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世界ガン研究基金の2007年の報告
おはようございます。

世界ガン研究基金の2007年の報告、いろんな日本語のサイトで要約は載っているのですが、肥満とガンに関して、内容が微妙に食い違っていて、どう解釈したものか悩んでましたがやっと英文の本家のサイトにたどり着きました。

World cancer reserch fund
http://www.wcrf-uk.org/preventing_cancer/recommendations.php

このサイトで、必要な確認だけして、内容を検討してみました。


まずは、ウィキペディアの解説です。よくまとまっているので、以下に引用しました。

【食生活指針
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A3%9F%E7%94%9F%E6%B4%BB%E6%8C%87%E9%87%9D

世界がん研究基金によるがん予防の勧告
1997年に4500以上の研究を研究を元に、「食べもの、栄養とがん予防」 (Food, Nutrition, and the Prevention of Cancer: A Global Perspective) が報告された。日本では、がん予防14か条、タバコの制限を加えてがん予防15か条として紹介された。

2007年11月1日、世界がん研究基金とアメリカがん研究協会によって7000以上の研究を根拠に「食べもの、栄養、運動とがん予防[15]」が報告されている。

①肥満 ゴール:BMIは21-23の範囲に。 推薦:標準体重の維持、BMI25未満。

②運動 推薦:毎日少なくとも30分の運動。

③体重を増やす飲食物 推薦:高エネルギーの食べものや砂糖入り飲料やフルーツジュース、ファーストフードの摂取を制限する。飲料として水や茶や無糖コーヒーが推奨される。

④植物性食品 ゴール:毎日少なくとも600gの野菜や果物と、少なくとも25グラムの食物繊維を摂取するための精白されていない穀物である全粒穀物と豆を食べる。 推奨:毎日400g以上の野菜や果物と、全粒穀物と豆を食べる。精白された穀物などを制限する。
トランス脂肪酸は心臓病のリスクとなるが、がんへの関与は知られていない。

⑤動物性食品 赤肉(牛・豚・羊)を制限し、加工肉(ハム、ベーコン、サラミ、燻製肉、熟成肉、塩蔵肉)は避ける。赤肉より、鶏肉や魚が推奨される。 ゴール:赤肉は週300g以下に。 推奨:赤肉は週500g以下に。乳製品は議論があるため推奨していない。

⑥アルコール 男性は1日2杯、女性は1日1杯まで。

⑦保存、調理 ゴール:塩分摂取量を1日に5g以下に。 推奨:塩辛い食べものを避ける。
塩分摂取量を1日に6g以下に。カビのある穀物や豆を避ける。

⑧サプリメント ゴール:サプリメントなしで栄養が満たせる。 推奨:がん予防のためにサプリメントに頼らない。

⑨母乳哺育 6か月、母乳哺育をする。これは母親を主に乳がんから、子供を肥満や病気から守る。

⑩がん治療後 がん治療を行ったなら、栄養、体重、運動について専門家の指導を受ける。

***
タバコの煙もがんの主因であると強調している。また、タバコとアルコールは相乗作用で発癌物質となる。】


肥満に関しては、大腸・食道・膵臓・腎臓・子宮内膜(子宮)・乳房のガンになるリスクが高まるとしています。
これら6つのガンに関しては、はっきり肥満がリスクになるということです。また、胆嚢に関しては、肥満がおそらく発ガンのリスクを高めるとしています。糖質制限食が肥満にはもっとも有効な治療法です。 (^_^)

②運動③体重を増やす飲食物
は①とも関連してますね。私も賛成です。

④植物性食品では、食物繊維の摂取を推奨ですね。また精製炭水化物の制限を推奨です。
賛成です。

⑤動物性食品
赤肉(牛・豚・羊)は週500g以下にという目標は、日本人にはそんなに難しくはないように思いますが、米国人にはとんでもなく厳しい数値目標ですね。

最近は、動物性脂肪の害はないという文献も出てきているので個人的には、もう少し赤肉を食べてもいいように思うのですが・・・(∵)?

⑥アルコール
「男性は1日2杯まで」
これは仰有る通りかもしれませんが、残念ながら私には守れそうもありませんし、守っていませんね。(-_-;)

⑦保存、調理
塩分6g以下ですか。結構厳しいですね。σ(=_=;)ヾ

⑧⑨⑩は賛成です。

タバコの害も言うまでもないですね。



江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
ガン予防は肥満防止、そして糖質制限食
おはようございます。
私は家では京都新聞、毎日新聞を取っています。律儀に夕刊までとってます。

高雄病院の医局の先生方では、新聞を取ってない人もおられます。新聞離れの世の中になりつつありますが、私はまだまだ新聞にも役割を果たして欲しいと思ってます。

ちなみに高雄病院では、朝日新聞を取っています。

2007年11月25日(日)の朝日新聞の2面に、ガン予防は「肥満防止」という記事が載りました。

以下一部引用です。

『世界ガン研究基金(本部・ロンドン)が今回公表した報告書で「肥満」が、食道・膵臓・大腸・乳房・子宮体部・腎臓の各ガンで「リスクを確実に上げる」とされた。
10年前にまとめた最初の報告書では、野菜の摂取は肺など5種のガンについて「確実にリスクを下げる」と5段階で最も高く評価さたが、今回は急落した。
胃などについて「恐らく確実にリスクを下げる」とされるにとどまった。
代わって浮上したのは「適正体重の維持」だった。
97年の初版は各国のガン対策に反映されており、今回の報告書も影響を与えそうだ。
報告書は、生活習慣とガンに関する研究のうち、この10年間に発表された3000件を加えた計7000件を解析。野菜、肉、アルコールの摂取や運動などが、ガンにかかる危険性と関係する程度を、5段階で評価した。』

つまり「野菜摂取でガン予防」という従来の常識が、大きく変わり「確実に下げる」はなんとゼロになってしまったわけです。

「恐らく確実」も口腔・咽頭・喉頭・食道・胃の各ガンにとどまっています。

昨日のブログに書いた「従来のヘルシー食(糖質を中心に野菜をたっぷりと摂取)を徹底して脂質を減らしても、乳ガンも大腸ガンも心筋梗塞も減らなかった」という米国医師会雑誌の報告も含めて、次々と旧来の常識が覆っていますね。

肥満がなぜ、ガンのリスク要因になるのかいろいろ議論のあるところと思いますが、薬に頼らず、安全に肥満を改善するのは糖質制限食です。

肥満改善という意味で 糖質制限食にはガン予防効果が期待できるわけですね。

メタボ人の方々、たかが肥満と油断なされず、是非是非、糖質制限食をお試しあれ。

なおハーバート大学のMalik博士ら が2007年、心臓血管雑誌に「従来の脂肪制限食は減量における長期有用性および心臓血管病のリスク軽減に関して否定的である。」と報告したのも、「肥満・心臓病=脂肪の摂りすぎ=脂肪犯人説」という常識を根底から覆すものでした。*

*V.S.Malik, F.B.Hu: Popular weight-loss diets: from evidence to practice, Nature Clinical Practice Cardiovascular Medicine(2007), 4:34-41 )
ハーバート大学、メタ解析。

江部康二
テーマ:糖尿病
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