2008年07月31日 (木)
おはようございます。やっぱり京都は暑いです。
クーラーのタイマーが切れて、しばらくして朝の五時に暑くて汗をかいて目が覚めました。何とかもう一回寝ましたが、富士見高原の快適さが忘れられません。
さて今回はxiangdaoさんから、興味深いコメントをいただきました。
『08/07/26 xiangdao
「低炭水化物法」アクセス第7位
今日のテレビで言っていたのですが、ヤフーのアクセスランキング第7位が、「低炭水化物法」とのことです。
私も早速アクセスしたのですが、すでに記事はなぜか削除されたようです。
その代り、ライブドアのニュースに同じ内容が有りました。
http://news.livedoor.com/article/detail/3737824/
これに対して、反論を唱える記事も有りました。
http://allabout.co.jp/health/healthfood/closeup/CU20040701A/index.htm
この記事に対しては、私でも反論可能ですが、出来れば江部先生の解説がいただければと思います。
よろしくお願いいたします。』
xiangdaoさん。いつもコメントありがとうございます。
ライブドアのニュース見ました。
米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」の最新号 JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241ページに載った、学術論文の要約がYahooニュースに掲載されたのを引用してます。
私もこの論文を持っています。Yahooニュースの要約で間違いないと思います。
以下、2008/7/19Yahooニュースによると、
【イスラエルのベングリオン大学を中心とする国際研究チームでは、ダイエット方法とその効果について研究実験を行った。
イスラエルの322人(男性86%)を対象にして、3つのグループにわけて、
(1)低脂肪法(カロリー制限あり)
(2)野菜、穀類を中心にしてオリーブ油を多用する地中海法(カロリー制限あり)
(3)低炭水化物法(カロリー制限なし)
の3つの食事法を2年間続けてもらった。
体重などを分析した結果、2年後の体重減少幅の平均は
(1)低脂肪法 2.9キロ
(2)地中海法 4.4キロ
(3)低炭水化物法 4.7キロ
となり、(3)低炭水化物法が最も減少していた。また、善玉コレステロールも増えていた。
これにもとづき同チームは
「ダイエットでは最も一般的な低脂肪法よりも、信頼性に疑問が持たれていた低炭水化物法の方が効果が大きい」と米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」最新号で発表した。】
これは、価値の高い学術論文ですね。
ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンは、米国で最も権威がある医学雑誌の一つです。
このような権威ある論文が、低炭水化物法(糖質制限食)の体重減少効果、HDL-コレステロールの増加効果を、保証してくれたことは、私としても嬉しい限りです。o(^-^o)(o^-^)o
2007年3月のJAMA(米国医師会雑誌)に発表された「the A TO Z Weight Loss Study: a randomized trial.」という論文は、アトキンス(Atkins)、ゾーン(Zone)、ラーン(LEARN)、オーニッシュ(Ornish)ダイエットのそれぞれの1年間の体重減少効果をみた研究です。311人の女性を上記4グループに分けて追跡したものです。
結果は、アトキンス ダイエット( 糖質制限食)が最も、体重を減少させ、HDL-コレステロールを増加、中性脂肪を減少させることが明らかとなりました。 (^O^)
詳しくは2007年08月03日 (金)のブログをご参照いただけば幸いです。
ここ2~3年、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンや米国医師会雑誌といった権威ある医学の学術誌に、糖質制限食(低糖質食)の効果を認める論文が、ちょくちょく載るようになっています。
糖質制限食を推進する高雄病院としては心強い味方が、欧米で増えているのはおおいに喜ばしい変化ですね。ヾ(^▽^)
**
allaboutの記事はライターさんの私見ですので根拠に乏しく、れっきとした研究データを示している学術論文と同列に論じる価値はありません。
また「脳はブドウ糖だけではなく、脂質の分解産物のケトン体を利用できる」という生理学的な事実をご存じないレベルのライターさんですので、もう少し勉強して記事を書いてほしいですね。
江部康二
クーラーのタイマーが切れて、しばらくして朝の五時に暑くて汗をかいて目が覚めました。何とかもう一回寝ましたが、富士見高原の快適さが忘れられません。
さて今回はxiangdaoさんから、興味深いコメントをいただきました。
『08/07/26 xiangdao
「低炭水化物法」アクセス第7位
今日のテレビで言っていたのですが、ヤフーのアクセスランキング第7位が、「低炭水化物法」とのことです。
私も早速アクセスしたのですが、すでに記事はなぜか削除されたようです。
その代り、ライブドアのニュースに同じ内容が有りました。
http://news.livedoor.com/article/detail/3737824/
これに対して、反論を唱える記事も有りました。
http://allabout.co.jp/health/healthfood/closeup/CU20040701A/index.htm
この記事に対しては、私でも反論可能ですが、出来れば江部先生の解説がいただければと思います。
よろしくお願いいたします。』
xiangdaoさん。いつもコメントありがとうございます。
ライブドアのニュース見ました。
米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」の最新号 JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241ページに載った、学術論文の要約がYahooニュースに掲載されたのを引用してます。
私もこの論文を持っています。Yahooニュースの要約で間違いないと思います。
以下、2008/7/19Yahooニュースによると、
【イスラエルのベングリオン大学を中心とする国際研究チームでは、ダイエット方法とその効果について研究実験を行った。
イスラエルの322人(男性86%)を対象にして、3つのグループにわけて、
(1)低脂肪法(カロリー制限あり)
(2)野菜、穀類を中心にしてオリーブ油を多用する地中海法(カロリー制限あり)
(3)低炭水化物法(カロリー制限なし)
の3つの食事法を2年間続けてもらった。
体重などを分析した結果、2年後の体重減少幅の平均は
(1)低脂肪法 2.9キロ
(2)地中海法 4.4キロ
(3)低炭水化物法 4.7キロ
となり、(3)低炭水化物法が最も減少していた。また、善玉コレステロールも増えていた。
これにもとづき同チームは
「ダイエットでは最も一般的な低脂肪法よりも、信頼性に疑問が持たれていた低炭水化物法の方が効果が大きい」と米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」最新号で発表した。】
これは、価値の高い学術論文ですね。
ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンは、米国で最も権威がある医学雑誌の一つです。
このような権威ある論文が、低炭水化物法(糖質制限食)の体重減少効果、HDL-コレステロールの増加効果を、保証してくれたことは、私としても嬉しい限りです。o(^-^o)(o^-^)o
2007年3月のJAMA(米国医師会雑誌)に発表された「the A TO Z Weight Loss Study: a randomized trial.」という論文は、アトキンス(Atkins)、ゾーン(Zone)、ラーン(LEARN)、オーニッシュ(Ornish)ダイエットのそれぞれの1年間の体重減少効果をみた研究です。311人の女性を上記4グループに分けて追跡したものです。
結果は、アトキンス ダイエット( 糖質制限食)が最も、体重を減少させ、HDL-コレステロールを増加、中性脂肪を減少させることが明らかとなりました。 (^O^)
詳しくは2007年08月03日 (金)のブログをご参照いただけば幸いです。
ここ2~3年、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンや米国医師会雑誌といった権威ある医学の学術誌に、糖質制限食(低糖質食)の効果を認める論文が、ちょくちょく載るようになっています。
糖質制限食を推進する高雄病院としては心強い味方が、欧米で増えているのはおおいに喜ばしい変化ですね。ヾ(^▽^)
**
allaboutの記事はライターさんの私見ですので根拠に乏しく、れっきとした研究データを示している学術論文と同列に論じる価値はありません。
また「脳はブドウ糖だけではなく、脂質の分解産物のケトン体を利用できる」という生理学的な事実をご存じないレベルのライターさんですので、もう少し勉強して記事を書いてほしいですね。
江部康二
2008年07月30日 (水)
おはようございます。
7月26日の土曜日から、7月29日の火曜日まで、富士見高原でテニス合宿でした。とても涼しくて、快適なテニスでした。富士山もよく見えましたよ。温泉も満喫しました。
京都に帰ってまた暑い日々が始まります。ブログの更新も今日から再開です。
さて今回は、九州人さんから、嬉しいコメントをいただきました。
『糖質制限は素晴らしい!
6月19日にインスリン離脱で取り上げてもらった九州人です。昨日検査に行ってきました。あまりにも改善されたので主治医も驚いてインスリンはもう処方しなくて大丈夫です!と太鼓判を押されました。5月20日時点でHbA1C9.1が7月22日で6.2に下がりました。こんな嬉しい事はありません。γ-GTPも365から109まで下がり以前は飲むとよく吐いてたのが今はいくら飲んでもケロッとしてます。飲めなかった焼酎が大変おいしいく感じます!検査結果ですが総ビリルピン1.72 BUN21.9 クレアチニン0.97尿酸8.7総コレステロール236中性脂肪93HDL84血糖125とゆう結果でした。尿酸が高いのは少し気になりますが主治医は痩せていくときは高めになりますよと言われてましたから気にしなくていいのかな?スーパー糖質制限食は私の妻も一緒に実行してますが二ヵ月で体重も6キロ落ち、以前やっていたカロリー制限と運動の苦しみはなんだったんだろう?と二人で話してます。今は友人に先生の本と糖質制限食を勧めてその友人達もダイエットの成果に驚いています。おおげさに聞こえるかもしれませんが、糖尿病がひどくて、いつ死んでもいいやと諦めていた私に生きれる喜びを与えてくれた先生に感謝しています!毎日のブログ楽しみにしてますので今後も糖尿人に勇気と希望を与えて下さい。
2008/07/23(水) 07:34:28 | URL | 九州人』
九州人さん。
コメントそして私の本の売り上げ貢献、大変ありがとうございます。m(_ _)mV
「5月20日時点でHbA1C9.1が7月22日で6.2に下がりました。こんな嬉しい事はありません。γ-GTPも365から109」
インスリン離脱にも関わらず、素晴らしい改善ですね。(^-^)v(^-^)v
九州人さんは、糖尿病歴15年、インスリン注射歴8年間、主治医と相談され、スーパー糖質制限食を実践され20日後、インスリンフリーを達成されたのですね。私も大変嬉しいですし、ブログ読者の糖尿人の皆さんの励みになります。
インスリンフリー達成後も、極めて順調な経過です。とても理解のある主治医殿で、嬉しい限りです。
世間の頑固なカロリー信仰医に、爪の垢でも煎じて飲ませたい気分ですね。('-^*)☆
また、奥様も糖質制限食にてダイエット成功、おめでとうございます。
九州人さんのように、長年インスリン注射を打っていたけれども、スーパー糖質制限食の実践により、インスリン離脱できた人は結構おられます。高雄病院に入院された糖尿人の中で、インスリン注射を打っていた方も当然おられますが、約2割の人が離脱できています。
インスリン基礎分泌があるていど確保されていて、早朝空腹時血糖値が110mg/dl未満が多い糖尿人は、スーパー糖質制限食ならインスリン離脱が可能です。
一方、早朝空腹時血糖値が140mg/dl以上が日常的な場合は、インスリン基礎分泌が低下していますので、ランタス一日一回注射など考慮する必要があります。
糖尿病患者さんの血糖コントロールの目標としては
①空腹時血糖値110mg/dl未満
②食後2時間血糖値180mg/dl未満
③HbA1c6.5%未満
を達成していれば、糖尿病合併症の進行はないとされています。
九州人さんも、美味しく楽しく糖質制限食で目標達成を目指してくださいね。
江部康二
7月26日の土曜日から、7月29日の火曜日まで、富士見高原でテニス合宿でした。とても涼しくて、快適なテニスでした。富士山もよく見えましたよ。温泉も満喫しました。
京都に帰ってまた暑い日々が始まります。ブログの更新も今日から再開です。
さて今回は、九州人さんから、嬉しいコメントをいただきました。
『糖質制限は素晴らしい!
6月19日にインスリン離脱で取り上げてもらった九州人です。昨日検査に行ってきました。あまりにも改善されたので主治医も驚いてインスリンはもう処方しなくて大丈夫です!と太鼓判を押されました。5月20日時点でHbA1C9.1が7月22日で6.2に下がりました。こんな嬉しい事はありません。γ-GTPも365から109まで下がり以前は飲むとよく吐いてたのが今はいくら飲んでもケロッとしてます。飲めなかった焼酎が大変おいしいく感じます!検査結果ですが総ビリルピン1.72 BUN21.9 クレアチニン0.97尿酸8.7総コレステロール236中性脂肪93HDL84血糖125とゆう結果でした。尿酸が高いのは少し気になりますが主治医は痩せていくときは高めになりますよと言われてましたから気にしなくていいのかな?スーパー糖質制限食は私の妻も一緒に実行してますが二ヵ月で体重も6キロ落ち、以前やっていたカロリー制限と運動の苦しみはなんだったんだろう?と二人で話してます。今は友人に先生の本と糖質制限食を勧めてその友人達もダイエットの成果に驚いています。おおげさに聞こえるかもしれませんが、糖尿病がひどくて、いつ死んでもいいやと諦めていた私に生きれる喜びを与えてくれた先生に感謝しています!毎日のブログ楽しみにしてますので今後も糖尿人に勇気と希望を与えて下さい。
2008/07/23(水) 07:34:28 | URL | 九州人』
九州人さん。
コメントそして私の本の売り上げ貢献、大変ありがとうございます。m(_ _)mV
「5月20日時点でHbA1C9.1が7月22日で6.2に下がりました。こんな嬉しい事はありません。γ-GTPも365から109」
インスリン離脱にも関わらず、素晴らしい改善ですね。(^-^)v(^-^)v
九州人さんは、糖尿病歴15年、インスリン注射歴8年間、主治医と相談され、スーパー糖質制限食を実践され20日後、インスリンフリーを達成されたのですね。私も大変嬉しいですし、ブログ読者の糖尿人の皆さんの励みになります。
インスリンフリー達成後も、極めて順調な経過です。とても理解のある主治医殿で、嬉しい限りです。
世間の頑固なカロリー信仰医に、爪の垢でも煎じて飲ませたい気分ですね。('-^*)☆
また、奥様も糖質制限食にてダイエット成功、おめでとうございます。
九州人さんのように、長年インスリン注射を打っていたけれども、スーパー糖質制限食の実践により、インスリン離脱できた人は結構おられます。高雄病院に入院された糖尿人の中で、インスリン注射を打っていた方も当然おられますが、約2割の人が離脱できています。
インスリン基礎分泌があるていど確保されていて、早朝空腹時血糖値が110mg/dl未満が多い糖尿人は、スーパー糖質制限食ならインスリン離脱が可能です。
一方、早朝空腹時血糖値が140mg/dl以上が日常的な場合は、インスリン基礎分泌が低下していますので、ランタス一日一回注射など考慮する必要があります。
糖尿病患者さんの血糖コントロールの目標としては
①空腹時血糖値110mg/dl未満
②食後2時間血糖値180mg/dl未満
③HbA1c6.5%未満
を達成していれば、糖尿病合併症の進行はないとされています。
九州人さんも、美味しく楽しく糖質制限食で目標達成を目指してくださいね。
江部康二
2008年07月26日 (土)
糖質制限食とは
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。 また糖質は摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。
これらは、カロリーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。 現在糖尿病において食後の急激な高血糖が大きな問題として注目されています。食後高血糖が心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。そして食後高血糖を起こすのは三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。 従って6枚切りの食パン2枚(約310キロカロリー)食べると糖質 が約50g含まれているので、血糖値は150mgも上昇します。一 方ロースステーキを300g(約1200キロカロリー)食べても糖質含有量は1gもないので、食後高血糖はほとんど生じないのです。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく、速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の食パンとステーキの例でも明らかなようにカロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。なお、糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
☆☆☆
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。*炭水化物=糖質+食物繊維
糖質制限食を実践する時のご注意
<本にも書きましたが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、「主食を抜けば糖尿病は良くなる」「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」「 糖質制限食 春のレシピ」「 糖質制限食 夏のレシピ」「主食を抜けば糖尿病は良くなる 実践編」を参考にして、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。>
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。 また糖質は摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。
これらは、カロリーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。 現在糖尿病において食後の急激な高血糖が大きな問題として注目されています。食後高血糖が心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。そして食後高血糖を起こすのは三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。 従って6枚切りの食パン2枚(約310キロカロリー)食べると糖質 が約50g含まれているので、血糖値は150mgも上昇します。一 方ロースステーキを300g(約1200キロカロリー)食べても糖質含有量は1gもないので、食後高血糖はほとんど生じないのです。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく、速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の食パンとステーキの例でも明らかなようにカロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。なお、糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
☆☆☆
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。*炭水化物=糖質+食物繊維
糖質制限食を実践する時のご注意
<本にも書きましたが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、「主食を抜けば糖尿病は良くなる」「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」「 糖質制限食 春のレシピ」「 糖質制限食 夏のレシピ」「主食を抜けば糖尿病は良くなる 実践編」を参考にして、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。>
2008年07月25日 (金)
こんばんは。
いよいよ明日から、信州八ヶ岳南麓・富士見高原にテニス合宿?に出かけます。7.26~29までテニスor焼酎三昧で美味しく楽しく糖質制限食、実践ですね。ペンション借り切りですので、気楽です。
勿論、抜かりなく糖質ゼロ発泡酒も頼んでおきましたよ。毎回二十数人で第27回ですから、ギネスブックものですね。 (^_^)
29日は京都に帰ってますが、ヘロヘロに酔っぱらっているのでブログ更新は無理です。勿論、お酒の一滴も飲めない格調高い友人の運転手は確保してありますよ。
で、ブログは30日から更新再開ですのであしからず。 m(_ _)m
さて今回は、piyopiyoさんから、SU剤についてコメント・質問をいただきました。
『SU剤について
先生、初めまして。SU剤についてご相談したく、お邪魔しました。
私の母(71歳)は10年ほど前に糖尿病との診断を受け、以後SU剤を服用しています。食事も工夫し、数年前からはラカントに、油はほとんど使用せず、食材も糖尿に良いと言われるものを多用してきました。血糖値が上がればご飯やおかずを減らすということの繰り返しで体重が減り、34キロを切ったことも数度(身長153cm)。それでもHbA1cは徐々に上昇し、昨年6月には9.6の最高記録を出してしまいました。その後、またいろいろ努力を重ね、今年の3月には7.8まで下がったものの、もうどうにも手詰まりで、インスリン注射に強い抵抗感を持つ母もとうとう観念せざるをえないか・・・というときに、先生のご本を知ったんです。
4月中旬から早速、夕食のご飯をやめました。しかし早朝空腹時血糖値がそれまでの180~210と大きく変わることがなく、1か月後には昼食のご飯も抜くことに。すると150~180で推移するようになり、6月初めの検査ではHbA1cが6.7に!この数字(6%台)が出たのは5年振りです。主食を抜くということで痩せるのを心配していたのですが、カロリー計算をし直し、逆に、制限していた頃(恐らく1000Kcal以下)よりしっかり、1200は食べるようにしたところ1.5~2キロ増えて、とても喜んでいます。
ただ、この1か月ほど、早朝空腹時血糖値がまた上がってきてしまって・・・(180~200)。糖新生のせいかなと思ったりもするのですが、もうひとつ気になるのがSU剤のことです。今も朝夕服用しているのですが(ベイスンは毎食前)、ブログを拝読すると、糖質制限食の利点のひとつは膵臓を休ませてあげられることですよね?なのにSU剤を飲み続けたのでは膵臓を1日中いじめているのと同じことで、疲弊が止まることはないのでは・・・と。でも、朝は50gですがご飯を食べていますし、早朝空腹時血糖値が高いため、夜の薬をやめるのが怖いのです。このまま飲み続けたほうがいいのでしょうか?それとも、長い目で見ればやめたほうが膵臓のためにいいのでしょうか?他の方々は、糖質制限食を始めてから薬(SU剤)をやめていらっしゃるのでしょうか?
ご飯を抜いてもこれでは、今まで通り食べたらどうなるのか、これは相当悪化しているということなのだろうかと、どうすればいいのか途方に暮れています。どうかアドバイスをいただきたく、よろしくお願いします。
2008/07/16(水) 14:20:14 | URL | piyopiyo』
piyopiyoさん。コメントありがとうございます。
御母上、カロリー制限食から糖質制限食に切り替えてHbA1c7.8%→6.7%に改善。また、しっかり1200キロカロリー食べて体重も回復。良かったですね。
現在、朝だけ50gのご飯で、昼と夕は主食なしなのですね。主食を摂る時だけ、食前にベイスンやグルファストを単独あるいは2種類内服する糖尿人もおられます。
通常のSU剤に比べて、グルファストやスターシスなど速効型インスリン分泌促進剤は、2~3時間と作用時間が短いので膵臓への負担が少ないのです。ここらのことは、主治医とよくご相談くださいね。
3食とも主食抜きのスーパー糖質制限食を実践すれば、SU剤もベイスンも内服しなくてもほとんどの2型糖尿人は食後高血糖は改善します。
しかし、インスリン基礎分泌が、長年の糖尿病であるていど低下していたら、スーパー糖質制限食を実践していても、早朝空腹時血糖値が140mg/dlを超えてきます。こうなると、食後高血糖がなくても、動脈硬化のリスクとなります。
スーパー糖質制限食を1~2ヶ月続けて膵臓を休養させても、早朝空腹時血糖値が140mg/dl以上なら、上述のごとくインスリン基礎分泌が不足していると考えられます。
早朝空腹時血糖値は、夜中の肝の糖新生が一番関係しています。夜間絶食時には、肝臓で乳酸やアミノ酸(アラニンなど)、グリセロール(中性脂肪の分解物)からブドウ糖をつくります(糖新生)。この肝の糖新生を抑制するのが、インスリンの基礎分泌です。
従って、インスリン基礎分泌があるていど減少している糖尿人は、夜間の肝の糖新生が抑制できずに早朝空腹時血糖値が高めになります。
例えば、夜10時の血糖値が110mgで何も食べていないのに、翌朝7時は130mgもあったりすることがあるのはこのためです。
日本人に一番多いのは、食後高血糖があるのを数年間見過ごされたあと、インスリン基礎分泌が徐々に減少し、とうとう早朝空腹時血糖値が上昇してきて糖尿病と診断されるパターンです。かくいう私もその一人です。
従いまして、その時点で膵臓のβ細胞が、どの程度生き残っているのかということになります。軽症糖尿病は1~2割のβ細胞は死滅していて、2~3割は疲れて機能が落ちている状態です。
スーパー糖質制限食を実践すれば、膵臓はしっかり休養できるので、疲れて機能が落ちている細胞は回復してきます。そうすると、基礎分泌もあるていど回復して、早朝空腹時血糖値も110mg未満の正常に戻ることもあります。
実際、入院してきっちり糖質制限食を実践して、空腹時血糖値180mgとかだった方が108mgとかに改善した例もあります。
一方、β細胞が既に3~4割ダメージを受けて回復不能の場合は、 糖質制限食を実践してもインスリン基礎分泌の改善に限界があり、早朝空腹時血糖値が高値となります。この場合、何とか126mg未満、無理なら140mg未満を目指すこととなります。早朝空腹時血糖値が140mg/dlを超えてくると合併症のリスクが高まります。
β細胞のダメージがある程度あって、基礎分泌のインスリン不足があり、糖質制限食を実践していても、早朝空腹時血糖値が常に140mg/dl以上がある糖尿人は、ランタス注ソロスターという22時間半持続するインスリン注射を、一日一回だけ打つ選択肢もあります。
この注射は、ジワジワと同じペースで一定量が吸収されるので、血中濃度を一定に保つことができます。即ちピークがないので低血糖も起こしにくいです。
ランタスが基礎分泌のインスリンの役割をしてくれるわけで、一日一回だけうって、既に回復不能の分だけ補充して、 糖質制限食を実践すれば、血糖値は正常を保つことが可能になります。
この場合も主食(糖質)を摂取するときだけ、ベイスン・グルコバイやグルファスト・スターシス内服を併用します。
江部康二
いよいよ明日から、信州八ヶ岳南麓・富士見高原にテニス合宿?に出かけます。7.26~29までテニスor焼酎三昧で美味しく楽しく糖質制限食、実践ですね。ペンション借り切りですので、気楽です。
勿論、抜かりなく糖質ゼロ発泡酒も頼んでおきましたよ。毎回二十数人で第27回ですから、ギネスブックものですね。 (^_^)
29日は京都に帰ってますが、ヘロヘロに酔っぱらっているのでブログ更新は無理です。勿論、お酒の一滴も飲めない格調高い友人の運転手は確保してありますよ。
で、ブログは30日から更新再開ですのであしからず。 m(_ _)m
さて今回は、piyopiyoさんから、SU剤についてコメント・質問をいただきました。
『SU剤について
先生、初めまして。SU剤についてご相談したく、お邪魔しました。
私の母(71歳)は10年ほど前に糖尿病との診断を受け、以後SU剤を服用しています。食事も工夫し、数年前からはラカントに、油はほとんど使用せず、食材も糖尿に良いと言われるものを多用してきました。血糖値が上がればご飯やおかずを減らすということの繰り返しで体重が減り、34キロを切ったことも数度(身長153cm)。それでもHbA1cは徐々に上昇し、昨年6月には9.6の最高記録を出してしまいました。その後、またいろいろ努力を重ね、今年の3月には7.8まで下がったものの、もうどうにも手詰まりで、インスリン注射に強い抵抗感を持つ母もとうとう観念せざるをえないか・・・というときに、先生のご本を知ったんです。
4月中旬から早速、夕食のご飯をやめました。しかし早朝空腹時血糖値がそれまでの180~210と大きく変わることがなく、1か月後には昼食のご飯も抜くことに。すると150~180で推移するようになり、6月初めの検査ではHbA1cが6.7に!この数字(6%台)が出たのは5年振りです。主食を抜くということで痩せるのを心配していたのですが、カロリー計算をし直し、逆に、制限していた頃(恐らく1000Kcal以下)よりしっかり、1200は食べるようにしたところ1.5~2キロ増えて、とても喜んでいます。
ただ、この1か月ほど、早朝空腹時血糖値がまた上がってきてしまって・・・(180~200)。糖新生のせいかなと思ったりもするのですが、もうひとつ気になるのがSU剤のことです。今も朝夕服用しているのですが(ベイスンは毎食前)、ブログを拝読すると、糖質制限食の利点のひとつは膵臓を休ませてあげられることですよね?なのにSU剤を飲み続けたのでは膵臓を1日中いじめているのと同じことで、疲弊が止まることはないのでは・・・と。でも、朝は50gですがご飯を食べていますし、早朝空腹時血糖値が高いため、夜の薬をやめるのが怖いのです。このまま飲み続けたほうがいいのでしょうか?それとも、長い目で見ればやめたほうが膵臓のためにいいのでしょうか?他の方々は、糖質制限食を始めてから薬(SU剤)をやめていらっしゃるのでしょうか?
ご飯を抜いてもこれでは、今まで通り食べたらどうなるのか、これは相当悪化しているということなのだろうかと、どうすればいいのか途方に暮れています。どうかアドバイスをいただきたく、よろしくお願いします。
2008/07/16(水) 14:20:14 | URL | piyopiyo』
piyopiyoさん。コメントありがとうございます。
御母上、カロリー制限食から糖質制限食に切り替えてHbA1c7.8%→6.7%に改善。また、しっかり1200キロカロリー食べて体重も回復。良かったですね。
現在、朝だけ50gのご飯で、昼と夕は主食なしなのですね。主食を摂る時だけ、食前にベイスンやグルファストを単独あるいは2種類内服する糖尿人もおられます。
通常のSU剤に比べて、グルファストやスターシスなど速効型インスリン分泌促進剤は、2~3時間と作用時間が短いので膵臓への負担が少ないのです。ここらのことは、主治医とよくご相談くださいね。
3食とも主食抜きのスーパー糖質制限食を実践すれば、SU剤もベイスンも内服しなくてもほとんどの2型糖尿人は食後高血糖は改善します。
しかし、インスリン基礎分泌が、長年の糖尿病であるていど低下していたら、スーパー糖質制限食を実践していても、早朝空腹時血糖値が140mg/dlを超えてきます。こうなると、食後高血糖がなくても、動脈硬化のリスクとなります。
スーパー糖質制限食を1~2ヶ月続けて膵臓を休養させても、早朝空腹時血糖値が140mg/dl以上なら、上述のごとくインスリン基礎分泌が不足していると考えられます。
早朝空腹時血糖値は、夜中の肝の糖新生が一番関係しています。夜間絶食時には、肝臓で乳酸やアミノ酸(アラニンなど)、グリセロール(中性脂肪の分解物)からブドウ糖をつくります(糖新生)。この肝の糖新生を抑制するのが、インスリンの基礎分泌です。
従って、インスリン基礎分泌があるていど減少している糖尿人は、夜間の肝の糖新生が抑制できずに早朝空腹時血糖値が高めになります。
例えば、夜10時の血糖値が110mgで何も食べていないのに、翌朝7時は130mgもあったりすることがあるのはこのためです。
日本人に一番多いのは、食後高血糖があるのを数年間見過ごされたあと、インスリン基礎分泌が徐々に減少し、とうとう早朝空腹時血糖値が上昇してきて糖尿病と診断されるパターンです。かくいう私もその一人です。
従いまして、その時点で膵臓のβ細胞が、どの程度生き残っているのかということになります。軽症糖尿病は1~2割のβ細胞は死滅していて、2~3割は疲れて機能が落ちている状態です。
スーパー糖質制限食を実践すれば、膵臓はしっかり休養できるので、疲れて機能が落ちている細胞は回復してきます。そうすると、基礎分泌もあるていど回復して、早朝空腹時血糖値も110mg未満の正常に戻ることもあります。
実際、入院してきっちり糖質制限食を実践して、空腹時血糖値180mgとかだった方が108mgとかに改善した例もあります。
一方、β細胞が既に3~4割ダメージを受けて回復不能の場合は、 糖質制限食を実践してもインスリン基礎分泌の改善に限界があり、早朝空腹時血糖値が高値となります。この場合、何とか126mg未満、無理なら140mg未満を目指すこととなります。早朝空腹時血糖値が140mg/dlを超えてくると合併症のリスクが高まります。
β細胞のダメージがある程度あって、基礎分泌のインスリン不足があり、糖質制限食を実践していても、早朝空腹時血糖値が常に140mg/dl以上がある糖尿人は、ランタス注ソロスターという22時間半持続するインスリン注射を、一日一回だけ打つ選択肢もあります。
この注射は、ジワジワと同じペースで一定量が吸収されるので、血中濃度を一定に保つことができます。即ちピークがないので低血糖も起こしにくいです。
ランタスが基礎分泌のインスリンの役割をしてくれるわけで、一日一回だけうって、既に回復不能の分だけ補充して、 糖質制限食を実践すれば、血糖値は正常を保つことが可能になります。
この場合も主食(糖質)を摂取するときだけ、ベイスン・グルコバイやグルファスト・スターシス内服を併用します。
江部康二
2008年07月25日 (金)
おはようございます。
相変わらず、猛暑が続く京都です。日の出と共にクマゼミが、「ジージー、ジャジャジャ」と暑苦しく私の目を覚ましてくれます。
さて今回は、Tomokoさんから糖質制限なコメントをいただきました。
『 パンの代わりに
私みたいな無類の甘いもの好き、プラス、パン好き、の方が糖質制限食を続けておられるんだなあ、と思うと励まされます。私の場合スーパー糖質制限を続けていられる代替食の一つがおからで作った蒸しパン(?)です。何かの参考になるでしょうか?あと、江部先生、こんなレシピ、どうでしょう?
材料:おから150g、卵1個、無糖ヨーグルト30g、ベーキングパウダー小1、ラカント大2(果糖大1 2/1)
材料を全部混ぜて平にならして電子レンジで6分チンするだけ。できたてよりも冷蔵庫で冷やしてからがおいしいです。1回に食べる量はだいたいこの半分か三分の一くらい。今のお気に入りはこれにココナツパウダーを大3くらいいれたバージョンです。無糖の練りゴマといりゴマをいれたバージョンとか、オレンジの皮を洗ってみじん切りにしたのを入れたバージョンとか紅茶のティーバッグの中身をあけて混ぜ込んだバージョンとか、いろいろ楽しめます。
急にパンが、甘いものが食べたい!!!!という衝動がやってきたときこれが冷蔵庫に入っていると安心します。
我慢するだけじゃなくって「ぼちぼち」やるって大事ですって言っていただけるとほっとします。
2008/07/21(月) 22:06:23 | URL | Tomoko』
Tomokoさん。コメントそしておから蒸しパンレシピ公開、ありがとうございます。
主食をやめておかずばっかり食べる糖質制限食、お酒が好きな人は、これが全然苦にならないので、成功率・継続率が高いのです。カロリー制限の糖尿病食ではお酒禁止が当たり前ですから、それに比べればお酒OKの糖質制限食のアドバンテージは高いのですね。 (^_^)
一方、お酒が飲めない人やパンが好きな人にとって、特に夕食などは、おかずばっかり食べても何か間が持たないような、物足りないような感覚が抜けきらずに、ついつい主食に手がでてしまう・・・といったパターンがありがちです。
そんなときTomokoさんの<おから蒸しパン>、強い味方となってくれそうですね。
江部康二
相変わらず、猛暑が続く京都です。日の出と共にクマゼミが、「ジージー、ジャジャジャ」と暑苦しく私の目を覚ましてくれます。
さて今回は、Tomokoさんから糖質制限なコメントをいただきました。
『 パンの代わりに
私みたいな無類の甘いもの好き、プラス、パン好き、の方が糖質制限食を続けておられるんだなあ、と思うと励まされます。私の場合スーパー糖質制限を続けていられる代替食の一つがおからで作った蒸しパン(?)です。何かの参考になるでしょうか?あと、江部先生、こんなレシピ、どうでしょう?
材料:おから150g、卵1個、無糖ヨーグルト30g、ベーキングパウダー小1、ラカント大2(果糖大1 2/1)
材料を全部混ぜて平にならして電子レンジで6分チンするだけ。できたてよりも冷蔵庫で冷やしてからがおいしいです。1回に食べる量はだいたいこの半分か三分の一くらい。今のお気に入りはこれにココナツパウダーを大3くらいいれたバージョンです。無糖の練りゴマといりゴマをいれたバージョンとか、オレンジの皮を洗ってみじん切りにしたのを入れたバージョンとか紅茶のティーバッグの中身をあけて混ぜ込んだバージョンとか、いろいろ楽しめます。
急にパンが、甘いものが食べたい!!!!という衝動がやってきたときこれが冷蔵庫に入っていると安心します。
我慢するだけじゃなくって「ぼちぼち」やるって大事ですって言っていただけるとほっとします。
2008/07/21(月) 22:06:23 | URL | Tomoko』
Tomokoさん。コメントそしておから蒸しパンレシピ公開、ありがとうございます。
主食をやめておかずばっかり食べる糖質制限食、お酒が好きな人は、これが全然苦にならないので、成功率・継続率が高いのです。カロリー制限の糖尿病食ではお酒禁止が当たり前ですから、それに比べればお酒OKの糖質制限食のアドバンテージは高いのですね。 (^_^)
一方、お酒が飲めない人やパンが好きな人にとって、特に夕食などは、おかずばっかり食べても何か間が持たないような、物足りないような感覚が抜けきらずに、ついつい主食に手がでてしまう・・・といったパターンがありがちです。
そんなときTomokoさんの<おから蒸しパン>、強い味方となってくれそうですね。
江部康二
2008年07月24日 (木)
こんにちは。いやはや、京都は連日の猛暑です。 (*_*)
7月26日の土曜日からは、信州八ヶ岳南麓の富士見高原に恒例の第27回テニス合宿にでかけます。標高1250mで軽井沢より涼しいですよ。 (^_^)
あと2日間の辛抱です。
さて今回は、makoさんから、コメント・質問をいただきました。
『江部先生
毎日ブログを大変楽しみに拝読しております。
今年3月7日に、A1C8.1%、血糖値195 (糖尿など露ほども考えずに、診療を待つ間、外にでてとっても甘いデザートを食べて、その20分後に血糖値を測ったものです)という数値がでて、Ⅱ型糖尿病と診断され、アマリールを日に1錠処方されました。
同時に脂肪肝も指摘され、体重を落とすことが全ての改善の道だろうということで、164センチ、96キロから我流のダイエットにより2か月で
体重 89キロ
A1C 6.1%
に下げ、肝臓の異常値がなくなりました。
その後、きれいに痩せたいと欲がでてダイエットクリニックに通い始めて、栄養管理士さんのご指導のもと1日1400から1500キロカロリーに、またそのころに江部先生の御本やブログと出会うことができ、スーパー糖質制限食を始めました。
3月に糖尿病と診断されてから3か月後、スーパー糖質制限食開始1ヶ月後の6月には、
体重 84キロ
A1C 5.6%(ちょうどアマリールを切らして、飲まなくなって2日後の数値です)
となり、アマリールの処方はなくなりました。
父が30代から糖尿病を発症してから30年以上が経ち、今ではインシュリン注射に頼る生活をしております。
長いことごく身近にあった「糖尿病」という病について、ある程度理解をしていたつもりだったのに、先生の御著書を読み続けるうちに、いかに自分の知っていた糖尿病に関する知識が浅はかだったか、また血糖値というものに大変興味を持ち、家で簡易測定器を使って血糖値を測り始めました。
前置きが長くなりましたが、いくつか質問をさせて頂ければと思います。
まず、最近の血糖値なのですが、スーパー糖質制限食のお陰で、すっかり正常値内におさまっています。
ここ2週間ほどの平均は、
起床後すぐ 73
朝食後1H 103
朝食後2H 84
昼食前 82
昼食後1H 100
昼食後2H 100
夕食前 73
夕食後1H 94
夕食後2H 96
という数値です。
仕事の都合で毎日確実に測れるわけではないので、まだまだ平均値をだすほどのデータではないのですが、 傾向として、最近は朝が60台、今日などは55という数値がでており、前日夜にアルコールをとらなくとも、夕食から10時間以上が過ぎるあたりから、どうも60台かそれ未満に落ちるようになってきています。
また、朝食後は確実に、食後1Hよりも2H後のほうが数値が下りますが、昼食、特に夕食後は、1H後と2H後の数値があまり変わらない、或いは若干高くなることもあります。
いずれにしましても、各食前と食後1H或いは2H後の血糖値の差は、50mg以内、かつ正常値範囲内です。
昼食から夕食までの間が9時間以上空くとき、また、昼食がサラダだけなどの低カロリーの時には夕食前に60台の数値が出る時があります。
かかりつけの医者に「若いし(現在41歳です)もしかしたらもう高血糖の数値が出ないかも知れない」と言われ、 試しにご飯200グラム(炭水化物量にして66グラム程度)を一度に食べてみましたが、食前81が食後1H、食後2H後とも114という数値でした。
お尋ねしたいのは、
●空腹時血糖値が、2週間前では80から90ほどあったのが、最近では55から60台になりつつあるが問題はないか
●現在の状況ならば、むしろ一日一食、炭水化物をとったほうが血糖値が正常に安定するのではないか
●糖尿病が完治することはない、とあちこちで見聞するが、やはり私の場合もこれは完治ではなく一時的に血糖値コントロールがうまくいっているだけと考えるべきなのか
●アマリールを処方されなくなった6月の時点から、つまりスーパー糖質制限食を始めて1か月後の血液検査の結果以降赤血球数が若干増え、510万となっている(医者からは問題ないと言われましたが)が、食生活等で気をつけるべき点はあるか
の4点です。
現在はお蔭様で血糖値のコントロールが非常にうまくいっていると思っていますが、体重が増えればまた以前の状態に戻ってしまうでしょうし、遺伝的にも血糖値については注意が必要だと思うので、この先も糖質制限食とダイエットを続けていこうと思っております。
先日のブログで、低血糖の数値が出る時は摂取カロリーが低すぎる場合がある、とのことでしたが、カロリーは毎日1500kcl程度はとっています。また、特に低血糖と思われるような自覚症状はなく、むしろ血糖値が60前後のほうが朝の目覚めがすっきりとしています。
血糖値について勉強し始めてまだまだ初心者で戸惑いも多く、愚問かも知れませんが、 これから末永く血糖値コントロールを確実に、安心にしていきたいと思い、 私などよりもっともっと重症で大変な患者さんも多い中、こんな質問はご迷惑かも知れないと思いつつ、質問をさせて頂きました。 お時間がおありの時にでもご回答を頂けましたら幸いです。
江部先生ご推奨の糖質制限食は、多くの糖尿病に苦しむ方たちにたくさんの希望を与えてくださっています。 心からお礼と感謝を申し上げるとともに、先生のますますのご活躍とご健康をお祈りしております。
mako(41歳・女性)
2008/07/20(日) 11:34:22 | URL | mako』
makoさん。コメントありがとうございます。
164センチ、96キロ、A1C8.1%、だったのが3か月後、スーパー糖質制限食開始1ヶ月後の6月には、体重 84キロ 。A1C 5.6%。 と改善、素晴らしいですね。(^-^)v(^-^)v
●空腹時血糖値が、2週間前では80から90ほどあったのが、最近では55から60台になりつつあるが問題はないか 。
体調も良好ですので問題ないと思います。
●現在の状況ならば、むしろ一日一食、炭水化物をとったほうが血糖値が正常に安定するのではないか。
●糖尿病が完治することはない、とあちこちで見聞するが、やはり私の場合もこれは完治ではなく一時的に血糖値コントロールがうまくいっているだけと考えるべきなのか。
「ご飯200グラム(炭水化物量にして66グラム程度)を一度に食べてみましたが、食前81が食後1H、食後2H後とも114という数値でした。」
これなら完全に正常人のデータですね。12kgの減量でインスリン抵抗性が改善し、正常人になったと考えられます。
おそらくは、インスリン分泌能は保たれていたけれど、肥満によるインスリン抵抗性増大のために、耐糖能が低下して、2型糖尿病を発症したと考えられます。このようなタイプは完治もありえます。makoさんも現時点では正常人と考えてよいですね。ヾ(^▽^)
糖尿病は、「一旦発症したら完治しない」というのは、食後高血糖が数年間続いて、膵臓のβ細胞が一定のダメージを被ってしまって、インスリン分泌能が低下して糖尿病を発症した場合です。まあ、日本人にはこのタイプが一番多いのですが・・・。
つらくなければ、このままスーパー糖質制限食を続けて、まずは70kg台を、さらには標準体重62kgを目指してください。
もしつらくなったら、仰る通りスタンダード糖質制限食やプチ糖質制限食でもよいですよ。そして鋭気を養って、またスーパー糖質制限食に戻すという選択肢もありますね。
●アマリールを処方されなくなった6月の時点から、つまりスーパー糖質制限食を始めて1か月後の血液検査の結果以降赤血球数が若干増え、510万となっている(医者からは問題ないと言われましたが)が、食生活等で気をつけるべき点はあるか。
赤血球数510万は、全く問題はありません。
makoさん、美味しく楽しく糖質制限食、スーパー、スタンダード、プチと適宜お続けくださいね。
江部康二
7月26日の土曜日からは、信州八ヶ岳南麓の富士見高原に恒例の第27回テニス合宿にでかけます。標高1250mで軽井沢より涼しいですよ。 (^_^)
あと2日間の辛抱です。
さて今回は、makoさんから、コメント・質問をいただきました。
『江部先生
毎日ブログを大変楽しみに拝読しております。
今年3月7日に、A1C8.1%、血糖値195 (糖尿など露ほども考えずに、診療を待つ間、外にでてとっても甘いデザートを食べて、その20分後に血糖値を測ったものです)という数値がでて、Ⅱ型糖尿病と診断され、アマリールを日に1錠処方されました。
同時に脂肪肝も指摘され、体重を落とすことが全ての改善の道だろうということで、164センチ、96キロから我流のダイエットにより2か月で
体重 89キロ
A1C 6.1%
に下げ、肝臓の異常値がなくなりました。
その後、きれいに痩せたいと欲がでてダイエットクリニックに通い始めて、栄養管理士さんのご指導のもと1日1400から1500キロカロリーに、またそのころに江部先生の御本やブログと出会うことができ、スーパー糖質制限食を始めました。
3月に糖尿病と診断されてから3か月後、スーパー糖質制限食開始1ヶ月後の6月には、
体重 84キロ
A1C 5.6%(ちょうどアマリールを切らして、飲まなくなって2日後の数値です)
となり、アマリールの処方はなくなりました。
父が30代から糖尿病を発症してから30年以上が経ち、今ではインシュリン注射に頼る生活をしております。
長いことごく身近にあった「糖尿病」という病について、ある程度理解をしていたつもりだったのに、先生の御著書を読み続けるうちに、いかに自分の知っていた糖尿病に関する知識が浅はかだったか、また血糖値というものに大変興味を持ち、家で簡易測定器を使って血糖値を測り始めました。
前置きが長くなりましたが、いくつか質問をさせて頂ければと思います。
まず、最近の血糖値なのですが、スーパー糖質制限食のお陰で、すっかり正常値内におさまっています。
ここ2週間ほどの平均は、
起床後すぐ 73
朝食後1H 103
朝食後2H 84
昼食前 82
昼食後1H 100
昼食後2H 100
夕食前 73
夕食後1H 94
夕食後2H 96
という数値です。
仕事の都合で毎日確実に測れるわけではないので、まだまだ平均値をだすほどのデータではないのですが、 傾向として、最近は朝が60台、今日などは55という数値がでており、前日夜にアルコールをとらなくとも、夕食から10時間以上が過ぎるあたりから、どうも60台かそれ未満に落ちるようになってきています。
また、朝食後は確実に、食後1Hよりも2H後のほうが数値が下りますが、昼食、特に夕食後は、1H後と2H後の数値があまり変わらない、或いは若干高くなることもあります。
いずれにしましても、各食前と食後1H或いは2H後の血糖値の差は、50mg以内、かつ正常値範囲内です。
昼食から夕食までの間が9時間以上空くとき、また、昼食がサラダだけなどの低カロリーの時には夕食前に60台の数値が出る時があります。
かかりつけの医者に「若いし(現在41歳です)もしかしたらもう高血糖の数値が出ないかも知れない」と言われ、 試しにご飯200グラム(炭水化物量にして66グラム程度)を一度に食べてみましたが、食前81が食後1H、食後2H後とも114という数値でした。
お尋ねしたいのは、
●空腹時血糖値が、2週間前では80から90ほどあったのが、最近では55から60台になりつつあるが問題はないか
●現在の状況ならば、むしろ一日一食、炭水化物をとったほうが血糖値が正常に安定するのではないか
●糖尿病が完治することはない、とあちこちで見聞するが、やはり私の場合もこれは完治ではなく一時的に血糖値コントロールがうまくいっているだけと考えるべきなのか
●アマリールを処方されなくなった6月の時点から、つまりスーパー糖質制限食を始めて1か月後の血液検査の結果以降赤血球数が若干増え、510万となっている(医者からは問題ないと言われましたが)が、食生活等で気をつけるべき点はあるか
の4点です。
現在はお蔭様で血糖値のコントロールが非常にうまくいっていると思っていますが、体重が増えればまた以前の状態に戻ってしまうでしょうし、遺伝的にも血糖値については注意が必要だと思うので、この先も糖質制限食とダイエットを続けていこうと思っております。
先日のブログで、低血糖の数値が出る時は摂取カロリーが低すぎる場合がある、とのことでしたが、カロリーは毎日1500kcl程度はとっています。また、特に低血糖と思われるような自覚症状はなく、むしろ血糖値が60前後のほうが朝の目覚めがすっきりとしています。
血糖値について勉強し始めてまだまだ初心者で戸惑いも多く、愚問かも知れませんが、 これから末永く血糖値コントロールを確実に、安心にしていきたいと思い、 私などよりもっともっと重症で大変な患者さんも多い中、こんな質問はご迷惑かも知れないと思いつつ、質問をさせて頂きました。 お時間がおありの時にでもご回答を頂けましたら幸いです。
江部先生ご推奨の糖質制限食は、多くの糖尿病に苦しむ方たちにたくさんの希望を与えてくださっています。 心からお礼と感謝を申し上げるとともに、先生のますますのご活躍とご健康をお祈りしております。
mako(41歳・女性)
2008/07/20(日) 11:34:22 | URL | mako』
makoさん。コメントありがとうございます。
164センチ、96キロ、A1C8.1%、だったのが3か月後、スーパー糖質制限食開始1ヶ月後の6月には、体重 84キロ 。A1C 5.6%。 と改善、素晴らしいですね。(^-^)v(^-^)v
●空腹時血糖値が、2週間前では80から90ほどあったのが、最近では55から60台になりつつあるが問題はないか 。
体調も良好ですので問題ないと思います。
●現在の状況ならば、むしろ一日一食、炭水化物をとったほうが血糖値が正常に安定するのではないか。
●糖尿病が完治することはない、とあちこちで見聞するが、やはり私の場合もこれは完治ではなく一時的に血糖値コントロールがうまくいっているだけと考えるべきなのか。
「ご飯200グラム(炭水化物量にして66グラム程度)を一度に食べてみましたが、食前81が食後1H、食後2H後とも114という数値でした。」
これなら完全に正常人のデータですね。12kgの減量でインスリン抵抗性が改善し、正常人になったと考えられます。
おそらくは、インスリン分泌能は保たれていたけれど、肥満によるインスリン抵抗性増大のために、耐糖能が低下して、2型糖尿病を発症したと考えられます。このようなタイプは完治もありえます。makoさんも現時点では正常人と考えてよいですね。ヾ(^▽^)
糖尿病は、「一旦発症したら完治しない」というのは、食後高血糖が数年間続いて、膵臓のβ細胞が一定のダメージを被ってしまって、インスリン分泌能が低下して糖尿病を発症した場合です。まあ、日本人にはこのタイプが一番多いのですが・・・。
つらくなければ、このままスーパー糖質制限食を続けて、まずは70kg台を、さらには標準体重62kgを目指してください。
もしつらくなったら、仰る通りスタンダード糖質制限食やプチ糖質制限食でもよいですよ。そして鋭気を養って、またスーパー糖質制限食に戻すという選択肢もありますね。
●アマリールを処方されなくなった6月の時点から、つまりスーパー糖質制限食を始めて1か月後の血液検査の結果以降赤血球数が若干増え、510万となっている(医者からは問題ないと言われましたが)が、食生活等で気をつけるべき点はあるか。
赤血球数510万は、全く問題はありません。
makoさん、美味しく楽しく糖質制限食、スーパー、スタンダード、プチと適宜お続けくださいね。
江部康二
2008年07月23日 (水)
こんばんは。相変わらす暑いです。
ビールがガブガブ飲めない私達糖尿人にとって、
糖質ゼロ発泡酒は天の助けですね。ヽ(*`▽´)ノ
さて今回は、匿名希望さんから、お酒と糖尿病神経障害についてのコメント・質問をいただきました。
『お酒と合併症
はじめまして。
合併症の神経障害から糖尿病が発覚し、人としての三大欲を奪われ、途方に暮れていた時に先生の著書に出会いました。
これだ!と思い、主治医に断りもなくスーパー糖質制限食を敢行。
現在は多少の炭水化物は摂取してますが、ここ三ヶ月程、空腹時血糖90・A1C5.8前後をがっちりとキープ。
食後の数値は自己測定をしてないので不明ですが、個人的には大変満足しています。
先生の著書に出会わなければ…と思うとぞっとします。
本当にありがとうございます。
ただ、あちらを立てれば何とやらで、合併症の神経障害が悪化してしまい、日常がとても辛いです。
キネダックが全く効かず、近々治験を始める事にしました。
そこで質問なのですが、合併症が発生してると、お酒を絶対に飲んではいけないのでしょうか?
ちなみに、煙草は十年以上前にやめ、飲んでるお酒は糖質0の発泡酒、もしくは、赤ワインをほぼ毎日それなりに楽しんでいます。
ご回答戴ければ、幸いです。
2008/07/19(土) 08:38:34 | URL | 匿名希望』
匿名希望さん。コメントそして本のご購入ありがとうございます。
糖質制限食実践で「現在は多少の炭水化物は摂取してますが、ここ三ヶ月程、空腹時血糖90・A1C5.8前後をがっちりとキープ。」これなら正常人のデータですね。良かったですね。 (^_^)
糖尿病神経障害でつらいとのことですが、下肢の疼痛やしびれなどがあるのでしょうか?
糖尿病神経障害の治療で最も重要なのは、血糖値の厳格なコントロールです。スーパー糖質制限食で、24時間良好な血糖値を保てば、少なくとも神経障害の進行は止まりますし、改善の可能性もあります。
アルコールが糖尿病性神経障害の原因とはいえませんが、症状を悪化させる要因ではあります。神経障害は、糖尿病でなくてもさまざまな病気で起こりますが、その一つに「アルコール性神経障害」があります。
習慣的に過量の飲酒を続けたために、ビタミンB群、とくにビタミンB1がアルコールの代謝のために使われてしまって、慢性的にB1欠乏状態になります。そうなると足がしびれたり痛んだりなど、糖尿病性神経障害と似た症状が現れます。
従って、多量の飲酒は、糖尿病神経障害にもアルコール性神経障害にも当然よくありません。(=_=;)
しかし、血糖値コントロールが良好なら、糖質ゼロの発泡酒2本とか、赤ワイングラスに2杯くらいなら大丈夫と思いますよ。
江部康二
ビールがガブガブ飲めない私達糖尿人にとって、
糖質ゼロ発泡酒は天の助けですね。ヽ(*`▽´)ノ
さて今回は、匿名希望さんから、お酒と糖尿病神経障害についてのコメント・質問をいただきました。
『お酒と合併症
はじめまして。
合併症の神経障害から糖尿病が発覚し、人としての三大欲を奪われ、途方に暮れていた時に先生の著書に出会いました。
これだ!と思い、主治医に断りもなくスーパー糖質制限食を敢行。
現在は多少の炭水化物は摂取してますが、ここ三ヶ月程、空腹時血糖90・A1C5.8前後をがっちりとキープ。
食後の数値は自己測定をしてないので不明ですが、個人的には大変満足しています。
先生の著書に出会わなければ…と思うとぞっとします。
本当にありがとうございます。
ただ、あちらを立てれば何とやらで、合併症の神経障害が悪化してしまい、日常がとても辛いです。
キネダックが全く効かず、近々治験を始める事にしました。
そこで質問なのですが、合併症が発生してると、お酒を絶対に飲んではいけないのでしょうか?
ちなみに、煙草は十年以上前にやめ、飲んでるお酒は糖質0の発泡酒、もしくは、赤ワインをほぼ毎日それなりに楽しんでいます。
ご回答戴ければ、幸いです。
2008/07/19(土) 08:38:34 | URL | 匿名希望』
匿名希望さん。コメントそして本のご購入ありがとうございます。
糖質制限食実践で「現在は多少の炭水化物は摂取してますが、ここ三ヶ月程、空腹時血糖90・A1C5.8前後をがっちりとキープ。」これなら正常人のデータですね。良かったですね。 (^_^)
糖尿病神経障害でつらいとのことですが、下肢の疼痛やしびれなどがあるのでしょうか?
糖尿病神経障害の治療で最も重要なのは、血糖値の厳格なコントロールです。スーパー糖質制限食で、24時間良好な血糖値を保てば、少なくとも神経障害の進行は止まりますし、改善の可能性もあります。
アルコールが糖尿病性神経障害の原因とはいえませんが、症状を悪化させる要因ではあります。神経障害は、糖尿病でなくてもさまざまな病気で起こりますが、その一つに「アルコール性神経障害」があります。
習慣的に過量の飲酒を続けたために、ビタミンB群、とくにビタミンB1がアルコールの代謝のために使われてしまって、慢性的にB1欠乏状態になります。そうなると足がしびれたり痛んだりなど、糖尿病性神経障害と似た症状が現れます。
従って、多量の飲酒は、糖尿病神経障害にもアルコール性神経障害にも当然よくありません。(=_=;)
しかし、血糖値コントロールが良好なら、糖質ゼロの発泡酒2本とか、赤ワイングラスに2杯くらいなら大丈夫と思いますよ。
江部康二
2008年07月22日 (火)
こんばんは。連日うだるような暑さが続いています。
近畿地方で、京都が一番暑かったなどと報道されたら、それだけでもまた暑苦しさがいや増してきます。(=_=)
南国高知から来た人が、京都の方が暑いと言ってました。
さて今回はいのうえさんから、コメント・質問をいただきました。
『グリコアルブミンとは?
ご無沙汰しております。いのうえです。
6月1日の東京・中野での講演会場で、初めて、ナマ江部先生にお目にかかって以来です。
(そういえば、そのときの講演時には、先生の若さと、関西ノリの溌剌さに妻ともども
驚かされてしまいました)
さて今回は、前回、教えていただいた1.5AGとも類似するのですが、グリコアルブミンのことです。
ある時、ネットで、グリコアルブミンは、
「(私の解釈に間違いがあるかもしれませんが)グリコアルブミンという、たんぱく質に付着した ぶどう糖量を計測するもので、HbA1cが、最近1ヶ月程度の血糖値の平均血を表すのに対して、 最近2週間程度のさらに平均値を表し、それにより、より細かい血糖値の変化が把握でき、 さらに赤血球量の変化などに影響されないので、近いうちに、HbA1cに代わり、 血糖値検査の中心になる」
というような旨のことが、書かれてあるのを読みました。
そこで、参考までに、定期の血液検査のときに、HbA1cとグリコアルブミンを、 同時に調べてもらいました。
その結果
HbA1c グリコアルブミン アルブミン
日時/5月3日AM9時 5.0 15.9 5.0
日時/7月3日AM9時 5.2 15.8 5.1
(その病院での基準値はグリコアルブミンが11.7~16.1、アルブミンが4.0~5.1)
となりました。
基準値内ではあるのですが、HbA1cの値に比較すると、グリコアルブミンの値が 高いような気がするのですが・・・・・・・・?
つまり、アルブミン値が高いので、グリコアルブミン値が高くなるのは当然ということでしょうか?
そして、アルブミン値が高いのは、スーパー糖質制限食のために高いのでしょうか?
(これはネットには、脱水症状で高くなると書いてありましたが、毎日、1時間ジョギングと2~3回、
風呂に入っているためでしょうか?)
そういえば、ネットでは、グリコアルブミンが高値の場合の原因として、糖尿病、 甲状腺機能低下症とならんで、栄養障害が明記されていましたが・・・・・・・・?
多分、私の誤解や混乱もかなり含まれていると思われますが・・・・先生ご自身、もしくは高雄病院で
患者の皆さんのグリコアルブミンを調べられたことがおありでしょうか?
グリコアルブミンの性状も含めて、稚拙な質問へのご教示をよろしくお願いいたします。
PS・次回、東京での講演会の折にも、再び、妻ともども参加させていただきたいと思っております。
2008/07/18(金) 17:35:15 | URL | いのうえ』
いのうえさん。コメント、東京・中野講演会ご参加、そしてお誉めの言葉、大変ありがとうございます。(=^_^=)
血液中には、赤血球や糖類やその代謝産物が流れていて、お互いに結合する傾向があります。 血液中に存在するタンパク質が、ブドウ糖などと反応して結合したものが糖化タンパク質です。
そのタンパク質部分がアルブミンのものをグリコアルブミンと言います。
赤血球中のヘモグロビン(タンパク質)と、血中のブドウ糖などが結合したものが、グリケーティッドヘモグロビンです。これを略してグリコヘモグロビンですが、HbA1とほぼ同義語として使用されています。
HbA1は、さらにHbA1a、HbA1b、HbA1cなどに分けることができます。このうち、糖尿病の検査の指標として汎用されているHbA1cは、ヘモグロビンA(HbA)にグルコース(ブドウ糖)が結合したものです。つまり、グリコアルブミンもHbA1cも基本的には糖化タンパク質の一種なのですね。
糖化タンパク質の量は、タンパク質が接触したブドウ糖の量と時間に比例して増減するので、過去の血糖の状態を知る上で有用な指標になります。
グリコアルブミンは、アルブミンの半減期が17日であるため過去2週間~1ヶ月の血糖コントロール状態を反映します。HbA1cが過去1~2ヶ月の平均血糖値を反映しますので、HbA1cに比べて早く大きく変動します。
なお、血液中のアルブミンが高値なのは、栄養状態・健康状態が良い証拠でまあ、元気印みたいなもんです。例えば高齢者で、アルブミンが3g/dlを切ってくると、感染症などのリスクが高まります。
それから、グリコアルブミンは%で比率なので、アルブミンの絶対量とは無関係と思います。井上さんの7月3日のデータなら、血液中のアルブミンというタンパク質のうち、15.8%が糖化していたということになります。
HbA1cとグリコアルブミンですが、おおむねHbA1cの三倍の数字が、グリコアルブミンの数値になるようです。
いのうえさんのデータ、HbA1cに比べたら、グリコアルブミンが正常の高値な感もありますが、おおむね三倍でいずれも正常範囲ということで大丈夫と思います。
HbA1cとグリコアルブミンは同時に保険請求できませんので、高雄病院では、月一回HbA1cだけをを検査しています。グリコアルブミンは検査していません。すいません。(*_*)
江部康二
近畿地方で、京都が一番暑かったなどと報道されたら、それだけでもまた暑苦しさがいや増してきます。(=_=)
南国高知から来た人が、京都の方が暑いと言ってました。
さて今回はいのうえさんから、コメント・質問をいただきました。
『グリコアルブミンとは?
ご無沙汰しております。いのうえです。
6月1日の東京・中野での講演会場で、初めて、ナマ江部先生にお目にかかって以来です。
(そういえば、そのときの講演時には、先生の若さと、関西ノリの溌剌さに妻ともども
驚かされてしまいました)
さて今回は、前回、教えていただいた1.5AGとも類似するのですが、グリコアルブミンのことです。
ある時、ネットで、グリコアルブミンは、
「(私の解釈に間違いがあるかもしれませんが)グリコアルブミンという、たんぱく質に付着した ぶどう糖量を計測するもので、HbA1cが、最近1ヶ月程度の血糖値の平均血を表すのに対して、 最近2週間程度のさらに平均値を表し、それにより、より細かい血糖値の変化が把握でき、 さらに赤血球量の変化などに影響されないので、近いうちに、HbA1cに代わり、 血糖値検査の中心になる」
というような旨のことが、書かれてあるのを読みました。
そこで、参考までに、定期の血液検査のときに、HbA1cとグリコアルブミンを、 同時に調べてもらいました。
その結果
HbA1c グリコアルブミン アルブミン
日時/5月3日AM9時 5.0 15.9 5.0
日時/7月3日AM9時 5.2 15.8 5.1
(その病院での基準値はグリコアルブミンが11.7~16.1、アルブミンが4.0~5.1)
となりました。
基準値内ではあるのですが、HbA1cの値に比較すると、グリコアルブミンの値が 高いような気がするのですが・・・・・・・・?
つまり、アルブミン値が高いので、グリコアルブミン値が高くなるのは当然ということでしょうか?
そして、アルブミン値が高いのは、スーパー糖質制限食のために高いのでしょうか?
(これはネットには、脱水症状で高くなると書いてありましたが、毎日、1時間ジョギングと2~3回、
風呂に入っているためでしょうか?)
そういえば、ネットでは、グリコアルブミンが高値の場合の原因として、糖尿病、 甲状腺機能低下症とならんで、栄養障害が明記されていましたが・・・・・・・・?
多分、私の誤解や混乱もかなり含まれていると思われますが・・・・先生ご自身、もしくは高雄病院で
患者の皆さんのグリコアルブミンを調べられたことがおありでしょうか?
グリコアルブミンの性状も含めて、稚拙な質問へのご教示をよろしくお願いいたします。
PS・次回、東京での講演会の折にも、再び、妻ともども参加させていただきたいと思っております。
2008/07/18(金) 17:35:15 | URL | いのうえ』
いのうえさん。コメント、東京・中野講演会ご参加、そしてお誉めの言葉、大変ありがとうございます。(=^_^=)
血液中には、赤血球や糖類やその代謝産物が流れていて、お互いに結合する傾向があります。 血液中に存在するタンパク質が、ブドウ糖などと反応して結合したものが糖化タンパク質です。
そのタンパク質部分がアルブミンのものをグリコアルブミンと言います。
赤血球中のヘモグロビン(タンパク質)と、血中のブドウ糖などが結合したものが、グリケーティッドヘモグロビンです。これを略してグリコヘモグロビンですが、HbA1とほぼ同義語として使用されています。
HbA1は、さらにHbA1a、HbA1b、HbA1cなどに分けることができます。このうち、糖尿病の検査の指標として汎用されているHbA1cは、ヘモグロビンA(HbA)にグルコース(ブドウ糖)が結合したものです。つまり、グリコアルブミンもHbA1cも基本的には糖化タンパク質の一種なのですね。
糖化タンパク質の量は、タンパク質が接触したブドウ糖の量と時間に比例して増減するので、過去の血糖の状態を知る上で有用な指標になります。
グリコアルブミンは、アルブミンの半減期が17日であるため過去2週間~1ヶ月の血糖コントロール状態を反映します。HbA1cが過去1~2ヶ月の平均血糖値を反映しますので、HbA1cに比べて早く大きく変動します。
なお、血液中のアルブミンが高値なのは、栄養状態・健康状態が良い証拠でまあ、元気印みたいなもんです。例えば高齢者で、アルブミンが3g/dlを切ってくると、感染症などのリスクが高まります。
それから、グリコアルブミンは%で比率なので、アルブミンの絶対量とは無関係と思います。井上さんの7月3日のデータなら、血液中のアルブミンというタンパク質のうち、15.8%が糖化していたということになります。
HbA1cとグリコアルブミンですが、おおむねHbA1cの三倍の数字が、グリコアルブミンの数値になるようです。
いのうえさんのデータ、HbA1cに比べたら、グリコアルブミンが正常の高値な感もありますが、おおむね三倍でいずれも正常範囲ということで大丈夫と思います。
HbA1cとグリコアルブミンは同時に保険請求できませんので、高雄病院では、月一回HbA1cだけをを検査しています。グリコアルブミンは検査していません。すいません。(*_*)
江部康二
2008年07月22日 (火)
糖質制限食を実践する時のご注意
「本にも書きましたが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、「主食を抜けば糖尿病は良くなる」「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」「 糖質制限食 春のレシピ」「 糖質制限食 夏のレシピ」「主食を抜けば糖尿病は良くなる 実践編」(東洋経済新報社)を参考にして、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。」
江部康二
「本にも書きましたが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、「主食を抜けば糖尿病は良くなる」「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」「 糖質制限食 春のレシピ」「 糖質制限食 夏のレシピ」「主食を抜けば糖尿病は良くなる 実践編」(東洋経済新報社)を参考にして、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。」
江部康二
2008年07月21日 (月)
こんにちは。
今日も暑いです。昨20日の京都は37.4度を記録しました。 (*_*)
平年を5.5度上回ったそうです。
さて今回は、くまみんさんからコメントいただきました。
『江部先生はじめまして。
いつもブログ拝見しております。
私は低血糖症で治療を受けています。
先生の本を読んで糖質制限食をはじめました。
柏崎先生という方が書かれた低血糖症の本には糖尿病と低血糖症を併発しているケースという例がいくつか載っています。
低血糖症の診断には5時間の糖負荷検査が行われますが 糖尿病と併発している場合は糖負荷後は血糖値が200を超え 4時間後には40近くまで下がるという具合です。
私は糖尿病のことについては詳しくはありませんが 糖尿病患者さんの中にも低血糖症が隠れている場合もあり どちらも似たような病気なのだと理解していました。
私の場合はインスリンの過剰分泌で血糖値が上がらない状態で、糖質制限食をたっぷり食べていても 2,3時間おきに補食を取らなければ低血糖を起こします。
でも糖質制限食のおかげで食後の具合の悪さは随分楽になりました。
特に玄米をやめてからは食後の頭痛がなくなりましたし 安定した日が増えてきました。
ありがとうございます。
2008/07/16(水) 17:51:29 | URL | くまみん』
くまみんさん、コメントありがとうございます。
くまみんさんは機能性低血糖症*なのでしょうか?糖質制限食で体調がよくなったとのこと、良かったです。 (^_^)
仰る通り、糖尿病と低血糖症を併発していることがあると思います。この場合、「高血糖があるから低血糖がある。」ということができます。
すなわち、糖尿病があるので、糖質摂取により食後高血糖を必ず生じます。その後、正常人に比し遅れてインスリン追加分泌が出始めて、出遅れた分遷延します。遷延した追加分泌インスリンにより低血糖を起こすことがあり得ます。(2008年07月15日のブログ 低血糖について②をご参照ください)
このようなケースでも、糖質制限食なら血糖値の上昇が極めて少なく、インスリンの追加分泌も少ないので、反応性の低血糖もおきにくくなります。
機能性低血糖症(糖尿病はなくて、低血糖がある)の場合も、糖質制限食を実践していていれば、インスリンの過剰分泌がないので、通常は低血糖は起こさなくなります。(2008年03月24日のブログ、炭水化物摂取と眠気-機能性低血糖症、ご参照ください。)
「糖質制限食をたっぷり食べていても 2,3時間おきに補食を取らなければ低血糖を起こします。」
糖質制限食の場合は、インスリンの過剰分泌はおこらないので、低血糖になるのは不思議です。
血糖値が高くないのにインスリンが分泌されているならば、主治医とよく相談されインスリノーマ**(膵臓の良性腫瘍)の有無など念のためお調べください。
*機能性低血糖症
1924年アメリカのSeale Harrisによって指摘された疾患で、血糖値の低下に伴ない、精神的・身体的症状を来たす疾患です。
易疲労感、気力低下、眠気、集中力低下、物忘れ、不安、いらいら、頭痛、めまい、発汗、震え、心悸亢進、筋肉痛、甘いものに対する異常な欲求・・・ などの症状がみられます。
診断は、75g経口ブドウ糖負荷試験で行います。通常糖尿病の診断のためには空腹時に開始して、ブドウ糖を服用後2時間までの血糖値を測定します。機能性低血糖症の場合は、ブドウ糖服用後5時間まで血糖値を検査します。
**
インスリノーマの症状
インスリンの自律性過剰分泌による低血糖症状(傾眠,振戦,意識消失発作)がみられます。
Whippleの三徴(空腹時の意識消失発作,発作時血糖が50 mg/dl以下,ブドウ糖投与による症状改善)が知られています.
江部康二
今日も暑いです。昨20日の京都は37.4度を記録しました。 (*_*)
平年を5.5度上回ったそうです。
さて今回は、くまみんさんからコメントいただきました。
『江部先生はじめまして。
いつもブログ拝見しております。
私は低血糖症で治療を受けています。
先生の本を読んで糖質制限食をはじめました。
柏崎先生という方が書かれた低血糖症の本には糖尿病と低血糖症を併発しているケースという例がいくつか載っています。
低血糖症の診断には5時間の糖負荷検査が行われますが 糖尿病と併発している場合は糖負荷後は血糖値が200を超え 4時間後には40近くまで下がるという具合です。
私は糖尿病のことについては詳しくはありませんが 糖尿病患者さんの中にも低血糖症が隠れている場合もあり どちらも似たような病気なのだと理解していました。
私の場合はインスリンの過剰分泌で血糖値が上がらない状態で、糖質制限食をたっぷり食べていても 2,3時間おきに補食を取らなければ低血糖を起こします。
でも糖質制限食のおかげで食後の具合の悪さは随分楽になりました。
特に玄米をやめてからは食後の頭痛がなくなりましたし 安定した日が増えてきました。
ありがとうございます。
2008/07/16(水) 17:51:29 | URL | くまみん』
くまみんさん、コメントありがとうございます。
くまみんさんは機能性低血糖症*なのでしょうか?糖質制限食で体調がよくなったとのこと、良かったです。 (^_^)
仰る通り、糖尿病と低血糖症を併発していることがあると思います。この場合、「高血糖があるから低血糖がある。」ということができます。
すなわち、糖尿病があるので、糖質摂取により食後高血糖を必ず生じます。その後、正常人に比し遅れてインスリン追加分泌が出始めて、出遅れた分遷延します。遷延した追加分泌インスリンにより低血糖を起こすことがあり得ます。(2008年07月15日のブログ 低血糖について②をご参照ください)
このようなケースでも、糖質制限食なら血糖値の上昇が極めて少なく、インスリンの追加分泌も少ないので、反応性の低血糖もおきにくくなります。
機能性低血糖症(糖尿病はなくて、低血糖がある)の場合も、糖質制限食を実践していていれば、インスリンの過剰分泌がないので、通常は低血糖は起こさなくなります。(2008年03月24日のブログ、炭水化物摂取と眠気-機能性低血糖症、ご参照ください。)
「糖質制限食をたっぷり食べていても 2,3時間おきに補食を取らなければ低血糖を起こします。」
糖質制限食の場合は、インスリンの過剰分泌はおこらないので、低血糖になるのは不思議です。
血糖値が高くないのにインスリンが分泌されているならば、主治医とよく相談されインスリノーマ**(膵臓の良性腫瘍)の有無など念のためお調べください。
*機能性低血糖症
1924年アメリカのSeale Harrisによって指摘された疾患で、血糖値の低下に伴ない、精神的・身体的症状を来たす疾患です。
易疲労感、気力低下、眠気、集中力低下、物忘れ、不安、いらいら、頭痛、めまい、発汗、震え、心悸亢進、筋肉痛、甘いものに対する異常な欲求・・・ などの症状がみられます。
診断は、75g経口ブドウ糖負荷試験で行います。通常糖尿病の診断のためには空腹時に開始して、ブドウ糖を服用後2時間までの血糖値を測定します。機能性低血糖症の場合は、ブドウ糖服用後5時間まで血糖値を検査します。
**
インスリノーマの症状
インスリンの自律性過剰分泌による低血糖症状(傾眠,振戦,意識消失発作)がみられます。
Whippleの三徴(空腹時の意識消失発作,発作時血糖が50 mg/dl以下,ブドウ糖投与による症状改善)が知られています.
江部康二
2008年07月20日 (日)
おはようございます。今朝はとても良い天気です。昼から週一のテニスに出かけます。
そうそう、7.18の第三金曜ライブは、オーストラリアで行われたエルビス・プレスリーコンテスト世界大会でベスト8に入賞したパナビスNAGATAさんに飛び入りで歌ってもらいました.
その歌唱力・ビジュアル・振り付け・ライブパフォーマンス・・・、とっても楽しかったですよ。ヽ(*`▽´)ノ
さて今回は、みやびさんからコメントいただきました。
『08/07/12 みやび
たびたび失礼いたします。
先日ご教示いただいた方法で、インスリン1単位でどの程度下がるのか 今朝 実験をし、結果が出たので ご報告します。
当初、1単位で15~16mg/dlの降下作用かと思ってましたが、改めて計算しましたら 30~31mg/dlという結果になりました。
これからは この結果を頭において、できれば超即効性インスリンの使用をゼロにしていきたいというのが目標です。今のまま 薬に頼る生活をしていたら、身体も気持ちもダメになる気がするので。
実験とはいえ、久しぶりの食パン 美味しかったんですが、その後、身体がだるくなり 血糖下げるの大変でした。それでも、糖質制限始める前は しょっちゅうこんな感じだったんです…高血糖になるからインスリンを打ち…の繰り返しでした。
糖質制限をはじめてからは、(我慢できずに食べてしまうときもあるけど)以前より 確実にインスリンの量は減らせてますし、体調も安定して肌の調子も良くなりました。食材を選べば お腹いっぱい食べられるし、お酒飲めるし(笑)糖質制限食に出会えて本当に良かったと改めて感じています。
だから、食パンは もういりません…食パンは私の敵です(笑)
これからは 欲に負けないよう 少し厳しく頑張りますので、また よろしくお願いいたします。
<(_ _)> 』
みやびさん。いつもコメントありがとうございます。インスリンの量が減らせて体調もよいとのこと良かったです。ヾ(^▽^)
今回は下記の計算法で、1単位のインスリンが、どのくらい血糖値を下げるか実施してみたのですね。
「食事摂取時の計算パターンとして、追加分泌インスリンの役割を担う、超速効型インスリン使用時を考えてみます。
例えば
<朝空腹時血糖値測定>
<朝食前、超速効型インスリンを注射>
<朝食に摂取した糖質のグラム数を計算>
<朝食後1時間血糖値測定>
を行います。
1gの糖質が2型糖尿人の血糖値を約3mg/dl上昇させます。これを基に、仮にインスリン注射前の空腹時血糖値が120mgとすれば、糖質50gを摂取すると、(50g×3mgで)ピークの食後1時間血糖値は150mg上昇して270mgになるはずです。
4単位の超速効型インスリンを打って、食後1時間の血糖値が170mgなら、インスリン注射により(270mg-170mg)100mg血糖値が下がったことになります。そうすると1単位のインスリンが(100mg÷4単位)25mg血糖値を下げたことになります。
1単位のインスリンがどのくらい血糖値を下げるかは、かなり個人差が大きいです。(10mg~80mgなど)ご指摘のように、体調により少しはバラつくこともありますが、大雑把に自分のパターンを把握しておきましょう。」
みやびさんの場合は、超速効型インスリン(ノボラピッドまたはヒューマログ)1単位が、血糖値を約30mgほど低下させるのですね。これが判っていれば、糖質管理食が実行しやすいです。
1gの糖質が約3mg血糖値を上昇させます。例えば食前に3単位注射しておけば<3単位×30mg=90mg>の血糖値上昇をカバーしますから、30g分の糖質入りのケーキやパンを食べても、血糖値はほとんど上昇しません。40g分の糖質を食べても、30mgくらいの血糖値上昇ですみますから、許容範囲ですね。
2008年05月03日 (土) のブログ「糖質制限食時々糖質管理食」で、みやびさんにお伝えしましたように、美味しく楽しく糖質制限食で長続きさせるのが一番大切なことなので、我慢とか根性は要らないと思いますよ。 (^_^)
私の診察している糖尿病患者さんでも、「糖質制限食時々糖質管理食」の方がおられます。仮にAさんとします。
Aさんは、ベースに持続型のインスリン(ランタスなど)を4~6単位注射して、約22時間~24時間、基礎分泌のかわりとし、早朝空腹時血糖値を126mg/dl未満にコントロールしておられます。
スーパー糖質制限食なら、それ以外の注射はいりませんが、時に主食やケーキを摂取するときだけ超速効型インスリンを食前に2~3単位注射して、食後2時間血糖値が180mg/dl未満になるようにコントロールしておられます。
日常的には、ランタス分のインスリンが4~6単位/日の少量でOKです。主食やケーキを食べるときだけ、月に2回くらい6~9単位/日の日があります。年間通して、インスリンの量がこのていどの少量ですめば、体にはとてもやさしいですね。
インスリン注射の量は少ない方が好ましいですから、「糖質制限食時々糖質管理食」がおおいに役に立ってくれますね。
1型糖尿病の人でも、「糖質制限食時々糖質管理食」でインスリン注射の量を、通常のカロリー制限食に比べたら1/3以下に減らせます。
別の患者Bさんの場合は、ランタスを一日一回注射して、主食やケーキを食べる直前に<グルコバイ100mg+グルファスト10mg>内服で、食後血糖値180mg/dl未満ににコントロールしておられます。これなら、外出時にインスリン注射を打たなくてすむので楽ですね。
みやびさん、清く正しくより、関西風ぼちぼちで結構ですので美味しく楽しく「糖質制限食時々糖質管理食」を続けてくださいね。
糖質制限ドットコムhttp://www.toushitsuseigen.com/のローカーボ・ふすまパンやまるごと大豆パンならインスリンも要りませんので仲良くどうぞ。 (^-^)v(^-^)v
江部康二
そうそう、7.18の第三金曜ライブは、オーストラリアで行われたエルビス・プレスリーコンテスト世界大会でベスト8に入賞したパナビスNAGATAさんに飛び入りで歌ってもらいました.
その歌唱力・ビジュアル・振り付け・ライブパフォーマンス・・・、とっても楽しかったですよ。ヽ(*`▽´)ノ
さて今回は、みやびさんからコメントいただきました。
『08/07/12 みやび
たびたび失礼いたします。
先日ご教示いただいた方法で、インスリン1単位でどの程度下がるのか 今朝 実験をし、結果が出たので ご報告します。
当初、1単位で15~16mg/dlの降下作用かと思ってましたが、改めて計算しましたら 30~31mg/dlという結果になりました。
これからは この結果を頭において、できれば超即効性インスリンの使用をゼロにしていきたいというのが目標です。今のまま 薬に頼る生活をしていたら、身体も気持ちもダメになる気がするので。
実験とはいえ、久しぶりの食パン 美味しかったんですが、その後、身体がだるくなり 血糖下げるの大変でした。それでも、糖質制限始める前は しょっちゅうこんな感じだったんです…高血糖になるからインスリンを打ち…の繰り返しでした。
糖質制限をはじめてからは、(我慢できずに食べてしまうときもあるけど)以前より 確実にインスリンの量は減らせてますし、体調も安定して肌の調子も良くなりました。食材を選べば お腹いっぱい食べられるし、お酒飲めるし(笑)糖質制限食に出会えて本当に良かったと改めて感じています。
だから、食パンは もういりません…食パンは私の敵です(笑)
これからは 欲に負けないよう 少し厳しく頑張りますので、また よろしくお願いいたします。
<(_ _)> 』
みやびさん。いつもコメントありがとうございます。インスリンの量が減らせて体調もよいとのこと良かったです。ヾ(^▽^)
今回は下記の計算法で、1単位のインスリンが、どのくらい血糖値を下げるか実施してみたのですね。
「食事摂取時の計算パターンとして、追加分泌インスリンの役割を担う、超速効型インスリン使用時を考えてみます。
例えば
<朝空腹時血糖値測定>
<朝食前、超速効型インスリンを注射>
<朝食に摂取した糖質のグラム数を計算>
<朝食後1時間血糖値測定>
を行います。
1gの糖質が2型糖尿人の血糖値を約3mg/dl上昇させます。これを基に、仮にインスリン注射前の空腹時血糖値が120mgとすれば、糖質50gを摂取すると、(50g×3mgで)ピークの食後1時間血糖値は150mg上昇して270mgになるはずです。
4単位の超速効型インスリンを打って、食後1時間の血糖値が170mgなら、インスリン注射により(270mg-170mg)100mg血糖値が下がったことになります。そうすると1単位のインスリンが(100mg÷4単位)25mg血糖値を下げたことになります。
1単位のインスリンがどのくらい血糖値を下げるかは、かなり個人差が大きいです。(10mg~80mgなど)ご指摘のように、体調により少しはバラつくこともありますが、大雑把に自分のパターンを把握しておきましょう。」
みやびさんの場合は、超速効型インスリン(ノボラピッドまたはヒューマログ)1単位が、血糖値を約30mgほど低下させるのですね。これが判っていれば、糖質管理食が実行しやすいです。
1gの糖質が約3mg血糖値を上昇させます。例えば食前に3単位注射しておけば<3単位×30mg=90mg>の血糖値上昇をカバーしますから、30g分の糖質入りのケーキやパンを食べても、血糖値はほとんど上昇しません。40g分の糖質を食べても、30mgくらいの血糖値上昇ですみますから、許容範囲ですね。
2008年05月03日 (土) のブログ「糖質制限食時々糖質管理食」で、みやびさんにお伝えしましたように、美味しく楽しく糖質制限食で長続きさせるのが一番大切なことなので、我慢とか根性は要らないと思いますよ。 (^_^)
私の診察している糖尿病患者さんでも、「糖質制限食時々糖質管理食」の方がおられます。仮にAさんとします。
Aさんは、ベースに持続型のインスリン(ランタスなど)を4~6単位注射して、約22時間~24時間、基礎分泌のかわりとし、早朝空腹時血糖値を126mg/dl未満にコントロールしておられます。
スーパー糖質制限食なら、それ以外の注射はいりませんが、時に主食やケーキを摂取するときだけ超速効型インスリンを食前に2~3単位注射して、食後2時間血糖値が180mg/dl未満になるようにコントロールしておられます。
日常的には、ランタス分のインスリンが4~6単位/日の少量でOKです。主食やケーキを食べるときだけ、月に2回くらい6~9単位/日の日があります。年間通して、インスリンの量がこのていどの少量ですめば、体にはとてもやさしいですね。
インスリン注射の量は少ない方が好ましいですから、「糖質制限食時々糖質管理食」がおおいに役に立ってくれますね。
1型糖尿病の人でも、「糖質制限食時々糖質管理食」でインスリン注射の量を、通常のカロリー制限食に比べたら1/3以下に減らせます。
別の患者Bさんの場合は、ランタスを一日一回注射して、主食やケーキを食べる直前に<グルコバイ100mg+グルファスト10mg>内服で、食後血糖値180mg/dl未満ににコントロールしておられます。これなら、外出時にインスリン注射を打たなくてすむので楽ですね。
みやびさん、清く正しくより、関西風ぼちぼちで結構ですので美味しく楽しく「糖質制限食時々糖質管理食」を続けてくださいね。
糖質制限ドットコムhttp://www.toushitsuseigen.com/のローカーボ・ふすまパンやまるごと大豆パンならインスリンも要りませんので仲良くどうぞ。 (^-^)v(^-^)v
江部康二
2008年07月18日 (金)
こんにちは。
7月17日は、祇園祭のクライマックス、山鉾巡行でした。
今朝、高雄病院の看護師さんで真っ赤に日焼けしている人がいたので、「海に行ったの?」って聞いたら、祇園祭をみていてたっぷり焼けたのだそうです。
例年、雨が降ることが多いのですが、今年は、天候に恵まれた祇園祭でした。
さて今回は、パパ林さんから、お酒と翌朝の血糖値についてコメント・質問をいただきました。
『前日のお酒と翌朝の空腹時の血糖値
こんにちは。
お昼だけは(会社なので)ご飯(茶碗の1/2),麺(主にそば)を食べながら朝、夜は糖質制限食をやっているのですが
仕事上、お酒を避けられないのでビルは殆ど飲まず、飲んでも焼酎、ウィスキを主に飲んでますが(つまみは昨日の場合
枝豆、野菜さだら、刺身、秋刀魚焼き、ソーセージなど 糖質の多いものは食べないようにしてます。)酒を飲んだ次の朝の空腹血糖値は今日は96で正常値(簡易測定器で普段は120-135なのに)で何回も同じ傾向を経験してますが 肝臓がアルコールを分解することと朝の空腹血糖値と何らかの関係があるのでしょうか。
私は48歳で父、弟が既に薬を飲みながら血糖値を管理して ますので遺伝ですね。(インスリンの分泌が弱い体質?)
現在背は180cm、体重76kgでお腹は85cm以下で3年 前から定期健診で空腹時126が出て今年入ってからやっと タバコもやめて糖質制限食をしながら運動しながら(運動は 夕食1時間後に必ず45分ほど早い足での歩きをやっております。現在、続けて2ヶ月くらい制限食をしていて朝110-135の間、食後2時間は140以下を維持してます。
今後、引き続きやっていくに参考になることやまだ気づいてないことがあったら教えて頂きたいです。
先生の健勝をお祈りします。
2008/07/16(水) 13:20:11 | URL | パパ林』
パパ林さん。コメントありがとうございます。
糖質制限食を2ヶ月続けられて、早朝空腹時血糖値が110~135mg/dl、食後2時間血糖値が140mg/dl未満なら、まあまあのコントロールですね。
欲を言えば、早朝空腹時血糖値126mg/dl未満なら境界領域レベルですし、110mg/dl未満なら正常ですね。
早朝空腹時血糖値が110mg以上なのは、インスリン基礎分泌が、少し衰えている可能性がありますね。
糖質制限食を続けることで、膵臓が休養できて基礎分泌が回復する人もいますので、是非継続してみてください。
可能ならば、昼もおかずだけにして、その分チーズやナッツで補食して、スーパー糖質制限食にすれば24時間、膵臓が休養できますよ。
「酒を飲んだ次の朝の 空腹血糖値は今日は96で正常値(簡易測定器で普段は 120-135なのに)で何回も同じ傾向を経験してます。」
アルコールそのものは、1gが約7キロカロリーの燃焼エネルギーをもっていますが、摂取時の利用効率は約70%です。
エネルギー源としては、<アルコール→糖質→脂質→タンパク質>の順で利用されます。
またアルコールは、糖質や脂質と違って摂取しても体重増加作用がありませんし、血糖値も上昇させませんし、ビタミンやミネラルにも乏しいので、empty calory と言われています。
それから、アルコールを摂取すると、人体に対する毒物とみなされて優先的に肝臓で分解されますので、その間、同じ補酵素を使う糖新生がブロックされてしまいます。
従って、アルコールを摂取すると結果として、肝臓の糖新生を抑制することとなります。
一定量以上のアルコールを摂取すれば、肝臓の夜間糖新生はブロックされ、翌朝の早朝空腹時血糖値は、下がる可能性が高いです。
パパ林さんのデータも、このパターンで説明できると思います。
なお、空腹時に飲んだりすれば、糖新生が抑制される分、インスリン注射やスルフォニル尿素剤を内服している人は、低血糖を起しやすくなるので、充分な注意が必要です。
江部康二
7月17日は、祇園祭のクライマックス、山鉾巡行でした。
今朝、高雄病院の看護師さんで真っ赤に日焼けしている人がいたので、「海に行ったの?」って聞いたら、祇園祭をみていてたっぷり焼けたのだそうです。
例年、雨が降ることが多いのですが、今年は、天候に恵まれた祇園祭でした。
さて今回は、パパ林さんから、お酒と翌朝の血糖値についてコメント・質問をいただきました。
『前日のお酒と翌朝の空腹時の血糖値
こんにちは。
お昼だけは(会社なので)ご飯(茶碗の1/2),麺(主にそば)を食べながら朝、夜は糖質制限食をやっているのですが
仕事上、お酒を避けられないのでビルは殆ど飲まず、飲んでも焼酎、ウィスキを主に飲んでますが(つまみは昨日の場合
枝豆、野菜さだら、刺身、秋刀魚焼き、ソーセージなど 糖質の多いものは食べないようにしてます。)酒を飲んだ次の朝の空腹血糖値は今日は96で正常値(簡易測定器で普段は120-135なのに)で何回も同じ傾向を経験してますが 肝臓がアルコールを分解することと朝の空腹血糖値と何らかの関係があるのでしょうか。
私は48歳で父、弟が既に薬を飲みながら血糖値を管理して ますので遺伝ですね。(インスリンの分泌が弱い体質?)
現在背は180cm、体重76kgでお腹は85cm以下で3年 前から定期健診で空腹時126が出て今年入ってからやっと タバコもやめて糖質制限食をしながら運動しながら(運動は 夕食1時間後に必ず45分ほど早い足での歩きをやっております。現在、続けて2ヶ月くらい制限食をしていて朝110-135の間、食後2時間は140以下を維持してます。
今後、引き続きやっていくに参考になることやまだ気づいてないことがあったら教えて頂きたいです。
先生の健勝をお祈りします。
2008/07/16(水) 13:20:11 | URL | パパ林』
パパ林さん。コメントありがとうございます。
糖質制限食を2ヶ月続けられて、早朝空腹時血糖値が110~135mg/dl、食後2時間血糖値が140mg/dl未満なら、まあまあのコントロールですね。
欲を言えば、早朝空腹時血糖値126mg/dl未満なら境界領域レベルですし、110mg/dl未満なら正常ですね。
早朝空腹時血糖値が110mg以上なのは、インスリン基礎分泌が、少し衰えている可能性がありますね。
糖質制限食を続けることで、膵臓が休養できて基礎分泌が回復する人もいますので、是非継続してみてください。
可能ならば、昼もおかずだけにして、その分チーズやナッツで補食して、スーパー糖質制限食にすれば24時間、膵臓が休養できますよ。
「酒を飲んだ次の朝の 空腹血糖値は今日は96で正常値(簡易測定器で普段は 120-135なのに)で何回も同じ傾向を経験してます。」
アルコールそのものは、1gが約7キロカロリーの燃焼エネルギーをもっていますが、摂取時の利用効率は約70%です。
エネルギー源としては、<アルコール→糖質→脂質→タンパク質>の順で利用されます。
またアルコールは、糖質や脂質と違って摂取しても体重増加作用がありませんし、血糖値も上昇させませんし、ビタミンやミネラルにも乏しいので、empty calory と言われています。
それから、アルコールを摂取すると、人体に対する毒物とみなされて優先的に肝臓で分解されますので、その間、同じ補酵素を使う糖新生がブロックされてしまいます。
従って、アルコールを摂取すると結果として、肝臓の糖新生を抑制することとなります。
一定量以上のアルコールを摂取すれば、肝臓の夜間糖新生はブロックされ、翌朝の早朝空腹時血糖値は、下がる可能性が高いです。
パパ林さんのデータも、このパターンで説明できると思います。
なお、空腹時に飲んだりすれば、糖新生が抑制される分、インスリン注射やスルフォニル尿素剤を内服している人は、低血糖を起しやすくなるので、充分な注意が必要です。
江部康二
2008年07月17日 (木)
こんにちは。16日に近畿の梅雨があけて、暑さがいや増してる京都です。
今日は、ライブの前のリハーサルの日です。明日の第三金曜ライブ、雨が降っても暑すぎても、お客さんの入りが心配です。
さて今回は、正常人の低血糖のお話しです。
私が31才、まだ糖尿病とは縁がないころで、一日三食主食を食べていた時のことです。
30才でテニスを始めましたから、一番おもしろくてたまらない時期ですね。十数人で一泊二日で滋賀県の信楽までテニス合宿に出かけました。
一泊して翌朝ご飯を食べて、しばらくしてテニスを始めて、食事時間がもったいなくて、結局昼食抜きで試合を続けて夕方4時ごろ終わりました。
車を運転して京都に向かって帰っている途中、急に視野が狭くなって、目が霞んで周囲が暗いように感じました。
動悸とか冷や汗とか低血糖に定番の症状はなかったのですが、すぐに車を止めて自動販売機でスポーツ飲料を買って飲みました。
すぐに回復して運転して帰りましたが、低血糖だったと思います。(=_=;)
二回目は初めて本断食をした、1984年、34才のときです。
1000→700→300キロカロリーと漸減して、ゼロカロリーになった最初の2日間は軽い立ち眩み・脱力感がありました。
3日目は血糖値35mg/dlで、発汗、動悸、頻脈、顔面蒼白、脱力感という低血糖症状オンパレードでしたが、午前の外来はちゃんとやり抜きましたよ。
通常60mg/dl以下が低血糖ですから、35mgは半端じゃないです。脳がケトン体を利用してなかったら、私の命は34才で終わっていたかも・・・。
とはいっても、スタッフには見栄を張って大丈夫とか言ってましたが、外来が終わったらヘロヘロで、個室のベットでしばらく横になってました。(;ー;)
本断食を高雄病院で積極的に実施していたころは、大多数の断食患者さんが、何らかの低血糖症状を起こしてました。廊下で倒れたりとか、症状が強いときは、断食を中止して点滴をすることもありました。
また、私が20歳代で京大胸部疾患研究所で働いていたころ、忙しくて朝昼食事抜きでぶっ通しに仕事していた同僚の医師が、意識が低下するレベルの低血糖発作を起こしたことがあります。
このように、正常人が低血糖を起こすとすれば、絶食が長引いたとき、軽い食事の後、長く強い運動を続けたときなどでしょうか。
なお糖尿病ではないのですが、機能性低血糖という病気があります。日本ではまだ認知度が低いのですが欧米ではそこそこあるようです。
2008年03月24日 ブログ、「糖質摂取と眠気・・・機能性低血糖」をご参照ください。
江部康二
今日は、ライブの前のリハーサルの日です。明日の第三金曜ライブ、雨が降っても暑すぎても、お客さんの入りが心配です。
さて今回は、正常人の低血糖のお話しです。
私が31才、まだ糖尿病とは縁がないころで、一日三食主食を食べていた時のことです。
30才でテニスを始めましたから、一番おもしろくてたまらない時期ですね。十数人で一泊二日で滋賀県の信楽までテニス合宿に出かけました。
一泊して翌朝ご飯を食べて、しばらくしてテニスを始めて、食事時間がもったいなくて、結局昼食抜きで試合を続けて夕方4時ごろ終わりました。
車を運転して京都に向かって帰っている途中、急に視野が狭くなって、目が霞んで周囲が暗いように感じました。
動悸とか冷や汗とか低血糖に定番の症状はなかったのですが、すぐに車を止めて自動販売機でスポーツ飲料を買って飲みました。
すぐに回復して運転して帰りましたが、低血糖だったと思います。(=_=;)
二回目は初めて本断食をした、1984年、34才のときです。
1000→700→300キロカロリーと漸減して、ゼロカロリーになった最初の2日間は軽い立ち眩み・脱力感がありました。
3日目は血糖値35mg/dlで、発汗、動悸、頻脈、顔面蒼白、脱力感という低血糖症状オンパレードでしたが、午前の外来はちゃんとやり抜きましたよ。
通常60mg/dl以下が低血糖ですから、35mgは半端じゃないです。脳がケトン体を利用してなかったら、私の命は34才で終わっていたかも・・・。
とはいっても、スタッフには見栄を張って大丈夫とか言ってましたが、外来が終わったらヘロヘロで、個室のベットでしばらく横になってました。(;ー;)
本断食を高雄病院で積極的に実施していたころは、大多数の断食患者さんが、何らかの低血糖症状を起こしてました。廊下で倒れたりとか、症状が強いときは、断食を中止して点滴をすることもありました。
また、私が20歳代で京大胸部疾患研究所で働いていたころ、忙しくて朝昼食事抜きでぶっ通しに仕事していた同僚の医師が、意識が低下するレベルの低血糖発作を起こしたことがあります。
このように、正常人が低血糖を起こすとすれば、絶食が長引いたとき、軽い食事の後、長く強い運動を続けたときなどでしょうか。
なお糖尿病ではないのですが、機能性低血糖という病気があります。日本ではまだ認知度が低いのですが欧米ではそこそこあるようです。
2008年03月24日 ブログ、「糖質摂取と眠気・・・機能性低血糖」をご参照ください。
江部康二
2008年07月16日 (水)
おはようございます。
今回は、mimikichi さんから、低血糖についてコメント・質問をいただきました。
『08/07/14 mimikichi
目下の悩みは低血糖
初めてコメントします。
インターネットで『グルコーススパイク』を検索中に先生のブログにめぐり会いました。
すぐに先生の著書「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」「 〃 実践編」および釜池先生の「糖質ゼロの食事術」を読破し、現在スーパー糖質制限食を実践し始めて1か月が経過したところです。
食後過血糖の改善についは素晴らしい効果が得られているのですが、目下の悩みは『低血糖』なのです。
血糖測定が可能な夕食前で40台になることも珍しくなく、仕事中は測定できませんが極度の倦怠感で階段が昇れなくなって立ち止まることなどしょっちゅうです。
インスリン注射やSU剤などの経口血糖降下剤の服用はしていません。糖質制限食を始める前は食後血糖値(1時間)が200超でしたので反応性の低血糖だと考えていたのですが、食事療法を開始して食後過血糖がなくなってからも低血糖症に悩まされています。
本日のブログに
「次回はインスリン注射や経口血糖降下剤(インスリン分泌促進剤)の内服をしていない糖尿人の低血糖についてです。 また正常人の低血糖についても考えてみます。」
とありましたので、とても楽しみにしています。
よろしくおねがいいたします。』
mimikichi さん。コメントそして、本のご購入ありがとうございます。
mimikichi さんの低血糖ですが、内服薬もインスリン注射もなしで糖質制限食実践中とすれば、まれなことですね。
糖質制限食により高血糖は改善しますが、低血糖には通常なりません。
昨日のブログに書きましたように、糖質制限食だとインスリンの追加分泌が少なくてすむので、糖質摂取時に比べると低血糖になりにくいのです。
また通常、空腹時には肝臓でグリコーゲンを分解してブドウ糖に変え、またアミノ酸などからブドウ糖を作りますので、低血糖にならないシステムがあるのですが・・・。(∵)?
「極度の倦怠感で階段が昇れなくなって立ち止まることなどしょっちゅうです。」
今までにも、mimikichiさんと同様の訴えをされる糖尿病患者さんが、時々おられました。
可能性として、少食過ぎて低カロリーとなっているかもしれませんね。(=_=;)
主食抜きで、一回に500キロカロリー摂取というのは、もともと少食の人には結構きついようで、ご高齢の入院患者さん、高雄病院の糖質制限食の給食を、全量摂取できないこともあります。
外来でも「血糖値は下がったけど、痩せて力が入らない。」といった症状を訴えられる糖尿人がたまにおられ、栄養士が計算したら1000キロカロリー/日をきっていることもありました。
これでは、まずエネルギー不足でヘロヘロになりますし、さすがに断食に近い状態で低血糖にもなるでしょう。 (*_*)
一回の食事の量が少なくて、カロリー不足になりがちな人は、ナッツ類や果物類の間食がよいと思います。
ナッツ類は、袋の表示をみて「糖質摂取量5g」ていどを一日2~3回食べて良いです。
1gの糖質が3mg血糖値を上昇させますが、許容範囲ですね。
ナッツ類に含まれるタンパク質が、平均3時間くらいで半分血糖に変わるので、長時間低血糖にもなりにくいですよ。(^_^)
果物に含まれる糖質は、「果糖・ショ糖・ブドウ糖」です。このうちメインの果糖は、血糖値をほとんど上昇させません。
このため、ややアバウトですが、果物の糖質1gが1.5mg血糖値をあげる計算でよいと思います。
このように、果物の糖質は、血糖値の上昇がデンプンの半分くらいですみます。
従って、1回10gていどの糖質量の果物なら、食後高血糖にはなりにくいですが、カロリーはありますので、体重も増えます。やはり1日に2~3回OKです。
100gあたり糖質10g以下の果物は、いちご7粒、パパイア1/2個、グレープフルーツ1/4個、夏みかん1/4個、はっさく1/3個、メロン1/8個、もも2/3個、りんご1/3個などです。アボカドは別格で1個食べても糖質は0.9gです。
mimikichi さんも肉・魚・豆腐・野菜・チーズなど糖質制限OK食品を
しっかり食べていただき、時々ナッツ類や果物を捕食してもらえば、低血糖とはおさらばできると思いますよ。ヾ(^▽^)
江部康二
今回は、mimikichi さんから、低血糖についてコメント・質問をいただきました。
『08/07/14 mimikichi
目下の悩みは低血糖
初めてコメントします。
インターネットで『グルコーススパイク』を検索中に先生のブログにめぐり会いました。
すぐに先生の著書「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」「 〃 実践編」および釜池先生の「糖質ゼロの食事術」を読破し、現在スーパー糖質制限食を実践し始めて1か月が経過したところです。
食後過血糖の改善についは素晴らしい効果が得られているのですが、目下の悩みは『低血糖』なのです。
血糖測定が可能な夕食前で40台になることも珍しくなく、仕事中は測定できませんが極度の倦怠感で階段が昇れなくなって立ち止まることなどしょっちゅうです。
インスリン注射やSU剤などの経口血糖降下剤の服用はしていません。糖質制限食を始める前は食後血糖値(1時間)が200超でしたので反応性の低血糖だと考えていたのですが、食事療法を開始して食後過血糖がなくなってからも低血糖症に悩まされています。
本日のブログに
「次回はインスリン注射や経口血糖降下剤(インスリン分泌促進剤)の内服をしていない糖尿人の低血糖についてです。 また正常人の低血糖についても考えてみます。」
とありましたので、とても楽しみにしています。
よろしくおねがいいたします。』
mimikichi さん。コメントそして、本のご購入ありがとうございます。
mimikichi さんの低血糖ですが、内服薬もインスリン注射もなしで糖質制限食実践中とすれば、まれなことですね。
糖質制限食により高血糖は改善しますが、低血糖には通常なりません。
昨日のブログに書きましたように、糖質制限食だとインスリンの追加分泌が少なくてすむので、糖質摂取時に比べると低血糖になりにくいのです。
また通常、空腹時には肝臓でグリコーゲンを分解してブドウ糖に変え、またアミノ酸などからブドウ糖を作りますので、低血糖にならないシステムがあるのですが・・・。(∵)?
「極度の倦怠感で階段が昇れなくなって立ち止まることなどしょっちゅうです。」
今までにも、mimikichiさんと同様の訴えをされる糖尿病患者さんが、時々おられました。
可能性として、少食過ぎて低カロリーとなっているかもしれませんね。(=_=;)
主食抜きで、一回に500キロカロリー摂取というのは、もともと少食の人には結構きついようで、ご高齢の入院患者さん、高雄病院の糖質制限食の給食を、全量摂取できないこともあります。
外来でも「血糖値は下がったけど、痩せて力が入らない。」といった症状を訴えられる糖尿人がたまにおられ、栄養士が計算したら1000キロカロリー/日をきっていることもありました。
これでは、まずエネルギー不足でヘロヘロになりますし、さすがに断食に近い状態で低血糖にもなるでしょう。 (*_*)
一回の食事の量が少なくて、カロリー不足になりがちな人は、ナッツ類や果物類の間食がよいと思います。
ナッツ類は、袋の表示をみて「糖質摂取量5g」ていどを一日2~3回食べて良いです。
1gの糖質が3mg血糖値を上昇させますが、許容範囲ですね。
ナッツ類に含まれるタンパク質が、平均3時間くらいで半分血糖に変わるので、長時間低血糖にもなりにくいですよ。(^_^)
果物に含まれる糖質は、「果糖・ショ糖・ブドウ糖」です。このうちメインの果糖は、血糖値をほとんど上昇させません。
このため、ややアバウトですが、果物の糖質1gが1.5mg血糖値をあげる計算でよいと思います。
このように、果物の糖質は、血糖値の上昇がデンプンの半分くらいですみます。
従って、1回10gていどの糖質量の果物なら、食後高血糖にはなりにくいですが、カロリーはありますので、体重も増えます。やはり1日に2~3回OKです。
100gあたり糖質10g以下の果物は、いちご7粒、パパイア1/2個、グレープフルーツ1/4個、夏みかん1/4個、はっさく1/3個、メロン1/8個、もも2/3個、りんご1/3個などです。アボカドは別格で1個食べても糖質は0.9gです。
mimikichi さんも肉・魚・豆腐・野菜・チーズなど糖質制限OK食品を
しっかり食べていただき、時々ナッツ類や果物を捕食してもらえば、低血糖とはおさらばできると思いますよ。ヾ(^▽^)
江部康二
2008年07月15日 (火)
おはようございます。
今日は、祇園祭りの宵々山です。毎年祇園祭りの時期、いやはや暑いです。
今年は、急に本格的に暑くなりました。「糖質制限食講演会in大阪」会場は、クーラーがよくきいていたのですが、行き帰りの「背広にネクタイ」は、難行苦行でした(*_*)
私は、講演のときだけ背広にネクタイですが、サラリーマン諸兄の日頃のご苦労、ご察し申し上げます。
さて今回は、昨日に続き、低血糖のお話しです。
下記は、ある20代の糖尿病患者さんの、血糖値の日内変動です。
カロリー制限の従来の糖尿病食、1400キロカロリーで糖質たっぷり食です。
7:30 :88mg/dl 朝食前血糖値
8:00 朝食
10:00 :321mg 朝食後2時間血糖値
11:30 :212mg 昼食前血糖値
12:00 昼食
14:00 :178mg 昼食後2時間血糖値
17:30 :88mg 夕食前血糖値
18:00 夕食
20:00 :261mg 夕食後2時間血糖値
22:00 :222mg 眠前血糖値
この方は、薬は一切飲んでおられません。
このデータで興味深いのは、朝食後2時間血糖値は、321mgとすごいグルコーススパイクを生じているのに、昼食後2時間血糖値は178mgで、昼食前血糖値よりかえって下がっていることです。
通常のカロリー制限の糖尿病食ですから、普通に主食(糖質)を食べてのデータです。
なぜこのような、一間不思議な検査値になるのでしょう?
朝食摂取後、まずすぐにインスリン追加分泌の第一相がでます。その後、追加分泌の第二相がでます。
2型糖尿病患者さんでは、第一相の低下・欠落、第二相の低下・遷延などがみられます。
朝食後2時間値が321mgなので、第二相は低下していますね。
朝食後3時間半の11:30に、212mgなので、遷延して第二相のインスリンが出続けています。
12:00に昼食を摂取したとき、もう一回、インスリン追加分泌第一相がでて、その後、第二相が追加分泌されます。
このとき、遷延していた朝食後の追加分泌第二相のインスリンに重なる形で、昼食分のインスリンが分泌されたと考えられます。
そのため、昼食後2時間の血糖値が178mgと、昼食前の212mgより低下するという、逆転現象が起こったのでしょう。
さらに、お昼分のインスリンが、遷延して出続けているので、5時間半後の17:30には、88mgまで下がっています。
遷延した追加分泌のインスリンは、約5~6時間続くようです。
夕食後は、昼食のインスリンの影響は切れているので、通常のパターン戻っています。
遷延した追加分泌のインスリンは、約5~6時間続くのが糖尿人の特徴で、正常人では、血糖値が下がったら、すぐ分泌は止まるので1~2時間です。
この方は、入院前は、夕方5時頃からエアロビクスなどしたら、よく低血糖になっていたそうです。
遷延したインスリン追加分泌に加えて、運動により血糖が筋肉に取り込まれ、低血糖になっていたのでしょう。
糖質制限食に切り替えてからは、運動をしても、低血糖発作を起こすことはなくなりました。
糖質制限食だとインスリン分泌の量が減るので、低血糖も起こりにくくなります。
また、運動前の間食には、ナッツ類がよいと思います。ナッツ類なら、少量の糖質と適量のタンパク質が含まれているので、高血糖も生じにくいし、タンパク質分長持ちするので低血糖にもなりにくいです。
インスリン注射もせず、薬も一切飲んでないのに低血糖を起こす糖尿人は、本ブログの患者さんと、同様のパターンが多いと思います。
このような方は、糖質制限食とナッツ類の捕食で、低血糖発作が防げると思います(^_^)
江部康二
今日は、祇園祭りの宵々山です。毎年祇園祭りの時期、いやはや暑いです。
今年は、急に本格的に暑くなりました。「糖質制限食講演会in大阪」会場は、クーラーがよくきいていたのですが、行き帰りの「背広にネクタイ」は、難行苦行でした(*_*)
私は、講演のときだけ背広にネクタイですが、サラリーマン諸兄の日頃のご苦労、ご察し申し上げます。
さて今回は、昨日に続き、低血糖のお話しです。
下記は、ある20代の糖尿病患者さんの、血糖値の日内変動です。
カロリー制限の従来の糖尿病食、1400キロカロリーで糖質たっぷり食です。
7:30 :88mg/dl 朝食前血糖値
8:00 朝食
10:00 :321mg 朝食後2時間血糖値
11:30 :212mg 昼食前血糖値
12:00 昼食
14:00 :178mg 昼食後2時間血糖値
17:30 :88mg 夕食前血糖値
18:00 夕食
20:00 :261mg 夕食後2時間血糖値
22:00 :222mg 眠前血糖値
この方は、薬は一切飲んでおられません。
このデータで興味深いのは、朝食後2時間血糖値は、321mgとすごいグルコーススパイクを生じているのに、昼食後2時間血糖値は178mgで、昼食前血糖値よりかえって下がっていることです。
通常のカロリー制限の糖尿病食ですから、普通に主食(糖質)を食べてのデータです。
なぜこのような、一間不思議な検査値になるのでしょう?
朝食摂取後、まずすぐにインスリン追加分泌の第一相がでます。その後、追加分泌の第二相がでます。
2型糖尿病患者さんでは、第一相の低下・欠落、第二相の低下・遷延などがみられます。
朝食後2時間値が321mgなので、第二相は低下していますね。
朝食後3時間半の11:30に、212mgなので、遷延して第二相のインスリンが出続けています。
12:00に昼食を摂取したとき、もう一回、インスリン追加分泌第一相がでて、その後、第二相が追加分泌されます。
このとき、遷延していた朝食後の追加分泌第二相のインスリンに重なる形で、昼食分のインスリンが分泌されたと考えられます。
そのため、昼食後2時間の血糖値が178mgと、昼食前の212mgより低下するという、逆転現象が起こったのでしょう。
さらに、お昼分のインスリンが、遷延して出続けているので、5時間半後の17:30には、88mgまで下がっています。
遷延した追加分泌のインスリンは、約5~6時間続くようです。
夕食後は、昼食のインスリンの影響は切れているので、通常のパターン戻っています。
遷延した追加分泌のインスリンは、約5~6時間続くのが糖尿人の特徴で、正常人では、血糖値が下がったら、すぐ分泌は止まるので1~2時間です。
この方は、入院前は、夕方5時頃からエアロビクスなどしたら、よく低血糖になっていたそうです。
遷延したインスリン追加分泌に加えて、運動により血糖が筋肉に取り込まれ、低血糖になっていたのでしょう。
糖質制限食に切り替えてからは、運動をしても、低血糖発作を起こすことはなくなりました。
糖質制限食だとインスリン分泌の量が減るので、低血糖も起こりにくくなります。
また、運動前の間食には、ナッツ類がよいと思います。ナッツ類なら、少量の糖質と適量のタンパク質が含まれているので、高血糖も生じにくいし、タンパク質分長持ちするので低血糖にもなりにくいです。
インスリン注射もせず、薬も一切飲んでないのに低血糖を起こす糖尿人は、本ブログの患者さんと、同様のパターンが多いと思います。
このような方は、糖質制限食とナッツ類の捕食で、低血糖発作が防げると思います(^_^)
江部康二
2008年07月14日 (月)
こんばんは。今回は低血糖のお話しです。
通常、糖尿病の人で低血糖が問題になるのは、インスリン注射を打っている人や、経口血糖降下剤(インスリン分泌促進剤)を内服している人です。つまり、インスリン作用の相対的過剰が、低血糖の最も多い原因というわけです。
低血糖症状は、発汗、不安、動悸、頻脈、手指の震え、顔面蒼白・・・、頭痛、目のかすみ、空腹感、眠気(生あくび)・・・、
さらに進行していけば、意識レベルの低下、けいれん、昏睡といった生命の危険が伴う症状が出現します。
インスリン注射や経口血糖降下剤の量を間違えたり、食事が遅れたり、食事の量がいつもより少なかったりすると低血糖の誘因となりやすいです。
また、いつもより強く長い運動をすれば、その最中や運動後など、筋肉が収縮して血糖を取り込む分、低血糖になりやすいです。
もう一つ、一番注意がいるのは、薬を使用している人が、飲酒を大量にした場合です。アルコールが肝の糖新生をじゃましますから、低血糖になりやすいし、アルコールが残っている間は治りにくいので、二重に危険です。
低血糖の治療には、何と言ってもブドウ糖の内服が一番です。特にグルコバイなどαグルコシダーゼ阻害薬を服用中の場合、ブドウ糖のみが有効です。インスリン注射や経口血糖降下剤内服している糖尿人は必ず常に、ブドウ糖10gを二袋ほど携帯しておいてくださいね。☆(u_u)☆
αグルコシダーゼ単独使用の場合は、低血糖は理論的には生じませんが、経口血糖降下剤(インスリン分泌促進剤)と併用の場合は低血糖がありえますので・・・
次回は、インスリン注射や経口血糖降下剤(インスリン分泌促進剤)の内服をしていない糖尿人の低血糖についてです。また、正常人の低血糖についても考えてみます。
江部康二
通常、糖尿病の人で低血糖が問題になるのは、インスリン注射を打っている人や、経口血糖降下剤(インスリン分泌促進剤)を内服している人です。つまり、インスリン作用の相対的過剰が、低血糖の最も多い原因というわけです。
低血糖症状は、発汗、不安、動悸、頻脈、手指の震え、顔面蒼白・・・、頭痛、目のかすみ、空腹感、眠気(生あくび)・・・、
さらに進行していけば、意識レベルの低下、けいれん、昏睡といった生命の危険が伴う症状が出現します。
インスリン注射や経口血糖降下剤の量を間違えたり、食事が遅れたり、食事の量がいつもより少なかったりすると低血糖の誘因となりやすいです。
また、いつもより強く長い運動をすれば、その最中や運動後など、筋肉が収縮して血糖を取り込む分、低血糖になりやすいです。
もう一つ、一番注意がいるのは、薬を使用している人が、飲酒を大量にした場合です。アルコールが肝の糖新生をじゃましますから、低血糖になりやすいし、アルコールが残っている間は治りにくいので、二重に危険です。
低血糖の治療には、何と言ってもブドウ糖の内服が一番です。特にグルコバイなどαグルコシダーゼ阻害薬を服用中の場合、ブドウ糖のみが有効です。インスリン注射や経口血糖降下剤内服している糖尿人は必ず常に、ブドウ糖10gを二袋ほど携帯しておいてくださいね。☆(u_u)☆
αグルコシダーゼ単独使用の場合は、低血糖は理論的には生じませんが、経口血糖降下剤(インスリン分泌促進剤)と併用の場合は低血糖がありえますので・・・
次回は、インスリン注射や経口血糖降下剤(インスリン分泌促進剤)の内服をしていない糖尿人の低血糖についてです。また、正常人の低血糖についても考えてみます。
江部康二
2008年07月13日 (日)
こんばんは。
「糖質制限食講演会in大阪」を無事終了してさきほど帰宅しました。
今回の講演会も大盛況で、休憩時間も質問が相次いで、結局2時間15分くらいぶっ通しでしゃべってました。
休憩時間はなかったけれど、参加者の皆さん大変な熱気で、私も嬉しい限りでした。(^-^)v(^-^)v
12:30に開場予定でしたが、12:00頃にはどんどん参加者が増えて、早めに開場となりました。
こんなに早くからたくさんの人に来ていただいた講演会は初めてで、感動ですね。
協賛していただいたメーカーさん。
地元大阪代表、ウエダ食品さんの蒟蒻麺シリーズ、
京都洛北鞍馬寺御用達 尾崎食品さんの寒天じゅれ、
京都西院「菓子職人」さんの「低糖質生チョコレート」と「低糖質チーズケーキ」、
「ラカントS」のサラヤさん、
大本山 京都南禅寺御用達 服部食品さんの「南禅寺豆腐」、
京和菓子処 布袋餅菓舗さんの砂糖、小麦粉不使用、大豆粉使用の和菓子、
“手作りパン教室 パンの耳”さんのローカーボふすまパン、
各ブースとも門前市をなす盛況で、参加者の皆さんおおいにご満足いただけたかなと、とても嬉しく思っています。 (^_^)
今回の講演会は、ブログで2回参加募集しただけで、新聞社の掲載もなくビラも配りませんでしたが、講演2週間前には満員御礼となり、締め切りとさせていただきました。
これほどの反響は、過去の講演会でも初めてで、糖質制限食の普及が、いよいよ本格的に広まっている手応えを感じました。
これもひとえに、ブログ読者の皆さんの、草の根的な糖質制限食普及協力活動のたまものと、感謝感激です。あらためて御礼申し上げます。m(_ _)mV
また、全国各地で糖質制限食講演会を開催していきたいと思っておりますので、今後ともご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
なお、講演内容のレジメを簡単でもいいので作って配布して欲しいとのご意見がありましたので、今後の講演会に反映させていきたいと思っております。
江部康二
「糖質制限食講演会in大阪」を無事終了してさきほど帰宅しました。
今回の講演会も大盛況で、休憩時間も質問が相次いで、結局2時間15分くらいぶっ通しでしゃべってました。
休憩時間はなかったけれど、参加者の皆さん大変な熱気で、私も嬉しい限りでした。(^-^)v(^-^)v
12:30に開場予定でしたが、12:00頃にはどんどん参加者が増えて、早めに開場となりました。
こんなに早くからたくさんの人に来ていただいた講演会は初めてで、感動ですね。
協賛していただいたメーカーさん。
地元大阪代表、ウエダ食品さんの蒟蒻麺シリーズ、
京都洛北鞍馬寺御用達 尾崎食品さんの寒天じゅれ、
京都西院「菓子職人」さんの「低糖質生チョコレート」と「低糖質チーズケーキ」、
「ラカントS」のサラヤさん、
大本山 京都南禅寺御用達 服部食品さんの「南禅寺豆腐」、
京和菓子処 布袋餅菓舗さんの砂糖、小麦粉不使用、大豆粉使用の和菓子、
“手作りパン教室 パンの耳”さんのローカーボふすまパン、
各ブースとも門前市をなす盛況で、参加者の皆さんおおいにご満足いただけたかなと、とても嬉しく思っています。 (^_^)
今回の講演会は、ブログで2回参加募集しただけで、新聞社の掲載もなくビラも配りませんでしたが、講演2週間前には満員御礼となり、締め切りとさせていただきました。
これほどの反響は、過去の講演会でも初めてで、糖質制限食の普及が、いよいよ本格的に広まっている手応えを感じました。
これもひとえに、ブログ読者の皆さんの、草の根的な糖質制限食普及協力活動のたまものと、感謝感激です。あらためて御礼申し上げます。m(_ _)mV
また、全国各地で糖質制限食講演会を開催していきたいと思っておりますので、今後ともご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
なお、講演内容のレジメを簡単でもいいので作って配布して欲しいとのご意見がありましたので、今後の講演会に反映させていきたいと思っております。
江部康二
2008年07月11日 (金)
こんばんは。
7.10のブログで、超速効型インスリンのお話しをしました。2型糖尿病の場合、糖質制限食を実践する限りは、超速効型インスリンが必要なことは、あまりありません。
なぜなら、糖質制限食により食後高血糖が起こらなくなるので、食後高血糖を改善する目的の、超速効型インスリンを使用することはまれだからです。
一方、あるていど糖尿病歴が長くて、膵臓のβ細胞がすでに一定のダメージを受けていて、基礎分泌のインスリンがかなり不足している場合は、糖質制限食で食後高血糖はあるていど防げても、早朝空腹時血糖値が140mgを超えてくることがあります。
スーパー糖質制限食を2~3週間続けて、早朝空腹時血糖値が200mg→100mg/dlと改善したような入院患者さんもおられました。
しかし、入院して徹底的にスーパー糖質制限食を続けても、早朝空腹時血糖値が140mgどころか
200mg近い糖尿人もたまにおられます。(=_=;)
こういう方は、基礎分泌のインスリンが絶対的に不足しているので、さすがに糖質制限食でも、早朝空腹時血糖値は改善しません。
このとき、一日一回、例えば寝る前に、持続型インスリン(例えばランタスソロスター)を注射することで問題が解決します。
ランタスの一回注射で基礎分泌を補い、後は糖質制限食を実践して、血糖コントロールは一日中良好というパターンが実現できます。 (^_^)
持続型インスリンは血中濃度のピークがないので、中間型インスリンに比べて低血糖が生じにくく使いやすい利点があります。
Bさんは、入院してスーパー糖質制限食を続けても、
早朝空腹時血糖値180mg~200mg/dlが続きました。
食後血糖値も160mg~220mg/dlとすっきりしません。
意を決して、午後10時にランタス4単位を開始したところ
空腹時血糖値は180mg→翌日160mg/dlとなりました。
さらにランタス6単位に増やしたら
空腹時血糖値は160mg→翌日140mg/dlと下がりました。
さらに8単位に増やしたら
空腹時血糖値は140mg→翌日110mg/dlと改善しました。
このときには日内変動血糖値も全て正常値におさまりました。(^-^)v(^-^)v
入院中は、このようにきめ細かく調整します。持続型の場合は超速効型と比べて、単純に1単位のインスリンが、早朝空腹時血糖値を何mg下げるというパターン計算は成り立ちにくいので、上述のように微調整します。
最終的に安定した時点で、高雄病院の場合、低血糖への安全率をかけて、目標値を<早朝空腹時血糖値85~125mg/dl>に設定して
①126mg以上なら、ランタス1単位増量
②140mg以上なら、ランタス2単位増量
③84mg以下なら、ランタス1単位減量
④70mg以下なら、ランタス2単位減量
といった基準で調整していきます。
例えば、8単位のランタスを注射して、翌朝血糖値が130mgなら、その日は9単位打ちます。8単位のランタスを注射して、翌朝血糖値が65mgなら、その日は6単位に減量して打ちます。
一日一回の注射ですめば、旅行や外食の時の生活の質はとても向上しますので<ランタスソロスター一日一回注射+糖質制限食>というパターン、基礎分泌の絶対量が不足している2型糖尿人には、なかなかのお奨めです。ヾ(^▽^)
江部康二
7.10のブログで、超速効型インスリンのお話しをしました。2型糖尿病の場合、糖質制限食を実践する限りは、超速効型インスリンが必要なことは、あまりありません。
なぜなら、糖質制限食により食後高血糖が起こらなくなるので、食後高血糖を改善する目的の、超速効型インスリンを使用することはまれだからです。
一方、あるていど糖尿病歴が長くて、膵臓のβ細胞がすでに一定のダメージを受けていて、基礎分泌のインスリンがかなり不足している場合は、糖質制限食で食後高血糖はあるていど防げても、早朝空腹時血糖値が140mgを超えてくることがあります。
スーパー糖質制限食を2~3週間続けて、早朝空腹時血糖値が200mg→100mg/dlと改善したような入院患者さんもおられました。
しかし、入院して徹底的にスーパー糖質制限食を続けても、早朝空腹時血糖値が140mgどころか
200mg近い糖尿人もたまにおられます。(=_=;)
こういう方は、基礎分泌のインスリンが絶対的に不足しているので、さすがに糖質制限食でも、早朝空腹時血糖値は改善しません。
このとき、一日一回、例えば寝る前に、持続型インスリン(例えばランタスソロスター)を注射することで問題が解決します。
ランタスの一回注射で基礎分泌を補い、後は糖質制限食を実践して、血糖コントロールは一日中良好というパターンが実現できます。 (^_^)
持続型インスリンは血中濃度のピークがないので、中間型インスリンに比べて低血糖が生じにくく使いやすい利点があります。
Bさんは、入院してスーパー糖質制限食を続けても、
早朝空腹時血糖値180mg~200mg/dlが続きました。
食後血糖値も160mg~220mg/dlとすっきりしません。
意を決して、午後10時にランタス4単位を開始したところ
空腹時血糖値は180mg→翌日160mg/dlとなりました。
さらにランタス6単位に増やしたら
空腹時血糖値は160mg→翌日140mg/dlと下がりました。
さらに8単位に増やしたら
空腹時血糖値は140mg→翌日110mg/dlと改善しました。
このときには日内変動血糖値も全て正常値におさまりました。(^-^)v(^-^)v
入院中は、このようにきめ細かく調整します。持続型の場合は超速効型と比べて、単純に1単位のインスリンが、早朝空腹時血糖値を何mg下げるというパターン計算は成り立ちにくいので、上述のように微調整します。
最終的に安定した時点で、高雄病院の場合、低血糖への安全率をかけて、目標値を<早朝空腹時血糖値85~125mg/dl>に設定して
①126mg以上なら、ランタス1単位増量
②140mg以上なら、ランタス2単位増量
③84mg以下なら、ランタス1単位減量
④70mg以下なら、ランタス2単位減量
といった基準で調整していきます。
例えば、8単位のランタスを注射して、翌朝血糖値が130mgなら、その日は9単位打ちます。8単位のランタスを注射して、翌朝血糖値が65mgなら、その日は6単位に減量して打ちます。
一日一回の注射ですめば、旅行や外食の時の生活の質はとても向上しますので<ランタスソロスター一日一回注射+糖質制限食>というパターン、基礎分泌の絶対量が不足している2型糖尿人には、なかなかのお奨めです。ヾ(^▽^)
江部康二
2008年07月10日 (木)
こんばんは。1単位のインスリンはどのていど血糖値をさげるのでしょうか?
今回は、みやびさんから、コメント・質問をいただきました。まずは、一番シンプルな超速効型インスリンで考えてみます。
『1単位のインスリンで どれだけ下がるのか?
先生 こんばんは☆いつもブログ拝見させていただいております☆先日、東京講演会での資料プリントと 自分でまとめたレポートを 職場仲間にコピーしてあげたら、すごく興味をもってくれたらしく、またレポートも『よくまとまってる』と 誉めてもらえました☆職場仲間は ダイエットに糖質制限を始めましたよ☆じわじわとではありますが、自分も周りに糖質制限食を広めるお手伝いをしていきたいと思っています☆
さて、今回 またまたお馬鹿なみやびの話を聞いてください。
今朝は血糖値が213mg/dlもありました。最近 真面目に糖質制限してたのに、今朝はまたずいぶんと上がってしまい、理由がわからず 納得もいかず 凹みました。
朝7時半頃、ノボラピッド300を3単位打ちました。食事はとってません(危険なやり方ですが)。その後 仕事に行き、約5時間後 昼食前に測ったら166mg/dlでした(まだ これでも高い…)
何気なくとった行動でしたが、どうやら自分で実験していたようです(笑)家に帰って計算してみたら、朝から昼で47mg/dl下がってました。これは、1単位のインスリンで15~16mg/dl下がったと解釈しても良いでしょうか?インスリンの効き具合が、自分の身体では 1単位でいつもこのくらいと考えても良いでしょうか?
東京講演会で 先生とお話させていただいたとき、糖質のカウントをすることと 『1単位のインスリンで どれくらい下がるかは個人差があるから、自分の身体で計算してみるといいですよ』と 先生からご教示いただいたことを、ふと思い出したのです。
それとも、体型によってインスリンの効き具合が異なるように、その日の体調でも下がり具合は異なるのでしょうか?
夜打ちの 30ミックスでも、同じような計算で良いですか?
質問ばかりになってしまい 申し訳ありません。お忙しい中恐縮ですが、ご教示いただけたらと思います。
2008/07/09(水) 19:51:52 | URL | みやび』
みやびさん。コメントそして糖質制限食普及活動ありがとうございます。
早朝空腹時血糖値が213mgで、超速効型インスリンのノボラピッド300(インスリンアスパルト)を3単位打って昼前166mgに低下。
超速効型インスリンは10~20分で作用発現し、最大効果は1~3時間、持続時間は3~5時間です。
食事無しだとすると仰る通り、単純に「47mg÷3単位」で1単位の超速効型インスリンが15~16mg血糖値を下げた計算ですね。
ノボラピッド30ミックスは、超速効型のインスリンアスパルト30%と、長く効果を発揮するように加工した中間型インスリンアスパルト(プロタミン結晶性インスリンアスパルト)が、70%含まれています。
従って血糖値を下げる効果は2相性となるので、単純計算はややしにくいですね。作用発現時間は10~20分、持続時間は約24時間です。
食事摂取時の計算パターンとして、追加分泌インスリンの役割を担う、超速効型インスリン使用時を考えてみます。
例えば
<朝空腹時血糖値測定>
<朝食前、超速効型インスリンを注射>
<朝食に摂取した糖質のグラム数を計算>
<朝食後1時間血糖値測定>
を行います。
1gの糖質が2型糖尿人の血糖値を約3mg/dl上昇させます。これを基に、仮にインスリン注射前の空腹時血糖値が120mgとすれば、糖質50gを摂取すると、(50g×3mgで)ピークの食後1時間血糖値は150mg上昇して270mgになるはずです。
4単位の超速効型インスリンを打って、食後1時間の血糖値が170mgなら、インスリン注射により(270mg-170mg)100mg血糖値が下がったことになります。そうすると1単位のインスリンが(100mg÷4単位)25mg血糖値を下げたことになります。
1単位のインスリンがどのくらい血糖値を下げるかは、かなり個人差が大きいです。(10mg~80mgなど)ご指摘のように、体調により少しはバラつくこともありますが、大雑把に自分のパターンを把握しておきましょう。
上述の計算で、自分の場合1単位のインスリンが、どのくらい血糖値を下げるか知っておけば、摂取する糖質のg数がわかれば、どの程度血糖値を上昇させるか予測して、インスリンの適量を決めることができるので、低血糖や高血糖の恐れはなくなります。 (^_^)
江部康二
今回は、みやびさんから、コメント・質問をいただきました。まずは、一番シンプルな超速効型インスリンで考えてみます。
『1単位のインスリンで どれだけ下がるのか?
先生 こんばんは☆いつもブログ拝見させていただいております☆先日、東京講演会での資料プリントと 自分でまとめたレポートを 職場仲間にコピーしてあげたら、すごく興味をもってくれたらしく、またレポートも『よくまとまってる』と 誉めてもらえました☆職場仲間は ダイエットに糖質制限を始めましたよ☆じわじわとではありますが、自分も周りに糖質制限食を広めるお手伝いをしていきたいと思っています☆
さて、今回 またまたお馬鹿なみやびの話を聞いてください。
今朝は血糖値が213mg/dlもありました。最近 真面目に糖質制限してたのに、今朝はまたずいぶんと上がってしまい、理由がわからず 納得もいかず 凹みました。
朝7時半頃、ノボラピッド300を3単位打ちました。食事はとってません(危険なやり方ですが)。その後 仕事に行き、約5時間後 昼食前に測ったら166mg/dlでした(まだ これでも高い…)
何気なくとった行動でしたが、どうやら自分で実験していたようです(笑)家に帰って計算してみたら、朝から昼で47mg/dl下がってました。これは、1単位のインスリンで15~16mg/dl下がったと解釈しても良いでしょうか?インスリンの効き具合が、自分の身体では 1単位でいつもこのくらいと考えても良いでしょうか?
東京講演会で 先生とお話させていただいたとき、糖質のカウントをすることと 『1単位のインスリンで どれくらい下がるかは個人差があるから、自分の身体で計算してみるといいですよ』と 先生からご教示いただいたことを、ふと思い出したのです。
それとも、体型によってインスリンの効き具合が異なるように、その日の体調でも下がり具合は異なるのでしょうか?
夜打ちの 30ミックスでも、同じような計算で良いですか?
質問ばかりになってしまい 申し訳ありません。お忙しい中恐縮ですが、ご教示いただけたらと思います。
2008/07/09(水) 19:51:52 | URL | みやび』
みやびさん。コメントそして糖質制限食普及活動ありがとうございます。
早朝空腹時血糖値が213mgで、超速効型インスリンのノボラピッド300(インスリンアスパルト)を3単位打って昼前166mgに低下。
超速効型インスリンは10~20分で作用発現し、最大効果は1~3時間、持続時間は3~5時間です。
食事無しだとすると仰る通り、単純に「47mg÷3単位」で1単位の超速効型インスリンが15~16mg血糖値を下げた計算ですね。
ノボラピッド30ミックスは、超速効型のインスリンアスパルト30%と、長く効果を発揮するように加工した中間型インスリンアスパルト(プロタミン結晶性インスリンアスパルト)が、70%含まれています。
従って血糖値を下げる効果は2相性となるので、単純計算はややしにくいですね。作用発現時間は10~20分、持続時間は約24時間です。
食事摂取時の計算パターンとして、追加分泌インスリンの役割を担う、超速効型インスリン使用時を考えてみます。
例えば
<朝空腹時血糖値測定>
<朝食前、超速効型インスリンを注射>
<朝食に摂取した糖質のグラム数を計算>
<朝食後1時間血糖値測定>
を行います。
1gの糖質が2型糖尿人の血糖値を約3mg/dl上昇させます。これを基に、仮にインスリン注射前の空腹時血糖値が120mgとすれば、糖質50gを摂取すると、(50g×3mgで)ピークの食後1時間血糖値は150mg上昇して270mgになるはずです。
4単位の超速効型インスリンを打って、食後1時間の血糖値が170mgなら、インスリン注射により(270mg-170mg)100mg血糖値が下がったことになります。そうすると1単位のインスリンが(100mg÷4単位)25mg血糖値を下げたことになります。
1単位のインスリンがどのくらい血糖値を下げるかは、かなり個人差が大きいです。(10mg~80mgなど)ご指摘のように、体調により少しはバラつくこともありますが、大雑把に自分のパターンを把握しておきましょう。
上述の計算で、自分の場合1単位のインスリンが、どのくらい血糖値を下げるか知っておけば、摂取する糖質のg数がわかれば、どの程度血糖値を上昇させるか予測して、インスリンの適量を決めることができるので、低血糖や高血糖の恐れはなくなります。 (^_^)
江部康二
2008年07月09日 (水)
おはようございます。
今回は、れっきーさんから、糖質制限食とGI値についてコメント・質問をいただきました。
『糖質制限食とGI値
糖質制限食について質問があります。
肉類には糖質は含まれてませんがGI値でいうと例えば豚肉は46です。
また、フルーツ類には糖質が多く含まれていますがオレンジのGI値は31です。
糖質制限食を実施するとGI値が若干高い肉類(例えば豚肉)を食べてOKでも、GI値の低いフルーツ類(例えばオレンジ)は食べれません。
糖質制限食においてGI値のことは無視しても良いのでしょうか?
2008/06/24(火) 23:07:16 | URL | れっきー』
れっきーさん。コメントありがとうございます。
GIは正常人では参考になりますが、糖尿人では、あまり参考になりません。糖尿人では、GIよりも食品に含まれる糖質のグラム数が大事です。
1gの糖質が、2型糖尿人の血糖値を約3mg上昇させ、1型糖尿人の血糖値を5mg上昇させます。低GIの食品でも、糖質が主成分の食品を普通に摂取すれば、糖尿人では血糖値は200mgを超えてきます。
それから、GIは研究者によりばらつきますが、豚肉が46ということはありません。GI値は、糖質50gを含む食品を摂取して基準となる食品と比較して決定します。
糖質50gを含む豚肉というと、5kg以上はありますね。ヾ(゜▽゜)
いったいどうやって食べて計算したのでしょうね? (∵)?
つまり、GI値というものは、あくまでも糖質が主成分の食物を対象にしたものであり、脂質やタンパク質が主成分の食品は、対象外で計算不能です。従って、牛肉や豚肉や魚などのGI値は、ないと思っていただいて結構です。
http://www.mendosa.com/GI_GL_Carb_data.xls.
このサイトは、David Mendosaという、「ミスターGI」とも呼べるマニアックなおじさんが運営していて、およそGIのことならなんでも載っています。英文ですが、お暇なときに覗いてみてください。
なお果物に関しては、GI値は低いのですが、糖質は含んでますので、糖尿人は摂取するにしても少量にとどめた方がよいですね。果物に関しては7.8のブログもご参照くださいね。
江部康二
以下、以前に掲載したGIに関するブログを再掲します。
<グリセミック・インデックス:glycemic index:GI:血糖指数>
2007年06月13日 (水) | 編集 |
おはようございます。今朝も京都は良い天気です。梅雨がなかなかきませんね。琵琶湖の貯水量もそろそろピンチだそうです。
さて今回は、グリセミック・インデックス(以下GI)のお話です。GIは血糖上昇反応度とも言われています。一時流行した低インスリンダイエットの本などにGIのことも載っていたので、聞いたことのある方、またご存知の方もおられるでしょう。
GIというのは、糖質50gを含む食品を摂取した後の血糖値の上昇カーブを2時間追って、 基準となる食品(ブドウ糖50g)を摂取した後の血糖値の上昇カーブの面積と比較し、パーセントで表した数値のことです。 (´・⊇・`)
*
GIの算出方法
糖質50gを含有する食品摂取後
2時間までの血糖曲線下面積
GI=─────────────────────── ×100
糖質50gを含有する基準食(ブドウ糖)
摂取後2時間までの血糖曲線下面積
何やよくわかりませんよね。グラフにするともう少しわかりやすいのですが、実は私パソコン苦手なもので写真や絵を貼り付ける技が・・・すいません。 (*- -)(*_ _)
拒否反応を起こしかけている皆さんのために簡潔に言うと、GIの数値が高ければ血糖値を上昇させやすい食品であり、GIの数値が低ければ血糖値を上昇させにくい食品であるということです。
GIが高い食品ほど血糖が急激に上昇し、ブドウ糖スパイクを生じます。実際、2種類の同じカロリーの糖質(たとえば玄米と白米)を摂取しても、血糖値の上がり方はそれぞれ異なります。GIの数値は、70以上は高い、56~69が中等度、GI55以下は低い、と評価されています。ちなみに玄米のGIは50で、白米は70です。その他、ブドウ糖や白パンのGIは100、豆類は30、乳製品は35くらいです。
糖尿病でない人は、玄米などGIの低いものを主食としていればブドウ糖スパイクは小さく、代謝が安定するというわけです。
しかし、GIに関して一般に言われてる数値は正常人のもので、糖尿人にはあてはまりません。糖尿病の人は玄米などGIの低いものを食べたとしても、200以上のブドウ糖スパイクを起こしてしまうことを、私達は高雄病院の200人以上のデータで確認しています。
一方糖尿人おいても、GIの高い白パンのほうが玄米より血糖値をさらに上昇させやすいということはあります。
また、現在のGIの数値は主に欧米人のデータで、日本人のものではありませんので、日本人のGIを調べようという動きもあります。もともとジェンキンスが62品目の数字を出し、現在International table of GIというアメリカ栄養学会の出したリストで600種類の食品に関するデータが出ています。50gのブドウ糖を基準にしたものと、白パン50gを基準にしたもので、おなじ食品でもGIが異なります。
それからライスとバターライスを比べたら、バターライスのほうがGIが低いというように食品の組み合わせでも違いが生じます。
GIというのは、糖質を含む食品、例えばニンジンならニンジンだけを単品で食べてみて計測した数値です。実際の食事では何種類か一緒に食品を食べますから、GIはあくまでも実験室的なデータですね。
このように見てくるとGIは正常人ではあるていど参考にはなりますが、確定的なものではありません。
まして、糖尿人においてはGIはあてにならず、糖質のグラム数の計算のほうが重要です。そこで糖質制限食の出番となるわけです。糖質制限食ならば、糖尿人においても血糖値の上下動は極めて少なくなり、薬に頼ることなく良好なコントロールが期待できます。
江部康二
今回は、れっきーさんから、糖質制限食とGI値についてコメント・質問をいただきました。
『糖質制限食とGI値
糖質制限食について質問があります。
肉類には糖質は含まれてませんがGI値でいうと例えば豚肉は46です。
また、フルーツ類には糖質が多く含まれていますがオレンジのGI値は31です。
糖質制限食を実施するとGI値が若干高い肉類(例えば豚肉)を食べてOKでも、GI値の低いフルーツ類(例えばオレンジ)は食べれません。
糖質制限食においてGI値のことは無視しても良いのでしょうか?
2008/06/24(火) 23:07:16 | URL | れっきー』
れっきーさん。コメントありがとうございます。
GIは正常人では参考になりますが、糖尿人では、あまり参考になりません。糖尿人では、GIよりも食品に含まれる糖質のグラム数が大事です。
1gの糖質が、2型糖尿人の血糖値を約3mg上昇させ、1型糖尿人の血糖値を5mg上昇させます。低GIの食品でも、糖質が主成分の食品を普通に摂取すれば、糖尿人では血糖値は200mgを超えてきます。
それから、GIは研究者によりばらつきますが、豚肉が46ということはありません。GI値は、糖質50gを含む食品を摂取して基準となる食品と比較して決定します。
糖質50gを含む豚肉というと、5kg以上はありますね。ヾ(゜▽゜)
いったいどうやって食べて計算したのでしょうね? (∵)?
つまり、GI値というものは、あくまでも糖質が主成分の食物を対象にしたものであり、脂質やタンパク質が主成分の食品は、対象外で計算不能です。従って、牛肉や豚肉や魚などのGI値は、ないと思っていただいて結構です。
http://www.mendosa.com/GI_GL_Carb_data.xls.
このサイトは、David Mendosaという、「ミスターGI」とも呼べるマニアックなおじさんが運営していて、およそGIのことならなんでも載っています。英文ですが、お暇なときに覗いてみてください。
なお果物に関しては、GI値は低いのですが、糖質は含んでますので、糖尿人は摂取するにしても少量にとどめた方がよいですね。果物に関しては7.8のブログもご参照くださいね。
江部康二
以下、以前に掲載したGIに関するブログを再掲します。
<グリセミック・インデックス:glycemic index:GI:血糖指数>
2007年06月13日 (水) | 編集 |
おはようございます。今朝も京都は良い天気です。梅雨がなかなかきませんね。琵琶湖の貯水量もそろそろピンチだそうです。
さて今回は、グリセミック・インデックス(以下GI)のお話です。GIは血糖上昇反応度とも言われています。一時流行した低インスリンダイエットの本などにGIのことも載っていたので、聞いたことのある方、またご存知の方もおられるでしょう。
GIというのは、糖質50gを含む食品を摂取した後の血糖値の上昇カーブを2時間追って、 基準となる食品(ブドウ糖50g)を摂取した後の血糖値の上昇カーブの面積と比較し、パーセントで表した数値のことです。 (´・⊇・`)
*
GIの算出方法
糖質50gを含有する食品摂取後
2時間までの血糖曲線下面積
GI=─────────────────────── ×100
糖質50gを含有する基準食(ブドウ糖)
摂取後2時間までの血糖曲線下面積
何やよくわかりませんよね。グラフにするともう少しわかりやすいのですが、実は私パソコン苦手なもので写真や絵を貼り付ける技が・・・すいません。 (*- -)(*_ _)
拒否反応を起こしかけている皆さんのために簡潔に言うと、GIの数値が高ければ血糖値を上昇させやすい食品であり、GIの数値が低ければ血糖値を上昇させにくい食品であるということです。
GIが高い食品ほど血糖が急激に上昇し、ブドウ糖スパイクを生じます。実際、2種類の同じカロリーの糖質(たとえば玄米と白米)を摂取しても、血糖値の上がり方はそれぞれ異なります。GIの数値は、70以上は高い、56~69が中等度、GI55以下は低い、と評価されています。ちなみに玄米のGIは50で、白米は70です。その他、ブドウ糖や白パンのGIは100、豆類は30、乳製品は35くらいです。
糖尿病でない人は、玄米などGIの低いものを主食としていればブドウ糖スパイクは小さく、代謝が安定するというわけです。
しかし、GIに関して一般に言われてる数値は正常人のもので、糖尿人にはあてはまりません。糖尿病の人は玄米などGIの低いものを食べたとしても、200以上のブドウ糖スパイクを起こしてしまうことを、私達は高雄病院の200人以上のデータで確認しています。
一方糖尿人おいても、GIの高い白パンのほうが玄米より血糖値をさらに上昇させやすいということはあります。
また、現在のGIの数値は主に欧米人のデータで、日本人のものではありませんので、日本人のGIを調べようという動きもあります。もともとジェンキンスが62品目の数字を出し、現在International table of GIというアメリカ栄養学会の出したリストで600種類の食品に関するデータが出ています。50gのブドウ糖を基準にしたものと、白パン50gを基準にしたもので、おなじ食品でもGIが異なります。
それからライスとバターライスを比べたら、バターライスのほうがGIが低いというように食品の組み合わせでも違いが生じます。
GIというのは、糖質を含む食品、例えばニンジンならニンジンだけを単品で食べてみて計測した数値です。実際の食事では何種類か一緒に食品を食べますから、GIはあくまでも実験室的なデータですね。
このように見てくるとGIは正常人ではあるていど参考にはなりますが、確定的なものではありません。
まして、糖尿人においてはGIはあてにならず、糖質のグラム数の計算のほうが重要です。そこで糖質制限食の出番となるわけです。糖質制限食ならば、糖尿人においても血糖値の上下動は極めて少なくなり、薬に頼ることなく良好なコントロールが期待できます。
江部康二
2008年07月08日 (火)
おはようございます。
昨夜は、いろいろ調べ物をしていて夕食を食べ損ねてしまい、夜出かけるのも面倒だったので、午後9時過ぎにケンタッキーフライドチキンを出前してもらいました。たまーにしか食べないので、トランス脂肪酸には目をつぶって、それなりに美味しくいただきましたよ。
今朝の空腹時血糖値は115mg/dlと境界領域でした。あとで調べてみたら、オリジナルチキンで100g中約9gの糖質ですから、油断は禁物ですね。(=_=;)
さて今回は、果物の糖質含有量を整理してみました。
果物糖質含有量
果物100gあたりの糖質含有量
アボカド 0.9g 1個
いちご 7.06 7粒
パパイア 7.28 1/2個
レモン 7.6 1個
夏みかん 8.8 1/4個
もも 8.9 2/3個
びわ 9.0 2.5個
グレープフルーツ 9.0 1/4個
すいか 9.2 1/58個
メロン 9.9 1/8個
はっさく 10.0 1/3個
なし 10.4
いよかん 10.6
うんしゅうみかん 11.0
ネーブル 10.8
パインアップル 11.9
いちじく 12.4
西洋なし 12.5
りんご 13.1
キウイフルーツ 13.2
さくらんぼ 14
柿 14.3
ぶどう 15.1
バナナ 21.4
上記は、果物100gあたりの糖質含有量です。
果物の糖質は果糖、ショ糖、ブドウ糖、糖アルコールなどです。
例えば、リンゴ1個(約240g)のカロリーは約150kcalであり、ビタミンC含量は8mg、遊離糖含有量は35.6g(果糖:18g、ブドウ糖:6g、ショ糖:9.6g、ソルビトール:2g)、水溶性食物繊維含量は0.95g、不溶性食物繊維含量は2.95gくらいだそうです。
勿論、果物の種類により果糖・ブドウ糖・ショ糖・糖アルコールの比率は異なると思いますが、このうち果糖は10%くらいしかブドウ糖に変わらないので、ほとんど血糖値を上昇させません。(2008年05月20日 ブログご参照ください)
従いまして、かなりおおざっぱですが、果物の糖質のうち約半分くらいが果糖と仮定すれば、穀物の糖質に比べれば血糖値は少し上昇させにくいといえます。
穀物のデンプン1gが、血糖値を3mg上昇させるとすれば、果物の糖質1gは、約半分の1.5mg上昇させると考えられます。
まあ細かいことを言えば、ソルビトール(糖アルコール)はブドウ糖の半分くらい血糖値を上昇させますし、ショ糖は<ブドウ糖+果糖>です。でもおおむねは、上記の計算で良いと思います。
厚生労働省の低糖質食の定義が、100g中糖質5g以下です。そうすると100g中糖質含有量が10以下の果物は、血糖値上昇に関してはそこそこいけるかと思います。つまり、果物の糖質摂取が1回に10g程度なら、血糖値の上昇は約15mgですむ計算ですね。 (^_^)
100g中の糖質含有量が、13gや14gのりんごやさくらんぼも、食べるとき糖質の計算だけしておけば、どの程度血糖値が上昇するか予測できますので、承知の上で適宜摂取してもらえばいいと思います。
なおバナナには、上述の糖質に加えて、デンプンも含まれているので、特に糖質含有量が多いのです。デンプン分は、他の果物より血糖値を上昇させますね。(*_*)
江部康二
昨夜は、いろいろ調べ物をしていて夕食を食べ損ねてしまい、夜出かけるのも面倒だったので、午後9時過ぎにケンタッキーフライドチキンを出前してもらいました。たまーにしか食べないので、トランス脂肪酸には目をつぶって、それなりに美味しくいただきましたよ。
今朝の空腹時血糖値は115mg/dlと境界領域でした。あとで調べてみたら、オリジナルチキンで100g中約9gの糖質ですから、油断は禁物ですね。(=_=;)
さて今回は、果物の糖質含有量を整理してみました。
果物糖質含有量
果物100gあたりの糖質含有量
アボカド 0.9g 1個
いちご 7.06 7粒
パパイア 7.28 1/2個
レモン 7.6 1個
夏みかん 8.8 1/4個
もも 8.9 2/3個
びわ 9.0 2.5個
グレープフルーツ 9.0 1/4個
すいか 9.2 1/58個
メロン 9.9 1/8個
はっさく 10.0 1/3個
なし 10.4
いよかん 10.6
うんしゅうみかん 11.0
ネーブル 10.8
パインアップル 11.9
いちじく 12.4
西洋なし 12.5
りんご 13.1
キウイフルーツ 13.2
さくらんぼ 14
柿 14.3
ぶどう 15.1
バナナ 21.4
上記は、果物100gあたりの糖質含有量です。
果物の糖質は果糖、ショ糖、ブドウ糖、糖アルコールなどです。
例えば、リンゴ1個(約240g)のカロリーは約150kcalであり、ビタミンC含量は8mg、遊離糖含有量は35.6g(果糖:18g、ブドウ糖:6g、ショ糖:9.6g、ソルビトール:2g)、水溶性食物繊維含量は0.95g、不溶性食物繊維含量は2.95gくらいだそうです。
勿論、果物の種類により果糖・ブドウ糖・ショ糖・糖アルコールの比率は異なると思いますが、このうち果糖は10%くらいしかブドウ糖に変わらないので、ほとんど血糖値を上昇させません。(2008年05月20日 ブログご参照ください)
従いまして、かなりおおざっぱですが、果物の糖質のうち約半分くらいが果糖と仮定すれば、穀物の糖質に比べれば血糖値は少し上昇させにくいといえます。
穀物のデンプン1gが、血糖値を3mg上昇させるとすれば、果物の糖質1gは、約半分の1.5mg上昇させると考えられます。
まあ細かいことを言えば、ソルビトール(糖アルコール)はブドウ糖の半分くらい血糖値を上昇させますし、ショ糖は<ブドウ糖+果糖>です。でもおおむねは、上記の計算で良いと思います。
厚生労働省の低糖質食の定義が、100g中糖質5g以下です。そうすると100g中糖質含有量が10以下の果物は、血糖値上昇に関してはそこそこいけるかと思います。つまり、果物の糖質摂取が1回に10g程度なら、血糖値の上昇は約15mgですむ計算ですね。 (^_^)
100g中の糖質含有量が、13gや14gのりんごやさくらんぼも、食べるとき糖質の計算だけしておけば、どの程度血糖値が上昇するか予測できますので、承知の上で適宜摂取してもらえばいいと思います。
なおバナナには、上述の糖質に加えて、デンプンも含まれているので、特に糖質含有量が多いのです。デンプン分は、他の果物より血糖値を上昇させますね。(*_*)
江部康二
2008年07月07日 (月)
こんばんは。
ここのところ、ブログで「糖質管理食」という言葉がよく登場しました。簡単に説明して、知識の整理と参りましょう。
三大栄養素である、糖質・脂質・タンパク質のうち、血糖値を急峻に上昇させるのは糖質だけです。これは、カロリーとは無関係の、各栄養素の生理学的特質です。
このことに注目して、糖質摂取を制限して血糖コントロールするのが、高雄病院で推奨する「糖質制限食(carbohydrate restriction)」です。
一方、糖質だけが血糖値を上昇させることを前提に、一回の食事の糖質摂取量を計算して、血糖コントロールをめざすのが糖質管理食(carbohydrate counting)で、欧米では定着している食事療法です。
これには、1993年に発表された米国の1型糖尿病研究・DCCTにおいて、糖質管理食が成功を収めたことが、大きく関係しています。
また、1999年度ミス・アメリカのニコール・ジョンソンさん(1型糖尿病)の食事療法が糖質管理食であり、本も書かれたことも欧米での普及に役立ちました。
日本では残念ながら、欧米では一般的な糖質管理食もほとんど普及していないのが現状です。しかし、2005年の日本糖尿病学会総会で、米国から糖質管理食の専門医が招聘されてシンポジウムが開催されたのは、とても良いことだったと思います。
また、2006年3月に「かんたんカーボカウント」(医薬ジャーナル)という本が大阪市大の小児科グループにより出版され、日本でもやっと糖質管理食の夜明けという状況になりつつあるようです。
2008年1月の米国糖尿病協会(ADA)の栄養勧告では、「炭水化物をモニタリングすることは、炭水化物計算にしろ、炭水化物交換にしろ、経験に基づく評価にしろ、血糖コントロールを達成するための鍵となる戦略である。」と、炭水化物(糖質)を日常的に継続的に点検することを、強く推奨しています。この中の、炭水化物を計算する方法が、糖質管理食です。
糖質管理食は、基本的に3食とも主食(糖質)を摂取することを前提に、その糖質の一回の摂取量を計算します。血糖値を上昇させるのはほとんど糖質だけなので、例えば血糖コントロールに必要なインスリンの量を決めるのにはとても役に立ちます。
糖尿病というと、甘いもの(砂糖)がよくないと誰でも思いがちですが、実は、特に砂糖だけが、血糖コントロールに悪影響を与えるという事実はありません。
「ご飯もパンもせんべいもうどんもラーメンもケーキも砂糖も、その中に含まれている糖質の量に比例して、血糖値を上昇させる」ということが生理学的事実です。
糖質管理食は、糖質だけをグラム計算するシンプルな方法です。従来のカロリー制限優先の糖尿病食に比し、カロリー計算や食品交換表は不要なので、楽に実践できると思います。
いつも述べてますように、1gの糖質が2型糖尿病の人の血糖値を約3mg、1型糖尿病の人の血糖値を約5g上昇させます。糖質含有量を主体に食品を見直すと、意外なことが見えてきます。
例えば、牛乳は一般にはタンパク源とされていますが、糖尿人にとっては、糖質食品と考えたほうが安全です。牛乳100mlには約5gの糖質が含まれていますから、水代わりにガブガブ飲めば、結構血糖値を上昇させます。
ビールも糖尿人には危ない食品の一つです。350ml缶の通常のビールだと、エビスもラガーもスーパードライもおおよそ12~14gの糖質を含んでいます。ノンアルコールビールも同様です。
大ジョッキ生とか2.3杯とか軽く飲んじゃいますと、かなりの量の糖質が吸収され、血糖値値急上昇ということになりますから要注意です。 (*_*)
「糖質→血糖値上昇」というシンプルな事柄に着目した糖尿病の食事療法という意味では、欧米の「糖質管理食」と高雄病院の「糖質制限食」は親戚筋といえます。
「糖質管理食」という考え方をさらに発展させ、3食とも主食を摂取しなくても良いと徹底したのが、高雄病院の「糖質制限食」という見方もできます。
1型糖尿病、2型糖尿病でもインスリン注射をしている糖尿人は、主治医とよく相談されて、糖質制限食が無理なら、せめて糖質管理食を実践されると、血糖値の乱高下がなくなり、コントロールしやすくなりますよ。 ヾ(^▽^)
日本でも糖質管理食や糖質制限食が、糖尿病治療において、当たり前の時代がやって来る日を、心待ちにしている江部康二です。
ここのところ、ブログで「糖質管理食」という言葉がよく登場しました。簡単に説明して、知識の整理と参りましょう。
三大栄養素である、糖質・脂質・タンパク質のうち、血糖値を急峻に上昇させるのは糖質だけです。これは、カロリーとは無関係の、各栄養素の生理学的特質です。
このことに注目して、糖質摂取を制限して血糖コントロールするのが、高雄病院で推奨する「糖質制限食(carbohydrate restriction)」です。
一方、糖質だけが血糖値を上昇させることを前提に、一回の食事の糖質摂取量を計算して、血糖コントロールをめざすのが糖質管理食(carbohydrate counting)で、欧米では定着している食事療法です。
これには、1993年に発表された米国の1型糖尿病研究・DCCTにおいて、糖質管理食が成功を収めたことが、大きく関係しています。
また、1999年度ミス・アメリカのニコール・ジョンソンさん(1型糖尿病)の食事療法が糖質管理食であり、本も書かれたことも欧米での普及に役立ちました。
日本では残念ながら、欧米では一般的な糖質管理食もほとんど普及していないのが現状です。しかし、2005年の日本糖尿病学会総会で、米国から糖質管理食の専門医が招聘されてシンポジウムが開催されたのは、とても良いことだったと思います。
また、2006年3月に「かんたんカーボカウント」(医薬ジャーナル)という本が大阪市大の小児科グループにより出版され、日本でもやっと糖質管理食の夜明けという状況になりつつあるようです。
2008年1月の米国糖尿病協会(ADA)の栄養勧告では、「炭水化物をモニタリングすることは、炭水化物計算にしろ、炭水化物交換にしろ、経験に基づく評価にしろ、血糖コントロールを達成するための鍵となる戦略である。」と、炭水化物(糖質)を日常的に継続的に点検することを、強く推奨しています。この中の、炭水化物を計算する方法が、糖質管理食です。
糖質管理食は、基本的に3食とも主食(糖質)を摂取することを前提に、その糖質の一回の摂取量を計算します。血糖値を上昇させるのはほとんど糖質だけなので、例えば血糖コントロールに必要なインスリンの量を決めるのにはとても役に立ちます。
糖尿病というと、甘いもの(砂糖)がよくないと誰でも思いがちですが、実は、特に砂糖だけが、血糖コントロールに悪影響を与えるという事実はありません。
「ご飯もパンもせんべいもうどんもラーメンもケーキも砂糖も、その中に含まれている糖質の量に比例して、血糖値を上昇させる」ということが生理学的事実です。
糖質管理食は、糖質だけをグラム計算するシンプルな方法です。従来のカロリー制限優先の糖尿病食に比し、カロリー計算や食品交換表は不要なので、楽に実践できると思います。
いつも述べてますように、1gの糖質が2型糖尿病の人の血糖値を約3mg、1型糖尿病の人の血糖値を約5g上昇させます。糖質含有量を主体に食品を見直すと、意外なことが見えてきます。
例えば、牛乳は一般にはタンパク源とされていますが、糖尿人にとっては、糖質食品と考えたほうが安全です。牛乳100mlには約5gの糖質が含まれていますから、水代わりにガブガブ飲めば、結構血糖値を上昇させます。
ビールも糖尿人には危ない食品の一つです。350ml缶の通常のビールだと、エビスもラガーもスーパードライもおおよそ12~14gの糖質を含んでいます。ノンアルコールビールも同様です。
大ジョッキ生とか2.3杯とか軽く飲んじゃいますと、かなりの量の糖質が吸収され、血糖値値急上昇ということになりますから要注意です。 (*_*)
「糖質→血糖値上昇」というシンプルな事柄に着目した糖尿病の食事療法という意味では、欧米の「糖質管理食」と高雄病院の「糖質制限食」は親戚筋といえます。
「糖質管理食」という考え方をさらに発展させ、3食とも主食を摂取しなくても良いと徹底したのが、高雄病院の「糖質制限食」という見方もできます。
1型糖尿病、2型糖尿病でもインスリン注射をしている糖尿人は、主治医とよく相談されて、糖質制限食が無理なら、せめて糖質管理食を実践されると、血糖値の乱高下がなくなり、コントロールしやすくなりますよ。 ヾ(^▽^)
日本でも糖質管理食や糖質制限食が、糖尿病治療において、当たり前の時代がやって来る日を、心待ちにしている江部康二です。
2008年07月06日 (日)
おはようございます。今日も結構良い天気です。
今年の京都は、空梅雨なのでしょうか?琵琶湖の水位が心配になります。
さて今回は、ふくちゃんから日本医学界と糖質制限食についてのコメントをいただきました。
『初めて投稿させて頂きます。
私は今年の3月末の検査でA1c11%、食前血糖値230と出、有名大学病院でインシュリン注射を薦められました。しかし、原因は職場のオーバーワークと分かっていましたので、医師に頼み込んで、3ヶ月の猶予をもらいました。
そこで、糖尿病の本を探すうち、糖質制限食を知りました。
読むと、これはいい加減な民間療法ではない、とすぐ分かりました。
私は福祉施設の管理者で、医療の融通のなさには、呆れる事が多いので(失礼)、日本医学界が「解かっていながら、有効な治療法を行わない事」は不思議とは思わなかったので、すぐ糖質制限と食後散歩を実践させていただきました。
結果、本日、A1cは6.6、血糖値108でした。3ヶ月も経っていないのにです。体重も6キロ減量です。でも、肉や魚、ふすまパンをしっかり食べているので、食事療法をしている感覚は一切ありません。
大学病院の専門医も驚いていましたが、私としては、「先生、本当は解かっているのだろうな」と複雑な気持ちでした。
なぜ、真実を真実として、治療をしないのでしょうか。真実を知らない人が毎日、インシュリン注射になっていくのを、医療者はどう考えているのでしょうか。
私の勤める施設にも、高齢でありながら、糖尿のために、味気ない料理を食べている方がたくさん居ます。他の病気も持っている方が多いので、一概には言えませんが、おいしいもの食べる事が可能な人が居るんだろうなあと、悔しいです。
とりあえず、私の周りの人には真実をどんどん伝えて行きたいです。
2008/06/23(月) 21:24:41 | URL | ふくちゃん』
ふくちゃん。コメントそして本のご購入ありがとうございました。
3月末の検査でA1c11%、食前血糖値230mg、糖質制限食と食後散歩を実践されて、 3ヶ月も経っていないのにA1cは6.6%、血糖値108mg。体重も6キロ減量。
見事な成果です。きっと上手に糖質制限食を実践されたのでしょうね。(^-^)v(^-^)v
大学病院の糖尿病専門医も驚いていたとのことですが、これは本当にビックリされたのだと思います。ヾ(・∀・)
確かに有能な糖尿病専門医であれば、欧米で定着している糖質管理食のこととか、少数派ではあるが始まっている低糖質食(糖質制限食)とかの知識はおありと思います。
しかし、具体的な日内変動の比較データとかは、日本中で高雄病院にしかないわけで、そのギャップは大きいと思います。
77才の女性
1400kcal・従来の糖尿病食 1400kcal・糖質制限食
早朝空腹時血糖値 134mg/dl 126mg/dl
朝食後2時間血糖値 319 145
昼前血糖値 250 116
昼食後2時間血糖値 218 107
夕前血糖値 178 102
夕食後2時間血糖値 257 115
午後10時血糖値 218 109
このデータは、同一カロリー摂取で従来の糖尿病食(高糖質食)と、スーパー糖質制限食を比較したものです。
勿論同一人物で、スーパー糖質制限食は従来の糖尿病食の2日後のデータです。薬の内服、インスリン注射は一切しておりません。
信じがたいような劇的改善ですが、このような比較データは、高雄病院では既に入院患者さん、350名以上でとっており皆さん似たようなものです。
すなわち、カロリー制限をしても糖質を摂取すれば、食後血糖値は軽く200mg、300mgを超えてきますが、糖質を摂取しなければ、食後血糖値は正常、あるいは境界領域にとどまるということです。
しかし、高雄病院以外の病院には、このような比較データはありませんのでここまでの劇的な差があるとは、ほとんどの糖尿病専門医はご存じないと思います。従来の糖尿病食で食後血糖値が200mg、300mgを超えても、「糖尿病の人はそんなもんや」という常識で終わってしまいます。
この常識の壁が大きな問題です。
かくいう私自身も、1999年に兄が高雄病院に糖質制限食を導入して2年間は、信じていなかったのですから・・・。(=_=;)
「血糖値を上昇させるのは糖質で、タンパク質や脂質はほとんど上昇させない」という生理学的事実は、糖尿病専門医なら勿論ご存知だと思いますが、日本では戦後50年以上、医学界の99%の常識として、「脂質が悪玉で糖質が善玉」と信じ込んでいて疑う人はほぼ皆無でした。
糖尿病食としてはカロリー制限が最も重要で、「糖質60%、タンパク質20%、脂質20%」のバランス良い比率で摂取するのが常識として、戦後50年以上糖尿病専門医および栄養士は指導し続けてきたのです。
従って、専門医であるほど、この常識の壁は厚いものがあります。
常識を疑い、今まで自分が信じてきたものを否定し、新しい考えを受け入れるのは、結構大変な心理的エネルギーがいるものです。(-д-;)
糖質制限食が、当分糖尿病学会で受け入れられそうにないのも、この常識の壁のせいです。
糖質制限食に理解をしめす医師が、少しずつ増えているのは間違いないのですが、残念ながら、大多数の医師・栄養士は、まだまだ常識の壁(カロリー信仰と脂質悪玉説)に囚われています。
私も及ばずながら、一般向けの講演及び医師・栄養士・看護師むけの糖質制限食セミナーなどを地道に続けて医療界の啓蒙を目指したいと思っています。
ふくちゃんもご協力のほどよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
江部康二
今年の京都は、空梅雨なのでしょうか?琵琶湖の水位が心配になります。
さて今回は、ふくちゃんから日本医学界と糖質制限食についてのコメントをいただきました。
『初めて投稿させて頂きます。
私は今年の3月末の検査でA1c11%、食前血糖値230と出、有名大学病院でインシュリン注射を薦められました。しかし、原因は職場のオーバーワークと分かっていましたので、医師に頼み込んで、3ヶ月の猶予をもらいました。
そこで、糖尿病の本を探すうち、糖質制限食を知りました。
読むと、これはいい加減な民間療法ではない、とすぐ分かりました。
私は福祉施設の管理者で、医療の融通のなさには、呆れる事が多いので(失礼)、日本医学界が「解かっていながら、有効な治療法を行わない事」は不思議とは思わなかったので、すぐ糖質制限と食後散歩を実践させていただきました。
結果、本日、A1cは6.6、血糖値108でした。3ヶ月も経っていないのにです。体重も6キロ減量です。でも、肉や魚、ふすまパンをしっかり食べているので、食事療法をしている感覚は一切ありません。
大学病院の専門医も驚いていましたが、私としては、「先生、本当は解かっているのだろうな」と複雑な気持ちでした。
なぜ、真実を真実として、治療をしないのでしょうか。真実を知らない人が毎日、インシュリン注射になっていくのを、医療者はどう考えているのでしょうか。
私の勤める施設にも、高齢でありながら、糖尿のために、味気ない料理を食べている方がたくさん居ます。他の病気も持っている方が多いので、一概には言えませんが、おいしいもの食べる事が可能な人が居るんだろうなあと、悔しいです。
とりあえず、私の周りの人には真実をどんどん伝えて行きたいです。
2008/06/23(月) 21:24:41 | URL | ふくちゃん』
ふくちゃん。コメントそして本のご購入ありがとうございました。
3月末の検査でA1c11%、食前血糖値230mg、糖質制限食と食後散歩を実践されて、 3ヶ月も経っていないのにA1cは6.6%、血糖値108mg。体重も6キロ減量。
見事な成果です。きっと上手に糖質制限食を実践されたのでしょうね。(^-^)v(^-^)v
大学病院の糖尿病専門医も驚いていたとのことですが、これは本当にビックリされたのだと思います。ヾ(・∀・)
確かに有能な糖尿病専門医であれば、欧米で定着している糖質管理食のこととか、少数派ではあるが始まっている低糖質食(糖質制限食)とかの知識はおありと思います。
しかし、具体的な日内変動の比較データとかは、日本中で高雄病院にしかないわけで、そのギャップは大きいと思います。
77才の女性
1400kcal・従来の糖尿病食 1400kcal・糖質制限食
早朝空腹時血糖値 134mg/dl 126mg/dl
朝食後2時間血糖値 319 145
昼前血糖値 250 116
昼食後2時間血糖値 218 107
夕前血糖値 178 102
夕食後2時間血糖値 257 115
午後10時血糖値 218 109
このデータは、同一カロリー摂取で従来の糖尿病食(高糖質食)と、スーパー糖質制限食を比較したものです。
勿論同一人物で、スーパー糖質制限食は従来の糖尿病食の2日後のデータです。薬の内服、インスリン注射は一切しておりません。
信じがたいような劇的改善ですが、このような比較データは、高雄病院では既に入院患者さん、350名以上でとっており皆さん似たようなものです。
すなわち、カロリー制限をしても糖質を摂取すれば、食後血糖値は軽く200mg、300mgを超えてきますが、糖質を摂取しなければ、食後血糖値は正常、あるいは境界領域にとどまるということです。
しかし、高雄病院以外の病院には、このような比較データはありませんのでここまでの劇的な差があるとは、ほとんどの糖尿病専門医はご存じないと思います。従来の糖尿病食で食後血糖値が200mg、300mgを超えても、「糖尿病の人はそんなもんや」という常識で終わってしまいます。
この常識の壁が大きな問題です。
かくいう私自身も、1999年に兄が高雄病院に糖質制限食を導入して2年間は、信じていなかったのですから・・・。(=_=;)
「血糖値を上昇させるのは糖質で、タンパク質や脂質はほとんど上昇させない」という生理学的事実は、糖尿病専門医なら勿論ご存知だと思いますが、日本では戦後50年以上、医学界の99%の常識として、「脂質が悪玉で糖質が善玉」と信じ込んでいて疑う人はほぼ皆無でした。
糖尿病食としてはカロリー制限が最も重要で、「糖質60%、タンパク質20%、脂質20%」のバランス良い比率で摂取するのが常識として、戦後50年以上糖尿病専門医および栄養士は指導し続けてきたのです。
従って、専門医であるほど、この常識の壁は厚いものがあります。
常識を疑い、今まで自分が信じてきたものを否定し、新しい考えを受け入れるのは、結構大変な心理的エネルギーがいるものです。(-д-;)
糖質制限食が、当分糖尿病学会で受け入れられそうにないのも、この常識の壁のせいです。
糖質制限食に理解をしめす医師が、少しずつ増えているのは間違いないのですが、残念ながら、大多数の医師・栄養士は、まだまだ常識の壁(カロリー信仰と脂質悪玉説)に囚われています。
私も及ばずながら、一般向けの講演及び医師・栄養士・看護師むけの糖質制限食セミナーなどを地道に続けて医療界の啓蒙を目指したいと思っています。
ふくちゃんもご協力のほどよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
江部康二
2008年07月04日 (金)
こんばんは。
糖尿病と妊娠のことを7.2ブログに書きましたが、もう少し整理しておきます。
今まで糖尿病でなかったのに、妊娠した後初めて糖尿病になる場合があります。これが「妊娠糖尿病」で、妊婦の約3%くらいにみられます。
肥満、糖尿病の家族歴、高齢、などが妊娠糖尿病のリスクとなります。もともとの糖尿病患者が妊娠することを「糖尿病合併妊娠」といい、二つはわけて分類されています。
妊娠すると、胎盤が形成され「母体・胎盤・胎児」がひとつのユニットとなります。この時、健常な胎児を発育・成長させるために胎盤や母体がヒト胎盤性ラクトーゲン(hPL)、成長ホルモン、グルカゴン、カテコラミン、糖質コルチコイドなどのホルモンを分泌し、それらによりインスリン抵抗性(インスリンの効きが悪くなること)がでてきます。
これらのホルモンは、妊娠の進行とともに増加しますから、特に妊娠中期以後にインスリン抵抗性が増加して、血糖値が上昇しやすくなります。
正常の妊婦は、インスリン抵抗性が増強する時期には、インスリンを多く分泌して血糖値が上昇しないように対処します。しかし、必要なだけのインスリンを分泌することができない体質の妊婦は、血糖値が上昇し妊娠糖尿病を発症します。
妊娠糖尿病は、通常は妊娠期間が終わったら、糖尿病の症状は消失します。しかし、約2%は出産後も糖尿病が続きます。
現在では妊娠糖尿病は「妊娠中に発症もしくは初めて発見された耐糖能低下をいう」と定義されています。
このため、お産が終わって、6~12週間後に経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を行って、正常型、境界型、糖尿病型に分類します。
なお日本では、若い女性の2型糖尿病が少し増えています。従って、可能性として、「糖尿病や境界型が既にあったのに検査していなくて見過ごされていて、たまたま妊娠して検査したら糖尿病が発見された。」というパターンがあり得ます。
この場合は、「妊娠糖尿病」ではなくて「糖尿病合併妊娠」の見逃しになります。高血糖に由来する奇形の発生は、妊娠7週までに規定されることが明らかになっていますので、妊娠機会のある女性は、糖尿病や境界型の有無を調べておくのがお奨めですね。☆(u_u)☆
江部康二
糖尿病と妊娠のことを7.2ブログに書きましたが、もう少し整理しておきます。
今まで糖尿病でなかったのに、妊娠した後初めて糖尿病になる場合があります。これが「妊娠糖尿病」で、妊婦の約3%くらいにみられます。
肥満、糖尿病の家族歴、高齢、などが妊娠糖尿病のリスクとなります。もともとの糖尿病患者が妊娠することを「糖尿病合併妊娠」といい、二つはわけて分類されています。
妊娠すると、胎盤が形成され「母体・胎盤・胎児」がひとつのユニットとなります。この時、健常な胎児を発育・成長させるために胎盤や母体がヒト胎盤性ラクトーゲン(hPL)、成長ホルモン、グルカゴン、カテコラミン、糖質コルチコイドなどのホルモンを分泌し、それらによりインスリン抵抗性(インスリンの効きが悪くなること)がでてきます。
これらのホルモンは、妊娠の進行とともに増加しますから、特に妊娠中期以後にインスリン抵抗性が増加して、血糖値が上昇しやすくなります。
正常の妊婦は、インスリン抵抗性が増強する時期には、インスリンを多く分泌して血糖値が上昇しないように対処します。しかし、必要なだけのインスリンを分泌することができない体質の妊婦は、血糖値が上昇し妊娠糖尿病を発症します。
妊娠糖尿病は、通常は妊娠期間が終わったら、糖尿病の症状は消失します。しかし、約2%は出産後も糖尿病が続きます。
現在では妊娠糖尿病は「妊娠中に発症もしくは初めて発見された耐糖能低下をいう」と定義されています。
このため、お産が終わって、6~12週間後に経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を行って、正常型、境界型、糖尿病型に分類します。
なお日本では、若い女性の2型糖尿病が少し増えています。従って、可能性として、「糖尿病や境界型が既にあったのに検査していなくて見過ごされていて、たまたま妊娠して検査したら糖尿病が発見された。」というパターンがあり得ます。
この場合は、「妊娠糖尿病」ではなくて「糖尿病合併妊娠」の見逃しになります。高血糖に由来する奇形の発生は、妊娠7週までに規定されることが明らかになっていますので、妊娠機会のある女性は、糖尿病や境界型の有無を調べておくのがお奨めですね。☆(u_u)☆
江部康二
2008年07月03日 (木)
こんばんは。今日は、かなり蒸し暑いです。
今から月一回の、バンドの練習にでかけます。貸しスタジオで月一回練習、憧夢でライブ前日にリハーサル、毎月第三金曜日がライブです。
さて今回は、まるまるまるさんから、糖質制限食とコレステロールと周囲の理解についてのコメント・質問です。
『江部先生
コレステロールの件過去ブログ・本ともに熟読し理解したつもりです!が、昨日人間ドックの書類が届きました。
先日の人間ドック後は先生からの話だけで詳しいコレステロールの内訳はわからなかったのですが届いた書類は詳しく書いてありました。
総コレステロール:292
HDL:99
LDL:180
中性脂肪:31
とあり初めて自分のLDL数値を知りあまりの高い数値でビックリしました。(先日は江部先生に総コレと中性脂肪を先生に相談しました)
でもこの糖質制限を行っていれば当然の数値でよいのですよね?(HDLが高く中性脂肪が低いので)
ただ個人差があるとはいえこの数値だったので高コレステロール血しょうの疑いで再検査とかかれてしまっていて両親や主人もかなり心配しています。
できれば先生の様に血糖も管理できてコレステロールも下げたいのですが。(問題ない!とは理解してもなかなか周りには理解できない食事の取り方らしいので周りから見ると私の行動は病気をきにするあまり偏りすぎてると思われてるようです。しかもこの数値だったので・・・)
糖質制限をしつつコレステロール数値が下がるにはどうしたらよいか?なにかよい案がありましたら是非ご伝授願います。
(人間ドックの先生にも糖質制限してるから!とは言ったのですがやはり「あなたの体は飢餓状態でよいとはいえないですよ」と言われてしまいました。もう少し理解してくれる先生が周りにいればいいのだけど身内・友達含め圧倒的に人数の多いほうのやり方が安心!っていう空気がありまだつらい状況です。)
あと3月にした負荷試験のインシュリンの量なのですが
前3・7
30分 10.7
60分 13・6
90分 19.6
120分 27・0
だったのですがこの数字は糖質制限で体を休めれば回復してくるのでしょうか?それともこの数値は増えることは無理なのでしょうか?
勉強と同じで糖質を知れば知るほど疑問が出てきています。
先生も忙しいとは気にしつつも頼る先生も今時点でいなくついここで相談させてもらいましたがお時間あるとき是非アドバイス願います。
2008/07/01(火) 08:17:38 | URL | まるまるまる』
まるまるまるさん。
周囲の家族や友人、そして一般の医師の常識の壁は、なかなか分厚いものがあります。 (*_*)
しかし、ゆっくりですが確実に、糖質制限食を理解し学ぼうとする医師・栄養士が増えてきているのを実感します。全国の糖質制限食OK医師ネットワークの構築も着実にすすんでいますよ。 (^_^)
それから考えてみれば当たり前なんですが、糖質制限食は農耕以前に戻るだけなので、人類400万年の歴史ではこちらが普通の食生活だったと思います。即ち、農耕以前は、人類皆糖質制限食です。
農耕が始まって1万年、定着して4000~5000年です。狩猟・採集生活(糖質制限食)が399万6000年、農耕生活(高糖質食)が4000年、穀物主体の高糖質食は人類の歴史からみると、僅か1/1000の期間にすぎません。
さらに、世界的に小麦の精製技術が定着して200年、日本では江戸時代の白米から始まって300年、摂取してすぐに血糖値が急峻に上昇する食べ物は精製された炭水化物以外にはありません。
精製炭水化物は、400万年の人類の歴史上、類を見ない異質な食べ物であり、ブドウ糖ミニスパイクを生じ人体の代謝を撹乱します。
その過剰摂取が、メタボや生活習慣病の根本要因と私は考えています。糖質制限食により、糖尿病やメタボが速やかに良くなるのは、それが人体の代謝に合った人類本来の食生活だからだと思います。
さて、まるまるまるさんのLDL-コレステロールは、180mg/dlと日本の基準ではやや高値ですね。
しかし、仰る通りHDLが多くて、TGが少なくて、真の悪玉の酸化LDL-コレステロールはほとんどないと考えられるのでOKですね。
米国の基準では190mg/dlまでOKなのでこのまま経過をみていいと思います。糖質制限食を続けていくと、160mgていどに落ち着く場合が多いです。
まるまるまるさんのデータは、空腹時血糖値90mg、HbA1c5.3%、食後(60分?、120分?)血糖値225mgでしたね。
負荷試験のインシュリン
前3・7
30分 10.7
60分 13・6
90分 19.6
120分 27・0
空腹時血糖値は90mgなので、インスリン基礎分泌は確保されていますね。
一方、負荷試験のデータでは インスリンの追加分泌がやや低下して、遷延しています。これはおそらく、遺伝的な体質的なものと考えられますので、改善は期待しにくいです。
でも早い段階で見つかって良かったと思います。何も知らずに、通常の食生活(高糖質食)を続けていれば、数年内にバリバリの糖尿人になったことでしょう。
糖質制限食を続けている限りは正常人ですので、まるまるまるさん、美味しく楽しく糖質制限食を続けてくださいね。(^_^)
江部康二
今から月一回の、バンドの練習にでかけます。貸しスタジオで月一回練習、憧夢でライブ前日にリハーサル、毎月第三金曜日がライブです。
さて今回は、まるまるまるさんから、糖質制限食とコレステロールと周囲の理解についてのコメント・質問です。
『江部先生
コレステロールの件過去ブログ・本ともに熟読し理解したつもりです!が、昨日人間ドックの書類が届きました。
先日の人間ドック後は先生からの話だけで詳しいコレステロールの内訳はわからなかったのですが届いた書類は詳しく書いてありました。
総コレステロール:292
HDL:99
LDL:180
中性脂肪:31
とあり初めて自分のLDL数値を知りあまりの高い数値でビックリしました。(先日は江部先生に総コレと中性脂肪を先生に相談しました)
でもこの糖質制限を行っていれば当然の数値でよいのですよね?(HDLが高く中性脂肪が低いので)
ただ個人差があるとはいえこの数値だったので高コレステロール血しょうの疑いで再検査とかかれてしまっていて両親や主人もかなり心配しています。
できれば先生の様に血糖も管理できてコレステロールも下げたいのですが。(問題ない!とは理解してもなかなか周りには理解できない食事の取り方らしいので周りから見ると私の行動は病気をきにするあまり偏りすぎてると思われてるようです。しかもこの数値だったので・・・)
糖質制限をしつつコレステロール数値が下がるにはどうしたらよいか?なにかよい案がありましたら是非ご伝授願います。
(人間ドックの先生にも糖質制限してるから!とは言ったのですがやはり「あなたの体は飢餓状態でよいとはいえないですよ」と言われてしまいました。もう少し理解してくれる先生が周りにいればいいのだけど身内・友達含め圧倒的に人数の多いほうのやり方が安心!っていう空気がありまだつらい状況です。)
あと3月にした負荷試験のインシュリンの量なのですが
前3・7
30分 10.7
60分 13・6
90分 19.6
120分 27・0
だったのですがこの数字は糖質制限で体を休めれば回復してくるのでしょうか?それともこの数値は増えることは無理なのでしょうか?
勉強と同じで糖質を知れば知るほど疑問が出てきています。
先生も忙しいとは気にしつつも頼る先生も今時点でいなくついここで相談させてもらいましたがお時間あるとき是非アドバイス願います。
2008/07/01(火) 08:17:38 | URL | まるまるまる』
まるまるまるさん。
周囲の家族や友人、そして一般の医師の常識の壁は、なかなか分厚いものがあります。 (*_*)
しかし、ゆっくりですが確実に、糖質制限食を理解し学ぼうとする医師・栄養士が増えてきているのを実感します。全国の糖質制限食OK医師ネットワークの構築も着実にすすんでいますよ。 (^_^)
それから考えてみれば当たり前なんですが、糖質制限食は農耕以前に戻るだけなので、人類400万年の歴史ではこちらが普通の食生活だったと思います。即ち、農耕以前は、人類皆糖質制限食です。
農耕が始まって1万年、定着して4000~5000年です。狩猟・採集生活(糖質制限食)が399万6000年、農耕生活(高糖質食)が4000年、穀物主体の高糖質食は人類の歴史からみると、僅か1/1000の期間にすぎません。
さらに、世界的に小麦の精製技術が定着して200年、日本では江戸時代の白米から始まって300年、摂取してすぐに血糖値が急峻に上昇する食べ物は精製された炭水化物以外にはありません。
精製炭水化物は、400万年の人類の歴史上、類を見ない異質な食べ物であり、ブドウ糖ミニスパイクを生じ人体の代謝を撹乱します。
その過剰摂取が、メタボや生活習慣病の根本要因と私は考えています。糖質制限食により、糖尿病やメタボが速やかに良くなるのは、それが人体の代謝に合った人類本来の食生活だからだと思います。
さて、まるまるまるさんのLDL-コレステロールは、180mg/dlと日本の基準ではやや高値ですね。
しかし、仰る通りHDLが多くて、TGが少なくて、真の悪玉の酸化LDL-コレステロールはほとんどないと考えられるのでOKですね。
米国の基準では190mg/dlまでOKなのでこのまま経過をみていいと思います。糖質制限食を続けていくと、160mgていどに落ち着く場合が多いです。
まるまるまるさんのデータは、空腹時血糖値90mg、HbA1c5.3%、食後(60分?、120分?)血糖値225mgでしたね。
負荷試験のインシュリン
前3・7
30分 10.7
60分 13・6
90分 19.6
120分 27・0
空腹時血糖値は90mgなので、インスリン基礎分泌は確保されていますね。
一方、負荷試験のデータでは インスリンの追加分泌がやや低下して、遷延しています。これはおそらく、遺伝的な体質的なものと考えられますので、改善は期待しにくいです。
でも早い段階で見つかって良かったと思います。何も知らずに、通常の食生活(高糖質食)を続けていれば、数年内にバリバリの糖尿人になったことでしょう。
糖質制限食を続けている限りは正常人ですので、まるまるまるさん、美味しく楽しく糖質制限食を続けてくださいね。(^_^)
江部康二
2008年07月02日 (水)
こんにちは。今日は病院の健康診断の日です。
朝から、心電図、採血、検尿、胸部レントゲン、聴力検査…、を終えて、高雄病院の理事長室の窓から池の鯉を眺めながらブログを書いています。書き終わったら給食の糖質制限食を食べにいきます。
さて今回は、ベビさんから糖尿病予備軍と妊娠についてコメント・質問いただきました。
『糖尿病予備軍と妊娠
はじめまして。
江部先生のブログ、参考にさせていただいています。
ひとつ質問させてください。
31歳・女性です。
糖尿病予備軍でも妊娠を希望する場合、血糖コントロールは糖尿病の人と同じくらい厳しくしなければいけないのでしょうか。
実は、3年ほど前に糖尿病予備軍と言われました。
ちょうど体調を崩した時に健康診断に行ったら、尿糖が出ていたので75gのブドウ糖検査をし、
空腹時:78
1時間値:204
2時間値:152
という結果になり糖尿病境界型ですね、将来糖尿病になりますと宣告されました。
150cmで40kgなので、やせ気味だと思います。
言われた時は、やせているのに糖尿病?とかなりショックでした・・・
今までの生活を考えれば、運動不足に加え、甘いものは好きではないのですが、食べる時はどか食いしてしまっていた自分を反省したり、父も2型糖尿病をわずらっているため、遺伝も原因のひとつなのかなと思って自分を納得させています。
それからは甘いものを控えたりする程度だったのですが、最近もうそろそろ子どもが欲しいと思うようになりました。
そこで、最近糖質制限食を実践しつつ、自己測定器を購入して測定してみました。 (アバウトですがおおよその平均値です)
好き勝手に食べた時:
空腹時:70~80前後
1時間値:190前後
2時間値:150前後
糖質制限食:
空腹時:70~80前後
1時間値:140~150前後
2時間値:120前後
これに加えて、散歩をするなど 毎日少しでも体を動かす努力しています。
血糖コントロールをしないままに妊娠すると、胎児の奇形発生や早産の危険が増えたり、妊娠中毒など恐ろしいことになると書いてあり、不安で仕方ありません。 糖尿病予備軍と妊娠について教えていただけますでしょうか。
お忙しい中、申し訳ないと思うのですが どうぞ、お時間のある時に教えていただければ幸いです。
2008/06/20(金) 19:07:43 | URL | ベビ』
ベビさん。コメントありがとうございます。
妊娠すると、胎盤が形成され「母体・胎盤・胎児」がひとつのユニットとなります。この時、健常な胎児を発育・成長させるために胎盤がホルモンを分泌し、それがインスリンの効きを弱め、インスリン抵抗性がでてきます。そのため糖尿病が悪化しやすくなるのです。
例えば、一般的に妊娠中のインスリン必要量は、1型糖尿病妊婦で妊娠前の約1.7倍、インスリン注射中の2型糖尿病妊婦で約2倍に増加するそうです。
しかし、コントロールが良い糖尿病患者さんなら、妊娠しても問題はありません。
妊娠許可の条件として
HbA1c6%以下が設定されています。
妊娠中は
HbA1c5.8%以下が目標です。
血糖値の目安としては
妊娠前
食前血糖100mg/dL 以下、食後2時間血糖120mg/dL 以下、
妊娠中
食前血糖100mg/dL 以下、食後2時間血糖100mg/dL 以下、
これってかなり厳しい数値目標ですね。(=_=;)
糖尿病のコントロールが悪いままで妊娠したら、約4%の頻度で奇形が発生します。そして、高血糖に由来する奇形の発生は、妊娠7週までに規定されることが明らかになっています。
ベビさんのデータ
好き勝手に食べた時:
空腹時:70~80前後
1時間値:190前後
2時間値:150前後
糖質制限食:
空腹時:70~80前後
1時間値:140~150前後
2時間値:120前後
SMBG(自己血糖測定)の場合、病院の器械よりやや高めに出ますので、ベビさんの糖質制限食のデータならほぼ目標クリアですね。(^_^)
境界型でも糖尿病でも目標を達成していれば胎児の奇形などの心配もいりません。
それでは次に、糖質制限食による妊娠・出産は前例があるのでしょうか?
糖質制限食と妊娠に関する最近のデータは、さすがにないのですが、イヌイットは数千年来、スーパー 糖質制限食で生活して、妊娠・出産・育児もしているわけですが、何ら問題はありません。
さらに、人類400万年の歴史において、農耕以前の399万年は糖質制限食による妊娠・出産・育児・生活が普通に行われてきました。このことを思えば人類の代謝に適した本来の食生活が糖質制限食ですので心配無用と思われます。
最後になりましたが、糖尿病あるいは糖尿病予備軍の女性の妊娠・出産は、計画的に行うことが必要です。
上述の数値目標をクリアして、産婦人科医とよく相談しながら健康な妊娠・出産をめざしてくださいね。o(^-^o)(o^-^)o
**
2008.3.28のブログ「妊娠と糖質制限食とケトン体」もご参照ください。
江部康二
朝から、心電図、採血、検尿、胸部レントゲン、聴力検査…、を終えて、高雄病院の理事長室の窓から池の鯉を眺めながらブログを書いています。書き終わったら給食の糖質制限食を食べにいきます。
さて今回は、ベビさんから糖尿病予備軍と妊娠についてコメント・質問いただきました。
『糖尿病予備軍と妊娠
はじめまして。
江部先生のブログ、参考にさせていただいています。
ひとつ質問させてください。
31歳・女性です。
糖尿病予備軍でも妊娠を希望する場合、血糖コントロールは糖尿病の人と同じくらい厳しくしなければいけないのでしょうか。
実は、3年ほど前に糖尿病予備軍と言われました。
ちょうど体調を崩した時に健康診断に行ったら、尿糖が出ていたので75gのブドウ糖検査をし、
空腹時:78
1時間値:204
2時間値:152
という結果になり糖尿病境界型ですね、将来糖尿病になりますと宣告されました。
150cmで40kgなので、やせ気味だと思います。
言われた時は、やせているのに糖尿病?とかなりショックでした・・・
今までの生活を考えれば、運動不足に加え、甘いものは好きではないのですが、食べる時はどか食いしてしまっていた自分を反省したり、父も2型糖尿病をわずらっているため、遺伝も原因のひとつなのかなと思って自分を納得させています。
それからは甘いものを控えたりする程度だったのですが、最近もうそろそろ子どもが欲しいと思うようになりました。
そこで、最近糖質制限食を実践しつつ、自己測定器を購入して測定してみました。 (アバウトですがおおよその平均値です)
好き勝手に食べた時:
空腹時:70~80前後
1時間値:190前後
2時間値:150前後
糖質制限食:
空腹時:70~80前後
1時間値:140~150前後
2時間値:120前後
これに加えて、散歩をするなど 毎日少しでも体を動かす努力しています。
血糖コントロールをしないままに妊娠すると、胎児の奇形発生や早産の危険が増えたり、妊娠中毒など恐ろしいことになると書いてあり、不安で仕方ありません。 糖尿病予備軍と妊娠について教えていただけますでしょうか。
お忙しい中、申し訳ないと思うのですが どうぞ、お時間のある時に教えていただければ幸いです。
2008/06/20(金) 19:07:43 | URL | ベビ』
ベビさん。コメントありがとうございます。
妊娠すると、胎盤が形成され「母体・胎盤・胎児」がひとつのユニットとなります。この時、健常な胎児を発育・成長させるために胎盤がホルモンを分泌し、それがインスリンの効きを弱め、インスリン抵抗性がでてきます。そのため糖尿病が悪化しやすくなるのです。
例えば、一般的に妊娠中のインスリン必要量は、1型糖尿病妊婦で妊娠前の約1.7倍、インスリン注射中の2型糖尿病妊婦で約2倍に増加するそうです。
しかし、コントロールが良い糖尿病患者さんなら、妊娠しても問題はありません。
妊娠許可の条件として
HbA1c6%以下が設定されています。
妊娠中は
HbA1c5.8%以下が目標です。
血糖値の目安としては
妊娠前
食前血糖100mg/dL 以下、食後2時間血糖120mg/dL 以下、
妊娠中
食前血糖100mg/dL 以下、食後2時間血糖100mg/dL 以下、
これってかなり厳しい数値目標ですね。(=_=;)
糖尿病のコントロールが悪いままで妊娠したら、約4%の頻度で奇形が発生します。そして、高血糖に由来する奇形の発生は、妊娠7週までに規定されることが明らかになっています。
ベビさんのデータ
好き勝手に食べた時:
空腹時:70~80前後
1時間値:190前後
2時間値:150前後
糖質制限食:
空腹時:70~80前後
1時間値:140~150前後
2時間値:120前後
SMBG(自己血糖測定)の場合、病院の器械よりやや高めに出ますので、ベビさんの糖質制限食のデータならほぼ目標クリアですね。(^_^)
境界型でも糖尿病でも目標を達成していれば胎児の奇形などの心配もいりません。
それでは次に、糖質制限食による妊娠・出産は前例があるのでしょうか?
糖質制限食と妊娠に関する最近のデータは、さすがにないのですが、イヌイットは数千年来、スーパー 糖質制限食で生活して、妊娠・出産・育児もしているわけですが、何ら問題はありません。
さらに、人類400万年の歴史において、農耕以前の399万年は糖質制限食による妊娠・出産・育児・生活が普通に行われてきました。このことを思えば人類の代謝に適した本来の食生活が糖質制限食ですので心配無用と思われます。
最後になりましたが、糖尿病あるいは糖尿病予備軍の女性の妊娠・出産は、計画的に行うことが必要です。
上述の数値目標をクリアして、産婦人科医とよく相談しながら健康な妊娠・出産をめざしてくださいね。o(^-^o)(o^-^)o
**
2008.3.28のブログ「妊娠と糖質制限食とケトン体」もご参照ください。
江部康二
2008年07月01日 (火)
こんにちは。
本ブログは、主として2型糖尿病の人を対象に文章を書いていますが、1型糖尿病の皆さんも覗いていただいているようで時々質問もあります。それで今回は、1型糖尿病の人の食事療法について考えてみます。
1型糖尿人の食事療法は、糖質制限食あるいは糖質管理食がお奨めです。従来の「糖質60%、脂質20%、たんぱく質20%」のカロリー制限食(高糖質食)では、血糖値を急峻に上昇させる糖質摂取が主となるので、血糖コントロールは極めて困難です。
ただし、糖質制限食ではリアルタイムに血糖値が改善し、インスリン注射中の場合、減量しないと低血糖の恐れが強くあるので、必ず主治医とよくご相談くださいね。m(_ _)m
欧米では、特に1型糖尿病に関しては、糖質管理食はすっかり定着している食事療法です。日本では、残念ながら糖質管理食でさえも実施している医療機関は、ごく少ない段階ですが、大阪市大小児科のグループなど、糖質管理食を導入している医療機関も少数ながらあります。
1型糖尿人の食事療法の推奨図書として、まずは「バーンスタイン医師の糖尿病の解決」太田喜義訳(メディカルトリビューン)を是非お読み下さい。とても参考になります。
バーンスタイン医師は、自らが1型糖尿病の医師です。小児期12才に1型糖尿病を発症し、以後インスリンを打ち続けておられます。
35才頃すでに糖尿病腎症の初期となった頃、SMBGで血糖測定をしながら食事療法を研究し、徹底した糖質制限食を開始。蛋白尿が出現する段階の顕性腎症前期から、糖質制限食で回復しタンパク尿消失。
45才で医学部に入学、49才で医師になり、糖尿病を徹底的に研究。以後、多数の糖尿病患者を診察。73才現在、糖尿病合併症もなく、現役医師としてお元気にお過ごしです。
バーンスタイン医師の糖質制限食は、1型なのでかなり厳しく朝6g、昼12g、夕12gで合計30g/日の糖質摂取です。
ちなみに、2型糖尿病の江部康二は、一日二食(朝食抜き)で、糖質は合計40~60g/日です。
糖質制限食実践中の糖質は大部分が野菜由来です。
糖尿病患者さんの血糖コントロールの目標としては
①空腹時血糖値110mg/dl未満
②食後2時間血糖値180mg/dl未満
③HbA1c6.5%未満
を達成していれば、糖尿病合併症の進行はないとされています。
インスリン注射と糖質制限食、あるいは糖質管理食で、血糖コントロールをめざしましょう。成人で糖質制限食がつらくなければ、バーンスタイン医師と同様にこちらがお奨めです。
人類400万年の歴史で、農耕以前の399万年は、人類みんな糖質制限食ですので、本来の食生活に戻るということです。 (^_^)
糖質制限食だと、「約24時間持続型インスリン(基礎分泌インスリンの代わり)」 「毎食前の超速効型インスリン(追加分泌インスリンの代わり)」のいずれも、量的に1/3以下に減らせることが多いです。
ただ1型糖尿病は小児期の発症が多く、学校での給食とかもあり、糖質制限食が困難なら糖質管理食で良いと思います。
小児の1型糖尿病で家にいる時は、糖質制限食でインスリンの量を減らす、給食はインスリンの量を増やして糖質管理食的に摂取する、というようなパターンもあると思います。
インスリンの量は、少なくてすむほど血糖コントロールも良くなりますし、身体への影響は少ないので、工夫してみる価値はあると思います。
カロリー計算だけに頼って、インスリンの量を決めるのは、食後血糖値の予測不能ですので危険です。1型糖尿病は、血糖値が乱高下するというように言われていますが、これは血糖値を最も上昇させる糖質摂取量の計算をしないからそうなるのです。(=_=;)
糖尿病専門医の先生方も1型糖尿病患者さんに対して、血糖値乱高下を避けるために糖質制限食は無理でも、せめて糖質管理食は導入して欲しいものです。
糖質は100%血糖に変わります。速度は平均30~40分です。
タンパク質は約50%が血糖に変わります。速度は平均3時間です。
脂質は10%未満が血糖に変わります。速度は平均十数時間です。
バーンスタイン医師によれば
通常の64kg程度の成人で、1gの糖質が1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。しかし32kg程度の小児なら、1gの糖質が10mg血糖値を上昇させます。
通常の64kg程度の成人で1gのタンパク質が1型糖尿人の血糖値を0.93mg上昇させます。32kg程度の小児なら、1gのタンパク質が1.86mg血糖値を上昇させます。
摂取する糖質のg数を計算して、血糖値がどのくらい上昇するかを予測してそれに見合う超速効型インスリンを食前に打つのが、糖質管理食です。
2型の場合は糖質の計算だけで充分なのですが、1型の場合は、タンパク質の摂取量の計算も必要なことがあります。糖質の計算だけで血糖コントロールが上手くいかないときは、タンパク質の計算も試してみましょう。
1型糖尿人は主治医とよく相談されて、せめて糖質管理食くらいは実践したいですね。
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<糖質管理食の本>
糖尿病のあなたへ かんたんカーボカウント―豊かな食生活のために
大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学教室 (編集), 大阪市立大学医学部附属病院栄養部 (編集)
糖尿病患者のためのカーボカウント完全ガイド (訳本)
医師薬出版株式会社
高雄病院 江部康二
本ブログは、主として2型糖尿病の人を対象に文章を書いていますが、1型糖尿病の皆さんも覗いていただいているようで時々質問もあります。それで今回は、1型糖尿病の人の食事療法について考えてみます。
1型糖尿人の食事療法は、糖質制限食あるいは糖質管理食がお奨めです。従来の「糖質60%、脂質20%、たんぱく質20%」のカロリー制限食(高糖質食)では、血糖値を急峻に上昇させる糖質摂取が主となるので、血糖コントロールは極めて困難です。
ただし、糖質制限食ではリアルタイムに血糖値が改善し、インスリン注射中の場合、減量しないと低血糖の恐れが強くあるので、必ず主治医とよくご相談くださいね。m(_ _)m
欧米では、特に1型糖尿病に関しては、糖質管理食はすっかり定着している食事療法です。日本では、残念ながら糖質管理食でさえも実施している医療機関は、ごく少ない段階ですが、大阪市大小児科のグループなど、糖質管理食を導入している医療機関も少数ながらあります。
1型糖尿人の食事療法の推奨図書として、まずは「バーンスタイン医師の糖尿病の解決」太田喜義訳(メディカルトリビューン)を是非お読み下さい。とても参考になります。
バーンスタイン医師は、自らが1型糖尿病の医師です。小児期12才に1型糖尿病を発症し、以後インスリンを打ち続けておられます。
35才頃すでに糖尿病腎症の初期となった頃、SMBGで血糖測定をしながら食事療法を研究し、徹底した糖質制限食を開始。蛋白尿が出現する段階の顕性腎症前期から、糖質制限食で回復しタンパク尿消失。
45才で医学部に入学、49才で医師になり、糖尿病を徹底的に研究。以後、多数の糖尿病患者を診察。73才現在、糖尿病合併症もなく、現役医師としてお元気にお過ごしです。
バーンスタイン医師の糖質制限食は、1型なのでかなり厳しく朝6g、昼12g、夕12gで合計30g/日の糖質摂取です。
ちなみに、2型糖尿病の江部康二は、一日二食(朝食抜き)で、糖質は合計40~60g/日です。
糖質制限食実践中の糖質は大部分が野菜由来です。
糖尿病患者さんの血糖コントロールの目標としては
①空腹時血糖値110mg/dl未満
②食後2時間血糖値180mg/dl未満
③HbA1c6.5%未満
を達成していれば、糖尿病合併症の進行はないとされています。
インスリン注射と糖質制限食、あるいは糖質管理食で、血糖コントロールをめざしましょう。成人で糖質制限食がつらくなければ、バーンスタイン医師と同様にこちらがお奨めです。
人類400万年の歴史で、農耕以前の399万年は、人類みんな糖質制限食ですので、本来の食生活に戻るということです。 (^_^)
糖質制限食だと、「約24時間持続型インスリン(基礎分泌インスリンの代わり)」 「毎食前の超速効型インスリン(追加分泌インスリンの代わり)」のいずれも、量的に1/3以下に減らせることが多いです。
ただ1型糖尿病は小児期の発症が多く、学校での給食とかもあり、糖質制限食が困難なら糖質管理食で良いと思います。
小児の1型糖尿病で家にいる時は、糖質制限食でインスリンの量を減らす、給食はインスリンの量を増やして糖質管理食的に摂取する、というようなパターンもあると思います。
インスリンの量は、少なくてすむほど血糖コントロールも良くなりますし、身体への影響は少ないので、工夫してみる価値はあると思います。
カロリー計算だけに頼って、インスリンの量を決めるのは、食後血糖値の予測不能ですので危険です。1型糖尿病は、血糖値が乱高下するというように言われていますが、これは血糖値を最も上昇させる糖質摂取量の計算をしないからそうなるのです。(=_=;)
糖尿病専門医の先生方も1型糖尿病患者さんに対して、血糖値乱高下を避けるために糖質制限食は無理でも、せめて糖質管理食は導入して欲しいものです。
糖質は100%血糖に変わります。速度は平均30~40分です。
タンパク質は約50%が血糖に変わります。速度は平均3時間です。
脂質は10%未満が血糖に変わります。速度は平均十数時間です。
バーンスタイン医師によれば
通常の64kg程度の成人で、1gの糖質が1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。しかし32kg程度の小児なら、1gの糖質が10mg血糖値を上昇させます。
通常の64kg程度の成人で1gのタンパク質が1型糖尿人の血糖値を0.93mg上昇させます。32kg程度の小児なら、1gのタンパク質が1.86mg血糖値を上昇させます。
摂取する糖質のg数を計算して、血糖値がどのくらい上昇するかを予測してそれに見合う超速効型インスリンを食前に打つのが、糖質管理食です。
2型の場合は糖質の計算だけで充分なのですが、1型の場合は、タンパク質の摂取量の計算も必要なことがあります。糖質の計算だけで血糖コントロールが上手くいかないときは、タンパク質の計算も試してみましょう。
1型糖尿人は主治医とよく相談されて、せめて糖質管理食くらいは実践したいですね。
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<糖質管理食の本>
糖尿病のあなたへ かんたんカーボカウント―豊かな食生活のために
大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学教室 (編集), 大阪市立大学医学部附属病院栄養部 (編集)
糖尿病患者のためのカーボカウント完全ガイド (訳本)
医師薬出版株式会社
高雄病院 江部康二
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