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河盛隆造先生と中性脂肪と炭水化物 
こんばんは。

下記のユーチューブへのリンクをクリックしていただくと、とても嬉しいです。
よろしくお願い申し上げます。江部康二。   m(_ _)m


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さて、イーサン様から、河盛隆造先生と中性脂肪と炭水化物について、コメントをいただきました。


【11/03/30 イーサン
河盛先生
「糖尿病ネットワーク」のサイトで河盛 隆造 先生が「糖尿病性血管障害のより確実な抑止のために-トリグリセライドコントロールの重要性」の題で解説をされています。一部を以下に引用します。

『これも前回お話ししたことですが、トリグリセライドの日本語の名称「中性脂肪」には「脂肪」とついているものの、脂肪分の摂り過ぎだけでトリグリセライド値が高くなるのではありません。むしろ炭水化物の摂り過ぎが原因です。 炭水化物は体内で最終的にブドウ糖になり、それがエネルギーの源として使われ、余った糖分が「中性脂肪(トリグリセライド)」になります。トリグリセライドを上げないためには、余分なブドウ糖を増やさないようにすること、つまり、炭水化物や糖分を必要以上に摂らないことです。』

河盛先生は中性脂肪に関しては炭水化物を減らしなさいと言っていますが、残念ながら肝心の血糖値に関してはそのような説明をされていません。 

まだ食事で炭水化物が必須との思いが拭えないのでしょうか。】



イーサン様。
興味深い情報をありがとうございます。

糖尿病ネットワーク http://www.dm-net.co.jp/tg/tg03-11.htm
第3回トリグリセライドコントロールの方法

にある記載(河盛隆造先生監修)のことですね。

【3.食事と運動によるトリグリセライドコントロール

a.トリグリセライドコントロールのための食事療法

いよいよ本題です。まずは食事療法によるトリグリセライドコントロールについてみていきましょう。

前にお話ししたとおり、血糖コントロールはトリグリセライドを下げる方向へ働くので、食事療法の進め方も糖尿病の食事療法と基本的には同じです。ここでは特に重要なポイントをピックアップしてまとめておきます。

・炭水化物・糖分を摂り過ぎない

これも前回お話ししたことですが、トリグリセライドの日本語の名称「中性脂肪」には「脂肪」とついているものの、脂肪分の摂り過ぎだけでトリグリセライド値が高くなるのではありません。むしろ炭水化物の摂り過ぎが原因です。

炭水化物は体内で最終的にブドウ糖になり、それがエネルギーの源として使われ、余った糖分が「中性脂肪(トリグリセライド)」になります。トリグリセライドを上げないためには、余分なブドウ糖を増やさないようにすること、つまり、炭水化物や糖分を必要以上に摂らないことです。】


河盛隆造先生は、日本糖尿病学会の重鎮中の重鎮と言える存在で、以前、日本糖尿病学会の会長もつとめておられます。

その河盛先生が、中性脂肪の高値は、

「脂肪の摂りすぎよりも、むしろ炭水化物(糖質)の取りすぎが原因」

と言い切っておられるのは、実に興味深いです。

実際、スーパー糖質制限食では、脂質56%、糖質12%と、高脂肪低糖質食ですが、中性脂肪は極めて速やかに正常値或いは正常低値に改善します。

つまり、河盛先生のご指摘は、全く持って正しいですし、さらに進めれば、高脂肪食は高中性脂肪のリスクにはならないのです。

河盛先生、一方では、糖尿病治療食として日本糖尿病学会のカロリー制限食(高糖質低脂肪食)を当然推奨しておられます。

糖尿病患者さんは、高血糖と高中性脂肪を合併している人が多いです。糖質制限食なら、高血糖も高中性脂肪も速やかに改善します。

河盛先生は、糖尿病治療にはカロリー制限食(高糖質食)を推奨されて、高中性脂肪血症には、炭水化物を控える食事(低糖質食)を推奨ということになるのですが、この矛盾に関して、実際の食事指導をどのようにされているのか、これまた実に興味深いですね。



江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食と中性脂肪値
こんにちは。
daniel さんから、嬉しいコメントをいただきました。

「10/04/24 daniel
毎日拝見しています。
初めまして、DM一年目の50歳男性です。
先生のブログに出会い著書は全て購入して、拝読した結果、劇的な改善が見られました。
HbA1c11%は5.9%に、食後2H血糖値は300mg/dlを150mg/dlに改善でき担当医も驚いておりました。(投薬無しです)糖尿病と診断されてwebを一日中検索する日々が続いており、様々な意見を見ましたが糖質制限が理に適っており納得して実行出来る上に、痩せ型(体脂肪11%)の私にとって蛋白質を豊富に摂取できるメニューは最高です。
ひとつだけ心配な事が有り相談を、申し上げたいのです。中性脂肪が当初160mg/dl有ったのですが、先日の検査で37mg/dlで低すぎないかと心配しております。尚、LDL-C123mg/dl HDL-C64mg/dlでその他の尿検査は全て陰性です。ご多忙の中を大変恐縮ではありますが、宜しくお願い申し上げます。」



danielさん。
全部の著作を買って頂いて、とても光栄です。
ありがとうございます。 m(_ _)mVV

「HbA1c11%は5.9%に、食後2H血糖値は300mg/dlを150mg/dlに改善でき担当医も驚いておりました。(投薬無しです)」

インスリン注射をしてもこれほど劇的な改善は困難ですから、すごいです。(^-^)v(^-^)v

主治医殿は驚かれたけれど、糖質制限食に反対はされなかったのですね。良かったです。

中性脂肪が当初160mg/dl有ったのですが、先日の検査で37mg/dlで低すぎないかと心配しております。尚、LDL-C123mg/dl HDL-C64mg/dlでその他の尿検査は全て陰性です。」


スーパー糖質制限食実践なら、中性脂肪37mg/dlは不思議ではありません。私も40から50mgていどですし、他にも38mgの人とかおられますよ。

LDL-C、HDL-Cもほどよい値です。
このまま美味しく楽しく糖質制限食をお続け下さいね。


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
インスリンとリポタンパクリパーゼと中性脂肪
こんにちは。

今回は、「インスリンリポタンパクリパーゼ中性脂肪」のお話しです。

インスリンは、

①筋肉中のリポタンパクリパーゼ(LPL)を抑制します。
②脂肪細胞中の リポタンパクリパーゼ(LPL)を活性化します。

筋肉細胞や脂肪細胞の毛細血管の壁には、リポタンパクリパーゼ(LPL)があります。

リポタンパクリパーゼ(LPL)が、キロミクロンやV-LDLの積み荷の中性脂肪を、脂肪酸とグリセロールに分解して、筋肉細胞や脂肪細胞に取り込ませてエネルギー源として利用させ、余ったら中性脂肪に再合成して蓄えるのです。

健康でスリムな体型で内臓脂肪も正常範囲の人が、主食で糖質を摂取して、あと普通に脂質も摂取したと仮定します。

糖質摂取で血糖値が上昇して、追加分泌インスリンがでます。脂質摂取でキロミクロンも出現します。

筋肉細胞では、インスリンによりリポタンパクリパーゼ(LPL)が抑制されるので、脂肪酸・ケトン体をエネルギーとして使えなくなるので、もっぱらブドウ糖を利用します。それで血糖値は下がります。

一方、脂肪細胞のリポタンパクリパーゼ(LPL)は、インスリンにより活性化されるので、中性脂肪をどんどん分解し、脂肪酸とグリセロールにしてエネルギー源として利用しますが、余剰のものは中性脂肪に再合成して脂肪細胞に蓄えます。

このようにして、血液中の中性脂肪は基準値に下がります。

健康でスリムな体型で内臓脂肪も正常範囲の人は、このように、少々何を食べても血糖値も中性脂肪値も基準値内にすぐ戻ります。

一方、肥満などでインスリン抵抗性がある人が、主食で糖質を摂取して、あと普通に脂質も摂取したと仮定します。

インスリン抵抗性の本質は、「生理的なインスリン濃度では、本来の作用が発揮できないこと」とされています。

インスリン本来の作用とは、「筋肉・肝臓・脂肪におけるエネルギーの蓄積」です。

インスリン抵抗性があると、生理的なインスリン濃度では、脂肪細胞のリポタンパクリパーゼ(LPL)が充分に活性化されず、脂肪細胞内にそれ以上エネルギー蓄積をできない状態となっています。それでキロミクロンの積み荷の中性脂肪は減りません。

そして、脂肪細胞が脂肪酸を細胞内に蓄えることができなくなると、肝臓に過剰に供給します。肝臓でもインスリン抵抗性があり、過剰な遊離脂肪酸は中性脂肪の合成を促進して、VLDLとして血中に放出されますので食後高中性脂肪血症となります。

肝臓でのVLDL合成は、通常はインスリン濃度が増えれば抑制されますが、インスリン抵抗性があるため、抑制がきかず合成されるのです。

一方、筋肉細胞もインスリン抵抗性はあり、血糖値をやや取り込みにくくなっていますが、追加分泌インスリンにより筋肉中のリポタンパクリパーゼ(LPL)はある程度抑制されます。

糖尿病になっていない段階なら、筋肉細胞は脂肪酸を取り込めない代わりに、ブドウ糖を取り込んで血糖値は下がりますが、中性脂肪は分解されず血中に残ります。

このようにインスリン抵抗性がある人が、<糖質+脂質>を摂取すれば、食事由来のキロミクロンと肝臓由来のVLDLの両方で血中の中性脂肪が高値となります。この場合、食後高中性脂肪血症は遷延して、空腹時中性脂肪値も高値となることが多いです。

インスリン抵抗性がある人が、スーパー糖質制限食を摂取した時は、追加分泌インスリンは極少量しか出ません。従いまして、筋肉中のリポタンパクリパーゼは、食中・食後もよく働いてキロミクロンの中性脂肪を分解して筋肉細胞に取り込みます。そして血中の中性脂肪値は減少するわけです。 (^^)


いやはや食後脂質代謝は、なかなか複雑で難しいです。おぼろげに解ったことを説明してみましたが、まだ不十分と思います。(・・?)


江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食と食後の中性脂肪値
こんばんは。

京都は雨です。雨の中、室内コートでテニスをして、先ほど帰宅しました。

テニスの調子は、腰が重かったわりには、まあまあでした。

さて今回のブログ、懸案の糖質制限食摂取後の中性脂肪値がどうなるのかを検討してみました。

まず、中性脂肪を中心とした代謝を整理してみます。

「外因性代謝」
食物摂取(中性脂肪)→小腸→キロミクロン→筋・脂肪組織→レムナント→肝

「内因性代謝」
肝で合成→VLDL→筋・脂肪組織→LDL→肝

キロミクロンは、小腸で作られます。キロミクロンの積み荷は、外部から摂取した食物由来の中性脂肪です。

キロミクロンは、食後2~3時間以降血中に出現し血清乳びを示しますが、通常5~6時間で清明となります。キロミクロンは食後にのみ、出現します。

血液検査で測定されている中性脂肪値は、食事由来のキロミクロンの積み荷の中性脂肪と、肝臓で作っているVLDLの積み荷の中性脂肪を合計したものです。

筋肉細胞や脂肪細胞の毛細血管の壁には、リポタンパクリパーゼ(LPL)があります。リポタンパクリパーゼ(LPL)が、リポタンパク質の積み荷の中性脂肪を、脂肪酸とグリセロールに分解して、筋肉細胞や脂肪細胞に取り込ませて利用させ、余ったら中性脂肪に再合成して蓄えるのです。

リポタンパクリパーゼが正常に働いていれば、中性脂肪値は食後5~6時間で基準値内にもどるはずです。

しかし、食後2~3時間から4~5時間ぐらいは、食事中の脂肪が血中に乳び状態であるので、個人差はあると思いますが、高中性脂肪値となります。

スーパー糖質制限食実践中で、脂質・タンパク質を中心の食生活なら、食後2時間~5時間くらいは食事由来のキロミクロンで高中性脂肪血になる理屈です。

この間リポタンパクリパーゼ(LPL)がせっせと働いて、食後5~6時間経過すれば中性脂肪値を基準値内に下げてくれると思います。

従ってスーパー糖質制限食なら、空腹時の中性脂肪値は100mgを切ることがほとんどです。

例えば、私の場合は空腹時中性脂肪値は、40~60mg程度です。検査を依頼している会社の中性脂肪の基準値は50~148mgです。

糖質制限食で、食後5~6時間以降と空腹時の中性脂肪値は当然基準値内におさまりますが、糖質を摂取してインスリンが分泌されると事情が変わります。

ここでもまた、インスリンがくせ者です。

インスリンがリポタンパクリパーゼ(LPL)に与える影響については次回に・・・


江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食と中性脂肪③
おはようございます。

今回は、糖質制限食と中性脂肪の完結編です。

リポタンパク質の中で、

「外因性・食物由来の中性脂肪を積んでいるのがキロミクロン」
「内因性・肝臓合成の中性脂肪を積んでいるのがVLDL」

です。

いずれにせよ、積み荷の中性脂肪を脂肪酸とグリセロールに分解して、筋肉細胞や脂肪細胞に取り込ませるのは、毛細血管壁に存在するリポタンパクリパーゼ(LPL)でしたね。

もし、このLPLが上手く働かない状況であれば、積み荷の中性脂肪は一向に減りませんので、血中の中性脂肪値は高値のままとなります。

この血中の中性脂肪値決定の鍵となる、LPLを制御しているのが、インスリンです。釜池先生の「糖質ゼロの食事術」によれば、インスリンは筋肉組織のLPLを抑制し、脂肪組織のLPLを活性化します。

脂質と共に、糖質を摂取すれば血糖値が上昇するので、インスリンが大量に追加分泌されます。脂質単独摂取だとインスリンはほとんど出ません。

インスリンが分泌されたら、筋肉細胞のLPLは抑制され、中性脂肪を分解・利用できなくなるので、その分キロミクロンやVLDL中の中性脂肪は減りません。

一方、インスリンは脂肪細胞のLPLを活性化させて、人体が正常な状態であれば、中性脂肪を分解し、取り込み、利用し、余れば脂肪細胞内に蓄積するので、血中の中性脂肪値は減る方向に向かいます。

ですから、正常なスリムな体型の若い人であれば、少々「脂質+糖質」を食べても、翌朝の空腹時中性脂肪値は、そんなに高値になりませんし、正常範囲にとどまるかもしれません。

しかし、メタボ人や脂質異常症になっている人たちは、そうはいきません。

このような人たちは、脂肪細胞の中に貯めてある中性脂肪が、すでに満杯状態になっていて、インスリンが分泌されても、それ以上の脂肪酸を取り込めないのです。従って、血中の中性脂肪値は減らないのです。

従いまして、メタボ人や脂質異常症の人が糖質を摂取すると、インスリンが大量に追加分泌されて、筋肉細胞も脂肪細胞も中性脂肪を取り込まない状態となるので、いつまでも高中性脂肪血症が続くこととなります。

キロミクロンやVLDL中の中性脂肪が分解されるときに、アポタンパク質をHDLに返します。高中性脂肪血症が続けば、HDLはアポタンパク質を返してもらえないので、アポタンパク質を充分量保有する、まっとうなHDLが減少するのです。

このように、メタボ人や脂質異常症の人は、脂肪細胞の中性脂肪取り込みは期待できませんが、糖質制限食ならインスリンが分泌されないので、筋肉細胞のLPLは活発に働き、中性脂肪を分解して脂肪酸にして取り込んで、エネルギー源としてどんどん利用し、アポタンパク質をHDLに返します。

まだ仮説ではありますが、これが、糖質制限食で中性脂肪が減少し、HDLコレステロールが増えるメカニズムです。

米国の権威ある雑誌にも、低糖質食の優位性を示す論文が掲載されました。糖尿人、メタボ人の皆さん、美味しく楽しく糖質制限食を実践して中性脂肪を減らし、HDLコレステロールを増やしましょうね。 (^_^)



今回のブログは釜池豊秋先生の「糖質ゼロの食事術」を参考にさせていただきました。
謝謝。m(_ _)m


**
以下は米国の権威ある栄養雑誌に載った論文の要約です。

低糖質食はHDL-Cを増やす。
低糖質食はTGを減らし、肥満を改善する。
従来の高糖質食はHDL-Cを減らす。
高糖質食はTGを増やし、肥満を悪化させる。
American Journal of Clinical Nutrition, Vol. 83, No. 5, 989-990, May 2006
EDITORIAL Alternatives to low-fat diets1,2 Martijn B Katan



江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット