2017年03月03日 (金)
【17/03/01 ちーまる
Ⅰ型糖尿病 インスリン注射最小限にしたい
江部先生 はじめまして、こんにちわ!
48歳女性のちーまると申します。
今年の1月から喉が乾きこむら返りなど生じ、近くの病院に行ったところ2/15から昨日までの二週間入院しました。
その時の数値は、
血糖 520
HbA1c 14.4
抗GAD抗体 1130
Cペプチド 1.01
ケトン体1+
Ⅰ型と診断されました。・・・】
【17/03/02 ちーまる
江部先生、お忙しい中、コメント感謝いたします。
病院からいただいたデータをみる限り、Cペプチドの正常値は、0.61~2.09と記入されており
私の数値は、1.01
自分のインスリンが出ているとの江部先生の言葉に希望が湧きました!
抗GAD抗体は正常値5.0未満のところ、私は1130なのですが、しかし、自分のインスリンがでているとすると私は2型なのでしょうか。
退院してから低血糖があり、主治医と連絡して単位が少し減りました。
ランタス22
ヒューマログ14-0-6
このままの単位を打ち続けてしまうと次第に自分のインスリンがでなくなってしまうのでしょうか。
初心のため自分でインスリンの単位を自己判断で下げる操作に自信がなく、ご指導受けながら、インスリンを下げていきたいと思っています。
先生の病院にお伺いさせていただくかもしれません。
その際は何卒ご指導宜しくお願いいたします。
ちーまる】
おはようございます。
1型糖尿病のちーまるさんから1型糖尿病と内因性インスリン(Cペプチド)についてコメント・質問を頂きました。
1型糖尿病でも、自分自身のインスリン分泌能力(内因性インスリン)が、残っている場合があります。
そして、スーパー糖質制限食で血糖コントロール良好を保てば、長期にわたり、内因性インスリン分泌能が維持されることがあります。
今まで、1型糖尿病だと、すぐに内因性インスリン分泌能が無くなるとされてきましたが、これは、血糖コントロールが悪い場合に高血糖そのものが膵臓のβ細胞を障害して壊してしまうことが大きな要因であったと、私は考えています。
ちーまるさんは、1型糖尿病発症時は
血糖 520 mg/dl
HbA1c 14.4 %
抗GAD抗体 1130U/ml
Cペプチド 1.01 ng/ml
ケトン体1+
このデータでみると、かなりの重症で、糖尿病ケトアシドーシスになりかけだったと思います。
治療がぎりぎり間に合って良かったです。
抗GAD抗体 1130U/ml なので、診断基準的には1型となります。
Cペプチドの正常値は、「0.61~2.09」で、1.01 ng/mlと分泌されていて基準値内に入っています。
Cペプチドが基準値で、内因性インスリンが確保されているのでとても好ましい状態と思います。
血糖コントロール良好を保てば、長期間、内因性インスリン分泌が維持できる可能性があります。
ランタス22
ヒューマログ14-0-6
もし、スーパー糖質制限食実践なら、入院中の糖尿病食(低脂肪で高糖質食)を食べている時に比べるとヒューマログは、1/3以下に減ります。低血糖に注意しましょう。
ランタスも3/4とか2/3とかに減らせる可能性があります。
高雄病院に入院ご希望なら主治医あるいは近医に「診療情報提供書」を書いて頂き、高雄病院に送付してください。
それにより、入院担当事務職員とちーまるさんで、やりとりして頂き高雄病院に直接入院が可能となります。
江部康二
Ⅰ型糖尿病 インスリン注射最小限にしたい
江部先生 はじめまして、こんにちわ!
48歳女性のちーまると申します。
今年の1月から喉が乾きこむら返りなど生じ、近くの病院に行ったところ2/15から昨日までの二週間入院しました。
その時の数値は、
血糖 520
HbA1c 14.4
抗GAD抗体 1130
Cペプチド 1.01
ケトン体1+
Ⅰ型と診断されました。・・・】
【17/03/02 ちーまる
江部先生、お忙しい中、コメント感謝いたします。
病院からいただいたデータをみる限り、Cペプチドの正常値は、0.61~2.09と記入されており
私の数値は、1.01
自分のインスリンが出ているとの江部先生の言葉に希望が湧きました!
抗GAD抗体は正常値5.0未満のところ、私は1130なのですが、しかし、自分のインスリンがでているとすると私は2型なのでしょうか。
退院してから低血糖があり、主治医と連絡して単位が少し減りました。
ランタス22
ヒューマログ14-0-6
このままの単位を打ち続けてしまうと次第に自分のインスリンがでなくなってしまうのでしょうか。
初心のため自分でインスリンの単位を自己判断で下げる操作に自信がなく、ご指導受けながら、インスリンを下げていきたいと思っています。
先生の病院にお伺いさせていただくかもしれません。
その際は何卒ご指導宜しくお願いいたします。
ちーまる】
おはようございます。
1型糖尿病のちーまるさんから1型糖尿病と内因性インスリン(Cペプチド)についてコメント・質問を頂きました。
1型糖尿病でも、自分自身のインスリン分泌能力(内因性インスリン)が、残っている場合があります。
そして、スーパー糖質制限食で血糖コントロール良好を保てば、長期にわたり、内因性インスリン分泌能が維持されることがあります。
今まで、1型糖尿病だと、すぐに内因性インスリン分泌能が無くなるとされてきましたが、これは、血糖コントロールが悪い場合に高血糖そのものが膵臓のβ細胞を障害して壊してしまうことが大きな要因であったと、私は考えています。
ちーまるさんは、1型糖尿病発症時は
血糖 520 mg/dl
HbA1c 14.4 %
抗GAD抗体 1130U/ml
Cペプチド 1.01 ng/ml
ケトン体1+
このデータでみると、かなりの重症で、糖尿病ケトアシドーシスになりかけだったと思います。
治療がぎりぎり間に合って良かったです。
抗GAD抗体 1130U/ml なので、診断基準的には1型となります。
Cペプチドの正常値は、「0.61~2.09」で、1.01 ng/mlと分泌されていて基準値内に入っています。
Cペプチドが基準値で、内因性インスリンが確保されているのでとても好ましい状態と思います。
血糖コントロール良好を保てば、長期間、内因性インスリン分泌が維持できる可能性があります。
ランタス22
ヒューマログ14-0-6
もし、スーパー糖質制限食実践なら、入院中の糖尿病食(低脂肪で高糖質食)を食べている時に比べるとヒューマログは、1/3以下に減ります。低血糖に注意しましょう。
ランタスも3/4とか2/3とかに減らせる可能性があります。
高雄病院に入院ご希望なら主治医あるいは近医に「診療情報提供書」を書いて頂き、高雄病院に送付してください。
それにより、入院担当事務職員とちーまるさんで、やりとりして頂き高雄病院に直接入院が可能となります。
江部康二
2016年12月11日 (日)
おはようございます。
1型糖尿病のあやさんから、コメントを頂きました。
ありがとうございます。
1型糖尿病で、抗GAD抗体140。
インスリン注射は今後なしにできる可能性はあるのでしょうか?
【16/12/10 あや
江部先生こんにちは。
私も妊活の検査でたまたま早めに緩徐型一型糖尿病が発覚して、五年目になります。
すぐ江部先生のブログや本で勉強させていただいて、それから糖質制限をずっとさせていただいます。
A1cは発覚時7.7ありましたが、すぐ下がり今はだいたい5.6程度です。
寝る前の基礎インスリンを2単位と食前に2か3入れるだけで血糖値もほぼ基準値内です。
先日、主人の転勤で大阪の大きい大学病院に転院したのですが、初診の時先生が一型でこんないい血糖値がずっと保ててる人は初めて見たとびっくりされていました。
前の病院では糖質制限を反対されてたのですが、今回糖質制限をしているとその時話したら、一型でもこんな効果があるとは思わなかったと感心しておられました。
これからもっとその病院でも広まればいいなぁと嬉しい気持ちになりました。
もうすぐ私のβ細胞が完全に壊れたら、今のような血糖値は保てないんだろうと不安な毎日を送っていましたが、今日のブログを読ませていただいてすごく希望が湧きました!
このまま糖質制限を続けて、内因インスリンが少しでも長く保てれるようにがんばります。
江部先生いつもブログで情報をいただきありがとうございます!】
あや さん
拙著のご購入、ありがとうございます。
「A1cは発覚時7.7ありましたが、すぐ下がり今はだいたい5.6程度です。
寝る前の基礎インスリンを2単位と食前に2か3入れるだけで血糖値もほぼ基準値内です。」
1型としては、大阪のドクターがびっくりされたように、素晴らしいデータです。
インスリンの単位数が少ないのも、極めて好ましいです。
インスリンを多く打つと、肥満、高血圧、がん、アルツハイマー病などのリスクとなります。
5年間、内因性インスリンが保てたのなら、当分行けそうですね。
ちなみに、「血清Cペプチド値」と「抗GAD抗体値」はどのくらいでしょう?
江部康二
【16/12/11 あや
江部先生、コメントの返信をいただきありがとうございました。
抗GAD抗体とCペプチド値ですが、今調べてみましたら、抗GADは5年前発覚した時は140で、今回転院先の病院では48.2となっています。
先生には何も指摘されなかったのですが、5年前より低くなっているということはやはり糖質制限で血糖値を保てているからでしょうか。
Cペプチドの方は前の病院では調べていただいたことはなくて、今回初めて検査していただいたのですが、0.9ng/mLという結果で、先生から「まだある程度インスリンが保てているね」とおっしゃっていただきました。(すいません。血清かどうかはわからなかったです。)
今までは、ご飯や小麦粉などの大きい炭水化物は食べずに2か3単位程度ヒューマログを打ってその他のおかずは割と自由に食していましたが、やはりインスリンを打てば少なからずいろんなリスクがあるということなので、これからはもう少し減らしていけたらなぁと思いました。
これだけ効果が見えるのだから、もっと頑張れそうです!
江部先生ありがとうございます。】
あや さん
一般的な空腹時血中C-ペプチドの基準値は「1.2~2.0ng/ml」くらいです。
0.9ならやや少なめですが、内因性インスリンが分泌されています。
「抗GAD抗体が発覚時140で、今回転院先の病院では48.2」
抗GAD抗体の値が下がったのは、自然経過中にそういうことはあると思います。
一方、抗GAD抗体が140とかで、5年間、内因性インスリンが保たれているのは素晴らしいことです。
スーパー糖質制限食なら、一日1回の長時間作用型のインスリン注射だけで、食前のインスリン注射3回は中止できる可能性がありますね。
寝る前の基礎インスリンを2単位もごく少量ですので、早朝空腹時血糖値をSMBGで検査して場合により中止できる可能性があります。
主治医とも相談しながら、慎重に試してみましょう。
英語の数値データがコメントにあると
「禁止キーワードが含まれています。」とFC-2ブログが拒否するので
記事にしました。
江部康二
1型糖尿病のあやさんから、コメントを頂きました。
ありがとうございます。
1型糖尿病で、抗GAD抗体140。
インスリン注射は今後なしにできる可能性はあるのでしょうか?
【16/12/10 あや
江部先生こんにちは。
私も妊活の検査でたまたま早めに緩徐型一型糖尿病が発覚して、五年目になります。
すぐ江部先生のブログや本で勉強させていただいて、それから糖質制限をずっとさせていただいます。
A1cは発覚時7.7ありましたが、すぐ下がり今はだいたい5.6程度です。
寝る前の基礎インスリンを2単位と食前に2か3入れるだけで血糖値もほぼ基準値内です。
先日、主人の転勤で大阪の大きい大学病院に転院したのですが、初診の時先生が一型でこんないい血糖値がずっと保ててる人は初めて見たとびっくりされていました。
前の病院では糖質制限を反対されてたのですが、今回糖質制限をしているとその時話したら、一型でもこんな効果があるとは思わなかったと感心しておられました。
これからもっとその病院でも広まればいいなぁと嬉しい気持ちになりました。
もうすぐ私のβ細胞が完全に壊れたら、今のような血糖値は保てないんだろうと不安な毎日を送っていましたが、今日のブログを読ませていただいてすごく希望が湧きました!
このまま糖質制限を続けて、内因インスリンが少しでも長く保てれるようにがんばります。
江部先生いつもブログで情報をいただきありがとうございます!】
あや さん
拙著のご購入、ありがとうございます。
「A1cは発覚時7.7ありましたが、すぐ下がり今はだいたい5.6程度です。
寝る前の基礎インスリンを2単位と食前に2か3入れるだけで血糖値もほぼ基準値内です。」
1型としては、大阪のドクターがびっくりされたように、素晴らしいデータです。
インスリンの単位数が少ないのも、極めて好ましいです。
インスリンを多く打つと、肥満、高血圧、がん、アルツハイマー病などのリスクとなります。
5年間、内因性インスリンが保てたのなら、当分行けそうですね。
ちなみに、「血清Cペプチド値」と「抗GAD抗体値」はどのくらいでしょう?
江部康二
【16/12/11 あや
江部先生、コメントの返信をいただきありがとうございました。
抗GAD抗体とCペプチド値ですが、今調べてみましたら、抗GADは5年前発覚した時は140で、今回転院先の病院では48.2となっています。
先生には何も指摘されなかったのですが、5年前より低くなっているということはやはり糖質制限で血糖値を保てているからでしょうか。
Cペプチドの方は前の病院では調べていただいたことはなくて、今回初めて検査していただいたのですが、0.9ng/mLという結果で、先生から「まだある程度インスリンが保てているね」とおっしゃっていただきました。(すいません。血清かどうかはわからなかったです。)
今までは、ご飯や小麦粉などの大きい炭水化物は食べずに2か3単位程度ヒューマログを打ってその他のおかずは割と自由に食していましたが、やはりインスリンを打てば少なからずいろんなリスクがあるということなので、これからはもう少し減らしていけたらなぁと思いました。
これだけ効果が見えるのだから、もっと頑張れそうです!
江部先生ありがとうございます。】
あや さん
一般的な空腹時血中C-ペプチドの基準値は「1.2~2.0ng/ml」くらいです。
0.9ならやや少なめですが、内因性インスリンが分泌されています。
「抗GAD抗体が発覚時140で、今回転院先の病院では48.2」
抗GAD抗体の値が下がったのは、自然経過中にそういうことはあると思います。
一方、抗GAD抗体が140とかで、5年間、内因性インスリンが保たれているのは素晴らしいことです。
スーパー糖質制限食なら、一日1回の長時間作用型のインスリン注射だけで、食前のインスリン注射3回は中止できる可能性がありますね。
寝る前の基礎インスリンを2単位もごく少量ですので、早朝空腹時血糖値をSMBGで検査して場合により中止できる可能性があります。
主治医とも相談しながら、慎重に試してみましょう。
英語の数値データがコメントにあると
「禁止キーワードが含まれています。」とFC-2ブログが拒否するので
記事にしました。
江部康二
2016年12月09日 (金)
【16/12/07 リコ
先日コメント欄で質問させていただきましたリコと申します。
返信ありがとうございました。
今日1型糖尿病か検査してもらった結果を聞きに行ってきました。
結果、抗GAD抗体の数値が2000以上となっていて1型糖尿病と診断されてしまいました…
なりたてで発見できたんじゃないかとの事です。
1週間前に空腹時血糖値135という結果を見て1週間、三食糖質制限をして空腹時は90台に下がりました。
まだ空腹時が低い状態なので超即効型インスリン毎食前2単位で様子を見る事になりました。
ちなみに食後血糖値は糖質制限をして140〜170台になり、一度上がると3〜4時間後に下がりだす感じです。
主治医には食事の取り方や内容は特に指示されておらず糖質制限は続けていくつもりなのですが、それでもいずれは抗体が膵臓を破壊して空腹時血糖値や食後血糖値も上がっていくのでしょうか?
治らないにしても高血糖にならないようにコントロールしていきたいです。
糖質制限によって1型糖尿病の進行を遅らせる事は可能でしょうか? 】
おはようございます。
1型糖尿病のリコさんから、コメント・質問を頂きました。
リコさん、抗GAD抗体が、2000U/ml以上という数値なので、1型糖尿病の診断は間違いないと思います。
一方、抗GAD抗体陽性なら、必ず膵臓のβ細胞をリアルタイムにどんどん壊すということではありません。
抗体が陽性でも活動してないパターンもあります。
従って抗GAD抗体の数字が高いほど、β細胞がたくさん破壊されるということではありません。
実は、1型糖尿病でインスリン分泌がゼロとなるのは、高血糖によるβ細胞の破壊の方が主と思います。
小学校低学年で発症の1型糖尿病などは、現実には診断が遅れることがほとんどです。
痩せてきたり、水をガブガブ飲むなどの症状は、発症からかなり経過してから出現します。
従って、知らないうちに高血糖が半年、1年持続して、そのためにβ細胞が壊れるというケースが多いのです。
リコさんの場合、早く発見できたので、ラッキーと思います。
まずは、自分自身のインスリン分泌能がどのくらいなのかを知りましょう。
10時間以上絶食で、早朝空腹時のインスリンを検査します。
1型糖尿病でインスリン注射なしの方は、私が直接知る限りでも数名はおられます。
リコさんも、内因性インスリンがあるていど分泌されていれば、スーパー糖質制限食なら、インスリンフリーが可能かもしれません。
『緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)の診断基準(2012) 日本糖尿病学会
http://www.jds.or.jp/modules/study/index.php?content_id=17
において、
「GAD抗体やICAの抗体価にかかわらず、インスリン分泌能の低下がごく緩徐であるため、あるいは変化しないため、
発症(診断)後10年以上たってもインスリン依存状態まで進行しない例がある。」
という記載があります。
食後高血糖を必ず生じる従来の糖尿病食でも、まれに10年以上インスリンフリーな緩徐進行1型糖尿人がおられるということですので、食後高血糖を生じないスーパー糖質制限食なら、もっと長期にわたり、インスリンフリーを達成できる可能性があります。
美味しく楽しくスーパー糖質制限食で、血糖コントロール良好を保ち、できるだけ長くインスリンフリーを目指しましょう。
江部康二
先日コメント欄で質問させていただきましたリコと申します。
返信ありがとうございました。
今日1型糖尿病か検査してもらった結果を聞きに行ってきました。
結果、抗GAD抗体の数値が2000以上となっていて1型糖尿病と診断されてしまいました…
なりたてで発見できたんじゃないかとの事です。
1週間前に空腹時血糖値135という結果を見て1週間、三食糖質制限をして空腹時は90台に下がりました。
まだ空腹時が低い状態なので超即効型インスリン毎食前2単位で様子を見る事になりました。
ちなみに食後血糖値は糖質制限をして140〜170台になり、一度上がると3〜4時間後に下がりだす感じです。
主治医には食事の取り方や内容は特に指示されておらず糖質制限は続けていくつもりなのですが、それでもいずれは抗体が膵臓を破壊して空腹時血糖値や食後血糖値も上がっていくのでしょうか?
治らないにしても高血糖にならないようにコントロールしていきたいです。
糖質制限によって1型糖尿病の進行を遅らせる事は可能でしょうか? 】
おはようございます。
1型糖尿病のリコさんから、コメント・質問を頂きました。
リコさん、抗GAD抗体が、2000U/ml以上という数値なので、1型糖尿病の診断は間違いないと思います。
一方、抗GAD抗体陽性なら、必ず膵臓のβ細胞をリアルタイムにどんどん壊すということではありません。
抗体が陽性でも活動してないパターンもあります。
従って抗GAD抗体の数字が高いほど、β細胞がたくさん破壊されるということではありません。
実は、1型糖尿病でインスリン分泌がゼロとなるのは、高血糖によるβ細胞の破壊の方が主と思います。
小学校低学年で発症の1型糖尿病などは、現実には診断が遅れることがほとんどです。
痩せてきたり、水をガブガブ飲むなどの症状は、発症からかなり経過してから出現します。
従って、知らないうちに高血糖が半年、1年持続して、そのためにβ細胞が壊れるというケースが多いのです。
リコさんの場合、早く発見できたので、ラッキーと思います。
まずは、自分自身のインスリン分泌能がどのくらいなのかを知りましょう。
10時間以上絶食で、早朝空腹時のインスリンを検査します。
1型糖尿病でインスリン注射なしの方は、私が直接知る限りでも数名はおられます。
リコさんも、内因性インスリンがあるていど分泌されていれば、スーパー糖質制限食なら、インスリンフリーが可能かもしれません。
『緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)の診断基準(2012) 日本糖尿病学会
http://www.jds.or.jp/modules/study/index.php?content_id=17
において、
「GAD抗体やICAの抗体価にかかわらず、インスリン分泌能の低下がごく緩徐であるため、あるいは変化しないため、
発症(診断)後10年以上たってもインスリン依存状態まで進行しない例がある。」
という記載があります。
食後高血糖を必ず生じる従来の糖尿病食でも、まれに10年以上インスリンフリーな緩徐進行1型糖尿人がおられるということですので、食後高血糖を生じないスーパー糖質制限食なら、もっと長期にわたり、インスリンフリーを達成できる可能性があります。
美味しく楽しくスーパー糖質制限食で、血糖コントロール良好を保ち、できるだけ長くインスリンフリーを目指しましょう。
江部康二
2016年06月19日 (日)
【16/06/20 muneta
千葉の産科医です。がっこうさんのお子さんの1型糖尿病のことで意見をのべます。
学校検診で尿糖が3+で発見されて、1型と判定されてインスリンをすすめられた方が、昨年2人来院されました。
抗GAD抗体は70前後と、20前後でしたが、HbA1cも同じくらいの15歳の女性です。
糖尿病の専門施設からは、強くインスリンをすすめられたのですが、お母さんが糖質制限を知っていたり、当院で生まれたお子さんだったので、糖質制限で何とかできないかという相談でした。
二人とも糖質の多い食事をしていたのですが、ご飯やお菓子をやめて頑張るというので、糖質制限で、過ごしています。
1年になりますが、1人は、抗GAD抗体も陰性化していたり、もう一人もインスリン分泌は保たれています。食事も唐揚げを主食にして楽しく頑張っています。
検尿でわかった場合は、まだインスリン分泌が保たれている場合が多いと思いますし、糖質制限ですい臓を守っていけば、見通しは明るいと思います。
江部先生のおっしゃるように、ぜひ糖質制限で見守ってあげてくださることをお勧めします。】
産婦人科医の宗田哲男先生から、コメントを頂きました。
宗田先生、ありがとうございます。
2016/6/20
江部康二
【16/06/18
がっこー
15歳の息子が1型と診断されました
初めまして。
15才の息子が学校の尿研修でひっかかりました。
4月の二次健診で空腹時血糖92、1時間後202、2時間後152HbALC5.4でした。
165センチ52kg瘦せ型です。
三次健診の連絡が来てそれまでの2週間糖質制限1日130gを目標に実施しました。
ただし前日夕方の食事はあえて牛丼一杯とサラダを食べさせました。
結果は空腹時血糖84、1時間後175、2時間後143HbALC5.3となりました。
Cペプチド空腹時1.08、1時間後3.83、2時間後4.74です。
しかしながらGADが877という異常な高さで1型と診断されました。
現在はインシュリン注射のタイミングを見るため来月は朝食をとってから検査に来るようにとのことです。
主治医は甘いもの以外はなんでも食べて良いと言います。
ここでお伺いしたいのはGDA877という数値はあり得るのでしょうか?
機械の誤判定?ではと勘ぐっていまいます。
というのも息子には全く自覚症状がありません。
発症した方のブログでもGDAが10を超えている程度でした。
逆にGDA877で自覚症状が無いというケースはあるのでしょうか?
この数値で糖質制限して少しでもインシュリン注射を遅くする希望はあるのでしょうか?
GDA877とはどんな意味合いの数値なのでしょうか?
お忙しいところ恐縮ですがアドバイス頂けると幸いです。】
こんにちは。
1型糖尿病の御子息に関して、がっこうさんから、コメント・質問を頂きました。
がっこー さん、抗GAD抗体が、877U/mlという数値はあると思います。
従いまして、1型糖尿病の診断は間違いないと思います。
一方、抗GAD抗体陽性なら、必ず膵臓のβ細胞を壊すということではありません。
抗体が陽性でも活動してないパターンもあります。
従って抗GAD抗体の数字が高いほど、β細胞がたくさん破壊されるということではありません。
実は、1型糖尿病でインスリン分泌がゼロとなるのは、高血糖によるβ細胞の破壊の方が主と思います。
小学校低学年で発症の1型糖尿病などは、現実には診断が遅れることが多いと思います。
痩せてきたり、水をガブガブ飲むなどの症状は、発症からかなり経過してから出現します。
従って、知らないうちに高血糖が半年、1年持続して、そのためにβ細胞が壊れるというケースが多いのです。
ご子息の場合、早く発見できたので、ラッキーと思います。
「Cペプチド空腹時1.08、1時間後3.83、2時間後4.74」
自分自身の内因性インスリンは、現時点で充分でていますので糖質制限食を実践すれば、膵臓のβ細胞が守られて、当分、インスリン注射なしで血糖コントロールができると思います。
1型糖尿病でインスリン注射なしの方は、私が直接知る限りでも数名はおられます。
『緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)の診断基準(2012) 日本糖尿病学会
http://www.jds.or.jp/modules/study/index.php?content_id=17
において、
「GAD抗体やICAの抗体価にかかわらず、インスリン分泌能の低下がごく緩徐であるため、あるいは変化しないため、発症(診断)後10年以上たってもインスリン依存状態まで進行しない例がある。」
という記載があります。
食後高血糖を必ず生じる従来の糖尿病食でも、まれに10年以上インスリンフリーな緩徐進行1型糖尿人がおられるということですので、食後高血糖を生じないスーパー糖質制限食なら、もっと長期にわたり、インスリンフリーを達成できる可能性があります。
美味しく楽しくスーパー糖質制限食で、血糖コントロール良好を保ち、できるだけ長くインスリンフリーを目指しましょう。
江部康二
千葉の産科医です。がっこうさんのお子さんの1型糖尿病のことで意見をのべます。
学校検診で尿糖が3+で発見されて、1型と判定されてインスリンをすすめられた方が、昨年2人来院されました。
抗GAD抗体は70前後と、20前後でしたが、HbA1cも同じくらいの15歳の女性です。
糖尿病の専門施設からは、強くインスリンをすすめられたのですが、お母さんが糖質制限を知っていたり、当院で生まれたお子さんだったので、糖質制限で何とかできないかという相談でした。
二人とも糖質の多い食事をしていたのですが、ご飯やお菓子をやめて頑張るというので、糖質制限で、過ごしています。
1年になりますが、1人は、抗GAD抗体も陰性化していたり、もう一人もインスリン分泌は保たれています。食事も唐揚げを主食にして楽しく頑張っています。
検尿でわかった場合は、まだインスリン分泌が保たれている場合が多いと思いますし、糖質制限ですい臓を守っていけば、見通しは明るいと思います。
江部先生のおっしゃるように、ぜひ糖質制限で見守ってあげてくださることをお勧めします。】
産婦人科医の宗田哲男先生から、コメントを頂きました。
宗田先生、ありがとうございます。
2016/6/20
江部康二
【16/06/18
がっこー
15歳の息子が1型と診断されました
初めまして。
15才の息子が学校の尿研修でひっかかりました。
4月の二次健診で空腹時血糖92、1時間後202、2時間後152HbALC5.4でした。
165センチ52kg瘦せ型です。
三次健診の連絡が来てそれまでの2週間糖質制限1日130gを目標に実施しました。
ただし前日夕方の食事はあえて牛丼一杯とサラダを食べさせました。
結果は空腹時血糖84、1時間後175、2時間後143HbALC5.3となりました。
Cペプチド空腹時1.08、1時間後3.83、2時間後4.74です。
しかしながらGADが877という異常な高さで1型と診断されました。
現在はインシュリン注射のタイミングを見るため来月は朝食をとってから検査に来るようにとのことです。
主治医は甘いもの以外はなんでも食べて良いと言います。
ここでお伺いしたいのはGDA877という数値はあり得るのでしょうか?
機械の誤判定?ではと勘ぐっていまいます。
というのも息子には全く自覚症状がありません。
発症した方のブログでもGDAが10を超えている程度でした。
逆にGDA877で自覚症状が無いというケースはあるのでしょうか?
この数値で糖質制限して少しでもインシュリン注射を遅くする希望はあるのでしょうか?
GDA877とはどんな意味合いの数値なのでしょうか?
お忙しいところ恐縮ですがアドバイス頂けると幸いです。】
こんにちは。
1型糖尿病の御子息に関して、がっこうさんから、コメント・質問を頂きました。
がっこー さん、抗GAD抗体が、877U/mlという数値はあると思います。
従いまして、1型糖尿病の診断は間違いないと思います。
一方、抗GAD抗体陽性なら、必ず膵臓のβ細胞を壊すということではありません。
抗体が陽性でも活動してないパターンもあります。
従って抗GAD抗体の数字が高いほど、β細胞がたくさん破壊されるということではありません。
実は、1型糖尿病でインスリン分泌がゼロとなるのは、高血糖によるβ細胞の破壊の方が主と思います。
小学校低学年で発症の1型糖尿病などは、現実には診断が遅れることが多いと思います。
痩せてきたり、水をガブガブ飲むなどの症状は、発症からかなり経過してから出現します。
従って、知らないうちに高血糖が半年、1年持続して、そのためにβ細胞が壊れるというケースが多いのです。
ご子息の場合、早く発見できたので、ラッキーと思います。
「Cペプチド空腹時1.08、1時間後3.83、2時間後4.74」
自分自身の内因性インスリンは、現時点で充分でていますので糖質制限食を実践すれば、膵臓のβ細胞が守られて、当分、インスリン注射なしで血糖コントロールができると思います。
1型糖尿病でインスリン注射なしの方は、私が直接知る限りでも数名はおられます。
『緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)の診断基準(2012) 日本糖尿病学会
http://www.jds.or.jp/modules/study/index.php?content_id=17
において、
「GAD抗体やICAの抗体価にかかわらず、インスリン分泌能の低下がごく緩徐であるため、あるいは変化しないため、発症(診断)後10年以上たってもインスリン依存状態まで進行しない例がある。」
という記載があります。
食後高血糖を必ず生じる従来の糖尿病食でも、まれに10年以上インスリンフリーな緩徐進行1型糖尿人がおられるということですので、食後高血糖を生じないスーパー糖質制限食なら、もっと長期にわたり、インスリンフリーを達成できる可能性があります。
美味しく楽しくスーパー糖質制限食で、血糖コントロール良好を保ち、できるだけ長くインスリンフリーを目指しましょう。
江部康二
2015年12月28日 (月)
『緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)の診断基準(2012) 日本糖尿病学会
http://www.jds.or.jp/modules/study/index.php?content_id=17
【必須項目】
1.経過のどこかの時点でグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)抗体もしくは膵島細胞抗体(ICA)が陽性である。a)
2.糖尿病の発症(もしくは診断)時、ケトーシスもしくはケトアシドーシスはなく、ただちには高血糖是正のためインスリン療法が必要とならない。b)
判定:上記1、2を満たす場合、「緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)」と診断する。
a)Insulinoma-associated antigen-2(IA-2)抗体,インスリン自己抗体(IAA)もしくは亜鉛輸送担体8(ZnT8)抗体に関するエビデンスは不十分であるため現段階では診断基準に含まない。
b)ソフトドリンクケトーシス(ケトアシドーシス)で発症した場合はこの限りではない。
【参考項目】
1)経過とともにインスリン分泌能が緩徐に低下し、糖尿病の発症(もしくは診断)後3ヶ月を過ぎてからインスリン療法が必要になり、高頻度にインスリン依存状態となる。
なお小児科領域では、糖尿病と診断された時点で、ただちに少量(0.5単位/kg体重以下)のインスリン投与を開始することがある。
内科領域でもGAD抗体陽性が判明すると、インスリン分泌低下阻止を考慮してインスリン治療がただちに開始されることがある。
2)GAD抗体やICAは多くの例で経過とともに陰性化する。
3)GAD抗体やICAの抗体価にかかわらず、インスリン分泌能の低下がごく緩徐であるため、あるいは変化しないため、
発症(診断)後10年以上たってもインスリン依存状態まで進行しない例がある。
詳細は、糖尿病 2013;56(8):590-597 を参照して下さい。』
こんばんは。
上記は、日本糖尿病学会の「緩徐進行型1型糖尿病」の診断基準です。
「1)経過とともにインスリン分泌能が緩徐に低下し、糖尿病の発症(もしくは診断)後3ヶ月を過ぎてからインスリン療法が必要になり、高頻度にインスリン依存状態となる。」
ということですので、ひろさんやオハナさんの娘さんが、インスリンフリーであることは、なかなか素晴らしいです。
「2)GAD抗体やICAの抗体価にかかわらず、インスリン分泌能の低下がごく緩徐であるため、あるいは変化しないため、
発症(診断)後10年以上たってもインスリン依存状態まで進行しない例がある。」
食後高血糖を必ず生じる従来の糖尿病食でも、まれに10年以上インスリンフリーな緩徐進行1型糖尿人がおられるということですので、食後高血糖を生じないスーパー糖質制限食なら、もっと長期にわたり、インスリンフリーを達成できる可能性があります。
ひろさんもオハナさんの娘さんも、長期インスリンフリーを目指してくださいね。
【米国糖尿病学会「1型DMの新分類」2015年10月
ステージ1:複数の膵島関連自己抗体が陽性の状態
ステージ2:ブドウ糖不耐症や高血糖状態
ステージ3:症候性1型糖尿病、インスリン補充が必須】
米国の新分類と照らし合わせると、日本の緩徐進行型1型糖尿病は、米国の新分類ではステージ2に相当すると思います。
江部康二