2008年02月29日 (金)
こんばんは。
2008年2月23日のブログで、血糖自己測定器の機種選定に関して記事にしました。今回は、血糖自己測定の意義について簡単に説明します。
“self-monitoring of blood glucose”血糖自己測定、頭文字をとってSMBGといいます。
血糖自己測定の一番のメリットは、まあ当たり前のことなのですが、いちいち病院に行かなくても、自力で血糖値を知ることができることです。
特に、食後の血糖値をいつでも測定できるのはとても便利です。
例えば、従来のカロリー制限中心の糖尿病食から、 糖質制限食にきりかえる時にはSMBGが大変役に立ちます。
まず、血糖値を急激に上昇させるのが、糖質・脂質・タンパク質のうち、糖質だけであることが、自分自身で確認できます。
本を読んでの知識に加えて、自分が実際に試して確認したデータが揃えば、糖質制限食実践のモチベーションが高まります。
私も血糖自己測定器を購入した当初は、かなり頻回に食前と食後の血糖値を測定して記録しました。
玄米やライ麦パンなど、GIが低い穀物での実験、白いパンや白米などGIが高い穀物での実験・・・。
この段階では、玄米やライ麦パンのようなGIが低いものでさえも、所詮糖質を食べたら軽く血糖値が200mgを超えるのを確認して衝撃を受けました。
一方、ビフテキや魚や豆腐は、いくらお腹いっぱい食べても血糖値が140mgを超えることはありません。
今から思えば当たり前のことなのですが、これはこれで当時はびっくりしました。
幸か不幸か、自分自身が糖尿病なので、理論面を勉強しながら人体実験を繰り返しSMBGがおおいに役に立ちました。
2型糖尿病では、一般に早朝空腹時の血糖値と食後2時間の血糖値の測定がベースとなります。
糖質摂取時の血糖値は、30分~60分がピークのことが多いので、当初は食後1時間値、2時間値両方チェックしてみるのも良いですね。
糖尿病があるていど進行していると、2時間値や3時間値でも下がってこない場合もあります。
個人差がありますので、まず当初はいろいろ頻回に測定してみて、自分のパターンを把握しましょう。
江部康二
2008年2月23日のブログで、血糖自己測定器の機種選定に関して記事にしました。今回は、血糖自己測定の意義について簡単に説明します。
“self-monitoring of blood glucose”血糖自己測定、頭文字をとってSMBGといいます。
血糖自己測定の一番のメリットは、まあ当たり前のことなのですが、いちいち病院に行かなくても、自力で血糖値を知ることができることです。
特に、食後の血糖値をいつでも測定できるのはとても便利です。
例えば、従来のカロリー制限中心の糖尿病食から、 糖質制限食にきりかえる時にはSMBGが大変役に立ちます。
まず、血糖値を急激に上昇させるのが、糖質・脂質・タンパク質のうち、糖質だけであることが、自分自身で確認できます。
本を読んでの知識に加えて、自分が実際に試して確認したデータが揃えば、糖質制限食実践のモチベーションが高まります。
私も血糖自己測定器を購入した当初は、かなり頻回に食前と食後の血糖値を測定して記録しました。
玄米やライ麦パンなど、GIが低い穀物での実験、白いパンや白米などGIが高い穀物での実験・・・。
この段階では、玄米やライ麦パンのようなGIが低いものでさえも、所詮糖質を食べたら軽く血糖値が200mgを超えるのを確認して衝撃を受けました。
一方、ビフテキや魚や豆腐は、いくらお腹いっぱい食べても血糖値が140mgを超えることはありません。
今から思えば当たり前のことなのですが、これはこれで当時はびっくりしました。
幸か不幸か、自分自身が糖尿病なので、理論面を勉強しながら人体実験を繰り返しSMBGがおおいに役に立ちました。
2型糖尿病では、一般に早朝空腹時の血糖値と食後2時間の血糖値の測定がベースとなります。
糖質摂取時の血糖値は、30分~60分がピークのことが多いので、当初は食後1時間値、2時間値両方チェックしてみるのも良いですね。
糖尿病があるていど進行していると、2時間値や3時間値でも下がってこない場合もあります。
個人差がありますので、まず当初はいろいろ頻回に測定してみて、自分のパターンを把握しましょう。
江部康二
2008年02月28日 (木)
こんばんは。
血糖値は食事、運動、ストレスなどにより変動します。今回はストレスと血糖値に関して、よしさんからコメント・質問をいただきました
『職場のストレスと血糖値
江部先生、おはようございます。
先生の提言されている糖質制限食もだんだんと広まりつつあるのを実感出来る今日この頃、 嬉しく思います。
ブログも盛況ですね(^^) いろんな方へのアドバイス等、自分なりに凄く勉強できる、ありがたいと思っています。
今日は久々に質問させていただきたいのですが。
仕事でのストレスは結構血糖値を上げてしまうんですね。
この2週間、夕方の食前の血糖値が120mg/dlを越えて下がりません。
強いストレスを感じた日は152mg/dlもあって驚きました。
以前は会社でのストレスを感じても、夕食前は120mg/dl以下でした。
でも、この2週間、ストレスで血糖値が上がるという学習をしてしまってから、 そのことが気になり、余計とストレスを自分で与えているような、 悪循環?に陥ってしまった感じです。
人間関係のストレスが一番ですが、仕事のストレスも結構感じます。
食事であれば糖質を制限して血糖値を上げない工夫は出来ますが、 仕事上のストレスによる血糖値の上昇は、やはり、防げないのでしょうか?
気にしないように努力しているのですが、このまま、120mg/dl台で居ると HbA1Cも高くなるのでしょうね。
先生は職場のストレスをどんな風に発散させていらっしゃいますか?
血糖値の上昇を低くし、気持ちをコントロールする工夫とか…
年齢的に職場環境を変えるのは難しいので、現状維持で居る限り、 やはり、最後は自分で気持ちをコントロールするしかないとは思うのですが。
まだまだ寒いです、お体ご自愛くださいね。
2008/02/22(金) 08:46:22よし 』
よしさん。お久しぶりです。
ご指摘の如く、ストレスは結構血糖値を上昇させます。
ストレスは大きく三つにわけることができます。
一番目は、何と言っても心理的ストレスです。結婚.離婚.死別.引っ越しなど人生の大きな出来事、家庭での母子関係.嫁姑関係、会社や学校や地域での人間関係など日常的な厄介事、様々な不満.失望.挫折、不安などがあげられれます。
二番目は、生理的ストレスです。サービス残業などによる過労、不眠、細菌.ウィルスによる感染などがあります。
三番目は、物理的なストレスで、日光、暑さ、寒さ、乾燥、湿気、騒音などです。
人間はこれらのストレスを感じると、アドレナリン、グルカゴン、副腎皮質ステロイドホルモンといった血糖値を上げるホルモンを分泌します。
そのため、食事とは無関係に血糖値が上昇することがあるのですね。例えば2型の糖尿人で不眠の日の翌日、いつもより50mg近く空腹時血糖値が上昇した方がありました。
また、1型の糖尿人で、コントロール良好だったのが、生理が始まったとたん100mg血糖値が上昇した女性もおられました。
今の日本でストレスのない仕事などないと思いますので、どう付き合うかですね。まあ、急ぎの仕事を任されて、とても忙しくて睡眠も不足気味で、ストレスたっぷりだったけど、上手く処理できて相手先にも喜んでもらえた。というような展開であれば達成感で自己治癒力はぐっと高まる方向になりますから、まんざらストレスもネガティブばかりではないのですが・・・ (^_^)
私の場合は、週末のテニスや月1回のライブで気分転換はしています。それと適量?のお酒もなかなかに、心地よい変性意識状態にしてくれますね。
なお、よしさん、空腹時血糖値が126mg/dl未満なら、そんなに問題はありませんのでHbA1cも大丈夫と思いますよ。
江部康二
血糖値は食事、運動、ストレスなどにより変動します。今回はストレスと血糖値に関して、よしさんからコメント・質問をいただきました
『職場のストレスと血糖値
江部先生、おはようございます。
先生の提言されている糖質制限食もだんだんと広まりつつあるのを実感出来る今日この頃、 嬉しく思います。
ブログも盛況ですね(^^) いろんな方へのアドバイス等、自分なりに凄く勉強できる、ありがたいと思っています。
今日は久々に質問させていただきたいのですが。
仕事でのストレスは結構血糖値を上げてしまうんですね。
この2週間、夕方の食前の血糖値が120mg/dlを越えて下がりません。
強いストレスを感じた日は152mg/dlもあって驚きました。
以前は会社でのストレスを感じても、夕食前は120mg/dl以下でした。
でも、この2週間、ストレスで血糖値が上がるという学習をしてしまってから、 そのことが気になり、余計とストレスを自分で与えているような、 悪循環?に陥ってしまった感じです。
人間関係のストレスが一番ですが、仕事のストレスも結構感じます。
食事であれば糖質を制限して血糖値を上げない工夫は出来ますが、 仕事上のストレスによる血糖値の上昇は、やはり、防げないのでしょうか?
気にしないように努力しているのですが、このまま、120mg/dl台で居ると HbA1Cも高くなるのでしょうね。
先生は職場のストレスをどんな風に発散させていらっしゃいますか?
血糖値の上昇を低くし、気持ちをコントロールする工夫とか…
年齢的に職場環境を変えるのは難しいので、現状維持で居る限り、 やはり、最後は自分で気持ちをコントロールするしかないとは思うのですが。
まだまだ寒いです、お体ご自愛くださいね。
2008/02/22(金) 08:46:22よし 』
よしさん。お久しぶりです。
ご指摘の如く、ストレスは結構血糖値を上昇させます。
ストレスは大きく三つにわけることができます。
一番目は、何と言っても心理的ストレスです。結婚.離婚.死別.引っ越しなど人生の大きな出来事、家庭での母子関係.嫁姑関係、会社や学校や地域での人間関係など日常的な厄介事、様々な不満.失望.挫折、不安などがあげられれます。
二番目は、生理的ストレスです。サービス残業などによる過労、不眠、細菌.ウィルスによる感染などがあります。
三番目は、物理的なストレスで、日光、暑さ、寒さ、乾燥、湿気、騒音などです。
人間はこれらのストレスを感じると、アドレナリン、グルカゴン、副腎皮質ステロイドホルモンといった血糖値を上げるホルモンを分泌します。
そのため、食事とは無関係に血糖値が上昇することがあるのですね。例えば2型の糖尿人で不眠の日の翌日、いつもより50mg近く空腹時血糖値が上昇した方がありました。
また、1型の糖尿人で、コントロール良好だったのが、生理が始まったとたん100mg血糖値が上昇した女性もおられました。
今の日本でストレスのない仕事などないと思いますので、どう付き合うかですね。まあ、急ぎの仕事を任されて、とても忙しくて睡眠も不足気味で、ストレスたっぷりだったけど、上手く処理できて相手先にも喜んでもらえた。というような展開であれば達成感で自己治癒力はぐっと高まる方向になりますから、まんざらストレスもネガティブばかりではないのですが・・・ (^_^)
私の場合は、週末のテニスや月1回のライブで気分転換はしています。それと適量?のお酒もなかなかに、心地よい変性意識状態にしてくれますね。
なお、よしさん、空腹時血糖値が126mg/dl未満なら、そんなに問題はありませんのでHbA1cも大丈夫と思いますよ。
江部康二
2008年02月27日 (水)
おはようございます。
京は今日も寒いです。屋根がうっすら雪化粧してます。
さて、
先日の日曜日、連れ合いが近所のスーパーで、お総菜とエビフライ、鶏の唐揚げなどを買ってきました。
私は、朝食抜きの一日二食ですが、日曜日は昼からテニスにいくので、昼食は家に食材がなかったら、買ってきた出来合いのもので済ますことも時々あるのです。
「まあエビフライの一匹や二匹、衣に小麦粉が少々ついていても、それぐらいなら許容範囲か!?」
とまずは思いました。
全長12cm、最大径2.5cmの堂々たるエビフライでした。
いつもはせっかちなので、さっさと食べてしまってシッポだけ残る情景なのですが、虫の知らせで、ふと解剖を思い立ちました。
10秒後、実に衝撃的な光景を目の当たりにすることになりました。
外見は一匹のエビフライでしたが、中身は三匹だったのです。w(゚o゚)w
何や?二匹分得したやないですか??って、 そんなええもんじゃなかったんです。
シッポ付きの中小海老に、あとは小指の先っぽほどのむき身の小海老が二匹、その前後・左右・上下全てを小麦粉の類が埋め尽くして、一匹の大海老に見せかけていたのです。
全長12cm、最大径2.5cmの堂々たるエビフライのうち、海老の占める重量は1~2割で、残りは全部糖質たっぷりの衣だったのですね。 (ノ-_-)ノ”
いやはや、びっくりしました。がっかりしました。農薬は入ってなくても、段ボールは入ってなくても、これはいかんやろ。
久しぶりに怒りが湧きましたね、はい(`∧´)
糖尿人の皆さん、 糖質制限食でも少々の揚げ物くらい構わないですとは常々言ってますが、衣太りの怪しいエビフライには気をつけましょう。
江部康二
京は今日も寒いです。屋根がうっすら雪化粧してます。
さて、
先日の日曜日、連れ合いが近所のスーパーで、お総菜とエビフライ、鶏の唐揚げなどを買ってきました。
私は、朝食抜きの一日二食ですが、日曜日は昼からテニスにいくので、昼食は家に食材がなかったら、買ってきた出来合いのもので済ますことも時々あるのです。
「まあエビフライの一匹や二匹、衣に小麦粉が少々ついていても、それぐらいなら許容範囲か!?」
とまずは思いました。
全長12cm、最大径2.5cmの堂々たるエビフライでした。
いつもはせっかちなので、さっさと食べてしまってシッポだけ残る情景なのですが、虫の知らせで、ふと解剖を思い立ちました。
10秒後、実に衝撃的な光景を目の当たりにすることになりました。
外見は一匹のエビフライでしたが、中身は三匹だったのです。w(゚o゚)w
何や?二匹分得したやないですか??って、 そんなええもんじゃなかったんです。
シッポ付きの中小海老に、あとは小指の先っぽほどのむき身の小海老が二匹、その前後・左右・上下全てを小麦粉の類が埋め尽くして、一匹の大海老に見せかけていたのです。
全長12cm、最大径2.5cmの堂々たるエビフライのうち、海老の占める重量は1~2割で、残りは全部糖質たっぷりの衣だったのですね。 (ノ-_-)ノ”
いやはや、びっくりしました。がっかりしました。農薬は入ってなくても、段ボールは入ってなくても、これはいかんやろ。
久しぶりに怒りが湧きましたね、はい(`∧´)
糖尿人の皆さん、 糖質制限食でも少々の揚げ物くらい構わないですとは常々言ってますが、衣太りの怪しいエビフライには気をつけましょう。
江部康二
2008年02月26日 (火)
こんにちは。
今日も京は寒いです。
今回はみんさんからコメント・質問をいただきました。
『私は8年の2型糖尿病のものです。
最近、先生のブログを見つけて、目からうろこでした。 プチ糖質制限をしています。
最近、風邪をひいて、ごはんがあまり食べれません。今まででしたら 消化の良いものをということでおかゆやうどんを食べてたのですが、風邪や胃腸不良のときは、どのように食事をとったらいいですか?
2008/02/22(金) 15:38:27みん』
みんさん、風邪ひいて食欲がない時は、脂質やタンパク質豊富な食品はこってりして食べにくいですよね。
ほんとは、お粥やうどんが食べたいけれど、糖尿人には食後高血糖の元・・・
それで、糖質制限OK食品の中で、あっさり系をピックアップしてみました。
京都は、お豆腐が美味しいですから私もよく食べます。冷や奴でもいいんですが、風邪ひいて寒気でもあるときはやはり湯豆腐がお奨めですね。
温かい食品として、茶碗蒸し、卵スープ、野菜スープ、すまし汁、味噌汁などもいいですね。
いけそうだったら、おでんの大根とか豆腐とかひろうずなどは如何でしょう。
冷たいさっぱりしたものとしては、少量の季節の旬の果物もいいです。
高雄病院の提携会社
http://www.toushitsuseigen.com/">「糖質制限.com」 http://www.toushitsuseigen.com/で販売している「寒天じゅれ」もひんやりさっぱりして美味しいですよ。
我が家の冷蔵庫にもいつも常備してあります。
上述の如く水分の多い食品が中心になっています。風邪で食欲不振のときは、脱水になりやすいので糖尿人は特に注意が必要です。上記の料理などで水分・電解質補給を心掛けてくださいね。
**
電解質は体の細胞が正常に機能するために必要です。体は多量のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、塩化物、リン酸塩を必要とします。
江部康二
今日も京は寒いです。
今回はみんさんからコメント・質問をいただきました。
『私は8年の2型糖尿病のものです。
最近、先生のブログを見つけて、目からうろこでした。 プチ糖質制限をしています。
最近、風邪をひいて、ごはんがあまり食べれません。今まででしたら 消化の良いものをということでおかゆやうどんを食べてたのですが、風邪や胃腸不良のときは、どのように食事をとったらいいですか?
2008/02/22(金) 15:38:27みん』
みんさん、風邪ひいて食欲がない時は、脂質やタンパク質豊富な食品はこってりして食べにくいですよね。
ほんとは、お粥やうどんが食べたいけれど、糖尿人には食後高血糖の元・・・
それで、糖質制限OK食品の中で、あっさり系をピックアップしてみました。
京都は、お豆腐が美味しいですから私もよく食べます。冷や奴でもいいんですが、風邪ひいて寒気でもあるときはやはり湯豆腐がお奨めですね。
温かい食品として、茶碗蒸し、卵スープ、野菜スープ、すまし汁、味噌汁などもいいですね。
いけそうだったら、おでんの大根とか豆腐とかひろうずなどは如何でしょう。
冷たいさっぱりしたものとしては、少量の季節の旬の果物もいいです。
高雄病院の提携会社
http://www.toushitsuseigen.com/">「糖質制限.com」 http://www.toushitsuseigen.com/で販売している「寒天じゅれ」もひんやりさっぱりして美味しいですよ。
我が家の冷蔵庫にもいつも常備してあります。
上述の如く水分の多い食品が中心になっています。風邪で食欲不振のときは、脱水になりやすいので糖尿人は特に注意が必要です。上記の料理などで水分・電解質補給を心掛けてくださいね。
**
電解質は体の細胞が正常に機能するために必要です。体は多量のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、塩化物、リン酸塩を必要とします。
江部康二
2008年02月25日 (月)
こんばんは。
土曜日から断続的に降り続いていた雪が、やっと昼になってやみました。3日間、屋根に積もるほどの雪が降り続けたのは、18才で京都に来てから初めてかもしれません。
さて、しばらく途絶えていた運動とエネルギー源シリーズの9回目です。
糖質制限食と筋力トレーニングに関して、たかたろうさんから貴重な体験データをご教示いただきました。
『08/02/13 たかたろう
糖質制限食と筋力トレーニング
江部先生、はじめまして、たかたろう と申します。
先生の本「主食を抜けば糖尿病は良くなる」を購入し、実践させてもらっています。
糖質制限食と筋力トレーニングについて話題になっていますが、私の経験をお知らせしますので、何かの参考にして頂ければ幸いです。
私は2型糖尿人ですが、ほぼ1日おきにジムに通って筋力トレーニングを行っています。トレーニングをはじめたきっかけは、糖質制限食で短期間での減量に成功したものの、周りの人には糖尿人であることを告げていないので、「見た目が貧相になった」とか「あいつはなんかの病気で激やせしたにちがいない」などと噂されるようになってしまい、なんとか体脂肪を増やさずに体重を増やしたいと思ったことでした。
ジムへは必ず夕食前に行きます。糖質制限食の本道からそれているかもしれませんが、私は筋力トレーニング後だけは糖質を制限していません。というのも、ある日偶然気が付いたのですが、筋力トレーニング後は普通に糖質を摂取しても(といっても90g程度ですが)食後血糖値が140mg/dl程度までにしか上がらないからです。ちなみにジムへ行かない日の夕食は、まさに1gの糖質が3mg/dl血糖値をあげる結果となってしまいますので、糖質制限食は欠かせません。
トレーニングをはじめて約1年になりますが、体組成計によると、体脂肪率(約14%)は維持したまま、筋肉が1kg弱増えました。私の場合、スタンダード糖質制限食ですが、「トレーニングしても全く筋肉が増えない」ということはないようです。
どこで読んだ覚えがあるのですが、筋グリコーゲンは筋肉だけで使われ、肝グリコーゲンのように血糖値の上昇に使われることはないそうですね。ならば、普段の生活だけで筋グリコーゲンが枯渇するということはないでしょうから、筋力トレーニング直後に糖質を補給し、筋グリコーゲンを満タンにしておけば、次回の筋力トレーニングに必要な筋グリコーゲンは温存されているのではないかと思います。そして、都合がよいことに、(少なくとも私の場合は)筋力トレーニング直後の糖質補給は血糖値をそれほど上げません。(このへんの科学的考察は、http://www.h4.dion.ne.jp/~jssf/text/doukousp/pdf/200610/0610_4246.pdf 「運動と骨格筋GLUT4」あたりが参考になりそうです)
自分以外の糖尿人の方が筋力トレーニングを行った場合にどうなるかは分かりませんが、私と同じような結果が得られるのであれば、筋力トレーニングを頑張った後は自分にスイーツのご褒美なんていうのもいいかもしれませんね。』
たかたろうさん、コメントそして「主食を抜けば糖尿病は良くなる」ご購入ありがとうございました。とても参考になるデータです。
ご教示頂いた、川中健太郎先生の<運動と骨格筋Glut4>という文献、ダウンロードして拝見しました。こちらも大変、勉強になりました。
『ジムへは必ず夕食前に行きます。糖質制限食の本道からそれているかもしれませんが、私は筋力トレーニング後だけは糖質を制限していません。というのも、ある日偶然気が付いたのですが、筋力トレーニング後は普通に糖質を摂取しても(といっても90g程度ですが)食後血糖値が140mg/dl程度までにしか上がらないからです。ちなみにジムへ行かない日の夕食は、まさに1gの糖質が3mg/dl血糖値をあげる結果となってしまいますので、糖質制限食は欠かせません。』
大変興味深い結果です。
川中先生の論文によれば、筋収縮によるインスリン非依存的なGlut4の細胞表面への移動は、2~3時間で消失するそうです。
ということは、運動後の筋における糖取り込みは2~3時間は持続するわけで、たかたろうさんの経験された好結果は、ほとんどの2型糖尿人にも当てはまる可能性が高いですね。
運動したあと、2~3時間以内であれば、少量の糖質を摂取しても食後高血糖が起こらないなら、糖尿人の食生活の幅がグンと広がってきます。
今までは、食事開始後30分に30分運動すれば、血糖値が60~80mg下がるというお話をしてきましたが、今後は、運動後の食事だと少量の糖質はOKという選択肢が出てきたので私も嬉しいです。(^o^)v
『トレーニングをはじめて約1年になりますが、体組成計によると、体脂肪率(約14%)は維持したまま、筋肉が1kg弱増えました。私の場合、スタンダード糖質制限食ですが、「トレーニングしても全く筋肉が増えない」ということはないようです。』
仰有る通りです。
私は、今までは糖質制限食で筋肉量を増やすのは難しいかなと思っていましたが、たかたろうさんの体験データを拝見し、折り合いがつくのだと考え直しました。
筋力トレーニングをしたあとに糖質を適量(食後血糖値が140~180mg未満で収まる量)摂取し、それ以外の食事は糖質制限食とすることで糖尿病のコントロールと筋肉量アップの両立が可能なのですね。たかたろうさん、ありがとうございます。(^∀^)
『筋グリコーゲンは筋肉だけで使われ、肝グリコーゲンのように血糖値の上昇に使われることはないそうですね。ならば、普段の生活だけで筋グリコーゲンが枯渇するということはないでしょうから、筋力トレーニング直後に糖質を補給し、筋グリコーゲンを満タンにしておけば、次回の筋力トレーニングに必要な筋グリコーゲンは温存されているのではないかと思います。』
その通りです。
糖質制限食実践中の糖尿人で、あるていど筋肉量を増やしたい方は、理論と体験に裏付けられた、たかたろうさんの方式を採用してみては如何でしょうか?
江部康二
土曜日から断続的に降り続いていた雪が、やっと昼になってやみました。3日間、屋根に積もるほどの雪が降り続けたのは、18才で京都に来てから初めてかもしれません。
さて、しばらく途絶えていた運動とエネルギー源シリーズの9回目です。
糖質制限食と筋力トレーニングに関して、たかたろうさんから貴重な体験データをご教示いただきました。
『08/02/13 たかたろう
糖質制限食と筋力トレーニング
江部先生、はじめまして、たかたろう と申します。
先生の本「主食を抜けば糖尿病は良くなる」を購入し、実践させてもらっています。
糖質制限食と筋力トレーニングについて話題になっていますが、私の経験をお知らせしますので、何かの参考にして頂ければ幸いです。
私は2型糖尿人ですが、ほぼ1日おきにジムに通って筋力トレーニングを行っています。トレーニングをはじめたきっかけは、糖質制限食で短期間での減量に成功したものの、周りの人には糖尿人であることを告げていないので、「見た目が貧相になった」とか「あいつはなんかの病気で激やせしたにちがいない」などと噂されるようになってしまい、なんとか体脂肪を増やさずに体重を増やしたいと思ったことでした。
ジムへは必ず夕食前に行きます。糖質制限食の本道からそれているかもしれませんが、私は筋力トレーニング後だけは糖質を制限していません。というのも、ある日偶然気が付いたのですが、筋力トレーニング後は普通に糖質を摂取しても(といっても90g程度ですが)食後血糖値が140mg/dl程度までにしか上がらないからです。ちなみにジムへ行かない日の夕食は、まさに1gの糖質が3mg/dl血糖値をあげる結果となってしまいますので、糖質制限食は欠かせません。
トレーニングをはじめて約1年になりますが、体組成計によると、体脂肪率(約14%)は維持したまま、筋肉が1kg弱増えました。私の場合、スタンダード糖質制限食ですが、「トレーニングしても全く筋肉が増えない」ということはないようです。
どこで読んだ覚えがあるのですが、筋グリコーゲンは筋肉だけで使われ、肝グリコーゲンのように血糖値の上昇に使われることはないそうですね。ならば、普段の生活だけで筋グリコーゲンが枯渇するということはないでしょうから、筋力トレーニング直後に糖質を補給し、筋グリコーゲンを満タンにしておけば、次回の筋力トレーニングに必要な筋グリコーゲンは温存されているのではないかと思います。そして、都合がよいことに、(少なくとも私の場合は)筋力トレーニング直後の糖質補給は血糖値をそれほど上げません。(このへんの科学的考察は、http://www.h4.dion.ne.jp/~jssf/text/doukousp/pdf/200610/0610_4246.pdf 「運動と骨格筋GLUT4」あたりが参考になりそうです)
自分以外の糖尿人の方が筋力トレーニングを行った場合にどうなるかは分かりませんが、私と同じような結果が得られるのであれば、筋力トレーニングを頑張った後は自分にスイーツのご褒美なんていうのもいいかもしれませんね。』
たかたろうさん、コメントそして「主食を抜けば糖尿病は良くなる」ご購入ありがとうございました。とても参考になるデータです。
ご教示頂いた、川中健太郎先生の<運動と骨格筋Glut4>という文献、ダウンロードして拝見しました。こちらも大変、勉強になりました。
『ジムへは必ず夕食前に行きます。糖質制限食の本道からそれているかもしれませんが、私は筋力トレーニング後だけは糖質を制限していません。というのも、ある日偶然気が付いたのですが、筋力トレーニング後は普通に糖質を摂取しても(といっても90g程度ですが)食後血糖値が140mg/dl程度までにしか上がらないからです。ちなみにジムへ行かない日の夕食は、まさに1gの糖質が3mg/dl血糖値をあげる結果となってしまいますので、糖質制限食は欠かせません。』
大変興味深い結果です。
川中先生の論文によれば、筋収縮によるインスリン非依存的なGlut4の細胞表面への移動は、2~3時間で消失するそうです。
ということは、運動後の筋における糖取り込みは2~3時間は持続するわけで、たかたろうさんの経験された好結果は、ほとんどの2型糖尿人にも当てはまる可能性が高いですね。
運動したあと、2~3時間以内であれば、少量の糖質を摂取しても食後高血糖が起こらないなら、糖尿人の食生活の幅がグンと広がってきます。
今までは、食事開始後30分に30分運動すれば、血糖値が60~80mg下がるというお話をしてきましたが、今後は、運動後の食事だと少量の糖質はOKという選択肢が出てきたので私も嬉しいです。(^o^)v
『トレーニングをはじめて約1年になりますが、体組成計によると、体脂肪率(約14%)は維持したまま、筋肉が1kg弱増えました。私の場合、スタンダード糖質制限食ですが、「トレーニングしても全く筋肉が増えない」ということはないようです。』
仰有る通りです。
私は、今までは糖質制限食で筋肉量を増やすのは難しいかなと思っていましたが、たかたろうさんの体験データを拝見し、折り合いがつくのだと考え直しました。
筋力トレーニングをしたあとに糖質を適量(食後血糖値が140~180mg未満で収まる量)摂取し、それ以外の食事は糖質制限食とすることで糖尿病のコントロールと筋肉量アップの両立が可能なのですね。たかたろうさん、ありがとうございます。(^∀^)
『筋グリコーゲンは筋肉だけで使われ、肝グリコーゲンのように血糖値の上昇に使われることはないそうですね。ならば、普段の生活だけで筋グリコーゲンが枯渇するということはないでしょうから、筋力トレーニング直後に糖質を補給し、筋グリコーゲンを満タンにしておけば、次回の筋力トレーニングに必要な筋グリコーゲンは温存されているのではないかと思います。』
その通りです。
糖質制限食実践中の糖尿人で、あるていど筋肉量を増やしたい方は、理論と体験に裏付けられた、たかたろうさんの方式を採用してみては如何でしょうか?
江部康二
2008年02月23日 (土)
おはようございます。
血糖自己測定は、近年とても簡便となり、糖尿病患者さんにとって強い味方となってくれています。
“self-monitoring of blood glucose”血糖自己測定、頭文字をとってSMBGといいます。
食事療法、運動療法、薬物療法につぐ糖尿病治療の第四の柱といわれる血糖自己測定ですが、今回はkogepanさんからコメント・質問をいただきました。
『 08/02/08 kogepan
教えてください。
はじめまして。
江部先生のブログ、本などと参考にさせていただいています。今回は思い切って質問させてください。
僕はつい最近DMと診断された25歳男性です。 身長175センチ、体重が58キロです。
先生の話や、コメントをしてる方々の話を読んでいるうちに、血糖測定器というものを購入してみようかと思いました。
そこでインターネットで色々調べてみるのですが どれがよくてどれが悪いのかがいまいちわかりません。
もし先生のお勧めがありましたら、教えていただけるとうれしいです。』
kogepan さん。本のご購入ありがとうございました。血糖自己測定器、確かにいろいろ出ていて迷いますよね。(´・⊇・`)
私もいろいろ調べていて返事がおそくなりました。すいません。m(_ _)m
アセンシアブリーズ 18000
アセンシアブリオ 11,600
フリースタイルフリーダム 14,700
フリースタイルフラッシュ 15,750
プレシジョンエクシード 12,600
メディセーフミニ 16,065
アキュチェックアビバ 16,222
アキュチェックコンパクトプラス 16,779
ワンタッチウルトラ 14,175
グルテストNEO 16,590
グルテストエースR 15,540
グルコカード ダイアメーターα 19,425
Gチェッカー 10000
上記が日本で現在販売されている、主な血糖自己測定器です。数字は定価で、これにセンサーや穿刺針の値段が加わります。
例えばとあるネットのお店で
<プレシジョンエクシード 初回セット>
・プレシジョンエクシード本体×1台
・イージータッチ(穿刺器具)×1台
・メディセンスソフトランセットII(穿刺針)x10本
・専用G3b血糖測定電極×25枚
・専用ポーチ
通常17900円のところ
特別価格11,800 円
といった具合で販売されています。定価からある程度の割引はあるようですね。
血糖測定器の操作が簡単になり、値段も安くなったということで血糖自己測定が広まってきています。
インスリン注射をしている人は、健康保険の範囲で測定器を病院からリースしてもらえますが、インスリン注射を打っていない人は自費となります。各測定器ですが、性能にはそんなに差は無いようです。
私自身が使っているのは、「アセンシア・ブリーズ」でセンサーを10回分まとめてセットできるのでそれなりに便利です。
高雄病院で使っているのはGチェッカーで比較的安価ですが、今のところ患者さんからのクレームもありません。
血糖自己測定器の測定原理は、輸液や透析液の影響を受けないグルコース酸化酵素(グルコースオキシダーゼ:GOD)を用いた酵素電極法が好ましいです。
機種ではアセンシア・ブリーズ、Gチェッカー、プレシジョンエクシード、ワンタッチウルトルラ、グルテストエースなどが、GODを用いた酵素電極法です。
各機種性能には大差はないのでkogepan さんも、GODを用いた酵素電極法の機種の中で
値段的にリーズナブルなものをインターネットで検索して選んでいただけばよいと思いますよ。
江部康二
血糖自己測定は、近年とても簡便となり、糖尿病患者さんにとって強い味方となってくれています。
“self-monitoring of blood glucose”血糖自己測定、頭文字をとってSMBGといいます。
食事療法、運動療法、薬物療法につぐ糖尿病治療の第四の柱といわれる血糖自己測定ですが、今回はkogepanさんからコメント・質問をいただきました。
『 08/02/08 kogepan
教えてください。
はじめまして。
江部先生のブログ、本などと参考にさせていただいています。今回は思い切って質問させてください。
僕はつい最近DMと診断された25歳男性です。 身長175センチ、体重が58キロです。
先生の話や、コメントをしてる方々の話を読んでいるうちに、血糖測定器というものを購入してみようかと思いました。
そこでインターネットで色々調べてみるのですが どれがよくてどれが悪いのかがいまいちわかりません。
もし先生のお勧めがありましたら、教えていただけるとうれしいです。』
kogepan さん。本のご購入ありがとうございました。血糖自己測定器、確かにいろいろ出ていて迷いますよね。(´・⊇・`)
私もいろいろ調べていて返事がおそくなりました。すいません。m(_ _)m
アセンシアブリーズ 18000
アセンシアブリオ 11,600
フリースタイルフリーダム 14,700
フリースタイルフラッシュ 15,750
プレシジョンエクシード 12,600
メディセーフミニ 16,065
アキュチェックアビバ 16,222
アキュチェックコンパクトプラス 16,779
ワンタッチウルトラ 14,175
グルテストNEO 16,590
グルテストエースR 15,540
グルコカード ダイアメーターα 19,425
Gチェッカー 10000
上記が日本で現在販売されている、主な血糖自己測定器です。数字は定価で、これにセンサーや穿刺針の値段が加わります。
例えばとあるネットのお店で
<プレシジョンエクシード 初回セット>
・プレシジョンエクシード本体×1台
・イージータッチ(穿刺器具)×1台
・メディセンスソフトランセットII(穿刺針)x10本
・専用G3b血糖測定電極×25枚
・専用ポーチ
通常17900円のところ
特別価格11,800 円
といった具合で販売されています。定価からある程度の割引はあるようですね。
血糖測定器の操作が簡単になり、値段も安くなったということで血糖自己測定が広まってきています。
インスリン注射をしている人は、健康保険の範囲で測定器を病院からリースしてもらえますが、インスリン注射を打っていない人は自費となります。各測定器ですが、性能にはそんなに差は無いようです。
私自身が使っているのは、「アセンシア・ブリーズ」でセンサーを10回分まとめてセットできるのでそれなりに便利です。
高雄病院で使っているのはGチェッカーで比較的安価ですが、今のところ患者さんからのクレームもありません。
血糖自己測定器の測定原理は、輸液や透析液の影響を受けないグルコース酸化酵素(グルコースオキシダーゼ:GOD)を用いた酵素電極法が好ましいです。
機種ではアセンシア・ブリーズ、Gチェッカー、プレシジョンエクシード、ワンタッチウルトルラ、グルテストエースなどが、GODを用いた酵素電極法です。
各機種性能には大差はないのでkogepan さんも、GODを用いた酵素電極法の機種の中で
値段的にリーズナブルなものをインターネットで検索して選んでいただけばよいと思いますよ。
江部康二
2008年02月22日 (金)
おはようございます。
モンチさんから三度目のコメントをいただきました。ブログ読者の皆さんの復習も兼ねて、糖質制限食の基本を説明します。
『食事バランス
アドバイス感謝です。
糖質制限食を100%おこなった場合、栄養バランスはどうなんでしょう。
血糖値を下げれは、全て良しではないと思って少量の糖質をあえて取るようにしています。
2008/02/22(金) 06:15:48 モンチ』
モンチさん。
糖尿病合併症の進行予防のためには、血糖値を
<空腹時血糖値110mg、食後2時間血糖値180mg、HbA1c6.5%未満>目標値以下に保つことが大切です。血糖値が高くて良いことは何もありません。
特に、近年は食後高血糖(特に食後の急激な血糖値の上昇→ブドウ糖スパイク)が、リアルタイムに血管内皮を傷害して動脈硬化の元となり、将来の心筋梗塞・脳梗塞発症のリスクとなることが確認されています。
そして、ブドウ糖スパイクを引き起こすのは、糖質だけです。タンパク質や脂質は、ブドウ糖スパイクは起こしません。
また、穀物や芋を全く摂取しなくても、野菜などにも糖質が含まれています。
例えば、スーパー糖質制限食を実践していても総摂取カロリーの約12%くらいは糖質が入ります。ちなみに脂質が約56%、タンパク質が約32%です。
私の場合は、一日の総摂取カロリーが1600~1800キロカロリーです。
一日二食です。これとは別に焼酎や赤ワインを適量摂取です。 (^_^)
空腹時血糖値が目標値ギリギリで、100~130mg食後2時間血糖値とHbA1cは完全正常値です。1600キロカロリーとして、一日に約48gの糖質を摂取しています。
空腹時血糖値が目標値ギリギリなのは、糖質制限食開始前に、糖尿病よって既に膵臓のβ細胞が一定のダメージを受けていて、インスリン基礎分泌がやや不足気味だからです。
糖質制限食実践により、膵臓は休養できるので、疲弊していたβ細胞はあるていど回復します。しかし、既に壊れていたβ細胞はもう元にはもどりませんので・・・。(*_*)
それから栄養バランスですが、人類400万年の歴史の中で、農耕以前の食生活は基本的に糖質制限食だったことはお忘れなく・・・
農耕以降は確かに穀物が主食ですが、400万年に対して、約4000年の歴史です。
即ち、人類が穀物(糖質)を主食としたのは僅か、1/1000の期間に過ぎません。
ここら辺りのことは、ブログの<人類の食生活>シリーズをご参照いただけば幸いです。
江部康二
モンチさんから三度目のコメントをいただきました。ブログ読者の皆さんの復習も兼ねて、糖質制限食の基本を説明します。
『食事バランス
アドバイス感謝です。
糖質制限食を100%おこなった場合、栄養バランスはどうなんでしょう。
血糖値を下げれは、全て良しではないと思って少量の糖質をあえて取るようにしています。
2008/02/22(金) 06:15:48 モンチ』
モンチさん。
糖尿病合併症の進行予防のためには、血糖値を
<空腹時血糖値110mg、食後2時間血糖値180mg、HbA1c6.5%未満>目標値以下に保つことが大切です。血糖値が高くて良いことは何もありません。
特に、近年は食後高血糖(特に食後の急激な血糖値の上昇→ブドウ糖スパイク)が、リアルタイムに血管内皮を傷害して動脈硬化の元となり、将来の心筋梗塞・脳梗塞発症のリスクとなることが確認されています。
そして、ブドウ糖スパイクを引き起こすのは、糖質だけです。タンパク質や脂質は、ブドウ糖スパイクは起こしません。
また、穀物や芋を全く摂取しなくても、野菜などにも糖質が含まれています。
例えば、スーパー糖質制限食を実践していても総摂取カロリーの約12%くらいは糖質が入ります。ちなみに脂質が約56%、タンパク質が約32%です。
私の場合は、一日の総摂取カロリーが1600~1800キロカロリーです。
一日二食です。これとは別に焼酎や赤ワインを適量摂取です。 (^_^)
空腹時血糖値が目標値ギリギリで、100~130mg食後2時間血糖値とHbA1cは完全正常値です。1600キロカロリーとして、一日に約48gの糖質を摂取しています。
空腹時血糖値が目標値ギリギリなのは、糖質制限食開始前に、糖尿病よって既に膵臓のβ細胞が一定のダメージを受けていて、インスリン基礎分泌がやや不足気味だからです。
糖質制限食実践により、膵臓は休養できるので、疲弊していたβ細胞はあるていど回復します。しかし、既に壊れていたβ細胞はもう元にはもどりませんので・・・。(*_*)
それから栄養バランスですが、人類400万年の歴史の中で、農耕以前の食生活は基本的に糖質制限食だったことはお忘れなく・・・
農耕以降は確かに穀物が主食ですが、400万年に対して、約4000年の歴史です。
即ち、人類が穀物(糖質)を主食としたのは僅か、1/1000の期間に過ぎません。
ここら辺りのことは、ブログの<人類の食生活>シリーズをご参照いただけば幸いです。
江部康二
2008年02月21日 (木)
こんばんは。
モンチさんから、再度コメントいただきました。
『一日三食?、二食?
私(糖尿病患者)の場合一日3食よりも5・6食の方が血糖値を下げるのに効果が有るように思われます。 一日2食にすると血糖値が不安定になるように思われます。
また、自分に合った規則正しい生活も血糖値を安定させる様に思われますが、如何でしょうか? 何かの参考になれば・・・↓
http://sugano.web.infoseek.co.jp/keiji/k-riyori.htm
http://sugano.web.infoseek.co.jp/cgi-bin/_kensa.htm
2008/02/21(木) 17:17:29 | URL | モンチ』
『モンチさんホームページ見ました。
たぶん、先生の記事の前提には糖質制限食をやっている場合というのがあります。
ホームページを拝見すると糖質をとっていらっしゃるのでので少量で回数を多くしたほうが血糖値が安定するのだと思います。』
2008/02/21(木) 17:55:53 | URL | ジミー』
ジミーさん。
コメントありがとうございます。
仰有るとおりです。
本ブログの過半数の記事が、糖質制限食を実践しておられるかたが対象となっています。
また糖質を摂取し、一日量が一緒なら、当然少量で回数を多くした方が血糖値は上昇しにくいですね。
モンチさん。
モンチさんの場合、糖質を摂取しておられます。1gの糖質が2型糖尿人の血糖値を約3mg上昇させますので、1回の糖質摂取量が少なければ血糖値の上昇も少ないです。
従いまして、仰有るとおり、一日3食よりも5・6食の方が血糖値が上昇しません。それから毎日きっちり運動をしておられますのでその分、血糖値も下がります。「食後30分くらいに30分ほどウオーキング」で充分効果があるようです。
渡邊昌先生の「糖尿病は薬なしで治せる」(角川)によれば、200mg/dlの血糖値が30分の歩行あるいは自転車こぎで、120~130mgにおちるそうです。
従いまして、少量の糖質摂取ならば運動との規則正しい組み合わせで血糖コントロールはあるていど可能と思います。合併症の進行がない目標値は『空腹時血糖値110mg未満、食後2時間血糖値180mg未満、HbA1c6.5%未満』です。
なお、糖質制限食ならば運動しなくても、血糖値が上昇しません。血糖値を急峻に上昇させるのは、糖質・脂質・タンパク質のうち、基本的に糖質だけですので・・・。
江部康二
モンチさんから、再度コメントいただきました。
『一日三食?、二食?
私(糖尿病患者)の場合一日3食よりも5・6食の方が血糖値を下げるのに効果が有るように思われます。 一日2食にすると血糖値が不安定になるように思われます。
また、自分に合った規則正しい生活も血糖値を安定させる様に思われますが、如何でしょうか? 何かの参考になれば・・・↓
http://sugano.web.infoseek.co.jp/keiji/k-riyori.htm
http://sugano.web.infoseek.co.jp/cgi-bin/_kensa.htm
2008/02/21(木) 17:17:29 | URL | モンチ』
『モンチさんホームページ見ました。
たぶん、先生の記事の前提には糖質制限食をやっている場合というのがあります。
ホームページを拝見すると糖質をとっていらっしゃるのでので少量で回数を多くしたほうが血糖値が安定するのだと思います。』
2008/02/21(木) 17:55:53 | URL | ジミー』
ジミーさん。
コメントありがとうございます。
仰有るとおりです。
本ブログの過半数の記事が、糖質制限食を実践しておられるかたが対象となっています。
また糖質を摂取し、一日量が一緒なら、当然少量で回数を多くした方が血糖値は上昇しにくいですね。
モンチさん。
モンチさんの場合、糖質を摂取しておられます。1gの糖質が2型糖尿人の血糖値を約3mg上昇させますので、1回の糖質摂取量が少なければ血糖値の上昇も少ないです。
従いまして、仰有るとおり、一日3食よりも5・6食の方が血糖値が上昇しません。それから毎日きっちり運動をしておられますのでその分、血糖値も下がります。「食後30分くらいに30分ほどウオーキング」で充分効果があるようです。
渡邊昌先生の「糖尿病は薬なしで治せる」(角川)によれば、200mg/dlの血糖値が30分の歩行あるいは自転車こぎで、120~130mgにおちるそうです。
従いまして、少量の糖質摂取ならば運動との規則正しい組み合わせで血糖コントロールはあるていど可能と思います。合併症の進行がない目標値は『空腹時血糖値110mg未満、食後2時間血糖値180mg未満、HbA1c6.5%未満』です。
なお、糖質制限食ならば運動しなくても、血糖値が上昇しません。血糖値を急峻に上昇させるのは、糖質・脂質・タンパク質のうち、基本的に糖質だけですので・・・。
江部康二
2008年02月20日 (水)
ご質問をいただきました。
『昼食なし
2008/02/05 Tue 08:11:15の記事の
>昼食なし
食事を最低3度規則正しく取らないと血糖値が不安定になりませんか?
2008/02/10 Sun 10:35:36
URL | モンチ』
モンチさん。コメント・質問ありがとうございます。
「人類は本来、一日三食か二食かはたまた、一食か?」興味ある問題ですね。
かく言う私は、1984年の第一回目の断食以降は、朝食抜きの一日二食です。
一時三ヶ月ぐらい一日一食にしてみましたが、空腹感というより間が持たない感じで二食に戻しました。「美味しく楽しく 糖質制限食」がモットーですから、やはり一日二回くらいは美味しいもの食べたいですよね。
日本でも、江戸時代初期までは一日二食で、中期から三食になったようです。平安時代まで遡って、清少納言は「枕草子」のなかで「大工のものくうこそいとあやしけれ」と、大工が昼食をとること(多食)を揶揄しています。
平安時代や鎌倉時代の一日二食は、朝食が午の刻(正午)で、夕食が申の刻(午後4時)だったそうです。
イギリスやフランスなどヨーロッパの国々でも、18世紀に二食から三食になったので三食の歴史は浅いのです。
英語の朝食はbreakfastですが、一日の最初の食事(断食を破る)を意味していたのが転じて朝食になりました。当初のbreakfastは一仕事終えたあと、正午頃食べていたのかもしれません。
世界的に見ても、伝統的なライフスタイルを保っている部族は、一日二食のことが多いようです。特に朝起きて何の活動もしていないのに、すぐ食事を摂るという現代人のような「変な?習慣」はありません。
最後になりますが、 糖質制限食を実践していれば血糖値の上昇がほとんどなく、ブドウ糖スパイクは起こりません。一日二食でも三食でも 糖質制限食である限りは血糖値は安定します。
一方精製炭水化物を食べると血糖値の急激な上昇-ブドウ糖スパイクが生じ、その後糖尿病や予備軍の人出は遷延してでるインスリンのため、3時間後などに低血糖になることもあります。
今回のブログは、小山内博先生の「明日から朝食をやめなさい」(21世紀ブックス)を参考にし、一部引用させていただきました。謝謝。m(μ_μ)m
江部康二
『昼食なし
2008/02/05 Tue 08:11:15の記事の
>昼食なし
食事を最低3度規則正しく取らないと血糖値が不安定になりませんか?
2008/02/10 Sun 10:35:36
URL | モンチ』
モンチさん。コメント・質問ありがとうございます。
「人類は本来、一日三食か二食かはたまた、一食か?」興味ある問題ですね。
かく言う私は、1984年の第一回目の断食以降は、朝食抜きの一日二食です。
一時三ヶ月ぐらい一日一食にしてみましたが、空腹感というより間が持たない感じで二食に戻しました。「美味しく楽しく 糖質制限食」がモットーですから、やはり一日二回くらいは美味しいもの食べたいですよね。
日本でも、江戸時代初期までは一日二食で、中期から三食になったようです。平安時代まで遡って、清少納言は「枕草子」のなかで「大工のものくうこそいとあやしけれ」と、大工が昼食をとること(多食)を揶揄しています。
平安時代や鎌倉時代の一日二食は、朝食が午の刻(正午)で、夕食が申の刻(午後4時)だったそうです。
イギリスやフランスなどヨーロッパの国々でも、18世紀に二食から三食になったので三食の歴史は浅いのです。
英語の朝食はbreakfastですが、一日の最初の食事(断食を破る)を意味していたのが転じて朝食になりました。当初のbreakfastは一仕事終えたあと、正午頃食べていたのかもしれません。
世界的に見ても、伝統的なライフスタイルを保っている部族は、一日二食のことが多いようです。特に朝起きて何の活動もしていないのに、すぐ食事を摂るという現代人のような「変な?習慣」はありません。
最後になりますが、 糖質制限食を実践していれば血糖値の上昇がほとんどなく、ブドウ糖スパイクは起こりません。一日二食でも三食でも 糖質制限食である限りは血糖値は安定します。
一方精製炭水化物を食べると血糖値の急激な上昇-ブドウ糖スパイクが生じ、その後糖尿病や予備軍の人出は遷延してでるインスリンのため、3時間後などに低血糖になることもあります。
今回のブログは、小山内博先生の「明日から朝食をやめなさい」(21世紀ブックス)を参考にし、一部引用させていただきました。謝謝。m(μ_μ)m
江部康二
2008年02月19日 (火)
おはようございます。
しばらく、運動とエネルギー源で難しいお話が続きましたので、(*- -)(*_ _)
一休みして、万民に興味のある話題を一つ。東山さんから、サプリメントに関するコメントを頂きました。
『サプリ?
糖質制限を真面目に実効している最中はほぼ自炊です肉・魚・卵・チーズ・ナッツ・野菜ちょっとみたいな…肉食獣になっちゃってます。
こうゆう時サプリでお手軽に補っちゃおうかと考えるんですが医師によっては必要なしスポーツ選手じゃあるまいしと言う先生もいるし江部先生はサプリメントについてどう思われますか?また江部先生が常用してるサプリメントがあったら教えて下さい!マカとか言わないで下さいね笑ってしまうので……´ε`
ところでHUNTER×HUNTERはホントに再開するんだろか…`ε´
2008/02/10 Sun 05:55:32 東山』
東山さん。コメントありがとうございます。
以前のブログで厳格な玄米菜食だと、EPA・DHA(ω3系必須脂肪酸)とビタミンB12の摂取が不足する可能性があるので、玄米魚菜食にするほうが安全と述べました。(2007.8.22ブログ)すなわち、玄米菜食の方々にはサプリメントが必要なときがあり得ますね。
一方糖質制限食は、当然穀物なしですから、相対的に肉・魚・野菜・海藻・豆腐・納豆・卵・チーズ・ナッツ・・・・と、バラエティに富んだおかずの摂取量が増えます。従って不足する栄養素は基本的にありません。
例えば、アラスカやグリーンランドのイヌイットは、生肉・生魚が主食でまさに糖質制限食の先達です。
イヌイットの食生活は、気温が低く土壌の栄養分が少ないため、植物は極端に少ないです。
一方過酷な極北の自然環境ですが、実は動物の宝庫なのです。
アザラシ、セイウチ、シロイルカなどの海獣、カリブー、ジャコウウシ、ホッキョクグマなどの陸獣、カナダガン、ライチョウ、カモなどの鳥類、ホッキョクイワナ、サケ、マスなどの魚類が多数生息していて、食料源や衣類の材料となっています。
イヌイットが数千年サプリメントなしで暮らしていたように、私達平成の糖質制限食実践者もサプリメントは必要ないと思います。私も勿論、サプリメントは摂っていません。
ただ、単身赴任の人とか、どうしても食生活のパターンが偏りがちなら、適宜サプリメントを利用してもらって良いと思います。勿論、高価なサプリメントではなくて、リーズナブルなものを選んでくださいね。
ところで…
HUNTER×HUNTER 気になりますね。私も麻生太郎さんではありませんが、子供の頃から漫画は大好きで週間少年ジャンプも創刊号からずっと愛読しています。一時はリボンとなかよしまで見てました。(~~~ヾ)
HUNTER×HUNTER、一回再開してまたすぐストップしてしまいましたね。作者・冨樫義博さんの健康上の理由でしょうかね?心配です。冨樫義博さんの幽遊白書も大好きでした。
江部康二
しばらく、運動とエネルギー源で難しいお話が続きましたので、(*- -)(*_ _)
一休みして、万民に興味のある話題を一つ。東山さんから、サプリメントに関するコメントを頂きました。
『サプリ?
糖質制限を真面目に実効している最中はほぼ自炊です肉・魚・卵・チーズ・ナッツ・野菜ちょっとみたいな…肉食獣になっちゃってます。
こうゆう時サプリでお手軽に補っちゃおうかと考えるんですが医師によっては必要なしスポーツ選手じゃあるまいしと言う先生もいるし江部先生はサプリメントについてどう思われますか?また江部先生が常用してるサプリメントがあったら教えて下さい!マカとか言わないで下さいね笑ってしまうので……´ε`
ところでHUNTER×HUNTERはホントに再開するんだろか…`ε´
2008/02/10 Sun 05:55:32 東山』
東山さん。コメントありがとうございます。
以前のブログで厳格な玄米菜食だと、EPA・DHA(ω3系必須脂肪酸)とビタミンB12の摂取が不足する可能性があるので、玄米魚菜食にするほうが安全と述べました。(2007.8.22ブログ)すなわち、玄米菜食の方々にはサプリメントが必要なときがあり得ますね。
一方糖質制限食は、当然穀物なしですから、相対的に肉・魚・野菜・海藻・豆腐・納豆・卵・チーズ・ナッツ・・・・と、バラエティに富んだおかずの摂取量が増えます。従って不足する栄養素は基本的にありません。
例えば、アラスカやグリーンランドのイヌイットは、生肉・生魚が主食でまさに糖質制限食の先達です。
イヌイットの食生活は、気温が低く土壌の栄養分が少ないため、植物は極端に少ないです。
一方過酷な極北の自然環境ですが、実は動物の宝庫なのです。
アザラシ、セイウチ、シロイルカなどの海獣、カリブー、ジャコウウシ、ホッキョクグマなどの陸獣、カナダガン、ライチョウ、カモなどの鳥類、ホッキョクイワナ、サケ、マスなどの魚類が多数生息していて、食料源や衣類の材料となっています。
イヌイットが数千年サプリメントなしで暮らしていたように、私達平成の糖質制限食実践者もサプリメントは必要ないと思います。私も勿論、サプリメントは摂っていません。
ただ、単身赴任の人とか、どうしても食生活のパターンが偏りがちなら、適宜サプリメントを利用してもらって良いと思います。勿論、高価なサプリメントではなくて、リーズナブルなものを選んでくださいね。
ところで…
HUNTER×HUNTER 気になりますね。私も麻生太郎さんではありませんが、子供の頃から漫画は大好きで週間少年ジャンプも創刊号からずっと愛読しています。一時はリボンとなかよしまで見てました。(~~~ヾ)
HUNTER×HUNTER、一回再開してまたすぐストップしてしまいましたね。作者・冨樫義博さんの健康上の理由でしょうかね?心配です。冨樫義博さんの幽遊白書も大好きでした。
江部康二
2008年02月18日 (月)
おはようございます。今朝も雪が降っています。
昨夕からちらほら降り続いていました。少し積もっています。寒いです。
さて、レース中の水分・エネルギー補給に関してまつださんからコメントいただきました。
『レース中の補給
コメントをテーマにしていただきありがとうございます。
>なおお聞きしたいのですが、ハーフマラソン中のカロリー補給はなしと考えていいのですね
すみません。若干の補給をおこなっております。完全無補給でいく勇気がありませんでした。でも総摂取カロリーでは100kcal未満、糖質も20g未満だと思います。
顛末はこちら。http://kyoto-trailrun.lolipop.jp/main/2008/02/post_293.html
旅館での朝食: なし
ウォーミングアップ後: パワーバープロティンプラス 1かじり http://www.kenko.com/product/item/itm_8804732072.html べスパアドリンク 1袋 http://www.soukai.com/P8023995/p.html
10k地点: パワーバー 1かじり http://www.kenko.com/product/item/itm_8804728072.html
>それと水分補給はどのようにされたのでしょうか?
給水: 起床直後から随時。レース中は、水コップ5杯、ポカリ2杯ほど。
気温は0度付近で、目だった発汗はありませんでしたが、十分な水分補給は活動するための生命線です。
なぜこのような実験をしているかといいますと、どかっと糖質を摂ってしまうと重苦しくてパフォーマンスが落ちるばかりか、やがてハンガーノックの行動不能にならずとも、激しい空腹に見舞われるため、行動食を取り続けなければならないことがよくあります。
先日、雪山(比良山、行動5h)にいったときも、なるべく糖質以外も含まれるハムカツサンドイッチを押し込んで登ったら、案の定、腹減りまくり状態になってしまいました。
結局、何も食べずに行動を開始し、必要最小限の量を行動食として摂取しながら行動する方が、摂取量も回数も少なくさらにパフォーマンスもあがるのではないかと思い、その最適解を探っているのであります。2008/02/16(土) 20:59:17まつだ』
まつださん、早速の回答ありがとうございます。大変参考になります。
「総摂取カロリーでは100kcal未満、糖質も20g未満」のエネルギー補給でハーフマラソン完走ですね。
糖質摂取を最低限にすることで、ブドウ糖-グリコーゲンのエネルギーシステムが活性化するのを防いでおられますね。
糖質を一定量以上摂取すれば、ブドウ糖システムが活性化してしまい、筋肉中のグリコーゲンも燃やすようになり、結果筋肉中のグリコーゲンが枯渇すれば、筋肉の収縮は困難となり動けなくなります。
糖質摂取を最低限に止めることで、脂肪酸-ケトン体のエネルギーシステムが働き続けることとなり、その結果筋肉中のグリコーゲンが節約できることになります。
「どかっと糖質を摂ってしまうと重苦しくてパフォーマンスが落ちるばかりか、やがてハンガーノックの行動不能にならずとも、激しい空腹に見舞われるため、行動食を取り続けなければならないことがよくあります。先日、雪山(比良山、行動5h)にいったときも、なるべく糖質以外も含まれるハムカツサンドイッチを押し込んで登ったら、案の定、腹減りまくり状態になってしまいました。」
どかっと糖質を摂取すると血糖値が上昇して、インスリンが大量に追加分泌されるので、血糖値は下がりますが、運動も続けているのでしばらくすると血糖が下がり過ぎて、やや低血糖気味になり、激しい空腹感が生じると考えられます。
「給水:起床直後から随時。レース中は、水コップ5杯、ポカリ2杯ほど。気温は0度付近で、目だった発汗はありませんでしたが、十分な水分補給は活動するための生命線です。」
水分摂取了解です。適量の水分と、少量のポカリスエット補給で塩分も補給して、水中毒の予防にもなっていますね。
「結局、何も食べずに行動を開始し、必要最小限の量を行動食として摂取しながら行動する方が、摂取量も回数も少なくさらにパフォーマンスもあがるのではないかと思い、その最適解を探っているのであります。」
私もまつださんの考えに賛成です。私自身は週末テニスをするていどなので、本格的スポーツには縁がありません。
またまつださんの体験を、御教示頂ければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。
江部康二
昨夕からちらほら降り続いていました。少し積もっています。寒いです。
さて、レース中の水分・エネルギー補給に関してまつださんからコメントいただきました。
『レース中の補給
コメントをテーマにしていただきありがとうございます。
>なおお聞きしたいのですが、ハーフマラソン中のカロリー補給はなしと考えていいのですね
すみません。若干の補給をおこなっております。完全無補給でいく勇気がありませんでした。でも総摂取カロリーでは100kcal未満、糖質も20g未満だと思います。
顛末はこちら。http://kyoto-trailrun.lolipop.jp/main/2008/02/post_293.html
旅館での朝食: なし
ウォーミングアップ後: パワーバープロティンプラス 1かじり http://www.kenko.com/product/item/itm_8804732072.html べスパアドリンク 1袋 http://www.soukai.com/P8023995/p.html
10k地点: パワーバー 1かじり http://www.kenko.com/product/item/itm_8804728072.html
>それと水分補給はどのようにされたのでしょうか?
給水: 起床直後から随時。レース中は、水コップ5杯、ポカリ2杯ほど。
気温は0度付近で、目だった発汗はありませんでしたが、十分な水分補給は活動するための生命線です。
なぜこのような実験をしているかといいますと、どかっと糖質を摂ってしまうと重苦しくてパフォーマンスが落ちるばかりか、やがてハンガーノックの行動不能にならずとも、激しい空腹に見舞われるため、行動食を取り続けなければならないことがよくあります。
先日、雪山(比良山、行動5h)にいったときも、なるべく糖質以外も含まれるハムカツサンドイッチを押し込んで登ったら、案の定、腹減りまくり状態になってしまいました。
結局、何も食べずに行動を開始し、必要最小限の量を行動食として摂取しながら行動する方が、摂取量も回数も少なくさらにパフォーマンスもあがるのではないかと思い、その最適解を探っているのであります。2008/02/16(土) 20:59:17まつだ』
まつださん、早速の回答ありがとうございます。大変参考になります。
「総摂取カロリーでは100kcal未満、糖質も20g未満」のエネルギー補給でハーフマラソン完走ですね。
糖質摂取を最低限にすることで、ブドウ糖-グリコーゲンのエネルギーシステムが活性化するのを防いでおられますね。
糖質を一定量以上摂取すれば、ブドウ糖システムが活性化してしまい、筋肉中のグリコーゲンも燃やすようになり、結果筋肉中のグリコーゲンが枯渇すれば、筋肉の収縮は困難となり動けなくなります。
糖質摂取を最低限に止めることで、脂肪酸-ケトン体のエネルギーシステムが働き続けることとなり、その結果筋肉中のグリコーゲンが節約できることになります。
「どかっと糖質を摂ってしまうと重苦しくてパフォーマンスが落ちるばかりか、やがてハンガーノックの行動不能にならずとも、激しい空腹に見舞われるため、行動食を取り続けなければならないことがよくあります。先日、雪山(比良山、行動5h)にいったときも、なるべく糖質以外も含まれるハムカツサンドイッチを押し込んで登ったら、案の定、腹減りまくり状態になってしまいました。」
どかっと糖質を摂取すると血糖値が上昇して、インスリンが大量に追加分泌されるので、血糖値は下がりますが、運動も続けているのでしばらくすると血糖が下がり過ぎて、やや低血糖気味になり、激しい空腹感が生じると考えられます。
「給水:起床直後から随時。レース中は、水コップ5杯、ポカリ2杯ほど。気温は0度付近で、目だった発汗はありませんでしたが、十分な水分補給は活動するための生命線です。」
水分摂取了解です。適量の水分と、少量のポカリスエット補給で塩分も補給して、水中毒の予防にもなっていますね。
「結局、何も食べずに行動を開始し、必要最小限の量を行動食として摂取しながら行動する方が、摂取量も回数も少なくさらにパフォーマンスもあがるのではないかと思い、その最適解を探っているのであります。」
私もまつださんの考えに賛成です。私自身は週末テニスをするていどなので、本格的スポーツには縁がありません。
またまつださんの体験を、御教示頂ければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。
江部康二
2008年02月15日 (金)
こんにちは。
『京都トレイルランナー』http://kyoto-trailrun.lolipop.jp/main/
というブログを書いておられるまつださんから、以前
『糖質制限による体質改善は、持久系能力向上に絶大な効果があります。一介の市民ランナーですが、5年間停滞していたベストを続々と塗り替えております。』
というコメントをいただきました。
(2007.12.4ブログをご参照ください。)
今回もまたとても興味深いコメントを頂きました。
『 またまた興味深いシリーズ
またまた、興味深いシリーズです。
1月のハーフマラソンで面白い試みをしました。
朝食を摂らずにハーフマラソンを完走できるか?です。
>そして、長時間の運動(30~180分間は維持できる運動強度)であれば、
>筋肉は脂肪酸-ケトン体のシステムを中心に利用します。
~中略~
>そして、ラストスパートで高強度の運動の時に、一気にグリコーゲン-ブドウ糖
>システムを全開していきます。
この引用部分の内容を薄々、感じてましたので、完走できる確信がありました。
結果、予想通り、ハンガーノックにもならず、ラスト3kmからのスパートも
ばっちりでした。
2008/02/13(水) 12:33:38 | URL | まつだ@京都トレイルランナー』
まつださん。お久しぶりです。
貴重な体験報告、ありがとうございます。(^∀^)とても助かります。
朝食なしで、ハンガーノックにも陥らず、完走され、ラストスパートもOK。素晴らしいですね。(^o^)v
結局、備蓄されていた脂肪を効率よく利用し、最後まで温存されていた筋肉中のグリコーゲンを使ってラストスパート成功で、理論どおり実践していただいたようなものですね。
空腹運動時、筋肉は、筋肉細胞内のミトコンドリア近辺の脂肪滴を利用します。
しかし、大部分のエネルギー源としては、脂肪組織か肝臓に貯蔵されていた脂肪が分解されて脂肪酸とケトン体となり、血液中に供給されたものを筋肉は利用します。
鍛えられたスポーツ選手は、筋肉細胞内の脂肪滴が増加していて、また脂肪酸・ケトン体の利用高率が高まっています。
まつださんも、かなり鍛えられたスポーツ選手なのですね。これからも体験報告よろしくお願い申し上げます。
なお、お聞きしたいのですが、ハーフマラソン中のカロリー補給はなしと考えていいのですね。
それと、水分補給は、どのようにされたのでしょうか?ご教示いただければ幸いです。
江部康二
**
ハンガーノック
マラソンや自転車など長時間の運動中に、空腹感が生じて急に全身に力が入らなくなり、ふらふらで運動できがたい状態をハンガーノックといいます。
これは、筋肉中に蓄えられたグリコーゲンが枯渇して、筋肉の収縮が困難となり、また肝臓の糖新生も間に合わずに低血糖に陥った状態です。
『京都トレイルランナー』http://kyoto-trailrun.lolipop.jp/main/
というブログを書いておられるまつださんから、以前
『糖質制限による体質改善は、持久系能力向上に絶大な効果があります。一介の市民ランナーですが、5年間停滞していたベストを続々と塗り替えております。』
というコメントをいただきました。
(2007.12.4ブログをご参照ください。)
今回もまたとても興味深いコメントを頂きました。
『 またまた興味深いシリーズ
またまた、興味深いシリーズです。
1月のハーフマラソンで面白い試みをしました。
朝食を摂らずにハーフマラソンを完走できるか?です。
>そして、長時間の運動(30~180分間は維持できる運動強度)であれば、
>筋肉は脂肪酸-ケトン体のシステムを中心に利用します。
~中略~
>そして、ラストスパートで高強度の運動の時に、一気にグリコーゲン-ブドウ糖
>システムを全開していきます。
この引用部分の内容を薄々、感じてましたので、完走できる確信がありました。
結果、予想通り、ハンガーノックにもならず、ラスト3kmからのスパートも
ばっちりでした。
2008/02/13(水) 12:33:38 | URL | まつだ@京都トレイルランナー』
まつださん。お久しぶりです。
貴重な体験報告、ありがとうございます。(^∀^)とても助かります。
朝食なしで、ハンガーノックにも陥らず、完走され、ラストスパートもOK。素晴らしいですね。(^o^)v
結局、備蓄されていた脂肪を効率よく利用し、最後まで温存されていた筋肉中のグリコーゲンを使ってラストスパート成功で、理論どおり実践していただいたようなものですね。
空腹運動時、筋肉は、筋肉細胞内のミトコンドリア近辺の脂肪滴を利用します。
しかし、大部分のエネルギー源としては、脂肪組織か肝臓に貯蔵されていた脂肪が分解されて脂肪酸とケトン体となり、血液中に供給されたものを筋肉は利用します。
鍛えられたスポーツ選手は、筋肉細胞内の脂肪滴が増加していて、また脂肪酸・ケトン体の利用高率が高まっています。
まつださんも、かなり鍛えられたスポーツ選手なのですね。これからも体験報告よろしくお願い申し上げます。
なお、お聞きしたいのですが、ハーフマラソン中のカロリー補給はなしと考えていいのですね。
それと、水分補給は、どのようにされたのでしょうか?ご教示いただければ幸いです。
江部康二
**
ハンガーノック
マラソンや自転車など長時間の運動中に、空腹感が生じて急に全身に力が入らなくなり、ふらふらで運動できがたい状態をハンガーノックといいます。
これは、筋肉中に蓄えられたグリコーゲンが枯渇して、筋肉の収縮が困難となり、また肝臓の糖新生も間に合わずに低血糖に陥った状態です。
2008年02月14日 (木)
おはようございます。今日も寒いです。ゼロ度です。
運動とエネルギー源シリーズ、コメント結構多くて盛り上がってます。皆さん、興味がおありなんですね。
さて、
myさんの質問にあった「運動とインスリンの関係」について街のくまさんからコメントを頂きました。とてもわかりやすいので、アップさせてもらいます。
『運動時のインスリン
専門家ではないのですが、今まで江部先生のブログをもとに得た知識を基にmy#JalddaAさんの疑問点を自分なりに検証してみたいと思います。間違えている点があればご指摘頂ければ幸いですし、江部先生に再度レクチャーいただければ幸いです。
糖質利用度云々ではなく、糖質制限によって脂肪遊離酸を使う度合いが高くなると、ケトン体が高くのではないでしょうか。また、インスリン量の増加は膵臓の機能程度に比例するのであり、運動の過多によるものではないと思います。
運動による血糖値の改善はインスリンの分泌量増加ではなく、細胞表面のグルット4の活性化等による、ブドウ糖の取り込み増進=インスリン抵抗性の改善にあるのではないのでしょうか。
この文は精一杯理解しようとした結果です。間違えていたらご指摘下さい。お願い申し上げます。街のクマ 08/02/13』
街のクマさん、簡明なコメントありがとうございます。私の解説より理解しやすいですね。脱帽です(o^。^o)
私も街のクマさんの説に全面的に賛成です。
「糖質制限によって脂肪遊離酸を使う度合いが高くなると、ケトン体が高くなるのではないでしょうか。」
その通りです。糖質制限食実践中とか絶食中とかは、脂肪酸-ケトン体システムが活性化するので血中ケトン体濃度は高くなりますが、これは、基礎分泌のインスリンがあるていど確保されている限りは生理的なもので正常ですので心配要りません。
「また、インスリン量の増加は膵臓の機能程度に比例するのであり、運動の過多によるものではないと思います。」
そうですね。運動をしたからといってインスリンが追加分泌されることはありません。インスリンが追加分泌されるのは、糖質を摂取して血糖値が上昇したときですね。
「運動による血糖値の改善はインスリンの分泌量増加ではなく、細胞表面のグルット4の活性化等による、ブドウ糖の取り込み増進=インスリン抵抗性の改善にあるのではないのでしょうか。」
仰る通りです。運動の急性効果では、筋収縮により(インスリンの追加分泌が無くても)グルット4が細胞表面にでてきて、血液中のブドウ糖が筋肉細胞内に取り込まれます。
また、運動の慢性効果(有酸素運動の定期的な継続)により、グルット4の活性化等細胞レベルでインスリン抵抗性が改善します。つまり自前のインスリンの効きが良くなります。
江部康二
運動とエネルギー源シリーズ、コメント結構多くて盛り上がってます。皆さん、興味がおありなんですね。
さて、
myさんの質問にあった「運動とインスリンの関係」について街のくまさんからコメントを頂きました。とてもわかりやすいので、アップさせてもらいます。
『運動時のインスリン
専門家ではないのですが、今まで江部先生のブログをもとに得た知識を基にmy#JalddaAさんの疑問点を自分なりに検証してみたいと思います。間違えている点があればご指摘頂ければ幸いですし、江部先生に再度レクチャーいただければ幸いです。
糖質利用度云々ではなく、糖質制限によって脂肪遊離酸を使う度合いが高くなると、ケトン体が高くのではないでしょうか。また、インスリン量の増加は膵臓の機能程度に比例するのであり、運動の過多によるものではないと思います。
運動による血糖値の改善はインスリンの分泌量増加ではなく、細胞表面のグルット4の活性化等による、ブドウ糖の取り込み増進=インスリン抵抗性の改善にあるのではないのでしょうか。
この文は精一杯理解しようとした結果です。間違えていたらご指摘下さい。お願い申し上げます。街のクマ 08/02/13』
街のクマさん、簡明なコメントありがとうございます。私の解説より理解しやすいですね。脱帽です(o^。^o)
私も街のクマさんの説に全面的に賛成です。
「糖質制限によって脂肪遊離酸を使う度合いが高くなると、ケトン体が高くなるのではないでしょうか。」
その通りです。糖質制限食実践中とか絶食中とかは、脂肪酸-ケトン体システムが活性化するので血中ケトン体濃度は高くなりますが、これは、基礎分泌のインスリンがあるていど確保されている限りは生理的なもので正常ですので心配要りません。
「また、インスリン量の増加は膵臓の機能程度に比例するのであり、運動の過多によるものではないと思います。」
そうですね。運動をしたからといってインスリンが追加分泌されることはありません。インスリンが追加分泌されるのは、糖質を摂取して血糖値が上昇したときですね。
「運動による血糖値の改善はインスリンの分泌量増加ではなく、細胞表面のグルット4の活性化等による、ブドウ糖の取り込み増進=インスリン抵抗性の改善にあるのではないのでしょうか。」
仰る通りです。運動の急性効果では、筋収縮により(インスリンの追加分泌が無くても)グルット4が細胞表面にでてきて、血液中のブドウ糖が筋肉細胞内に取り込まれます。
また、運動の慢性効果(有酸素運動の定期的な継続)により、グルット4の活性化等細胞レベルでインスリン抵抗性が改善します。つまり自前のインスリンの効きが良くなります。
江部康二
2008年02月13日 (水)
おはようございます。
朝起きたら道も屋根も車も一面白銀の世界でした。しかも深々とさらに降り積もっています。
京都が雪国のようです。今冬一番の雪となるでしょう。
さて、長時間の運動に関してmyさんから質問をいただきました。
『運動時のインスリン
こんにちは、先生。
長時間の運動のエネルギー源として、利用される順番を、
①筋の中のグリコーゲン
②血液中のグルコースと遊離脂肪酸
③肝から放出されるグルコース
と、理解していますが、正しいでしょうか?
また、これらを利用する際、インスリンがないとケトン体の生合成が増大する、正しいでしょうか?
そのインスリン量は、運動量に比例するのでしょうか?
以前、基礎インスリンだけで運動して、BGが上昇したり、低血糖になったりと一定しなかったので疑問に思っています。
運動後に③の失われた肝への補充のために、長時間後にも低血糖の可能性があるのだと考えていますが、間違っておりますか?
判りやすく、ご教示いただけたら嬉しいです。
2008/02/10(日) 17:19:03 | URL | my』
myさん、コメント・質問ありがとうございます。
長時間の運動とエネルギー源、なかなか難しいテーマですので、いろいろ混乱があるようです。まずは整理整頓してみましょう。
長時間の運動のごく初期の1.2分は、嫌気的代謝も利用されます。即ち、高強度の運動時と同様、筋肉細胞はまず自前で貯蔵していたATPを使います。直後にクレアチンリン酸を利用してADPからATPを再合成します。
その後、グリコーゲン分解と解糖からのATP供給が始まり、20秒くらい持続します。これらは全て嫌気的エネルギーで、供給速度が速いです。
この間徐々に脂肪と糖質の酸化的リン酸化による好気的エネルギー供給に代わります。
1.2分を過ぎてくると大部分が好気的代謝になっていきます。
嫌気的代謝と好気的代謝のどちらが主となるかは運動強度で違い、下記の如くです。
<運動強度と嫌気的代謝・好気的代謝>
100m競争だと、嫌気的代謝が90%で好気的代謝が10%
400m競争だと、嫌気的代謝が70%で好気的代謝が30%、
800m競争だと、嫌気的代謝が40%で好気的代謝が60%、
1500mは、それぞれ20%と80%
10000mは、それぞれ3%と97%
42.195km(マラソン)は、それぞれ1%と99%
好気的代謝には「脂肪酸-ケトン体システム」と「グリコーゲン-ブドウ糖システム」があります。
そして、長時間の運動(30~180分間は維持できる運動強度)であれば、筋肉は脂肪酸-ケトン体のシステムを中心に利用します。一流スポーツアスリートは、筋肉細胞中の脂肪滴は多く、また血液中の脂肪酸の利用能力も高まっています。
勿論、筋肉中のグリコーゲン-ブドウ糖のシステムを全く利用しないということではありませんし、血液中のブドウ糖も利用します。
あくまでも脂肪とブドウ糖のどちらが主エネルギー源か比率の問題です。
一般には強度の高い運動ほど、エネルギー供給速度の速いグリコーゲン-ブドウ糖システムの利用比率が増します。
この時、鍛えられたアスリートほど、ある程度の強度の運動でも、脂肪酸-ケトン体システムを上手に使いこなしますので、筋肉中のグリコーゲンを最後まで節約できます。
そして、ラストスパートで高強度の運動の時に、一気にグリコーゲン-ブドウ糖システムを全開していきます。
ここからは、ご質問に関してお答えします。
まずインスリンですが、基礎分泌は24時間常に少量でています。一方追加分泌のインスリンは、食事(主として糖質)で血糖値が上昇した時に分泌され、それにより筋肉細胞や脂肪細胞にブドウ糖が取り込まれます。追加分泌のインスリンがなければ筋肉細胞は血液中のブドウ糖をほとんど取り込めません。
一方、運動で筋肉が収縮すると、インスリンの追加分泌がなくても、筋肉細胞は血液中のブドウ糖を取り込めます。
このように、運動によるブドウ糖取り込み促進は、インスリンとは無関係であるのが特徴です。
それから、脂肪酸-ケトン体システムが活性化しているときは、当然血液中のケトン体濃度は上昇しますが、これはインスリン基礎分泌が確保されていて生理的なのものなので、何の心配もいりません。(カテゴリーのケトン体の項をご参照くださいね)
また運動に関しては、2007.6.24、6.26のブログも参照していただけば幸いです。
なお、空腹時には、筋肉などほとんどの組織は、エネルギー源として脂肪酸-ケトン体システムを主として利用します。空腹時の血中へのブドウ糖供給源は、肝臓でのグリコーゲン分解から糖新生が中心となり、脳.赤血球などで利用します。
運動を長時間していての低血糖は、肝臓の糖新生が間に合わないときに発生すると考えられます。
江部康二
朝起きたら道も屋根も車も一面白銀の世界でした。しかも深々とさらに降り積もっています。
京都が雪国のようです。今冬一番の雪となるでしょう。
さて、長時間の運動に関してmyさんから質問をいただきました。
『運動時のインスリン
こんにちは、先生。
長時間の運動のエネルギー源として、利用される順番を、
①筋の中のグリコーゲン
②血液中のグルコースと遊離脂肪酸
③肝から放出されるグルコース
と、理解していますが、正しいでしょうか?
また、これらを利用する際、インスリンがないとケトン体の生合成が増大する、正しいでしょうか?
そのインスリン量は、運動量に比例するのでしょうか?
以前、基礎インスリンだけで運動して、BGが上昇したり、低血糖になったりと一定しなかったので疑問に思っています。
運動後に③の失われた肝への補充のために、長時間後にも低血糖の可能性があるのだと考えていますが、間違っておりますか?
判りやすく、ご教示いただけたら嬉しいです。
2008/02/10(日) 17:19:03 | URL | my』
myさん、コメント・質問ありがとうございます。
長時間の運動とエネルギー源、なかなか難しいテーマですので、いろいろ混乱があるようです。まずは整理整頓してみましょう。
長時間の運動のごく初期の1.2分は、嫌気的代謝も利用されます。即ち、高強度の運動時と同様、筋肉細胞はまず自前で貯蔵していたATPを使います。直後にクレアチンリン酸を利用してADPからATPを再合成します。
その後、グリコーゲン分解と解糖からのATP供給が始まり、20秒くらい持続します。これらは全て嫌気的エネルギーで、供給速度が速いです。
この間徐々に脂肪と糖質の酸化的リン酸化による好気的エネルギー供給に代わります。
1.2分を過ぎてくると大部分が好気的代謝になっていきます。
嫌気的代謝と好気的代謝のどちらが主となるかは運動強度で違い、下記の如くです。
<運動強度と嫌気的代謝・好気的代謝>
100m競争だと、嫌気的代謝が90%で好気的代謝が10%
400m競争だと、嫌気的代謝が70%で好気的代謝が30%、
800m競争だと、嫌気的代謝が40%で好気的代謝が60%、
1500mは、それぞれ20%と80%
10000mは、それぞれ3%と97%
42.195km(マラソン)は、それぞれ1%と99%
好気的代謝には「脂肪酸-ケトン体システム」と「グリコーゲン-ブドウ糖システム」があります。
そして、長時間の運動(30~180分間は維持できる運動強度)であれば、筋肉は脂肪酸-ケトン体のシステムを中心に利用します。一流スポーツアスリートは、筋肉細胞中の脂肪滴は多く、また血液中の脂肪酸の利用能力も高まっています。
勿論、筋肉中のグリコーゲン-ブドウ糖のシステムを全く利用しないということではありませんし、血液中のブドウ糖も利用します。
あくまでも脂肪とブドウ糖のどちらが主エネルギー源か比率の問題です。
一般には強度の高い運動ほど、エネルギー供給速度の速いグリコーゲン-ブドウ糖システムの利用比率が増します。
この時、鍛えられたアスリートほど、ある程度の強度の運動でも、脂肪酸-ケトン体システムを上手に使いこなしますので、筋肉中のグリコーゲンを最後まで節約できます。
そして、ラストスパートで高強度の運動の時に、一気にグリコーゲン-ブドウ糖システムを全開していきます。
ここからは、ご質問に関してお答えします。
まずインスリンですが、基礎分泌は24時間常に少量でています。一方追加分泌のインスリンは、食事(主として糖質)で血糖値が上昇した時に分泌され、それにより筋肉細胞や脂肪細胞にブドウ糖が取り込まれます。追加分泌のインスリンがなければ筋肉細胞は血液中のブドウ糖をほとんど取り込めません。
一方、運動で筋肉が収縮すると、インスリンの追加分泌がなくても、筋肉細胞は血液中のブドウ糖を取り込めます。
このように、運動によるブドウ糖取り込み促進は、インスリンとは無関係であるのが特徴です。
それから、脂肪酸-ケトン体システムが活性化しているときは、当然血液中のケトン体濃度は上昇しますが、これはインスリン基礎分泌が確保されていて生理的なのものなので、何の心配もいりません。(カテゴリーのケトン体の項をご参照くださいね)
また運動に関しては、2007.6.24、6.26のブログも参照していただけば幸いです。
なお、空腹時には、筋肉などほとんどの組織は、エネルギー源として脂肪酸-ケトン体システムを主として利用します。空腹時の血中へのブドウ糖供給源は、肝臓でのグリコーゲン分解から糖新生が中心となり、脳.赤血球などで利用します。
運動を長時間していての低血糖は、肝臓の糖新生が間に合わないときに発生すると考えられます。
江部康二
2008年02月12日 (火)
おはようございます。
今回は運動とエネルギー源シリーズの4回目です。
やまさん、大変長らくお待たせ致しました。
いろいろ勉強しつつやっと質問にこたえることができました。
4、筋力トレーニング
『筋力トレーニング
初めまして。
運動に関して質問があります。
糖質制限食で筋力トレーニングをしても問題ないでしょうか?
有酸素運動であれば、脂質からエネルギーを取り出せると思いますが、
筋力トレーニングなどの無酸素運動では、脂質の代謝が追いつかず、
筋肉などのタンパク質を分解して
糖新生を行う経路が活性化してしまいそうで怖いです。
糖質なしに筋肉がつくのかという点も気になります。
ご回答よろしくお願いしますm(_ _)m
07/12/30 やま 』
やまさん。コメント・質問ありがとうございます。
確かに糖質制限食は、筋力トレーニングには適していないと思います。
人類400万年の歴史の中での本来の食事が糖質制限食だと考えられるのですが、この間、敢えてトレーニングして筋肉の量を増やすことはまず無かったと思います。野生動物をみても、ライオン、チータ、シマウマ・・・筋肉モリモリは無くてしなやかな姿態ですね。
従って、筋肉量を増やすトレーニングそのものが人類や動物にとって生理的かどうかという問題も発生します。
それから、高強度無酸素運動の時も嫌気的システムでグリコーゲンが枯渇したら、疲労で筋肉は収縮できなくなるので、生理的以上にたんぱく質を分解とかいう方向には向かいません。
筋肉中のグリコーゲンが多い方が、瞬発力や筋力アップには有利なのですが、糖質制限食では増えません。
高糖質食のほうが、筋肉中のグリコーゲンは増えます。持久力・スタミナの増強としなやかな筋肉なら 糖質制限食ですが・・・
江部康二
今回は運動とエネルギー源シリーズの4回目です。
やまさん、大変長らくお待たせ致しました。
いろいろ勉強しつつやっと質問にこたえることができました。
4、筋力トレーニング
『筋力トレーニング
初めまして。
運動に関して質問があります。
糖質制限食で筋力トレーニングをしても問題ないでしょうか?
有酸素運動であれば、脂質からエネルギーを取り出せると思いますが、
筋力トレーニングなどの無酸素運動では、脂質の代謝が追いつかず、
筋肉などのタンパク質を分解して
糖新生を行う経路が活性化してしまいそうで怖いです。
糖質なしに筋肉がつくのかという点も気になります。
ご回答よろしくお願いしますm(_ _)m
07/12/30 やま 』
やまさん。コメント・質問ありがとうございます。
確かに糖質制限食は、筋力トレーニングには適していないと思います。
人類400万年の歴史の中での本来の食事が糖質制限食だと考えられるのですが、この間、敢えてトレーニングして筋肉の量を増やすことはまず無かったと思います。野生動物をみても、ライオン、チータ、シマウマ・・・筋肉モリモリは無くてしなやかな姿態ですね。
従って、筋肉量を増やすトレーニングそのものが人類や動物にとって生理的かどうかという問題も発生します。
それから、高強度無酸素運動の時も嫌気的システムでグリコーゲンが枯渇したら、疲労で筋肉は収縮できなくなるので、生理的以上にたんぱく質を分解とかいう方向には向かいません。
筋肉中のグリコーゲンが多い方が、瞬発力や筋力アップには有利なのですが、糖質制限食では増えません。
高糖質食のほうが、筋肉中のグリコーゲンは増えます。持久力・スタミナの増強としなやかな筋肉なら 糖質制限食ですが・・・
江部康二
2008年02月11日 (月)
おはようございます。
今日はとてもいい天気です。運動日和ですね。本当はテニスにいきたいところですが、リボーンの原稿が本日締め切りなので、今とりかかっています。
さて今回は、運動強度とエネルギー源のお話です。
3、運動強度と嫌気的代謝・好気的代謝
陸上競技を例にすると
100m競争だと、嫌気的代謝が90%で好気的代謝が10%
400m競争だと、嫌気的代謝が70%で好気的代謝が30%、
800m競争だと、嫌気的代謝が40%で好気的代謝が60%、
1500mは、それぞれ20%と80%
10000mは、それぞれ3%と97%
42.195km(マラソン)は、それぞれ1%と99%
となります。
好気的代謝には、「脂肪酸-ケトン体システム」と「グリコーゲン-ブドウ糖システム」があります。
脂肪酸-ケトン体のシステムより、ブドウ糖システムのほうが速くエネルギー(ATP)の供給ができるので、強度が高い運動のときほど、筋肉は、ブドウ糖を使う率が増えていきます。
中長距離の場合、脂肪酸システムを上手に利用して、筋肉中のグリコーゲンを温存し、ラストスパートの時に一気にブドウ糖を燃やして高強度運動を行うのが理想的ですね。
江部康二
今日はとてもいい天気です。運動日和ですね。本当はテニスにいきたいところですが、リボーンの原稿が本日締め切りなので、今とりかかっています。
さて今回は、運動強度とエネルギー源のお話です。
3、運動強度と嫌気的代謝・好気的代謝
陸上競技を例にすると
100m競争だと、嫌気的代謝が90%で好気的代謝が10%
400m競争だと、嫌気的代謝が70%で好気的代謝が30%、
800m競争だと、嫌気的代謝が40%で好気的代謝が60%、
1500mは、それぞれ20%と80%
10000mは、それぞれ3%と97%
42.195km(マラソン)は、それぞれ1%と99%
となります。
好気的代謝には、「脂肪酸-ケトン体システム」と「グリコーゲン-ブドウ糖システム」があります。
脂肪酸-ケトン体のシステムより、ブドウ糖システムのほうが速くエネルギー(ATP)の供給ができるので、強度が高い運動のときほど、筋肉は、ブドウ糖を使う率が増えていきます。
中長距離の場合、脂肪酸システムを上手に利用して、筋肉中のグリコーゲンを温存し、ラストスパートの時に一気にブドウ糖を燃やして高強度運動を行うのが理想的ですね。
江部康二
2008年02月09日 (土)
こんばんは。
京都は、朝から雪が降り続いています。天気予報がよく当たりました。寒いです。
朝一番で、8時頃右京区の高雄病院に出勤、その後移動して、左京区の江部診療所に9時20分到着。
雪でキャンセルが多いかと思いましたが、患者さんほとんど来られました。
雪のため途中で引き返した方が、お一人だけおられましたが…。
午後2時半診療を終えて、患者さんと面談のため再び高雄病院へ。
京都市内中心部も積雪が、シャーベット状になってました。
高雄病院の入り口の坂が、積雪のため進入禁止になっていたので、遠回りして
平坦な裏口から入りました。
高雄は、雪の量が市内中心部より多いですから、さすがに走っている車は少なかったです。
いやはや雪の中、今夜は宴会なのですが、蛮勇を奮って震えながら出かけます。(=_=)
さて今回は、運動とエネルギー源の二回目、長時間の運動の考察です。
2、長時間の運動
通常「長時間の運動」というのは、30~180分間は維持できる運動強度を示しています。
有酸素運動の持久力トレーニングを行えば、筋肉細胞のミトコンドリア密度が高まり、ミトコンドリアの近くにある脂肪滴が増えることがわかっています。
長時間の運動後、この筋肉内の脂肪滴が大幅に減っていることが確認されています。
一流スポーツアスリートは、体脂肪率は一般人より低いですが、筋肉細胞中の脂肪滴は多く、また血液中の脂肪酸の利用能力も高まっており、これが鍛えた効果です。
それから、糖質制限食(高脂肪食)を実践中は、常に脂肪が分解され血中の脂肪酸・ケトン体が高値であり、筋肉細胞は血中からの脂肪酸も利用し易くなっています。
従って、筋肉細胞は、血液からも自身の内部からも上手に脂肪酸を利用することにより、筋肉中のグリコーゲンを節約することができるのです。
長時間の運動においても、筋肉中のグリコーゲンが節約できれば、持久力・スタミナがつきます。
逆に筋肉中のグリコーゲンが一定以下に減少・枯渇したら、筋肉は疲労のため動かなくなります。
長時間の運動のごく初期の1~2分は、高強度の運動と同様に嫌気的エネルギーが利用されますが、その後脂肪と糖質の酸化的リン酸化による、好気的エネルギー供給に代わります。
江部康二
京都は、朝から雪が降り続いています。天気予報がよく当たりました。寒いです。
朝一番で、8時頃右京区の高雄病院に出勤、その後移動して、左京区の江部診療所に9時20分到着。
雪でキャンセルが多いかと思いましたが、患者さんほとんど来られました。
雪のため途中で引き返した方が、お一人だけおられましたが…。
午後2時半診療を終えて、患者さんと面談のため再び高雄病院へ。
京都市内中心部も積雪が、シャーベット状になってました。
高雄病院の入り口の坂が、積雪のため進入禁止になっていたので、遠回りして
平坦な裏口から入りました。
高雄は、雪の量が市内中心部より多いですから、さすがに走っている車は少なかったです。
いやはや雪の中、今夜は宴会なのですが、蛮勇を奮って震えながら出かけます。(=_=)
さて今回は、運動とエネルギー源の二回目、長時間の運動の考察です。
2、長時間の運動
通常「長時間の運動」というのは、30~180分間は維持できる運動強度を示しています。
有酸素運動の持久力トレーニングを行えば、筋肉細胞のミトコンドリア密度が高まり、ミトコンドリアの近くにある脂肪滴が増えることがわかっています。
長時間の運動後、この筋肉内の脂肪滴が大幅に減っていることが確認されています。
一流スポーツアスリートは、体脂肪率は一般人より低いですが、筋肉細胞中の脂肪滴は多く、また血液中の脂肪酸の利用能力も高まっており、これが鍛えた効果です。
それから、糖質制限食(高脂肪食)を実践中は、常に脂肪が分解され血中の脂肪酸・ケトン体が高値であり、筋肉細胞は血中からの脂肪酸も利用し易くなっています。
従って、筋肉細胞は、血液からも自身の内部からも上手に脂肪酸を利用することにより、筋肉中のグリコーゲンを節約することができるのです。
長時間の運動においても、筋肉中のグリコーゲンが節約できれば、持久力・スタミナがつきます。
逆に筋肉中のグリコーゲンが一定以下に減少・枯渇したら、筋肉は疲労のため動かなくなります。
長時間の運動のごく初期の1~2分は、高強度の運動と同様に嫌気的エネルギーが利用されますが、その後脂肪と糖質の酸化的リン酸化による、好気的エネルギー供給に代わります。
江部康二
2008年02月08日 (金)
こんばんは。
しばらくの間、本ブログで運動とエネルギー源について考えてみます。
ATP(アデノシン三リン酸)は、骨格筋の収縮に利用される唯一のエネルギー源です。このATPを供給するために、人体には、いろいろなシステムがあるわけです。
筋肉細胞のエネルギー供給システムは、人類の生理・代謝において根幹をなす大事なことなので、やや小難しいところもありますがお付き合いくださいね。m(_ _)m
まずは、最高強度の運動(非常時の運動)です。
1、最高強度の運動
最高強度の無酸素運動とは、例えば100m競争などですね。
最高強度の運動の時は、即エネルギ-源が必要なので、筋肉細胞はまず自前で貯蔵していたATPを使います。
しかし、このATPは1~2秒でなくなるので、直後にクレアチンリン酸を利用してADP(ATPの分解産物)からATPを再合成します。
このクレアチンリン酸の生み出すATPは、数秒で減少し、10秒で半減します。その代わりに、グリコーゲン分解と解糖からのATP供給が5秒で最大となり、20秒くらい持続します。
これらは、ほとんど全て嫌気的エネルギーで、供給速度が速いです。
最高強度の運動には、通常の脂質や糖質の酸化的リン酸化による好気的エネルギー供給では、速度が遅くて間にあわないので、非常用の嫌気的システムがあるのでしょう。
100m競争だと、嫌気的代謝が90%で好気的代謝が10%です。
なお、最高強度の運動というのは人類にとって、歴史的には非常時のときだけの数十秒のものということはお忘れなく。
江部康二
しばらくの間、本ブログで運動とエネルギー源について考えてみます。
ATP(アデノシン三リン酸)は、骨格筋の収縮に利用される唯一のエネルギー源です。このATPを供給するために、人体には、いろいろなシステムがあるわけです。
筋肉細胞のエネルギー供給システムは、人類の生理・代謝において根幹をなす大事なことなので、やや小難しいところもありますがお付き合いくださいね。m(_ _)m
まずは、最高強度の運動(非常時の運動)です。
1、最高強度の運動
最高強度の無酸素運動とは、例えば100m競争などですね。
最高強度の運動の時は、即エネルギ-源が必要なので、筋肉細胞はまず自前で貯蔵していたATPを使います。
しかし、このATPは1~2秒でなくなるので、直後にクレアチンリン酸を利用してADP(ATPの分解産物)からATPを再合成します。
このクレアチンリン酸の生み出すATPは、数秒で減少し、10秒で半減します。その代わりに、グリコーゲン分解と解糖からのATP供給が5秒で最大となり、20秒くらい持続します。
これらは、ほとんど全て嫌気的エネルギーで、供給速度が速いです。
最高強度の運動には、通常の脂質や糖質の酸化的リン酸化による好気的エネルギー供給では、速度が遅くて間にあわないので、非常用の嫌気的システムがあるのでしょう。
100m競争だと、嫌気的代謝が90%で好気的代謝が10%です。
なお、最高強度の運動というのは人類にとって、歴史的には非常時のときだけの数十秒のものということはお忘れなく。
江部康二
2008年02月07日 (木)
おはようございます。
しばらく糖尿病のかたいお話が続きましたので、今日は久しぶりに漢方のお話です。
先日、新規の患者さんから高雄病院に問い合わせの電話がありました。「漢方薬を飲んでみたいのですが、結構高いのでしょうね?」
この質問は、私にとってはいささか意外でした。
漢方エキス剤は、昭和四二年に、小太郎漢方製薬の当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)、十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)、葛根湯(カッコントウ)、五苓散(ゴレイサン)の四品目が保険薬価に初めて収載されました。
その後、徐々に国民の漢方医学に対する期待は高まっていき、昭和五一年にはツムラのエキス剤三三品目が追補収載されて、急速に全国の医療機関に広まっていきました。現在では約一五〇処方が保険に通っています。
私としてはこのような経過があるので、ほとんどの患者さんは「漢方薬は保険が効く」ことをご存じのものと思っていたのです。また、「エキス剤は保険が効くけど、生薬は無理でしょうね?」という質問もありました。
実は、生薬は「日本薬局方」に初期から収載されていて、エキス剤をさかのぼること七年、昭和三五年に保険薬価に初めて登場しました。その後も徐々に増えて今では約二〇〇種類の生薬が保険で使えます。
ですから、胃炎・喘息・リウマチ・腎炎・不妊・生理痛・アトピー・花粉症・冷え性・過敏性腸症候群・・・およそどんな病気でも、医療機関においては、ほとんど健康保険の範囲内で漢方薬を処方することができます。 (^_^)
難治性の病気や膠原病などでは一部、保険が効かない生薬が処方されることもあります。
詳細は
高雄病院(075-871-0245)
高雄病院京都駅前診療所(075-352-5050 )
でご相談いただけば幸いです。
江部康二
しばらく糖尿病のかたいお話が続きましたので、今日は久しぶりに漢方のお話です。
先日、新規の患者さんから高雄病院に問い合わせの電話がありました。「漢方薬を飲んでみたいのですが、結構高いのでしょうね?」
この質問は、私にとってはいささか意外でした。
漢方エキス剤は、昭和四二年に、小太郎漢方製薬の当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)、十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)、葛根湯(カッコントウ)、五苓散(ゴレイサン)の四品目が保険薬価に初めて収載されました。
その後、徐々に国民の漢方医学に対する期待は高まっていき、昭和五一年にはツムラのエキス剤三三品目が追補収載されて、急速に全国の医療機関に広まっていきました。現在では約一五〇処方が保険に通っています。
私としてはこのような経過があるので、ほとんどの患者さんは「漢方薬は保険が効く」ことをご存じのものと思っていたのです。また、「エキス剤は保険が効くけど、生薬は無理でしょうね?」という質問もありました。
実は、生薬は「日本薬局方」に初期から収載されていて、エキス剤をさかのぼること七年、昭和三五年に保険薬価に初めて登場しました。その後も徐々に増えて今では約二〇〇種類の生薬が保険で使えます。
ですから、胃炎・喘息・リウマチ・腎炎・不妊・生理痛・アトピー・花粉症・冷え性・過敏性腸症候群・・・およそどんな病気でも、医療機関においては、ほとんど健康保険の範囲内で漢方薬を処方することができます。 (^_^)
難治性の病気や膠原病などでは一部、保険が効かない生薬が処方されることもあります。
詳細は
高雄病院(075-871-0245)
高雄病院京都駅前診療所(075-352-5050 )
でご相談いただけば幸いです。
江部康二
2008年02月06日 (水)
おはようございます。
今日はHITさんから、空腹時血糖値とコレステロールなどに関してコメント・質問いただきましたので検討してみます。
『08/01/31 HIT
江部先生 毎日 プログ更新 ありがとう御座います
とても 楽しみに 拝見させていただいています m(_ _)m
一月も今日で終わります
プログにも取り上げていただき 大変,恐縮しています
小生は 2007年6月頃から 糖質コントロールを始めましたが
2007 (初回) (前回) 2008
5/21 7/22 9/10 11/12 1/28
血糖値(朝) 258 161 154 185 165
γ-GTP 79 24 23 22 26
総コレステロール 247 257 211 245 272
HDL 67 94 88 114 111
LDL -- -- -- -- 148
中性脂肪 447 94 93 72 66
A1C 7.9 5.9 5.0 5.8 5.7
まだイロイロ検査項目は有りますが 測定値的には範囲内(良)ですので 糖質制限にとって特に必要な 必要な検査項目が有れば 御願いいたします
でも 就寝時より朝の血糖値のほうが高いようです 糖新生 でしょうが
毎日 焼酎を浴びています (本当です) γがこの程度とは小生信じられません (初回は二日酔いでした)
又,中性脂肪は Very Good なのですが 総コレステロール HDL LDL が 安定しません
主治医に 少し 油物を食べ過ぎではと有りました まだ,糖質制限の話はしていません,するべきでしょうか
(7/22 9/10 が たぶん 本人は同じ糖質制限だと思うのですが かなり改善してしまいました。もしかしたら暑かった空鴨 カラカモ)
「主食を抜けば糖尿病は良くなる 実践篇」東洋経済新報社 楽しみしています
来月はプログ1周年 益々ご更新 御願致します 小生これからも 長いです
先生の本 プログ 等 に 出合わなければ 現在 インシュリン投薬, 禁酒 は確実でした
実は,検査 結果後 二日酔いになりまして家族から 顰蹙物でした。
PS
いつも 御回答 ありがとう御座います 6月 講演を 楽しみにしております
でも 本当に 焼酎 3日で 1本 25度 空けています 絶対に飲み過ぎですが γが悪くなければ良いのでしょうか』
2007 (初回) (前回) 2008
空腹時血糖値(朝) 258 → 165
γ-GTP 79 → 26
総コレステロール 247 →272
HDL 67→111
LDL -- -- -- -- 148
中性脂肪 447→66
A1C 7.9 →5.7
HITさん。γ-GTP、HDL-C、中性脂肪、HbA1cは見事な改善ですね。おめでとうございます。
これらの改善は糖質制限食をきっちり実践しておられる証拠ですね。 (^_^)
空腹時血糖値がまだ高値ですので、インスリン基礎分泌の不足のため夜間の肝臓の糖新生がコントロールされていないようです。
糖尿人でインスリン基礎分泌が既にある程度低下している場合、糖質制限食を実践しても早朝空腹時血糖値だけは、正常レベルまでは下がらないことがあります。
早朝空腹時血糖値に関しては、カテゴリーの早朝空腹時血糖値のところに4つのブログがありますので参照ください。
総コレステロールに関しては、2007年4月に新しくなった動脈硬化学会の診断基準からはずされましたので気にしなくてよいと思います。
またLDL-Cが148mgと軽度高値ですが、 糖質制限食実践でHDL-Cがしっかり高くて中性脂肪がきっちり低いので、真の悪玉の酸化LDL-Cや小粒子LDL-Cは少ないので問題ないと思います。(^v^)V
コレステロールに関しては、カテゴリーのコレステロールのところに5つのブログがありますので、ご参照ください。
お酒に関してですが、例えばビールをガブガブ飲んでいた人が焼酎に替えると、アルコールの摂取量は一緒でも、γ-GTPが改善することがあります。
とは言いながらも焼酎でも飲み過ぎるとまたγ-GTPが再悪化した人もいますのでHITさんもほどほどにお願いします。
私は自分が飲むので、酒飲みの患者さんにはやさしいのですけど、一升瓶が3日に1本空くというのはさすがに過剰と思いますよ。(×_×)
「主食を抜けば糖尿病は良くなる 実践篇」東洋経済新報社
1月31日~2月4日、発売されましたので、ご一読いただけば幸いです。
また6月の東京講演もよろしくお願い申し上げます。
江部康二
今日はHITさんから、空腹時血糖値とコレステロールなどに関してコメント・質問いただきましたので検討してみます。
『08/01/31 HIT
江部先生 毎日 プログ更新 ありがとう御座います
とても 楽しみに 拝見させていただいています m(_ _)m
一月も今日で終わります
プログにも取り上げていただき 大変,恐縮しています
小生は 2007年6月頃から 糖質コントロールを始めましたが
2007 (初回) (前回) 2008
5/21 7/22 9/10 11/12 1/28
血糖値(朝) 258 161 154 185 165
γ-GTP 79 24 23 22 26
総コレステロール 247 257 211 245 272
HDL 67 94 88 114 111
LDL -- -- -- -- 148
中性脂肪 447 94 93 72 66
A1C 7.9 5.9 5.0 5.8 5.7
まだイロイロ検査項目は有りますが 測定値的には範囲内(良)ですので 糖質制限にとって特に必要な 必要な検査項目が有れば 御願いいたします
でも 就寝時より朝の血糖値のほうが高いようです 糖新生 でしょうが
毎日 焼酎を浴びています (本当です) γがこの程度とは小生信じられません (初回は二日酔いでした)
又,中性脂肪は Very Good なのですが 総コレステロール HDL LDL が 安定しません
主治医に 少し 油物を食べ過ぎではと有りました まだ,糖質制限の話はしていません,するべきでしょうか
(7/22 9/10 が たぶん 本人は同じ糖質制限だと思うのですが かなり改善してしまいました。もしかしたら暑かった空鴨 カラカモ)
「主食を抜けば糖尿病は良くなる 実践篇」東洋経済新報社 楽しみしています
来月はプログ1周年 益々ご更新 御願致します 小生これからも 長いです
先生の本 プログ 等 に 出合わなければ 現在 インシュリン投薬, 禁酒 は確実でした
実は,検査 結果後 二日酔いになりまして家族から 顰蹙物でした。
PS
いつも 御回答 ありがとう御座います 6月 講演を 楽しみにしております
でも 本当に 焼酎 3日で 1本 25度 空けています 絶対に飲み過ぎですが γが悪くなければ良いのでしょうか』
2007 (初回) (前回) 2008
空腹時血糖値(朝) 258 → 165
γ-GTP 79 → 26
総コレステロール 247 →272
HDL 67→111
LDL -- -- -- -- 148
中性脂肪 447→66
A1C 7.9 →5.7
HITさん。γ-GTP、HDL-C、中性脂肪、HbA1cは見事な改善ですね。おめでとうございます。
これらの改善は糖質制限食をきっちり実践しておられる証拠ですね。 (^_^)
空腹時血糖値がまだ高値ですので、インスリン基礎分泌の不足のため夜間の肝臓の糖新生がコントロールされていないようです。
糖尿人でインスリン基礎分泌が既にある程度低下している場合、糖質制限食を実践しても早朝空腹時血糖値だけは、正常レベルまでは下がらないことがあります。
早朝空腹時血糖値に関しては、カテゴリーの早朝空腹時血糖値のところに4つのブログがありますので参照ください。
総コレステロールに関しては、2007年4月に新しくなった動脈硬化学会の診断基準からはずされましたので気にしなくてよいと思います。
またLDL-Cが148mgと軽度高値ですが、 糖質制限食実践でHDL-Cがしっかり高くて中性脂肪がきっちり低いので、真の悪玉の酸化LDL-Cや小粒子LDL-Cは少ないので問題ないと思います。(^v^)V
コレステロールに関しては、カテゴリーのコレステロールのところに5つのブログがありますので、ご参照ください。
お酒に関してですが、例えばビールをガブガブ飲んでいた人が焼酎に替えると、アルコールの摂取量は一緒でも、γ-GTPが改善することがあります。
とは言いながらも焼酎でも飲み過ぎるとまたγ-GTPが再悪化した人もいますのでHITさんもほどほどにお願いします。
私は自分が飲むので、酒飲みの患者さんにはやさしいのですけど、一升瓶が3日に1本空くというのはさすがに過剰と思いますよ。(×_×)
「主食を抜けば糖尿病は良くなる 実践篇」東洋経済新報社
1月31日~2月4日、発売されましたので、ご一読いただけば幸いです。
また6月の東京講演もよろしくお願い申し上げます。
江部康二
2008年02月05日 (火)
おはようございます。
今日はたかさんから、コメントと<高タンパク食とカルシウム>に関する質問をいただきました。
ブログも1年間続けてきて、内容がかなり多くなってきてますので、私自身何を書いたのか検索するのに結構苦労しています。(*´・⊇・)
このご質問に関しては、2007.9.24のブログに
<高タンパク食と骨粗鬆症>と題して既に回答してありますので、再掲します。
『午前中はすい臓が寝ている?
江部先生ご回答いただきありがとうございます。
糖新生以外のブログも読ませていただきました。15年間糖尿人をやりながら、知らない世界がありました。これからもよろしくお願いいたします。
投薬を一切やめ自己血糖をこまめに測りながら糖質制限食をやってみると、自分の体の素の状態がわかってきました。
ここ6日間の血糖値はつぎの通りです。
早朝空腹時 117-147
朝食(糖質7-10g)後max 179-199
昼食なし
夕食前 95-118
夕食(8-12g)後max 120-135
早朝は糖新生により就寝時より20-30高くなり、朝食後は膵臓がまだ眠っているようで血糖値は危険域180まで上昇。午後は糖新生がないおかげかインシュリンの分泌が回復し始め夕食前に120以下。夕食後は140までしか上がらず就寝前に120以下に戻る。
午前と午後でインスリンの分泌量が違うようなのです。午前中だけ投薬を再開しようかと思ってしまいます。もうしばらく我慢我慢。こんな糖尿病人はいるのでしょうか?
追伸:高たんぱく食を続けると、カルシウムが不足するとの記載を見ました。ブログで取り上げていただければ幸いです。
2008/02/04 Mon 18:18:08 たか』
たかさん、データ拝見しました。
<グリミクロン40mg*3、メディット250mg*3、アクトス30mg*1>を一切中止して
「早朝空腹時 117-147
朝食(糖質7-10g)後max 179-199
昼食なし
夕食前 95-118
夕食(8-12g)後max 120-135 」
朝食後は糖尿病領域ではなくて、境界型に収まっていますね。 (^_^)
食後2時間値が200mg未満なら境界型、140mg未満なら正常です。夕食前、夕食後は正常人の値です。インスリンの追加分泌はあるていど保たれていますよ。
薬を一切中止してこの値ならかなり良い結果だと思います。早朝空腹時血糖値が117mgと境界型から147mgと糖尿病型ですが、糖質制限食を続けることで、疲れていた膵臓が休養できてさらに回復すれば、インスリン基礎分泌も改善し、もっと下がる可能性があります。 糖質制限食を続けて、経過をみてくださいね。
「追伸:高たんぱく食を続けると、カルシウムが不足するとの記載を見ました。ブログで取り上げていただければ幸いです。」
<高タンパク食と骨粗鬆症> 再掲
糖質制限食は、相対的に高タンパク食・高脂肪食になります。
今まで、高タンパク食・高脂肪食が健常な腎臓や膵臓を傷害しないことや、発ガンや冠動脈疾患のリスクもないことをブログで説明してきました。
今回は、高タンパク食と骨粗鬆症の問題です。
1968年にWachman and Bernsteinが「内因性酸仮説」において、
『高タンパク食を摂取すると、タンパク質代謝によって作られた酸を緩衝するために骨のカルシウムが利用されるため、骨粗鬆症になりやすく尿中のカルシウムも増加する』
と提唱しました。
あくまで仮説に過ぎず、証明された訳ではないのですが、かなり一人歩きしてしまいました。いろんなブログで、高タンパク食の害を説明しようとする時には、よくこの仮説が引用してあります。
まあ、世界中でこれを巡って、その後30年以上論争が続いてきました。実際、研究によってはこの仮説を支持するようなものもありました。
しかし、一方で高タンパク食が骨粗鬆症の予防や、大腿骨頭骨折予防に益があるという研究もたくさんありました。
こういった歴史的状況を背景に、この論争に決着をつけるような研究論文を今回発見しました。(*1 巻末の英文の文献です)
572人の女性と388 人の男性(55–92才)を4年間観察した研究です。
『食事中のタンパク質が、骨粗鬆症を予防するのか、障害するのか、過去の研究では両方あって、はっきりしない。それでこの研究を行った。
結果:動物性タンパク質は成人女性においては、骨の健康を守る役割がある。
一方、植物性タンパク質は、骨カルシウム量には両性で無関係である。
結論:動物性タンパク質の摂取量が多いほど、少なくとも成人女性では、統計的に有意差をもって、骨の健康に役立つ』
他の研究者の42の論文にこの論文が引用してあり、評価が高いことを示しています。
私の結論です。
女性では動物性タンパク質で骨粗鬆症が予防できる可能性が高まりました。男性では、予防できるかどうかわかりませんが、少なくとも骨粗鬆症の悪化は考えにくいです。
*1
「American Journal of Epidemiology Vol. 155, No. 7 : 636-644 、2002
Protein Consumption and Bone Mineral Density in the Elderly
The Rancho Bernardo Study
Joanne H. E. Promislow1, Deborah Goodman-Gruen2, Donald J. Slymen3 and Elizabeth Barrett-Connor2
1 Department of Epidemiology, School of Public Health, University of North Carolina at Chapel Hill, Chapel Hill, NC.
2 Department of Family and Preventive Medicine, School of Medicine, University of California, San Diego, La Jolla, CA.
3 Department of Epidemiology and Biostatistics, School of Public Health, San Diego State University, San Diego, CA.」
江部康二
今日はたかさんから、コメントと<高タンパク食とカルシウム>に関する質問をいただきました。
ブログも1年間続けてきて、内容がかなり多くなってきてますので、私自身何を書いたのか検索するのに結構苦労しています。(*´・⊇・)
このご質問に関しては、2007.9.24のブログに
<高タンパク食と骨粗鬆症>と題して既に回答してありますので、再掲します。
『午前中はすい臓が寝ている?
江部先生ご回答いただきありがとうございます。
糖新生以外のブログも読ませていただきました。15年間糖尿人をやりながら、知らない世界がありました。これからもよろしくお願いいたします。
投薬を一切やめ自己血糖をこまめに測りながら糖質制限食をやってみると、自分の体の素の状態がわかってきました。
ここ6日間の血糖値はつぎの通りです。
早朝空腹時 117-147
朝食(糖質7-10g)後max 179-199
昼食なし
夕食前 95-118
夕食(8-12g)後max 120-135
早朝は糖新生により就寝時より20-30高くなり、朝食後は膵臓がまだ眠っているようで血糖値は危険域180まで上昇。午後は糖新生がないおかげかインシュリンの分泌が回復し始め夕食前に120以下。夕食後は140までしか上がらず就寝前に120以下に戻る。
午前と午後でインスリンの分泌量が違うようなのです。午前中だけ投薬を再開しようかと思ってしまいます。もうしばらく我慢我慢。こんな糖尿病人はいるのでしょうか?
追伸:高たんぱく食を続けると、カルシウムが不足するとの記載を見ました。ブログで取り上げていただければ幸いです。
2008/02/04 Mon 18:18:08 たか』
たかさん、データ拝見しました。
<グリミクロン40mg*3、メディット250mg*3、アクトス30mg*1>を一切中止して
「早朝空腹時 117-147
朝食(糖質7-10g)後max 179-199
昼食なし
夕食前 95-118
夕食(8-12g)後max 120-135 」
朝食後は糖尿病領域ではなくて、境界型に収まっていますね。 (^_^)
食後2時間値が200mg未満なら境界型、140mg未満なら正常です。夕食前、夕食後は正常人の値です。インスリンの追加分泌はあるていど保たれていますよ。
薬を一切中止してこの値ならかなり良い結果だと思います。早朝空腹時血糖値が117mgと境界型から147mgと糖尿病型ですが、糖質制限食を続けることで、疲れていた膵臓が休養できてさらに回復すれば、インスリン基礎分泌も改善し、もっと下がる可能性があります。 糖質制限食を続けて、経過をみてくださいね。
「追伸:高たんぱく食を続けると、カルシウムが不足するとの記載を見ました。ブログで取り上げていただければ幸いです。」
<高タンパク食と骨粗鬆症> 再掲
糖質制限食は、相対的に高タンパク食・高脂肪食になります。
今まで、高タンパク食・高脂肪食が健常な腎臓や膵臓を傷害しないことや、発ガンや冠動脈疾患のリスクもないことをブログで説明してきました。
今回は、高タンパク食と骨粗鬆症の問題です。
1968年にWachman and Bernsteinが「内因性酸仮説」において、
『高タンパク食を摂取すると、タンパク質代謝によって作られた酸を緩衝するために骨のカルシウムが利用されるため、骨粗鬆症になりやすく尿中のカルシウムも増加する』
と提唱しました。
あくまで仮説に過ぎず、証明された訳ではないのですが、かなり一人歩きしてしまいました。いろんなブログで、高タンパク食の害を説明しようとする時には、よくこの仮説が引用してあります。
まあ、世界中でこれを巡って、その後30年以上論争が続いてきました。実際、研究によってはこの仮説を支持するようなものもありました。
しかし、一方で高タンパク食が骨粗鬆症の予防や、大腿骨頭骨折予防に益があるという研究もたくさんありました。
こういった歴史的状況を背景に、この論争に決着をつけるような研究論文を今回発見しました。(*1 巻末の英文の文献です)
572人の女性と388 人の男性(55–92才)を4年間観察した研究です。
『食事中のタンパク質が、骨粗鬆症を予防するのか、障害するのか、過去の研究では両方あって、はっきりしない。それでこの研究を行った。
結果:動物性タンパク質は成人女性においては、骨の健康を守る役割がある。
一方、植物性タンパク質は、骨カルシウム量には両性で無関係である。
結論:動物性タンパク質の摂取量が多いほど、少なくとも成人女性では、統計的に有意差をもって、骨の健康に役立つ』
他の研究者の42の論文にこの論文が引用してあり、評価が高いことを示しています。
私の結論です。
女性では動物性タンパク質で骨粗鬆症が予防できる可能性が高まりました。男性では、予防できるかどうかわかりませんが、少なくとも骨粗鬆症の悪化は考えにくいです。
*1
「American Journal of Epidemiology Vol. 155, No. 7 : 636-644 、2002
Protein Consumption and Bone Mineral Density in the Elderly
The Rancho Bernardo Study
Joanne H. E. Promislow1, Deborah Goodman-Gruen2, Donald J. Slymen3 and Elizabeth Barrett-Connor2
1 Department of Epidemiology, School of Public Health, University of North Carolina at Chapel Hill, Chapel Hill, NC.
2 Department of Family and Preventive Medicine, School of Medicine, University of California, San Diego, La Jolla, CA.
3 Department of Epidemiology and Biostatistics, School of Public Health, San Diego State University, San Diego, CA.」
江部康二
2008年02月04日 (月)
こんばんは。
大分、日が沈むのがゆっくりになってきました。今日は午後5時半でもまだ明るさが残ってました。ほんの一週間前は、午後5時半ってもう真っ暗でしたよね。季節は巡ります。春、啓蟄まであと一ヶ月、待ち遠しいですね。
さて今回は、みみいさんから、コメント・質問をいただきましたので検討してみます。
『08/02/02 みみい
質問です
はじめまして
病院に行く前に(結果が届いたらそれを持っていく予定です)少しでもよくなればとネットで検索し、先生のページにたどり着きました。
早速「糖尿病がよくなるごちそうレシピ」も購入し、糖質制限をしていますが、ネットで「糖質制限をしていると耐糖性がなくなり糖質を取ると以前より血糖値があがりやすくなるため一生つづけなければならない」という意見を見かけました。
糖質を制限するとこのような弊害は実際あるのでしょうか?検診で尿糖が出て現在結果待ちです。』
みみいさん。いろんな意見があるのは、まあ仕方ないでしょう。私も自分の意見を発信していますが、押しつけるつもりはありません。
理解し共感していただける方が、 糖質制限食を実践して糖尿病がよくなってもらえれば嬉しいなと思ってブログを書いています。
ご質問の「糖質制限をしていると耐糖能が低下する」という説ですが、高雄病院の経験ではそのような事実はありません。
糖尿病になった人は、インスリンの作用不足があります。より正確にはインスリン分泌不足とインスリン抵抗性が合わさってインスリン作用不足となり糖尿病を発症します。日本人の場合はインスリン分泌不足が主となることが多いとされています。
糖質制限食を実践することで、疲弊してインスリン分泌不足となっていた膵臓は休養できますから、インスリン分泌能の回復が期待できます。インスリンの分泌が回復すれば、当然耐糖能も改善します。
高雄病院では1999年から糖質制限食を始めて、もう足かけ9年ですね。300人以上の糖尿病入院患者さんで、確認済みですが、糖質制限食により食後血糖値も空腹時血糖値も改善します。空腹時血糖値が改善するということはインスリン基礎分泌もあるていど回復したということですね。
一方、糖尿人が糖質を摂取して食後高血糖が生じると
① 高血糖により膵臓のβ細胞(インスリンを分泌)が直接ダメージを受ける。
② 高血糖により、インスリンの効きが悪くなる(インスリン抵抗性の増大)
①②により高血糖→「インスリン分泌低下+インスリン抵抗性増大」→高血糖
という繰り返しを生じますが、この悪循環のことを糖毒といい、糖尿病悪化の大きな要因となっています。
血糖値を上昇させるのは<糖質・脂質・タンパク質>のうち、ほとんど糖質だけです。従って糖尿人が糖質を摂取すれば、わざわざ糖毒状態を引き起こし、糖尿病が悪化し、長引けば膵臓のβ細胞も回復不能で死滅していくのです。
糖質制限食を実践すれば、速やかに高血糖が改善し、きっちりこの糖毒を断ち切ることができるので、糖尿病がめきめき改善するのです。
最後になりますが、人類が穀物を主食とし始めて定着したのは400万年の歴史の中で、わずか4000年ていどですから1/1000の期間です。糖質制限食は穀物を常食とする以前(999/1000の期間)の人類の食生活に戻るだけです。
たとえばイヌイットの人々は、生肉・生魚が主食です。まさにスーパー 糖質制限食を数千年食べ続けたわけですが、糖尿病や心筋梗塞やアレルギー疾患が極めて少ないことが知られていますね。
江部康二
大分、日が沈むのがゆっくりになってきました。今日は午後5時半でもまだ明るさが残ってました。ほんの一週間前は、午後5時半ってもう真っ暗でしたよね。季節は巡ります。春、啓蟄まであと一ヶ月、待ち遠しいですね。
さて今回は、みみいさんから、コメント・質問をいただきましたので検討してみます。
『08/02/02 みみい
質問です
はじめまして
病院に行く前に(結果が届いたらそれを持っていく予定です)少しでもよくなればとネットで検索し、先生のページにたどり着きました。
早速「糖尿病がよくなるごちそうレシピ」も購入し、糖質制限をしていますが、ネットで「糖質制限をしていると耐糖性がなくなり糖質を取ると以前より血糖値があがりやすくなるため一生つづけなければならない」という意見を見かけました。
糖質を制限するとこのような弊害は実際あるのでしょうか?検診で尿糖が出て現在結果待ちです。』
みみいさん。いろんな意見があるのは、まあ仕方ないでしょう。私も自分の意見を発信していますが、押しつけるつもりはありません。
理解し共感していただける方が、 糖質制限食を実践して糖尿病がよくなってもらえれば嬉しいなと思ってブログを書いています。
ご質問の「糖質制限をしていると耐糖能が低下する」という説ですが、高雄病院の経験ではそのような事実はありません。
糖尿病になった人は、インスリンの作用不足があります。より正確にはインスリン分泌不足とインスリン抵抗性が合わさってインスリン作用不足となり糖尿病を発症します。日本人の場合はインスリン分泌不足が主となることが多いとされています。
糖質制限食を実践することで、疲弊してインスリン分泌不足となっていた膵臓は休養できますから、インスリン分泌能の回復が期待できます。インスリンの分泌が回復すれば、当然耐糖能も改善します。
高雄病院では1999年から糖質制限食を始めて、もう足かけ9年ですね。300人以上の糖尿病入院患者さんで、確認済みですが、糖質制限食により食後血糖値も空腹時血糖値も改善します。空腹時血糖値が改善するということはインスリン基礎分泌もあるていど回復したということですね。
一方、糖尿人が糖質を摂取して食後高血糖が生じると
① 高血糖により膵臓のβ細胞(インスリンを分泌)が直接ダメージを受ける。
② 高血糖により、インスリンの効きが悪くなる(インスリン抵抗性の増大)
①②により高血糖→「インスリン分泌低下+インスリン抵抗性増大」→高血糖
という繰り返しを生じますが、この悪循環のことを糖毒といい、糖尿病悪化の大きな要因となっています。
血糖値を上昇させるのは<糖質・脂質・タンパク質>のうち、ほとんど糖質だけです。従って糖尿人が糖質を摂取すれば、わざわざ糖毒状態を引き起こし、糖尿病が悪化し、長引けば膵臓のβ細胞も回復不能で死滅していくのです。
糖質制限食を実践すれば、速やかに高血糖が改善し、きっちりこの糖毒を断ち切ることができるので、糖尿病がめきめき改善するのです。
最後になりますが、人類が穀物を主食とし始めて定着したのは400万年の歴史の中で、わずか4000年ていどですから1/1000の期間です。糖質制限食は穀物を常食とする以前(999/1000の期間)の人類の食生活に戻るだけです。
たとえばイヌイットの人々は、生肉・生魚が主食です。まさにスーパー 糖質制限食を数千年食べ続けたわけですが、糖尿病や心筋梗塞やアレルギー疾患が極めて少ないことが知られていますね。
江部康二
2008年02月03日 (日)
こんばんは。さっきテニスから帰ってきたところです。
私達のテニスクラブ、高齢化が進んでまして、一番若い男性会員でも40才を超えています。
さて今日は、恵理さんから若い人の糖尿病の相談です。
『知人(23歳女子、17歳で糖尿病の診断)について相談いたします。
グリミクロン40mgを1日3回服薬。
当初は昼食前のみの服薬でしたが数値の改善が見られず、現在の1日3回となりましたが改善見られないままです。最近では病院での血液検査で空腹時血糖が200を超えることもあります。
薬を飲み忘れても低血糖を起こすことなく立ち仕事に従事しています。薬の効果があるのか疑問に感じています。薬が合わないなど、あるのでしょうか?
寮生活をしており、食事を3食管理することは可能です。現在は夕食のみ糖質制限食を実施しています。芋類は本人も嫌いなようでほとんど口にしません。
糖尿病の診断から5年が経過しておりこのままでは悪化の一途をたどるように思います。まず何から取り組んでいけば良いでしょうか。
回答しにくい質問で申し訳ありません。
2008/02/01 Fri 13:21:37 恵理』
17才発症とかなり若年で糖尿病になっておられますが、6年経過してインスリンを打っておられないので1型ではなく、2型糖尿病と考えられます。
薬の効果は勿論個人差はありますが、例えば、グリミクロンが全く効かないということはあまりありません。
ただ、23才という若さで、グリミクロン120mg/日でほぼ目一杯の量です。
グリミクロンは約24時間作用して、膵臓のβ細胞を刺激してインスリン分泌を促します。
日本人のインスリン分泌能力は欧米白人に比して、かなり弱いので、このままグリミクロンの治療を継続していけば、数年で二次無効となり、効かなくなるでしょう。そして、自前の膵臓のインスリン分泌能力が枯渇してしまう可能性があります。
また、コントロールが悪ければ、合併症発症の可能性も、年月と共に確実に高まります。
発症が17才なので、20代、30代でも合併症発症のリスクがあります。
インスリン分泌能低下とインスリン抵抗性(細胞レベルでインスリンの効きが悪い)が両方あると考えられます。
もし体重が多いなら、減量することでインスリン抵抗性が改善されます。インスリン分泌能がどのくらい残っているかによりますが、きっちり糖質制限食を行えば、グリミクロンを減量できるし、うまくいけば離脱も可能です。
嗜好の問題で 糖質制限食が困難ならインスリンを打つ選択肢もあります。ダラダラとグリミクロンを飲んでコントロールも悪くてというのよりは、インスリンでコントロールするほうが合併症予防にも膵臓保護にも、はるかに良いのです。
主治医とよくよく相談されて、「早朝空腹時血糖値126mg未満、食後2時間血糖値180mg未満、HbA1c6.5%未満」、を達成できる、治療を選んでください。
23才とお若いですので、今のままでは非常に良くないです。
江部康二
私達のテニスクラブ、高齢化が進んでまして、一番若い男性会員でも40才を超えています。
さて今日は、恵理さんから若い人の糖尿病の相談です。
『知人(23歳女子、17歳で糖尿病の診断)について相談いたします。
グリミクロン40mgを1日3回服薬。
当初は昼食前のみの服薬でしたが数値の改善が見られず、現在の1日3回となりましたが改善見られないままです。最近では病院での血液検査で空腹時血糖が200を超えることもあります。
薬を飲み忘れても低血糖を起こすことなく立ち仕事に従事しています。薬の効果があるのか疑問に感じています。薬が合わないなど、あるのでしょうか?
寮生活をしており、食事を3食管理することは可能です。現在は夕食のみ糖質制限食を実施しています。芋類は本人も嫌いなようでほとんど口にしません。
糖尿病の診断から5年が経過しておりこのままでは悪化の一途をたどるように思います。まず何から取り組んでいけば良いでしょうか。
回答しにくい質問で申し訳ありません。
2008/02/01 Fri 13:21:37 恵理』
17才発症とかなり若年で糖尿病になっておられますが、6年経過してインスリンを打っておられないので1型ではなく、2型糖尿病と考えられます。
薬の効果は勿論個人差はありますが、例えば、グリミクロンが全く効かないということはあまりありません。
ただ、23才という若さで、グリミクロン120mg/日でほぼ目一杯の量です。
グリミクロンは約24時間作用して、膵臓のβ細胞を刺激してインスリン分泌を促します。
日本人のインスリン分泌能力は欧米白人に比して、かなり弱いので、このままグリミクロンの治療を継続していけば、数年で二次無効となり、効かなくなるでしょう。そして、自前の膵臓のインスリン分泌能力が枯渇してしまう可能性があります。
また、コントロールが悪ければ、合併症発症の可能性も、年月と共に確実に高まります。
発症が17才なので、20代、30代でも合併症発症のリスクがあります。
インスリン分泌能低下とインスリン抵抗性(細胞レベルでインスリンの効きが悪い)が両方あると考えられます。
もし体重が多いなら、減量することでインスリン抵抗性が改善されます。インスリン分泌能がどのくらい残っているかによりますが、きっちり糖質制限食を行えば、グリミクロンを減量できるし、うまくいけば離脱も可能です。
嗜好の問題で 糖質制限食が困難ならインスリンを打つ選択肢もあります。ダラダラとグリミクロンを飲んでコントロールも悪くてというのよりは、インスリンでコントロールするほうが合併症予防にも膵臓保護にも、はるかに良いのです。
主治医とよくよく相談されて、「早朝空腹時血糖値126mg未満、食後2時間血糖値180mg未満、HbA1c6.5%未満」、を達成できる、治療を選んでください。
23才とお若いですので、今のままでは非常に良くないです。
江部康二
2008年02月01日 (金)
こんばんは。
3月16日(日)に札幌で糖質制限食の講演をすることになりました。北海道は初めていきますからとても楽しみです。
詳細はまたブログに掲載しますので、北海道の皆さん、よろしくお願い申し上げます。 m(_ _)m
さて、今日はたかさんから、早朝空腹時血糖値と外食に関しての質問です。
『制限食を開始しました
江部先生
初めてお便りいたします。
糖尿病暦は15年を超え、カロリー制限と薬物投与ですごして来ました。昨年11月のHbA1cは5.9。グリミクロン40mg*3、メディット250mg*3、アクトス30mg*1、目いっぱいの投薬量であることを気にしながら服用していました。
そんな矢先、本年1月20日に先生の「糖質制限 夏のレシピ」を読んで目からうろこでした。早速、実行。
血糖測定器を片手に薬を一切やめ、外食でコントロールがしにくい昼食抜きで糖質を20g以内に抑えて 10日がたちました。
気になることがあります。
①夕食前の血糖は100-110であるのに、朝食前の血糖は120-140から下がりません。急に投薬を中止する弊害があるのでしょうか?
②付き合いで外食をせざるを得ないときがあります。その日だけグリミクロンを服用しても問題ありませんか?
それにしても糖質抜きの外食はむずかしいですね。
アドバイスよろしくお願いいたします。
2008/01/30 Wed 16:16:38 たか』
たかさん、コメント・質問ありがとうございます。
糖尿病歴15年の強者なのですね。
「昨年11月のHbA1cは5.9。
グリミクロン40mg*3、メディット250mg*3、アクトス30mg*1」
コントロール良好ですが、確かに目一杯のお薬ですね。特にSU剤のグリミクロンが120mg/日ですので、将来二次無効になる可能性がかなりあります。
グリミクロンは、約24時間疲れた膵臓を鞭打つお薬ですから、長期投与になれば膵臓がさらに疲弊してインスリンを分泌できなくなるのですね。
「①夕食前の血糖は100-110であるのに、朝食前の血糖は120-140から下がりません。急に投薬を中止する弊害があるのでしょうか? 」
投薬を一切止められてこのデータですので、まあまあのコントロールではあります。
早朝空腹時の血糖値がやや高値なのはインスリンの基礎分泌があるていど減少しているため、夜間の肝臓の糖新生を抑えることができないためと思われます。(早朝空腹時血糖値に関しては2007.9.12、11.13、2008.1.15、1.26ブログをご参照ください。)
糖質制限食を1~2ヶ月続けて、弱っていた膵臓のβ細胞が回復すると、早朝空腹時血糖値が改善することも多いです。
それから、メディットとアクトスは膵臓には負担をかけない薬ですので内服しても構いません。どちらか一つとすればアクトスは浮腫や心不全が副作用としてたまにあるので、ビグアナイド系薬剤のメディットを内服するほうがよいかと思います。
ビグアナイド系薬剤は、肝臓での糖新生を抑制し末梢組織のインスリン抵抗性を改善します。
早朝空腹時血糖値は、140mg未満→126mg未満→110mg未満が目標です。140未満だと合併症がかなり減少し、126未満だとさらに減ります。110未満は正常値です。
「②付き合いで外食をせざるを得ないときがあります。その日だけグリミクロンを服用しても問題ありませんか?」
主食(糖質)を食べる直前に、グルファストかスターシスを内服するのが良いと思います。グリミクロンは24時間作用しますが、これらの薬は約2時間だけしか作用しないのでので、膵臓への負担が少ないのです。
「それにしても糖質抜きの外食はむずかしいですね。」
コツをつかめば簡単ですよ。外国旅行も問題ありません。私も外食多いですが、フランス料理、イタリア(地中海)料理、中華料理、焼き肉、居酒屋、ファミレス・・・、主食(糖質)だけやめておかずは食べ放題ですからどこでもOKですよ。(^o^)v
**
「主食を抜けば糖尿病は良くなる 実践編」東洋経済新報社
が2月4日(月)に発売されますが、今日の質問も含めていろいろお役に立つことが
載っていますので、是非ご一読ください。
江部康二
3月16日(日)に札幌で糖質制限食の講演をすることになりました。北海道は初めていきますからとても楽しみです。
詳細はまたブログに掲載しますので、北海道の皆さん、よろしくお願い申し上げます。 m(_ _)m
さて、今日はたかさんから、早朝空腹時血糖値と外食に関しての質問です。
『制限食を開始しました
江部先生
初めてお便りいたします。
糖尿病暦は15年を超え、カロリー制限と薬物投与ですごして来ました。昨年11月のHbA1cは5.9。グリミクロン40mg*3、メディット250mg*3、アクトス30mg*1、目いっぱいの投薬量であることを気にしながら服用していました。
そんな矢先、本年1月20日に先生の「糖質制限 夏のレシピ」を読んで目からうろこでした。早速、実行。
血糖測定器を片手に薬を一切やめ、外食でコントロールがしにくい昼食抜きで糖質を20g以内に抑えて 10日がたちました。
気になることがあります。
①夕食前の血糖は100-110であるのに、朝食前の血糖は120-140から下がりません。急に投薬を中止する弊害があるのでしょうか?
②付き合いで外食をせざるを得ないときがあります。その日だけグリミクロンを服用しても問題ありませんか?
それにしても糖質抜きの外食はむずかしいですね。
アドバイスよろしくお願いいたします。
2008/01/30 Wed 16:16:38 たか』
たかさん、コメント・質問ありがとうございます。
糖尿病歴15年の強者なのですね。
「昨年11月のHbA1cは5.9。
グリミクロン40mg*3、メディット250mg*3、アクトス30mg*1」
コントロール良好ですが、確かに目一杯のお薬ですね。特にSU剤のグリミクロンが120mg/日ですので、将来二次無効になる可能性がかなりあります。
グリミクロンは、約24時間疲れた膵臓を鞭打つお薬ですから、長期投与になれば膵臓がさらに疲弊してインスリンを分泌できなくなるのですね。
「①夕食前の血糖は100-110であるのに、朝食前の血糖は120-140から下がりません。急に投薬を中止する弊害があるのでしょうか? 」
投薬を一切止められてこのデータですので、まあまあのコントロールではあります。
早朝空腹時の血糖値がやや高値なのはインスリンの基礎分泌があるていど減少しているため、夜間の肝臓の糖新生を抑えることができないためと思われます。(早朝空腹時血糖値に関しては2007.9.12、11.13、2008.1.15、1.26ブログをご参照ください。)
糖質制限食を1~2ヶ月続けて、弱っていた膵臓のβ細胞が回復すると、早朝空腹時血糖値が改善することも多いです。
それから、メディットとアクトスは膵臓には負担をかけない薬ですので内服しても構いません。どちらか一つとすればアクトスは浮腫や心不全が副作用としてたまにあるので、ビグアナイド系薬剤のメディットを内服するほうがよいかと思います。
ビグアナイド系薬剤は、肝臓での糖新生を抑制し末梢組織のインスリン抵抗性を改善します。
早朝空腹時血糖値は、140mg未満→126mg未満→110mg未満が目標です。140未満だと合併症がかなり減少し、126未満だとさらに減ります。110未満は正常値です。
「②付き合いで外食をせざるを得ないときがあります。その日だけグリミクロンを服用しても問題ありませんか?」
主食(糖質)を食べる直前に、グルファストかスターシスを内服するのが良いと思います。グリミクロンは24時間作用しますが、これらの薬は約2時間だけしか作用しないのでので、膵臓への負担が少ないのです。
「それにしても糖質抜きの外食はむずかしいですね。」
コツをつかめば簡単ですよ。外国旅行も問題ありません。私も外食多いですが、フランス料理、イタリア(地中海)料理、中華料理、焼き肉、居酒屋、ファミレス・・・、主食(糖質)だけやめておかずは食べ放題ですからどこでもOKですよ。(^o^)v
**
「主食を抜けば糖尿病は良くなる 実践編」東洋経済新報社
が2月4日(月)に発売されますが、今日の質問も含めていろいろお役に立つことが
載っていますので、是非ご一読ください。
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