2015年07月24日 (金)
こんばんは。
酷暑が続く京都です。
ご高齢の患者さんが数名、脱水や熱中症で高雄病院に来院されました。
いずれもl軽症で点滴で回復されましたが、例年より多い気がします。
ブログ読者の皆さんも水分補給には充分留意してくださいね。
私は、7/25(土)から、3泊4日で7/28(火)まで、信州八ヶ岳山麓の富士見高原(標高1250m)にテニス合宿にいきます。
第34回目のテニス合宿です。
富士見高原の爽やかな涼を満喫してきたいと思います。
ブログの更新は二日酔いでなければできるかもしれませんが、自信はありません。
さて、スポーツや肉体労働をしていない時、脱水予防に水分補給するなら、水が一番です。
汗を多くかいていない時は塩分補給は必要なく、水分補給だけで充分です。
お茶でもよいです。 単なる炭酸水もいいです。 個人的にはペリエが一番好きですが、日常的にはもっと安価な炭酸水をケースで購入しています。
水やお茶など糖質のない糖質制限OKの飲み物は沢山あります。
糖質がごく少量の飲み物としては、成分未調整の豆乳もあります。
ブラックコーヒーも糖質はごく少量です。
私も、豆乳や、「ブラックコーヒー+生クリーム」をよく飲みます。
カフェインを気にするなら、水が一番ですが、お茶の中では、番茶がカフェインが少ないですね。
玄米茶は10mg/100mlです。
麦茶、杜仲茶、ルイボスティーなどは、カフェインゼロです。
爽健美茶、十六茶もカフェインゼロです。
**飲料別カフェイン含有量(福岡県薬剤師会調べ)
http://www.fpa.or.jp/johocenter/yakuji-main/kusuriqanda.html
福岡県薬剤師会のサイト
http://www.fpa.or.jp/library/kusuriQA/50.pdf
コーヒー 60mg/100ml
紅茶 30mg/100ml
せん茶 20mg/100ml
玉露 160mg/100ml
番茶 10mg/100ml
ウーロン茶 20mg/100ml
麦茶 0mg/100ml
野外労働やスポーツで、一定以上汗をかいたときは、水分に加えて、塩分補給も必要です。
熱中症ガイドライン・日本救急医学会2015年によれば熱中症の予防・治療には
「0.1 から 0.2%程度の食塩水、つまり 1L の水に 1 から 2g の 食塩。
推奨されている 飲 水 量 は 高 齢 者 を 含 む 学 童 か ら 成 人 が 500 ~ 1,000mL /日、
幼児が 300 ~ 600mL /日、乳児が 体重 1kg 当たり 30 ~ 50mL /日を目安としている。」
とされています。
手っ取り早くは、アクエリアスゼロでもいいと思います。
炭水化物0.7gと記載されていますが、カロリーゼロなので血糖を上昇させることは、まずないです。
アクエリアスゼロ
100mlあたり
エネルギー 0kcal
タンパク質 0g
脂質 0g
炭水化物 0.7g
ナトリウム 40mg
カリウム 9mg
マグネシウム 1.2mg
L-カルニチン 10mg
原材料名 : 果糖、塩化Na、L-カルニチン L-酒石酸塩、香料、クエン酸、クエン酸Na、
甘味料(アセスルファムK、スクラロース)、
塩化K、硫酸Mg、乳酸Ca、酸化防止剤(ビタミンC)
人工甘味料が嫌な人は
「1L の水に 1 から 2g の 食塩」を自分で作って飲めば良いと思います。
江部康二
☆☆☆参考
熱中症ガイドライン・日本救急医学会2015年
http://www.jaam.jp/html/info/2015/pdf/info-20150413.pdf
以下、熱中症ガイドラインからの抜粋です。
詳しくは
http://www.jaam.jp/html/info/2015/pdf/info-20150413.pdf
をご覧いただけば幸いです。
CQ1:本邦における熱中症の
発生頻度はどのくらいか
平成 25 年(2013 年)6 月 ~9 月の夏季 4 か月
間に医療機関を受診し、熱中症関連の診断を受けた
症例は、診療報酬明細 (いわゆるレセプト)ベース
で、407,948 人でした。
CQ1:どのような人が
熱中症にかかりやすいか?
疫 学
A:気温は環境要因の危険因子として重要である
(1C)。若年男性のスポーツ、中壮年男性の労働に
よる労作性熱中症は屋外での発症頻度が高く重症例
は少ない(1C)。高齢者では男女ともに日常生活の
なかで起こる非労作性熱中症の発症頻度が高い
(1C)。屋内で発症する非労作性熱中症では、高齢、
独居、日常生活動作の低下、精神疾患や心疾患など
の基礎疾患を有することが熱中症関連死に対する独
立危険因子である(1C)。
CQ3:熱中症の発生に関係する
気象条件にはどのような
ものがあるか
疫 学
A:熱中症の発生には気温・湿度・風速・日射輻射
が関係し、熱中症リスク指標として「暑さ指数
(WBGT)」が推奨される(1C)。梅雨明け前後の暑
さのピークで、熱中症の発生リスクが最も高く、重
症率も高い(1C)。また、暑くなる前は、真夏より
も低い温度で熱中症が発生する(1C)。
CQ4-1:熱中症の診断基準は、
どのようなものか?
診 断
A3-1:暑熱環境における体調不良では常に熱中症
を疑う。熱中症とは「暑熱環境における身体適応の
障害によって起こる状態の総称」である。すなわち
「暑熱による諸症状を呈するもの」のうちで、他の
原因疾患を除外したものを熱中症と診断する(1C)。
CQ4-2:熱中症の重症度は
どのように判定するか?
診 断
A3-2:熱中症を軽症から重症まで 1 つの軸でⅠ,Ⅱ,
Ⅲ度の 3 段階の重症度に分類する(1C)。Ⅰ度は現
場にて対処可能な病態、Ⅱ度は速やかに医療機関へ
の受診が必要な病態、Ⅲ度は採血、医療者による判
断により入院(場合により集中治療)が必要な病態
である(1C)。
CQ5:熱中症の予防・治療には
何を飲めばよいか
治 療
A5: 塩 分 と 水 分 の 両 者 を 適 切 に 含 ん だ も の
(0.1~0.2% の食塩水)が推奨される(1C)。現実的
には市販の経口補水液が望ましい。
0.1 から 0.2%程度の食塩水、つまり 1L の水に 1 から 2g の 食塩
推奨されている 飲 水 量 は 高 齢 者 を 含 む 学 童 か ら 成 人 が 500 ~ 1,000mL /日、
幼児が 300 ~ 600mL /日、乳児が 体重 1kg 当たり 30 ~ 50mL /日を目安としている。
酷暑が続く京都です。
ご高齢の患者さんが数名、脱水や熱中症で高雄病院に来院されました。
いずれもl軽症で点滴で回復されましたが、例年より多い気がします。
ブログ読者の皆さんも水分補給には充分留意してくださいね。
私は、7/25(土)から、3泊4日で7/28(火)まで、信州八ヶ岳山麓の富士見高原(標高1250m)にテニス合宿にいきます。
第34回目のテニス合宿です。
富士見高原の爽やかな涼を満喫してきたいと思います。
ブログの更新は二日酔いでなければできるかもしれませんが、自信はありません。
さて、スポーツや肉体労働をしていない時、脱水予防に水分補給するなら、水が一番です。
汗を多くかいていない時は塩分補給は必要なく、水分補給だけで充分です。
お茶でもよいです。 単なる炭酸水もいいです。 個人的にはペリエが一番好きですが、日常的にはもっと安価な炭酸水をケースで購入しています。
水やお茶など糖質のない糖質制限OKの飲み物は沢山あります。
糖質がごく少量の飲み物としては、成分未調整の豆乳もあります。
ブラックコーヒーも糖質はごく少量です。
私も、豆乳や、「ブラックコーヒー+生クリーム」をよく飲みます。
カフェインを気にするなら、水が一番ですが、お茶の中では、番茶がカフェインが少ないですね。
玄米茶は10mg/100mlです。
麦茶、杜仲茶、ルイボスティーなどは、カフェインゼロです。
爽健美茶、十六茶もカフェインゼロです。
**飲料別カフェイン含有量(福岡県薬剤師会調べ)
http://www.fpa.or.jp/johocenter/yakuji-main/kusuriqanda.html
福岡県薬剤師会のサイト
http://www.fpa.or.jp/library/kusuriQA/50.pdf
コーヒー 60mg/100ml
紅茶 30mg/100ml
せん茶 20mg/100ml
玉露 160mg/100ml
番茶 10mg/100ml
ウーロン茶 20mg/100ml
麦茶 0mg/100ml
野外労働やスポーツで、一定以上汗をかいたときは、水分に加えて、塩分補給も必要です。
熱中症ガイドライン・日本救急医学会2015年によれば熱中症の予防・治療には
「0.1 から 0.2%程度の食塩水、つまり 1L の水に 1 から 2g の 食塩。
推奨されている 飲 水 量 は 高 齢 者 を 含 む 学 童 か ら 成 人 が 500 ~ 1,000mL /日、
幼児が 300 ~ 600mL /日、乳児が 体重 1kg 当たり 30 ~ 50mL /日を目安としている。」
とされています。
手っ取り早くは、アクエリアスゼロでもいいと思います。
炭水化物0.7gと記載されていますが、カロリーゼロなので血糖を上昇させることは、まずないです。
アクエリアスゼロ
100mlあたり
エネルギー 0kcal
タンパク質 0g
脂質 0g
炭水化物 0.7g
ナトリウム 40mg
カリウム 9mg
マグネシウム 1.2mg
L-カルニチン 10mg
原材料名 : 果糖、塩化Na、L-カルニチン L-酒石酸塩、香料、クエン酸、クエン酸Na、
甘味料(アセスルファムK、スクラロース)、
塩化K、硫酸Mg、乳酸Ca、酸化防止剤(ビタミンC)
人工甘味料が嫌な人は
「1L の水に 1 から 2g の 食塩」を自分で作って飲めば良いと思います。
江部康二
☆☆☆参考
熱中症ガイドライン・日本救急医学会2015年
http://www.jaam.jp/html/info/2015/pdf/info-20150413.pdf
以下、熱中症ガイドラインからの抜粋です。
詳しくは
http://www.jaam.jp/html/info/2015/pdf/info-20150413.pdf
をご覧いただけば幸いです。
CQ1:本邦における熱中症の
発生頻度はどのくらいか
平成 25 年(2013 年)6 月 ~9 月の夏季 4 か月
間に医療機関を受診し、熱中症関連の診断を受けた
症例は、診療報酬明細 (いわゆるレセプト)ベース
で、407,948 人でした。
CQ1:どのような人が
熱中症にかかりやすいか?
疫 学
A:気温は環境要因の危険因子として重要である
(1C)。若年男性のスポーツ、中壮年男性の労働に
よる労作性熱中症は屋外での発症頻度が高く重症例
は少ない(1C)。高齢者では男女ともに日常生活の
なかで起こる非労作性熱中症の発症頻度が高い
(1C)。屋内で発症する非労作性熱中症では、高齢、
独居、日常生活動作の低下、精神疾患や心疾患など
の基礎疾患を有することが熱中症関連死に対する独
立危険因子である(1C)。
CQ3:熱中症の発生に関係する
気象条件にはどのような
ものがあるか
疫 学
A:熱中症の発生には気温・湿度・風速・日射輻射
が関係し、熱中症リスク指標として「暑さ指数
(WBGT)」が推奨される(1C)。梅雨明け前後の暑
さのピークで、熱中症の発生リスクが最も高く、重
症率も高い(1C)。また、暑くなる前は、真夏より
も低い温度で熱中症が発生する(1C)。
CQ4-1:熱中症の診断基準は、
どのようなものか?
診 断
A3-1:暑熱環境における体調不良では常に熱中症
を疑う。熱中症とは「暑熱環境における身体適応の
障害によって起こる状態の総称」である。すなわち
「暑熱による諸症状を呈するもの」のうちで、他の
原因疾患を除外したものを熱中症と診断する(1C)。
CQ4-2:熱中症の重症度は
どのように判定するか?
診 断
A3-2:熱中症を軽症から重症まで 1 つの軸でⅠ,Ⅱ,
Ⅲ度の 3 段階の重症度に分類する(1C)。Ⅰ度は現
場にて対処可能な病態、Ⅱ度は速やかに医療機関へ
の受診が必要な病態、Ⅲ度は採血、医療者による判
断により入院(場合により集中治療)が必要な病態
である(1C)。
CQ5:熱中症の予防・治療には
何を飲めばよいか
治 療
A5: 塩 分 と 水 分 の 両 者 を 適 切 に 含 ん だ も の
(0.1~0.2% の食塩水)が推奨される(1C)。現実的
には市販の経口補水液が望ましい。
0.1 から 0.2%程度の食塩水、つまり 1L の水に 1 から 2g の 食塩
推奨されている 飲 水 量 は 高 齢 者 を 含 む 学 童 か ら 成 人 が 500 ~ 1,000mL /日、
幼児が 300 ~ 600mL /日、乳児が 体重 1kg 当たり 30 ~ 50mL /日を目安としている。
2015年05月06日 (水)
【15/05/06 misako
私が糖尿病性ケトアシドーシスを起こして緊急入院した時は、医師から1型を疑われましたが、結局2型だろうという結論になりました。
ヘモグロビンA1cが15.0とかなり高い値であったこと、抗GAD抗体その他いくつかの検査の結果が陰性であったこと、家族歴(父と弟が2型)などから2型と診断されましたが、「レアケース」と言われました。
2型ではケトアシドーシスはまず起こらない、と書いてあるサイトもありますが、私のような場合もあるということで・・・
ちなみに、数日前から風邪の症状があったので、口当たりのいいアイスやヤクルトばかり摂取し、イオン飲料をがぶ呑みしていました。】
こんにちは。
misakoさんから、2型でも糖尿病性ケトアシドーシスになったというコメントをいただきました。
確かに「レアケース・・・まれなケース」と思いますので考察してみましょう。
大分暑くて汗ばむ季節となってきました。
私も、今日、自転車で初めて知人の家まで行ったらずっと登りで、かなりしんどくて、汗もたっぷりかきました。
自動車で行ってたときは、そんな登りとか、全く気がついてませんでした。(=_=;)
さて、暑くなってくるとペットボトルを持ち歩いたりして、清涼飲料水を1日2~3リットル毎日飲み続ける人がいます。
もともと2型糖尿病であったり境界型糖尿病レベルの人が、液体の糖質(清涼飲料水)のような吸収されやすい糖質を、多量に毎日のように摂取していると、飲む度に血糖値が急上昇してインスリンが大量に追加分泌されます。
このようなペットボトル生活を、1~2週間から1ヶ月近く続けていると、ついには膵臓のβ細胞が疲弊してしまい、インスリンの生産が追いつかなくなり血糖値が高くなります。
一旦血糖値が高くなると糖毒状態となります。(*)
糖毒の悪循環が続けばインスリン作用は遂に欠落してしまい、糖尿病性ケトアシドーシスという危険な状態になり、ものの1~2週間で意識の混濁や昏睡に陥るケースもあります。
この様なときは、緊急入院して生理的食塩水の点滴で脱水を補正し、インスリン注射をして、血糖値をコントロールします。
血糖がコントロールできれば糖毒状態は急速に改善し、
インスリン分泌能力も回復することがほとんどです。
従って、退院後はもとの状態に戻るので、インスリン注射も勿論必要ありません。
清涼飲料水ケトーシスの特徴
①清涼飲料水を大量に摂取する(一日平均約2リットル)
②青年期から中年にかけての男性に多い
③発症時に肥満があるが肥満歴を有する人が大半
④血縁者に糖尿病患者がいるケースが半分以上
⑤患者に病識がないか乏しい
大量の液体の糖質を摂取することが、ペットボトル症候群(清涼飲料水ケトーシス)の元凶です。
液体糖質大量摂取以外には起こりえない病態ですが、今でも時々見かけます。
2型糖尿病で、糖尿病ケトアシドーシスを発症する場合、ほとんどがペットボトル症候群です。
misakoさんのケースは、もともと糖尿病であったところに、風邪気味で数日間、大量の清涼飲料水を飲んでペットボトル症候群的な病態に陥った可能性がありますね。
液体糖質摂取によるペットボトル症候群は、日本人に多い病態で、欧米白人にはほとんど見られませんが、インスリン分泌能力の差が関係しているのかもしれません。
欧米白人は、インスリン分泌能力が高いので、清涼飲料水を大量に飲んでも、なかなか高血糖になりにくいにくいものと思われます。
そのかわり、インスリンを長期に大量に分泌し続ける能力により、150kgを超える巨大な肥満患者が多数存在することになります。
いずれにせよ、ブドウ糖や砂糖入りの清涼飲料水は、危険な飲み物という認識が必要と思います。
ちなみに米国飲料協会(ABA)は、公立小中学校でのエネルギー量(糖質)の多い清涼飲料水の発売を2009年、全面停止しています。
(*)糖毒
① 高血糖の持続→膵臓のランゲルハンス島のβ細胞にダメージ→インスリン分泌低下
② 高血糖の持続→細胞レベルでのインスリン抵抗性増大
高血糖があると①と②が体内で生じます。
インスリン分泌低下と抵抗性増大が生じれば、ますます高血糖となります。
≪高血糖の持続→インスリン分泌低下とインスリン抵抗性増大→高血糖の持続→≫
この悪循環パターンを、臨床的には「糖毒」 と呼びます。
なぜ、高血糖自体がインスリン分泌を低下させるのか、インスリン抵抗性を増大させるのか、最先端の研究で調べられてはいるのですが、はっきり言ってまだよくわからないのが現状です。
江部康二
私が糖尿病性ケトアシドーシスを起こして緊急入院した時は、医師から1型を疑われましたが、結局2型だろうという結論になりました。
ヘモグロビンA1cが15.0とかなり高い値であったこと、抗GAD抗体その他いくつかの検査の結果が陰性であったこと、家族歴(父と弟が2型)などから2型と診断されましたが、「レアケース」と言われました。
2型ではケトアシドーシスはまず起こらない、と書いてあるサイトもありますが、私のような場合もあるということで・・・
ちなみに、数日前から風邪の症状があったので、口当たりのいいアイスやヤクルトばかり摂取し、イオン飲料をがぶ呑みしていました。】
こんにちは。
misakoさんから、2型でも糖尿病性ケトアシドーシスになったというコメントをいただきました。
確かに「レアケース・・・まれなケース」と思いますので考察してみましょう。
大分暑くて汗ばむ季節となってきました。
私も、今日、自転車で初めて知人の家まで行ったらずっと登りで、かなりしんどくて、汗もたっぷりかきました。
自動車で行ってたときは、そんな登りとか、全く気がついてませんでした。(=_=;)
さて、暑くなってくるとペットボトルを持ち歩いたりして、清涼飲料水を1日2~3リットル毎日飲み続ける人がいます。
もともと2型糖尿病であったり境界型糖尿病レベルの人が、液体の糖質(清涼飲料水)のような吸収されやすい糖質を、多量に毎日のように摂取していると、飲む度に血糖値が急上昇してインスリンが大量に追加分泌されます。
このようなペットボトル生活を、1~2週間から1ヶ月近く続けていると、ついには膵臓のβ細胞が疲弊してしまい、インスリンの生産が追いつかなくなり血糖値が高くなります。
一旦血糖値が高くなると糖毒状態となります。(*)
糖毒の悪循環が続けばインスリン作用は遂に欠落してしまい、糖尿病性ケトアシドーシスという危険な状態になり、ものの1~2週間で意識の混濁や昏睡に陥るケースもあります。
この様なときは、緊急入院して生理的食塩水の点滴で脱水を補正し、インスリン注射をして、血糖値をコントロールします。
血糖がコントロールできれば糖毒状態は急速に改善し、
インスリン分泌能力も回復することがほとんどです。
従って、退院後はもとの状態に戻るので、インスリン注射も勿論必要ありません。
清涼飲料水ケトーシスの特徴
①清涼飲料水を大量に摂取する(一日平均約2リットル)
②青年期から中年にかけての男性に多い
③発症時に肥満があるが肥満歴を有する人が大半
④血縁者に糖尿病患者がいるケースが半分以上
⑤患者に病識がないか乏しい
大量の液体の糖質を摂取することが、ペットボトル症候群(清涼飲料水ケトーシス)の元凶です。
液体糖質大量摂取以外には起こりえない病態ですが、今でも時々見かけます。
2型糖尿病で、糖尿病ケトアシドーシスを発症する場合、ほとんどがペットボトル症候群です。
misakoさんのケースは、もともと糖尿病であったところに、風邪気味で数日間、大量の清涼飲料水を飲んでペットボトル症候群的な病態に陥った可能性がありますね。
液体糖質摂取によるペットボトル症候群は、日本人に多い病態で、欧米白人にはほとんど見られませんが、インスリン分泌能力の差が関係しているのかもしれません。
欧米白人は、インスリン分泌能力が高いので、清涼飲料水を大量に飲んでも、なかなか高血糖になりにくいにくいものと思われます。
そのかわり、インスリンを長期に大量に分泌し続ける能力により、150kgを超える巨大な肥満患者が多数存在することになります。
いずれにせよ、ブドウ糖や砂糖入りの清涼飲料水は、危険な飲み物という認識が必要と思います。
ちなみに米国飲料協会(ABA)は、公立小中学校でのエネルギー量(糖質)の多い清涼飲料水の発売を2009年、全面停止しています。
(*)糖毒
① 高血糖の持続→膵臓のランゲルハンス島のβ細胞にダメージ→インスリン分泌低下
② 高血糖の持続→細胞レベルでのインスリン抵抗性増大
高血糖があると①と②が体内で生じます。
インスリン分泌低下と抵抗性増大が生じれば、ますます高血糖となります。
≪高血糖の持続→インスリン分泌低下とインスリン抵抗性増大→高血糖の持続→≫
この悪循環パターンを、臨床的には「糖毒」 と呼びます。
なぜ、高血糖自体がインスリン分泌を低下させるのか、インスリン抵抗性を増大させるのか、最先端の研究で調べられてはいるのですが、はっきり言ってまだよくわからないのが現状です。
江部康二
2012年05月08日 (火)
こんにちは。
大分暑くて汗ばむ季節となってきました。
暑くなってくるとペットボトルを持ち歩いたりして、清涼飲料水を1日2~3リットル毎日飲み続ける人がいます。
もともと糖尿病の素因を持っていたり、境界型糖尿病レベルの人が液体の糖質のような吸収されやすい糖質を、多量に毎日のように摂取していると、飲む度に血糖値が急上昇してインスリンが大量に追加分泌されます。
このようなペットボトル生活を1ヶ月近く続けていると、ついには膵臓のβ細胞が疲弊してしまい、インスリンの生産が追いつかなくなり血糖値が高くなります。
一旦血糖値が高くなると糖毒状態となります。(*)
糖毒の悪循環が続けばインスリン作用は遂に欠落してしまい、糖尿病性ケトアシドーシスという危険な状態になり、ものの1~2週間で意識の混濁や昏睡に陥るケースもあります。
この様なときは、緊急入院して生理的食塩水の点滴で脱水を補正し、インスリン注射をして、血糖値をコントロールします。
血糖がコントロールできれば糖毒状態は急速に改善し、インスリン分泌能力も回復することがほとんどです。
従って、退院後はもとの状態に戻るので、インスリン注射も勿論必要ありません。
清涼飲料水ケトーシスの特徴
①清涼飲料水を大量に摂取する(一日平均約2リットル)
②青年期から中年にかけての男性に多い
③発症時に肥満があるが肥満歴を有する人が大半
④血縁者に糖尿病患者がいるケースが半分以上
⑤患者に病識がないか乏しい
大量の液体の糖質を摂取することが、ペットボトル症候群の元凶です。
糖質大量摂取以外には起こりえない病態ですが、今でも時々見かけます。
液体糖質摂取によるペットボトル症候群は、日本人に多い病態で、欧米白人にはほとんど見られませんが、インスリン分泌能力の差が関係しているのかもしれません。
欧米白人は、インスリン分泌能力が高いので、清涼飲料水を大量に飲んでも、なかなか高血糖になりにくいにくいものと思われます。
そのかわり、インスリンを長期に大量に分泌し続ける能力により、150kgを超える巨大な肥満患者が多数存在することになります。
いずれにせよ、ブドウ糖や砂糖入りの清涼飲料水は、危険な飲み物という認識が必要と思います。
ちなみに米国飲料協会(ABA)は、公立小中学校でのエネルギー量(糖質)の多い清涼飲料水の発売を2009年、全面停止しています。
(*)糖毒
① 高血糖の持続→膵臓のランゲルハンス島のβ細胞にダメージ→インスリン分泌低下
② 高血糖の持続→細胞レベルでのインスリン抵抗性増大
高血糖があると①と②が体内で生じます。
インスリン分泌低下と抵抗性増大が生じれば、ますます高血糖となります。
≪高血糖の持続→インスリン分泌低下とインスリン抵抗性増大→高血糖の持続→≫
この悪循環パターンを、臨床的には「糖毒」 と呼びます。
なぜ、高血糖自体がインスリン分泌を低下させるのか、インスリン抵抗性を増大させるのか、最先端の研究で調べられてはいるのですが、はっきり言ってまだよくわからないのが現状です。
江部康二
大分暑くて汗ばむ季節となってきました。
暑くなってくるとペットボトルを持ち歩いたりして、清涼飲料水を1日2~3リットル毎日飲み続ける人がいます。
もともと糖尿病の素因を持っていたり、境界型糖尿病レベルの人が液体の糖質のような吸収されやすい糖質を、多量に毎日のように摂取していると、飲む度に血糖値が急上昇してインスリンが大量に追加分泌されます。
このようなペットボトル生活を1ヶ月近く続けていると、ついには膵臓のβ細胞が疲弊してしまい、インスリンの生産が追いつかなくなり血糖値が高くなります。
一旦血糖値が高くなると糖毒状態となります。(*)
糖毒の悪循環が続けばインスリン作用は遂に欠落してしまい、糖尿病性ケトアシドーシスという危険な状態になり、ものの1~2週間で意識の混濁や昏睡に陥るケースもあります。
この様なときは、緊急入院して生理的食塩水の点滴で脱水を補正し、インスリン注射をして、血糖値をコントロールします。
血糖がコントロールできれば糖毒状態は急速に改善し、インスリン分泌能力も回復することがほとんどです。
従って、退院後はもとの状態に戻るので、インスリン注射も勿論必要ありません。
清涼飲料水ケトーシスの特徴
①清涼飲料水を大量に摂取する(一日平均約2リットル)
②青年期から中年にかけての男性に多い
③発症時に肥満があるが肥満歴を有する人が大半
④血縁者に糖尿病患者がいるケースが半分以上
⑤患者に病識がないか乏しい
大量の液体の糖質を摂取することが、ペットボトル症候群の元凶です。
糖質大量摂取以外には起こりえない病態ですが、今でも時々見かけます。
液体糖質摂取によるペットボトル症候群は、日本人に多い病態で、欧米白人にはほとんど見られませんが、インスリン分泌能力の差が関係しているのかもしれません。
欧米白人は、インスリン分泌能力が高いので、清涼飲料水を大量に飲んでも、なかなか高血糖になりにくいにくいものと思われます。
そのかわり、インスリンを長期に大量に分泌し続ける能力により、150kgを超える巨大な肥満患者が多数存在することになります。
いずれにせよ、ブドウ糖や砂糖入りの清涼飲料水は、危険な飲み物という認識が必要と思います。
ちなみに米国飲料協会(ABA)は、公立小中学校でのエネルギー量(糖質)の多い清涼飲料水の発売を2009年、全面停止しています。
(*)糖毒
① 高血糖の持続→膵臓のランゲルハンス島のβ細胞にダメージ→インスリン分泌低下
② 高血糖の持続→細胞レベルでのインスリン抵抗性増大
高血糖があると①と②が体内で生じます。
インスリン分泌低下と抵抗性増大が生じれば、ますます高血糖となります。
≪高血糖の持続→インスリン分泌低下とインスリン抵抗性増大→高血糖の持続→≫
この悪循環パターンを、臨床的には「糖毒」 と呼びます。
なぜ、高血糖自体がインスリン分泌を低下させるのか、インスリン抵抗性を増大させるのか、最先端の研究で調べられてはいるのですが、はっきり言ってまだよくわからないのが現状です。
江部康二
2010年11月22日 (月)
こんにちは。
今夜の新幹線で、木更津に行きます。
12月23日(火)の
千葉・木更津「かずさアカデミアホール」糖質制限食講演会に備えます。
☆☆☆
日 時:11/23(火・祝日) 11:00開演(10:30開場)~13:00
会 場:かずさアカデミアホール「202大会議室」
定 員:入場料:1,500円(全席自由席)
株式会社かずさアカデミアパーク 営業部
千葉県木更津市かずさ鎌足2-3-9
TEL.0438-20-5555(受付10:00~18:00)
さて今回は、 いつの日か炭水化物さんから、ペットボトル症候群を思わせるコメントと質問をいただきました。
「10/11/21 いつの日か炭水化物
江部先生、皆様始めまして、今年40になる♂いつの日か炭水化物を食べてみたいです。
何分糖尿人1ヶ月目の素人なので以下の乱文ご了承願います。
今年の夏、3ヶ月位ポカリを1日3ℓ飲み、2週間だるさが続き病院に行ったら血糖値500で10月に即入院、きっかけが何であれ主治医からインスリンが10%しか出ていないと言われ一生インスリンか・・・と思っていた所先生のブログに辿り着きました。
この1ヶ月ゆるい糖質制限食を続けています。おかげさまで
174cm76キロ→66キロ(ー10キロ、これは糖尿病によるもの?)
血糖値 寝る前 90前後
食後2h 180前後
(但しインスリン、昼夜6単位、ハードな運動2hの条件で)
ただしインスリンを打たないと運動をしても200以上に上がります。
(運動前にカロリーメイト2本、みかん1個が影響?)
これではいかんと、昨日先生の本を購入し今日からスーパーを実践していく所存です。
一つ質問なのですが、1ヶ月たった今頃、指先がカサカサになりました。これは糖尿の影響でしょうか?それとも炭水化物が足りない影響でしょうか?御教示願えれば幸いです。
とにかく先生のブログのおかげで、何より精神的に救われました。
本当に感謝です。これからもブログを見てる糖尿人をお救い下さい。」
いつの日か炭水化物さん。
本のご購入ありがとうございます。
「今年の夏、3ヶ月位ポカリを1日3ℓ飲み・・・」
これはペットボトル症候群(*)と思われます。
体重の減少は、血糖コントロールがよくなっていますので、糖尿のせいではなく、いい方にダイエットできているのだと思いますよ。
「ただしインスリンを打たないと運動をしても200以上に上がります。」
運動して血糖値がかえって上昇する場合、基礎分泌のインスリンが不足している可能性があります。
主治医の仰有る如く、現時点ではまだインスリン分泌不足があると思います。
ペットボトル症候群のように、急激に耐糖能が悪化した場合、今後、糖質制限食実践で膵臓が休養できて、分泌能があるていど回復する可能性はありますが・・・
指先のカサカサは、単純に季節の変化のせいかもしれませんね。糖質制限食実践で血流・代謝が良くなるので皮膚もしっとりすることが多いです。
スーパー糖質制限食の実践でインスリンの単位が減らせると思います。主治医と相談しながら、インスリンを減量して、SMBGでチェックして低血糖にご注意ください。
江部康二
(*)ペットボトル症候群
ペットボトルを持ち歩いたりして、清涼飲料水を1日2~3リットル毎日飲み続ける人がいます。
もともと糖尿病の素因を持っていたり、軽度の糖尿病の人が、このように吸収されやすい糖質を多量に摂取していると、飲む度に血糖値が上昇してインスリンが追加分泌されるのですが、ついにはインスリンの供給が追いつかなくなり血糖値が高くなります。
一旦血糖値が高くなると糖毒状態となります。それが続けば、糖尿病性ケトアシドーシスという危険な状態になり、ものの1~2週間で意識の混濁や昏睡に陥るケースもあります。
この様なときは、緊急入院して点滴で脱水を補正し、インスリン注射を一日3回して、血糖値をコントロールします。
コントロールできれば糖毒状態は急速に改善し、インスリン分泌能力も回復することがほとんどです。
**糖毒
① 高血糖の持続→膵臓のランゲルハンス島のβ細胞にダメージ→インスリン分泌低下
② 高血糖の持続→細胞レベルでのインスリン抵抗性増大
高血糖があると①と②が体内で生じます。インスリン分泌低下と抵抗性増大が生じれば、ますます高血糖となります。
≪高血糖の持続→インスリン分泌低下とインスリン抵抗性増大→高血糖の持続→≫
この悪循環パターンを、臨床的には「糖毒」 と呼びます。
なぜ、高血糖自体がインスリン分泌を低下させるのか、インスリン抵抗性を増大させるのか、最先端の研究で調べられてはいるのですが、はっきり言ってまだよくわからないのが現状です。
今夜の新幹線で、木更津に行きます。
12月23日(火)の
千葉・木更津「かずさアカデミアホール」糖質制限食講演会に備えます。
☆☆☆
日 時:11/23(火・祝日) 11:00開演(10:30開場)~13:00
会 場:かずさアカデミアホール「202大会議室」
定 員:入場料:1,500円(全席自由席)
株式会社かずさアカデミアパーク 営業部
千葉県木更津市かずさ鎌足2-3-9
TEL.0438-20-5555(受付10:00~18:00)
さて今回は、 いつの日か炭水化物さんから、ペットボトル症候群を思わせるコメントと質問をいただきました。
「10/11/21 いつの日か炭水化物
江部先生、皆様始めまして、今年40になる♂いつの日か炭水化物を食べてみたいです。
何分糖尿人1ヶ月目の素人なので以下の乱文ご了承願います。
今年の夏、3ヶ月位ポカリを1日3ℓ飲み、2週間だるさが続き病院に行ったら血糖値500で10月に即入院、きっかけが何であれ主治医からインスリンが10%しか出ていないと言われ一生インスリンか・・・と思っていた所先生のブログに辿り着きました。
この1ヶ月ゆるい糖質制限食を続けています。おかげさまで
174cm76キロ→66キロ(ー10キロ、これは糖尿病によるもの?)
血糖値 寝る前 90前後
食後2h 180前後
(但しインスリン、昼夜6単位、ハードな運動2hの条件で)
ただしインスリンを打たないと運動をしても200以上に上がります。
(運動前にカロリーメイト2本、みかん1個が影響?)
これではいかんと、昨日先生の本を購入し今日からスーパーを実践していく所存です。
一つ質問なのですが、1ヶ月たった今頃、指先がカサカサになりました。これは糖尿の影響でしょうか?それとも炭水化物が足りない影響でしょうか?御教示願えれば幸いです。
とにかく先生のブログのおかげで、何より精神的に救われました。
本当に感謝です。これからもブログを見てる糖尿人をお救い下さい。」
いつの日か炭水化物さん。
本のご購入ありがとうございます。
「今年の夏、3ヶ月位ポカリを1日3ℓ飲み・・・」
これはペットボトル症候群(*)と思われます。
体重の減少は、血糖コントロールがよくなっていますので、糖尿のせいではなく、いい方にダイエットできているのだと思いますよ。
「ただしインスリンを打たないと運動をしても200以上に上がります。」
運動して血糖値がかえって上昇する場合、基礎分泌のインスリンが不足している可能性があります。
主治医の仰有る如く、現時点ではまだインスリン分泌不足があると思います。
ペットボトル症候群のように、急激に耐糖能が悪化した場合、今後、糖質制限食実践で膵臓が休養できて、分泌能があるていど回復する可能性はありますが・・・
指先のカサカサは、単純に季節の変化のせいかもしれませんね。糖質制限食実践で血流・代謝が良くなるので皮膚もしっとりすることが多いです。
スーパー糖質制限食の実践でインスリンの単位が減らせると思います。主治医と相談しながら、インスリンを減量して、SMBGでチェックして低血糖にご注意ください。
江部康二
(*)ペットボトル症候群
ペットボトルを持ち歩いたりして、清涼飲料水を1日2~3リットル毎日飲み続ける人がいます。
もともと糖尿病の素因を持っていたり、軽度の糖尿病の人が、このように吸収されやすい糖質を多量に摂取していると、飲む度に血糖値が上昇してインスリンが追加分泌されるのですが、ついにはインスリンの供給が追いつかなくなり血糖値が高くなります。
一旦血糖値が高くなると糖毒状態となります。それが続けば、糖尿病性ケトアシドーシスという危険な状態になり、ものの1~2週間で意識の混濁や昏睡に陥るケースもあります。
この様なときは、緊急入院して点滴で脱水を補正し、インスリン注射を一日3回して、血糖値をコントロールします。
コントロールできれば糖毒状態は急速に改善し、インスリン分泌能力も回復することがほとんどです。
**糖毒
① 高血糖の持続→膵臓のランゲルハンス島のβ細胞にダメージ→インスリン分泌低下
② 高血糖の持続→細胞レベルでのインスリン抵抗性増大
高血糖があると①と②が体内で生じます。インスリン分泌低下と抵抗性増大が生じれば、ますます高血糖となります。
≪高血糖の持続→インスリン分泌低下とインスリン抵抗性増大→高血糖の持続→≫
この悪循環パターンを、臨床的には「糖毒」 と呼びます。
なぜ、高血糖自体がインスリン分泌を低下させるのか、インスリン抵抗性を増大させるのか、最先端の研究で調べられてはいるのですが、はっきり言ってまだよくわからないのが現状です。
2009年12月01日 (火)
おはようございます。
今回は、新人糖尿人ペサ太郎さんから、ペットボトル症候群と糖質制限食について、貴重な体験のコメントをいただきました。
「先生はじめまして。
今年34歳になった新人糖尿人です。
今年の四月には血糖値、HgA1cの数値も正常だったのですが、夏に向けて5月からダイエットを兼ねて私生活、仕事に自転車と食事制限を取り入れ7月までで82kg→75kgまで頑張りました。
しかし、11月11日に人間ドッグで検診中に呼ばれて即入院してくださいと・・・
空腹時血糖 298
食後60分 529
〃120分 560
HgA1c 12.6
という結果でした・・・
何故、酒も煙草もしない私が・・・ここ最近食事も普段の生活も節制してたのにこんな結果にと目の前が真っ暗になりました・・・
病院では急激に糖尿になったため1型が疑われましたが、本日、GAD抗体の検査の結果おそらく2型であろうと言われました。今後精密な検査もありますがひとまずは安心というところです。
糖尿になったと思われる原因は8月~9月末までに健康と、筋肉を柔らかくすると思い毎日飲んでいた100%グレープフルーツジュース一日750mlを1本摂取と果物の食べ過ぎによるペットボトル症候群のようなものかなと?
ちなみに人間ドッグの病院は糖尿内科の専門医がいなかったので翌日、専門医のいる別の病院に行きました。
医師には仕事の引き継ぎと出張もあるし、できれば入院はしたくないと伝えたところ、入院はGADの結果(外注検査の為数日かかる為)が出てからでいいし、すぐどうこうはならないからといわれ拍子抜けしてしまい、併せて病気に対する医師の対応と判断の違いに不安を抱き、ネットで血眼になって糖尿病について調べているところ、先生のこのブログと糖質制限食に巡り逢いました。
11月14日の夜から本日の採血検査、尿検査(採血は私が病院に希望)までブログさ賢人たる先輩糖尿人の方々を参考にして毎日30分の散歩と糖質制限食と若干のサプリと義母の特製ところてんで頑張り(以外と楽しくw)検査に挑んだところ、朝食後(当然糖質制限食)食後3時間後だったにも関わらず、血糖値が140ジャストという結果でした
病院の先生も1週間も経たないのにこのような結果に大変驚いておられ、
「一体何したの?」
って言われれたんですが、野菜多めで先生(診察していただいている)のいうとおりカロリー控えめでバランス良く食事しただけですよって言いましたw
何故かというと今週月曜日に糖質制限食についての見解を聞きに病院に行ったら全否定されたもんで・・・ww
しかし私はできれば薬にも頼りたくないですし、まだ自分は若いし、すい臓は復活すると信じてます!
ただ2カ月フルーツジュースを絶え間なく摂取し、膵臓に無理させすぎたので拗ねてるだけだと・・・
とにかく先生のおっしゃるように食後の急激な血糖値の上昇や疲れているすい臓を鞭打つのが良くないのは利にかなっていると思いましたので、これからも私は自分がいいと思った糖質制限を実践していこうと思います!
ただ今後迷走もするでしょうし、問題もあると思いますし、医師や栄養士の指示も参考にはしますが、次回12月4日に再度hgA1cを含む再検査をして、インスリン等の薬を使用せずにすむよう頑張りたいと思います。
また今後とも勉強して限りなく正常な数値にしてうまく糖尿病と付き合っていこうと思います。
江部先生の【ドクター江部の糖尿病徒然日記】 と糖質制限食に出会えたことに感謝をと思い書き込みさせていただきました。
今後とも我々糖尿人の船頭になってください。
2009/11/18(Wed) 22:51 | URL | 新人糖尿人ペサ太郎」
新人糖尿人ペサ太郎さん。
コメントありがとうございます。
「11月11日 人間ドック
空腹時血糖 298mg/dl
食後60分 529
〃120分 560
HbA1c 12.6%」
「その後1週間足らずで、朝食後(当然糖質制限食)食後3時間後だったにも関わらず、血糖値が140mg/dl ジャストという結果でした。」
これはとても素晴らしい改善です。
入院せずにすんで、良かったですね。(^-^)v(^-^)v
危機的状況は、完全に脱出できていますよ。
11月11日の人間ドックの検査データは、ペサ太郎さんの仰有る通り、ペットボトル症候群だったと考えられます。
人間ドックがたまたまあって、運が良かったです。
知らずに同じような食生活を続けていたら、糖尿病性ケトアシドーシスという危険な状態になり、意識の混濁や昏睡に陥るケースもありますので・・・。
「8月~9月末までに健康と、筋肉を柔らかくすると思い毎日飲んでいた100%グレープフルーツジュース一日750mlを1本摂取と果物の食べ過ぎ」
確かにこれが約2ヶ月毎日続いたなら、典型的ペットボトル症候群になってもおかしくないです。
ペットボトル症候群の場合、ごく短期間に発症しますので、膵臓のβ細胞は疲弊しているだけで、壊れている細胞はまだほとんどないと思います。
従って、スーパー糖質制限食を実践していけば、食後のインスリン追加分泌はほとんど必要ないので、膵臓のβ細胞はしっかり休養できます。
わずか、1週間足らずで朝食後3時間の血糖値が140mgに改善していますので、既にβ細胞がかなり回復してきていますね。
34才とお若いですので、このまましっかりスーパー糖質制限食を続けていかれれば、経口血糖降下薬やインスリンはなしでコントロール良好となる可能性が極めて高いですよ。自信を持って下さいね。
とりあえずスーパー糖質制限食で下記を目指して下さい。
【糖尿人の目標】
糖尿病合併症予防のために
① 空腹時血糖値140mg/dl未満→126mg/dl未満→さらには110mg/dl未満
② 食後2時間血糖値180mg/dlmg/dl未満→さらには140mg/dl未満
③ 理想的には食後1時間血糖値180mg/dl未満
④ HbA1c6.5%未満→さらには5.8%未満
*ペットボトル症候群
ペットボトルを持ち歩いたりして、清涼飲料水を1日2~3リットル毎日飲み続ける人がいます。
もともと糖尿病の素因を持っていたり、軽度の糖尿病の人が、このように吸収されやすい糖質を多量に摂取していると、飲む度に血糖値が上昇してインスリンが追加分泌されるのですが、ついにはインスリンの供給が追いつかなくなり血糖値が高くなります。
一旦血糖値が高くなると糖毒状態となります。それが続けば、糖尿病性ケトアシドーシスという危険な状態になり、ものの1~2週間で意識の混濁や昏睡に陥るケースもあります。
この様なときは、緊急入院して点滴で脱水を補正し、インスリン注射を一日3回して、血糖値をコントロールします。
コントロールできれば糖毒状態は急速に改善し、インスリン分泌能力も回復することがほとんどです。
**糖毒
① 高血糖の持続→膵臓のランゲルハンス島のβ細胞にダメージ→インスリン分泌低下
② 高血糖の持続→細胞レベルでのインスリン抵抗性増大
高血糖があると①と②が体内で生じます。インスリン分泌低下と抵抗性増大が生じれば、ますます高血糖となります。
≪高血糖の持続→インスリン分泌低下とインスリン抵抗性増大→高血糖の持続→≫
この悪循環パターンを、臨床的には「糖毒」 と呼びます。
なぜ、高血糖自体がインスリン分泌を低下させるのか、インスリン抵抗性を増大させるのか、最先端の研究で調べられてはいるのですが、はっきり言ってまだよくわからないのが現状です。
江部康二
今回は、新人糖尿人ペサ太郎さんから、ペットボトル症候群と糖質制限食について、貴重な体験のコメントをいただきました。
「先生はじめまして。
今年34歳になった新人糖尿人です。
今年の四月には血糖値、HgA1cの数値も正常だったのですが、夏に向けて5月からダイエットを兼ねて私生活、仕事に自転車と食事制限を取り入れ7月までで82kg→75kgまで頑張りました。
しかし、11月11日に人間ドッグで検診中に呼ばれて即入院してくださいと・・・
空腹時血糖 298
食後60分 529
〃120分 560
HgA1c 12.6
という結果でした・・・
何故、酒も煙草もしない私が・・・ここ最近食事も普段の生活も節制してたのにこんな結果にと目の前が真っ暗になりました・・・
病院では急激に糖尿になったため1型が疑われましたが、本日、GAD抗体の検査の結果おそらく2型であろうと言われました。今後精密な検査もありますがひとまずは安心というところです。
糖尿になったと思われる原因は8月~9月末までに健康と、筋肉を柔らかくすると思い毎日飲んでいた100%グレープフルーツジュース一日750mlを1本摂取と果物の食べ過ぎによるペットボトル症候群のようなものかなと?
ちなみに人間ドッグの病院は糖尿内科の専門医がいなかったので翌日、専門医のいる別の病院に行きました。
医師には仕事の引き継ぎと出張もあるし、できれば入院はしたくないと伝えたところ、入院はGADの結果(外注検査の為数日かかる為)が出てからでいいし、すぐどうこうはならないからといわれ拍子抜けしてしまい、併せて病気に対する医師の対応と判断の違いに不安を抱き、ネットで血眼になって糖尿病について調べているところ、先生のこのブログと糖質制限食に巡り逢いました。
11月14日の夜から本日の採血検査、尿検査(採血は私が病院に希望)までブログさ賢人たる先輩糖尿人の方々を参考にして毎日30分の散歩と糖質制限食と若干のサプリと義母の特製ところてんで頑張り(以外と楽しくw)検査に挑んだところ、朝食後(当然糖質制限食)食後3時間後だったにも関わらず、血糖値が140ジャストという結果でした
病院の先生も1週間も経たないのにこのような結果に大変驚いておられ、
「一体何したの?」
って言われれたんですが、野菜多めで先生(診察していただいている)のいうとおりカロリー控えめでバランス良く食事しただけですよって言いましたw
何故かというと今週月曜日に糖質制限食についての見解を聞きに病院に行ったら全否定されたもんで・・・ww
しかし私はできれば薬にも頼りたくないですし、まだ自分は若いし、すい臓は復活すると信じてます!
ただ2カ月フルーツジュースを絶え間なく摂取し、膵臓に無理させすぎたので拗ねてるだけだと・・・
とにかく先生のおっしゃるように食後の急激な血糖値の上昇や疲れているすい臓を鞭打つのが良くないのは利にかなっていると思いましたので、これからも私は自分がいいと思った糖質制限を実践していこうと思います!
ただ今後迷走もするでしょうし、問題もあると思いますし、医師や栄養士の指示も参考にはしますが、次回12月4日に再度hgA1cを含む再検査をして、インスリン等の薬を使用せずにすむよう頑張りたいと思います。
また今後とも勉強して限りなく正常な数値にしてうまく糖尿病と付き合っていこうと思います。
江部先生の【ドクター江部の糖尿病徒然日記】 と糖質制限食に出会えたことに感謝をと思い書き込みさせていただきました。
今後とも我々糖尿人の船頭になってください。
2009/11/18(Wed) 22:51 | URL | 新人糖尿人ペサ太郎」
新人糖尿人ペサ太郎さん。
コメントありがとうございます。
「11月11日 人間ドック
空腹時血糖 298mg/dl
食後60分 529
〃120分 560
HbA1c 12.6%」
「その後1週間足らずで、朝食後(当然糖質制限食)食後3時間後だったにも関わらず、血糖値が140mg/dl ジャストという結果でした。」
これはとても素晴らしい改善です。
入院せずにすんで、良かったですね。(^-^)v(^-^)v
危機的状況は、完全に脱出できていますよ。
11月11日の人間ドックの検査データは、ペサ太郎さんの仰有る通り、ペットボトル症候群だったと考えられます。
人間ドックがたまたまあって、運が良かったです。
知らずに同じような食生活を続けていたら、糖尿病性ケトアシドーシスという危険な状態になり、意識の混濁や昏睡に陥るケースもありますので・・・。
「8月~9月末までに健康と、筋肉を柔らかくすると思い毎日飲んでいた100%グレープフルーツジュース一日750mlを1本摂取と果物の食べ過ぎ」
確かにこれが約2ヶ月毎日続いたなら、典型的ペットボトル症候群になってもおかしくないです。
ペットボトル症候群の場合、ごく短期間に発症しますので、膵臓のβ細胞は疲弊しているだけで、壊れている細胞はまだほとんどないと思います。
従って、スーパー糖質制限食を実践していけば、食後のインスリン追加分泌はほとんど必要ないので、膵臓のβ細胞はしっかり休養できます。
わずか、1週間足らずで朝食後3時間の血糖値が140mgに改善していますので、既にβ細胞がかなり回復してきていますね。
34才とお若いですので、このまましっかりスーパー糖質制限食を続けていかれれば、経口血糖降下薬やインスリンはなしでコントロール良好となる可能性が極めて高いですよ。自信を持って下さいね。
とりあえずスーパー糖質制限食で下記を目指して下さい。
【糖尿人の目標】
糖尿病合併症予防のために
① 空腹時血糖値140mg/dl未満→126mg/dl未満→さらには110mg/dl未満
② 食後2時間血糖値180mg/dlmg/dl未満→さらには140mg/dl未満
③ 理想的には食後1時間血糖値180mg/dl未満
④ HbA1c6.5%未満→さらには5.8%未満
*ペットボトル症候群
ペットボトルを持ち歩いたりして、清涼飲料水を1日2~3リットル毎日飲み続ける人がいます。
もともと糖尿病の素因を持っていたり、軽度の糖尿病の人が、このように吸収されやすい糖質を多量に摂取していると、飲む度に血糖値が上昇してインスリンが追加分泌されるのですが、ついにはインスリンの供給が追いつかなくなり血糖値が高くなります。
一旦血糖値が高くなると糖毒状態となります。それが続けば、糖尿病性ケトアシドーシスという危険な状態になり、ものの1~2週間で意識の混濁や昏睡に陥るケースもあります。
この様なときは、緊急入院して点滴で脱水を補正し、インスリン注射を一日3回して、血糖値をコントロールします。
コントロールできれば糖毒状態は急速に改善し、インスリン分泌能力も回復することがほとんどです。
**糖毒
① 高血糖の持続→膵臓のランゲルハンス島のβ細胞にダメージ→インスリン分泌低下
② 高血糖の持続→細胞レベルでのインスリン抵抗性増大
高血糖があると①と②が体内で生じます。インスリン分泌低下と抵抗性増大が生じれば、ますます高血糖となります。
≪高血糖の持続→インスリン分泌低下とインスリン抵抗性増大→高血糖の持続→≫
この悪循環パターンを、臨床的には「糖毒」 と呼びます。
なぜ、高血糖自体がインスリン分泌を低下させるのか、インスリン抵抗性を増大させるのか、最先端の研究で調べられてはいるのですが、はっきり言ってまだよくわからないのが現状です。
江部康二