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糖質制限食の効果と長期予後
こんばんは。
昨日の土曜日は、江部診療所の外来が終わった後、神戸の三宮に出かけました。同級生のS先生が開業5周年記念のパーティーを開いたので私も参加したわけです。

アカペラあり、ピアノあり、トランペットあり・・・さらには大道芸のジャグリングありで賑やかで楽しいパーティーを堪能しました。

私はといえば、声帯ポリープでいよいよ声が出なくなり、もっぱら聞き役に専念してました。 (~∧~)

神戸ポートピアホテルの講演会に来てくれた人もたくさんいて、糖質制限食の話題で盛り上がりました。

こういう時、医療関係の方からは、たいてい長期予後の質問があります。

それで今日は、糖質制限食の効果と長期予後のお話です。

糖質制限食実践者においては、血糖値・HbA1c・中性脂肪は速やかに改善します。HDL-コレステロールは個人差があり、しっかり上昇する人と軽度に上昇する人がいます。

糖質制限食実践者の総コレステロール、LDLコレステロール値に関しては、個人差があり一定しません。

しかし、HDL-コレステロールが上昇し、中性脂肪が減少するので、真の悪玉である、小粒子LDLコレステロールや酸化LDLコレステロールは減ります。

糖質制限食の短期的効果に関しては、このように全ての指標が良い方に向かいます。

高雄病院でも、1999年から糖質制限食による糖尿病治療を開始して、実践する限りにおいては、99%の人が著明に改善をすることを確認しています。

基本的に体重も減少し肥満が改善しますので、血圧も下がることが多いです。

それでは10年、20年後の長期的予後はどうなのでしょう?

同級生の糖尿病専門医にいつも相談しているのですが、必ずこの話題がでてきます。

一つの答えは、イヌイットさんです。 生肉と生魚が主食という完全無欠の糖質制限食を数千年以上続けてきた民族ですが、有名なダイアベルグ博士の研究によると、心筋梗塞脳梗塞が極めて少なかったことが報告されています。

二つ目の答えは最近流行の代謝症候群(メタボリック シンドローム)です。

一つ一つは些細な所見でも二重・三重に重なってくると危険という警鐘です。
 
*腹囲基準:男性85cm、女性90cm以上、
①高血圧:130/85以上、
②空腹時血糖:110mg以上、
③中性脂肪高値:150mg以上  HDL-コレステロール:40mg未満

具体的には、腹囲基準を満たしていて、①②③の三項目中二項目を満たせば、何もない人に比べて、将来冠動脈疾患になる確率が、約31倍にもなるとされています。

糖質制限食の実践により、代謝症候群の指標が全て改善します。逆に言えば糖質の過剰摂取こそが代謝症候群の根本要因といえます。

ともあれ西洋医学的に現在まで明らかにされている動脈硬化の危険因子が 糖質制限食の実践により全て改善するので、長期的予後も悪かろうはずがありません。

近年の米国の5万人、8年間の閉経女性の疫学的研究で、低脂肪食(従来のヘルシー食)が心筋梗塞や乳ガン、大腸ガンのリスクを減らさないことが確認されました。

また20年間、82,802人の女性の追跡で高タンパク・高脂肪食が、心筋梗塞を増やさないことも証明されました。

このように、理論的にも短期データ的にも、長期の疫学的データでも 糖質制限食(高タンパク・高脂肪食)の有効性と安全性が確立されつつあるといえるでしょう。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
ピマインディアンと糖尿病・肥満②
こんばんは。
今日は、江部診療所の外来が終わった後、午後3時前に「高雄病院京都駅前診療所」に着きました。

10月1日の開院に向けて、模擬患者さんにて電子カルテ操作のリハーサルでした。

いやはや、電子カルテ・・・。

40名の予約患者さん・・・、ほんまに大丈夫かいな???

一抹いや、三抹くらいの不安はありますが、きっと何とかなるでしょう・・・。

さて、ピマインディアンシリーズのの続きです。

ピマインディアンには、アメリカのアリゾナ州とメキシコのシェラマドレ山脈に定住した2つのグループがあります。元来は同じ種族ですので、遺伝的素因は共通です。

アリゾナ州のピマインディアンは、今や人口の50%が2型糖尿病で肥満も多数です。
 
ところが、今も農業と酪農という伝統的な生活様式を維持している、メキシコ・メイコバのピマインディアンは、肥満にも糖尿病にもなっていません。

彼等は険しい山岳に居住し、主食は豆、芋、トウモロコシなど、たまに鶏肉といった食生活です。糖質は結構摂っていますが、運動量が半端じゃないです。

厳しい生活環境で、週20時間くらい重労働、あるいは中等度の労働をこなしています。
 
アリゾナのピマインディアンも、かつては同様の運動量で糖尿病もほとんど無かったのですが、米国政府の食料援助に頼るようになってからは、週2時間ていどの運動しかしていません。(平均的な米国人は週3回30分程度の運動していません。)

このように、アリゾナとメキシコのピマインディアンを比較してみると、倹約遺伝子(肥満遺伝子)を持っているので、高GI食や運動不足などの環境因子が加わると糖尿病・肥満になりやすいけれども、従来の伝統的な食生活や肉体労働を維持していれば、ならずにすむということがわかります。

私達日本人も3人に1人が、この『脂肪をためやすく燃えにくいようにする倹約遺伝子』を持っているので、ピマインディアン同様に糖尿病・肥満にはなりやすいので、油断は禁物です。

日本人も明治・大正・戦前までは、結構糖質を総摂取カロリーの60%以上食べているのに、糖尿病・肥満が少なかったのは、メキシコのピマインディアンに近いライフスタイルだったからなのでしょう。

このことを思えば、現在糖尿病・肥満のない方々は、高雄病院の「食生活十箇条」と適切な運動で将来そんな病気にならずにすむということですね。

江部康二


☆☆☆
アトピー性皮膚炎やアレルギー疾患の患者さんに、
そして糖尿病や高脂血症などの生活習慣病予防に、

高雄病院
『食生活十箇条』
一、主食は未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
二、白パン・白砂糖など精製炭水化物の摂取は極力減らす
三、発酵食品(味噌、漬け物、納豆など)をきちんと食べる
四、液体でカロリーを摂らない(飲みものは水、番茶、麦茶、ほうじ茶など)
五、魚貝類はしっかり食べ、肉類は適量を摂る
六、季節の野菜や海草はしっかり食べ、旬の果物も適量摂る
七、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)など身体に良い油脂は積極的に摂る
八、牛乳は極力減らし、チーズやプレーンヨーグルトは適量摂る
九、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ
十、食事は楽しく、ゆっくり、よくかんで 


☆☆☆
既に糖尿病になっている人、肥満・メタボの人には

『糖質制限食十箇条』
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食  べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控え   る。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶も   OK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は   控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルー   ツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
ピマインディアンと糖尿病・肥満①
こんばんは。
今夜は満月が見れると思ったら、残念ながら曇りです。

さて、

8.13、肥満と倹約遺伝子のブログに登場してもらった、米国アリゾナ州に居住するピマインディアン、また興味深いことがわかったので、取りあげてみます。

民族的に見ると、倹約遺伝子(肥満遺伝子)を多く保有している民族は、イヌイット、ピマインディアン、日本人の順だそうです。

これらの民族は、最後の氷河期(7万年前~1万年前のウルム氷河期)にユーラシア大陸から、海位が百数十m下がって陸続きになっていたベーリング海峡や日本海を渡って、アメリカ大陸、日本列島に渡ったモンゴロイドです。

氷河期の過酷な飢餓環境に順応すべく、摂取したエネルギーを少しでも脂肪として蓄えようとする体質(倹約遺伝子→基礎代謝量低下)を獲得したと考えられます。

少量の食料で得たエネルギー(ブドウ糖)を、少量のインスリンで中性脂肪に変えるので、インスリン分泌能力の少ない体質となったようです。

アリゾナ州のピマインディアンは、現在、世界的に最も2型糖尿病が多い民族とされています。

かつては狩猟や農業などを営み、ギラ河に灌漑設備を構築するなど極めて運動量豊富で、食事は低GI食品中心の伝統的な生活をおくっており、痩身で糖尿病などほとんど見られない民族でした。

しかし、白人が西部に移住しギラ河の水を自分たちの農業のために利用し始めたため、ピマインディアンの伝統的生活様式は破綻し、1970年代までには、米国政府の食物供給を受けることを余儀なくされました。

その結果、米国型の高GI食品の摂取と運動不足のため、今や人口の50%が糖尿病で、成人の90%が高度肥満という非常事態に陥ってしまいました。

氷河期を乗り越えた飢餓に有利な遺伝的形質は、言い換えれば飽食と運動不足の現代に置いては、糖尿病や肥満になりやすい体質といえ、それがアリゾナのピマインディアンの悲劇に繋がったということができます。

<続く>

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
高雄病院、看護師さん募集中
こんばんは。
今日も昨日に引き続き、お月様がとても綺麗です。
秋らしい静謐な夜です。

さて、澪さんからの質問です。

「こんにちは
ブログの内容とは関係ない質問で、ごめんなさい。
先月、私の叔母が先生の病院に入院し、3ヶ月間お世話になりました。ありがとうございました。
入院中に、看護師さんとも仲良くさせていただいようですが、叔母から「看護師さん募集してるのと違う?」と聞きました。確かに、高雄病院HPにも看護師募集はありましたが、どこの病院でも常時看護師募集なので、あまり気に留めませんでした。京都で働くことは、学生時代からの憧れでした。高雄病院の職員はとても優しい人が多くて働きやすい職場だとか。ずばり、先生、本当に看護師さんを募集していますか?
by: 澪 * 2007/09/26 14:11 * URL」

