2008年10月29日 (水)
おはようございます。今日は、結構寒い京都です。
さて今回は、リュカさんからの質問を受けて、糖質制限食で耐糖能が改善するというお話しです。
『なるほど…最近、ネットの掲示板に「糖質制限食を続けていると耐糖能が低下し、たまに糖分を摂取したときに急激に血糖値が跳ね上がるのでよくない」と書きこむ人がよく見受けられるのでちょっと気になっていました。
たとえばずーっとまじめにスーパー糖質制限食を続けていて、グルコースチャレンジテストを受けても異常に高い値が出たりすることはないのでしょうか?(もしそうなったとしても、その場合HbA1cは低い値になりそうですね)
by リュカ 2008/10/19 21:01 』
リュカさん。コメントありがとうございます。
糖尿人が糖質制限食を実践すれば耐糖能は基本的に改善します。 (^_^)
一方、耐糖能の改善には、個人差があります。糖尿病発症の時点で、膵臓のβ細胞が、どの程度ダメージを受けていたかによると思います。
以下は、ある糖尿病患者Sさんのデータです。
2005年9月の健康診断で、空腹時血糖値:202mg/dl、HbA1c:6.9%
カロリー制限食と運動療法で頑張りましたが、
2007年9月の検査で、空腹時血糖値:163mg/dl、HbA1c:7.1%
完全に糖尿病の診断基準を満たしています。
2007年10月から糖質制限食を実践されて、
2007年11月高雄病院初診時、HbA1c:6.7%と改善。
2008年7月、HbA1c:5.5%と改善。
下記は、糖質制限食を約8ヶ月実践されたあとの、Sさんの2008年7月の糖質摂取時の検査です。
食前 食後30 食後60 食後90 食後120
IRI 3.8 35.2 58.5 55.1 24.9
血糖値 108 148 189 142 126
耐糖能が改善し血糖値は正常パターンとなっています。インスリン分泌指数も0.785と、正常ですね。
糖質制限食実践によりインスリンの基礎分泌が回復して、空腹時血糖値が202mg→108mgと正常化。
インスリン追加分泌第一相も回復してインスリン指数0.4以上で正常化。インスリン追加分泌第二相も回復して食後2時間血糖値126mgと正常化。
2005年に糖尿病が発見されたときは、空腹時血糖値が203mgなので、経口血糖負荷試験をすれば、食後血糖値は当然、200mg以上は確実で、完全に糖尿病パターンだったと考えられます。
このように、糖質制限食実践により、Sさんは見事に耐糖能が回復し糖尿人から正常人となられたわけです。
それではなぜ糖質制限食で耐糖能が改善するのかを考えてみましょう。
糖尿病の人は、インスリンの作用不足があります。より正確には、インスリン分泌不足とインスリン抵抗性が合わさってインスリン作用不足となり、糖尿病を発症します。日本人の場合は、インスリン分泌不足が主となることが多いとされています。
<糖質・脂質・タンパク質>のうち血糖値を急峻に上昇させるのは、糖質だけです。
糖質を摂取すると食後高血糖(ブドウ糖スパイク)を起こし、インスリンが大量に分泌されます。
1日3回以上毎日糖質を摂取して運動不足もあれば、インスリンが大量に追加分泌されることが長年続いて、遂に膵臓が疲弊していきます。
膵臓が疲弊すると、インスリン分泌能力は低下して、耐糖能も低下して糖尿病を発症します。
糖尿病を発症した時点で、膵臓のβ細胞は、「既に回復不能のダメージを受けたもの」「疲弊しているが回復可能なもの」があります。
このようなとき、糖質制限食を実践すると、インスリン必要量は極めて少量ですむので、疲弊していた膵臓のβ細胞は休養できます。そうすると、インスリン分泌能の回復が期待できます。インスリンの分泌が回復すれば、当然耐糖能も改善します。
高雄病院では1999年から糖質制限食を始めて、もう足かけ9年ですね。350人以上の糖尿病入院患者さんで確認済みですが、糖質制限食により、食後血糖値も空腹時血糖値も改善します。空腹時血糖値が改善するということは、インスリン基礎分泌もあるていど回復したということですね。
一方、糖尿人が糖質を摂取して食後高血糖が生じると
① 高血糖により膵臓のβ細胞(インスリンを分泌)が直接ダメージを受ける。
② 高血糖により、インスリンの効きが悪くなる(インスリン抵抗性の増大)
①②により高血糖→「インスリン分泌低下+インスリン抵抗性増大」→高血糖
という繰り返しを生じますが、この悪循環のことを糖毒といい、糖尿病悪化の大きな要因となっています。(=_=;)
血糖値を急峻に上昇させるのは、糖質だけです。従って、糖尿人が糖質を摂取すれば、わざわざ糖毒状態を引き起こし、糖尿病が悪化し、長引けば膵臓のβ細胞も回復不能で死滅していくのです。
糖質制限食を実践すれば、速やかに食後高血糖が改善し、きっちりこの糖毒を断ち切ることができるので、糖尿病がめきめき改善するのです。糖質制限食で糖毒が改善すれば、β細胞のインスリン分泌能も回復していき、耐糖能も改善していきます。ヾ(^▽^)
結論です。
1 糖質制限食を実践すれば必要なインスリンはごく少量ですむので、β細胞が休養できて回復し、耐糖能が改善する。
2 糖質制限食を実践すれば、「糖毒」が改善するのでβ細胞のダメージがとれて回復する。また「糖毒」が改善するのでインスリン抵抗性も改善する。この二つにより耐糖能が改善する。
最後になりますが、人類が穀物を主食とし始めて定着したのは400万年の歴史の中で、わずか4000年ていどですから1/1000の期間です。糖質制限食は穀物を常食とする以前(999/1000の期間)の人類の食生活に戻るだけです。
すなわち、農耕以前は人類皆糖質制限食です。
またイヌイットの人々は、生肉・生魚が主食です。まさにスーパー 糖質制限食を数千年食べ続けたわけですが、糖尿病や心筋梗塞やアレルギー疾患が極めて少ないことが知られていますね。
江部康二
【講演会・講座のお知らせ】
☆☆講座「糖尿病は必ず良くなる!~糖質制限食のすすめ」京都
朝日カルチャーセンター京都 http://www.asahi-culture.co.jp/www/kyoto-c.html
075-231-9693
2008年11月18日(火)13:00~14:30
☆☆ 糖質制限食講演会・東京・中野
2008年11月30日(日)9:30~11:40
申し込みは、糖質制限食ネット・リボーン 曽我部ゆかり
(T/F)03−3388−5428
(e-mail) reborn@big.or.jp
☆☆講座「糖尿病・メタボはこう予防する!~糖質制限食のすすめ」京都
朝日カルチャーセンター京都 http://www.asahi-culture.co.jp/www/kyoto-c.html
075-231-9693
2009年2月17日(火)13:00~14:30
さて今回は、リュカさんからの質問を受けて、糖質制限食で耐糖能が改善するというお話しです。
『なるほど…最近、ネットの掲示板に「糖質制限食を続けていると耐糖能が低下し、たまに糖分を摂取したときに急激に血糖値が跳ね上がるのでよくない」と書きこむ人がよく見受けられるのでちょっと気になっていました。
たとえばずーっとまじめにスーパー糖質制限食を続けていて、グルコースチャレンジテストを受けても異常に高い値が出たりすることはないのでしょうか?(もしそうなったとしても、その場合HbA1cは低い値になりそうですね)
by リュカ 2008/10/19 21:01 』
リュカさん。コメントありがとうございます。
糖尿人が糖質制限食を実践すれば耐糖能は基本的に改善します。 (^_^)
一方、耐糖能の改善には、個人差があります。糖尿病発症の時点で、膵臓のβ細胞が、どの程度ダメージを受けていたかによると思います。
以下は、ある糖尿病患者Sさんのデータです。
2005年9月の健康診断で、空腹時血糖値:202mg/dl、HbA1c:6.9%
カロリー制限食と運動療法で頑張りましたが、
2007年9月の検査で、空腹時血糖値:163mg/dl、HbA1c:7.1%
完全に糖尿病の診断基準を満たしています。
2007年10月から糖質制限食を実践されて、
2007年11月高雄病院初診時、HbA1c:6.7%と改善。
2008年7月、HbA1c:5.5%と改善。
下記は、糖質制限食を約8ヶ月実践されたあとの、Sさんの2008年7月の糖質摂取時の検査です。
食前 食後30 食後60 食後90 食後120
IRI 3.8 35.2 58.5 55.1 24.9
血糖値 108 148 189 142 126
耐糖能が改善し血糖値は正常パターンとなっています。インスリン分泌指数も0.785と、正常ですね。
糖質制限食実践によりインスリンの基礎分泌が回復して、空腹時血糖値が202mg→108mgと正常化。
インスリン追加分泌第一相も回復してインスリン指数0.4以上で正常化。インスリン追加分泌第二相も回復して食後2時間血糖値126mgと正常化。
2005年に糖尿病が発見されたときは、空腹時血糖値が203mgなので、経口血糖負荷試験をすれば、食後血糖値は当然、200mg以上は確実で、完全に糖尿病パターンだったと考えられます。
このように、糖質制限食実践により、Sさんは見事に耐糖能が回復し糖尿人から正常人となられたわけです。
それではなぜ糖質制限食で耐糖能が改善するのかを考えてみましょう。
糖尿病の人は、インスリンの作用不足があります。より正確には、インスリン分泌不足とインスリン抵抗性が合わさってインスリン作用不足となり、糖尿病を発症します。日本人の場合は、インスリン分泌不足が主となることが多いとされています。
<糖質・脂質・タンパク質>のうち血糖値を急峻に上昇させるのは、糖質だけです。
糖質を摂取すると食後高血糖(ブドウ糖スパイク)を起こし、インスリンが大量に分泌されます。
1日3回以上毎日糖質を摂取して運動不足もあれば、インスリンが大量に追加分泌されることが長年続いて、遂に膵臓が疲弊していきます。
膵臓が疲弊すると、インスリン分泌能力は低下して、耐糖能も低下して糖尿病を発症します。
糖尿病を発症した時点で、膵臓のβ細胞は、「既に回復不能のダメージを受けたもの」「疲弊しているが回復可能なもの」があります。
このようなとき、糖質制限食を実践すると、インスリン必要量は極めて少量ですむので、疲弊していた膵臓のβ細胞は休養できます。そうすると、インスリン分泌能の回復が期待できます。インスリンの分泌が回復すれば、当然耐糖能も改善します。
高雄病院では1999年から糖質制限食を始めて、もう足かけ9年ですね。350人以上の糖尿病入院患者さんで確認済みですが、糖質制限食により、食後血糖値も空腹時血糖値も改善します。空腹時血糖値が改善するということは、インスリン基礎分泌もあるていど回復したということですね。
一方、糖尿人が糖質を摂取して食後高血糖が生じると
① 高血糖により膵臓のβ細胞(インスリンを分泌)が直接ダメージを受ける。
② 高血糖により、インスリンの効きが悪くなる(インスリン抵抗性の増大)
①②により高血糖→「インスリン分泌低下+インスリン抵抗性増大」→高血糖
という繰り返しを生じますが、この悪循環のことを糖毒といい、糖尿病悪化の大きな要因となっています。(=_=;)
血糖値を急峻に上昇させるのは、糖質だけです。従って、糖尿人が糖質を摂取すれば、わざわざ糖毒状態を引き起こし、糖尿病が悪化し、長引けば膵臓のβ細胞も回復不能で死滅していくのです。
糖質制限食を実践すれば、速やかに食後高血糖が改善し、きっちりこの糖毒を断ち切ることができるので、糖尿病がめきめき改善するのです。糖質制限食で糖毒が改善すれば、β細胞のインスリン分泌能も回復していき、耐糖能も改善していきます。ヾ(^▽^)
結論です。
1 糖質制限食を実践すれば必要なインスリンはごく少量ですむので、β細胞が休養できて回復し、耐糖能が改善する。
2 糖質制限食を実践すれば、「糖毒」が改善するのでβ細胞のダメージがとれて回復する。また「糖毒」が改善するのでインスリン抵抗性も改善する。この二つにより耐糖能が改善する。
最後になりますが、人類が穀物を主食とし始めて定着したのは400万年の歴史の中で、わずか4000年ていどですから1/1000の期間です。糖質制限食は穀物を常食とする以前(999/1000の期間)の人類の食生活に戻るだけです。
すなわち、農耕以前は人類皆糖質制限食です。
またイヌイットの人々は、生肉・生魚が主食です。まさにスーパー 糖質制限食を数千年食べ続けたわけですが、糖尿病や心筋梗塞やアレルギー疾患が極めて少ないことが知られていますね。
江部康二
【講演会・講座のお知らせ】
☆☆講座「糖尿病は必ず良くなる!~糖質制限食のすすめ」京都
朝日カルチャーセンター京都 http://www.asahi-culture.co.jp/www/kyoto-c.html
075-231-9693
2008年11月18日(火)13:00~14:30
☆☆ 糖質制限食講演会・東京・中野
2008年11月30日(日)9:30~11:40
申し込みは、糖質制限食ネット・リボーン 曽我部ゆかり
(T/F)03−3388−5428
(e-mail) reborn@big.or.jp
☆☆講座「糖尿病・メタボはこう予防する!~糖質制限食のすすめ」京都
朝日カルチャーセンター京都 http://www.asahi-culture.co.jp/www/kyoto-c.html
075-231-9693
2009年2月17日(火)13:00~14:30
2008年10月28日 (火)
おはようございます。
どんよりとした曇り空で、あまり秋らしくない今朝の京都です。
今回は肉の脂とオリーブオイルについて高野真さんから、コメント・質問をいただきました。
『08/10/19 高野真
インスリンと脂肪の種類
糖尿人ではないですが糖質制限で健康管理している者です。
釜池先生、江部先生、荒木裕先生と、 糖質制限の波が徐々に世の中に広がってますね。
9月22~24日の「糖質制限食と中性脂肪」読みました。
血中の中性脂肪の行き先がインスリンの影響を受ける、 という事は理解しました。
その仕組みは、全ての脂肪に関して同様に働くのでしょうか?
肉の脂(飽和脂肪酸)とオリーブオイル(一価不飽和脂肪酸)では、 オリーブオイルの方が中性脂肪になりにくそうに思ったので。
私は普段は糖質制限ですが、激しい運動をした後は 糖分を取らないと頭がクラクラ、目がギラギラしてきますし、 糖分を補給するまでその状態は持続します。
なので糖分を摂取するのですが、すると意識を保てないくらい 眠くなり、実際にそのまま気を失います。昏睡状態です。
糖分を摂取しなければならない時、脂肪を同時に摂らないほうがいいのか 飽和脂肪酸が体に悪いのか知りたくて質問させていただきました。
いつも非常に為になる記事に驚き、発見させてもらってます。
これからも頑張ってください。』
高野真さん。コメントありがとうございます。
高野さんは、以前ももうしあげたように、機能性低血糖症の可能性が高いですね。
肉の脂(飽和脂肪酸)やオリーブオイルなどの長鎖脂肪酸は、小腸で吸収されて小腸粘膜の細胞内で中性脂肪に再合成されてほとんどがリンパ菅、一部が静脈に入り、 筋肉や脂肪組織に運ばれ、余分なものは体脂肪(中性脂肪)として蓄積されます。
従って、中性脂肪に変わるという意味では同じようなものなのでしょうが、疫学的にはオリーブオイルが心筋梗塞予防によいとされていますね。また飽和脂肪酸は、取りすぎない方がよいとされています。
安静時に糖質と脂質を一緒に摂取すれば、インスリンが分泌されるので高中性脂肪血症になりやすいです。
しかし、運動中などでは、ナッツ類などでほどよく、脂質、糖質、タンパク質を補給すれば、高血糖にも反応性の低血糖にもなりにくいと思われます。
☆☆☆
脂肪酸は分子の長さによって、長鎖・中鎖・短鎖に分類されます。植物油の多くやラード・牛脂などは長鎖脂肪酸です。中鎖脂肪酸は長さがその約半分で、牛乳やココナッツ油などに含まれています。
母乳の脂肪分にも約3% 含まれています。短鎖脂肪酸にはバターに含まれる酪酸があります。
長鎖脂肪酸は、小腸でゆっくりと吸収されながら、粘膜で中性脂肪に再合成されてリンパ菅や静脈に入り、 筋肉や脂肪組織に運ばれ、余分なものは体脂肪として蓄積されます。
一方、中鎖脂肪酸は約4倍も吸収が速く、門脈という肝臓に栄養を送る血管に入り、肝臓で速やかに分解されてエネルギーに なります。代謝が長鎖脂肪酸にくらべ約10倍速いので、体脂肪になりにくいのが特長です。
☆☆☆
代表的な脂肪酸
飽和 一価不飽和 多価不飽和
長鎖 パルミチン酸(牛脂、ラード) オレイン酸 リノール酸、EPAなど
中鎖 カプリル酸(ココナッツ油) なし なし
短鎖 酪酸(バター) なし なし
☆☆☆
天然の食用油は、
「多価不飽和脂肪酸」P
「一価不飽和脂肪酸」M
「飽和脂肪酸」S
の3種から成っています。
厚生労働省はP:M:Sの比率を3:4:3とすることを推奨しています。
多価不飽和脂肪酸
リノール酸(ω-6系、大部分の植物油に含まれる)
α-リノレン酸(ω-3系、緑の濃い野菜に含まれる)
魚油に含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)
など
一価不飽和脂肪酸
オレイン酸(オリーブ油の主成分、動物性油脂にもある)な ど
飽和脂肪酸:ステアリン酸、パルミチン酸など。
獣肉油脂、牛乳、卵など動物性脂肪に多く含まれる。
植物性油脂にも含まれる
☆☆☆
リノール酸とα-リノレン酸は人体で合成できない必須脂肪酸ですが、リノール酸は現在その過剰摂取が問題となっています。
日本脂質栄養学会は 2002年9月に、世界に先駆けて「リノール酸摂取を削減する提言」を採択しました( http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsln/teigenAnn02.htm )。
以下は提言からの抜粋です。
『本学会は 1992年以来、必須脂肪酸であるリノール酸の摂取過剰と健康の問題について討論を重ね、学会内外の有識者の意見を集約・評価してきた。その結果、日本人のリノール酸摂りすぎを是正する方向に栄養指導を改めることが急務であるとの結論に達した。』
『リノール酸摂取量を現在の高いレベルに保つことのメリットについては、科学的根拠が見出せない。リノール酸摂りすぎの害(心臓・脳血管系疾患、欧米型癌、アレルギー性疾患、その他炎症性疾患)については、動物実験のみならず臨床的にも明らかにされてきた。また、現在市場に供給されている育児用粉ミルク中のリノール酸は総脂肪酸中の 18%以上にもなっており、母乳中の必須脂肪酸組成と著しく乖離している。』
油脂の過剰摂取が問題にされることが多いのですが、結局そのほとんどがリノール酸だったわけです。現代の日本人は、必須脂肪酸として1~2g/日必要なのを、20g/日摂取しています。
☆☆☆
積極的に摂った方がよい油脂はオリーブオイルに含まれるオレイン酸など一価不飽和脂肪酸、α-リノレン酸、EPA、DHA などです。
***
今回のブログは
ホームページ
<体脂肪の食事学>(社)神奈川県栄養士会情報管理委員会編集
http://www24.big.or.jp/~keiyousi/kenmin/taisibou/taisibou.htm
から一部引用し、また参考にさせていただきました。
謝謝。
江部康二
どんよりとした曇り空で、あまり秋らしくない今朝の京都です。
今回は肉の脂とオリーブオイルについて高野真さんから、コメント・質問をいただきました。
『08/10/19 高野真
インスリンと脂肪の種類
糖尿人ではないですが糖質制限で健康管理している者です。
釜池先生、江部先生、荒木裕先生と、 糖質制限の波が徐々に世の中に広がってますね。
9月22~24日の「糖質制限食と中性脂肪」読みました。
血中の中性脂肪の行き先がインスリンの影響を受ける、 という事は理解しました。
その仕組みは、全ての脂肪に関して同様に働くのでしょうか?
肉の脂(飽和脂肪酸)とオリーブオイル(一価不飽和脂肪酸)では、 オリーブオイルの方が中性脂肪になりにくそうに思ったので。
私は普段は糖質制限ですが、激しい運動をした後は 糖分を取らないと頭がクラクラ、目がギラギラしてきますし、 糖分を補給するまでその状態は持続します。
なので糖分を摂取するのですが、すると意識を保てないくらい 眠くなり、実際にそのまま気を失います。昏睡状態です。
糖分を摂取しなければならない時、脂肪を同時に摂らないほうがいいのか 飽和脂肪酸が体に悪いのか知りたくて質問させていただきました。
いつも非常に為になる記事に驚き、発見させてもらってます。
これからも頑張ってください。』
高野真さん。コメントありがとうございます。
高野さんは、以前ももうしあげたように、機能性低血糖症の可能性が高いですね。
肉の脂(飽和脂肪酸)やオリーブオイルなどの長鎖脂肪酸は、小腸で吸収されて小腸粘膜の細胞内で中性脂肪に再合成されてほとんどがリンパ菅、一部が静脈に入り、 筋肉や脂肪組織に運ばれ、余分なものは体脂肪(中性脂肪)として蓄積されます。
従って、中性脂肪に変わるという意味では同じようなものなのでしょうが、疫学的にはオリーブオイルが心筋梗塞予防によいとされていますね。また飽和脂肪酸は、取りすぎない方がよいとされています。
安静時に糖質と脂質を一緒に摂取すれば、インスリンが分泌されるので高中性脂肪血症になりやすいです。
しかし、運動中などでは、ナッツ類などでほどよく、脂質、糖質、タンパク質を補給すれば、高血糖にも反応性の低血糖にもなりにくいと思われます。
☆☆☆
脂肪酸は分子の長さによって、長鎖・中鎖・短鎖に分類されます。植物油の多くやラード・牛脂などは長鎖脂肪酸です。中鎖脂肪酸は長さがその約半分で、牛乳やココナッツ油などに含まれています。
母乳の脂肪分にも約3% 含まれています。短鎖脂肪酸にはバターに含まれる酪酸があります。
長鎖脂肪酸は、小腸でゆっくりと吸収されながら、粘膜で中性脂肪に再合成されてリンパ菅や静脈に入り、 筋肉や脂肪組織に運ばれ、余分なものは体脂肪として蓄積されます。
一方、中鎖脂肪酸は約4倍も吸収が速く、門脈という肝臓に栄養を送る血管に入り、肝臓で速やかに分解されてエネルギーに なります。代謝が長鎖脂肪酸にくらべ約10倍速いので、体脂肪になりにくいのが特長です。
☆☆☆
代表的な脂肪酸
飽和 一価不飽和 多価不飽和
長鎖 パルミチン酸(牛脂、ラード) オレイン酸 リノール酸、EPAなど
中鎖 カプリル酸(ココナッツ油) なし なし
短鎖 酪酸(バター) なし なし
☆☆☆
天然の食用油は、
「多価不飽和脂肪酸」P
「一価不飽和脂肪酸」M
「飽和脂肪酸」S
の3種から成っています。
厚生労働省はP:M:Sの比率を3:4:3とすることを推奨しています。
多価不飽和脂肪酸
リノール酸(ω-6系、大部分の植物油に含まれる)
α-リノレン酸(ω-3系、緑の濃い野菜に含まれる)
魚油に含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)
など
一価不飽和脂肪酸
オレイン酸(オリーブ油の主成分、動物性油脂にもある)な ど
飽和脂肪酸:ステアリン酸、パルミチン酸など。
獣肉油脂、牛乳、卵など動物性脂肪に多く含まれる。
植物性油脂にも含まれる
☆☆☆
リノール酸とα-リノレン酸は人体で合成できない必須脂肪酸ですが、リノール酸は現在その過剰摂取が問題となっています。
日本脂質栄養学会は 2002年9月に、世界に先駆けて「リノール酸摂取を削減する提言」を採択しました( http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsln/teigenAnn02.htm )。
以下は提言からの抜粋です。
『本学会は 1992年以来、必須脂肪酸であるリノール酸の摂取過剰と健康の問題について討論を重ね、学会内外の有識者の意見を集約・評価してきた。その結果、日本人のリノール酸摂りすぎを是正する方向に栄養指導を改めることが急務であるとの結論に達した。』
『リノール酸摂取量を現在の高いレベルに保つことのメリットについては、科学的根拠が見出せない。リノール酸摂りすぎの害(心臓・脳血管系疾患、欧米型癌、アレルギー性疾患、その他炎症性疾患)については、動物実験のみならず臨床的にも明らかにされてきた。また、現在市場に供給されている育児用粉ミルク中のリノール酸は総脂肪酸中の 18%以上にもなっており、母乳中の必須脂肪酸組成と著しく乖離している。』
油脂の過剰摂取が問題にされることが多いのですが、結局そのほとんどがリノール酸だったわけです。現代の日本人は、必須脂肪酸として1~2g/日必要なのを、20g/日摂取しています。
☆☆☆
積極的に摂った方がよい油脂はオリーブオイルに含まれるオレイン酸など一価不飽和脂肪酸、α-リノレン酸、EPA、DHA などです。
***
今回のブログは
ホームページ
<体脂肪の食事学>(社)神奈川県栄養士会情報管理委員会編集
http://www24.big.or.jp/~keiyousi/kenmin/taisibou/taisibou.htm
から一部引用し、また参考にさせていただきました。
謝謝。
江部康二
2008年10月27日 (月)
こんにちは。京都はまた修学旅行のシーズン到来です。
駅前診療所の周囲に観光バスが並び、近くのホテルのランチバイキングも中止になってしまいます。
交通渋滞はあきらめても、ランチバイキングがないと糖質制限食的には、ちょっとつらいものがあります。 (*_*)
さて今回は、てんこ盛りさんから、コメント・質問をいただきました。
『本当にありがとうございます
18日にもコメントを入れた「てんこ」です
糖質制限食に切り替えて1週間。本日自己測定器「Gチェッカー」が届きました
病院での10月7日の食後1時間血糖値
321・HBA1C9.8
本日の血糖値は
空腹時110、昼食後1時間108でした。
もちろん食後の運動もしています
アマリールを処方されているので低血糖には十分気をつけてこれからも糖質制限続けます。
投薬をやめるのが最終目的です
このブログに出会えて良かった
先生、、本当に本当にありがとうございました
by てんこ 2008/10/23 13:39 』
『リンゴ酢
糖尿病20年選手の50代です。昨年6月までは通院治療していました。アマリール朝晩1錠ずつという治療で当時はHba1c6%台になっていました。その後仕事と通院日が重なり、そうなるとバツが悪く、投薬もなにも治療を放置していました。今年10月、嘔吐と下痢が続き以前にも胃潰瘍を患っていたので、再発かと、糖尿で通院していたところにかかり、糖尿治療を開始しました。
そのときのHba1cは10.2、食後1時間の血糖値は280となり、以前同様の投薬治療を始めました。3週間後、通院するとHba1c9.8・食後1時間の血糖値は321。。。。。もちろん糖質制限のことは全く知らず生来の酒好き(ちなみに女性であります)ビール好きで、投薬さえすればと思っていたのでかなりのショックでした。その上、アマリールは朝もう一錠追加・インシュリン注射で管理入院1週間と言われ、、、。
コントロールがよかった時と今回との主治医の態度の違いにもショックを受けました。自業自得ですが。
3日前に先生のブログに出会い希望を持とうとしています。昨日からは完全主食ぬき糖質カットの生活を送っています。
11月5日に通院しますが、どうか数値がよくなっていますように。
最後に質問です
糖尿にいいと聞きミツカンのリンゴ酢を(もちろんお砂糖は加えず)10倍くらいに薄めて朝食後と寝る前に飲んでいます。リンゴ酢はあかんのでしょうか?
この2日間、トイレが近くなったのはこのせいでしょうか。その変わり、むくみが全くなくなったのですが。もちろんオシッコ(失礼)は透明で、これまでの色とは全然違っています。
先生お勧めのスタイルフリーはロングを2ー3本呑んでいます。
こんなええかげんな私でもコントロール良好になれるのでしょうか。
末尾になりましたが、過去の記事は全て読ませていただきました。登山が趣味なので運動との関連記事も多く、本当に役に立っています。ありがとうございます。これからも毎日読ませていただきます。
by てんこ盛り 2008/10/18 15:17』
てんこ盛りさん。コメントありがとうございます。お酒好きの女性、熱烈歓迎です。ヽ(*`▽´)ノ
お酒好きの方は、糖質制限食継続的実践成功の確率が、とても高いと思います。肝臓に負担がかからない程度の常識的範囲内でのアルコール摂取(蒸留酒、糖質ゼロ発泡酒、赤ワインなど)は、糖質制限食においては問題ありません。 (^_^)
10月7日の食後1時間血糖値 321・HBA1C9.8
本日(10月23日)の血糖値は 、空腹時110mg/dl、昼食後1時間108mg/dl。
スーパー糖質制限食実践による素晴らしいデータの改善ですね。これだけ良くなっているのは、糖質制限食を上手にできている証拠ですから、自信を持っていただいていいですよ。11月のHbA1cは1~2%の改善が期待できます。ヾ(^▽^)
血糖自己測定器を持っておられるので、血糖チェックして低血糖には、充分気をつけて下さいね。このデータなら主治医とよく相談されて、アマリール中止できると思いますよ。
なおリンゴ酢は、100g中糖質含有量2.4gですので、飲んでも問題はありません。但し、りんご酢が糖尿によいという根拠は、はっきりしませんね。それから糖質制限食で特に初期はよく尿がでると思います。水分はしっかり補給して、美味しく楽しく糖質制限食をお続け下さいね。
江部康二
【講演会・講座のお知らせ】
☆☆講座「糖尿病は必ず良くなる!~糖質制限食のすすめ」京都
朝日カルチャーセンター京都 http://www.asahi-culture.co.jp/www/kyoto-c.html
075-231-9693
2008年11月18日(火)13:00~14:30
☆☆ 糖質制限食講演会・東京・中野
2008年11月30日(日)9:30~11:40
申し込みは、糖質制限食ネット・リボーン 曽我部ゆかり
(T/F)03−3388−5428
(e-mail) reborn@big.or.jp
☆☆講座「糖尿病・メタボはこう予防する!~糖質制限食のすすめ」京都
朝日カルチャーセンター京都 http://www.asahi-culture.co.jp/www/kyoto-c.html
075-231-9693
2009年2月17日(火)13:00~14:30
駅前診療所の周囲に観光バスが並び、近くのホテルのランチバイキングも中止になってしまいます。
交通渋滞はあきらめても、ランチバイキングがないと糖質制限食的には、ちょっとつらいものがあります。 (*_*)
さて今回は、てんこ盛りさんから、コメント・質問をいただきました。
『本当にありがとうございます
18日にもコメントを入れた「てんこ」です
糖質制限食に切り替えて1週間。本日自己測定器「Gチェッカー」が届きました
病院での10月7日の食後1時間血糖値
321・HBA1C9.8
本日の血糖値は
空腹時110、昼食後1時間108でした。
もちろん食後の運動もしています
アマリールを処方されているので低血糖には十分気をつけてこれからも糖質制限続けます。
投薬をやめるのが最終目的です
このブログに出会えて良かった
先生、、本当に本当にありがとうございました
by てんこ 2008/10/23 13:39 』
『リンゴ酢
糖尿病20年選手の50代です。昨年6月までは通院治療していました。アマリール朝晩1錠ずつという治療で当時はHba1c6%台になっていました。その後仕事と通院日が重なり、そうなるとバツが悪く、投薬もなにも治療を放置していました。今年10月、嘔吐と下痢が続き以前にも胃潰瘍を患っていたので、再発かと、糖尿で通院していたところにかかり、糖尿治療を開始しました。
そのときのHba1cは10.2、食後1時間の血糖値は280となり、以前同様の投薬治療を始めました。3週間後、通院するとHba1c9.8・食後1時間の血糖値は321。。。。。もちろん糖質制限のことは全く知らず生来の酒好き(ちなみに女性であります)ビール好きで、投薬さえすればと思っていたのでかなりのショックでした。その上、アマリールは朝もう一錠追加・インシュリン注射で管理入院1週間と言われ、、、。
コントロールがよかった時と今回との主治医の態度の違いにもショックを受けました。自業自得ですが。
3日前に先生のブログに出会い希望を持とうとしています。昨日からは完全主食ぬき糖質カットの生活を送っています。
11月5日に通院しますが、どうか数値がよくなっていますように。
最後に質問です
糖尿にいいと聞きミツカンのリンゴ酢を(もちろんお砂糖は加えず)10倍くらいに薄めて朝食後と寝る前に飲んでいます。リンゴ酢はあかんのでしょうか?
この2日間、トイレが近くなったのはこのせいでしょうか。その変わり、むくみが全くなくなったのですが。もちろんオシッコ(失礼)は透明で、これまでの色とは全然違っています。
先生お勧めのスタイルフリーはロングを2ー3本呑んでいます。
こんなええかげんな私でもコントロール良好になれるのでしょうか。
末尾になりましたが、過去の記事は全て読ませていただきました。登山が趣味なので運動との関連記事も多く、本当に役に立っています。ありがとうございます。これからも毎日読ませていただきます。
by てんこ盛り 2008/10/18 15:17』
てんこ盛りさん。コメントありがとうございます。お酒好きの女性、熱烈歓迎です。ヽ(*`▽´)ノ
お酒好きの方は、糖質制限食継続的実践成功の確率が、とても高いと思います。肝臓に負担がかからない程度の常識的範囲内でのアルコール摂取(蒸留酒、糖質ゼロ発泡酒、赤ワインなど)は、糖質制限食においては問題ありません。 (^_^)
10月7日の食後1時間血糖値 321・HBA1C9.8
本日(10月23日)の血糖値は 、空腹時110mg/dl、昼食後1時間108mg/dl。
スーパー糖質制限食実践による素晴らしいデータの改善ですね。これだけ良くなっているのは、糖質制限食を上手にできている証拠ですから、自信を持っていただいていいですよ。11月のHbA1cは1~2%の改善が期待できます。ヾ(^▽^)
血糖自己測定器を持っておられるので、血糖チェックして低血糖には、充分気をつけて下さいね。このデータなら主治医とよく相談されて、アマリール中止できると思いますよ。
なおリンゴ酢は、100g中糖質含有量2.4gですので、飲んでも問題はありません。但し、りんご酢が糖尿によいという根拠は、はっきりしませんね。それから糖質制限食で特に初期はよく尿がでると思います。水分はしっかり補給して、美味しく楽しく糖質制限食をお続け下さいね。
江部康二
【講演会・講座のお知らせ】
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2008年11月18日(火)13:00~14:30
☆☆ 糖質制限食講演会・東京・中野
2008年11月30日(日)9:30~11:40
申し込みは、糖質制限食ネット・リボーン 曽我部ゆかり
(T/F)03−3388−5428
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2009年2月17日(火)13:00~14:30
2008年10月26日 (日)
こんにちは。
昨土曜日、一旦途切れた雨ですが、また今朝早くから、しとしとと降り続いています。
ここんところ、雨が多い京都です。
さて今回は、こころさんから、コメント・質問をいただきました。
『2回目の血糖検査
糖尿人になって2回目の血糖検査へ行ってきました
健康診断時(糖尿病発覚の時)
空腹時 205ml/dl 9.2%
食後2時間
1回目 128ml/dl 7.8%
2回目 108ml/dl 7.2%
体重 56kg→53kg→49kg
担当医の先生は HbA1cの数値に感心していらっしゃって 血糖値は簡単に下がるけどHbA1cを下げるのはなかなか出来ないのに…とおっしゃっていました 私的にはもう少し下がっているかな?と期待していたので少々がっかりしましたが^^;この調子で良いのでしょうか?
今月は ふすまパンを食べたり 糖質0のウインナーに切り替えたりしましたが 正直いつもいつもと言う訳にもいきません(金銭面で(-_-;) 玄米パンやライ麦パン等は朝は食べない方が良いんですか?ちなみにスタンダード糖質制限食を実行中です
それとカレーやシチューは 月に1度くらい食べても良いかなぁ…と甘いこと考えてますがいけないんですよね^^;
by こころ 2008/10/18 11:50 』
こころさん。コメントありがとうございます。
データですが、
HbA1c9.2%→7.2%
空腹時血糖値205mg/dl→食後2時間血糖値108mg/dl
体重56→49kg
スタンダード糖質制限食実践でこれはまた見事な改善ですね。ヾ(^▽^)
主治医殿が感心されたのは充分肯けます。
HbA1cも素晴らしい改善ですが、空腹時血糖値205mgだったのが、食後2時間で108mgとは、はなまるですね。
食後2時間血糖値が140mg未満で正常なので、こころさん、既に正常域になってます。食後がこれなら、空腹時血糖値も当然、随分良くなってると思いますよ。
膵臓のβ細胞がダメージを受けて、ある程度回復不能に壊れていれば、インスリンの基礎分泌の絶対量が不足するので、糖質制限食をしても、なかなか空腹時血糖値が、正常域まで下がらないことがあります。
こころさんの場合、糖質制限食で膵臓が休養できてインスリン分泌能が回復し、
空腹時血糖値、食後血糖値共に改善したパターンですね。
次回、一ヶ月後のHbA1cは6.2%ていどのコントロール良好レベルが予測されます。
スタンダード糖質制限食では、昼か朝のどちらか1回、主食を摂取します。
高雄病院入院中の糖尿人の皆さんには、<玄米110g+グルコバイ100mg>などで、食後1時間と2時間血糖値を測定して実験し、食後2時間値が180mg/dl未満を達成していれば、OKとしています。
上記で食後血糖値180mg以上なら、<玄米110g+グルコバイ100mg+グルファスト10mg>で、再度食後血糖値を測定して実験します。
玄米パンやライ麦パンは、通常の白い食パンよりは少しはましですが、所詮は糖尿人の血糖値を200mg以上と上昇させます。カレーのご飯は、たっぷり血糖値を上げますね。1gの糖質が、2型糖尿人の血糖値を3mg上昇させます。シチューのとろみも糖質ですね。
ともあれ、主食(糖質)を摂取したあとの食後高血糖が、血管内皮を傷害しますので、食後2時間血糖値180mg/dl未満をめざします。
薬なしがいいなら、食事開始後30分たって、30分歩くという選択肢もありますね。食後2時間血糖値180mg未満なら、糖尿病合併症進行のリスクが少ないとされていますので、それが目標となります。
江部康二
☆☆☆☆☆☆☆
ブログ読者さんから
「糖質制限食講演会や講座の情報を常に見ることができるようにして欲しい」
との要望がありました。
もっともなご意見ですので今後、記事の最後にいつも「お知らせ」をいれるようにします。
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昨土曜日、一旦途切れた雨ですが、また今朝早くから、しとしとと降り続いています。
ここんところ、雨が多い京都です。
さて今回は、こころさんから、コメント・質問をいただきました。
『2回目の血糖検査
糖尿人になって2回目の血糖検査へ行ってきました
健康診断時(糖尿病発覚の時)
空腹時 205ml/dl 9.2%
食後2時間
1回目 128ml/dl 7.8%
2回目 108ml/dl 7.2%
体重 56kg→53kg→49kg
担当医の先生は HbA1cの数値に感心していらっしゃって 血糖値は簡単に下がるけどHbA1cを下げるのはなかなか出来ないのに…とおっしゃっていました 私的にはもう少し下がっているかな?と期待していたので少々がっかりしましたが^^;この調子で良いのでしょうか?
今月は ふすまパンを食べたり 糖質0のウインナーに切り替えたりしましたが 正直いつもいつもと言う訳にもいきません(金銭面で(-_-;) 玄米パンやライ麦パン等は朝は食べない方が良いんですか?ちなみにスタンダード糖質制限食を実行中です
それとカレーやシチューは 月に1度くらい食べても良いかなぁ…と甘いこと考えてますがいけないんですよね^^;
by こころ 2008/10/18 11:50 』
こころさん。コメントありがとうございます。
データですが、
HbA1c9.2%→7.2%
空腹時血糖値205mg/dl→食後2時間血糖値108mg/dl
体重56→49kg
スタンダード糖質制限食実践でこれはまた見事な改善ですね。ヾ(^▽^)
主治医殿が感心されたのは充分肯けます。
HbA1cも素晴らしい改善ですが、空腹時血糖値205mgだったのが、食後2時間で108mgとは、はなまるですね。
食後2時間血糖値が140mg未満で正常なので、こころさん、既に正常域になってます。食後がこれなら、空腹時血糖値も当然、随分良くなってると思いますよ。
膵臓のβ細胞がダメージを受けて、ある程度回復不能に壊れていれば、インスリンの基礎分泌の絶対量が不足するので、糖質制限食をしても、なかなか空腹時血糖値が、正常域まで下がらないことがあります。
こころさんの場合、糖質制限食で膵臓が休養できてインスリン分泌能が回復し、
空腹時血糖値、食後血糖値共に改善したパターンですね。
次回、一ヶ月後のHbA1cは6.2%ていどのコントロール良好レベルが予測されます。
スタンダード糖質制限食では、昼か朝のどちらか1回、主食を摂取します。
高雄病院入院中の糖尿人の皆さんには、<玄米110g+グルコバイ100mg>などで、食後1時間と2時間血糖値を測定して実験し、食後2時間値が180mg/dl未満を達成していれば、OKとしています。
上記で食後血糖値180mg以上なら、<玄米110g+グルコバイ100mg+グルファスト10mg>で、再度食後血糖値を測定して実験します。
玄米パンやライ麦パンは、通常の白い食パンよりは少しはましですが、所詮は糖尿人の血糖値を200mg以上と上昇させます。カレーのご飯は、たっぷり血糖値を上げますね。1gの糖質が、2型糖尿人の血糖値を3mg上昇させます。シチューのとろみも糖質ですね。
ともあれ、主食(糖質)を摂取したあとの食後高血糖が、血管内皮を傷害しますので、食後2時間血糖値180mg/dl未満をめざします。
薬なしがいいなら、食事開始後30分たって、30分歩くという選択肢もありますね。食後2時間血糖値180mg未満なら、糖尿病合併症進行のリスクが少ないとされていますので、それが目標となります。
江部康二
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ブログ読者さんから
「糖質制限食講演会や講座の情報を常に見ることができるようにして欲しい」
との要望がありました。
もっともなご意見ですので今後、記事の最後にいつも「お知らせ」をいれるようにします。
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朝日カルチャーセンター京都 http://www.asahi-culture.co.jp/www/kyoto-c.html
075-231-9693
2008年11月18日(火)13:00~14:30
☆☆ 糖質制限食講演会・東京・中野
2008年11月30日(日)9:30~11:40
申し込みは、糖質制限食ネット・リボーン 曽我部ゆかり
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2008年10月25日 (土)
コメント・質問に関するお知らせ
おはようございます。
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントや質問をいただき、ありがとうございます。
おかげさまで、本ブログ、毎日3000件を超えるアクセスがあるようになり、活況を呈していて、私としても嬉しい限りです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。
質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
江部康二
おはようございます。
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントや質問をいただき、ありがとうございます。
おかげさまで、本ブログ、毎日3000件を超えるアクセスがあるようになり、活況を呈していて、私としても嬉しい限りです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。
質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
江部康二
2008年10月24日 (金)
こんばんは。水曜日からしとしとと降り続いていた雨が、先ほどやっとあがりました。
今日は、秋にしては妙に蒸し暑くて、江部診療所の外来では、10月としては珍しくクーラーのお世話になりました。
さて今回は、まるさんから、とても嬉しいコメントをいただきました。(⌒o⌒)v
コメントを記事にする時は、基本的に受付順にしているのですが、あまり嬉しかったので、少し順番を繰り上げて紹介します。
『ご報告
先生のブログを始めて拝見した8月24日に糖質制限食をスタートし、8月28日からスーパー糖質制限食に切り替えて継続実行している者です。本日とても嬉しいことがありご報告したく初めてコメントさせていただきました。10月20日に採血した検査結果A1cが5.8で空腹時血糖値が103という驚くべき数値を得ることができたのです。5.8という数値は発症以来始めての数値だと記憶しています。
私は2型糖尿病と診断されて25年半になる43歳で、ここ数年はA1cが6.5~7.0を行ったりきたりのコントロールの芳しくない状態でした。
8月13日の血液検査の結果はA1c7.0で、9月11日の採血でA1cが6.5になり2ヶ月弱の期間でA1cが1.2も下がったことになります。
9月に替わったばかりの主治医にスーパー糖質制限食を始めてみたと話してみたところ、先生の講演会をお聞きになったことがあるそうで、応援していただき、お陰様で頑張って主食抜きの生活を続けることができました。主治医から「検査結果を見て鳥肌が立ちました。糖質制限が糖尿病の治療に有効なことがよくわかりまし、発症から長期間経っていて膵臓が弱っているはずなのにこの結果は驚きです。これをモチベーションにして引き続き頑張って見てください」と言っていただき有頂天になり、どうしても今日ご報告したかったのです。後日また経過を報告させていただきます。
本当に先生には感謝しております、ありがとうございました。
by まる 2008/10/24 01:24』
まるさん。貴重で嬉しいコメントありがとうございます。
糖尿病歴25年半ですから、なかなかの年期ですね。
8月28日(HbA1c7.0%)からスーパー糖質制限食に切り替えて、10月20日には、糖尿病発症25年間で最善のHbA1c5.8%!!
5.8%なら正常値ですから、はなまるですね。おめでとうございます。(^-^)v(^-^)v
ここ数年間はA1cが6.5~7.0だったのですから、スーパー糖質制限食、素晴らしい威力ですね。
主治医殿が私の講演会に来ていただいていたとは、そして糖質制限食の有効性を素直に認めていただいたとは、これまた喜ばしい限りです。ヽ(*`▽´)ノ
いままでのブログ読者の糖尿人のコメントでは、
「主治医に話したけど、無視された」
「主治医に話したら反対された」
「主治医に話したら怒られた」・・・
ほとんどのドクターが、糖質制限食に否定的な立場だったことを思えば、少しずつ医学界にも糖質制限食が認知されつつあるのを実感します。まるさん。主治医殿に、是非是非よろしくお伝え下さいね。(^o^)v
それから、糖尿病歴は長いですが、早朝空腹時血糖値103mg/dlと改善していますので、インスリン基礎分泌は、一定以上確保されていたわけで、とても良いことと思います。
インスリン基礎分泌が確保されていれば、スーパー糖質制限食を実践する限り、食後高血糖になることもないので、正常人とかわりませんよ。
まるさん。これからも美味しく楽しく糖質制限食お続け下さいね。ヾ(^▽^)
江部康二
今日は、秋にしては妙に蒸し暑くて、江部診療所の外来では、10月としては珍しくクーラーのお世話になりました。
さて今回は、まるさんから、とても嬉しいコメントをいただきました。(⌒o⌒)v
コメントを記事にする時は、基本的に受付順にしているのですが、あまり嬉しかったので、少し順番を繰り上げて紹介します。
『ご報告
先生のブログを始めて拝見した8月24日に糖質制限食をスタートし、8月28日からスーパー糖質制限食に切り替えて継続実行している者です。本日とても嬉しいことがありご報告したく初めてコメントさせていただきました。10月20日に採血した検査結果A1cが5.8で空腹時血糖値が103という驚くべき数値を得ることができたのです。5.8という数値は発症以来始めての数値だと記憶しています。
私は2型糖尿病と診断されて25年半になる43歳で、ここ数年はA1cが6.5~7.0を行ったりきたりのコントロールの芳しくない状態でした。
8月13日の血液検査の結果はA1c7.0で、9月11日の採血でA1cが6.5になり2ヶ月弱の期間でA1cが1.2も下がったことになります。
9月に替わったばかりの主治医にスーパー糖質制限食を始めてみたと話してみたところ、先生の講演会をお聞きになったことがあるそうで、応援していただき、お陰様で頑張って主食抜きの生活を続けることができました。主治医から「検査結果を見て鳥肌が立ちました。糖質制限が糖尿病の治療に有効なことがよくわかりまし、発症から長期間経っていて膵臓が弱っているはずなのにこの結果は驚きです。これをモチベーションにして引き続き頑張って見てください」と言っていただき有頂天になり、どうしても今日ご報告したかったのです。後日また経過を報告させていただきます。
本当に先生には感謝しております、ありがとうございました。
by まる 2008/10/24 01:24』
まるさん。貴重で嬉しいコメントありがとうございます。
糖尿病歴25年半ですから、なかなかの年期ですね。
8月28日(HbA1c7.0%)からスーパー糖質制限食に切り替えて、10月20日には、糖尿病発症25年間で最善のHbA1c5.8%!!
5.8%なら正常値ですから、はなまるですね。おめでとうございます。(^-^)v(^-^)v
ここ数年間はA1cが6.5~7.0だったのですから、スーパー糖質制限食、素晴らしい威力ですね。
主治医殿が私の講演会に来ていただいていたとは、そして糖質制限食の有効性を素直に認めていただいたとは、これまた喜ばしい限りです。ヽ(*`▽´)ノ
いままでのブログ読者の糖尿人のコメントでは、
「主治医に話したけど、無視された」
「主治医に話したら反対された」
「主治医に話したら怒られた」・・・
ほとんどのドクターが、糖質制限食に否定的な立場だったことを思えば、少しずつ医学界にも糖質制限食が認知されつつあるのを実感します。まるさん。主治医殿に、是非是非よろしくお伝え下さいね。(^o^)v
それから、糖尿病歴は長いですが、早朝空腹時血糖値103mg/dlと改善していますので、インスリン基礎分泌は、一定以上確保されていたわけで、とても良いことと思います。
インスリン基礎分泌が確保されていれば、スーパー糖質制限食を実践する限り、食後高血糖になることもないので、正常人とかわりませんよ。
まるさん。これからも美味しく楽しく糖質制限食お続け下さいね。ヾ(^▽^)
江部康二
2008年10月23日 (木)
こんばんは。今日は、朝から雨がしとしと降り続いています。
今日の高雄病院の外来には、米国在住の糖尿人(日本の人です)がこられました。本ブログ、結構役に立っているそうで、とても嬉しく思いました。(⌒o⌒)v
さて今回は、太りたいみいさんから、アルコール、中性脂肪、LDL-コレステロールに関する質問・コメントをいただきました。
『08/10/17 太りたいみい です
No title
こんばんは
今日久しぶりに測定いきました。
2時間値 8/28 10/17
血糖値 156 → 137
A1C 5.6 → 5.4
中性脂肪131 → 130
HDL 153→ 128
LDL 82 → 137
で、今日の先生は、薬を飲み忘れても値が正常範囲内なら薬の副作用も出にくいので、OKというオオラカナ方で薬はなくなりました。でも、中性脂肪とLDLの値が心配です。以前Pannyさんが太るためにはオリーブオイルが良いとコメントされていたので、太るためとコレステロールのために、今日からオリーブオイルとエゴマ油でドレッシングを作っています。
さて、もう一つ気になるのはアルコールです。スタイルフリー500を2本と焼酎の湯割を軽く1杯飲んでいますが、アルコールはすい臓を疲れさせるので糖尿には良くないといいます。江部先生のお考えでは糖質0や蒸留酒は適量ならOKということなので、いい気になって飲んでいますが、そのところどうなのでしょう?やめれたら良いのですが、仕事のストレスや楽しみのためになかなか…
お忙しいとは思いますが、お時間のあるときにご指導ください。
朝夕は肌寒くさえ感じる季節になりました。どうぞご自愛ください。』
太りたいみいさん、コメントありがとうございます。
血糖値 156 → 137
A1C 5.6 → 5.4
薬が中止になって良かったですね。 (^_^)
A1Cは正常範囲でコントロールとても良好です。血糖値は空腹時なら、まず125mg未満→次いで110mg未満をめざしましょう。
中性脂肪131 → 130
HDL 153→ 128
LDL 82 → 137
血中脂質に関しても、正常範囲内の変動ですから、心配ないと思います。
糖質制限食で通常は中性脂肪が減少し、HDL-コレステロールが上昇しますが、HDLが減ってますね?
しかし、元のHDLが153と非常に高値ですので、128と減っても、まだ一般の人よりはるかに多く、問題ないと思います。
LDL-コレステロールに関しては、糖質制限食実践後の変化は一定しませんが、徐々に落ち着きます。とりあえず140mg未満なら心配いりません。
日本の従来の糖尿病治療では、飲酒は原則禁止ですが、一定の条件下で許可されることもあります。その条件は、以下の5項目をクリアしていることです。
1良好な血糖コントロールが長期にわたって得られている
2糖尿病の合併症がないか、あっても軽度である
3脂質代謝異常(特に高トリグリセリド血症)がない
4肝・膵疾患がない
5決められた上限量を守る患者である
欧米では、「適量」を守れば飲酒OKとしています。例えば、米国糖尿病協会では、アルコール24g(30ml)/日を食事と共にとるていどなら適量としています。ビール350ml缶を2本、ワイン150ml×2杯、ウイスキー45ml×2杯です。
みいさんの酒量、米国の適量より少し多いでしょうか?まあ私もそれくらいは飲んでますが、肝機能データ良好なのでよしとしています。何と言っても「清く正しくより、美味しく楽しく糖質制限食」がモットーですので… (= ̄▽ ̄=)
アルコールそのものは、1gが約7キロカロリーの燃焼エネルギーをもっていますが、摂取時の利用効率は約70%です。エネルギー源としては、<アルコール→糖質→脂質→タンパク質>の順で利用されます。
またアルコールは、糖質や脂質と違って摂取しても体重増加作用がありませんし、血糖値も上昇させませんし、ビタミンやミネラルにも乏しいので、empty calory と言われています。
なお、アルコールを摂取すると、人体に対する毒物とみなされて優先的に肝臓で分解されますので、その間、同じ補酵素を使う糖新生がブロックされてしまいます。
従って、アルコールを摂取すると結果として、肝臓の糖新生を抑制することとなります。一定量以上のアルコールを摂取すれば、肝臓の夜間糖新生はブロックされ、翌朝の早朝空腹時血糖値は、下がる可能性が高いです。
また、空腹時に飲んだりすれば、糖新生が抑制される分、インスリン注射やスルフォニル尿素剤を内服している人は、低血糖を起しやすくなるので、充分な注意が必要です。
江部康二
今日の高雄病院の外来には、米国在住の糖尿人(日本の人です)がこられました。本ブログ、結構役に立っているそうで、とても嬉しく思いました。(⌒o⌒)v
さて今回は、太りたいみいさんから、アルコール、中性脂肪、LDL-コレステロールに関する質問・コメントをいただきました。
『08/10/17 太りたいみい です
No title
こんばんは
今日久しぶりに測定いきました。
2時間値 8/28 10/17
血糖値 156 → 137
A1C 5.6 → 5.4
中性脂肪131 → 130
HDL 153→ 128
LDL 82 → 137
で、今日の先生は、薬を飲み忘れても値が正常範囲内なら薬の副作用も出にくいので、OKというオオラカナ方で薬はなくなりました。でも、中性脂肪とLDLの値が心配です。以前Pannyさんが太るためにはオリーブオイルが良いとコメントされていたので、太るためとコレステロールのために、今日からオリーブオイルとエゴマ油でドレッシングを作っています。
さて、もう一つ気になるのはアルコールです。スタイルフリー500を2本と焼酎の湯割を軽く1杯飲んでいますが、アルコールはすい臓を疲れさせるので糖尿には良くないといいます。江部先生のお考えでは糖質0や蒸留酒は適量ならOKということなので、いい気になって飲んでいますが、そのところどうなのでしょう?やめれたら良いのですが、仕事のストレスや楽しみのためになかなか…
お忙しいとは思いますが、お時間のあるときにご指導ください。
朝夕は肌寒くさえ感じる季節になりました。どうぞご自愛ください。』
太りたいみいさん、コメントありがとうございます。
血糖値 156 → 137
A1C 5.6 → 5.4
薬が中止になって良かったですね。 (^_^)
A1Cは正常範囲でコントロールとても良好です。血糖値は空腹時なら、まず125mg未満→次いで110mg未満をめざしましょう。
中性脂肪131 → 130
HDL 153→ 128
LDL 82 → 137
血中脂質に関しても、正常範囲内の変動ですから、心配ないと思います。
糖質制限食で通常は中性脂肪が減少し、HDL-コレステロールが上昇しますが、HDLが減ってますね?
しかし、元のHDLが153と非常に高値ですので、128と減っても、まだ一般の人よりはるかに多く、問題ないと思います。
LDL-コレステロールに関しては、糖質制限食実践後の変化は一定しませんが、徐々に落ち着きます。とりあえず140mg未満なら心配いりません。
日本の従来の糖尿病治療では、飲酒は原則禁止ですが、一定の条件下で許可されることもあります。その条件は、以下の5項目をクリアしていることです。
1良好な血糖コントロールが長期にわたって得られている
2糖尿病の合併症がないか、あっても軽度である
3脂質代謝異常(特に高トリグリセリド血症)がない
4肝・膵疾患がない
5決められた上限量を守る患者である
欧米では、「適量」を守れば飲酒OKとしています。例えば、米国糖尿病協会では、アルコール24g(30ml)/日を食事と共にとるていどなら適量としています。ビール350ml缶を2本、ワイン150ml×2杯、ウイスキー45ml×2杯です。
みいさんの酒量、米国の適量より少し多いでしょうか?まあ私もそれくらいは飲んでますが、肝機能データ良好なのでよしとしています。何と言っても「清く正しくより、美味しく楽しく糖質制限食」がモットーですので… (= ̄▽ ̄=)
アルコールそのものは、1gが約7キロカロリーの燃焼エネルギーをもっていますが、摂取時の利用効率は約70%です。エネルギー源としては、<アルコール→糖質→脂質→タンパク質>の順で利用されます。
またアルコールは、糖質や脂質と違って摂取しても体重増加作用がありませんし、血糖値も上昇させませんし、ビタミンやミネラルにも乏しいので、empty calory と言われています。
なお、アルコールを摂取すると、人体に対する毒物とみなされて優先的に肝臓で分解されますので、その間、同じ補酵素を使う糖新生がブロックされてしまいます。
従って、アルコールを摂取すると結果として、肝臓の糖新生を抑制することとなります。一定量以上のアルコールを摂取すれば、肝臓の夜間糖新生はブロックされ、翌朝の早朝空腹時血糖値は、下がる可能性が高いです。
また、空腹時に飲んだりすれば、糖新生が抑制される分、インスリン注射やスルフォニル尿素剤を内服している人は、低血糖を起しやすくなるので、充分な注意が必要です。
江部康二
2008年10月22日 (水)
おはようございます。今朝もほどよくひんやりで、秋らしい京都です。
さて今回はkazuさんから、糖尿病性下痢、下肢糖尿病神経障害について、コメント・質問をいただきました。
『08/10/17 kazu
お久しぶりです
江部先生、スタッフの皆様こんちは。
以前中性脂肪が高くて、コメントを書かせて頂いた、49歳kazuです。
5月よりスーパー糖質制限を実行して、おかげさまで9/24の定期検査(3ヶ月に一回いってます)では、中性脂肪146になり、正常値に入りました。また、ヘモグロビンA1cも5.3になりました。
感謝申し上げます。
血糖値はすばらしく改善しておりますが、最近また自律神経、抹消神経の異常と思われる症状が発生して、困っております。
足の痛みによる歩行困難と、糖尿病性の下痢と思われることです。
下痢の話はおおやけに公開するのは、恥ずかしいのですが、ここを訪れる糖尿病患者の皆様の中にも、同じ症状で困っている方もいらっしゃると思います。もしこの件で、江部先生のアドバイスを賜れば参考になるのでは?という思いで書き込みさせていただきます。
お忙しい先生にアドバイスの催促をするようで申し訳ありません。
末梢神経の異常と思われる足の痺れは、去年秋口から、足の裏が攣るような感じになり、また背中が痛くなったりしていました。今年1月に糖尿病と診断されて、困っているところ、江部先生のブログにたどり着き、糖質制限を実行させて頂いたところ、1ヶ月ぐらいで、症状がほとんどでなくなり、最近まで、症状を忘れておりました。
ところが10月に入ってすぐですが、椅子に長時間座っていた所、左臀部に鈍い痛みが出ました。
その後から、左足の足首から先が正座したあとの痺れるよう感じになり、最近は50mも歩くと左足スネあたりが痛くなってきます。
また、左側の顔、左手なども鈍く痺れている感じがします。
このことで、糖尿病科の主治医に話をしたところ、糖尿からくる足の痺れは必ず両側の足にでるので、糖尿からきている可能性は低いと説明を受けました。
念のため、動脈硬化の測定もしましたが、血管の硬さは1500baPWVでそんなに問題になるような数字ではないとのことでした。
それで神経内科を受診したのですが、問診、MRI、レントゲンの結果特に異常になるところはないと言う結果になりました。しかし足の痺れを緩和させるために、メチコバール錠を処方していただきました。
ネットで調べるとやはり糖尿病からくるものだと思うのですが、体の左側だけって事もあるのでしょうか?
主治医殿のおっしゃるように必ず左右対称でおこるものでしょうか?
また、10月8日頃から、毎日下痢状態で1日7~8回トイレにいきます。就寝時も便意があり起きてしまいます。これも10月15日に主治医殿に診察して頂いたところ、糖尿病は便秘にはなるが、下痢にはならないとの事でした。
でも一週間下痢は長いので、タンナルビンとビオフェルミンBF11を処方するので飲んで様子を見てほしいとのことで、10月17日現在服用しております、症状はまるで改善しません。
タンナルビンは強い下痢止め効果があると説明を受けましたが。。
ネットを調べたりすると、やはり糖尿病性下痢ではないかと思っています。
また糖尿病性の下痢だとすると、どんな対処療法があるのでしょうか?
お忙しい先生に質問だらけで申し訳ありません。お時間のあるときでもお返事頂けたら幸いです。』
kazuさん。コメントありがとうございます。そして中性脂肪:146、ヘモグロビンA1c:5.3ともに正常化でよかったですね。
「末梢神経の異常と思われる足の痺れは、去年秋口から、足の裏が攣るような感じになり、また背中が痛くなったりしていました。今年1月に糖尿病と診断されて、困っているところ、江部先生のブログにたどり着き、糖質制限を実行させて頂いたところ、1ヶ月ぐらいで、症状がほとんどでなくなり、最近まで、症状を忘れておりました。」
糖尿病歴がまだ、8ヶ月間で、HbA1c5.3%とコントロール良好ですので、糖尿病神経障害の合併は考えにくいです。
少なくともHbA1c6.5%以上、通常は7%以上の血糖コントロール不良が、数年間以上継続して初めて細小血管の障害が顕在化して、神経障害になります。
毎年1回は健康診断をしておられると思いますので、本格的糖尿病を数年間見逃していたようなこともないですよね。
また主治医が仰るように、下肢の糖尿病神経障害は基本的に両側性です。なぜなら高血糖という全身性の代謝異常がベースにある細小血管の傷害ですから、基本的には全身の血管障害があるはずです。左足が痺れたり痛んだりするほどの細小血管障害を有しているなら、右足の細小血管だけが無事である可能性は極めて低いです。
「神経内科を受診したのですが、問診、MRI、レントゲンの結果特に異常になるところはないと言う結果になりました。」
糖尿病神経障害でもなく、MRIなども正常なら原因不明ということになります。器質的問題がないなら、漢方薬や鍼灸治療が選択肢の一つと思います。
下痢に関しても、糖尿病のコントロール良好となってから発症しておられますので、糖尿病からくるものとは考えにくいです。
確かに糖尿病による腸の合併症として、下痢や便秘があります。しかし、こちらも長年の高血糖が続いて、消化管の動きを調整している自律神経(交感神経と副交感神経)障害や、細小血管の障害がベースに存在して初めて発症してきますので、糖尿病歴8ヶ月で糖尿病性下痢を発症する確率は、限りなくゼロと思います。
従いまして、糖尿病とは無関係の下痢と考えられますので、様子をみて改善がみられないなら、主治医とよく相談されて、
潰瘍性大腸炎、
クローン病などの炎症性腸疾患
甲状腺機能亢進症
過敏性腸症候群
心因性の下痢
など、長期間の下痢がありえる疾患を考慮する必要があると思います。
なお、糖尿病慢性合併症ですが、長期間血糖コントロールの悪い状態が持続して、細小血管や大血管に傷害が生じて初めて発生します。細小血管合併症には糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害など大血管合併症には心筋梗塞、脳卒中、糖尿病足病変などがあります。
長期間というのは、通常は糖尿病発症後、少なくとも数年間以上の単位だと思います。まあ、当然個人差がありますから、2~3年間以内だったら慢性合併症は、絶対に出ないというような保証はできないのですが・・・
江部康二
さて今回はkazuさんから、糖尿病性下痢、下肢糖尿病神経障害について、コメント・質問をいただきました。
『08/10/17 kazu
お久しぶりです
江部先生、スタッフの皆様こんちは。
以前中性脂肪が高くて、コメントを書かせて頂いた、49歳kazuです。
5月よりスーパー糖質制限を実行して、おかげさまで9/24の定期検査(3ヶ月に一回いってます)では、中性脂肪146になり、正常値に入りました。また、ヘモグロビンA1cも5.3になりました。
感謝申し上げます。
血糖値はすばらしく改善しておりますが、最近また自律神経、抹消神経の異常と思われる症状が発生して、困っております。
足の痛みによる歩行困難と、糖尿病性の下痢と思われることです。
下痢の話はおおやけに公開するのは、恥ずかしいのですが、ここを訪れる糖尿病患者の皆様の中にも、同じ症状で困っている方もいらっしゃると思います。もしこの件で、江部先生のアドバイスを賜れば参考になるのでは?という思いで書き込みさせていただきます。
お忙しい先生にアドバイスの催促をするようで申し訳ありません。
末梢神経の異常と思われる足の痺れは、去年秋口から、足の裏が攣るような感じになり、また背中が痛くなったりしていました。今年1月に糖尿病と診断されて、困っているところ、江部先生のブログにたどり着き、糖質制限を実行させて頂いたところ、1ヶ月ぐらいで、症状がほとんどでなくなり、最近まで、症状を忘れておりました。
ところが10月に入ってすぐですが、椅子に長時間座っていた所、左臀部に鈍い痛みが出ました。
その後から、左足の足首から先が正座したあとの痺れるよう感じになり、最近は50mも歩くと左足スネあたりが痛くなってきます。
また、左側の顔、左手なども鈍く痺れている感じがします。
このことで、糖尿病科の主治医に話をしたところ、糖尿からくる足の痺れは必ず両側の足にでるので、糖尿からきている可能性は低いと説明を受けました。
念のため、動脈硬化の測定もしましたが、血管の硬さは1500baPWVでそんなに問題になるような数字ではないとのことでした。
それで神経内科を受診したのですが、問診、MRI、レントゲンの結果特に異常になるところはないと言う結果になりました。しかし足の痺れを緩和させるために、メチコバール錠を処方していただきました。
ネットで調べるとやはり糖尿病からくるものだと思うのですが、体の左側だけって事もあるのでしょうか?
主治医殿のおっしゃるように必ず左右対称でおこるものでしょうか?
また、10月8日頃から、毎日下痢状態で1日7~8回トイレにいきます。就寝時も便意があり起きてしまいます。これも10月15日に主治医殿に診察して頂いたところ、糖尿病は便秘にはなるが、下痢にはならないとの事でした。
でも一週間下痢は長いので、タンナルビンとビオフェルミンBF11を処方するので飲んで様子を見てほしいとのことで、10月17日現在服用しております、症状はまるで改善しません。
タンナルビンは強い下痢止め効果があると説明を受けましたが。。
ネットを調べたりすると、やはり糖尿病性下痢ではないかと思っています。
また糖尿病性の下痢だとすると、どんな対処療法があるのでしょうか?
お忙しい先生に質問だらけで申し訳ありません。お時間のあるときでもお返事頂けたら幸いです。』
kazuさん。コメントありがとうございます。そして中性脂肪:146、ヘモグロビンA1c:5.3ともに正常化でよかったですね。
「末梢神経の異常と思われる足の痺れは、去年秋口から、足の裏が攣るような感じになり、また背中が痛くなったりしていました。今年1月に糖尿病と診断されて、困っているところ、江部先生のブログにたどり着き、糖質制限を実行させて頂いたところ、1ヶ月ぐらいで、症状がほとんどでなくなり、最近まで、症状を忘れておりました。」
糖尿病歴がまだ、8ヶ月間で、HbA1c5.3%とコントロール良好ですので、糖尿病神経障害の合併は考えにくいです。
少なくともHbA1c6.5%以上、通常は7%以上の血糖コントロール不良が、数年間以上継続して初めて細小血管の障害が顕在化して、神経障害になります。
毎年1回は健康診断をしておられると思いますので、本格的糖尿病を数年間見逃していたようなこともないですよね。
また主治医が仰るように、下肢の糖尿病神経障害は基本的に両側性です。なぜなら高血糖という全身性の代謝異常がベースにある細小血管の傷害ですから、基本的には全身の血管障害があるはずです。左足が痺れたり痛んだりするほどの細小血管障害を有しているなら、右足の細小血管だけが無事である可能性は極めて低いです。
「神経内科を受診したのですが、問診、MRI、レントゲンの結果特に異常になるところはないと言う結果になりました。」
糖尿病神経障害でもなく、MRIなども正常なら原因不明ということになります。器質的問題がないなら、漢方薬や鍼灸治療が選択肢の一つと思います。
下痢に関しても、糖尿病のコントロール良好となってから発症しておられますので、糖尿病からくるものとは考えにくいです。
確かに糖尿病による腸の合併症として、下痢や便秘があります。しかし、こちらも長年の高血糖が続いて、消化管の動きを調整している自律神経(交感神経と副交感神経)障害や、細小血管の障害がベースに存在して初めて発症してきますので、糖尿病歴8ヶ月で糖尿病性下痢を発症する確率は、限りなくゼロと思います。
従いまして、糖尿病とは無関係の下痢と考えられますので、様子をみて改善がみられないなら、主治医とよく相談されて、
潰瘍性大腸炎、
クローン病などの炎症性腸疾患
甲状腺機能亢進症
過敏性腸症候群
心因性の下痢
など、長期間の下痢がありえる疾患を考慮する必要があると思います。
なお、糖尿病慢性合併症ですが、長期間血糖コントロールの悪い状態が持続して、細小血管や大血管に傷害が生じて初めて発生します。細小血管合併症には糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害など大血管合併症には心筋梗塞、脳卒中、糖尿病足病変などがあります。
長期間というのは、通常は糖尿病発症後、少なくとも数年間以上の単位だと思います。まあ、当然個人差がありますから、2~3年間以内だったら慢性合併症は、絶対に出ないというような保証はできないのですが・・・
江部康二
2008年10月21日 (火)
おはようございます。
今回は糖質制限食とやせ・冷えに関して、やせ・冷えさんからコメント・質問をいただきました。
『08/10/16 やせ・冷え
痩せ、末梢神経障害
江部先生。
半年前HbA1c6.2を指摘され、IGTと診断された41歳男性です。糖質制限実施し、約半年で68から53キロまで(15kg)ダイエットしました。その結果HbA1c5.6まで改善いたしました。
しかし、ダイエット開始後2~3ヶ月後より、足の指先端の冷感を自覚し、最近はくるぶしより末梢の冷感を感じるまでになりました。(実際足はかなり冷たくなっております。)夏でも靴下をはかないと眠れません。
このHbA1cの値では末梢神経症状は出ないと勝手に解釈しており、やせによる冷え性と理解しておりますが、いかがなものでしょうか?(糖質制限による影響の可能性はございませんでしょうか?)
同様なダイエットにて冷え性の訴えのある患者様は多いのでしょうか?お教えください。』
やせ・冷えさん。コメントありがとうございます。
HbA1c 6.2→HbA1c5.6、体重 68kg→53kg
見事な改善ですね。
一方、抹消の冷えを感じるということですが、糖尿病はデータ的に正常域にまで改善してますので
仰有る通り、糖尿病神経障害がでる可能性はなく、やせ過ぎによる冷えと思います。
やせ・冷えさん以外ににも、糖質制限食実践で
「血糖値は改善したが痩せすぎる」
「寒がりになった」
「力がでない」
「手足が冷える」
などと訴えられる糖尿人がたまにおられます。
そのほとんどが、結果としてカロリー不足になっておられました。つまり、脂肪が良くないと言う常識が、あまりにも強固に染みついているために無意識のうちに<糖質制限+脂質制限>という食生活になっている人がいるのです。これではそれこそ食べるものがなくなります。
<脂肪悪玉説神話>は、米国の信頼度第一級の疫学的論文で、既に否定されています。**
<糖質制限食=高タンパク・高脂質食>ということをしっかりご認識いただいて、脂質もしっかり食べて、低カロリーにならないようにしておけば、冷えが改善してくると思いますよ。 (^_^)
江部康二
**
米国の大規模介入試験
(5万人弱の閉経女性を対象に、対照群を置き、平均8年間にわたって追跡)において
「脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げない」ことがアメリカ医学会雑誌2006年2月8日号で報告されました。(JAMA. 2006;295:629-642. 643-654. 655-666.)
**
「米国の女性看護師82,802人を20年間追跡したところ、炭水化物が少なく脂肪とたんぱく質が多い食事でも、冠動脈疾患のリスクは上昇しなかった。」
このような内容の研究が、New England Journal of Medicine、2006年11月9日号に、ハーバード大学のグループにより報告されました。
Halton TL, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women. New England Journal of Medicine 2006;355:1991-2002.
今回は糖質制限食とやせ・冷えに関して、やせ・冷えさんからコメント・質問をいただきました。
『08/10/16 やせ・冷え
痩せ、末梢神経障害
江部先生。
半年前HbA1c6.2を指摘され、IGTと診断された41歳男性です。糖質制限実施し、約半年で68から53キロまで(15kg)ダイエットしました。その結果HbA1c5.6まで改善いたしました。
しかし、ダイエット開始後2~3ヶ月後より、足の指先端の冷感を自覚し、最近はくるぶしより末梢の冷感を感じるまでになりました。(実際足はかなり冷たくなっております。)夏でも靴下をはかないと眠れません。
このHbA1cの値では末梢神経症状は出ないと勝手に解釈しており、やせによる冷え性と理解しておりますが、いかがなものでしょうか?(糖質制限による影響の可能性はございませんでしょうか?)
同様なダイエットにて冷え性の訴えのある患者様は多いのでしょうか?お教えください。』
やせ・冷えさん。コメントありがとうございます。
HbA1c 6.2→HbA1c5.6、体重 68kg→53kg
見事な改善ですね。
一方、抹消の冷えを感じるということですが、糖尿病はデータ的に正常域にまで改善してますので
仰有る通り、糖尿病神経障害がでる可能性はなく、やせ過ぎによる冷えと思います。
やせ・冷えさん以外ににも、糖質制限食実践で
「血糖値は改善したが痩せすぎる」
「寒がりになった」
「力がでない」
「手足が冷える」
などと訴えられる糖尿人がたまにおられます。
そのほとんどが、結果としてカロリー不足になっておられました。つまり、脂肪が良くないと言う常識が、あまりにも強固に染みついているために無意識のうちに<糖質制限+脂質制限>という食生活になっている人がいるのです。これではそれこそ食べるものがなくなります。
<脂肪悪玉説神話>は、米国の信頼度第一級の疫学的論文で、既に否定されています。**
<糖質制限食=高タンパク・高脂質食>ということをしっかりご認識いただいて、脂質もしっかり食べて、低カロリーにならないようにしておけば、冷えが改善してくると思いますよ。 (^_^)
江部康二
**
米国の大規模介入試験
(5万人弱の閉経女性を対象に、対照群を置き、平均8年間にわたって追跡)において
「脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げない」ことがアメリカ医学会雑誌2006年2月8日号で報告されました。(JAMA. 2006;295:629-642. 643-654. 655-666.)
**
「米国の女性看護師82,802人を20年間追跡したところ、炭水化物が少なく脂肪とたんぱく質が多い食事でも、冠動脈疾患のリスクは上昇しなかった。」
このような内容の研究が、New England Journal of Medicine、2006年11月9日号に、ハーバード大学のグループにより報告されました。
Halton TL, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women. New England Journal of Medicine 2006;355:1991-2002.
2008年10月20日 (月)
こんばんは。
10月19日の日曜日、東京銀座の「ICONIC」にて、阿曽達治シェフの「糖質制限イタリアンフルコースディナー」会が、江部康二の「糖質制限食講演会」のおまけつきで開催されました。
予約段階で108席満席となり、参加できなかった方もあり、すいませんでした。本ブログの読者も何人もご参加いただき、誠にありがとうございました。m(_ _)mVV
医師、歯科医師も何人か来ておられ、ネットワークが広がり嬉しく思っています。
糖質制限食を実践されて、半年で101kgから68kgに減量された
阿曽グループ、東京ミッドタウン「Botanica」 の新居田シェフも以前の写真付きで登場され、聴衆の喝采を浴びておられました。減量成功と共に糖尿病もすっかり良くなられたそうです。
阿曽シェフご自身も、以前は、イタリアのパバロッティそっくりの体型で130kg超あり、通常のカロリー制限のダイエットで少しは減量できたものの、それ以上減らず困っておられたそうです。
それが、糖質制限食を実践されて、合計50kgの減量に成功されました。その結果、高血圧もすっかり良くなられたそうです。
当日は、
前菜、テリーヌ、パスタ、オマール海老と鱈、牛フィレ肉、
パン、プリン、アイスクリーム、コーヒー、チョコレート
白ワイン、赤ワイン
が次々と登場しました。
繊細な芸術作品のような色彩と、香り豊かな料理の数々に圧倒されっぱなしでした。
パスタには専用のスライサーで薄ーく削った白トリュフがたっぷりかけてあり、やや動物的ともいえる官能的なトリュフの香りを味わいました。
恥ずかしながら、トリュフにこのような濃厚な香りがあるとは、初めて知りました。豚クンが、地面の下にあるトリュフを嗅ぎつけて発見するというお話しが、やっと良く理解できました。
誠にもって美味しく楽しく、そしてちょっぴりリッチに糖質制限食を心ゆくまで満喫しました。(^-^)v(^-^)v
白ワイン、赤ワインも、糖質ほぼゼロのものを選んでいただきましたし、スイーツ、パスタ、パンも全て糖質含有量が計算してあり、勿論糖質制限なものでしたよ。
ディナー終了後は約30分、糖質制限食について活発な質疑応答がありました。時間もおしてギリギリとなりましたが、無事21:20東京発最終の、のぞみで一路京都に向かいました。
なお阿曽グループのレストランでは、糖質制限食メニューを常時用意していただいているそうです。
財布さえ許せば、東京に行く度に訪れたいお店です。(^_^)
江部康二
10月19日の日曜日、東京銀座の「ICONIC」にて、阿曽達治シェフの「糖質制限イタリアンフルコースディナー」会が、江部康二の「糖質制限食講演会」のおまけつきで開催されました。
予約段階で108席満席となり、参加できなかった方もあり、すいませんでした。本ブログの読者も何人もご参加いただき、誠にありがとうございました。m(_ _)mVV
医師、歯科医師も何人か来ておられ、ネットワークが広がり嬉しく思っています。
糖質制限食を実践されて、半年で101kgから68kgに減量された
阿曽グループ、東京ミッドタウン「Botanica」 の新居田シェフも以前の写真付きで登場され、聴衆の喝采を浴びておられました。減量成功と共に糖尿病もすっかり良くなられたそうです。
阿曽シェフご自身も、以前は、イタリアのパバロッティそっくりの体型で130kg超あり、通常のカロリー制限のダイエットで少しは減量できたものの、それ以上減らず困っておられたそうです。
それが、糖質制限食を実践されて、合計50kgの減量に成功されました。その結果、高血圧もすっかり良くなられたそうです。
当日は、
前菜、テリーヌ、パスタ、オマール海老と鱈、牛フィレ肉、
パン、プリン、アイスクリーム、コーヒー、チョコレート
白ワイン、赤ワイン
が次々と登場しました。
繊細な芸術作品のような色彩と、香り豊かな料理の数々に圧倒されっぱなしでした。
パスタには専用のスライサーで薄ーく削った白トリュフがたっぷりかけてあり、やや動物的ともいえる官能的なトリュフの香りを味わいました。
恥ずかしながら、トリュフにこのような濃厚な香りがあるとは、初めて知りました。豚クンが、地面の下にあるトリュフを嗅ぎつけて発見するというお話しが、やっと良く理解できました。
誠にもって美味しく楽しく、そしてちょっぴりリッチに糖質制限食を心ゆくまで満喫しました。(^-^)v(^-^)v
白ワイン、赤ワインも、糖質ほぼゼロのものを選んでいただきましたし、スイーツ、パスタ、パンも全て糖質含有量が計算してあり、勿論糖質制限なものでしたよ。
ディナー終了後は約30分、糖質制限食について活発な質疑応答がありました。時間もおしてギリギリとなりましたが、無事21:20東京発最終の、のぞみで一路京都に向かいました。
なお阿曽グループのレストランでは、糖質制限食メニューを常時用意していただいているそうです。
財布さえ許せば、東京に行く度に訪れたいお店です。(^_^)
江部康二
2008年10月19日 (日)
おはようございます。
糖尿人には、やせたい派と太りたい派と両方おられます。今回は太りたいPannyさんから、コメントをいただきました。
『太りたい場合
私ももう少し太りたい一人で、ナッツの間食も実践しています。
最近、オリーブ油を意識して使うようにしてみました。大匙1杯15ccで120kcalもあり、簡単に大匙2~3杯は使えますよね。私はドレッシングにたくさん入れるようにしています。
そうしたところ、特に苦労はせず少しずつ体重が増え始めました!
糖質を増やせば体重が簡単に増えるのでしょうがそうはいきませんので、何か健康的で簡単にできることはないか?とはじめてみました。オリーブ油でしたら動物性脂肪(動脈硬化の一因)でもなくリノール酸(アレルギーの一因)でもないのでよいのではないか、という素人考えからですが。何かのご参考になればうれしいです。
by Panny 2008/10/14 06:15 』
Pannyさん。貴重なコメントありがとうございます。確かにオリーブオイルはいいですね。 (^_^)
生でドレッシングにも使えますし、火を通してもオリーブオイルは一番酸化しにくいので何かと重宝です。やせてる糖尿人には、「ナッツ類、果物適量、オリーブオイル」が三種の神器でしょうか。
オリーブ油に含まれるオレイン酸(一価不飽和脂肪酸)や紫蘇油・エゴマ油に含まれるα-リノレン酸は、心筋梗塞の予防効果があり、魚油に含まれるEPAやDHAは脳の代謝に良く、血液をサラサラにするので、積極的に摂取したいものです。
α-リノレン酸は白菜・キャベツ・大根などナタネ科、カボチャ、ネギ、ピーマン、トマト、ホウレン草、春菊などの野菜、芋類、大豆、マメ科植物、果実にも含まれています。
ただα-リノレン酸は残念ながら、熱に非常に弱いです。しそ油やエゴマ油などα-リノレン酸を豊富に含む油を、熱を加えずに生で使用するのも、体重増加に良いかもしれませんね。
なお調理に使う油脂に関してですが、近年リノール酸(大豆油、コーン油、紅花油などほとんどの植物油の主成分)の過剰摂取 が、アレルギーや炎症や心筋梗塞・脳梗塞の誘因になると指摘されています。
確かにリノール酸はα-リノレン酸と共に必須脂肪酸と呼ばれ、人体内で合成できないので、必ず食物から摂取する必要があります。
しかし、日本人のリノール酸1日必須量は1~2g以下で良いのに、現実には平均20gと大量に摂取しているのが問題となっているのです。
肉類などの飽和脂肪酸、コーン油・大豆油・紅花油など多くの植物油の多価不飽和脂肪酸(リノール酸など)は一価不飽和脂肪酸(オリーブ油やキャノーラ油などの主成分)よりやや少なめに摂取するのがよいでしょう。
厚生労働省は 「S:M:P=3:4:3」 を推奨しています。
Sは飽和脂肪酸、Mは一価不飽和脂肪酸、Pは多価不飽和脂肪酸です。
江部康二
糖尿人には、やせたい派と太りたい派と両方おられます。今回は太りたいPannyさんから、コメントをいただきました。
『太りたい場合
私ももう少し太りたい一人で、ナッツの間食も実践しています。
最近、オリーブ油を意識して使うようにしてみました。大匙1杯15ccで120kcalもあり、簡単に大匙2~3杯は使えますよね。私はドレッシングにたくさん入れるようにしています。
そうしたところ、特に苦労はせず少しずつ体重が増え始めました!
糖質を増やせば体重が簡単に増えるのでしょうがそうはいきませんので、何か健康的で簡単にできることはないか?とはじめてみました。オリーブ油でしたら動物性脂肪(動脈硬化の一因)でもなくリノール酸(アレルギーの一因)でもないのでよいのではないか、という素人考えからですが。何かのご参考になればうれしいです。
by Panny 2008/10/14 06:15 』
Pannyさん。貴重なコメントありがとうございます。確かにオリーブオイルはいいですね。 (^_^)
生でドレッシングにも使えますし、火を通してもオリーブオイルは一番酸化しにくいので何かと重宝です。やせてる糖尿人には、「ナッツ類、果物適量、オリーブオイル」が三種の神器でしょうか。
オリーブ油に含まれるオレイン酸(一価不飽和脂肪酸)や紫蘇油・エゴマ油に含まれるα-リノレン酸は、心筋梗塞の予防効果があり、魚油に含まれるEPAやDHAは脳の代謝に良く、血液をサラサラにするので、積極的に摂取したいものです。
α-リノレン酸は白菜・キャベツ・大根などナタネ科、カボチャ、ネギ、ピーマン、トマト、ホウレン草、春菊などの野菜、芋類、大豆、マメ科植物、果実にも含まれています。
ただα-リノレン酸は残念ながら、熱に非常に弱いです。しそ油やエゴマ油などα-リノレン酸を豊富に含む油を、熱を加えずに生で使用するのも、体重増加に良いかもしれませんね。
なお調理に使う油脂に関してですが、近年リノール酸(大豆油、コーン油、紅花油などほとんどの植物油の主成分)の過剰摂取 が、アレルギーや炎症や心筋梗塞・脳梗塞の誘因になると指摘されています。
確かにリノール酸はα-リノレン酸と共に必須脂肪酸と呼ばれ、人体内で合成できないので、必ず食物から摂取する必要があります。
しかし、日本人のリノール酸1日必須量は1~2g以下で良いのに、現実には平均20gと大量に摂取しているのが問題となっているのです。
肉類などの飽和脂肪酸、コーン油・大豆油・紅花油など多くの植物油の多価不飽和脂肪酸(リノール酸など)は一価不飽和脂肪酸(オリーブ油やキャノーラ油などの主成分)よりやや少なめに摂取するのがよいでしょう。
厚生労働省は 「S:M:P=3:4:3」 を推奨しています。
Sは飽和脂肪酸、Mは一価不飽和脂肪酸、Pは多価不飽和脂肪酸です。
江部康二
2008年10月18日 (土)
おはようございます。昨夜は、第三金曜ライブでした。初めて来ていただいたお客さんも4組もありましたよ。 (^_^)
はるか富士見高原から、ペンション・ジョナサンのオーナーも、可愛い女性スタッフ二人と共に駆けつけてくださり、感謝、感謝でした。(^-^)v(^-^)v
ライブも新曲(といっても70年代、80年代ですが・・・)も入れて、踊るコーナーもあって、とても盛り上がりましたよ。ヽ(*`▽´)ノ
さて今回はkei さんから
「尿中ケトン体と尿酸値」に関してコメント・質問をいただきました。
『08/10/15 kei
尿中ケトン体と尿酸値
江部先生、こんにちは。
糖質制限食で血糖値が下がったことで、10/5にもコメントさせていただいたkeiと申します。
本日、病院で血液検査をしてきたところ、HbA1c 10.6→8.2(グリコアルブミンは15.3)、空腹時血糖値 92、その他GOT,GPT,中性脂肪などすべてが改善されていて担当医師に驚かれました。
このまま続けていけば大丈夫ということなのですが、ただ急激に体重を落としすぎてしまったせいか(1ヶ月半で15kg近く落ちてしまっています)尿酸値がもともと7.7と高かったのが10.3にもなってしまいました。
また、尿中ケトン体も多く(2+と書いてありました。血中ケトン体はわかりません)医師にはあまり体を飢餓状態にしない方がよいとも言われました。
ケトン体については江部先生の過去の記事も読ませていただきましたが、実際私のように尿酸値が跳ね上がってしまった場合はどうやって対処すべきなのか、新たな悩みが出てきたところです。
江部先生の3/28の記事も拝見いたしましたが、私が標準体重になるにはまだ10kgほどの減量が必要であり、そこまで行かないと恐ろしいスピードの減量もおさまらないのか、ケトン体も尿中に出てしまうのか、悩みは尽きません。
いずれにしてもまさか尿酸値がこんなに急激に上がるとは思わず、今度は痛風の恐怖におののいております。
過去の記事の繰り返しになってしまうような質問で恐縮ではありますが、何かアドバイスがあれば教えていただければ幸いです。』
『08/10/15 kei
No title
何回も書き込み、申し訳ありません。
上記の質問ですが、その後検査値を眺めていて気づいたことがあるので補足です。
詳細は私のブログでも書いたのですが、
http://kei1383.blog44.fc2.com/blog-date-20081015.html
実は尿検査、血液検査を8/26、9/4、10/14とやっておりまして、糖質制限は9/15頃から始めております。
それぞれの値を見ると、糖質制限を知る前の無茶な低カロリー食の8/26→9/4のところで、尿酸値が7.7→10.0と跳ね上がっておりました。その後、10/14まで40日間ほど糖質制限食が中心になったのですが、このときは体重が10kg以上減少しているにも関わらず、尿酸値は10.0→10.3と微増にとどまっていることに気づきました。
専門的な知識が無く、憶測でしか考えられないのですが、むしろ糖質制限期の方が尿酸値にはよかったのかと思い直しております。
まとまらないうちに質問してしまい申し訳ありませんでした。』
keiさん、コメントありがとうございます。
「HbA1c、空腹時血糖値 、GOT,GPT,中性脂肪などすべてが改善」良かったですね。 (^_^)
尿中ケトン体ですが、糖質制限食実践中の初期段階では、飢餓状態でなくても生理的に出現しますので全く問題はありません。
糖質制限食を続けて、筋肉細胞などがどんどん血液中のケトン体を利用する段階になると、血中のケトン体が、今の基準で高値(糖質制限食では正常値ですが・・・)であっても、尿中ケトン体は陰性になります。
さて、keiさんの尿酸値の経過、とても参考になります。
高雄病院では、絶食療法(断食)も治療の一つとして取り入れてます。標準的な絶食療法は、ゼロカロリーではなく、超少食療法といった位置づけで
1200kcal/日を2日間→1000kcal→700kcal→330kcal→210kcalを3日間
→330kcal→700kcal→1000kcal→1200kcal/日を2日間
といった流れで行います。
この超少食療法で、結構尿酸値が上昇します。keiさんの場合も10日間くらいで尿酸値が7.7→10.0に上昇してますが、ご指摘の如く、低カロリー食による影響が大きいと考えられます。即ち、超少食療法と似たような状況で、尿酸値が上昇したのでしょうね。
普通にカロリーを摂取している糖質制限食の実践では、尿酸値は上昇、不変、低下といろんなパターンがあります。
糖質制限食実践で、血糖値・中性脂肪・HDL-Cは速やかに改善します。尿酸値とLDL-Cに関しては、個人差があり一定しません。
私の場合は、タンパク質摂取量は140g~150g/日くらいと一般の人よりたくさん食べてますが尿酸値は2.4~2.7mg/dl前後とひくいほうです。
尿酸値は、従来、肉の摂りすぎやビールの飲み過ぎということが常識だったのですが、食事由来の尿酸は約100mgで、一日に生産される総量約700mgに比し、かなり少ないということが判明しました。
自らが痛風患者であり、痛風専門医でもある、鹿児島大学病院内科教授、納(おさめ)光弘先生によれば、食事よりストレスや肥満のほうが、尿酸値への影響が多いことがわかってきました。
尿酸を確実に上昇させるのは、重要なものから順番に
1、ストレス
2、肥満
3、大量の飲酒
4、激しい運動
5、プリン体の摂りすぎ
だそうです。
これに特殊例として、「断食や極端な低カロリーのとき尿酸値上昇」というのが、一番上にくる感じですね。keiさんも肥満が改善してくれば、長期的には尿酸値が減る方向になると思います。
それから、糖質制限食により階段状に体重が減っていきますが、スピードは徐々にゆっくりとなり、尿中ケトン体も徐々に出なくなり、自分なりの標準体重あたりで減少も止まります。
なおLDL-Cに関しても尿酸に関しても、いったん増えても、糖質制限食を継続していると再び下がることが多いですので、keiさんもこのまま経過をみていただいてよいと思いますよ。
**参考
「痛風はビールを飲みながらでも治る」(小学館文庫)
鹿児島大学病院内科教授、納(おさめ)光弘先生 著
江部康二
はるか富士見高原から、ペンション・ジョナサンのオーナーも、可愛い女性スタッフ二人と共に駆けつけてくださり、感謝、感謝でした。(^-^)v(^-^)v
ライブも新曲(といっても70年代、80年代ですが・・・)も入れて、踊るコーナーもあって、とても盛り上がりましたよ。ヽ(*`▽´)ノ
さて今回はkei さんから
「尿中ケトン体と尿酸値」に関してコメント・質問をいただきました。
『08/10/15 kei
尿中ケトン体と尿酸値
江部先生、こんにちは。
糖質制限食で血糖値が下がったことで、10/5にもコメントさせていただいたkeiと申します。
本日、病院で血液検査をしてきたところ、HbA1c 10.6→8.2(グリコアルブミンは15.3)、空腹時血糖値 92、その他GOT,GPT,中性脂肪などすべてが改善されていて担当医師に驚かれました。
このまま続けていけば大丈夫ということなのですが、ただ急激に体重を落としすぎてしまったせいか(1ヶ月半で15kg近く落ちてしまっています)尿酸値がもともと7.7と高かったのが10.3にもなってしまいました。
また、尿中ケトン体も多く(2+と書いてありました。血中ケトン体はわかりません)医師にはあまり体を飢餓状態にしない方がよいとも言われました。
ケトン体については江部先生の過去の記事も読ませていただきましたが、実際私のように尿酸値が跳ね上がってしまった場合はどうやって対処すべきなのか、新たな悩みが出てきたところです。
江部先生の3/28の記事も拝見いたしましたが、私が標準体重になるにはまだ10kgほどの減量が必要であり、そこまで行かないと恐ろしいスピードの減量もおさまらないのか、ケトン体も尿中に出てしまうのか、悩みは尽きません。
いずれにしてもまさか尿酸値がこんなに急激に上がるとは思わず、今度は痛風の恐怖におののいております。
過去の記事の繰り返しになってしまうような質問で恐縮ではありますが、何かアドバイスがあれば教えていただければ幸いです。』
『08/10/15 kei
No title
何回も書き込み、申し訳ありません。
上記の質問ですが、その後検査値を眺めていて気づいたことがあるので補足です。
詳細は私のブログでも書いたのですが、
http://kei1383.blog44.fc2.com/blog-date-20081015.html
実は尿検査、血液検査を8/26、9/4、10/14とやっておりまして、糖質制限は9/15頃から始めております。
それぞれの値を見ると、糖質制限を知る前の無茶な低カロリー食の8/26→9/4のところで、尿酸値が7.7→10.0と跳ね上がっておりました。その後、10/14まで40日間ほど糖質制限食が中心になったのですが、このときは体重が10kg以上減少しているにも関わらず、尿酸値は10.0→10.3と微増にとどまっていることに気づきました。
専門的な知識が無く、憶測でしか考えられないのですが、むしろ糖質制限期の方が尿酸値にはよかったのかと思い直しております。
まとまらないうちに質問してしまい申し訳ありませんでした。』
keiさん、コメントありがとうございます。
「HbA1c、空腹時血糖値 、GOT,GPT,中性脂肪などすべてが改善」良かったですね。 (^_^)
尿中ケトン体ですが、糖質制限食実践中の初期段階では、飢餓状態でなくても生理的に出現しますので全く問題はありません。
糖質制限食を続けて、筋肉細胞などがどんどん血液中のケトン体を利用する段階になると、血中のケトン体が、今の基準で高値(糖質制限食では正常値ですが・・・)であっても、尿中ケトン体は陰性になります。
さて、keiさんの尿酸値の経過、とても参考になります。
高雄病院では、絶食療法(断食)も治療の一つとして取り入れてます。標準的な絶食療法は、ゼロカロリーではなく、超少食療法といった位置づけで
1200kcal/日を2日間→1000kcal→700kcal→330kcal→210kcalを3日間
→330kcal→700kcal→1000kcal→1200kcal/日を2日間
といった流れで行います。
この超少食療法で、結構尿酸値が上昇します。keiさんの場合も10日間くらいで尿酸値が7.7→10.0に上昇してますが、ご指摘の如く、低カロリー食による影響が大きいと考えられます。即ち、超少食療法と似たような状況で、尿酸値が上昇したのでしょうね。
普通にカロリーを摂取している糖質制限食の実践では、尿酸値は上昇、不変、低下といろんなパターンがあります。
糖質制限食実践で、血糖値・中性脂肪・HDL-Cは速やかに改善します。尿酸値とLDL-Cに関しては、個人差があり一定しません。
私の場合は、タンパク質摂取量は140g~150g/日くらいと一般の人よりたくさん食べてますが尿酸値は2.4~2.7mg/dl前後とひくいほうです。
尿酸値は、従来、肉の摂りすぎやビールの飲み過ぎということが常識だったのですが、食事由来の尿酸は約100mgで、一日に生産される総量約700mgに比し、かなり少ないということが判明しました。
自らが痛風患者であり、痛風専門医でもある、鹿児島大学病院内科教授、納(おさめ)光弘先生によれば、食事よりストレスや肥満のほうが、尿酸値への影響が多いことがわかってきました。
尿酸を確実に上昇させるのは、重要なものから順番に
1、ストレス
2、肥満
3、大量の飲酒
4、激しい運動
5、プリン体の摂りすぎ
だそうです。
これに特殊例として、「断食や極端な低カロリーのとき尿酸値上昇」というのが、一番上にくる感じですね。keiさんも肥満が改善してくれば、長期的には尿酸値が減る方向になると思います。
それから、糖質制限食により階段状に体重が減っていきますが、スピードは徐々にゆっくりとなり、尿中ケトン体も徐々に出なくなり、自分なりの標準体重あたりで減少も止まります。
なおLDL-Cに関しても尿酸に関しても、いったん増えても、糖質制限食を継続していると再び下がることが多いですので、keiさんもこのまま経過をみていただいてよいと思いますよ。
**参考
「痛風はビールを飲みながらでも治る」(小学館文庫)
鹿児島大学病院内科教授、納(おさめ)光弘先生 著
江部康二
2008年10月17日 (金)
糖質制限食とは
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。 また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。
これらは、カロリーとは無関係な、三大栄養素の生理学的特質です。現在糖尿病において、食後の急激な高血糖が、大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。そして食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。 従って6枚切りの食パン2枚(約310キロカロリー)食べると糖質 が約50g含まれているので、血糖値は150mgも上昇します。
一方、ロースステーキを300g(約1200キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後高血糖はほとんど生じないのです。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは、米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、薬に頼ることなく、速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の食パンとステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを、1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということが、おわかりいただけたと思います。
なお、糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
☆☆☆
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。*炭水化物=糖質+食物繊維
☆☆☆
糖質制限食を実践される時のご注意
本にも書きましたが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用されてない糖尿人は、低血糖の心配はないので、「主食を抜けば糖尿病は良くなる」「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」「 糖質制限食 春のレシピ」「 糖質制限食 夏のレシピ」「糖質制限食 秋のレシピ」「主食を抜けば糖尿病は良くなる 実践編」などを参考に、自力で 糖質制限食を実践され糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
江部康二
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。 また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。
これらは、カロリーとは無関係な、三大栄養素の生理学的特質です。現在糖尿病において、食後の急激な高血糖が、大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。そして食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。 従って6枚切りの食パン2枚(約310キロカロリー)食べると糖質 が約50g含まれているので、血糖値は150mgも上昇します。
一方、ロースステーキを300g(約1200キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後高血糖はほとんど生じないのです。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは、米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、薬に頼ることなく、速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の食パンとステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを、1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということが、おわかりいただけたと思います。
なお、糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
☆☆☆
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。*炭水化物=糖質+食物繊維
☆☆☆
糖質制限食を実践される時のご注意
本にも書きましたが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用されてない糖尿人は、低血糖の心配はないので、「主食を抜けば糖尿病は良くなる」「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」「 糖質制限食 春のレシピ」「 糖質制限食 夏のレシピ」「糖質制限食 秋のレシピ」「主食を抜けば糖尿病は良くなる 実践編」などを参考に、自力で 糖質制限食を実践され糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
江部康二
2008年10月16日 (木)
こんばんは。
明日は、恒例の第三金曜ライブです。今夜は、リハーサルに出かけます。
さて今回は、まる子さんから糖質制限なアイデア料理のコメントをいただきましたので、ブログ読者の皆さんにもご紹介したいと思います。
『08/10/01 まる子
はじめて お邪魔致します
初めまして!私もつい1週間前位に先生のHPにいきつき・・やっと自覚をし真剣に糖質制限に取り組み始めた主婦です。本も2冊買いましたよ。料理が好きなので アイデアなのですが高野豆腐の乾燥したのをミキサーで粉にしたのをパン粉代わりにお肉につけて 揚げたらまあまあ 美味しいですよ。ゴマだともっと美味しいです。お肉に塩コショーし 玉子を溶いたのをつけ高野豆腐をつけて 少ないオリーブ油で炒め揚げみたいにすると 粉使わないしどうでしょうか?この前はハンバーグにパン粉の代わりに高野豆腐を入れたら それはそれでおいしかったです。先生のレシピ本は持ってないのでもう 実践されていたらごめんなさいね。 先生のブログに出会わなかったらどうなってたことか・・・すでに糖尿生活7年目に突入。薬さえ飲んでいればと好き放題の食べ放題してました~恐ろしいですわ 1ヶ月でどの位変化するか 楽しみです。
08/10/03 まる子
おからの粉で代用品
おからの粉と言う物もスーパーで売っていたので買ってためしてみました。私の場合小麦粉つけないでお肉に玉子をつけておからの粉なのでどうしてもはがれやすく 少ない油でないと上手く揚げることができません。でもフライらしい物は出来ますよ。おからの粉は水分の多い料理を片栗粉でとじるかわりに代用すると結構いけました 金平風の醤油炒めなどをまとめるなどは結構美味しいです ただし口ざわりはざらっとするので八宝菜など上品な味のものには合いにくいかもです
08/10/09 まる子
甘い物
おはようございます。先生のブログを見ながら励まされているまる子です。糖質制限しているとケーキとかお饅頭とか食べたくなる時ありますよね。色々考えた結果 ごぼうを薄く(ピーラーなどで)そいで水にさらし 水気をふき取ってオイルでよーく揚げます。カリカリのお煎餅のようになります それをラカントSつけながら食べると美味しいです~~~♪ 甘い物食べた満足感ありますよ。私は糖質制限2週間ですが朝の血圧と心拍数も減ってきました 体重も1キロだけ減ってます。毎朝尿糖みていますがそちらも良くなってきてます 1ヵ月後が楽しみですわ』
まる子さん、コメントそして本のご購入、ありがとうございます。体重減少、血圧改善も良かったですね。11月の検査、きっと素晴らしい結果になると思いますよ。ヾ(^▽^)
糖質制限なアイデアレシピ、いろいろ工夫されているのですね。私は自分で料理はつくらないので
ひたすら連れ合いに試作をお願いするよりないのですが・・・ (-_-;)
料理好きの方には、おおいに参考になるレシピと思いますよ。
江部康二
明日は、恒例の第三金曜ライブです。今夜は、リハーサルに出かけます。
さて今回は、まる子さんから糖質制限なアイデア料理のコメントをいただきましたので、ブログ読者の皆さんにもご紹介したいと思います。
『08/10/01 まる子
はじめて お邪魔致します
初めまして!私もつい1週間前位に先生のHPにいきつき・・やっと自覚をし真剣に糖質制限に取り組み始めた主婦です。本も2冊買いましたよ。料理が好きなので アイデアなのですが高野豆腐の乾燥したのをミキサーで粉にしたのをパン粉代わりにお肉につけて 揚げたらまあまあ 美味しいですよ。ゴマだともっと美味しいです。お肉に塩コショーし 玉子を溶いたのをつけ高野豆腐をつけて 少ないオリーブ油で炒め揚げみたいにすると 粉使わないしどうでしょうか?この前はハンバーグにパン粉の代わりに高野豆腐を入れたら それはそれでおいしかったです。先生のレシピ本は持ってないのでもう 実践されていたらごめんなさいね。 先生のブログに出会わなかったらどうなってたことか・・・すでに糖尿生活7年目に突入。薬さえ飲んでいればと好き放題の食べ放題してました~恐ろしいですわ 1ヶ月でどの位変化するか 楽しみです。
08/10/03 まる子
おからの粉で代用品
おからの粉と言う物もスーパーで売っていたので買ってためしてみました。私の場合小麦粉つけないでお肉に玉子をつけておからの粉なのでどうしてもはがれやすく 少ない油でないと上手く揚げることができません。でもフライらしい物は出来ますよ。おからの粉は水分の多い料理を片栗粉でとじるかわりに代用すると結構いけました 金平風の醤油炒めなどをまとめるなどは結構美味しいです ただし口ざわりはざらっとするので八宝菜など上品な味のものには合いにくいかもです
08/10/09 まる子
甘い物
おはようございます。先生のブログを見ながら励まされているまる子です。糖質制限しているとケーキとかお饅頭とか食べたくなる時ありますよね。色々考えた結果 ごぼうを薄く(ピーラーなどで)そいで水にさらし 水気をふき取ってオイルでよーく揚げます。カリカリのお煎餅のようになります それをラカントSつけながら食べると美味しいです~~~♪ 甘い物食べた満足感ありますよ。私は糖質制限2週間ですが朝の血圧と心拍数も減ってきました 体重も1キロだけ減ってます。毎朝尿糖みていますがそちらも良くなってきてます 1ヵ月後が楽しみですわ』
まる子さん、コメントそして本のご購入、ありがとうございます。体重減少、血圧改善も良かったですね。11月の検査、きっと素晴らしい結果になると思いますよ。ヾ(^▽^)
糖質制限なアイデアレシピ、いろいろ工夫されているのですね。私は自分で料理はつくらないので
ひたすら連れ合いに試作をお願いするよりないのですが・・・ (-_-;)
料理好きの方には、おおいに参考になるレシピと思いますよ。
江部康二
2008年10月15日 (水)
おはようございます。
昨日とはうって変わって、今朝は秋晴れです。秋の澄みきった空、少しひんやりとした爽やかな空気、とても気持ちがいい今日の京都です。
さて今回はオールドリバさんから、糖質制限食と腎機能についてコメント・質問をいただきました。
『糖質制限食と腎機能
はじめまして 尊敬する江部先生
私は糖尿病歴15年(推定)になります。現在57歳です。
今まではカロリー制限食と運動、そして薬物療法で過ごしてきました。
現在処方されている薬はアクトス30mg(朝食後1錠)、アマリール1mg(朝夕食後各1錠)、メデット250mg(朝夕食後各1錠)となっております。
しかし、最近の状態はカロリー制限食、運動(朝食後30分、夕食後1.5時間)を実行し、薬もまじめに飲んできましたが、改善の兆候が見られませんでした。
確かに運動をすれば血糖値は80mg-110mgと下がりますが、運動をしなかった時は空腹時で170mg/dl-220mg/dlと上がってしまいます。仕事上毎日食後、朝、昼、夕と実行する事は無理だし制限されます。HbA1cも過去2年間の値で見ますと7.5%-8.4%でした。
そんな中、2年程前から眼底検査で単純網膜症と診断される様になり、また病院の教育入院では血管年齢は70歳と言われました。眼底の方は『今の状態では治療はしないが、とにかく血糖値を下げなさい』と言われています。
努力していても結果が出ない私としては今の治療のやりかたでは限界があると思い、ネットで糖尿病の治療に関する事を調べ始めました。そんな時江部先生のブログを見つける事が出来ました。半ば諦め掛けていた気持ちがパーットと明るくなって来ました。早速、本屋に直行『主食を抜けば糖尿病は良くなる』と『実践編、秋のレシピ』を買ってきました。
そして早速9月1日よりスーパー糖質制限食の実践です。まだ始めて1ヶ月ぐらいですが久しぶりにHbA1cが7.0%になりました。処方された薬は全てゴミ箱の中です。
先日(10月7日)、検査の日でしたので結果を報告します。
8月12日(カロリー制限食)
体重 58kg
血圧 139/78mmHg
血糖 160mg/dl
ヘモグロビンA1c 7.5%
総コレストロール 166mg/dl
HDLコレストロール 51mg/dl
中性脂肪 110mg/dl
尿糖 (1+)
蛋白 (-)
ケトン (-)
10月7日(糖質制限食)
体重 55kg
血圧 124/72mmHg
血糖 153mg/dl
ヘモグロビンA1c 7.0%
総コレストロール 211mg/dl
HDLコレストロール 64mg/dl
中性脂肪 96mg/dl
尿糖 (1+)
蛋白 (-)
ケトン (1+)
と言う結果でしたが、前回(8月12日)は全てのデータを貰っていなかったので上記のデータのみですが、今回(10月7日)は全てのデータを貰いましたのでその他の項目で基準値からオーバーしていたものだけを報告しますとカリウム(5.4Eq/l)、尿素窒素(31.3mg/dl)、クレアチニン(1.03mg/dl)と3点が高い状態でそのほかの項目に関しては基準値以内に入っていました。
そこでアドバイスをお願いしたいのですがブログ、本にもありましたが腎機能が悪いと糖質制限食は不可となっております。今の状態が知りたいと思って投稿しました。私の場合は大丈夫なのでしょうか?
以上、長くなりましたが宜しくお願いします。先生の益々の活躍を期待します。
by オールドリバ 2008/10/12 18:43 』
オールドリバさん。コメントそして『主食を抜けば糖尿病は良くなる』と『実践編、秋のレシピ』のご購入
ありがとうございました。
アクトス30mg(朝食後1錠)、アマリール1mg(朝夕食後各1錠)、メデット250mg(朝夕食後各1錠)を全て中止されて「、ヘモグロビンA1c:7.5→7.0% 」順調な経過ですね。 (^_^)
カリウム(5.4Eq/l)は、おそらく、採血の時に赤血球が一部壊れてその中からカリウムが血清中にでたと考えられます。クレアチニン1.03mg/dlていどの腎機能でカリウムが上昇することは通常はありませんので・・・
尿素窒素(31.3mg/dl)は高タンパク食の場合、生理的に上昇することがありますので、経過をみていただけばいいと思います。(2008.6.20ブログご参照ください)
クレアチニン(1.03mg/dl)ですが、ネットで基準値を4つの検査機関で調べてみました。
男性で
A:0.7~1.4mg/dL、
B:0.66~1.13 mg/dl、
C:0.5~1.1mg/dl
D:0.6 ~1.2 mg/dl
など検査機関A、B、C、Dにより基準値が少し異なります。
オールドリバさんのデータは基準値により正常にも思えますが、検査された医療機関の基準値より少し高値なのでしょうか?
いずれにせよ、クレアチニン1.03mg/dlレベルなら、「糖質制限食」で血糖コントロールを良くすることが今後の腎機能障害の進行を防ぐことにつながりますので続けていただいてよろしいと思います。 (^_^)
「糖質たっぷり食」で血糖コントロールが悪ければ、腎機能障害はどんどん進行しますので・・・ (=_=;)
あと尿中微量アルブミン検査が、糖尿病腎症のもっとも早期にでてくる鋭敏な検査なのでお奨めですね。1/3ヶ月、健康保険で検査できますよ。
江部康二
昨日とはうって変わって、今朝は秋晴れです。秋の澄みきった空、少しひんやりとした爽やかな空気、とても気持ちがいい今日の京都です。
さて今回はオールドリバさんから、糖質制限食と腎機能についてコメント・質問をいただきました。
『糖質制限食と腎機能
はじめまして 尊敬する江部先生
私は糖尿病歴15年(推定)になります。現在57歳です。
今まではカロリー制限食と運動、そして薬物療法で過ごしてきました。
現在処方されている薬はアクトス30mg(朝食後1錠)、アマリール1mg(朝夕食後各1錠)、メデット250mg(朝夕食後各1錠)となっております。
しかし、最近の状態はカロリー制限食、運動(朝食後30分、夕食後1.5時間)を実行し、薬もまじめに飲んできましたが、改善の兆候が見られませんでした。
確かに運動をすれば血糖値は80mg-110mgと下がりますが、運動をしなかった時は空腹時で170mg/dl-220mg/dlと上がってしまいます。仕事上毎日食後、朝、昼、夕と実行する事は無理だし制限されます。HbA1cも過去2年間の値で見ますと7.5%-8.4%でした。
そんな中、2年程前から眼底検査で単純網膜症と診断される様になり、また病院の教育入院では血管年齢は70歳と言われました。眼底の方は『今の状態では治療はしないが、とにかく血糖値を下げなさい』と言われています。
努力していても結果が出ない私としては今の治療のやりかたでは限界があると思い、ネットで糖尿病の治療に関する事を調べ始めました。そんな時江部先生のブログを見つける事が出来ました。半ば諦め掛けていた気持ちがパーットと明るくなって来ました。早速、本屋に直行『主食を抜けば糖尿病は良くなる』と『実践編、秋のレシピ』を買ってきました。
そして早速9月1日よりスーパー糖質制限食の実践です。まだ始めて1ヶ月ぐらいですが久しぶりにHbA1cが7.0%になりました。処方された薬は全てゴミ箱の中です。
先日(10月7日)、検査の日でしたので結果を報告します。
8月12日(カロリー制限食)
体重 58kg
血圧 139/78mmHg
血糖 160mg/dl
ヘモグロビンA1c 7.5%
総コレストロール 166mg/dl
HDLコレストロール 51mg/dl
中性脂肪 110mg/dl
尿糖 (1+)
蛋白 (-)
ケトン (-)
10月7日(糖質制限食)
体重 55kg
血圧 124/72mmHg
血糖 153mg/dl
ヘモグロビンA1c 7.0%
総コレストロール 211mg/dl
HDLコレストロール 64mg/dl
中性脂肪 96mg/dl
尿糖 (1+)
蛋白 (-)
ケトン (1+)
と言う結果でしたが、前回(8月12日)は全てのデータを貰っていなかったので上記のデータのみですが、今回(10月7日)は全てのデータを貰いましたのでその他の項目で基準値からオーバーしていたものだけを報告しますとカリウム(5.4Eq/l)、尿素窒素(31.3mg/dl)、クレアチニン(1.03mg/dl)と3点が高い状態でそのほかの項目に関しては基準値以内に入っていました。
そこでアドバイスをお願いしたいのですがブログ、本にもありましたが腎機能が悪いと糖質制限食は不可となっております。今の状態が知りたいと思って投稿しました。私の場合は大丈夫なのでしょうか?
以上、長くなりましたが宜しくお願いします。先生の益々の活躍を期待します。
by オールドリバ 2008/10/12 18:43 』
オールドリバさん。コメントそして『主食を抜けば糖尿病は良くなる』と『実践編、秋のレシピ』のご購入
ありがとうございました。
アクトス30mg(朝食後1錠)、アマリール1mg(朝夕食後各1錠)、メデット250mg(朝夕食後各1錠)を全て中止されて「、ヘモグロビンA1c:7.5→7.0% 」順調な経過ですね。 (^_^)
カリウム(5.4Eq/l)は、おそらく、採血の時に赤血球が一部壊れてその中からカリウムが血清中にでたと考えられます。クレアチニン1.03mg/dlていどの腎機能でカリウムが上昇することは通常はありませんので・・・
尿素窒素(31.3mg/dl)は高タンパク食の場合、生理的に上昇することがありますので、経過をみていただけばいいと思います。(2008.6.20ブログご参照ください)
クレアチニン(1.03mg/dl)ですが、ネットで基準値を4つの検査機関で調べてみました。
男性で
A:0.7~1.4mg/dL、
B:0.66~1.13 mg/dl、
C:0.5~1.1mg/dl
D:0.6 ~1.2 mg/dl
など検査機関A、B、C、Dにより基準値が少し異なります。
オールドリバさんのデータは基準値により正常にも思えますが、検査された医療機関の基準値より少し高値なのでしょうか?
いずれにせよ、クレアチニン1.03mg/dlレベルなら、「糖質制限食」で血糖コントロールを良くすることが今後の腎機能障害の進行を防ぐことにつながりますので続けていただいてよろしいと思います。 (^_^)
「糖質たっぷり食」で血糖コントロールが悪ければ、腎機能障害はどんどん進行しますので・・・ (=_=;)
あと尿中微量アルブミン検査が、糖尿病腎症のもっとも早期にでてくる鋭敏な検査なのでお奨めですね。1/3ヶ月、健康保険で検査できますよ。
江部康二
2008年10月14日 (火)
おはようございます。
昨日は秋晴れの京都でしたが、今朝はしとしとと小雨が降り続いています。雨が降るといっそう肌寒く感じますね。
さて今回は、サラリーマンさんから、医者嫌いと糖尿病についてコメント・質問をいただきました。
『08/10/07 サラリーマン
No title
初めまして、29歳サラリーマンと申します。
2年前に糖尿と診断されてから糖質制限食と運動を日々続けているおかげで食後2時間値が140を越えることが全くなくなりました。
早朝、空腹時共に86前後をキープし、慢性的だった便秘が解消したり、体も軽くなって糖尿になったおかげと言ったらおかしいですが、健康にかなり気を遣うようになりました。
私はそれで満足しているのですが、問題は一つ年上の私の兄です。
私がたまたま見た兄の健康診断の血糖値が160前後だったのでこのままだと危ないというのと私が血糖値を下げるのに成功したのを話すと半年ほど前から糖質制限食を実行してます。
しかし、この兄というのが極度の医者嫌いで病院に行こうとしません。
自分で検査器具を買ってきたようで、最近の空腹時の血糖値は95ぐらいになったそうです。
食べる物を気にしているので食後も140を越えることがなくなったと言ってますが、病院で一度は検査した方が良いと思うのですがどうなのでしょうか?
5年ほどは血糖値が高いまま放置してたようで合併症がないのか心配になってしまいます。
本人は血糖値が低くなればそれで問題はないと言ってますが、
そういうわけではないですよね?(^^;) 』
サラリーマンさん。コメントありがとうございます。
食後2時間値が140未満、早朝、空腹時共に86mg前後なら全くの正常ですね。体調も良好でよかったです。(^-^)v(^-^)v
お兄さんは30才ですね。まだお若いので合併症がでている可能性は、比較的低いと思いますよ。
医者嫌いながら、健康診断は受けておられるので、野放し状態ではないので少し安心ですね。 (^_^)
糖尿病の慢性合併症として、
『細小血管障害がベースの糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害(2007.5.22ブログをご参照下さい)』
と、
『大血管障害がべースの脳卒中、心筋梗塞・狭心症、糖尿病足病変(2007.5.24ブログをご参照ください)』
があります。
仰る通り、健康診断では通常は実施しない
尿中微量アルブミン:糖尿病腎症の早期チェック
眼科検診:糖尿病網膜症のチェック
は、病院でせめて年一回くらいは調べたいですね。
脳卒中、心筋梗塞・狭心症、糖尿病足病変は30才ならまず大丈夫でしょう。また、健康診断で心電図はとってますよね。
血糖自己測定器を購入されたのなら
①早朝空腹時血糖値:110mg/dl未満
②食後2時間血糖値180mg/dl未満、理想的には140mg/dl未満
③食後1時間血糖値180mg/dl未満
この①②③を目標達成していれば、合併症進行のリスクはほとんど無いとされています。
これらが達成されていれば、
④HbA1c5.8%以下
も必然的に達成されます。
サラリーマンさんもお兄さんも、これらの目標をほぼ達成しておられますので、とてもいいと思いますよ。ヾ(^▽^)
江部康二
昨日は秋晴れの京都でしたが、今朝はしとしとと小雨が降り続いています。雨が降るといっそう肌寒く感じますね。
さて今回は、サラリーマンさんから、医者嫌いと糖尿病についてコメント・質問をいただきました。
『08/10/07 サラリーマン
No title
初めまして、29歳サラリーマンと申します。
2年前に糖尿と診断されてから糖質制限食と運動を日々続けているおかげで食後2時間値が140を越えることが全くなくなりました。
早朝、空腹時共に86前後をキープし、慢性的だった便秘が解消したり、体も軽くなって糖尿になったおかげと言ったらおかしいですが、健康にかなり気を遣うようになりました。
私はそれで満足しているのですが、問題は一つ年上の私の兄です。
私がたまたま見た兄の健康診断の血糖値が160前後だったのでこのままだと危ないというのと私が血糖値を下げるのに成功したのを話すと半年ほど前から糖質制限食を実行してます。
しかし、この兄というのが極度の医者嫌いで病院に行こうとしません。
自分で検査器具を買ってきたようで、最近の空腹時の血糖値は95ぐらいになったそうです。
食べる物を気にしているので食後も140を越えることがなくなったと言ってますが、病院で一度は検査した方が良いと思うのですがどうなのでしょうか?
5年ほどは血糖値が高いまま放置してたようで合併症がないのか心配になってしまいます。
本人は血糖値が低くなればそれで問題はないと言ってますが、
そういうわけではないですよね?(^^;) 』
サラリーマンさん。コメントありがとうございます。
食後2時間値が140未満、早朝、空腹時共に86mg前後なら全くの正常ですね。体調も良好でよかったです。(^-^)v(^-^)v
お兄さんは30才ですね。まだお若いので合併症がでている可能性は、比較的低いと思いますよ。
医者嫌いながら、健康診断は受けておられるので、野放し状態ではないので少し安心ですね。 (^_^)
糖尿病の慢性合併症として、
『細小血管障害がベースの糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害(2007.5.22ブログをご参照下さい)』
と、
『大血管障害がべースの脳卒中、心筋梗塞・狭心症、糖尿病足病変(2007.5.24ブログをご参照ください)』
があります。
仰る通り、健康診断では通常は実施しない
尿中微量アルブミン:糖尿病腎症の早期チェック
眼科検診:糖尿病網膜症のチェック
は、病院でせめて年一回くらいは調べたいですね。
脳卒中、心筋梗塞・狭心症、糖尿病足病変は30才ならまず大丈夫でしょう。また、健康診断で心電図はとってますよね。
血糖自己測定器を購入されたのなら
①早朝空腹時血糖値:110mg/dl未満
②食後2時間血糖値180mg/dl未満、理想的には140mg/dl未満
③食後1時間血糖値180mg/dl未満
この①②③を目標達成していれば、合併症進行のリスクはほとんど無いとされています。
これらが達成されていれば、
④HbA1c5.8%以下
も必然的に達成されます。
サラリーマンさんもお兄さんも、これらの目標をほぼ達成しておられますので、とてもいいと思いますよ。ヾ(^▽^)
江部康二
2008年10月13日 (月)
おはようございます。昨日は、2週間ぶりにテニスをしたので、本日少し節々が痛みます。(-_-;)
せめて週一回くらいのテニスを確保したいのですが、なかなかままなりません。来週の日曜日も東京なので、テニスできません。
さて今回は、ゆうさんからグリコランについてコメント・質問をいただきました。
『糖尿病とグリコランについて
江部先生おはようございます。
ゆうです。
また質問があります。
私は今グリコランを服用しておりますが、HbA1C5,4・食後2H160の症状で今後も必要なものなのでしょうか。
仮に主治医が投薬を中止しなかった場合、服用がかえって体を害してしまうのということはないのでしょうか。
さらに、例えばですが少し糖質を摂りすぎてしまったというような場合に自己判断で頓服的な服用は、やってもいいことなのでしょうか。(その場合の効果や体への影響からみて)
急ぎませんのですみませんが宜しくお願いいたします。
by ゆう 2008/10/03 06:08 』
ゆうさん。コメントありがとうございます。
グリコランは、糖尿病の内服薬の中で、ビグアナイド系薬剤に属します。
ビグアナイド系薬剤は、その中の一つのフェンホルミンという薬が乳酸アシドーシス**という副作用を起こしやすかったため、一時期他の薬も含めてほとんど使われていませんでした。
しかし乳酸アシドーシスを起こしにくい塩酸メトホルミン(メルビン、グリコランなど)塩酸ブホルミン(ジベトスB、ジベトンSなど)などが近年見直されてきました。
これは、大規模臨床試験(UKPDS:1998年報告)で、「塩酸メトホルミン投与により肥満のある2型糖尿病患者で死亡率を減少させた」という結果がでたことによる影響が大きいと思います。
ビグアナイド剤の作用は、肝臓での糖新生の抑制が主で、その他消化管からの糖吸収の抑制、末梢組織でのインスリン抵抗性の改善などがあります。
従ってSU剤とは違って、膵臓に直接作用するのではなく、膵外作用で血糖値を下げますので、膵臓には優しい薬といえます。また体重増加を来しにくいのも長所ですね。 (^_^)
単独使用では、低血糖を起こす危険は極めて低いです。糖質制限食的にも、問題の少ない良い薬です。
しかし、肝腎の効きがそれほど良くないのです。理論的にはいい感じなのになぜでしょう?
実は、欧米における1日使用量は1500~2000mgなのですが、日本では1日、750mg以下となっているのです。
私も、膵臓に負担をかけない糖質制限食にぴったりの薬ということで、大勢の患者さんに処方してみたのですが、量が少なすぎるためなのか、「効いた!」という印象がやや薄いのです。
それで現在、日本内分泌学会などが、欧米並の1日量2000mgまで許可するように、厚生労働省に申請中なのです。
なお、肝障害や腎障害がある人は、やはり乳酸アシドーシスを起こしやすいので注意が必要です。また、心肺機能に障害のある人や高齢者も、腎予備力の低下がありえるので慎重投与です。上記以外の人には、副作用は少ない薬です。
ご質問ですが
「私は今グリコランを服用しておりますが、HbA1C5,4・食後2H160の症状で今後も必要なものなのでしょうか。
仮に主治医が投薬を中止しなかった場合、服用がかえって体を害してしまうのということはないのでしょうか。」
グリコランで害がある可能性は、上述のように、腎障害や肝障害がなければ心配ないです。HbA1C5,4%はコントロール優ですね。食後2時間血糖値が160mgでまあまあですが、理想的には140mg未満を目指したいですね。140mg未満が達成できたら、主治医とよく相談されて、休薬もありかと思います。
「さらに、例えばですが少し糖質を摂りすぎてしまったというような場合に自己判断で頓服的な服用は、やってもいいことなのでしょうか。」
グリコランは、頓服的な服用では、あまり効果は期待できないと思いますよ。
糖質摂取直前に内服する、グルコバイ、ベイスン、セイブルなどのα-グルコシダーゼ阻害薬や、グルファスト、スターシスなどの速効型インスリン分泌促進剤とは、位置づけが異なるお薬ですね。
江部康二
**
乳酸アシドーシス
ビグアナイド系薬剤は、肝における乳酸からの糖新生を抑制することで血糖を下げるので、相対的に乳酸が増加します。通常は乳酸が増加すればその代謝が活発となり、乳酸値のバランスは保たれます。
しかし、肝での乳酸の代謝能が低下している場合や、腎機能障害があるときは、乳酸が増加した時に処理しきれずに高乳酸血症となり、乳酸アシドーシスを発症する危険性があります。
乳酸アシドーシスの初期症状として悪心、嘔吐、腹痛、下痢等や、倦怠感、筋肉痛などがあります。
せめて週一回くらいのテニスを確保したいのですが、なかなかままなりません。来週の日曜日も東京なので、テニスできません。
さて今回は、ゆうさんからグリコランについてコメント・質問をいただきました。
『糖尿病とグリコランについて
江部先生おはようございます。
ゆうです。
また質問があります。
私は今グリコランを服用しておりますが、HbA1C5,4・食後2H160の症状で今後も必要なものなのでしょうか。
仮に主治医が投薬を中止しなかった場合、服用がかえって体を害してしまうのということはないのでしょうか。
さらに、例えばですが少し糖質を摂りすぎてしまったというような場合に自己判断で頓服的な服用は、やってもいいことなのでしょうか。(その場合の効果や体への影響からみて)
急ぎませんのですみませんが宜しくお願いいたします。
by ゆう 2008/10/03 06:08 』
ゆうさん。コメントありがとうございます。
グリコランは、糖尿病の内服薬の中で、ビグアナイド系薬剤に属します。
ビグアナイド系薬剤は、その中の一つのフェンホルミンという薬が乳酸アシドーシス**という副作用を起こしやすかったため、一時期他の薬も含めてほとんど使われていませんでした。
しかし乳酸アシドーシスを起こしにくい塩酸メトホルミン(メルビン、グリコランなど)塩酸ブホルミン(ジベトスB、ジベトンSなど)などが近年見直されてきました。
これは、大規模臨床試験(UKPDS:1998年報告)で、「塩酸メトホルミン投与により肥満のある2型糖尿病患者で死亡率を減少させた」という結果がでたことによる影響が大きいと思います。
ビグアナイド剤の作用は、肝臓での糖新生の抑制が主で、その他消化管からの糖吸収の抑制、末梢組織でのインスリン抵抗性の改善などがあります。
従ってSU剤とは違って、膵臓に直接作用するのではなく、膵外作用で血糖値を下げますので、膵臓には優しい薬といえます。また体重増加を来しにくいのも長所ですね。 (^_^)
単独使用では、低血糖を起こす危険は極めて低いです。糖質制限食的にも、問題の少ない良い薬です。
しかし、肝腎の効きがそれほど良くないのです。理論的にはいい感じなのになぜでしょう?
実は、欧米における1日使用量は1500~2000mgなのですが、日本では1日、750mg以下となっているのです。
私も、膵臓に負担をかけない糖質制限食にぴったりの薬ということで、大勢の患者さんに処方してみたのですが、量が少なすぎるためなのか、「効いた!」という印象がやや薄いのです。
それで現在、日本内分泌学会などが、欧米並の1日量2000mgまで許可するように、厚生労働省に申請中なのです。
なお、肝障害や腎障害がある人は、やはり乳酸アシドーシスを起こしやすいので注意が必要です。また、心肺機能に障害のある人や高齢者も、腎予備力の低下がありえるので慎重投与です。上記以外の人には、副作用は少ない薬です。
ご質問ですが
「私は今グリコランを服用しておりますが、HbA1C5,4・食後2H160の症状で今後も必要なものなのでしょうか。
仮に主治医が投薬を中止しなかった場合、服用がかえって体を害してしまうのということはないのでしょうか。」
グリコランで害がある可能性は、上述のように、腎障害や肝障害がなければ心配ないです。HbA1C5,4%はコントロール優ですね。食後2時間血糖値が160mgでまあまあですが、理想的には140mg未満を目指したいですね。140mg未満が達成できたら、主治医とよく相談されて、休薬もありかと思います。
「さらに、例えばですが少し糖質を摂りすぎてしまったというような場合に自己判断で頓服的な服用は、やってもいいことなのでしょうか。」
グリコランは、頓服的な服用では、あまり効果は期待できないと思いますよ。
糖質摂取直前に内服する、グルコバイ、ベイスン、セイブルなどのα-グルコシダーゼ阻害薬や、グルファスト、スターシスなどの速効型インスリン分泌促進剤とは、位置づけが異なるお薬ですね。
江部康二
**
乳酸アシドーシス
ビグアナイド系薬剤は、肝における乳酸からの糖新生を抑制することで血糖を下げるので、相対的に乳酸が増加します。通常は乳酸が増加すればその代謝が活発となり、乳酸値のバランスは保たれます。
しかし、肝での乳酸の代謝能が低下している場合や、腎機能障害があるときは、乳酸が増加した時に処理しきれずに高乳酸血症となり、乳酸アシドーシスを発症する危険性があります。
乳酸アシドーシスの初期症状として悪心、嘔吐、腹痛、下痢等や、倦怠感、筋肉痛などがあります。
2008年10月11日 (土)
糖質制限食講演会のご案内です。
以下、「糖質制限食ネット・リボーン」 曽我部ゆかりさんからのメッセージです。
<ドクター江部のブログ読者の皆様へ>
朝夕に秋の風が気持ちよい今日この頃、いかがおすごしでしょうか。
この秋、糖質制限食の首都圏普及活動に本格的に乗りだす、東京の曽我部ゆかりよりお知らせです。
☆一般向け講演会(11月30日(日))
を企画いたしました。
食欲の秋です。楽しく、おいしく食べられる糖質制限食。ご家族の理解のためにも、ぜひ、ご夫婦で、親子で、カップルで、ご参加くださいね。お知り合いにもぜひ、あるいはあなたの主治医さんにもぜひぜひ、お声をかけてみてください。
申し込みは、糖質制限食ネット・リボーン 曽我部ゆかり
(T/F)03−3388−5428
(e-mail) reborn@big.or.jp
※ 詳細は以下の通りです。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
2008年11月30日(日)
大好評につき第8弾、予約受付開始!!
『江部康二・糖質制限食・東京講演会』食事で治す糖尿病・メタボ・肥満
日時:2008年11月30日(日)
9時20分 開場
9時30分〜11時40分(途中10分休憩)
11時50分 退場
会場:なかのZERO 視聴覚ホール(東京・中野)
会場へのアクセス:JR中央線・総武線、東京メトロ東西線の中野駅南口から線路沿いの道を新宿方面へ向かい徒歩8分。
住所:東京都中野区中野2-9-7
TEL:03-5340-5000(代)
会費:一般 1500円 リボーン会員 1200円(いずれも資料プリント付き)/当日払い
定員:100名まで
予約申し込み制:座席数に限りがあるため、事前にお申し込みをお願いしています。予約された方優先のご入場とさせていただきます。席に余裕がある場合には、当日受付もします。前の日に留守電にて席の空き状況を流しますのでご確認の上、お越し下さい。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
主催:糖質制限食ネット・リボーン
(アトピー・ネットワーク・リボーン)
申し込み:(T/F)03−3388−5428
(e-mail) reborn@big.or.jp
以下、「糖質制限食ネット・リボーン」 曽我部ゆかりさんからのメッセージです。
<ドクター江部のブログ読者の皆様へ>
朝夕に秋の風が気持ちよい今日この頃、いかがおすごしでしょうか。
この秋、糖質制限食の首都圏普及活動に本格的に乗りだす、東京の曽我部ゆかりよりお知らせです。
☆一般向け講演会(11月30日(日))
を企画いたしました。
食欲の秋です。楽しく、おいしく食べられる糖質制限食。ご家族の理解のためにも、ぜひ、ご夫婦で、親子で、カップルで、ご参加くださいね。お知り合いにもぜひ、あるいはあなたの主治医さんにもぜひぜひ、お声をかけてみてください。
申し込みは、糖質制限食ネット・リボーン 曽我部ゆかり
(T/F)03−3388−5428
(e-mail) reborn@big.or.jp
※ 詳細は以下の通りです。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
2008年11月30日(日)
大好評につき第8弾、予約受付開始!!
『江部康二・糖質制限食・東京講演会』食事で治す糖尿病・メタボ・肥満
日時:2008年11月30日(日)
9時20分 開場
9時30分〜11時40分(途中10分休憩)
11時50分 退場
会場:なかのZERO 視聴覚ホール(東京・中野)
会場へのアクセス:JR中央線・総武線、東京メトロ東西線の中野駅南口から線路沿いの道を新宿方面へ向かい徒歩8分。
住所:東京都中野区中野2-9-7
TEL:03-5340-5000(代)
会費:一般 1500円 リボーン会員 1200円(いずれも資料プリント付き)/当日払い
定員:100名まで
予約申し込み制:座席数に限りがあるため、事前にお申し込みをお願いしています。予約された方優先のご入場とさせていただきます。席に余裕がある場合には、当日受付もします。前の日に留守電にて席の空き状況を流しますのでご確認の上、お越し下さい。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
主催:糖質制限食ネット・リボーン
(アトピー・ネットワーク・リボーン)
申し込み:(T/F)03−3388−5428
(e-mail) reborn@big.or.jp
2008年10月10日 (金)
こんばんは。
今回は、糖質制限食とガンについて考えてみました。
PETという検査がありますね。PET検査は、ガン細胞が正常細胞にくらべて、多くのブドウ糖を細胞内に取り込む性質を利用しています。
ブドウ糖に「放射性同位元素」をくっつけた薬剤(FDG)を注射して、このFDGを検知するPETカメラ(CTに似た装置です)で体内のFDG分布を画像化して調べます。FDGが多く集積している部位は、ガン細胞の可能性が高いということになります。
いろんなガンがありますから、全てというわけにはいかないのですが、このように、多くのガン細胞が、エネルギー源として大量のブドウ糖を利用していることは、間違いありません。
そうすると「糖質制限食を実践すれば、ブドウ糖摂取量が少ないのでガンが縮小するのではないか?」といった意見もでてくるでしょうし、私もかつてそう思っていました。
しかし、誠に残念ながら、ガン細胞は、GLUT-1を獲得していることが多いのです。(-д-;)
GLUT(糖輸送体)というのは、細胞のブドウ糖取り込み装置でしたね。筋肉細胞や脂肪細胞はGLUT-4で通常は細胞内に沈んでいて、インスリン追加分泌された時と筋収縮があった時に表面に上がってきて、ブドウ糖を取り込みます。
これに対して、脳や赤血球はGLUT-1を持っていて、こちらは常に細胞表面にあるので、優先的にブドウ糖をいつでも取り込めるわけです。
つまり、ガン細胞もGLUT-1を持っていることが多いので、他の体細胞に比べて、優先的にブドウ糖を取り込むことができるのですね。
従いまして、ガン細胞も脳や赤血球並みにブドウ糖を取り込むことができるので、糖質制限食を実践しても、ガンを撲滅することはなかなかできないと思います。
しかし、野放しに糖質を摂取して血糖値を上昇させるよりは、糖質制限食ならある程度の兵糧攻めにはなるので、進行が少しは遅くなるかなというくらいの期待はあります。
また、糖質制限食により代謝全てが安定するので、免疫系を中心に自然治癒力が高まり、ガン進行を遅らせる方向に働いてくれる可能性もあります。
ガンのことはまだまだよくわからないことが多いので、断定的なことは何も言えないのですが、現在まで調べた知識の範囲内で、仮説として述べてみました。
江部康二
今回は、糖質制限食とガンについて考えてみました。
PETという検査がありますね。PET検査は、ガン細胞が正常細胞にくらべて、多くのブドウ糖を細胞内に取り込む性質を利用しています。
ブドウ糖に「放射性同位元素」をくっつけた薬剤(FDG)を注射して、このFDGを検知するPETカメラ(CTに似た装置です)で体内のFDG分布を画像化して調べます。FDGが多く集積している部位は、ガン細胞の可能性が高いということになります。
いろんなガンがありますから、全てというわけにはいかないのですが、このように、多くのガン細胞が、エネルギー源として大量のブドウ糖を利用していることは、間違いありません。
そうすると「糖質制限食を実践すれば、ブドウ糖摂取量が少ないのでガンが縮小するのではないか?」といった意見もでてくるでしょうし、私もかつてそう思っていました。
しかし、誠に残念ながら、ガン細胞は、GLUT-1を獲得していることが多いのです。(-д-;)
GLUT(糖輸送体)というのは、細胞のブドウ糖取り込み装置でしたね。筋肉細胞や脂肪細胞はGLUT-4で通常は細胞内に沈んでいて、インスリン追加分泌された時と筋収縮があった時に表面に上がってきて、ブドウ糖を取り込みます。
これに対して、脳や赤血球はGLUT-1を持っていて、こちらは常に細胞表面にあるので、優先的にブドウ糖をいつでも取り込めるわけです。
つまり、ガン細胞もGLUT-1を持っていることが多いので、他の体細胞に比べて、優先的にブドウ糖を取り込むことができるのですね。
従いまして、ガン細胞も脳や赤血球並みにブドウ糖を取り込むことができるので、糖質制限食を実践しても、ガンを撲滅することはなかなかできないと思います。
しかし、野放しに糖質を摂取して血糖値を上昇させるよりは、糖質制限食ならある程度の兵糧攻めにはなるので、進行が少しは遅くなるかなというくらいの期待はあります。
また、糖質制限食により代謝全てが安定するので、免疫系を中心に自然治癒力が高まり、ガン進行を遅らせる方向に働いてくれる可能性もあります。
ガンのことはまだまだよくわからないことが多いので、断定的なことは何も言えないのですが、現在まで調べた知識の範囲内で、仮説として述べてみました。
江部康二
2008年10月09日 (木)
おはようございます。
昨夜、赤ワインをやや飲み過ぎて、寝坊してあせっている江部康二です。σ(=_=;)ヾ
さて今回は、Pannyさんから、α-グルコシダーゼ阻害薬についてコメント・質問をいただきました。
『α-グルコシダーゼ阻害薬について
江部先生
いつも為になる情報をありがとうございます。軽い耐糖能異常のPannyです。
ベイスンなどのα-グルコシダーゼ阻害薬は糖の吸収を阻害してくれると勝手に勘違いしていたのですが、“小腸からの糖質の分解・吸収を遅延させて、食後高血糖を防ぐ効果がある”のですね。
そこで今日の記事に関連しての質問なのですが、
・食後急に血糖値が上がる代わりに緩やかに長い時間をかけて上がる利点は、細胞傷害を防ぐことが目的なのでしょうか?
>動物実験レベルでは、血糖の上昇・下降を繰り返す血糖変動(グルコーススパイク)では、慢性的持続的な高血糖より細胞傷害機序が強く働くことが示唆されています。
その他、ベイスン等のα-グルコシダーゼ阻害薬について教えていただけますと幸いです。
・飲んだ直後からどのくらいの間効果がありますか?
・ベイスン等を飲むことによって、(人によって違うと思いますが)飲まない場合と、血糖値と時間の推移にどのような差が出るのでしょうか?
by Panny 2008/10/03 04:22』
Pannyさん。コメントありがとうございます。
「・食後急に血糖値が上がる代わりに緩やかに長い時間をかけて上がる利点は、細胞傷害を防ぐことが目的なのでしょうか?」
その通りです。
食後の急峻な血糖値の上昇(グルコース・スパイク)が、活性酸素を増やし、活性酸素処理機能を低下させて、二重に<酸化ストレス>を増大させます。
酸化ストレスとは、「生体の酸化反応と抗酸化反応のバランスが崩れ、酸化反応が亢進した状態」のことで、当然生体にとって好ましくない現象です。
酸化ストレスは、細胞のDNA、細胞膜上のリン酸脂質、蛋白質、糖質を傷害し、血管傷害を進行させます。酸化ストレスにより血管内皮の細胞が傷害され、動脈硬化が進行していき、将来の大血管障害(心筋梗塞、脳梗塞)のリスクとなります。
実際、IGT(食後2時間血糖値140~199mg/dl)のグループ1400人を対象に、「心血管疾患」の発症率をプラセボ群とアカルボース群とで3.3年間比較した研究においてアカルボース(グルコバイ)群で相対的に53%、心血管イベントを抑制し得ることがわかりました。
**
「STOP-NIDDM」試験
Journal of the American Medical Association(JAMA)誌7月23/30日号
「・飲んだ直後からどのくらいの間効果がありますか?」
作用時間は、直後から~おおよそ120分くらいと考えられます。本来、食直前内服ですが、服用を忘れていて食中(食後15分)に飲んでも、あるていど効きます。初期の血糖上昇抑制がやや少なくなります。また食前30分だと、早すぎて効果が落ちます。
「・ベイスン等を飲むことによって、(人によって違うと思いますが)飲まない場合と、血糖値と時間の推移にどのような差が出るのでしょうか?」
αグルコシダーゼ阻害薬は二糖類(麦芽糖・ショ糖・乳糖など)がグルコースに変換されるのを阻害します。ベイスンやセイブルはαグルコシダーゼ阻害作用のみを有します。
グルコバイはそれに加え、αアミラーゼ阻害作用によりデンプンがオリゴ糖に変換されるのも阻害するため、より強力に食後高血糖を改善します。
常用量で、
グルコバイは1時間値を50mg、2時間値を40mg
ベイスンは1時間値を40mg、2時間値を30mg
セイブルは1時間値を60mg、2時間値を20mg
ていど下げるとされています。しかし、それほど下がらない人もあります。セイブルは、1時間値を下げるけれど、2時間値はあまり下げないのが特徴です。
いずれの薬も結構個人差が大きいですし、印象としては、上記の数字ほど下がらない人のほうが多いです。
私の場合、ベイスンは0.2mgを3錠と常用量より多く飲んでも無効でした。勿論、ベイスンが効く人もいますよ。グルコバイは50mgを2錠だと1時間値を10~20mg、常用量より多い3錠だと40mgていど下げました。
腹部症状が無くて平気な人もおられますが、私はお腹が張ってしんどくなるので、今は飲んでいません。
江部康二
昨夜、赤ワインをやや飲み過ぎて、寝坊してあせっている江部康二です。σ(=_=;)ヾ
さて今回は、Pannyさんから、α-グルコシダーゼ阻害薬についてコメント・質問をいただきました。
『α-グルコシダーゼ阻害薬について
江部先生
いつも為になる情報をありがとうございます。軽い耐糖能異常のPannyです。
ベイスンなどのα-グルコシダーゼ阻害薬は糖の吸収を阻害してくれると勝手に勘違いしていたのですが、“小腸からの糖質の分解・吸収を遅延させて、食後高血糖を防ぐ効果がある”のですね。
そこで今日の記事に関連しての質問なのですが、
・食後急に血糖値が上がる代わりに緩やかに長い時間をかけて上がる利点は、細胞傷害を防ぐことが目的なのでしょうか?
>動物実験レベルでは、血糖の上昇・下降を繰り返す血糖変動(グルコーススパイク)では、慢性的持続的な高血糖より細胞傷害機序が強く働くことが示唆されています。
その他、ベイスン等のα-グルコシダーゼ阻害薬について教えていただけますと幸いです。
・飲んだ直後からどのくらいの間効果がありますか?
・ベイスン等を飲むことによって、(人によって違うと思いますが)飲まない場合と、血糖値と時間の推移にどのような差が出るのでしょうか?
by Panny 2008/10/03 04:22』
Pannyさん。コメントありがとうございます。
「・食後急に血糖値が上がる代わりに緩やかに長い時間をかけて上がる利点は、細胞傷害を防ぐことが目的なのでしょうか?」
その通りです。
食後の急峻な血糖値の上昇(グルコース・スパイク)が、活性酸素を増やし、活性酸素処理機能を低下させて、二重に<酸化ストレス>を増大させます。
酸化ストレスとは、「生体の酸化反応と抗酸化反応のバランスが崩れ、酸化反応が亢進した状態」のことで、当然生体にとって好ましくない現象です。
酸化ストレスは、細胞のDNA、細胞膜上のリン酸脂質、蛋白質、糖質を傷害し、血管傷害を進行させます。酸化ストレスにより血管内皮の細胞が傷害され、動脈硬化が進行していき、将来の大血管障害(心筋梗塞、脳梗塞)のリスクとなります。
実際、IGT(食後2時間血糖値140~199mg/dl)のグループ1400人を対象に、「心血管疾患」の発症率をプラセボ群とアカルボース群とで3.3年間比較した研究においてアカルボース(グルコバイ)群で相対的に53%、心血管イベントを抑制し得ることがわかりました。
**
「STOP-NIDDM」試験
Journal of the American Medical Association(JAMA)誌7月23/30日号
「・飲んだ直後からどのくらいの間効果がありますか?」
作用時間は、直後から~おおよそ120分くらいと考えられます。本来、食直前内服ですが、服用を忘れていて食中(食後15分)に飲んでも、あるていど効きます。初期の血糖上昇抑制がやや少なくなります。また食前30分だと、早すぎて効果が落ちます。
「・ベイスン等を飲むことによって、(人によって違うと思いますが)飲まない場合と、血糖値と時間の推移にどのような差が出るのでしょうか?」
αグルコシダーゼ阻害薬は二糖類(麦芽糖・ショ糖・乳糖など)がグルコースに変換されるのを阻害します。ベイスンやセイブルはαグルコシダーゼ阻害作用のみを有します。
グルコバイはそれに加え、αアミラーゼ阻害作用によりデンプンがオリゴ糖に変換されるのも阻害するため、より強力に食後高血糖を改善します。
常用量で、
グルコバイは1時間値を50mg、2時間値を40mg
ベイスンは1時間値を40mg、2時間値を30mg
セイブルは1時間値を60mg、2時間値を20mg
ていど下げるとされています。しかし、それほど下がらない人もあります。セイブルは、1時間値を下げるけれど、2時間値はあまり下げないのが特徴です。
いずれの薬も結構個人差が大きいですし、印象としては、上記の数字ほど下がらない人のほうが多いです。
私の場合、ベイスンは0.2mgを3錠と常用量より多く飲んでも無効でした。勿論、ベイスンが効く人もいますよ。グルコバイは50mgを2錠だと1時間値を10~20mg、常用量より多い3錠だと40mgていど下げました。
腹部症状が無くて平気な人もおられますが、私はお腹が張ってしんどくなるので、今は飲んでいません。
江部康二
2008年10月08日 (水)
おはようございます。
今回は、Y.Kさんから甘味料についてコメント・質問をいただきました。
『08/10/01
甘味料について
はじめまして。Y.Kと申します。
先生の書籍を本屋で偶然見つけ、それ以来都合5冊を購入しました。本に書かれている通り、糖質制限を実行しています。去年の7月HbA1c 8.9%から段々下がり、ここ5ヶ月はHbA1c 5.4%を維持しています。これからも頑張りたいと思っています。
先生に質問があるのですが、甘味料についてです。
いつもラカントSを使用していますが、先日、パルスイート(大正製薬)とシュガーカット(浅田飴)という製品を見ました。この二つの物を使っても大丈夫でしょうか。それと羅漢果甘味料そのものは使ったら駄目なのでしょうか。』
Y.Kさん。コメント、そして本5冊もご購入頂き、誠にありがとうございます。m(_ _)mVV
またHbA1c8.9%→5.4% おめでとうございます。(^-^)v(^-^)v
素晴らしい成果で、とても上手に糖質制限食を実践しておられるのでしょう。
ラカントSは、エリスリトールが主成分で、ごく少量の羅漢果エキスが含まれていますが、基本的にカロリーゼロで血糖値上昇もゼロです。
パルスイートも、糖アルコールであるエリスリトールが主成分で、少量の人工甘味料アスパルテームとアセスルファムKが混ぜてあり、カロリーゼロで血糖値も全く上昇させません。
次に羅漢果です。
羅漢果は、中国広東省、広西チアン族自治区の高冷地に栽培されるウリ科の多年生草本です。中国の一部の地域でしか生育していない貴重な植物で、その果実は、砂糖の約300倍の甘さがあります。甘味が強いので、中国では古くから乾燥させて料理の調味料、甘味飲料の原料として使っていました。
近年の研究で、羅漢果の甘味成分はMongroside Vなどのククルビタン型トリテルペン配糖体であることがわかりました。トリテルペン配糖体は、小腸で吸収されることなく大腸まで達するため、食物繊維の一つに分類されます。従って血糖値を上昇させませんし、吸収されるカロリーはほぼゼロと考えてよいようです。
羅漢果の甘味成分には、トリテルペン配糖体以外にもほんの少量の果糖が加わっているそうです。果糖分のカロリーは、吸収されますがごく少量ですし、果糖は10%しかブドウ糖に変わらないので、血糖値はほとんど上昇させません。
通常販売している「羅漢果顆粒」は、顆粒状にして使い勝手を良くするために、甜菜糖が約2%含まれています。甜菜糖は、勿論吸収されて血糖値を上昇させます。
まあ、白菜や菜っぱにも天然のショ糖が少量は含まれていますので、羅漢果顆粒を甘味料として少量使う程度は、血糖値上昇に関しては許容範囲と思います。
最後になりましたが、シュガーカットの主成分は、還元麦芽糖水飴です。還元麦芽糖水飴は、還元麦芽糖(マルチトール)が主成分の糖アルコールです。還元麦芽糖を75%以上含む糖アルコールの総称を、還元麦芽糖水飴といいます。 マルチトールは、ショ糖の半分くらい血糖値を上昇させます。
結論です。
ラカントS、パルスイートは糖質制限所所OK食品です。羅漢果甘味料は、ほぼOK食品です。
シュガーカットは、ラカントSやパルスイートがあるので、糖質制限的には使用する意味はありませんね。
江部康二
今回は、Y.Kさんから甘味料についてコメント・質問をいただきました。
『08/10/01
甘味料について
はじめまして。Y.Kと申します。
先生の書籍を本屋で偶然見つけ、それ以来都合5冊を購入しました。本に書かれている通り、糖質制限を実行しています。去年の7月HbA1c 8.9%から段々下がり、ここ5ヶ月はHbA1c 5.4%を維持しています。これからも頑張りたいと思っています。
先生に質問があるのですが、甘味料についてです。
いつもラカントSを使用していますが、先日、パルスイート(大正製薬)とシュガーカット(浅田飴)という製品を見ました。この二つの物を使っても大丈夫でしょうか。それと羅漢果甘味料そのものは使ったら駄目なのでしょうか。』
Y.Kさん。コメント、そして本5冊もご購入頂き、誠にありがとうございます。m(_ _)mVV
またHbA1c8.9%→5.4% おめでとうございます。(^-^)v(^-^)v
素晴らしい成果で、とても上手に糖質制限食を実践しておられるのでしょう。
ラカントSは、エリスリトールが主成分で、ごく少量の羅漢果エキスが含まれていますが、基本的にカロリーゼロで血糖値上昇もゼロです。
パルスイートも、糖アルコールであるエリスリトールが主成分で、少量の人工甘味料アスパルテームとアセスルファムKが混ぜてあり、カロリーゼロで血糖値も全く上昇させません。
次に羅漢果です。
羅漢果は、中国広東省、広西チアン族自治区の高冷地に栽培されるウリ科の多年生草本です。中国の一部の地域でしか生育していない貴重な植物で、その果実は、砂糖の約300倍の甘さがあります。甘味が強いので、中国では古くから乾燥させて料理の調味料、甘味飲料の原料として使っていました。
近年の研究で、羅漢果の甘味成分はMongroside Vなどのククルビタン型トリテルペン配糖体であることがわかりました。トリテルペン配糖体は、小腸で吸収されることなく大腸まで達するため、食物繊維の一つに分類されます。従って血糖値を上昇させませんし、吸収されるカロリーはほぼゼロと考えてよいようです。
羅漢果の甘味成分には、トリテルペン配糖体以外にもほんの少量の果糖が加わっているそうです。果糖分のカロリーは、吸収されますがごく少量ですし、果糖は10%しかブドウ糖に変わらないので、血糖値はほとんど上昇させません。
通常販売している「羅漢果顆粒」は、顆粒状にして使い勝手を良くするために、甜菜糖が約2%含まれています。甜菜糖は、勿論吸収されて血糖値を上昇させます。
まあ、白菜や菜っぱにも天然のショ糖が少量は含まれていますので、羅漢果顆粒を甘味料として少量使う程度は、血糖値上昇に関しては許容範囲と思います。
最後になりましたが、シュガーカットの主成分は、還元麦芽糖水飴です。還元麦芽糖水飴は、還元麦芽糖(マルチトール)が主成分の糖アルコールです。還元麦芽糖を75%以上含む糖アルコールの総称を、還元麦芽糖水飴といいます。 マルチトールは、ショ糖の半分くらい血糖値を上昇させます。
結論です。
ラカントS、パルスイートは糖質制限所所OK食品です。羅漢果甘味料は、ほぼOK食品です。
シュガーカットは、ラカントSやパルスイートがあるので、糖質制限的には使用する意味はありませんね。
江部康二
2008年10月07日 (火)
おはようございます。今朝の京都はどんより曇っています。
今日は、午後から雑誌の取材です。高雄病院栄養部の協力を得て、糖質制限食の写真も撮影します。テーマは「糖質制限食と体重減少効果」です。
今回のブログ、すかんぴんさんから「体重が増加する」とのコメント・質問をいただきましたので、丁度良いタイミングでした。
『血液検査の結果が出ました。
こん◎◎は。
江部先生の本を読んで始めた「糖質制限食」も3ヶ月が経ち、米飯が無くても気にならなくなりました。(まだ、お菓子の類を食べてしまいますが、できるだけ少なくするようにしています。)
先日の検査結果(血糖値+肝機能他)は以下の通りでした。
GLU 105
GOT 16
GPT 25
γ-GOT 26
T-CHO 149
TG 56
T-BIL 0.9
Amy 45
(9/11現在 HbA1c 4.9)
今回は膵臓の状態を見てみよう、ということでアミラーゼのチェックもしてみたのですが、これも普通以下。実は、入院時にこの数値が400を超えており、胃潰瘍・十二指腸潰瘍→膵炎→高血糖となった可能性も指摘されました。
ただ、血液検査の数値はよくても体重の増加傾向が著しく、最近の悩みの種です。野菜を食べている割には便秘もあります。薬は相変わらずスターシスとベイスンの併用です。
糖質を避けて野菜を多めにしているんですが・・・。
どうしたもんでしょうか??
by すかんぴん 2008/09/29』
すかんぴんさん。コメントありがとうございます。
私も体重増加に悩んだ時期がありますので、お気持ちよくわかりますよ。
さて、「同一カロリーの摂取であれば、何を食べても減量効果は変わらない」という<カロリー神話>は、大多数の医師・栄養士において現在も根強い信仰のようになっています。
私もかつてはカロリー神話を信じていましたが、人体の生理・代謝を系統的に理論的に考察してみると、はっきり間違いということがわかりました。
まず私自身の体験ですが、42~43歳ごろから体重は徐々に増加し腹回りも順調に育っていきました。
このごろは週2回のテニスの帰りにスポーツジムにもよって自転車こぎや腹筋・背筋運動もやってましたが、なぜかしっかり摘めるお肉が増えているので筋肉増強ではなく脂肪増強に間違いありません。
食事は、主食は玄米や胚芽米で、おかずは野菜や豆腐や魚が中心で、油脂や動物性の肉は極力控えて、カロリーにも注意して、いわゆる「ヘルシー食」を実践していました。
食事も運動も、一般の中年男性に比べれば、はるかに健康的だったのに、「何故だ!!」戸惑いと憤りが湧いてくるものの誰のせいでもありませんし現実は厳しいものでした。
2002年、52歳で糖尿病発覚時にはとうとう体重67kgになって、血圧は160/100、腹囲は86cmと、メタボリック・シンドロームの診断基準を見事に満たしていました。HbA1cは6.3%、身長は167cm。
ここに至り、2002年6月からスーパー糖質制限食を開始しました。
その結果半年間の糖質制限食で、体重は56kgにおち、血圧も120/70、HbA1Cも4.9%と改善しました。メタボリック・シンドロームも解消しました。
糖質制限食になって、それまで控えていたビーフステーキなど脂質たっぷりの食品をよく食べるようになったので「ヘルシー食」時代と同等以上にカロリーは摂取していますがこの成果です。
お酒の量も全く同等に飲んでいますが、「純米酒とエビスビール」から、「焼酎と赤ワイン」に完全に切り替えました。赤ワインは例外として、「醸造酒」→「蒸留酒」への変更です。
私一人の成功体験のみ語っても、説得力が弱いので、糖質制限食で減量できるメカニズムを生理学・生化学を駆使して理論的に考察してみましょう。
カロリー制限食と糖質制限食では、痩せる効果に大きな差があるのですが、「糖質制限食」でやせるメカニズムに関しては、以下の四つの要素が重要です。
「糖質制限食」では、糖質を摂取しないので
1 肥満ホルモン(追加分泌インスリン**)がほとんどでない。
2 体脂肪が常に燃えている。
3 血中のケトン体値が高まり、尿中にカロリーと共に生理的に排泄される。
4 肝臓でアミノ酸などから糖新生が行われそれに高エネルギーが消費される。
一方、従来の「カロリー制限食」では、糖質を摂取するので
A 血糖値が上昇して肥満ホルモン(追加分泌インスリン)がたっぷり分泌される。
B 体脂肪は燃えなくなり、血糖値が中性脂肪に変わり蓄積される。
C ケトン体は尿中に出なくなる。
D 肝臓の糖新生はストップする。
この<1、2、3、4>と<A、B、C、D>の比較をしてみれば、「糖質制限食」のほうが「インスリン・スイッチが作動するカロリー制限食」より、ダイエット効果があることがお解りいただけると思います。
<1、2、3、4>に関しては、摂取カロリーとは全く無関係の生理学的な事実であり、あくまでも糖質を摂取するか否かが鍵となります。
このように、少なくとも同一カロリーである限りは、糖質制限食が脂肪制限食よりダイエット効果が高いことは、理論的に証明できたと思います。
すかんぴんさん、今のすかんぴんさんのデータなら糖質制限食を実践されれば、スターシスもベイスンも必要ないと思いますよ。スーパー糖質制限食なら体重も減ると思います。主治医とよく相談されて薬の中止を考慮されては如何でしょう。なお、スターシスも2~3時間と短い時間ですがインスリン分泌を促進しますので、(24時間作用するSU剤よりはましですが)体重増加傾向はありえます。
**
肥満ホルモン(インスリン)
糖質を摂取して血糖値が上昇すると、インスリンが追加分泌されて、血糖は骨格筋や心筋などの細胞に取り込まれて利用されたり、グリコーゲンとして蓄えられます。しかし、血中の余剰の血糖は中性脂肪に変えられて体脂肪として蓄積されていきます。インスリンが肥満ホルモンと呼ばれる所以です。糖質制限食なら血糖値はほとんど上昇しないので、インスリンもほとんど追加分泌されません。
江部康二
今日は、午後から雑誌の取材です。高雄病院栄養部の協力を得て、糖質制限食の写真も撮影します。テーマは「糖質制限食と体重減少効果」です。
今回のブログ、すかんぴんさんから「体重が増加する」とのコメント・質問をいただきましたので、丁度良いタイミングでした。
『血液検査の結果が出ました。
こん◎◎は。
江部先生の本を読んで始めた「糖質制限食」も3ヶ月が経ち、米飯が無くても気にならなくなりました。(まだ、お菓子の類を食べてしまいますが、できるだけ少なくするようにしています。)
先日の検査結果(血糖値+肝機能他)は以下の通りでした。
GLU 105
GOT 16
GPT 25
γ-GOT 26
T-CHO 149
TG 56
T-BIL 0.9
Amy 45
(9/11現在 HbA1c 4.9)
今回は膵臓の状態を見てみよう、ということでアミラーゼのチェックもしてみたのですが、これも普通以下。実は、入院時にこの数値が400を超えており、胃潰瘍・十二指腸潰瘍→膵炎→高血糖となった可能性も指摘されました。
ただ、血液検査の数値はよくても体重の増加傾向が著しく、最近の悩みの種です。野菜を食べている割には便秘もあります。薬は相変わらずスターシスとベイスンの併用です。
糖質を避けて野菜を多めにしているんですが・・・。
どうしたもんでしょうか??
by すかんぴん 2008/09/29』
すかんぴんさん。コメントありがとうございます。
私も体重増加に悩んだ時期がありますので、お気持ちよくわかりますよ。
さて、「同一カロリーの摂取であれば、何を食べても減量効果は変わらない」という<カロリー神話>は、大多数の医師・栄養士において現在も根強い信仰のようになっています。
私もかつてはカロリー神話を信じていましたが、人体の生理・代謝を系統的に理論的に考察してみると、はっきり間違いということがわかりました。
まず私自身の体験ですが、42~43歳ごろから体重は徐々に増加し腹回りも順調に育っていきました。
このごろは週2回のテニスの帰りにスポーツジムにもよって自転車こぎや腹筋・背筋運動もやってましたが、なぜかしっかり摘めるお肉が増えているので筋肉増強ではなく脂肪増強に間違いありません。
食事は、主食は玄米や胚芽米で、おかずは野菜や豆腐や魚が中心で、油脂や動物性の肉は極力控えて、カロリーにも注意して、いわゆる「ヘルシー食」を実践していました。
食事も運動も、一般の中年男性に比べれば、はるかに健康的だったのに、「何故だ!!」戸惑いと憤りが湧いてくるものの誰のせいでもありませんし現実は厳しいものでした。
2002年、52歳で糖尿病発覚時にはとうとう体重67kgになって、血圧は160/100、腹囲は86cmと、メタボリック・シンドロームの診断基準を見事に満たしていました。HbA1cは6.3%、身長は167cm。
ここに至り、2002年6月からスーパー糖質制限食を開始しました。
その結果半年間の糖質制限食で、体重は56kgにおち、血圧も120/70、HbA1Cも4.9%と改善しました。メタボリック・シンドロームも解消しました。
糖質制限食になって、それまで控えていたビーフステーキなど脂質たっぷりの食品をよく食べるようになったので「ヘルシー食」時代と同等以上にカロリーは摂取していますがこの成果です。
お酒の量も全く同等に飲んでいますが、「純米酒とエビスビール」から、「焼酎と赤ワイン」に完全に切り替えました。赤ワインは例外として、「醸造酒」→「蒸留酒」への変更です。
私一人の成功体験のみ語っても、説得力が弱いので、糖質制限食で減量できるメカニズムを生理学・生化学を駆使して理論的に考察してみましょう。
カロリー制限食と糖質制限食では、痩せる効果に大きな差があるのですが、「糖質制限食」でやせるメカニズムに関しては、以下の四つの要素が重要です。
「糖質制限食」では、糖質を摂取しないので
1 肥満ホルモン(追加分泌インスリン**)がほとんどでない。
2 体脂肪が常に燃えている。
3 血中のケトン体値が高まり、尿中にカロリーと共に生理的に排泄される。
4 肝臓でアミノ酸などから糖新生が行われそれに高エネルギーが消費される。
一方、従来の「カロリー制限食」では、糖質を摂取するので
A 血糖値が上昇して肥満ホルモン(追加分泌インスリン)がたっぷり分泌される。
B 体脂肪は燃えなくなり、血糖値が中性脂肪に変わり蓄積される。
C ケトン体は尿中に出なくなる。
D 肝臓の糖新生はストップする。
この<1、2、3、4>と<A、B、C、D>の比較をしてみれば、「糖質制限食」のほうが「インスリン・スイッチが作動するカロリー制限食」より、ダイエット効果があることがお解りいただけると思います。
<1、2、3、4>に関しては、摂取カロリーとは全く無関係の生理学的な事実であり、あくまでも糖質を摂取するか否かが鍵となります。
このように、少なくとも同一カロリーである限りは、糖質制限食が脂肪制限食よりダイエット効果が高いことは、理論的に証明できたと思います。
すかんぴんさん、今のすかんぴんさんのデータなら糖質制限食を実践されれば、スターシスもベイスンも必要ないと思いますよ。スーパー糖質制限食なら体重も減ると思います。主治医とよく相談されて薬の中止を考慮されては如何でしょう。なお、スターシスも2~3時間と短い時間ですがインスリン分泌を促進しますので、(24時間作用するSU剤よりはましですが)体重増加傾向はありえます。
**
肥満ホルモン(インスリン)
糖質を摂取して血糖値が上昇すると、インスリンが追加分泌されて、血糖は骨格筋や心筋などの細胞に取り込まれて利用されたり、グリコーゲンとして蓄えられます。しかし、血中の余剰の血糖は中性脂肪に変えられて体脂肪として蓄積されていきます。インスリンが肥満ホルモンと呼ばれる所以です。糖質制限食なら血糖値はほとんど上昇しないので、インスリンもほとんど追加分泌されません。
江部康二
2008年10月06日 (月)
こんばんは。
今朝、車に乗ろうとしたら、金木犀の香りがただよってきました。橙黄色の花が満開です。我が家の庭もいよいよ秋ですね。
さて今回は、インスリン抵抗性についてカーボバスターさんから、コメント・質問をいただきました。
『インスリン抵抗性の改善
初めまして。41歳 男性 カーボバスターと申します。
先生のブログを、毎回とても楽しみにしております。
本日は「インスリン抵抗性が、減量でどの程度改善するのか? 」について
質問させていただきます。
2年前の06年12月になりますが(当時身長175cm、体重86kg、体脂肪28%、腹囲100cm↑↑)
空腹時血糖90mg/dl、 空腹時インスリン 12.7μU/ml、HbA1c 4.7%
75g OGTT 90mg/dl(前)、90mg/dl(30分)、93mg/dl(60分)、102mg/dl(120分)
後日、食後60分(かなり食べました)では、血糖150mg/dl、インスリン480μU/ml
このままのではいけないと改心し、カロリーを制限するダイエットを始め、今年の3月に
先生の著書やブログに出会ってからは、糖質制限食の実践で確実に痩せることができ、
現在、体重72kg、体脂肪20%、腹囲89cmになりましたが・・・
空腹時血糖93mg/dl、 空腹時インスリン 12.8μU/ml、HbA1c 4.8%
依然として空腹時インスリンが下がらず、HOMA-IRによればインスリン抵抗性があると
解釈されますが、本当に減量でインスリン抵抗性は改善されるのでしょうか?
一度インスリン抵抗性になると、元に戻らないのでは・・・・と思いはじめています。
これからは糖質制限食に運動も取り入れながら、さらに減量を進めたいと思っています。
運動は筋トレや水泳を考えていますが、アドバイスなども頂ければ幸いです。
よろしくお願い申し上げます。
by カーボバスター 2008/09/27 18:13』
カーボバスターさん、コメントありがとうございます。
HOMA-R=空腹時インスリン値×空腹時血糖値/405
2.5以上がインスリン抵抗性あり。1.6以下が正常。
「空腹時血糖90mg/dl、 空腹時インスリン 12.7μU/ml HOMA-R:2.82
空腹時血糖93mg/dl、 空腹時インスリン 12.8μU/ml HOMA-R:2.94」
カーボバスターさんのデータを拝見すると、
「インスリン抵抗性があって、そのため高インスリン血症もある。高インスリンで代償しているので耐糖能は75gブドウ糖負荷試験で正常。」
という段階で、糖尿病ではありませんね。しかし、インスリン抵抗性が悪化したり長期に続けば、糖尿病の発症のリスクが高まります。糖質制限食で体重が14kg減っておられますので、展望は明るいと思います。ヾ(^▽^)
2型糖尿病は「インスリンの分泌不足」と「インスリン抵抗性」が合わさって<インスリン作用不足>となり、発症します。日本人の場合、インスリン分泌不足が主で、欧米人の場合は、インスリン抵抗性(インスリンの効きが悪い状態)が主のことが多いとされています。
しかし、日本でも、肥満傾向の増加と共に、徐々にインスリン抵抗性が主の2型糖尿病が増えてきているようです。
一般に、インスリン抵抗性が出てくる原因としては、遺伝、肥満、 運動不足、ストレスなどがあげられています。
これらの中で、肥満とインスリン抵抗性に関しては、あるていどわかってきています。肥満、特に内臓脂肪肥満では、その脂肪細胞が分泌する物質が、インスリン抵抗性を引き起こしてます。
肥満してないとき(脂肪細胞が膨らんでいないとき)は、脂肪細胞からアディポネクチンというインスリンの働きを良くする物質が出ています。
しかし、肥満してくると、脂肪細胞が膨らんできて、アディポネクチンが出なくなり、逆にインスリンの働きを悪くするTNA-αなどが分泌されます。こうしててインスリン抵抗性が出てきます。
血中のアディポネクチン濃度の低下は、インスリン抵抗性とよく相関するとされています。インスリン抵抗性があると、代償的に高インスリン血症となりますが、高インスリン血症は、細胞表面のインスリン受容体を減少させるので、さらにインスリンの効きが悪くなり、悪循環します。
TNF-αは、脂肪細胞や筋肉細胞でインスリン受容体を抑制し、糖輸送担体(GLUT4)が細胞表面に移動するのを抑制します。このためインスリンの効きが悪くなり、インスリン抵抗性がでてきます。
インスリン抵抗性に関して、まだよくわからないことも多いのですが、肥満とインスリン抵抗性に関しては、上述の如く言われています。
従いまして、減量成功のカーボバスターさんのインスリン抵抗性は、今後、基本的に改善の方向に向かうことは間違いないと思います。 (^_^)
運動ですが、糖尿病専門医研修ガイドブックによれば、散歩やジョギングなどの有酸素運動を長期にわたって続けることが、インスリン抵抗性改善に効果があるそうです。
江部康二
今朝、車に乗ろうとしたら、金木犀の香りがただよってきました。橙黄色の花が満開です。我が家の庭もいよいよ秋ですね。
さて今回は、インスリン抵抗性についてカーボバスターさんから、コメント・質問をいただきました。
『インスリン抵抗性の改善
初めまして。41歳 男性 カーボバスターと申します。
先生のブログを、毎回とても楽しみにしております。
本日は「インスリン抵抗性が、減量でどの程度改善するのか? 」について
質問させていただきます。
2年前の06年12月になりますが(当時身長175cm、体重86kg、体脂肪28%、腹囲100cm↑↑)
空腹時血糖90mg/dl、 空腹時インスリン 12.7μU/ml、HbA1c 4.7%
75g OGTT 90mg/dl(前)、90mg/dl(30分)、93mg/dl(60分)、102mg/dl(120分)
後日、食後60分(かなり食べました)では、血糖150mg/dl、インスリン480μU/ml
このままのではいけないと改心し、カロリーを制限するダイエットを始め、今年の3月に
先生の著書やブログに出会ってからは、糖質制限食の実践で確実に痩せることができ、
現在、体重72kg、体脂肪20%、腹囲89cmになりましたが・・・
空腹時血糖93mg/dl、 空腹時インスリン 12.8μU/ml、HbA1c 4.8%
依然として空腹時インスリンが下がらず、HOMA-IRによればインスリン抵抗性があると
解釈されますが、本当に減量でインスリン抵抗性は改善されるのでしょうか?
一度インスリン抵抗性になると、元に戻らないのでは・・・・と思いはじめています。
これからは糖質制限食に運動も取り入れながら、さらに減量を進めたいと思っています。
運動は筋トレや水泳を考えていますが、アドバイスなども頂ければ幸いです。
よろしくお願い申し上げます。
by カーボバスター 2008/09/27 18:13』
カーボバスターさん、コメントありがとうございます。
HOMA-R=空腹時インスリン値×空腹時血糖値/405
2.5以上がインスリン抵抗性あり。1.6以下が正常。
「空腹時血糖90mg/dl、 空腹時インスリン 12.7μU/ml HOMA-R:2.82
空腹時血糖93mg/dl、 空腹時インスリン 12.8μU/ml HOMA-R:2.94」
カーボバスターさんのデータを拝見すると、
「インスリン抵抗性があって、そのため高インスリン血症もある。高インスリンで代償しているので耐糖能は75gブドウ糖負荷試験で正常。」
という段階で、糖尿病ではありませんね。しかし、インスリン抵抗性が悪化したり長期に続けば、糖尿病の発症のリスクが高まります。糖質制限食で体重が14kg減っておられますので、展望は明るいと思います。ヾ(^▽^)
2型糖尿病は「インスリンの分泌不足」と「インスリン抵抗性」が合わさって<インスリン作用不足>となり、発症します。日本人の場合、インスリン分泌不足が主で、欧米人の場合は、インスリン抵抗性(インスリンの効きが悪い状態)が主のことが多いとされています。
しかし、日本でも、肥満傾向の増加と共に、徐々にインスリン抵抗性が主の2型糖尿病が増えてきているようです。
一般に、インスリン抵抗性が出てくる原因としては、遺伝、肥満、 運動不足、ストレスなどがあげられています。
これらの中で、肥満とインスリン抵抗性に関しては、あるていどわかってきています。肥満、特に内臓脂肪肥満では、その脂肪細胞が分泌する物質が、インスリン抵抗性を引き起こしてます。
肥満してないとき(脂肪細胞が膨らんでいないとき)は、脂肪細胞からアディポネクチンというインスリンの働きを良くする物質が出ています。
しかし、肥満してくると、脂肪細胞が膨らんできて、アディポネクチンが出なくなり、逆にインスリンの働きを悪くするTNA-αなどが分泌されます。こうしててインスリン抵抗性が出てきます。
血中のアディポネクチン濃度の低下は、インスリン抵抗性とよく相関するとされています。インスリン抵抗性があると、代償的に高インスリン血症となりますが、高インスリン血症は、細胞表面のインスリン受容体を減少させるので、さらにインスリンの効きが悪くなり、悪循環します。
TNF-αは、脂肪細胞や筋肉細胞でインスリン受容体を抑制し、糖輸送担体(GLUT4)が細胞表面に移動するのを抑制します。このためインスリンの効きが悪くなり、インスリン抵抗性がでてきます。
インスリン抵抗性に関して、まだよくわからないことも多いのですが、肥満とインスリン抵抗性に関しては、上述の如く言われています。
従いまして、減量成功のカーボバスターさんのインスリン抵抗性は、今後、基本的に改善の方向に向かうことは間違いないと思います。 (^_^)
運動ですが、糖尿病専門医研修ガイドブックによれば、散歩やジョギングなどの有酸素運動を長期にわたって続けることが、インスリン抵抗性改善に効果があるそうです。
江部康二
2008年10月05日 (日)
こんばんは。
東京の医療関係者向け糖質制限食セミナーを終えて、午後6時過ぎの、のぞみに乗り帰京しました。タクシーの運転手さんに聞いたら、京都は、朝からずっと雨だったそうです。
東京は、セミナー終了後まで、なんとか雨が降らずにすんでラッキーでした。中野サンプラザでのセミナーは、医師・看護師・栄養師・薬剤師など30名の参加で、熱心な質疑・応答もあり、熱気溢れる会となりました。
すでに、自ら糖質制限食を実践され、効果を体験された参加者がかなりおられました。患者さんにも糖質制限食を指導されて成果をあげておられる方も多かったです。
福岡や大阪からの参加もあり、ありがたい限りでした。おかげさまで糖質制限食指導可能な医療機関のネットワークも少しずつ広がりをみせています。
ブログ読者の皆さん、乞うご期待です。 (^_^)
江部康二
東京の医療関係者向け糖質制限食セミナーを終えて、午後6時過ぎの、のぞみに乗り帰京しました。タクシーの運転手さんに聞いたら、京都は、朝からずっと雨だったそうです。
東京は、セミナー終了後まで、なんとか雨が降らずにすんでラッキーでした。中野サンプラザでのセミナーは、医師・看護師・栄養師・薬剤師など30名の参加で、熱心な質疑・応答もあり、熱気溢れる会となりました。
すでに、自ら糖質制限食を実践され、効果を体験された参加者がかなりおられました。患者さんにも糖質制限食を指導されて成果をあげておられる方も多かったです。
福岡や大阪からの参加もあり、ありがたい限りでした。おかげさまで糖質制限食指導可能な医療機関のネットワークも少しずつ広がりをみせています。
ブログ読者の皆さん、乞うご期待です。 (^_^)
江部康二
2008年10月04日 (土)
イタリアンディナーと糖質制限食の講演会・東京 (再掲)
講演会のお知らせです。
今回の講演会、いつもの講演会とはちょいと違います。
何が違うかと言いますと、なんと、糖質制限OKイタリアンディナーと江部康二の講演がコラボレーション、本邦初のユニークな講演会となりました。
しかも、ただのイタリアンと思ったら大間違い。
超有名フレンチレストラン「ひらまつ」グループのイタリアンブランド、「ASO」グループを率いる、阿曽達治シェフ渾身の「糖質制限イタリアン」なんです。
阿曽達治シェフは、先般話題になった「ミシュランガイド東京2008」で、イタリア料理で唯一2ツ星を獲得した「リストランテASO」、そして1ツ星を獲得した「アルジェントASO」総料理長を兼任、美しく繊細な料理で、多くの方を魅了しておられます。またご自身が糖質制限食の考え方に共感されて、実践しておられます。
その阿曽総料理長からご提案&お招きいただき
「阿曽シェフのイタリアンディナーと江部康二の糖質制限食講演会」
が実現しました。
阿曽総料理長の料理にかける情熱と、江部康二の糖質制限食にかける熱い思いを目で、舌で、耳で感じていただける、こんな講演会は、そうそうありません。是非、この機会をお見逃しなく。
以下詳細をご案内します。
日時: 10 月19 日(日)
受付17:00
講演17:30 ~ 18:30
ディナー18:40 ~
場所: アイコニック
東京都中央区銀座 2-4-6 銀座ベルビア館 9F
Tel. 03-3562-7500
料金: お一人様 20,000 円(ご飲食・税・サービス料全て含む)
ご予約・お問合せ:アイコニックTel. 03-3562-7500
講演会のお知らせです。
今回の講演会、いつもの講演会とはちょいと違います。
何が違うかと言いますと、なんと、糖質制限OKイタリアンディナーと江部康二の講演がコラボレーション、本邦初のユニークな講演会となりました。
しかも、ただのイタリアンと思ったら大間違い。
超有名フレンチレストラン「ひらまつ」グループのイタリアンブランド、「ASO」グループを率いる、阿曽達治シェフ渾身の「糖質制限イタリアン」なんです。
阿曽達治シェフは、先般話題になった「ミシュランガイド東京2008」で、イタリア料理で唯一2ツ星を獲得した「リストランテASO」、そして1ツ星を獲得した「アルジェントASO」総料理長を兼任、美しく繊細な料理で、多くの方を魅了しておられます。またご自身が糖質制限食の考え方に共感されて、実践しておられます。
その阿曽総料理長からご提案&お招きいただき
「阿曽シェフのイタリアンディナーと江部康二の糖質制限食講演会」
が実現しました。
阿曽総料理長の料理にかける情熱と、江部康二の糖質制限食にかける熱い思いを目で、舌で、耳で感じていただける、こんな講演会は、そうそうありません。是非、この機会をお見逃しなく。
以下詳細をご案内します。
日時: 10 月19 日(日)
受付17:00
講演17:30 ~ 18:30
ディナー18:40 ~
場所: アイコニック
東京都中央区銀座 2-4-6 銀座ベルビア館 9F
Tel. 03-3562-7500
料金: お一人様 20,000 円(ご飲食・税・サービス料全て含む)
ご予約・お問合せ:アイコニックTel. 03-3562-7500
2008年10月03日 (金)
こんばんは。
10月5日(日)は、医療関係者向けのセミナーを東京・中野サンプラザで開催します。結構新しいネタもありますので、中身の濃いセミナーとなりそうです。
さて、糖質制限食実践中の糖尿人やメタボ人の皆さん、やっぱりたまには豚カツや天ぷらなど食べたいですよね。かく言う私も時々食べてますから。(-_-;)
それで、匿名希望さんから質問もあったので、糖質制限食のレシピ本で栄養計算をしてもらっている
高雄病院の管理栄養士・橋本さんに、豚カツや天ぷらの糖質量を聞いてみました。
外食したとして、1人前のカツ類、てんぷら、唐揚げを衣になる小麦粉、パン粉などの量ですが、肉の量にもよりますが、
カツ類・・・小麦粉5~10g
パン粉10~20g
糖質の総量はおおよそ、9~19g/1人前
てんぷら・・・揚げる種類や量によりますが
小麦粉・・・20~30g
糖質の総量はおおよそ14~22g/1人前
唐揚げの衣・・・片栗粉5gないしは小麦粉5g
糖質の総量はおおよそ4g/1人前
となります。大体1人前の分量は、これ位かと思います。
1gの糖質が2型糖尿人の血糖値を3mg、1型糖尿人の血糖値を5mg上昇させます。唐揚げはともかく、豚カツとてんぷらの衣はやや要注意ですね。私もやや見苦しいのですが、1.2切れ食べた後は、衣を半分はがして食べたりしています。 (*_*)
橋本管理栄養士談
「家庭でつくる、あるいはつくってもらう場合、 糖質制限食的には、フライの衣として小麦粉の代わりに大豆粉を、おからをレンジでチンして、水分をとばしてからパン粉代わりに使用していただくと、フライにはなるかと思います。」
「天ぷらはちょっと難しいです。大豆粉に、つなぎになるくらいの小麦粉を少量使用するくらいなら、ゆるせるかもしれません。」
「唐揚げは、大豆粉を利用すれば、結構美味しくできあがります。」
工夫次第で、糖質制限OKなフライやカツや唐揚げは、美味しく楽しくできそうですね。o(^-^o)(o^-^)o
江部康二
10月5日(日)は、医療関係者向けのセミナーを東京・中野サンプラザで開催します。結構新しいネタもありますので、中身の濃いセミナーとなりそうです。
さて、糖質制限食実践中の糖尿人やメタボ人の皆さん、やっぱりたまには豚カツや天ぷらなど食べたいですよね。かく言う私も時々食べてますから。(-_-;)
それで、匿名希望さんから質問もあったので、糖質制限食のレシピ本で栄養計算をしてもらっている
高雄病院の管理栄養士・橋本さんに、豚カツや天ぷらの糖質量を聞いてみました。
外食したとして、1人前のカツ類、てんぷら、唐揚げを衣になる小麦粉、パン粉などの量ですが、肉の量にもよりますが、
カツ類・・・小麦粉5~10g
パン粉10~20g
糖質の総量はおおよそ、9~19g/1人前
てんぷら・・・揚げる種類や量によりますが
小麦粉・・・20~30g
糖質の総量はおおよそ14~22g/1人前
唐揚げの衣・・・片栗粉5gないしは小麦粉5g
糖質の総量はおおよそ4g/1人前
となります。大体1人前の分量は、これ位かと思います。
1gの糖質が2型糖尿人の血糖値を3mg、1型糖尿人の血糖値を5mg上昇させます。唐揚げはともかく、豚カツとてんぷらの衣はやや要注意ですね。私もやや見苦しいのですが、1.2切れ食べた後は、衣を半分はがして食べたりしています。 (*_*)
橋本管理栄養士談
「家庭でつくる、あるいはつくってもらう場合、 糖質制限食的には、フライの衣として小麦粉の代わりに大豆粉を、おからをレンジでチンして、水分をとばしてからパン粉代わりに使用していただくと、フライにはなるかと思います。」
「天ぷらはちょっと難しいです。大豆粉に、つなぎになるくらいの小麦粉を少量使用するくらいなら、ゆるせるかもしれません。」
「唐揚げは、大豆粉を利用すれば、結構美味しくできあがります。」
工夫次第で、糖質制限OKなフライやカツや唐揚げは、美味しく楽しくできそうですね。o(^-^o)(o^-^)o
江部康二
2008年10月02日 (木)
こんばんは。
朝は寒かったけれど、昼からとてもいいお天気で、暑いくらいになった京都です。温度差が結構あるので、皆さん体調にご注意下さいね。
さて今回は、グルコーススパイクに関して、ワキさんからコメント・質問をいただきました。
『食後血糖値上昇
はじめまして。8月の末に人間ドックで糖尿病を発見した新米糖尿人です。生来の凝り性ですので、血糖値をこまめに自己測定しながら楽しく(?)コントロールしています。自分の体に無頓着でしたが、糖尿をきっかけにコントロールすることの楽しさを知りました。体も今の方が随分好調です。病気も悪いことばかりじゃないですねぇ。
さて、グルコーススパイクについて質問させてください。
どこにも載ってなかったので・・・。
グルコーススパイクとは、食後の血糖値の急激な上昇であると定義されていますが、たとえば・・・
1)食前 120 → 食後 170
2)食前 70 → 食後140
この場合、1)はその差50、2)はその差70。
血糖値としては2の方がコントロール優良だと思うのですが、空腹時と、食後の差は大きくなります。この差の絶対値が大きい方が欠陥への悪い影響が大きいとすれば、食前(空腹時)の血糖値を下げすぎないように(たとえば2の場合空腹時血糖を90~100にコントロールする)方が、良いのでしょうか?
藪から棒に質問で恐縮です・・・。
是非ご教授ください。
by ワキ 2008/09/27 15:40』
ワキさん、コメントありがとうございます。
「1)食前 120 → 食後 170
2)食前 70 → 食後140
この場合、1)はその差50、2)はその差70。」
このどちらが良くないかという、質問ですが、これを直接比較検討したような文献はありません。従って断定はできませんが、以下私の考えを述べます。
まず、グルコーススパイクですが、基本的には急激な食後高血糖のことをいいます。グルコーススパイクは、境界領域~糖尿病を中心に広くみられます。
スパイク(spike)とは、とがったものを示す単語です。糖質摂取後2~3時間程度の短時間だけ持続して、ほぼ元の血糖レベルにまで戻る、鋭角に尖った山のような血糖上昇を指します。
食後高血糖ですから、基本的には140mg/dl以上をいいます。つまり、食後140mg未満は高血糖とは言わないし、正常範囲ですので細胞障害や血管壁への害はないと思います。
文献的には食後2時間血糖値が180mg/dlを超えてくると心・脳の大血管合併症進行のリスクが高まります。
また、食後1時間値が180mg/dlを超えても、心血管系の合併症が増えるとする文献もあります。
従いまして、グルコーススパイクも、基本的には食後血糖値が180mg/dlを超えるレベルで、空腹時血糖値と食後血糖値の差が大きいほど、良くないと考えられます。
動物実験レベルでは、血糖の上昇・下降を繰り返す血糖変動(グルコーススパイク)では、慢性的持続的な高血糖より、細胞傷害機序が強く働くことが示唆されています。
一般的な境界人や糖尿人の食生活においては、糖質を摂取したときに、一日に数回グルコーススパイクを起こしているパターンであり、持続的高血糖というのは通常はありえません。
糖質、脂質、タンパク質のうち、糖質だけがグルコーススパイクを生じます。従って境界人や糖尿人が、カロリー制限食(高糖質食)を食べれば、必ずグルコーススパイクを起こします。
つまり、恐るべきことに日本のほとんどの病院で、グルコーススパイクを起こす食事療法を、画一的にわざわざ糖尿人に指導しているわけです。(=_=;)
勿論、糖質制限食ならグルコーススパイクは生じません。ヾ(^▽^)
なお、食後高血糖が、動脈硬化の最も重要なリスクの一つであることは、間違いありませんが、
空腹時血糖値110mg/dl未満に保つことも、合併症の進行を防ぐ上で、意味があることとされています。
江部康二
朝は寒かったけれど、昼からとてもいいお天気で、暑いくらいになった京都です。温度差が結構あるので、皆さん体調にご注意下さいね。
さて今回は、グルコーススパイクに関して、ワキさんからコメント・質問をいただきました。
『食後血糖値上昇
はじめまして。8月の末に人間ドックで糖尿病を発見した新米糖尿人です。生来の凝り性ですので、血糖値をこまめに自己測定しながら楽しく(?)コントロールしています。自分の体に無頓着でしたが、糖尿をきっかけにコントロールすることの楽しさを知りました。体も今の方が随分好調です。病気も悪いことばかりじゃないですねぇ。
さて、グルコーススパイクについて質問させてください。
どこにも載ってなかったので・・・。
グルコーススパイクとは、食後の血糖値の急激な上昇であると定義されていますが、たとえば・・・
1)食前 120 → 食後 170
2)食前 70 → 食後140
この場合、1)はその差50、2)はその差70。
血糖値としては2の方がコントロール優良だと思うのですが、空腹時と、食後の差は大きくなります。この差の絶対値が大きい方が欠陥への悪い影響が大きいとすれば、食前(空腹時)の血糖値を下げすぎないように(たとえば2の場合空腹時血糖を90~100にコントロールする)方が、良いのでしょうか?
藪から棒に質問で恐縮です・・・。
是非ご教授ください。
by ワキ 2008/09/27 15:40』
ワキさん、コメントありがとうございます。
「1)食前 120 → 食後 170
2)食前 70 → 食後140
この場合、1)はその差50、2)はその差70。」
このどちらが良くないかという、質問ですが、これを直接比較検討したような文献はありません。従って断定はできませんが、以下私の考えを述べます。
まず、グルコーススパイクですが、基本的には急激な食後高血糖のことをいいます。グルコーススパイクは、境界領域~糖尿病を中心に広くみられます。
スパイク(spike)とは、とがったものを示す単語です。糖質摂取後2~3時間程度の短時間だけ持続して、ほぼ元の血糖レベルにまで戻る、鋭角に尖った山のような血糖上昇を指します。
食後高血糖ですから、基本的には140mg/dl以上をいいます。つまり、食後140mg未満は高血糖とは言わないし、正常範囲ですので細胞障害や血管壁への害はないと思います。
文献的には食後2時間血糖値が180mg/dlを超えてくると心・脳の大血管合併症進行のリスクが高まります。
また、食後1時間値が180mg/dlを超えても、心血管系の合併症が増えるとする文献もあります。
従いまして、グルコーススパイクも、基本的には食後血糖値が180mg/dlを超えるレベルで、空腹時血糖値と食後血糖値の差が大きいほど、良くないと考えられます。
動物実験レベルでは、血糖の上昇・下降を繰り返す血糖変動(グルコーススパイク)では、慢性的持続的な高血糖より、細胞傷害機序が強く働くことが示唆されています。
一般的な境界人や糖尿人の食生活においては、糖質を摂取したときに、一日に数回グルコーススパイクを起こしているパターンであり、持続的高血糖というのは通常はありえません。
糖質、脂質、タンパク質のうち、糖質だけがグルコーススパイクを生じます。従って境界人や糖尿人が、カロリー制限食(高糖質食)を食べれば、必ずグルコーススパイクを起こします。
つまり、恐るべきことに日本のほとんどの病院で、グルコーススパイクを起こす食事療法を、画一的にわざわざ糖尿人に指導しているわけです。(=_=;)
勿論、糖質制限食ならグルコーススパイクは生じません。ヾ(^▽^)
なお、食後高血糖が、動脈硬化の最も重要なリスクの一つであることは、間違いありませんが、
空腹時血糖値110mg/dl未満に保つことも、合併症の進行を防ぐ上で、意味があることとされています。
江部康二
2008年10月01日 (水)
こんばんは。今、下鴨の江部診療所の夜診を終えて帰宅したところです。
今回はたまさんから、コメント・質問をいただきました。
『2時間後血糖値について
はじめまして。
今年の人間ドックで「糖尿病」と診断されました たま(28歳・女)と申します。
現在、再検査待ちです。。。
結果を受けて、即 糖質制限食について知り、ダイエットにも良いということで(笑)再検査を受けていない今も実行中です。
レシピだと 調味料だけでなく調理法も勉強になりますので 大変重宝しております。
さて、私の検査結果なんですが、皆様のと少々違うようです。
HbA1c 5.0
空腹時血糖値 85
ここまで見れば正常人です。
ちなみにコレステロールはHDL-C:52、LDL-C:70 で正常範囲。
中性脂肪にいたっては38です。。。
これが、糖負荷試験の血糖値120分で212 と大幅にUPします。
ブログでご紹介されている皆様とは 少しデータが異なるような気がするのですがこのまま糖質制限食を継続していて大丈夫でしょうか?
※朝晩の炭水化物抜きに加え、大好きなチューハイ→焼酎、おつまみのスナック菓子→サラダ、おやつのドライフルーツ→止めて カラダの調子は問題なし!です。
by たま 2008/09/27 11:14』
たまさん。コメントそしてレシピご購入ありがとうございます。28才とお若いですね。
「HbA1c 5.0 空腹時血糖値 85」
このデータでしたら、75gブドウ糖負荷試験あるいは、糖質摂取後2時間の血糖値を調べなかったら
、完全に見過ごされるパターンです。人間ドックで負荷試験をして糖尿病が発見できてとてもラッキーだったと思いますよ。 (^_^)
負荷試験の2時間後血糖値が212mg/dlなので、診断基準的には立派な糖尿病ですね。一般的な健診の空腹時血糖だけでしたら、数年間は糖尿病を発見できなかったでしょう。
食後高血糖が数年間続いて、インスリン分泌能力が徐々に低下して、とうとう早朝空腹時血糖値が110mg/dlを超えてくるのが日本人の糖尿病発症で一番多いパターンです。
たまさんは、インスリンの基礎分泌は確保されていて、追加分泌がやや不足・遷延しているタイプです。普通に糖質摂取を続けたら、空腹時血糖値も数年で上昇し、糖尿病あるいは境界領域になります。
一方、このまま糖質制限食を続けられて、焼酎もチビチビでいけば、全く問題ないと思います。早朝空腹時血糖値は正常ですし、糖質制限食なら食後高血糖は確実に改善しますので、糖尿人ではなく正常人ですよ。
江部康二
今回はたまさんから、コメント・質問をいただきました。
『2時間後血糖値について
はじめまして。
今年の人間ドックで「糖尿病」と診断されました たま(28歳・女)と申します。
現在、再検査待ちです。。。
結果を受けて、即 糖質制限食について知り、ダイエットにも良いということで(笑)再検査を受けていない今も実行中です。
レシピだと 調味料だけでなく調理法も勉強になりますので 大変重宝しております。
さて、私の検査結果なんですが、皆様のと少々違うようです。
HbA1c 5.0
空腹時血糖値 85
ここまで見れば正常人です。
ちなみにコレステロールはHDL-C:52、LDL-C:70 で正常範囲。
中性脂肪にいたっては38です。。。
これが、糖負荷試験の血糖値120分で212 と大幅にUPします。
ブログでご紹介されている皆様とは 少しデータが異なるような気がするのですがこのまま糖質制限食を継続していて大丈夫でしょうか?
※朝晩の炭水化物抜きに加え、大好きなチューハイ→焼酎、おつまみのスナック菓子→サラダ、おやつのドライフルーツ→止めて カラダの調子は問題なし!です。
by たま 2008/09/27 11:14』
たまさん。コメントそしてレシピご購入ありがとうございます。28才とお若いですね。
「HbA1c 5.0 空腹時血糖値 85」
このデータでしたら、75gブドウ糖負荷試験あるいは、糖質摂取後2時間の血糖値を調べなかったら
、完全に見過ごされるパターンです。人間ドックで負荷試験をして糖尿病が発見できてとてもラッキーだったと思いますよ。 (^_^)
負荷試験の2時間後血糖値が212mg/dlなので、診断基準的には立派な糖尿病ですね。一般的な健診の空腹時血糖だけでしたら、数年間は糖尿病を発見できなかったでしょう。
食後高血糖が数年間続いて、インスリン分泌能力が徐々に低下して、とうとう早朝空腹時血糖値が110mg/dlを超えてくるのが日本人の糖尿病発症で一番多いパターンです。
たまさんは、インスリンの基礎分泌は確保されていて、追加分泌がやや不足・遷延しているタイプです。普通に糖質摂取を続けたら、空腹時血糖値も数年で上昇し、糖尿病あるいは境界領域になります。
一方、このまま糖質制限食を続けられて、焼酎もチビチビでいけば、全く問題ないと思います。早朝空腹時血糖値は正常ですし、糖質制限食なら食後高血糖は確実に改善しますので、糖尿人ではなく正常人ですよ。
江部康二
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