2016年08月13日 (土)
こんばんは。
うだるような暑さが続く京都です。
ブログ読者の皆さんも脱水には充分、気をつけて下さいね。
さて、リオオリンピック2016、連日、日本選手が大活躍です。
ロンドンオリンピックを遙かに上まわる快進撃で、実に痛快な映像に心躍る毎日です。
普段はあまりテレビは見ない私ですが、今度ばかりは毎日、焼酎の水割り片手にテレビにかじり付いています。
2016/8/14(日)0:00 から
テニス男子シングルス、錦織選手とマレー選手の準決勝です。
この試合は絶対に観戦ですが、身の程をわきまえて寝不足とアルコールの飲み過ぎに気をつけます。(^^)
そのアルコールですが、ネットでは、アルコールも血糖を上げるという説もありますので考察してみます。
アルコールとは炭化水素の水素原子を水酸基で置換した形の化合物の総称です。
普通は、エチルアルコール(エタノール)を指します。
それ以外にも、メチルアルコール(メタノール) 、プロピルアルコール、
イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、
イソペンチルアルコールなどがあります。
ウィキペディアによれば、アルコール類は、生体内での主要代謝物の1つであり、生物体に多種多様なアルコール体が広く見いだされるそうです。(☆)
例えば中性脂肪は、多価アルコールのグリセリンと脂肪酸のエステルです。
このようにアルコール類は、脂肪や糖質の原料という面がありますね。
一般にいうアルコールは、もっぱら、お酒のエチルアルコールのことと思いますので、それに絞って考えて見ます。
まず、エチルアルコールが体重増加作用がないことは、確定しています。(☆☆)
従って、血糖上昇作用もないと考えられます。
五訂増補日本食品標準成分表によれば(☆☆☆)、炭水化物は基本として[水分、たんぱく質、脂質及び灰分]の合計を100から差し引いたものと定義しています。
さらに[硝酸イオン、アルコール分、酢酸、タンニン、カフェイン又はテオブロミン]を多く含む食品では、これらも差し引くとしています。
つまり、五訂増補日本食品標準成分表の定義に基づけば、アルコールは炭水化物(糖質+食物繊維)には含まれていません。
例えば、清酒100g中、エネルギー109kcal、水分82.4g、タンパク質4g、脂質ほとんどなし、炭水化物4,9g、食物繊維0gです。
備考欄にアルコール12.3gと記載してあります。
なお、多価アルコールの最初の酸化生成物が単糖(ブドウ糖、果糖など)です。
このようにアルコールは単糖の原料ですので、同様に血糖を上げるだろうと短絡しそうですが、違うのです。
また糖質とは、単糖あるいは単糖を構成成分とする有機化合物をいいます。
例外として糖アルコール(エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトールなど)があります。
糖アルコールは、糖質でもありアルコールでもあります。
糖アルコールの中で、エリスリトールだけは、ほぼゼロカロリーで血糖値もあげません。
他の、キシリトール、ソルビトール、マルチトールなどは砂糖の半分くらい血糖値を上昇させますし、
2~3kcal/gくらいのカロリーがあります。
結論です。
お酒のアルコールは、五訂増補日本食品標準成分表の定義に基づけば、糖質には属さないし、血糖値も上昇させないし、エンプティーカロリーで体重も上昇させません。
(☆)ウィキペディア
アルコール類は、生体内での主要代謝物の1つであり、生物体に多種多様なアルコール体が広く見いだされる。
蝋はセタノールなど高級アルコールであり、脂肪(中性脂肪)は、多価アルコールのグリセリンと脂肪酸とのエステルである。
そして、糖類もアルコール体である。ケトースやアルドースのカルボニル基が還元されたエリトリトールやキシリトール、ソルビトールなどは、糖アルコールと呼ばれる。
(☆☆)糖尿病専門医研修ガイドブック 改定第4版P81
(☆☆☆)五訂増補日本食品標準成分表
[一般成分の測定法 成分 測定法]
・水分
直接法もしくは乾燥助剤添加法の常圧又は減圧加熱乾燥法による減量法。
ただし、アルコール飲料は乾燥減量からアルコール分の重量を、食酢類は乾燥減量から酢酸の重量をそれぞれ差し引いた。
・たんぱく質
改良ケルダール法によって定量した窒素量に、「窒素-たんぱく質換算係数」を乗じて算出。
なお、茶類及びコーヒーはカフェインを、ココア類及びチョコレート類はカフェイン及びテオブロミンを別に定量し、これら由来の窒素を差し引いてから算出。
また、野菜類はサリチル酸添加改良ケルダール法で硝酸態窒素を含む全窒素量を定量し、別に定量した硝酸態窒素を差し引いてから算出。
・脂質
ジエチルエーテルによるソックスレー抽出法、クロロホルム-メタノール改良抽出法、レーゼ・ゴットリーブ法又は酸分解法。
・炭水化物
差し引き(水分、たんぱく質、脂質及び灰分の合計(数)を100から差し引く)法。
硝酸イオン、アルコール分、酢酸、タンニン、カフェイン又はテオブロミンを多く含む食品では、これらも差し引いた。
・灰分
食品中の無機質の総量を反映している。
直接灰化法
江部康二
うだるような暑さが続く京都です。
ブログ読者の皆さんも脱水には充分、気をつけて下さいね。
さて、リオオリンピック2016、連日、日本選手が大活躍です。
ロンドンオリンピックを遙かに上まわる快進撃で、実に痛快な映像に心躍る毎日です。
普段はあまりテレビは見ない私ですが、今度ばかりは毎日、焼酎の水割り片手にテレビにかじり付いています。
2016/8/14(日)0:00 から
テニス男子シングルス、錦織選手とマレー選手の準決勝です。
この試合は絶対に観戦ですが、身の程をわきまえて寝不足とアルコールの飲み過ぎに気をつけます。(^^)
そのアルコールですが、ネットでは、アルコールも血糖を上げるという説もありますので考察してみます。
アルコールとは炭化水素の水素原子を水酸基で置換した形の化合物の総称です。
普通は、エチルアルコール(エタノール)を指します。
それ以外にも、メチルアルコール(メタノール) 、プロピルアルコール、
イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、
イソペンチルアルコールなどがあります。
ウィキペディアによれば、アルコール類は、生体内での主要代謝物の1つであり、生物体に多種多様なアルコール体が広く見いだされるそうです。(☆)
例えば中性脂肪は、多価アルコールのグリセリンと脂肪酸のエステルです。
このようにアルコール類は、脂肪や糖質の原料という面がありますね。
一般にいうアルコールは、もっぱら、お酒のエチルアルコールのことと思いますので、それに絞って考えて見ます。
まず、エチルアルコールが体重増加作用がないことは、確定しています。(☆☆)
従って、血糖上昇作用もないと考えられます。
五訂増補日本食品標準成分表によれば(☆☆☆)、炭水化物は基本として[水分、たんぱく質、脂質及び灰分]の合計を100から差し引いたものと定義しています。
さらに[硝酸イオン、アルコール分、酢酸、タンニン、カフェイン又はテオブロミン]を多く含む食品では、これらも差し引くとしています。
つまり、五訂増補日本食品標準成分表の定義に基づけば、アルコールは炭水化物(糖質+食物繊維)には含まれていません。
例えば、清酒100g中、エネルギー109kcal、水分82.4g、タンパク質4g、脂質ほとんどなし、炭水化物4,9g、食物繊維0gです。
備考欄にアルコール12.3gと記載してあります。
なお、多価アルコールの最初の酸化生成物が単糖(ブドウ糖、果糖など)です。
このようにアルコールは単糖の原料ですので、同様に血糖を上げるだろうと短絡しそうですが、違うのです。
また糖質とは、単糖あるいは単糖を構成成分とする有機化合物をいいます。
例外として糖アルコール(エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトールなど)があります。
糖アルコールは、糖質でもありアルコールでもあります。
糖アルコールの中で、エリスリトールだけは、ほぼゼロカロリーで血糖値もあげません。
他の、キシリトール、ソルビトール、マルチトールなどは砂糖の半分くらい血糖値を上昇させますし、
2~3kcal/gくらいのカロリーがあります。
結論です。
お酒のアルコールは、五訂増補日本食品標準成分表の定義に基づけば、糖質には属さないし、血糖値も上昇させないし、エンプティーカロリーで体重も上昇させません。
(☆)ウィキペディア
アルコール類は、生体内での主要代謝物の1つであり、生物体に多種多様なアルコール体が広く見いだされる。
蝋はセタノールなど高級アルコールであり、脂肪(中性脂肪)は、多価アルコールのグリセリンと脂肪酸とのエステルである。
そして、糖類もアルコール体である。ケトースやアルドースのカルボニル基が還元されたエリトリトールやキシリトール、ソルビトールなどは、糖アルコールと呼ばれる。
(☆☆)糖尿病専門医研修ガイドブック 改定第4版P81
(☆☆☆)五訂増補日本食品標準成分表
[一般成分の測定法 成分 測定法]
・水分
直接法もしくは乾燥助剤添加法の常圧又は減圧加熱乾燥法による減量法。
ただし、アルコール飲料は乾燥減量からアルコール分の重量を、食酢類は乾燥減量から酢酸の重量をそれぞれ差し引いた。
・たんぱく質
改良ケルダール法によって定量した窒素量に、「窒素-たんぱく質換算係数」を乗じて算出。
なお、茶類及びコーヒーはカフェインを、ココア類及びチョコレート類はカフェイン及びテオブロミンを別に定量し、これら由来の窒素を差し引いてから算出。
また、野菜類はサリチル酸添加改良ケルダール法で硝酸態窒素を含む全窒素量を定量し、別に定量した硝酸態窒素を差し引いてから算出。
・脂質
ジエチルエーテルによるソックスレー抽出法、クロロホルム-メタノール改良抽出法、レーゼ・ゴットリーブ法又は酸分解法。
・炭水化物
差し引き(水分、たんぱく質、脂質及び灰分の合計(数)を100から差し引く)法。
硝酸イオン、アルコール分、酢酸、タンニン、カフェイン又はテオブロミンを多く含む食品では、これらも差し引いた。
・灰分
食品中の無機質の総量を反映している。
直接灰化法
江部康二
2015年09月01日 (火)
【15/09/01 きろろ
食べても大丈夫?
すいません。初めて投稿します。
今まで、糖質制限をしていたつもりだったのに、牛乳をがぶ飲みしていて、体重が減らなくて悩んでいました。先生の十か条をを拝見して、牛乳がNGであることを今日、初めてしりました。明日から、また仕切り直しで頑張ります。どうもありがとうございます。
ところで、牛乳以外では、寒天(砂糖・添加物なし・ラカントSを少々振り掛け)を便通を良くするために食べています。また、甘いモノが好きなので、たまには「希少糖」を使ったお菓子でも作ろうかなと考えていますが大丈夫でしょうか?
希少糖 レアスウィート レアシュガースウィート500gボトルで¥1200もする高い代物ですし、もし先生が「やっぱり糖分だから良くない」と仰るのだったら、買うのがもったいないので、迷っています。
希少糖はこれ↓
http://www.raresugar.org/rare/htm/contents.cgi?contents_id=2】
おはようございます。
きろろさんから、希少糖、希少糖含有シロップについて、コメント・質問を頂きました。
希少糖、香川県も力を入れていて、一時マスコミを賑わした記憶があります。
まずは、レアシュガースウィートを生産している会社のサイトを覗いてみました。
以下、株式会社レアスウィートのサイトから抜粋
http://www.raresweet.co.jp/raresweet/htm/contents.cgi?contents_id=9
『希少等とは ぶどう糖(D−グルコース)や果糖(D−フラクトース)などが自然界に大量に存在する一方、ごく僅かしか存在しない単糖(糖の最小単位)があり、希少糖と呼ばれます。存在は以前から明らかでしたが、その存在量が少ないため研究対象と見なされていませんでした。しかし近年、香川大学農学部の 何森 健 教授(現・特任教授)により希少糖を生産する酵素系が発見され、大量生産が可能になりました。その結果、研究が進み、有用な健康機能が数多く発見されています。』
http://www.raresweet.co.jp/raresweet/htm/contents.cgi?contents_id=2
『レアシュガースウィート
希少糖含有シロップ500g(税込みで¥1296)
[ 内容量 ]500g
[ 成 分 ]ぶどう糖、果糖、
希少糖 約15%(D-プシコース5%以上)、
その他糖類
株式会社レアスウィート 香川県高松市』
希少糖は自然界に多種類存在し、その中の一種が「D-プシコース」です。
何森教授により生産可能となったのは、「D-プシコース」で、カロリーゼロの安全な甘味料とのことです。
「D-プシコース」という希少糖は、確かにカロリーゼロで血糖値も上昇させないなかなかの優れものと思います。
しかし、レアシュガースウィートという商品に希少糖は、15%しか含まれていません。
その希少糖の中でもD-プシコースは5%以上というさらに少量です。
残りの85%はブドウ糖、果糖、糖類です。
ブドウ糖と糖類は、しっかり血糖を上昇させます。
おそらく、D-プシコースは高価なので、少量にとどめて、安価なブドウ糖、果糖、糖類を多くして商品化したものと思われます。
従って、残念ながら
「レアシュガースウィート」という商品は、糖質制限NG食材です。
江部康二
食べても大丈夫?
すいません。初めて投稿します。
今まで、糖質制限をしていたつもりだったのに、牛乳をがぶ飲みしていて、体重が減らなくて悩んでいました。先生の十か条をを拝見して、牛乳がNGであることを今日、初めてしりました。明日から、また仕切り直しで頑張ります。どうもありがとうございます。
ところで、牛乳以外では、寒天(砂糖・添加物なし・ラカントSを少々振り掛け)を便通を良くするために食べています。また、甘いモノが好きなので、たまには「希少糖」を使ったお菓子でも作ろうかなと考えていますが大丈夫でしょうか?
希少糖 レアスウィート レアシュガースウィート500gボトルで¥1200もする高い代物ですし、もし先生が「やっぱり糖分だから良くない」と仰るのだったら、買うのがもったいないので、迷っています。
希少糖はこれ↓
http://www.raresugar.org/rare/htm/contents.cgi?contents_id=2】
おはようございます。
きろろさんから、希少糖、希少糖含有シロップについて、コメント・質問を頂きました。
希少糖、香川県も力を入れていて、一時マスコミを賑わした記憶があります。
まずは、レアシュガースウィートを生産している会社のサイトを覗いてみました。
以下、株式会社レアスウィートのサイトから抜粋
http://www.raresweet.co.jp/raresweet/htm/contents.cgi?contents_id=9
『希少等とは ぶどう糖(D−グルコース)や果糖(D−フラクトース)などが自然界に大量に存在する一方、ごく僅かしか存在しない単糖(糖の最小単位)があり、希少糖と呼ばれます。存在は以前から明らかでしたが、その存在量が少ないため研究対象と見なされていませんでした。しかし近年、香川大学農学部の 何森 健 教授(現・特任教授)により希少糖を生産する酵素系が発見され、大量生産が可能になりました。その結果、研究が進み、有用な健康機能が数多く発見されています。』
http://www.raresweet.co.jp/raresweet/htm/contents.cgi?contents_id=2
『レアシュガースウィート
希少糖含有シロップ500g(税込みで¥1296)
[ 内容量 ]500g
[ 成 分 ]ぶどう糖、果糖、
希少糖 約15%(D-プシコース5%以上)、
その他糖類
株式会社レアスウィート 香川県高松市』
希少糖は自然界に多種類存在し、その中の一種が「D-プシコース」です。
何森教授により生産可能となったのは、「D-プシコース」で、カロリーゼロの安全な甘味料とのことです。
「D-プシコース」という希少糖は、確かにカロリーゼロで血糖値も上昇させないなかなかの優れものと思います。
しかし、レアシュガースウィートという商品に希少糖は、15%しか含まれていません。
その希少糖の中でもD-プシコースは5%以上というさらに少量です。
残りの85%はブドウ糖、果糖、糖類です。
ブドウ糖と糖類は、しっかり血糖を上昇させます。
おそらく、D-プシコースは高価なので、少量にとどめて、安価なブドウ糖、果糖、糖類を多くして商品化したものと思われます。
従って、残念ながら
「レアシュガースウィート」という商品は、糖質制限NG食材です。
江部康二
2015年08月27日 (木)
こんばんは。
前回の記事は、何が言いたいか焦点がやや、わかりにくいところがあったと思います。
従いまして、今回の記事は 、人工甘味料を定期的摂取したときのリスクに関しての考察に絞って整理してみました。
2015年7月22日のブログ記事では
『人工甘味料飲料を定期的に摂取すると、砂糖摂取と同程度に肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントリスクを高める恐れがあるので、やめた方がいいようです。』
と、そのときの私の見解を述べました。
しかしその根拠となる Trends in Endocrinology & Metabolism(TEM)に掲載された論文(☆)は、
糖質を普通に摂取している集団において、
A)人工甘味料飲料水定期摂取グループ
B)砂糖飲料水定期摂取グループ
C)甘味飲料を定期摂取していないグループ
A)B)C)の3グループを比較研究したものです。
私自身、サントリーオールフリー350ml缶(アセスルファムKを含有)を、夏は毎日のように定期摂取していますが、スーパー糖質制限食実践中なので、肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドロームなどのリスクは全くないと思います。
あくまでも私見ですが、糖質セイゲニストにおいては、人工甘味料飲料水を定期的に、通常量(350ml×1~3回/日)とか摂取しても肥満しないし、2型糖尿病にもならないし、メタボにも心筋梗塞にもならないと思います。
このように、人工甘味料飲料を定期的に摂取して、肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントリスクを高める恐れがあるのは、普通に糖質を摂取している人における話と思います。
さて上述の
「ノンカロリー人工甘味料は、予想に反して代謝を障害し疾患リスクを増加させる」
という人工甘味料に関する総説論文に関して検討してみましょう。
Trends in Endocrinology & Metabolism(TEM)に掲載された論文(☆)です。
TEMの2012年のインパクトファクターは8.901ですのでなかなかの医学雑誌です。
まず、人工甘味料のみでは、インスリンやインクレチン分泌が促進されることはないことが記載されています。
人工甘味料を直接胃や腸に注入しても、通常の食後に起こるホルモン(インスリンやGLP-1のようなインクレチン)分泌の急性変化は起きないことが知られているとのことです。
しかし、人工甘味料飲料が、体重減少に役立ったり、2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントを防止したりするといった証拠はほとんど得られていないし、人工甘味料飲料を定期的に摂取している人は、そうでない人よりそれらの疾患のリスクが上昇するとのことです。
そのリスクの増加は、従来の砂糖による飲料と同程度だそうです。
TEM掲載論文(☆)の結論です。
1)人工甘味料は、インスリンを追加分泌させない。
2)しかし、人工甘味料飲料を定期的に摂取すると、肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントリスクを
高める恐れがある。
3)飲料以外に含まれる人工甘味料が、どのような影響を及ぼすかは、はっきりしていない。
少なくとも、糖質を普通に食べている人においては、人工甘味料清涼飲料水を毎日飲んだりするのは、辞めた方がいいようですね。
一方、あくまでも私見ですが
糖質セイゲニストに関しては、人工甘味料飲料を定期的に常用量を摂取しいても、肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントリスクを高める恐れはないと思います。
スーパー糖質制限食そのものが、「肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベント」のリスクを大幅に減らしています。
あとは、読者の皆さん、人工甘味料や人工甘味料飲料に関しては、自分で考えて、自己責任でお願いします。 m(_ _)m
江部康二
(☆)
Artificial sweeteners produce the counterintuitive effect of inducing metabolic derangements.
Susan E. Swithers
Trends in Endocrinology & Metabolism, Volume 24, Issue 9, 431-441, 11 July 2013
前回の記事は、何が言いたいか焦点がやや、わかりにくいところがあったと思います。
従いまして、今回の記事は 、人工甘味料を定期的摂取したときのリスクに関しての考察に絞って整理してみました。
2015年7月22日のブログ記事では
『人工甘味料飲料を定期的に摂取すると、砂糖摂取と同程度に肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントリスクを高める恐れがあるので、やめた方がいいようです。』
と、そのときの私の見解を述べました。
しかしその根拠となる Trends in Endocrinology & Metabolism(TEM)に掲載された論文(☆)は、
糖質を普通に摂取している集団において、
A)人工甘味料飲料水定期摂取グループ
B)砂糖飲料水定期摂取グループ
C)甘味飲料を定期摂取していないグループ
A)B)C)の3グループを比較研究したものです。
私自身、サントリーオールフリー350ml缶(アセスルファムKを含有)を、夏は毎日のように定期摂取していますが、スーパー糖質制限食実践中なので、肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドロームなどのリスクは全くないと思います。
あくまでも私見ですが、糖質セイゲニストにおいては、人工甘味料飲料水を定期的に、通常量(350ml×1~3回/日)とか摂取しても肥満しないし、2型糖尿病にもならないし、メタボにも心筋梗塞にもならないと思います。
このように、人工甘味料飲料を定期的に摂取して、肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントリスクを高める恐れがあるのは、普通に糖質を摂取している人における話と思います。
さて上述の
「ノンカロリー人工甘味料は、予想に反して代謝を障害し疾患リスクを増加させる」
という人工甘味料に関する総説論文に関して検討してみましょう。
Trends in Endocrinology & Metabolism(TEM)に掲載された論文(☆)です。
TEMの2012年のインパクトファクターは8.901ですのでなかなかの医学雑誌です。
まず、人工甘味料のみでは、インスリンやインクレチン分泌が促進されることはないことが記載されています。
人工甘味料を直接胃や腸に注入しても、通常の食後に起こるホルモン(インスリンやGLP-1のようなインクレチン)分泌の急性変化は起きないことが知られているとのことです。
しかし、人工甘味料飲料が、体重減少に役立ったり、2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントを防止したりするといった証拠はほとんど得られていないし、人工甘味料飲料を定期的に摂取している人は、そうでない人よりそれらの疾患のリスクが上昇するとのことです。
そのリスクの増加は、従来の砂糖による飲料と同程度だそうです。
TEM掲載論文(☆)の結論です。
1)人工甘味料は、インスリンを追加分泌させない。
2)しかし、人工甘味料飲料を定期的に摂取すると、肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントリスクを
高める恐れがある。
3)飲料以外に含まれる人工甘味料が、どのような影響を及ぼすかは、はっきりしていない。
少なくとも、糖質を普通に食べている人においては、人工甘味料清涼飲料水を毎日飲んだりするのは、辞めた方がいいようですね。
一方、あくまでも私見ですが
糖質セイゲニストに関しては、人工甘味料飲料を定期的に常用量を摂取しいても、肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントリスクを高める恐れはないと思います。
スーパー糖質制限食そのものが、「肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベント」のリスクを大幅に減らしています。
あとは、読者の皆さん、人工甘味料や人工甘味料飲料に関しては、自分で考えて、自己責任でお願いします。 m(_ _)m
江部康二
(☆)
Artificial sweeteners produce the counterintuitive effect of inducing metabolic derangements.
Susan E. Swithers
Trends in Endocrinology & Metabolism, Volume 24, Issue 9, 431-441, 11 July 2013
2015年08月27日 (木)
こんにちは。
今回は、もう一回復習を兼ねて、人工甘味料と血糖値、インスリンの正確な情報のお話です。
根拠となる論文も示しますが、個人的見解が少し変わりました。
まず変わらない結論ですが、
人工甘味料は血糖値を上昇させることはありません。
人工甘味料はインスリンを分泌させることもありません。
ネットでは、相変わらず、
「人工甘味料が血糖を上昇させる」
「人工甘味料がインスリンを分泌させる」
といった、間違った情報が日常的に発信されていますので、私も繰り返し正確な情報を発信する必要があるようです。
2013年8月29日の本ブログ記事で
『人工甘味料が直接、人の膵臓のβ細胞に作用して、大量のインスリン追加分泌を出させる』
というのは、全く事実無根の誤解ということを述べました。
すなわち、人工甘味料が直接、インスリンを分泌させるということはありません。
次いで人工甘味料の定期的摂取に関してです。
2015年7月22日のブログ記事では
『人工甘味料飲料を定期的に摂取すると、砂糖摂取と同程度に肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントリスクを高める恐れがあるので、やめた方がいいようです。』
と、そのときの私の見解を述べました。
しかし、その根拠となる Trends in Endocrinology & Metabolism(TEM)に掲載された論文(☆)は、
糖質を普通に摂取している集団において、
A)人工甘味料飲料水定期摂取グループ
B)砂糖飲料水定期摂取グループ
C)甘味飲料を定期摂取していないグループ
A)B)C)の3グループを比較研究したものです。
私自身、サントリーオールフリー350ml缶(アセスルファムKを含有)を、夏は毎日のように定期摂取していますが、スーパー糖質制限食実践中なので、肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドロームなどのリスクは全くないと思います。
あくまでも私見ですが、糖質セイゲニストにおいては、人工甘味料飲料水を定期的に、通常量(350ml×1~3回/日)とか摂取しても肥満しないし、2型糖尿病にもならないし、メタボにも心筋梗塞にもならないと思います。
このように、人工甘味料飲料を定期的に摂取して、肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントリスクを高める恐れがあるのは普通に糖質を摂取している人における話と思います。
さて上述の
「ノンカロリー人工甘味料は、予想に反して代謝を障害し疾患リスクを増加させる」
という人工甘味料に関する総説論文に関して検討してみましょう。
Trends in Endocrinology & Metabolism(TEM)に掲載された論文(☆)です。
TEMの2012年のインパクトファクターは8.901ですのでなかなかの医学雑誌です。
まず、人工甘味料のみでは、インスリンやインクレチン分泌が促進されることはないことが記載されています。
人工甘味料を直接胃や腸に注入しても、通常の食後に起こるホルモン(インスリンやGLP-1のようなインクレチン)分泌の急性変化は起きないことが知られているとのことです。
しかし、人工甘味料飲料が、体重減少に役立ったり、2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントを防止したりするといった証拠はほとんど得られていないし、人工甘味料飲料を定期的に摂取している人は、そうでない人よりそれらの疾患のリスクが上昇するとのことです。
そのリスクの増加は、従来の砂糖による飲料と同程度だそうです。
TEM掲載論文(☆掲)の結論です。
1)人工甘味料は、インスリンを追加分泌させない。
2)しかし、人工甘味料飲料を定期的に摂取すると、肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントリスクを
高める恐れがある。
3)飲料以外に含まれる人工甘味料が、どのような影響を及ぼすかは、はっきりしていない。
少なくとも、糖質を普通に食べている人においては、人工甘味料清涼飲料水を毎日飲んだりするのは、辞めた方がいいようですね。
一方、あくまでも私見ですが
糖質セイゲニストに関しては、人工甘味料飲料を定期的に常用量を摂取しいても肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントリスクを高める恐れはないと思います。
スーパー糖質制限食そのものが、「肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベント」のリスクを大幅に減らしています。
あとは、読者の皆さん、人工甘味料や人工甘味料飲料に関しては、自分で考えて、自己責任でお願いします。 m(_ _)m
江部康二
【(☆)<論文総説内容>
1. ノンカロリー清涼飲料水=ASB(artificially sweetened beverage)と
従来の砂糖による清涼飲料水=SSB(sugar-sweetened beverage)
2. ノンカロリー人工甘味料を用いた清涼飲料水(ASB)による悪影響
(1) ASBの飲用についての観察研究
(2) ASBの効果を見る介入研究
(3) ASB飲用と肥満についての因果関係は正しいのか?
3. ASB飲用に対する生理的反応
(1) 人工甘味料摂取は、ショ糖摂取とは異なる脳の反応を引き起こす
(2) 人工甘味料のみではインスリンやインクレチン分泌が促進されることはない
(3) ノンカロリー人工甘味料を摂取すると、摂食後のインスリンやインクレチンの放出が増強されなくなる
4. ASB飲用による生理的反応の障害: ASBは学習によって獲得した反応(learned responses)を減弱させる
結語
① ヒトやマウス・ラットモデルにおいて、ASBが体重減少に役立ったり、2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベ強調文ントを防止したりするといった証拠はほとんど得られていない。一方、ASBを定期的に摂取しているヒトでは、そうでないヒトよりそれらのリスクが増加すること(しかもそのリスク増加は、SSB摂取の場合と同程度)が示唆されている。
② このような、今までの常識に反する結果は、ASBが「SSBの摂取後に引き起こされるべき、学習によって獲得された反応を減弱させる」という効果(ASB摂取ではSSB摂取の際に得られるはずのエネルギーが得られないので、それを代償するために起こると考えられる)を持つことによる考えられている。
③ノンカロリー人工甘味料は多くの食物にも含まれるようになってきた。そのような食物がASBのように体重や代謝に対して悪影響を与えるのか どうかは、まだはっきりしていない。しかし、食物の甘味は、ノンカロリーかどうかによらず摂取に注意が必要であることは間違いなさそうである。】
(☆)
Artificial sweeteners produce the counterintuitive effect of inducing metabolic derangements.
Susan E. Swithers
Trends in Endocrinology & Metabolism, Volume 24, Issue 9, 431-441, 11 July 2013
この英文論文を、「一人抄読会」というブログで、
糖尿病・代謝内分泌科のドクターが要約と解説をしておられます。
詳しい内容は、
一人抄読会
http://syodokukai.exblog.jp/19325507
を見て頂けば幸いです。
今回は、もう一回復習を兼ねて、人工甘味料と血糖値、インスリンの正確な情報のお話です。
根拠となる論文も示しますが、個人的見解が少し変わりました。
まず変わらない結論ですが、
人工甘味料は血糖値を上昇させることはありません。
人工甘味料はインスリンを分泌させることもありません。
ネットでは、相変わらず、
「人工甘味料が血糖を上昇させる」
「人工甘味料がインスリンを分泌させる」
といった、間違った情報が日常的に発信されていますので、私も繰り返し正確な情報を発信する必要があるようです。
2013年8月29日の本ブログ記事で
『人工甘味料が直接、人の膵臓のβ細胞に作用して、大量のインスリン追加分泌を出させる』
というのは、全く事実無根の誤解ということを述べました。
すなわち、人工甘味料が直接、インスリンを分泌させるということはありません。
次いで人工甘味料の定期的摂取に関してです。
2015年7月22日のブログ記事では
『人工甘味料飲料を定期的に摂取すると、砂糖摂取と同程度に肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントリスクを高める恐れがあるので、やめた方がいいようです。』
と、そのときの私の見解を述べました。
しかし、その根拠となる Trends in Endocrinology & Metabolism(TEM)に掲載された論文(☆)は、
糖質を普通に摂取している集団において、
A)人工甘味料飲料水定期摂取グループ
B)砂糖飲料水定期摂取グループ
C)甘味飲料を定期摂取していないグループ
A)B)C)の3グループを比較研究したものです。
私自身、サントリーオールフリー350ml缶(アセスルファムKを含有)を、夏は毎日のように定期摂取していますが、スーパー糖質制限食実践中なので、肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドロームなどのリスクは全くないと思います。
あくまでも私見ですが、糖質セイゲニストにおいては、人工甘味料飲料水を定期的に、通常量(350ml×1~3回/日)とか摂取しても肥満しないし、2型糖尿病にもならないし、メタボにも心筋梗塞にもならないと思います。
このように、人工甘味料飲料を定期的に摂取して、肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントリスクを高める恐れがあるのは普通に糖質を摂取している人における話と思います。
さて上述の
「ノンカロリー人工甘味料は、予想に反して代謝を障害し疾患リスクを増加させる」
という人工甘味料に関する総説論文に関して検討してみましょう。
Trends in Endocrinology & Metabolism(TEM)に掲載された論文(☆)です。
TEMの2012年のインパクトファクターは8.901ですのでなかなかの医学雑誌です。
まず、人工甘味料のみでは、インスリンやインクレチン分泌が促進されることはないことが記載されています。
人工甘味料を直接胃や腸に注入しても、通常の食後に起こるホルモン(インスリンやGLP-1のようなインクレチン)分泌の急性変化は起きないことが知られているとのことです。
しかし、人工甘味料飲料が、体重減少に役立ったり、2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントを防止したりするといった証拠はほとんど得られていないし、人工甘味料飲料を定期的に摂取している人は、そうでない人よりそれらの疾患のリスクが上昇するとのことです。
そのリスクの増加は、従来の砂糖による飲料と同程度だそうです。
TEM掲載論文(☆掲)の結論です。
1)人工甘味料は、インスリンを追加分泌させない。
2)しかし、人工甘味料飲料を定期的に摂取すると、肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントリスクを
高める恐れがある。
3)飲料以外に含まれる人工甘味料が、どのような影響を及ぼすかは、はっきりしていない。
少なくとも、糖質を普通に食べている人においては、人工甘味料清涼飲料水を毎日飲んだりするのは、辞めた方がいいようですね。
一方、あくまでも私見ですが
糖質セイゲニストに関しては、人工甘味料飲料を定期的に常用量を摂取しいても肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントリスクを高める恐れはないと思います。
スーパー糖質制限食そのものが、「肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベント」のリスクを大幅に減らしています。
あとは、読者の皆さん、人工甘味料や人工甘味料飲料に関しては、自分で考えて、自己責任でお願いします。 m(_ _)m
江部康二
【(☆)<論文総説内容>
1. ノンカロリー清涼飲料水=ASB(artificially sweetened beverage)と
従来の砂糖による清涼飲料水=SSB(sugar-sweetened beverage)
2. ノンカロリー人工甘味料を用いた清涼飲料水(ASB)による悪影響
(1) ASBの飲用についての観察研究
(2) ASBの効果を見る介入研究
(3) ASB飲用と肥満についての因果関係は正しいのか?
3. ASB飲用に対する生理的反応
(1) 人工甘味料摂取は、ショ糖摂取とは異なる脳の反応を引き起こす
(2) 人工甘味料のみではインスリンやインクレチン分泌が促進されることはない
(3) ノンカロリー人工甘味料を摂取すると、摂食後のインスリンやインクレチンの放出が増強されなくなる
4. ASB飲用による生理的反応の障害: ASBは学習によって獲得した反応(learned responses)を減弱させる
結語
① ヒトやマウス・ラットモデルにおいて、ASBが体重減少に役立ったり、2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベ強調文ントを防止したりするといった証拠はほとんど得られていない。一方、ASBを定期的に摂取しているヒトでは、そうでないヒトよりそれらのリスクが増加すること(しかもそのリスク増加は、SSB摂取の場合と同程度)が示唆されている。
② このような、今までの常識に反する結果は、ASBが「SSBの摂取後に引き起こされるべき、学習によって獲得された反応を減弱させる」という効果(ASB摂取ではSSB摂取の際に得られるはずのエネルギーが得られないので、それを代償するために起こると考えられる)を持つことによる考えられている。
③ノンカロリー人工甘味料は多くの食物にも含まれるようになってきた。そのような食物がASBのように体重や代謝に対して悪影響を与えるのか どうかは、まだはっきりしていない。しかし、食物の甘味は、ノンカロリーかどうかによらず摂取に注意が必要であることは間違いなさそうである。】
(☆)
Artificial sweeteners produce the counterintuitive effect of inducing metabolic derangements.
Susan E. Swithers
Trends in Endocrinology & Metabolism, Volume 24, Issue 9, 431-441, 11 July 2013
この英文論文を、「一人抄読会」というブログで、
糖尿病・代謝内分泌科のドクターが要約と解説をしておられます。
詳しい内容は、
一人抄読会
http://syodokukai.exblog.jp/19325507
を見て頂けば幸いです。
2015年07月22日 (水)
こんにちは。
今回は、復習を兼ねて、人工甘味料と血糖値、インスリンの正確な情報のお話です。
根拠となる論文も示します。
人工甘味料は血糖値を上昇させることはありません。
人工甘味料はインスリンを分泌させることもありません。
しかしながら、人工甘味料飲料を定期的に摂取すると、砂糖摂取と同程度に肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントリスクを高める恐れがあるので、やめた方がいいようです。
なおエリスリトールは人工甘味料ではなく、糖アルコールに分類されますが、血糖値上昇もないし、人工甘味料のような問題はなく、安全性は確立しています。
ネットでは、相変わらず、
「人工甘味料が血糖を上昇させる」
「人工甘味料がインスリンを分泌すさせる」
といった、間違った情報が日常的に発信されていますので、私も繰り返し正確な情報を発信する必要があるようです。
2013年8月29日の本ブログ記事で
『人工甘味料が直接、人の膵臓のβ細胞に作用して、大量のインスリン追加分泌を出させる』
というのは、全く事実無根の誤解ということを述べました。
すなわち、人工甘味料が直接、インスリン分泌を出させるということはありません。
次に、
「ノンカロリー人工甘味料は、予想に反して代謝を障害し疾患リスクを増加させる」
という人工甘味料に関する総説論文に関して検討してみました。
Trends in Endocrinology & Metabolism(TEM)に掲載された論文(☆)です。
TEMの2012年のインパクトファクターは8.901ですのでなかなかの医学雑誌です。
まず、人工甘味料のみでは、インスリンやインクレチン分泌が促進されることはないことが記載されています。
人工甘味料を直接胃や腸に注入しても、通常の食後に起こるホルモン(インスリンやGLP-1のようなインクレチン)分泌の急性変化は起きないことが知られているとのことです。
しかし、人工甘味料飲料が、体重減少に役立ったり、2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントを防止したりするといった証拠はほとんど得られていないし、人工甘味料飲料を定期的に摂取している人は、そうでない人よりそれらの疾患のリスクが上昇するとのことです。
そのリスクの増加は、従来の砂糖による飲料と同程度だそうです。
結論です。
1)人工甘味料は、血糖値を上昇させないし、インスリンも追加分泌させない。
2)しかし、人工甘味料飲料を定期的に摂取すると、肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントリスクを
高める恐れがある。
3)飲料以外に含まれる人工甘味料が、どのような影響を及ぼすかは、はっきりしていない。
少なくとも人工甘味料清涼飲料水を毎日飲んだりするのは、辞めた方がいいようですね。
江部康二
【(☆)<論文総説内容>
1. ノンカロリー清涼飲料水=ASB(artificially sweetened beverage)と
従来の砂糖による清涼飲料水=SSB(sugar-sweetened beverage)
2. ノンカロリー人工甘味料を用いた清涼飲料水(ASB)による悪影響
(1) ASBの飲用についての観察研究
(2) ASBの効果を見る介入研究
(3) ASB飲用と肥満についての因果関係は正しいのか?
3. ASB飲用に対する生理的反応
(1) 人工甘味料摂取は、ショ糖摂取とは異なる脳の反応を引き起こす
(2) 人工甘味料のみではインスリンやインクレチン分泌が促進されることはない
(3) ノンカロリー人工甘味料を摂取すると、摂食後のインスリンやインクレチンの放出が増強されなくなる
4. ASB飲用による生理的反応の障害: ASBは学習によって獲得した反応(learned responses)を減弱させる
結語
① ヒトやマウス・ラットモデルにおいて、ASBが体重減少に役立ったり、2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベ強調文ントを防止したりするといった証拠はほとんど得られていない。一方、ASBを定期的に摂取しているヒトでは、そうでないヒトよりそれらのリスクが増加すること(しかもそのリスク増加は、SSB摂取の場合と同程度)が示唆されている。
② このような、今までの常識に反する結果は、ASBが「SSBの摂取後に引き起こされるべき、学習によって獲得された反応を減弱させる」という効果(ASB摂取ではSSB摂取の際に得られるはずのエネルギーが得られないので、それを代償するために起こると考えられる)を持つことによる考えられている。
③ノンカロリー人工甘味料は多くの食物にも含まれるようになってきた。そのような食物がASBのように体重や代謝に対して悪影響を与えるのか どうかは、まだはっきりしていない。しかし、食物の甘味は、ノンカロリーかどうかによらず摂取に注意が必要であることは間違いなさそうである。】
(☆)
Artificial sweeteners produce the counterintuitive effect of inducing metabolic derangements.
Susan E. Swithers
Trends in Endocrinology & Metabolism, Volume 24, Issue 9, 431-441, 11 July 2013
この英文論文を、「一人抄読会」というブログで、糖尿病・代謝内分泌科のドクターが要約と解説をしておられます。
詳しい内容は、
一人抄読会
http://syodokukai.exblog.jp/19325507
を見て頂けば幸いです。
今回は、復習を兼ねて、人工甘味料と血糖値、インスリンの正確な情報のお話です。
根拠となる論文も示します。
人工甘味料は血糖値を上昇させることはありません。
人工甘味料はインスリンを分泌させることもありません。
しかしながら、人工甘味料飲料を定期的に摂取すると、砂糖摂取と同程度に肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントリスクを高める恐れがあるので、やめた方がいいようです。
なおエリスリトールは人工甘味料ではなく、糖アルコールに分類されますが、血糖値上昇もないし、人工甘味料のような問題はなく、安全性は確立しています。
ネットでは、相変わらず、
「人工甘味料が血糖を上昇させる」
「人工甘味料がインスリンを分泌すさせる」
といった、間違った情報が日常的に発信されていますので、私も繰り返し正確な情報を発信する必要があるようです。
2013年8月29日の本ブログ記事で
『人工甘味料が直接、人の膵臓のβ細胞に作用して、大量のインスリン追加分泌を出させる』
というのは、全く事実無根の誤解ということを述べました。
すなわち、人工甘味料が直接、インスリン分泌を出させるということはありません。
次に、
「ノンカロリー人工甘味料は、予想に反して代謝を障害し疾患リスクを増加させる」
という人工甘味料に関する総説論文に関して検討してみました。
Trends in Endocrinology & Metabolism(TEM)に掲載された論文(☆)です。
TEMの2012年のインパクトファクターは8.901ですのでなかなかの医学雑誌です。
まず、人工甘味料のみでは、インスリンやインクレチン分泌が促進されることはないことが記載されています。
人工甘味料を直接胃や腸に注入しても、通常の食後に起こるホルモン(インスリンやGLP-1のようなインクレチン)分泌の急性変化は起きないことが知られているとのことです。
しかし、人工甘味料飲料が、体重減少に役立ったり、2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントを防止したりするといった証拠はほとんど得られていないし、人工甘味料飲料を定期的に摂取している人は、そうでない人よりそれらの疾患のリスクが上昇するとのことです。
そのリスクの増加は、従来の砂糖による飲料と同程度だそうです。
結論です。
1)人工甘味料は、血糖値を上昇させないし、インスリンも追加分泌させない。
2)しかし、人工甘味料飲料を定期的に摂取すると、肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントリスクを
高める恐れがある。
3)飲料以外に含まれる人工甘味料が、どのような影響を及ぼすかは、はっきりしていない。
少なくとも人工甘味料清涼飲料水を毎日飲んだりするのは、辞めた方がいいようですね。
江部康二
【(☆)<論文総説内容>
1. ノンカロリー清涼飲料水=ASB(artificially sweetened beverage)と
従来の砂糖による清涼飲料水=SSB(sugar-sweetened beverage)
2. ノンカロリー人工甘味料を用いた清涼飲料水(ASB)による悪影響
(1) ASBの飲用についての観察研究
(2) ASBの効果を見る介入研究
(3) ASB飲用と肥満についての因果関係は正しいのか?
3. ASB飲用に対する生理的反応
(1) 人工甘味料摂取は、ショ糖摂取とは異なる脳の反応を引き起こす
(2) 人工甘味料のみではインスリンやインクレチン分泌が促進されることはない
(3) ノンカロリー人工甘味料を摂取すると、摂食後のインスリンやインクレチンの放出が増強されなくなる
4. ASB飲用による生理的反応の障害: ASBは学習によって獲得した反応(learned responses)を減弱させる
結語
① ヒトやマウス・ラットモデルにおいて、ASBが体重減少に役立ったり、2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベ強調文ントを防止したりするといった証拠はほとんど得られていない。一方、ASBを定期的に摂取しているヒトでは、そうでないヒトよりそれらのリスクが増加すること(しかもそのリスク増加は、SSB摂取の場合と同程度)が示唆されている。
② このような、今までの常識に反する結果は、ASBが「SSBの摂取後に引き起こされるべき、学習によって獲得された反応を減弱させる」という効果(ASB摂取ではSSB摂取の際に得られるはずのエネルギーが得られないので、それを代償するために起こると考えられる)を持つことによる考えられている。
③ノンカロリー人工甘味料は多くの食物にも含まれるようになってきた。そのような食物がASBのように体重や代謝に対して悪影響を与えるのか どうかは、まだはっきりしていない。しかし、食物の甘味は、ノンカロリーかどうかによらず摂取に注意が必要であることは間違いなさそうである。】
(☆)
Artificial sweeteners produce the counterintuitive effect of inducing metabolic derangements.
Susan E. Swithers
Trends in Endocrinology & Metabolism, Volume 24, Issue 9, 431-441, 11 July 2013
この英文論文を、「一人抄読会」というブログで、糖尿病・代謝内分泌科のドクターが要約と解説をしておられます。
詳しい内容は、
一人抄読会
http://syodokukai.exblog.jp/19325507
を見て頂けば幸いです。