2011年12月23日 (金)
こんにちは。
空さんから、糖質制限食でHbA1c改善したけれど、早朝空腹時血糖値が下がらないとのコメント・質問をいただきました。
【11/12/23 空
朝の血糖値
先生、こんにちは!
お聴きしたい事があるのですが…
朝の(起き抜け)の血糖値が130を下回る事がないのです。
A1cは5.7です。
2ヶ月くらいで8.5から下げました。
これも先生の本を読み、糖質制限を知り実行したおかげです。
A1cは下がってるのに、朝一の血糖値が安定しません。
夜は運動し、2時間後の血糖値は100くらいに押さえています。
(運動しなくても120~130くらいで落ち着きます)
そのまま食後4時間内には就寝し睡眠時間は6時間くらいです。
薬はエクア服用。
今、禁煙外来に通っていて(チャンピックス服用)
タバコを我慢するストレスなのかとも思ったり…
先生、朝の血糖値を安定させるにはどうしたら、良いのでしょうか?
また、朝一の血糖値が高いと合併症のリスクが高くなりますか?
不安だらけです。】
空さん。
拙著のご購入ありがとうございます。
2ヶ月間の糖質制限食実践で、「HbA1c8.5%→5.7%」
素晴らしい改善ですね。
HbA1cは、コントロール良好を通り越して、コントロール優です。
早朝空腹時血糖値がやや高値なのは、糖尿人特有の「暁現象」と思われます。
糖尿人においては、就寝後8~10時間で、血糖値が上昇することがあり、これを暁現象と呼びます。
空腹時には、肝臓のグリコーゲン分解と糖新生が、血糖の供給源となります。
グリコーゲン分解に関しては、糖尿人と正常人との間に差はないとされています。
一方、糖新生は、糖尿人においては、増加することが多いです。
正常人においては、血液中のインスリンが5μU/ml以上あれば、糖新生は急激に低下します。
しかし、2型糖尿病においては、正常人の2倍以上のインスリンが必要とされることが多いのです。
インスリン基礎分泌が不足してくると、夜間の肝の糖新生を制御できずに、早朝空腹時血糖値が高値となります。
就寝時より起床時の血糖値の方が、何も食べていないのに高値となることがあり、暁現象と呼びます。
朝に血糖値が上昇するまでの時間と増加量には、個人差があります。
1型糖尿人のバーンスタイン医師は、充分量の持続型インスリン3単位を就寝前に注射しているにもかかわらず、起床時の血糖値が10~100mg/dlほど就寝時より高値となるそうです。
暁現象の機序は、完全に解明されているわけではありませんが、肝臓が早朝には、他の時間帯以上に、血液中に循環しているインスリンを不活化させるとういう説があります。そのため、肝臓の糖新生が高まります。インスリンが、外部から注射したものであれ、内部でつくったものであれ同様です。
早朝空腹時ですから、インスリンを打っていない人では、基礎分泌のインスリンが循環している時間帯ですね。
正常人はこのとき、インスリンを産生して調整しますが、糖尿人はそれが不足するので暁現象が発生します。
暁現象の改善のために、
①糖質制限食で膵臓に休養を与える。
②筋トレで筋肉量を増やす。
③有酸素運動を継続して、インスリンの効きを良くする。
内服薬を増やさずに①②③を根気よく続けるのもよい方法と思います。
また内服されているDPP-4阻害剤(エクア、ジャヌビア、グラクティブ、ネシーナなど)は、内服継続により膵臓のインスリン分泌能力が改善したという報告が最近ありました。
インスリン分泌能力が改善したら、早朝空腹時血糖値も改善する可能性はあります。
上記実践しても、早朝空腹時血糖値が改善しないときは、メトフォルミン(ビグアナイド剤)内服で、肝臓の糖新生を抑制する選択肢もあります。
メトフォルミンは米国糖尿病学会の勧告では、2型糖尿人において、第一選択剤と評価されています。
早朝空腹時血糖値が140mgを超えると、いろいろリスクが出てきます。
早朝空腹時血糖値126mg未満の境界型なら、リスクはかなり減ります。
目指すのは早朝空腹時血糖値110mg未満の正常ですね。
江部康二
空さんから、糖質制限食でHbA1c改善したけれど、早朝空腹時血糖値が下がらないとのコメント・質問をいただきました。
【11/12/23 空
朝の血糖値
先生、こんにちは!
お聴きしたい事があるのですが…
朝の(起き抜け)の血糖値が130を下回る事がないのです。
A1cは5.7です。
2ヶ月くらいで8.5から下げました。
これも先生の本を読み、糖質制限を知り実行したおかげです。
A1cは下がってるのに、朝一の血糖値が安定しません。
夜は運動し、2時間後の血糖値は100くらいに押さえています。
(運動しなくても120~130くらいで落ち着きます)
そのまま食後4時間内には就寝し睡眠時間は6時間くらいです。
薬はエクア服用。
今、禁煙外来に通っていて(チャンピックス服用)
タバコを我慢するストレスなのかとも思ったり…
先生、朝の血糖値を安定させるにはどうしたら、良いのでしょうか?
また、朝一の血糖値が高いと合併症のリスクが高くなりますか?
不安だらけです。】
空さん。
拙著のご購入ありがとうございます。
2ヶ月間の糖質制限食実践で、「HbA1c8.5%→5.7%」
素晴らしい改善ですね。
HbA1cは、コントロール良好を通り越して、コントロール優です。
早朝空腹時血糖値がやや高値なのは、糖尿人特有の「暁現象」と思われます。
糖尿人においては、就寝後8~10時間で、血糖値が上昇することがあり、これを暁現象と呼びます。
空腹時には、肝臓のグリコーゲン分解と糖新生が、血糖の供給源となります。
グリコーゲン分解に関しては、糖尿人と正常人との間に差はないとされています。
一方、糖新生は、糖尿人においては、増加することが多いです。
正常人においては、血液中のインスリンが5μU/ml以上あれば、糖新生は急激に低下します。
しかし、2型糖尿病においては、正常人の2倍以上のインスリンが必要とされることが多いのです。
インスリン基礎分泌が不足してくると、夜間の肝の糖新生を制御できずに、早朝空腹時血糖値が高値となります。
就寝時より起床時の血糖値の方が、何も食べていないのに高値となることがあり、暁現象と呼びます。
朝に血糖値が上昇するまでの時間と増加量には、個人差があります。
1型糖尿人のバーンスタイン医師は、充分量の持続型インスリン3単位を就寝前に注射しているにもかかわらず、起床時の血糖値が10~100mg/dlほど就寝時より高値となるそうです。
暁現象の機序は、完全に解明されているわけではありませんが、肝臓が早朝には、他の時間帯以上に、血液中に循環しているインスリンを不活化させるとういう説があります。そのため、肝臓の糖新生が高まります。インスリンが、外部から注射したものであれ、内部でつくったものであれ同様です。
早朝空腹時ですから、インスリンを打っていない人では、基礎分泌のインスリンが循環している時間帯ですね。
正常人はこのとき、インスリンを産生して調整しますが、糖尿人はそれが不足するので暁現象が発生します。
暁現象の改善のために、
①糖質制限食で膵臓に休養を与える。
②筋トレで筋肉量を増やす。
③有酸素運動を継続して、インスリンの効きを良くする。
内服薬を増やさずに①②③を根気よく続けるのもよい方法と思います。
また内服されているDPP-4阻害剤(エクア、ジャヌビア、グラクティブ、ネシーナなど)は、内服継続により膵臓のインスリン分泌能力が改善したという報告が最近ありました。
インスリン分泌能力が改善したら、早朝空腹時血糖値も改善する可能性はあります。
上記実践しても、早朝空腹時血糖値が改善しないときは、メトフォルミン(ビグアナイド剤)内服で、肝臓の糖新生を抑制する選択肢もあります。
メトフォルミンは米国糖尿病学会の勧告では、2型糖尿人において、第一選択剤と評価されています。
早朝空腹時血糖値が140mgを超えると、いろいろリスクが出てきます。
早朝空腹時血糖値126mg未満の境界型なら、リスクはかなり減ります。
目指すのは早朝空腹時血糖値110mg未満の正常ですね。
江部康二
2011年07月11日 (月)
こんばんは。
小野さんから、暁現象と対処法についてコメント・質問をいただきました。
【11/07/09 小野
暁現象
お尋ね申し上げます。
暁現象を予防する方法はありますか? 私は境界型ですが、早朝空腹時の血糖値が1日のうちで最も高いです。スーパー糖質制限と運動は実行しています。
暁現象は食事や運動で改善できないものですか?(インスリンか薬のお世話になるほかない、ということ?)
よろしくお願い申します】
小野 さん。
①糖質制限食で膵臓に休養を与える。
②筋トレで筋肉量を増やす。
③有酸素運動を継続して、インスリンの効きを良くする。
で、如何でしょう。
①により、今まで糖質摂取により疲弊していた膵臓のβ細胞が回復して基礎分泌インスリンがしっかりでるようになる可能性があります。
②により、筋肉量が増加すれば、血糖を取り込む場所が増えるので血糖は低下しやすくなります。
③により、同じ筋肉量で同じインスリンの量でも、血糖値をより効率よく取り込むようになります。
江部康二
小野さんから、暁現象と対処法についてコメント・質問をいただきました。
【11/07/09 小野
暁現象
お尋ね申し上げます。
暁現象を予防する方法はありますか? 私は境界型ですが、早朝空腹時の血糖値が1日のうちで最も高いです。スーパー糖質制限と運動は実行しています。
暁現象は食事や運動で改善できないものですか?(インスリンか薬のお世話になるほかない、ということ?)
よろしくお願い申します】
小野 さん。
①糖質制限食で膵臓に休養を与える。
②筋トレで筋肉量を増やす。
③有酸素運動を継続して、インスリンの効きを良くする。
で、如何でしょう。
①により、今まで糖質摂取により疲弊していた膵臓のβ細胞が回復して基礎分泌インスリンがしっかりでるようになる可能性があります。
②により、筋肉量が増加すれば、血糖を取り込む場所が増えるので血糖は低下しやすくなります。
③により、同じ筋肉量で同じインスリンの量でも、血糖値をより効率よく取り込むようになります。
江部康二
2011年06月28日 (火)
こんにちは。
今回は、ほりぐちさんから、糖質制限食で血糖値が劇的に改善とのコメントと、若干の質問をいただきました。
【11/06/27 ほりぐち
ほりぐち と申します。
投稿の方法がよくわからなくて・・・・
ここに書いております。
5月24日に体調が悪く掛り付けの医院で相当進んだ糖尿と判断され血液検査を行いました。
結果は血糖値:595、HbA1c:11.7でした。
結果、ジャヌビア錠を毎朝1錠のむ、糖分は摂取は極力控えるようにと処方されました。
数日間様子を見ましたが、尿糖の検査結果は+++以上で下がる気配は見られませんでした。(ドラッグですぐ検査紙を購入しました)
心配になりインターネットで検索、先生のブログを発見、アマゾンで本を入手してさっそく5月31日から糖質ゼロの食事に切り替えました。
2日後には尿糖は+次の日には+-と激変しました。(この後。自分の判断でジャヌビアを飲むのを中止しました。)
尿糖では判断できないので血糖値の測定器を購入して血糖値も200以下になっていることが確認できました。
1カ月後の6月24日医院で採血しました。
結果は血糖値:595⇒109、HbA1c:11.7⇒9.5、中性脂肪:114⇒63、総コレステロール:234⇒282、HDL:62⇒76、LDL:149⇒193でした。
結果には大満足ですが、少し気になる点は総コレステロールが高くなったことです。
特にうれしかったのは中性脂肪の値が下がったことです。エコー検査で肝脂肪の蓄積を
注意されていましたので・・・
コメントをお願いしたいのは
1・先生には、ジャヌビアは十日以上飲んでいないことを告げたのですがジャヌビアは続けてもらはないといけませんと処方されました。飲んだ方がいいのでしょうか?
2・食事の時1回だけ家族と同じものを食べて食後1時間値で300近くになったのにびっくりしたのですが、糖質ゼロはずっと続けないといけないのでしょうか?
3・朝起きてすぐの血糖値より少し動いた朝食前の方が高いのですが気にしなくていいのでしょうか?
目にとめて頂けたら嬉しいです。よろしくお願いします、(77歳男性)
投稿の方法が間違っていましたら正しい方法をおしえていただけると助かります】
ほりぐちさん。
本のご購入ありがとうございます。
ちゃんとコメント欄に投稿されてますよ。
ブログ記事の一番下の青い帯、編集のCM(コメント)をクリックして、投稿していただけばよろしいですので・・・。
さて、
5月24日 血糖値:595、HbA1c:11.7
6月24日 血糖値:109、HbA1c:9.5
劇的改善ですね。
良かったです。
中性脂肪が改善してHDLコレステロールが増加、良い傾向です。
総コレステロールとLDLコレステロールは、このまま経過をみられてよいと思います。
半年~1.2年で基準値となることが多いです。
『1・先生には、ジャヌビアは十日以上飲んでいないことを告げたのですがジャヌビアは続けてもらはないといけませんと処方されました。飲んだ方がいいのでしょうか?』
現在、糖質制限食だけで、しっかり改善しておられますので、ジャヌビアなしで経過をみてよいと思います。ドクターにもう1ヶ月、薬なしで様子をみたいとご相談下さい。7月の検査で、HbA1cは7%台になると思いますので、薬なしでもOKとなるのではないでしょうか?
『2・食事の時1回だけ家族と同じものを食べて食後1時間値で300近くになったのにびっくりしたのですが、糖質ゼロはずっと続けないといけないのでしょうか? 』
つらくなければ、このままスーパー糖質制限食をお続け下さい。
スーパー糖質制限食でも野菜に含まれる糖質がありますので、総摂取カロリーの12%くらいが糖質となります。
糖質だけが血糖値を上昇させ、脂質・タンパク質は上昇させません。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿人の血糖値を約3mg上昇させます。
お酒が飲める人は、蒸留酒や糖質ゼロ発泡酒や辛口赤ワインなどOKですので、スーパー糖質制限食がつらくありません。一方、お酒が飲めない人は、ややつらいかもしれませんが、強い味方がいます。
糖質制限ドットコム http://www.toushitsuseigen.com/
これらで、糖質制限食OKな食材や調味料、
パン、スイーツ、お好み焼き、蒲鉾、どら焼き、カレー、シチュー、ハンバーグ、
ポン酢、ウースターソース、お好みソース・・・等々
を販売しています。
ネットでも電話でもご購入いただけます。
『3・朝起きてすぐの血糖値より少し動いた朝食前の方が高いのですが気にしなくていいのでしょうか? 』
糖尿人特有の暁現象と思われます。
糖尿人においては、就寝後8~10時間で、血糖値が上昇することがあり、これを暁現象と呼びます。
早朝空腹時血糖値が110mg未満、
食後2時間血糖値が140mg未満、
HbA1cが6.5%未満→さらには5.8%未満、
を達成していれば、糖尿病合併症が予防できますので、暁現象はあまり気にしなくてよいと思います。
空腹時には、肝臓のグリコーゲン分解と糖新生が、血糖の供給源となります。グリコーゲン分解に関しては、糖尿人と正常人との間に差はないとされています。
一方、糖新生は、糖尿人においては、増加することが多いです。
正常人においては、血液中のインスリンが5μU/ml以上あれば、糖新生は急激に低下します。
しかし、2型糖尿病においては、正常人の2倍以上のインスリンが必要とされることが多いのです。
インスリン基礎分泌が不足してくると、夜間の肝の糖新生を制御できずに、早朝空腹時血糖値が高値となります。
また、就寝時より起床時の血糖値の方が、高値となることがあります。
バーンスタイン医師によれば、糖尿人においては、就寝後8~10時間に血糖値が上昇することがあり、暁現象というそうです。この場合、就寝時より起床時の血糖値が高値となります。
朝に血糖値が上昇するまでの時間と増加量には、個人差があります。
1型糖尿人のバーンスタイン医師は、充分量の持続型インスリン3単位を就寝前に注射しているにもかかわらず、
起床時の血糖値が10~100mg/dlほど就寝時より高値となるそうです。
暁現象の機序は、完全に解明されているわけではありませんが、肝臓が早朝には、他の時間帯以上に、血液中に循環しているインスリンを不活化させるとういう説があります。そのため、肝臓の糖新生が高まります。インスリンが、外部から注射したものであれ、内部でつくったものであれ同様です。
早朝空腹時ですから、インスリンを打っていない人では、基礎分泌のインスリンが循環している時間帯ですね。
正常人はこのとき、インスリンを産生して調整しますが、糖尿人はそれが不足するので暁現象が発生します。
江部康二
今回は、ほりぐちさんから、糖質制限食で血糖値が劇的に改善とのコメントと、若干の質問をいただきました。
【11/06/27 ほりぐち
ほりぐち と申します。
投稿の方法がよくわからなくて・・・・
ここに書いております。
5月24日に体調が悪く掛り付けの医院で相当進んだ糖尿と判断され血液検査を行いました。
結果は血糖値:595、HbA1c:11.7でした。
結果、ジャヌビア錠を毎朝1錠のむ、糖分は摂取は極力控えるようにと処方されました。
数日間様子を見ましたが、尿糖の検査結果は+++以上で下がる気配は見られませんでした。(ドラッグですぐ検査紙を購入しました)
心配になりインターネットで検索、先生のブログを発見、アマゾンで本を入手してさっそく5月31日から糖質ゼロの食事に切り替えました。
2日後には尿糖は+次の日には+-と激変しました。(この後。自分の判断でジャヌビアを飲むのを中止しました。)
尿糖では判断できないので血糖値の測定器を購入して血糖値も200以下になっていることが確認できました。
1カ月後の6月24日医院で採血しました。
結果は血糖値:595⇒109、HbA1c:11.7⇒9.5、中性脂肪:114⇒63、総コレステロール:234⇒282、HDL:62⇒76、LDL:149⇒193でした。
結果には大満足ですが、少し気になる点は総コレステロールが高くなったことです。
特にうれしかったのは中性脂肪の値が下がったことです。エコー検査で肝脂肪の蓄積を
注意されていましたので・・・
コメントをお願いしたいのは
1・先生には、ジャヌビアは十日以上飲んでいないことを告げたのですがジャヌビアは続けてもらはないといけませんと処方されました。飲んだ方がいいのでしょうか?
2・食事の時1回だけ家族と同じものを食べて食後1時間値で300近くになったのにびっくりしたのですが、糖質ゼロはずっと続けないといけないのでしょうか?
3・朝起きてすぐの血糖値より少し動いた朝食前の方が高いのですが気にしなくていいのでしょうか?
目にとめて頂けたら嬉しいです。よろしくお願いします、(77歳男性)
投稿の方法が間違っていましたら正しい方法をおしえていただけると助かります】
ほりぐちさん。
本のご購入ありがとうございます。
ちゃんとコメント欄に投稿されてますよ。
ブログ記事の一番下の青い帯、編集のCM(コメント)をクリックして、投稿していただけばよろしいですので・・・。
さて、
5月24日 血糖値:595、HbA1c:11.7
6月24日 血糖値:109、HbA1c:9.5
劇的改善ですね。
良かったです。
中性脂肪が改善してHDLコレステロールが増加、良い傾向です。
総コレステロールとLDLコレステロールは、このまま経過をみられてよいと思います。
半年~1.2年で基準値となることが多いです。
『1・先生には、ジャヌビアは十日以上飲んでいないことを告げたのですがジャヌビアは続けてもらはないといけませんと処方されました。飲んだ方がいいのでしょうか?』
現在、糖質制限食だけで、しっかり改善しておられますので、ジャヌビアなしで経過をみてよいと思います。ドクターにもう1ヶ月、薬なしで様子をみたいとご相談下さい。7月の検査で、HbA1cは7%台になると思いますので、薬なしでもOKとなるのではないでしょうか?
『2・食事の時1回だけ家族と同じものを食べて食後1時間値で300近くになったのにびっくりしたのですが、糖質ゼロはずっと続けないといけないのでしょうか? 』
つらくなければ、このままスーパー糖質制限食をお続け下さい。
スーパー糖質制限食でも野菜に含まれる糖質がありますので、総摂取カロリーの12%くらいが糖質となります。
糖質だけが血糖値を上昇させ、脂質・タンパク質は上昇させません。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿人の血糖値を約3mg上昇させます。
お酒が飲める人は、蒸留酒や糖質ゼロ発泡酒や辛口赤ワインなどOKですので、スーパー糖質制限食がつらくありません。一方、お酒が飲めない人は、ややつらいかもしれませんが、強い味方がいます。
糖質制限ドットコム http://www.toushitsuseigen.com/
これらで、糖質制限食OKな食材や調味料、
パン、スイーツ、お好み焼き、蒲鉾、どら焼き、カレー、シチュー、ハンバーグ、
ポン酢、ウースターソース、お好みソース・・・等々
を販売しています。
ネットでも電話でもご購入いただけます。
『3・朝起きてすぐの血糖値より少し動いた朝食前の方が高いのですが気にしなくていいのでしょうか? 』
糖尿人特有の暁現象と思われます。
糖尿人においては、就寝後8~10時間で、血糖値が上昇することがあり、これを暁現象と呼びます。
早朝空腹時血糖値が110mg未満、
食後2時間血糖値が140mg未満、
HbA1cが6.5%未満→さらには5.8%未満、
を達成していれば、糖尿病合併症が予防できますので、暁現象はあまり気にしなくてよいと思います。
空腹時には、肝臓のグリコーゲン分解と糖新生が、血糖の供給源となります。グリコーゲン分解に関しては、糖尿人と正常人との間に差はないとされています。
一方、糖新生は、糖尿人においては、増加することが多いです。
正常人においては、血液中のインスリンが5μU/ml以上あれば、糖新生は急激に低下します。
しかし、2型糖尿病においては、正常人の2倍以上のインスリンが必要とされることが多いのです。
インスリン基礎分泌が不足してくると、夜間の肝の糖新生を制御できずに、早朝空腹時血糖値が高値となります。
また、就寝時より起床時の血糖値の方が、高値となることがあります。
バーンスタイン医師によれば、糖尿人においては、就寝後8~10時間に血糖値が上昇することがあり、暁現象というそうです。この場合、就寝時より起床時の血糖値が高値となります。
朝に血糖値が上昇するまでの時間と増加量には、個人差があります。
1型糖尿人のバーンスタイン医師は、充分量の持続型インスリン3単位を就寝前に注射しているにもかかわらず、
起床時の血糖値が10~100mg/dlほど就寝時より高値となるそうです。
暁現象の機序は、完全に解明されているわけではありませんが、肝臓が早朝には、他の時間帯以上に、血液中に循環しているインスリンを不活化させるとういう説があります。そのため、肝臓の糖新生が高まります。インスリンが、外部から注射したものであれ、内部でつくったものであれ同様です。
早朝空腹時ですから、インスリンを打っていない人では、基礎分泌のインスリンが循環している時間帯ですね。
正常人はこのとき、インスリンを産生して調整しますが、糖尿人はそれが不足するので暁現象が発生します。
江部康二
2010年06月21日 (月)
こんばんは。
今回は、クワポンさんから、「HbA1cが劇的に改善したのに早朝空腹時血糖値の改善が伴わない」とのコメント・質問をいただきました。
「10/06/21 クワポン
タイトルなし
今日健康診断の結果が出ました。
主治医に相談すべきですが社屋建て直しで診療がままならない状態ですのでここで質問させてください。
四谷の講演で先生は「アクトスは処方しない。心不全が、、、。」
私はアクトス30を毎朝食前に1錠飲んでいましたが、動悸がひどく目が覚めるようになり独断で中止しました。
今日の結果は中止する前の結果です。
血圧140 86→103 81
γーGT 92→50
HDLC59→104
HbA1c6.1→4.8
血糖156→132
気になるのは血糖で、9時間絶食してるのになぜ?コントロールが出来てるのにこの数字だとアクトスを続けるほうが良いのでしょうか?
何故こんな数字になるのか教えてください。」
クワポンさん。
HbA1cとHDL-Cの改善は素晴らしいですね。ヾ(^▽^)
私は、心不全や浮腫や体重増加・・・などのため、アクトスは積極的には処方しませんが、すでに内服されていて
副作用もない人には、継続してもらうこともあります。
クワポンさんは、動悸が出たのならやめて正解と思います。
早朝空腹時血糖値がやや高めなのは、暁現象と考えられます。☆☆☆
このまま糖質制限食でコントロール良好を保てば、疲弊していた膵臓のβ細胞が休養できて基礎分泌が回復し、早朝空腹時血糖値も正常化する可能性があります。
HbA1c6.1→4.8 と劇的改善ですので、
平均血糖値は
(6.1-1.7)×30=132mg/dl
(4.8-1.7)×30=93mg/dl
まで改善しています。
おそらく次回の検査では、空腹時血糖値も正常化する可能性が高いと思います。
どうしても早朝空腹時血糖値が回復しなければ、DPP-4阻害剤内服も、選択肢の一つですね。
江部康二
☆☆☆暁現象と早朝空腹時血糖値
空腹時には、肝臓のグリコーゲン分解と糖新生が、血糖の供給源となります。
グリコーゲン分解に関しては、糖尿人と正常人との間に差はないとされています。一方、糖新生は、糖尿人においては、増加することが多いです。
正常人においては、血液中のインスリンが5μU/ml以上あれば、糖新生は急激に低下します。しかし、2型糖尿病においては、正常人の2倍以上のインスリンが必要とされることが多いのです。
インスリン基礎分泌が不足してくると、夜間の肝の糖新生を制御できずに、早朝空腹時血糖値が高値となります。また、就寝時より起床時の血糖値の方が、高値となることがあります。
バーンスタイン医師によれば、糖尿人においては、就寝後8~10時間に血糖値が上昇することがあり、暁現象というそうです。
この場合、就寝時より起床時の血糖値が高値となります。
朝に血糖値が上昇するまでの時間と増加量には、個人差があります。
1型糖尿人のバーンスタイン医師は、充分量の持続型インスリン3単位を就寝前に注射しているにもかかわらず、起床時の血糖値が10~100mg/dlほど就寝時より高値となるそうです。
暁現象の機序は、完全に解明されているわけではありませんが、肝臓が早朝には、他の時間帯以上に、血液中に循環しているインスリンを不活化させるとういう説があります。そのため、肝臓の糖新生が高まります。インスリンが、外部から注射したものであれ、内部でつくったものであれ同様です。
早朝空腹時ですからインスリンを打っていない人では、基礎分泌のインスリンが循環している時間帯ですね。
正常人はこのとき、インスリンを産生して調整しますが、糖尿人はそれが不足するので暁現象が発生します。
今回は、クワポンさんから、「HbA1cが劇的に改善したのに早朝空腹時血糖値の改善が伴わない」とのコメント・質問をいただきました。
「10/06/21 クワポン
タイトルなし
今日健康診断の結果が出ました。
主治医に相談すべきですが社屋建て直しで診療がままならない状態ですのでここで質問させてください。
四谷の講演で先生は「アクトスは処方しない。心不全が、、、。」
私はアクトス30を毎朝食前に1錠飲んでいましたが、動悸がひどく目が覚めるようになり独断で中止しました。
今日の結果は中止する前の結果です。
血圧140 86→103 81
γーGT 92→50
HDLC59→104
HbA1c6.1→4.8
血糖156→132
気になるのは血糖で、9時間絶食してるのになぜ?コントロールが出来てるのにこの数字だとアクトスを続けるほうが良いのでしょうか?
何故こんな数字になるのか教えてください。」
クワポンさん。
HbA1cとHDL-Cの改善は素晴らしいですね。ヾ(^▽^)
私は、心不全や浮腫や体重増加・・・などのため、アクトスは積極的には処方しませんが、すでに内服されていて
副作用もない人には、継続してもらうこともあります。
クワポンさんは、動悸が出たのならやめて正解と思います。
早朝空腹時血糖値がやや高めなのは、暁現象と考えられます。☆☆☆
このまま糖質制限食でコントロール良好を保てば、疲弊していた膵臓のβ細胞が休養できて基礎分泌が回復し、早朝空腹時血糖値も正常化する可能性があります。
HbA1c6.1→4.8 と劇的改善ですので、
平均血糖値は
(6.1-1.7)×30=132mg/dl
(4.8-1.7)×30=93mg/dl
まで改善しています。
おそらく次回の検査では、空腹時血糖値も正常化する可能性が高いと思います。
どうしても早朝空腹時血糖値が回復しなければ、DPP-4阻害剤内服も、選択肢の一つですね。
江部康二
☆☆☆暁現象と早朝空腹時血糖値
空腹時には、肝臓のグリコーゲン分解と糖新生が、血糖の供給源となります。
グリコーゲン分解に関しては、糖尿人と正常人との間に差はないとされています。一方、糖新生は、糖尿人においては、増加することが多いです。
正常人においては、血液中のインスリンが5μU/ml以上あれば、糖新生は急激に低下します。しかし、2型糖尿病においては、正常人の2倍以上のインスリンが必要とされることが多いのです。
インスリン基礎分泌が不足してくると、夜間の肝の糖新生を制御できずに、早朝空腹時血糖値が高値となります。また、就寝時より起床時の血糖値の方が、高値となることがあります。
バーンスタイン医師によれば、糖尿人においては、就寝後8~10時間に血糖値が上昇することがあり、暁現象というそうです。
この場合、就寝時より起床時の血糖値が高値となります。
朝に血糖値が上昇するまでの時間と増加量には、個人差があります。
1型糖尿人のバーンスタイン医師は、充分量の持続型インスリン3単位を就寝前に注射しているにもかかわらず、起床時の血糖値が10~100mg/dlほど就寝時より高値となるそうです。
暁現象の機序は、完全に解明されているわけではありませんが、肝臓が早朝には、他の時間帯以上に、血液中に循環しているインスリンを不活化させるとういう説があります。そのため、肝臓の糖新生が高まります。インスリンが、外部から注射したものであれ、内部でつくったものであれ同様です。
早朝空腹時ですからインスリンを打っていない人では、基礎分泌のインスリンが循環している時間帯ですね。
正常人はこのとき、インスリンを産生して調整しますが、糖尿人はそれが不足するので暁現象が発生します。
2010年05月14日 (金)
おはようございます。
相変わらず寒い日々が続いてます。
いったいどないなっとんでしょう!? (∵)?
さて今回は、1型糖尿人のくぼちゃんから、「寝る前の血糖値より朝の血糖値が高い」というコメント・質問をいただきました。
「10/05/12 くぼちゃん
先生に質問なんです。
江部先生こんばんは!初めてコメントさせていただきます!
私は1型糖尿病で1年前に発症した者なんですが今ちょっと気になっていることがあるんですが寝る前の血糖値(夕食後3時間後ぐらい)が
80~90になっていたら朝の血糖値が130~150になったりするんです。
担当医に聞いたところ興奮しているからとの回答だったんですが
実際そんな事が本当にあるんでしょうか?
是非何か分かるようなことがあれば教えていただきたいです。宜しくお願いします。」
くぼちゃん。
空腹時には、肝臓のグリコーゲン分解と糖新生が、血糖の供給源となります。グリコーゲン分解に関しては、糖尿人と正常人との間に差はないとされています。一方、糖新生は、糖尿人においては、増加することが多いです。
正常人においては、血液中のインスリンが5μU/ml以上あれば、糖新生は急激に低下します。
しかし、2型糖尿病においては、正常人の2倍以上のインスリンが必要とされることが多いのです。
バーンスタイン医師によれば、糖尿人においては、就寝後8~10時間に血糖値が上昇することがあり、暁現象というそうです。この場合、就寝時より起床時の血糖値が高値となります。
朝に血糖値が上昇するまでの時間と増加量には、個人差があります。
1型糖尿人のバーンスタイン医師は、充分量の持続型インスリン3単位を就寝前に注射しているにもかかわらず、起床時の血糖値が10~100mg/dlほど就寝時より高値となるそうです。
暁現象の機序は、完全に解明されているわけではありませんが、肝臓が早朝には、他の時間帯以上に、血液中に循環しているインスリンを不活化させるとういう説があります。そのため、肝臓の糖新生が高まります。インスリンが、外部から注射したものであれ、内部でつくったものであれ同様です。
早朝空腹時ですからインスリンを打っていない人では、基礎分泌のインスリンが循環している時間帯ですね。正常人はこのとき、インスリンを産生して調整しますが、糖尿人はそれが不足するので暁現象が発生します。
くぼちゃんの「寝る前の血糖値より朝の血糖値が高い」という疑問は、暁現象で説明できると思います。
(*)暁現象と早朝空腹時血糖値
インスリン基礎分泌が不足してくると、夜間の肝の糖新生を制御できずに、早朝空腹時血糖値が高値となる。また、就寝時より起床時の血糖値の方が、高値となることがある。就寝後8~10時間で、血糖値が上昇する暁現象である。
肝臓が早朝には、他の時間帯以上に、血液中に循環しているインスリンを不活化させるため肝臓の糖新生が高まり、起床時に就寝時より血糖値が高くなる。
1型では、暁現象がはっきりしていることが多い。2型でも暁現象を示すことはある。
江部康二
相変わらず寒い日々が続いてます。
いったいどないなっとんでしょう!? (∵)?
さて今回は、1型糖尿人のくぼちゃんから、「寝る前の血糖値より朝の血糖値が高い」というコメント・質問をいただきました。
「10/05/12 くぼちゃん
先生に質問なんです。
江部先生こんばんは!初めてコメントさせていただきます!
私は1型糖尿病で1年前に発症した者なんですが今ちょっと気になっていることがあるんですが寝る前の血糖値(夕食後3時間後ぐらい)が
80~90になっていたら朝の血糖値が130~150になったりするんです。
担当医に聞いたところ興奮しているからとの回答だったんですが
実際そんな事が本当にあるんでしょうか?
是非何か分かるようなことがあれば教えていただきたいです。宜しくお願いします。」
くぼちゃん。
空腹時には、肝臓のグリコーゲン分解と糖新生が、血糖の供給源となります。グリコーゲン分解に関しては、糖尿人と正常人との間に差はないとされています。一方、糖新生は、糖尿人においては、増加することが多いです。
正常人においては、血液中のインスリンが5μU/ml以上あれば、糖新生は急激に低下します。
しかし、2型糖尿病においては、正常人の2倍以上のインスリンが必要とされることが多いのです。
バーンスタイン医師によれば、糖尿人においては、就寝後8~10時間に血糖値が上昇することがあり、暁現象というそうです。この場合、就寝時より起床時の血糖値が高値となります。
朝に血糖値が上昇するまでの時間と増加量には、個人差があります。
1型糖尿人のバーンスタイン医師は、充分量の持続型インスリン3単位を就寝前に注射しているにもかかわらず、起床時の血糖値が10~100mg/dlほど就寝時より高値となるそうです。
暁現象の機序は、完全に解明されているわけではありませんが、肝臓が早朝には、他の時間帯以上に、血液中に循環しているインスリンを不活化させるとういう説があります。そのため、肝臓の糖新生が高まります。インスリンが、外部から注射したものであれ、内部でつくったものであれ同様です。
早朝空腹時ですからインスリンを打っていない人では、基礎分泌のインスリンが循環している時間帯ですね。正常人はこのとき、インスリンを産生して調整しますが、糖尿人はそれが不足するので暁現象が発生します。
くぼちゃんの「寝る前の血糖値より朝の血糖値が高い」という疑問は、暁現象で説明できると思います。
(*)暁現象と早朝空腹時血糖値
インスリン基礎分泌が不足してくると、夜間の肝の糖新生を制御できずに、早朝空腹時血糖値が高値となる。また、就寝時より起床時の血糖値の方が、高値となることがある。就寝後8~10時間で、血糖値が上昇する暁現象である。
肝臓が早朝には、他の時間帯以上に、血液中に循環しているインスリンを不活化させるため肝臓の糖新生が高まり、起床時に就寝時より血糖値が高くなる。
1型では、暁現象がはっきりしていることが多い。2型でも暁現象を示すことはある。
江部康二