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マラソンと糖質制限食、持続量増強
こんにちは。

土の器さんから、マラソンと糖質制限食についてコメント、質問をいただきました。


【2/11/21 土の器

50歳と糖質制限

私は61歳でスーパー糖質制限10ヶ月目ですがメタボ体型も学生時代にもどり、マラソンもエネルギー切れもなく疲労感も少なく快適で感謝一杯ですが、糖尿病などない方でたとえば50歳以下の若い方の場合、糖質制限をゆるめにするとか、年齢による配慮は必要なのでしょうか? マラソン仲間で若く細身の方に脂質代謝能の向上のために勧めるのは、どうなんでしょうか?お教えいただければ幸いです。】


土の器 さん。

減量成功、体調良好、良かったです。

糖質制限食は、全ての年齢において、人類本来の食事であり、人類の健康食です。

従って、マラソン仲間の若い人でもOKです。

ただ、70億の人類を養うには穀物は必用ですし、子供達の学校給食との兼ね合いとかもありますので、私はテーラーメードダイエットを提唱しています。(*)

さて、マラソンなどの持久力が肝要なスポーツには、糖質制限食はぴったりです。

土の器さんが体験されたように、スタミナがつきます。

糖質制限食なら、運動で鍛えなくても<脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム>が、活性化していきます。

つまり、ステーキを食べている最中にも脂肪が燃えていて、空腹時も含めて24時間ずっと脂肪が燃えています。

このため少しくらい心拍数が上昇する運動でも、筋肉は脂肪酸-ケトン体をエネルギー源として利用しますのでグリコーゲンが節約できます。

マラソンの距離のほとんどを脂肪酸-ケトン体をエネルギー源として乗り切って、ラストスパートで残っているグリコーゲンを利用して、瞬発力で駆け抜けるというパターンです。

糖質を普通に食べていて、鍛えてない人は、少し心拍数が上がる運動でも、筋肉は<ブドウ糖-グリコーゲンエネルギーシステム>にすぐに切り替えて依存します。

そうすると筋肉細胞中のグリコーゲンが一定以上減少した段階で筋肉は収縮できなくなるので動けなくなります。これが持久力がない人のパターンです。

なお100m競争とかの無酸素運動と、重量挙げなどのゴリマッチョな筋肉増強には、糖質制限食は向かないかもしれません。


(*)
2011年08月06日 (土)の本ブログ記事
マクロビオティックと糖質制限食とテーラーメードダイエット
をご参照ください。



江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食で持久力向上、SMBGの体験
こんにちは。

daniel さんから、とても嬉しいコメントをいただきました。

ブログ読者の皆さんにも是非紹介したいと思いましたので記事にしました。


【11/12/17 daniel
食後血糖値

江部先生、いつも有意義な情報とその交換の場をありがとうございます。

さて、先日よりSMBGを始めた旨をご報告しましたが、その後の「実験」により今更ながら糖質制限食の凄さを実感しました。

以下本日の夕食内容です。

・焼き魚2切れ
・鶏肉のオリーブオイル炒め(250g)
・サラダ(マヨネーズをたっぷりかけて)
・ほうれん草のおひたし

食後に
・ウイスキー水割り(シングル3杯)
・落花生一握り
・チーズ6Pを1個
・ボイルしたイカ

この食事内容で食後1時間の血糖値が107mg/dlでした。

人のモチベーションの高さは動機に比例し、動機の強さは納得度に比例すると言われています。

今更ですが、江部先生の推奨する糖質制限食を実行した場合、私の空腹時血糖値が95~100mg/dlなので僅か10mg/dl程度の上昇で済む事が実感できました。

SMBGにより理屈ではなく、現実として自分の体で実感しこれ以上なく納得出来ました。

因みに、糖質制限しない食事を摂った場合は210mg/dlですので、殊更に糖質制限食の凄さに驚き、今更ですが江部先生やこのサイトを御覧の皆さんにも知って頂きたく書き込みました。

尚、糖質制限食を始めてからは、持久力が付き趣味のゴルフは真夏の炎天下でも駆け足でラウンドできる位に向上しました。

以上、すこしでも皆さんの参考にして頂ければ幸いです。】



daniel さん。

結構なボリュームの夕食ですね。

ウィスキー水割り、シングル3杯も、自制が効いた大人の味わいで格調高いです。 (^_^)

私のアルコール摂取量は、アサヒスタイルフリーを350ml×1~2缶、焼酎(アルコール度数25%)の水割り(ダブル)を、グラスに3~4杯くらいです。

焼酎の代わりに、赤ワインをボトル半分くらいの日もあります。

米国糖尿病協会では、コントロール良好の糖尿人においては、アルコール24g(30ml)/日を食事と共にとるていどなら適量としています。

アルコール24gというのは、ビール350ml缶なら2本、ワイン150ml×2杯、ウイスキー30ml×3杯くらいに相当します。

ウィスキーは、アルコール度数が40%くらいが多いです。

私は、米国糖尿病協会からは、怒られる不良患者ですね。( ̄_ ̄|||)

日本の標準でウィスキーのシングルは30ml、ダブルは60mlくらいです。

daniel さんは、ウィスキー90ml/日なので、米国糖尿病協会基準をクリアしておられますよ。

「空腹時血糖値が95~100mg/dlなので僅か10mg/dl程度の上昇で済む事が実感できました。SMBGにより理屈ではなく、現実として自分の体で実感しこれ以上なく納得出来ました。因みに、糖質制限しない食事を摂った場合は210mg/dlです。」

血糖自己測定の利点ですね。 (^^)

『血糖値を上昇させるのは糖質だけで、タンパク質・脂質は上昇させない』

ということは、理屈では皆さんわかっていると思うのですが、

『少しくらいの糖質なら大丈夫だろう・・・』という、非論理的思考が湧いてきて (∵)?

まあ、糖質食べちゃう人も多いのです。(*- -)(*_ _)

こんな時、SMBG(*)してみると、食後血糖上昇は一目瞭然で、努々油断は禁物ということが自分で確認できます。そうなると、糖質制限食へのモチベーションは俄然、高まりますね。

「糖質制限食を始めてからは、持久力が付き趣味のゴルフは真夏の炎天下でも駆け足でラウンドできる位に向上しました。」

良かったです。

糖質制限食実践により、常に24時間脂肪酸-ケトン体エネルギーシステムが稼働している身体となっています。
これにより、筋肉中に蓄えてあるグリコーゲン(ブドウ糖の集合体)を節約できるので、持久力がつくわけです。

勿論、運動する方がよりいいに決まっていますが、糖質制限食なら、日々トレーニングして鍛えてなくても、それなりに持久力がつくという利点があるのです。


(*)
“self-monitoring of blood glucose”血糖自己測定、頭文字をとってSMBGといいます。


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
登山とスーパー糖質制限食・追加
こんばんは。

登山と糖質制限食について、wakaさんとまつださんから、コメントをいただきました。

日頃スーパー糖質制限食を実践していると、ほとんど行動食もいらないようですね。

お二人とも山登りを日常的にしておられるので、お話しに説得力があります。
wakaさんとまつださん、貴重なアドバイスありがとうございます。

私などは、1~2週間に1回、日曜日にテニスするぐらいで山も登りませんので、実体験がありません。

まあ、wakaさんとまつださんはかなり鍛えられているタイプなので、ごくたまに山登りする一般の人は、行動食として「スーパー糖質制限食+ナッツ類」が無難かもしれませんね。


江部康二


「10/07/08 waka
登山での行動食
江部先生、コメントはご無沙汰ですが、ブログは毎日見させていただいています。

私はほぼ毎週山に登っていますが、行動食は持って行きません。6時間から8時間程度の行動で空腹感や疲れは出ません。

水出しほうじ茶を、夏場は2L、冬は1L持って行きます。非常用と塩分補給用でマヨネーズを1本ザックに入れてあります。普通の人の非常食はチョコレートなどが多いですが。
普段も朝晩の2食のみで、スーパー糖質制限食です。糖質制限も1年半を過ぎか体が脂肪代謝にしっかりなっています。」




「10/07/08 まつだ
登山での行動食について
>りんりんさん

糖質制限食で持久力向上」、「運動とエネルギー源⑦ 朝食を摂らずにハーフマラソン」を紹介していただいた、松田と申します。

記事ではマラソンについて書いていますが、山岳会に所属し登山愛好家でもあります。ただし普通の登山というより、走りをとりいれた山岳ランニングという範疇ですが。

もっぱらのトレーニングでは京都の愛宕山標高約900m(往復2時間強ていど)に、ほぼ毎週登っていますが、朝食は食べず、行動中の補給もしていません。体が慣れているのでこのようなことが可能となります。

ただし、ここで注意すべき点として、強度をあげないということです。よほどレース前で追い込まない限り、息が荒れるほど強度をあげません。心拍計を用いて厳密に強度管理をしています。普通の登山でここまでするのは大変なので、特に登りでは基本はニコニコおしゃべりができるペース、ややゆっくりと感じるぐらい、普段駅の階段を上る半分ぐらいのスピードがよいでしょう。

登山の経験者ほどゆっくり登ります。習慣化すると、低い強度でも、速く登れるようになってきます。無理して速く登るのと、無理をしなくても自然に速いペースで登れるのとでは意味合いが違います。

また、強度を上げてしまうと解糖系が働くので、糖質にたよってしまうことになるのです。

2hまでなら補給なしといいましたが、たとえば行動時間が10時間などになってくると、どんなに強度管理をしてもお腹は空いてきます。

その場合、レースなど時間的制約がある場合、ゼリーなどの吸収性のよい糖質を利用しますが、ゆっくり登山であるならば、江部先生のおっしゃるように、ナッツ等で十分かと思います。

小難しくかいて分かりにくいのですが、こちらの記事もご参考ください。
http://kyoto-trailrun.lolipop.jp/main/2008/08/post_347.html





テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
登山とスーパー糖質制限食
こんにちは。

今回は、登山とスーパー糖質制限食についてりんりんさんからコメント・質問をいただきました。


「10/07/07 りんりん
登山のシャリバテって?
野菜を先に食べると血糖値が上がりにくい、っていうのは本当だったんですね。
興味深いです。

わたしは先生の本をよんで、基本的にスーパー糖質制限食なのですが、こんど山登りに挑戦することになりました。
そうすると、『炭水化物をとらないとシャリバテするから』と、おにぎりやパン、飴、チョコレート、クッキーなど、普段食べない食べ物をしっかりとるように注意をうけました。
休憩時間にちょこっと食べて、すぐ動くことになるので、血中の糖を消費して血糖値は上がりにくいと思います。
でも、わたしは炭水化物中毒&アレルギー気味なので、食欲がとまらなくなったらどうしよう、アレルギーがでたらどうしよう、でもでも、シャリバテしてまわりに迷惑かけるのもわるいし・・・
と悩み中です。

普段から糖質制限食で糖新生になれていると、炭水化物をとらなくても登山ができるでしょうか?」


りんりんさん。

普通に健康だったご先祖様なら、100万年前には、1ヶ月くらい水だけで野山を駆けめぐり、狩りをしていたでしょうね。

脂肪酸-ケトン体を主エネルギー源にすれば、備蓄たっぷりなので、水だけでも1ヶ月OKなのです。

赤血球のために絶対に必要なブドウ糖は、肝臓が糖新生で造ってくれます。

3食糖質を摂取している今の文明人は、なかなかそうはいきませんよね。

一方、他のブログ読者からもコメントいただきましたが、糖質制限食で明らかに持久力が向上します。

(2007年12月04日のブログ「 糖質制限食で持久力向上」、2008年02月15日のブログ「運動とエネルギー源⑦ 朝食を摂らずにハーフマラソン」もご参照くださいね。)

登山や長距離を走ったり泳いだりとか、持久力が必要なスポーツは、脂肪酸をエネルギー源として上手に使わなければ1~2時間で、筋肉中のグリコーゲンが枯渇して足が棒のようになり、動けなくなります。グリコーゲンはブドウ糖の集合体です。

筋肉中に蓄えられているグリコーゲンは、体重60kg、体脂肪率20%の標準的な男性で、約300g、1200キロカロリーしかありませんから、これをメインに利用してしまえば1~2時間しかもたないわけです。

心筋や骨格筋は、安静時や歩行時は、主として脂肪酸-ケトン体を主エネルギー源として利用していて、ブドウ糖はあまり利用していません。

しかし、一般人は、あるていど心拍数が上昇するような運動になると、筋肉中のグリコーゲンを、手っ取り早くブドウ糖に変えてエネルギー源にしてしまい、脂肪酸をあまり利用しなくなりますから、すぐに上述のようなエネルギー切れになってしまい、スタミナが続かないわけです。

一方、鍛えてある一流スポーツ選手は、少々心拍数が上昇しても脂肪酸をエネルギー源として利用し続けることができますから、筋肉中のグリコーゲンを節約できて、最後のラストスパートでしっかり利用できるわけです。ラストスパートのような、全力疾走とか瞬発力が必要な時は、筋肉はブドウ糖を利用します。

スポーツ選手は、一般人に比べれば、体脂肪率は低いですが、筋肉中の脂肪は増えています。筋肉中の脂肪は、総体脂肪量に対する割合はごく小さいですが、これがどうやら持久力の向上にあるていど関係しているようです。
持久運動の後には、筋肉内の脂肪蓄積は、減少していることが示されています。

筋肉細胞では、脂肪はミトコンドリア近くに局在する小さな脂肪滴中に、トリグリセリドとして蓄積されているそうです。

一流スポーツ選手ほどは鍛えてなくても、スーパー糖質制限食を実践していると、脂肪酸-ケトン体のシステムを日常的に利用するようになるので、運動中にも効率よく脂肪をエネルギー源として利用できます。これにより、筋肉中のグリコーゲンを節約できて、持久力増強につながると考えられます。

りんりんさんの山登りですが、スーパー糖質制限食で持続的スタミナは増しているはずですから、今までより楽に歩けると思いますよ。(^◇^)

おにぎりやパン、飴、チョコレート、クッキーなどの精製炭水化物を摂取すると、

「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」

から

「ブドウ糖-グリコーゲンエネルギーシステム」

に切り替わってしまうので、瞬間元気でも持久力は低下し、すぐに空腹になり、また食べてという繰り返しで疲れやすくなります。

登山中は、ミックスナッツをちょこちょこ食べて、脂質、タンパク質、少量の糖質、少量の塩分を補充し、お茶などで水分補給します。

これなら食後高血糖がほとんど生じないので、「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」も維持されつつ、適宜エネルギーも補給できます。

また、炭水化物依存&アレルギー気味なのもだいじょうぶです。

りんりんさん、このような作戦で、山頂を目指してくださいね。


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
夜間睡眠時の脂肪燃焼
おはようございます。

昨夜の第三金曜ライブ、小雨にもかかわらずたくさんのお客さんにきていただき大盛況でした。
嬉しい限りです。 (^_^)

今日はとてもいい天気で、名古屋講演会も一安心です。
名古屋講演会、200人以上の参加者でこちらも嬉しい限りです。 (^_^)

さて、内科大学院生さんから、夜間睡眠時の脂肪燃焼について、コメント・質問をいただきました。


「10/04/15 内科大学院生
ありがとうございました。
江部先生

いつも質問にお答えいただき、本当に感謝しております。

もう一つだけ質問させて下さい。

先生の本日のブログの中に

『スーパー糖質制限食なら、夜間睡眠時は特にしっかり脂肪が燃焼しています。』

というご記載がありましたが、夜間睡眠時にとりわけ脂肪が燃えやすいのはどうしてでしょうか?

ご多忙の中大変恐縮ではありますが、
またご教示ください。

内科大学院生」



内科大学院生さん。

糖質を摂取している時は、食物摂取後数時間経過した空腹時には基本的に脂肪が燃えて、肝臓では糖新生が行われます。

昼間の空腹時でもそうですが、夜の絶食時間は一番長いです。

糖質のある夕食を午後6時頃食べて、午後11~12時に就寝なら、夜中はもうしっかり脂肪が燃えて肝臓では糖新生がおこなわれています。

夜食に午後9時から10時、ラーメンなど食べたら、本来脂肪が燃えて、肝臓で糖新生する時間帯の夜中に、脂肪を蓄積する方向に向かいますので太りやすいのです。

糖質制限食なら常に脂肪が燃えていますが、空腹時間が連続して長いほどしっかり燃えることになります。糖新生も空腹時間中はずっと行われます。

例えば絶食療法(断食)の初期は、数日目で血中のケトン体が3000~4000μM/L(26~122)くらいに上昇します。

血中ケトン体が高値ということは、それだけ脂肪が燃えている証拠です。

絶食療法で一定期間が経過すると、血中のケトン体はあるていど下がって安定します。

2002年からスーパー糖質制限食実践中の私の早朝空腹時のケトン体は、500~1200くらいです。
このまま、絶食を続ければ血中ケトン体は一旦3000~4000になると思います。

要するに空腹時間(絶食時間)が長いほど、脂肪の分解は高まり血中ケトン体も上昇します。通常のライフスタイルだと、夜間の絶食時間が一番長いので、脂肪燃焼も一番たっぷり行われます。

江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット