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現行の糖尿病治療の問題点⑨速効型インスリン分泌促進剤
こんばんは。今日も一日良い天気でした。何だか今年の京都はは梅雨という機運が全然高まりませんね。

糖尿病の内服薬の解説、最後は速効型インスリン分泌促進剤です。

速効型インスリン分泌促進剤は、食後高血糖が問題となってから後、比較的最近開発された薬です。日本では、グルファスト、スターシスなどがあります。

服用後ごく短時間でインスリン分泌を促進し血糖値を下げます。従って食前30分投与では低血糖を起こす可能性があるので、食直前に飲みます。

食事直前に飲んで、服用後2~3時間だけ作用します。SU剤と比べたら血中からの消失が極めて早いので、正しく服用すれば低血糖発作もSU剤に比べたらほとんど起こしません。

従来の食事療法、運動療法で血糖値が充分下がらない時は、SU剤より先に単独で使用するのがリーズナブルです。

速効型インスリン分泌促進剤だけで、食後高血糖のコントロールができない時は、α-グルコシターゼ阻害剤と同時併用を考慮します。

SU剤との併用は認められていません。

糖質制限食的にも、スタンダードやプチの時はα-グルコシターゼ阻害剤と共に、結構使用頻度の高いお薬です。私もいざというときのために財布に入れて持ち歩いていますよ。( ̄ー ̄)

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
現行の糖尿病治療の問題点⑧インスリン抵抗性改善剤
こんばんは。今日は久しぶりに朝からじめじめ・しとしとと梅雨らしい雨が降り続いています。

まずは、嬉しい報告です。
糖尿病が良くなるごちそうレシピ」「 糖質制限食 春のレシピ」「 糖質制限食 夏のレシピ」の共著者である、野邦子先生が先日ブログを開始されました。

<糖尿病・ダイエットにも使える糖質制限食レシピ>です。

第1回目は、アボカドをつかった料理を写真入りで紹介してあります。

果物の中で唯一 糖質制限食合格のアボカドですが、やや癖のある味で実は私もやや苦手でした。

でも野レシピの料理を高雄病院の医局で手作りで食べさせてもらって、アボカドへの偏見が消えました。いやはや、とってもおいしいではないですか。 \(⌒∇⌒)/

皆さん、是非一度、野先生のブログも覗いてみてくださいね。

さて、

糖尿病の内服薬、順番に説明してきましたが、今日はインスリン抵抗性改善剤のお話です。

日本ではアクトス(塩酸ピオグリタゾン)が発売されています。

名の如く、インスリン抵抗性の改善を介して血糖降下作用を発揮します。膵臓には働かずインスリン分泌促進作用はないので、単独の使用では低血糖は起こしません。

肥満や内臓脂肪が多くて、インスリン抵抗性がベースにある糖尿人には有効率が高いようです。

問題点として、体内に水分を貯めやすくなることがあります。従って、心不全の傾向がある人には使用できません

また、むくみやすい、体重が増加しやすい、まれに肝障害.貧血などの欠点もあります。

糖質制限食を実践している糖尿人は、内臓脂肪や肥満も減少しインスリン抵抗性も改善するので、副作用を考慮すれば特に必要はない薬ですね。

糖質制限食がうまくできない人においては、副作用がでなければ使ってもよいかなという位置づけです。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
肥満と内臓脂肪、皮下脂肪
こんにちは。まだ筋肉痛が残存している江部康二です。

今回は「せいちゃんさん」のコメントからスタートです。

「ありがとうございました。
私の紹介で高雄病院の外来へ受診した知人が、糖尿病はもちろん何も悪いところがないと先生に太鼓判を押され大変喜んでいました。
年齢60歳のぽっこりとお腹の出た体型で、絶対に何かあると思っていたそうです。何もなかったと少し浮かれ気味なので、「食べ過ぎたりしないようにね」と言うと、彼女曰く、「大丈夫、江部先生に太らない食事方法を教えてもらったから」と嬉しそうに返してきました。紹介者として、私もとても感謝されました。先生、ありがとうございました。
2007/07/02(月) 13:40:01 | URL | せいちゃん」

せいちゃんさん。いつもコメントありがとうございます。
内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満ということで話題に取りあげさせてもらいまいした。
60才の知人の女性、皮下脂肪が多くて内臓脂肪が少ない、いわゆる健康肥満タイプだったのでしょうね。 (o´~`o)
糖質制限食を実行していただけば、内臓脂肪も皮下脂肪も減ってお腹も引っ込むと思いますよ。

さて、

年齢別の男女の肥満(BMI>25)の割合は、男性は30歳代から25%程度に肥満がみられますが、女性は40~50歳代になって急に肥満者の率が増加し、それ以降は、ほぼ男性と同じ30%位の肥満率となるようです。

女性の場合、内臓脂肪は閉経期を迎えるまでは徐々にしか増加しませんが、閉経後は2倍以上の速さで増加します。

このように、閉経後女性の肥満は内臓脂肪の増加がベースにあることも多く、生活習慣病のリスクも増加します。

閉経後の内臓脂肪の蓄積は、卵巣機能の消失による女性ホルモンの低下が大きな要因と考えられています。
 
男性の肥満者では、年齢と共に内臓脂肪の割合が増加していきます。特に成人後体重が増加した人は、内臓脂肪が増えている場合が多く認められます。

近年、内臓脂肪はホルモン産生臓器と考えられています。即ち、血圧を上昇させるホルモン(アンジオテンシノーゲン)、インスリン抵抗性を引き起こすホルモン(TNFα)、狭心症や脳梗塞の元凶になる血栓形成に関与するホルモン(PAI-1)などを分泌していることが解ってきたのです。

脂肪細胞からはアディポネクチンという、糖尿病、高血圧、血管病など主要な病気を防御している善玉ホルモンも大量に分泌されています。しかし、内臓脂肪が増えると善玉ホルモンの分泌が減り、それらの病気になりやすくなるのです。

皮下脂肪は、上述の身体に都合の悪いホルモンを、内臓脂肪の1/2~3程度しか分泌していません。単純に言うと皮下脂肪は食料の備蓄として役に立っているけれど、内臓脂肪は基本的に悪玉と言えます。

このように、同じ肥満者でも、「皮下脂肪型」と腹腔内脂肪の蓄積した「内臓脂肪型」に分けることができます。このうち内臓脂肪型では、肥満度とは無関係に血糖、中性脂肪、血圧が上がり、また心筋梗塞や脳梗塞などの血管病が発症しやすいことが明らかになっています。

内臓脂肪蓄積の最大の要因は、脂肪ではなく精製炭水化物の過剰摂取です。米国のデータで1970年から、総カロリーに占める脂肪の割合は減り続け、一方糖質の割合は増え続け、その結果30年で肥満が倍増しているのがその証拠といえます。

江部康二
現行の糖尿病治療の問題点⑦α-グルコシダーゼ阻害剤
こんばんは。
7.1日曜日は3週間ぶりにテニスにいってきました。
なかなか久しぶりのわりにはショットは好調でしたよ。
でも本日、若干の筋肉痛があるのは・・・ウーム!?

さて、

デンプンのような多糖類は、『α-グルコシダーゼ』という消化酵素の作用を得て、二糖類(麦芽糖や蔗糖)、単糖類(ブドウ糖や果糖)に分解されて消化管から体内に吸収されます。

この、α-グルコシダーゼの働きを阻害することにより、腸管からの糖質の分解・吸収を遅延させて、食後高血糖を抑制するお薬が、『α-グルコシダーゼ阻害剤』(グルコバイ、ベイスンなど)です。

作用機序から考えて、膵臓のβ細胞には全く影響を与えないので、SU剤のように疲れた膵臓を鞭打つといった欠点はありません。 (o^。^o)

しかし、食後高血糖を抑制する効果はそれほど強力ではありません。(*- -)(*_ _)

また、頻度の多い副作用として、分解が遅れて腸管にのこった糖類が醗酵してガスがでたり、お腹が張ったり、下痢をすることがあります。

グルコバイ(アカルボース)は唾液アミラーゼを含む、多糖類分解酵素に対し阻害作用を示し、その結果、グルコースやフルクトースへの分解、吸収を遅らせます。

ベイスン(ボグリボース)は、二糖類分解酵素のみを阻害し、α-アミラーゼにはほとんど阻害作用がありません。従って、グルコバイのほうが少し効果が強いですが、副作用もややでやすいです。

私自身で行った人体実験では、かなり興味深いことがありました。

グルコバイの常用量を食直前に服用して何種類かの食品を試食してみました。蕎麦はほとんど腹満がなかったのですが、お餅は最悪で、腹満・腹痛・ガスのフルコースで病院に行こうか?と思ったくらいでした。 (×。×)

うどんやご飯は、蕎麦に比べたらやや腹満・ガスなど出やすかったですね。

個人差はあると思いますが、参考にしていただけばと思います。

スーパー 糖質制限食の場合は、ほとんど薬はなしですが、お昼だけ主食ありの『スタンダード 糖質制限食』の時は、グルコバイを内服してもらうことがあります。

従いまして、「糖尿病には糖質制限食」の高雄病院でも比較的使用頻度の高いのが『α-グルコシダーゼ阻害剤』です。

高雄病院入院中にグルコバイ100mgを内服して、昼食に例えば玄米150g、110g、90gとかで実験して、食後2時間血糖値値が180mgを超えない量をリサーチすることも多いです。

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基本的に安全性の高い薬ですが、まれに肝障害を来す例があるので、定期的血液検査をする方がよいです。


江部康二
テーマ:糖尿病
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現行の糖尿病治療の問題点⑥ビグアナイド系薬剤
おはようございます。昨夜はテニスクラブの仲間と鹿ヶ谷山荘で宴会でした。

哲学の道から山の方にひたすら急な細い坂道を上がっていきます。

知る人ぞ知る店なのですが、本当にこんなところにお店があるのと不安になるくらいのかなりの高台に位置していて眺望は抜群です。

糖質制限食と紫尾の露という鹿児島の芋焼酎をたっぷり楽しみました。

結局、帰ったら午前様になってしまったのですが、翌朝の二日酔いはというとほとんど無くて、やはり焼酎様々ですね。

さて今日は、糖尿病の内服薬の中でビグアナイド系薬剤のお話です。

ビグアナイド系薬剤は、その中の一つのフェンホルミンという薬が乳酸アシドーシスという副作用を起こしやすかったため、一時期他の薬も含めてほとんど使われていませんでした。

しかし乳酸アシドーシスを起こしにくい塩酸メトホルミン(メルビン、グリコランなど)塩酸ブホルミン(ジベトスB、ジベトンSなど)などが近年見直されてきました。

これは、大規模臨床試験(UKPDS:1998年報告)で、「塩酸メトホルミン投与により肥満のある2型糖尿病患者で死亡率を減少させた」という結果がでたことによる影響が大きいと思います。

ビグアナイド剤の作用は、肝臓での糖新生の抑制が主で、その他消化管からの糖吸収の抑制、末梢組織でのインスリン抵抗性の改善などがあります。従ってSU剤とは違って、膵臓に直接作用するのではなく、膵外作用で血糖値を下げますので膵臓には優しい薬といえます。

単独使用では、低血糖を起こす危険は極めて低いです。糖質制限食的にも、問題の少ない良い薬です。

しかし、肝腎の効きが良くないのです。理論的にはいい感じなのになぜでしょう?

実は、欧米における1日使用量は1500~2000mgなのですが、日本では1日、750mg以下となっているのです。

私も膵臓に負担をかけない糖質制限食にぴったりの薬ということで大勢の人に処方してみたのですが、量が少なすぎるためなのか、「効いた!」という印象が薄いのです。

それで現在、日本内分泌学会などが欧米並の1日量2000mgまで許可するように厚生労働省に申請中なのです。

なお、肝障害や腎障害がある人は、やはり乳酸アシドーシスを起こしやすいので注意が必要です。また、心肺機能に障害のある人や高齢者も、腎予備力の低下がありえるので慎重投与です。上記以外の人には、副作用は少ない薬です。

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乳酸アシドーシス
ビグアナイド系薬剤は、肝における乳酸からの糖新生を抑制することで血糖を下げるので、相対的に乳酸が増加します。通常は乳酸が増加すればその代謝が活発となり、乳酸値のバランスは保たれます。

しかし、肝での乳酸の代謝能が低下している場合や、腎機能障害があるときは、乳酸が増加した時に処理しきれずに高乳酸血症となり、乳酸アシドーシスを発症する危険性があります。

乳酸アシドーシスの初期症状として悪心、嘔吐、腹痛、下痢等や、倦怠感、筋肉痛などがあります。

江部康二
テーマ:糖尿病
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