糖尿病はなぜ増え続けているのか?
こんばんは。今、ブログを書き終えました。
自宅から徒歩数分の小さなお店に行って、これからステーキと赤ワインの夕食といたします。サラダも野菜たっぷりでハムもあって美味しいんですよ。豚汁も食べます。勿論、お肉も安くて美味しいです。いつもはヒレ肉ですが、今日はロース肉にしてみます。

さて、本題です。

厚生労働省や医学界、保健所などの懸命の努力にもかかわらず、糖尿病が増え続けています。医学界もそろそろ素朴に「何故だ?」という疑問を持って欲しいですね。

今日は、なぜこれだけ糖尿病が増えているか、考察してみました。

福岡県にある久山町は、人口約8000人の町ですが、1961年から九州大学医学部が、ずっと継続して40才以上の全住民を対象に研究を続けていて、日本の医療におおいに貢献してきました。またこの研究は、世界的な評価も高いです。

5年に一度の健康診断の受診率は約80%もあり、他の市町村に比し高率です。また、死後の解剖検査も82%の住民において実施されていて、精度の高い研究の支えとなっています。
 
この久山町の1988年の75g経口ブドウ糖負荷試験を用いた健診では、男性の15.0%、女性の9.9%が糖尿病と診断され、当時の医学界の常識よりはるかに増えてきていることがわかり警鐘となりました。

1988年以降、九州大学のグループは運動や食事療法を住民に徹底的に指導して、糖尿病の増加を防ごうと努力されました。

しかし、2002年の調査では予想に反して、男性の23.6%、女性の13.4%が糖尿病と増加していました。

さらに、空腹時血糖値が軽度高値(110mg~125mg)、食後2時間血糖値が軽度高値(140mg~199mg)の何らかの耐糖能以上を有する糖尿病予備軍を併せると男性の59.9%、
女性の41.3%に激増していました。

14年間の努力が全く無に帰したのですから、衝撃的な結果(大失敗)です。運動療法と食事療法の指導だけですから、失敗の原因は運動?食事?

運動療法が糖尿病予防に悪影響があるとは全く考えられませんので、残るのは『指導した食事療法がかえって糖尿病を増やした』という厳然たる事実です。

日本糖尿病学会推奨の「糖質60%、脂質20%、タンパク質20%」で食事指導を行う限りは、いくら運動療法を頑張っても糖尿病の増加をくい止めることはできなかったということが、久山町研究ではっきり証明されたわけですね。

今の日本のごく普通の食生活において、総摂取カロリーの60%を糖質で摂る時、その糖質のほとんどは精製された炭水化物になります。

即ちGI値(血糖上昇指数:6.13ブログ参照してくださいね)が高い、パン、白米、うどん、ラーメンなどが主食ですね。

これら精製炭水化物を摂取すれば、毎回ブドウ糖ミニスパイク(7.26ブログ)が生じ、血糖値は正常人でも30~60分で160mg程度に上昇します。

肉や魚、豆腐などタンパク質と脂質が主の食品は血糖値をほとんど上昇させません。玄米はパンや白米よりは血糖値を上げにくいです。

久山町研究でも、 糖質制限食はまあ無理としても、せめて主食を玄米にしていれば将来の糖尿病発症予防効果があるていどあったと思うのですが・・・ (´・⊇・`)

ちなみに白パンのGI:90~100、白米:70~80、玄米:50~60です。大豆は10~20です。

まだ糖尿病になっていない正常人でも、朝・昼・晩と主食(精製炭水化物)を食べ、間食に菓子パン、ケーキ、清涼飲料水、アイスクリーム、チョコレート・・・、

だめ押しで夜食にラーメン、おにぎり・・・。

一日に数回、ブドウ糖ミニスパイクが生じています。その度にインスリンが分泌され、30年、40年、50年・・・。

とうとう膵臓のベータ細胞が疲れ果て、インスリンの分泌不足が起こり糖尿病の発症です。日本人・アジア人はインスリンの分泌能力が欧米白人より少ないので、糖尿病になりやすいとされています。

また、インスリン(肥満ホルモン)がまだ過剰に分泌されている段階では肥満を伴うことが多く、これがインスリン抵抗性を増加させ、やはり糖尿病になりやすくします。

結論

精製炭水化物の過剰摂取による、日常的なブドウ糖ミニスパイクとインスリンの分泌こそが、糖尿病がこれだけ増えてきたことの元凶です。

まだ糖尿病になっていない方々、 糖質制限食あるいは、せめて低GI食品で糖尿病発症の予防をめざしてくださいね。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
ピマインディアンと糖尿病・肥満②
こんばんは。
今日は、江部診療所の外来が終わった後、午後3時前に「高雄病院京都駅前診療所」に着きました。

10月1日の開院に向けて、模擬患者さんにて電子カルテ操作のリハーサルでした。

いやはや、電子カルテ・・・。

40名の予約患者さん・・・、ほんまに大丈夫かいな???

一抹いや、三抹くらいの不安はありますが、きっと何とかなるでしょう・・・。

さて、ピマインディアンシリーズのの続きです。

ピマインディアンには、アメリカのアリゾナ州とメキシコのシェラマドレ山脈に定住した2つのグループがあります。元来は同じ種族ですので、遺伝的素因は共通です。

アリゾナ州のピマインディアンは、今や人口の50%が2型糖尿病で肥満も多数です。
 
ところが、今も農業と酪農という伝統的な生活様式を維持している、メキシコ・メイコバのピマインディアンは、肥満にも糖尿病にもなっていません。

彼等は険しい山岳に居住し、主食は豆、芋、トウモロコシなど、たまに鶏肉といった食生活です。糖質は結構摂っていますが、運動量が半端じゃないです。

厳しい生活環境で、週20時間くらい重労働、あるいは中等度の労働をこなしています。
 
アリゾナのピマインディアンも、かつては同様の運動量で糖尿病もほとんど無かったのですが、米国政府の食料援助に頼るようになってからは、週2時間ていどの運動しかしていません。(平均的な米国人は週3回30分程度の運動していません。)

このように、アリゾナとメキシコのピマインディアンを比較してみると、倹約遺伝子(肥満遺伝子)を持っているので、高GI食や運動不足などの環境因子が加わると糖尿病・肥満になりやすいけれども、従来の伝統的な食生活や肉体労働を維持していれば、ならずにすむということがわかります。

私達日本人も3人に1人が、この『脂肪をためやすく燃えにくいようにする倹約遺伝子』を持っているので、ピマインディアン同様に糖尿病・肥満にはなりやすいので、油断は禁物です。

日本人も明治・大正・戦前までは、結構糖質を総摂取カロリーの60%以上食べているのに、糖尿病・肥満が少なかったのは、メキシコのピマインディアンに近いライフスタイルだったからなのでしょう。

このことを思えば、現在糖尿病・肥満のない方々は、高雄病院の「食生活十箇条」と適切な運動で将来そんな病気にならずにすむということですね。

江部康二


☆☆☆
アトピー性皮膚炎やアレルギー疾患の患者さんに、
そして糖尿病や高脂血症などの生活習慣病予防に、

高雄病院
『食生活十箇条』
一、主食は未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
二、白パン・白砂糖など精製炭水化物の摂取は極力減らす
三、発酵食品(味噌、漬け物、納豆など)をきちんと食べる
四、液体でカロリーを摂らない(飲みものは水、番茶、麦茶、ほうじ茶など)
五、魚貝類はしっかり食べ、肉類は適量を摂る
六、季節の野菜や海草はしっかり食べ、旬の果物も適量摂る
七、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)など身体に良い油脂は積極的に摂る
八、牛乳は極力減らし、チーズやプレーンヨーグルトは適量摂る
九、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ
十、食事は楽しく、ゆっくり、よくかんで 


☆☆☆
既に糖尿病になっている人、肥満・メタボの人には

『糖質制限食十箇条』
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食  べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控え   る。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶も   OK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は   控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルー   ツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
ピマインディアンと糖尿病・肥満①
こんばんは。
今夜は満月が見れると思ったら、残念ながら曇りです。

さて、

8.13、肥満と倹約遺伝子のブログに登場してもらった、米国アリゾナ州に居住するピマインディアン、また興味深いことがわかったので、取りあげてみます。

民族的に見ると、倹約遺伝子(肥満遺伝子)を多く保有している民族は、イヌイット、ピマインディアン、日本人の順だそうです。

これらの民族は、最後の氷河期(7万年前~1万年前のウルム氷河期)にユーラシア大陸から、海位が百数十m下がって陸続きになっていたベーリング海峡や日本海を渡って、アメリカ大陸、日本列島に渡ったモンゴロイドです。

氷河期の過酷な飢餓環境に順応すべく、摂取したエネルギーを少しでも脂肪として蓄えようとする体質(倹約遺伝子→基礎代謝量低下)を獲得したと考えられます。

少量の食料で得たエネルギー(ブドウ糖)を、少量のインスリンで中性脂肪に変えるので、インスリン分泌能力の少ない体質となったようです。

アリゾナ州のピマインディアンは、現在、世界的に最も2型糖尿病が多い民族とされています。

かつては狩猟や農業などを営み、ギラ河に灌漑設備を構築するなど極めて運動量豊富で、食事は低GI食品中心の伝統的な生活をおくっており、痩身で糖尿病などほとんど見られない民族でした。

しかし、白人が西部に移住しギラ河の水を自分たちの農業のために利用し始めたため、ピマインディアンの伝統的生活様式は破綻し、1970年代までには、米国政府の食物供給を受けることを余儀なくされました。

その結果、米国型の高GI食品の摂取と運動不足のため、今や人口の50%が糖尿病で、成人の90%が高度肥満という非常事態に陥ってしまいました。

氷河期を乗り越えた飢餓に有利な遺伝的形質は、言い換えれば飽食と運動不足の現代に置いては、糖尿病や肥満になりやすい体質といえ、それがアリゾナのピマインディアンの悲劇に繋がったということができます。

<続く>

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット