2010年08月04日 (水)
こんにちは。
8月3日(火)夜、無事帰京しました。
信州・八ヶ岳山麓・富士見高原、標高1250m・・・。
涼しかったです。朝夕は寒いくらいでしたよ。天候にも恵まれ、テニスも毎日できました。
よく飲み、よく喋り、よく食べました。
富士見町にある、富士見高原療養所に入院したときの体験や恋愛が、堀辰雄の名作「風立ちぬ」の題材となったそうです。
すいません。読んでません。(-_-;)
さて今回は、糖存人さんから貴重な情報をコメントいただきました。
糖存人さん、「Diabetes Cafe」のこと、ありがとうございます。
糖尿専門医の書いておられる
「Diabetes Cafe」というブログ http://www.diabetes-cafe.com/largetable/
に、以下の記事が載りました。
「Diabetes Cafe」のマスター杉本先生、ありがとうございます。
勝手に転載しましたがご容赦願います。
【2010年07月29日
食品交換表を使ったカーボカウント指導法
日本糖尿病学会が発行する学会誌「糖尿病」vol.53,No.6,p391~395に大変重要な原著論文が発表されました。タイトルは「食品交換表に基づく新たなカーボカウント指導法」、著者は大阪大学の黒田暁生先生(内分泌代謝内科)、長井直子先生(栄養マネージメント部)他です。この論文で著者らははじめて食品交換表を用いた、簡便なカーボカウント指導法について述べています。医療関係者の皆様はぜひご一読ください。私はこの論文を読んで、いよいよ全国津々浦々どの医療機関でも「食品交換表を用いたカーボカウント指導」ができる時代が到来すると感じました。
これまでカーボカウントは血糖管理には有用な方法でしたが、炭水化物量の計算法が確立しておらず、栄養バランスやエネルギー指示と両立させる方法が確立していないため、導入が困難でした。著者らは本論文の中で「食品交換表」に基づく食事療法とカーボカウントを融合させる、簡便な方法を紹介しています。
これまでカーボカウントは血糖管理には有用な方法でしたが、炭水化物量の計算法が確立しておらず、栄養バランスやエネルギー指示と両立させる方法が確立していないため、導入が困難でした。著者らは本論文の中で「食品交換表」に基づく食事療法とカーボカウントを融合させる、簡便な方法を紹介しています。
彼らは、食品交換表に準拠した15~22単位食を検討し、以下のことを述べています。
1)主食以外の糖質量はエネルギー設定にかかわらず、「1食約20g」であり、糖質量は主食量で規定されていた。
2)五訂増補日本食品標準成分表から、それぞれの主食に含まれる糖質の重量%を検討した結果、米飯は40%、パン50%、ゆで麺20%と簡便に推定した。
3)このため、主食以外を20g、主食に含まれる糖質量を(2)で求めて1食の糖質量を算出すると、真の糖質量との差はいずれの単位食でも90%以上の確立で± 10g以内に算出できた。
4)食品交換表で副食に含まれる炭水化物量は1日量でエネルギー設定にかかわらず約50gであった。表1をすべて主食で摂取し、3食均等に分けて食べると仮定すると、1食あたりの副食の炭水化物量は約17gとなった。そこで、著者らはこの簡易計算法の妥当性を検討するため。栄養価が表示された市販の「健康食」100食に含まれる糖質量を計算してみた結果、ファンデリー社健康プラス 19.4± 4.9g、トオカツフーズ社健康三彩 21.7± 6.2g、ニチレイフーズ社ニチレイ糖尿病食 25.7± 5.4g程度であった。・・・】
『主食以外の糖質量はエネルギー設定にかかわらず、「1食約20g」』
『副食に含まれる炭水化物量は1日量でエネルギー設定にかかわらず約50gであった』
これは、糖質制限食の立場からみても、興味深いですね。
従来のカロリー制限が主の糖尿病食で、主食を抜いたら、1食約20gの糖質ということは、病院の給食などで摂取カロリーを増やすときは、ご飯やパンの量で調整していて、おかずの量は一定ということですね。
そして、1日量のおかずの糖質が約50gなので、現実には、1食あたりで平均17g弱の糖質量となります。
これなら、糖尿人が、普通の病院に入院して従来の糖尿病食を出されても、おかずだけ食べて主食を抜けば、糖質制限食の1回の糖質摂取量の目標10~20gを、アバウトですがギリギリでクリアしてます。
あと、お腹が空けば、チーズやゆで卵やハムなどでしのげば、糖質はほとんどないのでOKですね。
『五訂増補日本食品標準成分表から、それぞれの主食に含まれる糖質の重量%を検討した結果、米飯は40%、パン50%、ゆで麺20%と簡便に推定』
こちらも、インスリン注射でカーボカウントしている糖尿人には、わかりやすくて、とても便利ですね。
糖質制限食は、まだまだ糖尿病専門医の間でも、理解していない人がほとんどです。
一方、糖質管理食(カーボカウント)は、糖尿病専門医の間にもかなり浸透しつつあります。
血糖値を上げるのは糖質だけという生理学的事実を前提に、3食主食を食べるけど糖質のグラム数を計算して、
例えば食前のインスリン注射の適量を決めるのが糖質管理食です。つまり、単純なカロリー制限食に比べれば、合理的であり、はるかに優れものです。
主治医が糖質制限食に理解がないとき、カーボカウントなら許容されるかもしれません。
スーパー糖質制限食でも、1回に10~20gくらいの野菜分の糖質を摂取します。つまり糖質ゼロではありません。
主治医への説明の仕方としては、「糖質管理食をしています。」なら「ああ、そうですか。」となるかもしれません。まあ、究極の糖質管理食が、糖質制限食といえないこともありませんし・・・
糖尿人の皆さん、できれば主治医とは仲良くしたいので、上記のような技も試してみて下さいね。
江部康二
8月3日(火)夜、無事帰京しました。
信州・八ヶ岳山麓・富士見高原、標高1250m・・・。
涼しかったです。朝夕は寒いくらいでしたよ。天候にも恵まれ、テニスも毎日できました。
よく飲み、よく喋り、よく食べました。
富士見町にある、富士見高原療養所に入院したときの体験や恋愛が、堀辰雄の名作「風立ちぬ」の題材となったそうです。
すいません。読んでません。(-_-;)
さて今回は、糖存人さんから貴重な情報をコメントいただきました。
糖存人さん、「Diabetes Cafe」のこと、ありがとうございます。
糖尿専門医の書いておられる
「Diabetes Cafe」というブログ http://www.diabetes-cafe.com/largetable/
に、以下の記事が載りました。
「Diabetes Cafe」のマスター杉本先生、ありがとうございます。
勝手に転載しましたがご容赦願います。
【2010年07月29日
食品交換表を使ったカーボカウント指導法
日本糖尿病学会が発行する学会誌「糖尿病」vol.53,No.6,p391~395に大変重要な原著論文が発表されました。タイトルは「食品交換表に基づく新たなカーボカウント指導法」、著者は大阪大学の黒田暁生先生(内分泌代謝内科)、長井直子先生(栄養マネージメント部)他です。この論文で著者らははじめて食品交換表を用いた、簡便なカーボカウント指導法について述べています。医療関係者の皆様はぜひご一読ください。私はこの論文を読んで、いよいよ全国津々浦々どの医療機関でも「食品交換表を用いたカーボカウント指導」ができる時代が到来すると感じました。
これまでカーボカウントは血糖管理には有用な方法でしたが、炭水化物量の計算法が確立しておらず、栄養バランスやエネルギー指示と両立させる方法が確立していないため、導入が困難でした。著者らは本論文の中で「食品交換表」に基づく食事療法とカーボカウントを融合させる、簡便な方法を紹介しています。
これまでカーボカウントは血糖管理には有用な方法でしたが、炭水化物量の計算法が確立しておらず、栄養バランスやエネルギー指示と両立させる方法が確立していないため、導入が困難でした。著者らは本論文の中で「食品交換表」に基づく食事療法とカーボカウントを融合させる、簡便な方法を紹介しています。
彼らは、食品交換表に準拠した15~22単位食を検討し、以下のことを述べています。
1)主食以外の糖質量はエネルギー設定にかかわらず、「1食約20g」であり、糖質量は主食量で規定されていた。
2)五訂増補日本食品標準成分表から、それぞれの主食に含まれる糖質の重量%を検討した結果、米飯は40%、パン50%、ゆで麺20%と簡便に推定した。
3)このため、主食以外を20g、主食に含まれる糖質量を(2)で求めて1食の糖質量を算出すると、真の糖質量との差はいずれの単位食でも90%以上の確立で± 10g以内に算出できた。
4)食品交換表で副食に含まれる炭水化物量は1日量でエネルギー設定にかかわらず約50gであった。表1をすべて主食で摂取し、3食均等に分けて食べると仮定すると、1食あたりの副食の炭水化物量は約17gとなった。そこで、著者らはこの簡易計算法の妥当性を検討するため。栄養価が表示された市販の「健康食」100食に含まれる糖質量を計算してみた結果、ファンデリー社健康プラス 19.4± 4.9g、トオカツフーズ社健康三彩 21.7± 6.2g、ニチレイフーズ社ニチレイ糖尿病食 25.7± 5.4g程度であった。・・・】
『主食以外の糖質量はエネルギー設定にかかわらず、「1食約20g」』
『副食に含まれる炭水化物量は1日量でエネルギー設定にかかわらず約50gであった』
これは、糖質制限食の立場からみても、興味深いですね。
従来のカロリー制限が主の糖尿病食で、主食を抜いたら、1食約20gの糖質ということは、病院の給食などで摂取カロリーを増やすときは、ご飯やパンの量で調整していて、おかずの量は一定ということですね。
そして、1日量のおかずの糖質が約50gなので、現実には、1食あたりで平均17g弱の糖質量となります。
これなら、糖尿人が、普通の病院に入院して従来の糖尿病食を出されても、おかずだけ食べて主食を抜けば、糖質制限食の1回の糖質摂取量の目標10~20gを、アバウトですがギリギリでクリアしてます。
あと、お腹が空けば、チーズやゆで卵やハムなどでしのげば、糖質はほとんどないのでOKですね。
『五訂増補日本食品標準成分表から、それぞれの主食に含まれる糖質の重量%を検討した結果、米飯は40%、パン50%、ゆで麺20%と簡便に推定』
こちらも、インスリン注射でカーボカウントしている糖尿人には、わかりやすくて、とても便利ですね。
糖質制限食は、まだまだ糖尿病専門医の間でも、理解していない人がほとんどです。
一方、糖質管理食(カーボカウント)は、糖尿病専門医の間にもかなり浸透しつつあります。
血糖値を上げるのは糖質だけという生理学的事実を前提に、3食主食を食べるけど糖質のグラム数を計算して、
例えば食前のインスリン注射の適量を決めるのが糖質管理食です。つまり、単純なカロリー制限食に比べれば、合理的であり、はるかに優れものです。
主治医が糖質制限食に理解がないとき、カーボカウントなら許容されるかもしれません。
スーパー糖質制限食でも、1回に10~20gくらいの野菜分の糖質を摂取します。つまり糖質ゼロではありません。
主治医への説明の仕方としては、「糖質管理食をしています。」なら「ああ、そうですか。」となるかもしれません。まあ、究極の糖質管理食が、糖質制限食といえないこともありませんし・・・
糖尿人の皆さん、できれば主治医とは仲良くしたいので、上記のような技も試してみて下さいね。
江部康二
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