2008年08月29日 (金)
こんばんは。
錦織選手、全米オープンで2回戦突破です。何と1973年の神和住純選手以来35年ぶりとはすごい快挙です。 \(^○^)/
錦織選手のストロークは、世界ナンバーワンのナダル選手と対等ですので
サーブ力とか基礎体力がついてきたら、トップ10も夢ではないですね。
さて今回は、長崎のtomさんから
糖質制限食と持久力について、嬉しいコメントをいただきました。
『江部先生、はじめまして。長崎に住むtomと申します。
私は糖尿病ではないのですが、運動、健康の為に糖質制限食を始めて3ヶ月になります。
というのもちょくちょくロードレース等に出てまして、今年の4月に10キロのレースに出たんですが、練習していたのにもかかわらず、今までで一番悪い記録でした。
で、何でだろうと考えてたら、雑誌で釜池先生の記事を見たのが糖質制限との出会いでした。
それまではレース1週間前からは出来るだけ多く炭水化物を取って、当日の朝もしっかり食べる!というのが正しいと思ってたので、目からうろこでした。
それから色々と調べるとこの江部先生のブログに辿りつきました。過去の記事はほとんど読みましたし、春のレシピの本も買いました☆
で、きっとマラソンとかの持久力競技にもすごく効果的だと思うのですが、まだまだデータが少ない、実践者が少ないような気がします。
とりあえず、僕の状態は3ヶ月前は体重が65キロだったんですが、2ヶ月で60キロ丁度くらいまでに減りました。(身長は178cm)です。 今は59.5キロくらいです。筋肉はもともと少ない方ですが、落ちてはいません。
とくに本来の目的であった運動においては10キロ走って息が上がってたのが、始めてからは15キロは普通に走れるようになりました。それも2週間ほどで!
しばらく仕事が忙しくて練習が出来てなかったのですが、またこれから練習再開します。とりあえず10月のハーフマラソンに合わせて調整します。
ここのブログの趣旨にそれていたらすみません。
ただ、糖質制限食の素晴らしさをもっと多くの人たちに知ってもらいたいと思ってます。 よかったらまた書き込みさせて下さい。 では・・・
2008/08/20(水) 00:10:06 | URL | tom 』
tomさん。コメントそして本のご購入ありがとうございます。
「運動においては10キロ走って息が上がってたのが、始めてからは15キロは普通に走れるようになりました。それも2週間ほどで!」
糖質制限食開始後、わずか2週間で素晴らしい成果ですね。おめでとうございます。私としても嬉しい限りです。☆v(o^0^o)v☆
他のブログ読者からもコメントいただきましたが、糖質制限食で明らかに持久力が向上します。
(2007年12月04日のブログ「 糖質制限食で持久力向上」、2008年02月15日のブログ「運動とエネルギー源⑦ 朝食を摂らずにハーフマラソン」もご参照くださいね。)
長距離を走ったり泳いだりとか、持久力が必要なスポーツは、脂肪酸をエネルギー源として上手に使わなければ1~2時間で、筋肉中のグリコーゲンが枯渇して足が棒のようになり、動けなくなります。
筋肉中に蓄えられているグリコーゲンは、体重60kg、体脂肪率20%の標準的な男性で、約300g、1200キロカロリーしかありませんから、これをメインに利用してしまえば1~2時間しかもたないわけです。
心筋や骨格筋は、安静時や歩行時は、主として脂肪酸をエネルギー源として利用していて、ブドウ糖はあまり利用していません。
しかし、一般人は、あるていど心拍数が上昇するような運動になると、筋肉中のグリコーゲンを、手っ取り早くブドウ糖に変えてエネルギー源にしてしまい、脂肪酸をあまり利用しなくなりますから、すぐに上述のようなエネルギー切れになってしまい、スタミナが続かないわけです。
一方、鍛えてある一流スポーツ選手は、少々心拍数が上昇しても脂肪酸をエネルギー源として利用し続けることができますから、筋肉中のグリコーゲンを節約できて、最後のラストスパートでしっかり利用できるわけです。
ラストスパートのような、全力疾走とか瞬発力が必要な時は、筋肉はブドウ糖を利用します。
スポーツ選手は、一般人に比べれば、体脂肪率は低いですが、筋肉中の脂肪は増えています。筋肉中の脂肪は、総体脂肪量に対する割合はごく小さいですが、これがどうやら持久力の向上にあるていど関係しているようです。
持久運動の後には、筋肉内の脂肪蓄積は、減少していることが示されています。
筋肉細胞では、脂肪は、ミトコンドリア近くに局在する小さな脂肪滴中に、トリグリセリドとして蓄積されているそうです。
一流スポーツ選手ほどは鍛えてなくても、糖質制限食を実践していると、脂肪酸-ケトン体のシステムを日常的に利用するようになるので、運動中にも効率よく脂肪をエネルギー源として利用できます。
これにより、筋肉中のグリコーゲンを節約できて、持久力増強につながると考えられます。
江部康二
錦織選手、全米オープンで2回戦突破です。何と1973年の神和住純選手以来35年ぶりとはすごい快挙です。 \(^○^)/
錦織選手のストロークは、世界ナンバーワンのナダル選手と対等ですので
サーブ力とか基礎体力がついてきたら、トップ10も夢ではないですね。
さて今回は、長崎のtomさんから
糖質制限食と持久力について、嬉しいコメントをいただきました。
『江部先生、はじめまして。長崎に住むtomと申します。
私は糖尿病ではないのですが、運動、健康の為に糖質制限食を始めて3ヶ月になります。
というのもちょくちょくロードレース等に出てまして、今年の4月に10キロのレースに出たんですが、練習していたのにもかかわらず、今までで一番悪い記録でした。
で、何でだろうと考えてたら、雑誌で釜池先生の記事を見たのが糖質制限との出会いでした。
それまではレース1週間前からは出来るだけ多く炭水化物を取って、当日の朝もしっかり食べる!というのが正しいと思ってたので、目からうろこでした。
それから色々と調べるとこの江部先生のブログに辿りつきました。過去の記事はほとんど読みましたし、春のレシピの本も買いました☆
で、きっとマラソンとかの持久力競技にもすごく効果的だと思うのですが、まだまだデータが少ない、実践者が少ないような気がします。
とりあえず、僕の状態は3ヶ月前は体重が65キロだったんですが、2ヶ月で60キロ丁度くらいまでに減りました。(身長は178cm)です。 今は59.5キロくらいです。筋肉はもともと少ない方ですが、落ちてはいません。
とくに本来の目的であった運動においては10キロ走って息が上がってたのが、始めてからは15キロは普通に走れるようになりました。それも2週間ほどで!
しばらく仕事が忙しくて練習が出来てなかったのですが、またこれから練習再開します。とりあえず10月のハーフマラソンに合わせて調整します。
ここのブログの趣旨にそれていたらすみません。
ただ、糖質制限食の素晴らしさをもっと多くの人たちに知ってもらいたいと思ってます。 よかったらまた書き込みさせて下さい。 では・・・
2008/08/20(水) 00:10:06 | URL | tom 』
tomさん。コメントそして本のご購入ありがとうございます。
「運動においては10キロ走って息が上がってたのが、始めてからは15キロは普通に走れるようになりました。それも2週間ほどで!」
糖質制限食開始後、わずか2週間で素晴らしい成果ですね。おめでとうございます。私としても嬉しい限りです。☆v(o^0^o)v☆
他のブログ読者からもコメントいただきましたが、糖質制限食で明らかに持久力が向上します。
(2007年12月04日のブログ「 糖質制限食で持久力向上」、2008年02月15日のブログ「運動とエネルギー源⑦ 朝食を摂らずにハーフマラソン」もご参照くださいね。)
長距離を走ったり泳いだりとか、持久力が必要なスポーツは、脂肪酸をエネルギー源として上手に使わなければ1~2時間で、筋肉中のグリコーゲンが枯渇して足が棒のようになり、動けなくなります。
筋肉中に蓄えられているグリコーゲンは、体重60kg、体脂肪率20%の標準的な男性で、約300g、1200キロカロリーしかありませんから、これをメインに利用してしまえば1~2時間しかもたないわけです。
心筋や骨格筋は、安静時や歩行時は、主として脂肪酸をエネルギー源として利用していて、ブドウ糖はあまり利用していません。
しかし、一般人は、あるていど心拍数が上昇するような運動になると、筋肉中のグリコーゲンを、手っ取り早くブドウ糖に変えてエネルギー源にしてしまい、脂肪酸をあまり利用しなくなりますから、すぐに上述のようなエネルギー切れになってしまい、スタミナが続かないわけです。
一方、鍛えてある一流スポーツ選手は、少々心拍数が上昇しても脂肪酸をエネルギー源として利用し続けることができますから、筋肉中のグリコーゲンを節約できて、最後のラストスパートでしっかり利用できるわけです。
ラストスパートのような、全力疾走とか瞬発力が必要な時は、筋肉はブドウ糖を利用します。
スポーツ選手は、一般人に比べれば、体脂肪率は低いですが、筋肉中の脂肪は増えています。筋肉中の脂肪は、総体脂肪量に対する割合はごく小さいですが、これがどうやら持久力の向上にあるていど関係しているようです。
持久運動の後には、筋肉内の脂肪蓄積は、減少していることが示されています。
筋肉細胞では、脂肪は、ミトコンドリア近くに局在する小さな脂肪滴中に、トリグリセリドとして蓄積されているそうです。
一流スポーツ選手ほどは鍛えてなくても、糖質制限食を実践していると、脂肪酸-ケトン体のシステムを日常的に利用するようになるので、運動中にも効率よく脂肪をエネルギー源として利用できます。
これにより、筋肉中のグリコーゲンを節約できて、持久力増強につながると考えられます。
江部康二
2008年03月12日 (水)
おはようございます。今日は春霞全開です。
今回は、久しぶりに運動とエネルギー源シリーズです。本シリーズ、たくさんコメントいただきましてありがとうございます。読者の皆さん、やや小難しいところはとばして読んで頂いて結構ですので・・・
今回は糖尿病と胃麻痺のお話です。
『たかたろうさんのコメントに「筋力トレーニング直後以外の食事で意図せずに糖質を摂りすぎてしまったときなどは、食事開始後30~60分頃に30分程ウォーキングをして血糖値を下げるようにしていてますが、加減が難しいと感じています。私の場合、200mg前後の血糖値が30分のウォーキングで100mg前後まで下がりますが、ウォーキング終了後30分後にはまた200mg位まで上がってしまっていることがあります。」とありましたが、自分も同じ経験をしています。 なぜなのかとても不思議です。
2008/03/04(火) 16:16:45 | URL | 街のクマ 』
『街のクマさん。そうですか。同じ経験ですか。
運動と血糖値、なかなか一筋縄ではいきませんね。
2008/03/04(火) 22:21:44 | URL | 江部康二』
『私も難しいと感じています。
先生、街のくまさん、こんばんは。
私は1型で枯渇組なのですが、 やはり、食後1時間でBG200―250で時速6キロ、3%の傾斜のウォーキングを30分程度行います。 BGは100くらい落ちます。 クマさんと一緒ですね。
ですが、私の場合、上昇しません。 さらに、その後は何もしなくても50くらい、下がります。 難しいデス。
2008/03/04(火) 23:23:03 | URL | my』
『糖尿が進むと自律神経の働きが悪くなり、消化器系の働きが遷延することがあると伺いました。胸焼け胃もたれがいい証拠らしいです。
投薬・運動なしでも、2H後血糖は高くないのに、消化吸収が進むそれ以降で、血糖値が上昇するというケースを読んだことがあるのですが、たかたろおうさんや私のケースでは当てはまるような気が致します。
特に消化が遅れる油脂の多い食事の場合では。
先生も糖質を摂取なさって、同一条件でお試しになられたら、興味深い結果が得られるのではないのでしょうか。
自分は運動の有無を問わず、先生の提唱なさるスーパー糖質制限食こそ糖尿人を救うことになると信じています。
ちなみに朝晩合計23kmの自転車通勤と、昼休みの40分速歩でも、1週間に二回ほど昼食に糖質を摂取したところ、HaA1cが6.2まで上がってしまいました。
軽度の糖尿人には食後運動は効果があるのかもしれませんが、中等度を超えると、やはり糖質制限食の方が体に優しいのではないかと感じました。素人が生意気言って済みません。どうかお許し下さい。
話は変わるのですが、単調になりがちな糖質制限食を救うにあっては、(自分の昼食は毎日キャベツの千切りと鯖の水煮缶と、半丁の豆腐です。いい加減に厭きました。)だからこそ、美味しげな糖質・制限食コムでの食品開発はたいへんに有難いものに思われます。今日アップされたラーメン食べたいです。よだれが出て困りました。
あらてつさん、是非とも頑張ってください。
2008/03/04(火) 23:25:14 | URL | 街のクマ』
『こんばんは、たかたろうです。
街のクマさんのコメントに「特に消化が遅れる油脂の多い食事の場合では。」とありますが、そういわれてみれば、比較的あっさりした物を食べたときには再び血糖値が上昇することは無かったような気がします(記憶が曖昧でスミマセン)。
筋収縮によるGlut4トランスロケーションについてですが、インスリン依存のGlut4トランスロケーションは筋肉細胞・脂肪細胞の両方で起きますが、筋収縮によるインスリン非依存のGlut4トランスロケーションは筋肉細胞においてのみ起きるという理解で正しいでしょうか?また、安静時かつ筋グリコーゲン満タン時には筋肉細胞による糖の取り込みは行われないという理解も正しいでしょうか? だとすると、単純にそのときそのときで、(消化吸収による糖の血液への放出)-(筋肉細胞による糖の取り込み)=(血糖値の上下)、ということになるような気がします。
消化吸収が速いときは、運動終了までに糖の血液への放出が終了し、運動中の筋肉細胞が血糖を消費してしまうため、運動終了後に血糖値は上がらない。
消化吸収が遅いときは、運動終了までに糖の血液への放出は終了せず、運動中の筋肉細胞は血糖を消費するが、運動終了後の筋肉細胞は糖を消費しないので、運動終了後に血糖値が上がる。
(実際に糖尿人の運動中の呼吸商とかを測定してエネルギー代謝の割合を観測すれば新たな発見があるかもしれませんね。)
済みません、調子に乗って生意気なこと言ってしまいましたが、素人の戯言だと思ってお許し下さい。
P.S. ハンターXハンターの連載が再開されましたね。ストーリーを思い出すのに一苦労です。「ハギャ」が誰なのか思い出せません。
2008/03/05(水) 02:39:14 | URL | たかたろう』
街のくまさん、たかたろうさん、myさん、いつもコメントありがとうございます。
皆さんの体験データ、とても参考になります。
街のくまさんとたかたろうさんが仰有るとおり、消化吸収の遅延が関係しているようです。
まずは、脂肪と糖質を同時に摂取すると、糖質の吸収が少し遅れることが関係してますね。
それから、バーンスタイン医師(米国の1型糖尿病の医師で糖質制限食実践中)の本にも記載されている、街のくまさんご指摘の<胃排泄遅延・胃不全麻痺>が年期の入った糖尿人ではあります。欧米人には胃不全麻痺が結構多いようですが日本人でも当然ありえます。
30分の軽い運動で一旦下がった血糖値が、運動終了後30分でまた上昇した理由は、上記のように脂質と一緒に食べたか胃不全麻痺があったかで、食物の消化吸収が遅れたことが考えられます。
myさんは、1型糖尿病ですが胃不全麻痺はないので、運動終了後の血糖値再上昇がなかったのでしょう。
ところで、街のくまさん。
昼食は<毎日キャベツの千切りと鯖の水煮缶と、半丁の豆腐>ですか!?おかずは何を食べてもいいので、美味しく楽しくを目指してくださいね。
私の昼食は、高雄病院ではスーパー糖質制限食の給食です。江部診療所では、「ごはん日和」でおかずばっかり買ってきたり、コンビニのおでんとかです。
糖質制限ドットコムの、ローカーボフスマパンとか蒟蒻ラーメン、京のおばんざいも強い味方になってくれてますね。
街のくまさん、糖質制限ドットコム御贔屓、ありがとうございます。あらてつさんにより一層、食品開発に励んでもらうよう伝えておきます。
たかたろうさん。
血糖値の調節機構はとても複雑なので次回の宿題とさせてくださいね。
江部康二
今回は、久しぶりに運動とエネルギー源シリーズです。本シリーズ、たくさんコメントいただきましてありがとうございます。読者の皆さん、やや小難しいところはとばして読んで頂いて結構ですので・・・
今回は糖尿病と胃麻痺のお話です。
『たかたろうさんのコメントに「筋力トレーニング直後以外の食事で意図せずに糖質を摂りすぎてしまったときなどは、食事開始後30~60分頃に30分程ウォーキングをして血糖値を下げるようにしていてますが、加減が難しいと感じています。私の場合、200mg前後の血糖値が30分のウォーキングで100mg前後まで下がりますが、ウォーキング終了後30分後にはまた200mg位まで上がってしまっていることがあります。」とありましたが、自分も同じ経験をしています。 なぜなのかとても不思議です。
2008/03/04(火) 16:16:45 | URL | 街のクマ 』
『街のクマさん。そうですか。同じ経験ですか。
運動と血糖値、なかなか一筋縄ではいきませんね。
2008/03/04(火) 22:21:44 | URL | 江部康二』
『私も難しいと感じています。
先生、街のくまさん、こんばんは。
私は1型で枯渇組なのですが、 やはり、食後1時間でBG200―250で時速6キロ、3%の傾斜のウォーキングを30分程度行います。 BGは100くらい落ちます。 クマさんと一緒ですね。
ですが、私の場合、上昇しません。 さらに、その後は何もしなくても50くらい、下がります。 難しいデス。
2008/03/04(火) 23:23:03 | URL | my』
『糖尿が進むと自律神経の働きが悪くなり、消化器系の働きが遷延することがあると伺いました。胸焼け胃もたれがいい証拠らしいです。
投薬・運動なしでも、2H後血糖は高くないのに、消化吸収が進むそれ以降で、血糖値が上昇するというケースを読んだことがあるのですが、たかたろおうさんや私のケースでは当てはまるような気が致します。
特に消化が遅れる油脂の多い食事の場合では。
先生も糖質を摂取なさって、同一条件でお試しになられたら、興味深い結果が得られるのではないのでしょうか。
自分は運動の有無を問わず、先生の提唱なさるスーパー糖質制限食こそ糖尿人を救うことになると信じています。
ちなみに朝晩合計23kmの自転車通勤と、昼休みの40分速歩でも、1週間に二回ほど昼食に糖質を摂取したところ、HaA1cが6.2まで上がってしまいました。
軽度の糖尿人には食後運動は効果があるのかもしれませんが、中等度を超えると、やはり糖質制限食の方が体に優しいのではないかと感じました。素人が生意気言って済みません。どうかお許し下さい。
話は変わるのですが、単調になりがちな糖質制限食を救うにあっては、(自分の昼食は毎日キャベツの千切りと鯖の水煮缶と、半丁の豆腐です。いい加減に厭きました。)だからこそ、美味しげな糖質・制限食コムでの食品開発はたいへんに有難いものに思われます。今日アップされたラーメン食べたいです。よだれが出て困りました。
あらてつさん、是非とも頑張ってください。
2008/03/04(火) 23:25:14 | URL | 街のクマ』
『こんばんは、たかたろうです。
街のクマさんのコメントに「特に消化が遅れる油脂の多い食事の場合では。」とありますが、そういわれてみれば、比較的あっさりした物を食べたときには再び血糖値が上昇することは無かったような気がします(記憶が曖昧でスミマセン)。
筋収縮によるGlut4トランスロケーションについてですが、インスリン依存のGlut4トランスロケーションは筋肉細胞・脂肪細胞の両方で起きますが、筋収縮によるインスリン非依存のGlut4トランスロケーションは筋肉細胞においてのみ起きるという理解で正しいでしょうか?また、安静時かつ筋グリコーゲン満タン時には筋肉細胞による糖の取り込みは行われないという理解も正しいでしょうか? だとすると、単純にそのときそのときで、(消化吸収による糖の血液への放出)-(筋肉細胞による糖の取り込み)=(血糖値の上下)、ということになるような気がします。
消化吸収が速いときは、運動終了までに糖の血液への放出が終了し、運動中の筋肉細胞が血糖を消費してしまうため、運動終了後に血糖値は上がらない。
消化吸収が遅いときは、運動終了までに糖の血液への放出は終了せず、運動中の筋肉細胞は血糖を消費するが、運動終了後の筋肉細胞は糖を消費しないので、運動終了後に血糖値が上がる。
(実際に糖尿人の運動中の呼吸商とかを測定してエネルギー代謝の割合を観測すれば新たな発見があるかもしれませんね。)
済みません、調子に乗って生意気なこと言ってしまいましたが、素人の戯言だと思ってお許し下さい。
P.S. ハンターXハンターの連載が再開されましたね。ストーリーを思い出すのに一苦労です。「ハギャ」が誰なのか思い出せません。
2008/03/05(水) 02:39:14 | URL | たかたろう』
街のくまさん、たかたろうさん、myさん、いつもコメントありがとうございます。
皆さんの体験データ、とても参考になります。
街のくまさんとたかたろうさんが仰有るとおり、消化吸収の遅延が関係しているようです。
まずは、脂肪と糖質を同時に摂取すると、糖質の吸収が少し遅れることが関係してますね。
それから、バーンスタイン医師(米国の1型糖尿病の医師で糖質制限食実践中)の本にも記載されている、街のくまさんご指摘の<胃排泄遅延・胃不全麻痺>が年期の入った糖尿人ではあります。欧米人には胃不全麻痺が結構多いようですが日本人でも当然ありえます。
30分の軽い運動で一旦下がった血糖値が、運動終了後30分でまた上昇した理由は、上記のように脂質と一緒に食べたか胃不全麻痺があったかで、食物の消化吸収が遅れたことが考えられます。
myさんは、1型糖尿病ですが胃不全麻痺はないので、運動終了後の血糖値再上昇がなかったのでしょう。
ところで、街のくまさん。
昼食は<毎日キャベツの千切りと鯖の水煮缶と、半丁の豆腐>ですか!?おかずは何を食べてもいいので、美味しく楽しくを目指してくださいね。
私の昼食は、高雄病院ではスーパー糖質制限食の給食です。江部診療所では、「ごはん日和」でおかずばっかり買ってきたり、コンビニのおでんとかです。
糖質制限ドットコムの、ローカーボフスマパンとか蒟蒻ラーメン、京のおばんざいも強い味方になってくれてますね。
街のくまさん、糖質制限ドットコム御贔屓、ありがとうございます。あらてつさんにより一層、食品開発に励んでもらうよう伝えておきます。
たかたろうさん。
血糖値の調節機構はとても複雑なので次回の宿題とさせてくださいね。
江部康二
2008年03月04日 (火)
おはようございます。
たかたろうさんから、筋力トレーニングと血糖値に関する追加コメントをいただきました。筋力トレーニングやウオーキングと血糖値の関係、勿論個人差はあると思いますが、おおいに参考になります。
『08/03/01 たかたろう
江部先生、こんにちは、たかたろうです。
私の体験を記事に取り上げて頂きまして、ありがとうございます。皆様の参考になればとてもうれしいです。
少し補足させて頂きます。
「筋力トレーニング直後の糖質補給は血糖値をそれほど上げません」と申し上げましたが、この効果は高負荷(数十キロの負荷を数回繰り返す)トレーニングの方が顕著で、低負荷(数キロの負荷を数十回繰り返す)トレーニングの場合は高負荷時ほどの効果はありません。どうやら、無酸素運動の方が食後のピーク血糖値を押さえるのに有効なようです。グリコーゲン消費量と関係しているのかもしれませんね。
ちなみに、筋力トレーニング直後以外の食事で意図せずに糖質を摂りすぎてしまったときなどは、食事開始後30~60分頃に30分程ウォーキングをして血糖値を下げるようにしていてますが、加減が難しいと感じています。私の場合、200mg前後の血糖値が30分のウォーキングで100mg前後まで下がりますが、ウォーキング終了後30分後にはまた200mg位まで上がってしまっていることがあります。つまり、血糖値の乱高下が起こることがあるのです。私の勝手な思いこみですが、
1.遅れて分泌されたインスリンと運動の効果と相まって一気に血糖値が下がる
2.一気に血糖値が下がると、それ以上下がらないようインスリンの分泌が止まる
3.インスリンの分泌は止まったが、食べたものの消化吸収は続いているので、再び血糖値が上昇する
といったことがおきているのではないかと思っています。
もっとも、しっかり糖質制限していればこんな乱高下が起きることはありませんね。これからも、先生の著書やブログを参考にさせて頂いて、糖質制限食を中心とした血糖コントロールを行っていこうと思っています。』
たかたろうさん。貴重な体験報告、ありがとうございます。
「筋力トレーニング後に糖質を摂取しても血糖値が上昇しない効果は、高負荷(数十キロの負荷を数回繰り返す)トレーニングの方が顕著で、低負荷(数キロの負荷を数十回繰り返す)トレーニングの場合は高負荷時ほどの効果はありません。」とのこと。
最高強度の運動の時は、即エネルギ-源が必要なので、筋肉細胞はまず自前で貯蔵していたATPやクレアチニンリン酸の生み出すATPを使います。そのあとは、グリコーゲン分解と解糖からのATP供給が5秒で最大となり、20秒くらい持続します。これらは、ほとんど全て嫌気的エネルギーで、無酸素運動で供給速度が速いです。
ご指摘の如く、高負荷の筋力トレーニングであれば、最高強度の運動であり、脂肪酸はエネルギー源としてほとんど使われないので、筋肉中のグリコーゲン消費量は多くなり、数回繰り返せば一旦枯渇するくらいまで減少すると考えられます。
これに対して、低負荷のトレーニングの場合は、脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム(好気的システム)も結構利用されるので、筋肉中のグリコーゲン消費量は少ないと考えられます。勿論低負荷のトレーニングではグリコーゲン-ブドウ糖システム(好気的システム)もあるていど利用されると思います。
高負荷の筋力トレーニング後に糖質を摂取すれば、枯渇した筋肉中のグリコーゲンを補充するためにドンドン血糖が取り込まれるのでしょう。
「筋力トレーニング直後以外の食事で意図せずに糖質を摂りすぎてしまったときなどは、食事開始後30~60分頃に30分程ウォーキングをして血糖値を下げるようにしていてますが、加減が難しいと感じています。私の場合、200mg前後の血糖値が30分のウォーキングで100mg前後まで下がりますが、ウォーキング終了後30分後にはまた200mg位まで上がってしまっていることがあります。」
そうなのですか。運動でいったん下がった血糖値が、また上昇することがあるのですね。そこまで連続して測定したデータはありませんので知りませんでした。大変貴重なデータで参考になります。
「糖尿病は薬なしで治せる」の著者・渡邊昌先生は、食事開始後30分で30分運動すれば、運動後も血糖は吸収され続けると記載しておられますが、個人差があるのでしょうね。
また糖尿病専門医ガイドブック(2006年)の98ページに、
「肥満2型糖尿病患者で、低強度運動30分実施後、2時間にわたってインスリン感受性が改善した」という報告が記載されています。
たかたろうさんの場合、運動後も血糖値が下がったままの時もあるのですね。運動後30分で再び血糖値上昇のパターンとどちらが多いのでしょう?
30分のウオーキングの場合、筋肉の主たるエネルギー源は脂肪酸-ケトン体システムなので、脂肪酸筋肉中のグリコーゲンはあまり減少しません。歩行中は筋肉の収縮により、Glut4が筋肉細胞表面にでてくるので血糖を取り込みますが、それがどのくらい持続するのかですね?
筋収縮によりGlut4が筋肉細胞表面に出ているのは、新潟医療福祉大学の川中健太郎先生によれば、運動終了後2~3時間持続とのことです。
先生の論文に引用してある文献によれば「ラットに2時間の水泳運動を負荷したあと、運動終了3時間後でも、一定量のインスリン刺激に対してよりたくさんのGlut4が細胞膜表面にトランスロケーションできる」そうです。
つまり一旦、2~3時間で細胞内に戻ったGlut4ですが、その後もしばらくはトランスロケーションしやすくなっているのですね。
たかたろうさんの高負荷トレーニングでも明らかなように、運動後の筋肉の糖取り込みの持続にはグリコーゲンの減少程度もかなり関係していると思います。
しかし運動と血糖値、まだまだよくわかっていないところも多く、これからの課題です。
江部康二
たかたろうさんから、筋力トレーニングと血糖値に関する追加コメントをいただきました。筋力トレーニングやウオーキングと血糖値の関係、勿論個人差はあると思いますが、おおいに参考になります。
『08/03/01 たかたろう
江部先生、こんにちは、たかたろうです。
私の体験を記事に取り上げて頂きまして、ありがとうございます。皆様の参考になればとてもうれしいです。
少し補足させて頂きます。
「筋力トレーニング直後の糖質補給は血糖値をそれほど上げません」と申し上げましたが、この効果は高負荷(数十キロの負荷を数回繰り返す)トレーニングの方が顕著で、低負荷(数キロの負荷を数十回繰り返す)トレーニングの場合は高負荷時ほどの効果はありません。どうやら、無酸素運動の方が食後のピーク血糖値を押さえるのに有効なようです。グリコーゲン消費量と関係しているのかもしれませんね。
ちなみに、筋力トレーニング直後以外の食事で意図せずに糖質を摂りすぎてしまったときなどは、食事開始後30~60分頃に30分程ウォーキングをして血糖値を下げるようにしていてますが、加減が難しいと感じています。私の場合、200mg前後の血糖値が30分のウォーキングで100mg前後まで下がりますが、ウォーキング終了後30分後にはまた200mg位まで上がってしまっていることがあります。つまり、血糖値の乱高下が起こることがあるのです。私の勝手な思いこみですが、
1.遅れて分泌されたインスリンと運動の効果と相まって一気に血糖値が下がる
2.一気に血糖値が下がると、それ以上下がらないようインスリンの分泌が止まる
3.インスリンの分泌は止まったが、食べたものの消化吸収は続いているので、再び血糖値が上昇する
といったことがおきているのではないかと思っています。
もっとも、しっかり糖質制限していればこんな乱高下が起きることはありませんね。これからも、先生の著書やブログを参考にさせて頂いて、糖質制限食を中心とした血糖コントロールを行っていこうと思っています。』
たかたろうさん。貴重な体験報告、ありがとうございます。
「筋力トレーニング後に糖質を摂取しても血糖値が上昇しない効果は、高負荷(数十キロの負荷を数回繰り返す)トレーニングの方が顕著で、低負荷(数キロの負荷を数十回繰り返す)トレーニングの場合は高負荷時ほどの効果はありません。」とのこと。
最高強度の運動の時は、即エネルギ-源が必要なので、筋肉細胞はまず自前で貯蔵していたATPやクレアチニンリン酸の生み出すATPを使います。そのあとは、グリコーゲン分解と解糖からのATP供給が5秒で最大となり、20秒くらい持続します。これらは、ほとんど全て嫌気的エネルギーで、無酸素運動で供給速度が速いです。
ご指摘の如く、高負荷の筋力トレーニングであれば、最高強度の運動であり、脂肪酸はエネルギー源としてほとんど使われないので、筋肉中のグリコーゲン消費量は多くなり、数回繰り返せば一旦枯渇するくらいまで減少すると考えられます。
これに対して、低負荷のトレーニングの場合は、脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム(好気的システム)も結構利用されるので、筋肉中のグリコーゲン消費量は少ないと考えられます。勿論低負荷のトレーニングではグリコーゲン-ブドウ糖システム(好気的システム)もあるていど利用されると思います。
高負荷の筋力トレーニング後に糖質を摂取すれば、枯渇した筋肉中のグリコーゲンを補充するためにドンドン血糖が取り込まれるのでしょう。
「筋力トレーニング直後以外の食事で意図せずに糖質を摂りすぎてしまったときなどは、食事開始後30~60分頃に30分程ウォーキングをして血糖値を下げるようにしていてますが、加減が難しいと感じています。私の場合、200mg前後の血糖値が30分のウォーキングで100mg前後まで下がりますが、ウォーキング終了後30分後にはまた200mg位まで上がってしまっていることがあります。」
そうなのですか。運動でいったん下がった血糖値が、また上昇することがあるのですね。そこまで連続して測定したデータはありませんので知りませんでした。大変貴重なデータで参考になります。
「糖尿病は薬なしで治せる」の著者・渡邊昌先生は、食事開始後30分で30分運動すれば、運動後も血糖は吸収され続けると記載しておられますが、個人差があるのでしょうね。
また糖尿病専門医ガイドブック(2006年)の98ページに、
「肥満2型糖尿病患者で、低強度運動30分実施後、2時間にわたってインスリン感受性が改善した」という報告が記載されています。
たかたろうさんの場合、運動後も血糖値が下がったままの時もあるのですね。運動後30分で再び血糖値上昇のパターンとどちらが多いのでしょう?
30分のウオーキングの場合、筋肉の主たるエネルギー源は脂肪酸-ケトン体システムなので、脂肪酸筋肉中のグリコーゲンはあまり減少しません。歩行中は筋肉の収縮により、Glut4が筋肉細胞表面にでてくるので血糖を取り込みますが、それがどのくらい持続するのかですね?
筋収縮によりGlut4が筋肉細胞表面に出ているのは、新潟医療福祉大学の川中健太郎先生によれば、運動終了後2~3時間持続とのことです。
先生の論文に引用してある文献によれば「ラットに2時間の水泳運動を負荷したあと、運動終了3時間後でも、一定量のインスリン刺激に対してよりたくさんのGlut4が細胞膜表面にトランスロケーションできる」そうです。
つまり一旦、2~3時間で細胞内に戻ったGlut4ですが、その後もしばらくはトランスロケーションしやすくなっているのですね。
たかたろうさんの高負荷トレーニングでも明らかなように、運動後の筋肉の糖取り込みの持続にはグリコーゲンの減少程度もかなり関係していると思います。
しかし運動と血糖値、まだまだよくわかっていないところも多く、これからの課題です。
江部康二
2008年02月25日 (月)
こんばんは。
土曜日から断続的に降り続いていた雪が、やっと昼になってやみました。3日間、屋根に積もるほどの雪が降り続けたのは、18才で京都に来てから初めてかもしれません。
さて、しばらく途絶えていた運動とエネルギー源シリーズの9回目です。
糖質制限食と筋力トレーニングに関して、たかたろうさんから貴重な体験データをご教示いただきました。
『08/02/13 たかたろう
糖質制限食と筋力トレーニング
江部先生、はじめまして、たかたろう と申します。
先生の本「主食を抜けば糖尿病は良くなる」を購入し、実践させてもらっています。
糖質制限食と筋力トレーニングについて話題になっていますが、私の経験をお知らせしますので、何かの参考にして頂ければ幸いです。
私は2型糖尿人ですが、ほぼ1日おきにジムに通って筋力トレーニングを行っています。トレーニングをはじめたきっかけは、糖質制限食で短期間での減量に成功したものの、周りの人には糖尿人であることを告げていないので、「見た目が貧相になった」とか「あいつはなんかの病気で激やせしたにちがいない」などと噂されるようになってしまい、なんとか体脂肪を増やさずに体重を増やしたいと思ったことでした。
ジムへは必ず夕食前に行きます。糖質制限食の本道からそれているかもしれませんが、私は筋力トレーニング後だけは糖質を制限していません。というのも、ある日偶然気が付いたのですが、筋力トレーニング後は普通に糖質を摂取しても(といっても90g程度ですが)食後血糖値が140mg/dl程度までにしか上がらないからです。ちなみにジムへ行かない日の夕食は、まさに1gの糖質が3mg/dl血糖値をあげる結果となってしまいますので、糖質制限食は欠かせません。
トレーニングをはじめて約1年になりますが、体組成計によると、体脂肪率(約14%)は維持したまま、筋肉が1kg弱増えました。私の場合、スタンダード糖質制限食ですが、「トレーニングしても全く筋肉が増えない」ということはないようです。
どこで読んだ覚えがあるのですが、筋グリコーゲンは筋肉だけで使われ、肝グリコーゲンのように血糖値の上昇に使われることはないそうですね。ならば、普段の生活だけで筋グリコーゲンが枯渇するということはないでしょうから、筋力トレーニング直後に糖質を補給し、筋グリコーゲンを満タンにしておけば、次回の筋力トレーニングに必要な筋グリコーゲンは温存されているのではないかと思います。そして、都合がよいことに、(少なくとも私の場合は)筋力トレーニング直後の糖質補給は血糖値をそれほど上げません。(このへんの科学的考察は、http://www.h4.dion.ne.jp/~jssf/text/doukousp/pdf/200610/0610_4246.pdf 「運動と骨格筋GLUT4」あたりが参考になりそうです)
自分以外の糖尿人の方が筋力トレーニングを行った場合にどうなるかは分かりませんが、私と同じような結果が得られるのであれば、筋力トレーニングを頑張った後は自分にスイーツのご褒美なんていうのもいいかもしれませんね。』
たかたろうさん、コメントそして「主食を抜けば糖尿病は良くなる」ご購入ありがとうございました。とても参考になるデータです。
ご教示頂いた、川中健太郎先生の<運動と骨格筋Glut4>という文献、ダウンロードして拝見しました。こちらも大変、勉強になりました。
『ジムへは必ず夕食前に行きます。糖質制限食の本道からそれているかもしれませんが、私は筋力トレーニング後だけは糖質を制限していません。というのも、ある日偶然気が付いたのですが、筋力トレーニング後は普通に糖質を摂取しても(といっても90g程度ですが)食後血糖値が140mg/dl程度までにしか上がらないからです。ちなみにジムへ行かない日の夕食は、まさに1gの糖質が3mg/dl血糖値をあげる結果となってしまいますので、糖質制限食は欠かせません。』
大変興味深い結果です。
川中先生の論文によれば、筋収縮によるインスリン非依存的なGlut4の細胞表面への移動は、2~3時間で消失するそうです。
ということは、運動後の筋における糖取り込みは2~3時間は持続するわけで、たかたろうさんの経験された好結果は、ほとんどの2型糖尿人にも当てはまる可能性が高いですね。
運動したあと、2~3時間以内であれば、少量の糖質を摂取しても食後高血糖が起こらないなら、糖尿人の食生活の幅がグンと広がってきます。
今までは、食事開始後30分に30分運動すれば、血糖値が60~80mg下がるというお話をしてきましたが、今後は、運動後の食事だと少量の糖質はOKという選択肢が出てきたので私も嬉しいです。(^o^)v
『トレーニングをはじめて約1年になりますが、体組成計によると、体脂肪率(約14%)は維持したまま、筋肉が1kg弱増えました。私の場合、スタンダード糖質制限食ですが、「トレーニングしても全く筋肉が増えない」ということはないようです。』
仰有る通りです。
私は、今までは糖質制限食で筋肉量を増やすのは難しいかなと思っていましたが、たかたろうさんの体験データを拝見し、折り合いがつくのだと考え直しました。
筋力トレーニングをしたあとに糖質を適量(食後血糖値が140~180mg未満で収まる量)摂取し、それ以外の食事は糖質制限食とすることで糖尿病のコントロールと筋肉量アップの両立が可能なのですね。たかたろうさん、ありがとうございます。(^∀^)
『筋グリコーゲンは筋肉だけで使われ、肝グリコーゲンのように血糖値の上昇に使われることはないそうですね。ならば、普段の生活だけで筋グリコーゲンが枯渇するということはないでしょうから、筋力トレーニング直後に糖質を補給し、筋グリコーゲンを満タンにしておけば、次回の筋力トレーニングに必要な筋グリコーゲンは温存されているのではないかと思います。』
その通りです。
糖質制限食実践中の糖尿人で、あるていど筋肉量を増やしたい方は、理論と体験に裏付けられた、たかたろうさんの方式を採用してみては如何でしょうか?
江部康二
土曜日から断続的に降り続いていた雪が、やっと昼になってやみました。3日間、屋根に積もるほどの雪が降り続けたのは、18才で京都に来てから初めてかもしれません。
さて、しばらく途絶えていた運動とエネルギー源シリーズの9回目です。
糖質制限食と筋力トレーニングに関して、たかたろうさんから貴重な体験データをご教示いただきました。
『08/02/13 たかたろう
糖質制限食と筋力トレーニング
江部先生、はじめまして、たかたろう と申します。
先生の本「主食を抜けば糖尿病は良くなる」を購入し、実践させてもらっています。
糖質制限食と筋力トレーニングについて話題になっていますが、私の経験をお知らせしますので、何かの参考にして頂ければ幸いです。
私は2型糖尿人ですが、ほぼ1日おきにジムに通って筋力トレーニングを行っています。トレーニングをはじめたきっかけは、糖質制限食で短期間での減量に成功したものの、周りの人には糖尿人であることを告げていないので、「見た目が貧相になった」とか「あいつはなんかの病気で激やせしたにちがいない」などと噂されるようになってしまい、なんとか体脂肪を増やさずに体重を増やしたいと思ったことでした。
ジムへは必ず夕食前に行きます。糖質制限食の本道からそれているかもしれませんが、私は筋力トレーニング後だけは糖質を制限していません。というのも、ある日偶然気が付いたのですが、筋力トレーニング後は普通に糖質を摂取しても(といっても90g程度ですが)食後血糖値が140mg/dl程度までにしか上がらないからです。ちなみにジムへ行かない日の夕食は、まさに1gの糖質が3mg/dl血糖値をあげる結果となってしまいますので、糖質制限食は欠かせません。
トレーニングをはじめて約1年になりますが、体組成計によると、体脂肪率(約14%)は維持したまま、筋肉が1kg弱増えました。私の場合、スタンダード糖質制限食ですが、「トレーニングしても全く筋肉が増えない」ということはないようです。
どこで読んだ覚えがあるのですが、筋グリコーゲンは筋肉だけで使われ、肝グリコーゲンのように血糖値の上昇に使われることはないそうですね。ならば、普段の生活だけで筋グリコーゲンが枯渇するということはないでしょうから、筋力トレーニング直後に糖質を補給し、筋グリコーゲンを満タンにしておけば、次回の筋力トレーニングに必要な筋グリコーゲンは温存されているのではないかと思います。そして、都合がよいことに、(少なくとも私の場合は)筋力トレーニング直後の糖質補給は血糖値をそれほど上げません。(このへんの科学的考察は、http://www.h4.dion.ne.jp/~jssf/text/doukousp/pdf/200610/0610_4246.pdf 「運動と骨格筋GLUT4」あたりが参考になりそうです)
自分以外の糖尿人の方が筋力トレーニングを行った場合にどうなるかは分かりませんが、私と同じような結果が得られるのであれば、筋力トレーニングを頑張った後は自分にスイーツのご褒美なんていうのもいいかもしれませんね。』
たかたろうさん、コメントそして「主食を抜けば糖尿病は良くなる」ご購入ありがとうございました。とても参考になるデータです。
ご教示頂いた、川中健太郎先生の<運動と骨格筋Glut4>という文献、ダウンロードして拝見しました。こちらも大変、勉強になりました。
『ジムへは必ず夕食前に行きます。糖質制限食の本道からそれているかもしれませんが、私は筋力トレーニング後だけは糖質を制限していません。というのも、ある日偶然気が付いたのですが、筋力トレーニング後は普通に糖質を摂取しても(といっても90g程度ですが)食後血糖値が140mg/dl程度までにしか上がらないからです。ちなみにジムへ行かない日の夕食は、まさに1gの糖質が3mg/dl血糖値をあげる結果となってしまいますので、糖質制限食は欠かせません。』
大変興味深い結果です。
川中先生の論文によれば、筋収縮によるインスリン非依存的なGlut4の細胞表面への移動は、2~3時間で消失するそうです。
ということは、運動後の筋における糖取り込みは2~3時間は持続するわけで、たかたろうさんの経験された好結果は、ほとんどの2型糖尿人にも当てはまる可能性が高いですね。
運動したあと、2~3時間以内であれば、少量の糖質を摂取しても食後高血糖が起こらないなら、糖尿人の食生活の幅がグンと広がってきます。
今までは、食事開始後30分に30分運動すれば、血糖値が60~80mg下がるというお話をしてきましたが、今後は、運動後の食事だと少量の糖質はOKという選択肢が出てきたので私も嬉しいです。(^o^)v
『トレーニングをはじめて約1年になりますが、体組成計によると、体脂肪率(約14%)は維持したまま、筋肉が1kg弱増えました。私の場合、スタンダード糖質制限食ですが、「トレーニングしても全く筋肉が増えない」ということはないようです。』
仰有る通りです。
私は、今までは糖質制限食で筋肉量を増やすのは難しいかなと思っていましたが、たかたろうさんの体験データを拝見し、折り合いがつくのだと考え直しました。
筋力トレーニングをしたあとに糖質を適量(食後血糖値が140~180mg未満で収まる量)摂取し、それ以外の食事は糖質制限食とすることで糖尿病のコントロールと筋肉量アップの両立が可能なのですね。たかたろうさん、ありがとうございます。(^∀^)
『筋グリコーゲンは筋肉だけで使われ、肝グリコーゲンのように血糖値の上昇に使われることはないそうですね。ならば、普段の生活だけで筋グリコーゲンが枯渇するということはないでしょうから、筋力トレーニング直後に糖質を補給し、筋グリコーゲンを満タンにしておけば、次回の筋力トレーニングに必要な筋グリコーゲンは温存されているのではないかと思います。』
その通りです。
糖質制限食実践中の糖尿人で、あるていど筋肉量を増やしたい方は、理論と体験に裏付けられた、たかたろうさんの方式を採用してみては如何でしょうか?
江部康二
2008年02月18日 (月)
おはようございます。今朝も雪が降っています。
昨夕からちらほら降り続いていました。少し積もっています。寒いです。
さて、レース中の水分・エネルギー補給に関してまつださんからコメントいただきました。
『レース中の補給
コメントをテーマにしていただきありがとうございます。
>なおお聞きしたいのですが、ハーフマラソン中のカロリー補給はなしと考えていいのですね
すみません。若干の補給をおこなっております。完全無補給でいく勇気がありませんでした。でも総摂取カロリーでは100kcal未満、糖質も20g未満だと思います。
顛末はこちら。http://kyoto-trailrun.lolipop.jp/main/2008/02/post_293.html
旅館での朝食: なし
ウォーミングアップ後: パワーバープロティンプラス 1かじり http://www.kenko.com/product/item/itm_8804732072.html べスパアドリンク 1袋 http://www.soukai.com/P8023995/p.html
10k地点: パワーバー 1かじり http://www.kenko.com/product/item/itm_8804728072.html
>それと水分補給はどのようにされたのでしょうか?
給水: 起床直後から随時。レース中は、水コップ5杯、ポカリ2杯ほど。
気温は0度付近で、目だった発汗はありませんでしたが、十分な水分補給は活動するための生命線です。
なぜこのような実験をしているかといいますと、どかっと糖質を摂ってしまうと重苦しくてパフォーマンスが落ちるばかりか、やがてハンガーノックの行動不能にならずとも、激しい空腹に見舞われるため、行動食を取り続けなければならないことがよくあります。
先日、雪山(比良山、行動5h)にいったときも、なるべく糖質以外も含まれるハムカツサンドイッチを押し込んで登ったら、案の定、腹減りまくり状態になってしまいました。
結局、何も食べずに行動を開始し、必要最小限の量を行動食として摂取しながら行動する方が、摂取量も回数も少なくさらにパフォーマンスもあがるのではないかと思い、その最適解を探っているのであります。2008/02/16(土) 20:59:17まつだ』
まつださん、早速の回答ありがとうございます。大変参考になります。
「総摂取カロリーでは100kcal未満、糖質も20g未満」のエネルギー補給でハーフマラソン完走ですね。
糖質摂取を最低限にすることで、ブドウ糖-グリコーゲンのエネルギーシステムが活性化するのを防いでおられますね。
糖質を一定量以上摂取すれば、ブドウ糖システムが活性化してしまい、筋肉中のグリコーゲンも燃やすようになり、結果筋肉中のグリコーゲンが枯渇すれば、筋肉の収縮は困難となり動けなくなります。
糖質摂取を最低限に止めることで、脂肪酸-ケトン体のエネルギーシステムが働き続けることとなり、その結果筋肉中のグリコーゲンが節約できることになります。
「どかっと糖質を摂ってしまうと重苦しくてパフォーマンスが落ちるばかりか、やがてハンガーノックの行動不能にならずとも、激しい空腹に見舞われるため、行動食を取り続けなければならないことがよくあります。先日、雪山(比良山、行動5h)にいったときも、なるべく糖質以外も含まれるハムカツサンドイッチを押し込んで登ったら、案の定、腹減りまくり状態になってしまいました。」
どかっと糖質を摂取すると血糖値が上昇して、インスリンが大量に追加分泌されるので、血糖値は下がりますが、運動も続けているのでしばらくすると血糖が下がり過ぎて、やや低血糖気味になり、激しい空腹感が生じると考えられます。
「給水:起床直後から随時。レース中は、水コップ5杯、ポカリ2杯ほど。気温は0度付近で、目だった発汗はありませんでしたが、十分な水分補給は活動するための生命線です。」
水分摂取了解です。適量の水分と、少量のポカリスエット補給で塩分も補給して、水中毒の予防にもなっていますね。
「結局、何も食べずに行動を開始し、必要最小限の量を行動食として摂取しながら行動する方が、摂取量も回数も少なくさらにパフォーマンスもあがるのではないかと思い、その最適解を探っているのであります。」
私もまつださんの考えに賛成です。私自身は週末テニスをするていどなので、本格的スポーツには縁がありません。
またまつださんの体験を、御教示頂ければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。
江部康二
昨夕からちらほら降り続いていました。少し積もっています。寒いです。
さて、レース中の水分・エネルギー補給に関してまつださんからコメントいただきました。
『レース中の補給
コメントをテーマにしていただきありがとうございます。
>なおお聞きしたいのですが、ハーフマラソン中のカロリー補給はなしと考えていいのですね
すみません。若干の補給をおこなっております。完全無補給でいく勇気がありませんでした。でも総摂取カロリーでは100kcal未満、糖質も20g未満だと思います。
顛末はこちら。http://kyoto-trailrun.lolipop.jp/main/2008/02/post_293.html
旅館での朝食: なし
ウォーミングアップ後: パワーバープロティンプラス 1かじり http://www.kenko.com/product/item/itm_8804732072.html べスパアドリンク 1袋 http://www.soukai.com/P8023995/p.html
10k地点: パワーバー 1かじり http://www.kenko.com/product/item/itm_8804728072.html
>それと水分補給はどのようにされたのでしょうか?
給水: 起床直後から随時。レース中は、水コップ5杯、ポカリ2杯ほど。
気温は0度付近で、目だった発汗はありませんでしたが、十分な水分補給は活動するための生命線です。
なぜこのような実験をしているかといいますと、どかっと糖質を摂ってしまうと重苦しくてパフォーマンスが落ちるばかりか、やがてハンガーノックの行動不能にならずとも、激しい空腹に見舞われるため、行動食を取り続けなければならないことがよくあります。
先日、雪山(比良山、行動5h)にいったときも、なるべく糖質以外も含まれるハムカツサンドイッチを押し込んで登ったら、案の定、腹減りまくり状態になってしまいました。
結局、何も食べずに行動を開始し、必要最小限の量を行動食として摂取しながら行動する方が、摂取量も回数も少なくさらにパフォーマンスもあがるのではないかと思い、その最適解を探っているのであります。2008/02/16(土) 20:59:17まつだ』
まつださん、早速の回答ありがとうございます。大変参考になります。
「総摂取カロリーでは100kcal未満、糖質も20g未満」のエネルギー補給でハーフマラソン完走ですね。
糖質摂取を最低限にすることで、ブドウ糖-グリコーゲンのエネルギーシステムが活性化するのを防いでおられますね。
糖質を一定量以上摂取すれば、ブドウ糖システムが活性化してしまい、筋肉中のグリコーゲンも燃やすようになり、結果筋肉中のグリコーゲンが枯渇すれば、筋肉の収縮は困難となり動けなくなります。
糖質摂取を最低限に止めることで、脂肪酸-ケトン体のエネルギーシステムが働き続けることとなり、その結果筋肉中のグリコーゲンが節約できることになります。
「どかっと糖質を摂ってしまうと重苦しくてパフォーマンスが落ちるばかりか、やがてハンガーノックの行動不能にならずとも、激しい空腹に見舞われるため、行動食を取り続けなければならないことがよくあります。先日、雪山(比良山、行動5h)にいったときも、なるべく糖質以外も含まれるハムカツサンドイッチを押し込んで登ったら、案の定、腹減りまくり状態になってしまいました。」
どかっと糖質を摂取すると血糖値が上昇して、インスリンが大量に追加分泌されるので、血糖値は下がりますが、運動も続けているのでしばらくすると血糖が下がり過ぎて、やや低血糖気味になり、激しい空腹感が生じると考えられます。
「給水:起床直後から随時。レース中は、水コップ5杯、ポカリ2杯ほど。気温は0度付近で、目だった発汗はありませんでしたが、十分な水分補給は活動するための生命線です。」
水分摂取了解です。適量の水分と、少量のポカリスエット補給で塩分も補給して、水中毒の予防にもなっていますね。
「結局、何も食べずに行動を開始し、必要最小限の量を行動食として摂取しながら行動する方が、摂取量も回数も少なくさらにパフォーマンスもあがるのではないかと思い、その最適解を探っているのであります。」
私もまつださんの考えに賛成です。私自身は週末テニスをするていどなので、本格的スポーツには縁がありません。
またまつださんの体験を、御教示頂ければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。
江部康二