澪さん。コメント、質問ありがとうございます。

現在、看護師さんはお宝のようなもので、どこの病院でも募集していると思いますよ。

高雄病院でも年間数名が退職され、数名が就職されるといったパターンでバランスを保ってます。勿論、現在も看護師さん募集中です。

京都市内の看護師さんでも、京都以外の京都で働きたいと考えておられる看護師さんでも、いずれも熱烈歓迎です。

ブログ読者の方、あるいは友人・知人で、高雄病院の漢方治療、糖尿病治療、アトピー治療に興味のある看護師さんがおられましたら、

075-871-0245(高雄病院)

に電話して、担当の丘総師長とご相談くださいね。

江部康二
テーマ:糖尿病
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原発性高脂血症?と 糖質制限食
おはようございます。
昨夜は夜診を終えて帰る時、半袖でいきなり寒かったです。
月もくっきり綺麗でいよいよ秋本番ですね。
今朝も涼しくて快適です。

さてkeyeyeさんからの質問です。

「驚愕的なお話
江部先生、ちょっとしつこいかも知れませんがお邪魔いたします。
先生ご推薦の「検査値と病気 間違いだらけの診断基準」を入手いたしました。
そこに驚愕的なお話が掲載されています。
コレステロールについて(低すぎてもダメ、高ければ高いほどよい)というわけではありません。の辺りに、日本人では500人に1人の割合で遺伝的にコレステロールの高い「家族性高脂血症」の人がいて男性の家族性高脂血症の人では、50才までに約半数の人が心筋梗塞を発症します!と記してあるではありませんか。当に、私の1つ上の兄が44才で急性心筋梗塞を発症し運良く一命を取り留めていたのでした。以前はお互いにその中性脂肪値の高さを自慢?し合っていたものでした。該当する一族としては驚愕的な話題です。以前は、遺伝だから仕方無いと半ば捨て置いていました。とんでもないことでした。こうして「糖質制限食」+芋焼酎数杯(以前は日本酒5~6合+焼酎ハーフボトル1本をたまに、でしたが現在はどうやら江部先生と同格くらい)であの数値ですから。次から次へと目から鱗の毎日です。謝々です。」

keyeyeさん。コメントありがとうござます。

東海大学の大櫛陽一先生の
「検査値と病気 間違いだらけの診断基準」太田出版
初めて読んだ時は私も目から鱗が落ちる思いをたくさんしました。

日本国民の健康のためにもとても役に立つ良著だと思います。
ブログ読者の皆さんも是非、ご一読ください。

大櫛先生の本に載っていたのは、家族性高コレステロール血症のことでしたね。原発性高脂血症の分類には、いろいろありますが難し過ぎるのでここではふれません。
http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/028.htm" target="_blank">http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/028.htmに詳しく載っていますので興味ある方は参照していただけば幸いです。

keyeyeさん、ご兄弟は、コレステロールより中性脂肪が高値ですので、家族性高コレステロール血症というよりは、原発性高カイロミクロン血症か、内因性高トリグリセリド血症の可能性があります。

しかしながら、keyeyeさんの場合、中性脂肪値1530mgが 糖質制限食で183mgまで減少してますので、遺伝的・家族的なものより、食生活習慣の方が大きな要因だった可能性もありますね。

いずれにせよ、糖尿病脂質異常症(高脂血症)も、食事療法・運動療法で充分改善可能な段階と考えられます。このまま、美味しく楽しく糖質制限食を続けていかれることで、内服薬なしで、心筋梗塞再発予防が期待できると思いますよ。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
ブラジルの糖質制限食情報
こんばんは、江部康二です。

シープシぺッタさんから、ブラジルの糖質制限食の情報をコメントいただきました。シープシぺッタさん、ありがとうございました。

ブラジルまでの海外旅行はとても遠いけど、参考になりますので、ブログ読者の皆さんにも情報を共有してもらいたく、アップさせていただきました。

「日本食は甘いんですね。
ドクター江部康二さま。いつもブログを楽しく拝見しております。残暑厳しい東京から熱いエールを送っているシープシぺッタです。

今回の、糖質制限食と外国旅行の記事を読んで、さすが、ドクター江部、食に関する知識と造詣がぐっと深まっていらっしゃる、と、いまさらながらに感激…!。

実は以前に日本在住のブラジル人の友人から、「日本料理の味つけは甘くてちょっと苦手~」と言われたことがあります。

外国人からみた場合の日本料理と言えば、代表的なものがお寿司に天ぷら、うなぎや煮物などでしょうけれど、そう言えば、酢ご飯には少々砂糖が入っているし、天つゆも蒲焼きも煮物の味つけも砂糖や味醂ですることが多いですよね。いわゆる食事に甘い味つけがしてあるのが不思議なんだそうです。

私からすれば、ブラジルのスイーツは、頭がかち割られるぐらい甘くて~。とくに赤道に近い地域では、保存の意味もあるので、ジャムやスイーツ類にはびっくり仰天するぐらいの砂糖を入れるんですよね。

さらに驚いたのは、カフェジーニョ(エスプレッソコーヒー)に、ティースプーンで3~5杯ぐらいのお砂糖を入れるんです。(カップはデミタスサイズで!!)。なんでも砂糖の甘さで目を覚ますんだとか。エスプレッソコーヒーといえばブラックと勝手に決めていた私には、びっくり仰天ものだったわけです。

ちなみに、その友人のお父さまは糖尿病…。ブラジルは糖尿病患者さんが多いらしい。しかも、西洋医学一辺倒で、アメリカから薬をバンバン持ち込まれている…。他の代替医療を受けるのがむずかしいのだそうです。おまけに西洋医学を受けられるのはお金持ちの限られた人だけ…。糖質制限食が普及すればよいのですけれどね。

ちなみに、シュハスコ(ブラジルの串焼き肉)は完全無欠の糖質制限食ですね。フェイジョアーダ(黒豆と臓物の煮込み)も単品で食べればオーケーですね。私はどちらのメニューも大好き。かつてよく、ブラジリアンレストランで食べ放題にチャレンジしていました。ブラジルでは、日本よりもお肉がおいしく安全で、安く手に入るそうですね。友人は、日本のお肉やさんで売っているスライス肉にはびっくりだったそうです。ブラジルでは、キロ単位の塊で売っているらしい。(ただ、日本の企業がアマゾンの森林を伐採して牧場にして牛を育てているらしいので、食に関しては地球規模の矛盾がつねにからみますね…)。

話は脱線しますが、我が家ではつれあいが一年半前からダイエットの目的で、ゆるやか~な糖質制限食をはじめてていますが、はじめて一週間で効果てきめん、いまでもすっきり体形とすっきり気分をキープしていて好調です。なんでも馴れると間食したくなくなり、少量で満足できるようなカラダに変身するらしい。

つれあいの場合には、ごはんやお餅、フランスパン、お煎餅やあられなどがないと気がすまない、炭水化物中毒に近い感じだったのです。それらをやめただけで、ダイエット効果だけでなく、お顔のブツブツや、いつも目についていたお米のとぎ汁のようなおつゆもなくなりました。

息子は幼稚園児で、朝と昼のお弁当、午後のおやつにしっかりごはん(おにぎりも)食べていますが、夕べの食卓にはごはんがのぼらないことが多い我が家です。おかず中心の献立です。我が家族の主食摂取の割合は、つれあいは、一日一食、息子と私は一日二食という感じです。

実は我が父(75歳)が、若いころからの飲ん兵衛さんで、晩のメニューは酒の肴が中心。ごはんが晩にないということにさほど私自身抵抗がありませんでした。ですから、さんまの塩焼きがメインなんていう感じです。

そんなゆるやか~にてきと~に、糖質制限食実践中の我が家では、一番糖質制限食を実践しやすい外食は、なんといっても焼鳥屋さんという結論に。

焼き鳥を塩でオーダーし、モツ煮込みとおあげ焼きと冷ややっこに、焼き魚や椎茸焼きや葉物のお浸し…。これで糖質制限しているという意識もなく、普通に満足できます。プラス息子は焼きおにぎりをオーダーしますが。

考えたら、串焼き肉って、ブラジルのシュハスコもふくめ、古今東西人気メニュー。縄文時代からあった調理法なんではないかな、と、思います。しかし、難点はビールにあうメニューという点。そろそろ私もかわいく(?)ふくらんだお腹を眺めて、脱ビール宣言を~と思う今日この頃でした。
by: シープシぺッタ * 2007/09/25 17:52」
テーマ:糖尿病
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米国の糖質制限的食事情報
こんばんは、江部康二です。

米国ロサンゼルス在住のkさんから、アメリカでの糖質制限食的な食事の情報です。

kさん、ありがとうございました。

「追加までに。

アメリカでは、例えばレストランではサラダの種類は日本よりもずっと豊富です。量もすごく多く、特に焼いたチキンやえび、サーモンがどかんとのっているものは充分おなかいっぱいになります。

ドレッシングをかけずに持ってきてもらってオリーブオイルとバルサミコ酢で食べれば全然OKですよね。

大抵のレストランではあとは焼いたお肉や魚、えびなどはあるのでそれもOKですよね。

ファーストフードでも最近はローカーブ(低糖質)フードという名でレタスでまいたハンバーグ(モスのなつみバーガー)もあるし、どのファーストフード店でもサラダは最低2-3種類はあります。

スーパーでもサラダは売っているし、焼いたチキンやハム、チーズもありますよ。

アメリカでは宗教上の理由やベジタリアンでいろいろ注文つける人が多いので、レストランでも一緒についてくるライスの変わりにレタスをつけて、などの注文も比較的すんなり聞いてもらえます。

ご参考までに。
by: k * 2007/09/25 14:59 」
テーマ:糖尿病
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糖質制限食と外国旅行
おはようございます。
今朝は、やっと少し涼しさを体感している江部康二です。

さて、

海外旅行と糖質制限食に関する質問が渡部さんんとスイートさんのお二人からありました。お二人とも、海外旅行では 『糖質制限食が困難』という先入観に惑わされておられるようですね。

実は、海外旅行でも糖質制限食は簡単に実践できるのですよ。 (〃^¬^〃)

「渡部 要次 : 江部先生にメッセージ送れる事にとても嬉しく思います。3年前糖質制限食の本を読んで感動しました。血糖値が下がらず(A1C8.0)で薬が次々強くなって、胃まで痛くなり悩んでいた頃に、本を知って これだ!。と感動しました。現在はまだ高めですが(A1C 6.4)で安定してます。ごちそうレシピの本も参考にしてます。本当にありがとうございます。今の悩みは糖質制限食を始めてから外国へ出掛ける事が出来なくなりました。先生のアドバイスをお願いします。 (2007/09/11 14:03:10) 」

「外国旅行したい
初めてコメントいたします。江部先生に質問出来るコーナーがある事知ったのは最近で、とても嬉しいです。 主人は糖尿病と診断されてから10年以上薬を飲んでおりましたが、段々血糖値が下がらなくなり、強い薬が処方されるだけで、とても悩んでいましたところ・・先生の本を読んで「目からウロコとはこの事だよ!。」と感動して始めたのが二年前の春です。暗中模索しながら徹底的に食事を変えました。主治医も驚いたくらい血糖値が下がり、高血圧だった血圧も安定してます。それでも(現在A1C6.5でスターシス錠90mg)を朝昼夕食前に服用してます。 2年前まで外国へ出掛けるのが楽しみでしたが・・糖質制限食を始めてからは出掛けてません。  外国旅行は食事が難しく食料持参する事しかないのでしょうか・・。江部先生の良いアドバイスお願いしたいのです。
by: スイート * 2007/09/24 23:13 」


渡部 要次さん。コメントそして本ご購入ありがとうございます。

HbA1cが8.0→6.4%と改善。良かったですね。おめでとうございます。

6.4%以下ならば、糖尿病による合併症がほとんど生じないとされていますので、是非保っていただきたいと思います。

スイートさんもコメントそして本ご購入ありがとうございます。

また、ご主人の 糖質制限食によるHbA1cの改善、良かったです。今後6.4%以下を目指してくださいね。

海外旅行ですが、 糖質制限食の旅は充分可能と思います。
日本国内でも外食を考えれば同じことなのですが、中華料理でも地中海料理でもフランス料理でも大丈夫です。

フランス料理なら、パンやケーキなどさえ止めておけばフルコース食べることができます。季節がよければジビエ料理(野生の鳥獣料理)もいいですね。

イタリア料理でパスタがないのはさすがに寂しいですが、お魚やお肉や野菜料理を食べるなら問題はありません。

ギリシャなどの地中海料理はオリーブオイルたっぷりで、海の幸が豊富で糖質制限食OK食材が多いと思います。

中華料理も麺類やご飯やマントウ(パン)や餃子の皮などに注意して、野菜、牛肉、豚肉、海鮮・・・いろんな 糖質制限食OK食材があります。

アメリカでもステーキやハンバーグは大丈夫ですね。カナダやオーストラリアは食材が豊富で糖質制限食に不自由はしないと思います。

糖尿人でよくヨーロッパに出張される男性の言ですが「日本料理は、寿司とかダシとか隠し味に砂糖とかをよく使ってあるので、結構血糖値が上昇します。かえってフランス料理のほうが 糖質制限食的です。」と仰ってました。

糖質制限食を実践する前は、従来のカロリー制限食に従い、フランスに行ってもわざわざ寿司を食べたりしていたそうです。そうすると血糖自己測定器で高血糖連発で困っていたのだそうです。

今は、フランス料理やステーキを食べて、血糖値はほとんど上昇しないそうです。

カロリー制限食と違って、面倒くさい計算は要りません。糖質制限食で必要なのは、食材の糖質だけに留意することです。

まあ、簡単に言えば主食(糖質)を抜いて、おかずばかり食べていれば概ねOKです。

渡部さんもスイートさんご夫妻も、海外に行って糖質制限食を美味しく楽しくどんどん食べてくださいね。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
高タンパク食と骨粗鬆症
こんにちは。例によって少し筋肉痛の江部康二です。

糖質制限食は、相対的に高タンパク食・高脂肪食になります。
今まで、高タンパク食・高脂肪食が健常な腎臓や膵臓を傷害しないことや、発ガンや冠動脈疾患のリスクもないことをブログで説明してきました。

今回は、高タンパク食と骨粗鬆症の問題です。

1968年にWachman and Bernsteinが「内因性酸仮説」において、
『高タンパク食を摂取すると、タンパク質代謝によって作られた酸を緩衝するために骨のカルシウムが利用されるため、骨粗鬆症になりやすく尿中のカルシウムも増加する』
と提唱しました。

あくまで仮説に過ぎず、証明された訳ではないのですが、かなり一人歩きしてしまいました。いろんなブログで、高タンパク食の害を説明しようとする時には、よくこの仮説が引用してあります。

まあ、世界中でこれを巡って、その後30年以上論争が続いてきました。実際、研究によってはこの仮説を支持するようなものもありました。

しかし、一方で高タンパク食が骨粗鬆症の予防や、大腿骨頭骨折予防に益があるという研究もたくさんありました。

こういった歴史的状況を背景に、この論争に決着をつけるような研究論文を今回発見しました。(*1 巻末の英文の文献です)

572人の女性と388 人の男性(55–92才)を4年間観察した研究です。

『食事中のタンパク質が、骨粗鬆症を予防するのか、障害するのか、過去の研究では両方あって、はっきりしない。それでこの研究を行った。
結果:動物性タンパク質は成人女性においては、骨の健康を守る役割がある。
一方、植物性タンパク質は、骨カルシウム量には両性で無関係である。
結論:動物性タンパク質の摂取量が多いほど、少なくとも成人女性では、統計的に有意差をもって、骨の健康に役立つ』

他の研究者の42の論文にこの論文が引用してあり、評価が高いことを示しています。

私の結論です。

女性では動物性タンパク質で骨粗鬆症が予防できる可能性が高まりました。男性では、予防できるかどうかわかりませんが、少なくとも骨粗鬆症の悪化は考えにくいです。

*1
「American Journal of Epidemiology Vol. 155, No. 7 : 636-644 、2002
Protein Consumption and Bone Mineral Density in the Elderly
The Rancho Bernardo Study
Joanne H. E. Promislow1, Deborah Goodman-Gruen2, Donald J. Slymen3 and Elizabeth Barrett-Connor2
1 Department of Epidemiology, School of Public Health, University of North Carolina at Chapel Hill, Chapel Hill, NC.
2 Department of Family and Preventive Medicine, School of Medicine, University of California, San Diego, La Jolla, CA.
3 Department of Epidemiology and Biostatistics, School of Public Health, San Diego State University, San Diego, CA.」
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
高雄病院京都駅前診療所
こんばんは。今日は2週間ぶりにテニスにいってきました。
調子はボチボチでした。勿論体力的にダブルスですが勝率は良かったですね。

9.21金曜日は京都駅前の駐車場にパジェロをとめたて東京に行ったので、ついでに初めて、「高雄病院京都駅前診療所」を見てきました。

駐車場から、歩いて2.3分です。ビルの4階をワンフロア借り切りです。内装や仕様はとても、きれいな仕上がりで広々として、リラックスできる空間です。

はっきり言って、今の高雄病院の外来の診察室とは「月とスッポン」くらいの差があります。やっぱり快適な診察室だとやる気も一層湧いてきますね。o(^^o)(o^^)o

しかし、しかしですよ。たった一つ問題があるのです。

実は、最近流行の電子カルテというものを、勢いで導入してしまったのです。 (´・⊇・`)

若い先生方が、折角、その気になって電子カルテで盛り上がっている時に、私が盛り下げるわけにはいきませんもんね。

かなりやばいとは思いながらも「電子カルテ大賛成です」などと、要らぬ一言を言ってしまったものだから・・・・

今日も、ワープロ打ちのブラインドタッチを特訓中ですが、勿論初級者コースです。

9.28金曜日には、高雄病院京都駅前診療所に出向いて、予行演習・電子カルテ入力の特訓です。

でもまあ、何とかなると思ってます。
いや、何とかなるとひたすら信じたい江部康二です。  ,)> <∠|



<高雄病院京都駅前診療所>
2007年10月1日(月)、朝9時から、開院です。
場所は、烏丸七条交差点を東へ10m、バス停の真ん前です。
七条通り北側に面しています。
高雄病院(075-871-0245)で予約受付中です。

<アクセス>
所在地…京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F

市バスをご利用の場合…5・26・73・205・206・208号系統「七条烏丸」下車すぐ

電車をご利用の場合…京都駅より徒歩4.5分

※お車でお越しの方は有料Pをご利用下さい。向かい側に大きな駐車場があります。
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糖質制限食と城北肥満研究会
 こんばんは。
 9.21(金)の昼から、高雄病院京都駅前診療所の、向かい側にある100台くらいとめれる大きな駐車場にパジェロを置きっぱなしで東京に出かけてました。
 今朝の6:26の、のぞみで東京をたち、8:45に京都に着きました。
京都駅前の駐車場から下鴨高木町の江部診療所まで、17分で到着でとてもスムースでした。

 24時間駐車しても¥1800-までと書いてあったのですが、ちょっぴり心配でした。
でも、本当に約19時間とめて¥1800-でした。
 30分の駐車は¥200-で、¥1800-を超えたらもうそれ以上はいらないのですね。¥1500-が上限の駐車場もあるそうです。
 これならタクシー代よりはるかに安いし便利ですので今後も利用しようかなと思ってます。
 今まで全くこのようなシステム知りませんでした。 ( ̄Д ̄;)
ウーム・・・ 
十数年以上に及ぶ
往復約¥5000-のタクシー代は何だったのだ! (Ω`ε´Ω)


さて東京の講演は池袋のホテルメトロポリタンでありました。
主催の「タニタ」さん(体重計やデジタル尿糖計で有名です)によれば、通常80から100名くらいのところ、9.21は160名もの参加者があったそうです。
 それも女性が大変多くて、ビックリされたそうで、
私もとても嬉しく思いました。 (〃^¬^〃)

 女性は栄養士さん、看護師さんが主ですが、男性は糖尿病専門医の先生方もたくさんおられ私もいつもの講演に比べたら、やや緊張の面持ちでした。
 講演後の質問はさぞかし厳しいものがあるかと覚悟していたのですが、基本的に好意的なものばかりで、ほっとしました。

 懇親会でも質問が相次いで、ほとんど食べる暇もないほどでしたが、大変嬉しい悲鳴ですね。
 既に 糖質制限食を試し始めたという栄養士さんもおられ、心強く思いました。
 私が思っていたより 糖質制限食は徐々に浸透しつつあり、いいよいよ夜明け前なのかという期待を抱かせるに充分の研究会でした。

 主催のタニタさん、城北肥満研究会の諸先生方、大変ありがとうございました。

江部康二
江部康二「糖質制限食」講演会in京都
2007年8月19日(日)、神戸ポートピアホテルでの
「 糖質制限食」講演会、おかげさまで大盛況となりました。

今回、京都講演会の詳細が決定しましたのでご案内させていただきます。糖尿人、メタボ人の方々、是非奮ってご参加くださいね。

日時 2007年11月11日 日曜日 大安
   受付13:30~ 開演 14:00~16:00
  
会場 京都ロイヤルホテル2階 瑞祥雲
   
定員 100名 (先着順)

参加費 1000円 (当日会場にてお支払い下さい)

お電話・FAX・パソコンからお申し込み頂けます。

お電話でのお申し込み
075-873-2170

FAXでのお申し込み
075-873-2270

パソコンからのお申し込み
http://www.ktk-kyoto.jp/ 上記ホームページの「特別講演会申し込みフォーム」からお申し込み下さい。

お問い合わせは、

京都高雄倶楽部
TEL 075-873-2170
FAX 075-871-6865
E-mail info@ktk-kyoto.jp
営業時間は8:45から17:00(くらい)
お休みは日・祝です。
席をはずしていることもあるので、留守電に連絡先を入れておいてください。後ほど掛け直させていただきます

前回の神戸講演会は、ほぼ満席となりました。お席に限りがございますので、お早めにご予約下さいませ。

また、ご好評いただきました、糖質制限な食材メーカーさんの実演販売もあります。今回は、ご協賛メーカーさんも増えました。 皆さんのご参加、心よりお待ちしております。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
心筋梗塞と糖尿病、続き
こんばんは。まだまだ蒸し暑い京都です。
明日は、東京に出向いて、 糖質制限食のお話をします。
「城北肥満研究会」という医療関係者の方々の集まりでの講演ですので、共鳴・共感していただける医師やナースや薬剤師を一人でも多く獲得すべく、しっかり頑張ってきます。

さて、keyeyeさんから追加のコメントをいただきました。

「コメント付言として
江部先生、その節は家内がサインまで頂戴いたしまして誠にありがとうございました。
家内はすっかり江部先生のファンになってしまったようです。
先生の年齢が私より「少し若いくらいに見えた」とのろけますので、失礼ながらそんなはずでは?と確認させていただきましたところ、やはりというかなんだかなぁ、というか、私は当年で50歳、あわや50歳の天寿となるところでした。
私が通院している大学病院というところは、記録ホルダーに興味津々なのだそうです(緊急入院時に中性脂肪値が1530を超えていたという点などが)。
実はSAS(閉塞性睡眠時無呼吸症候群)も入院中の簡易ポリ検査では60回以上/hの重症と診断され、心筋梗塞の治療予後の落ち着いた先頃、正式に一泊してポリ検査をしてもらいました。
検査前から、SASの担当医がなんとなく拍子抜けした様子を感じていましたら、「随分スリムになられましたね」という言葉で飲み込めました。結果は、重症からは外れましたが、それでも26/hで、私の場合、骨格的に不利な構造である為、現在既に標準体重(66kg前後で推移しています)であることから、体重を落とすことによる改善はこれ以上望めないだろうという見解で、C-PAPを開始することになりました。
病院内では複数の科を跨ぎ、看護士や検査の技師さんらとも会話しますがその都度、もしかして、私の諸検査数値に興味を持たれているのでは?と感じることがあります。私は、さりげなくを留意しつつ、(「糖質制限食」やってますから)と、その単語をあちこちでばら撒いています。先のSASの担当医にも、(どうしてそんなにスリムになられたのですか)と問われて、「糖質制限食」!を発したところ、既にこの単語が耳に入っているらしく、それ以上話題を拡げたくないような雰囲気でした。私も意識して言葉を足すようなことはしない節度でいます。私のささやかな、作戦です。
一時尿酸値が上がりました、現在7.0で特に問題視されませんが、総コレステロールとLDLコレステロール値が高いという点については,複数の医師からチクチク攻め立てられてます。
先生の過去ブログ等を含めて現在、武装中です。よろしくお願いいたします。

by: keyeye * 2007/09/19 13:53 」

keyeyeさん、追加コメントありがとうございます。
奥さんには是非、是非よろしくお伝えください。

緊急入院時に中性脂肪値が1530mg/dl、というのは、確かに半端な数字ではないですね。大学病院の医師ならずとも興味を持つことでしょう。

高雄病院でも、かつて中性脂肪値2000mgを超えた強者がいて、検査技師さんがびっくりしてデータもって飛んできました。血清はまさに目で見てドロドロでした。

中性脂肪値を上昇させるのは、間違いなく糖質です。いくらカロリー制限していても、糖質を摂取する限り数値は改善しません。

睡眠時無呼吸症候群は、実は私もそうなのです。 (×。×)
私の場合お酒を飲み過ぎたときにしっかり息が止まっていると連れ合いに指摘されています。

keyeyeさん、減量で大分改善されたようですが、C-PAPは効果の確立した治療法ですので、良いことだと思いますよ。

糖質制限食実践者の尿酸値、総コレステロール、LDLコレステロール値に関しては、個人差があり一定しません。
7.24、25そして6.9、10、11、12のブログを参照していただけば幸いです。

糖質制限食実践者においては、血糖値・HbA1c・中性脂肪は速やかに改善します。
HDL-コレステロールは個人差があり、しっかり上昇する人と軽度に上昇する人がいます。


ちなみに私の2007.9.11の血液検査で
食後60分血糖値111mg、(ミニサラミソーセージ4本と梨1/4個)
HbA1c5.4%、
ケトン体394μM(26~122)
尿酸3.1mg
総コレステロール229mg
LDL-コレステロール103mg
HDL-コレステロール119mg
中性脂肪35mg


keyeyeさん、謙虚に地味に確実に 糖質制限食広報作戦、ありがとうございます。
これからも日本全国の糖尿人やメタボ人のために、宜しくお願い申し上げます。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
心筋梗塞と糖尿病
おはようございます。今日は心筋梗塞と糖尿病のお話です。

keyeyeさんの体験談、私達糖尿人にとって人ごとではないので、話題として取りあげさせていただきます。
以下やや長文ですが、臨場感のあるkeyeyeさんのコメントです。

「幸いでした
9月2日東京中野でのご講演には、仕事都合で参加できませんが、家内が参加させていただきます。実は私、今年5月5日深夜に急性心筋梗塞で新宿の医科大学病院へ救急搬送され、4時間半のカテーテルによる処置により一命を取り留めることができました。事後に、糖尿病による合併症としての心筋梗塞であると伝えられて驚きました。既に5年位前から糖尿病人であったはずであるとも。

元来、健康診断などを積極的に受ける方ではなかったのですが、通風の発作を過去3回起こしその都度の血液検査では、主に尿酸値と中性脂肪が700以上あるということへの意識や話題が集中して、「糖尿病」に関してはさほど大事には考えていませんでした。今回当に痛切にその認識不足を反省した次第です。

夜中に、アイスクリームを食べて寝ようとしたところ胸の辺りが急に苦しくなり、朝まで我慢しようと思ったのでしたが冷や汗か脂汗が噴出してきました。
何事が起こったのかと・・・、これが心筋梗塞だとは全く晴天の霹靂でした。思い返せば、いろいろと不調のサインは出ていたのですが・・・・。

ともあれ、救急車出動場所と自宅と搬送先病院との間が徒歩20分圏内であったことも幸いしてか、術後最短の2週間で退院できました。退院に際し、原発が糖尿病で糖尿人であると認定されたことにより、大問題の食事指導を受け、家内共々に、ため息をつきながらも、拾った命、これからの余生やむをえないという諦めもありました。

が、段々と素朴な疑問が次々と沸き起こり、始め「脂質」って?から始まり、そもそも「糖質」って?ときて、やっと「糖質制限食」へ辿りついたのでした。

周囲にも糖尿病で通院して血糖値コントロールに長年励んでいる知人もおりましたが、誰も知りませんでした。先生のご著書を早速入手して読了後には「これだ!」「納得!」「世の中間違ってる!」「すべての疑問が氷解!」と、直ぐに家内へ知らせて「糖質制限食」に切り替えると伝えました。家内もこれなら、負担感もなくて気が軽くなると大賛成でした。

とはいえ、それも自己責任においてですので、とにかく、定期健診時の血液検査にHA1Cのチェックも追加してもらいその結果をモニターしつつですが。
(掛かりつけとすべき民間の糖尿科への外来へは未だ行っていません。医科大学の糖尿病科から紹介状を頂いて、さて何処へというところで躊躇しています。一応、「グリコラン」を処方されており、心臓の方の再診時に、それではとりあえずまだそれを処方します。ということしてもらっていました)

退院1ヶ月後位の6月7日再診時のちょうど4~5日前からこの「糖質制限食」(完全)でいこうとしていましたので、その折試しに循環器内科の担当医に、「糖質制限食」でいきますと伝えると、「えっ? それって民間療法ですか?」と返してきましたので、「なるほど」と状況を承知しましてそれ以上は黙ってやることに決めました。

折角血液検査をしていても、そちらの方は当然掛かりつけの糖尿病専門医に管理されているので、という思考の組み立て方なので、HA1Cのチェックは有りませんでした。次回是非お願いしたいと申し込みました。
おととい8月30日が退院後2回目の再診で、気になる数値結果ですが

入院時(5月5日)身長173cmm  体重80kg 中性脂肪値 1530 HA1C 8.2

現在(8月30日) 体重67kg 体脂肪 14.7% 基礎代謝 1581kcal BMI 22.5

中性脂肪  6月7日 183 8月30日 223 (赤でした)
総コレステロール 6月7日 170 8月30日 283 (これも赤でした:危うく追加の薬を処方されそうになりましたが、次回検診までご猶予を願いました)

なお、善玉、悪玉の数値を加味しなければならないことは事後に知りましたので控えませんでした。また、話題にもなりませんでしたが)

血糖値 93(空腹時) HA1C 4.2 

この結果を捉えて、担当医に対し「グリコラン」不要を誘導し、次回の数値結果が悪ければ、潔く掛かりつけ医の元へ駆け込むというこで折り合わせができました。

つまり、結果が出たということですよね。糖尿の外来で2~3年通院している知人にこの結果を話すと、大変驚いていました。

しかし、身近な医療関係者から「糖質制限食」なんて聞いたことが無いし、それどころか「炭水化物を摂らないなんて、とんでもない」と言われるということでなかなか感度が低い状況です。テレビコマーシャルでは(炭水化物)糖質が天辺のバランスコマが最近特に盛んにやっていますし、ぶっ飛んだのが「砂糖は脳の栄養」のコマーシャルです。(どげんかせんといかんですね。)

私も、経過をきちんと検証しながらといってもいい加減にやっていますので総コレステロールと中性脂肪が赤字の件について(思い当たる点がないわけではないので)意識して改善に努め、自らを示して、縁あれば「糖質制限食」という考え方を他者へも伝えていきたいと思います。

陰ながら、先生ご一同様のご活躍をお祈り申し上げますとともに、深く敬意と感謝を申し上げます。
by: keyeye * 2007/09/01 13:47」

keyeyeさん、心筋梗塞から生還されて本当に良かったです。
9月2日東京中野での講演のあと、奥さんとお話いたしました。

keyeyeさんのように、自分が糖尿病とはっきり認識していなくて、心筋梗塞を起こして病院に運ばれて、初めて指摘されるというパターンは結構多いのです。
 
久山町研究(7.27、9.2ブログも参照してくださいね)によれば、糖尿病の人はそうでない人に比べたら約3倍虚血性心疾患や脳血管障害の発症が多く、いかに良好な血糖コントロールを保つかが、その予防にとても重要です。

入院時(5月5日) 身長173cm  体重80kg 中性脂肪値 1530  HA1C 8.2

6月7日 中性脂肪 183  総コレステロール 170

8月30日 体重67kg 体脂肪 14.7% 基礎代謝 1581kcal
BMI 22.5 総コレステロール 283 中性脂肪 223 血糖値 93(空腹時) HA1C 4.2

HA1Cは4ヶ月弱で4.2%、空腹時血糖値も93、体重も67kgと実に見事な改善です。
糖質制限食の面目躍如ですね。 └(^へ^)┘

中性脂肪は仰るとおり、糖質を摂取すると上昇します。糖質制限食の実践で、糖尿病の薬も脂質異常症の薬も要りませんので、美味しく楽しく続けてください。

総コレステロールは、2007年の動脈硬化学会のガイドラインからは、はずれました。

糖質制限食で、HDL-コレステロールが上昇し、中性脂肪が下がり、小粒子LDL-コレステロールや酸化LDL-コレステロールといった真の悪玉は減少しますので、問題はありません。(6.9、10、11、12のブログ参照してくださいね)

keyeyeさん、ご指摘の如く「 糖質制限食」は、日本では完全無欠のマイナーです。一方ブログにも書きましたが、欧米では特にここ2.3年最先端では医学界でも徐々に広まりつつあります。

糖質制限食が日本で普及していけば、医療費はかなりの削減が可能です。糖尿病の内服薬、インスリン注射、脂質異常症の内服薬が1/3以下に減ります。上手くいけば薬も注射もなしになります。

日本医学界も是非、常識の壁を乗り越えて、生理学的・理論的見地から糖質制限食を評価していただきたいものです。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食(低炭水化物食)の長期的安全性
おはようございます。
京都漢方シンポジウム、活発な論議を経て無事終了しました。

シンポジウムに出席されていたお医者さんに以下の論文のことを教えていただき、早速調べてみました。

『米国の女性看護師82,802人を20年間追跡したところ、炭水化物が少なく脂肪とたんぱく質が多い食事でも、冠動脈疾患のリスクは上昇しなかった』

このような内容の研究が、New England Journal of Medicine、2006年11月9日号にハーバード大学のグループにより報告されました。

今まで、 糖質制限食(即ち高脂肪・高タンパク食)の長期的な予後に関する本格的な研究がなかったのですが、とうとう出たという感じですね。

論文を要約すると

『1980年、米国の女性看護師82,802人に対して、質問票を使った食事調査を行い、研究を開始した。
1980年から1998年までのあいだに、2~4年間隔で食事調査を6回実施し、一人一人の低炭水化物食の度合を得点化。
2000年まで20年間の追跡調査を行ったところ、1994人が心筋梗塞などの冠動脈疾患に罹患した。
解析の結果、「低炭水化物食得点」が上位10%のグループの冠動脈疾患の発生率は、下位10%のグループの0.94倍で有意差なし。
つまり、脂肪とたんぱく質が多く炭水化物が少ない食事をしているグループでも、心臓病のリスクは上昇しなかった。』
**Halton TL, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women. New England Journal of Medicine 2006;355:1991-2002.

低炭水化物食を長期に続けた場合、心臓病リスクの上昇などの害が生じるのではないかという批判が、従来の医学界おいてありました。

今回の研究は、低炭水化物食の長期的な安全性を調べる目的で、20年間、82,802人の女性の分析が行われました。

その結果、少なくとも心臓病に関しては、高タンパク・高脂肪食の長期的安全性があるていど保証されたということになります。

6.28のブログ
『米国の大規模介入試験(5万人弱の閉経女性を対象に、対照群を置き、平均8年間にわたって追跡)において、脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して心血管疾患乳がん大腸がんリスクを下げないことがアメリカ医学会雑誌2006年2月8日号で報告』

のように、低脂肪食が心血管疾患乳がん大腸がんリスクを下げないことも合わせて、とても興味深い研究報告でした。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食と高タンパク・高脂肪食と発ガン性?
おはようございます。

今日は、京都漢方シンポジウム第二日目です。
昨日も漢方の討論、大いに盛り上がりました。
今日のシンポジウムでは、「 糖質制限食」の最新のデータを
パワーポイント・スライドで、全国の漢方医の皆さんに紹介します。

さて今回は、ダルメシアンさんの質問にお答えします。

「私だけかもしれませんが、糖質制限食をしていると、どうしても肉などの動物性たんぱく質及び動物性脂肪を過剰に摂取してしまいがちになります。しかし、ガン経験者を初めとして多くの人達が肉食がガンの原因だと言って、玄米菜食をすすめていることも事実です。江部先生は、肉食とガンの関係についてはどう思われますか。」

ダルメシアンさんコメントありがとうございます。
以前comocomo さんからも同じ質問がありました。
『高タンパク、高脂肪食と発ガン?』
結構皆さんが素朴に持つ疑問のようですので、回答を一部再掲します。

糖質制限食を実践して動物性タンパク質や動物性脂肪を摂りすぎると、ガンの発病率が上がらないか?」という質問ですね。

動物タンパク質や動物性脂肪の摂取と発ガンに関しては諸説あるようですが、結局、本格的な疫学的研究が行われてないので、結論は出せないのが現状です。

ただ、

『生肉・生魚という高タンパク・高脂肪食が主食であるイヌイットの人々の疫学的研究においては、西洋人と比し特に発ガン性に差はなかったと報告されています。
 そして、イヌイットさんに心筋梗塞、糖尿病、アレルギー疾患が少なかったことも報告されています。
Dyerberg.J :Scand J Clin Lab Invest Suppl. 1982;161:7-13. 』

それから過去の常識として、日本でも欧米でも心臓病、糖尿病、肥満・メタボリックシンドローム、ガンなどの元凶として、脂質が犯人とされてきました。

ところが、米国の大規模介入試験(5万人弱の閉経女性を対象に、対照群を置き、平均8年間にわたって追跡)において脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して、意外なことに心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げないことがアメリカ医師会雑誌2006年2月8日号で報告されました。

つまり、従来のヘルシー食(糖質を中心に野菜をたっぷりと摂取)を徹底して脂質を減らしても、ガンも心筋梗塞も減らなかったという衝撃的な事実が明らかとなったわけです。

「5万人の8年間に及ぶ大規模介入試験」というのは巨額の研究費が必要で、日本では不可能な第一級の研究ですから、その意味はとても大きいのです。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
京都漢方シンポジウム
おはようございます。
昨夕は少しぐずつきましたが、今朝はとても良い天気です。

9.16、17と高雄病院で、京都漢方シンポジウムが開催されます。

日本全国から漢方医や薬剤師さんが、50人くらい参加されます。
慢性関節リウマチ、腎不全、慢性疲労症候群、アトピー性皮膚炎、過敏性腸症候群、膠原病・・・様々な病気の症例検討や討論が行われます。

十数年続いている会です。夜は宴会ですが、さすがに皆さん一定の年齢に達して、昔ほどの酒量は消費しなくなりました。
私もここ数年は、二日酔いにならない程度ですんでます。

漢方に関する興味深い話題があれば、ブログで報告しますのでよろしくお願いします。

江部康二
テーマ:運動と癒し
ジャンル:ヘルス・ダイエット
クラムチャウダーと 糖質制限食
こんばんは。
今日は、あやこさんからの質問にお答えします。

「あやこ 2007/09/14(金) 10:19
こんにちわ。クラムチャウダーはOKでしょうか??もちろん具は低糖質で作るつもりですが・・・。 」

スープは飲みたいけれど、ジャガイモやコーンが主成分のものは非糖質制限食品ですよね。
その中でクラムチャウダーは、糖質少なそうですしおいしいです。
私も、今まで直感的に糖質制限食OK食品と思って食べてましたが、あやこさんからの質問で少し調べてみました。

下記はウィキペディア(Wikipedia)から転載しました。
クラムチャウダー
『二枚貝のクリームスープ。アメリカ東海岸のニューイングランドが発祥地
ニューイングランド風クラムチャウダーの作り方を記す。
貝と小さめの賽の目切りした野菜をバター(ベーコンを使う場合はその油でも可)で軽く炒める。
小麦粉(薄力粉)を加えて、粉っぽさがなくなる程度まで炒める。
牛乳(生クリームならなお良い)でのばして、全体がクリーム状になったら濃度と味を調整して出来上り。
食べる際にパセリや砕いたクラッカーを浮かせることもある。』

これで見ると、クラムチャウダー、糖質制限食ほぼOK食品ですね。
小麦粉は、なしか或いは極力減らして炒めて、当然牛乳よりは生クリームです。
勿論クラッカーはなしです。

あやこさん、手作りのクラムチャウダー、心おきなく、美味しく楽しくたっぷりと
召し上がれ。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
血糖値上昇と運動
こんばんは。
江部診療所から高雄病院に向かおうという午後2:20頃、いきなりの土砂降りで傘があってもびしょぬれになってしまいました。

すぐに雨があがったので、ピンポイントで移動中の大雨でした。
通常はいわゆる晴れ男なのですが・・・。

さて今回は、ミントさんからの質問にお答えします。

「こんばんは。
京都駅前診療所の開設おめでとうございます。
関西に住んでいれば、京都の環境のいいところで治療したいと思いますが、他県からいらっしゃる人には交通の便のいいところに診療所があるのは選択肢が増えて助かりますね。

ところで、今日はひとつ質問があります。
江部先生の『主食を抜けば糖尿病はよくなる!』で他の患者さんのデータを見ていたんですが、いくら糖質制限食とはいえ、食後の血糖値がかなり低い場合があるように見えるんです。

例えば、夕食前159/夕食後143、103/122などです。
一応摂取する糖質の目安としては、夕食で15-20gのはずなので、最低でも45-60は血糖値が上がってもいいはずなのに逆に下がっていることもありますよね。

私の場合、スーパー糖質制限をやっていますがやっぱりそれくらいはあがってしまいます。
で、次の食事までにやっと元に戻るとして、食事でまた同じくらい上がってしまうので本に書かれている患者さんの例ほど下がってくれないのです。

これは、食後の自前インスリンの効きが相当悪いか出が悪いということなのでしょうか?それとも糖質制限の方法に改善点がある可能性があるのでしょうか。

もし何かお気づきの点があればで構いませんので教えていただけると幸いです。
by: ミント * 2007/09/10 21:17」


ミントさん、鋭いご指摘ありがとうございました。
「主食を抜けば糖尿病は良くなる」に載っている患者さんのデータ、食後が確かに想定範囲より低いことがありますね。

一つの理由は、1gの糖質が3mg血糖値を上昇させるというのは、ピークの数値ということです。通常60分値がピークで120分は少し下がってくることが多いです。

例えば、私が10gのブドウ糖を飲んで実験してみたところ、吸収が非常に良いので、ものの30分でピークに達してすぐに下がってきました。

二つめは運動です。今まであまり意識していなかったのですが、食後2時間血糖値ですから、この間散歩でもしたら、結構血糖値が下がります。食後安静にしていた時と運動した時は、当然血糖値に差がでます。

血糖値の日内変動検査を実施する時は、安静が原則なのでしょうが、患者さん皆さん散歩とか行かれることもあります。

ある患者さんで、カロリー制限の糖尿病食食後2時間血糖値が、朝食後150mg、昼食後160mg程度で、糖尿病というより境界領域なのかなと思いました。

ところが、夕食後は軽く210mgを超えてきて、やはり糖尿病だったのかと確認できました。

尋ねてみたところ、朝と昼は食後の散歩にいったけど、夕食後は安静にしていたとのことでした。このように運動で血糖値は結構下がります。

主食(糖質)摂取後30分で、30分ぐらい歩くと、血糖値が50~60mg下がります。一番高率のいい運動です。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
1型糖尿病とグルカゴン
こんばんは。

病院から広沢の池を経て、自宅の駐車場についてパジェロから降りたら、庭から風流な虫の音が聞こえてきました。

リリリリリリー・・・。あれはスズムシでしょうか?

さて今日は、saka10 さんの質問にお答えします。

「江部先生、こんばんは。
先生のblogで勉強しつつ
、ゆる~く糖質制限を続ける毎日です。
グルカゴンに関しての記事を拝見して、ひとつ質問があります。
グルカゴン分泌についてですが、ある程度の罹患期間の1型糖尿病患者はグルカゴン分泌も低下していると以前読んだ記憶があります。
糖質を制限した場合、脂質の分解によって得られるケトン体をエネルギーとして利用すると理解しているのですが、グルカゴンの分泌低下による影響
はないのでしょうか?
Dr.バーンシュタインが問題なく生活されているので、問題はないと思うのですが・・・・。
by: saka10 * 2007/09/11 00:44 」


saka10 さん、コメント・質問ありがとうございます。
いやはや、かなり難しい内容ですね。 <(^ー^ι)
回答は、二つの事柄に分けて考えるほうが解りやすいと思います。

1 ブログ「 内科開業医のお勉強日記」から一部引用させていただきました。

Diabetes 52:1195-1203, 2003 に載っている論文によると、
『Cペプチド無しの1型糖尿病において、血糖減少に応じて血中グルカゴン値は増加しない。低血糖に関する重要な防御が欠損している。
グルカゴンが反応しないというメカニズムは不明だが、内因性のインスリン不足に直接関連したものではないかと思われる。
残りの重要な低血糖防御機構であるエピネフリン増加に大きく依存することとなる。』

要するに、既にインスリンを分泌していない段階の1型糖尿病患者では、低血糖という刺激があっても、グルカゴンが分泌されなくなっているということですね。

通常は、低血糖の時はグルカゴンが分泌されて、血糖値を上昇させるのですが、その反応がないとすれば、低血糖が悪化しやすく危険ということになります。

saka10さんご指摘の「ある程度の罹患期間の1型糖尿病患者は、グルカゴン分泌も低下している」というのは、このことでしょうか?

2『近年、1型糖尿病患者では、インスリンだけでなくグルカゴン分泌を抑制し、肝臓での糖新生を抑える働きを持つホルモンであるアミリンの分泌も欠乏していることも明らかになった。』
これは定説です。

つまり、1型糖尿病患者は、「インスリンの分泌不足・欠乏」と「グルカゴン分泌抑制の不足・欠乏」により、二重に高血糖になりやすくなっています。

Diabetes/54巻,4号に載った小児1型糖尿病患者の研究において、アミリンのアナログ製剤であるpramlintideの投与によって、グルカゴン分泌が抑制されて食後高血糖が改善され、またグルカゴンの投与によって低血糖を予防できることも示されました。

**
小児1型糖尿病患者の血糖値変動の抑制におけるアミリンおよびグルカゴンの役割 
著者:Heptulla RA/Rodriguez LM/Bomgaars L/Haymond MW
出典:Diabetes/54巻,4号,1100-7頁/発行年:2005年04月 

これらを合わせれば、1型糖尿病患者さんは高血糖にも低血糖にもなりやすいし、低血糖の時は重症化の危険もあり、日頃のきめ細かい自己管理がとても重要になってきます。

糖質制限食あるいは糖質管理食により、糖質のグラム数を計算することで、血糖値の乱高下が、かなり改善されると思います。

糖質制限食というと、糖尿病専門医の先生には拒否される可能性がありますが、欧米では既に定着している糖質管理食なら、検討して頂けると思いますので、1型糖尿病の患者さんは、是非主治医に相談してみてくださいね。
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
2型糖尿病と早朝空腹時血糖値
こんばんは。
今日も朝夕涼しく京都もいよいよ秋突入でしょうか?

さて今回は、ちょここさんの質問にお答えします。

「 ありがとうございました!

先日、東京の講演会に出席させて頂きましてありがとうございました!これからの治療も含めて参考にさせていただきます。
私は2型DMで今は強化インスリン療法をしています。超速効をノボラピッド、基礎分泌用はランタスです。私は朝1の血糖値が高くなかなか改善しません。
↓江部先生の文で納得しました。

2型糖尿病で寝る前の血糖値より早朝空腹時血糖値のほうが高値だったりするのも、夜中の睡眠時に肝臓が糖新生しているからです。 インスリンの基礎分泌があるていど低下してしまった2型糖尿病だと、インスリンの血中濃度が不足するため肝臓の糖新生にフィードバックがかからず、夜中にブドウ糖を作りすぎてしまうのです。そのため早朝空腹時血糖値は高くなります。 】

主治医に聞べきだと思うのですが・・・
どうしたら、それ(朝の高血糖)を防ぐことが出来るのでしょうか?
ランタスを増やすほうが良いのか?それとも他の策はあるのでしょうか?江部先生の考えを聞かせて下さい。」

ちょここさん、講演参加そしてコメントありがとうございます。2008年1月にも東京で講演しますので是非どうぞ。

さて、インスリン基礎分泌用のランタスですが、24時間ジワジワと少しずつ吸収されたら一番いいのですが、どうも22~23時間前後で効果が切れるようです。

メーカーさんによれば、毎日打ち続けることで、ほぼ24時間カバーできると仰るのですが、やはり個人差があるようです。

特に1型糖尿病の場合など、毎日同じ時間に同じ量を注射しているのに、昨日は早朝空腹時血糖値60mg/dl、今朝は300mg/dl、というようなことがあって困ってしまったことがあります。

このような時、例えば、朝食前7時半頃ランタス1回8単位注射していて、翌日の午前6時、7時くらいの血糖値が高値なら、一日二回注射(4単位×2、朝食前と眠前など)を試してみます。この方の場合、この方法でコントロールが良くなりました。

このような選択肢もありますし、また糖質制限食あるいは糖質管理食を考慮に入れれば、インスリンの量はかなり減らせると思いますので、ちょここさんも、主治医とよく相談してみてくださいね。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食と尿酸値
こんばんは。めっきり秋らしくなった京都です。
夜診が終わって帰ろうとしたら、しとしと雨が降ってました。
結構涼しいです。

さて今日は、ももかんさんの質問にお答えします。

「ももかん 2007/09/05(水) 02:42
私は先日、20キロのダイエットに成功しました!体脂肪も15%減りました。今まで何度もダイエットに失敗して、凄く辛い思いをしましたが、江部先生の著書とこのブログと糖質制限食に出会って、今までのダイエットが嘘のように、体重が減っていき、血糖も下がり、血液検査の結果も非常に良好です!本当に良かったと思っております。まだまだ肥満気味なので、頑張ります。ひとつ疑問に思う事があるのですが、糖質制限食を実行してから、尿酸値が少し高めになりました。蛋白質のとりすぎだと高くなると聞いた事があるのですが、本当なんでしょうか?」


ももかんさん、20キロのダイエット成功、おめでとうございます。
今まで他のダイエットが上手くいかなかったとのことですので、糖質制限食の面目躍如で私もとても嬉しいですね。

糖質制限食血糖値や中性脂肪は下がって正常になり、HDL-コレステロールは上昇します。即ち、代謝全てが安定していきます。

総コレステロールとLDL-コレステロールは人により差があり、一定しませんが、真の悪玉の小粒子LDLや酸化LDLは減少しますので、問題はありません。

尿酸も個人差があり一定しません。
ちなみに、江部康二はスーパー糖質制限食ですから、タンパク質摂取は総カロリーの32%ていどとかなり食べていますが尿酸値は2.4~2.7mg/dl(7以下)と低めです。私の兄も同様です。

尿酸値は、従来、肉の摂りすぎやビールの飲み過ぎということが常識だったのですが、食事由来の尿酸は約100mgで、一日に生産される総量約700mgに比し、かなり少ないということが判明しました。(7.24、25のブログ参照してくださいね)

つまり尿酸値に関しては、食事より体質やストレスや肥満のほうが大きな要因になります。ももかんさんも、このまま糖質制限食で様子をみていただいてよいと思います。

糖質制限食で、一旦尿酸値は上昇することもありますが、その内落ち着くことも多いです。ももかんさんも肥満がさらに改善すれば、尿酸値に関しても未来は明るいとおもいますよ。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食と馬力不足?
こんばんは。
久しぶりのテニスで、一夜明けて、若干筋肉痛のある江部康二です。
今日はラッキー太郎さんの質問にお答えします。
遅くなって申し訳ありませんでした。

「ラッキー太郎 2007/08/09(木) 06:12
件名 : また糖質制限始めました!
初めて投稿させていただきます。
主食を抜けばの著書は一年程前に購入しまた最近読み直しています
やはり糖質を制限すれば血糖値の上昇は抑えられますが・・・

長期的な体への影響と馬力不足(笑)を感じます。
無投薬、自己血糖測定しながら食事療法と運動で血糖値の上昇を抑えています!今朝早朝は110でした!上昇と戦っています」


ラッキー太郎さん、糖質制限食血糖値改善、よかったですね。
まずはおめでとうございます。

さて糖質制限食と馬力不足ですが、これはありえます。二つの要因が考えられます。

一つは、年配で小食の人に多いのですが、結果として低カロリーになっていて『血糖値は下がったけど元気が出ない、体力がおちた、痩せた』などと仰ることがあります。

この場合は、おかずをしっかり食べていただき、カロリー不足にならないようにすればいいですね。

もう一つは、 糖質制限食により、筋肉中のグリコーゲンの貯蔵が、高糖質食に比べて減少する可能性があるのです。
 
元プロボクサーの、あらてつさんのブログに下記の記事が載っています。

『運動時に最大出力の持続時間が短くなったとのことですが、これは、糖質の摂取量と関係があるのでは?と考えております。
長距離を走ったり泳いだりなんかは、脂肪をエネルギーとするので糖質制限食中でも問題ないですし、脂質を代謝する体になっているので、かえってスタミナがついていたりします。
ところが、短距離走など短時間に出力の大きい運動をするときは、糖質をエネルギーとするので、糖質制限食をしているとガス欠になっちゃう時があるんですね。
ボクシングも、短時間で最大出力を繰り返す競技の代表みたいなもんで、この傾向が顕著に現れます。』

即ち、急激に激しい運動を繰り返したときに、筋肉中のグリコーゲンが一定量以下になると、ガス欠でヘロヘロになり動けなくなります。

これだけは 糖質制限食の欠点と言えるかもしれません。

日常生活やマラソン・ジョギング・水泳など有酸素運動には影響はないか、あらてつさんの仰る如く、かえってスタミナがつくかもしれません。

長期的な身体への影響に関しては、 糖質制限食で代謝全てが改善しますので動脈硬化もふくめ生活習慣病の改善・予防に役に立ちますのでご心配なく。
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
高雄病院京都駅前診療所のご案内
おはようございます。
高雄病院京都駅前診療所のご案内です。

問い合わせが結構多いようですので、高雄病院駅前診療所の概要を説明したいと思います。

高雄病院の外来患者さんは、右京区から30%、右京区以外の京都市・京都府から35%、京都府以外から35%といった内訳で、通常の病院とはかなり異なっています。

西洋医学単独では、難治の様々な現代病の治療のため、京都市内はもとより、全国各地から、たくさんの患者さんが漢方治療を求めてやって来られます。そのため利便性を考えて、今回京都駅前診療所を設立しました。

漢方治療が主ですが、勿論西洋薬も処方します。
具体的には、慢性関節リウマチなど膠原病、過敏性腸など消化器疾患、アトピー・喘息などアレルギー疾患、腎不全など腎疾患、不妊症・生理不順など婦人科疾患、糖尿病など代謝疾患・・・など、様々な病気の患者さんがこられます。

駅前診療所では、漢方治療、糖尿病の糖質制限食治療、アトピー治療を中心に医療を展開していきたいと思っています。
開院後一段落したら、徐々に 糖質制限食OK食品の販売も始めよう考えています。

ブログ読者の皆さんには、ご家族、ご親戚、友人、知り合いの方々で、漢方・糖尿・アトピー治療の希望がある方に、高雄病院京都駅前診療所の情報を伝えていただけば幸いです。


☆☆☆
2007年10月1日、開院です。
予約制となっております。
水曜日が定休日です。
月、火、木、金、土と外来があります。
夜診もあります。
詳しくは、高雄病院(075-871-0245)までお電話にてお問い合わせください。
高雄病院のホームページにも案内が載ってます。
http://takao-hospital.jp/sinryo/ekimae.php

場所は、烏丸七条交差点を東へ10m、バス停の真ん前です。七条通り北側に面しています。京都駅からは地下を歩いて約4分です。
大きな100円パーキングが烏丸七条交差点を東へ80m、七条通り南側に面してあります。

9月1日から、高雄病院(075-871-0245)で予約受付を開始しています。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
江部康二の糖質制限食そしてグルカゴン  
こんにちは。今日は今からテニスにでかけます。

日曜日が連続三回、 糖質制限食講演会でテニスができなかったので久しぶりです。うまく球が打てるかどうか、ちょっぴり心配です。

さて、街のくまさんからのコメント・質問です。

「毎度有難うございます。いつも楽しく勉強させていただいています。
先生の食生活を拝見しますと、蛋白質は多いのですが、糖質は当然ですが、脂質も少ないような気が致しました。
蛋白質はスパイクが起きないものの、半分が糖質に変わると伺いましたので
血糖値の為には、蛋白質より脂質の摂取に重点を置くべきかと思っていたのですが。
先生は脂質と蛋白質のどちらを多く摂取すべきとお考えなのでしょうか
ちなみに脂質摂取過多はグルカゴンの分泌を促し、解糖・糖新生による高血糖に繋がるとも読んだ覚えがあるのですが。
by: 街のくま * 2007/09/04 01:33 」


『「和風さと」で、おろしたっぷり和風ハンバーグ(たれかけないで醤油)、しめ秋鯖、秋刀魚の刺身、冷や奴、焼きなす、具たくさんの大盛り味噌汁をいただきました。』
( 9.3のブログ)

街のくまさんご指摘の如く、確かにこの日のメニューはタンパク質が多いですね。あまり意識していませんでした。まあハンバーグのサラダにはマヨネーズをたっぷりかけて食べましたが・・・。

脂肪たっぷりのロースやサーロイン、ベーコンやソーセージなども食べますし、また鶏の唐揚げや豚カツも、小麦粉に目をつぶって時々食べます。

脂質の多いマヨネーズも使用頻度は高いです。オリーブオイルたっぷりの炒め物もよく食べます。そろそろ、ラカントS入りのすき焼きもいいですね。

私の場合、基本コンセプトはとにかく糖質制限で、タンパク質と脂質は全く意識せずに何でも食べています。

ちなみに高雄病院の給食ではスーパー糖質制限食の総カロリーの比率は、平均値として糖質12%、脂質56%、タンパク質32%くらいです。

さて、グルカゴンは膵臓のA細胞(α細胞)で産生・分泌される血糖を上昇させるホルモンで、インスリンと拮抗して作用しています。

主な標的器官は肝臓で、グリコーゲン分解を促進してブドウ糖にし、アミノ酸からの糖新生を促進し血糖値を上昇させます。

また、脂肪組織から脂肪酸とグリセロールへの分解を促進し、肝臓における糖新生を促進します。

グルカゴンの分泌は低血糖により促進され、高血糖により抑制されます。遊離脂肪酸によっても抑制され、アルギニンなどのアミノ酸によって刺激されます。

インスリンはグルカゴン分泌を抑制します。

『脂質摂取過多(高脂肪食)がグルカゴンの分泌を促進する』ということは、まずないと思います。少なくとも、高脂肪食で高血糖になることは100%ありません。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
フグは糖質制限食
こんばんは。
江部康二です。

昨夜は自宅から徒歩3分の、行きつけの小料理屋さんで
実に数年ぶりに天然のフグを食べました。 Ω(*'〇^*)Ω
フグ・・・高いけど完全無欠の 糖質制限食ですよね。
てっさ(¥1500)と焼きフグ(¥2500)でした。

天然物にしてはあまりの安さにバッタモンかと思って、失礼を顧みず大将に聞いたら
旬の前なので料亭さんが買わないので安く手に入ったのだそうです。
いやはや運が良かったです。
これからは江部家の家訓に「天然のフグは9月に食うべし」というのをいれとこうと思いました。
 ちなみに淡路産の天然物のフグでした。

 鯨ベーコン、三重のトリガイ・サザエ、鰹、剣先イカの刺身もたべました。
秋刀魚の梅しそ揚げ、ゆで豚のサラダ、
松茸の土瓶蒸し(敢えて中国産です)   (・д・ )
豚ヒレカツもいただきました。
 さつま白波(芋焼酎)の水割り2杯飲みました。

 勿論連れ合いと二人で上記を食べましたが、6.7割は江部康二が摂取したと思います。
いやはや、とても美味で満足な、そして糖質制限な夕食でした。
ダイエットや断食と筋肉
こんばんは。
もう一度、ミントさんからダイエットと筋肉分解についての確認の質問です。

「ミント
こんばんは、ご丁寧な回答ありがとうございました。
人体では筋肉より脂肪が先に使われるということはわかりました。
以前、ダイエットで食事制限のみ行うと筋肉が減って基礎代謝量も減るというのを聞いたことがありますが、本当は筋肉は減っていないということでしょうか?
質問ばかりですみません。
どうしても気になるので教えていただけると幸いです。」

ミントさん、言葉足らずで済みませんでした。

人体は、エネルギー源として<アルコールブドウ糖脂質タンパク質>と順番に利用していきますが、これはあくまでも大雑把な流れとしてです。

例えば「アルコールを全て使い切って、次はブドウ糖、さらにブドウ糖を全て使い切って次は脂質脂質を使い切ったらとうとうタンパク質・・・」ということではありません。

ダイエットしている時、現実には脂質をエネルギー源としながら、一部はタンパク質をもエネルギー源とするというような局面もあります。即ち筋肉が減ることもあります。

私自身、断食を12回、行ってますが、初回は<カロリーゼロ、塩ゼロ>の、本断食(水のみです)でした。いずれも断食の期間は3日間です。
(普通食2日間→3日間の漸減食→3日間の断食→3日間の回復食→普通食2日間)

本断食は、やはりかなりしんどいもので、スタッフには「大丈夫」とやせ我慢をしてましたが、実際は外来診察終了後、冷や汗と動悸でこっそりベットで寝ていました。

また、明らかに筋肉が分解した実感があって、階段でガクガクと力が入りにくい感覚がありました。本断食後しばらくは、足の力が落ちていました。

2回目以降は、すまし汁断食で、一日210キロカロリーの黒砂糖と、椎茸・昆布ダシのすまし汁(塩分3g)を飲みます。

すまし汁断食は、本断食に比べたら格段に楽に行えて、外来どころか、土・日はテニスもしながら全うできました。

この時は、足の筋肉の脱力感はほとんど無かったので、筋肉の分解はかなり少なくてすんだのでしょう。

結論です。

かなり厳しいカロリー制限のダイエット(例えば本断食)だと、脂肪だけでなくタンパク質(筋肉)も燃える可能性があります。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
ブログと減酒効果
こんばんは。
ここんとこ堅い話が続いたので、私事ですが、少し柔らかめのお話です。

2007年2月27日から糖尿病ブログを開始して、結構まめに更新しています。こんなに続いているのは自分でもビックリです。

その結果、私のライフスタイルで一番大きく変わったのは、お酒の量が半減したということで、健康的・経済的ブログ効果でした。

ブログ開始前は、診療が終わって夕方帰宅して、パソコンを立ち上げてメールチェックして返事など出して、その後は食事です。

リボーンや新聞の原稿などがなければ、スタイルフリー・焼酎・赤ワインになだれ込んでそのまま飲み続けて、12時前に就寝といったパターンでした。

飲み過ぎたら、ソファーでそのまま寝てしまうこともよくあって、翌朝首が痛かったり腰が痛かったりの元凶ともなっていました。

ところが、ほぼ毎日近くブログを更新している現況では、夕食の後も一段落するまで、もう一回パソコンに向かって記事を書きます。

何のかんのいっても、午後10時過ぎくらいまでかかることが多いので、飲酒タイムが「4~5時間→1.5~2時間」半分以下に減ってしまって、血中アルコール濃度が上昇しきる前に、ほろ酔いくらいで就寝タイムとなります。

以前は、かなり酔っぱらってしまうまで飲んで、自制が効かなくなってまた飲んで、といった悪循環パターンで二日酔いも多かったのですが、最近は赤ワインボトル半分か焼酎水割り2.3杯で終了・打ち止めでとても健康的なのです。

ブログの思わぬ減酒効果でした。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
高雄病院京都駅前診療所のご案内
高雄病院京都駅前診療所のご案内です。

9月5日、駅前診療所の内装がほぼ完成しました。
とても綺麗な仕上がりで、ホテル並みの待合室です。

2007年10月1日、開院です。
水曜日が定休日です。
月、火、木、金、土と外来があります。
夜診もあります。
詳しくは、高雄病院(075-871-0245)までお電話にてお問い合わせください。

高雄病院のホームページにも案内が載ってます。
http://takao-hospital.jp/sinryo/ekimae.php

場所は、烏丸七条交差点を東へ10m、バス停の真ん前です。七条通り北側に面しています。京都駅からは地下を歩いて約4分です。

9月1日から、高雄病院(075-871-0245)で予約受付を開始しています。

皆さん、宜しくお願い致します。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖新生と糖尿病
おはようございます。
昨夜から今朝は久しぶりに暑くって、午前2時に目が覚めてクーラーをつけて寝直しました。

さて、ミントさんから糖新生について質問がありました。

「ミント 2007/09/02(日) 00:23
本文
こんばんは、明日は中野での講演会ですね。
先日もお話しましたが、とても楽しみにしております。
最近はスーパー糖質制限のおかげで血糖値が少しずつですが下がりつつあります。
おかげさまで次の検査がとても楽しみです。ありがとうございます。
さて、江部先生の書かれた本を読ませて頂いたところ、糖質制限を実施すると人の体は糖質ではなく脂質を消費するようなメカニズムに切り替わる、とのことですがひとつ心配なことがあります。
糖質制限のことをいろいろ調べているうちに、『糖新生』という言葉を知りました。
糖新生が発生すると、脂肪の分解だけでなく筋肉の分解もエネルギー源とし、かつ通常の場合、筋肉の分解のほうが脂肪の分解より簡単なのでこちらのほうが起こりやすい、ととあるサイトに書かれていました。糖質制限食ではこの心配は無用でしょうか? 」

ミントさん、9.2(日) 糖質制限食講演会参加、ありがとうございました。

次回は是非、「こんにちは」したいですね。ブログのハンドルネームと実物・・・ウーム、ご対面、楽しみです。

さて糖新生ですが、正常人でも日常的に毎日肝臓で糖新生してます。中性脂肪の分解産物グリセロールからの糖新生、筋肉のタンパク質分解によるアミノ酸からの糖新生などがあります。

従いまして、筋肉の分解というとなにやら怖そうなお話ですが、私達の身体の営みにおいて少量の筋肉の分解・再生は毎日、正常人でも生理的に行われているのですね。

2型糖尿病で、寝る前の血糖値より早朝空腹時血糖値のほうが高値だったりするのも、夜中の睡眠時に肝臓が糖新生しているからです。

インスリンの基礎分泌が、あるていど低下してしまった2型糖尿病だと、インスリンの血中濃度が不足するため肝臓の糖新生にフィードバックがかからず、夜中にブドウ糖を作りすぎてしまうのです。そのため、早朝空腹時血糖値は高くなります。

さて、人体のエネルギー源の流れとしては、アルコール→ブドウ糖→脂質→タンパク質の順番で利用されます。ですから、エネルギー源として筋肉(タンパク質)の分解の方が、脂肪の分解より簡単というようなことはありません。

また、糖質制限食をしていない普通の食事の人でも、安静時や事務仕事の時の心筋や骨格筋の主エネルギー源は、脂肪酸ーケトン体で、ブドウ糖はわずかです。

いつも言っていますように、脂肪酸-ケトン体エネルギーシステムは、人体を自動車に例えるならば、ガソリンの代わりになるもので日常的なエネルギー源なのです。
(4.23、24、25、26のブログ参照していただけば幸いです)

極端な飢餓だと、<アルコール→ブドウ糖→脂質→タンパク質>と人体は順番にエネルギー源として利用していきますが、最終的に筋肉(タンパク質)が分解されて心筋にも及べば、死亡してしまいます。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット