グリコランと糖尿病

おはようございます。昨日は、2週間ぶりにテニスをしたので、本日少し節々が痛みます。(-_-;)

せめて週一回くらいのテニスを確保したいのですが、なかなかままなりません。来週の日曜日も東京なので、テニスできません。

さて今回は、ゆうさんからグリコランについてコメント・質問をいただきました。

糖尿病とグリコランについて
江部先生おはようございます。
ゆうです。
また質問があります。

私は今グリコランを服用しておりますが、HbA1C5,4・食後2H160の症状で今後も必要なものなのでしょうか。
仮に主治医が投薬を中止しなかった場合、服用がかえって体を害してしまうのということはないのでしょうか。
さらに、例えばですが少し糖質を摂りすぎてしまったというような場合に自己判断で頓服的な服用は、やってもいいことなのでしょうか。(その場合の効果や体への影響からみて)
急ぎませんのですみませんが宜しくお願いいたします。
by ゆう 2008/10/03 06:08 』


ゆうさん。コメントありがとうございます。

グリコランは、糖尿病の内服薬の中で、ビグアナイド系薬剤に属します。

ビグアナイド系薬剤は、その中の一つのフェンホルミンという薬が乳酸アシドーシス**という副作用を起こしやすかったため、一時期他の薬も含めてほとんど使われていませんでした。

しかし乳酸アシドーシスを起こしにくい塩酸メトホルミン(メルビン、グリコランなど)塩酸ブホルミン(ジベトスB、ジベトンSなど)などが近年見直されてきました。

これは、大規模臨床試験(UKPDS:1998年報告)で、「塩酸メトホルミン投与により肥満のある2型糖尿病患者で死亡率を減少させた」という結果がでたことによる影響が大きいと思います。

ビグアナイド剤の作用は、肝臓での糖新生の抑制が主で、その他消化管からの糖吸収の抑制、末梢組織でのインスリン抵抗性の改善などがあります。

従ってSU剤とは違って、膵臓に直接作用するのではなく、膵外作用で血糖値を下げますので、膵臓には優しい薬といえます。また体重増加を来しにくいのも長所ですね。 (^_^)

単独使用では、低血糖を起こす危険は極めて低いです。糖質制限食的にも、問題の少ない良い薬です。

しかし、肝腎の効きがそれほど良くないのです。理論的にはいい感じなのになぜでしょう?

実は、欧米における1日使用量は1500〜2000mgなのですが、日本では1日、750mg以下となっているのです。

私も、膵臓に負担をかけない糖質制限食にぴったりの薬ということで、大勢の患者さんに処方してみたのですが、量が少なすぎるためなのか、「効いた!」という印象がやや薄いのです。

それで現在、日本内分泌学会などが、欧米並の1日量2000mgまで許可するように、厚生労働省に申請中なのです。

なお、肝障害や腎障害がある人は、やはり乳酸アシドーシスを起こしやすいので注意が必要です。また、心肺機能に障害のある人や高齢者も、腎予備力の低下がありえるので慎重投与です。上記以外の人には、副作用は少ない薬です。

ご質問ですが
「私は今グリコランを服用しておりますが、HbA1C5,4・食後2H160の症状で今後も必要なものなのでしょうか。
仮に主治医が投薬を中止しなかった場合、服用がかえって体を害してしまうのということはないのでしょうか。」


グリコランで害がある可能性は、上述のように、腎障害や肝障害がなければ心配ないです。HbA1C5,4%はコントロール優ですね。食後2時間血糖値が160mgでまあまあですが、理想的には140mg未満を目指したいですね。140mg未満が達成できたら、主治医とよく相談されて、休薬もありかと思います。

「さらに、例えばですが少し糖質を摂りすぎてしまったというような場合に自己判断で頓服的な服用は、やってもいいことなのでしょうか。」

グリコランは、頓服的な服用では、あまり効果は期待できないと思いますよ。

糖質摂取直前に内服する、グルコバイ、ベイスン、セイブルなどのα−グルコシダーゼ阻害薬や、グルファスト、スターシスなどの速効型インスリン分泌促進剤とは、位置づけが異なるお薬ですね。


江部康二

**
乳酸アシドーシス
ビグアナイド系薬剤は、肝における乳酸からの糖新生を抑制することで血糖を下げるので、相対的に乳酸が増加します。通常は乳酸が増加すればその代謝が活発となり、乳酸値のバランスは保たれます。

しかし、肝での乳酸の代謝能が低下している場合や、腎機能障害があるときは、乳酸が増加した時に処理しきれずに高乳酸血症となり、乳酸アシドーシスを発症する危険性があります。

乳酸アシドーシスの初期症状として悪心、嘔吐、腹痛、下痢等や、倦怠感、筋肉痛などがあります。

テーマ: 糖尿病 -  ジャンル: ヘルス・ダイエット
by ドクター江部  at 10:34 |  糖尿病の内服薬 |  comment (4)  |  trackback (0)  |  page top ↑
プロフィール

ドクター江部

Author:ドクター江部
江部康二です。京都の高雄病院で勤務しています。漢方やアトピー治療でご存知の方もおられるかと思いますが、最近、自分が糖尿病だということが発覚し、糖尿病の新しい食事療法『糖質制限食』に力を入れてます。これからも宜しくお願いしますね。

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