2009年03月23日 (月)
こんばんは。
昨夜は、九州から、はもしゃぶを送って頂いたのを食べました。赤ワインと焼酎もそれなりに飲みました。菓子職人さんのフォンダン・ショコラもいただきました。完全無欠の糖質制限な夕餉とデザートを美味しく楽しく賞味しました。
今朝の血糖値は89mg/dlと好調でした。 (^_^)
14日間の平均早朝空腹時血糖値は107mg/dlでした。
さて今回は、うさぎさんから、糖新生と肝臓についてコメント・質問をいただきました。
【糖新生と肝臓
江部先生はじめまして。
いつも、ブログの更新を楽しみに拝見させていただいております。
昨年の初夏に主人が糖尿病と診断され、従来の治療法に疑問を持っていた中で糖質制限食のことを知りました。
糖質制限食に理解のある主治医の先生に診ていただきながら。糖質制限食と運動を取り入れたことで、主人の検査データは2〜3ヶ月ですっかり良くなりました。薬は一切使用していません。
私も10年で体重が8キロほど増えてしまったので減量のために糖質制限食にして、すっかり昔の体型に戻りました。うれしいことに、金属アレルギーが出なくなり歯周病もよくなってきました。
糖尿病にも減量にも良い結果が出たので、知り合いの医師(外科医ですが)に、糖質制限食のことを話したところ、数週間後に『ハーパーの生化学』を見せながら「確かに、減量効果は大きいと思うけど、そんなことをしていては身体を壊すよ」と言われました。理由は、糖新生のときに、肝臓に負担がかかるからとのことでした。また、脂肪の比率が多くなることもよくないと、否定的な意見でした。
私も主人も、糖質制限食を始めて半年以上になりますが、肝機能はむしろ良くなっています。私は少し肝臓が弱いのですが、まったくの正常値になっています。
「肝臓に負担がかかって、身体を壊す」という感じはまったくしませんし、むしろ疲れにくくなり体調が良くなっているので、これからも糖質制限食を続けていくつもりなのですが、肝臓への負担についてはどのように考えたらよいでしょうか。
うさぎ | 2009.03.22(日)】
うさぎさん。コメントありがとうございます。
「糖質制限食に理解のある主治医の先生に診ていただきながら。糖質制限食と運動を取り入れたことで、主人の検査データは2〜3ヶ月ですっかり良くなりました。薬は一切使用していません。
私も10年で体重が8キロほど増えてしまったので減量のために糖質制限食にして、すっかり昔の体型に戻りました。うれしいことに、金属アレルギーが出なくなり歯周病もよくなってきました。」
糖質制限食に理解のある主治医の先生でよかったですね。ヾ(^▽^)
薬一切使用せずに、血糖コントロール正常化、まあ糖質制限食なら当然と言えば当然なのですが、やっぱり嬉しいですね。うさぎさんも、減量成功、金属アレルギー・歯周病改善、素晴らしいです。(^-^)v(^-^)v
糖質制限食実践により、代謝全てが改善し、毛細血管にいたるまで血液サラサラになりますから、自然治癒力がおおいに高まり、ほとんどの症状が良い方に向かうようです。
「私も主人も、糖質制限食を始めて半年以上になりますが、肝機能はむしろ良くなっています。私は少し肝臓が弱いのですが、まったくの正常値になっています。」
上述の如く自然治癒力は高まるし、脂肪肝も治りますので、肝機能もウィルス性肝炎など以外は良くなることが多いです。
「知り合いの医師(外科医ですが)に、糖質制限食のことを話したところ、数週間後に『ハーパーの生化学』を見せながら『確かに、減量効果は大きいと思うけど、そんなことをしていては身体を壊すよ』と言われました。理由は、糖新生のときに、肝臓に負担がかかるからとのことでした。」
ハーパー生化学は私も参考にしています。英語苦手なので勿論訳本ですよ。(-_-;)
知り合いのドクター、従来の常識からのアドバイスですね。
従来の(誤った)常識はさておいて、歴史的経過と生理学的事実を素直に考えてみましょう。
組織的農耕が始まったのは、約1万年〜1万4千年前ですが、世界的に広がり定着したのは、約4000年前です。人類が、ゴリラやチンパンジーと分かれたのが400〜500万年前です。
その後、3属・17種の人類が栄枯盛衰を繰り返し、結局約20万年前に東アフリカで誕生したホモ・サピエンス(現世人類)だけが現存しているわけです。
ここで大切なこと、そして本質的なことは、3属・17種の人類は、全て狩猟・採集が生業だったということです。つまり、農耕が始まるまでの399万年間は、人類皆糖質制限食であり、ヒトは進化に要した時間の大部分で、狩猟・採集生活をしていたということです。
従って、現世人類の行動や生理・代謝を決める遺伝子セットは、狩猟・採集の生活条件に適応するようにプログラムされていると考えるのが自然です。
400万年の人類の進化の過程で、
<狩猟・採集期間>:<農耕期間>=1000対1で、
圧倒的に狩猟・採集期間のほうが長いのです。
即ち、人類は、本来穀物に依存して生きるような遺伝的システムは持っていなかったのに、人口増加を支えるため、やむを得ず穀物摂取が主食となっていったものと考えられます。まるで原罪を背負ったようなものですね。 (*_*)
食生活ならば、糖質制限食の方が人体の生理・代謝に適合するのは、進化の歴史からみて当然の結果なのです。 (^_^)
ご質問の件ですが、糖質を摂取したときは、血糖値が上昇し追加分泌のインスリンが出て、筋肉でブドウ糖を利用させます。食物吸収が終了した直後には、肝臓のグリコーゲン分解が、循環血液中に入るブドウ糖の主要な供給源です。
食後数時間が経過し、絶食状態が持続すると、ブドウ糖の供給源は、肝のグリコーゲン分解から糖新生に切り替わります。
糖質制限食の場合は、食事中でもある程度、肝臓の糖新生は行われています。
上述の歴史で考えると、399万年間全ての人類において肝臓の糖新生は毎日、日常的に行われていたことがわかります。
399万年間の人類の歴史では糖質制限食を摂取しているか、空腹や絶食や飢餓が日常的でしたので、肝臓は毎日糖新生を行い、よく働いてきたしそれだけのキャパシティーを持っているということです。
一方、膵臓のβ細胞は、399万年間、基礎分泌のインスリンは作ってましたが、追加分泌のインスリンが必要となることはまれでした。
実りの秋に、果物や栗など、比較的糖質含有量が多い食物を得たときだけ血糖値が上昇して、追加分泌のインスリンがでて、ブドウ糖を中性脂肪に変えて、来るべき冬に備えていたのです。
追加分泌が必要なことはまれでしたから、β細胞のインスリン分泌能力は、それなりにしかありません。従って、農耕開始後、特に精製炭水化物以後は、毎日大量のインスリンを頻回に分泌し続けることとなり、おおいに負担となりました。
過剰のインスリンを分泌し続けたら、メタボリックシンドロームや肥満になります。β細胞が疲れ果ててインスリン分泌不足になれば、糖尿病を発症します。
結論です。
肝臓は、もともと能力がたっぷりあるし、399万年間適応してきたわけですが、膵臓のβ細胞は、農耕後4000年、特に精製炭水化物後の200年、能力をはるかに超える重労働を強いられてきたわけです。
肝臓と膵臓どちらも大切ですが、現在可哀想なのは、膵臓のβ細胞なのです。
「また、脂肪の比率が多くなることもよくないと、否定的な意見でした。」
米国の大規模介入試験の結果がアメリカ医学会雑誌2006年2月8日号で報告されました。
(JAMA. 2006;295:629-642. 643-654. 655-666.)
5万人弱の閉経女性を対象に、対照群を置き、平均8年間にわたって追跡した極めて信頼度の高い研究において、「脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げない」ことが明らかとなりました。
つまり、従来の「脂質を制限するとヘルシーという常識」が、根底から覆ったのです。
また、「米国の女性看護師82,802人を20年間追跡したところ、炭水化物が少なく脂肪とたんぱく質が多い食事でも、冠動脈疾患のリスクは上昇しなかった。」
このような内容の研究が、New England Journal of Medicine、2006年11月9日号にハーバード大学のグループにより報告されました。
(Halton TL, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women. New England Journal of Medicine 2006;355:1991-2002. )
即ち、20年間の研究で高脂質食でも心筋梗塞のリスクは上昇しないことが明らかとなりました。
まあ生魚・生肉(高脂質・高蛋白食)が主食だったころのイヌイットに心筋梗塞や糖尿病や癌がほとんど無かったのは有名な歴史的事実ですよね。
ということで、糖質制限食は相対的に高脂質・高蛋白食となりますが、米国の大規模な疫学的研究によれば、リスクはないということになりますね。
江部康二
昨夜は、九州から、はもしゃぶを送って頂いたのを食べました。赤ワインと焼酎もそれなりに飲みました。菓子職人さんのフォンダン・ショコラもいただきました。完全無欠の糖質制限な夕餉とデザートを美味しく楽しく賞味しました。
今朝の血糖値は89mg/dlと好調でした。 (^_^)
14日間の平均早朝空腹時血糖値は107mg/dlでした。
さて今回は、うさぎさんから、糖新生と肝臓についてコメント・質問をいただきました。
【糖新生と肝臓
江部先生はじめまして。
いつも、ブログの更新を楽しみに拝見させていただいております。
昨年の初夏に主人が糖尿病と診断され、従来の治療法に疑問を持っていた中で糖質制限食のことを知りました。
糖質制限食に理解のある主治医の先生に診ていただきながら。糖質制限食と運動を取り入れたことで、主人の検査データは2〜3ヶ月ですっかり良くなりました。薬は一切使用していません。
私も10年で体重が8キロほど増えてしまったので減量のために糖質制限食にして、すっかり昔の体型に戻りました。うれしいことに、金属アレルギーが出なくなり歯周病もよくなってきました。
糖尿病にも減量にも良い結果が出たので、知り合いの医師(外科医ですが)に、糖質制限食のことを話したところ、数週間後に『ハーパーの生化学』を見せながら「確かに、減量効果は大きいと思うけど、そんなことをしていては身体を壊すよ」と言われました。理由は、糖新生のときに、肝臓に負担がかかるからとのことでした。また、脂肪の比率が多くなることもよくないと、否定的な意見でした。
私も主人も、糖質制限食を始めて半年以上になりますが、肝機能はむしろ良くなっています。私は少し肝臓が弱いのですが、まったくの正常値になっています。
「肝臓に負担がかかって、身体を壊す」という感じはまったくしませんし、むしろ疲れにくくなり体調が良くなっているので、これからも糖質制限食を続けていくつもりなのですが、肝臓への負担についてはどのように考えたらよいでしょうか。
うさぎ | 2009.03.22(日)】
うさぎさん。コメントありがとうございます。
「糖質制限食に理解のある主治医の先生に診ていただきながら。糖質制限食と運動を取り入れたことで、主人の検査データは2〜3ヶ月ですっかり良くなりました。薬は一切使用していません。
私も10年で体重が8キロほど増えてしまったので減量のために糖質制限食にして、すっかり昔の体型に戻りました。うれしいことに、金属アレルギーが出なくなり歯周病もよくなってきました。」
糖質制限食に理解のある主治医の先生でよかったですね。ヾ(^▽^)
薬一切使用せずに、血糖コントロール正常化、まあ糖質制限食なら当然と言えば当然なのですが、やっぱり嬉しいですね。うさぎさんも、減量成功、金属アレルギー・歯周病改善、素晴らしいです。(^-^)v(^-^)v
糖質制限食実践により、代謝全てが改善し、毛細血管にいたるまで血液サラサラになりますから、自然治癒力がおおいに高まり、ほとんどの症状が良い方に向かうようです。
「私も主人も、糖質制限食を始めて半年以上になりますが、肝機能はむしろ良くなっています。私は少し肝臓が弱いのですが、まったくの正常値になっています。」
上述の如く自然治癒力は高まるし、脂肪肝も治りますので、肝機能もウィルス性肝炎など以外は良くなることが多いです。
「知り合いの医師(外科医ですが)に、糖質制限食のことを話したところ、数週間後に『ハーパーの生化学』を見せながら『確かに、減量効果は大きいと思うけど、そんなことをしていては身体を壊すよ』と言われました。理由は、糖新生のときに、肝臓に負担がかかるからとのことでした。」
ハーパー生化学は私も参考にしています。英語苦手なので勿論訳本ですよ。(-_-;)
知り合いのドクター、従来の常識からのアドバイスですね。
従来の(誤った)常識はさておいて、歴史的経過と生理学的事実を素直に考えてみましょう。
組織的農耕が始まったのは、約1万年〜1万4千年前ですが、世界的に広がり定着したのは、約4000年前です。人類が、ゴリラやチンパンジーと分かれたのが400〜500万年前です。
その後、3属・17種の人類が栄枯盛衰を繰り返し、結局約20万年前に東アフリカで誕生したホモ・サピエンス(現世人類)だけが現存しているわけです。
ここで大切なこと、そして本質的なことは、3属・17種の人類は、全て狩猟・採集が生業だったということです。つまり、農耕が始まるまでの399万年間は、人類皆糖質制限食であり、ヒトは進化に要した時間の大部分で、狩猟・採集生活をしていたということです。
従って、現世人類の行動や生理・代謝を決める遺伝子セットは、狩猟・採集の生活条件に適応するようにプログラムされていると考えるのが自然です。
400万年の人類の進化の過程で、
<狩猟・採集期間>:<農耕期間>=1000対1で、
圧倒的に狩猟・採集期間のほうが長いのです。
即ち、人類は、本来穀物に依存して生きるような遺伝的システムは持っていなかったのに、人口増加を支えるため、やむを得ず穀物摂取が主食となっていったものと考えられます。まるで原罪を背負ったようなものですね。 (*_*)
食生活ならば、糖質制限食の方が人体の生理・代謝に適合するのは、進化の歴史からみて当然の結果なのです。 (^_^)
ご質問の件ですが、糖質を摂取したときは、血糖値が上昇し追加分泌のインスリンが出て、筋肉でブドウ糖を利用させます。食物吸収が終了した直後には、肝臓のグリコーゲン分解が、循環血液中に入るブドウ糖の主要な供給源です。
食後数時間が経過し、絶食状態が持続すると、ブドウ糖の供給源は、肝のグリコーゲン分解から糖新生に切り替わります。
糖質制限食の場合は、食事中でもある程度、肝臓の糖新生は行われています。
上述の歴史で考えると、399万年間全ての人類において肝臓の糖新生は毎日、日常的に行われていたことがわかります。
399万年間の人類の歴史では糖質制限食を摂取しているか、空腹や絶食や飢餓が日常的でしたので、肝臓は毎日糖新生を行い、よく働いてきたしそれだけのキャパシティーを持っているということです。
一方、膵臓のβ細胞は、399万年間、基礎分泌のインスリンは作ってましたが、追加分泌のインスリンが必要となることはまれでした。
実りの秋に、果物や栗など、比較的糖質含有量が多い食物を得たときだけ血糖値が上昇して、追加分泌のインスリンがでて、ブドウ糖を中性脂肪に変えて、来るべき冬に備えていたのです。
追加分泌が必要なことはまれでしたから、β細胞のインスリン分泌能力は、それなりにしかありません。従って、農耕開始後、特に精製炭水化物以後は、毎日大量のインスリンを頻回に分泌し続けることとなり、おおいに負担となりました。
過剰のインスリンを分泌し続けたら、メタボリックシンドロームや肥満になります。β細胞が疲れ果ててインスリン分泌不足になれば、糖尿病を発症します。
結論です。
肝臓は、もともと能力がたっぷりあるし、399万年間適応してきたわけですが、膵臓のβ細胞は、農耕後4000年、特に精製炭水化物後の200年、能力をはるかに超える重労働を強いられてきたわけです。
肝臓と膵臓どちらも大切ですが、現在可哀想なのは、膵臓のβ細胞なのです。
「また、脂肪の比率が多くなることもよくないと、否定的な意見でした。」
米国の大規模介入試験の結果がアメリカ医学会雑誌2006年2月8日号で報告されました。
(JAMA. 2006;295:629-642. 643-654. 655-666.)
5万人弱の閉経女性を対象に、対照群を置き、平均8年間にわたって追跡した極めて信頼度の高い研究において、「脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げない」ことが明らかとなりました。
つまり、従来の「脂質を制限するとヘルシーという常識」が、根底から覆ったのです。
また、「米国の女性看護師82,802人を20年間追跡したところ、炭水化物が少なく脂肪とたんぱく質が多い食事でも、冠動脈疾患のリスクは上昇しなかった。」
このような内容の研究が、New England Journal of Medicine、2006年11月9日号にハーバード大学のグループにより報告されました。
(Halton TL, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women. New England Journal of Medicine 2006;355:1991-2002. )
即ち、20年間の研究で高脂質食でも心筋梗塞のリスクは上昇しないことが明らかとなりました。
まあ生魚・生肉(高脂質・高蛋白食)が主食だったころのイヌイットに心筋梗塞や糖尿病や癌がほとんど無かったのは有名な歴史的事実ですよね。
ということで、糖質制限食は相対的に高脂質・高蛋白食となりますが、米国の大規模な疫学的研究によれば、リスクはないということになりますね。
江部康二
2009年01月13日 (火)
こんにちは。
今日も、つい先ほどまで雪がちらついて寒い京都です。
今回は、旭川のたっちゃんから、糖新生と肝臓に関するコメント・質問をいただきました。
『たっちゃん
「糖新生と肝疲労。。。」
以前、コメントして頂いた、旭川のたっちゃんと申します。その節はありがとうございました。以前から気になっていたことを質問させていただきす。それはアンチ糖質制限食理論と申しますか、糖新生は肝臓にとても負担がかかり疲弊させると言う考えです。インスリンを出す膵臓の疲弊は糖尿には恐ろしいですが、肝臓も疲弊すると聞かされると、多少びびります。と申しますか多少肝機能が劣る人には適さないのか、それとも。。。。。私は糖尿の数値も落ち着き、体重も希望枠内に突入し、肝機能も問題はありませんが。一般論としてやはり食事のバランス、糖質60%、脂質、蛋白質20%づつ、これが体にはベストなのだと、いろいろなところで言われると、いや違う糖質制限のほうが絶対いいのだと私の知識、能力では論破できないので、そこら辺のところ先生のお考えをお聞かせください。先生のブログは毎日のように拝読していますし、本も読ませて頂いていますし、私の体調も問題は有りませんが、なにぶん文章に自信が無いので私の真意が伝わるかは不安ですが、先生宜しくお願い申し上げます。
2009/01/11(日) 12:50:42』
旭川のたっちゃん、コメントありがとうございます。
仰る通り、巷では、お医者さん、栄養師さん、看護師さん・・・(不)親切な友人・・・などなど、皆、声をそろえて、
「日本人の主食は穀物です。糖質をしっかり摂ってバランスのいい食生活を目指しましょう。」
なんて合唱ですから、正直なところ誰でもびびりますよね。(;_;)
しかし、ちょっと待ってください。糖質60%がバランスがいいなんて、いったい誰が何を根拠に言い始めたのでしょう?
「糖質60%、脂質20%がヘルシー食で健康に良い」という常識は、近年の米国の大規模な疫学的研究で、既に否定されつつあります。
さて、
組織的農耕が始まったのは、約1万年〜1万4千年前ですが、世界的に広がり定着したのは、約4000年前です。
人類が、ゴリラやチンパンジーと分かれたのが400〜500万年前です。その後、3属・17種の人類が栄枯盛衰を繰り返し、結局約20万年前に東アフリカで誕生したホモ・サピエンス(現世人類)だけが現存しているわけです。
ここで大切なこと、そして本質的なことは、3属・17種の人類は、全て狩猟・採集が生業だったということです。つまり、農耕が始まるまでの399万年間は、人類皆糖質制限食であり、ヒトは進化に要した時間の大部分で、狩猟・採集生活をしていたということです。
従って、現世人類の行動や生理・代謝を決める遺伝子セットは、狩猟・採集の生活条件に適応するようにプログラムされていると考えるのが自然です。
400万年の人類の進化の過程で、<狩猟・採集期間>:<農耕期間>=1000対1で、圧倒的に狩猟・採集期間のほうが長いのです。
即ち、人類は、本来穀物に依存して生きるような遺伝的システムは持っていなかったのに、人口増加を支えるため、やむを得ず穀物摂取が主食となっていったものと考えられます。まるで原罪を背負ったようなものですね。 (*_*)
食生活ならば、糖質制限食の方が人体の生理・代謝に適合するのは、進化の歴史からみて当然の結果なのです。 (^_^)
ご質問の件ですが、食物吸収が終了した直後には、肝臓のグリコーゲン分解が、循環血液中に入るブドウ糖の主要な供給源です。食後数時間が経過し、絶食状態が持続すると、ブドウ糖の供給源は、肝のグリコーゲン分解から糖新生に切り替わります。
上述の歴史で考えると、399万年間全ての人類において肝臓の糖新生は毎日、日常的に行われていたことがわかります。399万年間の人類の歴史では空腹や絶食や飢餓が日常的でしたので、肝臓は毎日よく働いてきたしそれだけのキャパシティーを持っているということです。
一方、膵臓のβ細胞は、399万年間、基礎分泌のインスリンは作ってましたが追加分泌のインスリンが必要となることはまれでした。
実りの秋に、果物や栗など、比較的糖質含有量が多い食物を得たときだけ血糖値が上昇して、追加分泌のインスリンがでて、ブドウ糖を中性脂肪に変えて、来るべき冬に備えていたのです。
追加分泌が必要なことはまれでしたから、β細胞のインスリン分泌能力は、それなりにしかありません。従って、農耕開始後、特に精製炭水化物以後は、毎日大量のインスリンを頻回に分泌し続けることとなり、おおいに負担となりました。
過剰のインスリンを分泌し続けたら、メタボリックシンドロームや肥満になります。β細胞が疲れ果ててインスリン分泌不足になれば、糖尿病を発症します。
結論です。
肝臓は、もともと能力がたっぷりあるし、399万年間適応してきたわけですが、膵臓のβ細胞は、農耕後4000年、特に精製炭水化物後の200年、能力をはるかに超える重労働を強いられてきたわけです。
肝臓と膵臓どちらも大切ですが、現在可哀想なのは、膵臓のβ細胞なのです。
江部康二
今日も、つい先ほどまで雪がちらついて寒い京都です。
今回は、旭川のたっちゃんから、糖新生と肝臓に関するコメント・質問をいただきました。
『たっちゃん
「糖新生と肝疲労。。。」
以前、コメントして頂いた、旭川のたっちゃんと申します。その節はありがとうございました。以前から気になっていたことを質問させていただきす。それはアンチ糖質制限食理論と申しますか、糖新生は肝臓にとても負担がかかり疲弊させると言う考えです。インスリンを出す膵臓の疲弊は糖尿には恐ろしいですが、肝臓も疲弊すると聞かされると、多少びびります。と申しますか多少肝機能が劣る人には適さないのか、それとも。。。。。私は糖尿の数値も落ち着き、体重も希望枠内に突入し、肝機能も問題はありませんが。一般論としてやはり食事のバランス、糖質60%、脂質、蛋白質20%づつ、これが体にはベストなのだと、いろいろなところで言われると、いや違う糖質制限のほうが絶対いいのだと私の知識、能力では論破できないので、そこら辺のところ先生のお考えをお聞かせください。先生のブログは毎日のように拝読していますし、本も読ませて頂いていますし、私の体調も問題は有りませんが、なにぶん文章に自信が無いので私の真意が伝わるかは不安ですが、先生宜しくお願い申し上げます。
2009/01/11(日) 12:50:42』
旭川のたっちゃん、コメントありがとうございます。
仰る通り、巷では、お医者さん、栄養師さん、看護師さん・・・(不)親切な友人・・・などなど、皆、声をそろえて、
「日本人の主食は穀物です。糖質をしっかり摂ってバランスのいい食生活を目指しましょう。」
なんて合唱ですから、正直なところ誰でもびびりますよね。(;_;)
しかし、ちょっと待ってください。糖質60%がバランスがいいなんて、いったい誰が何を根拠に言い始めたのでしょう?
「糖質60%、脂質20%がヘルシー食で健康に良い」という常識は、近年の米国の大規模な疫学的研究で、既に否定されつつあります。
さて、
組織的農耕が始まったのは、約1万年〜1万4千年前ですが、世界的に広がり定着したのは、約4000年前です。
人類が、ゴリラやチンパンジーと分かれたのが400〜500万年前です。その後、3属・17種の人類が栄枯盛衰を繰り返し、結局約20万年前に東アフリカで誕生したホモ・サピエンス(現世人類)だけが現存しているわけです。
ここで大切なこと、そして本質的なことは、3属・17種の人類は、全て狩猟・採集が生業だったということです。つまり、農耕が始まるまでの399万年間は、人類皆糖質制限食であり、ヒトは進化に要した時間の大部分で、狩猟・採集生活をしていたということです。
従って、現世人類の行動や生理・代謝を決める遺伝子セットは、狩猟・採集の生活条件に適応するようにプログラムされていると考えるのが自然です。
400万年の人類の進化の過程で、<狩猟・採集期間>:<農耕期間>=1000対1で、圧倒的に狩猟・採集期間のほうが長いのです。
即ち、人類は、本来穀物に依存して生きるような遺伝的システムは持っていなかったのに、人口増加を支えるため、やむを得ず穀物摂取が主食となっていったものと考えられます。まるで原罪を背負ったようなものですね。 (*_*)
食生活ならば、糖質制限食の方が人体の生理・代謝に適合するのは、進化の歴史からみて当然の結果なのです。 (^_^)
ご質問の件ですが、食物吸収が終了した直後には、肝臓のグリコーゲン分解が、循環血液中に入るブドウ糖の主要な供給源です。食後数時間が経過し、絶食状態が持続すると、ブドウ糖の供給源は、肝のグリコーゲン分解から糖新生に切り替わります。
上述の歴史で考えると、399万年間全ての人類において肝臓の糖新生は毎日、日常的に行われていたことがわかります。399万年間の人類の歴史では空腹や絶食や飢餓が日常的でしたので、肝臓は毎日よく働いてきたしそれだけのキャパシティーを持っているということです。
一方、膵臓のβ細胞は、399万年間、基礎分泌のインスリンは作ってましたが追加分泌のインスリンが必要となることはまれでした。
実りの秋に、果物や栗など、比較的糖質含有量が多い食物を得たときだけ血糖値が上昇して、追加分泌のインスリンがでて、ブドウ糖を中性脂肪に変えて、来るべき冬に備えていたのです。
追加分泌が必要なことはまれでしたから、β細胞のインスリン分泌能力は、それなりにしかありません。従って、農耕開始後、特に精製炭水化物以後は、毎日大量のインスリンを頻回に分泌し続けることとなり、おおいに負担となりました。
過剰のインスリンを分泌し続けたら、メタボリックシンドロームや肥満になります。β細胞が疲れ果ててインスリン分泌不足になれば、糖尿病を発症します。
結論です。
肝臓は、もともと能力がたっぷりあるし、399万年間適応してきたわけですが、膵臓のβ細胞は、農耕後4000年、特に精製炭水化物後の200年、能力をはるかに超える重労働を強いられてきたわけです。
肝臓と膵臓どちらも大切ですが、現在可哀想なのは、膵臓のβ細胞なのです。
江部康二
2008年03月19日 (水)
おはようございます。だいぶ春らしい暖かさとなってきました。
今朝は曇り空だったので、窓の光が足りず、少し寝過ごしてしまいました。
「春眠暁を覚えず」孟浩然「春暁」・・・ですかね。
さて、私が寝ている間も、肝臓はしっかり活動していて、五臓六腑のなかでも特に働き者の一つなのです。今回はcocoさんから、肝臓と糖新生について、コメント・質問をいただきました。
『いつも楽しみにしております。何回も更新されていないかぁ〜と 覗いてしまいます!
わからない事があります。 糖新生とは肝臓にキープされているグリコーゲンを血中に放出する事ではなくて、脂肪や筋肉からケトンを作り出す事を言うのでしょうか? (どこかのサイトを覗いた時に、そのように書かれていました。)
その場合、肝臓もそのケトンをエネルギーとして使えるのでしょうか? (そのサイトには、作り出している肝臓自身は使えないと・・・ そうしたら肝臓はとっくに死んでしまうと思うんですが・・・)
糖が足らなくて作り続けていて、肝臓は疲れないのですか? (脂肪肝が解消する時には良いと思うのですが)
すごく無知な質問で恥ずかしいのですが、今一、頭の中で整理が付かなくて・・・。
近頃、起床時の血糖値が105と、だんだん糖代謝が悪くなってきているので、早めに対処したいと考えています。 やはり、糖の代謝が弱っているところに、ムチうって糖質を摂る事は好ましくないと思います。 よろしくお願いいたします。
早速、先生の本、注文しました。拝見するのが楽しみです。』
2008/03/14(金) 19:07:13 | URL | coco』
cocoさん。本の注文、そしてブログ覗いていただき、ありがとうございます。
肝臓における<糖新生>と<グリコーゲン分解>はご指摘の通り別の概念です。
摂食時には、消化管から吸収されたブドウ糖は、まず肝臓に約50%取り込まれて、それ以外が血液の大循環に回ります。
食物吸収が終わった直後は、血糖値を維持するために、肝臓のグリコーゲンが分解されてブドウ糖になり循環血液中に入ります。
一方、空腹時や絶食時など、数時間以上食事からのブドウ糖供給がない場合に、肝臓で乳酸やアミノ酸(タンパク質の分解物)やグリセロール(中性脂肪の分解産物)からブドウ糖が合成されますが、このことを糖新生と呼んでいます。
即ち、絶食時間が数時間以上になってくると、血糖値維持システムは、グリコーゲン分解から糖新生に置き換わるわけです。
糖新生とはブドウ糖を新しく作ることを指していますので、<脂肪酸−ケトン体>のエネルギーシステムとは違います。
このように肝臓はブドウ糖を取り込んだり、必要に応じてグリコーゲンを分解したり、ブドウ糖を新しく作ったり、放出したりと血糖調節システムにおいて、 大変重要な働きをしています。
それから、空腹時や安静時には骨格筋や心筋など多くの体細胞のエネルギー源は、血糖値維持のため、脂肪酸−ケトン体のエネルギーシステムが主となり、ブドウ糖はあまり使いません。
空腹時・安静時にもブドウ糖をエネルギー源として利用しているのは、脳や赤血球などです。赤血球はブドウ糖しか使えませんが、脳は脂肪酸の分解産物のケトン体をエネルギー源として使います。
空腹時・安静時は肝臓で中性脂肪を脂肪酸に分解しさらにケトン体に分解します。肝臓では一部脂肪酸を自分で利用しますがケトン体は利用せず他の組織のエネルギー源として供給します。
肝細胞はケトン体は利用しませんが、ブドウ糖も利用しますので、エネルギー源は確保しています。肝細胞はミトコンドリア(エネルギー生産工場)を豊富にもっていて、大変働き者の臓器ですがエネルギー生産能力も高いのです。
なお、人体のエネルギー源に関しては、本ブログのカテゴリー、「人体のエネルギーシステム」の5つのブログをご参照ください。
最後になりましたがcocoさん、起床時の血糖値が105mg/dlで正常範囲ですが、少し上昇傾向にあるのですね。仰有るとおり今の段階で糖質制限食的な食生活を心掛けておかれたら、将来の糖尿病発症が予防できると思いますよ。
江部康二
今朝は曇り空だったので、窓の光が足りず、少し寝過ごしてしまいました。
「春眠暁を覚えず」孟浩然「春暁」・・・ですかね。
さて、私が寝ている間も、肝臓はしっかり活動していて、五臓六腑のなかでも特に働き者の一つなのです。今回はcocoさんから、肝臓と糖新生について、コメント・質問をいただきました。
『いつも楽しみにしております。何回も更新されていないかぁ〜と 覗いてしまいます!
わからない事があります。 糖新生とは肝臓にキープされているグリコーゲンを血中に放出する事ではなくて、脂肪や筋肉からケトンを作り出す事を言うのでしょうか? (どこかのサイトを覗いた時に、そのように書かれていました。)
その場合、肝臓もそのケトンをエネルギーとして使えるのでしょうか? (そのサイトには、作り出している肝臓自身は使えないと・・・ そうしたら肝臓はとっくに死んでしまうと思うんですが・・・)
糖が足らなくて作り続けていて、肝臓は疲れないのですか? (脂肪肝が解消する時には良いと思うのですが)
すごく無知な質問で恥ずかしいのですが、今一、頭の中で整理が付かなくて・・・。
近頃、起床時の血糖値が105と、だんだん糖代謝が悪くなってきているので、早めに対処したいと考えています。 やはり、糖の代謝が弱っているところに、ムチうって糖質を摂る事は好ましくないと思います。 よろしくお願いいたします。
早速、先生の本、注文しました。拝見するのが楽しみです。』
2008/03/14(金) 19:07:13 | URL | coco』
cocoさん。本の注文、そしてブログ覗いていただき、ありがとうございます。
肝臓における<糖新生>と<グリコーゲン分解>はご指摘の通り別の概念です。
摂食時には、消化管から吸収されたブドウ糖は、まず肝臓に約50%取り込まれて、それ以外が血液の大循環に回ります。
食物吸収が終わった直後は、血糖値を維持するために、肝臓のグリコーゲンが分解されてブドウ糖になり循環血液中に入ります。
一方、空腹時や絶食時など、数時間以上食事からのブドウ糖供給がない場合に、肝臓で乳酸やアミノ酸(タンパク質の分解物)やグリセロール(中性脂肪の分解産物)からブドウ糖が合成されますが、このことを糖新生と呼んでいます。
即ち、絶食時間が数時間以上になってくると、血糖値維持システムは、グリコーゲン分解から糖新生に置き換わるわけです。
糖新生とはブドウ糖を新しく作ることを指していますので、<脂肪酸−ケトン体>のエネルギーシステムとは違います。
このように肝臓はブドウ糖を取り込んだり、必要に応じてグリコーゲンを分解したり、ブドウ糖を新しく作ったり、放出したりと血糖調節システムにおいて、 大変重要な働きをしています。
それから、空腹時や安静時には骨格筋や心筋など多くの体細胞のエネルギー源は、血糖値維持のため、脂肪酸−ケトン体のエネルギーシステムが主となり、ブドウ糖はあまり使いません。
空腹時・安静時にもブドウ糖をエネルギー源として利用しているのは、脳や赤血球などです。赤血球はブドウ糖しか使えませんが、脳は脂肪酸の分解産物のケトン体をエネルギー源として使います。
空腹時・安静時は肝臓で中性脂肪を脂肪酸に分解しさらにケトン体に分解します。肝臓では一部脂肪酸を自分で利用しますがケトン体は利用せず他の組織のエネルギー源として供給します。
肝細胞はケトン体は利用しませんが、ブドウ糖も利用しますので、エネルギー源は確保しています。肝細胞はミトコンドリア(エネルギー生産工場)を豊富にもっていて、大変働き者の臓器ですがエネルギー生産能力も高いのです。
なお、人体のエネルギー源に関しては、本ブログのカテゴリー、「人体のエネルギーシステム」の5つのブログをご参照ください。
最後になりましたがcocoさん、起床時の血糖値が105mg/dlで正常範囲ですが、少し上昇傾向にあるのですね。仰有るとおり今の段階で糖質制限食的な食生活を心掛けておかれたら、将来の糖尿病発症が予防できると思いますよ。
江部康二
2007年09月05日 (水)
おはようございます。
昨夜から今朝は久しぶりに暑くって、午前2時に目が覚めてクーラーをつけて寝直しました。
さて、ミントさんから糖新生について質問がありました。
「ミント 2007/09/02(日) 00:23
本文
こんばんは、明日は中野での講演会ですね。
先日もお話しましたが、とても楽しみにしております。
最近はスーパー糖質制限のおかげで血糖値が少しずつですが下がりつつあります。
おかげさまで次の検査がとても楽しみです。ありがとうございます。
さて、江部先生の書かれた本を読ませて頂いたところ、糖質制限を実施すると人の体は糖質ではなく脂質を消費するようなメカニズムに切り替わる、とのことですがひとつ心配なことがあります。
糖質制限のことをいろいろ調べているうちに、『糖新生』という言葉を知りました。
糖新生が発生すると、脂肪の分解だけでなく筋肉の分解もエネルギー源とし、かつ通常の場合、筋肉の分解のほうが脂肪の分解より簡単なのでこちらのほうが起こりやすい、ととあるサイトに書かれていました。糖質制限食ではこの心配は無用でしょうか? 」
ミントさん、9.2(日) 糖質制限食講演会参加、ありがとうございました。
次回は是非、「こんにちは」したいですね。ブログのハンドルネームと実物・・・ウーム、ご対面、楽しみです。
さて糖新生ですが、正常人でも日常的に毎日肝臓で糖新生してます。中性脂肪の分解産物グリセロールからの糖新生、筋肉のタンパク質分解によるアミノ酸からの糖新生などがあります。
従いまして、筋肉の分解というとなにやら怖そうなお話ですが、私達の身体の営みにおいて少量の筋肉の分解・再生は毎日、正常人でも生理的に行われているのですね。
2型糖尿病で、寝る前の血糖値より早朝空腹時血糖値のほうが高値だったりするのも、夜中の睡眠時に肝臓が糖新生しているからです。
インスリンの基礎分泌が、あるていど低下してしまった2型糖尿病だと、インスリンの血中濃度が不足するため肝臓の糖新生にフィードバックがかからず、夜中にブドウ糖を作りすぎてしまうのです。そのため、早朝空腹時血糖値は高くなります。
さて、人体のエネルギー源の流れとしては、アルコール→ブドウ糖→脂質→タンパク質の順番で利用されます。ですから、エネルギー源として筋肉(タンパク質)の分解の方が、脂肪の分解より簡単というようなことはありません。
また、糖質制限食をしていない普通の食事の人でも、安静時や事務仕事の時の心筋や骨格筋の主エネルギー源は、脂肪酸ーケトン体で、ブドウ糖はわずかです。
いつも言っていますように、脂肪酸−ケトン体エネルギーシステムは、人体を自動車に例えるならば、ガソリンの代わりになるもので日常的なエネルギー源なのです。
(4.23、24、25、26のブログ参照していただけば幸いです)
極端な飢餓だと、<アルコール→ブドウ糖→脂質→タンパク質>と人体は順番にエネルギー源として利用していきますが、最終的に筋肉(タンパク質)が分解されて心筋にも及べば、死亡してしまいます。
江部康二
昨夜から今朝は久しぶりに暑くって、午前2時に目が覚めてクーラーをつけて寝直しました。
さて、ミントさんから糖新生について質問がありました。
「ミント 2007/09/02(日) 00:23
本文
こんばんは、明日は中野での講演会ですね。
先日もお話しましたが、とても楽しみにしております。
最近はスーパー糖質制限のおかげで血糖値が少しずつですが下がりつつあります。
おかげさまで次の検査がとても楽しみです。ありがとうございます。
さて、江部先生の書かれた本を読ませて頂いたところ、糖質制限を実施すると人の体は糖質ではなく脂質を消費するようなメカニズムに切り替わる、とのことですがひとつ心配なことがあります。
糖質制限のことをいろいろ調べているうちに、『糖新生』という言葉を知りました。
糖新生が発生すると、脂肪の分解だけでなく筋肉の分解もエネルギー源とし、かつ通常の場合、筋肉の分解のほうが脂肪の分解より簡単なのでこちらのほうが起こりやすい、ととあるサイトに書かれていました。糖質制限食ではこの心配は無用でしょうか? 」
ミントさん、9.2(日) 糖質制限食講演会参加、ありがとうございました。
次回は是非、「こんにちは」したいですね。ブログのハンドルネームと実物・・・ウーム、ご対面、楽しみです。
さて糖新生ですが、正常人でも日常的に毎日肝臓で糖新生してます。中性脂肪の分解産物グリセロールからの糖新生、筋肉のタンパク質分解によるアミノ酸からの糖新生などがあります。
従いまして、筋肉の分解というとなにやら怖そうなお話ですが、私達の身体の営みにおいて少量の筋肉の分解・再生は毎日、正常人でも生理的に行われているのですね。
2型糖尿病で、寝る前の血糖値より早朝空腹時血糖値のほうが高値だったりするのも、夜中の睡眠時に肝臓が糖新生しているからです。
インスリンの基礎分泌が、あるていど低下してしまった2型糖尿病だと、インスリンの血中濃度が不足するため肝臓の糖新生にフィードバックがかからず、夜中にブドウ糖を作りすぎてしまうのです。そのため、早朝空腹時血糖値は高くなります。
さて、人体のエネルギー源の流れとしては、アルコール→ブドウ糖→脂質→タンパク質の順番で利用されます。ですから、エネルギー源として筋肉(タンパク質)の分解の方が、脂肪の分解より簡単というようなことはありません。
また、糖質制限食をしていない普通の食事の人でも、安静時や事務仕事の時の心筋や骨格筋の主エネルギー源は、脂肪酸ーケトン体で、ブドウ糖はわずかです。
いつも言っていますように、脂肪酸−ケトン体エネルギーシステムは、人体を自動車に例えるならば、ガソリンの代わりになるもので日常的なエネルギー源なのです。
(4.23、24、25、26のブログ参照していただけば幸いです)
極端な飢餓だと、<アルコール→ブドウ糖→脂質→タンパク質>と人体は順番にエネルギー源として利用していきますが、最終的に筋肉(タンパク質)が分解されて心筋にも及べば、死亡してしまいます。
江部康二
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