Thu
10/02
2008
グルコーススパイク(急激な食後高血糖)
こんばんは。
朝は寒かったけれど、昼からとてもいいお天気で、暑いくらいになった京都です。温度差が結構あるので、皆さん体調にご注意下さいね。
さて今回は、グルコーススパイクに関して、ワキさんからコメント・質問をいただきました。
『食後血糖値上昇
はじめまして。8月の末に人間ドックで糖尿病を発見した新米糖尿人です。生来の凝り性ですので、血糖値をこまめに自己測定しながら楽しく(?)コントロールしています。自分の体に無頓着でしたが、糖尿をきっかけにコントロールすることの楽しさを知りました。体も今の方が随分好調です。病気も悪いことばかりじゃないですねぇ。
さて、グルコーススパイクについて質問させてください。
どこにも載ってなかったので・・・。
グルコーススパイクとは、食後の血糖値の急激な上昇であると定義されていますが、たとえば・・・
1)食前 120 → 食後 170
2)食前 70 → 食後140
この場合、1)はその差50、2)はその差70。
血糖値としては2の方がコントロール優良だと思うのですが、空腹時と、食後の差は大きくなります。この差の絶対値が大きい方が欠陥への悪い影響が大きいとすれば、食前(空腹時)の血糖値を下げすぎないように(たとえば2の場合空腹時血糖を90〜100にコントロールする)方が、良いのでしょうか?
藪から棒に質問で恐縮です・・・。
是非ご教授ください。
by ワキ 2008/09/27 15:40』
ワキさん、コメントありがとうございます。
「1)食前 120 → 食後 170
2)食前 70 → 食後140
この場合、1)はその差50、2)はその差70。」
このどちらが良くないかという、質問ですが、これを直接比較検討したような文献はありません。従って断定はできませんが、以下私の考えを述べます。
まず、グルコーススパイクですが、基本的には急激な食後高血糖のことをいいます。グルコーススパイクは、境界領域〜糖尿病を中心に広くみられます。
スパイク(spike)とは、とがったものを示す単語です。糖質摂取後2〜3時間程度の短時間だけ持続して、ほぼ元の血糖レベルにまで戻る、鋭角に尖った山のような血糖上昇を指します。
食後高血糖ですから、基本的には140mg/dl以上をいいます。つまり、食後140mg未満は高血糖とは言わないし、正常範囲ですので細胞障害や血管壁への害はないと思います。
文献的には食後2時間血糖値が180mg/dlを超えてくると心・脳の大血管合併症進行のリスクが高まります。
また、食後1時間値が180mg/dlを超えても、心血管系の合併症が増えるとする文献もあります。
従いまして、グルコーススパイクも、基本的には食後血糖値が180mg/dlを超えるレベルで、空腹時血糖値と食後血糖値の差が大きいほど、良くないと考えられます。
動物実験レベルでは、血糖の上昇・下降を繰り返す血糖変動(グルコーススパイク)では、慢性的持続的な高血糖より、細胞傷害機序が強く働くことが示唆されています。
一般的な境界人や糖尿人の食生活においては、糖質を摂取したときに、一日に数回グルコーススパイクを起こしているパターンであり、持続的高血糖というのは通常はありえません。
糖質、脂質、タンパク質のうち、糖質だけがグルコーススパイクを生じます。従って境界人や糖尿人が、カロリー制限食(高糖質食)を食べれば、必ずグルコーススパイクを起こします。
つまり、恐るべきことに日本のほとんどの病院で、グルコーススパイクを起こす食事療法を、画一的にわざわざ糖尿人に指導しているわけです。(=_=;)
勿論、糖質制限食ならグルコーススパイクは生じません。ヾ(^▽^)
なお、食後高血糖が、動脈硬化の最も重要なリスクの一つであることは、間違いありませんが、
空腹時血糖値110mg/dl未満に保つことも、合併症の進行を防ぐ上で、意味があることとされています。
江部康二
朝は寒かったけれど、昼からとてもいいお天気で、暑いくらいになった京都です。温度差が結構あるので、皆さん体調にご注意下さいね。
さて今回は、グルコーススパイクに関して、ワキさんからコメント・質問をいただきました。
『食後血糖値上昇
はじめまして。8月の末に人間ドックで糖尿病を発見した新米糖尿人です。生来の凝り性ですので、血糖値をこまめに自己測定しながら楽しく(?)コントロールしています。自分の体に無頓着でしたが、糖尿をきっかけにコントロールすることの楽しさを知りました。体も今の方が随分好調です。病気も悪いことばかりじゃないですねぇ。
さて、グルコーススパイクについて質問させてください。
どこにも載ってなかったので・・・。
グルコーススパイクとは、食後の血糖値の急激な上昇であると定義されていますが、たとえば・・・
1)食前 120 → 食後 170
2)食前 70 → 食後140
この場合、1)はその差50、2)はその差70。
血糖値としては2の方がコントロール優良だと思うのですが、空腹時と、食後の差は大きくなります。この差の絶対値が大きい方が欠陥への悪い影響が大きいとすれば、食前(空腹時)の血糖値を下げすぎないように(たとえば2の場合空腹時血糖を90〜100にコントロールする)方が、良いのでしょうか?
藪から棒に質問で恐縮です・・・。
是非ご教授ください。
by ワキ 2008/09/27 15:40』
ワキさん、コメントありがとうございます。
「1)食前 120 → 食後 170
2)食前 70 → 食後140
この場合、1)はその差50、2)はその差70。」
このどちらが良くないかという、質問ですが、これを直接比較検討したような文献はありません。従って断定はできませんが、以下私の考えを述べます。
まず、グルコーススパイクですが、基本的には急激な食後高血糖のことをいいます。グルコーススパイクは、境界領域〜糖尿病を中心に広くみられます。
スパイク(spike)とは、とがったものを示す単語です。糖質摂取後2〜3時間程度の短時間だけ持続して、ほぼ元の血糖レベルにまで戻る、鋭角に尖った山のような血糖上昇を指します。
食後高血糖ですから、基本的には140mg/dl以上をいいます。つまり、食後140mg未満は高血糖とは言わないし、正常範囲ですので細胞障害や血管壁への害はないと思います。
文献的には食後2時間血糖値が180mg/dlを超えてくると心・脳の大血管合併症進行のリスクが高まります。
また、食後1時間値が180mg/dlを超えても、心血管系の合併症が増えるとする文献もあります。
従いまして、グルコーススパイクも、基本的には食後血糖値が180mg/dlを超えるレベルで、空腹時血糖値と食後血糖値の差が大きいほど、良くないと考えられます。
動物実験レベルでは、血糖の上昇・下降を繰り返す血糖変動(グルコーススパイク)では、慢性的持続的な高血糖より、細胞傷害機序が強く働くことが示唆されています。
一般的な境界人や糖尿人の食生活においては、糖質を摂取したときに、一日に数回グルコーススパイクを起こしているパターンであり、持続的高血糖というのは通常はありえません。
糖質、脂質、タンパク質のうち、糖質だけがグルコーススパイクを生じます。従って境界人や糖尿人が、カロリー制限食(高糖質食)を食べれば、必ずグルコーススパイクを起こします。
つまり、恐るべきことに日本のほとんどの病院で、グルコーススパイクを起こす食事療法を、画一的にわざわざ糖尿人に指導しているわけです。(=_=;)
勿論、糖質制限食ならグルコーススパイクは生じません。ヾ(^▽^)
なお、食後高血糖が、動脈硬化の最も重要なリスクの一つであることは、間違いありませんが、
空腹時血糖値110mg/dl未満に保つことも、合併症の進行を防ぐ上で、意味があることとされています。
江部康二

