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海外旅行の食事とDPP-4阻害剤。よく歩くと有効。
【15/05/22 rikko

海外旅行の食事

いつも拝見させて頂いています。

この度 1週間イタリア旅行に出かけました。

パスタ、リゾットの街。自分たちで食事を選択す旅行ならともかく、添乗員さんにひたすらついて回る旅。もちろん食事は出されるままです。

H22年9月に境界型と言われ1か月カロリー制限。その後糖質制限を続けていますが、時々飲み会・食事会の時のみグルファストを服用。しかし海外旅行となると往復の飛行機の中を含めずっとということになりますので、今回テネリア20を飲んでみることにしました。その結果を報告します。

5/15
朝食前     97
朝食1時間後  130
昼食前     95 
昼食1時間後  134
夕食前     87
夕食1時間後  123

5/18
夕食2時間後  127

5/19
夕食2時間後  109

これはなかなか良いぞと思っていました。

帰国後21日昼食に買ってきたリゾットを1人前弱食べました。その朝までテネリアは服用しています。

昼食後1時間後 206

旅行中はとにかく歩きました。なにせJTBの☆1という盛だくさんというかとにかく動き回るツアー。そのおかげで血糖値が抑えられたと思います。昨日は疲れ果て何もせずグターっとしているときの測定。

結論です。DPP4 阻害剤は低血糖も起こさず良い薬だと思います。しかしそれだけでは不十分。運動が必要です。旅行中の選択の一つとしてはありだと思います。

昨夜から糖質制限に戻りました。
また頑張ります。】



おはようございます。

rikko さんから、海外旅行の食事とDPP-4阻害剤について、コメントをいただきました。

よく歩いていた場合は、DPP-4阻害剤はかなり有効とのことです。

rikko さん、わかりやすい体験データをありがとうございます。

イタリア旅行中、テネリア(20)1錠(DPP-4阻害剤)を内服して食事。

5/15
朝食前     97
朝食1時間後  130
昼食前     95 
昼食1時間後  134
夕食前     87
夕食1時間後  123

5/18
夕食2時間後  127

5/19
夕食2時間後  109


イタリア旅行ですから、当然、パスタやピザを食べておられると思いますが、食後1時間血糖値も食後2時間血糖値も140mg/dl未満であり、コントロール極めて良好ですね。

ところが、帰国後、同じようにテネリア(20)1錠を内服していて
昼食にリゾットを1人前弱食べたところ
1時間後血糖値は206mg/dlと高値。


この差は、rikko さんのご考察の通り、運動量の差と考えられます。

イタリア旅行中は終日よく歩いたので
<DPP-4阻害剤+運動>の相乗効果がでたと考えられます。
帰国後は
<DPP-4阻害剤単独>なので、効果が運動ありに比し、激減しています。
単純には、運動が食後の血糖値を70~80mg下げている見当です。

私も、DPP-4阻害剤は、時々処方しますが、糖質を1人前食べて、食後1時間血糖値、食後2時間血糖値を140mgt/dl未満に保つような効果はありません。

rikko さんの、帰国後の運動なしの場合の、食後血糖値がDPP-4単独の効果の実態と思います。

食後血糖値に関して「糖質制限食の効果」と「運動の効果」を調べるため、2008年に高雄病院と東海大学で共同研究を実施しました。

研究結果は、2009年の日本糖尿病学会年次学術集会で発表されました。

「糖質制限食の効果」は見事に証明されました。

一方「運動の効果」に関して研究の結論は

1)基礎分泌インスリンがあるていど以上不足している段階の糖尿人には、運動療法の効果がほとんどない。

2)BMI25以上の糖尿人も運動効果はほとんど期待できない。


3)BMIが25未満の普通の体型の人で、インスリン基礎分泌があるていど残っていれば、運動療法の効果は
 期待できる


ということでした。 (^^)

rikko さんも、基礎分泌インスリンがあるていど以上残っていて肥満がないので、運動の効果が顕著に出たのだと思います。



江部康二


テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
SGLT2阻害薬内服で、60g/日のブドウ糖が尿中に排泄される。
こんにちは。

今まで、SGLT2阻害薬は症例を絞って(若い人、脱水予防できる人、利尿剤を飲んでない人・・・)、短期間投与にとどめるべき薬と強調してきました。

私自身も糖毒解除のために短期間処方することがあります。

SGLT2阻害薬投与により、

空腹時血糖値は30~ 40mg/dL、
食後2時間血糖値はおよそ60mg/dL

下がるくらいの効果が期待できるので糖毒解除には便利な薬剤と思います。

しかし短期間にとどめるべき薬剤ということは変わりません。

さてSGLT2阻害薬に関して、1日に100gのブドウ糖が尿中に排泄されて、400kcal/日が失われるとブログ記事で再三書いてきました。

しかし、私の勘違いだったようで、最近メーカーのMRさんに確認したところ、
1日に60gのブドウ糖が尿中に排泄されて、
240kcal/日が失われるということでした。

炊いたご飯一膳分のカロリーに相当するので、そのように理解すると記憶しやすいですね。

腎糸球体で濾過されて尿細管に排出されたブドウ糖は、近位尿細管に発現しているSGLT2で約90%、SGLT1で約10%の割合で再吸収されるので合計100%吸収されて、健常者では尿糖はでません。

そしてSGLT2阻害薬でSGLT2が完全に阻害されても、SGLT1の予備能によりブドウ糖はあるていど再吸収されます。

つまり、本来SGLT2分の160g尿中に排泄されるはずのブドウ糖が、SGLT1の予備能によって、120g(いつもの20g+予備能100g=120g・・・約67%)再吸収するので、60gの排泄ということになるのです。


健常者

1)
糸球体で濾過されるグルコース、180g/日

2)
SGLT2に再吸収されるグルコース、160g/日(約90%)

3)
SGLT1に再吸収されるグルコース、20g/日(約10%)

4)
尿糖排泄なし


SGLT2阻害薬でSGLT2が完全に阻害された場合

1)
糸球体で濾過されるグルコース、180g/日

2)
SGLT2に再吸収されるグルコース、0g/日(0%)

3)
SGLT1に再吸収されるグルコース、120g/日(約67%)

4)
尿糖排泄60g/日。ご飯約1膳分。

本日の記事は以下の文献を参考にしました。

*Abdul-Ghani M.A.et all:
DIABETES, VOL. 62, 3324-3328 OCTOBER 2013


テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
CGMにより、α-グルコシダーゼ阻害剤が見なおされるか?
こんにちは。

今日はα(アルファ)-グルコシターゼ阻害薬剤(α-GI薬)について考えてみます。

デンプンのような多糖類は、α-アミラーゼという消化酵素の作用を得て、二糖類(麦芽糖や蔗糖)やオリゴ糖に分解されます。

この二糖類やオリゴ糖は、マルターゼ、スクラーゼ、グルコアミラーゼなどの酵素により、単糖(ブドウ糖、果糖、ガラクトース等)に分解されて小腸から体内に吸収されます。

マルターゼ、スクラーゼ、グルコアミラーゼなどの酵素を総称して、α-グルコシダーゼと呼びます。

この、α-グルコシダーゼの働きを阻害することにより、腸管からの糖質の分解・吸収を遅延させて、食後高血糖を抑制するお薬が、『α-グルコシダーゼ阻害薬』(グルコバイ、ベイスン、セイブル)です。

グルコバイ(アカルボース)はα-グルコシダーゼだけではなく、α-アミラーゼに対する阻害作用も、もっています。

ベイスン(ボグリボース)やセイブル(ミグリトール)は、α-グルコシダーゼの活性を阻害しますが、α-アミラーゼには影響を与えません。

従って、グルコバイの方が少し効果が強いですが、副作用もやや起こりやすいです。

それぞれ常用量で下記程度に血糖値を下げるとされています。

グルコバイ: 1時間値50mg、2時間値40mg
ベイスン: 1時間値40mg、2時間値30mg
セイブル: 1時間値60mg、2時間値20mg

しかし、これほど下がらない人もあります。

セイブルは1時間値を下げるけれど、2時間値はあまり下げないのが特徴です。

いずれの薬も結構個人差が大きいですし、印象としては上記の数字ほど下がらない人のほうが多いです。

朗報として、最近のCGM(Continuous Glucose Monitoring:持続ブドウ糖測定)システムの普及で、α-GI薬が、食後高血糖と共に平均血糖変動幅増大をある程度コントロールしていることが判明し、その有効性が見直されています。

2002年、2003年に、LancetやJAMA(米国医師会雑誌)に掲載されたSTOP-NIDDMという臨床試験(☆)で、アカルボース(α-グルコシダーゼ阻害薬・グルコバイ)による治療は、2型糖尿病の発症を36%、心血管疾患の発症を49%抑制すると報告されました。

2008年6月にヘルシンキで「第5回糖尿病とその合併症予防に関する世界会議」(WCPD)が開催され、STOP-NIDDM試験のまとめが発表されました。

あまりにも、結果が良すぎるので、当時私は信用していなかったのですが、近年のCGMの普及により、STOP-NIDDMの結果は、信頼できるものであったと納得がいきました。

CGMの普及により、α-GI薬のように見直される薬剤もあれば、SU剤のように欠点がもろに暴露された薬剤もあり、栄枯盛衰ですね。

作用機序から考えて、膵臓のβ細胞には全く影響を与えないので、SU剤のように疲れた膵臓を鞭打つといった欠点はありません。(^^)

しかし、比較的頻度の多い副作用として、分解が遅れて腸管に残った糖質が醗酵してガスがでたり、お腹が張ったり、下痢をすることがあります。(-_-;)

ガスの貯留により、腸閉塞(イレウス)のような症状になる事があるので、腹部手術歴の有る方は、禁忌とされています。

私自身で行った人体実験では、かなり興味深いことがありました。

グルコバイの常用量を食直前に服用して何種類かの食品を試食してみました。

蕎麦はほとんど腹満がなかったのですが、お餅は最悪で、腹満・腹痛・ガスのフルコースで、病院に行こうか?(∵)?と思ったくらいでした。

うどんやご飯は、蕎麦に比べたらやや腹満・ガスなど出やすかったですね。

個人差はあると思いますが、参考にしていただけばと思います。

現在は、私は、食事の工夫をしてますので、内服薬は一切なしです。

糖尿人でスーパー 糖質制限食の場合は、ほとんど薬はなしですが、お昼だけ主食ありの『スタンダード 糖質制限食』の時は、α-GI薬を内服してもらうことがあります。

従いまして、「糖尿病には糖質制限食」の高雄病院でも比較的使用頻度の高いのが『α-グルコシダーゼ阻害薬』です。

高雄病院入院中にグルコバイ100mgを、食直前30秒前に内服して、昼食に例えば炊いたご飯100gなどで実験し、食後2時間血糖値値が180mgを超えない量をリサーチすることも多いです。

グルコバイ・ベイスン・セイブルを飲み忘れた場合、食べ始めてから飲んでもそれなりに有効です。食事終了時に内服しても無効です。

基本的に安全性の高い薬ですが、まれに肝障害を来す例があるので、定期的な血液検査を推奨します。



(☆)

以下は糖尿病ネットワーク
2008年6月22日の記事を一部転載です。
糖尿病ネットワーク
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2008/007131.php

2008年06月22日
カテゴリー:2008年 糖尿病の予防

アカルボース(α-グルコシダーゼ阻害薬)による治療は、2型糖尿病の発症を36%、心血管疾患の発症を49%抑制すると発表された。

今年6月にヘルシンキで「第5回糖尿病とその合併症予防に関する世界会議」(WCPD)が開催された。

バイエル・シエーリング・ファーマ社のキャンペーン「糖尿病、心に留めて(We Take Diabetes To Heart)」の一環として行われた「糖尿病と心血管疾患(CVD)の予防―アカルボースと迎える新時代」と題したシンポジウムで、欧州と北米で実施された「STOP-NIDDM」試験の結果が発表された。

3年間行われたこの試験では、アカルボースによる治療で2型糖尿病へ進展するリスクが36%有意に減少し、心筋梗塞などの心血管疾患の発症は49%減ったという。

アカルボースは前糖尿病(Pre-Diabetes)と2型糖尿病の治療薬として、主要なガイドラインで推奨されている。

現在、国際的な研究グループが、「アカルボース」(製品名:グルコバイ)の脳血管疾患・心血管疾患の予防効果を調べる大規模な臨床研究「ACE試験」を準備している。

アカルボースなどのα-グルコシダーゼ阻害薬は、食物に含まれている糖質の分解・吸収を遅らせ、食後高血糖を抑制する作用がある。

ACE試験は、多施設二重盲験無作為化治験で、アカルボースとプラセボ投与の比較が行われる。

すでに中国と香港で、心血管疾患があり前糖尿病と診断された患者7500人以上が登録しているという。

試験の結果は2014年に出る見込み。

ルーリー・ホルマン・英オックスフォード大学糖尿病試験課教授は、

「この結果は、前糖尿病と心血管疾患という『死の二重奏』に対し、早期介入とリスク管理面での総合的手法を確立する基礎となるでしょう。また、患者さん個人と社会全体の医療負担を減らす一助となるでしょう」

と述べている。

(*)
Lancet. 2002 Jun 15;359(9323):2072-7.
Acarbose for prevention of type 2 diabetes mellitus: the STOP-NIDDM randomised trial.
Chiasson JL1, Josse RG, Gomis R, Hanefeld M, Karasik A, Laakso M; STOP-NIDDM Trail Research Group.

(**)
Chiasson JL, Josse RG, Gomis R, Hanefeld M, Karasik A, Laakso M, STOP-NIDDM Trial Research Group: Acarbose treatment and the risk of cardiovascular disease and hypertension in patients with impaired glucose tolerance: the STOP-NIDDM trial. JAMA 2003; 290: 486-494.


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食とグルファスト
【14/11/03 フィガロ

グルファストの効用について

江部先生、いつもブログから色々と参考にさせて頂いております。ありがとうございます。 私は38歳男性で、今年の1月に糖尿病の診断を受け、入院・インスリン強化治療を経て、その後ジャヌビアとグルファストで血糖値コントロールしておりました。

入院時はA1C12,2でしたが、3月には7,3になりインスリン治療から薬に切り替わり、5月には6,3まで落ち着きました。 そこから下げ止まりとなったこと、朝の血糖値が高いことを主治医に相談したとろこ、ピオグリタゾンを追加されました。1ヶ月ほど服用するも、朝の血糖値も改善される気配が無いためピオグリタゾンとグルファストの服用を止め、以前から知っていた江部先生が推奨されております、糖質制限に切り替えました。朝の血糖値が、高い時には140~150あったのが、現在は110~125と境界線程度に落ち着きました。また食後血糖もリアルタイムに下がっており、その効果を実感しております。通院が2ヶ月毎のため、どの程度A1Cに反映されるかわかりませんが、6,0が切れるか楽しみにしています。その中で現在服用を止めているグルファストについてご教授頂きたいのです。

①基本糖質制限をしていますが、止む得ず糖質を多く摂取する場合、グルファストを服用しています。服用頻度は週一程度です。膵臓を刺激してインスリンを分泌させるため、かなり膵臓に普段をかけているのでしょうか?極力服用を抑えたほうがよろしいでしょうか?

②先日、あらためてグルファストについて調べておりましたら、インスリン分泌遅延を改善させるとありました。これが本当なら、服用を続けたほうがよろしいのでしょうか?

ご多忙だと思いますが、ご教授頂けると幸いです。よろしくお願い致します。】



こんにちは。

フィガロさんから、糖質制限食とグルファストについてコメント・質問をいただきました。

ピオグリタゾン(アクトス)とグルファストの服用を中止し、糖質制限食に切り替えて、早朝空腹時血糖値が、140~150mg/dlから110~125mg/dlに改善。

糖尿病型から、境界型レベルになったので、合併症予防の観点からはとても良いことです。

食後血糖値はスーパー糖質制限食ならほとんど上昇しないと思います。

次回のHbA1cが6%未満になればいいですね。

「①基本糖質制限をしていますが、止む得ず糖質を多く摂取する場合、グルファストを服用しています。服用頻度は週一程度です。
膵臓を刺激してインスリンを分泌させるため、かなり膵臓に普段をかけているのでしょうか?
極力服用を抑えたほうがよろしいでしょうか?」


グルファストは速効型インスリン分泌促進剤です。

2時間くらい膵臓のβ細胞に働いてインスリン分泌を促します。

ごく短時間なのでβ細胞への負担は少ないです。

これに対してSU剤のアマリールは約12時間、オイグルコンは約24時間β細胞に働くので、作用時間が長い分、膵臓に負担をかけています。

私は、2年前からSU剤は中止し始めて、約1年前からは全く使用していません。

日本全体でもSU剤の使用は、激減しています。

グルファストに関しては、週一回ていどなら、全く問題ありません。

私も旅行中とか外食でやむを得ないときなどにグルファストを処方しています。

1gの糖質が約3mg血糖値を上昇させます。

グルファストの効果には個人差があり、1錠で20~60mgくらい血糖値を下げるとされています。

グルファストは5mgの錠剤と10mgの錠剤があります。

食後血糖値180mg/dl未満を達成するには、薬を飲んで、炊いたご飯一杯150gのところを、100~110gくらいに謙虚に食べるくらいが一般的です

「②先日、あらためてグルファストについて調べておりましたら、インスリン分泌遅延を改善させるとありました。これが本当なら、服用を続けたほうがよろしいのでしょうか? 」

グルファストは食直前に内服して、β細胞に働きかけ、主としてインスリン追加分泌第1相の分泌を促します。

追加分泌第1相は、β細胞にプールされているインスリンです。

その後、追加分泌第2相にもあるていど作用します。

改善といっても、β細胞そのものが正常に復活するという意味ではないですので、糖質摂取時だけのほうが好ましいです。

2型糖尿病患者の非糖尿病の近親者を調べたら、追加分泌の第1相が低下・欠如している人が時々いるようです。

つまり、先天的に膵臓のベータ細胞の機能がよろしくない一群の人達がいて、当然糖尿病になりやすいというパターンが一つ存在するわけです。

正常の人は、血糖値が上昇し始めたら即インスリンが追加分泌されます。

これは第1相反応と呼ばれ、もともとプールされていたインスリンが5~10分間分泌されて、糖質摂取時の急激な食後高血糖を防いでいます。

その後、膵臓のベータ細胞は、第2相反応と呼ばれるやや少なめの、持続するインスリン分泌を行います。

これは、食事における糖質の残りをカバーしています。

即ち、糖質を摂取している間は、第2相のインスリン分泌が持続します。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
メトホルミン不応例への二次治療,優先すべきはインスリンかSU薬か
こんにちは。

MT Pro に

「メトホルミン不応例への二次治療,優先すべきはインスリンかSU薬か」

という記事が掲載されました。

欧米では、2型糖尿病治療の第一選択剤は、メトホルミンです。

今回のJAMAに発表された米国の研究は、メトホルミン単独治療では、血糖管理が不良であった症例に追加治療として
「メトホルミン+SU剤」か「メトホルミン+インスリン注射」のどちらかを実施して、両グループの総死亡のリスクなどを観察したものです。

研究者は「メトホルミンへのインスリン追加による強化治療が、SU薬による同治療に比べ心血管疾患や死亡までのリスクを低下させるとの仮説」に基づき検討を行ったのですが、結果は、逆になりました。

即ちインスリン追加強化治療グループの方が、SU剤追加グループより総死亡率が優位な上昇を示したのです。

米国では、

「メトホルミンへのインスリン追加による強化治療が、SU薬による同治療に比べ心血管疾患や死亡までのリスクを低下させるとの仮説」

や、膵β細胞の機能保持を期待して、インスリン治療を導入する医師が増えていたので、この傾向に冷や水を浴びせる結果となりました。

今回の研究の結果を見ると、2008年の「ACCORD」試験を思い起こします。

インスリン治療やSU剤で強化治療をして、HbA1cを厳格に6.0%を目指したグループと通常治療でHbA1c7.5%を目指したグループの比較で、強化治療群の方が有意差をもって総死亡率が上昇したのです。

5年間予定の研究が総死亡率上昇のため3.4年目で緊急中止になったのですが、中止時の平均HbA1cは厳格血糖管理群6.4%、通常血糖管理群7.5%でした。

HbA1cは良かったのに総死亡率が上昇した理由として、「低血糖の増加、体重増加、血糖変動幅増大」などが問題とされました。

結局糖質を普通に摂取しながら、厳格に薬物治療を実施すると、かえって総死亡率が上昇するという信頼度の高いエビデンスが出た訳です。

今回の研究も、同様の理由が考えられます。

つまりインスリン治療のほうが、SU剤より、「低血糖の増加、体重増加、血糖変動幅増大」を生じやすかった可能性があります。

やはり、普通に糖質を食べながら、インスリンなどで強化治療すると、総死亡率においてリスクとなるという新たなエビデンスの一つと考えられます。

SU剤も「低血糖の増加、体重増加、血糖変動幅増大」を生じて、禁止した方がいい薬なのですが、「糖質摂取量とのマッチングの悪いインスリン注射」の方が、さらに危険ということのようです。



江部康二




☆☆☆
MT Pro 記事から一部転載
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1406/1406052.html

【2014年6月16日
メトホルミン不応例への二次治療,優先すべきはインスリンかSU薬か
米の傾向スコアマッチングによる後ろ向き研究
 米Veterans Health Administration–Tennessee Valley Healthcare System Geriatric Research Education Clinical CenterのChristianne L. Roumie氏らは,メトホルミン単剤の一次治療による血糖管理不良例に対する二次治療としてメトホルミンにSU薬,インスリンのどちらを先に追加すべきかを検討。その結果をJAMA(2014; 311: 2288-2296)に報告した。退役軍人健康庁(VHA)データベースなどに基づき,2001~08年にメトホルミン単独投与を受けていた17万8,341例から,その後インスリンまたはSU薬の追加処方を受けていた患者を抽出。傾向スコアマッチングによる急性心筋梗塞(AMI),脳卒中または死亡リスクを比較した。

早急かつ柔軟な血糖管理から増えるインスリン早期導入

 米国糖尿病学会(ADA)のガイドラインでは,一次治療のメトホルミンによる単独治療で3カ月以内に良好な血糖管理(多くの場合,HbA1c7%未満が基準)が得られなかった患者への二次的な強化治療としてSU薬,インスリンの他,チアゾリジン系薬,DPP-4阻害薬,GLP-1受容体拮抗薬が同列に示されている(関連記事)。二次治療として,どの薬剤を先行して使用すべきかについては現時点で一致した見解はないとRoumie氏ら。早急かつ柔軟な血糖管理が可能としてインスリンを使用することがあるが,現時点で早期インスリン治療が膵β細胞の機能保持に有効との報告が数件あり,メトホルミンとの早期併用療法を行う医師は増えている。しかし,患者からは自己注射の難しさや体重増加,低血糖への懸念から,インスリン導入を遅らせて欲しいとしばしば要望があると日常臨床上の問題を指摘する。同氏らはメトホルミンへのインスリン追加による強化治療が,SU薬による同治療に比べ心血管疾患や死亡までのリスクを低下させるとの仮説に基づき検討を行った。

傾向スコアマッチングによるインスリン追加群2,436例,SU薬追加群1万2,180例を比較

 VHAやメディケア,メディケイドに登録され,2年以上の定期治療歴のあった18歳以上の成人のうち,2001~08年にメトホルミンの使用を開始した患者17万8,341例を抽出。このうち,引き続きインスリンまたはSU薬の追加による強化治療を受けていた患者について,インスリンまたはSU薬追加による2011年9月までのAMI,脳卒中による入院あるいは全死亡のリスクを比較した。

 対象期間にメトホルミン単独治療を受けていた17万8,341例のうち,2,948例がインスリンを,3万9,990例がSU薬による強化療法を受けていた。心血管予後や全死亡に関連する背景因子を調整した傾向スコアマッチングによるサブコホートはインスリン追加群2,436例,SU薬追加群1万2,180例。

インスリン追加群で複合心血管疾患+全死亡リスクが有意に上昇,心血管疾患+心血管死リスクは上昇せず

 強化療法開始までのメトホルミン単独使用期間の中央値は14カ月(IQR 5~30),HbA1c中央値は8.1%(同7.2~9.9%),強化療法以降の追跡期間中央値は14カ月(同6~29カ月)であった。

 追跡期間におけるAMI+脳卒中+全死亡発生件数は,SU薬追加群の634件に対しインスリン追加群では172件。SU薬追加群に対するインスリン追加群の複合心血管疾患+全死亡の調整後ハザード比(HR)は1.30(95%CI 1.07~1.58,P=0.009)と有意に上昇。一方,二次評価項目のAMI+脳卒中のHRは0.88(同0.59~1.30,P=0.52)であったが,全死亡のHRは1.44(同1.15~1.79,P=0.001)と有意な上昇を示した。

 なお,AMI+脳卒中あるいは心血管疾患死の複合イベントのHRは0.98(同0.71~1.34,P=0.87)と有意な上昇は見られなかった。

 Roumie氏らは,メトホルミンにインスリンを加えた強化療法がSU薬追加の場合に比べ,非致死性心血管疾患と全死亡のリスク上昇に関連していたと結論。インスリン使用患者における複合イベントリスクの上昇について詳しい検討が必要な他,現行GLで推奨されている経口薬による管理が可能な症例に対し,SU薬と同等にインスリンを推奨する妥当性の検討も必要と述べた。

(坂口 恵) 】




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