2017年03月20日 (月)
こんにちは。
今回は「人類の歴史と運動」、「糖質セイゲニストと運動」について考察してみます。
人類は700万年の歴史のほとんどを狩猟採集生活で過ごしてきました。
狩猟採集時代は穀物はないので、基本は糖質制限食です。
そのころは「糖質制限食」をベースにかなりの運動量があったと考えられます。
従いまして、現代の糖質セイゲニストにおいても、一定の運動はした方がいいと思います。
農耕開始前の人類の食生活とライフスタイルならば、結果として
「糖質制限食」+「一定量の運動」+「一定量の筋肉量」
が確保されていたと思われます。
運動は、基本的には歩行が主体だったと考えられます。
激しい運動(全力疾走)は、肉食動物に追いかけられた時などに限られたと思います。
初期の段階の人類は、石器などの道具も、まだあまり発達していないので、狩猟といっても、肉食動物の獲物の残り物にありついていたレベルでしょう。
ヨーロッパのオーリニャック文化以降は、道具も洗練されて、人類の狩猟も飛躍的に上手になり、狩りで追いかけて走ったりも始まったと思います。
女性は狩りには参加しなかったので、狩りで走ることはなかったでしょうが、採集で森の中などを結構歩いていたと思います。
筋肉量に関しては、野生動物の体型が参考になります。
ライオン、チータ、虎などの肉食動物の筋肉はしなやかな筋肉で、ボディビルダーのようなムキムキではありません。
鹿や馬などの多くの草食動物も同様です。
狩猟・採集が生業だったころの人類の筋肉も、しなやかな筋肉と思われます。
従いまして、現代人においても、基本的に「よく歩く、時々走る」ことでOKかなと思います。
運動量に関しては、明治のころの日本人は、お米たっぷりで糖質70~80%も摂取していましたが、糖尿病や肥満は、ほとんどありませんでした。
日々の肉体労働、歩く、掃除する、井戸に水くみなど、日常生活における中等度以上の運動量が現代人の約10倍と言われていますが、一般人は、日常的に走ったり鍛えたりはしていないと思います。
運動量に関しては、明治の日本人が参考になると思います。
東京都健康長寿医療センター研究所の青柳幸利氏によると、
男性で8000歩/日、そのうち20分間の速歩(中等度の活動)。
女性で7000歩/日、そのうち15分間の速歩。
くらいの、ぼちぼちの運動で、筋力を保ち、体力低下を抑えることができるそうです。
そして、うつ病、認知症、心疾患、脳卒中、がん、動脈硬化、骨粗鬆症、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームの予防効果が期待できるとのことです。(*)
年齢不相応の激しい運動は、活性酸素も多く発生するので、逆効果ということです。
私は、1回/1~2週、テニスをしていますが、日常的に運動するのは時間的に無理なので、病院内でよく歩いています。
電話は自分からかけることはありません。
用事があれば、理事長室から本院の給食(地下)、外来(1階)、病棟(2階、3階)までいったりきたり歩きます。
高雄病院の理事長室は、ちょっとした丘の上にあります。
取材にこられた記者さんなど、正面玄関から理事長室までたどり着いた時には、ほとんどの方が息切れしてます。( ̄_ ̄|||)
私は理事長室と本院を、一日に数往復はしています。
高雄病院京都駅前診療所はビルの4階ですが、階段を早足で歩いて上がるようにしています。
まあ、ほとんど軽く走っている感じですね。
講演などの時も駅の階段を歩きます。
ビルも7階くらいまでは階段を歩きます。
それやこれやで、仕事と日常生活で、だいたい5000~6000~7000歩/日くらいは歩いていて、速歩は軽く20分は超えています。
帰宅後、コンビニへの往復を歩けば、8000歩/日くらいになります。
雨の日などは、家で足踏みして、2000歩くらいを稼ぎます。
それで目標をクリアです。
腹筋運動は、一番楽な、倒れるだけでOKという、剛力彩芽さんが宣伝している器具で、150~300回/日しています。
講演や外食などで、腹筋運動ができない日も、ぼちぼちあります。
ブログ読者の皆さんも、ちょっとした日常生活の工夫で8000歩/日と20分間の速歩が、クリアできると思いますので、是非、試してみましょう。
なお、拙著の中で、
「3食主食なしのスーパー糖質制限なら運動は必要ない」
との記載があるのは、「血糖コントロール」「減量」ということに関しては、ほとんどの人においてスーパー糖質制限食なら運動しなくても上手くいくという意味です。
骨粗鬆症予防など含めた長期にわたる健康度の確保には、軽度の運動が有用なことはいうまでもありません。
一方、何らかの障害があり運動が困難な方でも、スーパー糖質制限食なら減量可能というメッセージであり、同様に、糖尿病があるけれど何らかの障害があって運動できない場合でも、スーパー糖質制限食なら血糖コントロールが可能ということでもあります。
(*)なぜ、健康な人は「運動」をしないのか?青柳幸利著、あさ出版、2014年
江部康二
今回は「人類の歴史と運動」、「糖質セイゲニストと運動」について考察してみます。
人類は700万年の歴史のほとんどを狩猟採集生活で過ごしてきました。
狩猟採集時代は穀物はないので、基本は糖質制限食です。
そのころは「糖質制限食」をベースにかなりの運動量があったと考えられます。
従いまして、現代の糖質セイゲニストにおいても、一定の運動はした方がいいと思います。
農耕開始前の人類の食生活とライフスタイルならば、結果として
「糖質制限食」+「一定量の運動」+「一定量の筋肉量」
が確保されていたと思われます。
運動は、基本的には歩行が主体だったと考えられます。
激しい運動(全力疾走)は、肉食動物に追いかけられた時などに限られたと思います。
初期の段階の人類は、石器などの道具も、まだあまり発達していないので、狩猟といっても、肉食動物の獲物の残り物にありついていたレベルでしょう。
ヨーロッパのオーリニャック文化以降は、道具も洗練されて、人類の狩猟も飛躍的に上手になり、狩りで追いかけて走ったりも始まったと思います。
女性は狩りには参加しなかったので、狩りで走ることはなかったでしょうが、採集で森の中などを結構歩いていたと思います。
筋肉量に関しては、野生動物の体型が参考になります。
ライオン、チータ、虎などの肉食動物の筋肉はしなやかな筋肉で、ボディビルダーのようなムキムキではありません。
鹿や馬などの多くの草食動物も同様です。
狩猟・採集が生業だったころの人類の筋肉も、しなやかな筋肉と思われます。
従いまして、現代人においても、基本的に「よく歩く、時々走る」ことでOKかなと思います。
運動量に関しては、明治のころの日本人は、お米たっぷりで糖質70~80%も摂取していましたが、糖尿病や肥満は、ほとんどありませんでした。
日々の肉体労働、歩く、掃除する、井戸に水くみなど、日常生活における中等度以上の運動量が現代人の約10倍と言われていますが、一般人は、日常的に走ったり鍛えたりはしていないと思います。
運動量に関しては、明治の日本人が参考になると思います。
東京都健康長寿医療センター研究所の青柳幸利氏によると、
男性で8000歩/日、そのうち20分間の速歩(中等度の活動)。
女性で7000歩/日、そのうち15分間の速歩。
くらいの、ぼちぼちの運動で、筋力を保ち、体力低下を抑えることができるそうです。
そして、うつ病、認知症、心疾患、脳卒中、がん、動脈硬化、骨粗鬆症、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームの予防効果が期待できるとのことです。(*)
年齢不相応の激しい運動は、活性酸素も多く発生するので、逆効果ということです。
私は、1回/1~2週、テニスをしていますが、日常的に運動するのは時間的に無理なので、病院内でよく歩いています。
電話は自分からかけることはありません。
用事があれば、理事長室から本院の給食(地下)、外来(1階)、病棟(2階、3階)までいったりきたり歩きます。
高雄病院の理事長室は、ちょっとした丘の上にあります。
取材にこられた記者さんなど、正面玄関から理事長室までたどり着いた時には、ほとんどの方が息切れしてます。( ̄_ ̄|||)
私は理事長室と本院を、一日に数往復はしています。
高雄病院京都駅前診療所はビルの4階ですが、階段を早足で歩いて上がるようにしています。
まあ、ほとんど軽く走っている感じですね。
講演などの時も駅の階段を歩きます。
ビルも7階くらいまでは階段を歩きます。
それやこれやで、仕事と日常生活で、だいたい5000~6000~7000歩/日くらいは歩いていて、速歩は軽く20分は超えています。
帰宅後、コンビニへの往復を歩けば、8000歩/日くらいになります。
雨の日などは、家で足踏みして、2000歩くらいを稼ぎます。
それで目標をクリアです。
腹筋運動は、一番楽な、倒れるだけでOKという、剛力彩芽さんが宣伝している器具で、150~300回/日しています。
講演や外食などで、腹筋運動ができない日も、ぼちぼちあります。
ブログ読者の皆さんも、ちょっとした日常生活の工夫で8000歩/日と20分間の速歩が、クリアできると思いますので、是非、試してみましょう。
なお、拙著の中で、
「3食主食なしのスーパー糖質制限なら運動は必要ない」
との記載があるのは、「血糖コントロール」「減量」ということに関しては、ほとんどの人においてスーパー糖質制限食なら運動しなくても上手くいくという意味です。
骨粗鬆症予防など含めた長期にわたる健康度の確保には、軽度の運動が有用なことはいうまでもありません。
一方、何らかの障害があり運動が困難な方でも、スーパー糖質制限食なら減量可能というメッセージであり、同様に、糖尿病があるけれど何らかの障害があって運動できない場合でも、スーパー糖質制限食なら血糖コントロールが可能ということでもあります。
(*)なぜ、健康な人は「運動」をしないのか?青柳幸利著、あさ出版、2014年
江部康二
2016年10月11日 (火)
こんにちは。
東京都健康長寿医療センター研究所の青柳幸利氏によると、
男性で8000歩/日、そのうち20分間の速歩(中等度の活動)。
女性で7000歩/日、そのうち15分間の速歩。
くらいの、ぼちぼちの運動で、筋力を保ち、体力低下を抑えることができるそうです。
そして、うつ病、認知症、心疾患、脳卒中、がん、動脈硬化、骨粗鬆症、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームの予防効果が期待できるとのことです。(*)
年齢不相応の激しい運動は、活性酸素も多く発生するので、逆効果ということです。
私は、1回/1~2週、テニスをしていますが、日常的に運動するのは時間的に無理なので、病院内でよく歩いています。
電話は滅多に使わずに、給食(地下)から病棟(2階、3階)までいったりきたり歩きます。
高雄病院の理事長室は、ちょっとした丘の上にあります。
取材にこられた記者さんなど、正面玄関から理事長室までたどり着いた時には、ほとんどの方が息切れしてます。( ̄_ ̄|||)
高雄病院京都駅前診療所はビルの4階ですが、階段を早足で歩いて上がるようにしています。
まあ、ほとんど軽く走っている感じですね。
講演などの時も駅の階段を歩きます。
ビルも7階くらいまでは階段を歩きます。
日常生活のなかで、いったいどの程度の歩数を歩いていて、そのうち速歩は何分なのか興味があったので、
<テルモ活動量計MT-KT01>を購入して自分で測定してみました。
日常の歩数を見たかったので、わざわざ散歩とかはしませんでした。
10/3(月)
テルモ活動量計を使用開始
高雄病院京都駅前診療所で外来診察。
階段4階昇降、駐車場との往復。
外来終了後、高雄病院に移動して、病棟回診。
夕食はすき家、TSUTAYAで本を購入。
総1854kcal 4393歩、速歩15分、3.3km、113kcal、
運動はしていないのですが、思ったより速歩もありました。
運動による消費カロリーは113kcal/日と少ないです。基礎代謝分を足して、1854kcal/日です。
10/4(火)
この日は、午前中は家でパソコン。
近くのコンビニまで往復。
昼から出勤で、病棟回診。
総1854kcal 5361歩、速歩16分、3.9km、138kcal、
病棟回診だけでも結構歩いてます。
それも結構速歩で歩いています。
日頃から自分からは電話することはほとんどなくて、相手のところまで歩いて行くようにしています。
10/5(水)
午前中は高雄病院で病棟回診。
昼から、江部診療所に移動して夜診。
駐車場から江部診療所までは徒歩。
総1913kcal 6869歩、速歩24分、5.0km、181kcal、
10/6(木)
午前と午後と、高雄病院で外来診察。
合間に病棟回診。
総1913kal 6383歩、速歩28分、4.8km、180kcal
院内勤務だけで、そこそこ歩いてますね。
10/7(金)
午前中は江部診療所で外来。
駐車場の往復。
午後から高雄病院へ移動して病棟回診など。
総1880kcal 6528歩、速歩23分、4.7km、175kcal
10/8(土)
午前中は江部診療所で外来。
昼から大阪梅田に移動。
梅田ハンキュウタワー17階で、NHKカルチャー梅田で講演。
総1891kcal 7441歩、速歩33分、5.6km、194kcal、
阪急梅田とJR梅田の距離が案外あったり、JRのホームでも結構歩きました。
17階はさすがにエレベーターですよ。 (^^)
10/9(日)
午前中は家でパソコン。
昼から、おじさんのダブルステニスを4セット。
総2059kcal 14358歩、速歩39分、9.8km、365kcal、
テニスは1セット2500~2800歩くらいです。
速歩がテニスでもっと増えるかと思いましたがしれてました。
テニスって止まっているときも多いですのでこんなものでしょうか。
テニスをしても運動による消費カロリーは少々の増加ていどですね。
10/10(月)
家でずっとパソコンと原稿の校正。
夕食は娘夫婦と孫とで焼肉に。
総1776kcal 2877歩、速歩2分、2.0km、60kcal
家にいると、さすがに歩数が少ないですね。
10/3(月)~10/10(月)まで身体活動量を見てみましたが、病院内で病棟と理事長室をいったりきたりするだけで結構な歩数(4000~5000)になることがわかりました。
それに外食時やコンビニや本屋での歩行を加えると4393~6869歩です。
講演会だと、かなり移動時の歩数が増えます。
テニスはさすがに、試合だけで10000歩を軽く超えたと思います。
こうみてくると、普通に仕事をしている日は、コンビニや生協に歩いて買い物に行くとか、散歩を10~20分くらするとかで、充分8000歩確保できるように思います。
私の場合、速歩20分間は、日常の仕事でほぼOKのようです。
ブログ読者の皆さんも、ちょっとした日常生活の工夫で
8000歩/日と20分間の速歩が、クリアできると思いますので、
是非、試してみましょう。
(*)なぜ、健康な人は「運動」をしないのか?青柳幸利著、あさ出版、2014年
江部康二
東京都健康長寿医療センター研究所の青柳幸利氏によると、
男性で8000歩/日、そのうち20分間の速歩(中等度の活動)。
女性で7000歩/日、そのうち15分間の速歩。
くらいの、ぼちぼちの運動で、筋力を保ち、体力低下を抑えることができるそうです。
そして、うつ病、認知症、心疾患、脳卒中、がん、動脈硬化、骨粗鬆症、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームの予防効果が期待できるとのことです。(*)
年齢不相応の激しい運動は、活性酸素も多く発生するので、逆効果ということです。
私は、1回/1~2週、テニスをしていますが、日常的に運動するのは時間的に無理なので、病院内でよく歩いています。
電話は滅多に使わずに、給食(地下)から病棟(2階、3階)までいったりきたり歩きます。
高雄病院の理事長室は、ちょっとした丘の上にあります。
取材にこられた記者さんなど、正面玄関から理事長室までたどり着いた時には、ほとんどの方が息切れしてます。( ̄_ ̄|||)
高雄病院京都駅前診療所はビルの4階ですが、階段を早足で歩いて上がるようにしています。
まあ、ほとんど軽く走っている感じですね。
講演などの時も駅の階段を歩きます。
ビルも7階くらいまでは階段を歩きます。
日常生活のなかで、いったいどの程度の歩数を歩いていて、そのうち速歩は何分なのか興味があったので、
<テルモ活動量計MT-KT01>を購入して自分で測定してみました。
日常の歩数を見たかったので、わざわざ散歩とかはしませんでした。
10/3(月)
テルモ活動量計を使用開始
高雄病院京都駅前診療所で外来診察。
階段4階昇降、駐車場との往復。
外来終了後、高雄病院に移動して、病棟回診。
夕食はすき家、TSUTAYAで本を購入。
総1854kcal 4393歩、速歩15分、3.3km、113kcal、
運動はしていないのですが、思ったより速歩もありました。
運動による消費カロリーは113kcal/日と少ないです。基礎代謝分を足して、1854kcal/日です。
10/4(火)
この日は、午前中は家でパソコン。
近くのコンビニまで往復。
昼から出勤で、病棟回診。
総1854kcal 5361歩、速歩16分、3.9km、138kcal、
病棟回診だけでも結構歩いてます。
それも結構速歩で歩いています。
日頃から自分からは電話することはほとんどなくて、相手のところまで歩いて行くようにしています。
10/5(水)
午前中は高雄病院で病棟回診。
昼から、江部診療所に移動して夜診。
駐車場から江部診療所までは徒歩。
総1913kcal 6869歩、速歩24分、5.0km、181kcal、
10/6(木)
午前と午後と、高雄病院で外来診察。
合間に病棟回診。
総1913kal 6383歩、速歩28分、4.8km、180kcal
院内勤務だけで、そこそこ歩いてますね。
10/7(金)
午前中は江部診療所で外来。
駐車場の往復。
午後から高雄病院へ移動して病棟回診など。
総1880kcal 6528歩、速歩23分、4.7km、175kcal
10/8(土)
午前中は江部診療所で外来。
昼から大阪梅田に移動。
梅田ハンキュウタワー17階で、NHKカルチャー梅田で講演。
総1891kcal 7441歩、速歩33分、5.6km、194kcal、
阪急梅田とJR梅田の距離が案外あったり、JRのホームでも結構歩きました。
17階はさすがにエレベーターですよ。 (^^)
10/9(日)
午前中は家でパソコン。
昼から、おじさんのダブルステニスを4セット。
総2059kcal 14358歩、速歩39分、9.8km、365kcal、
テニスは1セット2500~2800歩くらいです。
速歩がテニスでもっと増えるかと思いましたがしれてました。
テニスって止まっているときも多いですのでこんなものでしょうか。
テニスをしても運動による消費カロリーは少々の増加ていどですね。
10/10(月)
家でずっとパソコンと原稿の校正。
夕食は娘夫婦と孫とで焼肉に。
総1776kcal 2877歩、速歩2分、2.0km、60kcal
家にいると、さすがに歩数が少ないですね。
10/3(月)~10/10(月)まで身体活動量を見てみましたが、病院内で病棟と理事長室をいったりきたりするだけで結構な歩数(4000~5000)になることがわかりました。
それに外食時やコンビニや本屋での歩行を加えると4393~6869歩です。
講演会だと、かなり移動時の歩数が増えます。
テニスはさすがに、試合だけで10000歩を軽く超えたと思います。
こうみてくると、普通に仕事をしている日は、コンビニや生協に歩いて買い物に行くとか、散歩を10~20分くらするとかで、充分8000歩確保できるように思います。
私の場合、速歩20分間は、日常の仕事でほぼOKのようです。
ブログ読者の皆さんも、ちょっとした日常生活の工夫で
8000歩/日と20分間の速歩が、クリアできると思いますので、
是非、試してみましょう。
(*)なぜ、健康な人は「運動」をしないのか?青柳幸利著、あさ出版、2014年
江部康二
2016年08月26日 (金)
【16/08/26 こゆはり
テニス時の症状
江部先生おはようございます。先生のブログを最初から読ませて頂き、糖尿病予備軍からの脱却をはかろうと糖質制限を始めて、4ヶ月になります。
BMIは25から22に、空腹時血糖も112から93にと良い事ばかりなのですが、テニスの90分練習中の後半になると、体に震えが出て、試合のサーブで上を向くと軽い眩暈がしたりで困っております。
夕方の練習に行く前には軽めの糖質制限食を摂って出かけます。
先生はお元気に何試合もこなされていらっしゃるのに、私は何故このような症状が出るのでしょうか?
改善策はあるのでしょうか?アドバイスを頂けましたら幸いでございます。
お忙しい中、申し訳ございません。】
こんばんは。
こゆはりさんから、
「糖質制限食で、血糖値とBMIが改善、練習で震え、眩暈。」
というコメントを頂きました。
糖質制限食実践4ヶ月で、空腹時血糖値が、112mg/dlの境界型から93mg/dlの正常型に改善。
BMIは、25から22に改善。
しかし、
「テニスの練習中、後半には身体に震えがでて、試合のサーブで上を向くと、軽い眩暈がする。」
などが出現するようになった。
これらの、好ましくない症状は、ほとんどの場合、脂質摂取が足りないことによる摂取エネルギー不足が原因です。
インターネットでも、糖質制限食で血糖値や肥満が改善したけれど、
「身体に力が入らない」
「ふらつく」
「階段が上りづらい」
「眩暈がする」
「髪の毛が抜ける」
「生理が不順になる、止まる」
「肌がかさかさになる」
などの、好ましくない症状がでたという書き込みをよく見かけます。
これらの、ほとんどが、摂取エネルギー不足が原因です。
すなわち糖質制限が原因ではありません。
スーパー糖質制限食を実践しつつ、厚生労働省のいう「推定エネルギー必要量」を確保していれば、これらの不快な症状が出現することはありません。
糖質制限であって、脂質制限ではありません。
動物性脂肪もしっかり摂取して、摂取エネルギー不足にならないように注意しましょう。
「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)
に示す推定エネルギー必要量の範囲、
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf
推定エネルギー必要量/日
男性 女性
15-17才 2500 2850 3150 2050 2300 2550kcal
18-29才 2300 2650 3050 1650 1950 2200
30-49才 2300 2650 3050 1750 2000 2300
50-69才 2100 2450 2800 1650 1900 2200
70才 1850 2200 2500 1500 1750 2000
身体活動レベル 低い 普通 高い 低い 普通 高い
くらいが目安です。
江部康二
テニス時の症状
江部先生おはようございます。先生のブログを最初から読ませて頂き、糖尿病予備軍からの脱却をはかろうと糖質制限を始めて、4ヶ月になります。
BMIは25から22に、空腹時血糖も112から93にと良い事ばかりなのですが、テニスの90分練習中の後半になると、体に震えが出て、試合のサーブで上を向くと軽い眩暈がしたりで困っております。
夕方の練習に行く前には軽めの糖質制限食を摂って出かけます。
先生はお元気に何試合もこなされていらっしゃるのに、私は何故このような症状が出るのでしょうか?
改善策はあるのでしょうか?アドバイスを頂けましたら幸いでございます。
お忙しい中、申し訳ございません。】
こんばんは。
こゆはりさんから、
「糖質制限食で、血糖値とBMIが改善、練習で震え、眩暈。」
というコメントを頂きました。
糖質制限食実践4ヶ月で、空腹時血糖値が、112mg/dlの境界型から93mg/dlの正常型に改善。
BMIは、25から22に改善。
しかし、
「テニスの練習中、後半には身体に震えがでて、試合のサーブで上を向くと、軽い眩暈がする。」
などが出現するようになった。
これらの、好ましくない症状は、ほとんどの場合、脂質摂取が足りないことによる摂取エネルギー不足が原因です。
インターネットでも、糖質制限食で血糖値や肥満が改善したけれど、
「身体に力が入らない」
「ふらつく」
「階段が上りづらい」
「眩暈がする」
「髪の毛が抜ける」
「生理が不順になる、止まる」
「肌がかさかさになる」
などの、好ましくない症状がでたという書き込みをよく見かけます。
これらの、ほとんどが、摂取エネルギー不足が原因です。
すなわち糖質制限が原因ではありません。
スーパー糖質制限食を実践しつつ、厚生労働省のいう「推定エネルギー必要量」を確保していれば、これらの不快な症状が出現することはありません。
糖質制限であって、脂質制限ではありません。
動物性脂肪もしっかり摂取して、摂取エネルギー不足にならないように注意しましょう。
「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)
に示す推定エネルギー必要量の範囲、
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf
推定エネルギー必要量/日
男性 女性
15-17才 2500 2850 3150 2050 2300 2550kcal
18-29才 2300 2650 3050 1650 1950 2200
30-49才 2300 2650 3050 1750 2000 2300
50-69才 2100 2450 2800 1650 1900 2200
70才 1850 2200 2500 1500 1750 2000
身体活動レベル 低い 普通 高い 低い 普通 高い
くらいが目安です。
江部康二
2016年01月23日 (土)
こんにちは。
国立がん研究センターの多目的コホート研究(JPHC Study)から、2016年1月21日、「歩行時間と糖尿病のリスクとの関連」と題して発表がありました。
結論としては、1日の歩行時間が「30分未満」の群は、最も多い「2時間以上」の群に比べ、糖尿病のリスクが1・23倍ありました。
既に糖尿病とわかっている人は除外して、糖尿病と自覚していない全国の男女2万6488人(平均62歳)を対象に糖尿病の検査をしたところ、糖尿病と診断された人が、そこそこ発見されたというわけです。
つまり、本人が認知していない糖尿病を、血糖値やヘモグロビンA1c値で医学的に定義して発見したということです。
というわけでこの研究は、自分では糖尿病とは思っていなかったけれど実は糖尿病であった方々の、1日の歩行時間を比較検討したものです。
糖尿病なし 糖尿病あり 調整後オッズ比
30分未満 3815 190 1.23
30分-1時間未満 5959 238 0.99
1時間-2時間未満 5263 216 1.04
2時間以上 10393 414 1.00
調整後オッズ比は所管保健所、年齢、性別、BMI、収縮期血圧、糖尿病の家族歴にて調整
1日の歩行時間が「30分未満」の群(4005人)と「2時間以上」の群(10807人)では糖尿病リスクに有意差がありました。
しかし「30分~1時間未満」群(6097人)と「1~2時間未満」群(5479人)でも「2時間以上」群と、糖尿病リスクは有意差がでなかったので、どのくらい歩けばリスクが下がるかは明確にはわかりませんでした。
成人の一般的な歩数だと、2時間は1万2千歩、30分は3千歩に相当するそうです。
全国の男女2万6488人のうち、2時間以上歩く人達が実に10807人(40.8%)もいたとは驚きですね。
おそらく、もともと健康に関心をもつ人がこの研究に積極的に参加したものと思われます。
まあ、30分-1時間未満の歩行群でも、有意差はなかったのですから、2時間以上も歩かなくても、30分-1時間未満の歩行でもよさそうですね。
さらに言えば糖質制限食なら、30分未満どころかほどんと運動なしでも、糖尿病のリスクはないと思います。
<国立がん研究センター多目的コホート研究グループのまとめ>
BMIを調整した上でも有意な関連が認められており、身体活動による体重への影響とは独立して、歩行時間が糖尿病リスクと関連することが示唆されました。
しかし、1日の歩行時間は、個人のさまざまな生活習慣や健康に対する態度と関連するものと考えられます。
こうした要因が糖尿病のリスクとの関連に交絡している可能性は依然排除できておりません。
今後のさらなるエビデンスの蓄積が必要と考えています。
江部康二
☆☆☆
以下は、
国立がん研究センター
http://epi.ncc.go.jp/jphc/773/3767.html
の発表の一部引用です。
歩行時間と糖尿病との関連について
-多目的コホート研究(JPHC研究)からの成果報告-
私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・虚血性心疾患・糖尿病などの病気との関連を明らかにし日本人の生活習慣予防と健康寿命の延伸に役立てるための研究を行っています。平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、東京都葛飾、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の10保健所(呼称は2015年現在)管内に居住する40~69歳の男女のうち1998~2000年度(ベースライン調査)および2003~2005年度(5年後調査)に実施されました糖尿病調査に参加された方を対象とし、歩行時間と糖尿病のリスクの関連を調査しました。この結果を専門誌で論文発表しましたので紹介します(J Epidemiol, 2015 年12月WEB先行公開)。
身体活動と糖尿病リスクについて
身体活動は糖尿病の危険因子の中で修正可能な要因の一つであり、多くの観察研究で身体活動強度の低い生活が糖尿病のリスクを上昇させることが知られています。また、介入研究において、身体活動を上げることが糖尿病の発症に対して予防的な効果があることも報告されています。歩行は、多くの人にとって実践が容易な身体活動であり、欧米諸国の過去の研究においては糖尿病発症のリスクを下げることが報告されています。
しかし、アジア人を対象とした研究報告は依然多くありません。本研究では、この歩行と糖尿病のリスクの関連を「多目的コホート研究(JPHC研究)」の「糖尿病研究」において解析しました。具体的には、上記の参加者を対象とし、ベースライン調査を用いた「1日の歩行時間と自覚していない糖尿病の関連」の横断的解析と、ベースラインと5年後調査の両方を用いた「1日の歩行時間と5年間の糖尿病発症の関連」の縦断的解析の二つの解析を実施しました。
横断的解析:1日の歩行時間と有糖尿病の関連
横断的解析では、ベースライン調査に参加した人のうち既に糖尿病があることを認知している人を除外し、26,488名(調査時平均年齢62歳, 男性36%)を対象としました。ベースライン調査にて参加者が質問票で回答した1日の歩行時間を用いて、30分未満、30分‐1時間未満、1時間‐2時間未満、2時間以上に分け、本人が認知していない糖尿病(血糖値やヘモグロビンA1c値で定義)を有することとの関連を調査しました。調査の参加者のうち1,058名(4.0%)が糖尿病を有していました。
1日の歩行時間ごとに分けると、歩行時間が2時間以上の群では糖尿病の有病率が3.8%であったのに対し、30分未満の群では4.7%でした。地域、年齢、性別、BMI、収縮期血圧、糖尿病の家族歴などが結果に影響しないように配慮して分析したところ、1日の歩行時間が2時間以上の群と比較して、30分未満の群の糖尿病であるリスクは1.23倍(95%信頼区間:1.02-1.48)と高いことがわかりました。
表1.1日の歩行時間と有糖尿病の関連
縦断的解析:1日の歩行時間と5年間の糖尿病発症の関連
一方、縦断的な解析では、ベースライン調査で糖尿病がない人のうち、5年後調査にも参加した人を対象として解析を行いました。このため、対象者数は11,101名(調査時平均年齢62歳, 男性33%)となりました。このうち5年間に612名が糖尿病を発症しました。歩行時間で分けると、年齢調整した5年間の糖尿病累積発症率は、1日の歩行時間が2時間以上の群で4.6%に対し、30分未満では7.0%でした。しかし、2時間以上の群に比べ30分未満の群の糖尿病発症のリスクは1.10倍(95%信頼区間:0.82-1.48)で、統計学的には有意に高いわけではありませんでした。
表2.1日の歩行時間と5年間の糖尿病発症の関連
この研究について
本研究では、非糖尿病域の高HbA1c値も全がんリスクと関連していることを報告した最初の論文です。多目的コホート研究を含む多くの疫学研究から糖尿病と全がんリスクとの関連が報告されており、がん予防のためにも糖尿病を予防することが重要であると考えられています。非糖尿病域の高HbA1c値群における全がんリスク上昇を示した本研究により、糖尿病予防対策の重要性が一層示唆されました。
まとめ
これらの解析から、歩行時間の少ない人における糖尿病のリスク上昇が示唆されました。縦断的な解析では有意なリスク上昇を認めませんでしたが、これに関しては以下のような理由が考えられます。まず、対象者数が横断的な解析より少なく統計的検出力が不十分であった可能性があります。また、縦断的な解析への参加者は、ベースライン調査と5年後調査の両方に参加した人であり、より健康に対する意識が高い対象者であったとも推測されます。このため糖尿病の発症がより少なく、有意な結果が得られにくかった可能性が考えられます。
なお、横断解析ではBMIを調整した上でも有意な関連が認められており、身体活動による体重への影響とは独立して、歩行時間が糖尿病リスクと関連することが示唆されました。しかし、1日の歩行時間は、個人のさまざまな生活習慣や健康に対する態度と関連するものと考えられます。こうした要因が糖尿病のリスクとの関連に交絡している可能性は依然排除できておりません。今後のさらなるエビデンスの蓄積が必要と考えています。
国立がん研究センターの多目的コホート研究(JPHC Study)から、2016年1月21日、「歩行時間と糖尿病のリスクとの関連」と題して発表がありました。
結論としては、1日の歩行時間が「30分未満」の群は、最も多い「2時間以上」の群に比べ、糖尿病のリスクが1・23倍ありました。
既に糖尿病とわかっている人は除外して、糖尿病と自覚していない全国の男女2万6488人(平均62歳)を対象に糖尿病の検査をしたところ、糖尿病と診断された人が、そこそこ発見されたというわけです。
つまり、本人が認知していない糖尿病を、血糖値やヘモグロビンA1c値で医学的に定義して発見したということです。
というわけでこの研究は、自分では糖尿病とは思っていなかったけれど実は糖尿病であった方々の、1日の歩行時間を比較検討したものです。
糖尿病なし 糖尿病あり 調整後オッズ比
30分未満 3815 190 1.23
30分-1時間未満 5959 238 0.99
1時間-2時間未満 5263 216 1.04
2時間以上 10393 414 1.00
調整後オッズ比は所管保健所、年齢、性別、BMI、収縮期血圧、糖尿病の家族歴にて調整
1日の歩行時間が「30分未満」の群(4005人)と「2時間以上」の群(10807人)では糖尿病リスクに有意差がありました。
しかし「30分~1時間未満」群(6097人)と「1~2時間未満」群(5479人)でも「2時間以上」群と、糖尿病リスクは有意差がでなかったので、どのくらい歩けばリスクが下がるかは明確にはわかりませんでした。
成人の一般的な歩数だと、2時間は1万2千歩、30分は3千歩に相当するそうです。
全国の男女2万6488人のうち、2時間以上歩く人達が実に10807人(40.8%)もいたとは驚きですね。
おそらく、もともと健康に関心をもつ人がこの研究に積極的に参加したものと思われます。
まあ、30分-1時間未満の歩行群でも、有意差はなかったのですから、2時間以上も歩かなくても、30分-1時間未満の歩行でもよさそうですね。
さらに言えば糖質制限食なら、30分未満どころかほどんと運動なしでも、糖尿病のリスクはないと思います。
<国立がん研究センター多目的コホート研究グループのまとめ>
BMIを調整した上でも有意な関連が認められており、身体活動による体重への影響とは独立して、歩行時間が糖尿病リスクと関連することが示唆されました。
しかし、1日の歩行時間は、個人のさまざまな生活習慣や健康に対する態度と関連するものと考えられます。
こうした要因が糖尿病のリスクとの関連に交絡している可能性は依然排除できておりません。
今後のさらなるエビデンスの蓄積が必要と考えています。
江部康二
☆☆☆
以下は、
国立がん研究センター
http://epi.ncc.go.jp/jphc/773/3767.html
の発表の一部引用です。
歩行時間と糖尿病との関連について
-多目的コホート研究(JPHC研究)からの成果報告-
私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・虚血性心疾患・糖尿病などの病気との関連を明らかにし日本人の生活習慣予防と健康寿命の延伸に役立てるための研究を行っています。平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、東京都葛飾、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の10保健所(呼称は2015年現在)管内に居住する40~69歳の男女のうち1998~2000年度(ベースライン調査)および2003~2005年度(5年後調査)に実施されました糖尿病調査に参加された方を対象とし、歩行時間と糖尿病のリスクの関連を調査しました。この結果を専門誌で論文発表しましたので紹介します(J Epidemiol, 2015 年12月WEB先行公開)。
身体活動と糖尿病リスクについて
身体活動は糖尿病の危険因子の中で修正可能な要因の一つであり、多くの観察研究で身体活動強度の低い生活が糖尿病のリスクを上昇させることが知られています。また、介入研究において、身体活動を上げることが糖尿病の発症に対して予防的な効果があることも報告されています。歩行は、多くの人にとって実践が容易な身体活動であり、欧米諸国の過去の研究においては糖尿病発症のリスクを下げることが報告されています。
しかし、アジア人を対象とした研究報告は依然多くありません。本研究では、この歩行と糖尿病のリスクの関連を「多目的コホート研究(JPHC研究)」の「糖尿病研究」において解析しました。具体的には、上記の参加者を対象とし、ベースライン調査を用いた「1日の歩行時間と自覚していない糖尿病の関連」の横断的解析と、ベースラインと5年後調査の両方を用いた「1日の歩行時間と5年間の糖尿病発症の関連」の縦断的解析の二つの解析を実施しました。
横断的解析:1日の歩行時間と有糖尿病の関連
横断的解析では、ベースライン調査に参加した人のうち既に糖尿病があることを認知している人を除外し、26,488名(調査時平均年齢62歳, 男性36%)を対象としました。ベースライン調査にて参加者が質問票で回答した1日の歩行時間を用いて、30分未満、30分‐1時間未満、1時間‐2時間未満、2時間以上に分け、本人が認知していない糖尿病(血糖値やヘモグロビンA1c値で定義)を有することとの関連を調査しました。調査の参加者のうち1,058名(4.0%)が糖尿病を有していました。
1日の歩行時間ごとに分けると、歩行時間が2時間以上の群では糖尿病の有病率が3.8%であったのに対し、30分未満の群では4.7%でした。地域、年齢、性別、BMI、収縮期血圧、糖尿病の家族歴などが結果に影響しないように配慮して分析したところ、1日の歩行時間が2時間以上の群と比較して、30分未満の群の糖尿病であるリスクは1.23倍(95%信頼区間:1.02-1.48)と高いことがわかりました。
表1.1日の歩行時間と有糖尿病の関連
縦断的解析:1日の歩行時間と5年間の糖尿病発症の関連
一方、縦断的な解析では、ベースライン調査で糖尿病がない人のうち、5年後調査にも参加した人を対象として解析を行いました。このため、対象者数は11,101名(調査時平均年齢62歳, 男性33%)となりました。このうち5年間に612名が糖尿病を発症しました。歩行時間で分けると、年齢調整した5年間の糖尿病累積発症率は、1日の歩行時間が2時間以上の群で4.6%に対し、30分未満では7.0%でした。しかし、2時間以上の群に比べ30分未満の群の糖尿病発症のリスクは1.10倍(95%信頼区間:0.82-1.48)で、統計学的には有意に高いわけではありませんでした。
表2.1日の歩行時間と5年間の糖尿病発症の関連
この研究について
本研究では、非糖尿病域の高HbA1c値も全がんリスクと関連していることを報告した最初の論文です。多目的コホート研究を含む多くの疫学研究から糖尿病と全がんリスクとの関連が報告されており、がん予防のためにも糖尿病を予防することが重要であると考えられています。非糖尿病域の高HbA1c値群における全がんリスク上昇を示した本研究により、糖尿病予防対策の重要性が一層示唆されました。
まとめ
これらの解析から、歩行時間の少ない人における糖尿病のリスク上昇が示唆されました。縦断的な解析では有意なリスク上昇を認めませんでしたが、これに関しては以下のような理由が考えられます。まず、対象者数が横断的な解析より少なく統計的検出力が不十分であった可能性があります。また、縦断的な解析への参加者は、ベースライン調査と5年後調査の両方に参加した人であり、より健康に対する意識が高い対象者であったとも推測されます。このため糖尿病の発症がより少なく、有意な結果が得られにくかった可能性が考えられます。
なお、横断解析ではBMIを調整した上でも有意な関連が認められており、身体活動による体重への影響とは独立して、歩行時間が糖尿病リスクと関連することが示唆されました。しかし、1日の歩行時間は、個人のさまざまな生活習慣や健康に対する態度と関連するものと考えられます。こうした要因が糖尿病のリスクとの関連に交絡している可能性は依然排除できておりません。今後のさらなるエビデンスの蓄積が必要と考えています。
2015年01月25日 (日)
【15/01/24 岡部
江部 先生
貴重なブログ拝見させていただき、
勉強になっています。
ひとつ、お聞きしたいことがありましてコメントさせていただきました。
糖質制限を行うにあたって、アスリートの糖質制限は体に負担はかからないでしょうか?
運動をする際にエネルギー源である炭水化物を摂取しなくても可能ですか?
ちなみに私は
定時制高校勤務で
毎日通勤は往復10キロランニング、
部活は平日バスケ部(生徒とともにプレー)に約2時間参加。
土日は社会人バスケ(約2時間)や3日に1回はジム(約2時間・行き帰りはランニング)でトレーニングしてます。
いきなりの質問で申し訳ございませんが、
ご返答のほど、宜しくお願い致します。】
こんにちは。
アスリートと糖質制限食について、岡部さんからコメント・質問をいただきました。
よくある質問なので、復習も兼ねて考えてみます。
まず長距離走ですが、普通の市民ランナーやトレイルランナーレベルなら、間違いなくスーパー糖質制限食が適しています。
ブログにも複数のランナーから、糖質制限食で記録がのびたというコメントをいただいています。
よりハードないわゆる選手レベルの場合はどうなのでしょうか?
これに関して調度いい論文がありました。
「オフロードサイクリストにおける運動代謝と身体能力へのケトン食の影響」
という題のポーランドの研究です。(*)
以下、この研究の要約と結果を、かなりアバウトに意訳してみました。
面倒なところは一部省いていますが、大意は合っていると思います。
<要約>
本研究の主な目的は、オフロードサイクリストの好気的パフォーマンスと運動代謝においての、長期的ケトン食の効果を決定することであった
被験者はトレーニング経験が5年間以上のオフロードサイクリングのアスリート。
8人の男性被験者、年齢は28.3±3.9歳
クロスオーバーで、ケトン食と混合食を一ヶ月ずつ。
それぞれ同じトレーニング負荷。
ケトン食:P:C:F=15:15:70
混合食:P:C:F=20:50:30
様々な強度でサイクロエルゴメーターで連続的な運動手順で検査を行った。
ケトン食は、体重、体組成、脂質及びリポタンパク質プロファイルにいおいて好ましい変化があった。
最大酸素摂取量と乳酸閾値と呼吸交換率(RER)は、安静時および運動の最初の3つの段階(10分、45分、90分・・・低~中程度の強度)においては、ケトン食が優位であった。
最後のマックス強度の運動の時は、ケトン食の優位は逆転した。
<結果>
有酸素持続的なアスリートにおいては、ケトン食は好ましい可能性がある。
高容量で、低から中等度の強度のトレーニング負荷のトレーニング過程においては、ケトン食は優位である可能性がある。
筋肉のダメージも少ない。
しかし高強度の運動においては、ケトン食は筋肉中のグリコーゲン貯蔵が少なく解糖酵素の能力が低下するので運動能力を低下させる。
*ケトン食は脂肪酸代謝を活性化させ、インスリンレベルとブドウ糖利用を減少させる。
自転車のアスリート8名の研究で、ケトン食を摂取した1ヶ月と混合食を摂取した1ヶ月で、それぞれデータをとって、比較した研究です。
結論は、有酸素運動(この研究では自転車競技)において、低強度~中等度の強度トレーニングなら、ケトン食は混合食(普通食)より優位であるけれど、高強度のトレーニングだけは、優位は逆転するということです。
これは、中程度の強度のトレーニングなら、ケトン食で脂肪酸代謝が活性化しているので、それをエネルギー源として筋肉は混合食(普通食)の時より効率的に活動できるということです。
しかも筋肉のダメージも、混合食(普通食)より少ないのですから、良いことずくめです。
この結論は、今までの私の印象とも一致しています。
このことを考慮すると、有酸素運動が主のマラソンやトレイルランなどでは、ケトン食やスーパー糖質制限食を実践していると、筋肉はしっかり「脂肪酸-ケトン体」を主たるエネルギー源として使って、中等度の強度の運動くらいまでは有利に走り続けていくことが可能です。
これにより、筋肉中のグリコーゲンを節約することができるので、最後までグリコーゲンは残っています。
ラストスパートだけは、このとっておきの「グリコーゲン-ブドウ糖エネルギーシステム」をエネルギー源に使って無酸素運動で高強度の運動で終了というパターンが可能です。
この研究のケトン食は、糖質15%ですから、高雄病院のスーパー糖質制限食の12%と似たようなものです。
Ketogenic Diet(ケトン食)という言葉は、ケトン体を産生するレベルの糖質制限食という意味を兼ねています。
1回の食事の糖質量が、20g以下で、1日の糖質量が60g以下だとケトン体が産生されます。
長距離・中距離走や一般的なスポーツ(サッカー、野球、バスケットボール、テニス・・・など)では、いつも通りのトレーニングでスーパー糖質制限食を実践していると、筋肉は「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」を上手に使えるようになります。
そして筋肉のダメージも少ないのですから、とてもよいパフォーマンスが可能と思います。
100m走など高強度の運動には、スーパー糖質制限食は向かないと思います。
またボクシングも減量はいいのですが、トレーニングは高強度の運動の繰り返しなので向いていません。
(*)
http://www.mdpi.com/2072-6643/6/7/2493#tabs-5
Nutrients 2014, 6, 2493-2508; doi:10.3390/nu6072493
The Effects of a Ketogenic Diet on Exercise Metabolism and
Physical Performance in Off-Road Cyclists
Adam Zajac 1
Stanisław Poprzecki 2
Adam Maszczyk 1,*, Miłosz Czuba 1
Małgorzata Michalczyk 3
and Grzegorz Zydek 3
江部 先生
貴重なブログ拝見させていただき、
勉強になっています。
ひとつ、お聞きしたいことがありましてコメントさせていただきました。
糖質制限を行うにあたって、アスリートの糖質制限は体に負担はかからないでしょうか?
運動をする際にエネルギー源である炭水化物を摂取しなくても可能ですか?
ちなみに私は
定時制高校勤務で
毎日通勤は往復10キロランニング、
部活は平日バスケ部(生徒とともにプレー)に約2時間参加。
土日は社会人バスケ(約2時間)や3日に1回はジム(約2時間・行き帰りはランニング)でトレーニングしてます。
いきなりの質問で申し訳ございませんが、
ご返答のほど、宜しくお願い致します。】
こんにちは。
アスリートと糖質制限食について、岡部さんからコメント・質問をいただきました。
よくある質問なので、復習も兼ねて考えてみます。
まず長距離走ですが、普通の市民ランナーやトレイルランナーレベルなら、間違いなくスーパー糖質制限食が適しています。
ブログにも複数のランナーから、糖質制限食で記録がのびたというコメントをいただいています。
よりハードないわゆる選手レベルの場合はどうなのでしょうか?
これに関して調度いい論文がありました。
「オフロードサイクリストにおける運動代謝と身体能力へのケトン食の影響」
という題のポーランドの研究です。(*)
以下、この研究の要約と結果を、かなりアバウトに意訳してみました。
面倒なところは一部省いていますが、大意は合っていると思います。
<要約>
本研究の主な目的は、オフロードサイクリストの好気的パフォーマンスと運動代謝においての、長期的ケトン食の効果を決定することであった
被験者はトレーニング経験が5年間以上のオフロードサイクリングのアスリート。
8人の男性被験者、年齢は28.3±3.9歳
クロスオーバーで、ケトン食と混合食を一ヶ月ずつ。
それぞれ同じトレーニング負荷。
ケトン食:P:C:F=15:15:70
混合食:P:C:F=20:50:30
様々な強度でサイクロエルゴメーターで連続的な運動手順で検査を行った。
ケトン食は、体重、体組成、脂質及びリポタンパク質プロファイルにいおいて好ましい変化があった。
最大酸素摂取量と乳酸閾値と呼吸交換率(RER)は、安静時および運動の最初の3つの段階(10分、45分、90分・・・低~中程度の強度)においては、ケトン食が優位であった。
最後のマックス強度の運動の時は、ケトン食の優位は逆転した。
<結果>
有酸素持続的なアスリートにおいては、ケトン食は好ましい可能性がある。
高容量で、低から中等度の強度のトレーニング負荷のトレーニング過程においては、ケトン食は優位である可能性がある。
筋肉のダメージも少ない。
しかし高強度の運動においては、ケトン食は筋肉中のグリコーゲン貯蔵が少なく解糖酵素の能力が低下するので運動能力を低下させる。
*ケトン食は脂肪酸代謝を活性化させ、インスリンレベルとブドウ糖利用を減少させる。
自転車のアスリート8名の研究で、ケトン食を摂取した1ヶ月と混合食を摂取した1ヶ月で、それぞれデータをとって、比較した研究です。
結論は、有酸素運動(この研究では自転車競技)において、低強度~中等度の強度トレーニングなら、ケトン食は混合食(普通食)より優位であるけれど、高強度のトレーニングだけは、優位は逆転するということです。
これは、中程度の強度のトレーニングなら、ケトン食で脂肪酸代謝が活性化しているので、それをエネルギー源として筋肉は混合食(普通食)の時より効率的に活動できるということです。
しかも筋肉のダメージも、混合食(普通食)より少ないのですから、良いことずくめです。
この結論は、今までの私の印象とも一致しています。
このことを考慮すると、有酸素運動が主のマラソンやトレイルランなどでは、ケトン食やスーパー糖質制限食を実践していると、筋肉はしっかり「脂肪酸-ケトン体」を主たるエネルギー源として使って、中等度の強度の運動くらいまでは有利に走り続けていくことが可能です。
これにより、筋肉中のグリコーゲンを節約することができるので、最後までグリコーゲンは残っています。
ラストスパートだけは、このとっておきの「グリコーゲン-ブドウ糖エネルギーシステム」をエネルギー源に使って無酸素運動で高強度の運動で終了というパターンが可能です。
この研究のケトン食は、糖質15%ですから、高雄病院のスーパー糖質制限食の12%と似たようなものです。
Ketogenic Diet(ケトン食)という言葉は、ケトン体を産生するレベルの糖質制限食という意味を兼ねています。
1回の食事の糖質量が、20g以下で、1日の糖質量が60g以下だとケトン体が産生されます。
長距離・中距離走や一般的なスポーツ(サッカー、野球、バスケットボール、テニス・・・など)では、いつも通りのトレーニングでスーパー糖質制限食を実践していると、筋肉は「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」を上手に使えるようになります。
そして筋肉のダメージも少ないのですから、とてもよいパフォーマンスが可能と思います。
100m走など高強度の運動には、スーパー糖質制限食は向かないと思います。
またボクシングも減量はいいのですが、トレーニングは高強度の運動の繰り返しなので向いていません。
(*)
http://www.mdpi.com/2072-6643/6/7/2493#tabs-5
Nutrients 2014, 6, 2493-2508; doi:10.3390/nu6072493
The Effects of a Ketogenic Diet on Exercise Metabolism and
Physical Performance in Off-Road Cyclists
Adam Zajac 1
Stanisław Poprzecki 2
Adam Maszczyk 1,*, Miłosz Czuba 1
Małgorzata Michalczyk 3
and Grzegorz Zydek 3