2008年04月30日 (水)
こんばんは。
だいぶ暑くなってきましたね。そろそろ半袖に衣替えでしょうか?
さて今回は、前日に続いて、コメント・質問も多いので、コレステロールの知識のおさらいです。
コレステロールは、とかく悪者にされがちですが、実は、細胞膜や男性ホルモン、女性ホルモンなどの原料として人体に必要不可欠な大切な物質です。一般にLDLコレステロールは悪玉でHDLコレステロールは善玉という言い方をしますが、これも正確ではありません。
正常サイズのLDLは、中に約40%のコレステロールを含んでおり、それを末梢組織に運ぶ真っ当な役割を果たしています。
HDLは末梢組織の細胞で余ったコレステロールを回収して肝臓に運んでいます。 即ち、LDLもHDLも人体に必要なものであり、日々良い仕事をしており逆に少なすぎたら困るわけです。**
実際、2005年に日本動脈硬化学会で報告された、青森県立保健大の嵯峨井勝教授の調査や日本循環器学会で報告された北海道大学の佐久間一郎氏の分析では、「総コレステロール高値と心筋梗塞は無関係」という結果がでています。
これらの成果により、2007年4月の日本動脈硬化学会のガイドラインで、総コレステロールは遂に「脂質異常症」の診断基準から外れました。
コレステロールに関して、動脈硬化のリスク要因として問題となるのは、HDLコレステロールが低値の人とLDLコレステロールが高値の人です。
そしてLDLコレステロールの中で、本当に問題となるのは小粒子LDLコレステロール(小さくて高密度のLDL)と酸化LDLコレステロールです。
小粒子LDLは、真の悪玉である酸化LDLに変化しやすく危険な存在です。酸化LDLは血液中で異物と見なされて大食細胞という免疫系の細胞に取り込まれていき、血管内皮細胞内でコレステロールを蓄積させ動脈硬化を起こし心筋梗塞のリスクとなります。酸化していない普通のLDLは、異物ではないので血管内皮に障害を起こしません。
中性脂肪が多くて、HDLコレステロールが少ない人は小粒子LDLがたくさんある可能性が高いので要注意です。 (*_*)
HDLコレステロールが多くて、中性脂肪が少ない人は小粒子LDLコレステロールと酸化LDLコレステロールは少ないので安全です。
糖質制限食実践中の人は、HDLコレステロールが多くて、中性脂肪が少ないですね。 (^_^)
日本のガイドラインでは、<高血圧、糖尿病、喫煙、心筋梗塞家族歴、加齢、HDL-C低値>の
6項目の危険因子がゼロ(低リスク群)、危険因子1~2(中リスク群)、危険因子3以上(高リスク群)、そして心筋梗塞や狭心症の既往歴のある群の4群が設定されています。
低リスク群はLDLコレステロール160mg/dl未満、
中リスク群は140mg/dl未満、
高リスク群は120mg/dl未満
が目標とされています。
しかし、2004年の米国(日本より心筋梗塞が3倍多い)の基準では、低リスクの人の薬物療法開始は190mg/dl、中程度リスク者で160mg/dl、高リスク者で130mg/dlとなってますので、参考にしてくださいね。
江部康二
**
LDLとかHDLはリポタンパク質と呼ばれています。コレステロールや中性脂肪は、脂質で水に溶けません。それで、脂質の周りをタンパク質で覆って、血液中に溶け込みやすいようにします。このタンパク質のことをアポタンパクといいます。アポタンパクで覆われた脂質がリポタンパク質です。リポタンパク質は、脂質を載せて血液中を移動する乗り物といえます。
だいぶ暑くなってきましたね。そろそろ半袖に衣替えでしょうか?
さて今回は、前日に続いて、コメント・質問も多いので、コレステロールの知識のおさらいです。
コレステロールは、とかく悪者にされがちですが、実は、細胞膜や男性ホルモン、女性ホルモンなどの原料として人体に必要不可欠な大切な物質です。一般にLDLコレステロールは悪玉でHDLコレステロールは善玉という言い方をしますが、これも正確ではありません。
正常サイズのLDLは、中に約40%のコレステロールを含んでおり、それを末梢組織に運ぶ真っ当な役割を果たしています。
HDLは末梢組織の細胞で余ったコレステロールを回収して肝臓に運んでいます。 即ち、LDLもHDLも人体に必要なものであり、日々良い仕事をしており逆に少なすぎたら困るわけです。**
実際、2005年に日本動脈硬化学会で報告された、青森県立保健大の嵯峨井勝教授の調査や日本循環器学会で報告された北海道大学の佐久間一郎氏の分析では、「総コレステロール高値と心筋梗塞は無関係」という結果がでています。
これらの成果により、2007年4月の日本動脈硬化学会のガイドラインで、総コレステロールは遂に「脂質異常症」の診断基準から外れました。
コレステロールに関して、動脈硬化のリスク要因として問題となるのは、HDLコレステロールが低値の人とLDLコレステロールが高値の人です。
そしてLDLコレステロールの中で、本当に問題となるのは小粒子LDLコレステロール(小さくて高密度のLDL)と酸化LDLコレステロールです。
小粒子LDLは、真の悪玉である酸化LDLに変化しやすく危険な存在です。酸化LDLは血液中で異物と見なされて大食細胞という免疫系の細胞に取り込まれていき、血管内皮細胞内でコレステロールを蓄積させ動脈硬化を起こし心筋梗塞のリスクとなります。酸化していない普通のLDLは、異物ではないので血管内皮に障害を起こしません。
中性脂肪が多くて、HDLコレステロールが少ない人は小粒子LDLがたくさんある可能性が高いので要注意です。 (*_*)
HDLコレステロールが多くて、中性脂肪が少ない人は小粒子LDLコレステロールと酸化LDLコレステロールは少ないので安全です。
糖質制限食実践中の人は、HDLコレステロールが多くて、中性脂肪が少ないですね。 (^_^)
日本のガイドラインでは、<高血圧、糖尿病、喫煙、心筋梗塞家族歴、加齢、HDL-C低値>の
6項目の危険因子がゼロ(低リスク群)、危険因子1~2(中リスク群)、危険因子3以上(高リスク群)、そして心筋梗塞や狭心症の既往歴のある群の4群が設定されています。
低リスク群はLDLコレステロール160mg/dl未満、
中リスク群は140mg/dl未満、
高リスク群は120mg/dl未満
が目標とされています。
しかし、2004年の米国(日本より心筋梗塞が3倍多い)の基準では、低リスクの人の薬物療法開始は190mg/dl、中程度リスク者で160mg/dl、高リスク者で130mg/dlとなってますので、参考にしてくださいね。
江部康二
**
LDLとかHDLはリポタンパク質と呼ばれています。コレステロールや中性脂肪は、脂質で水に溶けません。それで、脂質の周りをタンパク質で覆って、血液中に溶け込みやすいようにします。このタンパク質のことをアポタンパクといいます。アポタンパクで覆われた脂質がリポタンパク質です。リポタンパク質は、脂質を載せて血液中を移動する乗り物といえます。
2008年04月29日 (火)
こんばんは。
名古屋及び東海・中部地方の皆さん、お待たせしました。糖質制限食講演会in名古屋の詳細が決定しましたので、お知らせします。
今回は、私江部康二と漢方仲間の灰本元先生と二人で糖質制限食のお話をします。
灰本先生は春日井市で灰本クリニックを開業しておられ、、糖質制限食による糖尿病治療も2003年から300人以上の患者さんに実践されて、大きな成果をあげておられます。これらの成果を示した灰本先生の英文の論文が、欧米の医学雑誌に掲載されたのはとても素晴らしいことで、私も自分のことのように嬉しく思っています。
灰本先生は、上記以外にも漢方医としても高名ですし、高血圧とくに仮面高血圧、肥満、脂質異常症の治療、アトピー性皮膚炎、心身症のカウンセリング治療、胃大腸内視鏡やCTによる早期癌診断、などに精力的に取り組んでおられます。
灰本先生からは、臨床に即した実践的な糖質制限食のお話が伺えると思いますので、私も楽しみにしています。
名古屋及び東海・中部地方の糖尿人・メタボ人の皆さん、是非、奮ってご参加くださいね。
今回の名古屋講演会、会場が公的な場所なので、毎回好評の糖質制限食の食材販売がありませんが、その分内容は、二人分で充実していますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
江部康二
糖質制限食特別講演会in名古屋
『糖尿病・メタボリックシンドローム・肥満が劇的に改善する食事療法、
糖質制限食』
日時 2008年5月18日(日)
受付 14:00~ 会場 14:30~
定員 150名(先着順)※定員になり次第締め切らせていただきます
参加費 1000円(当日受付)
会場 愛知県産業貿易館 本館 5F 特別会議室
〒4066-0002 名古屋市中区丸の内三丁目1番6号
電話(代表) 052-231-6351
特別講師 灰本クリニック 灰本 元 先生
講演時間 14:30~ 「食事で治す糖尿病・メタボリックシンドローム・肥満」
江部康二先生(高雄病院 理事長)
15:30~ 休憩
15:45~ 「特別講演 調査研究からみた糖質制限食の効果」
灰本 元先生(灰本クリニック院長)
16:45 講演終了
お電話・FAX・メールにてお申し込み頂けます。
お電話でのお申し込み
075-873-2170
FAXでのお申し込み
075-873-2270
E-mailでのお申し込み
takaoclub@ktk-kyoto.jp
お問い合わせは、
京都高雄倶楽部
TEL 075-873-2170
FAX 075-871-6865
E-mail takaoclub@ktk-kyoto.jp
営業時間は8:45から17:00(くらい)
お休みは土・日・祝です。
お電話頂いた場合、席をはずしていることもあるので、留守電に連絡先を入れておいてください。
後ほど掛け直させていただきます。
名古屋及び東海・中部地方の皆さん、お待たせしました。糖質制限食講演会in名古屋の詳細が決定しましたので、お知らせします。
今回は、私江部康二と漢方仲間の灰本元先生と二人で糖質制限食のお話をします。
灰本先生は春日井市で灰本クリニックを開業しておられ、、糖質制限食による糖尿病治療も2003年から300人以上の患者さんに実践されて、大きな成果をあげておられます。これらの成果を示した灰本先生の英文の論文が、欧米の医学雑誌に掲載されたのはとても素晴らしいことで、私も自分のことのように嬉しく思っています。
灰本先生は、上記以外にも漢方医としても高名ですし、高血圧とくに仮面高血圧、肥満、脂質異常症の治療、アトピー性皮膚炎、心身症のカウンセリング治療、胃大腸内視鏡やCTによる早期癌診断、などに精力的に取り組んでおられます。
灰本先生からは、臨床に即した実践的な糖質制限食のお話が伺えると思いますので、私も楽しみにしています。
名古屋及び東海・中部地方の糖尿人・メタボ人の皆さん、是非、奮ってご参加くださいね。
今回の名古屋講演会、会場が公的な場所なので、毎回好評の糖質制限食の食材販売がありませんが、その分内容は、二人分で充実していますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
江部康二
糖質制限食特別講演会in名古屋
『糖尿病・メタボリックシンドローム・肥満が劇的に改善する食事療法、
糖質制限食』
日時 2008年5月18日(日)
受付 14:00~ 会場 14:30~
定員 150名(先着順)※定員になり次第締め切らせていただきます
参加費 1000円(当日受付)
会場 愛知県産業貿易館 本館 5F 特別会議室
〒4066-0002 名古屋市中区丸の内三丁目1番6号
電話(代表) 052-231-6351
特別講師 灰本クリニック 灰本 元 先生
講演時間 14:30~ 「食事で治す糖尿病・メタボリックシンドローム・肥満」
江部康二先生(高雄病院 理事長)
15:30~ 休憩
15:45~ 「特別講演 調査研究からみた糖質制限食の効果」
灰本 元先生(灰本クリニック院長)
16:45 講演終了
お電話・FAX・メールにてお申し込み頂けます。
お電話でのお申し込み
075-873-2170
FAXでのお申し込み
075-873-2270
E-mailでのお申し込み
takaoclub@ktk-kyoto.jp
お問い合わせは、
京都高雄倶楽部
TEL 075-873-2170
FAX 075-871-6865
E-mail takaoclub@ktk-kyoto.jp
営業時間は8:45から17:00(くらい)
お休みは土・日・祝です。
お電話頂いた場合、席をはずしていることもあるので、留守電に連絡先を入れておいてください。
後ほど掛け直させていただきます。
2008年04月29日 (火)
こんにちは。
土、日と東京へ行ってましたのでいろいろ仕事が立て込んでいて、本日はテニスを断念しました。(*_*)
さて今回は切り口を少し変えて久しぶりにコレステロールのお話です。
過去の常識として、日本でも欧米でも脂質異常症(高脂血症)、心臓病、糖尿病、肥満・メタボリックシンドローム、ガンなどの元凶として、脂質が犯人とされてきました。
ところが、米国の大規模介入試験において脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して意外なことに心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げないことが米国医師会雑誌2006年2月8日号で報告されました。総コレステロール値に関しても、両群に優位な差はありませんでした。
この研究は、5万人弱の閉経女性を対象に対照群を置き、平均8年間にわたって追跡した大がかりなもので、所謂EBM(科学的根拠に基づいた医療)的にはトップランクに位置する権威あるものです。
権威ある研究により、従来の常識が根底から覆ったわけですね。
そもそもコレステロールは人体の細胞膜の成分となったり、ステロイドホルモンの原料となるなど、生命活動の根幹となる大切な役割を果たしています。そんな大事なコレステロールを、食事のみに依存していたら大変なことになります。
農耕以前の人類において、獲物が捕れずに水だけで数日~数週間過ごすことは日常的にあったと考えられます。ですから人体は、体内(主として肝臓)でコレステロールを毎日つくっているのです。生体にとって不可欠な物質だからこそ、このような仕組みになっているものと考えられます。体内で作られるコレステロールの原料は、脂質、糖質、たんぱく質の三大栄養素です
通常、食事から摂るコレステロール量は1日約0.3~0.5gで、体内で合成される1日約1~1.5gの約3分の1にすぎません。
では、肝臓でせっせとコレステロールを作っているのに、さらにコレステロールを多く含む食品を摂取したら、血液中のコレステロールはどんどん増えていくのでしょうか?
幸い、人体には恒常性を保つ仕組み(ホメオスタシス)があり、食物中のコレステロールが体内に取り込まれると、肝臓でのコレステロールの生産が抑えられ一定の血中濃度になるように調節されるのです。
「脂肪を制限しても普通にとっても、総コレステロール値への影響はない。」という上述の米国医師会雑誌の報告は、人体のホメオスタシスの証明のようなものですね。
さて、糖質制限食を実践すると、相対的に高タンパク・高脂肪食となります。そしてデータ的には、血糖値の改善(低下)、中性脂肪の改善(低下)、HDLコレステロールの増加が確認されています。
LDLコレステロールに関しては、個人差があり一定しませんが、私の場合は1~2割減少しました。
<江部康二のコレステロール値の推移> 2002年6月から 糖質制限食開始
1999.2.5 TC:210、HDL-C:69.7、LDL-C:123
2008.4.23 TC:229、HDL-C:104.6、LDL-C:109
家族制高コレステロール血症の患者さん以外では、糖質制限食を実践中でスタチン剤(コレステロールを下げる薬)を内服している患者さんはほとんんどおられません。糖尿人、メタボ人そして脂質異常症の方々も、安心して糖質制限食を実践していただきたいと思います。(^_^)
江部康二
土、日と東京へ行ってましたのでいろいろ仕事が立て込んでいて、本日はテニスを断念しました。(*_*)
さて今回は切り口を少し変えて久しぶりにコレステロールのお話です。
過去の常識として、日本でも欧米でも脂質異常症(高脂血症)、心臓病、糖尿病、肥満・メタボリックシンドローム、ガンなどの元凶として、脂質が犯人とされてきました。
ところが、米国の大規模介入試験において脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して意外なことに心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げないことが米国医師会雑誌2006年2月8日号で報告されました。総コレステロール値に関しても、両群に優位な差はありませんでした。
この研究は、5万人弱の閉経女性を対象に対照群を置き、平均8年間にわたって追跡した大がかりなもので、所謂EBM(科学的根拠に基づいた医療)的にはトップランクに位置する権威あるものです。
権威ある研究により、従来の常識が根底から覆ったわけですね。
そもそもコレステロールは人体の細胞膜の成分となったり、ステロイドホルモンの原料となるなど、生命活動の根幹となる大切な役割を果たしています。そんな大事なコレステロールを、食事のみに依存していたら大変なことになります。
農耕以前の人類において、獲物が捕れずに水だけで数日~数週間過ごすことは日常的にあったと考えられます。ですから人体は、体内(主として肝臓)でコレステロールを毎日つくっているのです。生体にとって不可欠な物質だからこそ、このような仕組みになっているものと考えられます。体内で作られるコレステロールの原料は、脂質、糖質、たんぱく質の三大栄養素です
通常、食事から摂るコレステロール量は1日約0.3~0.5gで、体内で合成される1日約1~1.5gの約3分の1にすぎません。
では、肝臓でせっせとコレステロールを作っているのに、さらにコレステロールを多く含む食品を摂取したら、血液中のコレステロールはどんどん増えていくのでしょうか?
幸い、人体には恒常性を保つ仕組み(ホメオスタシス)があり、食物中のコレステロールが体内に取り込まれると、肝臓でのコレステロールの生産が抑えられ一定の血中濃度になるように調節されるのです。
「脂肪を制限しても普通にとっても、総コレステロール値への影響はない。」という上述の米国医師会雑誌の報告は、人体のホメオスタシスの証明のようなものですね。
さて、糖質制限食を実践すると、相対的に高タンパク・高脂肪食となります。そしてデータ的には、血糖値の改善(低下)、中性脂肪の改善(低下)、HDLコレステロールの増加が確認されています。
LDLコレステロールに関しては、個人差があり一定しませんが、私の場合は1~2割減少しました。
<江部康二のコレステロール値の推移> 2002年6月から 糖質制限食開始
1999.2.5 TC:210、HDL-C:69.7、LDL-C:123
2008.4.23 TC:229、HDL-C:104.6、LDL-C:109
家族制高コレステロール血症の患者さん以外では、糖質制限食を実践中でスタチン剤(コレステロールを下げる薬)を内服している患者さんはほとんんどおられません。糖尿人、メタボ人そして脂質異常症の方々も、安心して糖質制限食を実践していただきたいと思います。(^_^)
江部康二
2008年04月28日 (月)
こんばんは。
再度いのうえさんから、コメントと質問がありました。
『08/04/15 いのうえ
2型糖尿病は健常者に比べて血糖値が上がりやすい?
1.5AGのご丁寧で、わかりやすい解説ありがとうございました。やはりスーパー糖質制限食のためだったのですね。ちなみに腎機能は大丈夫です。今度は、先生自身の結果もぜひ教えて下さい。
今回はまた、もう一つ、基本的な質問をお願い致します。
私はスーパー糖質制限食(朝なし、間食なし、昼夜2食とも炭水化物抜き)を実践して、薬は服用しておりません。しかし、空腹時でも、時に、風邪や疲労、仕事に熱中している時、比較的ハードな運動後は、自己血糖測定器で血糖値が高く(130位)なることがあるようです。これは、インシュリンの基礎分泌量が少ないからでしょうか?たとえば、これに対して、血糖値を上げにくくするために、何か対策はあるでしょうか?恒常的にウォーキング等の軽めの運動を習慣化するとか・・・・・
最後に、私は東京在住ですが、関東方面で、先生のお弟子さんか、先生の糖質制限食のお考えを踏襲していらっしゃる病院か先生がいらっしゃればご紹介していただけますでしょうか?』
1、
4.23の江部康二の血液検査
1.5AG:5.8μg/ml(12~43)
食後4時間血糖値:115mg/dl
HbA1c:5.3%
ケトン体:498μM/L(26~122)
尿酸:2.9(3.4~7.0)
TC:229
TG:73
HDL-C:104.6
LDL-C:109
BUN:21.4(8~20)
クレアチニン:0.62(0.6~1.1)
保険請求はできませんが、試みに1.5AGとHbA1cを一緒に調べてみました。
勿論血糖コントロールは良好なのですが、1.5AGはいのうえさんと同様に5.8μg/mlと低値でした。やはり、糖質制限食により生理的に減少するようですね。デンプンの多い食材に1,5-AGが多く含まれいるようなのでその影響と思われます。
ケトン体も通常の診断基準では高値ですが、 糖質制限食実践中の場合はこの程度が生理的正常値と思われます。
尿素窒素(BUN)も、一般的な診断基準ですと軽度高値の21.4ですが、これも腎機能は全く正常ですので、 糖質制限食実践中の生理的正常値と考えられます。
尿酸値(UA)は2.8と高タンパク食のわりに低いですが、 糖質制限食実践中の人においても個人差が大きいです。
2、
「空腹時でも、時に、風邪や疲労、仕事に熱中している時、比較的ハードな運動後は、自己血糖測定器で血糖値が高く(130位)なることがあるようです。これは、インシュリンの基礎分泌量が少ないからでしょうか?」
風邪をひいたりとか、発熱・外傷・疼痛などの急性疾患のときには、各種ストレスホルモンの分泌が亢進し血糖値が上昇しやすくなります。
また、炎症性サイトカインも増加するのでインスリン抵抗性の増大が生じ、やはり血糖値が上昇します。このように、急性疾患で代謝失調を招くような状態をシックデイと呼びます。
それから軽い運動(歩行など)は血糖値が下がりますが、強度の強い運動は、グルカゴンやカテコールアミンなどインスリン拮抗ホルモンが分泌されるので、かえって血糖値が上昇することがあります。
このように、シックデイと強度の強い運動時の血糖上昇はインスリン以外の要因が関与しています。
3、
東京で糖質制限食による糖尿病治療を実践しておられる医療機関ですが、4.27のなかのサンプラザで確認してきました。姫野 友美先生にお願いしました。糖質制限食に詳しい管理栄養士の大柳珠美さんもおられます。江部康二のブログを見たということでお電話してみてください。
ひめのともみクリニック
〒141-0022 品川区東五反田1-17-1 第二昭和ビル3階
℡03-3445-0766 Fax03-3445-0838
ホームページ:http://himeno-clinic.com/
江部康二
再度いのうえさんから、コメントと質問がありました。
『08/04/15 いのうえ
2型糖尿病は健常者に比べて血糖値が上がりやすい?
1.5AGのご丁寧で、わかりやすい解説ありがとうございました。やはりスーパー糖質制限食のためだったのですね。ちなみに腎機能は大丈夫です。今度は、先生自身の結果もぜひ教えて下さい。
今回はまた、もう一つ、基本的な質問をお願い致します。
私はスーパー糖質制限食(朝なし、間食なし、昼夜2食とも炭水化物抜き)を実践して、薬は服用しておりません。しかし、空腹時でも、時に、風邪や疲労、仕事に熱中している時、比較的ハードな運動後は、自己血糖測定器で血糖値が高く(130位)なることがあるようです。これは、インシュリンの基礎分泌量が少ないからでしょうか?たとえば、これに対して、血糖値を上げにくくするために、何か対策はあるでしょうか?恒常的にウォーキング等の軽めの運動を習慣化するとか・・・・・
最後に、私は東京在住ですが、関東方面で、先生のお弟子さんか、先生の糖質制限食のお考えを踏襲していらっしゃる病院か先生がいらっしゃればご紹介していただけますでしょうか?』
1、
4.23の江部康二の血液検査
1.5AG:5.8μg/ml(12~43)
食後4時間血糖値:115mg/dl
HbA1c:5.3%
ケトン体:498μM/L(26~122)
尿酸:2.9(3.4~7.0)
TC:229
TG:73
HDL-C:104.6
LDL-C:109
BUN:21.4(8~20)
クレアチニン:0.62(0.6~1.1)
保険請求はできませんが、試みに1.5AGとHbA1cを一緒に調べてみました。
勿論血糖コントロールは良好なのですが、1.5AGはいのうえさんと同様に5.8μg/mlと低値でした。やはり、糖質制限食により生理的に減少するようですね。デンプンの多い食材に1,5-AGが多く含まれいるようなのでその影響と思われます。
ケトン体も通常の診断基準では高値ですが、 糖質制限食実践中の場合はこの程度が生理的正常値と思われます。
尿素窒素(BUN)も、一般的な診断基準ですと軽度高値の21.4ですが、これも腎機能は全く正常ですので、 糖質制限食実践中の生理的正常値と考えられます。
尿酸値(UA)は2.8と高タンパク食のわりに低いですが、 糖質制限食実践中の人においても個人差が大きいです。
2、
「空腹時でも、時に、風邪や疲労、仕事に熱中している時、比較的ハードな運動後は、自己血糖測定器で血糖値が高く(130位)なることがあるようです。これは、インシュリンの基礎分泌量が少ないからでしょうか?」
風邪をひいたりとか、発熱・外傷・疼痛などの急性疾患のときには、各種ストレスホルモンの分泌が亢進し血糖値が上昇しやすくなります。
また、炎症性サイトカインも増加するのでインスリン抵抗性の増大が生じ、やはり血糖値が上昇します。このように、急性疾患で代謝失調を招くような状態をシックデイと呼びます。
それから軽い運動(歩行など)は血糖値が下がりますが、強度の強い運動は、グルカゴンやカテコールアミンなどインスリン拮抗ホルモンが分泌されるので、かえって血糖値が上昇することがあります。
このように、シックデイと強度の強い運動時の血糖上昇はインスリン以外の要因が関与しています。
3、
東京で糖質制限食による糖尿病治療を実践しておられる医療機関ですが、4.27のなかのサンプラザで確認してきました。姫野 友美先生にお願いしました。糖質制限食に詳しい管理栄養士の大柳珠美さんもおられます。江部康二のブログを見たということでお電話してみてください。
ひめのともみクリニック
〒141-0022 品川区東五反田1-17-1 第二昭和ビル3階
℡03-3445-0766 Fax03-3445-0838
ホームページ:http://himeno-clinic.com/
江部康二
2008年04月28日 (月)
おはようございます。
4.27の日曜日、なかのサンプラザで、医師、栄養士、看護師など25名の医療関係者の参加でセミナーを開催しました。
人数を絞った会で、理論面を詳しくした講演内容と充実した質疑応答が可能となり、大きな手応えを感じました。
いよいよ、 糖質制限食治療可能な医療機関のネットワーク、開始することができそうです。まずは東京方面ですね。
また私の師匠・釜池豊秋先生がたまたま東京にきておられて、急遽、セミナーに参加してくださり、15分間の脂質代謝に絞った講演をしていただき、大変勉強になりました。
当日、リボーンで用意したパソコン、マックとアダプターが会場のスライドプロジェクターとマッチせずに、スライド上映不可能状態でしたが、釜池先生が持参しておられたウィンドウズをお借りして、事なきを得ました。本当に助かりました。釜池先生ありがとうございました。
釜池先生と久しぶりにお話ししたことで、 糖質制限食の理論面でもさらに進歩しました。
今後の活動に生かしていきたいと思います。
江部康二
4.27の日曜日、なかのサンプラザで、医師、栄養士、看護師など25名の医療関係者の参加でセミナーを開催しました。
人数を絞った会で、理論面を詳しくした講演内容と充実した質疑応答が可能となり、大きな手応えを感じました。
いよいよ、 糖質制限食治療可能な医療機関のネットワーク、開始することができそうです。まずは東京方面ですね。
また私の師匠・釜池豊秋先生がたまたま東京にきておられて、急遽、セミナーに参加してくださり、15分間の脂質代謝に絞った講演をしていただき、大変勉強になりました。
当日、リボーンで用意したパソコン、マックとアダプターが会場のスライドプロジェクターとマッチせずに、スライド上映不可能状態でしたが、釜池先生が持参しておられたウィンドウズをお借りして、事なきを得ました。本当に助かりました。釜池先生ありがとうございました。
釜池先生と久しぶりにお話ししたことで、 糖質制限食の理論面でもさらに進歩しました。
今後の活動に生かしていきたいと思います。
江部康二
2008年04月25日 (金)
こんばんは。
明日は、江部診療所の診察が終わった後、東京にでかけます。
4.27(日)は、初めての医療関係者向け 糖質制限食セミナーです。とても楽しみにしています。
さて、私たち糖尿人が、糖質制限食を実践していると、大豆や大豆製品を、普通の人よりたくさん摂取することになりますので、今回は、大豆イソフラボンについて考えてみました。
健康食ブームで、大豆イソフラボンを含む特定保健用食品が、多数出回っています。
それで「大豆イソフラボンって摂りすぎても大丈夫なの?」という疑問がでてきて、厚生労働省医薬食品局食品安全部がそれに対して回答しています。
まず重要なことは、大豆イソフラボンに関して、長い食経験を有する大豆、あるいは、大豆食品そのものの安全性が問題となっているのではありません。
即ち、糖質制限食で豆腐や納豆や大豆パンなどの少々摂取量が増えても、食品として大豆全体を摂取している限りは、なんの問題もありません。
一方、サプリメントとして、単体の大豆イソフラボンのみを上乗せして摂取する場合の安全性が問題となり、検討されたものです。
結論としては、食品安全委員会が昨年12月にまとめた「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」では、1日当たりの大豆イソフラボンの摂取目安量の上限値を70~75mgとし、そのうち、サプリメントや特定保健食品などで摂取する量は1日当たり30mgまでが望ましいとしています。
実際、閉経前の女性が、過剰に大豆イソフラボンを摂取すると血中ホルモン値が変動したり、月経周期が延長することなどがあるようです。
また、閉経後女性を対象に、大豆イソフラボンの錠剤(150mg/日)を5年間服用してもらった長期試験では、60カ月で子宮内膜増殖症の発症が、有意に高くなるという報告があったそうです。
糖質制限食の場合、炭水化物以外の魚介類や肉類や野菜など食べ放題なので、大豆だけに頼る必要はありません。
焼き肉、ステーキ、ハンバーグ、シチュー、すき焼き、オムレツ、焼き鳥、刺身、焼き魚・煮魚、豆腐、納豆、おでん、煮野菜、生野菜・・・いろいろ食べて美味しく楽しく糖質制限食実践といきたいですね。
**以下の厚生労働省医薬食品局食品安全部の報道資料をご参照ください。
報道発表資料
平成18年8月23日
厚生労働省医薬食品局食品安全部
大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&Aについて
1.食品安全委員会では、厚生労働省の依頼を受け、大豆イソフラボンを関与成分とする特定保健用食品の安全性評価を行い、平成18年5月、安全性評価結果の報告書として「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」を取りまとめました。
2.この大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価においては、これまでの長い食経験を有する大豆あるいは大豆食品そのものの安全性を問題としているのではなく、大豆イソフラボンのみを通常の食生活に上乗せして摂取する場合の安全性が検討されたものです。
3.厚生労働省では、大豆及び大豆由来食品等に関する正確な情報提供を行うため、大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&Aを作成し、厚生労働省のHPに掲載しています。また、食品安全委員会の評価結果を受け、平成18年8月、「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品等の取扱いに関する指針」を策定しました。
4.大豆及び大豆由来食品等は、良質のタンパク質源であるだけでなく、カルシウム等にも富む重要な栄養源ですので、厚生労働省では、広く国民の皆様に、食生活の中で他の食品と組み合わせてバランスよく食べることをお勧めしているところです。
(参考)
「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品安全性評価の基本的な考え方2006年5月」(別添1(PDF:4,130KB))
「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品等の取扱いに関する指針」(PDF:253KB)
農林水産省「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」ホームページ:http://www.maff.go.jp/syohi_anzen/isoflavon_qa.html
食品安全委員会「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」ホームページ:http://www.fsc.go.jp/sonota/daizu_isoflavone.html
明日は、江部診療所の診察が終わった後、東京にでかけます。
4.27(日)は、初めての医療関係者向け 糖質制限食セミナーです。とても楽しみにしています。
さて、私たち糖尿人が、糖質制限食を実践していると、大豆や大豆製品を、普通の人よりたくさん摂取することになりますので、今回は、大豆イソフラボンについて考えてみました。
健康食ブームで、大豆イソフラボンを含む特定保健用食品が、多数出回っています。
それで「大豆イソフラボンって摂りすぎても大丈夫なの?」という疑問がでてきて、厚生労働省医薬食品局食品安全部がそれに対して回答しています。
まず重要なことは、大豆イソフラボンに関して、長い食経験を有する大豆、あるいは、大豆食品そのものの安全性が問題となっているのではありません。
即ち、糖質制限食で豆腐や納豆や大豆パンなどの少々摂取量が増えても、食品として大豆全体を摂取している限りは、なんの問題もありません。
一方、サプリメントとして、単体の大豆イソフラボンのみを上乗せして摂取する場合の安全性が問題となり、検討されたものです。
結論としては、食品安全委員会が昨年12月にまとめた「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」では、1日当たりの大豆イソフラボンの摂取目安量の上限値を70~75mgとし、そのうち、サプリメントや特定保健食品などで摂取する量は1日当たり30mgまでが望ましいとしています。
実際、閉経前の女性が、過剰に大豆イソフラボンを摂取すると血中ホルモン値が変動したり、月経周期が延長することなどがあるようです。
また、閉経後女性を対象に、大豆イソフラボンの錠剤(150mg/日)を5年間服用してもらった長期試験では、60カ月で子宮内膜増殖症の発症が、有意に高くなるという報告があったそうです。
糖質制限食の場合、炭水化物以外の魚介類や肉類や野菜など食べ放題なので、大豆だけに頼る必要はありません。
焼き肉、ステーキ、ハンバーグ、シチュー、すき焼き、オムレツ、焼き鳥、刺身、焼き魚・煮魚、豆腐、納豆、おでん、煮野菜、生野菜・・・いろいろ食べて美味しく楽しく糖質制限食実践といきたいですね。
**以下の厚生労働省医薬食品局食品安全部の報道資料をご参照ください。
報道発表資料
平成18年8月23日
厚生労働省医薬食品局食品安全部
大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&Aについて
1.食品安全委員会では、厚生労働省の依頼を受け、大豆イソフラボンを関与成分とする特定保健用食品の安全性評価を行い、平成18年5月、安全性評価結果の報告書として「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」を取りまとめました。
2.この大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価においては、これまでの長い食経験を有する大豆あるいは大豆食品そのものの安全性を問題としているのではなく、大豆イソフラボンのみを通常の食生活に上乗せして摂取する場合の安全性が検討されたものです。
3.厚生労働省では、大豆及び大豆由来食品等に関する正確な情報提供を行うため、大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&Aを作成し、厚生労働省のHPに掲載しています。また、食品安全委員会の評価結果を受け、平成18年8月、「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品等の取扱いに関する指針」を策定しました。
4.大豆及び大豆由来食品等は、良質のタンパク質源であるだけでなく、カルシウム等にも富む重要な栄養源ですので、厚生労働省では、広く国民の皆様に、食生活の中で他の食品と組み合わせてバランスよく食べることをお勧めしているところです。
(参考)
「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品安全性評価の基本的な考え方2006年5月」(別添1(PDF:4,130KB))
「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品等の取扱いに関する指針」(PDF:253KB)
農林水産省「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」ホームページ:http://www.maff.go.jp/syohi_anzen/isoflavon_qa.html
食品安全委員会「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」ホームページ:http://www.fsc.go.jp/sonota/daizu_isoflavone.html
2008年04月24日 (木)
おはようございます。
昨夕から雨がしとしと降り続いています。まるで梅雨時のような空模様です。今日は夜、高雄病院の新任医師歓迎会なので、雨あがって欲しいですね。
さて今回は、でぃあべーちゃさんからコメント・質問をいただきました。
『ひさしぶりに、カキコです。
12月にスーパー糖質制限を開始後、私と相方のその後の生活&HbA1cは 私は12月の結果がHbA1c5.2と最小値更新!となり、 (忙しさにかまけて、それ以来検査は先週までしてないです)
相方は、ワインをやめ(神経障害が疑われるため)、 3月検査結果6.3となりました。
12月が11.1だったので、やはり糖質制限食は 偉大だなー、と体感中です。
ぜいたくを言えば、 どうしても相方の早朝空腹時のHbA1cが高いです。 180前後もしばしば。160がデフォルトですね。 なんとか下げる方法はないのでしょうか、、、 夕食は、高カロリー高たんぱくな食事で、ナッツ類も結構食べてますね、、、これが原因でしょうか。
でもでも、6.3まで下がりましたよ!! ありがとうございました。
2008/04/15(火) 12:27:52 | URL | でぃあべーちゃ』
でぃあべーちゃさん、お久しぶりです。コメントありがとうございます。
「12月の結果がHbA1c5.2と最小値更新!」
これは正常人の範囲ですね。おめでとうございます。
相方さんは「12月11.1%→3月検査結果HbA1c6.3%」なら劇的な改善です。
6.3%以下なので、コントロール良好の範囲にはいりますのでまずは良かったです。
しかしながら、うーむ、早朝空腹時血糖値が再び高値となりましたか。早朝空腹時血糖値が高値になる要因は大きく分けて以下の如くです。
<食事時間と胃麻痺と>
夕食を夜9時以降に摂取すると、 糖質制限食でも翌朝の空腹時血糖値が少々上昇することがあります。摂取したタンパク質が1.2時間から数時間半分ほどかけて血糖値に変わりますが、その影響があるようです。
また脂質は1割弱が十数時間かけて血糖値に変わりますので、夕方6時頃でも大量の脂質を摂取すると翌朝の空腹時血糖値に多少の影響がでる可能性があります。
それからバーンスタイン医師(米国の1型糖尿病の医師で糖質制限食実践中)の本にも記載されている<胃排泄遅延・胃不全麻痺>が年期の入った糖尿人ではありえます。欧米人には胃不全麻痺が結構多いようですが日本人でも当然ありえます。
胃不全麻痺のある糖尿人は、夕食を午後6時頃食べても、胃からの排泄が遅延して吸収が遅くなり、通常よりかなり遅れて血糖値が上昇することがあります。そのため翌朝の空腹時血糖値が高値となることがあります。
<基礎分泌インスリンの不足> 2008.1.15ブログを再掲
早朝空腹時血糖値は夜中の肝の糖新生が一番関係しています。夜間絶食時には、肝臓で乳酸やアミノ酸(アラニンなど)、グリセロール(中性脂肪の分解物)からブドウ糖をつくります(糖新生)。この肝の糖新生を抑制するのが、インスリンの基礎分泌です。
従って、インスリン基礎分泌があるていど減少している糖尿人は、夜間の肝の糖新生が抑制できずに早朝空腹時血糖値が高めになります。
例えば、夜10時の血糖値が110mgで何も食べていないのに、翌朝7時は130mgもあったりすることがあるのはこのためです。
日本人に一番多いのは、食後高血糖があるのを数年間見過ごされたあと、インスリン基礎分泌が徐々に減少し、とうとう早朝空腹時血糖値が上昇してきて糖尿病と診断されるパターンです。かくいう私もその一人です。
従いまして、その時点で膵臓のβ細胞がどの程度生き残っているのかということになります。軽症糖尿病は1~2割のβ細胞は死滅していて、2~3割は疲れて機能が落ちている状態です。
スーパー糖質制限食を実践すれば膵臓はしっかり休養できるので、疲れて機能が落ちている細胞は回復してきます。そうすると基礎分泌もあるていど回復して、早朝空腹時血糖値も110mg未満の正常に戻ることもあります。
実際、入院してきっちり糖質制限食を実践して、空腹時血糖値180mgとかだった方が108mgとかに改善した例もあります。
一方、β細胞が既に3~4割ダメージを受けて回復不能の場合は、 糖質制限食を実践してもインスリン基礎分泌の改善に限界があり、早朝空腹時血糖値が高値となります。この場合、何とか126mg未満、無理なら140mg未満を目指すこととなります。早朝空腹時血糖値が140mg/dlを超えてくると合併症のリスクが高まります。
β細胞のダメージがある程度あって、基礎分泌のインスリン不足があり、 糖質制限食を実践していても、早朝空腹時血糖値が常に140mg/dl以上がある糖尿人はランタス注オプチクリック300という22時間半持続するインスリン注射を、一日一回だけ打つ選択肢もあります。
この注射は、ジワジワと同じペースで一定量が吸収されるので、血中濃度を一定に保つことができます。即ちピークがないので低血糖も起こしにくいです。
ランタスが基礎分泌のインスリンの役割をしてくれるわけで、一日一回だけうって、既に回復不能の分だけ補充して、 糖質制限食を実践すれば血糖値は正常を保つことが可能になります。
江部康二
昨夕から雨がしとしと降り続いています。まるで梅雨時のような空模様です。今日は夜、高雄病院の新任医師歓迎会なので、雨あがって欲しいですね。
さて今回は、でぃあべーちゃさんからコメント・質問をいただきました。
『ひさしぶりに、カキコです。
12月にスーパー糖質制限を開始後、私と相方のその後の生活&HbA1cは 私は12月の結果がHbA1c5.2と最小値更新!となり、 (忙しさにかまけて、それ以来検査は先週までしてないです)
相方は、ワインをやめ(神経障害が疑われるため)、 3月検査結果6.3となりました。
12月が11.1だったので、やはり糖質制限食は 偉大だなー、と体感中です。
ぜいたくを言えば、 どうしても相方の早朝空腹時のHbA1cが高いです。 180前後もしばしば。160がデフォルトですね。 なんとか下げる方法はないのでしょうか、、、 夕食は、高カロリー高たんぱくな食事で、ナッツ類も結構食べてますね、、、これが原因でしょうか。
でもでも、6.3まで下がりましたよ!! ありがとうございました。
2008/04/15(火) 12:27:52 | URL | でぃあべーちゃ』
でぃあべーちゃさん、お久しぶりです。コメントありがとうございます。
「12月の結果がHbA1c5.2と最小値更新!」
これは正常人の範囲ですね。おめでとうございます。
相方さんは「12月11.1%→3月検査結果HbA1c6.3%」なら劇的な改善です。
6.3%以下なので、コントロール良好の範囲にはいりますのでまずは良かったです。
しかしながら、うーむ、早朝空腹時血糖値が再び高値となりましたか。早朝空腹時血糖値が高値になる要因は大きく分けて以下の如くです。
<食事時間と胃麻痺と>
夕食を夜9時以降に摂取すると、 糖質制限食でも翌朝の空腹時血糖値が少々上昇することがあります。摂取したタンパク質が1.2時間から数時間半分ほどかけて血糖値に変わりますが、その影響があるようです。
また脂質は1割弱が十数時間かけて血糖値に変わりますので、夕方6時頃でも大量の脂質を摂取すると翌朝の空腹時血糖値に多少の影響がでる可能性があります。
それからバーンスタイン医師(米国の1型糖尿病の医師で糖質制限食実践中)の本にも記載されている<胃排泄遅延・胃不全麻痺>が年期の入った糖尿人ではありえます。欧米人には胃不全麻痺が結構多いようですが日本人でも当然ありえます。
胃不全麻痺のある糖尿人は、夕食を午後6時頃食べても、胃からの排泄が遅延して吸収が遅くなり、通常よりかなり遅れて血糖値が上昇することがあります。そのため翌朝の空腹時血糖値が高値となることがあります。
<基礎分泌インスリンの不足> 2008.1.15ブログを再掲
早朝空腹時血糖値は夜中の肝の糖新生が一番関係しています。夜間絶食時には、肝臓で乳酸やアミノ酸(アラニンなど)、グリセロール(中性脂肪の分解物)からブドウ糖をつくります(糖新生)。この肝の糖新生を抑制するのが、インスリンの基礎分泌です。
従って、インスリン基礎分泌があるていど減少している糖尿人は、夜間の肝の糖新生が抑制できずに早朝空腹時血糖値が高めになります。
例えば、夜10時の血糖値が110mgで何も食べていないのに、翌朝7時は130mgもあったりすることがあるのはこのためです。
日本人に一番多いのは、食後高血糖があるのを数年間見過ごされたあと、インスリン基礎分泌が徐々に減少し、とうとう早朝空腹時血糖値が上昇してきて糖尿病と診断されるパターンです。かくいう私もその一人です。
従いまして、その時点で膵臓のβ細胞がどの程度生き残っているのかということになります。軽症糖尿病は1~2割のβ細胞は死滅していて、2~3割は疲れて機能が落ちている状態です。
スーパー糖質制限食を実践すれば膵臓はしっかり休養できるので、疲れて機能が落ちている細胞は回復してきます。そうすると基礎分泌もあるていど回復して、早朝空腹時血糖値も110mg未満の正常に戻ることもあります。
実際、入院してきっちり糖質制限食を実践して、空腹時血糖値180mgとかだった方が108mgとかに改善した例もあります。
一方、β細胞が既に3~4割ダメージを受けて回復不能の場合は、 糖質制限食を実践してもインスリン基礎分泌の改善に限界があり、早朝空腹時血糖値が高値となります。この場合、何とか126mg未満、無理なら140mg未満を目指すこととなります。早朝空腹時血糖値が140mg/dlを超えてくると合併症のリスクが高まります。
β細胞のダメージがある程度あって、基礎分泌のインスリン不足があり、 糖質制限食を実践していても、早朝空腹時血糖値が常に140mg/dl以上がある糖尿人はランタス注オプチクリック300という22時間半持続するインスリン注射を、一日一回だけ打つ選択肢もあります。
この注射は、ジワジワと同じペースで一定量が吸収されるので、血中濃度を一定に保つことができます。即ちピークがないので低血糖も起こしにくいです。
ランタスが基礎分泌のインスリンの役割をしてくれるわけで、一日一回だけうって、既に回復不能の分だけ補充して、 糖質制限食を実践すれば血糖値は正常を保つことが可能になります。
江部康二
2008年04月23日 (水)
おはようございます。
昨日の医療崩壊の記事、とても沢山の方から支持をいただきました。ありがとうございました。
皆さんの一人一人の力、そしてその輪を広げていって、国民の力で何とか政府の医療費削減政策を転換させたいですね。
北欧レベルの高福祉政策で、医療崩壊を防ぎ、経済の活性化もめざせば一石二鳥となります。
さて今回はロス在住のKさんからコメントいただきました。
『お久しぶりです。ロス在住のKです。
先生のブログをいつも拝読し勉強させていただいているおかげで、薬は一切取っていませんが、血糖値も食前は100以下、食後2時間も120を超えることはありません。
今日は一つ伺いたいことがあるのですが、先日妊娠していることが分かりました。様々な本から妊娠初期に血糖値が高いことで胎児に影響があることが分かったので、気をつけたいのですが、炭水化物を全くとらないことでの胎児への影響はないのでしょうか?
以前にイヌイットの例を出されて説明されているのは読んだのですが、もう少し最近のリサーチで影響ないと証明されているのでしょうか?
炭水化物が足りないと脳の発達に影響がある等はネットで調べたら出てきたのですが、それもどこまで影響があるのか分からず。
この一年炭水化物を食べずにきたので、影響がないならこのまま糖質制限食で、少しでも影響があるなら少し増やしてインシュリンを考えなければいけないのかな、と思っています。 よろしくお願いします。
2008/04/20(日) 12:34:57 | URL | K 』
kさん。お久しぶりです。コメントありがとうございます。妊娠されたとのこと、おめでとうございます。
「薬は一切取っていませんが、血糖値も食前は100以下、食後2時間も120を超えることはありません。」
糖質制限食を続ける限りは、kさんは正常人といえますね。妊娠も含めておめでとうございます。
糖質制限食と妊娠に関する最近のリサーチはさすがにないと思います。しかし米国でも1900年代~1940年代までは低糖質食が糖尿病の食事療法の定番だったわけですから、多くの糖尿病の女性が 糖質制限食で妊娠・出産してることになります。それで問題が生じたという報告はありません。
また、イヌイットは数千年来、スーパー 糖質制限食で生活して、妊娠・出産・育児もしているわけですが、何ら問題はありません。
さらに、人類400万年の歴史において、農耕以前の399万年は糖質制限食による妊娠・出産・育児・生活が行われてきたことを思い出してください。
「炭水化物が足りないと脳の発達に影響がある等はネットで調べたら出てきた。」
何の根拠もないと思います。
おそらく<脳がブドウ糖しか利用できない>といった誤解から派生したものではないでしょうか。
脳は脂肪の代謝産物のケトン体をしっかり利用しますし、糖質制限食を実践したら血糖値は正常になるのであって、低血糖になるわけではありません。またスーパー 糖質制限食でも野菜分の約12%の糖質は摂取することとなります。
血糖コントロ-ルが良くないと、胎児に様々な悪影響があることは、はっきりしています。糖質制限食で薬に頼ることなく血糖コントロール良好を保ち、美味しく楽しいマタニティーライフをお過ごし下さい。
**
2008.3.28のブログ「妊娠と糖質制限食とケトン体」もご参照ください。
江部康二
昨日の医療崩壊の記事、とても沢山の方から支持をいただきました。ありがとうございました。
皆さんの一人一人の力、そしてその輪を広げていって、国民の力で何とか政府の医療費削減政策を転換させたいですね。
北欧レベルの高福祉政策で、医療崩壊を防ぎ、経済の活性化もめざせば一石二鳥となります。
さて今回はロス在住のKさんからコメントいただきました。
『お久しぶりです。ロス在住のKです。
先生のブログをいつも拝読し勉強させていただいているおかげで、薬は一切取っていませんが、血糖値も食前は100以下、食後2時間も120を超えることはありません。
今日は一つ伺いたいことがあるのですが、先日妊娠していることが分かりました。様々な本から妊娠初期に血糖値が高いことで胎児に影響があることが分かったので、気をつけたいのですが、炭水化物を全くとらないことでの胎児への影響はないのでしょうか?
以前にイヌイットの例を出されて説明されているのは読んだのですが、もう少し最近のリサーチで影響ないと証明されているのでしょうか?
炭水化物が足りないと脳の発達に影響がある等はネットで調べたら出てきたのですが、それもどこまで影響があるのか分からず。
この一年炭水化物を食べずにきたので、影響がないならこのまま糖質制限食で、少しでも影響があるなら少し増やしてインシュリンを考えなければいけないのかな、と思っています。 よろしくお願いします。
2008/04/20(日) 12:34:57 | URL | K 』
kさん。お久しぶりです。コメントありがとうございます。妊娠されたとのこと、おめでとうございます。
「薬は一切取っていませんが、血糖値も食前は100以下、食後2時間も120を超えることはありません。」
糖質制限食を続ける限りは、kさんは正常人といえますね。妊娠も含めておめでとうございます。
糖質制限食と妊娠に関する最近のリサーチはさすがにないと思います。しかし米国でも1900年代~1940年代までは低糖質食が糖尿病の食事療法の定番だったわけですから、多くの糖尿病の女性が 糖質制限食で妊娠・出産してることになります。それで問題が生じたという報告はありません。
また、イヌイットは数千年来、スーパー 糖質制限食で生活して、妊娠・出産・育児もしているわけですが、何ら問題はありません。
さらに、人類400万年の歴史において、農耕以前の399万年は糖質制限食による妊娠・出産・育児・生活が行われてきたことを思い出してください。
「炭水化物が足りないと脳の発達に影響がある等はネットで調べたら出てきた。」
何の根拠もないと思います。
おそらく<脳がブドウ糖しか利用できない>といった誤解から派生したものではないでしょうか。
脳は脂肪の代謝産物のケトン体をしっかり利用しますし、糖質制限食を実践したら血糖値は正常になるのであって、低血糖になるわけではありません。またスーパー 糖質制限食でも野菜分の約12%の糖質は摂取することとなります。
血糖コントロ-ルが良くないと、胎児に様々な悪影響があることは、はっきりしています。糖質制限食で薬に頼ることなく血糖コントロール良好を保ち、美味しく楽しいマタニティーライフをお過ごし下さい。
**
2008.3.28のブログ「妊娠と糖質制限食とケトン体」もご参照ください。
江部康二
2008年04月22日 (火)
おはようございます、江部康二です。
産科や小児科の崩壊、救急医療の崩壊など、ここ1年マスコミが多くの記事に取りあげてきたので、国民的にもかなり周知されてきていると思います。
さらには外科医のなり手も急速に減少しています。将来のサービス残業勤務や医療事故・裁判の確率が高い科が研修医から忌避されているのです。
政府の医療費削減政策のもと、現行の日本の医療は、1974年に私が医師になってから最も厳しい状況に追いつめられています。
米国で働いている日本人外科医の談話では、「勤務時間は日本の1/2~2/3、給与は2~3倍」だそうです。
今朝の毎日新聞2面、医療クライシスという記事に、低医療費政策転換を、という記事が載っていました。以下はその抜粋です。
「日本の医療費は国内総生産(GDP)比でみると、先進7ヶ国中で最も少ない。」
「経済協力開発機構(OECD)が各国の状況を分析し、04年にまとめた医療制度のありかたに関する報告書に『医療部門での賃金と価格を人為的に低く保つシステムは、最終的には問題に直面する可能性が高い。医療の人材確保や離職防止が困難になり、サービスや革新的な医薬品の供給が不足する』という一節があるがまさに日本の現状そのものである。」
「国際的に突出した低医療費政策を転換する以外に『医療クライシス』の抜本的な解決策は見あたらない。」
私もこの毎日新聞の記事に全面的に賛成です。
日本は、人口1000人あたりの医師数が2人と先進国中最低レベル(OECD平均が3.1人)の医師不足状態です。
医師の絶対数が不足していることはやっと政府も認め、医師を増やす方向を少し打ち出していますが、一方で医療費削減政策は続いています。
医師数を増やして医療費を減らすというのはとんでもないことで、今でも厳しい医療界の労働環境はますます悪化します。
新たな高速道路をつくるためのお金があったら、優先順位の一番に国民の健康を守るための医療費を増やすためにまわし、医療崩壊をなんとかしなくてはならないのです。
また今医学部の定員を増やしても、医師としてものの役に立つには、8年~10年はかかります。即ち医療崩壊をくい止めるには、すでに間に合わない危機的段階にまできているのです。
英国のサッチャー政権が、今の日本と同様の医療費削減政策をとり、確かに経済はたちなおりましたが、医療は崩壊しました。英国人医師の多くが、米国やフランスに流出して、医療崩壊に拍車をかけました。
ブレア政権になって3年間で、医療費を1.5倍にまで増やしましたが、未だに英国の医療崩壊は改善されていません。
英国という反面教師があるのに、日本はここまで全く同じ過ちを犯してきました。このままでは、英国以上の医療崩壊が待っています。
まさに日本の医療崩壊、。「どげんかせんといかん」のです。
東国原知事には申し訳ないのですが、優先順位は、はっきりしています。道路財源を一般財源化して医療費に回せばいいのです。
産科や小児科の崩壊、救急医療の崩壊など、ここ1年マスコミが多くの記事に取りあげてきたので、国民的にもかなり周知されてきていると思います。
さらには外科医のなり手も急速に減少しています。将来のサービス残業勤務や医療事故・裁判の確率が高い科が研修医から忌避されているのです。
政府の医療費削減政策のもと、現行の日本の医療は、1974年に私が医師になってから最も厳しい状況に追いつめられています。
米国で働いている日本人外科医の談話では、「勤務時間は日本の1/2~2/3、給与は2~3倍」だそうです。
今朝の毎日新聞2面、医療クライシスという記事に、低医療費政策転換を、という記事が載っていました。以下はその抜粋です。
「日本の医療費は国内総生産(GDP)比でみると、先進7ヶ国中で最も少ない。」
「経済協力開発機構(OECD)が各国の状況を分析し、04年にまとめた医療制度のありかたに関する報告書に『医療部門での賃金と価格を人為的に低く保つシステムは、最終的には問題に直面する可能性が高い。医療の人材確保や離職防止が困難になり、サービスや革新的な医薬品の供給が不足する』という一節があるがまさに日本の現状そのものである。」
「国際的に突出した低医療費政策を転換する以外に『医療クライシス』の抜本的な解決策は見あたらない。」
私もこの毎日新聞の記事に全面的に賛成です。
日本は、人口1000人あたりの医師数が2人と先進国中最低レベル(OECD平均が3.1人)の医師不足状態です。
医師の絶対数が不足していることはやっと政府も認め、医師を増やす方向を少し打ち出していますが、一方で医療費削減政策は続いています。
医師数を増やして医療費を減らすというのはとんでもないことで、今でも厳しい医療界の労働環境はますます悪化します。
新たな高速道路をつくるためのお金があったら、優先順位の一番に国民の健康を守るための医療費を増やすためにまわし、医療崩壊をなんとかしなくてはならないのです。
また今医学部の定員を増やしても、医師としてものの役に立つには、8年~10年はかかります。即ち医療崩壊をくい止めるには、すでに間に合わない危機的段階にまできているのです。
英国のサッチャー政権が、今の日本と同様の医療費削減政策をとり、確かに経済はたちなおりましたが、医療は崩壊しました。英国人医師の多くが、米国やフランスに流出して、医療崩壊に拍車をかけました。
ブレア政権になって3年間で、医療費を1.5倍にまで増やしましたが、未だに英国の医療崩壊は改善されていません。
英国という反面教師があるのに、日本はここまで全く同じ過ちを犯してきました。このままでは、英国以上の医療崩壊が待っています。
まさに日本の医療崩壊、。「どげんかせんといかん」のです。
東国原知事には申し訳ないのですが、優先順位は、はっきりしています。道路財源を一般財源化して医療費に回せばいいのです。
2008年04月21日 (月)
こんばんは。
今回は、tetug3さんから、「糖質制限食はカロリー制限食に比べて楽」という嬉しいコメントをいただきました。
『江部先生
毎日楽しく拝見させていただいております。 大変参考になるお話をいつもありがとうございます。
この記事僕もカステーラさんのブログで読ませていただきました。 さっそく僕も自分が摂って来た糖質量を計算してみました。
5月から11月 カロリー制限時 60.86% 総カロリー平均 1360.06Kcal
12月から4月 糖質制限食導入 29.88% 総カロリー平均 1898.79Kcal
11月まで医師の指示通り食品交換表と首っ引きで食事を作っておりました。
結構難しくまたいつも腹が減っていた状態でした。おかげで体重は標準体重になりましたが大変でした。11月の下旬からは糖質制限食にしましたので肉類もしっかり食べるようになりだいぶ楽になりました。糖質制限食にしてからは体重の増減があまりありません。だいたい標準体重を1キロ程下回った状態が続いております。この数字はほとんどスタンダード糖質制限食ですね。自己流でやって来たのでなんだかほっとしています。そういえば僕の住む地域(京都まで列車と新幹線を乗り継いで半日以上かかる田舎です。)から高雄病院に教育入院された糖尿病の患者さんがいらっしゃいました。すごいです。糖質制限の食事療法が広くひろまるといいですね。なんといっても楽ですから。
2008/04/15(火) 12:39:29 | URL | tetug3』
tetug3さん。コメントありがとうございます。
「僕の住む地域(京都まで列車と新幹線を乗り継いで半日以上かかる田舎です。)から高雄病院に教育入院された糖尿病の患者さんがいらっしゃいました。」
おかげさまで高雄病院、関東、東北、北海道、九州など遠方からの糖尿病患者さんがたくさん入院してこられます。
2005年1月、「主食を抜けば糖尿病は良くなる」を出版した当初は、主治医に患者さんが 糖質制限食の相談をしても、「とんでもない!!」といった拒否反応が全てでした。それで仕方ないので、黙ってこっそり入院してきたという糖尿人がほとんどでした。
しかし、ここ1年は、「かかりつけのお医者さんに相談して、紹介状を書いてもらいました。」とか
「一度入院して 糖質制限食の効果を試すように言われました」とか< 糖質制限食>がすこしずつ、日本の医学界にも浸透していることを実感します。
そうそう、最近は、京都市内の糖尿病患者さんの入院も増えていますよ。
先日も、主治医から「主食を抜けば・・・」を読むように言われ、高雄病院に入院を勧められましたという京都市内の患者さんがおられました。京都市内にも少しずつ糖質制限食を理解していただいている医師が増えてきているようでとても嬉しく思っています。
tetug3さん。カロリー制限の糖尿病食と糖質制限食を両方経験されて、「糖質制限食が楽です。」とのことありがとうございます。
また、カロリー制限食のときは平均1360Kcalで、糖質制限食になってからは、平均1898Kcalと約500Kcal以上も摂取量が増えていてるのに体重維持ですから、やはりカロリー制限より糖質制限ですね。血糖値も当然改善されていると思います。
私は2002年糖尿病発症から 糖質制限食なのですが、自分にはカロリー制限食は到底無理と思いました。病院の給食は最初からカロリー計算してあるのですが、外食時などいちいち食品のカロリー計算なんかしていたら大変で、食べ物もおちおち咽を通りませんからね。味しく楽しく糖質制限食に感謝・感謝です。
江部康二
今回は、tetug3さんから、「糖質制限食はカロリー制限食に比べて楽」という嬉しいコメントをいただきました。
『江部先生
毎日楽しく拝見させていただいております。 大変参考になるお話をいつもありがとうございます。
この記事僕もカステーラさんのブログで読ませていただきました。 さっそく僕も自分が摂って来た糖質量を計算してみました。
5月から11月 カロリー制限時 60.86% 総カロリー平均 1360.06Kcal
12月から4月 糖質制限食導入 29.88% 総カロリー平均 1898.79Kcal
11月まで医師の指示通り食品交換表と首っ引きで食事を作っておりました。
結構難しくまたいつも腹が減っていた状態でした。おかげで体重は標準体重になりましたが大変でした。11月の下旬からは糖質制限食にしましたので肉類もしっかり食べるようになりだいぶ楽になりました。糖質制限食にしてからは体重の増減があまりありません。だいたい標準体重を1キロ程下回った状態が続いております。この数字はほとんどスタンダード糖質制限食ですね。自己流でやって来たのでなんだかほっとしています。そういえば僕の住む地域(京都まで列車と新幹線を乗り継いで半日以上かかる田舎です。)から高雄病院に教育入院された糖尿病の患者さんがいらっしゃいました。すごいです。糖質制限の食事療法が広くひろまるといいですね。なんといっても楽ですから。
2008/04/15(火) 12:39:29 | URL | tetug3』
tetug3さん。コメントありがとうございます。
「僕の住む地域(京都まで列車と新幹線を乗り継いで半日以上かかる田舎です。)から高雄病院に教育入院された糖尿病の患者さんがいらっしゃいました。」
おかげさまで高雄病院、関東、東北、北海道、九州など遠方からの糖尿病患者さんがたくさん入院してこられます。
2005年1月、「主食を抜けば糖尿病は良くなる」を出版した当初は、主治医に患者さんが 糖質制限食の相談をしても、「とんでもない!!」といった拒否反応が全てでした。それで仕方ないので、黙ってこっそり入院してきたという糖尿人がほとんどでした。
しかし、ここ1年は、「かかりつけのお医者さんに相談して、紹介状を書いてもらいました。」とか
「一度入院して 糖質制限食の効果を試すように言われました」とか< 糖質制限食>がすこしずつ、日本の医学界にも浸透していることを実感します。
そうそう、最近は、京都市内の糖尿病患者さんの入院も増えていますよ。
先日も、主治医から「主食を抜けば・・・」を読むように言われ、高雄病院に入院を勧められましたという京都市内の患者さんがおられました。京都市内にも少しずつ糖質制限食を理解していただいている医師が増えてきているようでとても嬉しく思っています。
tetug3さん。カロリー制限の糖尿病食と糖質制限食を両方経験されて、「糖質制限食が楽です。」とのことありがとうございます。
また、カロリー制限食のときは平均1360Kcalで、糖質制限食になってからは、平均1898Kcalと約500Kcal以上も摂取量が増えていてるのに体重維持ですから、やはりカロリー制限より糖質制限ですね。血糖値も当然改善されていると思います。
私は2002年糖尿病発症から 糖質制限食なのですが、自分にはカロリー制限食は到底無理と思いました。病院の給食は最初からカロリー計算してあるのですが、外食時などいちいち食品のカロリー計算なんかしていたら大変で、食べ物もおちおち咽を通りませんからね。味しく楽しく糖質制限食に感謝・感謝です。
江部康二
2008年04月20日 (日)
こんばんは。
テニスから帰って、スタイルフリーを飲んだあと、連れ合いと二人で徒歩3分の行きつけのお店で
鯨のショウガ焼き、マグロのカマ焼き、タイラガイの塩焼き、嵯峨野の筍、鱧の天ぷら、ベーコンと白菜の煮物、サラダ、赤貝・鯨・まぐろ・ひらめの刺身・・・、そして焼酎のお湯割りを飲んで帰宅・・・。
ご機嫌の江部康二です。
4.18は第三金曜日で我がバンドターニング・ポイントのライブの日でした。今回もいつも通り、歌って踊って飲んで盛り上がりました。y(o^-^o)y
4.18ライブも、女釣り師・美名吉さんが来てくれました。
飲むわ、飲むわ、飲むわ・・・
踊るわ、踊るわ、踊るわ・・・
ライブの盛り上げにはかかせない貴重な人材ですね。(^o^)v
釣り師あにきはともかくとして、美人をもう一人連れてきてくれましたよ。
ライブの様子が写真入りで4.19のブログ
『美名吉の琵琶湖周航歌』http://ameblo.jp/nicorele213/
に載ってます。
実は美奈吉さんのブログ、バス部門ではランキングナンバー1なのですね。ビックリしました。
内容も豊富で後ろ姿だけではなくて、いろんな写真を見ることができますよ。魚が見たい人、美人が見たい人、ライブの様子が見たい人、釣りが好きな人・・・、是非覗いてみてくださいね。
それからもう一つ。
ターニング・ポイントのキーボード担当・吉田貞男が、釣りのビデオ作成が仕事で日本全国駆け回っています。ビデオが如何に売れるかに生活かかっているそうです。頑張れ。q(^-^q)q(^-^q)
ホームページがありますので、こちらも釣りが好きな人は、是非覗いてみてくださいね。。
映像プロ 喜怒哀楽 http://www.kido-i-raku.com/
テニスから帰って、スタイルフリーを飲んだあと、連れ合いと二人で徒歩3分の行きつけのお店で
鯨のショウガ焼き、マグロのカマ焼き、タイラガイの塩焼き、嵯峨野の筍、鱧の天ぷら、ベーコンと白菜の煮物、サラダ、赤貝・鯨・まぐろ・ひらめの刺身・・・、そして焼酎のお湯割りを飲んで帰宅・・・。
ご機嫌の江部康二です。
4.18は第三金曜日で我がバンドターニング・ポイントのライブの日でした。今回もいつも通り、歌って踊って飲んで盛り上がりました。y(o^-^o)y
4.18ライブも、女釣り師・美名吉さんが来てくれました。
飲むわ、飲むわ、飲むわ・・・
踊るわ、踊るわ、踊るわ・・・
ライブの盛り上げにはかかせない貴重な人材ですね。(^o^)v
釣り師あにきはともかくとして、美人をもう一人連れてきてくれましたよ。
ライブの様子が写真入りで4.19のブログ
『美名吉の琵琶湖周航歌』http://ameblo.jp/nicorele213/
に載ってます。
実は美奈吉さんのブログ、バス部門ではランキングナンバー1なのですね。ビックリしました。
内容も豊富で後ろ姿だけではなくて、いろんな写真を見ることができますよ。魚が見たい人、美人が見たい人、ライブの様子が見たい人、釣りが好きな人・・・、是非覗いてみてくださいね。
それからもう一つ。
ターニング・ポイントのキーボード担当・吉田貞男が、釣りのビデオ作成が仕事で日本全国駆け回っています。ビデオが如何に売れるかに生活かかっているそうです。頑張れ。q(^-^q)q(^-^q)
ホームページがありますので、こちらも釣りが好きな人は、是非覗いてみてくださいね。。
映像プロ 喜怒哀楽 http://www.kido-i-raku.com/
2008年04月20日 (日)
おはようございます。
余分三兄弟、久しぶりの快挙です。テレビで見ていて思わず笑ってしまいました。o(^▽^o)笑〃
あ!、皆さん、勿論知ってますよね。天海祐希さんと余分三兄弟のCMです。
名刺交換編と温泉編があります。両方いいのですが、私は、天海さんのお母さんが、なぜか部屋の中の温泉にはいっている余分三兄弟に「娘がいつも・・・」と挨拶しようとして天海さんが「いや世話になってないから!」とキッパリ否定するその間とか、三者のキャラクターとかが絶妙で、この温泉編、本年度のCM大賞当選確実と思う次第です。
余分三兄弟はいなくても、天海(甘み)はあるということも含んでいるのでしょうか?
それで昨日、江部診療所のナース・スタッフ数人に、このCMのことを話したらみんなよく知っていて、大好評でした。
ところが、ところがですよ・・・、
みんな、天海祐希さんと余分三兄弟はよく覚えているのですが、肝腎の商品名とメーカー名を私を始め誰一人として覚えてなかったのです。(ー。ー;) エーット
映像とストーリーのインパクトがあまりに強くて、それしか記憶になかったのですね。いやはや、これは素晴らしいCMですよ。
それで帰宅して早速インターネットで調べて「サントリーDAKARA」というスポーツ飲料水のCMということを知りました。サントリーはトミー・リー・ジョーンズを起用した「ボス」のCMもなかなかの出来で、優れものが多いですね。
サントリーのホームページの余分三兄弟の紹介文も笑えます。
「脂肪」
趣味:昼寝、テレビ鑑賞(グルメ番組)
好きな食べ物:肉の脂身、霜降り肉、こってりラーメン
特技:おいしそうに食べること
「糖分」
趣味:スイーツバイキングめぐり、スポーツ観戦(見るだけ)
好きな食べ物:スーパージャンボフルーツチョコパフェ
短所:自分に甘いところ
「塩分」
やめたい習慣:そばつゆを全部飲んでしまうこと
好きな食べ物:塩鮭、塩辛、塩まんじゅう
性格:敵に塩を送るタイプ
で、結局 糖質制限食OK食品か否かということになるのですが、砂糖ゼロ、脂肪ゼロ、食塩ゼロ・・・なのですが、残念ながら×食品なのです。
つまり甘味料として、果糖とブドウ糖が使用してあるので比較的低カロリーではありますが、血糖値は上昇させてしまうので、糖尿人には御法度の飲み物なのでした。残念!!
江部康二
余分三兄弟、久しぶりの快挙です。テレビで見ていて思わず笑ってしまいました。o(^▽^o)笑〃
あ!、皆さん、勿論知ってますよね。天海祐希さんと余分三兄弟のCMです。
名刺交換編と温泉編があります。両方いいのですが、私は、天海さんのお母さんが、なぜか部屋の中の温泉にはいっている余分三兄弟に「娘がいつも・・・」と挨拶しようとして天海さんが「いや世話になってないから!」とキッパリ否定するその間とか、三者のキャラクターとかが絶妙で、この温泉編、本年度のCM大賞当選確実と思う次第です。
余分三兄弟はいなくても、天海(甘み)はあるということも含んでいるのでしょうか?
それで昨日、江部診療所のナース・スタッフ数人に、このCMのことを話したらみんなよく知っていて、大好評でした。
ところが、ところがですよ・・・、
みんな、天海祐希さんと余分三兄弟はよく覚えているのですが、肝腎の商品名とメーカー名を私を始め誰一人として覚えてなかったのです。(ー。ー;) エーット
映像とストーリーのインパクトがあまりに強くて、それしか記憶になかったのですね。いやはや、これは素晴らしいCMですよ。
それで帰宅して早速インターネットで調べて「サントリーDAKARA」というスポーツ飲料水のCMということを知りました。サントリーはトミー・リー・ジョーンズを起用した「ボス」のCMもなかなかの出来で、優れものが多いですね。
サントリーのホームページの余分三兄弟の紹介文も笑えます。
「脂肪」
趣味:昼寝、テレビ鑑賞(グルメ番組)
好きな食べ物:肉の脂身、霜降り肉、こってりラーメン
特技:おいしそうに食べること
「糖分」
趣味:スイーツバイキングめぐり、スポーツ観戦(見るだけ)
好きな食べ物:スーパージャンボフルーツチョコパフェ
短所:自分に甘いところ
「塩分」
やめたい習慣:そばつゆを全部飲んでしまうこと
好きな食べ物:塩鮭、塩辛、塩まんじゅう
性格:敵に塩を送るタイプ
で、結局 糖質制限食OK食品か否かということになるのですが、砂糖ゼロ、脂肪ゼロ、食塩ゼロ・・・なのですが、残念ながら×食品なのです。
つまり甘味料として、果糖とブドウ糖が使用してあるので比較的低カロリーではありますが、血糖値は上昇させてしまうので、糖尿人には御法度の飲み物なのでした。残念!!
江部康二
2008年04月18日 (金)
おはようございます、江部康二です。
ブログ読者の皆さんからご要望の多かった、糖質制限食OKの医療機関ネットワーク、いよいよ最初の一歩を踏み出すこととなりました。
4月27日(日)に、東京の「なかのサンプラザ」で『医療関係者向けセミナー 糖質制限食徹底講座』を開催いたします。
今回のセミナーは、医療関係者向けで、糖質制限食を臨床実践できる医療機関の輪を広げるために、医師・栄養士・看護士などを対象に企画しました。初の医療関係者向けの特別講座ですので、一般向け講演に比べて糖質制限食の理論を詳細に展開します。
理論編のあとは、症例検討を詳細に行います。さらに「糖質制限食」を軸に、糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームなど、生活習慣病治療の食事療法「 糖質制限食十カ条」を説明し、あわせてテーラーメード・ダイエットの観点からアレルギー疾患治療・生活習慣病予防のための「高雄病院食生活10カ条」(主食は未精製の穀物OK)も検討します。
ぜひ、皆様のお申し込み、ご参加を心よりお待ちしております。お知り合いの医師、看護士、栄養士の皆様など、医療にたずさわる方々もお誘いいただければ幸いです。
参加ご希望の方は、<アトピー・ネットワーク・リボーン 糖質制限食普及センター東京事務所>の 曽我部 ゆかり さんまで、メールか電話またはファックスでお申し込みください。
(電話ファックス/03-3388-5428 メールアドレス/reborn@big.or.jp)
日時:2008年4月27日(日)
13時開場
13時20分~基調講演(江部康二)
15時20分~休憩
15時30分~質疑応答
16時30分 修了予定
会場:なかのサンプラザ8階研修室 JR中野駅から徒歩2分
会費:5000円 (学生/3000円)
(資料・江部康二による糖質制限食講座PPTスライドCD付き)
定員:36名まで
参加条件:今回は医療関係者に限らせていただきます。
主催:アトピー・ネットワーク・リボーン
糖質制限食普及センター東京事務所
ブログ読者の皆さんからご要望の多かった、糖質制限食OKの医療機関ネットワーク、いよいよ最初の一歩を踏み出すこととなりました。
4月27日(日)に、東京の「なかのサンプラザ」で『医療関係者向けセミナー 糖質制限食徹底講座』を開催いたします。
今回のセミナーは、医療関係者向けで、糖質制限食を臨床実践できる医療機関の輪を広げるために、医師・栄養士・看護士などを対象に企画しました。初の医療関係者向けの特別講座ですので、一般向け講演に比べて糖質制限食の理論を詳細に展開します。
理論編のあとは、症例検討を詳細に行います。さらに「糖質制限食」を軸に、糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームなど、生活習慣病治療の食事療法「 糖質制限食十カ条」を説明し、あわせてテーラーメード・ダイエットの観点からアレルギー疾患治療・生活習慣病予防のための「高雄病院食生活10カ条」(主食は未精製の穀物OK)も検討します。
ぜひ、皆様のお申し込み、ご参加を心よりお待ちしております。お知り合いの医師、看護士、栄養士の皆様など、医療にたずさわる方々もお誘いいただければ幸いです。
参加ご希望の方は、<アトピー・ネットワーク・リボーン 糖質制限食普及センター東京事務所>の 曽我部 ゆかり さんまで、メールか電話またはファックスでお申し込みください。
(電話ファックス/03-3388-5428 メールアドレス/reborn@big.or.jp)
日時:2008年4月27日(日)
13時開場
13時20分~基調講演(江部康二)
15時20分~休憩
15時30分~質疑応答
16時30分 修了予定
会場:なかのサンプラザ8階研修室 JR中野駅から徒歩2分
会費:5000円 (学生/3000円)
(資料・江部康二による糖質制限食講座PPTスライドCD付き)
定員:36名まで
参加条件:今回は医療関係者に限らせていただきます。
主催:アトピー・ネットワーク・リボーン
糖質制限食普及センター東京事務所
2008年04月17日 (木)
おはようございます。夜半から雨が降り続いている京都です。
広沢の池の東、桜の名所、桜守・佐野藤右衛門さんの桜もそろそろ散ってしまいそうです。
さて今回は、ウィスキーが大好きなhashyさんからのコメント・質問です。
『江部先生、初めてコメント出させていただきます。私は50才の中年男性です。2年前から空腹時血糖値が179、202になり、今年の1月にはついに、247となり糖尿病の治療をしないとマズイと腰をあげました。ちなみにHbA1cは6.8、8.4、8.9%です。もともと薬が嫌いなので、何か自分でできる良い方法はないかとさ迷っているときに、先生の「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」に運命的に出会い、2月18日より即座に、「スーパー糖質制限食」に挑みました。私は毎日スコッチをソーダ割りで5杯くらい飲みます。ウィスキーはOKというのも最高の条件です。以来、誘惑に負けず、ほぼ完全に糖質を断ち、4月3日に血液検査をしました。約7週間の結果は、予想を上回りました。空腹時血糖値が81、HbA1c は5.8%に劇的に下がっていました。驚いたのは、γ-GTPが76が43に大幅に下がっていることです。173cm、71kgの体重は64kgに減り、ウエストは90cmから78cmに大幅減しました。
唯一、中性脂肪が未だに241もあります。これは飲酒によるものなのでしょうか?
しばらくは、スーパー糖質制限を続けて、体重をコントロールしようと考えています。本当にありがとうございました。これからもますますのご活躍を祈念いたします。
2008/04/15(火) 12:20:56 | URL | hashy 』
hashy さん。本のご購入そしてコメントありがとうございます。
2月18日→4月3日と7週間のスーパー糖質制限食の実践で<空腹時血糖値が247mg/dl→81mg/dl 、HbA1cが8.9%→5.8%>確かに劇的な改善ですね。おめでとうございます。(^o^)v
高雄病院の患者さんでもきっちりスーパー糖質制限食を実践された患者さんは、hashyさんと同じような速度で、血糖コントロールが改善します。
体重もとても順調に減っていて、メタボ人脱出ですね。ほとんどの場合、学生時代など若い頃の体重まで減量したら落ち着きます。私の場合もそうでした。
「驚いたのは、γ-GTPが76が43に大幅に下がっていることです。」
γ-GTPも通常はお酒を飲むと上昇する検査とされています。しかし、ビールなど糖質を含む酒をやめて、ウィスキーや焼酎など蒸留酒に切り替えると同じ量のアルコールなら、γ-GTPが改善することがあります。
hashyさんと同じこの現象も 糖質制限食実践中でアルコール摂取している人で、結構経験しました。
もっとも、量的に飲み過ぎの人はγ-GTPも高値のままのことがありますのでご用心ご用心。
「唯一、中性脂肪が未だに241もあります。これは飲酒によるものなのでしょうか?」
中性脂肪高値はウィスキー摂取とは無関係で、基本的に糖質摂取が関係します。 hashyさん、HbA1cが劇的に改善してますので、平均したらとても上手にスーパー糖質制限食を実行しておられると思います。
中性脂肪値に関しては前日や当日の糖質摂取が結構鋭敏に反映されるので、(家族性高脂血症などでなければ)たまたま採血前日などに、うっかり糖質が摂取された可能性があります。
江部康二
広沢の池の東、桜の名所、桜守・佐野藤右衛門さんの桜もそろそろ散ってしまいそうです。
さて今回は、ウィスキーが大好きなhashyさんからのコメント・質問です。
『江部先生、初めてコメント出させていただきます。私は50才の中年男性です。2年前から空腹時血糖値が179、202になり、今年の1月にはついに、247となり糖尿病の治療をしないとマズイと腰をあげました。ちなみにHbA1cは6.8、8.4、8.9%です。もともと薬が嫌いなので、何か自分でできる良い方法はないかとさ迷っているときに、先生の「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」に運命的に出会い、2月18日より即座に、「スーパー糖質制限食」に挑みました。私は毎日スコッチをソーダ割りで5杯くらい飲みます。ウィスキーはOKというのも最高の条件です。以来、誘惑に負けず、ほぼ完全に糖質を断ち、4月3日に血液検査をしました。約7週間の結果は、予想を上回りました。空腹時血糖値が81、HbA1c は5.8%に劇的に下がっていました。驚いたのは、γ-GTPが76が43に大幅に下がっていることです。173cm、71kgの体重は64kgに減り、ウエストは90cmから78cmに大幅減しました。
唯一、中性脂肪が未だに241もあります。これは飲酒によるものなのでしょうか?
しばらくは、スーパー糖質制限を続けて、体重をコントロールしようと考えています。本当にありがとうございました。これからもますますのご活躍を祈念いたします。
2008/04/15(火) 12:20:56 | URL | hashy 』
hashy さん。本のご購入そしてコメントありがとうございます。
2月18日→4月3日と7週間のスーパー糖質制限食の実践で<空腹時血糖値が247mg/dl→81mg/dl 、HbA1cが8.9%→5.8%>確かに劇的な改善ですね。おめでとうございます。(^o^)v
高雄病院の患者さんでもきっちりスーパー糖質制限食を実践された患者さんは、hashyさんと同じような速度で、血糖コントロールが改善します。
体重もとても順調に減っていて、メタボ人脱出ですね。ほとんどの場合、学生時代など若い頃の体重まで減量したら落ち着きます。私の場合もそうでした。
「驚いたのは、γ-GTPが76が43に大幅に下がっていることです。」
γ-GTPも通常はお酒を飲むと上昇する検査とされています。しかし、ビールなど糖質を含む酒をやめて、ウィスキーや焼酎など蒸留酒に切り替えると同じ量のアルコールなら、γ-GTPが改善することがあります。
hashyさんと同じこの現象も 糖質制限食実践中でアルコール摂取している人で、結構経験しました。
もっとも、量的に飲み過ぎの人はγ-GTPも高値のままのことがありますのでご用心ご用心。
「唯一、中性脂肪が未だに241もあります。これは飲酒によるものなのでしょうか?」
中性脂肪高値はウィスキー摂取とは無関係で、基本的に糖質摂取が関係します。 hashyさん、HbA1cが劇的に改善してますので、平均したらとても上手にスーパー糖質制限食を実行しておられると思います。
中性脂肪値に関しては前日や当日の糖質摂取が結構鋭敏に反映されるので、(家族性高脂血症などでなければ)たまたま採血前日などに、うっかり糖質が摂取された可能性があります。
江部康二
2008年04月16日 (水)
おはようございます。
いよいよ暖かくなってきましたね。広沢の池の桜もすっかり散ってしまいました。
さて今回は、スーパー糖室制限食を実践中のふくちゃんからコメント・質問をいただきました。
『08/04/14 ふくちゃん
お世話になっております。2週間ほど前に投稿しましたふくちゃんです。スーパー糖室制限食を実施して2週間、はじめての検査結果がでましたHbA1cが前回の11,8から10,4に下がりました。アマリールは朝と夕2mgづつの指示でしたが1mgづつに勝手に減らしました。炭水化物を全く摂取していないのに膵臓に負担をかけ過ぎたくなかった為です。グルコバイは朝昼晩100mgづつ服用しました。
主治医には糖質制限食を実行していることは言っていませんが、このままだとやはりインスリン注射を指導することになると言われました。私的にはHbA1cは1~2か月前の血糖状態と解釈しておりますので糖質制限食を始めた2週間前からの成果は次回の検査で明らかになると思うのですが間違っているでしょうか・・・。またアマリールの量を勝手に減らしてもよかったのでしょうか・・・。お忙しいところ恐れ入りますがどうぞ宜しくお願いいたします。あ、それから糖質制限食を始めてから体重が65キロから62キロに減少し(身長は176センチ)、常に下痢気味だった便が良い便が出るようになりました。これだけでも成果だと思っています。』
ふくちゃん様。
スーパー糖質制限食2週間で、HbA1cが前回の11,8から10,4%と、1.4%も改善ですので、
とても良い経過ですよ。(^o^)v
HbA1c(*)は過去1~2ヶ月間の平均血糖値を反映してますので、次回の検査は更なる改善が期待できると思います。アマリールは減量しても、 HbA1cが良くなっているのでOKですね。一ヶ月後の次回検査で、おそらく8%台になっているでしょう。
主治医殿には、「アマリールを減らして、食事療法をきっちりやって、HbA1cが改善した。」ということで、相談してみてください。
順調にいけば三ヶ月後には6%台となりますので、インスリンの話が主治医殿からでなくなると思います。
もしどんな食事療法かと、主治医殿に聞かれたら、例によって「欧米では既に一般的で、日本でも始まりつつある<糖質管理食(**)>を徹底して実践しました。」ということで説明して理解を求めてください。
「糖質制限食を始めてから体重が65キロから62キロに減少し(身長は176センチ)、常に下痢気味だった便が良い便が出るようになりました。これだけでも成果だと思っています。」
良かったです。糖質制限食で当初、便秘したりする人もいますが快便となったのですね。糖質制限食で代謝全体が改善しますので中長期的には体調もよくなります。
江部康二
*HbA1c
赤血球の中に含まれているヘモグロビンは、鉄を含む赤色の色素部分のヘムと、蛋白部分のグロビンでできています。ヘモグロビンはグロビン部分の違いによりHbA、HbA2、HbFの3種類に分けられます。成人では、HbAが97%を占めています。
血液中には、赤血球や糖類やその代謝産物が流れていて、お互いに結合する傾向があります。赤血球中のヘモグロビンと、血中のブドウ糖など単糖類が結合したものが、グリケーティッドヘモグロビンです。
これを略してグリコヘモグロビンですが、HbA1とほぼ同義語として使用されています。グリコヘモグロビンは、元のヘモグロビンとは電気的性質が異なるため、検査により識別することができます。
HbA1は、さらにHbA1a、HbA1b、HbA1cなどに分けることができます。
このうち糖尿病の検査の指標として汎用されているHbA1cはヘモグロビンA(HbA)にグルコース(ブドウ糖)が結合したものです。当然、血糖値が高値であるほど、ヘモグロビンと結合しやすいのです。
HbA1cの生産量は、Hb(ヘモグロビン)の寿命と血糖値に依存します。赤血球は骨髄で作られ、血液中を循環し寿命は約120日間ですから、HbA1cは過去4ヶ月(120日間)の血糖値の動きを示しています。
より詳しく分析すると、HbA1c値の約50%は過去1ヶ月間の間に作られ、約25%が過去2ヶ月、残りの約25%が過去3、4ヶ月で作られます。
従いまして、HbA1cの値は通常は過去1、2ヶ月の平均血糖値を反映していると考えればよいことになります。
**糖質管理食
やはり主治医とよく相談されて、低血糖予防のためアマリールを減量されるのがよろしいですね。確かに糖質制限食といきなり言うと、主治医が拒否反応を起こされるかもしれませんので、糖質管理食を実践中ということで如何でしょう?
2008年1月の米国糖尿病協会(ADA)の栄養勧告で、「炭水化物をモニタリングすることは、炭水化物計算にしろ、炭水化物交換にしろ、経験に基づく評価にしろ、血糖コントロールを達成するための鍵となる戦略である。」と、炭水化物(糖質)を日常的に継続的に点検することを、強く推奨しています。
その中で炭水化物を計算するやり方は、糖質管理食(carbohydrate counting)といい、欧米では一般的に定着している糖尿病食事療法です。
日本でも「糖尿病のあなたへ かんたんカーボカウント―豊かな食生活のために 」医薬ジャーナル社 (2006/03) という糖質管理食の本が、大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学教室 大阪市立大学医学部附属病院栄養部から出版されています。
この糖質管理食を徹底したのが、 糖質制限食です。
いよいよ暖かくなってきましたね。広沢の池の桜もすっかり散ってしまいました。
さて今回は、スーパー糖室制限食を実践中のふくちゃんからコメント・質問をいただきました。
『08/04/14 ふくちゃん
お世話になっております。2週間ほど前に投稿しましたふくちゃんです。スーパー糖室制限食を実施して2週間、はじめての検査結果がでましたHbA1cが前回の11,8から10,4に下がりました。アマリールは朝と夕2mgづつの指示でしたが1mgづつに勝手に減らしました。炭水化物を全く摂取していないのに膵臓に負担をかけ過ぎたくなかった為です。グルコバイは朝昼晩100mgづつ服用しました。
主治医には糖質制限食を実行していることは言っていませんが、このままだとやはりインスリン注射を指導することになると言われました。私的にはHbA1cは1~2か月前の血糖状態と解釈しておりますので糖質制限食を始めた2週間前からの成果は次回の検査で明らかになると思うのですが間違っているでしょうか・・・。またアマリールの量を勝手に減らしてもよかったのでしょうか・・・。お忙しいところ恐れ入りますがどうぞ宜しくお願いいたします。あ、それから糖質制限食を始めてから体重が65キロから62キロに減少し(身長は176センチ)、常に下痢気味だった便が良い便が出るようになりました。これだけでも成果だと思っています。』
ふくちゃん様。
スーパー糖質制限食2週間で、HbA1cが前回の11,8から10,4%と、1.4%も改善ですので、
とても良い経過ですよ。(^o^)v
HbA1c(*)は過去1~2ヶ月間の平均血糖値を反映してますので、次回の検査は更なる改善が期待できると思います。アマリールは減量しても、 HbA1cが良くなっているのでOKですね。一ヶ月後の次回検査で、おそらく8%台になっているでしょう。
主治医殿には、「アマリールを減らして、食事療法をきっちりやって、HbA1cが改善した。」ということで、相談してみてください。
順調にいけば三ヶ月後には6%台となりますので、インスリンの話が主治医殿からでなくなると思います。
もしどんな食事療法かと、主治医殿に聞かれたら、例によって「欧米では既に一般的で、日本でも始まりつつある<糖質管理食(**)>を徹底して実践しました。」ということで説明して理解を求めてください。
「糖質制限食を始めてから体重が65キロから62キロに減少し(身長は176センチ)、常に下痢気味だった便が良い便が出るようになりました。これだけでも成果だと思っています。」
良かったです。糖質制限食で当初、便秘したりする人もいますが快便となったのですね。糖質制限食で代謝全体が改善しますので中長期的には体調もよくなります。
江部康二
*HbA1c
赤血球の中に含まれているヘモグロビンは、鉄を含む赤色の色素部分のヘムと、蛋白部分のグロビンでできています。ヘモグロビンはグロビン部分の違いによりHbA、HbA2、HbFの3種類に分けられます。成人では、HbAが97%を占めています。
血液中には、赤血球や糖類やその代謝産物が流れていて、お互いに結合する傾向があります。赤血球中のヘモグロビンと、血中のブドウ糖など単糖類が結合したものが、グリケーティッドヘモグロビンです。
これを略してグリコヘモグロビンですが、HbA1とほぼ同義語として使用されています。グリコヘモグロビンは、元のヘモグロビンとは電気的性質が異なるため、検査により識別することができます。
HbA1は、さらにHbA1a、HbA1b、HbA1cなどに分けることができます。
このうち糖尿病の検査の指標として汎用されているHbA1cはヘモグロビンA(HbA)にグルコース(ブドウ糖)が結合したものです。当然、血糖値が高値であるほど、ヘモグロビンと結合しやすいのです。
HbA1cの生産量は、Hb(ヘモグロビン)の寿命と血糖値に依存します。赤血球は骨髄で作られ、血液中を循環し寿命は約120日間ですから、HbA1cは過去4ヶ月(120日間)の血糖値の動きを示しています。
より詳しく分析すると、HbA1c値の約50%は過去1ヶ月間の間に作られ、約25%が過去2ヶ月、残りの約25%が過去3、4ヶ月で作られます。
従いまして、HbA1cの値は通常は過去1、2ヶ月の平均血糖値を反映していると考えればよいことになります。
**糖質管理食
やはり主治医とよく相談されて、低血糖予防のためアマリールを減量されるのがよろしいですね。確かに糖質制限食といきなり言うと、主治医が拒否反応を起こされるかもしれませんので、糖質管理食を実践中ということで如何でしょう?
2008年1月の米国糖尿病協会(ADA)の栄養勧告で、「炭水化物をモニタリングすることは、炭水化物計算にしろ、炭水化物交換にしろ、経験に基づく評価にしろ、血糖コントロールを達成するための鍵となる戦略である。」と、炭水化物(糖質)を日常的に継続的に点検することを、強く推奨しています。
その中で炭水化物を計算するやり方は、糖質管理食(carbohydrate counting)といい、欧米では一般的に定着している糖尿病食事療法です。
日本でも「糖尿病のあなたへ かんたんカーボカウント―豊かな食生活のために 」医薬ジャーナル社 (2006/03) という糖質管理食の本が、大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学教室 大阪市立大学医学部附属病院栄養部から出版されています。
この糖質管理食を徹底したのが、 糖質制限食です。
2008年04月15日 (火)
おはようございます。
今回はxiangdao さんから 糖尿病食事療法の歴史に関してコメントいただきました。xiangdao さん、カステーラさん、いつも貴重な情報をありがとうございます。
私も「糖尿病・最初の一年」(グレッチェン・ベッカー 著、 太田 喜義 訳 日本評論社)を持っていたので、早速確認してみました。
なかなか、見つからなかったのですが、339ページの付録に「糖尿病ダイエットに関する勧告はどう展開したか」と題して載っていました。
この付録はグレッチェン・ベッカーさんも共著者の一人である「4成分ダイエット」という本から転載されています。
グレッチェン・ベッカーさんは、医学論文の文献調査を職業としていますが、医師でも医療関係者でもありません。
しかし、自らが糖尿病にかかったことで、徹底的に糖尿病関連の情報を集めて、学術的にもレベルの高い解説書を出版しました。
私も本文はしっかり読みましたが、定説や常識を押しつけず、ニュートラルな立場で解説してあり、読者自身が治療法を選択できるような構成になっていて、なかなかの好著だと思います。(^_^)v
(付録にも貴重な情報があったのに見てなかったですね。(*_*) )
以下は、「糖尿病ダイエットに関する勧告はどう展開したか」からの要約です。
カステーラさんの意訳をさらに要約させてもらいました。
『1900年代初期、インスリンが発見される前は、標準的な糖尿病ダイエットは非常な低炭水化物食でした。それは2型糖尿病の血糖値を改善しました。
1型糖尿病には飢餓ダイエットが実践されて少し寿命延ばしましたが、当時致命的な病気でした。
1920年代になってインスリンが発見されると、多くの糖尿病患者は正常に近い生活ができるようになったものの、彼らの標準食は依然として低炭水化物・高脂肪食でした。
インスリンのおかげで1型糖尿病の子供たちは大人まで成長することが可能になりましたが、彼らの多くは比較的若い年齢で心臓病により亡くなっていました。
1950年代、心臓病の発症は飽和脂肪を多く摂る人に顕著だという研究結果が発表されると、糖尿病患者に心臓死が多いのは、脂肪の多い食事のせいだと考えられるようになりました。
1979年、アメリカでは1型糖尿病患者の食事から脂肪を減らし、炭水化物を55~60%にまで増やすことが決定されました。増えた炭水化物による血糖値の上昇は、インスリンを増やすことで対応しました。
8年後、2型糖尿病患者に対しても同じような勧告がなされました。この時期、高炭水化物兼高繊維食はインスリン抵抗性を下げ、食後の血糖値を安定させる効果が高いという研究結果が出されたからです。
2型糖尿病患者にとって、炭水化物の増加は血糖値の増加を意味しますが、その当時、食後の一時的な高血糖は無害だと信じられていました。
しかし1994年、アメリカ糖尿病協会(ADA)は高炭水化物食がすべての2型糖尿病患者に対してベストなものではなかったことを認め、ダイエットを個人化し、時に炭水化物の一部を1価不飽和脂肪で置き換える食事療法を許容しました。
このようなADAの変化にも関わらず、今なお患者に大量の炭水化物摂取を勧める医師や栄養士は数多くいます。
高炭水化物食に移行するきっかけとなった最初の研究は高繊維食を強調したものであったのに、これが忘れられて誤解され、パンや米やシリアルなど高炭水化物食が糖尿病患者に奨められているのです。
また、大量の脂肪摂取が心臓死を招くとする研究も、厳密にいえば大量の飽和脂肪なのです。オリーブ油(1価不飽和脂肪)をたっぷり摂るギリシャでの心臓死は決して多くありません。また、大量の飽和脂肪を摂る集団は、大量の炭水化物を摂る集団であることも忘れてはいけません。
このように、本来は「高繊維&高1価不飽和脂肪」食がベストな食事だと示唆する研究が誤解され、「高炭水化物&低脂肪」食が最良なダイエットはというふうに勘違いされてしまったのです。
最近の研究では、食後2時間の血糖値が、将来起こる様々な問題の最も正しい指標であることが明らかになっています。食後2時間血糖値の低い人たちの心臓死のリスクは低いのです。食後高血糖は問題ではないと言われた時代は終わりました。
もしあなたがインスリンを打っているなら、どんなに炭水化物を摂ってもそれに見合うインスリンを打てば問題ないと思うかもしれません。しかし、健康なすい臓が行う微妙な血糖コントロールを、インスリン注射で真似することは非常に困難です。炭水化物の量が増えれば増えるほど血糖値の上下は激しくなりますが、炭水化物を控えれば山と谷は平らになります。
糖尿病食の流行は振り子のように揺れ動いています。ちょっと前まで、多くの医師は60%から、場合によっては70%もの炭水化物を推奨しました。しかし今、振り子は反対側へ揺り戻しています。
ボストンのジョスリン糖尿病センターは最近、炭水化物の推奨量を40%に下げました。
(Joslin Diabetes Mellitus 第14版、2005年、616ページ)
さらに多くの医師や糖尿病教育士は、より低い炭水化物とよりたくさんのタンパク質と脂肪(特に1価不飽和脂肪)の食事療法を処方する傾向にあります。
私たちはすべて、それぞれ固有の生理を持っていて一人一人違います。
2型糖尿病患者の多くは、炭水化物を減らすことで血糖をうまくコントロールしていますが、中にはどんな脂肪もだめで、高繊維&低脂肪食が一番いいという人もいます。
重要なのは、何があなたに効くのかを発見することです。血糖値(食後血糖値を含む)、血中脂質、血圧、そして医師があなたにとって重要と考える検査をしなさい。
それから数週間、数ヶ月経時的に検査結果をみて、今の食事療法があなたにとって最良であるかを判断しましょう。検査結果を参照し、別の食事療法がいいと考えたら、それをしばらく試しなさい。
健康にいき食物を楽しみなさい』
「現在の日本の糖尿病食は今から20年前のアメリカのやり方を真似た物だったのです。そのアメリカでは14年前に、それがベストなやり方ではなかったことを認めています。
確かに総カロリーも重要です。しかし、糖尿病患者にとって栄養素のバランスはそれ以上に重要で、どれがベストなバランスなのかは個人個人の体質や病状、生活習慣によって違ってくるということを、日本の医療はなぜ認めようとしないのでしょう。
食品交換表というお仕着せをすべての患者に一律に適用するのではなく、医師と栄養士と患者がチームを組んで、それぞれの患者にもっともふさわしい食事を探って行ける日が、一日も早く来ることを願ってやみません。
2008/04/13(日) 11:11:42 | URL | xiangdao」
xiangdaoさん。コメントありがとうございます。
2005年に世界的に有名なジョスリン糖尿病センターが炭水化物の推奨量を40%と下げたのは極めて興味深いです。高雄病院の 糖質制限食にも明らかな追い風ですね。 (^_^)
スーパー糖質制限食では炭水化物12%、スタンダード 糖質制限食では30%です。
アメリカで最大の糖尿病患者さんの団体も糖質をより減らすことを奨めているそうですよ。
現在アメリカでは
1 高糖質食(糖質60%)
2 地中海食(糖質とオリーブオイルなどの脂質あわせて80%、飽和脂肪は10%以下)
3 糖質管理食
4 低糖質食( 糖質制限食)
など少なくとも自己責任・自己管理を前提に、糖尿人には選択肢が4つはあるので
日本の高糖質食のみとはえらい違いですね。
補足です。
ADA食事療法のガイドラインの変遷
1950年 炭水化物40%、タンパク質20%、脂肪40%
1971年 炭水化物45%、タンパク質20%、脂肪35%
1986年 炭水化物60%以下、タンパク質12~20%。脂肪30%以下
1994年 炭水化物、規定なし、タンパク質10~20%、
脂肪、規定なし(但し、飽和脂肪酸10%以下)
*1994年以降、アメリカでは炭水化物と脂肪のカロリー比を固定しなくなりました。
江部康二
今回はxiangdao さんから 糖尿病食事療法の歴史に関してコメントいただきました。xiangdao さん、カステーラさん、いつも貴重な情報をありがとうございます。
私も「糖尿病・最初の一年」(グレッチェン・ベッカー 著、 太田 喜義 訳 日本評論社)を持っていたので、早速確認してみました。
なかなか、見つからなかったのですが、339ページの付録に「糖尿病ダイエットに関する勧告はどう展開したか」と題して載っていました。
この付録はグレッチェン・ベッカーさんも共著者の一人である「4成分ダイエット」という本から転載されています。
グレッチェン・ベッカーさんは、医学論文の文献調査を職業としていますが、医師でも医療関係者でもありません。
しかし、自らが糖尿病にかかったことで、徹底的に糖尿病関連の情報を集めて、学術的にもレベルの高い解説書を出版しました。
私も本文はしっかり読みましたが、定説や常識を押しつけず、ニュートラルな立場で解説してあり、読者自身が治療法を選択できるような構成になっていて、なかなかの好著だと思います。(^_^)v
(付録にも貴重な情報があったのに見てなかったですね。(*_*) )
以下は、「糖尿病ダイエットに関する勧告はどう展開したか」からの要約です。
カステーラさんの意訳をさらに要約させてもらいました。
『1900年代初期、インスリンが発見される前は、標準的な糖尿病ダイエットは非常な低炭水化物食でした。それは2型糖尿病の血糖値を改善しました。
1型糖尿病には飢餓ダイエットが実践されて少し寿命延ばしましたが、当時致命的な病気でした。
1920年代になってインスリンが発見されると、多くの糖尿病患者は正常に近い生活ができるようになったものの、彼らの標準食は依然として低炭水化物・高脂肪食でした。
インスリンのおかげで1型糖尿病の子供たちは大人まで成長することが可能になりましたが、彼らの多くは比較的若い年齢で心臓病により亡くなっていました。
1950年代、心臓病の発症は飽和脂肪を多く摂る人に顕著だという研究結果が発表されると、糖尿病患者に心臓死が多いのは、脂肪の多い食事のせいだと考えられるようになりました。
1979年、アメリカでは1型糖尿病患者の食事から脂肪を減らし、炭水化物を55~60%にまで増やすことが決定されました。増えた炭水化物による血糖値の上昇は、インスリンを増やすことで対応しました。
8年後、2型糖尿病患者に対しても同じような勧告がなされました。この時期、高炭水化物兼高繊維食はインスリン抵抗性を下げ、食後の血糖値を安定させる効果が高いという研究結果が出されたからです。
2型糖尿病患者にとって、炭水化物の増加は血糖値の増加を意味しますが、その当時、食後の一時的な高血糖は無害だと信じられていました。
しかし1994年、アメリカ糖尿病協会(ADA)は高炭水化物食がすべての2型糖尿病患者に対してベストなものではなかったことを認め、ダイエットを個人化し、時に炭水化物の一部を1価不飽和脂肪で置き換える食事療法を許容しました。
このようなADAの変化にも関わらず、今なお患者に大量の炭水化物摂取を勧める医師や栄養士は数多くいます。
高炭水化物食に移行するきっかけとなった最初の研究は高繊維食を強調したものであったのに、これが忘れられて誤解され、パンや米やシリアルなど高炭水化物食が糖尿病患者に奨められているのです。
また、大量の脂肪摂取が心臓死を招くとする研究も、厳密にいえば大量の飽和脂肪なのです。オリーブ油(1価不飽和脂肪)をたっぷり摂るギリシャでの心臓死は決して多くありません。また、大量の飽和脂肪を摂る集団は、大量の炭水化物を摂る集団であることも忘れてはいけません。
このように、本来は「高繊維&高1価不飽和脂肪」食がベストな食事だと示唆する研究が誤解され、「高炭水化物&低脂肪」食が最良なダイエットはというふうに勘違いされてしまったのです。
最近の研究では、食後2時間の血糖値が、将来起こる様々な問題の最も正しい指標であることが明らかになっています。食後2時間血糖値の低い人たちの心臓死のリスクは低いのです。食後高血糖は問題ではないと言われた時代は終わりました。
もしあなたがインスリンを打っているなら、どんなに炭水化物を摂ってもそれに見合うインスリンを打てば問題ないと思うかもしれません。しかし、健康なすい臓が行う微妙な血糖コントロールを、インスリン注射で真似することは非常に困難です。炭水化物の量が増えれば増えるほど血糖値の上下は激しくなりますが、炭水化物を控えれば山と谷は平らになります。
糖尿病食の流行は振り子のように揺れ動いています。ちょっと前まで、多くの医師は60%から、場合によっては70%もの炭水化物を推奨しました。しかし今、振り子は反対側へ揺り戻しています。
ボストンのジョスリン糖尿病センターは最近、炭水化物の推奨量を40%に下げました。
(Joslin Diabetes Mellitus 第14版、2005年、616ページ)
さらに多くの医師や糖尿病教育士は、より低い炭水化物とよりたくさんのタンパク質と脂肪(特に1価不飽和脂肪)の食事療法を処方する傾向にあります。
私たちはすべて、それぞれ固有の生理を持っていて一人一人違います。
2型糖尿病患者の多くは、炭水化物を減らすことで血糖をうまくコントロールしていますが、中にはどんな脂肪もだめで、高繊維&低脂肪食が一番いいという人もいます。
重要なのは、何があなたに効くのかを発見することです。血糖値(食後血糖値を含む)、血中脂質、血圧、そして医師があなたにとって重要と考える検査をしなさい。
それから数週間、数ヶ月経時的に検査結果をみて、今の食事療法があなたにとって最良であるかを判断しましょう。検査結果を参照し、別の食事療法がいいと考えたら、それをしばらく試しなさい。
健康にいき食物を楽しみなさい』
「現在の日本の糖尿病食は今から20年前のアメリカのやり方を真似た物だったのです。そのアメリカでは14年前に、それがベストなやり方ではなかったことを認めています。
確かに総カロリーも重要です。しかし、糖尿病患者にとって栄養素のバランスはそれ以上に重要で、どれがベストなバランスなのかは個人個人の体質や病状、生活習慣によって違ってくるということを、日本の医療はなぜ認めようとしないのでしょう。
食品交換表というお仕着せをすべての患者に一律に適用するのではなく、医師と栄養士と患者がチームを組んで、それぞれの患者にもっともふさわしい食事を探って行ける日が、一日も早く来ることを願ってやみません。
2008/04/13(日) 11:11:42 | URL | xiangdao」
xiangdaoさん。コメントありがとうございます。
2005年に世界的に有名なジョスリン糖尿病センターが炭水化物の推奨量を40%と下げたのは極めて興味深いです。高雄病院の 糖質制限食にも明らかな追い風ですね。 (^_^)
スーパー糖質制限食では炭水化物12%、スタンダード 糖質制限食では30%です。
アメリカで最大の糖尿病患者さんの団体も糖質をより減らすことを奨めているそうですよ。
現在アメリカでは
1 高糖質食(糖質60%)
2 地中海食(糖質とオリーブオイルなどの脂質あわせて80%、飽和脂肪は10%以下)
3 糖質管理食
4 低糖質食( 糖質制限食)
など少なくとも自己責任・自己管理を前提に、糖尿人には選択肢が4つはあるので
日本の高糖質食のみとはえらい違いですね。
補足です。
ADA食事療法のガイドラインの変遷
1950年 炭水化物40%、タンパク質20%、脂肪40%
1971年 炭水化物45%、タンパク質20%、脂肪35%
1986年 炭水化物60%以下、タンパク質12~20%。脂肪30%以下
1994年 炭水化物、規定なし、タンパク質10~20%、
脂肪、規定なし(但し、飽和脂肪酸10%以下)
*1994年以降、アメリカでは炭水化物と脂肪のカロリー比を固定しなくなりました。
江部康二
2008年04月14日 (月)
こんばんは。
天気予報どおり、雨は朝にはあがってました。先週の月曜日、診療終了後、高雄病院京都駅前診療所で傘を借りて帰ったのですが、本日無事届けました。傘はたいていどこかに忘れてしまうのですが、借りた傘をなくしたらさすがに洒落になりませんものね。 (*_*)
さて今回は、いのうえさんから、コメント・質問です。
『1.5AG低値の意味
私は軽度の2型糖尿病で、先生のスーパー糖質制限食を実行したおかげでこの2年間、空腹時血糖値はほぼ90~110(高くても120以下)、Hba1cは4.7~5.2です。ところが先日1.5AGを検査して、10.8と低値でした。尿糖が出るような高血糖を起こしていると言われましたが、自己血糖測定器で空腹時、食前、食中、食後他含めて、この2~3日1時間おきに測定(睡眠時の6時間は計測不可)した結果、すべて120以下でした。これは高血糖の為でなく、スーパー糖質制限食の為、糖分が低く、一種の飢餓状態が原因ではないかと思いますが、先生のご教示をお願い致します。
2008/04/12(土) 13:11:05 | URL | いのうえ』
いのうえさん。スーパー 糖質制限食で
「この2年間、空腹時血糖値はほぼ90~110(高くても120以下)、Hba1cは4.7~5.2」とても上手に実践されているのですね。
ほぼ正常人のデータですね。おめでとうございます。(^_^)
1,5-AGは、ブドウ糖についで多い単糖で、広く生物界に存在します。食物から経口的に摂取され、腎臓でほとんど再吸収され、ごく一部が尿中に排泄されます。
栄養素としての働きはほとんどないようですが、ブドウ糖と同じように血液中にいつも一定量存在しています。また体内の各臓器に広く分布しプールされています。食事からの供給量に比べて体内蓄積量が大きいので、通常は食事の前後で血中濃度の差はありません。
血中1,5-AGはフルクトサミンやHbA1cより速やかに短期の血糖コントロール状況をしることができます。
高血糖があり尿中にブドウ糖が排泄されるようになると、1,5-AGも尿中に排泄されるようになり、結果として血中の1,5-AGが低下します。
これはブドウ糖と1,5-AGとは構造が似ているため、腎の尿細管での1,5-AG再吸収がブドウ糖により競合阻害されるためです。
即ち、基本的には「尿糖が陽性であるから、血中1,5-AGが低下する」という公式が成り立ちます。例えば高血糖がなくても尿糖が陽性になる腎性糖尿でも1,5-AGが低下します。
例外として、飢餓があります。高血糖もなく尿糖もなくても食事から摂取される1,5-AGが枯渇したために、血中の1,5-AGが低下するのでしょう。妊娠、慢性腎不全、重症肝硬変でも低下します。また、アカルボース(グルコバイ)内服中の人も低値を示します。
「食前、食中、食後他含めて、この2~3日1時間おきに測定(睡眠時の6時間は計測不可)した結果、すべて120以下でした。」すなわち、いのうえさんの場合、高血糖のための尿糖陽性はありえないですね。腎性糖尿でなければ、当然尿糖も陰性ですよね。
また薬も飲んでおられないと思います。
1,5-AGはいろんな食材に含まれているそうなのですが、どのような食材に多く含まれているのか調べてもはっきりわかりませんでした。
しかし、植物体のなかでデンプンから1,5-AGが生合成されるとの文献がありましたので、どうやらデンプンの多い食材に1,5-AGが多く含まれいるようです。
そうすると 糖質制限食をある程度長期間実践していたら1,5-AGを多く含む食材の摂取が減るので、血中1,5-AGが生理的に低下しても不思議ではありませんね。この場合生理的な低下なのでまったく問題はありません。
保険診療では1,5-AGはHbAlc、グリコアルブミンと同じ扱いを受け、いずれか1つの項目を月1回に限ってしか認められていません。
高雄病院ではHbAlcを調べているので、血中1,5-AGは調べませんのでデータがありません。興味がありますので一度私自身で調べてみます。
江部康二
天気予報どおり、雨は朝にはあがってました。先週の月曜日、診療終了後、高雄病院京都駅前診療所で傘を借りて帰ったのですが、本日無事届けました。傘はたいていどこかに忘れてしまうのですが、借りた傘をなくしたらさすがに洒落になりませんものね。 (*_*)
さて今回は、いのうえさんから、コメント・質問です。
『1.5AG低値の意味
私は軽度の2型糖尿病で、先生のスーパー糖質制限食を実行したおかげでこの2年間、空腹時血糖値はほぼ90~110(高くても120以下)、Hba1cは4.7~5.2です。ところが先日1.5AGを検査して、10.8と低値でした。尿糖が出るような高血糖を起こしていると言われましたが、自己血糖測定器で空腹時、食前、食中、食後他含めて、この2~3日1時間おきに測定(睡眠時の6時間は計測不可)した結果、すべて120以下でした。これは高血糖の為でなく、スーパー糖質制限食の為、糖分が低く、一種の飢餓状態が原因ではないかと思いますが、先生のご教示をお願い致します。
2008/04/12(土) 13:11:05 | URL | いのうえ』
いのうえさん。スーパー 糖質制限食で
「この2年間、空腹時血糖値はほぼ90~110(高くても120以下)、Hba1cは4.7~5.2」とても上手に実践されているのですね。
ほぼ正常人のデータですね。おめでとうございます。(^_^)
1,5-AGは、ブドウ糖についで多い単糖で、広く生物界に存在します。食物から経口的に摂取され、腎臓でほとんど再吸収され、ごく一部が尿中に排泄されます。
栄養素としての働きはほとんどないようですが、ブドウ糖と同じように血液中にいつも一定量存在しています。また体内の各臓器に広く分布しプールされています。食事からの供給量に比べて体内蓄積量が大きいので、通常は食事の前後で血中濃度の差はありません。
血中1,5-AGはフルクトサミンやHbA1cより速やかに短期の血糖コントロール状況をしることができます。
高血糖があり尿中にブドウ糖が排泄されるようになると、1,5-AGも尿中に排泄されるようになり、結果として血中の1,5-AGが低下します。
これはブドウ糖と1,5-AGとは構造が似ているため、腎の尿細管での1,5-AG再吸収がブドウ糖により競合阻害されるためです。
即ち、基本的には「尿糖が陽性であるから、血中1,5-AGが低下する」という公式が成り立ちます。例えば高血糖がなくても尿糖が陽性になる腎性糖尿でも1,5-AGが低下します。
例外として、飢餓があります。高血糖もなく尿糖もなくても食事から摂取される1,5-AGが枯渇したために、血中の1,5-AGが低下するのでしょう。妊娠、慢性腎不全、重症肝硬変でも低下します。また、アカルボース(グルコバイ)内服中の人も低値を示します。
「食前、食中、食後他含めて、この2~3日1時間おきに測定(睡眠時の6時間は計測不可)した結果、すべて120以下でした。」すなわち、いのうえさんの場合、高血糖のための尿糖陽性はありえないですね。腎性糖尿でなければ、当然尿糖も陰性ですよね。
また薬も飲んでおられないと思います。
1,5-AGはいろんな食材に含まれているそうなのですが、どのような食材に多く含まれているのか調べてもはっきりわかりませんでした。
しかし、植物体のなかでデンプンから1,5-AGが生合成されるとの文献がありましたので、どうやらデンプンの多い食材に1,5-AGが多く含まれいるようです。
そうすると 糖質制限食をある程度長期間実践していたら1,5-AGを多く含む食材の摂取が減るので、血中1,5-AGが生理的に低下しても不思議ではありませんね。この場合生理的な低下なのでまったく問題はありません。
保険診療では1,5-AGはHbAlc、グリコアルブミンと同じ扱いを受け、いずれか1つの項目を月1回に限ってしか認められていません。
高雄病院ではHbAlcを調べているので、血中1,5-AGは調べませんのでデータがありません。興味がありますので一度私自身で調べてみます。
江部康二
2008年04月13日 (日)
こんばんは。
今日は日曜日、昼から貴重な週1回のテニスです。テニス中に雨がしっかり降って来ました。
でもドーム型室内コートが2面あるので大丈夫でしたよ。 (^_^)
さて今回は、keyさんから、コメント・質問を頂きました。
『糖尿病合併症
はじめまして、糖尿病と診断されて6ヶ月になるものですが質問よろしいでしょうか。最近先生の著書〔主食を抜けば糖尿病は良くなる!〕を購入し、読み、少しずつ実践しているところです。でも、気になる症状が出てきました。足先がしびれるというかじんじんしているような気がします。
昨年9月の検査では空腹時血糖値 122 30分後 216 60分後 245 120分後 131 hbA1cは5.4でした。
インスリンの働きが悪いということで、アクトス15mg 1Tのんでいます。その後、昨年12月の検査は随時血糖値(朝食後130分後) 100
hbA1cは5.5でした。
食事、間食(ほぼなし)と気をつけ、1回に5000歩ほど1週間に最低5日は歩くようにしていますが、今年になってから足の症状が出てきてしまいました。痛くはありません。気にしすぎるのでしょうか。
今は朝は50g(パン)と昼食にご飯を150gの炭水化物をとっています。このままの状態で大丈夫でしょうか? 甘味はラカントSを使っています。よろしくおねがいいたします。
2008/04/11(金) 22:28:59 | URL | key』
keyさん。本のご購入ありがとうございます。
空腹時血糖値が122mg/dl(110~125mgで境界領域)、60分後の血糖値が245mg/dlありますが、120分後は131mg/dlです。(140mg未満で正常)
そして、HbA1c:5.4%、5.5%(5.8%以下で正常)診断基準的には糖尿人ではなくて境界領域ということになりますね。
境界領域ではありますが、60分後の血糖値が180mgを超えているので、将来的に糖尿病になる危険性が高いタイプではあります。
しかし、現在は糖尿病ではありませんので、合併症の糖尿病性神経障害が生じることはありません。
従いまして足のしびれは、糖尿病とは無関係の事柄と考えられます。
糖質制限食を実践されるならば、食後60分の高血糖もなくなりますので、アクトスも不要となります。
ある程度糖質も摂取したいということでしたら、可能ならば「朝の50gのパンと昼食のご飯150g」
を未精製の全粒分のパンそして玄米に変えられたら良いと思います。
間食は豆腐、なっとう、チーズ、天日干しのするめ、ソーセージ・・・、それから糖質制限ドットコムのおからほろほろクッキーやおからフィナンシェ、寒天じゅれ・・・。適量のナッツ、トマトなど糖質制限なものでしたら大丈夫ですよ。(^o^)v
keyさんは、1時間値が245mg/dlで、糖尿病を発症しやすいので、プチ糖質制限食的にしていくか、あるいは「高雄病院食生活十箇条」で精製炭水化物を控えるなどの自衛をされたほうが、将来の糖尿病発症を防げると思いますよ。
江部康二
*
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。
**
『高雄病院食生活十箇条』 -アレルギー疾患の治療や生活習慣病予防にー
一、主食は未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
二、白パン・白砂糖など精製炭水化物の摂取は極力減らす
三、発酵食品(味噌、漬け物、納豆など)をきちんと食べる
四、液体でカロリーを摂らない(飲みものは水、番茶、麦茶、ほうじ茶など)
五、魚貝類はしっかり食べ、肉類は適量を摂る
六、季節の野菜や海草はしっかり食べ、旬の果物も適量摂る
七、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)など身体に良い油脂は積極的に摂る
八、牛乳は極力減らし、チーズやプレーンヨーグルトは適量摂る
九、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ
十、食事は楽しく、ゆっくり、よくかんで
今日は日曜日、昼から貴重な週1回のテニスです。テニス中に雨がしっかり降って来ました。
でもドーム型室内コートが2面あるので大丈夫でしたよ。 (^_^)
さて今回は、keyさんから、コメント・質問を頂きました。
『糖尿病合併症
はじめまして、糖尿病と診断されて6ヶ月になるものですが質問よろしいでしょうか。最近先生の著書〔主食を抜けば糖尿病は良くなる!〕を購入し、読み、少しずつ実践しているところです。でも、気になる症状が出てきました。足先がしびれるというかじんじんしているような気がします。
昨年9月の検査では空腹時血糖値 122 30分後 216 60分後 245 120分後 131 hbA1cは5.4でした。
インスリンの働きが悪いということで、アクトス15mg 1Tのんでいます。その後、昨年12月の検査は随時血糖値(朝食後130分後) 100
hbA1cは5.5でした。
食事、間食(ほぼなし)と気をつけ、1回に5000歩ほど1週間に最低5日は歩くようにしていますが、今年になってから足の症状が出てきてしまいました。痛くはありません。気にしすぎるのでしょうか。
今は朝は50g(パン)と昼食にご飯を150gの炭水化物をとっています。このままの状態で大丈夫でしょうか? 甘味はラカントSを使っています。よろしくおねがいいたします。
2008/04/11(金) 22:28:59 | URL | key』
keyさん。本のご購入ありがとうございます。
空腹時血糖値が122mg/dl(110~125mgで境界領域)、60分後の血糖値が245mg/dlありますが、120分後は131mg/dlです。(140mg未満で正常)
そして、HbA1c:5.4%、5.5%(5.8%以下で正常)診断基準的には糖尿人ではなくて境界領域ということになりますね。
境界領域ではありますが、60分後の血糖値が180mgを超えているので、将来的に糖尿病になる危険性が高いタイプではあります。
しかし、現在は糖尿病ではありませんので、合併症の糖尿病性神経障害が生じることはありません。
従いまして足のしびれは、糖尿病とは無関係の事柄と考えられます。
糖質制限食を実践されるならば、食後60分の高血糖もなくなりますので、アクトスも不要となります。
ある程度糖質も摂取したいということでしたら、可能ならば「朝の50gのパンと昼食のご飯150g」
を未精製の全粒分のパンそして玄米に変えられたら良いと思います。
間食は豆腐、なっとう、チーズ、天日干しのするめ、ソーセージ・・・、それから糖質制限ドットコムのおからほろほろクッキーやおからフィナンシェ、寒天じゅれ・・・。適量のナッツ、トマトなど糖質制限なものでしたら大丈夫ですよ。(^o^)v
keyさんは、1時間値が245mg/dlで、糖尿病を発症しやすいので、プチ糖質制限食的にしていくか、あるいは「高雄病院食生活十箇条」で精製炭水化物を控えるなどの自衛をされたほうが、将来の糖尿病発症を防げると思いますよ。
江部康二
*
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。
**
『高雄病院食生活十箇条』 -アレルギー疾患の治療や生活習慣病予防にー
一、主食は未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
二、白パン・白砂糖など精製炭水化物の摂取は極力減らす
三、発酵食品(味噌、漬け物、納豆など)をきちんと食べる
四、液体でカロリーを摂らない(飲みものは水、番茶、麦茶、ほうじ茶など)
五、魚貝類はしっかり食べ、肉類は適量を摂る
六、季節の野菜や海草はしっかり食べ、旬の果物も適量摂る
七、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)など身体に良い油脂は積極的に摂る
八、牛乳は極力減らし、チーズやプレーンヨーグルトは適量摂る
九、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ
十、食事は楽しく、ゆっくり、よくかんで
2008年04月11日 (金)
こんばんは、江部康二です。
今回は、今までもちょこちょこと登場していた「糖毒」のお話です。
① 高血糖の持続→膵臓のランゲルハンス島のβ細胞にダメージ→インスリン分泌低下
② 高血糖の持続→細胞レベルでのインスリン抵抗性増大
高血糖があると①と②が体内で生じます。インスリン分泌低下と抵抗性増大が生じれば、ますます高血糖となります。
≪高血糖の持続→インスリン分泌低下とインスリン抵抗性増大→高血糖の持続→≫
この悪循環パターンを、臨床的には「糖毒」 と呼びます。
なぜ、高血糖自体がインスリン分泌を低下させるのか、インスリン抵抗性を増大させるのか、最先端の研究で調べられてはいるのですが、はっきり言ってまだよくわからないのが現状です。
典型的な糖毒パターンの一つは「ペットボトル症候群」です。
ペットボトルを持ち歩いたりして、清涼飲料水を1日2~3リットル毎日飲み続ける人がいます。
もともと糖尿病の素因を持っていたり、軽度の糖尿病の人が、このように吸収されやすい糖質を多量に摂取していると、飲む度に血糖値が上昇してインスリンが追加分泌されるのですが、ついにはインスリンの供給が追いつかなくなり血糖値が高くなります。
一旦血糖値が高くなると糖毒状態となります。それが続けば、糖尿病性ケトアシドーシスという危険な状態になり、ものの1~2週間で意識の混濁や昏睡に陥るケースもあります。
この様なときは、緊急入院して点滴で脱水を補正し、インスリン注射を一日3回して、血糖値をコントロールします。
コントロールできれば糖毒状態は急速に改善し、インスリン分泌能力も回復することがほとんどです。
糖毒の解除に関して、高雄病院に入院された1型の糖尿病患者さんで、何人か貴重な経験をさせていただきました。
1型糖尿病で、インスリン分泌ゼロの患者さんにも、糖質制限食を開始するときは低血糖防止のためインスリンの量をある程度減量します。
それで個人差はあるのですが、当初はなかなか血糖値が安定せず、300mgだったり、250mgだったり、100mgだったり結構ばらつきます。
しかし、糖質制限食を1~3週間続けていて、一日を通して、血糖値が200mg/dlを超えなくなる日が一日あると、翌日からいきなりインスリンの効きが倍ぐらいよくなります。
つまり、同じ量のインスリンを打ったら低血糖になってしまうので、例えば前日まで6単位打っていたのを、翌日には3~4単位に減量することが必要となります。
そして、一日を通しての血糖値も速やかに安定し、ばらつきがなくなります。
最初の一人のときは、あまりの急速な改善にびっくりしましたが、同様のケースを何人か経験しましたので、糖毒の解除は一夜にして起こることもありえるのだと確信しました。
そして、肝腎なことは、この急速な糖毒の解除は、1型でインスリン分泌ゼロなのですから、偏にインスリン抵抗性の改善によるということです。
1型ほど劇的ではありませんが、2型糖尿病でも、糖質制限食により一日を通して血糖値が200mgを超えなくなると、かなり急速に血糖コントロールがよくなることを経験しています。
2型の場合は、インスリン抵抗性の改善だけではなく、インスリン分泌能力の回復も一定関わっていると思います。
このように、糖毒恐るべしなのですが、糖質制限食で改善も速やかといきたいものですね。
今回は、今までもちょこちょこと登場していた「糖毒」のお話です。
① 高血糖の持続→膵臓のランゲルハンス島のβ細胞にダメージ→インスリン分泌低下
② 高血糖の持続→細胞レベルでのインスリン抵抗性増大
高血糖があると①と②が体内で生じます。インスリン分泌低下と抵抗性増大が生じれば、ますます高血糖となります。
≪高血糖の持続→インスリン分泌低下とインスリン抵抗性増大→高血糖の持続→≫
この悪循環パターンを、臨床的には「糖毒」 と呼びます。
なぜ、高血糖自体がインスリン分泌を低下させるのか、インスリン抵抗性を増大させるのか、最先端の研究で調べられてはいるのですが、はっきり言ってまだよくわからないのが現状です。
典型的な糖毒パターンの一つは「ペットボトル症候群」です。
ペットボトルを持ち歩いたりして、清涼飲料水を1日2~3リットル毎日飲み続ける人がいます。
もともと糖尿病の素因を持っていたり、軽度の糖尿病の人が、このように吸収されやすい糖質を多量に摂取していると、飲む度に血糖値が上昇してインスリンが追加分泌されるのですが、ついにはインスリンの供給が追いつかなくなり血糖値が高くなります。
一旦血糖値が高くなると糖毒状態となります。それが続けば、糖尿病性ケトアシドーシスという危険な状態になり、ものの1~2週間で意識の混濁や昏睡に陥るケースもあります。
この様なときは、緊急入院して点滴で脱水を補正し、インスリン注射を一日3回して、血糖値をコントロールします。
コントロールできれば糖毒状態は急速に改善し、インスリン分泌能力も回復することがほとんどです。
糖毒の解除に関して、高雄病院に入院された1型の糖尿病患者さんで、何人か貴重な経験をさせていただきました。
1型糖尿病で、インスリン分泌ゼロの患者さんにも、糖質制限食を開始するときは低血糖防止のためインスリンの量をある程度減量します。
それで個人差はあるのですが、当初はなかなか血糖値が安定せず、300mgだったり、250mgだったり、100mgだったり結構ばらつきます。
しかし、糖質制限食を1~3週間続けていて、一日を通して、血糖値が200mg/dlを超えなくなる日が一日あると、翌日からいきなりインスリンの効きが倍ぐらいよくなります。
つまり、同じ量のインスリンを打ったら低血糖になってしまうので、例えば前日まで6単位打っていたのを、翌日には3~4単位に減量することが必要となります。
そして、一日を通しての血糖値も速やかに安定し、ばらつきがなくなります。
最初の一人のときは、あまりの急速な改善にびっくりしましたが、同様のケースを何人か経験しましたので、糖毒の解除は一夜にして起こることもありえるのだと確信しました。
そして、肝腎なことは、この急速な糖毒の解除は、1型でインスリン分泌ゼロなのですから、偏にインスリン抵抗性の改善によるということです。
1型ほど劇的ではありませんが、2型糖尿病でも、糖質制限食により一日を通して血糖値が200mgを超えなくなると、かなり急速に血糖コントロールがよくなることを経験しています。
2型の場合は、インスリン抵抗性の改善だけではなく、インスリン分泌能力の回復も一定関わっていると思います。
このように、糖毒恐るべしなのですが、糖質制限食で改善も速やかといきたいものですね。
2008年04月10日 (木)
おはようございます。
だいぶ暖かくなってきました。2.3日前からやっと、パッチとおさらばしました。
京都は昨夜から雨が降り続いています。広沢の池の桜、4月7日の雨には耐えてくれましたが、今度の雨は大丈夫でしょうか?
さて今回は、1型糖尿病のsaitoさんから、運動についてコメント・質問をいただきました。
『はじめまして
初めてコメントさせていただきます。
私は06年3月にⅡ型と診断され、その後入院、Ⅰ型と診断されました。
cal重視の食事療法に疑問を感じ、最近、糖質制限食というものにたどり着き、江部先生の本を拝読、目からウロコで、主治医は理解がないので、まずは自分の食べている糖質量を測り、低GI、量を減らすところから始めて、今は主食は食べていません。
血糖値もすっかり安定し、インスリン量も、
朝 10→3~4
昼 4→3~4
夕 11→3~5
くらいに減って来ました。眠前は元々、なしでしたが、たまに血糖値が高い時は打つようにしてますが、打たないほうが、いいですか?
今まで、超速攻型のノボラピッドを固定で打つように指示されて来たのですが、自分で単位を決めて打つように変えてもらい、次回からは持続性のあるインスリンも処方していただくことになりました。
今、わからなくてお聞きしたいことは、スポーツと血糖値についてです。
私はテニスをしています。いつも大体4時間くらいします。おばさんではありますが、意外とハードにやることも多いです。
ネットなどで仕入れたⅠ型体験者の知識しかなく、聞いたところによりますと、体内にインスリンがなくなった状態で激しい運動をするとよくないとのことですが、どうなんでしょうか。
テニス後に夜とかに低血糖になることが多く、テニス中に補食をしますが、つい食べ過ぎて血糖値が高くなり過ぎますが、その後、夜に低血糖になります。
補食はどんなタイミングでどんなものをどのくらい食べたらいいのでしょうか?
ご指導いただきたいと思います。
宜しくお願い致します。
2008/04/08(火) 10:18:28 | URL | saito 』
saitoさん、糖尿病専門医研修ガイドブック(2006年)によれば、1型糖尿病の人でも、「血糖の自己測定を行い、インスリン量と補食の調整を行えば、どんなスポーツ競技にも参加可能である」との記載があります。つまり基本的に大丈夫なのです。
確かに、インスリン作用が重度に不足した状態(例えば空腹時血糖値250mg/dl以上、尿ケトン体陽性など)で運動をすると、かえって血糖値やケトン体値が上昇する危険性があります。
一方、1型糖尿病でも、インスリンを注射して血糖コントロールができていれば(インスリン作用が充足していれば)、どんなスポーツもOKなのですね。
1型糖尿病とスポーツに関しては、私などより糖尿病専門医の主治医殿のほうが詳しいと思いますよ。 糖質制限食はともかく、スポーツに関しては大丈夫と思いますのでしっかり主治医殿とご相談頂きたいと思います。
1型糖尿人は、一日一回、持続型のインスリン(ランタスなど22~24時間持続)を基礎分泌の代わりに注射し、一日三回各食前に超速効型インスリン(ノボラピッドなど)を追加分泌の代わりに注射というのが基本です。
saitoさんも、次回からそのパターンになるとのことですので、インスリン作用はより生理的状態に近づき、血糖コントロールも一層よくなると思いますので、スポーツもしやすいですね。
4.9のブログでみやびさんにもアドバイスしましたが、「欧米では既に一般的で日本でも始まりつつある<糖質管理食>を実践中」ということで主治医殿とご相談いただけば、理解してもらえる可能性が高まりますのであきらめないでくださいね。q(^o^)p
個人差はありますが、1gの糖質が約5mg、1型糖尿人の血糖値を上昇させます。このことをベースに、各食前のノボラピッドの量を調整されたらより、コントロールがよくなりますよ。
最後にテニス中の補食はナッツ類を試してみては如何でしょう。ミックスナッツで糖質が100g中に16g、タンパク質が18g、脂質が58gていど含まれています。糖質はすぐに血糖値を上昇させますが、ナッツ類であれば穀物に比べれば高血糖にはなりにくいです。また2.3時間~数時間後にタンパク質が半分ほど血糖にかわりますので、夜の低血糖も起こりにくいと思います。
江部康二
だいぶ暖かくなってきました。2.3日前からやっと、パッチとおさらばしました。
京都は昨夜から雨が降り続いています。広沢の池の桜、4月7日の雨には耐えてくれましたが、今度の雨は大丈夫でしょうか?
さて今回は、1型糖尿病のsaitoさんから、運動についてコメント・質問をいただきました。
『はじめまして
初めてコメントさせていただきます。
私は06年3月にⅡ型と診断され、その後入院、Ⅰ型と診断されました。
cal重視の食事療法に疑問を感じ、最近、糖質制限食というものにたどり着き、江部先生の本を拝読、目からウロコで、主治医は理解がないので、まずは自分の食べている糖質量を測り、低GI、量を減らすところから始めて、今は主食は食べていません。
血糖値もすっかり安定し、インスリン量も、
朝 10→3~4
昼 4→3~4
夕 11→3~5
くらいに減って来ました。眠前は元々、なしでしたが、たまに血糖値が高い時は打つようにしてますが、打たないほうが、いいですか?
今まで、超速攻型のノボラピッドを固定で打つように指示されて来たのですが、自分で単位を決めて打つように変えてもらい、次回からは持続性のあるインスリンも処方していただくことになりました。
今、わからなくてお聞きしたいことは、スポーツと血糖値についてです。
私はテニスをしています。いつも大体4時間くらいします。おばさんではありますが、意外とハードにやることも多いです。
ネットなどで仕入れたⅠ型体験者の知識しかなく、聞いたところによりますと、体内にインスリンがなくなった状態で激しい運動をするとよくないとのことですが、どうなんでしょうか。
テニス後に夜とかに低血糖になることが多く、テニス中に補食をしますが、つい食べ過ぎて血糖値が高くなり過ぎますが、その後、夜に低血糖になります。
補食はどんなタイミングでどんなものをどのくらい食べたらいいのでしょうか?
ご指導いただきたいと思います。
宜しくお願い致します。
2008/04/08(火) 10:18:28 | URL | saito 』
saitoさん、糖尿病専門医研修ガイドブック(2006年)によれば、1型糖尿病の人でも、「血糖の自己測定を行い、インスリン量と補食の調整を行えば、どんなスポーツ競技にも参加可能である」との記載があります。つまり基本的に大丈夫なのです。
確かに、インスリン作用が重度に不足した状態(例えば空腹時血糖値250mg/dl以上、尿ケトン体陽性など)で運動をすると、かえって血糖値やケトン体値が上昇する危険性があります。
一方、1型糖尿病でも、インスリンを注射して血糖コントロールができていれば(インスリン作用が充足していれば)、どんなスポーツもOKなのですね。
1型糖尿病とスポーツに関しては、私などより糖尿病専門医の主治医殿のほうが詳しいと思いますよ。 糖質制限食はともかく、スポーツに関しては大丈夫と思いますのでしっかり主治医殿とご相談頂きたいと思います。
1型糖尿人は、一日一回、持続型のインスリン(ランタスなど22~24時間持続)を基礎分泌の代わりに注射し、一日三回各食前に超速効型インスリン(ノボラピッドなど)を追加分泌の代わりに注射というのが基本です。
saitoさんも、次回からそのパターンになるとのことですので、インスリン作用はより生理的状態に近づき、血糖コントロールも一層よくなると思いますので、スポーツもしやすいですね。
4.9のブログでみやびさんにもアドバイスしましたが、「欧米では既に一般的で日本でも始まりつつある<糖質管理食>を実践中」ということで主治医殿とご相談いただけば、理解してもらえる可能性が高まりますのであきらめないでくださいね。q(^o^)p
個人差はありますが、1gの糖質が約5mg、1型糖尿人の血糖値を上昇させます。このことをベースに、各食前のノボラピッドの量を調整されたらより、コントロールがよくなりますよ。
最後にテニス中の補食はナッツ類を試してみては如何でしょう。ミックスナッツで糖質が100g中に16g、タンパク質が18g、脂質が58gていど含まれています。糖質はすぐに血糖値を上昇させますが、ナッツ類であれば穀物に比べれば高血糖にはなりにくいです。また2.3時間~数時間後にタンパク質が半分ほど血糖にかわりますので、夜の低血糖も起こりにくいと思います。
江部康二
2008年04月09日 (水)
おはようございます。今朝はいい天気です。
でも、例によって空の下のほう1/3くらい、霞がかかっています。京の空から、霞が消える日はくるのでしょうか?
さて今回は、インスリン分泌機能について、インスリン治療中のみやびさんから、コメント・質問をいただきました。
『08/04/03 みやび
インスリン分泌機能について
江部先生。
江部先生のブログを読まれている皆様。
こんばんゎ♪最近 たびたびお邪魔させていただいております みやびです♪♪♪
先生のブログ 毎日の更新が楽しみで、欠かさず読んで 勉強させていただぃております。自分の弱さに押し潰されそぅな時、ここへ来ると 勇気と自信を取り戻すことができます。 本当に いつも有り難うございます♪
私はいま スーパー糖質制限食(朝抜き 1日2食)を実践中です。インスリン治療を行っています。医師の指示では 朝/ノボラピッド300 8単位・昼/ノボラピッド300 5単位・夕/ノボラピッド30ミックス 18単位ですが、糖質制限しているので、当然 指示通り打つと 低血糖を起こしてしまぃます。
医師には糖質制限していることを まだ話していないため、本当はイケないやり方だけど、朝/0・昼/ノボラピッド300 3単位・夕/ノボラピッド300 3単位・就寝前/ノボラピッド30ミックス 13~15単位といった具合に 自分でアレンジして打ってます。
江部先生にも怒られそう… (>_<)
でも その方が合っているらしく、ずいぶんと管理がしやすくなりました♪
ただ、最近 また少し上がり気味です…特に 早朝空腹時血糖が 150mg/dlから下がらなくなりました。就寝前のインスリンを2~3単位増やしても 変わりがないのです。
管理が悪い状態を続けてしまったせいで 知らずにインスリン分泌機能が低下し もう使い物にならないくらい すい臓が弱ってしまったのでしょうか?
ちなみに
糖質制限 開始前のHbA1Cは
H19/9/20 7.0%
10/13 7.2%
11/22 7.4%
12/20 7.8%
H20/1/17 7.7%
2/21 8.2%
でした。そして 先月、糖質制限を始めて 初めての診察で 微々たる下がりでしたが 7.8%でした。
インスリンが 自分の体内でどの程度分泌しているのか 考えると少し不安です。これって…定期的に検査するものなのでしょうか?
長くなってしまぃ すみません。できれば、保険が適用されるのか否か 費用なんかも教えていただけたら有り難いです。 m(_ _)m 』
みやびさん。
朝食抜き、一日二食のスーパー 糖質制限食ですか。私とまったく一緒のパターンですね。(^o^)v
まずご質問の、「自前のインスリンが体内でどの程度分泌されているか?」ですが、定期的に健康保険で検査可能です。
通常は血液中のインスリン(IRI)そのものを測定しますが、インスリン注射中の糖尿人は、C-ペプタイド(CPR)というものを調べます。**
IRIの測定は、注射したインスリンの影響を受けますので不正確になりますが、CPRのほうは、外から注射したインスリンとは無関係の内因性インスリンの分泌状態を示しています。
早朝空腹時CPRを測定することで、インスリンの基礎分泌能力があるていどわかります。蓄尿して一日尿中のCPRを測定することは一日の内因性インスリン分泌総量の指標となります。
費用ですが、インスリン(IRI) 120点、 C-ペプタイド(CPR)130点です。 1点が10円ですから、1200円と1300円で、それの3割負担ですね。
「先月、糖質制限を始めて 初めての診察で 微々たる下がりでしたが 7.8%でした。」
インスリンの量を減らしてHbA1cが改善しておられるので、効果がでているのでしょう。糖質制限食を実践すれば、インスリンの量を減らさないと低血糖になりますから、みやびさんが血糖自己測定しながら、自分でアレンジして減らされたのは、やむを得なかったのでしょうね。
ただお奨めは、やはり主治医とよく相談されて、インスリン減量がよろしいですね。確かに糖質制限食といきなり言うと、主治医が拒否反応を起こされるかもしれませんので、糖質管理食を試してみたいということで如何でしょう?
2008年1月の米国糖尿病協会(ADA)の栄養勧告で、「炭水化物をモニタリングすることは、炭水化物計算にしろ、炭水化物交換にしろ、経験に基づく評価にしろ、血糖コントロールを達成するための鍵となる戦略である。」と、炭水化物(糖質)を日常的に継続的に点検することを、強く推奨しています。
その中で炭水化物を計算するやり方は、糖質管理食(carbohydrate counting)といい、欧米では一般的に定着している糖尿病食事療法です。
日本でも「糖尿病のあなたへ かんたんカーボカウント―豊かな食生活のために 」医薬ジャーナル社 (2006/03) という糖質管理食の本が、大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学教室 大阪市立大学医学部附属病院栄養部から出版されています。
この糖質管理食を徹底したのが、 糖質制限食です。従いまして主治医殿には「欧米では一般的で日本でも始まりつつある糖質管理食を実践してみたら血糖値がコントロールしやすくなり、結果としてインスリンの量が減りました」といった感じでよく相談されて、インスリンの量も決めていけばよいと思います。
「早朝空腹時血糖が 150mg/dlから下がらなくなりました。」自前の基礎分泌のインスリンがやや減少していると考えられます。
これは、就寝前のインスリンを、ランタスなど約22~24時間持続して基礎分泌のかわりとなるタイプに変更することも選択肢の一つと思います。上手くいけば、ランタスの1回注射とスーパー 糖質制限食の実践で、朝・昼・夕の食前インスリンが要らなくなる可能性もありますから、主治医殿とインスリンの種類の変更などよくよく相談してくださいね。☆(u_u)☆
**
C-ペプタイド(CPR)
C-ペプタイド(CPR)は、インスリン生合成の過程におけるプロインスリンの分解によって生じる副産物である。インスリンとCPRの分泌動態には平行関係が存在する。血中・尿中のCPR濃度を測定することにより、膵ランゲルハンス島β細胞機能、内因性インスリン分泌能を推測することができる。
江部康二
でも、例によって空の下のほう1/3くらい、霞がかかっています。京の空から、霞が消える日はくるのでしょうか?
さて今回は、インスリン分泌機能について、インスリン治療中のみやびさんから、コメント・質問をいただきました。
『08/04/03 みやび
インスリン分泌機能について
江部先生。
江部先生のブログを読まれている皆様。
こんばんゎ♪最近 たびたびお邪魔させていただいております みやびです♪♪♪
先生のブログ 毎日の更新が楽しみで、欠かさず読んで 勉強させていただぃております。自分の弱さに押し潰されそぅな時、ここへ来ると 勇気と自信を取り戻すことができます。 本当に いつも有り難うございます♪
私はいま スーパー糖質制限食(朝抜き 1日2食)を実践中です。インスリン治療を行っています。医師の指示では 朝/ノボラピッド300 8単位・昼/ノボラピッド300 5単位・夕/ノボラピッド30ミックス 18単位ですが、糖質制限しているので、当然 指示通り打つと 低血糖を起こしてしまぃます。
医師には糖質制限していることを まだ話していないため、本当はイケないやり方だけど、朝/0・昼/ノボラピッド300 3単位・夕/ノボラピッド300 3単位・就寝前/ノボラピッド30ミックス 13~15単位といった具合に 自分でアレンジして打ってます。
江部先生にも怒られそう… (>_<)
でも その方が合っているらしく、ずいぶんと管理がしやすくなりました♪
ただ、最近 また少し上がり気味です…特に 早朝空腹時血糖が 150mg/dlから下がらなくなりました。就寝前のインスリンを2~3単位増やしても 変わりがないのです。
管理が悪い状態を続けてしまったせいで 知らずにインスリン分泌機能が低下し もう使い物にならないくらい すい臓が弱ってしまったのでしょうか?
ちなみに
糖質制限 開始前のHbA1Cは
H19/9/20 7.0%
10/13 7.2%
11/22 7.4%
12/20 7.8%
H20/1/17 7.7%
2/21 8.2%
でした。そして 先月、糖質制限を始めて 初めての診察で 微々たる下がりでしたが 7.8%でした。
インスリンが 自分の体内でどの程度分泌しているのか 考えると少し不安です。これって…定期的に検査するものなのでしょうか?
長くなってしまぃ すみません。できれば、保険が適用されるのか否か 費用なんかも教えていただけたら有り難いです。 m(_ _)m 』
みやびさん。
朝食抜き、一日二食のスーパー 糖質制限食ですか。私とまったく一緒のパターンですね。(^o^)v
まずご質問の、「自前のインスリンが体内でどの程度分泌されているか?」ですが、定期的に健康保険で検査可能です。
通常は血液中のインスリン(IRI)そのものを測定しますが、インスリン注射中の糖尿人は、C-ペプタイド(CPR)というものを調べます。**
IRIの測定は、注射したインスリンの影響を受けますので不正確になりますが、CPRのほうは、外から注射したインスリンとは無関係の内因性インスリンの分泌状態を示しています。
早朝空腹時CPRを測定することで、インスリンの基礎分泌能力があるていどわかります。蓄尿して一日尿中のCPRを測定することは一日の内因性インスリン分泌総量の指標となります。
費用ですが、インスリン(IRI) 120点、 C-ペプタイド(CPR)130点です。 1点が10円ですから、1200円と1300円で、それの3割負担ですね。
「先月、糖質制限を始めて 初めての診察で 微々たる下がりでしたが 7.8%でした。」
インスリンの量を減らしてHbA1cが改善しておられるので、効果がでているのでしょう。糖質制限食を実践すれば、インスリンの量を減らさないと低血糖になりますから、みやびさんが血糖自己測定しながら、自分でアレンジして減らされたのは、やむを得なかったのでしょうね。
ただお奨めは、やはり主治医とよく相談されて、インスリン減量がよろしいですね。確かに糖質制限食といきなり言うと、主治医が拒否反応を起こされるかもしれませんので、糖質管理食を試してみたいということで如何でしょう?
2008年1月の米国糖尿病協会(ADA)の栄養勧告で、「炭水化物をモニタリングすることは、炭水化物計算にしろ、炭水化物交換にしろ、経験に基づく評価にしろ、血糖コントロールを達成するための鍵となる戦略である。」と、炭水化物(糖質)を日常的に継続的に点検することを、強く推奨しています。
その中で炭水化物を計算するやり方は、糖質管理食(carbohydrate counting)といい、欧米では一般的に定着している糖尿病食事療法です。
日本でも「糖尿病のあなたへ かんたんカーボカウント―豊かな食生活のために 」医薬ジャーナル社 (2006/03) という糖質管理食の本が、大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学教室 大阪市立大学医学部附属病院栄養部から出版されています。
この糖質管理食を徹底したのが、 糖質制限食です。従いまして主治医殿には「欧米では一般的で日本でも始まりつつある糖質管理食を実践してみたら血糖値がコントロールしやすくなり、結果としてインスリンの量が減りました」といった感じでよく相談されて、インスリンの量も決めていけばよいと思います。
「早朝空腹時血糖が 150mg/dlから下がらなくなりました。」自前の基礎分泌のインスリンがやや減少していると考えられます。
これは、就寝前のインスリンを、ランタスなど約22~24時間持続して基礎分泌のかわりとなるタイプに変更することも選択肢の一つと思います。上手くいけば、ランタスの1回注射とスーパー 糖質制限食の実践で、朝・昼・夕の食前インスリンが要らなくなる可能性もありますから、主治医殿とインスリンの種類の変更などよくよく相談してくださいね。☆(u_u)☆
**
C-ペプタイド(CPR)
C-ペプタイド(CPR)は、インスリン生合成の過程におけるプロインスリンの分解によって生じる副産物である。インスリンとCPRの分泌動態には平行関係が存在する。血中・尿中のCPR濃度を測定することにより、膵ランゲルハンス島β細胞機能、内因性インスリン分泌能を推測することができる。
江部康二
2008年04月08日 (火)
おはようございます。
今回は、moto さん、mokomoko さんから、羅漢果について、コメント・質問をいただきました。
釜池豊秋先生の「糖質ゼロの食事術」に<羅漢果は使用しないように>との記載があるのでそれに関する質問です。
『羅漢果について
はじめまして
先生の「糖質制限食」関連の本は春・夏レシピを含めて拝読させていただき、実践しております。
一年前の健康診断での糖尿人デビュー時にはヘモグロビンA1c=8.30でしたが、2月には5.60となりました。
わたしもお酒が好きで、週1~2日の休肝日を除いて毎日規則正しくキチンと呑んでおります。(^_^;)
さて「羅漢果」について教えていただきたいのですが、先生の本やサイトではラカントSを推奨されており、わたしも利用しております。
ラカントSを使い、久しぶりに食べたスキヤキは美味しかった。(スキヤキが久しぶりなのは糖尿人であることが理由ではなく、経済的な事情の方が大きいような(笑))
先日、釜池豊秋医師の「糖質ゼロの食事術」を読みました。
これを実践するのは個人的には無理だなとの思いと同時に、生化学の知識に乏しいわたしなどにも難しすぎない程度に生理メカニズムが解説してあり参考になると感じる内容でした。
この本では「パルスイート・カロリー0」が推奨されており、「羅漢果(商品名ではなく)」は間違っても使わないようにしましょうとの記述がありました。
その理由については一切触れられていないので、なぜそう書かれているのか理由がわかりませんでした。
ネットを検索をすると、「ラカントS」ではない「羅漢果」製品が数多くありますので、何を指して「間違っても使わないように」とおっしゃっているのか明確ではありませんが、何を理由にそうおっしゃっているのか推測できますでしょうか。
また「ラカントS」は今まで通り使い続けても安全でしょうか。』
2008/04/06(日) 17:28:10 | URL | moto
『わたしもです。
再びmokomokoです。
釜池先生の本拝読しました。 わたしのその文面にちょっと@@でした。
また 同じようにラカント、焼酎、醤油ですき焼きを何回も頂いています。家族はなんにも 気づきません。エンゲル係数がその日だけびょ~んと上がるだけです。 先日は豆乳プリンなども・・・・ラカント無しの生活は?です。 ラカントめっちゃ買いだめしてるんですが・・・・
2008/04/06(日) 20:05:42 | URL | mokomoko 』
moto さん。 私の本のご購入ありがとうございます。
「一年前の健康診断での糖尿人デビュー時にはヘモグロビンA1c=8.30でしたが、2月には5.60」HbA1c5.8%以下は正常ですから素晴らしい改善ですね。おめでとうございます。 (^-^)w
mokomoko さんもいつもコメントありがとうございます。mokomokoさんは、コントロール極めて良好で、いまや糖尿人脱却ですよね。
お二人とも、釜池先生の「糖質ゼロの食事術」に、羅漢果がよくないと記載してあるのをごらんになって戸惑っておられるのですね。
実は、私も一瞬戸惑いましたので、よくよく読み直してみました。
確かに「糖質ゼロの食事術」の227ページに甘味料として「パルスイート・カロリー0」がお勧めで
オリゴ糖や羅漢果は使わないようにと書いてありました。
パルスイートは、糖アルコールであるエリスリトールが主成分で、少量の人工甘味料アスパルテームとアセスルファムKが混ぜてあり、カロリーゼロで血糖値も全く上昇させません。
ラカントSもエリスリトールが主成分で、ごく少量の羅漢果エキスが含まれていますが、基本的にカロリーゼロで血糖値上昇もゼロです。
「パルスイート・カロリー0」も「ラカントS」も厚生労働大臣に許可された特別用途食品(*)かつ特定保健用食品(**)です。
オリゴ糖は、天然の動植物中にもともと含まれていてスクロース、ラクトース、トレハロース、マルトースなどがあり、いずれも血糖値を上昇させます。
明治製菓で発売さているフラクトオリゴ糖は、ヒトの消化管では吸収されにくく、そのまま大腸まで到達し、一部醗酵され酢酸などになり吸収され、部分的にエネルギーとなります。約1.3kcal/gであり、通常の糖質が4kcal/gであるのに比べれば低カロリーですが、ゼロではありません。
さて、いよいよ羅漢果です。
羅漢果は、中国広東省、広西チアン族自治区の高冷地に栽培されるウリ科の多年生草本です。中国の一部の地域でしか生育していない貴重な植物で、その果実は、砂糖の約300倍の甘さがあります。甘味が強いので、中国では古くから乾燥させて料理の調味料、甘味飲料の原料として使っていました。
近年の研究で、羅漢果の甘味成分はMongroside Vなどのククルビタン型トリテルペン配糖体であることがわかりました。トリテルペン配糖体は、小腸で吸収されることなく大腸まで達するため、食物繊維の一つに分類されます。従って血糖値を上昇させませんし、吸収されるカロリーはほぼゼロと考えてよいようです。
羅漢果の甘味成分には、トリテルペン配糖体以外にもほんの少量の果糖が加わっているそうです。果糖分のカロリーは吸収されますがごく少量と考えてよいでしょう。
通常販売している「羅漢果顆粒」は顆粒状にして使い勝手を良くするために甜菜糖が約2%含まれています。甜菜糖は勿論吸収されて血糖値を上昇させます。
釜池師匠は求道者的に糖質ゼロを目指しておられるので、極微量の果糖とごく少量の甜菜糖でも、うわにわざわざ摂取する必要はないという厳しい見解なのだと愚考します。
まあ、白菜や菜っぱにも天然のショ糖が少量は含まれていますので、羅漢果顆粒を甘味料として少量使う程度は一般市民の糖質制限食実践者なら、血糖値上昇に関しては許容範囲とは思いますが・・・。
一方、ラカントSや「パルスイート・カロリー0」なら、血糖値上昇ゼロであることは確かです。
*
特別用途食品
特別用途食品とは、エネルギー制限を必要とする糖尿病の人のためにカロリーを抑えた食品や、腎臓疾患の人のためにたんぱく質を低減させた食品など、特別の用途に適するという表示を厚生労働大臣が許可した食品をいう。
**
特定保健用食品
国が食品に健康表示(健康への効用をしめす表現)を許可する制度で、平成3年に発足。厚生労働省から、生活習慣の改善に役立つと認められた食品で、「保健の用途・効果」を具体的に表示することが許可されている。
江部康二
今回は、moto さん、mokomoko さんから、羅漢果について、コメント・質問をいただきました。
釜池豊秋先生の「糖質ゼロの食事術」に<羅漢果は使用しないように>との記載があるのでそれに関する質問です。
『羅漢果について
はじめまして
先生の「糖質制限食」関連の本は春・夏レシピを含めて拝読させていただき、実践しております。
一年前の健康診断での糖尿人デビュー時にはヘモグロビンA1c=8.30でしたが、2月には5.60となりました。
わたしもお酒が好きで、週1~2日の休肝日を除いて毎日規則正しくキチンと呑んでおります。(^_^;)
さて「羅漢果」について教えていただきたいのですが、先生の本やサイトではラカントSを推奨されており、わたしも利用しております。
ラカントSを使い、久しぶりに食べたスキヤキは美味しかった。(スキヤキが久しぶりなのは糖尿人であることが理由ではなく、経済的な事情の方が大きいような(笑))
先日、釜池豊秋医師の「糖質ゼロの食事術」を読みました。
これを実践するのは個人的には無理だなとの思いと同時に、生化学の知識に乏しいわたしなどにも難しすぎない程度に生理メカニズムが解説してあり参考になると感じる内容でした。
この本では「パルスイート・カロリー0」が推奨されており、「羅漢果(商品名ではなく)」は間違っても使わないようにしましょうとの記述がありました。
その理由については一切触れられていないので、なぜそう書かれているのか理由がわかりませんでした。
ネットを検索をすると、「ラカントS」ではない「羅漢果」製品が数多くありますので、何を指して「間違っても使わないように」とおっしゃっているのか明確ではありませんが、何を理由にそうおっしゃっているのか推測できますでしょうか。
また「ラカントS」は今まで通り使い続けても安全でしょうか。』
2008/04/06(日) 17:28:10 | URL | moto
『わたしもです。
再びmokomokoです。
釜池先生の本拝読しました。 わたしのその文面にちょっと@@でした。
また 同じようにラカント、焼酎、醤油ですき焼きを何回も頂いています。家族はなんにも 気づきません。エンゲル係数がその日だけびょ~んと上がるだけです。 先日は豆乳プリンなども・・・・ラカント無しの生活は?です。 ラカントめっちゃ買いだめしてるんですが・・・・
2008/04/06(日) 20:05:42 | URL | mokomoko 』
moto さん。 私の本のご購入ありがとうございます。
「一年前の健康診断での糖尿人デビュー時にはヘモグロビンA1c=8.30でしたが、2月には5.60」HbA1c5.8%以下は正常ですから素晴らしい改善ですね。おめでとうございます。 (^-^)w
mokomoko さんもいつもコメントありがとうございます。mokomokoさんは、コントロール極めて良好で、いまや糖尿人脱却ですよね。
お二人とも、釜池先生の「糖質ゼロの食事術」に、羅漢果がよくないと記載してあるのをごらんになって戸惑っておられるのですね。
実は、私も一瞬戸惑いましたので、よくよく読み直してみました。
確かに「糖質ゼロの食事術」の227ページに甘味料として「パルスイート・カロリー0」がお勧めで
オリゴ糖や羅漢果は使わないようにと書いてありました。
パルスイートは、糖アルコールであるエリスリトールが主成分で、少量の人工甘味料アスパルテームとアセスルファムKが混ぜてあり、カロリーゼロで血糖値も全く上昇させません。
ラカントSもエリスリトールが主成分で、ごく少量の羅漢果エキスが含まれていますが、基本的にカロリーゼロで血糖値上昇もゼロです。
「パルスイート・カロリー0」も「ラカントS」も厚生労働大臣に許可された特別用途食品(*)かつ特定保健用食品(**)です。
オリゴ糖は、天然の動植物中にもともと含まれていてスクロース、ラクトース、トレハロース、マルトースなどがあり、いずれも血糖値を上昇させます。
明治製菓で発売さているフラクトオリゴ糖は、ヒトの消化管では吸収されにくく、そのまま大腸まで到達し、一部醗酵され酢酸などになり吸収され、部分的にエネルギーとなります。約1.3kcal/gであり、通常の糖質が4kcal/gであるのに比べれば低カロリーですが、ゼロではありません。
さて、いよいよ羅漢果です。
羅漢果は、中国広東省、広西チアン族自治区の高冷地に栽培されるウリ科の多年生草本です。中国の一部の地域でしか生育していない貴重な植物で、その果実は、砂糖の約300倍の甘さがあります。甘味が強いので、中国では古くから乾燥させて料理の調味料、甘味飲料の原料として使っていました。
近年の研究で、羅漢果の甘味成分はMongroside Vなどのククルビタン型トリテルペン配糖体であることがわかりました。トリテルペン配糖体は、小腸で吸収されることなく大腸まで達するため、食物繊維の一つに分類されます。従って血糖値を上昇させませんし、吸収されるカロリーはほぼゼロと考えてよいようです。
羅漢果の甘味成分には、トリテルペン配糖体以外にもほんの少量の果糖が加わっているそうです。果糖分のカロリーは吸収されますがごく少量と考えてよいでしょう。
通常販売している「羅漢果顆粒」は顆粒状にして使い勝手を良くするために甜菜糖が約2%含まれています。甜菜糖は勿論吸収されて血糖値を上昇させます。
釜池師匠は求道者的に糖質ゼロを目指しておられるので、極微量の果糖とごく少量の甜菜糖でも、うわにわざわざ摂取する必要はないという厳しい見解なのだと愚考します。
まあ、白菜や菜っぱにも天然のショ糖が少量は含まれていますので、羅漢果顆粒を甘味料として少量使う程度は一般市民の糖質制限食実践者なら、血糖値上昇に関しては許容範囲とは思いますが・・・。
一方、ラカントSや「パルスイート・カロリー0」なら、血糖値上昇ゼロであることは確かです。
*
特別用途食品
特別用途食品とは、エネルギー制限を必要とする糖尿病の人のためにカロリーを抑えた食品や、腎臓疾患の人のためにたんぱく質を低減させた食品など、特別の用途に適するという表示を厚生労働大臣が許可した食品をいう。
**
特定保健用食品
国が食品に健康表示(健康への効用をしめす表現)を許可する制度で、平成3年に発足。厚生労働省から、生活習慣の改善に役立つと認められた食品で、「保健の用途・効果」を具体的に表示することが許可されている。
江部康二
2008年04月07日 (月)
こんにちは、今日は朝から雨です。
昨夕は、自宅近くの広沢の池の東に立地する宗教法人の3万坪の庭が開放されていて、桜見物でした。西山に沈みゆく夕日と広沢の池と満開の桜・・・ )*^O^*(
いやはや京都に住んでいて良かったなと思う瞬間でした。
午後6:30からはライトアップでメインのしだれ桜を観賞しました。桜守で有名な佐野藤右衛門さんが監修した桜です。今日の雨で桜は散ってしまったでしょうか?
さて花粉症と血糖値に関して、清流 誠二さんからコメント頂きました。
『 花粉症と血糖値
はじめまして。糖尿病の患者です。
去年の年末、目や鼻がおかしくなったと思ったら、血糖値がいきなり84から170へ。これは黄砂のせいだったろうと思います。
その後、花粉症が始まり、いまや200を越してしまいます。漢方薬を飲んでも、せいぜい170までしか落ちません。 インスリンは遅効性即効性とも4単位。 抗原抗体反応で、血糖値が上がるのでしょうね。 詳しい機序が分かれば、手の打ちようもあるでしょうけど、今のところお手上げです。
2008/04/05(土) 01:37:15 | URL | 清流 誠二』
清流 誠二さん。コメントありがとうございます。
雄三さんも清流誠二さんも、花粉症の季節にあきらかに、血糖値が上昇していますね。今年は、スギよりもヒノキの花粉が多いとのことで、4月になってからも花粉症の人が多いですのでまだまだ安心はできません。
風邪をひいたりとか、発熱・外傷・疼痛などの急性疾患のときには、各種ストレスホルモンの分泌が亢進し血糖値が上昇しやすくなります。
また、炎症性サイトカインも増加するのでインスリン抵抗性の増大が生じ、やはり血糖値が上昇します。このように、急性疾患で代謝失調を招くような状態をシックデイと呼びます。
雄三さんお一人だと、まだ確定的なことはいいにくいですが、清流誠二さんとお二人揃ったので、おそらく他にも、花粉症で血糖値が上昇する方が結構おられると思います。
花粉症といっても、鼻や目だけでなく、全体にボーとしたりなんとなく身体がだるいこともあります。
花粉症時の血糖値上昇は、シックデイによる血糖値上昇と考えてどうやら間違いないようですね。
*サイトカイン
細胞から分泌されるタンパク質で、特定の細胞に情報伝達をするものをいう。多くの種類があるが特に免疫、炎症に関係したものが多い。Wikipedia
江部康二
昨夕は、自宅近くの広沢の池の東に立地する宗教法人の3万坪の庭が開放されていて、桜見物でした。西山に沈みゆく夕日と広沢の池と満開の桜・・・ )*^O^*(
いやはや京都に住んでいて良かったなと思う瞬間でした。
午後6:30からはライトアップでメインのしだれ桜を観賞しました。桜守で有名な佐野藤右衛門さんが監修した桜です。今日の雨で桜は散ってしまったでしょうか?
さて花粉症と血糖値に関して、清流 誠二さんからコメント頂きました。
『 花粉症と血糖値
はじめまして。糖尿病の患者です。
去年の年末、目や鼻がおかしくなったと思ったら、血糖値がいきなり84から170へ。これは黄砂のせいだったろうと思います。
その後、花粉症が始まり、いまや200を越してしまいます。漢方薬を飲んでも、せいぜい170までしか落ちません。 インスリンは遅効性即効性とも4単位。 抗原抗体反応で、血糖値が上がるのでしょうね。 詳しい機序が分かれば、手の打ちようもあるでしょうけど、今のところお手上げです。
2008/04/05(土) 01:37:15 | URL | 清流 誠二』
清流 誠二さん。コメントありがとうございます。
雄三さんも清流誠二さんも、花粉症の季節にあきらかに、血糖値が上昇していますね。今年は、スギよりもヒノキの花粉が多いとのことで、4月になってからも花粉症の人が多いですのでまだまだ安心はできません。
風邪をひいたりとか、発熱・外傷・疼痛などの急性疾患のときには、各種ストレスホルモンの分泌が亢進し血糖値が上昇しやすくなります。
また、炎症性サイトカインも増加するのでインスリン抵抗性の増大が生じ、やはり血糖値が上昇します。このように、急性疾患で代謝失調を招くような状態をシックデイと呼びます。
雄三さんお一人だと、まだ確定的なことはいいにくいですが、清流誠二さんとお二人揃ったので、おそらく他にも、花粉症で血糖値が上昇する方が結構おられると思います。
花粉症といっても、鼻や目だけでなく、全体にボーとしたりなんとなく身体がだるいこともあります。
花粉症時の血糖値上昇は、シックデイによる血糖値上昇と考えてどうやら間違いないようですね。
*サイトカイン
細胞から分泌されるタンパク質で、特定の細胞に情報伝達をするものをいう。多くの種類があるが特に免疫、炎症に関係したものが多い。Wikipedia
江部康二
2008年04月05日 (土)
こんにちは。
名古屋の皆さん、お待たせしました。いよいよ名古屋初の 糖質制限食講演会を開催致します。(^-^)w
今回は、春日井市の灰本クリニック・灰本元先生とジョイントの講演会です。
毎年9月に高雄病院で京都漢方シンポジウムが開かれますが、そこに全国から漢方医が集まります。
2002年のその会で、はじめて私が 糖尿病と糖質制限食の話をしました。灰本先生は即、理解・共感されて、2003年からご自身のクリニックで糖尿病患者さんに 糖質制限食を導入されました。
もともと沢山の糖尿病患者さんを診察しておられたので、その後のデータ収集も迅速でした。2007年には灰本先生の糖質制限食の論文が、英文の雑誌に掲載されました。講演会では、豊富な臨床データを元に説得力あるお話をして頂けると思います。
灰本先生と私と1時間づつの講演です。
午後1:30からはじめて、途中休憩をいれて
午後4:00終了の予定です。
名古屋・東海地方の、糖尿人・メタボ人の皆様
是非奮ってご参加下さるようお願い申し上げます。☆(u_u)☆
江部康二
場所:愛知県産業貿易館
期日:2008年5月18日(日)
主催:京都高雄倶楽部
申し込み先:京都高雄倶楽部
電話かFAX、E-mailでお申し込みください。
TEL 075-873-2170
FAX 075-873-2270
E-mail takaoclub@ktk-kyoto.jp
名古屋の皆さん、お待たせしました。いよいよ名古屋初の 糖質制限食講演会を開催致します。(^-^)w
今回は、春日井市の灰本クリニック・灰本元先生とジョイントの講演会です。
毎年9月に高雄病院で京都漢方シンポジウムが開かれますが、そこに全国から漢方医が集まります。
2002年のその会で、はじめて私が 糖尿病と糖質制限食の話をしました。灰本先生は即、理解・共感されて、2003年からご自身のクリニックで糖尿病患者さんに 糖質制限食を導入されました。
もともと沢山の糖尿病患者さんを診察しておられたので、その後のデータ収集も迅速でした。2007年には灰本先生の糖質制限食の論文が、英文の雑誌に掲載されました。講演会では、豊富な臨床データを元に説得力あるお話をして頂けると思います。
灰本先生と私と1時間づつの講演です。
午後1:30からはじめて、途中休憩をいれて
午後4:00終了の予定です。
名古屋・東海地方の、糖尿人・メタボ人の皆様
是非奮ってご参加下さるようお願い申し上げます。☆(u_u)☆
江部康二
場所:愛知県産業貿易館
期日:2008年5月18日(日)
主催:京都高雄倶楽部
申し込み先:京都高雄倶楽部
電話かFAX、E-mailでお申し込みください。
TEL 075-873-2170
FAX 075-873-2270
E-mail takaoclub@ktk-kyoto.jp
2008年04月04日 (金)
こんばんは。
今、高雄病院には、京都はもちろんのこと東京、横浜、静岡、長崎の糖尿病患者さんが入院しておられます。
4月27日(日)には、東京で医療関係者対象の糖質制限食のセミナーを開催します。いよいよ、全国の 糖質制限食に理解のあるお医者さんネットワーク構築にむけて動き始めています。
さて今回は、天下太平さんから乳製品と血糖値に関してコメント・質問を頂きました。
『はじめまして
私も江部先生の本のおかげで、一ヶ月で空腹時血糖が328から147、HbAlcが11.7から9.8とまだ高いですが、とりあえず落とすことができました、これからも糖質制限食と運動を頑張って続けます。
ところで一点素朴な疑問なのですが、乳製品は血糖値の上昇を抑制する働きがあると本で読んだのですが、先生の見解としてはやはり、抑制する働きがあるけれど、そのものに糖質があるのでは意味が無いというお考えなのでしょうか。
ご意見いただければ幸甚と存じます。
2008/03/31(月) 11:26:22 | URL | 天下太平』
天下太平さん。コメント・質問、そして本のご購入、ありがとうございます。
また 糖質制限食で空腹時血糖値328→147mg/dl、HbA1c11.7→9.8%と改善したとのこと、良かったですね。
<高血糖→膵臓のβ細胞へのダメージと体細胞のインスリン抵抗性増大→高血糖>この糖毒といわれる悪循環が 糖質制限食にて断ち切られたと思いますので、今後めきめき良くなると思いますよ。(^_^)v
さてご質問の「乳製品は血糖値の上昇を抑制する働きがある」ということですが、GI(血糖指数)を下げる効果があるということだと思います。
即ち、GIの高い米飯をGI値の低い牛乳やヨーグルトと一緒に食べると、米飯のGIが下がるわけです。
国立健康・栄養研究所臨床栄養管理研究室長の杉山みち子氏のデータによれば、米飯のGIを100とすれば、牛乳と一緒に摂取したら68程度に下がるそうです。
GIの数値は、70以上は高い、56~69が中等度、GI55以下は低い、と評価されています。
糖尿病でない人は、玄米などGIの低いものを主食としていればブドウ糖スパイクは小さく、代謝が安定するというわけです。
しかし、GIに関して一般に言われてる数値は正常人のもので、糖尿人にはあてはまりません。糖尿病の人は玄米などGIの低いものを食べたとしても、200mg/dl以上のブドウ糖スパイクを起こしてしまうことを、私達は高雄病院入院患者さん300人以上のデータで確認しています。従って牛乳と一緒にパンや米飯を食べても、血糖値は軽く200mg/dlを超えてきます。
結論としては、天下太平さんのご指摘通り、糖尿人においてはGIが低くても糖質を含む食材を摂取すれば、血糖値が上昇するので避けた方が安全です。
ちなみに牛乳もヨーグルトもGIは27程度と低いし、100ml中に約5gの糖質を含む低糖質食品なのですが、ガブガブ飲む人もおられましたので、△食品としています。
*
ブドウ糖スパイクに関しては、2007.7.26ブログをご参照ください。
**
GIと糖尿病に関しては、2007.6.13ブログをご参照ください。
江部康二
今、高雄病院には、京都はもちろんのこと東京、横浜、静岡、長崎の糖尿病患者さんが入院しておられます。
4月27日(日)には、東京で医療関係者対象の糖質制限食のセミナーを開催します。いよいよ、全国の 糖質制限食に理解のあるお医者さんネットワーク構築にむけて動き始めています。
さて今回は、天下太平さんから乳製品と血糖値に関してコメント・質問を頂きました。
『はじめまして
私も江部先生の本のおかげで、一ヶ月で空腹時血糖が328から147、HbAlcが11.7から9.8とまだ高いですが、とりあえず落とすことができました、これからも糖質制限食と運動を頑張って続けます。
ところで一点素朴な疑問なのですが、乳製品は血糖値の上昇を抑制する働きがあると本で読んだのですが、先生の見解としてはやはり、抑制する働きがあるけれど、そのものに糖質があるのでは意味が無いというお考えなのでしょうか。
ご意見いただければ幸甚と存じます。
2008/03/31(月) 11:26:22 | URL | 天下太平』
天下太平さん。コメント・質問、そして本のご購入、ありがとうございます。
また 糖質制限食で空腹時血糖値328→147mg/dl、HbA1c11.7→9.8%と改善したとのこと、良かったですね。
<高血糖→膵臓のβ細胞へのダメージと体細胞のインスリン抵抗性増大→高血糖>この糖毒といわれる悪循環が 糖質制限食にて断ち切られたと思いますので、今後めきめき良くなると思いますよ。(^_^)v
さてご質問の「乳製品は血糖値の上昇を抑制する働きがある」ということですが、GI(血糖指数)を下げる効果があるということだと思います。
即ち、GIの高い米飯をGI値の低い牛乳やヨーグルトと一緒に食べると、米飯のGIが下がるわけです。
国立健康・栄養研究所臨床栄養管理研究室長の杉山みち子氏のデータによれば、米飯のGIを100とすれば、牛乳と一緒に摂取したら68程度に下がるそうです。
GIの数値は、70以上は高い、56~69が中等度、GI55以下は低い、と評価されています。
糖尿病でない人は、玄米などGIの低いものを主食としていればブドウ糖スパイクは小さく、代謝が安定するというわけです。
しかし、GIに関して一般に言われてる数値は正常人のもので、糖尿人にはあてはまりません。糖尿病の人は玄米などGIの低いものを食べたとしても、200mg/dl以上のブドウ糖スパイクを起こしてしまうことを、私達は高雄病院入院患者さん300人以上のデータで確認しています。従って牛乳と一緒にパンや米飯を食べても、血糖値は軽く200mg/dlを超えてきます。
結論としては、天下太平さんのご指摘通り、糖尿人においてはGIが低くても糖質を含む食材を摂取すれば、血糖値が上昇するので避けた方が安全です。
ちなみに牛乳もヨーグルトもGIは27程度と低いし、100ml中に約5gの糖質を含む低糖質食品なのですが、ガブガブ飲む人もおられましたので、△食品としています。
*
ブドウ糖スパイクに関しては、2007.7.26ブログをご参照ください。
**
GIと糖尿病に関しては、2007.6.13ブログをご参照ください。
江部康二
2008年04月02日 (水)
おはようございます。
今朝は鶯の鳴き声で目が覚めました。とても風流な朝です。相変わらず霞がかかっていますが、とても良い天気です。
さて、糖質制限食により減量できるメカニズムを2007.8.14のブログで書きました。あれからさらに新しい知見が加わったので、もう一回整理してみようと思います。アメリカの佐藤さん、本ブログをご参照いただけば幸いです。
「同一カロリーの摂取であれば、何を食べても減量効果は変わらない」というカロリー神話、大多数の医師・栄養士において現在も根強い信仰のようになってます。
私もかつてはカロリー神話を信じていましたが、人体の生理・代謝を系統的に理論的に考察してみると、はっきり間違いということがわかりました。
カロリー制限食と糖質制限食では、痩せる効果に大きな差があるのですが、「糖質制限食」でやせるメカニズムに関しては、以下の四つの要素が重要です。
糖質を摂取しないので
1 肥満ホルモン(追加分泌インスリン)がほとんどでない。
2 体脂肪が常に燃えている。
3 血中のケトン体が高まり、尿中にカロリーと共に生理的に排泄される。
4 肝臓でアミノ酸などから糖新生が行われそれに高エネルギーが消費される。*1
一方、従来の「カロリー制限食」では、糖質を摂取するので
インスリン・スイッチが入って
A 血糖値が上昇して肥満ホルモン(追加分泌インスリン)がたっぷり分泌される。
B 体脂肪は燃えなくなり、血糖値が中性脂肪に変わり蓄積される。
C ケトン体は出なくなる。
D 糖新生はストップする。
この<1、2、3、4>と<A、B、C、D>の比較をしてみれば、糖質制限食のほうがカロリー制限食より、ダイエット効果があることがお解りいただけると思います。
<1、2、3、4>に関しては、摂取カロリーとは全く無関係の生理学的な事実であり、あくまでも糖質を摂取するか否かが鍵となります。
このように、少なくとも同一カロリーである限りは、糖質制限食が脂肪制限食よりダイエット効果が高いことは、理論的に証明できたと思います。
基本的には、特に運動しなくても日常生活の中で減量できますが、勿論運動はしても構いません。
尿中ケトン体に関しては、 糖質制限食実践により、その人における調度良い体重まで減量できたころ、血中ケトン体が少々高値であっても出なくなります。
これは、体内でケトン体を日常的に効率よく利用できるようになっていき(農耕以前の人類の本来のエネルギーシステムになる)体内でエネルギー源として沢山消費するので、尿中に排泄されなくなるようです。
私は、スーパー糖質制限食実践中で、血中ケトン体は393mol/l(26~122)とかで、所謂標準値の三倍ありますが、尿中ケトン体は陰性です。スーパー糖質制限食実践中の人や農耕以前の人類の血中ケトン体は200~500mol/lくらいが正常値かと思われます。
私の場合、身長は167cm、糖質制限食により66kg→56kgに約半年で減量して、その後体重は不変です。
なお、もし倹約遺伝子の持ち主であれば、女性で1200キロカロリーの 糖質制限食でも痩せにくいことがあり、「 糖質制限食+カロリー制限食(1000キロカロリー)」が必要となることがあります。
本ブログのカテゴリー「肥満と糖質制限食」や「ピマインディアンと糖尿病」の項に倹約遺伝子(肥満遺伝子)のことや肥満のことなども載っていますので、参考にしていただけば幸いです。
*1
ハーパー・生化学(原書27版)2007年日本語訳発行、194ページ
糖新生の高いエネルギーコストは、非常に低い糖質の食事がなぜ体重減少を引き起こすかを説明する。アミノ酸からの糖新生に必要な高いエネルギーコスト(多量のATP)は脂肪酸の酸化によって埋め合わされている。
江部康二
今朝は鶯の鳴き声で目が覚めました。とても風流な朝です。相変わらず霞がかかっていますが、とても良い天気です。
さて、糖質制限食により減量できるメカニズムを2007.8.14のブログで書きました。あれからさらに新しい知見が加わったので、もう一回整理してみようと思います。アメリカの佐藤さん、本ブログをご参照いただけば幸いです。
「同一カロリーの摂取であれば、何を食べても減量効果は変わらない」というカロリー神話、大多数の医師・栄養士において現在も根強い信仰のようになってます。
私もかつてはカロリー神話を信じていましたが、人体の生理・代謝を系統的に理論的に考察してみると、はっきり間違いということがわかりました。
カロリー制限食と糖質制限食では、痩せる効果に大きな差があるのですが、「糖質制限食」でやせるメカニズムに関しては、以下の四つの要素が重要です。
糖質を摂取しないので
1 肥満ホルモン(追加分泌インスリン)がほとんどでない。
2 体脂肪が常に燃えている。
3 血中のケトン体が高まり、尿中にカロリーと共に生理的に排泄される。
4 肝臓でアミノ酸などから糖新生が行われそれに高エネルギーが消費される。*1
一方、従来の「カロリー制限食」では、糖質を摂取するので
インスリン・スイッチが入って
A 血糖値が上昇して肥満ホルモン(追加分泌インスリン)がたっぷり分泌される。
B 体脂肪は燃えなくなり、血糖値が中性脂肪に変わり蓄積される。
C ケトン体は出なくなる。
D 糖新生はストップする。
この<1、2、3、4>と<A、B、C、D>の比較をしてみれば、糖質制限食のほうがカロリー制限食より、ダイエット効果があることがお解りいただけると思います。
<1、2、3、4>に関しては、摂取カロリーとは全く無関係の生理学的な事実であり、あくまでも糖質を摂取するか否かが鍵となります。
このように、少なくとも同一カロリーである限りは、糖質制限食が脂肪制限食よりダイエット効果が高いことは、理論的に証明できたと思います。
基本的には、特に運動しなくても日常生活の中で減量できますが、勿論運動はしても構いません。
尿中ケトン体に関しては、 糖質制限食実践により、その人における調度良い体重まで減量できたころ、血中ケトン体が少々高値であっても出なくなります。
これは、体内でケトン体を日常的に効率よく利用できるようになっていき(農耕以前の人類の本来のエネルギーシステムになる)体内でエネルギー源として沢山消費するので、尿中に排泄されなくなるようです。
私は、スーパー糖質制限食実践中で、血中ケトン体は393mol/l(26~122)とかで、所謂標準値の三倍ありますが、尿中ケトン体は陰性です。スーパー糖質制限食実践中の人や農耕以前の人類の血中ケトン体は200~500mol/lくらいが正常値かと思われます。
私の場合、身長は167cm、糖質制限食により66kg→56kgに約半年で減量して、その後体重は不変です。
なお、もし倹約遺伝子の持ち主であれば、女性で1200キロカロリーの 糖質制限食でも痩せにくいことがあり、「 糖質制限食+カロリー制限食(1000キロカロリー)」が必要となることがあります。
本ブログのカテゴリー「肥満と糖質制限食」や「ピマインディアンと糖尿病」の項に倹約遺伝子(肥満遺伝子)のことや肥満のことなども載っていますので、参考にしていただけば幸いです。
*1
ハーパー・生化学(原書27版)2007年日本語訳発行、194ページ
糖新生の高いエネルギーコストは、非常に低い糖質の食事がなぜ体重減少を引き起こすかを説明する。アミノ酸からの糖新生に必要な高いエネルギーコスト(多量のATP)は脂肪酸の酸化によって埋め合わされている。
江部康二
2008年04月01日 (火)
おはようございます。
昨夜は宴会でしたが、とても寒かったです。でも日中は暖かいので、桜もどんどん咲き始めていますよ。
さて、春はお花見シーズンですが、花粉症という厄介者の蔓延る季節でもあります。3月でやっとスギが終了したら、4月はヒノキ、5月からはカモガヤ・ハルガヤと続いて、花粉症の皆さん結構大変です。
今回は、糖質制限食実践中のtetug3さんと街のクマさんから、花粉症の症状がとても楽になったとのコメントをいただきました。
『花粉症と糖質制限食
初めまして。
江部先生のブログ毎日楽しく見させていただいております。54才男です。僕は昨年の5月の終わりに境界型上位とのことで食事療法を始めました。最初はカロリーの意味も分からず、保健センターの美しい栄養士さんの指導を受けて食品交換表とにらめっこしながら毎食を自分でつくっておりました。食べ盛りの子供たちがいるので妻には迷惑はかけられません。毎食材料を計量してつくっていたのですが処方された指示票では糖質がそれまで食べていた量より多かったのでご飯などを減らしていました。3ヶ月程たって体重が標準体重を下回ってから栄養士さんに食べ物日記を見ていただくと表1をもっと増やしてくださいとのことでした。もっとご飯を食べろとのことです。強く疑問を持ちました。水を飲んでも太る体質なのでそれは変だと思っていたところ秋になりまして先生のブログを知りました。さっそく「主食を抜けば糖尿病は良くなる」を読ませていただきました。目から鱗です。速攻自己流の糖質制限食を始めました。インシュリンを打っている父にも勧めましたが高齢なのでなかなか実践は難しいようです。それからカステーラさんやYCATさんのブログを知り前向きに糖尿病と向き合っておられる方々からいろいろ勉強させていただきました。血糖値の自己測定も始めました。HbA1cは9.1から5.0に食後ほぼ2時間値は219から112になりました。最初の値を見ると僕の主治医は境界型上部とおっしゃいましたが立派な糖尿人ですね。今は蒸し野菜をメインに豆腐納豆湯で大豆おからなどを食べています。糖質制限食を始めてから初めての春ですが今年は花粉症が全然出ません。いつもは目薬点鼻薬小清竜湯を欠かせないのですが現在まだ大丈夫です。食後30分の散歩もマスクなしで大丈夫です。すごいぞ糖質制限食。アレルギーにも効くのでしょうか。先生のブログこれからも拝見させていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。なおURLにアクセスしていただくとここ10ヶ月の摂取カロリーと糖質のグラフがあります。僕の5月からの体重減と摂取カロリー糖質量と血糖値HbA1cがきれいな関係性をもっていることが分かりました。
江部先生、大事なことを質問し忘れておりました。 僕のβ細胞は再生してくれるのでしょうか。
それとも残っているインスリン分泌機能を大切に守って行かなければならないのでしょうか。
2008/03/25(火) 13:20:43 | URL | tetug3 』
『08/03/25 街のクマ
タイトルなし
毎日楽しく拝見しています。少々意思の弱い糖質制限実践者です。
昨年の3月初旬から糖質制限を始めたのですが、そのせいか昨年今年と花粉症(30年来の!)の症状が落ち着き、時々添鼻薬をさすだけで、花粉症の薬は全く服用しないで済んでいます。マスクもほとんど不要になりました。
糖質制限食はアレルギーにもかなり効果的ではないでしょうか。
野生の猿を餌付けすると、花粉症になる猿がいると読んだことがありますが、自分を振り返ってみてなるほど本当かも知れないと思いました。
とりあえずご報告まで。』
tetug3さん。街のクマさん。コメントありがとうございます。お二人ともスギ花粉症の改善、良かったですね。
私の周辺にも、糖質制限食実践中で花粉症が改善した人が何人かいます。大抵はお二人と同様に長年の花粉症が良くなったということですので、 糖質制限食が花粉症改善に効果があることは間違いないようです。
例えば糖質制限ドットコムの「あらてつ」さんもその一人です。通常の抗アレルギー剤や点眼・点鼻薬が全く効かなくて、春は毎年(鼻)水も滴るいい男・・・ (*_*)
ここ3年、毎年、煎じ薬のお世話になっていたのですが、今年は全くでないそうです。
京都は、暖くなった3月10日頃からいきなり大量の杉花粉が飛んだので、今年は症状のきつい患者さんが多いですので、なかなかの快挙ですね。
まあ中には、糖質制限食をしているけど花粉症も満開ですという人もおられますので、100発100中というわけにはいかないのですが・・・。
ともあれ、糖質制限食を実践していれば、<ブドウ糖スパイク>が起こらないので体内の代謝が安定して、自然治癒力が高まるので、アレルギー症状やニキビ・肌荒れなど、いろんな症状の改善に役立つと思います。(ブドウ糖スパイクに関しては2007.7.26ブログをご参照ください)
それから
「血糖値の自己測定も始めました。HbA1cは9.1から5.0に食後ほぼ2時間値は219から112になりました。最初の値を見ると僕の主治医は境界型上部とおっしゃいましたが立派な糖尿人ですね。」
tetug3さん。そうですね。HbA1cは9.1%、食後2時間値は219mg/dlは、診断基準的には、確定診断の糖尿人ですね。
でも 糖質制限食実践後のHbA1cは5.0%、食後2時間値は112mg/dlならば完全な正常人です。おめでとうございます。(^o^)v
内服薬なしで、正常までデータ改善しておられますので、膵臓のβ細胞もかなり回復したと考えられます。 糖質制限食実践により、β細胞はしっかり休養できて、<高血糖→β細胞のダメージと体細胞のインスリン抵抗性増大→高血糖>という悪循環が断ち切れたことがとてもよかったのだと思います。
糖尿病が発症した時点で、大雑把に言ってβ細胞の1~2割が死滅、2~3割が疲弊した状態と言われています。tetug3さんも1割は回復不能のβ細胞があると思いますが、疲弊していた2~3割が回復してくれたのでしょう。
江部康二
昨夜は宴会でしたが、とても寒かったです。でも日中は暖かいので、桜もどんどん咲き始めていますよ。
さて、春はお花見シーズンですが、花粉症という厄介者の蔓延る季節でもあります。3月でやっとスギが終了したら、4月はヒノキ、5月からはカモガヤ・ハルガヤと続いて、花粉症の皆さん結構大変です。
今回は、糖質制限食実践中のtetug3さんと街のクマさんから、花粉症の症状がとても楽になったとのコメントをいただきました。
『花粉症と糖質制限食
初めまして。
江部先生のブログ毎日楽しく見させていただいております。54才男です。僕は昨年の5月の終わりに境界型上位とのことで食事療法を始めました。最初はカロリーの意味も分からず、保健センターの美しい栄養士さんの指導を受けて食品交換表とにらめっこしながら毎食を自分でつくっておりました。食べ盛りの子供たちがいるので妻には迷惑はかけられません。毎食材料を計量してつくっていたのですが処方された指示票では糖質がそれまで食べていた量より多かったのでご飯などを減らしていました。3ヶ月程たって体重が標準体重を下回ってから栄養士さんに食べ物日記を見ていただくと表1をもっと増やしてくださいとのことでした。もっとご飯を食べろとのことです。強く疑問を持ちました。水を飲んでも太る体質なのでそれは変だと思っていたところ秋になりまして先生のブログを知りました。さっそく「主食を抜けば糖尿病は良くなる」を読ませていただきました。目から鱗です。速攻自己流の糖質制限食を始めました。インシュリンを打っている父にも勧めましたが高齢なのでなかなか実践は難しいようです。それからカステーラさんやYCATさんのブログを知り前向きに糖尿病と向き合っておられる方々からいろいろ勉強させていただきました。血糖値の自己測定も始めました。HbA1cは9.1から5.0に食後ほぼ2時間値は219から112になりました。最初の値を見ると僕の主治医は境界型上部とおっしゃいましたが立派な糖尿人ですね。今は蒸し野菜をメインに豆腐納豆湯で大豆おからなどを食べています。糖質制限食を始めてから初めての春ですが今年は花粉症が全然出ません。いつもは目薬点鼻薬小清竜湯を欠かせないのですが現在まだ大丈夫です。食後30分の散歩もマスクなしで大丈夫です。すごいぞ糖質制限食。アレルギーにも効くのでしょうか。先生のブログこれからも拝見させていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。なおURLにアクセスしていただくとここ10ヶ月の摂取カロリーと糖質のグラフがあります。僕の5月からの体重減と摂取カロリー糖質量と血糖値HbA1cがきれいな関係性をもっていることが分かりました。
江部先生、大事なことを質問し忘れておりました。 僕のβ細胞は再生してくれるのでしょうか。
それとも残っているインスリン分泌機能を大切に守って行かなければならないのでしょうか。
2008/03/25(火) 13:20:43 | URL | tetug3 』
『08/03/25 街のクマ
タイトルなし
毎日楽しく拝見しています。少々意思の弱い糖質制限実践者です。
昨年の3月初旬から糖質制限を始めたのですが、そのせいか昨年今年と花粉症(30年来の!)の症状が落ち着き、時々添鼻薬をさすだけで、花粉症の薬は全く服用しないで済んでいます。マスクもほとんど不要になりました。
糖質制限食はアレルギーにもかなり効果的ではないでしょうか。
野生の猿を餌付けすると、花粉症になる猿がいると読んだことがありますが、自分を振り返ってみてなるほど本当かも知れないと思いました。
とりあえずご報告まで。』
tetug3さん。街のクマさん。コメントありがとうございます。お二人ともスギ花粉症の改善、良かったですね。
私の周辺にも、糖質制限食実践中で花粉症が改善した人が何人かいます。大抵はお二人と同様に長年の花粉症が良くなったということですので、 糖質制限食が花粉症改善に効果があることは間違いないようです。
例えば糖質制限ドットコムの「あらてつ」さんもその一人です。通常の抗アレルギー剤や点眼・点鼻薬が全く効かなくて、春は毎年(鼻)水も滴るいい男・・・ (*_*)
ここ3年、毎年、煎じ薬のお世話になっていたのですが、今年は全くでないそうです。
京都は、暖くなった3月10日頃からいきなり大量の杉花粉が飛んだので、今年は症状のきつい患者さんが多いですので、なかなかの快挙ですね。
まあ中には、糖質制限食をしているけど花粉症も満開ですという人もおられますので、100発100中というわけにはいかないのですが・・・。
ともあれ、糖質制限食を実践していれば、<ブドウ糖スパイク>が起こらないので体内の代謝が安定して、自然治癒力が高まるので、アレルギー症状やニキビ・肌荒れなど、いろんな症状の改善に役立つと思います。(ブドウ糖スパイクに関しては2007.7.26ブログをご参照ください)
それから
「血糖値の自己測定も始めました。HbA1cは9.1から5.0に食後ほぼ2時間値は219から112になりました。最初の値を見ると僕の主治医は境界型上部とおっしゃいましたが立派な糖尿人ですね。」
tetug3さん。そうですね。HbA1cは9.1%、食後2時間値は219mg/dlは、診断基準的には、確定診断の糖尿人ですね。
でも 糖質制限食実践後のHbA1cは5.0%、食後2時間値は112mg/dlならば完全な正常人です。おめでとうございます。(^o^)v
内服薬なしで、正常までデータ改善しておられますので、膵臓のβ細胞もかなり回復したと考えられます。 糖質制限食実践により、β細胞はしっかり休養できて、<高血糖→β細胞のダメージと体細胞のインスリン抵抗性増大→高血糖>という悪循環が断ち切れたことがとてもよかったのだと思います。
糖尿病が発症した時点で、大雑把に言ってβ細胞の1~2割が死滅、2~3割が疲弊した状態と言われています。tetug3さんも1割は回復不能のβ細胞があると思いますが、疲弊していた2~3割が回復してくれたのでしょう。
江部康二
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