2012年04月08日 (日)
こんにちは。
ADA(米国糖尿病学会)「Life With Diabetes」の3大栄養素と血糖に関する記載ですが、
「1997年版→2004年版」の変更を再三、本ブログで指摘してきました。
今回2009年版(4th Edition)「Life With Diabetes」を、米国本土からアマゾン経由で原書を取り寄せていたのがやっと届きました。
3大栄養素と血糖に関しては、2004年版と2009年版が同様であることを確認できましたので、報告いたします。
2004年版と2009年版が同様であるということは、さらに5年間追加検証を重ねての結論ですので、ADAの最終的統一見解とみなしてよいかと思います。
1997年版の米国糖尿病学会(ADA)出版の「Life With Diabetes」においては、
「糖質は100%血糖に変わり、タンパク質は約50%が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載があったのが、
2004年版「Life With Diabetes」からは
「糖質・タンパク質・脂質はカロリーを含む。糖質だけが血糖値に直接影響を与える。」
という記載に変更になりました。
つまり、「糖質だけが血糖値を上昇させ、タンパク質・脂質は上げない」ということです。
そして、それに伴い、「食物グループの中の栄養素」の表も以下に変更されました。

でんぷん、果物、牛乳、野菜、肉、脂質について、血糖に与える影響と速度が記載してある表です。
英文を私が日本語に訳しました。
この表でも、当然ながら、肉と脂質は、血糖に与える影響なしとなっています。
今回、2009年版の「食物グループの中の栄養素」の表も2004年版と同じであることを確認できました。
ちなみに1997版の「食物グループの中の栄養素」の表では、
『肉が血糖値に与える影響は小さい、影響の速度は遅い。
脂肪が血糖値に与える影響は小さい、影響の速度は非常に遅い。』
となっており、今となっては明確な間違いと言えますね。
☆
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,2nd Ed,1997
☆☆
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004
☆☆☆
Life With Diabetes:A Siries of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center ,
American Diabetes Assoiation ,4th Edition,2009
江部康二
ADA(米国糖尿病学会)「Life With Diabetes」の3大栄養素と血糖に関する記載ですが、
「1997年版→2004年版」の変更を再三、本ブログで指摘してきました。
今回2009年版(4th Edition)「Life With Diabetes」を、米国本土からアマゾン経由で原書を取り寄せていたのがやっと届きました。
3大栄養素と血糖に関しては、2004年版と2009年版が同様であることを確認できましたので、報告いたします。
2004年版と2009年版が同様であるということは、さらに5年間追加検証を重ねての結論ですので、ADAの最終的統一見解とみなしてよいかと思います。
1997年版の米国糖尿病学会(ADA)出版の「Life With Diabetes」においては、
「糖質は100%血糖に変わり、タンパク質は約50%が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載があったのが、
2004年版「Life With Diabetes」からは
「糖質・タンパク質・脂質はカロリーを含む。糖質だけが血糖値に直接影響を与える。」
という記載に変更になりました。
つまり、「糖質だけが血糖値を上昇させ、タンパク質・脂質は上げない」ということです。
そして、それに伴い、「食物グループの中の栄養素」の表も以下に変更されました。

でんぷん、果物、牛乳、野菜、肉、脂質について、血糖に与える影響と速度が記載してある表です。
英文を私が日本語に訳しました。
この表でも、当然ながら、肉と脂質は、血糖に与える影響なしとなっています。
今回、2009年版の「食物グループの中の栄養素」の表も2004年版と同じであることを確認できました。
ちなみに1997版の「食物グループの中の栄養素」の表では、
『肉が血糖値に与える影響は小さい、影響の速度は遅い。
脂肪が血糖値に与える影響は小さい、影響の速度は非常に遅い。』
となっており、今となっては明確な間違いと言えますね。
☆
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,2nd Ed,1997
☆☆
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004
☆☆☆
Life With Diabetes:A Siries of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center ,
American Diabetes Assoiation ,4th Edition,2009
江部康二
2012年03月16日 (金)
こんにちは。
ブログ読者の皆さん、朗報です。ヾ(^▽^)
【ADA(米国糖尿病学会)が糖質制限食を格上げ! 次期声明改訂に向け系統的レビュー
糖尿病治療に有効な食事療法は?
北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟】
医師のための専門情報サイト「MT Pro」に、2012年3月14日、上記の表題の記事が掲載されました。
北里研究所病院糖尿病センター長・山田悟先生が詳しく解説しておられますのでご参照ください。(*)
2008年のADAの栄養勧告「Nutrition Position Statement」では、
Diabetes Care January 2008 vol. 31 no. Supplement 1 S61-S78
•炭水化物をモニタリングすることは、炭水化物計算(カーボカウント)にしろ、炭水化物交換にしろ、経験に基づく評価にしろ、血糖コントロールを達成するための鍵となる戦略である。
*炭水化物を日常的に継続的に点検することを、強く推奨。 (A)
•減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食または低炭水化物食によるダイエットが推奨される。(A)
→2007年版までは「炭水化物を1日130グラム以下に制限することは推奨できない」と糖質制限食を否定。
2008年版で初の肯定的見解が出され、2011年には有益性保証期間を1年から2年に延長し、2012年勧告まで継続。
すなわち、2008年版では糖質制限食に対して初めて肯定的な見解がだされましたが「減量が望まれる糖尿病患者」という縛りがありました。
それが今回、2012年の、Diabetes Care(2012; 35: 434-445)のレビューでは、
『2002年以降の低糖質食(糖質に由来するエネルギー摂取が全エネルギーの40%未満)に関する研究11件のサマリー
糖質摂取を減少させる試験においては,血糖管理とインスリン感受性が改善していた。ただし,試験はいずれも小規模で短期間であり,いくつかはランダム化されておらず,脱落率が高かった。血清脂質は典型的には糖質摂取の減少に伴って改善していた。しかし,HDLコレステロール(HDL-C)を除くと,対照食に比較して統計学的に有意な改善ではなかった。体重減量のこれらの改善への寄与は,これらの試験のいくつかでは明確ではなかった。』
と、いろいろ書いてありますが、何はともあれ、「低糖質食で血糖管理とインスリン感受性が改善、HDLコレステロールの有意な改善」と述べていますので、2008年に比し、2012年は糖質制限食がかなりの評価上昇です。
一方、今回のレビュー、低脂質食は「一般に血糖管理や心血管疾患リスクを改善させなかった。」と
明言しています。
このように低脂質食の評価は、明確に下がっています。
山田悟先生も
【今回のレビューにおいて「カロリー制限」は検索用語として採用されなかった。このことは,減量にはカロリー制限食を採用しても,糖尿病治療にはカロリー制限は考えないということが欧米の共通の概念であることを示すのかもしれない(Nutr Metab Cardiovasc Dis 2004; 14: 373-394)。
一方,今回のレビューにおいては,真っ先に「低脂質ダイエット」「低糖質ダイエット」が検索用語として取り上げられており,この2つが糖尿病治療食として一般に受容されていることが示唆される。そして,サマリーに挙げたように,糖質制限食は糖尿病治療や心血管疾患リスクの管理に有効である一方で,低脂質食は糖尿病治療への有効性を示すことはなかったのである。次回のADAのPosition Statementの改訂において,減量のためのみならず,糖尿病治療食としても糖質制限食が受容されることは必然と考えてよいであろう】
と、述べて、今回のDiabetes Care(2012; 35: 434-445)のレビューが、糖質制限食にポジティブな方向の見解にシフトしたと考察されています。
なお、山田先生はニュートラルな立場から、糖質制限食には以下のような課題があるとされています。
(1)糖質制限食の定義(糖質量の上限)が定まっていない
(2)糖質制限食の定義にケトン産生食を包含するか(糖質量の下限)が定まっていない
(3)カロリー制限食とのすみ分けの方法が定まっていない
(4)モニタリングすべき指標が定まっていない
江部康二
(*)MT Pro から転載
研究の背景:ADAが有効性を認めたのは体重の減量についてのみ
米国糖尿病学会(ADA)は数年に1回,Nutrition Position Statement(ADAの栄養に関する立場を示した声明)を更新している。最新のものは2008年に発表された(Diabetes Care 2008; 31: S61-78)。この声明の特徴は,日米欧の糖尿病学会で,初めて糖質制限食の有効性を公式にカロリー制限食と同等に認めたところにある。しかし,糖質制限食にせよ,カロリー制限食にせよ,その有効性を認めたのは体重の減量についてであり,糖尿病の治療として有効な食事療法としては炭水化物のモニタリング(カーボカウント)を支持するのみで,糖質制限食もカロリー制限食も取り上げていなかった。
このたび,次の声明の改訂に向けて,糖尿病治療のための食事療法に関する系統的レビューがDiabetes Care(2012; 35: 434-445)に掲載されたのでご紹介したい。
研究のポイント:2001〜10年の糖尿病食事療法に関する研究を網羅的に検証
本レビューは2001年1月〜2010年10月に英文で報告された糖尿病治療のための食事療法に関する研究を網羅的に検証したものであり,PubMedデータベースを用いて「糖尿病」という単語と,以下の複数の単語のうちのいずれかとの組み合わせで検索された〔低脂質ダイエット,低糖質ダイエット,地中海ダイエット,地中海式食事法,菜食主義,グリセミック指数(GI),食事中糖質,食事中蛋白質,全脂質,食事中脂質,飽和脂肪,ω-3脂肪酸,食物繊維,肉,野菜,ナッツ,果物,野菜,全粒穀物,牛乳など〕。
逆に,以下の用語は検索には使用されなかった(トランス脂肪酸,単価不飽和脂肪酸,多価不飽和脂肪酸,蔗糖,砂糖)。
本レビューでは98件の論文が採用され,以下の4つの設問に答えを導き出すようにその内容が吟味された。
Q1. 糖尿病患者の血糖管理や心血管疾患リスクに影響を与えるのはどのような栄養素の質あるいは量なのか?
Q2. 特定の食生活スタイル(地中海式,菜食主義など)は糖尿病患者の健康に影響を与えるのか?
Q3. 糖尿病患者にとって血糖管理や心血管疾患リスク減少に最適な三大栄養素比率は存在するのか?
Q4. 将来の研究はどのようなことに焦点を当てるべきなのか?
スペースの都合で,本稿ではサマリーの部分をご紹介していくこととする。
Q1. 栄養素についての検討について
【炭水化物についてのサマリー】
糖質については以下のような3つのサマリーが記載されていた。
2002年以降の低糖質食(糖質に由来するエネルギー摂取が全エネルギーの40%未満)に関する研究11件のサマリー
糖質摂取を減少させる試験においては,血糖管理とインスリン感受性が改善していた。ただし,試験はいずれも小規模で短期間であり,いくつかはランダム化されておらず,脱落率が高かった。血清脂質は典型的には糖質摂取の減少に伴って改善していた。しかし,HDLコレステロール(HDL-C)を除くと,対照食に比較して統計学的に有意な改善ではなかった。体重減量のこれらの改善への寄与は,これらの試験のいくつかでは明確ではなかった。
2002年以降の中等度〜高糖質食(糖質に由来するエネルギー摂取が全エネルギーの40%以上)に関する研究10件のサマリー
10件のうち8件がランダム化比較試験(RCT)で2件はメタ解析であったが,RCTのうち6件では血糖管理について対照食との間に有意差が示されなかった。対照食と有意差を示した2件のRCTのうち,1件はサブグループ解析のみではあるものの高糖質食によるHbA1cの改善を示した一方で,残る1件では高糖質食の方がHbA1cが高かった。心血管疾患リスクについては,1件の試験においては高糖質食でのLDLコレステロール(LDL-C)の改善を示したが,2件の試験においては高糖質食でトリグリセライド(TG)が悪化していた。
2002年以降のGIに関する研究15件のサマリー
一般には低GI食と高GI食あるいは別の対照食とで血糖管理や心血管疾患リスクについての差異はほとんどない。しかしながら,食物繊維が交絡因子となっているに違いない。また,低GI食の定義の標準化や低GI食での脱落率を少なくさせることが必要である。
食物繊維については以下のような1つのサマリーが記載されていた。
2002年以降の食物繊維に関する研究15件のサマリー
中等量(4〜19g/日)の食物繊維サプリメントが血糖管理や心血管疾患リスクのわずかな改善につながることを,大多数の試験が示唆している。
【脂質についてのサマリー】
脂質については以下の3件のサマリーが記載されていた。
2002年以降の低脂質食に関する研究9件のサマリー
糖尿病患者が参加した臨床試験において,脂質摂取を低下させることは,一般に血糖管理や心血管疾患リスクを改善させなかった。しかし,脂質摂取を低下させることは総コレステロールやLDL-Cを改善させるかもしれない。ただし,同様にHDL-Cも下げてしまうかもしれない。
2002年以降の飽和脂肪酸に関する研究1件のサマリー
検索できた1件の試験においては,全脂質摂取が同等である限りにおいて,脂肪酸の種類や量により,食後血糖が影響を受けることはないことが示された。今後の研究の方向性として,飽和脂肪酸を減らし,単価不飽和脂肪酸を増やすことは,GLP-1活性を高め,それにより食後TGを低下させるかもしれない。
2002年以降のω-3脂肪酸についての研究10件のサマリー
全体として見ると,ω-3脂肪酸の投与は,血糖管理は改善させないが,TGの減少によって心血管疾患リスクに良い影響を与えるかもしれない。HDL-Cの増加やLDL-Cの低下といったそのほかの利益は明確にはなっていない。
【蛋白質についてのサマリー】
蛋白質については,明確に糖尿病性腎疾患(Diabetic Kidney Disease;DKD)の合併の有無によって分けられていた。
2002年以降の蛋白質についての研究14件のサマリー
DKDのない患者にとっては,高蛋白食(全エネルギー比率30%)は血糖管理を改善するかもしれないし,改善しないかもしれない。しかし,1つ以上の心血管疾患リスクを改善するように思われる。
DKDのある患者にとっては,通常レベルの蛋白摂取から蛋白制限をすることは血糖管理,心血管疾患リスクならびに糸球体濾過量(GFR)の変化過程を改善させないように思われる。顕性蛋白尿を伴うDKD患者が,蛋白源を動物由来から大豆由来に変更することは,心血管疾患リスクを改善するかもしれないが,蛋白尿に対しては変化を与えない。
Q2. 食生活スタイルについて
【地中海式ダイエットなどについてのサマリー】
地中海式ダイエット(8件の試験)については,血糖管理に関しての有益性はなさそうに思われる。ただし,HDL-CやTGについては改善させるかもしれない。菜食主義(4件の試験)については試験が限定されており,方法論としての問題もあるため,現時点では何もいえない。
Q3. 最適な三大栄養素比率について
方法論上の問題や体重減量の影響などもあり,最適な三大栄養素比率を求めることは難しい。
Q4. 将来の研究の方向性について
今後の研究課題として,以下のようなことが残されている。
食事法によって反応して変化し,糖尿病患者の予後と関連することが疫学的研究によって示されているアディポネクチンの役割は何か。
食物繊維や全粒穀物の摂取とインスリン感受性や炎症マーカーの改善との関係性はいかなるものか。
その摂取が心血管疾患死亡率,特に突然死の減少と関連しているω-3脂肪酸が,脂肪組織における炎症,血栓症,脂質代謝に対して果たす役割は何か。
低糖質食が腎症のような合併症に対して与える長期の影響はどのようなものか。
食後高血糖が炎症反応やそれに続く心血管疾患リスクに与える影響はどのようなものか。
私の考察:糖質制限食は糖尿病治療としても受容された―しかし課題は残る
わが国の糖尿病治療においては,伝統的に以下のような概念がコンセンサスとして採用されてきた。
カロリー制限食が糖尿病治療に有効
中糖質食(エネルギー比率50〜60%)にすべき
低脂質食(エネルギー比率<25%)にすべき
蛋白質は標準的なレベル(1.0〜1.2g/kg標準体重)で摂取すべき
しかし,今回のレビューにおいて「カロリー制限」は検索用語として採用されなかった。このことは,減量にはカロリー制限食を採用しても,糖尿病治療にはカロリー制限は考えないということが欧米の共通の概念であることを示すのかもしれない(Nutr Metab Cardiovasc Dis 2004; 14: 373-394)。
一方,今回のレビューにおいては,真っ先に「低脂質ダイエット」「低糖質ダイエット」が検索用語として取り上げられており,この2つが糖尿病治療食として一般に受容されていることが示唆される。そして,サマリーに挙げたように,糖質制限食は糖尿病治療や心血管疾患リスクの管理に有効である一方で,低脂質食は糖尿病治療への有効性を示すことはなかったのである。次回のADAのPosition Statementの改訂において,減量のためのみならず,糖尿病治療食としても糖質制限食が受容されることは必然と考えてよいであろう。
わたしは,日本糖尿病学会としても糖質制限食を受容すべき時期に来ていると思うが,それでも,糖質制限食には以下のような課題が残されていると考えている。
(1)糖質制限食の定義(糖質量の上限)が定まっていない
これまでも糖質制限食の定義が定まっていないことが問題とされることはあったが,これからガイドラインなどで公式に取り上げていくためにはきちんとした定義が必要である。実際,「糖質制限食」と「低糖質食」という用語も(わたし自身も含めて)区別されずに使用されている。なお,これまでの定義としては以下のようなものが提唱されている。
今回のADAレビューでの定義:糖質由来のエネルギーが全エネルギー比率40%未満
Bernstein(Accurso)の定義:1日糖質量130g以下(または全エネルギーの26%以下)(Nutr Metab 2008; 5: 9)
Westmanの定義:1日の糖質量50〜150g(Am J Clin Nutr 2007; 86: 276-284)
わたしの定義:(1日の糖質量130g以下で,なおかつ)1食の糖質量20〜40g
(2)糖質制限食の定義にケトン産生食を包含するか(糖質量の下限)が定まっていない
わが国のカロリー制限食は標準体重に25〜30を乗してカロリーを求めることになっており,超低カロリー食(Very Low Calory Diet;VLCD:一般に1日450kcal以下で減量に有効であるが,入院の上で厳重な監視の下に実施することが求められる食事療法)は概念の中に入ってこない。同様に糖質制限食の中にケトン産生食のレベルの極端な糖質制限を包含するかどうかが定まっていない。
ちなみに,上述のWestmanおよびわたしの定義では糖質制限食の糖質に下限を付けてケトン産生食を除外することを求めている。基本的には下限を設けてケトン産生食を除外しておくべきなのであろう。
(3)カロリー制限食とのすみ分けの方法が定まっていない
米国のようにBMI 30超の患者が数多くいる国においては,カロリー制限食が実現困難な食事療法であることは間違いないであろう。しかし,少なくともわが国においては標準体重当たり25〜30kcalのカロリー制限食が実臨床の現場で有効であったことは確かである。このカロリー制限食と糖質制限食との位置付けをはっきりした形で受容しないと実臨床の現場に混乱が生じかねない。
(4)モニタリングすべき指標が定まっていない
今回のレビューにおいては,高脂質食や高蛋白食の懸念点ははっきりしなかったように思う。しかし,糖質制限食にちゅうちょされる医師の多くが,糖質を制限すると脂質あるいは蛋白摂取が過剰になることに懸念を表明しておられるようである。よって,実際にそれらの問題が生じるのかを検証すべきである。また,これらが生じることがはっきりしたときには,何をモニタリングしていればそれらの問題の発生を未然に防ぐことができるのかを明らかにしておくべきであろう。
実は,今年(2012年)5月17〜19日にパシフィコ横浜で開催される第55回日本糖尿病学会年次学術集会(会長:渥美義仁氏)において,適正な食事中の糖質量について考えるセッションが組まれることとなった。渥美会長のご英断に感謝申し上げるとともに,上記のような課題について考える機会とすべく多くの先生方のご参集をお願いしたいところである。
山田 悟(やまだ さとる)
1994年,慶應義塾大学医学部を卒業し,同大学内科学教室に入局。東京都済生会中央病院などの勤務を経て,2002年から北里研究所病院で勤務。現在,同院糖尿病センター長。診療に従事する傍ら,2型糖尿病についての臨床研究や1型糖尿病の動物実験を進める。日本糖尿病学会の糖尿病専門医および指導医。
ブログ読者の皆さん、朗報です。ヾ(^▽^)
【ADA(米国糖尿病学会)が糖質制限食を格上げ! 次期声明改訂に向け系統的レビュー
糖尿病治療に有効な食事療法は?
北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟】
医師のための専門情報サイト「MT Pro」に、2012年3月14日、上記の表題の記事が掲載されました。
北里研究所病院糖尿病センター長・山田悟先生が詳しく解説しておられますのでご参照ください。(*)
2008年のADAの栄養勧告「Nutrition Position Statement」では、
Diabetes Care January 2008 vol. 31 no. Supplement 1 S61-S78
•炭水化物をモニタリングすることは、炭水化物計算(カーボカウント)にしろ、炭水化物交換にしろ、経験に基づく評価にしろ、血糖コントロールを達成するための鍵となる戦略である。
*炭水化物を日常的に継続的に点検することを、強く推奨。 (A)
•減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食または低炭水化物食によるダイエットが推奨される。(A)
→2007年版までは「炭水化物を1日130グラム以下に制限することは推奨できない」と糖質制限食を否定。
2008年版で初の肯定的見解が出され、2011年には有益性保証期間を1年から2年に延長し、2012年勧告まで継続。
すなわち、2008年版では糖質制限食に対して初めて肯定的な見解がだされましたが「減量が望まれる糖尿病患者」という縛りがありました。
それが今回、2012年の、Diabetes Care(2012; 35: 434-445)のレビューでは、
『2002年以降の低糖質食(糖質に由来するエネルギー摂取が全エネルギーの40%未満)に関する研究11件のサマリー
糖質摂取を減少させる試験においては,血糖管理とインスリン感受性が改善していた。ただし,試験はいずれも小規模で短期間であり,いくつかはランダム化されておらず,脱落率が高かった。血清脂質は典型的には糖質摂取の減少に伴って改善していた。しかし,HDLコレステロール(HDL-C)を除くと,対照食に比較して統計学的に有意な改善ではなかった。体重減量のこれらの改善への寄与は,これらの試験のいくつかでは明確ではなかった。』
と、いろいろ書いてありますが、何はともあれ、「低糖質食で血糖管理とインスリン感受性が改善、HDLコレステロールの有意な改善」と述べていますので、2008年に比し、2012年は糖質制限食がかなりの評価上昇です。
一方、今回のレビュー、低脂質食は「一般に血糖管理や心血管疾患リスクを改善させなかった。」と
明言しています。
このように低脂質食の評価は、明確に下がっています。
山田悟先生も
【今回のレビューにおいて「カロリー制限」は検索用語として採用されなかった。このことは,減量にはカロリー制限食を採用しても,糖尿病治療にはカロリー制限は考えないということが欧米の共通の概念であることを示すのかもしれない(Nutr Metab Cardiovasc Dis 2004; 14: 373-394)。
一方,今回のレビューにおいては,真っ先に「低脂質ダイエット」「低糖質ダイエット」が検索用語として取り上げられており,この2つが糖尿病治療食として一般に受容されていることが示唆される。そして,サマリーに挙げたように,糖質制限食は糖尿病治療や心血管疾患リスクの管理に有効である一方で,低脂質食は糖尿病治療への有効性を示すことはなかったのである。次回のADAのPosition Statementの改訂において,減量のためのみならず,糖尿病治療食としても糖質制限食が受容されることは必然と考えてよいであろう】
と、述べて、今回のDiabetes Care(2012; 35: 434-445)のレビューが、糖質制限食にポジティブな方向の見解にシフトしたと考察されています。
なお、山田先生はニュートラルな立場から、糖質制限食には以下のような課題があるとされています。
(1)糖質制限食の定義(糖質量の上限)が定まっていない
(2)糖質制限食の定義にケトン産生食を包含するか(糖質量の下限)が定まっていない
(3)カロリー制限食とのすみ分けの方法が定まっていない
(4)モニタリングすべき指標が定まっていない
江部康二
(*)MT Pro から転載
研究の背景:ADAが有効性を認めたのは体重の減量についてのみ
米国糖尿病学会(ADA)は数年に1回,Nutrition Position Statement(ADAの栄養に関する立場を示した声明)を更新している。最新のものは2008年に発表された(Diabetes Care 2008; 31: S61-78)。この声明の特徴は,日米欧の糖尿病学会で,初めて糖質制限食の有効性を公式にカロリー制限食と同等に認めたところにある。しかし,糖質制限食にせよ,カロリー制限食にせよ,その有効性を認めたのは体重の減量についてであり,糖尿病の治療として有効な食事療法としては炭水化物のモニタリング(カーボカウント)を支持するのみで,糖質制限食もカロリー制限食も取り上げていなかった。
このたび,次の声明の改訂に向けて,糖尿病治療のための食事療法に関する系統的レビューがDiabetes Care(2012; 35: 434-445)に掲載されたのでご紹介したい。
研究のポイント:2001〜10年の糖尿病食事療法に関する研究を網羅的に検証
本レビューは2001年1月〜2010年10月に英文で報告された糖尿病治療のための食事療法に関する研究を網羅的に検証したものであり,PubMedデータベースを用いて「糖尿病」という単語と,以下の複数の単語のうちのいずれかとの組み合わせで検索された〔低脂質ダイエット,低糖質ダイエット,地中海ダイエット,地中海式食事法,菜食主義,グリセミック指数(GI),食事中糖質,食事中蛋白質,全脂質,食事中脂質,飽和脂肪,ω-3脂肪酸,食物繊維,肉,野菜,ナッツ,果物,野菜,全粒穀物,牛乳など〕。
逆に,以下の用語は検索には使用されなかった(トランス脂肪酸,単価不飽和脂肪酸,多価不飽和脂肪酸,蔗糖,砂糖)。
本レビューでは98件の論文が採用され,以下の4つの設問に答えを導き出すようにその内容が吟味された。
Q1. 糖尿病患者の血糖管理や心血管疾患リスクに影響を与えるのはどのような栄養素の質あるいは量なのか?
Q2. 特定の食生活スタイル(地中海式,菜食主義など)は糖尿病患者の健康に影響を与えるのか?
Q3. 糖尿病患者にとって血糖管理や心血管疾患リスク減少に最適な三大栄養素比率は存在するのか?
Q4. 将来の研究はどのようなことに焦点を当てるべきなのか?
スペースの都合で,本稿ではサマリーの部分をご紹介していくこととする。
Q1. 栄養素についての検討について
【炭水化物についてのサマリー】
糖質については以下のような3つのサマリーが記載されていた。
2002年以降の低糖質食(糖質に由来するエネルギー摂取が全エネルギーの40%未満)に関する研究11件のサマリー
糖質摂取を減少させる試験においては,血糖管理とインスリン感受性が改善していた。ただし,試験はいずれも小規模で短期間であり,いくつかはランダム化されておらず,脱落率が高かった。血清脂質は典型的には糖質摂取の減少に伴って改善していた。しかし,HDLコレステロール(HDL-C)を除くと,対照食に比較して統計学的に有意な改善ではなかった。体重減量のこれらの改善への寄与は,これらの試験のいくつかでは明確ではなかった。
2002年以降の中等度〜高糖質食(糖質に由来するエネルギー摂取が全エネルギーの40%以上)に関する研究10件のサマリー
10件のうち8件がランダム化比較試験(RCT)で2件はメタ解析であったが,RCTのうち6件では血糖管理について対照食との間に有意差が示されなかった。対照食と有意差を示した2件のRCTのうち,1件はサブグループ解析のみではあるものの高糖質食によるHbA1cの改善を示した一方で,残る1件では高糖質食の方がHbA1cが高かった。心血管疾患リスクについては,1件の試験においては高糖質食でのLDLコレステロール(LDL-C)の改善を示したが,2件の試験においては高糖質食でトリグリセライド(TG)が悪化していた。
2002年以降のGIに関する研究15件のサマリー
一般には低GI食と高GI食あるいは別の対照食とで血糖管理や心血管疾患リスクについての差異はほとんどない。しかしながら,食物繊維が交絡因子となっているに違いない。また,低GI食の定義の標準化や低GI食での脱落率を少なくさせることが必要である。
食物繊維については以下のような1つのサマリーが記載されていた。
2002年以降の食物繊維に関する研究15件のサマリー
中等量(4〜19g/日)の食物繊維サプリメントが血糖管理や心血管疾患リスクのわずかな改善につながることを,大多数の試験が示唆している。
【脂質についてのサマリー】
脂質については以下の3件のサマリーが記載されていた。
2002年以降の低脂質食に関する研究9件のサマリー
糖尿病患者が参加した臨床試験において,脂質摂取を低下させることは,一般に血糖管理や心血管疾患リスクを改善させなかった。しかし,脂質摂取を低下させることは総コレステロールやLDL-Cを改善させるかもしれない。ただし,同様にHDL-Cも下げてしまうかもしれない。
2002年以降の飽和脂肪酸に関する研究1件のサマリー
検索できた1件の試験においては,全脂質摂取が同等である限りにおいて,脂肪酸の種類や量により,食後血糖が影響を受けることはないことが示された。今後の研究の方向性として,飽和脂肪酸を減らし,単価不飽和脂肪酸を増やすことは,GLP-1活性を高め,それにより食後TGを低下させるかもしれない。
2002年以降のω-3脂肪酸についての研究10件のサマリー
全体として見ると,ω-3脂肪酸の投与は,血糖管理は改善させないが,TGの減少によって心血管疾患リスクに良い影響を与えるかもしれない。HDL-Cの増加やLDL-Cの低下といったそのほかの利益は明確にはなっていない。
【蛋白質についてのサマリー】
蛋白質については,明確に糖尿病性腎疾患(Diabetic Kidney Disease;DKD)の合併の有無によって分けられていた。
2002年以降の蛋白質についての研究14件のサマリー
DKDのない患者にとっては,高蛋白食(全エネルギー比率30%)は血糖管理を改善するかもしれないし,改善しないかもしれない。しかし,1つ以上の心血管疾患リスクを改善するように思われる。
DKDのある患者にとっては,通常レベルの蛋白摂取から蛋白制限をすることは血糖管理,心血管疾患リスクならびに糸球体濾過量(GFR)の変化過程を改善させないように思われる。顕性蛋白尿を伴うDKD患者が,蛋白源を動物由来から大豆由来に変更することは,心血管疾患リスクを改善するかもしれないが,蛋白尿に対しては変化を与えない。
Q2. 食生活スタイルについて
【地中海式ダイエットなどについてのサマリー】
地中海式ダイエット(8件の試験)については,血糖管理に関しての有益性はなさそうに思われる。ただし,HDL-CやTGについては改善させるかもしれない。菜食主義(4件の試験)については試験が限定されており,方法論としての問題もあるため,現時点では何もいえない。
Q3. 最適な三大栄養素比率について
方法論上の問題や体重減量の影響などもあり,最適な三大栄養素比率を求めることは難しい。
Q4. 将来の研究の方向性について
今後の研究課題として,以下のようなことが残されている。
食事法によって反応して変化し,糖尿病患者の予後と関連することが疫学的研究によって示されているアディポネクチンの役割は何か。
食物繊維や全粒穀物の摂取とインスリン感受性や炎症マーカーの改善との関係性はいかなるものか。
その摂取が心血管疾患死亡率,特に突然死の減少と関連しているω-3脂肪酸が,脂肪組織における炎症,血栓症,脂質代謝に対して果たす役割は何か。
低糖質食が腎症のような合併症に対して与える長期の影響はどのようなものか。
食後高血糖が炎症反応やそれに続く心血管疾患リスクに与える影響はどのようなものか。
私の考察:糖質制限食は糖尿病治療としても受容された―しかし課題は残る
わが国の糖尿病治療においては,伝統的に以下のような概念がコンセンサスとして採用されてきた。
カロリー制限食が糖尿病治療に有効
中糖質食(エネルギー比率50〜60%)にすべき
低脂質食(エネルギー比率<25%)にすべき
蛋白質は標準的なレベル(1.0〜1.2g/kg標準体重)で摂取すべき
しかし,今回のレビューにおいて「カロリー制限」は検索用語として採用されなかった。このことは,減量にはカロリー制限食を採用しても,糖尿病治療にはカロリー制限は考えないということが欧米の共通の概念であることを示すのかもしれない(Nutr Metab Cardiovasc Dis 2004; 14: 373-394)。
一方,今回のレビューにおいては,真っ先に「低脂質ダイエット」「低糖質ダイエット」が検索用語として取り上げられており,この2つが糖尿病治療食として一般に受容されていることが示唆される。そして,サマリーに挙げたように,糖質制限食は糖尿病治療や心血管疾患リスクの管理に有効である一方で,低脂質食は糖尿病治療への有効性を示すことはなかったのである。次回のADAのPosition Statementの改訂において,減量のためのみならず,糖尿病治療食としても糖質制限食が受容されることは必然と考えてよいであろう。
わたしは,日本糖尿病学会としても糖質制限食を受容すべき時期に来ていると思うが,それでも,糖質制限食には以下のような課題が残されていると考えている。
(1)糖質制限食の定義(糖質量の上限)が定まっていない
これまでも糖質制限食の定義が定まっていないことが問題とされることはあったが,これからガイドラインなどで公式に取り上げていくためにはきちんとした定義が必要である。実際,「糖質制限食」と「低糖質食」という用語も(わたし自身も含めて)区別されずに使用されている。なお,これまでの定義としては以下のようなものが提唱されている。
今回のADAレビューでの定義:糖質由来のエネルギーが全エネルギー比率40%未満
Bernstein(Accurso)の定義:1日糖質量130g以下(または全エネルギーの26%以下)(Nutr Metab 2008; 5: 9)
Westmanの定義:1日の糖質量50〜150g(Am J Clin Nutr 2007; 86: 276-284)
わたしの定義:(1日の糖質量130g以下で,なおかつ)1食の糖質量20〜40g
(2)糖質制限食の定義にケトン産生食を包含するか(糖質量の下限)が定まっていない
わが国のカロリー制限食は標準体重に25〜30を乗してカロリーを求めることになっており,超低カロリー食(Very Low Calory Diet;VLCD:一般に1日450kcal以下で減量に有効であるが,入院の上で厳重な監視の下に実施することが求められる食事療法)は概念の中に入ってこない。同様に糖質制限食の中にケトン産生食のレベルの極端な糖質制限を包含するかどうかが定まっていない。
ちなみに,上述のWestmanおよびわたしの定義では糖質制限食の糖質に下限を付けてケトン産生食を除外することを求めている。基本的には下限を設けてケトン産生食を除外しておくべきなのであろう。
(3)カロリー制限食とのすみ分けの方法が定まっていない
米国のようにBMI 30超の患者が数多くいる国においては,カロリー制限食が実現困難な食事療法であることは間違いないであろう。しかし,少なくともわが国においては標準体重当たり25〜30kcalのカロリー制限食が実臨床の現場で有効であったことは確かである。このカロリー制限食と糖質制限食との位置付けをはっきりした形で受容しないと実臨床の現場に混乱が生じかねない。
(4)モニタリングすべき指標が定まっていない
今回のレビューにおいては,高脂質食や高蛋白食の懸念点ははっきりしなかったように思う。しかし,糖質制限食にちゅうちょされる医師の多くが,糖質を制限すると脂質あるいは蛋白摂取が過剰になることに懸念を表明しておられるようである。よって,実際にそれらの問題が生じるのかを検証すべきである。また,これらが生じることがはっきりしたときには,何をモニタリングしていればそれらの問題の発生を未然に防ぐことができるのかを明らかにしておくべきであろう。
実は,今年(2012年)5月17〜19日にパシフィコ横浜で開催される第55回日本糖尿病学会年次学術集会(会長:渥美義仁氏)において,適正な食事中の糖質量について考えるセッションが組まれることとなった。渥美会長のご英断に感謝申し上げるとともに,上記のような課題について考える機会とすべく多くの先生方のご参集をお願いしたいところである。
山田 悟(やまだ さとる)
1994年,慶應義塾大学医学部を卒業し,同大学内科学教室に入局。東京都済生会中央病院などの勤務を経て,2002年から北里研究所病院で勤務。現在,同院糖尿病センター長。診療に従事する傍ら,2型糖尿病についての臨床研究や1型糖尿病の動物実験を進める。日本糖尿病学会の糖尿病専門医および指導医。
2012年03月08日 (木)
おはようございます。
精神科医師A さんから
「3大栄養素と血糖、ADA(米国糖尿病学会)見解の変化の根拠」
となった文献をご教示いただきました。
精神科医師A さん、いつも貴重な情報をありがとうございます。
おかげでスッキリしました。
1)
American Diabetes Association: Nutrition Principlesand Recommendations in Diabetes.
Diabetes Care, 27: S36〜S46, 2004
http://care.diabetesjournals.org/content/27/suppl_1/s36.full#sec-15
2004年のこの文献(ADAの学会誌・ディアベテスケア)で、
「健常者やコントロールされた2型糖尿病者での多くの研究で、摂取されたタンパク質からの糖質は、通常の循環系に現れぬことが判明した。それゆえそれゆえ蛋白質は血糖値を上昇させないといえる。」
と明示されています。
2)
Diabetes Care January 2002 vol. 25 no. 1 148-198
http://care.diabetesjournals.org/content/25/1/148.full?sid=d92eb750-09a7-4a91-a4ca-ea4a621a8e71
Evidence-Based Nutrition Principles and Recommendations for the Treatment and Prevention of Diabetes and Related Complications
1)の根拠となった元論文はDiabetes Care 2002年1月号掲載のreviewです。
「数多くの研究が、健常者や2型糖尿病において、摂取されたタンパク質は血漿ブドウ糖濃度を増加させないことを示した。Gannon らは、2型糖尿病患者において50gのタンパク質(脂肪の極めて少ない牛肉)を摂取させ8時間観察した。定説では、20〜23 g のタンパク質が脱アミノ化して11〜13gのブドウ糖になるとされていた。しかし、循環中に出現したブドウ糖はわずか2g以下で、摂取したタンパク質はブドウ糖濃度に意味ある増加をもたらさなかった。」
このようなプロセスを経て
1997年版の米国糖尿病学会(ADA)出版の「Life With Diabetes」においては、
「タンパク質は約50%が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載があったのが、
2004年版「Life With Diabetes」からは
「血糖に変わるのは糖質だけで、タンパク質・脂質は変わらない」
という記載に変更になったのですね。
何だか歴史の重みを感じます。
☆☆☆
【12/03/07 精神科医師A
プラクティス2011年9月号
黒田氏の論文の引用文献に注目してみてください
4)American Diabetes Association: Nutrition Principlesand Recommendations in Diabetes. Diabetes Care, 27: S36〜S46, 2004
http://care.diabetesjournals.org/content/27/suppl_1/s36.full#sec-15
PROTEIN AND DIABETES
A number of studies in healthy subjects and in persons with controlled type 2 diabetes have demonstrated that glucose from ingested protein does not appear in the general circulation, and therefore protein does not increase plasma glucose concentrations.
健常正常体重者やコントロールされた2型糖尿病者での多くの研究で、摂取されたタンパク質からの糖質は、通常の循環系に現れぬことが判明した。それゆえそれゆえ蛋白質は血糖値を上昇させないといえる。
このように、Diabetes Care 2004年1月増刊号に「蛋白質は血糖値を上げぬ」と明記されていたわけです。これの元となった論文はDiabetes Care 2002年1月号掲載のreviewです。
Diabetes Care January 2002 vol. 25 no. 1 148-198
http://care.diabetesjournals.org/content/25/1/148.full?sid=d92eb750-09a7-4a91-a4ca-ea4a621a8e71
Evidence-Based Nutrition Principles and Recommendations for the Treatment and Prevention of Diabetes and Related Complications
(pp155) Glucose responses to protein.
A number of studies in healthy, normal-weight subjects (197) and subjects with controlled type 2 diabetes (blood glucose <200 mg/dl) (198,199,200) have demonstrated that ingested protein does not increase plasma glucose concentration. Gannon et al. (200) reported that during the 8-h period after subjects with type 2 diabetes ingested 50 g protein in the form of very lean beef, 〜20〜23 g of protein were deaminated, which in theory could yield 〜11〜13 g glucose. However, the amount of glucose appearing in the circulation was only 〜2 g, confirming that ingested protein does not result in a significant increase in glucose concentration.】
江部康二
精神科医師A さんから
「3大栄養素と血糖、ADA(米国糖尿病学会)見解の変化の根拠」
となった文献をご教示いただきました。
精神科医師A さん、いつも貴重な情報をありがとうございます。
おかげでスッキリしました。
1)
American Diabetes Association: Nutrition Principlesand Recommendations in Diabetes.
Diabetes Care, 27: S36〜S46, 2004
http://care.diabetesjournals.org/content/27/suppl_1/s36.full#sec-15
2004年のこの文献(ADAの学会誌・ディアベテスケア)で、
「健常者やコントロールされた2型糖尿病者での多くの研究で、摂取されたタンパク質からの糖質は、通常の循環系に現れぬことが判明した。それゆえそれゆえ蛋白質は血糖値を上昇させないといえる。」
と明示されています。
2)
Diabetes Care January 2002 vol. 25 no. 1 148-198
http://care.diabetesjournals.org/content/25/1/148.full?sid=d92eb750-09a7-4a91-a4ca-ea4a621a8e71
Evidence-Based Nutrition Principles and Recommendations for the Treatment and Prevention of Diabetes and Related Complications
1)の根拠となった元論文はDiabetes Care 2002年1月号掲載のreviewです。
「数多くの研究が、健常者や2型糖尿病において、摂取されたタンパク質は血漿ブドウ糖濃度を増加させないことを示した。Gannon らは、2型糖尿病患者において50gのタンパク質(脂肪の極めて少ない牛肉)を摂取させ8時間観察した。定説では、20〜23 g のタンパク質が脱アミノ化して11〜13gのブドウ糖になるとされていた。しかし、循環中に出現したブドウ糖はわずか2g以下で、摂取したタンパク質はブドウ糖濃度に意味ある増加をもたらさなかった。」
このようなプロセスを経て
1997年版の米国糖尿病学会(ADA)出版の「Life With Diabetes」においては、
「タンパク質は約50%が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載があったのが、
2004年版「Life With Diabetes」からは
「血糖に変わるのは糖質だけで、タンパク質・脂質は変わらない」
という記載に変更になったのですね。
何だか歴史の重みを感じます。
☆☆☆
【12/03/07 精神科医師A
プラクティス2011年9月号
黒田氏の論文の引用文献に注目してみてください
4)American Diabetes Association: Nutrition Principlesand Recommendations in Diabetes. Diabetes Care, 27: S36〜S46, 2004
http://care.diabetesjournals.org/content/27/suppl_1/s36.full#sec-15
PROTEIN AND DIABETES
A number of studies in healthy subjects and in persons with controlled type 2 diabetes have demonstrated that glucose from ingested protein does not appear in the general circulation, and therefore protein does not increase plasma glucose concentrations.
健常正常体重者やコントロールされた2型糖尿病者での多くの研究で、摂取されたタンパク質からの糖質は、通常の循環系に現れぬことが判明した。それゆえそれゆえ蛋白質は血糖値を上昇させないといえる。
このように、Diabetes Care 2004年1月増刊号に「蛋白質は血糖値を上げぬ」と明記されていたわけです。これの元となった論文はDiabetes Care 2002年1月号掲載のreviewです。
Diabetes Care January 2002 vol. 25 no. 1 148-198
http://care.diabetesjournals.org/content/25/1/148.full?sid=d92eb750-09a7-4a91-a4ca-ea4a621a8e71
Evidence-Based Nutrition Principles and Recommendations for the Treatment and Prevention of Diabetes and Related Complications
(pp155) Glucose responses to protein.
A number of studies in healthy, normal-weight subjects (197) and subjects with controlled type 2 diabetes (blood glucose <200 mg/dl) (198,199,200) have demonstrated that ingested protein does not increase plasma glucose concentration. Gannon et al. (200) reported that during the 8-h period after subjects with type 2 diabetes ingested 50 g protein in the form of very lean beef, 〜20〜23 g of protein were deaminated, which in theory could yield 〜11〜13 g glucose. However, the amount of glucose appearing in the circulation was only 〜2 g, confirming that ingested protein does not result in a significant increase in glucose concentration.】
江部康二
2012年03月07日 (水)
こんにちは。
3大栄養素と血糖、ADA見解の変化、日米の違いについて精神科医Aさんから、コメントをいただきました。
【12/03/02 精神科医師A
蛋白と糖
>何故、長年にわたり、「摂取したタンパク質が50%直接血糖に変わる」と信じられていたのか、今となっては謎ですね。
…答えはこの文献にあります
プラクティス 28(5)493-499
黒田暁生、松久宗英 徳島大学糖尿病臨床・研究開発センター
(P498)
蛋白質はそのエネルギーの60%が糖質に変換されて食後2〜4時間ほどで血糖値を上昇させ、脂質は同様に約10%が変換されて食後4時間以上かけて血糖値を上昇させる(図1)[12]
12) Woodyatt, R. T. : Obiects and method of diet adiustmentin diabetes. Arch Intern Med, 28: 125〜141, 1921
□
次の論文が「摂取したタンパク質が50%直接血糖に変わる」ことを完全に否定しています。その後のADAの文献に何度も引用されています。
http://jcem.endojournals.org/content/86/3/1040.full】
精神科医師A さん。
貴重な情報をありがとうございます。
『糖尿病食事療法
−個別化・多様化するニーズへの対応−
28巻5号 2011年9月15日 p.493-499
黒田暁生、松久宗英 徳島大学糖尿病臨床・研究開発センター 』
2011年9月と、ごく最近の黒田先生の論文でも、Woodyattの1921年の文献を引用して、タンパク質が60%血糖に変わり脂質が10%血糖に変わるとされているのですね。
米国では、1997年版の米国糖尿病学会(ADA)出版の「Life With Diabetes」においては、
「タンパク質は約50%が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載があり、それぞれが血糖に変わるグラフも付いています。
この1997年版のLife With Diabeteが池田義男先生の監訳で日本で出版されており、それが、糖尿病専門医や栄養士の間に浸透しています。
そして「それぞれが血糖に変わるグラフ」も、日本の様々な論文や本に引用されています。
上述の黒田先生の論文にも、「1997年版・Life With Diabete・池田義男監訳」のグラフが引用されています。
その後、1997年から2003年まで、「三大栄養素と血糖」に関して、複数の研究論文が論考されたと考えられます。
例えば精神科医Aさんにご教示頂いた2001年のGannonらの論文(*)は、有力な論文の一つで、「タンパク質は血糖値に変わらない」と臨床試験データを基に報告されています。
これらの論文を考察した結果、米国糖尿病学会(ADA)では、2004年版「Life With Diabetes」からは
「血糖に変わるのは糖質だけで、タンパク質・脂質は変わらない」
という見解になったのでしょう。
そして「それぞれが血糖に変わるグラフ」も2004年版で削除されました。
黒田先生は、ADAの見解の変化をご存じないのでしょうか?
このままでは、日本糖尿病学会はガラパゴス状態です。
(*)
M. C. Gannon et all:
Effect of Protein Ingestion on the Glucose Appearance Rate in People with Type 2 Diabetes1
The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism March 1, 2001 vol. 86 no. 3 1040-1047
☆
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,2nd Ed,1997
☆☆
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004
☆☆☆
Life With Diabetes:A Siries of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center ,
American Diabetes Assoiation ,4th Edition,2009
江部康二
3大栄養素と血糖、ADA見解の変化、日米の違いについて精神科医Aさんから、コメントをいただきました。
【12/03/02 精神科医師A
蛋白と糖
>何故、長年にわたり、「摂取したタンパク質が50%直接血糖に変わる」と信じられていたのか、今となっては謎ですね。
…答えはこの文献にあります
プラクティス 28(5)493-499
黒田暁生、松久宗英 徳島大学糖尿病臨床・研究開発センター
(P498)
蛋白質はそのエネルギーの60%が糖質に変換されて食後2〜4時間ほどで血糖値を上昇させ、脂質は同様に約10%が変換されて食後4時間以上かけて血糖値を上昇させる(図1)[12]
12) Woodyatt, R. T. : Obiects and method of diet adiustmentin diabetes. Arch Intern Med, 28: 125〜141, 1921
□
次の論文が「摂取したタンパク質が50%直接血糖に変わる」ことを完全に否定しています。その後のADAの文献に何度も引用されています。
http://jcem.endojournals.org/content/86/3/1040.full】
精神科医師A さん。
貴重な情報をありがとうございます。
『糖尿病食事療法
−個別化・多様化するニーズへの対応−
28巻5号 2011年9月15日 p.493-499
黒田暁生、松久宗英 徳島大学糖尿病臨床・研究開発センター 』
2011年9月と、ごく最近の黒田先生の論文でも、Woodyattの1921年の文献を引用して、タンパク質が60%血糖に変わり脂質が10%血糖に変わるとされているのですね。
米国では、1997年版の米国糖尿病学会(ADA)出版の「Life With Diabetes」においては、
「タンパク質は約50%が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載があり、それぞれが血糖に変わるグラフも付いています。
この1997年版のLife With Diabeteが池田義男先生の監訳で日本で出版されており、それが、糖尿病専門医や栄養士の間に浸透しています。
そして「それぞれが血糖に変わるグラフ」も、日本の様々な論文や本に引用されています。
上述の黒田先生の論文にも、「1997年版・Life With Diabete・池田義男監訳」のグラフが引用されています。
その後、1997年から2003年まで、「三大栄養素と血糖」に関して、複数の研究論文が論考されたと考えられます。
例えば精神科医Aさんにご教示頂いた2001年のGannonらの論文(*)は、有力な論文の一つで、「タンパク質は血糖値に変わらない」と臨床試験データを基に報告されています。
これらの論文を考察した結果、米国糖尿病学会(ADA)では、2004年版「Life With Diabetes」からは
「血糖に変わるのは糖質だけで、タンパク質・脂質は変わらない」
という見解になったのでしょう。
そして「それぞれが血糖に変わるグラフ」も2004年版で削除されました。
黒田先生は、ADAの見解の変化をご存じないのでしょうか?
このままでは、日本糖尿病学会はガラパゴス状態です。
(*)
M. C. Gannon et all:
Effect of Protein Ingestion on the Glucose Appearance Rate in People with Type 2 Diabetes1
The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism March 1, 2001 vol. 86 no. 3 1040-1047
☆
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,2nd Ed,1997
☆☆
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004
☆☆☆
Life With Diabetes:A Siries of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center ,
American Diabetes Assoiation ,4th Edition,2009
江部康二
2012年02月27日 (月)
こんにちは。
3大栄養素と血糖値に関して、知り合いの栄養士さんから、長年
「糖質が100%、タンパク質が50%、脂質が10%未満、血糖値に変わる」
と教育されてきたがどうなのでしょうか?
と質問されました。
結論ですが、2004年版のLife With Diabetes(米国糖尿病協会・ADA)によれば(☆☆)、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わり、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
「Carbohydrate,protein,and fat contain calories.
Only Carbohydrates directly affect blood glucose levels. 」 3rd Ed,2004
直訳すると、
「炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有している。炭水化物だけが、血糖値に直接作用する。」
1997年版のLife With Diabetesでは、(☆)
「糖質は100%、タンパク質は約50%、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載がありますが、2004年版では削除されています。
上記以外にも1997版で記載されていた、脂質とタンパク質と血糖に関する記載が 2004年版では全て削除されています。
2009年版もそれを継続していると思われます。( ☆☆☆)
1997年から2004年の間に、研究論文が蓄積されて、米国糖尿病学会の見解が、「血糖値を上げるのは3大栄養素の内、糖質だけである。」と変化したものと考えられます。
なおアミノ酸からの糖新生や脂肪の分解物であるグリセロールからの糖新生は、肝臓で日常的に行われています。
スーパー糖質制限食実践中はステーキを食べている最中にも糖新生は行われていますし、糖質を摂取している場合は、食後2時間は糖質由来の血糖値の上昇があり、その後は肝臓のグリコーゲン分解により血糖値を保ち、さらに4〜5時間後からは肝臓の糖新生で血糖値を保ちます。
ADAの2004年版「血糖に変わるのは糖質だけ」という記載は、食事から消化吸収されて、そのまま直接血糖に変わるのは糖質だけであり、タンパク質と脂質は直接は変わらないという意味です。
☆
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,2nd Ed,1997
☆☆
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004
☆☆☆
Life With Diabetes:A Siries of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center ,
American Diabetes Assoiation ,4th Edition,2009
江部康二
3大栄養素と血糖値に関して、知り合いの栄養士さんから、長年
「糖質が100%、タンパク質が50%、脂質が10%未満、血糖値に変わる」
と教育されてきたがどうなのでしょうか?
と質問されました。
結論ですが、2004年版のLife With Diabetes(米国糖尿病協会・ADA)によれば(☆☆)、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わり、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
「Carbohydrate,protein,and fat contain calories.
Only Carbohydrates directly affect blood glucose levels. 」 3rd Ed,2004
直訳すると、
「炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有している。炭水化物だけが、血糖値に直接作用する。」
1997年版のLife With Diabetesでは、(☆)
「糖質は100%、タンパク質は約50%、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載がありますが、2004年版では削除されています。
上記以外にも1997版で記載されていた、脂質とタンパク質と血糖に関する記載が 2004年版では全て削除されています。
2009年版もそれを継続していると思われます。( ☆☆☆)
1997年から2004年の間に、研究論文が蓄積されて、米国糖尿病学会の見解が、「血糖値を上げるのは3大栄養素の内、糖質だけである。」と変化したものと考えられます。
なおアミノ酸からの糖新生や脂肪の分解物であるグリセロールからの糖新生は、肝臓で日常的に行われています。
スーパー糖質制限食実践中はステーキを食べている最中にも糖新生は行われていますし、糖質を摂取している場合は、食後2時間は糖質由来の血糖値の上昇があり、その後は肝臓のグリコーゲン分解により血糖値を保ち、さらに4〜5時間後からは肝臓の糖新生で血糖値を保ちます。
ADAの2004年版「血糖に変わるのは糖質だけ」という記載は、食事から消化吸収されて、そのまま直接血糖に変わるのは糖質だけであり、タンパク質と脂質は直接は変わらないという意味です。
☆
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,2nd Ed,1997
☆☆
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by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004
☆☆☆
Life With Diabetes:A Siries of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center ,
American Diabetes Assoiation ,4th Edition,2009
江部康二





