2009年07月31日 (金)
おはようございます。
昨夜は、比較的涼しかったです。今朝は、蝉の声で午前6時半に目が覚めました。
今日は、江部診療所を休診にして、午後から第33回日本産婦人科栄養代謝研究会で1時間の特別講演「栄養・代謝と糖質制限食」をするため、金沢に向かいます。
医師向けの講演なのでやや緊張してますが、とても楽しみでもあります。 (^_^)
さて、よくある質問の一つに「糖尿病は治るのでしょうか?治らないのでしょうか?」というのがあります。
一般には、「一旦糖尿病になったら決して治らない。」というのが定説ですが、本当のところはどうなのでしょう。
それではまず、どのようにして糖尿病が発症するのかを考えてみます。
日本人の糖尿病発症は、食後高血糖が数年間続いているのを見逃しているうちに、遂に空腹時血糖値が上昇してきて、健康診断で発見されたというパターンが多いです。
即ち、当初は食後高血糖にならないように、膵臓のβ細胞がインスリン追加分泌を頑張って沢山出し続けていくのですが、ある日とうとう追いつかなくなってきて、食後高血糖の段階に至ります。
この段階では、インスリン追加分泌の軽度の不足があり、食後2時間値が140~199mgの境界型レベルになりますが、まだ基礎分泌は保たれていて早朝空腹時血糖値は、110mg/dl未満で正常範囲を保つことがほとんどです。
食後高血糖の段階になると、高血糖そのものが膵臓のβ細胞を障害します。食後高血糖が180mgを超えてくると、β細胞への直接のダメージでインスリン分泌不足を悪化させ、また体細胞のインスリン抵抗性も増してきて、糖毒と呼ばれる悪循環を生じます。
食後高血糖が数年間続くと、膵臓は徐々に疲弊していき、インスリン追加分泌の不足に加えて、インスリン基礎分泌不足となり、とうとう早朝空腹時血糖値が高値となるのです。
空腹時血糖値が126mg/dl以上、随時血糖値が200mg/dl以上で糖尿病型と診断されます。
糖毒状態が1日の中でも長時間続くようになれば、急速に糖尿病が悪化していきます。
糖尿病は、インスリン分泌不足とインスリン抵抗性が合わさって発症しますが、日本人は、インスリン分泌不足が主で、欧米人は、インスリン抵抗性が主とされています。インスリン分泌不足とインスリン抵抗性を合わせて、インスリン作用不足と言います。
インスリン分泌不足が主の場合、糖尿病と診断された時点でインスリンを作っている膵臓のランゲルハンス島のβ細胞の1~2割が壊れていて、3~4割が疲弊していて、健常なのは、残りの半分くらいと考えられます。
一般に、糖尿病が治らないと言われるのは、既に壊れてしまったβ細胞は、元に戻らないと言う意味です。
しかし、糖質制限食を実践して、膵臓が充分休養できれば、疲弊していたβ細胞が、正常に回復することが期待できます。
実際、入院時の空腹時血糖値が200mg近かった方が、糖質制限食実践数日で、110mgを切ってくることもあります。
食後高血糖の期間・年数が長いほど、β細胞がダメージを受けている割合が徐々に増えていき、ダメージが大きい細胞は、回復しにくくなっていくということになります。
次にインスリン抵抗性が主の糖尿病を考えてみます。
この場合、インスリン分泌能力は保たれていることが多いのです。日本人でもこのタイプが少し増えてきています。
例えば、肥満や脂肪肝がありインスリン抵抗性が高まれば、インスリンは分泌されていても、糖尿病を発症することがあります。このとき何らかの方法で肥満や脂肪肝が改善すればインスリン抵抗性も減少します。
そうすると、適量のインスリンで筋肉細胞や脂肪細胞内にブドウ糖を取り込むことが可能となり、インスリン分泌不足はないので血糖値は正常化し、糖尿病が治ることになります。
治るという言い方に語弊があるなら、インスリン作用不足が改善し健常のパターンに戻るということです。
実際、そういう患者さんを数名経験しました。
例えば、空腹時血糖値218mg/dl、HbA1c11.7%、163cm、72kgだった人が、内服薬なしで糖質制限食を1年続けて、60kgと肥満が解消し、HbA1cは5%前後で保ち、糖質を普通に摂取しても食後2時間血糖値が140mg/dl未満となりました。勿論空腹時血糖値も正常範囲です。
血液検査のデータでは、診断基準上は正常人としかいいようがありませんので、糖尿病のレッテルも消えました。ヾ(゜▽゜)
現段階なら、この患者さんが糖尿病専門医を受診して、いろいろ血液検査をされたとしても「糖尿病ではありません。診断基準からみて正常です。」という診断となるでしょう。
江部康二の場合は、インスリン分泌不足が主でインスリン抵抗性が従の糖尿病でして、スーパー 糖質制限食を続けているかぎりは正常人ですが、糖質を摂取すれば残念ながら食後時間血糖値は200mgを超えて、立派な糖尿病です。
β細胞が既に1~2割壊れていて、決して治らないパターンですね(×_×)
結論です。
「インスリン抵抗性が主の糖尿病なら、抵抗性が改善すれば、糖代謝が正常人のパターンに戻る人もまれにいる。」ということですね。
江部康二
昨夜は、比較的涼しかったです。今朝は、蝉の声で午前6時半に目が覚めました。
今日は、江部診療所を休診にして、午後から第33回日本産婦人科栄養代謝研究会で1時間の特別講演「栄養・代謝と糖質制限食」をするため、金沢に向かいます。
医師向けの講演なのでやや緊張してますが、とても楽しみでもあります。 (^_^)
さて、よくある質問の一つに「糖尿病は治るのでしょうか?治らないのでしょうか?」というのがあります。
一般には、「一旦糖尿病になったら決して治らない。」というのが定説ですが、本当のところはどうなのでしょう。
それではまず、どのようにして糖尿病が発症するのかを考えてみます。
日本人の糖尿病発症は、食後高血糖が数年間続いているのを見逃しているうちに、遂に空腹時血糖値が上昇してきて、健康診断で発見されたというパターンが多いです。
即ち、当初は食後高血糖にならないように、膵臓のβ細胞がインスリン追加分泌を頑張って沢山出し続けていくのですが、ある日とうとう追いつかなくなってきて、食後高血糖の段階に至ります。
この段階では、インスリン追加分泌の軽度の不足があり、食後2時間値が140~199mgの境界型レベルになりますが、まだ基礎分泌は保たれていて早朝空腹時血糖値は、110mg/dl未満で正常範囲を保つことがほとんどです。
食後高血糖の段階になると、高血糖そのものが膵臓のβ細胞を障害します。食後高血糖が180mgを超えてくると、β細胞への直接のダメージでインスリン分泌不足を悪化させ、また体細胞のインスリン抵抗性も増してきて、糖毒と呼ばれる悪循環を生じます。
食後高血糖が数年間続くと、膵臓は徐々に疲弊していき、インスリン追加分泌の不足に加えて、インスリン基礎分泌不足となり、とうとう早朝空腹時血糖値が高値となるのです。
空腹時血糖値が126mg/dl以上、随時血糖値が200mg/dl以上で糖尿病型と診断されます。
糖毒状態が1日の中でも長時間続くようになれば、急速に糖尿病が悪化していきます。
糖尿病は、インスリン分泌不足とインスリン抵抗性が合わさって発症しますが、日本人は、インスリン分泌不足が主で、欧米人は、インスリン抵抗性が主とされています。インスリン分泌不足とインスリン抵抗性を合わせて、インスリン作用不足と言います。
インスリン分泌不足が主の場合、糖尿病と診断された時点でインスリンを作っている膵臓のランゲルハンス島のβ細胞の1~2割が壊れていて、3~4割が疲弊していて、健常なのは、残りの半分くらいと考えられます。
一般に、糖尿病が治らないと言われるのは、既に壊れてしまったβ細胞は、元に戻らないと言う意味です。
しかし、糖質制限食を実践して、膵臓が充分休養できれば、疲弊していたβ細胞が、正常に回復することが期待できます。
実際、入院時の空腹時血糖値が200mg近かった方が、糖質制限食実践数日で、110mgを切ってくることもあります。
食後高血糖の期間・年数が長いほど、β細胞がダメージを受けている割合が徐々に増えていき、ダメージが大きい細胞は、回復しにくくなっていくということになります。
次にインスリン抵抗性が主の糖尿病を考えてみます。
この場合、インスリン分泌能力は保たれていることが多いのです。日本人でもこのタイプが少し増えてきています。
例えば、肥満や脂肪肝がありインスリン抵抗性が高まれば、インスリンは分泌されていても、糖尿病を発症することがあります。このとき何らかの方法で肥満や脂肪肝が改善すればインスリン抵抗性も減少します。
そうすると、適量のインスリンで筋肉細胞や脂肪細胞内にブドウ糖を取り込むことが可能となり、インスリン分泌不足はないので血糖値は正常化し、糖尿病が治ることになります。
治るという言い方に語弊があるなら、インスリン作用不足が改善し健常のパターンに戻るということです。
実際、そういう患者さんを数名経験しました。
例えば、空腹時血糖値218mg/dl、HbA1c11.7%、163cm、72kgだった人が、内服薬なしで糖質制限食を1年続けて、60kgと肥満が解消し、HbA1cは5%前後で保ち、糖質を普通に摂取しても食後2時間血糖値が140mg/dl未満となりました。勿論空腹時血糖値も正常範囲です。
血液検査のデータでは、診断基準上は正常人としかいいようがありませんので、糖尿病のレッテルも消えました。ヾ(゜▽゜)
現段階なら、この患者さんが糖尿病専門医を受診して、いろいろ血液検査をされたとしても「糖尿病ではありません。診断基準からみて正常です。」という診断となるでしょう。
江部康二の場合は、インスリン分泌不足が主でインスリン抵抗性が従の糖尿病でして、スーパー 糖質制限食を続けているかぎりは正常人ですが、糖質を摂取すれば残念ながら食後時間血糖値は200mgを超えて、立派な糖尿病です。
β細胞が既に1~2割壊れていて、決して治らないパターンですね(×_×)
結論です。
「インスリン抵抗性が主の糖尿病なら、抵抗性が改善すれば、糖代謝が正常人のパターンに戻る人もまれにいる。」ということですね。
江部康二
2009年07月30日 (木)
こんばんは。
「先生は医師であり玄米を食べ運動もしていたのに、何故糖尿病になったのですか?」
このような質問をたまにされることがあります。
私自身も、当初は何故自分が糖尿病になってしまったのか解っていませんでした。恥ずかしながら、糖質制限食理論に辿り着いて初めて理解したというわけです。(=_=;)
もともと父も母も糖尿病で、父は77歳の時糖尿病による血流傷害のため右大腿切断手術をし、その後心筋梗塞や肺炎にもなり、80歳で永眠しました。家族歴は完璧なので、私もそこそこ警戒はしていたのですが2002年の病院の健康診断(52歳時)で遂にHbA1Cが6.3%と糖尿病の域に達しており、慌てて食後2時間の血糖値を測定してみると260mg/dlもあり愕然としました。血糖値を上昇させにくいはずの玄米で実験してみても食後血糖値は260前後で変わりませんでした。
通常健康診断で調べる朝一番の空腹時血糖値は、十数年間ずっと108mg以下で安心していました。しかし、1998年には、115mgで初めて糖尿病と正常の境界領域になっていたのに、油断して放置していたのです。もっとも、玄米は食べているし魚中心で肉や脂は控えめで、週に1.2回テニスはしているし一般的にみれば健康的なライフスタイルのはず?でしたが・・・。
40歳過ぎから「酒をやるなら純米大吟醸、ビール飲むなら恵比寿ビール、愛読書並びに推薦書は夏子の酒・・・」てなキャッチコピーで、それまでのウィスキーやブランデーから純米酒と恵比寿ビールに切り替えて、当時浴びるように飲んでいたのも今から思えば敗因でした。
通常食後高血糖が数年間続いたあとに、空腹時血糖値が上昇すると言われているので、実は1990年代の初めごろから、とっくに食後高血糖が存在した可能性が高かったのです。(読者の皆さんも糖尿病の早期チェックには、空腹時血糖値ではなく主食摂取後1時間血糖値を調べてくださいね。)
玄米といえども糖質、42~43歳ごろから毎日食事の度に軽度の食後高血糖を繰り返し、だめ押しに毎晩毎晩、雨の日も風の日も雪の日も晴れの日も曇りの日も、律儀に純米酒と恵比寿ビールで飲酒後高血糖を生じていたのでしょう。σ(=_=;)ヾ
当時は、テニスの帰りにスポーツジムにもよって、自転車こぎや腹筋・背筋運動もやってましたが、なぜか体重は徐々に増加し、腹回りも順調に育っていきました。
所詮この程度の運動では、主食摂取後の高血糖に対抗できるはずもなく、インスリン過剰分泌で肥満していったのだ思います。しっかり摘めるお肉なので、筋肉増強ではなく脂肪増強に間違いありません。
肥満すればインスリン抵抗性が増して効きが悪くなるので、益々過剰のインスリンを分泌せざるを得ません。しかしこのような状況では膵臓が徐々に疲弊していきますから、インスリンを過剰に分泌できなくなって不足し、とうとう糖尿病発症ですね。
江部康二のケースは、日本人の糖尿病発症の典型的なパターンといえます。
52歳、糖尿病発覚時には、とうとう体重67kgになって、学生時代より10kg増えてしまいました。
血圧は160/100、腹囲は86cmと、メタボリック・シンドロームの診断基準を見事に満たしていました。身長は167cmです。
ここに至り、一念発起して、2002年6月から糖質制限食を開始しました。高雄病院では1999年から院長・江部洋一郎が糖質制限食を実践し画期的な成果をあげていました。
当初、半信半疑だった私も、2001年に糖尿病の患者さんに初めて実施し劇的改善を得ていたので、うまくいく確信はありました。肉・魚・野菜・豆腐などおかずは食べ放題で、主食(糖質)だけはなしです。酒は日本酒、ビールなどの糖質を含んでいる醸造酒は中止し、もっぱら焼酎(蒸留酒)としました。赤ワインだけは、醸造酒の中でも血糖値を上昇させないので適宜飲んでいます。
その結果1年間の糖質制限食で、体重は56kgにおち、血圧も120/70、HbA1Cも4.9%と改善しました。メタボリック・シンドロームも解消しました。
純米大吟醸・恵比寿ビール時代を知る友人達からは、非難囂々、ブーイング続出でしたが、糖尿病とおさらばするために、背に腹は代えられません。
その後は、2009年現在に至るまで、身長、体重はほぼ一定で、血圧も120~130/70~80ていど、HbA1cは5.1~5.3%ていどです。
今は、主食(糖質)を食べなければ正常人、主食(糖質)を食べれば糖尿人です。4%台を目指すのは、美味しく楽しく糖質制限食が困難となるので、今ぐらいにしときます。 (^^)
江部康二
「先生は医師であり玄米を食べ運動もしていたのに、何故糖尿病になったのですか?」
このような質問をたまにされることがあります。
私自身も、当初は何故自分が糖尿病になってしまったのか解っていませんでした。恥ずかしながら、糖質制限食理論に辿り着いて初めて理解したというわけです。(=_=;)
もともと父も母も糖尿病で、父は77歳の時糖尿病による血流傷害のため右大腿切断手術をし、その後心筋梗塞や肺炎にもなり、80歳で永眠しました。家族歴は完璧なので、私もそこそこ警戒はしていたのですが2002年の病院の健康診断(52歳時)で遂にHbA1Cが6.3%と糖尿病の域に達しており、慌てて食後2時間の血糖値を測定してみると260mg/dlもあり愕然としました。血糖値を上昇させにくいはずの玄米で実験してみても食後血糖値は260前後で変わりませんでした。
通常健康診断で調べる朝一番の空腹時血糖値は、十数年間ずっと108mg以下で安心していました。しかし、1998年には、115mgで初めて糖尿病と正常の境界領域になっていたのに、油断して放置していたのです。もっとも、玄米は食べているし魚中心で肉や脂は控えめで、週に1.2回テニスはしているし一般的にみれば健康的なライフスタイルのはず?でしたが・・・。
40歳過ぎから「酒をやるなら純米大吟醸、ビール飲むなら恵比寿ビール、愛読書並びに推薦書は夏子の酒・・・」てなキャッチコピーで、それまでのウィスキーやブランデーから純米酒と恵比寿ビールに切り替えて、当時浴びるように飲んでいたのも今から思えば敗因でした。
通常食後高血糖が数年間続いたあとに、空腹時血糖値が上昇すると言われているので、実は1990年代の初めごろから、とっくに食後高血糖が存在した可能性が高かったのです。(読者の皆さんも糖尿病の早期チェックには、空腹時血糖値ではなく主食摂取後1時間血糖値を調べてくださいね。)
玄米といえども糖質、42~43歳ごろから毎日食事の度に軽度の食後高血糖を繰り返し、だめ押しに毎晩毎晩、雨の日も風の日も雪の日も晴れの日も曇りの日も、律儀に純米酒と恵比寿ビールで飲酒後高血糖を生じていたのでしょう。σ(=_=;)ヾ
当時は、テニスの帰りにスポーツジムにもよって、自転車こぎや腹筋・背筋運動もやってましたが、なぜか体重は徐々に増加し、腹回りも順調に育っていきました。
所詮この程度の運動では、主食摂取後の高血糖に対抗できるはずもなく、インスリン過剰分泌で肥満していったのだ思います。しっかり摘めるお肉なので、筋肉増強ではなく脂肪増強に間違いありません。
肥満すればインスリン抵抗性が増して効きが悪くなるので、益々過剰のインスリンを分泌せざるを得ません。しかしこのような状況では膵臓が徐々に疲弊していきますから、インスリンを過剰に分泌できなくなって不足し、とうとう糖尿病発症ですね。
江部康二のケースは、日本人の糖尿病発症の典型的なパターンといえます。
52歳、糖尿病発覚時には、とうとう体重67kgになって、学生時代より10kg増えてしまいました。
血圧は160/100、腹囲は86cmと、メタボリック・シンドロームの診断基準を見事に満たしていました。身長は167cmです。
ここに至り、一念発起して、2002年6月から糖質制限食を開始しました。高雄病院では1999年から院長・江部洋一郎が糖質制限食を実践し画期的な成果をあげていました。
当初、半信半疑だった私も、2001年に糖尿病の患者さんに初めて実施し劇的改善を得ていたので、うまくいく確信はありました。肉・魚・野菜・豆腐などおかずは食べ放題で、主食(糖質)だけはなしです。酒は日本酒、ビールなどの糖質を含んでいる醸造酒は中止し、もっぱら焼酎(蒸留酒)としました。赤ワインだけは、醸造酒の中でも血糖値を上昇させないので適宜飲んでいます。
その結果1年間の糖質制限食で、体重は56kgにおち、血圧も120/70、HbA1Cも4.9%と改善しました。メタボリック・シンドロームも解消しました。
純米大吟醸・恵比寿ビール時代を知る友人達からは、非難囂々、ブーイング続出でしたが、糖尿病とおさらばするために、背に腹は代えられません。
その後は、2009年現在に至るまで、身長、体重はほぼ一定で、血圧も120~130/70~80ていど、HbA1cは5.1~5.3%ていどです。
今は、主食(糖質)を食べなければ正常人、主食(糖質)を食べれば糖尿人です。4%台を目指すのは、美味しく楽しく糖質制限食が困難となるので、今ぐらいにしときます。 (^^)
江部康二
2009年07月29日 (水)
こんにちは。
お久しぶりです。28日、夜に信州八ヶ岳山麓・富士見高原から無事帰京しました。夜は合宿最後の宴会でしたので、ブログ更新できませんでした。o(_ _)o
富士見高原は標高1250m、夜は寒いくらいで長袖が必要でした。曇りがちで雨もありましたが、結局4日間を通して毎日テニスができました。 (^_^)
梅雨だというのに、自分でも運がいい方だと思います。28回のテニス合宿で、全くテニスができなかったことは過去一回もありません・・・。
さて、今日は、高雄病院で新刊本に向けての写真撮影でした。
しばらく前、全く今までとは別の切り口の、新しい本が8月に発売されるとブログで書きましたが、いよいよ8月10日に発売になります。
「我ら糖尿人、元気なのには理由(ワケ)がある。」 現代病を治す糖質制限食
著者 宮本輝 江部康二 東洋経済新報社
何と、あの太宰賞・芥川賞作家の宮本輝先生との対談本なのです。
東洋経済新報社もえらく力をいれて頂いていて、宮本輝先生と江部康二の写真を本の写真と並べて、新聞広告をうってくれるという
破格の扱いです。嬉しい限りです。(^-^)v(^-^)v
アマゾンでもう予約できると思います。¥1500円+消費税ですので、送料は無料です。
糖尿人作家・宮本輝先生と糖尿人医師・江部康二が、それぞれの体験談を始めとして自由闊達に喋ってます。
糖質制限食と糖尿病だけの話題にとどまらず、癌などそれ以外の病気、医療問題、医療崩壊、人類の食生活の歴史、ブドウ糖スパイク、糖質制限食の本質・可能性・・・
とても幅広い視点からの対談本になり、必ずや皆さんのお役に立てると自負しています。これもひとえに、宮本輝先生の英知・経験・直感・鋭い質問のお陰と感謝しております。
ブログ読者の皆様、是非ご一読のほど、よろしくお願い申し上げます。
以下は、長文ですが、
「我ら糖尿人、元気なのには理由(ワケ)がある。」 東洋経済新報社
の「あとがき」です。
あとがき 「常識の壁を越えて」 江部康二
宮本輝先生が初めて糖質制限食の情報に触れられたとき、妄言・戯言と思われたという。無理もないことである。実は私も兄、江部洋一郎が1999年に高雄病院に初めて糖質制限食を導入したとき、非常識・荒唐無稽でとんでもない代物と無視していた。私だけでなく3人いる管理栄養士も同様の対応であった。常識の壁というものは高く厚い。「脂肪悪玉説」、「カロリー至上主義」、「脳のエネルギー源はブドウ糖だけ」といった従来の常識にとらわれていた間は、糖質制限食を受け入れて勉強する気には到底ならなかったのである。2001年に私の糖尿病患者さんが血糖値560mg/dl、HbA1c14.5%という重症で入院され、通常のカロリー制限食で玄米を主食とし、7日間きっちり治療したが食後血糖値は400mgをきることはなかった。困り果てて糖質制限食を導入したところ、食後血糖値は180mgを超えることはなくなり、2週間後には入院時265mgあった空腹時血糖値が131mgに改善した。退院して初診から3ヶ月後にはHbA1c6.2%となった。この間内服薬もインスリン注射もまったくなしである。この糖質制限食第一号患者さんを経験した後は、目から鱗が落ちた思いで、徹底的に糖質制限食を研究することになった。
私の勤務する高雄病院は漢方治療を主としているユニークな病院である。1984年からは東洋医学と西洋医学を含めて薬物療法に頼るだけでなく、食事療法も重要と考えて給食に「玄米魚菜食」を導入した。食事療法に興味はあったがこの頃は理論的に裏付けがあったというよりは、先人の経験的な知識に頼っていた。また日本人が本来食べていた伝統的な食事はどんなものだったかを意識していた。 漢方治療の病院なので、難病や膠原病、腎不全など通常の西洋医学的治療では治りにくい様々な病気の患者さんが全国から来院される。この頃は、基本的に全ての病気に玄米魚菜食を推奨していた。
上述の如く2001年に糖質制限食の研究を開始し、その後2002年に自分自身が糖尿病と発覚してから、さらに徹底的に勉強した。実は家族歴として両親が糖尿病である。父は77歳の時、右大腿切断術を行い、80歳の時心筋梗塞・肺炎で永眠した。糖質制限食理論にもう10年早く巡り会えていればという思いがある。母親も20年来糖尿病であるが、現在85才で完全自立の一人暮らしである。2002年から緩い糖質制限食を実践していたが、2007年11月、HbA1c7.0%で、尿中微量アルブミン299(正常30以下)と上昇したので、糖質制限食をより厳しくした。その結果HbA1cは改善していき、だいたい、6・0%前後で推移している。2009年現在、HbA1c6.1%程度で、尿中微量アルブミンは33.3まで改善した。父は糖尿病合併症のオンパレードであったが、母は何とか糖質制限食が間に合ったのである。
糖質制限食の研究を重ね、海外文献を集めていく過程で、上述の「脂肪悪玉説」、「カロリー至上主義」、「脳のエネルギー源はブドウ糖だけ」は根拠のない神話に過ぎず、明確に間違いであるという認識を得た。例えば米国医師会雑誌(JAMA)2006年2月8日号の論文で、5万人の閉経女性を対照群をとって8年間追跡した結果、脂肪を総摂取カロリー比20%に制限しても心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクは全く減少しないことが確認された。さらにニューイングランド・ジャーナル2008年7月17日号に、「322人の成人を2年間追跡して、カロリー制限ありの脂肪制限食とカロリー制限なしの糖質制限食の効果を比較検討した結果、糖質制限食が体重を減少させ、HDL-Cを増加させた。」という報告がなされた。また医学の教科書「ハーパー・生化学」(原著27版)には、脳が脂肪酸の代謝産物のケトン体をエネルギー源とすることが明記してある。常識の壁とは恐ろしいもので、これらの明確な証拠があっても、100人中99人以上の医師.栄養士が「脂肪悪玉説」、「カロリー至上主義」、「脳のエネルギー源はブドウ糖だけ」という無根拠な神話をいまだに信じているのが現状である。
これらの文献や糖質制限食の画期的な治療効果を目の当たりにして、「本来の日本型の食生活」という以前に「本来の人類の食生活」とは何だったのかという根源的な疑問が湧いてきた。数年間、様々な本や資料を読み、友人・知人にも尋ね、試行錯誤を繰り返し、自分なりの結論を出すことができた。
すなわち、人類の食生活は「農耕が始まる前」「農耕以後」「精製炭水化物以後」の3つに分けることができる。この3段階の変化が人体の代謝において極めて重要な意味をもっている。その鍵となるのが血糖値の変化である。
人類の歴史が400万年として、農耕が始まる前の399万年間は食生活の中心は狩猟や採取であり、穀物はないので人類皆糖質制限食である。従って血糖値の上下動がほとんどない。例えば空腹時血糖値が100mg/dl程度と仮定して、食後の血糖値はせいぜい110~120mg/dlくらいで、血糖値上昇の幅は10~20mgていどの少なさである。これならインスリンの追加分泌はほとんど必要ない。
農耕が始まったのが約1万年前で、世界に定着したのが約4000年前である。糖質・脂質・タンパク質の三大栄養素のなかで血糖値を急峻に上昇させるのは糖質だけである。穀物(糖質)を摂取すれば、空腹時血糖値が100mgとして、食後血糖値は140mgていどまで上昇し、インスリンが大量に追加分泌される。血糖値上昇の幅は40mgもある。農耕以後の4000年間は、人類の膵臓のβ細胞はそれ以前に比べて毎日10倍以上働き続けなくてはならなくなった。
さらに18世紀に欧米で小麦の精製技術が発明され、白いパンが登場した。日本では江戸中期に白米の習慣が定着した。そしてここ200年~300年間、世界中で精製された炭水化物が日常的に摂取されるようになった。精製された炭水化物は未精製のものに比して、さらに急峻に血糖値を上昇させる。すなわち、空腹時血糖値が100mgとして、食後血糖値は160~170mgまで上昇する。血糖値上昇の幅は60~70mgもあります。これほど急激に血糖値を上昇させる食品は人類史上類のない特殊なものである。
追加分泌のインスリンは未精製穀物摂取時に比しさらに大量に分泌せざるを得ない。インスリンを大量に分泌し続けて膵臓が疲弊すれば糖尿病になる。
人体にはホメオスタシス(恒常性)というものがあり、できるだけ変化が少なく体内を一定の状態に保とうとする。食後血糖値の変化をみたとき、糖質制限食だと恒常性が保たれ、玄米や全粒粉のパンだとボチボチで、白米や白パンだとかなり乱れることがわかる。
糖尿病の人が糖質を摂取すると、未精製の穀物でさえも、食後血糖値は軽く200mgを超える。この急峻な食後高血糖のことを「ブドウ糖スパイク」とよび、糖尿病の人で動脈硬化が生じる元凶となる。正常の人でも精製炭水化物を食べると生じる食後血糖値が160mg、170mgという状態を、私は「ブドウ糖ミニスパイク」と名付けた。このミニスパイクが生体の恒常性をかく乱してアレルギー疾患を悪化させたり、将来の生活習慣病の元となる。過去世界中にいろんな食事療法があったが、経験的に有効とされているものは、玄米食など基本的にミニスパイクが少ないという点で一致している。
宮本輝先生が私の過去ブログを全てご覧になり糖質制限食を実践され、メールでいろいろご質問頂きそれに私が答えるという形で数ヶ月経過したとき、実に鋭いご指摘を受けた。先生は作家の直感という表現で糖質制限食が糖尿病や肥満だけではなく、人体においてより重要な根源的な意味合いを持っている可能性に言及された。この指摘は7年間糖質制限食を研究・実践・熟成して辿り着いた私なりの最新の結論、上述の「人類の食生活3段階と血糖値の関係」とほぼ同様であった。糖質制限食歴わずか数ヶ月の宮本先生に追いつかれて正直いって仰天し、尊敬の念を禁じ得なかった。そして是非とも対談したいという思いが沸々と湧き上がってきたのである。
「ブドウ糖スパイク」「ブドウ糖ミニスパイク」をキーワードに人類の食生活と健康を考えていくと自然に糖質制限食にいきつく。糖質制限食の効果は、身体の代謝機能全般・血流を改善するものであり、自然治癒力そのものを高める。従って糖尿病だけでなく、メタボリック・シンドローム系の他の病気(肥満・高血圧・高コレステロール症・動脈硬化)、アレルギー疾患などほとんど全ての病気にも、効果が期待できる。
2005年に「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」を上梓して、4年の月日が過ぎた。14刷を重ねるベストセラーとなり世に「糖質制限食」を広めるきっかけになったと自負している。高雄病院には北海道から九州まで糖尿病患者さんが入院してこられるが、当初は「主治医に怒られたので内緒で来ました。」というパターンがほとんどであった。しかしここ1年は、紹介状を持って来られる患者さんもあるようになった。さらに医学雑誌「メディカル朝日」2008年12月号に糖質制限食に対して好意的な記事が載り、私の本も紹介された。また医学雑誌「治療」2009年4月号に、私が糖質制限食の論文を執筆した。欧米では広がり始めている糖質制限食も、日本では全くの夜明け前であったがそろそろ医学界でも日の出という状況になりつつある。
このような時期に宮本輝先生と対談できたのは糖質制限食普及に向けて実にタイムリーであり、喜ばしい限りである。先生の鋭い質問にたじたじとなりながらも、人類の食生活・歴史・進化、人体の生理・代謝・栄養、糖質制限食の本質的な意味などについておおいに語り合えたと思う。
本書が読者の皆さんの常識の壁をうちやぶり、人体の真実にふれる助けとなれば幸甚である。
お久しぶりです。28日、夜に信州八ヶ岳山麓・富士見高原から無事帰京しました。夜は合宿最後の宴会でしたので、ブログ更新できませんでした。o(_ _)o
富士見高原は標高1250m、夜は寒いくらいで長袖が必要でした。曇りがちで雨もありましたが、結局4日間を通して毎日テニスができました。 (^_^)
梅雨だというのに、自分でも運がいい方だと思います。28回のテニス合宿で、全くテニスができなかったことは過去一回もありません・・・。
さて、今日は、高雄病院で新刊本に向けての写真撮影でした。
しばらく前、全く今までとは別の切り口の、新しい本が8月に発売されるとブログで書きましたが、いよいよ8月10日に発売になります。
「我ら糖尿人、元気なのには理由(ワケ)がある。」 現代病を治す糖質制限食
著者 宮本輝 江部康二 東洋経済新報社
何と、あの太宰賞・芥川賞作家の宮本輝先生との対談本なのです。
東洋経済新報社もえらく力をいれて頂いていて、宮本輝先生と江部康二の写真を本の写真と並べて、新聞広告をうってくれるという
破格の扱いです。嬉しい限りです。(^-^)v(^-^)v
アマゾンでもう予約できると思います。¥1500円+消費税ですので、送料は無料です。
糖尿人作家・宮本輝先生と糖尿人医師・江部康二が、それぞれの体験談を始めとして自由闊達に喋ってます。
糖質制限食と糖尿病だけの話題にとどまらず、癌などそれ以外の病気、医療問題、医療崩壊、人類の食生活の歴史、ブドウ糖スパイク、糖質制限食の本質・可能性・・・
とても幅広い視点からの対談本になり、必ずや皆さんのお役に立てると自負しています。これもひとえに、宮本輝先生の英知・経験・直感・鋭い質問のお陰と感謝しております。
ブログ読者の皆様、是非ご一読のほど、よろしくお願い申し上げます。
以下は、長文ですが、
「我ら糖尿人、元気なのには理由(ワケ)がある。」 東洋経済新報社
の「あとがき」です。
あとがき 「常識の壁を越えて」 江部康二
宮本輝先生が初めて糖質制限食の情報に触れられたとき、妄言・戯言と思われたという。無理もないことである。実は私も兄、江部洋一郎が1999年に高雄病院に初めて糖質制限食を導入したとき、非常識・荒唐無稽でとんでもない代物と無視していた。私だけでなく3人いる管理栄養士も同様の対応であった。常識の壁というものは高く厚い。「脂肪悪玉説」、「カロリー至上主義」、「脳のエネルギー源はブドウ糖だけ」といった従来の常識にとらわれていた間は、糖質制限食を受け入れて勉強する気には到底ならなかったのである。2001年に私の糖尿病患者さんが血糖値560mg/dl、HbA1c14.5%という重症で入院され、通常のカロリー制限食で玄米を主食とし、7日間きっちり治療したが食後血糖値は400mgをきることはなかった。困り果てて糖質制限食を導入したところ、食後血糖値は180mgを超えることはなくなり、2週間後には入院時265mgあった空腹時血糖値が131mgに改善した。退院して初診から3ヶ月後にはHbA1c6.2%となった。この間内服薬もインスリン注射もまったくなしである。この糖質制限食第一号患者さんを経験した後は、目から鱗が落ちた思いで、徹底的に糖質制限食を研究することになった。
私の勤務する高雄病院は漢方治療を主としているユニークな病院である。1984年からは東洋医学と西洋医学を含めて薬物療法に頼るだけでなく、食事療法も重要と考えて給食に「玄米魚菜食」を導入した。食事療法に興味はあったがこの頃は理論的に裏付けがあったというよりは、先人の経験的な知識に頼っていた。また日本人が本来食べていた伝統的な食事はどんなものだったかを意識していた。 漢方治療の病院なので、難病や膠原病、腎不全など通常の西洋医学的治療では治りにくい様々な病気の患者さんが全国から来院される。この頃は、基本的に全ての病気に玄米魚菜食を推奨していた。
上述の如く2001年に糖質制限食の研究を開始し、その後2002年に自分自身が糖尿病と発覚してから、さらに徹底的に勉強した。実は家族歴として両親が糖尿病である。父は77歳の時、右大腿切断術を行い、80歳の時心筋梗塞・肺炎で永眠した。糖質制限食理論にもう10年早く巡り会えていればという思いがある。母親も20年来糖尿病であるが、現在85才で完全自立の一人暮らしである。2002年から緩い糖質制限食を実践していたが、2007年11月、HbA1c7.0%で、尿中微量アルブミン299(正常30以下)と上昇したので、糖質制限食をより厳しくした。その結果HbA1cは改善していき、だいたい、6・0%前後で推移している。2009年現在、HbA1c6.1%程度で、尿中微量アルブミンは33.3まで改善した。父は糖尿病合併症のオンパレードであったが、母は何とか糖質制限食が間に合ったのである。
糖質制限食の研究を重ね、海外文献を集めていく過程で、上述の「脂肪悪玉説」、「カロリー至上主義」、「脳のエネルギー源はブドウ糖だけ」は根拠のない神話に過ぎず、明確に間違いであるという認識を得た。例えば米国医師会雑誌(JAMA)2006年2月8日号の論文で、5万人の閉経女性を対照群をとって8年間追跡した結果、脂肪を総摂取カロリー比20%に制限しても心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクは全く減少しないことが確認された。さらにニューイングランド・ジャーナル2008年7月17日号に、「322人の成人を2年間追跡して、カロリー制限ありの脂肪制限食とカロリー制限なしの糖質制限食の効果を比較検討した結果、糖質制限食が体重を減少させ、HDL-Cを増加させた。」という報告がなされた。また医学の教科書「ハーパー・生化学」(原著27版)には、脳が脂肪酸の代謝産物のケトン体をエネルギー源とすることが明記してある。常識の壁とは恐ろしいもので、これらの明確な証拠があっても、100人中99人以上の医師.栄養士が「脂肪悪玉説」、「カロリー至上主義」、「脳のエネルギー源はブドウ糖だけ」という無根拠な神話をいまだに信じているのが現状である。
これらの文献や糖質制限食の画期的な治療効果を目の当たりにして、「本来の日本型の食生活」という以前に「本来の人類の食生活」とは何だったのかという根源的な疑問が湧いてきた。数年間、様々な本や資料を読み、友人・知人にも尋ね、試行錯誤を繰り返し、自分なりの結論を出すことができた。
すなわち、人類の食生活は「農耕が始まる前」「農耕以後」「精製炭水化物以後」の3つに分けることができる。この3段階の変化が人体の代謝において極めて重要な意味をもっている。その鍵となるのが血糖値の変化である。
人類の歴史が400万年として、農耕が始まる前の399万年間は食生活の中心は狩猟や採取であり、穀物はないので人類皆糖質制限食である。従って血糖値の上下動がほとんどない。例えば空腹時血糖値が100mg/dl程度と仮定して、食後の血糖値はせいぜい110~120mg/dlくらいで、血糖値上昇の幅は10~20mgていどの少なさである。これならインスリンの追加分泌はほとんど必要ない。
農耕が始まったのが約1万年前で、世界に定着したのが約4000年前である。糖質・脂質・タンパク質の三大栄養素のなかで血糖値を急峻に上昇させるのは糖質だけである。穀物(糖質)を摂取すれば、空腹時血糖値が100mgとして、食後血糖値は140mgていどまで上昇し、インスリンが大量に追加分泌される。血糖値上昇の幅は40mgもある。農耕以後の4000年間は、人類の膵臓のβ細胞はそれ以前に比べて毎日10倍以上働き続けなくてはならなくなった。
さらに18世紀に欧米で小麦の精製技術が発明され、白いパンが登場した。日本では江戸中期に白米の習慣が定着した。そしてここ200年~300年間、世界中で精製された炭水化物が日常的に摂取されるようになった。精製された炭水化物は未精製のものに比して、さらに急峻に血糖値を上昇させる。すなわち、空腹時血糖値が100mgとして、食後血糖値は160~170mgまで上昇する。血糖値上昇の幅は60~70mgもあります。これほど急激に血糖値を上昇させる食品は人類史上類のない特殊なものである。
追加分泌のインスリンは未精製穀物摂取時に比しさらに大量に分泌せざるを得ない。インスリンを大量に分泌し続けて膵臓が疲弊すれば糖尿病になる。
人体にはホメオスタシス(恒常性)というものがあり、できるだけ変化が少なく体内を一定の状態に保とうとする。食後血糖値の変化をみたとき、糖質制限食だと恒常性が保たれ、玄米や全粒粉のパンだとボチボチで、白米や白パンだとかなり乱れることがわかる。
糖尿病の人が糖質を摂取すると、未精製の穀物でさえも、食後血糖値は軽く200mgを超える。この急峻な食後高血糖のことを「ブドウ糖スパイク」とよび、糖尿病の人で動脈硬化が生じる元凶となる。正常の人でも精製炭水化物を食べると生じる食後血糖値が160mg、170mgという状態を、私は「ブドウ糖ミニスパイク」と名付けた。このミニスパイクが生体の恒常性をかく乱してアレルギー疾患を悪化させたり、将来の生活習慣病の元となる。過去世界中にいろんな食事療法があったが、経験的に有効とされているものは、玄米食など基本的にミニスパイクが少ないという点で一致している。
宮本輝先生が私の過去ブログを全てご覧になり糖質制限食を実践され、メールでいろいろご質問頂きそれに私が答えるという形で数ヶ月経過したとき、実に鋭いご指摘を受けた。先生は作家の直感という表現で糖質制限食が糖尿病や肥満だけではなく、人体においてより重要な根源的な意味合いを持っている可能性に言及された。この指摘は7年間糖質制限食を研究・実践・熟成して辿り着いた私なりの最新の結論、上述の「人類の食生活3段階と血糖値の関係」とほぼ同様であった。糖質制限食歴わずか数ヶ月の宮本先生に追いつかれて正直いって仰天し、尊敬の念を禁じ得なかった。そして是非とも対談したいという思いが沸々と湧き上がってきたのである。
「ブドウ糖スパイク」「ブドウ糖ミニスパイク」をキーワードに人類の食生活と健康を考えていくと自然に糖質制限食にいきつく。糖質制限食の効果は、身体の代謝機能全般・血流を改善するものであり、自然治癒力そのものを高める。従って糖尿病だけでなく、メタボリック・シンドローム系の他の病気(肥満・高血圧・高コレステロール症・動脈硬化)、アレルギー疾患などほとんど全ての病気にも、効果が期待できる。
2005年に「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」を上梓して、4年の月日が過ぎた。14刷を重ねるベストセラーとなり世に「糖質制限食」を広めるきっかけになったと自負している。高雄病院には北海道から九州まで糖尿病患者さんが入院してこられるが、当初は「主治医に怒られたので内緒で来ました。」というパターンがほとんどであった。しかしここ1年は、紹介状を持って来られる患者さんもあるようになった。さらに医学雑誌「メディカル朝日」2008年12月号に糖質制限食に対して好意的な記事が載り、私の本も紹介された。また医学雑誌「治療」2009年4月号に、私が糖質制限食の論文を執筆した。欧米では広がり始めている糖質制限食も、日本では全くの夜明け前であったがそろそろ医学界でも日の出という状況になりつつある。
このような時期に宮本輝先生と対談できたのは糖質制限食普及に向けて実にタイムリーであり、喜ばしい限りである。先生の鋭い質問にたじたじとなりながらも、人類の食生活・歴史・進化、人体の生理・代謝・栄養、糖質制限食の本質的な意味などについておおいに語り合えたと思う。
本書が読者の皆さんの常識の壁をうちやぶり、人体の真実にふれる助けとなれば幸甚である。
2009年07月25日 (土)
おはようございます。
梅雨があけないまま、今から信州八ヶ岳山麓・富士見高原に向かいます。車で京都から約4時間半です。何と第28回目のテニス合宿ですから、ギネスブックものですね。 (^^)
テニスができるかどうか心配ですが、雨だったら、宮本輝先生の新刊「骸骨ビルの庭」を読んで過ごします。
とにかく7月25日~28日までは、標高1250mの空気・景色・雰囲気を雨でも天気でも満喫したいと思います。
江部康二
【コメント・質問に関するお知らせ・お願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
読者の皆さんからご意見いただきましたが、確かに普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、主治医にご相談頂けば助かります。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
【講演会のお知らせ】
☆第33回日本産科婦人科栄養・代謝研究会2009年7月31日(金)
特別講演・江部康二
「栄養・代謝と糖質制限食」
午後3時~1時間
金沢で行われる学会です。
ブログ読者で産婦人科のドクターがおられましたら是非ご参加ください。
☆朝日カルチャーセンター京都http://www.asahi-culture.co.jp/www/kyoto-c.html
TEL 075-231-9693
2009年8月18日(火)10:30~12:00
食事で治す!アトピー・糖尿病・メタボ
-テーラーメードダイエットと糖質制限食-
☆脳と栄養のシンポジウム 2009年8月23日(日) 13:30~17:45
『分子整合医学概論』 溝口徹先生
『糖質制限の基礎と臨床 ~脳に糖質は必要か?』 14:15~15:00 江部康二
『精神科医療の現状と問題点』 市来真彦先生
『心療内科領域における栄養療法の実際』 姫野友美先生
『精神科領域における栄養療法の実際』 広瀬久益先生
会場:ニッショーホール 東京都港区虎ノ門2丁目9番16号
一般:¥3000-
医療:¥5000-
お問い合わせ
03-3350-8988 新宿溝口クリニック
☆糖質制限食シンポジウムin東京
講 師 江部康二
(高雄病院理事長/NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事長)
大柳珠美
(管理栄養士/NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事)
ゲスト 山田悟先生
(北里研究所病院糖尿病センター センター長医学博士)
日 時 2009年9月13日(日)9時20分開場
9時30分開演 11時50分終了
場 所 なかのゼロ視聴覚ホール (JR中野駅南口下車6分)
会 費 一般 1800円 リボーン会員 1500円
ペア券 一般 3600円のところ3000円
ペア券 会員 3000円のところ2400円
※ペア券はご家族に限られていただきます。
主 催 NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
申し込み・問い合わせ リボーン 曽我部ゆかり
電話:03-3388-5428
e-mail reborn@big.or.jp
<糖質制限食>VS<糖質たっぷりカロリー制限食>
糖質が血糖値を上昇させインスリンを追加分泌させる
本ブログは糖尿人に、糖質制限食(糖質12%、脂質56%、タンパク質32%)を推進する立場ですが、世の中は相変わらず、糖質たっぷりのカロリー制限食(糖質60%、脂質20%、タンパク質20%)を推奨する病院が圧倒的に多いです。
いろんな意見があり、論争することは医学の発展において健全なことと思います。しかし、論争の前に人体の生理・代謝などの基本的なところを理解することも重要です。
今回は<糖質・脂質・タンパク質の摂取>と<血糖値上昇・インスリン分泌>に関して人体の生理・代謝における事実を説明します。
しつこいようですが、以下に述べることは、論争の余地のない事実ですので<糖質たっぷりのカロリー制限食推奨派>の方々にも、是非ご理解いただきたいと思います。
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。
糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方、タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。
これらは、カロリーとは無関係な、三大栄養素の生理学的特質です。
インスリンには24時間、少量常に分泌されている基礎分泌と、血糖値が上昇したときに大量に出る追加分泌があります。
糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を急峻に上昇させます。従って、糖質を摂取した時には、インスリンが大量に追加分泌されます。
しかし、脂質やタンパク質は血糖値をほとんど上昇させないので、インスリンの追加分泌は、ほとんどありません。
つまり、人(糖尿人も正常人も)において、インスリンの追加分泌が多量に必要となるのは、糖質を摂取した時だけです。
これらは、すべて論争の余地のない、生理学的事実です。
以下は、2型糖尿病Aさんのデータです。通常食は糖質ありです。
通常食 350kcal、糖質60%で約52.5g、脂質20%、タンパク質20%
糖質制限食 350kcal、糖質10%で約8.75g、脂質60%、タンパク質30%
通常食と糖質制限食は、いずれも350kcalで、勿論、同一人のデータです。
糖質制限食だと血糖値の上昇は極めて少なく、インスリンの追加分泌もごく少量ですね。
食前 30分後 60分後 90分後 120分後
通常食血糖値 121 206 304 250 198
通常食IRI 2.2 6.2 19.1 23.1 21.6
糖質制限食血糖値 124 140 142 129 135
糖質制限食IRI 3.5 4.6 6.7 6.9 5.2
同様に元2型糖尿人Bさんのデータです。2年前初診時糖尿病でしたが現在正常人です。
食前 30分後 60分後 90分後 120分後
通常食血糖値 108 148 189 142 126
通常食IRI 3.8 35.2 58.5 55.1 24.9
糖質制限食血糖値 113 115 116 108 107
糖質制限食IRI 4.1 10.1 11.7 10.6 13.5
Bさんの場合、2年間の糖質制限食で、糖質を負荷しても血糖値は正常パターンに回復しています。
このとき基礎分泌3.8→追加分泌ピーク58.8まで多量のインスリンが出ています。実に基礎分泌の15倍強のインスリンが追加分泌されています。ヾ(゜▽゜)
糖質制限食でも、約8.75gほど野菜分の糖質が含まれているので、一応基礎分泌の2~3倍のインスリン追加分泌がありますが、通常食に比べれば微々たるものですね。
正常人が通常の食事をすれば、おおむねBさんのデータのようなインスリンの大量追加分泌が一日に最低3回、間食をすれば5回以上起こっているわけです。
このようなインスリンの大量追加分泌が40年、50年と続けば遂には膵臓が疲弊して、分泌能力が低下して糖尿病を発症するのは想像に難くないですね。
結論です。
カロリーをいくら制限しても、糖質を摂取してしまえば食後高血糖と多量のインスリン追加分泌を生じます。糖質制限食なら食後高血糖は生じず、インスリン追加分泌もごく少量ですみます。
【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内・保険適応】
お問い合わせは高雄病院
http://www.takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
【糖質制限食外来治療のご案内・予約制・保険適応】
高雄病院 電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院京都駅前診療所 電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
http://www.takao-hospital.net/
江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書きましたが、 糖質制限食実践によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」「 糖質制限食 春のレシピ」「 糖質制限食 夏のレシピ」「糖質制限食 秋のレシピ」「糖質制限食 冬のレシピ」(以上東洋経済新報社)
「糖尿病のための糖質オフごちそうごはん」(アスペクト)
などを参考にされて、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
梅雨があけないまま、今から信州八ヶ岳山麓・富士見高原に向かいます。車で京都から約4時間半です。何と第28回目のテニス合宿ですから、ギネスブックものですね。 (^^)
テニスができるかどうか心配ですが、雨だったら、宮本輝先生の新刊「骸骨ビルの庭」を読んで過ごします。
とにかく7月25日~28日までは、標高1250mの空気・景色・雰囲気を雨でも天気でも満喫したいと思います。
江部康二
【コメント・質問に関するお知らせ・お願い】
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読者の皆さんからご意見いただきましたが、確かに普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、主治医にご相談頂けば助かります。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
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一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
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午後3時~1時間
金沢で行われる学会です。
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2009年8月18日(火)10:30~12:00
食事で治す!アトピー・糖尿病・メタボ
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『分子整合医学概論』 溝口徹先生
『糖質制限の基礎と臨床 ~脳に糖質は必要か?』 14:15~15:00 江部康二
『精神科医療の現状と問題点』 市来真彦先生
『心療内科領域における栄養療法の実際』 姫野友美先生
『精神科領域における栄養療法の実際』 広瀬久益先生
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一般:¥3000-
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日 時 2009年9月13日(日)9時20分開場
9時30分開演 11時50分終了
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会 費 一般 1800円 リボーン会員 1500円
ペア券 一般 3600円のところ3000円
ペア券 会員 3000円のところ2400円
※ペア券はご家族に限られていただきます。
主 催 NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
申し込み・問い合わせ リボーン 曽我部ゆかり
電話:03-3388-5428
e-mail reborn@big.or.jp
<糖質制限食>VS<糖質たっぷりカロリー制限食>
糖質が血糖値を上昇させインスリンを追加分泌させる
本ブログは糖尿人に、糖質制限食(糖質12%、脂質56%、タンパク質32%)を推進する立場ですが、世の中は相変わらず、糖質たっぷりのカロリー制限食(糖質60%、脂質20%、タンパク質20%)を推奨する病院が圧倒的に多いです。
いろんな意見があり、論争することは医学の発展において健全なことと思います。しかし、論争の前に人体の生理・代謝などの基本的なところを理解することも重要です。
今回は<糖質・脂質・タンパク質の摂取>と<血糖値上昇・インスリン分泌>に関して人体の生理・代謝における事実を説明します。
しつこいようですが、以下に述べることは、論争の余地のない事実ですので<糖質たっぷりのカロリー制限食推奨派>の方々にも、是非ご理解いただきたいと思います。
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。
糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方、タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。
これらは、カロリーとは無関係な、三大栄養素の生理学的特質です。
インスリンには24時間、少量常に分泌されている基礎分泌と、血糖値が上昇したときに大量に出る追加分泌があります。
糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を急峻に上昇させます。従って、糖質を摂取した時には、インスリンが大量に追加分泌されます。
しかし、脂質やタンパク質は血糖値をほとんど上昇させないので、インスリンの追加分泌は、ほとんどありません。
つまり、人(糖尿人も正常人も)において、インスリンの追加分泌が多量に必要となるのは、糖質を摂取した時だけです。
これらは、すべて論争の余地のない、生理学的事実です。
以下は、2型糖尿病Aさんのデータです。通常食は糖質ありです。
通常食 350kcal、糖質60%で約52.5g、脂質20%、タンパク質20%
糖質制限食 350kcal、糖質10%で約8.75g、脂質60%、タンパク質30%
通常食と糖質制限食は、いずれも350kcalで、勿論、同一人のデータです。
糖質制限食だと血糖値の上昇は極めて少なく、インスリンの追加分泌もごく少量ですね。
食前 30分後 60分後 90分後 120分後
通常食血糖値 121 206 304 250 198
通常食IRI 2.2 6.2 19.1 23.1 21.6
糖質制限食血糖値 124 140 142 129 135
糖質制限食IRI 3.5 4.6 6.7 6.9 5.2
同様に元2型糖尿人Bさんのデータです。2年前初診時糖尿病でしたが現在正常人です。
食前 30分後 60分後 90分後 120分後
通常食血糖値 108 148 189 142 126
通常食IRI 3.8 35.2 58.5 55.1 24.9
糖質制限食血糖値 113 115 116 108 107
糖質制限食IRI 4.1 10.1 11.7 10.6 13.5
Bさんの場合、2年間の糖質制限食で、糖質を負荷しても血糖値は正常パターンに回復しています。
このとき基礎分泌3.8→追加分泌ピーク58.8まで多量のインスリンが出ています。実に基礎分泌の15倍強のインスリンが追加分泌されています。ヾ(゜▽゜)
糖質制限食でも、約8.75gほど野菜分の糖質が含まれているので、一応基礎分泌の2~3倍のインスリン追加分泌がありますが、通常食に比べれば微々たるものですね。
正常人が通常の食事をすれば、おおむねBさんのデータのようなインスリンの大量追加分泌が一日に最低3回、間食をすれば5回以上起こっているわけです。
このようなインスリンの大量追加分泌が40年、50年と続けば遂には膵臓が疲弊して、分泌能力が低下して糖尿病を発症するのは想像に難くないですね。
結論です。
カロリーをいくら制限しても、糖質を摂取してしまえば食後高血糖と多量のインスリン追加分泌を生じます。糖質制限食なら食後高血糖は生じず、インスリン追加分泌もごく少量ですみます。
【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内・保険適応】
お問い合わせは高雄病院
http://www.takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
【糖質制限食外来治療のご案内・予約制・保険適応】
高雄病院 電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院京都駅前診療所 電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
http://www.takao-hospital.net/
江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書きましたが、 糖質制限食実践によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」「 糖質制限食 春のレシピ」「 糖質制限食 夏のレシピ」「糖質制限食 秋のレシピ」「糖質制限食 冬のレシピ」(以上東洋経済新報社)
「糖尿病のための糖質オフごちそうごはん」(アスペクト)
などを参考にされて、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
2009年07月24日 (金)
こんばんは
経口ブドウ糖負荷試験について、のりさんから、コメント・質問をいただきました。
「負荷試験について
先生、いつもブログを参考にさせていただいております。
私も、10年ぶりの検診で先月初めに空腹時血糖地210(A1C7.3)が判明し、糖質制限食で、1ヶ月で140(A1C6.4)まで下がりました。(減量も緩やかに成功しています)
最初に測ったところと別のところでたまたま測ったもので、まだ「もう一度検査してインスリンの分泌も見てみましょう」といわれたまままだその検査をしていないのですが、その検査が「負荷試験」なのでしょうか。
となると、空腹時でもまだ140もある場合、先生のご意見ですと、危険なのでやらないほうがいい、という事になりますよね?
ただ、別の日の先生のブログを拝見すると、その試験によって、“インスリン追加分泌第一相反応”“第二相反応”がわかって、どのくらい機能が残っているかを見ることができる、と理解しているのですが、そこで質問です。
1.最初の病院に行って、その検査をしましょうと言われた場合、断った方がいいのでしょうか。
2.このまま糖質制限食を続けて、もっと空腹時血糖値が下がった場合、ある程度膵臓の機能が残っている、という事になりますか?
また、その先の膵臓の機能については、やはり負荷試験を行わないと、探ることはできないのでしょうか。
3.ブドウ糖を75g摂取する、ということは、225血糖値が上がってしまい、その日は高血糖になると思いますが、その高血糖は一日限りでも、危険なものなのでしょうか?また、どのくらい持続してしまうのでしょうか?
病院で350とかの値になっても、そのまま放っておかれるのでしょうか?
となると、少しでも血糖値が下がってから検査してみた方がいいのでしょうか・・・・
すいません、まだ未体験の検査に、不安が一杯です。
最後に、
4.先生が紹介なさっていた、『ひめのともみ先生』はご担当を見ると、心療内科なのですが、薬の処方などもして頂けるのでしょうか?
2009/07/16(Thu) 15:16 | URL | のり
のりさん。
コメントありがとうございます。
また血糖値、HbA1cの改善、良かったですね。
1.「最初の病院に行って、その検査をしましょうと言われた場合、断った方がいいのでしょうか。」
経口ブドウ糖負荷試験で、インスリン分泌能力を検査するということなのでしょう。検査してよいと思います。
2.「このまま糖質制限食を続けて、もっと空腹時血糖値が下がった場合、ある程度膵臓の機能が残っている、という事になりますか?
また、その先の膵臓の機能については、やはり負荷試験を行わないと、探ることはできないのでしょうか。」
空腹時血糖値が改善してきているので、糖質制限食により膵臓が休養できて、基礎分泌インスリンが回復してきていると考えられます。追加分泌第一相の能力は、75g経口ブドウ糖負荷試験により評価できます。
3.「ブドウ糖を75g摂取する、ということは、225血糖値が上がってしまい、その日は高血糖になると思いますが、その高血糖は一日限りでも、危険なものなのでしょうか?また、どのくらい持続してしまうのでしょうか?
病院で350とかの値になっても、そのまま放っておかれるのでしょうか?
となると、少しでも血糖値が下がってから検査してみた方がいいのでしょうか・・・・
すいません、まだ未体験の検査に、不安が一杯です。」
のりさんの場合は、糖尿病の確定診断がついていますので、診断のために負荷試験をする意味はありません。
一方、インスリン追加分泌第一相を評価しようと思えば、負荷試験をして空腹時血糖値とインスリン値、負荷30分後の血糖値とインスリン値を測定することが必要です。
インスリン分泌指数(II: insulinogenic index)は、
II=<30分インスリン値-空腹時インスリン値>÷<30分血糖値-空腹時血糖値>
インスリン分泌指数(II: insulinogenic index)は04以上が正常です。
ブドウ糖負荷試験で数時間近く高血糖になりますが、そのていどは心配ないです。 高血糖が数年間続いて、動脈硬化のリスクが高まります。
4.「先生が紹介なさっていた、『ひめのともみ先生』はご担当を見ると、心療内科なのですが、薬の処方などもして頂けるのでしょうか?」
内科の担当の先生がおられて、薬の処方もされています。
江部康二
経口ブドウ糖負荷試験について、のりさんから、コメント・質問をいただきました。
「負荷試験について
先生、いつもブログを参考にさせていただいております。
私も、10年ぶりの検診で先月初めに空腹時血糖地210(A1C7.3)が判明し、糖質制限食で、1ヶ月で140(A1C6.4)まで下がりました。(減量も緩やかに成功しています)
最初に測ったところと別のところでたまたま測ったもので、まだ「もう一度検査してインスリンの分泌も見てみましょう」といわれたまままだその検査をしていないのですが、その検査が「負荷試験」なのでしょうか。
となると、空腹時でもまだ140もある場合、先生のご意見ですと、危険なのでやらないほうがいい、という事になりますよね?
ただ、別の日の先生のブログを拝見すると、その試験によって、“インスリン追加分泌第一相反応”“第二相反応”がわかって、どのくらい機能が残っているかを見ることができる、と理解しているのですが、そこで質問です。
1.最初の病院に行って、その検査をしましょうと言われた場合、断った方がいいのでしょうか。
2.このまま糖質制限食を続けて、もっと空腹時血糖値が下がった場合、ある程度膵臓の機能が残っている、という事になりますか?
また、その先の膵臓の機能については、やはり負荷試験を行わないと、探ることはできないのでしょうか。
3.ブドウ糖を75g摂取する、ということは、225血糖値が上がってしまい、その日は高血糖になると思いますが、その高血糖は一日限りでも、危険なものなのでしょうか?また、どのくらい持続してしまうのでしょうか?
病院で350とかの値になっても、そのまま放っておかれるのでしょうか?
となると、少しでも血糖値が下がってから検査してみた方がいいのでしょうか・・・・
すいません、まだ未体験の検査に、不安が一杯です。
最後に、
4.先生が紹介なさっていた、『ひめのともみ先生』はご担当を見ると、心療内科なのですが、薬の処方などもして頂けるのでしょうか?
2009/07/16(Thu) 15:16 | URL | のり
のりさん。
コメントありがとうございます。
また血糖値、HbA1cの改善、良かったですね。
1.「最初の病院に行って、その検査をしましょうと言われた場合、断った方がいいのでしょうか。」
経口ブドウ糖負荷試験で、インスリン分泌能力を検査するということなのでしょう。検査してよいと思います。
2.「このまま糖質制限食を続けて、もっと空腹時血糖値が下がった場合、ある程度膵臓の機能が残っている、という事になりますか?
また、その先の膵臓の機能については、やはり負荷試験を行わないと、探ることはできないのでしょうか。」
空腹時血糖値が改善してきているので、糖質制限食により膵臓が休養できて、基礎分泌インスリンが回復してきていると考えられます。追加分泌第一相の能力は、75g経口ブドウ糖負荷試験により評価できます。
3.「ブドウ糖を75g摂取する、ということは、225血糖値が上がってしまい、その日は高血糖になると思いますが、その高血糖は一日限りでも、危険なものなのでしょうか?また、どのくらい持続してしまうのでしょうか?
病院で350とかの値になっても、そのまま放っておかれるのでしょうか?
となると、少しでも血糖値が下がってから検査してみた方がいいのでしょうか・・・・
すいません、まだ未体験の検査に、不安が一杯です。」
のりさんの場合は、糖尿病の確定診断がついていますので、診断のために負荷試験をする意味はありません。
一方、インスリン追加分泌第一相を評価しようと思えば、負荷試験をして空腹時血糖値とインスリン値、負荷30分後の血糖値とインスリン値を測定することが必要です。
インスリン分泌指数(II: insulinogenic index)は、
II=<30分インスリン値-空腹時インスリン値>÷<30分血糖値-空腹時血糖値>
インスリン分泌指数(II: insulinogenic index)は04以上が正常です。
ブドウ糖負荷試験で数時間近く高血糖になりますが、そのていどは心配ないです。 高血糖が数年間続いて、動脈硬化のリスクが高まります。
4.「先生が紹介なさっていた、『ひめのともみ先生』はご担当を見ると、心療内科なのですが、薬の処方などもして頂けるのでしょうか?」
内科の担当の先生がおられて、薬の処方もされています。
江部康二
2009年07月24日 (金)
おはようございます。
7月25日から28日まで信州八ヶ岳山麓・富士見高原でテニス合宿です。標高1250m、とっても涼しいですよ。 (^_^)
さて今回は、海外赴任中の 糖質制限万歳!さんから、薬の中止とHbA1cの変動について、コメント・質問をいただきました。
「09/07/23 糖質制限万歳!
HbA1Cの上下変動
江部先生、ブログ、ご本いつも感銘しつつ拝見しています。
糖質制限を一貫して実践中に HbA1Cが低下傾向を示す以外に、上下変動やバウンドがある場合があるのか伺いたくコメントさせていただきます。
私は海外赴任中の50歳で数年来、糖尿を患っていおり、1-4月の時点ではHbA1Cが7.5前後ありました。 5月半ばより本サイトと、日本で購入した先生のご本をもとに3食とも主食抜きのスーパー糖質制限を実践しています。当初は脱力感があったり、空腹感が強かったり苦労しましたが 1ヶ月を過ぎたあたりからご飯やパンへの執着が減り、糖質制限食に違和感がなくなって、その後は楽に実践ができています。
その結果、1ヶ月を経た時点での血液検査でHbA1Cが7.0と 0.5ポイント程下がりました。HbA1Cは2,3ヶ月の平均といいますから、スポットで見ると実際はもっと改善があったのではと期待しました。が、同じ食事内容を実践しているのにもかかわらず、そのまた1ヶ月後の検査では7.5に再び上昇し、この結果をどう解釈すべきか当惑しています。その間2ヶ月半で、体重は3kg減り(172cm、64→61Kg)、ウエストも3cm縮み、空腹時血糖値は140/160→114mgに下がるなどなどと他指標は改善しているのにです。(これだけでも 大変嬉しいですが!)
素人なりに考えるに、糖質制限食と同時に薬をやめたこと( Glucophage)の影響か、または スーパー糖質制限なものの食事自体の量が増えたためか(安心して量が増えた傾向はあるかも知れない)などと思いあぐねるのですが 当地の邦人医師は 肝臓で糖がつくられるようになったのではないか、とも言います。また薬を再開すべきとも言います。一連のブログを拝見した中ではこういうケースはないようですが どのように考え、または対処したらよいものでしょうか。
よろしくお願いします。末尾ながら 先生のご活躍とさらなる糖質制限食の普及をお祈りします。」
糖質制限万歳!さん.
コメントありがとうございます。
Glucophage(塩酸メトホルミン)は日本ではメルビン、グリコランと同じ、ビグアナイド系の薬です。
ビグアナイド系薬剤は、その中の一つのフェンホルミンという薬が乳酸アシドーシス**という副作用を起こしやすかったため、一時期他の薬も含めてほとんど使われていませんでした。
しかし乳酸アシドーシスを起こしにくい塩酸メトホルミン(メルビン、グリコランなど)塩酸ブホルミン(ジベトスB、ジベトンSなど)などが近年見直されてきました。
これは、英国の大規模臨床試験(UKPDS:1998年報告)で、「塩酸メトホルミン投与により肥満のある2型糖尿病患者で死亡率を減少させた」という結果がでたことによる影響が大きいと思います。
ビグアナイド剤の作用は、肝臓での糖新生の抑制が主で、その他消化管からの糖吸収の抑制、末梢組織でのインスリン抵抗性の改善などがあります。
従ってSU剤とは違って、膵臓に直接作用するのではなく、膵外作用で血糖値を下げますので、膵臓には優しい薬といえます。
また体重増加を来しにくいのも長所ですね。 (^_^)
単独使用では、低血糖を起こす危険は極めて低いです。糖質制限食的にも、問題の少ない良い薬です。
しかし、肝腎の効きがそれほど良くないのです。理論的にはいい感じなのになぜでしょう?
実は、欧米における1日使用量は1500~2000mgなのですが、日本では1日、750mg以下となっているのです。
私も、膵臓に負担をかけない糖質制限食にぴったりの薬ということで、大勢の患者さんに処方してみたのですが、量が少なすぎるためなのか、「効いた!」という印象がやや薄いのです。
それで現在、日本内分泌学会などが、欧米並の1日量2000mgまで許可するように、厚生労働省に申請中なのです。
なお、肝障害や腎障害がある人は、やはり乳酸アシドーシスを起こしやすいので注意が必要です。また、心肺機能に障害のある人や高齢者も、腎予備力の低下がありえるので慎重投与です。上記以外の人には、副作用は少ない薬です。
糖質制限万歳! さんのHbA1cが、7.5%→7.0%→7.5%と変動したことですが、主治医の仰有る通りGlucophage休薬の影響で、一過性に肝臓の糖新生が活発となり、血糖値が上昇した可能性がありますね。
一方、糖質制限万歳! さんは、空腹時血糖値が「140/160→114mg」に改善しておられますので、
糖質制限食で膵臓が休養できて、β細胞があるていど回復し、基礎分泌インスリンがかなり出るようになってきています。
糖質制限食なら食後高血糖も生じないので、Glucophage休薬の影響が抜ければ、HbA1cも基本的に改善するはずです。次回の検査が楽しみですね。ヾ(^▽^)
次回の検査でもHbA1cがイマイチなら、Glucophage(塩酸メトホルミン)再開もありと思います。
江部康二
7月25日から28日まで信州八ヶ岳山麓・富士見高原でテニス合宿です。標高1250m、とっても涼しいですよ。 (^_^)
さて今回は、海外赴任中の 糖質制限万歳!さんから、薬の中止とHbA1cの変動について、コメント・質問をいただきました。
「09/07/23 糖質制限万歳!
HbA1Cの上下変動
江部先生、ブログ、ご本いつも感銘しつつ拝見しています。
糖質制限を一貫して実践中に HbA1Cが低下傾向を示す以外に、上下変動やバウンドがある場合があるのか伺いたくコメントさせていただきます。
私は海外赴任中の50歳で数年来、糖尿を患っていおり、1-4月の時点ではHbA1Cが7.5前後ありました。 5月半ばより本サイトと、日本で購入した先生のご本をもとに3食とも主食抜きのスーパー糖質制限を実践しています。当初は脱力感があったり、空腹感が強かったり苦労しましたが 1ヶ月を過ぎたあたりからご飯やパンへの執着が減り、糖質制限食に違和感がなくなって、その後は楽に実践ができています。
その結果、1ヶ月を経た時点での血液検査でHbA1Cが7.0と 0.5ポイント程下がりました。HbA1Cは2,3ヶ月の平均といいますから、スポットで見ると実際はもっと改善があったのではと期待しました。が、同じ食事内容を実践しているのにもかかわらず、そのまた1ヶ月後の検査では7.5に再び上昇し、この結果をどう解釈すべきか当惑しています。その間2ヶ月半で、体重は3kg減り(172cm、64→61Kg)、ウエストも3cm縮み、空腹時血糖値は140/160→114mgに下がるなどなどと他指標は改善しているのにです。(これだけでも 大変嬉しいですが!)
素人なりに考えるに、糖質制限食と同時に薬をやめたこと( Glucophage)の影響か、または スーパー糖質制限なものの食事自体の量が増えたためか(安心して量が増えた傾向はあるかも知れない)などと思いあぐねるのですが 当地の邦人医師は 肝臓で糖がつくられるようになったのではないか、とも言います。また薬を再開すべきとも言います。一連のブログを拝見した中ではこういうケースはないようですが どのように考え、または対処したらよいものでしょうか。
よろしくお願いします。末尾ながら 先生のご活躍とさらなる糖質制限食の普及をお祈りします。」
糖質制限万歳!さん.
コメントありがとうございます。
Glucophage(塩酸メトホルミン)は日本ではメルビン、グリコランと同じ、ビグアナイド系の薬です。
ビグアナイド系薬剤は、その中の一つのフェンホルミンという薬が乳酸アシドーシス**という副作用を起こしやすかったため、一時期他の薬も含めてほとんど使われていませんでした。
しかし乳酸アシドーシスを起こしにくい塩酸メトホルミン(メルビン、グリコランなど)塩酸ブホルミン(ジベトスB、ジベトンSなど)などが近年見直されてきました。
これは、英国の大規模臨床試験(UKPDS:1998年報告)で、「塩酸メトホルミン投与により肥満のある2型糖尿病患者で死亡率を減少させた」という結果がでたことによる影響が大きいと思います。
ビグアナイド剤の作用は、肝臓での糖新生の抑制が主で、その他消化管からの糖吸収の抑制、末梢組織でのインスリン抵抗性の改善などがあります。
従ってSU剤とは違って、膵臓に直接作用するのではなく、膵外作用で血糖値を下げますので、膵臓には優しい薬といえます。
また体重増加を来しにくいのも長所ですね。 (^_^)
単独使用では、低血糖を起こす危険は極めて低いです。糖質制限食的にも、問題の少ない良い薬です。
しかし、肝腎の効きがそれほど良くないのです。理論的にはいい感じなのになぜでしょう?
実は、欧米における1日使用量は1500~2000mgなのですが、日本では1日、750mg以下となっているのです。
私も、膵臓に負担をかけない糖質制限食にぴったりの薬ということで、大勢の患者さんに処方してみたのですが、量が少なすぎるためなのか、「効いた!」という印象がやや薄いのです。
それで現在、日本内分泌学会などが、欧米並の1日量2000mgまで許可するように、厚生労働省に申請中なのです。
なお、肝障害や腎障害がある人は、やはり乳酸アシドーシスを起こしやすいので注意が必要です。また、心肺機能に障害のある人や高齢者も、腎予備力の低下がありえるので慎重投与です。上記以外の人には、副作用は少ない薬です。
糖質制限万歳! さんのHbA1cが、7.5%→7.0%→7.5%と変動したことですが、主治医の仰有る通りGlucophage休薬の影響で、一過性に肝臓の糖新生が活発となり、血糖値が上昇した可能性がありますね。
一方、糖質制限万歳! さんは、空腹時血糖値が「140/160→114mg」に改善しておられますので、
糖質制限食で膵臓が休養できて、β細胞があるていど回復し、基礎分泌インスリンがかなり出るようになってきています。
糖質制限食なら食後高血糖も生じないので、Glucophage休薬の影響が抜ければ、HbA1cも基本的に改善するはずです。次回の検査が楽しみですね。ヾ(^▽^)
次回の検査でもHbA1cがイマイチなら、Glucophage(塩酸メトホルミン)再開もありと思います。
江部康二
2009年07月23日 (木)
こんばんは。
本ブログで、糖質制限食と体重減少効果については、コンスタントにコメント・質問を頂いてます。皆さん、美しく痩せたいという願望はありますものね。私も以前、体重増加に悩んだ時期がありますので、お気持ちよくわかりますよ。
ます大雑把に言って、糖質制限食で約9割の人は順調に体重が減少しますが、残りの約1割の人が一筋縄ではいきません。今回は復習を兼ねて、そこら辺を考えてみましょう。
さて、「同一カロリーの摂取であれば、何を食べても減量効果は変わらない」という<カロリー神話>は、大多数の医師・栄養士において現在も根強い信仰のようになっています。
私もかつてはカロリー神話を信じていましたが、人体の生理・代謝を系統的に理論的に考察してみると、はっきり間違いということがわかりました。
まず私自身の体験ですが、42~43歳ごろから体重は徐々に増加し腹回りも順調に育っていきました。
このごろは週2回のテニスの帰りにスポーツジムにもよって自転車こぎや腹筋・背筋運動もやってましたが、なぜかしっかり摘めるお肉が増えているので筋肉増強ではなく脂肪増強に間違いありません。
食事は、主食は玄米や胚芽米で、おかずは野菜や豆腐や魚が中心で、油脂や動物性の肉は極力控えて、カロリーにも注意して、いわゆる「ヘルシー食」を実践していました。
食事も運動も、一般の中年男性に比べれば、はるかに健康的だったのに、「何故だ!!」戸惑いと憤りが湧いてくるものの誰のせいでもありませんし現実は厳しいものでした。
2002年、52歳で糖尿病発覚時にはとうとう体重67kgになって、
血圧は160/100、腹囲は86cmと、
メタボリック・シンドロームの診断基準を見事に満たしていました。(=_=;)
HbA1cは6.3%、身長は167cm。
ここに至り、2002年6月からスーパー糖質制限食を開始しました。
その結果半年間の糖質制限食で、体重は56kgにおち、血圧も120/70、HbA1Cも4.9%と改善し、メタボリック・シンドロームも解消しました。
糖質制限食になって、それまで控えていたビーフステーキなど脂質たっぷりの食品をよく食べるようになったので「ヘルシー食」時代と同等以上にカロリーは摂取していますがこの成果です。
お酒の量も全く同等に飲んでいますが、「純米酒とエビスビール」から、「焼酎と赤ワイン」に完全に切り替えました。赤ワインは例外として、糖質のある「醸造酒」→糖質のない「蒸留酒」への変更ですね。
私一人の成功体験のみ語っても、説得力が弱いので、糖質制限食で減量できるメカニズムを生理学・生化学を駆使して理論的に考察してみましょう。
カロリー制限食と糖質制限食では、痩せる効果に大きな差があるのですが、「糖質制限食」でやせるメカニズムに関しては、以下の四つの要素が重要です。
「糖質制限食」では、糖質を摂取しないので
1 肥満ホルモン(追加分泌インスリン**)がほとんどでない。
2 体脂肪が常に燃えている。
3 血中のケトン体値が高まり、尿中に含有カロリーと共に生理的に排泄される。
4 肝臓でアミノ酸などから糖新生が行われそれに高エネルギーが消費される。
一方、従来の「カロリー制限食」では、糖質を摂取するので
A 血糖値が上昇して肥満ホルモン(追加分泌インスリン)がたっぷり分泌される。
B 体脂肪は燃えなくなり、血糖値が中性脂肪に変わり蓄積される。
C ケトン体は尿中に出なくなる。
D 肝臓の糖新生はストップする。
この<1、2、3、4>と<A、B、C、D>の比較をしてみれば、「糖質制限食」のほうが「インスリン・スイッチが作動するカロリー制限食」より、ダイエット効果があることがお解りいただけると思います。
<1、2、3、4>に関しては、摂取カロリーとは全く無関係の生理学的な事実であり、あくまでも糖質を摂取するか否かが鍵となります。
このように、少なくとも同一カロリーである限りは、糖質制限食が脂肪制限食よりダイエット効果が高いことは、理論的に証明できたと思います。
さて、しかしながら「糖質制限食を実践してもなかなか痩せない!」まれですが、そういう人が確かにおられます。
高雄病院の入院患者さんで、150cm、90kgの女性がおられました。1200キロカロリーの 糖質制限食でも減量できずに、1000キロカロリーの糖質制限食でやっと体重が減り始めました。
どうやら世の中には、痩せやすい人と痩せにくい人がいることは間違いないようですが、その大きな要因として基礎代謝があります。
吉田俊秀先生(京都府立医大臨床教授・肥満外来)によれば、日本女性の平均基礎代謝量は約1200キロカロリー/日ですが、個別には600~2400キロカロリー/日とかなりのばらつきがあるそうです。
単純には、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回れば太るし、下回れば痩せます。
通常のカロリー制限食なら
<消費エネルギー=基礎代謝+運動エネルギー+食事誘発熱産生>です。
糖質制限食なら
<消費エネルギー=基礎代謝+運動エネルギー+食事誘発熱産生> に加えて、
《肝臓の糖新生でエネルギーを消費+尿中ケトン体でエネルギーを消失》が追加です。
基礎代謝は、何も活動していない時でも人体の機能維持に必要なエネルギーで、男性で平均約1500キロカロリー、女性で平均約1200キロカロリーです。
運動エネルギーは、1万歩歩けば、標準体重の人が350キロカロリー、肥満の人は400~500キロカロリーを消費します。
食事誘発熱産生は、食事摂取中に消費するエネルギーですが、日本人は、平均200キロカロリー/日とされています。
こう見てくると消費エネルギーのなかで、基礎代謝が一番大きな割合を占めていることがわかります。
基礎代謝が800キロカロリー/日しかない人ならば、1200キロカロリー/日という低カロリーでもなかなか痩せないことは理解できますよね。
さて、1995年、米国アリゾナ州に居住するネイティブアメリカンの「ピマ族」に、「β3アドレナリン受容体」という物質をつかさどる遺伝子に変異が発見され、これを持つ人は糖尿病や肥満になりやすいことが報告されました。
この報告にヒントを得て、吉田先生が肥満外来の患者さんを調べたところ、34%の人に「β3アドレナリン受容体」の遺伝子変異が見つかったそうです。この遺伝子変異があると、日本人では基礎代謝量が200キロカロリー/日も低下していて、他の人と同じように食べていたら太りやすく痩せにくいのです。
ピマ族や日本人に比較的多く見られるこの遺伝子変異は「倹約遺伝子」とも言うべきもので、脂肪をためやすく燃えにくいようにするものです。
即ち、摂取エネルギーを最大限に吸収し、消費エネルギーを最小限に抑えるという、私達の祖先がかつて食料不足で飢えに苦しめられていたころには、大いに有利に働いていたものと考えられます。
かつては「倹約遺伝子」として有利に働いていたものが、飽食の現代では「肥満遺伝子」と変貌してしまったわけです。(*_*)
もし倹約遺伝子の持ち主であれば、女性で1200キロカロリーの 糖質制限食でも痩せにくいことがあり、「 糖質制限食+カロリー制限食(1000キロカロリー)」が必要となります。
**
肥満ホルモン(インスリン)
糖質を摂取して血糖値が上昇すると、インスリンが追加分泌されて、血糖は骨格筋や心筋などの細胞に取り込まれて利用されたり、グリコーゲンとして蓄えられます。しかし、血中の余剰の血糖は中性脂肪に変えられて体脂肪として蓄積されていきます。インスリンが肥満ホルモンと呼ばれる所以です。糖質制限食なら血糖値はほとんど上昇しないので、インスリンもほとんど追加分泌されません。
江部康二
本ブログで、糖質制限食と体重減少効果については、コンスタントにコメント・質問を頂いてます。皆さん、美しく痩せたいという願望はありますものね。私も以前、体重増加に悩んだ時期がありますので、お気持ちよくわかりますよ。
ます大雑把に言って、糖質制限食で約9割の人は順調に体重が減少しますが、残りの約1割の人が一筋縄ではいきません。今回は復習を兼ねて、そこら辺を考えてみましょう。
さて、「同一カロリーの摂取であれば、何を食べても減量効果は変わらない」という<カロリー神話>は、大多数の医師・栄養士において現在も根強い信仰のようになっています。
私もかつてはカロリー神話を信じていましたが、人体の生理・代謝を系統的に理論的に考察してみると、はっきり間違いということがわかりました。
まず私自身の体験ですが、42~43歳ごろから体重は徐々に増加し腹回りも順調に育っていきました。
このごろは週2回のテニスの帰りにスポーツジムにもよって自転車こぎや腹筋・背筋運動もやってましたが、なぜかしっかり摘めるお肉が増えているので筋肉増強ではなく脂肪増強に間違いありません。
食事は、主食は玄米や胚芽米で、おかずは野菜や豆腐や魚が中心で、油脂や動物性の肉は極力控えて、カロリーにも注意して、いわゆる「ヘルシー食」を実践していました。
食事も運動も、一般の中年男性に比べれば、はるかに健康的だったのに、「何故だ!!」戸惑いと憤りが湧いてくるものの誰のせいでもありませんし現実は厳しいものでした。
2002年、52歳で糖尿病発覚時にはとうとう体重67kgになって、
血圧は160/100、腹囲は86cmと、
メタボリック・シンドロームの診断基準を見事に満たしていました。(=_=;)
HbA1cは6.3%、身長は167cm。
ここに至り、2002年6月からスーパー糖質制限食を開始しました。
その結果半年間の糖質制限食で、体重は56kgにおち、血圧も120/70、HbA1Cも4.9%と改善し、メタボリック・シンドロームも解消しました。
糖質制限食になって、それまで控えていたビーフステーキなど脂質たっぷりの食品をよく食べるようになったので「ヘルシー食」時代と同等以上にカロリーは摂取していますがこの成果です。
お酒の量も全く同等に飲んでいますが、「純米酒とエビスビール」から、「焼酎と赤ワイン」に完全に切り替えました。赤ワインは例外として、糖質のある「醸造酒」→糖質のない「蒸留酒」への変更ですね。
私一人の成功体験のみ語っても、説得力が弱いので、糖質制限食で減量できるメカニズムを生理学・生化学を駆使して理論的に考察してみましょう。
カロリー制限食と糖質制限食では、痩せる効果に大きな差があるのですが、「糖質制限食」でやせるメカニズムに関しては、以下の四つの要素が重要です。
「糖質制限食」では、糖質を摂取しないので
1 肥満ホルモン(追加分泌インスリン**)がほとんどでない。
2 体脂肪が常に燃えている。
3 血中のケトン体値が高まり、尿中に含有カロリーと共に生理的に排泄される。
4 肝臓でアミノ酸などから糖新生が行われそれに高エネルギーが消費される。
一方、従来の「カロリー制限食」では、糖質を摂取するので
A 血糖値が上昇して肥満ホルモン(追加分泌インスリン)がたっぷり分泌される。
B 体脂肪は燃えなくなり、血糖値が中性脂肪に変わり蓄積される。
C ケトン体は尿中に出なくなる。
D 肝臓の糖新生はストップする。
この<1、2、3、4>と<A、B、C、D>の比較をしてみれば、「糖質制限食」のほうが「インスリン・スイッチが作動するカロリー制限食」より、ダイエット効果があることがお解りいただけると思います。
<1、2、3、4>に関しては、摂取カロリーとは全く無関係の生理学的な事実であり、あくまでも糖質を摂取するか否かが鍵となります。
このように、少なくとも同一カロリーである限りは、糖質制限食が脂肪制限食よりダイエット効果が高いことは、理論的に証明できたと思います。
さて、しかしながら「糖質制限食を実践してもなかなか痩せない!」まれですが、そういう人が確かにおられます。
高雄病院の入院患者さんで、150cm、90kgの女性がおられました。1200キロカロリーの 糖質制限食でも減量できずに、1000キロカロリーの糖質制限食でやっと体重が減り始めました。
どうやら世の中には、痩せやすい人と痩せにくい人がいることは間違いないようですが、その大きな要因として基礎代謝があります。
吉田俊秀先生(京都府立医大臨床教授・肥満外来)によれば、日本女性の平均基礎代謝量は約1200キロカロリー/日ですが、個別には600~2400キロカロリー/日とかなりのばらつきがあるそうです。
単純には、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回れば太るし、下回れば痩せます。
通常のカロリー制限食なら
<消費エネルギー=基礎代謝+運動エネルギー+食事誘発熱産生>です。
糖質制限食なら
<消費エネルギー=基礎代謝+運動エネルギー+食事誘発熱産生> に加えて、
《肝臓の糖新生でエネルギーを消費+尿中ケトン体でエネルギーを消失》が追加です。
基礎代謝は、何も活動していない時でも人体の機能維持に必要なエネルギーで、男性で平均約1500キロカロリー、女性で平均約1200キロカロリーです。
運動エネルギーは、1万歩歩けば、標準体重の人が350キロカロリー、肥満の人は400~500キロカロリーを消費します。
食事誘発熱産生は、食事摂取中に消費するエネルギーですが、日本人は、平均200キロカロリー/日とされています。
こう見てくると消費エネルギーのなかで、基礎代謝が一番大きな割合を占めていることがわかります。
基礎代謝が800キロカロリー/日しかない人ならば、1200キロカロリー/日という低カロリーでもなかなか痩せないことは理解できますよね。
さて、1995年、米国アリゾナ州に居住するネイティブアメリカンの「ピマ族」に、「β3アドレナリン受容体」という物質をつかさどる遺伝子に変異が発見され、これを持つ人は糖尿病や肥満になりやすいことが報告されました。
この報告にヒントを得て、吉田先生が肥満外来の患者さんを調べたところ、34%の人に「β3アドレナリン受容体」の遺伝子変異が見つかったそうです。この遺伝子変異があると、日本人では基礎代謝量が200キロカロリー/日も低下していて、他の人と同じように食べていたら太りやすく痩せにくいのです。
ピマ族や日本人に比較的多く見られるこの遺伝子変異は「倹約遺伝子」とも言うべきもので、脂肪をためやすく燃えにくいようにするものです。
即ち、摂取エネルギーを最大限に吸収し、消費エネルギーを最小限に抑えるという、私達の祖先がかつて食料不足で飢えに苦しめられていたころには、大いに有利に働いていたものと考えられます。
かつては「倹約遺伝子」として有利に働いていたものが、飽食の現代では「肥満遺伝子」と変貌してしまったわけです。(*_*)
もし倹約遺伝子の持ち主であれば、女性で1200キロカロリーの 糖質制限食でも痩せにくいことがあり、「 糖質制限食+カロリー制限食(1000キロカロリー)」が必要となります。
**
肥満ホルモン(インスリン)
糖質を摂取して血糖値が上昇すると、インスリンが追加分泌されて、血糖は骨格筋や心筋などの細胞に取り込まれて利用されたり、グリコーゲンとして蓄えられます。しかし、血中の余剰の血糖は中性脂肪に変えられて体脂肪として蓄積されていきます。インスリンが肥満ホルモンと呼ばれる所以です。糖質制限食なら血糖値はほとんど上昇しないので、インスリンもほとんど追加分泌されません。
江部康二
2009年07月23日 (木)
おはようございます。
今朝は良い天気です。蝉も元気良く鳴いてます。
娘の出産後、1ヶ月くらいは連れ合いが手伝いに行っていたので、我が家はてんやわんやで、犬の小豆も食が細って痩せてしまいました。 (*_*)
やっとこの1週間、日常生活に戻り、小豆の食欲も回復して一安心です。(^_^)
おかげさまで、孫も、汗もなんぞ出しながらも元気に育っています。(⌒o⌒)v
さて今回は、ケイさんから、HbA1cの改善と低血糖について、コメント・質問をいただきました。
「A1c
糖質制限食を始めてから、50日が経ちました。
開始後20日、40日の時点で検査に行きました。
空腹血糖値、HbA1c
開始前:124mg/dl、7.1
20日:105mg/dl、6.9
40日:96mg/dl、6.3
もう少し下がるかと期待していましたが、検査から開始前まで1ヶ月あり、かなり不摂生していましたから、7.1よりもかなり高かったと思います。
主治医の先生は、空腹時血糖値が100mg/dl以下に下がったことを評価していました。96mg/dlですと、すい臓のダメージは少ないのでしょうか?このまま、糖質制限食を継続していたらA1cが下がる可能性はありますか?
現在、薬は飲んでいませんが、たまに疲れたな~と感じた時に低血糖っぽい症状が出るときがあります。汗の量が多くなり、落ち着きが無くなったら要注意です。黒飴とかでも、改善されるのでしょうか?また、飴は糖尿病の人には超注意でしょうか?
2009/07/20(Mon) 00:52 | URL | ケイ」
ケイさん。
コメントありがとうございます。
血糖値、HbA1cの改善よかったですね。 (^^)
空腹時血糖値が、96mg/dlに改善しておられます。糖質制限食実践40日、膵臓のランゲルハンス島のβ細胞が休養できて回復し、基礎分泌のインスリンがしっかりでるようになったと考えられます。そういう意味で主治医も評価して下さったのでしょう。
早朝空腹時血糖値が正常に回復していて、このまま糖質制限食を続けていかれれば、食後高血糖を起こすこともないでの、HbA1cは5.8%未満となり糖尿人の目標をクリアすると思いますよ。
糖尿人が糖質制限食を実践すれば、高血糖は改善します。一方、肝臓では、糖質制限食摂取中でも糖新生が行われますので、低血糖にはなりません。
経口血糖降下薬内服やインスリン注射をしてない糖尿人が低血糖になるとしたら、空腹時に運動をしすぎた場合などです。 2009年07月09日 (木) のブログ「糖質制限食と低血糖」をご参照ください。
低血糖とはっきりしているときは、ブドウ糖を飲むのが一番ですが、なければ飴でもいいですよ。
なお糖質制限ですので、脂質・タンパク質はしっかり摂取して、低カロリーにならないようご注意ください。低カロリー過ぎると、血糖値は改善したが力が入らない、身体がだるいなどの症状がでます。
江部康二
今朝は良い天気です。蝉も元気良く鳴いてます。
娘の出産後、1ヶ月くらいは連れ合いが手伝いに行っていたので、我が家はてんやわんやで、犬の小豆も食が細って痩せてしまいました。 (*_*)
やっとこの1週間、日常生活に戻り、小豆の食欲も回復して一安心です。(^_^)
おかげさまで、孫も、汗もなんぞ出しながらも元気に育っています。(⌒o⌒)v
さて今回は、ケイさんから、HbA1cの改善と低血糖について、コメント・質問をいただきました。
「A1c
糖質制限食を始めてから、50日が経ちました。
開始後20日、40日の時点で検査に行きました。
空腹血糖値、HbA1c
開始前:124mg/dl、7.1
20日:105mg/dl、6.9
40日:96mg/dl、6.3
もう少し下がるかと期待していましたが、検査から開始前まで1ヶ月あり、かなり不摂生していましたから、7.1よりもかなり高かったと思います。
主治医の先生は、空腹時血糖値が100mg/dl以下に下がったことを評価していました。96mg/dlですと、すい臓のダメージは少ないのでしょうか?このまま、糖質制限食を継続していたらA1cが下がる可能性はありますか?
現在、薬は飲んでいませんが、たまに疲れたな~と感じた時に低血糖っぽい症状が出るときがあります。汗の量が多くなり、落ち着きが無くなったら要注意です。黒飴とかでも、改善されるのでしょうか?また、飴は糖尿病の人には超注意でしょうか?
2009/07/20(Mon) 00:52 | URL | ケイ」
ケイさん。
コメントありがとうございます。
血糖値、HbA1cの改善よかったですね。 (^^)
空腹時血糖値が、96mg/dlに改善しておられます。糖質制限食実践40日、膵臓のランゲルハンス島のβ細胞が休養できて回復し、基礎分泌のインスリンがしっかりでるようになったと考えられます。そういう意味で主治医も評価して下さったのでしょう。
早朝空腹時血糖値が正常に回復していて、このまま糖質制限食を続けていかれれば、食後高血糖を起こすこともないでの、HbA1cは5.8%未満となり糖尿人の目標をクリアすると思いますよ。
糖尿人が糖質制限食を実践すれば、高血糖は改善します。一方、肝臓では、糖質制限食摂取中でも糖新生が行われますので、低血糖にはなりません。
経口血糖降下薬内服やインスリン注射をしてない糖尿人が低血糖になるとしたら、空腹時に運動をしすぎた場合などです。 2009年07月09日 (木) のブログ「糖質制限食と低血糖」をご参照ください。
低血糖とはっきりしているときは、ブドウ糖を飲むのが一番ですが、なければ飴でもいいですよ。
なお糖質制限ですので、脂質・タンパク質はしっかり摂取して、低カロリーにならないようご注意ください。低カロリー過ぎると、血糖値は改善したが力が入らない、身体がだるいなどの症状がでます。
江部康二
2009年07月22日 (水)
おはようございます。今朝は、庭の蝉が良く鳴いてます。
「ジージー、ジャジャジャ」と私を起こしてくれるのはクマゼミでしょうか。
さて今回は、ゆきのさんから、断乳と血糖値そして血糖自己測定器の差について、コメント・質問をいただきました。
「09/07/18 ゆきの
タイトルなし
おはようございます。
いつも先生のブログで勉強させてもらっています。
妊娠糖尿病の診断を受け、産後Ⅱ型の診断を受けて、カロリー制限を指導されていましたが、先生のブログに出会い、糖質制限食をはじめて4ヶ月経過しました。
空腹時70~90 食後1時間では140以内でほぼ経過していました。
先月測定チップをきらし、なかなか購入できず、測定していない期間が3週間ほどありました。
今回測定器をアキュチェックアビバを購入し、測定したところ、今までよりも数値が上昇していました。
食後の上昇幅は変わりませんが、空腹時血糖値が常に100以上です。今までは食事と食事の間の時間が長いと空腹時60台にまでなることがありましたが、今ではなかなか下がらないのが現状です。スタートが高いので食後1時間は140~160ぐらいになってしまいます。
ついでに今までは見られなかった、暁現象も見られるようになりました。
先月初めて測定したa1cは5.8です。(自分が考えていた以上に高くて少しショックでした)
食事内容はそれほど変わっていないと思っていますが、この3週間で耐糖能が悪化したと考えるべきなのでしょうか。
この3週間で変わったことといえば、測定器をグルテストエースからアキュチェックアビバに変更したことと、授乳をやめたことです。
断乳により体重も少し増え、落ちにくくなってます。断乳したことによって消費カロリーが減り、血糖値も上昇したのでしょうか。
お忙しいなか大変恐縮ですが、ご返答宜しくお願いします」
ゆきのさん。
コメントありがとうございます。
グルテストエースはどうやら、他の機種より10~20mg血糖値が低くでるようです。
グルテストエースからニプロフリースタイルフリーダムに切り替えて、10~20mgほど血糖値が高値に測定された患者さんがおられました。
この方は、同時にグルテストエースとニプロフリースタイルフリーダムで、2.3回測定して常に同様の結果だったそうです。
私はアセンシアブリーズからニプロフリースタイルフリーダムに変えましたが、血糖値に特に差はありませんでした。高雄病院の患者さんでGチェッカーからニプロフリースタイルフリーダムに変更された方も、特に差はありませんでした。
ブログ読者の皆さん、各社の血糖自己測定器の血糖値の差に関して、ご経験があれば情報よろしくお願い申し上げます。
「食事内容はそれほど変わっていないと思っていますが、この3週間で耐糖能が悪化したと考えるべきなのでしょうか。」
3週間で急に耐糖能が悪化することは通常はありませんが、断乳の影響は考えられます。母乳には乳糖という糖質が含まれていますから、赤ちゃんが飲んだ分は母体から糖質が減っていますね。
従って断乳したら、糖質の消費が減りますので、授乳中と同じ食事・ライフスタイルなら、少し血糖値が上昇する可能性はあると思います。
江部康二
「ジージー、ジャジャジャ」と私を起こしてくれるのはクマゼミでしょうか。
さて今回は、ゆきのさんから、断乳と血糖値そして血糖自己測定器の差について、コメント・質問をいただきました。
「09/07/18 ゆきの
タイトルなし
おはようございます。
いつも先生のブログで勉強させてもらっています。
妊娠糖尿病の診断を受け、産後Ⅱ型の診断を受けて、カロリー制限を指導されていましたが、先生のブログに出会い、糖質制限食をはじめて4ヶ月経過しました。
空腹時70~90 食後1時間では140以内でほぼ経過していました。
先月測定チップをきらし、なかなか購入できず、測定していない期間が3週間ほどありました。
今回測定器をアキュチェックアビバを購入し、測定したところ、今までよりも数値が上昇していました。
食後の上昇幅は変わりませんが、空腹時血糖値が常に100以上です。今までは食事と食事の間の時間が長いと空腹時60台にまでなることがありましたが、今ではなかなか下がらないのが現状です。スタートが高いので食後1時間は140~160ぐらいになってしまいます。
ついでに今までは見られなかった、暁現象も見られるようになりました。
先月初めて測定したa1cは5.8です。(自分が考えていた以上に高くて少しショックでした)
食事内容はそれほど変わっていないと思っていますが、この3週間で耐糖能が悪化したと考えるべきなのでしょうか。
この3週間で変わったことといえば、測定器をグルテストエースからアキュチェックアビバに変更したことと、授乳をやめたことです。
断乳により体重も少し増え、落ちにくくなってます。断乳したことによって消費カロリーが減り、血糖値も上昇したのでしょうか。
お忙しいなか大変恐縮ですが、ご返答宜しくお願いします」
ゆきのさん。
コメントありがとうございます。
グルテストエースはどうやら、他の機種より10~20mg血糖値が低くでるようです。
グルテストエースからニプロフリースタイルフリーダムに切り替えて、10~20mgほど血糖値が高値に測定された患者さんがおられました。
この方は、同時にグルテストエースとニプロフリースタイルフリーダムで、2.3回測定して常に同様の結果だったそうです。
私はアセンシアブリーズからニプロフリースタイルフリーダムに変えましたが、血糖値に特に差はありませんでした。高雄病院の患者さんでGチェッカーからニプロフリースタイルフリーダムに変更された方も、特に差はありませんでした。
ブログ読者の皆さん、各社の血糖自己測定器の血糖値の差に関して、ご経験があれば情報よろしくお願い申し上げます。
「食事内容はそれほど変わっていないと思っていますが、この3週間で耐糖能が悪化したと考えるべきなのでしょうか。」
3週間で急に耐糖能が悪化することは通常はありませんが、断乳の影響は考えられます。母乳には乳糖という糖質が含まれていますから、赤ちゃんが飲んだ分は母体から糖質が減っていますね。
従って断乳したら、糖質の消費が減りますので、授乳中と同じ食事・ライフスタイルなら、少し血糖値が上昇する可能性はあると思います。
江部康二
2009年07月21日 (火)
こんにちは。
朝から梅雨らしいしとしと雨が降り続いている京都です。
今週の土曜日からは、信州八ヶ岳山麓・富士見高原で恒例のテニス合宿ですから、是非とも梅雨明けしてほしいですね。
さて今回はすぎなっこさんから、HbA1c改善と羅漢果に関してコメント・質問をいただきました。
「09/07/17 すぎなっこ
A1c改善&羅漢果について
江部先生 こんにちわ。
7/16の検査でA1cが6年ぶりに6をきっていました。思わず、ほくそえんでしまう私でした。
5月の末から糖質制限を始めたばかりなのに、この速やかな効果。
ほんとに糖質制限に出会えて、先生の本やブログに出会えて喜んでいます。
ありがとうございます。
4/17 6/19 7/16
HbA1c 7・0 6.3 5.9
LDL 100 67 155
HDL 79 76 93
中性脂肪 98 54 59
と全てが良い方向に向かっています。
ただ、Dr.はLDLコレステロールが高いというところに注目して、高脂血症やコレステロールのパンフレットを見せ、あなたの自由だと言いながらも(薬を飲んだら?飲めば?飲むって言ったら?)みたいな感じでした。
でも、中性脂肪は低下しているしHDLは増えているし、恐るべき小粒子LDLと酸化LDLは減少しているはずだと信じ、やんわりと「もう少し様子をみます」ということにしました。
ところで、スィーツを作る時にラカントSを使っていますが、家に羅漢果というものがあります。
これは、どうなんでしょうか。
使っても大丈夫ですか?」
すぎなっこさん。
HbA1c素晴らしい改善ですね。(⌒o⌒)v
HDLコレステロールも順調に増えていますし、中性脂肪はぐんと減少しています。糖質制限食が上手にできている証拠のようなデータですよ。
仰有るとおり、このデータなら小粒子LDLと酸化LDLは減少していますので、心配は要りません。
糖質制限食実践によるLDLコレステロール値の変化に関しては個人差があり、減少する人・変わらない人・増加する人とわかれます。
しかし、増加した人も、一過性のことが多く、続けているうちに減少し落ち着くことが多いです。このまま経過をみていただけばよろしいと思います。
それから、
羅漢果は、中国広東省、広西チアン族自治区の高冷地に栽培されるウリ科の多年生草本です。中国の一部の地域でしか生育していない貴重な植物で、その果実は、砂糖の約300倍の甘さがあります。甘味が強いので、中国では古くから乾燥させて料理の調味料、甘味飲料の原料として使っていました。
近年の研究で、羅漢果の甘味成分はMongroside Vなどのククルビタン型トリテルペン配糖体であることがわかりました。トリテルペン配糖体は、小腸で吸収されることなく大腸まで達するため、食物繊維の一つに分類されます。従って血糖値を上昇させませんし、吸収されるカロリーはほぼゼロと考えてよいようです。
羅漢果の甘味成分には、トリテルペン配糖体以外にもほんの少量の果糖が加わっているそうです。果糖分のカロリーは、吸収されますがごく少量ですし、果糖は10%しかブドウ糖に変わらないので、血糖値はほとんど上昇させません。
通常販売している「羅漢果顆粒」は、顆粒状にして使い勝手を良くするために、甜菜糖が約2%含まれています。甜菜糖は、勿論吸収されて血糖値を上昇させます。
まあ、白菜や菜っぱにも天然のショ糖が少量は含まれていますので、羅漢果顆粒を甘味料として少量使う程度は、血糖値上昇に関しては許容範囲と思います。
江部康二
朝から梅雨らしいしとしと雨が降り続いている京都です。
今週の土曜日からは、信州八ヶ岳山麓・富士見高原で恒例のテニス合宿ですから、是非とも梅雨明けしてほしいですね。
さて今回はすぎなっこさんから、HbA1c改善と羅漢果に関してコメント・質問をいただきました。
「09/07/17 すぎなっこ
A1c改善&羅漢果について
江部先生 こんにちわ。
7/16の検査でA1cが6年ぶりに6をきっていました。思わず、ほくそえんでしまう私でした。
5月の末から糖質制限を始めたばかりなのに、この速やかな効果。
ほんとに糖質制限に出会えて、先生の本やブログに出会えて喜んでいます。
ありがとうございます。
4/17 6/19 7/16
HbA1c 7・0 6.3 5.9
LDL 100 67 155
HDL 79 76 93
中性脂肪 98 54 59
と全てが良い方向に向かっています。
ただ、Dr.はLDLコレステロールが高いというところに注目して、高脂血症やコレステロールのパンフレットを見せ、あなたの自由だと言いながらも(薬を飲んだら?飲めば?飲むって言ったら?)みたいな感じでした。
でも、中性脂肪は低下しているしHDLは増えているし、恐るべき小粒子LDLと酸化LDLは減少しているはずだと信じ、やんわりと「もう少し様子をみます」ということにしました。
ところで、スィーツを作る時にラカントSを使っていますが、家に羅漢果というものがあります。
これは、どうなんでしょうか。
使っても大丈夫ですか?」
すぎなっこさん。
HbA1c素晴らしい改善ですね。(⌒o⌒)v
HDLコレステロールも順調に増えていますし、中性脂肪はぐんと減少しています。糖質制限食が上手にできている証拠のようなデータですよ。
仰有るとおり、このデータなら小粒子LDLと酸化LDLは減少していますので、心配は要りません。
糖質制限食実践によるLDLコレステロール値の変化に関しては個人差があり、減少する人・変わらない人・増加する人とわかれます。
しかし、増加した人も、一過性のことが多く、続けているうちに減少し落ち着くことが多いです。このまま経過をみていただけばよろしいと思います。
それから、
羅漢果は、中国広東省、広西チアン族自治区の高冷地に栽培されるウリ科の多年生草本です。中国の一部の地域でしか生育していない貴重な植物で、その果実は、砂糖の約300倍の甘さがあります。甘味が強いので、中国では古くから乾燥させて料理の調味料、甘味飲料の原料として使っていました。
近年の研究で、羅漢果の甘味成分はMongroside Vなどのククルビタン型トリテルペン配糖体であることがわかりました。トリテルペン配糖体は、小腸で吸収されることなく大腸まで達するため、食物繊維の一つに分類されます。従って血糖値を上昇させませんし、吸収されるカロリーはほぼゼロと考えてよいようです。
羅漢果の甘味成分には、トリテルペン配糖体以外にもほんの少量の果糖が加わっているそうです。果糖分のカロリーは、吸収されますがごく少量ですし、果糖は10%しかブドウ糖に変わらないので、血糖値はほとんど上昇させません。
通常販売している「羅漢果顆粒」は、顆粒状にして使い勝手を良くするために、甜菜糖が約2%含まれています。甜菜糖は、勿論吸収されて血糖値を上昇させます。
まあ、白菜や菜っぱにも天然のショ糖が少量は含まれていますので、羅漢果顆粒を甘味料として少量使う程度は、血糖値上昇に関しては許容範囲と思います。
江部康二
2009年07月20日 (月)
【コメント・質問に関するお知らせ・お願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
読者の皆さんからご意見いただきましたが、確かに普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、主治医にご相談頂けば助かります。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
【講演会のお知らせ】
☆第33回日本産科婦人科栄養・代謝研究会2009年7月31日(金)
特別講演・江部康二
「栄養・代謝と糖質制限食」
午後3時~1時間
金沢で行われる学会です。
ブログ読者で産婦人科のドクターがおられましたら是非ご参加ください。
☆朝日カルチャーセンター京都http://www.asahi-culture.co.jp/www/kyoto-c.html
TEL 075-231-9693
2009年8月18日(火)10:30~12:00
食事で治す!アトピー・糖尿病・メタボ
-テーラーメードダイエットと糖質制限食-
☆脳と栄養のシンポジウム 2009年8月23日(日) 13:30~17:45
『分子整合医学概論』 溝口徹先生
『糖質制限の基礎と臨床 ~脳に糖質は必要か?』 14:15~15:00 江部康二
『精神科医療の現状と問題点』 市来真彦先生
『心療内科領域における栄養療法の実際』 姫野友美先生
『精神科領域における栄養療法の実際』 広瀬久益先生
会場:ニッショーホール 東京都港区虎ノ門2丁目9番16号
一般:¥3000-
医療:¥5000-
お問い合わせ
03-3350-8988 新宿溝口クリニック
☆糖質制限食シンポジウムin東京
講 師 江部康二
(高雄病院理事長/NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事長)
大柳珠美
(管理栄養士/NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事)
ゲスト 山田悟先生
(北里研究所病院糖尿病センター センター長医学博士)
日 時 2009年9月13日(日)9時20分開場
9時30分開演 11時50分終了
場 所 なかのゼロ視聴覚ホール (JR中野駅南口下車6分)
会 費 一般 1800円 リボーン会員 1500円
ペア券 一般 3600円のところ3000円
ペア券 会員 3000円のところ2400円
※ペア券はご家族に限られていただきます。
主 催 NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
申し込み・問い合わせ リボーン 曽我部ゆかり
電話:03-3388-5428
e-mail reborn@big.or.jp
<糖質制限食>VS<糖質たっぷりカロリー制限食>
糖質が血糖値を上昇させインスリンを追加分泌させる
本ブログは糖尿人に、糖質制限食(糖質12%、脂質56%、タンパク質32%)を推進する立場ですが、世の中は相変わらず、糖質たっぷりのカロリー制限食(糖質60%、脂質20%、タンパク質20%)を推奨する病院が圧倒的に多いです。
いろんな意見があり、論争することは医学の発展において健全なことと思います。しかし、論争の前に人体の生理・代謝などの基本的なところを理解することも重要です。
今回は<糖質・脂質・タンパク質の摂取>と<血糖値上昇・インスリン分泌>に関して人体の生理・代謝における事実を説明します。
しつこいようですが、以下に述べることは、論争の余地のない事実ですので<糖質たっぷりのカロリー制限食推奨派>の方々にも、是非ご理解いただきたいと思います。
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。
糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方、タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。
これらは、カロリーとは無関係な、三大栄養素の生理学的特質です。
インスリンには24時間、少量常に分泌されている基礎分泌と、血糖値が上昇したときに大量に出る追加分泌があります。
糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を急峻に上昇させます。従って、糖質を摂取した時には、インスリンが大量に追加分泌されます。
しかし、脂質やタンパク質は血糖値をほとんど上昇させないので、インスリンの追加分泌は、ほとんどありません。
つまり、人(糖尿人も正常人も)において、インスリンの追加分泌が多量に必要となるのは、糖質を摂取した時だけです。
これらは、すべて論争の余地のない、生理学的事実です。
以下は、2型糖尿病Aさんのデータです。通常食は糖質ありです。
通常食 350kcal、糖質60%で約52.5g、脂質20%、タンパク質20%
糖質制限食 350kcal、糖質10%で約8.75g、脂質60%、タンパク質30%
通常食と糖質制限食は、いずれも350kcalで、勿論、同一人のデータです。
糖質制限食だと血糖値の上昇は極めて少なく、インスリンの追加分泌もごく少量ですね。
食前 30分後 60分後 90分後 120分後
通常食血糖値 121 206 304 250 198
通常食IRI 2.2 6.2 19.1 23.1 21.6
糖質制限食血糖値 124 140 142 129 135
糖質制限食IRI 3.5 4.6 6.7 6.9 5.2
同様に元2型糖尿人Bさんのデータです。2年前初診時糖尿病でしたが現在正常人です。
食前 30分後 60分後 90分後 120分後
通常食血糖値 108 148 189 142 126
通常食IRI 3.8 35.2 58.5 55.1 24.9
糖質制限食血糖値 113 115 116 108 107
糖質制限食IRI 4.1 10.1 11.7 10.6 13.5
Bさんの場合、2年間の糖質制限食で、糖質を負荷しても血糖値は正常パターンに回復しています。
このとき基礎分泌3.8→追加分泌ピーク58.8まで多量のインスリンが出ています。実に基礎分泌の15倍強のインスリンが追加分泌されています。ヾ(゜▽゜)
糖質制限食でも、約8.75gほど野菜分の糖質が含まれているので、一応基礎分泌の2~3倍のインスリン追加分泌がありますが、通常食に比べれば微々たるものですね。
正常人が通常の食事をすれば、おおむねBさんのデータのようなインスリンの大量追加分泌が一日に最低3回、間食をすれば5回以上起こっているわけです。
このようなインスリンの大量追加分泌が40年、50年と続けば遂には膵臓が疲弊して、分泌能力が低下して糖尿病を発症するのは想像に難くないですね。
結論です。
カロリーをいくら制限しても、糖質を摂取してしまえば食後高血糖と多量のインスリン追加分泌を生じます。糖質制限食なら食後高血糖は生じず、インスリン追加分泌もごく少量ですみます。
【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内・保険適応】
お問い合わせは高雄病院
http://www.takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
【糖質制限食外来治療のご案内・予約制・保険適応】
高雄病院 電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院京都駅前診療所 電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
http://www.takao-hospital.net/
江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書きましたが、 糖質制限食実践によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」「 糖質制限食 春のレシピ」「 糖質制限食 夏のレシピ」「糖質制限食 秋のレシピ」「糖質制限食 冬のレシピ」(以上東洋経済新報社)
「糖尿病のための糖質オフごちそうごはん」(アスペクト)
などを参考にされて、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
江部康二
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
読者の皆さんからご意見いただきましたが、確かに普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、主治医にご相談頂けば助かります。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
【講演会のお知らせ】
☆第33回日本産科婦人科栄養・代謝研究会2009年7月31日(金)
特別講演・江部康二
「栄養・代謝と糖質制限食」
午後3時~1時間
金沢で行われる学会です。
ブログ読者で産婦人科のドクターがおられましたら是非ご参加ください。
☆朝日カルチャーセンター京都http://www.asahi-culture.co.jp/www/kyoto-c.html
TEL 075-231-9693
2009年8月18日(火)10:30~12:00
食事で治す!アトピー・糖尿病・メタボ
-テーラーメードダイエットと糖質制限食-
☆脳と栄養のシンポジウム 2009年8月23日(日) 13:30~17:45
『分子整合医学概論』 溝口徹先生
『糖質制限の基礎と臨床 ~脳に糖質は必要か?』 14:15~15:00 江部康二
『精神科医療の現状と問題点』 市来真彦先生
『心療内科領域における栄養療法の実際』 姫野友美先生
『精神科領域における栄養療法の実際』 広瀬久益先生
会場:ニッショーホール 東京都港区虎ノ門2丁目9番16号
一般:¥3000-
医療:¥5000-
お問い合わせ
03-3350-8988 新宿溝口クリニック
☆糖質制限食シンポジウムin東京
講 師 江部康二
(高雄病院理事長/NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事長)
大柳珠美
(管理栄養士/NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事)
ゲスト 山田悟先生
(北里研究所病院糖尿病センター センター長医学博士)
日 時 2009年9月13日(日)9時20分開場
9時30分開演 11時50分終了
場 所 なかのゼロ視聴覚ホール (JR中野駅南口下車6分)
会 費 一般 1800円 リボーン会員 1500円
ペア券 一般 3600円のところ3000円
ペア券 会員 3000円のところ2400円
※ペア券はご家族に限られていただきます。
主 催 NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
申し込み・問い合わせ リボーン 曽我部ゆかり
電話:03-3388-5428
e-mail reborn@big.or.jp
<糖質制限食>VS<糖質たっぷりカロリー制限食>
糖質が血糖値を上昇させインスリンを追加分泌させる
本ブログは糖尿人に、糖質制限食(糖質12%、脂質56%、タンパク質32%)を推進する立場ですが、世の中は相変わらず、糖質たっぷりのカロリー制限食(糖質60%、脂質20%、タンパク質20%)を推奨する病院が圧倒的に多いです。
いろんな意見があり、論争することは医学の発展において健全なことと思います。しかし、論争の前に人体の生理・代謝などの基本的なところを理解することも重要です。
今回は<糖質・脂質・タンパク質の摂取>と<血糖値上昇・インスリン分泌>に関して人体の生理・代謝における事実を説明します。
しつこいようですが、以下に述べることは、論争の余地のない事実ですので<糖質たっぷりのカロリー制限食推奨派>の方々にも、是非ご理解いただきたいと思います。
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。
糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方、タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。
これらは、カロリーとは無関係な、三大栄養素の生理学的特質です。
インスリンには24時間、少量常に分泌されている基礎分泌と、血糖値が上昇したときに大量に出る追加分泌があります。
糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を急峻に上昇させます。従って、糖質を摂取した時には、インスリンが大量に追加分泌されます。
しかし、脂質やタンパク質は血糖値をほとんど上昇させないので、インスリンの追加分泌は、ほとんどありません。
つまり、人(糖尿人も正常人も)において、インスリンの追加分泌が多量に必要となるのは、糖質を摂取した時だけです。
これらは、すべて論争の余地のない、生理学的事実です。
以下は、2型糖尿病Aさんのデータです。通常食は糖質ありです。
通常食 350kcal、糖質60%で約52.5g、脂質20%、タンパク質20%
糖質制限食 350kcal、糖質10%で約8.75g、脂質60%、タンパク質30%
通常食と糖質制限食は、いずれも350kcalで、勿論、同一人のデータです。
糖質制限食だと血糖値の上昇は極めて少なく、インスリンの追加分泌もごく少量ですね。
食前 30分後 60分後 90分後 120分後
通常食血糖値 121 206 304 250 198
通常食IRI 2.2 6.2 19.1 23.1 21.6
糖質制限食血糖値 124 140 142 129 135
糖質制限食IRI 3.5 4.6 6.7 6.9 5.2
同様に元2型糖尿人Bさんのデータです。2年前初診時糖尿病でしたが現在正常人です。
食前 30分後 60分後 90分後 120分後
通常食血糖値 108 148 189 142 126
通常食IRI 3.8 35.2 58.5 55.1 24.9
糖質制限食血糖値 113 115 116 108 107
糖質制限食IRI 4.1 10.1 11.7 10.6 13.5
Bさんの場合、2年間の糖質制限食で、糖質を負荷しても血糖値は正常パターンに回復しています。
このとき基礎分泌3.8→追加分泌ピーク58.8まで多量のインスリンが出ています。実に基礎分泌の15倍強のインスリンが追加分泌されています。ヾ(゜▽゜)
糖質制限食でも、約8.75gほど野菜分の糖質が含まれているので、一応基礎分泌の2~3倍のインスリン追加分泌がありますが、通常食に比べれば微々たるものですね。
正常人が通常の食事をすれば、おおむねBさんのデータのようなインスリンの大量追加分泌が一日に最低3回、間食をすれば5回以上起こっているわけです。
このようなインスリンの大量追加分泌が40年、50年と続けば遂には膵臓が疲弊して、分泌能力が低下して糖尿病を発症するのは想像に難くないですね。
結論です。
カロリーをいくら制限しても、糖質を摂取してしまえば食後高血糖と多量のインスリン追加分泌を生じます。糖質制限食なら食後高血糖は生じず、インスリン追加分泌もごく少量ですみます。
【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内・保険適応】
お問い合わせは高雄病院
http://www.takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
【糖質制限食外来治療のご案内・予約制・保険適応】
高雄病院 電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院京都駅前診療所 電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
http://www.takao-hospital.net/
江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書きましたが、 糖質制限食実践によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」「 糖質制限食 春のレシピ」「 糖質制限食 夏のレシピ」「糖質制限食 秋のレシピ」「糖質制限食 冬のレシピ」(以上東洋経済新報社)
「糖尿病のための糖質オフごちそうごはん」(アスペクト)
などを参考にされて、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
江部康二
2009年07月20日 (月)
おはようございます。
昨夜の宴会は、焼酎と赤ワイン適量?にとどめて、今朝は二日酔いもなく、無事ブログを書いております。 (^^)
今回はテンプルさんから、グルコカットやアクエリアスゼロなどについてコメント・質問をいただきました。
「09/07/18 テンプル
タイトルなし
こんにちわ
アドレス消えていました。ブログのコメント等初めてで疎くてすいません(^^;) どこから質問して良いかもわからず、コメント欄から入りましたが・・・
さて、先日グルコカットというお茶についてお聞きしました。
それとは別に、スポーツドリンクは実は糖質たっぷりという事で、避けていますが、2ヶ月で6キロの減量に成功した主人は、これからは長時間炎天下での仕事が多くなります。 熱中症が心配なので、昨年まではスポーツドリンクを凍らせて持たせていましたので、色々探したところ、アクエリアスゼロは以下の成分です。 これはいかがでしょう。
原材料名 : 高果糖液糖(ハンディパックは果糖)、塩化Na、L-カルニチンL-酒石酸塩、海藻エキス、クエン酸、香料、クエン酸Na、アルギニン、塩化K、塩化Mg、甘味料(アセルスファムK、スクラロース)、乳酸Ca、酸化防止剤(ビタミンC)
市販の物をひとつでも多く取り入れられるようになると、糖質制限はどんどん楽になると思います。
先生の本をヒントにアレンジしたレシピなども交換しあったりなどして、家族の糖質制限をコントロールしながら調理する人の負担を減らすべく、日々試行錯誤です。
まだ軽度の糖尿病のうちに糖質制限で見事8キロの減量をした義母とも、市販の製品でこれは良さそうだけれどジャッジしずらいものが、○か×かわかるともっと幅が広がるし、糖質制限の話をしても、及び腰になっている人でも入りやすいのではと、よく話します。
私の両親もまだその感が拭えません(・・;)
男性は主食がNGだとお昼が厳しいようですね。女性は調理の側面から思い切るのに時間がかかるようで。 私もスタート直後、いちいち商品の裏をチェックするので、買出しには2時間ほどかかってしまいました。
先日もお話した通り、主人とは対照的に思うように体重が落ちませんが、私の場合、喘息が深刻なのと、アレルギーの薬を長期に亘って飲み続けている為、肝機能がかなり落ちているそうですので、体質改善を目標に続けていきたいと思います。
いずれ、この中の質問を取り上げて頂ければ非常に助かりますので宜しくお願い致します。」
「09/07/16 テンプル
お茶について
こんにちわ。
只今スーパー糖質制限食実践中、そろそろ2ヶ月になるところです。
糖尿病ではない30代と40代の私達夫婦ですが、ダイエット目的と、糖尿病予防の為、それとひどい通年性のアレルギー鼻炎と気管支喘息を持っているので、何とかアレルギーの薬を飲まなくなれないものかと体質改善に期待し、取り組んでおります。
糖質制限を知ったきっかけは、半年ぶりに会った義父母が2人揃って8~10キロも減量していて驚いて話を聞いたところ、糖質制限を実践している事と先生の本を見せてくれました。
短期間で大幅な減量の成功者を2人も目の前にして、これ以上の説得力はありませんから、翌日から早速実践開始。
まず体重が落ち始めるまでは頑張ってスーパー糖質制限でいく事に決め、調味料なども買い替えました。
夫婦2人ともお弁当持参で、主食のかわりになる物として、おからや豆腐・卵料理などを増やして何とか頑張っているのですが・・
主人は糖質制限の2ヶ月前頃から、朝30分程の
ウォーキング&ジョギングを始めていたのでその成果もあるかもしれませんが、糖質制限を始めて2ヶ月あまりで約6キロ体重が落ちました。
一方私は、糖質制限を始めて1週間程で生理になってしまい、生理の期間は体重が1~2キロ増加する為、なかなか落ちず、生理後もしばらく変化なく、やっと1キロ~1.5キロ減ってきたところでまた生理周期に入ってしまい、思うように減量できません。
女性の場合、どうしてもホルモンバランスに影響されるのかもしれませんが、こんなにも差があるものなのでしょうか。
それと、一回目の生理は通常より4日前倒しで、今回は逆に5日遅れできました。糖質制限と何か関係があるのでしょうか。
以前のブログの中で、大豆イソフラボンは食品から摂る分には問題ないとおっしゃってましたね。
糖質制限食を始めて、多いときには一食で豆腐・おから料理・納豆などを摂っているのはさすがに摂りすぎ?と思ったりします。
そして、主人と私に共通しているのは、昼間でもよく眠気におそわれるのと、階段等で非常に足がだるいという事です。
これも何か関係がありますか?
糖尿人でない私たちにも低血糖は起こると言うことでしょうか?
質問が多くて本当に恐縮ですが、最後にもうひとつ、やはり以前のブログの中で血糖値の上昇を穏やかにする・・等の特保のお茶の効果はあまり期待できない旨のお話がありましたが、カイゲンから出されている「グルコカット」というお茶はどうでしょう。
どうしても断れない食事などに同席する時に、糖尿人ではない私たちは薬でコントロールできないので、こういった物で多少なりとも血糖値の上昇をコントロールできれば、どうしてもの時に助かるのですが。
本当にお忙しい先生に沢山の質問で恐縮です。
自分たちが減量と体質改善に成功したら、今度は私の両親とメタボな兄にも広めていこうと思います。
どうかご回答宜しくお願い致します。」
テンプルさん。
コメントありがとうございます。
ご両親の減量成功は素晴らしいですね。糖質制限食と減量に関しては、その内まとめて記事にしたいと思いますが、個人差は結構大きいです。女性のほうが基礎代謝が低い分、やや痩せにくいです。
「昼間でもよく眠気におそわれるのと、階段等で非常に足がだるいという事です。 これも何か関係がありますか?」
低カロリーになりすぎていると、眠気がきたり足がだるかったりします。同様に低カロリー過ぎると生理不順になることがあります。糖質制限ですから、脂質とタンパク質はしっかり摂取してくださいね。
「グルコカット」
グルコカットは、特定保健用食品(トクホ)です。特定保健用食品とは、各種症状を改善する働きがある成分を含んだ食品で、その効果や安全性が科学的に確認され、厚生労働省が認めたものです。
グルコカットは、難消化性デキストリンを配合したお茶ですね。難消化デキストリンは、摂取しても吸収されませんので、血糖値も上昇せず糖質制限食OK食品です。「食後の血糖値が気になり始めた方に」という表示を許可された商品ですので、一定の血糖値を下げる効果があることは確かです。
しかし、多くは期待できません。普通のお茶よりはほんの少し血糖値上昇を抑える程度でしょう。
まあ飲まんよりは飲んだ方が、10~20mg血糖値を下げてくれるかもね・・・(∵)?
といった位置づけでしょうか。
例えば糖尿人が、食パンを2枚食べて、グルコカットを飲んだら食後高血糖が予防できるかというと、全く不可能です。
1gの糖質が3mg血糖値を上昇させるので、空腹時血糖値が100mgとしたら、食パン2枚の糖質は約50gなので、ピーク150mg上昇して250mgになります。グルコカットやその他のトクホのお茶を飲んでも、せいぜい230~240mgですから、糖尿人の目標180mg/dl未満達成は無理ですね。
テンプルさんは、糖尿人ではないので、グルコカット、それなりに役立つかもしれませんね。
「アクエリアスゼロ
原材料名 : 高果糖液糖(ハンディパックは果糖)、塩化Na、L-カルニチンL-酒石酸塩、海藻エキス、クエン酸、香料、クエン酸Na、アルギニン、塩化K、塩化Mg、甘味料(アセルスファムK、スクラロース)、乳酸Ca、酸化防止剤(ビタミンC)」
高果糖液糖**もほとんど、果糖ですからアクエリアスゼロ、血糖値は上昇させにくいです。一方、果糖は太りやすいので減量目的の人がそのまま飲むのは好ましくないですね。3倍薄めとかなら大丈夫でしょう。
通常の仕事なら普通のお茶で充分ですが、大量に汗をかく仕事の場合は、お茶に少量の塩をいれてまずくない程度にして水分・塩分補給もいいですね。
江部康二
**
ウィキペディア
異性化糖(いせいかとう)は、ブドウ糖と果糖を主成分とする液状糖で、原料はトウモロコシやジャガイモ、あるいはサツマイモなどのデンプンである。
異性化糖製品は日本農林規格 (JAS) で以下のように制定されている。
ブドウ糖果糖液糖
果糖含有率(糖のうちの果糖の割合)が 50% 未満のもの。
果糖ブドウ糖液糖
果糖含有率が 50% 以上 90% 未満のもの。
高果糖液糖
果糖含有率が 90% 以上のもの。
砂糖混合異性化液糖
上記の液糖に 10% 以上の砂糖を加えたもの(その液糖がブドウ糖果糖液糖なら砂糖 混合ブドウ糖果糖液糖)。
昨夜の宴会は、焼酎と赤ワイン適量?にとどめて、今朝は二日酔いもなく、無事ブログを書いております。 (^^)
今回はテンプルさんから、グルコカットやアクエリアスゼロなどについてコメント・質問をいただきました。
「09/07/18 テンプル
タイトルなし
こんにちわ
アドレス消えていました。ブログのコメント等初めてで疎くてすいません(^^;) どこから質問して良いかもわからず、コメント欄から入りましたが・・・
さて、先日グルコカットというお茶についてお聞きしました。
それとは別に、スポーツドリンクは実は糖質たっぷりという事で、避けていますが、2ヶ月で6キロの減量に成功した主人は、これからは長時間炎天下での仕事が多くなります。 熱中症が心配なので、昨年まではスポーツドリンクを凍らせて持たせていましたので、色々探したところ、アクエリアスゼロは以下の成分です。 これはいかがでしょう。
原材料名 : 高果糖液糖(ハンディパックは果糖)、塩化Na、L-カルニチンL-酒石酸塩、海藻エキス、クエン酸、香料、クエン酸Na、アルギニン、塩化K、塩化Mg、甘味料(アセルスファムK、スクラロース)、乳酸Ca、酸化防止剤(ビタミンC)
市販の物をひとつでも多く取り入れられるようになると、糖質制限はどんどん楽になると思います。
先生の本をヒントにアレンジしたレシピなども交換しあったりなどして、家族の糖質制限をコントロールしながら調理する人の負担を減らすべく、日々試行錯誤です。
まだ軽度の糖尿病のうちに糖質制限で見事8キロの減量をした義母とも、市販の製品でこれは良さそうだけれどジャッジしずらいものが、○か×かわかるともっと幅が広がるし、糖質制限の話をしても、及び腰になっている人でも入りやすいのではと、よく話します。
私の両親もまだその感が拭えません(・・;)
男性は主食がNGだとお昼が厳しいようですね。女性は調理の側面から思い切るのに時間がかかるようで。 私もスタート直後、いちいち商品の裏をチェックするので、買出しには2時間ほどかかってしまいました。
先日もお話した通り、主人とは対照的に思うように体重が落ちませんが、私の場合、喘息が深刻なのと、アレルギーの薬を長期に亘って飲み続けている為、肝機能がかなり落ちているそうですので、体質改善を目標に続けていきたいと思います。
いずれ、この中の質問を取り上げて頂ければ非常に助かりますので宜しくお願い致します。」
「09/07/16 テンプル
お茶について
こんにちわ。
只今スーパー糖質制限食実践中、そろそろ2ヶ月になるところです。
糖尿病ではない30代と40代の私達夫婦ですが、ダイエット目的と、糖尿病予防の為、それとひどい通年性のアレルギー鼻炎と気管支喘息を持っているので、何とかアレルギーの薬を飲まなくなれないものかと体質改善に期待し、取り組んでおります。
糖質制限を知ったきっかけは、半年ぶりに会った義父母が2人揃って8~10キロも減量していて驚いて話を聞いたところ、糖質制限を実践している事と先生の本を見せてくれました。
短期間で大幅な減量の成功者を2人も目の前にして、これ以上の説得力はありませんから、翌日から早速実践開始。
まず体重が落ち始めるまでは頑張ってスーパー糖質制限でいく事に決め、調味料なども買い替えました。
夫婦2人ともお弁当持参で、主食のかわりになる物として、おからや豆腐・卵料理などを増やして何とか頑張っているのですが・・
主人は糖質制限の2ヶ月前頃から、朝30分程の
ウォーキング&ジョギングを始めていたのでその成果もあるかもしれませんが、糖質制限を始めて2ヶ月あまりで約6キロ体重が落ちました。
一方私は、糖質制限を始めて1週間程で生理になってしまい、生理の期間は体重が1~2キロ増加する為、なかなか落ちず、生理後もしばらく変化なく、やっと1キロ~1.5キロ減ってきたところでまた生理周期に入ってしまい、思うように減量できません。
女性の場合、どうしてもホルモンバランスに影響されるのかもしれませんが、こんなにも差があるものなのでしょうか。
それと、一回目の生理は通常より4日前倒しで、今回は逆に5日遅れできました。糖質制限と何か関係があるのでしょうか。
以前のブログの中で、大豆イソフラボンは食品から摂る分には問題ないとおっしゃってましたね。
糖質制限食を始めて、多いときには一食で豆腐・おから料理・納豆などを摂っているのはさすがに摂りすぎ?と思ったりします。
そして、主人と私に共通しているのは、昼間でもよく眠気におそわれるのと、階段等で非常に足がだるいという事です。
これも何か関係がありますか?
糖尿人でない私たちにも低血糖は起こると言うことでしょうか?
質問が多くて本当に恐縮ですが、最後にもうひとつ、やはり以前のブログの中で血糖値の上昇を穏やかにする・・等の特保のお茶の効果はあまり期待できない旨のお話がありましたが、カイゲンから出されている「グルコカット」というお茶はどうでしょう。
どうしても断れない食事などに同席する時に、糖尿人ではない私たちは薬でコントロールできないので、こういった物で多少なりとも血糖値の上昇をコントロールできれば、どうしてもの時に助かるのですが。
本当にお忙しい先生に沢山の質問で恐縮です。
自分たちが減量と体質改善に成功したら、今度は私の両親とメタボな兄にも広めていこうと思います。
どうかご回答宜しくお願い致します。」
テンプルさん。
コメントありがとうございます。
ご両親の減量成功は素晴らしいですね。糖質制限食と減量に関しては、その内まとめて記事にしたいと思いますが、個人差は結構大きいです。女性のほうが基礎代謝が低い分、やや痩せにくいです。
「昼間でもよく眠気におそわれるのと、階段等で非常に足がだるいという事です。 これも何か関係がありますか?」
低カロリーになりすぎていると、眠気がきたり足がだるかったりします。同様に低カロリー過ぎると生理不順になることがあります。糖質制限ですから、脂質とタンパク質はしっかり摂取してくださいね。
「グルコカット」
グルコカットは、特定保健用食品(トクホ)です。特定保健用食品とは、各種症状を改善する働きがある成分を含んだ食品で、その効果や安全性が科学的に確認され、厚生労働省が認めたものです。
グルコカットは、難消化性デキストリンを配合したお茶ですね。難消化デキストリンは、摂取しても吸収されませんので、血糖値も上昇せず糖質制限食OK食品です。「食後の血糖値が気になり始めた方に」という表示を許可された商品ですので、一定の血糖値を下げる効果があることは確かです。
しかし、多くは期待できません。普通のお茶よりはほんの少し血糖値上昇を抑える程度でしょう。
まあ飲まんよりは飲んだ方が、10~20mg血糖値を下げてくれるかもね・・・(∵)?
といった位置づけでしょうか。
例えば糖尿人が、食パンを2枚食べて、グルコカットを飲んだら食後高血糖が予防できるかというと、全く不可能です。
1gの糖質が3mg血糖値を上昇させるので、空腹時血糖値が100mgとしたら、食パン2枚の糖質は約50gなので、ピーク150mg上昇して250mgになります。グルコカットやその他のトクホのお茶を飲んでも、せいぜい230~240mgですから、糖尿人の目標180mg/dl未満達成は無理ですね。
テンプルさんは、糖尿人ではないので、グルコカット、それなりに役立つかもしれませんね。
「アクエリアスゼロ
原材料名 : 高果糖液糖(ハンディパックは果糖)、塩化Na、L-カルニチンL-酒石酸塩、海藻エキス、クエン酸、香料、クエン酸Na、アルギニン、塩化K、塩化Mg、甘味料(アセルスファムK、スクラロース)、乳酸Ca、酸化防止剤(ビタミンC)」
高果糖液糖**もほとんど、果糖ですからアクエリアスゼロ、血糖値は上昇させにくいです。一方、果糖は太りやすいので減量目的の人がそのまま飲むのは好ましくないですね。3倍薄めとかなら大丈夫でしょう。
通常の仕事なら普通のお茶で充分ですが、大量に汗をかく仕事の場合は、お茶に少量の塩をいれてまずくない程度にして水分・塩分補給もいいですね。
江部康二
**
ウィキペディア
異性化糖(いせいかとう)は、ブドウ糖と果糖を主成分とする液状糖で、原料はトウモロコシやジャガイモ、あるいはサツマイモなどのデンプンである。
異性化糖製品は日本農林規格 (JAS) で以下のように制定されている。
ブドウ糖果糖液糖
果糖含有率(糖のうちの果糖の割合)が 50% 未満のもの。
果糖ブドウ糖液糖
果糖含有率が 50% 以上 90% 未満のもの。
高果糖液糖
果糖含有率が 90% 以上のもの。
砂糖混合異性化液糖
上記の液糖に 10% 以上の砂糖を加えたもの(その液糖がブドウ糖果糖液糖なら砂糖 混合ブドウ糖果糖液糖)。
2009年07月19日 (日)
こんにちは。
昨夜は、同級生の集まりでした。今日も宴会です。二日連続なので飲み過ぎ要注意ですね。
さて今回はモカさんから、バランスのとれた食事などについて、コメント・質問をいただきました。
「09/07/16 モカ
糖質制限食始めました
江部先生こんにちは。
40代後半女性です。
朝の空腹時血糖値は110mg/dlの前後、HbA1cは5%台です。
http://mocamoca.com/temp/blood.gif
しかし年齢とともに、血糖値が上昇する傾向にあり、これをなんとか食い止めたいと思っています。
私の何よりの楽しみは食事とお酒。
これを一生なんとか続けたい物です。
先生のご著書を読み、とても感銘を受けました。
今まで、カロリー重視の糖尿病食に疑問を持っていました。
確かに肥満は大きなリスク要因ですが、もっと直接的に膵臓に負担がかかっている原因があるのではないか。
糖質制限食はそれにとても明快な回答をもたらしてくれました。
有り難うございます。
私もこれからは出来るだけ炭水化物を減らすようにしたいと思います。
しかし、この糖質制限食のことを知人に話したりブログに書くと、異を唱える人が少ないことに気がつきました。
曰く
1)脳はグルコースが必要。朝食は糖質の多いものにすべき
2)何でも食べるバランスのとれた食事が一番。
3)糖質制限は糖尿病の発症予防にはつながらない
http://www.healthcastle.com/sugar-diabetes.shtml
などです。
しかし3)でも糖尿病発症後は糖質の摂取には管理が必要とは言っています。
先生のご著書やブログは一部しかまだ読んでいないので、これからもっと読んで、自分のような状況ではどのような対策をしたら良いのかなど知りたいと思っています。
今後ともよろしくお願いいたします。」
モカさん。
コメントそして本のご購入ありがとうございます。
「1)脳はグルコースが必要。朝食は糖質の多いものにすべき
2)何でも食べるバランスのとれた食事が一番。
3)糖質制限は糖尿病の発症予防にはつながらない」
3つとも、糖質制限食に反対の人たちがよく、仰有るセリフですね。
うーむ。
なかなか、まだまだ常識の壁を超えられない方が多いようです。( ̄_ ̄|||)
1)「脳はグルコースが必要。朝食は糖質の多いものにすべき」
糖質制限食で、高血糖は改善しますが、別に低血糖になるわけではありませんよ。糖質制限食摂取中も肝臓でアミノ酸などからブドウ糖をつくるからです。
そして、脳はブドウ糖を利用しますが、ケトン体もエネルギー源としていくらでも利用します。脳がケトン体を利用することは医学の教科書「ハーパー生化学」にも記載してあります。
2)「何でも食べるバランスのとれた食事が一番。」
人類は、農耕が始まる前の399万年間は、狩猟・採集を生業として進化してきました。この間は、当然、人類皆糖質制限食ですから、人体は狩猟・採集・糖質制限食に適応するような進化を遂げています。
従って人類にとっては糖質制限食こそが、本来のバランスがとれた食事といえます。一定以上に増加した人口を支え・維持するために、やむをえず組織的農耕が開始されたと考えられます。
しかし、総摂取カロリーの50~60%を糖質から摂る食生活は、決してバランスがいいとは言えません。
例えば、極端な菜食主義においては、動物性食材にしか含まれていないビタミンB12やEPA・DHAが不足します。
魚類、貝類、海草、野草、野菜、肉、骨髄、昆虫、木の実、果物・・・と、399万年間、多種多様なものをバランス良く食べていた人類が、農耕以後の1万年間は、糖質に60%依存する食生活となったわけです。
これはどう考えても人類にとっては
「糖質制限食→バランス栄養食」(⌒o⌒)v
「高糖質食→バランスの崩れた偏った食事」(→ο←)
ということができると思います。
3)「糖質制限は糖尿病の発症予防にはつながらない?」
糖質制限食で糖尿病が良くなることは、1999年以来の高雄病院関係の、1000名以上の糖尿人のデータで確認されています。高雄病院入院糖尿病患者さん400名以上の、詳細な改善されたデータもあります。
血糖自己測定器を所有されている糖尿人は、糖質制限食でリアルタイムに食後血糖値が改善することを確認されていると思います。
さて、
糖質制限食で糖尿病の発症予防ができるか否か?ですが、疫学的研究は当然行われてはいませんが、理論的にできると思います。
糖尿病は<インスリン分泌不足>と<インスリン抵抗性>が合わさって発症します。糖質制限食実践により、食後血糖値の上昇はごく軽度なので、追加分泌のインスリンはほんの少量ですみます。従って、膵臓のβ細胞が疲弊して、インスリン分泌不足になる可能性はありません。
また、肥満ホルモンである追加分泌インスリンが少量ですむので、肥満も生じにくいです。肥満するとインスリン抵抗性が増します。糖質制限食実践なら肥満しないので、インスリン抵抗性も増加しません。
また、食後血糖値が180mg/dlを超える高血糖があると、β細胞が傷害され、インスリン抵抗性も増します。糖質制限食なら食後高血糖は生じないので、β細胞は常に守られているし、筋肉細胞などのインスリン抵抗性が増強することもありません。
従いまして、正常人の段階で糖質制限食を実践すれば<インスリン分泌不足><インスリン抵抗性>共にあり得ませんので、糖尿病になる理由がどこにもありませんね。ヾ(^▽^)
江部康二
昨夜は、同級生の集まりでした。今日も宴会です。二日連続なので飲み過ぎ要注意ですね。
さて今回はモカさんから、バランスのとれた食事などについて、コメント・質問をいただきました。
「09/07/16 モカ
糖質制限食始めました
江部先生こんにちは。
40代後半女性です。
朝の空腹時血糖値は110mg/dlの前後、HbA1cは5%台です。
http://mocamoca.com/temp/blood.gif
しかし年齢とともに、血糖値が上昇する傾向にあり、これをなんとか食い止めたいと思っています。
私の何よりの楽しみは食事とお酒。
これを一生なんとか続けたい物です。
先生のご著書を読み、とても感銘を受けました。
今まで、カロリー重視の糖尿病食に疑問を持っていました。
確かに肥満は大きなリスク要因ですが、もっと直接的に膵臓に負担がかかっている原因があるのではないか。
糖質制限食はそれにとても明快な回答をもたらしてくれました。
有り難うございます。
私もこれからは出来るだけ炭水化物を減らすようにしたいと思います。
しかし、この糖質制限食のことを知人に話したりブログに書くと、異を唱える人が少ないことに気がつきました。
曰く
1)脳はグルコースが必要。朝食は糖質の多いものにすべき
2)何でも食べるバランスのとれた食事が一番。
3)糖質制限は糖尿病の発症予防にはつながらない
http://www.healthcastle.com/sugar-diabetes.shtml
などです。
しかし3)でも糖尿病発症後は糖質の摂取には管理が必要とは言っています。
先生のご著書やブログは一部しかまだ読んでいないので、これからもっと読んで、自分のような状況ではどのような対策をしたら良いのかなど知りたいと思っています。
今後ともよろしくお願いいたします。」
モカさん。
コメントそして本のご購入ありがとうございます。
「1)脳はグルコースが必要。朝食は糖質の多いものにすべき
2)何でも食べるバランスのとれた食事が一番。
3)糖質制限は糖尿病の発症予防にはつながらない」
3つとも、糖質制限食に反対の人たちがよく、仰有るセリフですね。
うーむ。
なかなか、まだまだ常識の壁を超えられない方が多いようです。( ̄_ ̄|||)
1)「脳はグルコースが必要。朝食は糖質の多いものにすべき」
糖質制限食で、高血糖は改善しますが、別に低血糖になるわけではありませんよ。糖質制限食摂取中も肝臓でアミノ酸などからブドウ糖をつくるからです。
そして、脳はブドウ糖を利用しますが、ケトン体もエネルギー源としていくらでも利用します。脳がケトン体を利用することは医学の教科書「ハーパー生化学」にも記載してあります。
2)「何でも食べるバランスのとれた食事が一番。」
人類は、農耕が始まる前の399万年間は、狩猟・採集を生業として進化してきました。この間は、当然、人類皆糖質制限食ですから、人体は狩猟・採集・糖質制限食に適応するような進化を遂げています。
従って人類にとっては糖質制限食こそが、本来のバランスがとれた食事といえます。一定以上に増加した人口を支え・維持するために、やむをえず組織的農耕が開始されたと考えられます。
しかし、総摂取カロリーの50~60%を糖質から摂る食生活は、決してバランスがいいとは言えません。
例えば、極端な菜食主義においては、動物性食材にしか含まれていないビタミンB12やEPA・DHAが不足します。
魚類、貝類、海草、野草、野菜、肉、骨髄、昆虫、木の実、果物・・・と、399万年間、多種多様なものをバランス良く食べていた人類が、農耕以後の1万年間は、糖質に60%依存する食生活となったわけです。
これはどう考えても人類にとっては
「糖質制限食→バランス栄養食」(⌒o⌒)v
「高糖質食→バランスの崩れた偏った食事」(→ο←)
ということができると思います。
3)「糖質制限は糖尿病の発症予防にはつながらない?」
糖質制限食で糖尿病が良くなることは、1999年以来の高雄病院関係の、1000名以上の糖尿人のデータで確認されています。高雄病院入院糖尿病患者さん400名以上の、詳細な改善されたデータもあります。
血糖自己測定器を所有されている糖尿人は、糖質制限食でリアルタイムに食後血糖値が改善することを確認されていると思います。
さて、
糖質制限食で糖尿病の発症予防ができるか否か?ですが、疫学的研究は当然行われてはいませんが、理論的にできると思います。
糖尿病は<インスリン分泌不足>と<インスリン抵抗性>が合わさって発症します。糖質制限食実践により、食後血糖値の上昇はごく軽度なので、追加分泌のインスリンはほんの少量ですみます。従って、膵臓のβ細胞が疲弊して、インスリン分泌不足になる可能性はありません。
また、肥満ホルモンである追加分泌インスリンが少量ですむので、肥満も生じにくいです。肥満するとインスリン抵抗性が増します。糖質制限食実践なら肥満しないので、インスリン抵抗性も増加しません。
また、食後血糖値が180mg/dlを超える高血糖があると、β細胞が傷害され、インスリン抵抗性も増します。糖質制限食なら食後高血糖は生じないので、β細胞は常に守られているし、筋肉細胞などのインスリン抵抗性が増強することもありません。
従いまして、正常人の段階で糖質制限食を実践すれば<インスリン分泌不足><インスリン抵抗性>共にあり得ませんので、糖尿病になる理由がどこにもありませんね。ヾ(^▽^)
江部康二
2009年07月18日 (土)
おはようございます。
昨夜は祇園祭りにも関わらず、第三金曜ライブ、沢山の方にお越し頂きました。
ありがとうございました。
さて今回は、糖質制限食と食事間隔について、リュカさんから質問・コメントを頂きました。
「食事間隔について
江部先生こんにちは、いつも参考にさせていただております。
さて質問なのですが、私は早起きで朝食もかなり早い時刻に摂るため、昼食までかなり時間が空くので間食(チーズ、ゆで卵など)をしています。
ところが、一般的に糖尿病の人は食事間隔を4時間以上空けたほうが良いと言われていますよね。
いっぽうで学生時代に使用していたテキストに、ドイツかどこだか忘れましたが外国人を対象にした調査で1日3食の人よりも4~5食の人のほうが肥満が少なく糖尿病も少ないという統計がありました。
1日5食食べる場合、食事間隔を4時間空けるのはほぼ無理です。
先生はどう思われますか?スーパー糖質制限食で間食も低糖質のものを選べば食後高血糖は生じないので食事間隔が短くなっても(3時間ぐらい)問題ないでしょうか?
2009/07/15(Wed) 06:57 | URL | リュカ」
「人類は本来、一日三食か二食かはたまた、一食か?」興味ある問題ですね。
かく言う私は、1984年の第一回目の断食以降は、朝食抜きの一日二食で、間食は摂る日もあれば、摂らない日もあります。一日一食で三ヶ月くらいやったことがありますが、やっぱり食欲に負けましたね。
糖質制限食だと腹が減って動けないというような強烈な空腹感はありません。糖質を食べていると、この強い空腹感が生じるのですが・・・。
それで一日一食ペース、腹減って挫折したのではなくて、「何か食べたいという欲望」です。これに負けました。
一生一日一食だと、何といっても食事回数が減ります。特に団体旅行に行った時など、周囲の人々とのコミュニケーションとか間が持ちません…、とかいろいろ言い訳してますが、まあ、<肉、魚、貝、蟹、海老、ナッツ類、豆腐、納豆、野菜、果実・・・> 何でもいろいろ食べたいという欲望がすべてなのです。
それで、キャッチコピーとしては、「美味しく楽しく 糖質制限食」ということで「清く正しく」とはおさらばして、我慢することなく長続きすることを目指しているのです。ということで、私の場合は一日二食に戻しました。
日本でも、江戸時代初期までは一日二食で、中期から三食になったようです。平安時代まで遡って、清少納言は「枕草子」のなかで「大工のものくうこそいとあやしけれ」と、大工が昼食をとること(多食)を揶揄しています。
平安時代や鎌倉時代の一日二食は、朝食が午の刻(正午)で、夕食が申の刻(午後4時)だったそうです。
イギリスやフランスなどヨーロッパの国々でも、18世紀に二食から三食になったので三食の歴史は意外に浅いのです。
英語の朝食はbreakfastですが、一日の最初の食事(断食を破る)を意味していたのが転じて朝食になりました。当初のbreakfastは、一仕事終えたあと、正午頃食べていたのかもしれませんね。
世界的に見ても、伝統的なライフスタイルを保っている部族は、一日二食のことが多いようです。特に朝起きて何の活動もしていないのに、すぐ食事を摂るという現代人のような「変な?習慣」はありません。
なお糖質制限食を実践していれば、血糖値の上昇がほとんどなく、ブドウ糖スパイクは起こりません。一日二食でも三食でも、糖質制限食である限りは血糖値は安定します。
一方、精製炭水化物を食べると血糖値の急激な上昇-ブドウ糖スパイクが生じ、その後糖尿病や予備軍の人では遷延してでるインスリンのため、3~4時間後などに低血糖になることもあります。
さてご質問ですが、
「スーパー糖質制限食で間食も低糖質のものを選べば食後高血糖は生じないので食事間隔が短くなっても(3時間ぐらい)問題ないでしょうか?」
ブドウ糖スパイクを生じない範囲なら、食事間隔が3時間くらいでも、間食は問題ないと思いますよ。
**
今回のブログは、小山内博先生の「明日から朝食をやめなさい」(21世紀ブックス)を参考にし、一部引用させていただきました。
江部康二
昨夜は祇園祭りにも関わらず、第三金曜ライブ、沢山の方にお越し頂きました。
ありがとうございました。
さて今回は、糖質制限食と食事間隔について、リュカさんから質問・コメントを頂きました。
「食事間隔について
江部先生こんにちは、いつも参考にさせていただております。
さて質問なのですが、私は早起きで朝食もかなり早い時刻に摂るため、昼食までかなり時間が空くので間食(チーズ、ゆで卵など)をしています。
ところが、一般的に糖尿病の人は食事間隔を4時間以上空けたほうが良いと言われていますよね。
いっぽうで学生時代に使用していたテキストに、ドイツかどこだか忘れましたが外国人を対象にした調査で1日3食の人よりも4~5食の人のほうが肥満が少なく糖尿病も少ないという統計がありました。
1日5食食べる場合、食事間隔を4時間空けるのはほぼ無理です。
先生はどう思われますか?スーパー糖質制限食で間食も低糖質のものを選べば食後高血糖は生じないので食事間隔が短くなっても(3時間ぐらい)問題ないでしょうか?
2009/07/15(Wed) 06:57 | URL | リュカ」
「人類は本来、一日三食か二食かはたまた、一食か?」興味ある問題ですね。
かく言う私は、1984年の第一回目の断食以降は、朝食抜きの一日二食で、間食は摂る日もあれば、摂らない日もあります。一日一食で三ヶ月くらいやったことがありますが、やっぱり食欲に負けましたね。
糖質制限食だと腹が減って動けないというような強烈な空腹感はありません。糖質を食べていると、この強い空腹感が生じるのですが・・・。
それで一日一食ペース、腹減って挫折したのではなくて、「何か食べたいという欲望」です。これに負けました。
一生一日一食だと、何といっても食事回数が減ります。特に団体旅行に行った時など、周囲の人々とのコミュニケーションとか間が持ちません…、とかいろいろ言い訳してますが、まあ、<肉、魚、貝、蟹、海老、ナッツ類、豆腐、納豆、野菜、果実・・・> 何でもいろいろ食べたいという欲望がすべてなのです。
それで、キャッチコピーとしては、「美味しく楽しく 糖質制限食」ということで「清く正しく」とはおさらばして、我慢することなく長続きすることを目指しているのです。ということで、私の場合は一日二食に戻しました。
日本でも、江戸時代初期までは一日二食で、中期から三食になったようです。平安時代まで遡って、清少納言は「枕草子」のなかで「大工のものくうこそいとあやしけれ」と、大工が昼食をとること(多食)を揶揄しています。
平安時代や鎌倉時代の一日二食は、朝食が午の刻(正午)で、夕食が申の刻(午後4時)だったそうです。
イギリスやフランスなどヨーロッパの国々でも、18世紀に二食から三食になったので三食の歴史は意外に浅いのです。
英語の朝食はbreakfastですが、一日の最初の食事(断食を破る)を意味していたのが転じて朝食になりました。当初のbreakfastは、一仕事終えたあと、正午頃食べていたのかもしれませんね。
世界的に見ても、伝統的なライフスタイルを保っている部族は、一日二食のことが多いようです。特に朝起きて何の活動もしていないのに、すぐ食事を摂るという現代人のような「変な?習慣」はありません。
なお糖質制限食を実践していれば、血糖値の上昇がほとんどなく、ブドウ糖スパイクは起こりません。一日二食でも三食でも、糖質制限食である限りは血糖値は安定します。
一方、精製炭水化物を食べると血糖値の急激な上昇-ブドウ糖スパイクが生じ、その後糖尿病や予備軍の人では遷延してでるインスリンのため、3~4時間後などに低血糖になることもあります。
さてご質問ですが、
「スーパー糖質制限食で間食も低糖質のものを選べば食後高血糖は生じないので食事間隔が短くなっても(3時間ぐらい)問題ないでしょうか?」
ブドウ糖スパイクを生じない範囲なら、食事間隔が3時間くらいでも、間食は問題ないと思いますよ。
**
今回のブログは、小山内博先生の「明日から朝食をやめなさい」(21世紀ブックス)を参考にし、一部引用させていただきました。
江部康二
2009年07月17日 (金)
おはようございます。
相変わらず暑いです。
今日は祇園祭りの山鉾巡行で、本番です。恒例の第三金曜ライブと重なって、お客さんの入りを心配している江部康二です。
さて今回は、れいこさんから、蜂蜜と血糖値上昇についてコメント・質問をいただきました。
「09/07/13 れいこ
蜂蜜の代謝、血糖値への影響
江部先生こんにちわ。
度々質問をさせていただいておりますれいこです。
先生に教えていただきたいことがございます。
はちみつ 摂取による血糖値への影響についてです。
以下のサイトをご覧頂きたいのですが、
http://sepia53.net/hachimitsu/03seibun2.htm
はちみつは摂取しても血糖値を上げないというのは本当でしょうか?
友人宅へ夏場にお邪魔すると、いつでもおいしいレモネードを友人が作ってくれて(無糖のソーダ水+レモン+はちみつで、砂糖は不使用) とてもおいしく、気遣いもうれしいのですが、 糖質制限を実施している私にはやはり抵抗感があり、心配です。
好意で作ってくださるので断りづらく、困っております。
糖質制限を実施するうえで、蜂蜜の摂取は弊害になりますでしょうか?」
れいこさん。
コメントありがとうございます。
http://sepia53.net/hachimitsu/03seibun2.htmのサイト覗いてみましたが、蜂蜜に関する情報の正確さとしては、いまいちでした。(*- -)(*_ _)
蜂蜜の説明の前にまず砂糖について考えてみましょう。
砂糖の主成分は、ショ糖(スクロース)です。砂糖きび(甘蔗)と砂糖大根(甜菜)を原料として作ります。ショ糖は、ブドウ糖と果糖が結合したものです。ショ糖の純度の高いのがグラニュー糖(99.95%)や氷砂糖(99.98%)です。
家庭で最もポピュラーな上白糖は、独特のしっとりした感じを持たせるために、ショ糖の結晶に濃厚な転化糖液(ビスコといいます)を少量ふりかけてありますので純度は97.80%です。
「転化糖」とは、ショ糖の分解(加水分解)によってできたブドウ糖と果糖の混合物で、ショ糖より甘みが強いです。
次に蜂蜜ですが、紀元前6000年頃に描かれた、スペインのアラーニャの洞窟の壁画に、はちみつを採集する人の姿が描かれています。このように人類が初めて口にした甘味は、天然の蜂蜜といわれています。
その成分ですが、糖質は、果糖(約40%)とブドウ糖(約35%)とショ糖(数%)で構成されています。また、ビタミンやミネラルも多く、その中には18種を越える有機酸が含まれ、pH値は約3.7前後で、水分が約20%です。いろんな蜂蜜により成分はばらつきますので、この数字は平均値です。
蜂が集めてきた花蜜(主にショ糖)は、働き蜂の唾液腺から分泌される転化酵素の働きによって、
ショ糖からブドウ糖及び果糖へと変化するので、蜂蜜は水分20%までに濃縮された天然の転化糖(ビスコ)でもあります。
さて蜂蜜ですが、例のGIおたく、メンドーサおじさんのサイト
http://www.mendosa.com/gilists.htm
で、GI値をみてみました。
ただしこれは正常人のデータですよ。
「果糖(Fructose) 15±4
ショ糖(Sucrose) 65±4
ブドウ糖(Glucose) 103±3
蜂蜜(Honey) 61±3」
蜂蜜の主成分の果糖は、確かにGI値が15と低いです。しかし、蜂蜜にはブドウ糖やショ糖も含まれているので、結果として正常人におけるGI値は、ショ糖よりほんの少し低いていどで、まあ、あまり変わりません。
従って糖尿人においては、蜂蜜を摂取すれば、砂糖を摂取した時と同じに近く血糖値が上昇します。
結論です。
残念ながら糖尿人においては、蜂蜜はNG食品です。( ̄_ ̄|||)
糖質制限食においても勿論NG食品ですね。
江部康二
相変わらず暑いです。
今日は祇園祭りの山鉾巡行で、本番です。恒例の第三金曜ライブと重なって、お客さんの入りを心配している江部康二です。
さて今回は、れいこさんから、蜂蜜と血糖値上昇についてコメント・質問をいただきました。
「09/07/13 れいこ
蜂蜜の代謝、血糖値への影響
江部先生こんにちわ。
度々質問をさせていただいておりますれいこです。
先生に教えていただきたいことがございます。
はちみつ 摂取による血糖値への影響についてです。
以下のサイトをご覧頂きたいのですが、
http://sepia53.net/hachimitsu/03seibun2.htm
はちみつは摂取しても血糖値を上げないというのは本当でしょうか?
友人宅へ夏場にお邪魔すると、いつでもおいしいレモネードを友人が作ってくれて(無糖のソーダ水+レモン+はちみつで、砂糖は不使用) とてもおいしく、気遣いもうれしいのですが、 糖質制限を実施している私にはやはり抵抗感があり、心配です。
好意で作ってくださるので断りづらく、困っております。
糖質制限を実施するうえで、蜂蜜の摂取は弊害になりますでしょうか?」
れいこさん。
コメントありがとうございます。
http://sepia53.net/hachimitsu/03seibun2.htmのサイト覗いてみましたが、蜂蜜に関する情報の正確さとしては、いまいちでした。(*- -)(*_ _)
蜂蜜の説明の前にまず砂糖について考えてみましょう。
砂糖の主成分は、ショ糖(スクロース)です。砂糖きび(甘蔗)と砂糖大根(甜菜)を原料として作ります。ショ糖は、ブドウ糖と果糖が結合したものです。ショ糖の純度の高いのがグラニュー糖(99.95%)や氷砂糖(99.98%)です。
家庭で最もポピュラーな上白糖は、独特のしっとりした感じを持たせるために、ショ糖の結晶に濃厚な転化糖液(ビスコといいます)を少量ふりかけてありますので純度は97.80%です。
「転化糖」とは、ショ糖の分解(加水分解)によってできたブドウ糖と果糖の混合物で、ショ糖より甘みが強いです。
次に蜂蜜ですが、紀元前6000年頃に描かれた、スペインのアラーニャの洞窟の壁画に、はちみつを採集する人の姿が描かれています。このように人類が初めて口にした甘味は、天然の蜂蜜といわれています。
その成分ですが、糖質は、果糖(約40%)とブドウ糖(約35%)とショ糖(数%)で構成されています。また、ビタミンやミネラルも多く、その中には18種を越える有機酸が含まれ、pH値は約3.7前後で、水分が約20%です。いろんな蜂蜜により成分はばらつきますので、この数字は平均値です。
蜂が集めてきた花蜜(主にショ糖)は、働き蜂の唾液腺から分泌される転化酵素の働きによって、
ショ糖からブドウ糖及び果糖へと変化するので、蜂蜜は水分20%までに濃縮された天然の転化糖(ビスコ)でもあります。
さて蜂蜜ですが、例のGIおたく、メンドーサおじさんのサイト
http://www.mendosa.com/gilists.htm
で、GI値をみてみました。
ただしこれは正常人のデータですよ。
「果糖(Fructose) 15±4
ショ糖(Sucrose) 65±4
ブドウ糖(Glucose) 103±3
蜂蜜(Honey) 61±3」
蜂蜜の主成分の果糖は、確かにGI値が15と低いです。しかし、蜂蜜にはブドウ糖やショ糖も含まれているので、結果として正常人におけるGI値は、ショ糖よりほんの少し低いていどで、まあ、あまり変わりません。
従って糖尿人においては、蜂蜜を摂取すれば、砂糖を摂取した時と同じに近く血糖値が上昇します。
結論です。
残念ながら糖尿人においては、蜂蜜はNG食品です。( ̄_ ̄|||)
糖質制限食においても勿論NG食品ですね。
江部康二
2009年07月16日 (木)
おはようございます。
今回はフナさんから、経口ブドウ糖負荷試験の意味についてコメント・質問をいただきました。
「ブドウ糖負荷について
便通のフナです。いつもご指導ありがとうございます。血糖値どころか、歯周病まで劇的な改善を指摘され感動している今日です。わからない事があり質問します。
糖質制限すると正常人、どんぶり一杯の白米、トンカツ、たらこの甘露煮なんて食べると血糖値爆発。基礎分泌はある程度しっかりしている糖尿人はこんなもんだと思うんです。
で、ブドウ糖負荷試験は何の意味があるのか良くわかりません。
いろいろ調べると、75gだと茶碗一杯分ぐらいの糖質の様です。茶碗一杯分の糖質で何がわかるのかと。でも、先生のプログを漁ると、他の食品と比べ物がないぐらい吸収が早いとか。それで試験になるのかなとも思うんですが。どうもブドウ糖負荷のきっちりとした知識を得たいと感じました。
正確な知識を得ても、どっちみち、食後の高血糖をコントロールすること=糖質制限食には変わらないんですが。
2009/07/11(Sat) 12:11 フナ 」
フナさん。コメントありがとうございます。
血糖値の改善、歯周病の改善、良かったですね。(^^)
フナさんは、以前のコメントで、アトピーも良くなり、血圧も下がり、体重も減少で糖質制限食トータルに素晴らしい効果ですね。
歯周病の、最大の原因はプラーク(歯垢)です。プラークはただの食べカスではなく、生きた細菌の塊です。
歯垢中の細菌は、食物中の糖質を栄養源にしてどんどん増えていきます。糖質制限食ならエサがなくなって細菌が繁殖できず、プラーク(歯垢)が減りますので歯周病にも改善することが多いです。
さて、経口ブドウ糖負荷試験は、今は75gのブドウ糖負荷が主流です。この75gOGTTですが、糖尿病かどうかはっきりしない段階の人をチェックするための試験です。糖尿病が既に確定している人には、高血糖を引き起こすことがわかっているので、基本的に行いません。
【糖尿病治療ガイド2008-2009によると
75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)
検査手順
①朝まで10時間以上の絶食のあと検査開始。午前9時頃が好ましい。
②空腹のまま採血し血糖値を測定する。
③次にブドウ糖を飲用させる。
④ブドウ糖負荷後、30分、1時間、2時間に採血し血糖値を測定する。
⑤空腹時血糖値と75gOGTTによる判定基準に従い、糖尿病型・正常型・境界型のいずれかに判定する。
A)75gOGTTは糖尿病の診断に必須ではない。。
自覚症状などから明らかな高血糖が疑われるときは、まず空腹時血糖値または随時血糖値を測定すべきである。高血糖状態で75gOGTTを行えば、さらなる高血糖を引き起こし有害である。
B)75gOGTTで空腹時と30分後のインスリン値を測定すれば、インスリン分泌能の指標であるインスリン分泌指数が計算できる。
C)75gOGTTで30分後と1時間後の血糖値は糖尿病の診断には必ずしも必要ないが、糖尿病ハイリスク群を見いだすのに役立つ。】
75gOGTTにより、初期の段階の糖尿病を拾い上げることができます。
例えば会社の健康診断で、空腹時血糖値は108mg/dlで正常でも、75gOGTTを実施すれば、2時間後血糖値が140mgを超えたり、200mgを超えることがあります。それぞれ境界型、糖尿病型と診断できます。
米国では、「50gブドウ糖チャレンジ・テスト」が妊娠糖尿病のスクリーニング検査として、広く行われています。チャレンジ・テストは食事摂取の有無にかかわらず50gのブドウ糖を経口で負荷して1時間後血糖値を調べ、140mg/dlを超えていれば、次の段階として75g経口ブドウ糖負荷試験を行うことになります。
なお、75g経口ブドウ糖負荷試験で1時間後血糖値が180mgを超えていると、2時間値が140mg/dl未満で正常型と診断されても将来糖尿型になりやすいことがわかっています。
結論です。
①75g経口ブドウ糖負荷試験は、既に糖尿病とわかっている人や強く疑われる人には行いません。
なぜなら高血糖を引き起こし有害だからです。
②糖尿病かどうかわからない人を、初期段階で拾い上げるための検査が、75g経口ブドウ糖負荷試験です。
☆☆☆
<糖尿病型・正常型・境界型の区分と判定基準>
75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)および、空腹時血糖値による判定基準と、随時血糖値による判定基準があります。まとめると以下のようになります。
Ⅰ
75g経口ブドウ糖負荷試験および、空腹時血糖値による判定基準(日本糖尿病学会)
A)正常型
「空腹時血糖値が110mg/dl未満かつ120分後血糖値が140mg/dl未満」
を満たせば正常型。
B)境界型
正常型にも糖尿病型にも属さない場合をいう。
C)糖尿病型
「空腹時血糖値が126mg/dl以上または120分後血糖値が200mg/dl以上」
を満たせば糖尿病型。
Ⅱ
随時血糖値200mg/dl以上は糖尿病型
Ⅲ 糖尿病の診断
Ⅰ、Ⅱの糖尿病型を異なる日に2回以上確認できたら糖尿病と診断。
江部康二
今回はフナさんから、経口ブドウ糖負荷試験の意味についてコメント・質問をいただきました。
「ブドウ糖負荷について
便通のフナです。いつもご指導ありがとうございます。血糖値どころか、歯周病まで劇的な改善を指摘され感動している今日です。わからない事があり質問します。
糖質制限すると正常人、どんぶり一杯の白米、トンカツ、たらこの甘露煮なんて食べると血糖値爆発。基礎分泌はある程度しっかりしている糖尿人はこんなもんだと思うんです。
で、ブドウ糖負荷試験は何の意味があるのか良くわかりません。
いろいろ調べると、75gだと茶碗一杯分ぐらいの糖質の様です。茶碗一杯分の糖質で何がわかるのかと。でも、先生のプログを漁ると、他の食品と比べ物がないぐらい吸収が早いとか。それで試験になるのかなとも思うんですが。どうもブドウ糖負荷のきっちりとした知識を得たいと感じました。
正確な知識を得ても、どっちみち、食後の高血糖をコントロールすること=糖質制限食には変わらないんですが。
2009/07/11(Sat) 12:11 フナ 」
フナさん。コメントありがとうございます。
血糖値の改善、歯周病の改善、良かったですね。(^^)
フナさんは、以前のコメントで、アトピーも良くなり、血圧も下がり、体重も減少で糖質制限食トータルに素晴らしい効果ですね。
歯周病の、最大の原因はプラーク(歯垢)です。プラークはただの食べカスではなく、生きた細菌の塊です。
歯垢中の細菌は、食物中の糖質を栄養源にしてどんどん増えていきます。糖質制限食ならエサがなくなって細菌が繁殖できず、プラーク(歯垢)が減りますので歯周病にも改善することが多いです。
さて、経口ブドウ糖負荷試験は、今は75gのブドウ糖負荷が主流です。この75gOGTTですが、糖尿病かどうかはっきりしない段階の人をチェックするための試験です。糖尿病が既に確定している人には、高血糖を引き起こすことがわかっているので、基本的に行いません。
【糖尿病治療ガイド2008-2009によると
75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)
検査手順
①朝まで10時間以上の絶食のあと検査開始。午前9時頃が好ましい。
②空腹のまま採血し血糖値を測定する。
③次にブドウ糖を飲用させる。
④ブドウ糖負荷後、30分、1時間、2時間に採血し血糖値を測定する。
⑤空腹時血糖値と75gOGTTによる判定基準に従い、糖尿病型・正常型・境界型のいずれかに判定する。
A)75gOGTTは糖尿病の診断に必須ではない。。
自覚症状などから明らかな高血糖が疑われるときは、まず空腹時血糖値または随時血糖値を測定すべきである。高血糖状態で75gOGTTを行えば、さらなる高血糖を引き起こし有害である。
B)75gOGTTで空腹時と30分後のインスリン値を測定すれば、インスリン分泌能の指標であるインスリン分泌指数が計算できる。
C)75gOGTTで30分後と1時間後の血糖値は糖尿病の診断には必ずしも必要ないが、糖尿病ハイリスク群を見いだすのに役立つ。】
75gOGTTにより、初期の段階の糖尿病を拾い上げることができます。
例えば会社の健康診断で、空腹時血糖値は108mg/dlで正常でも、75gOGTTを実施すれば、2時間後血糖値が140mgを超えたり、200mgを超えることがあります。それぞれ境界型、糖尿病型と診断できます。
米国では、「50gブドウ糖チャレンジ・テスト」が妊娠糖尿病のスクリーニング検査として、広く行われています。チャレンジ・テストは食事摂取の有無にかかわらず50gのブドウ糖を経口で負荷して1時間後血糖値を調べ、140mg/dlを超えていれば、次の段階として75g経口ブドウ糖負荷試験を行うことになります。
なお、75g経口ブドウ糖負荷試験で1時間後血糖値が180mgを超えていると、2時間値が140mg/dl未満で正常型と診断されても将来糖尿型になりやすいことがわかっています。
結論です。
①75g経口ブドウ糖負荷試験は、既に糖尿病とわかっている人や強く疑われる人には行いません。
なぜなら高血糖を引き起こし有害だからです。
②糖尿病かどうかわからない人を、初期段階で拾い上げるための検査が、75g経口ブドウ糖負荷試験です。
☆☆☆
<糖尿病型・正常型・境界型の区分と判定基準>
75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)および、空腹時血糖値による判定基準と、随時血糖値による判定基準があります。まとめると以下のようになります。
Ⅰ
75g経口ブドウ糖負荷試験および、空腹時血糖値による判定基準(日本糖尿病学会)
A)正常型
「空腹時血糖値が110mg/dl未満かつ120分後血糖値が140mg/dl未満」
を満たせば正常型。
B)境界型
正常型にも糖尿病型にも属さない場合をいう。
C)糖尿病型
「空腹時血糖値が126mg/dl以上または120分後血糖値が200mg/dl以上」
を満たせば糖尿病型。
Ⅱ
随時血糖値200mg/dl以上は糖尿病型
Ⅲ 糖尿病の診断
Ⅰ、Ⅱの糖尿病型を異なる日に2回以上確認できたら糖尿病と診断。
江部康二
2009年07月15日 (水)
おはようございます。
昨日の記事「うどんは血糖値を上げない?→上げます!」で、さかえの記事に関して、イトーさんからコメント頂いたように勘違いでしたので、訂正させていただきます。
「横から失礼します。
さかえの記事は1型糖尿病のインスリンポンプでの実験だったたと思いますよ。
ところで、以前、普通の人は食事でどれくらいまで 血糖値があがるのか質問したのですが、 白米食べただけで170ぐらいまでいくのですね。
ジュースなんて飲んだら180は行きますかね、 注射があればジュースぐらい飲んでも…
と思っていたのですが、やめようと思いました。
2009/07/14(Tue) 23:04 | URL | イトー」
「私も麺類は低くなりがちです。
こんばんは、江部先生。
私もパン食に比べ、うどん、素麺、冷麦は、通常のカーボ換算値より低くなりがちです。
また、α-GIを50mg服用すると、通常のカーボ/インスリン比がC11g/1iuに対し、C18g/1iuとなります。
やはり、個人差でしょうか。
暑い京都、テニスにライブと汗をかかれる機会の多い先生には、どうぞ、ご自愛くださいませ。
2009/07/14(Tue) 23:37 | URL | my 」
イトーさん。myさん。
コメントありがとうございます。
さかえの記事は、1型糖尿病の方の、インスリンポンプでの実験だったのですね。
直接記事を見ていないので、失礼しました。ご指摘ありがとうございます。助かります。
「1型糖尿人でインスリン使用中の場合、パン食に比べ麺類は血糖値を上昇させにくい」
というのは、さかえの記事においても、myさんの体験でも、正しいのですね。知りませんでした。勉強になりました。
一方、2型糖尿人で、インスリン注射をしていないときは、パンもうどんもご飯も、血糖値上昇に関しては大差無しです。
「α-GIを50mg服用すると、通常のカーボ/インスリン比がC11g/1iuに対し、C18g/1iuとなります。」
α-GIを100mgが常用量ですから、半分の量でそんなに有効なのですか?これもびっくりです。
個人差があるかもしれませんが、1型糖尿人には、α-GIがおおいに役立つ可能性がありますね。
インスリンは絶対に必要ですが、使用量は少なくてすむほど人体の代謝にはやさしいですから、myさん、おおいにα-GIを活用して下さい。
江部康二
昨日の記事「うどんは血糖値を上げない?→上げます!」で、さかえの記事に関して、イトーさんからコメント頂いたように勘違いでしたので、訂正させていただきます。
「横から失礼します。
さかえの記事は1型糖尿病のインスリンポンプでの実験だったたと思いますよ。
ところで、以前、普通の人は食事でどれくらいまで 血糖値があがるのか質問したのですが、 白米食べただけで170ぐらいまでいくのですね。
ジュースなんて飲んだら180は行きますかね、 注射があればジュースぐらい飲んでも…
と思っていたのですが、やめようと思いました。
2009/07/14(Tue) 23:04 | URL | イトー」
「私も麺類は低くなりがちです。
こんばんは、江部先生。
私もパン食に比べ、うどん、素麺、冷麦は、通常のカーボ換算値より低くなりがちです。
また、α-GIを50mg服用すると、通常のカーボ/インスリン比がC11g/1iuに対し、C18g/1iuとなります。
やはり、個人差でしょうか。
暑い京都、テニスにライブと汗をかかれる機会の多い先生には、どうぞ、ご自愛くださいませ。
2009/07/14(Tue) 23:37 | URL | my 」
イトーさん。myさん。
コメントありがとうございます。
さかえの記事は、1型糖尿病の方の、インスリンポンプでの実験だったのですね。
直接記事を見ていないので、失礼しました。ご指摘ありがとうございます。助かります。
「1型糖尿人でインスリン使用中の場合、パン食に比べ麺類は血糖値を上昇させにくい」
というのは、さかえの記事においても、myさんの体験でも、正しいのですね。知りませんでした。勉強になりました。
一方、2型糖尿人で、インスリン注射をしていないときは、パンもうどんもご飯も、血糖値上昇に関しては大差無しです。
「α-GIを50mg服用すると、通常のカーボ/インスリン比がC11g/1iuに対し、C18g/1iuとなります。」
α-GIを100mgが常用量ですから、半分の量でそんなに有効なのですか?これもびっくりです。
個人差があるかもしれませんが、1型糖尿人には、α-GIがおおいに役立つ可能性がありますね。
インスリンは絶対に必要ですが、使用量は少なくてすむほど人体の代謝にはやさしいですから、myさん、おおいにα-GIを活用して下さい。
江部康二
2009年07月14日 (火)
おはようございます。昨夜も暑かったです。
私の寝室は2階なのですが、朝起きたら28度もありました。
燃える男とはほど遠く、クールガイを目指しているのですが、よその家よりなんだか暑い家です。家の構造が良くないのでしょうか?
さて今回は糖質制限ビギナーさんからうどん摂取と血糖値についてコメント・質問をいただきました。
『うどん実験
江部先生、いつもブログを拝見しています。
昨年9月に先生のブログと出会い、10年間放置してきた糖尿としんけんに向きあうことができました。
当初はややいい加減に始めた糖質制限も日を追うに従って理解も深まり、薬も飲まずにスーパー糖質制限を持続させて10ヶ月が経過、昨年9月のHbA1Cが「10.0」でしたが、この7月に「5.0」にまで落とすことができ、感謝の気持ちでいっぱいです。
さて、先日あるブログを閲覧していたところ『月刊糖尿病ライフ「さかえ」7月号で、米食にくらべてパン食は血糖値の上昇がおきやすく、逆に麺類は血糖値が低くなりがちで、時には低血糖になる場合があります』との記事をとりあげていました。同時にご自身の実験結果も提示し、うどんの場合食後2時間数値が食前よりも落ちているのです。
(まさか?)と思い、私も実験してみました。
オフィス近くのうどん屋で「肉うどん」を食べてみました(この10ヶ月で初めてのうどん食いです)が、結果は大惨敗。
食前122の血糖値が食後30分ごとの計測で175→223→215→209といっかな下がる気配を見せません。しかもあろうことか3時間後でも214、5時間半後でも226と絶望的な高値安定路線です。
帰宅後、ステッパーを40分踏んで104まで戻しましたが、私の場合、糖質制限で血糖値をコントロールできていても、インスリンの追加分泌はかなりへたれているのでしょうか。
仕事上、初見の相手の接待を受ける場合、やむを得ず糖質摂取せざるをえないのですが、「グルファスト」を頓服的に使用する実験もこのあいだ始めて実施しました。
食事の1分前にグルファストを1錠服用し、先日と同じうどん屋で同じ肉うどんを食べました。
食前の血糖値は先日の実験と近似の123でスタートです。
30分ごとの計測で175→217→229→254、3時間後250、4時間半後252と服用しなかったときと同じような数値になってしまいました。
薬でも追加分泌を絞れないということでしょうか?
お忙しいところ恐縮ですが、お手すきのときに取り上げていただけたら幸いです。
2009/07/10(Fri) 11:10 | URL | 糖質制限ビギナー』
糖質制限ビギナーさん。
コメントありがとうございます。
『昨年9月のHbA1Cが「10.0」でしたが、この7月に「5.0」』
素晴らしい改善ですね。おめでとうございます。(^-^)v(^-^)v
『月刊糖尿病ライフ「さかえ」7月号で、米食にくらべてパン食は血糖値の上昇がおきやすく、逆に麺類は血糖値が低くなりがちで、時には低血糖になる場合があります』
これはどうなんでしょうね。
正常人や境界型でもごく軽い人なら、GI(血糖指数)が意味があります。(GIについては2009年02月06日のブログ「GIと血糖値と糖尿病」をご参照ください。)
空腹時血糖値100mgの正常人が、白米なら、ピークが160~170mg、玄米なら、ピークが130~140mgくらいまで、というくらいの差はあります。
しかしこれが糖尿人なら、空腹時が100mgくらいとしても、白米でも玄米でもピークは200mgを超えてきます。
白米で260mg、玄米で240mgくらいの差は、まあ、ありますが、合併症の観点からは意味はないですね。
GI値はまだ研究者によりばらつき、信用できないサイトも多いですが、
http://www.mendosa.com/gilists.htm
メンドーサというマニアックなおじさんの信頼できる英文サイトがあります。
High-carbohydrate foods GI
White wheat bread* 75±2
Whole wheat/whole meal bread 74±2
Speciality grain bread 53±2
Unleavened wheat bread* 70±5
Wheat roti 62±3
Chapatti 52±4
Corn tortilla 46±4
White rice, boiled* 73±4
Brown rice, boiled 68±4
Barley 28±2
Sweet corn 52±5
Spaghetti, white 49±2
Spaghetti, whole meal 48±5
Rice noodles† 53±7
Udon noodles 55±7
Couscous† 65±4
メンドーサおじさんのサイトで、白いパンが74前後、白米が73前後、玄米が68前後、うどんが55前後ですから、うどんのGI値は確かに低いですね。うどんの方が玄米よりGI値低いとは意外でしたね。(・o・)
Udon noodlesまで調べてるなんて、メンドーサおじさん、流石です。
月刊糖尿病ライフ「さかえ」では、Udon noodlesのGI値が低いことを根拠に、記事を書いたのでしょうか?
ともあれ、「うどんが糖尿人の血糖値を上昇させない」というのは事実誤認です。糖尿人においては、GI値が低い穀物でも、糖質のグラム数に応じて確実に血糖値が上昇します。
『うどん屋で「肉うどん」を食べてみました(この10ヶ月で初めてのうどん食いです)が、結果は大惨敗。
食前122の血糖値が食後30分ごとの計測で175→223→215→209といっかな下がる気配を見せません。しかもあろうことか3時間後でも214、5時間半後でも226と絶望的な高値安定路線です。
帰宅後、ステッパーを40分踏んで104まで戻しましたが、私の場合、糖質制限で血糖値をコントロールできていても、インスリンの追加分泌はかなりへたれているのでしょうか。
仕事上、初見の相手の接待を受ける場合、やむを得ず糖質摂取せざるをえないのですが、「グルファスト」を頓服的に使用する実験もこのあいだ始めて実施しました。
食事の1分前にグルファストを1錠服用し、先日と同じうどん屋で同じ肉うどんを食べました。
食前の血糖値は先日の実験と近似の123でスタートです。
30分ごとの計測で175→217→229→254、3時間後250、4時間半後252と服用しなかったときと同じような数値になってしまいました。
薬でも追加分泌を絞れないということでしょうか?』
1gの糖質が体重64kgの糖尿人の血糖値を約3mg上昇させます。うどん1人前(一玉)に糖質41.6g含まれていますから、124.8mg上昇と予想されます。糖質制限ビギナーさんは約100mg上昇ですから、糖尿人としてはこんなものでしょうね。糖尿人には、GIはぼ無意味なので・・・
グルファストの効果も、そんなに劇的に効くわけではありません。入院糖尿患者さんで100人以上試しましたが、個人差がかなりあります。
例えば食パン1枚(糖質量26.6g)の実験で、グルファスト5mgで、食後2時間値180mg未満達成の人もいますし、10mgでも200アップの人もいます。食後2時間値140mg未満達成の人もいます。200アップの人は、「グルファスト+グルコバイ」で再度実験します。
αグルコシダーゼ阻害薬は二糖類(麦芽糖・ショ糖・乳糖など)がグルコースに変換されるのを阻害します。ベイスンやセイブルはαグルコシダーゼ阻害作用のみを有します。
グルコバイはそれに加え、αアミラーゼ阻害作用によりデンプンがオリゴ糖に変換されるのも阻害するため、より強力に食後高血糖を改善します。
常用量で、
グルコバイは1時間値を50mg、2時間値を40mg
ベイスンは1時間値を40mg、2時間値を30mg
セイブルは1時間値を60mg、2時間値を20mg
ていど下げるとされています。しかし、それほど下がらない人もあります。セイブルは、1時間値を下げるけれど、2時間値はあまり下げないのが特徴です。
いずれの薬も結構個人差が大きいですし、印象としては、上記の数字ほど下がらない人のほうが多いです。
私の場合、ベイスンは0.2mgを3錠と常用量より多く飲んでも無効でした。勿論、ベイスンが効く人もいますよ。
グルコバイは50mgを2錠だと1時間値を10~20mg、常用量より多い3錠だと40mgていど下げました。
腹部症状が無くて平気な人もおられますが、私はお腹が張ってしんどくなるので、今は飲んでいません。
糖尿病ビギナーさんの場合、HbA1c:5.0%とコントロール優のレベルで素晴らしいです。スーパー糖質制限食なら完全に正常人ですね。
平均血糖値は、
(HbA1c-1.7)×30=99mg
ですので、基礎分泌のインスリンはしっかりでていて、スーパー糖質制限食なら食後高血糖もないと考えられます。
うどん摂取時データ的には糖質を摂取して食後高血糖が発生したときの追加分泌が、低下しているようです。グルファストへの反応も、もひとつですね。
一度、糖質のグラム数をやや少なめで「グルファスト+グルコバイ」で実験してみては如何でしょうか?
江部康二
私の寝室は2階なのですが、朝起きたら28度もありました。
燃える男とはほど遠く、クールガイを目指しているのですが、よその家よりなんだか暑い家です。家の構造が良くないのでしょうか?
さて今回は糖質制限ビギナーさんからうどん摂取と血糖値についてコメント・質問をいただきました。
『うどん実験
江部先生、いつもブログを拝見しています。
昨年9月に先生のブログと出会い、10年間放置してきた糖尿としんけんに向きあうことができました。
当初はややいい加減に始めた糖質制限も日を追うに従って理解も深まり、薬も飲まずにスーパー糖質制限を持続させて10ヶ月が経過、昨年9月のHbA1Cが「10.0」でしたが、この7月に「5.0」にまで落とすことができ、感謝の気持ちでいっぱいです。
さて、先日あるブログを閲覧していたところ『月刊糖尿病ライフ「さかえ」7月号で、米食にくらべてパン食は血糖値の上昇がおきやすく、逆に麺類は血糖値が低くなりがちで、時には低血糖になる場合があります』との記事をとりあげていました。同時にご自身の実験結果も提示し、うどんの場合食後2時間数値が食前よりも落ちているのです。
(まさか?)と思い、私も実験してみました。
オフィス近くのうどん屋で「肉うどん」を食べてみました(この10ヶ月で初めてのうどん食いです)が、結果は大惨敗。
食前122の血糖値が食後30分ごとの計測で175→223→215→209といっかな下がる気配を見せません。しかもあろうことか3時間後でも214、5時間半後でも226と絶望的な高値安定路線です。
帰宅後、ステッパーを40分踏んで104まで戻しましたが、私の場合、糖質制限で血糖値をコントロールできていても、インスリンの追加分泌はかなりへたれているのでしょうか。
仕事上、初見の相手の接待を受ける場合、やむを得ず糖質摂取せざるをえないのですが、「グルファスト」を頓服的に使用する実験もこのあいだ始めて実施しました。
食事の1分前にグルファストを1錠服用し、先日と同じうどん屋で同じ肉うどんを食べました。
食前の血糖値は先日の実験と近似の123でスタートです。
30分ごとの計測で175→217→229→254、3時間後250、4時間半後252と服用しなかったときと同じような数値になってしまいました。
薬でも追加分泌を絞れないということでしょうか?
お忙しいところ恐縮ですが、お手すきのときに取り上げていただけたら幸いです。
2009/07/10(Fri) 11:10 | URL | 糖質制限ビギナー』
糖質制限ビギナーさん。
コメントありがとうございます。
『昨年9月のHbA1Cが「10.0」でしたが、この7月に「5.0」』
素晴らしい改善ですね。おめでとうございます。(^-^)v(^-^)v
『月刊糖尿病ライフ「さかえ」7月号で、米食にくらべてパン食は血糖値の上昇がおきやすく、逆に麺類は血糖値が低くなりがちで、時には低血糖になる場合があります』
これはどうなんでしょうね。
正常人や境界型でもごく軽い人なら、GI(血糖指数)が意味があります。(GIについては2009年02月06日のブログ「GIと血糖値と糖尿病」をご参照ください。)
空腹時血糖値100mgの正常人が、白米なら、ピークが160~170mg、玄米なら、ピークが130~140mgくらいまで、というくらいの差はあります。
しかしこれが糖尿人なら、空腹時が100mgくらいとしても、白米でも玄米でもピークは200mgを超えてきます。
白米で260mg、玄米で240mgくらいの差は、まあ、ありますが、合併症の観点からは意味はないですね。
GI値はまだ研究者によりばらつき、信用できないサイトも多いですが、
http://www.mendosa.com/gilists.htm
メンドーサというマニアックなおじさんの信頼できる英文サイトがあります。
High-carbohydrate foods GI
White wheat bread* 75±2
Whole wheat/whole meal bread 74±2
Speciality grain bread 53±2
Unleavened wheat bread* 70±5
Wheat roti 62±3
Chapatti 52±4
Corn tortilla 46±4
White rice, boiled* 73±4
Brown rice, boiled 68±4
Barley 28±2
Sweet corn 52±5
Spaghetti, white 49±2
Spaghetti, whole meal 48±5
Rice noodles† 53±7
Udon noodles 55±7
Couscous† 65±4
メンドーサおじさんのサイトで、白いパンが74前後、白米が73前後、玄米が68前後、うどんが55前後ですから、うどんのGI値は確かに低いですね。うどんの方が玄米よりGI値低いとは意外でしたね。(・o・)
Udon noodlesまで調べてるなんて、メンドーサおじさん、流石です。
月刊糖尿病ライフ「さかえ」では、Udon noodlesのGI値が低いことを根拠に、記事を書いたのでしょうか?
ともあれ、「うどんが糖尿人の血糖値を上昇させない」というのは事実誤認です。糖尿人においては、GI値が低い穀物でも、糖質のグラム数に応じて確実に血糖値が上昇します。
『うどん屋で「肉うどん」を食べてみました(この10ヶ月で初めてのうどん食いです)が、結果は大惨敗。
食前122の血糖値が食後30分ごとの計測で175→223→215→209といっかな下がる気配を見せません。しかもあろうことか3時間後でも214、5時間半後でも226と絶望的な高値安定路線です。
帰宅後、ステッパーを40分踏んで104まで戻しましたが、私の場合、糖質制限で血糖値をコントロールできていても、インスリンの追加分泌はかなりへたれているのでしょうか。
仕事上、初見の相手の接待を受ける場合、やむを得ず糖質摂取せざるをえないのですが、「グルファスト」を頓服的に使用する実験もこのあいだ始めて実施しました。
食事の1分前にグルファストを1錠服用し、先日と同じうどん屋で同じ肉うどんを食べました。
食前の血糖値は先日の実験と近似の123でスタートです。
30分ごとの計測で175→217→229→254、3時間後250、4時間半後252と服用しなかったときと同じような数値になってしまいました。
薬でも追加分泌を絞れないということでしょうか?』
1gの糖質が体重64kgの糖尿人の血糖値を約3mg上昇させます。うどん1人前(一玉)に糖質41.6g含まれていますから、124.8mg上昇と予想されます。糖質制限ビギナーさんは約100mg上昇ですから、糖尿人としてはこんなものでしょうね。糖尿人には、GIはぼ無意味なので・・・
グルファストの効果も、そんなに劇的に効くわけではありません。入院糖尿患者さんで100人以上試しましたが、個人差がかなりあります。
例えば食パン1枚(糖質量26.6g)の実験で、グルファスト5mgで、食後2時間値180mg未満達成の人もいますし、10mgでも200アップの人もいます。食後2時間値140mg未満達成の人もいます。200アップの人は、「グルファスト+グルコバイ」で再度実験します。
αグルコシダーゼ阻害薬は二糖類(麦芽糖・ショ糖・乳糖など)がグルコースに変換されるのを阻害します。ベイスンやセイブルはαグルコシダーゼ阻害作用のみを有します。
グルコバイはそれに加え、αアミラーゼ阻害作用によりデンプンがオリゴ糖に変換されるのも阻害するため、より強力に食後高血糖を改善します。
常用量で、
グルコバイは1時間値を50mg、2時間値を40mg
ベイスンは1時間値を40mg、2時間値を30mg
セイブルは1時間値を60mg、2時間値を20mg
ていど下げるとされています。しかし、それほど下がらない人もあります。セイブルは、1時間値を下げるけれど、2時間値はあまり下げないのが特徴です。
いずれの薬も結構個人差が大きいですし、印象としては、上記の数字ほど下がらない人のほうが多いです。
私の場合、ベイスンは0.2mgを3錠と常用量より多く飲んでも無効でした。勿論、ベイスンが効く人もいますよ。
グルコバイは50mgを2錠だと1時間値を10~20mg、常用量より多い3錠だと40mgていど下げました。
腹部症状が無くて平気な人もおられますが、私はお腹が張ってしんどくなるので、今は飲んでいません。
糖尿病ビギナーさんの場合、HbA1c:5.0%とコントロール優のレベルで素晴らしいです。スーパー糖質制限食なら完全に正常人ですね。
平均血糖値は、
(HbA1c-1.7)×30=99mg
ですので、基礎分泌のインスリンはしっかりでていて、スーパー糖質制限食なら食後高血糖もないと考えられます。
うどん摂取時データ的には糖質を摂取して食後高血糖が発生したときの追加分泌が、低下しているようです。グルファストへの反応も、もひとつですね。
一度、糖質のグラム数をやや少なめで「グルファスト+グルコバイ」で実験してみては如何でしょうか?
江部康二
2009年07月13日 (月)
おはようございます。連日熱帯夜の京都です。 (*_*)
夏ばての患者さんもちょこちょこおられますね。皆さんもご自愛のほど。
さて、今回はFUDMさんから、糖質制限食の効果とリスクについて、コメント・質問をいただきました。
「はじめまして。
糖尿病と糖質制限の、効果のすごさに、 大変関心があります。
糖尿病はもちろん、脂質異常症など コレステロール系、痛風、 動脈硬化性疾患の脳・心筋梗塞などにも
リスクなく改善効果が見られることは、 よくわかりました。
しかし、日本人大多数を対象とした、 10年単位の追跡調査結果があると、 人種間の違いなども考慮でき、 信頼がおけるのですが、 そのような調査はあるのでしょうか?
さらに、腎疾患の認められる場合は、 注意した方が良いこともわかりました。
また、イヌイットの食事の、 動脈硬化、血液凝固作用における 研究も、よくわかりました。
しかし、糖尿病・血液凝固や動脈硬化などの 代謝以外でのリスクはないと いえるのでしょうか?
イヌイットの食事は、心筋梗塞・脳梗塞が 極めて少ないですが、 同時に脳出血などの疾患が多く、 短命であるという報告も見受けられます。
また、ケトン体が産生されることによる弊害も含め、 長期継続と加齢に伴う 他疾患のリスク・寿命への影響は ないと考えて良いものなのでしょうか?
2009/07/09(Thu) 21:25 | URL | FUDM」
FUDMさん。
コメントありがとうございます。
「日本人大多数を対象とした、 10年単位の追跡調査結果があると、 人種間の違いなども考慮でき、 信頼がおけるのですが、 そのような調査はあるのでしょうか?」
日本における糖質制限食は、私達や釜池先生が提唱し始めたのが1999年です。そして最近医学界で徐々に認知されつつあるとはいえ、まだまだマイナーです。従いまして日本における、多数対象の糖質制限食の疫学的研究はありません。
しいて言えば、久山町研究において、
「従来のカロリー制限食(高糖質食)を14年間、きっちり指導して続けた結果、糖尿病が著明に増加し、2002年時点で40才以上の男性の59.9%が糖尿病と予備軍となった。」
という報告があります。
これは糖質制限食の研究ではありませんが、高糖質食が糖尿病発症リスクとして極めて危険であることを証明した研究と言えます。
2009年02月24日 (火) 、2009年02月26日 (木) のブログ、「久山町研究1988→2002,糖尿病有病率」をご参照ください。
「糖尿病・血液凝固や動脈硬化などの 代謝以外でのリスクはないと いえるのでしょうか?」
糖質制限食実践者においては、血糖値・HbA1c・中性脂肪は速やかに改善します。HDL-コレステロールは個人差があり、しっかり上昇する人と軽度に上昇する人がいます。
糖質制限食実践者の総コレステロール、LDLコレステロール値、尿酸値に関しては、個人差があり一定しません。
しかし、HDL-コレステロールが上昇し、中性脂肪が減少するので、真の悪玉である、小粒子LDLコレステロールや酸化LDLコレステロールは減ります。
このように西洋医学的に現在まで明らかにされている動脈硬化の危険因子が 糖質制限食の実践により全て改善します。
西洋医学の現在までのEBMに基づけば長期的予後も悪かろうはずがありません。
全身の代謝、血流が改善しますので、自然治癒力そのものが高まると考えられます。結果として皮膚がしっとりしたり、毛髪が太くなったり、アレルギー疾患が改善したり様々な病気・症状が良くなります。
例えば、糖尿病のために糖質制限食を実践した結果、花粉症が出なかったとか軽くてすんだとか、20年来の尋常性乾癬が治ったとか、ブログ読者の皆さんのコメントにもありますように、様々な病気の改善が期待できます。
糖質摂取によるブドウ糖スパイクやブドウ糖ミニスパイクが生体の恒常性を乱し、様々な病気の元凶となっていますが、糖質制限食によりそれが防げます。」
2009年1月4日、5日、6日のブログ「人類の食生活3段階と血糖値①②③」をご参照ください。
「イヌイットの食事は、心筋梗塞・脳梗塞が 極めて少ないですが、 同時に脳出血などの疾患が多く、 短命であるという報告も見受けられます。」
イヌイットの脳出血は当時で、欧米人と同レベルです。
イヌイットは、1900年代初頭までは生肉・生魚が主食で、まさに糖質制限食を実践していました。結果、心筋梗塞・糖尿病・癌などが極めて少なかったことが報告されています。しかし平均寿命は短かったのです。
何故かといいますと、出産時の死亡、幼児期の自然環境での事故死が非常に多かったのです。感染症での若年者の死亡も多くありました。また、若者が猟での事故で死亡することも、たびたびありました。乳幼児や若者の死亡率が高いので、必然的に平均寿命は短くなります。
人類の進化の歴史で、農耕が始まる前の399万年間は、イヌイットと同じような状況、さらに飢餓も日常的であり、当然、平均寿命は短かったと考えられます。
一方、平成の日本や他の文明国で、糖質制限食を実践した場合は、医療は確保され、飢餓もなく、自然環境の事故もなく、感染症の死亡率も少ないです。
次にイヌイットと癌ですが、ランセットによれば
①イヌイットが伝統的食生活(糖質制限食)を守っている時は、欧米型の癌(乳癌、大腸癌など)は、ほとんどなかった。
②食生活や社会生活などライフスタイルの変化(小麦摂取)と共に、徐々に欧米型の癌(乳癌、大腸癌など)が増えていった。
ということですので、少なくとも欧米型の癌に関しては、糖質制限食で予防できる可能性は高いと思われます。詳しくは2009年01月14日 (水) のブログ「イヌイットと癌」をご参照ください。
「ケトン体が産生されることによる弊害も含め、 長期継続と加齢に伴う他疾患のリスク・寿命への影響は ないと考えて良いものなのでしょうか?」
ケトン体は、心筋や骨格筋の主たるエネルギー源であり、日常的に人体で利用されており、インスリン作用が働いていれば、全く安全なものです。
糖質制限食実践によりケトン体が、今の基準値より上昇しますが、これは生理的なもので農耕前の人類の食生活では正常値と考えられます。
詳しくは、2009年06月18日 (木)のブログ「ケトン体」、2009年06月22日 (月)のブログ「江部康二の生理的ケトン体上昇」をご参照ください。
人類がゴリラやチンパンジーと分かれて400~500万年です。その後、アウストラロピテクス属、パラントロプス属、ヒト属の3属・17種の人類が栄枯盛衰を繰り返し、結局、約20万年前に東アフリカで誕生したホモ・サピエンス(現世人類)だけが現存しているわけです。
ここで大切なこと、そして本質的なことは、3属・17種の人類は、全て狩猟・採集が生業だったということです。
つまり、農耕が始まる前の399万年間は、人類皆糖質制限食であり、ヒトは進化に要した時間の大部分で、狩猟・採集生活をしていたということです。
従って、現世人類の行動や生理・代謝を決める遺伝子セット(DNA)は、狩猟・採集の生活条件に適応するようにプログラムされていると考えるのが自然です。
400万年の人類の進化の過程で、
<狩猟・採集期間>:<農耕期間>=1000対1で、
圧倒的に狩猟・採集期間のほうが長いのです。
即ち、人体は、本来穀物に依存して生きるような遺伝的システムは、持っていないということになります。しかし人口増加を支えるため、やむを得ず穀物摂取が主食となっていったものと考えられます。
このことは、糖質制限食の理論的根拠として、大きなアドバンテージですね。つまり、糖質制限食こそが、人類本来の食事と考えられます。
逆に言えば、生活習慣病の根本要因は、精製炭水化物の過剰摂取と考えられます。例えばメタボリック・シンドロームの全ての基準が糖質制限食で改善します。
今の日本の死亡原因はトップ3は、1位癌、2位心筋こうそく、3位脳卒中 です。
心筋梗塞、脳卒中に関しては、動脈硬化がベースにありますから、糖質制限食で予防できます。
癌に関して、かつて日本では胃癌や肝臓癌や子宮頸癌など、細菌やウィルスが原因となる「アジア型・感染症型」の癌が主流でした。
衛生環境が整い、冷蔵庫の普及などもあり、感染機会が減り、これらの癌による死亡は減少に転じています。
一方、肺癌、乳癌、前立腺癌、大腸癌、子宮体癌など生活習慣と密接に関わる癌が増加しています。このうち肺癌は、喫煙が主たる原因です。
残る乳癌、前立腺癌、大腸癌、子宮体癌などの「欧米型」癌は、イヌイットの例で明らかなように、糖質制限食で予防できる可能性があります。
日本人の死因のトップ3が糖質制限食で予防できるなら、平均寿命も延びますね。
そうすると糖質制限食のリスクは基本的にないということになります。まあ欠点としては、食費が高くなることと、人類66億人を糖質制限食では養えないことですね。
江部康二
夏ばての患者さんもちょこちょこおられますね。皆さんもご自愛のほど。
さて、今回はFUDMさんから、糖質制限食の効果とリスクについて、コメント・質問をいただきました。
「はじめまして。
糖尿病と糖質制限の、効果のすごさに、 大変関心があります。
糖尿病はもちろん、脂質異常症など コレステロール系、痛風、 動脈硬化性疾患の脳・心筋梗塞などにも
リスクなく改善効果が見られることは、 よくわかりました。
しかし、日本人大多数を対象とした、 10年単位の追跡調査結果があると、 人種間の違いなども考慮でき、 信頼がおけるのですが、 そのような調査はあるのでしょうか?
さらに、腎疾患の認められる場合は、 注意した方が良いこともわかりました。
また、イヌイットの食事の、 動脈硬化、血液凝固作用における 研究も、よくわかりました。
しかし、糖尿病・血液凝固や動脈硬化などの 代謝以外でのリスクはないと いえるのでしょうか?
イヌイットの食事は、心筋梗塞・脳梗塞が 極めて少ないですが、 同時に脳出血などの疾患が多く、 短命であるという報告も見受けられます。
また、ケトン体が産生されることによる弊害も含め、 長期継続と加齢に伴う 他疾患のリスク・寿命への影響は ないと考えて良いものなのでしょうか?
2009/07/09(Thu) 21:25 | URL | FUDM」
FUDMさん。
コメントありがとうございます。
「日本人大多数を対象とした、 10年単位の追跡調査結果があると、 人種間の違いなども考慮でき、 信頼がおけるのですが、 そのような調査はあるのでしょうか?」
日本における糖質制限食は、私達や釜池先生が提唱し始めたのが1999年です。そして最近医学界で徐々に認知されつつあるとはいえ、まだまだマイナーです。従いまして日本における、多数対象の糖質制限食の疫学的研究はありません。
しいて言えば、久山町研究において、
「従来のカロリー制限食(高糖質食)を14年間、きっちり指導して続けた結果、糖尿病が著明に増加し、2002年時点で40才以上の男性の59.9%が糖尿病と予備軍となった。」
という報告があります。
これは糖質制限食の研究ではありませんが、高糖質食が糖尿病発症リスクとして極めて危険であることを証明した研究と言えます。
2009年02月24日 (火) 、2009年02月26日 (木) のブログ、「久山町研究1988→2002,糖尿病有病率」をご参照ください。
「糖尿病・血液凝固や動脈硬化などの 代謝以外でのリスクはないと いえるのでしょうか?」
糖質制限食実践者においては、血糖値・HbA1c・中性脂肪は速やかに改善します。HDL-コレステロールは個人差があり、しっかり上昇する人と軽度に上昇する人がいます。
糖質制限食実践者の総コレステロール、LDLコレステロール値、尿酸値に関しては、個人差があり一定しません。
しかし、HDL-コレステロールが上昇し、中性脂肪が減少するので、真の悪玉である、小粒子LDLコレステロールや酸化LDLコレステロールは減ります。
このように西洋医学的に現在まで明らかにされている動脈硬化の危険因子が 糖質制限食の実践により全て改善します。
西洋医学の現在までのEBMに基づけば長期的予後も悪かろうはずがありません。
全身の代謝、血流が改善しますので、自然治癒力そのものが高まると考えられます。結果として皮膚がしっとりしたり、毛髪が太くなったり、アレルギー疾患が改善したり様々な病気・症状が良くなります。
例えば、糖尿病のために糖質制限食を実践した結果、花粉症が出なかったとか軽くてすんだとか、20年来の尋常性乾癬が治ったとか、ブログ読者の皆さんのコメントにもありますように、様々な病気の改善が期待できます。
糖質摂取によるブドウ糖スパイクやブドウ糖ミニスパイクが生体の恒常性を乱し、様々な病気の元凶となっていますが、糖質制限食によりそれが防げます。」
2009年1月4日、5日、6日のブログ「人類の食生活3段階と血糖値①②③」をご参照ください。
「イヌイットの食事は、心筋梗塞・脳梗塞が 極めて少ないですが、 同時に脳出血などの疾患が多く、 短命であるという報告も見受けられます。」
イヌイットの脳出血は当時で、欧米人と同レベルです。
イヌイットは、1900年代初頭までは生肉・生魚が主食で、まさに糖質制限食を実践していました。結果、心筋梗塞・糖尿病・癌などが極めて少なかったことが報告されています。しかし平均寿命は短かったのです。
何故かといいますと、出産時の死亡、幼児期の自然環境での事故死が非常に多かったのです。感染症での若年者の死亡も多くありました。また、若者が猟での事故で死亡することも、たびたびありました。乳幼児や若者の死亡率が高いので、必然的に平均寿命は短くなります。
人類の進化の歴史で、農耕が始まる前の399万年間は、イヌイットと同じような状況、さらに飢餓も日常的であり、当然、平均寿命は短かったと考えられます。
一方、平成の日本や他の文明国で、糖質制限食を実践した場合は、医療は確保され、飢餓もなく、自然環境の事故もなく、感染症の死亡率も少ないです。
次にイヌイットと癌ですが、ランセットによれば
①イヌイットが伝統的食生活(糖質制限食)を守っている時は、欧米型の癌(乳癌、大腸癌など)は、ほとんどなかった。
②食生活や社会生活などライフスタイルの変化(小麦摂取)と共に、徐々に欧米型の癌(乳癌、大腸癌など)が増えていった。
ということですので、少なくとも欧米型の癌に関しては、糖質制限食で予防できる可能性は高いと思われます。詳しくは2009年01月14日 (水) のブログ「イヌイットと癌」をご参照ください。
「ケトン体が産生されることによる弊害も含め、 長期継続と加齢に伴う他疾患のリスク・寿命への影響は ないと考えて良いものなのでしょうか?」
ケトン体は、心筋や骨格筋の主たるエネルギー源であり、日常的に人体で利用されており、インスリン作用が働いていれば、全く安全なものです。
糖質制限食実践によりケトン体が、今の基準値より上昇しますが、これは生理的なもので農耕前の人類の食生活では正常値と考えられます。
詳しくは、2009年06月18日 (木)のブログ「ケトン体」、2009年06月22日 (月)のブログ「江部康二の生理的ケトン体上昇」をご参照ください。
人類がゴリラやチンパンジーと分かれて400~500万年です。その後、アウストラロピテクス属、パラントロプス属、ヒト属の3属・17種の人類が栄枯盛衰を繰り返し、結局、約20万年前に東アフリカで誕生したホモ・サピエンス(現世人類)だけが現存しているわけです。
ここで大切なこと、そして本質的なことは、3属・17種の人類は、全て狩猟・採集が生業だったということです。
つまり、農耕が始まる前の399万年間は、人類皆糖質制限食であり、ヒトは進化に要した時間の大部分で、狩猟・採集生活をしていたということです。
従って、現世人類の行動や生理・代謝を決める遺伝子セット(DNA)は、狩猟・採集の生活条件に適応するようにプログラムされていると考えるのが自然です。
400万年の人類の進化の過程で、
<狩猟・採集期間>:<農耕期間>=1000対1で、
圧倒的に狩猟・採集期間のほうが長いのです。
即ち、人体は、本来穀物に依存して生きるような遺伝的システムは、持っていないということになります。しかし人口増加を支えるため、やむを得ず穀物摂取が主食となっていったものと考えられます。
このことは、糖質制限食の理論的根拠として、大きなアドバンテージですね。つまり、糖質制限食こそが、人類本来の食事と考えられます。
逆に言えば、生活習慣病の根本要因は、精製炭水化物の過剰摂取と考えられます。例えばメタボリック・シンドロームの全ての基準が糖質制限食で改善します。
今の日本の死亡原因はトップ3は、1位癌、2位心筋こうそく、3位脳卒中 です。
心筋梗塞、脳卒中に関しては、動脈硬化がベースにありますから、糖質制限食で予防できます。
癌に関して、かつて日本では胃癌や肝臓癌や子宮頸癌など、細菌やウィルスが原因となる「アジア型・感染症型」の癌が主流でした。
衛生環境が整い、冷蔵庫の普及などもあり、感染機会が減り、これらの癌による死亡は減少に転じています。
一方、肺癌、乳癌、前立腺癌、大腸癌、子宮体癌など生活習慣と密接に関わる癌が増加しています。このうち肺癌は、喫煙が主たる原因です。
残る乳癌、前立腺癌、大腸癌、子宮体癌などの「欧米型」癌は、イヌイットの例で明らかなように、糖質制限食で予防できる可能性があります。
日本人の死因のトップ3が糖質制限食で予防できるなら、平均寿命も延びますね。
そうすると糖質制限食のリスクは基本的にないということになります。まあ欠点としては、食費が高くなることと、人類66億人を糖質制限食では養えないことですね。
江部康二
2009年07月12日 (日)
【コメント・質問に関するお知らせ・お願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
読者の皆さんからご意見いただきましたが、確かに普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、主治医にご相談頂けば助かります。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
【講演会のお知らせ】
☆第33回日本産科婦人科栄養・代謝研究会2009年7月31日(金)
特別講演・江部康二
「栄養・代謝と糖質制限食」
午後3時~1時間
金沢で行われる学会です。
ブログ読者で産婦人科のドクターがおられましたら是非ご参加ください。
☆朝日カルチャーセンター京都
http://www.asahi-culture.co.jp/www/kyoto-c.html
TEL 075-231-9693
2009年8月18日(火)10:30~12:00
食事で治す!アトピー・糖尿病・メタボ
-テーラーメードダイエットと糖質制限食-
☆脳と栄養のシンポジウム 2009年8月23日(日) 13:30~17:45
『分子整合医学概論』 溝口徹先生
『糖質制限の基礎と臨床 ~脳に糖質は必要か?』14:15~15:00 江部康二
『精神科医療の現状と問題点』 市来真彦先生
『心療内科領域における栄養療法の実際』 姫野友美先生
『精神科領域における栄養療法の実際』 広瀬久益先生
会場:ニッショーホール 東京都港区虎ノ門2丁目9番16号
一般:¥3000-
医療:¥5000-
お問い合わせ
03-3350-8988 新宿溝口クリニック
☆糖質制限食シンポジウムin東京
講 師
江部康二 高雄病院理事長/NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事長
大柳珠美 管理栄養士/NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事
ゲスト
山田悟先生 北里研究所病院糖尿病センター長
日 時 2009年9月13日(日)9時20分開場
9時30分開演 11時50分終了
場 所 なかのゼロ視聴覚ホール (JR中野駅南口下車6分)
会 費 一般 1800円 リボーン会員 1500円
ペア券 一般 3600円のところ3000円
ペア券 会員 3000円のところ2400円
※ペア券はご家族に限られていただきます。
主 催 NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
申し込み・問い合わせ リボーン 曽我部ゆかり
電話:03-3388-5428
e-mail reborn@big.or.jp
【糖質制限食とは】
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。 また糖質は摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
一方、タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。これらは、含有カロリーとは無関係な、三大栄養素の生理学的特質です。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を急峻に上昇させます。従って、糖質を摂取した時には、インスリンが大量に追加分泌されます。
しかし、脂質やタンパク質は血糖値をほとんど上昇させないので、インスリンの追加分泌は、ほとんどありません。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖が大きな問題として注目されています。食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。そして食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。 従って6枚切りの食パン2枚(約310キロカロリー)食べると糖質 が53.2g含まれているので、血糖値は160mgも上昇します。
一方、ロースステーキを300g(約1200キロカロリー)食べても、糖質含有量は1g未満なので血糖値は数mgも上がらず、食後高血糖は生じません。なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を約5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の食パンとステーキの例でも明らかなようにカロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということが、おわかりいただけたと思います。なお糖質制限食はカロリー無制限ということではありません。一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
☆☆☆
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。*炭水化物=糖質+食物繊維
【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内・保険適応】
お問い合わせは高雄病院
http://www.takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
【糖質制限食外来治療のご案内・予約制・保険適応】
高雄病院 電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院京都駅前診療所 電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
http://www.takao-hospital.net/
江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書きましたが、 糖質制限食実践によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」「 糖質制限食 春のレシピ」「 糖質制限食 夏のレシピ」「糖質制限食 秋のレシピ」「糖質制限食 冬のレシピ」(以上東洋経済新報社)「糖尿病のための糖質オフごちそうごはん」(アスペクト)
などを参考にされて、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
江部康二
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
読者の皆さんからご意見いただきましたが、確かに普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、主治医にご相談頂けば助かります。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
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午後3時~1時間
金沢で行われる学会です。
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http://www.asahi-culture.co.jp/www/kyoto-c.html
TEL 075-231-9693
2009年8月18日(火)10:30~12:00
食事で治す!アトピー・糖尿病・メタボ
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☆脳と栄養のシンポジウム 2009年8月23日(日) 13:30~17:45
『分子整合医学概論』 溝口徹先生
『糖質制限の基礎と臨床 ~脳に糖質は必要か?』14:15~15:00 江部康二
『精神科医療の現状と問題点』 市来真彦先生
『心療内科領域における栄養療法の実際』 姫野友美先生
『精神科領域における栄養療法の実際』 広瀬久益先生
会場:ニッショーホール 東京都港区虎ノ門2丁目9番16号
一般:¥3000-
医療:¥5000-
お問い合わせ
03-3350-8988 新宿溝口クリニック
☆糖質制限食シンポジウムin東京
講 師
江部康二 高雄病院理事長/NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事長
大柳珠美 管理栄養士/NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事
ゲスト
山田悟先生 北里研究所病院糖尿病センター長
日 時 2009年9月13日(日)9時20分開場
9時30分開演 11時50分終了
場 所 なかのゼロ視聴覚ホール (JR中野駅南口下車6分)
会 費 一般 1800円 リボーン会員 1500円
ペア券 一般 3600円のところ3000円
ペア券 会員 3000円のところ2400円
※ペア券はご家族に限られていただきます。
主 催 NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
申し込み・問い合わせ リボーン 曽我部ゆかり
電話:03-3388-5428
e-mail reborn@big.or.jp
【糖質制限食とは】
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。 また糖質は摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
一方、タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。これらは、含有カロリーとは無関係な、三大栄養素の生理学的特質です。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を急峻に上昇させます。従って、糖質を摂取した時には、インスリンが大量に追加分泌されます。
しかし、脂質やタンパク質は血糖値をほとんど上昇させないので、インスリンの追加分泌は、ほとんどありません。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖が大きな問題として注目されています。食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。そして食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。 従って6枚切りの食パン2枚(約310キロカロリー)食べると糖質 が53.2g含まれているので、血糖値は160mgも上昇します。
一方、ロースステーキを300g(約1200キロカロリー)食べても、糖質含有量は1g未満なので血糖値は数mgも上がらず、食後高血糖は生じません。なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を約5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の食パンとステーキの例でも明らかなようにカロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということが、おわかりいただけたと思います。なお糖質制限食はカロリー無制限ということではありません。一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
☆☆☆
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。*炭水化物=糖質+食物繊維
【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内・保険適応】
お問い合わせは高雄病院
http://www.takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
【糖質制限食外来治療のご案内・予約制・保険適応】
高雄病院 電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院京都駅前診療所 電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
http://www.takao-hospital.net/
江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書きましたが、 糖質制限食実践によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」「 糖質制限食 春のレシピ」「 糖質制限食 夏のレシピ」「糖質制限食 秋のレシピ」「糖質制限食 冬のレシピ」(以上東洋経済新報社)「糖尿病のための糖質オフごちそうごはん」(アスペクト)
などを参考にされて、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
江部康二
2009年07月11日 (土)
こんにちは
今回は妊娠糖尿病を糖質制限食で乗り切られたすっぽこさんから、経口ブドウ糖負荷試験のデータについてコメント・質問をいただきました。
「09/07/09 すっぽこ
負荷試験1時間値について
最近 負荷試験をしました 結果
空腹66(2.2)
30分173(21.7)
60分240(54.6)
90分176(37.3)
120分147(70.7)
HbA1c4.9 △IRI/△BS 0.18
その他 血液検査問題なし
29歳 女性 BMI 21
という結果でした 去年 妊娠糖尿病になり先生の糖質制限食で乗り切りました その後 正常型でしたので 油断していたら このような結果になってしまいました 今通っている先生は もう糖尿病だと思っていいよ とのことでした 私もそうだと思い 糖質制限食に励んでいます 一回の食事10g~20gの糖質しか取っていないせいか食後平均90mg/dl以下と満足しています
そのことを病院で話し 今後よくなるか聞くと こんだけ悪いと 直る見込みない? と言われました 自分としてはこのまま糖質制限食を一生続けてもいい気持ちですが やはりここまで1時間値が高いと 直る見込みはないのでしょうか?
お忙しいのに かってに書き込み すみません
よろしければご意見聞かせてください」
すっぽこさん。コメントありがとうございます。
妊娠糖尿病を糖質制限食で乗り切られたとのこと、良かったですね。 (^_^)
ブドウ糖負荷試験、食後1時間血糖値が特に高値ですね。2型糖尿病患者は、通常インスリン追加分泌第一相反応が低下或いはなくなっていることが多いようです。従って、糖質摂取時に血糖値の急激な上昇(グルコーススパイク)が起きてしまいます。
インスリンには、24時間ずっとベースに少量分泌されている基礎分泌のインスリンと、食後に血糖値が上昇した時に出る追加分泌のインスリンがあります。追加分泌のインスリンには、即分泌される第1相と少し遅れて出る第2相があります。
このインスリン追加分泌第一相低下傾向は治りにくいと思いますが、すっぽこさんの場合、インスリン追加分泌第2相はまだ結構残っています。
その代わり、血糖値が120分後147mgまで下がった後も、インスリンが70.7と一番多めに遷延して出ています。
このようなパターンの人は、糖質負荷後4時間くらいで低血糖になりやすいので注意が必要です。糖質制限食なら、血糖値はほとんど上昇せず、インスリンの分泌もごく少量なので、4時間後に低血糖になるようなこともありません。
また糖質制限食を実践する限りは、食後高血糖は生じないので、膵臓のβ細胞が傷害されることもなく、インスリン抵抗性が増すこともありません。
従って、将来の糖尿病発症の予防になりますし、現時点でのインスリン分泌能力を維持することができます。
食後血糖値が180mg/dlを超えてくると、β細胞が傷害され、筋肉細胞などのインスリン抵抗性も増加するので、すっぽこさんの場合、精製炭水化物を通常量摂取するとやばいですね。
玄米など未精製の穀物を少量(炊いた重量で80gくらいなら糖質量27gくらいですね)なら、食後血糖値が180mgを超えないと思います。
まあ、基本は糖質制限食で、たまに少量の未精製の穀物なら、何の心配もなく美味しく楽しく続けることができそうですね。
江部康二
今回は妊娠糖尿病を糖質制限食で乗り切られたすっぽこさんから、経口ブドウ糖負荷試験のデータについてコメント・質問をいただきました。
「09/07/09 すっぽこ
負荷試験1時間値について
最近 負荷試験をしました 結果
空腹66(2.2)
30分173(21.7)
60分240(54.6)
90分176(37.3)
120分147(70.7)
HbA1c4.9 △IRI/△BS 0.18
その他 血液検査問題なし
29歳 女性 BMI 21
という結果でした 去年 妊娠糖尿病になり先生の糖質制限食で乗り切りました その後 正常型でしたので 油断していたら このような結果になってしまいました 今通っている先生は もう糖尿病だと思っていいよ とのことでした 私もそうだと思い 糖質制限食に励んでいます 一回の食事10g~20gの糖質しか取っていないせいか食後平均90mg/dl以下と満足しています
そのことを病院で話し 今後よくなるか聞くと こんだけ悪いと 直る見込みない? と言われました 自分としてはこのまま糖質制限食を一生続けてもいい気持ちですが やはりここまで1時間値が高いと 直る見込みはないのでしょうか?
お忙しいのに かってに書き込み すみません
よろしければご意見聞かせてください」
すっぽこさん。コメントありがとうございます。
妊娠糖尿病を糖質制限食で乗り切られたとのこと、良かったですね。 (^_^)
ブドウ糖負荷試験、食後1時間血糖値が特に高値ですね。2型糖尿病患者は、通常インスリン追加分泌第一相反応が低下或いはなくなっていることが多いようです。従って、糖質摂取時に血糖値の急激な上昇(グルコーススパイク)が起きてしまいます。
インスリンには、24時間ずっとベースに少量分泌されている基礎分泌のインスリンと、食後に血糖値が上昇した時に出る追加分泌のインスリンがあります。追加分泌のインスリンには、即分泌される第1相と少し遅れて出る第2相があります。
このインスリン追加分泌第一相低下傾向は治りにくいと思いますが、すっぽこさんの場合、インスリン追加分泌第2相はまだ結構残っています。
その代わり、血糖値が120分後147mgまで下がった後も、インスリンが70.7と一番多めに遷延して出ています。
このようなパターンの人は、糖質負荷後4時間くらいで低血糖になりやすいので注意が必要です。糖質制限食なら、血糖値はほとんど上昇せず、インスリンの分泌もごく少量なので、4時間後に低血糖になるようなこともありません。
また糖質制限食を実践する限りは、食後高血糖は生じないので、膵臓のβ細胞が傷害されることもなく、インスリン抵抗性が増すこともありません。
従って、将来の糖尿病発症の予防になりますし、現時点でのインスリン分泌能力を維持することができます。
食後血糖値が180mg/dlを超えてくると、β細胞が傷害され、筋肉細胞などのインスリン抵抗性も増加するので、すっぽこさんの場合、精製炭水化物を通常量摂取するとやばいですね。
玄米など未精製の穀物を少量(炊いた重量で80gくらいなら糖質量27gくらいですね)なら、食後血糖値が180mgを超えないと思います。
まあ、基本は糖質制限食で、たまに少量の未精製の穀物なら、何の心配もなく美味しく楽しく続けることができそうですね。
江部康二
2009年07月10日 (金)
こんにちは。
今日も朝から梅雨空で、雨がしょぼしょぼと断続的に降り続いている京都です。
雨にもかかわらず、この3日間熱帯夜です。午前3時にエアコンが切れて、午前4時に暑くなり目が覚めて、温度計を見たらなんと28度もありました。 (*_*)
なぜか、枕元に温度計を置いて寝ている江部康二です。(∵)?
さて今回はみりさんから、糖質制限食と痩せなどについて、コメント・質問をいただきました。
「09/07/08 みり
体重減少について
初めてコメントさせて頂きます。
長文で申し訳ありませんが、お時間がある時に ご回答頂けると幸いです。
約1ヶ月前に、ブドウ糖負荷検査を受け、結果
空腹時血糖108。
30分後 224
60分後 266
90分後 175
120分後 153
180分後 103
Hba1c5.2
限りなく糖尿病に近い状態との診断を受けたました。
母がインスリン治療を必要とする糖尿病の為、 少なからず知識もあり、栄養指導も一緒に受けていたので、 食生活には気をつけてきたつもりだっただけに、検査結果がとてもショックでした。
その後、改めて糖尿病について色々調べ始めて 先生のブログに出会い、今までの食生活の何が間違っていたか、 何故食後血糖が高くなってしまったのかが理解でき、救われた思いがしました。
早速、出版されたばかりの『糖質オフ ごちそうごはん』を購入し、 プチ糖質オフ生活を始めました。
朝食 玄米ご飯100g強に野菜の味噌汁 卵料理1品 納豆
昼食(外食)定食やセットランチのおかずと白米ごはん少々
夕食 肉か魚料理に野菜の副菜2.3品とスタイルフリーフ350を1缶
朝昼は、食後に30分~40分のウォーキングをしています。
ここ3.4日の自己測定の血糖値は、
空腹時80~90未満
朝・昼食後30分は160~170
その後ウォーキングで90~100未満になります。
夕食後30分は100前後です。
もともと小食で油物はあまり好きではない為、 161cm50kgと痩せ型だったのですが、 上記を始めて2週間で体重が2kg減ってしまいました。 検査結果のショックから食欲が落ちていたので、 検査前と比べると3kg近い減少です。 糖質オフしながら、体重を増やすにはどうしたら良いのでしょうか?
著書では、果物を取る事を勧められていますが、 他に気をつける事、また血糖値が上がり難くく
体重増加につながる食べ物(食べ方)などありましたら、ご指導頂けますでしょうか?
主治医の先生は炭水化物は控えめに、体重減少が気になるようなら、 間食で小さめのおにぎりを食べるなどして、一度に沢山食べなければ 血糖値はコントロールできると仰っていましたが、 少量づつでも、一日の総摂取糖質量が多い食生活を続けていると、 いずれまた食後高血糖値になるのでは?と不安です。
長文お読み頂きありがとうございます。」
みりさん。
コメントそして『糖質オフ ごちそうごはん』のご購入、ありがとうございます。
「約1ヶ月前に、ブドウ糖負荷検査を受け、
空腹時血糖108。
30分後 224
60分後 266
90分後 175
120分後 153
180分後 103 」
空腹時血糖値は108mg/dlで正常範囲、120分後の血糖値が153mg/dlなので、診断基準では境界型となります。
しかし、60分後血糖値が266mg/dlなので将来糖尿病になりやすいと言えますので、今から食生活に気をつけることが必要です。
「朝食 玄米ご飯100g強に野菜の味噌汁 卵料理1品 納豆
昼食(外食)定食やセットランチのおかずと白米ごはん少々
夕食 肉か魚料理に野菜の副菜2.3品とスタイルフリーフ350を1缶
朝昼は、食後に30分~40分のウォーキングをしています。
ここ3.4日の自己測定の血糖値は、
空腹時80~90未満
朝・昼食後30分は160~170
その後ウォーキングで90~100未満になります。
夕食後30分は100前後です。」
茶碗1杯の玄米ご飯が150gで、その内糖質が51.3gです。100gの玄米ご飯なら、糖質は34.2gです。1gの糖質が約3mg血糖値をさせます。
朝・昼食後30分は160~170 、その後ウォーキングで90~100未満なら、おおむね想定範囲で、食後血糖値も180mg/dlを超えていませんね。
夕食は糖質を食べておられないので、食後30分は100前後と良好です。このデータなら、膵臓のβ細胞が高血糖でダメージを受けることがないので、将来の糖尿病発症も予防できると思いますよ。 (^_^)
「糖質オフしながら、体重を増やすにはどうしたら良いのでしょうか?
著書では、果物を取る事を勧められていますが、 他に気をつける事、また血糖値が上がり難く
体重増加につながる食べ物(食べ方)などありましたら、ご指導頂けますでしょうか?
主治医の先生は炭水化物は控えめに、体重減少が気になるようなら、 間食で小さめのおにぎりを食べるなどして、一度に沢山食べなければ 血糖値はコントロールできると仰っていましたが、 少量づつでも、一日の総摂取糖質量が多い食生活を続けていると、 いずれまた食後高血糖値になるのでは?と不安です。」
糖質制限食で体重が減りすぎる時は、タンパク質や脂質はしっかり摂取して、低カロリーに気をつけてください。
もともと少食の人は、低カロリーになりがちなので、本にも書きましたように、1回に1/3個ていどの果物を、1日に2回デザートや間食で摂ると血糖値が180mgを超えて上昇することなく、体重が増えると思います。
間食でナッツ類を1回に20~30粒ていど摂取するのも、食後血糖値が180mgを超えることなく、一定のカロリー補給が可能です。
一回の食事で摂取した糖質量の合計が、 食後血糖値に反映されます。高雄病院入院中の糖尿病患者さんのスーパー糖質制限食は、
1回の食事の糖質量が、
朝が8~12g、
昼・夕が10~18g、
程度です。
朝が約200kcal、昼・夕は約500kacalです。合計1200kcal/日。
朝が少ないのは早出の調理員さんが少なくて出せる品が限られるからで、家ではもっと食べていいです。女性で1400~1600kcal、男性で1600~1800kcalが一つの目安ですね。
入院中も、朝食に売店で購入して頂いた、糖質制限ドットコムの大豆クッキーとか食べる人もおられますよ。
結論です。
みりさん、今のペースで
空腹時血糖値110mg/dl未満、
食後1時間血糖値180mg/dl未満、
食後2時間血糖値140mg/dl未満、
を保っていかれれば、膵臓のβ細胞は安全に守られるので、将来糖尿病を発症することはないと思います。
江部康二
今日も朝から梅雨空で、雨がしょぼしょぼと断続的に降り続いている京都です。
雨にもかかわらず、この3日間熱帯夜です。午前3時にエアコンが切れて、午前4時に暑くなり目が覚めて、温度計を見たらなんと28度もありました。 (*_*)
なぜか、枕元に温度計を置いて寝ている江部康二です。(∵)?
さて今回はみりさんから、糖質制限食と痩せなどについて、コメント・質問をいただきました。
「09/07/08 みり
体重減少について
初めてコメントさせて頂きます。
長文で申し訳ありませんが、お時間がある時に ご回答頂けると幸いです。
約1ヶ月前に、ブドウ糖負荷検査を受け、結果
空腹時血糖108。
30分後 224
60分後 266
90分後 175
120分後 153
180分後 103
Hba1c5.2
限りなく糖尿病に近い状態との診断を受けたました。
母がインスリン治療を必要とする糖尿病の為、 少なからず知識もあり、栄養指導も一緒に受けていたので、 食生活には気をつけてきたつもりだっただけに、検査結果がとてもショックでした。
その後、改めて糖尿病について色々調べ始めて 先生のブログに出会い、今までの食生活の何が間違っていたか、 何故食後血糖が高くなってしまったのかが理解でき、救われた思いがしました。
早速、出版されたばかりの『糖質オフ ごちそうごはん』を購入し、 プチ糖質オフ生活を始めました。
朝食 玄米ご飯100g強に野菜の味噌汁 卵料理1品 納豆
昼食(外食)定食やセットランチのおかずと白米ごはん少々
夕食 肉か魚料理に野菜の副菜2.3品とスタイルフリーフ350を1缶
朝昼は、食後に30分~40分のウォーキングをしています。
ここ3.4日の自己測定の血糖値は、
空腹時80~90未満
朝・昼食後30分は160~170
その後ウォーキングで90~100未満になります。
夕食後30分は100前後です。
もともと小食で油物はあまり好きではない為、 161cm50kgと痩せ型だったのですが、 上記を始めて2週間で体重が2kg減ってしまいました。 検査結果のショックから食欲が落ちていたので、 検査前と比べると3kg近い減少です。 糖質オフしながら、体重を増やすにはどうしたら良いのでしょうか?
著書では、果物を取る事を勧められていますが、 他に気をつける事、また血糖値が上がり難くく
体重増加につながる食べ物(食べ方)などありましたら、ご指導頂けますでしょうか?
主治医の先生は炭水化物は控えめに、体重減少が気になるようなら、 間食で小さめのおにぎりを食べるなどして、一度に沢山食べなければ 血糖値はコントロールできると仰っていましたが、 少量づつでも、一日の総摂取糖質量が多い食生活を続けていると、 いずれまた食後高血糖値になるのでは?と不安です。
長文お読み頂きありがとうございます。」
みりさん。
コメントそして『糖質オフ ごちそうごはん』のご購入、ありがとうございます。
「約1ヶ月前に、ブドウ糖負荷検査を受け、
空腹時血糖108。
30分後 224
60分後 266
90分後 175
120分後 153
180分後 103 」
空腹時血糖値は108mg/dlで正常範囲、120分後の血糖値が153mg/dlなので、診断基準では境界型となります。
しかし、60分後血糖値が266mg/dlなので将来糖尿病になりやすいと言えますので、今から食生活に気をつけることが必要です。
「朝食 玄米ご飯100g強に野菜の味噌汁 卵料理1品 納豆
昼食(外食)定食やセットランチのおかずと白米ごはん少々
夕食 肉か魚料理に野菜の副菜2.3品とスタイルフリーフ350を1缶
朝昼は、食後に30分~40分のウォーキングをしています。
ここ3.4日の自己測定の血糖値は、
空腹時80~90未満
朝・昼食後30分は160~170
その後ウォーキングで90~100未満になります。
夕食後30分は100前後です。」
茶碗1杯の玄米ご飯が150gで、その内糖質が51.3gです。100gの玄米ご飯なら、糖質は34.2gです。1gの糖質が約3mg血糖値をさせます。
朝・昼食後30分は160~170 、その後ウォーキングで90~100未満なら、おおむね想定範囲で、食後血糖値も180mg/dlを超えていませんね。
夕食は糖質を食べておられないので、食後30分は100前後と良好です。このデータなら、膵臓のβ細胞が高血糖でダメージを受けることがないので、将来の糖尿病発症も予防できると思いますよ。 (^_^)
「糖質オフしながら、体重を増やすにはどうしたら良いのでしょうか?
著書では、果物を取る事を勧められていますが、 他に気をつける事、また血糖値が上がり難く
体重増加につながる食べ物(食べ方)などありましたら、ご指導頂けますでしょうか?
主治医の先生は炭水化物は控えめに、体重減少が気になるようなら、 間食で小さめのおにぎりを食べるなどして、一度に沢山食べなければ 血糖値はコントロールできると仰っていましたが、 少量づつでも、一日の総摂取糖質量が多い食生活を続けていると、 いずれまた食後高血糖値になるのでは?と不安です。」
糖質制限食で体重が減りすぎる時は、タンパク質や脂質はしっかり摂取して、低カロリーに気をつけてください。
もともと少食の人は、低カロリーになりがちなので、本にも書きましたように、1回に1/3個ていどの果物を、1日に2回デザートや間食で摂ると血糖値が180mgを超えて上昇することなく、体重が増えると思います。
間食でナッツ類を1回に20~30粒ていど摂取するのも、食後血糖値が180mgを超えることなく、一定のカロリー補給が可能です。
一回の食事で摂取した糖質量の合計が、 食後血糖値に反映されます。高雄病院入院中の糖尿病患者さんのスーパー糖質制限食は、
1回の食事の糖質量が、
朝が8~12g、
昼・夕が10~18g、
程度です。
朝が約200kcal、昼・夕は約500kacalです。合計1200kcal/日。
朝が少ないのは早出の調理員さんが少なくて出せる品が限られるからで、家ではもっと食べていいです。女性で1400~1600kcal、男性で1600~1800kcalが一つの目安ですね。
入院中も、朝食に売店で購入して頂いた、糖質制限ドットコムの大豆クッキーとか食べる人もおられますよ。
結論です。
みりさん、今のペースで
空腹時血糖値110mg/dl未満、
食後1時間血糖値180mg/dl未満、
食後2時間血糖値140mg/dl未満、
を保っていかれれば、膵臓のβ細胞は安全に守られるので、将来糖尿病を発症することはないと思います。
江部康二
2009年07月09日 (木)
おはようございます。昨夜も暑かったです。
一昨日、京都は今夏初の熱帯夜だそうで、夜中も25.1度と25度から下がりませんでした。昨夜は、ついに夜中寝ると、き初クーラーを3時間タイマーでセットしました。
朝の7時で、27.5度もありました。家の中で熱中症になりそうです。 (*_*)
さて今回は、ココナツさん、やずやさんから、糖質制限食と低血糖についてコメントをいただきました。
非運動時と運動時にわけて考えてみました。
<非運動時>
①《薬なし》
糖尿人が糖質制限食を実践すれば、高血糖は改善します。一方、肝臓では、糖質制限食摂取中でも糖新生が行われますので、低血糖にはなりません。
②《薬あり》
インスリン注射や経口血糖降下剤を内服している場合は、カロリー制限食(高糖質食)から糖質制限食に切り替えたとき、同量を注射したり、内服すれば、相対的にインスリン作用過剰となり、かなりの確率で低血糖になります。
高雄病院に入院していただいて、薬の減量・離脱を目指すときは、低血糖予防のためにスーパー糖質制限食開始時にインスリン注射は約1/3の量にします。
そこからは、血糖測定をしながら微調整でさらに減量をめざします。インスリンを離脱できる糖尿人は2割くらいおられます。入院中であれば経口血糖降下剤は、スーパー糖質制限食開始時に即、中止にします。
<運動時>
糖尿人が糖質制限食実践中に、1時間以上運動をしたときには、ココナツさん、やずやさんにコメントいただいたように低血糖になることがあります。
糖質制限食実践初期の段階で血糖値が改善して正常でも低いレベルの時に、1時間とか運動すると筋肉が血糖を取り込むので低血糖になりやすいのです。 ナッツ類を事前に補給しておけば、高血糖も低血糖も防げると思います。
ココナツさんは3月にはA1cが8.4%ありましたから、平均血糖値は201mg/dlあったことになります。(**)平均血糖値ですから空腹時も食後もそこそこ高値だと思います。
30~60分間の運動で個人差があり30~60mg血糖値が下がりますが、これだけ、血糖値があると日課で1時間歩いても低血糖にはならないと思います。
一方、6月末にはA1c5.9%ですので、平均血糖値は126mg/dlと糖質制限食により著明に改善しています。空腹時は100mg/dl未満かもしれません。
これだと、1時間のウォーキングで60mg血糖値が下がれば、肝臓の糖新生が追いつかずに60mg/dlをきって低血糖になる可能性がありますね。
糖質制限食実践して、3~4ヶ月経過すると肝臓の糖新生もしっかり行われ、運動とのバランスが良くなるので、やずやさんご指摘のように低血糖を起こさなくなると思います。
<ココナツさん、やずやさんのコメント>
「こんにちは、今年3月に糖尿病といわれ、4月より糖質制限をしています。A1cも8.4から6月末には5.9と病院の先生もビックリの回復でした。
いつもブログ参考にさせていただいています。また先日の「糖質オフ ごちそうごはん」は、もう無理と思っていた料理があって、早速作っています。
今日お聞きしたいのは 6月の初め頃から約一月くらい 日課にしている1時間程度のウォーキングの後 疲労感はそこそこなのですが、身体に違和感があり 手足の軽いふるえがあります。
糖質制限を始めてから2ヶ月で10キロ程度減量したんですが この頃からまったく体重が落ちなくなり また、体脂肪率は、最初からほとんど落ちていませんでした。
また、手足のふるえがあるときは血糖値は一度目は大体エラーになり二度目でやっと、60くらいです。 血圧は100-70前後で、こちらは普段どうりかいくらか低いか程度です。
糖質制限がうまく行ってないんでしょうか。
元々変則的な食事でしたし、おにぎりやパンを食べながら仕事をしているようでしたから、マトモな食事になって、痩せてきただけで、脂肪は燃えていなかったんでしょうか 尿検査でケトンは出ませんでした。
2009/07/02(Thu) 09:49 | URL | ココナツ | 」
「ココナツさんへ
横レス失礼します。
私も糖質制限食を始めて2~3ヶ月位は運動中に同じ様な症状になりました。おそらく低血糖ぎみなんでしょう。
まだ、ケトン体を上手く利用出来ていないのかな?と思い、運動をする2時間前位に何かタンパク質を補給する様にしたら症状がなくなりました。
お試し下さいm(_ _)m
2009/07/02(Thu) 11:26 | URL | やずや | 」
(**)
平均血糖値=(HbA1c-1.7)×30
江部康二
一昨日、京都は今夏初の熱帯夜だそうで、夜中も25.1度と25度から下がりませんでした。昨夜は、ついに夜中寝ると、き初クーラーを3時間タイマーでセットしました。
朝の7時で、27.5度もありました。家の中で熱中症になりそうです。 (*_*)
さて今回は、ココナツさん、やずやさんから、糖質制限食と低血糖についてコメントをいただきました。
非運動時と運動時にわけて考えてみました。
<非運動時>
①《薬なし》
糖尿人が糖質制限食を実践すれば、高血糖は改善します。一方、肝臓では、糖質制限食摂取中でも糖新生が行われますので、低血糖にはなりません。
②《薬あり》
インスリン注射や経口血糖降下剤を内服している場合は、カロリー制限食(高糖質食)から糖質制限食に切り替えたとき、同量を注射したり、内服すれば、相対的にインスリン作用過剰となり、かなりの確率で低血糖になります。
高雄病院に入院していただいて、薬の減量・離脱を目指すときは、低血糖予防のためにスーパー糖質制限食開始時にインスリン注射は約1/3の量にします。
そこからは、血糖測定をしながら微調整でさらに減量をめざします。インスリンを離脱できる糖尿人は2割くらいおられます。入院中であれば経口血糖降下剤は、スーパー糖質制限食開始時に即、中止にします。
<運動時>
糖尿人が糖質制限食実践中に、1時間以上運動をしたときには、ココナツさん、やずやさんにコメントいただいたように低血糖になることがあります。
糖質制限食実践初期の段階で血糖値が改善して正常でも低いレベルの時に、1時間とか運動すると筋肉が血糖を取り込むので低血糖になりやすいのです。 ナッツ類を事前に補給しておけば、高血糖も低血糖も防げると思います。
ココナツさんは3月にはA1cが8.4%ありましたから、平均血糖値は201mg/dlあったことになります。(**)平均血糖値ですから空腹時も食後もそこそこ高値だと思います。
30~60分間の運動で個人差があり30~60mg血糖値が下がりますが、これだけ、血糖値があると日課で1時間歩いても低血糖にはならないと思います。
一方、6月末にはA1c5.9%ですので、平均血糖値は126mg/dlと糖質制限食により著明に改善しています。空腹時は100mg/dl未満かもしれません。
これだと、1時間のウォーキングで60mg血糖値が下がれば、肝臓の糖新生が追いつかずに60mg/dlをきって低血糖になる可能性がありますね。
糖質制限食実践して、3~4ヶ月経過すると肝臓の糖新生もしっかり行われ、運動とのバランスが良くなるので、やずやさんご指摘のように低血糖を起こさなくなると思います。
<ココナツさん、やずやさんのコメント>
「こんにちは、今年3月に糖尿病といわれ、4月より糖質制限をしています。A1cも8.4から6月末には5.9と病院の先生もビックリの回復でした。
いつもブログ参考にさせていただいています。また先日の「糖質オフ ごちそうごはん」は、もう無理と思っていた料理があって、早速作っています。
今日お聞きしたいのは 6月の初め頃から約一月くらい 日課にしている1時間程度のウォーキングの後 疲労感はそこそこなのですが、身体に違和感があり 手足の軽いふるえがあります。
糖質制限を始めてから2ヶ月で10キロ程度減量したんですが この頃からまったく体重が落ちなくなり また、体脂肪率は、最初からほとんど落ちていませんでした。
また、手足のふるえがあるときは血糖値は一度目は大体エラーになり二度目でやっと、60くらいです。 血圧は100-70前後で、こちらは普段どうりかいくらか低いか程度です。
糖質制限がうまく行ってないんでしょうか。
元々変則的な食事でしたし、おにぎりやパンを食べながら仕事をしているようでしたから、マトモな食事になって、痩せてきただけで、脂肪は燃えていなかったんでしょうか 尿検査でケトンは出ませんでした。
2009/07/02(Thu) 09:49 | URL | ココナツ | 」
「ココナツさんへ
横レス失礼します。
私も糖質制限食を始めて2~3ヶ月位は運動中に同じ様な症状になりました。おそらく低血糖ぎみなんでしょう。
まだ、ケトン体を上手く利用出来ていないのかな?と思い、運動をする2時間前位に何かタンパク質を補給する様にしたら症状がなくなりました。
お試し下さいm(_ _)m
2009/07/02(Thu) 11:26 | URL | やずや | 」
(**)
平均血糖値=(HbA1c-1.7)×30
江部康二
2009年07月08日 (水)
2009年3月24日に、米国の糖尿病妊婦さんのことでコメントいただきましたうさぎさん。
とても参考になりました。ありがとうございます。
コメントの妊婦さんは、日本人の方?米国人の方?およその年齢は?出産されたのはおよそいつごろ?
ごく一般的な病院というのは、普通の産婦人科の病院で、妊娠糖尿病の場合、ただちに糖質制限食を指導されたということでしょうか?他の産婦人科の病院ではどうなのでしょうね?
お手数をおかけしますが、米国妊娠糖尿病の食事療法事情、うさぎさんのご存知の範囲、且つ、個人情報保護の範囲でいろいろ教えていただけば助かります。よろしくお願い申し上げます。
江部康二
☆☆☆うさぎさんのコメント
「・・・余談ですが、先々週から1週間ほど出張でアメリカに滞在したのですが、思いのほか糖質制限食がしやすかったです。メインディッシュの量がたっぷりなので、日本のように一皿余分にオーダーしなくてもよいですし、サラダの上にお肉やエビなど、好きなものを焼いてのせてくれるようなオプションがありました。もちろん、糖質の少ない葉野菜もたっぷりです。
また、米国ではカーボカウントが定着しているためだと思いますが、ごく普通の薬局で様々な種類の血糖測定器が販売されていましたし、本屋には食品別にカーボの量が一覧になっている本や料理本がたくさんありました。
一番印象的なお話としては、妊娠糖尿病になった方が、直ちに炭水化物(糖質)を制限するように指導され、無事に元気な赤ちゃんを出産されてました。ごく一般的な病院で指導されたそうです。米国では妊婦さんでも腎臓などに問題が無ければ糖質制限食は安全という認識なのだと理解しました。
日・米で大きな差を感じた出張になりました。
うさぎ | 2009.03.24(火) 11:29 」
とても参考になりました。ありがとうございます。
コメントの妊婦さんは、日本人の方?米国人の方?およその年齢は?出産されたのはおよそいつごろ?
ごく一般的な病院というのは、普通の産婦人科の病院で、妊娠糖尿病の場合、ただちに糖質制限食を指導されたということでしょうか?他の産婦人科の病院ではどうなのでしょうね?
お手数をおかけしますが、米国妊娠糖尿病の食事療法事情、うさぎさんのご存知の範囲、且つ、個人情報保護の範囲でいろいろ教えていただけば助かります。よろしくお願い申し上げます。
江部康二
☆☆☆うさぎさんのコメント
「・・・余談ですが、先々週から1週間ほど出張でアメリカに滞在したのですが、思いのほか糖質制限食がしやすかったです。メインディッシュの量がたっぷりなので、日本のように一皿余分にオーダーしなくてもよいですし、サラダの上にお肉やエビなど、好きなものを焼いてのせてくれるようなオプションがありました。もちろん、糖質の少ない葉野菜もたっぷりです。
また、米国ではカーボカウントが定着しているためだと思いますが、ごく普通の薬局で様々な種類の血糖測定器が販売されていましたし、本屋には食品別にカーボの量が一覧になっている本や料理本がたくさんありました。
一番印象的なお話としては、妊娠糖尿病になった方が、直ちに炭水化物(糖質)を制限するように指導され、無事に元気な赤ちゃんを出産されてました。ごく一般的な病院で指導されたそうです。米国では妊婦さんでも腎臓などに問題が無ければ糖質制限食は安全という認識なのだと理解しました。
日・米で大きな差を感じた出張になりました。
うさぎ | 2009.03.24(火) 11:29 」
2009年07月08日 (水)
おはようございます。
今朝は、梅雨らしいしとしと雨が降っています。
我が家の庭では、蝉の声はまだですが、昨夜は結構暑くて寝苦しかったです。
さて今回は、H-D大好きさんから、カゴメ「野菜一日これ一本」などについて、コメント・質問をいただきました。
【改めて...
江部先生、通りすがりさん、お騒がせしました(^-^;)無事、メアド付きのコメントを消すことが出来ました。
ホントに助かりました、通りすがりさん、ありがとうございましたm(_ _)m
...で、改めて今朝のコメントと言うか質問を投稿させていただきます↓
先生こんにちわ。いつもブログを拝見して勉強させていただいております、H-D大好きと申します。
4/22に空腹時血糖127、HbA1c6.4にて2型糖尿病と診断されました。その病院では
「このままの数字をキープする方向で間食さえしなければ、それでいい」
とだけ言われ、当初その気でいましたが、調べれば調べるほどに
「今は良くとも、これから先も何十年も現状維持だけでいいのだろうか」
という漠然とした不安を拭えずにいました。
その後5月の中旬に先生のブログと出会うことができ、早速それまでのカロリーのみの制限から糖質制限に切り替えました。たった2週間あまりで5/25に受診した際に空腹時血糖値90、HbA1c5.7まで改善し、その速やかな効果に驚くやら喜ぶやらでした。つい先日(6/20)もOGTTを受けて参りましたが、結論から言うと、A1cが5.4だったこともあり、診断は境界型でした。私自身は常々、境界型と糖尿病のボーダーは曖昧だと感じてはおり、兜の緒を緩める気はありませんが。
ともかく、以下は各時間毎の血糖値です。
空腹時の86からスタート。
ブドウ糖負荷30分後 164
ブドウ糖負荷60分後 235
ブドウ糖負荷120分後 166
確かに負荷2時間後に200を越えることはありませんでしたが、1時間後値は ひどいことになっています。
前置きが長くなりましたが、お伺いしたいことは以下の3点です。
①どうしても高蛋白高脂質になってしまうので野菜を意識して摂るようにしておりますが、カゴメさんの"野菜1日これ一本"は糖質制限食OK食品でしょうか?以下は200g紙パックの成分表ですが、出来れば350gペットで摂りたいのです↓
http://m.kenko.com/product/builder.html?code=A238610H&sessid=4bea445e58e47ed08b16564686829a3e&uid=NULLGWDOCOMO
②最新の血液データは上記の如く空腹時血糖86のHbA1c5.4ですが、未だに口渇・頻尿が抜けません。これから改善されるのでしょうか?
③糖負荷1時間後値が235と巨大なスパイクになっておりますが、こんなに高くては将来の合併症が心配です。糖質制限食を続けていれば改善する可能性はありますか?
何点も質問して申し訳ありません。私、多趣味でして、どの趣味も足や目を失うわけにいかず、ワラにもすがる思いなのです。
最後に、これからも先生の御活躍に注目して参りますので、いつまでも糖尿人の希望の星でいらして下さい!
2009/06/27(Sat) 13:30 | URL | H-D大好き | 】
H-D大好きさん。
コメントありがとうございます。症状改善よかったです。 (^_^)
空腹時血糖値86mg/dlまで改善してますので、インスリン基礎分泌は、しっかり確保されていますね。膵臓のβ細胞が糖質制限食で休養できて、かなり回復したと思われます。
①「どうしても高蛋白高脂質になってしまうので野菜を意識して摂るようにしておりますが、カゴメさんの"野菜1日これ一本"は糖質制限食OK食品でしょうか?以下は200g紙パックの成分表ですが、出来れば350gペットで摂りたいのです↓
http://m.kenko.com/product/builder.html?code=A238610H&sessid=4bea445e58e47ed08b16564686829a3e&uid=NULLGWDOCOMO」
カゴメの「野菜一日これ一本」は、
[原材料]野菜(にんじん、トマト、赤ピーマン、メキャベツ(プチヴェール)、はくさい、ケール、セロリ、アスパラガス、ブロッコリー、キャベツ、パセリ、ほうれん草、クレソン、たまねぎ、レタス、モロヘイヤ、かぼちゃ、ビート、だいこん、小松菜、しょうが、紫いも、あしたば、なす、ごぼう) 、レモン果汁
栄養成分表(1本/200mlあたり)
エネルギー 67kcal
たんぱく質 2.2g
脂質 0g
食物繊維 2.1g
糖質 13.6g
ナトリウム 18-140mg
カルシウム 42mg
カリウム 680mg
鉄 0.8mg
マグネシウム 32mg
亜鉛 0.4mg
ビタミンE 2.2mg
ショ糖 4.8g
β-カロテン 4.1-16.0mg
リコピン 12.5mg
*ショ糖(砂糖)は野菜に由来するものです。
糖質が200mlあたり、13.6g含まれていて、その内4.8gが野菜由来のショ糖です。従いまして、350gペットボトルだと23.8gの糖質です。
1gの糖質が体重64kgの2型糖尿人の血糖値を約3mg上昇させます。野菜の糖質も、寄り集まれば馬鹿にできません。
350gペットボトルを丸ごと飲むと71mg血糖値が上昇することになりますので、「野菜一日これ一本」糖尿人にはお奨めできませんね。( ̄_ ̄|||)
②「最新の血液データは上記の如く空腹時血糖86のHbA1c5.4ですが、未だに口渇・頻尿が抜けません。これから改善されるのでしょうか? 」
空腹時血糖86mgでHbA1c5.4%といった、コントロール優のレベルで「口渇・頻尿」といった症状が出ることは、糖尿病からは通常考えられません。
「口渇・頻尿」といった症状は血糖値200~300mg、HbA18~9%以上くらいで初めて出現してきます。初期の段階の糖尿病はほとんど無症状です。
H-D大好きさんのレベルの「境界型」で、口渇・頻尿が出現することはまれです。H-D大好きさんの「境界型」糖尿病と口渇や頻尿のは、無関係の可能性もあります。
③「糖負荷1時間後値が235と巨大なスパイクになっておりますが、こんなに高くては将来の合併症が心配です。糖質制限食を続けていれば改善する可能性はありますか? 」
ブドウ糖負荷試験1時間値が180mg/dlを超えている場合は、現在境界型でも将来糖尿病になるリスクが高いとされています。
一方、糖質制限食を続けている限りは、食後高血糖は生じないので将来糖尿病になることはありません。糖質制限食で膵臓のβ細胞が休養できて、耐糖能が改善する可能性も期待できますよ。ヾ(^▽^)
また、食後高血糖タイプの境界型は、心筋梗塞のリスクが糖尿人とそれほど変わらないとされています。将来の合併症予防のためにも、糖質制限食で食後高血糖を起こさないことが大切ですね。
江部康二
今朝は、梅雨らしいしとしと雨が降っています。
我が家の庭では、蝉の声はまだですが、昨夜は結構暑くて寝苦しかったです。
さて今回は、H-D大好きさんから、カゴメ「野菜一日これ一本」などについて、コメント・質問をいただきました。
【改めて...
江部先生、通りすがりさん、お騒がせしました(^-^;)無事、メアド付きのコメントを消すことが出来ました。
ホントに助かりました、通りすがりさん、ありがとうございましたm(_ _)m
...で、改めて今朝のコメントと言うか質問を投稿させていただきます↓
先生こんにちわ。いつもブログを拝見して勉強させていただいております、H-D大好きと申します。
4/22に空腹時血糖127、HbA1c6.4にて2型糖尿病と診断されました。その病院では
「このままの数字をキープする方向で間食さえしなければ、それでいい」
とだけ言われ、当初その気でいましたが、調べれば調べるほどに
「今は良くとも、これから先も何十年も現状維持だけでいいのだろうか」
という漠然とした不安を拭えずにいました。
その後5月の中旬に先生のブログと出会うことができ、早速それまでのカロリーのみの制限から糖質制限に切り替えました。たった2週間あまりで5/25に受診した際に空腹時血糖値90、HbA1c5.7まで改善し、その速やかな効果に驚くやら喜ぶやらでした。つい先日(6/20)もOGTTを受けて参りましたが、結論から言うと、A1cが5.4だったこともあり、診断は境界型でした。私自身は常々、境界型と糖尿病のボーダーは曖昧だと感じてはおり、兜の緒を緩める気はありませんが。
ともかく、以下は各時間毎の血糖値です。
空腹時の86からスタート。
ブドウ糖負荷30分後 164
ブドウ糖負荷60分後 235
ブドウ糖負荷120分後 166
確かに負荷2時間後に200を越えることはありませんでしたが、1時間後値は ひどいことになっています。
前置きが長くなりましたが、お伺いしたいことは以下の3点です。
①どうしても高蛋白高脂質になってしまうので野菜を意識して摂るようにしておりますが、カゴメさんの"野菜1日これ一本"は糖質制限食OK食品でしょうか?以下は200g紙パックの成分表ですが、出来れば350gペットで摂りたいのです↓
http://m.kenko.com/product/builder.html?code=A238610H&sessid=4bea445e58e47ed08b16564686829a3e&uid=NULLGWDOCOMO
②最新の血液データは上記の如く空腹時血糖86のHbA1c5.4ですが、未だに口渇・頻尿が抜けません。これから改善されるのでしょうか?
③糖負荷1時間後値が235と巨大なスパイクになっておりますが、こんなに高くては将来の合併症が心配です。糖質制限食を続けていれば改善する可能性はありますか?
何点も質問して申し訳ありません。私、多趣味でして、どの趣味も足や目を失うわけにいかず、ワラにもすがる思いなのです。
最後に、これからも先生の御活躍に注目して参りますので、いつまでも糖尿人の希望の星でいらして下さい!
2009/06/27(Sat) 13:30 | URL | H-D大好き | 】
H-D大好きさん。
コメントありがとうございます。症状改善よかったです。 (^_^)
空腹時血糖値86mg/dlまで改善してますので、インスリン基礎分泌は、しっかり確保されていますね。膵臓のβ細胞が糖質制限食で休養できて、かなり回復したと思われます。
①「どうしても高蛋白高脂質になってしまうので野菜を意識して摂るようにしておりますが、カゴメさんの"野菜1日これ一本"は糖質制限食OK食品でしょうか?以下は200g紙パックの成分表ですが、出来れば350gペットで摂りたいのです↓
http://m.kenko.com/product/builder.html?code=A238610H&sessid=4bea445e58e47ed08b16564686829a3e&uid=NULLGWDOCOMO」
カゴメの「野菜一日これ一本」は、
[原材料]野菜(にんじん、トマト、赤ピーマン、メキャベツ(プチヴェール)、はくさい、ケール、セロリ、アスパラガス、ブロッコリー、キャベツ、パセリ、ほうれん草、クレソン、たまねぎ、レタス、モロヘイヤ、かぼちゃ、ビート、だいこん、小松菜、しょうが、紫いも、あしたば、なす、ごぼう) 、レモン果汁
栄養成分表(1本/200mlあたり)
エネルギー 67kcal
たんぱく質 2.2g
脂質 0g
食物繊維 2.1g
糖質 13.6g
ナトリウム 18-140mg
カルシウム 42mg
カリウム 680mg
鉄 0.8mg
マグネシウム 32mg
亜鉛 0.4mg
ビタミンE 2.2mg
ショ糖 4.8g
β-カロテン 4.1-16.0mg
リコピン 12.5mg
*ショ糖(砂糖)は野菜に由来するものです。
糖質が200mlあたり、13.6g含まれていて、その内4.8gが野菜由来のショ糖です。従いまして、350gペットボトルだと23.8gの糖質です。
1gの糖質が体重64kgの2型糖尿人の血糖値を約3mg上昇させます。野菜の糖質も、寄り集まれば馬鹿にできません。
350gペットボトルを丸ごと飲むと71mg血糖値が上昇することになりますので、「野菜一日これ一本」糖尿人にはお奨めできませんね。( ̄_ ̄|||)
②「最新の血液データは上記の如く空腹時血糖86のHbA1c5.4ですが、未だに口渇・頻尿が抜けません。これから改善されるのでしょうか? 」
空腹時血糖86mgでHbA1c5.4%といった、コントロール優のレベルで「口渇・頻尿」といった症状が出ることは、糖尿病からは通常考えられません。
「口渇・頻尿」といった症状は血糖値200~300mg、HbA18~9%以上くらいで初めて出現してきます。初期の段階の糖尿病はほとんど無症状です。
H-D大好きさんのレベルの「境界型」で、口渇・頻尿が出現することはまれです。H-D大好きさんの「境界型」糖尿病と口渇や頻尿のは、無関係の可能性もあります。
③「糖負荷1時間後値が235と巨大なスパイクになっておりますが、こんなに高くては将来の合併症が心配です。糖質制限食を続けていれば改善する可能性はありますか? 」
ブドウ糖負荷試験1時間値が180mg/dlを超えている場合は、現在境界型でも将来糖尿病になるリスクが高いとされています。
一方、糖質制限食を続けている限りは、食後高血糖は生じないので将来糖尿病になることはありません。糖質制限食で膵臓のβ細胞が休養できて、耐糖能が改善する可能性も期待できますよ。ヾ(^▽^)
また、食後高血糖タイプの境界型は、心筋梗塞のリスクが糖尿人とそれほど変わらないとされています。将来の合併症予防のためにも、糖質制限食で食後高血糖を起こさないことが大切ですね。
江部康二
2009年07月07日 (火)
おはようございます。
糖質制限食実践者においては、血糖値・HbA1c・中性脂肪は速やかに改善します。
HDL-コレステロールは個人差があり、しっかり上昇する人と軽度に上昇する人がいます。
糖質制限食実践者の総コレステロール、LDLコレステロール値、尿酸値に関しては、個人差があり一定しません。
しかし、HDL-コレステロールが上昇し、中性脂肪が減少するので、真の悪玉である、小粒子LDLコレステロールや酸化LDLコレステロールは減ります。
糖質制限食の短期的効果に関しては、このように全ての指標が良い方に向かいます。
ちなみに私の場合は、2型糖尿病で2002年からスーパー糖質制限食実践中ですが、HDL-コレステロールが上昇し、中性脂肪が減少し、LDLコレステロールも少し減りました。血糖コントロールは、正常レベルです。
<江部康二の血液検査:スーパー糖質制限食7年間実践中>
2009年6月
空腹時採血血糖値93mg
HbA1c:5.3%
ケトン体:945μM/L(26~122) *糖質制限食中は生理的で正常
尿酸:3.6(3.4~7.0)
TC:238
TG:55
HDL-C:113.5
LDL-C:113
BUN:18.7(8~20)
クレアチニン:0.64(0.6~1.1)
シスタチンC:0.57(0.53~0.95)
IRI:2.2(3~15μU/ml) *インスリン基礎分泌がやや低下
NT-ProBNP:15pg/ml(125以下)
γGTP:39
高雄病院では、1999年から糖質制限食による糖尿病治療を開始しています。その結果、糖質制限食を実践する限りにおいては、99%の人が著明に血糖値が改善することを確認しています。
基本的に体重も減少し肥満が改善しますので、血圧も下がることが多いです。
それでは10年、20年後の長期的予後はどうなのでしょう?同級生の糖尿病専門医にいつも相談しているのですが、必ずこの話題がでてきます。
一つの答えは、イヌイットです。
生肉と生魚が主食という完全無欠の糖質制限食を四千年以上続けてきた民族ですが、有名なダイアベルグ博士の研究によると、心筋梗塞や脳梗塞が極めて少なかったことが報告されています。(^-^)v(^-^)v
二つ目の答えは最近流行の代謝症候群(メタボリック シンドローム)です。
一つ一つは些細な所見でも、二重・三重に重なってくると危険という警鐘です。
*腹囲基準:男性85cm、女性90cm以上、
①高血圧:130/85以上、
②空腹時血糖:110mg以上、
③中性脂肪高値:150mg以上 HDL-コレステロール:40mg未満
具体的には、腹囲基準を満たしていて、①②③の三項目中二項目を満たせば、何もない人に比べて、将来冠動脈疾患になる確率が、約31倍にもなるとされています。
糖質制限食の実践により、代謝症候群の指標が全て改善します。
逆に言えば糖質の過剰摂取こそが代謝症候群の根本要因といえます。
ともあれ西洋医学的に現在まで明らかにされている動脈硬化の危険因子が 糖質制限食の実践により全て改善するので、長期的予後も悪かろうはずがありません。
さらに三つ目として、米国の大きな疫学的研究を2つご紹介しましょう。
<米国医師会雑誌2006年2月8日号>
米国の大規模介入試験において脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して意外なことに心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げないことが米国医師会雑誌2006年2月8日号で報告されました。総コレステロール値に関しても、両群に優位な差はありませんでした。
この研究は、5万人弱の閉経女性を対象に対照群を置き、平均8年間にわたって追跡した大がかりなもので、所謂EBM(科学的根拠に基づいた医療)的にはトップランクに位置する権威あるものです。
権威ある研究により、従来の常識(脂肪悪玉説)が根底から覆ったわけですね。
<New England Journal of Medicine、2006年11月9日>
『米国の女性看護師82,802人を20年間追跡したところ、炭水化物が少なく脂肪とたんぱく質が多い食事でも、冠動脈疾患のリスクは上昇しなかった』
このような内容の研究が、New England Journal of Medicine、
2006年11月9日号にハーバード大学のグループにより報告されました。
今まで、 糖質制限食(即ち高脂肪・高タンパク食)の長期的な予後に関する本格的な研究がなかったのですが、とうとう出たという感じですね。
論文を要約すると
『1980年、米国の女性看護師82,802人に対して、質問票を使った食事調査を行い、研究を開始した。
1980年から1998年までのあいだに、2~4年間隔で食事調査を6回実施し、一人一人の低炭水化物食の度合を得点化。
2000年まで20年間の追跡調査を行ったところ、1994人が心筋梗塞などの冠動脈疾患に罹患した。
解析の結果、「低炭水化物食得点」が上位10%のグループの冠動脈疾患の発生率は、下位10%のグループの0.94倍で有意差なし。
つまり、脂肪とたんぱく質が多く炭水化物が少ない食事をしているグループでも、心臓病のリスクは上昇しなかった。
**Halton TL, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women. New England Journal of Medicine 2006;355:1991-2002.』
低炭水化物食を長期に続けた場合、心臓病リスクの上昇などの害が生じるのではないかという批判が、従来の医学界おいてありました。
今回の研究は、低炭水化物食の長期的な安全性を調べる目的で、20年間、82,802人の女性の分析が行われました。
その結果、少なくとも心臓病に関しては、高タンパク・高脂肪食の長期的安全性があるていど保証されたということになります。
このように、理論的にも短期データ的にも、長期の疫学的データでも 、糖質制限食(高タンパク・高脂肪食)の有効性と安全性が、確立されつつあるといえるでしょう。ヾ(^▽^)
江部康二
糖質制限食実践者においては、血糖値・HbA1c・中性脂肪は速やかに改善します。
HDL-コレステロールは個人差があり、しっかり上昇する人と軽度に上昇する人がいます。
糖質制限食実践者の総コレステロール、LDLコレステロール値、尿酸値に関しては、個人差があり一定しません。
しかし、HDL-コレステロールが上昇し、中性脂肪が減少するので、真の悪玉である、小粒子LDLコレステロールや酸化LDLコレステロールは減ります。
糖質制限食の短期的効果に関しては、このように全ての指標が良い方に向かいます。
ちなみに私の場合は、2型糖尿病で2002年からスーパー糖質制限食実践中ですが、HDL-コレステロールが上昇し、中性脂肪が減少し、LDLコレステロールも少し減りました。血糖コントロールは、正常レベルです。
<江部康二の血液検査:スーパー糖質制限食7年間実践中>
2009年6月
空腹時採血血糖値93mg
HbA1c:5.3%
ケトン体:945μM/L(26~122) *糖質制限食中は生理的で正常
尿酸:3.6(3.4~7.0)
TC:238
TG:55
HDL-C:113.5
LDL-C:113
BUN:18.7(8~20)
クレアチニン:0.64(0.6~1.1)
シスタチンC:0.57(0.53~0.95)
IRI:2.2(3~15μU/ml) *インスリン基礎分泌がやや低下
NT-ProBNP:15pg/ml(125以下)
γGTP:39
高雄病院では、1999年から糖質制限食による糖尿病治療を開始しています。その結果、糖質制限食を実践する限りにおいては、99%の人が著明に血糖値が改善することを確認しています。
基本的に体重も減少し肥満が改善しますので、血圧も下がることが多いです。
それでは10年、20年後の長期的予後はどうなのでしょう?同級生の糖尿病専門医にいつも相談しているのですが、必ずこの話題がでてきます。
一つの答えは、イヌイットです。
生肉と生魚が主食という完全無欠の糖質制限食を四千年以上続けてきた民族ですが、有名なダイアベルグ博士の研究によると、心筋梗塞や脳梗塞が極めて少なかったことが報告されています。(^-^)v(^-^)v
二つ目の答えは最近流行の代謝症候群(メタボリック シンドローム)です。
一つ一つは些細な所見でも、二重・三重に重なってくると危険という警鐘です。
*腹囲基準:男性85cm、女性90cm以上、
①高血圧:130/85以上、
②空腹時血糖:110mg以上、
③中性脂肪高値:150mg以上 HDL-コレステロール:40mg未満
具体的には、腹囲基準を満たしていて、①②③の三項目中二項目を満たせば、何もない人に比べて、将来冠動脈疾患になる確率が、約31倍にもなるとされています。
糖質制限食の実践により、代謝症候群の指標が全て改善します。
逆に言えば糖質の過剰摂取こそが代謝症候群の根本要因といえます。
ともあれ西洋医学的に現在まで明らかにされている動脈硬化の危険因子が 糖質制限食の実践により全て改善するので、長期的予後も悪かろうはずがありません。
さらに三つ目として、米国の大きな疫学的研究を2つご紹介しましょう。
<米国医師会雑誌2006年2月8日号>
米国の大規模介入試験において脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して意外なことに心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げないことが米国医師会雑誌2006年2月8日号で報告されました。総コレステロール値に関しても、両群に優位な差はありませんでした。
この研究は、5万人弱の閉経女性を対象に対照群を置き、平均8年間にわたって追跡した大がかりなもので、所謂EBM(科学的根拠に基づいた医療)的にはトップランクに位置する権威あるものです。
権威ある研究により、従来の常識(脂肪悪玉説)が根底から覆ったわけですね。
<New England Journal of Medicine、2006年11月9日>
『米国の女性看護師82,802人を20年間追跡したところ、炭水化物が少なく脂肪とたんぱく質が多い食事でも、冠動脈疾患のリスクは上昇しなかった』
このような内容の研究が、New England Journal of Medicine、
2006年11月9日号にハーバード大学のグループにより報告されました。
今まで、 糖質制限食(即ち高脂肪・高タンパク食)の長期的な予後に関する本格的な研究がなかったのですが、とうとう出たという感じですね。
論文を要約すると
『1980年、米国の女性看護師82,802人に対して、質問票を使った食事調査を行い、研究を開始した。
1980年から1998年までのあいだに、2~4年間隔で食事調査を6回実施し、一人一人の低炭水化物食の度合を得点化。
2000年まで20年間の追跡調査を行ったところ、1994人が心筋梗塞などの冠動脈疾患に罹患した。
解析の結果、「低炭水化物食得点」が上位10%のグループの冠動脈疾患の発生率は、下位10%のグループの0.94倍で有意差なし。
つまり、脂肪とたんぱく質が多く炭水化物が少ない食事をしているグループでも、心臓病のリスクは上昇しなかった。
**Halton TL, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women. New England Journal of Medicine 2006;355:1991-2002.』
低炭水化物食を長期に続けた場合、心臓病リスクの上昇などの害が生じるのではないかという批判が、従来の医学界おいてありました。
今回の研究は、低炭水化物食の長期的な安全性を調べる目的で、20年間、82,802人の女性の分析が行われました。
その結果、少なくとも心臓病に関しては、高タンパク・高脂肪食の長期的安全性があるていど保証されたということになります。
このように、理論的にも短期データ的にも、長期の疫学的データでも 、糖質制限食(高タンパク・高脂肪食)の有効性と安全性が、確立されつつあるといえるでしょう。ヾ(^▽^)
江部康二
2009年07月06日 (月)
こんにちは。
先ほど、高雄病院京都駅前診療所の外来を終えて、本院に戻ってきました。
さて今回はnecobabarさんから、急激なHbA1cの改善と糖尿病網膜症について、コメント・質問をいただきました。
「急激な数値の下降
こんにちは。お忙しい先生に長文申し訳ありません。私は17年位前に糖尿病を指摘されたのですが、その時は数値も軽くちょっとした食事制限ですぐ普通に戻ってしまいました。以来安心してずっと体重も管理せず、先日ついに眼科で眼の異常を発見されて専門医で検査しましたところ、合併症の網膜症が進んでいてレーザー一歩手前、HbA1cはなんと10。がけっぷちで気が付いて良かったですねと言われました。放置した自分をいくら後悔しても仕方がないのですが、これから勉強して頑張ろう!とインターネットで情報を探していて見つけたのが先生の本と糖質制限系ブログの数々でした。
本を何冊か購入してキッチンに置き、早速スーパー低糖質を厳密に実行してみました。我慢できる日は一日1食だったり、とにかく数値を戻したい一心です。糖質制限食は続けるつもりですが、根性ナシの私(ーー;)これほどきつい制限は長くはしていられないと思いますが。アマリール一日2回分処方されています。でも一食しか食べない日も多いので、薬は一日一回しか飲まない日が多いです。
その結果一ヶ月でHbA1cは10→8 空腹時血糖220→86、コレステロール、中性脂肪、クレアチニンすべて基準範囲内でした。
数値が下がってきたと喜んでいたら、そこで糖尿病眼科の先生と別の医者(親戚、専門医ではない)から言われたのが、あまり急激にHbA1cを落とすと、私のように病歴が長い者は良くない影響が出る、ということです。内分泌担当の先生は特に何もおっしゃいませんでした。病院の栄養指導の方は旧式の考えをされる方です。
少しペースを落とすべきでしょうか、それとも思いっきりやってしまっていいのでしょうか。私の場合はスタート地点の数値がすごいので早く戻したい気持ちが大きいのですが。お忙しい先生に長文の質問で申し訳ありません。
2009/07/05(Sun) 09:08 | URL | necobabar | 」
necobabarさん。
コメント・本のご購入ありがとうございます。HbA1c、空腹時血糖値の速やかな改善、よかったですね。 (^_^)
「数値が下がってきたと喜んでいたら、そこで糖尿病眼科の先生と別の医者(親戚、専門医ではない)から言われたのが、あまり急激にHbA1cを落とすと、私のように病歴が長い者は良くない影響が出る」
懸念されているのは、
「急速な血糖値の改善により網膜症の一時的な悪化や眼底出血を起こすことがある」
という従来からの定説のことですね。
確かに、インスリン注射やSU剤などにより急速に血糖値が改善した場合、改善速度が速いほど、網膜症の悪化率が高かったという論文報告がありますし、日常臨床上、糖尿病専門医の方々においては経験があることと思われます。
まあ一時的な悪化はあっても、長期的には血糖コントロールが良い方が網膜症にも良いということも報告されていますが、やはり心配ですよね。
それでは、糖質制限食によって血糖値が急速に改善した場合はどうなのでしょう?網膜症の悪化や眼底出血の心配はないのでしょうか?
実は当初、私達も糖質制限食でインスリン注射以上に速やかに血糖コントロールが良くなるので、このことを懸念していました。
1999年以来の高雄病院の経験で、糖質制限食による改善では基本的に網膜症の悪化はありませんでした。それで今は全く心配はしていないのですが、疑問は残りました。
何故?(・・?)
つまり、急速な血糖値の改善が、インスリン注射やSU剤により生じた時は、網膜症の悪化や眼底出血が起こりえるのに、 糖質制限食だともっと急速に血糖値が改善するのになぜ大丈夫なのか???
まず、最初にお断りしておきますが、インスリン注射やSU剤により急速に血糖値が改善した場合に、何故網膜症が悪化することがあるのか、医学的な原因は現在まで実は解明されていません。( ̄_ ̄|||)
それで、ここから先は、あくまでも江部康二の仮説としてお読み頂けば幸いです。即ち、まだ証明されているわけではありませんので・・・。
例えば、インスリン注射により、血糖値だけは急速に改善しますが、中性脂肪や酸化LDL、レムナントリポ蛋白といった脂質代謝やアミノ酸代謝は、基本的に改善されません。また、高インスリン血症そのものが、メタボリック・シンドロームの元凶とも言われています。
つまり、部分的に血糖値だけ下げて辻褄を合わせても、体の代謝全体は改善されていません。細小血管内や毛細血管内の血液中の成分内容も血糖以外は改善されていません。
血糖値が高値というのは勿論好ましくありませんが、人体はとりあえずその状態でそれなりの恒常性を保とうとしています。この時、血糖という部分だけ急速に下げたら全体の恒常性にかえって破綻が生じて、網膜症の悪化につながる可能性があると思います。SU剤も部分的改善で全体を見ていないことは同様です。
この点、糖質制限食ならば、血糖値、中性脂肪、酸化コレステロール、レムナントリポ蛋白など脂質代謝やアミノ酸代謝も全てが改善し、部分だけではなく代謝全体が改善しますから人体の恒常性は保たれます。そのため急速な血糖値改善にもかかわらず、網膜症の悪化がないと考えられます。
少し話は変わりますが、血糖を下げる薬、コレステロールを下げる薬、中性脂肪を下げる薬などを併せて飲んでいる患者さんは結構おられます。まあ、放置するよりはましとは思うのですが、生物においてははいくら部分をよせ集めても全体にはなりませんし、薬を多種類飲めば副作用の確率も上昇するのでそれなりに心配です。
糖質制限食なら、血糖も酸化コレステロールも中性脂肪もすべてOKで代謝全体が改善します。どちらが望ましいかは言うまでもありませんね。
necobabarさん。
このまま、順調に血糖値、HbA1cが改善していけば、主治医と相談されて
「アマリール2錠、朝夕前」→「1錠、朝前」→「アマリール中止」
も夢ではありませんので、美味しく楽しく糖質制限食をお続け下さいね。
江部康二
先ほど、高雄病院京都駅前診療所の外来を終えて、本院に戻ってきました。
さて今回はnecobabarさんから、急激なHbA1cの改善と糖尿病網膜症について、コメント・質問をいただきました。
「急激な数値の下降
こんにちは。お忙しい先生に長文申し訳ありません。私は17年位前に糖尿病を指摘されたのですが、その時は数値も軽くちょっとした食事制限ですぐ普通に戻ってしまいました。以来安心してずっと体重も管理せず、先日ついに眼科で眼の異常を発見されて専門医で検査しましたところ、合併症の網膜症が進んでいてレーザー一歩手前、HbA1cはなんと10。がけっぷちで気が付いて良かったですねと言われました。放置した自分をいくら後悔しても仕方がないのですが、これから勉強して頑張ろう!とインターネットで情報を探していて見つけたのが先生の本と糖質制限系ブログの数々でした。
本を何冊か購入してキッチンに置き、早速スーパー低糖質を厳密に実行してみました。我慢できる日は一日1食だったり、とにかく数値を戻したい一心です。糖質制限食は続けるつもりですが、根性ナシの私(ーー;)これほどきつい制限は長くはしていられないと思いますが。アマリール一日2回分処方されています。でも一食しか食べない日も多いので、薬は一日一回しか飲まない日が多いです。
その結果一ヶ月でHbA1cは10→8 空腹時血糖220→86、コレステロール、中性脂肪、クレアチニンすべて基準範囲内でした。
数値が下がってきたと喜んでいたら、そこで糖尿病眼科の先生と別の医者(親戚、専門医ではない)から言われたのが、あまり急激にHbA1cを落とすと、私のように病歴が長い者は良くない影響が出る、ということです。内分泌担当の先生は特に何もおっしゃいませんでした。病院の栄養指導の方は旧式の考えをされる方です。
少しペースを落とすべきでしょうか、それとも思いっきりやってしまっていいのでしょうか。私の場合はスタート地点の数値がすごいので早く戻したい気持ちが大きいのですが。お忙しい先生に長文の質問で申し訳ありません。
2009/07/05(Sun) 09:08 | URL | necobabar | 」
necobabarさん。
コメント・本のご購入ありがとうございます。HbA1c、空腹時血糖値の速やかな改善、よかったですね。 (^_^)
「数値が下がってきたと喜んでいたら、そこで糖尿病眼科の先生と別の医者(親戚、専門医ではない)から言われたのが、あまり急激にHbA1cを落とすと、私のように病歴が長い者は良くない影響が出る」
懸念されているのは、
「急速な血糖値の改善により網膜症の一時的な悪化や眼底出血を起こすことがある」
という従来からの定説のことですね。
確かに、インスリン注射やSU剤などにより急速に血糖値が改善した場合、改善速度が速いほど、網膜症の悪化率が高かったという論文報告がありますし、日常臨床上、糖尿病専門医の方々においては経験があることと思われます。
まあ一時的な悪化はあっても、長期的には血糖コントロールが良い方が網膜症にも良いということも報告されていますが、やはり心配ですよね。
それでは、糖質制限食によって血糖値が急速に改善した場合はどうなのでしょう?網膜症の悪化や眼底出血の心配はないのでしょうか?
実は当初、私達も糖質制限食でインスリン注射以上に速やかに血糖コントロールが良くなるので、このことを懸念していました。
1999年以来の高雄病院の経験で、糖質制限食による改善では基本的に網膜症の悪化はありませんでした。それで今は全く心配はしていないのですが、疑問は残りました。
何故?(・・?)
つまり、急速な血糖値の改善が、インスリン注射やSU剤により生じた時は、網膜症の悪化や眼底出血が起こりえるのに、 糖質制限食だともっと急速に血糖値が改善するのになぜ大丈夫なのか???
まず、最初にお断りしておきますが、インスリン注射やSU剤により急速に血糖値が改善した場合に、何故網膜症が悪化することがあるのか、医学的な原因は現在まで実は解明されていません。( ̄_ ̄|||)
それで、ここから先は、あくまでも江部康二の仮説としてお読み頂けば幸いです。即ち、まだ証明されているわけではありませんので・・・。
例えば、インスリン注射により、血糖値だけは急速に改善しますが、中性脂肪や酸化LDL、レムナントリポ蛋白といった脂質代謝やアミノ酸代謝は、基本的に改善されません。また、高インスリン血症そのものが、メタボリック・シンドロームの元凶とも言われています。
つまり、部分的に血糖値だけ下げて辻褄を合わせても、体の代謝全体は改善されていません。細小血管内や毛細血管内の血液中の成分内容も血糖以外は改善されていません。
血糖値が高値というのは勿論好ましくありませんが、人体はとりあえずその状態でそれなりの恒常性を保とうとしています。この時、血糖という部分だけ急速に下げたら全体の恒常性にかえって破綻が生じて、網膜症の悪化につながる可能性があると思います。SU剤も部分的改善で全体を見ていないことは同様です。
この点、糖質制限食ならば、血糖値、中性脂肪、酸化コレステロール、レムナントリポ蛋白など脂質代謝やアミノ酸代謝も全てが改善し、部分だけではなく代謝全体が改善しますから人体の恒常性は保たれます。そのため急速な血糖値改善にもかかわらず、網膜症の悪化がないと考えられます。
少し話は変わりますが、血糖を下げる薬、コレステロールを下げる薬、中性脂肪を下げる薬などを併せて飲んでいる患者さんは結構おられます。まあ、放置するよりはましとは思うのですが、生物においてははいくら部分をよせ集めても全体にはなりませんし、薬を多種類飲めば副作用の確率も上昇するのでそれなりに心配です。
糖質制限食なら、血糖も酸化コレステロールも中性脂肪もすべてOKで代謝全体が改善します。どちらが望ましいかは言うまでもありませんね。
necobabarさん。
このまま、順調に血糖値、HbA1cが改善していけば、主治医と相談されて
「アマリール2錠、朝夕前」→「1錠、朝前」→「アマリール中止」
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江部康二
2009年07月05日 (日)
【コメント・質問に関するお知らせ・お願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
読者の皆さんからご意見いただきましたが、確かに普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、主治医にご相談頂けば助かります。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
【講演会のお知らせ】
☆第33回日本産科婦人科栄養・代謝研究会2009年7月31日(金)
特別講演・江部康二
「栄養・代謝と糖質制限食」
午後3時~1時間
金沢で行われる学会です。
ブログ読者で産婦人科のドクターがおられましたら是非ご参加ください。
☆朝日カルチャーセンター京都http://www.asahi-culture.co.jp/www/kyoto-c.html
TEL 075-231-9693
2009年8月18日(火)10:30~12:00
食事で治す!アトピー・糖尿病・メタボ
-テーラーメードダイエットと糖質制限食-
☆脳と栄養のシンポジウム 2009年8月23日(日) 13:30~17:45
『分子整合医学概論』 溝口徹先生
『糖質制限の基礎と臨床 ~脳に糖質は必要か?』 14:15~15:00 江部康二
『精神科医療の現状と問題点』 市来真彦先生
『心療内科領域における栄養療法の実際』 姫野友美先生
『精神科領域における栄養療法の実際』 広瀬久益先生
会場:ニッショーホール 東京都港区虎ノ門2丁目9番16号
一般:¥3000-
医療:¥5000-
お問い合わせ
03-3350-8988 新宿溝口クリニック
☆糖質制限食シンポジウムin東京 2009年9月13日(日)
講師 山田悟先生 北里研究所病院糖尿病センター長
大柳珠美 NPO法人糖質制限食ネット理事 管理栄養士
江部康二 NPO法人糖質制限食ネット理事長 高雄病院理事長
会場 中野ZERO視聴覚ホール
お問い合わせ
NPO法人糖質制限食ネット・リボーン 曽我部ゆかり
(T/F)03−3388−5428
(e-mail) reborn@big.or.jp
【糖質制限食とは】
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。 また糖質は摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
一方、タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。これらはカロリーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を急峻に上昇させます。従って、糖質を摂取した時には、インスリンが大量に追加分泌されます。しかし、脂質やタンパク質は、血糖値をほとんど上昇させないので、インスリンの追加分泌は、ほとんどありません。
現在糖尿病において食後の急激な高血糖が大きな問題として注目されています。食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。そして食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。 従って6枚切りの食パン2枚(約310キロカロリー)食べると糖質 が約50g含まれているので、血糖値は150mgも上昇します。
一方、ロースステーキを300g(約1200キロカロリー)食べても糖質含有量は1gもないので、食後高血糖はほとんど生じないのです。 また、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の食パンとステーキの例でも明らかなようにカロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。なお、糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
☆☆☆
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。*炭水化物=糖質+食物繊維
【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内・保険適応】
お問い合わせは高雄病院
http://www.takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
【糖質制限食外来治療のご案内・予約制・保険適応】
高雄病院 電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院京都駅前診療所 電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
http://www.takao-hospital.net/
江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書きましたが、 糖質制限食実践によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」「 糖質制限食 春のレシピ」「 糖質制限食 夏のレシピ」「糖質制限食 秋のレシピ」「糖質制限食 冬のレシピ」(以上東洋経済新報社)「糖尿病のための糖質オフごちそうごはん」(アスペクト)などを参考にされて、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
江部康二
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読者の皆さんからご意見いただきましたが、確かに普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、主治医にご相談頂けば助かります。m(_ _)m
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掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
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2009年8月18日(火)10:30~12:00
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『分子整合医学概論』 溝口徹先生
『糖質制限の基礎と臨床 ~脳に糖質は必要か?』 14:15~15:00 江部康二
『精神科医療の現状と問題点』 市来真彦先生
『心療内科領域における栄養療法の実際』 姫野友美先生
『精神科領域における栄養療法の実際』 広瀬久益先生
会場:ニッショーホール 東京都港区虎ノ門2丁目9番16号
一般:¥3000-
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☆糖質制限食シンポジウムin東京 2009年9月13日(日)
講師 山田悟先生 北里研究所病院糖尿病センター長
大柳珠美 NPO法人糖質制限食ネット理事 管理栄養士
江部康二 NPO法人糖質制限食ネット理事長 高雄病院理事長
会場 中野ZERO視聴覚ホール
お問い合わせ
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【糖質制限食とは】
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。 また糖質は摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
一方、タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。これらはカロリーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を急峻に上昇させます。従って、糖質を摂取した時には、インスリンが大量に追加分泌されます。しかし、脂質やタンパク質は、血糖値をほとんど上昇させないので、インスリンの追加分泌は、ほとんどありません。
現在糖尿病において食後の急激な高血糖が大きな問題として注目されています。食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。そして食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。 従って6枚切りの食パン2枚(約310キロカロリー)食べると糖質 が約50g含まれているので、血糖値は150mgも上昇します。
一方、ロースステーキを300g(約1200キロカロリー)食べても糖質含有量は1gもないので、食後高血糖はほとんど生じないのです。 また、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の食パンとステーキの例でも明らかなようにカロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。なお、糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
☆☆☆
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。*炭水化物=糖質+食物繊維
【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内・保険適応】
お問い合わせは高雄病院
http://www.takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
【糖質制限食外来治療のご案内・予約制・保険適応】
高雄病院 電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院京都駅前診療所 電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
http://www.takao-hospital.net/
江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書きましたが、 糖質制限食実践によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」「 糖質制限食 春のレシピ」「 糖質制限食 夏のレシピ」「糖質制限食 秋のレシピ」「糖質制限食 冬のレシピ」(以上東洋経済新報社)「糖尿病のための糖質オフごちそうごはん」(アスペクト)などを参考にされて、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
江部康二
2009年07月05日 (日)
おはようございます。今日は、昼からテニスに出かける、貴重な日曜日です。
さて、モコさんから、ランタス、グリコランについてコメント・質問をいただきました。
「糖尿病のための糖質オフごちそうごはん
昨日手に入れました。
糖尿患者向けの本と違って、おしゃれなレシピ本のようで見ていて楽しくなります。熟読して健康体を手に入れたいと思います。
2008年の7月に糖尿病が発覚しました。
空腹時血糖値 300
HbA1c 12.1
体重 88kg
現在が
空腹時血糖値 88
HbA1c 5.2
体重 75kg
です。
朝ランタス7単位
朝・晩食後にグリコラン1錠で治療していますが、適量なのでしょうか・・・
ノボラピッドは必要ないと言われ5月から使っていませんが、ランタスは最初から単位を変えずずっと使っています。
もちろん現在は先生の本にあったように薬は一切使っていません。
薬を使わなくて良いか担当医に相談した方がよいのでしょうか?本当に治療する気があるのか?と疑問に思ってしまうような先生で、あまり相談をしたくありません(苦笑)
2009/07/04(Sat) 21:39 | URL | モコ
モコさん。
「糖尿病のための糖質オフごちそうごはん」(アスペクト)ご購入ありがとうございます。(⌒o⌒)v
「2008年の7月
空腹時血糖値 300
HbA1c 12.1
体重 88kg
現在が
空腹時血糖値 88
HbA1c 5.2
体重 75kg 」
空腹時血糖値、HbA1c、体重全て素晴らしい改善ですね。(^-^)v(^-^)v
ランタスは、長時間作用型のインスリンで、約22時間持続します。役割は、基礎分泌のインスリンの補充です。ランタスの量も当初から7単位ふえておらず、ノボラピッド(超速効型で追加分泌インスリンの補充)は中止できたのですね。これもすごいことです。
グリコラン(塩酸メトホルミン)は英国の大規模臨床試験(UKPDS:1998年報告)で、その有効性が確認されました。
肝臓での糖新生の抑制が主で、その他消化管からの糖吸収の抑制、末梢組織でのインスリン抵抗性の改善などがあります。
SU剤とは違って、膵臓に直接作用するのではなく、膵外作用で血糖値を下げますので、膵臓には優しい薬といえ、体重増加を来しにくいのも長所ですね。
モコさん、体重がかなり減少してますので、インスリン抵抗性も改善していると思います。
糖質制限食を続けることで、グリコランも休薬できて、ランタスの量をさらに減らせる可能性もあります。
【糖尿人の目標】
糖尿病合併症予防のために
① 空腹時血糖値140mg/dl未満→126mg/dl未満→さらには110mg/dl未満
② 食後2時間血糖値180mg/dlmg/dl未満→さらには140mg/dl未満
③ 理想的には食後1時間血糖値180mg/dl未満
④ HbA1c6.5%未満→さらには5.8%未満
モコさんは、糖尿人の目標①②③④をバッチリ達成しておられます。
インスリンは人体に必要不可欠なものですが、量としては少なければ少ないほど代謝にはやさしいです。目標達成の範囲で、ランタスの減量を目指しましょう。
江部康二
さて、モコさんから、ランタス、グリコランについてコメント・質問をいただきました。
「糖尿病のための糖質オフごちそうごはん
昨日手に入れました。
糖尿患者向けの本と違って、おしゃれなレシピ本のようで見ていて楽しくなります。熟読して健康体を手に入れたいと思います。
2008年の7月に糖尿病が発覚しました。
空腹時血糖値 300
HbA1c 12.1
体重 88kg
現在が
空腹時血糖値 88
HbA1c 5.2
体重 75kg
です。
朝ランタス7単位
朝・晩食後にグリコラン1錠で治療していますが、適量なのでしょうか・・・
ノボラピッドは必要ないと言われ5月から使っていませんが、ランタスは最初から単位を変えずずっと使っています。
もちろん現在は先生の本にあったように薬は一切使っていません。
薬を使わなくて良いか担当医に相談した方がよいのでしょうか?本当に治療する気があるのか?と疑問に思ってしまうような先生で、あまり相談をしたくありません(苦笑)
2009/07/04(Sat) 21:39 | URL | モコ
モコさん。
「糖尿病のための糖質オフごちそうごはん」(アスペクト)ご購入ありがとうございます。(⌒o⌒)v
「2008年の7月
空腹時血糖値 300
HbA1c 12.1
体重 88kg
現在が
空腹時血糖値 88
HbA1c 5.2
体重 75kg 」
空腹時血糖値、HbA1c、体重全て素晴らしい改善ですね。(^-^)v(^-^)v
ランタスは、長時間作用型のインスリンで、約22時間持続します。役割は、基礎分泌のインスリンの補充です。ランタスの量も当初から7単位ふえておらず、ノボラピッド(超速効型で追加分泌インスリンの補充)は中止できたのですね。これもすごいことです。
グリコラン(塩酸メトホルミン)は英国の大規模臨床試験(UKPDS:1998年報告)で、その有効性が確認されました。
肝臓での糖新生の抑制が主で、その他消化管からの糖吸収の抑制、末梢組織でのインスリン抵抗性の改善などがあります。
SU剤とは違って、膵臓に直接作用するのではなく、膵外作用で血糖値を下げますので、膵臓には優しい薬といえ、体重増加を来しにくいのも長所ですね。
モコさん、体重がかなり減少してますので、インスリン抵抗性も改善していると思います。
糖質制限食を続けることで、グリコランも休薬できて、ランタスの量をさらに減らせる可能性もあります。
【糖尿人の目標】
糖尿病合併症予防のために
① 空腹時血糖値140mg/dl未満→126mg/dl未満→さらには110mg/dl未満
② 食後2時間血糖値180mg/dlmg/dl未満→さらには140mg/dl未満
③ 理想的には食後1時間血糖値180mg/dl未満
④ HbA1c6.5%未満→さらには5.8%未満
モコさんは、糖尿人の目標①②③④をバッチリ達成しておられます。
インスリンは人体に必要不可欠なものですが、量としては少なければ少ないほど代謝にはやさしいです。目標達成の範囲で、ランタスの減量を目指しましょう。
江部康二
2009年07月04日 (土)
おはようございます。
糖質制限食と減量と本について、モモさんからコメント・質問をいただきました。
「体重について
はじめまして。モモと申します。
1年間に体重が大幅に増えてしまって、先日東洋医学の先生に診ていただいたところ、江部先生の本やブログをオススメいただきました。
血糖値は5/29・・食後2時間174だったのですが、食事に気をつけて6/26・・食後1時間30分124になりました。
ただ、体重が1キロしか減らないのです。。
運動が苦手で全くしないのですが、食事だけでやせることはむずかしいのでしょうか?
体脂肪計がないので体質が変わっているのかどうかも分からないのですが、糖質カットの食事法をどのくらい続けたら体重に影響があるのでしょうか?
又、夏のレシピを購入したのですが、他に初心者にも作りやすいレシピブックはありませんか?
又、大豆を使った食品を薦められたのですが、30代でイソフラボンのとりすぎに注意は必要ないでしょうか?未婚なので乳がんも心配しております。
はじめてなのにたくさんの質問、すみません。。(T_T)
この機会に糖質オフを毎日の習慣にできればと奮起しております。どうぞアドバイスよろしくお願いいたします。
2009/07/02(Thu) 15:25 | URL | モモ」
ももさん。
コメントそして「糖質制限食 夏のレシピ」ご購入ありがとうございます。
東洋医学の先生も糖質制限食ご推奨しただいて、ありがとうございます。
糖質制限食と体重減少は個人差があります。
8~9割の人は、運動無しで当初1~2週に1~2kgくらい減少していき、その後少しゆっくりになりますが、その人の適正体重でとまります。
私は2002年、糖尿病デビュー兼メタボデビューしたとき、167cm、66kgでしたが約半年で56kgになり、そのままキープしています。
約1割の人が、倹約遺伝子(別名・肥満遺伝子)の持ち主で、基礎代謝が低いです。基礎代謝が低い人は、「糖質制限食+カロリー制限食」の合わせ技で初めて減量できます。
減量に関しては、2009年01月26日 (月)のブログ、<NHK「ためしてガッテン」VS糖質制限食>をご参照くださいね。
糖質制限食・新人の方には、2009年6月発売の最新刊、「糖尿病のための糖質オフごちそうごはん」(アスペクト)がお奨めです。写真も見やすいとのこと、で評判は上々です。
現在、アマゾントップセラーの糖尿病コーナーのベスト2に入ってきました。
ちなみに「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」もそれぞれ、3位と5位で嬉しい限りです。(⌒o⌒)v
今回の本は、新しいパートナー、管理栄養士の大柳珠美さんとの共著です。大柳さんは、日本で最も糖質制限食に精通した管理栄養士のお一人です。豊富な経験と新しい視点で、わかりやすく使いやすい本に仕上げていただきました。
お肉もお魚もお酒もOK。面倒なカロリー計算も、交換表もいりません。糖尿病でも、食後高血糖を起こすことなく、美味しく楽しく食べることができる糖質制限食OKレシピが満載です。
112ぺージからの「食品糖質&タンパク質量表」には、1食あたりの食品の糖質量に加え、たんぱく質量も掲載しました。
食後血糖値に関して、2型糖尿人は糖質の計算だけで全く問題はありませんが、1型糖尿人の場合はタンパク質の計算が必要な場合がありますので、追加しました。表は、一人前の目安量と100g当たりの糖質量を併記し、使い勝手がよくなりました。
20ページの「糖質が少ない食品&多い食品」の表もよりわかりやすくなりました。
なお、大豆製品を食品(豆腐、納豆、湯葉・・・)から摂る限りは、全く問題ありません。問題になっているのは、サプリメントで大豆イソフラボンを単独で大量に摂取した場合です。
2009年06月04日 (木) のブログ「大豆製品と糖質制限食」をご参照ください。
閑話休題
本の話に戻りますが8月頃に、東洋経済新報社から、今までとは全く別の切り口の糖質制限食の新刊本が出版される予定なので読者の皆さん、乞うご期待ですよ。ヾ(^▽^)
江部康二
糖質制限食と減量と本について、モモさんからコメント・質問をいただきました。
「体重について
はじめまして。モモと申します。
1年間に体重が大幅に増えてしまって、先日東洋医学の先生に診ていただいたところ、江部先生の本やブログをオススメいただきました。
血糖値は5/29・・食後2時間174だったのですが、食事に気をつけて6/26・・食後1時間30分124になりました。
ただ、体重が1キロしか減らないのです。。
運動が苦手で全くしないのですが、食事だけでやせることはむずかしいのでしょうか?
体脂肪計がないので体質が変わっているのかどうかも分からないのですが、糖質カットの食事法をどのくらい続けたら体重に影響があるのでしょうか?
又、夏のレシピを購入したのですが、他に初心者にも作りやすいレシピブックはありませんか?
又、大豆を使った食品を薦められたのですが、30代でイソフラボンのとりすぎに注意は必要ないでしょうか?未婚なので乳がんも心配しております。
はじめてなのにたくさんの質問、すみません。。(T_T)
この機会に糖質オフを毎日の習慣にできればと奮起しております。どうぞアドバイスよろしくお願いいたします。
2009/07/02(Thu) 15:25 | URL | モモ」
ももさん。
コメントそして「糖質制限食 夏のレシピ」ご購入ありがとうございます。
東洋医学の先生も糖質制限食ご推奨しただいて、ありがとうございます。
糖質制限食と体重減少は個人差があります。
8~9割の人は、運動無しで当初1~2週に1~2kgくらい減少していき、その後少しゆっくりになりますが、その人の適正体重でとまります。
私は2002年、糖尿病デビュー兼メタボデビューしたとき、167cm、66kgでしたが約半年で56kgになり、そのままキープしています。
約1割の人が、倹約遺伝子(別名・肥満遺伝子)の持ち主で、基礎代謝が低いです。基礎代謝が低い人は、「糖質制限食+カロリー制限食」の合わせ技で初めて減量できます。
減量に関しては、2009年01月26日 (月)のブログ、<NHK「ためしてガッテン」VS糖質制限食>をご参照くださいね。
糖質制限食・新人の方には、2009年6月発売の最新刊、「糖尿病のための糖質オフごちそうごはん」(アスペクト)がお奨めです。写真も見やすいとのこと、で評判は上々です。
現在、アマゾントップセラーの糖尿病コーナーのベスト2に入ってきました。
ちなみに「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」もそれぞれ、3位と5位で嬉しい限りです。(⌒o⌒)v
今回の本は、新しいパートナー、管理栄養士の大柳珠美さんとの共著です。大柳さんは、日本で最も糖質制限食に精通した管理栄養士のお一人です。豊富な経験と新しい視点で、わかりやすく使いやすい本に仕上げていただきました。
お肉もお魚もお酒もOK。面倒なカロリー計算も、交換表もいりません。糖尿病でも、食後高血糖を起こすことなく、美味しく楽しく食べることができる糖質制限食OKレシピが満載です。
112ぺージからの「食品糖質&タンパク質量表」には、1食あたりの食品の糖質量に加え、たんぱく質量も掲載しました。
食後血糖値に関して、2型糖尿人は糖質の計算だけで全く問題はありませんが、1型糖尿人の場合はタンパク質の計算が必要な場合がありますので、追加しました。表は、一人前の目安量と100g当たりの糖質量を併記し、使い勝手がよくなりました。
20ページの「糖質が少ない食品&多い食品」の表もよりわかりやすくなりました。
なお、大豆製品を食品(豆腐、納豆、湯葉・・・)から摂る限りは、全く問題ありません。問題になっているのは、サプリメントで大豆イソフラボンを単独で大量に摂取した場合です。
2009年06月04日 (木) のブログ「大豆製品と糖質制限食」をご参照ください。
閑話休題
本の話に戻りますが8月頃に、東洋経済新報社から、今までとは全く別の切り口の糖質制限食の新刊本が出版される予定なので読者の皆さん、乞うご期待ですよ。ヾ(^▽^)
江部康二