2009年10月15日 (木)
おはようございます。
今回は甘いみかんさんから「太った人の方が痩せた人より長生き?」というコメント・質問をいただきました。
それでネットで調べて「2009年6月10日 読売新聞」の記事に辿り着きました。
「09/10/12 甘いみかん
お久しぶりです
今日のニュースで、太った人と痩せた人では太っている方が六年寿命が長いという統計が出たと言ってましたが・・・
糖質制限食とは一線をかくしたデーターと見なしていいのでしょうか?
メタボは肯定されてしまいます (>_<) 」
『太り気味、やせ形より7年長生き…厚労省5万人調査
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/kyousei_news/20090610-OYT8T00634.htm
40歳時点の体格によってその後の余命に大きな差があり、太り気味の人が最も長命であることが、厚生労働省の研究班(研究代表者=辻一郎東北大教授)の大規模調査で分かった。
最も短命なのはやせた人で、太り気味の人より6〜7歳早く死ぬという、衝撃的な結果になった。「メタボ」対策が世の中を席巻する中、行きすぎたダイエットにも警鐘を鳴らすものといえそうだ。
研究では、宮城県内の40歳以上の住民約5万人を対象に12年間、健康状態などを調査した。過去の体格も調べ、体の太さの指標となるBMI(ボディー・マス・インデックス)ごとに40歳時点の平均余命を分析した結果、普通体重(BMIが18・5以上25未満)が男性39・94年、女性47・97年なのに対し、太り気味(同25以上30未満)は男性が41・64年、女性が48・05年と長命だった。しかし、さらに太って「肥満」(同30以上)に分類された人は男性が39・41年、女性が46・02年だった。
一方、やせた人(同18・5未満)は男性34・54年、女性41・79年にとどまった。病気でやせている例などを統計から排除しても傾向は変わらなかった。やせた人に喫煙者が多いほか、やせていると感染症にかかりやすいという説もあり、様々な原因が考えられるという。
体格と寿命の因果関係は、はっきり分かっていない。このため、太り気味の人が長命という今回の結果について、研究を担当した東北大の栗山進一准教授は「無理に太れば寿命が延びるというものではない」とくぎを刺す。
同じ研究で、医療費の負担は太っているほど重くなることも分かった。肥満の人が40歳以降にかかる医療費の総額は男性が平均1521万円、女性が同1860万円。どちらもやせた人の1・3倍かかっていたという。太っていると、生活習慣病などで治療が長期にわたる例が多く、高額な医療費がかかる脳卒中などを発症する頻度も高い可能性があるという。
(2009年6月10日 読売新聞)』
甘いみかんさん。
お久しぶりです。コメントありがとうございます。
「太り気味、やせ形より7年長生き」というこの研究も含めて過去の疫学研究は全て、3食糖質を摂取している人のものです。
糖質、脂質、蛋白質のうち、糖質が最も太りやすい栄養素です。健康な成人が、現代のように運動不足で糖質中心の食生活をおくっていれば、基礎代謝が低下してくる中年あたりから小太りになると思われます。
例えば神奈川県伊勢原市の住民(男性9494人、女性13605人)を平均7年間追跡した結果でも、
BMI25.0〜26.9の人の死亡率が一番低いです。*
さして運動もしてなくて、糖質中心に摂取していても痩せている中高年の人は、病気とは言えない程度の何らかの吸収障害があるか、隠れた慢性基礎疾患がある可能性があります。
また記事の如く喫煙者も痩せています。或いは生来食の細い人、風邪をひきやすい人、いわゆる虚弱体質の人です。
痩せていても健康度の高い中高年は、糖質制限食をしている人、スポーツを継続的に一定量・回数こなしている人などです。
痩せていて健康度の高い人は、血中アルブミン値が正常〜正常高値で、HDLコレステロール値も正常〜あるていど正常高値で、LDL−コレステロロール値も100以上はある人です。この条件が満たされていれば、肺炎など感染症にもかかりにくいです。
例えば江部康二は、痩せ形で結構忙しくしていますが、1974年に医師になって以来、ひどい風邪やインフルエンザなどで外来を休んだことは1度もありません。
また2002年に糖質制限食を始めてからは、風邪もほとんどひきません。せいぜい0〜1回/年です。
甘いみかんさんもやせ形でも、血中アルブミン、HDL−C、LDL−Cが上記条件を満たしていれば、健康で免疫力も高いと思いますよ。
☆☆☆
江部康二検査データ:2009.6.12
身長167cm 体重56kg BMI20.1
空腹時採血血糖値93mg
HbA1c:5.3%
ケトン体:945μM/L(26〜122) 糖質制限食中は生理的で正常値
尿酸:3.6(3.4〜7.0)
TC:238
TG:55
HDL−C:113.5
LDL−C:113
アルブミン:4.9(3.8−5.3)
BUN:18.7(8〜20)
クレアチニン:0.64(0.6〜1.1)
シスタチンC:0.57(0.53〜0.95)
IRI:2.2(3〜15μU/ml)
NT−ProBNP:15pg/ml(125以下)
γGTP:39
尿中アルブミン:18.6mg/g・c(30.0未満)
尿蛋白:陰性
尿糖:陰性
尿中アセトン体:陰性
*大櫛陽一 「ちょいメタ」でも大丈夫 PHP 2008年
江部康二
今回は甘いみかんさんから「太った人の方が痩せた人より長生き?」というコメント・質問をいただきました。
それでネットで調べて「2009年6月10日 読売新聞」の記事に辿り着きました。
「09/10/12 甘いみかん
お久しぶりです
今日のニュースで、太った人と痩せた人では太っている方が六年寿命が長いという統計が出たと言ってましたが・・・
糖質制限食とは一線をかくしたデーターと見なしていいのでしょうか?
メタボは肯定されてしまいます (>_<) 」
『太り気味、やせ形より7年長生き…厚労省5万人調査
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/kyousei_news/20090610-OYT8T00634.htm
40歳時点の体格によってその後の余命に大きな差があり、太り気味の人が最も長命であることが、厚生労働省の研究班(研究代表者=辻一郎東北大教授)の大規模調査で分かった。
最も短命なのはやせた人で、太り気味の人より6〜7歳早く死ぬという、衝撃的な結果になった。「メタボ」対策が世の中を席巻する中、行きすぎたダイエットにも警鐘を鳴らすものといえそうだ。
研究では、宮城県内の40歳以上の住民約5万人を対象に12年間、健康状態などを調査した。過去の体格も調べ、体の太さの指標となるBMI(ボディー・マス・インデックス)ごとに40歳時点の平均余命を分析した結果、普通体重(BMIが18・5以上25未満)が男性39・94年、女性47・97年なのに対し、太り気味(同25以上30未満)は男性が41・64年、女性が48・05年と長命だった。しかし、さらに太って「肥満」(同30以上)に分類された人は男性が39・41年、女性が46・02年だった。
一方、やせた人(同18・5未満)は男性34・54年、女性41・79年にとどまった。病気でやせている例などを統計から排除しても傾向は変わらなかった。やせた人に喫煙者が多いほか、やせていると感染症にかかりやすいという説もあり、様々な原因が考えられるという。
体格と寿命の因果関係は、はっきり分かっていない。このため、太り気味の人が長命という今回の結果について、研究を担当した東北大の栗山進一准教授は「無理に太れば寿命が延びるというものではない」とくぎを刺す。
同じ研究で、医療費の負担は太っているほど重くなることも分かった。肥満の人が40歳以降にかかる医療費の総額は男性が平均1521万円、女性が同1860万円。どちらもやせた人の1・3倍かかっていたという。太っていると、生活習慣病などで治療が長期にわたる例が多く、高額な医療費がかかる脳卒中などを発症する頻度も高い可能性があるという。
(2009年6月10日 読売新聞)』
甘いみかんさん。
お久しぶりです。コメントありがとうございます。
「太り気味、やせ形より7年長生き」というこの研究も含めて過去の疫学研究は全て、3食糖質を摂取している人のものです。
糖質、脂質、蛋白質のうち、糖質が最も太りやすい栄養素です。健康な成人が、現代のように運動不足で糖質中心の食生活をおくっていれば、基礎代謝が低下してくる中年あたりから小太りになると思われます。
例えば神奈川県伊勢原市の住民(男性9494人、女性13605人)を平均7年間追跡した結果でも、
BMI25.0〜26.9の人の死亡率が一番低いです。*
さして運動もしてなくて、糖質中心に摂取していても痩せている中高年の人は、病気とは言えない程度の何らかの吸収障害があるか、隠れた慢性基礎疾患がある可能性があります。
また記事の如く喫煙者も痩せています。或いは生来食の細い人、風邪をひきやすい人、いわゆる虚弱体質の人です。
痩せていても健康度の高い中高年は、糖質制限食をしている人、スポーツを継続的に一定量・回数こなしている人などです。
痩せていて健康度の高い人は、血中アルブミン値が正常〜正常高値で、HDLコレステロール値も正常〜あるていど正常高値で、LDL−コレステロロール値も100以上はある人です。この条件が満たされていれば、肺炎など感染症にもかかりにくいです。
例えば江部康二は、痩せ形で結構忙しくしていますが、1974年に医師になって以来、ひどい風邪やインフルエンザなどで外来を休んだことは1度もありません。
また2002年に糖質制限食を始めてからは、風邪もほとんどひきません。せいぜい0〜1回/年です。
甘いみかんさんもやせ形でも、血中アルブミン、HDL−C、LDL−Cが上記条件を満たしていれば、健康で免疫力も高いと思いますよ。
☆☆☆
江部康二検査データ:2009.6.12
身長167cm 体重56kg BMI20.1
空腹時採血血糖値93mg
HbA1c:5.3%
ケトン体:945μM/L(26〜122) 糖質制限食中は生理的で正常値
尿酸:3.6(3.4〜7.0)
TC:238
TG:55
HDL−C:113.5
LDL−C:113
アルブミン:4.9(3.8−5.3)
BUN:18.7(8〜20)
クレアチニン:0.64(0.6〜1.1)
シスタチンC:0.57(0.53〜0.95)
IRI:2.2(3〜15μU/ml)
NT−ProBNP:15pg/ml(125以下)
γGTP:39
尿中アルブミン:18.6mg/g・c(30.0未満)
尿蛋白:陰性
尿糖:陰性
尿中アセトン体:陰性
*大櫛陽一 「ちょいメタ」でも大丈夫 PHP 2008年
江部康二
2009年07月23日 (木)
こんばんは。
本ブログで、糖質制限食と体重減少効果については、コンスタントにコメント・質問を頂いてます。皆さん、美しく痩せたいという願望はありますものね。私も以前、体重増加に悩んだ時期がありますので、お気持ちよくわかりますよ。
ます大雑把に言って、糖質制限食で約9割の人は順調に体重が減少しますが、残りの約1割の人が一筋縄ではいきません。今回は復習を兼ねて、そこら辺を考えてみましょう。
さて、「同一カロリーの摂取であれば、何を食べても減量効果は変わらない」という<カロリー神話>は、大多数の医師・栄養士において現在も根強い信仰のようになっています。
私もかつてはカロリー神話を信じていましたが、人体の生理・代謝を系統的に理論的に考察してみると、はっきり間違いということがわかりました。
まず私自身の体験ですが、42〜43歳ごろから体重は徐々に増加し腹回りも順調に育っていきました。
このごろは週2回のテニスの帰りにスポーツジムにもよって自転車こぎや腹筋・背筋運動もやってましたが、なぜかしっかり摘めるお肉が増えているので筋肉増強ではなく脂肪増強に間違いありません。
食事は、主食は玄米や胚芽米で、おかずは野菜や豆腐や魚が中心で、油脂や動物性の肉は極力控えて、カロリーにも注意して、いわゆる「ヘルシー食」を実践していました。
食事も運動も、一般の中年男性に比べれば、はるかに健康的だったのに、「何故だ!!」戸惑いと憤りが湧いてくるものの誰のせいでもありませんし現実は厳しいものでした。
2002年、52歳で糖尿病発覚時にはとうとう体重67kgになって、
血圧は160/100、腹囲は86cmと、
メタボリック・シンドロームの診断基準を見事に満たしていました。(=_=;)
HbA1cは6.3%、身長は167cm。
ここに至り、2002年6月からスーパー糖質制限食を開始しました。
その結果半年間の糖質制限食で、体重は56kgにおち、血圧も120/70、HbA1Cも4.9%と改善し、メタボリック・シンドロームも解消しました。
糖質制限食になって、それまで控えていたビーフステーキなど脂質たっぷりの食品をよく食べるようになったので「ヘルシー食」時代と同等以上にカロリーは摂取していますがこの成果です。
お酒の量も全く同等に飲んでいますが、「純米酒とエビスビール」から、「焼酎と赤ワイン」に完全に切り替えました。赤ワインは例外として、糖質のある「醸造酒」→糖質のない「蒸留酒」への変更ですね。
私一人の成功体験のみ語っても、説得力が弱いので、糖質制限食で減量できるメカニズムを生理学・生化学を駆使して理論的に考察してみましょう。
カロリー制限食と糖質制限食では、痩せる効果に大きな差があるのですが、「糖質制限食」でやせるメカニズムに関しては、以下の四つの要素が重要です。
「糖質制限食」では、糖質を摂取しないので
1 肥満ホルモン(追加分泌インスリン**)がほとんどでない。
2 体脂肪が常に燃えている。
3 血中のケトン体値が高まり、尿中に含有カロリーと共に生理的に排泄される。
4 肝臓でアミノ酸などから糖新生が行われそれに高エネルギーが消費される。
一方、従来の「カロリー制限食」では、糖質を摂取するので
A 血糖値が上昇して肥満ホルモン(追加分泌インスリン)がたっぷり分泌される。
B 体脂肪は燃えなくなり、血糖値が中性脂肪に変わり蓄積される。
C ケトン体は尿中に出なくなる。
D 肝臓の糖新生はストップする。
この<1、2、3、4>と<A、B、C、D>の比較をしてみれば、「糖質制限食」のほうが「インスリン・スイッチが作動するカロリー制限食」より、ダイエット効果があることがお解りいただけると思います。
<1、2、3、4>に関しては、摂取カロリーとは全く無関係の生理学的な事実であり、あくまでも糖質を摂取するか否かが鍵となります。
このように、少なくとも同一カロリーである限りは、糖質制限食が脂肪制限食よりダイエット効果が高いことは、理論的に証明できたと思います。
さて、しかしながら「糖質制限食を実践してもなかなか痩せない!」まれですが、そういう人が確かにおられます。
高雄病院の入院患者さんで、150cm、90kgの女性がおられました。1200キロカロリーの 糖質制限食でも減量できずに、1000キロカロリーの糖質制限食でやっと体重が減り始めました。
どうやら世の中には、痩せやすい人と痩せにくい人がいることは間違いないようですが、その大きな要因として基礎代謝があります。
吉田俊秀先生(京都府立医大臨床教授・肥満外来)によれば、日本女性の平均基礎代謝量は約1200キロカロリー/日ですが、個別には600〜2400キロカロリー/日とかなりのばらつきがあるそうです。
単純には、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回れば太るし、下回れば痩せます。
通常のカロリー制限食なら
<消費エネルギー=基礎代謝+運動エネルギー+食事誘発熱産生>です。
糖質制限食なら
<消費エネルギー=基礎代謝+運動エネルギー+食事誘発熱産生> に加えて、
《肝臓の糖新生でエネルギーを消費+尿中ケトン体でエネルギーを消失》が追加です。
基礎代謝は、何も活動していない時でも人体の機能維持に必要なエネルギーで、男性で平均約1500キロカロリー、女性で平均約1200キロカロリーです。
運動エネルギーは、1万歩歩けば、標準体重の人が350キロカロリー、肥満の人は400〜500キロカロリーを消費します。
食事誘発熱産生は、食事摂取中に消費するエネルギーですが、日本人は、平均200キロカロリー/日とされています。
こう見てくると消費エネルギーのなかで、基礎代謝が一番大きな割合を占めていることがわかります。
基礎代謝が800キロカロリー/日しかない人ならば、1200キロカロリー/日という低カロリーでもなかなか痩せないことは理解できますよね。
さて、1995年、米国アリゾナ州に居住するネイティブアメリカンの「ピマ族」に、「β3アドレナリン受容体」という物質をつかさどる遺伝子に変異が発見され、これを持つ人は糖尿病や肥満になりやすいことが報告されました。
この報告にヒントを得て、吉田先生が肥満外来の患者さんを調べたところ、34%の人に「β3アドレナリン受容体」の遺伝子変異が見つかったそうです。この遺伝子変異があると、日本人では基礎代謝量が200キロカロリー/日も低下していて、他の人と同じように食べていたら太りやすく痩せにくいのです。
ピマ族や日本人に比較的多く見られるこの遺伝子変異は「倹約遺伝子」とも言うべきもので、脂肪をためやすく燃えにくいようにするものです。
即ち、摂取エネルギーを最大限に吸収し、消費エネルギーを最小限に抑えるという、私達の祖先がかつて食料不足で飢えに苦しめられていたころには、大いに有利に働いていたものと考えられます。
かつては「倹約遺伝子」として有利に働いていたものが、飽食の現代では「肥満遺伝子」と変貌してしまったわけです。(*_*)
もし倹約遺伝子の持ち主であれば、女性で1200キロカロリーの 糖質制限食でも痩せにくいことがあり、「 糖質制限食+カロリー制限食(1000キロカロリー)」が必要となります。
**
肥満ホルモン(インスリン)
糖質を摂取して血糖値が上昇すると、インスリンが追加分泌されて、血糖は骨格筋や心筋などの細胞に取り込まれて利用されたり、グリコーゲンとして蓄えられます。しかし、血中の余剰の血糖は中性脂肪に変えられて体脂肪として蓄積されていきます。インスリンが肥満ホルモンと呼ばれる所以です。糖質制限食なら血糖値はほとんど上昇しないので、インスリンもほとんど追加分泌されません。
江部康二
本ブログで、糖質制限食と体重減少効果については、コンスタントにコメント・質問を頂いてます。皆さん、美しく痩せたいという願望はありますものね。私も以前、体重増加に悩んだ時期がありますので、お気持ちよくわかりますよ。
ます大雑把に言って、糖質制限食で約9割の人は順調に体重が減少しますが、残りの約1割の人が一筋縄ではいきません。今回は復習を兼ねて、そこら辺を考えてみましょう。
さて、「同一カロリーの摂取であれば、何を食べても減量効果は変わらない」という<カロリー神話>は、大多数の医師・栄養士において現在も根強い信仰のようになっています。
私もかつてはカロリー神話を信じていましたが、人体の生理・代謝を系統的に理論的に考察してみると、はっきり間違いということがわかりました。
まず私自身の体験ですが、42〜43歳ごろから体重は徐々に増加し腹回りも順調に育っていきました。
このごろは週2回のテニスの帰りにスポーツジムにもよって自転車こぎや腹筋・背筋運動もやってましたが、なぜかしっかり摘めるお肉が増えているので筋肉増強ではなく脂肪増強に間違いありません。
食事は、主食は玄米や胚芽米で、おかずは野菜や豆腐や魚が中心で、油脂や動物性の肉は極力控えて、カロリーにも注意して、いわゆる「ヘルシー食」を実践していました。
食事も運動も、一般の中年男性に比べれば、はるかに健康的だったのに、「何故だ!!」戸惑いと憤りが湧いてくるものの誰のせいでもありませんし現実は厳しいものでした。
2002年、52歳で糖尿病発覚時にはとうとう体重67kgになって、
血圧は160/100、腹囲は86cmと、
メタボリック・シンドロームの診断基準を見事に満たしていました。(=_=;)
HbA1cは6.3%、身長は167cm。
ここに至り、2002年6月からスーパー糖質制限食を開始しました。
その結果半年間の糖質制限食で、体重は56kgにおち、血圧も120/70、HbA1Cも4.9%と改善し、メタボリック・シンドロームも解消しました。
糖質制限食になって、それまで控えていたビーフステーキなど脂質たっぷりの食品をよく食べるようになったので「ヘルシー食」時代と同等以上にカロリーは摂取していますがこの成果です。
お酒の量も全く同等に飲んでいますが、「純米酒とエビスビール」から、「焼酎と赤ワイン」に完全に切り替えました。赤ワインは例外として、糖質のある「醸造酒」→糖質のない「蒸留酒」への変更ですね。
私一人の成功体験のみ語っても、説得力が弱いので、糖質制限食で減量できるメカニズムを生理学・生化学を駆使して理論的に考察してみましょう。
カロリー制限食と糖質制限食では、痩せる効果に大きな差があるのですが、「糖質制限食」でやせるメカニズムに関しては、以下の四つの要素が重要です。
「糖質制限食」では、糖質を摂取しないので
1 肥満ホルモン(追加分泌インスリン**)がほとんどでない。
2 体脂肪が常に燃えている。
3 血中のケトン体値が高まり、尿中に含有カロリーと共に生理的に排泄される。
4 肝臓でアミノ酸などから糖新生が行われそれに高エネルギーが消費される。
一方、従来の「カロリー制限食」では、糖質を摂取するので
A 血糖値が上昇して肥満ホルモン(追加分泌インスリン)がたっぷり分泌される。
B 体脂肪は燃えなくなり、血糖値が中性脂肪に変わり蓄積される。
C ケトン体は尿中に出なくなる。
D 肝臓の糖新生はストップする。
この<1、2、3、4>と<A、B、C、D>の比較をしてみれば、「糖質制限食」のほうが「インスリン・スイッチが作動するカロリー制限食」より、ダイエット効果があることがお解りいただけると思います。
<1、2、3、4>に関しては、摂取カロリーとは全く無関係の生理学的な事実であり、あくまでも糖質を摂取するか否かが鍵となります。
このように、少なくとも同一カロリーである限りは、糖質制限食が脂肪制限食よりダイエット効果が高いことは、理論的に証明できたと思います。
さて、しかしながら「糖質制限食を実践してもなかなか痩せない!」まれですが、そういう人が確かにおられます。
高雄病院の入院患者さんで、150cm、90kgの女性がおられました。1200キロカロリーの 糖質制限食でも減量できずに、1000キロカロリーの糖質制限食でやっと体重が減り始めました。
どうやら世の中には、痩せやすい人と痩せにくい人がいることは間違いないようですが、その大きな要因として基礎代謝があります。
吉田俊秀先生(京都府立医大臨床教授・肥満外来)によれば、日本女性の平均基礎代謝量は約1200キロカロリー/日ですが、個別には600〜2400キロカロリー/日とかなりのばらつきがあるそうです。
単純には、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回れば太るし、下回れば痩せます。
通常のカロリー制限食なら
<消費エネルギー=基礎代謝+運動エネルギー+食事誘発熱産生>です。
糖質制限食なら
<消費エネルギー=基礎代謝+運動エネルギー+食事誘発熱産生> に加えて、
《肝臓の糖新生でエネルギーを消費+尿中ケトン体でエネルギーを消失》が追加です。
基礎代謝は、何も活動していない時でも人体の機能維持に必要なエネルギーで、男性で平均約1500キロカロリー、女性で平均約1200キロカロリーです。
運動エネルギーは、1万歩歩けば、標準体重の人が350キロカロリー、肥満の人は400〜500キロカロリーを消費します。
食事誘発熱産生は、食事摂取中に消費するエネルギーですが、日本人は、平均200キロカロリー/日とされています。
こう見てくると消費エネルギーのなかで、基礎代謝が一番大きな割合を占めていることがわかります。
基礎代謝が800キロカロリー/日しかない人ならば、1200キロカロリー/日という低カロリーでもなかなか痩せないことは理解できますよね。
さて、1995年、米国アリゾナ州に居住するネイティブアメリカンの「ピマ族」に、「β3アドレナリン受容体」という物質をつかさどる遺伝子に変異が発見され、これを持つ人は糖尿病や肥満になりやすいことが報告されました。
この報告にヒントを得て、吉田先生が肥満外来の患者さんを調べたところ、34%の人に「β3アドレナリン受容体」の遺伝子変異が見つかったそうです。この遺伝子変異があると、日本人では基礎代謝量が200キロカロリー/日も低下していて、他の人と同じように食べていたら太りやすく痩せにくいのです。
ピマ族や日本人に比較的多く見られるこの遺伝子変異は「倹約遺伝子」とも言うべきもので、脂肪をためやすく燃えにくいようにするものです。
即ち、摂取エネルギーを最大限に吸収し、消費エネルギーを最小限に抑えるという、私達の祖先がかつて食料不足で飢えに苦しめられていたころには、大いに有利に働いていたものと考えられます。
かつては「倹約遺伝子」として有利に働いていたものが、飽食の現代では「肥満遺伝子」と変貌してしまったわけです。(*_*)
もし倹約遺伝子の持ち主であれば、女性で1200キロカロリーの 糖質制限食でも痩せにくいことがあり、「 糖質制限食+カロリー制限食(1000キロカロリー)」が必要となります。
**
肥満ホルモン(インスリン)
糖質を摂取して血糖値が上昇すると、インスリンが追加分泌されて、血糖は骨格筋や心筋などの細胞に取り込まれて利用されたり、グリコーゲンとして蓄えられます。しかし、血中の余剰の血糖は中性脂肪に変えられて体脂肪として蓄積されていきます。インスリンが肥満ホルモンと呼ばれる所以です。糖質制限食なら血糖値はほとんど上昇しないので、インスリンもほとんど追加分泌されません。
江部康二
2009年07月04日 (土)
おはようございます。
糖質制限食と減量と本について、モモさんからコメント・質問をいただきました。
「体重について
はじめまして。モモと申します。
1年間に体重が大幅に増えてしまって、先日東洋医学の先生に診ていただいたところ、江部先生の本やブログをオススメいただきました。
血糖値は5/29・・食後2時間174だったのですが、食事に気をつけて6/26・・食後1時間30分124になりました。
ただ、体重が1キロしか減らないのです。。
運動が苦手で全くしないのですが、食事だけでやせることはむずかしいのでしょうか?
体脂肪計がないので体質が変わっているのかどうかも分からないのですが、糖質カットの食事法をどのくらい続けたら体重に影響があるのでしょうか?
又、夏のレシピを購入したのですが、他に初心者にも作りやすいレシピブックはありませんか?
又、大豆を使った食品を薦められたのですが、30代でイソフラボンのとりすぎに注意は必要ないでしょうか?未婚なので乳がんも心配しております。
はじめてなのにたくさんの質問、すみません。。(T_T)
この機会に糖質オフを毎日の習慣にできればと奮起しております。どうぞアドバイスよろしくお願いいたします。
2009/07/02(Thu) 15:25 | URL | モモ」
ももさん。
コメントそして「糖質制限食 夏のレシピ」ご購入ありがとうございます。
東洋医学の先生も糖質制限食ご推奨しただいて、ありがとうございます。
糖質制限食と体重減少は個人差があります。
8〜9割の人は、運動無しで当初1〜2週に1〜2kgくらい減少していき、その後少しゆっくりになりますが、その人の適正体重でとまります。
私は2002年、糖尿病デビュー兼メタボデビューしたとき、167cm、66kgでしたが約半年で56kgになり、そのままキープしています。
約1割の人が、倹約遺伝子(別名・肥満遺伝子)の持ち主で、基礎代謝が低いです。基礎代謝が低い人は、「糖質制限食+カロリー制限食」の合わせ技で初めて減量できます。
減量に関しては、2009年01月26日 (月)のブログ、<NHK「ためしてガッテン」VS糖質制限食>をご参照くださいね。
糖質制限食・新人の方には、2009年6月発売の最新刊、「糖尿病のための糖質オフごちそうごはん」(アスペクト)がお奨めです。写真も見やすいとのこと、で評判は上々です。
現在、アマゾントップセラーの糖尿病コーナーのベスト2に入ってきました。
ちなみに「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」もそれぞれ、3位と5位で嬉しい限りです。(⌒o⌒)v
今回の本は、新しいパートナー、管理栄養士の大柳珠美さんとの共著です。大柳さんは、日本で最も糖質制限食に精通した管理栄養士のお一人です。豊富な経験と新しい視点で、わかりやすく使いやすい本に仕上げていただきました。
お肉もお魚もお酒もOK。面倒なカロリー計算も、交換表もいりません。糖尿病でも、食後高血糖を起こすことなく、美味しく楽しく食べることができる糖質制限食OKレシピが満載です。
112ぺージからの「食品糖質&タンパク質量表」には、1食あたりの食品の糖質量に加え、たんぱく質量も掲載しました。
食後血糖値に関して、2型糖尿人は糖質の計算だけで全く問題はありませんが、1型糖尿人の場合はタンパク質の計算が必要な場合がありますので、追加しました。表は、一人前の目安量と100g当たりの糖質量を併記し、使い勝手がよくなりました。
20ページの「糖質が少ない食品&多い食品」の表もよりわかりやすくなりました。
なお、大豆製品を食品(豆腐、納豆、湯葉・・・)から摂る限りは、全く問題ありません。問題になっているのは、サプリメントで大豆イソフラボンを単独で大量に摂取した場合です。
2009年06月04日 (木) のブログ「大豆製品と糖質制限食」をご参照ください。
閑話休題
本の話に戻りますが8月頃に、東洋経済新報社から、今までとは全く別の切り口の糖質制限食の新刊本が出版される予定なので読者の皆さん、乞うご期待ですよ。ヾ(^▽^)
江部康二
糖質制限食と減量と本について、モモさんからコメント・質問をいただきました。
「体重について
はじめまして。モモと申します。
1年間に体重が大幅に増えてしまって、先日東洋医学の先生に診ていただいたところ、江部先生の本やブログをオススメいただきました。
血糖値は5/29・・食後2時間174だったのですが、食事に気をつけて6/26・・食後1時間30分124になりました。
ただ、体重が1キロしか減らないのです。。
運動が苦手で全くしないのですが、食事だけでやせることはむずかしいのでしょうか?
体脂肪計がないので体質が変わっているのかどうかも分からないのですが、糖質カットの食事法をどのくらい続けたら体重に影響があるのでしょうか?
又、夏のレシピを購入したのですが、他に初心者にも作りやすいレシピブックはありませんか?
又、大豆を使った食品を薦められたのですが、30代でイソフラボンのとりすぎに注意は必要ないでしょうか?未婚なので乳がんも心配しております。
はじめてなのにたくさんの質問、すみません。。(T_T)
この機会に糖質オフを毎日の習慣にできればと奮起しております。どうぞアドバイスよろしくお願いいたします。
2009/07/02(Thu) 15:25 | URL | モモ」
ももさん。
コメントそして「糖質制限食 夏のレシピ」ご購入ありがとうございます。
東洋医学の先生も糖質制限食ご推奨しただいて、ありがとうございます。
糖質制限食と体重減少は個人差があります。
8〜9割の人は、運動無しで当初1〜2週に1〜2kgくらい減少していき、その後少しゆっくりになりますが、その人の適正体重でとまります。
私は2002年、糖尿病デビュー兼メタボデビューしたとき、167cm、66kgでしたが約半年で56kgになり、そのままキープしています。
約1割の人が、倹約遺伝子(別名・肥満遺伝子)の持ち主で、基礎代謝が低いです。基礎代謝が低い人は、「糖質制限食+カロリー制限食」の合わせ技で初めて減量できます。
減量に関しては、2009年01月26日 (月)のブログ、<NHK「ためしてガッテン」VS糖質制限食>をご参照くださいね。
糖質制限食・新人の方には、2009年6月発売の最新刊、「糖尿病のための糖質オフごちそうごはん」(アスペクト)がお奨めです。写真も見やすいとのこと、で評判は上々です。
現在、アマゾントップセラーの糖尿病コーナーのベスト2に入ってきました。
ちなみに「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」もそれぞれ、3位と5位で嬉しい限りです。(⌒o⌒)v
今回の本は、新しいパートナー、管理栄養士の大柳珠美さんとの共著です。大柳さんは、日本で最も糖質制限食に精通した管理栄養士のお一人です。豊富な経験と新しい視点で、わかりやすく使いやすい本に仕上げていただきました。
お肉もお魚もお酒もOK。面倒なカロリー計算も、交換表もいりません。糖尿病でも、食後高血糖を起こすことなく、美味しく楽しく食べることができる糖質制限食OKレシピが満載です。
112ぺージからの「食品糖質&タンパク質量表」には、1食あたりの食品の糖質量に加え、たんぱく質量も掲載しました。
食後血糖値に関して、2型糖尿人は糖質の計算だけで全く問題はありませんが、1型糖尿人の場合はタンパク質の計算が必要な場合がありますので、追加しました。表は、一人前の目安量と100g当たりの糖質量を併記し、使い勝手がよくなりました。
20ページの「糖質が少ない食品&多い食品」の表もよりわかりやすくなりました。
なお、大豆製品を食品(豆腐、納豆、湯葉・・・)から摂る限りは、全く問題ありません。問題になっているのは、サプリメントで大豆イソフラボンを単独で大量に摂取した場合です。
2009年06月04日 (木) のブログ「大豆製品と糖質制限食」をご参照ください。
閑話休題
本の話に戻りますが8月頃に、東洋経済新報社から、今までとは全く別の切り口の糖質制限食の新刊本が出版される予定なので読者の皆さん、乞うご期待ですよ。ヾ(^▽^)
江部康二
2009年05月15日 (金)
こんにちは。
今夜は恒例の第三金曜ライブです。
お天気も良く、客足も期待できそうです。 (^_^)
さて今回は医療費びんぼーさんから血糖値と月経前に関して
コメント・質問頂きました。
「血糖値と月経前
はじめまして、死産歴あり、うつ病歴5年、家の二階から転落により腰椎圧迫骨折5ヶ月治療中、境界型糖尿と呼ばれた、医療費びんぼーと申します。
父が糖尿人で64歳でコントロールが上手くいかずに、脳梗塞でなくなりはや10年。
私にもきっとくるーと思っておりましたが。先月、境界型糖尿病と診断されました。祖母も糖尿人です。
腰椎圧迫骨折での入院時の血液検査の結果が中性脂肪286, LDLコレステロール185とよくなかったため、別の総合病院でこちらからおねがいして、糖尿の検査をしました。
A1c 5.4 空腹時血糖103 でしたが、ブドウ糖負荷試験で90分後に178と高かったため、糖尿病手帳なるものを渡され、毎月検査をうけることになりました。
しかし!!「主食を抜けば・・・」と「アキュチック・アビバ」と氷結ゼロを片手に糖質制限に取り組んでみたところ、血糖値が下がるー下がるー。
体重も毎日200g,300g減っていくー減っていくー。腰骨砕けてて運動もろくにしてないのにですよ。
毎日が嬉しくてうつ病なんてどこへやら・・・。坑うつ薬も減らしてもらえました。
ちなみに、先日5月13日の検査では、
A1c 5.1 空腹時血糖 80 食後血糖90分後 87
中性脂肪 100 LDL-c 170 です。
実は、去年の暮れまでコテコテのマクロビアン、つまり糖質制限とはまるっきり逆の玄米菜食主義者で、肉、卵はおろか、魚まで食べずに、せっせとマクロビオテックの料理教室に通い、ひたすら忍耐の毎日でした。じゃがいもに車麩混ぜてゆばをまいたのを、鶏のから揚げもどきと信じて。
ところが、今年の正月に二階からの転落(うつ状態で)による入院で、病院の美味しい食事とお見舞いのお菓子のおすそ分け、はたまた、果物など、整形外科ですから制限なしで、タガが外れてムサボリくらっておりましたら、体重が・・・
1月の体重、76kg 身長155cmで・・・
それがなんとかがんばって、玄米菜食で72kg・・・限界でした、なかなか、落ちないんです。しかも、お酒は入院中、退院後も飲んでいないのに、脂肪肝と言われ身におぼえがなかっただけに、ショックでした。
今なら、「糖質がよくなかったのね」といえますが、恐るべし糖質!!
おかげさまで糖質制限二週間目の初心者ですが、68.5kgまで落ちました。
我慢しなくていいのね、米ぐらいなくても、本物の肉とお酒が飲めるなんて・・・毎朝夢じゃないよねって目が覚めます。
マクロから糖質制限に切り替えるのはちょっぴり勇気が要りましたが、江部先生とブログに投稿する方々の数値の結果が、糖質制限生活に切り替えるきっかけとなり、励みにもなっております。
ところで、質問なんですが、私は43歳になりますが、月経前症候群と子宮筋腫もちです。
今日はブルーデー直前なのですが、朝6時に空腹時血糖を測ったところ123もありました。普段は80台くらいなのに、40近くも差があると、さすがに気になります。
月経もシックデーと捉えて良いのか、それとも単にコントロールがよくなかったのでしょうか?
昨夜のおかずは、てんぷらです。
医療費びんぼー | 2009.05.12(火) 」
医療費びんぼーさん。
コメントありがとうございます。また、減量成功おめでとうございます。(^-^)v(^-^)v
マクロビアンから糖質制限食・・・気持ち良く解りますよ。
私も1984年から、断食を10回以上したり、主食は、病院では玄米、家では胚芽米で、おかずは野菜や豆腐やお魚が中心の食生活を、ずっと続けていました。
運動も土・日とテニスをして、そこらのおじさんに比べればかなりヘルシーなライフスタイルを維持していたつもりでした。
ところが40代前半から徐々にお腹がでてきて、51才頃には子持ちししゃものような体型で、167cm、66kgになってしまい、久しぶりに会った友人からは
「江部ちゃん、どしたん!?」
とまで言われてしまいました。 (*_*)
52才の時に、とうとう糖尿病であることがわかり、高血圧とメタボリック・シンドロームの基準も満たす有様でした。
まあ、エビスビールと純米酒を毎晩浴びるほど飲んでいたことも含めて医療費びんぼーさんの仰有るとおり、「糖質恐るべし」でしたね。(=_=;)
糖尿病が発覚してからは、スーパー糖質制限食を実践して約半年で167cm、56kgと学生時代の水準に減量し、高血圧・メタボとはおさらばで、糖尿病もコントロール良好となりました。59才現在もそのまま保っています。
医療費びんぼーさんもこのまま糖質制限食を続ければ、ダイエット成功間違いなしですよ。勿論、糖尿病発症も予防できます。
さて、
生理と血糖値の関係ですが少なくとも1型では生理前に血糖値が上昇することが多いようです。早朝空腹時血糖値も60mgとか上昇することがあり、2型に比し差が顕著です。2型だと生理前に上昇傾向があっても1型ほどではありません。
医療費びんぼーさんの血糖値上昇も40mg近いですが生理前の影響の可能性はありますね。
しかし、生理と血糖値、関係ない人もいます。結局エストロゲン、プロゲステロンと血糖値に関して、確定的な結論はまだなく、また個人差もあるようです。
江部康二
今夜は恒例の第三金曜ライブです。
お天気も良く、客足も期待できそうです。 (^_^)
さて今回は医療費びんぼーさんから血糖値と月経前に関して
コメント・質問頂きました。
「血糖値と月経前
はじめまして、死産歴あり、うつ病歴5年、家の二階から転落により腰椎圧迫骨折5ヶ月治療中、境界型糖尿と呼ばれた、医療費びんぼーと申します。
父が糖尿人で64歳でコントロールが上手くいかずに、脳梗塞でなくなりはや10年。
私にもきっとくるーと思っておりましたが。先月、境界型糖尿病と診断されました。祖母も糖尿人です。
腰椎圧迫骨折での入院時の血液検査の結果が中性脂肪286, LDLコレステロール185とよくなかったため、別の総合病院でこちらからおねがいして、糖尿の検査をしました。
A1c 5.4 空腹時血糖103 でしたが、ブドウ糖負荷試験で90分後に178と高かったため、糖尿病手帳なるものを渡され、毎月検査をうけることになりました。
しかし!!「主食を抜けば・・・」と「アキュチック・アビバ」と氷結ゼロを片手に糖質制限に取り組んでみたところ、血糖値が下がるー下がるー。
体重も毎日200g,300g減っていくー減っていくー。腰骨砕けてて運動もろくにしてないのにですよ。
毎日が嬉しくてうつ病なんてどこへやら・・・。坑うつ薬も減らしてもらえました。
ちなみに、先日5月13日の検査では、
A1c 5.1 空腹時血糖 80 食後血糖90分後 87
中性脂肪 100 LDL-c 170 です。
実は、去年の暮れまでコテコテのマクロビアン、つまり糖質制限とはまるっきり逆の玄米菜食主義者で、肉、卵はおろか、魚まで食べずに、せっせとマクロビオテックの料理教室に通い、ひたすら忍耐の毎日でした。じゃがいもに車麩混ぜてゆばをまいたのを、鶏のから揚げもどきと信じて。
ところが、今年の正月に二階からの転落(うつ状態で)による入院で、病院の美味しい食事とお見舞いのお菓子のおすそ分け、はたまた、果物など、整形外科ですから制限なしで、タガが外れてムサボリくらっておりましたら、体重が・・・
1月の体重、76kg 身長155cmで・・・
それがなんとかがんばって、玄米菜食で72kg・・・限界でした、なかなか、落ちないんです。しかも、お酒は入院中、退院後も飲んでいないのに、脂肪肝と言われ身におぼえがなかっただけに、ショックでした。
今なら、「糖質がよくなかったのね」といえますが、恐るべし糖質!!
おかげさまで糖質制限二週間目の初心者ですが、68.5kgまで落ちました。
我慢しなくていいのね、米ぐらいなくても、本物の肉とお酒が飲めるなんて・・・毎朝夢じゃないよねって目が覚めます。
マクロから糖質制限に切り替えるのはちょっぴり勇気が要りましたが、江部先生とブログに投稿する方々の数値の結果が、糖質制限生活に切り替えるきっかけとなり、励みにもなっております。
ところで、質問なんですが、私は43歳になりますが、月経前症候群と子宮筋腫もちです。
今日はブルーデー直前なのですが、朝6時に空腹時血糖を測ったところ123もありました。普段は80台くらいなのに、40近くも差があると、さすがに気になります。
月経もシックデーと捉えて良いのか、それとも単にコントロールがよくなかったのでしょうか?
昨夜のおかずは、てんぷらです。
医療費びんぼー | 2009.05.12(火) 」
医療費びんぼーさん。
コメントありがとうございます。また、減量成功おめでとうございます。(^-^)v(^-^)v
マクロビアンから糖質制限食・・・気持ち良く解りますよ。
私も1984年から、断食を10回以上したり、主食は、病院では玄米、家では胚芽米で、おかずは野菜や豆腐やお魚が中心の食生活を、ずっと続けていました。
運動も土・日とテニスをして、そこらのおじさんに比べればかなりヘルシーなライフスタイルを維持していたつもりでした。
ところが40代前半から徐々にお腹がでてきて、51才頃には子持ちししゃものような体型で、167cm、66kgになってしまい、久しぶりに会った友人からは
「江部ちゃん、どしたん!?」
とまで言われてしまいました。 (*_*)
52才の時に、とうとう糖尿病であることがわかり、高血圧とメタボリック・シンドロームの基準も満たす有様でした。
まあ、エビスビールと純米酒を毎晩浴びるほど飲んでいたことも含めて医療費びんぼーさんの仰有るとおり、「糖質恐るべし」でしたね。(=_=;)
糖尿病が発覚してからは、スーパー糖質制限食を実践して約半年で167cm、56kgと学生時代の水準に減量し、高血圧・メタボとはおさらばで、糖尿病もコントロール良好となりました。59才現在もそのまま保っています。
医療費びんぼーさんもこのまま糖質制限食を続ければ、ダイエット成功間違いなしですよ。勿論、糖尿病発症も予防できます。
さて、
生理と血糖値の関係ですが少なくとも1型では生理前に血糖値が上昇することが多いようです。早朝空腹時血糖値も60mgとか上昇することがあり、2型に比し差が顕著です。2型だと生理前に上昇傾向があっても1型ほどではありません。
医療費びんぼーさんの血糖値上昇も40mg近いですが生理前の影響の可能性はありますね。
しかし、生理と血糖値、関係ない人もいます。結局エストロゲン、プロゲステロンと血糖値に関して、確定的な結論はまだなく、また個人差もあるようです。
江部康二
2009年04月09日 (木)
こんばんは。
NEJM誌2009年2月26日号に、米国Harvard公衆衛生大学院のFrank M. Sacks氏らの
「ダイエットの種類は減量の成否に影響しない。」
「3大栄養素の摂取割合よりも総熱量の制限が重要である。」
というカロリー神話肯定論文が掲載されました。 **
811人を4グループに分けて、2年間経過を追ったものです。
Volume 360:859-873 Feb.26,2009 Number 9 NEJM
Comparison of Weight-Loss Diets with Different Compositions of Fat, Protein, and Carbohydrates
これは以前、本ブログで紹介した、やはりニューイングランド・ジャーナルの文献
低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。
• イスラエルの322人(男性86%)
• (1)低脂肪法(カロリー制限あり)
• (2)オリーブ油の地中海法(カロリー制限あり)
• (3)低炭水化物法(カロリー制限なしのアトキンス式ダイエット)
• 3グループの食事法を2年間経過観察。
• 低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。
• NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229−241
の「低炭水化物食(糖質制限食)が最も体重を減少させ、HDL-Cを増加させた。」
とう論文と真っ向から対立する結論です。
私としては、2008年のイスラエルの疫学研究が報告されて、食事療法の体重減少効果に関する長年の論争に終止符が打たれたと思っていました。
ああそれなのに、また混乱させるような研究が報告されて、「何故?」という思いでした。 (∵)?
今回、Harvard公衆衛生大学院の論文のあらましが手に入ったので、検討してみたらすぐに疑問が解けました。
この研究では、高糖質食と中糖質食の比較検討が行われていたのですが、肝腎の低糖質食(糖質制限食)のグループは無かったのです。これでは詐欺同然です。 (`∧´)
「ダイエットの種類は減量の成否に影響しない。」
「3大栄養素の摂取割合よりも総熱量の制限が重要である。」
というカロリー神話肯定の結論が最初にあって、そうなるように研究デザインを組んだのではないか、と勘ぐりたくなるような代物です。
まず、この研究のデザインした
高糖質食(低脂肪/標準たんぱく食)は、糖質65%、
低糖質食(高脂肪/高たんぱく食)は、糖質35%、
であり高雄病院の糖質制限食の糖質12%に比べると、到底、低糖質食とは言えません。
しかも2年間経過した時点で、
高糖質食グループの糖質割合は53.2%と減っており、
低糖質食グループの糖質割合は42.9%と増加していました。
高糖質食グループと低糖質グループの糖質摂取量の差は、当初のデザインよりさらに小さくなっており、これでは差がでなくても当然です。
カロリー神話が肯定された方が都合がよい業界の方々が、背後にいっぱい蠢いていそうな不自然な論文です。
ニューイングランド・ジャーナルの文献でさえも、しっかり読まないと大きな誤解をしてしまうという、教訓にはなりましたね。 (*_*)
結論です。
やはり、2008年のニューイングランド・ジャーナル、イスラエルの研究報告
NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229−241
「低炭水化物食(糖質制限食)が最も体重を減少させ、HDL-Cを増加させた。」
が、食事療法の論争に決着をつけたと思います。
こちらの低炭水化物食はアトキンス式で、当初の2ヶ月間は20g/日の糖質で、かのバーンスタイン医師の30gよりさらに少ない超低炭水化物です。脂質・タンパク質は制限なしで摂取です。
その後は徐々に増やして糖質120g/日以下で体重減少を保ったそうです。
江部康二
**
NEJM誌2009年2月26日号、
米国Harvard公衆衛生大学院のFrank M. Sacks氏らの論文からの抜粋。
811人(51±9歳、男性が36%)の過体重または肥満の成人を4等分し、無作為に以下の食事療法のいずれかに割り付けた:
エネルギーの摂取比率がそれぞれ
脂質、 たんぱく質、 炭水化物
20%、 15%、 65%(低脂肪/標準たんぱく食)
20%、 25%、 55%(低脂肪/高たんぱく食)
40%、 15%、 45%(高脂肪/標準たんぱく食)
40%、 25%、 35%(高脂肪/高たんぱく食)
低脂肪/標準たんぱく食群:
1636kcal、26.2%、17.6%、57.5%(6カ月時)
1531kcal、26.5%、19.6%、53.2%(2年時)
低脂肪/高たんぱく質食群:
1572kacl、25.9%、21.8%、53.4%(6カ月時)
1560kcal、28.4%、20.8%、51.3%(2年時)
高脂肪/標準たんぱく食群:
1607kcal、33.9%、18.4%、49.1%(6カ月時)
1521kcal、33.3%、19.6%、48.6%(2年時)
高脂肪/高たんぱく食群:
1624kcal、 34.3%、22.6%、43%(6カ月時)
1413kcal、 35.1%、21.2%、42.9%(2年時)
摂取熱量と共に運動量も、4群間に差はなかった。
NEJM誌2009年2月26日号に、米国Harvard公衆衛生大学院のFrank M. Sacks氏らの
「ダイエットの種類は減量の成否に影響しない。」
「3大栄養素の摂取割合よりも総熱量の制限が重要である。」
というカロリー神話肯定論文が掲載されました。 **
811人を4グループに分けて、2年間経過を追ったものです。
Volume 360:859-873 Feb.26,2009 Number 9 NEJM
Comparison of Weight-Loss Diets with Different Compositions of Fat, Protein, and Carbohydrates
これは以前、本ブログで紹介した、やはりニューイングランド・ジャーナルの文献
低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。
• イスラエルの322人(男性86%)
• (1)低脂肪法(カロリー制限あり)
• (2)オリーブ油の地中海法(カロリー制限あり)
• (3)低炭水化物法(カロリー制限なしのアトキンス式ダイエット)
• 3グループの食事法を2年間経過観察。
• 低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。
• NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229−241
の「低炭水化物食(糖質制限食)が最も体重を減少させ、HDL-Cを増加させた。」
とう論文と真っ向から対立する結論です。
私としては、2008年のイスラエルの疫学研究が報告されて、食事療法の体重減少効果に関する長年の論争に終止符が打たれたと思っていました。
ああそれなのに、また混乱させるような研究が報告されて、「何故?」という思いでした。 (∵)?
今回、Harvard公衆衛生大学院の論文のあらましが手に入ったので、検討してみたらすぐに疑問が解けました。
この研究では、高糖質食と中糖質食の比較検討が行われていたのですが、肝腎の低糖質食(糖質制限食)のグループは無かったのです。これでは詐欺同然です。 (`∧´)
「ダイエットの種類は減量の成否に影響しない。」
「3大栄養素の摂取割合よりも総熱量の制限が重要である。」
というカロリー神話肯定の結論が最初にあって、そうなるように研究デザインを組んだのではないか、と勘ぐりたくなるような代物です。
まず、この研究のデザインした
高糖質食(低脂肪/標準たんぱく食)は、糖質65%、
低糖質食(高脂肪/高たんぱく食)は、糖質35%、
であり高雄病院の糖質制限食の糖質12%に比べると、到底、低糖質食とは言えません。
しかも2年間経過した時点で、
高糖質食グループの糖質割合は53.2%と減っており、
低糖質食グループの糖質割合は42.9%と増加していました。
高糖質食グループと低糖質グループの糖質摂取量の差は、当初のデザインよりさらに小さくなっており、これでは差がでなくても当然です。
カロリー神話が肯定された方が都合がよい業界の方々が、背後にいっぱい蠢いていそうな不自然な論文です。
ニューイングランド・ジャーナルの文献でさえも、しっかり読まないと大きな誤解をしてしまうという、教訓にはなりましたね。 (*_*)
結論です。
やはり、2008年のニューイングランド・ジャーナル、イスラエルの研究報告
NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229−241
「低炭水化物食(糖質制限食)が最も体重を減少させ、HDL-Cを増加させた。」
が、食事療法の論争に決着をつけたと思います。
こちらの低炭水化物食はアトキンス式で、当初の2ヶ月間は20g/日の糖質で、かのバーンスタイン医師の30gよりさらに少ない超低炭水化物です。脂質・タンパク質は制限なしで摂取です。
その後は徐々に増やして糖質120g/日以下で体重減少を保ったそうです。
江部康二
**
NEJM誌2009年2月26日号、
米国Harvard公衆衛生大学院のFrank M. Sacks氏らの論文からの抜粋。
811人(51±9歳、男性が36%)の過体重または肥満の成人を4等分し、無作為に以下の食事療法のいずれかに割り付けた:
エネルギーの摂取比率がそれぞれ
脂質、 たんぱく質、 炭水化物
20%、 15%、 65%(低脂肪/標準たんぱく食)
20%、 25%、 55%(低脂肪/高たんぱく食)
40%、 15%、 45%(高脂肪/標準たんぱく食)
40%、 25%、 35%(高脂肪/高たんぱく食)
低脂肪/標準たんぱく食群:
1636kcal、26.2%、17.6%、57.5%(6カ月時)
1531kcal、26.5%、19.6%、53.2%(2年時)
低脂肪/高たんぱく質食群:
1572kacl、25.9%、21.8%、53.4%(6カ月時)
1560kcal、28.4%、20.8%、51.3%(2年時)
高脂肪/標準たんぱく食群:
1607kcal、33.9%、18.4%、49.1%(6カ月時)
1521kcal、33.3%、19.6%、48.6%(2年時)
高脂肪/高たんぱく食群:
1624kcal、 34.3%、22.6%、43%(6カ月時)
1413kcal、 35.1%、21.2%、42.9%(2年時)
摂取熱量と共に運動量も、4群間に差はなかった。




