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Q&A 有酸素運動・無酸素運動と糖尿病
saka10さん、権現森さんコメントありがとうございます。
テレビ生出演みていただけましたか?テレビ写りどうでしたか?(=^_^=)

さて今回は
運動に関する質問なのでお二人まとめてお答え致します。

「江部先生こんにちは。
運動の効果について伺いたいことがあるのですが、
無酸素運動と有酸素運動でGLUT4を介した骨格筋へのグルコースの取り込みに
差はあるのでしょうか?
2007/06/28(木) 17:57:04 | URL | saka10」

「こんにちは
江部先生、こんにちは。権現森です。
先生が出演されたNHK番組、拝見させていただきました。
そこで、またまたご質問があるのですが、糖尿病治療には運動が良いのは、前回書かれたブログで分かりました。けれども、よく、スポーツしてると糖尿病になりにくいと言われているのは、正しいのでしょうか。
GLUT4があればインスリンの追加分泌が無くてもブドウ糖を取り込めるのがその理由なのでしょうか。
そうであるならば、スポーツ選手は糖尿病にならないと思うのですが、現に糖尿病の元スポーツ選手はテレビなどで多々見かけます。私自身、学生時代はラグビーをしておりましたが、糖尿病です。
これは、食生活に問題があるのでしょうか。
スポーツをしていると糖質をたくさん食べますし、いわゆるスポーツドリンクをよく飲みます。
これは、糖質の過剰摂取と、NHKにご出演されたおり、先生が仰ってた「ペットボトル症候群」に似た状態を、長期間続けていることになると思います。
だとすれば、スポーツ選手こそ糖尿病の危険が高いと思うのですが、これは正しいのでしょうか。
お忙しい中、何度も質問致しまして甚だ恐縮ですが、お手空きの折にでもお答え頂ければ嬉しく思います。
2007/06/29(金) 12:16:25 | URL | 権現森」


無酸素運動でも有酸素運動でも、普段細胞内に隠れているGLUT4が細胞膜表面に出てきて(トランスロケーション)、血液中のグルコース(ブドウ糖)を取り込むと考えられます。

これは筋収縮により、インスリンによる刺激とは別の経路で、GLUT4のトランスロケーションが起こるからです。

インスリンが追加分泌された時も、違う経路をたどってGLUT4のトランスロケーションが起こります。

従って、筋収縮が起これば筋肉細胞はブドウ糖を取り込むのですが、強い強度の運動をすると、グルカゴンやカテコールアミンなどのインスリン拮抗ホルモンの分泌が増加するので、かえって血糖値が上昇することもあります。

有酸素運動と無酸素運動では、面白い研究があります。長距離選手と重量挙げ選手と運動をしていない人の3つのグループで、筋肉細胞のインスリン感受性を調べたものです。

その結果、重量挙げ選手は筋肉の量は多いのですが、筋肉細胞の質的なインスリン感受性は、運動をしていない人とほぼ同じでした。まあ筋肉の量が多いので体全体のインスリン感受性は重量挙げ選手のほうが運動しない人よりはよいですが。

一方、マラソン選手は筋肉細胞のインスリン感受性は、質的に高まっていました。

従いまして、マラソン、ジョギング、水泳などの有酸素運動は、インスリンの効きが良くなるので、糖尿病の予防や高血糖の改善に役立ちます。

重量挙げや100m走のような無酸素運動は、筋肉の量を増やしますが、インスリン感受性の改善は期待できません。

有酸素運動をしている最中は、筋肉がブドウ糖を取り込んで血糖値が下がりますし、定期的に有酸素運動を続ければ、細胞のインスリン感受性が良くなるということで、一挙両得ですね。

海外の研究でも、糖尿病境界領域の人の6年後の糖尿病発症率が、食事療法単独で31%、運動療法単独で46%低下したそうです。

権現森さん、ラグビーは有酸素運動と無酸素運動と混ざったスポーツで、糖尿病にはよいと思います。

スポーツのあと、砂糖やブドウ糖入りのソフトドリンクをガブガブ飲むことは、当然糖尿病には大敵です。

運動の良い効果と清涼飲料水など糖質の過剰摂取の害は、分けて考えるのがよいと思います。
 
江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
Q&A、コレステロールと 糖質制限食
おはようございます。
えりさん。コメントありがとうございます。
皆さん興味があるコレステロールの実例なのでQ&Aに取りあげさせてもらいました。

『総コレステロール値
江部先生こんにちは。
停滞期なのか体重がさっぱり落ちなくなってしまいましたが、相変わらずスーパー制限食でがんばっています。
(ちょっとカロリーオーバーなのかもしれません(^_^;)
さて質問なのですが、先日受けた人間ドックの結果が届き、コレステロール値で『要治療』とされてしまいました。数値は以下の通りです。

総コレステ   前回 235 → 今回 290
HDL      前回 105 → 今回 147
LDL      前回 116 → 今回 116
中性脂肪   前回 76 → 今回 42

HDLと中性脂肪の値が見事に先生のおっしゃるとおりの変化です。
『要治療』とされたのは総コレステロール値が高すぎる為かと思うのですが、やはり病院にいく必要があるのでしょうか。
その場合 ①何がいけなくて ②どのような治療を受けることになるのでしょうか。
お忙しいと思いますが、アドバイスいただけますでしょうか。
よろしくお願いいたします。
2007/06/28(木) 10:11:19 | URL | えり 』


体重が落ちなくなったそうですが、直線的に下がるケースはあまりありませんのでご心配なく。階段状になることが多いです。

体重減少期→停滞期→体重減少期→停滞期→・・・・といった感じです。

えりさんの血液検査のデータを見る限り、体重があまり変化ないようでも、ケトン体は燃えていて体脂肪率は減っていると思いますよ。

結局、中性脂肪は見事に減り、余剰のコレステロールを回収するHDLコレステロールが増えたのですから、まずはおめでとうございます。

総コレステロールが増えたといっても、その実態はHDLコレステロールの増加がほとんどであり、なんの問題もありません。

2007年4月に改正された日本動脈硬化学会のガイドラインは以下の如くです。

「脂質異常症の診断基準」
・LDLコレステロール値が140mg/dL以上
・HDLコレステロール値が40mg/dL未満
・トリグリセライド(中性脂肪)値が150mg/dL以上

改正前の何かと問題の多かった旧ガイドラインなら、総コレステロール値が高いと治療の対象となっていました。しかし、総コレステロール値が心筋梗塞のリスクとして何の関係もないことが疫学的に証明されて以降、旧ガイドラインは批判の対象になっていました。

それで今回の改正では脂質異常症の定義から総コレステロールという項目がはずされたのです。

えりさんのデータは、新ガイドラインなら誠に好ましい正常範囲のデータです。

結論です。

勿論病院など行く必要性はかけらもありませんし、治療の必要もありませんし、今の糖質制限食を自信を持って続けてください。

人間ドックのお医者さんが、まだ新ガイドラインの定義を充分把握しておられなかったので「要治療」となったと考えられます。

努々、スタチン製剤(コレステロール値を下げる薬)など飲まされないように気をつけてくださいね。

江部康二

**
講演のお知らせです。

神戸、大阪方面の糖尿人、メタボ人の方々、奮ってご参加くださいね。

演題
「糖尿病・肥満と糖質制限食」
-糖尿病・肥満の画期的な新しい食事療法-
300人の入院糖尿病患者
900人の外来糖尿病患者
の実績をもとに

演者
高雄病院理事長 江部康二

著書
「主食を抜けば糖尿病は良くなる」
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」糖質制限食の実践法
「糖質制限食 春のレシピ」
「糖質制限食 夏のレシピ」
いずれも東洋経済新報社

日時 8月19日 日曜日
   受付13:30~ 開演 14:00~15:30
   講演終了後、質問コーナーあり

会場 神戸ポートピアホテル
   本館地下1階 和楽の間

定員 100名

参加費 1000円

参加ご希望・お問い合わせは、

京都高雄倶楽部
TEL 075-873-2170
FAX 075-871-6865
E-mail info@ktk-kyoto.jp
営業時間は8:45から17:00(くらい)
お休みは日・祝。
席をはずしていることもありますので、
留守電に連絡先を入れておいて頂けば
後ほど電話致します。
テーマ:食と健康
ジャンル:ヘルス・ダイエット
肥満、脂質犯人説を検証する
こんばんは。肥満関係の話題、好評に付きもう一回いきます。

過去の常識として、日本でも欧米でも心臓病、糖尿病、肥満・メタボリックシンドローム、癌などの元凶として、脂質が犯人とされてきました。

ところが、米国の大規模介入試験(5万人弱の閉経女性を対象に、対照群を置き、平均8年間にわたって追跡)において、脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げないことがアメリカ医学会雑誌2006年2月8日号で報告されました。

巨額のお金と多大な時間を投入した第一級の疫学研究で、従来ヘルシーと信じられてきた「低脂質食」が全く無意味と証明されたようなものですから、医学界にも一般の人にも大きなサプライズだったと思います。 ( ̄△ ̄)

さらに米国の主要栄養素の摂取傾向を調べてみると、総脂肪由来キロカロリーの占める割合は1971年 (36.9% )→2000 年(32.8%) と減少しています。

にも関わらず、成人の肥満率はは1971年(14.5%)→2000年(30.9%)と倍増しています。
 この間増加したのは糖質の比率で、1971年(42.4%)→2000年(49.0%)となっています。

また、米国の糖尿病も、1995年の患者数は800万人なのに2005年度の糖尿病有病数は2080万人で、全人口に対する有病率は7%と推定されています。

即ち、脂質の摂取率は減少しているのに糖尿病は10年間で約2.5倍と激増しています。

ここまで検証してくると、過去の常識だった脂肪犯人説はかなり怪しくなって、糖質の過剰摂取こそが生活習慣病の真犯人だった可能性が高まります。

米国で肥満度の高い州は、南東部の貧しい地域に集中しています。肥満はジャンクフードと車社会という文明的な特質によって作り出されているだけでは無く、貧困も関係しているといわれます。

糖質制限食の数少ない欠点に、「エンゲル係数が高くなる」というのがあります。主食(糖質)を抜いておかずばっかりだと、3~5割食費が増加します。 (×。×)

同じカロリーなら、お肉やお魚の値段に比べると、パンやライスは激安です。結局、安価でお腹が満腹するのは、精製炭水化物でなので、米国では貧困が肥満に直結するようです。

江部康二
テーマ:食と健康
ジャンル:ヘルス・ダイエット
肥満と 糖質制限食
こんばんは。先週はNHK生出演のため、水曜日の夜診を休診としました。

天罰覿面、今日は先週のつけでとても忙しかったです。帰宅したら10時過ぎでした。

京都は、一日中雨も降らなかったので、キャンセルの患者さんも少なくて目一杯働きました。


さて、しばらく堅い話が続いたのでちょっと箸休めに、今回はふっくらとした柔らかい話題を一つ。

肥満が世界的規模で増えています。日本においても成人男性及び60才以上の女性で、BMI25以上の肥満者は今や2300万人を越えています。

BMI(肥満度)=体重(kg)÷身長(m)2

米国における肥満者の基準(BMI≧30)は日本より大幅に緩いのですが2000年には例えば成人(20~74才)の30.9%と恐るべき勢いで増えています。

欧米でも,戦後ずっと肥満や糖尿病の原因として脂肪が目の敵にされてきて、特に1990年代は低脂肪食ダイエットが全盛でした。

しかし,現実には肥満は30年(1971年→2000年)で倍増したため、米国では近年「低糖質ダイエット」が注目されています。これは私達の糖質制限食と理論的根拠は同じです。

米国臨床栄養学雑誌2006年5月号の巻頭に「従来の高糖質・低脂肪食の長期的な影響は肥満改善には否定的であり、結局低糖質ダイエットが体重減少のためにはポピュラーなものになりつつある。」という画期的な内容の論文が掲載されました。

実際、私の知人の女性は、2003年3月に年齢44才、身長152.5cm、体重64kgでしたが、糖質制限食開始後おかずは食べ放題かつ焼酎も毎晩たっぷりありで、1年後には53kgとなりその後も2007年現在まで維持しています。BMIは27.5→22.8です。この女性のような例は枚挙にいとまがなく、私も友人・知人・患者さんにおおいに面目を施しています。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
現行の糖尿病治療の問題点⑤運動の急性効果・追加 
こんにちは。雨があがって曇りと晴れとの中間ぐらいの京都です。琵琶湖の水位回復にはもう一雨、二雨欲しいですね。水不足気味になると琵琶湖に藻が増えたりして水道水の臭いが気になります。

さて、今回は運動療法の追加です。

① 6.24のブログに、運動療法のことを書きました。
「運動の急性効果として、筋肉細胞の血液中のブドウ糖利用が促進され、血糖値が下がる。この機序はインスリンとは無関係なのがミソ。」

この記載ですが、<糖尿病のコントロールがそれほど悪くなくて身体の代謝調節がそこそこ保たれている>、という前提のもとに成り立ちます。

即ち、基礎分泌のインスリンがある程度保たれている状態で運動をすれば、追加分泌のインスリンがなくても糖輸送担体(GLUT4)の細胞内から細胞膜へのトランスロケーションが起こるというのが今の学説です。

細胞膜表面にGLUT4があれば、運動により増した筋毛細血管の血流から、ブドウ糖を筋肉細胞がどんどん中に取り込んで利用します。その結果血糖値が下がります。

② 一方、インスリンの作用不足がかなり深刻で、空腹時血糖値が250mg以上とか糖尿病のコントロールが良くないときは、身体の代謝調節も傷害され、運動することでかえって血糖値が上昇することもあり、運動療法は禁止あるいは制限となります。
この場合も日常生活における動きはOKで、安静臥床をする必要はありません。

③ 強度の強い運動は、グルカゴンやカテコールアミンなどインスリン拮抗ホルモンが分泌されるので、かえって血糖値が上昇することがあります。

④ 2型糖尿病においては、運動の急性効果・慢性効果は確立しています。

⑤ 1型糖尿病においては、運動の血糖コントロール改善に対する有効性は、必ずしも確立されてはいません。しかし体力の保持・増進、ストレス解消など生活の質の改善には良いと思います。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
現行の糖尿病治療の問題点④SU剤
こんばんは。京都は朝からどんより曇っていて夕方とうとう雨となりました。

今日はラカントSの「サラヤ」さんが高雄病院にこられて、いろいろ糖質制限食のお話で盛り上がりました。

さて、糖尿病治療において、食事療法と運動療法をそれなりにやってみたけど相変わらず血糖コントロールが良くないときは、内服薬を勧められます。

いろんな薬がありますがスルフォニル尿素剤(SU剤:オイグルコン、グリミクロン、アマリールなど)は糖尿病内服治療薬の中では、最も多く使用されている薬です。

SU剤は、インスリンを合成する膵臓のβ細胞に働き、インスリンの分泌を促進させる薬です。

糖尿病は、インスリンの分泌不足とインスリン抵抗性がベースにあり、結果としてインスリンの作用不足となり発症します。欧米人は、インスリン抵抗性が主のことが多く、日本人は、インスリン分泌不足が主のことが多いようです。
SU剤をインスリン分泌不足の糖尿人に投与したら、とりあえずインスリン分泌が促進されて血糖値が改善されます。

一見いい話ですが、しかしちょっと待ってください。

そもそも、40年・50年ブドウ糖ミニスパイク(3.23、4.20ブログ参照)を繰り返し、その度にインスリンを分泌し、膵臓が徐々に疲れていきとうとうインスリン分泌不足に陥ってしまった糖尿人・・・ (@T。T@)

その可哀想な糖尿人の疲れた膵臓を、さらにむち打って頑張らせているのが、SU剤なのです。ですから、やむを得ないとはいいながら、本来休養をとらせてあげたい膵臓を、無理矢理働かせるという矛盾を抱えているのがSU剤の宿命です。

で、宿命に従ってSU剤の二次無効というのが、臨床上問題になってきます。これはSU剤の効果が、飲み始めた頃に比べ、長期に飲み続けていると、効果が薄れてきたり効かなくなってくることをいいます。

現実に、医師の指導通りカロリー制限の糖尿病食を守って運動もしているのに、血糖コントロールが徐々に悪化し、SU剤1錠が2錠、2錠が3錠と増えていくパターンはよくあります。即ち、カロリー制限を守っていても糖質を摂取すると必ず食後高血糖が生じて膵臓に負担がかかるので、膵臓はさらに疲れ果てていき、悪循環していくわけです。
結論です。

SU剤は一定の効果はあるものの矛盾を内包し、二次無効の問題を抱えています。SU剤を使用することなく、食後高血糖を改善し、疲れた膵臓に休養を与えてくれるのが、我らが 糖質制限食なのです。 (=^▽^)σ

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
現行の糖尿病治療の問題点③運動療法
おはようございます。京都は朝から雨が降り続いています。琵琶湖の水位回復には恵みの雨となってくれるでしょう。

糖尿病の運動療法ですが、現行の糖尿病学会の指導方法で特に問題はないと思います。

① 運動の急性効果として、筋肉細胞の血液中のブドウ糖利用が促進され、血糖値が下がる。この機序はインスリンとは無関係なのがミソ。(註1)
② 運動の慢性効果として、インスリン抵抗性が改善する。つまり細胞に対するインスリンの効きが良くなる。

糖尿病に対する運動の直接的効果としてはこの二つが大切です。
その他、一般的に骨粗鬆症予防、筋力確保、高血圧・高脂血症の改善、心肺機能の改善・・・などが期待できるので、運動療法はできればやったほうがいいと思います。

それでも足が痛いとかリウマチがあるとか運動ができない人もいます。このような場合にも 糖質制限食がおおいに役立ちます。 糖質制限食を実践していれば食後高血糖は基本的にほとんどないので、運動ができない人でも糖尿病のコントロールOKなのです。

逆に言えば、急性効果を期待するならば、主食(糖質)を食べて血糖値が上昇している時に運動するのが、一番理屈に合っていると言えます。

「食後30分くらいに30分ほどウオーキング」で充分効果があるようです。すなわち走ったり、スポーツをしたりとか激しい運動をする必要はないのです。

渡邊昌先生の「糖尿病は薬なしで治せる」(角川)によれば、200mg/dlの血糖値が30分の歩行あるいは自転車こぎで、120~130におちるそうです。

なお、運動で消費するエネルギーはあまり多くありません。例えば30分歩いて約100キロカロリーです。運動してエネルギーを消費するから血糖値が下がるのではありませんので、誤解の無いように・・・

運動の慢性効果を期待するには、週3日以上の頻度で実施するのが望ましいそうです。

目安として1回15~30分間、1日2回、1日の運動量として約1万歩、消費エネルギーとして160~240キロカロリーが、日本糖尿病学会推奨です。

**註1
骨格筋や心筋の糖輸送体(ブドウ糖取り込み装置)はGLUT4(グルット4)で、通常は細胞の中に隠れていますが、運動時には細胞の表面に出てきて血糖を取り込むのです。 運動していない時は、グルット4は細胞の中に隠れているので、筋肉は血糖を極微量しか取り込むことはできませんから、主要エネルギー源は脂肪になるわけです。
(4.24のブログ参照して頂けば幸いです)

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
現行の糖尿病治療の問題点②食事療法
こんにちは。京都は朝からとてもよい天気です。夜はステーキを食べに出かけるので雨で無くて良かったです。勿論おいしい赤ワインも飲ませていただきますよ。

さて、現行の糖尿病治療の問題点、最初は食事療法です。

1998年、UKPDSという英国の2型糖尿病の大きな研究が報告されました。その結果、空腹時血糖値よりも食後高血糖のほうが、動脈硬化に密接に関与するということが明らかになりました。つまり簡単に言えば、食後高血糖こそが将来、心筋梗塞や脳梗塞を起こす元凶ということです。

製薬業界は即反応して、速効型インスリン分泌促進剤(グルファスト、スターシスなど)が開発されて、「食後高血糖を防ぐ」というのが宣伝材料となっています。

従来のカロリー制限中心の糖尿病食(糖質:60%、タンパク質:20%、脂質:20%)だと、必ずや食後高血糖を起こしますから、食前に速効型インスリン分泌促進剤を内服しておけば、それが防げることになるので実にリーズナブルな治療ということですね。

うーん、一見確かに悪くないお話ですが・・・ちょっと待ってください。(*o*)

「糖尿人にわざわざ高糖質食を食べさせて、食後高血糖が生じるのを、薬で防ぐ」これでは、まるで<マッチ-ポンプ>ではないですか。 (`ヘ´~)

それに、これらの薬で食後高血糖があるていど改善されることはありますが、なかなか目標の180mg未満にはならないことが多いのです。

糖尿人の強い味方(というか自分が糖尿人)の江部康二としては、これはやはり見過ごすことはできません。 (⌒~⌒)∂

糖質制限食を実践すれば、そもそも、食後高血糖など生じないので、薬も要らないわけです。三大栄養素(糖質、タンパク質、脂質)の内、急峻な食後高血糖を引き起こすのは糖質だけです。

なぜ日本の糖尿病専門医の先生方は、このシンプルな事実は充分ご存知のはずなのに、食後高血糖を必発させる高糖質食を糖尿人に強制するのか、私には理解できません。(欧米では、既に低糖質食( 糖質制限食)が検討され始めています。)

結論です。現行の日本の糖尿病食(カロリー制限中心の高糖質食)は確実に食後高血糖を引き起こし問題です。食後高血糖を薬に頼ることなく防ぐことができるのは、唯一、糖質制限食だけです。糖尿人の皆さん、どっちの食事療法が好ましいのか、しっかり論理的(ミスター・スポックのように)に考えてみてくださいね。 (^-^)w

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
現行の糖尿病治療の問題点①
こんばんは。京都はやっと雨がシトシト朝から降り続いて、梅雨らしい一日となりました。

さて、今回からしばらく、糖尿人兼医師として、かねがね思っていた現行の糖尿病治療の問題点を考えてみたいと思います。

糖尿病の治療は、1に食事、2に運動、3、4がなくて、5に薬といわれていますが、栄養士の言うとおり食事に十分注意してカロリー制限していても、現実には血糖コントロールがうまくいってない患者さんが多いです。

統計的には、2003年の富山医科薬科大学の小林教授が行われた、患者実態調査があります。全国の医師に2型糖尿病患者の治療法について聞き、約6500症例を集計しています。

この調査結果ですが、驚くなかれ、食事・運動療法のみの患者を除く、約5400人の糖尿病患者の中で、HbA1c:6.5%未満のコントロール良好は、30.6%しかいませんでした。

つまり、経口薬やインスリン注射など薬物療法を実施をしていても、実態はそんなものなのです。

また、経口薬の種類が1種類から増えるほどコントロールは悪くなり、罹病期間が長いほどHbA1cの数値が上昇していました。

これって、糖尿病患者のせいなのでしょうか? 医師や栄養士の指導を守らない患者が多いからなのでしょうか?

そんなことはありません。私も糖尿人の一人として言わせてもらうならば、現行の糖尿病治療を医師の指導を守ってまじめに行っていても、かなりの確率で糖尿病は確実に悪化していくのです。

運動療法はよいと思います。しかし、従来の食事療法は根本的に問題があります。薬物療法も必要なのですが、かなりの問題を抱えています。

これらの問題点を、これから一つ一つ検証していくこととしましょう。

江部康二



糖尿病の治療

Ⅰ 食事療法
  高糖質食

Ⅱ 運動療法

Ⅲ 薬物療法
 A 経口薬療法
 ①経口血糖降下薬・SU剤(オイグルコン、アマリールなど)、
 ②経口血糖降下薬・ビグアナイド系(グリコラン、メルビンなど)膵外作用
 ③α-グルコシダーゼ阻害剤(グルコバイ、ベイスンなど)
 ④インスリン抵抗性改善剤(アクトス)膵外作用
 ⑤速効型インスリン分泌促進剤
 B インスリン療法


<お知らせ>
糖質制限食推奨食品、だいぶラインアップがそろってきました。モチベーションは「糖尿人の自分が安心して食べることができるものを・・・」とまあ自分のためなのですが、勿論、糖尿人仲間の皆さんにも、おおいに喜ばしいことと自画自賛してます。

「大豆フィナンシェ」がプレーンに加えて、ゴマ味と抹茶味が発売になりました。私もプレーンばかり食べてましたので、ゴマ味と抹茶味、とても嬉しくおいしくいただいてます。

定番商品の「大豆クッキー」「大豆パン」「ロッスチョコレート」「とばやポン酢」「おいしい大豆」「ラカントS」も好評です。

新製品の「ごはんこんにゃく」「蒟蒻麺シリーズ」「ホクッホクッ大豆」「からだにだいず 蒸し黒豆」「大豆まるまるめん」「黒豆まるまるめん」も全て試食しましたが、それなりにおいしいです。

ご注文・お問い合わせは

京都高雄倶楽部
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お休みは日・祝。
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Q&A 大豆の糖質 血糖自己測定
こんばんは、梅雨の京都は今日も晴れです。

さてよしさん、いつもコメントありがとうございます。

「江部先生、こんにちは。
今日は、NHKTVに生出演されるそうですね。
実家が兵庫県なので、帰省時は夕方よく観てました。
今は横浜なので観られませんが…残念です。
先生、質問がまたあるのですが、お忙しい時にすみません。
最近、糖質制限食をしながらも、たまにティラミスとかぼた餅とかを大豆クッキーの他に食べたりしています。
食事は野菜中心ですが、結構満腹になるまで食べてしまったり…
そのせいでしょうか、体重が62kgから64kgに増えてしまいました。
今度のヘモグロビン検査が恐いです…。糖質制限食失格ですね(涙)
でも、食後の40分のウォーキングは続けています。
先生のブログに20年来朝食を抜いておられるとの事に触発され、
昨日から、朝食を抜いています。 (過食と総カロリー摂取を減らす意味で)思ったほど、辛くありませんでした。
お昼は大豆の水煮か蒸し大豆を一袋ご飯代わりに食べていますが、糖質が8gくらいあるみたいです。一袋を食べるのは多すぎますか?
糖質制限食として炭水化物を選ぶ時、表示されている糖質の目安はどれくらいを限度に選べば良いのでしょうか?
糖質1mgが血糖値を3mg上げる計算で、自分なりに、10g以内が限度かなと思っているのですが…
それと、自己血糖測定は、朝空腹時、晩御飯前、寝る前の3回を目安にしています。 現在はこれくらいでよいかと思っているのですが、もっとこまめに測ったほうがよいでしょうか?
お忙しいのに、お手を取らせてすみません。
よろしくお願いします。」

そうですか、たまにティラミスやぼた餅ですか。 (→ο←)

妻子の証言によりますと、不肖江部康二も、かなり酔っぱらって帰宅したときなど、テーブルの上にたまたまのっていた普通のチョコレートやケーキを食べてた事があるそうです。

本人は「記憶にございません。」なのですが・・・ (-""-;)

まあ、私達糖尿人、神様でも何でもありませんので、時に道を外すのも芸の内ですかね。

もっとも、砂糖もパンもご飯も餅もケーキも、糖質という意味では同等で、よしさんの仰る通り『1gの糖質が2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させる』ということに尽きるのですが。

日本食品標準成分表にぼた餅はなかったので、かしわ餅を調べてみました。そうすると100g中45gの糖質含有量でした。結構な糖質ですね。そう、こういう時に30~40分歩けば血糖値が60~80mg下がりますから、よしさん、そんなに心配しなくてもよいのでは・・・
 
朝食抜きは、慣れるまで私の場合、1~2ヶ月かかりました。慣れると朝の時間が少しゆったり使えてかなり重宝ですよ。

でも体重が2kg増えたのなら、結構量を食べておられるのでしょうね。

野菜にも少量の糖質が含まれているので、大量の野菜だと血糖値少しは上昇します。お昼が大豆の水煮1袋で糖質8gなら全然OKです。

2000年頃から、米国の潮流が低糖質食に変わりつつある状況なのですが、米国のレストランやスーパーマーケットの食品に「低糖質食」の表示をすることが増えているようです。この基準ですが食品100gあたりに含まれる糖質が9g以下とすることが提案されているようです。

従いまして、よしさんの自分なりの基準、10g以内というのはなかなかいいとこついているのではないでしょうか。

最後にSMBG(血糖自己測定)ですが、よしさんは2型糖尿病ですよね。それなら朝空腹時、晩御飯前、寝る前の3回で充分だと思います。

あとはオプションで、ティラミスやぼた餅食べたあとの60分、120分の血糖値とかですね。血糖値が上昇しているときに、30分歩いてどの程度下がるかを見るのもいいですね。

逆にい言えばスーパー 糖質制限食で食生活が安定している時は、血糖値も安定するので測定回数を減らしても構いませんよ。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
人類の進化と食生活⑦ ミトコンドリア・イブ仮説
こんばんは、無事NHK大阪、生出演終了しました。
大八木淳さんとシェリーさんがゲストでしたが、時間が無くて挨拶しかできませんでした。

出番は20分ぐらいですが、リハーサルとかがあって、結局午後2:30~5:40まで拘束なので、京都から行けば半日仕事ですね。

半日仕事の割には、 糖質制限食の話ほんの少ししかできなかったし、本の紹介も却下されたのでちょっぴり残念でした。

ところで大八木さんの顔を見ていたら何となく「人類の先祖」が浮かんできた(大八木さん、すいません)ので、今回は久しぶりに人類の進化と食生活シリーズです。


さて皆さん、ミトコンドリアって聞いたことはありますか?ミトコンドリアというのは、1つの細胞の中に数百個もあり、細胞のエネルギー生産工場の役目を果たしています。ミトコンドリアの遺伝子(DNA)は特別で母親の卵子からだけ子どもに伝わります。父親のDNAが混じらないので、遡って祖先をたどるのにとても便利な遺伝子なのです。

米国のカリフォルニア大学のグループ(アラン・ウイルソンとレベッカ・キャン等)が様々な人のミトコンドリアDNAを調べることで現代人のルーツを探っていったら最終的にアフリカに住んでいた女性にたどりつくことが確認でき、その結果が1987年に発表されました。

即ち、ヨーロッパやアジアの人々は、約20万年前にアフリカ系の人から分かれて、それぞれ独自に進化したという結論になったのです。

ミトコンドリアDNAの比較ですから、現代女性のルーツをたどっていったわけですが、人類の祖先(アダムとイブ)という意味で「ミトコンドリア・イブ」と、名付けられたのです。ですから、「ミトコンドリア・イブ」はたった1人の女性の名前ではなく人類の祖先の総称ということです。

ミトコンドリア・イブ仮説は、発表以来大きな反響を巻き起こしてきました。この説が正しければ現代人の「アフリカ単一起源説」がミトコンドリアDNAの解析により裏付けられたこととなります。

現代人の起源に関して「アフリカ単一起源説」と「他地域並行進化説」があり、長年にわたり論争が行われてきました。ミトコンドリア・イブ仮説も、一時徹底的に批判され勢いを失うかに見えましたが、近年この仮説を支持する他のいろいろな証拠が発見されてきて、大多数の学者が認めるに至っています。

例えば、現生人類にきわめて近い特徴をもったホモ・サピエンス・イダルツ(約16万年前)がエチオピアで発見され、「ミトコンドリア・イブ仮説」の有力な証拠の一つとなっています。

私も、アフリカ単一起源説を信じるものの一人です。

**なかなか、人類の食生活の記述までまで時間がかかりますが、ボチボチ書き綴っていきますのでよろしくお願いします。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
訂正です
ごめんなさい。先程のブログにありました豆腐の糖質量に間違いがありました。
絹ごしどうふは、100g中の糖質が1,7gでした。常用量が100gとして、糖質制限食合格食品です。

江部康二
NHK生出演 糖質制限食(低糖質食)と高糖質食
えー、6月20日の水曜日、恥ずかしながらNHK大阪のテレビ番組に生出演します。 (*^^*)
番組は、「もっともっと関西」(月~木17:15~18:00)です。
http://www.nhk.or.jp/mottomotto/
勿論、糖尿病関係の話題でゲスト出演なのですが、「ペットボトル症候群」の特集だそうですので、残念ながら 糖質制限食のことはアピールできそうにありません。(ペットボトル症候群に関しては、6.3のブログに書いていますので参考まで)

せめて「主食を抜けば糖尿病は良くなる」糖質制限食 夏のレシピ」くらい紹介してもらえたらとても嬉しいのですが、何せ天下のNHKさんなので、叶わぬ夢かもしれませんね。ペットボトル症候群の”ズーム”というコーナーは17:15~17:40頃までの予定です。

さて、高雄病院の提唱する 糖質制限食は今でこそ、超少数派で変わった食事療法ということになりますが、西洋医学における糖尿病食事療法を歴史的に振り返ってみると、なかなか興味深いものがあります。

100年以上も前に糖尿病専門のクリニックを創設したエリオット・ジョスリン博士(糖尿病臨床の父と呼ばれる偉人)の時代でも炭水化物20%、脂肪70%の食事でした。

即ち、明らかに 糖質制限食(低糖質食)ですよね。

1921年にインスリンが発見されました。

1950年炭水化物40%、タンパク質20%脂肪40%が指導されるようになりました。

1971年米国糖尿病協会によると炭水化物45%、タンパク質20%、脂肪35%を推奨。

1986年同じく炭水化物60%以下、タンパク質12~20%。脂肪30%以下を推奨。

この間は徐々に低糖質から高糖質にシフトしていますね。

1994年炭水化物、規定なし。タンパク質10~20%。脂肪、規定なし(但し、飽和脂肪酸10%以下)

1994年以降、アメリカでは炭水化物と脂肪のカロリー比を固定しなくなりました。即ち、
①糖質60%の高糖質食、
②オリーブオイルたっぷりで糖質を減らした地中海食、
③糖質管理食(糖質のグラム数を計算して、必要なインスリンの量を決める)

の中から、適宜自分で選べるというパターンです。つまり、高糖質食一辺倒ではなくなったと言うことです。

日本では、残念ながら戦後ずっと高糖質食だけが医学界の常識です。

2000年頃からは米国ではさらに、低糖質食への潮流が出始めてきているようです。(4.13ブログ参照してください)
この流れは、高雄病院の糖質制限食にとっても熱烈歓迎すべきもので、嬉しく思っています。

今日のブログは、河合勝幸氏の“糖尿病ソリューション”というホームページを参考にさせていただきました。河合勝幸さん、ありがとうございます。

江部康二
テーマ:糖尿病
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Q&A 大豆と糖質そして1型糖尿病
こんばんは、京都は梅雨中ですが、今日は雨は降りませんでした。

さて、今回はQ&Aです。

「野菜ではないけど、豆腐や納豆の大豆製品も以外と糖質量多いですよね?
2007/06/17(日) 22:15:41 | URL | スーパー名無し」
 
スーパー名無しさん、絹ごし豆腐で100gあたり3.4g、納豆は100gあたり5.4gの糖質を含有しています。ですから仰るとおり葉野菜に比べればやや多めですかね。

まあ、一人前の量としたら豆腐も納豆も50g程度なので、糖質制限食合格と思います。木綿豆腐は100gあたり1.2gの糖質でぐっと少なめで、全く問題ありません。

大豆は数ある豆類の中で、一番糖質含有量が少なくて、乾燥100gあたり約11gです。豆乳やおからも糖質制限食合格食品です。

「糖質制限食 夏のレシピ」でも大豆粉、豆乳、おからを使った手作りスイーツレシピを紹介しています。
小豆は乾燥100gあたり41g、インゲン豆は100gあたり39g、そら豆は100gあたり46.5gもあります。
従いまして糖質制限食では、大豆以外の豆は使用しません。

次のご質問です。

「江部先生。はじめまして。
ブログ、2月からすべてさかのぼって拝読させていただきました。共感、納得しながら読ませていただきましたが、1型ゆえでしょうか、分からないところがございます。
 
私は劇症1型です。以前から糖質が食後2H値BGの上昇に関与することは存じておりました。ですから、毎食事の糖質量を計算し、インスリン単位数を決めております。 先生のお説、納得、検証済みでございます。

血糖値を上昇させるのは基本的に糖質です。糖質は15分~90分で100%血糖に変わります。蛋白質は3時間前後で50%が血糖に変わります。脂質は数時間~12時間で10%未満が血糖に変わります。このことは生理学の教科書に載っている厳然たる事実です。」
ですが、脂質に関してはいかがでしょうか?
個人差と言われればそれまでですが、脂質は必ずBGを上昇させています。私の場合、食後5H後がピークです。1割以下ではありません。
また、たんぱく質においては3時間で1/2がBG上昇に関与するとは思えません。もっと、緩やかで成分表のたんぱく質の1/10g程度と思います。(先生が仰るように1型は計算したほうがいいと言う記事も頷きつつ、拝読いたしました。)

最近、おからクッキーを主食代わりに頂いております。
恐ろしいほど、インスリンの単位数が減量できております。
ただ、高たんぱく食を続けることに対し、腎症などへの影響を危惧いたしております。

また、先生は脂肪を利用する代謝サイクルのなかでケトン体について述べられておられましたが、ケトン体による酸性血、ケトン尿症を引き起こしませんか?

脂質がBGを上昇させること、高たんぱく食の弊害、、ケトーシスについてのご見解をご教示いただけませんか?

ちなみに、ケトアシードシスの経験者でございます。
現在があるのは主治医先生のおかげと感謝しております。
私の主治医先生も糖尿病専門医ではなく、一般内科医です。

2007/06/17(日) 21:09:04 | URL | 9日を忘れない」

9日を忘れないさん、おからクッキーいいですね。インスリン減量できて良かったです。 糖質制限食を実践することで1型糖尿病の人でも、インスリンの量が、だいたい1/3以下になります。

1型糖尿病のことを、5.25のブログに書きましたが
「バ-ンスタイン医師の糖尿病の解決」(メディカルトリビュ-ン)は大変参考になるので是非お読みください。

1型糖尿病の場合、個人差も非常に大きいので、一人一人根拠となる計算がずれることが多いですね。入院していてもデータを落ち着かせるまでが結構大変です。1gの糖質が5g血糖値を上昇させるというのも、あくまで平均値で一人一人違いますから。

また、1単位の超速効型インスリンが、30から60mg程度血糖値を下げますがこれも個人差が大きいです。
しかも、同一個人においても、糖質制限食で血糖値の乱高下が無くなって200mg未満で安定してくると、いきなりインスリンの効きが良くなることも経験しました。ここらは、兎に角主治医とよくよく相談してください。

糖質、脂質、タンパク質がそれぞれどの程度血糖値を上昇させるかも、アメリカの教科書の一般論ですので、正常人や2型にはピッタリでも、1型でデータをとったものではありませんので、1型に関しては不確定な所があると思います。

その点、バ-ンスタイン医師は自身が1型の糖尿病で、糖質とタンパク質を計算して食事療法をしておられますので、高雄病院でも1型の人には、彼の本を参考に試行錯誤しています。
女性では、生理も血糖値にかなりの影響をあたえます。また、糖尿病で消化管の神経が障害されていると、食物の吸収速度が遅くなって血糖値の上昇のピークがずれてくることもあります。

それから、高タンパク食で腎機能が悪化するというデータはありませんので、安心してください。現在医学的には、既に腎機能障害が確定している人に高タンパク食は良くないということです。バ-ンスタイン医師は、40年近く糖質制限食を実践しておられ腎機能も正常です。

ケトン体は、脂肪が燃えたら血中に出現してきます。血糖値が200mg未満とか一定コントロールされいてケトン体が上昇しても、生理的なものでなんの心配もいりません。

例えば、江部康二もスーパ-糖質制限食実践中なので、血中ケトン体はたいてい高値(本当は正常値ですが、今の基準だと高値)ですが生理的な現象なので全く問題ありません。

一方、血糖値が300,400あってケトン体が出現してきたときは、インスリンの作用不足で細胞がブドウ糖を利用できていないことが前提になっているので危険です。

つまり、糖尿病性ケトアシドーシスは糖尿病のコントロールが極端に悪い時の病態です。インスリンを注射して、糖質制限食を実践していれば今までよりコントロールは良くなるのでそれはありません。

ケトン体に関しては4.23,24,25,26のブログも参照してください。

日常的に脂肪が燃えてケトン体が出ているのが、人間の本来の姿です。

江部康二
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野菜と糖質制限食
6.16(土)、17(日)と日本東洋医学会学術総会で広島に行ってきました。十数年ぶりですから、ほとんど異邦人状態でした。路面電車が走っているのも懐かしく感じました。京都や福岡やいろんなところから廃止になって用済みの電車が広島にきているそうです。

広島は、やっぱり海のものがおいしいですね。マダイやイワシ(カタクチイワシ)の刺身など絶品でしたよ。
仕上げは広島名物、お好み焼き・・・てなわけにはいきませんよね。はい、勿論広島焼き、食べませんでした。代わりにしっかり眺めてました。 (",")(”,”)

広島のお好み焼きの最大の特徴は“重ね焼き”で、生地の上に焼きそばやキャベツやもやしや豚肉をひとつひとつ焼き上げていくんです。高校生のころは学校の帰りによく食べてました。

18才で京都に下宿して初めて、関西風のお好み焼きに出会い、カップの中に全部入れてかき混ぜるというスタイルに衝撃を受けたものです。(・_・)

それからついでに、50才頃、東京で生まれて初めてもんじゃ焼きを食べて、いつまでたっても固まらないその気色の悪さにやや閉口した記憶があります。

糖尿人の今となっては、もはや見果てぬ夢ですが、お好み焼きは、なんと言っても広島焼きが一番おいしかったです。

何か今日は、糖質制限食ブログらしからぬ話題ですね。それではお好み焼きの材料の一つである野菜と 糖質制限食のお話をしましょうか。

さて、私は3食とも主食抜きのスーパー糖質制限食を実践していますが、総摂取カロリーの約12%程度は、糖質が入ってきます。肉などに含まれるグリコーゲン(ブドウ糖の集合体)はごく少量ですのでこれは主として野菜の糖質です。

野菜の中でも糖質含有量の多いものと少ないものがあります。中でも、カボチャ、クワイ、レンコン、百合根、人参などは、グラム当たりの糖質含有量が比較的多いので要注意なのです。

例えば、カボチャは50g(一人前)当たり8.6g、レンコン30g(煮物1食分)当たり4.1g糖質が含まれています。復習ですが、1gの糖質が2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させるのでしたね。

葉野菜は、糖質含有量は少ないので、しっかり食べても大丈夫です。タマネギは100gあたりで7.2gの糖質を含んでいますから、丸ごと1個(約200g)食べるような強者がいれば、結構血糖値を上げますよね。

ニンジンは、100gあたり6.3gの糖質含有ですから、葉野菜に比べれば多いですが、サラダで彩りを添える程度なら問題ありません。馬並みに食べるのは困りますが・・・。

食品の糖質含有量に関しては「糖質制限食 春のレシピ」「糖質制限食 夏のレシピ」の表を参考にしていただけば幸いです。

江部康二
テーマ:糖尿病
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江部康二の糖質制限食  
こんばんは。京都は昨日から梅雨入りです。今日は、朝から何とかもってますが次第に曇ってきました。ライブの日なので雨降らないで欲しいですね。

さて、たなさんから質問がありました。

「江部先生の1日の食事内容を教えてください
2007/06/14(木) 18:10:07 | URL | たな。」


たなさん、お答え致します。私は20年来、昼と夕の1日2食です。朝食は食べません。
妻も仕事をしてますので、外食が多いです。飲酒運転や路駐の取り締まりが厳しくなってから、歩いていける近所の小料理屋さんや、駐車場の大きいファミレスなどにいくことが多くなりました。

こんな事を書くと、「じゃあ今まで飲酒運転や路駐してたのか?」と突っ込みが入りそうですが・・・ご想像にお任せします。 (×。×)

私の食生活ですが、昼は高雄病院の給食でスーパー 糖質制限食です。夜は外食が週に3~4回くらいあります。家では鍋が多いですね。日頃カロリー計算は全くしませんが、今回は参考のために数値をだしてみました。とある日の私の食事は下記の如くです。

昼:病院給食でスーパー糖質制限食
   味噌汁、鮭の照り焼き、キャベツのマヨネーズ和え、
    あらめの共煮、揚げ出し豆腐、煮浸し<500kcal>

夕食前:ピーナッツ20粒(124)、チーズ1/6ピース(51)<175kcal>
 
夕食(外食):鰹のたたき(200)、ビフテキ150g(440)、トーフサラダ(150)、
        刺身(150)、 焼酎120ml(135)水割り<1075kcal>
 
晩酌:焼酎180ml(202.5)、水割り
    カシューナッツとアーモンドで20粒(167)、チーズ1/6(51)
    <420.5kcal>

合計:2170.5kcal アルコール分(337.5)を除くと1833kcal

間食には、大豆フィナンシェや大豆クッキー、ロッスチョコも適宜たべます。焼酎はもう少し飲む時もありますね。赤ワインを飲む時はボトル半分くらいをめざしています。

お摘みは、牡蠣の缶詰とかアンコウの肝とか、サラミソーセージとかスルメとかもたべます。

たまには豚カツ(衣に少々小麦ですね)とか食べることもありますよ。子供の頃からカツが好きで・・・すいません。 (*- -)(*_ _)

まあ「清く正しくより楽しくおいしく」も必要ですので、そんなに無理な我慢はしません。


食事内容に関してひろさんからも質問がありました。

「こんばんは 。思い切ってスーパー糖質制限食にしちゃいました。薄味でタンパク質と脂質、野菜モリモリ食べてます。
で、質問で申し訳ないのですが、急激では無いがタンパク質の半分が血糖に変わると書いてあったので少し不安になりました。 主食が無いと物足らないようで、かなり食べてます。
食後6時間位すると丁度良くお腹減ってくる量を食べいるのですが大丈夫でしょうか?

因みに夕食
青梗菜とブロッコリーの茎80g+椎茸、シメジのオリーブ油で塩、胡椒炒め、レタス、センキャベツ50g位をマヨネーズ少々、
プロセスチーズ20g、絹ごし豆腐150g、茹で鶏胸肉150g、 ロースハム2枚
食べ過ぎてますか?
2007/06/11(月) 23:37:39 | URL | ひろ #vQRe8M0k [ 編集 ]
追加
もう一つ
カレイの極薄味煮付け(薄口醤油とラカント使用)80gも食べてました。
2007/06/11(月) 23:45:59 | URL | ひろ」

ひろさん、コメントありがとうございます。仰るとおり立派なスーパー糖質制限食ですね。

ラカントSは我が家でもよく使います。すき焼きに使ったり、黒豆を煮るのに使ったりです。結構おいしくて気に入ってます。値段が高いのが玉に瑕ですが・・・。

ご質問の答えですが、大丈夫です。全く問題はありません。
タンパク質は数時間かけてゆっくり血糖に変わりますが、2型糖尿病にかんしては気にする必要はありません。またダイエット目的の人にも問題はありません。

ただし、1型糖尿病の人だけは、タンパク質も計算するほうが安全です。

江部康二
牛乳とヨーグルトと糖尿病
こんばんは。京都は朝から雨がしとしと降り続いています。

昨日のブログで、グリセミック・インデックス(GI)はまだ確定的なものではないということを述べました。
日本では、医療機関で取り入れているところはかなり少数ですが、欧米の医療機関ではある程度参考にする流れになっているようです。

しかし、GIが低い食品でも糖質含有量に比例して、糖尿人が食べれば高血糖になることはしっかり覚えておく必要があります。

さてbossさんから、下記のコメント・質問がありました。

「江部先生、いつもブログで勉強させていただいております。m(_ _)m
コレステロールの話面白いですね。
私は気を抜くと総コレステロールが100を切ってしまいましたが、最近は糖質制限食のおかげか、総コレステロール140から160で安定してきております(^_^)v
25kgのダイエットに成功してから3年ほどHbA1cは5.0前後を保っています。
一つ質問ですが、先生の著書の中で、牛乳は乳糖が含まれるので血糖値が上がるようなことが書いてありました。
私は現在朝は自家製ヨーグルト(カスピ海)250gにりんご半分を小さく切って入れて朝食にしています。りんごがないときは大豆の粉をまぶして、砂糖やジャムは使いません。
今年に入ってから糖質制限と便秘解消のため朝はそのメニューを続けています。それまでは朝食に玄米225g(4.5単位)を食べていました。
玄米のGI値が55に対し、プレーンヨーグルトや牛乳は25です。りんごは炭水化物は含まれますがGI値は35です。
糖質制限食的には玄米より自家製ヨーグルトの方が理にかなっている気がしますが、乳糖が血糖値をあげるとなるとどうなのだろうと心配になります。
2007/06/11(月) 13:03:31 | URL | boss 」

bossさん、細胞膜やホルモンの原料であるコレステロールが低すぎるのは困りものなので、 糖質制限食で140~160となって良かったです。また、HbA1cが5.0前後というのも完全な正常値ですから素晴らしいですね。

さて、ご質問の答えですが、牛乳もヨーグルトも100gあたり、約5gの乳糖を含んでいますので実は一緒です。

まあ、牛乳はガブガブ簡単に飲めて1回に500mlくらい飲む人もいるので、量的に多くなりがちかと思い最初の本「主食を抜けば糖尿病は良くなる」では、要注意食品に分類し、ヨーグルトはさすがに500g食べる人はいないだろうと、食べて良い食品に分類しました。

しかし、ヨーグルトも大量に食べればその乳糖分、血糖値が上昇するので、レシピ集では△の食品にしました。
結局、1gの糖質が2型糖尿病患者の血糖値を約3mg上昇させるというのが公式です。

250gのヨーグルトなら12.5gの糖質ですから、玄米225g(糖質含有量が159g)に比べれば随分少ないですね。bossさんはかなりハードな運動(自転車)をしておられるので、全く問題はないと思います。

なお、リンゴ含まれる糖質には果糖、ブドウ糖、ショ糖、ソルビトールがあります。果糖が一番多いので、GIは35と玄米よりもかなり低いです。従って糖尿人においても食後のブドウ糖スパイクは、果物は穀物に比べれば急峻ではありません。しかし、急峻ではありませんがトータルに吸収される糖質は一緒のことです。急激な食後高血糖が少ないので血管内皮への影響は穀物よりましですが、やはり少量にしておくのが良いですね。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
<グリセミック・インデックス:glycemic index:GI:血糖指数>
おはようございます。今朝も京都は良い天気です。梅雨がなかなかきませんね。琵琶湖の貯水量もそろそろピンチだそうです。
 
さて今回は、グリセミック・インデックス(以下GI)のお話です。GIは血糖上昇反応度とも言われています。一時流行した低インスリンダイエットの本などにGIのことも載っていたので、聞いたことのある方、またご存知の方もおられるでしょう。

GIというのは、糖質50gを含む食品を摂取した後の血糖値の上昇カーブを2時間追って、 基準となる食品(ブドウ糖50g)を摂取した後の血糖値の上昇カーブの面積と比較し、パーセントで表した数値のことです。 (´・⊇・`)


GIの算出方法
 
     糖質50gを含有する食品摂取後
      2時間までの血糖曲線下面積
GI=─────────────────────── ×100
    糖質50gを含有する基準食(ブドウ糖)
    摂取後2時間までの血糖曲線下面積


何やよくわかりませんよね。グラフにするともう少しわかりやすいのですが、実は私パソコン苦手なもので写真や絵を貼り付ける技が・・・すいません。 (*- -)(*_ _)

拒否反応を起こしかけている皆さんのために簡潔に言うと、GIの数値が高ければ血糖値を上昇させやすい食品であり、GIの数値が低ければ血糖値を上昇させにくい食品であるということです。

GIが高い食品ほど血糖が急激に上昇し、ブドウ糖スパイクを生じます。実際、2種類の同じカロリーの糖質(たとえば玄米と白米)を摂取しても、血糖値の上がり方はそれぞれ異なります。GIの数値は、70以上は高い、56~69が中等度、GI55以下は低い、と評価されています。ちなみに玄米のGIは50で、白米は70です。その他、ブドウ糖や白パンのGIは100、豆類は30、乳製品は35くらいです。

糖尿病でない人は、玄米などGIの低いものを主食としていればブドウ糖スパイクは小さく、代謝が安定するというわけです。

しかし、GIに関して一般に言われてる数値は正常人のもので、糖尿人にはあてはまりません糖尿病の人は玄米などGIの低いものを食べたとしても、200以上のブドウ糖スパイクを起こしてしまうことを、私達は高雄病院の200人以上のデータで確認しています。

一方糖尿人おいても、GIの高い白パンのほうが玄米より血糖値をさらに上昇させやすいということはあります。

また、現在のGIの数値は主に欧米人のデータで、日本人のものではありませんので、日本人のGIを調べようという動きもあります。もともとジェンキンスが62品目の数字を出し、現在International table of GIというアメリカ栄養学会の出したリストで600種類の食品に関するデータが出ています。50gのブドウ糖を基準にしたものと、白パン50gを基準にしたもので、おなじ食品でもGIが異なります。

それからライスとバターライスを比べたら、バターライスのほうがGIが低いというように食品の組み合わせでも違いが生じます。

GIというのは、糖質を含む食品、例えばニンジンならニンジンだけを単品で食べてみて計測した数値です。実際の食事では何種類か一緒に食品を食べますから、GIはあくまでも実験室的なデータですね。

このように見てくるとGIは正常人ではあるていど参考にはなりますが、確定的なものではありません。

まして、糖尿人においてはGIはあてにならず、糖質のグラム数の計算のほうが重要です。そこで糖質制限食の出番となるわけです。糖質制限食ならば、糖尿人においても血糖値の上下動は極めて少なくなり、薬に頼ることなく良好なコントロールが期待できます。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コレステロールについて その4
おはようございます。京都は、今日は良い天気です。

またまたコレステロール関連の追加です。

「脂質異常症の診断基準」(空腹時採血) 2007年4月25日 発表
・LDLコレステロール値が140mg/dL以上
・HDLコレステロール値が40mg/dL未満
・トリグリセライド(中性脂肪)値が150mg/dL以上

LDL-コレステロールの基準で前回、低リスク~高リスクの人の米国のパターンを紹介しましたが、新基準の日本のパターンを忘れていたので追加です。

危険因子が、加齢(男45才以上、女55才以上)、高血圧、心筋梗塞などの家族歴、糖尿病、喫煙、HDL-コレステロール40mg未満の6項目設定されています。

危険因子がゼロ(低リスク群)、危険因子1~2(中リスク群)、危険因子3以上(高リスク群)、そして心筋梗塞や狭心症の既往歴のある群の4群が設定されています。

低リスク群は160未満、中リスク群は140未満、高リスク群は120未満、心筋梗塞や狭心症の既往歴のある群は100未満が目標とされています。

さて、はるおとさんから、コレステロール関連のコメントと質問をいただきました
「こんばんわ
今回のコレステロールのお話、本当に勉強になりました~
まだ糖質制限始めて日が浅いですけど、少しづつ値が改善しているしこれからも続けていく勇気というか自信が持てました
すっごく素朴な質問を最後にしてもいいですか?
中性脂肪は三ヶ月でメチャメチャ減少したんですがHDLの数値があまり上がってないので善玉を増やすためには何が一番必要ですかというか何が足りないんでしょうか・・・
2007/06/12(火) 02:00:55 | URL | はるおと」

はるおとさんの体験された如く、糖質制限食により中性脂肪は速やかに減少します。それに比べると、HDL-コレステロールの上昇はややゆっくりです。

それから、HDL-コレステロールの上昇に関しては、かなり個人差があります。

例えば江部康二の場合は、約1年で、糖質制限食前が69mg→ 糖質制限食後99mgで30mg(43%)上昇しました。

ある患者さん(41才、男性)は、糖質制限食開始1ケ月で60.5→71.3と10.8mg(18%)上昇でした。2ヶ月後には87.9mgと45%上昇しています。

しかし、他の患者さんで数ヶ月たっても10%前後しか上昇しない人もいます。この差は遺伝的体質なのかなと思っています。

メーカーさんはスタチン剤(メバロチン、リポバス、リピトールなど)でHDL-コレステロールが上昇すると宣伝してますが、精々10%前後で、30%や40%ということはありません。

従いまして、HDL-コレステロールを増やす最善の方法は、そう、やはり糖質制限食なのです。ほんと他にはありませんので、はるおとさんも根気よく糖質制限食を続けてみてくださいね。

江部康二
テーマ:糖尿病
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コレステロールについて その3
こんばんは、江部康二です。

皆さん、すいません。日本動脈硬化学会は、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2007年版」を4月25日に公表していました。

従いまして私が、6.11に書いたブログの情報が古いガイドラインに基づくものでしたので、本日追加してもう一回コレステロールについて書きます。

新ガイドラインでの主要な変更点は以下の2つです。
* 従来の「高脂血症」という病名を「脂質異常症」に置き換えた。
 総コレステロール値を予防や診療の基準にするのをやめた。

「脂質異常症の診断基準」(空腹時採血) 2007年4月25日
・LDLコレステロール値が140mg/dL以上
・HDLコレステロール値が40mg/dL未満
・トリグリセライド(中性脂肪)値が150mg/dL以上

この5年ぶりの改訂は、やっとのことですがちょっと良い方向へとむいています。
 
従来の「総コレステロール値が高いと冠動脈疾患の発生リスクが高まる」という考えが適切でないと遂に認め、総コレステロール値を基準にするのをやめたのです。

例えば、総コレステロール値が少々高値でも、HDL-Cがばっちり高い人は心筋梗塞のリスクは少ないわけです。

まあ兎に角、「総コレステロール値220mg/dl以上は問答無用で薬を飲ませる」という「製薬会社のみ泣いて喜ぶ」野蛮なやり方は、これで無くなったので快哉を叫ぶところでしょうか。

三井記念病院の分析によると、2007年3月に健診を受けた2657人の血液検査を分析したところ、従来の基準で高脂血症と診断されていた人の25%が新指針では正常になるそうです。無駄な医療費、少しは減るでしょうか??

欧米では、<総コレステロール/HDL-コレステロール>の比率が低いほど心筋梗塞のリスクが減るとされています。

それから、HDL-コレステロール値が低い場合も「高脂血症」と呼ぶのはどう考えても変なので、今回の改定では、病名を「脂質異常症」と呼ぶことにしたようです。

新基準のなかで
・HDLコレステロール値が40mg/dL未満
・トリグリセライド(中性脂肪)値が150mg/dL以上
というのは、私も賛成です。

・LDLコレステロール値が140mg/dL以上
に関しては、2004年の米国の基準では、低リスクの人(高血圧、糖尿病、喫煙、心筋梗塞家族歴、加齢、HDL-C低値なし)の薬物療法開始は190mg/dl以上で、中程度リスク者で160mg/dlハイリスク者で130mg/dlとなってますので、参考にしてください。

糖質制限食でHDL-コレステロール値と中性脂肪値は改善します。
LDLコレステロールは一定しませんが<総コレステロール/HDL-コレステロール>の比率は改善します。これは米国の文献でも確認されています。

江部康二
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糖質制限食とコレステロール 続き
よしさん、えりさん、
今日は、なかの芸能小劇場の講演<食事で治す糖尿病・肥満・メタボリックシンドローム>雨にもかかわらずお越しいただきとてもありがとうございました。ブログ読者の方にきてもらったら喜びも倍増ですね。
謝謝!! o(^▽^o)(o^▽^)o

おかげさまで50数名の方に来ていただいて、実りあるお話ができたかなと思っています。質問もたくさんあって、話し手としては嬉しかったです。

大豆フィナンシェ、大豆クッキーもそこそこの健闘でしたが、スウィーツは、どうやらロッスチョコレートが一番よく売れたようです。


さて本日は、前回に続きコレステロールのお話です。

5 日本のコレステロール値の基準が変!!
2002年、日本動脈硬化学会の高脂血症の基準が変更となり発表されましたが、不思議なことがありました。

2001年の改定案の段階では、高コレステロール血症の基準はそれまで220mg/dl以上だったのを、240mg以上に引き上げようと提案されて承認されていたのに、2002年の最終的なガイドラインでは、再び220mg以上土壇場で覆ってしまったのです。

「まあ、20mgくらいええやろ、細かいこと言うな」等というなかれ、これだけの差で日本の高コレステロール血症の薬代が、年間一千億円以上は違うのですから。

日本の約5万人の高コレステロール血症患者を6年間調べた大きな研究で、心筋梗塞のリスクが増えたのは240mg以上だったのを受けて改定案が提案されたのに「数値を変更すると現場が混乱する」などの学会内のごく一部の反対意見で、結局220mgに戻ったのには疑問を抱かざるを得ません。

2001年には、米国の新しいガイドラインが発表されており、240mg以上が高コレステロール血症とされています。実は、米国では心筋梗塞の発症率が日本の3倍もあるのですが、その米国でさえ、数値は日本より20mgも高く設定されているのですから、日本の基準は明らかに変です。 (^=_=)
 

6 総コレステロール値 日本人の適正基準値は?
いろいろな学会や国によって、様々な基準がありますが、本当のところ日本人の総コレステロール適正基準値は、いったいどれくらいなのでしょう?

日本動脈硬化学会は、男女とも全て220mg/dl日本人間ドック学会では閉経後の女性だと240mg以上が高脂血症としています。

東海大学医学部の大櫛陽一教授等は、全国約70万人の健康診断のデータを分析して男女別・年齢別のガイドラインを作成しています。例えば、50才以上の女性なら280mg以上あって初めて高脂血症です。

現在、日本で一番多数コレステロールを下げる薬を飲んでいるのは、50才以上の閉経後の女性ですが、この基準ならほとんどの人が薬は不要で、2000億円近い医療費削減が可能であり、政府も本気で考えたらいいと思うのですが・・・。

欧米では、コレステロール低下薬は、心筋梗塞のリスクの高い男性に多く使われており、男女比は4:1です。日本だけは心筋梗塞のリスクの低い女性に多く使用されており、男女比は1:2で逆転しておりとても不可思議な状況となっています。

2004年の米国医学会雑誌によれば、心筋梗塞などの病歴のない女性にコレステロール低下薬を服用させても、リスクは減らなかったと報告されています。
米国で心筋梗塞の低リスク患者(タバコなし、糖尿病なし、高血圧なし・・・)に薬剤を投与する基準は270mg以上ですから、結果として大櫛教授等のガイドラインと近い水準ですね。

7 結論
私は、1.2.3.4.5.6をまとめてみて、低リスク(タバコなし、糖尿病なし、高血圧なし・・・、糖尿病があってもコントロール良好・・・)の人は、総コレステロール280mg/dl以下なら薬の必要はないと考えています。

まして 糖質制限食を実践していて、中性脂肪が減少し、HDLコレステロールが上昇しているパターンなら全く心配はいりません。

米国の最新の報告だと、日本で一番問題とされているLDL-コレステロール値よりも<総コレステロール/HDL-コレステロ-ル>の比が心筋梗塞のリスクとして一番関連が深いとされています。

そして、糖質制限食(低糖質食)の実践により、<総コレステロール/HDL-コレステロ-ル>比が下がることも報告されています。

コレステロールのことで更に詳しく知識を得たい人は
「検査値と病気 間違いだらけの診断基準 大櫛陽一 太田出版 」
を参照していただけば幸いです。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食とコレステロール
おはようございます。京都は昨夜からの雨が一応やんでます。

今日は、江部診療所の外来が終了したあと、高雄病院の理事会に出席し、夜に東京に向かいます。東京着は午後10時頃になりそうです。

6月10日は、朝から、なかの芸能小劇場で午前10時~11時50分まで、
「食事で治す糖尿病・肥満・メタボリックシンドロームと題して講演です。
受付開始は午前9:30です。 
申し込み・連絡先は
アトピー・ネットワーク・リボーン
TEL・ファックス/03-3388-5428
です。
最後のお願いです・・・って選挙みたいですけど、東京・関東方面の方、是非参加してくださいね。


さて、「糖質制限食を実践していてコレステロール値が気になる」という人が結構おられます。以前のブログにもコレステロールの話は書いたのですが、もう一度整理整頓します。(4.5と4.9のブログも参考にしてくださいね。)

コレステロールは、細胞膜、ホルモンなどの原料であり、肝臓から体の各部へ、各部から肝臓へと行ったり来たりしています。即ち、まず知っておいて欲しいのは“コレステロールは人体にとって必要不可欠で極めて重要な物質”ということです。
コレステロールの頭に付いているアルファベットのLDLHDLというは、コレステロールと結合して、それを末梢組織や肝臓に運ぶ、リポタンパクと呼ばれるもののことです。

1、HDL-コレステロール
糖質制限食を実践すると、HDL-Cが上昇します。これは、ある程度の個人差はありますが、西洋医学の薬でHDL-Cを上昇させると言われている、スタチン系の薬(メバロチンやリポバス)の比ではありません。HDLは、末梢の組織から余剰のコレステロールを回収する役割を担っており、多いほどいいわけです。それで『善玉コレステロール』と呼ばれています。

因みに、江部康二は 糖質制限食前が69mg→ 糖質制限食後99mg/dlでした。
薬でこれだけ上昇することは不可能で、 糖質制限食、自慢じゃないけど凄いです。

2、LDL-コレステロール
LDLは、末梢の組織に細胞膜の原料などになるコレステロールを運んでいきます。よく「悪玉コレステロール」と言われていますが、違います。人体に必要なものです。
これは、糖質制限食の実践により下がる人と上がる人がいて、一定しません。

江部康二の場合は、糖質制限食前が123mg→ 糖質制限食後97mg/dlでした。

3、小粒子LDL、酸化LDL
LDLの中で小粒子LDL(小さくて高密度のLDL)は、『真の悪玉』である酸化LDLに変化しやすく危険な存在です。

酸化LDLは、血液中で異物と見なされて大食細胞という免疫系の細胞に取り込まれていき、血管内皮細胞内でコレステロールを蓄積させ動脈硬化を起こし、心筋梗塞のリスクとなります。酸化していない普通のLDLは、異物ではないので血管内皮に障害を起こしません。

もう一回強調しますが、本当の悪玉は酸化LDLと結合したコレステロールだけなのです。

中性脂肪が多くてHDLコレステロールが少ない人は、小粒子LDLがたくさんある可能性が高いので要注意です。 糖質制限食を実践している人は中性脂肪が減少し、HDLコレステロールが上昇するので大丈夫なのです。

江部康二の中性脂肪値は、糖質制限食前が85mg→ 糖質制限食後50mg/dlでした。
中性脂肪値は、糖質制限食で速やかに減少します。

4、総コレステロール
2005年に「日本動脈硬化学会」で報告された、青森県立保健大の嵯峨井勝教授の調査や、「日本循環器学会」で報告された、北海道大学の佐久間一郎氏の分析では、「総コレステロール高値と心筋梗塞は無関係」という結果がでています。

また、神奈川県伊勢原市と福島県郡山市の2市統合調査で、老人基本検診受診者を1999年から2004年まで追跡した結果が報告されました。男性9540人、女性18942人のこの調査で、総コレステロール値179mg/dl以下の人は死亡率が高いことが確認されました。180mg/dl以上の人には死亡率に有意差はありませんでした。

糖質制限食の実践で、総コレステロールは上がる人も下がる人もいて一定しません。
江部康二の場合は、糖質制限食前が210mg→ 糖質制限食後231mg/dlでした。

<続く>

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
Q&A 糖尿病と運動と酒とタンパク質
おはようございます。今朝の京都は曇りです。

昨日の大阪での、いんやん倶楽部講演は、主催の梅崎和子先生のお家でしました。
滋賀県の古い古い農家を移転させてリフォームした、むき出しの太い柱がいっぱいのユニークな和風のお家です。
板の間に座布団を沢山敷いて、机を置いてといった寺子屋風のスタイルでアットホームな中でリラックスして楽しくお話できました。

講演後も食生活、糖尿病、アトピー性皮膚炎、アレルギー疾患など・・・いろいろな質問が相次いでなかなか終了しませんでした。

梅崎先生は食養関係の本をたくさんだしておられる、私の長年の友人です。つもる話をほどほどに、後ろ髪をひかれながら京都に帰りました。

さて今回はQ&Aです。

「江部先生、はじめまして、こんにちは。
先生のブログは楽しく、読みながら、勉強も出来るので、毎朝一番にチェックしています。
この数ヶ月、先生の糖質制限の本を読みながら自分なりの糖質制限食を実施しています。 HbA1cは5.5前後です。
私はお酒(赤ワインと芋焼酎です)を飲むのですが、毎晩、食後30分後に散歩を40分くらいして、それからお酒を飲んでいます。つまみは寒天とか、ところてん、カロリーの少ないものにしています。でも、食事の後のお酒よりも、食事中に飲んで、それから歩いたほうがいいのでしょうか?
身体にアルコールが回ってからの散歩はよくない気もするのですが…
基本的に糖質制限食だと、運動は気にしなくて良いのでしょうか?お酒が飲める!というこの糖質制限食、ずっと続けていきたいです。」
2007/06/05(火) 13:44:40 | URL | よし

よしさん、コメントありがとうございます。ブログがお勉強の参考になれば嬉しいですね。

血中アルコール濃度が0.08%以上になると、運動の協調性の低下、反射の遅れなどが出てきますのでよしさんの仰るとおり、沢山お酒を飲んでからのスポーツ的運動は、よろしくないと思います。

でも軽く飲んで40分の散歩くらいは大丈夫と思います。一方、食後に40分くらい散歩して、帰ってきてからお酒を飲むという今のパターンでもOKです。

血糖値が200mgとか上昇している時に30分くらい歩くと、60~80mg下がる見当ですので、一般には主食(糖質)を摂取して血糖値が上昇している時に歩けば良いことになります。

主食(糖質)を摂取していない時は血糖値はあまり上昇しないので、血糖に関しては運動はしなくても大丈夫です。
しかし、身体を動かすと気の巡りや血の巡りが良くなり、血糖管理以外の運動の効用もありますので、散歩はお奨めですね。
よしさんのHbA1cは5.5前後で正常ですから、 糖質制限食を上手に実践しておられるのでしょう。

お酒は 糖質制限食的には蒸留酒(焼酎、ウィスキー、ブランデーなど)は全てOKで、醸造酒の中では赤ワインだけ大丈夫なのでよしさんは、優等生です。でも量はあくまでも適量ですからね。(o^皿^o)

あと、おつまみですが、夜10時以降に、するめとかチーズとかタンパク質系のものを沢山(するめ1袋など)摂ると、翌朝の空腹時血糖値が少し高めにでます。これはタンパク質は数時間かけて約半分が血糖に変わるためと思います。食後の血糖値が急峻に上昇することはないので、血管内皮への影響はないのですが、早朝空腹時の血糖値を正常に保つためには、つまみは寒天とかところてんという、よしさんの作戦はなかなか良いと思います。

江部康二



☆☆☆お知らせ
  2007年6月10日(日)
  食事で治す糖尿病・肥満・メタボリックシンドローム
<講師> 江部康二(京都・高雄病院理事長/リボーン運営委員代表)
<時間> 午前10時~11時50分
 9時半より会場で、糖尿病の人でも食べられる低糖質のおいしいお菓子などの販売もします。おたのしみに!!
 講演が約90分で、質疑応答が約20分です。

<会場> なかの芸能小劇場
(JR・東西線中野駅下車、北口改札をでて、中野通りを徒歩2分)
<会費> 1000円(定員100名/申し込み先着順)
詳しくはリボーンのホームページで   
http://www.big.or.jp/~reborn/contents.html
東京・関東方面の方、是非参加してみてくださいね。
<申し込み・連絡先>
アトピー・ネットワーク・リボーン
TEL・ファックス/03-3388-5428
(平日午前10時から午後5時まで/不在時は留守電で対応します)
e-メール/reborn@big.or.jp

主催:アトピー・ネットワーク・リボーン
共催:糖質制限食普及センター東京事務所
協力:(株)京都高雄倶楽部
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
人類の進化と食生活⑥ なぜいきなり文化が出現?
おはようございます。江部康二です。京都は今日も良い天気です。
今日は、昼から大阪のいんやん倶楽部さんで「人類の食生活とテーラーメードダイエット」と題して、糖質制限食や農耕以前の人類のお話などをしてきます。


それで今回のテーマは、久しぶりに人類の進化と食生活シリーズで、
「今から約15万年前(20万年?)、アフリカのある地域に住む人類に大きな突然変異(分裂病遺伝子を含む)が発生し、現生人類が誕生した」というデビット・ホロビン氏の説を紹介します。

(*ホロビン氏は英国の著明な精神科医で、オックスフォード大学医学部を卒業し500を超える科学論文があります。つまり、決して怪しい人ではありませんのでご心配なく)

この突然変異により、大きいだけで250万年進化していなかった脳の機能が飛躍的に向上しました。神経細胞間の接続(シナプス)が質・量ともに極めて豊かになったのです。例えていうなら、無駄に容量(ハード)だけ大きかったコンピュータに、いきなり優れたソフトが組み込まれたようなものです。

このソフト(進化した脳)がきっちり機能するためには、エイコサペンタエン酸(EPA)ドコサヘキサエン酸(DHA)ω3系脂肪酸と、ω6系の脂肪酸であるアラキドン酸の摂取が極めて重要でした。

EPA、DHA、アラキドン酸は穀物や野菜・果物・ナッツなど植物性食品にはほとんど含まれていません。一部の海草や苔や肉、微小藻類には含まれています。具体的には、水棲小動物や地虫・水鳥・魚・は虫類・両生類・昆虫・肉・臓器・脳・骨髄などの動物性食品に含まれているわけです。従って、この脳の大変化の時、人類は動物性食品をしっかり摂取していたと考えられます。

この現生人類の特徴は“分裂病気質”です。分裂病の遺伝子がシナプスの機能を向上させたとホロビンは述べています。

史上初めて、宗教などの抽象的思考や絵画や音楽など芸術、高度技術などが生まれ、「均一から多様化へ」「安定から変化へ」「平等主義から差別化へ」といった、極めて創造的かつ破壊的な人類社会が形成されていきました。

その後、この現生人類は世界各地に移動し、その結果、数万年後にはそれまでの先行人類が地球上から絶滅しました。但し、この突然変異が起こった原因や先行人類が絶滅した理由ははっきりわかっているわけではありません。

参考:「天才と分裂病の進化論」(デビット・ホロビン著、新潮社)


☆☆☆お知らせ
  2007年6月10日(日)
  食事で治す糖尿病・肥満・メタボリックシンドローム
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協力:(株)京都高雄倶楽部 
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
漢方①腎不全と糖尿病腎症
おはようございます。京都はいい天気です。
 
6月2日の権現森さんからのコメントで、腎不全と漢方についての質問がありました。またあらてつさんからも熱いリクエストもありましたので、漢方シリーズを今後ブログで時々書いていこうと思います。

さて、糖尿病の合併症の一つに糖尿病腎症があります。腎症の一番初期の段階は、尿中微量アルブミンの増加としてとらえられます。血液検査でクレアチニン、などに異常が出現すれば腎不全となります。

さらに進行すれば、人工透析が必要となります。現在、年間約1万の人が糖尿病腎症により人工透析を導入していますが、慢性腎炎を抜いて疾患別では1位となっています。

糖質制限食糖尿病のコントロールを良好に保ち(食後高血糖を180mg/dl未満、HbA1cを6.5%未満)、合併症が出現しないようにするのが理想です。

しかしながら、糖質制限食に出会うまえに既に腎症が出現している患者さんもおられます。こんな時は漢方薬の出番です。

腎不全は、漢方薬の役割が大きいと考えられる病気の一つです。血液検査で腎機能障害(血清クレアチニン値の上昇など)が確定していたら、西洋医学的にはそれを改善する方法はないというのが常識ですし、数年前までは、漢方薬でもさすがに無理と私達も考えていました。

しかし、2002年に黄耆を中心とした生薬の組み合わせで、クレアチニン値が改善する例を初めて経験しました。当初は驚きましたが、その後、江部洋一郎院長・橋本医師・小栗医師を中心に症例を積み重ねて明らかな効果を確認しました。

そして2007年6月17日(日)日本東洋医学会学術総会において、江部洋一郎院長(私の兄です)が、「腎不全に対する養腎降濁湯の効果」という講演を1時間行うこととなりました。

症例数としては21例とまだ少ないのですが、初診時と半年後の検査で13例においてクレアチニン値が改善しました。中には4.6→3.2(正常0.4~1.4mg/dl)、5.8→3.6と顕著な減少のあった例もありました。不変が3例で悪化が5例でした。全員の平均値は初診時5.2から半年後4.4と減少しています。

西洋医学的な治療も種々試みられていますが、クレアチニン値の上昇速度を遅らせるのが主目的で、減少させるような治療法は皆無です。黄耆、芍薬、甘草、土茯苓などの漢方生薬で構成される養腎降濁湯加減を処方し、62%にクレアチニン値の減少が見られたことは、腎不全治療の一筋の光明と言えます。

原疾患が慢性腎炎でも糖尿病性腎症でも関係なく、約6割の人に養腎降濁湯で一定の効果が期待できます。

診察ご希望の場合は電話(高雄病院:075-871-0245)でご相談いただけば幸いです。

江部康二


2017年7月、追加
腎機能が一旦、改善しても、半年~1年くらいで、再び悪化する症例もあり、
なかなか一筋縄ではいきません。
なお、多発性嚢胞腎の場合は、嚢胞による物理的な腎障害なので、効果がでにくいです。

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食って何? なぜ糖尿病に良い?
おはようございます。最近ブログを見に来ていただく人が随分増えて、とても嬉しく思っています。

FC2カウンターのところにカーソルをもっていって、ムーディー勝山さんではありませんが、ただ「上から下へ」あるいは「下から上へ」動かすと、一週間の来訪者数がグラフで見ることができますので興味のある方はお試しください。
 
それで、初めてこのブログにきたもらった人やたまに覗いてくれる方のために、時々糖質制限食とは何か?なぜ糖尿病に良い?のかを説明することにしようと思います。糖質制限食理論をよくご存知の方は復習を兼ねて読んでいただくか、飛ばし読みでも結構です。
(5.9と5.11のブログも参照してくださいね)

糖質制限食って何?
糖質制限食とはその名の通り糖質の摂取を極力少なくする食事療法です。具体的にはいわゆる主食(ご飯、パン、麺類など)を抜き、おかずをしっかり充分量食べる食事です。 三食とも主食を一切食べなくても野菜にも少量の糖質は含まれているので一日に40~60gていどの糖質は入ります。

従来の糖尿病食やダイエット食と違ってカロリー計算は不要で、食材の糖質の含有量だけ把握しておけばいいので私のような面倒くさがりでも簡単に実行できます。ダイエットにも糖尿病にも最適の食事療法です。

糖質というと分かりにくいかもしれませんが、炭水化物から食物繊維を除いたものが糖質です(炭水化物=糖質+食物繊維)。


なぜ糖尿病に良い?
血糖値を上昇させるのは基本的に糖質です。糖質は15分~90分で100%血糖に変わります。蛋白質は3時間前後で50%が血糖に変わります。脂質は数時間~12時間で10%未満が血糖に変わります。このことは生理学の教科書に載っている厳然たる事実です。

特にグルコーススパイク(ブドウ糖スパイク)と呼ばれる食後の急激な血糖値の上昇は糖質摂取でしか起こりません。即ちタンパク質や脂質を摂取してもグルコーススパイクは生じません。

現在糖尿病で最も問題とされているのは、この食後高血糖です。食後高血糖が血管の動脈硬化を起こし、将来の心筋梗塞や脳梗塞のリスクを増やすということがハッキリしました。

そして、薬に頼ることなく食後高血糖を防ぐのは食事療法の中で唯一 糖質制限食なのです。

逆に言えば、いくら厳重にカロリー制限をしても、糖質を摂取する限りは食後高血糖を引き起こしてしまうのです。ちなみに1gの糖質が3mg/dl、2型糖尿病の人の血糖値を上昇させます。1型糖尿病だと5mg/dl上昇させます。

従って「糖質60%、脂質20%、タンパク質20%」という割合の従来のカロリー制限が主の糖尿病食は100%食後高血糖を生じます。

タンパク質や脂質を中心に摂取する糖質制限食なら、食後高血糖は生じません。例えばビーフステーキ300g食べても食後高血糖は生じませんが、食パン1枚食べても食後高血糖を引き起こします。一般に食後血糖値の9割は糖質摂取に由来します。

なお、野菜の中にも少量の糖質が含まれているので、主食を一切食べなくても総摂取カロリーの15~20%が糖質となります。

江部康二



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  2007年6月10日(日)
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 講演が約90分で、質疑応答が約20分です。

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詳しくはリボーンのホームページで   
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*東京・関東方面の方、是非参加してみてくださいね。
*東京駅から中野駅まで中央線快速18分です。

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糖尿病の分類
おはようございます。京都は「本日は晴天なり」です。

さて、1型糖尿病2型糖尿病、皆さん言葉は聞いたことはあるでしょうが、その実態はというと案外誤解されていることも多いので今回は整理整頓してみます。実は、私江部康二も調べてみるまで知らなかったことが恥ずかしながら結構ありました。

糖尿病の分類ですが最近は、従来のインスリン依存型糖尿病(IDDM)、インスリン非依存型糖尿病(NIDDM) という言い方はしなくなりました。糖尿病を病因による分類と、現在の状態を表す分類に整理した方が、すっきりするからです。

■病因による分類
1型糖尿病(従来のIDDMとほぼ一致)
1型糖尿病は、膵β細胞の破壊によりインスリン分泌が枯渇し、発症します。小児期に起こることが多いため小児糖尿病とも呼ばれます。近年、1型糖尿病の多くは、自己免疫機序(免疫の誤作動)により数ヶ月~数年にわたってβ細胞が破壊され、発症することが明らかになってきました(自己免疫性1型糖尿病)。

ここが誤解の多いところなのですが、1型糖尿病は、生活習慣病でも先天性の病気でもありません。過去の何らかのウイルス感染が免疫の誤作動のきっかけになっている場合が多いのですが、ウイルス感染はとっくに治った後の出来事ですから、1型糖尿病が感染することはありません。

2型糖尿病ほど色濃い遺伝は関与しませんが、何らかのウィルスに感染しやすい遺伝的体質はあるようです。欧米のデータでは1型糖尿病と診断された小児の10~12%のみに1型糖尿病の一親等の血縁者がいるとされており、一卵性双生児の1型糖尿病同時発生率は50%以下です。

1型糖尿病の頻度は、日本人では欧米の白人に比べて明らかに低く、 10~20分の一と言われています。例えば日本の小児の1型糖尿病はノルウェーの20分の1、米国の約15分の1です。

なお自己免疫異常の明らかでない1型糖尿病も存在します(特発性1型糖尿病)。


2型糖尿病(従来のNIDDMとほぼ一致)
インスリン分泌低下とインスリン抵抗性の二つの要因により結果としてインスリン作用不足となり発症する糖尿病です。

インスリン抵抗性とは、肥満などの要因によりインスリンの効きが悪くなることです。例えば今までは5μU/ml ていどの量のインスリンで筋肉細胞が血糖値を取り込めていたのが、抵抗性があると10とか20μU/mlの量がないと取り込めなくなるのです。

欧米ではインスリン抵抗性が高い状態のほうが原因として多いのですが、日本では膵臓のインスリン分泌能低下も重要な原因となります。これはインスリン分泌能力が日本人やアジア人は欧米白人より弱いことによります。

遺伝的因子と生活習慣がからみあって発症する生活習慣病です。日本の糖尿病の95%以上は2型糖尿病です。

欧米人に比べ、日本人は肥満者も少ないのに 2型糖尿病が多いのは、日本人が民族的に2型糖尿病になりやすい体質(遺伝的素因)を 持っているためと考えられます。

遺伝的素因が日本人と同じ日系2世米国人で、 日本人よりも2~3倍、米国の白人と比べると数倍以上の差で糖尿病が多いといわれています。

親や肉親が糖尿病だと、糖尿病の家族歴がない人に比べて 糖尿病になりやすいことは間違いありません。しかし遺伝するのは糖尿病そのものではなく、「糖尿病になりやすい体質」です。 この体質を持った人に、食べ過ぎ、運動不足、肥満、加齢、ストレス、など様々な環境因子が加わってはじめて2型糖尿病が発症すると考えられています。

私、江部康二のように両親が2型糖尿病だったら40~50%の確率で2型糖尿病を発症します。

*上記は医学界の共通認識ですが、食べ過ぎに関しては、私は特に精製された糖質の過剰摂取が問題と考えています。
江部康二も糖質制限食を実践する限りは、糖尿人ではなく正常人です。

■糖尿病の状態の表現
①インスリン依存状態
②インスリン非依存状態

普通は1型糖尿病はインスリン依存状態で、2型糖尿病はインスリン非依存状態かなと誰でも思いますよね。でも事はそれほどシンプルではありません。

例えば1型糖尿病でも、数年かけてゆっくり膵臓のβ細胞が破壊されるタイプであれば発症後数年は、インスリン非依存状態でコントロールできることもあるわけです。まあさすがに10年以上、非依存状態というのは困難とは思いますが・・・。

一方、2型糖尿病でも、糖毒状態で悪循環していれば徐々に膵臓のβ細胞が壊れていくわけですから、10年・20年・30年レベルの年期の入った糖尿病だったら、自前のインスリン分泌がほとんどない患者さんもでてきます。こうなると2型糖尿病でもインスリン依存状態となるわけです。

また2型糖尿病の人が感染症、外科的処置などによりインスリン需要が増大する場合もインスリン注射を必要としますので、一時的なインスリン依存状態といえます。

糖質制限食は、1型糖尿病、2型糖尿病ともに効果があります。1型糖尿病ではインスリンの量を減らすことが可能になります。2型糖尿病では経口薬の減量や離脱が可能です。

江部康二 

☆☆☆お知らせ
  2007年6月10日(日)
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関東方面の方、是非参加してみてくださいね。
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e-メール/reborn@big.or.jp

主催:アトピー・ネットワーク・リボーン
共催:糖質制限食普及センター東京事務所
協力:(株)京都高雄倶楽部 
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
蛍と水とペットボトル症候群
昨日京都新聞の夕刊を見たら、蛍の記事が載っていました。北白川の疎水分線では、例年より4日早く、5月18日から蛍が飛んでいたそうです。

実は、左京区下鴨高木町の江部診療所から北へ100メートルちょっと歩くと琵琶湖疎水の下鴨分線が流れていて、そこでも蛍が飛び交っているのです。なかなかの風流な光景で結構遠くから見に来る人もいますよ。
 
琵琶湖から流れるこの疎水ですが、京都の生活に欠かすことのできない水道の原水となっています。京都にとって琵琶湖の水を引くことは昔からの夢でしたが、琵琶湖疏水は着工から5年後の明治23(1890)年に完成しました。ほとんど人力だけに頼るかなりの難工事だったようです。それから20年後、更に豊かな水を求めて第2疏水が建設されました。

蛍にも人にも水は命の源ですが、糖尿人にはペットボトル症候群という夏が旬の病気があるのでご用心です。

夏になって暑くなり、ペットボトルなどに入った清涼飲料水を大量にガブガブ飲んでいると、糖尿病の素因のある人は、結構短期間で急激な高血糖状態になることがあります。高血糖が続くと、のどが渇くため更に清涼飲料水をガブ飲みするという悪循環に陥ります。

ペットボトル症候群というのは俗称で、医学的には清涼飲料水ケトーシス、 或いはソフトドリンクケトーシスといいます。

勿論成人にもみられますが、ライフスタイルの関係で若い人にも結構多いのが特徴です。

これは、ペットボトル自体に罪はなくて、中身の問題ですね。
いわゆる清涼飲料水(コーラ、炭酸飲料、果汁飲料、コーヒー飲料など)の糖質濃度は約10%です。そうすると、1リットルの清涼飲料水に含まれる糖質は100gもあり、半端な量ではありません。健康的なイメージのあるスポーツドリンクも同じ事です。

ペットボトルを持ち歩いたりして1日2~3リットル毎日飲み続ける若者もいます。もともと糖尿病の素因を持っていたり、軽度の糖尿病の人がこのように吸収されやすい糖質を多量に摂取していると、飲む度に血糖値が上昇してインスリンが追加分泌されるのですが、ついにはインスリンの供給が追いつかなくなり血糖値が高くなります。

いったん高血糖になると、インスリンの分泌が抑制されるし、効きも悪くなります。
「高血糖→インスリン分泌抑制とインスリン抵抗性増大→高血糖」

この悪循環のことを糖毒といいます。

糖毒状態が続けば、糖尿病性ケトアシドーシスという危険な状態になり、意識の混濁や昏睡に陥るケースもあります。週単位から1・2ヶ月という短期間の経過で発症します。

コントロール良好だった糖尿人が、夏に急に悪化したときなどは、ペットボトル症候群の疑い濃厚です。水に溶けている糖分は吸収されやすく、血糖値を急激に上げます。 糖質制限食的には当たり前のことですが、糖尿人は、お茶かお水といったカロリーゼロのもので水分補給するのが安全です。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食とアボカドと食品糖質量表 Q&A
☆☆☆お知らせです
  2007年6月10日(日)
  食事で治す糖尿病・肥満・メタボリックシンドローム
<講師> 江部康二(京都・高雄病院理事長/リボーン運営委員代表)
<時間> 10時~11時50分
 9時半より会場で、糖尿病の人でも食べられる低糖質のおいしいお菓子などの販売もします。おたのしみに!!

<会場> なかの芸能小劇場
(JR・東西線中野駅下車、北口改札をでて、中野通りを徒歩2分)
<会費> 1000円(定員100名/申し込み先着順)
詳しくはリボーンのホームページで   
http://www.big.or.jp/~reborn/contents.html
関東方面の方、是非参加してみてくださいね。

<申し込み・連絡先>
アトピー・ネットワーク・リボーン
TEL・ファックス/03-3388-5428
(平日午前10時から午後5時まで/不在時は留守電で対応します)
e-メール/reborn@big.or.jp

さて今回は、ひさしぶりのコメントQ&Aです。
以下はえりさんからいただいたコメントです。

「アボカドはなぜ要注意?」
江部先生、はじめまして。
書店で「夏のレシピ」を見かけ、初めて先生のご本を読ませて頂きました。ダイエットのための今までの苦労は一体何だったの?というくらい目からウロコでした。たまたまこの一ヶ月ほど主食を抜いたダイエットをしていましたが思うように減らず、糖質全体を見直してスーパー制限食に変えた途端にスルスルと体重が落ち始めました。
ところで質問なのですが、アボカドが要注意食品となっていますが、糖質表を見ると他の野菜(アボカドは果物ですが)と比べても糖質は低い方ですよね。 トマトや玉ねぎなどと比較しても断然糖質が低いと思うのですが、要注意とされるのは何か他に原因があるのでしょうか?
低糖質メニューのレパートリーを増やす上で、使えると便利な食材なので教えていただけるとありがたいです。宜しくお願いいたします。
2007/05/30(水) 13:35:44 | URL | えり #- [ 編集 ] 」

えりさん、鋭い質問ありがとうございます。スーパー糖質制限食で、順調に体重が落ちたとのこと、良かったです。基礎代謝の差でやせやすい人とやせにくい人がいることは確かです。
今後肥満・ダイエット関係のこともシリーズでぼちぼち書いていきますのでご期待ください。

糖質制限食には「スーパー、スタンダード、プチ」の3パターンがありますが、糖尿病でもダイエット目的でも速やかな改善を目指す方は、なんと言っても「スーパー糖質制限食」がお奨めです。(5.9のブログも参照していただけば幸いです)

スーパーを続けてある程度目標体重をクリアしたら、スタンダードやプチに緩めるという選択肢もあります。

さてアボカドですが、ご指摘の通り実はOK食品です。100gあたり糖質が0.9gしか含まれていないのですから、果物のなかで唯一の 糖質制限食ピッタリの食品です。

タマネギが100gあたり7.2gの糖質、トマトが100gあたり3.7gの糖質ですからはるかに好ましい食材です。現在進行形でアボカドをおいしくいただけるレシピを野先生に考えてもらっています。えりさんもレシピを考案してどんどんアボカド食べてください。

多くの果物が糖質含有量が多いので 糖質制限食には好ましくないのですが、比較的糖質含有量が少ない果物を深く考えず、全部一緒に△にしてしまったのです。

次回の本からは、アボカドは食べて良い食品のほうに表を変えますね。

江部康二
 
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット