心筋梗塞と糖尿病

おはようございます。今日は心筋梗塞と糖尿病のお話です。

keyeyeさんの体験談、私達糖尿人にとって人ごとではないので、話題として取りあげさせていただきます。
以下やや長文ですが、臨場感のあるkeyeyeさんのコメントです。

「幸いでした
9月2日東京中野でのご講演には、仕事都合で参加できませんが、家内が参加させていただきます。実は私、今年5月5日深夜に急性心筋梗塞で新宿の医科大学病院へ救急搬送され、4時間半のカテーテルによる処置により一命を取り留めることができました。事後に、糖尿病による合併症としての心筋梗塞であると伝えられて驚きました。既に5年位前から糖尿病人であったはずであるとも。

元来、健康診断などを積極的に受ける方ではなかったのですが、通風の発作を過去3回起こしその都度の血液検査では、主に尿酸値と中性脂肪が700以上あるということへの意識や話題が集中して、「糖尿病」に関してはさほど大事には考えていませんでした。今回当に痛切にその認識不足を反省した次第です。

夜中に、アイスクリームを食べて寝ようとしたところ胸の辺りが急に苦しくなり、朝まで我慢しようと思ったのでしたが冷や汗か脂汗が噴出してきました。
何事が起こったのかと・・・、これが心筋梗塞だとは全く晴天の霹靂でした。思い返せば、いろいろと不調のサインは出ていたのですが・・・・。

ともあれ、救急車出動場所と自宅と搬送先病院との間が徒歩20分圏内であったことも幸いしてか、術後最短の2週間で退院できました。退院に際し、原発が糖尿病で糖尿人であると認定されたことにより、大問題の食事指導を受け、家内共々に、ため息をつきながらも、拾った命、これからの余生やむをえないという諦めもありました。

が、段々と素朴な疑問が次々と沸き起こり、始め「脂質」って?から始まり、そもそも「糖質」って?ときて、やっと「糖質制限食」へ辿りついたのでした。

周囲にも糖尿病で通院して血糖値コントロールに長年励んでいる知人もおりましたが、誰も知りませんでした。先生のご著書を早速入手して読了後には「これだ!」「納得!」「世の中間違ってる!」「すべての疑問が氷解!」と、直ぐに家内へ知らせて「糖質制限食」に切り替えると伝えました。家内もこれなら、負担感もなくて気が軽くなると大賛成でした。

とはいえ、それも自己責任においてですので、とにかく、定期健診時の血液検査にHA1Cのチェックも追加してもらいその結果をモニターしつつですが。
(掛かりつけとすべき民間の糖尿科への外来へは未だ行っていません。医科大学の糖尿病科から紹介状を頂いて、さて何処へというところで躊躇しています。一応、「グリコラン」を処方されており、心臓の方の再診時に、それではとりあえずまだそれを処方します。ということしてもらっていました)

退院1ヶ月後位の6月7日再診時のちょうど4〜5日前からこの「糖質制限食」(完全)でいこうとしていましたので、その折試しに循環器内科の担当医に、「糖質制限食」でいきますと伝えると、「えっ? それって民間療法ですか?」と返してきましたので、「なるほど」と状況を承知しましてそれ以上は黙ってやることに決めました。

折角血液検査をしていても、そちらの方は当然掛かりつけの糖尿病専門医に管理されているので、という思考の組み立て方なので、HA1Cのチェックは有りませんでした。次回是非お願いしたいと申し込みました。
おととい8月30日が退院後2回目の再診で、気になる数値結果ですが

入院時(5月5日)身長173cmm  体重80kg 中性脂肪値 1530 HA1C 8.2

現在(8月30日) 体重67kg 体脂肪 14.7% 基礎代謝 1581kcal BMI 22.5

中性脂肪  6月7日 183 8月30日 223 (赤でした)
総コレステロール 6月7日 170 8月30日 283 (これも赤でした:危うく追加の薬を処方されそうになりましたが、次回検診までご猶予を願いました)

なお、善玉、悪玉の数値を加味しなければならないことは事後に知りましたので控えませんでした。また、話題にもなりませんでしたが)

血糖値 93(空腹時) HA1C 4.2 

この結果を捉えて、担当医に対し「グリコラン」不要を誘導し、次回の数値結果が悪ければ、潔く掛かりつけ医の元へ駆け込むというこで折り合わせができました。

つまり、結果が出たということですよね。糖尿の外来で2〜3年通院している知人にこの結果を話すと、大変驚いていました。

しかし、身近な医療関係者から「糖質制限食」なんて聞いたことが無いし、それどころか「炭水化物を摂らないなんて、とんでもない」と言われるということでなかなか感度が低い状況です。テレビコマーシャルでは(炭水化物)糖質が天辺のバランスコマが最近特に盛んにやっていますし、ぶっ飛んだのが「砂糖は脳の栄養」のコマーシャルです。(どげんかせんといかんですね。)

私も、経過をきちんと検証しながらといってもいい加減にやっていますので総コレステロールと中性脂肪が赤字の件について(思い当たる点がないわけではないので)意識して改善に努め、自らを示して、縁あれば「糖質制限食」という考え方を他者へも伝えていきたいと思います。

陰ながら、先生ご一同様のご活躍をお祈り申し上げますとともに、深く敬意と感謝を申し上げます。
by: keyeye * 2007/09/01 13:47」

keyeyeさん、心筋梗塞から生還されて本当に良かったです。
9月2日東京中野での講演のあと、奥さんとお話いたしました。

keyeyeさんのように、自分が糖尿病とはっきり認識していなくて、心筋梗塞を起こして病院に運ばれて、初めて指摘されるというパターンは結構多いのです。
 
久山町研究(7.27、9.2ブログも参照してくださいね)によれば、糖尿病の人はそうでない人に比べたら約3倍虚血性心疾患や脳血管障害の発症が多く、いかに良好な血糖コントロールを保つかが、その予防にとても重要です。

入院時(5月5日) 身長173cm  体重80kg 中性脂肪値 1530  HA1C 8.2

6月7日 中性脂肪 183  総コレステロール 170

8月30日 体重67kg 体脂肪 14.7% 基礎代謝 1581kcal
BMI 22.5 総コレステロール 283 中性脂肪 223 血糖値 93(空腹時) HA1C 4.2

HA1Cは4ヶ月弱で4.2%、空腹時血糖値も93、体重も67kgと実に見事な改善です。
糖質制限食の面目躍如ですね。 └(^へ^)┘

中性脂肪は仰るとおり、糖質を摂取すると上昇します。糖質制限食の実践で、糖尿病の薬も脂質異常症の薬も要りませんので、美味しく楽しく続けてください。

総コレステロールは、2007年の動脈硬化学会のガイドラインからは、はずれました。

糖質制限食で、HDL−コレステロールが上昇し、中性脂肪が下がり、小粒子LDL−コレステロールや酸化LDL−コレステロールといった真の悪玉は減少しますので、問題はありません。(6.9、10、11、12のブログ参照してくださいね)

keyeyeさん、ご指摘の如く「 糖質制限食」は、日本では完全無欠のマイナーです。一方ブログにも書きましたが、欧米では特にここ2.3年最先端では医学界でも徐々に広まりつつあります。

糖質制限食が日本で普及していけば、医療費はかなりの削減が可能です。糖尿病の内服薬、インスリン注射、脂質異常症の内服薬が1/3以下に減ります。上手くいけば薬も注射もなしになります。

日本医学界も是非、常識の壁を乗り越えて、生理学的・理論的見地から糖質制限食を評価していただきたいものです。

江部康二
テーマ: 糖尿病 -  ジャンル: ヘルス・ダイエット
by ドクター江部  at 08:01 |  糖尿病と各種疾患 |  comment (4)  |  trackback (0)  |  page top ↑
プロフィール

ドクター江部

Author:ドクター江部
江部康二です。京都の高雄病院で勤務しています。漢方やアトピー治療でご存知の方もおられるかと思いますが、最近、自分が糖尿病だということが発覚し、糖尿病の新しい食事療法『糖質制限食』に力を入れてます。これからも宜しくお願いしますね。

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