2014年07月13日 (日)
【14/07/13 bonita
目が離せませんでした
もう脳の栄養は糖分だけではないという事が、実証されているこの世の中で、このCMを流していいのでしょうか?テレビ局の倫理観最低ですね。
多くの人が騙されない様に祈るばかりです。
http://www.youtube.com/watch?v=KE_p6qNd0oI】
【13/06/20 Hix
JARO
はじめてコメントさせていただきます。
先生の著書に巡り会い、糖質制限を始めて一年が経とうとしています。
自分は38になりますが、20年近く糖尿病とつきあい、インスリンを使い続けてきました。従来のカロリー制限食を実践しながら、インスリンを増やすことも合併症もなくここまでやってこれたのは、今にして思えば奇跡ですね(^_^;)
現在はA1c:5.5(NGSP)あたりに落ちつき、インスリンも1/3ほど減らすことができ、先生には感謝の言葉もありません。
ひとつ残念なのは、これほどのデータを目の前にしながら、いまだに主治医が糖質制限に否定的なことです。
自分は群馬県に住んでいます。近くに糖質制限推奨を表明されている医師がいらしたらすぐにでも鞍替えするのですが、今のところ見つけることができていません。
ところで、話題になっていた「お砂糖真時代協議会」のCMを目にしました。
やはり表現に問題があったので、自分もJAROに電話し、あらためてケトン体やグルットワンについてお話しして、先方への指導をお願いしてみました。
すでに数件苦情が寄せられているとのことで、すぐに対応がありました。
CMの放映期間が来週いっぱいなので、撮り直すのは現実的ではない。
ケトン体については、問題の場面で字幕スーパーでふれる。
次回のCMは、今回の指摘を留意して作成する。
以上のような話にまとまったとの説明がJAROからの回答でした。
自分から行動すれば、少しずつでも環境は変えていける実感がしました。
これからも糖質制限を続け、微力でもその普及の支えになれる活動をしていきます。】
bonita さん
「お砂糖真時代協議会」の動画ですね。
この動画、大間違いです。
「お砂糖真時代協議会」の動画の内容は以下の1)2)3)4)です
1)脳は、ブドウ糖をたった一つのエネルギーとして活動を続けています。
2)脳は、ブドウ糖を蓄えておくことができません。
3)脳に素早くエネルギーを送り込むことができるのは砂糖です。
4)あなたの脳にお砂糖は足りているでしょうか?
1)は完全に間違っています。脳は脂肪酸の代謝産物のケトン体をいくらでも利用できるからです。正確には、脳はケトン体とブドウ糖をエネルギー源とします。
2)3)に関しては、脳はブドウ糖を蓄えることはできませんが、血流がある限りその中に血糖が存在しているので、脳においてブドウ糖が不足することはありません。
すなわち、砂糖など食べなくても、空腹時血糖値(60~109mg)があるていど下がってくれば、肝臓でアミノ酸、乳酸、グリセロール(中性脂肪の代謝産物)からブドウ糖をつくって血糖値を維持するシステムが、人体には備わっています。
これを糖新生といいます。
700万年間の狩猟・採集時代には飢餓との戦いが日常であった人類のご先祖においては、肝臓の糖新生はフル稼働していたことでしょう。
このように例え絶食状態でも肝臓の糖新生により、ご先祖は低血糖に陥ることはなかったのです。
4)必須アミノ酸、必須脂肪酸、ビタミン、ミネラル、微量元素は食材から必ず摂取する必要があります。
しかし必須糖質はありませんので、理論的には砂糖どころか糖質ゼロでもヒトは生きていけるのです。
砂糖など、そもそも必要ないのです。
なお、人体で唯一、エネルギー源として、ブドウ糖しか利用できないのは赤血球です。
赤血球には、細胞内エネルギー生産装置であるミトコンドリアがないので、ケトン体や脂肪酸がエネルギー源として利用できず、ブドウ糖だけなのです。
2013年6月にHix さんがJAROに電話されて、回答があり、この件は解決済みかと思っていたら、ほとぼりが冷めたらまた、復活ですか?
「お砂糖真時代協議会」・・・懲りない面々ですね。
いい加減にして欲しいです。
公共の電波で、嘘の情報を流すのは、即刻中止すべきです。
江部康二
目が離せませんでした
もう脳の栄養は糖分だけではないという事が、実証されているこの世の中で、このCMを流していいのでしょうか?テレビ局の倫理観最低ですね。
多くの人が騙されない様に祈るばかりです。
http://www.youtube.com/watch?v=KE_p6qNd0oI】
【13/06/20 Hix
JARO
はじめてコメントさせていただきます。
先生の著書に巡り会い、糖質制限を始めて一年が経とうとしています。
自分は38になりますが、20年近く糖尿病とつきあい、インスリンを使い続けてきました。従来のカロリー制限食を実践しながら、インスリンを増やすことも合併症もなくここまでやってこれたのは、今にして思えば奇跡ですね(^_^;)
現在はA1c:5.5(NGSP)あたりに落ちつき、インスリンも1/3ほど減らすことができ、先生には感謝の言葉もありません。
ひとつ残念なのは、これほどのデータを目の前にしながら、いまだに主治医が糖質制限に否定的なことです。
自分は群馬県に住んでいます。近くに糖質制限推奨を表明されている医師がいらしたらすぐにでも鞍替えするのですが、今のところ見つけることができていません。
ところで、話題になっていた「お砂糖真時代協議会」のCMを目にしました。
やはり表現に問題があったので、自分もJAROに電話し、あらためてケトン体やグルットワンについてお話しして、先方への指導をお願いしてみました。
すでに数件苦情が寄せられているとのことで、すぐに対応がありました。
CMの放映期間が来週いっぱいなので、撮り直すのは現実的ではない。
ケトン体については、問題の場面で字幕スーパーでふれる。
次回のCMは、今回の指摘を留意して作成する。
以上のような話にまとまったとの説明がJAROからの回答でした。
自分から行動すれば、少しずつでも環境は変えていける実感がしました。
これからも糖質制限を続け、微力でもその普及の支えになれる活動をしていきます。】
bonita さん
「お砂糖真時代協議会」の動画ですね。
この動画、大間違いです。
「お砂糖真時代協議会」の動画の内容は以下の1)2)3)4)です
1)脳は、ブドウ糖をたった一つのエネルギーとして活動を続けています。
2)脳は、ブドウ糖を蓄えておくことができません。
3)脳に素早くエネルギーを送り込むことができるのは砂糖です。
4)あなたの脳にお砂糖は足りているでしょうか?
1)は完全に間違っています。脳は脂肪酸の代謝産物のケトン体をいくらでも利用できるからです。正確には、脳はケトン体とブドウ糖をエネルギー源とします。
2)3)に関しては、脳はブドウ糖を蓄えることはできませんが、血流がある限りその中に血糖が存在しているので、脳においてブドウ糖が不足することはありません。
すなわち、砂糖など食べなくても、空腹時血糖値(60~109mg)があるていど下がってくれば、肝臓でアミノ酸、乳酸、グリセロール(中性脂肪の代謝産物)からブドウ糖をつくって血糖値を維持するシステムが、人体には備わっています。
これを糖新生といいます。
700万年間の狩猟・採集時代には飢餓との戦いが日常であった人類のご先祖においては、肝臓の糖新生はフル稼働していたことでしょう。
このように例え絶食状態でも肝臓の糖新生により、ご先祖は低血糖に陥ることはなかったのです。
4)必須アミノ酸、必須脂肪酸、ビタミン、ミネラル、微量元素は食材から必ず摂取する必要があります。
しかし必須糖質はありませんので、理論的には砂糖どころか糖質ゼロでもヒトは生きていけるのです。
砂糖など、そもそも必要ないのです。
なお、人体で唯一、エネルギー源として、ブドウ糖しか利用できないのは赤血球です。
赤血球には、細胞内エネルギー生産装置であるミトコンドリアがないので、ケトン体や脂肪酸がエネルギー源として利用できず、ブドウ糖だけなのです。
2013年6月にHix さんがJAROに電話されて、回答があり、この件は解決済みかと思っていたら、ほとぼりが冷めたらまた、復活ですか?
「お砂糖真時代協議会」・・・懲りない面々ですね。
いい加減にして欲しいです。
公共の電波で、嘘の情報を流すのは、即刻中止すべきです。
江部康二
2014年06月21日 (土)
【14/06/19 名古屋・h
能登洋先生の糖質制限中傷記事
江部先生こんばんわ。
「長期の糖質制限で死に至る!?こんな研究結果もあるのだ。」
「糖尿病予防効果には疑問符も。」
こんな見出しで記事を書くことは異常、国立病院の医長としては失格、曲学阿世の徒と言われても仕方がないと思います。
国立国際医療研究センタ-病院、糖尿病内分泌代謝科医長、能登洋先生がTarzan(タ-ザン)と言う雑誌、6月26日(No.651)号、19ペ-ジに書かれた記事です。
「長期の糖質制限で死に至る」の欄では、最低糖質摂取率群(30~40%)と最高摂取率群(60~70%)を比較すると前者の死亡率が1.3倍高い。Lagiou,2007,Nilsson,2012など4つの研究名が記されている。
ス-パ-糖質制限の糖質摂取は12%なので、この研究の範囲外であるが、研究結果と見出しには大きな差があり、読者に著しい誤解を与え、悪意さえ感じられる。
「糖尿病の予防効果には疑問符も。」の欄では、低脂質、地中海式、糖質制限の各ダイエットの体重変化のグラフが示されているのと、「私どもの最近の研究では、糖質制限で糖尿病の発症率は増えてもいないし減ってもいないことが判明した。つまり糖尿病に対して著しく予防効果があるとは言い難いのでは、」と述べておられるのみである。
グラフはそれを示していないし、能登先生の最近の研究結果も示されていないので、やはり不適切な見出しと言わざるをえない。
タ-ザンは筋トレなどを扱う若者向けの雑誌ですが、このような記事を載せることは医者として不適切と思います。
能登見解について、江部先生のご意見をお聞かせいただければ幸いです。
名古屋・h】
名古屋・hさんから
能登洋氏がTarzan(タ-ザン)、6月26日(No.651)号、に書かれた記事についてコメント・質問をいただきました。
能登氏の論述の根拠は、信頼度の低い論文によるものです。
従って、ターザンの記事も全く信頼に値しません。
ニューイングランド・ジャーナルに掲載された信頼度の高い論文の結論は
「低炭水化物食に冠動脈疾患リスクなし。高炭水化物食にリスクあり。」
です。
以下、検証してみます。
1)
能登氏のあげる糖質制限食に否定的な論文ですが、例えば、以下のLagiouの論文は極めて信頼度が低いもので、世界中から批判が相次いで賛成のコメントは皆無という曰くつきのものです。
BMJ 2012;344:e4026 doi: 10.1136/bmj.e4026 (Published 26 June 2012)
Pagona Lagiou et all:
Low carbohydrate-high protein diet and incidence of
cardiovascular diseases in Swedish women:
prospective cohort study
Lagiouの論文に関しては、能登氏の所属する国立国際医療研究センタ-病院の以下のサイトでさえも、信頼性が低い可能性を示しています。
http://www.ncgm-dmic.jp/public/articleInfoDetail.do?articleInfoId=504
自分の所属する病院のサイトで、信頼度が低い可能性があると指摘しているような論文を、糖質制限食を批判する根拠にしていること自体、矛盾でありお気の毒です。
2)
日本糖尿病学会編集の「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013」のエビデンスレベルは、レベル1、2、3、4というランクで評価してあります。
日経メディカルWebサイトの連載:糖尿病治療のエビデンス
2013. 6. 26第2回低炭水化物食を続けると、死亡リスクが増える。○か×か?
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/series/noto/201306/531241.html
という能登氏自身が解説した記事があります。
その中で、能登氏は以下の自分自身の論文に関して、エビデンスレベル3と低レベルであることを認めています。
また、上述のLagiouの論文(極めて信頼度が低い)のデータを、自分の論文の統計データに加えています。
この時点で能登氏の論文の信頼も地に落ちたと言えるでしょう。
Noto H, Goto, et al. Low-carbohydrate diets and all-cause mortality: a systematic review and meta-analysis of observational studies. PLoS One.2013;8(1):e55030.
エビデンスレベル3の研究を根拠に、「長期の糖質制限で死に至る!?こんな研究結果もあるのだ。」などど扇情的な表現を許容するのは、科学者の態度とは言えません。
通常は、エビデンスに基づくという表現をする際は、エビデンスレベル1か2を指します。
能登氏
「今回の解析はさまざまな理由で炭水化物摂取量が低かった人達の観察研究の結果であり、管理された低炭水化物食による介入研究の結果ではないため、確固たる結論を出すことはできない(表2のエビデンス水準の3に相当)。」
能登氏は、医学サイトでは自分で「確固たる結論を出すことはできない」と言いながら、マスコミに登場するときは、まるで確固たる結論のような言い方をして、一般大衆を騙して扇動するような態度をとっているのは、科学者としてフェアとは言えません。
3)
糖質制限食の長期予後の経過ですが、ハーバード大学の研究で、ニューイングランド・ジャーナルに掲載された「82,802人、20年間」という信頼度の高いものがあります。
Halton TL, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women. New England Journal of Medicine 2006;355:1991-2002.
この信頼度の高い論文の結論は、82,802人、20年間の研究において
「低炭水化物食に冠動脈疾患リスクなし。高炭水化物食にリスクあり。」
です。
4)
信頼度の低いLagiouの論文(1)と信頼度の高いHaltonの論文(3)の詳しい解説は、
2012年09月17日 (月)の本ブログ記事
「低炭水化物食に冠動脈疾患リスクなし。高炭水化物食にリスクあり。」
をご参照頂けば幸いです。
5)
能登氏
「私どもの最近の研究では、糖質制限で糖尿病の発症率は増えてもいないし減ってもいない。」
能登氏の研究は知りませんが、厚生労働省が発表した、「国民栄養の状況」「日本における糖尿病患者数の推移」という公的なデータがあり、誰でもネットで見ることができます。
厚生労働省のデータを見ると、実は1997年以降ずっと増え続けいた炭水化物摂取比率が、2008年から2010年にかけて、60.4%から59.4%と、1%減っています。
そして、1997年以降ずっと減少傾向だった脂質摂取比率が、2008年から2010年にかけて、24.9%から25.9%と、1%増えているのです。
そして、これを受けて、20007年から2012年にかけて糖尿病の増加が急減して、糖尿病予備群は220万人も減少しているのです。
まさに、「糖質摂取比率が減って、脂質摂取比率が増えて日本の糖尿病増加が急減して、予備軍にいたっては戦後初めて減少した」のです。
詳しくは、
2014年01月26日 (日)の本ブログ記事
「炭水化物摂取比率が減少して、糖尿病の増加が急減し、 糖尿病予備軍は減少。」
をご参照いただけば幸いです。
結論です。
1)2)3)4)5)より糖質制限食の長期安全性は、信頼度の高い論文で担保されていて、「糖質摂取が減れば糖尿病が減る」という厚生労働省の信頼度の高いデータがあります。
江部康二
能登洋先生の糖質制限中傷記事
江部先生こんばんわ。
「長期の糖質制限で死に至る!?こんな研究結果もあるのだ。」
「糖尿病予防効果には疑問符も。」
こんな見出しで記事を書くことは異常、国立病院の医長としては失格、曲学阿世の徒と言われても仕方がないと思います。
国立国際医療研究センタ-病院、糖尿病内分泌代謝科医長、能登洋先生がTarzan(タ-ザン)と言う雑誌、6月26日(No.651)号、19ペ-ジに書かれた記事です。
「長期の糖質制限で死に至る」の欄では、最低糖質摂取率群(30~40%)と最高摂取率群(60~70%)を比較すると前者の死亡率が1.3倍高い。Lagiou,2007,Nilsson,2012など4つの研究名が記されている。
ス-パ-糖質制限の糖質摂取は12%なので、この研究の範囲外であるが、研究結果と見出しには大きな差があり、読者に著しい誤解を与え、悪意さえ感じられる。
「糖尿病の予防効果には疑問符も。」の欄では、低脂質、地中海式、糖質制限の各ダイエットの体重変化のグラフが示されているのと、「私どもの最近の研究では、糖質制限で糖尿病の発症率は増えてもいないし減ってもいないことが判明した。つまり糖尿病に対して著しく予防効果があるとは言い難いのでは、」と述べておられるのみである。
グラフはそれを示していないし、能登先生の最近の研究結果も示されていないので、やはり不適切な見出しと言わざるをえない。
タ-ザンは筋トレなどを扱う若者向けの雑誌ですが、このような記事を載せることは医者として不適切と思います。
能登見解について、江部先生のご意見をお聞かせいただければ幸いです。
名古屋・h】
名古屋・hさんから
能登洋氏がTarzan(タ-ザン)、6月26日(No.651)号、に書かれた記事についてコメント・質問をいただきました。
能登氏の論述の根拠は、信頼度の低い論文によるものです。
従って、ターザンの記事も全く信頼に値しません。
ニューイングランド・ジャーナルに掲載された信頼度の高い論文の結論は
「低炭水化物食に冠動脈疾患リスクなし。高炭水化物食にリスクあり。」
です。
以下、検証してみます。
1)
能登氏のあげる糖質制限食に否定的な論文ですが、例えば、以下のLagiouの論文は極めて信頼度が低いもので、世界中から批判が相次いで賛成のコメントは皆無という曰くつきのものです。
BMJ 2012;344:e4026 doi: 10.1136/bmj.e4026 (Published 26 June 2012)
Pagona Lagiou et all:
Low carbohydrate-high protein diet and incidence of
cardiovascular diseases in Swedish women:
prospective cohort study
Lagiouの論文に関しては、能登氏の所属する国立国際医療研究センタ-病院の以下のサイトでさえも、信頼性が低い可能性を示しています。
http://www.ncgm-dmic.jp/public/articleInfoDetail.do?articleInfoId=504
自分の所属する病院のサイトで、信頼度が低い可能性があると指摘しているような論文を、糖質制限食を批判する根拠にしていること自体、矛盾でありお気の毒です。
2)
日本糖尿病学会編集の「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013」のエビデンスレベルは、レベル1、2、3、4というランクで評価してあります。
日経メディカルWebサイトの連載:糖尿病治療のエビデンス
2013. 6. 26第2回低炭水化物食を続けると、死亡リスクが増える。○か×か?
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/series/noto/201306/531241.html
という能登氏自身が解説した記事があります。
その中で、能登氏は以下の自分自身の論文に関して、エビデンスレベル3と低レベルであることを認めています。
また、上述のLagiouの論文(極めて信頼度が低い)のデータを、自分の論文の統計データに加えています。
この時点で能登氏の論文の信頼も地に落ちたと言えるでしょう。
Noto H, Goto, et al. Low-carbohydrate diets and all-cause mortality: a systematic review and meta-analysis of observational studies. PLoS One.2013;8(1):e55030.
エビデンスレベル3の研究を根拠に、「長期の糖質制限で死に至る!?こんな研究結果もあるのだ。」などど扇情的な表現を許容するのは、科学者の態度とは言えません。
通常は、エビデンスに基づくという表現をする際は、エビデンスレベル1か2を指します。
能登氏
「今回の解析はさまざまな理由で炭水化物摂取量が低かった人達の観察研究の結果であり、管理された低炭水化物食による介入研究の結果ではないため、確固たる結論を出すことはできない(表2のエビデンス水準の3に相当)。」
能登氏は、医学サイトでは自分で「確固たる結論を出すことはできない」と言いながら、マスコミに登場するときは、まるで確固たる結論のような言い方をして、一般大衆を騙して扇動するような態度をとっているのは、科学者としてフェアとは言えません。
3)
糖質制限食の長期予後の経過ですが、ハーバード大学の研究で、ニューイングランド・ジャーナルに掲載された「82,802人、20年間」という信頼度の高いものがあります。
Halton TL, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women. New England Journal of Medicine 2006;355:1991-2002.
この信頼度の高い論文の結論は、82,802人、20年間の研究において
「低炭水化物食に冠動脈疾患リスクなし。高炭水化物食にリスクあり。」
です。
4)
信頼度の低いLagiouの論文(1)と信頼度の高いHaltonの論文(3)の詳しい解説は、
2012年09月17日 (月)の本ブログ記事
「低炭水化物食に冠動脈疾患リスクなし。高炭水化物食にリスクあり。」
をご参照頂けば幸いです。
5)
能登氏
「私どもの最近の研究では、糖質制限で糖尿病の発症率は増えてもいないし減ってもいない。」
能登氏の研究は知りませんが、厚生労働省が発表した、「国民栄養の状況」「日本における糖尿病患者数の推移」という公的なデータがあり、誰でもネットで見ることができます。
厚生労働省のデータを見ると、実は1997年以降ずっと増え続けいた炭水化物摂取比率が、2008年から2010年にかけて、60.4%から59.4%と、1%減っています。
そして、1997年以降ずっと減少傾向だった脂質摂取比率が、2008年から2010年にかけて、24.9%から25.9%と、1%増えているのです。
そして、これを受けて、20007年から2012年にかけて糖尿病の増加が急減して、糖尿病予備群は220万人も減少しているのです。
まさに、「糖質摂取比率が減って、脂質摂取比率が増えて日本の糖尿病増加が急減して、予備軍にいたっては戦後初めて減少した」のです。
詳しくは、
2014年01月26日 (日)の本ブログ記事
「炭水化物摂取比率が減少して、糖尿病の増加が急減し、 糖尿病予備軍は減少。」
をご参照いただけば幸いです。
結論です。
1)2)3)4)5)より糖質制限食の長期安全性は、信頼度の高い論文で担保されていて、「糖質摂取が減れば糖尿病が減る」という厚生労働省の信頼度の高いデータがあります。
江部康二
2014年06月06日 (金)
【四国新聞社
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/social/20140605000169
香川ニュース
県内小4の1割強、肝機能や脂質異常/血液検査
2014/06/05 09:55
香川県内16市町の小学4年生を対象に、2013年度に実施した血液検査の結果、1割強の児童に肝機能や脂質の異常がみられたことが、県のまとめで分かった。12年度の調査結果とほぼ同様の傾向で、県健康福祉総務課は「検査で異常値が出た児童や保護者には適切な指導を行い、生活習慣や食生活の見直しを呼び掛けていく」としている。
血液検査は、脂質や血糖の状態を調べ、糖尿病など生活習慣病につながるリスクを早期に見つけるのが狙い。県は12年度、市町に費用の半額を補助し、児童の血液検査を推進する制度を創設。12年度は12市町の6743人、13年度は独自に5年生で実施した東かがわ市を除く16市町の7907人が検査を受けた。
13年度の集計によると、肝機能を判定する「AST」「γ(ガンマ)―GTP」などのいずれかで異常値を示したのは、男女平均10・5%(前年度12・3%)で、男女別では男子12・2%(同14・5%)、女子8・7%(同9・9%)。前年度よりやや改善がみられた。
コレステロールや中性脂肪などのいずれかで基準値を超え、「脂質異常」とされたのは、男女平均11・3%(同11・1%)で、男女別は男子10・2%(同10・3%)、女子12・5%(同12・0%)と、前年度比でほぼ横ばい。肥満傾向の児童は男子11・0%(同11・7%)、女子8・6%(同9・3%)となった。
過去1~2カ月の血糖状態を示すHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)が高く、糖尿病の疑いがあるか、発症リスクの高い児童は男子11・3%(同10・5%)、女子11・1%(同8・9%)だった。
併せて実施したアンケートによると、長時間ゲームをしていたり、朝食をあまり食べなかったりする児童に肥満や脂質の異常が多いことも分かった。
厚生労働省調査では、香川の人口10万人当たりの糖尿病受療率は308人で全国ワースト2位、糖尿病による死亡率は同ワースト9位。県は今後も、小児期からの正しい生活習慣を啓発する施策に力を入れる。】
こんばんは。
県内小4の1割強、肝機能や脂質異常/血液検査
という何とも恐ろしいニュースが、香川県から飛び込んできました。
タンヤオさんにコメントいただきました。
ありがとうございます。
香川県では2012年度から、県内小中学校で実施する血液検査を含む小児生活習慣病予防健診にもとづく実態把握を開始しています。
糖尿病予防のため、全県の都道府県単位で小学生の血液検査が実施されるのは、全国でもはじめてのことです。
これはこれでなかなか素晴らしい試みです。
ところが、2013年の健診で香川県の小学校4年生の、1割強が、血液検査で肝機能や脂質異常があり、HbA1cも1割強が糖尿病の疑いがあるか、発症リスクが高いレベルということです。
小学生の血液検査による健診は、全国でもはじめてのことらしいので、他の県との比較はできません。
しかし、どう考えてもこの数字は多いように思えます。
普通に考えて親と同じようなものを子供も食べると思います。
そうすると、うどんを二玉・三玉食べて、天ぷらやおにぎりも併せてとか「うどん+いなり寿司・巻きずし」という大人と一緒の
最凶のダブル炭水化物パターンが子供でも日常の可能性があります。( ̄_ ̄|||)
「ダブル炭水化物→脂肪肝」「ダブル炭水化物→糖尿病」
というパターンは、私達、糖質セイゲニストから見ると、脂肪肝や糖尿病発症の王道のようなもので、本当に困ったものです。 (→ο←)
香川県以外では、ここまでのダブル炭水化物食は、一般的ではないと思いますので、
「小学校4年生の、1割強が、血液検査で肝機能や脂質異常があり、HbA1cも1割強が糖尿病の疑いがあるか、発症リスクが高いレベル」
というようなことは考えにくいです。
【香川の人口10万人当たりの糖尿病受療率は308人で全国ワースト2位、糖尿病による死亡率は同ワースト9位。県は今後も、小児期からの正しい生活習慣を啓発する施策に力を入れる。】
今日のお話は、エビデンスレベルの話ではなく、あくまでも仮説レベルの話なのですが、
「炭水化物の頻回・過剰摂取こそが、糖尿病・肥満・生活習慣病発症の元凶である。」
という本質に気がつかない限りは、香川県では、成人も子供も、脂肪肝・糖尿病・生活習慣病の罠から逃れることは、不可能に思えます。
香川県の行政担当の方々、本ブログ記事をみたら、是非私を、うどん県に呼んでくれませんかね?
行政主催で糖質制限食の講演会をさせて貰えば、江部康二が香川県民の救世主となること間違いないと思うのですが・・・。 (^^)
江部康二
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/social/20140605000169
香川ニュース
県内小4の1割強、肝機能や脂質異常/血液検査
2014/06/05 09:55
香川県内16市町の小学4年生を対象に、2013年度に実施した血液検査の結果、1割強の児童に肝機能や脂質の異常がみられたことが、県のまとめで分かった。12年度の調査結果とほぼ同様の傾向で、県健康福祉総務課は「検査で異常値が出た児童や保護者には適切な指導を行い、生活習慣や食生活の見直しを呼び掛けていく」としている。
血液検査は、脂質や血糖の状態を調べ、糖尿病など生活習慣病につながるリスクを早期に見つけるのが狙い。県は12年度、市町に費用の半額を補助し、児童の血液検査を推進する制度を創設。12年度は12市町の6743人、13年度は独自に5年生で実施した東かがわ市を除く16市町の7907人が検査を受けた。
13年度の集計によると、肝機能を判定する「AST」「γ(ガンマ)―GTP」などのいずれかで異常値を示したのは、男女平均10・5%(前年度12・3%)で、男女別では男子12・2%(同14・5%)、女子8・7%(同9・9%)。前年度よりやや改善がみられた。
コレステロールや中性脂肪などのいずれかで基準値を超え、「脂質異常」とされたのは、男女平均11・3%(同11・1%)で、男女別は男子10・2%(同10・3%)、女子12・5%(同12・0%)と、前年度比でほぼ横ばい。肥満傾向の児童は男子11・0%(同11・7%)、女子8・6%(同9・3%)となった。
過去1~2カ月の血糖状態を示すHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)が高く、糖尿病の疑いがあるか、発症リスクの高い児童は男子11・3%(同10・5%)、女子11・1%(同8・9%)だった。
併せて実施したアンケートによると、長時間ゲームをしていたり、朝食をあまり食べなかったりする児童に肥満や脂質の異常が多いことも分かった。
厚生労働省調査では、香川の人口10万人当たりの糖尿病受療率は308人で全国ワースト2位、糖尿病による死亡率は同ワースト9位。県は今後も、小児期からの正しい生活習慣を啓発する施策に力を入れる。】
こんばんは。
県内小4の1割強、肝機能や脂質異常/血液検査
という何とも恐ろしいニュースが、香川県から飛び込んできました。
タンヤオさんにコメントいただきました。
ありがとうございます。
香川県では2012年度から、県内小中学校で実施する血液検査を含む小児生活習慣病予防健診にもとづく実態把握を開始しています。
糖尿病予防のため、全県の都道府県単位で小学生の血液検査が実施されるのは、全国でもはじめてのことです。
これはこれでなかなか素晴らしい試みです。
ところが、2013年の健診で香川県の小学校4年生の、1割強が、血液検査で肝機能や脂質異常があり、HbA1cも1割強が糖尿病の疑いがあるか、発症リスクが高いレベルということです。
小学生の血液検査による健診は、全国でもはじめてのことらしいので、他の県との比較はできません。
しかし、どう考えてもこの数字は多いように思えます。
普通に考えて親と同じようなものを子供も食べると思います。
そうすると、うどんを二玉・三玉食べて、天ぷらやおにぎりも併せてとか「うどん+いなり寿司・巻きずし」という大人と一緒の
最凶のダブル炭水化物パターンが子供でも日常の可能性があります。( ̄_ ̄|||)
「ダブル炭水化物→脂肪肝」「ダブル炭水化物→糖尿病」
というパターンは、私達、糖質セイゲニストから見ると、脂肪肝や糖尿病発症の王道のようなもので、本当に困ったものです。 (→ο←)
香川県以外では、ここまでのダブル炭水化物食は、一般的ではないと思いますので、
「小学校4年生の、1割強が、血液検査で肝機能や脂質異常があり、HbA1cも1割強が糖尿病の疑いがあるか、発症リスクが高いレベル」
というようなことは考えにくいです。
【香川の人口10万人当たりの糖尿病受療率は308人で全国ワースト2位、糖尿病による死亡率は同ワースト9位。県は今後も、小児期からの正しい生活習慣を啓発する施策に力を入れる。】
今日のお話は、エビデンスレベルの話ではなく、あくまでも仮説レベルの話なのですが、
「炭水化物の頻回・過剰摂取こそが、糖尿病・肥満・生活習慣病発症の元凶である。」
という本質に気がつかない限りは、香川県では、成人も子供も、脂肪肝・糖尿病・生活習慣病の罠から逃れることは、不可能に思えます。
香川県の行政担当の方々、本ブログ記事をみたら、是非私を、うどん県に呼んでくれませんかね?
行政主催で糖質制限食の講演会をさせて貰えば、江部康二が香川県民の救世主となること間違いないと思うのですが・・・。 (^^)
江部康二
2014年04月03日 (木)
こんにちは。
NHKスペシャル、妊婦の炭水化物摂取量と子供の肥満・・・反論追加版です。
2014年3月30日放送のNHKスペシャル
「イギリスのサウサンプトン大学のキース・ゴドフリー教授は、3000人の妊婦に妊娠中に日記をつけてもらい、調査。
妊婦を炭水化物の摂取量ごとに4グループに分けた時、炭水化物の摂取量が最も少ないグループの子どもがもっとも太りやすいという結果がわかった。」
との内容が放送されたようです。
私は直接見ていないので、ネットで調べて確かと思われる情報をピックアップしました。
その結果、炭水化物摂取量(1日あたり)が
351g以上
297.5g以上351g未満
261.5g以上297.5g未満
261.5g未満
の4グループでのアンケート調査で、糖質制限食とは似ても似つかぬものです。
261.5g/日ということは、1回の糖質量が87.2gで、炭水化物の摂取量が最も少ないグループでも立派な高糖質食です。
ですからこの調査は低炭水化物食の調査ではなく、全て高炭水化物食の4グループでの調査です。
そもそも130g/日以下でないと糖質制限食とは言いません。
スーパー糖質制限食なら、40~60g/日の糖質摂取量です。
それに総摂取カロリーに関しても、しっかり言及してもらわないと、 調査の意図が不明となります。
脂肪やタンパク質の摂取量や総摂取カロリーに関しては、私の調べた限りでは、番組内で言及がなかったようです。
4月3日(水)、NHKオンデマンドで購入して、この番組を見ました。
やはり、総摂取カロリーへの言及は全くなしで、脂肪やタンパク質の摂取量に関しても言及なしです。
しかも、当初は
「ダイエットした妊婦の子供は太りやすい」
という説明だったのが、途中で
「妊娠の早い時期に炭水化物の摂取量が少なかった妊婦の子供は太りやすい」
という言い方に変化し、さらに
「胎児が飢餓状況と判断して間葉系肝細胞が将来、脂肪細胞になりやすくなる」
と、キース・ゴドフリー教授は解説していました。
総摂取カロリーに全く触れずに、いきなり
「炭水化物の量が少なかったら胎児が飢餓と認識する」
とは、あまりにひどいすり替えです。
炭水化物の摂取量が少なくても(この調査では決して少なくないですが)、総摂取カロリーは脂肪やタンパク質からしっかり、摂取できるので飢餓とはとんでもない誤解です。
いやはや、NHKスペシャル、この部分に関してはお粗末としかいいようがありません。 (ノ`△´)ノ
総摂取カロリー不足と子供の肥満に関しては信頼度の高いデータがあります。
第2次大戦中、ナチスドイツ占領下のオランダにおいて、出入港禁止措置のため、オランダの一部の地域では厳しい食料難に陥りました。
母親たちは十分な食事が摂れず、飢餓状態で子供を産みました。
カロリー摂取量は700 kcalだったと言われています。
このとき生まれた子どもに対して疫学調査を行ったところ、成人した後に高確率で肥満・糖尿病・高血圧などの病気を発症していました。
これは、摂取エネルギー不足が主たる要因であり、炭水化物摂取量とは関係ありません。
さて人類は、700万年間、狩猟・採集(糖質制限食)を生業として、妊娠出産し、子育てしていたわけです。
このことにより、妊婦の糖質制限食において、安全性が担保されているわけで、安心して実践できます。
そして、イヌイット民族、マサイ族、モンゴル遊牧民も、伝統的食生活の頃は、ほとんどスーパー糖質制限食ですが、子供や成人に肥満が多いということはないですよね。
江部康二
NHKスペシャル、妊婦の炭水化物摂取量と子供の肥満・・・反論追加版です。
2014年3月30日放送のNHKスペシャル
「イギリスのサウサンプトン大学のキース・ゴドフリー教授は、3000人の妊婦に妊娠中に日記をつけてもらい、調査。
妊婦を炭水化物の摂取量ごとに4グループに分けた時、炭水化物の摂取量が最も少ないグループの子どもがもっとも太りやすいという結果がわかった。」
との内容が放送されたようです。
私は直接見ていないので、ネットで調べて確かと思われる情報をピックアップしました。
その結果、炭水化物摂取量(1日あたり)が
351g以上
297.5g以上351g未満
261.5g以上297.5g未満
261.5g未満
の4グループでのアンケート調査で、糖質制限食とは似ても似つかぬものです。
261.5g/日ということは、1回の糖質量が87.2gで、炭水化物の摂取量が最も少ないグループでも立派な高糖質食です。
ですからこの調査は低炭水化物食の調査ではなく、全て高炭水化物食の4グループでの調査です。
そもそも130g/日以下でないと糖質制限食とは言いません。
スーパー糖質制限食なら、40~60g/日の糖質摂取量です。
それに総摂取カロリーに関しても、しっかり言及してもらわないと、 調査の意図が不明となります。
脂肪やタンパク質の摂取量や総摂取カロリーに関しては、私の調べた限りでは、番組内で言及がなかったようです。
4月3日(水)、NHKオンデマンドで購入して、この番組を見ました。
やはり、総摂取カロリーへの言及は全くなしで、脂肪やタンパク質の摂取量に関しても言及なしです。
しかも、当初は
「ダイエットした妊婦の子供は太りやすい」
という説明だったのが、途中で
「妊娠の早い時期に炭水化物の摂取量が少なかった妊婦の子供は太りやすい」
という言い方に変化し、さらに
「胎児が飢餓状況と判断して間葉系肝細胞が将来、脂肪細胞になりやすくなる」
と、キース・ゴドフリー教授は解説していました。
総摂取カロリーに全く触れずに、いきなり
「炭水化物の量が少なかったら胎児が飢餓と認識する」
とは、あまりにひどいすり替えです。
炭水化物の摂取量が少なくても(この調査では決して少なくないですが)、総摂取カロリーは脂肪やタンパク質からしっかり、摂取できるので飢餓とはとんでもない誤解です。
いやはや、NHKスペシャル、この部分に関してはお粗末としかいいようがありません。 (ノ`△´)ノ
総摂取カロリー不足と子供の肥満に関しては信頼度の高いデータがあります。
第2次大戦中、ナチスドイツ占領下のオランダにおいて、出入港禁止措置のため、オランダの一部の地域では厳しい食料難に陥りました。
母親たちは十分な食事が摂れず、飢餓状態で子供を産みました。
カロリー摂取量は700 kcalだったと言われています。
このとき生まれた子どもに対して疫学調査を行ったところ、成人した後に高確率で肥満・糖尿病・高血圧などの病気を発症していました。
これは、摂取エネルギー不足が主たる要因であり、炭水化物摂取量とは関係ありません。
さて人類は、700万年間、狩猟・採集(糖質制限食)を生業として、妊娠出産し、子育てしていたわけです。
このことにより、妊婦の糖質制限食において、安全性が担保されているわけで、安心して実践できます。
そして、イヌイット民族、マサイ族、モンゴル遊牧民も、伝統的食生活の頃は、ほとんどスーパー糖質制限食ですが、子供や成人に肥満が多いということはないですよね。
江部康二
2014年04月01日 (火)
こんにちは。
2014年3月30日放送のNHKスペシャル
「イギリスのサウサンプトン大学のキース・ゴドフリー教授は、3000人の妊婦に妊娠中に日記をつけてもらい、調査。
妊婦を炭水化物の摂取量ごとに4グループに分けた時、炭水化物の摂取量が最も少ないグループの子どもがもっとも太りやすいという結果がわかった。」
との内容が放送されたようです。
私は直接見ていないので、ネットで調べて確かと思われる情報をピックアップしました。
その結果、炭水化物摂取量(1日あたり)が
351g以上
297.5g以上351g未満
261.5g以上297.5g未満
261.5g未満
の4グループでのアンケート調査で、糖質制限食とは似ても似つかぬものです。
261.5g/日ということは、1回の糖質量が87.2gで、炭水化物の摂取量が最も少ないグループでも立派な高糖質食です。
ですからこの調査は低炭水化物食の調査ではなく、全て高炭水化物食の4グループでの調査です。
そもそも130g/日以下でないと糖質制限食とは言いません。
スーパー糖質制限食なら、40~60g/日の糖質摂取量です。
それに総摂取カロリーに関しても、しっかり言及してもらわないと、 調査の意図が不明となります。
脂肪やタンパク質の摂取量や総摂取カロリーに関しては、私の調べた限りでは、番組内で言及がなかったようです。
4月3日(水)、NHKオンデマンドで購入して、この番組を見ました。
やはり、総摂取カロリーへの言及は全くなしで、脂肪やタンパク質の摂取量に関しても言及なしです。
しかも、当初は
「ダイエットした妊婦の子供は太りやすい」
という説明だったのが、途中で
「妊娠の早い時期に炭水化物の摂取量が少なかった妊婦の子供は太りやすい」
という言い方に変化し、さらに
「胎児が飢餓状況と判断して間葉系肝細胞が将来、脂肪細胞になりやすくなる」
と、キース・ゴドフリー教授は解説していました。
総摂取カロリーに全く触れずに、いきなり
「炭水化物の量が少なかったら胎児が飢餓と認識する」
とは、あまりにひどいすり替えです。
炭水化物の摂取量が少なくても(この調査では決して少なくないですが)、総摂取カロリーは脂肪やタンパク質からしっかり、摂取できるので飢餓とはとんでもない誤解です。
いやはや、NHKスペシャル、お粗末としかいいようがありません。(ノ`△´)ノ
総摂取カロリー不足と子供の肥満に関しては信頼度の高いデータがあります。
第2次大戦中、ナチスドイツ占領下のオランダにおいて、出入港禁止措置のため、オランダの一部の地域では厳しい食料難に陥りました。
母親たちは十分な食事が摂れず、飢餓状態で子供を産みました。
カロリー摂取量は700 kcalだったと言われています。
このとき生まれた子どもに対して疫学調査を行ったところ、成人した後に高確率で肥満・糖尿病・高血圧などの病気を発症していました。
これは、摂取エネルギー不足が主たる要因であり、炭水化物摂取量とは関係ありません。
さて人類は、700万年間、狩猟・採集(糖質制限食)を生業として、妊娠出産し、子育てしていたわけです。
このことにより、妊婦の糖質制限食において、安全性が担保されているわけで、安心して実践できます。
そして、イヌイット民族、マサイ族、モンゴル遊牧民も、伝統的食生活の頃は、ほとんどスーパー糖質制限食ですが、子供や成人に肥満が多いということはないですよね。
江部康二
2014年3月30日放送のNHKスペシャル
「イギリスのサウサンプトン大学のキース・ゴドフリー教授は、3000人の妊婦に妊娠中に日記をつけてもらい、調査。
妊婦を炭水化物の摂取量ごとに4グループに分けた時、炭水化物の摂取量が最も少ないグループの子どもがもっとも太りやすいという結果がわかった。」
との内容が放送されたようです。
私は直接見ていないので、ネットで調べて確かと思われる情報をピックアップしました。
その結果、炭水化物摂取量(1日あたり)が
351g以上
297.5g以上351g未満
261.5g以上297.5g未満
261.5g未満
の4グループでのアンケート調査で、糖質制限食とは似ても似つかぬものです。
261.5g/日ということは、1回の糖質量が87.2gで、炭水化物の摂取量が最も少ないグループでも立派な高糖質食です。
ですからこの調査は低炭水化物食の調査ではなく、全て高炭水化物食の4グループでの調査です。
そもそも130g/日以下でないと糖質制限食とは言いません。
スーパー糖質制限食なら、40~60g/日の糖質摂取量です。
それに総摂取カロリーに関しても、しっかり言及してもらわないと、 調査の意図が不明となります。
脂肪やタンパク質の摂取量や総摂取カロリーに関しては、私の調べた限りでは、番組内で言及がなかったようです。
4月3日(水)、NHKオンデマンドで購入して、この番組を見ました。
やはり、総摂取カロリーへの言及は全くなしで、脂肪やタンパク質の摂取量に関しても言及なしです。
しかも、当初は
「ダイエットした妊婦の子供は太りやすい」
という説明だったのが、途中で
「妊娠の早い時期に炭水化物の摂取量が少なかった妊婦の子供は太りやすい」
という言い方に変化し、さらに
「胎児が飢餓状況と判断して間葉系肝細胞が将来、脂肪細胞になりやすくなる」
と、キース・ゴドフリー教授は解説していました。
総摂取カロリーに全く触れずに、いきなり
「炭水化物の量が少なかったら胎児が飢餓と認識する」
とは、あまりにひどいすり替えです。
炭水化物の摂取量が少なくても(この調査では決して少なくないですが)、総摂取カロリーは脂肪やタンパク質からしっかり、摂取できるので飢餓とはとんでもない誤解です。
いやはや、NHKスペシャル、お粗末としかいいようがありません。(ノ`△´)ノ
総摂取カロリー不足と子供の肥満に関しては信頼度の高いデータがあります。
第2次大戦中、ナチスドイツ占領下のオランダにおいて、出入港禁止措置のため、オランダの一部の地域では厳しい食料難に陥りました。
母親たちは十分な食事が摂れず、飢餓状態で子供を産みました。
カロリー摂取量は700 kcalだったと言われています。
このとき生まれた子どもに対して疫学調査を行ったところ、成人した後に高確率で肥満・糖尿病・高血圧などの病気を発症していました。
これは、摂取エネルギー不足が主たる要因であり、炭水化物摂取量とは関係ありません。
さて人類は、700万年間、狩猟・採集(糖質制限食)を生業として、妊娠出産し、子育てしていたわけです。
このことにより、妊婦の糖質制限食において、安全性が担保されているわけで、安心して実践できます。
そして、イヌイット民族、マサイ族、モンゴル遊牧民も、伝統的食生活の頃は、ほとんどスーパー糖質制限食ですが、子供や成人に肥満が多いということはないですよね。
江部康二