糖質制限食実践中のブドウ糖負荷試験。一見耐糖能低下のことがあるが?
こんにちは。

糖質制限食実践中の耐糖能検査について説明しておきます。

75g経口ブドウ糖負荷試験実施前3日間は、150g/日以上の糖質摂取が、日本糖尿病学会の推奨となっています。

糖質制限をあるていどの期間続けた正常人が、いきなり、ブドウ糖負荷試験あるいは糖質一人前摂取で、耐糖能低下のように見えるデータがでることが、時にあります。

私見ですが、これは、追加分泌インスリンを出す必要がほとんどない糖質制限食を続けていた場合には、糖質摂取に対して、β細胞が準備ができていない状態であった可能性があります。

従って、150g/日以上の糖質を3日間摂取することで準備を整えてから検査をすると、β細胞の準備ができているので、もともと正常型だった人なら耐糖能が普通に戻ると思われます。

スーパー糖質制限食実践でβ細胞は休養できていて、なおかつ血糖コントロール良好ですので、高血糖によりβ細胞が障害されている可能性はありません。

ですから、β細胞のインスリン分泌能力も準備さえ整えば、正常に作用すると考えられます。

つまり、正常人が糖質制限中にいきなり糖質摂取したとき、一見耐糖能が低下したようなデータが出ることがありますが、これは本当にβ細胞が障害されて耐糖能が落ちたのではないので、心配ないということです。

糖質制限食実践者においては、食後高血糖によるβ細胞の障害はないので、本当にインスリン分泌能が低下するということは考えられません。

一方、私、江部康二の場合は、β細胞はすでに何割かは壊れている糖尿人です。
壊れたβ細胞は決して元には戻りません。

それで2002年糖尿病発覚以来、2017年現在まで、足かけ16年、スーパー糖質制限食を実践しています。

検査データは全て正常で合併症は皆無です。

従って

江部康二の耐糖能は、見かけ上ではなく本当に低下していますが、糖質制限食を続ける限りは、正常人です。

一方、糖質を摂取すれば糖尿人です。

人類は狩猟・採集時代の700万年間は糖質制限食です。
穀物食(高糖質食)は農耕後の1万年間だけです。

どちらが人類にとって自然な食事であるかは明白です。

糖質制限食は人類本来の食事であり、人類の健康食です。

私はこのように思いますので、一生、美味しく楽しく糖質制限食を続けて、健康ライフを維持していきたいと思います。



江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食実践中の耐糖能検査。一見低下のことがあるが?
【16/06/05 コアラ

耐糖能の悪化

江部先生こんばんは。

長期の糖質制限で正常な人の耐糖能が落ちるという件ですが、いったん耐糖能が落ちても、日に150g程度の糖質を摂取すればそのうち正常値に戻るのかを是非知りたいです。

これについての研究や報告は見たことがないので、糖質摂取により元に戻るのなら、更に糖質制限にとって追い風になるのではないでしょうか。

あらてつさんも正常値だったのに糖尿病になってしまわれましたね。

もう治らないのでしょうかね? 】


おはようございます。

コアラさんから、糖質制限食実践中の耐糖能検査についてコメント・質問を頂きました。

75g経口ブドウ糖負荷試験実施前3日間は、150g/日以上の糖質摂取が、日本糖尿病学会の推奨となっています。

糖質制限をあるていどの期間続けた正常人が、いきなり、ブドウ糖負荷試験あるいは糖質一人前摂取で、耐糖能低下のデータがでることが、時にあります。

私見ですが、これは、追加分泌インスリンを出す必要がほとんどない糖質制限食を続けていた場合には、糖質摂取に対して、β細胞が準備ができていない状態であった可能性があります。

それで、150g/日以上の糖質を3日間摂取することで準備を整えてから検査をすると、β細胞の準備ができているので、もともと正常型だったのなら耐糖能が普通に戻ると思われます。

スーパー糖質制限食実践でβ細胞は休養できていますが、血糖コントロール良好ですので

β細胞が障害されている可能性はありません。

ですから、β細胞のインスリン分泌能力も準備さえ整えば、正常に作用すると考えられます。

つまり、正常人が糖質制限中にいきなり糖質摂取したとき、一見耐糖能が低下したようなデータが出ることがありますが、これは本当にβ細胞が障害されて耐糖能が落ちたのではないので、心配ないということです。

糖質制限食実践者においては、食後高血糖によるβ細胞の障害はない

ので、本当にインスリン分泌能が低下するということは考えられません。


あらてつさんの場合、実験で普通の食パン60g摂取して血糖値を測ったところ…。

空腹時 106mg
30分後 150mg
60分後 180mg
120分後 158mg

食パン60gが162kcalで、糖質が約30gです。

1gの糖質が、60分後のピークで訳2.47g血糖値を上昇させています。

糖尿人だと1gの糖質が3mg血糖値を上昇させるので、あらてつさんは境界型レベルです。

あらてつさんの場合も、もともと正常型なら150g/日以上の糖質を3日間摂取することで、正常に戻る可能性が高いです。

しかし、あらてつさんが高雄病院の職員だった十数年前

「職員検診で空腹時の血糖値が123mg/dlやら120mgやらになることが数回」

とのことなので、もともと境界型だったようですね。

食後高血糖が数年間続いた後に、空腹時の血糖値が110mg/dlを超えてくることが多いです。

そういう風に考えると、あらてつさんの耐糖能は十数年前より改善しているのかもしれません。
少なくとも、早朝空腹時血糖値は、境界型から正常型に改善しています。

なお、あらてつさんは、糖尿病の家族歴があります。


私、江部康二の場合は、β細胞はすでに何割かは壊れている糖尿人です。壊れたβ細胞は決して元には戻りません。

それで2002年糖尿病発覚以来、2016年現在まで、足かけ15年、スーパー糖質制限食を実践しています。

検査データは全て正常で合併症は皆無です。

従って

江部康二の耐糖能は、見かけ上ではなく本当に低下していますが、糖質制限食を続ける限りは、正常人です。

一方、糖質を摂取すれば糖尿人です。

人類は狩猟・採集時代の700万年間は糖質制限食です。 穀物食(高糖質食)は農耕後の1万年間だけです。

どちらが人類にとって自然な食事であるかは明白です。

糖質制限食は人類本来の食事であり、人類の健康食です。

私はこのように思いますので、一生、美味しく楽しく糖質制限食を続けて、健康ライフを維持していきたいと思います。



江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食と耐糖能。境界型。糖尿病。目的論的対応は。
【15/06/16 ぱぴこ

助言をよろしくお願いします。

江部先生
コメント欄にて失礼します。

今年に入り糖質制限を始めており、以前も2月ぐらいに相談させていただいたぱぴこと申します。

今回投稿したのは、アドバイスをいただけたらと思ったためです。

私は30代、157cm、40kgのやせ型、昨年末にOGTT1時間が243、(HOMA-β0.3) IGTの診断を受けました。

主治医は、糖質制限が良いとも悪いともいえないが血糖変動幅が少ないメリットや経過で採血上は大きな問題はなく、私の思いを尊重して下さっています。

3食主食抜き、糖質は1食15-30g程度でしています。
やせの大食いタイプのため、脂質とタンパク質で何とか体重は保つよう努力しています。

SMBGを購入し、食前、食後の推移を見ています。

当時はOGTT再検の相談もしましたが、主治医からは、先生と同様、再検よりは何を食べればどう推移するのかを見ながら食事をしていきましょうと助言を頂き、定期的に採血フォローをしています。

4月あたりから、食前、食後血糖が平均10程度上昇しており、6月の定期採血ではHbA1c5.1→5.6に上昇していました。
食前は70台→80-90台、食後1時間値は100-110台→120-150台に上がっている感じです。

また、2時間値にピークがずれてくることも出てきました。

一応、Hba1cでの平均血糖は116ぐらいですし、1時間値180 2時間値140の目安はクリアしているのですが…。

先生は糖質制限で、β細胞が休養できて耐糖能が改善する人もおり先生も改善した一方で、悪化することもあり、個人差があるとブログで読みました。また、様々な研究がされていることも知りました。

私の場合も、β細胞が休養ができ、少しづつでも改善することを期待していましたが、私の場合は、逆に耐糖能は悪化傾向なのかなと感じています。

とは言っても、ごくたまの普通のランチ等でご飯やパンの糖質をとれば200を優に超えるため、もはや糖質をとる食事内容に変えることは考えられないです。

主治医の先生とも相談し、こちらのブログも参考にしながら、糖質制限という食事療法を選択し続けているのは私なので、もちろん自己責任ということは承知の上ですが、

先生の患者さんで耐糖能が改善している人はそれでよいと思うのですが、逆に耐糖能が悪化しているような患者さんに対しては、その後の食事、内服療法他、フォローについては具体的にはどのようにされていますか?

ぜひ参考にしたいです。

助言をよろしくお願いいたします。】


こんばんは。

ぱぴこさんから、糖質制限と耐糖能について、コメント・質問をいただきました。

ぱぴこさんは、75gOGTTで、境界型糖尿病(IGT:食後高血糖タイプ)との診断を受けておられます。

境界型糖尿病(IGT:食後高血糖タイプ)と糖質制限食に関しては、新潟労災病院の前川智先生の以下の論文があります。

<糖質制限食と耐糖能に関する研究論文>
1)
新潟労災病院消化器内科部長前川智先生の論文
「耐糖能異常に対する低炭水化物食の効果に関する後ろ向き研究」
Diabetes, Metabolic syndrome, Obesity, Target and Therapy
(ニュージーランドの英文雑誌)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4063858/  → ここで全文が閲覧可能です。

Diabetes Metab Syndr Obes. 2014; 7: 195–201.
Retrospective study on the efficacy of a low-carbohydrate diet for impaired glucose tolerance
Satoshi Maekawa,1 Tetsuya Kawahara,2 Ryosuke Nomura,1 Takayuki Murase,1 Yasuyoshi Ann,1 Masayuki Oeholm,1 and Masaru Harada3

12ヶ月間の低炭水化物ダイエット(120g/日の糖質)により、境界型糖尿病36名中25名(69.4%)が、OGTTで正常化。
11名(30%)は境界型(IGT)のまま。
糖尿病発症は0名(0%)。

対照群(普通食)36名中、3名(8%)が正常化。
28名(78%)は不変でIGTのまま。
5名(14%)が糖尿病発症。


糖質制限食実践により、1年後、境界型糖尿病の耐糖能が69%も正常化していて、対照群に比べて素晴らしい成果です。

1日の糖質摂取量を120gに設定したのが糖質制限食グループです。
普通食のグループは、200~240g/日くらい糖質を摂取しています。

境界型糖尿病(IGT:食後高血糖タイプ)と糖質制限食に関する論文は、世界的にもほとんど見られず、極めて貴重な論文と思います。


ぱぴこさんは、2014年12月
OGTT1時間が243mg/dlでIGTの診断です。
1時間値が180mg/dlを超えているので、将来糖尿病になる確立が高いタイプです。

しかし、糖質制限食を実践している限りは
「Hba1cでの平均血糖は116mg/dl
1時間値180mg/dl未満、2時間値140mg/dl未満の目安はクリア」

ですので、基準的には正常であり、将来の合併症の心配も皆無です。

主治医の仰るように、「75gOGTTも基本的には不必要」というか、臨床的な意味があまりありません。

とてもニュートラルな柔軟な対応の主治医殿であり、素晴らしい医師と思います。

耐糖能をどうしても確かめたいという願望があるなら、あえて75gOGTTをされてもいいのですが・・・。

耐糖能が悪化したか改善したか調べること自体が、学術論文としての価値があるなら兎も角として、個人レベルでは意味が少ないのです。

私も、2002年に糖尿病が発覚してから、75gOGTTはやったことがないですし、今後もするつもりはありません。

ぱぴこさんは、今のまま、「3食主食抜き、糖質は1食15-30g程度」のゆるい糖質制限食を続けられるのも良いですし、私のように1食10~20g以下のスーパー糖質制限食をされるのもよいでしょう。

目的論的に実務的に考えるなら、優先順位の一番は、「糖尿病を発症しないこと」と「合併症を起こさないこと」の2点です。

実は、IGTの段階でも心筋梗塞のリスクが増大することが明らかとなっています。

IGTの段階でも糖質を摂取すれば「食後高血糖「平均血糖変動幅増大」という酸化ストレスリスクが生じているからです。

現段階で糖質制限食を実践すれば、「食後高血糖「平均血糖変動幅増大」という酸化ストレスリスクは生じません。
私はそれでいいと思います。


パピコさん(境界型)も私(糖尿病)も糖質を摂取すれば「食後高血糖「平均血糖変動幅増大」という酸化ストレスリスクを生じ、危険です。

一方、パピコさん(境界型)も私(糖尿病)も、糖質制限食なら「食後高血糖「平均血糖変動幅増大」という酸化ストレスリスクは生じず、健康人ライフをまっとうできるということです。



江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食と耐糖能
【15/05/31 ひとみ

江部先生こんにちは。

今回、妊娠糖尿病になり、糖質制限で無事にインスリンなしで出産しましたが、2ヶ月後の75g負荷試験で糖尿病に移行していることがわかり、すごくショックを、うけています。

ヘモグロビンAICも5.4から6.4にあがってしまっていました。

糖質制限をすると、耐糖能が悪化すると聞いたのですが本当でしょうか??

このまま糖質制限していいのが不安に、なってしました。】



おはようございます。

糖質制限と耐糖能について、ひとみさんからコメント・質問ををいただきました。

妊娠糖尿病から糖尿病を発症する場合が少数例ですがあります。

その場合も糖質制限食を実践すれば、健康ライフが送れます。

ご質問の件ですが、結論から言えば、糖質制限食で耐糖能がどうなるかは、個人差があるようです。

つまり耐糖能が良くなる人もいれば、低下する人もいるようです。

ともあれ、糖尿病と既にわかっている人が、耐糖能検査である75g経口ブドウ糖負荷試験を受けるのは、高血糖というリスクが必発なので原則的にはしません。

予備軍の場合は確認のために、75g経口ブドウ糖負荷試験をすることはあります。

75g経口ブドウ糖負荷試験で糖尿病と診断されても、現実には糖質制限食を実践すれば、
血糖コントロールは良好で合併症の恐れもないのでそれでいいと思います。

私自身も2002年に糖尿病の診断基準を満たしましたが、2014年現在まで、75g経口ブドウ糖負荷試験は一回もしていません。

2型糖尿病の診断基準をしっかり満たした人が、1年間のスーパー糖質制限食実践で血糖値もHbA1cも正常値となり、試しに白ご飯を一人前(糖質量は55g)摂取しても、血糖はピーク140mg/dlを超えなくなった例もあります。

これは、スーパー糖質制限食で膵臓が休養できて、β細胞が回復して耐糖能も改善したためと考えられます。

また本ブログの読者の方々で、糖質制限食で耐糖能改善されたかたは多数おられます。

2008/10/29のブログ「糖質制限食と耐糖能改善」
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-590.html

などもご参照いただけば幸いです。

一方、耐糖能が悪化したとのコメントも複数ありました。

以下に、糖質制限食と耐糖能に関する論文をあげてみましたので参考にしてください。


<糖質制限食と耐糖能に関する研究論文>
1)
新潟労災病院消化器内科部長前川智先生の論文
「耐糖能異常に対する低炭水化物食の効果に関する後ろ向き研究」
Diabetes, Metabolic syndrome, Obesity, Target and Therapy
(ニュージーランドの英文雑誌)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4063858/  → ここで全文が閲覧可能です。

Diabetes Metab Syndr Obes. 2014; 7: 195–201.
Retrospective study on the efficacy of a low-carbohydrate diet for impaired glucose tolerance
Satoshi Maekawa,1 Tetsuya Kawahara,2 Ryosuke Nomura,1 Takayuki Murase,1 Yasuyoshi Ann,1 Masayuki Oeholm,1 and Masaru Harada3

12ヶ月間の低炭水化物ダイエット(120g/日の糖質)により、
境界型糖尿病36名中25名(69.4%)が、OGTTで正常化。
11名(30%)は境界型(IGT)のまま。
糖尿病発症は0名(0%)。

対照群(普通食)36名中、3名(8%)が正常化。
28名(78%)は不変でIGTのまま。
5名(14%)が糖尿病発症です。

糖質制限食実践により、境界型糖尿病の耐糖能が69%も正常化していて、対照群に比べて素晴らしい成果です。


2)
「糖質制限食を行うと耐糖能が低下する」という説を最初に唱えたのは、
ヒムスワースです。

「健康人に糖質の少ない食事を1週間与えて糖負荷試験を行った。高糖質食を与えたときには耐糖能は正常であったのに、低糖質食によって糖尿病と判定されるほどに耐糖能が悪化した。」

というのが、ヒムスワースが1935年に発表した論文の結論です。

Himsworth HP. The dietetic factor determining the glucose tolerance and sensitivity to insulin of healthy men. Clin Sci 2, 67-94, 1935.


3)
ウィルカーソンらは「糖質制限食を行っても耐糖能は低下しない」という論文を発表しました。

1960年、ウィルカーソン(Wilkerson)らが、複数の受刑者を被験者として低糖質食が耐糖能に与える影響を再検討して、糖質の摂取量を1日50グラムに制限しても、耐糖能には大きな影響を及ぼさないという報告を行いました。

この報告がNew England Journal of Medicineという影響力の大きな医学誌に掲載されました。

Wilkerson HLC, Hyman C, Kaufman M, McCuistion AC, Francis JO. Diagnostic evaluation of oral glucose tolerance tests in nondiabetic subjects after various levels of carbohydrate intake. N Engl J Med 262, 1047-1053, 1960.
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限と耐糖能。改善と低下、個人差あり。
【14/12/19 アンナ

私もお聞きしたかったのです。

こんばんは。
私も今日のお話は以前から気になっていました。

私がスーパー糖質制限を始めたきっかけは、食後糖質1gあたり2.5㎎ /dlの上昇がみられたからです。
1年半経過した頃には、糖質1gあたり4.5㎎ /dlの上昇となりました。

体重が45㎏なので、糖尿人としては妥当な上昇率なのだとは思うのですが、明らかに耐糖能が低下しています。

空腹時は以前同様80㎎/dl前後のままなのですが、どうすればよいか悩んでいます。

もちろん糖質制限が体に良いのは身を持ってわかっております。

ありとあらゆる不調が改善し、スーパー糖質制限2年半の今、人生で一番の健康体だと自負しております。

江部先生のお陰で超健康と引き締まった体を手に入れた私は幸せです。

これ以上を求めるのは贅沢だと思うのですが、 糖耐能の低下はやはり気になります。

インスリンのプール能力が無くなったのでしょうか。。。? 】


【14/12/20 SHUKAN

糖質制限と耐糖能

WHOのTRS(Technical Report Series)727
http://whqlibdoc.who.int/trs/WHO_TRS_727.pdf
の99頁には、糖負荷試験前には150g/日以上の炭水化物を3日以上摂取するようにと書かれています。(日本糖尿病学会の報告にもあったかと思います)

耐糖能低下が明確な私は、糖負荷試験などする気にはもちろんなりません。

以下は私の想像ですが、耐糖能が正常な人でも検査前に糖質を制限すると、膵臓のβ細胞がインスリンを作るのを休んでしまうのではないでしょうか。

そして、検査前に糖質を摂取するとβ細胞が呼び覚まされる(当然個人差はあると思いますが)のではないかと思いますがいかがでしょうか。

もし、このようなことがあるとすれば糖質制限で耐糖能が低下するということはそれほど心配が要らないと思うのですが。】


【14/12/20 おかだ

耐糖能

そもそも「耐糖能」とは検索してみると「 グルコースの処理能力の指標で,通常グルコースを経口もしくは血管内に投与し,一定時間後,もしくは経時的に血中グルコース濃度を定量して判断する.糖尿病の基礎検査の一つ」と有ります。

すなわち、追加分泌のインスリンの分泌能を調べる検査です。インスリン分泌は、血糖上昇に対するもの(追加分泌)と、ずっと出続けている基礎分泌が有ります。

すなわち、急激な血糖値上昇という危機に対応する分泌です。糖質制限をしていると、この危機が訪れないので、ひょっとして体はスクランブル体制を解いている場合があるかもしれません。

その結果、糖負荷試験(OGTT)をすると2時間後の血糖値が、糖質制限前より上昇します。これをみて、普通の先生は糖質制限をすると「耐糖能」落ちるというでしょう。

そもそも、糖質制限をしていれば、75gのグルコースを飲むという馬鹿なことはしません。

また、OGTTを施工する数日前は炭水化物を三食しっかり摂るようにとのことです。

糖尿病の方が糖質制限をすると、殆どの場合、HOMA-β(インスリン分泌能)とHOMA-R)インスリン抵抗性)が改善されます。

例えにならないかもしれませんが、禁煙して久しぶりにタバコを吸うとクラクラしますね。これを「耐ニコチン能」が悪くなったって言いますか。という話だと考えます。】


こんにちは。

糖質制限と耐糖能について、アンナさん、 SHUKAN さん、岡田先生からコメントをいただきました。

ありがとうございます。

結論から言えば、糖質制限食で耐糖能がどうなるかは、個人差があるようです。

つまり耐糖能が良くなる人もいれば、低下する人もいるようです。

ともあれ、糖尿病と既にわかっている人が、耐糖能検査である75g経口ブドウ糖負荷試験を受けるのは、高血糖というリスクが必発なので原則的にはしません。

予備軍の場合は確認のために、75g経口ブドウ糖負荷試験をすることはあります。

アンナさんも、すでに、「糖質1gあたり4.5㎎ /dlの上昇」、とわかっているならば、どうしても結果を確認したい場合以外は、75g経口ブドウ糖負荷試験をする必要はないと思います。

現実には糖質制限食を実践すれば、血糖コントロールは良好で合併症の恐れもないのでそれでいいと思います。

私自身も2002年に糖尿病の診断基準を満たしましたが、2014年現在まで、75g経口ブドウ糖負荷試験は一回もしていません。

2型糖尿病の診断基準をしっかり満たした人が、1年間のスーパー糖質制限食実践で血糖値もHbA1cも正常値となり、試しに白ご飯を一人前(糖質量は55g)摂取しても、血糖はピーク140mg/dlを超えなくなった例もあります。

これは、スーパー糖質制限食で膵臓が休養できて、β細胞が回復して耐糖能も改善したためと考えられます。

また本ブログの読者の方々で、糖質制限食で耐糖能改善されたかたは多数おられます。

2008/10/29のブログ「糖質制限食と耐糖能改善」
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-590.html

などもご参照いただけば幸いです。

一方、アンナさんと同様、耐糖能が悪化したとのコメントも複数ありました。

以下は江部康二のHOMA-βの推移です。正常値「40-60」です。

HOMA-βは経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と、よく相関するとされています。

ある程度の波はありましたが、10年間経過をみるとHOMA-βが正常化しています。

もっともHOMA-βは正常化しましたが、今も糖尿病です。

2004年4月:12
2008年8月:21
2009年10月:29
2012年3月:40
2014年4月:40
2014年9月:49



以下に糖質制限食と耐糖能に関する論文をあげてみましたので参考にしてください。


<糖質制限食と耐糖能に関する研究論文>
1)
新潟労災病院消化器内科部長前川智先生の論文
「耐糖能異常に対する低炭水化物食の効果に関する後ろ向き研究」
Diabetes, Metabolic syndrome, Obesity, Target and Therapy
(ニュージーランドの英文雑誌)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4063858/  → ここで全文が閲覧可能です。

Diabetes Metab Syndr Obes. 2014; 7: 195–201.
Retrospective study on the efficacy of a low-carbohydrate diet for impaired glucose tolerance
Satoshi Maekawa,1 Tetsuya Kawahara,2 Ryosuke Nomura,1 Takayuki Murase,1 Yasuyoshi Ann,1 Masayuki Oeholm,1 and Masaru Harada3

12ヶ月間の低炭水化物ダイエット(120g/日の糖質)により、境界型糖尿病36名中25名(69.4%)が、OGTTで正常化。
11名(30%)は境界型(IGT)のまま。
糖尿病発症は0名(0%)。

対照群(普通食)36名中、3名(8%)が正常化。
28名(78%)は不変でIGTのまま。
5名(14%)が糖尿病発症です。

糖質制限食実践により、境界型糖尿病の耐糖能が69%も正常化していて、対照群に比べて素晴らしい成果です。


2)
「糖質制限食を行うと耐糖能が低下する」という説を最初に唱えたのは、ヒムスワースです。

「健康人に糖質の少ない食事を1週間与えて糖負荷試験を行った。高糖質食を与えたときには耐糖能は正常であったのに、低糖質食によって糖尿病と判定されるほどに耐糖能が悪化した。」

というのが、ヒムスワースが1935年に発表した論文の結論です。

Himsworth HP. The dietetic factor determining the glucose tolerance and sensitivity to insulin of healthy men. Clin Sci 2, 67-94, 1935.


3)
ウィルカーソンらは「糖質制限食を行っても耐糖能は低下しない」という論文を発表しました。

1960年、ウィルカーソン(Wilkerson)らが、複数の受刑者を被験者として低糖質食が耐糖能に与える影響を再検討して、糖質の摂取量を1日50グラムに制限しても、耐糖能には大きな影響を及ぼさないという報告を行いました。

この報告がNew England Journal of Medicineという影響力の大きな医学誌に掲載されました。

Wilkerson HLC, Hyman C, Kaufman M, McCuistion AC, Francis JO. Diagnostic evaluation of oral glucose tolerance tests in nondiabetic subjects after various levels of carbohydrate intake. N Engl J Med 262, 1047-1053, 1960.



江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット