのようなことがあると聞き及んだような気がします。ただ、もし神経障害の初期症状ならば、必ず両方の手や足の同じ部位に生じる、とも聞き及んだ気がします。また左の肩だけ異様に凝ります。以前から凝りはありましたが、比べてみれば左の方が少しひどいかな、程度の差でした。
ここで質問なのですが、
?足の裏の感覚も肩の凝りも左右差が著しいのですが、初期ならば神経障害が片方にだけ生じることもあり得ますか?
?去年の6月にA1cが5.7%だったことから、食後高血糖はあったかもしれなくとも糖尿病の確定段階ではなかったと思います(思いたいです)。一年未満でも神経障害にまで至る可能性はありますか?
?段階によるかもしれませんが、神経障害は可逆性なのでしょうか?また良好な血糖コントロールによって進行を食い止めることは可能でしょうか?
の3点です。
またまた長文な上に、いくつも質問してしまい恐縮ですが、ご回答いただければ幸いですm(_ _)m
東京も寒くなってまいりましたが、先生もどうか体調を崩されないよう、ご自愛下さい。
では。」
H-D欲しいさん。
コメントありがとうございます。
「A1cは緩やかに下がり続け、8月に5.1%となりました。体重も90キロ->70キロとなり、BMIも27->21弱と大幅に改善いたしました。」
素晴らしい改善ですね。お見事です。あっぱれあっぱれ。(^-^)v(^-^)v
「3日に1回は中華のバイキングで動けなくなる寸前まで食べ、ほぼ毎日アイス(カロリーコントロールアイスですが)を楽しんでいての数字です。QOL(と言うか、ただの食欲満足度かもしれませんが)を落とさずに良好な血糖コントロールを得られるからこそポジティブにもなれる、と思っております。」
美味しく楽しく糖質制限食ですから、食生活の満足度は、QOLにおいてとても大事だと思います。
先日ある糖尿人の患者さんが「美味しく楽しく豊かに糖質制限食実践してます。」と仰有ってました。
だんだん、キャッチコピーの字数が増えていきます。
「美味しく楽しく豊かに末長く糖質制限食」ですね。(⌒o⌒)v
口渇は、ブラッシングのし過ぎだった可能性が高いのですね。糖質制限食の場合、ミュータンス菌のえさが少ないので歯垢が激減します。従って虫歯にも歯周症にも効果がありますよ。
私は、歯磨きは超音波歯ブラシで1~2分で、歯磨き粉は使いません。その後歯間ブラシです。虫歯は、20代に奥歯に1個できて、治療してその後は何もありません。歯周症もなく歯は丈夫です。糖質制限食にしてから歯垢はほとんどなくなりました。
さてご質問の件ですね。
?「足の裏の感覚も肩の凝りも左右差が著しいのですが、初期ならば神経障害が片方にだけ生じることもあり得ますか?」
下肢の糖尿病神経障害は、基本的に両側性です。なぜなら高血糖という全身性の代謝異常がベースにある細小血管の傷害ですから、基本的には全身の血管障害があるはずです。
左足が痺れたり痛んだりするほどの細小血管障害を有しているなら、右足の細小血管だけが無事である可能性は極めて低いです。
?「去年の6月にA1cが5.7%だったことから、食後高血糖はあったかもしれなくとも糖尿病の確定段階ではなかったと思います(思いたいです)。一年未満でも神経障害にまで至る可能性はありますか?」
糖尿病歴が1年未満であり、2008年6月のHbA1c5.7%とコントロール良好ですので、糖尿病神経障害の合併は考えにくいです。
少なくともHbA1c6.5%以上、通常は7%以上の血糖コントロール不良が、数年間以上継続して初めて細小血管の障害が顕在化して、神経障害になります。
?「段階によるかもしれませんが、神経障害は可逆性なのでしょうか?また良好な血糖コントロールによって進行を食い止めることは可能でしょうか?」
血流の改善によりあるていど、回復する可能性はあります。また血糖コントロール良好なら進行は止まります。
なお、糖尿病慢性合併症ですが、長期間血糖コントロールの悪い状態が持続して、細小血管や大血管に傷害が生じて初めて発生します。
細小血管合併症には糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害など大血管合併症には心筋梗塞、脳卒中、糖尿病足病変などがあります。
長期間というのは、通常は糖尿病発症後、少なくとも数年間以上の単位だと思います。まあ、当然個人差がありますから、2~3年間以内だったら慢性合併症は、絶対に出ないというような保証はできないのですが・・・
江部康二
2009年10月10日 (土)
おはようございます。
今朝も秋晴れです。
10月11日(日)、12日(月)と高雄病院で京都漢方シンポジウムが開催されます。
日本全国から、日頃漢方を臨床実践しておられる医師・薬剤師が約50名集まって漢方談義をします。久しぶりにいろんな人に会えるので楽しみです。
江部康二
【講演会のお知らせ】
☆☆☆
講座「食事で治すアトピー・糖尿病・メタボ」
-テーラーメードダイエットと糖質制限食-
会場 朝日カルチャーセンター芦屋
http://www.asahi-culture.co.jp/www/ashiya-i.html
TEL 0797-38-2666
日時 2009年10月30日 金曜日 13:00~14:30
参加費 会員2,415 一般2,835
【高雄病院、医師・看護師募集】
募集要項
随時面接選考いたします。
詳細は、下記までお問い合せ下さい。
〒616-8265
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
財団法人 高雄病院
事務長 岡本 敏雄
TEL 075-872-0027
FAX 075-871-6865
E-mail okamoto@takao-hospital.jp
【コメント・質問に関するお知らせ・お願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
読者の皆さんからご意見いただきましたが、確かに普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、主治医にご相談頂けば助かります。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内・保険適応】
お問い合わせは高雄病院
http://www.takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
【糖質制限食外来治療のご案内・予約制・保険適応】
高雄病院 電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院京都駅前診療所 電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
http://www.takao-hospital.net/
江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
【糖質制限食とは】
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。
また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
一方、タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。これらは、含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を急峻に上昇させます。従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。
脂質は血糖値をほとんど上昇させないので、インスリンの追加分泌は、ほとんどありません。タンパク質はごく少量のインスリンを分泌させます。
現在糖尿病において食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
そして食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても糖質含有量は1gもないので食後高血糖はほとんど生じないのです。 なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなようにカロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。
なお糖質制限食はカロリー無制限ということではありません。一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
☆☆☆
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。*炭水化物=糖質+食物繊維
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。 一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」
「 糖質制限食 春のレシピ」
「 糖質制限食 夏のレシピ」
「糖質制限食 秋のレシピ」
「糖質制限食 冬のレシピ」
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」
(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)
を参考にされ、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
なお、血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。糖質制限食は、相対的に高タンパク食になるので腎不全には適応とならないのです。
今朝も秋晴れです。
10月11日(日)、12日(月)と高雄病院で京都漢方シンポジウムが開催されます。
日本全国から、日頃漢方を臨床実践しておられる医師・薬剤師が約50名集まって漢方談義をします。久しぶりにいろんな人に会えるので楽しみです。
江部康二
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普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
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電話:075-871-0245
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【糖質制限食とは】
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。
また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
一方、タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。これらは、含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を急峻に上昇させます。従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。
脂質は血糖値をほとんど上昇させないので、インスリンの追加分泌は、ほとんどありません。タンパク質はごく少量のインスリンを分泌させます。
現在糖尿病において食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
そして食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても糖質含有量は1gもないので食後高血糖はほとんど生じないのです。 なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなようにカロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。
なお糖質制限食はカロリー無制限ということではありません。一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
☆☆☆
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。*炭水化物=糖質+食物繊維
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。 一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」
「 糖質制限食 春のレシピ」
「 糖質制限食 夏のレシピ」
「糖質制限食 秋のレシピ」
「糖質制限食 冬のレシピ」
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」
(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)
を参考にされ、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
なお、血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。糖質制限食は、相対的に高タンパク食になるので腎不全には適応とならないのです。
2009年10月09日 (金)
おはようございます。
今朝は、爽やかな秋晴れです。
朝一で気分良くブログを書いている江部康二です。
さて、
「糖尿病・メタボは必ず良くなる! 信州つばさネット公開講座2009 」
-目からウロコ!の糖質制限食-
10月3日(土)に開催され大盛況でした。
その時に江部康二と共にご講演いただきました、 “翼”代表 佐橋紀子先生から、メッセージをいただきましたのでブログにアップいたしました。
以下は、佐橋紀子先生からのメッセージです。
☆☆☆
こんにちは。
10月3日、江部康二先生には信州・松川町までおいで頂き、盛大な講演会になり、ほっとしている所です。
果物の産地として有名な松川町は、人口13、724人の小さな町です。そんな所にどれだけの人が来て下さるか、主催者の一人として、一抹の不安はありました。
しかし、つばさの会員や、会員以外の人たちまで続々と集まってくださいました。
町も後援という形で後押し頂き、新聞各紙や有線放送、町内の回覧板にまで講演会の案内を載せて頂きました。みんなの知恵と力を集めて糖質制限食を知っていただく良い機会となり、大変嬉しく、また感激しております。
このブログを見て石川、埼玉、東京、三重など、遠路から大勢の方が来てくださり、ありがとうございました。お礼を申し上げます。
私も去年の夏までは、江部先生のことも主食抜きの食事のことも知らず、どんどん悪くなっていく病状に、暗澹たる思いを抱えておりました。
それがいまでは明るい希望に満ち、インスリンを打たなくても良い日が来ることをめざして、元気に活動しています。江部先生という完璧なコントロールをしている方が、お手本として身近に居られることは、大変心強いです。
江部先生はいつもにこやかなスマイルで、患者を丸ごと受け止めてくださり、どんなときでも励ましてくださいます。それで私は今も名古屋から京都まで、月1回の高雄詣でに通っているのです。
江部先生は私の命の恩人です。その感謝の気持ちをバネに、病に苦しんでいる人たちの一人でも多くの方々に、この画期的治療の糖質制限食を、知って頂きたいと願っています。
来年2月、また名古屋で3回目の講演会を予定していますので、ぜひお出かけください。
江部先生には遠路お越しくださり、お泊りいただいてありがとうございました。
松川の夜はアコーディオンを伴奏に、歌声喫茶時代の歌をみんな大声で歌い、久々に青春時代にフィールドバックできました。そしてまた、先生の美声にしびれた夜でもありました。
2009.10.9. HUMAN LIFE INFO NET “翼”代表 佐橋紀子
今朝は、爽やかな秋晴れです。
朝一で気分良くブログを書いている江部康二です。
さて、
「糖尿病・メタボは必ず良くなる! 信州つばさネット公開講座2009 」
-目からウロコ!の糖質制限食-
10月3日(土)に開催され大盛況でした。
その時に江部康二と共にご講演いただきました、 “翼”代表 佐橋紀子先生から、メッセージをいただきましたのでブログにアップいたしました。
以下は、佐橋紀子先生からのメッセージです。
☆☆☆
こんにちは。
10月3日、江部康二先生には信州・松川町までおいで頂き、盛大な講演会になり、ほっとしている所です。
果物の産地として有名な松川町は、人口13、724人の小さな町です。そんな所にどれだけの人が来て下さるか、主催者の一人として、一抹の不安はありました。
しかし、つばさの会員や、会員以外の人たちまで続々と集まってくださいました。
町も後援という形で後押し頂き、新聞各紙や有線放送、町内の回覧板にまで講演会の案内を載せて頂きました。みんなの知恵と力を集めて糖質制限食を知っていただく良い機会となり、大変嬉しく、また感激しております。
このブログを見て石川、埼玉、東京、三重など、遠路から大勢の方が来てくださり、ありがとうございました。お礼を申し上げます。
私も去年の夏までは、江部先生のことも主食抜きの食事のことも知らず、どんどん悪くなっていく病状に、暗澹たる思いを抱えておりました。
それがいまでは明るい希望に満ち、インスリンを打たなくても良い日が来ることをめざして、元気に活動しています。江部先生という完璧なコントロールをしている方が、お手本として身近に居られることは、大変心強いです。
江部先生はいつもにこやかなスマイルで、患者を丸ごと受け止めてくださり、どんなときでも励ましてくださいます。それで私は今も名古屋から京都まで、月1回の高雄詣でに通っているのです。
江部先生は私の命の恩人です。その感謝の気持ちをバネに、病に苦しんでいる人たちの一人でも多くの方々に、この画期的治療の糖質制限食を、知って頂きたいと願っています。
来年2月、また名古屋で3回目の講演会を予定していますので、ぜひお出かけください。
江部先生には遠路お越しくださり、お泊りいただいてありがとうございました。
松川の夜はアコーディオンを伴奏に、歌声喫茶時代の歌をみんな大声で歌い、久々に青春時代にフィールドバックできました。そしてまた、先生の美声にしびれた夜でもありました。
2009.10.9. HUMAN LIFE INFO NET “翼”代表 佐橋紀子
2009年10月08日 (木)
こんばんは。
今朝の台風すごかったですね。京都でも午前3時頃から6時頃まで、ゴウゴウという風の音で眠れませんでした。
高雄病院の朝の外来中、玄関正面に立っていた杏の木がポッキリ根本から折れてすごい音で倒れ込みびっくりしました。ヾ(゜▽゜)
台風の被害が少ないことを祈るばかりです。
さて明るい話題を一つ。
私の師匠、糖質ゼロ食の求道者、釜池豊秋先生がレシピ集を出版されました。
『糖質制限・糖質ゼロのレシピ集』というタイトルで、実業の日本社から2009年9月に出版されました。
老舗の出版社で編集はしっかりしていますし、写真もきれいです。
釜池先生の監修で、糖質ゼロ研究会が編です。
ホテルのシェフだった原靖さんがレシピを作成されておりすごく美味しそうで豪華で魅力的な料理になってます。釜池理論の最新版が、簡明にまとめられているのも嬉しいところです。
私も早速、購入しました。
ブログ読者の皆さんにも、是非ご一読いただきたいお奨めの一冊ですね。ヾ(^▽^)
江部康二
今朝の台風すごかったですね。京都でも午前3時頃から6時頃まで、ゴウゴウという風の音で眠れませんでした。
高雄病院の朝の外来中、玄関正面に立っていた杏の木がポッキリ根本から折れてすごい音で倒れ込みびっくりしました。ヾ(゜▽゜)
台風の被害が少ないことを祈るばかりです。
さて明るい話題を一つ。
私の師匠、糖質ゼロ食の求道者、釜池豊秋先生がレシピ集を出版されました。
『糖質制限・糖質ゼロのレシピ集』というタイトルで、実業の日本社から2009年9月に出版されました。
老舗の出版社で編集はしっかりしていますし、写真もきれいです。
釜池先生の監修で、糖質ゼロ研究会が編です。
ホテルのシェフだった原靖さんがレシピを作成されておりすごく美味しそうで豪華で魅力的な料理になってます。釜池理論の最新版が、簡明にまとめられているのも嬉しいところです。
私も早速、購入しました。
ブログ読者の皆さんにも、是非ご一読いただきたいお奨めの一冊ですね。ヾ(^▽^)
江部康二
2009年10月07日 (水)
おはようございます。
今回は、ゆうこさんから「血糖自己測定器:毛細血管血・静脈血の差」などについて、質問・コメントをいただきました。
「09/10/05 ゆうこ
静脈血漿血糖値と毛細血管血糖値について
先生 こんにちは
以前、こちら(http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-905.html)で長~い質問をしたにもかかわらず、ご丁寧にアドヴァイス頂き、とても感謝しているゆうこです。
おかげさまで、グルファスト+ベイスンで、1週間の海外旅行、朝・昼・晩とご飯もパンも麺も思い切り楽しんできました!!
旅行後の血液検査も心配したのですが、
6/1 ⇒6/30⇒ 8/4 ⇒9/29
GOT 16 ⇒ 16 ⇒ 17 ⇒17
GPT 21 ⇒ 21 ⇒ 20 ⇒17
γ-GT 31 ⇒ 18 ⇒ 18 ⇒ 20
HDL 59 ⇒ 46 ⇒ 56 ⇒ 59
LDL 137 ⇒ 91 ⇒ 91 ⇒93
中性脂肪 111 ⇒ 66 ⇒ 58 ⇒59
尿酸 6.2 ⇒ 9.2 ⇒ 6.7 ⇒7.8
尿素窒素 9.2 ⇒ 10.5 ⇒ 11 ⇒10.7
クレアチニン 0.4 ⇒0.45⇒ 0.4 ⇒0.39
A1C 7.3 ⇒ 6.3 ⇒ 5.1 ⇒4.7♪
血糖 206⇒ 138⇒ 137 ⇒133
という結果で、A1Cが減っていたので、一安心です。主治医にもびっくりされました。
HDLとLDLの比率も理想の1.5未満になるように願っているのですが、
やっと、当初2.322⇒1.978⇒1.625⇒1.58 と徐々に近づいているようです。
体重は、微減ですが、増えてはいない・・・という、もうちょっとがんばらないといけない感じですが・・・。
◆尿酸は、増えたり減ったりですが、心配しなくていいでしょうか?
◆クレアチニンが低いと言われたのですが、このまま糖質制限食で問題ありませんか?
私にとっては、ベイスン+グルファストが、かなり効力があるらしく、 どうしてもご飯が食べたい時や、外食の時に服用しているのですが、 この間など自宅で炊き込みご飯をして、3杯食べてしまったのですが、 1時間後131 2時間後142 がピークでした。
イタリアンレストランで、たくさんのパスタやリゾット、デザートなどを食べても2時間後で121くらいでした。(翌朝はちょっと高めで134ありましたが)
それにしても、前回教えていただいた「食後一時間=服用からの時間」となると、食後二時間くらいまではまだデザート付近にいたりして、(◆ベイスン服用から2時間過ぎてしまったらデザート用にベイスン追加した方がいいのでしょうか?)
「今食べているこのデザートの分はいつの血糖値に反映されるんだろう」
と考えてしまうのですが、
◆長~い食事でまだ食事中、つまり糖質追加投入中でも、食後一時間・二時間の考え方は変わらないのですよね?
先生のブログで、
①空腹時血糖値126mg未満、理想的には110mg未満
②食後2時間血糖値180mg未満、理想的には140mg未満
③HbA1c6.5%未満、理想的には5.8%以下
とよく書いてありますが、①はたまに超えるけれど、②は大丈夫 ③もオッケー!
と、安心していたところに、ひとつ疑問がーーーー!
◆先生のこの数字は、病院の数値である「静脈血漿」ですか?それとも自宅採血の数値である「毛細血管血」ですか?
病院で測る血糖値が、自宅の二プロよりも20ほど高く出るのと、検査結果の紙の裏に「静脈血漿」とか「毛細血管血」の違いが書かれているのに気づき、ネットで色々調べてみましたら、
『大きな病院や外部に検査に出す病院(=簡易血統測定器で測定する病院以外)などは、ほとんどすべて静脈血の血漿で測定していて、この場合の測定値は、「血漿血糖値」と言って、指先などの毛細血管血糖値と比べて、20mg/dLくらい高いのが普通です。
例えば静脈血漿で110mg/dLの場合には、毛細血管血では90~100mg/dLくらいになります。』
とありました。
・・・・という事は・・・・自宅で測るより20高い理由はわかったのですが、
①②③ともオッケー!と喜んでいたのに、
◆①②は、自宅で測る場合には、それぞれマイナス20しないといけない、ということになりますか??
もうひとつ、
◆「180mgを超えるとリアルタイムに血管が破壊される」とおっしゃっていましたが、
そうすると、②の「食後2時間血糖値180mg未満(自宅採血では160mg未満?)」では1時間血糖値はもっと高く、すでに血管が破壊されかける、という事になりますか?
それを防ぐ為には食後1時間値180mg未満(自宅採血で160mg未満)にしないといけない、という事になりますでしょうか?
目安が20違うとなると、大きく違うので、ぜひ教えて下さいませ。
(また長文になってしまい、読みにくいので 疑問点に◆をつけました。)」
ゆうこさん。
「A1C 7.3 ⇒ 6.3 ⇒ 5.1 ⇒4.7♪」
絶好調ですね。おめでとうございます。海外旅行の食事も順調でよかったですね。
◆尿酸は、増えたり減ったりですが、心配しなくていいでしょうか?
尿酸は個人差がありますが、半年から1年で落ち着くことが多いです。ゆうこさんていどのデータなら心配ないと思います。
◆クレアチニンが低いと言われたのですがこのまま糖質制限食で問題ありませんか?
クレアチニン値に関しては何の問題もありません。
◆長~い食事でまだ食事中、つまり糖質追加投入中でも、食後一時間・二時間の考え方は変わらないのですよね?
ベイスンやグルファストの一日の常用量の問題もありますね。
従来の糖尿病食を食べている人は、<1日3回、食直前>が標準です。糖質制限食実践中の人は、主食(糖質)摂取時に、食直前に内服となります。
いずれの場合も、食べ始めて2時間経過して追加を飲むことはまずありません。作用時間約2時間でほとんどは食事できるような気もしますが・・・
◆先生のこの数字は、病院の数値である「静脈血漿」ですか?それとも自宅採血の数値である「毛細血管血」ですか?
糖尿人の目標の数値は、病院の検査なので、静脈血です。
◆『大きな病院や外部に検査に出す病院(=簡易血統測定器で測定する病院以外)などは、ほとんどすべて静脈血の血漿で測定していて、この場合の測定値は、「血漿血糖値」と言って、指先などの毛細血管血糖値と比べて、20mg/dLくらい高いのが普通です。
例えば静脈血漿で110mg/dLの場合には、毛細血管血では90~100mg/dLくらいになります。』
この記述は間違っています。逆が正しいです。
「 動脈血>毛細血管血>静脈血 」の順に血糖値は高くなります。即ち、指頭のSMBG(毛細血管血)のほうが、10~20mg、病院の静脈血より高値となります。
◆180mgを超えるとリアルタイムに血管が破壊される」とおっしゃっていましたが、 そうすると、②の「食後2時間血糖値180mg未満」では1時間血糖値はもっと高く、すでに血管が破壊されかける、という事になりますか?それを防ぐ為には食後1時間値180mg未満にしないといけない、という事になりますでしょうか?
破壊といいましても程度の問題です。
食後180mgを超える高血糖が長期間(通常は年単位です)続けば、「塵も積もれば山となる」で、動脈硬化になります。基本的に数日やそこらの話ではありません。
一方、理屈のみから言えば、血糖値が180mg/dlを超えている時間が長いほど動脈硬化のリスクとなります。
その意味で、食後1時間血糖値が180mg未満であれば、安全率は極めて高くなりますね。
江部康二
今回は、ゆうこさんから「血糖自己測定器:毛細血管血・静脈血の差」などについて、質問・コメントをいただきました。
「09/10/05 ゆうこ
静脈血漿血糖値と毛細血管血糖値について
先生 こんにちは
以前、こちら(http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-905.html)で長~い質問をしたにもかかわらず、ご丁寧にアドヴァイス頂き、とても感謝しているゆうこです。
おかげさまで、グルファスト+ベイスンで、1週間の海外旅行、朝・昼・晩とご飯もパンも麺も思い切り楽しんできました!!
旅行後の血液検査も心配したのですが、
6/1 ⇒6/30⇒ 8/4 ⇒9/29
GOT 16 ⇒ 16 ⇒ 17 ⇒17
GPT 21 ⇒ 21 ⇒ 20 ⇒17
γ-GT 31 ⇒ 18 ⇒ 18 ⇒ 20
HDL 59 ⇒ 46 ⇒ 56 ⇒ 59
LDL 137 ⇒ 91 ⇒ 91 ⇒93
中性脂肪 111 ⇒ 66 ⇒ 58 ⇒59
尿酸 6.2 ⇒ 9.2 ⇒ 6.7 ⇒7.8
尿素窒素 9.2 ⇒ 10.5 ⇒ 11 ⇒10.7
クレアチニン 0.4 ⇒0.45⇒ 0.4 ⇒0.39
A1C 7.3 ⇒ 6.3 ⇒ 5.1 ⇒4.7♪
血糖 206⇒ 138⇒ 137 ⇒133
という結果で、A1Cが減っていたので、一安心です。主治医にもびっくりされました。
HDLとLDLの比率も理想の1.5未満になるように願っているのですが、
やっと、当初2.322⇒1.978⇒1.625⇒1.58 と徐々に近づいているようです。
体重は、微減ですが、増えてはいない・・・という、もうちょっとがんばらないといけない感じですが・・・。
◆尿酸は、増えたり減ったりですが、心配しなくていいでしょうか?
◆クレアチニンが低いと言われたのですが、このまま糖質制限食で問題ありませんか?
私にとっては、ベイスン+グルファストが、かなり効力があるらしく、 どうしてもご飯が食べたい時や、外食の時に服用しているのですが、 この間など自宅で炊き込みご飯をして、3杯食べてしまったのですが、 1時間後131 2時間後142 がピークでした。
イタリアンレストランで、たくさんのパスタやリゾット、デザートなどを食べても2時間後で121くらいでした。(翌朝はちょっと高めで134ありましたが)
それにしても、前回教えていただいた「食後一時間=服用からの時間」となると、食後二時間くらいまではまだデザート付近にいたりして、(◆ベイスン服用から2時間過ぎてしまったらデザート用にベイスン追加した方がいいのでしょうか?)
「今食べているこのデザートの分はいつの血糖値に反映されるんだろう」
と考えてしまうのですが、
◆長~い食事でまだ食事中、つまり糖質追加投入中でも、食後一時間・二時間の考え方は変わらないのですよね?
先生のブログで、
①空腹時血糖値126mg未満、理想的には110mg未満
②食後2時間血糖値180mg未満、理想的には140mg未満
③HbA1c6.5%未満、理想的には5.8%以下
とよく書いてありますが、①はたまに超えるけれど、②は大丈夫 ③もオッケー!
と、安心していたところに、ひとつ疑問がーーーー!
◆先生のこの数字は、病院の数値である「静脈血漿」ですか?それとも自宅採血の数値である「毛細血管血」ですか?
病院で測る血糖値が、自宅の二プロよりも20ほど高く出るのと、検査結果の紙の裏に「静脈血漿」とか「毛細血管血」の違いが書かれているのに気づき、ネットで色々調べてみましたら、
『大きな病院や外部に検査に出す病院(=簡易血統測定器で測定する病院以外)などは、ほとんどすべて静脈血の血漿で測定していて、この場合の測定値は、「血漿血糖値」と言って、指先などの毛細血管血糖値と比べて、20mg/dLくらい高いのが普通です。
例えば静脈血漿で110mg/dLの場合には、毛細血管血では90~100mg/dLくらいになります。』
とありました。
・・・・という事は・・・・自宅で測るより20高い理由はわかったのですが、
①②③ともオッケー!と喜んでいたのに、
◆①②は、自宅で測る場合には、それぞれマイナス20しないといけない、ということになりますか??
もうひとつ、
◆「180mgを超えるとリアルタイムに血管が破壊される」とおっしゃっていましたが、
そうすると、②の「食後2時間血糖値180mg未満(自宅採血では160mg未満?)」では1時間血糖値はもっと高く、すでに血管が破壊されかける、という事になりますか?
それを防ぐ為には食後1時間値180mg未満(自宅採血で160mg未満)にしないといけない、という事になりますでしょうか?
目安が20違うとなると、大きく違うので、ぜひ教えて下さいませ。
(また長文になってしまい、読みにくいので 疑問点に◆をつけました。)」
ゆうこさん。
「A1C 7.3 ⇒ 6.3 ⇒ 5.1 ⇒4.7♪」
絶好調ですね。おめでとうございます。海外旅行の食事も順調でよかったですね。
◆尿酸は、増えたり減ったりですが、心配しなくていいでしょうか?
尿酸は個人差がありますが、半年から1年で落ち着くことが多いです。ゆうこさんていどのデータなら心配ないと思います。
◆クレアチニンが低いと言われたのですがこのまま糖質制限食で問題ありませんか?
クレアチニン値に関しては何の問題もありません。
◆長~い食事でまだ食事中、つまり糖質追加投入中でも、食後一時間・二時間の考え方は変わらないのですよね?
ベイスンやグルファストの一日の常用量の問題もありますね。
従来の糖尿病食を食べている人は、<1日3回、食直前>が標準です。糖質制限食実践中の人は、主食(糖質)摂取時に、食直前に内服となります。
いずれの場合も、食べ始めて2時間経過して追加を飲むことはまずありません。作用時間約2時間でほとんどは食事できるような気もしますが・・・
◆先生のこの数字は、病院の数値である「静脈血漿」ですか?それとも自宅採血の数値である「毛細血管血」ですか?
糖尿人の目標の数値は、病院の検査なので、静脈血です。
◆『大きな病院や外部に検査に出す病院(=簡易血統測定器で測定する病院以外)などは、ほとんどすべて静脈血の血漿で測定していて、この場合の測定値は、「血漿血糖値」と言って、指先などの毛細血管血糖値と比べて、20mg/dLくらい高いのが普通です。
例えば静脈血漿で110mg/dLの場合には、毛細血管血では90~100mg/dLくらいになります。』
この記述は間違っています。逆が正しいです。
「 動脈血>毛細血管血>静脈血 」の順に血糖値は高くなります。即ち、指頭のSMBG(毛細血管血)のほうが、10~20mg、病院の静脈血より高値となります。
◆180mgを超えるとリアルタイムに血管が破壊される」とおっしゃっていましたが、 そうすると、②の「食後2時間血糖値180mg未満」では1時間血糖値はもっと高く、すでに血管が破壊されかける、という事になりますか?それを防ぐ為には食後1時間値180mg未満にしないといけない、という事になりますでしょうか?
破壊といいましても程度の問題です。
食後180mgを超える高血糖が長期間(通常は年単位です)続けば、「塵も積もれば山となる」で、動脈硬化になります。基本的に数日やそこらの話ではありません。
一方、理屈のみから言えば、血糖値が180mg/dlを超えている時間が長いほど動脈硬化のリスクとなります。
その意味で、食後1時間血糖値が180mg未満であれば、安全率は極めて高くなりますね。
江部康二
2009年10月06日 (火)
こんにちは。
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」現代病を治す糖質制限食 (東洋経済新報社)
宮本輝 江部康二
おかげざまで発売1ヶ月半にして、4刷・35000部となりました。o(^^o)(o^^)o
ブログ読者の皆さんの応援のたまものです。ありがとうございました。
もう一つ嬉しいお知らせです。
xiangdao さん。いつもコメントありがとうございます。サンデー毎日、早速私も買ってきましたよ。
今週号のサンデー毎日の表紙に、「宮本輝 糖尿病の劇的改善法」と載って、
115ページから、3ページにわたって「宮本輝 糖尿病に克つ」という、インタビュー記事が載っています。
結構大きい記事にして紙面を割いてくれていて嬉しい限りです。勿論「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」も写真入りで紹介されています。
輝先生、様々ですね。\(^_^ )( ^_^)/
私もおまけで少し載っています。
反響がとても楽しみです。
糖質制限食が、世の中に確実に浸透していきつつあるのを実感する今日この頃です。(^o^)v
☆☆☆
お詫びと訂正
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」(東洋経済新報社)
をご購入いただいた皆様、ありがとうございました。
一部、記載に誤りがありましたのでお詫び申し上げ、訂正させていただきます。
99ページ、7行目
「なお、赤血球・網膜・角膜・水晶体だけはブドウ糖しか利用できません。」
↓
「なお、赤血球だけはブドウ糖しか利用できません。」
に訂正します。
同様に
99ページ、8行目、10行目、13行目、100ページ6行目、
「赤血球・網膜・角膜・水晶体」
↓
「赤血球」
に訂正します。
詳しく検討し直したところ、網膜・角膜・水晶体は、ミトコンドリアを有すことが判明しました。誤った記載をして、申し訳ありませんでした。 m(_ _)m
結局、赤血球以外の全ての細胞がミトコンドリアを有するということです。赤血球だけはミトコンドリアを持っていないので、ブドウ糖しか利用できません。
一方、脳を含め赤血球以外の細胞は全てミトコンドリアを持っているので、脂肪酸-ケトン体をエネルギー源として利用します。
江部康二
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」現代病を治す糖質制限食 (東洋経済新報社)
宮本輝 江部康二
おかげざまで発売1ヶ月半にして、4刷・35000部となりました。o(^^o)(o^^)o
ブログ読者の皆さんの応援のたまものです。ありがとうございました。
もう一つ嬉しいお知らせです。
xiangdao さん。いつもコメントありがとうございます。サンデー毎日、早速私も買ってきましたよ。
今週号のサンデー毎日の表紙に、「宮本輝 糖尿病の劇的改善法」と載って、
115ページから、3ページにわたって「宮本輝 糖尿病に克つ」という、インタビュー記事が載っています。
結構大きい記事にして紙面を割いてくれていて嬉しい限りです。勿論「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」も写真入りで紹介されています。
輝先生、様々ですね。\(^_^ )( ^_^)/
私もおまけで少し載っています。
反響がとても楽しみです。
糖質制限食が、世の中に確実に浸透していきつつあるのを実感する今日この頃です。(^o^)v
☆☆☆
お詫びと訂正
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」(東洋経済新報社)
をご購入いただいた皆様、ありがとうございました。
一部、記載に誤りがありましたのでお詫び申し上げ、訂正させていただきます。
99ページ、7行目
「なお、赤血球・網膜・角膜・水晶体だけはブドウ糖しか利用できません。」
↓
「なお、赤血球だけはブドウ糖しか利用できません。」
に訂正します。
同様に
99ページ、8行目、10行目、13行目、100ページ6行目、
「赤血球・網膜・角膜・水晶体」
↓
「赤血球」
に訂正します。
詳しく検討し直したところ、網膜・角膜・水晶体は、ミトコンドリアを有すことが判明しました。誤った記載をして、申し訳ありませんでした。 m(_ _)m
結局、赤血球以外の全ての細胞がミトコンドリアを有するということです。赤血球だけはミトコンドリアを持っていないので、ブドウ糖しか利用できません。
一方、脳を含め赤血球以外の細胞は全てミトコンドリアを持っているので、脂肪酸-ケトン体をエネルギー源として利用します。
江部康二
2009年10月05日 (月)
こんばんは。
今朝は寒かったです。枕元の温度計は18度でした。いよいよ本格的秋到来ですね。
さて、今回は米国在住のusaさんから、米国医師の糖質制限食事情に関して、コメント・情報をいただきました。
「09/10/03 usa
興味深い記事でした
いつもお世話になっています。
今回、米国における概観を記事にしていただき、胸のつかえが少しとれました。
私が診療を受けた医師は2人とも糖尿病医でした。
「減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食、もしくは低炭水化物食によるダイエットが推奨される」と低糖質食を支持する見解が初めてだされました。(*)
とのことで、私のように痩せすぎで減量の必要がない患者には、制限はあるにしても日本人にとっては驚くべきほどの炭水化物の量で、栄養士に指導を受けても、今まで以上の摂取をするように指示され疑問きわまりなかったのです。ローカーボのロノ字もでませんでした。
つい先日、ローカーボドクターのリストhttp://lowcarbdoctors.blogspot.comと言うサイト(個人のもの)を見つけましたら、Dr.Bernsteinが1番にリストアップされていました。その他各州に3~10人くらいますが、0人の州もあります。ダイエット中心の医師もいますし、自己申告でリストに載せることもできるので、信憑性は今1つですが、驚いたことに全て糖尿病医ではなく、一般医だったのです。
また、ローカーボ食品を検索すると、実に多種多様な食品を通販で入手することができるのに、糖尿病医はローカーボにあまりこだわっていないという矛盾が生じました。
私は1日に30gのCaboでは少なすぎるので(標準体重未満のため)、多めに摂取し、数値が上がれば薬とインスリンという診断を2人の医師から受けているのが実情です。もちろん、そんなことはする気はありませんが。それに基礎分泌がまだ多少でているのに、今すぐインスリンをといわれています。 残念ですが、アメリカの一般的な糖尿病医はこれが現実です。
どうも私には標準体重以上で太りすぎが原因の糖尿病患者が2型、正常体重未満で高血糖のものが1型という認識が彼らの根底にあるのでは、と思えてなりません。(単純には決め付けられませんが)」
usaさん。
コメントありがとうございます。
今の米国事情、興味深いです。
「つい先日、ローカーボドクターのリストhttp://lowcarbdoctors.blogspot.comと言うサイト(個人のもの)を見つけましたら、Dr.Bernsteinが1番にリストアップされていました。その他各州に3~10人くらいますが、0人の州もあります。ダイエット中心の医師もいますし、自己申告でリストに載せることもできるので、信憑性は今1つですが、驚いたことに全て糖尿病医ではなく、一般医だったのです。」
そういうことなのですね。日本よりは多いけどまだまだなのですね。糖尿病専門医が一人もいないのは、さもありなんです。
「どうも私には標準体重以上で太りすぎが原因の糖尿病患者が2型、正常体重未満で高血糖のものが1型という認識が彼らの根底にあるのでは、と思えてなりません。」
仰有る通りと思います。
米国には<肥満+インスリン抵抗性>が主の2型糖尿病が一番多いです。彼らはインスリン分泌能力は保たれているか、過剰のこともあります。痩せた2型糖尿病は米国においてはまれなのだと思います。
1型糖尿病は、米国では日本の5%よりはかなり多いです。1型は米国でも日本でも痩せてインスリン分泌能は低下~欠乏しています。
それで米国の常識から考えると、usaさんは1型糖尿病という固定観念から抜け出せないのだと思います。
日本では糖尿病の95%が2型で、正常体重未満の人がたくさんいます。私もその一人です。
日本では<インスリン分泌能低下が主>で<インスリン抵抗性は従>の2型糖尿病が多いです。
抗GAD抗体が陰性であり、インスリン注射なしで糖尿人の目標血糖コントロールを達成されているusaさんは、日本の医師が診察すれば2型糖尿病とする人がほとんどと思います。
糖尿病専門医以外では米国産婦人科の医師も妊娠糖尿病に糖質制限食を取り入れている人が
いるようです。以下はうさぎさんのコメントです。
☆☆☆うさぎさんのコメント
「・・・余談ですが、先々週から1週間ほど出張でアメリカに滞在したのですが、思いのほか糖質制限食がしやすかったです。メインディッシュの量がたっぷりなので、日本のように一皿余分にオーダーしなくてもよいですし、サラダの上にお肉やエビなど、好きなものを焼いてのせてくれるようなオプションがありました。もちろん、糖質の少ない葉野菜もたっぷりです。
また、米国ではカーボカウントが定着しているためだと思いますが、ごく普通の薬局で様々な種類の血糖測定器が販売されていましたし、本屋には食品別にカーボの量が一覧になっている本や料理本がたくさんありました。
一番印象的なお話としては、妊娠糖尿病になった方が、直ちに炭水化物(糖質)を制限するように指導され、無事に元気な赤ちゃんを出産されてました。ごく一般的な病院で指導されたそうです。米国では妊婦さんでも腎臓などに問題が無ければ糖質制限食は安全という認識なのだと理解しました。
日・米で大きな差を感じた出張になりました。
うさぎ | 2009.03.24(火) 11:29 」
さて米国の糖質制限食の歴史ですが、「Dr. Atkins Diet Revolution」が出版されたのは1970年代初頭です。
アトキンス博士は、循環器専門医だったので、肥満治療に糖質制限食を導入したのが始まりです。メインは肥満治療で、糖尿病にもいいですよというスタンスですね。
「Dr. Bernstein's Diabetes Solution: The Complete Guide to Achieving Normal Blood Sugars 」は
1997年に出版されました。こちらは勿論糖尿病がメインの本です。
米国のバーンスタイン医師(バーンスタイン医師の糖尿病の解決の著者)は、ご自身が1型糖尿病です。小児期12才に1型糖尿病を発症され、以後インスリンを打ち続けておられます。
35才、糖尿病腎症の初期となった頃、SMBGで血糖自己測定をしながら食事療法を研究し、徹底した糖質制限食を開始。蛋白尿が出現する段階の顕性腎症前期から、糖質制限食で回復しタンパク尿消失。
45才で医学部に入学、49才で医師になり、糖尿病を徹底的に研究。以後、多数の糖尿病患者を診察。73才現在、糖尿病合併症もなく、現役医師としてお元気にお過ごしです。
アトキンス医師とバーンスタイン医師は、米国の近年の糖質制限食(低糖質食)の先駆者といえます。
その後米国では、糖質制限食関連の文献は少数発表されてきましたが、ここ数年、主として代謝・栄養学会や循環器学会などにおける発表がかなり増えてきており、糖質制限食の効果が明確に示されています。しかし、糖尿病学会での発表は、まだ少ないようです。
2008年、Accurso1らはcarbohydrate restriction(糖質制限食)が血糖コントロールを改善し、インスリン追加分泌を減少させ、メタボリック・シンドロームの全ての指標を改善することを報告しました。
バーンスタイン医師も共著者になっておられるこの論文は、過去の文献が網羅してあり総説としても価値が高いものです。(*)
その後Nielsenらは、2型糖尿病患者に20%の低糖質食で22ヶ月間観察し、体重減少と血糖値改善が得られたことを報告しました。(**)
米国の糖質制限食、日本より2.3歩は先んじているようですが、まだ主流というにはほど遠いようですね。
*
Accurso1 A, Bernstein RK,et all:Dietary carbohydrate restriction in type 2 diabetes mellitus and metabolic syndrome: time for a critical appraisal.Nutrition & metabolism.5(9)2008
**
Nielsen JV,et all: Low-carbohydrate diet in type 2 diabetes: stable improvement of bodyweight and glycemic control during 44 months follow-up.Nutrition & Metabolism,5(14)2008
江部康二
今朝は寒かったです。枕元の温度計は18度でした。いよいよ本格的秋到来ですね。
さて、今回は米国在住のusaさんから、米国医師の糖質制限食事情に関して、コメント・情報をいただきました。
「09/10/03 usa
興味深い記事でした
いつもお世話になっています。
今回、米国における概観を記事にしていただき、胸のつかえが少しとれました。
私が診療を受けた医師は2人とも糖尿病医でした。
「減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食、もしくは低炭水化物食によるダイエットが推奨される」と低糖質食を支持する見解が初めてだされました。(*)
とのことで、私のように痩せすぎで減量の必要がない患者には、制限はあるにしても日本人にとっては驚くべきほどの炭水化物の量で、栄養士に指導を受けても、今まで以上の摂取をするように指示され疑問きわまりなかったのです。ローカーボのロノ字もでませんでした。
つい先日、ローカーボドクターのリストhttp://lowcarbdoctors.blogspot.comと言うサイト(個人のもの)を見つけましたら、Dr.Bernsteinが1番にリストアップされていました。その他各州に3~10人くらいますが、0人の州もあります。ダイエット中心の医師もいますし、自己申告でリストに載せることもできるので、信憑性は今1つですが、驚いたことに全て糖尿病医ではなく、一般医だったのです。
また、ローカーボ食品を検索すると、実に多種多様な食品を通販で入手することができるのに、糖尿病医はローカーボにあまりこだわっていないという矛盾が生じました。
私は1日に30gのCaboでは少なすぎるので(標準体重未満のため)、多めに摂取し、数値が上がれば薬とインスリンという診断を2人の医師から受けているのが実情です。もちろん、そんなことはする気はありませんが。それに基礎分泌がまだ多少でているのに、今すぐインスリンをといわれています。 残念ですが、アメリカの一般的な糖尿病医はこれが現実です。
どうも私には標準体重以上で太りすぎが原因の糖尿病患者が2型、正常体重未満で高血糖のものが1型という認識が彼らの根底にあるのでは、と思えてなりません。(単純には決め付けられませんが)」
usaさん。
コメントありがとうございます。
今の米国事情、興味深いです。
「つい先日、ローカーボドクターのリストhttp://lowcarbdoctors.blogspot.comと言うサイト(個人のもの)を見つけましたら、Dr.Bernsteinが1番にリストアップされていました。その他各州に3~10人くらいますが、0人の州もあります。ダイエット中心の医師もいますし、自己申告でリストに載せることもできるので、信憑性は今1つですが、驚いたことに全て糖尿病医ではなく、一般医だったのです。」
そういうことなのですね。日本よりは多いけどまだまだなのですね。糖尿病専門医が一人もいないのは、さもありなんです。
「どうも私には標準体重以上で太りすぎが原因の糖尿病患者が2型、正常体重未満で高血糖のものが1型という認識が彼らの根底にあるのでは、と思えてなりません。」
仰有る通りと思います。
米国には<肥満+インスリン抵抗性>が主の2型糖尿病が一番多いです。彼らはインスリン分泌能力は保たれているか、過剰のこともあります。痩せた2型糖尿病は米国においてはまれなのだと思います。
1型糖尿病は、米国では日本の5%よりはかなり多いです。1型は米国でも日本でも痩せてインスリン分泌能は低下~欠乏しています。
それで米国の常識から考えると、usaさんは1型糖尿病という固定観念から抜け出せないのだと思います。
日本では糖尿病の95%が2型で、正常体重未満の人がたくさんいます。私もその一人です。
日本では<インスリン分泌能低下が主>で<インスリン抵抗性は従>の2型糖尿病が多いです。
抗GAD抗体が陰性であり、インスリン注射なしで糖尿人の目標血糖コントロールを達成されているusaさんは、日本の医師が診察すれば2型糖尿病とする人がほとんどと思います。
糖尿病専門医以外では米国産婦人科の医師も妊娠糖尿病に糖質制限食を取り入れている人が
いるようです。以下はうさぎさんのコメントです。
☆☆☆うさぎさんのコメント
「・・・余談ですが、先々週から1週間ほど出張でアメリカに滞在したのですが、思いのほか糖質制限食がしやすかったです。メインディッシュの量がたっぷりなので、日本のように一皿余分にオーダーしなくてもよいですし、サラダの上にお肉やエビなど、好きなものを焼いてのせてくれるようなオプションがありました。もちろん、糖質の少ない葉野菜もたっぷりです。
また、米国ではカーボカウントが定着しているためだと思いますが、ごく普通の薬局で様々な種類の血糖測定器が販売されていましたし、本屋には食品別にカーボの量が一覧になっている本や料理本がたくさんありました。
一番印象的なお話としては、妊娠糖尿病になった方が、直ちに炭水化物(糖質)を制限するように指導され、無事に元気な赤ちゃんを出産されてました。ごく一般的な病院で指導されたそうです。米国では妊婦さんでも腎臓などに問題が無ければ糖質制限食は安全という認識なのだと理解しました。
日・米で大きな差を感じた出張になりました。
うさぎ | 2009.03.24(火) 11:29 」
さて米国の糖質制限食の歴史ですが、「Dr. Atkins Diet Revolution」が出版されたのは1970年代初頭です。
アトキンス博士は、循環器専門医だったので、肥満治療に糖質制限食を導入したのが始まりです。メインは肥満治療で、糖尿病にもいいですよというスタンスですね。
「Dr. Bernstein's Diabetes Solution: The Complete Guide to Achieving Normal Blood Sugars 」は
1997年に出版されました。こちらは勿論糖尿病がメインの本です。
米国のバーンスタイン医師(バーンスタイン医師の糖尿病の解決の著者)は、ご自身が1型糖尿病です。小児期12才に1型糖尿病を発症され、以後インスリンを打ち続けておられます。
35才、糖尿病腎症の初期となった頃、SMBGで血糖自己測定をしながら食事療法を研究し、徹底した糖質制限食を開始。蛋白尿が出現する段階の顕性腎症前期から、糖質制限食で回復しタンパク尿消失。
45才で医学部に入学、49才で医師になり、糖尿病を徹底的に研究。以後、多数の糖尿病患者を診察。73才現在、糖尿病合併症もなく、現役医師としてお元気にお過ごしです。
アトキンス医師とバーンスタイン医師は、米国の近年の糖質制限食(低糖質食)の先駆者といえます。
その後米国では、糖質制限食関連の文献は少数発表されてきましたが、ここ数年、主として代謝・栄養学会や循環器学会などにおける発表がかなり増えてきており、糖質制限食の効果が明確に示されています。しかし、糖尿病学会での発表は、まだ少ないようです。
2008年、Accurso1らはcarbohydrate restriction(糖質制限食)が血糖コントロールを改善し、インスリン追加分泌を減少させ、メタボリック・シンドロームの全ての指標を改善することを報告しました。
バーンスタイン医師も共著者になっておられるこの論文は、過去の文献が網羅してあり総説としても価値が高いものです。(*)
その後Nielsenらは、2型糖尿病患者に20%の低糖質食で22ヶ月間観察し、体重減少と血糖値改善が得られたことを報告しました。(**)
米国の糖質制限食、日本より2.3歩は先んじているようですが、まだ主流というにはほど遠いようですね。
*
Accurso1 A, Bernstein RK,et all:Dietary carbohydrate restriction in type 2 diabetes mellitus and metabolic syndrome: time for a critical appraisal.Nutrition & metabolism.5(9)2008
**
Nielsen JV,et all: Low-carbohydrate diet in type 2 diabetes: stable improvement of bodyweight and glycemic control during 44 months follow-up.Nutrition & Metabolism,5(14)2008
江部康二
2009年10月04日 (日)
【講演会のお知らせ】
☆☆
生活習慣病講演会
日時:平成21年10月10日(土)
18:00~20:00
会場:じゅうろくプラザ 5F大会議室
岐阜市橋本町1丁目10番地11
TEL 058-262-0150
座長:岐阜ハートセンター 院長 上野勝己先生
演題:糖尿病・メタボリックシンドロームと糖質制限食
演者:財団法人高雄病院 理事長 江部康二
☆☆
講座「食事で治すアトピー・糖尿病・メタボ」
-テーラーメードダイエットと糖質制限食-
会場 朝日カルチャーセンター芦屋
http://www.asahi-culture.co.jp/www/ashiya-i.html
TEL 0797-38-2666
日時 2009年10月30日 金曜日 13:00~14:30
参加費 会員2,415 一般2,835
講師:財団法人高雄病院 理事長 江部康二
【高雄病院、医師・看護師募集】
募集要項
随時面接選考いたします。
詳細は下記までお問い合せ下さい。
〒616-8265
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
財団法人 高雄病院
事務長 岡本 敏雄
TEL 075-872-0027
FAX 075-871-6865
E-mail okamoto@takao-hospital.jp
【コメント・質問に関するお知らせ・お願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
読者の皆さんからご意見いただきましたが、確かに普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、主治医にご相談頂けば助かります。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内・保険適応】
お問い合わせは高雄病院
http://www.takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
【糖質制限食外来治療のご案内・予約制・保険適応】
高雄病院 電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院京都駅前診療所 電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
http://www.takao-hospital.net/
江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
☆☆
生活習慣病講演会
日時:平成21年10月10日(土)
18:00~20:00
会場:じゅうろくプラザ 5F大会議室
岐阜市橋本町1丁目10番地11
TEL 058-262-0150
座長:岐阜ハートセンター 院長 上野勝己先生
演題:糖尿病・メタボリックシンドロームと糖質制限食
演者:財団法人高雄病院 理事長 江部康二
☆☆
講座「食事で治すアトピー・糖尿病・メタボ」
-テーラーメードダイエットと糖質制限食-
会場 朝日カルチャーセンター芦屋
http://www.asahi-culture.co.jp/www/ashiya-i.html
TEL 0797-38-2666
日時 2009年10月30日 金曜日 13:00~14:30
参加費 会員2,415 一般2,835
講師:財団法人高雄病院 理事長 江部康二
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募集要項
随時面接選考いたします。
詳細は下記までお問い合せ下さい。
〒616-8265
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
財団法人 高雄病院
事務長 岡本 敏雄
TEL 075-872-0027
FAX 075-871-6865
E-mail okamoto@takao-hospital.jp
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読者の皆さんからご意見いただきましたが、確かに普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、主治医にご相談頂けば助かります。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
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住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
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高雄病院 電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
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京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
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京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
2009年10月04日 (日)
こんばんは。
昨夜は講演会の後、松川町の料理旅館に宿泊して、糖質制限な夕食と焼酎と楽しみ、最後は皆でアコーデオンを伴奏に歌も歌って、ゆっくりさせて貰いました。(⌒o⌒)v
10月3日(土)に開催された
<糖尿病・メタボは必ず良くなる!信州つばさネット公開講座2009>
-目からウロコ!の糖質制限食-
おかげさまで快晴にも恵まれ、300人を超える参加者があり大盛況となりました。ブログ読者の皆さんもご参加いただきありがとうございました。
またアンケートによると初めて糖質制限食の話を聞いたという人も沢山おられ、松川町・信州に糖質制限食の輪が広がり根付いた歴史的一日だったような気がします。
はっきり言って、松川町、東京や大阪や京都とは人口が違います。私としてはいったいどれくらいの人数が集まってくれるやらかなり心配でしたが全くの杞憂と終わり、過去最大の動員でした。(^-^)v(^-^)v
信州つばさネットの皆さんの周到な準備、地道な草の根広報活動、松川町/松川町教育委員会/松川町公民館/松川町社会福祉協議会にもご後援いただき、このような盛大な講演会となりました。
佐橋紀子先生・大澤み江さん、をはじめつばさの会の皆さん、お見それ致しました。感動、感激しました。本当にありがとうごさいました。ご苦労様、お疲れ様でした。m(_ _)mVV
今朝は7:47分松川町発の高速バスで名古屋へ、新幹線に乗り換えて京都へ、昼からテニスにいって先ほど帰宅して今ブログを書いています。
充実した週末でした。
江部康二
昨夜は講演会の後、松川町の料理旅館に宿泊して、糖質制限な夕食と焼酎と楽しみ、最後は皆でアコーデオンを伴奏に歌も歌って、ゆっくりさせて貰いました。(⌒o⌒)v
10月3日(土)に開催された
<糖尿病・メタボは必ず良くなる!信州つばさネット公開講座2009>
-目からウロコ!の糖質制限食-
おかげさまで快晴にも恵まれ、300人を超える参加者があり大盛況となりました。ブログ読者の皆さんもご参加いただきありがとうございました。
またアンケートによると初めて糖質制限食の話を聞いたという人も沢山おられ、松川町・信州に糖質制限食の輪が広がり根付いた歴史的一日だったような気がします。
はっきり言って、松川町、東京や大阪や京都とは人口が違います。私としてはいったいどれくらいの人数が集まってくれるやらかなり心配でしたが全くの杞憂と終わり、過去最大の動員でした。(^-^)v(^-^)v
信州つばさネットの皆さんの周到な準備、地道な草の根広報活動、松川町/松川町教育委員会/松川町公民館/松川町社会福祉協議会にもご後援いただき、このような盛大な講演会となりました。
佐橋紀子先生・大澤み江さん、をはじめつばさの会の皆さん、お見それ致しました。感動、感激しました。本当にありがとうごさいました。ご苦労様、お疲れ様でした。m(_ _)mVV
今朝は7:47分松川町発の高速バスで名古屋へ、新幹線に乗り換えて京都へ、昼からテニスにいって先ほど帰宅して今ブログを書いています。
充実した週末でした。
江部康二
2009年10月02日 (金)
こんばんは。
今日は、一日中雨です。昼過ぎには結構土砂降り状態でした。
さて今回のブログは、米国における糖尿病治療食の変遷を概観してみました。
1900年代初期までは米国では糖尿病食としては、糖質制限食が主流でした。この頃すでに、食後血糖値を上昇させるのは、3大栄養素のなかで糖質だけということが、明確に認識されていたからです。
例えば、糖尿病学の父と呼ばれるジョスリン博士が執筆された「ジョスリン糖尿病学」の初版は1916年出版ですが、炭水化物は総摂取カロリーの20%が標準と記載してあります。
1921年にインスリンが初めて抽出され、1922年に当時14才の1型糖尿病患者に初めて注射されました。
その後、インスリンを注射しておけば糖質を摂取しても血糖値が上昇しないことが、徐々に周知されるようになりました。
その結果、正常人なみに糖質を食べても、インスリンさえ打っておけばいいという流れとなっていき、米国糖尿人の糖質摂取量は徐々に増えていきました。
ADA(米国糖尿病協会)ガイドラインが初めて制定されたのが1950年です。
上述の流れを受けて、第一回目のガイドライン制定時には、ADAは総摂取カロリーに対して、炭水化物40%を推奨しました。
1971年のガイドラインでは炭水化物45%に増えました。
1986年のガイドラインでさらに炭水化物60%と増えたあと、
1994年のガイドラインでは、総摂取カロリーに対してタンパク質10~20%という規定がありますが、炭水化物・脂質の規定はなくなりました。
1994年のガイドラインの時、オリーブオイルたっぷりの地中海食も選択肢に加わったようです。
ADAの2008年度実施臨床勧告で
「糖質のモニタリングは血糖管理の鍵となる」
とgradeAで推奨され、
「減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食、もしくは低炭水化物食によるダイエットが推奨される」と低糖質食を支持する見解が初めてだされました。(*)
現在米国では
①従来のカロリー制限食(糖質60%)
②糖質管理食(糖質の摂取量を計算する)
③地中海食(オリーブオイルたっぷり)
④低糖質食(糖質制限食)
の4つの選択肢があります。
おもしろいことに、米国でも糖尿病専門医はまだ①を推奨する人が多いようですが、一般の医師は④推奨が増えつつあるようです。また、全米最大の患者会は④推奨のようです。なお1型糖尿病は、米国では糖尿病専門医も一般の医師も②が標準治療です。
日本糖尿病学会の2009年のガイドラインでは、糖質制限食はおろか糖質管理食でさえも一言も触れておらず、ADA2008年度実施臨床勧告との相違が目立ちますね。
江部康二
(*)Nutrition Recommendations and Interventions for Diabetes.A position statement of ADA. Diabetes Care,31:S61-S78,2008
今日は、一日中雨です。昼過ぎには結構土砂降り状態でした。
さて今回のブログは、米国における糖尿病治療食の変遷を概観してみました。
1900年代初期までは米国では糖尿病食としては、糖質制限食が主流でした。この頃すでに、食後血糖値を上昇させるのは、3大栄養素のなかで糖質だけということが、明確に認識されていたからです。
例えば、糖尿病学の父と呼ばれるジョスリン博士が執筆された「ジョスリン糖尿病学」の初版は1916年出版ですが、炭水化物は総摂取カロリーの20%が標準と記載してあります。
1921年にインスリンが初めて抽出され、1922年に当時14才の1型糖尿病患者に初めて注射されました。
その後、インスリンを注射しておけば糖質を摂取しても血糖値が上昇しないことが、徐々に周知されるようになりました。
その結果、正常人なみに糖質を食べても、インスリンさえ打っておけばいいという流れとなっていき、米国糖尿人の糖質摂取量は徐々に増えていきました。
ADA(米国糖尿病協会)ガイドラインが初めて制定されたのが1950年です。
上述の流れを受けて、第一回目のガイドライン制定時には、ADAは総摂取カロリーに対して、炭水化物40%を推奨しました。
1971年のガイドラインでは炭水化物45%に増えました。
1986年のガイドラインでさらに炭水化物60%と増えたあと、
1994年のガイドラインでは、総摂取カロリーに対してタンパク質10~20%という規定がありますが、炭水化物・脂質の規定はなくなりました。
1994年のガイドラインの時、オリーブオイルたっぷりの地中海食も選択肢に加わったようです。
ADAの2008年度実施臨床勧告で
「糖質のモニタリングは血糖管理の鍵となる」
とgradeAで推奨され、
「減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食、もしくは低炭水化物食によるダイエットが推奨される」と低糖質食を支持する見解が初めてだされました。(*)
現在米国では
①従来のカロリー制限食(糖質60%)
②糖質管理食(糖質の摂取量を計算する)
③地中海食(オリーブオイルたっぷり)
④低糖質食(糖質制限食)
の4つの選択肢があります。
おもしろいことに、米国でも糖尿病専門医はまだ①を推奨する人が多いようですが、一般の医師は④推奨が増えつつあるようです。また、全米最大の患者会は④推奨のようです。なお1型糖尿病は、米国では糖尿病専門医も一般の医師も②が標準治療です。
日本糖尿病学会の2009年のガイドラインでは、糖質制限食はおろか糖質管理食でさえも一言も触れておらず、ADA2008年度実施臨床勧告との相違が目立ちますね。
江部康二
(*)Nutrition Recommendations and Interventions for Diabetes.A position statement of ADA. Diabetes Care,31:S61-S78,2008
2009年10月02日 (金)
おはようございます。
2009年1月21日に諏訪中央病院で信州初の「糖質制限食」の講演会を行いました。
長野県民の皆さん、あの時は多数ご参加いただき、ありがとうございました。m(_ _)m
今回は、信州では久しぶりの講演会を、「信州つばさネット」の皆さんのお力を借りて開催することとなりました。
糖質制限食の最新理論と症例などを、わかりやすくお話しします。糖質制限食の講演内容は、ほぼ毎回バージョン・アップしていますので前回こられた方も退屈はされないと思いますよ。 (^_^)
今回の公開講座は、佐橋紀子先生(元飯田女史短大教授)とのジョイントです。
佐橋先生は、とても経験豊富な糖尿人です。
インスリン注射も打っておられます。
高雄病院に入院して糖質制限食を実践され、インスリンの量は1/3に減量できました。
入院中のこと、退院後のこと、成功談、失敗談含めていろんな体験談を語っていただけます。
美味しく楽しく、酒も肉も魚もOK、でカロリー計算なしの糖質制限食、信州・長野県民の皆さん、是非、足をお運び下さいね。ヾ(^▽^)
江部康二
以下は佐橋紀子先生からのメッセージです。
☆☆☆☆☆
『私は昨年8月、2週間高雄病院に入院し、江部先生と出会いました。
糖尿病歴28年のつわものでした。これ以上酷くなれば合併症の花盛りになるところでした。
それが糖質制限食との出会いによって、奇跡とも言うべき変化が起こりました。
空腹時血糖は半分に、血糖降下剤はゼロに、インスリンは1/3になりました。
こんな劇的効果をもたらす治療法をなぜ今まで知らなかったのか、とても無念でした。
私は江部先生に出会って命を救われましたが、自分さえよければいいというものではありません。
一人でも多くの人にこの糖質制限食のことを知って頂きたくて、講演会を企画しました。
それが先生に対する感謝の気持ちであり、社会に対する責務ではないかと思っています。
今年2月の名古屋市女性会館での講演会は、先生の明快な講義と、私の患者としての経験や驚きをお話いたしました。
医師と患者のジョイント講演会が、私たちの企画の特徴です。
しかし、定員が150人だったため、多くの方々をお断りすることになり、大変申し訳なく思っています。
今回の信州松川では、400人収容できる会場を用意いたしました。今度はたっぷりお入りいただけます。
どうぞみなさま、この機会に秋の信州においでください。目からウロコのお話が聞けること請け合いです。
申し遅れましたが、”翼”は自主学習グループで、結成15年、会員は210名になりました。
たった一度の人生を豊かに生きたい、と学ぶ自主グループです。
江部先生も会員になってくださったおかげで、遠い信州まで来てくださることになり、感謝しています。
Human life Info Net “翼” 代表 佐橋紀子』
☆☆☆☆☆
糖尿病・メタボは必ず良くなる! 信州つばさネット公開講座2009
-目からウロコ!の糖質制限食-
講師:佐橋紀子先生
HUMAN LIFE INFO NET ”翼”代表 元飯田女子短大教授
「私の奇跡体験 患者の立場から」
江部康二
高雄病院理事長
「糖尿人医師、糖質制限食を語る」
とき:2009年10月3日(土) 午後1:00~4:00
ところ:信州松川町民体育館 トレーニングルーム
参加費:800円
主催:信州つばさネット/HUMAN LIFE INFO NET 翼
申込先:平沢文子(0265-34-7330 ”介護のかふね 松川店”
大澤み江(0265-36-3154)
野口次郎(0265-23-8824)
後援:松川町/松川町教育委員会/松川町公民館/松川町社会福祉協議会
2009年1月21日に諏訪中央病院で信州初の「糖質制限食」の講演会を行いました。
長野県民の皆さん、あの時は多数ご参加いただき、ありがとうございました。m(_ _)m
今回は、信州では久しぶりの講演会を、「信州つばさネット」の皆さんのお力を借りて開催することとなりました。
糖質制限食の最新理論と症例などを、わかりやすくお話しします。糖質制限食の講演内容は、ほぼ毎回バージョン・アップしていますので前回こられた方も退屈はされないと思いますよ。 (^_^)
今回の公開講座は、佐橋紀子先生(元飯田女史短大教授)とのジョイントです。
佐橋先生は、とても経験豊富な糖尿人です。
インスリン注射も打っておられます。
高雄病院に入院して糖質制限食を実践され、インスリンの量は1/3に減量できました。
入院中のこと、退院後のこと、成功談、失敗談含めていろんな体験談を語っていただけます。
美味しく楽しく、酒も肉も魚もOK、でカロリー計算なしの糖質制限食、信州・長野県民の皆さん、是非、足をお運び下さいね。ヾ(^▽^)
江部康二
以下は佐橋紀子先生からのメッセージです。
☆☆☆☆☆
『私は昨年8月、2週間高雄病院に入院し、江部先生と出会いました。
糖尿病歴28年のつわものでした。これ以上酷くなれば合併症の花盛りになるところでした。
それが糖質制限食との出会いによって、奇跡とも言うべき変化が起こりました。
空腹時血糖は半分に、血糖降下剤はゼロに、インスリンは1/3になりました。
こんな劇的効果をもたらす治療法をなぜ今まで知らなかったのか、とても無念でした。
私は江部先生に出会って命を救われましたが、自分さえよければいいというものではありません。
一人でも多くの人にこの糖質制限食のことを知って頂きたくて、講演会を企画しました。
それが先生に対する感謝の気持ちであり、社会に対する責務ではないかと思っています。
今年2月の名古屋市女性会館での講演会は、先生の明快な講義と、私の患者としての経験や驚きをお話いたしました。
医師と患者のジョイント講演会が、私たちの企画の特徴です。
しかし、定員が150人だったため、多くの方々をお断りすることになり、大変申し訳なく思っています。
今回の信州松川では、400人収容できる会場を用意いたしました。今度はたっぷりお入りいただけます。
どうぞみなさま、この機会に秋の信州においでください。目からウロコのお話が聞けること請け合いです。
申し遅れましたが、”翼”は自主学習グループで、結成15年、会員は210名になりました。
たった一度の人生を豊かに生きたい、と学ぶ自主グループです。
江部先生も会員になってくださったおかげで、遠い信州まで来てくださることになり、感謝しています。
Human life Info Net “翼” 代表 佐橋紀子』
☆☆☆☆☆
糖尿病・メタボは必ず良くなる! 信州つばさネット公開講座2009
-目からウロコ!の糖質制限食-
講師:佐橋紀子先生
HUMAN LIFE INFO NET ”翼”代表 元飯田女子短大教授
「私の奇跡体験 患者の立場から」
江部康二
高雄病院理事長
「糖尿人医師、糖質制限食を語る」
とき:2009年10月3日(土) 午後1:00~4:00
ところ:信州松川町民体育館 トレーニングルーム
参加費:800円
主催:信州つばさネット/HUMAN LIFE INFO NET 翼
申込先:平沢文子(0265-34-7330 ”介護のかふね 松川店”
大澤み江(0265-36-3154)
野口次郎(0265-23-8824)
後援:松川町/松川町教育委員会/松川町公民館/松川町社会福祉協議会
2009年10月01日 (木)
おはようございます。
今回は中国在住の久蔵さんから貧血について、コメント・質問をいただきました。
「09/09/30 久蔵
赤血球数の低下について
始めまして。中国在住の久蔵です。
私は07年3月末に異常な喉の渇き、頻尿、また異常な疲労が感じられ、我慢できない状況になり、病院に行った所、HbA1C12.4%で完全な糖尿病と診断されました。
その後はインスリンを40単位/日から始め、半年ほどで、インスリンから脱却できて、その後はメトフォルミンとビグアナイトを飲みで半年治療を続け、08年1月以降は薬無しで、スタンダード糖質制限を始め、
09年1月からはスーパー糖質制限に切替え、適量の飲酒を楽しみながら食生活の面でもまあ不自由なく過ごしています。08年1月以降のHbA1Cは大よそ5.4~5.6%で推移しています。
先ずは江部先生有難うございます。
中国の病院に緊急入院した時は、特にもうおいしい物が食べられないと、とても落ち込んだ事が懐かしく思い出されます。(肉・魚O・アルコールOKならご飯・パンなんて・・・笑)
前置きが長くなってしまい申し訳有りません。
ここからが本題ですが、人間ドックで赤血球が低いとの指摘を受けていますが、これは糖質制限をするとその様な傾向があるのかご教示頂けると幸いです。
08年7月検査値 09年7月検査値
赤血球数 399 368
ヘモグロビン 13.9 13.2
MCH 34.8 35.9
ちなみにもう2年以上、毎週土日は10Kmジョッギングを続けており、大よそ合計100km/月は走っていると思います。
過去には赤血球数が少ない時期は有りませんでしたし、ジョッギングによる足の衝撃で赤血球がも割れるという話も聞いた事も有ります。
貧血の自覚症状としては時々立ちくらみは有りますが、それ程ひどい症状ではありません。
赤血球数低下の原因はどの辺りにありそうでしょうか?
お忙しい所申し訳有りませんが、お時間が有る時に、ご教示下さい。
宜しくお願い致します。」
久蔵さん。
コメントありがとうございます。
糖質制限食実践で内服薬を中止できて 、かつて12.4%だったHbA1Cが、5.4~5.6%に改善したのは
素晴らしいですね。美味しく楽しく上手に糖質制限食を実践しておられるのでしょう。
ご質問の件ですが、糖質制限食で貧血になる人は、今までありませんでした。糖質制限食に取り組んでいる他の医師からの情報でも、貧血の話はでたことがありません。
「ヘモグロビン13.2g/dl」
<14~17g/dl>が正常値なので、久蔵さんはごく軽度の貧血ですが、この程度なら自覚症状は出現しません。
立ちくらみは、ジョギングなどもしておられるので、血圧がやや低めの可能性があり、そのためかもしれませんね。貧血がこのまま続くようなら、一度血液内科を受診されて調べるのがよいと思います。
糖質制限食実践による検査データの変化ですが、はっきり一定の傾向がでるものとでないものがあります。
糖質制限食実践で
1 血糖値はリアルタイムに改善します。
2 スーパー糖質制限食なら、HbA1cは月に、1~2%改善します。
3 中性脂肪も速やかに改善します。
4 HDL-コレステロールは増加します。
増加しますが、増加の程度と速度に個人差があります。
5 LDL-コレステロールは低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も半年~1年くらいで落ち着くことが多いですが個人差があります。
6 総コレステロールは低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も半年~1年くらいで落ち着くことが多いですが個人差があります。
7 尿酸も低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も半年~1年くらいで落ち着くことが多いですが個人差があります。
8 尿素窒素はやや増加傾向になる人が多いですが、そのうち落ちつくことがおおいです。
9 クレアチニンは不変です。
10 カリウムも不変のことが多いです。
11 血中ケトン体は現行の基準値より高値となりますが、生理的なものです。
12 尿中ケトン体は当初3ヶ月~半年は陽性になりますが、その後陰性化します。
13 脂肪肝に付随する、GPTやγGTP高値も改善します。
江部康二
今回は中国在住の久蔵さんから貧血について、コメント・質問をいただきました。
「09/09/30 久蔵
赤血球数の低下について
始めまして。中国在住の久蔵です。
私は07年3月末に異常な喉の渇き、頻尿、また異常な疲労が感じられ、我慢できない状況になり、病院に行った所、HbA1C12.4%で完全な糖尿病と診断されました。
その後はインスリンを40単位/日から始め、半年ほどで、インスリンから脱却できて、その後はメトフォルミンとビグアナイトを飲みで半年治療を続け、08年1月以降は薬無しで、スタンダード糖質制限を始め、
09年1月からはスーパー糖質制限に切替え、適量の飲酒を楽しみながら食生活の面でもまあ不自由なく過ごしています。08年1月以降のHbA1Cは大よそ5.4~5.6%で推移しています。
先ずは江部先生有難うございます。
中国の病院に緊急入院した時は、特にもうおいしい物が食べられないと、とても落ち込んだ事が懐かしく思い出されます。(肉・魚O・アルコールOKならご飯・パンなんて・・・笑)
前置きが長くなってしまい申し訳有りません。
ここからが本題ですが、人間ドックで赤血球が低いとの指摘を受けていますが、これは糖質制限をするとその様な傾向があるのかご教示頂けると幸いです。
08年7月検査値 09年7月検査値
赤血球数 399 368
ヘモグロビン 13.9 13.2
MCH 34.8 35.9
ちなみにもう2年以上、毎週土日は10Kmジョッギングを続けており、大よそ合計100km/月は走っていると思います。
過去には赤血球数が少ない時期は有りませんでしたし、ジョッギングによる足の衝撃で赤血球がも割れるという話も聞いた事も有ります。
貧血の自覚症状としては時々立ちくらみは有りますが、それ程ひどい症状ではありません。
赤血球数低下の原因はどの辺りにありそうでしょうか?
お忙しい所申し訳有りませんが、お時間が有る時に、ご教示下さい。
宜しくお願い致します。」
久蔵さん。
コメントありがとうございます。
糖質制限食実践で内服薬を中止できて 、かつて12.4%だったHbA1Cが、5.4~5.6%に改善したのは
素晴らしいですね。美味しく楽しく上手に糖質制限食を実践しておられるのでしょう。
ご質問の件ですが、糖質制限食で貧血になる人は、今までありませんでした。糖質制限食に取り組んでいる他の医師からの情報でも、貧血の話はでたことがありません。
「ヘモグロビン13.2g/dl」
<14~17g/dl>が正常値なので、久蔵さんはごく軽度の貧血ですが、この程度なら自覚症状は出現しません。
立ちくらみは、ジョギングなどもしておられるので、血圧がやや低めの可能性があり、そのためかもしれませんね。貧血がこのまま続くようなら、一度血液内科を受診されて調べるのがよいと思います。
糖質制限食実践による検査データの変化ですが、はっきり一定の傾向がでるものとでないものがあります。
糖質制限食実践で
1 血糖値はリアルタイムに改善します。
2 スーパー糖質制限食なら、HbA1cは月に、1~2%改善します。
3 中性脂肪も速やかに改善します。
4 HDL-コレステロールは増加します。
増加しますが、増加の程度と速度に個人差があります。
5 LDL-コレステロールは低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も半年~1年くらいで落ち着くことが多いですが個人差があります。
6 総コレステロールは低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も半年~1年くらいで落ち着くことが多いですが個人差があります。
7 尿酸も低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も半年~1年くらいで落ち着くことが多いですが個人差があります。
8 尿素窒素はやや増加傾向になる人が多いですが、そのうち落ちつくことがおおいです。
9 クレアチニンは不変です。
10 カリウムも不変のことが多いです。
11 血中ケトン体は現行の基準値より高値となりますが、生理的なものです。
12 尿中ケトン体は当初3ヶ月~半年は陽性になりますが、その後陰性化します。
13 脂肪肝に付随する、GPTやγGTP高値も改善します。
江部康二
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