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尋常性乾癬とビールと糖質制限食
こんにちは。

MT Pro(医師向けのサイトです)http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1008/1008041.html

に興味深い記事が載りました。☆☆☆

約11万例の女性看護師を対象とした前向き研究(Nurses' Health Study II:NHS II)において、1週間に約25g以上のアルコール(ビール小びん2本分に相当)を摂取する女性では全く摂取しない女性に比べ乾癬のリスクが2倍近く高まることがArch Dermatol8月16日オンライン版に報告されたのです。

本研究の報告者は、

「米国人女性を対象とした今回の検討から、アルコール飲料のなかでも、通常のビールだけが年齢や喫煙,BMI,運動,食事からの葉酸摂取といった因子とは独立して乾癬発症リスクを上昇させた。」

と述べています。

通常のビールによるリスクが最も高く、ライトビールやワインやその他の酒類との関連はなかったそうです。

ビール好きにはとても悲しいニュースということですが、これはアルコールというより、ビールに含まれる糖質が関係していると私は思います。

2009年10月23日 (金)のブログ「 糖質制限食糖尿病尋常性乾癬」で記事にしましたが、長年の尋常性乾癬糖質制限食で劇的に改善した例が複数あります。

イヌイットが生肉・生魚が主食であった伝統的食生活を保っている間は、尋常性乾癬は極めてまれな病気でした。
これらのことを考えあわせると、糖質の頻回・過剰摂取が尋常性乾癬の大きなリスクである可能性が高いのです。

1週間に約25g以上のアルコールを摂取するグループにおいて、ビールはワインなどに比べればかなり糖質の量が多いです。ビールで日常的に糖質を摂取することが、尋常性乾癬のリスクに繋がったと考えられます。

発表者も

「ビールが大麦を原料とした発酵飲料であることから、乾癬発症にはアルコールよりも、潜在的なグルテン感受性の存在がリスク上昇に関連している可能性が考えられる。一方,ライトビールではリスク上昇が見られなかったことについては,はっきりしたことはわからないとしながらも、通常のビールに比べ、穀物の含有量が少ないためではないか」

と述べて、穀物の含有量にも言及しています。

グルテンは大麦由来のタンパク質ですが、穀物含有量に関しては発表者も私と同意見のようです。

尋常性乾癬の治療に糖質制限食が有効、また一つ有力な状況証拠の出現ですね。


江部康二



☆☆☆MT Pro記事
ビール好きには悲しいニュース?
乾癬リスク上昇と関連の可能性/米Nurses' Health Study[2010年8月17日]

米Nurses' Health Study
 米Channing LaboratoryのAbrar A. Qureshi氏らは約11万例の女性看護師を対象とした前向き研究(Nurses' Health Study II:NHS II)から,1週間に約25gのアルコール(ビール小びん2本分に相当)を摂取する女性では全く摂取しない女性に比べ乾癬のリスクが2倍近く高まることをArch Dermatol8月16日オンライン版に報告した。アルコール飲料の種類別の検討では,通常のアルコール濃度のビール(nonlight beer)によるリスクが最も高かった一方,ライトタイプのビールやワイン,その他の酒類との関連は認められなかったという。

アルコールよりも穀物由来のグルテンがリスクに関与か

乾癬は白人に多い慢性かつ難治性の皮膚疾患の1つだが,発症原因は明らかでない。Qureshi氏らによると,これまでアルコールが乾癬の発症や増悪と関連する可能性が指摘されており,いくつかの後ろ向き研究による報告もあるという。

同氏らは今回,米国内の22~44歳の女性看護師11万6,671人を登録したNHS Ⅱのコホートにおける前向き研究を実施,アルコール飲料摂取とその種類による乾癬リスクとの関連を検討した。

1991~2005年の追跡期間中,2年に1度アルコール摂取に関する調査を実施。乾癬については,2005年の調査で試験登録時から医師の診断を受けたことがあるかを尋ね,乾癬に関するスクリーニング質問票(Psoriasis Screening Tool:PST)で確認が行われた。1991年以前に乾癬と診断されていた人は除外された。

期間中に乾癬と診断された1,150例のうち,1,069例が解析対象となった。アルコール飲料を1週間に2.3ドリンク(1ドリンク:アルコール12.8gと定義)以上摂取していた場合,全く摂取しない人に比べ乾癬の多変量相対リスク(RR)は1.72(95%CI 1.15~2.57,P for trend=0.003)であった。

アルコール摂取のサブグループにおいて,アルコール飲料の種類およびその量による解析を行ったところ,アルコール濃度やカロリーが低いライトビール,白ワイン,赤ワイン,その他の酒類(liquor)では,摂取量と乾癬の発症リスクに有意な関連は認められなかった。一方,通常のビールでは週に5ドリンク以上を摂取した場合,乾癬の発症リスクは2.29倍(95%CI 1.36~3.85,P for trend=0.003)に上昇していた。

同氏らは米国人女性を対象とした今回の検討から,アルコール飲料のなかでも,通常のビールだけが年齢や喫煙,BMI,運動,食事からの葉酸摂取といった因子とは独立して乾癬発症リスクを上昇させたと結論。同コホートよりも通常のビールの消費量が高いと考えられる米国一般人口での,週5ドリンク以上のビールによる乾癬の超過リスクは15.3%と推定されるという。

なお,ビールが大麦を原料とした発酵飲料であることから,乾癬発症にはアルコールよりも,潜在的なグルテン感受性の存在がリスク上昇に関連している可能性が考えられると同氏らは指摘。一方,ライトビールではリスク上昇が見られなかったことについては,はっきりしたことはわからないとしながらも,通常のビールに比べ,穀物の含有量が少ないためではないかと分析している。

(坂口 恵)

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食と糖尿病と尋常性乾癬
こんばんは。秋がだんだん深まっていきます。

当初豊作だと予想されていた松茸が、何だか近来まれにみる不作になりそうです。( ̄_ ̄|||)

丹波松茸は、ここ10年で最悪の不作だそうです。

今年も、中国・北朝鮮・カナダ・スウェーデン・・・と仲良くすることとしましょう。

さて。

今回は、さわさんから、尋常性乾癬糖尿病に関するコメントをいただきました。


「こんばんは^^
江部先生こんばんは、ご無沙汰しています。
毎日のお仕事&ブログ更新ご苦労さまです。
m(_ _)m

昨年10月に健康診断で糖尿病が発覚して依頼、1年ぶりの健康診断を受け、結果が届きましたので、見て頂きたくてコメントいたします。

発覚当初から1月まではインスリン、投薬なしで頑張り、1月からはボグリボース0.2mgを10ヶ月で120錠ほど使用しました。(1ヶ月に10錠ほど頓服的に使用する程度でした。)
アクトスは後ろ頭の血管が痛むようで体に合わず、2週間で服用を中止しました。

主食は昨年11月から抜いていたものの、おかずの糖質制限が非常に甘く、本格的に糖質制限に取り組むことができたのは今年の6月くらいからだと思います。

今、数値を書き出してみて、過去にコメントされた他の方の数値の推移によく似ていると思ったのですが、何か問題はありますでしょうか?
もうちょっと体重を増やしたいとは思っているのですが・・・

<上昇した項目>
尿酸値上昇3.1→6.5(2~7)
尿素窒素上昇10→17(5~22)
HDL上昇46→60(40~)
総コレステロール上昇150→164(120~219)
--------------------
<減少した項目>
体重52.0→49.9(60.8)身長167cm
BMI18.9→18.1(18.5~24.9)
中性脂肪大幅に減少90→28(50~149)
LDL減少97→92(70~119)
アルフォス減少308→231(100~340)
GPT減少14→9(~30)
尿たんぱく定性安定(+)→(-)
尿糖減少(3+)→(-)
血圧低下(112-62)→(105-59)(~84、~129)
血糖減少242→130(前日21:00にカレーのルーのみ3杯食べる。糖質25g程度)
HbA1c減少10.9→6.1
※検査したことはないのですが、自分の場合は、食後2時間値が下がりにくい傾向にあり、基礎分泌&追加分泌ともかなり少ないような気がします。
--------------------
<不変の項目>
GOT不変16→17(~30)
γーGPT不変16→16(~50)
クレアチニン不変0.6→0.6(~1.1)
赤血球不変494→448(427~570)
白血球不変7.7→7.7(4~8)
ヘモグロビン不変15.8→14.7(13.5~17.6)
ヘマトクリット不変45.8→44.4(39.8~51.8)
--------------------
<体感としては>
※持久力アップ
※眠気がなくなる
※朝の目覚めが良くなる
(ただし、80以下の低血糖時と150以上の高血糖時の目覚めは非常に悪いです)
※150~180以上の高血糖時はめまいを感じます。
(ウォーキングにより血糖値が下がるとめまいは即座に改善されます)
--------------------
尋常性乾癬は糖質制限で大大大幅に改善、特に牛肉全般、豚脂を控え始めてからは、今や体から完全に消滅してしまいそうな勢いです(嬉♪)もちろん新たな患部もこの1年出てきたりしていません。

もし何かお気づきの点がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
m(_ _)m

2009/10/22(Thu) 20:42 | URL | さわ」



さわさん。
お久しぶりです。コメントありがとうございます。

「HbA1c10.9→6.1%」

見事な改善ですね。(⌒o⌒)v

「体重52.0→49.9(60.8)身長167cm
BMI18.9→18.1(18.5~24.9)
中性脂肪大幅に減少90→28(50~149)」


やや痩せ気味になりましたので、低カロリーになりすぎないように注意してください。牛肉と豚脂以外の脂質、タンパク質は充分量摂取してくださいね。

他のデータも問題ありませんよ。今の食事に加えて、果物を血糖値に影響がない量、例えばりんご1/3×2回/日とか摂取すると、体重が増えやすいですね。

「※持久力アップ
※眠気がなくなる
※朝の目覚めが良くなる
(ただし、80以下の低血糖時と150以上の高血糖時の目覚めは非常に悪いです)
※150~180以上の高血糖時はめまいを感じます。
(ウォーキングにより血糖値が下がるとめまいは即座に改善されます)」


持久力は高まりますね。ほとんどの皆さんがそのようです。

低血糖と高血糖に敏感になったのですね。高雄病院の患者さんでも、いつも200~300mgの時は慣れていて無症状だったのが、糖質制限食で血糖が正常化したあと、たまに菓子パンなど食べて血糖が200mgを超えると、頭がボーッとするとか仰有ることがありますよ。

尋常性乾癬ほぼ、完治に近いですね。素晴らしいです。(^-^)v(^-^)v 

2009年8月27日のブログで、尋常性乾癬の高雄病院の患者さんのことを書きました。あれからもう一名、全身の発赤・落屑・肥厚・・・という今まで診たなかでも最重症の患者さんが来院され、兎に角1ヶ月、スーパー糖質制限食を実践してもらいました。

1ヶ月後、驚くべきことに

発赤10→2
落屑10→0~1
肥厚10→1

と劇的に改善していて、ご本人も私もナースもびっくりでした。ヾ(゜▽゜)

もしかしたら、

「精製炭水化物の過剰摂取が尋常性乾癬のもっとも大きな要因で牛肉と豚脂が少し関わっている」

というのが尋常性乾癬の本質だったのかもしれませんね。エスキモーは、伝統的食生活を守っている間は尋常性乾癬は極めてまれでした。

皮膚科のお医者さんが、本ブログをご覧になっておられたら、是非追試をしていただけば幸いです。 m(_ _)m

以下にさわさんのコメントと私のブログを参考のために再掲します。

江部康二

☆☆☆☆☆
尋常性乾癬と糖質制限食

「こんばんは。

2009/02/27(金)のブログ<尋常性乾癬の改善と糖質制限食>で、ご自身の20年来の尋常性乾癬が、糖質制限食を開始して約2ヶ月で劇的に改善された、さわさんのコメントを紹介しました。

その後、江部診療所と高雄病院で、数年来漢方治療をしているけれど、難治性で上手くいっていない尋常性乾癬の患者さん3名に、さわさんのコメントをプリントアウトして説明して、糖質制限食を実践していただきました。 (^_^)

比較的経過良好の2~3人の患者さんからは、残念ながら

「糖質抜きなんて到底無理です!!」と拒否されました。( ̄_ ̄|||)

やはりモチベーションの問題があるようです。

糖質制限食を実践していただいた、4人の患者さんは、1ヶ月経過した時点で全員、皮疹の面積が、10→5以下になりました。自分で想像していた以上の効果で嬉しいビックリでした。ヽ(*`▽´)ノ

まだまだ症例が少ないので、確定的なことは言えませんが、少なくとも通常の治療で、コントロール困難な尋常性乾癬に関しては糖質制限食を試みる価値は充分あると思います。

「騙されたと思って、兎に角1ヶ月、糖質制限食やってみて下さい。」

私はまあこんな具合で説得しました。

なおイヌイットと尋常性乾癬に関して、興味深い報告があります。

1950年~1974年までのグリーンランド・ウパナヴィック病院の記録をまとめて、Kromannらが1980年に報告しています。

それによると、まず動脈硬化性心疾患で死亡したグリーンランド・エスキモーはわずか3名で、ほぼ同年齢層のデンマーク人の死亡予想値40人に比べて極めて低かったのです。これは有名な報告なので、ご存じの方も多いと思います。

そして、尋常性乾癬の患者はわずか2名で、デンマーク人の予想値40人に比べて心筋梗塞以上に少なかったのです。

当時のグリーンランド・エスキモーの主食は、アザラシ・トド・魚肉などであり、まさにスーパー糖質制限食でした。

それでは日本で初めて、糖質制限食で尋常性乾癬が改善した、さわさんからその後の経過と貴重なアドバイスをコメントいただきましたので、以下抜粋を記載します。


【さわ
『糖質制限と尋常性乾癬』

江部先生、毎日のお仕事、ブログの更新ご苦労さまです。

先日は、私の質問に対して、ピーマンの糖質量まで調べて頂き、ありがとうございました。
おかげさまで、これからも安心してピーマンを食べることができそうです。

さて、今日はちょっとした報告があります。
自分は、ちょうど20年前の1月に尋常性乾癬を発症して今年で20年目になります。

尋常性乾癬とは不治の皮膚病で絶対治らないものだとあきらめていましたし、今まで20年近く我慢できたのだから、まぁ一生付き合っていけるだろうと考えていました。

ここ4~5年は春夏は症状がほぼ治まるのですが、12月~3月の4ヶ月間は膝から下がほぼ乾癬で埋め尽くされ、所々ひび割れて、痛さのあまり歩くこともままならず、一日の中でお風呂に入っている時だけが唯一ほっとできる、そんな日々を過ごしていました。

ところが、昨年の10月に糖尿病が発症し、糖質制限食は始めて以来、乾癬が全く出なくなりました。(現在左足に1cm、右足に5mm程度のものだけ)
こんなことはこの20年で初めてのことですし、どういうことなのだろう?と思っていたのですが、先生の2009/01/06(火)のブログを読んで、目から鱗でした。

ここの部分です。

『このブドウ糖ミニスパイクが、生体の恒常性をかく乱してアレルギー疾患を悪化させたり、将来の生活習慣病のもととなります。

過去世界中にいろんな食事療法がありましたが、経験的に有効とされているものは、玄米菜食、ゲルソン療法、甲田療法など基本的にブドウ糖ミニスパイクが少ないという一点で一致しています。

私は現在、世界に氾濫する生活習慣病の元凶は、精製炭水化物やジャンクフードによるグルコースミニスパイクとインスリン過剰分泌と考えています。』

今までの自分をを振り返ってみると、ラーメンは週に3度は食べるし、カレーライスは大好きでおかわりをするし、うどんや蕎麦、スパゲティは大好きだしで、炭水化物まみれの食生活だったので、乾癬も治らなかったのだな。と今年になってやっと気が付きました。

以前は、焼肉屋に行くと翌日には即座に乾癬が悪化していたので、脂質は避けて生活していたのですが、今では糖質制限をしている限り、焼肉屋に行っても全く乾癬は悪化しないようになりました。

ここ数年の歩けなかった辛さを考えると、糖尿病にはなったものの、乾癬がほぼ治った今現在のほうが凄く幸せだな。と毎日思っている次第です。
2009/02/25(水) 】


【さわ
乾癬がほぼ治って、何が嬉しいかというと、普通に歩けるようになったことがもちろん一番ですが、頭皮、手の甲も100%治り、人目を全く気にしなくて良くなったこと。ガンコな爪の変形もほぼ治ってきていること。温泉に行けるようになったこと等たくさんあります。
飲み薬、塗り薬は昨年の4月から一度も使用していないのにです。
本当に江部先生のブログに出会えて良かったと思っています。

2009/02/26(木) 09:32:21 】


【09/08/16 さわ
江部先生、こんにちは
今回シューアイス、シュークリーム残念でしたね。

でも、そのチャレンジ精神にはかなり勇気付けられました。
ありがとうございました。

>3人に糖質制限食を試して、全例成功しました。

これは凄いですね。
乾癬患者は症状が多彩なので1種類の治療法では治癒が難しいと思っていたので本当に驚きです。

自分のその後ですが、乾癬については、糖質制限でグルコーススパイクを抑えることと脂身の多い牛肉(できれば豚肉の脂身も)を控えることで上手くコントロールできるようです。

糖尿病については、6月に血糖自己測定器を購入し、毎食糖質5g~15g程度の摂取で測定していたところ
早朝空腹時160~170
夕食前130~140
夕食後2時間140~160
と言う数値が2週間近く改善されなかった為、重い腰を上げて苦手なウォーキングを2日に1回30分~50分するようにしました。
ウォーキングの時間帯は早朝、夕食前、深夜のいずれかです。

効果は初日からすぐに表れ
早朝空腹時95~125
夕食前95~125
夕食後2時間125~150
このようになりました。

最大の悩みであった早朝空腹時血糖値が前日の夕食後2時間値より高くなるという問題も解消されました。

またこれからも先生のブログや本でいろいろと勉強させて頂きたいと思っていますのでよろしくお願いします。 】

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
尋常性乾癬と糖質制限食・その後の経過
こんばんは。

2009/02/27(金)のブログ<尋常性乾癬の改善と糖質制限食>で、ご自身の20年来の尋常性乾癬が、糖質制限食を開始して約2ヶ月で劇的に改善された、さわさんのコメントを紹介しました。

その後、江部診療所と高雄病院で、数年来漢方治療をしているけれど、難治性で上手くいっていない尋常性乾癬の患者さん3名に、さわさんのコメントをプリントアウトして説明して、糖質制限食を実践していただきました。 (^_^)

比較的経過良好の2~3人の患者さんからは、残念ながら「糖質抜きなんて到底無理です!!」と拒否されました。( ̄_ ̄|||)

やはり、モチベーションの問題があるようです。

糖質制限食を実践していただいた、4人の患者さんは、1ヶ月経過した時点で全員皮疹の面積が、10→5以下になりました。自分で想像していた以上の効果で嬉しいビックリでした。ヽ(*`▽´)ノ

まだまだ症例が少ないので、確定的なことは言えませんが、少なくとも通常の治療で、コントロール困難な尋常性乾癬に関しては、糖質制限食を試みる価値は充分あると思います。

「騙されたと思って、兎に角1ヶ月、糖質制限食やってみて下さい。」

私は、まあこんな具合で説得しました。

なおイヌイットと尋常性乾癬に関して、興味深い報告があります。

1950年~1974年までのグリーンランド・ウパナヴィック病院の記録をまとめて、Kromannらが1980年に報告しています。

それによると、まず動脈硬化性心疾患で死亡したグリーンランド・エスキモーはわずか3名で、ほぼ同年齢層のデンマーク人の死亡予想値40人に比べて極めて低かったのです。これは有名な報告なので、ご存じの方も多いと思います。

そして、尋常性乾癬の患者はわずか2名で、デンマーク人の予想値40人に比べて心筋梗塞以上に少なかったのです。当時のグリーンランド・エスキモーの主食は、アザラシ・トド・魚肉などであり、まさにスーパー糖質制限食でした。

それでは日本で初めて、糖質制限食で尋常性乾癬が改善した、さわさんからその後の経過と貴重なアドバイスをコメントいただきましたので、以下抜粋を記載します。

さわさん、大変興味深い報告、ありがとうございました。m(_ _)mV

糖質制限食実践と牛脂・豚脂を減らすことで尋常性乾癬の経過良好、
糖質制限食と運動で早朝空腹時血糖値の改善、
糖質制限食で筋力も増強、
見事な自己管理ですね。ヾ(^▽^)

江部康二

【さわ
『糖質制限と尋常性乾癬』

江部先生、毎日のお仕事、ブログの更新ご苦労さまです。

先日は、私の質問に対して、ピーマンの糖質量まで調べて頂き、ありがとうございました。
おかげさまで、これからも安心してピーマンを食べることができそうです。

さて、今日はちょっとした報告があります。
自分は、ちょうど20年前の1月に尋常性乾癬を発症して今年で20年目になります。

尋常性乾癬とは不治の皮膚病で絶対治らないものだとあきらめていましたし、今まで20年近く我慢できたのだから、まぁ一生付き合っていけるだろうと考えていました。

ここ4~5年は春夏は症状がほぼ治まるのですが、12月~3月の4ヶ月間は膝から下がほぼ乾癬で埋め尽くされ、所々ひび割れて、痛さのあまり歩くこともままならず、一日の中でお風呂に入っている時だけが唯一ほっとできる、そんな日々を過ごしていました。

ところが、昨年の10月に糖尿病が発症し、糖質制限食は始めて以来、乾癬が全く出なくなりました。(現在左足に1cm、右足に5mm程度のものだけ)
こんなことはこの20年で初めてのことですし、どういうことなのだろう?と思っていたのですが、先生の2009/01/06(火)のブログを読んで、目から鱗でした。

ここの部分です。

『このブドウ糖ミニスパイクが、生体の恒常性をかく乱してアレルギー疾患を悪化させたり、将来の生活習慣病のもととなります。

過去世界中にいろんな食事療法がありましたが、経験的に有効とされているものは、玄米菜食、ゲルソン療法、甲田療法など基本的にブドウ糖ミニスパイクが少ないという一点で一致しています。

私は現在、世界に氾濫する生活習慣病の元凶は、精製炭水化物やジャンクフードによるグルコースミニスパイクとインスリン過剰分泌と考えています。』


今までの自分をを振り返ってみると、ラーメンは週に3度は食べるし、カレーライスは大好きでおかわりをするし、うどんや蕎麦、スパゲティは大好きだしで、炭水化物まみれの食生活だったので、乾癬も治らなかったのだな。と今年になってやっと気が付きました。

以前は、焼肉屋に行くと翌日には即座に乾癬が悪化していたので、脂質は避けて生活していたのですが、今では糖質制限をしている限り、焼肉屋に行っても全く乾癬は悪化しないようになりました。

ここ数年の歩けなかった辛さを考えると、糖尿病にはなったものの、乾癬がほぼ治った今現在のほうが凄く幸せだな。と毎日思っている次第です。
2009/02/25(水) 】



【さわ
乾癬がほぼ治って、何が嬉しいかというと、普通に歩けるようになったことがもちろん一番ですが、頭皮、手の甲も100%治り、人目を全く気にしなくて良くなったこと。ガンコな爪の変形もほぼ治ってきていること。温泉に行けるようになったこと等たくさんあります。
飲み薬、塗り薬は昨年の4月から一度も使用していないのにです。
本当に江部先生のブログに出会えて良かったと思っています。
2009/02/26(木) 09:32:21 】



【09/08/16 さわ
江部先生、こんにちは
今回シューアイス、シュークリーム残念でしたね。

でも、そのチャレンジ精神にはかなり勇気付けられました。
ありがとうございました。

>3人に糖質制限食を試して、全例成功しました。

これは凄いですね。
乾癬患者は症状が多彩なので1種類の治療法では治癒が難しいと思っていたので本当に驚きです。

自分のその後ですが、乾癬については、糖質制限でグルコーススパイクを抑えることと脂身の多い牛肉(できれば豚肉の脂身も)を控えることで上手くコントロールできるようです。

糖尿病については、6月に血糖自己測定器を購入し、毎食糖質5g~15g程度の摂取で測定していたところ
早朝空腹時160~170
夕食前130~140
夕食後2時間140~160
と言う数値が2週間近く改善されなかった為、重い腰を上げて苦手なウォーキングを2日に1回30分~50分するようにしました。
ウォーキングの時間帯は早朝、夕食前、深夜のいずれかです。

効果は初日からすぐに表れ
早朝空腹時95~125
夕食前95~125
夕食後2時間125~150
このようになりました。

最大の悩みであった早朝空腹時血糖値が前日の夕食後2時間値より高くなるという問題も解消されました。

またこれからも先生のブログや本でいろいろと勉強させて頂きたいと思っていますのでよろしくお願いします。 】



【09/08/19 さわ
糖質制限と乾癬と牛肉
江部先生、おはようございます。
連日の投稿ですみません。
最近は皆さん質問、コメントが多く、ずっと読み逃げ状態だったのですが、今回はコメントがなく寂しく思っていたので、レスさせていただきます。
たぶん、先生のあまりにも完璧な理論に皆さんグーの音も出なかったのだと思います。

筋肉についてですが、糖質制限を始めてから無駄な脂肪がほとんどなくなった私ですが、先日18歳の息子と腕相撲をしてみたところ、楽勝でこちらの勝ちでした。

糖尿病になる以前は5回しかできなかった腕立て伏せも50回は余裕でできるようになりました。

本でいろいろな方の理論を読むとついつい信用してしまいがちですが、はやり大切なのはまず自分でそれを実践してみて自分自身で判断することなのかな。と思いました。

この2ヶ月ですが、6月に血糖測定器を購入後、より厳密な血糖管理ができるようになり、まるで5~10年前にもどったようなハツラツとした体調を維持できています。

乾癬についてですが、自分のことが「我ら糖尿人、元気なのには理由(ワケ)がある。」に数ページにわたって取り上げられていることにかなり感動しました。

その後いろいろ考えたのですが、生物の進化上において、カンブリア紀の大爆発というものがありますよね。
地球上の環境が生物の進化に最も適した状態になり、ミトコンドリアのDNAの助けを借りて、生物が一気に多種多様化した時期です。

乾癬が一気に悪化する時は、この時代に似ていると思いました。

炭水化物の摂取とグルコーススパイクによる血管の内部がカンブリア紀の環境、気候にあたり、牛肉の脂がミトコンドリアになるのではないか?と。私独自の理論ですが・・・

昨年春から乾癬がほとんど良くなり、本当に嬉しかったのですが、調子に乗って1ヶ月に10回以上も牛肉を食べると、流石に乾癬も少しは悪化してきます。
でも、そのスピードは凄く緩やかで、また即座に反省し、脂たっぷりの牛肉の摂取をやめると、これまた緩やかですが、即座に快方に向かいます。

もし炭水化物を大量に摂取し、乾癬の悪化に最適な血液環境を自分自身で作っていたならば、少量の牛肉の摂取でも悪化はすさまじいものになっていただろうと思われました。

またこういう状態の時の改善は最低でも1~2ヶ月はかかります。

今はほんの少しの悪化に1~2週間、改善に1~2週間という感じですごく上手くコントロールできています。

今年も10月~2月はほぼ完全に牛肉断ちをする予定です。

ただし、完全な赤身のモモや脂肪のほとんどないヒレのステーキは、どちらかを月に1度くらいは食べる予定です。 焼肉屋はこの期間は絶対に行かないつもりです。

そし、春~秋は毎月1回は焼肉屋で脂たっぷりのカルビ、ホルモンなど堪能する予定にしています。

チーズなどの脂肪分、オリーブオイルなどの植物油は乾癬を全く悪化させないこともこの1年でわかりました。

これも人それぞれだと思うので、あくまで私の場合だと考えて欲しいのですが・・・

一応参考まで。
以上とりとめのない話になって申し訳ありませんでした。

これからも益々のご活躍を願っています。】


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
尋常性乾癬の改善と糖質制限食
おはようございます。

しばらく暖かだったのが、今日からまた寒いとの予報でしたが、京都はまた雨です。雪は無しでそんなに寒くないですね。

今夜は同級生の集まりがあって、祇園に出かけます。明日の夜はテニスクラブの集まりです。明後日の朝はテニスのレッスンの予定ですから、二日酔い厳禁ですね。

さて今回は、さわさんから、尋常性乾癬と糖異質制限食に関して、とても興味深くて嬉しいコメントをいただきました。


【さわ
『糖質制限と尋常性乾癬

江部先生、毎日のお仕事、ブログの更新ご苦労さまです。

先日は、私の質問に対して、ピーマンの糖質量まで調べて頂き、ありがとうございました。
おかげさまで、これからも安心してピーマンを食べることができそうです。

さて、今日はちょっとした報告があります。
自分は、ちょうど20年前の1月に尋常性乾癬を発症して今年で20年目になります。

尋常性乾癬とは不治の皮膚病で絶対治らないものだとあきらめていましたし、今まで20年近く我慢できたのだから、まぁ一生付き合っていけるだろうと考えていました。

ここ4~5年は春夏は症状がほぼ治まるのですが、12月~3月の4ヶ月間は膝から下がほぼ乾癬で埋め尽くされ、所々ひび割れて、痛さのあまり歩くこともままならず、一日の中でお風呂に入っている時だけが唯一ほっとできる、そんな日々を過ごしていました。

ところが、昨年の10月に糖尿病が発症し、糖質制限食は始めて以来、乾癬が全く出なくなりました。(現在左足に1cm、右足に5mm程度のものだけ)
こんなことはこの20年で初めてのことですし、どういうことなのだろう?と思っていたのですが、先生の2009/01/06(火)のブログを読んで、目から鱗でした。

ここの部分です。

このブドウ糖ミニスパイクが、生体の恒常性をかく乱してアレルギー疾患を悪化させたり、将来の生活習慣病のもととなります。

過去世界中にいろんな食事療法がありましたが、経験的に有効とされているものは、玄米菜食、ゲルソン療法、甲田療法など基本的にブドウ糖ミニスパイクが少ないという一点で一致しています。

私は現在、世界に氾濫する生活習慣病の元凶は、精製炭水化物やジャンクフードによるグルコースミニスパイクとインスリン過剰分泌と考えています。


今までの自分をを振り返ってみると、ラーメンは週に3度は食べるし、カレーライスは大好きでおかわりをするし、うどんや蕎麦、スパゲティは大好きだしで、炭水化物まみれの食生活だったので、乾癬も治らなかったのだな。と今年になってやっと気が付きました。

以前は、焼肉屋に行くと翌日には即座に乾癬が悪化していたので、脂質は避けて生活していたのですが、今では糖質制限をしている限り、焼肉屋に行っても全く乾癬は悪化しないようになりました。

ここ数年の歩けなかった辛さを考えると、糖尿病にはなったものの、乾癬がほぼ治った今現在のほうが凄く幸せだな。と毎日思っている次第です。
2009/02/25(水) 22:47:50 】


【さわ
『No title』


>近日中に記事にしたいと思います。

これは嬉しいです。是非よろしくお願いします。

乾癬がほぼ治って、何が嬉しいかというと、普通に歩けるようになったことがもちろん一番ですが、頭皮、手の甲も100%治り、人目を全く気にしなくて良くなったこと。ガンコな爪の変形もほぼ治ってきていること。温泉に行けるようになったこと等たくさんあります。

飲み薬、塗り薬は昨年の4月から一度も使用していないのにです。

本当に江部先生のブログに出会えて良かったと思っています。

2009/02/26(木) 09:32:21 】


さわさん。

貴重なコメントありがとうございます。
20年来の、尋常性乾癬がほぼ治ったとは素晴らしいですね。ヾ(^▽^)

私も漢方医ですので、尋常性乾癬やアトピー性皮膚炎など、皮膚科領域の患者さんも結構たくさん、診察にこられます。

単純な比較は難しいですが、第一線の臨床医としては、尋常性乾癬は、アトピー性皮膚炎よりかなり治りにくいです。

さわさん、2008年10月に糖尿病発症ですから、約2ヶ月の糖質制限食実践で、20年間毎年12月~3月に必ず悪化していた尋常性乾癬が、飲み薬・塗り薬もなしで、ほとんど治ってしまったのですね。これは驚きの効果です。

他の尋常性乾癬の患者さんも、さわさんと同様に糖質制限食が劇的に効果があるのかどうか、これからさらなる検討が必要ですね。

私が診察している尋常性乾癬の患者さんで、苦戦している方が何人かおられるので、早速、さわさんの体験を話して糖質制限食を奨めてみます。

<精製炭水化物摂取によるブドウ糖ミニスパイクが、生体の恒常性をかく乱してアレルギー疾患を悪化させたり、将来の生活習慣病のもととなります。
過去世界中にいろんな食事療法がありましたが、経験的に有効とされているものは、玄米菜食、ゲルソン療法、甲田療法など基本的にブドウ糖ミニスパイクが少ないという一点で一致しています。
私は現在、世界に氾濫する生活習慣病の元凶は、精製炭水化物やジャンクフードによるグルコースミニスパイクとインスリン過剰分泌と考えています。>

糖質制限食を実践すると、代謝全てが安定し血液の恒常性も保たれ、毛細血管に到るまで血流もよくなり、自然治癒力も高まります。従って、ほとんど全ての疾患に対して、症状改善の方向に向かう可能性が高いと思います。

それからイヌイットと尋常性乾癬に関して、興味深い報告があります。

1950年~1974年までのグリーンランド・ウパナヴィック病院の記録をまとめて、Kromannらが1980年に報告しています。

それによると、まず動脈硬化性心疾患で死亡したグリーンランド・エスキモーはわずか3名で、ほぼ同年齢層のデンマーク人の死亡予想値40人に比べて極めて低かったのです。これは有名な報告なので、ご存じの方も多いと思います。

そして、尋常性乾癬の患者はわずか2名で、デンマーク人の予想値40人に比べて心筋梗塞以上に少なかったのです。

当時のグリーンランド・エスキモーの主食は、アザラシ・トド・魚肉などであり、まさにスーパー糖質制限食でした。

さわさんとイヌイットの例だけで、糖質制限食が全ての尋常性乾癬患者に有効かどうかはまだまだ断定できませんが、少なくとも有力な選択肢として浮上してきたことは間違いありませんね。 (^_^)


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット