2010年02月16日 (火)
おはようございます。
さて今回は、グルコーススパイクと動脈硬化の関係について、みやしたさんから、コメント・質問をいただきました。
【10/02/09 みやした
質問
先生はじめまして。
最近になって先生の本を読ませていただいた者です。宮本先生のファンだったのが幸いしました。親子2代の糖尿病患者です。私は42歳になります。
さて、先生の本を読んで、糖質制限することの重要性を再確認することができました。ただ、その中で一点気になったことがありました。
「高血糖は血管を傷つける」とありますが、実際には血管の中でどのような現象がおこっているのでしょうか?
例えば動脈硬化の場合に「血液がどろどろになる」「血管が硬くなる」という表現がありますが、これは「傷つける」という表現とは違うイメージです。
ネットでも調べてみたところ、コンペイトウのような形をしたブドウ糖が血管を傷つける絵が載っているところもありましたが、実際にブドウ糖が尖った形をしていて物理的に血管を傷つけるという解釈でよろしいのでしょうか?
「グルコーススパイク」という言葉のインパクトが非常に強かったので、そこで起こっている現象を詳しく知りたいと思った次第です。
素人の質問ですが、お手数でしたらしかるべき文献やホームページ等でも教えていただければ幸いです。厚かましいお願いですが、何卒、お願いいたします。
(もし、本に書いてあったことを私が読み落としている場合は申し訳ありません)】
みやしたさん。
コメントありがとうございます。
空腹時血糖値と食後高血糖値の差、急激な血糖値の上昇をグルコーススパイクといい、大きいほど血管内皮に悪影響を与えます
食後高血糖(グルコーススパイク)が、心血管疾患の強力な危険因子であることは、多くの疫学的研究や動物実験で明らかにされています。
それでは、なぜ高血糖が、血管を傷害するのでしょう?
高血糖により、細胞傷害が生じる機序の中心は、酸化ストレス(*)の亢進です。
血管内皮機能にはいろんな因子が関わっていて、弛緩と収縮のバランスをとっています。高血糖があると、酸化ストレスが増大し、血管内皮機能の弛緩に関係する因子の働きが悪くなり、動脈硬化のリスクとなります。
また高血糖があると、糖と蛋白質の非酵素的な反応により、AGE(終末糖化産物)が形成されます。AGE(**)の蓄積は、血管内皮細胞障害を引き起こします。
さらに、高血糖により体に必要な蛋白質が変性し、活性酸素が産生されます。また、糖化により、活性酸素を除去するSODという酵素も変性してしまいます。
次いで興味深い話題ですが、間欠的な高血糖は、抗酸化システムの増強を妨げるとされ、血糖の上昇・下降を繰り返す血糖変動では、慢性的な高血糖より細胞傷害機序が強く働く可能性が指摘されています。特に急激な食後血糖値の上昇(グルコーススパイク)が最も危険と言われています。
このように、食後高血糖が、「酸化ストレスの増大、血管内皮機能障害、血液凝固線溶系や脂質代謝の障害、インスリン抵抗性増大、膵β細胞の機能低下」を生じ、これらの悪循環の結果として、動脈硬化の進展とプラーク(***)脆弱性を招くことが判明しつつあります。
そして、食後高血糖を生じるのは「糖質・脂質・タンパク質」のうち糖質だけなのです。
カロリー制限が主の現行の糖尿病食では、グルコーススパイクは決して防げません。糖尿人の皆さん、是非糖質制限食で身を守ってくださいね。
*酸化ストレス
酸化ストレスとは、「生体の酸化反応と抗酸化反応のバランスが崩れ、酸化反応が亢進した状態」のことで、当然生体にとって好ましくない現象です。
高血糖、喫煙、活性酸素などが、酸化ストレスを増加させると考えられます。
酸化ストレスは、細胞のDNA、細胞膜上のリン酸脂質、蛋白質、糖質を傷害し、血管傷害を進行させます。
**AGE
タンパク質と糖が結びついた物質で、Advanced Glycation End-productの頭文字をとってAGEと呼ばれます。日本語では終末糖化産物と訳されています。
過剰な血糖は、糖化反応により血管壁のコラーゲンなど様々なタンパク質に付着します。付着した糖は一部変性してアマドリ化合物(変性ブドウ糖)となります。
このアマドリ化合物と糖が結合しAGEができます。
AGEは、糖尿病合併症を引き起こす、重大な原因の1つです。
***プラーク
動脈硬化症の中で、最も頻度が高く重要な疾患が粥状硬化症です。
粥状硬化症の初期病変は限局性の内膜肥厚を示しますが、この肥厚性斑状病巣をプラークと呼びます。
加齢や病変の進行とともに動脈のプラークの数は増加し、さらにプラーク同士の融合も見られるようになります。
プラークの成分により
①線維性プラーク
②脂質に富むプラーク
③両者の中間型(中間型プラーク)
の3群に大別されます。
脂質に富み、且つ、破裂しやすいプラークは「不安定プラーク」と呼ばれています。
破裂の結果、不安定狭心症、急性心筋梗塞、虚血性突然死などの急性冠動脈症候群を発症するので「危険なプラーク」とされています。
江部康二
さて今回は、グルコーススパイクと動脈硬化の関係について、みやしたさんから、コメント・質問をいただきました。
【10/02/09 みやした
質問
先生はじめまして。
最近になって先生の本を読ませていただいた者です。宮本先生のファンだったのが幸いしました。親子2代の糖尿病患者です。私は42歳になります。
さて、先生の本を読んで、糖質制限することの重要性を再確認することができました。ただ、その中で一点気になったことがありました。
「高血糖は血管を傷つける」とありますが、実際には血管の中でどのような現象がおこっているのでしょうか?
例えば動脈硬化の場合に「血液がどろどろになる」「血管が硬くなる」という表現がありますが、これは「傷つける」という表現とは違うイメージです。
ネットでも調べてみたところ、コンペイトウのような形をしたブドウ糖が血管を傷つける絵が載っているところもありましたが、実際にブドウ糖が尖った形をしていて物理的に血管を傷つけるという解釈でよろしいのでしょうか?
「グルコーススパイク」という言葉のインパクトが非常に強かったので、そこで起こっている現象を詳しく知りたいと思った次第です。
素人の質問ですが、お手数でしたらしかるべき文献やホームページ等でも教えていただければ幸いです。厚かましいお願いですが、何卒、お願いいたします。
(もし、本に書いてあったことを私が読み落としている場合は申し訳ありません)】
みやしたさん。
コメントありがとうございます。
空腹時血糖値と食後高血糖値の差、急激な血糖値の上昇をグルコーススパイクといい、大きいほど血管内皮に悪影響を与えます
食後高血糖(グルコーススパイク)が、心血管疾患の強力な危険因子であることは、多くの疫学的研究や動物実験で明らかにされています。
それでは、なぜ高血糖が、血管を傷害するのでしょう?
高血糖により、細胞傷害が生じる機序の中心は、酸化ストレス(*)の亢進です。
血管内皮機能にはいろんな因子が関わっていて、弛緩と収縮のバランスをとっています。高血糖があると、酸化ストレスが増大し、血管内皮機能の弛緩に関係する因子の働きが悪くなり、動脈硬化のリスクとなります。
また高血糖があると、糖と蛋白質の非酵素的な反応により、AGE(終末糖化産物)が形成されます。AGE(**)の蓄積は、血管内皮細胞障害を引き起こします。
さらに、高血糖により体に必要な蛋白質が変性し、活性酸素が産生されます。また、糖化により、活性酸素を除去するSODという酵素も変性してしまいます。
次いで興味深い話題ですが、間欠的な高血糖は、抗酸化システムの増強を妨げるとされ、血糖の上昇・下降を繰り返す血糖変動では、慢性的な高血糖より細胞傷害機序が強く働く可能性が指摘されています。特に急激な食後血糖値の上昇(グルコーススパイク)が最も危険と言われています。
このように、食後高血糖が、「酸化ストレスの増大、血管内皮機能障害、血液凝固線溶系や脂質代謝の障害、インスリン抵抗性増大、膵β細胞の機能低下」を生じ、これらの悪循環の結果として、動脈硬化の進展とプラーク(***)脆弱性を招くことが判明しつつあります。
そして、食後高血糖を生じるのは「糖質・脂質・タンパク質」のうち糖質だけなのです。
カロリー制限が主の現行の糖尿病食では、グルコーススパイクは決して防げません。糖尿人の皆さん、是非糖質制限食で身を守ってくださいね。
*酸化ストレス
酸化ストレスとは、「生体の酸化反応と抗酸化反応のバランスが崩れ、酸化反応が亢進した状態」のことで、当然生体にとって好ましくない現象です。
高血糖、喫煙、活性酸素などが、酸化ストレスを増加させると考えられます。
酸化ストレスは、細胞のDNA、細胞膜上のリン酸脂質、蛋白質、糖質を傷害し、血管傷害を進行させます。
**AGE
タンパク質と糖が結びついた物質で、Advanced Glycation End-productの頭文字をとってAGEと呼ばれます。日本語では終末糖化産物と訳されています。
過剰な血糖は、糖化反応により血管壁のコラーゲンなど様々なタンパク質に付着します。付着した糖は一部変性してアマドリ化合物(変性ブドウ糖)となります。
このアマドリ化合物と糖が結合しAGEができます。
AGEは、糖尿病合併症を引き起こす、重大な原因の1つです。
***プラーク
動脈硬化症の中で、最も頻度が高く重要な疾患が粥状硬化症です。
粥状硬化症の初期病変は限局性の内膜肥厚を示しますが、この肥厚性斑状病巣をプラークと呼びます。
加齢や病変の進行とともに動脈のプラークの数は増加し、さらにプラーク同士の融合も見られるようになります。
プラークの成分により
①線維性プラーク
②脂質に富むプラーク
③両者の中間型(中間型プラーク)
の3群に大別されます。
脂質に富み、且つ、破裂しやすいプラークは「不安定プラーク」と呼ばれています。
破裂の結果、不安定狭心症、急性心筋梗塞、虚血性突然死などの急性冠動脈症候群を発症するので「危険なプラーク」とされています。
江部康二
2008年10月02日 (木)
こんばんは。
朝は寒かったけれど、昼からとてもいいお天気で、暑いくらいになった京都です。温度差が結構あるので、皆さん体調にご注意下さいね。
さて今回は、グルコーススパイクに関して、ワキさんからコメント・質問をいただきました。
『食後血糖値上昇
はじめまして。8月の末に人間ドックで糖尿病を発見した新米糖尿人です。生来の凝り性ですので、血糖値をこまめに自己測定しながら楽しく(?)コントロールしています。自分の体に無頓着でしたが、糖尿をきっかけにコントロールすることの楽しさを知りました。体も今の方が随分好調です。病気も悪いことばかりじゃないですねぇ。
さて、グルコーススパイクについて質問させてください。
どこにも載ってなかったので・・・。
グルコーススパイクとは、食後の血糖値の急激な上昇であると定義されていますが、たとえば・・・
1)食前 120 → 食後 170
2)食前 70 → 食後140
この場合、1)はその差50、2)はその差70。
血糖値としては2の方がコントロール優良だと思うのですが、空腹時と、食後の差は大きくなります。この差の絶対値が大きい方が欠陥への悪い影響が大きいとすれば、食前(空腹時)の血糖値を下げすぎないように(たとえば2の場合空腹時血糖を90~100にコントロールする)方が、良いのでしょうか?
藪から棒に質問で恐縮です・・・。
是非ご教授ください。
by ワキ 2008/09/27 15:40』
ワキさん、コメントありがとうございます。
「1)食前 120 → 食後 170
2)食前 70 → 食後140
この場合、1)はその差50、2)はその差70。」
このどちらが良くないかという、質問ですが、これを直接比較検討したような文献はありません。従って断定はできませんが、以下私の考えを述べます。
まず、グルコーススパイクですが、基本的には急激な食後高血糖のことをいいます。グルコーススパイクは、境界領域~糖尿病を中心に広くみられます。
スパイク(spike)とは、とがったものを示す単語です。糖質摂取後2~3時間程度の短時間だけ持続して、ほぼ元の血糖レベルにまで戻る、鋭角に尖った山のような血糖上昇を指します。
食後高血糖ですから、基本的には140mg/dl以上をいいます。つまり、食後140mg未満は高血糖とは言わないし、正常範囲ですので細胞障害や血管壁への害はないと思います。
文献的には食後2時間血糖値が180mg/dlを超えてくると心・脳の大血管合併症進行のリスクが高まります。
また、食後1時間値が180mg/dlを超えても、心血管系の合併症が増えるとする文献もあります。
従いまして、グルコーススパイクも、基本的には食後血糖値が180mg/dlを超えるレベルで、空腹時血糖値と食後血糖値の差が大きいほど、良くないと考えられます。
動物実験レベルでは、血糖の上昇・下降を繰り返す血糖変動(グルコーススパイク)では、慢性的持続的な高血糖より、細胞傷害機序が強く働くことが示唆されています。
一般的な境界人や糖尿人の食生活においては、糖質を摂取したときに、一日に数回グルコーススパイクを起こしているパターンであり、持続的高血糖というのは通常はありえません。
糖質、脂質、タンパク質のうち、糖質だけがグルコーススパイクを生じます。従って境界人や糖尿人が、カロリー制限食(高糖質食)を食べれば、必ずグルコーススパイクを起こします。
つまり、恐るべきことに日本のほとんどの病院で、グルコーススパイクを起こす食事療法を、画一的にわざわざ糖尿人に指導しているわけです。(=_=;)
勿論、糖質制限食ならグルコーススパイクは生じません。ヾ(^▽^)
なお、食後高血糖が、動脈硬化の最も重要なリスクの一つであることは、間違いありませんが、
空腹時血糖値110mg/dl未満に保つことも、合併症の進行を防ぐ上で、意味があることとされています。
江部康二
朝は寒かったけれど、昼からとてもいいお天気で、暑いくらいになった京都です。温度差が結構あるので、皆さん体調にご注意下さいね。
さて今回は、グルコーススパイクに関して、ワキさんからコメント・質問をいただきました。
『食後血糖値上昇
はじめまして。8月の末に人間ドックで糖尿病を発見した新米糖尿人です。生来の凝り性ですので、血糖値をこまめに自己測定しながら楽しく(?)コントロールしています。自分の体に無頓着でしたが、糖尿をきっかけにコントロールすることの楽しさを知りました。体も今の方が随分好調です。病気も悪いことばかりじゃないですねぇ。
さて、グルコーススパイクについて質問させてください。
どこにも載ってなかったので・・・。
グルコーススパイクとは、食後の血糖値の急激な上昇であると定義されていますが、たとえば・・・
1)食前 120 → 食後 170
2)食前 70 → 食後140
この場合、1)はその差50、2)はその差70。
血糖値としては2の方がコントロール優良だと思うのですが、空腹時と、食後の差は大きくなります。この差の絶対値が大きい方が欠陥への悪い影響が大きいとすれば、食前(空腹時)の血糖値を下げすぎないように(たとえば2の場合空腹時血糖を90~100にコントロールする)方が、良いのでしょうか?
藪から棒に質問で恐縮です・・・。
是非ご教授ください。
by ワキ 2008/09/27 15:40』
ワキさん、コメントありがとうございます。
「1)食前 120 → 食後 170
2)食前 70 → 食後140
この場合、1)はその差50、2)はその差70。」
このどちらが良くないかという、質問ですが、これを直接比較検討したような文献はありません。従って断定はできませんが、以下私の考えを述べます。
まず、グルコーススパイクですが、基本的には急激な食後高血糖のことをいいます。グルコーススパイクは、境界領域~糖尿病を中心に広くみられます。
スパイク(spike)とは、とがったものを示す単語です。糖質摂取後2~3時間程度の短時間だけ持続して、ほぼ元の血糖レベルにまで戻る、鋭角に尖った山のような血糖上昇を指します。
食後高血糖ですから、基本的には140mg/dl以上をいいます。つまり、食後140mg未満は高血糖とは言わないし、正常範囲ですので細胞障害や血管壁への害はないと思います。
文献的には食後2時間血糖値が180mg/dlを超えてくると心・脳の大血管合併症進行のリスクが高まります。
また、食後1時間値が180mg/dlを超えても、心血管系の合併症が増えるとする文献もあります。
従いまして、グルコーススパイクも、基本的には食後血糖値が180mg/dlを超えるレベルで、空腹時血糖値と食後血糖値の差が大きいほど、良くないと考えられます。
動物実験レベルでは、血糖の上昇・下降を繰り返す血糖変動(グルコーススパイク)では、慢性的持続的な高血糖より、細胞傷害機序が強く働くことが示唆されています。
一般的な境界人や糖尿人の食生活においては、糖質を摂取したときに、一日に数回グルコーススパイクを起こしているパターンであり、持続的高血糖というのは通常はありえません。
糖質、脂質、タンパク質のうち、糖質だけがグルコーススパイクを生じます。従って境界人や糖尿人が、カロリー制限食(高糖質食)を食べれば、必ずグルコーススパイクを起こします。
つまり、恐るべきことに日本のほとんどの病院で、グルコーススパイクを起こす食事療法を、画一的にわざわざ糖尿人に指導しているわけです。(=_=;)
勿論、糖質制限食ならグルコーススパイクは生じません。ヾ(^▽^)
なお、食後高血糖が、動脈硬化の最も重要なリスクの一つであることは、間違いありませんが、
空腹時血糖値110mg/dl未満に保つことも、合併症の進行を防ぐ上で、意味があることとされています。
江部康二
2008年09月26日 (金)
おはようございます。今朝は雨がしとしと降っています。でもだんだん土砂降りになってきました。あれ?雷も鳴り始めましたよ。
今年は、京都・滋賀は1回も台風が来ませんでした。合計雨量は少なかったようで本日琵琶湖の水位は-30cmだそうですが、水不足という話にはなっていません。秋雨前線はどうなるのでしょう?
さて今回はギター講師さんから、グルコーススパイクの程度について、コメント・質問をいただきました。
『08/09/18 ギター講師
グルコーススパイクの程度
江部先生こんにちは!
まずは9月の測定でA1Cが5.7に下がりましたことを江部先生に感謝いたします。
7月18日の糖尿病発覚時点ではA1Cが7.0空腹時が132で朝食後2時間では192という数字でした。
その後のカロリー制限では空腹でも体調が改善せず,苦しい日々でしたが,江部先生の著書に出会いレシピも含めて5冊を読み,8月からスーパー糖質制限をはじめてから体調も良くなり体重は5Kg減少し,A1Cはわずか1ヶ月半で5.7になれました。
A1Cを検査してすぐに教えてくれて,糖質制限に理解のある病院を秋田市内に見出すことが出来ましたので,腎機能,肝機能,コレステロールなどの状態も相談しつつ今後も糖質制限を続けていけそうでうれしいです。
(ノ^_^) ハイ!
さて,長い前置きでしたが,自宅で普通に糖質制限食を取ると,食後1時間のピークでも140以下で,2時間後はもっと下がります。
仕事の関係でサラダバーのある焼肉店を利用することが多くなるのですが,どうしても,サラダのドレッシングと,焼肉のたれの糖質で食後1時間のピークは150~160位になってしまいます。
もちろん2時間後は140以下になります。
170を超えると眠くなるので,自分としてもたれを使いすぎたかなと反省するのですが,このグルコーススパイクは,どこまでが適当でしょうか。
200越えは論外として,150や160は動脈硬化に対しての危険度はどのようなものでしょうか。
ちなみに父が35年間カロリー制限をしていてA1Cが7.0から下がったことがありません。3食ご飯を食べていますので当然ですが,本当に正確な知識の大切さを考えさせられます。
このブログは多くの糖尿人のために大きく役立っていると思います。』
ギター講師さん、本5冊もご購入ありがとうございます。また多くの糖尿人に本ブログが役立っているとのコメント、とても嬉しいですね。やる気がでます。(^O^*)
「スーパー糖質制限をはじめてから体調も良くなり体重は5Kg減少し,A1Cはわずか1ヶ月半で7.0%→5.7%」
素晴らしい成果ですね。おめでとうございます。(^-^)v(^-^)v
「A1Cを検査してすぐに教えてくれて,糖質制限に理解のある病院を秋田市内に見出すことが出来ましたので,腎機能,肝機能,コレステロールなどの状態も相談しつつ今後も糖質制限を続けていけそうでうれしいです。」
それは良かったですね。秋田市内で糖質制限食に理解のある病院、是非教えていただきたいです。
グルコーススパイク(食後高血糖)ですが、
目標は、まず
1 食後2時間血糖値180mg/dl未満です。
これを達成すれば合併症が進行しないとされています。
これがクリアできたら
2 食後2時間値140mg/dl未満をめざします。
これなら診断基準上は正常人となります。
次いで
3 食後1時間血糖値180mg/dl未満が目標です。
この数値を達成していれば、正常人や境界人が将来糖尿病になる確率が低いです。
さらに
4 食後1時間血糖値が140mg/dl未満なら完全正常人です。
将来糖尿病や境界人になる確率もさらに低いです。
従いまして、我々糖尿人としては、1,2を達成していれば動脈硬化など、合併症は、まず問題はないです。3までいけばもう御の字ですね。
ギター講師さんは、スーパー糖質制限食を実践されて1,2,3をクリアしておられますので、超優等生ですよ。☆v(o^0^o)v☆
これからも美味しく楽しく糖質制限食をお続け下さいね。
江部康二
今年は、京都・滋賀は1回も台風が来ませんでした。合計雨量は少なかったようで本日琵琶湖の水位は-30cmだそうですが、水不足という話にはなっていません。秋雨前線はどうなるのでしょう?
さて今回はギター講師さんから、グルコーススパイクの程度について、コメント・質問をいただきました。
『08/09/18 ギター講師
グルコーススパイクの程度
江部先生こんにちは!
まずは9月の測定でA1Cが5.7に下がりましたことを江部先生に感謝いたします。
7月18日の糖尿病発覚時点ではA1Cが7.0空腹時が132で朝食後2時間では192という数字でした。
その後のカロリー制限では空腹でも体調が改善せず,苦しい日々でしたが,江部先生の著書に出会いレシピも含めて5冊を読み,8月からスーパー糖質制限をはじめてから体調も良くなり体重は5Kg減少し,A1Cはわずか1ヶ月半で5.7になれました。
A1Cを検査してすぐに教えてくれて,糖質制限に理解のある病院を秋田市内に見出すことが出来ましたので,腎機能,肝機能,コレステロールなどの状態も相談しつつ今後も糖質制限を続けていけそうでうれしいです。
(ノ^_^) ハイ!
さて,長い前置きでしたが,自宅で普通に糖質制限食を取ると,食後1時間のピークでも140以下で,2時間後はもっと下がります。
仕事の関係でサラダバーのある焼肉店を利用することが多くなるのですが,どうしても,サラダのドレッシングと,焼肉のたれの糖質で食後1時間のピークは150~160位になってしまいます。
もちろん2時間後は140以下になります。
170を超えると眠くなるので,自分としてもたれを使いすぎたかなと反省するのですが,このグルコーススパイクは,どこまでが適当でしょうか。
200越えは論外として,150や160は動脈硬化に対しての危険度はどのようなものでしょうか。
ちなみに父が35年間カロリー制限をしていてA1Cが7.0から下がったことがありません。3食ご飯を食べていますので当然ですが,本当に正確な知識の大切さを考えさせられます。
このブログは多くの糖尿人のために大きく役立っていると思います。』
ギター講師さん、本5冊もご購入ありがとうございます。また多くの糖尿人に本ブログが役立っているとのコメント、とても嬉しいですね。やる気がでます。(^O^*)
「スーパー糖質制限をはじめてから体調も良くなり体重は5Kg減少し,A1Cはわずか1ヶ月半で7.0%→5.7%」
素晴らしい成果ですね。おめでとうございます。(^-^)v(^-^)v
「A1Cを検査してすぐに教えてくれて,糖質制限に理解のある病院を秋田市内に見出すことが出来ましたので,腎機能,肝機能,コレステロールなどの状態も相談しつつ今後も糖質制限を続けていけそうでうれしいです。」
それは良かったですね。秋田市内で糖質制限食に理解のある病院、是非教えていただきたいです。
グルコーススパイク(食後高血糖)ですが、
目標は、まず
1 食後2時間血糖値180mg/dl未満です。
これを達成すれば合併症が進行しないとされています。
これがクリアできたら
2 食後2時間値140mg/dl未満をめざします。
これなら診断基準上は正常人となります。
次いで
3 食後1時間血糖値180mg/dl未満が目標です。
この数値を達成していれば、正常人や境界人が将来糖尿病になる確率が低いです。
さらに
4 食後1時間血糖値が140mg/dl未満なら完全正常人です。
将来糖尿病や境界人になる確率もさらに低いです。
従いまして、我々糖尿人としては、1,2を達成していれば動脈硬化など、合併症は、まず問題はないです。3までいけばもう御の字ですね。
ギター講師さんは、スーパー糖質制限食を実践されて1,2,3をクリアしておられますので、超優等生ですよ。☆v(o^0^o)v☆
これからも美味しく楽しく糖質制限食をお続け下さいね。
江部康二
2007年07月26日 (木)
こんばんは。京都は一日良い天気です。
高雄病院でお昼の診察中、2.3分ほど、通り雨がありましたが、またすぐお日様がでました。
さて、今回は、グルコーススパイク(ブドウ糖スパイク)のお話です。
近年の糖尿病関係の話題として、『空腹時血糖値と食後高血糖値の差(ブドウ糖スパイク)が大きいほど、リアルタイムに大血管の内皮が傷害されて動脈硬化になりやすく、将来心筋梗塞の危険性が高まる』という説が有力となっています。
糖尿病の人は、当然、ブドウ糖スパイクが大きいわけです。
例えば、空腹時血糖値が100~120mgとかでも、糖質摂取後の血糖値は200、300mgとなってしまいます。(*脂質やタンパク質を食べても、ブドウ糖スパイクは起こりませんので、念のため。)
一方、糖尿病がない人でも、精製された糖質(高GI食品)を食べれば、糖尿病の人に比べれば小さいとはいえ、ブドウ糖スパイクが生じますから、代謝全般に乱れが生じてアレルギー疾患や高脂血症・肥満など様々な生活習慣病にも悪影響がでる可能性があります。
私は、この小さなブドウ糖スパイクを、『ミニスパイク』と呼んでいます。
精製された糖質は、特に血糖を上昇させやすい食品です。中でも白パン、ケーキなどの精製小麦粉製品は血糖上昇指数(GI)が100もあります。ちなみに白米は70、玄米は50です。
糖尿病が無ければ、玄米などGIの低いものを主食としていれば、ミニスパイクもほとんど起こらず、血管内皮の障害のリスクも無くなりますし代謝も安定します。
過去経験的に、「玄米魚菜食がいろんな病気の改善に良い」と言われ、高雄病院でも1984年から玄米魚菜食を給食で提供してきました。
なぜ良いのか、理論的根拠に長年悩んでいましたが、「ブドウ糖スパイク理論」でやっと説明がつきました。
世界中に、今まで様々な食事療法があり、それぞれ治療効果を謳っていますが、やはり「ブドウ糖スパイクが少ない」という一点で共通していることが多いようです。
なお、糖質制限食ならミニスパイクも全く起こらず、血糖値は勿論、代謝全てが安定します。
江部康二
高雄病院でお昼の診察中、2.3分ほど、通り雨がありましたが、またすぐお日様がでました。
さて、今回は、グルコーススパイク(ブドウ糖スパイク)のお話です。
近年の糖尿病関係の話題として、『空腹時血糖値と食後高血糖値の差(ブドウ糖スパイク)が大きいほど、リアルタイムに大血管の内皮が傷害されて動脈硬化になりやすく、将来心筋梗塞の危険性が高まる』という説が有力となっています。
糖尿病の人は、当然、ブドウ糖スパイクが大きいわけです。
例えば、空腹時血糖値が100~120mgとかでも、糖質摂取後の血糖値は200、300mgとなってしまいます。(*脂質やタンパク質を食べても、ブドウ糖スパイクは起こりませんので、念のため。)
一方、糖尿病がない人でも、精製された糖質(高GI食品)を食べれば、糖尿病の人に比べれば小さいとはいえ、ブドウ糖スパイクが生じますから、代謝全般に乱れが生じてアレルギー疾患や高脂血症・肥満など様々な生活習慣病にも悪影響がでる可能性があります。
私は、この小さなブドウ糖スパイクを、『ミニスパイク』と呼んでいます。
精製された糖質は、特に血糖を上昇させやすい食品です。中でも白パン、ケーキなどの精製小麦粉製品は血糖上昇指数(GI)が100もあります。ちなみに白米は70、玄米は50です。
糖尿病が無ければ、玄米などGIの低いものを主食としていれば、ミニスパイクもほとんど起こらず、血管内皮の障害のリスクも無くなりますし代謝も安定します。
過去経験的に、「玄米魚菜食がいろんな病気の改善に良い」と言われ、高雄病院でも1984年から玄米魚菜食を給食で提供してきました。
なぜ良いのか、理論的根拠に長年悩んでいましたが、「ブドウ糖スパイク理論」でやっと説明がつきました。
世界中に、今まで様々な食事療法があり、それぞれ治療効果を謳っていますが、やはり「ブドウ糖スパイクが少ない」という一点で共通していることが多いようです。
なお、糖質制限食ならミニスパイクも全く起こらず、血糖値は勿論、代謝全てが安定します。
江部康二