欧米人の巨大肥満とインスリン

おはようございます。今朝もセミに起こされた江部康二です。
暑い一日が始まりますが、この際、今回は逆療法で暑苦しい(?)お話を一つ。

さて、欧米における肥満の増加が目立っています。世界保健機関(WHO)によると、肥満の指標であるBMI(体重÷身長÷身長)数値が30以上の肥満人口は、1995年から2000年の間に、世界で2億人から3億人以上に増加したそうです。

人口に占める肥満者の割合(大人の場合)は米国で30.5%、英国で22.14%、オーストラリアは16.4%です。日本(3.1%)や中国(2.9%)などアジア諸国は欧米に比べると肥満人口はかなり少ないです。

日本の場合、BMI25以上が肥満とされていますが、欧米に比べるとかなり厳しい基準ですね。

でも、BMI30というのは、日本では雑踏ですれ違ったとしても、一目肥満で目立つ存在ですので、欧米の肥満恐るべしです。( ̄◇ ̄)

米国フロリダ州の病院では、肥満患者を運ぶため、体重220キロにも対応できる救急車を導入したそうです。体重約150キロを超える入院患者は、20年前は年に1人いるかどうかでしたが、最近は、毎日のように運ばれてくるといいます。

このように、欧米には体重150kgを超える、巨大肥満がざらにみられますが、日本人ではまれです。この違いはなぜでしょう?

一言で言えば「インスリン分泌能力の差」です。以前ブログでインスリンは肥満ホルモンと書きました。

糖質を摂取して血糖値が上昇すると、インスリンが追加分泌されてまず筋肉で利用させますが、余った血糖値が全て中性脂肪に変わります。

糖質の過剰摂取を繰り返していると、その度にインスリンが分泌されて徐々に肥満していきます。

一旦肥満(特に内臓脂肪肥満)してしまうと、細胞にインスリン抵抗性(インスリンの効きが悪くなること)がでてくるので、同じ程度の血糖値を処理するのに、今まで以上の量のインスリンが必要となります。

そして更に肥満が進行するという、悪循環のスパイラルに入ります。

欧米人(特に白人)は、インスリン分泌能力が高いので、このスパイラルに入っても10年、20年、30年と大量のインスリンを出し続けるので、糖尿病にはならずに巨大肥満が発症するのです。

日本人は、数年レベルでインスリン分泌能力が疲弊してきて糖尿病を発症してしまうので、巨大肥満に到らないのです。

ともあれ、糖質の過剰摂取が肥満や糖尿病の根本的な要因ですので、結論として、これらの問題を解決するには、糖質制限食の出番となります。

肥満・糖尿病の原因は、決して脂肪ではないことはお忘れなく!!

最近の欧米の研究により、従来推奨されてきた脂肪制限食は、減量における長期的有用性には否定的であることが明らかとなりました。(医学雑誌、治療、食事療法のエビデンスと実際、柳内秀勝、多田紀夫、2007.7、2286〜2290)

江部康二
テーマ: 糖尿病 -  ジャンル: ヘルス・ダイエット
by ドクター江部  at 07:47 |  肥満・ダイエット |  comment (4)  |  trackback (1)  |  page top ↑
プロフィール

ドクター江部

Author:ドクター江部
江部康二です。京都の高雄病院で勤務しています。漢方やアトピー治療でご存知の方もおられるかと思いますが、最近、自分が糖尿病だということが発覚し、糖尿病の新しい食事療法『糖質制限食』に力を入れてます。これからも宜しくお願いしますね。

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