英語のサイトの糖質制限食情報。癌と糖質制限食の英語サイトなど。
こんばんは

糖質制限食に関して、知人が欧米人であるとか、英語のサイトの情報を教えて欲しいというコメントが時々あります。
それで、今回は英語のサイトの糖質制限食情報を集めてみました。
英語のサイトの解説として、本ブログ記事も掲載しました。


1)
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01419587

ClinicalTrials.gov
A service of the U.S. National Institutes of Health

Ketogenic Diet With Chemoradiation for Lung Cancer (KETOLUNG)

アイオワ大学とNIHが2011年から継続中のケトン食と肺がん4期の臨床試験です。
これは、完全に学術的サイトです。
2017年7月に、第一回目の報告があります。

2)
糖尿病の人はなぜがんになりやすいか
2015年12月28日
http://mainichi.jp/premier/health/articles/20151224/med/00m/010/004000c
これは日本語の情報です。
ここに私の書いたものですが、アイオワ大学とNIHの研究の解説記事も少し載っています。


3)
糖質制限食にがん治療効果はあるか?
2016年1月29日江部康二 / 高雄病院理事長
http://mainichi.jp/premier/health/articles/20160128/med/00m/010/011000c
これは日本語の情報です。


4)
米国で1、2を争う癌専門病院
ニューヨークメモリアルスローンケータリング癌センターのセンター長兼CEO Craig.Thompson 博士は

『脂質を多く食べても癌のリスクは全く上昇しません 。糖質を多く食べると癌のリスクを著しく高めます 。
タンパク質はその中間に位置します』

と講演(動画)で述べています。英語の講演です。
http://www.youtube.com/watch?v=WUlE1VHGA40#t=27m0s

2014年04月16日 (水)の本ブログ記事
「糖質摂取多いと癌のリスク。スローン・ケタリング癌センターCEOの講演。」
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-2927.html
もご参照いただけば幸いです。


5)
「The Food Revolution - AHS 2011」
http://youtu.be/FSeSTq-N4U4

という英語の講演の動画(ユーチューブ)があります。

講演が40数分で質疑応答をいれて合計54分くらいです。

この動画、スウェーデンのアンドレアス・エンフェルト医師が、米国で糖質制限食の講演を行ったものです。

アンドレアス・エンフェルト医師は、スウェーデンの糖質制限派の医師です。

エンフェルト医師は、
Diet Doctor.com という英語のタイトルで、ホームページを作成してLCHF(Low Carb High Fat:糖質制限・高脂肪)について様々な情報提供、
研究者や医師や科学ジャーナリストへのインタビューを掲載しています。
勿論、英語のサイトです。
http://www.dietdoctor.com/about

2013年12月24日 (火)の本ブログ記事
「スウェーデンでは、23%の人が、糖質制限食を実践している。」
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-2800.html
をご参照頂けば幸いです。



江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
2型糖尿病の厳格な薬物血糖管理の利益はわずか。RCTメタ解析。2011年。
おはようございます。

「2型糖尿病の厳格な薬物血糖管理の利益はわずか」と言う結論のRCT研究論文のメタ解析報告が、
ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル誌(BMJ誌)
2011年7月30日号に掲載されました。

フランスLyon第一大学のRemy Boussageon氏らの報告です。

Medline、Embase、コクランレビューに1950年から2010年7月までに登録された無作為化試験(RCT)の中から、厳しい条件を満たした研究を選出しました。

その結果以下の13件の研究が残りました。

UGDP(phenoformin、tolbutamide、insulinの3件)、
Kumamoto、Veteran Affairs Feasibility study、
UKPDS(33と34の2件)、PROactive、Dargieらの2007年の研究、
ACCORD、ADVANCE、VADT、HOME。

これら13件の研究をメタ解析したのがこの論文です。(☆)
日本の熊本スタディ-も含まれています。

この論文の結論は

「2型糖尿病の薬物による厳格な血糖管理の利益はわずか、低血糖リスクに相殺される程度」

ということです。

2型糖尿病患者に対して薬物で厳格な血糖管理を行っても、全死因死亡、心血管死亡リスクの低減効果はあったとしてもわずかで、重症低血糖リスクは2倍以上になることが、明らかとなっています。

13の厳選された信頼度の高いRCT論文のメタ解析ですので、エビデンスレベルは最高ランクであり、客観的・科学的・数量的・総括的な評価を目指した論文と言えます。

今回のメタ解析の結果、厳格な薬物血糖管理の利益はあったとしてもわずかで、重症低血糖がもたらす害により相殺される程度であることが示唆されました。

死亡に対する影響も、
「全死因死亡リスクは9%低下または19%上昇」
「心血管死亡リスクは14%低下または43%上昇」
という可能性が残るということでした。

つまり、厳格薬物血糖管理群で、かえって死亡リスクが高まる可能性も充分あり得るという、極めて厳しい結論です。(=_=;)  

2008年報告のACCORD試験(今回のBMJ誌のメタ解析にも選ばれています)では、厳格管理群の総死亡率が標準治療群より有意に上昇し、物議をかもしたのは記憶に新しいところです。

ACCORD試験の結果は、

「糖質を摂取しながら、厳格に糖尿病薬物治療を行えばかえって死亡リスクが高まった」

という恐るべき結論です。

そして、今回のBMJ誌の論文でも、糖質を摂取しながらの厳格薬物治療の利益はほとんどないに等しいし、場合により死亡リスクを高める可能性さえあるということです。


<結論>

2型糖尿病患者が糖質を普通に摂取していると、強化薬物療法(経口薬、インスリン注射)を行って、厳格な血糖管理を実施しても、利益はわずかで、低血糖リスクに相殺される程度である。

<おわりに>

『食後高血糖』と『平均血糖変動幅増大』を防ぎ、合併症予防や総死亡率減少が期待できるのは、糖質制限食だけです。

従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)では、『食後高血糖』と『平均血糖変動幅増大』を防ぐことは困難です。

糖尿人のご同輩、くれぐれも、美味しく楽しく末長く、糖質制限食ですね。

自分の頭で考えて、判断し、選択して、身を守って頂けば幸いです。



(☆)Effect of intensive glucose lowering treatment on all cause mortality, cardiovascular death,
and microvascular events in type 2 diabetes: meta-analysis of randomised controlled trials
BMJ 2011; 343 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.d4169 (Published 26 July 2011)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21791495



江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
2糖尿人の平均BMI、欧米人は32、日本人は24。海外の事情。
こんにちは。

カナダの MIKI さんから、糖尿病、インスリン、インスリンアレルギーなどに関して、コメント・質問を頂きました。

【16/01/24 MIKI

はじめまして

はじめまして、江部先生。カナダ在住のMIKIと申します。12年前に、妊娠性糖尿病で、次男を出産しました。その5年後、糖尿病を発病しました。丁度、その時、江部先生のブログを読んだのにもかかわらず、ベジタリアンだったため受け入れられませんでした。

最初の頃は、運動で血糖値をコントロールしていました。玄米菜食をずっと続けていましたが、去年の夏に血糖値がかなり上がっていて、激ヤセして、体力もなくなっていました。

結局、9月からHumulinとHypurin を処方され、今は、HumulinとHumelogを打っています。丁度、インシュリンを打ち始めた頃から、ももと胸のしたの部分がほんのりと赤くなり、洋服や下着に触れると刺すような痛みが出始めました。かなり不快です。もう、5ヶ月になります。

ホームドクターはインシュリンのリアクションかもしれないとのことで、糖尿の専門医に聞くとのことで、答えを待っている状態です。インシュリンが身体に合わないことはあるのでしょうか。先生の患者さんでそういう方はいらっしゃいますか。

5ヶ月前から糖質制限も始めA1Cが12%から一ヶ月で9.3%になり、先週の検査では7.9%になりました。低血糖にならないようにインシュリンも調整して少なめに打っています。暁現象で、空腹時前の数値が高い時がありますが。本当にもっと早くから、糖質制限をしていればよかったと思っています。どうかよろしくお願いします。】



16/01/24 ドクター江部
Re: はじめまして
カナダ在住のMIKI さん

インスリンのアレルギーは時々あります。
皮膚が痒くなることが多いです。
インスリンの種類を変えることで、OKとなる人もいます。

自分自身の内因性インスリンの分泌量を確認するためには、早朝空腹時のC-ペプチドを測定しましょう。

C-ペプチドがかなり分泌されていれば、自分自身のインスリンの量を反映していますので 、スーパー糖質制限食なら、 外部からのインスリン注射を減量、一番上手くいけば離脱することも可能です。

<スーパー糖質制限食+インスリン>で低血糖に注意しながら、インスリン減量です。

玄米菜食からスーパー糖質制限食への変更なら、食前のインスリンは1/3以下になります。

なお私自身も玄米魚菜食を実践して、19年目で糖尿病が発覚しました。

【16/02/02 MIKI

暁現象とインスリンの量

江部先生、再び、カナダのMIKIです。先日はアドバイスありがとうございました。結局、Humulinを止めて、ランタスを摂取しています。これで、皮膚の痛みが改善されるといいのですが。

ところで、最近、早朝空腹時血糖値が8.7から9.6mmol/L(156.6から172?)なのです。ランタスを就寝時に11ユニット打っても、高くなります。多分、不眠のせいもあると思うのですが。それで、糖質に合わせてインスリンの量を決めるとス-パー糖質制限をしているので、食前と食後の上昇率が殆んどありません。が、早朝からの値が高いので、一日中、高血糖になります。それよりもインスリンを少し多めにして、食後を180位内に押さえた方がいいのでしょうか。

こちらの専門医からは朝、昼3ユニット、夜6ユニット、多めに食べる時はプラスと指示されています。先生はどう思われますか。それからペプチドCの検査を希望しましたが、こちらでは簡単には検査してくれませんでした。

ただ、いろんな経過をみて、私にはほとんどインスリンが分泌されていないだろうと言われました。先生のブログをみて、日本ではいろんな角度から検査してくれるので、少々不安になります。私も京都出身なので、機会があれば、一度、高雄病院に入院してみたいです。先生がこのブログを続けてくださって、海外に住んでいる私にはとても心強いです。ありがとうございます。】



カナダのMIKI さん

海外在住で、糖尿病で、現地の医療機関受診はいろいろ心細いことがあると思います。
本ブログが参考になれば幸いです。

まず血糖値ですが、海外のmmol/l に18をかけると、日本のmg/dl 換算になります。

ヒューマリンを中止してランタスに変更で11単位、ヒューマログが朝、昼3単位、夜6単位ですね。

ランタスは、基礎分泌インスリンの代わりであり、1日1回注射で、約22-23時間持続します。
ヒューマログは短時間の作用であり、追加分泌インスリンの代わりです。
ヒューマログは、15分以内に効果が発現して、最大作用時間は30~90分間、持続時間は3~5時間です。

早朝空腹時血糖値が156mg~172mg/dlと高値なら、ランタスの単位を増やして、下げる方が好ましいです。

以下の要領で、ランタスの単位を自己管理するのが良いと思います。

【ランタスのスケール】
早朝空腹時血糖値のデータに基づき、
前日夜のランタスの単位を基準に、
当日夜のランタスの単位を増減する。

早朝空腹時血糖値90mg/dl未満:  ランタス1単位減量
早朝空腹時血糖値90~125mg/dl未満: ランタス同量
早朝空腹時血糖値126mg/dl以上: ランタス1単位増量


例えば、2月1日就寝時にランタス11単位打って、2月2日早朝空腹時血糖値が150mg/dlなら、126mg/dl以上なので、2月2日の就寝時のランタスは、1単位増やして12単位となります。

「インスリンの量を決めるとス-パー糖質制限をしているので、食前と食後の上昇率が殆んどありません。」

スーパー糖質制限食なら、ヒューマログは、朝昼夕全て、「2~3単位」でよいと思います。
さらに減らせる可能性もありあます。
すなわち、低血糖に注意する必要があります。

それから、MIKI さんは、1型糖尿病と診断されている可能性があります。

というのが欧米人の2型糖尿病は、診断時の平均BMIが32くらいであり、やせ型の2型糖尿病というのがほとんど存在していないのです。

ですから、欧米の医師が痩せた糖尿病患者をみると、検査もせずに、即1型と診断してしまうことがあるのです。

日本人の2型糖尿病は、診断時の平均BMIが、24くらいです。

「内因性インスリンがほとんど分泌されていないだろう」と主治医が説明したのは、1型と診断している可能性が高いと思います。

抗GAD抗体を調べて、1型の抗体があるかないかも確認しましょう。
抗GAD抗体が陽性なら1型糖尿病ということになります。
抗GAD抗体が陰性なら、2型糖尿病の可能性が高くなります。

血中Cペプチド検査は、早朝空腹時(基礎分泌)が原則ですが、今回は内因性インスリンが分泌されているかどうかを確認することが大切なので、食後であっても、昼でも夕方でも構わないと思います。

日本人には、やせ型の2型糖尿病が大勢いるということを主治医にキッチリ説明したら、上記の検査をしてくれると思います。

検査自体は、普通に採血するだけでOKです。


江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
米国糖尿病学会・成人糖尿病患者の食事療法に関する声明
【15/07/12 まるお

いつもブログを楽しく拝見しております。

糖質制限がアメリカのDM患者の推奨食事には入ったということを話されていますが、同じくベジタリアン食も入っているようです。

この点のお考えを是非ご教授ください。】


こんにちは。

まるおさんから、米国糖尿病学会・成人糖尿病患者の食事療法に関する声明に関して、コメント・質問をいただきました。

米国糖尿病学会が2008年以来5年ぶりに、

成人糖尿病患者の食事療法に関する声明(Position Statement on Nutrition Therapy)

を改訂したと発表しました。(Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版)。

今回の声明では、全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しないとの見解を表明しました。

そして、患者ごとにさまざまな食事パターン〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食〕が受容可能であるとしています。

他の4種類の食事パターンと共に、糖質制限食もちゃんと認められています。

下記で明らかなように、糖質管理食も推奨していますので、米国の成人糖尿病患者は、6種の食事パターンの中から患者さんと主治医が相談して、患者さん自身が選択できるということです。

糖尿人の江部康二は、糖質制限食を選択して、2002年から続けていて、検査データは全て正常です。

私の担当する糖尿病患者さんや生活習慣病の患者さんには、もちろん糖質制限食を推奨しますが、押しつけることはありません。


日本糖尿病学会も、そろそろ「カロリー制限食」という「唯一無二の食事パターン」を糖尿人に押しつけるのはやめにする時期がきたのではないでしょうか?

少なくとも米国のように食事療法の選択肢を増やしたうえで、患者さんに選ぶ権利をあげるのがフェアと思います。


さらに主要栄養素の最適な混合の項目で、

「全ての糖尿病患者に最適な炭水化物、蛋白質、脂質における理想的な比率を示唆するエビデンスはない。」ということを、ランク(B)としています。

注目の炭水化物の項目では、

・糖尿病患者における炭水化物の理想的な摂取量については結論が得られていないため、各患者と協議した目標を設定すべきである。(C)

・炭水化物の摂取量とインスリン使用は食後のインスリン反応に最も影響を与える可能性があるため、食事療法の計画を立てる上で考慮されるべきである。(A)

・炭水化物摂取をモニタリングを、カーボカウントで行うか、あるいは経験に基づく推測で実施するかは、依然として血糖管理の改善における重要な戦略である。(A)

・健康を考慮し、炭水化物は、特に脂肪・砂糖・ナトリウムが添加された食品からよりも、野菜、果物、全粒、豆、乳製品からより多く摂取することを勧めるべきである。(A)


蛋白質:脂質:炭水化物のPFCバランスに関しては、エビデンスなしです。

炭水化物に関して、理想的な摂取量については、結論が得られていないということです。

一方、炭水化物摂取量の考慮、炭水化物摂取モニタリングはランク(A)で推奨しており、「炭水化物だけが、血糖値に変わる」という知識が医学界に周知されていることが前提になっていると思われます。

エビデンスの格付けの定義
A:質の高いRCTに基づく明確なエビデンス
B:質の高いコホート研究に基づく補助的エビデンス
C:質の高くない研究に基づく補助的エビデンス
E:専門家のコンセンサスまたは臨床経験

米国糖尿病学会(ADA)の2013年10月の「栄養療法に関する声明」ですが、多様性と個別化を目指す中で、今まで以上に糖質制限食を受容という方向で、とても好ましいです。



江部康二



☆☆☆
以下MT Pro記事から一部抜粋
糖尿病患者の食事療法に関する声明を5年ぶりに改訂,ADA
個別化を推奨

 米国糖尿病学会(ADA)はこのほど,成人糖尿病患者の食事療法に関する声明(Position Statement on Nutrition Therapy)を改訂したと発表した(Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版)。2008年に前回の改訂が行われてから5年ぶり。今回の改訂のポイントは,各患者の健康に関する目標や知識,個人的嗜好または文化的背景などに加え,食生活の変更に対する意欲や能力などに基づいて個別化されるべきとしている点だ。なお,今回の改訂は成人の1型および2型糖尿病患者に限定したレビューに基づいており,2型糖尿病の発症予防や合併症管理,妊娠糖尿病などは含まれていない。

“one-size-fits-all”の食事パターンはなし,患者の積極的な参加が不可欠

 糖尿病治療において,薬物療法の前に導入が推奨されている食事療法と運動療法。声明では,糖尿病患者における食事療法の理想について,“診断直後から管理栄養士(RD)もしくは米国外であれば有資格のプロ栄養士による指導が行われれるべき”と明記している。

 しかしながら現状は厳しく,“米国の糖尿病患者の約半数がなんらかの糖尿病に関する教育を受けたが,RDとの面談ができたのはより少ない”とした。ある報告では,1万8,404例の糖尿病患者のうち,最低1回以上の栄養に関する介入を受けたのは,わずか9.1%であったという。

 今回の声明では,全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しないとの見解を表明。また,各患者が積極的に自己管理や教育に関わり,食生活の見直しを含む治療プランに医療者と共同で臨むことが不可欠である点も強調した。各患者の治療目標の達成と維持に向けて,患者ごとにさまざまな食事パターン〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食〕が受容可能であるとしている。


19項目対象に提言とエビデンスの格付けまとめる

 ADAは今回の声明において,最近のデータに基づき,食事療法全体の総括から食事パターンや各種食品,アルコールやナトリウム摂取に至るまで計19項目について提言およびエビデンスの格付けを次のようにまとめた(表)。

表が上手く表示できなかったので、食事療法の提言の記載を、以下一部転載。


食事療法の提言
食事療法の効果
・全ての1型・2型糖尿病患者において、食事療法は全治療計画の中で効果的である。 (A)


栄養バランス
・過体重・肥満の2型糖尿病患者の場合、減量を促進するために健康的な食事パターンを維持しながら摂取エネルギー量を抑制することが推奨される。(A)


主要栄養素の最適な混合
・全ての糖尿病患者に最適な炭水化物、蛋白質、脂質における理想的な比率を示唆するエビデンスはない。(B)


食事パターン
・糖尿病の管理において、さまざまな食事パターン(種類の異なる料理や食品群)は許容される。食事パターンの推奨に際しては、各患者の嗜好(例:伝統、文化、宗教、健康上の信念、目標、経済事情)および代謝目標が考慮されるべきである。(E)

炭水化物
・糖尿病患者における炭水化物の理想的な摂取量については結論が得られていないため、各患者と協議した目標を設定すべきである。(C)
・炭水化物の摂取量とインスリン使用は食後のインスリン反応に最も影響を与える可能性があるため、食事療法の計画を立てる上で考慮されるべきである。(A)
・炭水化物摂取をモニタリングを、カーボカウントで行うか、あるいは経験に基づく推測で実施するかは、依然として血糖管理の改善における重要な戦略である。(A)
・健康を考慮し、炭水化物は、特に脂肪・砂糖・ナトリウムが添加された食品からよりも、野菜、果物、全粒、豆、乳製品からより多く摂取することを勧めるべきである。(A)

グリセミック指数(GI)および血糖負荷
・GI値の高い食品から低い食品に代替することで、多少の血糖改善効果が得られる可能性がある。(C)

食物繊維および全粒
・糖尿病患者は、少なくとも一般人口で推奨されるのと同量の食物繊維および全粒を消費すべきである。

澱粉の代替品としてのショ糖


果糖


非栄養性甘味料(NNS)・低カロリー甘味料


蛋白質


総脂肪


一価不飽和脂肪酸(MUFA)・多価不飽和脂肪酸(PUFA)


ω3系脂肪酸


飽和脂肪・食事性コレステロール・トランス脂肪


植物スタノール・ステロール


微量栄養素・ハーブ系サプリメント


アルコール


ナトリウム



有益性に対するバイアスの検証や長期的に持続可能かなど今後の課題も提示

 今回の改訂は,昨年発表された系統的レビューの結果に基づいて作成されたもの(関連記事,Diabetes Care 2012; 35: 434-445)。全ての患者に当てはまる唯一無二の食事療法は存在しないと明言し,各患者の健康に関する目標や知識,個人的嗜好または文化的背景などに加え,食生活の変更に対する意欲や能力などに基づいて個別化されるべきとしている。

 しかし,現段階では文献によって結果が異なる点もあることを認め,特に以下のような点については今後の研究でさらなる検証が不可欠と指摘した。

・多様な集団における食事パターンと疾患の関連
・地中海式食事パターンにおける有益性に対するバイアスと,地中海式食事パターンを多様な集団用にアレンジすること
・糖質制限食や中等度糖質食の定義の標準化および長期的持続可能性に対する決定
 
これらに加え,より多くの糖尿病患者が診断直後から長期的な食事療法を導入することに関する体系的なプロセスについても検討が必要とした。

(編集部)

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
1900年代初期からの米国糖尿病食事療法の変遷。2015年5月。
米国糖尿病食事療法の変遷 

<インスリン発見前>

1900年代初期までは米国では糖尿病治療食としては、糖質制限食が主流でし た。

それも、ほぼスーパー糖質制限食です。おそら くヨーロッパでも同様で あった思われます。

この頃すでに、食後血糖値を上昇させるのは、3大栄養素 のなかで主として糖質であるという ことが、認識されていたからです。

当時 は血糖値の測定はまだあまり一般的でなかったたので、もっぱら尿糖を検査し ていました。

尿糖が でない食事療法が糖尿病治療において優れているとさ れ、それが糖質制限食でした。

個人差はありますが尿に糖が出始めるのは、血 糖値が 170~180mg/dLを超えたときですので、当時としてはなかなか良い指標 でした。

例えば、糖尿病学の父と呼ばれるエリオット・ジョスリン医師が執筆した「ジョスリン糖尿病学」の初版は1916年出版ですが、 炭水化物は総摂取カロ リーの20%が標準と記載してあります。

このころ1型糖尿病は、診断後平均余 命6ヶ月の致命的な病気でした。

そ の1型糖尿病患者に、フレデリック・アレ ン医師の考案した「飢餓療法(炭水化物をほとんど含まない400kcal/日てい どの食 事)」が適用されて、極端な低カロリー食で、寿命を数ヶ月から1~2 年、まれに3年延ばしましたが、結局は致命的な疾患でした。

飢餓療法が一定の 効果をあげたのは、内因性インスリンゼロの1型糖尿病においては、糖質が直接血糖値を上昇させると共に、タンパク質も間接的に糖新生により血糖値を 上昇させることが関与していたと考えられます。

ちなみにジョスリン医師とア レン医師は、ハーバード大学医学 部の同窓生で良い友人でした。

<インスリン抽出以後>

1921年にカナダの整形外科医フレデリック・バンティングと医学生チャール ズ・ベストがインスリンの抽出に初めて成功しまし た。

トロント総合病院に おいて、1922年に当時14才の1型糖尿病患者(レナード・トンプスン少年)に 初めて注射し、血糖コント ロールに成功しました。

1型糖尿病はインスリン の登場までは、致命的な病気でしたが、インスリンにより生命を保つことが可 能となりました。

その後、インスリンを注射しておけば糖質を摂取しても血 糖値が上昇しないことが、徐々に周知されるようになりました。

その結果、 正常人なみに糖質を食べても、インスリンさえ打っておけばいいという流れと なっていき、1型においても2型においても、米国糖尿人の糖質摂取量は徐々に増えていきました。

<ADA(米国糖尿病学会)食事療法ガイドラインの変遷など>

ADA(米国糖尿病学会)ガイドラインが初めて制定されたのが1950年です。

上 述の流れを受けて、第一回目のガイドライン制 定時には、ADAは総摂取カロ リーに対して、炭水化物の摂取量を以前より増やしました。

1950年のガイドラ インでは炭水化物40% を推奨。
1971年のガイドラインでは炭水化物45%に増えました。
1986年のガイドライン でさらに炭水化物60%と増加。

1994 年のガイドラインでは、総摂取カロリー に対してタンパク質10~20%という規定がありますが、炭水化物・脂質の規定 はなくなりまし た。

1994年のガイドラインの時、オリーブオイルたっぷりの 地中海食も選択肢に加わわりました。

1994年以降、ガイドラインでは 炭水化 物と脂肪のカロリー比を固定しなくなりました。

1993年に発表された米国の1 型糖尿病研究・DCCTにおいて、糖質管理食 (カーボカウント)が成功を収め たことから、欧米では、糖質管理食が、1型糖尿病患者を中心に広まっていき ました。

1997年版米国 糖尿病学会の患者用テキストブックには

「糖質は 100%、タンパク質が50%、脂質が10%未満血糖に変わる」

とされていましたが、 2004年版では

「血糖値を上昇させるのは、糖質だけで、タンパク質・脂 質は上昇させない」

という記載に変更されました。

2005 年、ボストンのジョ スリン糖尿病センターは、炭水化物の推奨量を40%に下げました(Joslin Diabetes Mellitus 第14版、2005年、616ページ)。

ジョスリン糖尿病セン ターは、全米で最も評価の高い糖尿病治療センターの一つです。

<近年のADA(米国糖尿病学会)の、「食事療法に関する声明」の変遷>

2007年までは、ADA(米国糖尿病学会)は、食事療法において、糖質制限食は 推奨しないとしていました。

ADA(米国糖尿 病学会)の「食事療法に関する声 明2008」において「糖質のモニタリングは血糖管理の鍵となる」とランクAで 推奨され、「減量が望 まれる糖尿病患者には低カロリー食、もしくは低炭水 化物食によるダイエットが推奨される」と低糖質食を一定支持する見解が初めてだされました。

さらに2013年10月のADA(米国糖尿病学会)の、成人糖尿病 患者の食事療法に関する声明(Position Statement on Nutrition Therapy) では、全ての糖尿病患者に適した唯一無二の食事パターンは存在しないとの見 解を表明しました。

そして、患者ごとにさまざまな食事パターン 〔地中海 食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食〕が受容可能であるとしています。

糖質制限食も正式 に認められています。

このADAの見解は、1969年の食品交換表第2版 以降、 2013年の第7版まで、40年以上一貫して唯一無二のカロリー制限食を推奨し続 けている日本糖尿病学会への痛烈な批判となっ ています。

ADAの「食事療法に 関する声明2013」、糖質制限食にとって、大きな追い風となりました。


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット