2009年06月30日 (火)
こんにちは。
世の中相変わらず「脂肪悪玉説」が蔓延っていますね。( ̄_ ̄|||)
糖質制限食を実践すれば、相対的に高脂肪食になります。「脂肪悪玉説」には反論しておかなくてはなりませんせんね。('-^*)☆
以下は、国立健康・栄養研究所 生活習慣病研究部で、2002年に作成された<高脂血症とインスリン抵抗性>という論文の要旨です。
「脂肪摂取量の増大はインスリン抵抗性を引き起こす最も重要な環境因子である。これは、高脂肪食の摂取により肥満が発症し、それによって脂肪組織や筋肉での糖の取り込みが低下するためと考えられている。
その機序として、筋肉や肝臓への脂肪の過剰蓄積による代謝異常、脂肪細胞の肥大化によるTNF-αやレプチンなどの生理活性物質の分泌増加が考えられる。
また、インスリン依存的に血中から脂肪組織に糖を輸送するGLUT4 は、高脂肪食の摂取でmRNA発現量が減少することから、高脂肪食誘導性のインスリン抵抗性発症に関与している可能性がある。
しかし、脂肪には様々な種類があり、摂取する脂肪の質の違いによってインスリン抵抗性の発症は大きく異なる。一般に、飽和脂肪酸はインスリン抵抗性を来しやすい。
また、マウスに高脂肪食を負荷した研究では、リノール酸を多量に含む紅花油の摂取はインスリン抵抗性を発症しやすく、一方、魚油はインスリン抵抗性の発症が改善される傾向にあった。
魚油によるインスリン抵抗性の改善には、肝臓での脂肪合成の抑制と熱産生の増加が寄与していると考えられる。これらの成績は、インスリン抵抗性の予防法として食事療法が重要であることを強く示唆している。」
国立健康・栄養研究所の論文ですから、権威あるものなのでしょうが、「高脂肪食の摂取により肥満が発症」という常識から出発して論じておられます。
しかし、これはマウスにおいては兎も角、少なくともヒトにおいては、根拠のない神話です。
ヒトの体重減少に関しては、2008年のニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンに、イスラエルの研究報告が発表されました。(NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241)これは、322人を2年間追跡した権威ある疫学的研究です。
<低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。>
• イスラエルの322人(男性86%)
• (1)低脂肪法(カロリー制限あり)
• (2)オリーブ油の地中海法(カロリー制限あり)
• (3)低炭水化物法(カロリー制限なしのアトキンス式ダイエット)
• 3グループの食事法を2年間経過観察。
• 低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。
• NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241
「低炭水化物食(糖質制限食)が最も体重を減少させ、HDL-Cを増加させた。」ということで、長年の食事療法の論争に決着がついたと思います。アトキンス式の低炭水化物食ですから、当然高脂肪食です。
このように、ヒトにおいては、高脂肪・低炭水化物食がもっとも体重減少効果があることが証明されましたので、国立健康・栄養研究所の論文は出発点から問題ありですね。
「一般に、飽和脂肪酸はインスリン抵抗性を来しやすい。また、マウスに高脂肪食を負荷した研究では、リノール酸を多量に含む紅花油の摂取はインスリン抵抗性を発症しやすく、一方、魚油はインスリン抵抗性の発症が改善される傾向にあった。」
これもマウスの実験が根拠になっているなら、ヒトに当てはまるかどうかは疑問ですね。
なぜこのような間違いが生じるのでしょうか?。一つには例の脂肪悪玉説という「常識の壁」があります。
もう一つはこれも別の意味の医学界の常識の壁なのですが、どんな研究でも手軽なので、マウスやラットが実験動物として使われやすいことがあります。
しかし、マウスで高脂肪食の実験をすること自体が、根本的なカテゴリー・エラーなのです。(*- -)(*_ _)
なぜなら、マウスなどネズミ類は、本来の主食は草の種子(即ち今の穀物)です。草原が地球上の有力な植生として現れる鮮新世(510万年前)以降ネズミ科の動物が出現して爆発的に繁栄します。510万年間、草原の草の種子(穀物)を食べ続けてきたネズミに、高脂肪食を与えれば、代謝が破綻するのは当たり前です。
これは単純に、マウスの代謝に合わない(主食でない)高脂肪食を与えて病気を作るという実験です。インスリン抵抗性を始めとして、全ての代謝が狂って病気だらけになるのもいわずもがなです。
例えば、ゴリラの主食は「棘の多い大きな蔓や大きな草」です。ゴリラに高脂肪食を食べさせたら、代謝はガタガタになり、マウスと同様、たちどころに様々な病気になるでしょう。
人類の主食が島泰三氏の説(親指はなぜ太いのか・中公新書)の如く「骨、骨髄」であったかは兎も角 、穀物で無かったことは確実です。そして歴史的事実として、農耕の前は人類皆、糖質制限食でした。
またヒトの進化の過程で脳が急速に大きくなり、シナプシスが張り巡らされるためには、EPAとDHAの摂取が不可欠です。EPAとDHAは地上の植物性食品には含まれていません。
従って少なくとも、肉・骨髄・昆虫・地虫・魚貝・・・などの高蛋白・高脂肪食を、脳が急速に発達した20万年前頃、主食として食べてたことは間違いないでしょう。
結論です。
薬物の作用や毒性をネズミ類で動物実験するのは、研究方法として特に問題はないと思います。(動物実験自体の是非はおいておきます。)しかし、本来主食が全く異なるマウス・ラットなどネズミ類で、人類の食物代謝の研究をおこなうのは出発点から根本的に間違っています。
研究者の皆さん、「薬物の動物実験」と「食物の動物実験」は、全く意味が異なることを、認識してほしいと思います。そこのところ、是非よろしくお願い申し上げます。 m(_ _)m
江部康二
世の中相変わらず「脂肪悪玉説」が蔓延っていますね。( ̄_ ̄|||)
糖質制限食を実践すれば、相対的に高脂肪食になります。「脂肪悪玉説」には反論しておかなくてはなりませんせんね。('-^*)☆
以下は、国立健康・栄養研究所 生活習慣病研究部で、2002年に作成された<高脂血症とインスリン抵抗性>という論文の要旨です。
「脂肪摂取量の増大はインスリン抵抗性を引き起こす最も重要な環境因子である。これは、高脂肪食の摂取により肥満が発症し、それによって脂肪組織や筋肉での糖の取り込みが低下するためと考えられている。
その機序として、筋肉や肝臓への脂肪の過剰蓄積による代謝異常、脂肪細胞の肥大化によるTNF-αやレプチンなどの生理活性物質の分泌増加が考えられる。
また、インスリン依存的に血中から脂肪組織に糖を輸送するGLUT4 は、高脂肪食の摂取でmRNA発現量が減少することから、高脂肪食誘導性のインスリン抵抗性発症に関与している可能性がある。
しかし、脂肪には様々な種類があり、摂取する脂肪の質の違いによってインスリン抵抗性の発症は大きく異なる。一般に、飽和脂肪酸はインスリン抵抗性を来しやすい。
また、マウスに高脂肪食を負荷した研究では、リノール酸を多量に含む紅花油の摂取はインスリン抵抗性を発症しやすく、一方、魚油はインスリン抵抗性の発症が改善される傾向にあった。
魚油によるインスリン抵抗性の改善には、肝臓での脂肪合成の抑制と熱産生の増加が寄与していると考えられる。これらの成績は、インスリン抵抗性の予防法として食事療法が重要であることを強く示唆している。」
国立健康・栄養研究所の論文ですから、権威あるものなのでしょうが、「高脂肪食の摂取により肥満が発症」という常識から出発して論じておられます。
しかし、これはマウスにおいては兎も角、少なくともヒトにおいては、根拠のない神話です。
ヒトの体重減少に関しては、2008年のニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンに、イスラエルの研究報告が発表されました。(NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241)これは、322人を2年間追跡した権威ある疫学的研究です。
<低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。>
• イスラエルの322人(男性86%)
• (1)低脂肪法(カロリー制限あり)
• (2)オリーブ油の地中海法(カロリー制限あり)
• (3)低炭水化物法(カロリー制限なしのアトキンス式ダイエット)
• 3グループの食事法を2年間経過観察。
• 低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。
• NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241
「低炭水化物食(糖質制限食)が最も体重を減少させ、HDL-Cを増加させた。」ということで、長年の食事療法の論争に決着がついたと思います。アトキンス式の低炭水化物食ですから、当然高脂肪食です。
このように、ヒトにおいては、高脂肪・低炭水化物食がもっとも体重減少効果があることが証明されましたので、国立健康・栄養研究所の論文は出発点から問題ありですね。
「一般に、飽和脂肪酸はインスリン抵抗性を来しやすい。また、マウスに高脂肪食を負荷した研究では、リノール酸を多量に含む紅花油の摂取はインスリン抵抗性を発症しやすく、一方、魚油はインスリン抵抗性の発症が改善される傾向にあった。」
これもマウスの実験が根拠になっているなら、ヒトに当てはまるかどうかは疑問ですね。
なぜこのような間違いが生じるのでしょうか?。一つには例の脂肪悪玉説という「常識の壁」があります。
もう一つはこれも別の意味の医学界の常識の壁なのですが、どんな研究でも手軽なので、マウスやラットが実験動物として使われやすいことがあります。
しかし、マウスで高脂肪食の実験をすること自体が、根本的なカテゴリー・エラーなのです。(*- -)(*_ _)
なぜなら、マウスなどネズミ類は、本来の主食は草の種子(即ち今の穀物)です。草原が地球上の有力な植生として現れる鮮新世(510万年前)以降ネズミ科の動物が出現して爆発的に繁栄します。510万年間、草原の草の種子(穀物)を食べ続けてきたネズミに、高脂肪食を与えれば、代謝が破綻するのは当たり前です。
これは単純に、マウスの代謝に合わない(主食でない)高脂肪食を与えて病気を作るという実験です。インスリン抵抗性を始めとして、全ての代謝が狂って病気だらけになるのもいわずもがなです。
例えば、ゴリラの主食は「棘の多い大きな蔓や大きな草」です。ゴリラに高脂肪食を食べさせたら、代謝はガタガタになり、マウスと同様、たちどころに様々な病気になるでしょう。
人類の主食が島泰三氏の説(親指はなぜ太いのか・中公新書)の如く「骨、骨髄」であったかは兎も角 、穀物で無かったことは確実です。そして歴史的事実として、農耕の前は人類皆、糖質制限食でした。
またヒトの進化の過程で脳が急速に大きくなり、シナプシスが張り巡らされるためには、EPAとDHAの摂取が不可欠です。EPAとDHAは地上の植物性食品には含まれていません。
従って少なくとも、肉・骨髄・昆虫・地虫・魚貝・・・などの高蛋白・高脂肪食を、脳が急速に発達した20万年前頃、主食として食べてたことは間違いないでしょう。
結論です。
薬物の作用や毒性をネズミ類で動物実験するのは、研究方法として特に問題はないと思います。(動物実験自体の是非はおいておきます。)しかし、本来主食が全く異なるマウス・ラットなどネズミ類で、人類の食物代謝の研究をおこなうのは出発点から根本的に間違っています。
研究者の皆さん、「薬物の動物実験」と「食物の動物実験」は、全く意味が異なることを、認識してほしいと思います。そこのところ、是非よろしくお願い申し上げます。 m(_ _)m
江部康二
2009年06月29日 (月)
こんばんは。
チャレンジャーさんから、とても嬉しいコメントをいただきました。ブログ読者の皆さんの参考にもなりますので、記事にさせてもらいました。
「09/06/29 チャレンジャー
感謝感激!
江部先生
初めてコメントさせていただきます。
当方、43歳の会社員で、昨年6月の健康診断でHbA1cが9.0もあり、結果が出たその日から先生のブログを参考に糖質制限食を開始しました。先日、今年の健康診断の結果が出ましたので、以下に記載いたします。
体 重 87.5→67.9kg
腹 囲 96.2→78.5cm
BMI 27.5→21.5
HDL 46→72
中性脂肪 103→35
LDL 196→155
GOT 21→15
GPT 19→10
γ-GPT 52→17
LDH 170→155
尿 酸 7.1→7.5
クレアチニン 0.8→0.7
HbA1c 9.0→4.9
結果としては、尿酸値が少しあがっていましたが、その他の数値は大きく改善できたのかな、と考えています。HbA1cは5.0を切りましたし、毎日それなりの量を飲酒し、赤ワインなどを平気でボトル1本空けたりしている割にはγ-GPTが最小値を記録(これは酒飲みとしては非常に嬉しかったです!しかし飲みすぎは禁物ですよね)したり、糖質制限食の効果を実感しております。先生のブログや著書はもちろん、糖質制限ドットコムにもお世話になり、この一年頑張れました。今後も無理なく、おいしく楽しく糖質制限を実行していく所存です。
先生には本当に感謝しております。ご活躍を期待しております。
ありがとうございました!」
チャレンジャーさん。
コメントそして本のご購入ありがとうございます。
感謝感激!に私も感激ですよ。
1年間で、実に見事なまでの改善ですね。
おめでとうございます。(^-^)v(^-^)v
検査データ改善は基本的に糖質制限食を上手に実践されている証拠のようなものですね。尿酸もごく軽度の上昇ですが、そのうち落ち着くことが多いのでこのまま、美味しく楽しく末長く糖質制限食をお続け下さいね。ヾ(^▽^)
江部康二
チャレンジャーさんから、とても嬉しいコメントをいただきました。ブログ読者の皆さんの参考にもなりますので、記事にさせてもらいました。
「09/06/29 チャレンジャー
感謝感激!
江部先生
初めてコメントさせていただきます。
当方、43歳の会社員で、昨年6月の健康診断でHbA1cが9.0もあり、結果が出たその日から先生のブログを参考に糖質制限食を開始しました。先日、今年の健康診断の結果が出ましたので、以下に記載いたします。
体 重 87.5→67.9kg
腹 囲 96.2→78.5cm
BMI 27.5→21.5
HDL 46→72
中性脂肪 103→35
LDL 196→155
GOT 21→15
GPT 19→10
γ-GPT 52→17
LDH 170→155
尿 酸 7.1→7.5
クレアチニン 0.8→0.7
HbA1c 9.0→4.9
結果としては、尿酸値が少しあがっていましたが、その他の数値は大きく改善できたのかな、と考えています。HbA1cは5.0を切りましたし、毎日それなりの量を飲酒し、赤ワインなどを平気でボトル1本空けたりしている割にはγ-GPTが最小値を記録(これは酒飲みとしては非常に嬉しかったです!しかし飲みすぎは禁物ですよね)したり、糖質制限食の効果を実感しております。先生のブログや著書はもちろん、糖質制限ドットコムにもお世話になり、この一年頑張れました。今後も無理なく、おいしく楽しく糖質制限を実行していく所存です。
先生には本当に感謝しております。ご活躍を期待しております。
ありがとうございました!」
チャレンジャーさん。
コメントそして本のご購入ありがとうございます。
感謝感激!に私も感激ですよ。
1年間で、実に見事なまでの改善ですね。
おめでとうございます。(^-^)v(^-^)v
検査データ改善は基本的に糖質制限食を上手に実践されている証拠のようなものですね。尿酸もごく軽度の上昇ですが、そのうち落ち着くことが多いのでこのまま、美味しく楽しく末長く糖質制限食をお続け下さいね。ヾ(^▽^)
江部康二
2009年06月29日 (月)
こんにちは。
雨脚が少し強くなってきた京都です。
さて20代の方からコメント・質問をいただきました。
「現在20代でそこそこ若いのですが
やはり若いうちから糖尿予防および体重維持
糖質(特に炭水化物)は大幅に減らした方が いいと思いますか?今は若い人の糖尿病も
かなり多いと聞いたので・・・。
私も最近はパン・(朝は豆腐や大豆)間食(菓子類)なしジュースなしジャンクフード ラーメンは食べないようにしています。(つらいですが)
若いうちからの対策が必要なんでしょうかね?
江部先生がもし20代に戻れたら糖質制限を実行しようと思いますか?
2009/06/26(Fri) 22:12」
20代で糖尿病なしなら、糖質制限食を実践されてもいいのですが、選択肢の一つとして高雄病院食生活十箇条で、如何でしょう。私も20代に戻れるなら「高雄病院食生活十箇条」くらいでいきたいですね。
主食を未精製の穀物で少なめとしておけば、将来の生活習慣病の予防になりますよ。
『高雄病院食生活十箇条』 -アレルギー疾患の治療や生活習慣病予防に-
一、主食は未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
二、白パン・白砂糖など精製炭水化物の摂取は極力減らす
三、発酵食品(味噌、漬け物、納豆など)をきちんと食べる
四、液体でカロリーを摂らない(飲みものは水、番茶、麦茶、ほうじ茶など)
五、魚貝類はしっかり食べ、肉類は適量を摂る
六、季節の野菜や海草はしっかり食べ、旬の果物も適量摂る
七、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)など身体に良い油脂は積極的に摂る
八、牛乳は極力減らし、チーズやプレーンヨーグルトは適量摂る
九、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ
十、食事は楽しく、ゆっくり、よくかんで
江部康二
雨脚が少し強くなってきた京都です。
さて20代の方からコメント・質問をいただきました。
「現在20代でそこそこ若いのですが
やはり若いうちから糖尿予防および体重維持
糖質(特に炭水化物)は大幅に減らした方が いいと思いますか?今は若い人の糖尿病も
かなり多いと聞いたので・・・。
私も最近はパン・(朝は豆腐や大豆)間食(菓子類)なしジュースなしジャンクフード ラーメンは食べないようにしています。(つらいですが)
若いうちからの対策が必要なんでしょうかね?
江部先生がもし20代に戻れたら糖質制限を実行しようと思いますか?
2009/06/26(Fri) 22:12」
20代で糖尿病なしなら、糖質制限食を実践されてもいいのですが、選択肢の一つとして高雄病院食生活十箇条で、如何でしょう。私も20代に戻れるなら「高雄病院食生活十箇条」くらいでいきたいですね。
主食を未精製の穀物で少なめとしておけば、将来の生活習慣病の予防になりますよ。
『高雄病院食生活十箇条』 -アレルギー疾患の治療や生活習慣病予防に-
一、主食は未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
二、白パン・白砂糖など精製炭水化物の摂取は極力減らす
三、発酵食品(味噌、漬け物、納豆など)をきちんと食べる
四、液体でカロリーを摂らない(飲みものは水、番茶、麦茶、ほうじ茶など)
五、魚貝類はしっかり食べ、肉類は適量を摂る
六、季節の野菜や海草はしっかり食べ、旬の果物も適量摂る
七、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)など身体に良い油脂は積極的に摂る
八、牛乳は極力減らし、チーズやプレーンヨーグルトは適量摂る
九、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ
十、食事は楽しく、ゆっくり、よくかんで
江部康二
2009年06月29日 (月)
こんにちは。
昼から雨がしとしと、梅雨らしく降ってます。
さて、糖質制限食を実践する場合、相対的に高脂質になるので、脂質摂取には気を遣います。
今回は、久しぶりにトランス脂肪酸のお話です。いったん解決がついたかに見えた問題が再燃です。
トランス脂肪酸①
アメリカ・ニューヨーク市の健康問題委員会は、2006年12月5日、同市内の飲食店2万4000軒に対し、虚血性心疾患の一因とされている人工添加物・トランス脂肪酸を含む食用油の使用を全面的に禁止する決定(段階的にですが)を行いました。
具体的な数値としては、日本での摂取量は1.56グラム/日なのに対し、アメリカでは5.8グラム/日ものトランス脂肪酸を摂取しているそうです。
日本の厚生労働省はこの報道を受けて、「日本人はトランス脂肪酸の摂取量は少ないので特に制限する必要はない」とのコメントをだしました。
しかしながら、FAO/WHO食事・栄養及び慢性疾病予防に関する合同専門家会合(2002年開催)や米国のFDA(食品医薬品庁)は、食事中のトランス脂肪酸をエネルギーの1%以下にするよう勧告しています。
いくら日本の厚生労働省が大丈夫といっても、私は、わざわざ水素添加などの人工的なトランス脂肪酸を摂取する気にはなれません。人工的なトランス脂肪酸は、生体内でまともに代謝するシステムがないので、細胞膜などに紛れ込むと病理的かく乱を生じる恐れがあります。
人工的トランス脂肪酸は 、炎症反応を増加させ血管内皮を損傷させるため、虚血性心疾患に悪影響を与えるとされ、摂取量が増えると気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などアレルギー疾患の罹患率が上がることも報告されています。
さらに、胎児や乳児の発達に影響を及ぼす可能性や、認知症の誘因の可能性も指摘されています。
動植物で作られる脂肪酸は、通常ほとんどがシス型ですが、牛や羊などの反芻動物の脂肪分には、少量の天然のトランス脂肪酸が含まれています。
例えば、牛乳やバターやチーズにも含まれています。この天然のトランス脂肪酸は、人工的なトランス脂肪酸とは成分が異なり、生体内で共役リノール酸などに変換されます。共役リノール酸には発ガン予防作用があると言われています。
トランス脂肪酸②
食品の三大栄養素はタンパク質、糖質及び脂質ですが、その脂質を構成しているのが脂肪酸です。
トランス脂肪酸は、脂肪酸の一種で、加工油脂やそれらを使用した加工食品に含まれています。トランス脂肪酸には様々な種類があり、国際的にトランス脂肪酸に関する明確な定義や測定法が統一されていないのが現状です
トランス脂肪酸の生成については、次の三つの過程が考えられています。
(1) 油を高温で加熱する過程において生成
(2) 植物油等の加工に際し水素添加の過程において生成
(3) 自然界において、牛など(反芻動物)の第一胃内でバクテリアにより生成(脂肪や肉などに少量含まれる)
*日本の食品に含まれる総脂肪酸中のトランス型脂肪酸の平均割合(天然と人工込み)
マーガリン 13.5%
バター 4.1%
チーズ 5.7%
牛乳 4.5%
食パン 9.3%
ドーナツ 0.8~23.9%
フライドポテト 0.8~19.5%
レトルトカレー 6.2%
牛肉バラ 4.9%
牛肉ヒレ 2.7%
(日本食品油脂検査協会調べ)
1)
ヘキサンなどの溶媒を使用して、高温で抽出された植物性油脂(市販大豆油、コーン油、ナタネ油など)や、高温の植物性油脂を使って調理した食品(揚げ物、フライ、天ぷらなど)、植物性油脂を含み高温で調理された食品(スナック菓子、冷凍食品など)などには、油脂の高温処理という過程で産生される、人工のトランス脂肪酸が多く含まれていることが分かってきました。
フライドチキンやポテトチップなど毎日食べたりするのは危険かも・・・
2)
マーガリン類(マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング)の原材料には、食用植物油脂と硬化油脂が使用されています。
食用植物油脂はサラダ油の原料でもある比較的安価な大豆油、菜種油、コーン油などがよく使われます。
これらの油脂は、常温では液状です。これに適度な硬さを付加してマーガリンにするために、硬化油脂(水素添加して固体状にした油脂)を配合します。
この硬化油脂を製造する工程で、トランス脂肪酸が発生します。したがって、硬化油脂を使用しているマーガリン類には人工のトランス脂肪酸が含まれることになります。
3)
牛などの反芻動物の胃内に共生するバクテリアは、シス型の不飽和脂肪酸をトランス型に変換する特殊な酵素を持っています。このバクテリアが産生するトランス脂肪酸は主にバクセン酸です。
牛肉や乳製品には、2-5%程度のトランス脂肪酸が含まれていますが、その大部分はバクセン酸です。バクセン酸は、エライジン酸とは不飽和結合の位置が異なる位置異性体です。
摂取されたバクセン酸は、生体内にある酵素の働きで、共役不飽和脂肪酸の一種に変換され生理的に利用されるとされています。
一方、人工の硬化油脂等には、エライジン酸など、多種類のトランス脂肪酸が含まれています。人工の硬化油脂には、バクセン酸以外のトランス脂肪酸が多く、硬化油脂に含まれるトランス脂肪酸の大部分は、生体内でも共役不飽和脂肪酸に変換されず代謝されないので、生体内に何らかのかく乱を生じる可能性があります。
従って今までは、「天然由来のトランス脂肪酸は安全で、人工的トランス脂肪酸は危険」と割り切れたのですが、
最近、「トランス脂肪酸は天然も人工も全て危険」という説があることをtomoさんからコメントいただきましたのでご参照下さい。**
tomoさん、貴重な情報ありがとうございます。トランス脂肪酸については今後の課題ですね。一方、脂質摂取に関して、私もtomoさんのご意見に賛成です。
江部康二
トランス脂肪酸③
農業情報研究所(WAPIC)北林寿信氏(http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/index.html)の情報によるとネイチャー・ニュースが、2006年6月12日、
「トランス脂肪酸を食べると同じカロリーの他の脂肪を食べるよりも太るし、インスリン抵抗性が増す。」
という研究について伝えています。
研究チームは、サルの一グループに水素添加のトランス脂肪酸が摂取カロリーの8%になる食事を与えました。第二のグループのサルにも同じ食事を与えましたが、トランス脂肪酸を別の同カロリーの脂肪に置き換えて与えました。
6年を経た後、トランス脂肪酸を食べたサルの体重は7%増えたのに対し、第二グループのサルの体重は2%増えただけでした。
さらにトランス脂肪酸サルは血糖値が高く、インスリン抵抗性が増加していました。これは、トランス脂肪酸が糖尿病発症を促進することを示唆します。
江部康二
**
「牛のトランス脂肪酸も有害」との中間報告
はじめまして、tomoです(以前、別名でコメントさせて頂きました)。天然トランス脂肪酸の有害性に関する新情報をみつけましたのでご報告します。
牛の体内にあるトランス脂肪はヴァクセン酸(VA)と共役リノール酸(CLA)ですが、人がVAを食べると体内でCLAに変化するそうです。今まで共役リノール酸(CLA)は安全でむしろ抗癌作用があり有用と思われていましたが、CLAも有害という実験結果の中間報告が発表されています。
実験は61人の男女を対象にした9週間の期間に渡るもので中間報告は2008年11月に全米心臓病協会(American Heart Association)の会合で行われました。発表者はアムステルダム自由大学のブラウエル(ブラウワー)博士で、発表を中間報告の形でおこなったのは、関係する患者に結果を早く伝えたかったから、とのことです。正式な報告は後におこなわれるそうですが、現時点ですでに発表されているか否かは不明です。(正確には正式な報告書を読む必要があります。)
実験の方法と結果の概略は、文章の引用を禁止している、以下のサイトに解説されていますので、日本語で読むことができます。直リンクを避けますので次の指示に従って記事を検索して下さい。
1. まず以下のサイトのホームページを開いてください:
「ノギボタニカル」 URL http://www.botanical.jp/
2.このページの[健康と食品の解説]という部分をクリックします。
3. ページが変わったら「no.2008120547 2008/12/05 共役リノール酸(天然トランス脂肪酸)の有害性」という項目を探してクリックすれば詳細な解説が表示されます。
なお、私はこのページを偶然Googleによる検索中に発見しました。試しに「共役リノール酸 有害性」という2つのキーワードをスペースで区切って入力して検索したところ、トップに表示されましたのでGoogleを使う方が素早く解説ページにたどり着けると思います。
一応の結論です。糖質制限食は必然的に高脂質食になりますから、食事で摂る脂質はできる限り害の少ないものを選ばないと、長期的にみて、心臓病・動脈硬化・ガンなどのリスクを高める可能性があります。現時点での自衛策として、乳製品と脂肪の多い部位の牛肉の摂取を控えめにして、他の種類の肉と脂質(オリーブ油、高オレイン酸キャノーラ油、シソ油、エゴマ油、亜麻仁油、胡麻油、ラードなど)や魚を多めにする方が良さそうです。(トランス脂肪はコールドプレスのオリーブ油などを除く市販の油にも数%程度含まれていると推定されていますから乳製品の4~5%という値が異常に高いというわけではありません。摂取の総量が多くならないように気を付けましょうという意味です。)
リスクを覚悟の上で牛の脂肪をたくさん食べるのもご自由ですが、牛由来の脂肪もマーガリンやショートニング、硬化油と同じように危険かもしれない、ということも考えに入れておいて下さい。
脂肪とタンパク質を多く取るアメリカ人富裕層女性の平均寿命が日本人女性のそれに及ばないのもトランス脂肪の取りすぎが原因のひとつかもしれません。(アメリカ人の心臓病の多さから考えるとトランス脂肪有害説が有力かも…)
tomo | 2009.04.17(金) 22:44
昼から雨がしとしと、梅雨らしく降ってます。
さて、糖質制限食を実践する場合、相対的に高脂質になるので、脂質摂取には気を遣います。
今回は、久しぶりにトランス脂肪酸のお話です。いったん解決がついたかに見えた問題が再燃です。
トランス脂肪酸①
アメリカ・ニューヨーク市の健康問題委員会は、2006年12月5日、同市内の飲食店2万4000軒に対し、虚血性心疾患の一因とされている人工添加物・トランス脂肪酸を含む食用油の使用を全面的に禁止する決定(段階的にですが)を行いました。
具体的な数値としては、日本での摂取量は1.56グラム/日なのに対し、アメリカでは5.8グラム/日ものトランス脂肪酸を摂取しているそうです。
日本の厚生労働省はこの報道を受けて、「日本人はトランス脂肪酸の摂取量は少ないので特に制限する必要はない」とのコメントをだしました。
しかしながら、FAO/WHO食事・栄養及び慢性疾病予防に関する合同専門家会合(2002年開催)や米国のFDA(食品医薬品庁)は、食事中のトランス脂肪酸をエネルギーの1%以下にするよう勧告しています。
いくら日本の厚生労働省が大丈夫といっても、私は、わざわざ水素添加などの人工的なトランス脂肪酸を摂取する気にはなれません。人工的なトランス脂肪酸は、生体内でまともに代謝するシステムがないので、細胞膜などに紛れ込むと病理的かく乱を生じる恐れがあります。
人工的トランス脂肪酸は 、炎症反応を増加させ血管内皮を損傷させるため、虚血性心疾患に悪影響を与えるとされ、摂取量が増えると気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などアレルギー疾患の罹患率が上がることも報告されています。
さらに、胎児や乳児の発達に影響を及ぼす可能性や、認知症の誘因の可能性も指摘されています。
動植物で作られる脂肪酸は、通常ほとんどがシス型ですが、牛や羊などの反芻動物の脂肪分には、少量の天然のトランス脂肪酸が含まれています。
例えば、牛乳やバターやチーズにも含まれています。この天然のトランス脂肪酸は、人工的なトランス脂肪酸とは成分が異なり、生体内で共役リノール酸などに変換されます。共役リノール酸には発ガン予防作用があると言われています。
トランス脂肪酸②
食品の三大栄養素はタンパク質、糖質及び脂質ですが、その脂質を構成しているのが脂肪酸です。
トランス脂肪酸は、脂肪酸の一種で、加工油脂やそれらを使用した加工食品に含まれています。トランス脂肪酸には様々な種類があり、国際的にトランス脂肪酸に関する明確な定義や測定法が統一されていないのが現状です
トランス脂肪酸の生成については、次の三つの過程が考えられています。
(1) 油を高温で加熱する過程において生成
(2) 植物油等の加工に際し水素添加の過程において生成
(3) 自然界において、牛など(反芻動物)の第一胃内でバクテリアにより生成(脂肪や肉などに少量含まれる)
*日本の食品に含まれる総脂肪酸中のトランス型脂肪酸の平均割合(天然と人工込み)
マーガリン 13.5%
バター 4.1%
チーズ 5.7%
牛乳 4.5%
食パン 9.3%
ドーナツ 0.8~23.9%
フライドポテト 0.8~19.5%
レトルトカレー 6.2%
牛肉バラ 4.9%
牛肉ヒレ 2.7%
(日本食品油脂検査協会調べ)
1)
ヘキサンなどの溶媒を使用して、高温で抽出された植物性油脂(市販大豆油、コーン油、ナタネ油など)や、高温の植物性油脂を使って調理した食品(揚げ物、フライ、天ぷらなど)、植物性油脂を含み高温で調理された食品(スナック菓子、冷凍食品など)などには、油脂の高温処理という過程で産生される、人工のトランス脂肪酸が多く含まれていることが分かってきました。
フライドチキンやポテトチップなど毎日食べたりするのは危険かも・・・
2)
マーガリン類(マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング)の原材料には、食用植物油脂と硬化油脂が使用されています。
食用植物油脂はサラダ油の原料でもある比較的安価な大豆油、菜種油、コーン油などがよく使われます。
これらの油脂は、常温では液状です。これに適度な硬さを付加してマーガリンにするために、硬化油脂(水素添加して固体状にした油脂)を配合します。
この硬化油脂を製造する工程で、トランス脂肪酸が発生します。したがって、硬化油脂を使用しているマーガリン類には人工のトランス脂肪酸が含まれることになります。
3)
牛などの反芻動物の胃内に共生するバクテリアは、シス型の不飽和脂肪酸をトランス型に変換する特殊な酵素を持っています。このバクテリアが産生するトランス脂肪酸は主にバクセン酸です。
牛肉や乳製品には、2-5%程度のトランス脂肪酸が含まれていますが、その大部分はバクセン酸です。バクセン酸は、エライジン酸とは不飽和結合の位置が異なる位置異性体です。
摂取されたバクセン酸は、生体内にある酵素の働きで、共役不飽和脂肪酸の一種に変換され生理的に利用されるとされています。
一方、人工の硬化油脂等には、エライジン酸など、多種類のトランス脂肪酸が含まれています。人工の硬化油脂には、バクセン酸以外のトランス脂肪酸が多く、硬化油脂に含まれるトランス脂肪酸の大部分は、生体内でも共役不飽和脂肪酸に変換されず代謝されないので、生体内に何らかのかく乱を生じる可能性があります。
従って今までは、「天然由来のトランス脂肪酸は安全で、人工的トランス脂肪酸は危険」と割り切れたのですが、
最近、「トランス脂肪酸は天然も人工も全て危険」という説があることをtomoさんからコメントいただきましたのでご参照下さい。**
tomoさん、貴重な情報ありがとうございます。トランス脂肪酸については今後の課題ですね。一方、脂質摂取に関して、私もtomoさんのご意見に賛成です。
江部康二
トランス脂肪酸③
農業情報研究所(WAPIC)北林寿信氏(http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/index.html)の情報によるとネイチャー・ニュースが、2006年6月12日、
「トランス脂肪酸を食べると同じカロリーの他の脂肪を食べるよりも太るし、インスリン抵抗性が増す。」
という研究について伝えています。
研究チームは、サルの一グループに水素添加のトランス脂肪酸が摂取カロリーの8%になる食事を与えました。第二のグループのサルにも同じ食事を与えましたが、トランス脂肪酸を別の同カロリーの脂肪に置き換えて与えました。
6年を経た後、トランス脂肪酸を食べたサルの体重は7%増えたのに対し、第二グループのサルの体重は2%増えただけでした。
さらにトランス脂肪酸サルは血糖値が高く、インスリン抵抗性が増加していました。これは、トランス脂肪酸が糖尿病発症を促進することを示唆します。
江部康二
**
「牛のトランス脂肪酸も有害」との中間報告
はじめまして、tomoです(以前、別名でコメントさせて頂きました)。天然トランス脂肪酸の有害性に関する新情報をみつけましたのでご報告します。
牛の体内にあるトランス脂肪はヴァクセン酸(VA)と共役リノール酸(CLA)ですが、人がVAを食べると体内でCLAに変化するそうです。今まで共役リノール酸(CLA)は安全でむしろ抗癌作用があり有用と思われていましたが、CLAも有害という実験結果の中間報告が発表されています。
実験は61人の男女を対象にした9週間の期間に渡るもので中間報告は2008年11月に全米心臓病協会(American Heart Association)の会合で行われました。発表者はアムステルダム自由大学のブラウエル(ブラウワー)博士で、発表を中間報告の形でおこなったのは、関係する患者に結果を早く伝えたかったから、とのことです。正式な報告は後におこなわれるそうですが、現時点ですでに発表されているか否かは不明です。(正確には正式な報告書を読む必要があります。)
実験の方法と結果の概略は、文章の引用を禁止している、以下のサイトに解説されていますので、日本語で読むことができます。直リンクを避けますので次の指示に従って記事を検索して下さい。
1. まず以下のサイトのホームページを開いてください:
「ノギボタニカル」 URL http://www.botanical.jp/
2.このページの[健康と食品の解説]という部分をクリックします。
3. ページが変わったら「no.2008120547 2008/12/05 共役リノール酸(天然トランス脂肪酸)の有害性」という項目を探してクリックすれば詳細な解説が表示されます。
なお、私はこのページを偶然Googleによる検索中に発見しました。試しに「共役リノール酸 有害性」という2つのキーワードをスペースで区切って入力して検索したところ、トップに表示されましたのでGoogleを使う方が素早く解説ページにたどり着けると思います。
一応の結論です。糖質制限食は必然的に高脂質食になりますから、食事で摂る脂質はできる限り害の少ないものを選ばないと、長期的にみて、心臓病・動脈硬化・ガンなどのリスクを高める可能性があります。現時点での自衛策として、乳製品と脂肪の多い部位の牛肉の摂取を控えめにして、他の種類の肉と脂質(オリーブ油、高オレイン酸キャノーラ油、シソ油、エゴマ油、亜麻仁油、胡麻油、ラードなど)や魚を多めにする方が良さそうです。(トランス脂肪はコールドプレスのオリーブ油などを除く市販の油にも数%程度含まれていると推定されていますから乳製品の4~5%という値が異常に高いというわけではありません。摂取の総量が多くならないように気を付けましょうという意味です。)
リスクを覚悟の上で牛の脂肪をたくさん食べるのもご自由ですが、牛由来の脂肪もマーガリンやショートニング、硬化油と同じように危険かもしれない、ということも考えに入れておいて下さい。
脂肪とタンパク質を多く取るアメリカ人富裕層女性の平均寿命が日本人女性のそれに及ばないのもトランス脂肪の取りすぎが原因のひとつかもしれません。(アメリカ人の心臓病の多さから考えるとトランス脂肪有害説が有力かも…)
tomo | 2009.04.17(金) 22:44
2009年06月28日 (日)
おはようございます。
梅雨だというのに、雨がほとんど降らない京都です。
さてアザミさんからとても嬉しいコメントをいただきました。 (^_^)
「糖質オフごはん
楽しみにしていた「糖質オフごはん」の本が届きました。
「小麦粉のいらないお好み焼き」や麺類など
一品ごとに大きな写真があり大変見やすいです。
明日はさっそく小麦粉のいらないお好み焼きをお昼にしてみたいです。
出版のご苦労はたくさんあるのでしょうが待っている糖尿人にとっては本当に待ち遠しくありがたいものでした。
ちょっと首が伸びちゃいました・・へへ
今からじっくり読みたいと思います。
ありがとうございました(#^.^#)
2009/06/27(Sat) 15:16 | URL | アザミ」
アザミさん。
コメント、そして「糖尿病のための糖質オフごちそうごはん」(アスペクト)ご購入、ありがとうございます。写真、見やすいとのこと、嬉しい限りです。(⌒o⌒)v
今回の本は、新しいパートナー、管理栄養士の大柳珠美さんとの共著です。大柳さんは、日本で最も糖質制限食に精通した管理栄養士のお一人です。豊富な経験と新しい視点で、わかりやすく使いやすい本に仕上げていただきました。
お肉もお魚もお酒もOK。面倒なカロリー計算も、交換表もいりません。糖尿病でも、食後高血糖を起こすことなく、美味しく楽しく食べることができる糖質制限食OKレシピが満載です。
112ぺージからの「食品糖質&タンパク質量表」には、1食あたりの食品の糖質量に加え、たんぱく質量も掲載しました。
食後血糖値に関して、2型糖尿人は糖質の計算だけで全く問題はありませんが、1型糖尿人の場合はタンパク質の計算が必要な場合がありますので、追加しました。表は、一人前の目安量と100g当たりの糖質量を併記し、使い勝手がよくなりました。
20ページの「糖質が少ない食品&多い食品」の表もよりわかりやすくなりました。
2005年に「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」を出版して、4年の月日が過ぎました。
お陰様でベストセラー・ロングセラーとなり、世の中に「糖質制限食」を広めるきっかけになったと自負しています。
今回、大柳珠美さんという良きパートナーを得て、糖質制限食の新しいレシピ本を刊行できたことはとてもタイムリーでした。
糖尿病治療には美味しく楽しく糖質制限食、本書が皆様のお役に立てれば幸甚です。
なお7月頃に、東洋経済新報社から、
今までとは全く別の切り口の糖質制限食の新刊本が出版される予定なので読者の皆さん、
乞うご期待ですよ。ヾ(^▽^)
江部康二
梅雨だというのに、雨がほとんど降らない京都です。
さてアザミさんからとても嬉しいコメントをいただきました。 (^_^)
「糖質オフごはん
楽しみにしていた「糖質オフごはん」の本が届きました。
「小麦粉のいらないお好み焼き」や麺類など
一品ごとに大きな写真があり大変見やすいです。
明日はさっそく小麦粉のいらないお好み焼きをお昼にしてみたいです。
出版のご苦労はたくさんあるのでしょうが待っている糖尿人にとっては本当に待ち遠しくありがたいものでした。
ちょっと首が伸びちゃいました・・へへ
今からじっくり読みたいと思います。
ありがとうございました(#^.^#)
2009/06/27(Sat) 15:16 | URL | アザミ」
アザミさん。
コメント、そして「糖尿病のための糖質オフごちそうごはん」(アスペクト)ご購入、ありがとうございます。写真、見やすいとのこと、嬉しい限りです。(⌒o⌒)v
今回の本は、新しいパートナー、管理栄養士の大柳珠美さんとの共著です。大柳さんは、日本で最も糖質制限食に精通した管理栄養士のお一人です。豊富な経験と新しい視点で、わかりやすく使いやすい本に仕上げていただきました。
お肉もお魚もお酒もOK。面倒なカロリー計算も、交換表もいりません。糖尿病でも、食後高血糖を起こすことなく、美味しく楽しく食べることができる糖質制限食OKレシピが満載です。
112ぺージからの「食品糖質&タンパク質量表」には、1食あたりの食品の糖質量に加え、たんぱく質量も掲載しました。
食後血糖値に関して、2型糖尿人は糖質の計算だけで全く問題はありませんが、1型糖尿人の場合はタンパク質の計算が必要な場合がありますので、追加しました。表は、一人前の目安量と100g当たりの糖質量を併記し、使い勝手がよくなりました。
20ページの「糖質が少ない食品&多い食品」の表もよりわかりやすくなりました。
2005年に「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」を出版して、4年の月日が過ぎました。
お陰様でベストセラー・ロングセラーとなり、世の中に「糖質制限食」を広めるきっかけになったと自負しています。
今回、大柳珠美さんという良きパートナーを得て、糖質制限食の新しいレシピ本を刊行できたことはとてもタイムリーでした。
糖尿病治療には美味しく楽しく糖質制限食、本書が皆様のお役に立てれば幸甚です。
なお7月頃に、東洋経済新報社から、
今までとは全く別の切り口の糖質制限食の新刊本が出版される予定なので読者の皆さん、
乞うご期待ですよ。ヾ(^▽^)
江部康二
2009年06月27日 (土)
おはようございます。
2009年6月25日、マイケル・ジャクソンさん死亡!
まだ50才ですから、びっくりしました。
何でもありの我がバンド「ターニング・ポイント」ですが、さすがに彼の歌はレパートリーにはありません。
ムーンウォークなどかけらもできない私ですが、偉大なアーチストの死を悼むものです。(;__;)
さて今回は、NZ在住の小山さんからメトフォルミンについて、コメント・質問をいただきました。
「Metforminについて
はじめまして。当方NZに在住している夫婦です。6月当初の血液検査で夫の高血糖がわかりました。HbA1cが12.1%で、GPにあわてて呼び出されました。そこで処方されたのが、Metformin500mgです。しかしいきなり服薬するのに抵抗があります。
それでインターネットで先生のブログに出会えました。これこそ地獄で仏に会えたようなものです。情報をいただけるだけでも有難いのに、患者でない者の質問にまで答えて下さるなんて感謝してもしきれないほどの気持ちです。
2週間前からスーパーローカーボにしまして、初めからどんどん下がりだし、10日後には起床時血糖値が正常値まで下がり、大喜びしました。
しかしその後また又上がりだし、境界型あたりをうろうろ。原因はストレスで交感神経が張り詰めた状態が続いているとしか考えられません。これは彼のキャラクターでもあり、ダイエットだけでは間に合わないのではないかと思うようになりました。
まだ2週間なので、このまま続けて膵臓が回復するのを待ちたい処ですが、200mgを超えてしまうのも良くないですよね?
そこでGPに処方された薬のことも検討してみたくなりました。日本ではあまり糖尿病に使われないのか、ネットでは、排卵を誘発するのに使われている、インスリンの感受性を高める、肝臓の新生糖を抑える、血糖の筋肉への取り込みを増やす、位の情報しか得られませんでした。
そこで彼の場合、血糖値が高めの時だけに飲んでみるのはどうでしょうか。この薬を時々だけ飲んでも良いものかどうか、またスーパーローカーボダイエットをしながら服薬すると低血糖の危険はあるかについて教えていただけないでしょうか。GPより、やはり先生のご意見を賜りたく質問させていただきました。どうぞよろしくおねがいします。」
2009/06/26(Fri) 15:59 | URL | 小山愛子
小山愛子さん。
コメントありがとうございます。
メトフォルミンは、本来糖尿病の薬ですが、最近は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の治療にも使うのですね。浅学にして知りませんでした。いやはや勉強になりました。
メトフォルミンは、糖尿病の内服薬の中で、ビグアナイド系薬剤に属します。
ビグアナイド系薬剤は、その中の一つのフェンホルミンという薬が乳酸アシドーシス**という副作用を起こしやすかったため、一時期他の薬も含めてほとんど使われていませんでした。
しかし乳酸アシドーシスを起こしにくい塩酸メトホルミン(メルビン、グリコランなど)塩酸ブホルミン(ジベトスB、ジベトンSなど)などが近年見直されてきました。
これは、英国の大規模臨床試験(UKPDS:1998年報告)で、「塩酸メトホルミン投与により肥満のある2型糖尿病患者で死亡率を減少させた」という結果がでたことによる影響が大きいと思います。
ビグアナイド剤の作用は、肝臓での糖新生の抑制が主で、その他消化管からの糖吸収の抑制、末梢組織でのインスリン抵抗性の改善などがあります。
従ってSU剤とは違って、膵臓に直接作用するのではなく、膵外作用で血糖値を下げますので、膵臓には優しい薬といえます。また体重増加を来しにくいのも長所ですね。 (^_^)
単独使用では、低血糖を起こす危険は極めて低いです。糖質制限食的にも、問題の少ない良い薬です。
しかし、肝腎の効きがそれほど良くないのです。理論的にはいい感じなのになぜでしょう?
実は、欧米における1日使用量は1500~2000mgなのですが、日本では1日、750mg以下となっているのです。
私も、膵臓に負担をかけない糖質制限食にぴったりの薬ということで、大勢の患者さんに処方してみたのですが、量が少なすぎるためなのか、「効いた!」という印象がやや薄いのです。
それで現在、日本内分泌学会などが、欧米並の1日量2000mgまで許可するように、厚生労働省に申請中なのです。
なお、肝障害や腎障害がある人は、やはり乳酸アシドーシスを起こしやすいので注意が必要です。また、心肺機能に障害のある人や高齢者も、腎予備力の低下がありえるので慎重投与です。上記以外の人には、副作用は少ない薬です。
なお作用機序から考えて、メトフォルミンは、頓服的な服用では、あまり効果は期待できません。服用されるなら、1日3回定期的にのほうが効果がでると思いますよ。
血糖値が180~200mg/dlを超えてくると、それだけでインスリン抵抗性が増します。
<糖質制限食+メトフォルミン>で、1日24時間を通して、血糖値が180mgを超えなくなると、インスリン抵抗性が速やかに改善し、同じ食事をしていても血糖コントロールがとても良くなります。
江部康二
**
乳酸アシドーシス
ビグアナイド系薬剤は、肝における乳酸からの糖新生を抑制することで血糖を下げるので、相対的に乳酸が増加します。通常は乳酸が増加すればその代謝が活発となり、乳酸値のバランスは保たれます。
しかし、肝での乳酸の代謝能が低下している場合や、腎機能障害があるときは、乳酸が増加した時に処理しきれずに高乳酸血症となり、乳酸アシドーシスを発症する危険性があります。
乳酸アシドーシスの初期症状として悪心、嘔吐、腹痛、下痢等や、倦怠感、筋肉痛などがあります。
2009年6月25日、マイケル・ジャクソンさん死亡!
まだ50才ですから、びっくりしました。
何でもありの我がバンド「ターニング・ポイント」ですが、さすがに彼の歌はレパートリーにはありません。
ムーンウォークなどかけらもできない私ですが、偉大なアーチストの死を悼むものです。(;__;)
さて今回は、NZ在住の小山さんからメトフォルミンについて、コメント・質問をいただきました。
「Metforminについて
はじめまして。当方NZに在住している夫婦です。6月当初の血液検査で夫の高血糖がわかりました。HbA1cが12.1%で、GPにあわてて呼び出されました。そこで処方されたのが、Metformin500mgです。しかしいきなり服薬するのに抵抗があります。
それでインターネットで先生のブログに出会えました。これこそ地獄で仏に会えたようなものです。情報をいただけるだけでも有難いのに、患者でない者の質問にまで答えて下さるなんて感謝してもしきれないほどの気持ちです。
2週間前からスーパーローカーボにしまして、初めからどんどん下がりだし、10日後には起床時血糖値が正常値まで下がり、大喜びしました。
しかしその後また又上がりだし、境界型あたりをうろうろ。原因はストレスで交感神経が張り詰めた状態が続いているとしか考えられません。これは彼のキャラクターでもあり、ダイエットだけでは間に合わないのではないかと思うようになりました。
まだ2週間なので、このまま続けて膵臓が回復するのを待ちたい処ですが、200mgを超えてしまうのも良くないですよね?
そこでGPに処方された薬のことも検討してみたくなりました。日本ではあまり糖尿病に使われないのか、ネットでは、排卵を誘発するのに使われている、インスリンの感受性を高める、肝臓の新生糖を抑える、血糖の筋肉への取り込みを増やす、位の情報しか得られませんでした。
そこで彼の場合、血糖値が高めの時だけに飲んでみるのはどうでしょうか。この薬を時々だけ飲んでも良いものかどうか、またスーパーローカーボダイエットをしながら服薬すると低血糖の危険はあるかについて教えていただけないでしょうか。GPより、やはり先生のご意見を賜りたく質問させていただきました。どうぞよろしくおねがいします。」
2009/06/26(Fri) 15:59 | URL | 小山愛子
小山愛子さん。
コメントありがとうございます。
メトフォルミンは、本来糖尿病の薬ですが、最近は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の治療にも使うのですね。浅学にして知りませんでした。いやはや勉強になりました。
メトフォルミンは、糖尿病の内服薬の中で、ビグアナイド系薬剤に属します。
ビグアナイド系薬剤は、その中の一つのフェンホルミンという薬が乳酸アシドーシス**という副作用を起こしやすかったため、一時期他の薬も含めてほとんど使われていませんでした。
しかし乳酸アシドーシスを起こしにくい塩酸メトホルミン(メルビン、グリコランなど)塩酸ブホルミン(ジベトスB、ジベトンSなど)などが近年見直されてきました。
これは、英国の大規模臨床試験(UKPDS:1998年報告)で、「塩酸メトホルミン投与により肥満のある2型糖尿病患者で死亡率を減少させた」という結果がでたことによる影響が大きいと思います。
ビグアナイド剤の作用は、肝臓での糖新生の抑制が主で、その他消化管からの糖吸収の抑制、末梢組織でのインスリン抵抗性の改善などがあります。
従ってSU剤とは違って、膵臓に直接作用するのではなく、膵外作用で血糖値を下げますので、膵臓には優しい薬といえます。また体重増加を来しにくいのも長所ですね。 (^_^)
単独使用では、低血糖を起こす危険は極めて低いです。糖質制限食的にも、問題の少ない良い薬です。
しかし、肝腎の効きがそれほど良くないのです。理論的にはいい感じなのになぜでしょう?
実は、欧米における1日使用量は1500~2000mgなのですが、日本では1日、750mg以下となっているのです。
私も、膵臓に負担をかけない糖質制限食にぴったりの薬ということで、大勢の患者さんに処方してみたのですが、量が少なすぎるためなのか、「効いた!」という印象がやや薄いのです。
それで現在、日本内分泌学会などが、欧米並の1日量2000mgまで許可するように、厚生労働省に申請中なのです。
なお、肝障害や腎障害がある人は、やはり乳酸アシドーシスを起こしやすいので注意が必要です。また、心肺機能に障害のある人や高齢者も、腎予備力の低下がありえるので慎重投与です。上記以外の人には、副作用は少ない薬です。
なお作用機序から考えて、メトフォルミンは、頓服的な服用では、あまり効果は期待できません。服用されるなら、1日3回定期的にのほうが効果がでると思いますよ。
血糖値が180~200mg/dlを超えてくると、それだけでインスリン抵抗性が増します。
<糖質制限食+メトフォルミン>で、1日24時間を通して、血糖値が180mgを超えなくなると、インスリン抵抗性が速やかに改善し、同じ食事をしていても血糖コントロールがとても良くなります。
江部康二
**
乳酸アシドーシス
ビグアナイド系薬剤は、肝における乳酸からの糖新生を抑制することで血糖を下げるので、相対的に乳酸が増加します。通常は乳酸が増加すればその代謝が活発となり、乳酸値のバランスは保たれます。
しかし、肝での乳酸の代謝能が低下している場合や、腎機能障害があるときは、乳酸が増加した時に処理しきれずに高乳酸血症となり、乳酸アシドーシスを発症する危険性があります。
乳酸アシドーシスの初期症状として悪心、嘔吐、腹痛、下痢等や、倦怠感、筋肉痛などがあります。
2009年06月26日 (金)
こんにちは。
今回は、すぎなっこさんから、糖質制限食中の運動について、コメント・質問をいただきました。
「09/06/20 すぎなっこ
タイトルなし
江部先生、こんにちは。
この5月の末に糖質制限のことを知り、早速本屋に注文して先生の著書を手に入れ、ブログを読ませていただいたり、本を読ませていただいたりして、糖質制限を始めたばかりです。
が、4月に7.0あったA1cがこの1ヶ月たらずで6.3まで下がっていました。
とても、うれしいです。
ありがとうございます。
ところで、初心者ゆえに教えて頂きたい事があります。
私は仕事の帰りに週3回くらい、スポーツクラブに通いエアロやジムをしているのですが、エアロでは最後くらいには足がだるくてだるくて思ったようにあがらなくなり、足踏みをしているのが精一杯になってしまいました。ジムでのクロストレーナーも負荷を今までより軽くしています。終わって階段をあがるのも、しんどい状態です。
これは、脂肪酸をエネルギー源としてうまく使えてないからなのでしょうか。
糖質の代謝から脂質の代謝への移行が、まだスムーズに行えていないからなのでしょうか。
個人差はあると思いますが、どのくらいでうまく移行ができますか。
スポーツクラブへは、夕方いくので昼食後から6-7時間たっており、完璧に空腹状態です。
お忙しい中申し訳ありませんが、お答えいただければ幸いです。
「夏のレシピ」のおからマドレーヌ、おいしかったです。」
すぎなっこさん。
コメントそして本のお買い上げありがとうございます。
「4月に7.0あったA1cがこの1ヶ月たらずで6.3%」
スーパー糖質制限食で、1~2%/月、HbA1cが改善します。6.5%未満ですでにコントロール良好レベル達成ですね。 (^^)さらに5.8%未満を目指して下さい。
「仕事の帰りに週3回くらい、スポーツクラブに通いエアロやジムをしているのですが、エアロでは最後くらいには足がだるくてだるくて思ったようにあがらなくなり、足踏みをしているのが精一杯になってしまいました。ジムでのクロストレーナーも負荷を今までより軽くしています。終わって階段をあがるのも、しんどい状態です。
これは、脂肪酸をエネルギー源としてうまく使えてないからなのでしょうか。」
これは、筋肉中のグリコーゲンが、一定レベル以下になったためと思われます。
長距離を走ったり泳いだりとか、持久力が必要なスポーツは、脂肪酸をエネルギー源として上手に使わなければ1~2時間で、筋肉中のグリコーゲンが枯渇して足が棒のようになり、動けなくなります。
筋肉中に蓄えられているグリコーゲンは、体重60kg、体脂肪率20%の標準的な男性で、約300g、1200キロカロリーしかありませんから、これをメインに利用してしまえば1~2時間しかもたないわけです。
心筋や骨格筋は、安静時や歩行時は、主として脂肪酸をエネルギー源として利用していて、ブドウ糖はあまり利用していません。
しかし、一般人は、あるていど心拍数が上昇するような運動になると、筋肉中のグリコーゲンを、手っ取り早くブドウ糖に変えてエネルギー源にしてしまい、脂肪酸をあまり利用しなくなりますから、すぐに上述のようなエネルギー切れになってしまい、スタミナが続かないわけです。
一方、鍛えてある一流スポーツ選手は、少々心拍数が上昇しても脂肪酸をエネルギー源として利用し続けることができますから、筋肉中のグリコーゲンを節約できて、最後のラストスパートでしっかり利用できるわけです。
ラストスパートのような、全力疾走とか瞬発力が必要な時は、筋肉はブドウ糖を利用します。
スポーツ選手は、一般人に比べれば体脂肪率は低いですが、筋肉中の脂肪は増えています。筋肉中の脂肪は、総体脂肪量に対する割合はごく小さいですが、これがどうやら持久力の向上にあるていど関係しているようです。
持久運動の後には、筋肉内の脂肪蓄積が減少していることが示されています。筋肉細胞では、脂肪はミトコンドリア近くに局在する小さな脂肪滴中に、トリグリセリドとして蓄積されているそうです。
一流スポーツ選手ほどは鍛えてなくても、糖質制限食を実践していると、脂肪酸-ケトン体のシステムを日常的に利用するようになるので、運動中にも効率よく脂肪をエネルギー源として利用できます。これにより、筋肉中のグリコーゲンを節約できて、持久力増強につながると考えられます。
しかし、さらに高強度の運動になると、筋肉中のグリコーゲンは急速に分解され利用されます。そして筋肉中のグリコーゲン量が一定以下になると、筋肉は収縮できなくなります。一番単純には、鉄棒での懸垂運動がわかりやすいですね。
すぎなっこさんのエアロビクスは、持久力と共に、高強度の運動もあります。それで、筋肉中のグリコーゲンが一定レベル以下なると、足が上がらなくなるのだと思います。
以前に行った運動で筋肉中のグリコーゲンが減少したとき、補充するには糖質摂取が一番てっとり早いです。糖尿病でなければ糖質摂取が簡単ですね。
一方、糖尿病があり、食後高血糖を防ぐため、高タンパク・高脂質の糖質制限食実践中の場合、減少したグリコーゲン補充にはやや時間がかかります。
従いまして、糖尿人で高強度の運動を1~2時間するとわかっているなら、運動開始2時間くらい前にナッツ類を、通常より多めに50gくらい摂取すれば、糖質分の血糖値上昇が1~2時間、タンパク質分が少なめですが3~4時間あります。
そうすると、筋肉はそれらの血糖値をまず利用し終わってから、筋肉中ののグリコーゲン分解に移行するので、グリコーゲンはその分節約できて、足が最後まで上がると思います。
これなら食後高血糖を生じることなく、エアロビクスを最後まで全うできると思いますよ。 (^_^)
江部康二
今回は、すぎなっこさんから、糖質制限食中の運動について、コメント・質問をいただきました。
「09/06/20 すぎなっこ
タイトルなし
江部先生、こんにちは。
この5月の末に糖質制限のことを知り、早速本屋に注文して先生の著書を手に入れ、ブログを読ませていただいたり、本を読ませていただいたりして、糖質制限を始めたばかりです。
が、4月に7.0あったA1cがこの1ヶ月たらずで6.3まで下がっていました。
とても、うれしいです。
ありがとうございます。
ところで、初心者ゆえに教えて頂きたい事があります。
私は仕事の帰りに週3回くらい、スポーツクラブに通いエアロやジムをしているのですが、エアロでは最後くらいには足がだるくてだるくて思ったようにあがらなくなり、足踏みをしているのが精一杯になってしまいました。ジムでのクロストレーナーも負荷を今までより軽くしています。終わって階段をあがるのも、しんどい状態です。
これは、脂肪酸をエネルギー源としてうまく使えてないからなのでしょうか。
糖質の代謝から脂質の代謝への移行が、まだスムーズに行えていないからなのでしょうか。
個人差はあると思いますが、どのくらいでうまく移行ができますか。
スポーツクラブへは、夕方いくので昼食後から6-7時間たっており、完璧に空腹状態です。
お忙しい中申し訳ありませんが、お答えいただければ幸いです。
「夏のレシピ」のおからマドレーヌ、おいしかったです。」
すぎなっこさん。
コメントそして本のお買い上げありがとうございます。
「4月に7.0あったA1cがこの1ヶ月たらずで6.3%」
スーパー糖質制限食で、1~2%/月、HbA1cが改善します。6.5%未満ですでにコントロール良好レベル達成ですね。 (^^)さらに5.8%未満を目指して下さい。
「仕事の帰りに週3回くらい、スポーツクラブに通いエアロやジムをしているのですが、エアロでは最後くらいには足がだるくてだるくて思ったようにあがらなくなり、足踏みをしているのが精一杯になってしまいました。ジムでのクロストレーナーも負荷を今までより軽くしています。終わって階段をあがるのも、しんどい状態です。
これは、脂肪酸をエネルギー源としてうまく使えてないからなのでしょうか。」
これは、筋肉中のグリコーゲンが、一定レベル以下になったためと思われます。
長距離を走ったり泳いだりとか、持久力が必要なスポーツは、脂肪酸をエネルギー源として上手に使わなければ1~2時間で、筋肉中のグリコーゲンが枯渇して足が棒のようになり、動けなくなります。
筋肉中に蓄えられているグリコーゲンは、体重60kg、体脂肪率20%の標準的な男性で、約300g、1200キロカロリーしかありませんから、これをメインに利用してしまえば1~2時間しかもたないわけです。
心筋や骨格筋は、安静時や歩行時は、主として脂肪酸をエネルギー源として利用していて、ブドウ糖はあまり利用していません。
しかし、一般人は、あるていど心拍数が上昇するような運動になると、筋肉中のグリコーゲンを、手っ取り早くブドウ糖に変えてエネルギー源にしてしまい、脂肪酸をあまり利用しなくなりますから、すぐに上述のようなエネルギー切れになってしまい、スタミナが続かないわけです。
一方、鍛えてある一流スポーツ選手は、少々心拍数が上昇しても脂肪酸をエネルギー源として利用し続けることができますから、筋肉中のグリコーゲンを節約できて、最後のラストスパートでしっかり利用できるわけです。
ラストスパートのような、全力疾走とか瞬発力が必要な時は、筋肉はブドウ糖を利用します。
スポーツ選手は、一般人に比べれば体脂肪率は低いですが、筋肉中の脂肪は増えています。筋肉中の脂肪は、総体脂肪量に対する割合はごく小さいですが、これがどうやら持久力の向上にあるていど関係しているようです。
持久運動の後には、筋肉内の脂肪蓄積が減少していることが示されています。筋肉細胞では、脂肪はミトコンドリア近くに局在する小さな脂肪滴中に、トリグリセリドとして蓄積されているそうです。
一流スポーツ選手ほどは鍛えてなくても、糖質制限食を実践していると、脂肪酸-ケトン体のシステムを日常的に利用するようになるので、運動中にも効率よく脂肪をエネルギー源として利用できます。これにより、筋肉中のグリコーゲンを節約できて、持久力増強につながると考えられます。
しかし、さらに高強度の運動になると、筋肉中のグリコーゲンは急速に分解され利用されます。そして筋肉中のグリコーゲン量が一定以下になると、筋肉は収縮できなくなります。一番単純には、鉄棒での懸垂運動がわかりやすいですね。
すぎなっこさんのエアロビクスは、持久力と共に、高強度の運動もあります。それで、筋肉中のグリコーゲンが一定レベル以下なると、足が上がらなくなるのだと思います。
以前に行った運動で筋肉中のグリコーゲンが減少したとき、補充するには糖質摂取が一番てっとり早いです。糖尿病でなければ糖質摂取が簡単ですね。
一方、糖尿病があり、食後高血糖を防ぐため、高タンパク・高脂質の糖質制限食実践中の場合、減少したグリコーゲン補充にはやや時間がかかります。
従いまして、糖尿人で高強度の運動を1~2時間するとわかっているなら、運動開始2時間くらい前にナッツ類を、通常より多めに50gくらい摂取すれば、糖質分の血糖値上昇が1~2時間、タンパク質分が少なめですが3~4時間あります。
そうすると、筋肉はそれらの血糖値をまず利用し終わってから、筋肉中ののグリコーゲン分解に移行するので、グリコーゲンはその分節約できて、足が最後まで上がると思います。
これなら食後高血糖を生じることなく、エアロビクスを最後まで全うできると思いますよ。 (^_^)
江部康二
2009年06月25日 (木)
こんにちは。
たいへん長らくお待たせいたしました。m(._.)m
かおるさんから、いただいたゴーヤに関するコメント・質問への回答です。
「食品の摂取について
先生
教えてください。
ゴーヤーに含まれる、チャランチンが膵臓のβ細胞に働きかけてインスリンの分泌を促し、血糖を下げるのではないか、と言われていますが、同時にチャランチンは、β細胞の修復を助ける効果もあるのでは、と期待されているようです。
お伺いしたいのは2点です。
・糖質制限食を行っている際、サプリにしろゴーヤそのものにしろ、「インスリンの分泌を促す食品」というのを摂るのは、問題ありませんか?
というのは、糖質制限食は、私の理解だとインスリンをあまり分泌しなくても良いようにβ細胞をお休みさせるためのもののような気がしているので、薬ではないにしろ、分泌を促すものを摂取するのが良いのかどうか、という点について
もう一点は、ゴーヤの効果があるかどうかは別として、
・「分泌を促す」ということと、「β細胞の修復を助ける」ことは矛盾はしないのでしょうか?
以前から夏はよく、ゴーヤを味付けて炒めておいたものを常備菜的に摂取しているのですが、血糖値が高い事がわかった今、毎日ゴーヤを摂っても大丈夫なのかどうか、と思っています。
2009/06/20(Sat) 11:06 | URL | かおる」
かおるさん。
コメントありがとうございます。
どうやらゴーヤは、血糖値をあるていど下げる効果を持っているようです。
早速インターネットで調べてみました。そうすると、人体実験をした人がいました。
知識の宝庫!目がテン!ライブラリー 日本テレビ(2001/09/23放送)
「4人の人にまずは、ブドウ糖溶液を100グラム飲んでもらいました。すると通常の状態での血糖値は平均約94だったのが、ブトウ糖溶液を飲むと、30分後の血糖値は200を超えました。次にゴーヤージュースとブドウ糖溶液を飲んで血糖値を測定してみると、30分後血糖値は約145とかなり低い値になりました。」
今時のテレビでどこまで信用できるかわかりませんが、何やら期待できそうです。
ゴーヤは、独特の苦味が特徴ですが、その苦味成分はモモルデシンとチャランチンといい、インターネット的には血糖値を下げる効果がありそうですが確定とはいえません。
一方、ゴーヤにはコロソリン酸も含まれています。コロソリン酸は、別名、植物インスリンと言われています。この成分は、インスリンに似たタンパク質です。通常のインスリン注射では、時に低血糖が生じることがありますが、ゴーヤーに含まれる植物インスリンの場合は、血糖値を安定させますが低血糖は起こさないようです。
コロソリン酸に関しては、
①広島大学医学部総合薬学科活性構造学講座の山崎和男名誉教授が、インスリンと同じようにグルコースを細胞内に速やかに吸収させること、即ちグルコーストランスポーター(糖輸送体)を活性化させることを見出しました。
②鈴鹿医療科学大学医療栄養学科の三浦俊宏講師は、コロソリン酸を用いた動物実験の結果を第46回日本糖尿病学会年次学術集会で発表し、「コロソリン酸投与後4時間に血糖低下作用を示し、インスリン値の低下も見られた。また、筋肉GLUT4タンパク発現の増加が見られた。」と報告しました。
③京都大学医学部糖尿病・栄養内科学の福島光夫助手は日本糖尿病学会近畿地方大会で、コロソリン酸が経口糖負荷時の血糖値を低下させることを報告しました。
①②③を考慮すれば、ゴーヤはかなりの信憑性をもって、血糖値を下げる効果があるようです。
また、SU剤のように膵臓のβ細胞を鞭打ってインスリンを分泌させるといった側面もありませんので、糖尿人も安心して食べられる食材ですね。 (^_^)
私も外食時、そのお店のメニューにあればたいてい「ゴーヤチャンプルー」食べておりますよ。
ご質問の件ですが
『糖質制限食を行っている際、サプリにしろゴーヤそのものにしろ、「インスリンの分泌を促す食品」というのを摂るのは、問題ありませんか? 』
本当にSU剤のようにインスリンの分泌を促すなら、ゴーヤによる低血糖症が頻発してもおかしくありませんが、実際には聞いたことがありませんね。上述の如く、理論的にもそのようなことはありませんのでご安心下さい。
『「分泌を促す」ということと、「β細胞の修復を助ける」ことは矛盾はしないのでしょうか?』
β細胞の修復を助けるかどうか、医学的には定かではありませんが、上述の如く、インスリン分泌促進ということはありません。①の研究によれば、内因性のインスリン値は低下するようですね。
江部康二
たいへん長らくお待たせいたしました。m(._.)m
かおるさんから、いただいたゴーヤに関するコメント・質問への回答です。
「食品の摂取について
先生
教えてください。
ゴーヤーに含まれる、チャランチンが膵臓のβ細胞に働きかけてインスリンの分泌を促し、血糖を下げるのではないか、と言われていますが、同時にチャランチンは、β細胞の修復を助ける効果もあるのでは、と期待されているようです。
お伺いしたいのは2点です。
・糖質制限食を行っている際、サプリにしろゴーヤそのものにしろ、「インスリンの分泌を促す食品」というのを摂るのは、問題ありませんか?
というのは、糖質制限食は、私の理解だとインスリンをあまり分泌しなくても良いようにβ細胞をお休みさせるためのもののような気がしているので、薬ではないにしろ、分泌を促すものを摂取するのが良いのかどうか、という点について
もう一点は、ゴーヤの効果があるかどうかは別として、
・「分泌を促す」ということと、「β細胞の修復を助ける」ことは矛盾はしないのでしょうか?
以前から夏はよく、ゴーヤを味付けて炒めておいたものを常備菜的に摂取しているのですが、血糖値が高い事がわかった今、毎日ゴーヤを摂っても大丈夫なのかどうか、と思っています。
2009/06/20(Sat) 11:06 | URL | かおる」
かおるさん。
コメントありがとうございます。
どうやらゴーヤは、血糖値をあるていど下げる効果を持っているようです。
早速インターネットで調べてみました。そうすると、人体実験をした人がいました。
知識の宝庫!目がテン!ライブラリー 日本テレビ(2001/09/23放送)
「4人の人にまずは、ブドウ糖溶液を100グラム飲んでもらいました。すると通常の状態での血糖値は平均約94だったのが、ブトウ糖溶液を飲むと、30分後の血糖値は200を超えました。次にゴーヤージュースとブドウ糖溶液を飲んで血糖値を測定してみると、30分後血糖値は約145とかなり低い値になりました。」
今時のテレビでどこまで信用できるかわかりませんが、何やら期待できそうです。
ゴーヤは、独特の苦味が特徴ですが、その苦味成分はモモルデシンとチャランチンといい、インターネット的には血糖値を下げる効果がありそうですが確定とはいえません。
一方、ゴーヤにはコロソリン酸も含まれています。コロソリン酸は、別名、植物インスリンと言われています。この成分は、インスリンに似たタンパク質です。通常のインスリン注射では、時に低血糖が生じることがありますが、ゴーヤーに含まれる植物インスリンの場合は、血糖値を安定させますが低血糖は起こさないようです。
コロソリン酸に関しては、
①広島大学医学部総合薬学科活性構造学講座の山崎和男名誉教授が、インスリンと同じようにグルコースを細胞内に速やかに吸収させること、即ちグルコーストランスポーター(糖輸送体)を活性化させることを見出しました。
②鈴鹿医療科学大学医療栄養学科の三浦俊宏講師は、コロソリン酸を用いた動物実験の結果を第46回日本糖尿病学会年次学術集会で発表し、「コロソリン酸投与後4時間に血糖低下作用を示し、インスリン値の低下も見られた。また、筋肉GLUT4タンパク発現の増加が見られた。」と報告しました。
③京都大学医学部糖尿病・栄養内科学の福島光夫助手は日本糖尿病学会近畿地方大会で、コロソリン酸が経口糖負荷時の血糖値を低下させることを報告しました。
①②③を考慮すれば、ゴーヤはかなりの信憑性をもって、血糖値を下げる効果があるようです。
また、SU剤のように膵臓のβ細胞を鞭打ってインスリンを分泌させるといった側面もありませんので、糖尿人も安心して食べられる食材ですね。 (^_^)
私も外食時、そのお店のメニューにあればたいてい「ゴーヤチャンプルー」食べておりますよ。
ご質問の件ですが
『糖質制限食を行っている際、サプリにしろゴーヤそのものにしろ、「インスリンの分泌を促す食品」というのを摂るのは、問題ありませんか? 』
本当にSU剤のようにインスリンの分泌を促すなら、ゴーヤによる低血糖症が頻発してもおかしくありませんが、実際には聞いたことがありませんね。上述の如く、理論的にもそのようなことはありませんのでご安心下さい。
『「分泌を促す」ということと、「β細胞の修復を助ける」ことは矛盾はしないのでしょうか?』
β細胞の修復を助けるかどうか、医学的には定かではありませんが、上述の如く、インスリン分泌促進ということはありません。①の研究によれば、内因性のインスリン値は低下するようですね。
江部康二
2009年06月25日 (木)
おはようございます。
前回の記事にコメントたくさんいただきましたので、「カロリーゼロ、糖質ゼロ、糖類ゼロ、甘味料」について整理しておきましょう。
カロリーゼロと表示してあるということは、100mlあたり5kcal未満なので血糖値もほとんど上昇させません。
また糖質ゼロ表示なら、栄養表示基準に基づき「100ml中糖質0.5g未満を、糖質0(ゼロ)で表示してOK」です。
例えば、糖質ゼロ発泡酒は、カロリーはありますが、糖質は100ml中0.5g未満です。Asahiスタイルフリーなら糖質ゼロで、カロリーは350mlで24kcalです。
もし、100ml中に、0.4g糖質が含まれていても糖質ゼロ表示OKですから、その場合は1リットル飲んだら、4gの糖質摂取になりますね。
次に糖類ゼロ表示は、二糖類、単糖類が含まれていないということです。つまり、砂糖やブドウ糖などの二糖類、単糖類が含まれていなければ、合成甘味料や糖アルコールが含まれていても、糖類ゼロや無糖と表示できるのです。
甘味料には、大きく分けて『天然甘味料』と『人工甘味料』があります。天然甘味料には、ショ糖、蜂蜜、メープルシロップ、果糖、麦芽糖、などがあります。天然の植物や食品中に含まれている甘み成分を取り出し精製、濃縮した甘味料のことです。
人工甘味料は、合成甘味料と糖アルコールに分類されます。 合成甘味料は、人工甘味料の一種で、人為的に化学合成された甘みのある物質(甘味料)です。砂糖より低カロリー、低価格、などの特徴があります。狭義の意味の人工甘味料は、合成甘味料と同義で使われることがあります。
FDA(米国食料医薬品庁)が食品への使用を許可している合成甘味料は、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースの4種です。
これらの合成甘味料は、「フリーフード」と呼ばれ、米国心臓病協会や米国糖尿病協会も肯定的ではあります。摂取総量規制はありますが、ゼロカロリーで血糖値は上昇させません。
それから糖アルコールですが、エリスリトール以外の糖アルコール(マルチトール、キシリトール、ソルビトールなど)は血糖値を砂糖の半分くらい上昇させます。
ロッテゼロ<マイルド>というチョコレートも、砂糖と乳糖は使用していませんが、甘味料としてキシリトールが含まれています。キシリトールは難消化性ですが、一部分解消化され血糖値を上昇させます。(=_=;)
低カロリーアイスは、カロリーもありますし、糖質も含まれているので血糖値が上昇すると思います。
低カロリーという表現は、栄養表示基準の規制外なので、かなりいいかげんといえます。σ(=_=;)ヾ
糖質ゼロ、カロリーゼロ、低糖、カロリー控えめもそれぞれ基準が違います。やや、面倒くさいですが、ラベルをよく確認してくださいね。
健康増進法に基づく基準は下記のごとしです。
☆☆☆栄養表示基準 (飲料100mlあたり)
◎ 飲料100mlあたりのカロリーが5kcal未満なら、
⇒「ノンカロリー」「カロリーゼロ」
◎ 飲料100mlあたり20kcal以下なら、
⇒「カロリー控えめ」「カロリーオフ」と表示できます。
◎ 100ml中糖質0.5g未満を、
⇒糖質0(ゼロ)で表示できます。
◎ 飲料100mlあたりの糖類(単糖類+二糖類)が0.5g未満なら、
⇒「無糖」「ノンシュガー」「シュガーレス」「糖分ダイエット」
◎ 飲料100mlあたりの糖類が2.5g以下なら、
⇒「低糖」「糖分控えめ」と表示できます。
江部康二
前回の記事にコメントたくさんいただきましたので、「カロリーゼロ、糖質ゼロ、糖類ゼロ、甘味料」について整理しておきましょう。
カロリーゼロと表示してあるということは、100mlあたり5kcal未満なので血糖値もほとんど上昇させません。
また糖質ゼロ表示なら、栄養表示基準に基づき「100ml中糖質0.5g未満を、糖質0(ゼロ)で表示してOK」です。
例えば、糖質ゼロ発泡酒は、カロリーはありますが、糖質は100ml中0.5g未満です。Asahiスタイルフリーなら糖質ゼロで、カロリーは350mlで24kcalです。
もし、100ml中に、0.4g糖質が含まれていても糖質ゼロ表示OKですから、その場合は1リットル飲んだら、4gの糖質摂取になりますね。
次に糖類ゼロ表示は、二糖類、単糖類が含まれていないということです。つまり、砂糖やブドウ糖などの二糖類、単糖類が含まれていなければ、合成甘味料や糖アルコールが含まれていても、糖類ゼロや無糖と表示できるのです。
甘味料には、大きく分けて『天然甘味料』と『人工甘味料』があります。天然甘味料には、ショ糖、蜂蜜、メープルシロップ、果糖、麦芽糖、などがあります。天然の植物や食品中に含まれている甘み成分を取り出し精製、濃縮した甘味料のことです。
人工甘味料は、合成甘味料と糖アルコールに分類されます。 合成甘味料は、人工甘味料の一種で、人為的に化学合成された甘みのある物質(甘味料)です。砂糖より低カロリー、低価格、などの特徴があります。狭義の意味の人工甘味料は、合成甘味料と同義で使われることがあります。
FDA(米国食料医薬品庁)が食品への使用を許可している合成甘味料は、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースの4種です。
これらの合成甘味料は、「フリーフード」と呼ばれ、米国心臓病協会や米国糖尿病協会も肯定的ではあります。摂取総量規制はありますが、ゼロカロリーで血糖値は上昇させません。
それから糖アルコールですが、エリスリトール以外の糖アルコール(マルチトール、キシリトール、ソルビトールなど)は血糖値を砂糖の半分くらい上昇させます。
ロッテゼロ<マイルド>というチョコレートも、砂糖と乳糖は使用していませんが、甘味料としてキシリトールが含まれています。キシリトールは難消化性ですが、一部分解消化され血糖値を上昇させます。(=_=;)
低カロリーアイスは、カロリーもありますし、糖質も含まれているので血糖値が上昇すると思います。
低カロリーという表現は、栄養表示基準の規制外なので、かなりいいかげんといえます。σ(=_=;)ヾ
糖質ゼロ、カロリーゼロ、低糖、カロリー控えめもそれぞれ基準が違います。やや、面倒くさいですが、ラベルをよく確認してくださいね。
健康増進法に基づく基準は下記のごとしです。
☆☆☆栄養表示基準 (飲料100mlあたり)
◎ 飲料100mlあたりのカロリーが5kcal未満なら、
⇒「ノンカロリー」「カロリーゼロ」
◎ 飲料100mlあたり20kcal以下なら、
⇒「カロリー控えめ」「カロリーオフ」と表示できます。
◎ 100ml中糖質0.5g未満を、
⇒糖質0(ゼロ)で表示できます。
◎ 飲料100mlあたりの糖類(単糖類+二糖類)が0.5g未満なら、
⇒「無糖」「ノンシュガー」「シュガーレス」「糖分ダイエット」
◎ 飲料100mlあたりの糖類が2.5g以下なら、
⇒「低糖」「糖分控えめ」と表示できます。
江部康二
2009年06月24日 (水)
おはようございます。
日頃何気なく使っている言葉、「炭水化物、糖質、糖類」これらの違いはどうなっているのでしょう。
健康増進法における栄養表示基準というのがあって、各メーカーさんはこれに従っています。
栄養表示基準では栄養成分表示を行う場合、
基本表示は<エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム>の5成分表示とされています。
「炭水化物、糖質、糖類」を整理すると下記の如くにまとめることができます。
①栄養表示基準上はたんぱく質や脂質、灰分(ミネラル分)のいずれにも分類されないものは炭水化物に計算。
②炭水化物=糖質+食物繊維
③糖質=糖類+糖アルコール+三糖類以上+合成甘味料
④糖類=単糖類+二糖類
*三糖類以上=でんぷん、オリゴ糖、デキストリン
*二糖類=砂糖、麦芽糖、乳糖
*単糖類=ブドウ糖、果糖、ガラクトース
*糖アルコール=エリスリトール、キシリトール、マルチトールなど
*合成甘味料=アセスルファムK、スクラロースなど
**食物繊維
一、水溶性食物繊維
a)ポリデキストロース
海藻、こんにゃくの他、野菜、果汁類にも含まれる水溶性の食物繊維
です。ぶどう糖などから作られます。
b)難消化性デキストリン
とうもろこしなどに含まれる水溶性の食物繊維です。とうもろこしでんぷん
などを分解して作られます。糖質の吸収を穏やかにする作用があり、
血糖値が高めの方向けの特定保健用食品の機能素材となっています。
二、不溶性食物繊維 セルロース
物の細胞壁の構成成分です。不溶性の食物繊維です。食品には粘性を
与えたりするために利用されています。
食品100g中の炭水化物を表示するとき、基準に則れば、
炭水化物=100g-<水分+タンパク質+脂質+灰分>
となります。
つまり、栄養表示上は、たんぱく質、脂質、灰分のいずれにも分類されないものは、炭水化物に計算されます。
合成甘味料が糖質に分類されるのは、何だか変ですが、炭水化物・糖質の栄養表示基準の定義に従えばそうなるようです。(∵)?
このあたりのことは
アサヒ飲料のホームページ
http://www.asahiinryo.co.jp/customer/dictionary/ing_carbohydrates.html
にわかりやすく図解してあるので、是非覗いてみて下さいね。
アサヒ飲料さん、お世話になります。今日の記事は、おおいに参考にさせていただきました。ほぼ毎日アサヒスタイルフリー飲んでますのでご容赦のほど・・・m(_ _)mV
なお、栄養表示基準に則り、糖類ゼロなら、無糖と表示できます。
つまり砂糖やブドウ糖などの二糖類、単糖類がなければ、合成甘味料や糖アルコールが含まれていても無糖と表示できるのです。
従って、無糖表示でマルチトールやキシリトールが含まれていても法律上はOKだけど、血糖値は上昇することになりますので、糖尿人の皆さんはご用心ご用心。(=_=;)
最後に追加ですが、「糖分」という単語は、かなり曖昧に使用されています。糖質あるいは糖類と同じ意味で、一般用語として使用されていて、ますます混乱の元となっています。栄養表示基準には「糖分」という言葉は記載無しです。
江部康二
日頃何気なく使っている言葉、「炭水化物、糖質、糖類」これらの違いはどうなっているのでしょう。
健康増進法における栄養表示基準というのがあって、各メーカーさんはこれに従っています。
栄養表示基準では栄養成分表示を行う場合、
基本表示は<エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム>の5成分表示とされています。
「炭水化物、糖質、糖類」を整理すると下記の如くにまとめることができます。
①栄養表示基準上はたんぱく質や脂質、灰分(ミネラル分)のいずれにも分類されないものは炭水化物に計算。
②炭水化物=糖質+食物繊維
③糖質=糖類+糖アルコール+三糖類以上+合成甘味料
④糖類=単糖類+二糖類
*三糖類以上=でんぷん、オリゴ糖、デキストリン
*二糖類=砂糖、麦芽糖、乳糖
*単糖類=ブドウ糖、果糖、ガラクトース
*糖アルコール=エリスリトール、キシリトール、マルチトールなど
*合成甘味料=アセスルファムK、スクラロースなど
**食物繊維
一、水溶性食物繊維
a)ポリデキストロース
海藻、こんにゃくの他、野菜、果汁類にも含まれる水溶性の食物繊維
です。ぶどう糖などから作られます。
b)難消化性デキストリン
とうもろこしなどに含まれる水溶性の食物繊維です。とうもろこしでんぷん
などを分解して作られます。糖質の吸収を穏やかにする作用があり、
血糖値が高めの方向けの特定保健用食品の機能素材となっています。
二、不溶性食物繊維 セルロース
物の細胞壁の構成成分です。不溶性の食物繊維です。食品には粘性を
与えたりするために利用されています。
食品100g中の炭水化物を表示するとき、基準に則れば、
炭水化物=100g-<水分+タンパク質+脂質+灰分>
となります。
つまり、栄養表示上は、たんぱく質、脂質、灰分のいずれにも分類されないものは、炭水化物に計算されます。
合成甘味料が糖質に分類されるのは、何だか変ですが、炭水化物・糖質の栄養表示基準の定義に従えばそうなるようです。(∵)?
このあたりのことは
アサヒ飲料のホームページ
http://www.asahiinryo.co.jp/customer/dictionary/ing_carbohydrates.html
にわかりやすく図解してあるので、是非覗いてみて下さいね。
アサヒ飲料さん、お世話になります。今日の記事は、おおいに参考にさせていただきました。ほぼ毎日アサヒスタイルフリー飲んでますのでご容赦のほど・・・m(_ _)mV
なお、栄養表示基準に則り、糖類ゼロなら、無糖と表示できます。
つまり砂糖やブドウ糖などの二糖類、単糖類がなければ、合成甘味料や糖アルコールが含まれていても無糖と表示できるのです。
従って、無糖表示でマルチトールやキシリトールが含まれていても法律上はOKだけど、血糖値は上昇することになりますので、糖尿人の皆さんはご用心ご用心。(=_=;)
最後に追加ですが、「糖分」という単語は、かなり曖昧に使用されています。糖質あるいは糖類と同じ意味で、一般用語として使用されていて、ますます混乱の元となっています。栄養表示基準には「糖分」という言葉は記載無しです。
江部康二
2009年06月24日 (水)
おはようございます。梅雨らしい雨空が続いている京都です。
さて今回は、藻類などと糖質などについてVani さんからコメント・質問をいただきました。
「09/06/13 Vani
おうかがいいたします
江部先生こんにちは!はじめまして。
いつも大変勉強になるブログをありがとうございます。
私は糖尿病ではないのですが、体型維持のため糖質制限をしております。
元々野菜と果物が大好きで、自然とベジタリアンになり体型は痩せ型です。
しかし、年齢とと共に体重が落ちずらくなり…糖質制限を勉強中ですが、とても奥が深いです。
ショックだったのは野菜の糖質が意外に多く含まれていること。
今まで穀類は全く食べなくても平気だったのですが、果物はもちろん、好物のかぼちゃやサツマイモ、玉ねぎや根菜類、トマトやえのき等
今までのように無邪気に食べられなくなりました。
ベジタリアンなので肉類が駄目となるとどうしても野菜中心になるので糖質が多くなってしまいます。
そこで制限中でも安心していただけるものを探しているのですが、是非教えていただきたいです。
まず、一般的に海藻類は糖質が多めと聞きますが
私がいつも食べているカットワカメの成分は一袋(16g)あたり、炭水化物6.2g、食物繊維6.2gとあるのですが
これは糖質0と考えて大丈夫でしょうか?
よくあるカロリーゼロ飲料(ペプシネックス、ファンタカロリーゼロ、三ツ矢サイダーオールゼロ、
アサヒ超ファイバー、カルピス等)や
カロリーゼロのゼリー(プルジュレやパーフェクトプラス等)は太ることはありませんでしょうか?
血糖値に影響しないとされている甘味料を使われていても、糖質が結構含まれていて(特にゼリー類)いつも躊躇します。
また、寒天やこんにゃくの糖質はあまり気にしなくても大丈夫ですか?
これからの季節、手作り寒天にサラヤさんの液状のラカントSをかけて、あんみつのようにいただいてみようかと思っているのですが
ラカントSの液状は糖質が100gあたり19g含まれているようです。
この糖質はやはり血糖値に影響しますでしょうか?
たくさん質問してしまって申し訳ございません。
ご多忙中恐縮に存じますが、お返事いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。」
Vani さん。コメントありがとうございます。
「まず、一般的に海藻類は糖質が多めと聞きますが 私がいつも食べているカットワカメの成分は一袋(16g)あたり、炭水化物6.2g、食物繊維6.2gとあるのですが これは糖質0と考えて大丈夫でしょうか?」
糖質ゼロということはないです。表示の間違いではないでしょうか?
五訂日本食品成分表によれば、カットわかめ、100g中に炭水化物41.8g、そのうち食物繊維が35.6gです。
従いまして<41.8-35.6=6.2>100g中に6.2gの糖質ですね。
そうすると16gのカットわかめには、0.992gの糖質が含まれています。
藻類でびっくりするのが、昆布です。
素干しの昆布100g中に炭水化物55.7g、食物繊維24.9gです。実に30.8gの糖質が含まれています。藻類で昆布だけは、明らかな高糖質食品です。
糖尿人で、昆布は大丈夫だろうと大量に食べて、食後高血糖頻発の方がおられました。昆布恐るべしですね。
「よくあるカロリーゼロ飲料(ペプシネックス、ファンタカロリーゼロ、三ツ矢サイダーオールゼロ、 アサヒ超ファイバー、カルピス等)や カロリーゼロのゼリー(プルジュレやパーフェクトプラス等)は太ることはありませんでしょうか? 」
カロリーゼロということは、血糖値を上昇させる糖質もゼロです。何故なら、血糖値を上昇させる糖質は、カロリーがありますから。従いまして、糖尿人にもダイエット目的の人にもOK食品です。
「また、寒天やこんにゃくの糖質はあまり気にしなくても大丈夫ですか? 」
炭水化物=糖質+食物繊維です。寒天100g中に炭水化物1.5g、食物繊維1.5gですので、寒天の炭水化物は全て食物繊維になりますので血糖値は上昇しません。
普通に食べるこんにゃくも、100g中に炭水化物3.0、食物繊維2.9g ですので、糖質は100g中にわずか0.1gですね。血糖値への影響は、ほとんどなしです。
「これからの季節、手作り寒天にサラヤさんの液状のラカントSをかけて、あんみつのようにいただいてみようかと思っているのですが ラカントSの液状は糖質が100gあたり19g含まれているようです。 この糖質はやはり血糖値に影響しますでしょうか?」
ラカントSの糖質は、糖アルコールのエリスリトールです。エリスリトールは、糖アルコールの中で唯一、カロリーゼロで血糖値も上昇させません。安心してお使い下さい。
江部康二
さて今回は、藻類などと糖質などについてVani さんからコメント・質問をいただきました。
「09/06/13 Vani
おうかがいいたします
江部先生こんにちは!はじめまして。
いつも大変勉強になるブログをありがとうございます。
私は糖尿病ではないのですが、体型維持のため糖質制限をしております。
元々野菜と果物が大好きで、自然とベジタリアンになり体型は痩せ型です。
しかし、年齢とと共に体重が落ちずらくなり…糖質制限を勉強中ですが、とても奥が深いです。
ショックだったのは野菜の糖質が意外に多く含まれていること。
今まで穀類は全く食べなくても平気だったのですが、果物はもちろん、好物のかぼちゃやサツマイモ、玉ねぎや根菜類、トマトやえのき等
今までのように無邪気に食べられなくなりました。
ベジタリアンなので肉類が駄目となるとどうしても野菜中心になるので糖質が多くなってしまいます。
そこで制限中でも安心していただけるものを探しているのですが、是非教えていただきたいです。
まず、一般的に海藻類は糖質が多めと聞きますが
私がいつも食べているカットワカメの成分は一袋(16g)あたり、炭水化物6.2g、食物繊維6.2gとあるのですが
これは糖質0と考えて大丈夫でしょうか?
よくあるカロリーゼロ飲料(ペプシネックス、ファンタカロリーゼロ、三ツ矢サイダーオールゼロ、
アサヒ超ファイバー、カルピス等)や
カロリーゼロのゼリー(プルジュレやパーフェクトプラス等)は太ることはありませんでしょうか?
血糖値に影響しないとされている甘味料を使われていても、糖質が結構含まれていて(特にゼリー類)いつも躊躇します。
また、寒天やこんにゃくの糖質はあまり気にしなくても大丈夫ですか?
これからの季節、手作り寒天にサラヤさんの液状のラカントSをかけて、あんみつのようにいただいてみようかと思っているのですが
ラカントSの液状は糖質が100gあたり19g含まれているようです。
この糖質はやはり血糖値に影響しますでしょうか?
たくさん質問してしまって申し訳ございません。
ご多忙中恐縮に存じますが、お返事いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。」
Vani さん。コメントありがとうございます。
「まず、一般的に海藻類は糖質が多めと聞きますが 私がいつも食べているカットワカメの成分は一袋(16g)あたり、炭水化物6.2g、食物繊維6.2gとあるのですが これは糖質0と考えて大丈夫でしょうか?」
糖質ゼロということはないです。表示の間違いではないでしょうか?
五訂日本食品成分表によれば、カットわかめ、100g中に炭水化物41.8g、そのうち食物繊維が35.6gです。
従いまして<41.8-35.6=6.2>100g中に6.2gの糖質ですね。
そうすると16gのカットわかめには、0.992gの糖質が含まれています。
藻類でびっくりするのが、昆布です。
素干しの昆布100g中に炭水化物55.7g、食物繊維24.9gです。実に30.8gの糖質が含まれています。藻類で昆布だけは、明らかな高糖質食品です。
糖尿人で、昆布は大丈夫だろうと大量に食べて、食後高血糖頻発の方がおられました。昆布恐るべしですね。
「よくあるカロリーゼロ飲料(ペプシネックス、ファンタカロリーゼロ、三ツ矢サイダーオールゼロ、 アサヒ超ファイバー、カルピス等)や カロリーゼロのゼリー(プルジュレやパーフェクトプラス等)は太ることはありませんでしょうか? 」
カロリーゼロということは、血糖値を上昇させる糖質もゼロです。何故なら、血糖値を上昇させる糖質は、カロリーがありますから。従いまして、糖尿人にもダイエット目的の人にもOK食品です。
「また、寒天やこんにゃくの糖質はあまり気にしなくても大丈夫ですか? 」
炭水化物=糖質+食物繊維です。寒天100g中に炭水化物1.5g、食物繊維1.5gですので、寒天の炭水化物は全て食物繊維になりますので血糖値は上昇しません。
普通に食べるこんにゃくも、100g中に炭水化物3.0、食物繊維2.9g ですので、糖質は100g中にわずか0.1gですね。血糖値への影響は、ほとんどなしです。
「これからの季節、手作り寒天にサラヤさんの液状のラカントSをかけて、あんみつのようにいただいてみようかと思っているのですが ラカントSの液状は糖質が100gあたり19g含まれているようです。 この糖質はやはり血糖値に影響しますでしょうか?」
ラカントSの糖質は、糖アルコールのエリスリトールです。エリスリトールは、糖アルコールの中で唯一、カロリーゼロで血糖値も上昇させません。安心してお使い下さい。
江部康二
2009年06月23日 (火)
おはようございます。
この度、管理栄養士の大柳珠美さんと共著で
「糖尿病のための糖質オフごちそうごはん」(アスペクト)
を上梓させて頂くこととなりました。
発売日は、2009年6月24日です。書店によっては売り場に並ぶのは1〜2日後になるかもしれません。価格は1575円(税込み)です。
お肉もお魚もお酒もOK。面倒なカロリー計算も、交換表もいりません!!糖尿病でも、食後高血糖を起こすことなく、美味しく楽しく食べることができる糖質制限食OKレシピが満載です。
112ぺージからの「食品糖質&タンパク質量表」には、1食あたりの食品の糖質量に加え、たんぱく質量も掲載しました。
表は、一人前の目安量と100g当たりの糖質量を併記し、使い勝手がよくなりました。20ページの「糖質が少ない食品&多い食品」の表もよりわかりやすくなりました。
2005年に「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」を出版して、4年の歳月が過ぎました。お陰様でベストセラーとなり世の中に「糖質制限食」を広めるきっかけになったと自負しています。
高雄病院には北海道から九州まで糖尿病患者さんが入院してこられますが、当初は「主治医に怒られたので内緒で来ました。」というパターンでした。しかしここ1年は、紹介状を持って来られる患者さんもあるようになりました。
さらに医学雑誌「メディカル朝日」2008年12月号に糖質制限食に対して好意的な記事が載り、私の本も紹介されました。また医学雑誌「治療」2009年4月号に、私が糖質制限食の論文を執筆しました。
欧米では広がり始めている糖質制限食も、日本では全くの夜明け前でしたがそろそろ医学界でも日の出という状況になりつつあります。
今回、大柳珠美さんという良きパートナーを得て、糖質制限食のレシピ本を刊行できたことはとてもタイムリーでした。
大柳さんは、日本で最も糖質制限食に精通した管理栄養士のお一人です。豊富な経験と新しい視点で、わかりやすく使いやすい本に仕上げていただきました。
「糖尿病治療には美味しく楽しく糖質制限食」
本書が皆様のお役に立てれば幸甚です。
江部康二
この度、管理栄養士の大柳珠美さんと共著で
「糖尿病のための糖質オフごちそうごはん」(アスペクト)
を上梓させて頂くこととなりました。
発売日は、2009年6月24日です。書店によっては売り場に並ぶのは1〜2日後になるかもしれません。価格は1575円(税込み)です。
お肉もお魚もお酒もOK。面倒なカロリー計算も、交換表もいりません!!糖尿病でも、食後高血糖を起こすことなく、美味しく楽しく食べることができる糖質制限食OKレシピが満載です。
112ぺージからの「食品糖質&タンパク質量表」には、1食あたりの食品の糖質量に加え、たんぱく質量も掲載しました。
表は、一人前の目安量と100g当たりの糖質量を併記し、使い勝手がよくなりました。20ページの「糖質が少ない食品&多い食品」の表もよりわかりやすくなりました。
2005年に「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」を出版して、4年の歳月が過ぎました。お陰様でベストセラーとなり世の中に「糖質制限食」を広めるきっかけになったと自負しています。
高雄病院には北海道から九州まで糖尿病患者さんが入院してこられますが、当初は「主治医に怒られたので内緒で来ました。」というパターンでした。しかしここ1年は、紹介状を持って来られる患者さんもあるようになりました。
さらに医学雑誌「メディカル朝日」2008年12月号に糖質制限食に対して好意的な記事が載り、私の本も紹介されました。また医学雑誌「治療」2009年4月号に、私が糖質制限食の論文を執筆しました。
欧米では広がり始めている糖質制限食も、日本では全くの夜明け前でしたがそろそろ医学界でも日の出という状況になりつつあります。
今回、大柳珠美さんという良きパートナーを得て、糖質制限食のレシピ本を刊行できたことはとてもタイムリーでした。
大柳さんは、日本で最も糖質制限食に精通した管理栄養士のお一人です。豊富な経験と新しい視点で、わかりやすく使いやすい本に仕上げていただきました。
「糖尿病治療には美味しく楽しく糖質制限食」
本書が皆様のお役に立てれば幸甚です。
江部康二
2009年06月22日 (月)
こんばんは。今から祇園にでかけるので、慌ててブログを書いています。
以下は、スーパー糖質制限食を数年間続けている糖尿人2人のデータです。
2009.3.3
江部康二 59才
pH 7.45
血中ケトン体 712μM/L(26~122)
尿中ケトン体 陰性
糖質制限食摂取3時間血糖値 123mg/dl
Sさん 61才 ♂
pH 7.45
血中ケトン体 603μM/L
尿中ケトン体 陰性
空腹時血糖値 86mg/dl
スーパー糖質制限食は、総摂取カロリーのうち、約56%が脂質です。
血中ケトン体は、糖質を摂取している人の基準値に比べれば高値で、当初は尿中ケトン体が陽性となります。
しかし、体細胞が効率良くケトン体を利用することと、腎臓でのケトン体の再吸収が高まることで、一定期間経過すると尿中に排泄されなくなると考えられます。通常は3ヶ月~半年で尿中ケトン体は陰性となります。
一般的な基準値に比し、血中ケトン体は高値ですが、これは糖質制限食実践中の正常値で生理的ケトン体です。
人類が狩猟・採集生活で糖質制限食だった399万年間の正常値と考えられます。
勿論、pH は正常値で、酸血症(アシドーシス)にはなっていませんね。
江部康二
以下は、スーパー糖質制限食を数年間続けている糖尿人2人のデータです。
2009.3.3
江部康二 59才
pH 7.45
血中ケトン体 712μM/L(26~122)
尿中ケトン体 陰性
糖質制限食摂取3時間血糖値 123mg/dl
Sさん 61才 ♂
pH 7.45
血中ケトン体 603μM/L
尿中ケトン体 陰性
空腹時血糖値 86mg/dl
スーパー糖質制限食は、総摂取カロリーのうち、約56%が脂質です。
血中ケトン体は、糖質を摂取している人の基準値に比べれば高値で、当初は尿中ケトン体が陽性となります。
しかし、体細胞が効率良くケトン体を利用することと、腎臓でのケトン体の再吸収が高まることで、一定期間経過すると尿中に排泄されなくなると考えられます。通常は3ヶ月~半年で尿中ケトン体は陰性となります。
一般的な基準値に比し、血中ケトン体は高値ですが、これは糖質制限食実践中の正常値で生理的ケトン体です。
人類が狩猟・採集生活で糖質制限食だった399万年間の正常値と考えられます。
勿論、pH は正常値で、酸血症(アシドーシス)にはなっていませんね。
江部康二
2009年06月21日 (日)
6月20日(土)、21日(日)と、第60回日本東洋医学会学術総会に参加しました。
会場は、「ニューピアホール」を中心にしたウオーターフロント竹芝施設群で、潮の匂いが心地よかったのですが、風がきつくてまいりました。
東京湾を眺めつつ、養腎降濁湯など漢方の世界に午前中浸ったあとは、雨のそぼ降るなかを、押っ取り刀で「Botanica」へ駆けつけました。
新井田シェフともお話しましたが、6月20日は糖質制限食の予約が5組もあったそうで、私としても嬉しい限りでした。 (^_^)
今回は、アザミさんから美しい美味しいコメントをいただきましたが、アザミさん、土曜に「Botanica」行かれたのですね。
【夢の様なひと時
いつもお世話になっています。
東京ミッドタウンの「ボタニカ」ヘ行って来ました。
素晴らしいです。
糖質制限食用に特別メニューを用意してありました糖質量(21.43g)
私は一回10gの糖質量にお願いしました。
シェフが何度も説明に来てくださり本当に恐縮でした。
ゆっくりと何の心配もなく彩りの美しい美味しいお料理を堪能できて幸せ一杯でした。
有難うございました。
2009/06/20(Sat) 19:04 | URL | アザミ】
アザミさん。
コメントありがとうございます。
私も行きましたよ。ボタニカ至福のディナー。(⌒o⌒)v
Antipasto
本日の河岸からの鮮魚のカルパッチョ 初夏のインサラータ
鴨フォアグラのソテー 甘海老と帆立貝のタルタルと共に バルサミコ風味
Primo piatto
低糖質手打ちタリオリーニ ボンゴレと黄韮の潮風味
Carne
山形産平田牧場の三元豚と三重産熊野地鶏備長炭焼 旬の野菜を添えて
Dolce
ガトーショコラ NYチーズケーキ バニラアイス ヴェリーヌ
ティラミス 紅茶パウンドケーキ 生チョコレート フルーツ
Caffe
Pane
プレーンとゴマ風味のパン
今日もまた、真っ昼間から糖質制限な至高のメニュー・究極のメニュー、白ワイン・赤ワインも楽しみ、極楽浄土の世界を夢うつつの中で堪能しつくした江部康二でした。(*≧∇≦*)
これだけボリュームたっぷりで、総糖質量は20gですぞ。
東京ミッドタウン「Botanica」の新井田シェフは自ら糖質制限食を実践、半年で101kgから68kgに減量成功されて糖尿病もすっかり良くなられ、今もキープですよ。 (^^)
東京方面の糖尿人・メタボ人の方々、あるいは東京に出張した糖尿人・メタボ人の方々、是非一度、阿曽シェフ、新井田シェフの料理を召し上がれ!!
リピーターになること疑いなしですよ。
「代官山ASO チェレステ二子玉川店」
東京都世田谷区玉川3-17-1
玉川高島屋S・C南館11階
TEL:03-5797-3380
営業時間
ランチ 11:00~14:30(L.O.)
ディナー 18:00~21:00(L.O.)
定休日 なし
「代官山ASO チェレステ日本橋店」
東京都中央区日本橋室町1-4-1
日本橋三越本店 新館10F
TEL:03-3243-1820
営業時間
ランチ 11:00~14:30(L.O.)
ティータイム 14:30~16:00(L.O.)
ディナー 17:30~20:30(L.O.)
定休日 なし
「Botanica」
東京都港区赤坂9-7-4
東京ミッドタウン ガーデンテラス4階
TEL:03-5413-3282
営業時間
LUNCH: 平日 11:00~14:30 (L.O.)
土・日・祝 11:00~15:00 (L.O.)
DINNER: 平日・土 18:00~21:30 (L.O.)
日・祝 18:00~21:00 (L.O.)
これら3つのレストランなら、気合と根性で我慢して戴かなくても、
前菜からデザートまで糖質制限食を心ゆくまで堪能して頂けること間違いありません。
清く正しくより美味しく楽しく糖質制限食!
是非、是非、電話で予約して、足をお運び下さいね。ヾ(^▽^)
江部康二
会場は、「ニューピアホール」を中心にしたウオーターフロント竹芝施設群で、潮の匂いが心地よかったのですが、風がきつくてまいりました。
東京湾を眺めつつ、養腎降濁湯など漢方の世界に午前中浸ったあとは、雨のそぼ降るなかを、押っ取り刀で「Botanica」へ駆けつけました。
新井田シェフともお話しましたが、6月20日は糖質制限食の予約が5組もあったそうで、私としても嬉しい限りでした。 (^_^)
今回は、アザミさんから美しい美味しいコメントをいただきましたが、アザミさん、土曜に「Botanica」行かれたのですね。
【夢の様なひと時
いつもお世話になっています。
東京ミッドタウンの「ボタニカ」ヘ行って来ました。
素晴らしいです。
糖質制限食用に特別メニューを用意してありました糖質量(21.43g)
私は一回10gの糖質量にお願いしました。
シェフが何度も説明に来てくださり本当に恐縮でした。
ゆっくりと何の心配もなく彩りの美しい美味しいお料理を堪能できて幸せ一杯でした。
有難うございました。
2009/06/20(Sat) 19:04 | URL | アザミ】
アザミさん。
コメントありがとうございます。
私も行きましたよ。ボタニカ至福のディナー。(⌒o⌒)v
Antipasto
本日の河岸からの鮮魚のカルパッチョ 初夏のインサラータ
鴨フォアグラのソテー 甘海老と帆立貝のタルタルと共に バルサミコ風味
Primo piatto
低糖質手打ちタリオリーニ ボンゴレと黄韮の潮風味
Carne
山形産平田牧場の三元豚と三重産熊野地鶏備長炭焼 旬の野菜を添えて
Dolce
ガトーショコラ NYチーズケーキ バニラアイス ヴェリーヌ
ティラミス 紅茶パウンドケーキ 生チョコレート フルーツ
Caffe
Pane
プレーンとゴマ風味のパン
今日もまた、真っ昼間から糖質制限な至高のメニュー・究極のメニュー、白ワイン・赤ワインも楽しみ、極楽浄土の世界を夢うつつの中で堪能しつくした江部康二でした。(*≧∇≦*)
これだけボリュームたっぷりで、総糖質量は20gですぞ。
東京ミッドタウン「Botanica」の新井田シェフは自ら糖質制限食を実践、半年で101kgから68kgに減量成功されて糖尿病もすっかり良くなられ、今もキープですよ。 (^^)
東京方面の糖尿人・メタボ人の方々、あるいは東京に出張した糖尿人・メタボ人の方々、是非一度、阿曽シェフ、新井田シェフの料理を召し上がれ!!
リピーターになること疑いなしですよ。
「代官山ASO チェレステ二子玉川店」
東京都世田谷区玉川3-17-1
玉川高島屋S・C南館11階
TEL:03-5797-3380
営業時間
ランチ 11:00~14:30(L.O.)
ディナー 18:00~21:00(L.O.)
定休日 なし
「代官山ASO チェレステ日本橋店」
東京都中央区日本橋室町1-4-1
日本橋三越本店 新館10F
TEL:03-3243-1820
営業時間
ランチ 11:00~14:30(L.O.)
ティータイム 14:30~16:00(L.O.)
ディナー 17:30~20:30(L.O.)
定休日 なし
「Botanica」
東京都港区赤坂9-7-4
東京ミッドタウン ガーデンテラス4階
TEL:03-5413-3282
営業時間
LUNCH: 平日 11:00~14:30 (L.O.)
土・日・祝 11:00~15:00 (L.O.)
DINNER: 平日・土 18:00~21:30 (L.O.)
日・祝 18:00~21:00 (L.O.)
これら3つのレストランなら、気合と根性で我慢して戴かなくても、
前菜からデザートまで糖質制限食を心ゆくまで堪能して頂けること間違いありません。
清く正しくより美味しく楽しく糖質制限食!
是非、是非、電話で予約して、足をお運び下さいね。ヾ(^▽^)
江部康二
2009年06月20日 (土)
【糖質制限食とは】
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。 また糖質は摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。
これらはカロリーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を急峻に上昇させます。従って、糖質を摂取した時には、インスリンが大量に追加分泌されます。
しかし、脂質やタンパク質は血糖値をほとんど上昇させないので、インスリンの追加分泌は、ほとんどありません。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖が大きな問題として注目されています。食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。そして食後高血糖を起こすのは三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。 従って6枚切りの食パン2枚(約310キロカロリー)食べると糖質 が約50g含まれているので、血糖値は150mgも上昇します。
一方、ロースステーキを300g(約1200キロカロリー)食べても糖質含有量は1gもないので食後高血糖はほとんど生じないのです。
また、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは、米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の食パンとステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、「カロリー制限より糖質制限」ということがおわかりいただけたと思います。なお糖質制限食はカロリー無制限ということではありません。一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
☆☆☆
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。*炭水化物=糖質+食物繊維
【講演会のお知らせ】
☆第33回日本産科婦人科栄養・代謝研究会2009年7月31日(金)
特別講演・江部康二
「栄養・代謝と糖質制限食」
午後3時~1時間
金沢で行われる学会です。
ブログ読者で産婦人科のドクターがおられましたら是非ご参加ください。
☆朝日カルチャーセンター京都http://www.asahi-culture.co.jp/www/kyoto-c.html
TEL 075-231-9693
2009年8月18日(火)10:30~12:00
食事で治す!アトピー・糖尿病・メタボ
-テーラーメードダイエットと糖質制限食-
【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内・保険適応】
お問い合わせは高雄病院
http://www.takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
【糖質制限食外来治療のご案内・予約制・保険適応】
高雄病院 電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院京都駅前診療所 電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
http://www.takao-hospital.net/
江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
【コメント・質問に関するお知らせ・お願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
読者の皆さんからご意見いただきましたが、確かに普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、主治医にご相談頂けば助かります。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書きましたが、 糖質制限食実践によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」「 糖質制限食 春のレシピ」「 糖質制限食 夏のレシピ」「糖質制限食 秋のレシピ」「糖質制限食 冬のレシピ」を参考にして、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
江部康二
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。 また糖質は摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。
これらはカロリーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を急峻に上昇させます。従って、糖質を摂取した時には、インスリンが大量に追加分泌されます。
しかし、脂質やタンパク質は血糖値をほとんど上昇させないので、インスリンの追加分泌は、ほとんどありません。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖が大きな問題として注目されています。食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。そして食後高血糖を起こすのは三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。 従って6枚切りの食パン2枚(約310キロカロリー)食べると糖質 が約50g含まれているので、血糖値は150mgも上昇します。
一方、ロースステーキを300g(約1200キロカロリー)食べても糖質含有量は1gもないので食後高血糖はほとんど生じないのです。
また、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは、米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の食パンとステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、「カロリー制限より糖質制限」ということがおわかりいただけたと思います。なお糖質制限食はカロリー無制限ということではありません。一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
☆☆☆
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。*炭水化物=糖質+食物繊維
【講演会のお知らせ】
☆第33回日本産科婦人科栄養・代謝研究会2009年7月31日(金)
特別講演・江部康二
「栄養・代謝と糖質制限食」
午後3時~1時間
金沢で行われる学会です。
ブログ読者で産婦人科のドクターがおられましたら是非ご参加ください。
☆朝日カルチャーセンター京都http://www.asahi-culture.co.jp/www/kyoto-c.html
TEL 075-231-9693
2009年8月18日(火)10:30~12:00
食事で治す!アトピー・糖尿病・メタボ
-テーラーメードダイエットと糖質制限食-
【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内・保険適応】
お問い合わせは高雄病院
http://www.takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
【糖質制限食外来治療のご案内・予約制・保険適応】
高雄病院 電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院京都駅前診療所 電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
http://www.takao-hospital.net/
江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
【コメント・質問に関するお知らせ・お願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
読者の皆さんからご意見いただきましたが、確かに普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、主治医にご相談頂けば助かります。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書きましたが、 糖質制限食実践によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」「 糖質制限食 春のレシピ」「 糖質制限食 夏のレシピ」「糖質制限食 秋のレシピ」「糖質制限食 冬のレシピ」を参考にして、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
江部康二
2009年06月19日 (金)
おはようございます。梅雨だというのに、雨がほとんど降らない京都です。
一方で、水曜日は、源氏物語で有名な宇治市あたりだけ、ゲリラ豪雨で冠水でした。木曜日の夕方は京都市右京区あたりで、雷雨で夕立で豪雨でした。2.3時間ですぐやみましたが…。
今日は、恒例の第三金曜ライブです。よい天気でよかったです。(^^;)
さて、HbA1cは、過去1~2ヶ月の平均血糖値を示すとされています。平均血糖値ですから、空腹時も食後も含めてのものです。
それでは、具体的数値はどうなるの?というとき便利な式があります。
①DCCTという米国で行われた1型糖尿病の大規模研究調査から、HbA1cの1%の違いは、平均血糖値の30mg/dlの差に相当し、HbA1cと平均血糖値の関係は以下の通りとされています。
ミズーリ大学のGoldsteinの式(DCCT研究から)
米国 平均血糖値÷30+2=HbA1c
平均血糖値=<HbA1c-2>×30
日本 平均血糖値÷30+1.7=HbA1c
平均血糖値=<HbA1c-1.7>×30
この当時、米国と日本のHbA1c測定の標準物質が異なるため、同じ検体でも日本のほうが0.3%低くなるということで、日本用の式は補正されています。
この式は、舟形町町研究で有名な富永真琴・山形大教授(当時)が、2004年にアステラス製薬のウェブサイトでインタビューに答えておられた記事でみました。
たとえば、私の2009年6月のHbA1cが5.3%でした。
平均血糖値=<5.3-1.7>×30=108mg/dl
ということになります。
②次は、米国の最新の一日の平均血糖値と、HbA1cの関係を調べた研究発表です。
Diabetes Care 2008年8月号(2008 Aug; 31: 1473- 1478)に発表されました。(*)
平均血糖値を算出するために、かなり厳密なデータを集めています。507名(86%は糖尿病患者さん、14%は健常者)を対象に検討しています。12週間にわたってデータを集めています。
まず、一日288回の血糖測定を2日続けるということを4週ごとに12週間行い、さらに、毎週3日、7回の指先からの血糖測定を行いました。そして、12週目にHbA1cを測定し、一日平均血糖値とHbA1cの関係を算出しました。
それによると、HbA1cの1%ポイントは血糖値の29mg/dlに相当し、HbA1cと平均血糖値の関係は以下のようになったそうです。
HbA1c 平均血糖値
5 97
6 126
7 154
8 183
9 212
10 240
11 269
12 298
平均血糖値(AGmg/dl) = 28.7 x A1C – 46.7(R2 = 0.84, P < 0.0001)
(*)
Translating the A1C Assay Into Estimated Average Glucose Values
Diabetes Care 31:1473-1478, 2008
②の研究ではHbA1cの1%ポイントは血糖値の29mg/dlに相当し、①の研究の30mg/dlと少しだけずれていますが、大差なしです。こちらは、日本のHbA1c用の補正式はまだないので、あくまで参考です。
日本では今のところ①の「ミズーリ大学のGoldsteinの式・日本用」が便利です。
江部康二
一方で、水曜日は、源氏物語で有名な宇治市あたりだけ、ゲリラ豪雨で冠水でした。木曜日の夕方は京都市右京区あたりで、雷雨で夕立で豪雨でした。2.3時間ですぐやみましたが…。
今日は、恒例の第三金曜ライブです。よい天気でよかったです。(^^;)
さて、HbA1cは、過去1~2ヶ月の平均血糖値を示すとされています。平均血糖値ですから、空腹時も食後も含めてのものです。
それでは、具体的数値はどうなるの?というとき便利な式があります。
①DCCTという米国で行われた1型糖尿病の大規模研究調査から、HbA1cの1%の違いは、平均血糖値の30mg/dlの差に相当し、HbA1cと平均血糖値の関係は以下の通りとされています。
ミズーリ大学のGoldsteinの式(DCCT研究から)
米国 平均血糖値÷30+2=HbA1c
平均血糖値=<HbA1c-2>×30
日本 平均血糖値÷30+1.7=HbA1c
平均血糖値=<HbA1c-1.7>×30
この当時、米国と日本のHbA1c測定の標準物質が異なるため、同じ検体でも日本のほうが0.3%低くなるということで、日本用の式は補正されています。
この式は、舟形町町研究で有名な富永真琴・山形大教授(当時)が、2004年にアステラス製薬のウェブサイトでインタビューに答えておられた記事でみました。
たとえば、私の2009年6月のHbA1cが5.3%でした。
平均血糖値=<5.3-1.7>×30=108mg/dl
ということになります。
②次は、米国の最新の一日の平均血糖値と、HbA1cの関係を調べた研究発表です。
Diabetes Care 2008年8月号(2008 Aug; 31: 1473- 1478)に発表されました。(*)
平均血糖値を算出するために、かなり厳密なデータを集めています。507名(86%は糖尿病患者さん、14%は健常者)を対象に検討しています。12週間にわたってデータを集めています。
まず、一日288回の血糖測定を2日続けるということを4週ごとに12週間行い、さらに、毎週3日、7回の指先からの血糖測定を行いました。そして、12週目にHbA1cを測定し、一日平均血糖値とHbA1cの関係を算出しました。
それによると、HbA1cの1%ポイントは血糖値の29mg/dlに相当し、HbA1cと平均血糖値の関係は以下のようになったそうです。
HbA1c 平均血糖値
5 97
6 126
7 154
8 183
9 212
10 240
11 269
12 298
平均血糖値(AGmg/dl) = 28.7 x A1C – 46.7(R2 = 0.84, P < 0.0001)
(*)
Translating the A1C Assay Into Estimated Average Glucose Values
Diabetes Care 31:1473-1478, 2008
②の研究ではHbA1cの1%ポイントは血糖値の29mg/dlに相当し、①の研究の30mg/dlと少しだけずれていますが、大差なしです。こちらは、日本のHbA1c用の補正式はまだないので、あくまで参考です。
日本では今のところ①の「ミズーリ大学のGoldsteinの式・日本用」が便利です。
江部康二
2009年06月18日 (木)
イトーさん、のぞみさん、カンジパパさんから、ケトン体についてコメント・質問をいただきました。
ケトン体に関する質問は、結構多いですね。医師に糖質制限食の説明をしていても、たいていケトン体の質問があります。
「09/06/09 イトー
ケトン体と早朝の糖新生について質問です。
1型糖尿病、糖質制限中のイトーです。
私もケトンについてお聞きしたいです。
私は糖質制限して1週間目に定期検査で病院に行き 尿検査をしたら尿中ケトンが2+でした。
その時は順調に痩せていたのですが、 糖質制限を始めて3週間目以降体重は減りませんでした。
結局、3キロしか痩せておらず今も標準体重+5キロ程あります。
そして、糖質制限を始めて5週間目にまた定期検査があり 今度の尿検査ではケトンは出ていませんでした。 糖質制限を続けていくと尿中ケトンは出なくなるものでしょうか?
ちなみに血液中のケトンは計っておりません。
ケトンの無駄な消費?が減り、体重減少も止まったのでしょうか? もう少し痩せた方が良いのですが体重減少が止まり残念です。
インスリンの量は減ったので糖質制限は続けるつもりですが。
それと、糖新生についてお聞きしたいのですが、 私は朝食と昼食の食事量(炭水化物)の量は同じなのですが 朝食後は血糖値が高くなりやすく、 糖質の量は昼食と同じにも関わらずインスリンは二倍打ってます。
昼食は3単位のインスリンで済んでいますが 朝食は6単位打たなければ食後血糖値が下がりません 朝は糖新生が起きているのでしょうか。 それについても先生の意見をお聞きしたいです。
よろしくお願いします。」
「09/06/09 のぞみ
タイトルなし
先生、初めまして。
栄養士をしているのぞみと申します。先生のブログを拝見して色々と勉強をさせて頂いています。
学生時代からずっと疑問に思っていたことなのですが、ケトン体の利用についてです。国家試験の勉強の際だったと思うので教科書レベルなのですが・・
ケトン体は腎臓でも利用されるということですが、絶食時にはTCAサイクルが回らないからケトン体が生成されてということだったと思うのですが、絶食時には腎臓でも糖新生が行われていると思います。しかも絶食時には腎臓での比率が高まると本で読みました。ということは、腎臓でもTCAサイクルは回らないからケトン体利用はできないのではないかな?と思ったのです。
久々に思い出して色々調べてみたのですが、分からず・・。もし宜しければ教えて頂けると嬉しいです。」
「09/06/10 カンジパパ
ケトン体の数値
はじめまして。Glut1異常症のカンジパパです。いつも楽しみに拝見しています。ケトン体に関することなのでトラックバックさせていただきました。トラックバックという行為の本来の意義に疑問を覚えつつ。ご紹介もさせていただきましたので、これからもよろしくお願いします。」
イトーさん、のぞみさん、カンジパパさん。
コメントありがとうございます。
ケトン体について少し整理してみましょう。
アセトン、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸のことを、まとめてケトン体といいます。ケトン体は、脂肪酸の分解により肝臓で作られ、血液中に出されます。
ケトン体は心筋、骨格筋、腎臓などさまざまな臓器で日常的にエネルギー源として利用されており、脂肪酸の合成にも再利用されます。人体に日常的に存在しているものなので、基本的に毒性はありません。 (^_^)
実際、意外かもしれませんが、基礎代謝の大部分を占める骨格筋や心筋は、エネルギー源の大部分が脂肪酸-ケトン体です。
つまり、私達は、ごく日常的に毎日24時間、「脂肪酸-ケトン体」エネルギーシステムを利用して生きているのです。
ケトン体の基準値は26~122μM/lですが、これはあくまでも、現代人が日常的に三食以上糖質を摂取している条件下の基準値です。
断食中の初期や 糖質制限食の初期の段階だと、「脂肪酸-ケトン体」エネルギーシステムが活性化するので、血中ケトン体は2000~4000μM/lていどに上昇するのが普通です。勿論このとき人体の細胞のTCAサイクルも活発に活動しています。
江部康二のように4~5年間、スーパー糖質制限食を続けている場合、ケトン体は、300~1400μM/lていどで、これは糖質制限食を実践している場合の正常値と考えられます。そして、農耕前の人類のケトン体の基準値も同様と考えられます。
要するに「脂肪酸-ケトン体」システムが活発化すれば、単純に血中のケトン体値は高値となりますが、インスリン作用が確保されていて、血糖値が正常なら全く何の問題もありませんし、これは生理的な現象なのです。 (^_^)
糖尿病のコントロールが悪くて、血糖値600mgとか、インスリン作用が欠落している時の病理的ケトン体上昇とは、はっきり区別する必要があります。
「生理的ケトンタ体上昇」と「病理的ケトン体上昇」は全く異なる状態なのですが、多くの医師が混同しているため、現場に混乱があります。 (*_*)
例えば最近の江部康二の血中ケトン体は1400μM/lでしたが、血糖値も含め検査データは全て正常です。尿中ケトン体は陰性です。
糖質制限食を続けて3ヶ月~6ヶ月が経過すると、血中のケトン体が従来の基準値より高値のままでも、尿中にはでなくなります。
これは心筋や骨格筋が効率よくケトン体を利用するようになることと、腎臓での再吸収が高まることによると考えられます。
体重減少は尿中にケトン体が陽性の時期は速やかに減りますが、尿中ケトン体陰性になってくると減少率はゆっっくりになります。いずれその人における一番ベストな体重になった時点で落ち着きます。
医学の教科書
「ハーパー・生化学」(原著27版)の訳本、155ぺージ・図16-9の説明に、
「心臓のような肝外組織では代謝エネルギー源は次の順に好まれて酸化される。
(1)ケトン体.(2)脂肪酸.(3)グルコース」
との記載があります。
また157ページ左側27行には、
「遊離脂肪酸は肝臓、心臓、骨格筋において好まれて利用される代謝エネルギー源であり、グルコースの消費を節約することができる。」
とあり、
157ページ、左側38行には、
「ケトン体は、骨格筋と心筋の主要な代謝エネルギー源であり、脳のエネルギーの必要性を部分的に満たす。」
とあります。
イトーさんのご質問
「それと、糖新生についてお聞きしたいのですが、 私は朝食と昼食の食事量(炭水化物)の量は同じなのですが 朝食後は血糖値が高くなりやすく、 糖質の量は昼食と同じにも関わらずインスリンは二倍打ってます。
昼食は3単位のインスリンで済んでいますが 朝食は6単位打たなければ食後血糖値が下がりません 朝は糖新生が起きているのでしょうか。」
1型糖尿人は、暁現象があることが多いので、仰有る通り、糖新生が朝高まっている可能性がありますね。バーンスタイン医師によれば、就寝後8~10時間が、一番暁現象が目立つそうです。
のぞみさん。
TCAサイクルは、絶食時も食事時も常に活動しています。人体の細胞のエネルギー生産装置は、ミトコンドリアです。
ミトコンドリア内で24時間TCAサイクルは活動しています。ミトコンドリアがあれば、細胞は脂肪酸-ケトン体をエネルギー源とします。
人体で唯一、赤血球だけはミトコンドリアを持っておらず、ブドウ糖しか利用できません。脳を始めとして赤血球以外の全ての細胞は、脂肪酸-ケトン体システムを利用します。
空腹時や夜間や絶食時などに、糖新生は主として肝臓でアミノ酸、グリセロール、乳酸などから行われますが、一部腎臓でも行われます。また飢餓状態が進行すると腎臓での糖新生が高まるようです。
最低限度のブドウ糖は、赤血球のために絶対必要なので、糖新生は必須です。
繰り返しになりますが、糖新生をしている時も同時に「脂肪酸-ケトン体」システムは活発に活動しています。
江部康二
ケトン体に関する質問は、結構多いですね。医師に糖質制限食の説明をしていても、たいていケトン体の質問があります。
「09/06/09 イトー
ケトン体と早朝の糖新生について質問です。
1型糖尿病、糖質制限中のイトーです。
私もケトンについてお聞きしたいです。
私は糖質制限して1週間目に定期検査で病院に行き 尿検査をしたら尿中ケトンが2+でした。
その時は順調に痩せていたのですが、 糖質制限を始めて3週間目以降体重は減りませんでした。
結局、3キロしか痩せておらず今も標準体重+5キロ程あります。
そして、糖質制限を始めて5週間目にまた定期検査があり 今度の尿検査ではケトンは出ていませんでした。 糖質制限を続けていくと尿中ケトンは出なくなるものでしょうか?
ちなみに血液中のケトンは計っておりません。
ケトンの無駄な消費?が減り、体重減少も止まったのでしょうか? もう少し痩せた方が良いのですが体重減少が止まり残念です。
インスリンの量は減ったので糖質制限は続けるつもりですが。
それと、糖新生についてお聞きしたいのですが、 私は朝食と昼食の食事量(炭水化物)の量は同じなのですが 朝食後は血糖値が高くなりやすく、 糖質の量は昼食と同じにも関わらずインスリンは二倍打ってます。
昼食は3単位のインスリンで済んでいますが 朝食は6単位打たなければ食後血糖値が下がりません 朝は糖新生が起きているのでしょうか。 それについても先生の意見をお聞きしたいです。
よろしくお願いします。」
「09/06/09 のぞみ
タイトルなし
先生、初めまして。
栄養士をしているのぞみと申します。先生のブログを拝見して色々と勉強をさせて頂いています。
学生時代からずっと疑問に思っていたことなのですが、ケトン体の利用についてです。国家試験の勉強の際だったと思うので教科書レベルなのですが・・
ケトン体は腎臓でも利用されるということですが、絶食時にはTCAサイクルが回らないからケトン体が生成されてということだったと思うのですが、絶食時には腎臓でも糖新生が行われていると思います。しかも絶食時には腎臓での比率が高まると本で読みました。ということは、腎臓でもTCAサイクルは回らないからケトン体利用はできないのではないかな?と思ったのです。
久々に思い出して色々調べてみたのですが、分からず・・。もし宜しければ教えて頂けると嬉しいです。」
「09/06/10 カンジパパ
ケトン体の数値
はじめまして。Glut1異常症のカンジパパです。いつも楽しみに拝見しています。ケトン体に関することなのでトラックバックさせていただきました。トラックバックという行為の本来の意義に疑問を覚えつつ。ご紹介もさせていただきましたので、これからもよろしくお願いします。」
イトーさん、のぞみさん、カンジパパさん。
コメントありがとうございます。
ケトン体について少し整理してみましょう。
アセトン、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸のことを、まとめてケトン体といいます。ケトン体は、脂肪酸の分解により肝臓で作られ、血液中に出されます。
ケトン体は心筋、骨格筋、腎臓などさまざまな臓器で日常的にエネルギー源として利用されており、脂肪酸の合成にも再利用されます。人体に日常的に存在しているものなので、基本的に毒性はありません。 (^_^)
実際、意外かもしれませんが、基礎代謝の大部分を占める骨格筋や心筋は、エネルギー源の大部分が脂肪酸-ケトン体です。
つまり、私達は、ごく日常的に毎日24時間、「脂肪酸-ケトン体」エネルギーシステムを利用して生きているのです。
ケトン体の基準値は26~122μM/lですが、これはあくまでも、現代人が日常的に三食以上糖質を摂取している条件下の基準値です。
断食中の初期や 糖質制限食の初期の段階だと、「脂肪酸-ケトン体」エネルギーシステムが活性化するので、血中ケトン体は2000~4000μM/lていどに上昇するのが普通です。勿論このとき人体の細胞のTCAサイクルも活発に活動しています。
江部康二のように4~5年間、スーパー糖質制限食を続けている場合、ケトン体は、300~1400μM/lていどで、これは糖質制限食を実践している場合の正常値と考えられます。そして、農耕前の人類のケトン体の基準値も同様と考えられます。
要するに「脂肪酸-ケトン体」システムが活発化すれば、単純に血中のケトン体値は高値となりますが、インスリン作用が確保されていて、血糖値が正常なら全く何の問題もありませんし、これは生理的な現象なのです。 (^_^)
糖尿病のコントロールが悪くて、血糖値600mgとか、インスリン作用が欠落している時の病理的ケトン体上昇とは、はっきり区別する必要があります。
「生理的ケトンタ体上昇」と「病理的ケトン体上昇」は全く異なる状態なのですが、多くの医師が混同しているため、現場に混乱があります。 (*_*)
例えば最近の江部康二の血中ケトン体は1400μM/lでしたが、血糖値も含め検査データは全て正常です。尿中ケトン体は陰性です。
糖質制限食を続けて3ヶ月~6ヶ月が経過すると、血中のケトン体が従来の基準値より高値のままでも、尿中にはでなくなります。
これは心筋や骨格筋が効率よくケトン体を利用するようになることと、腎臓での再吸収が高まることによると考えられます。
体重減少は尿中にケトン体が陽性の時期は速やかに減りますが、尿中ケトン体陰性になってくると減少率はゆっっくりになります。いずれその人における一番ベストな体重になった時点で落ち着きます。
医学の教科書
「ハーパー・生化学」(原著27版)の訳本、155ぺージ・図16-9の説明に、
「心臓のような肝外組織では代謝エネルギー源は次の順に好まれて酸化される。
(1)ケトン体.(2)脂肪酸.(3)グルコース」
との記載があります。
また157ページ左側27行には、
「遊離脂肪酸は肝臓、心臓、骨格筋において好まれて利用される代謝エネルギー源であり、グルコースの消費を節約することができる。」
とあり、
157ページ、左側38行には、
「ケトン体は、骨格筋と心筋の主要な代謝エネルギー源であり、脳のエネルギーの必要性を部分的に満たす。」
とあります。
イトーさんのご質問
「それと、糖新生についてお聞きしたいのですが、 私は朝食と昼食の食事量(炭水化物)の量は同じなのですが 朝食後は血糖値が高くなりやすく、 糖質の量は昼食と同じにも関わらずインスリンは二倍打ってます。
昼食は3単位のインスリンで済んでいますが 朝食は6単位打たなければ食後血糖値が下がりません 朝は糖新生が起きているのでしょうか。」
1型糖尿人は、暁現象があることが多いので、仰有る通り、糖新生が朝高まっている可能性がありますね。バーンスタイン医師によれば、就寝後8~10時間が、一番暁現象が目立つそうです。
のぞみさん。
TCAサイクルは、絶食時も食事時も常に活動しています。人体の細胞のエネルギー生産装置は、ミトコンドリアです。
ミトコンドリア内で24時間TCAサイクルは活動しています。ミトコンドリアがあれば、細胞は脂肪酸-ケトン体をエネルギー源とします。
人体で唯一、赤血球だけはミトコンドリアを持っておらず、ブドウ糖しか利用できません。脳を始めとして赤血球以外の全ての細胞は、脂肪酸-ケトン体システムを利用します。
空腹時や夜間や絶食時などに、糖新生は主として肝臓でアミノ酸、グリセロール、乳酸などから行われますが、一部腎臓でも行われます。また飢餓状態が進行すると腎臓での糖新生が高まるようです。
最低限度のブドウ糖は、赤血球のために絶対必要なので、糖新生は必須です。
繰り返しになりますが、糖新生をしている時も同時に「脂肪酸-ケトン体」システムは活発に活動しています。
江部康二
2009年06月17日 (水)
おはようございます。
果物について、つばささん、さかいさんからコメント・質問をいただきました。
「09/06/10 つばさ
糖質制限とリンゴ
いつもブログ楽しみに拝見しています。朝と晩は糖質制限をしています。昼のみおかずと少なめのご飯とリンゴを毎日食べています。当たり前ですが昼間の食後血糖値が180~200と高く困っています。病院の食事療法に果物毎日1単位とあり守っていましたが、控えたいと思います。リンゴとかは血圧下げたり、バナナはがんを予防したりと血糖を上げるデメリットの他メリットあるように思え、毎日食べないにしろ1日おきとかある程度摂取したほうがいいのでしょうか?。野菜は朝 晩きっちりとっていますので、毎日食べないようにしても害はないのでしょうか?。すごく気になっていますので教えて下さい。よろしくお願いします。」
「09/06/12 さかい
果物はGI値が低い
こんな記事を見つけました。
『果物のGI値(炭水化物を含む食品の血糖上昇作用を数値化した指数)は低いです。「豊富に含まれている水溶性の食物繊維が胃の中の粘度を高め、急激な血糖値の上昇を抑制する」からです。果糖のような単糖類は血糖値を上げると思われがちだが、実際は、「くだものの糖類は、食物繊維の影響で吸収されにくい」。』
これを読むと、むしろ、果物の糖分はあまり気にしなくてもいいのでは?と思ってしまいますが、どうなのでしょう。
食事と一緒に摂ると、溶性の食物繊維が胃の中の粘度を高め、急激な血糖値の上昇を抑制するということは、食後に、フルーツを摂った方がいいのかもしれませんね。
糖尿病の方でも同じでしょうか・・・・。
ともみ さんの質問にもありましたが、ワインで上昇しないのもそのせい??
そこで疑問が!
野菜の糖質も、穀類と同じように気にした方がよいのでしょうか?
それとも、果物の果糖を同じように、半分くらいで計算しても大丈夫でしょうか?」
つばささん、さかいさん。
コメントありがとうございます。
☆☆☆
果物糖質含有量
果物100gあたりの糖質含有量
アボカド 0.9g 1個
いちご 7.06 7粒
パパイア 7.28 1/2個
レモン 7.6 1個
夏みかん 8.8 1/4個
もも 8.9 2/3個
びわ 9.0 2.5個
グレープフルーツ 9.0 1/4個
すいか 9.2 1/58個
メロン 9.9 1/8個
はっさく 10.0 1/3個
なし 10.4
いよかん 10.6
うんしゅうみかん 11.0
ネーブル 10.8
パインアップル 11.9
いちじく 12.4
西洋なし 12.5
りんご 13.1
キウイフルーツ 13.2
さくらんぼ 14
柿 14.3
ぶどう 15.1
バナナ 21.4
上記は、果物100gあたりの糖質含有量です。
果物の糖質は果糖、ショ糖、ブドウ糖、糖アルコールなどです。
例えば、リンゴ1個(約240g)のカロリーは約150kcalであり、ビタミンC含量は8mg、遊離糖含有量は35.6g(果糖:18g、ブドウ糖:6g、ショ糖:9.6g、ソルビトール:2g)、水溶性食物繊維含量は0.95g、不溶性食物繊維含量は2.95gくらいだそうです。
勿論、果物の種類により果糖・ブドウ糖・ショ糖・糖アルコールの比率は異なると思いますが、このうち果糖は10%くらいしかブドウ糖に変わらないので、ほとんど血糖値を上昇させません。(2008年05月20日 ブログご参照ください)
従いまして、かなりおおざっぱですが、果物の糖質のうち約半分くらいが果糖と仮定すれば、穀物の糖質に比べれば血糖値は少し上昇させにくいといえます。
穀物のデンプン1gが、2型糖尿人の血糖値を3mg上昇させるとすれば、果物の糖質1gは、約半分の1.5mg上昇させると考えられます。
まあ細かいことを言えば、ソルビトール(糖アルコール)はブドウ糖の半分くらい血糖値を上昇させますし、ショ糖は<ブドウ糖+果糖>です。でもおおむねは、上記の計算で良いと思います。
『果物のGI値(炭水化物を含む食品の血糖上昇作用を数値化した指数)は低いです。「豊富に含まれている水溶性の食物繊維が胃の中の粘度を高め、急激な血糖値の上昇を抑制する」からです。果糖のような単糖類は血糖値を上げると思われがちだが、実際は、「くだものの糖類は、食物繊維の影響で吸収されにくい」。』
従って、コメントのこの記事は、適切ではありません。果物のGIが低いのは、食物繊維の影響も少しはあるでしょうが、本質は主成分の果糖が、ほとんど血糖値を上昇させないためです。
それから、GI値は正常人には参考になりますが、糖尿人では、あてになりません。玄米などGIが低いものでも糖尿人が摂取すれば糖質量に応じて血糖値は上昇します。
糖尿人が、GIの低い玄米を150g食べたら、食後血糖値が240mg/dl、GIが高い白米150gなら260mg/dl、程度の差ですので所詮は200アップなのです。。
厚生労働省の低糖質食の定義が、100g中糖質5g以下です。そうすると100g中糖質含有量が10以下の果物は、血糖値上昇に関してはそこそこいけるかと思います。つまり、果物の糖質摂取が1回に10g程度なら、血糖値の上昇は約15mgですむ計算ですね。 (^_^)
100g中の糖質含有量が、13gや14gのりんごやさくらんぼも、食べるとき糖質の計算だけしておけば、どの程度血糖値が上昇するか予測できますので、承知の上で適宜摂取してもらえばいいと思います。
なお、バナナには、上述の糖質に加えてデンプンも含まれているので、特に糖質含有量が多いのです。デンプン分は、他の果物より血糖値を上昇させますね。
また果物は、食べなくても栄養学的には、特に問題はありません。
一方、美味しく楽しく糖質制限食ですから、食後高血糖を生じない程度に嗜むのはよいと思います。
「そこで疑問が!
野菜の糖質も、穀類と同じように気にした方がよいのでしょうか?
それとも、果物の果糖を同じように、半分くらいで計算しても大丈夫でしょうか?」
野菜の糖質も、穀物の糖質も、砂糖もブドウ糖も、基本的に一緒です。
1gの糖質が2型糖尿人(体重64kg)の血糖値を3mg、1型糖尿人の血糖値を5mg、上昇させます。
果糖だけが特殊と考えていただけばいいでしょう。
江部康二
果物について、つばささん、さかいさんからコメント・質問をいただきました。
「09/06/10 つばさ
糖質制限とリンゴ
いつもブログ楽しみに拝見しています。朝と晩は糖質制限をしています。昼のみおかずと少なめのご飯とリンゴを毎日食べています。当たり前ですが昼間の食後血糖値が180~200と高く困っています。病院の食事療法に果物毎日1単位とあり守っていましたが、控えたいと思います。リンゴとかは血圧下げたり、バナナはがんを予防したりと血糖を上げるデメリットの他メリットあるように思え、毎日食べないにしろ1日おきとかある程度摂取したほうがいいのでしょうか?。野菜は朝 晩きっちりとっていますので、毎日食べないようにしても害はないのでしょうか?。すごく気になっていますので教えて下さい。よろしくお願いします。」
「09/06/12 さかい
果物はGI値が低い
こんな記事を見つけました。
『果物のGI値(炭水化物を含む食品の血糖上昇作用を数値化した指数)は低いです。「豊富に含まれている水溶性の食物繊維が胃の中の粘度を高め、急激な血糖値の上昇を抑制する」からです。果糖のような単糖類は血糖値を上げると思われがちだが、実際は、「くだものの糖類は、食物繊維の影響で吸収されにくい」。』
これを読むと、むしろ、果物の糖分はあまり気にしなくてもいいのでは?と思ってしまいますが、どうなのでしょう。
食事と一緒に摂ると、溶性の食物繊維が胃の中の粘度を高め、急激な血糖値の上昇を抑制するということは、食後に、フルーツを摂った方がいいのかもしれませんね。
糖尿病の方でも同じでしょうか・・・・。
ともみ さんの質問にもありましたが、ワインで上昇しないのもそのせい??
そこで疑問が!
野菜の糖質も、穀類と同じように気にした方がよいのでしょうか?
それとも、果物の果糖を同じように、半分くらいで計算しても大丈夫でしょうか?」
つばささん、さかいさん。
コメントありがとうございます。
☆☆☆
果物糖質含有量
果物100gあたりの糖質含有量
アボカド 0.9g 1個
いちご 7.06 7粒
パパイア 7.28 1/2個
レモン 7.6 1個
夏みかん 8.8 1/4個
もも 8.9 2/3個
びわ 9.0 2.5個
グレープフルーツ 9.0 1/4個
すいか 9.2 1/58個
メロン 9.9 1/8個
はっさく 10.0 1/3個
なし 10.4
いよかん 10.6
うんしゅうみかん 11.0
ネーブル 10.8
パインアップル 11.9
いちじく 12.4
西洋なし 12.5
りんご 13.1
キウイフルーツ 13.2
さくらんぼ 14
柿 14.3
ぶどう 15.1
バナナ 21.4
上記は、果物100gあたりの糖質含有量です。
果物の糖質は果糖、ショ糖、ブドウ糖、糖アルコールなどです。
例えば、リンゴ1個(約240g)のカロリーは約150kcalであり、ビタミンC含量は8mg、遊離糖含有量は35.6g(果糖:18g、ブドウ糖:6g、ショ糖:9.6g、ソルビトール:2g)、水溶性食物繊維含量は0.95g、不溶性食物繊維含量は2.95gくらいだそうです。
勿論、果物の種類により果糖・ブドウ糖・ショ糖・糖アルコールの比率は異なると思いますが、このうち果糖は10%くらいしかブドウ糖に変わらないので、ほとんど血糖値を上昇させません。(2008年05月20日 ブログご参照ください)
従いまして、かなりおおざっぱですが、果物の糖質のうち約半分くらいが果糖と仮定すれば、穀物の糖質に比べれば血糖値は少し上昇させにくいといえます。
穀物のデンプン1gが、2型糖尿人の血糖値を3mg上昇させるとすれば、果物の糖質1gは、約半分の1.5mg上昇させると考えられます。
まあ細かいことを言えば、ソルビトール(糖アルコール)はブドウ糖の半分くらい血糖値を上昇させますし、ショ糖は<ブドウ糖+果糖>です。でもおおむねは、上記の計算で良いと思います。
『果物のGI値(炭水化物を含む食品の血糖上昇作用を数値化した指数)は低いです。「豊富に含まれている水溶性の食物繊維が胃の中の粘度を高め、急激な血糖値の上昇を抑制する」からです。果糖のような単糖類は血糖値を上げると思われがちだが、実際は、「くだものの糖類は、食物繊維の影響で吸収されにくい」。』
従って、コメントのこの記事は、適切ではありません。果物のGIが低いのは、食物繊維の影響も少しはあるでしょうが、本質は主成分の果糖が、ほとんど血糖値を上昇させないためです。
それから、GI値は正常人には参考になりますが、糖尿人では、あてになりません。玄米などGIが低いものでも糖尿人が摂取すれば糖質量に応じて血糖値は上昇します。
糖尿人が、GIの低い玄米を150g食べたら、食後血糖値が240mg/dl、GIが高い白米150gなら260mg/dl、程度の差ですので所詮は200アップなのです。。
厚生労働省の低糖質食の定義が、100g中糖質5g以下です。そうすると100g中糖質含有量が10以下の果物は、血糖値上昇に関してはそこそこいけるかと思います。つまり、果物の糖質摂取が1回に10g程度なら、血糖値の上昇は約15mgですむ計算ですね。 (^_^)
100g中の糖質含有量が、13gや14gのりんごやさくらんぼも、食べるとき糖質の計算だけしておけば、どの程度血糖値が上昇するか予測できますので、承知の上で適宜摂取してもらえばいいと思います。
なお、バナナには、上述の糖質に加えてデンプンも含まれているので、特に糖質含有量が多いのです。デンプン分は、他の果物より血糖値を上昇させますね。
また果物は、食べなくても栄養学的には、特に問題はありません。
一方、美味しく楽しく糖質制限食ですから、食後高血糖を生じない程度に嗜むのはよいと思います。
「そこで疑問が!
野菜の糖質も、穀類と同じように気にした方がよいのでしょうか?
それとも、果物の果糖を同じように、半分くらいで計算しても大丈夫でしょうか?」
野菜の糖質も、穀物の糖質も、砂糖もブドウ糖も、基本的に一緒です。
1gの糖質が2型糖尿人(体重64kg)の血糖値を3mg、1型糖尿人の血糖値を5mg、上昇させます。
果糖だけが特殊と考えていただけばいいでしょう。
江部康二
2009年06月16日 (火)
こんにちは。
皆さん、お祝いメールありがとうございます。m(_ _)mV
とても嬉しいけど何となく気恥ずかしいので、次の記事を書きます。
MTpro という医師向けのサイトに、
「米国糖尿病学会(ADA)などが糖尿病の新診断基準を発表・・・」
という記事が2009年6月8日掲載されました。
以下MTpro 記事からの抜粋です。
「HbA1C 6.5%以上を糖尿病に,6~6.5%は高リスク群
ADAなどが新診断基準を発表
米国糖尿病学会(ADA),国際糖尿病連合(IDF),欧州糖尿病学会(EASD)による国際専門家委員会は,HbA1Cに基づいた新しい糖尿病診断基準を米ニューオリンズで開催中の第69回米国糖尿病学会(ADA2009)で発表し,糖尿病と診断するカットオフ値は6.5%,6%以上6.5%未満を高リスク群とした。新診断基準の詳細は Diabetes Care(2009; 32: 7: 1-8)に掲載されている。」
「何や、何を今更・・・」と仰有る方もおられそうですが、実はHbA1Cは今まで、主として糖尿病コントロールの評価の基準として用いられてきて、診断基準としては採用されていなかったのです。
糖尿病診断の基準としては、過去空腹時血糖値または75g経口ブドウ糖負荷試験の2時間後血糖値が採用されてきました。
今回の発表は、空腹時血糖値や75g経口ブドウ糖負荷試験よりも、HbA1C の方が診断基準として優れているので、切り替えようということです。
この背景には、
1、血糖検査の精度がこれまで考えられていたほど高くないということ
2、HbA1Cは検査時の誤差が血糖検査に比べて少ないこと
3、HbA1C検査法の国際標準化が最近達成されてきたこと
があります。
以下もMTpro 記事からの抜粋です。
同委員会の委員長を務めたハーバード大学教授のDavid M. Nathan氏は、
「HbA1C値は空腹時血糖値よりも測定値の変動が少なく,HbA1C検査は血糖検査よりも技術的に優れている。HbA1C検査は容易であり、空腹時血糖値またはOGTT検査を受ける必要がなくなる」
と述べたそうです。
米国糖尿病学会(ADA)は、この発表を受けて、糖尿病診断に原則HbA1C検査を適用するとしました。
日本糖尿病学会は、どのように対応するのでしょうね。
江部康二
皆さん、お祝いメールありがとうございます。m(_ _)mV
とても嬉しいけど何となく気恥ずかしいので、次の記事を書きます。
MTpro という医師向けのサイトに、
「米国糖尿病学会(ADA)などが糖尿病の新診断基準を発表・・・」
という記事が2009年6月8日掲載されました。
以下MTpro 記事からの抜粋です。
「HbA1C 6.5%以上を糖尿病に,6~6.5%は高リスク群
ADAなどが新診断基準を発表
米国糖尿病学会(ADA),国際糖尿病連合(IDF),欧州糖尿病学会(EASD)による国際専門家委員会は,HbA1Cに基づいた新しい糖尿病診断基準を米ニューオリンズで開催中の第69回米国糖尿病学会(ADA2009)で発表し,糖尿病と診断するカットオフ値は6.5%,6%以上6.5%未満を高リスク群とした。新診断基準の詳細は Diabetes Care(2009; 32: 7: 1-8)に掲載されている。」
「何や、何を今更・・・」と仰有る方もおられそうですが、実はHbA1Cは今まで、主として糖尿病コントロールの評価の基準として用いられてきて、診断基準としては採用されていなかったのです。
糖尿病診断の基準としては、過去空腹時血糖値または75g経口ブドウ糖負荷試験の2時間後血糖値が採用されてきました。
今回の発表は、空腹時血糖値や75g経口ブドウ糖負荷試験よりも、HbA1C の方が診断基準として優れているので、切り替えようということです。
この背景には、
1、血糖検査の精度がこれまで考えられていたほど高くないということ
2、HbA1Cは検査時の誤差が血糖検査に比べて少ないこと
3、HbA1C検査法の国際標準化が最近達成されてきたこと
があります。
以下もMTpro 記事からの抜粋です。
同委員会の委員長を務めたハーバード大学教授のDavid M. Nathan氏は、
「HbA1C値は空腹時血糖値よりも測定値の変動が少なく,HbA1C検査は血糖検査よりも技術的に優れている。HbA1C検査は容易であり、空腹時血糖値またはOGTT検査を受ける必要がなくなる」
と述べたそうです。
米国糖尿病学会(ADA)は、この発表を受けて、糖尿病診断に原則HbA1C検査を適用するとしました。
日本糖尿病学会は、どのように対応するのでしょうね。
江部康二
2009年06月16日 (火)
おはようございます。
私事で恐縮ですが、今朝5時半長女に赤ちゃんが生まれました。ヾ(^▽^)
3100gで女の子でした。
私にとっては初孫です。
とうとうおじいさんになりました。(=_=;)
嬉しいやら、ちょっぴりさみしいやら・・・
テニスクラブで「江部爺」などとひやかされるに決まってるので、洒落た台詞でも言い返そうと現在熟慮中です。 (∵)?
江部康二
私事で恐縮ですが、今朝5時半長女に赤ちゃんが生まれました。ヾ(^▽^)
3100gで女の子でした。
私にとっては初孫です。
とうとうおじいさんになりました。(=_=;)
嬉しいやら、ちょっぴりさみしいやら・・・
テニスクラブで「江部爺」などとひやかされるに決まってるので、洒落た台詞でも言い返そうと現在熟慮中です。 (∵)?
江部康二
2009年06月15日 (月)
昨日曜日は週一回のテニスでした。
6月20日、21日の土・日は東京で日本東洋医学会学術総会に出席なので、1/週の貴重なテニスがなしです。段々運動不足が心配になります。 (*_*)
さて、c-sanさんから、過呼吸or低血糖?ということで、コメント・質問をいただきました。
「過呼吸と低血糖
江部先生
おはようございます。江部先生のブログを自分のブログで紹介させていただいております、糖質制限5ヶ月目のc-sanと申します。
スーパー糖質制限と朝食抜きを実践しており、コントロールは直近のHbA1c5.2と良好です。
今朝のことですが、いつものように朝起きてコーヒーをブラックで1杯のみ、45分のウォーキングをして喫茶店に入りまたアイスコーヒーをシロップなしで飲みましたところ、手足が痺れとめまいを感じ、弟に来てもらいました。私は過呼吸(一度なったことがあります)かと思い紙袋をもらって息をしてましたが、弟が来てそれは低血糖の症状だと言い(弟はインシュリン治療中)、缶コーラを買ってきて飲みました。15分くらいで改善したので帰りましたが、結果、過呼吸だったのか低血糖だったのか分かりませんでした(家に帰って血糖値を図るとコーラのせいで165ありました)。
お忙しいのに大変恐縮ですが、主治医には糖質制限について話しておらず相談できません。
糖質制限で空腹時運動して低血糖になるものでしょうか?私としては過呼吸だったと思っているのですが、弟は低血糖を何度も経験しており、暖かくなるとなりやすいといってます。
お時間のあるときで結構でございます。ご意見お伺いできればと思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。」
c-sanさんブログの紹介ありがとうございます。
コメントの症状だけでは、過呼吸発作だったのか低血糖だったのかはやや判定困難ですが、検討してみましょう。。
低血糖の一般的な症状は
A)交感神経刺激症状
発汗、不安、動悸、頻脈、手指振戦、しびれ、顔面蒼白など・・・
B)中枢神経症状
頭痛、目のかすみ、空腹感、眠気(生あくび)、めまい、思考力低下・・・
さらに重症の低血糖では、意識レベルの低下、異常行動、けいれんなどが出現します。
過呼吸の症状は、
呼吸困難 、動悸、めまい、しびれ、胸部の圧迫感や痛み 、不安、失神・・・などです。
これだと、症状では区別はつきにくいですね。
c-sanさんの今回の症状は「手足の痺れとめまい」だけです。
過呼吸でも低血糖でも、手足のしびれとめまいは共通してみられますので、これだけでは簡単に判別できません。
しかし、インスリン注射や経口血糖降下剤なしの糖尿人が、45分間のウオーキングくらいで低血糖を起こす可能性は低いと思いますので、仰有る通り、過呼吸の可能性が高いと思います。
ただ運動をすると、インスリン追加分泌とは無関係に、筋肉細胞の糖輸送体Glut4が細胞表面に出てきて、血糖を取り込みます。
従って糖質制限食とかカロリー制限食(高糖質食)とかは関係なしに、空腹時にある程度の強度の運動を1時間以上とかすると、低血糖になる可能性はありえますので注意は必要ですね。
江部康二
6月20日、21日の土・日は東京で日本東洋医学会学術総会に出席なので、1/週の貴重なテニスがなしです。段々運動不足が心配になります。 (*_*)
さて、c-sanさんから、過呼吸or低血糖?ということで、コメント・質問をいただきました。
「過呼吸と低血糖
江部先生
おはようございます。江部先生のブログを自分のブログで紹介させていただいております、糖質制限5ヶ月目のc-sanと申します。
スーパー糖質制限と朝食抜きを実践しており、コントロールは直近のHbA1c5.2と良好です。
今朝のことですが、いつものように朝起きてコーヒーをブラックで1杯のみ、45分のウォーキングをして喫茶店に入りまたアイスコーヒーをシロップなしで飲みましたところ、手足が痺れとめまいを感じ、弟に来てもらいました。私は過呼吸(一度なったことがあります)かと思い紙袋をもらって息をしてましたが、弟が来てそれは低血糖の症状だと言い(弟はインシュリン治療中)、缶コーラを買ってきて飲みました。15分くらいで改善したので帰りましたが、結果、過呼吸だったのか低血糖だったのか分かりませんでした(家に帰って血糖値を図るとコーラのせいで165ありました)。
お忙しいのに大変恐縮ですが、主治医には糖質制限について話しておらず相談できません。
糖質制限で空腹時運動して低血糖になるものでしょうか?私としては過呼吸だったと思っているのですが、弟は低血糖を何度も経験しており、暖かくなるとなりやすいといってます。
お時間のあるときで結構でございます。ご意見お伺いできればと思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。」
c-sanさんブログの紹介ありがとうございます。
コメントの症状だけでは、過呼吸発作だったのか低血糖だったのかはやや判定困難ですが、検討してみましょう。。
低血糖の一般的な症状は
A)交感神経刺激症状
発汗、不安、動悸、頻脈、手指振戦、しびれ、顔面蒼白など・・・
B)中枢神経症状
頭痛、目のかすみ、空腹感、眠気(生あくび)、めまい、思考力低下・・・
さらに重症の低血糖では、意識レベルの低下、異常行動、けいれんなどが出現します。
過呼吸の症状は、
呼吸困難 、動悸、めまい、しびれ、胸部の圧迫感や痛み 、不安、失神・・・などです。
これだと、症状では区別はつきにくいですね。
c-sanさんの今回の症状は「手足の痺れとめまい」だけです。
過呼吸でも低血糖でも、手足のしびれとめまいは共通してみられますので、これだけでは簡単に判別できません。
しかし、インスリン注射や経口血糖降下剤なしの糖尿人が、45分間のウオーキングくらいで低血糖を起こす可能性は低いと思いますので、仰有る通り、過呼吸の可能性が高いと思います。
ただ運動をすると、インスリン追加分泌とは無関係に、筋肉細胞の糖輸送体Glut4が細胞表面に出てきて、血糖を取り込みます。
従って糖質制限食とかカロリー制限食(高糖質食)とかは関係なしに、空腹時にある程度の強度の運動を1時間以上とかすると、低血糖になる可能性はありえますので注意は必要ですね。
江部康二
2009年06月15日 (月)
こんにちは。今日もお昼は¥930-のバイキングでした。
実は¥1000-から値下げになりました。お腹いっぱいになるわりには安いですね。 (^_^)
さて今回は、75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)について、mikaさんからコメント・質問を頂きました。
「09/06/12 mika
タイトルなし
はじめまして。
質問があるのですが、OGTTを測定する際、前日9時以降の食事は禁止されていますが、なぜ絶食する意味があるのですか?
インスリンの働きなどに関与しているのですか?
できれば詳しく知りたいです。
よろしくお願いします。」
詳しくはありませんが、わかる範囲でお答えします。
糖尿病治療ガイド2008-2009によると
75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)
検査手順
①朝まで10時間以上の絶食のあと検査開始。午前9時頃が好ましい。
②空腹のまま採血し血糖値を測定する。
③次にブドウ糖を飲用させる。
④ブドウ糖負荷後、30分、1時間、2時間に採血し血糖値を測定する。
⑤空腹時血糖値と75gOGTTによる判定基準に従い、糖尿病型・正常型・境界型のいずれかに判定する。
A)75gOGTTは糖尿病の診断に必須ではない。。
自覚症状などから明らかな高血糖が疑われるときは、
まず空腹時血糖値または随時血糖値を測定すべきである。
高血糖状態で75gOGTTを行えば、さらなる高血糖を引き起こし有害である。
B)75gOGTTで空腹時と30分後のインスリン値を測定すれば、インスリン分泌能の指標であるインスリン分泌指数が計算できる。
C)75gOGTTで30分後と1時間後の血糖値は糖尿病の診断には必ずしも必要ないが、糖尿病ハイリスク群を見いだすのに役立つ。
絶食の意味は、一つには空腹時血糖値が、糖尿病の判定基準の一つになっているからです。
血糖値は食事(特に糖質)の影響を強く受けますので、空腹時血糖値というのは、10時間以上の絶食後測定が好ましいのです。
次に、空腹時と負荷後30分の比較をすることで、インスリン分泌能の検査ができます。
また、空腹時に75gOGTTを開始することを前提に多くの症例から得られた判定基準が決められているので、食後では意味をなしません。絶食の意味はこんなところと思います。
<糖尿病型・正常型・境界型の区分と判定基準>
75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)および、空腹時血糖値による判定基準と、随時血糖値による判定基準があります。まとめると以下のようになります。
Ⅰ
75g経口ブドウ糖負荷試験および、空腹時血糖値による判定基準(日本糖尿病学会)
A)正常型
「空腹時血糖値が110mg/dl未満かつ120分後血糖値が140mg/dl未満」
を満たせば正常型。
B)境界型
正常型にも糖尿病型にも属さない場合をいう。
C)糖尿病型
「空腹時血糖値が126mg/dl以上または120分後血糖値が200mg/dl以上」
を満たせば糖尿病型。
Ⅱ
随時血糖値200mg/dl以上は糖尿病型
Ⅲ 糖尿病の診断
Ⅰ、Ⅱの糖尿病型を異なる日に2回以上確認できたら糖尿病と診断。
江部康二
実は¥1000-から値下げになりました。お腹いっぱいになるわりには安いですね。 (^_^)
さて今回は、75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)について、mikaさんからコメント・質問を頂きました。
「09/06/12 mika
タイトルなし
はじめまして。
質問があるのですが、OGTTを測定する際、前日9時以降の食事は禁止されていますが、なぜ絶食する意味があるのですか?
インスリンの働きなどに関与しているのですか?
できれば詳しく知りたいです。
よろしくお願いします。」
詳しくはありませんが、わかる範囲でお答えします。
糖尿病治療ガイド2008-2009によると
75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)
検査手順
①朝まで10時間以上の絶食のあと検査開始。午前9時頃が好ましい。
②空腹のまま採血し血糖値を測定する。
③次にブドウ糖を飲用させる。
④ブドウ糖負荷後、30分、1時間、2時間に採血し血糖値を測定する。
⑤空腹時血糖値と75gOGTTによる判定基準に従い、糖尿病型・正常型・境界型のいずれかに判定する。
A)75gOGTTは糖尿病の診断に必須ではない。。
自覚症状などから明らかな高血糖が疑われるときは、
まず空腹時血糖値または随時血糖値を測定すべきである。
高血糖状態で75gOGTTを行えば、さらなる高血糖を引き起こし有害である。
B)75gOGTTで空腹時と30分後のインスリン値を測定すれば、インスリン分泌能の指標であるインスリン分泌指数が計算できる。
C)75gOGTTで30分後と1時間後の血糖値は糖尿病の診断には必ずしも必要ないが、糖尿病ハイリスク群を見いだすのに役立つ。
絶食の意味は、一つには空腹時血糖値が、糖尿病の判定基準の一つになっているからです。
血糖値は食事(特に糖質)の影響を強く受けますので、空腹時血糖値というのは、10時間以上の絶食後測定が好ましいのです。
次に、空腹時と負荷後30分の比較をすることで、インスリン分泌能の検査ができます。
また、空腹時に75gOGTTを開始することを前提に多くの症例から得られた判定基準が決められているので、食後では意味をなしません。絶食の意味はこんなところと思います。
<糖尿病型・正常型・境界型の区分と判定基準>
75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)および、空腹時血糖値による判定基準と、随時血糖値による判定基準があります。まとめると以下のようになります。
Ⅰ
75g経口ブドウ糖負荷試験および、空腹時血糖値による判定基準(日本糖尿病学会)
A)正常型
「空腹時血糖値が110mg/dl未満かつ120分後血糖値が140mg/dl未満」
を満たせば正常型。
B)境界型
正常型にも糖尿病型にも属さない場合をいう。
C)糖尿病型
「空腹時血糖値が126mg/dl以上または120分後血糖値が200mg/dl以上」
を満たせば糖尿病型。
Ⅱ
随時血糖値200mg/dl以上は糖尿病型
Ⅲ 糖尿病の診断
Ⅰ、Ⅱの糖尿病型を異なる日に2回以上確認できたら糖尿病と診断。
江部康二
2009年06月14日 (日)
おはようございます。
1型糖尿人の Tomoko さんから糖質制限なメニュー・レシピをコメントいただきました。
Tomoko さんありがとうございます。HbA1c5.2%とは花丸ですね。(^-^)v(^-^)v
HbA1c5.2%と実証つきの糖質制限OKメニュー、ブログ読者の皆さん、是非お試しあれ。
江部康二
「09/06/14 Tomoko
楽しんで糖質制限
いつも先生のブログにお世話になっております、Ⅰ型のTomokoです。いろんな食事の話題が出てきていたので、今わたしがよく作る糖質制限なメニューを書き込みさせていただきたいと思いました。(何かポジティブな情報をバックできたらいいな、と常々思っていたので。)
・おからのチャーハン
生おからをご飯にみたてたチャーハンです。具は基本的にチャーハンにいれるものなら何でもok
面白いのはちょっと洋風にしたバージョン。きゅうり1本と人参50グラムくらいを5ミリ角くらいに切り、それをにんにくの香りを出したオリーブオイルで炒めてからツナ缶を入れ、塩コショウしてから生おからを100グラム入れます。そこに木綿豆腐を4分の1丁くらいいれ、豆腐をほぐしつつ全体に均一に混ざるようにしてできあがり。塩コショウでしっかり味をつけるのがポイントです。
そのほかにも芽ひじきと鰹節と長ネギの組み合わせとか、ピーマンを3色とか、ウィンナーとインゲンと人参の組み合わせとか。味もしょうゆを入れるパターンとか、味噌味とかいろいろ楽しめます。たくさんつくって冷蔵庫に入れておいて、冷たいチャーハンもいけます。
・おからのポテトサラダもどき
材料:生おからと絹ごし豆腐同量、あとは普段ポテトサラダに入れるようなものなら何でも(ミックスベジタブルはやめたほうがいいです)よく作るのはきゅうり1本を刻んで塩もみしたものとツナ缶、それに玉ねぎのみじん切りを20gくらい。
作り方:生おからを2回に分けて5分間くらいレンジでチン。水分を適度にとばします。
冷めたら豆腐とほかの野菜を混ぜ、後は塩コショウとマヨネーズであえます。冷蔵庫で冷やせば、ポテトサラダもどきです。
・豆腐のチョコレートケーキ
以前にみたレシピ本をちょっとアレンジしました。
材料:絹ごし豆腐300g1丁、豆乳(カロリーオフタイプチョコ味)200ml、無糖ココア大さじ5、ラカント大さじ4、粉寒天小さじ2
作り方:とにかく全部をフードプロセッサーかブレンダーでよく混ぜます。耐熱皿にいれて180℃のオーブンで30分。粗熱がとれたら冷蔵庫へ。オーブンから出したときはどうなることかと思うと思いますが、冷蔵庫で冷やせば、しっかりチョコレートケーキっぽくなってます。もうちょっとふるふる感がいいときは粉寒天を減らして、そのぶんゼラチンをいれるといいです。
・豆腐の冷たいデザート
材料:絹ごし豆腐300g1丁、生クリーム200ml(1パック)、卵2個(卵黄だけで作ると贅沢な感じになります)、ラカント大さじ6~7、ラム酒小さじ2、バニラエッセンス少々、塩少々
作り方:豆腐をミキサーにかけるかブレンダーでなめらかになるまでよくまぜておく。
卵、ラカント、塩、ラム酒、エッセンスを全部混ぜておく。別のボールに生クリームを7分立て。そこに卵もろもろを混ぜたものを入れてよく混ぜる。最後に豆腐。泡だて器でよーーーーく混ぜます。冷蔵庫にいれて冷たくして召し上がれ!ちょっとババロアっぽくムースっぽく。小分けにして冷凍庫にいれれば4時間後くらいにアイスクリームとしてもいただけます。それ以上入れておくと石のように固くなります。ご注意あれ。
(絹ごし豆腐は充てん豆腐でなく、普通のほうを使えばいっそう糖質をおさえられます。)
料理は好きでないわたしですが、最近はありえない材料でありえない、でもおいしいというものを作ることにヨロコビすら感じております。これも糖質制限を始めたことのうれしい副産物!?
今日は主治医の先生にランタスを打つタイミングについて相談してみました。また少し経験値が上がった気がします(笑)HbA1cは5,2%でした。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。」
1型糖尿人の Tomoko さんから糖質制限なメニュー・レシピをコメントいただきました。
Tomoko さんありがとうございます。HbA1c5.2%とは花丸ですね。(^-^)v(^-^)v
HbA1c5.2%と実証つきの糖質制限OKメニュー、ブログ読者の皆さん、是非お試しあれ。
江部康二
「09/06/14 Tomoko
楽しんで糖質制限
いつも先生のブログにお世話になっております、Ⅰ型のTomokoです。いろんな食事の話題が出てきていたので、今わたしがよく作る糖質制限なメニューを書き込みさせていただきたいと思いました。(何かポジティブな情報をバックできたらいいな、と常々思っていたので。)
・おからのチャーハン
生おからをご飯にみたてたチャーハンです。具は基本的にチャーハンにいれるものなら何でもok
面白いのはちょっと洋風にしたバージョン。きゅうり1本と人参50グラムくらいを5ミリ角くらいに切り、それをにんにくの香りを出したオリーブオイルで炒めてからツナ缶を入れ、塩コショウしてから生おからを100グラム入れます。そこに木綿豆腐を4分の1丁くらいいれ、豆腐をほぐしつつ全体に均一に混ざるようにしてできあがり。塩コショウでしっかり味をつけるのがポイントです。
そのほかにも芽ひじきと鰹節と長ネギの組み合わせとか、ピーマンを3色とか、ウィンナーとインゲンと人参の組み合わせとか。味もしょうゆを入れるパターンとか、味噌味とかいろいろ楽しめます。たくさんつくって冷蔵庫に入れておいて、冷たいチャーハンもいけます。
・おからのポテトサラダもどき
材料:生おからと絹ごし豆腐同量、あとは普段ポテトサラダに入れるようなものなら何でも(ミックスベジタブルはやめたほうがいいです)よく作るのはきゅうり1本を刻んで塩もみしたものとツナ缶、それに玉ねぎのみじん切りを20gくらい。
作り方:生おからを2回に分けて5分間くらいレンジでチン。水分を適度にとばします。
冷めたら豆腐とほかの野菜を混ぜ、後は塩コショウとマヨネーズであえます。冷蔵庫で冷やせば、ポテトサラダもどきです。
・豆腐のチョコレートケーキ
以前にみたレシピ本をちょっとアレンジしました。
材料:絹ごし豆腐300g1丁、豆乳(カロリーオフタイプチョコ味)200ml、無糖ココア大さじ5、ラカント大さじ4、粉寒天小さじ2
作り方:とにかく全部をフードプロセッサーかブレンダーでよく混ぜます。耐熱皿にいれて180℃のオーブンで30分。粗熱がとれたら冷蔵庫へ。オーブンから出したときはどうなることかと思うと思いますが、冷蔵庫で冷やせば、しっかりチョコレートケーキっぽくなってます。もうちょっとふるふる感がいいときは粉寒天を減らして、そのぶんゼラチンをいれるといいです。
・豆腐の冷たいデザート
材料:絹ごし豆腐300g1丁、生クリーム200ml(1パック)、卵2個(卵黄だけで作ると贅沢な感じになります)、ラカント大さじ6~7、ラム酒小さじ2、バニラエッセンス少々、塩少々
作り方:豆腐をミキサーにかけるかブレンダーでなめらかになるまでよくまぜておく。
卵、ラカント、塩、ラム酒、エッセンスを全部混ぜておく。別のボールに生クリームを7分立て。そこに卵もろもろを混ぜたものを入れてよく混ぜる。最後に豆腐。泡だて器でよーーーーく混ぜます。冷蔵庫にいれて冷たくして召し上がれ!ちょっとババロアっぽくムースっぽく。小分けにして冷凍庫にいれれば4時間後くらいにアイスクリームとしてもいただけます。それ以上入れておくと石のように固くなります。ご注意あれ。
(絹ごし豆腐は充てん豆腐でなく、普通のほうを使えばいっそう糖質をおさえられます。)
料理は好きでないわたしですが、最近はありえない材料でありえない、でもおいしいというものを作ることにヨロコビすら感じております。これも糖質制限を始めたことのうれしい副産物!?
今日は主治医の先生にランタスを打つタイミングについて相談してみました。また少し経験値が上がった気がします(笑)HbA1cは5,2%でした。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。」
2009年06月14日 (日)
おはようございます。
1型糖尿病のゆめさんから、コメントをいただきました。
「何度かコメントさせていただいています。1型糖尿病のゆめです。
私が思うのはどんな理論よりも、私の血糖値が立証してくれます。
糖質制限食時、ヒューマログ4単位、時折米やパスタを食べる時、ヒューマログ14単位注射します。3倍以上のインシュリンを使っても1時間後は200を超えています。1型糖尿病でもこんなに少ない注射量でおさえられていること、そのうえHbA1C 5,5~5,8%で推移できていることは糖質制限食と出会えたからだと本当に感謝しております。
いろいろなうわさ、情報が飛び交っていますが、私は自分の血糖値が立証してくれており、なんら疑う余地もありません。
これからも先生のご活躍を楽しみにしています。
2009/06/12(Fri) 22:32 | URL | ゆめ」
ゆめさん。
コメントそして貴重な情報ありがとうございます。
「糖質制限食時、ヒューマログ4単位、時折米やパスタを食べる時、ヒューマログ14単位注射します。3倍以上のインシュリンを使っても1時間後は200を超えています。」
高雄病院に入院された1型糖尿人でも同様のデータです。当初、従来のカロリー制限食(高糖質食)を今まで通りのインスリンの量をうって、日内変動を実施します。やはり食後は200mg、300mgを超えることがほとんどです。
3日目からスーパー糖質制限食にきりかえて、およそ1/3の量のインスリンを打って日内変動をします。微調整に1週間くらいかかりますがゆめさんのように、1/3以下になる人もいます。血糖値もコントロール良好となります。
「1型糖尿病でもこんなに少ない注射量でおさえられていること、そのうえHbA1C 5,5~5,8%で推移 」
素晴らしいデータですね。主治医もびっくりされているでしょう。
インスリンは人体に絶対に必要なものですが、量は少ないほど代謝にはやさしいので、日常的には糖質制限食、はれの日はパスタ・・・で、今の少量パターンを保ってくださいね。
欧米では、1型糖尿人は、糖質管理食(カーボ・カウンティング)を実践している場合が多いです。糖質のg数を計算して、必要な超速効型インスリンの量を決める方法です。日本でも、少なくとも1型糖尿病には、糖質管理食を進める糖尿病専門医が少しずつ増えています。
「糖質だけが血糖値を急激に上昇させる」ということをベースにしている点では、糖質管理食と糖質制限食は同じです。糖質管理食を徹底的に進めたものが糖質制限食という見方もできます。
1型糖尿人の皆さん、糖質のg数を計算することは必須です。これをせずにインスリン注射を打つと血糖値が乱高下して危険です。
糖質制限食が一番のお奨めですが、無理ならせめて糖質管理食で身を守っていただきたいと思います。
江部康二
1型糖尿病のゆめさんから、コメントをいただきました。
「何度かコメントさせていただいています。1型糖尿病のゆめです。
私が思うのはどんな理論よりも、私の血糖値が立証してくれます。
糖質制限食時、ヒューマログ4単位、時折米やパスタを食べる時、ヒューマログ14単位注射します。3倍以上のインシュリンを使っても1時間後は200を超えています。1型糖尿病でもこんなに少ない注射量でおさえられていること、そのうえHbA1C 5,5~5,8%で推移できていることは糖質制限食と出会えたからだと本当に感謝しております。
いろいろなうわさ、情報が飛び交っていますが、私は自分の血糖値が立証してくれており、なんら疑う余地もありません。
これからも先生のご活躍を楽しみにしています。
2009/06/12(Fri) 22:32 | URL | ゆめ」
ゆめさん。
コメントそして貴重な情報ありがとうございます。
「糖質制限食時、ヒューマログ4単位、時折米やパスタを食べる時、ヒューマログ14単位注射します。3倍以上のインシュリンを使っても1時間後は200を超えています。」
高雄病院に入院された1型糖尿人でも同様のデータです。当初、従来のカロリー制限食(高糖質食)を今まで通りのインスリンの量をうって、日内変動を実施します。やはり食後は200mg、300mgを超えることがほとんどです。
3日目からスーパー糖質制限食にきりかえて、およそ1/3の量のインスリンを打って日内変動をします。微調整に1週間くらいかかりますがゆめさんのように、1/3以下になる人もいます。血糖値もコントロール良好となります。
「1型糖尿病でもこんなに少ない注射量でおさえられていること、そのうえHbA1C 5,5~5,8%で推移 」
素晴らしいデータですね。主治医もびっくりされているでしょう。
インスリンは人体に絶対に必要なものですが、量は少ないほど代謝にはやさしいので、日常的には糖質制限食、はれの日はパスタ・・・で、今の少量パターンを保ってくださいね。
欧米では、1型糖尿人は、糖質管理食(カーボ・カウンティング)を実践している場合が多いです。糖質のg数を計算して、必要な超速効型インスリンの量を決める方法です。日本でも、少なくとも1型糖尿病には、糖質管理食を進める糖尿病専門医が少しずつ増えています。
「糖質だけが血糖値を急激に上昇させる」ということをベースにしている点では、糖質管理食と糖質制限食は同じです。糖質管理食を徹底的に進めたものが糖質制限食という見方もできます。
1型糖尿人の皆さん、糖質のg数を計算することは必須です。これをせずにインスリン注射を打つと血糖値が乱高下して危険です。
糖質制限食が一番のお奨めですが、無理ならせめて糖質管理食で身を守っていただきたいと思います。
江部康二
2009年06月13日 (土)
こんばんは。
まーさんから、素晴らしい改善データのコメントをいただきました。皆さんの参考になりますので、記事にさせてもらいました。
「09/06/13 まー
糖質制限食の効果を実証
拝啓 江部先生
小生、毎年6月に行う定期健診ですが、今年は昨日行いました。昨年の空腹血糖値が123だったことをきっかけに、江部先生のブログと出会い糖質制限食を実行するに至りました。
この1年近く、江部先生にもアドバイス頂きながら、糖質制限食を基本に(ときどき麺類、この場合も食後120分まではウォーキングやグルコバイ服用)続けてきました。
そして、以下が昨日の結果です。比較のため最近5カ年の経過も記します。
今年、 1年前、2年前、3年前、4年前、5年前
血糖値 101 、123 、120 、119 、110 、107
総コレステロール 234 、214 、201 、198 、175 、212
中性脂肪 99 、115 、194 、147 、144 、116
HDLコレステ 69 、 53 、 50 、 51 、 48 、 50
LDLコレステ 139 、130 、112 、118
γGTP 19 、 50 、 53 、 57 、 43 、 42
尿酸値 6.7、 6.2 、 5.6 、5.6 、 5.7 、 5.1
血糖値は、見事改善。小生47歳ですが、34歳時の値95以来の改善で大変驚きました。
予てから自己測定器で管理はしていましたが、やはりうれしい限りです。そして、γGTPに至っては毎年健診してきた過去15年の中で最低値でした。
また、胃カメラでは昨年びらん性胃炎で組織検査、一昨年も胃炎と診断されたのが今年は「異常なし」でした。毎晩糖質ゼロビールと焼酎水割り4~5杯以上飲み、次の日も多少酒が残ることも多い小生にとっては更にうれしいことでした。
総コレは高いも気にする必要はないようです。LDLこそ高くなりましたが合格内。中性脂肪とHDLに至っては過去最高の良い値となりました。
ときどき麺類も食べますが、基本的に糖質制限食に取り組んできたことが、結果として数字で実証できたことは大変うれしいですし、何より血糖値以外の改善が多かったことには大変驚かされました。
小生、糖質制限食以外ではやはり食後高血糖が起こりますので、今後もこのペースで「おいしく楽しく」糖質制限食を長続きさせていこうと思います。
いろいろ御指導も頂いた江部先生にも是非お伝えしたくコメントさせて頂きました。」
まーさん。コメント・貴重なデータ報告ありがとうございます。
「血糖値は、見事改善。小生47歳ですが、34歳時の値95以来の改善で大変驚きました。γGTPに至っては毎年健診してきた過去15年の中で最低値でした。」
糖質ゼロ発泡酒と焼酎水割り4~5杯・・・
不肖江部康二と同じくらいの酒量ですね。これだけ飲んで、γGTP過去最低値とは感動ですね。ヽ(*`▽´)ノ
血糖値も境界型から正常型に復帰です。
「総コレは高いも気にする必要はないようです。LDLこそ高くなりましたが合格内。中性脂肪とHDLに至っては過去最高の良い値となりました。」
そうですね。HDLコレステロールが増えて中性脂肪が改善してますので、小粒子LDLや酸化LDLといった真の悪玉コレステロールは減少しますので、とてもいいデータです。
このまま美味しく楽しく糖質制限食をお続け下さいね。
江部康二
まーさんから、素晴らしい改善データのコメントをいただきました。皆さんの参考になりますので、記事にさせてもらいました。
「09/06/13 まー
糖質制限食の効果を実証
拝啓 江部先生
小生、毎年6月に行う定期健診ですが、今年は昨日行いました。昨年の空腹血糖値が123だったことをきっかけに、江部先生のブログと出会い糖質制限食を実行するに至りました。
この1年近く、江部先生にもアドバイス頂きながら、糖質制限食を基本に(ときどき麺類、この場合も食後120分まではウォーキングやグルコバイ服用)続けてきました。
そして、以下が昨日の結果です。比較のため最近5カ年の経過も記します。
今年、 1年前、2年前、3年前、4年前、5年前
血糖値 101 、123 、120 、119 、110 、107
総コレステロール 234 、214 、201 、198 、175 、212
中性脂肪 99 、115 、194 、147 、144 、116
HDLコレステ 69 、 53 、 50 、 51 、 48 、 50
LDLコレステ 139 、130 、112 、118
γGTP 19 、 50 、 53 、 57 、 43 、 42
尿酸値 6.7、 6.2 、 5.6 、5.6 、 5.7 、 5.1
血糖値は、見事改善。小生47歳ですが、34歳時の値95以来の改善で大変驚きました。
予てから自己測定器で管理はしていましたが、やはりうれしい限りです。そして、γGTPに至っては毎年健診してきた過去15年の中で最低値でした。
また、胃カメラでは昨年びらん性胃炎で組織検査、一昨年も胃炎と診断されたのが今年は「異常なし」でした。毎晩糖質ゼロビールと焼酎水割り4~5杯以上飲み、次の日も多少酒が残ることも多い小生にとっては更にうれしいことでした。
総コレは高いも気にする必要はないようです。LDLこそ高くなりましたが合格内。中性脂肪とHDLに至っては過去最高の良い値となりました。
ときどき麺類も食べますが、基本的に糖質制限食に取り組んできたことが、結果として数字で実証できたことは大変うれしいですし、何より血糖値以外の改善が多かったことには大変驚かされました。
小生、糖質制限食以外ではやはり食後高血糖が起こりますので、今後もこのペースで「おいしく楽しく」糖質制限食を長続きさせていこうと思います。
いろいろ御指導も頂いた江部先生にも是非お伝えしたくコメントさせて頂きました。」
まーさん。コメント・貴重なデータ報告ありがとうございます。
「血糖値は、見事改善。小生47歳ですが、34歳時の値95以来の改善で大変驚きました。γGTPに至っては毎年健診してきた過去15年の中で最低値でした。」
糖質ゼロ発泡酒と焼酎水割り4~5杯・・・
不肖江部康二と同じくらいの酒量ですね。これだけ飲んで、γGTP過去最低値とは感動ですね。ヽ(*`▽´)ノ
血糖値も境界型から正常型に復帰です。
「総コレは高いも気にする必要はないようです。LDLこそ高くなりましたが合格内。中性脂肪とHDLに至っては過去最高の良い値となりました。」
そうですね。HDLコレステロールが増えて中性脂肪が改善してますので、小粒子LDLや酸化LDLといった真の悪玉コレステロールは減少しますので、とてもいいデータです。
このまま美味しく楽しく糖質制限食をお続け下さいね。
江部康二
2009年06月13日 (土)
おはようございます。
今回は、シチュー、カレー、おでんなどについて、あいむさんからコメント・質問をいただきました。
【09/06/10 あいむ
シチューなどのルウもOKなんですか?
どんなものを食べたらいいか、野菜のグラム数単位で糖質を計算してメニューを作っているくらい、気にしているのですが、先生の記事には
「ハンバーグ、シチュー、すき焼き、オムレツ、焼き鳥、刺身、焼き魚・煮魚、豆腐、納豆、おでん」
とあり、びっくりしました。
すき焼きの砂糖はラカントで代用できるとして、ハンバーグは、少量のパン粉ですが、シチューはかなりな小麦粉を使いますし、おでんは、さつま揚げやはんぺんなどの練り物系はでんぷんがたっぷり入ってますよね?
大根も、かなり糖質が高い野菜で、おでんに入れると1個が限度ですね。
どのように摂取したらよいのでしょうか。
主人に「カレーが食べたい」といわれたのですが、ご飯はなくてもいいとして、ルウを使うと、炭水化物たっぷりですし、小麦粉を入れずにスパイスで作っていくインドカレーでも、成分表を調べると、スパイスって元々が木の実などだからなのか、結構糖質があるんですよねぇ。】
あいむさん。コメントありがとうございます。びっくりさせてすいません。
シチューですが、普通のものは小麦粉をたっぷり使いますよね。私が料理するわけではないのですが、例えば小麦粉の代わりに大豆粉を使うとそこそことろみが出て、結構シチューとして満足のいくレベルの味にはなりますし、糖質制限OK食品となります。
味付けは、例えばマギー野菜ブイヨンは1個に炭水化物1.2g、ごく少量の砂糖が入ってますがまあ許容範囲でしょう。また豆乳や生クリームベースのクリームシチューならOKですね。
私、おでんは食べますが、さつま揚げやはんぺんは、基本的にやめるか少量にします。すじ肉、卵、こんにゃく、ロールキャベツ、豆腐、がんもどき、厚揚げ、ころ、蛸、ウィンナー、ツブ貝・・・などなど、糖質制限OK食材たくさんありますよ。(⌒o⌒)v
大根も100g中糖質が2.7gですので、他の食材の糖質量とのかねあいですが、好きな人は2個ぐらいいって、他で糖質を減らせばいいですね。
カレーですが、市販のルーは小麦粉だらけですのでNGです。野菜を煮込んで塩・コショーで味付けし、糖質の入っていないカレーパウダーなどで風味を付け、とろみには大豆粉など使用しては如何でしょう。味付けにはブイヨンも使えますね。
いろいろ工夫して様々な食材を使用して食事を楽しみ、1回の糖質摂取量が、15-20gていどまででおさまれば、食後高血糖の心配はないですね。
江部康二
今回は、シチュー、カレー、おでんなどについて、あいむさんからコメント・質問をいただきました。
【09/06/10 あいむ
シチューなどのルウもOKなんですか?
どんなものを食べたらいいか、野菜のグラム数単位で糖質を計算してメニューを作っているくらい、気にしているのですが、先生の記事には
「ハンバーグ、シチュー、すき焼き、オムレツ、焼き鳥、刺身、焼き魚・煮魚、豆腐、納豆、おでん」
とあり、びっくりしました。
すき焼きの砂糖はラカントで代用できるとして、ハンバーグは、少量のパン粉ですが、シチューはかなりな小麦粉を使いますし、おでんは、さつま揚げやはんぺんなどの練り物系はでんぷんがたっぷり入ってますよね?
大根も、かなり糖質が高い野菜で、おでんに入れると1個が限度ですね。
どのように摂取したらよいのでしょうか。
主人に「カレーが食べたい」といわれたのですが、ご飯はなくてもいいとして、ルウを使うと、炭水化物たっぷりですし、小麦粉を入れずにスパイスで作っていくインドカレーでも、成分表を調べると、スパイスって元々が木の実などだからなのか、結構糖質があるんですよねぇ。】
あいむさん。コメントありがとうございます。びっくりさせてすいません。
シチューですが、普通のものは小麦粉をたっぷり使いますよね。私が料理するわけではないのですが、例えば小麦粉の代わりに大豆粉を使うとそこそことろみが出て、結構シチューとして満足のいくレベルの味にはなりますし、糖質制限OK食品となります。
味付けは、例えばマギー野菜ブイヨンは1個に炭水化物1.2g、ごく少量の砂糖が入ってますがまあ許容範囲でしょう。また豆乳や生クリームベースのクリームシチューならOKですね。
私、おでんは食べますが、さつま揚げやはんぺんは、基本的にやめるか少量にします。すじ肉、卵、こんにゃく、ロールキャベツ、豆腐、がんもどき、厚揚げ、ころ、蛸、ウィンナー、ツブ貝・・・などなど、糖質制限OK食材たくさんありますよ。(⌒o⌒)v
大根も100g中糖質が2.7gですので、他の食材の糖質量とのかねあいですが、好きな人は2個ぐらいいって、他で糖質を減らせばいいですね。
カレーですが、市販のルーは小麦粉だらけですのでNGです。野菜を煮込んで塩・コショーで味付けし、糖質の入っていないカレーパウダーなどで風味を付け、とろみには大豆粉など使用しては如何でしょう。味付けにはブイヨンも使えますね。
いろいろ工夫して様々な食材を使用して食事を楽しみ、1回の糖質摂取量が、15-20gていどまででおさまれば、食後高血糖の心配はないですね。
江部康二
2009年06月12日 (金)
こんにちは。
今回は優介さんから、栄養素のバランスについてコメントをいただきました。
「09/06/11 優介(Yusuke)
栄養のバランス
「糖質たっぷりのカロリー制限食(糖質60%、脂質20%、タンパク質20%)を推奨する病院が圧倒的に多い」と書かれていますが、病院だけでなく国(農林水産省や厚生労働省)もそれを進めているように思います。
是非、頑張って、正しい知識を広めてください。
そもそも、なぜ60%が適切なのか、その説明にお目にかかったことがないのです。(私の勉強不足だとは思いますが)
アメリカでずいぶん昔、脂肪の取りすぎを抑えるために決めた数字ではなかったかと思うのですが、なぜ60%なのか、理由を聞きたいですね。」
優介(Yusuke)さん。
コメントありがとうございます。
糖質60%というのは、出所は米国糖尿病協会の1986年の食事療法ガイドラインからです。
1986年、「糖質60%以下、タンパク質、12~20%、脂質30%以下」と規定されました。
しかし、米国では1994年から糖質と脂質の規定はなくなり、タンパク質のみ10~20%となっています。
ご指摘通り糖質60%の根拠は、はっきししませんね。しかも、1994年に撤廃されるくらいですので?です。(∵)?
米国ではもはや糖質60%を押しつけてはいません。
米国では食事療法として
①高糖質カロリー制限食(日本と同じ糖質60%)
②地中海食(脂質と糖質を併せて80%)
③糖質管理食(糖質のg数を計算)
④糖質制限食(糖質摂取をできるだけ減らす)
四択あります。
米国でも糖尿病専門医は①を推奨する人が多いようです。しかし、全米最大の患者会は④を推奨しています。また、米国で最も有名なジョスリン糖尿病センターでは、糖質40%としています。
日本では、相変わらず糖質60%一辺倒というのは、如何なものでしょうね。( ̄_ ̄|||)
江部康二
今回は優介さんから、栄養素のバランスについてコメントをいただきました。
「09/06/11 優介(Yusuke)
栄養のバランス
「糖質たっぷりのカロリー制限食(糖質60%、脂質20%、タンパク質20%)を推奨する病院が圧倒的に多い」と書かれていますが、病院だけでなく国(農林水産省や厚生労働省)もそれを進めているように思います。
是非、頑張って、正しい知識を広めてください。
そもそも、なぜ60%が適切なのか、その説明にお目にかかったことがないのです。(私の勉強不足だとは思いますが)
アメリカでずいぶん昔、脂肪の取りすぎを抑えるために決めた数字ではなかったかと思うのですが、なぜ60%なのか、理由を聞きたいですね。」
優介(Yusuke)さん。
コメントありがとうございます。
糖質60%というのは、出所は米国糖尿病協会の1986年の食事療法ガイドラインからです。
1986年、「糖質60%以下、タンパク質、12~20%、脂質30%以下」と規定されました。
しかし、米国では1994年から糖質と脂質の規定はなくなり、タンパク質のみ10~20%となっています。
ご指摘通り糖質60%の根拠は、はっきししませんね。しかも、1994年に撤廃されるくらいですので?です。(∵)?
米国ではもはや糖質60%を押しつけてはいません。
米国では食事療法として
①高糖質カロリー制限食(日本と同じ糖質60%)
②地中海食(脂質と糖質を併せて80%)
③糖質管理食(糖質のg数を計算)
④糖質制限食(糖質摂取をできるだけ減らす)
四択あります。
米国でも糖尿病専門医は①を推奨する人が多いようです。しかし、全米最大の患者会は④を推奨しています。また、米国で最も有名なジョスリン糖尿病センターでは、糖質40%としています。
日本では、相変わらず糖質60%一辺倒というのは、如何なものでしょうね。( ̄_ ̄|||)
江部康二
2009年06月11日 (木)
本ブログは糖尿人に、糖質制限食(糖質12%、脂質56%、タンパク質32%)を推進する立場ですが、世の中は相変わらず、糖質たっぷりのカロリー制限食(糖質60%、脂質20%、タンパク質20%)を推奨する病院が圧倒的に多いです。
幸いここ1.2年、糖質制限食に理解を示す医師が少しずつですが着実に増えています。
いろんな意見があり、論争することは医学の発展において健全なことと思います。しかし、論争の前に人体の生理・代謝などの基本的なところを理解することも重要です。
今回は<糖質・脂質・タンパク質の摂取>と<血糖値上昇・インスリン分泌>に関して、人体の生理・代謝における事実を説明します。
しつこいようですが、以下に述べることは、論争の余地のない事実ですので、<糖質たっぷりのカロリー制限食推奨派>の方々にも、是非ご理解いただきたいと思います。
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。
糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方、タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。これらは、カロリーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
インスリンには24時間、少量常に分泌されている基礎分泌と、血糖値が上昇したときに大量に出る追加分泌があります。
糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を急峻に上昇させます。従って、糖質を摂取した時には、インスリンが大量に追加分泌されます。
しかし、脂質やタンパク質は血糖値をほとんど上昇させないので、インスリンの追加分泌は、ほとんどありません。
つまり、人(糖尿人も正常人も)において、インスリンの追加分泌が多量に必要となるのは、糖質を摂取した時だけです。
これらは、すべて論争の余地のない、生理学的事実です。
次は患者さんに協力していただいたデータの検討です。
以下は、2型糖尿病Aさんのデータです。通常食は糖質ありです。
通常食 350kcal、糖質60%で約52.5g、脂質20%、タンパク質20%
糖質制限食 350kcal、糖質10%で約8.75g、脂質60%、タンパク質30%
通常食と糖質制限食は、いずれも350kcalで、勿論、同一人のデータです。
通常食は食後血糖値が上昇し、それに伴い追加分泌のインスリンがかなり出ているのが確認できます。
一方、糖質制限食だと血糖値の上昇は極めて少なく、インスリンの追加分泌もごく少量ですね。
食前 30分後 60分後 90分後 120分後
通常食血糖値 121 206 304 250 198
通常食IRI 2.2 6.2 19.1 23.1 21.6
糖質制限食血糖値 124 140 142 129 135
糖質制限食IRI 3.5 4.6 6.7 6.9 5.2
同様に元2型糖尿人Bさんのデータです。
食前 30分後 60分後 90分後 120分後
通常食血糖値 108 148 189 142 126
通常食IRI 3.8 35.2 58.5 55.1 24.9
糖質制限食血糖値 113 115 116 108 107
糖質制限食IRI 4.1 10.1 11.7 10.6 13.5
Bさんの場合、2年間の糖質制限食実践で、糖質を負荷しても血糖値は正常パターンに回復しています。
このとき基礎分泌3.8→追加分泌ピーク58.5まで多量のインスリンがでています。実に基礎分泌の15倍強のインスリンが追加分泌されています。ヾ(゜▽゜)
糖質制限食でも、約8.75gほど野菜分の糖質が含まれているので、一応、基礎分泌の2~3倍のインスリン追加分泌がありますが、通常食に比べれば微々たるものですね。
正常人が通常の食事をすれば、おおむねBさんのデータのようなインスリンの大量追加分泌が一日に最低3回、間食をすれば5回以上起こっているわけです。
このようなインスリンの大量追加分泌が、40年、50年と続けば、遂には膵臓が疲弊して分泌能力が低下し、糖尿病を発症するのは想像に難くないですね。
結論です。
カロリーをいくら制限しても、糖質を摂取してしまえば食後高血糖と多量のインスリン追加分泌を生じます。糖質制限食なら食後高血糖は生じず、インスリン追加分泌もごく少量ですみます。
江部康二
幸いここ1.2年、糖質制限食に理解を示す医師が少しずつですが着実に増えています。
いろんな意見があり、論争することは医学の発展において健全なことと思います。しかし、論争の前に人体の生理・代謝などの基本的なところを理解することも重要です。
今回は<糖質・脂質・タンパク質の摂取>と<血糖値上昇・インスリン分泌>に関して、人体の生理・代謝における事実を説明します。
しつこいようですが、以下に述べることは、論争の余地のない事実ですので、<糖質たっぷりのカロリー制限食推奨派>の方々にも、是非ご理解いただきたいと思います。
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。
糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方、タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。これらは、カロリーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
インスリンには24時間、少量常に分泌されている基礎分泌と、血糖値が上昇したときに大量に出る追加分泌があります。
糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を急峻に上昇させます。従って、糖質を摂取した時には、インスリンが大量に追加分泌されます。
しかし、脂質やタンパク質は血糖値をほとんど上昇させないので、インスリンの追加分泌は、ほとんどありません。
つまり、人(糖尿人も正常人も)において、インスリンの追加分泌が多量に必要となるのは、糖質を摂取した時だけです。
これらは、すべて論争の余地のない、生理学的事実です。
次は患者さんに協力していただいたデータの検討です。
以下は、2型糖尿病Aさんのデータです。通常食は糖質ありです。
通常食 350kcal、糖質60%で約52.5g、脂質20%、タンパク質20%
糖質制限食 350kcal、糖質10%で約8.75g、脂質60%、タンパク質30%
通常食と糖質制限食は、いずれも350kcalで、勿論、同一人のデータです。
通常食は食後血糖値が上昇し、それに伴い追加分泌のインスリンがかなり出ているのが確認できます。
一方、糖質制限食だと血糖値の上昇は極めて少なく、インスリンの追加分泌もごく少量ですね。
食前 30分後 60分後 90分後 120分後
通常食血糖値 121 206 304 250 198
通常食IRI 2.2 6.2 19.1 23.1 21.6
糖質制限食血糖値 124 140 142 129 135
糖質制限食IRI 3.5 4.6 6.7 6.9 5.2
同様に元2型糖尿人Bさんのデータです。
食前 30分後 60分後 90分後 120分後
通常食血糖値 108 148 189 142 126
通常食IRI 3.8 35.2 58.5 55.1 24.9
糖質制限食血糖値 113 115 116 108 107
糖質制限食IRI 4.1 10.1 11.7 10.6 13.5
Bさんの場合、2年間の糖質制限食実践で、糖質を負荷しても血糖値は正常パターンに回復しています。
このとき基礎分泌3.8→追加分泌ピーク58.5まで多量のインスリンがでています。実に基礎分泌の15倍強のインスリンが追加分泌されています。ヾ(゜▽゜)
糖質制限食でも、約8.75gほど野菜分の糖質が含まれているので、一応、基礎分泌の2~3倍のインスリン追加分泌がありますが、通常食に比べれば微々たるものですね。
正常人が通常の食事をすれば、おおむねBさんのデータのようなインスリンの大量追加分泌が一日に最低3回、間食をすれば5回以上起こっているわけです。
このようなインスリンの大量追加分泌が、40年、50年と続けば、遂には膵臓が疲弊して分泌能力が低下し、糖尿病を発症するのは想像に難くないですね。
結論です。
カロリーをいくら制限しても、糖質を摂取してしまえば食後高血糖と多量のインスリン追加分泌を生じます。糖質制限食なら食後高血糖は生じず、インスリン追加分泌もごく少量ですみます。
江部康二
2009年06月11日 (木)
おはようございます。
長くなるので、記事を分けました。
[糖質が少ない食事を摂り続けると体重が増えて糖尿病になる]
という記載が某ホームページにあるようです。過去複数の皆さんから、同様のコメント・質問がありました。
[糖質が少ない食事を摂り続けると体重が増えて糖尿病になる]は事実誤認です。
生理学的事実、米国糖尿病協会の栄養勧告、欧米の権威ある疫学的研究などを検討してみましょう。
【09/06/09 ともみ
実は、
http://www.eps1.comlink.ne.jp/~mayus/lifestyle2/newdiabetes.html
に気になる文章をみつけてしまいました。
「糖質が増えればそれだけインスリンを増量する必要があると考えられていました。しかし、この考えは誤りであることが間もなく分かったのです。糖尿病患者に糖質の多い食事を与えてもインスリンの必要量は増えなかったからです。たとえば、糖質50グラム、脂肪115グラムの食事を摂っていた患者が糖質120グラム、脂肪76グラムの食事に切り替えても、一定の範囲に血糖を保つのに必要なインスリンの量は変わらなかったのです。」
また、健康な人の低糖質食について、
[糖質が少ない食事を摂り続けると体重が増えて糖尿病になる]として、
「摂取カロリーは同じであっても、低糖質食(高脂肪食)で体重が増える・・・・糖質が少ない食事を続けていると、インスリンに対する感受性が低下します(=インスリンの働きが悪くなる)。最初の頃はインスリンをたくさん分泌することによってやりくりしていますが(=高インスリン血症といい肥満を伴います)、このような食事を摂り続けると次第にインスリン分泌能が疲弊して、最終的に糖尿病になってしまうのです。
インスリンはグルコースの刺激で分泌されるから、糖質が減ればインスリンの分泌が減る(=低インスリンダイエットの誤った理論)と思っておられるでしょうが違うのです。糖質が少なくなると、インスリンの働きが悪くなるから、ますます大量のインスリンを分泌するようになるのです。」
などと書かれていて、不安になってしまいました。】
医師のサイトにこのようなことが書いてあると、患者さんは不安になりますよね。
それでは検討です。
「糖質が増えればそれだけインスリンを増量する必要があると考えられていました。しかし、この考えは誤りであることが間もなく分かったのです。糖尿病患者に糖質の多い食事を与えてもインスリンの必要量は増えなかったからです。たとえば、糖質50グラム、脂肪115グラムの食事を摂っていた患者が糖質120グラム、脂肪76グラムの食事に切り替えても、一定の範囲に血糖を保つのに必要なインスリンの量は変わらなかったのです。」
この記載は事実誤認です。 (*_*)
<米国糖尿病協会(ADA)の栄養勧告 2008年>
Diabetes Care 31:S61-S78, 2008
①炭水化物をモニタリングすることは、
炭水化物計算にしろ、
炭水化物交換にしろ、
経験に基づく評価にしろ、
血糖コントロールを達成するための
鍵となる戦略である。
*炭水化物(糖質)を日常的に継続的に点検することを、強く推奨。
②減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食または低炭水化物食によるダイエットが推奨される。
このように、米国糖尿病協会の最新の栄養勧告で、炭水化物(糖質)を点検することを強く推奨しています。
これは三大栄養素のうち、糖質だけが血糖値を急激に上昇させるということを医師も患者も知識として持っているからです。
上記の中で炭水化物計算とは、糖質管理食のことです。欧米では1型糖尿病患者さんには、日本のようなカロリー制限食(高糖質食)ではなくて糖質管理食が一般的です。
糖質管理食は、「血糖値を急激に上昇させるのは糖質だけである」という生理学的事実に基づき、1回の食事に含まれる糖質のグラム数を計算して、それに見合う量のインスリンを食前に注射します。
当然、糖質量が多い時はインスリン注射の量も増やしますし、糖質量が少ないときは、インスリン注射の量を減らします。
また、高雄病院に入院された糖尿人で、インスリン注射を打っている方も50人以上おられました。
糖質たっぷりのカロリー制限食を食べていた糖尿人が、入院後スーパー糖質制限食に切り替えたらインスリン注射の量が1/3以下になります。さらには、インスリン注射が中止できる人も2割くらいおられます。
タンパク質と脂質は、血糖値をほとんど上昇させません。従って、糖質制限食実践により、インスリンの必要量が激減するのです。
[糖質が少ない食事を摂り続けると体重が増えて糖尿病になる]として、
「摂取カロリーは同じであっても、低糖質食(高脂肪食)で体重が増える・・・・糖質が少ない食事を続けていると、インスリンに対する感受性が低下します(=インスリンの働きが悪くなる)。最初の頃はインスリンをたくさん分泌することによってやりくりしていますが(=高インスリン血症といい肥満を伴います)、このような食事を摂り続けると次第にインスリン分泌能が疲弊して、最終的に糖尿病になってしまうのです。
インスリンはグルコースの刺激で分泌されるから、糖質が減ればインスリンの分泌が減る(=低インスリンダイエットの誤った理論)と思っておられるでしょうが違うのです。糖質が少なくなると、インスリンの働きが悪くなるから、ますます大量のインスリンを分泌するようになるのです。」
この記載も事実誤認です。 (*_*)
糖質制限食で体重が減少します。また、糖質制限食なら血糖値はほとんど上昇しないので、追加分泌インスリンもごく少量で済みます。
一方、糖質を摂取すれば、食後高血糖を生じるので追加分泌インスリンが大量に分泌されます。1日のうちで朝昼夕の3回、間食をいれれば5回くらい、追加分泌インスリンが大量に分泌されます。
このような糖質中心の食生活を長年続けていれば、肥満ホルモンであるインスリンの影響でメタボになります。追加分泌インスリンを大量に長年出し続けて膵臓が疲弊してしまい、インスリン分泌能が減ると、 糖尿病を発症します。
体重減少に関しては、2008年のニューイングランド・ジャーナル、イスラエルの研究報告
NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241
「低炭水化物食(糖質制限食)が最も体重を減少させ、HDL-Cを増加させた。」
が、長年の食事療法の論争に決着をつけたと思います。
これは、ネットの1個人の意見や仮説ではなく、322人を2年間追跡した権威ある疫学的研究です。
<低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。>
• イスラエルの322人(男性86%)
• (1)低脂肪法(カロリー制限あり)
• (2)オリーブ油の地中海法(カロリー制限あり)
• (3)低炭水化物法(カロリー制限なしのアトキンス式ダイエット)
• 3グループの食事法を2年間経過観察。
• 低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。
• NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241
また、人類400万年の進化の中で、農耕が始まるまでの399万年間は、人類皆糖質制限食であったこともお忘れなく・・・ (^_^)
人類は、狩猟・採集・糖質制限食に適応するように、生理・代謝・行動など399万年をかけて進化したのです。
ともみさん、安心していただけたでしょうか?
江部康二
長くなるので、記事を分けました。
[糖質が少ない食事を摂り続けると体重が増えて糖尿病になる]
という記載が某ホームページにあるようです。過去複数の皆さんから、同様のコメント・質問がありました。
[糖質が少ない食事を摂り続けると体重が増えて糖尿病になる]は事実誤認です。
生理学的事実、米国糖尿病協会の栄養勧告、欧米の権威ある疫学的研究などを検討してみましょう。
【09/06/09 ともみ
実は、
http://www.eps1.comlink.ne.jp/~mayus/lifestyle2/newdiabetes.html
に気になる文章をみつけてしまいました。
「糖質が増えればそれだけインスリンを増量する必要があると考えられていました。しかし、この考えは誤りであることが間もなく分かったのです。糖尿病患者に糖質の多い食事を与えてもインスリンの必要量は増えなかったからです。たとえば、糖質50グラム、脂肪115グラムの食事を摂っていた患者が糖質120グラム、脂肪76グラムの食事に切り替えても、一定の範囲に血糖を保つのに必要なインスリンの量は変わらなかったのです。」
また、健康な人の低糖質食について、
[糖質が少ない食事を摂り続けると体重が増えて糖尿病になる]として、
「摂取カロリーは同じであっても、低糖質食(高脂肪食)で体重が増える・・・・糖質が少ない食事を続けていると、インスリンに対する感受性が低下します(=インスリンの働きが悪くなる)。最初の頃はインスリンをたくさん分泌することによってやりくりしていますが(=高インスリン血症といい肥満を伴います)、このような食事を摂り続けると次第にインスリン分泌能が疲弊して、最終的に糖尿病になってしまうのです。
インスリンはグルコースの刺激で分泌されるから、糖質が減ればインスリンの分泌が減る(=低インスリンダイエットの誤った理論)と思っておられるでしょうが違うのです。糖質が少なくなると、インスリンの働きが悪くなるから、ますます大量のインスリンを分泌するようになるのです。」
などと書かれていて、不安になってしまいました。】
医師のサイトにこのようなことが書いてあると、患者さんは不安になりますよね。
それでは検討です。
「糖質が増えればそれだけインスリンを増量する必要があると考えられていました。しかし、この考えは誤りであることが間もなく分かったのです。糖尿病患者に糖質の多い食事を与えてもインスリンの必要量は増えなかったからです。たとえば、糖質50グラム、脂肪115グラムの食事を摂っていた患者が糖質120グラム、脂肪76グラムの食事に切り替えても、一定の範囲に血糖を保つのに必要なインスリンの量は変わらなかったのです。」
この記載は事実誤認です。 (*_*)
<米国糖尿病協会(ADA)の栄養勧告 2008年>
Diabetes Care 31:S61-S78, 2008
①炭水化物をモニタリングすることは、
炭水化物計算にしろ、
炭水化物交換にしろ、
経験に基づく評価にしろ、
血糖コントロールを達成するための
鍵となる戦略である。
*炭水化物(糖質)を日常的に継続的に点検することを、強く推奨。
②減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食または低炭水化物食によるダイエットが推奨される。
このように、米国糖尿病協会の最新の栄養勧告で、炭水化物(糖質)を点検することを強く推奨しています。
これは三大栄養素のうち、糖質だけが血糖値を急激に上昇させるということを医師も患者も知識として持っているからです。
上記の中で炭水化物計算とは、糖質管理食のことです。欧米では1型糖尿病患者さんには、日本のようなカロリー制限食(高糖質食)ではなくて糖質管理食が一般的です。
糖質管理食は、「血糖値を急激に上昇させるのは糖質だけである」という生理学的事実に基づき、1回の食事に含まれる糖質のグラム数を計算して、それに見合う量のインスリンを食前に注射します。
当然、糖質量が多い時はインスリン注射の量も増やしますし、糖質量が少ないときは、インスリン注射の量を減らします。
また、高雄病院に入院された糖尿人で、インスリン注射を打っている方も50人以上おられました。
糖質たっぷりのカロリー制限食を食べていた糖尿人が、入院後スーパー糖質制限食に切り替えたらインスリン注射の量が1/3以下になります。さらには、インスリン注射が中止できる人も2割くらいおられます。
タンパク質と脂質は、血糖値をほとんど上昇させません。従って、糖質制限食実践により、インスリンの必要量が激減するのです。
[糖質が少ない食事を摂り続けると体重が増えて糖尿病になる]として、
「摂取カロリーは同じであっても、低糖質食(高脂肪食)で体重が増える・・・・糖質が少ない食事を続けていると、インスリンに対する感受性が低下します(=インスリンの働きが悪くなる)。最初の頃はインスリンをたくさん分泌することによってやりくりしていますが(=高インスリン血症といい肥満を伴います)、このような食事を摂り続けると次第にインスリン分泌能が疲弊して、最終的に糖尿病になってしまうのです。
インスリンはグルコースの刺激で分泌されるから、糖質が減ればインスリンの分泌が減る(=低インスリンダイエットの誤った理論)と思っておられるでしょうが違うのです。糖質が少なくなると、インスリンの働きが悪くなるから、ますます大量のインスリンを分泌するようになるのです。」
この記載も事実誤認です。 (*_*)
糖質制限食で体重が減少します。また、糖質制限食なら血糖値はほとんど上昇しないので、追加分泌インスリンもごく少量で済みます。
一方、糖質を摂取すれば、食後高血糖を生じるので追加分泌インスリンが大量に分泌されます。1日のうちで朝昼夕の3回、間食をいれれば5回くらい、追加分泌インスリンが大量に分泌されます。
このような糖質中心の食生活を長年続けていれば、肥満ホルモンであるインスリンの影響でメタボになります。追加分泌インスリンを大量に長年出し続けて膵臓が疲弊してしまい、インスリン分泌能が減ると、 糖尿病を発症します。
体重減少に関しては、2008年のニューイングランド・ジャーナル、イスラエルの研究報告
NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241
「低炭水化物食(糖質制限食)が最も体重を減少させ、HDL-Cを増加させた。」
が、長年の食事療法の論争に決着をつけたと思います。
これは、ネットの1個人の意見や仮説ではなく、322人を2年間追跡した権威ある疫学的研究です。
<低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。>
• イスラエルの322人(男性86%)
• (1)低脂肪法(カロリー制限あり)
• (2)オリーブ油の地中海法(カロリー制限あり)
• (3)低炭水化物法(カロリー制限なしのアトキンス式ダイエット)
• 3グループの食事法を2年間経過観察。
• 低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。
• NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241
また、人類400万年の進化の中で、農耕が始まるまでの399万年間は、人類皆糖質制限食であったこともお忘れなく・・・ (^_^)
人類は、狩猟・採集・糖質制限食に適応するように、生理・代謝・行動など399万年をかけて進化したのです。
ともみさん、安心していただけたでしょうか?
江部康二
2009年06月11日 (木)
おはようございます。
今回はともみさんから
糖質制限食と高糖質食についてコメント・質問をいただきました。
【09/06/09 ともみ
タイトルなし
江部先生
8年ぶりの検診で、糖尿病と言われ(空腹時210 A1C7.5)、糖質制限食を6/5から始めて5日目、のつもりが、結構ないと思っていた野菜類(ナスや白菜、ヒラタケやエノキ)にも糖質がある事がわかりちょっとがっかり・・・おろししょうが 10gにも糖質が2.25gも入っているんですね・・・
以前、「果物の糖質は、半分で計算しても大丈夫」とブログにありましたが、朝食代わりに、糖質10g分(つまりホントは20gくらい)の果物を食べても大丈夫でしょうか?
また、レモン汁にも糖質が10mlで0.9gありますが、これも、半分で計算しても大丈夫でしょうか?
主食を摂らないだけであれば、難しくないのですが、野菜の糖質を考えると、なかなか煩雑ですが、最初は、キチッとやってみよう、と成分表とにらめっこしています。
6/5の糖質量が32.3g 6/6が35.5g 6/7が27.6g 6/8が30.3 という感じです。
このくらいならば、問題ありませんか?
蛋白尿は-、肝臓の数値も中性脂肪も問題なく、
HDLは60 LDLは138、
クレアチニンは0.42 尿酸は6.3
という数値でしたが、このまま高たんぱく、高脂肪ぎみ、低糖質の食事を続けても大丈夫でしょうか?
カロリーは、前よりは気をつけているので、少しずつ減量もできています。
実は、
http://www.eps1.comlink.ne.jp/~mayus/lifestyle2/newdiabetes.html
に気になる文章をみつけてしまいました。
「糖質が増えればそれだけインスリンを増量する必要があると考えられていました。しかし、この考えは誤りであることが間もなく分かったのです。糖尿病患者に糖質の多い食事を与えてもインスリンの必要量は増えなかったからです。たとえば、糖質50グラム、脂肪115グラムの食事を摂っていた患者が糖質120グラム、脂肪76グラムの食事に切り替えても、一定の範囲に血糖を保つのに必要なインスリンの量は変わらなかったのです。」
また、健康な人の低糖質食について、
[糖質が少ない食事を摂り続けると体重が増えて糖尿病になる]として、
「摂取カロリーは同じであっても、低糖質食(高脂肪食)で体重が増える・・・・糖質が少ない食事を続けていると、インスリンに対する感受性が低下します(=インスリンの働きが悪くなる)。最初の頃はインスリンをたくさん分泌することによってやりくりしていますが(=高インスリン血症といい肥満を伴います)、このような食事を摂り続けると次第にインスリン分泌能が疲弊して、最終的に糖尿病になってしまうのです。
インスリンはグルコースの刺激で分泌されるから、糖質が減ればインスリンの分泌が減る(=低インスリンダイエットの誤った理論)と思っておられるでしょうが違うのです。糖質が少なくなると、インスリンの働きが悪くなるから、ますます大量のインスリンを分泌するようになるのです。」
などと書かれていて、不安になってしまいました。
まず、私自信の食事について、と、主人(肥満ですが、糖尿病ではありません)の食生活について、どうしたら良いのでしょうか。ちなみに、主人は朝はバナナ、昼は普通の外食、夜は私と同じ食事で、たまにご飯をプラスしています。
色々長々と質問してしまいましたが、不安で仕方ないので、どうぞ宜しくお願いいたします。】
ともみさん。
コメントありがとうございます。
「6/5の糖質量が32.3g 6/6が35.5g 6/7が27.6g 6/8が30.3 という感じです。 このくらいならば、問題ありませんか? 」
全く問題ないです。
検査データでみても、このまま糖質制限食を続ければ、血糖コントロール、体重減少もうまくいくでしょう。
高雄病院入院中の糖尿人のスーパー糖質制限食の給食で、
糖質量 朝:7~10g
昼:10~15g
夕:10~19g
程度です。
1回に摂取する糖質量が肝要です。1gの糖質が、体重64kgの1型糖尿人の血糖値を5mg上昇させ、2型糖尿人の血糖値を5mg上昇させます。
ご主人も肥満がおありなら、一緒に糖質制限食をされたら減量できると思いますよ。
<続く>
江部康二
今回はともみさんから
糖質制限食と高糖質食についてコメント・質問をいただきました。
【09/06/09 ともみ
タイトルなし
江部先生
8年ぶりの検診で、糖尿病と言われ(空腹時210 A1C7.5)、糖質制限食を6/5から始めて5日目、のつもりが、結構ないと思っていた野菜類(ナスや白菜、ヒラタケやエノキ)にも糖質がある事がわかりちょっとがっかり・・・おろししょうが 10gにも糖質が2.25gも入っているんですね・・・
以前、「果物の糖質は、半分で計算しても大丈夫」とブログにありましたが、朝食代わりに、糖質10g分(つまりホントは20gくらい)の果物を食べても大丈夫でしょうか?
また、レモン汁にも糖質が10mlで0.9gありますが、これも、半分で計算しても大丈夫でしょうか?
主食を摂らないだけであれば、難しくないのですが、野菜の糖質を考えると、なかなか煩雑ですが、最初は、キチッとやってみよう、と成分表とにらめっこしています。
6/5の糖質量が32.3g 6/6が35.5g 6/7が27.6g 6/8が30.3 という感じです。
このくらいならば、問題ありませんか?
蛋白尿は-、肝臓の数値も中性脂肪も問題なく、
HDLは60 LDLは138、
クレアチニンは0.42 尿酸は6.3
という数値でしたが、このまま高たんぱく、高脂肪ぎみ、低糖質の食事を続けても大丈夫でしょうか?
カロリーは、前よりは気をつけているので、少しずつ減量もできています。
実は、
http://www.eps1.comlink.ne.jp/~mayus/lifestyle2/newdiabetes.html
に気になる文章をみつけてしまいました。
「糖質が増えればそれだけインスリンを増量する必要があると考えられていました。しかし、この考えは誤りであることが間もなく分かったのです。糖尿病患者に糖質の多い食事を与えてもインスリンの必要量は増えなかったからです。たとえば、糖質50グラム、脂肪115グラムの食事を摂っていた患者が糖質120グラム、脂肪76グラムの食事に切り替えても、一定の範囲に血糖を保つのに必要なインスリンの量は変わらなかったのです。」
また、健康な人の低糖質食について、
[糖質が少ない食事を摂り続けると体重が増えて糖尿病になる]として、
「摂取カロリーは同じであっても、低糖質食(高脂肪食)で体重が増える・・・・糖質が少ない食事を続けていると、インスリンに対する感受性が低下します(=インスリンの働きが悪くなる)。最初の頃はインスリンをたくさん分泌することによってやりくりしていますが(=高インスリン血症といい肥満を伴います)、このような食事を摂り続けると次第にインスリン分泌能が疲弊して、最終的に糖尿病になってしまうのです。
インスリンはグルコースの刺激で分泌されるから、糖質が減ればインスリンの分泌が減る(=低インスリンダイエットの誤った理論)と思っておられるでしょうが違うのです。糖質が少なくなると、インスリンの働きが悪くなるから、ますます大量のインスリンを分泌するようになるのです。」
などと書かれていて、不安になってしまいました。
まず、私自信の食事について、と、主人(肥満ですが、糖尿病ではありません)の食生活について、どうしたら良いのでしょうか。ちなみに、主人は朝はバナナ、昼は普通の外食、夜は私と同じ食事で、たまにご飯をプラスしています。
色々長々と質問してしまいましたが、不安で仕方ないので、どうぞ宜しくお願いいたします。】
ともみさん。
コメントありがとうございます。
「6/5の糖質量が32.3g 6/6が35.5g 6/7が27.6g 6/8が30.3 という感じです。 このくらいならば、問題ありませんか? 」
全く問題ないです。
検査データでみても、このまま糖質制限食を続ければ、血糖コントロール、体重減少もうまくいくでしょう。
高雄病院入院中の糖尿人のスーパー糖質制限食の給食で、
糖質量 朝:7~10g
昼:10~15g
夕:10~19g
程度です。
1回に摂取する糖質量が肝要です。1gの糖質が、体重64kgの1型糖尿人の血糖値を5mg上昇させ、2型糖尿人の血糖値を5mg上昇させます。
ご主人も肥満がおありなら、一緒に糖質制限食をされたら減量できると思いますよ。
<続く>
江部康二