2016年02月23日 (火)
【16/02/22 横浜糖尿人
Re:週刊現代の全文
現代ビジネスやらの記事見ました。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47984
>「糖質制限で痩せたのは脂肪が落ちたからではなく、体内の水分が無くなっただけなんです。糖エネルギーが不足すると、
>それを補うために、筋肉を分解してアミノ酸に変えて脳に送ります。その時に水分を使用するので、体重が落ちるんです。
>でも脂肪は減っていない。
>筋肉量はどんどん落ちるので、骨がスカスカになり骨粗しょう症になる危険性もある
って言うけど小生は全く逆の経験をしてます。
組成検査を受けたら1年半の間で
体重は57.5kg→58.6kg
体脂肪率16.5%→9.9%
体脂肪量9.5Kg→5.8kg
筋肉量44.8kg→49.3kg
体水分量34.7→38.0
内臓脂肪レベル10→6
になりました。
糖質制限食と自宅での有酸素運動、筋トレ実施だけの63歳の結果です。
先月の血糖値はHbA1cは5.80だけどグリコアルプミンは15.3でした。
このブログとご縁ができてからの実体験です。江部先生ありがとうございます。】
おはようございます。
横浜の糖尿人さんから、
週刊現代記事(2016/2/27号)
やっぱり危ない!?
「糖質制限ダイエット」第一人者が急死した
真っ二つに分かれる評価
への反論コメントを頂きました。
ありがとうございます。
「1年半の間で
体重は57.5kg→58.6kg
体脂肪率16.5%→9.9%
体脂肪量9.5Kg→5.8kg
筋肉量44.8kg→49.3kg
体水分量34.7→38.0
内臓脂肪レベル10→6 になりました。」
素晴らしい成果ですね。筋肉量の増加、脂肪量の減少も凄いです。
糖質制限食で筋肉が落ちることはあり得ませんが、横浜の糖尿人さんほど、増える人はさすがに少ないと思います。
見事です。
糖質制限食で良質の動物たんぱく質を摂り、筋トレも行うことでこれだけの成果が出たのでしょう。
HbA1c:5.8% グリコアルブミン(GA):15.3%(11.8~16.0)は、いずれも基準値内で、こちらも素晴らしいです。
>「糖質制限で痩せたのは脂肪が落ちたからではなく、体内の水分が無くなっただけなんです。糖エネルギーが不足すると、
>それを補うために、筋肉を分解してアミノ酸に変えて脳に送ります。その時に水分を使用するので、体重が落ちるんです。
>でも脂肪は減っていない。
>筋肉量はどんどん落ちるので、骨がスカスカになり骨粗しょう症になる危険性もある
この京大人間・環境学研究科教授のコメントは、無根拠です。
スーパー糖質制限食実践者において、エネルギー源としてタンパク質を利用することはありません。
スーパー糖質制限食実践者では、「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」が主たるエネルギー源となります。
血中ケトン体は基準値より高値となります。
脂肪酸-ケトン体をしっかり利用し、たんぱく質やエネルギーもしっかり食事から摂取するので、筋肉が落ちるようなことはあり得ないのです。
カロリー制限食だと、たんぱく質や摂取エネルギー不足となりやすいので筋肉が落ちるリスクがあるので注意が必要なのです。
さて、ケトン体というと耳慣れない単語なのですが、糖質を普通に食べている人の血中総ケトン体の基準値は、「26~122μM/L 」くらいです。
つまり、糖質を食べている人でも、日常的に24時間血中ケトン体は存在しているわけです。
糖質摂取開始後2時間までは、心筋・骨格筋の主たるエネルギー源は食事由来のブドウ糖ですが、糖質摂取開始後4~5時間くらい経過した空腹時には、心筋・骨格筋の主たるエネルギー源は<脂肪酸-ケトン体>に切り替わっていきます。
従って糖質を摂取している人においても、夜間睡眠時とか、日中でも空腹時は、心筋・骨格筋の主たるエネルギー源は、実はブドウ糖ではなく<脂肪酸-ケトン体>なのです。
このことを多くの医師・栄養士がご存じないのは大変困ったもので、医療現場で混乱のもととなっています。
夜間睡眠時や空腹時などにもブドウ糖をエネルギー源としているのは、赤血球、脳、網膜など特殊な細胞だけです。
つまり糖質を普通に摂取している人においても、「脂肪酸-ケトン体」はごく日常的なエネルギー源として、心筋・骨格筋など体細胞で全ての人類において利用されているというのが生理学的事実です。
ケトン体は極めて効率のよいエネルギー源なのです。
糖質制限食実践時の血中ケトン体上昇は、体脂肪が燃焼している証拠です。
糖質制限食実践で、どんどん体脂肪が燃えるので肥満が改善します。
スーパー糖質制限食を実践していると、ステーキを食べている最中にも体脂肪が燃えていて、心筋・骨格筋など身体は「脂肪酸-ケトン体」をエネルギー源としているのです。
江部康二
Re:週刊現代の全文
現代ビジネスやらの記事見ました。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47984
>「糖質制限で痩せたのは脂肪が落ちたからではなく、体内の水分が無くなっただけなんです。糖エネルギーが不足すると、
>それを補うために、筋肉を分解してアミノ酸に変えて脳に送ります。その時に水分を使用するので、体重が落ちるんです。
>でも脂肪は減っていない。
>筋肉量はどんどん落ちるので、骨がスカスカになり骨粗しょう症になる危険性もある
って言うけど小生は全く逆の経験をしてます。
組成検査を受けたら1年半の間で
体重は57.5kg→58.6kg
体脂肪率16.5%→9.9%
体脂肪量9.5Kg→5.8kg
筋肉量44.8kg→49.3kg
体水分量34.7→38.0
内臓脂肪レベル10→6
になりました。
糖質制限食と自宅での有酸素運動、筋トレ実施だけの63歳の結果です。
先月の血糖値はHbA1cは5.80だけどグリコアルプミンは15.3でした。
このブログとご縁ができてからの実体験です。江部先生ありがとうございます。】
おはようございます。
横浜の糖尿人さんから、
週刊現代記事(2016/2/27号)
やっぱり危ない!?
「糖質制限ダイエット」第一人者が急死した
真っ二つに分かれる評価
への反論コメントを頂きました。
ありがとうございます。
「1年半の間で
体重は57.5kg→58.6kg
体脂肪率16.5%→9.9%
体脂肪量9.5Kg→5.8kg
筋肉量44.8kg→49.3kg
体水分量34.7→38.0
内臓脂肪レベル10→6 になりました。」
素晴らしい成果ですね。筋肉量の増加、脂肪量の減少も凄いです。
糖質制限食で筋肉が落ちることはあり得ませんが、横浜の糖尿人さんほど、増える人はさすがに少ないと思います。
見事です。
糖質制限食で良質の動物たんぱく質を摂り、筋トレも行うことでこれだけの成果が出たのでしょう。
HbA1c:5.8% グリコアルブミン(GA):15.3%(11.8~16.0)は、いずれも基準値内で、こちらも素晴らしいです。
>「糖質制限で痩せたのは脂肪が落ちたからではなく、体内の水分が無くなっただけなんです。糖エネルギーが不足すると、
>それを補うために、筋肉を分解してアミノ酸に変えて脳に送ります。その時に水分を使用するので、体重が落ちるんです。
>でも脂肪は減っていない。
>筋肉量はどんどん落ちるので、骨がスカスカになり骨粗しょう症になる危険性もある
この京大人間・環境学研究科教授のコメントは、無根拠です。
スーパー糖質制限食実践者において、エネルギー源としてタンパク質を利用することはありません。
スーパー糖質制限食実践者では、「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」が主たるエネルギー源となります。
血中ケトン体は基準値より高値となります。
脂肪酸-ケトン体をしっかり利用し、たんぱく質やエネルギーもしっかり食事から摂取するので、筋肉が落ちるようなことはあり得ないのです。
カロリー制限食だと、たんぱく質や摂取エネルギー不足となりやすいので筋肉が落ちるリスクがあるので注意が必要なのです。
さて、ケトン体というと耳慣れない単語なのですが、糖質を普通に食べている人の血中総ケトン体の基準値は、「26~122μM/L 」くらいです。
つまり、糖質を食べている人でも、日常的に24時間血中ケトン体は存在しているわけです。
糖質摂取開始後2時間までは、心筋・骨格筋の主たるエネルギー源は食事由来のブドウ糖ですが、糖質摂取開始後4~5時間くらい経過した空腹時には、心筋・骨格筋の主たるエネルギー源は<脂肪酸-ケトン体>に切り替わっていきます。
従って糖質を摂取している人においても、夜間睡眠時とか、日中でも空腹時は、心筋・骨格筋の主たるエネルギー源は、実はブドウ糖ではなく<脂肪酸-ケトン体>なのです。
このことを多くの医師・栄養士がご存じないのは大変困ったもので、医療現場で混乱のもととなっています。
夜間睡眠時や空腹時などにもブドウ糖をエネルギー源としているのは、赤血球、脳、網膜など特殊な細胞だけです。
つまり糖質を普通に摂取している人においても、「脂肪酸-ケトン体」はごく日常的なエネルギー源として、心筋・骨格筋など体細胞で全ての人類において利用されているというのが生理学的事実です。
ケトン体は極めて効率のよいエネルギー源なのです。
糖質制限食実践時の血中ケトン体上昇は、体脂肪が燃焼している証拠です。
糖質制限食実践で、どんどん体脂肪が燃えるので肥満が改善します。
スーパー糖質制限食を実践していると、ステーキを食べている最中にも体脂肪が燃えていて、心筋・骨格筋など身体は「脂肪酸-ケトン体」をエネルギー源としているのです。
江部康二
2015年12月31日 (木)
【15/12/30 岸和田のセイゲニスト
お砂糖新時代協議会CMリニューアル!(困)
こんにちは。
今日から年末年始の休みで三重県に遊びに来ております!
旅先で何気にテレビを観ておりますと、また「お砂糖真時代協議会CM」が流れてましたので報告致します。
しかもリニューアルされてます…(呆)
今度は「砂糖の日」をかけた作りとなっております(呆)
流石に今回のCMはハイビジョン対応になってます!
以前の様な暗闇で脳が光ってる気味悪さもありません!(笑)
よろしければ下記YouTubeよりご覧下さい。
https://m.youtube.com/watch?v=rXX0oHTrK84
今回の新CMは、夫が妻(妊婦と思われる)女性に紅茶と思われる飲み物に砂糖を入れるシーンがあり、背景の字幕スーパーには「砂糖の成分であるブドウ糖は、インスリンというホルモンを刺激して質のよい筋肉づくりを助けます」とあります。(呆)
以前の「脳はブドウ糖しか使えません」というのは抗議殺到だったからですかね?(笑)
まあ糖質制限が普及して、砂糖の売上に影響するのは分からない訳ではないのですが何とかならないものですかね?(困)
また3月10日と11月30日は砂糖の日らしいです。→なのに以前の旧作も含め年末年始に真砂糖協会はCMを流すのは何故なんですかね?(苦笑)
直接胎児へのブドウ糖の効果は謳っていませんが、胎児はブドウ糖よりケトン体好きの大発見をされた宗田先生は、この新CMはご覧になられたのでしょうか?
いずれにしてもまだまだ先生方の啓蒙活動は必要の様です。
超多忙な江部先生は年末年始位はゆっくりお休みしていただきたいものです。
よいお年をお過ごし下さい。来年もよろしくお願い致します。m(_ _)m
特に4月23日(土)豚皮in京都へのご来訪よろしくお願い致します(笑) 】
岸和田のセイゲニストさん。
情報をありがとうございます。
豚皮in京都、了解です。
CM お砂糖 真 時代協議会 「砂糖の日」
今回のものは、「脳はブドウ糖しか使えません」という文言はなしで、まあ、大分マイルドではありますが、基本的には懲りてないですね。
「砂糖の成分であるブドウ糖は、インスリンというホルモンを刺激して質のよい筋肉づくりを助けます」
↓
『砂糖の成分であるブドウ糖は、インスリンというホルモンを刺激して、血中から脂肪細胞に取り込まれて中性脂肪に変換され体脂肪として蓄えられます。』
インスリンは肥満ホルモンであり、がんやアルツハイマー病のリスクであることにはエビデンスがあります。
お砂糖 真 時代協議会、いやはや困ったもんです。
WHOが、2015年3月5日、「1日の糖類は小さじ6杯分まで」という新指針を発表しました。
ただ『糖類』に関する指針で、『糖質』に関する指針ではありませんので、誤解のないように注意が必要です。
新指針では、糖類のうち単糖類と2糖類のショ糖(砂糖)の摂取を総摂取カロリーの5%未満に抑えれば、健康増進効果が得られるとしています。
一日の摂取エネルギーが2000kcalとして、5%なら、25g(ティースプーン6杯分)となります。
従来は10%でしたので、半分になりました。
糖質制限食的には、好ましい変化と言えますが、売り上げが半分になっちゃったら、「お砂糖 真 時代協議会」の運命や如何に?。
江部康二
お砂糖新時代協議会CMリニューアル!(困)
こんにちは。
今日から年末年始の休みで三重県に遊びに来ております!
旅先で何気にテレビを観ておりますと、また「お砂糖真時代協議会CM」が流れてましたので報告致します。
しかもリニューアルされてます…(呆)
今度は「砂糖の日」をかけた作りとなっております(呆)
流石に今回のCMはハイビジョン対応になってます!
以前の様な暗闇で脳が光ってる気味悪さもありません!(笑)
よろしければ下記YouTubeよりご覧下さい。
https://m.youtube.com/watch?v=rXX0oHTrK84
今回の新CMは、夫が妻(妊婦と思われる)女性に紅茶と思われる飲み物に砂糖を入れるシーンがあり、背景の字幕スーパーには「砂糖の成分であるブドウ糖は、インスリンというホルモンを刺激して質のよい筋肉づくりを助けます」とあります。(呆)
以前の「脳はブドウ糖しか使えません」というのは抗議殺到だったからですかね?(笑)
まあ糖質制限が普及して、砂糖の売上に影響するのは分からない訳ではないのですが何とかならないものですかね?(困)
また3月10日と11月30日は砂糖の日らしいです。→なのに以前の旧作も含め年末年始に真砂糖協会はCMを流すのは何故なんですかね?(苦笑)
直接胎児へのブドウ糖の効果は謳っていませんが、胎児はブドウ糖よりケトン体好きの大発見をされた宗田先生は、この新CMはご覧になられたのでしょうか?
いずれにしてもまだまだ先生方の啓蒙活動は必要の様です。
超多忙な江部先生は年末年始位はゆっくりお休みしていただきたいものです。
よいお年をお過ごし下さい。来年もよろしくお願い致します。m(_ _)m
特に4月23日(土)豚皮in京都へのご来訪よろしくお願い致します(笑) 】
岸和田のセイゲニストさん。
情報をありがとうございます。
豚皮in京都、了解です。
CM お砂糖 真 時代協議会 「砂糖の日」
今回のものは、「脳はブドウ糖しか使えません」という文言はなしで、まあ、大分マイルドではありますが、基本的には懲りてないですね。
「砂糖の成分であるブドウ糖は、インスリンというホルモンを刺激して質のよい筋肉づくりを助けます」
↓
『砂糖の成分であるブドウ糖は、インスリンというホルモンを刺激して、血中から脂肪細胞に取り込まれて中性脂肪に変換され体脂肪として蓄えられます。』
インスリンは肥満ホルモンであり、がんやアルツハイマー病のリスクであることにはエビデンスがあります。
お砂糖 真 時代協議会、いやはや困ったもんです。
WHOが、2015年3月5日、「1日の糖類は小さじ6杯分まで」という新指針を発表しました。
ただ『糖類』に関する指針で、『糖質』に関する指針ではありませんので、誤解のないように注意が必要です。
新指針では、糖類のうち単糖類と2糖類のショ糖(砂糖)の摂取を総摂取カロリーの5%未満に抑えれば、健康増進効果が得られるとしています。
一日の摂取エネルギーが2000kcalとして、5%なら、25g(ティースプーン6杯分)となります。
従来は10%でしたので、半分になりました。
糖質制限食的には、好ましい変化と言えますが、売り上げが半分になっちゃったら、「お砂糖 真 時代協議会」の運命や如何に?。
江部康二
2015年12月14日 (月)
【15/12/13 精神科医師A
栄養と料理
<文献1>
栄養と料理 2015年12月号
「血糖値をめぐる栄養学」 女子栄養大学教授 本田佳子
P82
…なぜなら、体内で脳と赤血球は 糖質を分解したブドウ糖でないと エネルギーとして利用できないからです。
それを補うためには、最低でも1日に糖質100〜130gが必要です。
<文献2>
日本人の食事摂取基準(2015)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000041824.html
◇炭水化物(P144)
ぶどう糖の必要量は少なくとも100g/日と推定され、すなわち、消化性炭水化物の最低必要量はおよそ100g/日と推定される。しかし、これは真に必要な最低量を意味するも のではない。肝臓は必要に応じて、筋肉から放出された乳酸やアミノ酸、脂肪組織から放出された グリセロールを利用して糖新生を行い、血中にぶどう糖を供給するからである。
□ □
本田佳子氏は病態栄養学会(2016年1月)の会長だが、参加する意欲は消え失せた。
食事摂取基準の内容すら理解できていないのでは、と耳を疑う。
戦前の「栄養と料理」を読んだほうがよっぽど勉強になる
http://eiyotoryoris.jp/eiyotoryori/keyword/searchArticle.do?keyword=\u7cd6\u5c3f\u75c5】
こんばんは。
精神科医師Aさんから
栄養と料理 2015年12月号における
「血糖値をめぐる栄養学」
という、女子栄養大学教授 本田佳子氏の記事について
コメントをいただきました。
ありがとうございます。
ご指摘通り、日本人の食事摂取基準(2015)では、糖新生の意味をきっちり記載しています。
国際食事エネルギーコンサルテーショングループの報告
「炭水化物(この場合は糖質とほぼ同義)の理論的な最小必要量はゼロである」(☆)
を、日本人の食事摂取基準(2015)の著者が認識しておられるのだと思います。
これに対して、本田佳子教授は、糖新生のプロセスや意味を誤解しておられるようです。
以下の茶色文字の記載をみても誤解は明らかです。
栄養と料理 2015年12月号、P82~P83 本田佳子氏の記事から引用
『――けれど、糖質をほとんど摂取しない人もいますよね。
減量にも成功しているようですが。
非常に極端な糖質制限をすると、肝臓でたんぱく質から糖質を生成します。
これを糖新生といいます。
また、体内の脂肪が分解され、エネルギーとして利用されます。
これにより体重は減少しますが、体には大きな負担がかかります。
さらに、筋肉に蓄えられているグリコーゲン(糖の一種)も減少してしまうため、強度の高い運動ができなくなってしまうのです。
また、脂肪分解のさいに肝臓からケトン体という副産物が生まれます。
脳は通常、ブドウ糖をエネルギー源としていますが、ブドウ糖が枯渇した状態では、ケトン体をエネルギーとして利用します。
しかし、ケトン体が蓄積すると血液が酸性に傾き、「ケトアシドーシス」という危険な病態に陥るのです。
ケトアシドーシスは昏睡や失神などの意識障害を引き起こし、処置が遅れると生命に危険が及びます。
さらには、極端な糖質制限を行なった場合の長期的な安全性についても確認できていません。』
普通に糖質を摂取している人でも、 睡眠時などの長時間の空腹時は、誰でも糖新生しています。
すなわち、全ての人類は、赤ちゃんも小児も大人も、誰でも毎日普通に糖新生しているのです。
糖質制限食実践中の人は、糖新生が、さらに活発になるというだけのことです。
本田教授は、糖新生が極端な糖質制限食を実践したときに生じる「特殊な現象」と考えておられるようですが、糖新生はごく「日常的な生理的活動」の一つなのです。
また、海外の論文によれば糖質制限食(ケトン食)実践により、自転車競技、テコンドー、体操などの競技において、最高強度の運動以外では、全てパフォーマンスが向上することが明らかにされています。
つまり最高強度の運動(100m競争など)だけは普通の食事のほうがいいですが、それ以外の一般的なスポーツ(低度~中等度~強度)では、スーパー糖質制限食が優位と考えられます。
ケトン体についても、本田教授は誤解しておられます。
そもそもケトン体は副産物ではなく主産物です。
そしてケトン体は、人類の日常的な主要なエネルギー源であることを強調したいと思います。
糖質を普通に食べている人においても、空腹時は「脂肪酸-ケトン体」が人体の主たるエネルギー源なのです。
インスリン作用が保たれている時の生理的ケトン体上昇は、安全です。
糖質を普通に食べている人の、血中総ケトン体の基準値は、「26~122μM/L 」くらいです。
つまり、糖質を食べている人でも、日常的に24時間血中ケトン体は存在しているわけです。
糖質摂取開始後数時間くらいまでは心筋・骨格筋の主たるエネルギー源はブドウ糖です。
食事開始後から2時間くらいまでは、身体は食事由来のブドウ糖を利用します。
2時間経過すると肝臓のグリコーゲン分解で血糖値を保ちます。
糖質摂取開始後数時間くらい経過すると、肝臓の糖新生で血糖値を保つようになりますが、その頃には心筋・骨格筋など体細胞の主たるエネルギー源は<脂肪酸-ケトン体>に切り替わっていきます。
従って糖質を摂取している人においても、夜間睡眠時とか、日中でも空腹時は、心筋・骨格筋などの主たるエネルギー源は、実はブドウ糖ではなく<脂肪酸-ケトン体>なのです。
「ケトン体の安全性」、「生理的ケトーシス」と「糖尿病ケトアシドーシス」の違いについては、2015/12/13(日)のブログ記事で詳しく説明しました。
なお、糖尿病学会推奨の「エネルギー制限食(高糖質食)」に関しても、長期的安全性や有効性を示すエビデンスは皆無ですが、本田教授はご存じないのでしょうか?
(☆)
Eur J Clin Nutr. 1999 Apr;53 Suppl 1:S177-8.
Report of the IDECG Working Group on lower and upper limits of carbohydrate and fat intake. International Dietary Energy Consultative Group.
Bier DM, Brosnan JT, Flatt JP, Hanson RW, Heird W, Hellerstein MK, Jéquier E, Kalhan S, Koletzko B, Macdonald I, Owen O, Uauy R.
江部康二
栄養と料理
<文献1>
栄養と料理 2015年12月号
「血糖値をめぐる栄養学」 女子栄養大学教授 本田佳子
P82
…なぜなら、体内で脳と赤血球は 糖質を分解したブドウ糖でないと エネルギーとして利用できないからです。
それを補うためには、最低でも1日に糖質100〜130gが必要です。
<文献2>
日本人の食事摂取基準(2015)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000041824.html
◇炭水化物(P144)
ぶどう糖の必要量は少なくとも100g/日と推定され、すなわち、消化性炭水化物の最低必要量はおよそ100g/日と推定される。しかし、これは真に必要な最低量を意味するも のではない。肝臓は必要に応じて、筋肉から放出された乳酸やアミノ酸、脂肪組織から放出された グリセロールを利用して糖新生を行い、血中にぶどう糖を供給するからである。
□ □
本田佳子氏は病態栄養学会(2016年1月)の会長だが、参加する意欲は消え失せた。
食事摂取基準の内容すら理解できていないのでは、と耳を疑う。
戦前の「栄養と料理」を読んだほうがよっぽど勉強になる
http://eiyotoryoris.jp/eiyotoryori/keyword/searchArticle.do?keyword=\u7cd6\u5c3f\u75c5】
こんばんは。
精神科医師Aさんから
栄養と料理 2015年12月号における
「血糖値をめぐる栄養学」
という、女子栄養大学教授 本田佳子氏の記事について
コメントをいただきました。
ありがとうございます。
ご指摘通り、日本人の食事摂取基準(2015)では、糖新生の意味をきっちり記載しています。
国際食事エネルギーコンサルテーショングループの報告
「炭水化物(この場合は糖質とほぼ同義)の理論的な最小必要量はゼロである」(☆)
を、日本人の食事摂取基準(2015)の著者が認識しておられるのだと思います。
これに対して、本田佳子教授は、糖新生のプロセスや意味を誤解しておられるようです。
以下の茶色文字の記載をみても誤解は明らかです。
栄養と料理 2015年12月号、P82~P83 本田佳子氏の記事から引用
『――けれど、糖質をほとんど摂取しない人もいますよね。
減量にも成功しているようですが。
非常に極端な糖質制限をすると、肝臓でたんぱく質から糖質を生成します。
これを糖新生といいます。
また、体内の脂肪が分解され、エネルギーとして利用されます。
これにより体重は減少しますが、体には大きな負担がかかります。
さらに、筋肉に蓄えられているグリコーゲン(糖の一種)も減少してしまうため、強度の高い運動ができなくなってしまうのです。
また、脂肪分解のさいに肝臓からケトン体という副産物が生まれます。
脳は通常、ブドウ糖をエネルギー源としていますが、ブドウ糖が枯渇した状態では、ケトン体をエネルギーとして利用します。
しかし、ケトン体が蓄積すると血液が酸性に傾き、「ケトアシドーシス」という危険な病態に陥るのです。
ケトアシドーシスは昏睡や失神などの意識障害を引き起こし、処置が遅れると生命に危険が及びます。
さらには、極端な糖質制限を行なった場合の長期的な安全性についても確認できていません。』
普通に糖質を摂取している人でも、 睡眠時などの長時間の空腹時は、誰でも糖新生しています。
すなわち、全ての人類は、赤ちゃんも小児も大人も、誰でも毎日普通に糖新生しているのです。
糖質制限食実践中の人は、糖新生が、さらに活発になるというだけのことです。
本田教授は、糖新生が極端な糖質制限食を実践したときに生じる「特殊な現象」と考えておられるようですが、糖新生はごく「日常的な生理的活動」の一つなのです。
また、海外の論文によれば糖質制限食(ケトン食)実践により、自転車競技、テコンドー、体操などの競技において、最高強度の運動以外では、全てパフォーマンスが向上することが明らかにされています。
つまり最高強度の運動(100m競争など)だけは普通の食事のほうがいいですが、それ以外の一般的なスポーツ(低度~中等度~強度)では、スーパー糖質制限食が優位と考えられます。
ケトン体についても、本田教授は誤解しておられます。
そもそもケトン体は副産物ではなく主産物です。
そしてケトン体は、人類の日常的な主要なエネルギー源であることを強調したいと思います。
糖質を普通に食べている人においても、空腹時は「脂肪酸-ケトン体」が人体の主たるエネルギー源なのです。
インスリン作用が保たれている時の生理的ケトン体上昇は、安全です。
糖質を普通に食べている人の、血中総ケトン体の基準値は、「26~122μM/L 」くらいです。
つまり、糖質を食べている人でも、日常的に24時間血中ケトン体は存在しているわけです。
糖質摂取開始後数時間くらいまでは心筋・骨格筋の主たるエネルギー源はブドウ糖です。
食事開始後から2時間くらいまでは、身体は食事由来のブドウ糖を利用します。
2時間経過すると肝臓のグリコーゲン分解で血糖値を保ちます。
糖質摂取開始後数時間くらい経過すると、肝臓の糖新生で血糖値を保つようになりますが、その頃には心筋・骨格筋など体細胞の主たるエネルギー源は<脂肪酸-ケトン体>に切り替わっていきます。
従って糖質を摂取している人においても、夜間睡眠時とか、日中でも空腹時は、心筋・骨格筋などの主たるエネルギー源は、実はブドウ糖ではなく<脂肪酸-ケトン体>なのです。
「ケトン体の安全性」、「生理的ケトーシス」と「糖尿病ケトアシドーシス」の違いについては、2015/12/13(日)のブログ記事で詳しく説明しました。
なお、糖尿病学会推奨の「エネルギー制限食(高糖質食)」に関しても、長期的安全性や有効性を示すエビデンスは皆無ですが、本田教授はご存じないのでしょうか?
(☆)
Eur J Clin Nutr. 1999 Apr;53 Suppl 1:S177-8.
Report of the IDECG Working Group on lower and upper limits of carbohydrate and fat intake. International Dietary Energy Consultative Group.
Bier DM, Brosnan JT, Flatt JP, Hanson RW, Heird W, Hellerstein MK, Jéquier E, Kalhan S, Koletzko B, Macdonald I, Owen O, Uauy R.
江部康二
2015年08月04日 (火)
【小4の1割、おじさん化?…肝機能・脂質に異常
読売新聞(ヨミドクター) 8月3日(月)
小学4年生を対象に、香川県が昨年行った血液検査で、肝機能、脂質、血糖値の異常値を示した子どもの割合が、それぞれ1割に上ることが分かった。
食生活や運動不足の影響が大きいとみられ、研究者は全国調査を求めている。
調査は同県の17市町のうち、小学4年生の採血を行う16市町が対象。保護者が同意した8264人(全体の約96%)について、肝機能、脂質、血糖の検査値を集計した。肝機能は、肝臓の負担が増すと数値が上がるALTなど3項目を調べた。
このうち一つでも異常値を示した割合は男子12・4%、女子9・5%だった。
総コレステロールや、中性脂肪などの脂質が異常値となった子どもは男子10・2%、女子11・5%。高血糖状態が続いていることを示す「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」の高値は、男子12%、女子10・9%だった。各検査項目の小児基準値は、国内の研究や医師の意見を基に、同県が設定した。
学校健診で血液検査を行う自治体は少ないが、同県は2012年、市町への補助を開始。同県の調査で、検査値異常の子どもは「腹いっぱい食べる」「早食い」「1日のゲーム時間が長い」「特別な運動をしない」などの生活習慣が多いことが分かっている。
高松市では異常値の子どもの家庭に、養護教諭らが「肉を減らし野菜を多く」「お菓子やジュースを減らす」「休日は家族で運動を」などの生活指導を行い、数値が改善する例が相次ぐなど成果が表れている。
取り組みを推進する香川短大の北川博敏名誉学長は「異常値の多くは生活習慣の見直しで改善できる。子どもの血液検査は、将来の病気予防のために重要で、国の主導で全国に広げてほしい」と話している。】
こんにちは
小4の1割、おじさん化?…肝機能・脂質に異常
というニュースが、香川県からまたまた飛び込んできました。
香川県では2012年度から、県内小中学校で実施する血液検査を含む、小児生活習慣病予防健診にもとづく実態把握を開始しています。
糖尿病予防のため、全県の都道府県単位で小学生の血液検査が実施されるのは、全国でも初めてのことですので、なかなか素晴らしい試みです。
そして今回、2015年8月、2014年度の香川県の小学生の検診データが、発表されました。
HbA1cの高値が、男子12%、女子10.9%でした。
2013年度は男子11.3%(2012年度10.5%)、女子11.1%(2012年度8.9%)でした。
つまり、2012年度に調査が始まって以来、大体1割くらいが糖尿病の疑いがあるか、発症リスクが高いレベルであり、2012年度に比べると、2013年度、2014年度とやや増加傾向です。
養護教諭が食事指導や生活指導をしているはずなのに、どちらかというとHbA1cが増加傾向なのは如何なものでしょう。(-д-;)
小学生の血液検査による健診は、全国でも初めてのことらしいので、他の県との比較はできません。
しかし、どう考えても香川県のこの数字は多いように思えます。
普通に考えて親と同じようなものを子供も食べると思います。
そうすると、うどんを二玉・三玉食べて、天ぷらやおにぎりも併せてとか「うどん+いなり寿司・巻きずし」という大人と一緒の最凶のダブル炭水化物パターンが、子供でも日常の可能性があります。( ̄_ ̄|||)
「ダブル炭水化物→糖尿病」
「ダブル炭水化物→脂肪肝」
というパターンは、私達、糖質セイゲニストから見ると、脂肪肝や糖尿病発症の王道のようなもので、本当に困ったものです。 (→ο←)
香川県以外では、ここまでのダブル炭水化物食は、一般的ではないと思いますので、
「小学校4年生の、1割強が、血液検査で肝機能や脂質異常があり、HbA1cも1割強が糖尿病の疑いがあるか、発症リスクが高いレベル」
というようなことは考えにくいです。
「炭水化物の頻回・過剰摂取こそが、糖尿病・肥満・生活習慣病発症の元凶である。」
という本質に気がつかない限りは、香川県では、成人も子供も、糖尿病・脂肪肝・生活習慣病の罠から逃れることは、不可能に思えます。
是非とも、なんとかせにゃ、なりませんね。
日時:2015年4月26日(日)に開催の
『糖質制限食講演会 in 高松』
が変化のきっかけになってくれれば嬉しい限りなのですが・・・。
江部康二
2015年04月01日 (水)
こんにちは。
2015年4月1日(水)の朝日新聞朝刊に、
商品名連呼「この薬の時代」
教授クラス講演「20万円」
副収入4747万円「治療法教えている」
という記事が掲載されました。
これは「エイプリルフール」ではなさそうですね。
一位の河盛隆造氏は、4747万円で、
「糖尿病の治療のしかたを教えている。薬の名前を連呼して宣伝したことはない」
そうです。
かなりの上から目線ですね。
それでも医学部教授クラスで、講演料が¥20万円というのは、タレントの講演なら、¥100万円や¥200万円ですから意外に安いです。
で、河盛氏、年間240件も講演されてます。
不肖江部康二も、医師会との共催の製薬メーカーに呼ばれて、「糖質制限食」の講演会に行くことがありますが、講師料は教授クラスの半分くらいです。
私は、年間40回くらい講演で、その内半分が医師会や病院やメーカー共催です。
日本糖質制限医療推進協会主催の講演は、講師料は無料です。
河盛氏と競ってもしょうがないのですが、随分私の方が小物でしたね。
読者の皆さんには意外かもしれませんが、私は、製薬メーカーにも結構呼ばれるのです。
各地の医師会が「糖質制限食」の講演会を開催するときに、製薬メーカーを通して私に依頼することが多いのです。
糖質制限食を実践したら、製薬メーカーの売り上げが減るのだから、江部康二は不倶戴天の敵となりそうですが、そうでもないのです。
なかなか、全ての糖尿病患者さんが糖質制限食を実践できるわけではないし、糖質制限食と相性のいい併用薬もあるのです。
メーカーとしても、医師会の依頼に応えることで、面目を保つという側面もあります。
私としても、兎に角、少々の遠方でも医師対象の講演会依頼には積極的に応じて、糖質制限食を広めるという目的があるので、両者「win win」といったところです。
日本全国の医師会の先生方、是非、江部康二を「糖質制限食」の講演会にお呼びいただけば幸いです。
江部康二
☆☆☆
以下は
朝日新聞の医療サイト apital アピタル
から一部抜粋です。
http://apital.asahi.com/article/news/2015040100002.html
講演会で薬名繰り返す 講師の医師、製薬会社から謝礼
2015年4月 1日
医師が製薬会社から講演料として受け取っていた高額の謝礼。どのような講演会なのか。多額の副収入を得ているのはどんな医師なのか。
東京都新宿区の高級ホテルで2月、胃の病気についての研究会が2日間にわたって開かれた。大手製薬2社と医師との共催。2日目の講演会では、司会役の医師が講師役の私立大教授の医師を紹介するとき、スポンサー名をあげながら、こう続けた。「多少はPRが入ってくるかと思います」
講師は共催2社が発売する薬の商品名を繰り返しつつ「この薬の時代がやってきた」と語った。会場にはイチゴのショートケーキとコーヒーが用意され、参加者は食べながら聴講。約40分の講演が終わっても会場から質問はなく、参加した約80人の医師らはすぐに部屋を後にした。
製薬会社主催の講演会は全国の病院や医師会館でも開かれる。製薬関係者によると講師役の医師への謝金は、教授クラスで15万~20万円、准教授は10万円。講師クラスだと5千円の場合もあるという。
一方で製薬会社主催の講演会は「主催企業の商品を批判しにくい」として、避ける医師も出てきている。
内閣府障害者政策委員会の委員で精神科医の上野秀樹さんは、2年ほど前までは製薬会社が関わる講演会を引き受けていた。3万円以上のタクシー代をもらったこともある。だが営業担当者から、講演で商品名を言うよう頼まれ、嫌気が差したという。いまは製薬会社がスポンサーの講演会は断っている。
上野さんは「製薬会社が営利企業である限り、講演会の建前が啓発であっても、利益に結びつけようとする。医師も、企業からボールペン1本をもらうのから始まり、徐々に感覚を鈍らされ、心を支配される。医師にその自覚がないことが問題だ」と指摘する。
英製薬大手のグラクソ・スミスクラインは2016年1月から、全世界で医師への講演料の支払いを中止する。同社の担当者は「専門医が薬の情報を正しく伝える講演の役割を否定するわけではないが、一般社会からみたら製薬会社主催の会はひょっとしてバイアスがかかっているのではという疑念を払拭(ふっしょく)したい」と説明。医師との癒着を疑われる余地をなくすためとしている。自社製品の情報を医師に伝える手段としては、インターネットの利用に力を入れていくという。
■「連呼・宣伝してない」「研究評価の表れ」
製薬会社から1千万円以上を得ていた184人は大学教授が多く、半数は糖尿病や高血圧など生活習慣病の専門医だった。
最も多かったのは順天堂大学特任教授で糖尿病医の河盛隆造氏。240件の講演などで4747万円を得た。河盛氏は取材に「糖尿病の治療のしかたを教えている。薬の名前を連呼して宣伝したことはない」。一方で「市民公開講座や各地の医師会の講演に呼ばれて行ってみたら、メーカーから講演料が支払われていたということもよくある。手元に残るのは納税をして半分」などと話した。
2番目に多かった糖尿病医の小田原雅人・東京医大教授は201件の講演などで3971万円を得た。「講演会等は適切な情報提供に寄与する機会。大学病院の業務に支障を来さないように留意している」と説明した。
糖尿病医の加来浩平・川崎医大特任教授は116件の講演などで3719万円。「講演活動を地道にやってきて、治療レベルは相当に上がっている。依頼が来る人ほど見識があってメッセージ発信能力が高い」
194件の講演などで3596万円を得た山岸昌一・久留米大教授も糖尿病が専門。「これまでの研究が広く評価された一つの表れ。講演会の半分程度は土、日曜日。平日の場合は夕方からで、日帰りか翌朝に戻るので、業務に全く差し支えはない」
感染症を専門とする三鴨(みかも)広繁・愛知医科大教授は、152件の講演などで3381万円を得た。「医師の報酬額は、1講演200万円以上のこともあるアナウンサーや著名人に比べると低い。しかもパワーポイントを100枚程度作成しなければならない。体力的に厳しい生活をし時間を捻出している。平均睡眠時間も4時間程度」と説明した。循環器が専門の山下武志・心臓血管研究所長は168件の講演などで3267万円。朝日新聞の取材に「応じるつもりはない」と回答した。
◇
製薬会社が2013年度に医師らに支払った金銭情報を、自社のウェブサイトなどで公表している。朝日新聞は、それらの情報を集計した。留意点は以下の通り。
●医師の氏名が同姓同名で所属機関名が異なれば、所属機関ごとに1人として数えた。そのため、製薬会社が支払った医師の総人数は「のべ人数」にした。受取額が1千万円超の184人に同姓同名はなかった。
●公表された医師への支払い情報の対象期間を各社は決算期に合わせている。「13年4月~14年3月」としている社が多いが、「13年1月~12月」「13年7月~14年6月」「12年12月~13年11月」という社もある。
●日本製薬工業協会加盟72社のほか、支払い情報を公表した関連会社(武田バイオ開発センター、興和創薬、大正富山医薬品、帝人在宅医療、ガンブロ)5社も集計した。
●消費税を含めていない社もあり、公表された金額で集計した。
●大半の社が1円単位の金額を公表したが、1千円単位~100万円単位で公表した会社が17社あり、公表された金額で集計した。(渡辺周)
2015年4月1日(水)の朝日新聞朝刊に、
商品名連呼「この薬の時代」
教授クラス講演「20万円」
副収入4747万円「治療法教えている」
という記事が掲載されました。
これは「エイプリルフール」ではなさそうですね。
一位の河盛隆造氏は、4747万円で、
「糖尿病の治療のしかたを教えている。薬の名前を連呼して宣伝したことはない」
そうです。
かなりの上から目線ですね。
それでも医学部教授クラスで、講演料が¥20万円というのは、タレントの講演なら、¥100万円や¥200万円ですから意外に安いです。
で、河盛氏、年間240件も講演されてます。
不肖江部康二も、医師会との共催の製薬メーカーに呼ばれて、「糖質制限食」の講演会に行くことがありますが、講師料は教授クラスの半分くらいです。
私は、年間40回くらい講演で、その内半分が医師会や病院やメーカー共催です。
日本糖質制限医療推進協会主催の講演は、講師料は無料です。
河盛氏と競ってもしょうがないのですが、随分私の方が小物でしたね。
読者の皆さんには意外かもしれませんが、私は、製薬メーカーにも結構呼ばれるのです。
各地の医師会が「糖質制限食」の講演会を開催するときに、製薬メーカーを通して私に依頼することが多いのです。
糖質制限食を実践したら、製薬メーカーの売り上げが減るのだから、江部康二は不倶戴天の敵となりそうですが、そうでもないのです。
なかなか、全ての糖尿病患者さんが糖質制限食を実践できるわけではないし、糖質制限食と相性のいい併用薬もあるのです。
メーカーとしても、医師会の依頼に応えることで、面目を保つという側面もあります。
私としても、兎に角、少々の遠方でも医師対象の講演会依頼には積極的に応じて、糖質制限食を広めるという目的があるので、両者「win win」といったところです。
日本全国の医師会の先生方、是非、江部康二を「糖質制限食」の講演会にお呼びいただけば幸いです。
江部康二
☆☆☆
以下は
朝日新聞の医療サイト apital アピタル
から一部抜粋です。
http://apital.asahi.com/article/news/2015040100002.html
講演会で薬名繰り返す 講師の医師、製薬会社から謝礼
2015年4月 1日
医師が製薬会社から講演料として受け取っていた高額の謝礼。どのような講演会なのか。多額の副収入を得ているのはどんな医師なのか。
東京都新宿区の高級ホテルで2月、胃の病気についての研究会が2日間にわたって開かれた。大手製薬2社と医師との共催。2日目の講演会では、司会役の医師が講師役の私立大教授の医師を紹介するとき、スポンサー名をあげながら、こう続けた。「多少はPRが入ってくるかと思います」
講師は共催2社が発売する薬の商品名を繰り返しつつ「この薬の時代がやってきた」と語った。会場にはイチゴのショートケーキとコーヒーが用意され、参加者は食べながら聴講。約40分の講演が終わっても会場から質問はなく、参加した約80人の医師らはすぐに部屋を後にした。
製薬会社主催の講演会は全国の病院や医師会館でも開かれる。製薬関係者によると講師役の医師への謝金は、教授クラスで15万~20万円、准教授は10万円。講師クラスだと5千円の場合もあるという。
一方で製薬会社主催の講演会は「主催企業の商品を批判しにくい」として、避ける医師も出てきている。
内閣府障害者政策委員会の委員で精神科医の上野秀樹さんは、2年ほど前までは製薬会社が関わる講演会を引き受けていた。3万円以上のタクシー代をもらったこともある。だが営業担当者から、講演で商品名を言うよう頼まれ、嫌気が差したという。いまは製薬会社がスポンサーの講演会は断っている。
上野さんは「製薬会社が営利企業である限り、講演会の建前が啓発であっても、利益に結びつけようとする。医師も、企業からボールペン1本をもらうのから始まり、徐々に感覚を鈍らされ、心を支配される。医師にその自覚がないことが問題だ」と指摘する。
英製薬大手のグラクソ・スミスクラインは2016年1月から、全世界で医師への講演料の支払いを中止する。同社の担当者は「専門医が薬の情報を正しく伝える講演の役割を否定するわけではないが、一般社会からみたら製薬会社主催の会はひょっとしてバイアスがかかっているのではという疑念を払拭(ふっしょく)したい」と説明。医師との癒着を疑われる余地をなくすためとしている。自社製品の情報を医師に伝える手段としては、インターネットの利用に力を入れていくという。
■「連呼・宣伝してない」「研究評価の表れ」
製薬会社から1千万円以上を得ていた184人は大学教授が多く、半数は糖尿病や高血圧など生活習慣病の専門医だった。
最も多かったのは順天堂大学特任教授で糖尿病医の河盛隆造氏。240件の講演などで4747万円を得た。河盛氏は取材に「糖尿病の治療のしかたを教えている。薬の名前を連呼して宣伝したことはない」。一方で「市民公開講座や各地の医師会の講演に呼ばれて行ってみたら、メーカーから講演料が支払われていたということもよくある。手元に残るのは納税をして半分」などと話した。
2番目に多かった糖尿病医の小田原雅人・東京医大教授は201件の講演などで3971万円を得た。「講演会等は適切な情報提供に寄与する機会。大学病院の業務に支障を来さないように留意している」と説明した。
糖尿病医の加来浩平・川崎医大特任教授は116件の講演などで3719万円。「講演活動を地道にやってきて、治療レベルは相当に上がっている。依頼が来る人ほど見識があってメッセージ発信能力が高い」
194件の講演などで3596万円を得た山岸昌一・久留米大教授も糖尿病が専門。「これまでの研究が広く評価された一つの表れ。講演会の半分程度は土、日曜日。平日の場合は夕方からで、日帰りか翌朝に戻るので、業務に全く差し支えはない」
感染症を専門とする三鴨(みかも)広繁・愛知医科大教授は、152件の講演などで3381万円を得た。「医師の報酬額は、1講演200万円以上のこともあるアナウンサーや著名人に比べると低い。しかもパワーポイントを100枚程度作成しなければならない。体力的に厳しい生活をし時間を捻出している。平均睡眠時間も4時間程度」と説明した。循環器が専門の山下武志・心臓血管研究所長は168件の講演などで3267万円。朝日新聞の取材に「応じるつもりはない」と回答した。
◇
製薬会社が2013年度に医師らに支払った金銭情報を、自社のウェブサイトなどで公表している。朝日新聞は、それらの情報を集計した。留意点は以下の通り。
●医師の氏名が同姓同名で所属機関名が異なれば、所属機関ごとに1人として数えた。そのため、製薬会社が支払った医師の総人数は「のべ人数」にした。受取額が1千万円超の184人に同姓同名はなかった。
●公表された医師への支払い情報の対象期間を各社は決算期に合わせている。「13年4月~14年3月」としている社が多いが、「13年1月~12月」「13年7月~14年6月」「12年12月~13年11月」という社もある。
●日本製薬工業協会加盟72社のほか、支払い情報を公表した関連会社(武田バイオ開発センター、興和創薬、大正富山医薬品、帝人在宅医療、ガンブロ)5社も集計した。
●消費税を含めていない社もあり、公表された金額で集計した。
●大半の社が1円単位の金額を公表したが、1千円単位~100万円単位で公表した会社が17社あり、公表された金額で集計した。(渡辺周)