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山田悟医師の講演。ブランデーとカラメル。
【17/03/22 精神科医師A

山田悟先生の講演
2017/2/24 滋賀県高島市医師会にて

東京の日の丸交通タクシーでの運転手へのロカボ指導の成果について講演した。タクシー運転手に食後の運動をせよといっても、できるわけがない。それでロカボの指導を行い、勤務ごとの同じ時間に、会社で血糖や血圧/体重を測定し記録してみた。それなりのメタボ改善の成果が得られたとおっしゃってた。実行しやすい「ゆる糖」は意味があると思います。

さらに最後の方になって、カロリー制限は意味がなく、糖質制限のみが価値があると主張し始めた、糖尿病学会のガイドラインは、山田DrのRCT論文を、意図的に無視していると怒っていた。

今年の糖尿病学会のデベートの、「食事療法について再考する~エネルギー制限か糖質制限か?~」で山田先生が出るとのこと。

聴衆から思いがけない質問が出た。ブランデーにはカラメルが入っており、糖質制限のマイナスとなること。山田Drもくわしくはご存じなかったようだ。

  ◇  ◇

調べてみると、コニャック・アルマニャックにおいては4つの添加物が認められています。「蒸留水」「オークチップス」「糖」「カラメル」です

http://brandydaddy.com/chishiki_06_jukusei.html

また、スコッチウイスキーでカラメルは認められています

http://www.nikka.com/web-service/nikka/bbs/view.psp.html?I=20041003113748201&T=000737


こんにちは。

精神科医師Aさんから、山田悟医師の講演の報告、ブランデーとカラメルについてコメント頂きました。
ありがとうございます。

タクシー運転手にロカボの指導をしてそれなりにメタボ改善ということで、よいお話と思います。
緩やかな糖質制限でも一定の効果は期待できるということですね。

一方、タクシー運転手にとって一番肝腎なのは、食後の眠気が生じないような食事だと思います。
食後の眠気が一番事故の元になりやすいです。

一回の食事の糖質量30~40gの「緩やかな糖質制限食」では、血糖変動幅がかなり生じるので、食後の眠気が生じる可能性が高いです。

一回の食事の糖質量10~20g以下の「スーパー糖質制限食」なら、血糖変動幅がほとんど生じず、食後の眠気も起こりません。

タクシー運転手だけではなく、トラックやバスなどの職業ドライバーにも食後の眠気を生じない「スーパー糖質制限食」が推奨されます。

また一般のドライバーにおいても、高速道路とか長距離ドライブのときには眠気の生じない「スーパー糖質制限食」で安全運転を目指して欲しいものです。


「さらに最後の方になって、カロリー制限は意味がなく、糖質制限のみが価値があると主張し始めた。」

これは、私もびっくりですね。

少し前までは、山田悟医師は、

「カロリー制限が上手くいかない糖尿人においては糖質制限食も選択肢の一つ」

といったかなり抑えたトーンでしたが激変しましたね。

とても好ましい変化ですので、熱烈歓迎です。

私はもちろん、糖質制限食を開始した当初(2001年)から、

「カロリー制限は意味がなく、糖質制限のみが価値がある」

と一貫して主張してきました。

ともあれ、2017年度の日本糖尿病学会のディベートは楽しみです。


それから、ブランデーとカラメルについては、私も全く知りませんでした。

「調べてみると、コニャック・アルマニャックにおいては4つの添加物が認められています。」

「スコッチウイスキーでカラメルは認められています」


貴重な情報をありがとうございます。
とても参考になりました。

蒸留酒には糖質ゼロでも、糖やカラメルは糖質そのものですからスコッチウィスキーやコニャック・アルマニャックはNG食品や要注意食品に格下げの可能性もありますね。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
<糖質制限食と糖質管理食>2012年
こんにちは。

三大栄養素である、糖質・脂質・タンパク質のうち、血糖値を上昇させるのは糖質だけです。

これは、含有エネルギーとは無関係の、各栄養素の生理学的特質です。

このことに注目して、糖質摂取を制限して食後血糖値の上昇を防ぐ食事療法が、高雄病院が推奨する「糖質制限食(carbohydrate restriction)」です。

栄養素において、必須アミノ酸、必須脂肪酸はありますが、必須糖質はありません。

即ち理論的には糖質ゼロでもいいのですが、スーパー糖質制限食でも、ビタミンC補給を兼ねて、野菜に含まれる少量の糖質は摂取します。

そして、糖質だけが血糖値を上昇させることを前提に、一回の食事の糖質摂取量を計算して、血糖コントロールをめざすのが糖質管理食(carbohydrate counting、カーボカウント)で、欧米では定着している食事療法です。
こちらは糖質のグラム数を計算しますが、制限することはありません。

しかし、糖質のグラム数を計算するわけですから、野放しに大量の糖質を食べることはあり得ませんね。

1993年に発表された米国の1型糖尿病研究・DCCTにおいて、糖質管理食(カーボカウント)が成功を収めたことから、欧米では広まっていきました。

また、1999年度ミス・アメリカのニコール・ジョンソンさん(1型糖尿病)の食事療法が糖質管理食であり、本を書かれたことも欧米での普及に役立ちました。

「カーボカウントして、それに見合う量のインスリンを注射する」ことで、食後血糖値のコントロールがしやすくなり、カロリー制限食に比べれば血糖値の乱高下が改善します。

米国では、1型糖尿病治療は、カーボカウントの方が主流です。

日本では、欧米では一般的な糖質管理食も、それほど普及していないのが現状です。

しかし、2005年5月の第48回日本糖尿病学会年次学術集会で、米国から糖質管理食(カーボカウント)の専門医が招聘されてシンポジウムが開催された後、徐々に糖質管理食を導入する糖尿病専門医療機関が増えてきています。

また、2006年3月に「かんたんカーボカウント」(医薬ジャーナル)という糖質管理食の本が大阪市大の小児科グループにより出版されました。

2008年1月の米国糖尿病学会(ADA)の栄養勧告では、

「炭水化物をモニタリングすることは、炭水化物計算(カーボカウント)にしろ、炭水化物交換にしろ、経験に基づく評価にしろ、血糖コントロールを達成するための鍵となる戦略である。」

と、炭水化物(糖質)を日常的に継続的に点検することを、強く推奨しています。

この中の、炭水化物を計算する方法が、糖質管理食(カーボカウント)です。

糖質管理食は、基本的に3食とも主食(糖質)を摂取することを前提に、その糖質の一回の摂取量を計算します。

血糖値を上昇させるのは糖質だけなので、例えば血糖コントロールに必要なインスリンの量を決めるのには、とても役に立ちます。

糖尿病というと、甘いもの(砂糖)がよくないと誰でも思いがちですが、実は、特に砂糖だけが、血糖コントロールに悪影響を与えるという事実はありません。

「ご飯もパンもせんべいもうどんもラーメンもケーキも砂糖も、その中に含まれている糖質の量に比例して、血糖値を上昇させる」

ということが生理学的事実です。

糖質管理食は、糖質だけをグラム計算するシンプルな方法です。

従来のカロリー制限優先の糖尿病食に比し、カロリー計算や食品交換表は不要なので、楽に実践できると思います。

いつも述べてますように、1gの糖質が体重64kgの2型糖尿人の血糖値を約3mg、1型糖尿人の血糖値を約5g上昇させます。

「糖質→血糖値上昇」というシンプルな事柄に着目した糖尿病の食事療法という意味では、欧米の「糖質管理食」と高雄病院の「糖質制限食」は親戚筋といえます。

「糖質管理食」という考え方をさらに発展させ、3食とも主食を摂取しなくても良いと徹底したのが、高雄病院の「糖質制限食」という見方もできます。

1型糖尿病、2型糖尿病でインスリン注射をしている糖尿人は、主治医とよく相談されて、糖質制限食が無理なら、せめて糖質管理食を実践されると、血糖値の乱高下がなくなり、コントロールしやすくなります。

逆にいえば、カーボカウントなしで、カロリー計算に頼ってインスリン注射をすることは、目をつぶって運転しているようなもので、血糖値の乱高下を防ぐことは不可能です。

糖質だけが血糖値を上昇させるのであり、カロリーは関係ないのです。

炊いたご飯1杯150gは約250kcalですが、糖質は55gふくまれていて、血糖値は165mg上昇します。

牛サーロインステーキ200gは約1000kcalですが、糖質含有量は1g未満で、血糖値は3mgも上昇しません。

このように、カロリー計算で食後血糖値を予測することは不可能なのです。



江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質管理食と糖質制限食
おはようございます。

「我ら糖尿人、元気なのには理由がある」 現代病を治す糖質制限食  
著者 宮本輝 江部康二 (東洋経済新報社)

おかげさまで売れ行きとても好調です。

昨日は、アマゾンのベストセラー90位で、今朝は125位でした。ちなみに「ハリー・ポッターと死の秘宝」は43位でした。

さて今回は、kenm さんから、糖質管理食についてコメント・質問をいただきました。

「09/08/09 kenm
【糖質少し減らし食】で改善
江部先生はじめまして。kenmと申します。
先生のご著書 主食を抜けば糖尿病は良くなる!他3冊と先生のブログで勉強させていただいています。我ら糖尿人、今朝Amazonから届きました。
主治医の理解を得ることが難しいです。7月検査結果診察の折に、「糖質制限食」への切り替えを申し出たのですが、「よくわからん」ということで、インスリン朝12単位、夕6単位の注射をそのまま続けています。
自分で何とか工夫するしかないと考えました。食後血糖値200mg/dl以上の頻度を減らし時間を短縮させる。食後高血糖を食後2時間-180mg/dl以下に抑える。そのためには、空腹時血糖値を110mg/dl以下に抑える。間食は徹底的に排除する。特に糖質は摂らない。など作戦を練ります。
具体的には、「糖質少し減らし食」にしました。(7月14日からスタート)140gのごはんを減らすことにし、玄米ごはん100gにしました。(玄米酵素ごはん=100%玄米)
7月23日から、食後2時間の血糖値検査を実施しました。8月2日までの間に180mg/dlオーバーは4回、内200mg/dlオーバーは2回、15回は140mg/dl以下でした。83、98、105、107、108もあります。空腹時血糖値131mg/dl以上は6回です。1度だけ39mg/dlを経験しました。
7月初めの検査では、HbA1c 6.8mg/dlでしたが、8月3日の検査で6.5mg/dlでした。
このまま「糖質少し減らし食」を続けるなら、HbA1c6.0を達成は可能でしょうか。この方法に関して、先生から何かアドバイスをいただければ嬉しいのですが。お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。」


kenm さん。
コメントそして本のご購入ありがとうございます。

kenm さんの仰有る「糖質減らし食」は、欧米ではごく一般的な「糖質管理食」に相当します。

食後血糖値を急峻に上昇させるのは、糖質だけです。そして、1gの糖質が体重64kgの2型糖尿人の血糖値を約3mg、1型糖尿人なら約5mg上昇させます。

糖質管理食は、1回に摂取する糖質のグラム数を計算して、食後高血糖を起こさないインスリン必要量を決めます。摂取する糖質の量と注射するインスリンの量がうまくかみ合えば、血糖コントロール良好となりますので、HbA1c5.8%未満も夢ではありませんよ。

玄米ご飯100gなら、約34gの糖質が含まれています。また野菜にも少量の糖質が含まれています。1回に摂取する合計糖質量を把握しましょう。

食前の血糖値、
注射したインスリンの量、
摂取した糖質量、
食後1時間血糖値、

これらにより、1単位のインスリンが、どのくらい血糖値を下げるのかが分かります。1単位のインスリンがどのくらい血糖値を下げるのかは、個人差が大きいので一人一人確かめるのが確実です。

詳しくは2008年07月20日 (日) のブログ「糖質制限食時々糖質管理食②」をご参照くださいね。

江部康二

☆☆☆参考

糖質管理食糖質制限食

三大栄養素である、糖質・脂質・タンパク質のうち、血糖値を急峻に上昇させるのは糖質だけです。これは、カロリーとは無関係の、各栄養素の生理学的特質です。

このことに注目して、糖質摂取を制限して血糖コントロールするのが、高雄病院で推奨する「糖質制限食(carbohydrate restriction)」です。

一方、糖質だけが血糖値を上昇させることを前提に、一回の食事の糖質摂取量を計算して、血糖コントロールをめざすのが糖質管理食(carbohydrate counting)で、欧米では定着している食事療法です。

これには、1993年に発表された米国の1型糖尿病研究・DCCTにおいて、糖質管理食が成功を収めたことが、大きく関係しています。

また、1999年度ミス・アメリカのニコール・ジョンソンさん(1型糖尿病)の食事療法が糖質管理食であり、本も書かれたことも欧米での普及に役立ちました。

日本では、欧米では一般的な糖質管理食もそれほど普及していないのが現状です。しかし、2005年の日本糖尿病学会総会で、米国から糖質管理食の専門医が招聘されてシンポジウムが開催された後、徐々に糖質管理食を導入する糖尿病専門医療機関が増えてきています。

また、2006年3月に「かんたんカーボカウント」(医薬ジャーナル)という
糖質管理食の本が大阪市大の小児科グループにより出版されました。

2008年1月の米国糖尿病協会(ADA)の栄養勧告では、「炭水化物をモニタリングすることは、炭水化物計算にしろ、炭水化物交換にしろ、経験に基づく評価にしろ、血糖コントロールを達成するための鍵となる戦略である。」と、炭水化物(糖質)を日常的に継続的に点検することを、強く推奨しています。この中の、炭水化物を計算する方法が、糖質管理食です。

糖質管理食は、基本的に3食とも主食(糖質)を摂取することを前提に、その糖質の一回の摂取量を計算します。血糖値を上昇させるのはほとんど糖質だけなので、例えば血糖コントロールに必要なインスリンの量を決めるのにはとても役に立ちます。

糖尿病というと、甘いもの(砂糖)がよくないと誰でも思いがちですが、実は、特に砂糖だけが、血糖コントロールに悪影響を与えるという事実はありません。

「ご飯もパンもせんべいもうどんもラーメンもケーキも砂糖も、その中に含まれている糖質の量に比例して、血糖値を上昇させる」ということが生理学的事実です。

糖質管理食は、糖質だけをグラム計算するシンプルな方法です。従来のカロリー制限優先の糖尿病食に比し、カロリー計算や食品交換表は不要なので、楽に実践できると思います。

いつも述べてますように、1gの糖質が2型糖尿病の人の血糖値を約3mg、1型糖尿病の人の血糖値を約5g上昇させます。

「糖質→血糖値上昇」というシンプルな事柄に着目した糖尿病の食事療法という意味では、欧米の「糖質管理食」と高雄病院の「糖質制限食」は親戚筋といえます。

「糖質管理食」という考え方をさらに発展させ、3食とも主食を摂取しなくても良いと徹底したのが、高雄病院の「糖質制限食」という見方もできます。

1型糖尿病2型糖尿病でもインスリン注射をしている糖尿人は、主治医とよく相談されて、糖質制限食が無理なら、せめて糖質管理食を実践されると、血糖値の乱高下がなくなり、コントロールしやすくなりますよ。 ヾ(^▽^)
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食時々糖質管理食②
おはようございます。今朝はとても良い天気です。昼から週一のテニスに出かけます。

そうそう、7.18の第三金曜ライブは、オーストラリアで行われたエルビス・プレスリーコンテスト世界大会でベスト8に入賞したパナビスNAGATAさんに飛び入りで歌ってもらいました.

その歌唱力・ビジュアル・振り付け・ライブパフォーマンス・・・、とっても楽しかったですよ。ヽ(*`▽´)ノ

さて今回は、みやびさんからコメントいただきました。

『08/07/12 みやび

たびたび失礼いたします。

先日ご教示いただいた方法で、インスリン1単位でどの程度下がるのか 今朝 実験をし、結果が出たので ご報告します。

当初、1単位で15~16mg/dlの降下作用かと思ってましたが、改めて計算しましたら 30~31mg/dlという結果になりました。

これからは この結果を頭において、できれば超即効性インスリンの使用をゼロにしていきたいというのが目標です。今のまま 薬に頼る生活をしていたら、身体も気持ちもダメになる気がするので。

実験とはいえ、久しぶりの食パン 美味しかったんですが、その後、身体がだるくなり 血糖下げるの大変でした。それでも、糖質制限始める前は しょっちゅうこんな感じだったんです…高血糖になるからインスリンを打ち…の繰り返しでした。

糖質制限をはじめてからは、(我慢できずに食べてしまうときもあるけど)以前より 確実にインスリンの量は減らせてますし、体調も安定して肌の調子も良くなりました。食材を選べば お腹いっぱい食べられるし、お酒飲めるし(笑)糖質制限食に出会えて本当に良かったと改めて感じています。

だから、食パンは もういりません…食パンは私の敵です(笑)

これからは 欲に負けないよう 少し厳しく頑張りますので、また よろしくお願いいたします。

<(_ _)> 』


みやびさん。いつもコメントありがとうございます。インスリンの量が減らせて体調もよいとのこと良かったです。ヾ(^▽^)

今回は下記の計算法で、1単位のインスリンが、どのくらい血糖値を下げるか実施してみたのですね。

「食事摂取時の計算パターンとして、追加分泌インスリンの役割を担う、超速効型インスリン使用時を考えてみます。

例えば
<朝空腹時血糖値測定>
<朝食前、超速効型インスリンを注射>
<朝食に摂取した糖質のグラム数を計算> 
<朝食後1時間血糖値測定>
を行います。

1gの糖質が2型糖尿人の血糖値を約3mg/dl上昇させます。これを基に、仮にインスリン注射前の空腹時血糖値が120mgとすれば、糖質50gを摂取すると、(50g×3mgで)ピークの食後1時間血糖値は150mg上昇して270mgになるはずです。

4単位の超速効型インスリンを打って、食後1時間の血糖値が170mgなら、インスリン注射により(270mg-170mg)100mg血糖値が下がったことになります。そうすると1単位のインスリンが(100mg÷4単位)25mg血糖値を下げたことになります。

1単位のインスリンがどのくらい血糖値を下げるかは、かなり個人差が大きいです。(10mg~80mgなど)ご指摘のように、体調により少しはバラつくこともありますが、大雑把に自分のパターンを把握しておきましょう。」


みやびさんの場合は、超速効型インスリン(ノボラピッドまたはヒューマログ)1単位が、血糖値を約30mgほど低下させるのですね。これが判っていれば、糖質管理食が実行しやすいです。

1gの糖質が約3mg血糖値を上昇させます。例えば食前に3単位注射しておけば<3単位×30mg=90mg>の血糖値上昇をカバーしますから、30g分の糖質入りのケーキやパンを食べても、血糖値はほとんど上昇しません。40g分の糖質を食べても、30mgくらいの血糖値上昇ですみますから、許容範囲ですね。

2008年05月03日 (土) のブログ「糖質制限食時々糖質管理食」で、みやびさんにお伝えしましたように、美味しく楽しく糖質制限食で長続きさせるのが一番大切なことなので、我慢とか根性は要らないと思いますよ。 (^_^)

私の診察している糖尿病患者さんでも、「糖質制限食時々糖質管理食」の方がおられます。仮にAさんとします。

Aさんは、ベースに持続型のインスリン(ランタスなど)を4~6単位注射して、約22時間~24時間、基礎分泌のかわりとし、早朝空腹時血糖値を126mg/dl未満にコントロールしておられます。

スーパー糖質制限食なら、それ以外の注射はいりませんが、時に主食やケーキを摂取するときだけ超速効型インスリンを食前に2~3単位注射して、食後2時間血糖値が180mg/dl未満になるようにコントロールしておられます。

日常的には、ランタス分のインスリンが4~6単位/日の少量でOKです。主食やケーキを食べるときだけ、月に2回くらい6~9単位/日の日があります。年間通して、インスリンの量がこのていどの少量ですめば、体にはとてもやさしいですね。

インスリン注射の量は少ない方が好ましいですから、「糖質制限食時々糖質管理食」がおおいに役に立ってくれますね。

1型糖尿病の人でも、「糖質制限食時々糖質管理食」でインスリン注射の量を、通常のカロリー制限食に比べたら1/3以下に減らせます。

別の患者Bさんの場合は、ランタスを一日一回注射して、主食やケーキを食べる直前に<グルコバイ100mg+グルファスト10mg>内服で、食後血糖値180mg/dl未満ににコントロールしておられます。これなら、外出時にインスリン注射を打たなくてすむので楽ですね。


みやびさん、清く正しくより、関西風ぼちぼちで結構ですので美味しく楽しく「糖質制限食時々糖質管理食」を続けてくださいね。

糖質制限ドットコムhttp://www.toushitsuseigen.com/のローカーボ・ふすまパンやまるごと大豆パンならインスリンも要りませんので仲良くどうぞ。 (^-^)v(^-^)v 


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質管理食と糖質制限食
こんばんは。

ここのところ、ブログで「糖質管理食」という言葉がよく登場しました。簡単に説明して、知識の整理と参りましょう。

三大栄養素である、糖質・脂質・タンパク質のうち、血糖値を急峻に上昇させるのは糖質だけです。これは、カロリーとは無関係の、各栄養素の生理学的特質です。

このことに注目して、糖質摂取を制限して血糖コントロールするのが、高雄病院で推奨する「糖質制限食(carbohydrate restriction)」です。

一方、糖質だけが血糖値を上昇させることを前提に、一回の食事の糖質摂取量を計算して、血糖コントロールをめざすのが糖質管理食(carbohydrate counting)で、欧米では定着している食事療法です。

これには、1993年に発表された米国の1型糖尿病研究・DCCTにおいて、糖質管理食が成功を収めたことが、大きく関係しています。

また、1999年度ミス・アメリカのニコール・ジョンソンさん(1型糖尿病)の食事療法が糖質管理食であり、本も書かれたことも欧米での普及に役立ちました。

 日本では残念ながら、欧米では一般的な糖質管理食もほとんど普及していないのが現状です。しかし、2005年の日本糖尿病学会総会で、米国から糖質管理食の専門医が招聘されてシンポジウムが開催されたのは、とても良いことだったと思います。
 また、2006年3月に「かんたんカーボカウント」(医薬ジャーナル)という本が大阪市大の小児科グループにより出版され、日本でもやっと糖質管理食の夜明けという状況になりつつあるようです。

2008年1月の米国糖尿病協会(ADA)の栄養勧告では、「炭水化物をモニタリングすることは、炭水化物計算にしろ、炭水化物交換にしろ、経験に基づく評価にしろ、血糖コントロールを達成するための鍵となる戦略である。」と、炭水化物(糖質)を日常的に継続的に点検することを、強く推奨しています。この中の、炭水化物を計算する方法が、糖質管理食です。

糖質管理食は、基本的に3食とも主食(糖質)を摂取することを前提に、その糖質の一回の摂取量を計算します。血糖値を上昇させるのはほとんど糖質だけなので、例えば血糖コントロールに必要なインスリンの量を決めるのにはとても役に立ちます。

糖尿病というと、甘いもの(砂糖)がよくないと誰でも思いがちですが、実は、特に砂糖だけが、血糖コントロールに悪影響を与えるという事実はありません。

「ご飯もパンもせんべいもうどんもラーメンもケーキも砂糖も、その中に含まれている糖質の量に比例して、血糖値を上昇させる」ということが生理学的事実です。

糖質管理食は、糖質だけをグラム計算するシンプルな方法です。従来のカロリー制限優先の糖尿病食に比し、カロリー計算や食品交換表は不要なので、楽に実践できると思います。

いつも述べてますように、1gの糖質が2型糖尿病の人の血糖値を約3mg、1型糖尿病の人の血糖値を約5g上昇させます。糖質含有量を主体に食品を見直すと、意外なことが見えてきます。

例えば、牛乳は一般にはタンパク源とされていますが、糖尿人にとっては、糖質食品と考えたほうが安全です。牛乳100mlには約5gの糖質が含まれていますから、水代わりにガブガブ飲めば、結構血糖値を上昇させます。

ビールも糖尿人には危ない食品の一つです。350ml缶の通常のビールだと、エビスもラガーもスーパードライもおおよそ12~14gの糖質を含んでいます。ノンアルコールビールも同様です。

大ジョッキ生とか2.3杯とか軽く飲んじゃいますと、かなりの量の糖質が吸収され、血糖値値急上昇ということになりますから要注意です。 (*_*)

「糖質→血糖値上昇」というシンプルな事柄に着目した糖尿病の食事療法という意味では、欧米の「糖質管理食」と高雄病院の「糖質制限食」は親戚筋といえます。

「糖質管理食」という考え方をさらに発展させ、3食とも主食を摂取しなくても良いと徹底したのが、高雄病院の「糖質制限食」という見方もできます。

1型糖尿病、2型糖尿病でもインスリン注射をしている糖尿人は、主治医とよく相談されて、糖質制限食が無理なら、せめて糖質管理食を実践されると、血糖値の乱高下がなくなり、コントロールしやすくなりますよ。 ヾ(^▽^)

日本でも糖質管理食や糖質制限食が、糖尿病治療において、当たり前の時代がやって来る日を、心待ちにしている江部康二です。

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット