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ヘモグロビンA1c(HbA1c)とがん罹患との関連について。多目的コホート研究(JPHC研究)。
こんばんは。

国立がん研究センターがん予防・健診研究センター・予防研究グループの多目的コホート研究(JPHC研究)から、興味深い報告がなされ、論文化されました。

これまでのコホート研究により糖尿病患者では大腸がん、膵がん、肝がん、子宮内膜がんなどのがん罹患リスクが1.5~4倍高く、全がんも約1.2倍高いと報告されています。

今回の報告では、非糖尿病域の高HbA1c値でも全がんリスクが高いことが判明しました。

こうなると軽度の高血糖でもがんリスクが高まるので、注意が必要ですが、スーパー糖質制限食なら、糖尿病は勿論のこと、非糖尿病領域の軽度の高血糖もたちどころに改善させますので、全がんリスクは低下すると考えられます。

HbA1c:5.0%未満  推定平均血糖値:96.8mg/dl未満
HbA1c:5.0~5.4% 推定平均血糖値:96.8~108.28mg/dl
HbA1c:5.5~5.9% 推定平均血糖値:111.15~122.63mg/dl
HbA1c:6.0~6.4% 推定平均血糖値:125.5~136.98mg/dl
HbA1c:6.5%以上  推定平均血糖値:139.85mg/dl以上

HbA1c 5.0~5.4%を基準とすると、5%未満、5.5~5.9%、6.0~6.4%、6.5%以上、および既知の糖尿病の5群のがんリスクは、それぞれ1.27 (1.06-1.52) 、1.01 (0.90-1.14)、1.28 (1.09-1.49)、1.43 (1.14-1.80)、1.23 (1.02-1.47)であり、非糖尿病域および糖尿病域の高HbA1c値の群で全がんリスクが上昇していました。

HbA1c は1-2か月間の血糖値を反映する血液検査値であり、本研究結果は、慢性的な高血糖が全がんリスクと関連することを示唆しています。

高血糖はミトコンドリア代謝などを介して酸化ストレスを亢進させることでDNAを損傷し、発がんにつながる可能性が想定されています。

また、がん細胞の増殖には、大量の糖を必要とするため、慢性的な高血糖状態はがん細胞の増殖を助長する可能性も考えられます。


5%未満でも、がんのリスクが上昇していますが、肝硬変などがあると見かけ上HbA1cが低下することが多いことが関係している可能性があります。

低HbA1c値群には、臨床的には診断されていない肝がんや膵がんを有する人が含まれていて、追跡期間中にがんと診断された可能性があります。

肝がんを除外すると、HbA1c値は直線的に全がんリスク上昇と関連していました。


糖尿病は勿論のことですが、正常範囲内の軽度の高血糖でも油断は禁物ということでますます、「スーパー糖質制限食」の役割は大きくなりました。


江部康二


☆☆☆
以下、国立がん研究センターのサイトから一部抜粋です。

http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3753.html

ヘモグロビンA1c(HbA1c)とがん罹患との関連について

-多目的コホート研究(JPHC研究)からの成果報告-


私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・虚血性心疾患・糖尿病などとの関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防や健康寿命の延伸に役立てるための研究を行っています。平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の9保健所(呼称は2015年現在)管内にお住まいで、1998~2000年度および2003~2005年度に実施された糖尿病調査にご協力いただいた方々のうち、ヘモグロビンA1c(HbA1c)のデータがあり、初回の調査時までにがんに罹患していなかった29,629人(男性11,336人、女性18,293人)を対象としてHbA1cとがん罹患リスクとの関係を調べました。その結果を専門誌で論文発表しましたので紹介します(International Journal of Cancer 2015年11月WEB先行公開)。

これまでのコホート研究により糖尿病患者では大腸がん、膵がん、肝がん、子宮内膜がんなどのがん罹患リスクが1.5~4倍高く、全がんも約1.2倍高いと報告されています。糖尿病は慢性的な高血糖を特徴とする病気で、HbA1c は1-2か月間の血糖値を反映する血液検査値として知られています。そのため、HbA1c(6.5%以上)は、糖尿病の診断基準の一つとしても採用されています。

糖尿病ががんのリスク因子だとすると、HbA1cはがんリスクと関連することが予想されますが、HbA1c値とがんリスクとの関連は十分に明らかにされていません。そこで、本研究では、この関係を、「多目的コホート」の糖尿病調査のデータを用いて調べることを目的としました。

非糖尿病域の高HbA1c値でも全がんリスクが高い

糖尿病調査で測定したHbA1cの値を用いて、5.0%未満、5.0~5.4%、5.5~5.9%、6.0~6.4%、6.5%以上、および既知の糖尿病の6つの群に分けて、その後の全がんリスク、臓器別リスクを分析しました。なお、2回の糖尿病調査に参加していた場合(研究対象者の35%)、2つのHbA1cの平均値を用いました。本研究の追跡期間中に、1955件のがんが発生していました。

年齢,性別、居住地域,BMI,喫煙歴,飲酒歴,身体活動、野菜摂取、総エネルギー摂取、コーヒー摂取、および心血管疾患の既往を統計学的に調整したうえで、がんリスク(95%信頼区間)を計算しました。HbA1c 5.0~5.4%を基準とすると、5%未満、5.5~5.9%、6.0~6.4%、6.5%以上、および既知の糖尿病の5群のがんリスクは、それぞれ1.27 (1.06-1.52) 、1.01 (0.90-1.14)、1.28 (1.09-1.49)、1.43 (1.14-1.80)、1.23 (1.02-1.47)であり、非糖尿病域および糖尿病域の高HbA1c値の群で全がんリスクが上昇していました(図1)。また、低HbA1c値の群でも全がんリスクの上昇がみられました。

がん種別に分析したところ、非糖尿病域および糖尿病域の高HbA1c値の群で大腸がん(特に結腸がん)リスクが上昇しており、肝がんや膵がんでは、低HbA1c値群(5%未満)でもリスク上昇がみられました(図2)。また、肝がんを除外すると、HbA1c値は直線的に全がんリスク上昇と関連していました(図3)。

高HbA1c値群におけるがんリスクのメカニズム

HbA1c は1-2か月間の血糖値を反映する血液検査値であり、本研究結果は、慢性的な高血糖が全がんリスクと関連することを裏付けるものと考えられます。高血糖はミトコンドリア代謝などを介して酸化ストレスを亢進させることでDNAを損傷し、発がんにつながる可能性が想定されています。また,がん細胞の増殖には、大量の糖を必要とするため,慢性的な高血糖状態はがん細胞の増殖を助長する可能性も考えられます。

一部のがん種(肝がんや膵がん)のリスクが低HbA1c値群で上昇していた理由


肝硬変などでは、実際の血糖値に比べてHbA1cが低値を示すことが多く、肝硬変は肝がんになりやすい状態です。その結果として、低HbA1群で、肝がんリスクが上昇していた可能性が考えられます。また、低HbA1c値は不健康の指標とも考えられています。低HbA1c値群には、臨床的には診断されていない肝がんや膵がんを有する方が含まれていて、追跡期間中にがんと診断されたのかもしれません。そのほか、解析結果のぶれ(誤差)をあらわす95%信頼区間の幅が大きいことから、偶然リスク上昇がみられた可能性も考えられます。

この研究について

本研究では、非糖尿病域の高HbA1c値も全がんリスクと関連していることを報告した最初の論文です。多目的コホート研究を含む多くの疫学研究から糖尿病と全がんリスクとの関連が報告されており、がん予防のためにも糖尿病を予防することが重要であると考えられています。非糖尿病域の高HbA1c値群における全がんリスク上昇を示した本研究により、糖尿病予防対策の重要性が一層示唆されました。


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖尿病と発癌のリスク。糖質制限食で発癌予防は?
こんばんは。

近年、糖尿病と癌罹患リスクとの関連が明らかになってきており、糖尿病と癌との関連について、日本糖尿病学会と日本癌学会の専門家による合同委員会が設立されました。

2013年に糖尿病と癌に関する委員会報告が、医学雑誌〔糖尿病 56(6):374~390,2013〕に掲載されました。


A)以下は委員会報告の要約です。
●近年,糖尿病と癌罹患リスクとの関連が明らかになってきており,糖尿病と癌との関連について,
 日本糖尿病学会と日本癌学会の専門家による合同委員会を設立することとなった.
●わが国の疫学データでは,糖尿病は全癌,大腸癌,肝臓癌,膵臓癌のリスク増加と関連していた.
●糖尿病による癌発生促進のメカニズムとしてはインスリン抵抗性とそれに伴う高インスリン血症,高血糖,炎症などが
 想定されている.
●2 型糖尿病と癌に共通の危険因子としては加齢,男性,肥満,低身体活動量,不適切な食事
 (赤肉・加工肉の摂取過剰,野菜・果物・食物繊維の摂取不足など),過剰飲酒や喫煙が挙げられる.
●不適切な食事,運動不足,喫煙,過剰飲酒は糖尿病と癌罹患の共通の危険因子であるので,糖尿病
 患者における食事療法,運動療法,禁煙,節酒は癌リスク減少につながる可能性がある.
●特定の糖尿病治療薬が癌罹患リスクに影響を及ぼすか否かについてのエビデンスは現時点では限定的である


B)以下は委員会報告からの引用で、米国糖尿病学会と米国癌学会の見解です。
.2010 年,ADA(AmericanDiabetes Association:米 国 糖 尿 病 学 会)・ACS(American Cancer Society:米国癌学会)は合同で糖尿病と癌との関連についての consensus report を発表し,糖尿病と癌罹患もしくは癌予後との間の関係,糖尿病と癌に共通する危険因子,糖尿病と癌とを結ぶ分子機構,糖尿病治療が癌リスクや癌予後に及ぼす影響について多面的に論じている.ADA と ACS はこの報告書で 9 つの要約と推奨事項をまとめた.
この中で,
a)糖尿病(主に 2 型糖尿病)は肝臓癌,膵臓癌,子宮内膜癌,大腸癌,乳癌,膀胱癌などのリスク増加と関連がある一方で,前立腺癌リスク減少に関連していること,
b)健康的な食事,運動,体重コントロールは 2 型糖尿病およびいくつかの癌の罹患リスクを減少し予後を改善するため推奨すべきであること,
c)医療者は糖尿病患者に対し性別・年齢に応じて適切に癌のスクリーニングを受診するように推奨すべきであること,
d)いくつかの糖尿病治療薬と癌罹患リスクとの関連が報告されているが,現時点では糖尿病治療薬を選択する際に癌のリスクを主要な検討事項とするべきではないことなどが挙げられた.


このように糖尿病は、日本でも米国でも、確実に癌発生のリスクとなることがあきらかとなってきています。

その機序を大別すると以下の3つに集約されます。

① 高血糖のリスク
②インスリン抵抗性とそれに伴う 高インスリン血症のリスク
③肥満のリスク



食後高血糖ガイドライン2007国際糖尿病連合によれば、食後高血糖は癌発症リスク上昇と関連するとのことです。

食後高血糖は膵癌の発症に関与している可能性があります。

成人男女35,658例を対象とした前向き大規模コホート研究において、膵癌の死亡率と負荷後血糖値との間に強い相関が認められました。(*1)

負荷後血糖値121mg/dL未満に保たれた者と比較し、負荷後血糖値が200mg/dLを上回った者の膵癌発症の相対リスクは2.15でした。

この関連は女性よりも男性で強く認められました。

食後高血糖に伴うる膵癌発症のリスク上昇は他の研究でも認められています。(*2)(*3)。


「男性では、C-ペプタイド値が高いと大腸がんリスクが高くなる」という日本の「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果も報告されています。(*4)

男性では、C‐ペプタイドの値の最も高いグループの大腸がんリスクは、最も低いグループの3.2倍で、値の高いグループほどリスクがだんだん高くなる関連がみられました。女性では、関連がみられませんでした。C‐ペプタイドはインスリンの分泌と相関します。

高インスリン血症があると、細胞増殖、成長促進など、さまざまな働きをするIGF-Iの働きが活発になります。IGF-Iの働きが過剰になると、大腸がんの発生リスクが高くなるとされています。高インスリン血症があると、IGF-Iに結合してその働きを抑えるIGFBP-1の産生が抑制されてしまい、IGF-Iが過剰に働くようになるとされています。


スーーパー糖質制限食なら
① 高血糖のリスク
②インスリン抵抗性とそれに伴う 高インスリン血症のリスク
③肥満のリスク
①②③が全て、改善します。
従って、スーパー糖質制限食により、
糖尿病に伴う発がんのリスクを大幅に減らせる可能性が高いのです。

インスリン注射は糖尿病治療に必要不可欠のものですが、それだけに頼っていては②と③はクリアできません。

リスク軽減のためにも、現在インスリン注射で治療しておられる糖尿人の皆さん、主治医ともよく相談されて、糖質制限食でインスリンの単位数を減らして、発がんリスクを減らしましょう。


<スーパー糖質制限食とヒト発癌に関する考察>

A)「スーパー糖質制限食で発癌のリスク上昇というエビデンスはない。」
B)「スーパー糖質制限食で発癌のリスク減少というエビデンスもない。」
C)「糖質摂取比率12%の集団と通常食の集団における癌の発生を、長期間経過観察した臨床研究は、存在しない。」

1)スーパー糖質制限食で、明確な発癌リスクである高血糖と高インスリン血症は、
一日を通して確実に改善する。
2)スーパー糖質制限食で、発癌リスクを減らすHDL-Cが増加する。
3)スーパー糖質制限食を長期間続けて将来発癌リスクが上昇するとしたら
1)2)の利点を帳消しにしてさらにそれを上回る何らかの発癌リスクがあると仮定するしかない。
◇  →そのようなリスクは知られてない。

4)
1)2)3)を考慮すれば、あくまでも仮説であるが、
スーパー糖質制限食により、西欧型癌の予防効果が期待できる。



(*1) Gapstur SM, Gann PH, Lowe W, Liu K,
Colangelo L, Dyer A. Abnormal glucose metabolism
and pancreatic cancer mortality. JAMA 2000;
283(19):2552-2558.

(*2) Larsson SC, Bergkvist L, Wolk A.
Consumption of sugar and sugar-sweetened foods
and the risk of pancreatic cancer in a prospective
study. Am J Clin Nutr 2006; 84(5):1171-1176.

(*3) Michaud DS, Liu S, Giovannucci E, Willett
WC, Colditz GA, Fuchs CS. Dietary sugar, glycemic
load, and pancreatic cancer risk in a prospective
study. J Natl Cancer Inst 2002; 94(17):1293-1300.

(*4)Int J Cancer. 2007年120巻2007-2012ページ)


江部康二
テーマ:糖質制限食
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ベンゾピレン、加工肉、ベーコン。複合要因。
【15/10/30 田中鈴木佐藤

日本地図で考えてみる食事の影響

燻製した加工肉はベンゾピレンが含まれるので発癌との関連は大いにありそうです。自作する程大好物なので複雑ですが。

赤肉についてはわかりませんが、肥満との関係は我が国では濃厚のようです。
地図から比較するに赤肉の摂取量はあまり関係なさそうです。加工肉は関係しそうですね。

都道府県別大腸癌死亡率(2012)
ttp://todo-ran.com/t/kiji/16785
都道府県別大腸癌死亡率(2012)
ttp://todo-ran.com/t/kiji/10434
都道府県別女性大腸癌死亡率(2012)
ttp://todo-ran.com/t/kiji/10439
都道府県別男性肥満率(2010)※女性版はありませんでした。
ttp://todo-ran.com/t/kiji/14169
都道府県別男子小中学生肥満率(2010)
ttp://todo-ran.com/t/kiji/13490
都道府県別女子小中学生肥満率(2010)
ttp://todo-ran.com/t/kiji/13494
都道府県別糖尿病1万人あたり糖尿病患者数
ttp://todo-ran.com/t/kiji/14753

赤肉について
都道府県別肉消費量(2013)
ttp://todo-ran.com/t/kiji/17985
都道府県別豚肉消費量(2013)
ttp://todo-ran.com/t/kiji/13461
都道府県別牛肉消費量(2013)
ttp://todo-ran.com/t/kiji/13457

加工肉について
都道府県別ベーコン消費量(2013)
ttp://todo-ran.com/t/kiji/18124
都道府県別ハム消費量(2013)
ttp://todo-ran.com/t/kiji/18118
都道府県別ソーセージ(魚肉等を除く)消費量(2013)
ttp://todo-ran.com/t/kiji/17996

おまけ 牛乳・乳製品
都道府県別牛乳消費量(2009)
ttp://todo-ran.com/t/kiji/13556
都道府県別バター消費量(2009)
ttp://todo-ran.com/t/kiji/13575
都道府県別チーズ消費量(2009)
ttp://todo-ran.com/t/kiji/13562

気付いた事、思った事
・肥満・大腸癌の上位にいる沖縄が糖尿病では最下位。
・四国の炭水化物大好き県である香川・徳島はともに糖尿病上位だが、香川の肥満は少ない。大腸癌は2県とも多くない。
・ベーコン消費量と大腸癌死亡率が類似している。ハム・ソーセージはあまり影響してない?
・ハム・ソーセージは製造工程で燻製していないか、燻製の際にケーシングするので直接煙に触れないのでベンズピレンの影響が少ないのかも。
・大腸癌牛乳・乳製品悪玉説についてはこれも関係無さそう。

URL数が多くて投稿できないので加工しました。】


おはようございます。

田中鈴木佐藤 さんから、大腸癌死亡率、肥満率、糖尿病患者数、赤肉摂取量、加工肉摂取量などの日本の情報について、コメントいただきました。

田中鈴木佐藤 さん、興味深い情報をありがとうございます。
とても参考になります。

ベンゾピレンは、国際がん研究機関(IARC)ではIARC発がん性リスク一覧で、グループ1(ヒトに対する発癌性が認められる)に分類していますね。

ベンゾピレンは、食品では「畜肉類や魚介類などの燻製製品や直火調理した食品」や油脂中などで極微量含有されています。

ベンゾピレンはベーコンにも含まれていますが、鰹節や焼き肉にも含まれています。
なお鰹節は、EUでなんと原則持ち込み禁止のようです。

鰹節は、IARCの表ではグループ2A(発がん性がおそらくある)ですが私は鰹節が好きでよく食べます。

時事ドットコム:
EUに「万博特例」要請=かつお節、フグ持ち込めず-ミラノ博の和食提供・政府
かつお節は製造過程でカツオの切り身をいぶす際に生成される発がん性物質「ベンゾピレン」の含有量が、EU基準を超える点が問題視されている。(2014/12/09)


結局、食品と発がんの関連は、複合的なものなので、単品でどうこう言う問題ではないように思います。

ただ、加工肉(ベーコン、ハム、ソーセージなど)を多く摂取する人の発がんリスクにはエビデンスがあるので、私も少量摂取にとどめようと思います。

「気付いた事、思った事
・肥満・大腸癌の上位にいる沖縄が糖尿病では最下位。
・四国の炭水化物大好き県である香川・徳島はともに糖尿病上位だが、香川の肥満は少ない。大腸癌は2県とも多くない。
・ベーコン消費量と大腸癌死亡率が類似している。ハム・ソーセージはあまり影響してない?
・ハム・ソーセージは製造工程で燻製していないか、燻製の際にケーシングするので直接煙に触れないのでベンズピレンの影響が少ないのかも。
・大腸癌牛乳・乳製品悪玉説についてはこれも関係無さそう。 」


田中鈴木佐藤さん、やはり、食品摂取、アルコール摂取、タバコ摂取、環境、運動、ストレス・・・いろんな要素が関わって、がんや肥満や糖尿病になるということだと思います。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
赤肉・加工肉のがんリスクについて。一般的日本人。糖質セイゲニスト。
〔15/10/29 精神科医師A

赤肉・加工肉のがんリスクについて
【国立がん研究センター発表】

http://www.ncc.go.jp/jp/information/20151029.html

大腸がんの発生に関して、日本人の平均的な摂取の範囲であれば赤肉や加工肉がリスクに与える影響は無いか、あっても、小さい

赤肉はたんぱく質やビタミンB、鉄、亜鉛など私たちの健康維持にとって有用な成分もたくさん含んでいる

総合的にみても、今回の評価を受けて極端に量を制限する必要性はない 〕



おはようございます。

2015年10月26日(月)
世界保健機関(WHO)の専門組織である国際がん研究機関(IARC)から

『加工肉摂取に「がんリスク」=毎日50グラムで18%増』

という発表があり、本ブログの記事(10月29日)にしました。

大腸がん(直腸がんや結腸がん)のリスクということです。

このIARCの発表に対して、国立がん研究センターが、2015年10月29日に見解を発表しました。
http://www.ncc.go.jp/jp/information/20151029.html

精神科医師Aさんから、情報をいただきました。
ありがとうございます。

全容を見たい方は、上記URLを訪問していただけば幸いです。

まず、「Red meat:赤肉」 は、牛・豚・羊肉などの肉のことで、脂肪分が少ない部位を示すいわゆる「赤身肉」とは異なりますので注意が必要です。


国立がん研究センターの見解としては、精神科医師Aさんのご指摘のように、

『日本人においては、加工肉・赤肉に関して、極端に量を制限する必要性はない』

としています。

1)
IARCの評価の基となった全世界地域の論文の赤肉摂取の範囲はおおむね一日50-100gで、中には200g以上わたる非常に高い地域もあった。2013年の国民健康・栄養調査によると日本人の赤肉・加工肉の摂取量は一日あたり63g(うち、赤肉は50g、加工肉は13g)で、世界的に見て最も摂取量の低い国の一つであった。

2)
当センター がん予防・検診研究センター 予防研究グループでは、国内の45-74歳の男女約8万人を対象に赤肉・加工肉摂取量と大腸がん罹患リスクについて追跡調査を行ったコホート研究の結果を、2011年に発表。

当センター がん予防・検診研究センター 予防研究グループでは、同研究は、赤肉・加工肉の摂取量に応じて低い方から高い方に5グループに分けてその後の大腸がんの発生リスクとの関連を検討した研究で、女性では毎日赤肉を80g**(調理前の重量。調理後は20%程度重量が減少する)以上食べるグループで結腸がんのリスクが高く、それ以下の摂取量ではリスク上昇はみられていない。男性では鶏肉も含む肉全体では摂取量の最も高い第5グループでリスク上昇がみらたが、赤肉では特に関連はみられていない。また、加工肉については男女ともに関連はみられていない。

3)
大腸がんの発生に関して、日本人の平均的な摂取の範囲であれば赤肉や加工肉がリスクに与える影響は無いか、あっても、小さい。

1)2)3)が、上記国立がん研究センター見解の根拠となっています。

つまり、日本は世界標準に比べて「加工肉・赤肉」の摂取量が最も少ない国のひとつなので、現状の摂取量で、一般的な日本人において大腸癌のリスクとなる根拠はないということです。


一方、我々糖質セイゲニストは、少なくとも赤肉の摂取量は、一般的な日本人の標準量よりは、かなり多いと思います。

この場合、大腸がんのリスクはどうなのでしょう?

赤肉摂取量は多いのですが、糖質セイゲニストの場合は、糖質摂取に伴う「食後血糖値上昇」「食後高インスリン血症」がほとんどありません。

「食後血糖値上昇」「食後高インスリン血症」には、明確な発がんリスクがあります。

IARCの見解は
糖質を普通に食べて、赤肉も多く食べると「食後血糖値上昇」「食後高インスリン血症」を生じて大腸がんのリスクの可能性があるということだと思います。

結論です。

糖質セイゲニストにおいては、赤肉をたくさん食べても、大腸がんのリスクにはならない可能性が高いと思われます。


江部康二



☆☆☆

以下は、国立がん研究センターのサイトから一部抜粋して転載です。


国立研究開発法人国立がん研究センター
情報提供
赤肉・加工肉のがんリスクについて

2015年10月29日
国立研究開発法人国立がん研究センター

この度の国際がん研究組織(IARC)による以下の発表について、当センターによる解説と当センターが2011年に発表した日本人における赤肉・加工肉摂取量と大腸がん罹患リスクについてお知らせいたします。

IARC Monographs evaluate consumption of red meat and processed meat
http://www.iarc.fr/en/media-centre/pr/2015/pdfs/pr240_E.pdf外部サイトへのリンク

1.解説

IARC主催の10か国、22人の専門家による会議で赤肉*(牛・豚・羊などの肉)、加工肉の人への発がん性についての評価が行われました。評価は全世界地域の人を対象とした疫学研究(エビデンス)、動物実験研究、メカニズム研究からなる科学的証拠に基づく総合的な判定です。
その結果、加工肉について“人に対して発がん性がある(Group1)”と、主に大腸がんに対する疫学研究の十分な証拠に基づいて判定されました。赤肉については疫学研究からの証拠は限定的ながら、メカニズムを裏付ける相応の証拠があることから、“おそらく人に対して発がん性がある(Group2A)”と判定しています。 疫学研究からの証拠を評価する際には、複数の疫学研究を精査して、バイアスや偶然、他の要因の影響(交絡)の可能性を否定出来る質の高い研究に、より重きが置かれるため、ここでいう十分な証拠とはそのような影響を排除した上で成立したものと言えます。そのような影響を否定できない場合は総合判定でGroup 2A以下となります。

また、すでに2007年に世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究協会(AICR)による評価報告書で、赤肉、加工肉の摂取は大腸がんのリスクを上げることが“確実”と判定されており、赤肉は調理後の重量で週500g以内、加工肉はできるだけ控えるように、と勧告しています。高用量の摂取地域を含む海外の評価における結果はある程度一致しているとも言えます。

表1に分類の定義を示します。 Group1に位置付けられたものは他に喫煙やアスベストなどこれまでに100以上あります。IARCではある条件下(たとえば事故や職業などの特殊環境下での大量曝露、地域特有の食事摂取状況)であっても発がん性の有無を警告する意味において行いますので (いわゆる“ハザードの同定”)、同じグループに分類されたものでも公衆衛生上のインパクトは要因の分布や疾病構造によります。要因が疾病に与えるインパクトを算出する疾病負担研究プロジェクトでは喫煙に起因する全世界のがん死亡は年間100万であったのに対し、アルコールは60万、大気汚染は20万、加工肉では3万4千人であったことが示されています。
今回の結果を踏まえて以後どのように公衆衛生上の目標を定めるかは、各国の赤肉などの摂取状況とその摂取量範囲でのリスクの大きさに基づいた“リスク評価“、さらには、がんや他の疾患への影響などを踏まえて行われるべきものです。

2.日本人における赤肉・加工肉摂取量と大腸がん罹患リスクについて

IARCの評価の基となった全世界地域の論文の赤肉摂取の範囲はおおむね一日50-100gで、中には200g以上わたる非常に高い地域もありました。2013年の国民健康・栄養調査によると日本人の赤肉・加工肉の摂取量は一日あたり63g(うち、赤肉は50g、加工肉は13g)で、世界的に見て最も摂取量の低い国の一つです。 当センター がん予防・検診研究センター 予防研究グループでは、国内の45-74歳の男女約8万人を対象に赤肉・加工肉摂取量と大腸がん罹患リスクについて追跡調査を行ったコホート研究の結果を、2011年に発表しています。
同研究は、赤肉・加工肉の摂取量に応じて低い方から高い方に5グループに分けてその後の大腸がんの発生リスクとの関連を検討した研究で、女性では毎日赤肉を80g**(調理前の重量。調理後は20%程度重量が減少する)以上食べるグループで結腸がんのリスクが高く、それ以下の摂取量ではリスク上昇はみられていません。男性では鶏肉も含む肉全体では摂取量の最も高い第5グループでリスク上昇がみられましたが、赤肉では特に関連はみられていません。また、加工肉については男女ともに関連はみられていません。大腸がんの発生に関して、日本人の平均的な摂取の範囲であれば赤肉や加工肉がリスクに与える影響は無いか、あっても、小さいと言えます。

多目的コホート研究 2011/11/28 赤肉・加工肉摂取量と大腸がん罹患リスクについて
http://epi.ncc.go.jp/jphc/584/2870.htmlncc管轄サイトへのリンク

3.日本人のためのがん予防法について

同予防研究グループでは、様々な生活習慣とがんとの関連について日本人を対象とした研究を基にIARCやWCRF/AICRによる報告書の手法を準用して評価を行っています。
表2に示す分類に基づいて赤肉、加工肉と大腸がんとの関連については、日本人の科学的証拠は6件のコホート研究および13件の症例・対照研究に基づき“可能性あり”と判定しています。海外に比べて弱い判定結果ですが、日本人における赤肉、加工肉の摂取量が低いことの影響が考えられます。
このような生活習慣要因の判定結果を基に、現状において推奨できる科学的根拠に基づくがん予防法「日本人のためのがん予防法」も提示しています。食事要因については「塩蔵品を控えること」「野菜・果物不足にならないこと」「熱い飲食物をとらないこと」を目標に定めています。2007年のWCRFとAICRの報告書の判定を踏まえてかつては赤肉、加工肉についても摂取を控えるように目標に入れていた時期もありますが、日本人での科学的証拠がそれほど明確でないため、また、総合的な健康影響からはある程度の摂取が必要と判断して現在は取り下げている現状にあります。

また、生活習慣とがんリスクの関係については、「リスクチェック」も公開し、生活習慣の改善によるがん予防に役立てていただいております。

がん情報サービス「日本人のためのがん予防法」
http://ganjoho.jp/public/pre_scr/prevention/evidence_based.htmlがん情報サービスへのリンク

科学的根拠に基づく発がん性・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究 http://epi.ncc.go.jp/can_prevncc管轄サイトへのリンク

がんリスクチェック
http://epi.ncc.go.jp/riskcheck/index.htmlncc管轄サイトへのリンク


日本人の赤肉・加工肉の摂取量は世界的に見ても低く、平均的摂取の範囲であれば大腸がんのリスクへの影響はほとんど考えにくいでしょう。ただし、欧米でも多いとされる量の摂取であればリスクを上げる可能性は高いと思われます。また、今回、IARCにより発がん性ありと判定された加工肉についての科学的証拠は大腸がんを主体としたものであり、健康全般を考慮した観点に立った場合には、他の疾患への影響も考慮する必要があります。赤肉はたんぱく質やビタミンB、鉄、亜鉛など私たちの健康維持にとって有用な成分もたくさん含んでいます。飽和脂肪酸も含まれ、摂りすぎは動脈硬化、その結果としての心筋梗塞のリスクを高めますが、少なすぎると脳卒中(特に、出血性)のリスクを高めることが分かっています。日本においては心筋梗塞より脳卒中の罹患率の方が高いことから、総合的にみても、今回の評価を受けて極端に量を制限する必要性はないと言えるでしょう。 がんをはじめとした生活習慣病予防、総合的健康の観点からは、まずは「日本人のためのがん予防法」で定められた健康習慣全般に気を配ることが大切です。


*Red meat は、牛・豚・羊肉などの肉のことで、脂肪分が少ない部位を示す「赤身肉」とは異なります。
**大規模食生活調査および詳細な食事記録調査に基づく近似値


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
加工肉摂取に「がんリスク」=毎日50グラムで18%増―WHO
おはようございます。

じょん さんから、加工肉の発がんリスクについて、コメント・質問をいただきました。

『加工肉摂取に「がんリスク」=毎日50グラムで18%増―WHO』

という記事が時事通信から、配信されました。

確かに加工肉は、混合物のカテゴリーでアルコール飲料 と共にIARC(国際がん研究機関)で「グループ1」であり、少量にとどめるほうが無難のようです。

IARC「グループ1」は、『ヒトに対する発癌性が認められる』とされているもので、根拠となる学術論文がしっかりあるということです。

グループ1には、化学物質のカテゴリーでは、アスベスト、ヒ素、太陽光暴露、X線照射・・・などがあります。

環境のカテゴリーでは、タバコの喫煙、紫外線を発する日焼けマシーン・・・などがあります。

グループ1に関しては、単独で発がん性がある可能性があり、食品は少量にとどめ、環境は避けるに越したことはありません。

次に赤肉ですが、IARCで、『おそらくヒトに発がん性あり』というグループ2Aに分類されています。

こちらも一定の根拠となる論文があると考えられます。

しかし、グループ2Aの食品に関しては、合わせ技という可能性が高いと思います。

赤肉は、普通に糖質を食べている人にはがんのリスクとなる可能性がありますが、スーパー糖質制限食実践者の場合は大丈夫と個人的には思います。

なぜなら、明確な発がんリスクである「高インスリン血症」と「高血糖」が、スーパー糖質制限食実践者では、ほとんど生じないからです。

つまり、赤肉は糖質を摂取して、「高インスリン血症」と「高血糖」を日常的に生じている人においては、発がんリスクとなるということだと私は考えています。

なお、スーパー糖質制限食の範疇で
<必須アミノ酸、必須脂肪酸、ビタミン、ミネラル、微量元素、食物繊維>

<EPA・DHA>
を確保していれば、そのまま人類本来の食事、人類の健康食です。

これを達成するには、魚や野菜、海草、茸なども必要です。

もちろん、肉・卵・チーズも摂取OKです。


江部康二



【15/10/28 じょん
加工肉 赤肉の発がんリスク
こんばんは。

少し気になる記事があります。
26日にWHOがベーコンやハム、ソーセージなどの加工肉を1日50グラム食べると、結腸や直腸のがんにかかるリスクを18%高める、などとする研究結果を発表しています。この研究は、WHO傘下の国際がん研究機関(IARC、仏リヨン)の作業グループがまとめ発表されたもののようです。加工肉は、IARCの発がん性の基準で、喫煙やアスベストなどと同じ「グループ1」に分類されています。また、牛や豚、馬などの赤身の肉についても、発がんの可能性があるとする分類に位置づけています。

江部先生は、糖質制限を実践する上で、肉、魚、野菜、ナッツ等、バランスよく食べることを勧めておられます。一方で、MEC食がありますが、こちらはどちらかというと肉食中心のように感じています。私の勘違いかもしれませんが。
このような記事をみると、糖質制限を実践していく上でも、
江部先生が言われるように様々なものをバランスよく食べたほうがいいように感じています。いかがでしょうか?】



http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151026-00000156-jij-int

加工肉摂取に「がんリスク」=毎日50グラムで18%増―WHO
時事通信 10月26日(月)23時19分配信
 【ベルリン時事】世界保健機関(WHO)の専門組織である国際がん研究機関(本部フランス・リヨン)は26日、ハムやソーセージなどの加工肉を食べると、
がん発症リスクが高まるという「十分な証拠」があると発表した。
 
 加工肉を毎日50グラム食べた場合、直腸や結腸のがんになる可能性が18%増すという。個人にとってのリスクは「小さい」ものの、摂取量が増えれば高まると指摘した。
また、牛や豚など赤身の肉にもがんを誘発する恐れがあると言及した。
 国際がん研究機関は、赤身の肉は栄養価が高いとした上で、リスクとのバランスを踏まえながら当局が「食事に関する最良の勧告を行う」必要性を訴えた。同機関は800以上の研究結果を分析し、見解をまとめた。】 
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット