2008年12月31日 (水)
おはようございます。
とうとう大晦日となりましたね。今年一年間、ブログ読者の皆さんには、コメントや質問を沢山いただき、ありがとうございました。Thanks(v^-^v)♪
皆さんのおかげで、賑やかで活発なブログを展開することができました。2007年2月27日に開始した本ブログ、あれよあれよという間に、1日のアクセス数が3000~4000件という、人気ブログになりました。
100件を超えて何だか嬉しくなって、1000件を超えた時は何だかびっくりしましたね。ヾ(゜▽゜)
合計のアクセス数も、本年11月に100万を突破しました。
月曜日~金曜日まではアクセス数が多くて、土日が3割くらい減ります。これは、多くの皆さんが勤務時間中にしっかり本ブログを覗いていただいているということらしくて、いやはや困ったもんだ (∵)?・・・いやいや光栄の至りですね。(≧▽≦)
2009年度も、糖質制限食と糖尿病の話題を中心に、漢方や医療や食生活全体のこと、その時気がついたことなど、適宜いろいろ記事にしていきたいと思っていますので、応援よろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
それでは皆さん、よいお年をお迎え下さい。(^-^)v(^-^)v
江部康二
☆☆☆ 屠蘇(トソ)
日本のお正月といったら、やっぱりお屠蘇ですね。
私も日頃日本酒は飲みませんがお屠蘇、はっきりいってあまり美味しくはないのですが、漢方医の端くれとしておちょこで1.2杯くらいは飲もうと思います。
屠蘇は正式には延寿屠蘇散といい、華陀という中国の三国時代の名漢方医が、白朮、山椒、防風、桂皮、桔梗、細辛などの薬草を調合し、酒に浸して飲んだのが始まりといわれています。邪気を屠り、魂を蘇らせるという意味で屠蘇と名付けられました。
日本では平安時代、嵯峨天皇に唐からの使いが、屠蘇散を霊薬として献上したのが始まりといわれています。
天皇は元旦から三が日、四方拝の儀式の後お酒に屠蘇散を浸したものを召し上がられたということです。
この風習が徐々に一般の人たちの間にも広がっていき、よい年を迎えるお正月の行事として定着していったようです。
家族や雇用人の別なく一同に集まり、祝い膳に箸をつける前に若い者から順に杯をあげ無病息災を祈るのです。この風習は、江戸時代におおいに流行り、大正時代まではかなり広く行われていました。
江戸後期から明治のころには、町医者がお歳暮として年末に患者に与えたと言われています。近年は大晦日の夜、酒に屠蘇散を入れ一夜冷たく浸しておき、元旦の朝雑煮を食べる前に、家族の一年の健康と幸せを願って飲むのが一般的でしょうか。
<漢字の読み方>
屠蘇(トソ)
延寿屠蘇散(エンジュトソサン)
華陀(カダ)
邪気を屠(ホフ)り、魂を蘇(ヨミガエ)らせる
白朮(ビャクジュツ)、山椒(サンショ)、防風(ボウフウ)、桂皮(ケイヒ)、
桔梗(キキョウ)、細辛(サイシン)
四方拝(シホウハイ)
とうとう大晦日となりましたね。今年一年間、ブログ読者の皆さんには、コメントや質問を沢山いただき、ありがとうございました。Thanks(v^-^v)♪
皆さんのおかげで、賑やかで活発なブログを展開することができました。2007年2月27日に開始した本ブログ、あれよあれよという間に、1日のアクセス数が3000~4000件という、人気ブログになりました。
100件を超えて何だか嬉しくなって、1000件を超えた時は何だかびっくりしましたね。ヾ(゜▽゜)
合計のアクセス数も、本年11月に100万を突破しました。
月曜日~金曜日まではアクセス数が多くて、土日が3割くらい減ります。これは、多くの皆さんが勤務時間中にしっかり本ブログを覗いていただいているということらしくて、いやはや困ったもんだ (∵)?・・・いやいや光栄の至りですね。(≧▽≦)
2009年度も、糖質制限食と糖尿病の話題を中心に、漢方や医療や食生活全体のこと、その時気がついたことなど、適宜いろいろ記事にしていきたいと思っていますので、応援よろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
それでは皆さん、よいお年をお迎え下さい。(^-^)v(^-^)v
江部康二
☆☆☆ 屠蘇(トソ)
日本のお正月といったら、やっぱりお屠蘇ですね。
私も日頃日本酒は飲みませんがお屠蘇、はっきりいってあまり美味しくはないのですが、漢方医の端くれとしておちょこで1.2杯くらいは飲もうと思います。
屠蘇は正式には延寿屠蘇散といい、華陀という中国の三国時代の名漢方医が、白朮、山椒、防風、桂皮、桔梗、細辛などの薬草を調合し、酒に浸して飲んだのが始まりといわれています。邪気を屠り、魂を蘇らせるという意味で屠蘇と名付けられました。
日本では平安時代、嵯峨天皇に唐からの使いが、屠蘇散を霊薬として献上したのが始まりといわれています。
天皇は元旦から三が日、四方拝の儀式の後お酒に屠蘇散を浸したものを召し上がられたということです。
この風習が徐々に一般の人たちの間にも広がっていき、よい年を迎えるお正月の行事として定着していったようです。
家族や雇用人の別なく一同に集まり、祝い膳に箸をつける前に若い者から順に杯をあげ無病息災を祈るのです。この風習は、江戸時代におおいに流行り、大正時代まではかなり広く行われていました。
江戸後期から明治のころには、町医者がお歳暮として年末に患者に与えたと言われています。近年は大晦日の夜、酒に屠蘇散を入れ一夜冷たく浸しておき、元旦の朝雑煮を食べる前に、家族の一年の健康と幸せを願って飲むのが一般的でしょうか。
<漢字の読み方>
屠蘇(トソ)
延寿屠蘇散(エンジュトソサン)
華陀(カダ)
邪気を屠(ホフ)り、魂を蘇(ヨミガエ)らせる
白朮(ビャクジュツ)、山椒(サンショ)、防風(ボウフウ)、桂皮(ケイヒ)、
桔梗(キキョウ)、細辛(サイシン)
四方拝(シホウハイ)
2008年12月30日 (火)
こんにちは。
糖尿人にもメタボ人にも正常人にも、等しく興味あるのが甘味料ですね。今朝も甘味料に関する質問があったので、ブログ「天然甘味料と人工甘味料と糖質制限食」を一部足して再掲します。
甘味料は、まず天然甘味料と人工甘味料の、大きく2つに分けることができます。次に、人工甘味料は、合成甘味料と糖アルコールに分けることができます。
1 天然甘味料
ショ糖(サトウキビなど)、ステビオサイド(ステビア)、グリチルリチン酸(甘草)、ソーマチン(西アフリカに生育するソーマトコッカスダニエリという赤い果実)、蜂蜜、メープルシロップ、果糖、麦芽糖、などのように、天然の植物や食品中に含まれている甘み成分を取り出し精製、濃縮した甘味料のこと。
2 人工甘味料(広義の意味)
人工的に作られた甘みのある物質のこと。合成甘味料、糖アルコールなどがあります。
a) 合成甘味料
人工甘味料の一種で、人為的に化学合成された甘みのある物質(甘味料)のこと。砂糖より低カロリー、低価格、などの特徴がある。狭義の意味の人工甘味料は合成甘味料と同義で使われることがあります。
サッカリン、サッカリンナトリウム、サイクラミン酸ナトリウム(俗称チクロ)、ズルチン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、などがあります。
b) 糖アルコール
キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール、ラクチトールなどがあります。キシリトールは野菜や果物などに、ソルビトールはプルーン、ナシ、リンゴなどに、エリスリトールは果実、花の蜜などにそれぞれ含まれています。マルチトール、ラクチトールもそれぞれ麦芽糖、乳糖を原料としています。
糖アルコールは合成甘味料には分類されません。
糖アルコールの安全性は確立しています。
合成甘味料のなかで、ズルチンとチクロは、戦後間もない日本で、貴重な甘みとして広く使用されたのですが、発ガン性などのため1969年と1970年にそれぞれ使用禁止となっています。
サッカリンも発癌テストが陽性に出て、日本では食品衛生法により1973年に、いったん全面禁止となりました。ところが1ヶ月後、食品別の使用基準が制定されると、制限付きながらサッカリンはあっさり再認可されました。米国では、長期間にわたり一度も禁止されることなく、結構大量に使っているようです。
現在、FDA(米国食料医薬品庁)が食品への使用を許可している人工甘味料は、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースの4種です。これらの人工甘味料は、「フリーフード」と呼ばれ、米国心臓病協会や米国糖尿病協会も肯定的ではあります。
これら4種の合成甘味料は、カロリーはないのでダイエットにはよいし、血糖値を上昇させないという意味では、糖尿病にも糖質制限食的にもOKです。
かの糖質ゼロ食の求道者・釜池豊秋先生も、パルスイート(エリスリトール+アスパルテーム)はOK食品としておられます。一日摂取許容量が決められているので、わざわざ大量に摂取する必要もないと思います。
まあゼロカロリー飲料、例えば
「カロリ」
アセスルファムカリウム、スクラロース
「コカコーラゼロ」
アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物、アセスルファムカリウム、スクラロース
「ペプシネックス」
アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物、アセスルファムカリウム
などを、一日に2~3本くらいであれば、一日許容量を超えることはまずありません。FDAが認める4種の合成甘味料に関しては、特に優劣をつけるデータはなくて、同等と考えて良いとお思います。
アスパルテームは、FDA(米国食料医薬品庁)により人工甘味料として1981年に使用が許可されています。現在、製法特許は味の素が持っており、国内ではアスパルテームを使った食卓用甘味料がPAL SWEETとして販売されています。
アスパルテームは、アスパラギン酸とフェニルアラニンという、2つの天然アミノ酸が結合したものです。体内に吸収されると、速やかに二つのアミノ酸と、ごく微量のメタノールに分解されます。欠点は、添加物として比較的不安定であることです。
メタノール(メチルアルコール)は、大量だと失明を起こすなど毒性が強いですが、本来、ひと、動物、植物の体内に天然に存在するもので、ひと血液中の常成分の一つです。
アセスルファムカリウムは、アスパルテームと違って酸性・高温条件でも変化しにくいので、炭酸飲料のほか、クッキーなどの焼き菓子にも利用できます。
欧米では、近年アスパルテーム・アセスルファムカリウム混合甘味料がダイエットコーラの主流となっているようです。2005年には、スクラロースを使用したダイエットコーラも登場しました。スクラロースは水に溶けやすく、酸や熱にも安定しています。
糖アルコール には、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール、ラクチトールなどがあります。
キシリトールは野菜や果物などに、ソルビトールはプルーン、ナシ、リンゴなどに、エリスリトールは果実、花の蜜などにそれぞれ含まれていますが、商品としては人工的に作っています。
マルチトール、ラクチトールもそれぞれ麦芽糖、乳糖を原料として人工的に合成しています。
糖アルコールは糖類に水素を付加したもので、人工的に作っていますが、いわゆる合成甘味料には分類されません。糖アルコールの安全性は確立しています。
肝腎の血糖値を上昇させるか否かですが、エリスリトール以外の糖アルコールは、砂糖の約半分程度血糖値を上昇させます。
よく、「糖アルコールは血糖値を上昇させない」との記載がみられますが間違いです。
また、エリスリトール以外の糖アルコールは、難消化性で吸収されにくいのが特徴です。吸収されにくい分腸内に残っているので、大量に摂取すれば下痢を起こしやすいです。
エリスリトールは、糖アルコールの中で例外的に体内に9割以上吸収されますが、全く代謝されずにそのまま尿中に排泄されます。ですから厚生労働省お墨付きのゼロカロリーで、かつ全く血糖値を上昇させません。ほとんどが体内に吸収されるので、糖アルコールの中で最も下痢も起こしにくいです。
甘味料の「ラカントS」や「パルスイート」の主成分がエリスリトールです。
江部康二
糖尿人にもメタボ人にも正常人にも、等しく興味あるのが甘味料ですね。今朝も甘味料に関する質問があったので、ブログ「天然甘味料と人工甘味料と糖質制限食」を一部足して再掲します。
甘味料は、まず天然甘味料と人工甘味料の、大きく2つに分けることができます。次に、人工甘味料は、合成甘味料と糖アルコールに分けることができます。
1 天然甘味料
ショ糖(サトウキビなど)、ステビオサイド(ステビア)、グリチルリチン酸(甘草)、ソーマチン(西アフリカに生育するソーマトコッカスダニエリという赤い果実)、蜂蜜、メープルシロップ、果糖、麦芽糖、などのように、天然の植物や食品中に含まれている甘み成分を取り出し精製、濃縮した甘味料のこと。
2 人工甘味料(広義の意味)
人工的に作られた甘みのある物質のこと。合成甘味料、糖アルコールなどがあります。
a) 合成甘味料
人工甘味料の一種で、人為的に化学合成された甘みのある物質(甘味料)のこと。砂糖より低カロリー、低価格、などの特徴がある。狭義の意味の人工甘味料は合成甘味料と同義で使われることがあります。
サッカリン、サッカリンナトリウム、サイクラミン酸ナトリウム(俗称チクロ)、ズルチン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、などがあります。
b) 糖アルコール
キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール、ラクチトールなどがあります。キシリトールは野菜や果物などに、ソルビトールはプルーン、ナシ、リンゴなどに、エリスリトールは果実、花の蜜などにそれぞれ含まれています。マルチトール、ラクチトールもそれぞれ麦芽糖、乳糖を原料としています。
糖アルコールは合成甘味料には分類されません。
糖アルコールの安全性は確立しています。
合成甘味料のなかで、ズルチンとチクロは、戦後間もない日本で、貴重な甘みとして広く使用されたのですが、発ガン性などのため1969年と1970年にそれぞれ使用禁止となっています。
サッカリンも発癌テストが陽性に出て、日本では食品衛生法により1973年に、いったん全面禁止となりました。ところが1ヶ月後、食品別の使用基準が制定されると、制限付きながらサッカリンはあっさり再認可されました。米国では、長期間にわたり一度も禁止されることなく、結構大量に使っているようです。
現在、FDA(米国食料医薬品庁)が食品への使用を許可している人工甘味料は、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースの4種です。これらの人工甘味料は、「フリーフード」と呼ばれ、米国心臓病協会や米国糖尿病協会も肯定的ではあります。
これら4種の合成甘味料は、カロリーはないのでダイエットにはよいし、血糖値を上昇させないという意味では、糖尿病にも糖質制限食的にもOKです。
かの糖質ゼロ食の求道者・釜池豊秋先生も、パルスイート(エリスリトール+アスパルテーム)はOK食品としておられます。一日摂取許容量が決められているので、わざわざ大量に摂取する必要もないと思います。
まあゼロカロリー飲料、例えば
「カロリ」
アセスルファムカリウム、スクラロース
「コカコーラゼロ」
アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物、アセスルファムカリウム、スクラロース
「ペプシネックス」
アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物、アセスルファムカリウム
などを、一日に2~3本くらいであれば、一日許容量を超えることはまずありません。FDAが認める4種の合成甘味料に関しては、特に優劣をつけるデータはなくて、同等と考えて良いとお思います。
アスパルテームは、FDA(米国食料医薬品庁)により人工甘味料として1981年に使用が許可されています。現在、製法特許は味の素が持っており、国内ではアスパルテームを使った食卓用甘味料がPAL SWEETとして販売されています。
アスパルテームは、アスパラギン酸とフェニルアラニンという、2つの天然アミノ酸が結合したものです。体内に吸収されると、速やかに二つのアミノ酸と、ごく微量のメタノールに分解されます。欠点は、添加物として比較的不安定であることです。
メタノール(メチルアルコール)は、大量だと失明を起こすなど毒性が強いですが、本来、ひと、動物、植物の体内に天然に存在するもので、ひと血液中の常成分の一つです。
アセスルファムカリウムは、アスパルテームと違って酸性・高温条件でも変化しにくいので、炭酸飲料のほか、クッキーなどの焼き菓子にも利用できます。
欧米では、近年アスパルテーム・アセスルファムカリウム混合甘味料がダイエットコーラの主流となっているようです。2005年には、スクラロースを使用したダイエットコーラも登場しました。スクラロースは水に溶けやすく、酸や熱にも安定しています。
糖アルコール には、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール、ラクチトールなどがあります。
キシリトールは野菜や果物などに、ソルビトールはプルーン、ナシ、リンゴなどに、エリスリトールは果実、花の蜜などにそれぞれ含まれていますが、商品としては人工的に作っています。
マルチトール、ラクチトールもそれぞれ麦芽糖、乳糖を原料として人工的に合成しています。
糖アルコールは糖類に水素を付加したもので、人工的に作っていますが、いわゆる合成甘味料には分類されません。糖アルコールの安全性は確立しています。
肝腎の血糖値を上昇させるか否かですが、エリスリトール以外の糖アルコールは、砂糖の約半分程度血糖値を上昇させます。
よく、「糖アルコールは血糖値を上昇させない」との記載がみられますが間違いです。
また、エリスリトール以外の糖アルコールは、難消化性で吸収されにくいのが特徴です。吸収されにくい分腸内に残っているので、大量に摂取すれば下痢を起こしやすいです。
エリスリトールは、糖アルコールの中で例外的に体内に9割以上吸収されますが、全く代謝されずにそのまま尿中に排泄されます。ですから厚生労働省お墨付きのゼロカロリーで、かつ全く血糖値を上昇させません。ほとんどが体内に吸収されるので、糖アルコールの中で最も下痢も起こしにくいです。
甘味料の「ラカントS」や「パルスイート」の主成分がエリスリトールです。
江部康二
2008年12月29日 (月)
こんにちは。高雄病院でも、いよいよ今日が仕事納めです。
暦通りとはいえ、明日から連続6日間の休暇は嬉しいですね。(o^。^o)
さて、インフルエンザもはやり始めてますし、胃腸風邪も結構流行ってますね。風邪ひいて食欲がない時などは、脂質やタンパク質豊富な食品はこってりして食べにくいですよね。σ(=_=;)ヾ
ほんとは、お粥やうどんが食べたいけれど、糖尿人には食後高血糖の元・・・ (*_*)
そこで、冬の風邪のシーズンに向けて、糖質制限OK食品の中で、胃腸に負担の少ないあっさり系をピックアップしてみました。
京都は、お豆腐が美味しいですから私もよく食べます。夏なら、勿論冷や奴もいいんですが、風邪ひいて寒気があるときは、何と言っても湯豆腐がお奨めですね。
そのほか、温かい食品として、茶碗蒸し、卵スープ、野菜スープ、すまし汁、味噌汁などもいいですね。いけそうだったら、おでんの大根とか、豆腐とかひろうずなどは如何でしょう。
冷たいさっぱりしたものとしては、少量の季節の旬の果物もいいです。
こうして並べてみると、水分の多い食品が中心になっています。風邪で食欲不振のとき、胃腸風邪で下痢・嘔吐などがあるときは、冬でも脱水になりやすいので、糖尿人は特に注意が必要です。上記の料理などで水分・電解質(*)補給を心掛けてくださいね。
ところで、
糖質制限ドットコムのあらてつさんは、私と違って自分で料理するし、毎日手作りのお弁当を持って出勤します。 (^_^)
そのあらてつさんが風邪をひいたときに食べたメニューが、ブログ「あらてつの糖質制限な日々」に載ってましたので、以下転載します。きっと参考になると思いますよ。
「私も先週から風邪をこじらせて、えらいことになっておりました。抗生剤で胃がやられたので食欲が無く、さりとて、何か食べないことには余計に胃がおかしくなるもんで、何食べようかいろいろ考えましたね、はい。
で、ここしばらくの主食は、白菜と豚肉の味噌汁、溶き玉子の中華風スープ、大根と鶏肉のそぼろ煮と、おおかたこの三品になっておりました。
このメニュー、一見するとなんだか食欲の無いときに食えるんか???と思われるかもですが、どうしてなかなか、弱った体と胃袋でも、すんなり受け入れてくれましたね。
まず、白菜と豚肉の味噌汁ですが、普段はこれにもっといろいろ具を入れて、ごま油をどばどば~っとたらしてはぐはぐ食べるのですが、今回は、豚肉はダシが出る程度に控えまして、白菜をいっぱい入れてくたくたになるまで煮込みました。そんでもって、ネギを入れまして熱いうちに食べます。
くたくたに煮た白菜はするっと胃袋に収まってくれますし、すごく体が温まります。ネギもなんだか風邪に良さそうな気がするので、気分的にも風邪に効きそうでしょう(笑)
これは、あらてつオススメの風邪ひいたときの糖質制限食です。
で、溶き玉子の中華風スープ、これはいたって簡単。市販の中華スープのもとに溶き玉子で簡単にできちゃいます。熱が出て動く気力も無いときに作ります。トマトを入れても美味しいですし、その方が栄養も摂れるような気がします。薄めに作れば、食欲無い時でも、ひつこい感じはしないのでいいですよ。
最後は、今回一番重宝した、大根のそぼろ煮です。味付けはあっさりと超薄味にして、こいつも、大根が崩れるくらい煮込みました。あつあつで食べると、すごく体も温まりますし、消化も良いのではないでしょうか。」
(*)電解質は体の細胞が正常に機能するために必要です。体は多量のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、塩化物、リン酸塩を必要とします。
江部康二
暦通りとはいえ、明日から連続6日間の休暇は嬉しいですね。(o^。^o)
さて、インフルエンザもはやり始めてますし、胃腸風邪も結構流行ってますね。風邪ひいて食欲がない時などは、脂質やタンパク質豊富な食品はこってりして食べにくいですよね。σ(=_=;)ヾ
ほんとは、お粥やうどんが食べたいけれど、糖尿人には食後高血糖の元・・・ (*_*)
そこで、冬の風邪のシーズンに向けて、糖質制限OK食品の中で、胃腸に負担の少ないあっさり系をピックアップしてみました。
京都は、お豆腐が美味しいですから私もよく食べます。夏なら、勿論冷や奴もいいんですが、風邪ひいて寒気があるときは、何と言っても湯豆腐がお奨めですね。
そのほか、温かい食品として、茶碗蒸し、卵スープ、野菜スープ、すまし汁、味噌汁などもいいですね。いけそうだったら、おでんの大根とか、豆腐とかひろうずなどは如何でしょう。
冷たいさっぱりしたものとしては、少量の季節の旬の果物もいいです。
こうして並べてみると、水分の多い食品が中心になっています。風邪で食欲不振のとき、胃腸風邪で下痢・嘔吐などがあるときは、冬でも脱水になりやすいので、糖尿人は特に注意が必要です。上記の料理などで水分・電解質(*)補給を心掛けてくださいね。
ところで、
糖質制限ドットコムのあらてつさんは、私と違って自分で料理するし、毎日手作りのお弁当を持って出勤します。 (^_^)
そのあらてつさんが風邪をひいたときに食べたメニューが、ブログ「あらてつの糖質制限な日々」に載ってましたので、以下転載します。きっと参考になると思いますよ。
「私も先週から風邪をこじらせて、えらいことになっておりました。抗生剤で胃がやられたので食欲が無く、さりとて、何か食べないことには余計に胃がおかしくなるもんで、何食べようかいろいろ考えましたね、はい。
で、ここしばらくの主食は、白菜と豚肉の味噌汁、溶き玉子の中華風スープ、大根と鶏肉のそぼろ煮と、おおかたこの三品になっておりました。
このメニュー、一見するとなんだか食欲の無いときに食えるんか???と思われるかもですが、どうしてなかなか、弱った体と胃袋でも、すんなり受け入れてくれましたね。
まず、白菜と豚肉の味噌汁ですが、普段はこれにもっといろいろ具を入れて、ごま油をどばどば~っとたらしてはぐはぐ食べるのですが、今回は、豚肉はダシが出る程度に控えまして、白菜をいっぱい入れてくたくたになるまで煮込みました。そんでもって、ネギを入れまして熱いうちに食べます。
くたくたに煮た白菜はするっと胃袋に収まってくれますし、すごく体が温まります。ネギもなんだか風邪に良さそうな気がするので、気分的にも風邪に効きそうでしょう(笑)
これは、あらてつオススメの風邪ひいたときの糖質制限食です。
で、溶き玉子の中華風スープ、これはいたって簡単。市販の中華スープのもとに溶き玉子で簡単にできちゃいます。熱が出て動く気力も無いときに作ります。トマトを入れても美味しいですし、その方が栄養も摂れるような気がします。薄めに作れば、食欲無い時でも、ひつこい感じはしないのでいいですよ。
最後は、今回一番重宝した、大根のそぼろ煮です。味付けはあっさりと超薄味にして、こいつも、大根が崩れるくらい煮込みました。あつあつで食べると、すごく体も温まりますし、消化も良いのではないでしょうか。」
(*)電解質は体の細胞が正常に機能するために必要です。体は多量のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、塩化物、リン酸塩を必要とします。
江部康二
2008年12月28日 (日)
【講演会・講座のお知らせ】
☆☆ 糖質制限食講演会・諏訪中央病院・長野
日時:平成21年1月21日(水)午後2時から4時
講師:江部康二
場所:諏訪中央病院 長野県茅野市玉川4300番地 TEL 0266-72-1000(代)
お問い合わせ:0266-72-1000(諏訪中央病院)
一般の人も参加OKとのことですのでブログ読者の皆さんも是非どうぞ。
☆☆ 糖質制限食講演会・東京・中野
日時:2009年2月11日(祝日)12時半開場、13時開演~16:00終了
講師:江部康二/大柳珠美(管理栄養士)
会場:なかのZERO 学習室
会費:1500円
申し込み:糖質制限食ネット・リボーン 曽我部ゆかり
(T/F)03−3388−5428
(e-mail) reborn@big.or.jp
☆☆講座「糖尿病・メタボはこう予防する!~糖質制限食のすすめ」京都
場所:朝日カルチャーセンター京都 http://www.asahi-culture.co.jp/www/kyoto-c.html
問い合わせ:075-231-9693(朝日カルチャーセンター京都)
日時:2009年2月17日(火)13:00~14:30
講師:江部康二
☆☆ 演題:『糖尿病・メタボは必ず良くなる!~糖質制限食のすすめ~』
とき : 2009年2月21日(土)午後1:30分~4:00
ところ :名古屋市女性会館 (名古屋市中区大井町7-25)
℡052-331-5288
講師 :江部康二/佐橋紀子(患者の立場から…”翼”代表)
参加費:1.000円/チケット販売・もしくは電話で申し込み
主催 :HUMAN LIFE INFO NET ”翼”
問合せ :佐橋紀子(052-501-0994)
高橋君枝(052-502-3670)
原 育世(0568-84-6946)
【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内】
お問い合わせは高雄病院 http://takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
【糖質制限食外来治療のご案内・予約制】
高雄病院 電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院京都駅前診療所 電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
<コメント・質問に関するお知らせ>
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントや質問をいただき、ありがとうございます。
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
江部康二
〔糖質制限食とは〕
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。 また糖質は摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。これらは、カロリーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
現在糖尿病において食後の急激な高血糖が大きな問題として注目されています。
食後高血糖が心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。そして食後高血糖を起こすのは三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。 従って6枚切りの食パン2枚(約310キロカロリー)食べると糖質 が約50g含まれているので、血糖値は150mgも上昇します。一 方ロースステーキを300g(約1200キロカロリー)食べても糖質含有量は1gもないので食後高血糖はほとんど生じないのです。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。簡単に言えば主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の食パンとステーキの例でも明らかなようにカロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということが、おわかりいただけたと思います。なお、糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
☆☆☆
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。*炭水化物=糖質+食物繊維
☆☆☆
糖質制限食を実践する時のご注意
本にも書きましたが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、「主食を抜けば糖尿病は良くなる」「主食を抜けば糖尿病は良くなる 実践編」「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」「 糖質制限食 春のレシピ」「 糖質制限食 夏のレシピ」「糖質制限食 秋のレシピ」「糖質制限食 冬のレシピ」を参考にして、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
江部康二
☆☆ 糖質制限食講演会・諏訪中央病院・長野
日時:平成21年1月21日(水)午後2時から4時
講師:江部康二
場所:諏訪中央病院 長野県茅野市玉川4300番地 TEL 0266-72-1000(代)
お問い合わせ:0266-72-1000(諏訪中央病院)
一般の人も参加OKとのことですのでブログ読者の皆さんも是非どうぞ。
☆☆ 糖質制限食講演会・東京・中野
日時:2009年2月11日(祝日)12時半開場、13時開演~16:00終了
講師:江部康二/大柳珠美(管理栄養士)
会場:なかのZERO 学習室
会費:1500円
申し込み:糖質制限食ネット・リボーン 曽我部ゆかり
(T/F)03−3388−5428
(e-mail) reborn@big.or.jp
☆☆講座「糖尿病・メタボはこう予防する!~糖質制限食のすすめ」京都
場所:朝日カルチャーセンター京都 http://www.asahi-culture.co.jp/www/kyoto-c.html
問い合わせ:075-231-9693(朝日カルチャーセンター京都)
日時:2009年2月17日(火)13:00~14:30
講師:江部康二
☆☆ 演題:『糖尿病・メタボは必ず良くなる!~糖質制限食のすすめ~』
とき : 2009年2月21日(土)午後1:30分~4:00
ところ :名古屋市女性会館 (名古屋市中区大井町7-25)
℡052-331-5288
講師 :江部康二/佐橋紀子(患者の立場から…”翼”代表)
参加費:1.000円/チケット販売・もしくは電話で申し込み
主催 :HUMAN LIFE INFO NET ”翼”
問合せ :佐橋紀子(052-501-0994)
高橋君枝(052-502-3670)
原 育世(0568-84-6946)
【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内】
お問い合わせは高雄病院 http://takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
【糖質制限食外来治療のご案内・予約制】
高雄病院 電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院京都駅前診療所 電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
<コメント・質問に関するお知らせ>
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントや質問をいただき、ありがとうございます。
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
江部康二
〔糖質制限食とは〕
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。 また糖質は摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。これらは、カロリーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
現在糖尿病において食後の急激な高血糖が大きな問題として注目されています。
食後高血糖が心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。そして食後高血糖を起こすのは三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。 従って6枚切りの食パン2枚(約310キロカロリー)食べると糖質 が約50g含まれているので、血糖値は150mgも上昇します。一 方ロースステーキを300g(約1200キロカロリー)食べても糖質含有量は1gもないので食後高血糖はほとんど生じないのです。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。簡単に言えば主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の食パンとステーキの例でも明らかなようにカロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということが、おわかりいただけたと思います。なお、糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
☆☆☆
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。*炭水化物=糖質+食物繊維
☆☆☆
糖質制限食を実践する時のご注意
本にも書きましたが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、「主食を抜けば糖尿病は良くなる」「主食を抜けば糖尿病は良くなる 実践編」「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」「 糖質制限食 春のレシピ」「 糖質制限食 夏のレシピ」「糖質制限食 秋のレシピ」「糖質制限食 冬のレシピ」を参考にして、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
江部康二
2008年12月26日 (金)
おはようございます。
今朝は、雪が降っている京都です。積もるほどではありませんが、初雪ですね。
さて、昨日インフルエンザワクチンのお話しをしました。今回は、インフルエンザの治療に使う、タミフルのお話しです。
インフルエンザ治療薬として、タミフル、リレンザ吸入薬、シンメトレル(アマンタジン)がありますが、昨年タミフルが一番良く使用されて、異常行動が問題となりました。
タミフルと異常行動に関して、2007年度はいろんな情報が錯綜しました。
以下は、中外製薬から2007年3月に出された緊急安全情報です。
中外製薬株式会社 医薬情報センター
2007年3月 No.06-01
<緊急安全性情報>
タミフル服用後の異常行動について
抗インフルエンザウイルス剤、タミフルカプセル75、タミフルドライシロップ3%につきましては、今年2月に入り、タミフルを服用したとみられる10代のインフルエンザ患者様が、自宅で療養中、自宅マンションから転落死するという痛ましい事例があったことから、2月28日、厚生労働省は、医療関係者に注意喚起を行ったところです。弊社におきましても、インフルエンザ治療開始後の注意事項についてご説明いただくようお願いして参りました。
しかしながら、3月20日、タミフルの服用後に10代の患者様が2階から転落して骨折したとする症例が2例報告されたことから、本剤の使用に際しましては、特に下記の点に十分注意下さいますようお願い申し上げます。
「10歳以上の未成年の患者においては、因果関係は不明であるものの、本剤の服用後に異常行動を発現し、転落等の事故に至った例が報告されている。このため、この年代の患者には、合併症、既往歴等からハイリスク患者と判断される場合を除いては、原則として本剤の使用を差し控えること。
また、小児・未成年者については、万が一の事故を防止するための予防的な対応として、本剤による治療が開始された後は、(1)異常行動の発現のおそれがあること、(2)自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮することについて患者・家族に対し説明を行うこと。
なお、インフルエンザ脳症等によっても、同様の症状が現れるとの報告があるので、上記と同様の説明を行うこと。」
この後も、
「厚生労働省の調査班の報告では、タミフル投与群と非投与群で投与群で1割異常行動が少なかった。」とか・・・、
「調査班にメーカーから研究費をもらっていた医師が入っていて信用できない。」とか・・・、
「津田敏秀・岡山大教授(臨床疫学)らによれば、調査班の統計の取り方に問題があって、実際はタミフル投与群で5割異常行動が多かった。」とか・・・、
「インフルエンザそのものにより異常行動がありうる。」とか・・・、
「リレンザにも異常行動がある。」とか・・・、
「シンメトレルにも異常行動がある。」とか・・・、
結局、いまだもってタミフルと異常行動に関して結論ははっきりしないのです。
しかし、こういう場合は疑わしき薬剤を使用する必要はないので、2007年3月、高雄病院では、19才以下の若者や小児には、タミフルは使用しないことと決めました。一方、成人には適宜使用することとしました。
タミフルは、インフルエンザ様症状が発現してから、2日以内(48時間以内)に、投与を開始します。高雄病院において、現実にインフルエンザに罹患しタミフルを内服した成人は多数おられましたが、効果はありましたし、幸い副作用も出現しませんでした。
インフルエンザワクチンもタミフルも全面肯定か全面否定ではなく、ニュートラルな立場で、その役割や限界を見極めていきたいものですね。
江部康二
今朝は、雪が降っている京都です。積もるほどではありませんが、初雪ですね。
さて、昨日インフルエンザワクチンのお話しをしました。今回は、インフルエンザの治療に使う、タミフルのお話しです。
インフルエンザ治療薬として、タミフル、リレンザ吸入薬、シンメトレル(アマンタジン)がありますが、昨年タミフルが一番良く使用されて、異常行動が問題となりました。
タミフルと異常行動に関して、2007年度はいろんな情報が錯綜しました。
以下は、中外製薬から2007年3月に出された緊急安全情報です。
中外製薬株式会社 医薬情報センター
2007年3月 No.06-01
<緊急安全性情報>
タミフル服用後の異常行動について
抗インフルエンザウイルス剤、タミフルカプセル75、タミフルドライシロップ3%につきましては、今年2月に入り、タミフルを服用したとみられる10代のインフルエンザ患者様が、自宅で療養中、自宅マンションから転落死するという痛ましい事例があったことから、2月28日、厚生労働省は、医療関係者に注意喚起を行ったところです。弊社におきましても、インフルエンザ治療開始後の注意事項についてご説明いただくようお願いして参りました。
しかしながら、3月20日、タミフルの服用後に10代の患者様が2階から転落して骨折したとする症例が2例報告されたことから、本剤の使用に際しましては、特に下記の点に十分注意下さいますようお願い申し上げます。
「10歳以上の未成年の患者においては、因果関係は不明であるものの、本剤の服用後に異常行動を発現し、転落等の事故に至った例が報告されている。このため、この年代の患者には、合併症、既往歴等からハイリスク患者と判断される場合を除いては、原則として本剤の使用を差し控えること。
また、小児・未成年者については、万が一の事故を防止するための予防的な対応として、本剤による治療が開始された後は、(1)異常行動の発現のおそれがあること、(2)自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮することについて患者・家族に対し説明を行うこと。
なお、インフルエンザ脳症等によっても、同様の症状が現れるとの報告があるので、上記と同様の説明を行うこと。」
この後も、
「厚生労働省の調査班の報告では、タミフル投与群と非投与群で投与群で1割異常行動が少なかった。」とか・・・、
「調査班にメーカーから研究費をもらっていた医師が入っていて信用できない。」とか・・・、
「津田敏秀・岡山大教授(臨床疫学)らによれば、調査班の統計の取り方に問題があって、実際はタミフル投与群で5割異常行動が多かった。」とか・・・、
「インフルエンザそのものにより異常行動がありうる。」とか・・・、
「リレンザにも異常行動がある。」とか・・・、
「シンメトレルにも異常行動がある。」とか・・・、
結局、いまだもってタミフルと異常行動に関して結論ははっきりしないのです。
しかし、こういう場合は疑わしき薬剤を使用する必要はないので、2007年3月、高雄病院では、19才以下の若者や小児には、タミフルは使用しないことと決めました。一方、成人には適宜使用することとしました。
タミフルは、インフルエンザ様症状が発現してから、2日以内(48時間以内)に、投与を開始します。高雄病院において、現実にインフルエンザに罹患しタミフルを内服した成人は多数おられましたが、効果はありましたし、幸い副作用も出現しませんでした。
インフルエンザワクチンもタミフルも全面肯定か全面否定ではなく、ニュートラルな立場で、その役割や限界を見極めていきたいものですね。
江部康二
2008年12月25日 (木)
こんばんは。
新聞によりますと、インフルエンザが、ぼちぼち流行ってきました。高雄病院でも江部診療所でも、一人ずつA型インフルエンザの患者さんが来られました。
以前からわかっていたことですが、実は現行のインフルエンザワクチンには、水際で感染をシャットアウトするような効果はありません。確認できているのは、感染した後、重症化を防ぐ効果は認められるということです。
理論的に考えても、ワクチンによりIgG抗体が血液・体液中に産生されますが、粘膜面を防御しているIgA抗体はできません。
従って、インフルエンザウィルスが、粘膜を突破して細胞内に侵入した後(感染が成立した後)、
はじめてIgG抗体が駆けつけるわけですね。
実際、先ほど国立感染研究所のホームページをみたら、感染防御はできないと明記してありました。
ところが、相変わらず多くの医師が、感染防御できると誤解しておられるのです。
私は、過去十年間以上、友人の医師などに、感染防御はできないと口を酸っぱくして言い続けてきたのですが、皆なかなか信じてもらえませんでしたね。どこかで誤った情報が流され続けていたのでしょうね。 (*_*)
ここ1.2年、新聞などでもやっと、「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」という真実が報道されるようになりました。逆に言えば、過去10年以上、あたかも感染防御できるような内容の報道に終始していたわけで、そのことに関して自己批判もなくてなんだか興ざめです。(*- -)(*_ _)
インフルエンザワクチン注射を希望する患者さんがこられたら、私はこのことを説明して
「手洗いやうがい、人混みを避けるなど、基本的なことが感染防御には大事なので、ワクチンを接種したからといって油断しないでくださいね。」と付け加えます。
別に私は、ワクチンが無意味といっているのではありませんよ。
65歳以上の高齢者、呼吸器系や循環器系に慢性疾患を持つ患者、糖尿病、腎臓病などの慢性疾患の患者、免疫低下状態の患者などでは、インフルエンザに罹患し重症化すれば、肺炎などの重篤な合併症になり、生命に危険が及ぶこともありますから必要だと思います。若い人でも、受験生などは重症化したら困りますから、接種する意味はありますね。
インフルエンザワクチンに、賛成の人も反対の人もあると思います。ブログ読者の皆さんには、インフルエンザワクチンの真実を知ってもらいたくて今回記事にいたしました。
江部康二
新聞によりますと、インフルエンザが、ぼちぼち流行ってきました。高雄病院でも江部診療所でも、一人ずつA型インフルエンザの患者さんが来られました。
以前からわかっていたことですが、実は現行のインフルエンザワクチンには、水際で感染をシャットアウトするような効果はありません。確認できているのは、感染した後、重症化を防ぐ効果は認められるということです。
理論的に考えても、ワクチンによりIgG抗体が血液・体液中に産生されますが、粘膜面を防御しているIgA抗体はできません。
従って、インフルエンザウィルスが、粘膜を突破して細胞内に侵入した後(感染が成立した後)、
はじめてIgG抗体が駆けつけるわけですね。
実際、先ほど国立感染研究所のホームページをみたら、感染防御はできないと明記してありました。
ところが、相変わらず多くの医師が、感染防御できると誤解しておられるのです。
私は、過去十年間以上、友人の医師などに、感染防御はできないと口を酸っぱくして言い続けてきたのですが、皆なかなか信じてもらえませんでしたね。どこかで誤った情報が流され続けていたのでしょうね。 (*_*)
ここ1.2年、新聞などでもやっと、「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」という真実が報道されるようになりました。逆に言えば、過去10年以上、あたかも感染防御できるような内容の報道に終始していたわけで、そのことに関して自己批判もなくてなんだか興ざめです。(*- -)(*_ _)
インフルエンザワクチン注射を希望する患者さんがこられたら、私はこのことを説明して
「手洗いやうがい、人混みを避けるなど、基本的なことが感染防御には大事なので、ワクチンを接種したからといって油断しないでくださいね。」と付け加えます。
別に私は、ワクチンが無意味といっているのではありませんよ。
65歳以上の高齢者、呼吸器系や循環器系に慢性疾患を持つ患者、糖尿病、腎臓病などの慢性疾患の患者、免疫低下状態の患者などでは、インフルエンザに罹患し重症化すれば、肺炎などの重篤な合併症になり、生命に危険が及ぶこともありますから必要だと思います。若い人でも、受験生などは重症化したら困りますから、接種する意味はありますね。
インフルエンザワクチンに、賛成の人も反対の人もあると思います。ブログ読者の皆さんには、インフルエンザワクチンの真実を知ってもらいたくて今回記事にいたしました。
江部康二
2008年12月24日 (水)
おはようございます。今朝は、昨日よりさらにちょっぴり寒いです。寒さで身体がこわばる感じで、ぎっくり腰要注意の季節到来ですね。
ちなみに私は、腰痛のプロ(治す方ではなくて、なるほうの)です。(=_=;)
さて今回はアメリさんから精製炭水化物についてコメント・質問をいただきました。
『アメリ
「ありがとうございます」
江部先生
ご回答いただきありがとうございます。これで堂々と赤ワインを楽しむことができます!(100cc程度、週に2~3度ということにしておきます。)
>精製炭水化物を毎日のように摂取する食生活は、血糖値が上昇しなくてもインスリン追加分泌が大量(基礎分泌の10倍レベル)に必要なので膵臓には負担になると思います。
"精製"されたものはそんなによくないのですか?
砂糖と玄米ごはんで同量の糖質を摂取するのでは、膵臓にかかる負担が違ってくるのでしょうか?
精製されたものが血糖値を一気に上げるから、より負担になるということでしたら、脂質と一緒に摂ればいいようにも思ってしまうのですが…。実はアイスクリームが大好物で、乳脂肪が多いせいか血糖値があまり上がらないのをいいことに、時々100gほど食べてしまいます。やはりNo Sugar Added(砂糖不使用)タイプにすべきですよね?
2008/12/23(火) 』
アメリさん。コメントありがとうございます。
精製された炭水化物は、血糖値を急峻に上昇させる唯一の食材で、代謝を乱す元凶です。
まずは、血糖値の上昇について考えてみましょう。
正常人においては、GI(血糖上昇指数)がかなりの意味を持っています。例えば、ブドウ糖や白いパンが血糖値を上昇させる指数を100とすれば、玄米や十割蕎麦は、半分の50くらいで、大豆は15くらいです。
GI( グリセミック・インデックス)とは、血糖上昇反応度のことです。50gの糖質を含む食品を摂取した後の血糖値の上昇を基準となる食品(ブドウ糖50g)を摂取した後の血糖値の上昇と比較し、パーセントで表した数字です。同じ量の糖質でも血糖を上げやすい食品と上げにくい食品があるわけです。精製された炭水化物は全て、高GI食品です。
血糖値が上昇すれば、インスリンが分泌されて、筋肉細胞や脂肪細胞にブドウ糖を取り込ませますが、余ったブドウ糖は、中性脂肪となり蓄えられます。このためインスリンは、肥満ホルモンと呼ばれます。
急峻に血糖値が上昇すれば、追加分泌のインスリンも大量にでます。従ってGIの高い精製炭水化物を摂らないことは、将来の生活習慣病の予防になります。
ちなみに、空腹時血糖値が100mg/dlの正常人がいると仮定して、個人差はありますが、炊いた白米を一人前150g食べたら、食後60分血糖値は140~170mg程度に上昇しますが、炊いた玄米150gでしたら、60分後のピークも140mgまでですみます。ステーキ200gを食べても血糖値は110mgを超えることはありません。
しかし糖尿人においては、白米を食べたあとの血糖値のピークが280mg、玄米なら260mg、といった程度の差で、所詮は200mgを超えてきます。
従って糖尿人においては、GIの意味はほとんどないと考えた方がいいのです。糖尿人では、「1gの糖質が、2型で3mg、1型で5mg血糖値を上昇させる」という公式を覚えておくことのほうが有用です。
さて次の問題ですね。
確かに脂質と糖質を一緒に摂取すると、血糖値の上昇はやや緩やかになりますが、インスリンが分泌されるので、中性脂肪値が非常に上昇しやすくなります。
中性脂肪値が高値だと動脈硬化のリスクとなりますので、このやり方はお勧めできませんね。 (*_*)
血糖値を上昇させない甘味料のアイスクリームなら大丈夫です。
江部康二
ちなみに私は、腰痛のプロ(治す方ではなくて、なるほうの)です。(=_=;)
さて今回はアメリさんから精製炭水化物についてコメント・質問をいただきました。
『アメリ
「ありがとうございます」
江部先生
ご回答いただきありがとうございます。これで堂々と赤ワインを楽しむことができます!(100cc程度、週に2~3度ということにしておきます。)
>精製炭水化物を毎日のように摂取する食生活は、血糖値が上昇しなくてもインスリン追加分泌が大量(基礎分泌の10倍レベル)に必要なので膵臓には負担になると思います。
"精製"されたものはそんなによくないのですか?
砂糖と玄米ごはんで同量の糖質を摂取するのでは、膵臓にかかる負担が違ってくるのでしょうか?
精製されたものが血糖値を一気に上げるから、より負担になるということでしたら、脂質と一緒に摂ればいいようにも思ってしまうのですが…。実はアイスクリームが大好物で、乳脂肪が多いせいか血糖値があまり上がらないのをいいことに、時々100gほど食べてしまいます。やはりNo Sugar Added(砂糖不使用)タイプにすべきですよね?
2008/12/23(火) 』
アメリさん。コメントありがとうございます。
精製された炭水化物は、血糖値を急峻に上昇させる唯一の食材で、代謝を乱す元凶です。
まずは、血糖値の上昇について考えてみましょう。
正常人においては、GI(血糖上昇指数)がかなりの意味を持っています。例えば、ブドウ糖や白いパンが血糖値を上昇させる指数を100とすれば、玄米や十割蕎麦は、半分の50くらいで、大豆は15くらいです。
GI( グリセミック・インデックス)とは、血糖上昇反応度のことです。50gの糖質を含む食品を摂取した後の血糖値の上昇を基準となる食品(ブドウ糖50g)を摂取した後の血糖値の上昇と比較し、パーセントで表した数字です。同じ量の糖質でも血糖を上げやすい食品と上げにくい食品があるわけです。精製された炭水化物は全て、高GI食品です。
血糖値が上昇すれば、インスリンが分泌されて、筋肉細胞や脂肪細胞にブドウ糖を取り込ませますが、余ったブドウ糖は、中性脂肪となり蓄えられます。このためインスリンは、肥満ホルモンと呼ばれます。
急峻に血糖値が上昇すれば、追加分泌のインスリンも大量にでます。従ってGIの高い精製炭水化物を摂らないことは、将来の生活習慣病の予防になります。
ちなみに、空腹時血糖値が100mg/dlの正常人がいると仮定して、個人差はありますが、炊いた白米を一人前150g食べたら、食後60分血糖値は140~170mg程度に上昇しますが、炊いた玄米150gでしたら、60分後のピークも140mgまでですみます。ステーキ200gを食べても血糖値は110mgを超えることはありません。
しかし糖尿人においては、白米を食べたあとの血糖値のピークが280mg、玄米なら260mg、といった程度の差で、所詮は200mgを超えてきます。
従って糖尿人においては、GIの意味はほとんどないと考えた方がいいのです。糖尿人では、「1gの糖質が、2型で3mg、1型で5mg血糖値を上昇させる」という公式を覚えておくことのほうが有用です。
さて次の問題ですね。
確かに脂質と糖質を一緒に摂取すると、血糖値の上昇はやや緩やかになりますが、インスリンが分泌されるので、中性脂肪値が非常に上昇しやすくなります。
中性脂肪値が高値だと動脈硬化のリスクとなりますので、このやり方はお勧めできませんね。 (*_*)
血糖値を上昇させない甘味料のアイスクリームなら大丈夫です。
江部康二
2008年12月23日 (火)
おはようございます。今朝はちょっぴり寒いです。
家の中で11度、外気で3度でした。我が家は暖房が効きにくく、家の中でコートを着ることもあるのです。 (*_*)
さて今回は、かずよさんから、HbA1cと食後高血糖(IGT)について、コメント・質問をいただきました。
『HbA1cについて
先日コメントした、かずよです。
金曜の結果で2型糖尿病と診断され、「甘いお菓子類を止めて、一ヶ月後に、食後1時間の血糖値をはかりましょう。」とだけ言われました。
その時に、HbA1cの数値をたずねたところ、異常がなかったので詳しく調べていないとの返答。最初の検査報告書を見てもそのような項目はありませんでした。糖尿病と診断されても、HbAIcに異常がないというのはどういうことですか。まだまだ糖尿病について分からないことばかりで、的外れな質問だったらすみません。
そして、もうひとつ質問なのですが、食べ過ぎたりすると、すぐにむくみが現われます。食後高血糖の糖尿病の状態で腎臓に影響が出てる可能性もあるのでしょうか。糖質制限食を頑張って続けるためにも、 一度、先生に診ていただきたいのですが、仕事のスケジュールと診察日の関係で3月一杯は無理ということが、今日わかり、ちょっとショック!です。
ちなみに、身長158cm、体重は51キロです。内臓脂肪、皮下脂肪ともに少ないと言われました。
2008/12/20(土)』
かずよさん。コメントありがとうございます。
①空腹時血糖値が126mg/dl、
②随時血糖値が200mg/dl、
③75g経口ブドウ糖負荷試験で2時間値が200mg/dl
以上が糖尿病型です。
糖尿病型が異なる日に2回以上確認できたら糖尿病と診断します。
従って、HbA1cが5.8%ていどで基準値(4.3~5.8)内でも、糖尿病のことはありえます。
HbA1cは糖尿病が診断された後のコントロールの指標と考えた方がいいでしょう。
HbA1cは過去1~2ヶ月の平均血糖値を示します。
糖尿病の診断については、2008/12/15(月)のブログ「 糖尿病早期発見のために 続き」もご参照くださいね。
次に食後高血糖(IGT:Impaired Glucose Tolerance)**について考えてみましょう。
糖尿病の人における最大の問題は血管の障害です。
糖尿病の合併症というと、これまで細小血管障害がベースの糖尿病腎症や網膜症、神経障害などが注目されてきました。
しかし最近は、大血管障害、つまり心筋梗塞や狭心症、脳卒中などにも、糖尿病による食後の高血糖が大きく関与することがわかってきました。
このように糖尿病になると、大血管症障害が非常に早く進行し、それが健康寿命を短くしています。しかも大血管障害は、食後高血糖(糖尿病予備群)の段階から始まっているので、注意が必要なのです。
75g経口ブドウ糖負荷試験で、2時間後血糖値が140~199mg/dlの段階は、まだ糖尿病ではないので、糖尿病予備軍と分類されていますが、実はこの段階からすでに大血管障害が発症し始めていることが、世界各地の疫学的研究で明らかになってきました。
簡易に調べるなら、糖質摂取後2時間血糖値を測定して、140mg/dl以下なら大丈夫で、140mg~199mg/dlなら食後高血糖(糖尿病予備群)、200mg/dl以上なら糖尿病です。
従いまして、食後高血糖(IGT)は、細小血管障害がベースの糖尿病腎症などのリスクとしては少ないですが、大血管障害がベースの心筋梗塞や脳梗塞のリスクになります。
食後高血糖(糖尿病予備軍)の段階から糖質制限食でコントロールしていけば、大血管合併症も将来の糖尿病発症も予防できますよ。 (^_^)
**
食後高血糖(IGT:Impaired Glucose Tolerance):
75g経口ブドウ糖負荷試験で、負荷後2時間血糖値140mgl~199mg/dlの人をいう。
江部康二
家の中で11度、外気で3度でした。我が家は暖房が効きにくく、家の中でコートを着ることもあるのです。 (*_*)
さて今回は、かずよさんから、HbA1cと食後高血糖(IGT)について、コメント・質問をいただきました。
『HbA1cについて
先日コメントした、かずよです。
金曜の結果で2型糖尿病と診断され、「甘いお菓子類を止めて、一ヶ月後に、食後1時間の血糖値をはかりましょう。」とだけ言われました。
その時に、HbA1cの数値をたずねたところ、異常がなかったので詳しく調べていないとの返答。最初の検査報告書を見てもそのような項目はありませんでした。糖尿病と診断されても、HbAIcに異常がないというのはどういうことですか。まだまだ糖尿病について分からないことばかりで、的外れな質問だったらすみません。
そして、もうひとつ質問なのですが、食べ過ぎたりすると、すぐにむくみが現われます。食後高血糖の糖尿病の状態で腎臓に影響が出てる可能性もあるのでしょうか。糖質制限食を頑張って続けるためにも、 一度、先生に診ていただきたいのですが、仕事のスケジュールと診察日の関係で3月一杯は無理ということが、今日わかり、ちょっとショック!です。
ちなみに、身長158cm、体重は51キロです。内臓脂肪、皮下脂肪ともに少ないと言われました。
2008/12/20(土)』
かずよさん。コメントありがとうございます。
①空腹時血糖値が126mg/dl、
②随時血糖値が200mg/dl、
③75g経口ブドウ糖負荷試験で2時間値が200mg/dl
以上が糖尿病型です。
糖尿病型が異なる日に2回以上確認できたら糖尿病と診断します。
従って、HbA1cが5.8%ていどで基準値(4.3~5.8)内でも、糖尿病のことはありえます。
HbA1cは糖尿病が診断された後のコントロールの指標と考えた方がいいでしょう。
HbA1cは過去1~2ヶ月の平均血糖値を示します。
糖尿病の診断については、2008/12/15(月)のブログ「 糖尿病早期発見のために 続き」もご参照くださいね。
次に食後高血糖(IGT:Impaired Glucose Tolerance)**について考えてみましょう。
糖尿病の人における最大の問題は血管の障害です。
糖尿病の合併症というと、これまで細小血管障害がベースの糖尿病腎症や網膜症、神経障害などが注目されてきました。
しかし最近は、大血管障害、つまり心筋梗塞や狭心症、脳卒中などにも、糖尿病による食後の高血糖が大きく関与することがわかってきました。
このように糖尿病になると、大血管症障害が非常に早く進行し、それが健康寿命を短くしています。しかも大血管障害は、食後高血糖(糖尿病予備群)の段階から始まっているので、注意が必要なのです。
75g経口ブドウ糖負荷試験で、2時間後血糖値が140~199mg/dlの段階は、まだ糖尿病ではないので、糖尿病予備軍と分類されていますが、実はこの段階からすでに大血管障害が発症し始めていることが、世界各地の疫学的研究で明らかになってきました。
簡易に調べるなら、糖質摂取後2時間血糖値を測定して、140mg/dl以下なら大丈夫で、140mg~199mg/dlなら食後高血糖(糖尿病予備群)、200mg/dl以上なら糖尿病です。
従いまして、食後高血糖(IGT)は、細小血管障害がベースの糖尿病腎症などのリスクとしては少ないですが、大血管障害がベースの心筋梗塞や脳梗塞のリスクになります。
食後高血糖(糖尿病予備軍)の段階から糖質制限食でコントロールしていけば、大血管合併症も将来の糖尿病発症も予防できますよ。 (^_^)
**
食後高血糖(IGT:Impaired Glucose Tolerance):
75g経口ブドウ糖負荷試験で、負荷後2時間血糖値140mgl~199mg/dlの人をいう。
江部康二
2008年12月22日 (月)
「血糖値が下がっても、糖質を摂取すること自体が膵臓への負担増となるのでしょうか?」
高血糖が膵臓のβ細胞にダメージを与え、また酸化ストレスを生じて血管壁の細胞などを障害します。
従って糖質を摂取しても食後高血糖が生じないならば、膵臓にも血管壁にも障害はないと考えられます。
ということで、アメリさんの場合は、夕食時の50ccから100ccの赤ワイン、おおいに活用されて問題ないと思います。
***
先ほど、上記のごとく記事を書きましたが、たまに赤ワイン100ccと糖質少々なら、膵臓の負担は少ないので問題ないと思います。
しかし、精製炭水化物を毎日のように摂取する食生活は、血糖値が上昇しなくても、インスリン追加分泌が大量(基礎分泌の10倍レベル)に必要なので、膵臓には負担になると思います。
たとえば、正常人が糖質の含まれた食事をすれば、その都度インスリンが大量に追加分泌されます。
そうすると、1日に最低3回、間食をすれば5回以上インスリンが大量に分泌されるわけです。このようなインスリンの大量追加分泌が、40年、50年と続けば、遂には膵臓が疲弊して分泌能力が低下してしまい、糖尿病を発症ということになりますね。
江部康二
高血糖が膵臓のβ細胞にダメージを与え、また酸化ストレスを生じて血管壁の細胞などを障害します。
従って糖質を摂取しても食後高血糖が生じないならば、膵臓にも血管壁にも障害はないと考えられます。
ということで、アメリさんの場合は、夕食時の50ccから100ccの赤ワイン、おおいに活用されて問題ないと思います。
***
先ほど、上記のごとく記事を書きましたが、たまに赤ワイン100ccと糖質少々なら、膵臓の負担は少ないので問題ないと思います。
しかし、精製炭水化物を毎日のように摂取する食生活は、血糖値が上昇しなくても、インスリン追加分泌が大量(基礎分泌の10倍レベル)に必要なので、膵臓には負担になると思います。
たとえば、正常人が糖質の含まれた食事をすれば、その都度インスリンが大量に追加分泌されます。
そうすると、1日に最低3回、間食をすれば5回以上インスリンが大量に分泌されるわけです。このようなインスリンの大量追加分泌が、40年、50年と続けば、遂には膵臓が疲弊して分泌能力が低下してしまい、糖尿病を発症ということになりますね。
江部康二
2008年12月22日 (月)
こんにちは。
月曜日の午前中は、京都駅前診療所で外来診察です。先ほど、高雄病院に到着してパソコンに向かってます。
さて今回は、アメリさんからアルコールで血糖値を下げるのは膵臓に負担?とのコメント・質問をいただきました。
『08/12/18 アメリ
血糖値を下げる目的でアルコールを摂取することは膵臓に負担をかけますか?
江部先生、
お世話になっております。
IGT(Impaired Glucose Tolerance):耐糖能異常と診断されたアメリです。何とか糖尿病へ進むことを避けようと、基本的にお昼だけ糖質を摂る生活を数か月続けています。
アルコールは血糖値を下げるそうですが、私の場合かなり効果があるようです。
夕食に糖質を摂る際に赤ワイン(50cc~100ccくらい)を飲むと、推定カーボ量70g~80gで血糖値100を下回ることもあります。アルコールなし、脂肪分をあまり含まない食事の場合、カーボは100gほどで、血糖値200以上のこともありました。
糖尿病の場合、アルコールは摂取しないのが基本とのことですが、『血糖値を下げる目的』で赤ワインなどを少量飲むことは、やはり避けるべきでしょうか?血糖値が下がっても、糖質を摂取すること自体が膵臓への負担増となるのでしょうか?』
アメリさん。コメントありがとうございます。
米国糖尿病協会ではコントロール良好の糖尿人においては、アルコール24g(30ml)/日を食事と共にとるていどなら適量としています。
ビール350ml缶を2本、
ワイン150ml×2杯、
ウイスキー45ml×2杯
に相当します。
アルコールは飲み過ぎたらは発ガン性はありますし、当然肝臓や膵臓などにも良くないですが、上記の量までならまあ大丈夫なのでしょう。
夕食に糖質を摂る際に赤ワインを飲めば血糖値が上昇しないということですが、50cc~100ccなら量的には余裕で大丈夫ですね。(⌒o⌒)v
アルコーールによる血糖値低下は、個人差があると思いますが、アメリさんの場合は少量でとても効率良く下げてくれるようでラッキーと言えます。
「血糖値を下げる目的で赤ワインなどを少量飲むことは、やはり避けるべきでしょうか?」
少量から適量のアルコールは、リラックス効果もあり体にも良いと考えられますので、その結果血糖値が下がるとしたら、とても好ましいことです。 (^_^)
「血糖値が下がっても、糖質を摂取すること自体が膵臓への負担増となるのでしょうか?」
高血糖が膵臓のβ細胞にダメージを与え、また酸化ストレスを生じて血管壁の細胞などを障害します。従って、糖質を摂取しても食後高血糖が生じないならば、膵臓にも血管壁にも障害はないと考えられます。
ということで、アメリさんの場合は、夕食時の50ccから100ccの赤ワイン、おおいに活用されても問題ないと思います。
一方、適量のアルコールというのは、結構難しい問題をはらんでまして、かく言う私も、米国糖尿病協会の基準を大幅に超えてます。(=_=;)
私の場合、夕食に糖質ゼロ発泡酒350ml×2本から始めます。この時点で「お前は既に・・・」の世界ですね。(;_:)
中間で赤ワインを、150ml×2~3杯。ここらで終わることもありますが、佳境にいれば仕上げに
焼酎のお湯割りを2~3杯~・・・といったパターンです。(;ー;)
世界ガン研究基金の2007年の報告では、アルコールの摂取は7つのガン(大腸ガン、閉経後の女性の乳ガン、食道ガン、胃ガン、肺ガン、すい臓ガン、前立腺ガン)のリスクを高めるので、飲酒を控えるように勧めています。
重々承知の上ですが・・・。。。
まあ、私は自己責任で・・・ハイ、・・・美味しく楽しく適宜飲んでおります。(-_-;)
忘年会シーズン真っ最中です。糖尿人のご同輩、エチルアルコールに血糖値を下げる作用があるのは間違いありませんが、飲み過ぎにならないようご自愛くださいね。
江部康二
月曜日の午前中は、京都駅前診療所で外来診察です。先ほど、高雄病院に到着してパソコンに向かってます。
さて今回は、アメリさんからアルコールで血糖値を下げるのは膵臓に負担?とのコメント・質問をいただきました。
『08/12/18 アメリ
血糖値を下げる目的でアルコールを摂取することは膵臓に負担をかけますか?
江部先生、
お世話になっております。
IGT(Impaired Glucose Tolerance):耐糖能異常と診断されたアメリです。何とか糖尿病へ進むことを避けようと、基本的にお昼だけ糖質を摂る生活を数か月続けています。
アルコールは血糖値を下げるそうですが、私の場合かなり効果があるようです。
夕食に糖質を摂る際に赤ワイン(50cc~100ccくらい)を飲むと、推定カーボ量70g~80gで血糖値100を下回ることもあります。アルコールなし、脂肪分をあまり含まない食事の場合、カーボは100gほどで、血糖値200以上のこともありました。
糖尿病の場合、アルコールは摂取しないのが基本とのことですが、『血糖値を下げる目的』で赤ワインなどを少量飲むことは、やはり避けるべきでしょうか?血糖値が下がっても、糖質を摂取すること自体が膵臓への負担増となるのでしょうか?』
アメリさん。コメントありがとうございます。
米国糖尿病協会ではコントロール良好の糖尿人においては、アルコール24g(30ml)/日を食事と共にとるていどなら適量としています。
ビール350ml缶を2本、
ワイン150ml×2杯、
ウイスキー45ml×2杯
に相当します。
アルコールは飲み過ぎたらは発ガン性はありますし、当然肝臓や膵臓などにも良くないですが、上記の量までならまあ大丈夫なのでしょう。
夕食に糖質を摂る際に赤ワインを飲めば血糖値が上昇しないということですが、50cc~100ccなら量的には余裕で大丈夫ですね。(⌒o⌒)v
アルコーールによる血糖値低下は、個人差があると思いますが、アメリさんの場合は少量でとても効率良く下げてくれるようでラッキーと言えます。
「血糖値を下げる目的で赤ワインなどを少量飲むことは、やはり避けるべきでしょうか?」
少量から適量のアルコールは、リラックス効果もあり体にも良いと考えられますので、その結果血糖値が下がるとしたら、とても好ましいことです。 (^_^)
「血糖値が下がっても、糖質を摂取すること自体が膵臓への負担増となるのでしょうか?」
高血糖が膵臓のβ細胞にダメージを与え、また酸化ストレスを生じて血管壁の細胞などを障害します。従って、糖質を摂取しても食後高血糖が生じないならば、膵臓にも血管壁にも障害はないと考えられます。
ということで、アメリさんの場合は、夕食時の50ccから100ccの赤ワイン、おおいに活用されても問題ないと思います。
一方、適量のアルコールというのは、結構難しい問題をはらんでまして、かく言う私も、米国糖尿病協会の基準を大幅に超えてます。(=_=;)
私の場合、夕食に糖質ゼロ発泡酒350ml×2本から始めます。この時点で「お前は既に・・・」の世界ですね。(;_:)
中間で赤ワインを、150ml×2~3杯。ここらで終わることもありますが、佳境にいれば仕上げに
焼酎のお湯割りを2~3杯~・・・といったパターンです。(;ー;)
世界ガン研究基金の2007年の報告では、アルコールの摂取は7つのガン(大腸ガン、閉経後の女性の乳ガン、食道ガン、胃ガン、肺ガン、すい臓ガン、前立腺ガン)のリスクを高めるので、飲酒を控えるように勧めています。
重々承知の上ですが・・・。。。
まあ、私は自己責任で・・・ハイ、・・・美味しく楽しく適宜飲んでおります。(-_-;)
忘年会シーズン真っ最中です。糖尿人のご同輩、エチルアルコールに血糖値を下げる作用があるのは間違いありませんが、飲み過ぎにならないようご自愛くださいね。
江部康二
2008年12月21日 (日)
「糖質制限食 冬のレシピ」刊行のお知らせです。
ブログ読者の皆さん、もうご存じの方も多いと思いますが、2008年11月に『糖質制限食 冬のレシピ』(東洋経済新報社)を刊行いたしました。
2005年に『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』を出版して以後、『糖尿病が良くなるごちそうレシピ』『 糖質制限食 春のレシピ』『糖質制限食 夏のレシピ』『主食を抜けば糖尿病は良くなる 実践編』『糖質制限食 秋のレシピ』と上梓してきましたが、今回の『冬のレシピ』でシリーズが一段落しました。
おかげさまで、総計ではありますが15万部を突破し、大手書店では糖質制限食コーナーを設置しているところもでてきました。『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』は重版を重ね第13刷りとなっております。
毎回新しい話題を提供するようにしてきましたが、冬のレシピでは「果物と果糖」「米国糖尿病食事療法の変遷」について検討してあります。
おかげさまで「ドクター江部の糖尿病徒然日記」も1日に3000件~4000件を超すアクセスがあり、日本において、徐々に糖質制限食が認知され広がっているのを実感しています。本、ブログ共に応援よろしくお願い申し上げます。
江部康二
<コメント・質問に関するお知らせ>
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントや質問をいただき、ありがとうございます。
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。
質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
江部康二
【講演会・講座のお知らせ】
☆☆ 糖質制限食講演会・諏訪中央病院・長野
日時:平成21年1月21日(水)午後2時から4時
場所:諏訪中央病院 長野県茅野市玉川4300番地 TEL 0266-72-1000(代)
一般の人も参加OKとのことですのでブログ読者の皆さんも是非どうぞ。
☆☆講座「糖尿病・メタボはこう予防する!~糖質制限食のすすめ」京都
朝日カルチャーセンター京都 http://www.asahi-culture.co.jp/www/kyoto-c.html
075-231-9693
2009年2月17日(火)13:00~14:30
【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内】
お問い合わせは高雄病院 http://takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
【糖質制限食外来治療のご案内・予約制】
高雄病院 電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院京都駅前診療所 電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
再掲
<糖質制限食>VS<糖質たっぷりカロリー制限食>
糖質が血糖値を上昇させインスリンを追加分泌させる
本ブログは糖尿人に
糖質制限食(糖質12%、脂質56%、タンパク質32%)を推進する立場ですが、
世の中は相変わらず、
糖質たっぷりのカロリー制限食(糖質60%、脂質20%、タンパク質20%)を
推奨する病院が圧倒的に多いです。
いろんな意見があり、論争することは医学の発展において健全なことと思います。しかし、論争の前に人体の生理・代謝などの基本的なところを理解することも重要です。
今回は<糖質・脂質・タンパク質の摂取>と<血糖値上昇・インスリン分泌>に関して人体の生理・代謝における事実を説明します。
しつこいようですが、以下に述べることは、論争の余地のない事実ですので<糖質たっぷりのカロリー制限食推奨派>の方々にも是非、ご理解いただきたいと思います。
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。
糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。
これらはカロリーとは無関係な、三大栄養素の生理学的特質です。
インスリンには24時間、少量常に分泌されている基礎分泌と、血糖値が上昇したときに大量に出る追加分泌があります。
糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を急峻に上昇させます。従って、糖質を摂取した時には、インスリンが追加分泌されます。
しかし、脂質やタンパク質は、血糖値をほとんど上昇させないので、インスリンの追加分泌は、ほとんどありません。
つまり、人(糖尿人も正常人も)において、インスリンの追加分泌が多量に必要となるのは、糖質を摂取した時だけです。
これらは、すべて論争の余地のない、生理学的事実です。
以下は、2型糖尿病Aさんのデータです。通常食は糖質ありです。
通常食 350kcal、糖質60%で約52.5g、脂質20%、タンパク質20%
糖質制限食 350kcal、糖質10%で約8.75g、脂質60%、タンパク質30%
通常食と糖質制限食は、いずれも350kcalで、勿論、同一人のデータです。
糖質制限食だと血糖値の上昇は極めて少なく、インスリンの追加分泌もごく少量ですね。
食前 30分後 60分後 90分後 120分後
通常食血糖値 121 206 304 250 198
通常食IRI 2.2 6.2 19.1 23.1 21.6
糖質制限食血糖値 124 140 142 129 135
糖質制限食IRI 3.5 4.6 6.7 6.9 5.2
同様に2型糖尿人Bさんのデータです。2年前初診時糖尿病でしたが現在正常人です。
食前 30分後 60分後 90分後 120分後
通常食血糖値 108 148 189 142 126
通常食IRI 3.8 35.2 58.5 55.1 24.9
糖質制限食血糖値 113 115 116 108 107
糖質制限食IRI 4.1 10.1 11.7 10.6 13.5
Bさんの場合、2年間の糖質制限食で、糖質を負荷しても血糖値は正常パターンに回復しています。
このとき基礎分泌3.8→追加分泌ピーク58.8まで多量のインスリンがでています。実に基礎分泌の15倍強のインスリンが追加分泌されています。ヾ(゜▽゜)
糖質制限食でも、約8.75gほど野菜分の糖質が含まれているので、一応基礎分泌の2~3倍のインスリン追加分泌がありますが、通常食に比べれば微々たるものですね。
正常人が通常の食事をすれば、おおむねBさんのデータのようなインスリンの大量追加分泌が、一日に最低3回、間食をすれば5回以上起こっているわけです。
このようなインスリンの大量追加分泌が、40年、50年と続けば、遂には膵臓が疲弊して分泌能力が低下してしまい、糖尿病を発症するのは想像に難くないですね。
結論です。
カロリーをいくら制限しても、糖質を摂取してしまえば、食後高血糖と多量のインスリン追加分泌を生じます。糖質制限食なら食後高血糖は生じず、インスリン追加分泌もごく少量ですみます。
ブログ読者の皆さん、もうご存じの方も多いと思いますが、2008年11月に『糖質制限食 冬のレシピ』(東洋経済新報社)を刊行いたしました。
2005年に『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』を出版して以後、『糖尿病が良くなるごちそうレシピ』『 糖質制限食 春のレシピ』『糖質制限食 夏のレシピ』『主食を抜けば糖尿病は良くなる 実践編』『糖質制限食 秋のレシピ』と上梓してきましたが、今回の『冬のレシピ』でシリーズが一段落しました。
おかげさまで、総計ではありますが15万部を突破し、大手書店では糖質制限食コーナーを設置しているところもでてきました。『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』は重版を重ね第13刷りとなっております。
毎回新しい話題を提供するようにしてきましたが、冬のレシピでは「果物と果糖」「米国糖尿病食事療法の変遷」について検討してあります。
おかげさまで「ドクター江部の糖尿病徒然日記」も1日に3000件~4000件を超すアクセスがあり、日本において、徐々に糖質制限食が認知され広がっているのを実感しています。本、ブログ共に応援よろしくお願い申し上げます。
江部康二
<コメント・質問に関するお知らせ>
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントや質問をいただき、ありがとうございます。
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。
質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
江部康二
【講演会・講座のお知らせ】
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日時:平成21年1月21日(水)午後2時から4時
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一般の人も参加OKとのことですのでブログ読者の皆さんも是非どうぞ。
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朝日カルチャーセンター京都 http://www.asahi-culture.co.jp/www/kyoto-c.html
075-231-9693
2009年2月17日(火)13:00~14:30
【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内】
お問い合わせは高雄病院 http://takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
【糖質制限食外来治療のご案内・予約制】
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京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院京都駅前診療所 電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
再掲
<糖質制限食>VS<糖質たっぷりカロリー制限食>
糖質が血糖値を上昇させインスリンを追加分泌させる
本ブログは糖尿人に
糖質制限食(糖質12%、脂質56%、タンパク質32%)を推進する立場ですが、
世の中は相変わらず、
糖質たっぷりのカロリー制限食(糖質60%、脂質20%、タンパク質20%)を
推奨する病院が圧倒的に多いです。
いろんな意見があり、論争することは医学の発展において健全なことと思います。しかし、論争の前に人体の生理・代謝などの基本的なところを理解することも重要です。
今回は<糖質・脂質・タンパク質の摂取>と<血糖値上昇・インスリン分泌>に関して人体の生理・代謝における事実を説明します。
しつこいようですが、以下に述べることは、論争の余地のない事実ですので<糖質たっぷりのカロリー制限食推奨派>の方々にも是非、ご理解いただきたいと思います。
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。
糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。
これらはカロリーとは無関係な、三大栄養素の生理学的特質です。
インスリンには24時間、少量常に分泌されている基礎分泌と、血糖値が上昇したときに大量に出る追加分泌があります。
糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を急峻に上昇させます。従って、糖質を摂取した時には、インスリンが追加分泌されます。
しかし、脂質やタンパク質は、血糖値をほとんど上昇させないので、インスリンの追加分泌は、ほとんどありません。
つまり、人(糖尿人も正常人も)において、インスリンの追加分泌が多量に必要となるのは、糖質を摂取した時だけです。
これらは、すべて論争の余地のない、生理学的事実です。
以下は、2型糖尿病Aさんのデータです。通常食は糖質ありです。
通常食 350kcal、糖質60%で約52.5g、脂質20%、タンパク質20%
糖質制限食 350kcal、糖質10%で約8.75g、脂質60%、タンパク質30%
通常食と糖質制限食は、いずれも350kcalで、勿論、同一人のデータです。
糖質制限食だと血糖値の上昇は極めて少なく、インスリンの追加分泌もごく少量ですね。
食前 30分後 60分後 90分後 120分後
通常食血糖値 121 206 304 250 198
通常食IRI 2.2 6.2 19.1 23.1 21.6
糖質制限食血糖値 124 140 142 129 135
糖質制限食IRI 3.5 4.6 6.7 6.9 5.2
同様に2型糖尿人Bさんのデータです。2年前初診時糖尿病でしたが現在正常人です。
食前 30分後 60分後 90分後 120分後
通常食血糖値 108 148 189 142 126
通常食IRI 3.8 35.2 58.5 55.1 24.9
糖質制限食血糖値 113 115 116 108 107
糖質制限食IRI 4.1 10.1 11.7 10.6 13.5
Bさんの場合、2年間の糖質制限食で、糖質を負荷しても血糖値は正常パターンに回復しています。
このとき基礎分泌3.8→追加分泌ピーク58.8まで多量のインスリンがでています。実に基礎分泌の15倍強のインスリンが追加分泌されています。ヾ(゜▽゜)
糖質制限食でも、約8.75gほど野菜分の糖質が含まれているので、一応基礎分泌の2~3倍のインスリン追加分泌がありますが、通常食に比べれば微々たるものですね。
正常人が通常の食事をすれば、おおむねBさんのデータのようなインスリンの大量追加分泌が、一日に最低3回、間食をすれば5回以上起こっているわけです。
このようなインスリンの大量追加分泌が、40年、50年と続けば、遂には膵臓が疲弊して分泌能力が低下してしまい、糖尿病を発症するのは想像に難くないですね。
結論です。
カロリーをいくら制限しても、糖質を摂取してしまえば、食後高血糖と多量のインスリン追加分泌を生じます。糖質制限食なら食後高血糖は生じず、インスリン追加分泌もごく少量ですみます。
2008年12月19日 (金)
こんばんは。今日は寒いです。
第三金曜ライブの日ですが、お客さんの出足が心配です。年に一回しか披露できないクリスマス・ソング、大勢とはいわないまでも、そこそこのお客さんの前で歌いたいですものね。 (^_^)
さて今回は、はつママさんから、妊娠糖尿病について、コメント・質問をいただきました。
『はつママ
妊娠性糖尿病について
はじめまして。
もう少しで33週に入る妊婦です。私も妊娠性糖尿病と言われて、大きな病院に紹介され、行ってみました。 今の赤ちゃんの状態は産婦人科での検診では順調とのこと。大きさは1900グラムちょっといくくらいみたいです。誤差を入れたとしても、まぁまぁ、平均的くらいと言われたんですが、大丈夫でしょうか?
後今は病院から家で自分で血糖値をはかるように言われて、食事にも気をつけているんですが、その日によって血糖値の値が高かったりで…。野菜中心の食事にしたりして。もっと体も動かした方がいいんでしょうか??
今は一般の産婦人科での出産を希望してるんですが、大きな病院での出産にかえたほうがいいですか?? できればインスリンはしたくないんですが、血糖値が高いと必要なんですよね。
赤ちゃんは元気に動いてて、順調と言われてるので大丈夫であってほしいんですが、まだまだ油断はできないんでしょうか??
はじめてて、不安だらけです。
先生の意見聞かせてください。
2008/12/19(金) 08:22:14
はつママ
妊娠性糖尿病について』
はつママさん。ご懐妊おめでとうございます。(^-^)v(^-^)v
順調な経過でよかったですね。
ところで、私は内科医で漢方医ですが、産婦人科医ではありません。従いまして、赤ちゃんの状態や大きさとかは門外漢ですので、(∵)?産婦人科の先生に相談されるのがよいと思いますよ。
妊娠中の運動に関しては、一般論として胎盤がしっかり完成するまでは、日常生活をこなすくらいが無難でしょう。
妊娠中期になって安定期になれば、あるていど積極的に運動をして、体重が増加しすぎないようにするのがよいと思います。
妊娠糖尿病と診断されておられますので、食事は可能なら糖質制限食にして、血糖コントロールを良好に保つことが望ましいですね。
妊娠中は、HbA1c5.8%以下が目標です。
血糖値の目安としては、妊娠中、食前血糖100mg/dL 以下、食後2時間血糖100mg/dL 以下が目標です。
目標値は結構厳しいですが、血糖コントロールさえ良ければ、インスリン注射も必要ありませんし、出産にも問題はありませんので、大きな病院に転院する必要はないと思います。
血糖コントロールが良くないと、糖尿病治療の必要がありますし、妊娠・出産の合併症も生じやすくなるので、総合病院のチーム医療が必要となる場合があります。
ともあれ、妊娠糖尿病と診断されても血糖コントロールさえ良ければ、通常の妊娠・出産と全く同様の経過ですので、安心だと思います。糖質制限食で目標値クリアを目指してくださいね。
江部康二
☆☆☆
<糖質制限食とは>
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。 また糖質は摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。
これらはカロリーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。 現在糖尿病において食後の急激な高血糖が大きな問題として注目されています。食後高血糖が心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。そして食後高血糖を起こすのは三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。 従って6枚切りの食パン2枚(約310キロカロリー)食べると糖質 が約50g含まれているので、血糖値は150mgも上昇します。一 方ロースステーキを300g(約1200キロカロリー)食べても糖質含有量は1gもないので食後高血糖はほとんど生じないのです。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。簡単に言えば主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の食パンとステーキの例でも明らかなようにカロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
☆☆☆
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。*炭水化物=糖質+食物繊維
☆☆☆
糖質制限食を実践される時のご注意
本にも書きましたが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用されてない糖尿人は、低血糖の心配はないので、「主食を抜けば糖尿病は良くなる」「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」「 糖質制限食 春のレシピ」「 糖質制限食 夏のレシピ」「糖質制限食 秋のレシピ」「主食を抜けば糖尿病は良くなる 実践編」「糖質制限食 冬のレシピ」などを参考に、自力で 糖質制限食を実践され糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
第三金曜ライブの日ですが、お客さんの出足が心配です。年に一回しか披露できないクリスマス・ソング、大勢とはいわないまでも、そこそこのお客さんの前で歌いたいですものね。 (^_^)
さて今回は、はつママさんから、妊娠糖尿病について、コメント・質問をいただきました。
『はつママ
妊娠性糖尿病について
はじめまして。
もう少しで33週に入る妊婦です。私も妊娠性糖尿病と言われて、大きな病院に紹介され、行ってみました。 今の赤ちゃんの状態は産婦人科での検診では順調とのこと。大きさは1900グラムちょっといくくらいみたいです。誤差を入れたとしても、まぁまぁ、平均的くらいと言われたんですが、大丈夫でしょうか?
後今は病院から家で自分で血糖値をはかるように言われて、食事にも気をつけているんですが、その日によって血糖値の値が高かったりで…。野菜中心の食事にしたりして。もっと体も動かした方がいいんでしょうか??
今は一般の産婦人科での出産を希望してるんですが、大きな病院での出産にかえたほうがいいですか?? できればインスリンはしたくないんですが、血糖値が高いと必要なんですよね。
赤ちゃんは元気に動いてて、順調と言われてるので大丈夫であってほしいんですが、まだまだ油断はできないんでしょうか??
はじめてて、不安だらけです。
先生の意見聞かせてください。
2008/12/19(金) 08:22:14
はつママ
妊娠性糖尿病について』
はつママさん。ご懐妊おめでとうございます。(^-^)v(^-^)v
順調な経過でよかったですね。
ところで、私は内科医で漢方医ですが、産婦人科医ではありません。従いまして、赤ちゃんの状態や大きさとかは門外漢ですので、(∵)?産婦人科の先生に相談されるのがよいと思いますよ。
妊娠中の運動に関しては、一般論として胎盤がしっかり完成するまでは、日常生活をこなすくらいが無難でしょう。
妊娠中期になって安定期になれば、あるていど積極的に運動をして、体重が増加しすぎないようにするのがよいと思います。
妊娠糖尿病と診断されておられますので、食事は可能なら糖質制限食にして、血糖コントロールを良好に保つことが望ましいですね。
妊娠中は、HbA1c5.8%以下が目標です。
血糖値の目安としては、妊娠中、食前血糖100mg/dL 以下、食後2時間血糖100mg/dL 以下が目標です。
目標値は結構厳しいですが、血糖コントロールさえ良ければ、インスリン注射も必要ありませんし、出産にも問題はありませんので、大きな病院に転院する必要はないと思います。
血糖コントロールが良くないと、糖尿病治療の必要がありますし、妊娠・出産の合併症も生じやすくなるので、総合病院のチーム医療が必要となる場合があります。
ともあれ、妊娠糖尿病と診断されても血糖コントロールさえ良ければ、通常の妊娠・出産と全く同様の経過ですので、安心だと思います。糖質制限食で目標値クリアを目指してくださいね。
江部康二
☆☆☆
<糖質制限食とは>
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。 また糖質は摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。
これらはカロリーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。 現在糖尿病において食後の急激な高血糖が大きな問題として注目されています。食後高血糖が心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。そして食後高血糖を起こすのは三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。 従って6枚切りの食パン2枚(約310キロカロリー)食べると糖質 が約50g含まれているので、血糖値は150mgも上昇します。一 方ロースステーキを300g(約1200キロカロリー)食べても糖質含有量は1gもないので食後高血糖はほとんど生じないのです。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。簡単に言えば主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の食パンとステーキの例でも明らかなようにカロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
☆☆☆
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。*炭水化物=糖質+食物繊維
☆☆☆
糖質制限食を実践される時のご注意
本にも書きましたが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用されてない糖尿人は、低血糖の心配はないので、「主食を抜けば糖尿病は良くなる」「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」「 糖質制限食 春のレシピ」「 糖質制限食 夏のレシピ」「糖質制限食 秋のレシピ」「主食を抜けば糖尿病は良くなる 実践編」「糖質制限食 冬のレシピ」などを参考に、自力で 糖質制限食を実践され糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
2008年12月18日 (木)
こんにちは。今回は、昨日の続きです。
メディカル朝日 2008年 12月号 52-55ページ
「連載・誰も教えてくれなかった糖尿病診療 SDMメーリングリストから 糖質制限食は本当に有効か 低糖質食は長続きするか」
<低糖質食は長続きするか>
Q
東京都港区開業医
「最近患者さんの中に糖質制限食を勧めている本を読んで実行している人がいます。この食事療法を始めて脂質異常症になった例をみました。あるアメリカ人がアトキンスダイエット(低炭水化物ダイエット)を行って減量に成功したと自慢していましたが、2年後には元通り肥満していました。低糖質食は長続きするのでしょうか」
A1
還暦前の開業医
「私自身、糖質制限食で血糖コントロールが良くなった経験を持っています。私自身の食事法とクリニックでの経験をお話しします。私は糖質制限食を食後高血糖を改善するダイエットととらえています。糖質はいろんな食材に含まれているので頑張って制限してもカロリー比で20%程度までではないでしょうか。極端なダイエットはそれほど長続きしません。」
A2
東京都専門医
「PubMed(米国国立生物工学情報センターが公開する医学文献データベース)で
”低炭水化物ダイエット”と”糖尿病”で検索すると、
『低炭水化物ダイエットは体重を減少させ、中性脂肪を減少させる、一方でケトーシスを含め有意なリスク上昇は認められなかった』という報告が多いようです。
今後『肥満を伴う2型糖尿病では糖質制限を勧めるべき』という方向性で議論が進む可能性はあると思います。」
<解説> 目黒副医長
「糖尿病の食事療法において糖質を制限するべきか、脂質を制限するべきかは、非常に古くからのテーマです。
現時点での日本糖尿病学会のガイドラインでは低脂肪・高糖質食が主流ですが、最近体重減少や食後高血糖改善に関して糖質制限食が優れているとの報告も散見されます。
コクランライブラリーでは質の高い臨床研究に乏しいため『現時点では結論が出せない』
と結論づけています。
しかしメーリングリストでの議論にもあったように、糖質制限食が著効する人がいることも事実であり、そういった多様性を認め、それぞれの患者に合った食事指導をいかに構築するか検討するほうが建設的であるように思います。
ただし糖質制限食と従来の糖尿病食のどちらが上手く実行できるかというと、同等か糖質制限食のほうがやや劣ることが多いようです。」
<コメント>
松岡世話人
「京都の江部康二氏が『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』を出版されて以来、外来で恰幅のいい社長、重役さんたちから多くの質問を受けました。うまくいった人はそれなりの注意と努力を払っておられますし、京都まで出かけて直接指導を受けてこられた方は、自分への健康投資が一段と動機付けの向上をもたらしたようです。
2型糖尿病に糖質制限食を適応する目的は食後高血糖の改善を含む血糖コントロールや減量です。今後いろいろな工夫がなされるでしょうが、食事療法は長く続かなくてはなりません。
患者の生活を知り、本人の嗜好や治療へのスタンスなどを見ながら糖質制限食を実施し、合併症を含めて検査成績を評価して続けるか否かを指示してください」
以上が、メーリングリスト後半の質問と答え、解説とコメントの要約です。
東京都港区開業医さんの発言で、脂質異常症となった例があるとのことでした。糖質制限食実践で血糖値・中性脂肪・HDL-コレステロールは速やかに改善しますので、LDL-コレステロールが高値となった例があるのでしょうね。
糖質制限食実践でLDL-コレステロールは下がる人、上がる人、不変の人があります。私の場合は、少し下がりました。いったん上昇した人も、あるていど長期になると下がってくることが多いです。
東京都専門医さんの今回の発言は、ニュートラルにPubMedの文献情報を伝えていただいており、肥満を伴う2型糖尿病と限定的ではありますが、糖質制限食の有用性を示唆されています。
解説の目黒先生はニュートラルな発言ですが、糖質制限食の有効性をはっきり認めておられます。その上で、画一的な従来のカロリー制限食(低脂質・高糖質食)だけでなく個々の患者に応じて食事療法の多様性を認めて、検討することを勧めておられます。
コメントの松岡先生は、私の本を紹介していただいて、とりあえず感謝です。目黒先生と同様、糖質制限食の有効性を認めていただいたうえで、長続きすることの大切さや、評価をきっちりしながら行うことを提唱しておられます。
辛口の発言も一部ありましたが、総じて、2005年に初めて本を出版した頃のような糖質制限食に対する、医師の拒否反応は全くありません。
どちらかというと、好意的な先生方の方が多い印象を受けました。糖尿病のメーリングリストですから、糖尿病に関わる臨床医の忌憚のない意見と考えられ、糖質制限食の認知度は、確実に上がっているようです。
また、解説、コメントの目黒先生、松岡先生のように、とてもニュートラルな立場で今後、糖尿病食事療法の多様性を認めて、検討していこうというご意見は、小生としてもうれしい限りです。
過去本部ブログで、糖質制限食夜明け前、夜明け間近と述べてきましたが、ここまでくると夜明けが始まっているのかもしれませんね。 (^_^)
江部康二
メディカル朝日 2008年 12月号 52-55ページ
「連載・誰も教えてくれなかった糖尿病診療 SDMメーリングリストから 糖質制限食は本当に有効か 低糖質食は長続きするか」
<低糖質食は長続きするか>
Q
東京都港区開業医
「最近患者さんの中に糖質制限食を勧めている本を読んで実行している人がいます。この食事療法を始めて脂質異常症になった例をみました。あるアメリカ人がアトキンスダイエット(低炭水化物ダイエット)を行って減量に成功したと自慢していましたが、2年後には元通り肥満していました。低糖質食は長続きするのでしょうか」
A1
還暦前の開業医
「私自身、糖質制限食で血糖コントロールが良くなった経験を持っています。私自身の食事法とクリニックでの経験をお話しします。私は糖質制限食を食後高血糖を改善するダイエットととらえています。糖質はいろんな食材に含まれているので頑張って制限してもカロリー比で20%程度までではないでしょうか。極端なダイエットはそれほど長続きしません。」
A2
東京都専門医
「PubMed(米国国立生物工学情報センターが公開する医学文献データベース)で
”低炭水化物ダイエット”と”糖尿病”で検索すると、
『低炭水化物ダイエットは体重を減少させ、中性脂肪を減少させる、一方でケトーシスを含め有意なリスク上昇は認められなかった』という報告が多いようです。
今後『肥満を伴う2型糖尿病では糖質制限を勧めるべき』という方向性で議論が進む可能性はあると思います。」
<解説> 目黒副医長
「糖尿病の食事療法において糖質を制限するべきか、脂質を制限するべきかは、非常に古くからのテーマです。
現時点での日本糖尿病学会のガイドラインでは低脂肪・高糖質食が主流ですが、最近体重減少や食後高血糖改善に関して糖質制限食が優れているとの報告も散見されます。
コクランライブラリーでは質の高い臨床研究に乏しいため『現時点では結論が出せない』
と結論づけています。
しかしメーリングリストでの議論にもあったように、糖質制限食が著効する人がいることも事実であり、そういった多様性を認め、それぞれの患者に合った食事指導をいかに構築するか検討するほうが建設的であるように思います。
ただし糖質制限食と従来の糖尿病食のどちらが上手く実行できるかというと、同等か糖質制限食のほうがやや劣ることが多いようです。」
<コメント>
松岡世話人
「京都の江部康二氏が『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』を出版されて以来、外来で恰幅のいい社長、重役さんたちから多くの質問を受けました。うまくいった人はそれなりの注意と努力を払っておられますし、京都まで出かけて直接指導を受けてこられた方は、自分への健康投資が一段と動機付けの向上をもたらしたようです。
2型糖尿病に糖質制限食を適応する目的は食後高血糖の改善を含む血糖コントロールや減量です。今後いろいろな工夫がなされるでしょうが、食事療法は長く続かなくてはなりません。
患者の生活を知り、本人の嗜好や治療へのスタンスなどを見ながら糖質制限食を実施し、合併症を含めて検査成績を評価して続けるか否かを指示してください」
以上が、メーリングリスト後半の質問と答え、解説とコメントの要約です。
東京都港区開業医さんの発言で、脂質異常症となった例があるとのことでした。糖質制限食実践で血糖値・中性脂肪・HDL-コレステロールは速やかに改善しますので、LDL-コレステロールが高値となった例があるのでしょうね。
糖質制限食実践でLDL-コレステロールは下がる人、上がる人、不変の人があります。私の場合は、少し下がりました。いったん上昇した人も、あるていど長期になると下がってくることが多いです。
東京都専門医さんの今回の発言は、ニュートラルにPubMedの文献情報を伝えていただいており、肥満を伴う2型糖尿病と限定的ではありますが、糖質制限食の有用性を示唆されています。
解説の目黒先生はニュートラルな発言ですが、糖質制限食の有効性をはっきり認めておられます。その上で、画一的な従来のカロリー制限食(低脂質・高糖質食)だけでなく個々の患者に応じて食事療法の多様性を認めて、検討することを勧めておられます。
コメントの松岡先生は、私の本を紹介していただいて、とりあえず感謝です。目黒先生と同様、糖質制限食の有効性を認めていただいたうえで、長続きすることの大切さや、評価をきっちりしながら行うことを提唱しておられます。
辛口の発言も一部ありましたが、総じて、2005年に初めて本を出版した頃のような糖質制限食に対する、医師の拒否反応は全くありません。
どちらかというと、好意的な先生方の方が多い印象を受けました。糖尿病のメーリングリストですから、糖尿病に関わる臨床医の忌憚のない意見と考えられ、糖質制限食の認知度は、確実に上がっているようです。
また、解説、コメントの目黒先生、松岡先生のように、とてもニュートラルな立場で今後、糖尿病食事療法の多様性を認めて、検討していこうというご意見は、小生としてもうれしい限りです。
過去本部ブログで、糖質制限食夜明け前、夜明け間近と述べてきましたが、ここまでくると夜明けが始まっているのかもしれませんね。 (^_^)
江部康二
2008年12月17日 (水)
おはようございます。今日は、ちょっと嬉しい記事です。
メディカル朝日 という医師・医療関係者対象の月刊誌を、朝日新聞社が発行しています。
私も時々みていますが、メディカル朝日 2008年 12月号 52-55ページに
「連載・誰も教えてくれなかった糖尿病診療 SDMメーリングリストから 糖質制限食は本当に有効か?」
というとても興味深い記事が載りました。
東京都済生会中央病院 糖尿病・内分泌内科副医長の目黒 周先生がまとめを、
東京都済生会中央病院顧問の松岡健平先生がコメントを述べておられます。
拙著「主食を抜けば糖尿病は良くなる」もちょっぴり登場します。
糖質制限食が、一般の医学雑誌に初めて本格的に取り上げられたので、私としては快挙と思っています。メーリングリストのまとめですから、いろんな医師が発言しておられますが、概ね好意的あるいはニュートラルな内容でした。以下はその要約です。
<低糖質食は本当に有効か>
Q
東京都開業医
「日本糖尿病学会の食品交換表では、エネルギー比で糖質が約60%になっているが、何か実証はあるのでしょうか?」
A1
愛媛県専門医
「糖尿病の食事療法は変遷しています。1920年頃の炭水化物は20%、・・・80年代に糖質60%となりました。しかし最近は炭水化物の過剰摂取が中性脂肪を増やすこともあり、むしろ炭水化物を抑えて脂質を増やしたほうが長期的にみて血糖コントロールがよくなるとの報告もあります。」
A2
福井県開業医
「低脂肪・高糖質一辺倒の糖尿病食には疑問を感じます。食事療法も糖質制限食など多様性を論じる時期にきているのではないでしょうか。」
A3
還暦前の開業医
「私自身が59歳の糖尿病歴15年の患者ですが、糖質制限食実践により、内服薬が中止できて血糖コントロールも良好となりました。体重も15ヶ月で9kg減量して20歳のころに戻りました。」
A4
福井開業医
「貴重な体験談をありがとうございました。高齢の糖尿病の方では脂肪を取りすぎていることは少なく、『脂肪制限』の効果は望めません。果物や甘い物の摂取を注意すると改善することをよく経験します。『果物の良い点は野菜がすべて持っている』を口癖にしています。」
A5
東京都専門医
「糖質制限食を試してみるとすると、糖尿病の状態、合併症の有無などを考慮し、専門家の指導を受けるべきです。低糖質食の極端な例では総エネルギー摂取量の20%を糖質にするというのですから・・・身体活動量が増加すると、体蛋白の分解をおさえることはできません。・・・」
コメント 松岡世話人
「ニューヨークのバーンスタイン医師やメルボルンのラブ医師(国際糖尿病連盟西太平洋地区・前副会長)とは旧知です。2人とも1型糖尿病で糖質制限食を強力に勧めておられます。
1型糖尿病で糖質を減らすと血糖値は劇的に下がります。若い1型糖尿病患者で血糖値の乱高下を抑え、糖尿病合併症の発症を予防するには低糖質食インスリンが有利な一時期があることは否定できません。戦前の欧米の糖尿病食が糖質エネルギー比20~30%であったのは、2型例における動脈硬化症合併の疫学的データが整っていなかったからだと思います。」
以上がメーリンリストの応答と、コメントです。
糖尿病に関わる第一線の医師に、思った以上に糖質制限食が認知されていることがわかり、興味深いですね。
東京都専門医さんは辛口ですが、専門家っていったい誰をさすのでしょうね?
また赤血球以外の体細胞は、脳を含め全てエネルギー源として脂肪酸・ケトン体が利用できるということ、そして心筋・骨格筋などは、日常生活ではエネルギー減として、約7.8割をブドウ糖ではなく脂肪酸・ケトン体を利用しているという生理学的事実をご存じないようですね。
コメントを述べられた松岡世話人が、バーンスタイン医師の知り合いとはびっくりしました。
松岡世話人は、1型に関しては、糖質制限食の有用性を部分的ではありますがはっきり認めておられます。一方、2型に関しては「脂質をとりすぎると動脈硬化になる」という少し前の定説を持ち出しておられます。
しかし、最近の米国のデータでは、本ブログでも記事にしましたように、「低脂質食に体重減少効果はないし、心血管疾患の予防効果もない」というメタ解析研究とか、5万人の閉経女性を2グループにわけて8年間追跡した研究で、「低脂質食に心血管疾患の予防効果がなかった」ことが報告されています。
また、ハーバート大学の看護師約8万人を20年間追跡調査して、「高脂質食の人の心血管疾患リスクは低脂質食の人と有意差なし」と結論づけた研究も報告されました。
すなわち、長年続いた「脂肪悪玉説」という常識が、ここ数年の米国を中心とした大きな研究で、根底から否定されつつあるのが現状ですね。
続く
明日はメーリングリストの後半、<低糖質食は長続きするか>です。
江部康二
メディカル朝日 という医師・医療関係者対象の月刊誌を、朝日新聞社が発行しています。
私も時々みていますが、メディカル朝日 2008年 12月号 52-55ページに
「連載・誰も教えてくれなかった糖尿病診療 SDMメーリングリストから 糖質制限食は本当に有効か?」
というとても興味深い記事が載りました。
東京都済生会中央病院 糖尿病・内分泌内科副医長の目黒 周先生がまとめを、
東京都済生会中央病院顧問の松岡健平先生がコメントを述べておられます。
拙著「主食を抜けば糖尿病は良くなる」もちょっぴり登場します。
糖質制限食が、一般の医学雑誌に初めて本格的に取り上げられたので、私としては快挙と思っています。メーリングリストのまとめですから、いろんな医師が発言しておられますが、概ね好意的あるいはニュートラルな内容でした。以下はその要約です。
<低糖質食は本当に有効か>
Q
東京都開業医
「日本糖尿病学会の食品交換表では、エネルギー比で糖質が約60%になっているが、何か実証はあるのでしょうか?」
A1
愛媛県専門医
「糖尿病の食事療法は変遷しています。1920年頃の炭水化物は20%、・・・80年代に糖質60%となりました。しかし最近は炭水化物の過剰摂取が中性脂肪を増やすこともあり、むしろ炭水化物を抑えて脂質を増やしたほうが長期的にみて血糖コントロールがよくなるとの報告もあります。」
A2
福井県開業医
「低脂肪・高糖質一辺倒の糖尿病食には疑問を感じます。食事療法も糖質制限食など多様性を論じる時期にきているのではないでしょうか。」
A3
還暦前の開業医
「私自身が59歳の糖尿病歴15年の患者ですが、糖質制限食実践により、内服薬が中止できて血糖コントロールも良好となりました。体重も15ヶ月で9kg減量して20歳のころに戻りました。」
A4
福井開業医
「貴重な体験談をありがとうございました。高齢の糖尿病の方では脂肪を取りすぎていることは少なく、『脂肪制限』の効果は望めません。果物や甘い物の摂取を注意すると改善することをよく経験します。『果物の良い点は野菜がすべて持っている』を口癖にしています。」
A5
東京都専門医
「糖質制限食を試してみるとすると、糖尿病の状態、合併症の有無などを考慮し、専門家の指導を受けるべきです。低糖質食の極端な例では総エネルギー摂取量の20%を糖質にするというのですから・・・身体活動量が増加すると、体蛋白の分解をおさえることはできません。・・・」
コメント 松岡世話人
「ニューヨークのバーンスタイン医師やメルボルンのラブ医師(国際糖尿病連盟西太平洋地区・前副会長)とは旧知です。2人とも1型糖尿病で糖質制限食を強力に勧めておられます。
1型糖尿病で糖質を減らすと血糖値は劇的に下がります。若い1型糖尿病患者で血糖値の乱高下を抑え、糖尿病合併症の発症を予防するには低糖質食インスリンが有利な一時期があることは否定できません。戦前の欧米の糖尿病食が糖質エネルギー比20~30%であったのは、2型例における動脈硬化症合併の疫学的データが整っていなかったからだと思います。」
以上がメーリンリストの応答と、コメントです。
糖尿病に関わる第一線の医師に、思った以上に糖質制限食が認知されていることがわかり、興味深いですね。
東京都専門医さんは辛口ですが、専門家っていったい誰をさすのでしょうね?
また赤血球以外の体細胞は、脳を含め全てエネルギー源として脂肪酸・ケトン体が利用できるということ、そして心筋・骨格筋などは、日常生活ではエネルギー減として、約7.8割をブドウ糖ではなく脂肪酸・ケトン体を利用しているという生理学的事実をご存じないようですね。
コメントを述べられた松岡世話人が、バーンスタイン医師の知り合いとはびっくりしました。
松岡世話人は、1型に関しては、糖質制限食の有用性を部分的ではありますがはっきり認めておられます。一方、2型に関しては「脂質をとりすぎると動脈硬化になる」という少し前の定説を持ち出しておられます。
しかし、最近の米国のデータでは、本ブログでも記事にしましたように、「低脂質食に体重減少効果はないし、心血管疾患の予防効果もない」というメタ解析研究とか、5万人の閉経女性を2グループにわけて8年間追跡した研究で、「低脂質食に心血管疾患の予防効果がなかった」ことが報告されています。
また、ハーバート大学の看護師約8万人を20年間追跡調査して、「高脂質食の人の心血管疾患リスクは低脂質食の人と有意差なし」と結論づけた研究も報告されました。
すなわち、長年続いた「脂肪悪玉説」という常識が、ここ数年の米国を中心とした大きな研究で、根底から否定されつつあるのが現状ですね。
続く
明日はメーリングリストの後半、<低糖質食は長続きするか>です。
江部康二
2008年12月16日 (火)
こんにちは。今日は、京都は暖かくてとても良い天気です。12月ですけど小春日和でしょうか。
さて、暖かいといえば沖縄ですね。
今回は高橋雄三さんから、シークヮーサーと血糖値についてコメント・質問をいただきました。
『シークヮーサーと血糖値
雑誌で華道家の仮屋崎 省吾氏がシークワーサーで血糖値が半減したと書いてあり、そうゆう論文もあるようですが、果糖を多量に含んだ果物で血糖値が下がるか懐疑的です、江部先生はどう思われますか?
08/12/10 高橋雄三』
高橋雄三さん。コメントありがとうございます。
シークヮーサー、早速インターネットで調べてみて、信用できそうなサイトにたどり着きました。
以下は、日経BPネットの2004年8月5日の記事の抜粋です。
「シークヮーサーの実には、フラボノイド(黄色系の色素)の一種「ノビレチン」という成分が豊富だ。このノビレチンに、血糖値の上昇や高血圧を抑える効果があることが、独立行政法人果樹研究所と中村学園大学、東京薬科大学との研究で明らかになってきた。
中村学園大学食物栄養学科の太田英明教授は
『シークヮーサーに含まれるノビレチンの量は、かんきつ類の中でトップクラス。これと、抗酸化成分のポリフェノールなど、ほかの成分との相乗効果で、血糖値や血圧を抑えているのでは』
と話す。
果汁飲料を選ぶときは、果皮ごと圧搾したものがお勧め。というのも「ノビレチンは果皮に多く含まれる」(琉球大学農学部生物資源科学科の和田浩二助教授)ため。多くの商品は果皮ごと圧搾しているが、さらに「容器の底が沈殿物で白濁していれば果皮が多い証拠」(太田教授)という。
ノビレチンは100%の濃縮還元果汁100gあたり10〜20mg含まれる。血糖値の上昇や高血圧を抑えるには、「できれば濃縮果汁を1日60g以上とりたい」(東京薬科大学薬学部の指田豊教授)。ドリンクのほか、レモン汁の代わりに料理にも使えば、1日60gは十分摂取できる。」
日経BPネットですから、信頼できる記事だと思います。従って、シークヮーサーには一定の血糖降下作用はあると考えられます。
ただ、どの程度下げるかとういうと、例えばグルコバイやグルファストといった、健康保険収載のれっきとした薬に比べれば当然その効果は弱いと思います。
血糖降下作用があったとしても、せいぜいトクホ(特定保健用食品)*レベルか、それ以下と考えられます。ここら辺に関しては、2008年05月27日のブログ「食後高血糖を抑える食品?」もご参照ください。
また、シークヮーサーは果実ですので、果糖、ショ糖、ブドウ糖なども含まれています。シークヮーサー果汁100ml中に、8.6gの炭水化物があるので、ショ糖やブドウ糖の分は、確実に血糖値が上昇しますね。
結論です。
シークヮーサーに含まれているノビレチンなどにより、一定の血糖降下作用はある可能性はありますが、ショ糖・ブドウ糖なども含まれているので多くは期待できないと思います。
すなわち、糖尿人が主食(糖質)を普通に食べてシークヮーサーを飲んでも、食後血糖値が180mg/dlを下回る可能性はほとんどないと思います。
*
特定保健用食品
国が食品に健康表示(健康への効用をしめす表現)を許可する制度で、平成3年に発足。厚生労働省から、生活習慣の改善に役立つと認められた食品で、「保健の用途・効果」を具体的に表示することが許可されている。
江部康二
さて、暖かいといえば沖縄ですね。
今回は高橋雄三さんから、シークヮーサーと血糖値についてコメント・質問をいただきました。
『シークヮーサーと血糖値
雑誌で華道家の仮屋崎 省吾氏がシークワーサーで血糖値が半減したと書いてあり、そうゆう論文もあるようですが、果糖を多量に含んだ果物で血糖値が下がるか懐疑的です、江部先生はどう思われますか?
08/12/10 高橋雄三』
高橋雄三さん。コメントありがとうございます。
シークヮーサー、早速インターネットで調べてみて、信用できそうなサイトにたどり着きました。
以下は、日経BPネットの2004年8月5日の記事の抜粋です。
「シークヮーサーの実には、フラボノイド(黄色系の色素)の一種「ノビレチン」という成分が豊富だ。このノビレチンに、血糖値の上昇や高血圧を抑える効果があることが、独立行政法人果樹研究所と中村学園大学、東京薬科大学との研究で明らかになってきた。
中村学園大学食物栄養学科の太田英明教授は
『シークヮーサーに含まれるノビレチンの量は、かんきつ類の中でトップクラス。これと、抗酸化成分のポリフェノールなど、ほかの成分との相乗効果で、血糖値や血圧を抑えているのでは』
と話す。
果汁飲料を選ぶときは、果皮ごと圧搾したものがお勧め。というのも「ノビレチンは果皮に多く含まれる」(琉球大学農学部生物資源科学科の和田浩二助教授)ため。多くの商品は果皮ごと圧搾しているが、さらに「容器の底が沈殿物で白濁していれば果皮が多い証拠」(太田教授)という。
ノビレチンは100%の濃縮還元果汁100gあたり10〜20mg含まれる。血糖値の上昇や高血圧を抑えるには、「できれば濃縮果汁を1日60g以上とりたい」(東京薬科大学薬学部の指田豊教授)。ドリンクのほか、レモン汁の代わりに料理にも使えば、1日60gは十分摂取できる。」
日経BPネットですから、信頼できる記事だと思います。従って、シークヮーサーには一定の血糖降下作用はあると考えられます。
ただ、どの程度下げるかとういうと、例えばグルコバイやグルファストといった、健康保険収載のれっきとした薬に比べれば当然その効果は弱いと思います。
血糖降下作用があったとしても、せいぜいトクホ(特定保健用食品)*レベルか、それ以下と考えられます。ここら辺に関しては、2008年05月27日のブログ「食後高血糖を抑える食品?」もご参照ください。
また、シークヮーサーは果実ですので、果糖、ショ糖、ブドウ糖なども含まれています。シークヮーサー果汁100ml中に、8.6gの炭水化物があるので、ショ糖やブドウ糖の分は、確実に血糖値が上昇しますね。
結論です。
シークヮーサーに含まれているノビレチンなどにより、一定の血糖降下作用はある可能性はありますが、ショ糖・ブドウ糖なども含まれているので多くは期待できないと思います。
すなわち、糖尿人が主食(糖質)を普通に食べてシークヮーサーを飲んでも、食後血糖値が180mg/dlを下回る可能性はほとんどないと思います。
*
特定保健用食品
国が食品に健康表示(健康への効用をしめす表現)を許可する制度で、平成3年に発足。厚生労働省から、生活習慣の改善に役立つと認められた食品で、「保健の用途・効果」を具体的に表示することが許可されている。
江部康二
2008年12月15日 (月)
こんばんは。
今回の記事はは昨日の続きですが、読みやすさを考慮して、前日の記事も再掲します。
IFG(Impaired fasting glycaemia):空腹時血糖異常
IGT(Impaired Glucose Tolerance):耐糖能異常
っていきなりなんでしょう? (∵)?
あまり耳慣れない言葉と思いますが、糖尿病早期発見の流れにおいて大切な概念なので検討してみましょう。 (^_^)
Ⅰ
75g経口ブドウ糖負荷試験 (75gOGTT) および、空腹時血糖値による判定基準(日本糖尿病学会)
A)正常型
「空腹時血糖値が110mg/dl未満かつ120分後血糖値が140mg/dl未満」
を満たせば正常型。
B)境界型
正常型にも糖尿病型にも属さない場合をいう。
具体的にはWHO分類のIGT、IFG、IFG/IGTがある。
①2時間値が140~199mg/dlとなる耐糖能異常であるIGT (Impaired Glucose Tolerance)
IGT単独なら早朝空腹時血糖値は110mg/dl未満で正常である。
②空腹時血糖値が110~125mg/dlとなるIFG (Impaired fasting glycaemia)
IFG単独なら75gOGTTにて2時間値は140mg/dl未満で正常である。
③両者の合併であるIFG/IGT
の3つのパターンがある。
C)糖尿病型
「空腹時血糖値が126mg/dl以上または120分後血糖値が200mg/dl以上」
を満たせば糖尿病型。
Ⅱ
随時血糖値200mg/dl以上は糖尿病型
Ⅲ 糖尿病の診断
Ⅰ、Ⅱの糖尿病型を異なる日に2回以上確認できたら糖尿病と診断。
Ⅳ 糖尿病発症に到る流れ
1)IGT→糖尿病(食後血糖値200mg/dl以上または75gOGTT2時間値200mg/dl以上) 既に糖尿病を発症していても早朝空腹時血糖値は正常で健診で見逃される。
2)IGT→IFG/IGT→糖尿病(上記200mg/dl以上または空腹時血糖値126mg/dl以上)
IFG/IGTの段階で、通常の健診でもチェックできる。
3)1FG→IFG/IGT→糖尿病
通常の健診でもチェックできる。パターンとしては少ない。
続く
江部康二
日本人では、IGTや200mg/dl以上の食後高血糖が、数年から10年続いて、初めて早朝空腹時血糖値が110mg/dlを超えることが、最も多いとされています。
つまり1)、2)のパターンが多くて、3)のパターンは少ないのですね。
従いまして、一般的な健康診断の早朝空腹時血糖値で、糖尿病の早期診断をするのは、おおいに無理があります。そもそも日本人ではIFG単独の例は、かなり少ないと考えられます。
1)2)3)どのパターンでも、最終的には、IGTを経て糖尿病型になると考えられます。IFGからいきなり糖尿病型になるというのは、さすがにないと思います。
従って、なんとかIGTの段階(糖尿病発症前)でチェックできれば、治療的には大変役立ちます。
そのためには、75g経口ブドウ糖負荷試験が一番確実です。
しかし、かなり面倒で手間暇がかかりますから、デンプン(糖質)を食べ始めて2時間後の血糖値、あるいは尿糖を調べれば簡便です。
1時間後も調べれば、さらに見逃しは減ります。1時間値が180mg/dlを超えていると、2時間値が140mg/dl未満で正常でも、将来糖尿病になりやすいので注意が必要なのです。
糖尿病は、インスリン作用不足(インスリン分泌不足+インスリン抵抗性)がベースにあり、発症します。
日本人では、インスリン分泌不足が主で、インスリン抵抗性が従と言われています。IGTの段階で、まずインスリン追加分泌が不足、あるいは遷延しています。それが数年以上続いて、インスリン基礎分泌も不足してきたら、IFGも合併してきます。
一方、欧米人では、インスリン抵抗性が主で、インスリン分泌不足が従とされています。この場合、インスリン分泌能力はまだあるけれど、効きが悪い(インスリン抵抗性)ため高血糖となります。
そうすると、インスリン抵抗性のため、基礎分泌のインスリンの量では早朝空腹時血糖値がやや高いけど、追加分泌は大量に出せるので食後高血糖は防いでいるというIFGの人が、日本より高率に存在する可能性があります。
日本人でも肥満が目立つ人は、インスリン抵抗性が主の欧米パターンの糖尿病発症もありえます。この場合、早期に発見できれば、インスリン分泌能力は残っているので、肥満が改善してインスリン抵抗性が改善すれば、糖尿病が治ることもあり得ます。
ともあれ、IGT、IFG、IFG/IGTの段階で発見できればおおきなアドバンテージですね。
この段階で糖質制限食を実践すれば、糖尿病発症は確実に防げますよ。ヾ(^▽^)
江部康二
今回の記事はは昨日の続きですが、読みやすさを考慮して、前日の記事も再掲します。
IFG(Impaired fasting glycaemia):空腹時血糖異常
IGT(Impaired Glucose Tolerance):耐糖能異常
っていきなりなんでしょう? (∵)?
あまり耳慣れない言葉と思いますが、糖尿病早期発見の流れにおいて大切な概念なので検討してみましょう。 (^_^)
Ⅰ
75g経口ブドウ糖負荷試験 (75gOGTT) および、空腹時血糖値による判定基準(日本糖尿病学会)
A)正常型
「空腹時血糖値が110mg/dl未満かつ120分後血糖値が140mg/dl未満」
を満たせば正常型。
B)境界型
正常型にも糖尿病型にも属さない場合をいう。
具体的にはWHO分類のIGT、IFG、IFG/IGTがある。
①2時間値が140~199mg/dlとなる耐糖能異常であるIGT (Impaired Glucose Tolerance)
IGT単独なら早朝空腹時血糖値は110mg/dl未満で正常である。
②空腹時血糖値が110~125mg/dlとなるIFG (Impaired fasting glycaemia)
IFG単独なら75gOGTTにて2時間値は140mg/dl未満で正常である。
③両者の合併であるIFG/IGT
の3つのパターンがある。
C)糖尿病型
「空腹時血糖値が126mg/dl以上または120分後血糖値が200mg/dl以上」
を満たせば糖尿病型。
Ⅱ
随時血糖値200mg/dl以上は糖尿病型
Ⅲ 糖尿病の診断
Ⅰ、Ⅱの糖尿病型を異なる日に2回以上確認できたら糖尿病と診断。
Ⅳ 糖尿病発症に到る流れ
1)IGT→糖尿病(食後血糖値200mg/dl以上または75gOGTT2時間値200mg/dl以上) 既に糖尿病を発症していても早朝空腹時血糖値は正常で健診で見逃される。
2)IGT→IFG/IGT→糖尿病(上記200mg/dl以上または空腹時血糖値126mg/dl以上)
IFG/IGTの段階で、通常の健診でもチェックできる。
3)1FG→IFG/IGT→糖尿病
通常の健診でもチェックできる。パターンとしては少ない。
続く
江部康二
日本人では、IGTや200mg/dl以上の食後高血糖が、数年から10年続いて、初めて早朝空腹時血糖値が110mg/dlを超えることが、最も多いとされています。
つまり1)、2)のパターンが多くて、3)のパターンは少ないのですね。
従いまして、一般的な健康診断の早朝空腹時血糖値で、糖尿病の早期診断をするのは、おおいに無理があります。そもそも日本人ではIFG単独の例は、かなり少ないと考えられます。
1)2)3)どのパターンでも、最終的には、IGTを経て糖尿病型になると考えられます。IFGからいきなり糖尿病型になるというのは、さすがにないと思います。
従って、なんとかIGTの段階(糖尿病発症前)でチェックできれば、治療的には大変役立ちます。
そのためには、75g経口ブドウ糖負荷試験が一番確実です。
しかし、かなり面倒で手間暇がかかりますから、デンプン(糖質)を食べ始めて2時間後の血糖値、あるいは尿糖を調べれば簡便です。
1時間後も調べれば、さらに見逃しは減ります。1時間値が180mg/dlを超えていると、2時間値が140mg/dl未満で正常でも、将来糖尿病になりやすいので注意が必要なのです。
糖尿病は、インスリン作用不足(インスリン分泌不足+インスリン抵抗性)がベースにあり、発症します。
日本人では、インスリン分泌不足が主で、インスリン抵抗性が従と言われています。IGTの段階で、まずインスリン追加分泌が不足、あるいは遷延しています。それが数年以上続いて、インスリン基礎分泌も不足してきたら、IFGも合併してきます。
一方、欧米人では、インスリン抵抗性が主で、インスリン分泌不足が従とされています。この場合、インスリン分泌能力はまだあるけれど、効きが悪い(インスリン抵抗性)ため高血糖となります。
そうすると、インスリン抵抗性のため、基礎分泌のインスリンの量では早朝空腹時血糖値がやや高いけど、追加分泌は大量に出せるので食後高血糖は防いでいるというIFGの人が、日本より高率に存在する可能性があります。
日本人でも肥満が目立つ人は、インスリン抵抗性が主の欧米パターンの糖尿病発症もありえます。この場合、早期に発見できれば、インスリン分泌能力は残っているので、肥満が改善してインスリン抵抗性が改善すれば、糖尿病が治ることもあり得ます。
ともあれ、IGT、IFG、IFG/IGTの段階で発見できればおおきなアドバンテージですね。
この段階で糖質制限食を実践すれば、糖尿病発症は確実に防げますよ。ヾ(^▽^)
江部康二
2008年12月14日 (日)
おはようございます。
IFG(Impaired fasting glycaemia):空腹時血糖異常
IGT(Impaired Glucose Tolerance):耐糖能異常
っていきなりなんでしょう? (∵)?
あまり耳慣れない言葉と思いますが、糖尿病早期発見の流れにおいて大切な概念なので検討してみましょうね。 (^_^)
Ⅰ
75g経口ブドウ糖負荷試験 (75gOGTT) および、空腹時血糖値による判定基準(日本糖尿病学会)
A)正常型
「空腹時血糖値が110mg/dl未満かつ120分後血糖値が140mg/dl未満」
を満たせば正常型。
B)境界型
正常型にも糖尿病型にも属さない場合をいう。
具体的にはWHO分類のIGT、IFG、IFG/IGTがある。
①2時間値が140~199mg/dlとなる耐糖能異常であるIGT (Impaired Glucose Tolerance)
IGT単独なら早朝空腹時血糖値は110mg/dl未満で正常である。
②空腹時血糖値が110~125mg/dlとなるIFG (Impaired fasting glycaemia)
IFG単独なら75gOGTTにて2時間値は140mg/dl未満で正常である。
③両者の合併であるIFG/IGT
の3つのパターンがある。
C)糖尿病型
「空腹時血糖値が126mg/dl以上または120分後血糖値が200mg/dl以上」
を満たせば糖尿病型。
Ⅱ
随時血糖値200mg/dl以上は糖尿病型
Ⅲ 糖尿病の診断
Ⅰ、Ⅱの糖尿病型を異なる日に2回以上確認できたら糖尿病と診断。
Ⅳ 糖尿病発症に到る流れ
1)IGT→糖尿病(食後血糖値200mg/dl以上または75gOGTT2時間値200mg/dl以上)
既に糖尿病を発症していても早朝空腹時血糖値は正常で健診で見逃される。
2)IGT→IFG/IGT→糖尿病(上記200mg/dl以上または空腹時血糖値126mg/dl以上)
IFG/IGTの段階で、通常の健診でもチェックできる。
3)1FG→IFG/IGT→糖尿病
通常の健診でもチェックできる。パターンとしては少ない。
続く、
明日は「糖尿病発症に到る流れ」を検討してみます。
江部康二
【講演会・講座のお知らせ】
☆☆ 糖質制限食講演会・諏訪中央病院・長野
日時:平成21年1月21日(水)午後2時から4時
場所:諏訪中央病院 長野県茅野市玉川4300番地 TEL 0266-72-1000(代)
☆☆講座「糖尿病・メタボはこう予防する!~糖質制限食のすすめ」京都
朝日カルチャーセンター京都 http://www.asahi-culture.co.jp/www/kyoto-c.html
075-231-9693
2009年2月17日(火)13:00~14:30
【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内】
お問い合わせは高雄病院 http://takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
【糖質制限食外来治療のご案内・予約制】
高雄病院 電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院京都駅前診療所 電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
IFG(Impaired fasting glycaemia):空腹時血糖異常
IGT(Impaired Glucose Tolerance):耐糖能異常
っていきなりなんでしょう? (∵)?
あまり耳慣れない言葉と思いますが、糖尿病早期発見の流れにおいて大切な概念なので検討してみましょうね。 (^_^)
Ⅰ
75g経口ブドウ糖負荷試験 (75gOGTT) および、空腹時血糖値による判定基準(日本糖尿病学会)
A)正常型
「空腹時血糖値が110mg/dl未満かつ120分後血糖値が140mg/dl未満」
を満たせば正常型。
B)境界型
正常型にも糖尿病型にも属さない場合をいう。
具体的にはWHO分類のIGT、IFG、IFG/IGTがある。
①2時間値が140~199mg/dlとなる耐糖能異常であるIGT (Impaired Glucose Tolerance)
IGT単独なら早朝空腹時血糖値は110mg/dl未満で正常である。
②空腹時血糖値が110~125mg/dlとなるIFG (Impaired fasting glycaemia)
IFG単独なら75gOGTTにて2時間値は140mg/dl未満で正常である。
③両者の合併であるIFG/IGT
の3つのパターンがある。
C)糖尿病型
「空腹時血糖値が126mg/dl以上または120分後血糖値が200mg/dl以上」
を満たせば糖尿病型。
Ⅱ
随時血糖値200mg/dl以上は糖尿病型
Ⅲ 糖尿病の診断
Ⅰ、Ⅱの糖尿病型を異なる日に2回以上確認できたら糖尿病と診断。
Ⅳ 糖尿病発症に到る流れ
1)IGT→糖尿病(食後血糖値200mg/dl以上または75gOGTT2時間値200mg/dl以上)
既に糖尿病を発症していても早朝空腹時血糖値は正常で健診で見逃される。
2)IGT→IFG/IGT→糖尿病(上記200mg/dl以上または空腹時血糖値126mg/dl以上)
IFG/IGTの段階で、通常の健診でもチェックできる。
3)1FG→IFG/IGT→糖尿病
通常の健診でもチェックできる。パターンとしては少ない。
続く、
明日は「糖尿病発症に到る流れ」を検討してみます。
江部康二
【講演会・講座のお知らせ】
☆☆ 糖質制限食講演会・諏訪中央病院・長野
日時:平成21年1月21日(水)午後2時から4時
場所:諏訪中央病院 長野県茅野市玉川4300番地 TEL 0266-72-1000(代)
☆☆講座「糖尿病・メタボはこう予防する!~糖質制限食のすすめ」京都
朝日カルチャーセンター京都 http://www.asahi-culture.co.jp/www/kyoto-c.html
075-231-9693
2009年2月17日(火)13:00~14:30
【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内】
お問い合わせは高雄病院 http://takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
【糖質制限食外来治療のご案内・予約制】
高雄病院 電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院京都駅前診療所 電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
2008年12月12日 (金)
おはようございます。
実りの秋、果物を若干食べ過ぎて、ちょっぴりお腹がでかけたけれど、冬を迎えて、何とかもとに戻った江部康二です。
さて今回は、ひまわりさんから、75gOGTTについてコメント・質問をいただきました。
『はじめまして
11月に市民健診があり 41歳で初めて受けました。
その2日後 夜にお付き合いで気分が悪くなるほど食べて 何気なく自宅にあった市販の尿試験紙を使ってビックリ!!
糖が出ているのです。
で、色々勉強しているうちに 先生にたどり着きました。
健診結果を待つ3週間の間 毎日ウォーキングと白米は朝110g、昼夕は制限食でやってきました。
届いた結果は、空腹時94、空腹時尿糖(-)でした。
次の日病院に行き「75gOGTT」という検査をしました。
結果は、血糖・・(前)81、(30分後)169、(60分後)165、(120分後)62
尿糖・・(前)0.0g/dl,(120分後)0.5g/dl でした。
境界型と言われました。
「今の運動と食事制限で頑張るのも良いし、薬でコントロールするのもある」と言われましたが 薬なしでやってみる事にしました。気になったのは、120分後の数字があまりにも低いと思ったのですが、、、検査の間にフラフラ院内を歩いたせい?とか思ったり、、
先生は、この結果を見てどう診断されますか?
何分 パソコンも糖尿病も初心者で解りずらくてすみません。
by ひまわり 2008/12/10 13:56 』
ひまわりさん。コメントありがとうございます。
「75gOGTT」
血糖・・(前)81、(30分後)169、(60分後)165、(120分後)62
尿糖・・(前)0.0g/dl,(120分後)0.5g/dl
<75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)の判定基準(日本糖尿病学会)>
「空腹時血糖値が110mg/dl未満かつ120分後血糖値が140mg/dl未満」
を満たせば正常型。
「空腹時血糖値が126mg/dl以上または120分後血糖値が200mg/dl以上」
を満たせば糖尿病型。
正常型にも糖尿病型にも属さない場合は境界型。
従いまして、ひまわりさんの75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)は、日本糖尿病学会の基準に則れば、境界型ではなくて正常型ですね。 尿糖は陽性ですが、正常型で、境界型でも糖尿病でもありません。
個人差はありますが、通常血糖値が170~180 mg/dlを超えると、尿糖陽性になることが多いです。
ひまわりさんの場合、30分後169mg、60分後165mgで、120分後の尿糖が陽性ですので、通常よりやや血糖値が低い段階で、尿糖が陽性になるタイプのようですね。
120分後の血糖値が62mg/dlと低いのは、インスリンが少し過剰に分泌されたためと考えられます。
75gの液体のブドウ糖は、日常の食事では考えられない、極めて吸収されやすい糖質です。そのためインスリンが過剰に分泌されたのでしょう。
空腹時血糖値は81mg/dlですから、インスリン基礎分泌もしっかりあります。120分後血糖値が低くなるくらい、インスリン追加分泌もでています。
これなら、薬は要りませんというか、完全に耐糖能は正常ですね。食事療法も精製された炭水化物をやめて未精製の穀物を主食とするくらいで充分だと思います。例えば「高雄病院食生活十箇条」ですね。勿論糖質制限食をされてもよろしいです。
江部康二
<高雄病院食生活十箇条>
アトピー性皮膚炎やアレルギー疾患の患者さんに、
そして糖尿病や高脂血症などの生活習慣病予防に
一、主食は未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
二、白パン・白砂糖など精製炭水化物の摂取は極力減らす
三、発酵食品(味噌、漬け物、納豆など)をきちんと食べる
四、液体でカロリーを摂らない(飲みものは水、番茶、麦茶、ほうじ茶など)
五、魚貝類はしっかり食べ、肉類は適量を摂る
六、季節の野菜や海草はしっかり食べ、旬の果物も適量摂る
七、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)など身体に良い油脂は積極的に摂る
八、牛乳は極力減らし、チーズやプレーンヨーグルトは適量摂る
九、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ
十、食事は楽しく、ゆっくり、よくかんで
<『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に->
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食 べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控え る。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶も OK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は 控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルー ツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水 化物。
糖質制限食の理論的根拠
1、血糖値を急峻に上昇させるのは糖質である。
2、糖質を摂取しなければ血糖値はほとんど上昇しない。
3、糖質制限食を実践すれば血糖値は上昇せず糖尿病は改善する。
ということで、とてもシンプルです。
上記3つは、生理学的な事実なのでこのことに関しては反論の余地は皆無です。
**なお本にも書きましたが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため、既に経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
実りの秋、果物を若干食べ過ぎて、ちょっぴりお腹がでかけたけれど、冬を迎えて、何とかもとに戻った江部康二です。
さて今回は、ひまわりさんから、75gOGTTについてコメント・質問をいただきました。
『はじめまして
11月に市民健診があり 41歳で初めて受けました。
その2日後 夜にお付き合いで気分が悪くなるほど食べて 何気なく自宅にあった市販の尿試験紙を使ってビックリ!!
糖が出ているのです。
で、色々勉強しているうちに 先生にたどり着きました。
健診結果を待つ3週間の間 毎日ウォーキングと白米は朝110g、昼夕は制限食でやってきました。
届いた結果は、空腹時94、空腹時尿糖(-)でした。
次の日病院に行き「75gOGTT」という検査をしました。
結果は、血糖・・(前)81、(30分後)169、(60分後)165、(120分後)62
尿糖・・(前)0.0g/dl,(120分後)0.5g/dl でした。
境界型と言われました。
「今の運動と食事制限で頑張るのも良いし、薬でコントロールするのもある」と言われましたが 薬なしでやってみる事にしました。気になったのは、120分後の数字があまりにも低いと思ったのですが、、、検査の間にフラフラ院内を歩いたせい?とか思ったり、、
先生は、この結果を見てどう診断されますか?
何分 パソコンも糖尿病も初心者で解りずらくてすみません。
by ひまわり 2008/12/10 13:56 』
ひまわりさん。コメントありがとうございます。
「75gOGTT」
血糖・・(前)81、(30分後)169、(60分後)165、(120分後)62
尿糖・・(前)0.0g/dl,(120分後)0.5g/dl
<75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)の判定基準(日本糖尿病学会)>
「空腹時血糖値が110mg/dl未満かつ120分後血糖値が140mg/dl未満」
を満たせば正常型。
「空腹時血糖値が126mg/dl以上または120分後血糖値が200mg/dl以上」
を満たせば糖尿病型。
正常型にも糖尿病型にも属さない場合は境界型。
従いまして、ひまわりさんの75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)は、日本糖尿病学会の基準に則れば、境界型ではなくて正常型ですね。 尿糖は陽性ですが、正常型で、境界型でも糖尿病でもありません。
個人差はありますが、通常血糖値が170~180 mg/dlを超えると、尿糖陽性になることが多いです。
ひまわりさんの場合、30分後169mg、60分後165mgで、120分後の尿糖が陽性ですので、通常よりやや血糖値が低い段階で、尿糖が陽性になるタイプのようですね。
120分後の血糖値が62mg/dlと低いのは、インスリンが少し過剰に分泌されたためと考えられます。
75gの液体のブドウ糖は、日常の食事では考えられない、極めて吸収されやすい糖質です。そのためインスリンが過剰に分泌されたのでしょう。
空腹時血糖値は81mg/dlですから、インスリン基礎分泌もしっかりあります。120分後血糖値が低くなるくらい、インスリン追加分泌もでています。
これなら、薬は要りませんというか、完全に耐糖能は正常ですね。食事療法も精製された炭水化物をやめて未精製の穀物を主食とするくらいで充分だと思います。例えば「高雄病院食生活十箇条」ですね。勿論糖質制限食をされてもよろしいです。
江部康二
<高雄病院食生活十箇条>
アトピー性皮膚炎やアレルギー疾患の患者さんに、
そして糖尿病や高脂血症などの生活習慣病予防に
一、主食は未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
二、白パン・白砂糖など精製炭水化物の摂取は極力減らす
三、発酵食品(味噌、漬け物、納豆など)をきちんと食べる
四、液体でカロリーを摂らない(飲みものは水、番茶、麦茶、ほうじ茶など)
五、魚貝類はしっかり食べ、肉類は適量を摂る
六、季節の野菜や海草はしっかり食べ、旬の果物も適量摂る
七、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)など身体に良い油脂は積極的に摂る
八、牛乳は極力減らし、チーズやプレーンヨーグルトは適量摂る
九、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ
十、食事は楽しく、ゆっくり、よくかんで
<『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に->
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食 べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控え る。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶も OK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は 控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルー ツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水 化物。
糖質制限食の理論的根拠
1、血糖値を急峻に上昇させるのは糖質である。
2、糖質を摂取しなければ血糖値はほとんど上昇しない。
3、糖質制限食を実践すれば血糖値は上昇せず糖尿病は改善する。
ということで、とてもシンプルです。
上記3つは、生理学的な事実なのでこのことに関しては反論の余地は皆無です。
**なお本にも書きましたが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため、既に経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
2008年12月11日 (木)
こんばんは。
今回はジャンヌさんから、低糖質食の基準についてコメント・質問をいただきました。
『基準の数値は?
はじめまして!
スポーツ雑誌で江部先生の記事を拝見致しました。
糖質制限食のページが併設されており トマトは糖質が高いので控えたい、とありました。
食品成分表を買ってみたのですが 糖質が高いから控えるとか、 安心して食べてもよいとか 基準となる数値はどれぐらいですか? 目安を教えていただけないでしょうか?
by ジャンヌ 2008/12/11 00:45』
ジャンヌさん。コメントありがとうございます。
厚生労働省の低糖質食品の基準は、100g中5g以下の糖質です。食品成分表の炭水化物から食物繊維をひいたものが糖質です。一応、高雄病院でも目安としています。
拙著「糖質制限食 冬のレシピ」「糖質制限食 秋のレシピ」「糖質制限食 夏のレシピ」「糖質制限食 春のレシピ」には、食品糖質量の表がついていますので、参考にしていただけば幸いです。各食材一人前あたりの糖質含有量が載っています。
バーンスタイン先生によれば、1gの糖質は
体重64kgの人で
2型糖尿病の人の血糖値を3mg上昇させ、
1型糖尿病の人で5mg上昇させます。
体重が32kgの小児なら、倍上昇させることになります。
1回の食事で摂取する糖質量が、食後の血糖値を決定します。スパイクと呼ばれる急峻な血糖値の上昇があったり、食後2時間血糖値が180mgをこえると、動脈硬化のリスク要因となります。
トマトは、100g(中1個)中5.6gでほんの少しオーバーですが、私も時々食べてます。このとき、一緒に食べた他の食材に、どのていど糖質が含まれているかで食後血糖値が変わってきますね。肉や魚には、糖質はほとんど含まれていませんが、野菜には、少量含まれています。ここらに留意して、スパイクや食後高血糖を生じない範囲で食べたいですね。
精製炭水化物は、特にブドウ糖スパイクを起こしやすいので×食品です。
江部康二
今回はジャンヌさんから、低糖質食の基準についてコメント・質問をいただきました。
『基準の数値は?
はじめまして!
スポーツ雑誌で江部先生の記事を拝見致しました。
糖質制限食のページが併設されており トマトは糖質が高いので控えたい、とありました。
食品成分表を買ってみたのですが 糖質が高いから控えるとか、 安心して食べてもよいとか 基準となる数値はどれぐらいですか? 目安を教えていただけないでしょうか?
by ジャンヌ 2008/12/11 00:45』
ジャンヌさん。コメントありがとうございます。
厚生労働省の低糖質食品の基準は、100g中5g以下の糖質です。食品成分表の炭水化物から食物繊維をひいたものが糖質です。一応、高雄病院でも目安としています。
拙著「糖質制限食 冬のレシピ」「糖質制限食 秋のレシピ」「糖質制限食 夏のレシピ」「糖質制限食 春のレシピ」には、食品糖質量の表がついていますので、参考にしていただけば幸いです。各食材一人前あたりの糖質含有量が載っています。
バーンスタイン先生によれば、1gの糖質は
体重64kgの人で
2型糖尿病の人の血糖値を3mg上昇させ、
1型糖尿病の人で5mg上昇させます。
体重が32kgの小児なら、倍上昇させることになります。
1回の食事で摂取する糖質量が、食後の血糖値を決定します。スパイクと呼ばれる急峻な血糖値の上昇があったり、食後2時間血糖値が180mgをこえると、動脈硬化のリスク要因となります。
トマトは、100g(中1個)中5.6gでほんの少しオーバーですが、私も時々食べてます。このとき、一緒に食べた他の食材に、どのていど糖質が含まれているかで食後血糖値が変わってきますね。肉や魚には、糖質はほとんど含まれていませんが、野菜には、少量含まれています。ここらに留意して、スパイクや食後高血糖を生じない範囲で食べたいですね。
精製炭水化物は、特にブドウ糖スパイクを起こしやすいので×食品です。
江部康二
2008年12月10日 (水)
おはようございます。
ここのところ、妙に暖かい日が続いている京都です。
さて今回は、カーボバスターさんから、嬉しいコメントをいただきました。
『インスリン抵抗性が改善しました
先生、お久しぶりです。
10月6日にブログ上で取り上げていただきました、カーボバスターです。
先生のコメントを励みに、さらに糖質制限食を継続したところ、 インスリン抵抗性が改善しましたので、ご報告いたします。
【2008.10】
体重72kg、体脂肪20%、腹囲89cm、
空腹時血糖93mg/dl、 空腹時インスリン 12.8μU/ml、HbA1c 4.8%
【2008.12】
体重66kg、体脂肪15%、腹囲78cm、
空腹時血糖90mg/dl、 空腹時インスリン 6.16μU/ml、HbA1c 4.6%
HOMA-R:2.94⇒1.37
ネット上では、様々なサイトでインスリン抵抗性は改善されると書いてありますが、 具体的なデータや体験談もなく、不安な気持ちで前回質問しましたが、 先生の言葉どおり改善することができました。アドバイスありがとうございました。
ちなみに運動ですが、散歩もジョギングもまったく長続きせず、毎日4~5分程度の
筋トレのみでした。
by カーボバスター 2008/12/09 』
カーボバスターさん。良かったですね。おめでとうございます。(^-^)v(^-^)v
インスリン抵抗生の改善経過、とても参考になります。
「2年前の06年12月(当時身長175cm、体重86kg、体脂肪28%、腹囲100cm↑↑)
空腹時血糖90mg/dl、 空腹時インスリン 12.7μU/ml、HbA1c 4.7%
75g OGTT 90mg/dl(前)、90mg/dl(30分)、93mg/dl(60分)、102mg/dl(120分)
後日、食後60分(かなり食べました)では、血糖150mg/dl、インスリン480μU/ml 」
<2006年12月>175cm、86kg、腹囲100cm↑↑、体脂肪28%、BMI:28.08
空腹時血糖90mg/dl、 空腹時インスリン 12.7μU/ml HOMA-R:2.82*
<2008年10月>体重72kg、腹囲89cm、体脂肪20%、BMI:23.51
空腹時血糖93mg/dl、 空腹時インスリン 12.8μU/ml HOMA-R:2.94
<2008年12月>体重66kg、腹囲78cm、体脂肪15%、BMI:21.55
空腹時血糖90mg/dl、 空腹時インスリン 6.16μU/ml HOMA-R:1.37
カーボバスターさんのデータを拝見すると、2006年12月は
「インスリン抵抗性があって、そのため高インスリン血症もある。高インスリンで代償しているので耐糖能は75gブドウ糖負荷試験で正常。」
というパターンでした。
空腹時インスリン12.7μU/mlとやや高値**です。食後60分では、血糖150mg/dl、インスリン480μU/ml 。この480μUというインスリンの量はすごいです。私が今まで経験した中で最高値です。
このころは、「糖質過剰摂取→肥満→インスリン抵抗性出現→大量のインスリン分泌→肥満→
インスリン抵抗性増強→さらに大量のインスリン分泌→さらに肥満」という悪循環をしていたと考えられます。
糖質制限食実践で、効果的に減量ができますし、またインスリン分泌量が激減しますので、上記の肥満の悪循環が断ち切れたのだと思います。
前回コメントをいただいた2008年10月の時点でも肥満は改善してますので、インスリン抵抗性改善も時間の問題だったのでしょうね。
「ちなみに運動ですが、散歩もジョギングもまったく長続きせず、毎日4~5分程度の 筋トレのみでした。」
運動は、するほうがいいのでしょうが、糖質制限食なら運動なしでも減量できるのが、大きなアドバンテージですね。(^_^)
私も運動は全くなしの糖質制限食のみで、半年で167cm、66kgから56kgに減量できました。
*
HOMA-R=空腹時インスリン値×空腹時血糖値/405
2.5以上がインスリン抵抗性あり。1.6以下が正常。
**
SRLという大手の検査会社の空腹時インスリン基準値: 負荷前1.84~12.2(μIU/mL)
江部康二
ここのところ、妙に暖かい日が続いている京都です。
さて今回は、カーボバスターさんから、嬉しいコメントをいただきました。
『インスリン抵抗性が改善しました
先生、お久しぶりです。
10月6日にブログ上で取り上げていただきました、カーボバスターです。
先生のコメントを励みに、さらに糖質制限食を継続したところ、 インスリン抵抗性が改善しましたので、ご報告いたします。
【2008.10】
体重72kg、体脂肪20%、腹囲89cm、
空腹時血糖93mg/dl、 空腹時インスリン 12.8μU/ml、HbA1c 4.8%
【2008.12】
体重66kg、体脂肪15%、腹囲78cm、
空腹時血糖90mg/dl、 空腹時インスリン 6.16μU/ml、HbA1c 4.6%
HOMA-R:2.94⇒1.37
ネット上では、様々なサイトでインスリン抵抗性は改善されると書いてありますが、 具体的なデータや体験談もなく、不安な気持ちで前回質問しましたが、 先生の言葉どおり改善することができました。アドバイスありがとうございました。
ちなみに運動ですが、散歩もジョギングもまったく長続きせず、毎日4~5分程度の
筋トレのみでした。
by カーボバスター 2008/12/09 』
カーボバスターさん。良かったですね。おめでとうございます。(^-^)v(^-^)v
インスリン抵抗生の改善経過、とても参考になります。
「2年前の06年12月(当時身長175cm、体重86kg、体脂肪28%、腹囲100cm↑↑)
空腹時血糖90mg/dl、 空腹時インスリン 12.7μU/ml、HbA1c 4.7%
75g OGTT 90mg/dl(前)、90mg/dl(30分)、93mg/dl(60分)、102mg/dl(120分)
後日、食後60分(かなり食べました)では、血糖150mg/dl、インスリン480μU/ml 」
<2006年12月>175cm、86kg、腹囲100cm↑↑、体脂肪28%、BMI:28.08
空腹時血糖90mg/dl、 空腹時インスリン 12.7μU/ml HOMA-R:2.82*
<2008年10月>体重72kg、腹囲89cm、体脂肪20%、BMI:23.51
空腹時血糖93mg/dl、 空腹時インスリン 12.8μU/ml HOMA-R:2.94
<2008年12月>体重66kg、腹囲78cm、体脂肪15%、BMI:21.55
空腹時血糖90mg/dl、 空腹時インスリン 6.16μU/ml HOMA-R:1.37
カーボバスターさんのデータを拝見すると、2006年12月は
「インスリン抵抗性があって、そのため高インスリン血症もある。高インスリンで代償しているので耐糖能は75gブドウ糖負荷試験で正常。」
というパターンでした。
空腹時インスリン12.7μU/mlとやや高値**です。食後60分では、血糖150mg/dl、インスリン480μU/ml 。この480μUというインスリンの量はすごいです。私が今まで経験した中で最高値です。
このころは、「糖質過剰摂取→肥満→インスリン抵抗性出現→大量のインスリン分泌→肥満→
インスリン抵抗性増強→さらに大量のインスリン分泌→さらに肥満」という悪循環をしていたと考えられます。
糖質制限食実践で、効果的に減量ができますし、またインスリン分泌量が激減しますので、上記の肥満の悪循環が断ち切れたのだと思います。
前回コメントをいただいた2008年10月の時点でも肥満は改善してますので、インスリン抵抗性改善も時間の問題だったのでしょうね。
「ちなみに運動ですが、散歩もジョギングもまったく長続きせず、毎日4~5分程度の 筋トレのみでした。」
運動は、するほうがいいのでしょうが、糖質制限食なら運動なしでも減量できるのが、大きなアドバンテージですね。(^_^)
私も運動は全くなしの糖質制限食のみで、半年で167cm、66kgから56kgに減量できました。
*
HOMA-R=空腹時インスリン値×空腹時血糖値/405
2.5以上がインスリン抵抗性あり。1.6以下が正常。
**
SRLという大手の検査会社の空腹時インスリン基準値: 負荷前1.84~12.2(μIU/mL)
江部康二
2008年12月09日 (火)
おはようございます。
今回も糖尿病と癌のお話しです。
「糖尿病と発癌のリスク」という質問に、九州大学大学院医学研究院環境医学教授 池田文恵先生、清原裕先生が日本医事新報*にて回答しておられます。
以下その要約です。
「近年の疫学・臨床・基礎研究により、糖尿病と悪性腫瘍との間に密接な関連が存在することが明らかにされつつある。
糖尿病と全悪性腫瘍発症の関係について、2つの大規模な報告がある。
A) 韓国のJee等は空腹時血糖値140mg/dl以上で、男女とも悪性腫瘍の発症リスクが有意に上昇すると報告。(2005年)
B) 米国のNHANES I(全米栄養健康調査1)からの報告でも男性の糖尿病患者群で悪性腫瘍発症のリスクが有意に高かったと報告。(1995年)
その他欧米の研究報告によると、糖尿病により発症率が有意に上昇するとされる悪性腫瘍には、膵臓癌、大腸癌、肝臓癌、前立腺癌、乳癌、子宮内膜癌がある。
胃癌については、久山町研究において、空腹時血糖値と胃癌発症の間に正の関係があると報告。(2005年)肺癌と糖尿病との関係では報告はない。これは肺癌に及ぼす喫煙の影響が強いためと考えられる。」
「糖尿病が発癌のリスクを上昇させる機序は明確にされていないが、いくつかの可能性が考えられる。まず<高血糖に伴うDNA傷害><インスリン抵抗性と高インスリン血症>などが考えられる。
高血糖に伴う反応により活性酸素が発生し組織への酸化ストレスが亢進しDNA障害が生じる。また高血糖自体もDNA障害を引き起こす。DNA障害が発癌要因となる。
インスリン抵抗性と高インスリン血症による発癌の機序は、インスリンが各種組織の成長因子であることが関わる。動物実験では、高インスリン血症が、各種癌細胞の形成や増殖に関与するとの報告がある。
その他として、糖尿病に密接に関係する肥満による機序が考えられている。近年の基礎研究によれば脂肪組織から分泌される、レプチン、アディポネクチン、TNF-α、インターロイキン-6、肝細胞増殖因子といった様々なサイトカインが注目されている。
これらが抗アポトーシス作用、細胞増殖作用、血管新生作用などを有することから、癌細胞の発育促進に関与する可能性が示唆されている。」
このように糖尿病は、確実に癌発生のリスクとなることがあきらかとなってきています。
その機序を大別すると以下の3つに集約されます。
①高血糖のリスク
②高インスリン血症のリスク
③肥満のリスク
①②③の全てが、糖質制限食でコントロール可能です。
インスリン注射やSU剤は糖尿病治療に必要不可欠のものですがそれだけに頼っていては②③はクリアできません。
リスク軽減のためにも、現在インスリン注射やSU剤で治療しておられる糖尿人の皆さん、主治医ともよく相談されて、糖質制限食で薬の量を減量することを目指して下さいね。 (^_^)
*日本医事新報 No.4303(2006年10月14日) 91-92ページ
江部康二
今回も糖尿病と癌のお話しです。
「糖尿病と発癌のリスク」という質問に、九州大学大学院医学研究院環境医学教授 池田文恵先生、清原裕先生が日本医事新報*にて回答しておられます。
以下その要約です。
「近年の疫学・臨床・基礎研究により、糖尿病と悪性腫瘍との間に密接な関連が存在することが明らかにされつつある。
糖尿病と全悪性腫瘍発症の関係について、2つの大規模な報告がある。
A) 韓国のJee等は空腹時血糖値140mg/dl以上で、男女とも悪性腫瘍の発症リスクが有意に上昇すると報告。(2005年)
B) 米国のNHANES I(全米栄養健康調査1)からの報告でも男性の糖尿病患者群で悪性腫瘍発症のリスクが有意に高かったと報告。(1995年)
その他欧米の研究報告によると、糖尿病により発症率が有意に上昇するとされる悪性腫瘍には、膵臓癌、大腸癌、肝臓癌、前立腺癌、乳癌、子宮内膜癌がある。
胃癌については、久山町研究において、空腹時血糖値と胃癌発症の間に正の関係があると報告。(2005年)肺癌と糖尿病との関係では報告はない。これは肺癌に及ぼす喫煙の影響が強いためと考えられる。」
「糖尿病が発癌のリスクを上昇させる機序は明確にされていないが、いくつかの可能性が考えられる。まず<高血糖に伴うDNA傷害><インスリン抵抗性と高インスリン血症>などが考えられる。
高血糖に伴う反応により活性酸素が発生し組織への酸化ストレスが亢進しDNA障害が生じる。また高血糖自体もDNA障害を引き起こす。DNA障害が発癌要因となる。
インスリン抵抗性と高インスリン血症による発癌の機序は、インスリンが各種組織の成長因子であることが関わる。動物実験では、高インスリン血症が、各種癌細胞の形成や増殖に関与するとの報告がある。
その他として、糖尿病に密接に関係する肥満による機序が考えられている。近年の基礎研究によれば脂肪組織から分泌される、レプチン、アディポネクチン、TNF-α、インターロイキン-6、肝細胞増殖因子といった様々なサイトカインが注目されている。
これらが抗アポトーシス作用、細胞増殖作用、血管新生作用などを有することから、癌細胞の発育促進に関与する可能性が示唆されている。」
このように糖尿病は、確実に癌発生のリスクとなることがあきらかとなってきています。
その機序を大別すると以下の3つに集約されます。
①高血糖のリスク
②高インスリン血症のリスク
③肥満のリスク
①②③の全てが、糖質制限食でコントロール可能です。
インスリン注射やSU剤は糖尿病治療に必要不可欠のものですがそれだけに頼っていては②③はクリアできません。
リスク軽減のためにも、現在インスリン注射やSU剤で治療しておられる糖尿人の皆さん、主治医ともよく相談されて、糖質制限食で薬の量を減量することを目指して下さいね。 (^_^)
*日本医事新報 No.4303(2006年10月14日) 91-92ページ
江部康二
2008年12月08日 (月)
こんにちは。
今日は、氷点下1度でした。京都、今冬一番の冷え込みですね。車のフロントガラスが凍っていて、朝一の出鼻をくじかれました。
さて今回は、インスリンとガンのお話です。
これまで多くの研究で、インスリン抵抗性・高インスリン血症による腫瘍増殖・発ガン促進作用が示されています。さらに有力な報告が2つ発表されました。
①2005年の第65回米国糖尿病学会でカナダのSamantha博士等が、10309名の糖尿病患者の研究成果を報告しました。
「メトフォルミン(インスリン分泌を促進させない薬)を使用しているグループに比べて、インスリンを注射しているグループは、癌死亡率が1.9倍高まる。SU剤(インスリン分泌促進剤)内服しているグループは癌死亡率が1.3倍高まる。」
この研究は高インスリン血症の発ガン促進作用を検証した研究です。
Samantha博士等は内因性であれ、外因性であれ、
「循環しているインスリンレベルが増加すると腫瘍の進展や死亡率が高まる。」
との考えを示しました。
インスリンは、人体に絶対に必要不可欠なホルモンですが、分泌量や必要量が少なくてすめば、それにこしたことはないようです。
②世界がん研究基金(ロンドン)は、太り過ぎると、7種類のがんになる危険性が高まるという報告を纏め2007年に報告しました。
同基金は、1960年以降に世界各地で書かれた50万件の研究報告から7000件を選び出し、がんと体重、食事との関係を分析した結果、
「BMI値(体重を身長の2乗で割った数値)を20~25に保つのが望ましく、肥満によって乳がんや膵臓がんのほか、直腸、食道、子宮内膜、腎臓、胆嚢のがんになり易い」
と結論づけています。
この報告も「肥満→インスリン抵抗性→高インスリン血症→発ガン」という今までの研究報告に一致するものです。
従いまして、癌の発症要因には様々なものがあるのですが、①②を考慮すれば、「高インスリン血症、インスリン抵抗性、肥満」という明白なリスクは、糖質制限食で予防できるといえます。
一方、既に癌になっている場合、ガン細胞がGlut1*を獲得していることが多く、脳細胞や赤血球並みに血液中のブドウ糖を取り込むことができるので、糖質制限食を実践しても根絶は困難といえます。
まあ、野放しに糖質を摂取して、癌にどんどん栄養を送るよりは、兵糧攻めの意味はあると思いますが・・・
江部康二
*糖輸送体(Glut)
細胞のブドウ糖取り込み装置。
脳、赤血球などはGlut1で常に細胞の表面にあり、いつでも血液中からブドウ糖を取り込める。
筋肉や脂肪はGlut4で、通常は細胞内に沈んでいるので、あまりブドウ糖を取り込めない。インスリンが追加分泌された時などに細胞表面に移動して血液中からブドウ糖を取り込む。
今日は、氷点下1度でした。京都、今冬一番の冷え込みですね。車のフロントガラスが凍っていて、朝一の出鼻をくじかれました。
さて今回は、インスリンとガンのお話です。
これまで多くの研究で、インスリン抵抗性・高インスリン血症による腫瘍増殖・発ガン促進作用が示されています。さらに有力な報告が2つ発表されました。
①2005年の第65回米国糖尿病学会でカナダのSamantha博士等が、10309名の糖尿病患者の研究成果を報告しました。
「メトフォルミン(インスリン分泌を促進させない薬)を使用しているグループに比べて、インスリンを注射しているグループは、癌死亡率が1.9倍高まる。SU剤(インスリン分泌促進剤)内服しているグループは癌死亡率が1.3倍高まる。」
この研究は高インスリン血症の発ガン促進作用を検証した研究です。
Samantha博士等は内因性であれ、外因性であれ、
「循環しているインスリンレベルが増加すると腫瘍の進展や死亡率が高まる。」
との考えを示しました。
インスリンは、人体に絶対に必要不可欠なホルモンですが、分泌量や必要量が少なくてすめば、それにこしたことはないようです。
②世界がん研究基金(ロンドン)は、太り過ぎると、7種類のがんになる危険性が高まるという報告を纏め2007年に報告しました。
同基金は、1960年以降に世界各地で書かれた50万件の研究報告から7000件を選び出し、がんと体重、食事との関係を分析した結果、
「BMI値(体重を身長の2乗で割った数値)を20~25に保つのが望ましく、肥満によって乳がんや膵臓がんのほか、直腸、食道、子宮内膜、腎臓、胆嚢のがんになり易い」
と結論づけています。
この報告も「肥満→インスリン抵抗性→高インスリン血症→発ガン」という今までの研究報告に一致するものです。
従いまして、癌の発症要因には様々なものがあるのですが、①②を考慮すれば、「高インスリン血症、インスリン抵抗性、肥満」という明白なリスクは、糖質制限食で予防できるといえます。
一方、既に癌になっている場合、ガン細胞がGlut1*を獲得していることが多く、脳細胞や赤血球並みに血液中のブドウ糖を取り込むことができるので、糖質制限食を実践しても根絶は困難といえます。
まあ、野放しに糖質を摂取して、癌にどんどん栄養を送るよりは、兵糧攻めの意味はあると思いますが・・・
江部康二
*糖輸送体(Glut)
細胞のブドウ糖取り込み装置。
脳、赤血球などはGlut1で常に細胞の表面にあり、いつでも血液中からブドウ糖を取り込める。
筋肉や脂肪はGlut4で、通常は細胞内に沈んでいるので、あまりブドウ糖を取り込めない。インスリンが追加分泌された時などに細胞表面に移動して血液中からブドウ糖を取り込む。
2008年12月07日 (日)
こんばんは。
ブログ読者の皆さん、もうご存じの方も多いと思いますが、2008年11月に『糖質制限食 冬のレシピ』(東洋経済新報社)を刊行いたしました。
2005年に『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』を出版して以後、『糖尿病が良くなるごちそうレシピ』『 糖質制限食 春のレシピ』『糖質制限食 夏のレシピ』『主食を抜けば糖尿病は良くなる 実践編』『糖質制限食 秋のレシピ』と上梓してきましたが、今回の『冬のレシピ』でシリーズが一段落しました。
おかげさまで、総計ではありますが15万部を突破し、大手書店では、糖質制限食コーナーを設置しているところもでてきました。『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』は重版を重ね、第13刷りとなっております。
毎回新しい話題を提供するようにしてきましたが、冬のレシピでは「果物と果糖」「米国糖尿病食事療法の変遷」について検討してあります。
おかげさまでブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」も1日に3000件~4000件を超すアクセスがあり、日本において、徐々に糖質制限食が認知され広がっているのを実感しています。
本、ブログ共に応援よろしくお願い申し上げます。
江部康二
<コメント・質問に関するお知らせ>
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントや質問をいただき、ありがとうございます。
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
江部康二
<糖質制限食とは>
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。 また糖質は摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。
これらはカロリーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。 現在糖尿病において食後の急激な高血糖が大きな問題として注目されています。食後高血糖が心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。そして食後高血糖を起こすのは三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。 従って6枚切りの食パン2枚(約310キロカロリー)食べると糖質 が約50g含まれているので、血糖値は150mgも上昇します。一 方ロースステーキを300g(約1200キロカロリー)食べても糖質含有量は1gもないので食後高血糖はほとんど生じないのです。 糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。簡単に言えば主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の食パンとステーキの例でも明らかなようにカロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということが、おわかりいただけたと思います。なお糖質制限食はカロリー無制限ということではありません。一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
☆☆☆
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。*炭水化物=糖質+食物繊維
☆☆☆
糖質制限食を実践する時のご注意
本にも書きましたが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、「主食を抜けば糖尿病は良くなる」「主食を抜けば糖尿病は良くなる 実践編」「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」「 糖質制限食 春のレシピ」「 糖質制限食 夏のレシピ」「糖質制限食 秋のレシピ」「糖質制限食 冬のレシピ」を参考にして、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
【講演会・講座のお知らせ】
☆☆ 糖質制限食講演会・諏訪中央病院・長野
日時:平成21年1月21日(水)午後2時から4時
場所:諏訪中央病院 長野県茅野市玉川4300番地 TEL 0266-72-1000(代)
☆☆講座「糖尿病・メタボはこう予防する!~糖質制限食のすすめ」京都
朝日カルチャーセンター京都 http://www.asahi-culture.co.jp/www/kyoto-c.html
075-231-9693
2009年2月17日(火)13:00~14:30
【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内】
お問い合わせは高雄病院 http://takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
【糖質制限食外来治療のご案内・予約制】
高雄病院 電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院京都駅前診療所 電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
ブログ読者の皆さん、もうご存じの方も多いと思いますが、2008年11月に『糖質制限食 冬のレシピ』(東洋経済新報社)を刊行いたしました。
2005年に『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』を出版して以後、『糖尿病が良くなるごちそうレシピ』『 糖質制限食 春のレシピ』『糖質制限食 夏のレシピ』『主食を抜けば糖尿病は良くなる 実践編』『糖質制限食 秋のレシピ』と上梓してきましたが、今回の『冬のレシピ』でシリーズが一段落しました。
おかげさまで、総計ではありますが15万部を突破し、大手書店では、糖質制限食コーナーを設置しているところもでてきました。『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』は重版を重ね、第13刷りとなっております。
毎回新しい話題を提供するようにしてきましたが、冬のレシピでは「果物と果糖」「米国糖尿病食事療法の変遷」について検討してあります。
おかげさまでブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」も1日に3000件~4000件を超すアクセスがあり、日本において、徐々に糖質制限食が認知され広がっているのを実感しています。
本、ブログ共に応援よろしくお願い申し上げます。
江部康二
<コメント・質問に関するお知らせ>
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントや質問をいただき、ありがとうございます。
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
江部康二
<糖質制限食とは>
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。 また糖質は摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。
これらはカロリーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。 現在糖尿病において食後の急激な高血糖が大きな問題として注目されています。食後高血糖が心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。そして食後高血糖を起こすのは三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。 従って6枚切りの食パン2枚(約310キロカロリー)食べると糖質 が約50g含まれているので、血糖値は150mgも上昇します。一 方ロースステーキを300g(約1200キロカロリー)食べても糖質含有量は1gもないので食後高血糖はほとんど生じないのです。 糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。簡単に言えば主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の食パンとステーキの例でも明らかなようにカロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということが、おわかりいただけたと思います。なお糖質制限食はカロリー無制限ということではありません。一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
☆☆☆
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。*炭水化物=糖質+食物繊維
☆☆☆
糖質制限食を実践する時のご注意
本にも書きましたが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、「主食を抜けば糖尿病は良くなる」「主食を抜けば糖尿病は良くなる 実践編」「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」「 糖質制限食 春のレシピ」「 糖質制限食 夏のレシピ」「糖質制限食 秋のレシピ」「糖質制限食 冬のレシピ」を参考にして、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
【講演会・講座のお知らせ】
☆☆ 糖質制限食講演会・諏訪中央病院・長野
日時:平成21年1月21日(水)午後2時から4時
場所:諏訪中央病院 長野県茅野市玉川4300番地 TEL 0266-72-1000(代)
☆☆講座「糖尿病・メタボはこう予防する!~糖質制限食のすすめ」京都
朝日カルチャーセンター京都 http://www.asahi-culture.co.jp/www/kyoto-c.html
075-231-9693
2009年2月17日(火)13:00~14:30
【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内】
お問い合わせは高雄病院 http://takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
【糖質制限食外来治療のご案内・予約制】
高雄病院 電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院京都駅前診療所 電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
2008年12月07日 (日)
おはようございます。
大寒波襲来?
それなりに寒いですが、氷もはってないし雪も降ってないし、凍えるほどではない京都の朝です。
さて今回は、アメリさんからコメント・質問をいただきました。
『糖質1gあたり
江部先生
いつもありがとうございます。
糖質1gで、糖尿人の場合3~5mg血糖値が上がるとのことですが、境界型や正常人ではどのくらいなのでしょうか?
逆に言いますと(糖質以外に一緒に食べた物にもよると思いますが)、糖質1gあたりの上昇値で糖尿病がどの程度進んでいるのかわかるのものでしょうか?
by アメリ 2008/12/06』
アメリさん。コメントありがとうございます。
正常人でも1gの糖質が1mgていど血糖値を上昇させるのですが、正常人の場合は多くのグラム数の糖質を食べれば、リアルタイムにインスリンが多くでて対応します。
従って、正常人は、通常1時間値が140~180mgまでですみます。勿論2時間値は140mg未満です。
「正常人→境界人→糖尿人」と連続的に進んでいきます。
「糖質1gあたりの血糖上昇値」は、インスリンの追加分泌がどのていど作用しているかをアバウトにみていることになります。
2型糖尿病と診断がついた時点で、インスリン作用が不足しているわけですから、1gの糖質が約3mg血糖値を上昇させるパターンとなります。
1型糖尿人で内因性のインスリンがでていない場合、5mg上昇させます。これは体重約60kgくらいの人での計算ですので、体重が30kgの小児なら、倍ほど血糖値が上昇することになります。
「糖質1gあたりの上昇値で糖尿病がどの程度進んでいるのかわかるのものでしょうか?」というご質問に関しては、境界例や正常人に比べれば糖尿人は、上昇度が大きいということになります。しかし、2型糖尿病が確定している人においては、これだけでは進行度は何とも言い難いと思います。
合併症は別として、糖尿病の進行度に関しては一概にはいえませんが、インスリン基礎分泌、インスリン追加分泌の第一相と第二相、これらがどのくらい残っているのかということが大きく関係すると思います。
「75g経口ブドウ糖負荷試験」という正式の検査も、一定量の糖質摂取がどのくらい血糖値を上昇させるかをみていて、その人のインスリン作用がどのくらいあるかがわかります。
2時間値が、140mg未満が正常、200mg未満が境界型、200mg以上が糖尿病型です。
境界型や正常型でも、1時間値が180mgを超えている人は将来糖尿病になるリスクが高いとされています。
江部康二
大寒波襲来?
それなりに寒いですが、氷もはってないし雪も降ってないし、凍えるほどではない京都の朝です。
さて今回は、アメリさんからコメント・質問をいただきました。
『糖質1gあたり
江部先生
いつもありがとうございます。
糖質1gで、糖尿人の場合3~5mg血糖値が上がるとのことですが、境界型や正常人ではどのくらいなのでしょうか?
逆に言いますと(糖質以外に一緒に食べた物にもよると思いますが)、糖質1gあたりの上昇値で糖尿病がどの程度進んでいるのかわかるのものでしょうか?
by アメリ 2008/12/06』
アメリさん。コメントありがとうございます。
正常人でも1gの糖質が1mgていど血糖値を上昇させるのですが、正常人の場合は多くのグラム数の糖質を食べれば、リアルタイムにインスリンが多くでて対応します。
従って、正常人は、通常1時間値が140~180mgまでですみます。勿論2時間値は140mg未満です。
「正常人→境界人→糖尿人」と連続的に進んでいきます。
「糖質1gあたりの血糖上昇値」は、インスリンの追加分泌がどのていど作用しているかをアバウトにみていることになります。
2型糖尿病と診断がついた時点で、インスリン作用が不足しているわけですから、1gの糖質が約3mg血糖値を上昇させるパターンとなります。
1型糖尿人で内因性のインスリンがでていない場合、5mg上昇させます。これは体重約60kgくらいの人での計算ですので、体重が30kgの小児なら、倍ほど血糖値が上昇することになります。
「糖質1gあたりの上昇値で糖尿病がどの程度進んでいるのかわかるのものでしょうか?」というご質問に関しては、境界例や正常人に比べれば糖尿人は、上昇度が大きいということになります。しかし、2型糖尿病が確定している人においては、これだけでは進行度は何とも言い難いと思います。
合併症は別として、糖尿病の進行度に関しては一概にはいえませんが、インスリン基礎分泌、インスリン追加分泌の第一相と第二相、これらがどのくらい残っているのかということが大きく関係すると思います。
「75g経口ブドウ糖負荷試験」という正式の検査も、一定量の糖質摂取がどのくらい血糖値を上昇させるかをみていて、その人のインスリン作用がどのくらいあるかがわかります。
2時間値が、140mg未満が正常、200mg未満が境界型、200mg以上が糖尿病型です。
境界型や正常型でも、1時間値が180mgを超えている人は将来糖尿病になるリスクが高いとされています。
江部康二
2008年12月05日 (金)
こんばんは。朝から雨がしとしと降り続いている京都です。
明日の朝は、氷点下1度と、見ただけで凍えそうな天気予報が、ヤフーに書いてありました。
高雄病院は山あいにあるので、凍結が心配ですね。
さて、今回はもりもりさんから、「糖尿病と血糖値とうつ病」についてコメント・質問をいただきました。
『血糖値や糖尿病とストレスやうつ病などの精神的疾患との関係について
江部先生、はじめまして。
私は30才男性、糖尿病歴約1年半のもりもりと申します。
私は約2年前に仕事と人間関係のストレスから「うつ病」を発病。短期の休職を経て復職したのですが、ストレスと抗うつ剤の副作用から過食に走り、体調悪化→「糖尿病」と診断されました。
当時の血糖値は約300、HbA1Cは8と記憶しています。その後アマリールを1錠/日処方され、血糖値は下がっていきましたが、今年の春頃に精神的に不安定となり、3回目の休職→そのまま退職に至りました。
それに合わせて血糖値も悪化。7月には血糖値約450、HbA1C12までに陥りました。薬もアマリール2錠/日、メルビン2錠/日に変更になりました。
自分でも「これはまずい」と思い、自分で血糖値を測定する機器を購入したり、いろいろな食事療法・運動療法を試しました。
その中で8月頃に先生と糖質制限食のこと知り、本を購入させて頂きました。
最初は半信半疑だったのですが、糖質制限食を実行してみると、その効果にとても驚きました。
HbA1Cの値を記すと、
7月=12
8月=10
9月= 8
11月= 6.2
と目標の5.8まであと一歩のところまできました。薬も主治医にお願いしてアマリールを1錠/日に減らしてもらいした。これも全て江部先生のおかげだと思っています。本当にありがとうございます。
主治医には「炭水化物をなるべく食べないようにしている」とだけ伝えています。主治医もこのHbA1Cの改善については驚きというか疑問(?)を持っているようでした。また、旧態依然の栄養指導しかしない栄養士の指導は、右から左へ受け流しています。
私は子供の頃から太っていて、お菓子類が大好きだったのですが、最近では自分で血糖値をコントロールする方法が大分わかってきたので、ピーナッツやチーズなど糖質の少ないものを食べたり、シュークリームなど糖質の多いものを食べたときには、それを続けて食べないようにして、血糖値を高止まりさせないようにしています。
今は無職(転職活動中)であまり動いていないので、体重はあまり減ってないのですが、少し動くとすぐに体重が減るようになりました。
最後に質問なのですが、血糖値や糖尿病とストレスやうつ病などの精神的疾患との関係について、先生のご意見を頂ければと思っています。
お時間のあるときで構いませんので、よろしくお願いします。
by もりもり 2008/11/30 02:30』
もりもりさん。コメント、本のご購入ありがとうございました。
また糖質制限食で、「HbA1c12→10→8→6.2%」と見事な改善、おめでとうございます。(^-^)v(^-^)v
お薬も減量成功で良かったですね。このままいけば、アマリールも中止できるかもしれません。主治医殿とよくご相談くださいね。
従来の糖尿病の治療は、厳格なカロリー制限の食事療法、お酒は飲んではだめ、運動療法、内服薬、インスリン注射・・・
複雑で時間がかかり、制限と苦痛を伴う治療を長期間続けなくてはならないのですから、糖尿人は結構大変です。
しかも、カロリー制限の食事療法を続けている限りは、HbA1c6.5%未満のコントロール良好な糖尿人は、インスリンを打っても薬を飲んでも、運動をしても、統計的には30%弱しかいないのです。
つまり、現状では、大多数の糖尿人はコントロール不良で、医師や栄養士から無言の非難を浴びてる感じだし、自分でも言われたとおりにちゃんと食事も運動もしているのに「なぜだー!」という心境でしょう。(*_*)
こうなると投げやりになったり、うつっぽくなっても不思議ではありませんね。
実際、糖尿病とうつ病ですが、Diabetes Care という米国の医学雑誌に『糖尿病患者はうつ病になるリスクが2倍も高い』という論文がのったことがあります。
つまり、糖尿人はうつになりやすいようですし、また厄介なことに、うつがあると糖尿病も悪化しやすいという側面もあります。
うつがあると運動不足、肥満などが出現しやすく、インスリン抵抗性が増します。また、うつにより治療へのコンプライアンスの悪さもでてきます。これらにより糖尿病が悪化するのです。
逆に言えば、うつ病の治療をきっちりすることで、糖尿病が改善することもあるということですね。
ここまで糖尿人にとってやや暗いお話でしたが、救いはありますよ。
高雄病院お奨めの糖質制限食だと、カロリー計算は要らないし、お酒も飲めるし、お肉もお魚も食べ放題・・・運動も別にしなくてもOK・・・。カロリー制限の糖尿病食に比べれば、面倒くささや制約が、ほとんどありません。
唯一、糖質さえ制限すれば、あとは自由ですので、長期に渡って実践でき、苦痛は少なく、心理的にはずいぶん楽ですね。
ブログに関してはまめですが、生活面ではかなり面倒くさがりの私でも、ごく気楽に実践できてます。(^ 0 ^)
ちなみにどれくらい面倒くさがりかというと、愛車は新車で買って以来、一回も洗車したことも、車内を掃除機で掃除したこともありません。(-_-;)
スーパー糖質制限食がベースで、たまに少量の果物、ごくまれに少量の主食を摂取するパターンですが、つらさは全くありません。
ああ、そうそう糖質制限ドットコムのスイーツにはしっかり世話になってます。勿論、焼酎、赤ワイン、糖質ゼロ発泡酒は、適宜毎日飲んでますよ。( ̄ー ̄)
糖質制限食ならブドウ糖スパイクは生じず、代謝が安定しますし、お魚をたくさん食べればEPAやDHAも豊富に摂取されるので脳にやさしく、心理面でもプラスに働きます。
糖質を摂取すればブドウ糖スパイクを生じます。この血糖値の上下動が大きいほど心理面でも不安定になりやすいのです。糖尿人の皆さん、是非とも美味しく楽しく 糖質制限食を実践してくださいね。
**
グルコーススパイク(ブドウ糖スパイク)
近年の糖尿病関係の話題として、『空腹時血糖値と食後高血糖値の差(ブドウ糖スパイク)が大きいほど、リアルタイムに大血管の内皮が傷害されて動脈硬化になりやすく、将来心筋梗塞の危険性が高まる』という説が有力となっています。
糖尿病の人は、当然、ブドウ糖スパイクが大きいわけです。例えば、空腹時血糖値が100~120mgとかでも、糖尿人が糖質を摂取すると血糖値は200、300mgとなってしまいます。(脂質やタンパク質を食べても、ブドウ糖スパイクは起こりません。)
江部康二
明日の朝は、氷点下1度と、見ただけで凍えそうな天気予報が、ヤフーに書いてありました。
高雄病院は山あいにあるので、凍結が心配ですね。
さて、今回はもりもりさんから、「糖尿病と血糖値とうつ病」についてコメント・質問をいただきました。
『血糖値や糖尿病とストレスやうつ病などの精神的疾患との関係について
江部先生、はじめまして。
私は30才男性、糖尿病歴約1年半のもりもりと申します。
私は約2年前に仕事と人間関係のストレスから「うつ病」を発病。短期の休職を経て復職したのですが、ストレスと抗うつ剤の副作用から過食に走り、体調悪化→「糖尿病」と診断されました。
当時の血糖値は約300、HbA1Cは8と記憶しています。その後アマリールを1錠/日処方され、血糖値は下がっていきましたが、今年の春頃に精神的に不安定となり、3回目の休職→そのまま退職に至りました。
それに合わせて血糖値も悪化。7月には血糖値約450、HbA1C12までに陥りました。薬もアマリール2錠/日、メルビン2錠/日に変更になりました。
自分でも「これはまずい」と思い、自分で血糖値を測定する機器を購入したり、いろいろな食事療法・運動療法を試しました。
その中で8月頃に先生と糖質制限食のこと知り、本を購入させて頂きました。
最初は半信半疑だったのですが、糖質制限食を実行してみると、その効果にとても驚きました。
HbA1Cの値を記すと、
7月=12
8月=10
9月= 8
11月= 6.2
と目標の5.8まであと一歩のところまできました。薬も主治医にお願いしてアマリールを1錠/日に減らしてもらいした。これも全て江部先生のおかげだと思っています。本当にありがとうございます。
主治医には「炭水化物をなるべく食べないようにしている」とだけ伝えています。主治医もこのHbA1Cの改善については驚きというか疑問(?)を持っているようでした。また、旧態依然の栄養指導しかしない栄養士の指導は、右から左へ受け流しています。
私は子供の頃から太っていて、お菓子類が大好きだったのですが、最近では自分で血糖値をコントロールする方法が大分わかってきたので、ピーナッツやチーズなど糖質の少ないものを食べたり、シュークリームなど糖質の多いものを食べたときには、それを続けて食べないようにして、血糖値を高止まりさせないようにしています。
今は無職(転職活動中)であまり動いていないので、体重はあまり減ってないのですが、少し動くとすぐに体重が減るようになりました。
最後に質問なのですが、血糖値や糖尿病とストレスやうつ病などの精神的疾患との関係について、先生のご意見を頂ければと思っています。
お時間のあるときで構いませんので、よろしくお願いします。
by もりもり 2008/11/30 02:30』
もりもりさん。コメント、本のご購入ありがとうございました。
また糖質制限食で、「HbA1c12→10→8→6.2%」と見事な改善、おめでとうございます。(^-^)v(^-^)v
お薬も減量成功で良かったですね。このままいけば、アマリールも中止できるかもしれません。主治医殿とよくご相談くださいね。
従来の糖尿病の治療は、厳格なカロリー制限の食事療法、お酒は飲んではだめ、運動療法、内服薬、インスリン注射・・・
複雑で時間がかかり、制限と苦痛を伴う治療を長期間続けなくてはならないのですから、糖尿人は結構大変です。
しかも、カロリー制限の食事療法を続けている限りは、HbA1c6.5%未満のコントロール良好な糖尿人は、インスリンを打っても薬を飲んでも、運動をしても、統計的には30%弱しかいないのです。
つまり、現状では、大多数の糖尿人はコントロール不良で、医師や栄養士から無言の非難を浴びてる感じだし、自分でも言われたとおりにちゃんと食事も運動もしているのに「なぜだー!」という心境でしょう。(*_*)
こうなると投げやりになったり、うつっぽくなっても不思議ではありませんね。
実際、糖尿病とうつ病ですが、Diabetes Care という米国の医学雑誌に『糖尿病患者はうつ病になるリスクが2倍も高い』という論文がのったことがあります。
つまり、糖尿人はうつになりやすいようですし、また厄介なことに、うつがあると糖尿病も悪化しやすいという側面もあります。
うつがあると運動不足、肥満などが出現しやすく、インスリン抵抗性が増します。また、うつにより治療へのコンプライアンスの悪さもでてきます。これらにより糖尿病が悪化するのです。
逆に言えば、うつ病の治療をきっちりすることで、糖尿病が改善することもあるということですね。
ここまで糖尿人にとってやや暗いお話でしたが、救いはありますよ。
高雄病院お奨めの糖質制限食だと、カロリー計算は要らないし、お酒も飲めるし、お肉もお魚も食べ放題・・・運動も別にしなくてもOK・・・。カロリー制限の糖尿病食に比べれば、面倒くささや制約が、ほとんどありません。
唯一、糖質さえ制限すれば、あとは自由ですので、長期に渡って実践でき、苦痛は少なく、心理的にはずいぶん楽ですね。
ブログに関してはまめですが、生活面ではかなり面倒くさがりの私でも、ごく気楽に実践できてます。(^ 0 ^)
ちなみにどれくらい面倒くさがりかというと、愛車は新車で買って以来、一回も洗車したことも、車内を掃除機で掃除したこともありません。(-_-;)
スーパー糖質制限食がベースで、たまに少量の果物、ごくまれに少量の主食を摂取するパターンですが、つらさは全くありません。
ああ、そうそう糖質制限ドットコムのスイーツにはしっかり世話になってます。勿論、焼酎、赤ワイン、糖質ゼロ発泡酒は、適宜毎日飲んでますよ。( ̄ー ̄)
糖質制限食ならブドウ糖スパイクは生じず、代謝が安定しますし、お魚をたくさん食べればEPAやDHAも豊富に摂取されるので脳にやさしく、心理面でもプラスに働きます。
糖質を摂取すればブドウ糖スパイクを生じます。この血糖値の上下動が大きいほど心理面でも不安定になりやすいのです。糖尿人の皆さん、是非とも美味しく楽しく 糖質制限食を実践してくださいね。
**
グルコーススパイク(ブドウ糖スパイク)
近年の糖尿病関係の話題として、『空腹時血糖値と食後高血糖値の差(ブドウ糖スパイク)が大きいほど、リアルタイムに大血管の内皮が傷害されて動脈硬化になりやすく、将来心筋梗塞の危険性が高まる』という説が有力となっています。
糖尿病の人は、当然、ブドウ糖スパイクが大きいわけです。例えば、空腹時血糖値が100~120mgとかでも、糖尿人が糖質を摂取すると血糖値は200、300mgとなってしまいます。(脂質やタンパク質を食べても、ブドウ糖スパイクは起こりません。)
江部康二
2008年12月04日 (木)
おはようございます。
今回も昨日に続いて、「糖質制限食実践で耐糖能改善」という嬉しいコメントをたまさんからいただきました。
『以前、2時間後の血糖値について質問させていただきました
私の場合
HbA1c:5.1、空腹時:80台後半、2時間後:218でしたので正常高値ができても何も発見できませんね(;´∩`)
最近、再試験を受けてきました
結果は
HbA1c:4.8、空腹時:89、1時間後:204、2時間後:175
と、完璧ではありませんでしたが改善されてました
(「改善」と思って良いでしょうか?)
主食やお菓子は抜けても食材に含まれる糖質までは目が行き届かないのですが(;´∩`)それでも、制限したことで、きちんと変化するんですね
次の段階目指して継続してがんばります(^□^)
by たま 2008/11/27 12:26』
たまさん。コメントありがとうございます。
「HbA1c:5.1、空腹時:80台後半、2時間後:218」
確かにこのデータなら、
メタボ健診の特定保健指導レベル100mg/dl以上
日本糖尿病学会の新しい基準「正常高値」100mg/dL~110mg/dL未満
といった基準でも発見できませんね。
やはり、食べ始めてから2時間後の血糖値測定が、糖尿病早期発見には一番良いですね。
あるいは、もっと簡便に
まず食後2時間の尿糖を調べる。
陰性のひとはOK。
尿糖陽性の人は
暇があれば、75g経口ブドウ糖負荷試験、
忙しい人は、食べ始めて2時間後の血糖値測定。
これなら、無駄な医療費や手間暇かけずに糖尿病の早期発見が可能ですね。 (^_^)
「HbA1c:4.8、空腹時:89、1時間後:204、2時間後:175」
糖質制限食実践後の再検査(75g経口ブドウ糖負荷試験?)では、2時間後血糖値が175mgであり、診断基準的には200mg未満と境界型にまで改善しています。糖質制限食で膵臓が休養できて、疲弊していたβ細胞が回復したおかげでしょう。
このまま糖質制限食を続けられて、さらに耐糖能が改善すれば、2時間値が140mg未満の正常型も夢ではありませんね。(⌒o⌒)v
江部康二
今回も昨日に続いて、「糖質制限食実践で耐糖能改善」という嬉しいコメントをたまさんからいただきました。
『以前、2時間後の血糖値について質問させていただきました
私の場合
HbA1c:5.1、空腹時:80台後半、2時間後:218でしたので正常高値ができても何も発見できませんね(;´∩`)
最近、再試験を受けてきました
結果は
HbA1c:4.8、空腹時:89、1時間後:204、2時間後:175
と、完璧ではありませんでしたが改善されてました
(「改善」と思って良いでしょうか?)
主食やお菓子は抜けても食材に含まれる糖質までは目が行き届かないのですが(;´∩`)それでも、制限したことで、きちんと変化するんですね
次の段階目指して継続してがんばります(^□^)
by たま 2008/11/27 12:26』
たまさん。コメントありがとうございます。
「HbA1c:5.1、空腹時:80台後半、2時間後:218」
確かにこのデータなら、
メタボ健診の特定保健指導レベル100mg/dl以上
日本糖尿病学会の新しい基準「正常高値」100mg/dL~110mg/dL未満
といった基準でも発見できませんね。
やはり、食べ始めてから2時間後の血糖値測定が、糖尿病早期発見には一番良いですね。
あるいは、もっと簡便に
まず食後2時間の尿糖を調べる。
陰性のひとはOK。
尿糖陽性の人は
暇があれば、75g経口ブドウ糖負荷試験、
忙しい人は、食べ始めて2時間後の血糖値測定。
これなら、無駄な医療費や手間暇かけずに糖尿病の早期発見が可能ですね。 (^_^)
「HbA1c:4.8、空腹時:89、1時間後:204、2時間後:175」
糖質制限食実践後の再検査(75g経口ブドウ糖負荷試験?)では、2時間後血糖値が175mgであり、診断基準的には200mg未満と境界型にまで改善しています。糖質制限食で膵臓が休養できて、疲弊していたβ細胞が回復したおかげでしょう。
このまま糖質制限食を続けられて、さらに耐糖能が改善すれば、2時間値が140mg未満の正常型も夢ではありませんね。(⌒o⌒)v
江部康二
2008年12月03日 (水)
おはようございます。
今回はサラリーマンさんから、「糖質制限食実践で耐糖能が糖尿病型から正常レベルに改善」というとても嬉しいコメントをいただきました。
『08/11/26 サラリーマン
こんにちは。
以前私の兄が糖尿なのに病院に行きたがらないという質問に対してアドバイスをいただきましてありがとうございました。
兄は病院には行ってませんが、健康診断は必ず受けてますのでとりあえずは安心かなと思っています。
その後も私も兄もスーパー糖質制限食をきちんと守って実践していまして、私は常に空腹血糖値は95前後、HbA1c4.9%と主治医も満面の笑みで「模範生ですね」とおっしゃるぐらいの状態を維持しています。
スーパー糖質制限を実行して数ヶ月になりますが、昨日忘年会でどうしてもお米(150g前後)を食べる機会がありまして嫌々ながらも久しぶりのお米(牡蠣ご飯)に感動してついつい完食してしまいました(^^;)
お米以外にも炭水化物がいろいろとあったので、食べないでおこうと思ってたのですが我慢しきれず食べてしまいました・・・
血糖値が気になってしまったので
隠れて測定したのですが、1時間値が174、2時間値はなんと105という数値でした。
先生の推奨では2時間値が180以下なのでこれはセーフと考えて良いのでしょうか?
長い間お米を食べてなかったので本当においしかったのですが、この数値ですと1ヶ月に一回程度ならお米や炭水化物を食べても良いと思える状態なのでしょうか?
アドバイスをよろしくおねがいしますm(_ _)m 』
サラリーマンさん。コメントありがとうございます。
日頃の空腹時血糖値が95mg前後、HbA1cが4.9%
150gの牡蠣ご飯を食べて、
1時間後血糖値が174mg、
2時間後血糖値が105mg、
これらのデータならならもう完璧に正常人ですね。1時間値が180mgを超えてなくて、2時間値は140mg未満ですから、文句のつけようがない正常データです。(⌒o⌒)v
サラリーマンさん、糖質制限食の実践により、疲弊していた膵臓のβ細胞が休養できて回復し、少なくとも検査データでは耐糖能が正常に回復しています。羨ましい限りです。おめでとうございます。(^-^)v(^-^)v
いったん糖尿人になっておられますので、100/100回復というのは無理と思いますが、95/100とかβ細胞が回復して、耐糖能が正常人と同じレベルに改善したのでしょう。
従いまして、150gていどのご飯なら毎日食べても、血糖コントロールに関しては問題ないですね。可能なら未精製の穀物がいいですね。
まあ2年前は、糖尿病の診断がついておられますので、安全率をかけて毎日食べるなら、玄米で110gていど、週1回くらいなら150gでも大丈夫でしょう。 (^_^)
私の場合は、既にβ細胞が一定以上のダメージを被っている段階で診断がついたので、スーパー糖質制限食を実践していても、耐糖能正常レベルまでは回復不能です。牡蠣ご飯150g食べたら、食後2時間血糖値は、200mgアップ確実です。
こういうわけですから、糖尿人あるいは糖尿病予備軍の皆さん、早い段階から糖質制限食をはじめて、膵臓を休養させ守ってやることがとても大切ですね。早ければ早いほどいいですよ。
江部康二
今回はサラリーマンさんから、「糖質制限食実践で耐糖能が糖尿病型から正常レベルに改善」というとても嬉しいコメントをいただきました。
『08/11/26 サラリーマン
こんにちは。
以前私の兄が糖尿なのに病院に行きたがらないという質問に対してアドバイスをいただきましてありがとうございました。
兄は病院には行ってませんが、健康診断は必ず受けてますのでとりあえずは安心かなと思っています。
その後も私も兄もスーパー糖質制限食をきちんと守って実践していまして、私は常に空腹血糖値は95前後、HbA1c4.9%と主治医も満面の笑みで「模範生ですね」とおっしゃるぐらいの状態を維持しています。
スーパー糖質制限を実行して数ヶ月になりますが、昨日忘年会でどうしてもお米(150g前後)を食べる機会がありまして嫌々ながらも久しぶりのお米(牡蠣ご飯)に感動してついつい完食してしまいました(^^;)
お米以外にも炭水化物がいろいろとあったので、食べないでおこうと思ってたのですが我慢しきれず食べてしまいました・・・
血糖値が気になってしまったので
隠れて測定したのですが、1時間値が174、2時間値はなんと105という数値でした。
先生の推奨では2時間値が180以下なのでこれはセーフと考えて良いのでしょうか?
長い間お米を食べてなかったので本当においしかったのですが、この数値ですと1ヶ月に一回程度ならお米や炭水化物を食べても良いと思える状態なのでしょうか?
アドバイスをよろしくおねがいしますm(_ _)m 』
サラリーマンさん。コメントありがとうございます。
日頃の空腹時血糖値が95mg前後、HbA1cが4.9%
150gの牡蠣ご飯を食べて、
1時間後血糖値が174mg、
2時間後血糖値が105mg、
これらのデータならならもう完璧に正常人ですね。1時間値が180mgを超えてなくて、2時間値は140mg未満ですから、文句のつけようがない正常データです。(⌒o⌒)v
サラリーマンさん、糖質制限食の実践により、疲弊していた膵臓のβ細胞が休養できて回復し、少なくとも検査データでは耐糖能が正常に回復しています。羨ましい限りです。おめでとうございます。(^-^)v(^-^)v
いったん糖尿人になっておられますので、100/100回復というのは無理と思いますが、95/100とかβ細胞が回復して、耐糖能が正常人と同じレベルに改善したのでしょう。
従いまして、150gていどのご飯なら毎日食べても、血糖コントロールに関しては問題ないですね。可能なら未精製の穀物がいいですね。
まあ2年前は、糖尿病の診断がついておられますので、安全率をかけて毎日食べるなら、玄米で110gていど、週1回くらいなら150gでも大丈夫でしょう。 (^_^)
私の場合は、既にβ細胞が一定以上のダメージを被っている段階で診断がついたので、スーパー糖質制限食を実践していても、耐糖能正常レベルまでは回復不能です。牡蠣ご飯150g食べたら、食後2時間血糖値は、200mgアップ確実です。
こういうわけですから、糖尿人あるいは糖尿病予備軍の皆さん、早い段階から糖質制限食をはじめて、膵臓を休養させ守ってやることがとても大切ですね。早ければ早いほどいいですよ。
江部康二
2008年12月01日 (月)
こんにちは。
今回はリュカさんから、妊娠糖尿病についてコメント・質問をいただきました。
『先生いつもありがとうございます。妊娠糖尿病について教えてください。
私は第一子妊娠中期に空腹時血糖値が110と高めに出たので、家族歴(父が2型糖尿病)も考慮して検査を受けるように言われました。
結果はHbA1c4.9で、糖負荷試験の結果は糖尿病型でした。
その後健康な子供を出産し、産後は空腹時血糖値も82になっていました。
2年後に再び妊娠し、途中までは何の問題もなく経過していましたが、後期になるとどんどん胎児が大きくなってしまいました。
そこで9か月の終りにようやく検査しましょうと言われて調べるとHbA1cはなんと6.8もありました。
しかし「食事に気をつけなさい」としか言われず、前回が帝王切開であったため予定帝王切開で出産しました。
第2子は4500g近くもある巨大児で、出生後新生児呼吸窮迫症候群になり1か月ほどNICUに入院しました。
さいわい子供は特に異常はなく、脳への後遺症もなくいまは標準体型で元気に暮らしています。
また私も産後5日目に受けた糖負荷試験の結果は正常値(正常値の中ではやや高めですが)でした。
上記の検査結果から察するに、第一子を妊娠する前は糖尿病ではなく、二度の妊娠中に二度とも妊娠糖尿病になったと解釈すればよいのでしょうか?
恥ずかしながら体重がかなりありますので(産後すぐでBMI28ちょっとでした)医師は「標準体重まで痩せれば大丈夫だ」と言っていたのですが…今はスーパー糖質制限食で5キロ以上体重が減り、まだまだ目標まで遠いですがこのまま続けようと思っています。
それとHbA1c6.8というのは相当高い値だと思うのですが、通常その状態ではインスリン注射などの治療を行うのが当たり前ではなかったでしょうか?今となっては何を言ってもどうしようもないですが…(当時糖質制限食を知っておけば…と思っています)
by リュカ 2008/11/23 06:05』
リュカさん。コメントありがとうございます。
データからみてリュカさんの場合、ご推察通り、「第一子を妊娠する前は糖尿病ではなく、二度の妊娠中に二度とも妊娠糖尿病になった」と考えられます。
妊娠中、特に中期以降は、インスリン抵抗性が増すので、糖尿病を発症しやすくなります。
妊娠中HbA1c6.8%なら、仰有るとおり、インスリン注射をして血糖コントロールするのがセオリーとなります。通常のカロリー制限食であれば、インスリンを打たない限り血糖コントロールは困難です。
一方、糖質制限食なら、インスリン注射なしで血糖コントロールができる可能性がありますね。
5kg減量成功とのことですが、第三子を考えておられるなら糖質制限食を続けられて、標準体重を目指しましょう。
☆☆☆
<妊娠糖尿病> 再掲
今まで糖尿病でなかったのに、妊娠した後初めて糖尿病になる場合があります。これが「妊娠糖尿病」で、妊婦の約3%くらいにみられます。
肥満、糖尿病の家族歴、高齢、などが妊娠糖尿病のリスクとなります。もともとの糖尿病患者が妊娠することを「糖尿病合併妊娠」といい、二つはわけて分類されています。
妊娠すると、胎盤が形成され「母体・胎盤・胎児」がひとつのユニットとなります。この時、健常な胎児を発育・成長させるために胎盤や母体がヒト胎盤性ラクトーゲン(hPL)、成長ホルモン、グルカゴン、カテコラミン、糖質コルチコイドなどのホルモンを分泌し、それらによりインスリン抵抗性(インスリンの効きが悪くなること)がでてきます。
これらのホルモンは、妊娠の進行とともに増加しますから、特に妊娠中期以後にインスリン抵抗性が増加して、血糖値が上昇しやすくなります。
正常の妊婦は、インスリン抵抗性が増強する時期には、インスリンを多く分泌して血糖値が上昇しないように対処します。しかし、必要なだけのインスリンを分泌することができない体質の妊婦は、血糖値が上昇し妊娠糖尿病を発症します。
妊娠糖尿病は、通常は妊娠期間が終わったら、糖尿病の症状は消失します。しかし、約2%は出産後も糖尿病が続きます。
現在では妊娠糖尿病は「妊娠中に発症もしくは初めて発見された耐糖能低下をいう」と定義されています。
このため、お産が終わって、6~12週間後に経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を行って、正常型、境界型、糖尿病型に分類します。
なお日本では、若い女性の2型糖尿病が少し増えています。従って、可能性として、「糖尿病が既にあったのに検査していなくて見過ごされていて、たまたま妊娠して検査したら糖尿病が発見された。」というパターンがあり得ます。
この場合は、「妊娠糖尿病」ではなくて「糖尿病合併妊娠」の見逃しになります。高血糖に由来する奇形の発生は、妊娠7週までに規定されることが明らかになっていますので、妊娠機会のある女性は、糖尿病や境界型の有無を調べておくのがお奨めですね。
なお妊娠許可の条件として
HbA1c6%以下が設定されています。
妊娠中は
HbA1c5.8%以下が目標です。
血糖値の目安としては
妊娠前
食前血糖100mg/dL 以下、食後2時間血糖120mg/dL 以下、
妊娠中
食前血糖100mg/dL 以下、食後2時間血糖100mg/dL 以下、
となっています。
江部康二
今回はリュカさんから、妊娠糖尿病についてコメント・質問をいただきました。
『先生いつもありがとうございます。妊娠糖尿病について教えてください。
私は第一子妊娠中期に空腹時血糖値が110と高めに出たので、家族歴(父が2型糖尿病)も考慮して検査を受けるように言われました。
結果はHbA1c4.9で、糖負荷試験の結果は糖尿病型でした。
その後健康な子供を出産し、産後は空腹時血糖値も82になっていました。
2年後に再び妊娠し、途中までは何の問題もなく経過していましたが、後期になるとどんどん胎児が大きくなってしまいました。
そこで9か月の終りにようやく検査しましょうと言われて調べるとHbA1cはなんと6.8もありました。
しかし「食事に気をつけなさい」としか言われず、前回が帝王切開であったため予定帝王切開で出産しました。
第2子は4500g近くもある巨大児で、出生後新生児呼吸窮迫症候群になり1か月ほどNICUに入院しました。
さいわい子供は特に異常はなく、脳への後遺症もなくいまは標準体型で元気に暮らしています。
また私も産後5日目に受けた糖負荷試験の結果は正常値(正常値の中ではやや高めですが)でした。
上記の検査結果から察するに、第一子を妊娠する前は糖尿病ではなく、二度の妊娠中に二度とも妊娠糖尿病になったと解釈すればよいのでしょうか?
恥ずかしながら体重がかなりありますので(産後すぐでBMI28ちょっとでした)医師は「標準体重まで痩せれば大丈夫だ」と言っていたのですが…今はスーパー糖質制限食で5キロ以上体重が減り、まだまだ目標まで遠いですがこのまま続けようと思っています。
それとHbA1c6.8というのは相当高い値だと思うのですが、通常その状態ではインスリン注射などの治療を行うのが当たり前ではなかったでしょうか?今となっては何を言ってもどうしようもないですが…(当時糖質制限食を知っておけば…と思っています)
by リュカ 2008/11/23 06:05』
リュカさん。コメントありがとうございます。
データからみてリュカさんの場合、ご推察通り、「第一子を妊娠する前は糖尿病ではなく、二度の妊娠中に二度とも妊娠糖尿病になった」と考えられます。
妊娠中、特に中期以降は、インスリン抵抗性が増すので、糖尿病を発症しやすくなります。
妊娠中HbA1c6.8%なら、仰有るとおり、インスリン注射をして血糖コントロールするのがセオリーとなります。通常のカロリー制限食であれば、インスリンを打たない限り血糖コントロールは困難です。
一方、糖質制限食なら、インスリン注射なしで血糖コントロールができる可能性がありますね。
5kg減量成功とのことですが、第三子を考えておられるなら糖質制限食を続けられて、標準体重を目指しましょう。
☆☆☆
<妊娠糖尿病> 再掲
今まで糖尿病でなかったのに、妊娠した後初めて糖尿病になる場合があります。これが「妊娠糖尿病」で、妊婦の約3%くらいにみられます。
肥満、糖尿病の家族歴、高齢、などが妊娠糖尿病のリスクとなります。もともとの糖尿病患者が妊娠することを「糖尿病合併妊娠」といい、二つはわけて分類されています。
妊娠すると、胎盤が形成され「母体・胎盤・胎児」がひとつのユニットとなります。この時、健常な胎児を発育・成長させるために胎盤や母体がヒト胎盤性ラクトーゲン(hPL)、成長ホルモン、グルカゴン、カテコラミン、糖質コルチコイドなどのホルモンを分泌し、それらによりインスリン抵抗性(インスリンの効きが悪くなること)がでてきます。
これらのホルモンは、妊娠の進行とともに増加しますから、特に妊娠中期以後にインスリン抵抗性が増加して、血糖値が上昇しやすくなります。
正常の妊婦は、インスリン抵抗性が増強する時期には、インスリンを多く分泌して血糖値が上昇しないように対処します。しかし、必要なだけのインスリンを分泌することができない体質の妊婦は、血糖値が上昇し妊娠糖尿病を発症します。
妊娠糖尿病は、通常は妊娠期間が終わったら、糖尿病の症状は消失します。しかし、約2%は出産後も糖尿病が続きます。
現在では妊娠糖尿病は「妊娠中に発症もしくは初めて発見された耐糖能低下をいう」と定義されています。
このため、お産が終わって、6~12週間後に経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を行って、正常型、境界型、糖尿病型に分類します。
なお日本では、若い女性の2型糖尿病が少し増えています。従って、可能性として、「糖尿病が既にあったのに検査していなくて見過ごされていて、たまたま妊娠して検査したら糖尿病が発見された。」というパターンがあり得ます。
この場合は、「妊娠糖尿病」ではなくて「糖尿病合併妊娠」の見逃しになります。高血糖に由来する奇形の発生は、妊娠7週までに規定されることが明らかになっていますので、妊娠機会のある女性は、糖尿病や境界型の有無を調べておくのがお奨めですね。
なお妊娠許可の条件として
HbA1c6%以下が設定されています。
妊娠中は
HbA1c5.8%以下が目標です。
血糖値の目安としては
妊娠前
食前血糖100mg/dL 以下、食後2時間血糖120mg/dL 以下、
妊娠中
食前血糖100mg/dL 以下、食後2時間血糖100mg/dL 以下、
となっています。
江部康二
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