2009年09月10日 (木)
おはようございます。
朝夕めっきり涼しくなってきましたね。夜が眠りやすくて助かります。
ブログ読者の皆さんに、ちょっぴり嬉しいお知らせです。
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある」東洋経済新報社
が、3万部突破、第3刷となりました。ヾ(^▽^)
8月10日発売ですから、約1ヶ月くらいです。この勢いを持続して欲しいですね。 (^^)
さて今回はふじさんから、空腹時血糖値の変動についてコメント・質問をいただきました。
「09/09/08 ふじ
ありがとうございました!
お忙しい中、お答えいただいた上に取り上げていただきましてありがとうございます。
腎臓に負担がかかるということはないとのことで、安心しました^^
またひとつ気になることができてしまったのですが、早朝空腹時の血糖値は80~100を保っていたのが、先週末から120に上がり始め、日曜日からは140以上になってしまっています。
暁現象かな?とあまり考え込まないでいたのですが、就寝前も130~145と高く出てしまいます。
30~40分ほどのウォーキングをしても10程度しか下がらず・・・。
本日、17時(昼食後6時間)に測定した時は100、夕食をとる直前の20時に測定した時は147と高めに出てしまいました。
特に運動も何もしておらず、???な状態です。
今まで暁現象とは、就寝時~朝にかけておこる糖新生のメカニズムによるものだと認識していましたが、時間帯は関係ないのでしょうか?
しばらく調子がいいと浮かれていると、血糖値が上昇してしまったり・・・なかなか一筋縄ではいかない人体は興味深いものがありますね(笑)」
ふじさん。
コメントありがとうございます。
「早朝空腹時の血糖値は80~100を保っていたのが、先週末から120に上がり始め、日曜日からは140以上になってしまっています。」
正常人ではこういう変動はないのですが、糖尿人ではたまにあります。 (∵)?
スーパー糖質制限食で、再び改善するとは思うのですが・・・。
人体の血糖調節は、なかなか精妙で複雑なシステムにより維持されています。
血糖値は「食事」、「肝臓によるグリコーゲン分解・糖新生と糖の取り込み」、「運動」、「ストレス」、「インスリン・グルカゴンなどホルモン」・・・いろいろな要素が合わさって調節されています。
ご質問の空腹時血糖値ですが、食物吸収が終了した直後には、肝臓のグリコーゲン分解が、循環血液中に入るブドウ糖の主要な供給源です。食後数時間が経過し、絶食状態が持続すると、ブドウ糖の供給源は、肝のグリコーゲン分解から糖新生に切り替わります。
ふじさん、しばらくは早朝空腹時血糖値が80~100mg/dlでしたので、基礎分泌インスリンはあるていど保たれていることは間違いありません。一方、120mg、140mgになるのは、基礎分泌インスリンの一定の不足もある可能性が高いです。
早朝空腹時血糖値、80~100~120~140mgていどは、ほんの少しのことで変動します。例えば、睡眠が浅かったとか、風邪気味だったとか、前の日の夕食が遅かったとか、餃子・トンカツ・天ぷらなどちょっと食べ過ぎたとか・・・.。
ちなみに、私の早朝空腹時血糖値も、90~100~110~120~130mgくらいで、上述のような、ちょっとしたことで変動します。
本当にきっちりスーパー糖質制限食を実践していると90~115mgです。まあ私の場合は、基礎分泌のインスリンが、既にやや不足気味の段階なのですが・・・(;_;)
早朝空腹時血糖値高値の一番の原因は、やはり基礎分泌のインスリンが不足しているためと考えられます。(*)
基礎分泌のインスリンが不足気味だと、夜間の肝臓の糖新生がコントロールできなくて、早朝空腹時血糖値が高値となります。眠前の血糖値より早朝~午前中の空腹時血糖値が高値となる、「暁現象」を呈すこともあります。(**)暁現象はご指摘通り、基本的に早朝~午前中に起こるものです。
「本日、17時(昼食後6時間)に測定した時は100、夕食をとる直前の20時に測定した時は147と高めに出てしまいました。」
食後6時間血糖値が100mg→食後9時間血糖値が147mgです。
何も食べていないのに夕方から夜にかけて血糖値が上昇していて、これは暁現象では説明できませんね。
よくわからないのですが、血糖自己測定器のたまたまの誤差ということも考えられますね。血糖自己測定器、有用なのですが、そこそこ誤差もあると思いますので・・・。
江部康二
(*)インスリン
人体で唯一血糖値を下げるホルモン。膵臓のβ細胞でつくられ分泌される。24時間少量持続的にでている基礎分泌のインスリンと血糖値が上昇したときにその10~20倍の量がでる追加分泌がある。インスリンが追加分泌されると、筋肉細胞が血糖を取り込むが、余った血糖が中性脂肪に変わるので、インスリンは別名肥満ホルモンと呼ばれる。
(**)暁現象と早朝空腹時血糖値
インスリン基礎分泌が不足してくると、夜間の肝の糖新生を制御できずに、早朝空腹時血糖値が高値となる。
また、就寝時より起床時の血糖値の方が、高値となることがある。就寝後8~10時間で、血糖値が上昇する暁現象である。
肝臓が早朝には、他の時間帯以上に、血液中に循環しているインスリンを不活化させるため肝臓の糖新生が高まり、起床時に就寝時より血糖値が高くなる。
朝夕めっきり涼しくなってきましたね。夜が眠りやすくて助かります。
ブログ読者の皆さんに、ちょっぴり嬉しいお知らせです。
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある」東洋経済新報社
が、3万部突破、第3刷となりました。ヾ(^▽^)
8月10日発売ですから、約1ヶ月くらいです。この勢いを持続して欲しいですね。 (^^)
さて今回はふじさんから、空腹時血糖値の変動についてコメント・質問をいただきました。
「09/09/08 ふじ
ありがとうございました!
お忙しい中、お答えいただいた上に取り上げていただきましてありがとうございます。
腎臓に負担がかかるということはないとのことで、安心しました^^
またひとつ気になることができてしまったのですが、早朝空腹時の血糖値は80~100を保っていたのが、先週末から120に上がり始め、日曜日からは140以上になってしまっています。
暁現象かな?とあまり考え込まないでいたのですが、就寝前も130~145と高く出てしまいます。
30~40分ほどのウォーキングをしても10程度しか下がらず・・・。
本日、17時(昼食後6時間)に測定した時は100、夕食をとる直前の20時に測定した時は147と高めに出てしまいました。
特に運動も何もしておらず、???な状態です。
今まで暁現象とは、就寝時~朝にかけておこる糖新生のメカニズムによるものだと認識していましたが、時間帯は関係ないのでしょうか?
しばらく調子がいいと浮かれていると、血糖値が上昇してしまったり・・・なかなか一筋縄ではいかない人体は興味深いものがありますね(笑)」
ふじさん。
コメントありがとうございます。
「早朝空腹時の血糖値は80~100を保っていたのが、先週末から120に上がり始め、日曜日からは140以上になってしまっています。」
正常人ではこういう変動はないのですが、糖尿人ではたまにあります。 (∵)?
スーパー糖質制限食で、再び改善するとは思うのですが・・・。
人体の血糖調節は、なかなか精妙で複雑なシステムにより維持されています。
血糖値は「食事」、「肝臓によるグリコーゲン分解・糖新生と糖の取り込み」、「運動」、「ストレス」、「インスリン・グルカゴンなどホルモン」・・・いろいろな要素が合わさって調節されています。
ご質問の空腹時血糖値ですが、食物吸収が終了した直後には、肝臓のグリコーゲン分解が、循環血液中に入るブドウ糖の主要な供給源です。食後数時間が経過し、絶食状態が持続すると、ブドウ糖の供給源は、肝のグリコーゲン分解から糖新生に切り替わります。
ふじさん、しばらくは早朝空腹時血糖値が80~100mg/dlでしたので、基礎分泌インスリンはあるていど保たれていることは間違いありません。一方、120mg、140mgになるのは、基礎分泌インスリンの一定の不足もある可能性が高いです。
早朝空腹時血糖値、80~100~120~140mgていどは、ほんの少しのことで変動します。例えば、睡眠が浅かったとか、風邪気味だったとか、前の日の夕食が遅かったとか、餃子・トンカツ・天ぷらなどちょっと食べ過ぎたとか・・・.。
ちなみに、私の早朝空腹時血糖値も、90~100~110~120~130mgくらいで、上述のような、ちょっとしたことで変動します。
本当にきっちりスーパー糖質制限食を実践していると90~115mgです。まあ私の場合は、基礎分泌のインスリンが、既にやや不足気味の段階なのですが・・・(;_;)
早朝空腹時血糖値高値の一番の原因は、やはり基礎分泌のインスリンが不足しているためと考えられます。(*)
基礎分泌のインスリンが不足気味だと、夜間の肝臓の糖新生がコントロールできなくて、早朝空腹時血糖値が高値となります。眠前の血糖値より早朝~午前中の空腹時血糖値が高値となる、「暁現象」を呈すこともあります。(**)暁現象はご指摘通り、基本的に早朝~午前中に起こるものです。
「本日、17時(昼食後6時間)に測定した時は100、夕食をとる直前の20時に測定した時は147と高めに出てしまいました。」
食後6時間血糖値が100mg→食後9時間血糖値が147mgです。
何も食べていないのに夕方から夜にかけて血糖値が上昇していて、これは暁現象では説明できませんね。
よくわからないのですが、血糖自己測定器のたまたまの誤差ということも考えられますね。血糖自己測定器、有用なのですが、そこそこ誤差もあると思いますので・・・。
江部康二
(*)インスリン
人体で唯一血糖値を下げるホルモン。膵臓のβ細胞でつくられ分泌される。24時間少量持続的にでている基礎分泌のインスリンと血糖値が上昇したときにその10~20倍の量がでる追加分泌がある。インスリンが追加分泌されると、筋肉細胞が血糖を取り込むが、余った血糖が中性脂肪に変わるので、インスリンは別名肥満ホルモンと呼ばれる。
(**)暁現象と早朝空腹時血糖値
インスリン基礎分泌が不足してくると、夜間の肝の糖新生を制御できずに、早朝空腹時血糖値が高値となる。
また、就寝時より起床時の血糖値の方が、高値となることがある。就寝後8~10時間で、血糖値が上昇する暁現象である。
肝臓が早朝には、他の時間帯以上に、血液中に循環しているインスリンを不活化させるため肝臓の糖新生が高まり、起床時に就寝時より血糖値が高くなる。
2008年04月24日 (木)
おはようございます。
昨夕から雨がしとしと降り続いています。まるで梅雨時のような空模様です。今日は夜、高雄病院の新任医師歓迎会なので、雨あがって欲しいですね。
さて今回は、でぃあべーちゃさんからコメント・質問をいただきました。
『ひさしぶりに、カキコです。
12月にスーパー糖質制限を開始後、私と相方のその後の生活&HbA1cは 私は12月の結果がHbA1c5.2と最小値更新!となり、 (忙しさにかまけて、それ以来検査は先週までしてないです)
相方は、ワインをやめ(神経障害が疑われるため)、 3月検査結果6.3となりました。
12月が11.1だったので、やはり糖質制限食は 偉大だなー、と体感中です。
ぜいたくを言えば、 どうしても相方の早朝空腹時のHbA1cが高いです。 180前後もしばしば。160がデフォルトですね。 なんとか下げる方法はないのでしょうか、、、 夕食は、高カロリー高たんぱくな食事で、ナッツ類も結構食べてますね、、、これが原因でしょうか。
でもでも、6.3まで下がりましたよ!! ありがとうございました。
2008/04/15(火) 12:27:52 | URL | でぃあべーちゃ』
でぃあべーちゃさん、お久しぶりです。コメントありがとうございます。
「12月の結果がHbA1c5.2と最小値更新!」
これは正常人の範囲ですね。おめでとうございます。
相方さんは「12月11.1%→3月検査結果HbA1c6.3%」なら劇的な改善です。
6.3%以下なので、コントロール良好の範囲にはいりますのでまずは良かったです。
しかしながら、うーむ、早朝空腹時血糖値が再び高値となりましたか。早朝空腹時血糖値が高値になる要因は大きく分けて以下の如くです。
<食事時間と胃麻痺と>
夕食を夜9時以降に摂取すると、 糖質制限食でも翌朝の空腹時血糖値が少々上昇することがあります。摂取したタンパク質が1.2時間から数時間半分ほどかけて血糖値に変わりますが、その影響があるようです。
また脂質は1割弱が十数時間かけて血糖値に変わりますので、夕方6時頃でも大量の脂質を摂取すると翌朝の空腹時血糖値に多少の影響がでる可能性があります。
それからバーンスタイン医師(米国の1型糖尿病の医師で糖質制限食実践中)の本にも記載されている<胃排泄遅延・胃不全麻痺>が年期の入った糖尿人ではありえます。欧米人には胃不全麻痺が結構多いようですが日本人でも当然ありえます。
胃不全麻痺のある糖尿人は、夕食を午後6時頃食べても、胃からの排泄が遅延して吸収が遅くなり、通常よりかなり遅れて血糖値が上昇することがあります。そのため翌朝の空腹時血糖値が高値となることがあります。
<基礎分泌インスリンの不足> 2008.1.15ブログを再掲
早朝空腹時血糖値は夜中の肝の糖新生が一番関係しています。夜間絶食時には、肝臓で乳酸やアミノ酸(アラニンなど)、グリセロール(中性脂肪の分解物)からブドウ糖をつくります(糖新生)。この肝の糖新生を抑制するのが、インスリンの基礎分泌です。
従って、インスリン基礎分泌があるていど減少している糖尿人は、夜間の肝の糖新生が抑制できずに早朝空腹時血糖値が高めになります。
例えば、夜10時の血糖値が110mgで何も食べていないのに、翌朝7時は130mgもあったりすることがあるのはこのためです。
日本人に一番多いのは、食後高血糖があるのを数年間見過ごされたあと、インスリン基礎分泌が徐々に減少し、とうとう早朝空腹時血糖値が上昇してきて糖尿病と診断されるパターンです。かくいう私もその一人です。
従いまして、その時点で膵臓のβ細胞がどの程度生き残っているのかということになります。軽症糖尿病は1~2割のβ細胞は死滅していて、2~3割は疲れて機能が落ちている状態です。
スーパー糖質制限食を実践すれば膵臓はしっかり休養できるので、疲れて機能が落ちている細胞は回復してきます。そうすると基礎分泌もあるていど回復して、早朝空腹時血糖値も110mg未満の正常に戻ることもあります。
実際、入院してきっちり糖質制限食を実践して、空腹時血糖値180mgとかだった方が108mgとかに改善した例もあります。
一方、β細胞が既に3~4割ダメージを受けて回復不能の場合は、 糖質制限食を実践してもインスリン基礎分泌の改善に限界があり、早朝空腹時血糖値が高値となります。この場合、何とか126mg未満、無理なら140mg未満を目指すこととなります。早朝空腹時血糖値が140mg/dlを超えてくると合併症のリスクが高まります。
β細胞のダメージがある程度あって、基礎分泌のインスリン不足があり、 糖質制限食を実践していても、早朝空腹時血糖値が常に140mg/dl以上がある糖尿人はランタス注オプチクリック300という22時間半持続するインスリン注射を、一日一回だけ打つ選択肢もあります。
この注射は、ジワジワと同じペースで一定量が吸収されるので、血中濃度を一定に保つことができます。即ちピークがないので低血糖も起こしにくいです。
ランタスが基礎分泌のインスリンの役割をしてくれるわけで、一日一回だけうって、既に回復不能の分だけ補充して、 糖質制限食を実践すれば血糖値は正常を保つことが可能になります。
江部康二
昨夕から雨がしとしと降り続いています。まるで梅雨時のような空模様です。今日は夜、高雄病院の新任医師歓迎会なので、雨あがって欲しいですね。
さて今回は、でぃあべーちゃさんからコメント・質問をいただきました。
『ひさしぶりに、カキコです。
12月にスーパー糖質制限を開始後、私と相方のその後の生活&HbA1cは 私は12月の結果がHbA1c5.2と最小値更新!となり、 (忙しさにかまけて、それ以来検査は先週までしてないです)
相方は、ワインをやめ(神経障害が疑われるため)、 3月検査結果6.3となりました。
12月が11.1だったので、やはり糖質制限食は 偉大だなー、と体感中です。
ぜいたくを言えば、 どうしても相方の早朝空腹時のHbA1cが高いです。 180前後もしばしば。160がデフォルトですね。 なんとか下げる方法はないのでしょうか、、、 夕食は、高カロリー高たんぱくな食事で、ナッツ類も結構食べてますね、、、これが原因でしょうか。
でもでも、6.3まで下がりましたよ!! ありがとうございました。
2008/04/15(火) 12:27:52 | URL | でぃあべーちゃ』
でぃあべーちゃさん、お久しぶりです。コメントありがとうございます。
「12月の結果がHbA1c5.2と最小値更新!」
これは正常人の範囲ですね。おめでとうございます。
相方さんは「12月11.1%→3月検査結果HbA1c6.3%」なら劇的な改善です。
6.3%以下なので、コントロール良好の範囲にはいりますのでまずは良かったです。
しかしながら、うーむ、早朝空腹時血糖値が再び高値となりましたか。早朝空腹時血糖値が高値になる要因は大きく分けて以下の如くです。
<食事時間と胃麻痺と>
夕食を夜9時以降に摂取すると、 糖質制限食でも翌朝の空腹時血糖値が少々上昇することがあります。摂取したタンパク質が1.2時間から数時間半分ほどかけて血糖値に変わりますが、その影響があるようです。
また脂質は1割弱が十数時間かけて血糖値に変わりますので、夕方6時頃でも大量の脂質を摂取すると翌朝の空腹時血糖値に多少の影響がでる可能性があります。
それからバーンスタイン医師(米国の1型糖尿病の医師で糖質制限食実践中)の本にも記載されている<胃排泄遅延・胃不全麻痺>が年期の入った糖尿人ではありえます。欧米人には胃不全麻痺が結構多いようですが日本人でも当然ありえます。
胃不全麻痺のある糖尿人は、夕食を午後6時頃食べても、胃からの排泄が遅延して吸収が遅くなり、通常よりかなり遅れて血糖値が上昇することがあります。そのため翌朝の空腹時血糖値が高値となることがあります。
<基礎分泌インスリンの不足> 2008.1.15ブログを再掲
早朝空腹時血糖値は夜中の肝の糖新生が一番関係しています。夜間絶食時には、肝臓で乳酸やアミノ酸(アラニンなど)、グリセロール(中性脂肪の分解物)からブドウ糖をつくります(糖新生)。この肝の糖新生を抑制するのが、インスリンの基礎分泌です。
従って、インスリン基礎分泌があるていど減少している糖尿人は、夜間の肝の糖新生が抑制できずに早朝空腹時血糖値が高めになります。
例えば、夜10時の血糖値が110mgで何も食べていないのに、翌朝7時は130mgもあったりすることがあるのはこのためです。
日本人に一番多いのは、食後高血糖があるのを数年間見過ごされたあと、インスリン基礎分泌が徐々に減少し、とうとう早朝空腹時血糖値が上昇してきて糖尿病と診断されるパターンです。かくいう私もその一人です。
従いまして、その時点で膵臓のβ細胞がどの程度生き残っているのかということになります。軽症糖尿病は1~2割のβ細胞は死滅していて、2~3割は疲れて機能が落ちている状態です。
スーパー糖質制限食を実践すれば膵臓はしっかり休養できるので、疲れて機能が落ちている細胞は回復してきます。そうすると基礎分泌もあるていど回復して、早朝空腹時血糖値も110mg未満の正常に戻ることもあります。
実際、入院してきっちり糖質制限食を実践して、空腹時血糖値180mgとかだった方が108mgとかに改善した例もあります。
一方、β細胞が既に3~4割ダメージを受けて回復不能の場合は、 糖質制限食を実践してもインスリン基礎分泌の改善に限界があり、早朝空腹時血糖値が高値となります。この場合、何とか126mg未満、無理なら140mg未満を目指すこととなります。早朝空腹時血糖値が140mg/dlを超えてくると合併症のリスクが高まります。
β細胞のダメージがある程度あって、基礎分泌のインスリン不足があり、 糖質制限食を実践していても、早朝空腹時血糖値が常に140mg/dl以上がある糖尿人はランタス注オプチクリック300という22時間半持続するインスリン注射を、一日一回だけ打つ選択肢もあります。
この注射は、ジワジワと同じペースで一定量が吸収されるので、血中濃度を一定に保つことができます。即ちピークがないので低血糖も起こしにくいです。
ランタスが基礎分泌のインスリンの役割をしてくれるわけで、一日一回だけうって、既に回復不能の分だけ補充して、 糖質制限食を実践すれば血糖値は正常を保つことが可能になります。
江部康二
2008年01月26日 (土)
こんばんは。
今日もしっかり寒いです。この寒波、いつまで続くのでしょうね? (*_*)
さて、でぃあべーちゃさんから、赤ワイン療法のその後のコメントをいただきました。
『現代西洋医学的な限界
さっそく、読みました^^
現代の西洋医学的な治療アプローチでは 血糖を下げるだけでもいっぱいいっぱいなのですね。 薬(人工的純物質)で人間の体を総合的になんとかするっていうのは難しいんですね。
仮説、大変わかりやすいです。
そういえば相方も私も糖質制限食1ヶ月目で中性脂肪が250前後から60前後になりました。
まだ、ワイン続けてます。 私も相方も早朝血糖値はほとんど110前後となりました。
糖質制限食を続けている限り、血糖コントロールは楽勝そうです。( ̄ー ̄)b
ここのところ寒いですね。シックデイ(高血糖)=風邪 に気をつけなければ。
江部先生もご自愛ください。
2008/01/25 Fri 10:29:30
でぃあべーちゃ』
でぃあべーちゃさん、良かったですね。
おめでとうございます。貴重なデータを報告して頂いてありがとうございます。
糖質制限食+「赤ワインを夕食時150ml療法」(1.9ブログをご参照くださいね)で、200mg/dl前後もあった相方さんの早朝空腹時血糖値が110mg前後なんて夢のよう、大成功ではないですか!! iiii~ (⌒O⌒)
糖質制限食を続けていると早朝空腹時血糖値も下がってくることが多いのですが、相方さんの場合なかなか下がらなかったですから、赤ワインが効いた可能性が高いですね。
夕食時赤ワイン療法150ml、お酒の好きな人には量的に物足りないですが、それなりの人には流行るかもしれませんね。
また、お二人とも中性脂肪が250mg前後→60mg/dl前後と驚異的な改善ですが、こちらは 糖質制限食単独で簡単に達成ですね。
相方さんの成功に力を得て糖質制限食でも早朝空腹時血糖値が下がりにくい糖尿病患者さんに、夕食時赤ワイン150ml療法を奨めてみたいと思います。 (^o^)v
江部康二
今日もしっかり寒いです。この寒波、いつまで続くのでしょうね? (*_*)
さて、でぃあべーちゃさんから、赤ワイン療法のその後のコメントをいただきました。
『現代西洋医学的な限界
さっそく、読みました^^
現代の西洋医学的な治療アプローチでは 血糖を下げるだけでもいっぱいいっぱいなのですね。 薬(人工的純物質)で人間の体を総合的になんとかするっていうのは難しいんですね。
仮説、大変わかりやすいです。
そういえば相方も私も糖質制限食1ヶ月目で中性脂肪が250前後から60前後になりました。
まだ、ワイン続けてます。 私も相方も早朝血糖値はほとんど110前後となりました。
糖質制限食を続けている限り、血糖コントロールは楽勝そうです。( ̄ー ̄)b
ここのところ寒いですね。シックデイ(高血糖)=風邪 に気をつけなければ。
江部先生もご自愛ください。
2008/01/25 Fri 10:29:30
でぃあべーちゃ』
でぃあべーちゃさん、良かったですね。
おめでとうございます。貴重なデータを報告して頂いてありがとうございます。
糖質制限食+「赤ワインを夕食時150ml療法」(1.9ブログをご参照くださいね)で、200mg/dl前後もあった相方さんの早朝空腹時血糖値が110mg前後なんて夢のよう、大成功ではないですか!! iiii~ (⌒O⌒)
糖質制限食を続けていると早朝空腹時血糖値も下がってくることが多いのですが、相方さんの場合なかなか下がらなかったですから、赤ワインが効いた可能性が高いですね。
夕食時赤ワイン療法150ml、お酒の好きな人には量的に物足りないですが、それなりの人には流行るかもしれませんね。
また、お二人とも中性脂肪が250mg前後→60mg/dl前後と驚異的な改善ですが、こちらは 糖質制限食単独で簡単に達成ですね。
相方さんの成功に力を得て糖質制限食でも早朝空腹時血糖値が下がりにくい糖尿病患者さんに、夕食時赤ワイン150ml療法を奨めてみたいと思います。 (^o^)v
江部康二
2008年01月15日 (火)
おはようございます。今日もしっかり寒いです。
布団からなかなか離れがたくて、一定の決意が要りますね。 (*_*)
さて今回は、でぃあべーちゃさんとミントさんからコメント・質問をいただきまして
糖尿人と早朝空腹時血糖値のお話です。
『いつも楽しみにしています。
このたび、相方の早朝空腹時血糖値が大変高くなり、心配です。
12月から糖質制限食を実行し、早朝空腹時血糖値も、180ぐらいから130あたりまで12月24日ぐらいまでは落ちていたのですが、それ以降、連日200前後です。高いときは220とかです。
そんな日でも夕食前は130ぐらいまで 落ちています。
1日の高低差も気になります。もちろん毎日180超えてるので、悪化しているのではないかと日に日にへこみます。
24日ごろから鼻水を多少すすってますが、熱などもなく、ストレスなども 特に思い当たりません。 なにか別の不測の事態でなければいいのですが。
こんなに早朝空腹時血糖ってあがるものなんでしょうか?
【2008/01/07 15:11】 でぃあべーちゃ』
『空腹時血糖値についてはわたしも糖質制限を始めてからの悩みの種でした。
私の場合も長い間医者に行っていなかった(糖尿病宣告を受けずともすでにX-Dayが来ていた)ので、かなり膵臓が参っているようです。
基本的な血糖値が高めなので糖質制限をしていてもよほど気をつけないと200以下を保つことが難しいのです。
(ちなみに、空腹時血糖値と食後血糖値の差は外食などがなければ大体20-50くらいです。)
最近は以前に比べて朝起きたときの血糖値にびっくりするようなことも少なくなりましたがそれでも変わらず高めではあります。
これは糖質制限を続けることで膵臓が多少なりとも休まって少しは改善する可能性はあるのでしょうか?
それともここはもうあきらめて可能な限り食後180-200を超えないようにするしかないのでしょうか。
【2008/01/09 00:38】ミント』
でぃあべーちゃさん、ミントさん。いつもコメント・質問ありがとうございます。でぃあべーちゃさんの相方さんとミントさん、いずれも早朝空腹時血糖値が下がりにくいとのことですね。
早朝空腹時血糖値は夜中の肝の糖新生が一番関係しています。夜間絶食時には、肝臓で乳酸やアミノ酸(アラニンなど)、グリセロール(中性脂肪の分解物)からブドウ糖をつくります(糖新生)。この肝の糖新生を抑制するのが、インスリンの基礎分泌です。
従って、インスリン基礎分泌があるていど減少している糖尿人は、夜間の肝の糖新生が抑制できずに早朝空腹時血糖値が高めになります。
例えば、夜10時の血糖値が110mgで何も食べていないのに、翌朝7時は130mgもあったりすることがあるのはこのためです。
日本人に一番多いのは、食後高血糖があるのを数年間見過ごされたあと、インスリン基礎分泌が徐々に減少し、とうとう早朝空腹時血糖値が上昇してきて糖尿病と診断されるパターンです。かくいう私もその一人です。
従いまして、その時点で膵臓のβ細胞がどの程度生き残っているのかということになります。軽症糖尿病は1~2割のβ細胞は死滅していて、2~3割は疲れて機能が落ちている状態です。
スーパー糖質制限食を実践すれば膵臓はしっかり休養できるので、疲れて機能が落ちている細胞は回復してきます。そうすると基礎分泌もあるていど回復して、早朝空腹時血糖値も110mg未満の正常に戻ることもあります。
実際、入院してきっちり糖質制限食を実践して、空腹時血糖値180mgとかだった方が108mgとかに改善した例もあります。
一方、β細胞が既に3~4割ダメージを受けて回復不能の場合は、 糖質制限食を実践してもインスリン基礎分泌の改善に限界があり、早朝空腹時血糖値が高値となります。この場合、何とか126mg未満、無理なら140mg未満を目指すこととなります。早朝空腹時血糖値が140mg/dlを超えてくると合併症のリスクが高まります。
β細胞のダメージがある程度あって、基礎分泌のインスリン不足があり、 糖質制限食を実践していても、早朝空腹時血糖値が常に140mg/dl以上がある糖尿人はランタス注オプチクリック300という22時間半持続するインスリン注射を、一日一回だけ打つ選択肢もあります。
この注射は、ジワジワと同じペースで一定量が吸収されるので、血中濃度を一定に保つことができます。即ちピークがないので低血糖も起こしにくいです。
ランタスが基礎分泌のインスリンの役割をしてくれるわけで、一日一回だけうって、既に回復不能の分だけ補充して、 糖質制限食を実践すれば血糖値は正常を保つことが可能になります。
江部康二
***
少し復習です。
インスリンには、24時間ずっとベースに少量分泌されている基礎分泌のインスリンと、食後に血糖値が上昇した時に出る追加分泌のインスリンがあります。追加分泌のインスリンには、即分泌される第1相と少し遅れて出る第2相があります。
布団からなかなか離れがたくて、一定の決意が要りますね。 (*_*)
さて今回は、でぃあべーちゃさんとミントさんからコメント・質問をいただきまして
糖尿人と早朝空腹時血糖値のお話です。
『いつも楽しみにしています。
このたび、相方の早朝空腹時血糖値が大変高くなり、心配です。
12月から糖質制限食を実行し、早朝空腹時血糖値も、180ぐらいから130あたりまで12月24日ぐらいまでは落ちていたのですが、それ以降、連日200前後です。高いときは220とかです。
そんな日でも夕食前は130ぐらいまで 落ちています。
1日の高低差も気になります。もちろん毎日180超えてるので、悪化しているのではないかと日に日にへこみます。
24日ごろから鼻水を多少すすってますが、熱などもなく、ストレスなども 特に思い当たりません。 なにか別の不測の事態でなければいいのですが。
こんなに早朝空腹時血糖ってあがるものなんでしょうか?
【2008/01/07 15:11】 でぃあべーちゃ』
『空腹時血糖値についてはわたしも糖質制限を始めてからの悩みの種でした。
私の場合も長い間医者に行っていなかった(糖尿病宣告を受けずともすでにX-Dayが来ていた)ので、かなり膵臓が参っているようです。
基本的な血糖値が高めなので糖質制限をしていてもよほど気をつけないと200以下を保つことが難しいのです。
(ちなみに、空腹時血糖値と食後血糖値の差は外食などがなければ大体20-50くらいです。)
最近は以前に比べて朝起きたときの血糖値にびっくりするようなことも少なくなりましたがそれでも変わらず高めではあります。
これは糖質制限を続けることで膵臓が多少なりとも休まって少しは改善する可能性はあるのでしょうか?
それともここはもうあきらめて可能な限り食後180-200を超えないようにするしかないのでしょうか。
【2008/01/09 00:38】ミント』
でぃあべーちゃさん、ミントさん。いつもコメント・質問ありがとうございます。でぃあべーちゃさんの相方さんとミントさん、いずれも早朝空腹時血糖値が下がりにくいとのことですね。
早朝空腹時血糖値は夜中の肝の糖新生が一番関係しています。夜間絶食時には、肝臓で乳酸やアミノ酸(アラニンなど)、グリセロール(中性脂肪の分解物)からブドウ糖をつくります(糖新生)。この肝の糖新生を抑制するのが、インスリンの基礎分泌です。
従って、インスリン基礎分泌があるていど減少している糖尿人は、夜間の肝の糖新生が抑制できずに早朝空腹時血糖値が高めになります。
例えば、夜10時の血糖値が110mgで何も食べていないのに、翌朝7時は130mgもあったりすることがあるのはこのためです。
日本人に一番多いのは、食後高血糖があるのを数年間見過ごされたあと、インスリン基礎分泌が徐々に減少し、とうとう早朝空腹時血糖値が上昇してきて糖尿病と診断されるパターンです。かくいう私もその一人です。
従いまして、その時点で膵臓のβ細胞がどの程度生き残っているのかということになります。軽症糖尿病は1~2割のβ細胞は死滅していて、2~3割は疲れて機能が落ちている状態です。
スーパー糖質制限食を実践すれば膵臓はしっかり休養できるので、疲れて機能が落ちている細胞は回復してきます。そうすると基礎分泌もあるていど回復して、早朝空腹時血糖値も110mg未満の正常に戻ることもあります。
実際、入院してきっちり糖質制限食を実践して、空腹時血糖値180mgとかだった方が108mgとかに改善した例もあります。
一方、β細胞が既に3~4割ダメージを受けて回復不能の場合は、 糖質制限食を実践してもインスリン基礎分泌の改善に限界があり、早朝空腹時血糖値が高値となります。この場合、何とか126mg未満、無理なら140mg未満を目指すこととなります。早朝空腹時血糖値が140mg/dlを超えてくると合併症のリスクが高まります。
β細胞のダメージがある程度あって、基礎分泌のインスリン不足があり、 糖質制限食を実践していても、早朝空腹時血糖値が常に140mg/dl以上がある糖尿人はランタス注オプチクリック300という22時間半持続するインスリン注射を、一日一回だけ打つ選択肢もあります。
この注射は、ジワジワと同じペースで一定量が吸収されるので、血中濃度を一定に保つことができます。即ちピークがないので低血糖も起こしにくいです。
ランタスが基礎分泌のインスリンの役割をしてくれるわけで、一日一回だけうって、既に回復不能の分だけ補充して、 糖質制限食を実践すれば血糖値は正常を保つことが可能になります。
江部康二
***
少し復習です。
インスリンには、24時間ずっとベースに少量分泌されている基礎分泌のインスリンと、食後に血糖値が上昇した時に出る追加分泌のインスリンがあります。追加分泌のインスリンには、即分泌される第1相と少し遅れて出る第2相があります。
2007年11月13日 (火)
おはようございます。
昨朝は、京都駅前診療所に向かっているときに愛車パジェロがパンクして立ち往生しました。パンクは10年ぶりぐらいでしょうか。
パジェロ、日頃掃除も何もせず鍛えてあるので、丈夫が取り柄と思っていたのですが…。
いやはや、「災害は忘れた頃にやってくる」ですね(=_=)
おかげで、午前診察開始が30分遅れてしまいました。
まあ、JAFに来てもらっておおいに助かりましたが(^∀^)
さて今日は、ミントさんのコメント・質問にお答え致します。
「江部先生、退院おめでとうございます!
糖尿病だと外科系の手術が大変そうですが糖質制限してればコントロールもよくなって大丈夫ですね。
ところで。。。 今日は空腹時血糖値についてお伺いしてもよろしいですか?
糖質制限をしていると食後血糖値はしていないときより抑えることができます。
しかし、たんぱく質などはゆっくりではありますが半分くらい(間違って記憶してたらすみません)血糖に変わるんですよね?(脂肪については記憶が定かでないのですが。。。)
あと確かダイエットコーラもとりすぎると血糖値に影響するとどこかで読んだような、、、
いくら糖質制限をして、食後の急激な血糖値上昇を抑えていても、結局食べ過ぎていたら空腹時血糖値は下がりにくいということはありますか?
ミント | 2007.11.07(水) 11:01 | URL | 」
ミントさん。お見舞いありがとうございます。
糖質は約15~90分で100%血糖に変わり、タンパク質は約2~数時間で50%が血糖に変わり、脂質は数時間~10数時間かけて10%未満が血糖に変わります。
従って、前の晩の9時以降とかにタンパク質を摂取すると、翌日の早朝空腹時血糖値に若干の影響が出て高めになります。
多く摂るほど当然、翌朝の空腹時血糖値への影響は大きくなります。これは、私も経験があります。
脂質は10%未満ですから、夜遅く食べても翌朝への影響は少ないと思います。
前の晩、午後6時とか7時とかに夕食を摂って、あとは何も食べていないのに翌朝の空腹時血糖値が高値なのは、肝臓が夜中に糖新生しているからです。
糖尿病があるていど進行して、インスリンの基礎分泌が不足してくると、夜中の肝臓の糖新生にフィードバックがかからずに作り過ぎてしまって、早朝空腹時血糖値が高値となります。インスリンの基礎分泌があるていど確保されていれば、糖新生は適宜中止されます。
*早朝空腹時血糖値に関しては、9.5、10.13のブログも参照していただけば幸いです。
なお、ダイエットコーラは、人工甘味料が使用してあり、カロリーゼロで糖質ゼロですので血糖値は上昇しません。人工甘味料の一日摂取量は欧米では決められていますが、大量に飲まなければまず大丈夫です。
欧米では、近年アスパルテーム・アセスルファムカリウム混合甘味料がダイエットコーラの主流となっているようです。2005年には、スクラロースという人工甘味料を使用したダイエットコーラも登場しました。
*人工甘味料に関しては5.30ブログをご参照ください。
江部康二
昨朝は、京都駅前診療所に向かっているときに愛車パジェロがパンクして立ち往生しました。パンクは10年ぶりぐらいでしょうか。
パジェロ、日頃掃除も何もせず鍛えてあるので、丈夫が取り柄と思っていたのですが…。
いやはや、「災害は忘れた頃にやってくる」ですね(=_=)
おかげで、午前診察開始が30分遅れてしまいました。
まあ、JAFに来てもらっておおいに助かりましたが(^∀^)
さて今日は、ミントさんのコメント・質問にお答え致します。
「江部先生、退院おめでとうございます!
糖尿病だと外科系の手術が大変そうですが糖質制限してればコントロールもよくなって大丈夫ですね。
ところで。。。 今日は空腹時血糖値についてお伺いしてもよろしいですか?
糖質制限をしていると食後血糖値はしていないときより抑えることができます。
しかし、たんぱく質などはゆっくりではありますが半分くらい(間違って記憶してたらすみません)血糖に変わるんですよね?(脂肪については記憶が定かでないのですが。。。)
あと確かダイエットコーラもとりすぎると血糖値に影響するとどこかで読んだような、、、
いくら糖質制限をして、食後の急激な血糖値上昇を抑えていても、結局食べ過ぎていたら空腹時血糖値は下がりにくいということはありますか?
ミント | 2007.11.07(水) 11:01 | URL | 」
ミントさん。お見舞いありがとうございます。
糖質は約15~90分で100%血糖に変わり、タンパク質は約2~数時間で50%が血糖に変わり、脂質は数時間~10数時間かけて10%未満が血糖に変わります。
従って、前の晩の9時以降とかにタンパク質を摂取すると、翌日の早朝空腹時血糖値に若干の影響が出て高めになります。
多く摂るほど当然、翌朝の空腹時血糖値への影響は大きくなります。これは、私も経験があります。
脂質は10%未満ですから、夜遅く食べても翌朝への影響は少ないと思います。
前の晩、午後6時とか7時とかに夕食を摂って、あとは何も食べていないのに翌朝の空腹時血糖値が高値なのは、肝臓が夜中に糖新生しているからです。
糖尿病があるていど進行して、インスリンの基礎分泌が不足してくると、夜中の肝臓の糖新生にフィードバックがかからずに作り過ぎてしまって、早朝空腹時血糖値が高値となります。インスリンの基礎分泌があるていど確保されていれば、糖新生は適宜中止されます。
*早朝空腹時血糖値に関しては、9.5、10.13のブログも参照していただけば幸いです。
なお、ダイエットコーラは、人工甘味料が使用してあり、カロリーゼロで糖質ゼロですので血糖値は上昇しません。人工甘味料の一日摂取量は欧米では決められていますが、大量に飲まなければまず大丈夫です。
欧米では、近年アスパルテーム・アセスルファムカリウム混合甘味料がダイエットコーラの主流となっているようです。2005年には、スクラロースという人工甘味料を使用したダイエットコーラも登場しました。
*人工甘味料に関しては5.30ブログをご参照ください。
江部康二